【Q】お菓子をくれないと、お菓子にするぞ!?
●お前がお菓子になるんだよ!
「アリスラビリンスでの戦争は終わったけど、オウガ・オリジンは倒される前に、たくさんの『ハロウィンの国』を創造していたみたいだね」
一見、楽しそうな名前の国に思われるが、そこはオウガ・オリジンが現実改変によって作り出した場所。それ故に、オウガ・オリジンから直々に力を与えられた、危険なオウガが潜んでいる場所なのだと、日紫樹・蒼(呪われた受難体質・f22709)は猟兵達に説明した。
「ハロウィンの国には、喋る南瓜ランタンとか、長い行列が延々と続く道とか……とにかく、ハロウィンパーティに使えそうなものがいっぱいあるんだ。でも、ただのパーティ会場じゃなくて、そこにはルールがあるからね。オウガ達は、そのルールを利用して、ハロウィンの国を訪れた人に襲い掛かって来るよ」
オウガ達が戦いに利用する場所は二つ。コスプレ衣装の飛び出す森と、あらゆる食材が完備されたキッチンである。ハロウィンの国を支配するオウガの親玉は、キッチンの奥で待ち構えているので、まずはコスプレ衣装の飛び出す森を抜けなければならない。
「えっと……その、森なんだけど……飛び出して来たコスプレ衣装を着ると、パワーアップできるんだけど……」
残念ながら、どんな衣装が飛び出してくるかは分からない。場合によっては男なのにメイド服やスクール水着といった変態に誤解されそうな格好をしたり、もしくは老若男女関係なく、やたらと露出度が高く恥ずかしい衣装を身につけたりする必要が出てくるかもしれない。
正直、自分の好きな衣装を入手できる方が稀である。だが、そこに巣食うオウガの群れは、こちらの事情などお構いなしにコスプレ衣装を着てパワーアップして来る。当然、選り好みしているとやられてしまい兼ねないので、気が進まなくともコスプレして戦う他にない。
「森を抜けると、今度はどんな食材でも揃っているキッチンがあるんだ。そこにいる限り、オウガは無敵で、どんな攻撃も通用しないんだって……」
ランダムコスプレに続き、それに輪をかけて無茶苦茶なルールであった。そのキッチンで待つオウガを倒す方法は、たった一つ。キッチンで美味しい料理、あるいは気持ちのこもった料理を作り、それを食べさせることだ。
「料理が完成すると、オウガはハロウィンの国のルールで、必ず料理を食べてくれるよ。その後、料理の味について色々と批評して……それから眠ってしまうみたいだね」
その際に、敵の無敵状態も解除される。そのため、料理を作って食べさせることが大前提になるのだが、当然のことながら敵も料理を妨害して来るので、なんとか耐えて料理を完成させなければならない。
「あ、そうそう! コスプレの森に出てくるのは『ビスケットシールダー』っていうパティシエのオウガで、キッチンで待っているのは『悪魔王アマイモン』っていう、チョコレートを支配するオウガだよ」
どちらもお菓子を武器にする、なんともハロウィンらしいオウガである。だが、彼女達の作るクッキーやチョコレートの材料は、他でもないアリス達。お菓子だからといって甘く見ていると、こちらがお菓子の材料にされて、彼女達の腹に収められてしまい兼ねない。
「甘いお菓子は好きだけど……自分がお菓子にされるのは、さすがにどうかと思うんだよね……。こっちがお菓子の材料にされる前にオウガ達をやっつけて、ハロウィンの国を手に入れちゃおうよ」
オウガ・オリジンの置き土産であるハロウィンの国。ハロウィン当日までにたくさん手に入れることができれば、何か良いことがあるかもしれない。
そう言って、蒼は猟兵達を、アリスラビリンスにあるハロウィンの国へと転送した。
雷紋寺音弥
こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。
ハロウィン関連の季節限定シナリオになります。
通常のシナリオとは以下の点で異なりますので、参加される方は気をつけてください。
●章の数
通常の依頼とは異なり「2章構成のシナリオフレーム」になっています。
●ハロウィンの国のルール
第一章では、森から飛び出してくるコスプレ衣装を身につけて戦うと、大幅にパワーアップできます。
衣装の種類はランダムのため、自分の好きな衣装を着ることができる可能性は極めて低いですが、それでも頑張って着るというプレイングに対しては、通常よりも多くのプレイングボーナスが発生します。
第二章では、料理を食べさせるまでオウガは無敵状態です。
ユーベルコードを始めとしたあらゆる攻撃、干渉行動が理屈抜きに無効化されてしまうので、オウガの攻撃に耐えながら料理を作り、食べさせましょう。
食べさせることに成功すれば、どんな攻撃でも一撃で大ダメージを与えられるようになります。
●その他
10/31までに成功したシナリオの本数に応じて、ハロウィンパーティ当日、そしてやがて始まるであろう『アリスラビリンスでの猟書家戦』に、何らかの影響があるかもしれません。
第1章 集団戦
『パティシエ『ビスケットシールダー』』
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POW : 怖いですぅぅ~~!!
【アリスが封じられたクッキーの盾】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【複数のクッキーシールダー】の協力があれば威力が倍増する。
SPD : 使い捨ての犠牲者
【アリスが封じられたクッキーの盾】による素早い一撃を放つ。また、【攻撃や防御によって盾が破壊する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 貴方もクッキーに…!
【装飾がないクッキーの盾】から【甘い不思議な粉】を放ち、【クッキーの盾へ封印すること】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
メルル・ハルピュイア
「甘いお菓子のにおいがするんだよー」と、食べ物の気配に誘われて参加しちゃった。
敵を陽動して引きつけるオトリ役として頑張るよ!
パティシエ『ビスケットシールダー』が「貴方もクッキーに…!」を使ってきたら僕のユーベルコード「フェアリーランド」で、クッキーの粉を壺の中に封じ込めて無効化してやるんだ。
援軍が来る前に敵の群れをやっつけられるように、出てくるコスプレは、どんな恥ずかしいものでも積極的に身につけるよ!
