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【Q】ハロウィンの国をもらうよ、もらうよ♪

#アリスラビリンス #【Q】 #お祭り2020 #ハロウィン

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●ハロウィンパーティのためにハロウィンの国をゲットしよう!
 今日も今日とて、グリモアベースの片隅で飲み物を振舞っている、グリモア猟兵藤崎・美雪の前に集まった猟兵達。
 銘々頼んだ飲み物に口をつけ始めたところで、唐突に美雪が切り出した。
「諸君、今度はハロウィンの国争奪戦である」
 ――ズコッ!!
 突拍子もない内容に、思わず突っ伏す猟兵達。
 迷宮災厄戦の最中の美雪のノリを思い出し、戦争は終わっただろうが!? と詰め寄る猟兵達もいるけれど。
「私は大真面目だ。なぜなら、オウガ・オリジンがハロウィン仕様に改変した国がいくつか見つかったのだからな」
 冷静に話す美雪の口からオウガ・オリジンの名が出た途端、溜飲を下げ先を促す猟兵達。
 先を促された美雪いわく、その国にはしゃべる南瓜ランタンや、コスプレ衣装の飛び出す森、食材が完備されたキッチンや、「なんかめちゃくちゃ長い行列をするためだけに作られた道」などがあり、まさに「この国でパーティをやれ!」と言わんばかりの、理想の環境が揃っているそうだ。
 ところが、この国が抱える問題がひとつありまして。
「これが悲劇を作るためにつくられた国なのが惜しいのだよな……」
 ため息交じりの美雪の補足に、猟兵達の表情は引き攣ったり呆れたり。
 実際、国のそこかしこに凶悪なオウガが隠れており、パーティー会場を惨劇の会場に変えようとしているとか。
「そこで皆にはオウガたちの排除を頼みたいのだが、頼めるだろうか?」
 頭を下げた美雪の頼みに、猟兵達はそれぞれの思いを胸に頷いた。

「転送されたら、まずはコスプレ衣装の飛び出す森に待ち受ける、狩人のコスプレをしたオウガの集団を排除してほしい」
 オウガたちは、コスプレ衣装の効果でパワーアップした状態で襲い掛かってくる。
 このままでは、たとえ手練れの猟兵とて苦戦は免れないが……。
「飛んでくるコスプレ衣装は、我々が着ることもできるんだよな」
 つまり、コスプレ衣装をゲットし、身に纏って戦えば、条件は互角になるということになる。
「ただし、森から飛んでくる衣装は【ランダム】だ。必ずしも着用したいコスプレ衣装が飛んでくるとは限らない。望まない衣装をゲットする可能性もあるので、そこだけ覚悟しておいてくれ」
 ちなみに、着用者が望まないコスプレであるほど、より強力にパワーアップするようなので、あえて望まないコスプレ衣装をゲットし着用するのも戦術、かも?

「森を抜けたら、次に待っているのは食材が完備されたキッチンだ」
 なぜか調理器具や調理家電まで完璧にそろっているキッチンに待ち構えるのは、「アリス好き」をこじらせ、隙あらば猟兵すら「アリス」に変えてお持ち帰りしようとする女王様。もちろんオウガ。
「オウガはこちらが猟兵と見ると襲ってくるのだが……この国の法則なのか、美味しい料理が完成したら、オウガは攻撃の手を止めて必ず食べてしまうのだ」
 オウガは真心のこもった美味しい料理を批評・称賛しながら口にするのだが、食べ進めるとだんだん眠気に襲われるらしい。
 つまり、その場で料理をどんどん作って食べさせ続け、完全に眠り込ませれば、一撃で倒せるまでに弱体化できる、ということだ。
「ただ、料理している間も、オウガは苛烈に攻めてくるから、調理担当の猟兵の護衛は必要だな」
 しかも料理を口にするまではオウガは無敵なので、攻撃は意味をなさない。料理が完成するまで苛烈なオウガの攻撃を引き受け続ける、防御役の存在が鍵となるだろう。

「それでは、パーティのために国をひとつ、争奪願うよ」
 頭を下げる美雪が手にするグリモア・ムジカから飛び出した音符に囲まれて。
 ――いざ、ハロウィンの国へ!


北瀬沙希
 北瀬沙希(きたせ・さき)と申します。
 よろしくお願い致します。

 儀式魔術【Q】の成功により、オウガ・オリジンが改変した「ハロウィンの国」がいくつか発見されました。
 猟兵の皆様、凶悪なオウガを撃退し、ハロウィンの国をゲットしてください!

 一応コミカル想定ですが、皆様のプレイングと北瀬のダイス次第でネタ・カオス方面に振り切れる可能性がございます。
 そのため、描写量にばらつきが出る可能性が高いので、予めご承知いただけると幸いです。

●本シナリオの構造
 集団戦→ボス戦の【2章構造】です。

 第1章は集団戦です。
 森から飛び出したコスプレ衣装を着用して戦えば、プレイングボーナスが与えられます。望まない衣装を頑張って着用し戦ったらさらにボーナスアップ!
 コスプレ衣装は、望む衣装の希望を出しても良いですし、あえて望まない衣装の希望を出すのもよし、北瀬任せにしていただいても構いません。
(北瀬任せにした場合は、可もなく不可もなく、というコスプレになります)
 ただしコスプレ衣装はランダムにたくさん飛んでくるため、希望のコスプレ衣装を獲得できるか否かはダイスの神様次第。外れの場合は北瀬がランダムで選びますので、予めご了承願います。
 なお、指定したコスプレ衣装が公序良俗に反したり版権に抵触していたりした場合は、プレイングを採用せずお返し致します。

 第2章はボス戦です。
「攻撃を耐え忍ぶ(防御)」役と「料理を作る(調理)」役に分かれていただきます。
 詳しいルールは、第2章突入時に説明いたします。

●プレイング受付開始日時について
 第1章はオープニング公開直後から受付開始。
 第2章は冒頭に導入文を追加した後、受付開始。
 プレイングの受付締め切りは、マスターページ及びTwitterにて告知致します。

●本シナリオ成功時の扱い
 10月31日までの「【Q】ハロウィンの国の戦い」シナリオの成功本数に応じて、ハロウィンパーティ当日、そしてやがて始まるであろう「アリスラビリンスでの猟書家戦」に何らかの影響があるかもしれません。

 全章通しての参加も、気になる章のみの参加も大歓迎です。
 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『影縫い・シャッテンドルヒ』

POW   :    これは君を飲み込む影の群れ
【紐付きのナイフ】が命中した対象に対し、高威力高命中の【レベル×1の自身の影】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    僕らは影、君の命を刈り取る影
【漆黒の影】に変形し、自身の【意思や心情】を代償に、自身の【攻撃力と影に溶け込み影伝に移動する能力】を強化する。
WIZ   :    僕らの狩場、君の墓場
戦場全体に、【影に覆われた暗い街】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ようこそ、コスプレの飛び交う森へ
 転送された猟兵がたどり着いた場は、時折開けた空が見える、密度の低い森。
 既に目の前には、狩人のコスプレをしたオウガが待ち構えていた。

 隙のない構えをするオウガたちに、猟兵達が隙を見いだせずにいると……。

 ――ヒュンッ!

