7
バニー・ヴァーサス・バニー

#アリスラビリンス #【Q】 #お祭り2020 #ハロウィン

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アリスラビリンス
🔒
#【Q】
🔒
#お祭り2020
🔒
#ハロウィン


0





「ウサ! これなかなか可愛い柄ウサ!」
「ウサウサ! そっちの生地なんだか高級そうだウサ~! 着させてほしいウサ!」

 ここはとある“ハロウィンの国”。
 嘗ての支配者「オウガ・オリジン」が作り出して改変して、ほっぽっていた隅っこの国。何せ彼女の能力は絶大だったからね、幾つ国を作ってどんな風に変えたかなんてきっと覚えちゃいなかったのさ。

 大きなお城、豪華なキッチン。廊下と窓はピカピカに磨き上げられて、中庭には大きなかがり火が燃えていて、夜でもまるで怯みたい。
 其処に跋扈するのはバニーガールの衣装に身を包んだ可愛いウサギたちだ。侮るなかれ、彼らもまたオウガの一団。悲しみと悦びを探すだけの化け物なのさ。
 しかもそのバニースーツは彼らをより強くする仕掛けがついているときた。こうなりゃ誰も敵わない。そう、“普段着の”猟兵さんたちだって、たちまちに藁より軽く二つ折りだ。

 ――どうすればいいのかって?
 君たちも“着替えればいい”のさ。
 可愛いウサギに狂ったウサギ、或いは帽子をめちゃめちゃにかぶったり、皮肉を効かせてエプロンドレスを着るのも良い。つまりつまりつまりね、コスプレバトルの始まり、ってわけ!

●グリモアベースにて
「ハロウィンの国、というのが見つかっているわ」
 佐々・夕辺(凍梅・f00514)は凪いだ湖面のような声色でそう言った。彼女の手元には、輪を描く狐のようなグリモアが既に準備されている。呼び止められた君たちは、不幸というべきか、なんというか。
「敵はバニー……バニー、ガール…ではないのよね。あれ、男の子っぽかったし…兎に角。“オウガ・オリジン”は覚えているでしょう? 彼女が作り出した国がまだ残っているみたいなの。アリスはいないのだけど、オウガはいるわ。倒してきて頂戴」
 でもね、と一息置いて――正確には溜息を吐いて――夕辺は続けた。
「この国の森は、衣装を紡ぎ出す不思議な森なの。ハロウィンの国にいるオウガはその恩恵を受けて、超強化されている。――判るわね? 彼らと渡り合うには、貴方たちもお着換えする必要がある。嫌とか言ってられないわよ、相手は強いんだから」
 ひときわ強いオウガの反応は、国にただ一つそびえる城の中にあると夕辺は言う。しかし其処に辿り着くには、コスプレオウガたちを蹴散らしていかなければならない。其の為には周りに生い茂る「お針子の森」が提供する衣装が必要不可欠なのだと。

「強いオウガは美味しい料理を求めているわ。其処でも一工夫必要になるかもしれないわね。……でもまずは、周りの雑魚を蹴散らす事を考えて。其処にはお城しか目立つ建物がないみたいだから、目印としては丁度良いでしょう」
 説明は以上よ。
 と、全ての不安と疑念を打ち切って、夕辺はグリモアを発動する。狐が案内する先は、ハロウィンパーティの国。バニーボーイと女王様が、君たちを待っている。


key
 ハッピーハロウィン! keyです。
 さて、オウガ・オリジンの作り残し、ハロウィンの国へようこそ!

●目的
「赤の女王を倒せ」

●プレイング受付
 各章の冒頭に記載致します。

●このシナリオについて
 2章構成となります。
 まずは城の周りでウサギ退治。あらかた倒し終えたら城に突入し、女王と対峙することになります。

 女王はハロウィンの国の力でほぼ無敵の状態です。
 彼女を倒すには、どうやら厨房に向かわなければならないようですが……?

●プレイングボーナス!
 集団戦のバニーたちはコスプレによって超強化されています。
 まともに戦うなら周りの森が作り出す衣装を着るしかありません。
 「勝つためなら仕方ねぇ!」という精神があればプレイングにボーナスがつきます。
 ※着る衣装はバニーでなくとも大丈夫です。お好きな格好でどうぞ!

●注意事項(宜しければマスターページも併せてご覧下さい)
 迷子防止のため、同行者様がいればその方のお名前(ID)、或いは合言葉を添えて下さい。
 また、失効日が同一になるタイミングでプレイングを送って頂ければ、こちらとしては助かります。
 単独行動希望の方も一言添えて下さると嬉しいです。


 此処まで読んで下さりありがとうございました。
 皆様のプレイングをお待ちしております。
123




第1章 集団戦 『イタズラ好きなウサギさん』

POW   :    大怪獣ウサゴンだウサ~ッ!!
【自身の身体】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD   :    逃げるが勝ちウサッ♪
技能名「【逃げ足】【ダッシュ】【ジャンプ】【残像】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ   :    子供からやり直しちゃえウサッ♪
【首から下げた懐中時計】から【周囲の時間を巻き戻すサイキックウェーブ】を放ち、【対象の肉体、精神年齢を急速退行させること】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●うさぎうさぎ、何見てはねる
 かがり火がきらきらと燃えている。
 城の窓からはねるウサギたちを見下ろして、女王は深い溜息をついた。

