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ゴスロリハロウィンへようこそ!

#アリスラビリンス #【Q】 #お祭り2020 #ハロウィン #ゴスロリ #赤と黒のスイーツ #アカネ・リアーブル #もぐもぐシナリオ #もぐもぐ

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● 綺麗なアリスを苗床に
 深い深い森の奥。オウガ・オリジンによって作られたハロウィンの世界には、白いお城が建っていました。
 大きな大きなお城の中庭には、真っ赤な林檎が生る不思議な薔薇園。ルビーみたいにきれいに色づくはずの薔薇の花は、まだまだ蕾が硬くって。
「困ったわ。肥料のアリスがいないと、薔薇が綺麗に咲いてくれないわ」
 頬に手を当てて、ほう、と悲しげなため息をつく『『薔薇園の番兎』ローゼス』は、蕾の薔薇をちょん切ると鋏でバラバラに刻んでしまいました。
 切なそうなローゼスの後ろ姿に、紺色のドレス姿の少女たちが駆け寄りました。

「お姉さまお姉さま。アリスを呼んでお茶会しましょう♪」
「そうしましょう、そうしましょう! 今はハロウィンですもの。アリスも可愛く着飾って、美味しい紅茶を振る舞いましょう」
「紅茶があまりに美味しくて、アリスはきっと眠ってしまいますわ」
「そうしたら……ねえ?」

 星屑の魔女達は、クスクス笑い合います。少女たちの提案に、ローゼスはぱあっと薔薇のような笑顔を浮かべました。
「それは素敵な提案だわ! 眠ったアリスの心臓に、薔薇を一輪、生けましょう。アリスの命を糧にした血のような薔薇からは、さぞ美味しい林檎が生るでしょう」
 綺麗に生った林檎のお味は、きっとアリスの心臓の味。
 さぞや美味しいことでしょう。

「ではお姉さま。私達はアリスを連れて参りますわ」
「このお茶会にふさわしい、綺麗なドレスのアリス達を」
「そうしたらお姉さま。アップルパイを焼いてくださいませね!」
 そう言う星屑の魔女達は、森の中へと駆け出して。
 アリスを探しに行きました。

 素敵なお茶会にふさわしい、綺麗なドレスのアリスはどこでしょう?

● 老いも若きも男も女も動物も妖怪もキャバリアだって
「皆様。危険なハロウィンパーティが行われるようです。お力をお貸しくださいませ」
 真剣な目で猟兵達を見たアカネは、予知に現れた深い森と白い城、そして広がる薔薇園を指差した。

「ここで育てられる薔薇は、アリスの心臓を苗床に育つのです。そして咲いた薔薇からは、美しい林檎の実が生るのです。幸い今はあの世界にアリスはいません。ですがいつ召喚されるかは分からないのです。ですので、皆様でローゼスの「お茶会」に参加して、倒してしまってくださいませ」
 城を囲む森の中からは、衣装がランダムで飛んできては道行く人に着せるのだという。この森で飛んでくる衣装には明確な方向性があるのだという。それは……。
「ゴシック・アンド・ロリータ、と呼ばれる衣装が飛んでくるのです」
 真面目なアカネの言葉に、猟兵達が目を丸くする。

 ゴシック・アンド・ロリータ。通称ゴスロリ。レースやフリルやベルベットを多用した装飾の多いドレスのこと。ダークで少し辛口で、退廃美が特徴的なドレスがメインだが、普通に甘くかわいいロリータドレスも飛んでくる。
 系統も色々。和ゴス華ゴスミリゴスゴスパンスチパン皇子系。なんだかよく分からないが、とにかく色んな系統の「ゴスロリ」に着替えさせられるのだ。
 老いも若きも男も女も。
「この世界の法則で、ゴスロリファッションを身に着けていれば敵はさほど強くありません。普段なかなか着れないゴスロリを楽しむ余裕もございますでしょう」

 そして星屑の魔女達を倒せばローゼスと戦うことになる。
 ローゼスは強大なオウガだが、弱点が一つ。
「赤と黒をモチーフとしたお菓子を食べると、眠ってしまうのです。皆様で心を込めて作って差し上げてくださいませ」
 一通り説明を追えたアカネは、微妙そうな表情の猟兵達を見渡すとにっこり微笑んだ。

「大丈夫です。サイズは豊富に揃っているようですので、身体の大きな男性もぴったりのゴスロリが飛んでくるでしょう。かしこい動物様にだって、素敵なドレスがございます。どうか皆様、心ゆくまでゴスロリをお楽しみくださいませ」

 違う、そうじゃない。心配なのはそこじゃない。
 猟兵たちのツッコミもどこ吹く風で。アカネはグリモアを発動させるとアリスラビリンスへの道を開いた。


三ノ木咲紀
 オープニングを読んでくださいまして、ありがとうございます。
 ハロウィンパーティシナリオです。
 誰がなんと言おうとハロウィンなのです。
 今回は2章構成です。10月31日までに完結したシナリオ数に応じて、次回の戦争で何かあるそうですので奮ってご参加くださいませ。

 という訳で、ゴスロリ縛りのハロウィンパーティです。
 第一章はゴスロリファッションに着替えさせられます。
「こんなの似合わないのに!」とか何とか言いながら着替えるのも楽しいかと。
 メイクもヘアメイクも同時にされますのでご安心を。

 勿論、年齢性別体格種族職業関係なく着替えます。メインはヒラッヒラのゴスロリです。
 系統の希望がございましたらプレイングにお願いします。無ければこちらで似合いそうなのを見繕わせていただきます。
 戦闘はまあ、ちょっとで大丈夫です。

 第二章は「見た目が赤と黒のスイーツ」を食べると眠くなるローゼスとの戦闘です。
 詳しくは断章にて。

 プレイングは公開後すぐに受け付けさせていただきます。受付締切はまた後ほど。
 のんびり進行になるかと思います。再送は無いようにしますが、万が一の時はお願いのお手紙を差し上げるかもしれません。

 それでは、良きゴスロリハロウィンを。
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第1章 集団戦 『星屑の魔女』

POW   :    イマトイウホウキボシ
【彗星】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【流星】を放ち続ける。
SPD   :    メテオインパクト
【望遠鏡を通した視線】を向けた対象に、【宇宙からの隕石】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    ホシクズノステージ
戦場全体に、【星空】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

樹神・櫻沙
アドリブ連携歓迎

ごすろり、とはどういったものなのか……ドレスを着るのでしょうか?
折角なので普段は着ない黒色の豪奢なものが良いですね…。
髪型もツインテール等それらしい感じになると良いなと…。
……あまり洋装自体持ち合わせていないのですが……こういうものも面白いのですね。
綺麗なものは、好きです……似合っているかどうかは分からないのですが、今度自分用のを揃えてみても面白いかもしれません…。

星屑の魔女は【Tempesta di neve rosa】で桜の舞で攻撃を。
何人いても構いません、全て包みましょう。
「……この花嵐からは、逃げられません」



● 着たいドレスは着たい居場所で
 深い深い森の中に佇んだ樹神・櫻沙(Fiori di ciliegio caduti・f26681)は、この森が与えるというドレスについて考えていた。
「ごすろり、とはどういったものなのか……ドレスを着るのでしょうか?」
 少々困った表情になった櫻沙は、聞き慣れないドレスに想像を巡らせる。何せ櫻沙は桜の精。生まれ育ったサクラミラージュの、長い時間を過ごした帝都ではなかなかに聞き慣れない単語の衣装だった。
 国民的スタアとして華やかな舞台に立っていた櫻沙だったが、衣装にそういうものはあったのか。とにかく考えていても仕方がない。意を決した櫻沙は、どこからともなく飛んできたドレスに袖を通した。
 飛んできたのは、黒いドレスだった。
 視界が塞がれたのはほんの一瞬。瞬きの間に着替えていた櫻沙は、鏡に映った自分の姿に腕を伸ばした。
 身につけているのは、黒いドレス。光沢のある生地はウエストでキュッと絞られていて、ふんわり広がる裾は同色のフリルとレースで彩られている。
 幾重にも重なるスカートは膝丈で、白いタイツに包まれた細い足を一際際立てている。エナメルの靴にあしらわれた紅い石とリボンがいいアクセントだ。
 胸元は細いリボンが交差するようにあしらわれていて、縦長の印象を与える同色のフリルが細い印象を与える。メリハリをつけるように膨らんだパフスリーブの先は姫袖と呼ばれるもので。
 ローツインテールに結われた髪は、ヘッドドレスから流れるリボンが巻き付くようにあしらわれ、ピンク色の髪が一層引き立っている。
 鏡に映る自分の姿を見て、くるりと回転してみる。普段見る洋装とはまた違った様子のドレスに、なんだか心がワクワクしてくる。
「……あまり洋装自体持ち合わせていないのですが……こういうものも面白いのですね」
「あら、よくお似合いですわよ」
 満更でもない様子の櫻沙に、星屑の魔女が声を掛けた。ニコニコしながら近付てくる星屑の魔女もゴスロリ風のドレスを身に着けていて、安心させるように櫻沙に手を差し伸べた。
「ここは薔薇と林檎の国。美しい服を纏った美しい者がお茶会をする国ですの。さあ、いらっしゃい。美味しい紅茶をご馳走いたしますわ」
「綺麗なものは、好きです……似合っているかどうかは分からないのですが、今度自分用のを揃えてみても面白いかもしれません……」
 頬を赤らめる櫻沙に、星屑の魔女は満足そうに頷く。櫻沙の手を取る少女たちは、櫻沙を口々に褒めながら森の奥へと誘おうとした。
「ええ。ええ。この森にいれば、どんなドレスも思いのまま」
「この国でお茶会に参加すれば、永遠に色々なドレスを着られるのですわ」
「服は揃えたいですが……それは、この世界で、ではありません」
 引かれる手に抗うように立ち止まった櫻沙の聖痕から、光が溢れた。刻まれた聖痕がほどけると、桜の花びらとなって砕けていく。
「そ、その花びらを消してくださいな!」
 溢れる花びらに警戒する星屑の魔女達が、魔法を放とうと自分の周囲に星を召喚する。櫻沙に向かい飛び来る星がドレスを傷つける前に、桜の花びらが包み込んで消し去っていく。
「……この花嵐からは、逃げられません」
 櫻沙の声に、桜の花びらは圧を増す。押し流すように包み込んだ桜の花びらが消えた時、迷宮も星屑の魔女達も消え去っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミア・ミュラー
ん、アリスたちを犠牲にしたハロウィンパーティなんて、悪趣味。もちろんそんなことさせない、よ。パーティはみんなが楽しくないと、だめ。

おー、これが、ゴスロリ?白黒でかっこいいし、ひらひらで可愛くて素敵な衣装、ね。わたしは動きやすい服が好きだけど、こういうのもたまには、いいかも。せっかく衣装をもらったから、破れちゃったりしないように優雅に戦わないと、ね。
【プリンセス・ホワイト】で呼んだ白鳥さんたちと一緒に戦う、よ。みんなで一斉に近づけば全部を望遠鏡で見るのは難しい、はず。わたしも白鳥さんに乗りながら輝くグリッターハートを飛ばして目くらまし、する。近づけたらみんな合体してオウガを一気にやっつける、よ。



● 白鳥飛行
 深い森の中へと足を踏み入れたミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)は、飛んできたゴスロリ衣装に一瞬で着替えると鏡に映った自分を検めた。
「おー、これがゴスロリ? 白黒でかっこいいし、ひらひらで可愛くて素敵な衣装、ね」
 いつの間にか着せられた衣装は、クラシカルなゴスロリドレスだった。
 パニエでふんわりとボリュームを出した黒ベルベット地のレースをあしらったフリルドレス。ウエストをキュッと絞ったデザインも相まって、スカートのドレープの美しさが一層際立って見える。細い足を強調するようなニーハイソックスは黒で、あしらわれた刺繍が長い脚を一層美しく際立たせている。
 胸元まで編み上げたリボンに彩られた胸元は、純白のブラウスだった。黒で統一したスカートとは対象的に、曇りひとつない純白のブラウスは同色のレースとリボンがあしらわれ、一層目を引く。すらりと伸びる袖は純白の姫袖で。
「わたしは動きやすい服が好きだけど、こういうのもたまには、いいかも」
 美しいドレスに着替えたミアは、少しだけ得意げに微笑んだ。空を見上げると見える木々の間の白い尖塔は、美しいけれどどこか禍々しくて。
 あの城の中庭にある薔薇園では、アリスを苗床とした薔薇が咲くのだという。薔薇から生った林檎は、オウガ達のお茶会に出されるのだ。一言で言えば、趣味が悪い。
 眉を顰めたミアに、星屑の魔女達が歩み寄ってきた。
「まあ、素晴らしいお嬢様ですこと。あのお城で一緒にお茶会をいたしませんこと?」
 ニコニコ微笑みながら近寄ってくる星屑の魔女達は、ミアの手を取るとお茶会へと誘う。素敵なドレスに白いお城でお茶会なんて、素敵なシチュエーション。今までもこうして、何人ものアリス達が犠牲になったのだと思うと、ミアははっきり足を止めた。
「どうなさいまして?」
「ん、アリスたちを犠牲にしたハロウィンパーティなんて、悪趣味。もちろんそんなことさせない、よ」
「あら。犠牲だなんて人聞きの悪い。アリス達は美味しいアップルパイになるのですから、良い趣味だと言っていただきたいものですわ」
 星屑の魔女がニッコリ微笑んだ時、尖塔からメテオインパクトが放たれた。あの尖塔にある望遠鏡から覗いているのだろう。視線と同時に降り注ぐ隕石がミアにぶつかる寸前、白鳥が舞い降りた。
 羽に「1」と刻まれた白鳥が、メテオインパクトからミアを守る。爆風を凌いだミアは、尖塔を見上げると一羽の白鳥に飛び乗った。
「せっかくの衣装、破れちゃったりしないように優雅に戦わないと、ね」
 ミアの声と同時に、白鳥が近づいてきた星屑の魔女を貫く。残りの白鳥達と一緒に一斉に飛び立ったミアは、ドレスをなびかせながら宙を駆ける。再び感じる視線は、白鳥達の姿に阻まれて狙いを定めきれないでいるようだ。その隙に一気に近寄ったミアは、視認できる位置まで舞い上がると白鳥たちを合体させた。定まる視線にグリッターハートで目くらましを飛ばしたミアは、白鳥を星屑の魔女に向けて急降下させる。
 白鳥からヒラリと飛び降りたミアの脇を、白鳥が舞う。鋭い嘴で星屑の魔女の胸を貫いた白鳥は、優雅に翼をはためかせるとバルコニーに着地したミアに寄り添った。
「パーティはみんなが楽しくないと、だめ」
 めっ! と言うように指を指したミアは、頬を寄せる白鳥を撫でると消えゆく星屑の魔女を見下ろした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流
系統お任せ
ただしミニスカート、露出高い×