 ……今、何かが目の前を横切ったような?

 ――ヒュンッ!
 ――パシッ!

 猟兵達が飛び交う物体を掴んでみると、なんとそれはコスプレ衣装。
 なぜ飛んでいるのか疑問は尽きないが、ここは「ハロウィンの国」という不思議の国。何が起こってもおかしくないですよね。
 とにかく、これを着て戦えば、狩人のコスプレをしたオウガにも対抗できるはず!

 さあ、猟兵たちよ!
 手にしたコスプレ衣装を纏い、狩人コスプレのオウガを蹴散らしてくれ!!

 ……何、このコスプレ衣装は望みじゃない、苦手だって?
 それでも頑張って着用すれば、劇的なパワーアップが見込めるよ?

※マスターより補足
 第1章のプレイングボーナスは【飛んでくるコスプレ衣装を着用して戦う】ことで付与されます。
(自前のコスプレ衣装を持ち込んで着用してもボーナスにはなりませんのでご注意ください)

・望みのコスプレ衣装を獲得できるようチャレンジ
 →獲得できるか否かはダイスで判定。
  獲得して着用すれば、プレイングボーナスが付与されます。
  獲得できなかった場合は「マスターにお任せ」となります。

・あえて逆の「望まない」コスプレ衣装の獲得にチャレンジ
 →獲得できるか否かはダイスで判定。
  獲得して着用すれば、プレイングボーナスがたくさん付与されます。
  獲得できなかった場合は「マスターにお任せ」となります。

・獲得した衣装はマスターにお任せ
 →自動的に獲得できますが、ごく普通のコスプレ衣装になります。

 なお、1章の成功条件は「影縫い・シャッテンドルヒの撃破」ですので、戦闘プレイングもお忘れなく。

 それでは、良きコスプレバトルを!
スコッティ・ドットヤード(サポート)
外見はどう見ても女子、性格は年相応の活発な男子のサイキッカー。
口調は城〇内君みたいな感じ。友情に厚く義に厚く、明るくてギャグもこなせます。年相応にお色気に弱いです。

両親を4年前に亡くし、それ以来妹と二人で生き延びてきた経験から、小さい少女を見ると世話を焼きたがります。
また、困っている人を見捨てられない性分です。

攪乱や陽動に使えるUCが主体で、戦闘でも前に出るよりも周囲の援護に回ることが多いです。
主な武器はE&F、左手から電撃、右手から炎で攻撃します。
料理が得意ですが、料理系のUCは戦闘では使いません。

戦闘でも日常系でもどんなシナリオでも参加OKです。
よろしくお願いいたします。




 ――ひゅんひゅん、ひゅんひゅん。
 頭上を渡り鳥が木から木へと渡るようにコスプレ用の衣装が飛び交う、奇妙なコスプレの森。
「はっはっは、狩人になりきった俺らを倒せるか?」
 コスプレの力で狩人になり切った影使いたちが挑発する中、着用したいコスプレが流れてくるのを見極めているのか、攻めあぐねている猟兵達だが。
「任せておけよ」
 困っている猟兵たちを見かねたか、真っ先に前に出てコスプレの渡り鳥の群れに手を伸ばしたのは、スコッティ・ドットヤード(どこからどう見ても女の子な少年・f20279)だった。
 普段は周囲の援護に回ることが多いスコッティだが、今回はちょっとした策を思いついたため、あえて前に出てコスプレの渡り鳥の群れに手を突っ込む。
 数秒後、手ごたえを感じ手を引くと、その手に握られていたのは深紅が鮮やかな中世の剣士の衣装。
「へーぇ、女の子がそれを?」
 腰まで伸びたサラサラのオレンジの髪と腰つきから、スコッティを女性と見間違えた狩人たちが嘲笑するが。
「……いや。わりーけど俺男だから。女じゃねぇから」
 コスプレ片手に頭をかきながら呟くスコッティの口調と声音は、どこからどう聞いても男のそれ。
 一瞬、呆気にとられる狩人たちの前で、スコッティは手にしたコスプレ衣装に袖を通し、あっという間に壮麗な剣士に早替わり。
 細剣の代わりに、地面に向けた右手から炎を、狩人たちに向けて翳した左手から電撃を放ちながら、コスプレの影響で漲る力に不敵な笑みを浮かべる。
「さーて、いっちょ大掃除といくぜ!」

 驚いた狩人たちが、スコッティを閉じ込めるように影に覆われた暗い街を出現。
 迷路のように入り組んだ街に突然閉じ込められ、スコッティは戸惑……っていない。
(「はっはぁ、これは好都合だぜ」)
 暗い街に敷かれた石畳の石や、家屋の扉を補強する鉄などの無機物の山は、スコッティにとって狩人を一掃するための良い材料となる。
 ゆえにスコッティは不敵な笑みを崩さないままその場を動かず、街並みに紛れナイフで奇襲しようとする狩人たちを右手の炎と左手の電撃で牽制しながら、じっと機を待つ。
「へーぇ? 剣士様って暗闇が怖くて動けないのかい?」
「うっせぇ!」
 嘲笑する狩人たちに怒鳴り返しつつ、スコッティは死角を取られぬようE&Fの炎と電撃を掃射し続け、引きつける。
 数名程引き付けたところで。
「さーて、ここからが俺のターン!」
 突如、スコッティの手から炎と電撃が消え、周囲が闇に包まれた。
 狩人たちの目が闇に順応するより早く、メキメキと音を立てながら影の街の石畳がはがれ、周囲の家屋の扉や壁と共に舞い上がり、徐々に渦を巻き始めた。
 闇に目が慣れ始めた狩人たちが目にしたのは――影の街を全て呑み込む程に成長した、超次元の竜巻。
「やべえ……逃げろ!」
 目を凍り付かせた狩人たちが、身を翻し逃げようとするが。
「逃がすかよ、ぶっ飛べえ!!」
 影の街全てを変換し尽くし成長した超次元の巨大竜巻は、スコッティの意のもとに逃げ出そうとした狩人たちを悉く巻き込み、空中へと吹き飛ばしていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ダスク・ドーン(サポート)

煮るなり焼くなり。
人数穴埋めから不採用まで幅広くお使いください。
キャラの扱いはアドリブでも何でもお好きにお願いします。
口調は適当なので細かいとこは気にしない。

ただし、
他の猟兵に迷惑をかける行為や公序良俗に反する行動はしません。


『また日が沈むな』
人間のフォースナイト × スカイダンサー
年齢 27歳 男
特徴 面倒見がいい くーる 女性が好き とんでもない甘党
口調 やわらか(自分、相手の名前+ちゃん、ぜ、だぜ、じゃん、じゃねぇの? )


戦闘ならいずれかのフォースブレイドを使用。
シンプルな正面勝負を好む。

冒険や日常は……、
うむ、メンドウだな。
(テンション低くても仕事はきちんとやります)


鳩麦・灰色(サポート)
「ウチ、やなくて私も手伝わせてもらうよ」
「アンタ(敵)はそこで黙ってて」

◆特徴
独り言は関西弁
話言葉はほぼ標準語
脱力した口調
『敵さん』の行動の意図を考える傾向があるが内容に関わらず容赦しない

◆行動
【ダッシュ】【クライミング】【地形の利用】で場所を問わず速く動く事が得意

戦闘は速さで回避重視
味方が居れば武器の音で【存在感】を出し率先して狙われにいく

攻撃は主に【衝撃波】を込めた鉄パイプを使用、空砲銃は場合に合わせて使用

◆UC
索敵、回避特化ではUC『三番』
集団戦では『四番』
敵単体では『一番』か『二番』を使用する

◆日常
日常は何かしつつ寝落ちる事が多い


協力絡みセリフ自由
他おまかせ。よろしくおねがいします!


