9
希望を絶望に染める者~悪意は苦役に形を変える

#ダークセイヴァー

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ダークセイヴァー


0




 ここはとある村、一度ならず二度もオブリビオンに襲撃され、猟兵によって脅威を退け、人々にとっては希望をもたらす拠点へとなりつつある。
 故に、噂を聞いた人々が助けを求め、訪れるのは必然であったのだが……これまでの流民とは訳が違う問題が発生していたのだ。
「これ以上は無理だぞ、リマ? 助けたいのはわかるが、このままじゃ村そのものが」
「わかっています、けど、見殺しになんて……」
 少女に詰め寄る青年はニック、そんな彼に名を呼ばれ、苦しげに顔を伏せた少女はリマ。
 過去にこの村を襲撃したヴァンパイアとの抗争でヴァンパイアに利用され、されど最後には猟兵と共に立ち向かった者たちであった。
 そんな両者の意見が対立するのは村の状況がかつてないほど悪化しているからである、それも、ヴァンパイアが直接手を出したのではなく、人間に問題がある形で。
「もうこれ以上怪我人や病人が増えちゃ、手が回らない。それに食料も」
「ですけど、断ったらあの人たちは何処に行けばいいんですか!?
 ……あ、ごめんなさい、わかってます、これ以上は村も限界だって。けど、一人でも多く、助けなきゃって」
 冷静に村の苦境を伝えるニック、感情的に反論するも、現実と理想の狭間で苦悩するリマ。
 両者の対立、その原因はここ数日、一気に増えた傷病者の流民、その対処についてであった。
 初めは受け入れに問題はなかったが、村にたどり着く傷病者が急増、結果として住居も食料も足りなくなり、村の生活を圧迫。
 先に辿り着いた者も、いつ自分たちが追い出されるのかと疑心暗鬼に陥って村全体がギスギスし、対立構造が生まれつつあったのだ。
 ではなぜ、こんな状況になってしまったのか?
 それは別の場所で行われる行為が原因であった。

「なるほど、そうやって猟兵をおびき出すということか」
『そのとおり、貴殿はより良き肉体を探せるだろう、そして私もこの世界では得られぬ知識を得ることが出来る』
 闇に浮かぶは蝙蝠、そして粘性の液体、所謂スライムというものであったが……会話を交わす両者は通常の蝙蝠、スライムとは別格の存在。
 片や首から上だけの姿になりつつも生やした蝙蝠の翼で浮かび、数多の眷属を引き連れたヴァンパイア。
 片や体そのものを粘性の液体へと変化させ、必要に応じた形を作る目玉が浮かぶスライムのような姿を持ったヴァンパイア。
 そんな両者が意思疎通を行う中で、闇の中から声がした。
「お二方の協力、感謝いたします。目的を達する為の準備は整いました、此方の戦力も滞りなく」
 姿を見せぬ何者か、されど悪辣な策がある事だけは確かであろう。
 闇の中から粘性のナニカ、が蠢く音響き、それが幾つも重なり合って多数の戦力であることがうかがい知れて。
「フン、貴様らの思惑に乗せられるのは癪だが、効率的ではある。もし標的がこなければ」
『殺さぬ様に傷つけ、病を撒き散らし』
「指定した村へ追い立てる、という手筈でお願いします。もっとも、猟兵は人間を救うために高い確率で現れますので心配は無用かと」
 三者三様の思惑が闇へと溶け込み、ヴァンパイアたちは行動を開始する。
 ある者は強き肉体を奪う為、ある者は知識という知識を収拾する為、またある者は希望抱いた人々を打ちのめす為に。

 そして、物語は動き出し……。
「う、うわぁああ、た、助け……ぐうっ!」
「ほらほら、逃げろ逃げろ、命だけは助けてやるぞ、感謝して逃げるのだ」
 蝙蝠の翼を生やした頭部、先のやり取りにて体を求めたヴァンパイアが逃げ惑う人々を追いたて、その体に傷をつけ、骨を砕くも死なない様に急所は外す。
 痛みに倒れ、動けぬ者を抱え上げようとした者にも容赦なく攻撃を仕掛け、とある村を目指した流民の集団は一瞬でパニック状態に陥っていた。
 だが、逃げようにも周囲はこのヴァンパイアが放った眷属に囲まれ、傷つきまともに動けぬ者だけが囲みの外へ放り出されるという最悪の状況。
 助けを求む叫びが響く中、更なる犠牲者を求め、そして猟兵の体を奪うことを目的としたヴァンパイアの蛮行は始まったばかりであった。


「た、大変です! ダークセイヴァーでまた、酷い事件が起こっているんです!」
 集まった猟兵を見つけたケーレス・ネメシア(怪奇人間の死霊術士・f25216)が駆け寄って、急ぎの事件だと矢継ぎ早に説明を開始する。
 今回彼女が予知したのはダークセイヴァーで複数のヴァンパイアが、それぞれの思惑を果たすべく協力している事件だという。
「えーとですね、以前猟兵の皆さんで救った村なんですけど、そこが今、住む所を失った人たちを受け入れる拠点としても機能していたんです。
 でも、その状況を良く思わないヴァンパイアが悪さをしまして、怪我人、病人ばかりがそこへ向かう様に、人々を傷つけ追い立てているんです。
 その結果、村では怪我人、病人の対応で手一杯、働き手が増えるわけでもなくどんどん疲弊して、これ以上の受け入れは無理、って形になっているんですけど、そうなると先に受け入れた人と、受け入れられなかった人の対立が出てきちゃいますし。
 先に村に入った人も、自分たちも追い出されてしまうんじゃないか、って不安になってるんです。
 これ以上、人が増えたら受け入れ拒否、最悪、村の内部で騒動が起こって無茶苦茶になっちゃいますけど、それをする為にまたヴァンパイアが流民の人を襲っているんです」
 一つの立ち直った村、それを滅ぼすために直接乗り込むのではなく、傷つき、病んだ人々を利用するという悪辣な手段。
 それに加え、同時に更なる思惑が動いているという。
「怪我人や病人を送り込むだけなら、黒幕な相手を探してやっつければいいんですけど。
 どうも、人々を傷つける為に他の強力なヴァンパイアが協力しているようでして……此方は村のことはどうでもよく、猟兵の体を奪おうとしたり、知識を奪いたい、だから誘い出したいという事で協力しているみたいなんです。
 でも、このまま放置したら怪我人と病人ばかりが村に殺到して、どうにもならなくなっちゃいますし……何より、苦しめる事を見過ごすわけにはいけませんから!」
 慌てながらも状況説明、村を狙うヴァンパイアと、猟兵そのものを狙うヴァンパイア、複数の思惑が重なっての戦いであるという事だ。
 となれば、先ずは急ぎ、追い立てられる人々を救いこれ以上村に負担をかけないようにするが先決とばかりにケーレスは角灯掲げ、炎を灯す。
「い、今は急いで救出するのが先です。まずは皆さんを狙うヴァンパイアを退けて、その後に村を狙うヴァンパイアを迎撃する形になりますがよろしいですね?」
 言うや否や、彼女はグリモアを起動させ転送準備を完了。
 複数の思惑が溶け込む闇の中へ炎の明かりを頼りにし、猟兵達を送り出すのであった。


紅葉茉莉
 こんにちは、紅葉茉莉です。

 今回はシリアスに、連作シナリオをお届けします。
 オープニングでも説明していますが、今回のシナリオは猟兵の皆様を狙うオブリビオンを迎撃するシナリオです。
 同時に、襲われ負傷、病という危機にある人々を守る事も必要なシナリオです。
 このシナリオの結果にて、次のシナリオで村の置かれている状況や、戦況に影響が出ます。

 第一章では猟兵の体を奪い、人々を傷つけ誘い出そうとするヴァンパイアを撃破します。
 第二章では村を狙うヴァンパイアが用意した配下の集団を殲滅してください。
 第三章では猟兵の知識を狙うヴァンパイアを撃破する事が目的となります。

 どの章でも、ヴァンパイアや配下は猟兵との戦闘ついでに、村を目指す流民を死なない程度に痛めつけ、傷つけることを狙いますのでご注意ください。
 また、自身が危機的状況なら数人の殺害も容認し、人質をとるような真似をする事も考えられますので、その点にも注意してください。

 戦場となる場所は足場の悪い、湿地帯を通る街道となります。
 むき出しの地面で乾燥している場所は問題なく戦えますが、ぬかるんだ場所に加え。
 幾つかの木々が立ち並び、湿地には背丈の高い雑草(成人男性の膝~腰程度)が草むらを形成しており、場合によっては足をとられる可能性がありますのでその点にご注意ください。
 遮蔽物として木々は利用できますが、強度は然程高くありません。

 情報としては以上となります。

 では、ここまで長文を読んでいただきありがとうございます。
 連作シナリオの第一作、人々を狙い、猟兵を誘い出す敵との戦闘シナリオ、ご縁がありましたら、よろしくお願いします。
88




第1章 ボス戦 『失落卿アンドラーシュ・マッカラム』

POW   :    禁断のアマルガム
攻撃が命中した対象に【ヴァンパイアの細胞】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【アンドラーシュと融合させる肉腫浸蝕】による追加攻撃を与え続ける。
SPD   :    ボディスナッチ
命中した【椎骨】の【神経】が【対象の身体を乗っ取る肉蝕神経】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
WIZ   :    イビル・アヴェンジャー
全身を【眷属である吸血蝙蝠達】で覆い、自身の【身体を得て、雪辱を果たしたいという執念】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナギ・ヌドゥーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

四季乃・瑠璃
翡翠「そんな姿でまで人を苦しめるなんて…」
緋瑪「悍ましいね」
瑠璃『いいよ…確実に殺してあげる』

UCで分身

接敵前に【クリエイト】でフレンド等の猟兵の外見をした人形(遠隔操作。遠隔自爆装置内蔵)を大量創造。
分身の緋瑪と人形体の翡翠のみで人形達を引き連れ、大量の猟兵が駆けつけた風を装って接敵。
猟兵人形をけし掛けて攻撃を仕掛け、敵が猟兵と思って人形の肉体を奪おうとしたら遠隔自爆で爆破。
緋瑪と翡翠はそのまま人形達に紛れ、攪乱しながらK100での銃撃や攻撃の為に降りてきたところを時限式ボムでの爆破で攻撃。
更に遠距離で潜んでた瑠璃が機を見て【クリエイト】したスナイパーライフル(銀の弾丸入り)で脳天狙撃するよ


純真邪神・幼淫魔姫ピュアニカ
「んー♪こっちからいい【絶望】の香りがするねー!」
彼女は義務感や正義感なんて物で行動していません。己の欲望のままに動きます。

「じゃまー!」
髪と両手を龍顎に変え、辺りを焼き払おうとします。

「わー、かわいくなーい!」
散歩してたら変なのに襲われました。

村を包む大量の絶望を喰らい、敵からの憎悪すらも力に変えて淫魔の大群勢を召喚。歌で味方を強化。
敵の攻撃はスライム化や霧化で回避を狙い、被弾したら捕喰で逆に侵喰するかスライムにして切り捨てます。

翼を細かく切り刻み、髪を引き抜き、ジワジワ酸で溶かし、可能な限りの恐怖と絶望と苦痛を与えて味わおうとします。
飽きたらポイッと上に放り投げ龍顎で捕喰するつもりです。


エウトティア・ナトゥア
アドリブ・連携歓迎

やれやれ、もっと愉快な事を考えられないものかのう?

さて、まずは流民たちの安全を確保せぬといかぬな。
【秘伝の篠笛】を吹き鳴らし狼の群れを呼び出して、流民たちの避難を助けるのじゃ。
【団体行動】で狼の感覚で先導し、動けぬ者や老人・女子供は背に乗せ、彼らを護衛するのじゃよ。

わしは【巨狼マニトゥ】に【騎乗】し、殿を務めるかの。
近接の攻防と回避はマニトゥに一任して馬上から【追尾】する矢を射かけてヴァンパイアをけん制するのじゃ。

ふむ、早いのう。それならば…
精霊の唄を歌い、(【浄化属性】の【日差し】)浄化の陽光を生み出して敵の目とその身を焼くのじゃ。
いくら速く動こうと光の早さにはかなうまい。



 追い立てられ、湿地に生じたぬかるみに足を取られ転倒する者が居る。
 誰かを庇い、傷つき倒れ、嘲笑われる者が居る。
 皆を見捨て、一目散に逃げるも蝙蝠に阻まれ押し返される者も居る。
 十人十色、オブリビオンに襲われた人々の反応であったが一つだけ共通する事、それは誰一人命を奪われていないのは幸運と言うべきか、はたまた悪辣な思惑か。
 このままではオブリビオンの望む、悪逆非道な行いが成就してしまうがそれを阻むべく猟兵達が姿を見せたのはその時であった。
「フン、ようやくお出ましか……? それとも、恩を売る為に待っていたのか?」
 猟兵の気配を感じ取りつつ、助けに来た存在へ疑念を抱かせ疑心暗鬼にさせる事も忘れずに。
 失落卿アンドラーシュ・マッカラムは生やした翼を羽ばたかせその方角へと向き直れば。
「そんな姿でまで人を苦しめるなんて……」
「悍ましいね」
 視線の先には瓜二つの見た目をする少女、翡翠と緋瑪、そしてぼやけて詳細わからぬも多数の人影が同時に見える。
 ただ、二人の主人格となる四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)が見当たらない事に、分身を、そして人形を用いる彼女を知る者が見れば違和感を覚えるだろうがそれを知らぬオブリビオンには多数の猟兵が姿を見せたとしか映らない。
 その様子を値踏みするように見ながらアンドラーシュは不敵に笑う。
「ククク、自分から取り込まれに来たか、愚か者めが!」
 歓喜を示すように翼が激しく動きを見せれば、流民を包囲する最低限の眷属蝙蝠を残しつつ、アンドラーシュは翡翠と緋瑪を狙い急接近。
 眷属の蝙蝠も彼に続き、多数の猟兵の中から主の新たな体にふさわしい者を探す様に飛び回り、多数の人影へと飛び込むが……アンドラーシュは瞬時に違和感を感じとり、狙いを緋瑪に絞っていた。
「ッ!? この動き、単調な……人間ではないな!?」
「あちゃー、見破られちゃったね♪」
「まあそれなりに、頭だけだから頭は回るんだね」
 悪戯っぽく舌を出し、懐から爆弾を取り出した緋瑪と彼女を援護する様に拳銃を引き抜く翡翠。
「あ、翡翠、うまいこと言ったね♪」
 その発言にポンと手を打ち、飛び回るアンドラーシュと蝙蝠目掛け緋瑪が爆弾投げ込めばそれが開幕の合図となる。
 一つ目の爆発、それに呼応するように蝙蝠たちに肉薄していた人影、つまりは猟兵と偽装した人形たちが次々と自爆。
 爆発の直撃受けた蝙蝠の翼が燃え上がり、煙を引いて泥濘へと落ちていく。
 本来ならばアンドラーシュが乗っ取り狙った際に自爆させる予定であったが、見抜かれたのなら仕方ない、別の使い方をするまでと遠隔爆破で眷属の数を減らす為に翡翠が自爆させたのだ。
「ええい、やってくれたな! こやつ等に構う暇は無い、包囲をかけよ!」
 爆風を翼で起こした風で払いのけ、眷属の吸血蝙蝠に多数の猟兵、に見せかけた人形の相手など不要と指示するアンドラーシュ。 
 人形集団の中で目立った動きをする緋瑪と翡翠は自分が相手をするので人々を逃がすなと命じるも、この間に生じた包囲の緩まりを逃さぬとばかりに戦場に響き渡るは透き通った篠笛の音色が一つ。
 それと同時に蝙蝠を噛み千切り、爪で引き裂き地面に押し付け潰し、戦場になだれ込むは狼の群集団。
 空飛ぶ恐怖からより身近な、陸駆ける恐怖の獣、その姿に怯える流民であったが不安を打ち消す様に戦場に響く少女の声。
「落ち着くのじゃ、そやつらはお主らを襲いはせん! 動けぬ者は背に乗って逃げるのじゃ!」
 声の主は狼を篠笛にて自由自在に操るエウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)
 彼女は戦場を包む蝙蝠が猟兵、を偽装した人形に向かい薄まった一瞬の隙を突き、流民を救うべく最良のタイミングで戦場に介入していたのである。
「ぐっ、貴様ら、よくも……!」
 忌々しげに乱入者、狼の群れを睨み付けつつ蝙蝠を操って、囲みを強化するアンドラーシュ。
 恐る恐る人々が狼に乗り、怪我人や老人、子供といった運動能力に劣る者が一定以上の移動力を得てしまえば、猟兵を押さえ込みつつ人々も逃がさぬは困難と察したアンドラーシュ。
 その焦りを見透かしてか、それともより追い込む為か。白き巨狼の背に乗ったエウトティアが蝙蝠の群れを突っ切って人々を守るように姿を見せた。
「しかし、やっておることは小物のそれじゃな? やれやれ、もっと愉快な事を考えられないものかのう?」
 あえて挑発的に言葉を発し、飛び回る蝙蝠を手にした短弓から放つ矢にて射落として。
 続けざまに矢を番え、此度は首謀者たるアンドラーシュを狙って放つも、首しかないとはいえヴァンパイア。
 羽ばたき、高度を上げれば放たれた矢は闇へと消えてアンドラーシュは無傷、そのまま旋回しつつ猟兵と自軍の布陣を見渡していた。
「フン、その程度の矢で私を落とせると思うとは。見くびられたものだな!」
 憤怒の声、それと共に多くの蝙蝠たちがアンドラーシュの元へと集い、巨大な蝙蝠の如き体を形成する。
 最低限度の包囲を残し、自らは攻撃力を高め猟兵を一気に仕留めようと判断しての行為であったがそれを許さず、人々を守るべく手を打つのが猟兵である。
「ふむ、早いのう。それならば……」
 手にした弓をひとまず下ろし、胸元で両手を組んだエウトティア。
 そのまま奏でるは精霊へ届ける歌、光を、太陽の恵みを司る精霊への歌声は彼女の前方に暖かな光の球体を生み出せば、そこより放たれる浄化の陽光。
 光を無くしたダークセイヴァー住民には体も心も暖める、求めた希望の光。
 ヴァンパイアには、その身を焼き焦がす浄化の光を。
「ぐぉおおお!? こ、この光はっ!」
「どうじゃ、いくら速く動こうと光の早さにはかなうまい」
 放たれた陽光、その浄化の力によって形成された体が焼かれ、目がくらんだその瞬間。
 戦場に鳴り響く遠雷が如き銃声、それと同時にアンドラーシュの額から赤き血が噴出した。
「苦しめ続けるなら、容赦しない……確実に殺してあげる」
 その銃声、白銀の弾丸を放ったのは最初に偽装軍団を引き連れた翡翠、緋瑪の主人格であった瑠璃。
 戦場に潜み、距離を離し、ユーベルコードで生み出したスナイパーライフルを構え待ち続けた彼女は最良のタイミング、絶対外さぬ一撃を放っていたのである。
 このまま形をつくっていては眷属ごとまとめて消耗するだけと一時分離、散開しての立て直しを図るアンドラーシュ。
 包囲網を広げつつ、自らは眷属に紛れ次の手を考える彼ではあったが、次に聞こえた戦場に不釣合いな言葉に思考が乱されたのはその時であった。
「んー♪ こっちからいい【絶望】の香りがするねー!」
 まるでピクニックにでも来たように、人々の命が掛かった戦場にもかかわらず。
 自らの欲望を満たす為だけに、お気楽な言葉を紡いでいたのは純真邪神・幼淫魔姫ピュアニカ(永遠に無垢なる幼く淫らな魔貌の邪神姫・f30297)であった。
 彼女にあるのは義務感や正義感ではない、ただ己の欲望を満たす為の絶対的な渇望のみ。 
 甘美な絶望を味わおうと訪れ、人々の嘆きの気配と共にアンドラーシュの苦悩からも絶望を感じ取った彼女は軽やかな足取りで。
 されど幼き体には邪魔でしかない生い茂った草木を前に不機嫌になりながら、その身を、髪と両手が龍の顎へと変化して。
「じゃまー!」
 悪意もなく、ただ自らの行き先を遮るからどけただけだと言わんばかりに噴出された炎がぬかるみを、下草を、立ち木を焼き払い、灰へと変えて、地面を乾かす。
 そうして出来た見晴らしの良い空間、そこを楽しげに進んだ彼女にとって飛び回るアンドラーシュは突然襲ってきた異物にしか感じられないのは当然のことであり。
「わー、かわいくなーい!」
 突然の遭遇、一方的な評価、勝手に襲われたという決め付け。
 一方通行、相手の言い分もまったく聞かず、自分が感じたことが全て正解だとばかりな態度で突き進み、周囲を見れば絶望と希望の狭間、程よく【美味しい】絶望を持った流民の感情。
「貴様、何を言っている。人の言葉を話すも意思疎通が出来ぬ狂人か?」
 わけもわからず、勝手な言い分を続けるピュアニカの様子に嫌悪感を示したアンドラーシュ、その感情という力の糧があるではないか。
 ならば、やることは一つとばかりにペロリと小さく舌を出し。
「ぴゅあにはわかるよ、いまアナタがぴゅあにどんな感情(キモチ)を抱いているのか……この【舌】で感じるよ♪」
 全身で感じ取った絶望の、嫌悪の感情。
 美味たるそれらを糧として呼び出されるは、数の上での不利を補う彼女の配下たる淫魔の軍勢。
「みーんな、ありがとー! それじゃよわよわになっちゃえー♪」
 そのまま呼び出した軍勢に届けるは、弱体化の力を持った歌声、されど彼女の奏でる歌は効果反転の力を持つもの。
 となれば、弱体化は逆に強化の力となって淫魔の軍勢は飛び交う吸血蝙蝠と互角以上に戦う力を持ち得るのは当然であり、互いに出血を伴う消耗戦が始まって。
「ふふーん、もっともっとぉ。怖がって、痛がってぇ、絶望を食べさせてぇ♪」
 集団を指揮するピュアニカは歪んだ笑みを浮かべつつ、手近な蝙蝠を髪が変化した龍顎にて拘束すれば、次はお前がこうなるとアンドラーシュに見せ付ける様に翼をもぎ、体毛を引き抜いて、皮を剥いであらわになった筋肉へ酸を流して腐食させ。
 激痛に悶える蝙蝠を放り投げ、飛ぶ力を失ったそれが重力に従って落ちる中、最後に右手が変化した龍顎でバクンと捕食。
 敵への威嚇に加え、他の猟兵が守る流民からも恐怖の感情を引き出してより自分の力を高めていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…随分と姑息な手を使うのね、失落卿とやら
肉体と一緒に吸血鬼の品性まで失ったのかしら?

