2
子供達の夢見た外は

#アックス&ウィザーズ

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アックス&ウィザーズ


0




●好奇心旺盛な子供達
「なあ…外の世界ってどうなってんだ?」

 アックス&ウィザーズのとある小さな町、そこに一軒建つ孤児院の中で、まだ幼い子供たちは口々にそう言うのである。皆の年齢はバラバラで、本当に小さい3歳程の子供もいれば14歳程の青少年までそこで暮らしており、皆、親も身寄りも居ない孤児達が暮らしている場所。そんな孤児院には、小さい子でも分かるような三つの掟がある。それは、院長が毎朝皆に言い聞かせているものだった。

 ひとつ『院長の言うことは聞くこと』
 ふたつ『皆で仲良く暮らすこと』
 みっつ『勝手に外には出ないこと』

「外は怖いものが沢山あるって、院長言ってたよ?」
 夜中の誰かのベッドの上。メアリ、カルド、リシャル、カノンの四人の子供達は、大きな掛布団の下で懐中電灯をつけ、コソコソとお話をしていた。今日も外の世界の話だ。
「馬鹿、それは俺たちを脅すための理由だろ?」
 心配性で、一番年上でしっかり者のメアリの問いかけに対し、年齢的には二番目のお調子者でやんちゃなカルドはそれを馬鹿にするようにケラケラと笑いながら答える。
「それはどうでしょうか、教書にも外にはオブリビオンという脅威があると書かれています。もしもの為の武器が必要ですね。倉庫にあったはずです。」
 その会話に割り込むように話すのは、真面目で頭が良いリシャルである。彼は孤児院でン皆に配られている教書を開いて、皆に見せる。そこには外の世界のことが描かれていて、その広大な土地と危険が記されていた。
「だ、大丈夫かな……。院長に無断で外に出るなんて…。」
 それを見て縮こまるのは、一番年下で臆病だが優しいカノン。四人はそれぞれ年齢こそ違うものの、とても仲が良く、そして院長の言うことをよく聞く良い子たちだった。しかし、そんな彼女たちでも気になる外の世界、未知の世界を前に、孤児院からの脱走を企てていた。
「決行は今日の朝方だ、俺とリシャル、メアリとカノンの二手に分かれて外に出る。平気さ、いざとなったら俺が何とかしてやる。なんたって俺は孤児院の中で一番剣が上手いからな。」
 カルドのその掛け声に、他の三人は頷いて布団から顔だけ出すと、皆で横になって一眠りするのだった。

●子供達の行方は?
「助けて…猟兵さん……。」

 いつもより増して、顔を青くしながら集まった猟兵たちに声をかけるのは、レオウ・ヴァナターク(蒼い子狐・f01149)である。その顔には余裕がなく、一刻を争う様子にも見えた。

「アックス&ウィザーズの世界の、森の中でレオウと同じくらいの子供たちが山賊のオブリビオンに襲われているの…。このままじゃ殺されちゃう…!」

 涙目すら浮かべている彼は、そのまま説明を続ける。どうやら彼の予知によれば、何故か危険な町の外を歩いていた四人の子供が不運にも山賊のオブリビオンの一団に出くわしてしまったらしく、森の中を逃走しているらしい。今はまだ逃げ延びているものの、山賊の数がかなり多く、森の中央近くまで追い詰められているとか。このまま掴まってしまえば、きっと子供達は山賊に殺されてしまうだろう。レオウは自分と同い年くらいの少年たちが襲われていることに、酷い焦りを見せながら、猟兵たちに頭を下げるのであった。

「お願いします。子供達を助けてあげてください…!」


闇猫鍋
 こんにちは、闇猫鍋です。今回のストーリーは、孤児院から抜け出した四人の子供の救出をして頂きます。以下章ごとの説明になります。

 第一章:今回転移される場所は、森の中央の少し広い場所になります。すぐ近くには四人の子供NPCが怯えきった様子で縮こまっています。周りには無数の山賊の殺気が感じられ、子供NPC達を殺したり攫おうとするために攻撃してきます。この章でのミッションは、襲い掛かってくる盗賊たちを食い止めて子供NPC達を何とか守ってください。なお、盗賊は数が多いうえに主に遠距離から攻撃してくるため、この章では倒すことが出来ません。

 第二章:盗賊の攻撃をしのぎ切ると、周囲からわらわらと出てきて襲い掛かってきます。三人の子供NPCは大人しく安全な中央にいますが、カルドだけは持っていた剣で加勢しようとしているので、かなり危なっかしいです。彼を死なせないようにうまく立ち回って盗賊達を全滅させてください。

 第三章:盗賊達が全滅すると、その親分が姿を現します。彼は猟兵たちの弱点である子供NPC達を執拗に狙っており、姑息な攻撃を仕掛けてきます。沢山の盗賊達が居なくなったので、比較的子供NPC達の誘導は容易かと思われます。

 なお、子供達が力尽きてしまった場合、その時点でミッションは失敗となります。
 皆様のプレイングをお待ちしております。
16




第1章 冒険 『難民を救え!』

POW   :    盾となって攻勢を押し止める

SPD   :    バリケードを作って足止めする

WIZ   :    難民を落ち着かせて避難させる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シャノン・ヴァールハイト
とりあえず、無事に連れ帰る事が出来たならば、主犯の者には拳骨ぐらいは叩き込むとしよう。

【POW】
UCを使用すれば、左腕が装備3の効果で『動かなくなる+血が出る』と言うデメリットがある。
ただ、遠距離攻撃が無い当方にはこの状況はジリ貧なので、遠距離攻撃方法を出し惜しみするつもりは無い。だが、何体召喚出来るかは解らんので、可能な限りは『武器受け』を使って攻撃を剣で払うのがメインとなるだろう。
後は、UCには弓で基本的に攻撃をさせつつ、合間合間にUCが持つ爆弾を『怪力』を用いて敵が居る方向に投げるなどして、臨機応変に対応していきたい。

とりあえず、子供達を守る事を優先しつつ、可能ならば他の猟兵と合流する


ルフトゥ・カメリア
探されてんぞ糞餓鬼共。
はッ、これだから身を護る力もねぇのにイキがった餓鬼は。
微温湯の中で護られてることも分からなかったんだろ。きちんと、外は危険だと告られてた筈だ。
自分たちだけは平気だとでも思ったか?誰のせいで、何でこうなってるか、分からねぇとは言わせねぇぞ。
怯えてる暇あったら反省文でも考えとけ!

