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【Q】音楽と料理と仮装の祭典

#アリスラビリンス #【Q】 #お祭り2020 #ハロウィン

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●ハロウィンの国
 その国は巨大なダンスホールだった。
 中には誰もいないような気もするし、たくさんの気配がざわめいているような気もする。
 できたての料理がテーブルには並べられているが、作っている者の姿はない。
 キッチンにはたくさんの材料が作りかけの状態で置かれている。

 ダンスホールの中央は、楽団が音楽を奏でるためのステージとして一段高くなっている。
 楽器は置かれているが奏者の姿は見当たらない。
「残念だなあ。ここでオウガ・オリジンが盛大な打ち上げパーティをするって言うので待ってたのに……」
 声の主はピアノだった。愉快な仲間ではない。人喰いピアノのオウガだ。
「ま、いいか。せっかく準備は出来てるんだ。メインディッシュが迷い込んできたらパーティを始めようじゃないか」
 ピアノはそう言うと、退屈しのぎに曲を奏で始める。
 物哀しい落ち着いた曲がホール内に響いていた。

●グリモアベース
「もうすぐハロウィンですね。ところで、アリスラビリンスでちょうどいい感じの国が見つかったんですよ」
 クロノ・ライム(お菓子に目がないクレリック・f15759)が集まった猟兵たちに話しかける。
「オウガ・オリジンが愉快な仲間たちを死ぬまで踊り続けるようにさせていた国があったのは覚えてるでしょうか?」
 覚えていないかもしれませんが大丈夫です、とクロノは説明を続ける。
 アリスラビリンスのオブリビオン・フォーミュラであるオウガ・オリジンはその凄まじい「現実改変ユーベルコード」でいくつもの国を生み出したり、改変したりしていた。
 そして今回『ハロウィンの国』に改変された国がいくつも見つかったのだ。

「僕が予知したのは以前オウガ・オリジンが愉快な仲間たちを踊らせていた地下迷宮の国のすぐ近くにある、ダンスホールの形をしたハロウィンの国だったんです」
 どうやらオウガ・オリジンは地下迷宮でのライブの後、打ち上げパーティをそこで行うつもりだったらしい。
 ダンスホールの国はハロウィンのテーマに合わせて南瓜ランタンで飾られ、ホールの周りにはコスプレ衣装の飛び出す森があり、衣装を持っていなくても仮装が楽しめる。
 キッチンには食材が完備されており、ダンスホールの吹き抜けを囲む上階は仮装行列をするのに最適……と、ここまで見ていくとパーティにこれ以上ない条件が揃っているように見える。
「ですが、オウガ・オリジンの作った国であることを忘れてはいけません。この国にも凶悪なオウガが潜んでいます」
 ハロウィンを楽しむ前に、まずはオウガたちを倒す必要があるようだ。

「最初に戦う相手は『サーバントバニー』です。彼女たちは森から飛び出してきたコスプレ衣装を身に着けてパワーアップしているようです」
 敵と対等に戦うためには、猟兵たちも森から飛び出してきたコスプレ衣装を身に着けて戦う必要があるようだ。
「ですが、どうやら出てくる衣装はランダムのようですね……もしかしたらとんでもない衣装が出てくるかもしれませんので、覚悟してください」
 望まない衣装であっても身につければパワーアップするので、敵を倒すためには仕方なく着るしかないという場合もあるだろう。

「その後はボスの『人喰いピアノ』との戦いになりますが、そのままでは倒すのが難しいようです」
 ボスの人喰いピアノは「ハロウィンの国」の法則によりほぼ無敵となっており、そのまま攻撃してもほとんどダメージを与えられないのだという。
「倒す方法は一つ。キッチンで美味しい料理を作り、食べさせることです」
 料理を完成させるとボスは必ず食べてしまい、だんだん眠くなってくるのだという。
 ボスが完全に眠れば無敵状態は解除され、一撃で倒せるようになるだろう。
「ですが、料理を作る間ボスも当然攻撃してきます。攻撃を耐えるのと料理を作るのと、うまく分担していただければと思います」

 説明を終えたクロノはハロウィンの国への扉を開く。
「さあ、オウガたちを倒して、ハロウィンパーティーを楽しみましょう」


青猫格子
 こんにちは。青猫格子です。
 このシナリオは「迷宮災厄戦⑱-3〜踊り狂う地下迷宮」と若干関連があるような舞台になっておりますが、該当作を知らなくても特に問題ありません。
 どうぞお気軽にご参加ください。

 このシナリオは「第一章:集団戦」「第二章:ボス戦」の二章構成になります。
 儀式魔術【Q】の成功により見つかった「ハロウィンの国」のシナリオになります。
 ハロウィンの国に潜むオウガたちを倒し、ハロウィンに備えましょう。
 また、10/31までに成功したシナリオの本数に応じて、ハロウィンパーティ当日、そして今後の「アリスラビリンスでの猟書家戦」に、何らかの影響があるかもしれません。