"血の翼"を広げ残像が生じる早業で高速の空中戦を行い、
挑発して存在感を放ち非戦闘員に意識が向かわないよう試みる

…その生き汚さだけは評価するけど、それだけ

これ以上、無様な姿を晒す前に骸の海に還るがいい

全身を生命力を吸収する呪詛のオーラで防御して覆い、
今までの戦闘知識と経験から敵の殺気を暗視して攻撃を見切り、
怪力任せに大鎌をなぎ払うカウンターで迎撃する

第六感が好機を捉えたらUCを発動して懐に切り込み、
限界突破した魔力を溜めた血の斬撃を放つ闇属性攻撃を行う

…せめてもの手向けよ。お前達と同じ血の力で闇に葬ってあげる


霧島・絶奈
◆心情
「ヒト」の善意を利用した戦略ですね
…ええ、とても効率的です
唾棄すべき程に

◆行動
【空中浮遊】を活用
縦横無尽に戦場を駆けます

【罠使い】の技を活かし「魔法で敵を識別するサーメート」を複数設置
敢えて流民の進路上に設置する事で、流民を狙う敵だけに手傷を負わせます

設置後は【範囲攻撃】する『DIABOLOS LANCER=Replica』で【二回攻撃】
一撃目は自己強化と流民の傷を癒す為に地面に打ち込み、続く二撃目に【マヒ攻撃】を込めて敵を穿ちます
更に【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】し追撃
…貴方は執念故に身を滅ぼすのです

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復



「おのれ、おのれ、この私をコケにしおって!」
 羽ばたきながら怒りを向けるアンドラーシュ、既にその顔から最初に流民を襲った時の余裕は消えて。
 妨害者たる猟兵を如何に倒し、乗っ取るかしか頭に無くなっているように感じられた。
 そんなアンドラーシュを更に追い詰めるべく、攻撃を仕掛けていく猟兵の姿が増えたのはその時である。
「……随分と姑息な手を使うのね、失落卿とやら。肉体と一緒に吸血鬼の品性まで失ったのかしら?」
 体を無くしただけでなく、扱う策に美学なしとばかりに品性欠落を指摘したリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)
 その挑発に思わず振り向き、更なる怒りに燃えたアンドラーシュの目に映ったのは赤き血の翼を広げ宙に浮き、在りし日の自身を思い出させるリーヴァルディの姿があった。
「キサマ……この私を愚弄したな! ならばその体を貰おうか!」
 アンドラーシュの狙いを人々から猟兵へと向ける、その目的で発した言葉であったがそれ以上に効果的であったのは。
 まるでヴァンパイアが如き姿を見せた事であろう。
「なるほど、「ヒト」の善意を利用した戦略ですね……ええ、とても効率的です。唾棄すべき程に」
 その挑発により生じた認識の空白に滑り込み、己が策を弄していたのは霧島・絶奈(暗き獣・f20096)
 湿地帯による移動妨害を無力化する浮遊能力にて音も立てずに戦場へと入り込めば、流民が逃げるであろう進路には既に仕掛けられた数多の罠が。
 敵味方を識別する魔力を秘めたその罠は、機を見て燃え上がり人々を害する存在を焼き尽くす事となるであろう。
 その様な罠が仕掛けられた事など思いもせず、狙いをリーヴァルディに絞ったアンドラーシュ。
 体を奪おうと自らの蝙蝠翼を激しく動かし急接近。
 対するリーヴァルディは挑発効果を感じつつ、その効果を更に高める様に言葉を紡ぎ迎撃を。
「……その生き汚さだけは評価するけど、それだけ。
 これ以上、無様な姿を晒す前に骸の海に還るがいい」
 生き汚いと、無様と誇りを傷つける言葉を向けて全身にオーラを滾らせ、相手の羽ばたきに対抗して自らも血の翼を動かして。
 大鎌振り上げ急接近、横薙ぎに振るって命刈り取る一撃を放っていくも相手は怒り狂っているとはいえ力のあった吸血鬼。
 攻撃の為に脊椎から神経伸ばす体勢からの急上昇、数本の神経が断ち切られるも本体は無傷であり、リーヴァルディが前進した勢いの慣性で進む中、上方より伸びる神経を突き刺すも。
 彼女が纏ったオーラは戦闘力を高めるものではなく、身を守るべく広げた力、突き刺さる前に神経の勢いは減じられ、体を乗っ取ろうとしたそれは肉体の中枢、即ちリーヴァルディの各種神経にまでは届かずに。
 止む無く先端を変形、相手の肉体に返しのように食い込ませ、抜けぬようにと変化させるも逆効果。
 互いの距離が伸ばした神経までしか離れないなら近接攻撃は容易いとリーヴァルディは痛みを無視して腕に突き刺さったそれを力任せに引き寄せて、逆に迸るオーラによって相手の生命力を奪い取る。
「ぬおっ!? こ、この力は!」
 思わぬ反撃、更には自らを蝕む呪詛に気付いたアンドラーシュ。
 危険を察知し神経を切断、再度の急上昇を行えばほんの一瞬反応が遅れた場合、自らが居たであろう場所を凪ぐ大鎌の一撃。
 冷や汗が頬を伝い、不用意な接近戦は出来ぬと判断したその瞬間。
「……今此処に顕れ出でよ、生命の根源にして我が原点の至宝。かつて何処かの世界で在り得た可能性。『銀の雨の物語』が紡ぐ生命賛歌の力よ」
 虚空を切り裂き姿を見せた、槍の如き姿の輝く物体。
 その下には召喚者たる絶奈の姿があり、振り上げた腕を下ろせばアンドラーシュ目掛け輝くナニカ、が急降下。
 辛くも回避、されど幾匹かの吸血蝙蝠の眷属が巻き込まれ、地面に叩きつけられ押し潰されれば周囲に降り注ぐは銀色の雨。
 だがその雨は見た目に反して、仲間を癒し力を高める恵みの雨。
 傷ついた流民の浅い傷は瞬時に塞がり、深手からくる激痛を押さえ込み、移動の障害を取り除く。
「こ、こいつら……揃いもそろって、私をコケにするか!」
「いいえ、そんなつもりはありませんよ。ただひとつ、事実をお伝えするだけ」
 弄した策、与えた影響が取り除かれたアンドラーシュの怒りを前に、淡々と返す絶奈。
 それと同時に再び虚空が輝いて、先程と同じく生まれる巨大な槍、だが此度は正確にアンドラーシュの方を向き、更に射出される勢いは初手の一撃とは比べ物にならぬほど早い。
「なっ!? 先の一撃は……」
「ええ、直接当てるのではなく……私の力を高め、民を癒す為のもの。
 ……貴方は怒りに身を任せ、彼女を狙った執念故に身を滅ぼすのです」
 強化と回復に用いた初手、本命は強化を終えて放たれるこの一撃。
 絶奈の動きに気付けぬ程にリーヴァルディを相手にし、怒りに任せ体を奪おうとした執念が仇となった現実を突きつけて、二度目の槍が飛翔。
 咄嗟に吸血蝙蝠を集結させて球状の体を構成、本体を守る防御体勢を整えるも槍の直撃による衝撃は凄まじく、形成した蝙蝠の結束が大いに揺らげば追撃とばかりに絶奈が手にする剣を一振り。
 同時に空中走る衝撃波、だが絶奈は攻撃の手を休めず手首を返してもう一振り。
 間髪入れず放たれた二筋の衝撃波がアンドラーシュの形成した蝙蝠の体、その守りを削ぎ落とせば好機逃さず近づく赤き影。
「……せめてもの手向けよ。お前達と同じ血の力で闇に葬ってあげる」
 それは呪われし吸血鬼の力を身に宿すリーヴァルディ。
 己が力を解放し、鮮血の仮面をつけた彼女は吸血鬼と同等の存在へと姿を変えた。
 赤き影が血液の尾を引いて、黒き蝙蝠の体へ飛び込めば綻んだ体は容易く崩れ侵入者を許し、その中核たるアンドラーシュを、そして彼を守るように強固に集う蝙蝠の姿を彼女に見せる。
 ならば行う事はただ一つ、その守りを打ち崩す一撃を放つのみ。
 仮面の下で赤く眼光輝いて、手にした黒き大鎌を一振りすればその刃に纏った鮮血が赤き斬撃の形をとって伸びて行き、堅牢な蝙蝠の守りを切り裂きアンドラーシュを引き裂いた。
「ぐ、ぐおぉああああ!? な、何故だ、何故この私がぁ!?」
 まるで風船が弾ける様に飛び散る蝙蝠達、その飛散に紛れるように飛び去るアンドラーシュの顔には最初の余裕は既に無く、追い詰められた獲物が如き焦りの色が色濃く浮かんでいた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん?
対応武器:漆黒風

やり方に反吐が出る(別人格召喚)
私たちの前では、誰も殺させない。それゆえの二人。
それに…私たち二人だけとは言ってませんからね。


第二『静かなる者』霊力使いの武士
一人称:私 冷静沈着
対応武器:白雪林

…『疾き者』、最初から潜入暗殺の鬼方面が出てますよ。意見は同意しますが。
我らは主体が遠距離。それにUCにて相手を嵐に巻き込みますからな。
…我ら悪霊を、乗っ取れるとでも?

※残り二人も体内で戦闘態勢維持中。
乗っ取りしようとしたら、『侵す者(古風豪快な武の天才)』が神経に向かって火属性攻撃する準備中。


黒沼・藍亜
変な悪知恵の働く輩ってのはどの世界にもいるもんすね……
何はともあれ、周囲に負傷者がいる状況さっさと何とかしないとっすね

UCを使用、なんか某キャラ崩壊幼女UDCと同年代な幼女の霊を呼び出し、周囲の負傷者に対する「生命力活性による回復」を頼みつつ
その周囲の泥濘に紛れる形でUDCを広げて防御陣地にするっすよ

後は、彼女のもう一つの能力、「周辺植物・菌類・細菌類活性化」で木々、さらに相手に付いている雑菌類を活性化し攻撃や妨害を
とくに後者はそんな体でいる衛生観念薄そうな相手にはきついんじゃないっすか?

とにかくメインは負傷者や味方への回復支援と相手の妨害。
蝙蝠には触腕で対応するっすよ

※アドリブ連携歓迎っすよ


メリー・スペルティナ
メリー・スペルティナ、ただいま参上ですわ!
避難中の民衆が襲われているというなら、まずは彼らの安全確保!

さあ!貴方達の大切な人を、守ってくれた誰かを、守りたい誰かを強く思い描きなさい。
……その想いは、きっと貴方達の力となってくれますわ。
…UC【装・死の先を往く者よ】!
彼らに関わる誰かの想いそれそのものを、生きた武器と成し彼らの護衛に付けます!

さて、後は……
体を提供する気は有りませんので、さっさとお帰り願いますわよ!
寄らば斬りつけ、その度傷を抉り呪詛を浴びせ、剣で生命力も血も奪いますわ
仮に細胞をくっつけられても、この身に流れる血そのものが呪詛を帯びる。
貴方に耐えられまして?

※アドリブ連携歓迎です


宮落・ライア
策は陰湿根暗遠回し。姿は醜いキモイ死にぞこない。
潔く死んでおいた方がよほど見っとも無くない恰好だな。
吸血鬼とか卿とか言われる存在よりモンスターと呼ばれる方がよほど存在じゃないか。

融合かい? 快く笑顔で受け入れようじゃないか。
ああ、けれど気を付けたまえよ?
【耐えざる痛み】は…耐性無いとまぁ痛いぞ?
どうか狂ってくれるなよ?
ああ、『約束の血』なら融合を解除して離れようと、構わず持って行ってくれ。遠慮しても持って行ってもらうぞ。

存分に、死にたくなるほどの自己嫌悪に陥ってくれ。
脳が捻れるほどの、喉が引き攣る様な暗い激情を堪能してくれ。
ああ、自ら心を折って何も感じない奴隷になってもいいぞ?


四王天・燦
《華組》

シホと雑談
リマとニック…お互い足りないモノを持ち合う良いコンビだわな
男は好きじゃねーけど(てへ)
挨拶にでも行きたい所だが先ずは迎撃だ

体が欲しけりゃ殺してでも奪いな
シホが救助活動をしやすいようおびき寄せるぜ

飛べないアタシにとっては不利な地形…と思うなかれ
茂みに時限爆弾カウントダウンを投げ込んでおく

暗視を活かして足場を確認
逃げ遅れがいたら庇いつつ、神鳴での見切り武器受けで手一杯…と見せかけて卿の気を引きましょ
タイミングを見て爆破ポイントに誘導
爆撃で不意を突いたら追撃で斬る

逃がさねえ
踵を返そうとしたら90m内にいる内に真威解放
蝙蝠共々石になれ!
乙女の体目当てに襲ってんじゃねーよ変態生首め


シホ・エーデルワイス
≪華組≫

リマ達の村が人類砦に発展しつつあるのね

ええ
ニックさんも他の村人も支えてくれて嬉しく思います

リマ達に希望を抱かせた以上
私も全力で支えます


『聖笄』で透明になり空中浮遊や忍び足で流民に近づき
燦が敵を誘き寄せている間に目立たないよう救助活動

コミュ力と礼儀作法で優しく慰め落ち着かせながら
【祝音】で負傷や病を癒し
『聖鞄』へ保護

もう大丈夫です
皆さんは私達猟兵が守ります

この鞄に触れて中の部屋で待っていて下さい


敵の攻撃は
未保護の人達はオーラ防御の結界術で庇いつつ
目潰し属性攻撃の煙幕を張り
『聖瞳』の暗視機能で敵の位置を把握し
誘導弾の気絶攻撃で時間稼ぎ


完了後
念の為
第六感と聞き耳で取り残された人がいないか探す


アリウム・ウォーグレイヴ
アドリブ歓迎

目の前の蛮行を見過ごせません
騎士として猟兵として。この場を鎮めなければ。

この環境では動けば動くほど不利になる可能性があります
ならば逆に動かずに攻撃を仕掛けましょう
『属性攻撃』『範囲攻撃』ホワイトブレスを放ち、敵を近づけさせない、眷属の掃討に注力します。
首だけの吸血鬼、哀れすぎて言葉が出ない。『挑発』し私の『存在感』を発揮します。
人々を『かばう』よう背にし、逃げられるよう『時間稼ぎ』を。
敵を十分に焦らせたのなら、わざと隙を作り『カウンター』を狙います。
魔力切れの弱弱しい姿で誘い出すのも良いかもしれません。
周りの人々へ被害を与えぬよう一撃で。『見切り』一撃で『串刺し』にし終わらせます。


祓戸・多喜
まったく酷い事するわね!
悪趣味もいい所だし罠だと分かっててもぶっ飛ばしてやらないと気が済まないわ!
JKの力思い知りなさーい!

基本は弓で避難の支援、援護射撃を行うわ。
人を傷つけようとする…生首?に片っ端から矢を速射で射かけて狙撃弾き飛ばす!
首だけで飛んでるなんて虫みたいでキモーい!とか大声で挑発しつつ念動力と空中浮遊で少し浮かび上がって移動、
無視してくるならより太い矢をぶち込んでやるわ。
こっちに数体近づいて来たなら念動力で通連操ったり鼻で椎骨とか頭弾き飛ばしたりしつつ周囲に人がいない所に誘き寄せて巻き込まぬようにしてからUC発動!
包囲されてようが纏めて射貫いてやるわ!

