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南瓜色のトッカータ

#アリスラビリンス #【Q】 #お祭り2020 #ハロウィン

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●南瓜色のトッカータ
 迷宮災厄戦にて猟兵たちの手で倒されたオブリビオン・フォーミュラ――オウガ・オリジンは、現実改変ユーベルコードという凄まじい力を用いて、幾つもの不思議の国を生み出し、あるいは改変していた。
 そして今回、オウガ・オリジンによって『ハロウィンの国』に改変された不思議の国がいくつも発見されたのだとキトリ・フローエ(星導・f02354)は瞳を輝かせながら猟兵たちへ告げる。
「とにかくハロウィン! って感じの世界なの。森には喋る南瓜のランタンや南瓜のタワーが飾られていて、まるで南瓜行列をするためだけに作られたみたいな長い道がお城まで続いているの。お城にはキッチンがあって、どんな料理でも作ることが出来るみたい。パーティーをするのにぴったりな場所よ!」
 だが、オウガ・オリジンの作った国は悲劇を生み出すために存在している。この不思議の国も例外ではなく、一度足を踏み入れれば、オウガ・オリジンから直接力を与えられた凶悪なオウガたちが襲い掛かってくるのだ。
「そのオウガたちを倒して、みんなの力でハロウィンの国を取り戻してほしいの!」

 不思議の国を支配しているオウガの元へ辿り着くには、ハロウィンらしく南瓜で彩られた森を抜ける必要があるとキトリは続ける。
「森にはお伽噺のアリスに似た姿の、時計ウサギのオウガたちがたくさんいるわ。それとね、とにかく色んなお洋服が南瓜から飛び出してくるの!」
 飛び出してくる衣服は、いわゆるハロウィンの南瓜行列に用いられるものばかりで、何故かオウガたちはそれぞれその衣装を纏い、常にない力を得ているのだという。
「だからみんなもその衣装を着れば、オウガたちに負けない力が出せると思うわ!」
 どのような衣装が飛び出してくるかはわからないが、強く念じればもしかしたら望む一着に出逢えるかもしれない。たとえ全く望まない衣装が飛んできたとしても、覚悟を決めて着替えることで、それはもう、尋常でない力が引き出されることもあるだろう。
 そうして偽物のアリスたちが支配する森を抜ければ、その先には豪華な城が建っている。
「不思議の国を支配する、いわゆるボスのオウガってところね。こっちも見た目は可愛い、お姫様みたいなオウガなのだけれど、ハロウィンの国の法則っていうのがあってほぼ無敵なんですって。……でもね、勝つための方法がちゃんとあるの」
 それは『美味しい料理を食べさせること』だとキトリは力強く告げた。
 過日の大戦の際に、オウガ・オリジンにて料理を振る舞った経験がある者もいるだろう。その時と同様に、城にはあらゆる食材と大きな竈を備えたキッチンがある。そこで美味しい料理を完成させれば、オウガはハロウィンの国の法則に従い、抵抗せずに食べることだろう。
「みんなの料理を食べたオウガは丁寧な感想をくれて、それで、だんだん眠くなっていくみたいなの」
 料理を食べさせ続けて完全に眠らせることができれば、無敵状態が解除され、一撃で倒せるようになる――とのことだ。
「そうそう、味に自信がなくても、まごころさえこもっていれば大丈夫よ。――というわけでみんな、ほんの少しだけ早いハロウィンを楽しみつつ、不思議の国を取り戻してきてね!」
 キトリは満面の笑みを浮かべ、猟兵たちを送り出すのだった。


小鳥遊彩羽
 ご覧くださいましてありがとうございます、小鳥遊彩羽です。
 今回は『アリスラビリンス』での【Q】シナリオをお届け致します。

●シナリオの流れと補足など
 第1章:『『偽アリス』アリーチェ』(集団戦)
 第2章:『ネガ・アリス』(ボス戦)
 となっております。2章構成のシナリオです。
 10/31までに成功した【Q】シナリオの本数に応じて、ハロウィンパーティ当日、そしてやがて始まるであろう「アリスラビリンスでの猟書家戦」に、何らかの影響があるかもしれません。

 第1章は【集団戦】です。
 オウガの軍勢は、森から飛び出してきた仮装でパワーアップしています。こちらも森から飛び出してきた仮装の衣装を身につければパワーアップします。
 基本的に衣装はランダムです(ダイスを振ります。だいたいハロウィンパレードのページ内の仮装アイデア表のどれかになります)が、どうしてもこれを着たい!もしくは絶対に着たくないというご希望がありましたらご指定頂いても大丈夫です。
(なお、全く望まない衣装だったとしても、それを着て頑張って戦うといったプレイングをかけて頂いた場合はプレイングボーナスが付与されます)

 第2章は【ボス戦】です。
 オウガのボスはハロウィンの国の法則によってほぼ無敵ですが、『美味しい料理を食べさせること』で倒すことが可能になります。
 キッチンで美味しい料理を作り、ボスに食べさせてください(美味しくなくても、気持ちがこもっていれば大丈夫です)。
 完成した料理を食べたボスは、おいしさについて事細かに批評、称賛した上で、段々眠くなります。
 料理を食べさせ続けて完全に眠らせれば無敵状態は解除され、倒せるようになります。

 仮装やお料理をわいわい楽しみながら戦う感じのシナリオになるかと思います。
 ご一緒される方がいらっしゃる場合は【お相手の名前(ニックネーム可)とID】もしくは【グループ名】をご記載下さい。
 プレイングの受付はOP公開時より。以降の進行状況及びプレイングの受付期間などは、随時マスターページにてご案内させて頂きますので、ご確認頂ければ幸いです。

 以上となります。どうぞ宜しくお願い致します。
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第1章 集団戦 『『偽アリス』アリーチェ』

POW   :    ミルクセーキはいかが?
【怪しげな薬瓶】が命中した対象に対し、高威力高命中の【腐った卵と牛乳で作ったミルクセーキ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    甘いおねだり
レベル×1tまでの対象の【胸ぐら】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
WIZ   :    お茶を楽しみましょ?
【頑丈なティーポット】から【強酸性の煮え滾る熱湯】を放ち、【水膨れするような火傷】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 森の至る所に飾られたジャック・オー・ランタンが、猟兵たちを出迎える。
「ハッピー・ハロウィーン! 衣装はいかが? お菓子はないけど衣装はあるよ!」
「お菓子ハナイケド衣装ハアルヨ!」
 復唱するのはタワーのごとく積み上げられた南瓜たち。
 次の瞬間、ぽん! と何かが弾けるような音が響いて、南瓜から仮装用の衣装が飛び出した。
 魔女の衣装はオーソドックスなローブ状のものから、いわゆる魔法少女的な衣装もある。
 ちょっとボロボロの白い布は被ると目の辺りに穴が空いていて、どうやらおばけのシーツのようだ。
 他にも黒を基調とした吸血鬼の衣装に、血のような赤い色が滲んだ白衣やクラシカルなメイド服まで種類は様々。
「あら、あなたたち、ここから先には行かせないわよ?」
 すると、森の奥から楽しげに笑う声が響いて、行く手を阻むようにオウガの群れが姿を見せた。
 それは、お伽噺のアリスに似た姿でアリスたちを惑わせるという、偽物のアリスたち。
 いつもならばアリスを思わせる可愛い衣装に身を包んでいるはずの彼女たちも、今は南瓜から得た衣装を纏っている。
「わるいアリス! わるいアリスをやっつけて!」
「ガンバレ! ガンバレー!」
 ジャック・オー・ランタンは、どうやら猟兵たちを応援してくれているらしい。
 仮装により、常にない力を得ている偽物のアリスたち。
 それに対抗するには、こちらも仮装の衣装を身につける必要があるだろう。
 ――とは言え、どんな衣装が出てくるかはわからない。
 運を天に任せるか、強い意志で望む衣装を引き当てるか。
 全ては、あなたたち次第。
フリル・インレアン
[仮装はランダム(運も実力の内、苦戦以下でも構いません)で帽子はバンダナ等の頭部を覆う物も含みます。]
ふええ、お、おかしいです。
カボチャさんから頂いた衣装を着て戦えば勝てるはずなのに、どうして私はこうしてピンチになっているんでしょうか?
何か足りないものが
そうです、この衣装に合った帽子がないんです。
カボチャさん、この衣装に合った帽子はありませんか?

帽子を受け取ったら、すぐに被り美白の魔法で私を掴んでいる手を滑らしてからの反撃です。

ふええ、この衣装に合う帽子があってよかったです。
もし、この衣装に合う帽子がなかったら・・・。



 葡萄のような濃い紫色の空に、金色の星がいくつも輝いている。
 鬱蒼と茂る森はどこまでも暗いけれど、そこかしこにぶら下がり、あるいは置かれたジャック・オー・ランタンの光が華やかに森中を照らし出していた。

 ――その、一角で。
「……ふええ、お、おかしいです」
「どうしたの、アリス? そんなに苦しそうな顔をして」
 愛らしい微笑みを浮かべながら小首を傾げる『偽アリス』――アリーチェに、為す術もなく胸ぐらを掴まれて。
 華奢な腕に軽々と持ち上げられながら、フリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)は力なく声を落としていた。
 向こうでは相棒でもあるガジェットのアヒルさんが、アヒルさんサイズのシルクハットに蝶ネクタイ、そして燕尾服を着てガァガァとやる気に満ちた声を上げながら戦っている。
 一方フリルはというと――名前がそうだからというわけでは決してなかったのだけれど、レースやフリルの飾りがたっぷりとあしらわられた、黒を基調としたワンピース――いわゆるゴシックでロリータな感じのワンピースに着替えていた。
「アリスー! ガンバレー!」
 フリルが纏うワンピースは、すぐ後ろで応援してくれているジャック・オー・ランタンから飛び出してきたもの。
 しかし――。
(「カボチャさんから頂いた衣装を着て戦えば勝てるはずなのに、どうして私はピンチになっているんでしょうか……?」)
 胸ぐらを掴むオウガの手を頑張って引き剥がそうとしても、びくともしない。
 仮装に着替えたにもかかわらず、フリルは何故か本来の力以上のものを発揮できないまま、一方的にオウガの攻撃に晒されるばかりだった。
「ねえ、アリス? このままだとわたしたちの美味しいご飯になってしまうけれど……いいの?」
「ふええぇ……」
 バニーガールの仮装をしているオウガにぶんぶんと振り回されながら、フリルは必死に考える。
(「もしかして、何か足りないものが……?」)
「――ガァ!」
 その時、負けるな、とばかりにアヒルさんの大きな声が響いた。
 遠くでオウガたちを引きつけながら戦っているアヒルさんはどうやら衣装でちゃんとパワーアップしているらしく、いつにない俊敏な動きで強烈な飛び蹴りを叩き込んでいるのが見える。
 それから己の胸ぐらをつかんだままのオウガへ視線を戻せば、黒いバニーのつけ耳が揺れていて――。
 そこで、フリルははっと気がついた。
(「――そうです、この衣装に合った帽子がないんです」)
 ジャック・オー・ランタンへ手を伸ばし、フリルは懸命に呼びかける。
「カボチャさん、この衣装に合った帽子……頭にかぶるものはありませんか?」
「ボウシ? アルヨ! オ菓子ハナイケド、ボウシヲドウゾ!」
 すると、ジャック・オー・ランタンのオレンジの光が、色を変えながらぴかぴかと明滅を始めて。
 次の瞬間、ジャック・オー・ランタンからぽーんと飛び出したヘッドドレスをキャッチしたフリルは、少し覚束ない手付きながらも何とか装着し、そして――。
「なんだか力がわいてくるような気がします。これなら大丈夫です」
「えっ……!?」
 オウガの少女が声を上げた時には、フリルの身体はするりと拘束から逃れていた。
 ふわりとフリルの身を包むのは、しっとり艶々なお肌を守る美白の魔法――有害な光から肌をケアする蒸気だ。
 それにより摩擦抵抗を極限まで減らしたことでオウガの手からようやく逃れたフリルの元に、アヒルさんが倒しきれなかったオウガたちを連れて飛び込んでくる。
「ガァ!」
「ふええ、は、反撃ですっ」
 フリルはサイキックエナジーを操り、アヒルさんと共にオウガを蹴散らしていった。

