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林檎行列と梔子の花

#アリスラビリンス #【Q】 #お祭り2020 #ハロウィン

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●南瓜と林檎の世界
 此処はハロウィンの国。
 この世界はずっと、ずうっとお祭りの夜が続く場所。
 星でいっぱいの夜空の下ではお喋りな南瓜や林檎のランタンが輝き、林檎を持った妖しい骸骨の置物がカタカタと揺れていた。
 森の樹々にはぴかぴかと光る林檎型の飾りが取り付けられていて、その先には長い長い仮装行列をするためだけに作られた、煌めく小石の道もある。
 この世界に来たからには普通ではいられない。
 行く先には足を踏み入れると様々な衣装が飛び出す森があり、其処で着替えたらハロウィンのお菓子を作るキッチンで料理をしなければいけない。
 破茶滅茶で滅茶苦茶。
 それこそがまさに、ハロウィンパーティの国!

●リンゴとクチナシ
「大変だ、みんな! ハロウィンの国がオウガでいっぱいなんだ!」
 皆も知っての通りだと告げた時計ウサギの少年、メグメル・チェスナット(渡り兎鳥・f21572)はオウガ・オリジンが作って残していったという不思議の国について語った。
 この国はハロウィンの雰囲気に満ちている。
 一見は楽しい場所だが、この国は『悲劇を作る』ためのもの。オリジンから直接力を与えられた凶悪なオウガ達が潜んでおり、ハロウィンの力を利用して襲いかかってくる。
「ハロウィンの国は楽しいのが良いよな。だから皆、協力して!」
 そして、メグメルは詳細を説明していく。

「みんなに向かって貰うのは林檎の森と梔子の園ってところだよ」
 まず戦うのはオウガの軍勢。
 林檎の森には、樹々の間から飛び出してくる仮装衣装を着て入らなければいけない。オウガ達も衣装を着てパワーアップしているので、此方も対抗しなければならないのだ。
「ただ問題は、森から与えられる衣装はランダムだってこと!」
 大体は可愛らしかったり、格好良い衣装なのだが、ひょっとしたら自分が全く望まない仮装が飛んでくるかもしれない。
 嫌かもしれないが、与えられた衣装で戦うしかない。
「もしイヤであっても素直に着れば、衣装は物凄い力を貸してくれるらしいぜ。だから、何とか我慢して戦って欲しいな」

 オウガ達を倒して林檎の森を抜ければ次は料理の時間。
 其処にはクチナシの魔女という敵がおり、周囲には梔子の樹が並んでいるようだ。花が咲き乱れる中には特別な野外キッチンがあり、此処でハロウィンクッキングが出来る。
「料理なんてしないで戦った方が早いって思うだろ? でも違うんだ」
 魔女はハロウィンの国の法則によって、ほぼ無敵となっている。
 倒す方法はただひとつ、『美味しい料理を食べさせること』!
 相手は無敵ではあるが国のルールはもうひとつある。料理を出されると食べなくてはいけない、という決まりだ。
 だから料理を作って欲しいと願ったメグメルは更に話を続ける。
「材料や道具はキッチンに揃ってるぜ。お菓子でもメインディッシュでも何でも作れるんだけれど、魔女の好みに合わせて林檎を使った料理だと良いみたいだ」
 クチナシの魔女は基本的に無口だ。
 しかし、手にしている料理や食べ物関係の本の台詞や、その描写を引用して料理の批評をしてくる。そうこうしているうちに敵はいつしか眠りに落ちて無敵も解除される。後は簡単に倒せると告げ、メグメルは説明を終えた。
 仮装での戦いの後、料理品評対決。
 何とも奇妙で不思議な戦いになるが、これも不思議の国を平和に戻すためのもの。
「それじゃ転送を始めるぜ。――ゲート・アンロック!」
 そして、時計ウサギの少年はハロウィンの国に繋がる路をひらいた。


犬塚ひなこ
 今回の世界は『アリスラビリンス』
 オウガ・オリジンによって改変された「ハロウィンの国」での騒動を解決することが目的となります。

 こちらのシナリオは【二章構成】となっています。
 10/31までに完結させるために比較的に早めにリプレイを執筆していきます。
 詳しい募集状況などはマスターページに記載しておりますので、お手数ですがご参加の前にご確認頂けると幸いです。

●第一章
 集団戦『微睡み・ダウナーキャット』
 戦場は林檎の森。
 森から飛んでくるランダムな衣装を着て戦いましょう。着替えは魔法の力で一瞬で行えます。敵はやる気なさげですが、ちゃんと仮装しているため少し強いです。

 衣装は「こういった仮装が飛んできた!」と決め打ちして頂いても大丈夫ですが、お任せ頂いてもOKです。お任せ希望の場合は下記の記号をプレイング冒頭にお書き添えください。
『🎃』:魔女や南瓜、狼男や吸血鬼などの定番系。
『🍎』:版権に引っ掛からない程度の童話系。
『🌟』:上記含めて完全おまかせ。どんなものが選ばれても大丈夫な方。

 ※過度にセクシーなものや年齢制限がかかりそうなもの、本当に嫌悪されるレベルの衣装は登場させませんのでご安心ください。

●第二章
 ボス戦『クチナシの魔女』
 森を抜けた先にある、梔子の花が咲くオープンキッチン。
 リンゴを使った料理であるとプレイングボーナスが付きますが、お得意な料理を披露してくださっても大丈夫です。
 ボスの苛烈な攻撃に耐えながら、キッチンで美味しい料理を作ってください。たとえ美味しくなくても、気持ちのこもった料理でも大丈夫なようです。
 どのような場合でも食べ物を粗末にしないようにしましょう!

 魔女に料理を食べさせ続ければ無敵状態は解除され、一撃で倒せるようになります。プレイングは「料理を作る」か、料理を作っている人を守って「攻撃を耐え忍ぶ」ものとしてくださると幸いです。
 それでは、良いハロウィンを!
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第1章 集団戦 『微睡み・ダウナーキャット』

POW   :    …煩い、邪魔するなら容赦しないよ…
自身が【眠りやダラダラの妨げられ】を感じると、レベル×1体の【両手ダガーナイフを持った自分の分身】が召喚される。両手ダガーナイフを持った自分の分身は眠りやダラダラの妨げられを与えた対象を追跡し、攻撃する。
SPD   :    …お布団くん達、ふかふかで気持ち良いよ…?
【眠りたい、ダラダラしたい】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【重ねられた干したての布団と枕の山】から、高命中力の【ふかふかの布団と枕、更にはクッション】を飛ばす。
WIZ   :    …ネズミくん、よろしく…
無敵の【催眠術と菓子召喚が得意なネズミの魔法使い】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

庵野・紫
🌟

えー、なになに?
やる気のない猫!何こいつ!
ちょっとー、アンの行く道を塞ぐとかさー、良い度胸してんじゃん。
さっさと退いてよね。アンはそこを通りたいの。

わっ!何この服!うけるー!
えー、いいじゃんいいじゃん!
ここって写真撮れる?撮っていい?
SNS映えしちゃうよ!
ちょっと猫ー、手伝ってくんない?
あー、もう!そうじゃない!邪魔すんな!

折角アンがこの服を楽しんでたのに!
やる気があるのか無いのかわかんない猫だよねー。
でもさー、この服が汚れたら台無しじゃん。

うじゃうじゃうざったい!
全員アンの靴の餌食にしたげる!
アンの道を塞ぐ奴らに天罰だよ。



●白衣と写真
 林檎が嗤って南瓜が踊る。
 夜はお静かに、なんて言葉など存在しないくらいに、この国は賑やかだ。
 煌めく星明かりが照らす夜の最中、林檎の森はざわめいている。其処に一歩、足を踏み入れれば――。
「えー、なになに?」
 紫は木々の間から飛び出してきた何かに気付き、さっと身構える。一瞬は敵かと思ったが、それは一着の衣装だった。
「わっ! 何この服! うけるー!」
 紫は目の前にふわふわと浮いている仮装に、興味津々の眼差しを向ける。
 それは白い看護帽とタイトなミニスカートの衣装があわさった白衣の天使、もといナース風の仮装らしい。
「えー、いいじゃんいいじゃん! ここって写真撮れる? 撮っていい?」
 SNS映えしちゃう、とカメラを起動させた紫。
 衣装はそれが着る意志だと判断したらしく、一瞬で紫の格好がファンタジーナースの仮装に変わった。白い帽子には十字のマーク。背には白い付け翼が装着され、足元は十字に合わせたエナメルの黒いヒールだが、誰が何と言おうとナースはナースだ。
 すると其処へ、白衣の医師風の衣装に身を包んだオウガが現れる。
「ふぁ……眠……」
「うわ、やる気のない猫! 何こいつ!」
「診察をはじめるよ……」
 ダウナーキャットは首から掛かった聴診器を持ち上げ、眠たげな目で紫を見遣った。気怠そうではあるが、どうやら紫を足止めするつもりらしい。
「ちょっとー、アンの行く道を塞ぐとかさー、良い度胸してんじゃん」
「ダメだよ、僕らはペア仮装だから……それっぽくしないと……」
 それがハロウィンの国の決まりだと告げるように、ダウナーキャットは紫に近付こうとする。そもそも診察するのは患者であって、看護師相手ではない。
 だが、オウガからは道を譲る気も診察をやめようとする気配も感じられない。
「さっさと退いてよね。アンはそこを通りたいの」
「……煩い、邪魔するなら容赦しないよ……」
 どうやら互いの主張は相反するものらしく、素直に聞いてくれそうにない。それなら一枚くらいは写真を撮って、と考えた紫はインカメラで自分達を映した。
 するとダウナーキャットもレンズを見つめる。
「ちょっと猫ー、手伝ってくんない?」
「いいよ……」
「そうそう、ピースして……ポーズが妙に古いけどまぁいいや!」
「……ふぁあ」
「あー、もう欠伸しない! そうじゃなくって!」
「ぴえん」
「古いって言われたから新しめに対抗してんの? それよりもちゃんと写って!」
 そんなやりとりが交わされ、医師と看護師コンビの撮影は大変なものになる。何せダウナーキャットが真面目に写ろうとしないのだから、映えどころではない。
「折角アンがこの服を楽しんでたのに!」
「じゃあ、戦う?」
「戦いは良いなんて、やる気があるのか無いのかわかんない猫だよねー。でもさー、この服が汚れたら台無しじゃん?」
「……そう」
 自分の衣装を改めて見遣った紫に対し、ダウナーキャットは指をぱちんと鳴らした。すると様々な衣装を来た別の猫達が紫の前に現れる。
 どうあっても紫を先に通す気はないようだ。
「あーもう、うじゃうじゃうざったい! 全員アンの靴の餌食にしたげる!」
 紫は衣装の汚れや乱れなど気にしている場合ではないとして、強く地面を蹴った。覇気を纏った彼女は医師仮装の猫に向けてひといきに踵を振り下ろす。
 そして――。
「アンの道を塞ぐ奴らに天罰だよ」
 鋼の靴は次々とダウナーキャット達を貫き、蹴散らし、道はひらかれていく。
 破茶滅茶に巡っていく戦いの開幕の様子を、森に宿る林檎や南瓜のランタンがカタカタと揺れながら見つめていた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドガー・ブライトマン
🌟
不思議な南瓜の賑やかさ、林檎のひかり
ココもまさしく、不思議の国なんだねえ

私としては、この国は悲劇より喜劇が似合うとおもう
ハロウィンは楽しい祭りなんだ
去年の私の手記に、そのように書いてあった
王子として、今年も楽しい祭りを守ってあげなくちゃ

罪なことに、この顔立ちゆえ
私はどんな衣装でも似合ってしまうんだな…
だから、森から出てきた衣装を確認することもなく着る
私なら何だって何とかなるさ
王子だからね

レディ、オスカー。この服似合ってる?
ウンウン、やはりな…

待たせたね、ダウナーキャット君
待たせて悪いけど、すぐ退場してもらうよ
Bの花茨で辺りを彩りながら
キャット君もネズミ君まとめて攻撃
悪い子は眠っていたまえよ



●薔薇の王子
 光に彩られた真夜中が続く国。
 南瓜のランタンが明滅して、樹々に成る林檎が揺らめいている。何処からか不思議な笑い声が聞こえたことでエドガーは耳を澄ませた。
 辺りには一見は人気がないように思えて、そこかしこから何かの気配が感じられる。
 不思議な南瓜の賑やかさに不規則に輝く林檎のひかり。
「ココもまさしく、不思議の国なんだねえ」
 エドガーはそ今は亡きオウガ・オリジンが残していったという国の様相を確かめる。林檎の森の樹々の間を飛んでいる燕のオスカーを呼んだエドガーは、離れすぎないようにね、と声を掛けた。
 聞けば、この国は楽しげに見えても悲劇を起こすために作られたという。
「私としては、この国は悲劇より喜劇が似合うとおもうよ」
 ねぇオスカー、と同意を求めれば、その通りだと言うように燕が肩に止まった。
 ハロウィンは楽しい祭り。
 去年のことは残念ながら覚えていないが、エドガーが記している手記にはそのように書いてあった。それならば今年も去年と同じように楽しいものにするのが良いはず。
「王子として、今年も楽しい祭りを守ってあげなくちゃ……と?」
 エドガーが一歩を踏み出すと、其処にひらひらと何かが飛んできた。
 森から飛び出してきたのは仮装の服だ。
 そういえばそうだった、とエドガーが思い出したのは此処ではこれを着るのがこのハロウィンの国の決まりだということ。
「さて、どんな衣装かな」
 エドガーは手を伸ばし、この国に満ちる魔法の力で瞬時に着替えを済ませた。
 事前にどんな衣装かすら確かめずにいたのはエドガーがエドガーであるゆえ。罪なことに、実に整った顔立ちとスタイルであるために、どのような衣装でも似合ってしまうと彼自身も自負している。
 そして、エドガーの様相は薔薇の騎士へと変わった。
 洒落た三角帽子にはイミテーションの薔薇飾り。黒を基調とした騎士や騎士めいた礼服には硝子で出来た薔薇の胸飾りがあり、袖口や裾には葉の刺繍が見えた。
「王子じゃなくて騎士か。これは良いね」
 自分の格好を確かめたエドガーはその場で一回転してみる。ふわりと広がるマントの裾にも薔薇の刺繍が施されており、上品さが見て取れた。
 まるでレディのようだと感じたエドガーはふたりに問いかけてみる。
「レディ、オスカー。この服似合ってる?」
 すると左腕と肩から褒め称えるような雰囲気が感じられた。納得したエドガーは騎士も悪くはないと頷く。
「ウンウン、やはりな……」
 携えたレイピアに手を添えたエドガーは森の中へと踏み入っていく。林檎が並ぶ樹々の合間から光る眼が見えた。
 先程に感じていた気配の主だと察し、エドガーは剣を抜き放つ。
「待たせたね、ダウナーキャット君」
「ふぁ……」
「待たせて悪いけど、すぐ退場してもらうよ」
 エドガーが森に入るのを待っていて眠くなったのか、チェシャ猫姿のダウナーキャットは欠伸をしていた。
「ネズミくん、よろしく……」
 オウガ猫はネズミの魔法使いを呼び寄せる。ネズミ達は次々とお菓子召喚することでエドガーの足止めを行おうとしていく。対するエドガーは刺突剣を振りあげ、幻想の菓子を打ち消すように花茨を広げた。
 薔薇の衣装が華麗に揺らめき、花弁が辺りを彩る。
 ダウナーキャットも魔法使いネズミも纏めて花に包み込まれ、次々と倒れた。薔薇の騎士として振る舞う王子は花弁を更に散らしていく。
「悪い子は眠っていたまえよ」
「わああ、やられたー……」
 花茨が森の林檎にまで絡みつき、悪しき力を払った。
 周囲の気配が消えたことを察したエドガーはオスカーを呼び、左腕をそっと撫でる。レディと同じ色の薔薇を宿す王子はマントを翻して颯爽と歩き出す。
 この先には何が待っているのか。
 薔薇の王子騎士は進む。ハロウィンをより楽しいものへと戻すために――。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

誘名・櫻宵
🌸神櫻
🌟

甘い林檎の佳い香り!
うふふ、私の愛は毒林檎
食べてはいけないわ?なんて

カムイ仮装が決まらないの?
初めてのハロウィンだものね
あなたなら何でも似合うわ!
運を天に任せてみるのもいいかも

魔法少女は禁止だってカグラ達が?
カムイにも似合うと思うのに残念だわ
カグラ、着替えてるし
自由ね

カムイ
何時もと違う雰囲気で素敵よ
似合ってるわよ私の神様

私はどうかしら

カムイに褒めてもらったら
にっこり笑ってトリックオア…神罰?
あら寝ててくれていいのよ?

神に祈り、神楽を舞うわ
生命喰らい桜と咲かす神罰巡らせて
衝撃波と共になぎ払い
カムイが斬った傷を抉るように裂いて
さぁ一緒に!