●第一章
 集団戦で「サーバントバニー」との戦いになります。
 敵はコスプレ衣装を身に着けてパワーアップしており、こちらもコスプレ衣装を身につけることでパワーアップできます。「コスプレ衣装を身につける」ことでプレイングボーナスが与えられます。
 コスプレ衣装の種類は基本ランダムで、場合によっては「本人が全く望まないコスプレ衣装」を身に着けないといけないかもしれません。
「本当は嫌だけど、勝つために仕方なく着る」ようなプレイングにはたくさんボーナスが付きます。
 なお、「勝つためにあえて望まない衣装を着る」という趣旨の内容がプレイングに書いていない限り、無難なコスプレになります(全く望まない人に無理やり着せることはありません)
 最終的な衣装はランダムですが、このシナリオでは「つけ耳だけしたい」「きぐるみがいい」などの形状はアバウトに指定できます。指定なしの完全ランダムも可能です。

●第二章
 ボス戦で「人喰いピアノ」との戦いになります。
 ボスはそのままではほぼ無敵で、攻撃が通りません。
 キッチンで美味しい料理を作ると、ボスは必ず料理を食べてしまい、だんだん眠くなっていきます。
 ボスを完全に眠らせれば無敵状態が解除され、一撃で倒せるようになります。
 料理を作る間もボスが攻撃してきますのでプレイングは「料理を作る」か「攻撃を耐え忍ぶ」ことについて書くことになるでしょう。一人で両方担当しても、複数人で分担しても良いです。

 今回はOP公開後すぐプレイング受付開始します。
 どうぞよろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『サーバントバニー』

POW   :    ウサキ~~ック!
単純で重い【高く跳んでからのジャンプキック 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    ウサキッス
【投げキッスをする事で放つ衝撃波 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【にハート型のマークを刻み】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    ウサウサスカイジャンプ
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エコリアチ・ヤエ
問題はこいつだよなぁ。この後に出てくるっていうオウガに関しては対処の自信があるんだが……。

先日はカクリヨでアイドル衣装だのなんだのとやべぇもんばっか着せられて恥ずかしい悲惨な目に……。せめて狂気に堕ちない程度のマシなもんが来いよ!気合いで着飾ってやるからな!

どんな衣装だろうが気に入らねぇもんを着なきゃならねぇともなりゃ殺意も沸く。気合いで衣装を着た後は俺の殺意を受けた死霊召喚はどれだけ逃げ回ろうが敵を追いかけ重い一撃を放つだろう。
だが攻撃は一撃だけじゃあ終わらねぇ。俺の怒りはこんなもんじゃねぇぞ。受け取れ!

【アドリブ大歓迎】(多重人格者ですが他人格気にしなくて大丈夫です)



 静かだったダンスホールの様子は様変わりしていた。
 侵入者の存在に気づいたオウガたちが姿を現したのだ。
 しかし、怪物が跋扈している、という表現がこれほど似つかわしくない光景があるだろうか。
 会場には様々な姿のバニーが溢れていた。
 メイド服のバニー、ナース服のバニー、きぐるみのバニー……など、可愛らしい衣装もあれば奇抜な衣装も多い。猫耳をつけたバニーなど耳がかぶっている者も多い。

 エコリアチ・ヤエ(悪魔の囁き・f00287)はこの光景を目の前にしてどうしたものかと考えいた。
「いや、倒すのは問題ないんだ。オブリビオンだからな。問題は……」
 衣装である。
 バニーたちが身につけているのは単なる衣装ではない。
 今もダンスホールの周囲から飛んできているのだが、これは身につけた者の能力を強化する効果がある。敵と互角に戦うには、彼も服を身につけるのが手っ取り早い。
「どうしてこんな目にばかり……いや、泣き言を言っても始まらない。せめて狂気に堕ちない程度のマシなもんが来いよ!」
 エコリアチは覚悟を決めて、飛んできた衣装を掴む。
「なんだこれ、宇宙服か?」
 体の部分はツルツルの銀色でぶかぶかしており、頭の部分には透明な丸いヘルメットが付いている。まるで漫画のような宇宙服で、本当に宇宙で活動できるように見えない。
「ちょっと動きにくいが、アイドル衣装に比べれば全然マシだな!」
 と、急いで衣装を身につける。ヘルメットをかぶっても呼吸は問題ないようだ。

「侵入者発見!」
 一匹のバニーがエコリアチを攻撃しようとダッシュで近づいて来る。彼女が身につけているのは竜宮城の乙姫をイメージした衣装だろうか。ミニスカートになっており動きやすいようだ。
 素早い動きの敵に対し、宇宙服のエコリアチは一見不利なように見える。ところが、彼は間一髪の所でバニーの攻撃を気合で避け続けていた。
「まだ避けられる! とはいえ動きづらいっ……」
『不利な衣装で敵と戦わねばならない怒り』によって生まれた殺意が頂点に達し、彼の周りに大量の死霊たちが現れる。
「俺の怒りはこんなもんじゃねえぞ。受け取れ!」
「……!!?」
 死霊が次々に湧き出し、周囲のバニーたちに襲いかかる。
 会場に死霊が飛び交う様子は、まさにハロウィンにふさわしい光景と言えるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィロメーラ・アステール
「おーし、なんでも着てやろうじゃん!」
どこからでもかかってこい!
オブリビオンを倒すためなら手段は選ばない!