 ――やがて。
 無事にオウガの群れを撃退したフリルは、ほっと胸を撫で下ろした。
「ふええ、この衣装に合う帽子があってよかったです」
 もしも帽子がなかったら――本当にオウガたちの餌になってしまっていたかもしれない。
「……ふえぇ、食べられたくはないのです」
 ふるふるとかぶりを振ってもしもの想像を追い払いつつ、フリルとアヒルさんは先へ急ぐのだった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

蛇塚・ライム
姉さん(f05152)と一緒に

私の初任務にぴったりな内容って聞いていたけど……
姉さん、もしかして騙したのかしら?💢
なんで【バニースーツ】を私が着なくちゃいけないのよ!
いや、オウガに勝つためって

ちょ、姉さんんんっ!?
もう、姉さんってば、どうして変な方向へ思い切りが良いのよ!

というかあなた達?
さっきから薬瓶やら異臭物を投げ付けないでくれるかしら!?
もう怒ったわ!
来なさい、炎鋼巨神カマドG!
爆炎紅蓮色の覇気を纏い、この地に降臨しなさい!

カマドGに乗り込んで兎を蹴散らすわ
薬瓶やティーポットは、覇気とヒートクローで武器受け・焼却
そのまま体高5mの巨体からUCを放つ
神罰・グラップルで文字通り一撃必殺よ!


蛇塚・レモン
妹のライム(f30196)と!

あたいは騙してないよっ?
ライムのバニースーツ、かぁいい~っ!
これもオウガに勝つためだよっ!

よ~しっ、あたいもっ!
(レモンは【河童のきぐるみ】を手に入れた!)
……ヨシ!(片足上げて指差し確認)

それじゃ、こっちも数で対抗するよっ!
蛇神様に村のみんな、お願いっ!

UCで眷属達が宿った埴輪兵445体を乗せた八首の有翼蛇神を上空に召喚
上空から念動力+衝撃波の弾幕+乱れ撃ち
なぎ払いの範囲攻撃で吹き飛ばし、精神攻撃+恐怖を与える

兎のティーポットは眷属達の盾受け+あたいのオーラ防御で寄せ付けない
トドメは蛇神様の8ツ首のブレスの衝撃波+爆撃と
あたいの全力魔法の呪殺弾で貫通攻撃だよっ!



「私の初任務にぴったりな内容って聞いていたけど……姉さん、もしかして騙したのかしら?」
 ジャック・オー・ランタンから渡された衣装に着替えた蛇塚・ライム(その罪名は『憤怒』・f30196)は拳を震わせながら、きらきらと瞳を輝かせている姉――蛇塚・レモン(蛇神憑きの金色巫女・f05152)をジト目で睨みつける。
「――なんで! バニースーツを私が着なくちゃいけないのよ!」
 そう、ライムが南瓜から渡されたのは――バニースーツ。
 うさ耳に網タイツ、ハイヒールまできちんとセットで飛び出してきたのは、見えざる何かのとてもつよい意思が働いているとしか思えなかったほど。
「ライムのバニースーツ、かぁいい~っ!」
 ちょっぴり涙目のライムに睨まれても、レモンは全く動じることはなくにこにこと笑みを浮かべたまま。
「あたいは騙してないよっ? これもオウガに勝つためだよっ! ――よ~しっ、あたいもっ!」
 レモンは手を伸ばし、カッと光を放ったジャック・オ・ランタンから飛び出してきた衣装を掴み取るとそのまま木の陰へ。
「いや、オウガに勝つためって……ちょ、姉さんんんっ!?」
 程なく姿を見せた姉の姿に、ライムは絶句する。
 つぶらな瞳に黄色いくちばし、そして大きな頭上の皿。背中にはちゃんと甲羅の柄も描かれており、着心地の良さそうな生地で作られたそれは――結構本格的な河童の着ぐるみだ。
「……ヨシ!」
「もう、姉さんってばどうして変な方向へ思い切りが良いのよ!」
 存外、というより寧ろものすごくノリノリで片足を上げて指差し確認をしているレモンの姿に、ライムは頭を抱えて項垂れるしかない。
 ――すると。
「まあ、可愛いじゃない。二人ともよく似合ってるわよ? ……さあ、お茶を楽しみましょう?」
「それともミルクセーキはいかが?」
 いつの間にやら二人を囲むように現れていたオウガの少女たちが、くすくすと笑いながら怪しげな薬瓶を投げつけてきたり、頑丈なティーポットから強酸性の煮え滾る熱湯を注いできたりと容赦なく二人を攻め立ててくる。
 オウガの少女――アリーチェたちは、どうやらスチームパンク風味のワンピースやらメイド服やらを着ているようだ。
「……というかあなた達? さっきから薬瓶やら異臭物を投げ付けないでくれるかしら!?」
 辺りに充満する腐ったミルクセーキの臭いに眉を顰めながら、ライムは偽のアリスたちへと向き直ると、高らかに声を上げた。
「もう怒ったわ! 来なさい、炎鋼巨神カマドG! ――爆炎紅蓮色の覇気を纏い、この地に降臨しなさい!」
 凛と響くライムの声。同時に顕現した相棒たる真紅の鋼神ロボット――カマドGに颯爽と乗り込んだライムは、常にない力が満ちてゆくのを感じていた。
 考えるまでもなく、バニースーツを着たことによって得られた力だろう。心なしか、カマドGもいつになく張り切っているようだ。
「バニースーツでパワーアップなんて全ッ然嬉しくないけど……!」
 しかし、これも姉の言うとおり、オウガに勝つためには避けて通ることなど出来ない――必要な、ことなのだ。
「それじゃ、こっちも数で対抗するよっ! 蛇神様に村のみんな、お願いっ! あたいに力を貸してっ!」
 着ぐるみ河童のつぶらな瞳がきらりと輝いた――かもしれない。
 レモンの声と祈りに応え、上空に現れたるは巨大な八首の有翼蛇神。その背には蛇神オロチヒメの信者であるかつての村人たちの霊が宿る、万物を斬り裂く霊剣と水の大盾で武装した埴輪兵の姿が整然と並ぶ。
 八首の蛇神が天地を裂くような咆哮を上げ、埴輪兵たちが霊剣から放つ衝撃波でオウガの群れを薙ぎ払う。
 ティーポットから注がれる燃え滾るような熱湯は、幾重にも重ねたレモン自身のオーラの守りや眷属達の盾によって弾かれた。
「なに……? 何なの、あれは……!?」
 ひと睨みで忽ちの内に恐怖を植え付けられたオウガの少女たちは、もはやまともに動くことさえ叶わない。
「姉さん! 合わせるわ!」
「うん、行くよ、ライム!」
 なおも飛来する薬瓶やティーポットを爆炎紅蓮色の覇気を纏うカマドGの指先で焼き払いながら、ライムは強く拳を握り締め、カマドGの体高5メートルの巨体――その神の拳をオウガの少女たちへと叩きつける。
 そして、レモンもまた膨大な霊力を呪殺弾に変えて放ち――。
「――きゃああああっ!」
 同時に上空から降り注いだ大蛇の八ツ首のブレスが膨大な熱量でオウガたちの悲鳴ごと飲み込んで、文字通り、塵ひとつ残さず焼き尽くした。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミア・ミュラー
おー、かぼちゃさんが、いっぱい。ここを取り戻せたら、楽しいハロウィンパーティーができそう、ね。そのためにもわたし、頑張る。

まずは仮装、ね。着たくない衣装は別にないけど、動きづらいのはちょっと苦手、かも。けど、せっかくかぼちゃさんたちが用意してくれたものだし、みんなが似合うって言ってくれるなら、わたしもこの衣装で頑張って、みる。
あなたたちも仮装似合ってるのに、戦わないといけないのは残念、ね。熱湯は危ないし衣装を濡らしたくないから、余った衣装とか周りの物を【雷盾】で盾にして、防御。これなら錆びたり壊れないから、安心。飛び散ったお湯も風を纏わせた傘でちゃんと防ぐ、ね。防いだらお返しに雷を、あげる。



「おー、かぼちゃさんが、いっぱい」
 見渡せば、そこかしこに灯るたくさんの光。
 両手で抱えなければ持ち上げられないくらいの大きさの、オレンジや黄色、青や紫、緑に白――様々な色のジャック・オー・ランタンやそれらが積み重なったパンプキンタワーは、そのどれもが楽しげな顔で、森へ訪れたミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)を歓迎してくれていた。
「ようこそアリス! 僕らの国へ!」
「ヨウコソ、ヨウコソ!」
 けれど、辺りに満ちるオウガの気配が、ここがオウガ・オリジンによって創られ、そしてオウガが支配するハロウィンの国だと教えてくれていた。
「ここを取り戻せたら、楽しいハロウィンパーティーができそう、ね。……そのためにもわたし、頑張る」
 淡々と紡がれる言葉は、けれど確かな意思をもって響く。
「まずは仮装、ね」
 こくりとひとつ頷くと、ミアは南瓜たちへ向き直る。
「……かぼちゃさん、かぼちゃさん、力を貸してほしい、の」
「任せて、アリス! いっくよー!」
 控えめなミアの声に朗らかに応えたジャック・オー・ランタンが、全身(?)からまばゆい光を放つ。
 次の瞬間、ぽん、と何かが弾けるような音ときらきらしたエフェクトと共に、ジャック・オー・ランタンから飛び出したのは――。
「これは……修道服?」
 ミアの目の前にふわふわと浮かぶ、濃紺色の修道服。
 とは言え質素なデザインではなく、白く大きな襟元や袖口にフリルがあしらわれていたりリボンの飾りがついていたりと、仮装らしい可愛い作りになっていて。
「早速着てみてごらん! ほら!」
 それからもう一度ぽん! と軽やかな音ときらきらが弾けた時には、不思議の国の不思議な力で着替えが終わっていた。
 スカート部分の丈は長めだが、裾がふわりと広がって動きづらいというほどではない。
「……似合う、かしら?」
 着替えたミアの姿に、ジャック・オ・ランタンたちはより一層楽しげにぴかぴかと光を明滅させる。
「アリス、よく似合ってる!」
「カワイイ! カワイイ!」
「うん、みんなが似合うって言ってくれるなら、わたしもこの衣装で頑張って、みる」
 ジャック・オー・ランタンたちの言葉にミアが小さく頷いた、その時。
「――まあ、わたしたちもあなたを歓迎するわ、アリス?」
 どこからともなく現れたオウガ――アリーチェたちの姿に、ミアは改めて気持ちを引き締める。
 アリスのような風貌の、けれどアリスではない、偽物のアリス。
「やっぱり、あなたたちも仮装をしているの、ね」
 確かめるようにそう呟いたのは、そんな、『偽アリス』と呼ばれる彼女たちの装いが、動物の着ぐるみやメイド服、キョンシーやシーツをかぶったお化けなど、それぞれ異なるものだったから。
「あなたたちも仮装、似合ってるのに、戦わないといけないのは残念、ね」
「そうね、とっても残念。だからせめて、あなたを美味しく食べてあげるわ」
「その前に、お茶を楽しみましょ?」
 あどけなく微笑みながら、アリーチェたちは繊細な模様が描かれたティーポットを取り出し一振り。煮え滾る熱湯をばら撒いてきた。
 強酸性のそれを浴びればひとたまりもないだろう。ともすれば、ハロウィンの力により威力を増した攻撃は、火傷では済まされないかもしれない。
 だからこそ彼女たちの攻撃をまともに受けるつもりはないし、それに、せっかく南瓜たちが用意してくれた衣装を濡らしたり傷つけたくはないから。
「其は雷……遮り、迸れ」
 ぽつりと紡がれた言の葉に従って周囲を吹く風が瞬く間にミアの手の内に収束し、そして、雷の力を宿す魔法の盾へと変化する。
 たとえ強酸性の熱湯を浴びても、錆びたり壊れたりしない魔法の盾。はずみで飛び散ったお湯も、風の力を纏わせた――白いレースの魔法の傘が防いでくれるから安心だ。
 守りに徹したミアには傷一つなく、攻撃が届かなかったことにアリーチェたちは驚きを隠せない。
「うそっ……わたしたちの力が効かないなんて……!」
 そんな彼女たちを見やり、ミアはくるりと傘を回して静かに告げた。
「――お返しに雷を、あげる」
 刹那。
「きゃああああっ!!」
 そっと伸ばした手の先に輝く雷盾から放たれた鮮烈な光が、アリーチェたちを一斉に穿つのだった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
【花澤まゆちゃん(f27638)と一緒に】
ハロウィンって言ったらお菓子だよなぁ
…え、衣装しかないって?まあ、それはそれで
どんな服でもバッチリ着こなしてみせるぜ