シャノン・ヴァールハイト(サポート)
種族:人間
外見:183.7cm、赤茶色の瞳 、赤髪 、普通の肌

特徴:無表情、眼光鋭い、肌を露出しない、世間知らず、奴隷だった
口調 男性的(自分の愛称、貴殿、だ、だな、だろう、なのか?)
一人称:当方
基本的に、敵には殺意しか抱かないが、そうでない弱者は守る対象で、他は自分でどうにか出来ると考えている。

特徴は技能値460を超える怪力とソレを利用したUCでの攻撃。




 超次元の竜巻によって木々は千切れ、道は抉れ、綺麗な青空が見えるようになった森の中。
 竜巻から逃れて体勢を立て直した狩人のコスプレをした影使い達が、相変わらず無数のコスプレ衣装が飛び交うのを見上げる中、新たに3人の猟兵が駆け付けた。
「ウチ……やなくて私も手伝わせてもらうよ」
 うっかり口にしかけた関西弁口調を頑張って標準語に直しつつ、鳩麦・灰色(音使いおおかみ・f04170)が鉄パイプを片手に現れ。
 灰色の背後から無言で眼光鋭く睨みつけるのは、銀の剣を手にしたシャノン・ヴァールハイト(怪力乱神・f10610)。
(「……なぜここにいるのだろうな」)
 時折、頭上にコスプレ衣装が飛び交う音を聞くと、自分がここにいるのは場違いではないかと錯覚してしまうけど。
 目の前にいるコスプレ衣装を纏った狩人がオウガだと気づけば、敵に殺意を抱くシャノンとしてはこの場にいる十分な理由付けになる。
「さて、日が沈む前に片づけるか」
 やや傾きつつある太陽が猟兵たちをニコニコ顔で眺めているような錯覚を抱きつつ、ダスク・ドーン(人間のフォースナイト・f13904)もその得物たるフォースセイバーを取り出すが、どうしても場違いな感覚を抱いてしまう。
(「俺も大概場違いじゃねえのか……」)
 コスプレ衣装を着用して戦うとなると、着替えるのは正直、面倒。
 それでも、困っているグリモア猟兵や駆けつけた灰色とシャノンは放っておけないから、ここはどうにかするしかない。

「さーて、私はこれ!」
 灰色がコスプレ衣装の渡り鳥の群れの中に手を伸ばしてつかみ取った衣装は、童話に出てくるような木こりの衣装。
(「ちょっと地味目やけど、腕も隠れるやろし、まっええか♪」)
 とはいえ、男ばかりのこの場で生着替えを披露する気はないので、速攻で木陰に隠れ、着替え始める。
 灰色が木陰でいそいそと着替えている間、ダスクとシャノンはじっと影使いを睨みつけ、視線の火花を散らし合う。
 ダスクは影の対極たる光のセイバー――ライトセイバーを手に。
 シャノンはただ黙って堕銀の剣を構え。
 影使い達はナイフを片手に。
 ――両者ともに、切り込む機を伺う。
 先に均衡を崩したのは、影使い。
「あーあ、にーちゃんのコスプレ姿見てみたかったんだけどなあ」
 実はコスプレを手にせず、着替えなかったシャノンとダスクに、挑発交じりの影使いらのからかう声が飛ぶが。
「……黙れ」
「着なくてもどうにかなるってことさ!」
 シャノンもダスクも、一言でそのからかいを切って捨て、相手にすらしない。
 ――実際、2人ともコスプレ衣装で強化しなくても対峙できる術があるから。
「じゃ、先に男からサヨウナラ!」
 からかい交じりに影使い達が手から放つのは、紐付きの投げナイフ。
 紐付きのナイフという、暗殺者にとって使い慣れた得物を使うあたり、実は完全に狩人になり切れていないのだが……。
 ――カーン!!
 投擲の瞬間、突然響いた甲高い音に手元をわずかに狂わされ、ダスクを狙ったナイフは明後日の方向へ。
 影使い達が音の発生源を探すと、鉄パイプで太い木を殴りつけている、木こり姿の灰色が目に入った。
「ねえちゃん何をやってるんだ?」
 鈍色の鉄の籠手でカバーされた右手に鉄パイプを持ち、木を殴りつけているだけでは、木を倒すなんて夢のまた夢。
 全く見当違いに見える灰色の行動の意図がわからない影使いたちだが、この音は正直、鬱陶しい。
「じゃ、先にねえちゃんからな」
 影使い達は木の影に溶け込むように消え、灰色自身の背後に伸びる影から姿を現し、ナイフを繰り出そうとするが。
「掻い潜れ、"三番"!」
 ナイフが背中を突く寸前、灰色はまるで背中に現れた目で確認したかのように、影から姿を見せた影使いから離れ、木を叩きながら距離を取った。
 それでも、次々と影使いたちが漆黒の影に変じ、近くの木から、灰色の影から現れようとするが。
 ――カーン!!
 ――カーン!!
 ひとつ殴打の音が響くたびに、灰色は音波に触れた影使いとその影の位置を正確に把握し、次々と影を避けていく。
 影使いたちはなかなか捕らえられない灰色を連携して追い詰めるべく、走り出していた。

 影使い達が総じて灰色に気を取られたことで、シャノンとダスクが仕掛けるチャンスが訪れる。
 シャノンは影使いに堕銀の剣の狙いを定め、ただ一振りのために集中を始めた。
「我、御劔と罷り成る」
 言の葉と共に己が信念を劔に込め。
 ただひたすら、赤茶の瞳で影使いを睨みつけ。
 灰色を捕らえられず焦る影使い達の真っ只中に、一気に切り込むシャノン。
「あっれー? コスプレなしでかなうと思っている?」
 シャノンの声に気が付いた影使い達は、嘲笑いながらシャノンの行動を阻止すべく紐付きナイフをシャノンの銀剣向けて投げつけ、紐で絡め取る。
 しかしシャノンは、剣の自由を奪われていても構わず、堕銀の剣を一気に振り抜いた。
 ――キィィンッ!!
 一瞬、右手の聖印と銀剣が激しい光を放つが、それはすぐに収まり。
 圧倒的な怪力を以て一気に振り抜かれた銀剣は、紐付きナイフの紐を力まかせ引きちぎり、影使いの胴を両断……したかに見えた。
「あ、あれ……?」
「俺ら、なんで狩人なんてやってたんだ……?」
 傷ひとつない胴を手で触りながら、己がコスプレの理由を見いだせずに戸惑う影使い達。
 ――堕銀の剣は、肉体ではなく、猟兵への悪意とコスプレを楽しむ精神のみを切り落としていた。
 影使いが目的を失って足と動きを止めた隙を逃さず、ダスクがニィと笑いながら、次々と色の異なるフォースセイバーを取り出す。
 音波で敵の位置を把握する灰色や、生身の剣で精神のみ斬り裂くシャノンのような芸当はできないが、敵が1か所に固まったその時こそダスクの最大の見せ場が訪れる。
 ダスクは取り出した10本のフォースセイバーが生み出す光を己が手に集め、握りこむ。
「さあ、色は選ばせてやる。いい夢見ろよ!」
 そして、10本のフォースセイバーを纏めた白黒赤青の4色の光が、戸惑って動けない影使いの真っ只中に全力で振り下ろされた。

 ――ドゥンッ!!