※アドリブ絡み等お任せ🐘



 追い込まれつつあるアンドラーシュ、だが腐っても卿と呼ばれたヴァンパイア。
 ここまでの戦いで猟兵が人々を守るために様々な策を用いているならばそこを狙い、猟兵の動きを制限しようと立ち回るがそれを予測した者達が立ち塞がった。
「まったく酷い事するわね!
 悪趣味もいい所だし罠だと分かっててもぶっ飛ばしてやらないと気が済まないわ!」
 ぬかるむ湿地、されどその環境など意に介さずに踏み出した祓戸・多喜(白象の射手・f21878)が構えるは剛弓ハラダヌ。
 常人には扱えぬその弓をいとも容易く扱うのは、彼女が人を遥かに超えた体躯、象獣人のような外見をしたバイオモンスターだからこそ。
 ぬかるみ踏みしめ、足が沈み動きが鈍るも認識した方向への射撃に徹するならば問題は無い。
「首だけで飛んでるなんて虫みたいでキモーい!」
 自分はここにいるぞ、とばかりに大声上げて挑発し、人々を狙う様に大きく旋回を始めた吸血蝙蝠の眷属狙って矢を放つ。
 一矢一殺、狙い定めたその矢が奏でる風切り音が途絶えると同時に何かを貫く鈍い音。
 空を舞い踊る様に人々を狙った吸血蝙蝠は矢に穿たれて、力なく落下を始めていた。
「なっ……だが、所詮は単なる弓兵よ! 動けぬままに汚泥へ沈め!」
 遠方よりの不意打ち、されど機動力を奪われた巨体の弓兵には空を舞う自分たちが圧倒的優位。
 方向転換すらぬかるみによって困難だろうと嘲笑い、少数の吸血蝙蝠が迂回、後背より多喜を狙うべく飛び回るが彼女は剛弓を放てるだけの存在ではない。
「ふん、自分は余裕ぶって無視するつもり!? JKの力、思い知らせてやるわー!」
 女子高生は恐らく関係ないが、アンドラーシュに無視された部分かはたまた此度の事件についてか。
 怒りを見せて右足上げればまるで空中に足場があるように、虚空で足を踏みしめて。
 続けてもう一歩、左足を引き上げて彼女は空中に浮遊、念力と浮遊能力の併せ技、つまりぬかるみから念力で脱出し、浮遊能力を強化して移動の制限から逃れたのだった。
「近づくなら斬るわ、でも近づかなくても斬るけどね!」
 そのまま念力で操るは日本刀の通連、浮遊するそれを用いて近づく蝙蝠を斬り落とし、さらに眼前の敵はその鼻で締め上げて捻り潰す遠近の攻撃手段。
 一方面は多喜が奮戦することで完全に塞ぎ、流民を狙っての攻撃が防がれたが更に別方向からも民狙う攻撃を防ぐ猟兵の姿がある。
「なるほど、あちらは任せて大丈夫そうですね。なら、私も役割を果たすのみ」
 ぬかるみに立ち、戦況を見渡していたアリウム・ウォーグレイヴ(蒼氷の魔法騎士・f01429)が呟けば、彼の見つめる先にて多喜が天空に打ち上げた矢が分裂、降り注ぎ多くの蝙蝠を穿っていた。
 広域への攻撃で眷属を駆逐するその姿に頼もしさを感じつつ、自分も眷属を食い止めることが役割とばかりに愛剣、氷華を一振り。
 ヒュッと空切る音が響けば、その切っ先から広がるは絶対零度の冷気。
 扇状に広がるそれは、空飛ぶ眷属、吸血蝙蝠を飲み込んでたちまちの内に凍て付かせ、羽ばたく力を生命力ごと奪い取る。
 気付けば飲まれた蝙蝠たちは次々と落下、その衝撃で凍った翼が砕け散り、弱々しく地表でもがくだけの存在へと成り果てていたのであった。
「首だけの吸血鬼、哀れすぎて言葉が出ない。すぐにこの蝙蝠と同じ末路をたどらせて差し上げますよ」
 わざとらしく挑発し、体を失ったアンドラーシュを侮辱する。
 眷属を蹴散らされ、更には肉体が無き事を嘲笑い、末路が同じといわれれば。
 あからさまな挑発である事を理性が理解していても、この不利な戦況と合わさって冷静さを保つことが出来ぬのも致し方なし。
「お、おのれ貴様ぁ! 我をそこまで侮辱するか!」
 激昂、そして一気に殺そうと急接近するアンドラーシュ。
 だが動きすらアリウムが狙ったもの、攻めることは危険、されど許せぬと相反する二つの考えが入り混じった不完全な心境では、再び冷気を放つも範囲も威力も減じたアリウムの攻撃が魔力の枯渇と都合の良い解釈をさせてしまう。
 あえて威力を減じた二度目の冷気放出、初手で魔力を使いすぎたかのように見せ付けた、平時ならば不自然さを感じて留まるような見え見えの罠へと飛び込めば、次のアンドラーシュの瞬間脊椎部分に走る衝撃。
「ながっ……ば、ばかな!?」
「愚かなものです、体だけでなく、他にも様々なものを失ったようですね」
 突き出された刺貫剣の氷華が脊椎の一部を分断、落ちた骨片がその威力を物語れば慌ててアンドラーシュは急上昇。
 この方角からの迂回は不可能と手痛いダメージと共に認識し、先の矢の雨と併せて生み出された猟兵の壁の厚さを痛感していた。

「あっち側は押さえてくれてるみたいだな、ならこっちから抑えれば」
「ええ、もう流民の方々に向かう事は出来ません」
 アンドラーシュの迂回策、猟兵が守ろうとする存在を攻める事にて綻びを生み出そうとする攻撃が頓挫している状況を見やりつつ、人々を守りきる様に立ち回るのは四王天・燦(月夜の翼・f04448)とシホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)の二人であった。
 大きく迂回しようとしたアンドラーシュの進路を二方向から止める多喜とアリウム、ならばもう一方向から足止めし、三方向から押さえ込めればアンドラーシュは一時後退から、更なる迂回を強いられる。
 そんな事をしていれば既に多くの手段で猟兵が人々を守り、移動を助ける手立てを講じている為に追いつくことは不可能となるのは明確であったのだ。
「リマとニック……お互い足りないモノを持ち合う良いコンビだわな。男は好きじゃねーけど」
「燐、本音が出ていますよ。でも、ニックさんも他の村人の方も支えてくれて、リマの村が人類砦に発展しつつある」
「おっと、つい……ま、挨拶にでも行きたいところだが先ずは迎撃だ」
 そんな二人が言葉を交わし、思いを馳せるは此度の襲撃で狙われた村、そこで過去に行われた戦いで救った人々、そして村の中核となりつつある青年と少女の話。
 吸血鬼の脅威から開放され、傷つき、病に苦しむ人々を受け入れていたが故に此度、標的とされた村。
 だからこそ、このまま吸血鬼の悪辣な策略で滅ぼされてなるものかと強い思いで二人は戦場に望んでいたのだ。
「リマ達に希望を抱かせた以上、私も全力で支えます。燐、お願いしますね」
「まかせときな、そっちも頼んだぜ」
 互いに足りぬ物を補い合う、青年と少女のように。
 攻めの燐、癒し守りのシホ、二人が役割を分担し、片や燐は迂回してアンドラーシュの側面に。
 片やシホは仲間の救援が間に合わぬ流民を救うべく、動けぬ民の下へと急行するのであった。
「苦戦してるところ悪いが新手だ、体が欲しけりゃ殺してでも奪いな」
 流民を狙う為の進路、その最後の方角へ眷属を向けたアンドラーシュに高らかに宣言した燐。
 既に二面を押さえられ、ここを突破できねば人々を襲う事はおろか自身の逃亡すらままなならぬ事を察したのだろう、焦りの色を浮かべつつアンドラーシュは飛び回る。
「ええい、どけい! 貴様らの相手は後にしてやる!」
「つれないねぇ、さっきまでは全員と相手をしてくれてたのにさ!」
 強行突破はさせぬと飛翔するアンドラーシュに飛び掛り、雷光纏った妖刀、神鳴を抜刀。
 紫電が走り、アンドラーシュから伸びた神経の一部を断ち切るもそれで動きを止めるまではいたらずに、燐は重力に引かれ落ちていきそのまま着地。
 ぬかるむ地面に足をとられて姿勢を崩せば、アンドラーシュは貴様の相手はこやつ等で十分と残り少ない眷属蝙蝠をけしかければ、逃れる様に茂みへ転がる燐。
「フン、威勢よく言ってはいたが飛べぬ貴様にはお似合いの、惨めな姿だな!」
 空中から宣言するアンドラーシュが逃げる燐を嘲笑い、これ以上相手は出来ぬと方向転換、まではよかったが。
 次の瞬間、茂みの中から爆発音が鳴り響き、残存する眷属蝙蝠が纏めて落下。
「あん? 誰にお似合いの惨めな姿だって? てめーが一番惨めだよ、蝙蝠共々石になれ!」
 それは茂みに爆弾仕掛け、相手を引き込んだ燐のもの。
 爆破で不意打ち、更に発生した爆風に紛れて生み出した数多の花びらには触れたものを大理石へと変化させる魔力が篭った代物。
 呪詛に飲まれた蝙蝠は次々と落下、アンドラーシュも呪詛に飲まれ、羽の一部が石化して動きが鈍れば最早流民を狙っての追撃は不可能に。
 その間に流民の元へとたどり着いたシホ。
 速やかに負傷者、病人、怪我は無いが恐慌状態の者と人々がどのような状況か見極めて。
「もう大丈夫です、皆さんは私達猟兵が守ります。
 落ち着いて、深呼吸して……はい、そうです、慌てないで、もう蝙蝠は来ませんから」
 慌てふためく人々を落ち着かせれば、速やかな治療が不必要、つまりは無事だが狙われ、負傷する可能性のある流民に声をかけ。
 手にしたものは掌サイズのトランク、されどその内部は広大な空間が広がり、多くの部屋が存在する異空間への鍵となるもの。
「怪我をしていない方は、この鞄に触れて中の部屋で待っていて下さい。
 傷ついた皆さんは、私が治療します」
 恐る恐る手を伸ばし、瞬時に異空間、数多の部屋の存在する場へ転送された流民。
 狙われる民が減る事は万一、包囲を破られた場合や強引な突破をして破れかぶれの一撃を狙った際の被害者が出る確率を大きく下げる一手であり。
 事実、猟兵の攻撃の合間を抜けて、負傷しながらも何とか突破できた蝙蝠が数匹見えるもそれらが狙える距離に動けぬ民の姿は既に無く。
「これ以上、誰かを傷つける事は許しません。たとえ、操られているだけの獣であっても、です」
 すっとシホが上げた両手には聖銃が二丁。
 黒と白、二色の自動拳銃から撃ち出された弾丸が囲みを抜けた蝙蝠を貫いて絶命させれば、最早民を害する手段はアンドラーシュには残っていなかった。
「これでお分かりですね? もう、心配することはありません。
 さあ、怪我をした方はこちらに、治療します」
 眷属の迎撃、そして手近な者を癒すシホの光。
 アンドラーシュが行った暴虐の爪痕は、この癒しの力で消し去られようとしていた。
 そして、現地での治療を行っていたのはシホだけではない。
「いやー、変な悪知恵の働く輩ってのはどの世界にもいるもんすね……。
 何はともあれ、周囲に負傷者がいる状況さっさと何とかしないとっすね」
 追い込まれたアンドラーシュ、されど彼とその仲間が行った策略を思いつつ、負傷者を背負ったままの状況を迅速に好転させる様に動くは黒沼・藍亜(人間のUDCエージェント・f26067)
 前線で治療を行うシホと同じく人々を癒し、動ける様にするべく立ち回る彼女が呼び出したのは一人の少女。
 何かUDCアースでキャラ崩壊がひどい扱いになってるような、幼女UDCっぽさを感じる、それでいて髪の毛が蔦になった幼女の霊は癒しの力と同時に、細菌を、植物を活性化させ攻撃に転ずる能力を持った存在。
「ちょっと見た目はアレっすけど、この子の周りにいれば傷は癒えるっす。
 あと、もし蝙蝠が飛んできてもほら、このとおり……」
 泥濘という水分を介して広がる黒き液体、そして治療領域。
 それは負傷し、病に犯された人々の細胞を活性化させ、自然治癒力を高めることで治療を促し、更に広がった液体は藍亜の用いるUDC、つまりは意思持つ液体生物。
 植物の動きも操れる領域が広がれば、下草が生える範囲が広がって泥濘に潜む黒き液体を覆い隠して何処に潜むかわからずに。
 そこへ飛来したのは瀕死の蝙蝠、突破できたというよりは偶々、跳ね飛ばされたのがこちら側という有様な存在へ、泣きっ面に蜂とばかりに地表に広がる茂みから伸びる黒き触腕。
 避ける事も出来ず、無残に囚われた蝙蝠は地面に引きずり込まれ、そして黒き液体に飲まれそのまま消滅していたのであった。
「ね? 隠れたボクの子たちが食い止めてくれるんで、安心して癒されてくださ……や、そんな顔しないでっ!?」
 鼻高々に宣言した藍亜、しかし悲しいかな、治療を行うのは霊であり、植物的要素がある異形な幼女。
 対して、別の場所では神々しい光による治療と銃撃による守りが行われていたので、まあ見た目の部分で助かるけど、あっち側のほうがいいなぁ、見たいな顔をされるのは仕方の無い事であった。
「あー、まあ見た目は大事っすねぇ……うん、わかるっすよ……あの蝙蝠野郎も見た目がひどいっすからね! あ、中身もか!」
 回復した、感謝もされた、でも外見で損をした。
 仕方ないと諦めがつくも、でもやっぱり心はちょっと傷ついて、その怒りをぶつける相手はやはり悪逆非道な吸血鬼が一番と気持ちを切り替え、相手を挑発。
 心なしか、慰めるようにコクコクと頷いた霊豊穣少女もえみちゃんも追従し、追い込まれつつあるアンドラーシュ目掛けて広がる細菌活性領域。
「む……? 何が……ぐおぁあっ、か、体が!?」
 石化の呪詛を振り切りながらも囲まれていたアンドラーシュ、そのむき出しの脊椎と神経に付着していた常在菌が活性化して直接痒みを与えれば、思わぬ異変に顔を歪ませる。
 衛生観念が欠落したように、生物にとっての急所を露出。しかし生命力に秀で、細菌が普通に活動するなら問題なく押さえ込める存在でも活動を活発化されれば多少なりとも影響は出たようで、体の不調を感じればそれと同時に動きが鈍る。
 これにより、四方を囲む様に猟兵の展開が完了、抜け出す蝙蝠の眷属すら瞬時に落とす二重三重の囲みが出来ていたのであった。

「認めん、認められるか、こんな、こんな結末がぁああ!」
 ギリギリと歯軋りし、この結末を受け入れられぬと咆哮するアンドラーシュ。
 されど如何に怒りを示せど、覆せぬ状況は既に完成していたのであった。
 そんなアンドラーシュを完全に駆逐すべく新たな猟兵が後背より姿を見せたのはその時である。
「メリー・スペルティナ、ただいま参上ですわ! 散々に悪事を働いた吸血鬼には、お似合いの末路でしょうか」
 泥濘を踏みしめ、泥を飛ばして堂々と腕を組み、苦境に喘ぐアンドラーシュを挑発するのはメリー・スペルティナ(暗澹たる慈雨の淑女(自称)・f26478)
 戦場全体に響き渡る、よく通った声で猟兵がアンドラーシュを追い詰め、もう一押しだと口にして。
 逃げ惑い、狩られるだけだった人々にもう恐怖から開放されると安心感を与えつつ、彼女は更なる一手を打つ。
「さあ! 貴方達の大切な人を、守ってくれた誰かを、守りたい誰かを強く思い描きなさい。
 ……その想いは、きっと貴方達の力となってくれますわ」
 戦い、吸血鬼を討ち果たす者はここにいるとばかりに天高く掲げるは、黒く波打つ刀身持った黒剣シュバルツシュテルン。
 終わりを向かえようとする戦場で人々を鼓舞し、戦闘力を高め自立行動する武具を与える能力を用いる必要は普通ならば無いが彼女はこの次の戦い、グリモア猟兵が語った協力しあう別の吸血鬼、その襲撃に備えてのものである。
 怪我が癒え、病の苦しみも収まった人々が吸血鬼から守りたい、家族や思い人を浮かべればそれと同時に自動で動き、近づく敵性存在を退ける多種多様な武具が一人にひとつずつ出現。
 護衛する力となって、新手の何かが出現した際に食い止める、抑止力として機能するだろう。
「……なるほど、自分たちで守る力を持てば我らが駆けつける暇を耐える事も可能ですからな」
 そんなメリーの力を見遣り、自分も役割を果たすのみと姿を見せた猟兵は馬県・義透(多重人格者の悪霊・f28057)という一つの肉体に宿った4つの人格、その一つである静かなる者。
 もっとも、今はこの人格が主となって話しているのではなく……本人の中で主として活動する人格、疾き者がユーベルコードで生み出した分身に宿っている状態ではあるのだが。
「そのようで……しかし、この吸血鬼、やり方に反吐が出る。
 私たちの前では、誰も殺させない。それゆえの二人」
「……『疾き者』、最初から潜入暗殺の鬼方面が出てますよ。意見は同意しますが」
 そんな中、主たる肉体に宿る疾き者が口を開けば温厚な口調から、されど隠せぬ怒りが零れ静かなる者が諌める状況。
 だが、静かなる者も吸血鬼に対する怒りは同じ、故に悪辣な存在には容赦せぬと二人、並び立って武具を構える。
 疾き者は忍としての武器、棒手裏剣を携えて。
 静かなる者は武士として、矢合わせが如く白き弓を手に取って。
 残存する眷属を周囲に飛ばし、引きつった表情のアンドラーシュに引導を渡すように静かなる者が弓の弦を鳴らせばそれが合図、にわかに突風が吹き荒れて吸血蝙蝠を巻き上げて、鳴り響く雷鳴と同時に光る稲光。
 ほんの一瞬、されど目がくらんだその時に巻き上げられた蝙蝠は雷光に襲われて、黒ずみ地面目掛けて落下を始めていたのである。
「ぬぐっ、この風では奴らが……ぐおぉ!?」
 吹き荒れる嵐、鳴り止まぬ雷鳴と雷光により、薄皮を剥くように少しずつ、そして確実に残り少ない眷属を失うアンドラーシュ。
 最早眷属との融合はままならず、状況打開は猟兵の肉体を乗っ取るその一点にしか手は無くて。
「ええい、このような嵐など肉体を失った事に比べなんと軽い事か!」
 脱落する蝙蝠を置き去りに、この嵐を巻き起こした張本人である二人目掛けて急接近。
 一撃加え体の自由を奪い去り、そして嵐を逆に猟兵へ、そして民へと向けるべく仕掛けたが、単純に二人は遠距離攻撃を行うだけの砲台という役割ではない。
「……我ら悪霊を、乗っ取れるとでも?」
「ええ……私たち二人だけとは言ってませんからね」
 強行しかけたアンドラーシュに冷たく言い放つ静かなる者、そして二の手があるとばかりに続ける疾き者。
 それと同時に体に宿る別人格、侵す者が義透の右手を操って、黒き棒手裏剣を勝手に投擲。
 体の主導権を持っていた疾き者の意思を介さず、腕だけを動かしたが故に顔の動き、仕草から右手の動きを予測することは出来ずに完全なる不意打ち、動く気配の無いままに繰り出された棒手裏剣は炎を纏った一撃。
 突き刺さり、髪の毛と神経を炎上させれば苦悶の表情と共にアンドラーシュはふらつき降下を始めていたが、その体を掴み支える者が居た。
「策は陰湿根暗遠回し。姿は醜いキモイ死にぞこない。
 潔く死んでおいた方がよほど見っとも無くない恰好だな」
 右手で受け止め、自分の顔と同じ高さに調整し。
 そして左手も添え、両手で支えアンドラーシュと向き合うのは宮落・ライア(ノゾム者・f05053)
 完全に捕らえた状況、されど相手は神経を刺し込み相手の体を奪う能力を持つ吸血鬼。
 そんな相手を両手で掴んでいるとはいえ、至近距離で向かい合うのは自殺行為に等しいがそれでもライアは目を細め、そして薄ら笑いを浮かべつつ言葉を続ける。
「吸血鬼とか卿とか言われる存在よりモンスターと呼ばれる方がよほどお似合いな存在じゃないか」
「貴様、我を嘲るか! 後悔させてやるぞ!!」
 挑発的に言葉を紡いだライア、そんな彼女に掴まれつつもこの距離ならば脊椎も神経も外さぬとばかりに憤怒の表情で融合促す刺突を繰り出すアンドラーシュ。
 常人ならば全力で、忌避して逃れようとする融合攻撃を快く笑顔を浮かべ受け止めて、体を神経と脊椎で貫かれたライア。
「ふ、ふははは、この体、我が貰うぞ小娘が! 貴様らも仲間が奪われ牙を剥くのは大層苦しいだろう!」
 起死回生の一手、人々を守るはずの猟兵、その体を奪い取り逆に利用し押し返すその一手。
 このままではやられぬとばかりに笑い、全力で暴れてやろうと融合を始めたアンドラーシュであったが異変はすぐに現れた。
「体がなじむ、なじんで……ぐほっ、ごぉ、がああ? な、何だ、この、痛みはっ!?」
「ああ、気を付けたまえよ? と、遅かったか。この耐えざる痛みは……耐性無いとまぁ痛いぞ? どうか狂ってくれるなよ?」
 融合が進むと同時に、常日頃からライアの体を苛んでいる激痛をも共有したアンドラーシュ。
 いや、痛みというにはあまりにも強いそれは常人ならば発狂してもおかしくはない代物。
 これまでの苦痛に加え、融合と同時に強烈な痛みまでを受けたアンドラーシュは思わず融合を解除しようとするもそれより早く、己が血液を汚染された毒がごとき物へと変えてアンドラーシュに流し込む。
 それは感情の歪みを増幅させ、汚染させる約束の血。
「おっとぉ、この血なら融合を解除して離れようと、構わず持って行ってくれ。遠慮しても持って行ってもらうぞ」
 融合解除も間に合わず、逆に流し込まれたその血液。
 内部から汚染され、狂い、苛むそれを受け、悶えながら飛び回るアンドラーシュが口を開いたのはその時であった。
「バ、バカな!? ただの、人間風情があのような痛みを常に受けていられるはずがない!
 人間ごときがあんなものを持つはずが……こんな汚れた血を持つはずが……っ!」
「……人間以外に居るかよ。こんなものを創ろうとするなんて奴が。
 お前らみたいに、今ある力で事を起こすんじゃなく……無いから創ろうとするやつも、そこから救おうとする奴も」
 ライアの存在そのものが人間の範疇ではないと叫ぶアンドラーシュ、人間にはありえぬ痛みの顕現を否定するも、素きざにライアが人間だからこそ、人間が創ったものだからこそ存在するとアンドラーシュの意見を真っ向から否定。
 常に苛む痛みなど感じさせない、されどどこか違和感を感じる張り付いたような笑顔を浮かべ、一歩すすめばアンドラーシュが恐怖に引きつった顔で飛びのいて。
「存分に、死にたくなるほどの自己嫌悪に陥ってくれ。
 脳が捻れるほどの、喉が引き攣る様な暗い激情を堪能してくれ。
 ああ、自ら心を折って何も感じない奴隷になってもいいぞ?」
 逃れられぬ、汚染された血液によって苦しむ相手に淡々と、体を蝕む精神攻撃を続けるライア。
 落ちぶれた自身の境遇への自己嫌悪か、それともこの苦境への激情か、はたまた心折れての隷従すらも有りうると言葉を紡げば、内部から引き裂かれるような精神の歪みに耐えかねて。
「ぐごぁああああ!」
 咆哮、獣の如き叫び。
 平素のアンドラーシュならば行わないであろう蛮行にて強引に、自分の意識を保つも抵抗はそこまで。
「やれやれ、この期に及んで見苦しいですわね。さっさとご退場願いましょうか」
 不意に聞こえたメリーの言葉、視線を向ければいつの間にか間合いに入っていた彼女の姿がアンドラーシュに見えるもそれで何が変わろうか。
 足場が悪く、飛行せねば接近もままならぬ環境であろうとも。
 他の猟兵を相手取り、錯乱し、不用意な動きをすれば飛行能力を持たぬ者でも接近するのは容易い。
「この剣戟、そして呪詛。貴方に耐えられまして?」
 左手に握るは紅き結晶、それは彼女の血液を呪法にて固定し、呪詛を振りまく血晶石。
 握り砕けば紅き霧が右手に持った剣に宿り、そのまま一振り。
 波打つ刀身そのものが傷口を広げ、抉る効果を持った一撃となりアンドラーシュの翼が大きく破け、飛行能力を失った所へ返す刃の一撃を。
 頬を切り裂くその一振りはアンドラーシュの顔を大きく切り裂き、夥しい量の血液を噴出せばそのまま泥濘へと落ち、引きつった表情のまま微動だにせぬ失落卿。
 そのまま末端、髪の毛先から徐々に体が塵となり、やがて全てが風に舞い上がり消滅。
 これが流民を襲った吸血鬼、その最後の姿となっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『溶かしすり潰す者』