(ぽん!)これって…ガッチガチの鎧じゃないか
兜も付いてて豪勢だな…ただちょっと動き難いなこれ

まゆちゃんはどうだった?…って見ようと思ったら兜がぶかぶかで見えねぇ
なんか悲鳴上げてたけど大丈夫かー?

ともあれ、準備はできたし戦闘だ
ヤル気と力に満ちたまゆちゃんの後ろから援護射撃
見えずとも当てる手段はあるんでね
翻弄されてる奴からバンバン撃ち抜いちゃるぜ

まゆちゃんお疲れさん。凄い活躍だったな
どんな仮装だったんだ(兜外し)…ってあれ、いない

アドリブ歓迎


花澤・まゆ
【星野祐一さん(f17856)と一緒に】

ハロウィンと言ったら仮装だよね
ジャック・オ・ランタンさん、任せて!
どんな仮装でも華麗に着こなしちゃうから…

…ってバニーガールの衣装はいやああああっ

こんな恥ずかしい衣装、祐一さんの前で着られないっ
いや、あの、祐一さん、見えてない?
なんでもないの、なんでもないのー!

でも、ああもう、これで戦えって言うなら速攻で叩きのめすよ!
UC起動、祐一さんにも見えないくらいの速度で移動して
衝撃波で吹き飛ばしてあげるっ
衣装の恨みつらみも一緒にえいえいえいっ

ゆ、祐一さん、見てないよね…?
急いでその辺にある衣装に着替えちゃおう!

アドリブ歓迎です



「ハロウィンって言ったら、やっぱお菓子だよなぁ」
「お菓子はナイけど衣装はアルよ!」
「とっておきの衣装をあげるヨ!」
 薄暗い森をまばゆく照らし出す、たくさんのジャック・オー・ランタンの光。
 それを放つ南瓜たちが口々にそう声を上げるのに、星野・祐一(スペースノイドのブラスターガンナー・f17856)はぱち、と目を瞬かせた。
「……え、衣装しかないって?」
 ハロウィンと言えば、お菓子。何せトリック・オア・トリートなんて挨拶もあるくらいだ。
 キャンディやクッキー辺りは定番だろうが、南瓜を使った焼き菓子なんかも楽しめるだろう。
 けれど、ここにはそんなお菓子がないのだとジャック・オー・ランタンは言っている。
 そして、代わりにこの森に蔓延るオウガたちと対等、あるいはそれ以上の力で戦える衣装を用意してくれるのだそうだ。
「うんうん、ハロウィンと言ったら仮装だよね」
 一方の花澤・まゆ(千紫万紅・f27638)はにこにこと、この状況を楽しんでいる様子。
「まあ、それはそれで、どんな服でもバッチリ着こなしてみせるぜ」
「ジャック・オ・ランタンさん、任せて! どんな仮装でも華麗に着こなしちゃうから!」
「任せて! きっとピッタリな衣装をあげる! 何が出るかな? えーい!」
 二人の声に、ジャック・オー・ランタンも張り切ってぴかぴかと輝き出す。
 ――そして、次の瞬間。
 ぽん! と軽やかな音と共にカラフルな煙が弾けて、祐一の目の前に――全身鎧が現れた。
 それもハロウィンらしく(?)黄金色に輝いている。
「兜も付いてて豪勢だな……えっと」
 どうやって着るんだ? と首を傾げる祐一に、ジャック・オー・ランタンの目がきらり。
「だいじょうぶ! 触ってみてみて!」
 ジャック・オー・ランタンの声に手を伸ばしてみれば、もう一度ぽん! と音が響いて、忽ちの内に祐一の全身は鎧で覆われた。
 軽く腕を振るだけで、がちゃがちゃと金属がこすれ合う音が鳴る。
「……ちょっと動き難いなこれ」
 戦闘にはさほど支障がなさそうな手応えこそ感じるものの、全身を覆う金属の感触は若干重苦しい。
 けれど、鎧を着ることでいつになく力が湧いてくるような気がした。
「まゆちゃんはどうだった? ……って、見えねぇ」
 まゆがいるであろう方向に向いてはみたが、兜がぶかぶかで完全に視界が覆われており、その姿を確かめることさえ叶わない。

 勿論、まゆも祐一と同じように、ちゃんとジャック・オー・ランタンから衣装を貰っていた。
 貰って、そしてぽん! と祐一と同時に着替えた――のだが。
「ばっ……」
 見下ろせば胸の谷間が見える、露出の高い衣装――それは。
(「これは……まさか……バニー……!?」)
 どこからどう見ても、バニーガールであった。
「――いやああああっ!?」
 思わず頭上へと手を伸ばせば、まるで初めから付けていたかのようなうさ耳ヘアバンドの感触がある。
 まゆの衣装はベーシックなレオタード型の黒いバニースーツ。身体の線がきっちりと出ているものの、幸いにも付属していた燕尾ジャケットが上手くカバーしてくれていた。
 とは言え蝶ネクタイや付け襟はまだしも、網タイツにハイヒールまでしっかりと一式揃っているのはさすがと言うところかもしれない。
 その上、元よりまゆ自身が持ち合わせているスタイルの良さも相俟って、まるでジャック・オー・ランタンは最初からそれを見越していたかのように、バニーガールの衣装はまゆにとても良く似合っていたのだが――。
 正直、今はそれどころではない。
(「こんな恥ずかしい衣装、祐一さんの前で着られないよっ……!」)
「なんか悲鳴上げてるけど大丈夫かー?」
 当の祐一の声にびくりと肩を跳ねさせて、胸元を隠しつつ恐る恐る振り向いたまゆは、ぱち、と目を瞬かせる。
 見ればそこには上から下まで全身を黄金色の甲冑で覆った祐一の姿。
(「いや、あの、祐一さん、もしかして……見えてない?」)
 心なしか祐一の顔(頭)も、ちょっと違う方向を向いているようにも見える。
 おそらくは兜も衣装の一部である以上、視界が塞がれていようとも脱ぐわけにはいかないはずだ。
 まゆにとっては色々な意味で、不幸中の幸いとしか言いようがなかった。
「……なんでもないの、なんでもないのー!」
「そっかー? ならいいんだけど……」
 ――ともあれ、これで戦闘準備は整った。
 同時に二人の気配を察したのか、あちらこちらからオウガである少女たちがやってくる。
 アリスのようで、アリスではない、『偽アリス』――アリーチェ。
 いつもならばアリスが着るような可愛らしいエプロンドレスに身を包んでいる彼女たちも、今はそれぞれ仮装をしていた。
 オーソドックスな魔女にスチームパンクなワンピース、キョンシーや十二単を纏う少女もいる。まあ、今の祐一には見えないのだが。
「あらあら、よくお似合いよ?」
 そして、アリーチェたちの何気ない言葉に、まゆは頭の中で何かが切れる音を聞いたような気がした。
「ああもう、これで戦えって言うなら速攻で叩きのめすよ! ――桜の香りで惑わせて! あげる!」
 幻朧桜の香りを纏い、慣れぬヒールを履いているとは思えぬほどに軽やかに地を蹴ったまゆの身体が、空気に溶け込むように瞬時に掻き消える。
「きゃあっ!?」
 まるで鎌鼬に斬り裂かれたように倒れ込むオウガの少女。
 まゆの姿は消えてしまったわけではない。
 正確には、目にも留まらぬ速さで動きながら、敵へと刃を振るっていた。
 妙にやる気に満ちたまゆの力強い声に祐一は口角を上げ、敵陣へ飛び込んでいった彼女の後ろから援護射撃に徹することに。
「兜を脱がなくていいの? それじゃあ、当てられないんじゃない?」
 くすくすとあどけなく笑う少女の声に、祐一は笑みを深くしながらリボルバー型の熱線銃を構える。
「なに、見えずとも当てる手段はあるんでね。そっちこそ、そんなに余裕ぶってていいのか? ――瞬いてる暇なんてねえぞ!」
 銃口に、青白い輝きが宿る。
「――えいえいえいっ! えーいっ!」
 退魔の霊刀を振るい衝撃波を放つまゆ。まゆが刀を振るうたび、微かに高い小鳥の声のような音が鳴り響く。
 オウガの少女たちは兎よりも速く地を駆けるまゆの姿を捉えることさえ叶わぬまま、瞬く間に斬り伏せられていった。
 衣装の恨みつらみも一緒に籠められていたからか――否、バニースーツによりとてつもない力を得たまゆの一撃は、まさに嵐の如しであり。
 そんなまゆの凄まじい剣戟に翻弄されるがままのオウガたちを、祐一は的確に青白い光弾で撃ち抜いていった。

 ――やがて。
 二人の縦横無尽な戦いぶりによって、周囲からオウガの気配はすっかり消え失せていた。
「まゆちゃんお疲れさん。凄い活躍だったな。……ってあれ、いない?」
 兜を脱ぎながらまゆへと労いの声を掛けようとした祐一だったが、つい先程までそこに居たはずのまゆの姿は忽然と消えていた。
「おーい、まゆちゃーん?」
 果たしてまゆはどんな仮装をして戦っていたのか。折角のハロウィンだし、記念に見ておきたかったのだけれど。