私達
息ぴったりね!
並び立てる事がこんなにも嬉しい


朱赫七・カムイ
⛩神櫻
🌟

可愛い巫女の愛ならば毒にもならないよ
親友がくれるのなら何でも食べるよ
…或る意味、毒なのかな
歓迎するのにと林檎をつつく

はろうぃん仮装が決まらなくて
サヨが前に教えてくれた魔法少女はカグラとカラスに禁止されたよ
厄災だって

…カグラ…はやいね
良いと思うよ
カラスは何故ゴミ袋を被ってるの

天が選んだ私の衣装はこれかな
どうかな?変じゃない?
普段と違って緊張するけれど
似合うの言葉が嬉しくて照れくさい

サヨは綺麗で可愛いよ
すごく似合ってる

悪戯するならお仕置だ
カグラの防護結界で攻撃を防ぎ
早業で迅く駆けて切断する
厄を約す神罰を斬撃に這わせ断ち切るよ
彼の太刀筋は不思議と察せられる
噫、一緒に

私もだよ
隣がとても嬉しい



●悪戯と神罰
 甘やかな林檎の香りが満ちる森。
 櫻宵とカムイは並び歩き、不可思議に光る林檎の森を見渡していた。
「甘い林檎の佳い香り!」
「奇妙だけど、賑やかな場所だね」
 少しばかり子供のようにはしゃいでいる様子の櫻宵は、目線が同じカムイを見つめて楽しげな笑みを浮かべる。
「うふふ、私の愛は毒林檎。食べてはいけないわ?」
 なんて、と櫻宵が戯れにひとつの林檎をもぎとった。しかしカムイは首を横に振り、櫻宵の手にある果実に手を伸ばす。
「可愛い巫女の愛ならば毒にもならないよ」
 それに親友がくれるものなら何だって食べられる。そんな風に語るカムイは林檎を掌の上で転がしながら、或る意味で毒なのかな、とちいさく呟いた。
 歓迎するのに、と林檎をつつく彼は櫻宵と林檎を重ね合わせてみる。そこでふと、カムイはハロウィンに着る衣装のことを思う。
「そうだ、はろうぃん仮装が決まらなくて困っているんだ」
「カムイは初めてのハロウィンだものね。あなたなら何でも似合うわ!」
 例えば、と櫻宵が語ろうとするとカムイがその言葉の先を予想する。おそらく、いや絶対に魔法少女を勧められるに違いない。
 それゆえにカムイは駄目だと告げて先手を打った。
「サヨが前に教えてくれた魔法少女はカグラとカラスに禁止されたよ。厄災だって」
「カムイにも似合うと思うのに残念だわ」
 さりげなく厄災扱いされているが、櫻宵は肩を竦めるだけに留める。その際にちらりとカグラ達を見れば彼らは既に着替えていた。
「カグラ……それはぺんぎんのぱーかー、という服かな」
「カラスは袋のおばけかしら。自由ね」
 それぞれにペンギンパーカーと黒い袋を羽織っているカグラとカラスは何処か誇らしげだ。それならば次は櫻宵とカムイの番。
「私達は運を天に任せてみるのもいいかもしれないわ」
「そうしてみよう」
 頷きあった二人は林檎の森から飛び出してきた衣装に身を通すことにした。
 そして、暫し後。
 櫻宵が身に纏うことになったのは煌めく鱗めいた薄青のスパンコールやビーズがあしらわれた巻きスカート。それから鰭が形取られた白いヴェールだ。桜角には真珠の飾り、足元には尾鰭のように伸びるレースが揺れている。
 人魚姫を思わせる衣装は、森のランタンの光を受けてきらきらと光っていた。
 対するカムイはダブレット型の胴衣にサーコートを羽織った軍人風の装いだ。胸元に桜色の宝石が飾られたそれは、人魚姫と合わせた王子の仮装らしい。
「どうかな? 変じゃない?」
「カムイ、何時もと違う雰囲気で素敵よ。私はどうかしら」
「サヨは綺麗で可愛いよ。すごく似合ってる」
 櫻宵が褒めると、人魚風の出で立ちを見たカムイがぱちぱちと静かな拍手を送った。その所作が王子のように見え、櫻宵は微笑む。
「似合ってるわよ私の神様」
「ありがとう、サヨ」
 洋風のしっかりとした格好は普段と違って緊張するけれど、似合うという言葉が嬉しくて照れてしまいそうだ。櫻宵もにっこりと笑い、互いの衣装を確かめていく。
「ふふ! それじゃあの言葉を言わなきゃね。トリックオア……あら?」
「敵が来たのかな。気を付けて」
 ハロウィン気分に浸ろうとしたとき、周囲から何かが近付く音が聞こえ始めた。カムイは櫻宵を守る形で喰桜を鞘から抜き、凛とした眼差しを音がする方に向ける。
「ふぁあ……眠い、けど……戦うよ……」
 茂みから出てきたのは魔女の格好をしたダウナーキャットだ。櫻宵も屠桜に手を掛け、邪魔はさせないと視線で告げた。
「そんなに眠いのなら、寝ててくれていいのよ?」
「カグラ、頼んだよ」
 櫻宵が祷りを捧げる中、ペンギンカグラが防護結界を張り巡らせる。敵からふわふわのクッションが投げつけられるが、それらは結界によって弾かれた。
 神楽を舞う櫻宵を背にしてカムイは駆ける。
 次の一手が巡る前に魔女猫を迅く切断すれば、鈍い悲鳴があがった。その間に櫻宵は生命を喰らい、桜として咲かせる神罰を巡らせる。
「トリックアンド神罰よ!」
「悪戯するならお仕置だ」
 其処から衝撃波が解き放たれ、櫻宵もカムイに併せて薙ぎ払う一閃を振り下ろす。
 カムイが斬った傷を抉るように裂けば、更なる攻撃の機が訪れた。厄を約す神罰を斬撃に這わせて悪しき魔女猫を断ち斬る。
 次に続く櫻宵の太刀筋は不思議と解った。
 櫻宵は彼の人魚のように、ただ王子に守られるだけのものではない。角の下の真珠が淡く煌めき、桜宝石が仄かに輝く。
「さぁ一緒に!」
「噫、一緒に」
 片方が動けばもう片方がすかさず鋭い剣戟を入れた。最低限の掛け声だけで見事に舞うが如く、其々の刃の一閃が疾走ってゆく。
「私達、息ぴったりね!」
「そうだね、とても戦いやすいよ」
 並び立てることがこんなにも嬉しい。刃を振るう櫻宵に淡い笑みを向け、カムイもひといきに刀を振りあげた。
 君が、あなたが隣に居ること。共に戦えること。
 当たり前に傍に居られることを大切に思い乍ら、二人はオウガを蹴散らしていく。
 林檎が揺れる森の先。其処から甘やかな梔子の香りが漂ってきていた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リル・ルリ
🐟歌蜜
🌟

フルラはけぇき屋さんなんだよね?
僕にけぇき作るの教えて欲しいんだ
甘い林檎も沢山あるもの
美味しいのができるよ

魔女の言葉は大当たり
ふふりとはにかみ尾鰭を揺らす
櫻や皆へのお菓子を用意したいんだ

僕が蜜になっても不味くて食べられないよ

着替えよう!
これが僕の衣装…?
……尾鰭でも大丈夫?似合うかな
恥ずかしい気がする
何だかむずむずする
フルラは恥ずかしくないの?
…それは無くしてよかったのか微妙なとこだね
フルラはとっても可愛いよ!

フルラの尾に戯れるヨルとシィが少し羨ましい
僕ももふもふしたい
でも女の子にそんな、ね

フルラは僕が守るぞ
水泡のオーラ巡らせて歌う
蕩ける
「蜜の歌」

任せて
一緒にはろいんするんだから!


フルラ・フィル
🍯歌蜜
🌟

私に菓子作りを習いたいというのかい
それはもしかして店主の為かな?
健気な人魚だ
キミを蜜にかえたならば変じた蜜は甘すぎて食べられないだろうよ
自嘲気味に笑い衣装を手にする

アア、それに着替えるそうだよ
菓子作りにも準備が必要ということさ
はやくしたまえ
恥ずかしがることないさ
私もこれに着替える
私かい?
恥など無くしたよ

シィとヨルはお揃いの魔女装束かい
とても可愛らしいが、
…私の尾に戯れるのはやめなさい

リルも似合っているのだから胸を張っていなさい

料理の前に必要な蜜をあつめなくてはいけないね
―煮詰めて、とかして
眠いなら寝かせてやろう

愛される人魚の歌…
……本当に甘い蜜というのは
こういうものをいうんだろうな



●蜜と歌
 林檎の森には泡沫の人魚と花蜜の魔女がふたり。
 樹々の合間から時折見える星の輝きの下で、リルとフルラは真夜中を漫ろ歩き泳ぐ。
「フルラはけぇき屋さんなんだよね?」
「そうだが、どうかしたかい?」
「僕にけぇき作るの教えて欲しいんだ。甘い林檎も沢山あるもの。ちゃんと美味しいのを作ってみたくて……駄目かな?」
「私に菓子作りを習いたいと。それはもしかして店主の為かな?」
「うん!」
 リルが願うと、フルラはショコラティエとしての彼のことを示す。魔女の言葉は大当たりで、頷いたリルはふふりとはにかんで尾鰭を揺らした。
「櫻や皆へのお菓子を用意したいんだ」
「構わないよ。健気な人魚だね」
 フルラは快く引き受け、先ずはこの森を抜けるべきだと考える。その際に手を伸ばしたフルラは、低い位置に生っていた林檎をひとつ手に入れた。
 仄かな香りが心地好い。林檎蜜も良いと思いながらフルラはリルを見遣る。
「キミを蜜にかえたならば、変じた蜜は甘すぎて食べられないだろうよ」
「僕が蜜になっても不味くて食べられないよ。……わっ」
 そのとき、ふたりの目の前に不思議な衣装が現れた。これがハロウィンの国で着るべき仮装なのだと察し、リル達は衣装を手にした。
「これが僕の衣装……?」
「アア、それに着替えるそうだよ。しかし、これは――」
「……尾鰭でも大丈夫? 似合うかな」
 すぐに受け入れたフルラとは逆に、リルは少し戸惑っている様子だ。
「菓子作りにも準備が必要ということさ。はやくしたまえ」
「これ、恥ずかしい気がする」
「恥ずかしがることないさ。私もこの衣装に着替えるよ」
「フルラは恥ずかしくないの?」
「私かい? フフ、恥など無くしたよ」
「それは無くしてよかったのか微妙なとこだね」
 人魚と魔女は不思議の国の魔力によって一瞬で着替え終わる。瞬きの間に自分達の様相が変わったことで、ふたりは幾度か瞼を瞬いた。
 リルは狼の耳と尻尾がついたフード付きケープ姿。
 背鰭辺りの位置にふわふわとした獣の尻尾が揺れていて、手には爪付きのふんわり手袋。可愛らしいが、どうやら人喰い狼の仮装のようだ。
 対するフルラは赤頭巾姿。
 大きなリボンが首元に巻かれており、先程にもぎとった林檎が藁編みのバスケットに入っている。足元は素朴なドレスと赤い靴。頭巾からはフルラの自前の獣耳が出ており、可愛らしい少女の様相だ。
「がおー、かな。何だかむずむずする」
 人魚の尾に触れるフェイクファーの心地がくすぐったいのか、リルはぴるぴると鰭を動かす。フルラはというと、自分の格好を見るためにその場でくるりと回った。
 シィがフルラの尻尾にじゃれつき、ヨルはリルの狼フードにぺちっと触れる。角にフードの耳部分を合わせてくれたらしい。
「フルラはとっても可愛いよ! ヨル?」
「ありがとう、リル。おや、シィとヨルはお揃いの魔女装束かい」
 二匹もいつの間にか着替えていたらしく、それぞれに森から与えられた魔女帽子を被って誇らしげにしていた。
 そうして、ヨルはシィと一緒になってフルラの揺れる尾で戯れる。
(僕ももふもふしたいなぁ。でも女の子にそんな、ね)
「きゅ!」
「……にゃ」
「ふたりとも、私の尾に戯れるのはやめなさい。それからリルも似合っているのだから胸を張っていなさい」
 リルがじっとしていると振り向いたフルラがそんなことを告げた。尾が気になってそわそわしていた人魚が仮装を恥ずかしがっていると思ったらしい。
 こくりと頷いたリルが、思いきってフルラに近付こうとしたとき――。
「あ、狼だ。撃つぞー……」
 がさがさと茂みから音が聞こえたかと思うと、ふたりの前に猟師の格好をしたダウナーキャットが現れた。
 手にした銃はおもちゃのようだが、オウガから感じられる敵意は本物だ。
「お前、僕達を邪魔する気だな。フルラは僕が守るぞ」
 もしかしたら彼女の尻尾に少しだけ触れさせてもらえたかもしれないのに、という思いは押し込めて、リルは水泡のオーラを巡らせた。
「リル、守りは頼んだよ。料理の前に必要な蜜をあつめておこうか」
 赤頭巾フルラは身構え、狼リルは花唇をひらく。
 ――煮詰めて、とかして。
 ――享楽蕩けて夢の中。
 詠唱と歌声が森に響き渡り、楔の花嵐と蕩ける蜜の歌が紡がれていった。
「任せて、一緒にはろいんするんだから!」
「ふわぁ……倒される気がないなら、一緒に眠らない?」
「いいや、お断りだ。眠いならキミだけを寝かせてやろう」
 ダウナーキャットは此方にネズミ達を嗾けたが、人魚の歌と溶解の魔力が巡ることでそれらは見る間にとかされていった。
 フルラは浮かぶ水泡に目を細めながら、響き続ける歌に耳を傾ける。
 愛される人魚の歌。
(……本当に甘い蜜というのは、こういうものをいうんだろうな)
 籠の中にある林檎に触れたフルラは、遠く儚いものを見つめるような眸で人魚の横顔を眺める。その眼差しにはほんの少しの憧憬が宿っていた。
 そして、戦いは巡る。
 ふわふわ狼の人魚と赤頭巾の魔女。重なりあっていた歌と嵐が止んだ後、其処に残っていたのは甘やかな蜜の香りだけ。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レイス・ソレイユ
🌟(可能でしたら、女の子らしさがある仮装でお願いします)

私も猟兵になったからには、異世界の危機もお助けいたします!

…え、仮装?
メイドが着替えてしまうのは…
…いえ、これもご主人様からのお願いと思えばっ!

纏った服を見て、ちょっと照れちゃいますが
セイバーズ・ガーディアンを発動し、武装を遠隔操作しつつ戦闘へ!

シールドエッジで飛び道具を防ぎつつ、アームブレードの形態を上手く切り替えつつ攻撃!

寝具をそんな風に扱ってはいけません!
ネズミもまとめて、お掃除しなおしですっ!

そのまま敵に切り込んでいき
ウイングソードを手にして
ダウナーキャット達を攻撃します!

お休みしたいなら、人様に迷惑をかけてはいけませーん!



●装甲魔法少女セイバーレイス
 林檎の森にて、メイド服が夜風に揺れた。
 周囲の樹に垂れ下がる南瓜のランタンはケタケタと笑っているかのよう。
 一見は楽しいハロウィンの国に見えても、此処はオウガ・オリジンが残した場所。何れは悲劇が起きてしまうという哀しい国だ。
「私も猟兵になったからには、異世界の危機もお助けいたします!」
 レイスは意気込み、悲劇など巡らせないと決意する。
 しかし、この国にはとても不思議なルールがあった。
「え、仮装?」
 レイスは困惑していた。何処からか飛んできた衣装が目の前に浮遊しているのだ。森を抜けるにはこれを着なくてはならないらしい。
 それは何処からどう見てもメイドとは程遠い衣装であることがわかる。
「……メイドが着替えてしまうのは、ちょっと。ですが……いえ、これもご主人様からのお願いと思えばっ!」
 逡巡していたレイスだが、意を決する。
 レイスはそっと浮遊する仮装に手を伸ばした。その瞬間、ぽぽんと弾けるようなポップな音がしたかと思うとレイスの姿が光に包まれる。
 淡い虹色の光が身体全体に広がったかと思うと、指先に星の煌めきのような輝きが宿った。ダイヤの指輪が指に宿り、其処からシルクの手袋が現れる。
 胸元には星飾り。髪にはリボンが結ばれてツインテールになり、片方には小さな剣が重なった髪飾りが装着される。
 ふんわりと広がるスカートの背にもまた、大きなリボン。
 きらきらと光りながら最後に現れたのは装甲を飾る星のチェーン。そして、いつしか目を閉じていたレイスはゆっくりと瞼をひらく。
 髪の色に合わせて淡い緑を基調にした衣装はどう見ても――。
「私が……魔法少女に?」
 レイスは驚きながら自分の格好を見下ろす。
 纏った服を見て少し照れてしまったレイスだが、近くからは敵の気配がした。セイバーズ・ガーディアンを発動した彼女は武装を遠隔操作しながら茂みの向こうへと急ぐ。
「そこですね!」
「ふぁ……あ、魔法少女だ」
 其処には悪の大総統のようなマントを羽織ったダウナーキャットがいた。
 衣装は禍々しいが、それを纏っているオウガはやる気がなさそうだ。寝ちゃえ、と片手を掲げたダウナーキャットから布団と枕の山が次々と生み出される。
 当たるわけにはいかないとして、レイスはシールドエッジでそれらを防いだ。同時にアームブレードの形態を切り替えて反撃に移っていく。
「寝具をそんな風に扱ってはいけません!」
「じゃあネズミくん……よろしくー……」
 依然としてダウナーキャットのやる気は見られない。対するレイスは魔法少女の衣装を翻しながら更に斬り込んだ。
「ネズミもまとめて、お掃除しなおしですっ!」
 駆ける勢いに乗せて、手にしたソレイユウイングソードを振りあげる。風が駆け抜けたかと思うほどの一閃によってネズミ達が蹴散らされていった。
 後に残るはダウナーキャットのみ。
 そして、レイスとオウガとの視線が重なった刹那。
「お休みしたいなら、人様に迷惑をかけてはいけませーん!」
 ウイングバインダーの刃が敵を一刀両断した。
 刃を下ろすと同時に魔法のリボンが愛らしく揺れ、レイスはほっと一息をつく。
 辺りの敵の気配はひとまず消えた。後はこの森を抜けるだけだとして、レイスは魔法のリボンを揺らしながら先を目指してゆく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

朝日奈・祈里
🌟
ここが噂のハロウィンストリート!
浮き足立ってけんけんぱしながら探索しよう

んお?!
飛んできた衣装に驚いて、でもすぐにふふん、と笑う
可愛くてもかっこよくても
ぼくさまはめっちゃ可愛い幼女だからなんでも似合っちゃうんだよなぁ
くるんっと回って、満足!

それじゃあ遊ぼうか!
合言葉は
Trick or Treat!

あはは、力がみなぎる!
魔法使ってないのにな?
じゃあこの力を借りて、ルーンソードを振り回そう
来い、レム!一緒に遊んでやろう!
動きを止めた個体を確実に切って、斬って
あははは、楽しいな!
お菓子をくれないからだぞー
ハロウィンって、たしかそういうやつだもんな!