POW   :    すり潰す
【のしかかり】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    強酸噴出
【吹き付ける強酸の塊】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に捕食対象を溶かす酸溜まりを残し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    強酸自爆
【死に際に酸を撒き散らし破裂する為、身体】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵の活躍で人々を強襲した吸血鬼は滅ぼされた。
 助かった事による安堵の声が人々の合間から聞こえるが、猟兵は治療をしつつ警戒を緩めない。
 それは人々を襲った吸血鬼が、たった今討ち果たした者だけで無い事を知っているからに他ならない。
 なんとかこの湿地帯を抜け出そうとしていた流民が先の様子を見に行ったその時に、異変は起こっていた。
「う、うわぁあ!? ば、ばけものだ!」
 悲鳴を上げた男が見たもの、それは巨大で毒々しい色をしたナメクジに似た生物で。
 湿地帯という地形を生かし、泥濘に潜んでいたのか次々と姿を見せ、流民を襲おうと動き出すも次の瞬間、炎が上がりその進軍を阻んでいく。
 更には先の戦いで人々を守るべく出現した様々な武具が、巨大ナメクジに襲われようとした人々を守るように飛び交ってその初手を凌ぎきることに成功していたのだ。
 事前に準備した罠、そして守護の力によって不意打ちを防ぎ、何とか犠牲者も負傷者も出ずにすんだが、それは一時的なもの。
 速やかに排除をしなければ、折角守り抜いた人々が再び傷つき、疫病に苛まれ、最悪命を落としかねないこの状況。
 酸を噴出し、周囲を汚染し標的を探すもの。
 武具に阻まれ、炎に燃やされこれまでとばかりに膨張、今まさに自爆し人々を巻き添えにしようとするもの。

 どうやら失落卿が敗れ、防備が進んでいるが故に猟兵ではなく流民を積極的に狙う様に指示されたのか、明らかに流民を傷つけようと動く巨大なナメクジ、溶かしすり潰す者。
 特殊空間へと離脱出来た者は無事ではあろうが、今はまだ戦場に治療を受けていた者が残る状況、ならば守りながら戦うか、何とかこの脅威から逃す必要があるだろう。
 力ある者による直接戦闘で勝てぬなら、卑劣な手段で猟兵を押さえ込もうとする吸血鬼たちの策謀に屈する事は出来ないと、猟兵たちは再度訪れた脅威に立ち向かう。
エウトティア・ナトゥア
アドリブ・連携歓迎

一難去ってまた一難というやつかのう?忙しない事じゃ。
はよ避難したい所じゃが、湿地帯ではそうもいくまい。
それに高い草むらも邪魔じゃな。
よし、いっその事全部無くしてしまうか!
半径90メートルの湿地を全部流砂に変えてしまうのじゃ。
砂を操って巨大ナメクジや邪魔な物を地中深くに埋め込んでやるわい。
埋め込んだナメクジは【技能:属性攻撃】でUCに炎を付与して焼いてしまうか。
地中なら自爆しても構わぬじゃろう。
流民たちは【騎乗】したマニトゥの歩みに合わせて砂を動かしどんぶらこっこと運んでしまうかの。
はっはっは、こりゃあ楽じゃわい。この調子で一気に距離を稼ぐとするかな。



 大量出現したオブリビオンが次々と泥濘から顔を出し、猟兵ではなく力なき民を標的に動き出す。
 初手の不意打ちを凌がれたとてその方針に変わりはなく、上位者の命令に従ってじりじりと、そして確実に距離を詰める様は流民にとって恐怖でしかなかった。
「一難去ってまた一難というやつかのう? 忙しない事じゃ」
 ようやく一息つけたと思ったが、直後に迫るオブリビオンに辟易しつつエウトティアが言葉を紡ぐ。
 彼我の戦闘力の差は自軍、猟兵側が優位であるも周囲、即ち戦場となる湿地帯が流民を守るという目的ある猟兵の足枷となるこの状況。
 周囲を見渡しても同じ地形が続く状況、早期の避難を狙うにも足場の悪さに背丈の高い草むらが地を這う相手を隠し、思わぬ一撃を放ってくる危険もある。
「ううむ、はよ避難したい所じゃが、湿地帯ではそうもいくまい。
 それに高い草むらも邪魔じゃな。よし、いっその事全部無くしてしまうか!」
 如何にして避難を進めるか。
 思案していた彼女であったが妙案が思いついたとばかりにポンと手を打ち、大自然へと働きかける。
 無機物たる大地、即ち湿地帯である地形へと干渉するその能力は瞬時に力を発揮、自らの力に応じた半径へと影響を与えるそれは泥濘を有する湿地帯を瞬時に流砂へと変化させ、這い回る巨大ナメクジ、溶かしすり潰す者も敵を隠す草むらをも砂の中へと飲み込んで。
「うむ、このまま一気に始末するかの。地中なら自爆しても構わぬじゃろう」
 パチンと指を鳴らせば変容した砂が炎を帯びて、飲み込んだ草むらもオブリビオンも容赦なく、炎の責め苦を与えれば。
 暫しの沈黙、すると次々と流砂の表面が盛り上がり、そこから液体が染み出すも影響はそこまで。
 流砂が酸にて汚染され、皮膚を溶かす危険地帯が至る所に形成されるもその酸の足場は再び流砂の中に飲まれ地表からは姿を隠す。
「これで良し、後は流民じゃが……」
 敵も足場悪き地形も飲み込んだ、そんな流砂を操りながら巨狼マニトゥの背に乗って流民を見渡すエウトティア。
 自分に良策ありとばかりに不敵に笑った彼女がマニトゥの背を押せば、悠然と進み始めるマニトゥ。
 その動きに合わせ、広がる流砂が流民の足元にも及ぶがそれは地中へ引き込む流れではなく、逆に地表へ溢れそしてマニトゥの進む方向へと流れる動き。
「うわぁ、足元が、地面が!?」
「な、なんだ、これは!?」
 突如訪れた地形の変化、そして自らの意思に反して体が流される状況に流民は驚くも力を用いたエウトティアは高笑い。
「はっはっは、こりゃあ楽じゃわい。この調子で一気に距離を稼ぐとするかな」
 力を継続、流民たちの一群を流砂で運び、近づこうとした存在は逆に飲み込み流砂の中にて焼き払う。
 遠距離からの攻撃は防げぬとも、湿地帯を流民ごと抜け出る移動手段としての力を発揮し敵の排除を仲間に託し、彼女は流民をこの危険地帯より避難させるべく力を振るい続けていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
静「事前の罠が炎ならば、私より彼でしょう」
疾「あー、そうなりますね」

第一『疾き者』のほほん?
一人称:私

UC使用、別人格召喚。
私は風の結界術にて、酸が流民へいかないように。
もしも酸が来たら、身を呈して庇いますよ。
そうなっても、漆黒風で『侵す者』の援護してますけどね。
…酸が何だ。これで、流民を溶かさせはしない。


第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
対応武器:黒燭炎

怒っておるのう、『疾き者』。まあわしもだが。
早業にてなぎ払い、炎属性二回攻撃。破裂する前に仕留める。
なぎ払いが間に合わんようなら、『四天霊障』での地形破壊と押し潰しも検討する。
酸…『疾き者』め、無理せぬといいが。


四季乃・瑠璃
緋瑪「面倒な相手だなぁ…」
翡翠「でも、ナメクジだけに動きは鈍い…」
瑠璃「自爆が厄介だね。普通のボムだと酸をばら撒きそう…」

【破壊の姫君】で分身

3人で飛翔翼で飛行し、空中から【属性攻撃、範囲攻撃、爆撃、蹂躙】凍結ボムや【属性攻撃、高速詠唱、全力魔法、範囲攻撃】広域凍結魔術により敵を凍結した後、爆破で安全に破砕する事で対処。
自爆しようと巨大化した敵も凍結させる事で抑え込み、流民達が安全圏まで退避した後に処分するよ。

また、空中から敵の配置を確認する事で敵の少ない退路を確認し、人々を誘導。
人々の安全優先で進めていくよ

緋瑪「流石に気持ち悪いなー」
翡翠「粘液とか飛び散らせたくない…」
瑠璃「ホント悪趣味…」



 逃走許さず人々を狙う巨大ナメクジ、溶かしすり潰す者。
 ならばその妨害をかいくぐり、攻撃から人々を守るように猟兵が攻めの刃を向けていく。
「面倒な相手だなぁ……」
「でも、ナメクジだけに動きは鈍い……」
 蠢きながら、この土地より逃げる流民を狙い、酸の射出にて追いかけようとする敵を見つつ緋瑪と翡翠が言葉を交わす。
 いつもならばこういった手合いを相手にするには、爆発物で攻め立てるのだがそれができない理由があり。
「自爆が厄介だね。普通のボムだと酸をばら撒きそう……」
 不用意な爆破では逆効果とばかりに瑠璃が呟き、同意するように先の二人も頷いて。
 ならばいつもと戦い方を変えるのみ、そう無言で通じ合った三人は飛翔翼の力でもって空中へ。
 地形の影響受けぬ空中からの攻撃で相手を押さえ込むべく散開、流民を逃がす猟兵を援護するよう戦闘を開始していた。
「事前の罠が炎ならば、私より彼でしょう」
「あー、そうなりますね」
 同刻、同じ様に分身能力にて別人格を実体化させつつ一つの体の中で会話していた義透の中に存在する静かなる者と疾き者。
 そんな二人が見る先に居る、分身に宿るのは侵す者。
 その人格は黒き槍を手に持って、更に宿すは炎の力。
 故に此度、二人が用いる力の形は風と炎、この二つにてオブリビオンたる溶かしすり潰す者を迎撃するという事であろう。
 手数を増やす分身や人形を用いた面々の攻撃が、今始まろうとしていた。


「おっとぉ、自爆はさせないよ♪」
 上空から急降下、緋瑪が手にした爆弾を投げつければそれは凍てつく冷気を周囲に広げ、膨張を始めた巨大ナメクジの体表を凍りつかせる。
 もっとも、この凍結爆弾による冷凍では体表を固める程度、底部まだま蠢き流民の方向へ進んでおり、自爆のタイミングをほんの少し伸ばしただけ。
 だが、一人ではなく三人にて行動する瑠璃と翡翠が居るならばほんの僅かの引き伸ばし、それで十分。
「オッケー、ここからは私達が」
「……確実に、凍らせる」
 緋瑪に遅れ降下した二人が展開するは、広域へと影響する魔力の領域。
 それらは冷気を帯び、一瞬の凍結から回復しつつあった巨大ナメクジを再度凍らせ自爆までの時間を更に引き延ばす効果を発揮。
 如何に広域へ力を発揮し、酸にて人々を襲う能力があろうとも、自爆へ至るプロセスそのものを阻害されれば能力を活かす事も適わない。
 結果、一方面から流民を追いかけ自爆を狙う溶かしすり潰す者の目論みは阻止されていたのである。
 だが、完全に凍りつき機能停止したわけでもなく、速度の下がった進行速度で底部のみを蠢かせ無理矢理進み、追いかける姿は不気味そのもの。
「流石に気持ち悪いなー」
 不完全な膨張、そのままの姿で固まりつつも追いかけるその姿に緋瑪が嫌悪感を隠さず呟いて。
「粘液とか飛び散らせたくない……」
「ホント悪趣味……」
 凍りついた体表の、一部から酸が漏れ出す姿を見つつ翡翠と瑠璃も同意して、再度凍結爆弾で漏れ出す酸を食い止めて。
 上空というアドバンテージを生かし、三人は敵の位置取りを把握して、仲間へ伝える役割も担っていた。

「うわっ、何か飛ばしてきた!?」
 流砂に運ばれ逃げる流民、その逃走を阻止しようと酸を放ったオブリビオン。
 命中はしなかったが、着弾点の植物を瞬時に枯らせ、腐食させたそれは恐怖を煽るには十分であった。
 次々と射出し、追いかけようとする溶かしすり潰す者の攻撃にて恐怖が広がり、混乱が進めば恐怖に駆られた民があらぬ方向に逃げ出し、逆に危険に身を起きかねないこの状況。
 不意に良い角度で放たれた酸が流民のすぐそばに飛んできたが、それが流民を、そしてすぐ傍の地表を侵すことは無かった。
「あ、あれ、何とも、ない?」
 酸の着弾という恐怖に目を閉じ、恐怖していた流民。
 恐る恐る目を開ければ、そこには酸の塊をその身で受けて、更には地表を侵さぬようにと衣服にしみ込ませたが故、己が皮膚が焼け爛れたようなダメージを受けつつも流民を守った義透の人格が一人、疾き者が仁王立ちして防いでいたのだ。
「ご安心を、これ以上、皆さんにアレを撃たせはしませんから」
 皮膚を侵され、されどなんともないとばかりに微笑んで。
 右手を翳して巻き起こる風の結界、それが障壁へと変化して再び放たれた酸の塊、その軌道を逸らしていく。
「……疾き者め、無理しおって。酸などと動じておらぬように振舞っておるが痛みは相当だろうに」
 流民の防衛、その役割を果たした別人格の働きを評価しつつも無理をしすぎだと呟いたのは分身として立ち回る侵す者。
 ダメージが明らかな別人格、その無茶を無駄にせぬ為自身も役割を果たすのみと炎を宿した槍を携え、上体起こして酸を噴出そうと膨張した敵へと急接近。
 膨れ上がったその体へ一撃、なぎ払うように放たれた槍の柄にて打ち据えて。
 打撃武器として扱い、別の敵へと吹き飛ばし、両者がぶつかり合ったその刹那。
 二匹纏めて焼き尽くすとばかりに突き出された槍の穂先が双方を貫いて、それと同時に炎上を。
 射出も自爆も出来ぬまま、炎の責め苦に苛まれ二匹の溶かしすり潰す者は絶命していたのであった。
「お見事、ですが次が来ていますよ」
 そんな別人格の活躍を賞賛しつつ、更なる新手が来たと示す疾き者。
 手にした棒手裏剣を投げつけて、溶かしすり潰す者の膨れ上がった体に穴を空け。
 酸を漏れ出させる事による放出妨害、その間に侵す者が飛びのけば放出タイミングが遅れた故に、何も無き地面を侵食する酸の塊。
「すまんのう、助かったわ。じゃがお主も無理はしすぎるなよ?」
「ええ、わかっていますよ」
 人格同士で言葉を交わし、互いに援護を続ける義透。
 人数を増やす力にて敵の進行を食い止めて、流民の避難は進んでいた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