 ――美味しいものが食べたい。
 ――何故かはわからない。ただ、おなかが減って仕方がない。

 一度ウサギに頼んで料理を作ってもらった事がある。
 とても食べられたものじゃあなかった。業務的に作られた料理のまずさを、オウガの女王は知っている。

 そんな事つゆも知らずに、ウサギたちはぴょんぴょんぴょん。
 尻尾がピンクで可愛いウサ!
 片耳折れがイカしてるウサ!
 そんな事を言い合っている。お針子の森は今日も黙々と、不思議な衣装を作り続ける。
 何もかもがかみ合わないいびつな国。それが、此処。

【プレイング受付:10月16日(金)8:30より。
 締め切りはマスターページにてお知らせします】
木常野・都月
【狐兎】

黒い服と、被れないくらい小さい黒い帽子を頭につけて……
俺は人が着る服は詳しく無いんだよな。

この服「ごすろり」って言うんですか?
ごすろり…。

先輩が似合ってるって言ってたし、俺は元々野生の狐だったからな。
股が隠れていれば何でもいい。
「俺は大丈夫です!」
大丈夫、戦える!

というか、先輩、凄く可愛い。
白くて、天使みたいです!
(照れてる先輩も可愛いなぁ…)

敵が仕掛けて来たら、先輩が手を取って空に!
慌てて風の精霊様に頼んで空に浮かびたい。

UC【精霊の歌】を風の精霊様に頼んで、先輩と俺だけに歌を届けたい。

ここから[空中戦]で反撃したい。

森にいる植物の精霊様の[属性攻撃]で、敵を攻撃したい。


栗花落・澪
【狐兎】

純白のロリータドレスを纏い
髪にもヴェールを
背中には自前の天使の翼をはやし

そういう戦場だから仕方ないとはいえ
や、やっぱり恥ずかしいな…
ごめんね木常野さん、巻き込んじゃって

対のゴスロリ衣装を見に纏う木常野さんに苦笑いを向けつつ
軽くミニハットを整えてあげたり
木常野さんも似合ってるよ

敵が仕掛けてきたら木常野さんの両手を取り
自前の翼と足元に作り出した風魔法で空へふわりと連れて行き
優しい微笑みで避難を

大丈夫?当たってない?
あ…木常野さん自分で飛べるんだっけ
じゃあこのまま反撃行こっか

【空中戦】で【指定UC】を放ち
風の【高速詠唱、属性攻撃】を纏ったまま敵の上空で高速回転
鈴蘭の竜巻を生み出し【範囲攻撃】




 ――ほらごらん!
 ウサギだらけのハロウィンの国に、天使たちが降り立ったよ。栗花落・澪(泡沫の花・f03165)と木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)の二人だ。澪は純白の愛らしく甘いロリータドレスに、カラメル色の髪を純白のヴェールが飾っている。おっと、風を悠然と受ける翼は彼の自前だ。
 一方都月は、黒色のミニハットをリボンで頭に結び、黒色の服はフリルが多すぎず、余り女々しくない仕様のものだ。
「そういう戦場だから仕方ないけど……ごめんね、木常野さん。巻き込んじゃって」
 白い天使は黒い狐に、頬を赤らめてそう言う。そんな彼も可愛い、と都月は思った。だって白い羽に白い服、日に透かせば髪の色はまるで黄金色のように輝いただろう。まさに天使だ、そうは思わないか?
「俺は大丈夫です! 急所が隠れてればそれで良いって思ってるので。……というか、先輩」
「ん?」
「凄く可愛い。天使みたいですよ!」
 真正面から褒められて、澪は顔を林檎のように赤くする。僕が天使なら木常野さんはなんだろう? 堕天使とか? 悪魔とか? でもそうやって褒められたところで嬉しくないだろうしなあ……

「ウサ! ウサウサ! 王道コスプレのニオイがするウサ!」
「あとなんだかライバル出現の予感がするウサ!」

 おっとそうだ。此処は油断ならぬハロウィンランド、ウサギの兵隊たちがこぞってやってくる。白と黒のゴシックな二人を見て、気に食わなそうにふんと鼻を鳴らす。
「な、なんか敵視されている気がするんですけど」
「まあまあ。確か男の子だって話だし、それでじゃない?」
「ウサ! よく気が付いたウサ……しかしコスプレに性別は関係ないのウサ! 関係あるのは寧ろ年齢!」
 ウサウサウサ、と頷くウサギたち。
「な・の・で、其のロリータがよく似合う年齢に戻してあげるウサ♪ 感謝するのウサ!」
「ぴょんぴょんウサー!」
 おおっと、バニーが懐中時計を手にしてサイキックウェーブを放つ!
 澪は咄嗟に都月の手を取り、ふわりと宙を舞う。翼がはためいて風に乗り、穢れを知らぬつま先が踏むのは風の魔力。
「わ、わわわ!」
 都月は咄嗟に風の精霊様にお願いをした。精霊様、精霊様。俺に空を舞う力を下さい。――その願いに呼応するかのように、二人は宙を舞う。
「あ、木常野さんも空を飛べたんだっけ」
「先輩ほどじゃないですけど、まあ……多少は?」
「うん、じゃあ空から一撃お見舞いしちゃおっか!」

