14
ハロウィンへの招待状

#アックス&ウィザーズ #戦後

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アックス&ウィザーズ
🔒
#戦後


0




●ささやかではございますが。
「薬草を取ってきてくださった暁には、ささやかでは御座いますが当館の大広間でパーティを開催させていただこうと思います。ええ、折角ハロウィンの時期ですから……賑やかな方が、お化けの皆様も喜ぶでしょう」
 皆様のお帰りを信じて、先に料理番にはディナーの用意をさせておきます。と、ギルドに届いた令嬢の書いた書面は文字が踊っている。屹度、南瓜料理に幽霊のデザート、怪物のお菓子にカラフルな色のドリンクが出てくることだろう。
 人助けをした上にハロウィンパーティまで楽しめるなんて! いざ往かん、月光輝く草木生い茂る森へ……。

●皆様の力をお貸しください!
「お父上の病は進行しておられます」
 深刻な面持ちで、医師は蒼白の令嬢にそう告げた。令嬢も覚悟していたのか、「はい……」とだけ答える。
 此処、アックス&ウィザーズにある地方領主は、民を守り導いた名君であったという。その領主も、今や老いから病に負け、衰弱の一途を辿っていた。一人娘の令嬢は、なんとか病を断てないかと連日書庫の文献を漁りに漁り……そして見つけた僅かな希望。
 鍵となるのは『アッリデーレ』と呼ばれる、この周辺の森にも生えている白い茎と青緑の葉を持つ草だ。夜になり月の光を浴びると発光するというそれは、光っている間だけ摘み取ると、薬草となって領主の罹っている病を治すのだという。
 それを医師に伝えれば「確かに前例はあります」と色よい返事。しかし、残念なことに最近ではモンスターが増えており、中々近付くことが出来ず採取など到底できないのだとか。
「でも、これがあればお父様の病気は治るのですよね!?」
「お嬢様、決してあなた自身が採取に行かれるなんて恐ろしいことは考えないでくださいね。お父上が御心配召されます」
「まぁ! わたくしだってギルドの存在くらいは知っています。そこにお願いしますわ」
 医師も世話になった領主を助けたい気持ちは令嬢と同じだ。心持ち晴れやかな表情を浮かべた令嬢は、早速ギルドへ依頼の書状をしたためる。
「アッリデーレはどのくらいの量があればよいのかしら?」
「今の症状を治すだけなら然程量はいりませんが、今後再発の恐れも御座います。多いに越したことはないでしょう」
 幸い保存が効く薬草ですから、と医師はにこやかに笑んで。それならと、令嬢は『モンスターが居たら退治して下さい。そして来年度もまた生えるよう数は残しつつ、出来うる限りの量を摘み取ってください』と追加した。
 これでモンスターを狩りつつ量が取れれば、医師が同じ病に苦しむ患者を救える数も増え、人々も喜ぶことだろう。しかし、何かが足りない。「うーん」と悩んだ令嬢は、報酬を決めてないことに気が付いた。
「報酬はどの程度出すのが相場なのかしら。2000ゴールドくらい……? いえ、人命が掛かっているのに安すぎるかしら」
「お嬢様、折角ですからこの館に招待するというのはどうでしょうか」
 普段慣れない豪奢な屋敷に憧れる平民というのも、結構いるものですよ。なんて言う医師はあくまで一般人目線。令嬢はそんな事で良いのかしらと思いつつ、ハっとした。
「そうだわ! 季節は丁度ハロウィン、感謝の意味も込めてパーティを開きましょう!」
 パーティであればお腹も膨れるし、ハロウィンならではの楽しい時間が過ごせるはずだと、『報酬は領主館におけるハロウィンパーティへの招待、ドレスコードは是非仮装で』と書き記す。
 ――嗚呼、お父様。どうぞもう少しだけお待ちください。必ずや、勇敢な冒険者の皆さまが薬草を手に入れてくれるはずです。そうしたらお父様のお元気な姿がまた見られるのですね。わたくしはそれが今から楽しみです。
 早馬に書状を渡し、状況は冒頭に戻る。

●グリモアベースにて
「みんな! ハロウィンパーティしよっ!」
 楽しげにグリモアからの情報を集った猟兵へ伝達したレイッツァ・ウルヒリン(紫影の星使い・f07505)は、今回の依頼の内容を簡単に説明する。
 まずやってほしいのは月明かりで光源もいらないような夜の森で、モンスターから薬草『アッリデーレ』を守りつつ、採取すること。予知によれば、モンスターはオブリビオンではない野生動物なので、猟兵が苦労することはないだろう。夜の森は危険であることを知っているからか、ギルドでの冒険者からの挙手はなく、参加するのは完全に猟兵のみなので安心だ。『アッリデーレ』――古い言葉で『微笑み』の意味を持つその薬草は、少し曲げたり、生い茂る木々を切るなどして、必ず月明かりを浴びせて光らせてから摘み取るように。でないと効能が発揮されない。
「ここからがちょっと厄介でね。久々に現れた人間に釣られて、夢を食べる獏型のオブリビオンがいっぱい誘われてくるよ。相手はこっちを眠らせたり、軽快にジャンプして翻弄してくるけど、てんで弱いからあんまり気にしないで。でも、これから森にくるかもしれない一般人たちの為に、しっかり退治お願いね」
 そして最後に、採取した薬草をそのまま領主館に届けて、ハロウィンパーティへの参加! 既に料理は準備されていて、猟兵達は楽しむだけで良い。ひとつ注意点があるとすれば、ドレスコードは『仮装』であること。布を被っただけのお化けから、ガッツリメイクの本格的なものまで何でもござれ。可愛くゾンビやフランケンシュタインに仮装した使用人さん達が、お菓子やドリンクを配ってくれるだろう。領主と医師は早速の治療の為その場には居ないが、令嬢は猟兵を労る意味で会場に居るので、声を掛ければ話も出来る。
「南瓜料理って色々あるよねぇ。あと普通の肉とかサラダも勿論揃ってるから、南瓜が苦手な人でも大丈夫だよ。他にも美味しいデザートやスイーツもあるし。あ、成人してる人はお酒も飲めるよ。普段は味わえないような不思議な色合いのカクテルなんか面白そうじゃない?」
 そう言うレイッツァは「羨ましいなー」なんて呟きながら、再度グリモアを展開する。領主様とご令嬢の為にも、みんなが楽しむ為にも、頑張ってねとエールを送り、現地へと転送を開始した――。


まなづる牡丹
 オープニングをご覧いただきありがとうございます。まなづる牡丹です。
 今回はアックス&ウィザーズが舞台。人助けをしてついでにハロウィンパーティも楽しみましょう!

●第一章
 『薬草を守れ』
 現地の狂暴な野生動物が木の実や草を求め徘徊しています。イメージとしてはイノシシや熊といった具合。それらを退治しつつ、薬草を月光に当てるようにして光らせてから採取をお願いします。
 モンスターは必ずしも殺める必要はありません、「ここは危険だ」と追い返すだけでも十分です。また、退治しないで素早く薬草を摘み取るだけもOKです。
 退治と採取、どちらに比重をおいても構いません。記述のない箇所はいい感じにします。

●第二章
 『虹色雲の獏羊』
 周囲の意思あるものを眠らせ、夢と生命力を喰らう存在です。モンスターを恐れ最近人間が現れていなかったので、久々の獲物にわらわらと群がってきました。
 基本的にか弱いので何をしても倒せます。お遊び感覚でどうぞ。

●第三章
 『ハロウィンパーティ!』
 領主館の大広間で執り行われる、盛大な(令嬢的にはささやかな)ハロウィンパーティです。オープニングの通り、様々な料理が用意されており、美しい音楽が流れ、バルコニーからは月や星を見ることも出来るでしょう。
 この章のみのご参加も、猟兵の仲間という事で歓迎いたします。なお、この章では仮装状態が必須となります。どのような仮装をしているのか、プレイングに明記をお願いします(特にご明記のない場合は、2020年10月31日に一斉納品されます南瓜SDを参照します。何の仮装か分かりにくい場合は補足があると助かります)。お化けや怪物に限らず、ネコミミを付けただけ・魔法使いの帽子を被っただけ等の簡単なものでも大丈夫です。好きな仮装で楽しんで下さいませ。
 お誘いがあった場合のみ、案内したグリモア猟兵、レイッツァ・ウルヒリンも同行することが出来ます(基本いません)。

●その他補足
 どの章においても、PSWは参考程度に考えて頂いて結構です。キャラクター様のやりたい事をご自由にお書き下さい。

●プレイング送信タイミングについて
 各章ごとに断章を執筆します。第一章は【10月21日8時31分】からプレイング受付開始致します。
 2章以降はMSページにて受付・締め切りを告知いたしますので、お手数ですがご確認お願いします。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております!
104




第1章 冒険 『薬草を守れ』

POW   :    体を張って助ける

SPD   :    罠や地形を利用する

WIZ   :    アイテムやユーベルコードを活用

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 夜の森はしんと静まり返っていた。月が煌々を輝き、獣道を通る猟兵達を照らしている。
 『アッリデーレ』と呼ばれる令嬢が求める薬草は、通常白い茎に青緑の葉という何の変哲もない見目の草だが、月光を浴びると不思議と発光し、その状態で摘み取れば領主が苦しむ病に効く薬になるのだという。
 今は実りの季節であると同時に、冬に向けてたらふく栄養を蓄えなくてはならない時期でもある。モンスターは狂暴化し、訪れた人々を襲うだろう。
 君達は『アッリデーレ』を摘み取る事に専念しても良いし、モンスター退治に勤しんでも良い。勿論、その両方でも――。
ティー・アラベリア
WIZ判定
ご家庭用人形ティー・アラベリア、ご用命を受け参上いたしました。
今日はどなたを焼けば…えっ、病に伏したお父君を助けるための薬草探し?
それは素晴らしい!なんて博愛に満ちたお仕事なのでしょう。
誠心誠意、お手伝いさせていただきますね。

・行動
基本的には薬草を探しを重視して行動致します。
それと並行して、92式魔導波探信儀と斥候型妖精を併用し、野生動物の接近を検知します。
野生動物が接近してきた場合、92式火力投射型魔杖に光と音響のみ属性を込めて追い払います。…いつもは広範囲火力投射に使う杖ですが、こんな使い方もできるのです。
知恵のない獣と命のやり取りをしても、面白みが御座いませんものね。




 ティー・アラベリア(ご家庭用ミレナリィドール・f30348)はかつて栄えた文明の残余である。彼の取り扱い説明書には『ご家庭の家事から国家の大事まで、あらゆる用途がこの一台に!』と書かれてあったとかなかったとか。
「ご家庭用人形ティー・アラベリア、ご用命を受け参上いたしました。今日はどなたを焼けば……えっ、病に伏したお父君を助けるための薬草探し?」
 意気揚々と92式火力投射型魔杖を掲げるも、下された命は戦闘ではない。一旦魔杖を引っ込めて、キリっと居直し笑顔を振舞う。
「それは素晴らしい!なんて博愛に満ちたお仕事なのでしょう。誠心誠意、お手伝いさせていただきますね」
 早速薬草探しに走るティー。特徴は教えて貰ったし、一見普通の草というからには地面から生えているだろうと、じっくりと生い茂る草葉をかき分けてアッリデーレを探す。もしかしたら月光を浴びてもう光っている個体もあるかもしれないし、念入りに樹の下から森の入り口まで。
 同時に92式魔導波探信儀と斥候型妖精を併用し、モンスターの接近を感知出来るよう準備も怠らない。出来るミレナリィドールはいつ何時、何があっても即時対応出来なければならないのだから。そうら、噂をすればなんとやら。モンスターがティーを襲おうと近づいて来ていると、妖精が教えてくれる。
「ボクは薬草探しに忙しいんだよ!」
 平時の温和な雰囲気はどこへやら、急に何かのスイッチが入ったかのように、ティーは享楽的な性格に切り替わる。どちらが本当の性格、というわけではない。どちらも本当のティー。家庭的な家事人形も、好戦的な戦闘人形も、何でもこなす万能さがウリである。
 接近してきた大型のモンスターは、四つん這いだったのが二足歩行で立ち上がると実にティーの倍ほどもあるのではないかという大きさだ。巨躯で威圧してくる相手に対し、ティーは魔杖に光と音響の属性を込めて、振動と目が眩む程の光を浴びせる。いつもは広範囲火力投射に使う杖だが、こんな使い方も出来るのだ。
 何が起こったのか分からないモンスターは再び四つん這いになって森の奥深くへと逃げ帰っていく。その様子に満足して、ティーも再びアッリデーレ探しに勤しむ。
「知恵のない獣と命のやり取りをしても、面白みが御座いませんものね」
 そこにはいつも通りの博愛的なティーの姿があった。モンスターも、あの調子ならまたこちらに近づいてくるなんてことは無いだろう。
 探し始めてから30分程して漸く、野原の一角でツヤツヤと滴るように光る草を発見する。藪に阻まれて見えにくかったが、確かに其処には月光が差していた。
「任務完了、といったところでしょうか」
 何本か摘み取り、令嬢の言う通り来年もまた生えるようあまり数は取らずに採取して鞄に仕舞いこむ。領主様、ご安心下さい。この薬で必ずや、医師様が病を治して下さるでしょう。
 一安心しているティーを、藪の中からじっと見つめるもこもこの影があることに妖精が気付くのは、もう少し先の話――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ザガン・アッシム
【アドリブ及び連携歓迎】

いつもの命のやり取りとはずいぶん別方向だが…
ま、偶にはこういうのもいいかね。

試運転も兼ねてキャバリア『The・Big・Magnum』で出撃、【暗視】と【索敵】を生かして近づいてくるモンスターを察知し、正面に立って脅かして引き返させる
(薬草を踏まない様に足元に気を付けながら移動する)

(逃げない場合はキャバリアで掴んで薬草の自生地から離れた場所でリリースし、極力殺傷は避ける)


…こいつ(キャバリア)か?……あれだ、最新式のアイアンゴーレム(わかりやすい言葉をチョイス)。

モンスターのいない時は高所の枝を排除して月光が当たるようにし、採取した薬草はキャバリアの後部座席に収納する




 生まれも育ちも戦場戦地であるザガン・アッシム(万能左腕の人機兵・f04212)にとって、今回の依頼はある意味拍子抜けというか、意外な感じがして少し新鮮味がある。いつもの命のやり取りとはずいぶん別方向だが……ま、偶にはこういうのもいいかね、等とシニカルな笑いをひとつ。
 最近になって免許を取得したキャバリア『The・Big・Magnum』の試運転も兼ねて、夜の森へ出撃! 搭載された暗視と索敵能力を活かし、近づいて来るモンスターを察知。どうやら四つ足歩行の知性の低い輩が、群れを成して襲い掛かろうとしているようだ。
 これが人であったなら、未知の物質にして人型であるキャバリアを恐れるものだが、このモンスターにはそれ程の感性はない。敵が危険か、そうではないかも判別がつかないのだ。万が一にも薬草を踏まないように慎重に、かつ大胆に近づき轟音を立てて威嚇し、驚かせて引き返させる。
 何匹かは森の奥へと逃げ隠れたようだが、無謀にもこちらに立ち向かってくる個体もいる。そんな奴はキャバリアで掴んで(と言っても、ほんの優しくだ。潰れるような圧は掛けない)、薬草の自生地から離れた場所でリリース。極力殺傷は避けたいというザガンの配慮だ。
 ウグルルルルゥと唸るモンスターに対し、ザガンはコックピットからモンスターを見つめ、一言。
「……こいつか? ……あれだ、最新式のアイアンゴーレム」
 アイアンゴーレムと言えばこの地域にもよく居るモンスターである。なるべく分かりやすい言葉で伝えたが、果たして相手に伝わったのかどうか。しかし、持ち上げられて宙にぶらりとされれば、相手の方が絶対上位者であることは明白だったようで、すごすごと森に逃げ帰っていくのを見届けた。
 となればあとはアッリデーレ探し。キャバリアにアッリデーレの特徴をインプットし、レーダーで探知。するとちょいちょいと、いくつかの束になって点在している事が分かる。
「採取は流石に手じゃねぇと無理か」
 高所の枝をポキリ。剛腕で簡単に折って、月光を一見普通の草に見えるそれに当てれば、キラキラと光り出す。それからキャバリアから降りて一本一本丁寧に根元から引っこ抜いて、半ばいい感じの量が採れたなら再び搭乗し後部座席に収納する。
「こんな草まで食うほどやせ細った大地には見えねぇが……今年の冬は寒くなるのかねぇ」
 動物たちは本能的に、冬眠や越冬の為に秋の実りで腹を満たす。小さな生き物から体格の大きなもの、肉食・草食関係なく、冬は命がけの季節だからこそ、普段は人が出入りしていたこんなところにまで、モンスターが現れたのだろう。
 ――俺も戦場以外はとんと知らねぇが、生きてる以上死にたくねぇってのは誰にとっても当たり前だ。だからよぅ、今回ばかしは領主の為に……人間の都合に付き合ってくれねぇかい。
 そんな事を想いながら再びキャバリアに乗り込んだザガンを見つめるもこもこの影がひとつ、ふたつ、みっつ……――?