ゴスロリって前にアリスラビリンスで着たゴシックと違うんだろうか?
あの時はこう黒一色って感じだったが。
ひらひらスカートとかだと前に目くらましで着たメイド服もそういう系統の服になるのか?
でも自動で着せてくれるとか便利。

視線対策で存在感を消し目立たない様に立ち回る。マヒ攻撃を乗せた暗殺のUC五月雨で攻撃。
目くらましも兼ねて同時に投げられるだけの飛刀も投擲。
敵の攻撃は第六感で感知、見切りで回避。
回避しきれないものは本体で武器受けで受け流し、カウンターを叩き込む。
それでも喰らってしまうものはオーラ防御、激痛耐性で耐える。



● 何事にも動じぬ心を持ちて
 ゴスロリの森へと足を踏み入れた黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)は、鬱蒼と茂る緑を見上げて呟いた。
「ゴスロリって、前にアリスラビリンスで着たゴシックと違うんだろうか?」
 洋装の種類にあまり詳しくない瑞樹だが、グリモア猟兵は「ゴシック アンド ロリータ」と言っていた。以前着たゴシックと似たテイストだろうが、詳しいことまでは分からない。思い出してみるゴシックドレスは黒一色で、どちらかといえばシックな感じだったように思う。
 あのテイストに「ロリータ」が入るということは、きっとヒラヒラなんだろう。そうすると思い当たるのは、以前目くらましで着たメイド服で。
「あれも、そういう系統の服になるのか? だけど着るのはなかなか面倒だった覚えが……」
 何しろ、ヒラヒラドレスを再現させるために身につけるものはなかなかに多い。一人では着替えることもできないドレスだが、今回は自動で着替えさせてくれるというのだから楽でいい。
 さてさて、今度はどんな系統のドレスになるのか。周囲を見渡した瑞樹は、気がつけばゴスロリ姿になっていた。
 衝撃が去ってしばし。置かれた鏡に映った姿は、どこかメイド服にも似ていた。
 青地に菊花や吉祥紋が染め上げられた前合わせの着物に、ハイウエストの帯。たっぷりとした袖口には白いレースがあしらわれていて。
 たっぷりとした足首までの裾は、袴のように見えなくもないがれっきとしたスカートで。絞った上着にAラインのシンプルスカートが、どこかサクラミラージュの女給さんを思い起こさせた。
「和ゴス、ってやつか」
 どうしてもミニスカートが多いゴスロリにおいて、和ゴスは丈の長いスカートが特徴的でもあるのだ。髪にあしらわれた帽子がアクセントになっていて、我ながら似合っている。
 そう。似合っているのだ。れっきとした成人男性である瑞樹だが、華やかな和ゴスを着こなすだけの華が本人に備わっているのだから仕方がない。
「あら、よくお似合いですこと」
 自分の姿を鏡で検めた瑞樹に、星屑の魔女達が話しかけた。
「あなたよく見れば殿方なのね。なのにこんなに似合うだなんて、妬けてしまうわ」
「それはどうも」
 恥ずかしがったり喜んだりといったリアクションもなく、似合っていることを確認した瑞樹は、着替えの上から佩いた二刀をスラリと抜き放つと星屑の魔女たちへと向けた。
「悪いけど、ここで倒させて貰うよ」
「え、ちょっと……」
 問答無用で気配を消した瑞樹は、木の上から向けられる視線から身を守るように静かに移動する。ドレスの裾が少々邪魔だが、足元がブーツなのがありがたい。
 近寄ってきた星屑の魔女にスッと近寄った瑞樹は、マヒ攻撃を乗せたナイフを星屑の魔女に放った。
 倒れる星屑の魔女が戦闘の合図、とでも言うかのように、一斉にメテオインパクトが放たれた。
 瑞樹に向けて一斉に星が降る。無数の星の攻撃の気配を感じた瑞樹は、魔力の発信源に向けて一斉に【五月雨(サミダレ)】を放った。本体の器物を模したナイフは迷うこと無く星屑の魔女へと突き刺さり、木の上から次々と落ちてくる。
 放たれた魔法を第六感で回避するが、間に合わない。本体を抜いた瑞樹は、宇宙からの隕石を受け止めると受け流す。
「せっかくのドレス、汚したくないんだけど」
 クレーターから巻き起こる砂ホコリに眉を顰めた瑞樹は、スカートについたホコリを払うと城へと向かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリシャ・パルティエル
葵桜ちゃん(f06218)と

アリスが犠牲になるような危険なお茶会は許せないわ
そうねせっかくだから楽しみながら阻止しましょ

不思議な国はたくさんあったけど
それにしても衣装が飛んでくるって不思議ね
でもね葵桜ちゃん
あたし実はああいう服一度着てみたかったのよね

黒のフリルがたくさんついたドレスに着替えて
え…ちょっとスカートの丈が短すぎない?
ちょっと恥ずかしくてもじもじしつつも
葵桜ちゃんの可愛らしさに目を輝かせる
すごく似合ってるわ!

この際だからほら田中さんも!
仮装だからいつもと違うのがいいの
恥ずかしがらなくていいのよ
みんなおそろいね

お茶会に行かなくちゃいけないから邪魔しないで
星屑の魔女たちには眠ってもらうわ


榎木・葵桜
エリシャさん(f03249)と

すごいね、めちゃくちゃ危険で
絶対阻止しなくちゃなパーティーなのに
ものすっごく楽しそうだよね!(目を輝かせ)

ふふ、エリシャさんってば正直者ー♪
でもよーくわかる!
一度は着てみたくなるもんね♪

私のはね、皇子スタイルだよ!
初チャレンジなかぼちゃパンツ
結構似合ってるでしょ?

お…!エリシャさん、めっちゃかわいい!
いつもロングスカートの印象あるからこの丈とか新鮮★

よっし田中さんも…(振り返って衝撃の、ミニスカ甘ロリスタイルだった)
(爆笑)
よ、よく似合ってるよ、グッジョブだよ田中さん!

うん、それじゃお茶会へレッツゴー!
エリシャさんのUCで眠ってもらってる間に
どかしながら移動するよ



● 皇子様とお姫様
 深い深い森を進んだ榎木・葵桜(桜舞・f06218)は、目の前を飛び交うゴスロリ衣装達に目を輝かせた。
 右から左に飛んでいくのは、黒いベルベットの衣装。左から飛んでくるのは白が基調の素敵なドレス。一体誰がどうやって飛ばしているのかは本当に謎過ぎるが、そのどれも綺麗で可愛くて。
 あんなドレスを着て、白亜のお城の薔薇園でお茶会だなんて素敵なシチュエーションに誘われたら、断れる女子って少ないと思う。
「すごいね、めちゃくちゃ危険で絶対阻止しなくちゃなパーティーなのに、ものすっごく楽しそうだよね!」
「そうね。アリスが犠牲になるような危険なお茶会は許せないわ。……でも、せっかくだから楽しみながら阻止しましょ」
 決意も新たに拳をぎゅっと握ったエリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)もまた、飛び交う衣装に目を輝かせている。
 楽しそうなエリシャにもっと楽しくなってきた葵桜は、楽しさのおすそ分けをしようとユーベルコードを詠唱する。
「さて、せえので着替えよう! せえの!」
 三人で呼吸を合わせた葵桜は、飛び交う衣装に同時に手を伸ばす。目の前が光に包まれてしばし。鏡に映った自分の姿に、葵桜は目を輝かせた。
 葵桜が着たのは、皇子系と呼ばれる衣装だった。
 青灰色のかぼちゃパンツには白のレースでアクセントがついている。脚線を彩るのは白と黒のニーハイソックスで、靴は黒のエナメルブーツ。
 白のレースコルセットで絞ったウエストからは白のレースが腰に掛けて短めにあしらわれていて、かぼちゃパンツと同じ青灰色のパフスリーブジャケットも同じく白のレースがついていて、袖は大きく折り返されている。
 白のフリルブラウスはたっぷりとしたデザインで、皇子系なのと相まってスッキリした胸を華やかに彩っていた。
 華やかな男装に笑みを浮かべた葵桜は、振り返った先にいるエリシャの姿に手を差し出した。
「初チャレンジなかぼちゃパンツ、結構似合ってるでしょ? お手をどうぞ、お姫様」
「あ、ありがと」
 頬を赤らめるエリシャは、黒のドレスだった。
 フリルを幾重にも重ねたゴシック調のドレスは、フィッシュテールドレスと呼ばれるもので、スカートの前側はミニスカートほどの長さだが後ろは足首までの長さがある。
 黒のベルベット地のドレスの下は幾重にも重なったペチコートが波のように流れている。レースで縁取られた裾は長くなびき、白く美しい脚線をより強調していた。
 コルセットで絞った胸元には同色のフリルがあしらわれ、純白の姫袖ブラウスが華やかさを強調。
 スカート丈を気にして恥じらうエリシャの姿に、葵桜は目を輝かせた。元々華があるエリシャは華があり、派手めなドレスにも負けていない。
「エリシャさん、めっちゃかわいい! いつもロングスカートの印象あるから、この丈とか新鮮★」
「そ、そうかしら」
 お姫様のようなドレスに身を包んだエリシャの手を取った葵桜は、そのまま鏡の前までエスコートするのだった。

● 古代の戦士はお嬢様
 鏡に映った自分の姿に頬を赤らめたエリシャは、葵桜の手を取るとハイヒールの足でくるりと回って全身を検めた。
「え……ちょっとスカートの丈が短すぎない?」
「そんなことないよ」
「そ、そうかしら」
 水着でもあまり出さなかった脚線が、すらりと強調されているのは何だか恥ずかしくて、モジモジしてしまう。後ろ姿はさておき、前から見ると膝上よりも丈が短いのだ。ストッキングを履いているとはいえ、普段はこんなに露出することなんてないから恥ずかしくてなんだか落ち着かない。だけど。
「でもやっぱり恥ずかしいわ。……でもね葵桜ちゃん。あたし実はこういう服一度着てみたかったのよね」
「ふふ、エリシャさんってば正直者ー♪ でもよーくわかる! 一度は着てみたくなるもんね♪」
「そうよね。一回くらい着てみてもいいわよね。……葵桜ちゃんの皇子様もすっごく可愛いわ! よく似合ってる!」
 青灰色がメインの葵桜の姿に、エリシャは目を輝かせる。自慢気に胸を張る葵桜の姿は本当にかわいくて、中性的な魅力が本当に愛らしい。
 キャッキャしながらお互いの衣装を褒めあった二人は、もう一人の連れを同時に振り返った。
「よっし田中さんも……」
「この際だからほら田中さんも……」
 振り返った視線の先には、古代の戦士の霊がいた。
 戦国武将のような鎧甲冑に身を固め、槍で武装した田中さんは今、ミニスカ甘ロリスタイルだった。
 腰の草摺をペチコート代わりにしたエプロンドレスは、ピンクのスカートに白のフリルエプロンがふんわり愛らしく。エプロンの下の鎧はもちろんそのままだから、隠しきれないゴツゴツ感がブラウスの下から見え隠れしてて。
 そのあまりにもアンバランスな様子に、葵桜は遠慮なく爆笑した。その隣で、エリシャもまた笑ってはいけないと口元を抑えている。
 当の田中さんはどう思っているのか。感情も表情も見せずにただ佇むばかりの田中さんに、葵桜はおなかを抱えながら親指を立てた。
「よ、よく似合ってるよ、グッジョブだよ田中さん!」
「そうよ。仮装だからいつもと違うのがいいの。恥ずかしがらなくていいのよ。みんなおそろいね」
 エリシャのフォローにも何も言わない田中さんは、ふいにスカートを翻すと槍を振り上げた。
「あら、可愛らしいお嬢さん方と、そちらは随分……」
 みな迄言わせず槍を振るった田中さんの一撃で、星屑の魔女が星屑へと帰る。リボンをあしらった兜を被った甘ロリの鎧武者に言葉を失う隙に振るわれる槍は、星屑の魔女達を次々に星へと帰していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花型・朔
成程これがゴスロリが飛んでくる森……
雑誌や街頭、素敵な猟兵さんが着ている姿は見た事ありますけど自分で着る機会は全くなかった!今の今まで!
着てみればこれは何かお人形さんのようで、照れてしまいますね。

さあ戦闘!あたしはUCで蝶を発生させてサポートしてもらいます。上空から案内して下さいね~!敵が居れば反撃もしちゃいましょう!