でも戦う上では、動きにくくなるような衣装は困るな!
ランダムじゃ、サイズが合わないとかもあり得るし?
それでも着なきゃならないのがツライ!
まあ着るけどね!

【紲星満ちて集いし灯光】を発動!
光精達に行動をサポートしてもらうぜ!
サイズの合わない大きな衣装なら、みんなで入ればいいさ!

そして『星装《えあろ》』を使い、風を纏うぞ!
動きにくい衣装でも【空中浮遊】しちゃえば動ける!
このまま【空中戦】だ!

光精達には【索敵】や、閃光での【目潰し】を担当してもらう!
そこへあたしが風の【衝撃波】で【吹き飛ばし】攻撃!



「おーし、なんでも着てやろうじゃん!」
 フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)はコスプレして戦う猟兵たちやバニーを見て、自分もさっそく服を手にしようと飛び上がった。
 掴んだ衣装は、彼女には少し大きいように見える。
「これは……警察官の格好か!?」
 UDCアースの女性警察官の制服に似ているが、紺色のスカートは短く、布もなんだかペラペラで頼りない。
 雑貨店でコスプレ衣装として売っているミニスカ警察官の衣装であったが、彼女が知っているかは定かでない。
「うわー、戦う時動きにくい衣装だったら困るなと思ったら、やっぱりサイズの合わない衣装が来ちゃったか。でも仕方ない!」
 それでも身に付けなければ敵と対等に戦えない、とフィロメーラは急いで服を着るのであった。

「スカートは飛んでいればなんとかなるけど、胴と袖が長いのは困るな!」
 着替えたフィロメーラは空中でくるくる回りながら服の具合を確かめている。
 人間用の服なのでサイズが合っていないが、空中に浮かんでいるため移動などには支障はなかった。
「お前、ポリ公だな!」
「捕まえに来たなら、逆に捕まえてやる!」
 いつの間にか、彼女の周りを複数のバニーたちが取り囲んでいた。
 皆、白と黒の横縞の服を着ている。まるで昔の囚人のような格好であった。
「危ない!」
 フィロメーラは飛びかかってきたバニーたちを空中で素早く躱し、ダンスホールの天井近くまで飛び上がる。
 だが、バニーたちも壁を蹴って天井近くまで飛び上がり、フィロメーラを追いつめようとする。

「このままじゃ追いつかれる! みんな、力を貸して!」
 フィロメーラが助けを求めると、彼女の周りに小さな光精たちが集まってくる。
 そしてフィロメーラの手足に集まり、服のサイズに合うような人型を形成した。
「サイズの合わない大きな衣装でも、みんなで入ればいいってわけさ!」
 光精の手足で直接攻撃したら消し飛んでしまうので、フィロメーラは近づいてくるバニーに閃光を浴びせ、敵から距離を取る。
「そこの脱獄バニーたち! まとめてこれでもくらえ!」
 フィロメーラが風を放つ。強大な自然の力が囚人服のバニーたちを吹き飛ばした。
「きゃああっ!!」
 飛ばされたバニーたちは壁や地面に叩きつけられ気を失ってしまう。
「やった! 衣装の力と、光精たちのおかげだな!」
 フィロメーラは光精たちを身に纏わせたまま、ガッツポーズをして喜んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ノエル・フィッシャー(サポート)
『例え全ては救えずとも、誰一人として見捨てはしない』

・経験値が欲しいから、雑な扱いでもいいので採用してくれると嬉しいな。
・【コミュ力】を有効活用出来そうな状況ならば、それを使うよ。なくても目的達成のために最善を尽くすよ。
・ユーベルコードは所持してるものからいい感じのを使うよ。
・他の猟兵との絡みも歓迎だよ。共闘するのなら、ボクは補助に回して構わないよ。彼が技能を使用するのなら、ボクも同じ技能でサポートするよ。
・もし男なのか女なのか問われたら「見ての通り」と答えるよ。モニターの前のキミにも、だよ。
・他の猟兵に迷惑をかける行為、公序良俗に反する行動はしないよ。