黒沼・藍亜
うわー、接触困難、知性皆無、苦手要素てんこ盛りっすよー……
ああもう、仕方ない。
悪いけど、ボクが囮……というか殿やるから、周りの人、アイツらから離れるように逃げるっすよ
護ってくれないのかって、護るからこそっすよ。ほら行った行った、そのぐらい回復はしてるでしょ


……さすがに、化け物でもない他者を巻き込みたくはないから

さ、これでここにいるのはボク一人。
ボクを無視して追おうとしても関係ない。
ボクの近くに居たのが運の尽き



――――【たとえかみさまがゆるしても】


周辺全部、昏く、暗い、ボクの心の奥底に抱えたこの黒い衝動で引き摺り落とし巻き込み何もかも自己否定し自己嫌悪し自己崩壊して
自ら終わってしまえばいい



「いやー、いい感じに足止めをしてくれてるっすね。それじゃボクもお仕事しますか。
 けどまあ……接触困難、知性皆無、苦手要素てんこ盛りっすよー……」
 仲間が民を守りつつ立ち回る、その様子を遠くに見遣り湿地帯に留まっていた藍亜。
 何故ここに留まっているのか? それは彼女が追いすがる敵をこの場で食い止める……つまりは殿を買って出たからに他ならない。
「こっちは任せてもらうっすー! 周りの人ー、アイツらから離れるように逃げるっすよ!」
 遠くに見える仲間を、そして流民に聞こえるように大声出して。
 ここに残ると言った時、驚いた顔になり。
 自分が治療し、でもあっちの癒し手の、聖なる光がよかったかも、なんて顔をしていた流民から護ってくれないのか、と問いかけられた事を思い出す。
「護るから、っすよ……ま、本当は他にも理由があるんっすけどね」
 何か言いあう時間も惜しい、さっさと行った行った、傷も癒えているだろうと言って送り出したがそれは理由の一つ。
 もう一つ、彼女がこの場に残って戦うのは自らの姿を見せぬ事、そして巻き込まぬという事が大きい。
「だって……さすがに、化け物でもない他者を巻き込みたくはないから」
 小さく息を吐き出して、後ろよりも前へと注意が向いたのを確認。
 周囲には自分を狙い、酸を吐き出すべく膨張したものや押し潰さんと近づく者。
 多数のオブリビオンに囲まれつつある状況下だが藍亜は一切焦りの色も見せなくて。
「さ、これでここにいるのはボク一人。
 ボクを無視して追おうとしても関係ない。
 ボクの近くに居たのが運の尽き」
 知性無き敵、それに聞かせるのは無意味な呟き。
 故に逸れは自分自身に向けた呟きでもあり、力を放つ宣言でもあり。
「たとえかみさまがゆるしても」
 力の解放、そして放たれるは彼女の中に存在する黒き衝動。
 それは自己否定、昏く、暗い、心の奥底に眠る粘つくタールの様なもの。
 その黒き衝動は黒き風へと姿を変えて、殿を担った彼女を狙うオブリビオンも、彼女を無視して流民を追いかけるオブリビオンも分け隔てなく巻き込む嵐と成り果てて。
「化け物蔓延る沼の中、精神抉る奈落の底。ようこそ、救いなんてない黒い世界へ。
 ……歓迎しないから勝手に堕ちるといいっすよ」
 三日月のように歪んだ口元、されどその笑いは一体、誰に向けられたものなのか。
 敵への嘲りか、はたまた自らへの自嘲か。
 自己否定、自己嫌悪、自己崩壊。
 自分自身を追い込む、不の感情にて起こりうる崩壊へのプロセスを知性無き相手に無理矢理押し付け、巻き込まれた者達は黒きナニカに飲み込まれ。
 嵐が止んで静けさ戻ったその時に、残っていたのはたった一人、藍亜だけであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

メリー・スペルティナ
念のため想いの武具を用意しておいて正解でしたわね……

しかし、あの移動速度で伏兵って事はあの吸血鬼が負けるのは織り込み済み、という事ですの?
……まあ吸血鬼同士、それも一時の利害関係ならそんなものですわよね。

しかし、いろんな意味で近寄らせたくありませんわね……
一応向こうに接近される前に進軍ルート上に『使い捨て血晶石』をばら撒いて、
時限式で呪式が解け呪詛を帯びた血をまき散らす即席の罠にして……
呪詛を浴びた者から【呪縛血界:怨讐の血刃】の効果でその者に向けられている負の感情を刃の形で実体化させて攻撃ですわ!
別に恨み辛みじゃなくても、キモい臭い近寄りたくないとかでも刃には十分ですのよ!
※アドリブ連携歓迎


霧島・絶奈
◆心情
…愉しませて下さい

◆行動
引き続き【空中浮遊】を活用

流民達に被害が及ばない様、可能な限り尽力しましょう

【罠使い】の技を活かし「魔法で敵を識別するサーメート」を追加設置
貴殿方が猟兵に対する策として流民を狙うのであれば…
私は其の悪辣さをも利用するのみです

『獣ノ爪牙』にて召喚した軍勢と共に【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】
軍勢は流民との間に割り込ませつつ、間抜けにも距離を詰めてくる敵の「射程外から」攻撃を加えます
槍衾も砲撃も30㎝よりは長く、其の上此方の攻撃で貴殿方は後退を余儀無くされるのですから…結果は明らかです

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


宮落・ライア
・・・・・・・・・。害虫駆除かー。
いや別にいっか。酸とか無視して。
どうにかして酸が飛び散らない様にとか考えたけれど面倒だな。
面倒だし真っ直ぐ行ってぶっ潰す。

はい。と言うわけで真っ直ぐ行って敵陣に突っ込んで怪力薙ぎ払い衝撃波グラクラ。
破裂してかかる酸は激痛耐性気合に継戦能力で戦闘続行。
湿地で足がとられる? 限界超えて力込めれば行ける行ける。
体溶けても『驚異的な自己治癒』で暫くは暴れられるだろ。うん。

一般人? 味方任せた。


四王天・燦
《華組》

下がれ!
大声で流民に指示を出し突貫
特に女の子を護りに行くのはご愛敬
酸で綺麗な肌を焼かれちゃいけねーや

庇って前に出る
ちと焼かれても激痛耐性で辛抱
時間稼ぎは任せな!

酸を見切って回避
酸溜まりをアークウィンドで起こす風属性攻撃の烈風で吹き散らす
シホの翼域展開範囲に入れないよう、アタシがおびき寄せるぜ
誰も死なせない―
シホが悲しむっしょ、それにアタシも後味が悪い!

大理石の剣で突いて呪詛を流し込み石くれにしてやるよ
シホが救助を終えて援護に回ってくれりゃ守りより攻撃重視に切り替え
殺戮剣舞で押せ押せだ
うすのろ相手なら命を削るまでもない

蹴散らしたら流民の回収と手当を急ぐぜ
次の敵襲までに万全を期したい


シホ・エーデルワイス
≪華組≫

!?自爆に地形を強酸で汚染!?
しかも人々を積極的に狙う!?

なるべく早く保護しないと…

燦!時間稼ぎをお願い!


流民を庇う様に敵との間に翼で飛んで割って入り
【翼域】で結界を張って地形ごと守りつつ
引き続き『聖鞄』へ流民を保護

全員無事に避難できますように
私達が駆けつけるまで
リマ達が持ち堪えられますように


保護が完了し敵が残っていたら
氷風属性攻撃の散弾(範囲攻撃)で土壌ごと凍らせ
酸性ガスを換気で薄める援護射撃

氷結や石化など固体にすれば
酸は飛散しにくくなるでしょう


戦後
流民を保護しきれていなければ
敵が残した酸溜まりと
次の襲撃者から守る為
極力流民全員を『聖鞄』へ保護

【祝音】や手当ては急を要さない限り後回し


アリウム・ウォーグレイヴ
アドリブ歓迎

ナメクジ相手ならば私の技と相性が良いかもしれません。試してみる価値はありますね。
狙うは一番距離のある敵。使用するは散華。魔力を込め『属性攻撃』を放ちます。
ナメクジは大量に水分を含むと聞きましたが、あの敵が大人しく凍るのならばこちらに利があります。
水ではなく酸なので不安ですが……凍らなければ他の猟兵の援護に回りましょう。
凍ってしまえば爆発はしないかもしれません。もしくは威力を弱める事ができるかもしれません。
効果的であれば守るべき人々を背に『かばう』様に戦い続けます。
人々に近い敵へ、苦戦する味方へ。散華の『範囲攻撃』で戦場全体に氷の華を咲かせて魅せましょう。



 民を狙うオブリビオン、そして守る猟兵との戦いはより激しさを増していく。
 その中で、民を守るべく立ち回るものが居るならば……逆に守りを仲間に託し、敵の排除を優先して行う者も当然のように居るわけで。
「………………害虫駆除かー。それと一般人? あ、味方任せた」
 防衛を全て任せて敵の数を減らすこと、それに注力していたのはライア。
 敵が吐き出し、自爆し周囲を、そして標的を侵す酸という厄介な代物を相手に彼女が導き出した対策は一体なにか?
「酸、酸……いや別にいっか。酸とか無視して」
 それは完全無視、敵から発生する酸の飛散など考えず、人々に影響を出さぬ距離での殲滅優先。
 面倒な対応など一切合切考慮せず、手早く倒す事で被害の出さぬという、攻撃一点に絞った立ち回りであった。
 となれば、小細工無用、ただ相手が動き、人々を狙おうとする所に何の躊躇いもなく突っ込んで叩き潰すのみである。
「あはは、ボクの目に留まる場所にいたからね」
 光をなくした目を細め、歪な笑みを浮かべつつ。
 ぬかるむ地面を蹴り上げて、泥を跳ね上げ真正面から突撃を。
 足場が悪く、速度が出ぬも相手も相手、地形の影響を受けぬとはいえ這い回るが故、速度の遅いナメクジならば力任せにぬかるみ進むライアでも十分に接敵可能。
 そのまま距離詰め、振り上げたのは白き骨にて作られた巨大な剣。
 足首までもをぬかるみに沈めつつ、力任せに腰の回転生かしてなぎ払えば大きく吹き飛び、体内の酸をぶちまける溶かしすり潰す者。
 一目でわかる致命傷、ならばこのまま死んでなるものか、とライア目掛けて自爆して、残る体液を放出すればぬかるみに嵌った彼女に防ぐ手立てはないものの。
「アハハ、なんだ、この程度。体を溶かすだけか?」
 酸にて皮膚が侵されて、通常ならば激痛に苛まれるそれを受けても常日頃から痛みと共にあるライアにとってそれは耐えれぬものではなく、むしろ体を再構築する回復力が上回り。
 ぬかるみから力任せに足を引き抜き、衣服が溶けるも躊躇せず。
 一歩、また一歩敵へと近づき、振り上げた骨の剣を叩きつけるように振り下ろせば敵の体液と泥濘に満ちた水分が同時に弾け、凹んだ窪みへ流れ込む。
 戦場に響き渡るはバシャリと弾ける水音、そして何かが潰れ、ひしゃげる音。
 ゆるりとした動きのままに、ライアは一匹、また一匹と相手の反撃、酸の放出で体を溶かされ、再生しながら敵の数を減らしていくのであった。

「む、無茶をしますわね……けど、念のため想いの武具を用意しておいて正解でしたわね……」
 そんな強引な攻撃を敢行するライアを見つつ、驚嘆の声を出すはメリー。
 自身が傷つくことなど厭わない攻撃を目の当たりに正直な感想を述べた彼女の声に気付いたか、ライアが気にしないでとばかりに微笑むがその顔は張り付いた、作り物の笑顔に見えて思わず身震いしたくなるものであったという。
「しかし、あの移動速度で伏兵って事はあの吸血鬼が負けるのは織り込み済み、という事ですの?」
「……恐らくは。吸血鬼同士、何かしらの思惑はあったのでしょう」
 ライアの笑みにて感じた寒気、それを振り払うかのように戦況を見極め、敵の迅速な展開から推測を述べるメリー。
 それに同意を示したのは、先に炎上の罠を仕掛け、彼女と同じく敵の不意打ちから民を守る一手を打っていた絶奈であった。
「……まあ吸血鬼同士、それも一時の利害関係ならそんなものですわよね」
 妥当に、間違いないであろう事を確認しあった二人は頷きあって、敵の数を撃ち減らす戦闘へと突入するが二人はライアのような接近戦ではなく、敵の動きを利用しての立ち回り。
「……さあ、愉しませてもらいましょう。相手は猟兵への対処として、流民を狙って動くというのなら」
「私たちはその動きを利用する、ですわね」
 絶奈が如何なる立ち回りかを呟けば、理解したとばかりにメリーが頷く。
 相手の進軍ルート、民を狙って猟兵の動きを制限しようと考えるならば自ずと仕掛ける為の動き方は絞られる。
 先回り、待ち伏せ、不意打ち、追撃という動きを相手が狙うなら、進軍ルートの選定は容易、それらを逆用して罠を仕掛け、自分たちのペースに持ち込むのは知性無く命令に盲従する相手ならば赤子の手を捻るが如き難易度であろう。
「ふふ、そこですね。猟兵に対する策として流民を狙うのであれば……私は其の悪辣さをも利用するのみです」
 浮遊し、敵の動きを見越して仕掛けた罠。
 魔力による識別機能を持たせた炎をあげるサーメートが起動、草むらから近づいていた巨大ナメクジの体表を焼き焦がす。
 もっとも、この炎だけで敵を倒せるとは絶奈自身も思っておらず、あくまで敵を一時的に足止めするのと位置を把握する為に利用したに過ぎず。
 生じた時間を利用して、彼女が呼び出したのは砲撃と同時に槍衾にて突撃を敢行する、屍者の軍勢であった。
「さあ、始めましょうか。徹底的な蹂躙を」
 接近戦、相手を押し潰し、溶かし取り込もうとする相手が近づく前に放たれた砲弾が大地をえぐり、多量の土砂と泥水ごと巨大ナメクジを吹き上げて。
 ふわりと浮かんだその体、そこへ進軍続ける軍勢が距離を詰め、形成された槍衾にて刺し貫く。
 泥濘ゆえに進軍速度が遅くとも、相手も速度に劣り、また流民を狙い割り込む相手を阻止する壁として機能すれば十分と割り切っての運用ならば速度の遅さは気にならず。
 確実に、安全圏を生み出すように戦線を構築すれば良いだけのこと。
「すり潰したくとも、その距離では……砲撃と槍衾を抜けては無理でしょう? それでも距離を詰めるのならば」
 築き上げた戦線から、砲撃と軍勢を行進させつつ自身は敵の位置を見極めていた絶奈。
 強引に迂回して、何とか民を狙おうと立ち回る相手なら、浮遊し機動力のある彼女が補うのが道理。
 右手の槍、左手の剣。
 左右の武具を振るえば二筋の衝撃波が地表の泥水巻き上げ敵へと迫り、その体を吹き飛ばしていた。
「先読み、軍勢の壁、ですわね。あちらは大丈夫、なら私はこちらを抑えましょう」
 絶奈が数の力にて壁を生み出し、敵の進軍凌ぐ中。
 メリーも迂回し、民を狙う溶かしすり潰す者を排除すべく動いていた。
 彼女がばら撒くは、自らの血液を固形化、結晶へと変化させた使い捨ての血晶石。
 時限式で爆発するそれは、爆発と同時に呪詛を撒き散らす危険な代物。
 別方向から迫る敵、その進路上にばら撒かれたそれは爆発するまでは何の変哲も無い、赤き結晶ではあるが……。
 一度、爆発すれば赤き血の霧が周囲に満ちて、巻き込まれた者に強烈な呪詛を流し込む。
 絶奈の軍勢、それから逃れた方向から迫っていたオブリビオンの集団はまさにその呪詛の広がる空間に囚われて、体表を赤く染め。
「時に、恨み辛みは抱いた当人が……って別に恨み辛みじゃなくても、キモい臭い近寄りたくないとかでも刃には十分ですのよ!」
 負の感情を糧として、呪詛を刃とするメリーのユーベルコード。
 普段は敵への恨み辛み、ではあるが、今回向けた負の感情は生理的嫌悪感というものか。
 近寄らせたくないという強い意思も相まって、心なしか威力の上がったそれは敵の体表に張り付いた赤き呪詛、その形を刃に変えて。
 内部へと突き刺さる様に蠢き、貫き、そして地面まで貫通し、その場に敵を縫いとめる即席の楔が如き能力を発揮していたのであった。
「まったく、それ以上近寄らないで下さる? 見た目もそうですけど、戦い方が最悪でしてよ」
 首を振って呆れたように声を出し、小さく乱れた髪の毛を手櫛で整え気品を示すメリー。
 自分は貴方達とは別格だと見せ付ける様に立ち回り、呪詛の刃を自在に動かし、彼女は動けぬ敵を切り刻んでいた。

 流民を動かす者、守る者、純粋に敵を討ち滅ぼす者。
 猟兵達が即席とはいえ連携し、被害を出さぬ様に立ち回れば、必然的に民を保護する目的は達成したと同義であろう。
「燦! 時間稼ぎをお願い!」
「任せとけ! お前ら下がれ! 何かあっても勝手に動くなよ!」
 敵の動き、民を積極的に狙おうとする企みを完全に阻止する仕上げとばかりに動いていたシホと燐。
 両者ともに保護を最優先、白き翼を羽ばたかせ、流砂にて運ばれる民と敵の間に立ったシホ。
 そんな彼女に見送られつつ、流民の中に少女を目ざとく見出し、ウインクしてから敵陣へと突っ込む燐。
 距離があっても尚、民を狙う相手ならばその攻撃を逸らし、同時に敵そのものを排除せねばいつまでも脅威が残る。
 故に二人、守りと攻撃の役割分担で行動するシホと燐の動きは理に適ったものであった。
「皆さん、何があっても私……いいえ、私たち猟兵の後ろから前へ出ないで下さい」
 ぬかるみから流砂へ変わった地面の上に立つシホが、砂に飲まれることも厭わずに。
 膝付き、手を組み祈れば巨大な翼が彼女の背面より広がって結界を形成。
 放たれた酸の塊を弾き、また地表への汚染すらも防いでいく。
 仮に直接当たらずとも汚染し、逃げる道を防いでいく酸の射出はこれにより完全に防がれて、初手にばら撒けた酸は既に砂に飲まれ人々を傷つける場所には無い。
 結界の範囲内にて危険を排せば次に行うは攻撃の手を休めず、次々と酸を吐き出すオブリビオンを止める事。
 放出される酸、人々を護る為ならば先に仲間が行った様に自らの体で受ける必要もあるその一撃だが、今は民をシホが護っていると信頼し、見切って燐が避ければ後方で酸の塊があらぬ方向へと軌道を曲げる。
「誰も死なせない……シホが悲しむっしょ、それにアタシも後味が悪い!」
 そう叫んで切り込む燐、進路を塞ぐ酸溜まりを見つければ左手に持つ短刀、アークウィンドを一振り。
 すると前方、切り開く様に烈風が巻き起こり、酸を巻き上げ周囲に散らせば切り込む道は開けていき。
「いくぜ、うすのろ! 全員石くれにしてやるよ!」
 大理石の剣を突き立て、膨張始めた溶かしすり潰す者を石化させ。
 そのまま続けざまに振り回し、別の個体を一刀両断。
 攻撃重視で立ち回り、放出される酸の塊すらも剣で打ち据え爆ぜさせて。
「チッ、面倒だな。けどまあ、こっちはこのままいかせてもらうぜ、シホ!」
 飛び散る酸が皮膚を焼き、痛みを感じるも気にする暇は無いとばかりに再び地を蹴り駆け出した燐は護衛に回るシホに届くようにと声を上げ、更なる死を振りまいていく。
「燐、無理をさせてしまいましたね……ですが、おかげで此方は」
 その声が届いたか、結界を張り巡らせ人々を護りつつ、特殊空間への移送を継続していたシホ。
 彼女が守護の力、それを発揮する糧とした祈りは人々を護り、避難を完遂させること。
 そして、自らの友であるリマが住まう村が持ちこたえる事、という祈り。
 二つの願いを祈りに込めて、力を高めた結界はより輝きを増し、仲間の攻勢で敵の数が打ち減らされて酸の放出が収まるまでの時間を稼ぐには十分すぎる効果を発揮。
 時が過ぎれば過ぎる程、彼女による流民の保護は進み、やがて敵が狙う民衆は一人も残さず、異空間への移動を完了。
 こうして、戦う為の障害が無くなり……猟兵による反撃が始まるのであった。
「これで大丈夫ですね……皆さん、援護します」
 障害が無くなれば、護る力の展開は不要とばかりにシホが結界を解除。
 手にした両手の拳銃より放つは凍てつく風を巻き起こす、氷の力を宿した弾丸。
 虚空を進むその弾丸は途中で砕け、まるで散弾のように氷の礫を撒き散らし、土壌や敵をまとめて凍りつかせていくのであった。