大成功 🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】
お父さん思いな娘さんのお願い、叶えてあげたいよね
それに御礼のパーティーも気になるし
どんなご飯があるのかなぁ

ここからは役割分担して効率良く行こう
俺の方が刃物の扱いが得意だから採取に向いてそうだしね
ガサガサと草木をかき分け…お、あったあった
本当に一見ただの草だなぁ
凄い効能がある薬草にはとても見えない
月の光が当たるように周囲の草や木を斬り除く
森林破壊は良くないからなるべく最小限にね

わっ…本当に光りだした
優しい光を放つアッリデーレ
ずっと眺めていたくなるけど採取採取っと
…これ、1本故郷に持って帰って植えたいな
でもこんな凄い薬草、目ざといヴァンパイアたちが
見つけて根こそぎ持っていっちゃうかもなぁ


乱獅子・梓
【不死蝶】
ああ、親孝行な娘だよな
長い間家出をしてロクに親孝行出来ていない
俺とはえらい違いだ…
故郷に一人残している親父のことを思い出す
ハハッ、お前が一番気になってるのは
ハロウィンパーティーの飯か

薬草採取は綾に任せて俺はモンスターたちの対処
UC発動し、ドラゴンを多数召喚
モンスターに向けて咆哮を上げたり
ブレスを吐いたりして威嚇
あくまで攻撃はせずに追い返すにとどめておく
殺さなくても良いならそれに越したことは無いからな
この世界に生きるモンスターなら
ドラゴンがどれだけおっかない存在かは
本能レベルで分かっているだろうし
「ここには大量のドラゴンが現れるから危険だ」と
思わせればそう簡単には近寄らなくなるだろう




 一人家を抜け出して、ずぅっと旅をしてきた。何もかもが新鮮で、時に恐ろしく、新しく戦う術も身に着けて。いざ帰ってみたら人っ子一人押し付けられて。そんな親に、なんて顔をして親孝行すれば良い? と……今となっては故郷に一人残した父親の事が心配になる乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)。
 今日こそ良き相棒である灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)の事だって、最初は唯々面倒だと思っていた。まだ護るべき対象だと思っているけれど、それ以上にハラハラさせてくれる……云わば好奇心と探究心を刺激してくれる奴。そんな綾が「お父さん思いな娘さんのお願い、叶えてあげたいよね」なんて言えば、梓だって応と頷くというもの。
「親孝行な娘だよな」
「だねー。大事に育てられたんだろうなぁ」
 別に羨ましいわけじゃないよ? と綾は付け加え、夜の森を歩く。二人の足取りは軽い。何せこの仕事が終わったら、とっても素敵なご褒美が待っているのだから!
「ちゃんと薬草採って届けて領主には元気になってもらわないとね。それに、御礼のパーティも気になるし。どんなご飯があるのかなぁ」
「ハハッ、お前が一番気になってるのはハロウィンパーティの飯か」
 ばしっと綾の背中を叩く梓。「いいじゃん~!」と頬を膨らませる綾に、梓も「俺も楽しみだ」なんて返して。季節はハロウィン、ドレスコードは仮装だなんて、半分お祭りみたいなものだ。しかも予知によれば、然程苦戦する相手では無いようだし。楽な仕事で美味い飯が食える! 食物の乏しかったダークセイヴァーではありえなかったことだ。
 ハロウィン万歳、と心の中で叫んで周囲を見渡せば、確かに感じる原生動物の気配。森の中、樹々の隙間からじっとこちらを睨んでいる。ここからは役割分担して効率よく動こうと、綾は地面に向かい草木をかき分け、梓は森からひしひしと感じる殺気と対峙する。
「集え、そして思うが侭に舞え!」
 どこの世界でもそうだが、必ず生態系ピラミッドの頂点というものが存在する。こと此処アックス&ウィザーズでは、ドラゴンはその象徴だ。数えきれないほどのドラゴンが森と原の境界を取り囲み、モンスターに対し咆哮を上げる!
 びくっと一瞬怯んだものの、そこはここら辺一帯を縄張りとするモンスターたち。ちょっとやそっとの脅しで逃げていたのでは、今年の冬は越せないと、グルルルゥと唸り声をあげて立ち向かってくる。
「話が通じない相手ってのはこういう時困るな」
 召喚したドラゴン達にブレスを吐かせ、実害があるぞとパフォーマンスを行う。あくまで見た目だけのブレスだ、実際の攻撃ではない。殺さなくても良いなら、それに越したことはないから。その恐ろしさ、狂暴さ、そして知性は、此の世界に住むモンスターなら本能レベルで分かっている。
 一匹、また一匹と森の奥へと引き下がっていくモンスター達。ここには大量のドラゴンがいるから危険だと思わせられたのなら、これからはそう簡単には近寄らなくなるだろう。梓はふぅ、と一仕事終えて、召喚したドラゴンにじゃれつかれながら綾の方へ振り返った。

 一方の綾は、梓が戦って(?)いる間、説明された通りのアッリデーレの特徴と合致する植物を探していた。元々綾の方が刃物の扱いは得意であるし、採取に向いている。しかし、それはそれとして、目的のものがすぐ見つかるかというのは別の話。しゃがんで「これじゃない……」「これも違うなぁ」と呟きながらガサガサと草木をかき分ける。
「……お、あったあった。本当に一見ただの草だなぁ」
 凄い効能がある薬草にはとても見えない。こんなの発見した人はとんだ変わり者だ、とクツクツ笑う。漸く見つけたアッリデーレは丁度生い茂る木の根元にあって、枝や高い草が月光を遮っている。月の光が当たるように周囲の草木をサクっと取り除いていく。森林破壊は良くないのでなるべく最小限にね!
 柔らかな月光を浴びて、白い茎に青緑の葉がぴかぴかと輝いていった。
「わっ……本当に光りだした」
 優しい光を放つアッリデーレ。――ずっと眺めていたくなるような、不思議な気持ちになるけど……んーん、気を取り直して採取採取っと!
 この薬草を一本故郷に持って帰って植えたいと、綾はふとそんな事を思った。環境が違っても育つのかも、月光しかない世界で効能を発揮するかも分からない。そもそも、こんな凄い薬草は、目ざといヴァンパイアたちが見つけて根こそぎ持っていってしまうかもしれない。
「大抵上手くいかないモンだよね、こういうのは」
 でも、日持ちするなら薬になったものを貰うのもアリかもしれない。世界が変わっても似たような病気はあるし。そうしたら、いざという時の役に立つからね――。

「綾、首尾はどうだ?」
「おー梓ー。こっちは終わったよ。もーばっちり。これならお腹いっぱい食べても許されるね」
 綾の細い眼がにんまりと三日月を描く。籠の中にはそれなりの量の輝くアッリデーレが入っていた。
「そいつぁ重畳」
「そっちは?」
「何、『ちょっと』脅しただけさ」
「だと良いけど。もう一生この辺に寄ってこないかもね」
 そう言う二人を樹の上からじぃっと見つめるのは、原生動物とも違うもこもことした影たち――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

草野・千秋
【湯煙】
お父様が病で……そうですか
民を守った名君とはとても素敵な人なのですね
そしてお嬢さんにとって大切な人である、と
アッリデーレは僕達が必ず

野生動物さんは殺めないで
彼らの注意をUC【Sunday Circus Song】で散らせます
どうせなら優しい楽しい大きな音の曲がいいですね
動物の皆さん失礼しますよ、お耳汚しでないといいのですが
あなた方も来たるべき冬に備えてやってきたのですよね
音楽隊のみなさん!さんはい!
……優しい音ですか?えへへ(照れて頭をかく)
UCでも逃げなかったら怪力を使う素振り
そのへんに落ちている大岩でも軽く持ち上げましょうか
壱華さんは僕らがお守り致しましょう
それとなく周囲を警戒


薬師神・悟郎
【湯煙】4人

父親想いの優しい娘とパーティーのために頑張ろうな

牛のUCの使用方法は面白い
自分には思い付かない、彼らしいアイディアだと感心する
あれは動物達も驚くだろうな

千秋の方法も彼らしい優しいものだ
奏でる音楽にはこちらまで聞き入ってしまいそうだ
大岩を持ち上げた時には驚いたがな

俺も負けてはいられないとUCを使用
座頭鯨の群れにて脅かしてやろう

UCで捕らえられた動物達は生きたまま優しく森の奥へと帰すように試みる
必要以上に動物達を傷付けたくはない手加減することを忘れずに

また技能で使えるものがあれば、積極的に仲間の援護もしていこう

壱華の安全は俺達が守る
薬草採取は任せたぞ
貴方のことも頼りにしているからな


和泉・壱華
【湯煙】

父想いの優しい娘だな…
よっしゃ、俺もア、アリ……何とかって花採ってくるぜ!


仲間が退治してる間に、俺は花摘みの方に専念するか!
まぁ、仲間が打ち損ねる事ぁねぇだろうが…
もし攻撃を抜けてきたヤツぁ、俺が相手するぜ
つっても【薄紅梅之舞】で眠らせる方法だがな
お邪魔獣はお寝んねしてな

てか、え
紅殻のアレ、何かすげぇー…
薬師神のクジラもでけぇなー…
んで、草野の音楽で賑やかだ
これぞブレーメンの音楽隊だな!
ベコ以外積み乗ってねぇけど

おっと、花摘まねぇと!
えーっと、月光に当てて採ればいいんだな
ハサミねぇから…コレ(短刀)でいっか

待ってろよー、パーティ…じゃなかった、
領主の娘さん!


▼補足
二人称:苗字呼び捨て


紅殻・牛
【湯煙】

…病の父を助けたい娘の願いしかと受け取った。ベコ、頑張る
…森の民ら、すまぬがお邪魔いたすぞ。用事が済んだらばすぐにお暇する故、勘弁な

…えと、驚かせばよいのであろ?【錬成カミヤドリ】で「あかべこ」を複製、ベコの上に良い感じに積み上げ…巨大な怖そうな生物っぽいのに見せよか
そう、ブレーメンの音楽隊だったか絵本で見たアレである

…おお、千秋に音楽の才があったとは
わくわくする音楽……ん?歌うのであるか?…わんわんこけこけこっこー
…悟郎の鯨達も加わり豪華絢爛であるな
大きな鯨…乗りたい…
…壱華守る、合点承知
採取にあかべこ一匹派遣致そう、カクカク働く良い子であるぞ
…壱華も後で音楽隊したければ肩車しよか?




 湯けむり長屋の四人は其々の想いを胸に、転送されてきた森の周囲を見渡す。ざわっと風に乗って草木が揺らめき、同時に感じるじっとりとした視線。モンスターがこちらを伺っているのだ。森の動物は何も木の実だけを糧に生きているわけではない。中には肉食のものもいる。
「……森の民ら、すまぬがお邪魔いたすぞ。用事が済んだらばすぐにお暇する故、勘弁な」
 先に居たのはモンスター達のほう。それを後から来た人間の都合でお帰り願うのだから、と紅殻・牛(エンギモノ・f27526)は謝罪の意を示す。そうだな、と同意する薬師神・悟郎(夜に囁く蝙蝠・f19225)も同じ考えだ。しかし、それはそれとしてだ。こちらにもそれなりの事情がある。
「お父様が病で……そうですか。民を守った名君とはとても素敵な人なのですね。そしてお嬢さんにとって大切な人である、と。アッリデーレは僕達が必ず」
「父親想いの優しい娘と、パーティのために頑張ろうな」
「ほんとにな。よっしゃ、俺もア、アリ……何とかって花採ってくるぜ!」
「……病の父を助けたい娘の願いしかと受け取った。ベコ、頑張る」
 アッリデーレの採取は和泉・壱華(天華繚梅・f03780)に任せ、草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)・牛・悟郎はモンスター退治を担当する。役割分担することで安全に、かつ効率的に探せるというわけだ。
「俺は摘むのに専念すっから、護衛よろしく!」
「ああ。壱華の安全は俺達が守る。薬草採取は任せたぞ。貴方のことも頼りにしているからな」
 そう言う悟郎は優しい眼差しで壱華を見守り、壱華も任せろ! と拳を掲げて見せた。

 モンスターを殺める必要はないのであれば、特段恨みがある相手でも無し、驚かせて追い払おうと牛は『あかべこ』を10体召喚、自身の上に積み重ね上げて……巨大で怖そうな生き物っぽいものへと見せかける。そう、いつか絵本で見たブレーメンの音楽隊だったか。あんな感じである。
 知性の低いモンスターたちは、自分より何倍も大きな牛with段になったあかべこを唖然と見ていたが、何か仕掛けてくる訳じゃないのでまだ逃げない。そこに入ってくるのは千秋が奏でる優しく楽しげで、それでいて大きな音の曲。
「動物の皆さん、失礼しますよ。お耳汚しでないといいのですが。あなた方も来たるべき冬に備えてやってきたのですよね……では、音楽隊のみなさん! さんはい!」
 千秋の召喚した音楽隊は賑やかで、お祭りのようなウキウキとした気分になるような曲を奏でだした。動物たちに祭りの概念が通用するかは分からないが、大きな音で注意が散漫になる。目の前には牛、耳からは大きな音。それに加えて。
「俺も負けてられないな」
 座頭鯨の群れを操り、驚かせてやろうと悟郎もバブルネット・フィーディングで捕らえたモンスターを、生きたまま優しく森の奥へと帰すように試みる。必要以上に傷つけたくはない、手加減することも忘れずにそうっとそうっと。『あかべこ』たちに座頭鯨の群れ、軽快な音楽。やってるこっちも段々楽しくなってくる!
「……おお、千秋に音楽の才があったとは。わくわくする音楽……ん? うたうのであるか? わんわんこけこけこっこー。……悟郎の鯨達も加わり豪華絢爛であるな」
 大きな鯨、乗りたい……と牛が呟けば、悟郎はいつかね。なんて誤魔化して。乗せるのが嫌なのではない、鯨というものは結構繊細で、振り落とされてはたまったものじゃないからだ。流れる愉快な音楽にじっくりと耳を傾ける悟郎。――千秋らしい優しいものだ。こちらまで聞き入ってしまいそうだな。と千秋に微笑む。
「……優しい音ですか? えへへ」
 照れて頭を掻く千秋は、まんざらでもなさそうに微笑み返す。自分の作った曲が褒められれば悪い気はしない。それが誰かを傷付ける為のものじゃなく、癒す為のものなら猶更だ。