決して優しくはない。
が、最たる行動は護ること。
罵声の割に、自分がいる限りは決して誰ひとり傷付けさせないと身を呈す、傲慢な守護天使。
炎は高らかな壁へ、大きな翼を炎と共に広げ、護るものがあるなら一歩も引く気はない構え。【激痛耐性、かばう、オーラ防御、カウンター、武器受け】


ユリアン・アマテ
※アドリブ、他者連携は可能であれば希望します

 「やっちゃいけない事をやってみたい気持ちはわかる。
  だが大人の言う事は素直に聞くもんだ、今はとりあえず俺達の言う事を聞きな。
  そして皆仲良く、もう少し頑張れ!」

【行動】

 POWの行動を取る。

  子供達の前に立ち、盗賊達の遠距離攻撃からユーベルコード「トリニティ・エンハンス」を使用。
  風の魔力で防御力を強化、技能「属性攻撃」で風の魔力の攻撃で攻撃を打ち落とす。
  

 「子供相手になら威勢は良いが、大人相手にはコソコソと!
  大人げなく見っとも無え真似しないでサッサと出てきやがれ!!」


木目・一葉
子供達は怯えている筈だ
自分も昔、恐怖に震えた時があった
親が助けにきてくれた時、どれほど心が救われたか
「子供達を安心させたい」
あの時の自分のように…

【POW】

子供達に接触したら、仮面を外し持ち前の【コミュ力】で説明
「落ち着いて
君達を助けにきた
院長は君達を心配してる
だから一緒に帰ろう」
また孤児院からここまでの経路も確認する

子供達の傍につき、【第六感】で周囲を警戒
敵の攻撃は斧で【武器受け】し、最悪は子供を【かばう】
また己が山賊なら【地形を利用】し、標的がどの場所を通過する時に攻撃するか予測する
攻撃を受ける危険性が高いと予測される場所では、子供の盾となるように一一部の木を斧で【なぎ払い】切り倒しておく



●子供達は現実を見る
「お前ら、はぁ…足を止めるなよ?…はぁ……止めたら、はぁ……どうなるか分からないぞ…!」

 息を切らしながら、カルドは後ろの3人にそう声をかける。もう既に、かなり走り続けている。一番体力の多い彼ですら息切れを起こしており、後ろの3人も段々と彼の足の速さについていけなくなる。そして、遂に限界は来た。

「あっ…。」

 木々の開けた場所でカノンが転んでしまった。もう彼女の足も、息も限界が来ている。カルドが急いで彼女を背負い走ろうとするが、それも空しく彼はよろよろと前に倒れてしまう。こちらを追っていた山賊たちは、追い詰めるかのように彼らの周りを広く囲み、弓を構える。

「なんで……なんで………なんで!!」

 カルドは涙を流しながら地面を叩く。”どうして?…外の世界は楽園だと思っていた。楽しい場所だと思っていた。すごい場所だと思っていた……それなのに…。”無情にも……子供達に向けられた一筋の矢は放たれる。そして、一直線に飛んできた鋭い矢に、子供達は目を瞑った。

「————間一髪だったな。」

 ふと聞こえたその声に、子供達は目を開く。目の前に鋭い矢尻。そして箆をがっちりと掴んで矢を受け止めたのは、シャノン・ヴァールハイト(死者の声を聞き、招く者・f10610)だった。彼がそれを握りしめると、その力だけで矢が真二つに折れる。そして、後ろで縮こまっている子供達を睨んだ。テレポートしてきたシャノンに続き、続々と武装をした猟兵が子供達を囲うようにテレポートしてくる。どうやら、寸でのところで間に合ったようだ。

「探されてんぞ!糞ガキ共!泣いてる暇があったら反省文でも考えとけ!」

 酷くご立腹な様子のルフトゥ・カメリア(Cry for the moon.・f12649)は子供達に向かってそう怒鳴り散らす。彼の怒りはごもっともなもので、これは外が危険だと告げられてにもかかわらず外に出た子供達の自業自得が招いたことである。だから、彼は決して優しくしない。そんな様子のルフトゥを、一人の猟兵が宥める。

「今説教をしてもしょうがないだろう。そういうのは無事に帰してからだ。…落ち着いて、君達を助けに来た。院長は君達を心配してる。だから一緒に帰ろう。」

 木目・一葉(生真面目すぎる平凡な戦士・f04853)は、つけていた仮面を外し、怯える子供を安心させるように笑顔を見せてそう話しかけた。

「やっちゃいけない事をやってみたい気持ちは分かる。だが大人の言うことは素直に聞くもんだ、今は俺たちの言うことを聞きな。だから、もう少し頑張れ!」

 それに続くように口を開いたユリアン・アマテ(流浪の自由剣士・f08104)は、子供達を元気付けるように声をかける。集まった四人の猟兵。彼らは、強烈な殺気を放つ山賊たちから子供達を守るように構える。

●シャノンサイド
「来るぞ…!」

 シャノンがそう合図した刹那、四方八方から飛んでくる矢や石の数々。彼は自分のいる方向から飛んできたものは、素早く剣を抜いて斬り掃う。攻撃の密度はそこまででもなく、はじくべき攻撃をはじけばそこまで苦労はしないだろう。しかし、遠距離攻撃の手段がないシャノンは、このままではジリ貧になると判断し、ユーベルコード【招くは、堕ちし死者の兵】を発動する。召喚される何体もの死に堕ちた霊達、その代償として左手は出血し動かなくなるが、躊躇っては居られない。シャノンは霊達に弓で攻撃をするように命令すると、霊は横に並び前方に矢の嵐を喰らわせる。距離は長く、山賊たちには防御されてしまうだろう。だが、それでよい。奴らが防御をすれば、その分こちらへの攻撃の密度が減るのだから。

「っ……。」

 やはり左腕が使えなくなるのは大きい。シャノンは動く右手で飛んでくる石や矢を防ぐものの、その集中的な攻撃を段々と防ぎきれなくなり、胴に喰らい始める。そして、その攻撃は遂に彼の右肩に命中してしまう。それはある意味で、彼の自衛手段を失うことを意味していた。迫る矢の数々……彼は覚悟を決める。

●ルフトゥサイド
「そんな攻撃通るかよ!」

 彼は先ほどの罵声の割に、ユーベルコード【瑠璃唐草の熾火】を発動。古傷を引き裂き溢れ出るのは地獄の炎。ネモフィラ色の鮮やかで美しい炎は、子供達を護る高らかな壁に変化する。その壁は飛んでくる矢の数々を瞬時に焼き尽くし、攻撃を通さない。すると、彼の方面からの矢による攻撃が止む。その刹那……。

「マジかよ……。」

 飛んでくる大きな鉄球。大きさは人間の頭よりも大きく、炎の壁は容易に突破されてしまうだろう。あれをくらえば自分はもろとも、子供達までタダでは済まない。彼は翼を広げ、飛んでくる鉄球に一直線に飛んでいくと、馬鹿力でそれを受け止めようとする。とても重い一撃…なんとか彼は受けきり、鉄球は運動エネルギーを失い重力に沿って真下に落ちていく……が、見計らったように彼目掛けて飛んでくる矢や石礫。ハッとするも、時すでに遅し。防御の間に合わない彼は、子供達にだけはその攻撃を通さぬよう、その場で仁王立ちをするのだった。

●ユリアンサイド
「子供相手になら威勢は良いが、俺達を相手にした途端それか?」

 子供たちの前に立ったまま、ユリアンは飛んでくる矢に対してユーベルコード【トリニティ・エンハンス】を使用し、自分の前方にベールを張る。風のベールは矢の軌道を緩やかなものにし、それを彼の風の魔力の攻撃で撃ち落とす。矢は暴風域をことごとく突破できずに全てが撃ち落とされていき、その守りは鉄壁にも見えた。が…、突如飛んでくる一回り大きい矢。それは風に屈することなく、ユリアンの頬を掠めて地面に刺さる。