「うわあっ!!」
「じ、地震……ぎゃああ!」
 全力で振り下ろされた4色のフォースセイバーが地面に触れると同時に地面が陥没し、局地的な地震が発生。
 影使い達は、揺れてひび割れる地面に次々と足を取られ、転倒した。
「兄ちゃん、アンタらはそこで黙ってて!」
 そこに灰色があえて飛び込み、鉄パイプを力いっぱい振り抜いて衝撃波を連射し、影使いを切り裂き。
 かろうじて衝撃波を避けた影使い達は、続いて飛び込んだシャノンの堕銀の剣とダスクのライトセイバーで次々と喉を切り裂かれていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

リオン・リエーブル
ようし!
じゃあおにーさんはネズミの着ぐるみ着ちゃおうかな!
世界で一番有名な丸耳ネズミの…
え?ダメ?ならツキノワグマで手を打とう
それで戦闘できるの?っていうツッコミにこう答えるんだ

できるさ
きみがやろうと思えば何だって!

てな訳で狩人さんを相手にそれを証明しようじゃないか
ゴーレムさんいらっしゃい!
照明型ゴーレム以外はおにーさんとお揃い
広場の真ん中にゴーレムさん達と並んで立って
照明型ゴーレムに背中から照らされて
影を一方向に纏めるよ
意思も心情も無い近接型ならこの影から出てくるよね
飛び道具に備えて半分は周囲を警戒
影から出て来るか攻撃してきたところを反撃狙い撃ち
狩人もこういう罠張るよね?
因果応報ってやつさ!




 竜巻で木々は千切れ、局地的な地震で地面が一部陥没したことで、行く手を遮るコスプレ狩人の影使いの数はかなり減っている。
 それでも、かろうじて影に溶け込み逃げ延びた影使い達が、未だ猟兵たちを通すまいと道を塞いでいた。
 あと一息で殲滅できそうという状況で転送されてきたのは、リオン・リエーブル(おとぼけ錬金術師・f21392)。

 ――ヒュンヒュン、ヒュンヒュン。

 相変わらず大量のコスプレ衣装が渡り鳥よろしく飛び交う中、リオンは満面の笑みを湛えながら手を伸ばす。
「ようし! じゃあおにーさんはネズミの着ぐるみ着ちゃおうかな!」
 リオンの目の前を、世界で一番有名なネズミの着ぐるみが横切る。
 それを掴み……とろうとして、どこからともなく飛んできた鋼鉄製ハリセンがその着ぐるみを弾き飛ばした。
「え? ダメ?」
 飛ばされたということは、諸般の事情でダメだということですね。
 しかし、それでめげるリオン……ではないのです。
「ならツキノワグマで手を打とう……よいしょ!」
 というわけでリオンさん、再度手を伸ばしてゲットしたツキノワグマの着ぐるみに早着替え!
「おにーさんそれで戦闘できるのかい?」
「その手じゃ何も持てないよ?」
 どこからどう見てもクマー、と叫びそうなクマの着ぐるみ姿のリオンを見て、影使い達が一斉に爆笑。
 しかし、その程度でめげるリオンではないのです(2回目)。
「できるさ、君がやろうと思えばなんだって!!」
「へーぇ?」
 口元で笑いをかみ殺しながら、リオンを見下す影使い達を前に、リオンは満面の笑みと共に試験管を取り出し、熊の手で器用に握りしめる。
「てなわけで、狩人さん相手にそれを証明しようじゃないか。ゴーレムさんいらっしゃい!」
 熊の手から地面に投げつけられた試験管は、一気に膨れ上がったかと思うと、たちまち75体のゴーレムに早変わり。
 しかし、約半数程のゴーレムの頭は、どう見ても舞台を照らす強力なスポットライトのそれ。
 ちなみに残り半数のゴーレムは、ご丁寧にリオンと同じ着ぐるみを着込んでいたりする。
「何だよそのゴーレム、おもしれえ!」
 見た目の面白さがツボにはまったか、影使い達、再度大爆笑。 
 期待させておいてこれかよ! ともはやリオンを侮るだけ。
「おもしれえからさっさとやっちゃおうぜ!!」
「おうよ!」
 面白がった影使い達が一斉に漆黒の影に変化し、とぷりと己が影に潜り込む。
 影に溶け込まれたらさすがに影使い達を見失ってしまうのだが、リオンは全く意に介せずゴーレムに命じた。
「照明型ゴーレムさん、背中から思いっきり照らしちゃって!」
 リオンの命に従い、ドスドスと豪快な足音を立てつつ移動した照明型ゴーレムは、リオンと残り半数の着ぐるみゴーレムたちの背中を覆うように並ぶと、一斉に頭の照明で背中からリオン達を照らす。
 リオン達の前に、ひとつにまとめられた影が落とされた。
 影に溶け込めるようにする代わりに意志と心情を失った影使い達は、特に策をめぐらすこともせず、愚直にリオンの前に落とされた影から姿を見せ、ナイフを突き出そうとする。

 ――リオンの口元が、会心の笑みを見せた。

 影から影使い達が姿を現した瞬間、リオンは彼らに指をビシっとつきつけ、ゴーレムたちに命令。
「よーし、着ぐるみゴーレムさん、ボコスカ殴っちゃって!!」
「「「クマー!!」」」
 ――ボコスカ、ボコスカ。
 奇妙な雄たけびを上げた40体近くの着ぐるみゴーレムたちが、姿を見せた影使いに近づき、片っ端からフルボッコに。
「卑怯じゃねえか!!」
 殴られつつもリオンを口撃する影使い達だが、リオンの着ぐるみ姿に爆笑して狩人になりきることを捨ててしまった彼らでは成す術なく。
「狩人もこういう罠張るよね? 因果応報ってやつさ!」
「くっそぉぉぉぉぉ!!」
 リオンの口でしっかりと論破された影使い達は、全員着ぐるみゴーレムにボコられ、地に伏して動かなくなった。

 かくして、コスプレの森で猟兵たちを血祭りにあげようとしていた影使い達は全員駆逐された。
 猟兵達は、これ以上の危険がないことを確認すると、先にあるであろうキッチンに向けて歩みを進めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『アリスコレクター』リリィ・デモンローズ』

