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絶えない神火の火山島 ~イスラ・フマル島~

#グリードオーシャン

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#グリードオーシャン


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●御神火様の息吹
 イスラ・フマル島。かつてヒーローズアースの太平洋上に浮かぶ島国の一つであった南国の楽園は、センターオブジアースから顕現した善神と悪神、善と悪が衝突した二大決戦『ジャスティス・ウォー』の最中に世界から消失した。しかし、それはヒーローズアースにおいてであり、ジャスティス・ウォーで生じた世界の歪みからグリードオーシャンへと零落したイスラ・フマル島は元に今こうして存在し続けている。
 だが時間軸のズレで、イスラ・フマル島はジャスティス・ウォーが勃発した1999年より1000年も昔に遡ってグリードオーシャンへと落ちた。観光産業として開発と建設されたリゾート施設群は悠久の時を経て緑に侵略されており、今や遺跡となってかつての繁栄をしのばせるだけである。とは言え、かつての島民の子孫達は今も生きている。人々は失われた文明と決別するように、この火山島がもたらす自然の恵みを享受しながら共に生きているのだ。
 島中心にそびえる山頂からは絶えず噴煙が立ちのぼっており、小規模な噴火音と共に火映で頂きをほんのりと染めながら大地が小刻みに揺れ始める。だが、島民達は噴火に恐れてはいない。寧ろ、どこか浮足立ちながら歓迎している。

「今年も御神火(ごしんか)様は元気なようだ」
「ああ、めでたい限りじゃ。この様子では、もう少し経てば更に大きい噴火が起こるはずじゃ。夫婦になる若人の門出を祝うには、もってこいの日取りになるのぅ」
 この島では遠き昔話となったジャスティス・ウォーにおいて、この島でも善神と悪神が戦いを繰り広げた。地の奥底より生まれた悪神がこの島を噴火させることで、この島に生きる全てのものを焼き払おうと企てたが、この島の守り神であった善神がそれを阻止せんとした。結果は辛うじて悪神を封印することで善神が勝利を収めたのであったが、強大な力を誇る悪神を前にして善神は己の全てを投じての勝利であった。善神は今やメガリスとなって噴火口にある洞窟内に鎮座し、今も封印を破ろうとし続ける悪神を抑え続けているのである。
 この小規模な噴火もそれによるもので、悪神を抑えつける善神の力が拮抗している兆候である。ここで悪神の力が優れば、かつて島を襲った大噴火となるのだろう。だが、島民は島の守り神である善神が遺した言葉に従い、その兆しが出た折には何らかの祭りを催して火山を敬い崇め続けた。人々の祈りが善神であったメガリスに力をもたらし、今尚も復活せんとする悪神を封じ続けてきた。これ自体も時の流れとともに口伝が変容し、今や畏敬の念を抱いて火山そのものを『御神火様』と呼ぶに至り、本来は噴火の兆しは凶兆の前触れであったが吉兆の訪れとして姿を変えている。とは言え、言い伝えが変わろうとも、島民達はこの島を破滅から身を挺して守った善神に対し、今も祈りを捧げているには変わりない。
 だが、彼らは気づかない。この平和な島を再び破滅に導こうとするコンキスタドールの魔の手が迫っている事を……。


●グリモアベースにて
「この島の昔話はここまでにして、本題に入りましょうか」
 グリモアベースに集結した猟兵達にシグルド・ヴォルフガング(人狼の聖騎士・f06428)はコンキスタドールの動向を予知した際に発見した島『イスラ・フマル島』についての説明を終えると、これから起きる事柄について語り始めた。善神だったモノが悪神を封じる為に姿を変えたメガリス『ペドレリーア・デ・ヴォルカン』。その力は周期的に衰え、その度にマグマ溜まりの下に封じられている悪神が復活しようと噴火の兆しが起きるという。普段はメガリスが鎮座する山頂付近の洞窟入り口には略奪を防ぐために結界が張られているが、力が失われつつある今は消失するらしい。それに目をつけたコンキスタドールは、このタイミングを狙ってメガリスを奪いにやってくるそうだ。

「このメガリスは謂わば火山の噴火を抑制する要石の役割を持っています。それが奪われそこからなくなればどうなるか、その答えは至って簡単です。今や火山の溶岩と一体化した悪神が大噴火と共に島全体を、島に生ける全てのものを燃やし尽くす事でしょう」
 つまりはメガリスを奪いに来るコキンスタドールを倒せば良い訳なのだが、相手は用心深く、猟兵達が事前にメガリス奪取を阻止しようと手を打てば、次の噴火タイミングまで機を伺う事だろう。それは島民の様子も監視しており、もし彼らにこの島に起きる異変を事前に教えても結果は同じこととなる。

