【旅団】みんなでまったり裏庭花火
これは旅団シナリオです。旅団「大妖怪村」の団員だけが採用される、EXPとWPが貰えない超ショートシナリオです。
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「みんな、こんなもんを買い込んでみたんだけどどうだい? 一緒にやらないかい?」
大妖怪村に所属する面々へと嬉しそうにそう声を書けるのは、旅団の団長でもあるグリモア猟兵、中御門・千歳(死際の悪魔召喚師・f12285)だ。
千歳によれば夏も終わり、在庫一斉セールで売りに出された花火を山の様に買い込んできたらしい。
その内容は種々様々なものが盛りだくさん。
王道の手持ち花火から風流な線香花火。
ちょっとお茶目なねずみ花火から、何とも地味な蛇玉。
さすがに一尺玉というわけにはいかないが、小型の打ち上げ花火や噴出花火のような派手派手しいものまで存在する。
「無理に使い切る必要は無いけどさ、これなら好きなだけ使えるだろう?」
ヒッヒッヒ、と嬉しそうにそう答える千歳が言うには、取り扱いの難しい打ち上げ花火や噴出花火は式神に使わせる気満々らしく、まずは皆でまったり手持ち花火を楽しみたいというのだ。
大妖怪村は都心から離れ、周囲は人が住んでいない状態。
いくら音や煙を立てても、迷惑にはならないだろう。
「さすがに夜は少し寒くなってきたからね、庭先で温めるようには準備をしておくよ……良かったら皆も何か持ち込んでおくれよ」
花火が栄える夜でも寒くならないよう、どうやら千歳はお汁粉や甘酒のような温まれるものを用意しておくつもりの様子。
ある程度のお菓子や飲み物も準備してくれるだろうが、どうせなら皆で持ち寄り一服するというのもオツなものであろう。
「それじゃ、宜しく頼むねぇ」
そう言いながら、千歳は夜に向けて準備を始めるようだ。
楽しみだと笑いながら。
独特の笑い声が、グリモアベースに響くのであった。
きみはる
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お世話になります、きみはるです。
ちょっぴり寒くなってきましたが、裏庭で皆で集まりながらまったりしましょうというそんなほんわか日常系依頼です。
ふざけるも良し、風流に楽しむも良し。
危険が無い程度に自由にお楽しみ下さい。
日によって寒暖の差はありますが、少し涼しいくらいの日をイメージしております。それでも寒く感じる方もいるかもしれませんので、千歳がお汁粉や甘酒を用意してくれています。
持ち込みももちろん歓迎ですが、未成年は飲酒NGでお願いします。
第1章 冒険
『ライブ!ライブ!ライブ!』
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POW : 肉体美、パワフルさを駆使したパフォーマンス!
SPD : 器用さ、テクニカルさを駆使したパフォーマンス!
WIZ : 知的さ、インテリジェンスを駆使したパフォーマンス!
👑1
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
杼糸・絡新婦
こういうのも趣があってええねえ。
自分は浴衣着て七輪と酒を持ち込んでスルメ炙りつつ、
のんびり花火鑑賞させてもらいましょか。
あ、線香花火するんやったら自分もやらせてもらおかな。
マナナさんが完全に屋台というか七面六臂な活躍やね。
まあ確かに、花火でキャッキャやっとる光景は和みます・・・
て、そこ二人!ロケットは打ち出すもんで、
花火でも手で持つもんやない!!
サイギョウ使って自分とで、二人止めて地面に置きます。
たまや~、てのはええんやけどね。
てか、何か聞こえたような?
鎹・たから
これだけの花火
目一杯遊ばなくては損です(浴衣の袖捲り羅刹
たからも砂糖菓子を持ってきました
よく行くお菓子屋さんの物ですよ
クッキーやチョコと一緒に食べれば甘々ですね
練り切り、とても綺麗です
普段見ないワイングラスは興味深く
ノンアルコールのしゅわしゅわぱちぱちも面白い
猫舌なので、豚汁やたこ焼きはふぅふぅしますね(ちびちび
バケツの傍で花火ぱちぱち
次々に色が変わるものも、線香花火も目が離せません
マナナに向けてピースピース
千歳も花火をしましょう
息吹、苺
手持ち花火はちゃんと体から離して…ロケットは手に持つ物でしたか?