【パフォーマンス】服装を活かした動きをしたいけど……いつもの袴と違って違和感!服の広がりが!?パニエが凄い!
敵さんは着こなしてますよね、攻撃の動きもとても綺麗!これはこれは勉強になります!

まだまだ知らない事が世界にはありふれてますね。今回の依頼は収穫が多いかも~



● 袴とペチコート
 深い森に足を踏み入れた花型・朔(冒険に夢見る學徒兵・f23223)は、飛び交う衣装をワクワクしながら見渡した。
「成程これがゴスロリが飛んでくる森……」
 ゴスロリは一定の層に不動の人気を誇る衣装だ。雑誌や街頭、素敵な猟兵さんが着ている姿は見た事があった。だが。
「自分で着る機会は全くなかった! 今の今まで!」
 拳をギュッと握り締めた朔と呼吸を合わせるように、一着の衣装が飛んでくる。魔法少女の変身シーンのようにキラキラなエフェクトが収まった時、朔はゴスロリ衣装に身を包んでいた。
 深紅のなめらかなベルベット地のスカートの上生地は意外なほどシンプルな膝丈だった。光の加減で複雑な表情を見せるなめらかな生地は、波のように寄せたギャザーに白のレースがあしらわれている。シンプルな中にも華がある上スカートに覆われた下スカートは、大きくギャザーを寄せた白のフリル。ヒダの少ないスカート地の下で揺れる華やかなスカートは、動きに合わせてゆるやかに揺れた。
 シンプルなスカートとは対象的に、きゅっと絞ったウエストのコルセットで強調された胸元には同系色のリボンが華やかに彩っている。
 姫袖のブラウスは振袖のようでもあるが、形が三角形でやっぱりちょっと違う。髪につけたボンネットも華があり、まるでフランス人形のようなドレスに朔は思わず頬を赤らめた。
「こ、これは何かお人形さんのようで、照れてしまいますね」
「あら、いらっしゃい。可愛らしいわよくお似合いね」
 鏡の前でくるりと回った朔に、星屑の魔女が話しかけた。紺色のゴスロリドレスを身に着けた星屑の魔女達に微笑んだ朔は、照れたようにボンネットに指をやった。
「そ、そうですか? ありがとうございます! 魔女さん達もよく似合ってます!」
「あら、ありがとう。あの城でお茶会を開くのだけれど、一緒にいかが?」
「それはお断りです!」
 きっぱりと、にべもなく断った朔に、星屑の魔女達は一瞬言葉を失う。笑顔を浮かべた朔は、退魔刀・花型を鞘から抜くと掌に滑らせた。溢れ出す血がふいに宙に浮かぶと、蝶の形になり朔の周りをヒラリと飛ぶ。蝶を従えた朔に、星屑の魔女達は星の魔力を顕した。
「残念だわ! あなたを苗床にした林檎は、さぞ美味しいでしょうに!」
「それもお断りです!」
 放たれる魔法を回避した朔は、いつもと違う裾捌きに感動とも動揺ともつかない感情に襲われた。いつもの袴とは違うパニエの存在感が足にまとわりつき、視界に入るドレスの裾は大きく広がり、いつもと同じ足さばきでいいのか一瞬戸惑ってしまう。
「これは! パニエが凄いです!」
「足元がお留守ですわよ!」
 動きがぎこちない朔に、星屑の魔法が放たれる。辛うじて回避した朔は、優雅に立ち回る星屑の魔女に感心した声を上げた。
「魔女さん凄いです! ばっちり着こなしてますねー! 動きが綺麗です! 勉強しなくては」
「あら、ありがとう」
「そうですかー。そういう動きの時にはこうして、こう動くと優雅なんですね!」
 早速星屑の魔女の所作を真似た朔は、退魔刀・花型を手に大きく踏み込む。袈裟懸けに切り裂く花型の一撃に消える星屑の魔女を見送った朔は、2,3ステップを踏むと攻撃の所作を再確認する。
「ふむふむ。こう動けば綺麗なんですね。まだまだ知らない事が世界にはありふれてますね。今回の依頼は収穫が多いかも~」
 ドレス姿での戦闘を学んだ朔は、お茶会が開かれているという城へ向けて歩き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

榎・うさみっち
何でも似合うことに定評ある俺もゴスロリは初体験だな!
さぁ!このうさみっち様にふさわしい
ゴスロリ服よ、出てこーい!

魔法少女の如くシャランラ~と早着替え
ハッ!?いつの間にかゆるふわロングヘアの
カツラまで着けられてる!?
己の衣装をまじまじと眺め
この上質な素材、寸分の狂いもない縫いっぷり…
なるほど、かなりクオリティ高いな!
これ結構いい値段で売れるんでは?と悪い考えも浮かぶ

そうこうしてると星屑の魔女達と遭遇
お茶会か!美味いお菓子はあるのかー?
俺もお菓子作るの得意なんだぜ!
お前らにも俺お手製お菓子を振る舞ってやりたかったが…
ここでお前らは倒されるから無理なのだ!すまん!
UCでペシンペシーンと倒す



● 
 鬱蒼と茂る森の中に、ぶーんと姿を現した榎・うさみっち(うさみっちゆたんぽは世界を救う・f01902)は、ゴスロリドレスが収穫できる……もとい、ゴスロリドレスが着られる森に不敵な笑みを浮かべた。
「何でも似合うことに定評ある俺もゴスロリは初体験だな! さぁ! このうさみっち様にふさわしいゴスロリ服よ、出てこーい!」
 どこで拾ったのか、魔法少女のステッキを振り上げたうさみっちの周囲で音楽が変わった。ドラマティックに盛り上げる音楽が鳴り響き、うさみっちの姿がシルエットに変わる。シルエットなのをいいことに何も身につけていない姿になったのも束の間。魔法のようなエフェクトに包まれたうさみっちは、腕を振り上げくるりとすると綺麗な光をファサッと払った。
 光の中から現れたのは、ゆるふわロングヘアーのフェアリーだった。
 腰までのゆるふわカールのロングヘアーをまとめるように伸びるピンクの耳には黒いレースのボンネット。
 上半身はシンプルに、黒地の立襟ブラウスに白のコルセットリボンには大ぶりのレースがアクセント。袖は振袖のように長く伸びていて、和のテイストも感じさせた。
 幾重にも重なったスカート生地はベルベットで、華やかに彩るレース達の縫製もしっかりしている。しかも動きを阻害しない。
 上質な素材に、緻密なデザイン。それを支える縫製技術。もはや職人が自棄を起こして作り上げたかのような完璧な職人仕事に、うさみっちは思わず唸り声を上げた。
「この上質な素材、寸分の狂いもない縫いっぷり……。なるほど、かなりクオリティ高いな!」
 鏡に映った自分の姿をまじまじと見る。なにげに女物だが、ちゃんと着こなすんだからやっぱり定評は嘘つかない。
 これ結構いい値段で売れるんでは? などと悪い考えた浮かんだ時、明るい声が掛けられた。
「あら。愛らしいお客様がいらしたわ。あちらでお茶会を致しますの。一緒にいかが?」
「おお! お茶会か! 美味いお菓子はあるのかー?」
「ええ。もちろん。あなたを苗床に、美味しいアップルパイを焼いて差し上げますわ!」
 邪悪な笑みを浮かべた星屑の魔女は、地面を蹴ると空へと飛び立った。彗星となった星屑の魔女は、高速で飛翔しながらうさみっちに向けて流星を放つ。
「ぴゃあああ!! ま、待て待て話せば分かる!」
 ブーンと飛びながら何とか回避を試みるうさみっちは、彗星となり星を撒く星屑の魔女を拝み倒す。
「俺もお菓子作るの得意なんだぜ! アップルパイだって焼けるんだからな! お前らにも俺お手製お菓子を食いたくないか?」
「あら。あなたもお菓子を作れますの?」
 高速移動を止めた星屑の魔女が、興味を惹かれたように降りてくる。拝み倒すうさみっちは、大きく何度も頷いた。
「お前らにもお菓子を振る舞ってやりたかったが……」
 動きを止める星屑の魔女に、うさみっちはキラン☆と目を輝かせると一気に飛び立った。動きが止まればこっちのものだ。ドレスの裾を靡かせながら一気に近づいたうさみっちは、そのままの勢いで頭をぶん回した。
「俺のこんしんの耳ぢから! 喰らえー!!」
 ボンネットで強化されたうさみっちの耳が、星屑の魔女を張り倒す。不意打ちに弾き飛ばされた星屑の魔女は、その名の通り星屑となって飛んでいった。
「ここでお前らは倒されるから無理なのだ! すまん!」
 一番星になった星屑の魔女にパンパン! と手を合わせたうさみっちは、お茶会の会場へとゆるふわ髪をなびかせながら飛んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
ゴスロリ……
まさか自ら袖を通すことになるとは……

渋々着替えつつ
黒地のゴスロリドレスが白く細い肌を引き立たせているのを見下ろしため息
ふんわりカールのかかった髪を指先でクルクルと弄り

これ似合ってるだろう自覚持てちゃうのが問題だよね
ねっ、そう思わない!?(魔女さん達を巻き込む

質問
僕……似合ってる??

う゛……じゃあ問題!
僕は男と女、どっちでしょうか!!

自分から振った話題だけど
答えが女寄りなら崩れ落ち

残念ながらこれでも男なんですぅ!
あと僕はお茶会も好きだけど作る方が好きなので!ごめんね!

迷路が一方通行なのを利用して追尾式の【指定UC】
1人を追う過程で道中にいる筈の他の相手も巻き込む【範囲攻撃】



● 似合うのだからしょうがない
 目の前を行き交うゴスロリ達を目の前にした栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、思わず遠い遠い目をして呟いた。
「ゴスロリ……。まさか自ら袖を通すことになるとは……」
 思えば、色んな服を着てきた。
 普段着のピンクのパーカーにショートパンツはお気に入りだし、白いショートケーキみたいなイメージのワンピースはまあ、変装用だからね。
 オレンジ色がメインのチュチュ風ミニスカートも変装用だからノーカウントで!
 水着も着たし浴衣もばっちり。女の子用のかわいい服が多い気がするのは気のせいだってことにしておいて欲しいけど。
 だけど、そのどれも「自分から」選んで着た服って少ない。でも今度は自分で選んでここに来た。選ぶのはそう、ゴシック アンド ロリータ。ロリータの一種だけどそれ独自の世界観を持っている、黒とベルベットと退廃のドレス。
 伸ばした手に感じる衝撃が去ってしばし。据えられた姿見に映った自分の姿に澪は思わずため息をついた。
 ペチコートでふんわり膨らんだ黒のスカートは裾のレースも愛らしく、見え隠れするレースがシンプルな中にも華やかさとアクセントになっている。
 デザインコルセットと一体になったスカートは星型に流れて、裾にあしらった星飾りがキラリと目を引いた。
 華やかなリボンがあしらわれた袖のないブラウスの上に羽織ったコートは肩を大きく出すデザインで、愛らしさの中にも辛口のテイストもしのばせゴシックなイメージを強調していた。
 少し見える肩もスカートの裾から伸びるすらりとした脚線もきめ細やかな白い肌。黒を基調にしたドレスは澪の肌を十分に引き立たせている。
 ヘッドドレスをあしらった髪はふんわりカールがかかったツインテールで、真珠をあしらった金蓮花が何よりも綺麗なアクセサリのように輝いていた。
 自然なカーブを描く髪をくるくるいじっていた澪は、ため息をつくとくるりと振り返った。
「これ似合ってるだろう自覚持てちゃうのが問題だよね。ねっ、そう思わない!?」
「えっ……」
 見事にゴスロリを着こなした澪の姿に思わず見入ってしまっていた星屑の魔女は、掛けられる声にようやく我を取り戻すと貼り付いたような笑顔を浮かべた。
「とても素敵ですわ。是非お茶会に……」
「素敵、ね……。質問! 僕……似合ってる??」
「うっ……」
 上目遣いに覗き込む澪の姿に、星屑の魔女は頬を赤らめた。人差し指を立てて困り顔で見つめられては、これはもう素直に答えるしかない。
「よ、よくお似合いですわよ」
「う゛……じゃあ問題! 僕は男と女、どっちでしょうか!!」
 一瞬うなだれた澪はすぐに立ち直ると、両手を軽く広げてその場でくるりと回る。動きに合わせてついてくるドレスやコートの裾が翻る感覚が心地良い。
 見事に着こなした澪の姿に、星屑の魔女は首を傾げた。
「え……っと、可愛らしい女の子ではないのですか?」
「やっぱりそう見えるぅ?」
 思わずその場に崩れ落ちる澪の姿に、星屑の魔女が何がまずかったのか分からず周囲を見渡す。鏡を見た時からずっとそう思っていたし、初対面だと間違われることもあるから自覚はある。あるけれども!
「残念ながらこれでも男なんですぅ! あと僕はお茶会も好きだけど作る方が好きなので! ごめんね!」
「そ、そんな! 男の子に負けただなんて! ひどい、あんまりですわー!」
「何があんまりなのさ!」
 顔を覆って思わず逃げ出す星屑の魔女を、【Orage de fleurs(オラージュ・ドゥ・フレア)】が追いかける。
 迷路の中にいた他の魔女たちも巻き込んで消える迷路に、澪はため息をつくと空を仰いだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鵜飼・章
僕は気づいた
無料で服が貰えるってもしかして凄いんじゃないだろうか
これだからすぐ部屋が散らかるんだけど