●鳥籠妖精とドジっ子オウガ
甘いお菓子の匂いに釣られ、ハロウィンの国にやって来たメルル・ハルピュイア(ハートフルぼっち・f30256)。鳥かごの中で生まれ育った彼女にとって、外の世界はどこも新鮮。しかも、それが楽しいメルヘンの世界となれば、これはじっとしている方が難しい。
もっとも、メルヘンの世界とはいえ、ここは危険なオウガの巣窟でもある。おとぎ話に悪い魔女や恐ろしい竜が登場するように、この世界もまたメルヘンの悪者であるオウガ達によって支配されているのだ。
「あら? 誰か来たみたいですよ?」
「ちょうどよかった! クッキーの材料、切らしていたんですよねぇ」
メルルの姿を見つけ、続々と集まって来るパティシエ達。彼女達は一見して普通のパティシエだが、その正体は獲物をクッキーの中に閉じ込め、クッキーの一部にしてしまう恐ろしいオウガ。おまけに、今は森の中から飛び出して来た衣装に着替えており、なんとも統一感のない姿になっている。
「さあ、あなたもクッキーになりなさい」
メルルをクッキーの材料にすべく、パティシエ達はクッキーの盾から甘い香りのする粉を放ち、それを彼女に向けて放って来た。が、そんなことはメルルとて承知の上。小さな壺を取り出すと、放たれた謎の粉を、その中へどんどん吸い込んで行く。
「……え? あ、あらあら?」
「そんな……! 私達の粉が……」
自慢の粉を無効化され、パティシエ達が早くも混乱し始めた。どうやら彼女達は、恐ろしい魔法を使う割には、あまり戦闘向きな性格ではないようだ。
これはチャンス。パティシエ達が狼狽えている間に、メルルは近くに転がっていた衣装に手を伸ばし、身に着けた。フェアリーの彼女に合うサイズの衣服があるかどうか心配だったが、どうやら森から飛び出して来る衣装は、巨人だろうと妖精だろうと、そのサイズに合わせた服を排出するらしい。
「よ~し、まずはこれで……」
そう言ってメルルが身に着けたのは……なんとも露出度の高い戦士の衣装。防御力よりも、機動力を重視した作りなのだろうか。急所部分しか覆っていないので、これでは水着か下着と変わりないような気もするが、それはそれ。
この状況では、恥ずかしがってなどいられない。というか、恥ずかしがっている暇があったら、敵を攪乱する方が先だ。
「ま、待ちなさ~い!」
「今度こそ、あなたをクッキーに……」
懲りずに粉を撒き散らして来るパティシエ達だが、メルルは素早い動きで攻撃を避けて行く。瞬く間に周囲は粉だらけになり、さすがのメルルも捕まってしまうと思われたが。
「……あ?」
「し、しまっ……いやぁぁぁっ!!」
それよりも、パティシエ達が盛大に自爆する方が先だった。勢い余って大量の粉を発射した結果、彼女達は互いに粉を浴びてしまい、それぞれクッキーの盾の中に封印されてしまったのだ。
「うわぁ……。これ、絶対に当たったらダメなやつだったね……」
いつの間にかプリンセスのような衣装に着替えていたメルルが、上からクッキーになったパティシエ達を見下ろして呟いた。
やはり、見た目に反して恐ろしい相手だった。弱気でドジな性格の敵でなければ、自分もクッキーにされていたかもしれない。そう考えると、なかなかどうして洒落にならない。
とりあえず、この辺一帯にいる敵は、その大半が自滅してクッキーになったようだ。増援がやって来ても面倒なので、メルルは一足先に森を抜け、オウガの親玉が待つキッチンを目指すことにした。
成功
🔵🔵🔴
フレミア・レイブラッド
コスプレ衣装の飛び出す森ねぇ…普段からブラッディ・フォールで様々なオブリビオンに由来する格好になってる身としては、今更ね…。
(セクシー衣装や着ぐるみ系、メイド服やスク水なんかでも然程気にせず着て進んだり)
寧ろ、この森のオウガは女性型らしいし、コスプレもするのよね?
可愛らしい格好の女の子達を見られる分、楽しみかも♪
…最も、アリスをお菓子にする様な相手に容赦するつもりはないけど
【念動力】の網で敵の突進をクッションの様に受け止めて絡めとりつつ、そのまま【サイコキネシス】で完全に動きを拘束。
アリスの盾を避け、拘束した敵を確実に魔槍で始末していくわ。
盾に封じられたアリスを助けたいけど…元に戻せないかしら
ティエル・ティエリエル
SPDで判定
わぁ!ハロウィンの国楽しそうだね!
ハロウィン当日までに悪いオウガ達は追い出して目一杯楽しむぞー☆
ふむふむ、まずはこすぷれ?
どんな衣装でもどんとこいだ!お姫様力でどんな衣装でも着こなして見せるよ♪
アリスが封じられたクッキーの盾を壊してしまわないように
攻撃してきたところを「見切り」、【スカイステッパー】で飛び跳ねて華麗に回避!
そのまま「カウンター」で盾を持ってる腕をレイピアで突き刺してクッキーを手放させちゃうよ♪
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です
●森のチョイスはマニアック?
オウガによって支配されたハロウィンの森。楽しくも恐ろしい、気が抜けない場所であるのだが、しかしこういう状況は難しく考えた方が負けである。
「コスプレ衣装の飛び出す森ねぇ……。普段からブラッディ・フォールで様々なオブリビオンに由来する格好になってる身としては、今更ね……」
どんな衣装が飛び出して来たところで、全て軽く着こなしてみせよう。フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)にとっては、コスプレして戦うことなど何ら問題ではない。
むしろ、この森に現れるオウガがコスプレをした女の子ということも相俟って、フレミアはどこか楽しみにしていた。最終的には倒さねばならないのだろうが、可愛らしい女の子を拝めるのであれば眼福だ。
「わぁ! ハロウィンの国楽しそうだね! ハロウィン当日までに悪いオウガ達は追い出して目一杯楽しむぞー☆」
そして、フレミアと同じく、この森を楽しみにしている者が、もう一人。ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)。妖精の森の御姫様である。
「ふむふむ、まずはこすぷれ? どんな衣装でもどんとこいだ!」
多少、動き難いものがあっても構わない。全ては気合いと、後は謎のお姫様パワーでなんとかなると、ティエルはどこか楽観的。
果たして、彼女達は本当に大丈夫なのだろうか。万が一、着るのを躊躇われるくらい酷い衣装が出て来た場合、オウガ達の方が有利になってしまい兼ねないのだが。
「あっ! あんなところに、女の子達がいますよぉ!」
「侵入者ですぅ! 全部纏めて、クッキーにしてあげます!」
噂をすれば、なんとやら。クッキーの盾を構えたパティシエ少女達が、一斉にこちらへ突進してくる。しかも、その恰好は魔法少女だったり際どい水着だったり、果ては猫の着ぐるみだったりと、統一感もなにもあったものではない。
「あれが報告にあった敵ね。で、肝心のコスプレだけど……」
「わぁっ! 何か森から飛び出して来たよ!?」
フレミアが衣装を探し始めたところで、ティエルが思わず飛び退いた。森から排出されたコスプレ衣装。いったい、どんな服が飛んで来たのだろうか。
「なるほど、メイド服ね。……まあ、たまには従者になってみるのも悪くないわ」
フレミアが手にしたのは、ゴシックロリータなメイド服。本来であれば、彼女の眷属に着せた方が似合う衣装だが、今は気にしてなどいられない。
「えぇと……ボクのサイズに合うのは、これかな?」
そして、ティエルが手にしたのは着ぐるみだった。なんとも動き難そうで、彼女の機動性を殺してしまいそうな気もするが、これを着なければ勝ち目はない。
「てやぁぁぁっ! 覚悟してください!」
そうこうしている間に、クッキーの盾を持ったパティシエ少女が、ティエル目掛けて手にした盾を叩きつけた。見た目は巨大なクッキーだが、それでもオウガの魔法によって作り出したもの。あれで叩かれたら最後、小柄なティエルはペシャンコになってしまい兼ねない。
「……やった! やりまし……て、あれ?」
完全に決まったと思ったパティシエ少女が、思わず首を傾げる。確かに、叩き潰したと思ったのだが、肝心のティエルが盾に張り付いていないのだ。
「残念だったね! ボクはこっちだよ!」
「きゃぁっ1 痛いですぅ!!」
なんと、ギリギリで着替えを済ませたティエルは、空中で宙返りをして攻撃を避けると、そのまま相手の腕に小さなレイピアを突き立てたのである。
「あぁ、盾が!」
慌てて拾おうとする少女だったが、そうはさせない。今度はフレミアが念によって捕縛し、完全に動きを止めてしまった。
「ふふ~ん! これでアリスを犠牲にして、パワーアップはできないね!」
勝ち誇ったようにして、ティエルがドヤ顔でパティシエ少女達を見下ろしていた。数の上では勝っている彼女達だったが、個々の力では完全に猟兵達に劣っているわけで。
「ひぃぃ……怖いですぅ!」
「こ、こっちに来ないでくださぁい!!」
早くも恐れをなして、ヤケクソに突撃を開始する始末。アリスを封じた盾を構えての突進ならば、迂闊に攻撃できないと思ったのだろうが。
「悪いわね。そのくらい、お見通しよ」
こんなこともあろうかと、フレミアが網の目の如く張っていた念に捕まって、それ以上は進めなくなってしまった。その上で、フレミアは盾の部分を避ける形で、確実に魔槍を叩きつけて敵を始末して行く。
「うぅ……こ、このままじゃ、全滅ですぅ!」
「こうなったら、全員の力を合わせるですよぉ!」
ようやく、バラバラに戦っていても駄目だと悟ったのか、残るパティシエ達は、横並びになって突撃して来た。
所謂、ファランクスというやつだ。さすがに、あれだけ広範囲に広がられては、念だけで受け止めるのは苦しいかもしれない。さて、どうしたものかと考えるフレミアだったが、そんな彼女と、そしてティエルの下に、なにやら新たな衣装が飛び出して来た。
「これは……あ、これ、知っているよ! すくーる水着ってやつだよね!」
衣装を拾い、ティエルが叫ぶ。確かに、彼女が持っているのはスクール水着だ。しかし、どことなく色やら形やらが、ティエルの見たことあるものと違っているような。
「……白スクに、旧スクね。なんともまぁ、マニアックなものを……」
どうやら、フレミアはスクール水着の正体について知っていた模様。どちらもUDCアース等の学校で用いられることはない、あくまで萌え要素としての意味が強い衣装。いったい、この森の排出するコスプレ衣装の基準はどうなっているのだろうか。
この状況を打破するには、もう目の前の水着を着るしかない。だが、水着といえば、素肌に着用するものだ。つまり……服を全て脱がなければならないのだが、そんな恥ずかしいことは……。
「えぇと……ここにいるの、ボク達だけだよね?」
「そうね。女同士……というか、女の子しかいないんだから、今さら恥ずかしがる方がおかしいわね」
幸いにして、この戦場には男など誰もいなかったので、当然のことながら誰の目線も気にする必要はない!