おぉ、サイギョウが大活躍です
最後には打ち上げ花火に合わせ掌を空に向け
控えめな雪の奔流で煌めきを
天水・息吹
差し入れは豚汁
ちゃんとお店で買ったから大丈夫、変な物じゃないよ
豚汁らしいお椀も持ってきたから遠慮なくどうぞ
まず手持ち花火を楽しむ
綺麗だしそれ以上に楽しそうなみんなの顔がいい
…うーん、なんか面白いことやりたくなってきちゃった
差し入れを食べながら(酒は飲めない)考える
アッ、そーだ!
ロケット花火を手に持って発射しよう
狙った方向に飛ばせていいかも!
苺ちゃんもやる?
ふふーん、あっちに飛ばすと綺麗に見えるかな~
おっ、ホントだカメラだ
並んでにっこり!
手持ちを止められたら
あはは、人には向けないから危なくないよ~
と言いつつ素直に下に設置
最後の盛り上がりは花火と演出と合わさって見事な眺め
いい思い出を目に焼き付ける
マナナ・マンボゥ
あらマァ、これは楽しみネッ!
花火しながらでもつまめるように、カラフルな串にさした唐揚げともう少し食べたいコ用にたこ焼きを持ち込むワ
大人にはビール、そして未成年のコ達用にノンアルコールのスパークリングワインなんてどうカシラ!
プラスチック製のワイングラスもあるワヨ!
マナナは合間に手持ち花火を楽しみつつ基本はカメラマンスタイルで行くワ~!
花火をしている姿や飲食・お喋りの様子、その他素敵なシャッターチャンスを逃さぬよう常に[情報収集]して撮影ヨ!
ヤダッ、苺チャンと息吹チャンは危ないじゃナ~イ!
口では止めるケドこれは素敵な一枚が撮れそう、狙うワ!
〆の打ち上げ花火ではUC発動、一緒に盛り上げたいワネ!
暗峠・マナコ
皆さんごきげんよう
今日の集まり楽しみにしておりました
私は秋の練りきりを用意してみました
紅葉に秋桜にキレイでしょう?
皆さんがお持ちしたものもとても美味しそうですね、なんて贅沢なのでしょう
私はお酒は弱いのですが、その分皆さんにお酌をさせてください
良い飲みっぷりは見てるだけで気持ちがいいものです
あっ、お酒は弱いですがスルメは好きです
美味しいものを食べつつ、皆さんが花火をしているのを眺めていましょうか
あら、手では持っていけない花火も有るのですね
おぉ、すごい勢いで発射していきました!
たしかにあれは人に向けてみたくなり…げほん、なんでもないです
暗い星空を彩る花火に泡に雪に…ふふ、なんてキレイなんでしょう
リーベ・メル
わあっ、花火がこんなに!
種類もたくさん……お婆さま、ありがとうございます!
ボクも持ってきました、チョコレート
今の時期だと外でも溶けないしいいかな、と
みなさんの持ち寄りにも目を輝かせ
ワイングラスなんて本格的!
乾杯しましょう、乾杯!
花火をぱちぱち楽しみつつ
カメラマンさん、ありがとうございます
マナナさんのお写真はボクが撮りますねっ
息吹さんと苺さん、何か企んで……?
楽しそうでなにより……って、わ、わーーー!
それ、手に持つものじゃないですー!!
最後はUCで、爆発力を最小限に抑えた泡を空へ
シャボン玉のように揺蕩い花火の光を映す
わ、雪も、歌まで!
すごく綺麗……心に残る瞬間って、きっとこういうのなんでしょうね
歌獣・苺
おばーちゃーーん!
遊びに来たよっ♪
みんなで食べようと思って動物型のクッキーもいっぱい持ってきたの♪
わわ、これ、
おばあちゃんが全部買ったの?
すごいすごい!みんなで
いっぱい花火出来るね!(目を輝かせ)
あ!みんなもきたよ!
わぁ~美味しそうな物がいっぱい…!食べていいの?やったぁ!いただきまーす♪
…!息吹さん、
何か悪いこと考えてますね?
ふふふ、悪戯なら
私もご一緒しますよっ♪
ろけっとはなび…?
これを手に持つと悪戯になるんです?(手に持ちながら)
あ!息吹さん!
マナナねぇさまがお写真ですって!
ぴーすぴーーす♪
…え?手で持ったら危ないの!?
わぁ…綺麗…!