 三人が対処している間、壱華はせっせとアッリデーレ摘みに勤しんでいた。これが中々見つからない。特徴を聞いた限りでも、光ってなければただの草のようだし、一応見本も見せてもらったものの正直どんな感じと言われても説明しにくい感じだ。
 仲間が打ち損ねる事はないだろうが、もし攻撃を突き抜けてきたヤツがいたら壱華自身が対処すると決めて。と言っても【薄紅梅之舞】で眠らせる方法だが。お邪魔な獣はお寝んねしてなってなァ!
「てか、え。紅殻のアレ、何かすげぇー……薬師神のクジラもでけぇなー……んで、草野の音楽で賑やかだ。これぞブレーメンの音楽隊だな! ベコ以外積み乗ってねぇけど」
 おっと花摘まねぇと、と戦っている? 脅かしている三人から再び地面に視線を移す。――アなんとか、さては隠れるの得意だな? 藪に背の高い雑草をかき分け、えんやこらと探し出す。責任重大な仕事を任されているのだ、集中集中。

 中々逃げないしぶとい根性の持ち主たちに、千秋たちもどうしたものかと悩んだ。傷つけるのは可哀そうだし、かといってこのまま此処に居られたのでは此の領地に住まう人々の暮らしにも影響が出る。
「少しずつ逃げているみたいですが……まだ大型のモンスターはいますね。ここは僕が」
 その辺に落ちている大岩を、自慢の怪力で軽く持ち上げ森の入り口に投げ飛ばす! すると漸く身の危険を察知したモンスターはぴゅーっと森の奥へと逃げて行った。モンスターたちにとっては煩い音も、よくわからない巨大な赤い樹のようなもの(風で時折ぐらぐら揺れている)も、大きいはずの自分より更に大きな生物の囲い込みも、全部が全部折り重なって恐怖を感じた。
「べこ達の勇士が届いたかの」
「この調子ならしばらくは安全だろう。しかし、千秋が大岩を持ち上げた時には驚いたな。そんな怪力にはとても見えないぞ」
「こう見えてもヒーローですから、僕」
 中々連携の取れていた作戦だったと思う。アイデアも面白かったし、何より無益な殺生をせずに済んだのは大きい。さて、あとは採取の方は進んだかと後方を振り返る。どうやらまだ探しているようだが、一定の範囲は探し終わっているようで、今は点々と生えている樹の下を狙って探しているようだ。
「壱華、採取にあかべこ一匹派遣致そう、カクカク働く良い子であるぞ」
「すまねぇ……」
 召喚した音楽隊や座頭鯨に労いの言葉を掛けつつ、帰還させていく千秋と悟郎。俺達も手伝うか、なんて言おうとした矢先。
「あったーーーー!! 絶対これだろ!!」
 声を上げて喜ぶ壱華。あかべこが近寄りつんつんと触ってみる。言われた通り白い茎に青緑の葉っぱのその草を、藪を退かして少し曲げ月光に当てれば、キラキラと輝いて四人を魅了する。黄金でもなく、宝石でもないのに、その輝きは人を助ける生命の輝きなのだ。
「ハサミねぇから……コレでいっか」
 短刀ですぱっと根元から切り取り、他にも無いかと周囲を見渡せば、あかべこが「ここにもあるよ!」とカクカク首を揺らして教えてくれる。どうやら群生地に辿り着いたようだ。
「っしゃぁー! 待ってろよパーティ……じゃなかった、領主の娘さん!」
 来年度のためにと半分以上は残して、持参した籠に入れる。それなりの量になったアッリデーレ、屹度領主以外にもその病に苦しむ人を助けてくれるはず。さぁ、あとは持ち帰るだけ! とは問屋が卸さない。――これで安心、と朗らかな雰囲気に忍び寄るもこもことしたモンスターではない影がいくつも四人を見つめていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

小宮・あき
連携アドリブ歓迎です。
薬草の採取、お手伝いします!

夜の森、灯りは、敵を寄せ付けるかも。
なるべく、敵と接触せずに進みたいですが、私の目では限界が。
ですので、お手伝いをお願いしたいと思うの。

【UC】かつての友
大きな黒い豹を呼び出し、背中に乗せていただきます。
アマネさんの目なら、森を問題なく進めるはず。
走らないで、ゆっくりと。

薬草が見えたら、私は採取に専念します。
警戒はアマネさんにお任せ。敵については任せますね。
追い払ってもいいし、倒してもいい。あ、食べちゃダメですよ!

私は商人。経済屋です。
アッリデーレをUDCアースに持ち帰れば、万能の薬になるでしょうね。
さすがにそれは、色々と問題かなぁ。残念。




 領主館から離れた夜の森、光源は月と星の明かりのみ。灯りは敵を寄せ付けるかもと、小宮・あき(人間の聖者・f03848)は少し心配になる。なるべく敵と接触せずに進みたいが、己の目では限界がある。なので、お手伝いをお願いしようと、かつての友である大きな黒豹アマネを呼び出し背中に騎乗した。
「アマネさんの目なら、森を問題なく進めるはずです。走らないで、ゆっくりと……そう、ありがとう」
 あきが振り落とされないように、そして周囲を念入りに見渡せるように、ゆったりと歩くスピードで薬草を探す。林道や野原であればある程度草も手入れされているだろうが、此処は深い森の入り口。近づく人間も元から少ないのに、最近ではめっきり減ってしまって荒れ果てている。
 聞いた情報によると本当に見た目は普通の草であり、光ってなければ雑草と言っても変わりないそれを、ようく目を凝らして探す。アッリデーレ、古い言葉で『微笑み』の名を持つそれは、薬草として人々に笑顔を齎してきたからこそついた名なのだろう。
 あきは商人、経済屋である。物を売って経済を回し、お金を集めるのがお仕事。此のアッリデーレをUDCアースに持ち帰れば、万病に効く薬になるかもしれないと心が弾む。しかし、流石にそれは色々と問題かなぁと残念がる。異世界のものを使うなんて、なんだかズルい気がして。
 商売とは信頼とは切っても切れない縁がある。それをフイにしてまで売りに出したら、密売人と同じになってしまう。あきはふるふると頭を振って気持ちを切り替え、再びアッリデーレを探し出す。
「中々見つかりませんね……」
 なんせ草の生い茂る森に近い野原だ。アッリデーレ以外の植物も当然生えていて、背の高い草なんかが地面近くの探索を邪魔する。ずんずんと原を駆け、随分と先に進めば、低い草に混ざって生えるキラキラと光る凛と立つ草。これこそ目的のブツだろう。
「わぁ……とっても綺麗ですね! 観賞用にも使えそうなくらいです!」
 プリザーブドフラワーにでもして『見る薬草』として売り出せばそこそこの値打ち品になるのではないかと、ここでも出る商魂。商人はいつだって商品の価値と利用方法を考えていかねば成り立たない仕事。それはもうあきの身に染み付いた習慣と言っても良い。
 周辺の警戒はアマネにお願いし、自分は採取に専念する事に。
「敵については任せますね。追い払ってもいいし、倒してもいい。あ、食べちゃダメですよ!」
 野生動物なのだ、どんな病原菌を持っているか分かったものじゃない。いくらユーベルコードで呼び出したとはいえ、アマネだって動物なのだ。罹患しない可能性が0とも限らない。ちゃんとした食事と、オブリビオンの退治が、アマネの仕事。
 さて、幾つか光るアッリデーレを摘み取って鞄に仕舞い、アマネを呼び戻せば、モンスターを転がして遊んでいたアマネがてとてとと戻ってくる。どうやら殺生はせず、良い玩具として弄ばれていたようだ。しかし、大柄のアマネに弄ばれたのではとてもじゃなく本人は恐ろしいもの。モンスターはさっさと森へと逃げ帰っていった。
「ふふ、優しいですね」
 そう言ってアマネの頭を撫でるあき。そんな一人と一匹を見つめるもこもことした影が迫っていることに、まだ彼らは気づいていない――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『虹色雲の獏羊』

POW   :    夢たっぷりでふわふわな毛
戦闘中に食べた【夢と生命力】の量と質に応じて【毛皮が光り輝き、攻撃速度が上昇することで】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    眠りに誘う七色の光
【相手を眠らせ、夢と生命力を吸収する光】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    ふわふわ浮かぶ夢見る雲
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 アッリデーレを無事手に入れ、あとはこれを領主に届ければ、いざや楽しいパーティが待っている! でも待って。予知によればその前に、もう一仕事あった気がする……――。

 それらは樹の上から、或いは藪の中、もしくは空からころりんと降って現れた。もこもことシルエットのそれは月光に照らされ虹色に輝いている。獏のような羊のようなそれは、明らかに先程の原生生物であるモンスターとは違う!
 攻撃が来るかと身構える間も無く、もこもこのそれらはすりすりと猟兵にすり寄り、服を齧ったりもこもこの身体で複数が猟兵を取り囲みぎゅうぎゅうとおしくらまんじゅうをしてみたりと、敵意があるんだかないんだか。
「手触りが気持ち良い……」
 等と、猟兵もすっかり敵意を失ってしまいそうになる。相手も相手で、何をされても動じずふわもこな身体を見せびらかすようにわらわらと群れている。まるで羊飼いにでもなった気分になること請け合いだ。
 しかし、相手が幾ら可愛らしかろうともオブリビオンであることに間違いはない。最終的には倒さなければならないが……それはこのもこもこを十分に堪能した後でも許されるだろう。 
 君達は此のもこもこに顔を埋めてひと時眠ってしまっても良いし、一緒に跳ねまわったりして遊んでも良い――。

 ※めちゃくちゃ弱いので一撃で倒せます。文字数の節約に、最終的に攻撃する場合は文末に★印を入れておいてもらえたらイイ感じにします。
【プレイングの受付は10月26日8:31~です。締め切りはMS雑記にて】
薬師神・悟郎
【湯煙】4人

事前にUCを複数作成し仲間全員に張り付けておく
ちょっとしたお遊びのようなものだ

さぁ、可愛い獏羊のお出ましだ
とりあえずその辺の一体を鷲掴み

虹色の毛皮というのも珍しい
手触りはどうなっているんだ?
この毛の下は?
見ているだけでは分からんからな

仲間達も思い思いに過ごしているようだ
そちらはどうだ?

牛もその気持ち良さに寝落ちしたのか
もふもふに囲まれていれば風邪の心配はないだろうが

千秋は弱点を探ってるのか?
見た目に惑わされず、やるべきことをしっかりこなそうとするのは流石だ

こう愛らしいと退治しにくいよなと壱華に同意
彼の隣でさくさく暗殺していこう

情が沸くと辛いからな
うっかり名前を付ける前に片付けよう


草野・千秋
【湯煙】
アッリデーレを手に入れた後も油断禁物ですね

か、かわいい(ほわわ)
相手はオブリビオンなのはわかってはいますがそれでも……!
倒す前に触っていいんですか
このふわふわもこもこ、秋冬にかけて恋しくなるやつですね、あったかい
牛さん寝落ちしていしまいましたが、寝冷えしませんように?

ふわもこしてる間に敵の弱点がわかるかもです
戦闘知識でそれとなく警戒しつつもふわもこする手をやめない

ふわもこしてるだけじゃないです
ヒーローたるものとし勇気を出し変身
UCで攻撃力を上げて短期決戦ですよ
怪力で敵を持ち上げふわもこーんと飛ばす
あまり痛い思いをさせたくない敵というのも珍しいですけどね


和泉・壱華
【湯煙】
よっしゃ、無事花もゲットできたし、あとは届けるだけだな!

うおっ、なんだ…このもこもふ…!
オブリビオンってのを忘れるレベルで可愛いなァ
コレ、もふってからでもいいんだよな?
みんなが触ってるのを見て、俺もその辺の獏羊を一匹捕まえ
おおおおおお、気持ちいな…
え、草野もふもふしてる間に弱点とか分かんのか?
すげぇな…!

なぁ、1匹持って帰りてーな…
もしくは毛だけでも…いけるか?ダメ?
って、紅殻?!
あーぁ、寝ちまった……ん、さっきの礼だ(そっと羽織掛けて

んでー…はぁ…
この、もこもこもこは退治しないといけねぇのか…。
短刀でツンツンつついていく
もちろん、紅殻に纏わりついてた分もな
おーい、逃げろよー刺さるぞー


紅殻・牛
【湯煙】

…む、眠気を誘ってくるとは此奴…強敵か
もこもこに囲まれてベコはもうダメだ、後は頼(すやぁ)


眠気には勝てぬ。即刻寝落ちる
…悟郎、壱華、千秋は頼れる仲間である、後は任せた
もふもふ皆が遊ぶ姿見たかったし、枕投げならぬもふもふ投げしたかったけんども、ベコはもうおやすみだ
…一面のもふもふで跳ねる夢を見る
夢に影響されて、先ほど【錬成カミヤドリ】で複製した「あかべこ」達がぴょんぴょんもこもこの上をカクカク跳ね遊ぶ

…ふぁ、おはよう
…む?これは壱華の羽織?心遣い有難い、優しいのう
千秋が何時の間にやらかっこよくなっておりびっくらだ
…おお、必殺技仕事人悟郎がおる
…さて、負けじとベコもパンチで加勢しよか
せいや