「このイスラ・フマル島の付近は火山活動によって作られた起伏に富んだ岩礁帯と潮の流れのお陰で良質の漁場となっており、島民は主に漁業で生計を立てています。ですが火山島ならではの土質を利用したタバコ栽培も盛んで、この島で作られた葉巻を目的に多数の海賊船や商船が寄港して交易も行っています。そこでです。我々の鉄甲船もその一団に紛れて上陸します。島民達は祝い事の準備に追われつつも私達を歓迎するでしょうが、こっそり抜け出して気づかれることなく山頂付近にある洞窟に行けば、かの用心深いコンキスタドールの目を掻い潜れるでしょう」
 とは言え、上陸後からはすんなりと目的地に辿り着ける保証はなく、村と火山の間に生い茂る森林地帯でコンキスタドールの配下が待ち受けている可能性もあると、シグルドは忠言する。

「転送するタイミングの都合で、コンキスタドールがメガリスを奪おうと行動を起こすまで時間に余裕があります。もしよろしければ、島民がもてなす魚料理に舌鼓を打ったり、もしくは釣りに腕の覚えがありましたら自ら魚をお釣りになってもよろしいでしょう。くれぐれも、本来の目的を忘れぬ程度にお楽しみください」
 猟兵達へそのように念を押すシグルドではあるが、島民に警戒心を持たせないよう常夏の現地に溶け込む水着姿がどこか説得力を欠けているようにも思える。
 説明を終えたシグルドはゲートを展開すると、猟兵達をイスラ・フマル島沖に錨をおろして停泊させている鉄甲船『アルゴノート』の甲板へと転送させるのであった。


ノーマッド
 ドーモ、ノーマッドです。
 寒い日々が続いて、あの暑かった夏が待ち遠しい毎日を送っています。ですが、夏になったらなったで今度は寒い冬が待ち遠しくなるのは、どうしてなのでしょうね?

 一章は日常フラグメントです。
 沖合に停泊していた鉄甲船がイスラ・フマル島に接岸し、猟兵達は上陸します。
 村では小規模に起きる噴火を気にすることなく、これから夫婦になる若人の祝いを行っています。コンキスタドールがメガリスを奪いに来るまでまだ時間がありますので、相手を警戒させないがてらご相伴に預かりましょう。
 海端の村ですので、すぐそこに格好の磯場が多数あります。そこで釣りを行って自ら捌いたり、素潜りして魚を捕まえるなどしても良いでしょう。

 二章は複数戦フラグメントとなります。
 宴もたけなわとなった頃、噴火活動も強くなり始めた御神火様と呼び敬う火山に島民達は祈りを捧げ始めます。その隙に村から抜け出して火山を目指しますが、その道中の森林地帯で待ち構えているコンキスタドール配下のオブリビオンとの戦闘となります。
 サクッと倒しながら火山を目指しましょう。

 三章はボス戦となります。
 火山自体は標高1000メートルにも満たない緩やかな楯状火山ですので、猟兵達は難なくと山頂へ登頂するでしょう。火口を取り囲むカルデラ内にある洞窟の前で、メガリスを奪おうとするコンキスタドールとの対決となります。

 状況が進展した際に、逐次情報の開示を行いますので、こちらもご了承ください。

 それでは、皆様の溶岩の熱にも負けない熱いプレイングをお待ちしています。
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第1章 日常 『海鮮会戦』

POW   :    魚を素潜りで獲って食べる

SPD   :    魚を釣って食べる

WIZ   :    魚を自分で調理して食べる

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 沖合に停泊していた鉄甲船『アルゴノート』が抜錨し、程なくして火山島『イスラ・フマル島』の港へ接岸する。強固なコンクリート構造で作られた波止場も千年もの時を経てか至るところが風化しているが、所々をゴツゴツとした溶岩石と火山灰を利用したのであろうコンクリートで補修されていた。