互いに頷き、衣服を脱いで放り投げる二人。ちなみに、その瞬間、何故か世界は二人の姿ではなく、空高く投げ捨てられた衣装の方へとフォーカスされた。
なに、ここまで期待させておいて、それはないだろうって? そりゃ、仕方ない事ですよ。いくら周囲に男子の目がないとはいえ、さすがに女の子の全裸生着替えなどお見せできませんって!
「さぁて……それじゃ、着替えも終わったところで……」
「一気にやっつけちゃうよ!」
投げ捨てられた衣装が地に落ちたときには、二人は既に着替えを終えていた。ここまで来たら、もう勝利は目前! 突撃して来るパティシエ達を、フレミアはパワーアップした念で全て絡め取り。
「これで終わりだよ! それっ!!」
その合間を縫って、ティエルが次々にパティシエ達の腕を刺し、手にした盾を手放させて行く。そして、防御の術を失ったところへフレミアの魔槍が放たれ、次々とパティシエ少女達を葬って行った。
「ふぅ……なんとか、片付いたかしら? それにしても……この盾の中にいるアリス、助けられないのかしらね?」
「う~ん……どうだろうね? 石化の呪いとかだったら、元に戻せることもあるとは思うんだけど……」
残されたクッキーの盾を見て、しばし考え込む二人。残念ながら、この盾の中に閉じ込められたアリスは完全にクッキーと同化させられてしまい、もはや元に戻す術はなさそうだ。
やはり、敵は可愛らしい顔をして、なんともえげつない能力を持ったオウガだった。こうなったら、盾に閉じ込められたアリス達の弔い合戦だ。なんとしても、この世界を支配するオウガの親玉を退治し、ハロウィンの国を手に入れてやろう。
目指すはオウガの親玉が居座るキッチン。彼女を倒し、ハロウィンの当日は絶対に楽しんでやろうと心に決め、二人は森の奥へと進んで行った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
栗花落・澪
【星の館】
コスプレ…ランダムか…
着ぐるみとかならまだいいけど…男らしい服着たいなぁ…
でも皆条件は一緒だし、僕だけじゃないし?
なんでも着てやろーじゃん…!!(覚悟
で何故こうなる!!(ミニスカ系踊り子衣装)
でも頑張る
これは戦いのため
皆一緒なら怖くない(自己暗示しつつ皆を見て
こわくない!
肉弾戦は不得意だから
翼の【空中戦】で空を舞い仲間の援護
氷魔法の【高速詠唱、属性攻撃】で飛んで来る粉を凍結させたり
敵の足場を凍らせ動き封じ狙い
盾攻撃も歩けなければ効果範囲狭まるでしょ
盾はなるべく傷つけたくないなぁ…
ねぇ君達、それこっちに置いてくれない?
両手を合わせ上目使い(無意識)で【指定UC】
せめて敵の足止めになれば
加藤・光廣
【星の館】四人
ハァ!? ランダムぅ~?
ロクでもねーのが出てくるって俺の勘が言ってんだよなー
やっぱりかよ……誰か俺のと交換してくr……やっぱいいや
悪夢だ……ウェイトレス、しかもこんな短いスカートの着られっかよ!
クッ、だけど依頼のためだ
パフォーマンスと思えば恥ずくない……わけねー!
こーなったらヤケだ
とっとと着替えてヤるしかねーか
一九式とナイフの乱れ撃ちでちゃん澪くんさんと敵を引き付けるからその間に団長と天星さんは背後を狙ってくれよな
デザートはスタングレネードだぜ、お客様!
ゔ……走ったり跳ねたりする度にスカートが!
仕方ねー、UCで一掃するからみんな離れてくれ
間違っても絶対こっち見んなよ!
絶対だぞ!
天星・零
【星の館】
『衣服が飛び出してくるとはどのような仕組みなのでしょう。この森について研究したくなりますね』
【戦闘知識+情報収集+追跡】で戦況、弱点死角を把握し周囲警戒、臨機応変に対応し敵行動を予測し戦闘
遠距離は十の死とグレイヴ・ロウ
近接はØ
虚鏡霊術で服装にあった武器を創造して、敵に合わせて遠距離・近距離攻撃を行う
『折角のハロウィンなのですから楽しみましょう。おいで、ウェビル。ここを僕達の舞台にしよう』
指定UCと連携し爆弾とトランプを使い分けながら攻撃してもらう
『ウェビル、暁音。今回の衣装はどうかな?』
口調
暁音、ウェビル‥素に近い口調
それ以外‥丁寧なですます口調
UC秘密の設定
常に微笑んでる
天星・暁音
【星の館】
コスプレ…ねぇ…俺は別に必要ならどんな格好でも構わないんだけどな…
まあ露出高いのはちょっとは恥ずかしいかもね
まあ、別に裸見られたところでね…
とはいえ必要というならしっかりやらないとね…
うーん、まあ、そもそも何が出るか分かんない以上言っても仕方ないか…
なるべく盾は攻撃したくないし…光廣さんたちの攻撃に合わせてしっかり後ろから切っていくとしましょうか…
接近戦は得意戦術と比べて苦手だと公言してるけど弱いって訳ではないんだよ
天星流刀術、とくご覧あれってね
神祭具の刀を使います
基本的にはどんな衣装も気にはしませんが気が乗らない恥ずかしい的な演技は入れます
衣装お任せします大抵の格好はOKです。
●恥ずかしい想いを力に変えて?
好む、好まざるに関係なく、大量のコスプレを排出する謎の森。いったい、どのような原理になっているのか。天星・零(零と夢幻、真実と虚構・f02413)は、その仕組みを解析したくて早くも興味津々だ。
「衣服が飛び出してくるとはどのような仕組みなのでしょう。この森について研究したくなりますね」
まあ、今はそんなことをしている場合ではなく、ぼんやりしているとクッキーにされてしまい兼ねない。さすがに、それは御免被りたいので、とりあえず何でも着てみる覚悟で向かったのだが。
「コスプレ……ねぇ……。俺は別に、必要ならどんな格好でも構わないんだけどな……」
「コスプレ……ランダムか……。着ぐるみとかならまだいいけど……男らしい服着たいなぁ……」
自分では服装を選べないことから、天星・暁音(貫く想い・f02508)と栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、少しばかり及び腰。
頼むから、変な物だけは出て来ないでくれ。それは彼らだけでなく、加藤・光廣(飢狼・f06416)にとっても同じこと。
(「ハァ!? ランダムぅ~? ロクでもねーのが出てくるって俺の勘が言ってんだよなー」)
そんなことを考えていると、早くも敵の軍勢が目の前に!