「ナメクジ相手、そして私の技と相性が良い事は他の方が実証済み。ならば全力で仕掛ける価値はありますね」
 左目、モノクルの下で目を細め戦況を見渡していたアリウム。
 敵を凍らせ、膨張や酸の射出、自爆といった行動への阻害効果を仲間の猟兵が示していた現状を確認し彼の得意とする能力、即ち氷を操る力が効果を発揮していたならば。
 より強力な力を持つ、自身のユーベルコードならば更なる効果が期待できると自身を持っての攻勢を仕掛けていく。
「まだ追ってきますか……ならば。散れ氷華――」
 細めた左目を見開いて、同時に振るうは美しき華の装飾施された刺突剣の氷華。
 ひょうと空切る音を立て、青き軌跡が刻まれれば振り切ると同時にその剣がバラバラに砕け散り。
 それらは全て、氷で出来た花びらへと変化して遠方から流民を、そして民を守ろうと立ち回る猟兵をまとめて傷つけようと迫りくる巨大ナメクジ、溶かしすり潰す者の集団へと吹き込んで舞い上がる。
 速度の遅いナメクジでは、風に踊るそれらを全て避ける事は不可能。
 遠方の敵を狙い放たれた氷の花弁、その縁は鋭き刃となり次々と巨大ナメクジを切り裂いて、その傷口からは瞬時に冷気が流れ込み体表を、そして内部に蓄えた水分を酸ごと凍らせ、身体機能を失わせていく。
「ナメクジは大量に水分を含むと聞きました。水ではなく酸なので不安でしたが……酸を液状にして放つ為の水分はどうしても必要だったようですね」
 次々と凍りつく溶かしすり潰す者、その攻撃手段を封じ込めつつ不敵に笑うアリウム。
 爆発しようと膨張を始めるも凍りついた肉体が膨張に耐え切れず、砕け自壊する者。
 酸の放出を試みるも凍った体ではまともな量を液体として放出できず、微量の酸を噴出すに留まるもの。
 完全に凍りつき、動きを止めた者以外も攻撃手段を封じられ、流民を、そして猟兵を害する事が不可能な状況へ追い込んでいたのである。
「しかし……もう溶け始めている者もいますか。やはり多少の耐性はあるようだ」
 だが相手は力に劣るもオブリビオン、体内の酸を循環させ、無理矢理溶かして再稼働を始める個体も幾匹姿を見せ始める。
 このまま攻めるのも可能であるが、彼は人々を守る事を優先に。
「追いかける相手は、私が動きを止めましょう。皆さんは敵を倒す事に注力して下さい」
 追撃狙う溶かしすり潰す者と流民の間に立ち、手をかざせば再び戦場に舞い上がる氷の華。
 再稼働を始めた者も、別の場所から追いかける者も容赦なく、全身を凍らせ再び動きを止める事となっていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…成る程。流民を襲う事で私達の消耗を狙っているのね
確かに有効な策だけど…無駄よ。この程度の小細工で私を止められると思うな

空中戦を行う"血の翼"を維持して空中に留まりUCを発動
大鎌を大剣の柄に武器改造して過去の存在だけを焼く黒炎の魔力を溜め、
限界突破して長大な黒炎の刃を形成

…この黒炎は今を生きる者達にはただの幻に過ぎない
お前達、骸の海より出でし者だけを焼却する業火よ

切っ先が残像が生じる超高速で黒炎剣を怪力任せになぎ払い、
黒炎のオーラで防御を無視して敵を浄化する世界属性攻撃を放つ

…これなら乱戦になろうが、草木に隠れようが関係ない
…目的を果たせぬまま、元いた場所に還るがいい、溶かしすり潰す者


祓戸・多喜
むっ今度は巨大ナメクジね!
気持ち悪いしうっかり爆発されても困るから遠くから吹っ飛ばしつつ仕留めないとね!
まだまだ矢は数も種類も十分!全部撃ち抜いていくわよ!

視界はデバイスも活用しなるべく広く注意深く、安定した足場を探しそこを拠点にUC発動、移動せずに敵を狙っていく。
さあ片っ端から殲滅いくわよー!と住民への危険度の高い奴優先で速射で射抜き、それに伴う衝撃波で弾き飛ばしていく。
酸撒き散らしそうなのに対しては直接当てず湿地に当てて衝撃波で住民との距離取らせてからトドメね!
のしかかってくるには距離詰める必要があるからその前に倒しちゃえば大丈夫!
こーいう時こそ射手の本領発揮よ!

※アドリブ絡み等お任せ🐘



 次々とオブリビオンが打ち倒される中、猟兵は最後の仕上げとばかりに攻める手を緩めない。
「巨大ナメクジね! でもあとちょっとで殲滅よ」
「ええ、流民を襲う事で私達の消耗を狙っているみたいだったけど」
 多喜とリーヴァルディが言葉を交わし、避難の終わった民を傷つけることができず、標的を猟兵へと定めた溶かしすり潰す者を見る。
 民をかばいつつ、という枷を取り払われた猟兵にとって、その動きはあまりに緩慢。
 ならば倒しきる事に何の苦役があろうか。
「確かに有効な策だったけど……無駄よ。この程度の小細工で私達を止められると思うな」
 今は民の避難が終わるが、民がいたとしてもこの攻撃を止めることは出来なかっただろうとリーヴァルディが声を上げ、鮮血にて出来た翼を広げ空中へ。
 足場の悪さという地形の障害を無視し、自由自在に天駆ける彼女を止める手段など持ち合わせぬオブリビオンは空中向けて酸を吐くも無駄な足掻き。
 大きく羽ばたき、高度を上げたリーヴァルディは軽やかに、飛来する攻撃等なかったかのように避ければ彼女が取り出すは巨大な鎌。
 まるで死神が命を刈り取る、そんな印象を見るものに与えるそれを一振りすれば、それを合図に彼女は肉体の限界を超えて力を解放。
 吸血鬼としての力によって溢れ出す魔力を糧に、黒き炎を鎌へと纏わせそれは巨大な剣を形成。
 大鎌の先端、つまり刃と柄の結合部分から伸びる刃は長大で、一振りで数多の敵をなぎ払える恐るべきもの。
「……この黒炎は今を生きる者達にはただの幻に過ぎない。お前達、骸の海より出でし者だけを焼却する業火よ」
 小さく呟き急降下、そして地表スレスレで90度軌道を曲げて、一直線に集団へと切り込んで。
 次々と吐き出される酸の射出を見切り、左右に微妙に揺れることにて回避して一振り。
 超高速の薙ぎ払いは炎の刃が扇になったかのような、そんな錯覚を与えるほどの残像を残す一撃となり、彼女が飛び去った後には炎上するオブリビオン、溶かしすり潰す者があるだけで。
「……これなら乱戦になろうが、草木に隠れようが関係ない。
 ……目的を果たせぬまま、元いた場所に還るがいい、溶かしすり潰す者」
 一撃離脱、そして反転。
 続けて彼女が切り込むは、雑草生い茂る中に潜み酸を射出した小集団。
 再び振るわれた一撃は下草の中に潜む敵のみを燃え上がらせ、浄化の炎による責め苦に耐え切れず体を縮め、やがてその動きを止めていく。
 高速で飛翔、そして振るわれる猛攻にまるで対応できぬ敵集団は、次々とその数を減らしていくのであった。

「流石ね。残りの数は少ないけど……気持ち悪いしうっかり爆発されても困るから遠くから吹っ飛ばしつつ仕留めないとね!」
 残存戦力はわずか、されど油断はせぬと多喜が見つけた場所は木が倒れ、根だけが残るポイント。
 広がった根により多少地表が固められたその場所は、まだ踏ん張りやすいと判断し陣取って、殲滅するとばかりに戦場を見渡して。
「まだまだ矢は数も種類も十分! 全部撃ち抜いていくわよ!」
 移動力を代償に、艱難辛苦、障害を取り除くガネーシャを思わせるオーラを纏った多喜。
 先ずは仲間を狙い、死角から攻めようとした者を見つけ剛弓を引き絞り速射。
 狙う間など瞬きする間で十分とばかりに、瞬時に狙いを定めたその一矢は溶かしすり潰す者の胴部を穿ち、酸の体液をぶちまけて。
 間髪入れず放たれた二矢が生み出す衝撃波、それが飛び散る体液ごと敵を吹き飛ばし、最後の抵抗とばかりに自爆しようと膨れ上がったオブリビオンが猟兵達と距離を離され、無意味に爆発。
 撒き散らされた酸が下草を腐食させるも誰一人傷つかず、最早抵抗らしい抵抗など発生しえないこの状況。
「さあ片っ端から殲滅いくわよー! 近づく前にやる、こーいう時こそ射手の本領発揮よ!」
 ビィンと弦が鳴らされて、次々と放たれる太矢は常人からすれば槍のよう。
 だが、そんな物を簡単に放てる剛弓の張力と、高速で放たれる質量の塊が生み出す破壊力は恐るべきもの。
 人間を大きく超える、2mを軽く超えた恵まれた体躯を生かすバイオモンスターという特性を如何なく発揮、その体から発揮される膂力を持って弓矢を自由自在に操って。
 引き絞られ、キリキリと張り詰められた弓。
 複数でまとまって、酸の弾幕を張ろうとした集団には直接当てず、その中心点へと打ち込んで、着弾の衝撃と矢そのものが放つ衝撃でバラバラに吹き飛ばし。
 巻き上がる泥水と共に分散した敵戦力は、彼女が射ち倒すと同時に仲間の猟兵の追撃が容赦なく入るだろう。
 ならば、泥濘に乗じて潜もうとすればどうか?
「そこね! こっそり隠れてどうにかしようとしたみたいだけど……私には丸見えよ!」
 周囲を見渡し、高性能の視覚デバイスを発動。
 体を半ば泥濘に沈め、身を隠しつつ下草の中へと進む溶かしすり潰す者を発見した彼女は逃がさぬとばかりに狙いを変えて、剛弓引いて躊躇なく矢を放つ。
 突き刺さる太矢、跳ね上がる泥水とそこに混じった緑色の体液がオブリビオンを貫いた事を視覚的に伝えれば。
 空中舞った液体が地表に戻る、それと同時に広がる液体が敵の絶命を物語っていた。

 こうして掃討戦が続き……枷無き猟兵を止めることが出来ず。
 次々とその数を減らした溶かしすり潰す者は殲滅され、周囲に静寂が戻っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『『探求卿』プロビデンス・アイ』

POW   :    蒐集異聞業検証式“木偶の戦列”
対象のユーベルコードを防御すると、それを【完全模倣して使用する人形百体を瞬間構築し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
SPD   :    廃棄怨嗟物転用式“狂いの跨乗”
【頭蓋を砕き脳髄を啜るための大型散弾銃】で武装した【奪われた知性を取り返そうと狂い叫ぶ吸血鬼】の幽霊をレベル×5体乗せた【常時正気を削る思念波を放つ大型竜種】を召喚する。
WIZ   :    異界非正規接続式“穢れの帝国”
対象への質問と共に、【自身が纏う魔導粘液を染み込ませた無機物】から【無数の口と目玉を持つ異空間の巨大城門】を召喚する。満足な答えを得るまで、無数の口と目玉を持つ異空間の巨大城門は対象を【槍の舌、石化の邪視、門より現れる謎の怪物】で攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はレナ・ヴァレンタインです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 集団で人々を襲った敵の殲滅も終わり、周囲に静寂が戻った。
 だが、これで終わりではないことを猟兵達は肌で感じ取り……近づく脅威に備え警戒を怠らない。
 そして、姿を見せた存在は液体、否。
 ゲルのような、スライムの中に巨大な単眼が浮かぶ異形の存在であったのだ!
『まずはお見事、と言っておこうか』
 二種の敵を退け、流民を守りきった猟兵達の前へ小細工無しで姿を見せたオブリビオン、探索卿と名を持つプロビデンス・アイ。
 直接脳内に届く思念のような物で賞賛の言葉を送るは自らが勝利するという絶対の自信、その現れか。
『実に興味深い能力、見せてもらった。すばらしい、実にすばらしい。
 その力、行使するに必要な知識を、そして私も知らぬ数多の知識、それらは全て私が持つに相応しい』
 液状の体をくねらせ、内部に浮かぶ眼球が上下左右に動き、猟兵達を値踏みする様に妖しく光る。
 この吸血鬼は、こんな体になってまで。
 いや、こんな体になることで数多の知識を余す事無く取り込んできたのだろう。
『元より、私は貴様らの守った人間の生き死になど興味は無い。逃がしたくば好きにせよ。
 私はお前達の持つ知識が必要だったから奴らに手を貸したまで、さあ、全て取り込ませて貰おうか』
 先に戦った存在すら、どのような知識を猟兵たちが持つか値踏みする為に利用したこの吸血鬼。
 もっとも、アンドラーシュも自分の新しい肉体を捜す為、そして先ほど人々を襲ったナメクジを貸し出した何者かは一つの村を苦しめ滅ぼす為。
 そしてこの探索卿は自らの知識欲を満たす為。
 結局はそれぞれの思惑があり、利用しあっていただけの協力関係という事か。
 ならばそんな脆弱な関係を生み出して、今まさに一つの村を滅ぼそうとする黒幕を、この戦いの趨勢を見守り、そして次の一手を企てる存在に猟兵の強さを示すため。
 流民を襲うこの事件、最後の障害として立ちはだかる強力な吸血鬼を討ち滅ぼすのだ。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊だが。

第一『疾き者』
のほほん→鬼

傲慢そのもの。
UC発動。風の力を最大限に活かす者。
攻撃そのものは風属性ののった漆黒風の投擲や鎧無視攻撃のなぎ払いだから、模倣も何もない。
このUCを模倣できたとして、『風絶鬼』はただ一人。『疾き者』たる『外邨義紘(とのむら・よしつな)』だけがたどり着くはずだった場所。…その風の力で自壊するだけよ。
相手の攻撃は地形耐性、第六感、戦闘知識を活用して避ける。

今の姿は私が基本になっている。だから私の寿命だけですむ。
鬼の演舞、しばし付き合え。


静かなる者「私に「潜入暗殺の鬼」と言わせるために、わざと…!」
侵す者「無茶をしおって!!」



 誰から挑んでくるのかと、誘うように探索卿がうごめいて。
 ならば自分がとばかりに一歩踏み出し、武具を構えたのは義透であった。
 いや、正確には彼の中にある人格のひとつ、普段は温厚でありながらもこの悪行に怒りを抑えきれぬ人格である「疾き者」が動いた、というべきか。
「貴様の考え、傲慢そのもの」
 手を結んだ存在も、逃げ惑う民も、そして相対する猟兵も。
 全ての存在を見下して、ただ自分の糧に、知識にしようとする態度に嫌悪感を隠す事無く踏み出して。
 その身に纏うは風の力、そして変容する姿は鬼であり、肉体が若返り白銀の髪の毛へと変化して。
「一時、鬼へと堕ちましょう」
 額から伸びる角、それが鬼となった事を如実に示せば跳ね上がった戦闘力、身体能力を生かして探索卿へと急接近。
 握りこんだ棒手裏剣、漆黒風を寸鉄のように用いての打撃を見舞えばぐにゃりと歪み、衝撃を受け流す探索卿。
 されど攻撃はそれだけに留まらず、風を纏った漆黒風をゲル状の体へと投げ込めば荒れ狂う風が内部よりその体を攪拌し、生み出された衝撃波が探索卿を構成する体を飛び散らせていた。
『人を捨て、力を得るか、興味深い。ならばその動き、我も試してみるとしよう』
 飛び散った体を取り込むように、大きく体を伸ばして蠢いて。
 投げつけられた棒手裏剣を避けながら距離を取り、数多の人形を生み出し戦列構築。
 同じ能力、なれど此方は圧倒的な物量で攻め立てるとばかりに構築した人形たちが風を纏って形態変化、風を纏い額より角を生やして前傾姿勢をとりながら飛び出せば、模倣先の疾き者を殺し、主人の知識へと変えるために襲い来る。
 素体の戦闘力の差を数で埋める探索卿の戦い方、模倣したユーベルコードが戦闘力強化という代物であるが故にこれが正解、と言いたいが。
 切り込んできた人形、その突撃を阻むように投げつけられた棒手裏剣の衝撃波が壁を作り、掻い潜ってきた者が突き出す刃、その一撃を伏せてかわしてやり過ごし。
 敵の数を減らすのではなく、時間を稼ぐように立ち回る疾き者、徐々に敵の猛攻に追い詰められていくように見えるが彼の顔には余裕が見える。
「模倣する才は見事なもの、ですが『風絶鬼』はただ一人」
 繰り出された一撃を受け流し、ふとつぶやく疾き者。
 その余裕を前にして、探索卿の瞳が疑うように上下すれば異変はすぐに訪れた。
 それは模倣し、戦闘力を跳ね上げた多数の人形が次々と、纏った風に耐え切れず崩壊を始めていたのだから!
「如何に力を真似たとて、その姿は『疾き者』たる『外邨義紘』だけがたどり着くはずだった場所。
 …ならば結末はどうなるか? その風の力で自壊するだけよ。」
 もとより寿命を削ってまで身体能力を跳ね上げる荒業、ならば短時間しか形を保たず、力を模倣する人形の持つ寿命などたかが知れている。
 短時間、攻撃を凌げば自ずと自壊を始めると踏んだ彼の読みはあたり、崩壊始めた戦列へと切り込んで。
「鬼の演舞、しばし付き合え」
 踏み込みから繰り出されるタックル、吹き飛んだ相手への追撃としての漆黒風の投擲。
 放たれた衝撃波が周囲の崩壊始めた人形もまとめて打ち崩し、多数の軍勢はあっけないほどに崩れ落ち。
 後に残るは一人、真の風絶鬼として力を発揮した疾き者だけであった。

 そんな彼の内部、別人格である静かなる者と侵す者が言葉を交わす。
「私に「潜入暗殺の鬼」と言わせるために、わざと……!」
「ええい、無茶をしおって!」
 自分一人が代償払い、戦う疾き者。
 その様子を内部から見るだけしか出来ない今の状況をもどかしく思い、その身を案じる二つの人格がそこにはあった。

成功 🔵​🔵​🔴​

エウトティア・ナトゥア
アドリブ・連携歓迎

はっはっは、お褒めに与かり光栄じゃな。もう少し披露してもよいのじゃが、あいにくわしは忙しくてのう。
流民達に興味がないのなら丁度良い、わしと流民はお暇させてもらうのじゃ。
『探求卿』はお味方に任せて、わしはマニトゥに【騎乗】してそのまま流民と一緒にすたこらさっさと逃げてしまうか。
流民達が巻き込まれないくらい距離を稼いだら、敵に気づかれない距離から【属性攻撃】で浄化属性を付与した【追跡】する矢で射抜いてやるわい。
【視力】には自信があるのじゃよ。
幽霊には浄化の力はよく効くじゃろう。大型竜種に対しては、矢を複数突き立て緑縞瑪瑙の鏃に込めた風術を暴走させた爆風で吹き飛ばすのじゃ。


黒沼・藍亜
……世の中、知る必要もなければ知らない方が良かったって後悔する知識も多いんすけどねぇ……
ま、それが分かる奴はこんなことしない訳で

敵UCに対し遠慮なく記憶消去銃から記憶消去フラッシュ(催眠術+目潰し)
何を訊くのか忘れてしまえー

その間にいつものように足元にUDC展開し触腕もこんにちは。
記憶消去失敗しても攻撃は触腕で武器受けしたり視線を遮り防いで……じゃ、こっちもまだ見せてないの行くっすよ

予め味方にはそっちを見ないよう警告の上で【きらいきらいだいきらい】
もちろん心抉る精神攻撃、恐怖付与も込みで

その目玉に、記憶に、心を抉る姿を焼き付けるといいっすよ
どうせ、知らなかった頃には二度と戻れないんだから


メリー・スペルティナ
知的好奇心……いえ、対象が知識というだけで
根底にあるのは「自分がそれを全て支配して当然」という在り来たりで面白くもない、
いつもの吸血鬼の傲慢ですわね

問いかけも何も、
何故この身に流れる血に、死霊術ともまた異なるこんな力があるのか、
わたくし自身だって知りませんわよ……って!
(門からの攻撃を闇に紛れ第六感も駆使し武器受けもして凌ぎつつ)
折角答えたのにその態度……もう完全に怒りましたわ!