 港には猟兵を乗せた鉄甲船以外にも、飲水の補給や島の名産品でもあるタバコを目当てに他の海賊船や商船も停泊しており、自給自足の生活を送りながらも他の島との交流が盛んであることが伺える。そして猟兵達が鉄甲船から降りてすぐに目に入ったのは、島の中央を目指すようになだらかな丘陵だ。その頂からもくもくと噴煙が立ち昇る様子から、メガリスが安置されているのはあの火山なのだろう。
 コンキスタドールの動向が気になるが、この港から火山へ行くには島民が住む村を経由しなければならない。村は海傍沿いに幾つか点在し、その中でも一際大きい集落からはにぎやかな音頭が海風にのって聞こえてくる。猟兵達はその集落に着くと、村の集会場とも言える広場には大勢の人集りができており、その中心には何組かの男女が人々から祝福を受けていた。

 村に招待されたと思われる海賊に話を聞くと、他の村々の今年結婚する若人を一同に集め、御神火様と崇められる火山から末永く幸せに過ごせるよう祝福を受ける為の儀式との事らしい。スパスパと村特産品である葉巻を吹かしながら髭面の海賊が説明を終えると同時に、突如地震が起きた。
 しかし、彼らは微動だにせず、寧ろ歓喜と熱狂に渦巻いていた。ここの島民はこの火山活動に合わせて祝賀を執り行っている。そのタイミングで立ち寄ればこのようにご相伴にあずかれると、海賊はガハハと豪快に笑いながら再び葉巻をくわえた。どうやら彼らはこの島の『常連』らしい。初めて来る者であれば、今噴火してもおかしくはない火山を前にして宴会などできようか。
 それもひとえに、彼らは『この火山は噴火しない』と知っていてのことだろう。時の流れで忘却されたとは言え、かつて島を未曾有の災害から身を挺して守った守り神への感謝の念は姿を変えてはいるが、今も火山信仰としてその名残を遺している。

 では、こちらもご相伴にあずかろう。若人達の門出を祝福しよう。コンキスタドールが動き出すまで、まだ時は十分にある。
 火山に向かうには、それからでも遅くはないはずだ
備傘・剱
ほー、丁度、めでたい席に出会うとは、都合がいい
ならば、全力で祝ってやろうじゃないか

あ、服装は、旅人風味に変えておくぜ
流石に、いつもの服装だと、警戒されるだろうからな

さて、祝いといえば、料理が必須、そして、海があるのならば、その幸を使わないという手はない
って事で、鳥獣技発動!
海豚になって、魚を確保するぜ
泳いで魚を追い詰めて、尾びれで岸に打ち上げたり、貝や、ウニなんかを念動力で集めれば、かなりの量が手に入るだろうぜ

そして、今度はそれを調理してふるまうぞ~
海鮮は鮮度が命、ってな
古今東西、祝いの席に美味い物はつきもの
新しい夫婦の門出ならばなおの事なのだよ

アドリブ、絡み、好きにしてくれ



 エスニックな民族衣装を身に纏って顔や体中に戦化粧のようなボデイペイントを施した男達が、着飾った何組かの男女の前で唄い踊っている。このイスラ・フマル島独特な言語なのだろうか何を言っているかは定かではないが、この様子では儀式めいた祝いのダンスと言ったところであろう。

「ほー、丁度、めでたい席に出会うとは、都合がいい。ならば、全力で祝ってやろうじゃないか」
 もくもくと色濃く立ち昇る火山の噴煙を目印にしてか、例え便りがなくとも水平線からでも分かる狼煙めいたこの島ならではの吉兆の報せに猟兵以外の者達の船も港に停泊している。付近の海賊とその部下、はたまた交易を行っている商人等、島民以外の者も多く居る祝宴の場にコンキスタドールが紛れていないとは限らない。ならばと、この世界のグリードオーシャンにおける旅人、即ち船乗り風な出で立ちに変装した備傘・剱(絶路・f01759)は顎に手をやりながら熱気を帯び始めてきた祝踊を見やっていたが、何かを思いついてこっそりと人波から抜けると海岸線まで走りゆく。
 向かった先は、押し寄せる波が高く打ち付ける断崖絶壁の切り立った岩場であった。剱は飛び込むにはちょうど良い場所を定めると、ぐっぐと準備体操で屈伸運動をしながらよしと海に飛び込む意を決した。