「ウッサー! あの翼は飾りじゃなかったのウサ!?」
「というか黒いほうは翼すらないウサ!」
「ええい、ウサギの跳躍力を舐めるなウサー!」
 ぴょんぴょんぴょん。ウサギが跳ねて、其の健脚で蹴りを繰り出して来るよ。不安定な姿勢では、どうやらサイキックウェーブは放てないみたいだ。
 ふわり、と二手に分かれるように二色の天使は空を舞う。時に急旋回、時に落下からの再浮遊でウサギをかわしていく。其れは本当に、天使が舞っているようで。

「チィ。歌を頼む」
 都月が小さく呟く。そうしてまた、風の精霊様にお願いをする。精霊様、精霊様。この歌が届く先が、どうか俺たち二人だけでありますよう――
「ウサギさんは可愛いけど、オウガだっていうのが残念だよね」
 ふわり、ひらり、鈴蘭の花びらが舞う。澪の武器がほろほろとほどけて花弁になり、天使は毒の花を纏いて飛ぶ。
 ――ああ、歌が聞こえる。さやけき月の光の如き旋律は、其の行いを援けてくれるかのようで。
「先輩! やっちゃって下さい!」
「うんっ!」
 黒い天使も舞う。白い天使と共に、宙をくるくると。くるくる、くるくる――それはやがて花弁の竜巻となって、ウサギたちの貴重な衣装を切り裂く!
「うっ、ウサーーーーッッ!?」
「大事な衣装がーーッ!!!」
 ただでさえきわどいバニーボーイが、これでは描写不可能になってしまったね。
 衣装を切り刻まれたウサギたちは、見ないで見ないでと悲しく鳴きながら森の中へ消えていく。
「…何とか第一波は撃退かな」
「……」
「…木常野さん?」
 ぽーっとしている黒い天使に、白い天使が不思議そうに問いかける。はっと意識を取り戻した都月はすみません、と置いてから、
「白い花びらに白い服だし、あんまりにもきれいだなって思って……」
「……ありがとう」
 白い天使は、そうして気恥ずかしそうに笑った。黒い天使も、照れくさそうに笑っている。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

城野・いばら
あら、此処にもお化けの日の国が!
賑やかなのは好き
不思議の国達が活気付いているようで嬉しい
でもね、アリスを招待するなら喜んでくれる方が良いわ
針子の森さんもそう思わない?

衣装は飛んで来てくれたコを着るの
帽子さんでも被り物さんでも
あら、ながーい靴下さん!あらあら、短い靴下さん?
ちぐはぐでも気にしない
いばらにって選んでくれたのだもの
針を通す難しさ、楽しさはねいばら知ってるのよ
出来たら暖かそうなのが嬉しいけれど

ご機嫌よう兎さん達
なんだか忙しそうね?
でもアリスを困らせる事はダメよ
伸ばすのは手
怪力籠めた茨で攻撃を弾いたり、捕縛で絡んでお邪魔虫
ぎゅっとしたなら、生命力吸収で…おやすみを

*アドリブ・絡み歓迎です




 城野・いばら(茨姫・f20406)は不思議の国、お針子の森の中。
 あらあら、こんなところにもお化けの日の国があったのね? 賑やかなのは好きよ! 不思議の国達が活気づいているようで嬉しいもの。
 でも――
「アリスを招待するなら、喜んでくれる方が良いに決まっているわ。悲しい顔は似合わないもの。ねえ、そう思うでしょう?」
 お針子の木の幹に手を添えながら、いばらは歌うように言う。すると、応えるようにがそがそと葉っぱが鳴って――
 そうだね、の返事をするように。君も楽しみなさい、と言うように。衣装がぽろぽろ振ってきた!
 あらあら、これは長い靴下さん。あらあら? これは短い靴下さん。しましまでお揃いだけどあべこべで、でもこのエプロンドレスは可愛いわ?首元と手首にはふあふあのファー、靴ももこもこであったかい。
「あらあら! これじゃあまるで、いばらがアリスみたいだわ!」
 水色とピンクを基調にした、あべこべ靴下のアリスは、そう言ってミトンをはめた両手で頬を抑えるのさ。

「ウッサー! こんなところにアリスウサ!」
「シチューにするウサ! 七面鳥っぽく焼いてみるウサ?」
 そしてお待ちかね、バニーたちの登場だ。そうだね、彼らからしてみれば、エプロンドレスを着ていりゃあ全員アリスも同然だ。ハロウィンだから頭がちょっと――“浮ついて”いるのかもしれない。
 いばらはあらあらあら、と片手のミトンを取る。誤解を解くべきかしら? いばらはあくまでいばらであって、アリスではないって。でもでも、お邪魔虫さんはお掃除した方が手っ取り早いかも知れないわね?
「ウサウサ、可愛いアリスさん。食卓までは紳士的に運ぶからおとなしくするのウサ」
「ボクらの主はおなかをすかせているのウサ。アリスだったら気に入ってくれるかも知れないウサ~」
「あらあら、だめよ! いばらは食べられる訳にはいかないし、アリスを食べさせる訳にもいかないの。だってアリスはいばらの大事なアリスでもあるのだもの」
 この国にアリスがいるかは判らない。けれど、大事なアリスを食べようだなんて悪い人だわ?
 だから、ちょっとお仕置きしなきゃいけないわね?