「風除けの加護か…!!」

 気が付いた時にはもう遅い。鋭く、一直線に飛んでくる加護を受けた矢は、風の障壁を貫いて次々と彼目掛けて飛んでくるのであった。

●一葉サイド
「子供達には傷1つ付けさせないよ!」

 第六感で周囲の警戒を高める一葉は、子供達の前からは一歩も動かない。飛び交う無数の矢の数々に戦斧を盾のようにしてガードする。矢は戦斧に弾かれ無情にも威力を失い地面に落ちる。自分を守るだけならこれだけで容易いが、子供達に目掛けて飛んできた矢は叩き落とさなければならない。

「無駄だよ!」

 彼女は重そうな戦斧を大きく振り上げると、飛んでくる矢に目掛けてそれを振り下ろす。人体に刺されば凶器になりうる矢も、戦斧の金属部分に当たればただの棒に過ぎない。一葉は難なく戦斧で叩き割り、アクロバティックに次々と矢を落としていく。しかし、高速で飛んでくる矢を重量のある戦斧で落としていくには相当の力が必要で、それを振りづける彼女の腕には相当の負担がかかっていた。

「っ………!」

 そして、追い打ちをかけるように足元に命中する矢。彼女は足がもつれ、一瞬膝をついてしまう…。山賊はその一瞬の隙を見逃さない。放たれた矢は無情にも子供達を確実に捉え、一直線に飛んでいってしまう。一葉は慌てて体勢を立て直すと、子供達の方へ………そして———。

●防衛の行方
山賊の攻撃が止んだ…多分、飛び道具が尽きたのだろう。遠くから矢を放っていた山賊たちは、その成果を見るべく木の陰から子供たちの居た場所を覗き込む。流石の集中砲火だ、湧いてきたゴミムシ諸共死んでいるに違いない……筈だった。

「意外と強力だった。」

 シャノンは身体に数本の矢が刺さりながらも、そう呟く。彼に目掛けて飛んできた無数の矢は、召喚された霊達が殆ど受けたらしい。間一髪、ガードが間に合ったのだ。

「ってぇな…調子に乗ってんじゃねえぞ!」

 ルフトゥは怒鳴る。彼には攻撃が直撃した筈だったものの、オーラ防御と武器による防御で事なきを得る。ボロボロで出血すらしていたものの、怒鳴る元気があるなら平気だと思う。

「あまり俺達を舐めないでほしい。」

 一方ユリアンは、ちょっと焦げてチリチリになっている。彼は、風除けの加護が付与された矢を、【トリニティ・エンハンス】の風属性を火属性に変え、爆炎で塵も残さず燃やし尽くしたのである。咄嗟だったため、自分も焦げたのは計算外だったが。

「危ないな、もう。」

 一葉は戦斧の陰から姿を現す。彼女は少しリスクがあったものの、あの時戦斧を子供たちの前の地面に刺さるように投げつけ、滑り込むように戦斧の陰に入り込んでいた。その戦斧が子供に当たったらどうするんだと、シャノンがすこし目尻を動かしているが気にしない。四人は「さて……」と呟くと、すぐ近くまで現れた大量の気配に対して目を光らせるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『山賊』

POW   :    山賊斬り
【装備している刃物】が命中した対象を切断する。
SPD   :    つぶて投げ
レベル分の1秒で【石つぶて】を発射できる。
WIZ   :    下賤の雄叫び
【下卑た叫び】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 山賊たちは木の陰からわらわらと姿を現す。子供達は猟兵たちの活躍があり、猟兵に囲まれる中央で無事なまま縮こまっている。出てきた山賊たちを一掃することが出来れば、子供達の生存率はさらに上がるだろう。

「………。」

 まさに猟兵と山賊がぶつかろうとしていた時。黙って俯いていたカルドは、持っていた剣をぐっと握りしめていた。
木目・一葉
勇気は大切だが、無茶だ
無茶をさせないよう守り、説得しないと

・戦闘
カルド君の傍で、【地形の利用】により敵に対し有利となる場所で彼の盾となる
「僕の後ろから離れないで」
万が一の為『影の追跡者の召喚』を行い、彼につけておく
基本は『妖刀解放』の衝撃波で石つぶてを撃ち落し、寄ってくる敵には【目つぶし】
敵の近接攻撃には【武器受け】し【カウンター】
それでもカルド君が攻撃されそうなら、彼につけた影の追跡者から『影人の涙雨』の速射で敵に先手を打ち、その隙に僕は彼に近づいて【かばう】

カルド君の気持ちと勇気、伝わったよ
でも君は戦い方を知らない
その勇気は先の為にとっておくんだ
君が戦い方を知り、守れるようになった時の為に



「俺のせいでこんなことになったんだ…俺のせいで…。」

 カルドは持っていた剣をぎゅっと握りしめたまま、出てきた山賊たちをじっと見つめて震えていた。その様子に気が付いたメアリはカルドの肩を掴む。

「カルド、何をするつもり?…ねえ、どこ行くの!」

 肩を掴んだメアリの手を払い、カルドは飛び出して行った。後ろにいる皆を護るために、目の前で戦う猟兵たちの力になるために。
 彼は、自分から一番近い山賊に斬りかかる。毎日、強くなるために振り続けていた剣。その渾身の一撃を、カルドは目の前の山賊にお見舞いしようとする。…しかし。

「うわぁっ…!!」

 その一撃は、盗賊の持っていた小さな小刀でいとも簡単に弾かれる。無力…余りにも無力な彼は、そのまま大きく後ろに飛ばされた。そして、後ろに体勢を崩したままのカルドに追い打ちをかけるように一人の盗賊が斬りかかる。彼は思わず目を瞑り、その時を待った・・・・・一向にその時は来ない。

「君の気持と勇気、伝わったよ。」

 盗賊の追い打ちを戦斧で受け止めたのは、木目・一葉(生真面目すぎる平凡な戦士・f04853)。彼女は目の前の山賊を叩き切って、後ろにいる少年に目を向ける。彼はまだ戦い方を知らない。だから、今の彼がここで戦うのには無茶がある。

「でも、僕の後ろから絶対に離れないで!」

 一葉は少しきつめにカルドに言うと、彼にはユーベルコードの【影の追跡者の召喚】で召喚された追跡者をつけて、前にいる山賊に集中する。彼女が間に入ったのを見た山賊はその武器を見るなり距離を取るだろう。そして、山賊たちは少し離れたところから、一葉に向けて石つぶてを発射した。

「お姉さん、危ない!!」

 後ろの方からカノンの声が聞こえてくる。そんな中でも一葉は一歩も動かない。ただただ戦斧を振り上げ、それを全力で地面に叩きつける。その先端から巻き起こる衝撃波。それは石つぶてを粉砕し、目の前の山賊たちに襲い掛かる。カルドは何が起こったのか分からずただただ呆然としていると、一葉が振り返って彼に微笑むのである。

「君の勇気は先の為に取っておくんだ。君が戦い方を知り、守れるようになった時の為に。」

 それを聞いたカルドは、剣を握りしめながら静かに俯くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​


「危ないじゃない!死んじゃったらどうするつもりだったのよ!」

 先程、間一髪で助けられ戻ってきたカルドに、メアリは激怒する。猟兵が助けに入ったから良かったものの、もしも助けが間に合わなかったら彼は死んでいた。涙目になっているカルドに対して、メアリは容赦なく胸倉を掴む。

「だって……俺のせいで……。」

 彼は四人の中で、一番責任を感じていた。言い出しっぺで、計画を立てて、皆を巻き込んで。だから自分は死ぬ気で守らなければならない…守らなければ―——“ペチン!!”
 メアリの鋭いビンタが、カルドの頬をひっ叩く。

「だったら何?…皆外の世界が見たくてここまで来た、そうでしょう?それなのに、自分だけ責任感じて、出来もしないような事をして!…死んだら終わりなんだよ??」

 いつの間にか、メアリも泣いていた。彼女もまた、四人の中で一番年上ということもあり、責任を感じているのだ。だから、一人で突っ込んだカルドを決して許さない。
 息を乱しながらもメアリはカルドの事を離すと、わんわん泣き出してしまうのだった。
朝凪・深月紅
【アドリブ可】
あの子、目を離したら勝手に突っ込んでいってしまいそうですね……。
出来るだけ視界に入れて、危なげな動きが見えれば間に入ってでも止めれるように準備しておきましょうか。
でも、無理に諦めさせるのも違うよね……どうしてあげれば、彼にとっていい選択になるかしら?