ビスケットの盾を装備したパティシエ少女達。しかも、彼女達は既に南瓜だの魔女だのといった服装に身を包んでおり、戦闘準備もバッチリだ。
「あ! また侵入者ですぅ!」
「今度こそ、全員纏めてクッキーにしちゃいますよぉ!」
こちらの姿を見つけるや否や、パティシエ少女達が盾を構えて突っ込んで来る。これは拙い。今の状態では、戦闘力は彼女達の方が上。こちらも早く、森から飛び出して来た衣装を着て、パワーアップしなくては!
「露出高いのは、ちょっとは恥ずかしいかもしれないけど……」
「えぇい、こうなったら、なんでも着てやろーじゃん……!!」
覚悟を決めて、それぞれ飛び出して来た衣装に手を伸ばす暁音と澪。もう、どんな衣装なのかなんて確認している暇はない。が、しかし、やはりというかこういう場合、自分の意思に反した衣装を引き当ててしまうのはお約束。
「……って、何故こうなる!?」
澪が引き当てたのは、丈の短いスカートをベースにした、露出度の高い踊り子風の衣装。こんなもの、普段だったら周囲の目線が気になって絶対に着れない! というか、大事なところは隠されているものの、これでは殆ど女性用下着にスカート穿いただけと変わりない!
それを、よりにもよって、男である自分に着ろというのか、この森は! 容姿端麗な澪だから辛うじて違和感が少ないものの、オッサンや男子学生が宴会芸で来たら最後、女子からの顰蹙を買うことは間違いない! 可愛い男の娘どころか、絶対に変態認定されるやつだぞ!
「えっと……これは、バニーガール……かな……」
そして、暁音が掴んだのは、よりにもよってバニー服。どう考えても、10歳にも満たない少年に着せてよいものではない! ある意味、澪の踊り子衣装なんかよりも、よっぽどセクハラではないか!
「やっぱりかよ……誰か俺のと交換してくr……やっぱいいや」
他の二人の衣装を見て、光廣がガックリと項垂れた。
予感は的中し、彼の引き当てたのはミニスカートなメイド服風のウェイトレス衣装。だが、露出度という点では、踊り子衣装やバニー服よりマシである。ここで我儘言って他の衣装を探したところで、バレーのチュチュだの女子スクール水着だのといった、もっと酷い衣装しか出て来ない気がしてならない。
「この盾で、叩き割ってあげますよぉ!」
「その代わりに、あなた達を新しい盾にしちゃいますぅ!」
着るか、着まいか。悩んでいる間に、いつの間にか距離を詰められ、パティシエ少女達が襲い掛かって来た。このままでは、本当にクッキーにされ兼ねない。仕方がないので、三人はそれぞれ心を無にし……恥ずかしさを堪えて早着替え!
「クッ、だけど依頼のためだ……パフォーマンスと思えば恥ずくない……わけねー!」
「これは戦いのため……皆一緒なら怖くない! こわくない!」
半ばヤケクソになって突っ込んで行く光廣と、自己暗示をかけて己を奮い立たせる澪。何故か、嫌な衣装を強引に着た方がパワーアップできる謎仕様なので、この時点で彼らの戦闘力は、パティシエ少女達を上回り。
「ウラァァァァッ! 俺に近づくやつは、ぶった斬るぞぉ!!」
「クッキーにされる前に、その粉を凍らせてあげるよ!」
光廣が少女達を斬り捨てて行く傍ら、澪が放たれた粉を凍結させ、クッキーにされるのを防いで行く。そんな中、零もまた手にした衣装に着替えると、呼び出したピエロの霊に自分の格好を見せていたのだが。
「ウェビル、暁音。今回の衣装はどうかな?」
「うん、なかなかいいんじゃない。似合ってると思うよ」
零の衣装を見て暁音が返した。だが、同じく零の衣装を目にした澪は、思わず攻撃の手を休め叫んでいた。
「え……? ちょっ……な、なんで零君のやつは普通なわけ!?」
零が着ていたのは、黒をベースにした道化師服。血の色のような刃をした大鎌がセットでついているのを考えると……殺人道化師とか、そっち系のコスプレかな?
「俺らのより全然マシじゃねーか! やっぱ交換し……って、危ねっ!!」
真横で盾が砕け散るのを見て、光廣が思わず飛び退いた。悔しいが、衣装を交換している暇はなさそうだ。この戦い、最後までウェイトレス姿でやり遂げる他にない。
「折角のハロウィンなのですから楽しみましょう。おいで、ウェビル。ここを僕達の舞台にしよう」
余裕の笑みを浮かべながら、零が爆弾やトランプを使って、次々に少女達を撃破して行く。凍った粉が爆風で吹き飛び、それが彼女達の視界を覆うことで、更に攻撃を難しくし。
「ひぃっ! このままじゃ、やられてしまいま……きゃぁっ!!」
「……天星流刀術、とくご覧あれってね」
慌てて尻餅を突いたパティシエ少女を、暁音が一刀の下に斬り捨てる。接近戦は得意ではないが、それでも全くできないというわけでもないのだ。
「こ、こうなったら、突撃ですぅ!」
「盾を使って、突撃あるのみですぅ!」
視界が塞がれたことで、パティシエ少女達はついに自暴自棄になり、盾を犠牲にして捨て身の策に出ようとした。だが、それは澪の予感していたことであり、彼はここぞとばかりに切り札を発動させるべく、少女達の前に舞い降りた。
「盾はなるべく傷つけたくないなぁ……。ねぇ君達、それこっちに置いてくれない?」
両手を合わせ、上目使いでお願いする澪。一見、だからどうしたと思われるかもしれないが……それこそが、彼の切り札でもある。
「えぇっ!? う~ん……そんなにお願いされたら、仕方ないですねぇ」
なんと、パティシエ少女達は澪のお願いを聞いてしまい、次々に盾を置き始めたではないか!
これはチャンスだ。敵は無防備で、おまけに丸越し。ここで纏めて一掃すれば、それだけ戦いも楽に終えられる。
「ゔ……走ったり跳ねたりする度にスカートが! 仕方ねー、UCで一掃するからみんな離れてくれ」
スタングレネードを投げながら、光廣もまた切り札を発動させるべく身構えた。
正直、これ以上動き回って、スカートの中身を公開するのは憚られる。なにしろ、コスプレは下着まで精巧に作られており、跳んだり蹴ったりする度に、女装男子のセクシーパンチラ大公開になるのだから!
「間違っても絶対こっち見んなよ! 絶対だぞ!」
反動でスカートがめくれることを考え、光廣は仲間に向かって苦言を呈してから息を吸い込んだ。
こうまで森に馬鹿にされた思い。今、その全てを感情のままにぶつけてやる。吸い込めるだけの空気を吸い込み……次の瞬間、光廣はそれらを盛大な咆哮に変えて、一気に周囲の敵を一掃すべく解き放った。
「うぉぉぉぉっ!! こんな格好、やってられるかぁぁぁぁっ!!」
森に響き渡る光廣の叫び。それらは全てを薙ぎ倒す衝撃波と化し、パティシエ少女達を物の見事に粉砕したという。
大成功
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第2章 ボス戦
『悪魔王アマイモン』
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POW : チョコラテ・ウォール
【万物をチョコ化するチョコレートの津波】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : チョコレート・ウォー
【チョコレートで出来た悪魔の軍勢】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ : チョコラテ・イングレス
非戦闘行為に没頭している間、自身の【主催する鬼ごっこの不参加者と捕まった者】が【チョコレート化する魔王の権能を発動】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠シスカ・ブラックウィドー」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●我儘なチョコ魔王
数多の艱難辛苦(主にセクハラなコスプレとか)を乗り越えて、キッチンへと辿り着いた猟兵達。だが、そこで彼らを待ち受けていたのは、恐ろしい鬼でもなければ巨大な竜でもない。
「ほぅ……妾の軍勢を退け、ここまで来よったか。なかなか、骨のある者どもじゃのぅ」
威厳ある古風な口調と共に現れたのは、どう見ても10歳になるかならないかといった年齢の少女である。頭に悪魔の角が生えていることからして、一応、魔族か何かなんだろうか?