あとはお任せ。好きに使ってね。



「こういう仮装舞踏会も変わっていて良いものだね」
 ノエル・フィッシャー(呪いの名は『王子様』・f19578)が、会場を見回して言った。
 舞踏会というには、あちらこちらで戦いが起こっていて騒がしいが。
 アリスラビリンスに住む王子様であるノエルとしては、それほど珍しいことではないのだろう。
 平然と会場の雰囲気を楽しんでいた。
「さて、ボクも衣装を手に入れてみよう」
 と、飛んできた衣装を掴むのだが、ずいぶん小さい。
「これは、仮面かな」
 仮面舞踏会で参加者がつけるようなマスクである。
「なるほど、仮面の王子というのも良いかもしれないね」
 と、ノエルはマスクを顔につけた。
 いつもと同じ衣装だが、少しミステリアスな謎の仮面の王子様になったかもしれない。

「王家の横暴を許すなー!」
 いつの間にか、ノエルの周りをバニーたちが囲んでいる。服装はそれぞれ違うが、銃や農具など様々なもので武装している。どうやら王に対して反乱を起こしているらしかった。あまり仮装舞踏会っぽくないが。
「お前も王族だな! これから裁判を始める!!」
「死刑!!」
 いきなり裁判が始まってあっという間に判決が出る。弁解する余地もない。
 バニーたちが大きくジャンプし、ノエルの息を止めんと蹴りを入れてきた。
 大きな音がして、煙が舞い上がる。会場の一部を破壊してしまったらしい。

「大丈夫、『王子様は死なない』よ」
 煙が引いた頃、別のところからノエルが現れた。
「そんな! 確実にとどめを刺したはずなのに……」
 蹴りを入れたバニーの一匹がノエルの姿を見て怯える。
「今度はこっちの番だよ」
 ノエルが剣を抜き、バニーたちに立ち向かう。
 同時に複数匹で襲いかかってくるバニーたちを相手に、ノエルは勇敢に戦う。
「同じ過ちは繰り返さない……!」
 ノエルの故郷、イクシア王国はオブリビオンによって滅ぼされた。それでもノエルは「王子様」であり続ける。
 そのために世界を滅ぼそうとするオブリビオンと戦い続けるのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

七星・桜華(サポート)
『天魔御剣流免許皆伝、だからこそ更なる高みへと。』
『一か八かの勝負?そんな事しなくても私達の勝ちだね!!』
『勝った後は派手に騒ぐんだ!誰一人として倒れないようにね!!』
敵の数が多い場合は敵の強さで一体づつ倒すか複数を纏めて狙うかを第六感や野生の勘と言われる直感で即決する、また見切りの速さも早い。
闘う姿は舞っているかの動きで敵を魅了する、上空の敵が相手でも空中戦もできる。
攻守において残像を使い殺気や覇気が残像にまで残る程の濃密加減。
頑丈な敵が相手でも鎧等を無視した内部破壊系攻撃を当たり前のように使いこなす。
長期戦になっても敵の消耗と自身の回復に生命力を吸収して凌ぐ。
戦闘では先の先、後の先問わず。



「ここが、ハロウィンの国か……」
 七星・桜華(深紅の天魔流免許皆伝・f00653)は様々な衣装で溢れ返す会場の様子に慣れない様子だった。
「戦えるというから来たものの、こんな所に私より強い奴がいるのか?」
 隠れ里で修行に明け暮れ、免許皆伝になってからもさらなる高みを目指してきた剣豪である。
「まあいい。この場所ではこのような格好で戦うのが決まりというのなら、それに従おう」
 と、飛んできた衣装を掴むと、もふっとした手応えがする。

「これは、熊を模した服だろうか?」
 顔の部分が開いている、熊のきぐるみであった。
「熊は相当強いというし、私が着るのにぴったりかもしれないな!」
 きぐるみの熊は可愛らしくデフォルメされているが、現実の熊は凶暴な獣である。
 そういう意図の衣装ではないのだろうが、桜華は気に入ったようで早速きぐるみを身に着けた。

 するとさっそく、周りにいたバニーたちに囲まれる。
「こんなところに熊が紛れ込んでるわ〜」
「まあ可愛い! 一緒に写真撮りましょう」
 バニーたちの格好は画家やコック服など様々だったが、どうやら動物好きらしい。
「熊さんこっち見て〜」
 別のバニーの声がして、桜華が振り返ると背面から投げキッスの衝撃波が飛んできた。
「危ない!」
 とっさに衝撃波を見切り、躱した桜華。これがオウガとの戦いであることを思い出した。

「お前たち、熊を可愛いと思っているようだが、それは間違いだ」
 桜華がきぐるみ姿のまま、刀を手にする。
「熊が凶悪な存在であることを思い出させてやる!」
 そのまま舞うように刀を振るい、周りのバニーたちを次々と倒していく。
「きゃあ! 熊が暴れてる!!」
「助けてーっ!」
 周りのバニーたちは逃げ惑うが、桜華はきぐるみにも関わらず素早い身のこなしで周りのバニーたちに追いつき、刀で斬りつける。
 その姿は戦っているにも関わらず、まるで舞のように人々を魅了させる動きだった。
 ある意味、ダンスホールにふさわしい光景なのかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔴​