普段からよく黒いヒラヒラを着てはいるけど
実は僕はこの服のことをよく知らない
ほとんど人からの貰い物だから…
着るものがないから着ているのだけど
本当に似合っているんだろうか
疑問だ
たまに戦いづらいなって思うし

ここでは似合いそうなものを着せてもらえると聞いたよ
嫌な服も特にないからお任せしちゃおう
やったよ、新しい服だ

いい服を着せてもらって悪いのだけど
きみたちも悪い子だからおしおきだよ
ゴシックでロリータな感じの技というと…
UC【裏・三千世界】かな
鴉達には味方を攻撃しないように【動物と話す】で言い聞かせておくね



● 鵜飼・章という存在
 鬱蒼と茂る森の中から滲み出るように現れた鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)は、目の前を飛び交う衣装達に思わず両手を広げた。
 所詮この世は等価交換。何らかの対価なくして何かを手に入れることなどできはしない。よしんばそれが可能だったとしても、それは歪みとなりいつか世界を破壊する。
 だが、この世界はどうだろう。着てくださいと言わんばかりに、高価なドレスが行き交っているではないか。これが意味することはただひとつ。
「僕は気づいた。無料で服が貰えるってもしかして凄いんじゃないだろうか」
 そう。無料なのだ。
 この世界を創造したオウガは命を対価に要求してくるだろうが、金銭は要求しない。
 金銭が対価でないならば、料金はかからない。それすなわち、無料。
 こんな凄い服を貰えるのだ。貰わないなんて選択肢はあるだろうか?
 答えは否である。
「これだからすぐ部屋が散らかるんだけど」
 色々小言を言ってくる知り合いの顔が思い浮かぶが、それはそれ。
 目の前を飛び交う衣装をよくよく見てみる。黒を基調とした、レースやフリルをあしらいながらもどこか退廃的な雰囲気を醸し出す衣装。やっぱりどこかで見たことがある。
「あぁ。あの衣装、クローゼットの中で見たことがあるよ。クローゼットの「中」にあるんだから、貴重だよね」
 中以外にどこにあるのかは聞かないことにするけれど。
 章は普段からよく黒いヒラヒラを着てはいるが、実は僕はこの服のことをよく知らないのだ。
「ほとんど人からの貰い物だからね……」
 そして今回も、貰い物といえば貰い物になる。着るものがないから着ているのだが、本当に似合っているのだろうか。
「疑問だ。たまに戦いづらいなって思うし」
 戦いやすいのであれば、おそらく軍服として制式採用されているだろうし。いやどこかの世界観では制式採用されているのかも知れないが。
 だが、この世界の説明書きには『似合いそうなものを着せて貰える』とある。ならば、似合いそうな服を着せて貰えばいい。それが客観的に見て「鵜飼・章に似合う服」なのだろう。知らんけど。
「嫌な服も特にないからお任せしちゃおう」
 そう言って無操作に手にした服は、中華風な雰囲気を漂わせるものだった。
 全体的に縦長のイメージで構成された服の立て襟ブラウスは白で、紫色の蝶の羽に似た刺繍がアクセントで入っている。
 胸元を大きく開けた黒のコートには蛇にも似た唐草模様が黒銀色の糸で刺繍されている。肩口を見せるように敢えて大きく開いた先の袖は、振袖のように大きく広がっている。
 銀の装飾がされたベルトで絞った腰元からはスカートのように流れる黒。裏地の深紫色が差し色のようで。
 黒いズボンに覆われた足は黒いブーツで終わっている。
 少々テイストが違うものの、普段とあまり変わらない服を見下ろした章は、口元を小さく笑みの形に歪ませた。
「やったよ、新しい服だ」
 クリーニングが大変そうな上に普段着と洋の東西くらいしか違いが無いのは、普段着が似合っているという証拠だろう。
 そう結論付けた章は、現れた星屑の魔女が口を開く前にメスを向けた。
「いい服を着せてもらって悪いのだけど、きみたちも悪い子だからおしおきだよ」
「まだ何も言ってませんことよ!?」
 目を白黒させる星屑の魔女には構わず、章は詠唱を開始した。
「人類は滅んだ。美しい朝が来る。≪裏・三千世界≫」
 メスの先から現れた無数の凶暴な人喰い鴉の群れは、星屑の魔女が望遠鏡を覗き込む前にその姿を覆い隠す。
「ゴシックな世界にはゴシックな技がよく似合うよね」
 一人納得した章は、刺繍の施された袖を翻すと城へと向かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オルヒディ・アーデルハイド
今年のハロウィンの衣装はどうしようかとずっと悩んでた
気付いたら堕天使をモチーフにデザインされたゴスロリファッションに着替えさせられてメイクもヘアメイクも施されていた
今年はこの格好でいこうと思った
しかし、ここはどこなのだろう
周りは星屑の夜空に覆われ迷路のように広がっている
いつの間にかどこかに喚び出され彷徨い迷い込んでしまったのだろうか
お供に『いつでもフワリン』で喚び出したフワリンもコスロリ仕様に変わっていた
デジャブかな記憶がないけれど前にもこんなことがあったような気がする
隣の同じようなゴスロリな恰好をした人がいて
一緒の夜空を見上げていたような気がする



● ゴスロリと夜空の記憶
 緑の森は鬱蒼と茂り、青い空をギザギザに切り裂いている。
 季節感のないこの世界だが、他の世界ではハロウィンパーティが開かれるという。ハロウィンパーティといえば仮装だ。
「今年のハロウィンの衣装はどうしようかと、ずっと悩んでたけど……」
 いつの間にか着替えが終わったオルヒディ・アーデルハイド(アリス適合者のプリンセスナイト・f19667)は、自分の姿を鏡に映して微笑んだ。
 そこに映ったのは、堕天使だった。
 深紅のベルベットは血を思わせるように深い色で、黒のレースとリボンがその色合いを一層際立たせている。どこまでも広がりそうな黒のドレスを落ち着けるように流れる深紅のスカート。動と静を現した衣装の裾から伸びるすらりとした脚は、白タイツに深紅のブーツ。流れるようにあしらわれた黒のリボンが華やかな胸元を収めるように、羽織ったショートケープは裾だけレースで。
 その背には、堕天使の証である黒い羽。美しく完璧なドレスをあざ笑うように、どこか荒れた羽は、全き世界より追放された堕天使を象徴するかのようだった。
 退廃的なメイクもヘッドドレスを身に着けた髪も、普段はしない色合いで。
「今年はこの格好でいこう」
「よくお似合いですわお嬢様」
 微笑みながら近づいてくる星屑の魔女に振り返った時、世界が変わった。森と空と尖塔しか見えなかった景色は星屑の夜空に変わり、歪んだ世界はどこまでも続く迷宮と化していた。
「ここはどこ?」
「ここは薔薇園と林檎の国。アリスを探していたのだけれど……あなたは猟兵ね?」
「そうだよ」
 頷くオルヒディに、星屑の魔女はにっこり微笑むと手の中に大きな星を生み出した。
「せっかくそんなに綺麗なのに、残念ですね。猟兵は私達の敵ですから、ここで死んでくださいな!」
 放たれる星の魔法に、オルヒディは身を翻す。辛うじて避けたオルヒディは、顔を上げるとフワリンを召喚した。
「でておいで、フワリン!」
 現れた84体のフワリンは、皆オルヒディとお揃いのゴスロリ仕様に変わっている。深紅のゴスロリドレスを纏った姿に思わず微笑むオルヒディに、星の魔法が迫った。
「逃げても無駄ですわ! この迷宮の出入り口を知っているのは、私だけなんですから!」
「逃げても無駄なら、戦うまでだよ!」
 フワリンに飛び乗ったオルヒディは、宙に浮くとエーデルシュタインヘルツを構えた。召喚したフワリンに戦闘力は無い。その代わりに支援してくれる迷彩技能で回避を高めたオルヒディは、魔法で攻撃してくる星屑の魔女にエーデルシュタインヘルツを振り下ろした。
 お互い攻撃力を持ったユーベルコードの無い戦いは長く続く。やがて星屑の魔女を打ち倒したオルヒディは、迷路が消える刹那に見上げた星空に目を見開いた。
 オルヒディには、2019年6月19日以前の記憶が無い。今のオルヒディになった時からのことは鮮明に記憶しているが、胸に湧き上がる既視感はきっと昔のオルヒディのもので。
「前にもこんなことがあったような気がする。隣の同じようなゴスロリな恰好をした人がいて、一緒の夜空を見上げていたような気がする……」
 過去の記憶が、一瞬だけノイズのように走った気がする。悲しいのか嬉しいのか。切ないのか苦しいのか分からない、言語化できない気持ちが胸の中を渦巻く。出してくれと言わんばかりに響く頭痛を堪えながらも星空へと手を伸ばしたオルヒディは、その手の形に目を見開いた。
 フラッシュバックのように輝く記憶は、意味を掴む前に消えてしまう。それでも必死に伸ばした手を握り締めた時、迷宮が消え去った。
 掴まれることなく消えていった記憶と同時に、胸騒ぎが消える。伸ばした手を額に添えたオルヒディは、大きくため息を零すと城へと歩き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『薔薇園の番兎』ローゼス』

POW   :    アリスの生き血で実る禁断の果実
戦闘中に食べた【アリス(猟兵含む)の血を吸い実ったリンゴ】の量と質に応じて【アリスのユーベルコードを習得し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    迷い込んだ者の生き血を啜る迷宮
戦場全体に、【触れた者の出血を促す棘を生やした茨の壁】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ   :    薔薇園を拒む者に施される拷問
【ハートのワンド】が命中した対象の【体に絡みつく蔦】から棘を生やし、対象がこれまで話した【薔薇園を否定する言葉】に応じた追加ダメージを与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠幻武・極です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


● 薔薇園のお茶会
 星屑の魔女達を退けた猟兵達は、『薔薇園の番兎』ローゼスが待つ中庭の薔薇園へと足を踏み入れた。
「あら、いらっしゃい。ローゼスのお茶会へようこそ」
 にっこり微笑むローゼスは、薔薇の紅茶を淹れると猟兵達の前へと差し出した。

「星屑の魔女達を退けてしまったのね。すごいわ。でも残念。あの子達がアリスを連れてきてくれないと、お茶菓子のアップルパイが焼けないの。困ったわ」
 頬に手を当てて寂しそうにするローゼスは、名案を思いついた、というように手を叩いた。

「そうだわ! わたくしはお茶を用意するのだから、皆さんはお茶菓子を用意してくださらないかしら? そうすれば楽しいお茶会になるはず。そうしましょう!」
 楽しそうに立ち上がったローゼスは、城の一角を振り返った。薄暗い通路の奥には、きちんと整えられた厨房が見える。

「あの厨房を使ってくださいな。食材も色々揃ってるから、何でも使って構わなくてよ。わたくしはもう少し薔薇園の手入れをしていますわ。苗床を寄せ集めれば、林檎の一つや二つは収穫できるはずですもの。自慢の林檎を食べてくださいな」
 微笑むローゼスは、踊りながら薔薇園の中へと消える。
 その背中を見送った猟兵達は、厨房へと足を踏み入れた。

※マスターより
 『薔薇園の番兎』ローゼスは、見た目が赤と黒の美味しいスイーツを食べると眠くなります。
 逆に言えば、見た目が赤と黒の美味しいスイーツ以外を食べても無敵のままです。
 例えお菓子作りが得意でなくても、精一杯作ったお菓子なら喜んで食べます。そして褒めてくれます。
 赤と黒両方でも、赤だけでも黒だけでも大丈夫です。ただ「真っ白なショートケーキにイチゴが一粒」などですと、白いケーキと判定されて攻撃されますのでご注意を。
 赤と黒の食材をいくつか挙げますので、参考にどうぞ。

 赤の食材
イチゴ
クランベリー
サクランボ
りんご
アセロラ
ドラゴンフルーツ
ザクロ
ライチ
トマト
ニンジン
スイカ

黒の食材
黒豆
黒胡麻
ブラックチョコレート
ココア
黒糖
黒蜜
ヒジキ
ワカメ
プルーン
レーズン
イカスミ

 プレイングは10月29日(木)朝8時31より10月31日(土)9時頃までにお送りください。それ以降はロスタイムです。
 期間より前のプレイングは高い確率で流れますのでお気をつけください。
 再送は歓迎致します。
 それでは、良きお茶会を。
クララマリー・アイゼンバウム(サポート)
私、クララマリー・アイゼンバウムと申します。
普段は世界を渡る旅人をしています。
特技は料理と、誰とでも仲良く話せること…でしょうか。
旅人なので体力には自信がありますが、荒事は苦手です。
戦闘は召喚したバロックレギオンにお任せですね。