盗賊達を【誘惑】する【パフォーマンス】で視線を集中させられるか狙いましょう。
寄ってくるようであれば、【残像】を利用した【フェイント】で避けつつ【操り糸】で絡めつつ【敵を盾にする】事で
少しでも壁を増やしましょう。

盾に出来ないような相手に対しては【七ツ海】で数を減らすことを目指し、
UCで召喚した人形には【カルド】を守る形で協力させます。


シャノン・ヴァールハイト
さて、先程は好き放題してくれたおかげで、大まかな場所は解った。
子供達が居なければ近付けんと思っているのなら、それは勘違いだ。何故なら、当方にとって其処は既に間合いだからな

子供達に自分の前に行かない事、勝手な行動をしない事を厳命した上で、自分が子供達の前に立って先程とは違うUCを使用します。
怪我が酷いのを『激痛耐性』で我慢し、UCに自分の動きをトレースさせる為に『怪力』『範囲攻撃』を用いて、剣撃だけで無く、踏みつけなどの攻撃を行うつもりだ

他の参加者の方との連携やアドリブ、ドンドンお願いします。



 わんわん泣いているメアリ。彼女を見たカルドは、少し困惑した表情を浮かべていた。確かに自分には力がない。さっき助けてくれたお姉ちゃんみたいな力も無ければ、特別な能力を持っているわけでは無い。なんで…?どうして…?

「あの子、目を離したらまた突っ込んでいってしまいそうですね…。」

 朝凪・深月紅(逢魔時に月は紅く・f02133)はカルドの様子を見ながら呟く。先程から見ていれば、どうも彼は無謀な行動に出てしまうことが多いらしい。今回の脱走の件も、先程山賊に突っ込んでいったのも。

「ああ、少しの間、貴殿が見ていてやってくれないか?」

 矢が至る場所に刺さり、ボロボロの姿になっているシャノン・ヴァールハイト(死者の声を聞き、招く者・f10610)は、深月紅に小声で話す。子供達が自分の前に行ったり、勝手な行動をしたりすれば、それは最悪死を意味することになる。それを重々と承知した上で、深月紅は首を縦に振った。

「ええ、分かりました。」

 そんな彼を、無理にあきらめさせるのは違うと思う深月紅は、悩んだようにちらりとカルドに目を向け………居ない!!言っていたそばからカルドが居なくなってしまい、深月紅はきょろきょろと周りを確認する。すると、ついさっきまですぐ後ろにいたカルドは、複数の山賊に囲まれていた。
 危ない…!!!…言葉が出るより体が動く。ユーベルコードを発動させていれば、たちまちのうちに彼は切られてしまうだろう。深月紅はすぐさま走り込むと、山賊を飛び越えてカルドの目の前に入り込む。

「大丈夫?怪我はないかしら?」

 囲まれていたカルドに言葉をかけると、カルドは頷きながらも尻餅をつく。腰が抜けてしまったのだろうか?兎に角、今は八方からにじり寄ってくる山賊たちの対処が先決だ。
 この状況で、この子を守りながら助かるにはどうしたらよいのかしら…。深月紅は周りを見渡す。シャノンは少し遠くでユーベルコードの準備をしていてこちらには気が付いていなく、助けを呼んでも恐らくは間に合わない。
 八方の山賊は一斉にとびかかってくると、山賊斬りによる一撃を放つ。咄嗟に深月紅はカルドを抱きしめ、かばう様に彼の事を守ろうとする。
しかし、その一撃が二人に届くことは無かった。一体何が起きたのか、山賊は途中で攻撃をやめてしまう。そして、静かに上を見上げてガタガタと震えている。一体全体、何が起こったのかと上を見上げてみれば、そこに居たのは全長約200mの巨大な神魔。深月紅があっけにとられていれば、それは空間転移でこちらに移動してくると、一瞬のうちに自分たちを囲んでいた山賊を蹴散らしてしまう。

「やれやれだ。ちゃんと見守るようにと言っていただろう。」

 その正体は、シャノンのユーベルコード【我は招く、欲死の神魔】により召喚された神魔。寸前のところで深月紅たちの危機に気が付いた彼は、酷い怪我を我慢しつつもそれを動かし援護に来たのである。神魔が持つ剣による薙ぎ払い、それにより発生する突風に飛ばされないようにカルドを抑えつつ、深月紅は【果てなき道の到達点】を発動。現れた『からくり人形』に、残りの子供達三人を突風から守らせる。

「もう…随分荒っぽいのね。」

 風が止んだ時には、深月紅とカルドの周りの山賊は居なくなっていた。神魔はといえば、二人を守るために立ち往生をしている。
深月紅はカルドを解放すると、両手でカルドの肩を掴み、目を見て話す。

「皆のところに戻ってあげて?…あなたが傍で守ってあげるの。わかった?」

 涙目になって鼻をすするカルドは、その言葉に頷くことしかできなかった。無力…圧倒的無力…。それを噛み締めた彼は、深月紅に見送られて3人の元に戻るのだった。

「これで存分に暴れることが出来るのかしら?」

 控えめに言ってカルドが邪魔で神魔をあまり動かすことのできなかったシャノンは口元をニヤっと歪ませる。だが、目は全くと言っていいほど笑っていなかった。

「上等だ…。先程はよくも好き放題してくれたな。」

 怒りが今にも爆発しそうなシャノン、その燃ゆるオーラは全て木々に逃げ込む山賊に向けられる。そして、彼は山賊に向かって神魔を勢いよく突撃させるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ラムル・クルトア
アドリブ・連携歓迎

敵が多いね…遅ればせながら加勢するよ
君達はまず無事に帰らないとね、反省はその後で十分

「大丈夫、必ず助けるから」
【優しさ】で安心させるように声掛け
子供の側から離れず戦況把握に努める

UC【守護の剣】で双剣を操り攻撃を【武器受け】で防ぎ子供達を守る
UCで防ぎきれぬ敵は自ら双剣で相手取る
【戦闘知識】や【地形を利用】で敵の動きを推測し、【フェイント】や【カウンター】で確実に倒していく

カルド突出時は双剣を操作し守りつつ後退させ
「勇気と無謀は違うよ」
「敵は俺達が倒すから、君は皆の側で敵の動きを見張ってもらえないかな…一緒に皆を守ろう」
カルドの守りたい気持ち汲み、出来る事を頼み共に皆を守る