●南瓜の剣と白梟の従者
 真夜中が続く国の最中、ざわめく森は賑やかだ。
 林檎が星の光を受けて鈍く輝き、御化け南瓜に宿る灯が揺らめく。ぴかぴかと光っている果実を見上げた祈里は歩を進めていた。
 ずっと深い夜が続く世界であるからか、祈里の頭に乗っているアストライオスも心なしか元気そうだ。
「ここが噂のハロウィンストリート!」
 祈里は次第に足取りが弾んでいくことを感じながら、ぴょこっとジャンプする。足元に樹の根が張り出していたからだ。
 ふと思い立った祈里は、けんけんぱ、と浮き足立った気分のままに進んでいく。
 そうして暫しの探索をした後。
「んお?!」
 不意に目の前に不思議な衣装が飛んできたので、思わず後退してしまった。しかし祈里はすぐに状況を理解したらしく、ふふんと笑う。
「いいぞ、着てやろう。来い!」
 片手を伸ばせば、仮装がふわりと浮いて祈里に触れた。
 その瞬間、少女の周囲に淡い光が満ちていく。この光が衣装を着せてくれるのだと察した祈里は身を任せた。
 衣装をよく見てはいないが問題ない。何故なら可愛い服でも格好良いものでも――。
「ぼくさまはめっちゃ可愛い幼女だからなんでも似合っちゃうんだよなぁ、っと!」
 頭や手足に次々と装着されていく服。
 一瞬で終わった着替えの後、祈里はくるんっと回ってポーズを決めた。
 その出で立ちは南瓜の王子だ。
 渋めの黒緑を基調とした軍服風の上着。肩口からは金色の飾緒があり、背にはふわりと広がる橙色のマント。そして、愛らしく広がる南瓜パンツにボーダータイツ、足元は胡桃色のしっかりとしたブーツだ。
 頭には王冠のカチューシャ。腰には玩具のレイピアが提げられており、まさしく王子様といった様相だった。
「アストライオスは従者か。かっこいいじゃないか」
 お供の白梟はというと首元に南瓜のメダルがついたシックなリボンが装着されている。これでお揃いだと祈里が双眸を細めた、そのとき。
「ん?」
「あれ……王子様だ……。ふわぁ……」
 其処に現れたのは蝙蝠伯爵の仮装をしたオウガ、ダウナーキャットだ。
 欠伸をしている彼が戦う相手だと悟った祈里はすぐさま身構え、素早く空中に描いた陣からルーンソードを引っ張り出す。
「それじゃあ遊ぼうか! 合言葉は……」
 ――Trick or Treat!
 元気な掛け声と共に不思議な力が漲った。まだ剣を取り出しただけだというのに、これがハロウィンの国の力なのだろう。
「眠い、けど正義の王子は倒さなきゃ……」
「ということはそっちは悪の伯爵か。いいな、相手になってやろう」
 ダウナーキャットにやる気はないが敵意だけは十分に感じられた。折角こうして対になる仮装同士で出遭ったのだから、このハロウィンの力を存分に振るえばいい。
 ルーンソードを構えた祈里は一気に駆けた。羽撃いたアストライオスが林檎の樹の枝に飛び立つ中、祈里は精霊を呼ぶ。
「来い、レム! 一緒に遊んでやろう!」
 祈里の髪の一房が浮かびあがり、光の精が眩い光線を周囲に広げていった。眩しい、と呟いて目を閉じたオウガを狙い、祈里は刃を振り下ろす。
 羽のように軽い剣を振るって、猫オウガを斬り裂く祈里の手際は見事だ。
「あははは、楽しいな!」
「僕は痛いだけで、全然楽しくない……ねむ……」
「お菓子をくれないからだぞー。ハロウィンって、たしかそういうやつだもんな!」
「むう……」
 交わす言葉のテンションは天と地ほどの差がある。
 そうして、光に貫かれたダウナーキャットは白旗をあげるようにその場に座り込んだ。
「あー……僕はもう時間切れ。ばいばい、おやすみー……」
 そういって目を閉じたオウガは消滅していく。本当に眠るような終わりだったと感じながら、南瓜の王子こと祈里はルーンソードを下ろした。
「もっと遊びたかったんだが、仕方ないか」
 気付けばアストライオスが傍に戻ってきている。おかえり、と告げた祈里は白梟と一緒に更に先を目指すことにした。
 けんけんぱ、ともう一度。とても楽しげな足取りで以て少女は進む。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

旭・まどか
あきら(f26138)と🌟

出される衣装には袖を通すけれど
傾向すら解らないのは些か不安が残るな
そりゃあ僕は何でも似合うけれど、趣味じゃないものは盛り下がるでしょう?

これならまぁ、及第点
どう?僕は元からかわいいからね
何を着てもかわいくなるのは当然でしょう?
うん、君のも悪くないんじゃない

それじゃあ粧し込んだ事だし、この世界を救ってあげよう

何も無い空から喚び出すは無数の星々
降り注ぐ流星を鼠にお見舞いしよう

随分と器用な使い魔だね
知性を感じる動きに鼠で無ければ僕も使役したいくらいだと
けれど、本能に理性で諍えない獣は要らない
だってほらみてご覧
君の使い魔は、君の命よりも自身で生んだ菓子を食らう事に必死な様だ


天音・亮
まどか(f18469)と🌟

まどかなら何着ても似合うから心配する必要ないよ
私だってモデルやってる以上
出された衣装に着られるつもりなんて毛頭ないし
さあなんでも来い!ばっちり着こなしてみせるよ!

わあ!まどかかわいい~!(ぐるぐる周りを回る)
まどかが着ると大体なんでも可愛くなっちゃうの
もはや魔法だよね
私は?私は?
結構着こなせてると思うんだ~(くるくる)
わ、ほんと?やったあ!

うん、そうだね
楽しいハロウィンのために!

降り注ぐ星を見上げその美しさに瞳見開く
まどかが呼ぶ星、綺麗だね

楽しくて眠気なんて全くない
その攻撃は効かないよ
さあ、きみはおやすみ

流星に負けじと躍り出て駆ける風になって
見舞う脚撃



●星と風
 夜の色が広がる不思議な不思議なハロウィンの国。
 ランタンになった南瓜や怪しく光る林檎の果実が其処彼処で躍る森。その最中を歩くまどかと亮は暫し、奇妙な森の様相を眺めていた。
「あれが仮装?」
「そうみたいだね、着ろって言ってるのかな」
 まどかが前方に浮遊する何かに気付き、亮も目を凝らして見つめてみる。
 綺麗に畳まれた状態で浮いているのでそれがどんな衣装なのかは分からなかった。訝しげな視線を向けるまどかは双眸を少し細めてみたが、袖を通すまでは全貌は見えないようなモザイクが掛かっているようだ。
「着るけれど、傾向すら解らないのは些か不安が残るな」
「まどかなら何でも似合うから心配する必要ないよ」
 少し不満気な様子のまどかに対し、亮は笑顔で平気だと告げた。そうだけど、と頷いたまどかはゆっくりと浮遊する仮装に近寄っていく。
「そりゃあ僕は何でも似合うけれど、趣味じゃないものは盛り下がるでしょう?」
「何とかなるんじゃないかな。この森、何だか空気が読めそうだし」
 ふふ、と笑った亮も手を伸ばす。
 モデルをやっている以上、出された衣装に着られるつもりなんて毛頭ない。それに森に選ばれた服だと考えると少し気分が上がる。
「さあなんでも来い! ばっちり着こなしてみせるよ!」
 亮が呼び掛けた瞬間。
 柔らかな光が辺りに満ち、各々の仮装がまどかと亮に触れた。
 そして、魔法の力によって一瞬で着替えが完了する。光が収まった後、互いの目に飛び込んできた仮装はというと――。
「これはパーカー?」
 まどかは自分が着ている服を見下ろし、背の方にも振り返ってみる。
 彼が着用しているのはふわふわな灰色のファー素材で出来た狼耳付きのパーカーだ。背中側の裾にはボリュームのある大きな尻尾があり、まどかが動く度に揺れた。
 下は深い臙脂色の膝丈のパンツに市松模様のレギンス。
 ブーツの横には王冠に添う風をイメージした意匠が刺繍されている。
「わあ!」
「どう?」
「まどかかわいい~!」
「僕は元からかわいいからね」
 良いね、と微笑んでぐるぐる周りを回る亮。まどかが着ると大体なんでも可愛くなっちゃうのはもはや魔法。そんな感想が彼女から述べられた。
「狼なまどか、格好良くもあるね!」
「何を着てもかわいくなるのは当然でしょう? これならまぁ及第点。そっちは猫?」
「そう!」
 亮も同じタイプのオーバーサイズパーカー姿になっていた。彼と違うのは模様が三毛猫柄だということ。
 ぴんと立った耳には肉球めいたマークが入っていて、背には二又に分かれた三毛尻尾が揺れている。どうやら猫又らしい。亮の方は黒のショートパンツに、三毛模様のプリントタイツ。足元は武装ブーツのままだ。
「結構着こなせてると思うんだ~。私は? 私は? かわいい?」
「うん、君のも悪くないんじゃない」
 次はその場でくるりと回ってみせた亮に向け、まどかがこくりと頷いた。
「わ、ほんと? やったあ! ポシェットまでついてていい感じ!」
「これにお菓子でも集めるってことかな。くれそうな相手はいないけど」
 二人は衣装とセットになっていたファーポシェットを確かめる。本当ならばトリックオアトリートの掛け声と共に菓子を集め歩くのだろうが、今はそうではない。
「ふぁ……ねむい……」
 そのとき、欠伸をする声と同時に樹の後ろからオウガが現れた。
 ん、と呟いて気怠げな視線を向けたダウナーキャットはゆるゆると身構える。鈍く緩やかなものであるが敵意を宿したらしい。風の狼と三毛猫又は敵の到来に気付き、それぞれに身構えた。
「それじゃあ粧し込んだ事だし、この世界を救ってあげよう」
「うん、そうだね。楽しいハロウィンのために!」
 亮が同意すると、まどかは指先を敵に差し向ける。
 すると何も無い空から無数の星々があらわれ、降り注ぐ流星となってオウガに迫っていった。むむ、と唸ったダウナーキャットもネズミの魔法を呼び出したが、見舞われた星の輝きはそれらを散らしていく。
 亮は降り注いでいく星を見上げ、その美しさに瞳を見開いた。
「まどかが呼ぶ星、綺麗だね」
 きらきらと光る様相が眩しくて、楽しくて、眠気なんて全くない。その攻撃は効かないよ、と告げた亮も攻勢に入っていく。
 煌めく星が林檎の森を照らす中で、太陽を思わせる蹴撃が巡った。
 ネズミさんこちら、と呼ぶ亮はまどかの方に魔法使いの一手が回らないように引き付けていく。その動きを察したまどかは、この間に使い魔達を全て屠ることを決めた。
「……ネズミくん、よろしく……」
「随分と器用な使い魔だね」
 ダウナーキャットが彼らに頼る様子を見遣り、まどかは思う。ネズミでなければ自分も使役したいくらいだけれど、本能に理性で諍えない獣は要らない。
「でも、ほらみてご覧。君の使い魔は、君の命よりも自身で生んだ菓子を食らう事に必死なようだから」
「……あれ?」
 まどかの言葉にダウナーキャットが首を傾げた。しかしそれは相手に疑念を感じさせるための方便だ。そうすれば使い魔の力は弱くなる。
 再び降り注がせた流星でネズミを穿ち、まどかは亮に視線を送った。
 眼差しに気付いた亮は、任せて、と告げて跳躍する。それによって猫又の尻尾が軽やかに揺れた。亮は流星に負けじと躍り出て、煌めきと共に駆ける風になる。
 ひといきに跳んだ亮が狙い打つのは、ただ一点。
「さあ、きみはおやすみ」
 見舞う脚撃はダウナーキャットを脳天から貫き、戦いの終わりを飾った。
 倒れたオウガは「おやすみ~」という何とも間の抜けた声を残して消えていく。亮はまどかに振り返り、ひらひらと手を振った。
「風と星、それから猫と狼の呼吸はぴったりってね!」
「そういうことにしておこうか」
 緩やかに首肯するだけに留めたまどかは、戦いの最中に脱げてしまっていたフードを被り直す。亮もパーカーのポケットに手を入れながら楽しげに笑った。
 そうして、二人は歩き出す。
 林檎の森で並ぶ尻尾がふたつ。穏やかな風を受けて揺らめいていた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユヴェン・ポシェット
🌟

いつぞやのヒーローフェスティバルでの格好を思うと、どんな衣装が来ようと大丈夫だろう。
…何の格好をしようとも傍にいるミヌレもテュットも楽しんで喜んでくれるのだろう?

それにしてもこの世界はいつも摩訶不思議だな。
楽しい国は、楽しい国で在り続けられるように頑張らねぇと

…何だかあのやる気の無さは調子が狂うな。
とはいえ、油断は出来ないよな。
気をつけて行こう。ミヌレ、テュット。

相手からの武器は布盾sateenkaariで受け止めて、弾き返して。
テュット!
声を掛ければ相手の視界を遮る様に相手の前に現れる。
その一瞬をつき、槍で敵を薙ぎ払い刺す。
UC「ドラゴニック・エンド」使用。
さて派手決めようか。



●閃く白
 仮装と南瓜と夜の世界。
 それが目の前に広がる、賑やかで騒がしいハロウィンの国。
 ユヴェンは林檎の生る森を眺めてから、足元に点々と並べられている南瓜のランタンを見下ろす。煌々と灯っている燈のお陰で足場の不安はなさそうだ。
 しかし、問題があるとすれば仮装の方。
「いつぞやのヒーローフェスティバルでの格好を思うと、何だって平気だが……」
 もしも、と考えたがユヴェンは頭を振る。
 あの衣装を上回る衝撃は流石にないだろう。ユヴェンは平静を保ち、傍にいるミヌレとテュットに意識を向ける。
 それに落ち着けた理由はもうひとつあった。
 ミヌレ達は自分が何の格好をしようとも楽しんで喜んでくれるはず。
「きゅ!」
「……!!」
 予想通り、ユヴェンが視線を向けるとミヌレとテュットはとてもわくわくした様子を見せていた。森から飛んでくるという仮装を待ちわびているようだ。
「それにしてもこの世界はいつも摩訶不思議だな」
 ユヴェンは周囲を見渡しながら、衣装の到来を待つミヌレ達を微笑ましく見守る。
 楽しい国が楽しい国で在り続けられるように。
 頑張らねぇと、とユヴェンが意気込みを見せたとき、前方から何かが現れた。一瞬は敵かと思ったがどうやらあれが衣装らしい。
「なんだあれは、真っ白な――」
「!?」
 夜の森に映えるほどに白いそれは、ひらひらと舞ったかと思うとユヴェン達の上に一気に覆い被さった。
 戸惑いを覚えたのは一瞬。
 ユヴェン達は自分達が仮装に包まれたのだと気付く。白い影の正体は目の所に穴の空いた布。つまりこの衣装はシーツおばけだ。
 頭には悪魔の角があり、ひらりと揺れる裾には尖った尻尾までついている。
 ミヌレの方は目の穴が空いているだけだが、シルエットがユヴェンのものとよく似ていた。ひらひらとシーツを揺らして跳ねるミヌレは楽しそうだ。
 そして、テュットはというと――ダークネスクロークの上にシーツだ。
「テュット……。ん? 良い布で良かった、ってか?」
 少し不思議な仮装になったテュットに何を言っていいか分からなかったユヴェンだが、本人はとても気に入っているようだ。
 シーツおばけのユヴェンも布を翻し、お揃いの様相も悪くないと頷く。
 しかし、そのとき。
「ふわぁ……ねむ、ねむい……」
 茂みが揺れ、その奥から気怠げなダウナーキャットらしきものが現れた。断言できないのは相手もまたシーツを被っているからだ。
「何だかあのやる気の無さは調子が狂うな。とはいえ、油断は出来ないよな」
「んー? なんだ、仲間かと思ったら違うや……」
 ダウナーキャットおばけは布の裾から見える猫尻尾を左右に揺らし、戦闘態勢を取っていく。此処から戦いが始まると察したユヴェンはミヌレを手の中に呼ぶ。
「気をつけて行こう。ミヌレ、テュット」
 竜槍となったミヌレを強く握り、ユヴェンは身構えた。すると相手からふかふかの布団や枕、クッションが投げ付けられる。
 布盾を振りあげたユヴェンはそれら受け止め、一気に弾き返した。
「テュット!」
 同時に声を掛ければ、テュットとおばけ布が相手の視界を遮っていく。布、布、布。これはまさに布の戦いと云えよう。
 目の穴の奥から敵の様子を捉え、ユヴェンはひといきに地面を蹴る。
「あれ……?」
「さて、派手に決めようか」
 布だらけになったことで相手が戸惑った隙を突き、ユヴェンとミヌレは敵を薙ぎ払いに掛かった。一瞬後、敵の身体が布ごと深々と刺し穿たれる。
 その瞬間、勝負は決した。
「わあー……やーらーれーたー……」
 何とも緊張感のない声と共にダウナーキャットは倒れ、骸の海に還された。
 槍形態から竜の姿に戻ったミヌレは後に残った布を前足でつつき、これも持って帰っても良い? という視線をユヴェンに向けた。
「ああ、折角だ。この布も持っていこうぜ」
 ユヴェンが布を拾いあげるとテュットも嬉しげに揺らめいた。
 そうして、敵を倒した布一行――ではなく、ユヴェン達は先へ進んでいく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

メトロ・トリー
【DRC】『🌟』
え!ぼくたちスキにされちゃうって事かい!?
きゃーーーーーーー『🌟』
やめてよなんてことを!『🌟』
わあ!『🌟』(喜)

ということで変身したよ!わーいわーい!
きゃは!ブーツ先輩の諦めたようなおめめ!燕くんの疲れた笑顔!
きゃはは!最高だね!

このままみんなで記念撮影!とならないのはなんでかって?
そりゃ君が邪魔するからに決まってるじゃないか!
だうなー男子が最近は人気なのかい?!
ぼくより人気なんて許せないよムキー!

やっておしまい、ブーツ先輩!
ブーツ先輩の背中に隠れて殺戮トランプたちをぶんぶん飛ばすぼくだよ
ふんふん任せてよ燕くん!
ふんふんふとん!?あ、アアー!ぼくも寝たーい!
えーん!滅。


ブーツ・ライル
【DRC】
アドリブ、マスタリング歓迎

_

仮装が飛んでくる…?(困惑)
成程。(理解)(適応)(この間二秒)

【🌟】

何が飛んで来ようが着ればいいんだろう、着れば。
諦観はあるが恥じらいはない。つまらない兎で悪かったな。
メトロはいつも通りだから心配ないとして、
燕は…大丈夫か?