「我が名は悪魔王アマイモン。お主らには、妾の舌を唸らせるような料理が作れるか?」
それが作れるというのであれば、試しに食べてやっても良い。ただし、自分はチョコレートを操る悪魔。故に、ぼんやりしているようであれば、何もかもチョコレートの海に沈めてやると少女は言い放ち。
「この世で一番美味いものはチョコレートと決まっておるのじゃ。お主らが何を作ろうと、全て妾がチョコレートに変えてくれるわ!」
キッチンにはあらゆる食材と調理器具が用意されているが、放っておけばアマイモンは、それらを全てチョコレートフォンデュにしてしまうだろう。
当然、そうなっては予定していた作業ができず、料理は失敗してしまう。だが、こちらが作った料理を食べさせるまで、彼女は理屈を超えた無敵状態! しかも、場合によっては何故か鬼ごっこを強要し、それに従わず料理を続けていると、調理者を問答無用でチョコレートにしてしまうというのだから、やってられない。
正に、嫌がらせここに極まれりといった感じである。まあ、ヤケクソになってチョコ化した素材をそのまま出しても食べてはくれるかもしれないが……アマイモンは腐っても魔王! 手抜きな料理を差し出すと、辛口な毒舌批評でバッサリと切り捨てられ、心に盛大なダメージを負わされるかもしれない。
どちらにせよ、単に料理をしようとしても、上手く行かずに失敗するだけである。できれば、チョコレート以外の料理で彼女の舌を唸らせて、ハロウィンの国を我儘魔王の手から取り戻そう!
メルル・ハルピュイア
「僕は食べるほう専門なんだけどなぁ……」
そう言いながらも、チョコレートの悪魔を「アサルト・シルバーアウル」で蹴散らしながらキッチンに接近。
「えーい! なんでもいいから適当にいれちゃえ!」
と、キッチンにあった卵や小麦粉、それから手持ちのフェアリー・ドロップスを適当にまぜまぜ。
「焼けばなんでも食べられるよね!」
適当にフライパンで焼いてドロップクッキーの出来上がり!
魔王の口に突っ込むよ!
「歯応えたっぷりのお菓子を召し上がれ〜。味の保証はしないけどね!」
魔王への止めはほかのみんなに任せるよ。
●甘くて固いダークマター!?
森を抜けて厨房へと辿り着いたメルル・ハルピュイア(ハートフルぼっち・f30256)。しかし、その前に現れたのは、チョコレートの悪魔を多数引き連れた悪魔王の少女。
「ふん……誰かと思えば、カトンボか。お主に妾の舌を唸らせる料理が作れるのかえ?」
メルルの姿を見るや否や、尊大な態度で見下して来る悪魔王アマイモン。見た目は少女でも、中身は大魔王というわけか。
「う~ん……。確かに、僕は食べるほう専門なんだけどなぁ……」
実際、アマイモンの言う通り、メルルは料理が得意ではなかった。それでも、アマイモンを弱らせるには、この場にある何かで料理を作り、それを食べてもらう他にない。
「なんじゃ、何もせんのか? ならば……こちらから行くぞ?」
そうこうしている間に、チョコレートの悪魔を散開させ、アマイモンはメルルを一斉に攻撃させてきた。このままでは敵の攻撃を捌くのが精一杯で、とても料理どころではない。
「ふははは! この乱戦では何も作れまい! 顔を洗って出直して来るがよいわ!」
調理場をメチャクチャにし、アマイモンは既に勝利を確信している。確かに、この状況ではまともな料理などできないだろう。だが、ここで「はい、そうですね」と退き下がっては、ハロウィンの国を手に入れられない。
「よ~し、そっちがそうなら……ふっくん突撃! ぴっぴっぴーのぴー!」
群がる悪魔達を蹴散らすべく、メルルは巨大な銀色のフクロウを呼び出すと、その背中に飛び乗った。そのまま敵に突撃して吹き飛ばしつつ、その辺にあった材料をしっかりと回収。後は、適当に小麦粉と卵を混ぜ合わせ、最後に手持ちの飴をぶちこんで。
「焼けばなんでも食べられるよね!」
フライパンで適当に焼けば、ドロップクッキーの完成……なのだが、その形状は、なんともいびつ。というか、クッキーって卵と小麦粉だけで作れたっけ?
「むぅ……それがお主の料理というわけじゃな。どれ……」
どう考えてもヤバいオーラを発しているクッキーらしき物体を、アマイモンは仕方なく口に放り込んだ。この国のルールである以上、出されたものは食べないといけませんからね。
「……痛っ! な、なんじゃ、これは!?」
もっとも、一口噛んだところで、アマイモンはメルルの料理を盛大に口から吐き出した。どうやら、想像以上に凄まじい味がしたらしい。
「えぇい……お主、いったい何を混ぜよった! なに、これがクッキーじゃと? ふざけておるのか!?」
残る料理を指差して、アマイモンは完全にブチ切れていた。その口から飛び出すのは辛辣な批評の嵐。確かに、出されたものは口にしなければならないルールだが、最後まで完食してもらうには、美味しい料理か、心のこもった料理でなければいけなかったはず。適当にその辺の材料を混ぜ合わせ、味の保障など知ったことではないという態度では、最後まで食べてもらえなかったのである。
「クッキーにしては柔らかすぎ、ケーキにしてはふわふわ感も甘さも足りなさ過ぎ! おまけに、中の飴玉が上手く溶けておらんぞ! ……というか、クッキーに必要なのは、卵よりも砂糖とバターじゃろうが!」
どうやら、メルルの料理は材料のチョイスからして間違っていたようだ。クッキーの種類にもよるが、あのサクサクした感じはバターを上手く使わないと出すことができない。卵と小麦粉を混ぜて焼いただけって……それはもう、単なるお好み焼きである。
ちなみに、飴玉を溶かして作るステンドグラスクッキーというものもあるが、これはバタークッキーをベースにオーブントースターを使ってじっくりと焼いて作るものだ。フライパン程度の火力では飴玉を中途半端にしか溶かせないので、全く別物なのである。
「おのれ……妾に、このようなものを食べさせおって! その罪、万死に値するぞ!」
怒り狂ったアマイモンが、再びチョコレートの悪魔を呼び出してメルルを攻撃させて来た。先程までは単に邪魔するだけだったが、こんどは本気で殺す気だ。
「うわわ! こんなところで、チョコにされて食べられるつもりはないんだよ!」
フクロウの背に乗り、慌てて逃げ出すメルル。どんな料理でも食べてくれるとはいえ、さすがに素材も調理法もメチャクチャでは、アマイモンを眠らせるには至らなかったようだ。
苦戦
🔵🔴🔴
ティエル・ティエリエル
むむむー! この世で一番美味しいのはハチミツがいっぱい掛かったパンケーキだよ♪
ボクがしょーめーしてみせるよ!
キッチンでパンケーキの材料を混ぜ混ぜしてたらアマイモンが飽きたのか鬼ごっこの時間じゃーとか邪魔してきたよ!
おやつが出来るまで我慢できないなんてお子様だ!