ユリアン・アマテ
※アドリブ、他者連携は可能であれば希望します

 「大人しく引いていれば良かったものを。
  掛かって来るからには容赦はしないぜ。」

【行動】

 POWで戦う。

 ・相手が「山賊斬り」を使用してきたら、技能「残像」を使い相手をかく乱、回避を行う。

 「オイオイ、こんな近づいても当てる事はできないか?」

 攻撃は、サムライブレイドとルーンソードの二刀流で戦い、通常攻撃と「剣刃一閃」で攻撃する。

 「剣を扱うのはな、こういう風にやるんだよ!!」

 ・カルドへの対処
  
  カルドの前に立ち出るのを遮り説得する

  「前に出たら、誰がみんなを守るんだ?
   お前が最後の砦だ、守り通して見せろ!」



 またしても猟兵に諭され、皆の元に戻ったカルド。彼を迎えたのは、二人の猟兵である。
 ラムル・クルトア(ヤドリガミのウィザード・f10895)、ユリアン・アマテ(流浪の自由剣士・f08104)は、四人の子供達を守るために中央からあまり離れずに、彼らを守ることに徹していた。

「やれやれ、それにしても数が多いね。他が殲滅に行っているのに、まだ沢山居そうだよ。」

 ラムルは辺りの山賊の気配を多く感じながらも、いつ何が来ても良いように武器を構えている。そんな彼らに向かって、一人の山賊が突っ込んでくる。

「大人しく引いていれば良かったものを。掛かって来るからには容赦しないぜ。」

 少し前に出て、それを難なく受け止めるユリアン。彼は、二刀流の片方の剣で山賊の攻撃を受け、もう片方の剣でユーベルコード【剣刃一閃】を発動し、山賊を切り伏せる。噴き上がる鮮血に、ラムルは子供達の目を塞いだ。

「大丈夫、必ず助けるから。」

 彼は子供達を安心させるためにそう声をかけると、極力彼らの傍から離れずに辺りを見渡す。他の猟兵が殲滅作業を行っているおかげで、かなりの数の山賊が減った。ラムルはユーベルコード【守護の剣】を発動させると、現れた複数の双剣を操り、子供達の周りを浮遊させる。
 そんな様子を先程から黙って見ていたカルド。彼は、ラムルにこう問いかける。

「俺に……出来ることはないのか……?」

 泣いていたのか目の周りが赤く、そして持っていた剣は力なく地面に刺さっている。完全に牙を抜かれてしまった彼は、どうすることもできずにただ脱力しているだけだった。そんな彼に対しラムルは優しく答える。

「勇気と無謀は違うよ。はやる気持ちは分かる。でも、今の君に戦えるだけの力はまだ無い。戦いに行く勇気と、死に行く無謀は天と地ほどの差がある。だから、君はここで敵を見張るんだ。くる敵は俺たちが倒そう。」

 襲い掛かってきた山賊の処理を終えて戻ってきたユリアンも、それに同調するようにカルドの背中を叩く。

「ま、そういうこった。お前が前に出たら、俺たちに何かがあったときに誰が皆を守るんだ?お前が最後の砦だ、しっかり守り通せよ?」

 彼らの説得に、カルドは素直に首を縦に振る。そして、彼は他の三人を安心させるべく、寄り添っていく。そんな微笑ましい様子を見ながらも、ラムルとユリアンは武器を構えなおした。

 さて、とりあえず残る山賊たちを狩りつくそうか。ざっと周りを見れば、五人程度の山賊。わざわざこちらから行かなくても迫ってくる敵に対し、二人は身構える。

「オイオイ、こんな近付いても当てることはできないか?」

 正面から斬られたと思われたユリアンは、いつの間にかその山賊の背後に。残念、そいつは残像だ。背後を取られた山賊は、いとも簡単に首を刎ねられてしまう。剣を収めるユリアンに対して襲い掛かる複数の山賊は、ラムルの念力で動く白と黒の双剣に無残に切り刻まれた。

「やっぱ、歯応えねぇな。」

 期待していたほどもたなかった山賊に対してユリアンはそんなことを呟くと、やれやれといった仕草をしながらまた元の配置に戻るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『山賊親分』

POW   :    強欲の叫び
【酒!】【金!!】【女!!!欲望に任せた叫び声をあげる事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    剛斧一閃
【大斧】による素早い一撃を放つ。また、【服を脱ぐ】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    手下を呼ぶ
レベル×5体の、小型の戦闘用【山賊子分】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアルル・アークライトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「楽しそうにやってるじゃねぇか、俺も仲間に入れてくれよ。」

 猟兵の活躍もあり、森に潜む山賊を狩りつくした頃…それは突如として現れる。一体どこから?どうやって?…子供達がふと後ろを見れば、そこには先程の山賊たちよりも遥かに体が大きく重そうな武器を持っている男が、目の前で邪悪な笑みを浮かべて子供達を見ていた。

「ぁ……ぁ………。」

 その姿を見た子供達は目を見開いて怯えた様子を見せると、じりじりと後退りをする。“こいつはやばい…死ぬ…!!”
 カルドは咄嗟に地面に刺さっていた剣を抜くと、勢いよく男に斬りかかる。

「逃げろ!!」

 彼は後ろにいるメアリたちに叫ぶ。ここでこいつを足止めしなければ、みんな死んでしまうかもしれない。しかし、彼のそんな必死の一撃でさえ、指だけで止められてしまう。

「がっはっは…生きのいい子供は高く売れる!殺すのは勿体ない。」
「!!!!!!」

 男はそのままカルドに、斧の先端でカルドのみぞおちにキツイ打撃を入れた。これまで感じたことのない痛みに、彼は目を見開き身体が痙攣、そして口から血を吐いた。大きく吹き飛ばされたカルドは、木にぶち当たって力なく倒れてしまう。

「カルド!!」

 メアリはそれを見てわなわなと震えながら倒れた彼に駆け寄る。まずい、虫の息だ。手加減された攻撃であったとはいえ、それは人間の子供であるカルドにとっては致命打になるだろう。メアリは慌ててカルドを背負うと、寄ってくる男から逃げるように走り出すのだった。
ラムル・クルトア
アドリブ・連携歓迎

敵が減った今、戦線離脱いけそうかな
他の猟兵と協力し乗り切ろう

▼足止役がいる場合
カルドが心配だ
追撃防ぎカルドの元へ行き容態確認・応急処置【医術】
「…死なせないよ、絶対」
治癒に長けた人がいれば任せ
敵動向に注意し殿務め子供達まとめ守りつつ敵から離れる
【武器受け、かばう、見切り、ダッシュ、地形の利用、情報収集】


▼足止役不在時
子供達にアレを近づけるわけにはいかないね
双剣構えボス足止め
【見切り、残像】で攻撃回避【フェイント】織交ぜ【カウンター】
【戦闘知識、地形の利用、情報収集、武器受け】