燕やメトロを庇いつつ前線で応戦。
三徹明けに微睡みだとか布団だとかは目の毒だ。
悪いがそのまま骸の海で眠っていろ。

「──おやすみ、」

精々お前はいい夢見ろよ。


金白・燕
【DRC】
アドリブ、マスタリングは大歓迎です

🌟
……(一瞬額に手を当てて)
ああ、着替えさせて頂けるなんて有り難い事ですね
私には無かった発想ですから

大丈夫かって?
大丈夫ですよ、お仕事ですから
大丈夫です……ええ
衣装の力を借りることがベストでしょう?
心の底から楽しんでいますよ
ええ、ええ

【Paralysis】で相手の動きを止めながら戦いましょう
眠たい猫ちゃんは一人でお休みください
生憎ゆっくり眠らせて差し上げる時間が無いので
手短に飛ばして差し上げますね

何だか怠惰な方を見ると
すこぉしだけ……
そうですね、鎖に力が入ります、ええ
はいはい、メトロもやっちゃってくださいね?

……ブーツ
その布団の片付けもお願いします



●ウサギパレードにようこそ
 林檎の森に踏み入れば、其処は不思議でいっぱいの世界。
 南瓜ランタンの灯を受けて鈍く光る林檎の果実。カタカタと怪しげに揺れ動く骸骨の置物や、明滅する電飾めいた飾りの数々が世界を彩っていた。
 揚々と歩くメトロを先頭にして、燕とブーツは夜の森を進んでいく。
「見てご覧よブーツ先輩、燕くん。仮装が飛んで来たよ!」
 不意にメトロが前方を指差した。あまりにも普通に笑顔で言うものだから、まるで当たり前の光景のようだったが、服が自ら飛ぶのは通常ではありえない。
「仮装が飛んでくる……?」
 ブーツは困惑しながらもメトロの指先に目を向けた。
 成程。
 そう頷いた彼が理解して適応するのに二秒。ちなみに彼の横で同じように仮装を見ていた燕は五秒かかった。
「……仮装が飛んできましたね」
 一瞬、額に手を当てた燕は全員トータルで三回目になる台詞を口にする。一番自然に現状を受け入れたメトロはというと、たくさんの衣装がふわふわと浮いている様を楽しげに眺めて、自ら近付いていっていた。
 衣装はざっと十着以上はあるだろうか。
 余り物の仮装が群れをなして一気に三人の所に飛んできたに違いない。触れれば瞬時に着替えが終わるという不思議空間で、メトロはハッとした。
「え! つまりこの状況は、ぼくたちスキにされちゃうって事かい!?」
「ああ、着替えさせて頂けるなんて有り難い事ですね」
「何が飛んで来ようが着ればいいんだろう、着れば」
 燕が自分には無かった発想だと感心する中、すべてを悟っているブーツは諦観交じりの感情を抱いている。
 先輩達もはやく、と手招くメトロには早速一着目の衣装が迫ってきていた。
「きゃーーーーーーー」
 何処か期待が交じっているような悲鳴が響き渡った刹那、メトロの衣装が黒衣の死神へと変わる。玩具の鎌をぶんぶんと振り回す彼へ、別の衣装が触れた。
「やめてよなんてことを!」
 次はきらきらステッキを持った魔法少年スタイルへ。
「これは良いかも!」
 更に次は緑色の液体が入った注射器を持った白衣のナース姿。
「大胆!」
 シスター。ピエロ。囚人。ゴシックロリータ。次々と変わる衣装を楽しむメトロは着せ替え人形ならぬ着せ替えウサギ状態だ。
「わあ!」
 そして、最終的には本人の反応が喜ばしかった一着が本日の仮装として定着する。
 その衣装はポップなツギハギメイクが可愛らしい、包帯ゾンビだ。元は軍服だったらしい破れかけた服に、無造作かつスタイリッシュに巻かれた包帯が格好良くもある。
「ということで変身したよ!」
 わーいわーい、とはしゃぐメトロは包帯をひらひらと振る。
 その頃にはブーツと燕もお着替え仮装を終えており、林檎に樹に背を預けてメトロのファッションショーが終幕を迎えるのを待っていた。
「終わったか」
 顔を上げたブーツの衣装はというと、普段の服装の上にケープ型ローブを羽織った魔法使い姿。尖った帽子には大きな赤いリボンが巻かれており、ブーツの手には木製の杖がある。ローブが少しきつめなので、おそらくこれは女性用――魔女の衣装だ。
 諦めの境地に入っているブーツにはもう恥じらいはない。
「人選はこれであっていたのでしょうか……?」
 対する燕の仮装は海賊衣装。
 骸骨マークが入った海賊帽に眼帯。刃が柔らかいカトラスの玩具に、胸元が少し開けた麻のチュニックと黒のパンツ。足元は確りとした靴。
 普段の彼とは正反対のワイルドさが衣装から溢れているが、当の本人はこれまた少し諦めたような笑みが宿っていた。
「きゃは! ブーツ先輩の諦めたようなおめめ! 燕くんの疲れた笑顔、最高だね!」
 楽しげに笑うメトロはいつも通り。
 きゃははと更に響く声を背にして、ブーツは燕にそっと問いかけた。
「つまらない兎で悪かったな。ところで燕は……大丈夫か?」
「大丈夫かって? 大丈夫ですよ、お仕事ですから。大丈夫です……ええ」
 すると燕は平気だと三回も告げる。
 きっと大丈夫ではなかったところに敢えて大丈夫だと口にすることで無理矢理に大丈夫にしているのだろう。大丈夫のゲシュタルト崩壊だ。
「そうか。無理はするなよ」
「衣装の力を借りることがベストでしょう? 心の底から楽しんでいますよ」
 ええ、ええ。
 こくこくと機械のように頷く燕が心配ではあったが、本当の魔女ではないブーツには魔法などでどうにかしてやることも出来ない。
 そして、そんなとき。
「ふあぁ……」
 其処に欠伸をしながら現れたのはチェシャ猫姿のダウナーキャットだ。逸早く敵の出現に気付いたメトロは素早く身構える。
「わあ、オウガ! 何もなかったらこのままみんなで記念撮影だったのに!」
「写真……撮ればいいのに……。なんでしないの……?」
 オウガ猫は大きな欠伸をもうひとつ。しかしメトロもブーツも、燕だって記念の撮影などはじめたりはしない。
「そりゃ君が邪魔するからに決まってるじゃないか!」
「下がっていろ、燕、メトロ」
 すぐさまブーツが前に踏み込み、ダウナーキャットから二人を守る布陣についた。燕もハートのトランプを取り出し、投擲することで敵を捉えようとする。
 メトロはブーツの後ろに陣取りながら、ダウナーキャットをキッと見つめた。
「だうなー男子が最近は人気なのかい?!」
「えー……わかんないけど……」
「そのつれなさが逆にいいのかも! ぼくより人気なんて許せないよムキー! やっておしまい、ブーツ先輩!」
「任された」
 びしっと指先をオウガに突きつけたメトロの声を聞き、ブーツは地を蹴った。神速の脚撃は幾重もの破壊の閃きとなり、燕の解き放ったトランプと共に敵を穿つ。更にメトロも殺戮トランプくんを呼び寄せた。
「ネズミくん、よろしく……。こっちもちょっと、頑張るから……」
 対するダウナーキャットはダガーでトランプを弾き、衝撃をいなしながらネズミの魔法使いを召喚した。
 同時に眠気のような感覚が三人を襲ったが、誰もそのまま眠りに落ちたりはしない。
「君達も……寝ちゃえ……」
「眠たい猫ちゃんは一人でお休みください」
「断る。三徹明けに微睡みだとか布団だとかは目の毒だ」
 燕とブーツが投げ付けられかけていた毛布や枕を蹴散らし、その間にメトロがネズミ達にトランプくんをぶつける。
「ふんふんふとん!? あ、アアー消し飛ばしちゃった! ぼくも寝たーい!」
「我慢するといい」
「ブーツ先輩きびしい!」
「眠ってしまえば負けですから、ね? さて、生憎ゆっくり眠らせて差し上げる時間が無いので、手短に飛ばして差し上げますね」
 元気な包帯ゾンビと物静かな黒の魔女、穏やかで丁寧な海賊の三人の間でしっちゃかめっちゃかなやりとりが交わされていく。しかし彼らの息はぴったりと合っていて、徐々にオウガが押されはじめた。
「ふああ……これって、まずい……?」
 それだというのにダウナーキャットはまだ眠そうに欠伸をしている呑気具合だ。
 その姿を見た燕は緩く頭を振る。
「何だか怠惰な方を見ると、すこぉしだけ……そうですね、鎖に力が入ります、ええ」
 言葉と同時にハートのカードを命中させた燕は鎖で敵と自分を強く繋いだ。更にぶんぶんと飛ばされるトランプくんと鋭い蹴撃がオウガを貫いていく。
 だが、敵も負けじとふわふわ羽根布団を召喚した。
「あの布団いいなぁ! ふかふか!」
「確かに柔らかそうではあるな」
「はいはい、帰ったら眠れますからメトロもやっちゃってくださいね?」
「ふんふん任せてよ燕くん!」
 布団への魅惑の誘いは一瞬だけあったが、それじゃあ、とメトロが意気込んだことを合図にして一行はひといきに勝負を付けにかかった。
「さぁ、お帰りください」
「悪いがそのまま骸の海で眠っていろ」
「悪戯したらお菓子は貰えないからね! トリックアンド――デス!」
 燕の懐中時計の鎖が引かれ、ブーツの壊撃が繰り出される。そして、メトロの殺戮トランプくんがダウナーキャットに突撃していく。
 騒々しさが辺りを包み込んだ、一瞬後。
「──おやすみ、」
 精々お前はいい夢見ろよ、とブーツが最後に告げた刹那。猫オウガは何の言葉も遺さないまま眠りに落ち、骸の海に還された。
 そうして、勝利を喜んでぴょこんと跳ねたメトロは残された布団へダイブする。
「終わりだ! 終わり! おやすみなさーい!」
「……ブーツ。その布団の片付けもお願いします」
 だが、燕はメトロにとって無慈悲な言葉をブーツに願った。
「分かった」
「えーん! 何で!?」
 そんなこんなで三人の仮装紀行は巡っていく。
 わいわいとした賑やかさにつられたのか、他の様々な衣装達がパレードの如く彼らの近くまで迫っていることは此の時点では未だ誰も知らず――。
 きっとこの後も散々、もとい、楽しい時間が待っているはず。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夕時雨・沙羅羅
🌟
アリスラビリンスを未だに苛むとは、許すまじ
平和に楽しく過ごすため、オウガは倒す
そして、ハッピーエンドのハロウィンを

それにしても、仮装
あまり衣服を身に付けないんだが、似合うだろうか
ともあれ、着用が勝利の鍵だというのなら、僕は何でも構わない
アリスラビリンスの、アリスの、この世界の為ならば
僕は何でも飲み込む
…でも、足が複数本ある生き物用の服は、困るか
足が無い

眠り鼠のような猫
猫だから、寝床のティーポットに入れないのか
ならばジャムを鼻に塗ってお眠りよ
僕が手伝ってあげるから
お前の血という赤いジャムを、たっぷり塗ってあげるから
安心してお眠りよ
ハロウィンパーティの喧騒も聞こえないくらい、深く深く眠ると良い



●水の揺らめき
 一度は平穏が訪れた世界。
 しかしアリスは未だ召喚され続けており、今はハロウィンを前にしてオウガ・オリジンの残した国で悲劇が引き起こされようとしている。
 アリスラビリンスを未だに苛むとは、許すまじ。
 林檎の森に訪れた沙羅羅は、この国に潜むオウガ達を思いながら辺りを見渡す。
「オウガは何処かな」
 平和に楽しく過ごすためにオウガは倒す。それが沙羅羅の心情と矜持である。
 そして、ハッピーエンドのハロウィンを。
 願うことは穏やかな日々。一年に一度の楽しい時間を哀しいことで塗り潰されたくはないと思うのは極々当たり前のことだ。
「それにしても、仮装か」
 透き通った水の尾をふわりと揺らし、沙羅羅は少しばかり考え込む。普段から衣服らしいものをあまり身に付けない彼は首を傾げた。
 以前に着たパジャマは悪くなかったが、仮装となると自分に似合うだろうか。
 ともあれ、考えていても始まらない。衣装の着用が勝利の鍵だというのなら何でも構わないと考え直した沙羅羅は、そっと森の奥に進む。
 其処には、ふわふわと空中を浮遊する何かの衣装があった。
「……あった」
 沙羅羅は手を伸ばす。
 アリスラビリンスの、アリスの、ひいてはこの世界の為ならば自分は何であっても飲み込むだけだと決めていた。
 出来れば足がなくても着られるものだといいと考えながら、沙羅羅は衣装が放つ魔法の力に身を委ねる。そして――。
「これは?」
 一瞬後、いつの間にか閉じていた瞼をひらくと沙羅羅の様相は変わっていた。
 詰め襟の白いシャツに黒のボウタイ。
 スーツのような上着もかっちりとした黒。背の裾が長い、いわゆる燕尾服というもの上だけを着用しているようだ。手にはぴかぴかに磨かれた銀のトレイがあることから、どうやら執事の仮装が与えられたらしい。
「これならアリスに上手に給仕が出来そうだ」
 水の尾も自由に動かせるのでこれならば悪くない。そう感じていると、不意に近くからがさがさと茂みを掻き分ける音が聞こえた。
 オウガだと察した沙羅羅は身構え、敵の到来を待つ。
「ねむ……。あ、人魚執事だ」
 眠たげな顔をしたダウナーキャットは大きな帽子を被っていた。きっと帽子屋の仮装なのだろう。相手は欠伸をしながら沙羅羅に目を向けた。
 其処にじわりと敵意が滲んだことに気付き、己の力を紡いでいく。
 眠り鼠のような猫だ、と思った。同時に沙羅羅は或ることに気が付く。
「猫だから、寝床のティーポットに入れないのか」
「んん……そうかもねぇ……」
「ならばジャムを鼻に塗ってお眠りよ。僕が手伝ってあげるから」
 お前の血という赤いジャムを、たっぷりと。
 言葉と同時に沙羅羅から雫が零れ落ちた。すると不可視の水の珠や水魚が宙を泳ぎ、ダウナーキャットを穿っていく。
「……邪魔するなら容赦しないよ……」
「邪魔なんてしない。安心してお眠りよ」
 対するオウガはダガーで魚を切り裂こうとしたが、沙羅羅の能力の方が強い。一撃、二撃、その次は――惨劇。
 オウガは瞬く間に透明な水に穿たれ、その場に伏していく。
「ハロウィンパーティの喧騒も聞こえないくらい、深く深く眠ると良い」
「…………」
「もう眠ったのかな。……おやすみ」
 骸の海へと沈むように消えていくオウガから視線を外し、沙羅羅は踵を返すように宙を泳いだ。翻った燕尾服の裾の先端から、雫がぽたりと落ちる。
 こうして林檎の森の戦いは終わった。
 ハロウィンの国における次の舞台が近いのだろう。ざわめく森の樹々の向こうからは、仄かに甘く香る花の香りが感じられた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『クチナシの魔女』

POW   :    「ものがたりのはじまりはじまり」
【絵本から飛び出す建物や木々】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を描かれた物語に応じた形に変化させ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    「すると、愉快な仲間達は言いました」
【愉快な仲間達が登場する物語】を披露した指定の全対象に【朗読された言葉通りに行動したいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
WIZ   :    「まあ、なんということでしょう!」
無敵の【愉快な仲間達が合体したりして巨大化した姿】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠八津崎・くくりです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●お料理戦争、開幕!
 林檎と仮装の森を抜けた夜の向こう側。
 とても長い仮装行列の道を抜けた、更にそのまた奥。
 甘く香る梔子の花に囲まれた広場には何台もの野外キッチンがあった。まるで料理スタジオのようなこの場所こそ、ハロウィンの国の一番の不思議なところ。
 調理台横の備え付けのボックスに欲しい物を願うと、新鮮な材料が出てくる。
 調理器具もキッチンの棚にひととおり揃っており、煮るも焼くも蒸すのだって自由にできる。オーブンの難しい温度加減も、コンロの火力調整もとっても簡単!

 そんな料理広場の中央には豪奢なテーブルがあった。
 其処に座っているのはクチナシの魔女と呼ばれるひとりのオウガだ。
 訪れた猟兵達をちらりと見遣った彼女は、机の上に置いてあった『魅惑のキッチンバトルアリーナ』という何とも不思議なタイトルの本を手に取った。
『お前たちが噂のクッキングバトラーか』
 唐突に朗読をはじめた彼女は、こうやって本を介して喋るようだ。本の頁を捲ったクチナシの魔女は此処で告げるに相応しい台詞を探し、読みあげていく。
『各々が得意とする料理を作ってみよ。話はそれからだ。グルメマスターであるこの私は手抜きの料理では満足せぬぞ』
 つまりは自慢の料理を作ってテーブルまで持って来いということらしい。
 そして、新たな朗読が紡がれる。
『ただしバトラーである以上は戦いながら料理をすることだ! わはは!』
 其処で一度本を閉じ、魔女は戦闘用の別の本を取り出した。
 ちなみに猟兵はクッキングバトラーではなく、クチナシの魔女も別にグルメマスターではないし笑ってもいないのだが、其処は本の内容のノリと勢いだ。
 不意に魔女が近くの樹を指差す。
 どうやらクチナシの魔女は林檎を用いた菓子や料理が食べたいらしい。アップルパイが定番だが、少し変わったものでも喜ばれるかもしれない。
 更には謎の料理本の内容を通じて、猟兵達が作った料理の品評をしてくれるらしい。

 こうして不思議なキッチンバトルが幕あけていく。
 林檎を使うか否か。お菓子やデザートを作るのか、軽食を用意するのか、それともメインディッシュで攻めるか。
 猟兵達の料理の選択と実力が今、此処で試される。
 
エドガー・ブライトマン
三角帽子を被り直し、いざキッチンへ
しかしこの衣装は良い。私によく馴染むカンジがする
特にマント。コレがあると安心するんだよねえ

料理をしてあげなくっちゃ
その前に、魔女君の方を向き“Sの御諚”
私は今から忙しくなる。キミの遊びに付き合ってあげられない
効果は長く続くものでもないし、手早く作ろう

ボックス君からおいしいリンゴを出してもらう
魔女君はリンゴ料理が望みのようだから

とはいえ、私は料理の経験はあまりないんだ
…微かに食材の声が聞こえた気がする
そうだね、キミは焼いてあげよう!