「獣の戯れ、鳥の群。交り変わりて常世に姿を映せ。百鬼夜行も、旅の道連れ……。祝いといえば、料理が必須。そして、海があるのならば、その幸を使わないという手はない」
 そして剱は躊躇うことなく、度胸試しと言わんばかりの華麗なダイブを決めながら崖の上から海へと飛び込んだ。着水すると同時に、UC『鳥獣技(メタモルモーフ)』によって彼の身体はイルカへと変わっていく。体の感覚が陸生の人から海生の獣へと変わると同時に視界は開け、そこには豊かな海が広がっていた。南国を思わせる色とりどりの魚が悠々と泳ぎ、海底の砂には「海の熱帯林」とも呼ばれるサンゴ礁が何処までも続いている。そんな光景に見惚れていると、何やら魚達が動きが慌ただしくなっているのに剱は気づくが、魚の捕食者となるサメや海鳥の気配がない中でその疑問は直様氷解した。

「忘れていた。俺の今の姿はイルカだったな。魚達が慌てふためくのも無理はねぇか」
 そう、意識は人間のままではあるが、今や剱の身体はイルカなのである。海の向こうからやってくるのであれば彼らも捕食者の到来を予知できたはずであろうが、海の上、ましてや陸の上からイルカがやってきたのだ。魚達が突如降ってきたかのように現れたイルカへ驚くのも無理はない。群れを成す小魚達は集まる事で自らを巨大な存在と誇示させる様子を見ながら、剱は彼らを無視する。
 彼の獲物はそのような雑魚ではなく、祝宴の場に相応しい大物だ。イルカの頭部から海中へ放たれる超音波のソナーで、それらしい物が居ないか剱は探る。

「ここにはサザエやアワビの貝類にウニが群生しているな。獲物を獲った後でもいいが、忘れるといけねぇし今獲っちまおう」
 えいやと念じれば、岩場にへばりついている彼らを念動力で引き剥がして海中に浮かび上がらせる。それらを尾ひれに結んだ網袋に導き収穫すると、浜辺沿いに回遊しながら大物を探していく。

「おっ、居た居た。なんてふてぶてしい顔付きの大物だ」
 剱が発見したのは、ゆうに大きさは三メートルほどあるだろうか。鮮やかな蒼い鱗のナポレイオンフィッシュとよく似た大型魚だ。ヌシ然に堂々と泳ぐ彼は、イルカとなった剱に気づいても逃げはしなかった。この大きさともなれば、流石のイルカとて餌にするには無理があるからだ。だが、このイルカはただのイルカではない。飢えを満たすためではなく、捕獲してその身を他者に分け与え為に獲物を狙うイルカだ。

「ここまで育つには何年…いや、何十年も掛かっただろうが、祝宴に出すモンとしては申し分のない大物だ。その生命、有り難く頂くぜ」
 敬意の言葉を述べると、尾びれを使ってその頭部を強打させると気絶させた。そろそろ余興が佳境に入る頃であろうと、剱は漁の目的は達成できたとして捕らえた獲物と共に浜辺を目指す。海底の岩場が砂地に変わるのを目印にUCを解除してイルカから人間へと戻ると、気絶してのびている大魚の尾びれと貝とウニが詰められた網袋を握りしめながら、彼はあたかも着の身着のまま自ら泳いで捕まえてきたかのように振る舞いながら島へと戻ってきた。

「まだ余興は続いてるようだし、間に合ったか。そんじゃ、早速捌くか。海鮮は鮮度が命、ってな」
 調理場を借りると、普段は居酒屋を生業にしているだけあって慣れた手付きでナイフ一つでガシガシと大魚の鱗を剥がし内蔵を抜くなどの下処理を終えると、大きな葉で包んで蒸し焼きにする。メインディッシュが出来上がるその間に、貝やウニも捌いて調理していき、こちらは副菜として小皿代わりの葉にどんどんと載せていく。そうこうしている内に魚が焼ける香ばしい香りが剱の鼻腔をくすぐった。そろそろいい頃合いだろうと、ホイル代わりの葉をめくると魚の旨味が凝縮された湯気が立ち上がる。十分火が通ったのを確認すると、壊血病予防としてこの世界では馴染み深いライムの果実をそのまま握りつぶしながら豪快に搾り汁をかけて最後の仕上げを終える。最後に味を確認すると、彼は相槌を打つように頷きながらその出来栄えに満足した。

「よし、完成だ。古今東西、祝いの席に美味い物はつきもの。新しい夫婦の門出ならばなおの事なのだよ」
 そして島各村々からの祭事が終えると同時に剱の料理が振る舞われた。何組の夫婦の目の前にドンと置かれた大魚の蒸し焼き。それと付け合せの料理の数々は花婿と花嫁へ先に振る舞われて彼らが美味しいと絶賛する。照れくさそうに剱は料理人冥利に尽きる言葉を受け取りながらも、お返しとして彼らにも祝辞を送った。結婚おめでとう、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神崎・柊一
楊・宵雪(f05725)と同行
魚を自分で調理して食べる