「ゆ、祐一さん、見てないよね……?」
 戦場を駆けた勢いそのままに木陰に飛び込んだまゆは、そこでようやく一息つき、そして、すぐにぶんぶんと勢いよく首を横に振る。
「急いで着替えなくっちゃ……! 何か……ジャック・オ・ランタンさん……!」
 縋るように南瓜たちを呼ぶまゆであったが、よく見れば、辺りにたくさんの衣装が散らばっていて。
 その中から別の一着を見繕い、まゆは何とかバニースーツから着替えて事なきを得たのだった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アニカ・エドフェルト
(仮装はランダム、NGなし)

気楽に、いられるような、場ではない、とはいえ…。
ちょっと、楽しみです、ね。
何が、出てくるでしょう……

…わぷっ!?
(飛び出してきた何かしらの仮装が顔に直撃、そのまま不思議な力で着替えてる)
なるほど、こう、来ましたか…
あとは、この仮装と、どれだけ共鳴、出来るか、ですねっ

うぅ、普段の、衣装じゃ、ないので、動きが、慣れない、ですね…。
最初のうちは、動きが、ぎこちなくなって、普段よりも、弱く、なっちゃいそう、ですね。
たびたび、ピンチに、陥るも、徐々に、慣れてきて、
逆転……出来るかは、運しだい、ですねっ
(全体で依頼成功なら個人敗北でもOK)



 どこまで続くかわからないような、深い森。
 夜の暗闇が辺りに満ちる中、そこかしこに灯るジャックオーランタンの光は、幾分か心を落ち着かせてくれるような気がした。
 ――とは言え、ここはオウガが支配する不思議の国。
「気楽に、いられるような、場ではない、とはいえ……ちょっと、楽しみです、ね」
 アニカ・エドフェルト(小さな小さな拳闘士見習い・f04762)はそう、ぽつりと零しつつ、あちらこちらに灯る光へ目をやって。
「何が、出てくるでしょう……、……わぷっ!?」
「トリック・オア・ドレス~!」
 どこからともなく響く楽しげな声に振り向けば、目の前の茂みに潜んでいたジャック・オー・ランタンが、一際眩く輝いた。
 次の瞬間、ぽん! とカラフルな煙が弾け、飛び出してきた何かがアニカの顔に直撃する。
「わ、わ……なるほど、こう、来ましたか……」
 一瞬目をつむったアニカがぱちりと瞬いた時には、不思議の国の不思議な力で着替えが完了していた。
「これは……おひめさま、でしょう、か?」
 アニカの纏う衣装は、フリルとリボンが可愛らしいツーピースから、黒と赤を貴重とした豪奢なドレスへ。
 所々にあしらわれた蝙蝠の飾りからわかるのは、どうやらアニカの仮装は、吸血鬼のお姫様のようだということ。
 慣れぬ装いは、どこかくすぐったくもあるけれど。
「あとは、この仮装と、どれだけ共鳴、出来るか、ですねっ」
 ぐっと拳を握って気合いを入れると、アニカはふわり、ドレスの裾を靡かせながら森の奥へ進んでいく。

 そして――。
「……うぅ、普段の、衣装じゃ、ないので、動きが、慣れない、ですね……わっ!」
「うふふ、愛らしいお姫様、お手をどうぞ?」
 ドレスの裾をうっかり踏んで体制を崩したアニカへ、差し伸べられる少女の手。
 けれどその手はアニカを救うものではなく、幼いアニカの小さな身体をやすやすと持ち上げるもの。
「くうっ……」
 普段の服装とはまるで正反対の、足元まで覆う重厚なドレス。
 およそ肉弾戦には向いていない衣装ではあるものの、仮装をしたことでいつもよりも力が満ちているのをアニカは確かに感じていた。
 だが、その感覚を掴めないまま戦いに突入したため思うように動けず、アニカはオウガの少女たちに翻弄されるばかり。
 ――けれど、それも最初のうちだけで。
 胸ぐらを掴まれ、投げ飛ばされて、それをキャッチボールのように繰り返されながらも、アニカは懸命に機を窺っていた。
「どんな風に料理してあげようかしら? やっぱりお肉はちゃあんと捏ねないとね」
「あら、叩いて中の空気を抜くのも大事なんですって」
 くすくすと笑う幾つもの声。アニカを囲むオウガの少女――アリーチェたちもまた、それぞれ異なる装いに身を包んでいて。
 そうして、アニカの胸ぐらを掴んで持ち上げたアリーチェは、そのままアニカをぐるぐると振り回し始めた。
「うっ……気持ちわるい、です……っ、でも……!」
 アニカは翼を大きく羽ばたかせると、振り回されるその勢いを逆に利用して、渾身の力を籠めた蹴り技を叩き込む。
「きゃああっ!?」
「なかなかやるじゃない、お姫様?」
 アニカを掴んでいた少女が倒れ、別の少女がすぐさま手を伸ばしてくる。
 けれど、アニカは素早く後方へ下がり、ドレスの裾を少し摘んで着地すると、そのまま軽やかに地を蹴った。
「この動き……あなたに、見切れ、ますか?」
 空を飛ぶことで更に加速したアニカは伸ばされるいくつもの手を掻い潜り、少女たちの間を翔け巡りながら一人ずつ蹴りで倒していく。
 たとえ両手が塞がっていても、足さえあればアニカは戦える。
 ドレスで戦う感覚、その手応えをしっかりと掴んだアニカの瞳に、確かな闘志が宿り、そして。
「いきます……っ!」
 舞踏天使の名の如く、華麗な足技でアニカはアリーチェたちを翻弄していくのだった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

コノハ・ライゼ
仮装ランダム

ハロウィン衣装を着たらパワーアップだなんて楽しそうじゃナイ
どんな衣装だってアタシ着ればキマらないワケがないもの、どんと来いってヤツよ
(性別問わず大概の物はノリノリで楽しんで着ます)

衣装に合わせた動きも演じつつ
ハロウィンってんなら小物も雰囲気出さないとネ
【黒電】で紫電纏うくーちゃん喚び出し嗾けマショ
敵の動き読み見切って、飛んでくる薬瓶は当たる前に雷で落とすわ
すかさず2回攻撃ですかさずマヒ攻撃乗せた雷纏うくーちゃん放ち
ちょいと大人しくさせてその生命力を頂いてこうかしら

お菓子をくれても食べちゃうぞ、ナンてネ
ナンならお色直しもしちゃおうかしら



「ハロウィン衣装を着たらパワーアップだなんて、楽しそうじゃナイ」
「ソウダヨ! オウガニ負ケナイ、パワーガ出ルヨ!」
「……マア、そのオウガに衣装を取らレちゃってルんだけどネー……」
「ねー!」
 けらけらと楽しげに笑うジャック・オー・ランタンたちを興味深げに眺めやりつつ、コノハ・ライゼ(空々・f03130)はへぇ、と感嘆の声を零す。
「大丈夫よ。アタシ、結構強いんだから。それに、どんな衣装だってアタシが着ればキマらないワケがないもの、どんと来いってヤツよ」
 だから何でも着せて頂戴と言わんばかりに笑みを深めるコノハに、ジャック・オー・ランタンはきらきらぴかぴかと七色に輝き出して――。

(「……とは言ったケド、まさか、狐が猫に化けるだなんてネ」)
 胸中でそう呟きこそすれど、特に深い意味があるわけでもなく。
 コノハは楽しげに猫耳のついたフードを被り、猫が顔を洗うように手を動かしてみせる。
 七色の光からカラフルな煙が弾け、そうしてコノハの元へ齎されたのは――黒猫の着ぐるみであった。
 とは言え顔の部分は被り物ではなくフード状になっていて、視界は良好。おまけに着心地も抜群だ。
「――まあ、大きな黒猫さんがいるわ!」
「どうしましょう、鋭い爪で裂かれてしまうわ!」
 先程のジャック・オー・ランタンの華やかな輝きに、来訪者の存在を知ったらしいオウガたちが、次々にコノハの元へやってくる。
 アリスのようでアリスでない、かつては時計ウサギだったオウガの少女たち――『偽アリス』の、アリーチェ。
 彼女たちもまた、常の可愛らしいエプロンドレスのような装いではなく、それぞれ異なる仮装をしていた。
 無邪気で愛らしい笑みを覗かせながらも獲物を逃すまいと囲んでくる少女たちに、コノハは前足ならぬ両手を上げて、悪戯っぽく笑ってみせる。
 せっかくならば、衣装に合わせて――今は黒猫になりきってみるのも、悪くはないだろう。
「――ニャア?」
 そして、同時に“ハロウィン”らしい雰囲気の演出も忘れない。
「いらっしゃい、くーちゃん」
 コノハの声に応えて現れたのは、紫電を纏う小さな影狐。
「まあ、可愛らしい狐さん! ――うふふ、黒猫さん、狐さん、お近づきの印にミルクセーキはいかが?」
 少女たちの可憐な笑みが、僅かに歪む。
 次の瞬間、一斉に投げつけられた薬瓶の軌道をコノハは素早く見切ると、さながら猫そのもののようなしなやかな身のこなしでそれらを躱し、同時に尻尾を揺らしたくーちゃんが黒き稲妻でその全てを撃ち落とした。
「せっかく作るんなら、ちゃんと新鮮な食材で作って欲しかったトコロだケド。ちょいと大人しくしてもらおうカシラ?」
 地面に撒き散らされた腐ったミルクセーキの臭いにほんの少し眉せながらも、コノハは間髪を入れずに再度くーちゃんを嗾けた。
「きゃあっ!?」
 迸った黒い光の奔流がぱちりと爆ぜれば、オウガの少女たちの動きが忽ちの内に鈍っていく。
 全身が痺れて立ち続けることさえ儘ならず、次々にその場に座り込む少女たちの様子にコノハは薄氷の瞳を細めて。
「お菓子をくれても食べちゃうぞ、――ナンてネ?」
「……っ、」
 一瞬にして捕食“される”側へと落とされたことを理解し、身体を強張らせる少女たち。
 コノハは猫のように“お座り”しながら、ぺろりと手首を舐めた。
「……ニャア」
 さて、ミルクよりも甘い香りを纏う兎のいのちの味は、如何ほどのものだろう?

 ――ごちそうさまでした、と手を合わせ、足元にすり寄ってきたくーちゃんをそっと撫でてから、立ち上がってぐぐっと伸びひとつ。
 このまま先に進むのも悪くはないけれど、せっかくならばと思い直したのは、相変わらずイルミネーションよろしくピカピカ輝くジャックオーランタンたちの姿が目に映ったから。
「……ナンならお色直しもしちゃおうかしら?」
 そうしてコノハは楽しげに肩を揺らし、ぴかぴかはしゃぐジャック・オー・ランタンたちへと向き直るのだった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩神櫻
(衣装お任せ)

はろうぃんというのは初めてだけれど、とても賑やかで楽しげだね
私はね、実は楽しみにしていたんだ

これを着て戦うのかい?サヨ
……
私にこれは、似合うと思う?
カグラ、カラス。何故目を逸らすの
確かに初めて纏う衣装であるし、
その……少し
いやかなり恥ずかしくて
けれど
そなたが似合うと言ってくれるなら、私は…

どんなに恥ずかしくても、自信をもって纏い戦うよ
だって、他でもないきみが
親友たるきみがみとめてくれたのだから

サヨは似合うよ
とても素敵だよ
そなたは、何を着てもうつくしい
サヨ自身が美しい桜のだから当然だよ

照れ笑う顔も可愛いと思いながら早業で駆け刀を振るい切断していく
我が友を傷つけさせなどしないよ


誘名・櫻宵
🌸神櫻
(衣装お任せよ!)