なら私はBGMに思い出に残る歌を。
この時を忘れないように
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夜の帳も下りる頃――夏も終わり涼しさを感じるそんな夜。
普段であれば日中賑やかに過ごす友人たちも帰路につき、静まり返る大妖怪村。
しかし今日は少しばかり違った様子。
村の中で一番大きな屋敷には、普段大妖怪村に遊びに来る面々の姿があった。
「おばーちゃーーん! 遊びに来たよっ♪ みんなで食べようと思って動物型のクッキーもいっぱい持ってきたの♪」
「ヒッヒッヒ、いらっしゃい苺」
一際大きな声でいの一番に飛び込んできたのは、歌獣・苺(苺一会・f16654)だ。
苺が手にしているのは動物型の可愛らしいクッキー――それは彼女らしい可愛らしいチョイスと言えよう。
そんな彼女は手にもったお土産のクッキーを千歳に手渡したならば、庭先に山のように積み上げられた花火に目を取られる。
「わわ、これ、おばあちゃんが全部買ったの? すごいすごい! みんなでいっぱい花火出来るね!」
そんな風に声高々にはしゃぐ苺の瞳は爛々と輝く。
遊び始めるのが今か今かと待ちきれないとばかりにせわしなく動き回る苺を見つめ、千歳もまたつられてくすりと笑うのだ。
「あ! みんなもきたよ!」
「皆さんごきげんよう、今日の集まり楽しみにしておりました」
「わあっ、花火がこんなに! 種類もたくさん……お婆さま、ありがとうございます!」
花火に興奮した様子のリーベ・メル(Anti Liebe・f27075)がチョコレート片手に感謝の言葉を述べれば、暗峠・マナコ(トコヤミヒトツ・f04241)は秋らしい練りきりを手にお上品にご挨拶。
そんな二人に続くように、続々とメンバーが到着する。
誰も彼もがお土産を手に、楽しそうな笑顔を浮かべていた。
「たからも砂糖菓子を持ってきました……よく行くお菓子屋さんの物ですよ」
「ボクは豚汁、ちゃんとお店で買ったから大丈夫、変な物じゃないよ」
「ヒッヒッヒ、みんな律儀だねぇ」
鎹・たから(雪氣硝・f01148)が砂糖菓子を、天水・息吹(元・空の竜神さま・f28064)が豚汁の入った鍋とお椀を手に現れる。
持て成す側として千歳もまたお汁粉や甘酒といった温まれるものを多少準備をしているのに加え、皆のお土産が次々と積み上がっていく。そんな状況に驚きつつ、千歳もまた楽しそうに笑うのだ。
「甘いもんばっかりじゃ、飽きてしまうやろ?」
「マナナも色々もってきたワヨ!」
最後に現れたのは杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)とマナナ・マンボゥ(オネェマンボウ・f26229)の二人は酒も含めて色々と持ち込んだ様子だ。
「こいつは一杯ひっかけるしかなさそうだねぇ、ヒッヒッヒ」
絡新婦は大ぶりのスルメと日本酒、そして七輪まで持ち込んだその気合いの入り具合に千歳もまた嬉しそうな笑顔を浮かべる。
対しマナナは花火をしながらでも食べられるよう串に刺された唐揚げや、もっとがっつり食べたい人向けのタコ焼き。そしてビールに未成年用のノンアルコールスパークリングワインと様々なニーズに対応する構えだ。
「ワイングラスなんて本格的! 乾杯しましょう、乾杯!」
「それじゃあちょいと花火の前に乾杯といこうかい!」
未成年の少年少女にとって、年上の仲間たちとの乾杯はちょっぴり憧れる大人な時間。
そこに用意されたのが本格的なワイングラスとスパークリングワインであるならば、心躍ること間違い無しだろう。
リーベを始めとした嬉しそうにしている少年少女を微笑ましく見守りながら、千歳は皆に飲み物を配っていく。
各々の好みによりノンアルコールスパークリングワインを、ビールを、日本酒をと手に取る大妖怪村の面々たち。
互いに注ぎ合ったのならば、自然と静まり返り合図を待つ。
「今日は集まってくれてありがとさんだねぇ。皆、好きに楽しんで行っておくれよ。それじゃあ、乾杯!」
「「「「「「かんぱーい!」」」」」」
最年長かつ団長である千歳の掛け声に合わせ、大妖怪村の面々は互いにグラスを重ね合う。