黒のトランクス型の水着とパーカーを羽織り一緒に浜辺へ
確かに今年は丑年だけど…随分攻めた感じするね
あ、いや、全然変じゃないよ
とかいいつつ、胸や谷間なんかはちらちらみてる
やっぱ可愛いんだよなぁ、シャオって

料理は実はそこまでうまくないので魚の腸をとり塩焼きに
ゆっくりしっかり火を通す、焦がさないようにするのが意外と面倒

シャオの分も用意して二人で食べながら結婚式を眺める
ふと、シャオは結婚とかどう思ってるんだろう
なんて聞いてみる

…そうだな、僕は…
シャオとなら一緒になりたい、と思う
ま、シャオが認めてくれたら。だけどね


楊・宵雪
同行
神崎・柊一(f27721)

「今年の流行だって、お店でおすすめされるままに買ったのだけど…変かしら?
牛柄マイクロビキニ着用

妙に布が少ないことに違和感を覚えていたけれど
柊一におかしくないと言われ、ここの文化圏ではそういうものだと納得

魚の姿蒸しを作る
鰓からわたを抜き、さっと湯通しして臭みをとった魚と付け合せの火腿と季節の野菜をいい感じに並べて丸ごと蒸す
味付けは酢と豚の網脂と刻み生姜

食べるときは柊一にお酌しつつ

「結婚…?今が幸せだからそんな先のことなんて考えたことなかったけれど。隣にいるのが貴方だったら、どんなに素敵だろう…って思うわ



 この島全ての集落による婚礼の儀が終わると、終わるタイミングを見計らったように待ってましたとばかりに数々の婚礼料理が運ばれてくる。先程に猟兵が新郎新婦達に振る舞ったように、次から次へとこの島近海で採れた魚やイスラ・フマル島の特産品である葉巻を海賊や交易商人と物々交換で得たであろう、島外からもたらされた珍しい品々が仕切りなく送られてくる。そして島民や御神火様から立ち昇る噴煙を合図に集まった船乗り達が祝い、唄い、食べ、飲み、踊る。
 会場から少し離れた場所にある浜辺近くの炊事場は、各村々の祭事が行われている際には住民の女達が大量のご馳走を作る、正に戦場さながらの慌ただしさであった。しかし、作り終えた今は女達も祝い事に混ざりどんちゃん騒ぎを楽しんでいる。そんな未だパチパチと火の粉が弾けながら焚き火が燻り、どこか寂しさが漂う炊事場の近くの浜辺に一組の男女、黒のトランクス型の水着姿でパーカーを羽織った神崎・柊一(自分探し中・f27721)と何処か恥ずかしがる楊・宵雪(狐狸精(フーリーチン)・f05725)が肩を並べながら波打ち際を歩いていた。

「今年の流行だって、お店でおすすめされるままに買ったのだけど…変かしら?」
 宵雪が気恥ずかしそうに、その名の通りに雪のように白い九尾の尾を揺らしながら柊一に尋ねるのも無理はない。彼女が身に付けているのは、豊満な胸とお尻を申し訳ない程度に覆った面積の小さい布地が紐で繋がり合っている白と黒のまだら模様で、所謂牛柄のマイクロビキニである。島から島への交易で数々の商品を取り扱う商人が島にやってくるのであれば、柊一を驚かそうと現地調達しようと思い立ったわけであるのだが、「今年の干支は丑年ですから、牛柄の水着がいろんな島で流行っていますよ」と、嘘かホントか分からない巧みなセールストークで勧められたのがコレである。
 だが、刹那主義かつ優柔不断な性格の宵雪は「これなら柊一を驚かせれる」とその場の勢いでお買い上げして身に付けてみたものの、いざ彼の前にお披露目すれば目のやり場に困って視線を泳がせる柊一の顔を見たイタズラ狐は、冷静さという名の羞恥心が次第に赤らめる頬と同時に戻ってくる。そして、今このように猫背と内股気味になりながら、両手で布地よりも肌が露出する胸を抱くように覆い隠しているという訳なのであった。