 びゅるり!

 いばらが腕を振るえばほら、あっという間に茨の鞭になってウサギたちをしたたかにぶつ! マナーのなっていないウサギさんは、お尻を叩いてしまいましょう。そう、其れこそ、もう二度と悪い事を考えられないようにね?
 巨大化しようとしても駄目。くるりと茨で縛って、生命力を吸ってしまえば……大きさなんて関係ないの。ね? しばらくお休みなさい。
 いばらの茨は踊る。すやすやねむるウサギたちが出来上がるまで、あと少し。
 全員眠ってしまったら、可哀想だから寄せ集めて温かくしておいてあげましょう?

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーズ・リヴィエール(サポート)
 時計ウサギの力持ち×ゴッドハンド、18歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、敵には「女性的(私、あなた、呼び捨て、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
エッチな描写もNGです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


高柳・源三郎(サポート)
旅芸人一座の座長、それが高柳源三郎じゃ!!(まだ零細なんじゃがな......)。
性格は酔いどれおやじじゃが旅芸人一座の座長なので本番(戦闘)では酔いが殆ど覚めて戦うことが出来るんじゃ。
武器である【不思議なたぬき人形「はな」】【暗殺用たぬき人形「たろう」】を使いまるで踊りや人形劇をするかのう様にユーベルコードを使い戦うのじゃ。時々【竜珠】に封じ込めてある骸魂・八岐大蛇に乗っ取られて暴れて回ってしまうんじゃ。
情報収集は芸をして道行く人の足を止めて人達の噂話を聞けば集められると考えてとるんじゃ。
口調は(わし、~殿、じゃ、のう、じゃろう、じゃろうか?)です。




 高柳・源三郎(零細旅芸人一座の酔いどれ座長・f15710)は、旅芸人一座の座長である。零細とはいえ一座は一座。人にお見せできるくらいの芸は持っておりますとも。
 だからだろうか? 彼はお針子が用意した町娘のお洋服にも、面白いと呵々大笑して袖を通したよ。パフスリーブに可愛いフリルのエプロン、パニエが入ったスカートはふわりと愛らしく豊かに揺れる。流石に胸には詰め物はしなかったけど、服だけ見れば十二分に可愛い。
「……じょ、女性の恰好ですか」
 リーズ・リヴィエール(時計ウサギの力持ち・f24468)は堂々と着こなす(ただし、似合ってるとはいってない)源三郎にちょっとたじたじだ。かといって恥ずかしがって欲しかったかというと、ちょっと悩ましいところだね。寧ろ源三郎くらい堂々としていた方が、見る側としてもいいんじゃないかな。
「はっはっは! 祭りでは珍しくもなかろうて! お嬢ちゃんは……吸血鬼かのう?」
「みたい、ですね……吸血鬼、裏が赤地のマント……なんとも定番ですが」
 ――定番の何が悪いんだー!
 とばかりに森がざわめく。まあまあ。衣装は判りやすい方が良いですねって、リーズも頷いているじゃないか。
 マントがたなびいて高貴さを出す以外は、さながら執事よろしくタキシードの装いだ。所々に赤い石や赤い裏地をあしらった、闇に溶ける黒色の衣装。奇なるも普段からバニーの恰好をしているリーズは、露出の少なさが逆にむず痒いようだ。行きましょう、と源三郎を急かし、きっとウサギがいっぱいいるだろう城の方角へと歩いていく。

「ウサ~。ハロウィンとはいえ、この国は寂しいウサ」
「ウサウサ。ご主人様はずーっと籠ってるし。可愛い衣装はあるけど其れだけウサ……ハッ!? 敵の気配ウサ!」
「おお、流石はウサギ! 物音には敏感じゃな!」
「感心してる場合ですか…? い、行きましょう!」
 単にサボっていたところに良い遊び?相手を見つけただけのような気もするけど。リーズは駆け出して、一気にウサギとの距離を詰めた!
「よし。たろう、出番じゃぞ」
 後ろで源三郎はたぬきのたろうを取り出した。其れは大事な相棒で、大事な武器庫。彼の表も裏もサポートする、仕事の名脇役さ。
 バニーが何か動作するよりも早く、リーズが一撃をバニーに叩き込む。其れは研鑽だけが生み出せる速さ。「拳を出す」と考えるよりも早く実行する、其れって実はとても難しい。
「ウサウサウサ! 囲め囲めー!」
「吸血鬼の血なんて全部抜いてやるのウサー!」
「おうおう、そうはさせんぞい。そら、たろう!」
 くるくる、源三郎の指に合わせて、糸でつながったたろうが踊る。ぽん、ぽん、ぽんぽこりん。飛び出した暗器がリーズを囲もうとしたバニーの背中を穿つ!
「うっ! バニーの背中を狙うとは卑怯ウサ……!」
「卑怯もなにも戦いにはないわい。さあ、後ろは気にせずに! リーズ殿!」
「は、はい! ありがとうございます、源三郎さん……たろうさん!」
 仲間がいる。だから囲まれない。だから怖くない。
 リーズは蹴りを繰り出したバニーの足をするりとかわすと背後へ回り込み、その尻尾を掴んだ!
「ウサッ!?」
 偽物だけれど、バニーは吃驚。其れを――思い切り引っ張って、周囲の仲間に力任せに叩き付ける!
「うっ、ウサーッ!?」
「こいつ吸血鬼らしく怪力だウサーッ!」
「さっきからずっと思っていたのですけど……ウサギは「ウサ」とは鳴きませんッ!」
「ほっほっほ! 成程じゃ。ほれほれ、こっちもあるぞ~」
「イタタタタ! イタッこれはマジで痛……ウサーッ!!」