POW   :    私の『アリス』にしてあげる…❤
【好みの衣装を着せて『アリス』に仕立てる】【『アリス』と興じるイケナイ遊戯】【身も心も『アリス』にして記憶の封殺】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD   :    オイタしちゃダメよ、『アリス』ちゃん…❤
【女王様と『アリス』のイケナイ遊戯の時間】を給仕している間、戦場にいる女王様と『アリス』のイケナイ遊戯の時間を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ   :    おいでなさい、私の可愛い『アリス』達…❤
戦闘力のない、レベル×1体の【女王様の愛に堕ちた従順な『アリス』達】を召喚する。応援や助言、技能「【団体行動】【鎧砕き】【奉仕】【禁断の遊戯】」を使った支援をしてくれる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ロベリア・アナスタシアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ようこそ、ハロウィンの国特製キッチンへ
 コスプレの森を抜けた猟兵達が辿り着いたのは、最新の調理家電や調理器具、そしてあらゆる食材が揃っているキッチンだった。
 しかし、そのキッチンには既に先客がいるようで……。

「待っていたわよぉ❤ 猟兵さん❤」
 言葉の端々にハートが飛び交うような口ぶりと共に猟兵達に迫るのは、「アリス」好きを拗らせた女王様、『アリスコレクター』リリィ・デモンローズ。
「生憎だけど、ここを使わせるわけにはいかないの❤」
 ここで作られた料理を食べてしまうと、最後には寝ちゃうからねぇ……と色気たっぷりの声と共に律儀に説明してくれるリリィ・デモンローズ。
「でも、無敵の私を追い払えるかしらね?」
 攻撃しても無駄よ❤とにんまりと笑う彼女だが、猟兵達は事前に聞いている。

 ――料理をたくさん食べさせて眠り込ませれば、無敵状態は解除されると。

 もし、彼女の手に落ち、彼女の愛に染め上げられるようなことがあれば、待っているのは『女王様のアリス』という記憶に書き換えられて過去を奪われた挙句、一生彼女の玩具として扱われる運命。
 このまま彼女を放っておけば、この国を訪れた人々は悉く『女王様のアリス』にされ、死ぬまで彼女に仕えることになってしまう。

 ――これ以上、彼女を野放しにするわけにはいかない。

 猟兵達は目配せし合い、彼女を引き付ける役と、調理する役に分かれる。
 彼女を引き付ける役の猟兵は、調理する役の猟兵を攻撃させないように彼女の前に立ち。
 調理する役の猟兵は、一刻も早く料理を完成させるためにキッチンを駆け回り始める。

「さて、私を楽しませてね猟兵さん❤」
 リリィ・デモンローズが口元からハートを飛ばすような仕草を見せると共に。

 ――ハロウィンの国を獲得するための、時間との勝負が始まった。

※マスターより補足
 第2章の成功条件は【『アリスコレクター』リリィ・デモンローズの撃破】となりますが、実際は「リリィ・デモンローズを満足させるような、真心がこもった美味しい料理を作り、食べさせる」こととなります。
 たくさん食べさせて眠り込ませさえすれば、パンチ1発で骸の海へ還せる程にまで弱体化しますので、とにかく料理を完成させることが撃破の近道です。
 ただし、リリィ・デモンローズはこの世界の法則を知っていますので、料理が完成しないよう妨害してきます。したがって、彼女の攻撃を防ぐ防御役の存在が要となります。

 この章は防御役と調理役の二手に分かれていただきますので、プレイングの1行目に【防御】か【調理】のいずれかを記入してください。未記入の場合はプレイングの内容から判断します。
(サポートプレイングを採用する場合は、ボス戦で料理するようなプレイングでない限りは自動的に【防御】を選んだものとします)

●【防御】を選んだ方
 調理役の猟兵にリリィ・デモンローズが手を出さないよう、全力で彼女を引き付けて下さい。
「ハロウィンの国」の法則で、リリィ・デモンローズは料理を口にしない限り無敵なので、攻撃したとしても一切のダメージを与えられませんが、攻撃が全く無駄というわけでもありません。引き付けるためにいろいろ工夫してみて下さいね。
 ちなみに防御役が『アリス』に仕立て上げられた場合、リリィ・デモンローズは一時的に『アリス』と化した猟兵を放っておき、料理役の猟兵に攻撃を仕掛けます。

●【調理】を選んだ方
 防御役がリリィ・デモンローズの攻撃を凌いでいる間に、キッチンにある食材や調理器具を活用して料理を1品、完成させてください。
 料理であれば何でもOK。スイーツを作っていただいても構いません。
 出来上がったのが真心のこもった料理であれば、出来や味に関わらず食べてくれるでしょう。
 調理器具や食材は、おおよそ考え得るものは全てこのキッチンにありますので、自由にご利用ください。
 もし料理を完成させれば、リリィ・デモンローズは「ハロウィンの国」のルールに則り、攻撃の手を止めて料理を食べて、その出来栄えを批評・称賛してくれるでしょう。その後眠気に襲われてしまいますが。

 第2章のプレイングは、【10月28日 22:00】頃までにお送りください。
 もし、必要成功数に足りないようでしたら、サポートプレイングの採用も検討致します。

 それでは、ハロウィンの国ゲットのために、どうかよろしくお願い致します!
アリス・ラーヴァ(サポート)
凡そステレオタイプなSFホラーの蟲型クリーチャーに優しい少女の心を持たせた生物です
無邪気で心優しく、皆と幸せに共存できたら良いと思っています

方針は、人々と世界を守る事を第一とし次に本能としての食べる事と様々な世界で増える事

純真で他者の指示に素直に従いますが、敵対存在は有機物無機物問わず全て捕食対象の雑食系女子

硬い甲殻に守られ大抵の物を切り裂く爪と牙を持っている為生命体として極めて強靭ですが逆を言えばその程度
物理的な手段しか採れません

全ての行動は行動は、数に物を言わせたごり押し戦法。大軍に小細工はいらないを地で行っています、群体という特性上自分達の損害には無頓着、やられ役や引き立て役にどうぞ


音駆螺・鬱詐偽(サポート)
世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん
ただいま参上。
・・・って、どうしてこんな恥ずかしいセリフを言わないといけないのよ。
うう、これも番組の為なのね。



自身の命綱である番組の為、多少の苦難や困難は仕方なく行います。
むしろ持ち前の不運によりおいしい場面を呼び込んでくれるかと思います。
ただし、ネガティブとはいえアイドルですのでマイナスイメージとなる仕事はすべて却下でお願いします。
ユーベルコードや技能はご自由に使わせてください。
どうぞ、当番組のネガティブアイドルをお役立てください。
                      プロデューサーより