【妖精姫と子狼の鬼ごっこ】で呼び出したオオカミくんの背中に乗って逃げながら生地を混ぜちゃうね♪
生地が混ぜ終わったら物陰に逃げ込んだところでこっそりオオカミくんから降りて
オオカミくんがアマイモンを引き付けてくれている間に焼いちゃうよ♪
焼きあがったらハチミツをたっぷり塗ってからアマイモンに食べさせちゃうぞ☆
※アドリブや他の方との連携も大歓迎
●甘党鬼ごっこ
子どものような容姿でありながら、その中身は齢数百歳はあろうかという大魔王。そんなアマイモンの舌は、当然のことながらその辺の子どもなどよりも数段肥えている。
並の料理では彼女の舌を唸らせることはできず、下手なものを出せば罵倒されるのが関の山。だが、ここで彼女に屈してしまえば、その時点でこちらもチョコレートにされてしまうわけで。
「むむむー! この世で一番美味しいのはハチミツがいっぱい掛かったパンケーキだよ♪ ボクがしょーめーしてみせるよ!」
先に挑んだメルルのリベンジ戦とばかりに、ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)はキッチンへと飛び込んだ。しかし、それを見たアマイモンは、一瞥しただけで興味も示さない。
「ふん……なんじゃ、またカトンボか。お主らの料理など、食うに値せぬわ。帰れ、帰れ」
まだ、食べてもいないのに、この態度。思わず憤慨しそうになるティエルだったが、ここは我慢である。
相手が邪魔してこないのであれば好都合。ボールの中に小麦粉、砂糖、そして卵とベーキングパウダーを程よく入れて混ぜ合わせれば、たちまちパンケーキの生地が出来上がって行く。さすがに、今度は雰囲気が違うと察したのか、アマイモンはティエルの方へと歩みより。
「ほぅ……お主、少しは料理の心得があるようじゃの。じゃが、そこまでじゃ。ここからは鬼ごっこの時間じゃぞ?」
意地悪そうな笑みを浮かべると、自らティエルを追い掛け始めた。どうやら、アマイモンが鬼であり、ティエルが逃げる側という設定のようだ。
「ほれほれ、どうした? もっとしっかり逃げんと、妾に捕まったらチョコレートになるんじゃぞ?」
ドサクサに紛れて、とんでもないことを言い出すアマイモン。冗談ではなく、本気なのだろう。現に、今の彼女に捕まったが最後、魔王の力によって強制的にチョコレートにされ兼ねないのだ。
「むぅ……おやつが出来るまで我慢できないなんてお子様だ! だったら……」
このまま追われていては、パンケーキも焼けない。仕方なく、ティエルは森の守護者である大狼の子どもを召喚すると、その背に乗って逃げ出した。
「えぇい、小癪な! 待て! 待たぬか!」
「へっへ~ん! 悔しかったら、ここまでおいで~♪」
狼の背に乗ったまま、ティエルは材料を混ぜ合わせる。それを追うアマイモンだったが、なにしろ厨房が先の戦いで散らかり放題なのだ。おまけに、ティエルの呼び出した狼は敵に発見されにくい特性を持っているため、瞬く間に身を隠し、アマイモンの視界から消えてしまった。
「おのれ……どこじゃ! どこへ消えおった!」
必死に探すアマイモンだったが、ティエルの姿は見当たらない。一瞬、後ろで何かが動いたような気がして、そちらに突撃して行くも……いたのは狼だけで、ティエルの姿は消えている。
「なんと! では、いったい何処へ……む、なんじゃ、この甘い匂いは……?」
再びティエルを探そうとしたところで、アマイモンの鼻腔を刺激する甘美な香り。気が付けば、そこにはハチミツのたっぷりかかったパンケーキを、ティエルが皿の上に山盛りにしているではないか!
「し、しまった! ケダモノに気を取られている隙に、やられたわ!」
悔しがるアマイモンだったが、もう遅い。この国のルールに従わねばならない以上、出されたものは食べねばならない。
「さあ、ふわふわのパンケーキだよ。どうかな?」
「む……ぐぐぐ……」
口元を抑え、身体を震わせるアマイモン。不味いのではない。予想以上に美味しかったので、言葉が出ないのである。
「この口当たり……甘くて柔らかくて……どこか、母の愛を思い出させるものがあるのぅ……」
そう言いながら、軽く欠伸をして身体を伸ばす。ティエルのパンケーキを食べたことにより、アマイモンは少しだけ眠くなってしまったようだ。
大成功
🔵🔵🔵
フレミア・レイブラッド
可愛らしいけど…王と言う割にはまだ器量が狭そうね。
良いわ、本当に美味しい料理というものを教えてあげる♪…わたしの眷属達がね
【虜の軍勢】で「メイド・ライク・ウェーブ」で眷属にした「万能派遣ヴィラン隊」(総勢多数)を召喚。
【あらゆるニーズにお答えします】による【料理】で厨房だけでなく、魔城に貯蔵してある「各世界で集めた食糧物資や名物」も用いて、最高の料理の作成(自身と悪魔王の分)を指示するわ。
わたし自身はあの子の妨害が入らない様に厨房に【念動力】の障壁を張り、ヴィラン隊を防護。
悪魔の軍勢相手に広域を凍結魔術【高速・多重詠唱、全力魔法、属性攻撃】連発し、敵の動きを封じ込めるわ
邪魔はさせないわよ!
●ここはプロの出番です
森を抜けて厨房に辿り着けば、そこで待っていたのは悪魔王を名乗る少女。まあ、見た目と年齢が一致しないことなど、ファンタジーな世界においては当然なので、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は気にも留めなかったのだが。「可愛らしいけど……王と言う割には、まだ器量が狭そうね」
アマイモンに自分と同じ何かを感じつつも、所詮は子どもが強がって魔王のフリをしているだけだと、フレミアは瞬時に察していた。子どもの魔王がいても悪いことはないのだが、単に年齢を重ねただけでは、魔の王を名乗る資格はない。
「良いわ、本当に美味しい料理というものを教えてあげる♪」
ただし、料理を作るのは自分ではなく自分の眷属だ。そう言ってフレミアが指を鳴らせば、現れたのは多数のメイド達。
「あなた達、今から最高のディナーを用意しなさい。私と……それから、ここにいる子の分もね」
「はっ……仰せのままに」
フレミアに命じられるままに、料理を始めるメイド達。その腕前は、まさしくプロ! あらゆる技能に長けた彼女達に、できないことなど、殆どない。人間の能力で可能な範疇であれば、彼女達はその全てにおいて、最高の技量にて応えてくれるのだ。
「むぅ……これは少々、拙い気がするのぅ……。しかし、これ以上はやらせぬぞ!」
このままでは凄い料理が完成してしまうと悟り、慌ててアマイモンがチョコレートの悪魔達を呼び出して来た。が、メイド達に襲い掛かろうとした瞬間、悪魔達の動きがピタリと止まった。
「邪魔はさせないわよ!」
フレミアの前で凍結する悪魔達。料理をメイド達に任せている以上、フレミア自身は全力で戦闘に集中できる。己の全魔力と念を集中させて展開することで、メイド達を守る防壁を展開したのである。
「今回は特別に、私の秘蔵のコレクションも使用を許可するわ。どうせなら、最高の料理を作りなさいね」
悪魔の動きを封じつつ、フレミアがメイド達に向かって言った。そうしている間にも、次々に作られて行く素晴らしい料理。正に、王侯貴族が食べるようなフルコースが、目の前に完成して行くのだ。
「な、なんと……この短時間で、これだけのものを作るとは!?」
圧倒的な技量と人海戦術。その二つを用いて作られた料理の前には、さすがのアマイモンも言葉を失う他になかった。
この国のルールなど関係なく、アマイモンは料理に手を伸ばした。それだけ魅力的な料理だったのだろう。前菜から始まり、メインの肉料理に至るまで、そう時間は掛からない。厨房の材料だけでなく、フレミアが様々な世界から集めた名物や特産品も使っているので、時に普通では食べられないような珍味もまた舌を刺激する。
「う、美味い……美味過ぎる……。これが……これが、真に高貴なる者の料理というものなのじゃな……」
気が付けば、アマイモンは料理を食べながら泣いていた。そもそも、大魔王を名乗ってはいるが、アマイモンはまだ子ども。おまけに、魔王は魔王でもチョコレートの魔王なので、食べ物といえばお菓子ばかり。
そんな彼女にとって、フレミアの出した料理は正に晴天の霹靂。全身に電流が走ったようなショックを受け、そしてだんだんと瞼も落ちて行き。
「い、いかん……かなり眠くなって……うぅ……だ、だめじゃ、だめじゃ……」
必死になって頭を振るうも、もはや彼女の意識は半分以上が夢の中であった。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
【星の館】
集中、集中…今は衣装の事は忘れるのです
特に零さんの。ズルい…(じぃっ
僕はメインを担当しようか
得意の【料理】スキルを活かしてステーキでもどう?