▼共通
手下はUC【守護の剣】で優先して倒し増加防ぎ子供達への接近を許さない
「…邪魔しないでくれるかな」


木目・一葉
「子供をなんだと思ってる」
しかもこのままではカルド君が……

・戦闘
すぐ『妖剣解放』の高速移動で、カルドを背負うメアリと敵の間に割って入って盾となり、衝撃波で【目潰し】を狙う
それでも攻撃してきたら【武器受け】して【カウンター】を仕掛ける
あくまで目潰しもカウンターも敵に距離をとらせる為だ
敵が僕とメアリから一旦距離をとるか、仲間の救援が間に合えば、『妖剣解放』の高速移動で、そメアリとカルドを抱えて離脱
メアリは他の子供達へ
カルドは回復UCか技能に医術を持つ味方の元へ連れて行く
そういった味方がいない場合は『妖剣解放』の高速移動でカルドを近くの村か孤児院に連れていき、至急医者を呼んで治療してもらう



 逃げるメアリと、それに続くリシャルとカノン。そんな彼女たちに、大きな斧を持った男が一直線に迫る。そして、大きく振り上げられた斧はカルドを背負って逃げるメアリに容赦なく振り下ろされた。
「子供をなんだと思ってる…!!」
 刹那に重く響く金属音。子供と男の間に戦功の如く飛び込んだのは、ユーベルコード【妖剣解放】により加速した木目・一葉(生真面目すぎる平凡な戦士・f04853)だ。彼女は怒りに満ちた顔を浮かべながら、男の振り下ろした斧を、渾身の一振りで弾き返す。
「悪いけど、子供達には近付けるわけにはいかないよ」
 一瞬後ろにのけぞる両者。その一瞬、一葉の後ろに居たラムル・クルトア(ヤドリガミのウィザード・f10895)。彼は双剣を構え、仰け反る男に一撃を入れる。
「ぅっ……。んだよ、結構やるじゃねぇか。」
 しかし男の傷は浅い。ダメージもそこまで大きくはないらしく、男はほんの少しだけ後ろに足を踏み留めると、二人まとめて薙ぎ払おうと剛斧一閃の一撃を放った。
 二人はそれを武器で同時に受けるものの、力負けして五メートルほど吹き飛ばされる。両者ともに受け身を取ったためダメージは少なかったものの、一撃受けてみてこの男がかなりのやり手であることを悟る。絶対に子供達と接触させてはいけない…と。
 ふと後ろを見れば、カルドを背負ったメアリが必死に走っている姿がまだ見える。やはり子供なために移動速度は遅い。悩んだ末に、一葉はラムルに指示をする。
「ここは僕が抑える…おぬしは子供達の方へ…!」
 先程一撃を喰らわされたカルドの事が心配だ。ラムルは軽くうなずくと、必死に走る子供達の方へ向かった。
「オレがぁ、タダで行かせると思うか?」
 男はラムルの後を追わせるように、山賊達を召喚した。一葉はそいつらを薙ぎ払おうとするも、男にそれを阻まれる。
「おっと、お前の相手は俺なんだろう?たのしもうや。」
「っ……。」
 戦場ではまた、重い金属音が鳴り響いた。

「君達、大丈夫かい?」
 ラムルはすぐに子供達に追いついた。既に疲弊しきっているメアリに手を貸そうとする。
 しかしそれは、追ってきた山賊に阻まれた。
「なかなかしつこいね。指一本触れさせないから。」
 ラムルごと子供達を取り囲む山賊。そんな山賊たちに、彼はユーベルコード【守護の剣】を発動し、複製した白と黒の双剣を躍らせる。召喚された山賊は皆脆いのか、双剣が当たると消滅して消えてしまった。
「死なせないよ…絶対…。」
 彼は慣れた手つきで怪我を負ったカルドに手当てをすると、辺りを警戒しながら子供達と共に森を走るのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

サクヤ・ニイヅキ
「あぶなーいの!」
顔面目掛けてクラブを投げつけて、メアリちゃんカルドちゃんに襲いかかろうとする親分の邪魔をするの。
「いよいよクライマックスって感じなの! 悪いけど見せ場をいただきに来たの☆」
二人に寄せ付けさせないように前に立ちはだかって
大げさな身振り手振りの「パフォーマンス」で注意を引きつつ子供たちを安心させるの

呼び出された手下には【レインボウ・ジャグリング】で露払い
子供達や仲間が巻き込まれそうな攻撃は【ミレナリオ・リフレクション】で相殺
注意が他に逸れたら【シーブズ・ギャンビット】で死角に回り込み急所への一撃
「演目中は目を離さないでもらいたいの☆」



「へっへっへ…よく逃げたと誉めてやろう。こいつで…終わりだぁ!」
 もう既に、かなりの距離を走った。子供達も体力の限界が近いのか、フラフラしている。
 そんな様子を見た男は地面を強く蹴ると、持っていた斧を振り上げて必死な様子の子供達に迫った。
「あぶなーいの!」
「うぉっ…!!っぶねぇ!!」
 男が子供達に到達すると思われたその時、甲高い声と共に男の顔面目掛けてワンダークラブが飛んでくる。男は寸前のところで避けると、クラブが飛んできた方向に振り向いた。
「いよいよクライマックスって感じなの! わるいけど見せ場をいただきに来たの☆」
 そこに立っていたのは、大げさともいえる身振り手振りでパフォーマンスをするサクヤ・ニイヅキ(ムーンレイカー・f01673)だった。
 彼女はそのまま男と子供達の直線上に立つと、武器を構える。後ろにいた子供達は、その姿を見て少し安心したような表情を浮かべてまた走り出した。
 サクヤはそれを見送ると、大きな斧を構えている男と向き合って軽く息を整える。

「俺が黙って行かせると…思ったか?…野郎ども!!」
 男が叫ぶと、その周りに山賊子分が召喚される。そして子供達を指さすと、子分達は子供達の方へ……。
「行かせないの!!」
 サクヤはユーベルコード【レインボウ・ジャグリング】を発動し、様々な属性が付与されたクラブで一掃。呼び出された子分は子供達に近づくことが出来ずに消されてしまった。
 その様子を見た男は、怒ったような表情を浮かべると、おもむろにサクヤを斬りつけようとする。
「こわーいの!」
 彼女はわざとらしくそう叫ぶと、【ミレナリオ・リフレクション】でその攻撃を相殺する。
 遠ざかる子供達。ふとその姿を男が見やると、それをみたサクヤは男の背後に素早く回り込んだ。
「演目中は目を離さないでもらいたいの☆」
 彼女の放った【ジーブズ・ギャンビット】が男の腰部に突き刺さり、男は足止めと共に大きなダメージを負うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

緋翠・華乃音
……さて、概ね状況は理解した。前衛は恐らく充分だろう。
これなら問題無く狙撃手としての戦い方が出来そうだ。

ユーベルコードの範囲内で戦場を広く見渡せる樹の枝上(可能な限り遠距離且つ高所が望ましい)などに目立たぬように潜伏。
優れた視力・聴力・直感を全て活用し、状況を広範囲に渡って把握。
見切りと先読み、予測、予知を常時行いつつ援護射撃に終始徹する。
リロードは早業で行い、隙を最小限に抑える。
状況に合わせて拡散弾や貫徹弾などの銃弾を使い分ける。
仮に射線を読まれた場合は直ぐに別の狙撃位置へ移動する。

伏兵――それも狙撃手の恐ろしさを忘れるなよ、オブリビオン。


シャノン・ヴァールハイト
連携、アドリブ歓迎

(流石にこれ以上の出血は、当方の身体が持たん…)