強敵が相手ならば『恐るべきドロッセルマイヤー』を。
私の内なる恐怖を開放して巨大なくるみ割り人形を作り出し、戦わせます。
怪力でサーベルを振るわせ、機を見て大きな歯で鎧砕きを仕掛けましょう。
味方の猟兵の方がいるなら巨体を盾にしてサポートします。

念のためですが、公序良俗に反する行動、他人に迷惑をかけたり倫理的に問題のある行いはしません。
あとはおまかせ。よろしくお願いしますね。



● 美味しいシフォンケーキをどうぞ
 薔薇園の番兎・ローゼスが管理する厨房へと足を踏み入れたクララマリー・アイゼンバウム(巡るメルヒェンの旅人・f19627)は、綺麗に整った厨房に目を輝かせた。
「ここでお菓子を作って、ローゼスに食べさせるのね」
 そうすれば、無敵のオウガは眠くなって眠ってしまうはず。
 クララマリーは戦闘よりも料理や調査などが得意だ。特に料理は自分でも「特技」と思えるほどに好きだから、今回のような依頼ではお菓子を作るのが楽しくて仕方がない。
 何を作ろうか。材料を見渡したクララマリーは、並ぶ材料にくびをひねる。
 何せ、「お菓子を作る」ということくらいしか連絡が来ていないのだ。何か別に条件があるようだが、それを聞く前にここに来てしまった。
「今更聞きには戻れないし……。ここはシンプルに、シフォンケーキにしましょうか」
 作る品を決めたクララマリーは、早速材料集めに入る。卵と砂糖、オイルと小麦粉。メインの食材はこれだけのシンプルなケーキだが、それだけに美味しく作るのにはいくつかコツがあった。
 メレンゲはしっかりと。ヘラで持ち上げてひっくり返しても落ちないくらいが理想。お酢をちょっとだけ入れると硬いメレンゲになるのだ。
 卵白と他の材料の生地を混ぜる時もちょっとだけコツが。1/3だけは泡が潰れてもいいから、しっかりと混ぜきってしまうのだ。
「ちょっともったいないですが、こうするとメレンゲがきちんと混ざるのよね」
 残りのメレンゲは、泡を潰さないように慎重に混ぜて。できた生地を焼いたら型ごとひっくり返して完全に冷めるまで待つのだ。
「後はカットして生クリームを添えて……できた!」
 できあがった皿を手にしたクララマリーは、ローゼスの許へと向かった。

● 無敵解除の条件は
「あら。最初はあなた? どんなお菓子を食べさせてくれるのかしら?」
 紅茶を前に微笑むローゼスの前に、クララマリーはお皿を置く。黄金色に焼き上がったシフォンケーキに、雪のように真っ白な生クリーム。クララマリー自慢のシフォンケーキだ。
「私からはシフォンケーキです!」
「じゃあまずは一口いただくわね」
 微笑んだローゼスは、銀のフォークをケーキに入れる。掬って一口。
「美味しいわ! ケーキ生地がフワッとしていてでもポヨンとした弾力もあって。シンプルな中にも奥深い味わいがあるわ。生クリームのコクがとっても合ってるわ」
「ありがとうございます」
 褒められて嬉しそうなクララマリーに、ローゼスはケーキを完食するとフォークを置いた。
「もっと食べたいけれど、残念ね。あなたを苗床に赤いリンゴを実らせましょう、アリスのお嬢さん!」
「え!? 眠くならないの!?」
 慌てるクララマリーの目の前で、ローゼスは自分で収穫した林檎をかじる。同時に現れたくるみ割り人形が現れ、サーベルを振り上げてくる。
「さあ、倒れてしまいなさいな!」
「恐るべきドロッセルマイヤー! 私を守って!」
 恐怖心から呼び出した【恐るべきドロッセルマイヤー】が、サーベルを受け止める。
 この世界のローゼスは、見た目が赤と黒のスイーツでなければ眠くならないのだ。
 ドロッセルマイヤーが防御している間に、クララマリーはグリモアベースへと帰還した。

成功 🔵​🔵​🔴​

虎熊・月霞(サポート)
「まー焦らずのんびり行こー。とりあえず昼寝しよぉ」

 面倒臭いけど、僕とーじょーってねぇ。いつもどーり野太刀でバッサリと斬り捨てちゃうよぉ?
 伊吹流から派生した雷鳴を組み込んだ伊吹"雷切"流、僕の場合は『紫電』を利用した剣術を使ってー雷の速度で近付いてー敵さんを真っ二つにするよぉ。まぁ面倒臭くなったら首刎ねちゃえばいっかぁ、そうすれば大体の生き物って死んじゃうよねぇ?
 首の無い敵さん?……うん、まぁそこは高度な柔軟かつ臨機応変に対応していこー。
 あ、あとお願いされたら他の猟兵さん達と共闘もするしぃ、お手伝いもするよぉ。ご飯一回奢ってくれるならね!

アレンジ・共闘可



● 三十六計
 逃走する猟兵の背中を、大きなサーベルが追いかける。
 背を向ける背中にローゼスの召喚したバロックメイカーの鎌が突き刺さる寸前、電光が走った。
「まー焦らずのんびり行こー。とりあえず昼寝しよぉ」
 気だるげに口の端を歪めた虎熊・月霞(電紫幻霧・f00285)は、サーベルで受け止めた童子切・鬼血に感じる圧に楽しそうに笑う。
「面倒臭いけど、僕とーじょーってねぇ」
「あら。お茶会の参加者かしら? でしたら、美味しいお菓子をお持ちになって?」
「いいねぇお茶会! 野太刀をたっぷり召し上がれってね!」
 受け止めた刃を斬り払った月霞は、軽々と童子切・鬼血を振り回すとローゼスに刃を向けた。
「いつもどーり野太刀でバッサリと斬り捨てちゃうよぉ?」
「やれるものでしたら、やってみてくださいませ!」
 叫んだローゼスは、周囲を茨の迷路で囲む。触れれば出血を促す茨の迷路の奥へと逃げ込もうとしたローゼスの首に、童子切・鬼血が走った。
「首刎ねちゃえば、大体の生き物って死んじゃうよねぇ?」
 その言葉の通りに、ローゼスの首が刎ねられる。綺麗な放物線を描きながら飛んだローゼスの首が地面に落ち、幾度か跳ねて沈黙する。思い出したように倒れるローゼスの身体を見下ろした月霞の表情が固まった。
「あらあら。痛いじゃない。酷いことをするのですわね」
 刎ねられた首が不服そうに語る。何事もなかったかのように起き上がった身体が首を拾い上げると、元あった場所に戻した。
「うげ」
「生憎、私は無敵なのです。さあ、かかっていらして!」
「やなこった」
 ワンドから放たれる魔法を回避した月霞は、幻装鬼影を翻すと逃げの一手を打つ。
 ローゼスは「赤と黒のスイーツ」を食べさせて眠らせなければ倒すことはできない。迷路に囲まれてスイーツを作ることもできない以上、出口を探して帰還するのが最善手と言えた。
「追いかけっこね! 負けませんよ!」
 笑いながら追いかけてくるローゼスを、迷宮内で撒く。
 出口を発見した月霞は、そのままグリモアベースへと帰還した。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流

もてなすのは苦手なんだが…やるしかないか。
正直言うと甘味も苦手だが、今回は自分で食べるわけじゃないから何とかなるだろう、多分。

自分でもある程度食べられるブラックチョコレートのブラウニーケーキに…薔薇園だし薔薇のアップルパイでも添えようか。
実は作ったことがない薔薇のアップルパイ。細かい作業になるが、難しいものではなかったはず。ま、細かい作業自体は得意だし何より華やかで綺麗だった。
ブラウニーは混ぜて焼くだけだけど、刻みチョコのサイズを変えるとなかなかいい感じだったし、クルミを入れない代わりにパイを添えれば見た目も華やかになるかな。
さてこれでどうだろうか。



● 自分が納得するものを
 時は少し遡る。
 弾むように薔薇園へ消えたローゼスを見送った黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)は、小さくため息をつくとエプロンを手に取った。
 白いフリルのエプロンを和ゴスの上から身につけると、サクラミラージュのパーラーメイドに見えなくはない。
 それはさておき。
 厨房に入った瑞樹は、きちんと整った厨房に立ち首を捻る。単独行動が多い瑞樹は、正直もてなすのは得意な方ではない。
「だけど、やるしかないか」
 正直に言うと、甘味も苦手である。苦手なものを二つもこなさなければならないが、今回は自分で食べる訳ではない。何とかなるだろう。
 だが。
 立ち止まった瑞樹は少し考え込む。ローゼスは「見た目が赤と黒の【美味しい】スイーツ」を食べると眠くなるのだ。美味しいかどうかの最初の判定は自分でしなくてはならず、まずは自分で食べられるスイーツを作るのが得策だ。
 食材置き場を見て回った瑞樹は、ふと立ち止まるとブラックチョコレートを手に取った。ブラックチョコレートならば甘みは控えめ苦味が強めで瑞樹も食べられるし、「黒」のハードルは越えられそうだ。
「後は赤か。赤。赤ねえ」
 赤い食材を見て回った瑞樹は、色鮮やかな赤い林檎に手を伸ばした。ローゼスは薔薇と林檎のオブリビオン。さすがにここにあるのはアリスから生った林檎じゃないと思うが、この色を生かしたお菓子ならば間違いは無いだろう。
 食材とメニューを決めた瑞樹は、調理台へと向かった。

● ダークチョコレートのブラウニーと薔薇のアップルパイ
 白いテーブルクロスのなびく丸テーブルに座ったローゼスは、にっこりほほえみ瑞樹を出迎えた。
「あら、いらっしゃい。綺麗な女給さん。お茶菓子は用意できて?」
「ああ。俺からはこれを」
 銀のトレイに乗せた白い皿の上には、ブラックチョコレートのブラウニーと薔薇のアップルパイが乗せられていた。
 四角くカットされたブラウニーはしっとりと黒くシンプルで、対象的に薔薇のアップルパイは鮮やかな赤い色で。
 その美しい一皿に、ローゼスは目を輝かせた。
「まあ! 綺麗なケーキね。とても美味しそうだわ。早速頂戴するわね」
 銀のフォークを手に取ったローゼスは、早速ブラウニーを口に含んだ。口の中に広がるほろ苦いチョコレートに、頬を緩ませる。
「美味しいわ! ビターなチョコレートブラウニーの中に忍んだチャンクチョコとクルミがとてもいいアクセントね。焼き加減もしっとりしていて食べやすいわ。こういうシンプルなケーキは少しの配合で味が変わるものだけれど、これは丁度いい塩梅ね」
「それは、どうも」
 あっという間にブラウニーを平らげたローゼスは、次に薔薇のアップルパイへとフォークを刺した。
「こちらは薔薇のアップルパイかしら? 薄切りの林檎を乗せたアップルパイなんて、私のために用意したようなお菓子だわ」
 パイ生地の上に咲いた一輪の薔薇のようなパイは見た目も華やかで、色鮮やかな赤を強調していた。薄く切られた林檎が本物の薔薇の花弁のようで。
「こちらも美味しいわ。シナモンとバターがよく効いていて、でも林檎の風味も生きていて。下に敷いたパイもサクサクで。とても手が込んでいるのね」
「こういう作業は嫌いじゃないんだ」
「ふふ。素晴らしいわね。美味しかったわ。それじゃあ、次はあなたを……食べて……」
 薔薇のアップルパイを平らげたローゼスが、眠そうにあくびを零す。椅子から立ち上がり茨の迷路を作り上げるが、ローゼスは眠そうで戦闘どころではない。
「気に入って貰えて何よりだよ。じゃあ、そういうことで」
 冷静に言い放った瑞樹は、本体であるナイフの複製体をローゼスへと解き放つ。
 念力でバラバラに操作された複製の黒鵺は、眠気を堪えるローゼスの背中に羽のように突き刺さっていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
赤と黒…グラサージュショコラでも作ろうかな

水を加えたココアに生クリームと砂糖を加え
混ぜながら弱火で沸騰させ艶出し

冷ましてる間に水とグラニュー糖を混ぜたシロップに水飴を入れて湯煎
チョコも湯煎してシロップを足し
冷水で固めながら練る
固まったら手で加工して黒バラ作り
同じ手順でホワイトチョコに食紅を混ぜて赤薔薇作成