栄養偏るから添え物にも気を使う
ソースは別容器に手作り
加藤さんが気を引いてる間に少しでも進めたいけど…
えー、僕も参加?
仕方ないなぁ
その時は敢えてお肉を火にかけたまま不要な食材を手に取り
【空中戦】しつつ皮剥いたり炎魔法で加熱する素振りで
大事な食材の一つに見せる
そしたらこっちを邪魔したくならない?
おっと大事な食材がチョコレートにー
お肉にも合うしチョコソースも作ろ(利用
今の間に火も充分通ったしね
好きな方をかけてどうぞ?
料理を彩る演出も兼ねて【指定UC】
天星・零
【星の館】
『栗花落さんもお似合いですよ。まぁ、暁音と僕はお揃いで道化師衣装できたらよかったのですが。さて、僕は暁音と栗花落さん調理を邪魔されないようにしますね』
栗花落さんに少し冗談で揶揄いつつ、
最初は敵を口で止めるように説得しながら対抗
【戦闘知識+情報収集+追跡+第六感】で状況、臨機応変に対応し敵行動を予測し敵の攻撃を回避
遠距離は十の死とグレイヴ・ロウを戦況に合わせ使用
近接はØ
『アッシュ、みんなの支援お願い。
彼等と暁音が料理できるように支援して』
UCで召喚したアッシュにダメージを負っている人を回復してもらう
口調
暁音、自分が契約するオブリビオンには素に近い口調
UC秘密の設定
常に微笑んでる
加藤・光廣
【星の館】四人
時間が惜しいからこの格好(ミニスカウェイトレス姿)のまま急いで来たけど、スカートの短ささえ気にしなけりゃ意外と動きやすいな
どんなオウガがいるかと思えばBibicheか
これなら相手にすんのも楽そーだ
Ma Bibiche、料理が出来上がるまで俺と鬼ごっこでもして遊ぼーぜ
俺が逃げるから捕まえてみろよ
料理の邪魔にならないように走り回ったり、天井や壁へ投擲で突き立てたナイフにジャンプで掴まったりして仲間の時間を稼ぐぜ
UCは受け止めて俺もUCを発動して仲間への盾にさせる
そろそろ料理が出来上がった頃だな
出来上がった料理をアマイモンへ素早くハデに届けるか
Bon appétit!
トドメは任せたぜ!
天星・暁音
【星の館】
まあ、格好は別にどうでもいいからサクサクと終わらせよう
さっきは光廣さんが嫌そうだったしね
さあお料理を開始しようか、パンプキンパイは外せないよね
南瓜の中身をくりぬいて、材料にして皮を器にしたハロウィングラタンに…パンプキンスープ、伝統コルカノンに…
あ、お人形さんたち悪いけどそこら辺のもの好きに使っていいから怪力でぶん投げて料理の邪魔を防いでおいてね
ハロウィン感たっぷりなお人形の怪力で岩やら何やら投げて盾にしたりしてフォンデュの邪魔をしてもらい自分は楽し気に料理に没頭
仲間や人形たちを信じてるので最低限の気はやりますが料理に集中します
料理は得意です
アドリブ歓迎
スキルUCアイテムご自由に
●せめて着替えましょう
森を抜けてキッチンまで辿り着いた星の館の面々。しかし、何故か彼らは衣装を脱がず、未だコスプレのままだった。
なんのことはない、服を着替えるのが面倒だったからなのだが、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)や加藤・光廣(飢狼・f06416)は、その選択を激しく後悔していた。
「時間が惜しいから、この格好で来たが……」
「集中、集中……今は衣装の事は忘れるのです」
次の戦いは料理バトル。衣装のことなど気にしていたら、満足な料理も作れない。
「栗花落さんもお似合いですよ。まぁ、暁音と僕はお揃いで道化師衣装できたらよかったのですが」
苦笑する天星・零(零と夢幻、真実と虚構・f02413)。
果たして、この厨房で待ち構えるオウガの親玉とは何者か。辺りの様子を探っていると、なにやら向こう側から小さな悪魔の少女が姿を現した。
「ふん……今度は、お主らが相手か。じゃが、もう負けぬぞ! 今度という今度は、全員纏めてチョコレートにしてくれるわ!」
見た目は少女でも中身は魔王。もはや後がなくなった悪魔王アマイモンは、最初から本気モード全開である。
「まあ、格好は別にどうでもいいから、サクサクと終わらせよう」
戦いの行末を決めるのは格好ではない。その辺に転がっていた南瓜を天星・暁音(貫く想い・f02508)が拾い上げたところで、ハロウィンの国の覇権を賭けた、最後の料理バトルが始まった。
●危険な鬼ごっこ
ハロウィンといえば南瓜のお祭り。それ故に、料理を出すなら南瓜料理は外せない。
「さあ、お料理を開始しようか。パンプキンパイは外せないよね」
南瓜の中身をくりぬいて、暁音は早速料理に取りかかった。余った皮は、そのまま器にしてハロウィングラタン。その他にも、パンプキンスープに伝統コルカノンに……料理のレパートリーは無限大。
もっとも、それを黙って見逃すアマイモンではなく、早くも邪魔をすべく暁音に向かって突っ込んで来た。
「あ、お人形さんたち。悪いけど、そこら辺のもの好きに使っていいから、料理の邪魔を防いでおいてね」
すかさず、暁音はお化けの人形を呼び出してアマイモンを攻撃させるが、しかしアマイモンは全く動じていない。それこそ、包丁やら金属製のボールやらが頭に当たっても、全然平気の平左なのである。
「フフフ……そのような代物で、妾を倒すつもりか? 片腹痛いわ!」
ハロウィンの国では、その主に料理を食べさせ眠らせるまでは、一切の攻撃が通らない。当然、暁音の人形達による攻撃も同じであり、足止めにすらなっていない。
「さあ、ここからは妾の時間じゃ。お主ら……鬼ごっこは好きか?」
そう尋ねつつ、強引に鬼ごっこタイムに入るアマイモン。鬼は自分で、参加者は暁音と人形達だ。捕まった者は勿論、不参加の意思を表明した者もチョコレートと化す。おまけに、ただでさえ無敵状態のアマイモンが、更に無敵になるというチート能力も込みである。
「フハハハ! どうした、逃げぬのか? ならば、全員チョコレートにしてくれるわ!」
投げ付けられる食材や調理器具を物ともせず、アマイモンは次々に暁音の人形を捕まえて、チョコレートへと変えてしまった。それでも気にせず調理を続けようとする暁音だったが、それが鬼ごっこへの不参加と捉えられてしまったのか、彼の握っていた包丁までが、徐々にチョコレートへと変貌し始めた。
「うわっ! こ、このままじゃ、もしかしなくても、俺までチョコに!?」
こうなっては仕方がなく、逃げながら調理を続ける暁音だったが、当然のことながらペースは落ちる。ならば、せめて敵の気を引き付けようと零がアッシュに命じてフォローに回らせようとするものの。
「アッシュ、みんなの支援お願い。彼等と暁音が料理できるように支援し……!?」
「ほぅ、お主らも鬼ごっこに参加したいのじゃな。よいじゃろう……ただし、途中で抜けたり、捕まったりしたら、その時点でチョコレートじゃぞ!」
なんと、アマイモンは零やアッシュまで参加者と見做し、強引にチョコレート化しようと追いかけて来た。
これでは、料理や支援どころではない。逃げ続けなければ、こちらが問答無用でチョコレートにされる。最悪、身体の一部がチョコになってもアッシュが助けてくれるかもしれないが……肝心のアッシュがチョコレートにされてしまえば、それもできなくなってしまう。
「ほれほれ、どうした? そちらのお主も、早く逃げぬとチョコレートじゃぞ?」
肉を焼いている澪の姿を見つけ、アマイモンは彼にも狙いを定める。すかさず、空中に逃れると同時に、花畑を展開する澪だったが。
「そうはさせないよ。幸せのままに眠れ」
「……ふん、それがどうしたのじゃ? 妾に傷を負わせたくば、妾の舌を唸らせるだけの料理を寄越さぬか」
普段であれば問答無用で相手の身体を切りさく花弁の刃も、今のアマイモンには全く効果がない。おまけに、空中に逃れようとした際に触れられた食材が、早くもチョコレートと化していた。
「おっと、大事な食材がチョコレートにー」
もっとも、これはあくまで囮の食材だったので、本命の肉は無事だったが。しかし、このままでは降りるに降りれず、放っておいたら肉が丸焦げになり兼ねない。
「おい、いい加減にしやがれ、Ma Bibiche。料理が出来上がるまで、俺と鬼ごっこでもして遊ぼーぜ」
こうなったら自分が相手になると、光廣が果敢に前へと躍り出た。が、アマイモンは彼を一瞥しただけで興味さえも示さず、代わりに多数の悪魔を召喚した。
「ふむ……しかし、そうなると相手が多過ぎるからのぅ。お主はしばらくの間、こいつらと遊んでおれ」
邪魔をするつもりが、反対に悪魔に囲まれて、光廣は一転して大ピンチ。先程から、完全に作戦の裏をかかれている……というか、行動が裏目に出てしまっている。
だが、それでも光廣は不敵な笑みを浮かべると、チョコレートの悪魔たちの攻撃を、自らの腕で受け止めた。
「お前のものは俺のもの、俺のものは俺のものだぜ! 提供サンクス! そんなお前には、倍以上にしてお返ししてやんなきゃなあ!」
瞬間、彼の周囲にも、チョコレートの悪魔が召喚される。そう、これこそが、彼の切り札でもあるユーベルコード。相手の攻撃を受け止めると、1分と少しの間だけは、それを自由に何度でも発動できるのだ。
「兵隊を操れるのは、お前の特権じゃねーんだよ! こうなりゃ、戦争だ! 派手にやってやるぜ!!」
途端に始まる、悪魔同士の大乱闘! 厨房に甘ったるい匂いが充満し、飛び散った悪魔の残骸によって、辺りはチョコレート色に染まって行った。
●いざ、試食の時!