カムイは仮装するのも初めてなのね!
どんな衣装になるか楽しみね!
カムイは綺麗でカッコイイからどんなのも似合うと思うわ

成程、これが衣装
……意外性があるわね
カムイ、ふふ
いつもと違うあなたが見られて私は嬉しいわ
恥ずかしいのはわかるけど
私は…すごく素敵だと思うわ!
普段と違う一面にはにかみ笑み
自信をもって
似合うわよ、私の神様
何着ても似合うわよ!

私は、じゃーん!どうかしらカムイ
似合ってる?
どんな衣装も完璧に着こなしてみせるわ
褒める友の言葉が嬉しくてまた一つ桜咲く
ありがとう、カムイ!力が漲ってくるわ
ゆきましょう

桜化の神罰込めてなぎ払い斬り裂いて
全部桜としてあげる

ほらもっと
私達を彩って



「はろうぃんというのは初めてだけれど、とても賑やかで楽しげだね。……私はね、実は楽しみにしていたんだ」
「カムイは仮装するのも初めてなのね! どんな衣装になるか楽しみね!」
 内緒話のように桜の瞳を細めて囁く朱赫七・カムイ(約彩ノ赫・f30062)に、まあ、と誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)は笑みを咲かせて。
「カムイは綺麗でカッコイイから、どんなのも似合うと思うわ」
 そう紡ぐ櫻宵はにこにこととても嬉しそうだ。
 そんな櫻宵の様子に、カムイも柔らかく目を細めて。
「トリック・オア・トリート! アアッ、マタ間違エチャッタ! トリック・オア・ドレス~!」
 不意に近くで上がった声に、二人は同時に瞬いて振り向いた。
 見れば至るところに置かれたりぶら下がったりしているジャック・オー・ランタンのひとつが、けらけらと楽しげに笑いながら二人を呼んでいるようだった。
「おや、ここではかぼちゃさんも喋るのかい?」
「ソウダヨ、ココハ不思議ノ国ダカラネ! トイウワケで~! トリック・オア・ドレス~!」
 ジャック・オー・ランタンの光が色を変えながらぴかぴかと、そして、ぽん! とカラフルな煙が弾けた時には――二人の着替えは終わっていた。
「……おや」
「――まあ! 成程、これなら着替える手間も省けて良いわね!」
 そうして不思議の国の不思議な力で仮装した二人は、自身の姿を確かめる。

「意外性があるわね、でもアタシ、こういうの嫌いじゃないわ」
 櫻宵が纏うのは赤と黒の二色を基調としたドレスに、金の冠。
 ドレスの所々にあしらわれているハートのモチーフから察するに、どうやら櫻宵の仮装はこのアリスラビリンスの、ハートの女王のようだ。
「成程、これが衣装。……、……」
 一方、戸惑いを隠せない様子で袖口を確かめたりなどしているカムイは、現代風のスタンダードなビジネススーツに身を包んでいた。ジャケットにスラックス、それからベストがついたスリーピースタイプのもので、首元を彩るネイビーのネクタイはオレンジの南瓜柄――これは、一応ハロウィンだからということだろう。
「これを着て戦うのかい? サヨ、私にこれは、似合うと思う? ……カグラ、カラス。何故目を逸らすの」
 ぽつりと声を向ければ、いつも共に在る人形のカグラも、己には懐いてくれない三つ目の鴉も、どこか複雑そうな表情で(鴉の表情など読み取ることは難しいにもかかわらず、だ)カムイへと視線を戻してくれた。
「カムイ、ふふ、いつもと違うあなたが見られて私は嬉しいわ」
 常と違う装いに戸惑いを隠せない様子さえも微笑ましく、普段と違う彼の一面に、櫻宵の目元も綻ぶばかり。
「そうかな? 初めて纏う衣装であるし、その、少し……いやかなり恥ずかしくて」
 そわそわと落ち着かない様子であちらこちらへ彷徨う視線は、言うまでもなく気恥ずかしさの現れだろう。カムイからすれば、初めて袖を通したスーツが果たして己に似合っているのか、それさえもわからないのだから。
 けれど、元より長身で整った顔立ちのカムイだ。
 ゆえに、客観的に見てもスーツはとても良く似合っているのだが――。
「恥ずかしいのはわかるけど、私は……すごく素敵だと思うわ!」
 ジャック・オー・ランタンたちの光に負けないくらい瞳を輝かせ力強く頷く櫻宵に、そうかな? ともう一度、躊躇いがちに返るカムイの声。
「ええ、自信をもって。とっても似合うわよ、私の神様。――何着ても似合うわよ!」
 そして同じようにもう一度力強く頷いた櫻宵に、ようやくカムイは安堵にも似た息をつく。
「そうか、そなたが似合うと言ってくれるなら、私は……戦うよ」
 どんなに恥ずかしくても、自信を持って纏い、そして戦うと。カムイは密やかに胸裡に誓う。
(「――だって、」)
 他でもない“きみ”が。
 親友たるきみが、みとめてくれたのだから。
「私は、じゃーん! どうかしらカムイ。似合ってる?」
 くるりとその場で回転すれば、ふわりと、踊るように裾が揺れる。
 この世界みたいな物語の女王様よと説明を添える櫻宵は、仕草ひとつとってもさながら本物のハートの女王のように完璧にドレスを着こなしていて。
「サヨは似合うよ。とても素敵だよ。――そなたは、何を着てもうつくしい」
 そして、そんな櫻宵にすっかり魅入って時を止めていたカムイは、こくこくと何度も頷いてみせる。
「だって、サヨ自身が美しい桜なのだから、当然だよ。……ほら、カグラもそうだと言っているよ」
 カムイが示せば、傍らの人形もしみじみと深く頷いて。
 褒めてくれる友の言葉が嬉しくて、今は片方だけとなった櫻宵の桜枝の角にまた一つ桜が綻んだ。
 そんな風にはにかむ友の顔も、可愛いとカムイは思う。
「ありがとう、カムイ! ふふ、力が漲ってくるわ」
 ゆきましょう、と示す先、軽やかないくつもの足音が聴こえてくる。

「まあ、素敵なお二人ね! うふふ、どんな味がするのかしら?」
 鈴の転がるような声で笑いながら、次々に姿を見せるオウガの少女たち。
 常のアリスのようなワンピースではなく、それぞれに仮装をした『偽アリス』――アリーチェたちは、獲物である二人の姿を認めるや否や、一斉に攻撃を仕掛けてきた。
 飛来するいくつもの怪しげな薬瓶。
 その隙間を縫って伸ばされた細い腕を、カムイは躊躇うことなく斬り落とす。
「――春雨の降るは涙か桜花。散るを惜しまぬ人しなければ」
 カムイが振るうは桜龍の牙たる朱砂の太刀。
 邪なる存在を喰殺し咲き誇る、朱桜纏う神殺の神刀。
「我が友を傷つけさせなどしないよ」
 春雷と共に降り注ぐ春時雨の如き斬撃でもって、疾く地を駆けながらカムイはオウガたちを絶ち斬り、路を拓いてゆく。
「咲かせて、散らせて、奪って、喰らって――あなたは美味かしら」
 櫻宵もまた、美しく艶やかに舞い踊る。
 桜獄大蛇の血を呼び覚まし、首を跳ねる代わりにオウガたる少女たちの存在を血桜の太刀で空間ごと薙ぎ払い、斬り裂いて桜花に変えて。
 時折交差する、ふたつの桜の眸。
 言葉はなくとも伝う想いに、綻ぶ笑み。
 再び共に戦えることの喜びが、より一層の力を呼び覚ます心地さえする。
「全部桜としてあげるわ。――ほら、もっと私達を彩って?」
 夜の森に舞う、桜吹雪。
 咲いては散るを繰り返しながら舞う夢幻の桜は、二人の往く路を照らし、彩り、そうして更なる花を咲かせてゆく――。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ネガ・アリス』

POW   :    裏返ったお姫さま(リバースド・プリンセス)
【黒く染まったプリンセスドレス】に変身し、武器「【悪夢童話(ナイトメア・テイル)】」の威力増強と、【歪んだ童話の能力・人物】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
SPD   :    歪:茨姫(バロック:スリーピング・ビューティー)
全身を【黒いイバラのツタ】で覆い、自身が敵から受けた【苛立ち】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
WIZ   :    歪:親指姫(バロック:サンベリーナ)
【全身を覆うツタ】から【花のつぼみに潜んだ親指大の分身】を放ち、【その可憐な姿で魅了すること】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はヘイヤ・ウェントワースです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ジャック・オー・ランタンたちに見送られながら、猟兵たちは森を抜け、世界の中心に佇む豪奢な城へと辿り着いた。
 勿論ここでもジャック・オー・ランタンたちがお出迎え。
「女王アリスはお怒りだヨ! 気をツケテ!」
「パーティーをスルならキッチンに行かナクちゃ! アッチだよ!」
 ――話を聞いてみると、どうやら先程森で戦ったオウガの少女たちは、食事も含めて女王の世話をしていたらしく。
 いつまで立っても戻らない彼女たちを待ち続け、女王は空腹感と苛立ちを同時に募らせているのだという。
 ジャック・オー・ランタンたちの案内に従って裏手へと回れば、そこには広大なお城のキッチンが。
 あらゆる食材が所狭しと並び、積まれて、大きな竈や調理器具は複数あるし、そしてエプロンなども揃っていて、調理台の大きさも十分だ。
 主食におかず、汁物、デザート――作ろうと思えばジャンルを問わず、どのような料理でも作れるだろう。
 作り方がわからない場合も何故か誰にでも読めるイラスト付きの簡単なレシピ本がちゃんと用意されているので、心配はいらない。
 たとえ美味しいものが作れなかったとしても、真心さえ籠もっていれば十分に合格だ。
「アリス! アリス! 遅いじゃないの! 早く食事を持ってきなさい!」
 どうやら女王が待つ食卓は、キッチンの扉の向こうにあるようだ。
 出来上がった料理を持って女王の元へ向かいさえすれば、女王は、抵抗出来ずに料理を口にすることだろう。
 逆に何も持たずに向かったならば、容赦なく苛烈な攻撃が降り注ぐこととなる。

 お腹を空かせた女王のために、そしてこのハロウィンの国に平和を取り戻すために。
 猟兵たちの新たなる戦いが、幕を開ける――。
 
フリル・インレアン
お、お待たせしました。
ふええ、女王様怒ってますね。
雰囲気が怒って・・・。
あれ?少し和んだような、でもこの視線はなんだか危険な感じがします。
そう、カモがネギをしょってやってきたという感じです。
ふええ、もしかして料理がおいしくなかったら、料理が前菜で私をメインに食べてしまうつもりですよ、あの顔は。

ふええ、えっと、料理はパンプキンパイです。
せっかくのハロウィンの国ですのでカボチャ料理にしてみました。
どうぞ、温かいうちにお召し上がりください。

それにしても、メインディッシュは逃がさないとばかりに捕まってしまうかと思いましたが、運が良かったのでしょうか?