その間に冷めたココアクリームにゼラチンを加え
目の細かいザルでこして更に冷ます

ここでスポンジも作り
チョコが均一になるよう混ぜスポンジにかけ冷ます
薔薇を乗せてラズベリーソースで柄付けを

温冷は魔法で時短
【料理】は得意だから
素敵な薔薇園にぴったりのデザート
楽しんでもらえたら嬉しいな

最後は【指定UC】



● お菓子作りの魔法使い
 厨房の中に入った栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、ずらりと並ぶ食材を見渡しながら作るスイーツをイメージした。
 赤と黒のお菓子というのがお題なら、少しでも綺麗な方がいいだろう。スイーツは見た目もごちそうの一つだから。
 となると、やっぱり王道はチョコレートケーキだろう。普通にココア入りの生クリームケーキも美味しいが、イメージで出てきたのはそれとは違う。
 大人っぽくシックだけど華やかで。綺麗だけど派手すぎもしない。
「グラサージュショコラでも作ろうかな」
 そうと決まれば行動は早かった。早速材料を揃えた澪は、材料を全て正確に計量した。お菓子というのはレシピから外れた配合だと、高い確率で失敗するのだ。
 水を加えて練ったココアに生クリームと砂糖を加えて、混ぜながら弱火で沸騰。焦げ付かないように火加減に注意してよく混ぜていくと、だんだんツヤが出てきて。
 ガナッシュクリームを作った澪は、少し冷ましている間にプラスチックチョコレート作りに入った。
 水とグラニュー糖を混ぜたシロップに、水飴を入れて湯煎にかける。チョコも湯煎してシロップを加えて全体をゆっくりと混ぜていく。
 こうすることで、まるでプラスチックのような色艶と硬さのチョコレートになるのだ。
「本当なら寝かせた方がいいんだけど……。時間がないから魔法を使っちゃお」
 小さく肩を竦めた澪は、詠唱を開始。チョコレートとシロップが馴染むように寝かせている間に、ホワイトチョコでもう一種類。こちらには食紅が混ぜられ、綺麗な赤い色をしている。
 寝かせている間にガナッシュクリームにゼラチンを溶かして濾した澪は、スポンジケーキ作りに取り掛かり。
 まるで魔法のような手際で複雑な工程を熟した澪は、できあがったケーキに満足そうに微笑んだ。

● グラサージュショコラと薔薇のチョコレート
 お茶を飲みながら次のケーキを待っていたローゼスに、澪はケーキの皿を差し出した。
「あら。あなたはどんなケーキを食べさせてくれるのかしら?」
「僕はグラサージュショコラだよ! 楽しんでもらえると嬉しいな」
 微笑みながら出した皿の上には、チョコレートケーキが乗せられていた。
 均一に落とされたガナッシュクリームが輝くチョコレートケーキはラズベリーソースで描かれた柄も美しく、まるで漆の工芸品のようだった。
 シンプルな中にも輝く存在感を秘めたグラサージュショコラの上には、薔薇の花が飾られていた。本物の薔薇のように幾重にも重なった花弁も美しい黒と赤の薔薇は仲良く寄り添い、文字通りケーキに花を咲かせていた。
 その美しいケーキにうっとりとした笑みを浮かべたローゼスは、胸の前で手を組むと目を輝かせた。
「まあ! 美しい薔薇のケーキだこと!」
「素敵な薔薇園にぴったりのデザートでしょ?」
「本当に! 食べるのがもったいないくらいだわ」
「ありがと! でもケーキだからね。美味しく食べてもらえたら嬉しいな」
 嬉しそうなローゼスに微笑んだ澪は、銀のフォークをローゼスへ勧めた。フォークを受け取ったローゼスは、ケーキにフォークを差し入れると口へと運ぶ。
「美味しい……! 美味しいわ! 見た目が綺麗なだけじゃないのね。甘さも上品でスポンジケーキもふっくらとして。中に挟まれたクリームが口の中で溶けるの。そしてグラサージュショコラ。しっとりとしていて重厚な甘さで、本当に美味しいわ」
「良かった。喜んで貰えて」
 安心したように微笑んだ澪は、ケーキを平らげ眠そうなローゼスに、澪はAngelus ametを小瓶から解き放った。
「でもごめんね。アリスを犠牲にする訳にいかないんだ」
 Angelus ametを手にした澪は歌い出す。美しい声で歌われる子守唄に眠り込んでしまったローゼスに、無数の花弁の刃が突き刺さる。
「せめて幸せのままに眠って」
 抵抗することもなく眠り込んだローゼスの身体は、まるで無数の薔薇が咲いたように美しく咲き誇った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミア・ミュラー
お茶会したりお茶を淹れたりはするけど、お菓子を作ったことはほとんどなかった、かも。美味しくできる、かな……。
赤と黒のお菓子、ね。んー、カラフルなお菓子ならドーナツとか、いいかも。形はやっぱり穴あきのやつが、いいな。
んん……材料混ぜるのはけっこう大変、なんだね。けど美味しくするために大事なことだから、頑張る。ひとつは生地にココアパウダーを入れて焼いて黒くする、ね。もうひとつは普通に焼き上げて、溶かした赤いいちごのチョコレートに、どぼん。これで赤いドーナツのできあがり、だよ。
この衣装で自分でお菓子を作ってお茶会するなんて、いつもといろいろ違って不思議な感じ、ね。けど、けっこう楽しい、かも。



● 美味しいのために必要なこと
 厨房へと立ち入ったミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)は、ふと立ち止まると綺麗に整えられた中庭を振り返った。
 塵一つ落ちていない美しい中庭。薔薇の花が美しく咲く庭園の中のテーブルは真っ白なテーブルクロスが掛けられていて。
 ミアもお茶会はするが、お菓子を作ったことはほとんどなかった。美味しくできるか少し不安もあったが、きっと大丈夫。
 この庭園にぴったりなお茶菓子を作ろう。そう決めたミアは、ゴスロリドレスの裾を翻すと厨房へと入った。
 置かれたフリルのエプロンをして、姫袖をたすきで留めて。袖がシンプルになったゴスロリドレスもまた、いい感じに見えるから不思議だった。
「赤と黒のお菓子、ね。んー、カラフルなお菓子ならドーナツとか、いいかも。形はやっぱり穴あきのやつが、いいな」
 ただでさえ美味しいドーナツも、カラフルにすればもっと美味しい。材料を揃えたミアは、材料をボウルに入れると早速こね始めた。
 粉の材料にミルクを加えてこねていると、最初は手にくっついてこねにくくて仕方がない。それにだんだん力も必要になってきて。
「んん……材料混ぜるのはけっこう大変、なんだね」
 ちょっと休憩したミアは、手をパタパタとさせる。だがこの工程こそが、ドーナツを美味しく作るコツなのだ。だから、頑張る。
 一つの生地にはココアパウダーを練り込んで黒く。もう一つはプレーンに仕上げて白く。二つの生地を作ったミアは、それぞれドーナツの形に整形するとオーブンで焼き上げた。

● ココアとストロベリーのドーナッツ
 テーブルで待っていたローゼスに、ミアは銀のトレイを持って歩み寄った。
「おまたせ。……できたよ」
「まあ、素敵。次はどんなスイーツを食べさせてくれるのかしら?」
「ミアからはドーナツ、だよ」
 白い皿に乗せられた二色のドーナツに、ローゼスはワクワクした声を上げた。
「まあ、ドーナツね。ココアドーナツにこれは……ストロベリーチョコレートかしら? 色合いがとても素敵ね」
 早速手を伸ばしたローゼスは、ココアドーナツを一口かじると頬に手を当てた。
「美味しいわ! 頬張った時に感じるココアの風味と、ドーナツの食感がたまらなく合っていて。甘さ控えめでしっとりふっくら焼き上がっていて、食感もとても良くてよ」
 あっという間に平らげたローゼスは、次にストロベリーチョコレートのドーナツに手を伸ばした。赤いドーナツをうっとり眺めて一口ぱくり。
「こちらは甘いわね。チョコレートのイチゴ風味がとっても素敵。こちらはしっとり系なのね。チョコレートの甘いドーナツだから、さっきのドーナツとはまた違って……全然、飽きな……いわ、ね」
「喜んで、貰えた? ……嬉しい、な」
 照れたように頬を掻いたミアは、そのまま眠り込んでしまったローゼスの姿に微笑んだ。
 ゴスロリ衣装に身を包んで作るお菓子作りは、普段とはまた違って楽しくて。素敵な景色の中でするお茶会も、普段はなかなかできない体験で不思議な感じだけど。
「けっこう楽しい、かも」
 ドーナツを一口かじったミアは、出された紅茶を一口飲んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鵜飼・章
僕は基本的に出された料理を食べるだけ
中華なお菓子を作りたいけどアップルパイも焼けない
切る焼く調味料かけるで終わるお菓子とは…
そうだ思いついた

まず林檎の芯をくり抜きます
包丁より使い慣れているからメスを使おう
すごく綺麗にできた

この穴に…何を入れようかな
バターと黒糖かな何となく
これをオーブンに入れ適当に焼くよ
空気を読んで真面目にやっているから
たぶんいい感じに焼き上がる筈だ

仕上げに何となく黒蜜をかけたら
ゴシックな和風焼き林檎の完成だよ
お好みできなこをまぶしても美味しいかもしれない
試食してないけど…いけたんじゃないかな
中華要素もどこかへ旅立ったけど…

ローゼスさんが眠くなったら図鑑の角でガッとやっておこう



● 鵜飼・章という理(ことわり)
 華ゴス姿で厨房へと足を踏み入れた鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)は、つかつかと食材エリアへと歩み寄ると両手を広げて宣言した。

「僕は基本的に出された料理を食べるだけ」

 堂々と宣言する章に、猟兵達の驚きの視線が集まる。とまどい含みの空気に失敗を悟った章は、とりあえず空気を読むことに専念してみた。
 お菓子を作ってローゼスに食べさせる、というのが本題なのに、「料理を食べるだけ宣言」がまずかったのか。だが事実は事実だから仕方がない。ここで嘘偽りを述べるのは、己に対しても嘘を付くということで。何かしらの理由があるのならばともかく、ここでは張る見栄もない。己に嘘をつかずにこの空気を何とかする方法。一瞬考えた章は、浮かぶ結論を素直に口にした。

「でも作らないとは言ってない」

 よし。これでリカバリできたはずだ。
 だがここで一つ問題とも言えない問題が発生した。作らないとは言っていないが作るとも言っていない。ここで作らずに帰ってしまっても誰も文句は言わないだろうが、言わないだけで空気はきっと悪くなるに違いない。人間はそれを嫌がるだろう。

「だから作るよ」

 自ら退路を立った章は、なだらかになる空気に満足そうに頷いた。よし、空気を読めた。
 満足顔の章は、更なる課題に取り組んだ。
 作るべきお菓子を決めるのだ。
 お題ははっきりしている。赤と黒のお菓子。
 そして今、章は華ゴス姿。
 これらを総合して考えると出てくる解は一つ。
「中華なお菓子だね」
 結論を下した章は、だからといって中華なお菓子を作れるスキルがないことに気がついた。大体中華なお菓子と言われると何があるだろうか。
「アップルパイも焼けないし」
 アップルパイは中華なお菓子ではない。洋菓子だ。
 という空気が告げるツッコミを無視した章は、自分にできる最善手を探る。
「切る焼く調味料かけるで終わるお菓子とは……そうだ思いついた」
 思いつきのままに真っ赤な林檎を手に取った章は、愛用の人間失格を振り翳した。
 逆手に持ったメスを手に、目を妖しく輝かせながら突き出す。さく、と軽い音を立てて突き立つメスに気を良くした章は、林檎の芯をくり抜きにかかる。
 林檎の中央を綺麗にくり抜く。人の手で本当の真円を作り出すことは不可能だが、それに近づけるべく細心の注意を払い芯を抜き払う。
 そうっと抜いた芯は芸術的な丸を描いている。感動だ。これを使おうか……と思ったが、空気を読んでやめておく。
「大丈夫。僕は空気を読めるんだ」
 一つ頷いた章は、真円芯の余波でギザギザになった林檎の穴を覗き込む。穴の向こう側で目が合った猟兵に会釈を返し、調理台の上へと戻す。
「この穴に……何を入れようかな。バターと黒糖かな何となく」
 適当に取った有塩バターと黒糖を、穴の中に詰めていく。ぎっしり詰まった穴を塞いだ章は、オーブンに適当に放り込んだ。

● 和風焼き林檎リーディングエア
「……という訳で。これがゴシックな和風焼き林檎「リーディングエア」さ」
「すごく興味深いお話だこと」
 長々語る章の話をお茶を飲みながら聞いていたローゼスは、差し出された焼き林檎にフォークを入れようとした。その手をサクッと止める。
「待って。仕上げに黒蜜を掛けるよ。なんとなく……見た目に黒が無かったから?」
「そう。どこまでも和風なのね」
 掛かった黒蜜をまぶして口に運んだローゼスは、口に広がる林檎と黒糖の風味に目を輝かせた。
「美味しいわ! バターと黒糖の風味が……」
「あ、枯れ葉が」
 感想を述べるローゼスの頭上に落ちてくる枯れ葉に目をやった章は、図鑑を取り出すと角でガッとやった。
 その真下にあったローゼスの頭もガッとやられ、そのまま机に突っ伏し気絶する。その姿を見下ろした章は、食べかけの焼き林檎の姿に愕然とした。
「中華要素が……どこかに旅立った……」
 華ゴス姿で和風焼き林檎を出してしまった。これは空気を読んだことにならないのではないのだろうか。
 考え始めた章は、すぐに飽きると立ち上がりグリモアベースへと帰還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

榎・うさみっち
今までのオウガは、意地でも料理させるもんか!
って邪魔してきたけど
こんなにすんなり厨房に招いてくれるとは…!
フッ、ならばお礼に最高にうめぇうめぇ
お菓子を作ってやらないとな!