鬼河原・桔華
●SPD
ハロウィンの国、百鬼夜行の国ってか
仮装しなくて素のままでも私には問題ねぇだろうが、郷に入れば郷に従えだ
このガタイに合う服であれば、なんだって着てやるさ
あン?なんだ、お前らも着たいってか
ヨシヨシ、それじゃ一緒にキメて行こうz…

はぁ!?コイツを着れって?
いやいやいや、こんなもんを着ちゃ泣く子も黙る地獄の獄卒の沽券に関わってだな…
…お前らも総長絶対似合うとか、総長が着ている姿を見てみたいですとか言わんでおくれよ……
ったく、着りゃあいいんだろ!!

こんな姿舎弟の妖怪共意外に見せたくねぇが、お前…見たな?
見てようが見てないが構わねぇ
【咎力封じ】でふん縛るぞ
ふざけたオウガを退治するまで大人しくしてな



「ハロウィンの国、百鬼夜行の国ってか」
 鬼河原・桔華(仏恥義理獄卒無頼・f29487)が辺りの様子を見回して言う。
 地獄の獄卒である彼女にとっては、そのままでも馴染みやすい光景かもしれない。
「だが、郷に入れば郷に従えだ」
 とりあえず衣装を調達しよう。ちょうど一緒にいた配下の子鬼や妖怪たちも服を手に入れようと躍起になって飛び跳ねていた。

「ヨシヨシ、一緒にキメて行こうz……はぁ!?」
 掴んだ衣装を見て桔華は驚いてしまった。
 それは、赤と黒の生地をふんだんに使った豪華なドレスだった。しかも、ハートの模様まで入っているではないか。
 アリスラビリンスらしい、ハートの女王の衣装である。
「コイツを着れって? いやいや……」
 泣く子も黙る地獄の獄卒の沽券に関わる、と桔華は着たくなさそうにするが、舎弟もとい配下たちには好評だった。
「絶対似合いますよ! ぜひ着てください」
 など皆口々に言うのだ。

「ったく、着りゃあいいんだろ!!」
 仕方ないので桔華はドレスに着替える。肩が出ており、足元まであるスカートが大きく広がる、いかにも絵本に出てくるお姫様のような姿だ。
「おおー!!」
 配下たちがいつもと違った雰囲気の桔華の姿に歓声を上げる。
「こんな姿、舎弟の妖怪共以外に見せたくねぇが、お前……見たな?」
 ドレスを身に着けた桔華は近くにいたバニーの一人に顔を向ける。
「え? いえ、その……」
 バニーが慌てふためいて、衣装のきぐるみで顔を覆ってごまかそうとする。
 しかし、桔華には無駄な抵抗だった。
「見てようが見てないが構わねぇ。ふん縛るぞ!」
 桔華はバニーを拘束ロープで拘束し、更に手枷と猿轡で行動の自由を奪う。
「んー!??」
 バニーは何も出来ずジタバタするしかなかった。
「よし、このままここのふざけたオウガたちを全員退治してやる。いくぞ、お前ら!」
 桔華が配下に声をかける。見られたくないのだから、全員倒してしまえば良いのだ。
「うおおー!」
 すごい歓声が沸き起こり、配下の妖怪子鬼たちが女王の姿の桔華に従い進んでいく。
 その姿はまるで妖怪の軍を率いる女王のように見えただろう。

 しばらくして、ダンスホールにいたバニーたちは桔華によって拘束されるか、他の猟兵たちの手により全員倒されたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『人喰いピアノ』

POW   :    死の旋律
【見えない破壊音波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    メメント・モリ
【自身が喰い殺したアリス】の霊を召喚する。これは【聞いた者の生命力を奪う童謡】や【生きているアリスに憑依し、操ること】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    闇の幻想曲
【物悲しいピアノの曲を演奏すること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【臨死体験の白昼夢による精神攻撃】で攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠守田・緋姫子です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 バニーたちが倒されてしばらくすると、ダンスホールの中央にいたピアノが口を開いた。
「おや、また静かになってしまったな」
 ピアノはバニーたちが倒され、猟兵たちだけが残っていることを把握した。
「そうか、俺を倒しに来たのか。まあ無駄だがな」
 オウガ・オリジンが作った「ハロウィンの国」の法則でピアノは守られていた。
 だから、猟兵に囲まれていても焦るような素振りは見せない。
「ああ、退屈だな……」
 ピアノは退屈しのぎに再び物哀しい音楽の演奏を始める。

■マスターより
 ボス戦です。「人喰いピアノ」との戦いになります。
 キッチンで美味しい料理を作り、ボスに食べさせましょう。詳しくはオープニングとコメントをご参照ください。
フィロメーラ・アステール
「こんな退屈な曲じゃ、退屈なのは当たり前だぜ!」
今日はハロウィンだし、楽しくやろうじゃん!
【カウンター】演奏を仕掛けるぞ!