 いざや乗り込めパーティへ! というわけで、悟郎は『幸せを呼ぶ童子』の描かれたメダルを人数分作成し、全員に張り付けておく。これから来るべきハッピーな場に掛けて、皆の幸せを願うだけ。ちょっとしたお遊びのようなものだ。
 無事アッリデーレを採取し、あとは届けるだけとなった四人の背後にするり、忍び寄る影。この気配、モンスターじゃない! オブリビオンかと振り向けば、そこには虹色の毛に包まれた羊? のような獏の姿。
「おっと、アッリデーレを手に入れた後も油断禁物ですね」
 咄嗟に構える千秋に対し、この虹色のオブリビオンはとても、とても、もこもこと。そしてのんびりとしている。柔らかい毛に触れればあっという間にその虜。
「か、かわいい。倒す前に触っていいんですか」
「うぉっ、なんだ……このもふもふ……! オブリビオンっていうのを忘れるレベルで可愛いなァ」
 ほわわっと思わず和んでしまう千秋。相手が倒すべき敵だとは分かってはいるが、それでもこのふわもこ感には頬が緩む。まだ敵意があると決まったわけじゃない、触るくらいは良いだろう。同じく、壱華はその柔毛に手を埋めてみる。もふもふとした手触りが拳を包み込み、ふんわりと気持ちが良い。
「可愛い獏羊のお出ましか。虹色の毛皮というのも珍しい。手触りはどうなっているんだ? この毛の下は? 見ているだけでは分からんからな」
 とりあえずその辺の一体を鷲掴み、悟郎も毛並みに沿って撫でたり中身を確認しようと毛を弄ってみたり。密度がすごくて地毛まで届かない……確認したいのもやまやまだが、この感触を堪能したいのもまた事実。その触り心地の良さは思わず眠気を誘う。
「…む、眠気を誘ってくるとは此奴……強敵か。もこもこに囲まれてベコはもうダメだ、後は頼」
 最後まで言えず、牛はすやぁと即刻眠りに落ちた。悟郎も壱華も千秋も頼れる仲間である、後は任せたと言わんばかりに、すやすやと夢の中。……一面のもふもふで跳ねる夢を見る。夢に影響されてか、先の戦いで複製した『あかべこ』達が、ぴょんぴょんもこもこの上をカクカク跳ね遊ぶ。
 真っ赤な『あかべこ』と虹色の獏羊の共演は、見ているものを和やかな気分にさせた。獏羊は飛び跳ねられても痛くも何ともないのか、のんび~りと一緒になって顎をカクカクと動かしている。
「このふわふわもこもこ、秋冬にかけて恋しくなるやつですね、あったかい。牛さん寝落ちしてしまいましたが、寝冷えしませんように?」
「本当それなー。え、って紅殻?! あーぁ、寝ちまった……ん、さっきの礼だ」
 千秋の言葉に頷きながら、壱華はそっと羽織を牛にかけてやる。季節は秋、夜のこの時間はもう寒い。さて、もこもこしているだけでは先へは進めない。じっくり柔毛を堪能しながらも、千秋はそれとなく警戒を続ける。ひょっとしたらふわもこしている間に敵の弱点がわかるかもだし。
「牛もその気持ち良さに寝落ちしたのか。もふもふに囲まれていれば風邪の心配はないだろうが」
 掛かる羽織に優しく微笑み、悟郎は思い思いに過ごす仲間を見遣る。千秋は見た目に惑わされず、やるべきことをしっかりこなそうと弱点を探っているようだし、壱華は「ああ~~」と声を上げて一匹の獏羊に顔面を埋めている。いやむしろ吸っている。牛は……まだ眠っているようだ、折角の夢の時間を起こさない方が良いだろう。
「なぁ、一匹持って帰りてーな……もしくは毛だけでも……いけるか? ダメ?」
「持ち帰ってどんな悪影響があるかも分からないからな……」
「だよなぁ。はぁ~~」
 再び抱き着く壱華。「んでー……はぁ……この、もこもこもこは退治しないといけねぇのか……」との呟きに、悟郎も「こう愛らしいと退治しにくいよな」と同意を示す。情が湧くとやり辛いからと、うっかり名付けでもしてしまう前に片付けようと、虹色の毛並みに刃を突き立て、さくさく暗殺していく。それに「んめぇ~」とやられていく獏羊たち。やはり羊なのか!?
 千秋もふわもこしているだけでなく、ヒーローとして勇気を出し変身ッ! 決して挫けぬ正義の心でもって攻撃力を上げて短期決戦! 怪力で持ち上げてふわもこーんと飛ばす。獏羊は盛大に吹き飛んできらりと夜空の星になった。
「あんまり痛い思いをさせたくない敵というのも珍しいですね」
「だよなぁ、おーい、逃げろよー刺さるぞー」
 紅殻に纏わりついてた分も含め、壱華も短刀でツンツンつついていく。ふわもこの毛皮に覆われた身体は短刀ではほんのわずかにちくちくしただけだろうが、それでも嫌だとくるりと丸くなる。そこにぐさっと刺さる悟郎の忍刀・烏羽。それを浴びればぽふっと煙のように消える獏羊。
「油断はだめだぜ」
「わーってらぁい。ちょっと心惹かれたなんて……そんな事あるわけねぇし!」
 そんなこんなでわちゃわちゃしていると、牛が漸く目をこすりながらも起きる。相変わらずの寝ぼけ眼であるけれど、ちゃんと起きた。
「……ふぁ、おはよう ……む? これは壱華の羽織? 心遣い有難い、優しいのう。千秋が何時の間にやらかっこよくなっておりびっくらだ。……おお、必殺技仕事人悟郎がおる」
 さて、自分も負けてられないと牛もベコで、先程まで包まれていた獏羊にパンチして加勢。
「せいや」
 ぽこっと音がして(音に似合わず重量のある一撃だったのか)、獏羊は一撃でどろんと消えた。本当に夢だったのはどっちだったのか分からなくなるような、ふわふわの時間だった。優しい手触りは今思い出しても愛くるしい。
 おめでとう、君達四人はふわもこの誘惑に耐えたのだ! しかし、あまりの手触りの良さに感触を忘れられない。嗚呼、出来ることなら今度はめいっぱい抱きしめて、埋もれて、ペットにでもしてやりたい! と思ったのは、一体誰だったか。
「今夜のパーティ、羊肉も出るかもな」
「流石にオブリビオンの肉じゃないでしょうけど……少し食べにくいですね」
 壱華の心配事に、千秋も苦笑して。なぁに、悟郎のつけた幸運の印があれば、それらの料理が回ってくることはないだろう。或いは食べてみたいという好奇心が働いたのなら、優先的に回ってくるかもしれない。
「ベコは虹色の『あかべこ』も見たかった。『にじべこ』と名付ける」
「ご利益があるんだかないんだか」
 そういうのは目出度い色である紅色だからご利益があるんじゃないか? と訝しむ悟郎に、牛はまだ眠そうに「ふわもこまたなー」と呟いた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ザガン・アッシム
(アドリブ及び連携歓迎)

此奴はまた随分可愛いらしいオブリビオンだな。
…なんか俺のキャバリアに向かってめっちゃ体当たりしてるのもいるが…
ま、実害はなさそうだしいいか。

…おっと、それはそうとキャバリアは移動させねぇとな。

(踏み出す一歩)
(何かを纏めて踏み潰す感触)
(足元に上がる黒い煙)
(突然蜘蛛の子を散らすように散開するもこもこ達)

……その、なんだ。スマン。(軽い罪悪感)

姿形があんなのでもあいつらは立派(?)なオブリビオンだからな
猟兵としての最低限の任務は果させてもらおうか。

つ【UDC特製捕獲用抱き枕カバー(無地)】

(再び逃げるもこもこ)
(追う猟兵(【捕縛】【地形の利用】を使ったガチチェイス))






 キャバリアの足元に向かいめっちゃタックルしているもこもこもいれば、「めぇ~」と鳴き声を上げて匂いを嗅いでいるもこもこもいる。わらわらと群がってくるはオブリビオンの大群だ! 常時なら数の差に圧倒されそうになるものの、この感じ……。
「此奴はまた随分可愛いらしいオブリビオンだな。なんか攻撃されてるような気がしないでもないが……ま、実害はなさそうだしいいか」
 それはそうとキャバリアは移動させねば。こんなところで突っ立っていては他の猟兵の邪魔だし、何より目立つ。大きく踏み出す一歩、ついでふわん、むちん。と、張り詰めた何かを纏めて踏み潰すような感触。足元からは虹色の煙がもくもくと上がっていた。
「……その、なんだ。スマン」
 蜘蛛の子を散らすようにぴゅいーっと散開する獏羊たち。それに軽い罪悪感を覚えるザガン。わざとじゃないんだ! とは思いつつも、姿形があんな可愛くもこもこキュートであろうとも、彼奴等は立派(?)なオブリビオン。倒すべき敵であることに間違いはないのだ。
 猟兵としての最低限の任務は果たさせて貰おうと、『UDC特製捕獲用抱き枕カバー(無地)』を手にする。嫌な予感がしたのか、再び逃げるもこもこ達。ザガンもキャバリアから降りて、捕縛術を駆使したガチなチェイス! 捕まったら身ぐるみを(文字通り)剥がされてしまうと、獏羊たちも必死で逃げる。
「くぉらお前ら! 大人しく捕まれっ!!」
 四方八方に逃げるもこもこたちだが、中にはどんくさい奴もいて、ザガンが近づいても逃げるどころか鼻をすんすんとすり寄りそのもこもことした虹色の毛をザガンの鋼の左腕に擦り付ける。ふわふわとした感触に思わず手が伸びるが、ハッとして抱き枕カバーを被せる。
 どんくさ獏羊は最初こそもごもご蠢いていたが、完全に捕獲されたとみるや動くのを諦めて全てをザガンに預ける。自分で動こうともしない。その様子に、散らばっていたふわもこたちも戻って来た。――しめしめ、これで一網打尽だぜ。と意気込むザガン。
「「「「めぇ~」」」
 ドドドドドと押し寄せるふわもこに囲まれ、虹の毛波にぷかぷかと浮く。嗚呼、まるで最高級のベッドに沈んでる気分だと、戦場の固いベッドからは想像出来ないほどの柔らかさに感動すら覚える。こんなもの、一般人が虜になってしまったら大変だ。早急に退治しなければならない。
 ザガンは抱き枕カバーにつめこんだふわもこに一撃、刃物を突き立てる。すると煙と共に、虹色の羊毛も消えてしまった。
「ま、そう上手くはいかねぇか」
 仕方ない、とふよふよふかふかの獏羊たち一匹一匹に刃を入れる。煙となって消えるそれらはまるで虹色の海。キャバリアでは小回りが利かない分、自分で狩るのも一苦労だが……この手触りを味わいながら倒すっていうのも悪くないと、ザガンはめいっぱいその感触を楽しんでから獏羊たちを屠っていった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティー・アラベリア
この世界には随分と可愛らしい魔物がいらっしゃるのですね。
魔物…いや、これはオブリビオン?
あるいは脅威度が低すぎるせいでございましょうか。
疑似人格が戦闘用に切り替わらない様です…少々困りました。
それにしても、この手触りは心地ようございますね。
それなりに数もいるようですし、少々毛を拝借致しましょうか。
(業務用多目的短魔杖をハサミに変形させて取り出す)
仮装にも使えそうですし、他にもいろいろと使い出があるでしょう。

さて、あとはこの愛らしいオブリビオンの扱いでございますね。
処分するのは承知の上ですが、こちらの疑似人格ではどうにも…。
なにか能動的な行動をとってくれれば、切り替わると思うのですが。





 めぇめぇと鳴きながらむぎゅっむぎゅっと押し寄せてくるもこもこな獏羊たちに、ティーは揉まれていた。脅威度が低すぎるせいなのか、疑似人格が戦闘用に切り替わらない。これは少々困ったことになった。
「この世界には随分と可愛らしい魔物がいらっしゃるのですね。魔物……いえこれは、オブリビオン?」
 仮にオブリビオンだとして、全くもって危機感を感じないせいで魔杖からの一斉掃射で撃ち滅ぼせない。というか、群がってきて魔杖を取り出す事も出来ない。全く以て、可愛いというのもある意味大変な強さを持つのだと知ったティーは、とりあえずこの群がるふわもこから抜け出そうと試みた。
 おしくらまんじゅう状態から抜け出せたのは、ひとえに空中浮遊できたことが大きい。いくらふわもこで柔らかくとも、あのままでは圧死してしまう可能性もあった。技能は何でもあるに越したことはないのだと、また一つ賢くなる。
 それにしても、この手触り……ふわふわで、もこもこで、柔らかくて、まるで雲のよう。なんと心地よいのだろう。それなりに数もいるようだし、少々毛を拝借しても良いかと、業務用多目的短魔杖をハサミへ変形させて取り出し、優しくジョキジョキ。不思議な事に、毛を刈っても刈ってもその場でもこん! と再び生えてくるではないか!
「永遠に刈り取れますね」
 仮装にも使えそうであるし、他にも色々と使い道があるだろう。布団とか、クッションとか、羊毛フェルトとか。虹色というのも珍しくて希少性がある。どっさりと積まれた羊毛を見上げて、「押し込めれば小さくなりますね……?」等と手持ちの袋の心配をしつつも、さてこの愛らしいオブリビオンの扱いをどうするかだが。
 処分するのは承知の上だが、今の家事人形の疑似人格ではどうにもこうにも。せめて、何か能動的な行動をとってくれれば切り替わると思うのだが。うーんうーんと悩んでいると、毛を刈られた腹いせにか、もこもこ達がティーのメイド服をむしゃむしゃと食べ始める! 獏羊たちがやられたように、ティーの服も刈ってやろうという気なのだろう。
 となれば、こちらのもの。向かい来る敵には容赦はしない! 戦闘時用に性格が切り替わり、魔杖を振りかざす。
「さぁ、趣向を変えましょう。お次は白兵戦ですよ☆」
 誘導型、拡散型、破砕型……展開した魔杖の数六本! この敵はグリモア猟兵の話によればとっても弱いらしいので、攻撃力は必要ないだろう。であれば重要なのは、まとめて薙ぎ払う命中率! 鋭剣術でもってふわもこ獏羊たちをぽこぽことやっつけていく。気の抜ける「めぇ~」と言う声が響いた。
 さて、この近辺のオブリビオンは居なくなったなと思って振り返ってみれば……なんということ! あれだけ刈った羊毛が全て無くなっている。どうやら獏羊が消えると共に一緒に骸の海へ還ってしまったようだ。
「残念です……」
 心の底から悔しいが、仕方あるまい。あと目指すべきはパーティ会場のみ! いざ、薬草を届けへ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

小宮・あき
まあ、なんて可愛いひつじさん…!
ふわふわ、もこもこが嫌いな少女がおりましょうか!
すり寄ってきたひつじさんを抱えて、ふわふわの毛をツンツンしたり。

オブリビオンなのは、理解しています。
これまで何度も、あなた方と同種と戦っておりますので。
攻撃的でないことも理解しているので、ここは少し、楽しませてもらいましょう。

夢の世界にいくと、あなた達と遊べないから。
一緒に遊びましょう。
歌は好き? 冒険譚を明るく歌唱しながら、楽しそうに歌います。
マスケット銃をくるくるとバトントワリングのように回して。