芯をくり抜き、バターとシナモンを詰めて焼いて
いいカンジになったら完成だ!

お待たせ魔女君。口に合えばいいな
無敵が解除されたら、剣で一撃



●薔薇と林檎
 梔子の花が香る広場にて、料理の時間がはじまる。
 愉快で不思議で少し危険なキッチンバトル、もといクッキングアリーナ或いはお料理十番勝負などなど。
 呼び方は定まっていないが、とにかく料理だ。
 エドガーは薔薇の三角帽子を被り直し、いざキッチンへと踏み出した。
 調理台の前に彼が立つと、その際に花刺繍が優雅に揺れる。梔子に混じって薔薇の香まで感じられるような所作と雰囲気だ。
「良いカンジだね。何だか料理も華麗に出来そうだよ」
 林檎の森で与えられた実に馴染む衣装を改めて見下ろし、エドガーは頷く。腕捲りの代わりにマントを軽く翻し、彼は料理への意気込みを見せた。
『さあ、早くするのだ。クッキングバトラーよ』
 対するクチナシの魔女は料理バトル本をひらき、その中の台詞を読みあげる。そうするよ、と答えたエドガーは材料ボックスの前に立った。
 しかし、彼はふと気付く。周囲に花型の愉快な仲間達がいるようだ。
「料理はするけれど、その前に――」
 エドガーは魔女と愉快な仲間の方を向き、右手の指先を差し向ける。
 Sの御諚――アイアン・メイデン。
 其処から巡った威光は愉快な仲間を畏怖させ、一時的に動きを封じていく。これで暫くは料理の邪魔はされまい。
「私は今から忙しくなる。キミの遊びに付き合ってあげられないよ」
 されどこの効果は長く続くものでもないとエドガー自身も分かっている。手早く作ってしまおうと決めた彼はボックスに林檎が欲しいと願った。
 どうやら箱自体も愉快な仲間なのか、はーい、という可愛らしい声と共に数個の林檎がぽぽんと飛び出してくる。
「おいしそうなリンゴだ。さて、魔女君はリンゴ料理が望みのようだから……」
 どうしようか、とエドガーは肩に止まったオスカーに問う。こてりと首を傾げたツバメも何がいいかと悩んでいるようだ。
 元よりエドガーは王子だ。城には多くのコックがいたし、毎日おいしい料理が用意されていたので料理の経験はあまりないのが現状。
 しかし、エドガーは以前に肉の声を聞きながらオウガ・オリジンの為に料理をした。たとえ本人がそのことを覚えておらずとも身体が記憶しているはずだ。
 エドガーは不意にはっとする。
「これは……微かに食材の声が聞こえた気がする」
 焼いておいしくして。
 香ばしく焼きあげて。
 じゅうじゅう焼いて。
 そんな声が林檎達から聞こえてくる、ような雰囲気がする。実際に聞こえたわけではないが多分そうだ。林檎だって生きている。
 するとその様子を見ていたクチナシの魔女が別の童話の本をひらき、エドガーへの感想としての一文を朗読した。
『――「大丈夫?」と森の仲間たちは聞きました』
 エドガーの動向を心配しているようだ。されど魔女の朗読などは華麗に聞き流し、エドガーは林檎の調理方を決めた。
「そうだね、キミは焼いてあげよう!」
 後は行動に移していくだけ。
 手早く芯をくり抜き、其処にバターとシナモンを詰めていく。そのふたつは林檎を美味しくするための定番。城で出されていたタルトタタンからだって、シナモンとバターの香りが漂っていた。
 今回はタルトまでは出来ないが、林檎を焼けば甘みが増して美味しくなる。
 そうしていいカンジになったら完成!
「お待たせ魔女君。口に合えばいいな」
『おお、これは!』
 魔女のテーブルまで焼き林檎を運んだエドガーは料理を勧める。再びグルメバトル本をひらいた魔女は、皿に手を伸ばし――。
 目にも留まらぬ速さで焼き林檎を切り分け、ひょいと口に運んだ。口許を覆う布が外された瞬間すら見えない速度だ。そして、よく咀嚼して味わった後、料理を飲み込んだ魔女は本の頁を捲った。
『素材の味を引き立てるシンプルな味わいと食感……。余計なものを入れぬことによって、これを実現したか!』
 グルメマスターの台詞を引用したらしい魔女が、こくりと頷く。
 どうやら合格らしいと知り、薔薇と林檎の騎士エドガーは恭しく一礼した。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

高塔・梟示
料理で倒せとは面白い注文だ
いいさ、偶には錆びないよう腕を揮うとしよう

林檎ならアップルパイに勝るものはないだろうが
折角、器具も材料も揃っているんだ
手間は掛るがシブーストにしようか

早業で可能な限り工程を時間短縮
不思議の国のキッチンだろう?
焼くも冷やすも一瞬で仕上てくれたまえ

ほろ苦いカラメルと
バターの効いた甘酸い煮林檎に
雲のようなシブーストクリーム
優しい甘さにカルヴァドスが香る

アップルティーと一緒にどうぞ
…ああ、味見は出来ないんだ
美味しいか如何かは分りかねるがね

調理中に攻撃が来れば
躱せるものは残像でいなして

さて、腹がくちくなったなら一撃必殺
鎧砕く怪力を載せた拳を味わって貰おう
食後には良い運動だろうさ



●林檎にキャラメリゼ
 此処は不思議の国。
 ハロウィンを前に、料理への気持ちと味で勝負する戦いが巡り始めている。
 梟示はキッチンスタジアムのような野外調理場の前に立ち、其処に揃えられた調理器具や竈などの設備を見遣った。
「料理で倒せとは面白い注文だ」
 先ずは軽く包丁を持ち上げ、器具の具合を確かめる。
 魔法の世界だけあって不思議な力でちゃんと使えるようになっているらしい。梟示は静かに頷き、包丁を横に置いた。
「いいさ、偶には錆びないよう腕を揮うとしよう」
 軽く腕捲りをした彼は、此処で自分が何を作るべきかと考えていく。
 魔女のオーダーは林檎。
 アップルパイに勝るものはないだろうが、少しばかり捻ってみたい気持ちもある。それに折角、器具も材料も揃っているのだから手間を掛けてもいいはずだ。
「シブーストにしようか」
 それはカスタードクリームにゼラチンとメレンゲを混ぜて作ったクリームだ。
 フィユタージュと呼ばれるパイ生地に林檎とクリームシブーストを重ねて、キャラメリゼすることで上品な味わいになる。
 梟示は広場の中央にあるテーブルで待つ魔女を見遣った。
 覆われた口許。捲られる本の頁。
 あの様相でどうやって食事をするのかは気になったが、今は料理を作る時。梟示はキッチンに向き直り、手早く準備を整えた。
 食材ボックスから取り出すのは勿論、おいしい林檎。そして、梟示は林檎の皮を素早く剥きながら調理台に呼び掛ける。
「不思議の国のキッチンだろう? 焼くも冷やすも一瞬で仕上てくれたまえ」
 すると、台から「はあい!」と返事が聞こえた。
 どうやら本当に不思議な存在らしい。梟示は良い返答だと感じつつ、キッチンと共に早業で料理を仕上げてようとしていく。
 だが、やはりこの場はクッキングバトルのステージ。
 クチナシの魔女が童話らしい絵本をひらき、梟示への攻撃を開始する。
『ものがたりのはじまりはじまり』
 絵本から飛び出す建物や木々が迫るが、その動きを察した梟示は残像が見えるほどに疾く動き、隣のキッチンに移動した。
 そうやって攻撃を躱した彼は何事もなかったように調理を続けていく。
 ほろ苦いカラメルとバターの効いた甘酸い煮林檎。
 其処に雲のようにふわりとしたシブーストクリームを合わせて、優しい甘さにカルヴァドスを香らせる。
 そうすれば見た目も柔らかな林檎のシブーストの完成。
 花と葉が縁に描かれた皿に盛り付ければ、後は魔女に食べてもらうだけ。
「アップルティーと一緒にどうぞ」
『わあ、とてもおいしそう! と愉快な仲間達はいいました』
 一緒に用意していた紅茶を添え、梟示は魔女の前からそっと一歩引いた。朗読をした魔女はもう攻撃をする気はないらしく、目の前のシブーストに目を向けている。
「……ああ、味見は出来ないんだ。美味しいか如何かは分りかねるがね」
 召し上がれ、と示せば魔女がカトラリーを手にして一口分をすくい取った。気付いたときにはもう、その一口は魔女の口の中へ。
 梟示すら気付けぬ早業だったが、味わってくれているのならば問題ない。
 クチナシの魔女はグルメ本をひらき、読み上げるべき文章を探す。そして――。
『芳醇な香りに素材を殺さず引き立てる技、実に見事!』
 朗読が終わると魔女はアップルティーにも目を向けた。一品ではなく料理に合う飲み物を用意したことも高評価らしい。
 表情は変わらないものの、こくりと頷いたクチナシの魔女は満足そうだ。
「それは光栄だ」
 梟示はシブーストを食べ進めていく魔女に視線を向け、軽く会釈した。こうやって食事を勧めていけばいつかは無敵も解除される。
「食後の運動は未だかな」
 その瞬間が巡った時こそが狙い目だとして、梟示は静かに拳を握り締めた。
 本当の決着を付けるのは、もう少し後――。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

夕時雨・沙羅羅
良い香り
香る花は良い、美しさが増す
料理の香りが足されたら、しあわせの香り…だろうか

せっかく執事の衣装をもらったからには、料理くらいこなしてみよう
友人の家の執事に色々習ったから、すこしは作れるようになった
おいしいはしあわせ、しあわせを作れる料理はすごい
それがきれいな一皿なら、より良い
白薔薇を赤く塗るように、鮮やかに仕上げよう

たっぷりのカスタードに林檎のコンポートを入れて
ふかふか、しっとりの生地をくるくる巻いたら、きっと薔薇の花のよう
ひときれ切って皿に咲かせたら、ごろごろ林檎の暖かなジャムを、たっぷり、とろーり
林檎のロールケーキ、林檎のジャム添え
さあ、お前のページ、塗りつぶしてあげよう
めしあがれ



●薔薇の皿は甘やかに
 花の香は穏やかな心地を運んでくる。
 良い香り、と言葉にして周囲を見渡した沙羅羅は調理台が並ぶ様を確かめた。花は良いものだ。何故なら美しさが増すから。
「ここに料理の香りが足されたら、しあわせの香り……だろうか」
 沙羅羅は自分からは遠いものを視るように、花が広がる景色を見つめていた。
 しあわせ。
 それは誰かと共に居ることでも得られるものであり、今のように美味しいものを食べることでも得られる感情。
 暫し考え込んでいた沙羅羅だったが、ふと意識を今に引き戻す。
 今の自分の装いは執事服。
 せっかくこの衣装をもらったからには、料理くらいこなしてみせる。執事として思い浮かぶのは友人の家の執事さん。今こそ色々と習った経験を活かすときだ。
「おいしいは、しあわせ」
 しあわせを作れる料理はすごいから、自分も少しだけ頑張ってみようと思えた。
 沙羅羅は並ぶキッチンのひとつへと向かい、その前にふわりと浮かぶ。まずは不思議な箱から材料を取り出していく。
 一緒に綺麗な装飾がされた皿を取り出し、準備は万端。
「きれいな一皿だ。これなら、より良くなるかな」
 薔薇と棘の模様がぐるりと周囲を囲むように配置された皿を指先で撫で、沙羅羅は調理をはじめてゆく。
 白薔薇を赤く塗るように、鮮やかに。
 クロケーの合間に味わう惨事と三時のおやつのように、愉しく仕上げよう。
 沙羅羅が作業を始めようとしたとき、中央のテーブルに座っていたクチナシの魔女が此方に意識を向けた。
 この戦いはキッチンバトル。ということは攻撃や邪魔も飛んでくる。
『まあ、なんということでしょう!』
 絵本を取り出した魔女はその中の一文を読み上げた。すると愉快な仲間達が合体しはじめ、沙羅羅のまわりをぐるぐると回っていく。
 しかし、沙羅羅は動じない。
 集中力を切らせるつもりならば通じないし、ただ作業に集中するだけ。
 先ず作ったのはカスタードクリーム。
 林檎の味を活かすように甘酸っぱく煮込んだコンポートを用意して、そのふたつを合わせていく。敢えて赤い皮を残して、ざくざくと食感が残るように切った林檎がカスタードの海に浮かぶ様を確かめつつ、沙羅羅は次に記事を用意する。
 ふかふかでしっとりしたケーキ生地は真四角。
 其処に林檎達を乗せて、ふんわりくるくると巻いたら――きっと薔薇の花のよう。
 クリーム色の記事の間に淡い赤が光る。
 いちばん林檎が詰まった部分のひときれを切って、皿に咲かせる。けれどもまだ終わりではなく、ごろごろ林檎のジャムをたっぷり、とろりと添えたら出来上がり。
 薔薇の皿に咲く甘い花。
「林檎のロールケーキ、林檎のジャム添えだ」
 給仕をするように、執事姿の沙羅羅が魔女のテーブルに皿を運ぶ。その頃には魔女も攻撃を止め、置かれた甘味に意識を向けた。
「さあ、お前のページ、塗りつぶしてあげよう」
 ――めしあがれ。
 沙羅羅が勧めると、魔女は双眸を緩く細めてフォークを手に取る。口許を覆い隠している布がいつ外されたか分からないが、沙羅羅が瞬きをしたときにはもう彼女はジャムを乗せたロールケーキを口に運んでいた。
 そして、ゆっくりと味を確かめた後に本の頁を捲る。
『甘さの海に沈んだ後、巡ってくる素材の味。十重二十重に隠された味を見つけていくという、この構成――』
 魔女は本の中のグルメマスターの台詞を読みあげてから、沙羅羅を見遣った。
 どうやら美味しいという意味らしい。
 一先ずは第一関門突破というところだろうか。沙羅羅は身構え、魔女に宿っている無敵の効果が薄まっていく様を感じ取った。
 されど未だ料理の時間は続く。
 仲間達がキッチンに立つ姿を見渡し、沙羅羅は巡り来る時を待つことにした。
 花と菓子の甘い香り。
 それはやはり、ちいさな幸せを運ぶものなのだと感じながら――。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

庵野・紫
【幽楽】

料理だってー。
ここはアンに任せてよ!
この前ねー、SNSで美味しそうなやつを見たんだよねー。

てかさ、かくりって料理できんの?
アンが見つけたのはかなり簡単に出来そうなやつなんだけど
これこれ、焼き林檎!
中身をくりぬいて、シナモンシュガーを中に入れるんだー
ね、簡単っしょ!
中身はコンポートにしちゃえばオッケー!
早速作ろう!

あー、もう!クッキングバトルってそういう!?
アンの邪魔をするとか最低ー。
林檎をくりぬくついでにお前の目玉もくり抜いてやる

と、見せかけて。撃たれちゃいなよ。
アンの邪魔をしたらー、神罰が下るんだよ。
知ってた?

さーて、美味しい林檎料理を作ろう!
つまみ食いもしていいよ!