うさみっちの何分かクッキング~!
今回作るのは苺入りのココアロールケーキ!
一人じゃ大変だからやきゅみっちナインを召喚して
全面的に手伝ってもらうぜ
ココアパウダー入りのスポンジ生地を焼き上げたら
生クリームを塗って…贅沢に苺を丸ごと一列に並べる!
あとはやきゅみっちと協力しながら上手にロールして
仕上げにケーキの上にも苺を並べて
粉砂糖をふりかければ完成!
カットすればあら素敵!真ん中に苺の断面が!
美味しくて可愛い!お茶会にピッタリだろう!



● やきゅみっちナインのお菓子作り
 厨房を一巡りした榎・うさみっち(うさみっちゆたんぽは世界を救う・f01902)は、綺麗に整った厨房を感動の眼差しで見つめた。
「今までのオウガは、意地でも料理させるもんか! って邪魔してきたけど。こんなにすんなり厨房に招いてくれるとは……!」
 ハロウィンの国のオウガも、国によって色々で。ひたすら攻撃を仕掛けてくるオウガもいれば、ほぼ攻撃無しで倒せてしまうものもいる。
 ローゼスはどちらかというと後者で、純粋にお茶とお茶菓子を楽しみたい派なのだった。
「フッ、ならばお礼に、最高にうめぇうめぇお菓子を作ってやらないとな!」
 そうと決まればまずは食材ゲット……の前に。
 和風入ったゴスロリ衣装の上からいそいそとエプロンつけて袖をたすきがけにしたうさみっちは、軽快に流れる例の音楽に空中をぶーんと飛んだ。
「うさみっちの、何分かクッキング~!」
 被ったシェフ帽を自慢気にくいってやって、泡立て器を手にポーズを決める。早速泡立て器を駆使……しようとして諦めた。
 フェアリーに振る舞うケーキならばフェアリー用の泡立て器でいいのだが、ローゼスは人間サイズ。さすがにサイズ感が違いすぎる。
「だがしかーし! うさみっち様にはそれを補って余りある愉快な仲間たちがいる! いでよ! やきゅみっちナイン!」
 詠唱と同時に現れたやきゅみっちナインは、ぶーんと飛ぶと泡立て器で素振りを始めた。
「よう、うさみっち! 次の対戦相手は誰だ?」
「よく来たなうさみっちナイン! 球児なお前たちには給仕の手伝いをしてもらうぜ!」
 ばーんと示したのは、とりどりの材料達。
 ココアに小麦粉、砂糖に卵。生クリームもたっぷりと。真っ赤なイチゴが輝いていて。
「おお! うまそうなイチゴじゃねえか!」
「これで何作るんだよ?」
 興味津々なやきゅみっちナイン達に、うさみっちは堂々宣言した。
「ふっふっふ。今回作るのは苺入りのココアロールケーキ! 一人じゃ大変だからな。おまえたちにも手伝ってもらうぜ!」
「「「「「「「「おおーーー!!!」」」」」」」」
目をキラキラさせたやきゅみっちナイン達が、一斉に拍手を送る。その中央でドヤ顔なうなうさみっちは、続くマネージャみっちの一言に凍りついた。
「でも。私達戦闘用よ?」
「……」
「「「「「「「「……」」」」」」」」
 以前ニコと一緒にパリピ島ではコンコンエリアでコンコンするはずがその場で鉄球野球を始めて、大魔道士蟹を呼び出したんだっけ。
 なむり、と手を合わせたが、その後やきゅみっちナイン達に手伝って貰った記憶が曖昧だ。だがまあ、大丈夫だ。
「なんとかなる! 全面的に手伝ってもらうぜ!」
「ふぁい、おー!」
 円陣組んで気合を入れたやきゅみっち達に、うさみっちはすちゃっとサングラスを掛ける。今のうさみっちはかんとくみっちなのだ。
「よーし、まずは計量だ! ここに書かれた分量だけ量れー!」
「了解! 小麦粉100グラムをボウルに……投げた!」
「待て待て! ボウルを秤に乗せてから目盛りをゼロにしたか!?」
「してないっす!」
「かんとくー! ココアってミルクココアでいいっすか?」
「こういう時はこっちの純ココア使うんだよ!」
 などなどわちゃわちゃしながらも、お菓子作りは進んでいくのだった。

● イチゴのココアロールケーキ
 賑やかなお菓子作りが終わり、ローゼスの許へと向かう。
 会心のロールケーキをやきゅみっち達に運ばせたうさみっちは、胸を張り腕を組むとロールケーキを指差した。
「ふっふっふ……。さあこのロールケーキを召し上がりやがれ!」
「あらあらかわいいフェアリーさんね。これは……イチゴのココアロールケーキね」
 テーブルに置かれ、バット型ナイフで切り分けられたロールケーキを受け取ったローゼスが目を輝かせる。銀のフォークで一口。口の中に広がるココアの風味に、ローゼスは満面の笑みを浮かべた。
「美味しいわ! ココアの風味が効いていて、生クリームとぴったりで。切り分けた時に見えるイチゴの赤もとても綺麗。イチゴの酸味ともよく合ってるわ」
「ふっふっふ。やきゅみっちナイン達と俺の共同作業だからな! 美味しくて可愛い! お茶会にピッタリだろう!」
「クライマックスは最後のケーキを巻くところっすよね!」
「ふふ。仲良しさんなのね。……ふわあ」
 わちゃわちゃお喋りに興じるうさみっち達に、ローゼスが目を細める。そのまま眠り込んでしまったローゼスをよそに、うさみっちは今日のお菓子作りの思い出をやきゅみっち達と語り合うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花型・朔
さてさて、攻略方法は聞いておりますからね!
悪趣味なリンゴ作りを阻止する為に、あたしも張り切って作らせて頂きましょうか!

ココアパウンドケーキで【黒】
周りに苺を彩って【赤】で一品!
デコレーションの生クリームも苺を使って赤く色付けすれば…?思ったよりも見た目、完璧では? ちょっと自信ありですよ!
ではでは、こちらをご賞味して頂きましょう!

う~ん、ジャムはよく作ってるけど、こんなに本格的なお菓子作りはバレンタイン以来かも?昔は家族でよく作ってたんだけど、最近めっきりですね。
ふふふ、やっぱり自分で作るのは楽しいものです
お仕事終わったらまた作ってみましょうか!皆のスイーツも美味しそう~!



● お菓子作りはワクワクで
 軽やかに厨房に駆け込んだ花型・朔(満月と共に・f23223)は、置かれていたアリスエプロンを手に取るとゴスロリ衣装の上から身につけた。
 深紅のベルベットに華やかなスカートが特徴的なゴスロリドレスも、アリスエプロンを身につけるとなんだかちょっとだけホッとする。
 慣れた手付きでたすきがけ。姫袖を止めた朔は、袖をまくると食材エリアを見渡した。
「さてさて、攻略方法は聞いておりますからね! 悪趣味なリンゴ作りを阻止する為に、あたしも張り切って作らせて頂きましょうか!」
 元気に手を上げながら、食材を見て回る。サクラミラージュにもありそうな食材も見たこともない食材も色々取り揃えてあったが、ここはやはり馴染みのあるものを使うのがいいだろう。
 用意するのは小麦粉と砂糖。卵とココアとバターがあれば完璧だ。
「ココアパウンドケーキを作っちゃいますよー!」
 早速泡立て器を手に取った朔は、室温のバターをボウルに入れた。そのまま力を入れてしっかりと混ぜて。空気を含ませるようにフワッフワに混ざったバターに、順番に材料を入れていく。
 材料は分離しないように、しっかり混ぜて。ふるった小麦粉だけは練り込まずにさっくりと。
 生地をオーブンに入れて焼いている間、朔はイチゴの準備にかかった。黒いココアパウンドケーキの周りに彩りに飾るのだ。
「でもちょっと華に欠けますね。せっかくのハロウィンです。ちょっと華やかに……」
 そう考えて首を巡らせた朔は、置かれた特製いちごジャムに目を輝かせた。

● ココアパウンドケーキ ストロベリークリーム添え
 お皿にパウンドケーキを盛り付けた朔は、何事もなかったかのように紅茶を楽しむローゼスに歩み寄るとお皿を彼女の前に置いた。
「まあ、次はどんなスイーツを食べさせてくれるのかしら?」
「あたしからはココアパウンドケーキ ストロベリークリーム添えです! どうです? 見た目も綺麗でしょう?」
 自慢気に胸を張る朔に、ローゼスもまた目を輝かせた。
「ええ、本当に! しっとりとした黒のパウンドケーキに赤いクリームがとっても素敵ね」
「ふふん。ちょっと自信あるんですよ。ではでは、どうぞご賞味あれ!」
 我ながら完璧! と微笑む朔に、ローゼスは銀のフォークを手にした。
 早速ケーキにフォークを入れる。添えられたいちごクリームとフレッシュストロベリーを一緒に口に運べば、甘酸っぱい風味に目を輝かせた。
「美味しい! しっとりしたココアパウンドケーキにイチゴの生クリームがよく合うわ。なめらかな口当たりのクリームにイチゴの甘酸っぱさがアクセントになっていて、とても良いバランスね!」
「でしょう? ジャムはよく作ってるけど、こんなに本格的なお菓子作りはバレンタイン以来かも?」
「そうなの。とてもそうには見えないわ」
「昔は家族でよく作ってたんだけど、最近めっきりですね。ふふふ、やっぱり自分で作るのは楽しいものです」
「そう。ご家族で作っていたの。それは素敵ね。私も昔はお菓子を作っていた気がするわ。薔薇の咲く中で……りんごも……」
 朔と話しているうちに眠くなったのだろう。ココアパウンドケーキを平らげた朔はそのまま眠り込んでしまう。
 安らかな寝息を立てるローゼスの肩に自分の膝掛けを掛けてあげた朔は、思い出される家族の記憶に少しだけほろ苦い笑みを浮かべる。
 よぎる思い出に手の甲で目元をこすった朔は、顔を上げると花のような笑顔を浮かべた。
「お仕事終わったらまた作ってみましょうか! せっかくなら持ち寄りお茶会もいいですね! 皆のスイーツも美味しそう~!」
 もう一度このパウンドケーキを作ってもいいし、別のお菓子にチャレンジしても構わない。
 朔が一生懸命作ったケーキなら、皆喜んで食べてくれるだろう。ローゼスみたいに。
 楽しい予感に胸を踊らせた朔は、スキップしながらグリモアベースへと帰還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリシャ・パルティエル
葵桜ちゃん(f06218)と

赤と黒のスイーツを作るのね
アリスを苗床に育ったりんごじゃなくても
美味しいもの作れるんだからね

葵桜ちゃんのはなんだか健康に良さそうね
イカ墨といえばパリピ島を思い出すわ

あたしはパイ生地にココアを練りこんだ
黒いアップルパイを
オーソドックスな格子状のと薔薇の花みたいなの

薔薇のアップルパイは
皮ごと薄切りにして蜂蜜とバターで煮るの
田中さんはお料理も上手だから
パイ生地を伸ばすのを手伝ってもらおうかしら
パイ生地の上でりんごをくるくる花びらみたいに巻いて…
オーブンで焼いたら出来上がり!

お気に召してもらえたかしら
薔薇園の番人のあなたにぴったりでしょう?
甘い夢に包まれておやすみなさい


榎木・葵桜
エリシャさん(f03249)と

力仕事は田中さん(霊)の力にお願いするよ
田中さん、エリシャさんのお手伝いもよろしくね!

というか、田中さん器用だよね
そしてその格好でお菓子作ってるのってなんか…(笑ってる

私もエリシャさんのお菓子食べたいなぁ
でもその前に作らきゃだね

私は変わり種にしようかな
名付けてヒジキと黒ごまとイカスミのパウンドケーキ!

イカ墨パウダー使った生地に
水で戻したヒジキと、すった黒ごま、黒豆とプルーンも
一緒に混ぜて型に入れて、焼き上げる!
最後の飾り付けでホイップクリームにラズベリーを載せたら
でっきあがり♪

大丈夫、海産物入ってるけど
生臭くなんてない、ちゃんとしたスイーツだから♪

さぁ召し上がれ!