UC【ひとめぼれ】
高速の早打ちで、気付かれないうちに仕留めましょう。
苦しませず、楽しいままに。




「まあ、なんて可愛いひつじさん……!」
 普段は大型リゾートホテルのオーナーなんて大層な肩書を持つあきも、根は年頃の娘なのだ。ふわふわも、こもこが嫌いな少女などこの世にいないとばかりに、胸をずきゅんと撃ち抜かれてしまった。すり寄って来た獏羊を抱え、ふわふわの毛をツンツンしたりさわさわと撫でたりむふぁっと埋もれてみたり。
 勿論あきだって、この可愛らしい生き物がオブリビオンなのは理解している。これまで何度も、この獏羊と同種の敵と戦ってきたのだから。だからつまり、攻撃的でないことも分かっている。なので……。
「ここは少し、楽しませてもらいましょう」
 獏羊たちは夢を見せたり飛び跳ねて回ったりと、如何にも獏らしい動きをしてくる。しかし、夢の世界に行ってしまったのでは一緒に遊べない。だから、とあきはマスケット銃を取り出してバトントワリングングのようにくるくると回しながらくるりくるくる。そうしたらほら、興味深そうにふわもこ達が集まって来た!
「歌は好き? とっておきのお話を聞かせてあげましょう」
 アックス&ウィザーズに伝わる、心躍る冒険譚を明るく、時に険しく、臨場感満載に、楽しそうに歌い上げるあき。獏羊たちは話の内容は分からずとも、あきのくるくる変わる表情や声音、そしてマスケット銃の扱いに魅了されて一緒になって飛び跳ねたり羊毛が光り輝いたりと忙しい。
 このひつじさんたちの毛皮、売ったならどれほどの価値があるのだろうと脳裏によぎってしまうのは商人の血故か。しかし、彼らを倒したら羊毛も一緒に消えてしまうこともまた知っているので、手を出したりはしない。今だけしか楽しめない、それこそ夢のような時間なのだ。
「さぁさいよいよ邪竜を倒した勇者の凱旋! 蒼銀に輝く聖剣を掲げ白馬に跨るその姿、まさしく次代の王に相応しい。そうして勇者は、姫のハートを射止め、いつまでも幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし」
 ふわもこ獏羊があきの心を、勇者の愛が姫の心臓を射止めるように、はしゃぐ獏羊たちを次々に手にしたマスケット銃で射撃していく。「めぇ~」と声をあげる獏羊。それに呼応するようにあっちそっちで鳴き声があがってもう何が何だか。高速の早打ちで、射られた事すら気付かぬままに仕留めよう。
 苦しませず、楽しいままに。だって彼らは夢の使者。痛いのも辛いのも似合わない。ならばあきは彼らにも夢を与えよう。素敵で柔らかな夢をありがとうの気持ちを込めて、銃のトワリングも加速していく。その早さは目にも留まらない程で、獏羊たちはどろんと煙のように消えていく。
「虹色の煙! 最期までファンタジーなんですから」
 ふふ、とあきは笑っても手は止めず。跳ねるふわもこにぎゅーっと抱き着いてからのズドン。嗚呼、なんて気持ちの良い手触りなんだろう、高級羽毛布団にも勝るこの感触。もくもくと立ち込める煙にごめんね、と囁いて。
 楽しい冒険譚はこれまで。あとは私たち、出向かう場所がありますのでと、周囲に集まった最後の一匹にトドメを刺す。さぁ、あとは薬草を領主さまの元へ届けて差し上げましょう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】
わぁ、可愛い子達が降ってきたよ
もこもこの身体を撫でてみたら
犬みたいに人懐こくすりすりしてきて可愛い
早々に倒してはい終わり、じゃ可哀想だし
せっかくだからちょっと遊んでいこうよ

あはは、梓は相変わらずだなぁ
親バカ炸裂しているところに茶々入れるのもあれだし
遠くから微笑ましく眺める
そしたらいつの間にかもこもこに取り囲まれてて
こんなにたくさん居るとお布団に出来そうだねぇ
えいっと思い切って身体ごと預けてみる
うーん、気持ちいい毛並み…
ひと仕事終えた後だし、夜だし
このまま眠るのも悪くないね…

本当に寝ちゃって
アリスラビリンスでの戦争や
夏のグリードオーシャンでの思い出が
次々と夢に出てきたんだ




乱獅子・梓
【不死蝶】
ああ、こいつらがグリモア猟兵が言っていた
オブリビオンか…何だか気の抜ける見た目だな
モンスターは追い払うだけでいいのに
こいつらは倒さなきゃいけないっていうのも
何だか心が痛むよなぁ…

よし、焔!零!来い!
獏羊の背に焔と零を乗せてみる
この時点でなんかもう可愛い
仔竜達を乗せた獏羊はジャンプして
ちょっとした空の散歩を開始
キャッキャとはしゃぐ焔
もこもこが気持ちいいのか、寝始める零…
うちのドラゴン達が一番可愛い
ここまでの光景はしっかりと
スマホで写真や動画に収めたぞ
最近のスマホは夜でも綺麗に撮れて最高だな…!

あっ、夢中になりすぎて綾のこと忘れてた
おーい綾…寝てる!?
名残惜しいが、そろそろ帰る時間だ






 すこーんと天から落っこちてきたのは、ふわふわもこもこの虹色の物体。敵意はないのか、脇に手を入れてむちーんと持ち上げて伸ばしてみると「めぇ~」と気の抜ける声がする。
「わぁ、可愛い子達が降ってきたよ」
「ああ、こいつらがグリモア猟兵が言っていたオブリビオンか……なんだか気の抜ける見た目だな」
 もこもこの身体を撫でてみたら、人懐こくすりすりと頭と身体を綾に擦り付ける。まるで犬みたいで可愛い。モンスターは追い払うだけで良いのに、このふわもこたちは倒さなきゃいけないというのもなんだか心が痛む話だ。
「早々に倒してはい終わり、じゃ可哀想だし。せっかくだからちょっと遊んでこうよ」
「だな。よぉし焔! 零! 来い!」
 獏羊の背に焔と零を乗せてみる。この時点でなんかもう可愛い。「キュー」「ガウ」と、鳴き声を上げながら、仔竜達を乗せたふわもこはジャンプしてちょっとした空の散歩を開始。別に自分だって空は飛べるけど、誰かに乗せてもらうのはまた違う景色で、楽しそうに戯れている。
 キャッキャッとはしゃぐ焔に、もこもこが気持ち良いのかスヤスヤと寝始める零……嗚呼。やっぱりうちのドラゴン達が一番可愛い! どんな格好良いドラゴンだろうと、生まれたてホヤホヤの竜の幼生であろうとも、うちの子には敵わない!
 用意していたスマホで、これまでの光景はしっかりと写真と動画に収めておいた。最近のスマホは夜でも綺麗に撮れて最高だな、なんてこの世界以外の技術に感謝して、なおも写真を撮りづつける。帰ったらアルバムを整理しよう。
 獏羊は仔竜たちに毛を毟られようが埋まれようが気にした風もなく、ぽよんぽよーんと宙を蹴り天に翔けた。虹色の毛に赤と青が混ざってまるで目出度い席のよう。お前たちは本当にどこに出しても恥ずかしくない銀河一のドラゴンだと、梓も段々スケールが大きくなってくる。こうなると最早手に負えない。

 そんな梓を「相変わらずだなぁ」と優しく見守る綾。親バカが炸裂しているところに茶々をいれるのも無粋というもの。遠くからその光景を微笑ましく眺めていれば、いつの間にか綾のまわりは「めぇ~」と鳴くふわもこ獏羊達が群れをなして取り囲まれていた。
「こんなにたくさん居るとお布団に出来そうだねぇ」
 ぎゅうぎゅうと密度の高い状態に、えいっと思い切って身体ごと預けてみる。うーん、気持ち良い毛並み……。アッリデーレを採るという最重要任務も終えた後だし、夜だし、このまま眠るのも悪くないね、なぁんて誘惑が綾を誘う。目を閉じればあれよあれよと夢の中。
 本当に寝てしまった綾は、色んな夢を見た。アリスラビリンスの戦争で時の凍り付いた城で戦った事。故郷ダークセイヴァーで悪趣味で不味そうな女の子と戦った事。夏のグリードオーシャンで再び彩煌島を訪れ、硝子細工を梓にたかった事。みんなみんな、覚えてる。
 全部が良い思い出じゃない。全部が辛い思い出でもない。それぞれ複雑に絡み合って、今の自分を形成している。ふわふわ、もこもこ、でもどうしてかな。今になってみると、どの思い出も笑えるような気がするんだ。それはこの虹色の獏羊の所為? ふふ、流石夢を見せるだけのことはあるね。

「あっ、綾のことすっかり忘れてた」
 写真と動画撮影に夢中で相棒の事が頭から抜けていた梓は、ここにきて漸く綾は何をしてるのか気になってそちらを覗いてみた。もこもこの上に倒れている。まさかやられたか!?
「おーい綾……って寝てる!?」
 この柔毛と離れるのは大変に名残惜しいが、そろそろ帰る時間。領主も令嬢も、今か今かとアッリデーレの到着を待ちわびているだろう。それに、綾が楽しみにしていたパーティだって待っているのだ。
「綾ー置いてくぞー」
 ふぅっと、掌に召した紅い蝶の群れを、闇夜に吹き散らす。暗闇での適応力を高める蝶の舞うこの場は、今や綾と梓が掌握したも同然。焔に火を吹かせ、零に氷結のブレスを撒かせて、ギュウギュウムチムチに詰まった獏羊の群れたちを次々やっつけていく。布団の無くなった綾はドスっと地面に落ちて目が覚めた。
「地面、固い……あーあ、良い夢見てたんだけどなぁ」
「どんな?」
「忘れちゃった」
「夢だなぁ」
 なんて言いながら、綾も残り1匹と残さず仕留めに行く。元々脅威度の低いオブリビオンだ、寿命を消費せずともPhantomがひらりひらりと舞い飛び殺める。煙のように消えた獏羊たち、もう此処は誰が来ても安全だろう。
「じゃっ、パーティに乗り込もうか」
「仮装の準備は出来てるか?」
 獲物を仕舞い、アッリデーレを持って屋敷に向かう二人を、月が優しく送り出した――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『ようこそ、ちいさな舞踏会へ』

POW   :    体力に任せて踊ったり、食事をいっぱい楽しむ

SPD   :    楽器の演奏や華麗な舞踏により、会場を盛り上げる

WIZ   :    軽妙なトークや武勇伝により、人々を楽しませる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 領主館、大広間。令嬢はアッリデーレを持ち帰った猟兵達に礼を言い、医者はすぐに領主の元へ行き薬にして飲ませることだろう。
 さて、皆が無事帰ると信じていた令嬢は、盛大なパーティを催そうと美味しい食事に不思議な色の飲み物、奇怪なデザートを用意して待っていた。なんせ今日はハロウィン、折角のお祭りなのだから楽しまなければ勿体ない! その心意気は令嬢も理解しているからこそ「ドレスコードは仮装で」なんて書状に書いたのだ。
 その証拠に、令嬢は普段のドレス姿はどこへやら。トンガリ帽子に黒いコートを羽織って、まるで魔女の様。仕える使用人たちもメイドはゾンビ、フットマンはフランケンシュタインと抜かりない。この領主館全体が、領主の快気を願い、楽しい気持ちで過ごそうと心を弾ませている。

 料理は季節柄南瓜をメインに据えたものから、一般的な(それでも豪勢な)料理が並ぶ。肉に魚におつまみに。無いものが食べたいと申し出れば、この世界で採れる食材であれば料理人が直接振舞ってくれるかもしれない。
 ドリンクはノンアルコールからキツい度数のお酒まで多様に揃えてある。途中で色が変わっているような不思議な色合いのドリンクも、望めばバトラーが作ってくれるだろう。共に居る相手がいるならイメージカラーに、なんて遊びも楽しいかもしれない。
 デザートはそれは甘く、中には酸っぱいものや地方独特の味もあったりと面白い。フルーツがそのまま切り分けられている皿もあれば、ケーキやクッキーのように調理されたものもある。此処ではあの呪文を言わなくても、十分に食べることが出来るのだ。
 勿論、君は誰かに悪戯を仕掛けようとしても良いし、ひたすら食に走るのも良い。折角の仮装を楽しむのもまたこの時期だけの醍醐味だ。テラスに出れば月明かりがお祭り騒ぎを歓迎してくれるだろう。今日の日の為に使用人も令嬢も飴は沢山用意した。
 今日はめでたく、楽しい日。さぁ、あなたもご一緒に!
「トリック・オア・トリート!」


 ※
 PSWは気にしないで大丈夫です、好きに行動してください。
 未成年の飲酒喫煙はダメです。版権パロディや極度にきわどい仮装はお返しになります。
 『ドレスコード仮装』の通り、必ず仮装してください。令嬢のような簡易的なものでも構いません。特に指定のない場合『2020年10月31日納品の南瓜行列SD』を参照します。(何の仮装か分かりにくい場合は注釈を入れて下さると大変に助かります)
 大広間には使用人がたくさんいますが、「トリック・オア・トリート」と言わなくてもちゃんとドリンクもくれますし望めば料理を装ってくれます。言えば飴ちゃんもくれます。
 医者はいませんが令嬢がいますので、声をかけられれば反応を返してくれます。
 プレイングは【2020年南瓜行列SDイラスト公開直後】より受け付けます。この章のみの参加も大歓迎ですので、お気軽にどうぞ。
ナミル・タグイール
豪華な館にゃ!お宝期待できそうデスにゃ!
仮装もしてるからにゃ。金ぴか悪魔にゃー!

…館の金ぴか盗みたかったけど賑やかすぎて無理そうにゃ
なら思いっきりぱーてー楽しんじゃうにゃ!
美味しそうなお肉料理かじりつきにゃ!
にゃ!金ぴかなお酒も作れマスにゃ?作ってデスにゃー!(目に入った美味しそうな物や気になる物に自由に飛び回り

にゃ。レイッツァがいるにゃ!(うざ絡みに行く酔いどれ猫
とりっくおあとりーとゃ!金ぴかくれなきゃ呪っちゃうにゃー!(爪を光らせて
(何かしら貰えれば喜ぶ猫)
金ぴかお酒美味しかったからレイッツァも飲まないと損にゃ!
こっちデスにゃー!色も味も最強にゃ!(引っ張り回した後はすぐ酔いつぶれて寝る猫




 豪華な館には財宝が眠るもの。「お宝期待できそうデスにゃ!」とうきうき気分で来たナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)の仮装はといえば、黄金の角に尾飾・輝く羽根を付けた金ぴかの悪魔! 館に飾られた豪華な金のトロフィーやメダル、剣にネックレスなどを盗んでみたかったけれど、この賑やかさと人目の多さでは無理そうにゃと早々に諦める。
 ならばいっそのこと、思いっきりパーティを楽しむが吉! 美味しそうな肉料理にがぶっと噛り付く。溢れ出る肉汁がたまらなく美味しい。何の肉かと聞いてみたら、この辺で育てている豚だとか。食べ慣れたはずの食材でもこんなに柔らかくてふわふわの食感になるなんて……とナミルは感動した。
『お嬢ちゃん、金が好きなのかい?』
「にゃっ! 大好きデスにゃ」
『じゃおまけしてやろう!!』
 そう言って使用人ともまた違う……コック帽に巨大な渦巻飴をぶっ刺している料理人が現れ、まるで胡椒を振る様にパッパッと肉に金箔を乗せていく。ぱぁぁぁっと輝くナミルの瞳は、もう肉食獣が御馳走を前にしたそれだ。『いっぱい食べて下さい』との言葉に、こくこくと頷いて再びお肉に噛り付く。金ぴかの味はしなかったが気分だけでも味わえて最高の気分だ。
「にゃ! 金ぴかなお酒も作れマスにゃ? 作ってデスにゃー」
 目に入った美味しそうな物や気になる物を巡って、あちらこちらに飛び回る。バトラーがしゃかしゃかとシェーカーを振り、出てきたのは蒸留酒にレモンジュースとジンジャエールを混ぜて甘いシロップを一滴垂らしたもの。中には切り分けられたレモンが入っていて、しゅわしゅわと泡立っている。
「わにゃーっ! 本当に金ぴかが出てきたデスにゃ!」
 こくこくと、それなりに度数のあるカクテルを飲むナミル。こう見えて成人女子。お酒だってゴクゴク飲んでも許されちゃうのだ。美味しい料理に酒、散りばめられた金! 嗚呼幸せとはこういう事かと思っていると、見知った顔を見つける。
「にゃ。レイッツァがいるにゃ! とりっくおあとりーとにゃ! 金ぴかくれなきゃ呪っちゃうにゃー!」
「おやナミルさんじゃないか。ふふ、トリック・オア・トリート。金ぴかかぁ……あっ、これでどう?」
 酔いどれナミルに絡まれたグリモア猟兵レイッツァは、黄色の飴を取り出す。大きな掌にちょこん、と乗るパッケージされた一粒。「これは金ぴかというより黄色では?」と言いたげなナミルに「金だと思えば金だよ!」と誤魔化して。ちなみにパイン味。ナミルが此処に来る前に持っていた巨大黄金林檎には負けるが、金色には変わりない。
「さっき飲んだ金ぴかお酒美味しかったから、レイッツァも飲まないと損にゃ! こっちデスにゃー! 色も味も最強にゃ!」
「そんなに? 楽しみだなぁ」
 同じお酒をもう一度注文し、二人で飲む。さっぱりした飲み口はどんどんと胃袋に入っていってしまっていけない。その後酔いつぶれてしまったのか、むにゃむにゃし出したナミルに、メイドへ伝え部屋を取ってもらいそっと横たえ布団を被せる。
 おやすみなさい、金色に輝く良い夢を!