揺・かくり
【幽楽】

えすえぬえす……
ああ、君が手にしている端末の情報かな
料理の腕前は如何だろうね
此の身が覚えている事だけなのだよ
あまり期待はしない方が良いだろう

成程、果実を焼いた甘味を作るのだね
中身を刳り抜く事ならば可能だろう
任せておくれよ
林檎へと伸ばす腕は黒札塗れだ
呪符が落ちぬ様に何かを纏っておこうか

素直に甘味作りを遂行させては呉れぬ様だ
視界は当てにならない
だが、君の存在が気に障るのだよ

死霊諸君、頼まれて呉れるかい
私は無力な屍人かつ生憎両腕が塞がって居る
何、報酬は有るとも
君たちは甘味は好きかい

触らぬ神に祟り無し
只の独り言だよ

甘味作りを再開しようか
少々数を増やしても構わないかい?
手順に慣れてきた所なのだよ



●シナモンの香り
 林檎の森を抜けた先、辿り着いたのは野外調理場。
 森の中で合流した紫とかくりはその様子を眺め、次に何が始まるかを理解する。
「料理だってー。ここはアンに任せてよ!」
「何でも作れるということかな」
 材料ボックスを見下ろすかくりの隣で、紫は以前に見かけた料理を思い返していた。
「そう! この前ねー、SNSで美味しそうなやつを見たんだよねー」
「えすえぬえす……」
 一度は何かと考えたかくりだが、すぐにえすえぬえすなる正体に気が付く。君が手にしている端末の情報か、と付け加えたかくりはそれならば良いと頷いた。
「てかさ、かくりって料理できんの?」
「料理の腕前は如何だろうね」
 道具や材料を取り出した二人は調理の準備を始めながら、互いの腕を確かめあう。とはいってもかくりは生前の記憶を辿れない。
 此の身が覚えていることだけが頼りだとかくりは語り、あまり期待はしない方が良いと紫に伝えた。
 そっか、と答えた紫は画面を操作していく。
「アンが見つけたのはかなり簡単に出来そうなやつなんだけど、これこれ!」
 ほら、とかくりに見せられたのは焼き林檎のページ。
 もう片手にはシナモンが詰められた小瓶が握られている。対するかくりの手には砂糖の瓶があった。
「成程、果実を焼いた甘味を作るのだね」
「中身をくりぬいて、シナモンシュガーを中に入れるんだー。ね、簡単っしょ!」
「それならば私にも可能だろう。任せておくれよ」
「中身はコンポートにしちゃえばオッケー! じゃあ分担ね!」
 早速作ろう、と紫は腕捲りの仕草をする。
 意気揚々とした雰囲気の彼女の背を見つめ、かくりは林檎に手を伸ばした。その腕は黒札塗れ。呪符が落ちぬように、と纏った布は偶然にもシーツおばけの仮装だった。フードケープ型の衣装を羽織ったかくりは林檎の芯を抜いていく。
 しかし、そのとき。
『――まあ、なんということでしょう!』
 中央のテーブルに居たクチナシの魔女が絵本を開き、攻撃に移った。
 すると途端に合体した愉快な仲間達が周囲に現れ、紫とかくりが居るキッチンの周囲をぐるぐると回りはじめる。
「素直に甘味作りを遂行させては呉れぬ様だ」
「あー、もう! クッキングバトルってそういう!?」
 かくりは一度手を止め、紫も頬を膨らませて愉快な仲間を見遣った。キッチンを壊すようなことはしないようだが、このまま回られていては気が散る。
 かくりはこの状況でも作業が出来るが、相手をこのまま放っておく気はなかった。
「視界は当てにならないが、君の存在が気に障るのだよ」
 死霊諸君、と呼んだかくりは戦いを願う。
 自分は無力な屍人かつ生憎にも両腕が塞がっている状態。報酬はこの後に作る甘味だと告げれば、死霊達は魔女の手先へと向かっていった。
 いい感じ、と笑った紫も調理の手を止めて攻勢に入った。
「アンの邪魔をするとか最低ー。林檎のついでにお前の目玉もくり抜いてやる」
 ――と、見せかけて。
 舌を軽く出してみせた紫は指先を敵に差し向ける。
「撃たれちゃいなよ。アンの邪魔をしたらー、神罰が下るんだよ。知ってた?」
 轟く雷撃が周囲に巡った。
 問いかけたときにはもう巨大な愉快な仲間は死霊達に押され、鋭い神罰を受けて倒れていた。これで終わり、と言葉にした紫にゆるりと頷き、かくりは調理を再開する。
「触らぬ神に祟り無し」
 只の独り言だと呟いたかくりは、手早く林檎を刳り抜いていく。その間に紫がシナモンシュガーを作り、余った身を食べやすいサイズに切り分けていった。
「少々数を増やしても構わないかい?」
「もちろん! たくさん美味しい林檎料理を作ろう!」
 手順に慣れてきたのでもっと、というかくりの問いに紫は快く応え、明るく笑う。
「ならば遠慮なくやろうか」
「つまみ食いもしていいよ!」
 コンポートを作っていく紫が死霊達に告げると、彼らはふわふわと甘い香りがするキッチンの周囲を漂った。
 やがて、シナモンの香りが芳しく香った頃。
「出来たー。これで完璧!」
「焼き林檎と林檎煮だ。召し上がれ」
 紫とかくりは魔女が座っているテーブルへと自分達の料理を提供しにいく。まだほんのりと熱を保っている林檎はまさに林檎料理といった出で立ちだ。
 魔女は無言のままナイフとフォークを取り出し、焼き林檎を一口分に切った。
 そして、瞬きの間に口布を外してそれを頬張る。いつ布が戻されたのか、二人には見えなかったが魔女はちゃんと焼き林檎を食べていた。
 やがて咀嚼し終わった魔女は傍にあったグルメ本を開き、その中の一文を朗読する。
『香ばしさの中に薫る、一筋の光。これはまさにそう評するに相応しい!』
 つまりは美味しいということだ。
 本を閉じた魔女は皿にナイフで林檎を切り分け、目にも留まらぬ速さで布をとっては戻すという不思議な食事を続けていく。それまで様子を見つめていた紫とかくりは視線を合わせ、成功を確かめた。
「やったね! アン達の料理が認められたよー」
「そのようだね。光か……」
「それじゃハイタッチ!」
「はいたっち……ああ、そうしよう」
 紫が片手を上げる様に倣い、かくりも緩やかに腕を掲げた。そうして、二人の手と手が重なった。後は、そう――。
 クチナシの魔女の無敵が解ける瞬間を待つだけ。
 広場に吹き抜けた風は梔子の花を揺らして散らし、戦いの終わりを予感させた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩神櫻

私はサヨの桜の香りの方が好きだよ

料理はした事がない
何時もカグラが作ってくれるよ
…(名状し難い)料理を
カ、カグラ!
(カグラがここは任せておけと前に出、卵を片手で握り潰しそのままボウルに投入し…た所で退場に

サヨ……流石は私の親友(巫女)
私の目に狂いはなかった

カグラ
今日は私がやるよ
カラスが慰めているから平気かな

サヨ
私は林檎のパンケーキがいいな
作れるかな
頑張るよ
サヨに言われた通り慣れぬ手つきで林檎を切る
こう?
粉と卵を混ぜて
大丈夫?
並べて焼く…あ、ズレた
良い香り
柘榴とクリームで飾り…できた
褒められれば嬉しくて

魔女にあげる前に一口頬張る
おいしい!

サヨのは?
一緒に食べよう
きみとたべる愛は
とても美味しい


誘名・櫻宵
🌸神櫻

梔子の良い香り
私の好きなあなたの香り

…?
……!?
……カグラ!退場!!
待って?いつもこんな料理と呼べないのをカムイに食べさせてたの?!
駄目よ、だめ!やめて!

カムイ
これからは私が三食美味しいご飯を作ってあげる!(手を握る

おいでカムイ
一緒にお料理するわよ!
大丈夫できるわ
林檎のパンケーキ
勿論!とびっきり美味しいのを作りましょ!

林檎を薄く切って
うん上手!
次は卵や粉類を混ぜるのよ
手際がいいわ!
フライパンに流し入れて林檎も並べ焼く
綺麗にできたわね!
表面はキャラメリゼ
クリームをたくさん絞り蜜をかけて
柘榴を添え出来上がり!
上手よカムイ

魔女の分とカムイの分
小さいのは皆の分ね

美味しい?
当然
甘いは愛の味だもの



●はじめての料理
 広場に満ちているのは梔子の花の香。
 櫻宵とカムイは次に巡る料理戦に備えて野外調理場の前に立つ。中央にはクチナシの魔女、周囲には白い花。
 戦の場いではあるが、状況は穏やかでとても良い雰囲気だ。
「梔子の良い香り。私の好きなあなたの香りね」
「私はサヨの桜の香りの方が好きだよ」
 櫻宵が静かに微笑むと、カムイは角先に咲く桜に目を向けた。ふふ、と櫻宵が嬉しげな瞳を向け返す中、カグラが意気込むようにキッチンの前に踏み出す。
 その様子に気付けなかった櫻宵はカムイに問う。
「カムイ、お料理は?」
「料理はした事がないんだ。何時もカグラが作ってくれるよ」
 ――名状し難い料理を。
 彼がそう説明したとき、カグラが調理台にあった包丁を手に取った。はたとしたカムイは急いで其方に駆け寄っていく。
「カ、カグラ!」
「……?」
 カムイが急に動いたので櫻宵は首を傾げる。
 しかし、すぐにその理由がわかった。なんとカグラは卵をもう片方の手で握り潰し、そのままボウルに投入したではないか。
「!? ……カグラ! 駄目、退場!!」
 カグラを止められなかったカムイに代わり、櫻宵によってカグラがキッチン外に放り出される。カラスも流石にカグラを制止しており、彼の介入は阻止された。
「サヨ……流石は私の親友で巫女だ」
 私の目に狂いはなかった、と安堵するカムイの横で櫻宵がカグラに説教をはじめる。
「待って? いつもこんな料理と呼べないのをカムイに食べさせてたの!?」
『……』
 顔布の奥で唇を尖らせるような雰囲気を出したカグラは、れっきとした料理だ、とでも言いたげだ。だが、魔女に提供する料理があれではいけない。
「カグラ、今日は私がやるよ」
 彼はカラスが慰めているから平気だろうと考え、カムイは調理台に残されていた包丁を手にした。カムイは食で苦労していたのだと知り、櫻宵は決意を固める。
「カムイ、これからは私が三食美味しいご飯を作ってあげる!」
 空いている片手をしかと握った櫻宵。
 頼もしさにそっと微笑んだカムイは早速、櫻宵に少しだけ甘えてみることにした。
「サヨ、私は林檎のパンケーキがいいな」
「ええ! おいでカムイ、一緒にお料理するわよ!」
「私にも作れるかな」
「大丈夫、できるわ。とびっきり美味しいのを作りましょ!」
 頑張るよと意気込むカムイは妙に可愛らしい。嘗ての親友を育てるのはこんな気持ちなのね、と改めて感じた櫻宵はそっと笑った。
 そして、櫻宵とカムイによる魔女に捧ぐ料理の時間がはじまる。
 魔女からの攻撃はあったが、なんとカグラが結界を張ってすべて防いでくれた。料理に加われなかった憂さを魔女相手に晴らしているのかもしれない。
 その間に二人は調理を開始した。
「まずは林檎を薄く切ってくれるかしら」
「こう?」
 カムイは櫻宵に言われた通り、慣れぬ手つきでゆっくりと林檎を切る。緊張しているのか少し手が震えており、薄さがバラバラではあるが筋は良い。
「うん上手!」
 櫻宵は褒めて伸ばす戦法を取り、カムイに自信をつけさせていく。何よりもカグラと比べれば断然、彼の方が上手い。
 次は粉と卵を混ぜて生地作り。
「これで大丈夫?」
「手際がいいわ! それからフライパンに流し入れて、林檎も並べて焼くのよ」
「並べて、焼く。並べて……あ、ズレた」
 櫻宵の教えを繰り返し声にして、真剣に流し込んでいくカムイは少し慌ててしまう。しかしすぐに櫻宵がフライパンを傾けてカバーしたので事なきを得た。
「綺麗にできたわね!」
「良かった。サヨのおかげだよ」
 流石はショコラティエ。調理の基本も応用も熟知している。
 やがて生地が焼き上がり、花とは別の良い香りが漂いはじめる。表面はキャラメリゼしてから粗熱を取り、皿に乗せて飾り付け。
 クリームをたくさん絞って蜜をかけて、最後にアクセントの柘榴を添えて完成!
「林檎のパンケーキの出来上がりね! 上手だったわ、カムイ」
「ありがとう、サヨ」
 褒められたことが嬉しくて、カムイは双眸を細めた。そのとき少しだけ自分のものではない過去の記憶が蘇る。確か剣術の修行をしていて――上達したことを褒めたときに、櫻宵が今の自分のように嬉しげに笑っていた。
 不思議だと感じながらも、今度は逆になったんだ、という思いがカムイの裡に浮かぶ。
 そうして次は味見の時間。
 少し焼き目がずれてしまったパンケーキを自分達用にした二人は、林檎と蜜がたっぷり掛かった生地を分けていく。
「これが魔女の分とカムイの分。小さいのは皆の分ね」
「いただきます」
 櫻宵が用意してくれた味見の皿に手を伸ばし、カムイはその一口を頬張る。
 はっとしたカムイの瞳がそっと見開かれた。彼の様子を眺めていた櫻宵は、答えが分かっている質問を投げ掛けてみる。
「美味しい?」
「おいしい!」
「はじめてのお料理、大成功ね」
「サヨのは? 一緒に食べよう」
「ええ、カラス達もいらっしゃい」
 カムイに誘われた櫻宵はちいさなパンケーキを並べていき、フォークとナイフを手に取った。自分達で作って一緒に食べる味。それは何より勝る格別の味。
 料理は愛情。
 きみとたべる愛は、とても美味しい。
 甘いは愛の味。
 微笑みあった二人は暫しの幸せを満喫した後、魔女へとパンケーキを出しに行く。テーブルで待っていたクチナシの魔女は傍にあった本を捲った。
『待ち侘びたぞ、クッキングバトラー。果たして、どのような料理が――』
「林檎のパンケーキよ!」
「おいしさは私達のお墨付きだよ。さあ、どうぞ」
 魔女が読み終わる前に櫻宵とカムイがふわふわパンケーキの皿をテーブルに置き、早く食べて欲しいと願う。
 魔女はカトラリーを手に取り、パンケーキに切っ先を伸ばした。
 さくりと林檎が切られ、蜜がとろりと流れて白い皿に煌めく色を宿していく。転がった柘榴の一粒をフォークですくい、魔女は口許に運ぶ。
 いつ口布が外されたかは見えなかったが、気付けば魔女はパンケーキを食べていた。
 櫻宵達はじっと咀嚼が終わるのを待つ。口にあったのかどうか、カムイが見つめていると彼女は再び本をひらいた。
『これは……甘さの中に光る酸味! 素晴らしい!』
 臨場感たっぷりに朗読を終えた魔女の評価はどうやら花丸のようだ。
 思わず顔を見合わせた櫻宵とカムイ。
 二人の表情には認められたことの嬉しさが満ちた笑みが宿っている。その様子をカグラとカラスが、梔子の木の傍でそっと見守っていた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フルラ・フィル
🍯歌蜜

ふむ、この時がきたようだね
甘い蜜に林檎に、必要なものは揃っているようだ
とっておきのタルト・オ・ポムを作ろうじゃないか
まずはリル、キミのお手並みを拝見しよう
パイ生地は私が作るからキミは林檎の蜜煮を作っておく……え?
なぜ林檎丸ごと鍋に…
切らないのかい?
砂糖――……
計るという考えはないのかい?
まて
今何を入れた?
真珠?いらんよそんなものは

わかった、キミは材料を計らずそのまま丸ごと入れ、さらに余計なアレンジをするタイプの料理下手とみた
いいかいリル
私は店主のように甘くない
覚悟するように

や、やっと出来た…そうだね
嫉妬のタルト・オ・ポム とでも名付けようか
嫉妬する程甘くて美味しいという意味さ

さぁお食べ


リル・ルリ
🐟歌蜜

よーし!お料理するぞー!
もふもふのフルラのしっぽに目を奪われつつ気合いをいれる!
おいしい…たるとおぽむ?
ぽむを作る!

ヨル。やるよ!
まずは採れたて林檎を鍋にいれて
お砂糖をたくさん(一袋)いれる!
ばたぁ(丸ごと一本)いれて、ことこと煮る!
あ、真珠もいれよう
とりくおあとりと、だもの
キラキラしてびっくりするぞ!

え?!だめ?
しょもんとするけど美味しいのを作りたいもの
フルラの言う通りにする!
僕だってできるんだから!

ぴ、ぴぃ……(ぐったり)
何とかできた……8割フルラが作ってくれた、一口サイズの林檎型ぽむだよ

でも僕も頑張った!
櫻や皆にあげるんだから
さぁ、魔女!食べるといい!

嫉妬する程美味しいんだから!



●真珠とタルト
 林檎の森の向こうは梔子の花広場。
 野外調理場へと踏み出し、フルラとリルはそれぞれに料理への思いを抱く。
「よーし! お料理するぞー!」
「ふむ、この時がきたようだね」
 意気込むリルの一歩手前に立ち、フルラはキッチンを見渡した。既に不思議なボックスから林檎を取り出しており、甘い蜜や調味料だってある。
 必要なものが揃っていることをフルラが確認していく中、リルはふわふわと揺れる彼女の尻尾に意識を向けていた。
 しかしすぐにはっとしたリルは林檎を手に取り、フルラに問いかける。
「フルラ、何を作るの?」
「とっておきのタルト・オ・ポムを作ろうじゃないか」
「おいしい……たるとおぽむ? わかった、ぽむを作る!」
 想像が付かなかったが、とっておきだというのだからきっと素敵なものだと感じたリルは艶めく林檎を陽に翳してみた。
 フルラは静かに頷き、リルが気合いを入れる様を見守った。
「まずはリル、キミのお手並みを拝見しよう」
 リルは料理の上達を望んでいた。それゆえに最初はリルがどの程度のスキルを持っているのかを確かめる必要がある。
「ヨル、やるよ!」
「きゅー!」
 仔ペンギンもぴょこんと跳ねて林檎を抱えた。やる気と元気は合格だとして、フルラは林檎をリル達に任せることにした。
「パイ生地は私が作るからキミは林檎の蜜煮を作っておくれ」
「任せて!」
 いちばん大事な林檎の担当にしてもらえた貰えたことが嬉しくなり、リルは鍋を用意する。そして、採れたて林檎を鍋に入れてから砂糖を一袋取り出して――。
「……え?」
 思わずフルラが絶句するほど勢いよく、砂糖がすべて鍋に投入された。
「お砂糖をたくさん!」
「なぜ林檎丸ごと鍋に……」
「ばたぁもいっぱいいれて、ことこと煮る!」
「切らないのかい? ああ、砂糖もバターも……」
 最早、突っ込みが追いつかない。フルラの言葉がワンテンポ遅れてしまうほどにリルは自信満々に次の工程に移っていくのだから大変だ。
「フルラ、これでいい?」
「いや、待とうか。計るという考えはないのかい?」
「あ、真珠もいれよう。とりくおあとりと、だもの」
「今何を入れた? 真珠? いらんよそんなものは」
「そうかな? キラキラしてびっくりするぞ!」
「……そうか、キミは――」
「え?! だめ?」
 ひとまずは真珠を取り出し、フルラは頭を押さえた。これは基本から仕込まなければならないと感じた彼女はリルをこう評価する。
 材料を計らずに丸ごと入れ、さらに余計なアレンジをするタイプの料理下手。
 ふ、と深い溜息をついたフルラはリルを近くにあった椅子に座らせた。ヨルには甘々林檎バター鍋をかき混ぜてもらい、フルラはびしりと指先を突きつける。
「いいかいリル、私は店主のように甘くない」
 覚悟するように、と低めの声で告げたフルラの瞳は本気だった。
 一度はびくっとしたリルだが、パティシエールからの指導だ。美味しいものを作りたいという気持ちは変わらず、リルはぐっと拳を握った。
「フルラの言う通りにする! 僕だってできるんだから!」
「では、まずは計量という概念を覚えることからだ」
 そして、フルラによる決して甘くない料理指導が始まり――。
 魔女からの攻撃も躱し、いなしながらの大変な一幕が巡ったりもしたが、フルラもリルも本当に頑張った。とてもとても頑張りました。
 それから小一時間後。
「ぴ、ぴぃ……」
「や、やっと出来た……」
 ぐったりした二人の前にはちいさな皿に乗せられたタルト・オ・ポムがある。
 一口サイズの林檎型ポムは実に可愛らしい。
「何とかできたね」
 八割方フルラが作ったものだが、リルだって計量や鍋の具合をちゃんと見ていた。ちなみに最初の途方も無い砂糖バター林檎はフルラが何とか林檎を足してリカバリーを試み、余った分はヨルが味見という名目で美味しく食べている。
「そうだね、嫉妬のタルト・オ・ポムとでも名付けようか」
「嫉妬?」
「そう、嫉妬する程甘くて美味しいという意味さ」
「良いね。櫻や皆の分も取り分けて……あとは魔女だね!」
 二人は中でも出来の良い皿をひとつ手に取り、中央のテーブルへと運んでいく。するとクチナシの魔女は本を開き、朗読という形で気持ちを表する。
『待ち侘びたぞ。さっさと寄越すが良い』
「さぁお食べ」
「さぁ、魔女! 食べるといい!」
 本の中のグルメマスターの台詞を読んだ魔女に対し、フルラが嫉妬のタルト・オ・ポムを差し出した。フォークを手にした魔女は優雅に一口分を掬い取り、口に運ぶ。
 他の猟兵の料理に対してもだったが、相変わらずいつの間に口布を取ったのかは分からない。そんな不思議はさておき、魔女の口に林檎菓子が運ばれた。
「どう? 嫉妬する程美味しいんだから!」
 リルが胸を張って主張すると、クチナシの魔女はぱらぱらと本の頁を捲る。グルメの本ではなく、何故か童話の本だ。
『海の中にきらりと光る一粒。それは人魚の涙――』
「……あ」
 どうして料理評論ではなく童話の一節が読まれたのか。その理由にすぐに気付いたフルラは、しまった、と感じて固まる。
 そう、例の真珠が一粒だけ紛れてしまっていたのだ。異物混入だ。しかし魔女は無言のまま、タルト・オ・ポムを食べ進めていった。
 意外と細かいことは気にしないタイプの魔女のようだ。
「大丈夫だった?」
「そのようだね。……これからは気を付けるように」
 おそるおそる問うリルに頷いたフルラは少しだけ厳しく告げる。ごめんなさい、と返したリルは尾鰭をぴるぴると震わせながらも、ほっとしていた。
「ぴぇ……はい! フルラ、またお料理教えてね」
「フフ、次も甘くはないよ」
 そうして二人の視線と言葉が重なる。
 そんなこんなで少し不思議で破茶滅茶な料理の時間が巡っていった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユヴェン・ポシェット
魔女も驚くような美味いもん作ろうぜ

テュットの指示の下、俺が手を動かしcooking
手が足りないところはUC「halu」を使用し、蔦に変えた自身の「手」を複数に分けて自身で補う。
戦闘にも活かせそうだな…良い修行になる

これはこんな感じか。テュット見て貰えるか?
ミヌレはこっち。(スプーン差し出して、味見な、と)
…食いすぎるなよ?