●養父の愛とプロデューサーの希望(?)は最強の盾……?
「世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん、ただいま参上」
 過剰な程の色気を振りまき、猟兵たちをドン引きさせているリリィ・デモンローズの前に、決め台詞と共に現れたのは、音駆螺・鬱詐偽(帰ってきたネガティブアイドル・f25431)。
「……って、どうしてこんな恥ずかしいセリフを言わないといけないのよ」
 もっとも、鬱詐偽にとって、この決め台詞はかなり不本意なようだが、おそらく毎回プロデューサーに名乗れ、と言われているのでしょうか?
 一方、綺麗に輝くぬばたまの瞳でリリィ・デモンローズを見つめつつ、艶やかな濡羽色の甲殻をきらり、と光らせたアリス・ラーヴァ(狂科学者の愛娘『貪食群体』・f24787)は、気合十分。
「ギチギチギチギチギチ!!」
 鬱詐偽やリリィ・デモンローズの耳に入るアリスの声は、強靱な顎をかみ合わせるような音なのだが、バイオモンスターたるアリスの主なコミュニケーション手段は、相手の脳に直接思考を届けるテレパシー。
 それはまず、アリスの姿に驚く鬱詐偽に向けられた。
(「鬱詐偽さんって言うんだね。アリスだよ! よろしくねー」)
「え、テ、テレパシー……?」
 突然頭の中に響いた女の子らしい可愛い声に、どう反応したら良いのか悩む鬱詐偽だが、ここは素直に挨拶を口に出すことにして。
「アリスさん、これも何かの縁と思って、よろしく……」
 一方、鬱詐偽が召喚した動画撮影ドローンに映し出されるアリスの姿に、視聴者も少々驚いてはいるが。
『鬱詐偽さんもそこの甲殻の子もがんばれー!!』
『いい絵を期待してるよー!!』
 視聴者もリリィ・デモンローズに引いていたのか、すぐさまざーっと流れる応援コメントは、鬱詐偽の力になっていた。
 全くどうでもいい余談だが、アリスの姿に一番驚いていないのはグリモア猟兵だったりします……。

「そこのウサ耳のお嬢ちゃん❤ こっちにおいで❤」
 目の前にずらっと堕ちた『アリス』たちを召喚し、鬱詐偽を誘惑しようとするリリィ・デモンローズ。
 正直、これだけ並ばれると引いてしまうけど。
 番組の為なら仕方がない、とあえて動画撮影ドローンを回し続ける、鬱詐偽。
「そこの綺麗な六本足のお嬢ちゃんも、いらっしゃい❤」
 リリィ・デモンローズの誘惑はアリスにも及ぶけど。
「ギチギチギチ!!(いやだよー!!)」
 すぐさま威嚇し、拒否するアリス。
 恐らく、舌があったらあっかんべー! としていたかもしれない。

 しかし、その時。

 ――ザザッ……。

 突如、アリスを中心とした空間に、奇妙なノイズが走る。
 それはまるで、空間全体を何者かが電波ジャックしたかのよう。
 さらに突然、虚空から降り注ぐような、若干甲高い男性の声が響く。

 ――嫁入り前の娘に近づく汚物は焼き滅ぼすべきだと思わぬかね?

 その声を聞いたアリスの顔色が、さっと変わった、ように見えた。
(「あー!! 鬱詐偽さん逃げて、今すぐ逃げてー!!」)
「え……?」
 慌てたアリスのテレパシーに、鬱詐偽が顔を上げ空を見た瞬間。

 ――ドーーーーーン!!

 遥か上空からアリスを監視(?)する衛星機動兵器『LOVE LOVE☆ALICE号』から放たれた指向性マイクロ波が、鬱詐偽とリリィ・デモンローズの間に着弾、大炎上を引き起こす。
 鬱詐偽に直撃しなかったのは、正直、奇跡に近いが、至近距離にいたリリィ・デモンローズにはしっかりと命中しているわけで……。
「きゃ、きゃー❤ 燃えちゃうわ❤」
「文字通り、炎上しているわよ……」
 鬱詐偽の周囲を飛び交う動画撮影ドローンのモノアイは、一瞬にして『アリス』達を焼かれ、炎の向こうで慌てているリリィ・デモンローズを捉えていた。
『燃えてる、リアルに燃えてる危ないって!』
『大炎上(物理)キター!』
 ざーっと流れるコメントも、驚き一色。
(「あ~……」)
 一方、養父の過剰な愛が引き起こした結果に、内心、頭を抱えているアリス。
 正直、今すぐ二本の腕(足?)で自分の頭を抱えたいくらい。
 どうやらリリィ・デモンローズの行いを、アリスの養父が「嫁入り前の娘に行う行為ではない」と見咎めたのだろうが、それにしては少々……いや、かなり過激な対応。
 まだ料理を口にしていないため、リリィ・デモンローズは全くの無傷だが、それでも突然上空から降ってくるマイクロ波に恐怖を植え付けられたか、アリスや鬱詐偽に近づこうとは考えられなくなったようだ。
「困ったわね……近づけないじゃないのよ❤」
「しばらく、そのまま近づかないで……」
 足を震えさせながら、それでも誘惑しようとする姿勢は崩さないリリィ・デモンローズに、鬱詐偽ももはやあきれ顔。

 アリスの養父の過剰な愛と、鬱詐偽の不幸属性のマリアージュは、大炎上によってリリィ・デモンローズをキッチンから離れた場所に足止めする、という予想外の結果を齎した。
 未だマイクロ波が降り注ぎ、そこかしこで小爆発と炎上が起こっている以上、暫くの間はリリィ・デモンローズから手出しされる危険はなさそうだが、いつマイクロ波が降るかわからないのもまた、危なすぎるため、アリスも鬱詐偽も他の猟兵も近づけない。
(「過剰な愛もいい加減にしてほしいんだよー!」)
 アリスの養父への苦情を含んだテレパシーが、無作為に伝播していた。

「本当に、どうしてこうなったのよ……」
 鬱詐偽のため息交じりの呟きは、誰の耳にも届かず、炎に巻かれていった。
 ……いや、全くもってその通りですね。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シャノン・ヴァールハイト
【防御】
(真の姿で参加。一種のコスプレ?)
「すまないが、干し肉程度しか作れない。なので当方は、料理を作る者達を守るとしよう」

戦闘
POW
UCを使用するとわかったら、木をへし折って即席の盾にする等、近くにある物で防ごうとする。もしUCが封じられても、技能値900以上の怪力を用いて戦闘

SPD&WIZ
気にせず防御に回り、タイミングを見計らってアリス諸共、UCで攻撃を行う

不意打ちで顔を殴れそうなら一度でも殴ってヘイトを稼ぎます。
他にも可能なら煽って、冷静さを奪いつつ、自分に意識を向けさせる事で、料理制作メンバーに意識が行かないようにする。



●時を歪めても膨大な手数には勝てないのです
 ――キッチンから少し離れた場に、マイクロ波が降り注いでいる。
 今はたまたまリリィ・デモンローズの周囲に降り注ぐにとどまっているが、もし調理役の猟兵に降り注ぎ、炎上を引き起こしたら、たまったものではないだろう。
 調理役の猟兵にも危険が及びかねない状況を見かねたのは、シャノン・ヴァールハイト。
 マイクロ波が途切れる一瞬を狙い、シャノンは自らリリィ・デモンローズの前に進み出た。
 本当なら、真心がこもった料理を作り、リリィ・デモンローズを無力化できるよう努めたほうが良いのかもしれないが、シャノンが作れる料理は干し肉くらい。
「なので当方は、料理を作る者達を守るとしよう」
 パラディンの称号を持つ者として、守るべき者を守るため。
 シャノンは自ら、時間を稼ぐために色気を振りまく女王の前に立った。