大成功 🔵​🔵​🔵​

リリ・アヌーン
お友達のザガンちゃん(f04212)と同行
私は「セーラー服に長スカートのヤンキー少女風仮装」で
ハロウィンパーティに参加

その土地に伝わる美しい音楽を楽しんでリズムを覚えた後
特に気に入った曲をもう一度演奏お願いして

とても覚えやすく明るい気分になれる歌詞を
即興でつけて歌い令嬢や猟兵みんなを労い祝福
楽しいお祭りを盛り上げるのに微力ながら貢献させて頂くわ

「ウフフ、ザガンちゃんの仮装姿もよく似合っているわね♪」

その後ご当地食材を使ったご馳走やデザートを
美味しくザガンちゃんと談笑しながら頂くわ

「ザガンちゃん依頼お疲れ様。そしてお誘いをありがとう。
今年のハロウィンはこの国や私にとって特別なものになりそうよ♪」


ザガン・アッシム
友人のリリ【f27568】と同行

【学帽に袖を破った学ラン上下、下駄】を装着して硬派な番長といった感じの仮装で

相方が音楽を楽しんでいる間にキャバリアを隠してカバー掛け

今日は色々お疲れさんだ、相棒。

その後は歌を聞き逃す前に素早く合流、一曲聞き終わったらワインを片手にリリに合流するぜ

『いい歌だったぜ、やっぱり本職は上手いな』

と、称賛した後にワインを手渡し、乾杯する

『仮装か、ありがとよ、そういうリリも似合ってるぜ。』

何せ着た事がなかったからな、着方が間違ってなくてよかったぜ

その後は一緒に食事を楽しむ
(大きな左腕の中心辺りから通常サイズのアームを出して食事する)

『特別な物…か。喜んで貰えて幸いだぜ』




 領主館に向かったザガンが真っ先に向かったのは中庭。其処にキャバリアを一時的に置かせて貰い、友人のリリ・アヌーン(ナイトメア・リリー・f27568)を引き連れ其々部屋を分かれて着替える事にする。
 部屋から勢いよく先に出てきたのは、学帽に袖を破った学ランの上下、そして下駄という今時絶滅危惧種な硬派系番長姿のザガン。からんころんと下駄を鳴らし、外で控えるキャバリアの様子を窺いながらリリの登場を待つ。
 そうしてようやっと出てきたリリはと言えば、番長の隣に相応しいセーラー服に長スカートのヤンキー少女風の仮装。ローファーの踵を履きつぶし、長い靴下で生足は見えない。普段のリリからしてみたら、露出度が少なくて物足りないくらいだ。
「この楽しげな雰囲気に合わせた美しい曲……この地方のもの?」
 少し覚えてみようかしら、と曲に耳を傾けるリリ。特に気に入った曲をもう一度とオーケストラにお願いして奏でてもらい、うんうんと頷きながらリズムを記憶する。――嗚呼、素敵。誰もが音楽に身を委ね、思い思いの恰好でひと時の夢を楽しんでいる。私もパーティに乗り遅れないようにしないとね。
 そう思ったリリは、覚えたリズムに即興で歌詞をつけて歌う。簡単で明るい言葉使いのそれで、内心はらはらしていた令嬢や一所懸命にアッリデーレを採ってきた猟兵、みんなを労り祝福した。そのじゃじゃ馬的な恰好からは思いもよらない美声が出てくるものだから、令嬢は驚いて、次いで笑顔になった。
 リリが音楽に傾向している間、ザガンは中庭に置かせてもらったキャバリアを一応隠す為にカバー掻け。ここには猟兵しかいないが、万が一屋敷の者に見つかって不審物扱いされても困る。「今日は色々お疲れさんだ、相棒」なんて語り掛けて、リリの歌を聞き逃す前に屋敷内に戻る。
 一曲聞き終えて拍手が上がり、一礼してリリも戻ってきたところで壁際近くのテーブルで一際大きく拍手を送るザガンと合流。ゾンビに扮したメイドからワインを貰い、人間の腕である右腕でそれを差し出した。リリはきょとんとしながらもワインを受け取りザガンを見遣る。
「いい歌だったぜ、やっぱり本職は上手いな」
 賞賛をおくるザガンに、リリは少しくすぐったくなりつつも、楽しいお祭りを盛り上げるのに貢献出来た事を嬉しく思う。スナックでの経験が生きるなんて、なんだか不思議な感じだが……自分でも悪くない仕上がりだったと感じる。あの令嬢の朗らかな笑みを思い浮かべたなら、殊更。
 脇のテーブルから自分の分のワインを取り、カチンと乾杯。くいっと飲む一杯は普段なら酔いもしないけど……この場がそうさせるのか、相手の普段とは違う恰好がそう見せるのか。素敵な一夜を過ごせそうな気がした。
「ウフフ。ザガンちゃんの仮装姿、とってもよく似合っているわね♪」
「仮装か、ありがとよ。そういうリリも似合ってるぜ」
 番長とスケバン、アックス&ウィザーズにはない文化だが、お互いとても様になっている。ザガンの腕が破けている学ランなんて如何にも普段からやんちゃしています、といった雰囲気が出ているし、リリの長いスカートは清楚なようでいて何時ものミニなワンピースの真逆でそわそわするくらいだ。
「何せ着た事がなかったからな、着方が間違ってなくて良かったぜ」
「それを言ったら私だって。ふふ、でも若い頃を思い出しちゃった」
 リリには学がない。だからその分、学校への憧れもひとしおだった。色んな事を学んで、活かして、この生活から抜け出せたらと思わなかったことがないとは言わない。けれど、それと現実は別。お客さんが差し入れに持ってきてくれるデザートは美味しいし、親しい友人と呑み交わすような気楽な酒の席もまた気に入っている。存外イイ性格をしているとは、誰も思っていてもツッコめないリリの強さだった。
「ほら、美味い飯が待ってるぜ。それともエスコートが必要かい」
「あらあら。そんなヤワな女に見えまして?」
 くすっと笑った二人は長テーブルにずらりと並ぶ料理の、まずは端からと皿に盛りつける。ザガンは大きな左腕の中心辺りから通常サイズのアームを出して、近くの丸テーブルに持ち込み豪快に食事を始めた。
 まずは何と言っても肉だろう。アックス&ウィザーズの肉といえば、最上級はやはりドラゴンだが普通の人間が捕まえられるわけもなく。普通に鹿や牛といった肉料理が並ぶ。味付けは甘じょっぱかったり、胡椒が聞いていたり。フットマンが運んでくる皿には、特製の血みどろめいたトマトソースが掛かっているものもある。
 リリは肉は程々にして、ぷるぷると震えるゼリーやプティングに目を輝かせる。南瓜を使ったそれらは如何にも季節の味といった風体で、むちむちした食感が美味しく経営者としての視点でよぉく観察した。
「これ、南瓜がある季節限定のデザートとしてうちでも出したいくらいよ」
「おう、良いんじゃねぇか? 期間限定って言葉に人は弱いんだ」
「ザガンちゃん、ちゃんと食べてから言って。ほら、あーんしてあげましょうか?」
「冗談」
 プティングを差し出しながらも拒否するザガンに、少し残念がりながらもぱくっと一口で食べるリリ。談笑しながら食べる食事の、なんと美味しいことだろう! どんな肴にも勝る、極上の味だ。今日しか見れない相手の姿に、お互い可愛らしさを感じながらワインを一口。
 今日は赤い血が流れる事の無い、平穏な戦いだった。それでも、仕事上がりの一杯はキく。それは屹度、猟兵でも一般人でも同じことなのだろう。今だって医師が領主を治療しようと仕事を頑張っているところなのだから。
「ザガンちゃん、依頼お疲れ様。そしてお誘いをありがとう。今年のハロウィンはこの国や私にとって、特別なものになりそうよ♪」
「特別な物……か。喜んで貰えて幸いだぜ」
 さぁ次は何を食べようか。使用人に向かってあの言葉を言い、お菓子を貰うか……いや、それは最期でも良いだろう。今は二人、楽しい時間と美味しい料理に、乾杯!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ココレット・セントフィールズ
【お屋敷】
「ご機嫌よう。セントフィールズの猟兵のココレットですわ。今宵はお招きありがとう。
お父様とこのお屋敷の皆様の健康を祈って祈祷師(シャーマン)の仮装を選んだの。」

本人もA&Wの令嬢であるので可能であれば今回の屋敷とココレットの屋敷同士で交流がある設定及び令嬢とココレットが知見であるような雰囲気にしていただきたいです

仮装は祈祷師(イメージは漆原教授)
頭に謎の羽飾り、顔面に怪しげな塗料、派手な布の服にジャラジャラしたお守りみたいなアクセサリー盛り盛り、最後に片手に「シャン!」って鳴る杖

「この恰好だとせっかくの料理が取りづらいわね、スー、頼んだわ」
「お化けからの護衛は頼んだわよ、ディア」


ディアリス・メランウォロス
【お屋敷】
お嬢様の挨拶に続いて一礼するよ。
仮装は服装そのままに血色が悪いゾンビな騎士さ。
チャームポイントは頭に刺さった矢でね、優雅にビヨンビヨン動くよ。

お嬢様の近くからは離れずに、ふざけて襲ってくる者がいないか一応警戒するね。
護衛は頼んだわよ、というココレットに対して
「えぇ、お嬢様。お任せください。(ビヨンビヨン)」
スニッキィに対しては
「私にも紅茶を一杯お願いしてもいいかな?」

もうね、ずっとね、矢がね、ビヨンビヨンしてる。


スニッキィ・オー
【お屋敷】
A&Wにあんまり来たことなかったし、ご主人の故郷みたいだし、興味あってついてきたデス

あと仮装必要みたいデス?オー……キマイラ的には日常がそもそも仮装じみてるし……
じゃあ普段のメイド服のまま「サメの被り物」してくデス。口を大きく開いたサメの被り物で、そこから顔出せるやつ
いやぁ最近サメ食べてないから(シャチ的に美味しい)、ぱっと思い付いたデス

メイドらしくご主人や姉さんの料理や飲み物取りにいってくる傍ら、A&Wの屋敷自体の雰囲気や体裁も興味がてら見聞を広めたいとこデス
サメがゾンビとかよりもつよいのはキマイラ映画文化では証明されているので、そんな異文化交流も兼ねてみるデス