【謳い謳われし満天星】を発動だ!
竪琴『甘き旋律』を取り出して【楽器演奏】する!
「おお~、今日はハロウィーン♪」
「ちょっと不気味だけど、ちょっと不思議な祭り~♪」
「たのしい笑顔と、おいしい料理でパーティ~♪」
てな感じで、お祭りに積極的になるほど【エネルギー充填】されて【元気】になる!
これで料理する人とかを応援!

物悲しいピアノに楽しい演奏を合わせていき、こっちの曲の一部にしてしまうことで【浄化】するぞ!
料理を作る人がいなきゃ、あたしが適当に用意するよ!
自動演奏もできるからね!



 ダンスホールに物哀しい曲が響き渡る。
 フィロメーラ・アステールにはそれが我慢できなかった。
「こんな退屈な曲じゃ、退屈なのは当たり前だぜ!」
 竪琴『甘き旋律』を手にしてピアノの前に飛び出す。
「おお~、今日はハロウィーン♪」
 と、楽しげな曲の演奏を始める。

「やかましい音楽だ。趣味が合わないね」
 ピアノはフィロメーラの曲を聴いて心底迷惑そうにすると、物哀しい音楽を一層響かせる。
 すると、周囲の様子が一変していく。
 ハロウィンの飾りのお化けたちが、まるで本物の亡霊のような姿になり、周りの景色は地獄のような光景になる。
 ピアノの音楽により現れた亡霊の幻影たちは、フィロメーラを地獄に引き入れようと集まってきた。
「ちょっと不気味だけど、ちょっと不思議な祭り~♪」
 フィロメーラは亡霊たちに対抗し、あくまで楽しいお祭りの雰囲気を保って演奏を続ける。
 すると、亡霊たちの幻影はだんだん薄れ、元のハロウィンの飾り付けへと戻っていった。
「たのしい笑顔と、おいしい料理でパーティ~♪」
 元気そうに演奏を続けるフィロメーラ。
 その音楽で周りが浄化されていき、ハロウィンの飾りが一層キラキラと光っていく。
 ピアノの演奏は完全に彼女の演奏する曲の一部となってしまった。

「よし、あとは料理の用意だな!」
 フィロメーラは竪琴を自動演奏にして、キッチンで料理を作り始める。
 材料は何でもあるが、ハロウィンらしくて簡単にできる料理が良いだろう。
「できた! 『南瓜の蒸しケーキ』だ!」
 南瓜を入れたオレンジ色の蒸しケーキに、同じく南瓜のクリームを添えたデザートだ。

「ほお、音楽の趣味は合わないが、菓子はなかなか良さそうなものを作るな」
 フィロメーラがケーキを持っていくと、ピアノは興味深そうにケーキを見て、その大きな舌でぺろりと一口で食べてしまう。
「南瓜の甘さを生かした自然な甘さで美味しいじゃないか、あぁ美味かった……」
 ケーキを食べたピアノは少し眠くなったようで、演奏が若干スローテンポになってきた。
「眠くなりそうな曲だな! でも気に入ってもらえてよかったぜ!」
 フィロメーラも自分で作ったケーキを食べる。即席で作ったとは思えないほど美味しく、ピアノの評も納得の味だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

高柳・源三郎(サポート)
旅芸人一座の座長、それが高柳源三郎じゃ!!(まだ零細なんじゃがな......)。
性格は酔いどれおやじじゃが旅芸人一座の座長なので本番(戦闘)では酔いが殆ど覚めて戦うことが出来るんじゃ。
武器である【不思議なたぬき人形「はな」】【暗殺用たぬき人形「たろう」】を使いまるで踊りや人形劇をするかのう様にユーベルコードを使い戦うのじゃ。時々【竜珠】に封じ込めてある骸魂・八岐大蛇に乗っ取られて暴れて回ってしまうんじゃ。
情報収集は芸をして道行く人の足を止めて人達の噂話を聞けば集められると考えてとるんじゃ。
口調は(わし、~殿、じゃ、のう、じゃろう、じゃろうか?)です。


ケルスティン・フレデリクション(サポート)
人や動物を傷つけたり、道具にしたりする敵には殺意高め。
ひとは、オブリビオンのどうぐじゃないし、きずつけられるためにいきてるんじゃないもん
だから、助けなきゃ!