「あ、あら~鎧も顔もいい男❤」
 カッターシャツにロングコートを羽織った姿ではなく、背中から翼を生やした黄金の鎧を纏った騎士の姿で現れたシャノンを見て、リリィ・デモンローズが目を輝かせる。
 今のシャノンの姿はコスプレしているように見えるけど、実は真の姿。
 しかし、黄金に輝く鎧はリリィ・デモンローズの気を引き付けるには十分。
「うふふ……じゃあ紹介するわね。私の可愛い『アリス』ちゃん、ここにおいで❤」
 リリィ・デモンローズの妖艶な声に誘われて現れたのは、頬を赤らめた堕ちた『アリス』。
「あぁ……リリスさまぁ……」
「あらら、オイタしちゃダメよ、『アリス』ちゃん……❤」
 過去を消され、女王様に尽くすことが至上命題であると刷り込まれている『アリス』は、シャノンの目の前でリリィ・デモンローズとイケナイことを始める。
 それは、大切な恋人がいるシャノンにとっては嫌悪感すら覚える光景だが、嫌悪感を覚えるとシャノンの行動速度が5分の1に落ちてしまい、まるでプールの中で手足を強引に動かしているような錯覚すら覚えるくらい。
 歩みがゆっくりとなったシャノンを見て、リリィ・デモンローズは色目を使いながらシャノンを嘲る。
「私と『アリス』ちゃんの遊戯を楽しまないカタブツな騎士さん、そこで大人しく見ていなさい❤」
 言い捨てて再び『アリス』とイケナイことを続ける、シャノン。
 ――楽しむ間にシャノンがマイクロ波に巻き込まれれば占めたもの、と考えたか。
 既にこの場はリリィ・デモンローズと『アリス』の遊戯の空間と化しているから、楽しまない限り普通に動くことは叶わない。その間にシャノンがマイクロ波に焼き尽くされる可能性は、十分あった。
 しかし、シャノンは動きが鈍くなっても構わず、ナックルガードをはめた左手を振り上げる。
 こうなることも予測して、行動速度が落ちても手数でカバーできる策は考えてきたから。
「ならば、手数を増やして対抗させて貰うぞ!」
 シャノンはナックルガードがはめられた左の拳を、リリィ・デモンローズと『アリス』たちに「ゆっくりと」突き出した。

 瞬間。
 ――ドウッ!!
 猛烈な圧力を伴う、億を超える衝撃波の束が、シャノンの左拳から放たれた。

 シャノンのユーベルコード【光速衝撃】は、本来は84分の1秒の間に左拳から光速の衝撃波を発射する技。
 現在、行動速度が5分の1になっているため、実質17.5分の1秒の間に発射することになるのだが、ゼロコンマ数秒の差はほぼないに等しい。
 そして、拳ひと振りで万どころか億を超える数の、光速どころか音速を超える衝撃波が束となって撃ち出されるのであれば、行動速度を落とされていても手数で十分カバー可能だ。

 その結果。
「あ、ああ……女王さまぁ……」
 至近距離から発射された億を超える衝撃波に、一瞬でズタズタに斬り裂かれた『アリス』は、虚ろな笑みを浮かべたまま消滅。
 リリィ・デモンローズは料理を口にしていないため無傷だが、億を超える衝撃波の洪水が齎す圧力には抗えず、徐々に後退する。
「い、いや~ん❤ これじゃイチャイチャできないじゃない❤」
「しなくていい!」
 ――バキッ!!
 衝撃波にまぎれて接近したシャノンの左拳が、リリィ・デモンローズの頬にクリーンヒット。
「い、痛いじゃないの~❤」
 突然頬を殴られ、シャノンに対する怒りに燃えるリリィ・デモンローズの意識からは、料理をつくっている猟兵達のことはすっかりと消え去っていた。 

大成功 🔵​🔵​🔵​

二天堂・たま(サポート)
ワタシは流血を伴わない攻撃手段が主だ。
武器:ケットシーの肉球による“負の感情浄化”や、UC:常識を覆すピヨの波動によるスタミナ奪取を多用する。

直接触れないような相手(体が火や毒で覆われている等)の場合はUC:アルダワ流錬金術を応用した攻撃が主力だ。
(火に覆われているなら水、毒液で覆われているなら砂嵐等)

しかし実際には直接的な戦闘以外の方が得意だな。
ボビンケースの糸を使った即席の罠の用意、料理や情報収集や掃除。
UC:親指チックで呼びだした相棒による偵察と、同UCによる居場所交代(テレポート)で潜入・解錠して味方の手引きとかな。

もふもふが必要ならなでても構わんぞ。UCで呼んだ相棒達(ひよこ)もな。



●神速を尊ぶ料理人は、神仙の料理術を身につけし者
 ――時は、マイクロ波が降り注ぐ直前にまでさかのぼる。
「ふむ、ここはワタシの出番と見た」
 流れ流れてアリスラビリンスに辿り着いた二天堂・たま(神速の料理人・f14723)は、目の前に並ぶ調理器具と食材の数々を目にし、がぜん張り切り出す。
 もともと、攻撃するにしても流血を伴わない手段を主とするのが、たまの戦い方。
 たとえばケットシーのもふもふした肉球で負の感情を浄化したり。
 常識を覆すピヨの波動で、スタミナを奪い取ったり。
 ……そういえば過去には水晶屍人に「ぴよ」と鳴かせたこともありました。
 そんなたまにとって、今回の「料理を作って敵に食べさせる」状況は、最高とも言える。
「これぞ神域の料理術!「毒」すら「薬」に調理してみせよう!」
 たまは声高に宣言し、中華包丁とお玉を手に取った。

 まずは下処理を済ませたアヒルを丸々一羽、水飴をかけてじっくりと乾燥させ、乾いたら予熱済みのオーブンでじっくりとロースト。
 アヒルが焼きあがるまでの間に、薬味となる野菜を華麗な包丁さばきで切る今のたまの姿は、神と見間違いそうだ。
 もっとも、そう見えるのも無理はないかもしれない。
 ――今のたまは、神の叡智と技術を顕現させた、神仙の料理人だから。