仕上がったのは
艶々キラキラの真っ赤な林檎。
林檎の形のホワイトチョコレートを赤い飴でコーティング。
チョコを割ると空洞になった中から現れたのはトパーズの如く輝く黄金の花。
黄金の花こと甘さ控えめに煮詰めた林檎は、ほんのりシナモン風味。
そっと紅茶を添えて…

どうぞ召し上がれ、なんてな。



●林檎は甘やかに
 辿り着いたのは梔子の園。
 森からの道すがら、ずっと被っていた布おばけの仮装をひとまずは脱ぎ、ユヴェン達は野外キッチンの前に立った。
 此処で倒すべきクチナシの魔女は無敵状態。
 それを解く為に既に多くの猟兵が料理を作っては提供している。何とも不思議な光景だが、これもハロウィンの国のルールだという。
「魔女も驚くような美味いもん作ろうぜ」
 ユヴェンはテュットを呼び、指揮を彼女に任せることにした。
 ミヌレは森でもいできたばかりの林檎をキッチンに乗せ、ユヴェンに差し出す。ありがとうな、とミヌレに告げた彼は果実を手に取った。
 しかし、その瞬間。
 中央のテーブルについていた魔女が猟兵達への攻撃を行った。
『――ものがたりのはじまりはじまり』
 その朗読により、絵本から飛び出した建物や木々が周囲に巡る。ユヴェンは咄嗟に己の身の一部を植物に変え、物語の魔法を弾き返した。
 うっかりいつもの爆発果実の如く、林檎を投げそうになったが既の所で留める。
「これは悠々と料理をしている時間はなさそうだな」
 ユヴェンは次々と魔力を削ぎながら魔女の動向を見遣った。他の者にも意識が向いているのですぐに追撃が来ることはないだろうが、うかうかしていれば更なる攻撃が巡ってきてしまうだろう。
「テュット! 今のうちに指示を頼む」
 ユヴェンの呼び掛けに応えたテュットはひらりと舞い、林檎を示す。
 そうして彼女の指導のもと、ユヴェンは料理をはじめた。次の魔女の攻撃に気をつけながら蔦を動かし、自身の手を複数に分けるユヴェン。
 その手際は素早く的確であり、幾つかの工程を同時に行えるほどだ。これは戦闘にも活かせそうだと感じた彼は、料理も良い修行になるのだと自分で感心していた。
「これはこんな感じか。テュット、見て貰えるか?」
 ユヴェンは効率を重視しながらもしっかりと心を込めていく。テュットも料理は愛情だと示すように指示を続けていった。
 その際、ミヌレがきゅっと鳴いて手伝いを申し出る。
「ミヌレはこっちだ」
 スプーンが差し出されたことで、味見だと察したミヌレは嬉しげに口許を寄せた。
「きゅ!」
「……食いすぎるなよ?」
「きゅう?」
 おいしいからもっと、と欲しがるミヌレが首を傾げた可愛い場面もありつつ、料理は終盤に向かっていく。そして、仕上がったのは――。
 艶々でキラキラの真っ赤な林檎。
 林檎の形にしたホワイトチョコレートを赤い飴でコーティングした一品だ。
 テュットに見送られ、ユヴェンとミヌレは魔女のテーブルに向かう。料理を見れば攻撃は止み、クチナシの魔女は大人しく席についた。
「どうぞ召し上がれ、なんてな」
『ふむ、頂くとしようか』
 皿をテーブルに置いたユヴェンに対し、魔女は本の一節を朗読することで答える。
 そうして、カトラリーを手にしたクチナシの魔女は林檎型のチョコレートをそっと割り切った。空洞になった中から現れたのはトパーズの如く輝く黄金の花。
 そう、林檎だ。
 甘さ控えめに煮詰めた林檎は、ほんのりとしたシナモン風味。香りを楽しんだ魔女は林檎とチョコレートをフォークに乗せ、口許に運んだ。
『これは……』
 魔女は開いていた本の台詞を読もうとしたが、途中で言葉を止めてしまう。朗読の代わりに二口目を掬った彼女は次々と林檎を食べ進めていった。
 どうやら本当に美味しいものに言葉はいらないらしい。テュットが得意気に揺らめく中でユヴェンはそっと紅茶を添えてやる。
 百点満点だ。
 そんな雰囲気を感じさせる魔女は満足気。
 おそらくではあるが後少しで魔女の無敵状態も解けていくだろう。
 ユヴェン達は誇らしさを感じながら布おばけの仮装をふたたび被り、不思議な戦いが巡りゆく様を見守った。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイス・ソレイユ
クッキングバトラーって、お料理勝負ではないのですね!?
ともあれ、ここはしっかりメイドとして
丹精込めたお料理で勝って見せます!
(前回の魔法少女の仮装のまま)

邪魔をしてくる魔女の攻撃は
セイバーズ・ガーディアンで防御&迎撃し
私はお料理に集中!

幸い土台になるスポンジケーキや材料はボックスから用意できますし
ショートケーキを作ります
でもいちごではなく、カット&スライスしたりんごを並べて…
球状にカットしたりんごを
いちごジャムで色付けしたアメで薄くコーティングして
小さなりんご風にしてクリームやハート型のチョコと一緒に盛り付け

余ったりんごは絞ってジュースにして

りんごのショートケーキ、心行くまで、めしあがれ!



●ケーキを召し上がれ
 林檎の森を抜けて進んだ先。
 其処で始まったのは戦いらしからぬ、不思議で不可思議な料理のステージ。
「クッキングバトラーって、お料理勝負ではないのですね!?」
 思わずこの状況に突っ込んでしまったレイスだったが、すぐに気を取り直す。何せこれがハロウィンの国のルールだというのだから従う他ない。
 レイスは意気込み、野外キッチンが並ぶ梔子の広場を見渡した。
「ともあれ、ここはしっかりメイドとして丹精込めたお料理で勝って見せます!」
 メイドの矜持がここぞと光る。
 しかしメイドとはいえ、ハロウィンの仮装はしたまま。メイド魔法少女たるレイスはそのままの格好で料理を始めることにした。
「あの魔女は林檎のお菓子をご所望のようですね」
 どうしましょうか、とレイスは少し考える。材料は自由に手に入れられるが、何を作るかで相手からの評価も変わってくるだろう。
 しかし、そのとき。
『……すると、愉快な仲間達は言いました』
 中央のテーブルについていたクチナシの魔女が猟兵への攻撃を開始した。朗読から紡がれる魔力がレイスに迫ってくる。
 されどそれを受け止めたのは、レイスが装備していた近接武器達だ。
「動いて! みんなを守る為に……!」
 ――セイバーズ・ガーディアン。
 その声に応えるように武器が宙に躍り、調理の邪魔をしようとする魔女の攻撃を弾き、防御と迎撃をこなしていく。
 その間にレイスは料理に集中する作戦だ。
 材料ボックスに手を伸ばしたレイスはまず、スポンジケーキが欲しいと願った。
 土台から焼いてもいいのだが、それでは時間がかかる。それゆえにボックスにケーキ自体を用意してもらったのだ。
「クリームやジャム、林檎もちゃんとありますね。これでショートケーキを作る準備は出来ました!」
 ショートケーキといえばいちご。
 だが、魔女が林檎の料理を求めているのならば今回は林檎で行こうと決めていた。
 レイスは林檎を切り、一口サイズや薄切りにしていく。そして、球状にカットした林檎をいちごジャムで色付けした飴で薄くコーティングした。
「これをこうして、と……」
 魔法少女クッキングはてきぱきと進められていった。
 その手際の良さは流石メイドを名乗るだけある。レイスはそれらを小さな林檎風にして、クリームやハート型のチョコと一緒に盛り付けてゆく。
 甘やかな雰囲気を感じさせる一品が徐々に出来上がっていき、そして――。
「余ったりんごは絞ってジュースにして、完成です!」
 これで料理は終わり。
 林檎尽くしのショートケーキは実に美味しそうだ。レイスはジュースをカップに注ぎ、ケーキと共に銀のトレイに乗せて魔女のテーブルへと運んでいく。
 こうやって料理を出されれば食べるしかない。それが誰も抗うことの出来ないハロウィンの国の決まりだ。
「りんごのショートケーキです。心行くまで、めしあがれ!」
 レイスが皿を差し出すと、魔女はカトラリーを手にしてケーキへと伸ばす。
 口布を一瞬で外して戻した彼女は林檎とケーキ生地を一緒に頬張ったようだ。暫し味わうように口を動かしたかと思うと、魔女は横に置いてあった本の頁を捲る。
『おお、これはまさに甘さと酸味のマリアージュ……』
 本の中の台詞を朗読したクチナシの魔女は、レイスの料理をそのように評した。つまりは合格ということなのだろう。
 レイスは満足してもらえたことに安堵し、そっと一礼する。
 姿は魔法少女のままではあるが、その姿勢からはメイドらしさが感じられた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

旭・まどか
あきら(f26138)と

次は戦いながらの料理、か…
どちらか一方ならまだ手の打ち様もあったかもしれないけれど
どちらも同時に、となると少し厳しいかな

僕は全然しない。する必要も無いし、しようとも思えない
あきらは?料理は、得意?
僕はからきしだから、其方は任せたよ
代わりに君の邪魔はさせない

さぁ、今度はお前達の出番
暗い昏い闇の底で眠る騎士と邪竜を呼び出して
愉快な仲間達の相手は騎士に
僕らの護衛は邪竜へと指示しよう

騎士の仕事は彼女が料理を終える為の時間を稼ぐ事
邪竜の仕事は僕らに害が及ば無いよう身を呈する事

出来た?
ん、上々。此れなら満足してくれるんじゃない?

うん…まぁ気が向いたら、ね
お手伝いぐらいはしてあげる


天音・亮
まどか(f18469)と

料理するのは好き
お母さんと夕飯当番交代したり
お父さんのお弁当作ってあげたり
好きな人ができたらお菓子とかも
まどかは料理した事無いの?

楽しいよ
料理してる最中はどんな顔してくれるかな
美味しいって言ってくれたら嬉しいなって考えながら
めいっぱい気持ちを込めて作るの
美味しい料理は、心も身体も幸せにしてくれるんだから

ふふ、守りながら戦ってくれてありがとうまどか
はい、味見してみて?

まどかの花丸も貰えたら完成だよ!
甘みたっぷりアップルケーキ!
どうぞ召し上がれ、クチナシの魔女さん
きみが美味しいって言ってくれますよーにって
たっくさん気持ち込めて作ったんだ

ね、まどか
今度一緒に料理してみない?



●林檎と約束
「次は戦いながらの料理、か……」
 仮装の森の次は、何とも可笑しな料理対決。
 それも此方側しか料理をしないという不思議なキッチンバトルだ。まどかは肩を竦め、この状況を改めて確かめる。
 どちらか一方ならまだ手の打ち様もあっただろう。しかしどちらも同時に、となると少し厳しいかもしれない。
 対する亮は料理ができるステージにわくわくしていた。
「良いね、クッキングタイム!」
 亮は料理が好きだ。
 夕飯は母と当番制で交代して作っていて、父のお弁当を作ってあげたりもする。それにもし好きな人ができたら、その人の為のお菓子も作ってみたい。
「楽しそうで良いね」
「まどかは料理した事無いの?」
 その様子に気付いたまどかが言葉を落とす中、亮が問いかける。
「僕は全然しない。する必要も無いし、しようとも思えない。そういうあきらは?」
 料理は得意なのかとまどかが問い返すと、亮は胸を張って答えた。
「得意というか、楽しいよ」
 料理をしている最中は、相手がどんな顔してくれるのかや、美味しいと言ってくれたときの嬉しさを想像する。そう考えながらめいっぱいの気持ちを込めて作るのはとても良いものだと亮は話す。
「ふぅん……」
「美味しい料理は、心も身体も幸せにしてくれるんだから」
 感心するように耳を傾けていたまどかは、それなら、と亮に料理を託す。
「僕はからきしだから、其方は任せたよ」
「うん、任された!」
「代わりに君の邪魔はさせない」
 静かに宣言したまどかは、中央のテーブルに付くクチナシの魔女を見据えた。おそらく料理を始めれば攻撃が飛んでくるのだろう。
 亮が材料を不思議ボックスから取り出していく最中、まどかは力を紡ぐ。
『――まあ、なんということでしょう!』
 すると予想通り、魔女が朗読の魔力を用いて愉快な仲間達を呼び出した。その動きを逸早く察したまどかも対抗していく。
「さぁ、今度はお前達の出番だよ」
 暗い昏い闇の底。其処で眠る騎士と邪竜を呼び出したまどかは、魔女へと彼らを遣わせていった。魔女が呼び出した愉快な仲間達の相手は騎士に、自分達の護衛は邪竜へと指示したまどかは警戒の意思を張り巡らせる。
 騎士の仕事は彼女が料理を終える為の時間を稼ぐこと。
 邪竜の仕事は此方に害が及ば無いよう身を挺すること。
 彼と死霊達に頼もしさを感じた亮は手早く調理に入っていく。林檎を切って並べて、ケーキの生地と合わせていけば、準備は着々と整う。
 お菓子作りは計量が大事。
 それから、見た目が可愛らしいこともポイント。
 焼き上がった林檎のケーキの具合を確かめながら、亮は味見用の一口を用意する。こうして何の懸念もなく料理ができるのも、まどかのおかげだ。
「ふふ、守りながら戦ってくれてありがとうまどか」
「出来た? 適材適所というものだから、当然だよ」
「はい、味見してみて?」
「味見?」
 まどかが振り向いたときにはもう、フォークの上にちょこんと乗ったケーキが亮から差し出されていた。あーん、と口許に運ばれたケーキを反射的に口にしたまどかは、林檎の程よい酸味とケーキの甘さを確かめる。
「どうかな?」
「ん、上々。此れなら満足してくれるんじゃない?」
 頷いたまどかは思ったままの感想を亮に告げた。彼女は嬉しそうに双眸を細めて笑み、それならば完璧だと胸を張る。
「まどかの花丸も貰えたら完成だよ! 甘みたっぷりアップルケーキ!」
「それじゃあ魔女の所に行こうか」
 これまでは攻撃をしてきたクチナシの魔女だが、ハロウィンの国のルールとして出された料理は食べなければならない。
 アップルケーキの皿が運ばれてきたことで魔女は攻撃の手を止めた。
「どうぞ召し上がれ、クチナシの魔女さん」
「味は保証するよ」
 亮とまどかの或る意味での共同作業で完成したケーキ。それをそっと見下ろした魔女はフォークを手に取った。
「きみが美味しいって言ってくれますよーにって、たっくさん気持ち込めて作ったんだ」
『…………』
 亮が声をかけると、魔女は一瞥したのみで何も話さない。どうやら朗読以外ではとことん無口なオウガのようだ。しかし亮は気にせず、どうぞ、と皿を示す。
 そして、クチナシの魔女はケーキを口に運んだ。
 ゆっくりと咀嚼して味わった彼女は、徐ろに本の頁をひらいていく。
『料理は愛情。まさにそのことを示す優しい味と風味……美味い、美味いぞ!』
 台詞の朗読で気持ちを示した魔女は無表情だが、何処か満足気だ。そうしてあっという間に魔女はアップルケーキを完食した。
 こうして料理を提供することによって、敵の無敵は解けかけている。
 もう少しだと感じた二人は攻撃の機を待つ。その中でふと、亮はまどかに笑い掛けた。
「ね、まどか。今度一緒に料理してみない?」
「うん……」
 少し考え込んだ様子のまどかに対し、亮は軽く首を傾げてみせる。
「駄目かな? 次は一緒にしたいなって思ったんだ」
「まぁ気が向いたら、ね。お手伝いぐらいはしてあげる」
「やった! 約束ね!」
 そうして、亮の口許に明るい笑みが咲いた。
 甘い香りが満ちる梔子の園にて、いつかの日に続く約束が交わされていく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ブーツ・ライル
【DRC】
アドリブ、マスタリング歓迎

_

…便利だな、このボックス。
最近は特に忙しく、キッチンに立つ機会もなかったゆえ一段と気合を入れて腕を捲る。
ところでこの帽子とローブはまだ身につけていないと駄目か?
……はいはいわかったよ、だから涎はやめてくれ。

…そういえば、燕やメトロが料理をしているところは見た事がない。
へえ?いつか燕の料理も食べてみたいものだな。

彼らと連携しつつ、梔子の淑女へ贈るのは林檎をふんだんに使ったアップルタルトケーキだ。
丁寧に一つ一つの作業に心を込め、贈るへ相応しい絢爛な薔薇の花束のように飾り付ける。
添える紅茶も彼女に恥じないものを。
身についた完璧な作法で給仕で以て彼女を持て成そう。


金白・燕
【DRC】
アドリブ、マスタリングは歓迎です

気合いが入りますね、ブーツ
計量なら任せてください、自信があります
料理?
昔はやっていましたから人並みには出来ますよ
ただその時間も仕事を進めたいだけで
ええメトロ、私も好物です

ブーツ、メトロが調理している間は私がお相手いたしましょう
梔子の花も良い香りですが、こちらのお花はいかがでしょう
ええ、毒がありますが

メトロは偉いですねえ
美味しそうに良く出来ました

ああ、そうだ
リンゴの薄切りをあまぁく煮まして
くるくる巻いてケーキの上に添えれば
ほら、薔薇のお花が咲きました

ねえブーツ
今日は帰ったら貴方のタルトが食べたいです
ね?メトロ。


メトロ・トリー
【DRC】
アドリブだーいすきだよ!