一人称 わたし
二人称 名前を呼び捨て

口調は幼く
言い切る形や「〜なの」「〜よ」言葉尻を伸ばすことも多い

基本的には皆のお手伝い役
戦闘や情報収集、その他言われた事を行います。
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 料理を食べたピアノは少し眠くなったようだが、まだ演奏が止まる気配はない。
「じゃあ次は私が料理を作るよー」
 ケルスティン・フレデリクション(始まりノオト・f23272)が料理を作るためにキッチンに立つ。
 幼い彼女だが、本をよく読んでいたので料理の知識はある。ただ経験は多くない。
 そのため、火や包丁を使わないで済むサラダを作ろうとしているようだ。
「わかった。わしはその間ピアノを抑えておくから、気をつけて料理しておくれ」
 高柳・源三郎(零細旅芸人一座の酔いどれ座長・f15710)がケルスティンの料理する様子を見守りながら言う。
 通常ならこのような小さい子に一人で料理を任せるのは不安だ。源三郎はできれば料理も戦闘も自分で代わりたいと思った。
 しかし、彼女も猟兵としてこの場に来ていて、他の皆に役立ちたいと思っているのもわかる。
 源三郎はケルスティンを信じようと思った。

「また何かしようとしているな。その前に死んでもらおうか」
 ケルスティンの料理している様子を見て、ピアノが妨害しようと行動に出た。
 ピアノの演奏する音楽が徐々に不快なほど高音になり、耳の痛くなる音がダンスホール中に響き渡る。
「きゃあー!!」
 ドレッシングを混ぜていたケルスティンが耳を押さえる。ピアノから離れていたため体に影響はなかったが、不快な音には変わりない。
「ケルスティン殿!? おのれ……!」
 源三郎の目つきが変わる。酔いが覚めて本気になった目だ。
 彼の連れているたぬき人形『はな』がまるで生きているかのように動き出す。
「はな、この音を消すんじゃ!」
 源三郎の言葉にはなはうなずくと、全身を細かく振動し始める。
 はなの発する空気の振動がピアノの発する音の振動とぶつかり合い、音が消え去った。

「まさか音を消せるとはね。つまんないな、やーめた」
 ピアノが音を消されたことに気づき、毒づきながら演奏を止める。
「やったぞ、はな!」
「ありがとう。おかげで料理ができたよー」
 はなと一緒に喜んでいる源三郎の元に、料理を持ったケルスティンがやってきた。
「おお、よかった」
「まってね、今配るから」
 ケルスティンが持ってきたのはモッツァレラチーズとプチトマトのサラダだ。
 ボウル一杯のサラダを取り分け、その上に特製のドレッシングをふりかける。
「はい、お人形たちもよかったらどうぞ」
「おい、人形の分より俺の分はないのかよ」
 料理を配るケルスティンにピアノが割って入る。
「え、邪魔したのに食べたいの?」
「いいから寄越せ!」
 と、ボウルに残っていたサラダと残りのドレッシングを一度にぺろりと食べてしまう。
 既に取り分けてあったのでケルスティンや源三郎たちの分は無事であった。
「おお!! チーズとプチトマトを一緒に食べるとこんなに美味いんだなあ……! もぐもぐ……」

「とんだ食いしん坊じゃのう」
 元の様子に戻った源三郎が、人形たちとサラダを食べながら笑う。
 なぜか源三郎のテーブルにだけ日本酒が置かれている。
「チーズのサラダだから本来はワインが合うのじゃろうが、日本酒も悪くないぞ」
 と酔っ払い、すっかり通常運転の源三郎であった。
「ふう、腹一杯になって満足満足……zz……はっ! 何やってんだ」
 料理を食べて満足したピアノはとても眠そうであるが、なんとかこらえていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鬼河原・桔華
●POW

随分と物淋しい旋律だねぇ
なら、泣かぬなら泣かせてみせよう亡者共だ
寒い、ひもじい、もう死にたい
不幸そうな亡者共の口癖は何時もこうだった
んなら、最期に暖かくてうまいもんを腹一杯たらふく食わせて、幸せな気分に浸らせながら成仏させてやるのも獄卒の務めてっもんだ

となれば、宴会料理を作るにしても猫の手も借りたくなるな
【あやかし百鬼夜行捕り物帖】で人足を集めるとするか
てめぇら、気張って作れよ!食材は幾らでもあっから、惜しみなく使え!
作るのは地獄風情溢れるハロウィンコース料理だ

さて、料理が出来るまで軽くオウガと遊んでやるか
舎弟達が精魂込めて料理を作ってんだ
頭の私も体を張らねぇと示しがつかねぇからな


ミカエラ・マリット
こわいピアノさん
音楽ひいてはくれないですか?