気が付くと、厨房はどこもかしこもチョコレートに埋もれ、散々な状態になっていた。
そこら中に漂う、甘ったるい匂い。どんな甘党の人間でも、胸が焼けて三日は菓子が食べられなくなりそうな程に酷い。
匂いの発生源の大半は、溶けてドロドロになったチョコレートの悪魔達である。光廣によってコピーされたユーベルコードにより召喚されたチョコレートの悪魔は、アマイモンが召喚した悪魔と壮絶な相討ちになり、全てチョコ塊と化して飛び散ってしまったのだ。
果たして、こんな状態で料理はまともに完成しているのだろうか。どうにも不安が過るものの……そんな不安を吹き飛ばすかのように、光廣が颯爽とアマイモンの前に現れた。
「Bon appétit! さあ、お待ちかねのお食事タイムだ!」
まず、最初に運ばれて来たのは暁音の作った南瓜料理。パンプキンパイとグラタンにスープ、そしてコルカノン。あのドタバタ騒ぎの中、よく逃走を続けながら作れたものである。
「ふん……一応、形にはなっておるようじゃな。しかし、あれだけ逃げ回りながら作ったのじゃ。大方、味の方も適当で……」
そう言って、まずはスープから口にしたアマイモンだったが、次の瞬間、スプーンを握る手を震わせながらしばしスープを見つめて言葉を失っていた。
「こ、これは……! この、口の中でとろけるような触感! そして、濃厚かつクド過ぎぬ口当たり……」
どうやら、想像以上に美味かったらしく、批評の言葉にも刺がない。続けて、グラタンを一口掬って食べれば、これまた絶妙な焼き加減と舌触り。
「むぅ……チーズで覆われた下に広がる南瓜の海。その全てが、食材と一体化して調和されておる……」
ともすれば食材が喧嘩しがちなこともあるグラタンだが、それらを実に程良く調和させ、しかも脂っぽさまで感じさせない。最後に、コルカノンを口に含めば、ふわりと柔らかなジャガイモの触感が、まるで綿菓子か何かを食べているかの如き錯覚に陥らせ。
「な、なんと……! これは、本当にジャガイモなのか!? ふわりと優しく、そしてとろける口当たり……す、素晴らしいぞ!」
そして、最後に手にしたのはパンプキンパイ。本来であればデザートになりそうなものだが、今回はパンがないので、代わりにパイで代用だ。
「なんと! この焼き具合と、ふわふわ感が堪らぬ! 生地を作るために混ぜたバターと小麦粉の比率が、完璧なる料理の黄金比になっておるぞ!」
暁音の料理は、どれもアマイモンの舌を唸らせるのに十分な出来栄えだった。恐らく、彼女だけでなく、美食を追求する食通の偏屈親父でさえも、屈服させるだけのものだったのだろう。
「は~い、それじゃ、最後はメインディッシュのお肉だよ。普通のソースとチョコレートソース、好きな方をかけてどうぞ」
そして、最後に運び込まれたのは、澪が作った極上のステーキ。やはり、どんな料理のコースであっても、メインディッシュがなければ始まらない。
「ふむ、それではチョコレートソースでいただくかのぅ。……言っておくが、妾はチョコレートだけでなく、それを使った味のバランスにもうるさいぞ?」
チョコレートの悪魔に、チョコレートで勝負を挑むとは笑止千万。再び強気になって、ソースをかけた肉を口にするアマイモン。普通に考えれば、肉にチョコなど味が互いに喧嘩してしまい、まともな料理にならないはずだが。
「むぅ……じっくりと焼き込まれた、それでいて生の肉汁を感じさせる焼き加減。おまけに、余計な調味料の香りが一切せず、肉の……素材の味だけが生かされておる……」
澪の焼いたステーキを、アマイモンはじっくりと噛み締めるように味わっていた。
ステーキを焼く際のコツ。それはまず、油の選び方から始まるという。肉の味を生かすなら、やはり油も肉に由来するものの方が良い。サラダ油を使うなど言語道断。ステーキにはやはり、牛脂が一番。
そうして肉の味を存分に引き出した上で、澪は敢えて調味料による小細工を施さずにアマイモンへと提供していた。まあ、そんなことをする余裕がなかったというのもあるが、今回はこれが功を制した。
純粋な肉の味しかしなければ、どんなソースをかけても、よほど相性が悪くない限り喧嘩はしない。菓子にしか使われないと思われがちなチョコレート。しかし、今、そんなチョコレートが、澪の手で高級フレンチと融合し、新たな料理として爆誕したのである。
「……妾の負けじゃな……。もう、これ以上は耐えられぬ……」
それだけ言って、アマイモンはフォークとナイフを置くと、そのまま深い眠りに落ちた。こうなると、もう揺すろうが叩こうが、絶対に起きない。それどころか、彼女を覆う謎の力も消滅し、今は攻撃し放題。
ハロウィンの国において、何人たりとも、そのルールから逸脱することは許されない。ルールに従い、敗北を認めたアマイモンは眠りについた。そんな彼女へ、猟兵達は一斉に、最後の一撃を食らわせる。小細工もなく、さりとて過剰な破壊力も持たない、本当に普通の攻撃を。
どんな攻撃でも一発で昇天するのだから、無駄に長く苦しめたり、必要以上に粉々にすることもないだろう。かくして、チョコレートの悪魔王を自称する少女は、実に穏やかな寝顔のまま消滅した。逝く前に、チョコレート以外にもたくさんの美味しいものが世界に溢れているのだと、そのことをしっかりと理解して。
戦いが終わり、静寂に包まれる厨房。最初から最後まで大パニックな料理バトルを制し、猟兵達はまた一つ、ハロウィンの国を手に入れた。
成功
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最終結果:成功
完成日:2020年10月28日
宿敵
『悪魔王アマイモン』
を撃破!
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