互いのお土産をつまみ始めたのならば、ちょっとしたホームパーティーの始まりだ。
「わぁ~美味しそうな物がいっぱい! 食べていいの? やったぁ! いただきまーす♪」
「皆さんがお持ちしたものもとても美味しそうですね、なんて贅沢なのでしょう」
苺が美味しそうに練りきりを口にすれば、マナコが美味しそうに豚汁をつつく。
もちろん食べたことが無いだなんて言わないけれども、こうして友人同士で持ち寄った食べ物というのは、何故こんなにも特別なものだろうか。
空腹は一番の調味料……なんて言うけれども、こうしてわいわいと笑い、語り合い肩を寄せ合い食べることもまた、その食事をより美味しく感じさせてくれる。
言うなれば――幸せもまた一番の調味料、だろうか。
何でもない一時が、一際輝いて見える。
「ふぅふぅ……たからは猫舌なのです」
「ヒッヒッヒ、無理しちゃいけないよぉ」
猫舌らしいたからが一所懸命に冷ましたタコ焼きを頬張って尚、熱そうに目を瞑っている様子すら、微笑ましい。
穏やかな笑顔を浮かべたまま、千歳もまた幸せな一時を楽しむのであった。
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「これだけの花火……目一杯遊ばなくては損です」
待ちきれないとばかりに最初に花火に手を伸ばす影を見やれば、意気揚々と浴衣の袖をまくるたからの姿があった。
見慣れぬ者が彼女の姿を見たのならば、果たして彼女が楽しんでいるのか不安を感じるところであろう。
しかし共に時間を過ごす大妖怪村の面々は大丈夫――何故ならばその魅力的なぱっちりおめめが、いつも以上にキラキラと煌いているのが見て取れたからだ。
「まずは手持ち花火にしようか」
「良いですね!」
「私も!」
たからに続き、息吹にリーベ、苺もまた手持ち花火を手にとる。
定番の手持ち花火は色鮮やかに光を放ち、見る者の心を躍らせるだろう。
赤に橙に黄色に緑――次々と色を変える様子もまた、集まれば一層幻想的な空気を作り出す。
「みんな~、素敵ヨー!」
きゃっきゃうふふと楽しそうに花火を楽しむ様子を、誰よりも楽しそうにマナナはカメラに収める。
合間合間に楽しみつつも、貫くはばっちりカメラマンスタイル。
気分は運動会のお父さんお母さんとでも言うべきだろうか――この輝かしいひと時を少しでも多くの記録に残さねばという気概が見て取れた。
「こういうのも趣があってええねえ」
一方、バケツを囲い花火を楽しむ面々を少しばかり遠目に眺めていたのは、持ち込んだ七輪で暖を取る絡新婦だ。
ちょこんと隣にサイギョウを座らせた七輪の上には、あぶられることでくるくると背を丸めるスルメが香ばしい匂いを漂わせていた。
「おっ、良いねぇスルメ。せっかくだからあたしも頂いていいかい?」
「ワタシもスルメは好きです」
そんな香りに惹かれるように、千歳とマナコは飲み物片手に現れる。
ほんのり顔を赤らめる千歳の手のグラスには透明な日本酒がきらりと光る。
対しあまり酒が得意では無いマナコはワイングラスを手にしていた。
「もちろんや、どうぞどうぞ」
「いやぁ、酒が進んじまうねぇ」
熱々にあぶられたスルメを冷ましながらかじりつく二人は美味しそうに頬を緩める。
特に日本酒片手にご機嫌な千歳は、この組み合わせにたまらないとばかりの満面の笑みだ。
ぐいっと酒をあおればカーッと息を吐き、その勢いのまま手酌の構え。
しかしそれに待ったをかけるのは、隣でその様子を見守っていたマナコだ。
「私はお酒は弱いのですが、せっかくですのでその分お酌をさせてください」
「そうかい? そいじゃ、せっかくだからそうして貰おうかねぇ。すまないねぇ」
自分で注ごうとする千歳の動きをやんわり遮ると、マナコはとくとくと優しく日本酒をそそぐ。
何とも言えない静かな時間。
だがこうした他愛の無いやりとりもまた、幸せなものだ。
「いやぁ、美味しいねぇ」
そう笑う千歳に応えるように、二人もまた優しく笑みを浮かべるのであった。
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「……うーん、なんか面白いことやりたくなってきちゃった」