使い捨て血晶石を目玉にも門にもたくさん投げつけ、
呪血を浴びせ次第【呪縛血界:怨讐の血刃】!

その趣味の悪い城門、その言動、その所業、
今この場にいる猟兵達からの分の「負の感情」だけでも、突き立てる刃とするのに十分ですわ!



 模倣し崩壊した人形、あえて負荷のかかるユーベルコードを用いることで自壊へ導いた立ち回り。
 その動きをお見事、と証するように探求卿は震えまだ知らぬ知識との邂逅を喜んでいるようだった。
「……世の中、知る必要もなければ知らない方が良かったって後悔する知識も多いんすけどねぇ……」
「それでも知識がほしい、というのなら。これは知的好奇心……いえ、対象が知識というだけで。
 根底にあるのは「自分がそれを全て支配して当然」という在り来たりで面白くもない、いつもの吸血鬼の傲慢ですわね」
 そんな探求卿を眺めつつ、藍亜とメリーが言葉を交わす。
 如何なるものでさえ知識が欲しい、それがどんなものでもという存在は好奇心と知識欲によって動くといえよう。
「はっはっは、お褒めに与かり光栄じゃな。もう少し披露してもよいのじゃが、あいにくわしは忙しくてのう」
 二人が探求卿を見つつ言葉を交わしていたその時、重苦しい空気を吹き飛ばすような笑いと共に声を上げたエウトティア。
 見れば狼たちの背に流民を乗せ、これより己が行う行為を探求卿に宣言していた。
「流民達に興味がないのなら丁度良い、わしと流民はお暇させてもらうのじゃ」
『好きにせよ、だが仲間に任せ逃げるとは……獣を使役する知識、後程頂くとしよう』
 これより自分は流民を連れて行く、邪魔はせぬなと念を押すように言葉を発せば、逃げるだけの存在に興味などないとばかにり見送る探索卿。
 狼に乗せられた流民が遠ざかり、エウトティアも巨狼に乗せられ遠方へ消え行く姿を認識しつつ、探求卿は藍亜とメリーが如何なる知識を自身にもたらすか、値踏みするようにその目を輝かせていたのであった。
「なーに余裕かましてるっすか、そんなんだと足元すくわれるっすよ?」
 最初に狙われたのは藍亜、突如出現した数多の瞳を持つ巨大な城門、その眼球目掛けて藍亜は記憶消去銃を発砲、その強烈な閃光により、如何なる知識が、力があるのかと問いかけた質問を一時的に忘れさせ、攻撃のほころびが生じれば。
 その光に便乗し、展開した城門を避け探求卿に接近していたメリー。
「問いかけも何も、何故この身に流れる血に、死霊術ともまた異なるこんな力があるのか、わたくし自身だって知りませんわよ……って!」
 近づく彼女を狙ってか、城門より突き出した槍がメリーを襲う。
 力の源泉、それを行使する知識の根底は何処になるのかと問いかけられて、自分自身でもわからぬと彼女自身で知りえる範囲の事を答えたが満足いく返答でなかったのだろう。
 城門の瞳が更なる答えを出せとばかりに次々と槍を突き立て、メリーを追い詰めんとしていくがその攻撃に苛立って。
「折角答えたのにその態度……もう完全に怒りましたわ!」
「まったくっすね、聞く内容を思い出して、問いかけたらこの態度。
 あ、城門に仕掛けるんで、そっちは見ないで欲しいっすよ」
 怒りをあらわにしたメリー、飛んできた槍を地表から伸びる触腕にていなし、飄々とした態度で城門をどうにかすると宣言した藍亜。
 対照的な二人が動き、城門の後ろに佇む探求卿へと切り込むメリーを援護するように触腕が次々と繰り出される槍を受け止め道を作れば、その間にメリーが探求卿へと肉薄。
「感謝しますわ、あとそっちは見ないでおきますので!」
 援護と警告、双方に返答しながら血晶石を後方の城門と前方に蠢く探求卿、双方に放り投げればそれらは次々と砕け散り、多量の呪詛を撒き散らし。
 赤き霧が広がると同時に刃となって、城門の瞳に、そして探求卿の体へと突き刺さる。
『ほほう、呪いを刃とする力、か。興味深い、実に興味深い。融合し、その力を是非とも恒久的に使いたいものだ』
 悠然と攻撃を受け止め、体内を刃でかき回されても余裕を見せて。
 多数の人形を生み出して、そこから赤き結晶を解き放ち呪詛を振りまく探求卿の人形たち。
 だがその人形による模倣に対して、先手を打って放たれたのはメリーが追加で投げつけた呪詛をまとった血晶石であった。
「ああもう、その業! その趣味の悪い城門、その言動、その所業!
 今この場にいる猟兵達からの分の「負の感情」だけでも、突き立てる刃とするのに十分ですわ!」
 同等の能力同士の衝突、赤き霧が立ち込めて。
 人形達にも血液の刃が突き刺さり、その体を断ち切るが人形の数は膨大、メリーを狙って次々と模倣された呪詛の刃が迫るもそれを阻むようにして伸びたのは黒き触腕。
「アハハ、アンタには……何が見えてるんすかね?」
 その触腕をあやつっていた藍亜が不気味に笑い、城門の瞳に、そして探求卿に見せ付ける様にユーベルコードを発動。
 探求卿の言動そのものに感じた嫌悪感、即ちメリーの操る呪詛の刃の糧となる感情を惜しげもなく放った彼女の見せる幻影は、見る者によって変わる心をえぐるナニカの形。
 眼球のみが浮かぶ体、故に視線を塞ぐ手段を持たず、またその声に反応して眼球を向けていたが為に探求卿は見てしまったのだ。
 知識によって作り上げられた、知識を溶かし込んだその身が。
 焼かれ、削がれ、飛び散らされて、膨大な知識が、自らの矜持が失われる幻影を。
『ぐ、おおおああ!? わ、私の知識をっ!?』
 見えたものは幻影、今の自分を構成する体には幾つかのダメージはあるものの、知識の欠落は無いと自分に言い聞かせるように蠢く探求卿。
 しかしまざまざと見え、そして実感のある恐怖となった自分自身の欠損とそれに伴う知識の欠落、それは言いようのない恐怖という形をとって探求卿の中へと刻み込まれたに違いない。
 となれば、これまで余裕で攻撃を受けた態度にも変化が出るのは時間の問題か。
「その目玉に、記憶に、心を抉る姿を焼き付けたみたいっすね。どうせ、知らなかった頃には二度と戻れないんだから」
 何とか恐怖を振り払った探求卿、そこへ恐怖は消えていないと言葉をかける藍亜。
 だが、欠損するならば補ってみせようとばかりに巨大な竜を呼びだす探求卿。
 竜の背には複数の吸血鬼が、知識を返せと咆哮あげて散弾銃を構え、猟兵達を撃ち殺し、脳髄を引きずり出さんとしていたがその出鼻は遠方より飛来した一矢によって挫かれていた。
「はっはぁ、命中じゃ! この距離でも十分に当てれるこの実力、我ながら恐ろしいわ」
 その矢を放ったのは、流民と共にスタコラサッサと逃げていたはずのエウトティア。
 長遠距離まで離れ、敵の攻撃が届かずまた、即座に狼が走り出せるようにと湿地帯から抜け出した彼女はいつでも流民を逃がせるように気を配りつつ、風の力を纏い標的を追跡、飛翔し続ける矢を放っていたのだ。
 一撃、眉間に矢を受けた竜が怒り狂って立ち上がるが第二、第三の矢が次々と突き刺さり、3つの矢が刺さると同時に纏った風が合わさって、竜の額に局所的な暴風を生み出して。
 そのまま地表へ叩き付けるような突風へと変化、顎からぬかるみに突っ込んだ竜の背にて姿勢を崩した吸血鬼たちにも数多の矢が飛来、それは浄化の力を込めたもの。
 次々と突き刺されば亡霊吸血鬼たちの体から白き光が噴出して、吸血鬼たちは苦しみ体を掻き毟る。
「幽霊には浄化の力はよく効くじゃろう。まあ、この距離では散弾で反撃もままならんじゃろうて」
 流民を連れて行くのでと余裕を見せた相手に告げて戦線を離脱、そして長遠距離からの一方的な攻撃。
 ある種のだまし討ちを決めながら、猟兵達は確実に探求卿を追い込みつつあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

四季乃・瑠璃
翡翠「くだらないね…そんな事で多くの人を巻き込んだ…」
緋瑪「その罪、その命で贖って貰うよ」
瑠璃「貴方の命はここで終わらせる…殺人姫の名に賭けて」

UCで分身&超強化

翡翠が空中から【属性攻撃、高速詠唱、全力魔法、範囲攻撃】で広域に凍結魔術を掛け、瑠璃と緋瑪が凍結ボムと通常の接触式ボムで追加凍結&爆砕。

爆砕して体積が小さくなった身体や召喚された人形、幽霊は常に放出される死と破壊の力で死滅させ、残った本体は【限界突破、力溜め】ジェノサイド・ノヴァで塵すら残さず消し飛ばすよ。

緋瑪「この姿のわたし達は神も世界すらも殺す」
翡翠「無慈悲に死と破壊を撒き散らすのみ」
瑠璃「貴方という世界、全て滅ぼし尽くす」


宮落・ライア
色々考えてなんか凝った倒し方してやろうって思ったけれど……
いややっぱり面倒だから真っ直ぐ行ってぶっ飛ばすね。

木偶百体? でもUCを防御しないと模倣できないんだから本当に木偶でしかないね。
だってスライム掴める範囲に入らないと使わないし。(30㎝範囲内)
だから……人形はとりあえず邪魔だから素の身体能力で投げたりどかしたりするかなー。
なんだったら人形をスライムに投げつけてもいいかな。

真っ直ぐ最短距離で近付いて『唯潰』でとりあえず固そうな場所に叩きつける。
強制形状固定でぶっとばーす



 植えつけられた恐怖によって、先ほどまでの余裕が消え始めた探求卿。
 だが猟兵は手心を加えずに、攻撃の手を強めていた。
「くだらないね……そんな事で多くの人を巻き込んだ……」
 知識を求む、その為に猟兵をおびき出すため共闘した吸血鬼達への嫌悪感を隠さぬ翡翠。
「その罪、その命で贖って貰うよ」
 ならばその代償は何か、それを伝える緋瑪。
「貴方の命はここで終わらせる……殺人姫の名に賭けて」
 そして死の宣告を告げるは瑠璃。
 人形、そして分身に人格をそれぞれ分けた少女はこの探求卿を滅ぼすべく、秘めた力を解放。
 滾り迸る力の波動は脆弱なる存在がいれば瞬時に死をもたらすほどの代物。
『力の解放、強化の力か……面白い、我の糧としてくれよう』
 圧倒的な力、されどそれを我が物とせんと体をうごめかせ、三人の攻撃を受け止め分析しようとする探求卿。
 だがその防御体勢に割り込む存在が居た。
「色々考えてなんか凝った倒し方してやろうって思ったけれど……いややっぱり面倒だから真っ直ぐ行ってぶっ飛ばすね」
 知識による技、戦術、そういったものを全て投げ捨て、単純に近づいて殴る。
 探求卿にとっては一番嫌な、自らの糧とする価値がほぼない攻撃を仕掛けたライアであった。
 先に行われた仲間の攻撃、それによって機能不全を起こした城門をすりぬけ、そして地面に突っ伏した竜を避け。
 崩壊しつつあった残存する人形、それを前にし丁度いいと頭を掴み振り上げて。
「UCを防御しないと模倣できないんだから本当に木偶でしかないね」
 木偶百体、なんて出現した人形の集団に感想を抱きつつ、模倣する攻撃を受けていない今ならば何のことはない、並び壁になる程度のものだと居並ぶ別の人形を蹴り飛ばし。
 それでも尚、数の力で主人たる探求卿を守ろうと壁になるなら邪魔だとばかりに持ち上げていた人形をフルスイング、邪魔な相手をなぎ払えばもう彼女の進軍を止める物など何もない。
 ぬかるむ地面を気にせずに、うごめく探求卿に肉薄し。
「技術やなんだメンドクサイ! 気合いで叩き潰せばいい!」
 空いた左手、それで探求卿を掴み取ろうとしたものの相手は体をくねらせ、変形させて握りこむのが難しい。
 ならばと右手に掴んでいた人形、これを使えばいいだけだと叩き潰す勢いで探求卿へとぶつければ。
 強烈な衝撃、その勢いを殺そうとしたのだろうかふわりと浮かび、体を変形、大きく引き伸ばすことで衝撃を受け流しつつ衝突の勢い生かし、ライアから距離を取る探求卿であったがこの一連の衝突にて時間を得た三人が好機を逃すこともない。
「凍らせるよ、気をつけて」
 空中から聞こえた声、それは翡翠のもの。
 あえて衝撃に身を任せ、柔軟な体で攻撃を受け流しながら距離をとった探求卿を追うようにして展開された魔方陣からは強烈な冷気が広がり、地表に霜が生み出され。
「まだまだ、こんなものじゃないよ♪」
「追加の爆弾、凍結仕様でお届けだね」
 続けて聞こえた緋瑪と瑠璃の言葉、それと同時に投げ込まれた爆弾が破裂して、水程度ならば瞬時に凍らす冷気を放つ。
 次々と投げ込まれる爆弾の冷却効果が重なって、探求卿の体は粘性が高まり、柔軟性が失われ、表面の水分が凍り固形化を始めれば握りこむには十分な硬さになる。
 これ幸いと再びライアが探求卿に接近し、吹き飛ぶ際に伸びたが故に歪な棒状になっていた体の端を掴んで持ち上げて。
「はははっ、凍らせてくれたおかげで、掴みやすくなったや。
 それじゃ、ぶっとばーす!」
 凍った探求卿は丁度いい武器だとばかりに、真一文字になぎ払い。
 周囲に立ち並ぶ、人形たちに叩き付けて吹き飛ばし、そのまま振り上げ凍った地面に振り下ろし……衝突にて地表が砕け、そしてライアが持ち手とした部分がへし折れ探求卿が宙に浮く。
『わ、我が知識が!? 欠落、否、損失!?』
 体の崩壊、知識の損失という恐怖が思い起こされて、この状況を打破しようと足すの知識から最善手を導き出そうと思案するがそれを許さぬとばかりに空中からの追撃が。
 それは高速移動し、強烈なオーラを放つ事にて大量召喚したばかりの人形を崩壊させていた緋瑪と瑠璃が投げ込んだ、通常の爆弾たち。
 爆発の衝撃で凍った体の表面が削がれ、再び知識の欠損という恐怖を受けつつも同時に発生した熱量にて体の柔軟性を取り戻し、ぬるりと動き飛び散った体の破片を回収しようと動いたその瞬間。
「この姿のわたし達は神も世界すらも殺す」
 空中から響いた緋瑪の声は、圧倒的な力を持つ吸血鬼ですらある種の恐れを抱かせるほどの威圧感を持ち。
「無慈悲に死と破壊を撒き散らすのみ」
 淡々と告げられた翡翠の言葉、それは何の感情も示さず判決を言い渡す裁判官のように冷たくて。
「貴方という世界、全て滅ぼし尽くす」
 終わりの始まり、それが今だとばかりに瑠璃が言葉を紡げば彼女の右手と緋瑪の左手が繋がれて、それぞれが空いた手に持つ爆弾に膨大な魔力が注ぎ込まれる。
 この一撃は危険だとばかりに人形たちを立ち並ばせ、壁をなした探求卿だがその動きを見越して翡翠が投げた爆弾が先行して爆発、探求卿を庇う様に動いた人形を吹き飛ばせば人形の壁に小さな綻びが生じ……。
 その隙間を逃さぬと空中から瑠璃と緋瑪が急降下、そして投げ込まれた爆弾が爆発し。
 強烈な閃光と轟音、そして爆風が広がって、凄まじい衝撃を探求卿へと与えていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

純真邪神・幼淫魔姫ピュアニカ
バケモノ(邪神)VSバケモノ(吸血鬼)

異空間の巨大城門?
へー♪面白ーい♪良い玩具だねー♪

ぴゅあの超巨大機動要塞とどっちが強いか勝負しよっ♪

んー♪『なんでぴゅあが猟兵に肩入れするのか』ってー?
別に、肩入れなんかしてないよ〜♪
ぴゅあは自分が猟兵のつもりはないし、単に貴方達を玩具に、飽きるまでグチャグチャにして遊んでるだけだよ〜♡

それに〜……気に入らないなら相手が誰であろうと容赦はしないよ♪

たかが吸血鬼風情が、純(混じり無き)真に邪なる神に挑もうなんて笑っちゃうよね〜♪

さあ、命乞いをしながらぴゅあの靴を舐めて♪(変形)

その全身で♡(踏み潰し)

あははっ♪いい絶望の味だったよ♡(ぺろりと唇を舐める)


リーヴァルディ・カーライル
…お前の思惑なんて関係無いし興味も無い
私が知りたいのはお前達の背後にいる別の吸血鬼についてだけよ

"写し身の呪詛"を武器改造して"血の翼"に付与し、
空中戦機動を行う自身の周囲に存在感のある残像を乱れ撃ち、
敵の暗視や第六感、見切りを惑わして攻撃を回避し、
避けきれない攻撃は怪力任せに武器で受ける

…良いわ、そんなに知りたいと言うなら教えてあげる
さあ、その身に刻むがいい。吸血鬼狩りの業を…!