「……お、お待たせしました」
「遅いじゃないの!」
 この不思議の国の女王として君臨する、ネガ・アリスと呼ばれるオウガの少女が、痺れを切らして喚き立てるのに、フリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)はびくりと肩を跳ねさせながら、おずおずと少女を見やった。
 キッチンと扉一枚を隔てた先にあるダイニングルームには、女王一人が食事をとるにはあまりにも大きくて豪華なテーブルが置かれていた。
 色とりどりの花や蝋燭で飾られたテーブル。
 けれど、席に着いているのは黒薔薇を纏う女王だけ。
 他にも椅子はあるものの、置かれたナイフやフォークはどれも使われた形跡が全くなかった。
(「ふええ……女王様、怒ってますね……あれ?」)
 いかにも怒っている様子の女王の眼差しに、フリルは目を瞬かせる。
「まあ、いいわ、私のために料理を持ってきたのでしょう? 早くこちらにいらっしゃい」
(「あれ? 雰囲気が少し和んだような、……でも、この視線はなんだか危険な感じがします」)
 人の視線をつい窺ってしまうフリルだからこそ、女王の視線に籠められた微細な変化に気づくことが出来たと言っても過言ではないだろう。
(「そう、カモがネギをしょってやってきたという感じです」)
 もし、フリルが作ってきた料理が美味しくなかったら。
 メインのはずの料理が前菜に、そしてフリルがメインディッシュになってしまう。
 寧ろ、女王もそれを期待していそうですらある。
 頼りになるガジェットのアヒルさんは、こんな所では食べられたくないからとどこかに隠れてしまった。
 つまり、この場はフリル一人でなんとかして乗り切らなければならないということ。
 おそらく本当にピンチになったら、あのアヒルさんのことだから颯爽とどこからともなく現れて、助けに来てくれるのだろうけれど。
「ふええ、えっと、料理はパンプキンパイです」
 フリルはいつものようにそう零しながらも、出来たての料理を持って女王の傍へと向かう。
「せっかくのハロウィンの国ですのでカボチャ料理にしてみました。どうぞ、温かいうちにお召し上がりください」
「ふうん、狼に狙われた雛鳥のような目をしてるくせに、なかなか美味しそうなものを作るじゃない。焼き立てのこの香り、私とっても大好きなの。パイの表面にもツヤがあって美しいわ。そうね、ひとまず見た目は合格ね」
 料理を前にした女王は随分と素直な感想を零しつつ、早速パイの表面にナイフを入れていく。
 そうして、一口。口に入れた瞬間に、瞬いた女王の目がきらりと輝いた――ように見えた。
「パイ生地がとってもサクサクね。いい焼き加減をちゃんと知っているのね、やるじゃない!」
 もぐもぐと口を動かしつつ、ちゃんと口元に手を添えて見えないようにしながら女王は紡ぐ。
 最初は険しかったその表情が、あっという間に緩んでいくのがわかった。
「甘さ控えめで、南瓜の風味がよく生かされているわね。濃厚なのにこの滑らかな感じ、口の中で蕩けそうだわ……いいえ、蕩けてるわ!」
 さくさく。もぐもぐ。
 そして、女王はあっという間にフリルが用意したパンプキンパイを完食してしまった。
「とっても美味しかったわ、ごちそうさま。……あなた、この先も私のために料理を作ってくれていいのよ?」
「ふええ……か、考えさせて下さい……」
 フリルはぺこりと頭を下げて、空になったパイのお皿を持ちキッチンへと戻っていく。
 そして、ようやくほっと一息。すると、隠れて様子を窺っていたらしいアヒルさんが颯爽と現れ、ガァ! と労いの声を掛けてくれた。
(「それにしても、メインディッシュは逃がさないとばかりに捕まってしまうかと思いましたが、運が良かったのでしょうか?」)
 ふとそんなことを考えるフリルの知らぬ所で、次の料理を待ち受ける女王がふわ、と小さく欠伸を零していたのは別の話だ。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミア・ミュラー
ん、料理はあんまりしたことないけど、やってみる。この衣装とかお城をだめにしたくないし、戦わないで済むならその方が、いい。

せっかくだから、ハロウィンっぽい料理が、いいよね。かぼちゃさん……かぼちゃのカレーに、しよう。これならお腹も満たされる、はず。
レシピの本をしっかり見ながら作る、よ。作るからには、美味しいって言ってほしい、から。んーと、お肉とかぼちゃ、たまねぎと、にんじん。野菜もちゃんと、とらないと。かぼちゃが甘いから甘口のカレー、ね。かぼちゃが煮崩れしないように注意しながら煮込めば、完成。
ん、お待たせ。ハロウィンのかぼちゃカレー、だよ。飲み物はわたしのティーセットで紅茶を用意する、ね。



 このハロウィンの国を支配する女王は、ハロウィンの国の法則により、あらゆる攻撃が通じないという。
 けれど、心を込めた美味しい手料理を皆で食べさせ続けることで、やがては倒すことが出来るのだそうだ。
(「この衣装とかお城をだめにしたくないし、戦わないで済むならその方が、いい」)
 そう想いを巡らせながら、ミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)は仲間たちと共にキッチンへ。
「せっかくだから、ハロウィンっぽい料理が、いいよね」
 ジャック・オー・ランタンに選んでもらった修道服の上から、これを使うと良いとばかりに壁に下がっていたフリルのエプロン――おそらく森で遭遇したオウガの少女たちが使っていたものだろう――をつけて、準備はばっちりだ。
 貯蔵庫の扉を潜れば、種類別にきっちりわけられた大量の食材がずらり。
 お米も小麦もたっぷりと。肉や魚はもちろん、野菜に至っては見たこともない色や形のものもたっぷりとあって。
 中でも、やはりハロウィンの国だからだろう、大量の南瓜が目を引いた。
「かぼちゃさん……かぼちゃのカレーに、しよう。これならお腹も満たされる、はず」
 こくりとひとつ頷いて、まずはレシピ本を手に食材探し。
「んーと、お肉とかぼちゃ、たまねぎと、にんじん。野菜もちゃんと、とらないと。あと、スパイスは、ターメリック、クミン、コリアンダー……」
 そうして何とか一通りの食材を揃えたミアは、ほっと一息ついてから、早速料理に取り掛かった。
 料理の経験はそれほどないけれど、作るからには、誰であってもやっぱり美味しいと言ってほしいから。
 手描きの可愛らしいイラストが随所に散りばめられたレシピ本と時にじいっとにらめっこしつつ、ミアはカレーを作っていく。
 一つ一つ丁寧に工程を確認しながら、野菜と肉を切って炒めて。
 硬い南瓜を切るのは大変だったし、たまねぎを切る時などには涙が止まらなくてこれまた大変だったりもしたけれど、何とか無事にスパイスを入れる段階にまで辿り着いた。
 南瓜が煮崩れないよう気をつけながら、最後までじっくり、ことことと。
 野菜の旨みがぎゅっと濃縮されたカレーは、甘い南瓜がメインなこともあり、甘口だ。
「ん、完成。おいしそう」
 湯気と共に沸き立つ香りに、ミアのお腹もきゅるりと小さく鳴いた。

 予め用意されていた炊きたての白米に出来たてのカレーをたっぷり掛けて、ミアは女王が待つダイニングルームへと。
 大きくて豪華な食卓に一人座り、運ばれてくるであろう料理を今か今かと待ち受けていたらしい少女が、ぱっと笑みを輝かせてから、こほんと小さく咳払いをした。
 黒薔薇纏うこの少女こそ、ハロウィンの国の女王たる少女――ネガ・アリスだ。
「あの子たちがどこかに行ってしまったと思ったら、私のために料理を作ってくれるアリスを探しに行っていたのね?」
 つんとすましたような顔も一瞬、女王は新たに登場したミアのことを全く疑う様子もなく微笑んで、どんな料理が出てくるのかと心なしかそわそわしているよう。
「ん、お待たせ。ハロウィンのかぼちゃカレー、だよ」
「……! これは……」
 カレーを一目見るなり、女王は大きく目を瞠った。
 料理の経験がさほどないミアが作ったものではあるが、南瓜と人参の彩りもよく、見た目そのものはきちんとカレーのはずだ。
 きゅっと表情を引き締めるミアに、女王の真剣な眼差しが向けられる。
「ねえアリス、あなた……これを一から一人で作ったの? すっごく美味しそうじゃない……!」
 どうやら見た目はお気に召したらしい。
 ミアは内心ほっとしつつ、小さく頷いてみせる。
「うん、まごころはたっぷり込めた……つもり。味も、たぶん、おいしい、はず。あと、お茶もある、よ」
 ミアは専用の鞄から不思議な力で紅茶が湧きだすティーポットを取り出すと、女王のティーカップへ紅茶を注ぐ。
 その香りにも、女王の表情が綻ぶのがわかった。
 そうして、女王はミアの手作りかぼちゃカレーを口にする。
「……!」
 ぱちぱちと大きく瞬いて再び見開かれた瞳が、見る見るうちに緩んでいくのが伝わってきた。
「アリスが私のために作ってくれただけでも幸せで頬が落ちてしまいそうなのに、やだ……頬が幾つあっても足りないわ……」
 頬を抑えながらじっくりとミアのカレーを噛みしめる女王は、何だかとっても幸せそうな顔をして。
 ナプキンで口元を拭ってから、今度は紅茶を一口。
 女王はこれまた幸せそうに笑みを零しながら、再びスプーンを手にカレーへと。
「たっぷりと煮込んだでしょうに、南瓜がほとんど煮崩れていないのはレベルが高いわね……! それにココナッツミルクとスパイスの絶妙なハーモニーがたまらないわ……南瓜の甘さも十分に感じられて、とっても美味しい……」
 そうして始終幸せいっぱいの笑みと共にミアのカレーを食べた女王は満足気に手を合わせ、紅茶のおかわりも美味しく頂いて。
「まあ、何よりアリスが私のために作ってくれたっていうだけで合格よ、合格! 美味しかったわ! ごちそうさま!」
「ん、よかった。おそまつさま、でした」
 ミアは女王が小さく欠伸を零すのを確かめてから、綺麗になったお皿と共にキッチンへ戻っていくのだった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

花澤・まゆ
【星野祐一さん(f17856)と一緒に】
(ちなみに1章から着替えました)

どうしよう、あたし料理はあまり得意じゃないんだ
でも、祐一さんも得意じゃないだろうし
これは勇気を出してあたしから提案せねば

「祐一さん、クッキーを作ろうか!」

クッキーなら材料を混ぜて型を作って焼くだけ
きっとあたしたちにもできるはず!
南瓜型やおばけ型、こうもり型など作って
盛り付けも賑やかにするよ

た、たぶん美味しいと思うけど…
気軽に食べれる分、沢山食べてくださいねっ
ハッピーハロウィン!

アドリブ歓迎です


星野・祐一
【花澤・まゆちゃん(f27638)と一緒に】
(鎧は外し済み)
待て、落ち着け、まず形から入ろう
エプロン付けて三角巾を巻いて…さてどうすっか

「…クッキー?よし、それでいこう!」

まゆちゃんの助け舟に飛び付きつつ
スマホで作り方を覚えたら早速作るとしますか
…電波届くのかって?細かいこと気にすんなって

型もそうだけれど味もバリエを増やしてみようぜ
基本のバター味とバニラ味とココア味
そんでバニラとココアを組み合わせた市松模様のクッキー!
これなら味だけでなく見た目も楽しい…筈

ま、まあ味見した時は不味くなかったし大丈夫だろ多分
珈琲も付けといたから砂糖を適時入れながら飲んでくれよな
ハッピーハロウィン!