● 田中さんとエリシャのパイ
 厨房を見渡したエリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)は、綺麗な厨房に入るとエプロンを身に着けた。
 白い膝丈のエプロンはフリルがいっぱいついたかわいいデザインだが、脚が隠れるというだけでなんだか安心してしまう。
 姫袖をたすきで留めて、食材置き場を見渡して。とりどりの食材から真っ赤な林檎を手に取ったエリシャは、心臓のように真っ赤な林檎に手を握り締めた。
「赤と黒のスイーツを作るのね。アリスを苗床に育ったりんごじゃなくても、美味しいもの作れるんだからね」
「そうだよ! この世界は綺麗だけど、アリスの犠牲を出すのはダメ、ゼッタイ!」
 隣で同じく手を握り締めた榎木・葵桜(桜舞・f06218)は、早速林檎を洗うエリシャの手元を覗き込んだ。
「私もエリシャさんのお菓子食べたいなぁ」
「ふふ、また今度作ってあげるわね」
「やった! でもその前に作らきゃだね」
 喜んで手を叩いた葵桜は、エプロンを身につけると隣に立つ田中さんを振り仰いだ。
「引き続きお願いね、田中さん! エリシャさんのお手伝いもよろしくね!」
 無言で頷く田中さんは、衣装も変わらずロリータドレス。甘くてかわいいが正義のデザインは何度見てもフリルがいっぱいで、鎧の上から着るとそのアンバランスさにどうしても笑いがこみ上げてしまう。しかも今回はかわいいアリスエプロン付きだ。
「それにしても田中さん、その格好でお菓子作るのってなんか……」
「笑っちゃダメよ」
「はーい」
 葵桜をたしなめたエリシャは、食材エリアを難しい顔で歩いて回る葵桜と別れて自分の調理に取り掛かった。
 エリシャが作るのは、二種類のアップルパイだった。新鮮な林檎はそのまま食べても美味しそうだが、これを赤と黒の美味しいアップルパイにしなければ。
 角切りのバターを冷凍庫で凍らせて、水も道具も全部冷たくしておいて。バターを折り込んでいる間に溶け出してしまっては、サクサク感も風味も半減してしまう。
 合わせてふるった強力粉と薄力粉とブラックココアにバターを入れて、カードで切るようにして混ぜていく。あったまったら冷やすを繰り返してポロポロになったら、水を入れてひとまとめに。
 寝かせた生地を伸ばして折っていくのだが、ここからが大変だった。
 エリシャの温かい手は、パン生地を捏ねる時にはものすごく良いのだが、とにかく冷やすのがコツのパイ生地には向いていないのだ。
 伸ばしてはあったまり冷やし、を繰り返してはいつまで経ってもパイを焼けない。
「困ったわ。なかなか思うように伸ばせないわね」
「田中さんにお願いしたらどうかな? 田中さん霊だから、うまく伸ばせるんじゃないかな?」
 生地を混ぜながら声を掛けてくれた葵桜の提案に、エリシャは真顔で頷いた。
「名案よ葵桜ちゃん。……田中さん、お願いできるかしら? あたしはその間に林檎を煮ちゃうから」
 エリシャのお願いに、田中さんは静かに頷く。体温が無く生地をあっためることのない田中さんの手は、教えられた通りに伸ばしては折って休ませて、伸ばして折って休ませてを繰り返す。製菓の作業も難なくこなす田中さんの手付きを、エリシャは感心したように覗き込んだ。
「田中さんはお菓子作りも上手なのね」
「本当、田中さん器用だよね」
 しみじみ頷くエリシャと葵桜の声に、田中さんは何の反応も示さない。やがて完成したブラックココアのパイ生地を、エリシャは煮上げた林檎で仕上げていった。

● イカ墨といえば
 時は少し遡る。
 食材エリアに駆け寄った葵桜は、腕を組んで考え込んだ。
 作るのは、黒と赤のスイーツ。普通に考えたらブラックココアやブラックチョコレートがメインになる。実際他の猟兵が作る様子を覗き込んでも、これらの食材はよく使われていた。
 どちらも美味しい食材だが、続けて食べたら飽きないだろうか?
「じゃあ、私は変わり種にしようかな」
 そう決めた葵桜は、改めて食材エリアを歩いて回る。色々探し回ってしばし。誰も手を伸ばしていない食材の前に立った葵桜は、いたずらっ子の笑みを浮かべた。
「いいねいいね! いい食材があったよ!」
 ホクホクと手を伸ばした葵桜は、イカ墨パウダーとヒジキと黒胡麻、黒豆とプルーンを手にすると調理台へと戻った。
「名付けて、ヒジキと黒ごまとイカスミのパウンドケーキ!」
「葵桜ちゃんのは、なんだか健康に良さそうね」
 バターと粉類を合わせていたエリシャが、葵桜の手元を覗き込んで微笑む。真っ黒なイカ墨パウダーを見たエリシャは、ふと遠い目をするとしみじみ呟いた。
「イカ墨といえばパリピ島を思い出すわ……」
「楽しかったねパリピ島……」
 エリシャの指摘に、葵桜もしみじみ思い出す。あの時もダークマターなイカ墨は、隙あらば出てきたっけ。カオスでパリピな島で食べたダークマターなイカスミパスタの味に、葵桜は思わず垂れるよだれを手の甲で拭った。
「美味しかったねパリピ島」
「負けないくらい美味しいお菓子を作らなきゃね!」
 拳をギュッとするエリシャに、葵桜も拳をギュッとする。あの島の食材は特殊だったが、この厨房の食材だって負けてない。
 イカ墨パウダーを小麦粉と合わせてふるい、バターと卵と砂糖をよくすり混ぜた生地に加えて混ぜて。既に真っ黒な生地に仕上がったが、ここからが葵桜流レシピだ。
 水で戻した芽ひじきとすった黒ゴマ、つやつやに煮上がった黒豆と刻んだプルーンを生地のボウルに入れてさっくり混ぜて。
 オーブンの中を覗き込んだ葵桜は、ふっくら膨らむ生地に笑みをこぼした。

● ヒジキと黒ごまとイカスミのパウンドケーキ
 焼き上がったパウンドケーキにデコレーションを施した葵桜は、エリシャと一緒にローゼスの前に立つとテーブルの上にお皿を置いた。
「あら。お二人でいらしたのね。次は何を食べさせてくれるのかしら?」
「あたしは特製、ヒジキと黒ごまとイカスミのパウンドケーキ!」
「まあ、珍しい食材を使ったのね」
 出されるパウンドケーキに目を丸くするローゼスに、葵桜は自信満々にお皿を勧めた。
「大丈夫、海産物入ってるけど生臭くなんてない、ちゃんとしたスイーツだから♪ さぁ召し上がれ!」
「そうなのね。ではいただくわ」
 銀のフォークを手にしたローゼスは、パウンドケーキにフォークを入れると添えられたクリームと一緒に口に運んだ。
「美味しいわ! 普通お菓子には使わない食材、しかも海産物を入れてあるとは思えないくらい味がまとまっているのね。イカ墨とヒジキが入れば生臭くなりがちですのに、これは生臭さじゃなくて磯の香りがフワッとくるのが面白いわ。それにプルーンと黒豆が食感のアクセントにもなっていて。ラズベリーと一緒に食べてもまた甘酸っぱさが加わって美味しいわ」
「へへ、ありがとー!」
 嬉しそうに微笑んだ葵桜は、完食したローゼスの皿を下げるとエリシャと交代した。

● 薔薇とココアのアップルパイ
 葵桜の代わりにローゼスの前に立ったエリシャは、アップルパイの皿をローゼスの前に出した。
「まあ、アップルパイね。しかもこれはとても素敵! 黒と赤の薔薇のアップルパイ!」
 黒いパイ生地で焼かれ、煮た林檎を詰めて焼き上げたアップルパイの上に、大輪の赤い薔薇が咲き誇る。
 蜂蜜とバターで煮られた薄切りの林檎を幾重にも丸めて薔薇の花を表現したアップルパイに、ローゼスの銀のフォークが入った。
「美味しいわ! 崩すのがもったいないくらい綺麗な薔薇ですが、食べたら本当に美味しいのね。林檎の甘酸っぱさと蜂蜜の優しい甘さがとっても合ってるわ。そしてこのココア生地のアップルパイ。生地が本当にサクサクしているわね。何層重なってるのか分からないくらいの生地に、甘く煮られた林檎がピッタリ」
「お気に召してもらえたかしら。薔薇園の番人のあなたにぴったりでしょう?」
「ええ、本当に、美味しくて眠くなってしまいましたわ……」
 ウトウトと眠り始めるローゼスに、エリシャはニッコリ微笑んだ。
「甘い夢に包まれておやすみなさい」
 その声に答えるように、船を漕いだローゼスはテーブルに突っ伏して眠り込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

樹神・櫻沙
……お菓子、なら多少は作れますね。
赤と黒……見た目も拘りたいですね。
食べやすいものが良いかなとギモーヴを……どれを使いましょうか……やはり定番ですが赤という事でラズベリー、クランベリーと、苺で。
バットでしっかり冷やしてハートやダイヤの形に型抜きして、苺のパウダーで飾れば完成です。
ブラックココアを塗せば赤と黒、両方揃いますね。
可愛らしい柄のお皿に丁寧に並べて、見た目にも気を使いましょう。

眠らせてしまえば後は本来のお仕事、ですね。
【Tempesta di neve rosa】
聖痕のを変化させて少々時季外れですが薄紅の花嵐を……。
花には花、でしょうか。



● お菓子作りは彩りも大切
 ローゼスの厨房に向かった樹神・櫻沙(Fiori di ciliegio caduti・f26681)は、食材置き場へ足を踏み入れると作るべきスイーツに考えを巡らせた。
「……お菓子、なら多少は作れますね。お題は赤と黒……見た目も拘りたいですね」
 赤と黒の食材も、色々揃っている。素材のままでも美味しそうな食材を見渡したローゼスは、お茶を用意して待つローゼスを思った。
 お茶会に供するのならば、食べやすい方がいいだろう。ケーキも良いしクッキーも捨てがたいが、食べやすくて綺麗で美味しくてしっとりとしたスイーツに櫻沙は心当たりがあった。
「ギモーヴにしましょう。……どれを使いましょうか……」
 ギモーヴは生マシュマロとも呼ばれる、しっとりとした一口サイズのお菓子だ。マシュマロとの違いは、メレンゲを使うかどうか。メレンゲを使わない分しっとりとしていて、中に混ぜる素材の味を大いに楽しむことができるのだ。
 ギモーヴに合う赤い食材。冷蔵庫を見た櫻沙は、ラズベリーの籠を手に取った。
「やはり定番ですが、赤という事でラズベリー、クランベリーと、苺で」
 新鮮な食材を取り出し、洗って拭いて小さくカット。それぞれ別の鍋に入れて、砂糖と一緒に少し置いて。水が出たら弱火にかけてゆっくり加熱。気長にゆっくり煮詰めていって、レモン汁を入れてトロッとさせて裏ごしをして。
 手作りピューレを溶かしたゼラチンの中に入れて、しっかり泡立て。ゼラチンは泡だてにくいけど、ここが美味しいギモーヴを作るポイントだから。根気良く泡立てたらバットでしっかり冷やして。
 同じ要領でブラックココアのギモーヴを作った櫻沙は、とりどりの型を手にした。

● 赤と黒のギモーヴ
 白いお皿に綺麗に盛り付けた櫻沙は、何事もなく待つローゼスの許へと歩み寄ると手にしたお皿をテーブルに置いた。
「まあ、かわいいお方。あなたは何を食べさせてくれるのかしら?」
「私は……ギモーヴを作ったわ……」
 白いお皿に乗せられたのは、型抜きされたギモーヴだった。
 赤いギモーヴはダイヤとハートで、ショコラギモーヴはクラブとスペードで。それぞれ型抜きされたギモーヴは、まるでトランプの衛兵のように美しく盛り付けられていた。
「とても美味しそう! 早速いただくわ!」
 銀のフォークを手にしたローゼスは、早速ハートのギモーヴにフォークを入れた。ぷにっとしたギモーヴを一口。口の中に広がる甘酸っぱさに、思わず目を細めている。
「美味しいわ! この不思議な触感が面白いわね。苺の酸味が苺のパウダーとぴったり合って。こっちのダイヤはラズベリーかしら? クランベリーもあるのね。苺が二つにラズベリーとクランベリーが一つずつ。それぞれ味が違うから、飽きずに食べられるわ」
 赤いギモーヴを食べたローゼスは、次に黒のギモーヴへとフォークを入れた。
「こっちはビターなギモーヴなのね。チョコレート風味がよく効いてるわ。ココアパウダーがいいアクセントになってるのね」
 ニコニコしながらギモーヴを平らげたローゼスは、眠そうな目をこすりながらも何かを思い出したように立ち上がった。
「美味しいスイーツが続いて忘れてしまっていたけれど。あなた達がいるとアリスを苗床にできないの。帰ってくださる?」
「それは……できない……」
「そう、ならあなたが苗床におなりなさいな!」
 ハートのワンドを振り翳したローゼスは、その先端から蔦を放った。蔦に絡め取られた櫻沙に、棘を生やそうと魔力を込める。
 だが、棘は生えない。ここまで誰も、一度も薔薇園を否定する言葉を言わなかった櫻沙には、棘の攻撃は無力なのだった。
「そんな! そんな……こと、って……」
「眠そうですね。ずっと眠らせてあげましょう」
 ウトウトしだすローゼスに、櫻沙は詠唱を開始する。身体に刻まれた聖痕が変化し、薄紅の花嵐となりローゼスを包み込む。
「【Tempesta di neve rosa】。花には花、でしょうか」
 くずおれるローゼスの姿が、桜の花びらの中に沈み込む。
 ふいに吹き抜ける風が、桜の花びらを運んでいく。薔薇園の上空に消えた桜の花びらを見送った櫻沙が視線を戻した時、そこにローゼスの姿はどこにもない。
 ローゼスが桜と共に骸の海へ還ったことを確認した櫻沙は、踵を返すとグリモアベースへと帰還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月02日


挿絵イラスト