手下が居た方向から、両手にナックルガードを装備してボスに近寄ります
ただ、今までの出血が多いのを自覚しているので、『武器受け』による防御メインの行動

POW:叫び声を上げている間に一気に踏み込み、虚をついてUCを使用する
SPD:腰を落とし、両腕で斧による攻撃を防ごうとする
WIZ:一撃で消滅するが、体力的に余裕が無いので、無視してボスに攻撃を行う

肩に矢が刺さっている為、右腕を使用しないが…必要な時は『激痛耐性』で無視して動かす
血が足りないので足りない集中力を、歯を食い縛って耐え…攻撃出来るタイミングを見つけたら、鬱憤を晴らすべく攻撃


アレクシア・アークライト
 たった4人の子供のためにどれだけ部下を犠牲にするのかと思ったら、いくらでも骸の海から呼び出せるってわけね。
 貴方なんて、単体なら私達猟兵より強い。
 それだけの力があれば他にも色々できそうなのに、山賊行為しかしない、やれないって辺りがオブリビオンよね。
 まったく、度し難いわ。

・敵の攻撃は物理に特化しているように見えるため、力場を防御に回し、その攻撃を弾く、又は受け流す。
・身体能力を念動力でブーストし、組技で相手の動きを封じようとする。
・動きを止めることができなたなら、UCを用いる。

 戦力差も測れず、自分自身が犠牲になるってことまで頭が回らないのも、貴方達、オブリビオンの特徴よね。



●猟兵はいつも現実を見ている…筈?
「くそが!!あと少し…あと少しだった…のニ……。」
 猟兵たちに大きな足止めを喰らい、子供たちを見失った男の顔が怒りで歪む。手に持った大きな斧で木々を切り倒す彼は、既に我を忘れていた。
「いい加減、諦めたらどうだ?」
 暴走する男の前に立ちふさがったシャノン・ヴァールハイト(死者の声を聞き、招く者・f10610)は、呆れたような声で彼に言い捨てる。我を忘れる程に怒っていた男の矛先がシャノンに向いたことは言うまでもないだろう。
「てめぇらのせいで…てめぇらのせいで大事な獲物を……!!」
 大斧を振り上げて突進してくる男を前に、シャノンはナックルガードを付けた両手を握りしめる。この程度の攻撃であれば、拳を振り上げるだけで弾くことが出来るだろう。
そう思っていた彼の足元が、ふとした拍子にふらついた。不意に目の前がぼやけ、左手で頭を抑える。
全く持って当然だ。今の彼は至る場所に傷を負い血まみれ状態、右肩に矢が突き刺さっており右手は満足に動かない。更にここに至るまでの出血が酷く、いくら猟兵と言えど過剰出血により貧血を引き起こすのは時間の問題だったのだ。
対して、大きな斧を持ったまま機敏に動く山賊親分の大男は、容赦なくシャノンに間合いを詰めると、その斧を無慈悲に振り下ろさんとする。
「まったく、度し難いわね。」
 斧が見えない何かにぶち当たり、大きな金属音と火花を散らしながら大男は後ろによろけた。一体何が起きたのかと二人が目を見張る中、シャノンの背後から声がする。振り返ってみれば、そこにいたのはアレクシア・アークライト(UDCエージェント・f11308)だった。
「それだけの力があれば他にもいろいろできそうなのに、山賊行為しかしない…いえ、それしかやれないって辺りが本当にオブリビオンよね。」
 彼女はそう呟きながら、壁になっていた見えない何かを手元に寄せると、シャノンの方を見てため息を吐く。
「あなたもあなたよ。そんなボロボロの状態で単騎突撃して、ちょっと遅れたらお陀仏だったじゃない。出血も酷いみたいだし、休んでてもいいわよ。」
 確かにアレクシアの言うことは正論でもある。彼女の防御が間に合っていなければ斧は確実にシャノンに炸裂していただろうし、もろに喰らえば致命傷は必須だっただろう。しかし敵前にして休むなど、彼のプライドが許す筈がなかった。
「当方は敵前で休むなんて非常識は持ち合わせていない。」
 思っていた以上に血が足りず朦朧とする意識に、歯を食い縛って耐えると、そのふらつく足に鞭を振るい体勢を整える。正直なところ、これ以上出血すれば自分の身体がもたないということは本人が一番理解していた。それでも彼が立ち続けるのは強い信念があるのか、それともただの……。
 それはそうと、渾身の攻撃を防御されて後ろに大きくよろけた男は、既に体勢を立て直して斧を構えなおしていた。怒りに怒りを重ね、それはもうご乱心だった。
「一人二人増えたところで何も変わらねぇ!!てめぇら全員皆殺しだ!!」
 男は大きな声で叫ぶと、自身の渾身の一撃を邪魔したアレクシアに素早く詰め寄ると、またその斧を振り下ろそうとする。
「哀れね。戦力差も測れなくなっちゃったのかしら?ここまで一人で頑張ったことは褒めてあげるけど、もうあなたはオシマイ。詰んだのよ。」
 彼女は今まで念動力によって操っていた『力場』を身に纏うと、男の一撃を機敏な動きで受け流す。勢い余った男の斧は地面に大きくめり込み抜けなくなってしまった。必死に斧を抜こうとする男のその隙を二人が見逃すわけがない。
 斧がやっと抜けた時、シャノンは既に男目掛けて間合いを詰め、アレクシアはユーベルコードの準備を終えていた。
「これはただの暴力だ」
「今度のはただの念動力じゃないわよ」
 空間が断裂する。男は何か嫌な気を感じ取ったのか、身を引くが遅い。斧を持っていた左手が斧と共に地面にポトリと落ちる。
「!!……。」
「あら、真っ二つにしようと思ったのに、外れちゃったわね。」
 アレクシアが呑気にそう呟く中、男は更に焦る。後ろに体勢を崩した上に、自分の身を守れるものは何もない。そして目の前に迫るシャノンの『当たったら絶対にヤバいと直感が叫ぶ』渾身のボディタックルが迫る。
 グシャッ………。
 鈍い音と共に、周辺の木々が次々となぎ倒されて行く。シャノンのタックルは結局、道を遮る木々をお構いなしに数十メートル突き進むと、ひときわ大きな大木にぶち当たってやっとストップした。
 彼が通った場所の木は木っ端みじんに消え去り、地面は大きく抉れている。追い付いてきたアレクシアは、その様子見て嘆息した。
「自然破壊もいいところね…。でも、これで終ったのかしら?」
 ここまでの攻撃ならば、タフさを誇っていたあの大男も木っ端みじんになったに違いない。動き過ぎて最早フラフラ状態のシャノンがよろよろりと歩いてくる。
「流石に屠ったと思ったが…。」
 男の姿は見当たらないものの、彼も手ごたえは感じていた。おおよそではあるが、シャノンの強烈な一撃を喰らいオブリビオンとして消滅した可能性が高いだろう。
 ようやく元凶を屠ることに成功した二人はひとまず息を吐く。
「子供たちはどこまで行っちゃったのかしら?」
 辺りを見渡しても子供たちの気配はどこにもない。きっともう森を抜けてしまったかもしれないし、まだ森の中を彷徨っているかもしれない。どちらにせよ、子供たちを見つけて孤児院まで送り届けなければいけない。その使命を二人は思いつつも、子供たちを探すことにした。