ミカエラはおモチつくります
ハンマーを杵に持ちかえて
そーれペッタンペッタン

ピアノさんからのこーげきは、だれかいたら防いでもらえるかな
ミカエラ一人なら、片手で杵、もう片手でハンマーぶん投げて音波のボーガイしますね

お砂糖と一緒に煮詰めた小豆と合わせてゼンザイですよー、ほかほかですよー
クリも入れたんで、ちょっとリッチな栗ぜんざい
熱いからヤケドに気をつけて、フーフーしてからどうぞー

寝ました? 寝ましたね?
んじゃ、ミカエラこーげきして良いんですよね?
ピアノさんのフタめがけて渾身のグラウンドクラッシャー
地面にクレーター作る勢いで
もう起きてこないでくださいね!



 ピアノは眠くなり始めていたが、まだなんとか意識を保っていた。
「ふぁ~あ、つまらないから眠くなっちまったな」
 そう言ってまた音楽を奏で始める。
「随分と物淋しい旋律だねぇ」
 鬼河原・桔華がその演奏を聴いて言う。
「寒い、ひもじい、もう死にたい。不幸そうな亡者共の口癖は何時もこうだった」
 オブリビオンであるピアノもまたそれらに近しい存在なのだろう。
「んなら、最期に暖かくてうまいもんを腹一杯たらふく食わせて、幸せな気分に浸らせながら成仏させてやるのも獄卒の務めってもんだ」
 桔華はピアノのために豪華な宴会料理を作ってたらふく食べさせるため、まずは人手を集めることにした。
「てめぇら、気張って作れよ! 食材は幾らでもあっから、惜しみなく使え!」
「うぃーっす!!」
 配下の子鬼や妖怪たちがキッチンへ集まってきて、料理を作り始める。
 集まれば集まるほど料理を作る速度が速くなってきて、またたく間に鍋やフライパンは料理で一杯になる。

 ミカエラ・マリット(撲殺少女・f23163)も、子鬼たちが忙しなく出入りするキッチンの横で料理をすることにした。
「ミカエラはおモチをつくります」
 普段持っているハンマーを杵に持ち替えて、臼のもち米をぺったんぺったんとつき始める。
「また猟兵たちがなにかやってるな」
 ピアノがミカエラや子鬼たちを見て、邪魔しようとキッチンに向けて演奏を始める。
「てめぇの相手は私がしてやるよ」
 桔華がピアノとミカエラたちの間に割って入る。
 彼女の服の護符がばらばらになり、ピアノとキッチンの間に壁を作り出す。これによって音が届きにくくなった。
「馬鹿か。こういうのは自分を守るのに使うもんだろ」
 ピアノが驚いて演奏が乱れる。
「舎弟達が精魂込めて料理を作ってんだ。頭の私も体を張らねぇと示しがつかねぇからな」

「できました~!」
 子鬼たちがピアノと桔華のもとに料理を運んでくる。地獄風情溢れるハロウィンコース料理だ。
 サラダはオレンジや紫色の野菜が多く使われていてハロウィンらしい見た目になっている。
 スープは釜茹で地獄を模したような煮物になっており、目玉のような団子が浮かんでいて不気味だった。
 その他にもメイン料理で豚の丸焼き、デザート……と次々に料理が並べられる。
「ミカエラもできましたー」
 ミカエラが作ったのは餅に甘く煮た小豆と栗を合わせた栗ぜんざいだ。出来たてで湯気が立っている。
「熱いからヤケドに気をつけて、フーフーしてからどうぞー」
 と、子鬼たちのハロウィン料理と一緒にデザートの場所に並べる。

「おお、なんて数の料理だ」
 ピアノは驚いた。このダンスホールに来て長いが、このような大量の料理を見るのは初めてだ。
 大きな口からよだれが止まらなくなり、食べずにはいられなくなる。
「むしゃむしゃ……どれも美味いじゃないか……はふはふ……ゔっ!」
「もう、熱いって言ったでしょー」
 ぜんざいの熱さにむせたピアノにミカエラが困ったように言う。
「だってよう……こんな量のごちそうを見たのは初めてだったからよう……zzz……」
 ピアノは食べながら次第に眠くなり、途中で寝てしまった。

「寝たな」
「寝ましたね」
 桔華とミカエラが顔を見合わせる。そしてミカエラがハンマーを構えると、ピアノの蓋めがけて渾身の力で叩きつけた。
 ズドン、とダンスホールの中心に大穴が空き、ピアノはばらばらになった。
「一撃だったな。これでこのハロウィンの国にオウガはいなくなったわけだ」
 桔華は大穴の中でばらばらになっているピアノを確認する。ごく普通の楽器のピアノが砕かれた破片しか残っていなかった。
 最後にたくさんの料理を食べてピアノは満足だっただろうか。そうであってほしい。
「もう起きてこないでくださいね! じゃあ後は残った料理を食べてパーティしましょうー」
「そうだな」
「いぇーい!!」
 ミカエラの言葉に桔華が頷くと、周りの小鬼たちの歓声が沸き上がる。
 ハロウィンの国の楽しいパーティは今ようやく始まったのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月05日


挿絵イラスト