戦闘知識が溜まり勝利への道筋を見切ったら死角から切り込みUCを発動
傷口を抉るような激痛を耐性と気合いで無視して、
大鎌に吸血鬼のみを焼く太陽の魔力を溜めてなぎ払い、
陽光のオーラで防御を無視して浄化する光属性攻撃を放つ


アリウム・ウォーグレイヴ
アドリブ歓迎

探求卿よ。貴方に知識はありましょうが、認識不足の極みですね。
知識を得る未来が来ると本当にお思いで?

長時間戦闘は不利です。
防御をさせない、または防御の壁を突破するような一撃必死を以って屠るしかありません。
か細き希望を消さぬためにも、このUCで道を切り開きましょう。昏き道であろうとも、光があれば人は進めるのだと。
武器に『全力魔法』『属性攻撃』ホワイトホープを纏わせ攻撃力を高めます。
もし一撃で屠れないのであれば後は単純です。私の刃が技が『覚悟』が届くまで武器を振るうまでです。
所詮は木偶。技を模倣しようとも、私の全力についてこれますか?
全てを凍らせ、後悔する時間も与えませんよ。



 強烈な爆風が収まった後、姿を見せた探求興。
 ゲル状の体、故にどれほどのダメージを与えたか一見しただけでは見抜くのは難しいが良く見ればその体内に多数の気泡が見て取れて、出現時とは明らかに違う様相へとなっていた。
『不覚、されどこれより』
「いいえ、反抗の目はありませんよ探求卿。貴方に知識はありましょうが、認識不足の極みですね。
 知識を得る未来が来ると本当にお思いで?」
 多大なダメージ、されどこれより巻き返さんと思念を飛ばしたその刹那、否定するように言葉を紡いだアリウム。
 時間を与えればユーベルコードの模倣、戦い方の学習、それによる反抗がありえるならばそれを許さぬ短期決戦。
 防御をさせぬ、そして身を守るのならば守りを貫く強烈な一撃を見舞うのみとばかりに一歩踏み出し、彼の周囲に満ちるは膨大な冷気。
 ぬかるむ地面の水気が凍り薄氷作ればそれをより広げるように、氷の魔力が高まって。
 手にした刺突剣の氷華を一振りすれば、その切っ先からは凍てつく冷気が地表を走るように伸び、探求卿へと続く氷の道が生み出された。
「か細き希望を消さぬためにも、このUCで道を切り開きましょう。昏き道であろうとも、光があれば人は進めるのだと」
 探求卿への道ができたその瞬間、凍った地表を駆けるアリウム。
 一歩毎に、薄氷砕け氷の破片が舞い上がり、それと同時に彼を取り巻く氷の魔力が高まって。
 踏み込みと同時に突き出す氷華の一撃、それは泡立つ探求卿にいとも容易く突き刺さり、刀身より広がる膨大な冷気が一気に探求卿の体を凍らせる。
『しまっ……!? 先ほどよりも強力な』
「ええ、全てを凍らせる冷気です。もっとも、貴方の頑丈さには辟易しますが」
 攻撃を受け、人形に模倣させるが為に意図的に被弾、されどその威力の高さから想定以上に体を凍らされた事に苦悶の思念が周囲に洩れた探求卿へ冷酷に告げ。
 核となる瞳目掛けて突き刺さる刃を動かすアリウム。
 これ以上の凍結は危険と見てか、体をくねらせその刃の軌道から瞳をそらし、それと同時に多数の人形生み出して。
 アリウムの力を模倣、氷の魔力を宿した人形たちが主人である探求卿を守ろうとアリウム目掛け殺到する。
 だが、それは魔力を纏い、凍らせる力を真似たまがい物。
「所詮は木偶。技を模倣しようとも、私の全力についてこれますか?」
 不敵に笑ったアリウムが凍てつく地表を蹴り上げて、跳躍すればそこへ繰り出された人形たちの突き。
 誰も居ない虚空にてぶつかり合う氷の刃、咄嗟に上空を見上げた人形たちに見えた光景は。
 落下しながら手にした氷華を一振りし、強烈な冷気を地表へ見舞うアリウムの姿。
 そして、視界が氷雪に覆われて攻撃仕掛けた人形たちは凍りつき、その動きを止めていたのであった。

「わー、お人形遊びかなー? でもあっちはあっちで楽しんでるし♪
 ぴゅあはこっちで遊ぼうかな」
 アリウムが氷雪によって人形たちを機能停止に追い込む様子を眺めつつ、先に生み出され一時的に機能を失っていた巨大城門を見ていたのはピュアニカ。
 暫しの戦闘の後、機能を取り戻したかのように瞳を見開いた城門をまるで新しい玩具を見つけた子供のように、きらきらした目で凝視して。
「これが異空間の巨大城門?
 へー♪ 面白ーい♪ 良い玩具だねー♪」
 どんな遊びをしてやろうかと悪戯っぽく舌を出し、彼女が生み出すは要塞が如き迷宮で、その要塞内部へ戦闘途中の探求卿ごと取り込んでいたのである。
 それは単純な要塞風の迷宮ではなく、至る所より機械の巨人、キャバリアを射出し相手を攻撃できるもの。
 不用意に動けば多数のキャバリアにより圧殺される彼女の領域ではあったが追い込まれたとて吸血鬼。
 城門の瞳が輝き、彼女の力の根源についての問いかけを行うが。
『汝が力、この城砦は如何なるものか答えよ』
「えー? なにいってるかよくわからなーい」
 問いかけなど完全無視、自分の要塞と真っ向勝負とばかりに無数の目玉がうごめき、開いた扉から飛び出した。
 多数の舌の槍、不気味な獣に射出したキャバリアを正面衝突、互いに皮下ぬ真っ向勝負へと向き合っていたのである。
 だが、流石に答えを得るまで攻撃し続ける城門相手に正面衝突は些か無謀だったか、徐々に射出したキャバリアが石化し、砕かれ押し返されて。
「あれれ、ちょっと抵抗すごいかな?」
 別の攻撃手段を取らねば不利と見たピュアニカ、だが彼女が攻撃方針を切り替えるより早く、迷宮を駆け抜け城門を、そして探求卿へと切り込む影が飛来した。
「……追い込んだとしても、真正面から勝負は危険よ。
 ……さておき探求卿、お前の思惑なんて関係無いし興味も無い。私が知りたいのはお前達の背後にいる別の吸血鬼についてだけよ」
 空中駆けるその影はリーヴァルディ、そして数多の残像を虚空に残し血の翼で縦横無尽に飛び回る。
 数多の残像が空中に実体として残るが故に城門から伸びる槍の舌、数多の怪物が攻撃を仕掛けるもその悉くが空振りに終わり、残像を貫き消滅させるだけに過ぎない。
 そして、偶発的にリーヴァルディに攻撃が届いたとして……集中できぬ散発的な攻撃などで彼女の勢いを殺すことなど出来ようか。
 手にした大鎌の柄で槍の軌道を逸らした後に、力任せに跳ね上げて。
 力なく虚空を彷徨う槍の舌、そこへ繰り出された大鎌の一撃が舌を断ち切り、槍としての機能を奪う。
『貴様……その力の源泉は何か答えよ』
 突然の乱入、そして押し込みつつあった集団を一気に蹴散らし流れを変えたリーヴァルディ。
 空中を縦横無尽に飛び回り、城門よりの攻撃をいなした彼女を数多の眼球が凝視して質問を飛ばすがそれに対して答えはせずに、彼女は手にした大鎌振るって異形の怪物を断ち切るのみ。
 無言が答えと認識したか、次々と城門より怪物が飛び出し攻め立てるがその進軍を阻むのは、押し返されつつあった状況をリーヴァルディに救われたピュアニカ操るキャバリアであった。
 空中目掛け飛び出す怪物、その進路へ砲撃しながら迫るキャバリア。
 砲弾が炸裂し、生じた空間に壁となるように入り込み、再び真正面からぶつかっての進軍妨害。
『即席の共闘か……』
「えー? 『なんでぴゅあが猟兵に肩入れするのか』ってー?
 別に、肩入れなんかしてないよ〜♪ ぴゅあは自分が猟兵のつもりはないし、単に貴方達を玩具に、飽きるまでグチャグチャにして遊んでるだけだよ〜♡」
 戦場を共にする猟兵同士の協力とみた探求卿、しかしその問いを否定して。
 ただ単純に、自分の欲求をぶつけていくピュアニカは彼女が自称するように、猟兵としてみるのではなく一種のバケモノ。
 即ち、邪神としてのバケモノと吸血鬼としてのバケモノ、ピュアニカと探求卿の戦いに、たまたま都合よく猟兵がいたので利用しているだけに過ぎないのかもしれない。
 それを証明するように。
「気に入らないなら相手が誰であろうと容赦はしないよ♪」
 完全な気まぐれ、吸血鬼風情が、純(混じり無き)真に邪なる神に挑もうとは笑止千万とばかりに次々と繰り出すキャバリアが城門の攻撃阻めば、飛び交う砲弾の中から城門の後ろに控える探求卿に声が聞こえる。
「さあ、命乞いをしながらぴゅあの靴を舐めて♪ その全身で♡」
 絶望を食べさせろ、とばかりに玉座に座ったピュアニカが上空から落ちてきて、探求卿を玉座で潰さんとする。
 その落下を間一髪で回避、ぬるりと動いた探求卿であったが回避に伴う隙を逃さず切り込む影。
「……質問の答えね。良いわ、そんなに知りたいと言うなら教えてあげる。
 さあ、その身に刻むがいい。吸血鬼狩りの業を……!」
 攻撃避けた探求卿、そのすぐ側に切り込むはリーヴァルディ。
 城門を介して出した問いかけ、その問いに答えてやるとばかりに彼女は血の翼をはばたかせ死角よりの急接近。
 認識外の方向からの肉薄に対応できぬ探求卿、その体目掛けて繰り出された大鎌の刃には燦々と輝く陽光が如き光、それは吸血鬼を焼き滅ぼす擬似太陽の光であり。
 ダンピールである彼女自身にさえも影響あたえるその光、体に走る激痛は奥歯を噛み締め押し殺し、振るう大鎌、グリムリーパーの黒き刃が探求卿へと突き刺さり。
 その刃からの陽光を一際強く輝かせれば、まるで水が沸騰するかのように探求卿の体が激しく泡立つ。
 体の中から焼き払われる、そんな激痛を受け絶えかねて、慌てて体を変形させて逃れる探求卿ではあったがその身へ深刻なダメージを受けていたのは誰の目にも明らかであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

シホ・エーデルワイス
≪華組≫

流民を無事保護できて一安心

多分一般人から得る物は無いと思い込んでいるのでしょう
知識は奪う物ではなく
学び読み解く物だと思いますけどね


燦は火傷大丈夫?
すぐ治したいけど早くリマ達の所へ駆けつけないと…

『聖剣』を燦に持っていてもらう
持っていれば傷が癒えるから


燦と手をつなぐで息を合わせて【迷社】を展開
それは浄化の炎で彩られた光の迷宮

城門の槍は間に作った壁が防ぎ
邪視は光の壁で浄化
怪物も探求卿も浄化の光と炎に晒され続ける


燦が特攻する際は目潰し属性攻撃の誘導弾で援護射撃


戦後
私達が駆けつけるまでリマ達が持ち堪えられるよう【輝喘】で願う
テレパシーで私達が駆けつける事をリマ達に伝える事が目的

ええ
行きましょう


四王天・燦
《華組》

馬鹿だね
人の生きる姿から学ばないって
流民を狙われたくないから教えねーけど

火傷は舐めとけば…蛞蝓の雑菌怖くて無理です
聖剣確かに預かった

穢れ帝国に対し参式で戦場を火の海にする
手を繋ぎシホの迷社と合わせて発動
刮目せよ
これぞ穢れを祓う浄火の庭園なり!

シホと陽炎に隠れ槍や邪視から身を護る
符から火属性+範囲攻撃の爆裂火球を飛ばし怪物を狩る

参式の真の目的は戦場の徹底加熱だぜ
魔導粘液さえ乾かし染み込み難くする
言っただろ浄火だと

科学の叡智を取り込めるならやってみろと挑発してカウントダウン投擲
美味しさ爆ぜるぜ
眼球が露出したら聖剣一閃

炎で剣の汚れを祓いシホに返却
火傷は大丈夫
さあリマとニックを手伝いに行こうぜ



 陽光により体内から焼かれ、悶え蠢く探求卿。
 追撃から逃れるように跳ね飛んで、猟兵から離れ知識を求む眼光が見つけたのは並び立つ二人の猟兵であった。
「これまでの言動を見るに、多分一般人から得る物は無いと思い込んでいるのでしょう。
 知識は奪う物ではなく、学び読み解く物だと思いますけどね」
「そう、だから馬鹿だね。人の生きる姿から学ばないって」
 探求卿に聞こえぬように、言葉を交わすシホと燦。
 ただ奪うだけ、結果のみを求めても真の知識とはならず、ただ上澄みを浚うに過ぎず。
 学び成長することをせねば無意味、故に見下し切り捨てた流民からも学べたという事実を認識せぬその傲慢さ。
 大きな過ち、流民よりも学べたはずの存在に、再度流民を狙うという考えに至らぬようにと燦がシホに目配せすれば、同じくシホも教える必要は無いとばかりに頷いて。
『癒し手か……汝の知識を得れば我が傷も癒えよう』
 そんな二人を凝視、これまでの戦いを見ていたのだろう、治療能力を用い流民を癒したシホから知識を奪おうとする思念と共に、再び形を成したのは数多の眼球浮かび上がる巨大な城門。
 問いかける内容は、癒しの力を生み出すが為に必要な知識と使用方法を問いかけるが。
「自分が傷つかない為に答えるとでも? 奪った知識が豊富なら、模倣してはどうですか?」
 質問には答えずに、自らが示す行動を真似れるだろうと挑発し。
 手にした聖剣輝かせ、パートナーたる燦へと目配せ。
「燦は火傷大丈夫? すぐ治したいけど早くリマ達の所へ駆けつけないと……」
「そうだね。ま、こんな火傷は舐めとけば……蛞蝓の雑菌怖くて無理です」
 先の戦い、巨大ナメクジから流民を守るために身を挺し、受けた酸にて火傷を負った燦。
 これから癒しの力を発揮する、しかと見て模倣してみせよとばかりに言葉を交わせば、シホは手にした聖剣を燦へと渡し徐々にその傷が癒えていく。
『我を愚弄するか、ならば我が力によって滅び、悔いろ』
 満足いく質問ではなく、態度で、眼前での治療行為でもって答えを示す両者のやり取り。
 それを愚弄と認識し、両者を滅ぼし知識のみを収奪せんと城門が開き無数の怪異が、そして邪悪な眼光が光り、また槍の如き舌が伸びるも探求卿の命運はここまでの戦いで既に尽きていた。
 故にここで抵抗の姿勢を見せようとも空しい足掻き。
「ははっ、穢れきった軍勢か。いくぜ、シホ!」
「ええ、燦。これで終わらせます」
 燦とシホが手をとって、二人揃ってユーベルコードを発動。
 城門とそれを操る探求卿を取り囲むように炎が渦巻き、そしてその炎に彩られ、降り注ぐ光りが形を成して迷宮を作り出し、探求卿たちを封じ込める。
 それは見るものには神々しく、そして悪しき者には絶望を与える炎と光の共演で。
「刮目せよ! これぞ穢れを祓う浄火の庭園なり!」
「そしてこれは、その浄化の炎に彩られた光の迷宮」
 燦とシホ、二人の力が合わさって生み出されたその迷宮。
 揺らめく炎による陽炎が視界を遮り、石化の邪視が届かずに光り輝く壁がその視線を打ち消して。
 突き出す槍を受け止めるは光の壁、そして飛び出した数多の魔物を足止めし、そしてその身を焼き焦がす強烈な炎。
 内部に取り込まれた探求卿と魔物たちは出口を求め、浄化の光と炎に晒されながらも抵抗を。
 強引に壁を打ち壊そうと城門から伸びた舌の槍にて亀裂が走り、生じた綻びに魔物が飛び込み壁を壊してそこへと飛び込む探求卿。
 されど強引な突破を図るまでもを読んでいた、そして城門より飛び出した魔物たちと距離を離したその機を狙っていた燦。
「突破ご苦労、だがそれが狙いさ」
 距離が離れたその瞬間、迷宮駆け抜け急接近した燦が投げるはお手製の霊符、その符は炎を帯びて火球となって魔物の群れに飛来、その存在を焼き払うように大炎上。
 完全に分断された、ならば燦に直接取り付き攻撃しようと跳ねる探求卿ではあったがその接近を許さぬと数多の銃弾が飛来、それはシホが手にした二丁拳銃より放たれた誘導弾。
 見えぬ場所より確実に標的を射抜く魔力を宿したそれは、答えを知る迷宮を飛び交ってこの場に到来、探求卿の体を穿ち飛び散らせ。
 生じた一瞬の隙を逃さずに肉薄した燦が手にする箱、それは既に爆発まで秒読みに入っていた時限爆弾。
「これは科学の叡智が詰まったものさ、取り込めるならやってみろ!」
 挑発と共に急接近、腕を突き出し液状の体に押し込んで。
 突撃の勢いそのままに探求卿の隣を燦が駆け抜けたその瞬間に時間切れ、強烈な爆発で探求卿の体が吹き飛び眼球が露出すればもう逃げる事はできない。
 わずかばかりに残った体、魔導粘液さえ乾かす炎によって眼球を隠す事もできぬ中、反転した燦が再接近。
「終わりだ、二人分の思いを受けて消え去りな!」
 シホより託された聖剣、それが二人の意思を宿すかのように燃え盛り、光り輝く壁から炎と光を宿し虚空を走れば露出した探求卿の眼球を焼き切って。
『馬鹿な!? 私が、我が知識が、こんなとこ……ろ、でっ』
 最後の最後まで知識に執着した吸血鬼、その知識ごと焼き払い、知識が形を成したゲル状の体も乾ききり。
 炎と光の迷宮が消滅すれば、浄化されたが如く探求卿が存在した痕跡は何も残っていなかった。


「ふー、これで終わったな。火傷も治ったし」
 霊符より生み出した炎で聖剣にこびりついた残滓、吸血鬼の穢れを払いシホに手渡す燦。
 だが、これで終わりでないことを彼女は、シホは。
 そして何より、この戦いに挑んだ猟兵たちは認識していた。
「さあリマとニックを手伝いに行こうぜ」
 そう、この戦いを、悪意を持って人々を苦しめた吸血鬼達が狙うのは流民だけでない。
 希望を持って立ち上がろうとしていた人々の村、そこを滅ぼさんとする意思があるのだから。
「ええ、行きましょう。でも、その前に」
 急ぎ出立、吸血鬼の脅威に晒される村を救おうとする猟兵たちであったがやるべきことがあると手を組み、膝を突くシホ。
 それは今まさに、苦境に立たされた村に送る猟兵たちの意思。
 苦しむ人々を助け、力になる。
 如何なる脅威が迫ろうとも、自分たちがすぐに駆けつけるから諦めないでと願いを込めて。
 吸血鬼に立ち向かい、抗ってほしい思い、それがどんな形であるかはわからぬが伝わるようにと祈りを捧げるシホ。
 蟲の知らせか、はたまた直接的に思いが届くかはわからない、だが助けに向かう彼女の意思は必ず伝わるであろう。
 次なる戦いは、すぐそこに迫っている……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年11月07日


挿絵イラスト