 リーズが肉弾戦で切り込み、後方から源三郎とたろうが援護する。
 即席ながら見事な二人の連携は、ウサギの群れを切り裂いて、ついに城への道を作るのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『十字皇麗しのシュラウレギナ』

POW   :    緋燕十字斬
【油断、慢心を捨てた事 】によって、自身の装備する【光纏いし罪の大剣・氷に包まれし罰の大剣】を遠隔操作(限界距離はレベルの二乗m)しながら、自身も行動できる。
SPD   :    下賤なる貴方達は無力、我が慈悲に随喜せよ!
【丹田に力 】を籠めた【瞬時に間合いを詰めた回避不能の掌底】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【敵意を始めとする負の感情、生きる意志】のみを攻撃する。
WIZ   :    串刺しがお好みですか?内容を決めるのは私ですが
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【光を纏いし罪の大剣と氷に包まれし罰の大剣】で包囲攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠白石・明日香です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●シュラウレギナはおなかをすかせている

「お腹が減りました」

 玉座に堂々と座る麗しの人は、しかし退屈そうに猟兵たちに言った。
「料理が食べたいです。出来れば気持ちがこもった手作りのもの。私はずっと、其れを待ち続けていました。強化されすぎたこの体では、獲物は粉々になってしまう。ウサギたちは気持ちを込めないから美味しい料理が作れない。――言っておきますが、今の貴方たちでは私には勝てない。これは手心ですよ」
 銀糸がさらりと揺れる。二つの大剣を侍らせる女帝さながらの彼女からは、確かに並々ならぬ力が感じられた。

 ――今のシュラウレギナには、束になっても勝てない。

 そんな直感が、猟兵たちの脳裏をよぎる。
 そして、彼女が言っている事が嘘ではない事も判る。目の前のオウガは嘘をつかない。

「美味しい料理を食べれば食べるほど、私は弱体化します。ついでに食レポもします。最後には城の周りにいたウサギたちよりもか弱い存在になるかもしれません。ええ、それでも構わないのです。私はお腹が減っているのです。このハロウィンの国でですよ? ハロウィンといえばお菓子じゃないですか。なのにお菓子がないとか、オウガ・オリジン様は何をしていらっしゃったんです? いえ、材料は全部厨房にあるので、作らない怠惰な私が悪いのですが。まあとにかく、私と対等、或いは其れ以上に渡り合うには貴方たちは料理を作るしかないのです」

「では厨房に向かってください。私は待ちましょう、いつまでも。この打ち捨てられた国で錆びた冠を頂いているより、美味しい料理を食べて満足して消える方が良い」

 どこか寂しげに、麗しのシュラウレギナは呟いた。
 其れは王たるものの寂しさか。其れとも、お腹が減ってアンニュイになっているのか。
 兎も角。
 今、猟兵たちの料理の腕が試される――!

---------------------------------
手作り料理で敵を弱体化させよう!
※厨房には足りないものはありません
※料理を食べていないシュラウレギナに立ち向かうプレイングもOKですが、まずもって傷をつける事はかないません
城野・いばら
お腹がすいてるの?
欲張りで、欲張らない…ふしぎなオニさん
アリス達を困らせないならね協力するわ
いばらは味覚が良く分らないけど
お腹が空く辛さはしってるもの

料理経験はお菓子を数える程度だから
今回も物知り鏡のマダム・リリーに教わるわ
はらぺこさんには…心も体も温まるお菓子が良いね
あと余りお待たせしないもの

作るのはスフレパンケーキ
煩い位に細かい、マダムの声援を受けつつ
卵白にグラニュー糖…レモン汁も忘れずに
もしもの時、は茨も咲かせて

ふわふわつんつんメレンゲさん
まぜてこねて何になる♪

上手に焼けるかドキドキだけど、
気持ちが大事って聞いたもの
自家製ローズヒップのお茶とジャム、蜂蜜も添えて
―温かな夢がみれますように




「欲張りで、欲張らない……アリスたちを困らせない不思議なオニさん」
 いばらは空腹を知らない。彼女は茨だから、人のように食事を必要としないのだ。けれど、お腹が空く辛さは知っている。お腹が減ったと座り込む仲間やアリスを、見てきたから。
「マダム。マダム・リリー。今日も教えてくださいな」
 そういばらが告げるとふわり、素敵な鏡が現れる。ドレスアップした縁、綺麗に磨かれた表面。彼女の名前はマダム・リリー。彼女におよそ知らぬことなどなく、けれどある事ない事喋る、お喋り好きの愉快なマダム!
『何だいいばら、アタシはいまフラミンゴを枕にうたた寝をしていたんだよ』
「あら、それはごめんなさい。あのね、お料理を教えてほしいの。お腹を空かせたオニさんのために」
『いばらが? 誰かのために料理を作る? 冗談はよしとくれ! アンタの大きすぎる欠点は味見が出来ない事じゃないか! となると、きっちり容量を図って見本みたいな料理を作るしかないよ!』
「ええ、ええ、それでもいいわ! オニさんのために協力してくださいな、マダム。余りお待たせしなくて済む、体も心も温まるようなメニューを!」