 領主はここら近辺を治める名君だったとはグリモア猟兵の説明にもあった通り。となれば当然、近隣の領地との交流もある。貿易をはじめとした物流から、観光を求めての人の往来まで。そして領主ともなれば、同じ地位にある者達と密な関係になることもしばしば。
「ご機嫌よう。セントフィールズの猟兵、ココレットですわ。今宵はお招きありがとう。お父様とこのお屋敷の皆様の健康を祈って、祈祷師の仮装をえらんだの」
『まぁココレット様! お待ちしていました。ええ、折角のパーティですもの、華がなければ寂しいですからね』
「お上手ですこと」
 頭には謎の羽根飾り、鼻筋を通る怪しげな塗料、なんとも形容しがたい派手な柄の布服に、石や樹で出来たジャラジャラとしたアクセサリーが両腕と首に通り。そして最後に、シャンと鳴る杖を片手にやってきたココレット・セントフィールズ(幽玄のドレス・f00369)を、令嬢は最初見た時は何事かと思った。
 いや、自分で仮装して来てねと言ったのだからその通りにしてくれたのだろう。それはとても嬉しい。後ろに控える従者たちは確かディアリス・メランウォロス(羅刹の黒騎士・f00545)とスニッキィ・オー(冥水棲者・f00787)と言ったか。彼らの仮装もまた一際目を引く。
 令嬢と目が合いにこやかな笑みを湛え一礼したディアリスの頭には、矢が刺さっている。血色も悪く土気色、ゾンビナイトとでも言いたいのだろうか。一矢、刺さってますけど。ディアリスが動くたびにびよんびよん揺れるのがチャームポイントらしい。
 一方のスニッキィと言えば、キマイラ的には日常がそもそも仮装じみてるだのなんだの言いつつも、選んだのは『サメの被りもの』。口を大きく開いたサメの被り物で、そこから顔を出せるやつだ。どちらかと言うと着ぐるみに近い。「いやぁ最近サメ食べてないから、ぱっと思いついたデス」と本人は語る。
『さぁ、今日は我が家の総力をあげての仮装と晩餐を楽しんでいって下さいましね。ココレット様は特に苦手なあものなどありましたかしら?』
「概ね大丈夫よ。あなたのお屋敷の料理は美味しいから、わたくしも楽しみにしてきたの」
『ふふ、お上手ですこと』
 先程の繰り返し。上流階級の華やかで(今日はへんてこりんな格好だけれど)優雅な雰囲気に、スニッキィは「オー……」と呟いた。
「アックス&ウィザーズにあんまり来たことなかったし、ご主人の故郷みたいだし、興味あってついてきたデスが……これが社交界というやつなのデスなー」
「お嬢様が呼ばれることは少ないからね。大抵はお父上やご兄弟の皆さまが熟すお仕事だから。友人に呼ばれたとあれば、自分で行きたかったのではないかな」
 他愛ない会話中にも、誰がココレットを狙っているとも分からない。それにこんな夜だ、ふざけて襲ってくる輩がいないとも限らないし、一応警戒は怠らないディアリス。「お化けからの護衛は頼んだわよ、ディア」と告げるココレットに対して、「えぇ、お嬢様。お任せください」と頭の矢を揺らしながら頷く。
『従者の皆様も、今日はゆっくりしてらしてね。良い夜を』
「ありがとうございます。お父上の病状が早く良くなるよう、私達もお嬢様共々お祈りしております」
「デース」
 令嬢との挨拶が終わったら、上品なレースのホワイトクロスが掛けられた長テーブルにずらりと並ぶ料理の数々を前にする事となる。南瓜を丸ごと使ったポットパイやスープ、紫玉ねぎのサラダ、プルツヤのデザートがお屋敷一行に『僕を食べて!』と語り掛けてくる。嗚呼、どれも美味しそう!
 やはり季節ものの南瓜系から行くべきか。それともお腹がいっぱいになる前に、デザートの甘さを堪能しておくべきか。此処は本能に従い、甘いものに手を伸ばそうとするも……ぶわっとしたココレットの布服ではテーブルに衣装がついてしまい取り辛い。
「この格好だとせっかくの料理が取りづらいわね、スー、頼んだわ」
「お任せあれデス」
 メイド服の上からサメの着ぐるみを着ているのにも関わらず、スニッキィは手際よく星が浮かぶゼリーにオレンジのババロア、紫芋のスイートポテトを皿に盛りココレットに手渡す。個人用の丸テーブルで一口食べれば、口中に広がる甘味と酸味のハーモニー! 無言でちょびちょび、スプーンを動かすココレット。
「スニッキィ、私にも紅茶を一杯お願いしてもいいかな?」
「しばし待つデス」
 メイドらしくご主人や姉さんの料理や飲み物を取ったりしている傍ら、アックス&ウィザーズの屋敷自体の雰囲気や体裁も興味がてら見聞を広めたいと思ったスニッキィは、紅茶が出てくるまでのひと時お屋敷そのものを眺める。此処は大広間だと言っていたから、普段から社交の場として使われているのだろう。トロフィーやメダルなんかも飾ってあって豪華だ。天井も高いし、流れる音楽も美しい。
「ほーこうなってるデス。外から見ただけじゃ分からないものデス」
 サメがゾンビより強いのはキマイラ映画文化で証明されているので、そんな異文化交流も兼ねてその辺を歩くゾンビメイドさんに「トリック・オア・トリートデス!」と口走ってみれば、はい、と渡される包装された飴。スニッキィを置いてゾンビメイドさんは忙しなく動いていた。なんだかちょっと負けた気分。そこでハっと気付く。紅茶!!
 幸いにもフランケンシュタインに扮したフットマンが茶葉を掬い混ぜて丁度良くしていてくれたので、濃すぎになるようなこともなく、無事ディアリスとココレットのもとへ届けることが出来た。少し温くなった紅茶に「飲み頃ね」とココレットが褒めれば、スニッキィは何とも言えぬ表情になる。恐るべし仮装使用人たち!
「今度来る時は快気祝いかしら。その時は存分に着飾って来ましょう。いえ、今も着飾っているというべきなのでしょうけど……」
「お嬢様、大丈夫です。お嬢様は何を着ても可愛らしくいらっしゃいますので」
「ディア、そういう事が聞きたいんじゃないの」
「オー、思春期特有のあれデス? ご主人にはもっとデコりが必要デス」
 ココレットの言う着飾るとは、華やかなドレスに身を包んで粛々としたイメージだ。だと言うのに、この従者は何を着ても同じことを言う。全く以て参考になりゃしない。その点、衣装の準備や着せ替えを担当するスニッキィの目は確かだった。ココレットには、もっと華やかなものが相応しい。
 ……今の恰好も、或る意味では華やかではあるが、そういう事じゃない。どこぞの部族の祈祷師の恰好も様にはなっているが、やっぱりいつものドレス姿が一番似合うとセントフィールズ家の誰もが思うだろう。令嬢だって、いつも可愛らしいココレットが祈祷師姿なのに驚いたのが良い証拠だ。
「二人とも、この料理たちを根こそぎ味わって差し上げましょう。今日という日に、そして領主殿が早く良くなるように願いを込めて。ええ、トリート・アンド・トリートよ」
 そう言って再びスニッキィに盛り付けを頼み、ココレットはちびちびと、ディアリスは豪快に矢をビヨンビヨンさせながら、端から順にご馳走を食べて行った。途中でお腹いっぱいになってしまい、部屋をとってもらい一休みしたのは言うまでもない……――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【湯煙】

★仮装『烏天狗』

戦いに向かっていた彼等と合流
皆様、お疲れ様でした
それからはっぴーはろうぃん、ですね

季節に合わせた南瓜の料理やお菓子等が沢山ですね
悟郎殿は小食なのですか?
ならば、色々なものを少しずつ食べれば楽しめるでしょうか

私もお酒は弱いので、それ以外で楽しませて頂きます
この世界で採れる食材というのもどのようなものか気になるもので
その食材を使った肉や魚、甘味を中心に頂きます
食材が異なるだけで味も随分ことなりますからね

持ち帰りならば私も頂きたいです
南瓜を使った甘味が美味しかったもので家族に、と
きっと喜んで頂けると思います


薬師神・悟郎
【男子会】7人

★仮装『天狗』

Happy Halloween!
他の友人達と合流したら、楽しいパーティーの始まりだ!

どれも美味い料理ばかりだろうが、残念ながら俺は小食なんだ…
しっかりと見定めて選ばなければ、すぐに腹いっぱいになるだろう
仲間達の感想を参考にこの世界ならではの珍しい料理やスイーツを頂くつもりだ

これだけ美味い飯を食べながら、皆と談笑をしていると、ふと持ち帰りが出来るか気になってくるな
今回来られなかった他の仲間へのお土産にしたいと
可能なら、容器はUCで作成可能だ
皆もどうだ?

報酬とはいえ、これだけのパーティーを用意してくれたお嬢さんにも感謝を
彼女の親父さんへの想いが報われることを祈るのみだ


草野・千秋
【湯煙】

★仮装は魔法使い

ハッピーハロウィン!

領主さんのご病気、なんとかなりそうでよかったです
一日も早く良くなりますように、と令嬢さんににこにこと会釈
さぁさ、皆さんでパーティーといきますか
僕はお酒はほどほどにしておきましょう、最初の一杯だけ
色々な色のジュースを楽しみます
色はお祭り的な奇抜な感じですけど味は……?

おや、悟郎さん少食なんですか
ここの料理を詰めてお土産に?いいと思います
ここに来てないお仲間さんと食べるのもまた楽しそうな

お菓子も色々貰って食べます
食品業という職業柄、どんな材料を使ってどんな調理方法をされているか想像しつつ味を楽しみます
これUDCの子どもさんも喜びそうですね


和泉・壱華
【湯煙】

★仮装:狐の嫁入り&赤ベコの嫁入り


無事花を届けられてよかったぜ
領主…親父さんが早く元気になってくれるといいな!


って事で…来たぞ、ハロウィンパーティーだー♪

豪華で賑やかだろうなとは思ったが…予想以上だなぁ
おっ、皆の仮装すげぇ似合ってるぜ!
てか俺、皆と比べて…白くね?浮いてねぇか、大丈夫?
そうそう紅殻家から嫁いだベコ子だぜ!
似合うだろー、ベコ子の白無垢!(えへへん!

あのカラフルなやつなんだ、ケーキか?
あっちのパイも美味そうだ!
俺、取ってくるな!もちろん、みんなの分も!
嫌いな物ねぇかー?(と言いつつ身体はすでに進み

色々ちょっとづつ食しつつも…
え、持って帰れんの?
じゃあ、パイ持って帰りてぇな!


紅殻・牛
【湯煙】

★仮装『赤鬼』

…領主殿が快方に向かうようお祈りを
大丈夫だ、優しき娘の願いは届く

…はっぴーはろうぃん
…これはベコ鬼、赤鬼ではなくベコ鬼だ(きり)
…おお、皆の仮装も良き良き
…はっ、あかべこの仮装、に嫁に行ったベコの晴れ姿……嬉し眩しすぎて直視できぬ。感動(両手で目隠し。指の隙間から覗き見る)
…とても良い香りがするな
これは全種類食べねばなるまい
ベコは沢山食べれる故、お腹のことは心配無用
酒は飲めるがぐるぐるするのでな、少しにしたいが…フロースは何を飲んでるのだろか
バトラーが作ってくれると?では、あかべことにじべことべこの嫁入り3つで
…悟郎、悟郎、これ美味しいのでお勧めするぞ
夜彦も家族にお勧めだ


エドガー・フォーサイス
【湯煙】

★仮装『赤べこ』

皆さんお疲れ様でした、お陰様で僕らも楽しいイベントに預かれますね…!
魔法使いに、美男子天狗デュオ、ダブル嫁入り…趣向が凝ってるなあ…水まんじゅう美味しそう…(凝視)
牛さんのべこ鬼は響きも良いですね、あ、僕は頂いた許可通りの赤べこですよ!
和装って案外着心地が良いですね。ぜひ指の隙間からご覧下さいっ(くるりと回ってお披露目)

背が高い人って良く食べるイメージですが、悟郎さんは小食なんですねえ…あ、詰めるなら僕も手伝いますよ。SNS映え良くするの得意です(彩を意識しながら詰め)
折角だし僕も色々つまみ食いを…あ、悟郎さんこれも美味しそうですよ!と牛さんの逆から皿を盛りましょう


フロース・ウェスペルティリオ
【湯煙】
皆さんお疲れさまでした
お薬も無事に間に合ったようで、良かったねぇ
ふふ、トリックオアトリート?

★仮装『道化師』

折角お誘い頂いたパーティだし、余興のひとつにお手玉でもいかがかな?
投げ渡されるお菓子でジャグリングしたり、液状の身体を活かしてお菓子を手から体内に取り込みつまみ食いしたり、代わりに分身体(水まんじゅう姿)を加えたり

んー、お酒、ウチは飲み始めてまだ半年程度なのでなんとも……
今の所は問題無いし、もう少し強いお酒にも挑戦してみようかなぁ?

うん、お料理もどれも手が込んでいて美味しいねぇ
あ、ウチの本(黒花印の目録本)も収納できるので手伝うよ
「パーティー料理」で括れる程度にはずぼら仕様だよ




 息を合わせて、せーのっ!
「「「「「Happy Halloween!」」」」」
 仕事を終えて館に帰ってきた壱華・千秋・牛・悟郎の四人に合流するフロース・ウェスペルティリオ(蝙蝠花・f00244)、エドガー・フォーサイス(ボーンフィリア・f28922)、月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)の三人。まずは労をねぎらい、それから令嬢への挨拶。
「無事花を届けられてよかったぜ。領主……親父さんが早く元気になってくれるといいな!」
「これだけの量のアッリデーレです。領主さんのご病気、何とかなりそうで良かったです。一日も早くよくなりますように」
「……領主殿が快方に向かうようお祈りを。大丈夫だ、優しき娘の願いは必ず届く」
 声を掛けた壱華、千秋、牛の言葉に、顔を綻ばせる令嬢。『今夜はご友人の方々とお楽しみになって下さいね』とずらりと並ぶ料理を勧められた。季節に合わせた南瓜料理や、アックス&ウィザーズ特有の料理、カラフルなデザートにお菓子、ドリンクもあって、どれから手を付ければ良いか迷ってしまう。
「さぁさ、皆さんでパーティといきましょうか」
「皆さんのお陰で僕らも楽しいイベントに預かれますね……!」
 大きな帽子を被りぱんぱん、と魔法を掛けるように手を叩く千秋に、頷くエドガー。しかし「うっ」と言葉を詰まらせる者が一人。どれも美味しい料理ばかりであろうが、残念ながら悟郎は小食だった。しっかりと見定めて選ばなければ、すぐに腹いっぱいになってしまうだろう。
「俺は皆の感想を参考にして、この世界ならではの珍しい料理やスイーツを頂くことにしよう」
「おや、悟郎殿は小食なのですか? ならば、色々なものを少しずつ食べれば楽しめるでしょうか」
「食べきれない分はウチにお任せあれだよ!」
「べこも、沢山食べれる故、お腹のことは心配無用」
 天狗二人は少量を皿に盛って「これは美味しい」「これも美味しい」「全部美味しいんじゃないか!」とボケとツッコミを展開。そうなればもうパーティは賑やかな舞台へと変わる。美しい曲が流れ、人々の賑わいで心が湧き立つ。
 折角お誘い頂いたパーティだ、余興のひとつにお手玉でもいかがかな? とフロースは曲に合わせて、エドガーから「えいっ」と投げ入れられるお菓子をジャグリング。液状の身体を活かしてお菓子を手から体内に取り込みつまみ食いをしたり、代わりに水まんじゅう姿の分身体を加えたりと即興で人々を楽しませる。
「豪華で賑やかだろうとは思ったが……予想以上だなぁ。皆の仮装もすげぇに合ってるぜ! てか俺、皆と比べて……白くね? 浮いてねぇか、大丈夫?」
「大丈夫、浮いてないですよ。魔法使いに、美男子天狗デュオ、ダブル嫁入り……趣向が凝ってるなぁ……水まんじゅう美味しそう……」
 食べながら呟く壱華の仮装は狐の嫁入りと赤べこの嫁入り。白無垢が華やかながら清楚な印象を受けつつ、紅色が鮮やかで、浮くどころか目出度い席にはぴったりの仮装だろう。
 エドガーは許可を得た通りの赤べこ。頭には面を、身体には袴に赤べこの印が入った羽織。和装が案外着心地が良いものだと知って、これからも着てみようかな、等と思ったり。
「あかべこの仮装、に嫁に行ったベコの晴れ姿……嬉しすぎて直視できぬ。感動」
「そうそう、紅殻家から嫁いだベコ子だぜ! 似合うだろー、ベコ子の白無垢!」
 えへへんと笑う壱華に、余程嬉しかったのか、牛は両手で目を覆い隠し、それでもチラリと隙間から覗き見る。あああなんと素敵なのだ! べこ鬼の目にも涙だ。そう、今日の牛は赤鬼……ではなくべこ鬼(きりっ)! このツノだってよく出来ているだろうと自慢げ。
「牛さんのべこ鬼は響きも良いですね。似合ってますよ」
 エドガーの言葉に「それほどでもある」とぼんやり眼を心なしかぱっちりさせる牛。褒められて嫌な気分になるような仮装はしてないといったところか。