 やがて完成したのは、たま特製・北京ダック!
 完成までに極めて時間がかかる料理だが、たまの華麗な腕捌きと手際の良さで調理時間が短縮されているのに加え、さらに防御役の猟兵達の活躍でリリィ・デモンローズが完璧に足止めされているため、1度も邪魔はされていない。
「さあ、完成したぞ。じっくりと堪能するが良い」
 たまはパリパリに焼きあがった皮を包丁で切り分け、タレを塗った薄餅に薬味の野菜と一緒に載せて巻いたものを、離れた場にいるリリィ・デモンローズに差し出す。
 途端、リリィ・デモンローズの視線が防御を担っていた猟兵達から外れ、たまが手にする北京ダックに釘付けになった。
「く、悔しいけど……食べたくなるわ❤」
 初めて見る料理だけど、「ハロウィンの国」の法則は絶対。
 ――目の前のキッチンで作られた料理は、必ず食べなければならない。
 飛ぶようにたまの下へ駆けつけ、北京ダックを受け取るリリィ・デモンローズ。
 そして、口に運んだ途端、その目が一気に輝き始めた。
「こ、これは……パリパリした皮の食感が絶妙過ぎよ❤」
 食感が気に入ったのか、批評しながら食べ進めるリリィ・デモンローズ。
「あと、一緒に巻かれた野菜が、この甘辛いたれとマッチしているわ❤」
「そうだろう、そうだろう」
 薄餅に巻かれた北京ダックをたまが次々と差し出すたびに、リリィ・デモンローズは口に運び、称賛し続ける。
 もはや彼女の意識に、防御を担っていた猟兵の存在はなかった。

 やがて。
「ごちそうさま……何だか眠いわね❤」
 たまの料理に満足したリリィ・デモンローズの目は、いつしか半分閉じられていた。
 生あくびを口内で噛み殺すあたり、明らかに睡魔に襲われているのだが……完全に眠り込ませるためには、もう一押し必要、かも?

成功 🔵​🔵​🔴​

リオン・リエーブル
【調理】

おにーさんはパンプキンプリンを作ろう!
錬金術は台所から始まったって話もあるからね
こういうのは得意なのさ
せっかくだからスターゲイジーパイ風にアレンジ!

プリンから飛び出すのはおばけだよ!
かぼちゃを一個くり抜いて
薄く顔の形に皮向いて
くり抜いたカボチャでプリン液を作ろう
中には特製魔法薬をひとたらし
カボチャの器に流し入れ蒸し上げたら
メレンゲのおばけを星型に置いて
真ん中にジャックオーランタンシューを飾ればできあがり!

さあ召し上がれ!
おにーさん特製パンプキンプリン!
美味しすぎてこのプリンのこと以外考えられなくなっちゃう
理性も尊厳もプリンに奪われるといいよ
きみがアリスにしてきたことだよ
因果応報因果応報



●料理と親和性の高い錬金術は、時に悪魔の一手となって
「よっし、おにーさんはパンプキンプリンを作ろう!」
 腕まくりしながらリオン・リエーブル(おとぼけ錬金術師・f21392)が用意したのは、ハロウィンかぼちゃとプリンの材料。
 実はこういうのは得意、と自負するリオン。
 ――錬金術は台所から始まったって話もあることだし、ね。
「せっかくだからスターゲイジーパイ風にアレンジしよう!」
 悪戯めいたリオンの笑みと宣言に、ヤメロー! とぎょっとした猟兵もいたようですが、今回あしらうのは魚ではなくメレンゲのお化けですから、安心して下さい!

 リオンが用意したかぼちゃは、やや小ぶりの、そのまま加工すればジャック・オー・ランタンになりそうなオレンジ色のかぼちゃ。
 まずは気合でオレンジ色のカボチャの中身をスプーンでくりぬき空にして。
 その中身でプリン液を作ろう……としたその時。
 ――ひらひら、ひらひら。
 なぜかリオンの目の前に1枚のメモが落ちてきた。
「ん~、何が書いてあるのかな?」
 メモを手に取ったリオン、読み進めて思わず目を点に。

『リオンさんに残念なお知らせだ。
 ハロウィンランタンの材料となるオレンジ色のかぼちゃは、基本食べないらしい』

「えー……」
 ぶーたれるリオンだが、食べられないものを供しても弱体化しない可能性がある以上、メモには従っておいた方が良さそう。
 というわけで、急遽皮が緑のかぼちゃを用意したリオン。
 まずはかぼちゃを適当な大きさに切り分けて、皮をむいてから蒸し器で蒸して。
 蒸しあがったら裏ごしし、牛乳や砂糖、卵と合わせてプリン液を作る。
 プリン液には、試験管からリオン特製魔法薬をひとたらし。
 先ほど頑張ってくりぬいたオレンジ色のかぼちゃの器に流し入れ、蒸し器でしっかり蒸しあげて。
 最後にメレンゲのお化けを星型にあしらい、真ん中に目と口をチョコペンで描いたジャックオーランタンの形のシュー皮を置いて、完成!!

「さあ召し上がれ!」
 リオンは策士の一面を隠した満面の笑顔と共に、リリィ・デモンローズに特製のパンプキンプリンを差し出すと。
「ああ……もう美味しそうじゃない❤」
 リリィ・デモンローズは、眠気に目をこすりつつも、ついついプリンに手が伸びてしまい。
 プリンにスプーンを入れ、一口食べると……リリィ・デモンローズの頬にスッと赤みが差した。
「あら、カボチャの甘みが引き立っていて美味しいわあ❤」
「でしょー?」
「もう、このプリンのことしか考えられなくなっちゃう……❤」
 しかしその後、リリィ・デモンローズは一言も話さずに、まるでハロウィンの悪魔に憑かれたかのようにひたすらプリンを食していく。
 そんなリリィ・デモンローズを眺めながら、リオンの口に浮かぶのは。
 ――策士が策に嵌めた時の、会心の笑み。
(「そのまま食べ続けて、理性も尊厳も全部プリンに奪われるといいよ」)
 その笑みは、特製魔法薬の効果で、プリン以外眼中にないリリィ・デモンローズを嘲るように。
(「きみがアリスにしてきたことだよね……因果応報さ」)
 その意思は、かつてこの国でリリィ・デモンローズに『女王のアリス』に仕立て上げられた者の無念を晴らすように。

 ――いつの間にか、女王を見つめるリオンの目は、冷ややかになっていた。

 やがて、リリィ・デモンローズはプリンを全部食べ切り、スプーンを置く。
 しかし身も心もプリンに完全に囚われたその瞼はとろんとして、頭も時折カクンと落ちるあたり、今にも眠り込みそう。
「ふぁ……このプリン、最高でしたわ❤」
 生あくびをかみ殺しつつ評価するも、抗いがたい眠気に完全に囚われていて。
「しかしもう眠くて仕方ないですわ……ふあぁ❤」
 そのまま花畑に埋もれてぐっすり眠り込んだリリィ・デモンローズを見て、リオンが目で他の猟兵達に合図する。
 防御を担っていた猟兵たちが、料理を作った猟兵が、チャンスとばかりにそっとリリィ・デモンローズに忍び寄った。

 かくして、猟兵達のパンチが、ぐっすり眠っているリリィ・デモンローズに一斉に炸裂!
 ――ぽかっ!
 ――ザクッ!
 ――ドカドカドカドカ!
 ――ドスッ!
 ――すぱこーん!
 ――ちゅどーん!
 どう考えてもパンチじゃない音が混じった気もするが、それは置いといて。
 美味しい料理をたくさん食べて無敵状態が解除され、弱体化したリリィ・デモンローズは、たくさんの『アリス』と料理に囲まれた夢を見ながら、骸の海へと還って行きました。

 こうして、「ハロウィンの国」は、『アリス』好きを拗らせた女王の手から解放されたのでありました。
 完!

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月31日


挿絵イラスト