 そうしていばらは料理に取り掛かる。
 卵白にグラニュー糖、そうそう、レモン汁も忘れずに。後ろからマダムがやいやい声援なのか邪魔なのか判らない声を飛ばしている。

 ――ふわふわつんつん、メレンゲさん
 ――まぜて、こねて、何になる♪

 型に流し込んで、オーブンに入れる。そわそわどきどき待ちながら、いばらは止まっていられない。
 美味しいケーキには、美味しい紅茶がなくっちゃね? ジャムと蜂蜜をかわいらしいポットみたいな器に分けておいて、それから用意するのはローズヒップの茶葉。
 ポットを暖めて、蒸らして、煎れて、待つ。
 そうして――

「オニさん、オニさん」
 退屈していた麗しの人、その扉を叩く小さな拳。入りなさい、とけだるげな声が聞こえれば、うんしょ、よいしょと背中で扉を開くいばらの姿。
「パンケーキとお茶です。どうぞ、召し上がってくださいな」
「おお……これは見事ですね。私は食事の前に菓子を食べる事に躊躇いのないオウガです。ありがたく頂きましょう」
 ――まあ! ありがたくだなんて、これもハロウィンの魔法かしら?
 シュラウレギナはまずあたたかなポットからカップに紅茶を注ぎ、一口。其れから丁寧にパンケーキを切り分けて、一欠け口の中に。
「……紅茶の風味が、パンケーキの味によく合っていますね。ふんわりしたパンケーキに紅茶が染み入って、まるで紅茶のパンケーキを食べているよう」
「まあ、ありがとうございます」
 どうやら好感触のようだ。音を立てずに食べるシュラウレギナは、心なしか嬉しそうにも見える。
「……私を倒すためではなく、純粋にお腹を空かせた者のために作った味がします」
「ええ、ええ。だって貴方は、アリスを困らせようとしていないのだもの」
「アリス、か……この国のアリスはお針子の森のどこかにいる、かもしれません。何せオウガ・オリジン様が数多く作った国の一つなので、アリスが間に合わなかった可能性もあります」
 そう語るシュラウレギナの声は穏やかで。ごちそうさま、と彼女は最後のローズヒップティ―を飲み干した。
「……よい味でした。お手本のような味ではあれど、心がこもっていた。私の剣は、貴方を狙う事はないでしょう」

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒瀬・ナナ
勝利の鍵は美味しいご飯!
ならば古今東西美味しいものを食べ歩いてきたわたしが、とびきり美味しいものをご馳走してあげるから覚悟なさい!

料理は「気合い」と「情熱」でなんとかなるって、ご先祖様も言っていたから大丈夫!
鶏肉におろし生姜とニンニク、お酒とお醤油で下味を揉み込み。粉をはたいて油で揚げたら、絶品黄金色の唐揚げの完成!…火加減は「野生の勘」だけれど多分平気。
ついでに炊きたてご飯とお味噌汁もサービスしちゃうわよ。

…わたしも一緒に食べたいけれども、これはあなたの為のご飯だから我慢我慢。
お腹はいっぱいになった?
なら、とびきりの笑顔で『ご馳走様』を聞かせて頂戴ね!(遠隔操作の大剣を潜り抜けて全力パンチ)




 勝利のカギは美味しいご飯。
 美味しくなくても、心がこもっていればオウガは弱体化する。――ならば! ここは黒瀬・ナナ(春陽鬼・f02709)の出番!
「古今東西美味しいものを食べ歩いてきたわたしが、飛び切り美味しいものをご馳走してあげるわ! 覚悟なさい!」
 何より料理は気合と情熱! ――って、ご先祖様も言っていたから大丈夫! まず鶏肉をざっくりと切り分けたナナ。其れからお鍋に油をたっぷり注いで沸かす。
 肉にお酒と醤油、其れからおろし生姜にニンニクを加えて肉を揉み込む。しっかり味が染みたろう、という辺りになったら粉をはたいて、じゅうじゅう音を上げて沸き立った油の中に鶏肉をそっと入れる。鍋の上に網を敷き、頃合いを見て引き上げ、網の上で油を切る。見事な黄金色のから揚げの完成!
「……まあ、これだけ揚げたら火は通ってるでしょ!」
 火加減と頃合いはカン任せだが、大丈夫! だって料理は気合と以下略。
 更に鍋に水を張って、沸かす。にんじん、わかめ、豆腐――作るのは朝ごはんの定番、お味噌汁だ。お味噌汁と言えば? そう、ご飯だよね! ナナは水が湧くのを待ちながら米をざっと研ぎ、弱火にかける。はじめちょろちょろ、なかぱっぱ。赤子が泣いても蓋取るな、ってね。
 から揚げを飾り付け、野菜を添える。この緑色がいいんだなぁ。ご飯とお味噌汁、そしてから揚げの良い香りが厨房に満ちる。正直、一緒に食べたい。お腹が減った。けれど、これはオウガのためのご飯だから。帰ったら改めて自分のために作ることにしましょ!