どん!どん!だん!どん!
これはリンゴを殺してる音!
だん!だん!とん!だん!
これはただ跳ねてるだけの音だよ!

だって、ブーツ先輩のタルトはね
ぼくの大好物だもん!
ねねね燕くん!

あ!脱いじゃダメ脱いじゃダメ!
脱いだらドードー鳥の涎混ぜちゃうぞ!

もう!包帯ゾンビ激カワウサギ上官の命令は、絶対!だよ!
というわけで、おいしいタルトの邪魔をする子は斬首刑!
はい!ざくざく!

ぼくもちゃんとリンゴを刺殺したもん〜
つまり、みんなの努力の結晶だね、えへへ

へ、?ぼくのじゃないの?
え!魔女さんが食べるの!?

えーー!ずるいよずるいずるい!
ぼくが食べないなら涎混ぜても良かったじゃんか!
滅!



●林檎色の薔薇
 魔女のテーブルを囲むように不思議な調理場が並ぶ広場。
 梔子の花の香りを感じながら、時計ウサギ達はキッチンの前に立つ。
 ――どん! どん!
「……便利だな、このボックス」
 ブーツは願えば何でも食材が出てくるという魔法の箱を前に、必要な材料を取り出していった。料理勝負と聞いて、自分の出番だと察したのだ。
 ――だん! どん!
「気合いが入りますね、ブーツ」
「近頃は忙しかったからな。久々に腕を揮うか」
 燕の声に頷いたブーツはそっと意気込む。キッチンに立つのも久方振りなので、此処が腕の見せどころだろう。
「計量なら任せてください、自信があります」
「そちらは燕に任せるとしよう」
 ――だん! だん!
 ブーツは調理用具を並べていき、必要なものを選び取る。その際にふと思い立ち、燕達へと視線を向けた。
「……そういえば、燕やメトロが料理をしているところは見た事がないな」
「料理? 昔はやっていましたから人並みには出来ますよ」
 ただその時間も仕事を進めたいだけで、最近は進んでキッチンには立たない。そのように語った燕は計量用具を手に取った。
「へえ? いつか燕の料理も食べてみたいものだな」
 ――とん! だん!
 料理の準備を始めていく二人は、先程から続く騒がしい音など気にしていない。その音は何かというと、メトロが林檎を殺している物音だからだ。
「リンゴの準備できたよ!」
 林檎の殺害、もとい下準備を終えたメトロは跳ねている。これがいつものメトロなのでブーツも燕も慣れているというのが現状だ。
 よく出来た、とメトロを褒めたブーツは腕捲りをしようする。
 そういえば未だ魔女の仮装をしていた。馴染み過ぎてうっかりしていたようだと気付き、ブーツは軽く首を傾げた。
「ところでこの帽子とローブはまだ身につけていないと駄目か?」
「あ! 脱いじゃダメ脱いじゃダメ! 脱いだらドードー鳥の涎混ぜちゃうぞ!」
 問いかけながら帽子に触れたブーツに対し、メトロは全力で制止する。しかも料理に異物を混ぜる犯行予告付きだ。
「……はいはいわかったよ、だから涎はやめてくれ」
 脱ぎかけていた帽子を被り直したブーツは調理を再開していく。
 しかし、此処はキッチンバトルアリーナ。クチナシの魔女が宣言した通り、料理中に攻撃が飛んでくるというとんでもない場所だ。
「俺はタルトを作る。二人は魔女の相手を頼めるか?」
「勿論! だって、ブーツ先輩のタルトはね、ぼくの大好物だもん! ねねね燕くん!」
 ブーツからの呼び掛けにメトロが答え、燕を呼ぶ。
 静かに頷いて答えた燕は既に計量を終えており、必要な材料をブーツに託した後だ。
「ええメトロ、私も好物です」
 だから――邪魔をするものには容赦などしない。
 燕の眼差しが魔女に差し向けられ、メトロもアリスランスを構えた。対する魔女は攻撃魔法用の絵本をひらき、朗読の魔力を巡らせていく。
『すると、愉快な仲間達は言いました。まあ、なんということでしょう!』
 その声に呼応する形で魔法が発動した。
 襲い来る愉快な仲間達。それらを相手取りに行くメトロ。揺らめく包帯をなびかせたメトロは槍を大きく振るいあげる。
「もう! 包帯ゾンビ激カワウサギ上官の命令は、絶対! だよ!」
「海賊のルールも追加させて頂きましょうか」
 その後に続く燕も、戯れに海賊衣装を示しながら薔薇の花冠を形作っていく。メトロは燕の動きに合わせて愉快な仲間を蹴散らす。
「というわけで、おいしいタルトの邪魔をする子は斬首刑! はい!」
 ざくざくと突き刺す一撃は鮮烈だ。
 燕はメトロに頼もしさを抱き、毒薔薇の花弁を広げていった。
「梔子の花も良い香りですが、こちらのお花はいかがでしょう。――ええ、美しい花には棘も毒もありますが」
 花の力は魔女の魔法を抑え込み、決してブーツにまで攻撃を届かせないよう巡る。
 その間にブーツは作業を進めていた。
 梔子の淑女へ贈るのは、林檎をふんだんに使ったアップルタルトケーキ。
 さくりとしたタルトの中に柔らかなケーキ生地を詰めて、甘い蜜で煮詰めた林檎を飾っていけば魅惑の甘味が出来上がっていく。
 燕とメトロが攻防に回ってくれている分、ブーツは料理に専念した。
 丁寧に一つ一つの作業に心を込める。贈るへ相応しい絢爛な薔薇の花束を作り上げるように、林檎を飾り付けていく。
 その頃には魔女からの攻撃も収まっており、メトロと燕が調理台に訪れる。
「燕、これを頼めるか?」
「ええ。最後の仕上げはお任せください」
 中央にブーツが配置した大きな林檎の薔薇の周囲に、燕がちいさな林檎製の花を添えていく。薄切りの蜜林檎をくるくると巻いてケーキの上に添えれば、タルトの庭に薔薇園が出来上がった。
「わー! キレイ!」
「ほら、薔薇のお花が咲きました」
「これで完成だな」
 瞳を輝かせるメトロに燕が笑み、ブーツはタルトに添える紅茶を用意していく。
 彼女に恥じないものを、とカップを並べるブーツ。その横で、メトロは得意気な様子で胸を張った。
「ぼくもちゃんとリンゴを刺殺したもん~。つまり、みんなの努力の結晶だね!」
「メトロは偉いですねえ」
「えへへ」
 燕に褒められたことで嬉しそうにはにかむメトロは、早速アップルタルトケーキを食べようとしていた。だが――。
 ブーツと燕に止められ、メトロは衝撃の事実を知ることになる。
「へ? ぼくのじゃないの?」
「あの魔女に食べて貰うための料理ですよ」
「え! 魔女さんが食べるの!?」
「自分で食べる気で居たのか?」
 燕がぴかぴかの銀のトレイに乗せたタルト。あの子はあんなに綺麗で可愛らしくて、食べて貰いたがっているのに――。
「えーー! ずるいよずるいずるい! ぼくが食べないなら涎混ぜても良かったじゃんか! 今からでも混ぜる!!??」
 唇を噛み締めて悔しがるメトロは手を伸ばすが、ブーツがトレイを高く掲げたものだから届かない。とん、だん、とまた飛び跳ねる音が響き始めたが、こればかりはメトロに譲ってしまうわけにいかない。
 少し心が痛みながらも、ブーツは完璧な作法と給仕で以て魔女にタルトを捧げた。
『ふむ、頂こう』
 本の朗読をすることで答えた魔女はタルトを口にする。
 ちなみに口布が外された瞬間は誰にも観測できないのだが、これもまた不思議の国の不思議な力によるものだ。
 ゆっくりと味を確かめたクチナシの魔女は、更に本をひらいた。
 そして――。
『そのとき、薔薇咲く園に虹が掛かりました。朝露の雫が零れ落ち、大地を潤す様は麗しく、新たな始まりを予感させます』
 読み上げられたのはグルメ何とか本ではなく、妖精の物語だった。つまりは美しい表現をするほどにアップルタルトケーキが美味だったということだろう。
 燕は林檎薔薇の装飾が褒められたと感じ取り、ブーツも味を称賛されたのだと知って満足を覚えた。
 されどメトロだけは不服な様子。
「えーん!! ずるい悔しい! ぼくもブーツ先輩のタルト食べたかったよーー!」
 だが、魔女は既にケーキを完食している。
 見兼ねた燕はブーツを呼び、メトロに聞こえるように或る願いを申し出た。
「ねえブーツ、今日は帰ったら貴方のタルトが食べたいです」
「ああ、構わない」
「ね? メトロ」
「作ってくれるの? やったー! タルト、タルト!」
 ひとまずはこれにて一件落着。
 魔女に捧げたものよりも更に大きなタルトにしよう。そう語ったブーツは、燕とメトロと共に戦いの行方を見守る姿勢に入る。
 ハロウィンの国によって無敵状態になっている魔女の力も弱まっているようだ。
 決着はもうすぐだと感じ取り、三人は梔子広場の中央を見つめた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朝日奈・祈里
るんたった
マントを靡かせて森の奥へ
おまえ、面白い喋り方をするな?

まぁいい。この天才が満足させてやろう!
アストライオス。りんごを取ってきて
小さめの、真っ赤な酸味のきいたやつ!

その間にオーブンをあっためて、っと
ふふふ。料理は化学。得意分野だよ
数値に誠実に、きっちりやれば失敗なんてしないのさ!
りんごを受け取りスプーンで芯をくり抜く
……んん、ちからわざ…
ねじりと角度を利用してくり抜いて…
中にバターとシナモンをたっぷりと!
後は時間を計って、焼きりんごの完全!

待ち時間に敷いておいた魔法陣から
炎の渦に水の槍、氷の礫を繰り出すぞ

もし終わって時間があれば
Trick or Treat!
他の人のお菓子食べたいな!



●香るバターと林檎の味
 南瓜の王子の足取りは軽く、愉快なキッチンへ。
 るんたった、と口遊む歌に合わせてけんけんぱで広場に訪れた祈里は、マントをなびかせてくるりと回った。
『どうした、クッキングバトラーよ。私はまだまだ満足していないぞ』
 其処に聞こえたのは魔女の朗読の声。
 クチナシの魔女は本を介して喋る。其処に書かれている台詞を引用することで此方への意思を示しているようだ。
「おまえ、面白い喋り方をするな?」
『…………』
 祈里が問いかけたことに対して魔女は無言だった。どうやら手持ちの本に答えに該当する台詞がないらしい。
 まぁいい、と頷いた祈里はキッチンの前に立った。そのまま両腕を組んだ南瓜王子仮装の祈里は自信満々に宣言する。
「満足していないというなら、この天才が満足させてやろう!」
 こうして幼女クッキングが始まった。
 まずは調理用具を確かめ、次は材料の調達。不思議な材料ボックスから手に入れてもよいが、近くに林檎の森があるのだから採りたてがいいだろう。
「アストライオス。りんごを取ってきて」
 小さめの、真っ赤なもの。
 それも酸味のきいていそうなやつ、と祈里が願うと白梟が飛び立つ。賢いアストライオスはきっと良いものを選んで採って来てくれるはず。
「その間にオーブンをあっためて、っと」
 上機嫌に準備を整えていく祈里には懸念などひとつもない。
 料理は化学。
 特に製菓は分量を計って時間通りに調理していけば問題ない。まさに得意分野だとして、祈里はちいさく笑った。
「ふふふ。数値に誠実に、きっちりやれば失敗なんてしないのさ!」
 と、張り切っていた祈里だが――。
 アストライオスが持ってきた林檎が到着したことで、第一の難関が襲い来る。
「ん、んん……」
 スプーンを片手に、祈里は全力を込めていた。その指先は震えている。まずは芯をくり抜かなければいけないのだが、随分と力技だ。
 魔法で強化すれば林檎ごと粉砕してしまいそうだし、このまま自力で頑張るには幼女の力では難しい。しかし、其処は天才のひらめきが助けてくれた。
「こうして、こう……!」
 ねじりと角度を利用することで何とか芯を抜いた祈里は安堵する。その様子を見守っていたアストライオスも何だかほっとしているようだ。
 そうして、祈里は林檎の中にバターとシナモンをたっぷりと入れ込んでいく。
 オーブンは既に準備万端。
 後は時間を計りつつ待てば、焼きりんごの完成――なのだが、難関はまだあった。クッキングバトルだと魔女が語ったように、相手からの攻撃も訪れるのだ。
『すると、愉快な仲間達は言いました』
「させるか!」
 魔女の朗読魔法が発動し、愉快な仲間達が邪魔をしようとやってきた。されど祈里とて無策で迎え撃つわけではない。
 待ち時間に敷いておいた魔法陣を発動させ、炎の渦や水の槍、氷の礫を繰り出すことで邪魔なもの達を蹴散らしていった。わー、と声をあげて散っていく愉快な仲間達が消える中、辺りに香ばしい良い香りが漂いはじめる。
「お、出来たかな」
 祈里はぶかぶかのミトンを装着して、オーブンから焼き林檎を取り出した。
 湯気を立てる林檎には焼き色がついており、バターの芳しい匂いが鼻先をくすぐる。よし、と満足そうに頷いた祈里は魔女へ出来上がったものを運んでいく。
 どうぞ、と皿を置いた祈里に視線を向け、魔女はナイフとフォークを手にした。
 そして――。
 焼き林檎を食べ終わったクチナシの魔女は本をひらく。
『香ばしさの中にとろけるバターのコク、実に素晴らしい。だが……』
 グルメ本の台詞を読み上げていた魔女だが、不意にその言葉が止まってしまう。どうかしたのかと祈里がテーブルを見遣ると、なんと――。
『……これ、は、……まだ、私、も……』
 魔女はうつらうつらと船を漕いでいるではないか。つまりはこれがハロウィンの国のルール。満足したオウガは眠ってしまい、無敵状態が解除されるのだ。
「よし、今だ!」
 祈里は周囲の仲間達を見渡し、今こそ総攻撃の時間だと呼び掛けた。

●お菓子と悪戯と仮装の国
 バターとシナモンたっぷりの焼き林檎の数々。
 カルヴァドスが香る林檎のシブーストに、林檎のジャム添えロールケーキ。
 柘榴が飾られた林檎のパンケーキと、嫉妬の名を関するタルト・オ・ポム。
 白と赤のコントラストが美しいチョコレートアップル。可愛らしい苺のショートケーキもあれば、甘みで満たされたアップルケーキもあった。
 更には薔薇のように飾り付けられたアップルタルトケーキと、料理は林檎尽くし。

 それらを堪能したクチナシの魔女は眠ってしまっている。
 勝利は確定した。
 猟兵達は地を蹴り、或いは魔力を紡ぐことでオウガへの攻撃を開始していく。
 エドガーの振るったレイピアの一閃。梟示の鋭くて疾い拳の一撃。
 紫とかくりの息のあった連携攻撃に続き、カムイと櫻宵が合わせた桜の剣閃。フルラの蜜の魔法とリルとヨルが響かせる歌が広がる。
 沙羅羅が水の珠を放ち、ユヴェンが振るう竜槍が轟くように突き刺さり、レイスが巡らせたウイングソードが鋭い一撃となっていく。
 まどかと亮も攻撃に加わり、死霊の一閃と脚撃が敵を穿つ。
 其処へブーツと燕、メトロによる三連撃が加えられ、祈里が魔方陣から様々な属性の魔力を解き放った。
 そうして、最後はお決まりの楽しい掛け声と共に。
「――Trick or Treat!」

 こうしてクチナシの魔女は猟兵達によって斃されることになる。
 これでハロウィンの国にも穏やかさが戻るはずだ。倒れゆく魔女は最後にそっと目を開き、傍にあった絵本をひらいた。
『こうして、悪い魔女は倒され……その国には平和が訪れました……』
 めでたし、めでたし。
 物語の締め括りの言葉と同時に魔女の姿は消え、その魂は骸の海に還っていった。
 勝利を確かめた仲間達は健闘を称えあい、不思議で不可思議な広場を眺める。実は一部の猟兵達は少しだけ余分に林檎のお菓子を作っていた。
 ということは――そう、楽しくて美味しい林檎パーティーのはじまりはじまり!
 ハロウィンの国の賑わいはまだ終わらない。誰も彼も、騒いではしゃいで仮装とお菓子を大いに楽しむひとときが巡っていく。

 ――Happy Halloween!
 

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月31日


挿絵イラスト