 程よく腹もこなれてきたところで、リカーのコーナーへと移動する夜彦、千秋、フロース、牛。みなそれ程酒に強いわけではない。フロースに至っては飲み始めてまだ半年程度だし、強いのか弱いのかもよく分からない。今のところは何の問題も起きていないので、もう少し強い酒にも挑戦してみようかなとバトラーに頼む。逆に牛や千秋に夜彦は酒に弱いので、あまり無理をしない範囲で。
「お酒は最初の一杯だけで。あとは色々な色のジュースを頂きますね。それにしても、色はお祭り的な奇抜な感じですけど味は……?」
 千秋は恐る恐る緑色のそれに口を付けると、ふわりと広がる酸味とハーブの効いたジュース。初めて飲む味に困惑しつつも、美味しいとこくこく飲む。ハーブ特有の少しの苦みが、酸味を緩和しつつ調和がとれている。レシピを聞いても良いかな? とうずうず。
 一方フロースはといえば、紫色に赤が混じった毒々しい色の酒を飲んでいた。注文の通り度数がそれなりにあるものを頼んだため、まずは一杯! の一口目から危うく身体が溶けそうになるところだった。
「ぶほ……美味しいんだけど、ウチには大人の味すぎるねぇ。喉が焼けそうだよ」
「フロースは何を飲んでいるのだろうか」
「ウチもようわからんけど、めっちゃ辛いよ。牛さんも飲む?」
「……酒は飲めるがぐるぐるするのでな、少しにしておく」
 フロースの恰好は道化師。あんなに辛かったお酒も、此の仮装の前ではパっという間に消えてしまう。一体どこにいったのか、それはぜ~んぶ闇の中……。そんなフロースを見ながら、牛はバトラーにあかべことにじべことべこの嫁入り3つを注文。トレイに乗せられた其々赤・虹色・乳白色のお酒に目を輝かせる。飲んでみれば口中に蕩ける甘い蜜の味。
「……悟郎、悟郎、これ美味しいのでお勧めするぞ。夜彦も家族にお勧めだ」
「そうか? じゃあ一杯頂くぜ」
「ありがとうございます、牛殿。では私はこの白い酒を頂きましょう」
 美味しい料理を求めてあれやこれや食べていた悟郎と夜彦のW天狗を呼び込んで飲ませてみれば、にんまりと笑顔が浮かぶ。甘い、それなのにしっかり酒の味がする。果実特有の甘さと、皮の渋み、そこにシロップや蜂蜜を混ぜ込めば、柔らかな味わいの酒が出来上がる。
「この虹色のお酒どうやって作ってるんだろうねぇ」
「色調が綺麗だ」
 鮮やかなグラデーションを描く虹色のお酒。かき混ぜてしまうのが勿体ない。色をそのまま保てるように、下からストローでゆっくり吸っていく牛。味わいも色によって違うのか、花のような香りだったり、味わった事の無い味だったりと、色んなものが混ざって押し寄せてくる。牛、吃驚。フロース、興味津々。

 皆で席に戻ってみれば、エドガーがちまりちまりと料理を食べている横で壱華が唸りをあげている。長テーブルのデザートゾーンに狙いを定めた壱華は、袖を捲りあげてあれもこれもと皿に盛っていく。あのカラフルなやつはなんだ? ケーキか? おっと、あっちのパイも美味そうだ!
「俺、取ってくるな! もちろんみんなの分も! 嫌いなものねぇかー?」
 言いながらも身体は既に前へと進んでいる。緑色のスフレにオレンジ色のプティング。紫色のワッフルに、アイシングされたクッキーの数々。どれもこれも美味しそうで、根こそぎ持っていきたい気持ちに駆られる。とりあえず皿に乗るだけ乗せて、みんなの元へ戻ってきた。
「これ、ジャムが入ってて美味しかったぜ! こっちはドライフルーツが入ってて、こっちは……」
 壱華渾身の説明を聞いているんだかいないんだか、皆各々手に取って食べてみる。百聞は一見にしかず。言われた通り、どれも美味しくて、此処に居ない仲間へのお土産にしたい気持ちが湧いて来る。こういう席でお持ち帰りは普通駄目なのだが……思い切って悟郎は令嬢へ訊ねてみた。
「すまない、此処の料理がどれも美味しくて……来れなかった仲間の分に、持ち帰っても良いだろうか」
『まぁ、気が利かなくて申し訳ありませんわ。すぐに箱を用意しますので、お待ちいただけるかしら』
「ああ、容器は大丈夫です。ユーベルコ……天狗だからな、妖術くらいお手の物。自分で準備出来る」
『天狗というのは斯様な技もお使い出来るのですか……!』
 驚く令嬢に、夜彦は「上手い事躱しましたね」なんて顔で見守って。そんな彼が食しているのは、アックス&ウィザーズで採れる食材を使った料理。地域の味が気になる夜彦が手にしたのはワイバーンの肉に、サラダはマンドレイク、魚は見たこともない狂暴な歯を剥き出しにしたものの生け造り。
 これらの食材を十分に味わって、肉や魚、甘味を中心に食べる。どれも美味しいが、これは悟郎でなくともお腹がいっぱいになってしまいそうだった。現にまだ並んだ料理の半分も食べていないのに、次から次へと料理は運ばれてくる。食材が異なるだけでも味が随分違うのだと感じる。
「ほら、耐熱耐寒容器。皆もどうだ?」
「ここの料理を詰めてお土産に? いいと思います。ここに来てないお仲間さんと食べるのもまた楽しそうな」
 ぱっと取り出した悟郎の幻術により、保存パックが出現する。千秋は来れなかった仲間たちに想いを馳せ、今日あった出来事を話しながら一緒に食べようと思い、まずは肉をドスっと入れる。何はともあれ肉だ。男子は肉が好きと太古より相場が決まっている。
 色んなものをちょっとずつ食しつつも、取り出された容器にぱぁっと明るい表情を浮かべる壱華。
「え、持って帰れんの? じゃあ、パイ持って帰りてぇな!」
 折角のハロウィンなのだ、パンプキンパイは欠かせない。それならばとフロースも黒花印の目録本で収納を手伝う。『パーティー料理』で括れる程度にはずぼら仕様なのが此処に来て役にたつとは。
「流石に上限まではいかないけど、保存食くらいにはなりそうなくらいに沢山詰められるねぇ」
 背が高い人は良く食べるイメージがあるが、悟郎さんは小食なんですねえ……とエドガーは思いつつ、詰める作業を率先して手伝う。SNS映えを良くするのは得意だと、彩を意識しながら色合いが似た者が隣り合わせにならないように……より美味しそうに見えるように形も整えてみる。完璧、と思った矢先被っていた赤べこの面が落ちてくる。集中しすぎて下を向きすぎていた。
「折角だから僕も色々つまみ食いを……あ、悟郎さんこれも美味しそうですよ!」
 と、牛の逆から皿を盛る。どんどん入っていく容器。肉の、魚の、サラダの、デザードの、そしてお弁当のように全部が取り揃えられたものまで。こんなに持ち帰って良いのか? と想いチラリと令嬢を見るが、『そのように気に入って下さったのですね』と嬉しそう。
「僕はこんな感じになりました。写真撮りますか?」
 差し出されたエドガーの容器は、色合いもさることながらバランスのとれた理想のお弁当といった具合。中には珍しい食材もあって、見た目からはいる興味も抜群だ。ただ美味しそうなだけじゃなく、これぞ映えの業前。バズり間違いなしだろう。
「持ち帰りならば私も頂きたいです。南瓜を使った甘味が美味しかったので、家族にと。きっと喜んで頂けると思います」
 家族の喜ぶ顔を想像すると、心が温かくなるというもの。夜彦はそれだけで心が満たされるような気がした。あとは実際の満腹感である。あれやこれやと手を出して、相当腹も膨れた。酒に入っていた炭酸も効いているのかもしれない。
 エドガーの彩御前をみんなで写真に収め、其々好きな物を詰めていく。夜彦は先述の通り地方料理を、千秋は色んなお菓子を、壱華はパイを全種類、牛は色鮮やかなケーキを、フロースは洋酒の入ったチョコレートを、エドガーはぷるぷるなプティングを、そして最後に、悟郎は皆からのオススメを組み合わせて。
 食品業という職業柄、どんな食材を使ってどんな調理法をされているか想像しつつ、菓子の味を楽しむ千秋。UDCアースの子どもも喜びそうな味を見つけて、それも容器に入れた。
「いやぁ~詰めたな!」
「牛はまだまだ入るぞ」
 元気そうな壱華と牛を前に、年長者である夜彦はふっと微笑む。何と愉快で、豪快で、痛快な夜なのだろう。皆が楽しみ、騒いで、愉悦を共にする。嗚呼、今夜は屹度よく眠れそうだ。腹も膨れて、お土産も出来て、誰かの役に立てたのだから。
「報酬とはいえ、これだけのパーティーを用意してくれたお嬢さんに感謝を。親父さんへの想いが報われることを祈っておくぜ」
『ありがとうございます。皆様が楽しんで下さったのなら、私も父も光栄ですわ』
 さぁ、まだパーティは終わらない! あそこにもここにも、食べてない料理やお菓子が沢山。それにまだ、あの一言を言ってない。ゾンビに扮したメイドさんに、フロースが声を掛ける。
「ふふ、トリック・オア・トリート?」
 7人に配られた色の違うキャンディを各々懐に仕舞って、さぁ、パーティの夜を楽しもう!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】
狼男仮装(黒の獣耳&尻尾)

お待ちかねのご褒美パーティー
ひと仕事終えたあとは特に美味しく感じられるね
可愛いジャックオーランタンなパイや
ちょっと怖い魔女の指ウィンナーなど
存分に食べ物を堪能したあとは
梓と一緒にドリンクコーナーへ
バトラーさんに「相手のイメージカラー」を伝え
お任せカクテルをお願い
梓は…少し悩んだけど、赤と青かなぁ
いつも傍らに居るドラゴン達の色なんだけどね

カクテルを持ったままバルコニーへ
確か満月の光を浴びると狼に変身するのが狼男だっけ

いいこと思いついた、って顔で
梓梓、トリックオアトリートっ
わぁ、ありがとうー…ってお菓子持ってたか
今なら堂々と悪戯出来るチャンスかなって思ったんだよ


乱獅子・梓
【不死蝶】
狼男仮装(灰色の獣耳&尻尾)

はいはい、お前達にも食わせてやるから
目を輝かせる焔と零に料理を与えていたら
ぶっちゃけ俺があまり食えていないが
まぁ幸せそうに食べる二匹が
心底可愛いから良しとしよう

綾は悩むまでもなく黒と赤だな
偶然にもマドラーに蝶の装飾が付いてて小さく笑う
見た目だけじゃなく味も一級品で満足

パーティーの賑わいから少し離れ
ゆったり月と星を眺める
じゃあ今の俺達にピッタリだな

今それを言うのか…!?
じゃあコレやるよ
懐からクッキー(アイテム)を取り出し
綾の口に一枚突っ込み
ってそんなこと考えてたのかお前…
意趣返しとばかりにこちらからもトリックオアトリート
お前こそ何も持ってないだろうからな




 狼男に仮装した綾と梓は、お待ちかねのご褒美パーティにわくわくが止まらない。長テーブルの上、ピンと張ったテーブルクロス上にずらりと並ぶ豪華絢爛な料理の数々。あれは何の肉? これはなんて魚? あのプルプルしたゼリーみたいなものは何? 好奇心が止まらない!
 まぁまぁ、まずは定番の可愛いジャック・オー・ランタンなパイから。想像とはまた違ったアレンジが銜えられているようで美味しい。ちょっと怖い魔女の指ウィンナーなんかも食べて、思わずにんまりとしてしまう綾。
 梓はといえば、目を輝かせる焔と零。食べ盛りの仔竜、なんでもかんでもはぐはぐと飲み込んでいく。一生懸命食べさせているせいでぶっちゃけ自身があまり食べられていない。しかし、可愛い二匹が幸せそうに食べる姿を見ると心底胸がときめくのでヨシとする。
「ひと仕事終えたあとは特に美味しく感じられるね」
「ああ、令嬢も安心した様子だったし、これなら存分にパーティを楽しめるってもんだ」
 肉を引き千切ってもぐもぐする綾は、梓の口にも目玉を模したグミをすっと差し出して食べさせる。食べさせてる人に食べさせるなんて、なんだか可笑しいね、と笑う。料理をある程度堪能したら「これめっちゃ歯ごたえある」とグミと格闘する梓を引っ張って、ドリンクコーナーへ。
 シャカシャカとシェーカーを振るバトラーに、相手のイメージカラーを伝えてお任せカクテルをお願いした。綾は悩むまでもなく黒と赤だろう。濡羽色の黒髪に、真朱の瞳。普段は隠れているその瞳を隠す眼鏡の色もまた赤だ。美しくも少し恐ろしいような、そんな色合いの相棒は、いつものように笑っている。
 はて、梓は何が似合うだろうと綾は少し悩んで……赤と青でお願いした。いつも傍らにいるドラゴンの色。それはもう梓の一部になっている。耳飾りの黒や、髪の毛の白でも良かったけれど……それでは綾と似たり寄ったりになってしまうから。
 バトラー達が注文に合わせ、シェーカーを上下に振り、とろりとシロップを流し込んだらその上に混ぜたアルコールを流し込み。完成したドリンクは下から燃え上がるような赤が澄んだ空に染みていくようなカクテルと、黒にほど近い赤が、上に行くほど段々とはっきりした赤になっていく二層構造のもの。偶然にもマドラーに蝶の装飾がついていて、梓は小さく笑った。全く、洒落が効いてる。
 パーティの賑わいから少し離れ、カクテルを持ったままバルコニーへ。ゆったりと月と星を眺める、柔らかで温かい時間。
「確か満月の光を浴びると狼に変身するのが狼男だっけ」
「じゃあ今の俺達にぴったりだな」
 煌々と照る月は二人のピン! と立った耳にも光を浴びせ、さぁさ今こそ本性を見せなさいと急いて来る。その月光に当てられたのか、綾はいいこと思いついた、って顔で梓に近寄り。
「梓梓、トリック・オア・トリートっ」
「今それ言うのか……!? じゃあコレやるよ」
 しんみりと月明かりに照らされて情緒的な雰囲気を楽しむところだろ、とツッコミたくなった梓だが、今日はハロウィン。あの言葉には誰も逆らえないのだ。懐から桜型のクッキーが入った袋を取り出し綾に渡す。自分も一袋開けて、綾の口にプレーンなそれを突っ込む。不満気に咀嚼する綾。ついでに自分も抹茶味を食べる。
「わぁ、ありがとうー……って持ってたかぁ。今なら堂々と悪戯出来るチャンスかなって思ったんだよ」
「そんなこと考えてたのかお前……ってコトはだ?」
 カクテルをくいっと一杯飲み、喉を潤してテーブルにグラスを置くと、手をわきわきさせながら梓は綾に攻め寄りニィっと笑む。あ、これヤバいやつ。と綾が思った時にはもう遅い。
「こっちからもトリック・オア・トリートだっ。お前こそ何も持ってないだろうからな!」
「わーっやめやめ! 耳取れる!! うーん、こ、これじゃダメ?」
 手渡されたのは内緒のないしょ。とっておきのアレ。勿論二人とも成人しているし、合法と言われているのだけど……阿片はお菓子に含まれるのかと言われたら世界中の人が否と言うだろう。
「良いわけあるか」
 ぽかっと軽く綾の頭を叩く梓。綾は「秘蔵のブツだったのに……」としょんもりしている。音楽に合わせて喧噪が聞こえ、風が頬を撫ぜる。大変な戦いではなかったけれど、結構頑張った気がする。それを思い出して、梓は綾に向かってカクテルを掲げた。
「ま、仕事は仕事だ。楽でも意味がある。俺達の力が役に立ったんだから、良しとしようぜ」
「そうだね。楽しい夜も過ごせてるし。これ飲み終わったら、また料理食べようよ。今度はピザみたいなの食べてみたいな」
「おう、じゃあ今夜限りの獣の夜に」
「「乾杯!」」
 そうして、綾と梓と二匹の仔竜は、腹がぱんぱんになるまで(主に仔竜達が)出てくる料理をひたすらに平らげていったという。



 後日。ギルドに張られた解決済み依頼の中に、『無事お父様の病状が良くなってきています! 皆様のお陰です、ありがとうございました』と書かれた書状があったとな。それを見た領民や冒険者はみな「あんな危険な夜の森に行くなんて、一体どんな勇敢か無謀な奴らだったんだ?」と小さな謎が残ったとか。

【GOOD END!】

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月03日


挿絵イラスト