「から揚げ……ですか」
「ええ! 腕によりをかけた力作よ!」
 オウガは美しい錆色の瞳を瞬かせ、目の前に並んだ和食を見た。
「見事です。あの食材から東の料理を……大変だったでしょう」
「え? あ、えー、ああ、そうね! まあ、ちょっと大変だったかも!」
 まさか労いの言葉をかけられるとは。動揺を隠しきれないまま、頬を指でかりり、と掻くナナ。
 いただきます、と東の作法で挨拶し、味噌汁をすするシュラウレギナ。
「……暖かい。ミソのよい香りがします。白米を一緒に食べたくなりますね」
「でしょー!? ご飯もちゃんとあるからしっかり食べてよね!」
「ええ。でも、その前に……」
 シュラウレギナの箸が唐揚げへと。もく、もく、もく。食べる所作はまさに両家の令嬢といった感じだ。うん、と数度頷く。
「脂っぽくなく、けれど適度にお腹を満たしてくれますね」
 其れからもシュラウレギナの言葉は続く。テイショクというものは食べたことがないが、このようなものなのだろうか? とか、いつも料理を作っているのか、とか。
 そうこうしているうちに、お皿はからっぽになり。シュラウレギナは玉座の横にお盆を置いて、立ち上がった。
「……お腹はいっぱいになった?」
「ええ、お陰様で。でももうあと一押しというところでしょうか」
「そう……まあいいわ! じゃあ、とびきりの笑顔で“ご馳走様”を――」

 ――聞かせて頂戴ッ!!

 ナナが肉薄する。シュラウレギナは体をそらすように構え、自らが従える大剣――『罪』と『罰』を操作する。くるくると回転しながらナナを切り刻もうと迫る大剣を、ナナはするりと抜けた。振り上げた右拳を、シュラウレギナの頬に振り下ろす。
「徒手空拳ですか。モノは見た目によりませんね」
 羅刹の拳を受け止めて拮抗する程度には、シュラウレギナの力はまだ健在のようだ。かわされた剣がくるりと向きを変え、ナナの背中へ一直線に飛ぶ。
「……っ!」
 ナナは跳んだ。ひやり、背中をかすめていく鋼鉄の感覚に冷や汗をかきながら着地。剣は麗しの人を守るかのように十字に突き立つ。
「あれだけ美味しいご飯を食べておいてこれ……!?」
 一方、シュラウレギナは拳を振るった。……痺れている。食事には使えようが、戦闘には使えまい。こんな感覚は初めてだった。本人は無自覚だが、……押されている。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木常野・都月
【狐兎】

分担…いつかのお菓子作った時みたいにですね!

先輩の指示があれば何とかなる!

まずは米ですね!

米研ぎは普段やってる。大丈夫。
本当、覚えておいて良かったな。

横では先輩が凄いスピードで作ってる……いい匂い。

先輩、できました!

次は…南瓜のヨーグルトサラダ?
俺でも平気かな。
とりあえず言われた通りに作りたい。

南瓜を切って、ラップして、レンジで4分位チーンって温めて。
温まった南瓜をボウルに移して
潰すようにかき混ぜる。

ヨーグルトとフレンチドレッシング、塩胡椒をパラパラして混ぜたら…出来た!

簡単だ、これ!凄い!

敵が早いなら…
[高速詠唱、カウンター]を乗せた、UC【精霊の瞬き】を光の精霊様の助力で撃ちたい。


栗花落・澪
【狐兎】

木常野さん、また分担しよっか

今回はおやつよりメインがいいかな
待たせるのも可哀想だから時短メニューで

お米研いで、炊飯器にセットしてくれる?
終わったら声かけてね

まずはフライパンにバターを溶かして牛肉を炒める
お肉に色が付いてきたらしめじも入れて
ポン酢を混ぜたら火を止めて、溶ける系チーズを乗せてグリル!
一品目完成!

木常野さんの手が空いたら
南瓜のヨーグルトサラダの作り方を指示
これなら木常野さんでも出来るはずだけど…
もしわからないことあったら聞いてね

合間に真心込めたお味噌汁を作って
ご飯もよそえばちょっとした定食完成!

攻撃は回避間に合わないくらい速いなら
当たる前に【破魔】の【指定UC】のカウンターを




「木常野さん、また分担しよっか」
 澪は依然お菓子を作ったときみたいに、と都月に提案する。
「あの時みたいに……ですね!」
 はい、と頷く都月。
「今回は時短メニューで…おやつよりはメインがいいかな」
「そうですね。相当にお腹を減らしてるみたいでしたし」
 米の準備をしながら都月が言う。米の研ぎ方は覚えている。覚えていてよかった。
 澪はそうだね、と言いながら手を止めない。フライパンにバターを溶かし流して、牛肉を炒める。ムラなく炒めて、肉に色がついてくる頃合いで、ほぐしたしめじを入れる。バターが染みわたるようによくよく混ぜて、ポン酢を入れる。そうしたら火を止めて、溶けるチーズを乗せて、グリル!
「わあ……」
 其の様を、お米を炊飯器に入れながら都月は見ていた。目が離せない。澪の手で食材が美味しい食事へと生まれ変わる様は、何度見たって見慣れるものじゃない。やっぱり先輩はすごい。――はっ! 見とれている場合じゃなかった!
「せ、先輩! できました!」
「できた? じゃあ、次は……」