アドリブ歓迎です



「まゆちゃんの最初の仮装、見たかったんだけどなあ」
「お願いだからそっちは忘れて! 後生だからー!」
 ――というやり取りを挟んだりしつつ。
 少々刺激が強めなバニースーツから正統派のゴシック風魔女の仮装に着替えた花澤・まゆ(千紫万紅・f27638)と、黄金色の全身鎧を脱いだ星野・祐一(スペースノイドのブラスターガンナー・f17856)は、同胞たちが忙しなく動き回るキッチンの一角で、可愛らしい手描きのイラストが描かれたレシピ本を前に真顔で頭を悩ませていた。
(「……どうしよう、あたし、料理はあまり得意じゃないんだよね」)
 本に書かれているレシピは、どれも基本的なものばかり。シチューやカレー、肉じゃがやオムライスなど、作ること自体はさほど難しくない――のだが、元より料理が得意ではないまゆにとっては、たとえどんなに初心者向けの料理であってもハードルが高く、レシピ本自体がさながら解読困難な魔導書のようだった。
 ちらりと隣を見やれば、祐一は表情を強張らせながら壁に下がっていた可愛らしいフリルのエプロンを付け、三角巾をきゅっと頭に巻いている。
 エプロンはこれしかなかったのだが、妙に似合っているように見えるのは気のせいだろうか。
(「待て、落ち着け、まず形から入ろう。大丈夫、やれば出来る」)
 ――何故かそんな心の声が、まゆにも聞こえたような気がした。
(「だよね……祐一さんも料理は得意じゃないだろうし、ここは勇気を出してあたしから提案せねば……!」)
 まゆはレシピ本をぱらぱらとめくり、それから意を決したようにひとつ頷くと、祐一のほうへ振り向いた。
「祐一さん、クッキーを作ろうか!」
 クッキーならば、材料を混ぜて型を抜き、焼くだけだ。
 だからきっと、料理初心者である自分たちにも出来るはず――と。
「クッキー? ……よし、それでいこう!」
 まゆの助け舟に、今にも素数を数え始めそうな勢いだった祐一の瞳に輝きが戻る。
「クッキー、基本的な作り方……検索っと……」
 祐一は早速スマホで二人でも作れそうなレシピを検索(不思議の国の不思議な力でちゃんと電波は届いた)し、その間にまゆは必要な材料と調理器具の調達に向かう。
 薄力粉にバター、卵に砂糖、それからココアパウダーにチョコチップ。ボウルに泡立て器、粉ふるい、アンティークな雰囲気のはかり。
「えっとね、祐一さん。お菓子作りの基本は、きちんと分量を量ることだよ」
 前向きにとらえるならば、そこさえきっちりしていれば、それらしいものが出来上がる――ということでもあるだろう。たぶん。きっと。
「なるほど、本当に混ぜて焼くだけなんだな?」
「うん! まずはボウルにバターと砂糖を入れて……白っぽくなるまでよく混ぜるんだって」
「混ぜるのは力がいるよな? よし、俺がやるぜ」
 祐一ががしがしとボウルの中身をかき混ぜている傍らで、まゆは卵黄と卵白を分けるのにも一苦労。
 それでも何とか力を合わせ、ようやく生地らしきものの完成が見えてきたところで。
「型もたくさんあったよ! 南瓜におばけに、こうもりに……」
「型もそうだけど、ここまでやったんだし味もバリエを増やしてみようぜ」
 そんな祐一の提案に、バニラとココアの生地も作ることに。
「バニラオイルってバニラの香りがするけど、甘いわけじゃないんだな……」
「そうだね、香りはバニラなのに不思議……」
 試しに舐めてみたオイルの苦味に揃って顔を顰めつつしみじみと頷く場面もあったが、バニラとココアの生地を組み合わせれば、市松模様のクッキーの出来上がり。
 焼きたての甘い香りに、味見という名目でついつい手を伸ばさずにはいられなかった。
 南瓜におばけに、こうもりに、それから、星や花も散りばめて。もちろん、市松模様のクッキーも。
 小花模様のお皿に賑やかに盛り付けられたクッキーたちは、さながらお皿の上でパーティーでも始めそうなほど。
「これなら味だけでなく見た目も楽しい……はず、だよな? ま、まあ不味くなかったし大丈夫だろ多分」
「うん、……きっと大丈夫。祐一さん、頑張ろう」
 だって、こんなに二人で一生懸命頑張ったのだ。
 その心は、きちんと籠もっているはずだから。

 山盛りの賑やかなクッキーに、淹れたてのあたたかいコーヒーを添えて。
 女王であるオウガの少女――ネガ・アリスの元へ馳せ参じた二人は、緊張した面持ちで反応を窺っていた。
 女王は無言のまま、重々しい表情で、山盛りのクッキーをじっと見つめている。
「た、たぶん美味しいと思うけど……気軽に食べれる分、沢山食べてくださいねっ」
「あと、コーヒーは苦かったら砂糖を入れて飲んでくれよな」
 沈黙に耐えきれなかった二人の声に、女王が顔を上げる。
 びくっと肩を跳ねさせたまゆに、女王の口元が微かな笑みの形を作った。
「……そう、ちょうどね、クッキーとコーヒーが欲しいって思っていた所だったのよ」
「へっ?」
「勿論さっきアリスたちが持ってきてくれたパイもカレーも美味しかったわ。でも、まだまだたくさんの料理が来るのでしょう? だから、今は少しだけ軽めのものが食べたい気分だったの」
 そう言うと、女王は早速クッキーへ手を伸ばした。
 その瞳がきらきらと輝いているように見えて、祐一もまゆも内心ほっと胸を撫で下ろす。
「いただくわ」
 ぱくり。
 さくさく。もぐもぐ。
 ――すると、女王の表情が見る間に蕩けていくのがわかった。
「もうね、見た目からして可愛いし賑やかでまず好きよ。肝心の味も、プレーンのクッキーはちゃんとバターの風味が残っているわね。バニラの香りもとても良い感じだわ。こっちのチェック柄のクッキーもなかなか手が込んでいるじゃない。バターの濃厚な甘さとココアの控えめな甘さが口の中でマリアージュ! って感じね。それに……」
 そこで一旦言葉を切った女王は、おもむろにコーヒーへと手を伸ばす。
「あえてここで紅茶ではなくコーヒーを持ってきたのも評価するわ。甘いクッキーとほろ苦いコーヒーを交互に楽しむなんて……これは手が止まらないわ……! ああ、焼き立てはやわらかいのに冷めてくるとサクサクになって、二つの食感を同時に味わえるなんて贅沢……とっても美味しいわ……」
 段々と語尾がか細くなっているのは、順調に眠気を誘っていることのあらわれだろう。ほろ苦いコーヒーも、彼女の意識を覚醒させるには至らないようだ。
「どうやらお気に召してくれたみたいだな」
「お口に合って本当に良かったです……あ、まだ足りないとかあったら作ってきますので!」
 それから、二人は顔を見合わせて笑み綻ばせ、最後にお約束の挨拶を。

 ――ハッピーハロウィン!
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩神櫻

私かい?
私は折角だから南瓜料理を食べてみたいな
けど料理はした事がない
本当?ありがとう、サヨ
そなたとならば美味しい料理ができる気がする

まずは何を―カグラ?!
……こ、細かくしてくれてありがとう
今回は私が頑張るから、カラスと一緒に見守っていて

サヨに教わりながら南瓜を切って抉って煮込んで
料理を作る
こんなに大変で、けれど美味しい香りがしてくると嬉しくなってくる
シチューにサラダにプリン―まるで魔法のようだ

一口味見すればとても美味しくて心も満ちる
サヨに嫁に来て欲しいくらいだ
もうきみは私の巫女だけれど

これなら女王も満足するよ
むしろ勿体ないくらい
全て私が食べたいくらい

独り占めの神罰を
春雷と共に、睡りなさい


誘名・櫻宵
🌸神櫻

カムイ、何が食べたい?
ハロウィンだものね、南瓜を使ったお料理を作りましょ
お料理ははじめてなのね
大丈夫
私が教えてあげるわ!

先ずは南瓜を切……(カグラに粉砕されて南瓜をみゆ

カグラは下がって

上手よカムイ
たどたどしく一生懸命な親友の姿に心もほこほこ
メインの南瓜シチューは中身をくり抜いた南瓜の中に入れましょう
こっくりコクのある美味しいシチューよ!
次は南瓜サラダ、デザートは南瓜プリンね

カムイを励ましながら一緒に作った料理
満足気なあなたがかぁいらし

え?もうっカムイったら

召し上がれ!
味も込めた想いもいっとうよ!

眠ったなら
綺麗な桜にしてあげる
トリックオアトリート、お腹いっぱいな女王様は―おいしいかしら?



 そこかしこから美味しそうな匂いが漂ってくるキッチンの一角にて。
 誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)は壁に掛けられていたフリルのエプロンをきゅっと結びながら、朱赫七・カムイ(約彩ノ赫・f30062)へ微笑みかける。
「カムイ、何が食べたい?」
「私かい?」
 同じくエプロンを世話役である人形のカグラにつけてもらいながら、カムイは櫻宵の楽しげに弾む声に視線と思考をゆるりと巡らせて。
「私は……折角だから南瓜料理を食べてみたいな」
 カムイの眼差しを追って見やった先には、山と積まれ、あるいは転がっているたくさんの南瓜。
 納得したようにひとつ頷いて、櫻宵は満面の笑みを綻ばせた。
「そうね、ハロウィンだものね。なら、南瓜を使ったお料理を作りましょ」
「けど……その、料理はしたことがないんだ、私。だから……」
 遠慮がちに続いた言葉に、南瓜をコンコン叩きながら目を瞬かせる櫻宵。
「あら、カムイはお料理ははじめてなのね? ――大丈夫、私が教えてあげるわ!」
 任せなさいとばかりに胸を張ってみせる櫻宵に、ほんの少し不安げに揺れていたカムイの瞳に安堵の光が差したよう。
「本当? ありがとう、サヨ。そなたとならば、美味しい料理ができる気がする」

 軸が太く、表面がつやつやしていて、ずっしりと重いものを。
 そうして集めた南瓜を台の上に並べて、いざ、料理開始――となるはずだったのだが。
「サヨ、まずは何を――」
「ええ、先ずは南瓜を切……」

 ――どごっ!