種々様々な花火を楽しんだころ、息吹はそわそわとしながら笑みを浮かべる。
ぱちぱちとまったり線香花火を楽しむたからや絡新婦を尻目に、そわそわと何か面白そうなものは無いかと物色していた。
「っ!……息吹さん、何か悪いこと考えてますね? ふふふ、悪戯なら私もご一緒しますよっ♪」
そんな息吹の様子の変化にいち早く気付いたのは、一緒に花火を楽しんでいた苺であった。
「マナナさんのお写真はボクが撮りますねっ」
「アラー、ありがとネ!」
そんな二人の様子は、落ちるかどうかの瀬戸際の線香花火に集中している者や酒を楽しんでいる者はもちろん、先ほどまで近くにいたリーベもまたマナナと一緒にツーショット写真を撮るのに忙しく気付く様子は無い。
そうして息吹と苺は悪い笑みを浮かべながら、堂々と、かつ大胆に悪戯の準備を進めるのだ。
「アッ、これだ!」
「ろけっとはなび……?」
そんな二人がごそごそと花火の山を物色して探し出したのは、黒地に赤いデコレーションがされた見るからに強力そうなロケット花火。
「そうそう、手に持って発射したら狙った方向に飛ばせていいかも! 苺ちゃんもやる?」
「これを手に持つと悪戯になるんです?」
苺の疑問に対しそうそう、などと答えつつ……息吹は手持ちスタイルでロケット花火に着火するのだ。
「ヤダッ、苺チャンと息吹チャンは危ないじゃナ~イ!」
「て、そこ二人! ロケットは打ち出すもんで、花火でも手で持つもんやない!!」
シューッと長めの導火線を音を聞けば、その様子に気付いたマナナや絡新婦が止めにかかる。
否――マナナは素敵なシャッターチャンスの予感に変わらずカメラを構えていたものの、とっさに絡新婦が操るサイギョウがロケット花火を取り上げるのだ。
「あはは、人には向けないから危なくないよ~」
などと息吹も言うものの、しかし抵抗することなくロケット花火を手離す。
悪戯は引き際が肝心なのだ……だがそもそも何が悪戯なのかの意識が薄い苺は、注意されるものの反応が遅れてしまう。
「あ! 息吹さん! マナナねぇさまがお写真ですって! ぴーすぴーーす♪」
「苺さん、楽しそうでなにより……って、わ、わーーー!」
ロケット花火をよりもマナナの構えるカメラに気を取られた苺は花火をポロリ。
足元に落ちた花火に気付いたリーベが声をあげるも、時既に遅し。
地面に落ちたロケット花火は高らかな音を響かせながら、残された花火の山に飛び込んでいくでは無いか。
「おぉ、すごい勢いで発射していきました!」
「わーっ!」
こんな状態でもまったりなマナコにほっこり……している場合では無いだろう。
とっさにUCを発動したリーベは着火した花火を山を泡で包めば、そのまま空へと打ち上げるのだ。
「ヒッヒッヒ、たーまやーってね」
花火が爆発し夜空を彩れば、弾け飛んだ泡が細かく広がり、ゆっくりと揺蕩いながら花火の光を万華鏡のように写し込む。
それは通常の打ち上げ花火とは違った幻想的な光景だ。
「わ、雪も、歌まで!」
そしてその輝きを一層引き立てるように、天から雪の結晶が降り注ぐではないか。
「わぁ……綺麗!」
その幻想的な光景を合わせ、どこからか歌声が響く。
記憶を彩る、BGMのように。
この時を忘れぬよう、記憶に刻むように。
「すごく綺麗……心に残る瞬間って、きっとこういうのなんでしょうね」
「ええ、暗い星空を彩る花火に泡に雪に……ふふ、なんてキレイなんでしょう」
次々と引火し、煌びやかな炎でライトアップされる夜空。
誰しもの心を打つその鮮やかな光景も、しんみりと終わりを迎えるのでは勿体ないというものであろう。
「さぁ~、盛り上がっていくワヨー!」
イベントがクライマックスを迎えるように。
花火がフィナーレを迎えるように。
いつかは終わりがやってくる――だが、今日のお祭りは……まだまだ終わらせない。
花火の灯に照らし出され、マナナと共にオネェ海賊たちが踊り出す。
大妖怪村には大層楽しそうな、独特の笑い声が響いていたという。
いつまでも、いつまでも……。
大成功
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