 南瓜のヨーグルトサラダ? 俺に出来るかな。
 不安ながらも都月は、澪に言われた通り南瓜をざっくり切る。あとからつぶしやすいくらいの大きさに切ったら、ラップをかぶせてレンジに突っ込む。
 数分経って、ちん、とレンジが合図をしたらすぐに出して、ボウルへと移し、つぶすように木のヘラでかき混ぜる。柔らかくなった身と皮がほぐれ、柔らかな一つの塊へとなっていく。
 ある程度ほぐれたらヨーグルト、フレンチドレッシング、其れから塩胡椒。そうしてさらに混ぜる。ヨーグルトのお陰でだいぶ混ぜやすい。
 ――わあ、あっという間にできた! すごい!
 小皿にヨーグルトサラダをよそいながら、やっぱり先輩はすごい、と憧れを募らせる都月であった。

 澪はその間にお味噌汁をセットしていた。卵を一つ落として、味を楽しめるように。そしてご飯も忘れない。合わせれば一つの定食が出来上がる。
「木常野さん、どう?」
「はい、出来ました! 先輩はどうですか?」
「こっちも出来たよ。じゃあ、持っていこうか」
 ――相手がどれくらい弱るか、楽しみだね。

「……チーズの香りがしますね」
 シュラウレギナは配膳された料理の香りを味わっていた。香ばしいチーズの香りと…少し混じる酸っぱさは何だろう。酢、だろうか?
「それからこちらのサラダも美味しそう。これは最後に頂く事にしましょう」
 慣れた様子でお箸を持って、味噌汁とご飯を味わう。味噌汁に入った卵をほぐし、味を柔らかくしてまた一口。よいですね、と呟く。
 主菜――牛肉としめじのチーズグリルに箸をつけ、一口。
「……!」
 目を見開いたシュラウレギナに、澪と都月は僅かに身構える、が。
「…チーズの中に、ポン酢の酸っぱさが混じっていますね…こってりしすぎない、爽やかな味わいがあります」
 淑やかな唇からまろびでた驚嘆の言葉に、二人はほっと胸をなでおろし。
 三つの器をあっという間に空にしたシュラウレギナは、ヨーグルトサラダに手を付ける。ごくり、と知らず都月の喉が鳴った。
「……」
 スプーンですくって、食べる。其れだけの動作がこんなにも長く感じる。
 咀嚼しながら数度うん、うん、と頷く麗しの人。
「ヨーグルトの甘酸っぱさに、南瓜の甘さがよく合っています。デザートかと思いましたが、甘すぎないので立派に一品として出せる味ですね。南瓜ペーストも重すぎる舌ざわりではありません。しっかり練った証でしょう」
「よ、よかったぁ……」
「ふふ、良かったね、木常野さん」
「本当ですよ……」

 もくもくと食べ終わったシュラウレギナは、ゆるりと立ち上がった。
 澪と都月が身構える。シュラウレギナが纏う気は、戦いを予感させるもの。
「……とても美味しい料理をありがとうございました。おかげで私は、ようやく死に近付けた」
 ――だから此処からは、戦いの時間。
 私がどれだけ弱くなったのか、貴方たちの剣で確認してみなさい。

「ふ、っ!」
 気合一閃。シュラウレギナが踏み出し、一気に澪に距離を詰める。
「(――遅い)」
 澪は目に見えてシュラウレギナの弱体化を知る。料理を食す前の彼女なら、カウンターすら間に合わなかっただろう。しかし今は、十全にカウンターを仕掛ける事が出来る……!
「先輩!」
「大丈夫! “光あれ”!」
 世界が瞬く。光あれ、と天使が呟いたから。
 掌底を繰り出そうとしたシュラウレギナの体が吹き飛んだ。其の体は木の葉のように軽く――くるりくるり、と回転して彼女は玉座に戻る。
「凄く弱体化してる――木常野さん!」
「はいっ! “精霊様”――“最速で”!」

 およそ、93分の1。
 秒を93に切り分けて、其の1の時間で、光の矢が飛翔する。澪には其れを目視することは出来なかったし――シュラウレギナにも、出来なかった。
 どっ、とドレスの際、胸の中央に突き立った矢に、こぷ、と血の塊を吐くシュラウレギナ。
 身を焼かれ、貫かれた。ああ、私は思ったよりも弱くなっていた。
 でも――

「……見事です」
「……」
「最初に言ったでしょう。錆びた冠を頂くより、美味しい料理を食べて満足して消える方が良いと」
「……貴方は、満足した?」
 澪が問う。ええ、とシュラウレギナは頷いた。
「満足ですよ。……とても、とても……ああ、でも……出来るなら、おかわりを、……したかったかしらね……」

 沈黙したオウガ。
 まもなくこのハロウィンの国は消え去り、バニーも錆びた冠の主もいなくなる。
 すべてはひと時の優しい夢。
 お針子の森が紡いだ、ちょっぴりヘンで面白おかしい、一晩の――

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月03日


挿絵イラスト