(「……どごっ?」)
 まず響いたのは、およそキッチンという場においてはおそらくそうそう聞く機会がないだろう音。
「……カグラ?!」
 見ればカムイでさえも見逃すほどの速さで、こちらもしっかりとフリルのエプロンを装着したカグラが一撃で南瓜を粉砕していた。
 それはもう、完膚なきまでに粉々であった。
「……」
「……」
 あまりの展開に、二人の時間が暫し止まる。
 こんな感じだろうか――とそれはもう、やり切った顔で二人を見つめるカグラと。
 粉々に砕け散った南瓜と清々しい表情のカグラを交互に見つめる、カムイと櫻宵。

 ――カグラ、それは“切る”じゃなくて“砕く”っていうんだ(のよ)……。
 という至極真っ当なツッコミは、言葉となって紡がれることはなく。

「……こ、細かくしてくれてありがとう。でも、今回は私が頑張るから、カグラはカラスと一緒に見守っていて」
「……そ、そうよ、大丈夫よカグラ。カムイはちゃんと出来る子だから、ここはカムイに任せて、カグラは下がっていて」
 二人の懇願とも取れる言葉に、そうかと頷いたカグラが素直に引き下がってくれたのはせめてもの救いだった。

「包丁を……こう?」
「そう、ぐるっと回しながら入れていくの。上手よカムイ」
 カグラ(と一応、カラスも)が見守る中。南瓜を切って、くり抜いて、そして先程カグラが粉々にした南瓜も一緒に煮込んでいく。
 焦げ付かないようにゆっくりとかき混ぜていると、すぐに美味しそうな香りが広がってゆくのがわかった。
 その手の動きがまだ少しぎこちなく見えて、けれど、たどたどしくも一生懸命に“料理”と向き合う親友の姿に、櫻宵の心はほこほこと。
「料理がこんなに大変なものだとは思わなかったよ、サヨ」
「でしょう? でも、その分出来上がった時の喜びもひとしおよ。ふふ、そろそろ良さそうね」
 中身をくり抜いた南瓜に注がれるのは、こっくりコクのある美味しい南瓜のシチュー。
「ん、こっちも出来上がったみたい」
 隣の鍋の蓋を開けると、ハート型の器に程よく蒸し上がった南瓜のプリンが甘い香りと共に顔を覗かせる。
 それからもう一品。茹でた南瓜を潰して玉ねぎとマヨネーズを混ぜて、塩こしょうで味を整えれば――南瓜のサラダの出来上がり。
「シチューにサラダにプリン――まるで魔法のようだ」
 元は同じなのに、並ぶ姿は全く違って。
 出来上がった南瓜料理に満足そうに微笑むカムイの姿は、櫻宵の瞳にはとても愛らしく映る。
 早速味見をしてみれば、それはもう、とても美味しくて。
「……サヨに嫁に来て欲しいくらいだ」
 心まで満たされてゆく感覚に、カムイは思わず呟いていた。
「……え?」
「いや、もうきみは、私の巫女だけれど」
 花のようにうつくしい唇からさらりと紡がれた言葉。
 その意味を一拍遅れて理解した櫻宵の頬が、瞬く間に桜色に染まる。
 そんな櫻宵の反応に柔らかく笑みを深め、ひとつ頷いたカムイは更に言葉を重ねてゆく。
「これなら女王も満足するよ。むしろ勿体ないくらい。……全て、私が食べたいくらい」
「もうっ……カムイったら」
 それが、カムイの心からの言葉であるとわかっているからこそ、櫻宵の心もまた満たされて、桜が綻ぶ心地がするのだ。
「あなたが望んでくれるなら何だって作ってあげるわ、――私の神様」

「――甘いわ!」
 それはもう、色々な意味で。
「まだ食べてないのに!?」
 二人が料理に勤しむ様を見ていたわけでもないのに、このハロウィンの国の女王たる少女――ネガ・アリスは開口一番そう告げた。
 それはさておき、櫻宵とカムイ――二人で作った南瓜料理が女王の前に並べられる。
 鮮やかな彩りに、女王の瞳がきらりと輝いた。
「南瓜づくしね、良いじゃない」
「ええ、味はもちろん、込めた想いもいっとうよ! さあ召し上がれ!」
 出来たてあつあつ、ほかほかの湯気に、女王がこくりと喉を鳴らす。
 まずはやっぱり、シチューから。
 一口食べて、はっと大きく見開かれた瞳が、忽ちの内に緩んでいく。
 そして、サラダも同様に。
「シチューは舌触りも良くて、これだけでパンがいっぱい食べられそうだし……サラダは、マヨネーズと塩胡椒のシンプルな味付けが、南瓜の甘さを良く引き出しているわ。それから……プリンも……!」
 ここで、女王が堪えきれずに欠伸を零す。
 それでも、出された料理は食べなければならないというハロウィンの国の法則で、女王はプリンも残さずきちんと食べるのだ。
「濃厚で、なめらか……!」
 ――無論。それが残さず食べる理由の全てというわけではないということは、プリンを一口ずつ噛みしめるように、本当に幸せそうな笑みを浮かべながら食べている様子から伝わってくるだろう。
「南瓜の味が、これでもかっていうくらいにぎゅっと詰まっていて、南瓜! って感じのプリンね。カラメルのほろ苦さも、絶妙なアクセントになっていて……南瓜の素朴で優しい甘さと……カラメルのほろ苦い甘さが、あっという間に溶けていくの……これは……一口食べてしまったら……いくつでも食べたくなる美味しさだわ……」
 うとうとと、猟兵ではなく睡魔と戦いながらも全て残さず食べた女王に、櫻宵はそうっと目を細めて。
「ふふ、お腹いっぱいな女王様は――どんな味がするのかしら……?」
 皆の真心籠もった料理を心ゆくまで食べた彼女はきっと、美しい桜となって咲くだろう。
「でも……私はまだ……食べられるわ……さあ、早く次の料理を持ってきなさい……」
 重たげな瞼を擦りながらも、女王はまだ、完全に意識を落とすことはなく。
(「……はやく、睡って仕舞えば良いのに」)
 そうすれば、神として“罰”を与えられたのに。
 己だけでなく、櫻宵の心も籠もっている料理を独り占めした彼女に、カムイは胸の裡がちくりと痛むのを感じていた。

 女王が眠るまで、あと少し――。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

コノハ・ライゼ
ふ、料理ならお安い御用ってヤツよ
でもそうね、どうせならうんと唸らせるようなモノを食べさせたいよねぇ

やっぱり南瓜料理が雰囲気あってイイけど、甘いモノになりがちかしら
ココはスパイシーな味付けで気分を変えてくとしましょ

塩胡椒や辛みの効いたスパイスとマスタードで和えた南瓜ペーストを
低温でじっくり火を通したローストポークのスライスに乗せ
花のように巻いて盛り付けたら見目にも楽しいわね
それから細切り南瓜をシンプルに揚げたモノにはパセリをたっぷり
彩りよくお酒にもよく合うハズよ、と自信満々に出すわ
だってコレがお仕事だもの、自信もって出さなくちゃ失礼デショ?

お腹いーっぱいになるまで、おかわりならいくらでもドウゾ



「ふ、料理ならお安い御用ってヤツよ」
 UDCアースの一角で無国籍バルを営むコノハ・ライゼ(空々・f03130)にとって、料理とは日々の生活の一部。
 ゆえに、今のコノハは何よりも強い武器を得ていると言っても過言ではなかった。
 料理の手を抜いたことなど一度もないけれど、相手がオウガであるならば、何故だか普段とは違う気合いが入るような気もして。
 様々な料理のバリエーションをイメージし、完成図を頭の中で組み立てながら、コノハはさてどの食材を使おうかと思案する。
 ありとあらゆる食材が揃った貯蔵庫には言うまでもなく胸が踊って思わず時間を忘れてしまいそうになったほどだし、ウチの冷蔵庫と繋がらないかしら、なんて割と本気で考えたりもした――のはここだけの話だ。
「でもそうね、どうせならうんと唸らせるようなモノを食べさせたいよねぇ。……やっぱり南瓜料理が雰囲気あってイイけど、甘いモノになりがちかしら?」
 そうして、どっさりと山のように積み上げられた南瓜たちを前に、コノハは更に考える。
 ふと見やれば同胞たちも、南瓜を使った料理を作っているようだった。
 ならば、とコノハはひとつ、小さく頷いて。
「ココはスパイシーな味付けで、気分を変えてくとしましょ」
 よろしくとばかりに南瓜を叩くと、コン、と軽やかに跳ねるような音が返ってきた。

 そうと決まれば鼻歌交じりに、コノハは手を動かしていく。
 低温でじっくり火を通したローストポークのスライスに、辛みの効いたスパイスと粒いっぱいのマスタード、それから塩胡椒で和えた南瓜のペーストを乗せて。
 くるりと巻いて盛り付けたなら、硝子の皿にまるでいくつもの花が咲いたよう。
 見た目的にも楽しい一品は、きっと女王も楽しんでくれるはずと期待を込めながら。
 それからもう一品、シンプルにさっと油で揚げただけの細切り南瓜には、パセリをたっぷりと散りばめる。
「ウン、結構イイ感じじゃない?」
 ――きっとワインの樽を空けてしまったら、つまみ食いの手が止まらなかったことだろう。

「彩りも良いでしょう? お酒にもよく合うハズよ。――まずは目で楽しんで、それから、目が覚めるような刺激的な味をドウゾ召し上がれ?」
 コノハにとってこれは“仕事”の一環。
 ゆえに、たとえ相手がオウガであっても、今のコノハからすれば大事なお客様だ。
 堂々と自信満々の笑みで、コノハは女王の前に“作品”を並べてゆく。
 一切の妥協もなく、誠心誠意、彼女のためにまごころ込めて作った料理に、このハロウィンの国の女王たるオウガの少女、ネガ・アリスが瞳を輝かせないはずはなかった。
「これは……さっきとはまた違う、南瓜の料理ね……! お皿の上にお花が咲いて、こちらは……散らされたパセリの緑で、森のよう!」
 これまでの“おもてなし”によって、女王は既に大分眠そうな声をしていたが、コノハが用意した料理に目が釘付けだ。
 食前酒には、すっきりとした飲み口の甘いフルーツワインを。
「食べてしまうのが勿体ないわ……でも、いただきます……」
 女王が躊躇したのは、美しく仕上げられた料理にナイフとフォークを入れるのが躊躇われたからだろう。
 けれどハロウィンの国の法則が齎す衝動には抗えず、女王はそっとローストポークの花を持ち上げた。
 そして、ぱくり、と。
「ん……」
 じっくりと噛みしめるように、女王はコノハの料理を食べ進めていく。
「スパイスとマスタードの刺激に、ペーストにした南瓜の甘さが……とても絶妙なバランスで、混ざり合っているわね。これが……更に柔らかいお肉と一緒になって、あっと言う間に口の中で溶けていったわ……それから、こっちの南瓜の森も……シンプルに揚げただけだというのに、……いいえ、だからこそ、ぎゅっと閉じ込められた南瓜の美味しい部分を、そのまま味わえる一品に仕上がっているわね……」
「お気に召して頂けた?」
 柔らかく微笑んで問うコノハに、女王は、きゅっと唇を噤んでから、小さく頷いた。
「それは……勿論よ……あなたの料理も、さっき食べたどの料理も……とても、美味しかったわ……」
「ソレなら、何よりよ。お腹いーっぱいになるまで、おかわりならいくらでもドウゾ」
「でも……もう……」
 からん、と、女王の手からナイフとフォークが落ちる。

「……おやすみなさい、良い夢を。――ハッピー・ハロウィンは、お預けね?」
 ごちそうさまと言えぬまま、覚めぬ眠りに身を委ねたオウガの少女に、コノハが手向けるは空色の花。
 無数の空に包まれた少女の姿はそのまま花びらに紛れるように消え失せて、そして、ハロウィンの国に平穏が取り戻されたのだった――。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月28日
宿敵 『ネガ・アリス』 を撃破!


挿絵イラスト