●エピローグ?~山賊は夢を見る
 子供達は必死に走り続けた。それは生きるためでもあるし、勝手に外に出た自分たちへの報いでもある。
「ぅ……けほっ…けほっ……。」
「!…カルド、大丈夫?」
 大男に突き飛ばされ、嫌というほど木に身体を叩きつけたカルドの意識が少しだけ回復する。メアリが背負って走っていたが、その体力は既に限界に達していた。メアリは走るのを止めると、後ろをついてきたリシャルとカノンに制止をかける。
「メアリ…お姉ちゃん…大丈夫?」
 息を切らして、カルドを背負ったままその場にヘタレこむメアリにカノンが心配そうな声を掛ける。勿論、走った距離の事を考えると大丈夫じゃない。今にも心臓が破裂しそうなほどに鼓動が早く、身体を襲う疲労感は半端なものではないはずだ。
 それでも、背中にいるカルドの方がよっぽど酷い状態だ。下手すれば命が危ない。だから、早くここから帰らなければならない。
「…少し…休憩したほうが…良いと思い…ます。」
 リシャルは必死に息をするメアリを見て言う。そんなリシャルとカノンも、体力の限界が来ていた。当然だ。幼い体でここまで走ったのだ。少し休む時間があっても良いはずだ。
 子供たちは、さっき助けてくれた人たちが山賊たちを抑えていてくれていることを信じて近くの木の陰に身を隠した。神様……神様………助けてください……。もう約束は破りませんから……。
「へっへっへ……見つけたぜ?」
 そんな願いも儚く散る。自分たちが隠れていた木の陰。そこを覗き込んでいたのは、山賊親分の大男。左腕は鋭利な何かで切り落とされ、顔は半分皮膚が吹き飛び骨も見えている。他の傷も決して浅いわけでは無く、すべからく重症だ。
 しかしそんな山賊でも、今疲れ果てて動けない子供を殺すのはたわいもないことだった。子供たちの顔はこわばり、そして動くことが出来ない。
「本当にしぶといな…。まだ生きていたのか。」
 一足遅れ、子供たちを探していたシャノンとアレクシアがそこに駆け付ける。
「おっと、それ以上動いたら子供を殺すぜ?まぁ、動かなくても子供が死ぬことに変わりはないがな。」
 大男は勝ち誇ったような笑みを浮かべ、二人をその場に釘付けにする。
「本当に下劣で卑怯な奴ね……。」
 アレクシアもシャノンも、まだ男との距離が離れている。恐らく動けば奴を仕留める前に子供たちが殺されてしまうだろう。やられた。最後の最後で運が味方をしなかったのだ。
「げっへっへ…下劣で上等、俺ぁそれを生業にしてるんでねぇ!」
 男はそう言いながら、その汚い手を子供たちに伸ばす。
「さあさあ、おじさんについてきてもらおうか?」
 カノンは怖くて泣いていた、リシャルは緊張しきって固まったまま動かない。メアリは、その絶望的な状況に諦めたような表情を浮かべると、静かに目を瞑った。

————一体何が起こったのだろうか?山賊の大男の手は子供たちに触れることはなかった。見れば、頭部がなくなった大男が地面にひれ伏していた。そして、ゆらゆらと煙を上げながら、オブリビオンとしての死を迎えるのだった。

●たった一人のエピローグ~狙撃手
 彼は大きな大樹の頂上に居た。ちょうど森全体を見渡せる程の大きな大樹。それは偶然見つけたものであったものの、恐ろしいほどに森の様子が手に取るようにわかる。
「さて、どうしたものか。」
 スナイパーライフルの整備をしながら、緋翠・華乃音(prelude finale.・f03169)は戦場を眺める。肉眼では木々に邪魔されてよく見えないものの、誰かと敵が交戦をしている様子だった。
 彼は手早くライフルの整備を終え、スコープを覗き込む。直線距離で大体ここから4∼5km程離れた位置だろうか?この程度の距離であれば、ユーベルコードを外すことは無いだろう。問題があるとすれば、今戦っている猟兵が敵の親玉らしき大男を圧倒し始めていることである。
「やれやれ、少し来るのが遅かったか。」
 大柄な猟兵らしき男が、山賊の男に向かって強烈なタックルを喰らわせ、木々をなぎ倒しながら無茶苦茶な攻撃をしたところだった。スコープで追いきれないその攻撃をもろの喰らった山賊の男は、恐らく消滅してしまっただろう。
「俺の役目は無しか…。まぁ、元凶を葬ることに成功したのならそれ以上のことは…」
 整備したライフルのパーツを元に戻そうと、スコープから目を離そうとしたその時だった。彼の目に何かが映る。
「うん?………。」
 何かが宙を舞って吹っ飛んでいく様子がスコープを通して見えた。多分、あの大柄な男がタックルで通った直線上にあった木が吹っ飛んだのだろうと思ったものの、何かの直感が嫌な予感を感じたのか彼はスコープでその落下地点を追う。
「………。」
 スコープが捉えたそれは、ボロボロになりつつも生き残った山賊の大男だった。華乃音はその圧倒的な生命力に目を見開き、若干驚いたような表情を浮かべると、ライフルを構えなおす。
 対峙していた猟兵二人は既に男が死んだと判断して、逃げた子供たちを探し始めてしまったから、今奴に気が付いているのは自分だけだ。
 華乃音はライフルの弾を貫徹弾に変えてもう一度男に標準を合わせると、静かにその時を待つのだった。あいつの頭をぶち抜くための最大のチャンスを。
「伏兵……それも狙撃手の恐ろしさを忘れるなよ、オブリビオン。」

●エピローグ~夢はいずれ覚めるモノ
 乾いた音が孤児院の中で響いた。重傷を負ったカルドを除いた脱走者三人が、院長に頬を叩かれた音だ。その手は軽く震えており、目からは涙すら出ている。
「本当に……本当にありがとうございました……。」
 そして、ここまで送り届けてくれた猟兵の共々に頭を下げる。
 きっと彼にとって孤児院の子供たちは、ある意味自分よりも大切で可愛い存在。大事に育ててきた愛すべき我が子たち…。
 そんな院長を見て、脱走した子供たちはようやく気が付いた。院長は自分たちが大事だからあの決まり事を何度も言ってきたのだと。自分たちを守るために、何度も何度も言い聞かされてきたのだと。
「今回、結果的に生きて送り届けることができたが、あと少し手当てが遅れていればあの男の子は死んでいたかもしれないし、それにいつも偶然助けが来るとは限らない。こういうことはもう少し気を付けたほうが良いだろう。」
 結局、あの後貧血でぶっ倒れたシャノンの介抱をするためにアレクシアが念動力で彼を運んで帰って行ってしまった為に子供たちをここに送り届けたのは華乃音だった。
 彼は頭を下げる院長に軽くそう告げると、自分も帰路に就くために軽くお辞儀をして孤児院を出ていこうと歩き始める。そんな華乃音を引き留めたのは、最年少のカノンだった。
 偶然にも名前が一緒だった女の子は、華乃音の服をぎゅっと掴んで何かを言いたそうにじっと彼の顔を見ている。
「…?」
 華乃音が小首をかしげてカノンを見ると、彼女はぺこりと頭を下げた。
「さっきは助けてくれてありがとうございました。」
「……。」
 華乃音は若干鼻で息を吐くと、何も言わずに踵を返す。
 やれやれ、慣れないことはするものではない…と頭をかきながらも、彼はクールにその場を後にするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月02日


挿絵イラスト