「確かに今年は丑年だけど…随分攻めた感じするね。あ、いや、全然変じゃないよ。似合ってる。この世界の水着もシャオに良く合ってるよ?」
 すごく張り切った分、その反動で激しく後悔に苛まれて消沈気味の宵雪に柊一はフォローを入れた。しかし、彼女の顔に横目で視線を向けようとするが、彼女が腕で豊満な胸を覆っている分、寄せられてたくし上げられて出来た谷間に自然と目線が合ってしまう。嗚呼、哀しき男のサガか。その度にバツが悪そうに柊一も視線を反らしてしまう。
 そんなやり取りが何回も繰り返されただろうか。ようやく宵雪の顔に本来の明るさが戻り、なんとか立ち直れたようだ。

「────確かに、妙に布が少ないことに違和感を覚えていたけれど……柊一におかしくないって言うんだから、ここの文化圏ではそういうものなのね!」
 宵雪の今までしおれていた様子が嘘のように様変わりし、元気がないように垂れていた尻尾もピンと立ち上がる。そして彼女は柊一の手首をおもむろに掴むと、一気に駆け出した。思わず柊一は足を取られそうになったが、なんとか持ち直して宵雪が連れて行こうとする場所に抵抗することなく引っ張られ行く。
 ……立ち直った時に見たあの笑顔。やっぱ可愛いんだよなぁ、シャオって。
 まるで童心に戻った彼女に手を引かれた先は、ゴミの集めたり火の始末など後片付けをする者が居るだけの炊事場であった。彼らの承諾を得て、柊一はエラに蔓を通して携えていた魚をまな板に乗せた。鯛である。それも立派な鯛だ。
 宵雪との待ち合わせの時間が来るまで、彼が釣り糸を垂らして釣り上げたものだ。魚料理が得意な彼女に見せて驚かせようと思い合流した訳であった。


「じゃあ、私は姿蒸しを作るから、柊一は腸の塩焼きをお願いね?」
「う、うん……任せてくれ」
 手際よく鯛のエラからワタを抜いた宵雪が下拵えを進めていくのとは対象的に、柊一はどこかおぼつかない様子で腸を丹念にしごいて綺麗に終えると、塩を振って焼き始める。料理は実はそこまでうまくない彼だが、これなら出来るはずだ。そう意気込んでやってみたが、ゆっくりしっかり火を通し、焦がさないようにするのが意外と面倒でもあった。
 ふと視線を宵雪に向けると、湯通しをして臭み抜きをし終えた鯛に付け合せの火腿と季節の野菜をいい感じに並べて丸ごと蒸したところだ。それを終えると、これまた手際よく生姜を細かく刻んで、豚の網脂を溶かした中華鍋に酢を刻み生姜をかき混ぜて味付けのソースをあっという間に作っている。

「……あっ! ふぅ、もう少しで焦がすところだった」
 流れるような料理する様子に目を奪われていると、ジジジという音と共に焦げる臭いがしてハッとなった柊一は、既の所で黒焦げになりそうだった鯛のワタを裏返すとふぅっと溜息を零した。
 そして料理が完成すると、二人は結婚式場がよく見える場所でその様子を眺めながら、お互いに料理した鯛料理を褒めながら箸を進める。そんな中、ふとシャオは結婚とかどう思ってるんだろうという興味に近い疑問が沸き起こり、柊一は彼女に訪ねた。

「結婚…? 今が幸せだからそんな先のことなんて考えたことなかったけれど。隣にいるのが貴方だったら、どんなに素敵だろう…って思うわ」
 そう言い終えた宵雪は、どこか夢うつつな眼差しで式の会場を捉えたまま、柊一の肩に顔を寄せた。

「…そうだな、僕は…シャオとなら一緒になりたい、と思う。ま、シャオが認めてくれたら。だけどね」
 柊一も視線を彼女と同じ方向に向け続ける。宵雪が何か零すように何かを言ったようだが、突如起きた雷が落ちた様な音の噴火音にそれは遮られてしまった。
 しかし、柊一は彼女が何を喋ったのか。それは聞こえずとも分かる。
 それに応えるように、彼も宵雪へ頭を傾ける事で返事を返したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ラフレシア型『敵性植物群』』

POW   :    花に引き摺り込む、必殺の「捕食形態」
【広範囲に広がる花粉による「引き寄せ」と、】【魅了と束縛効果を持つ「抱きしめ攻撃」と、】【接近した場合は接吻による「体力吸収攻撃」】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD   :    素早く対象を束縛する「のびるツルクサリ」
【早業とマヒ効果を持つ「蔓草で出来た鎖」】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    衣服を溶かす、不可視の「緑触手の招来」
【防御力減少効果を持つ「おぞましき触手」】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 朝から催された宴だったが、いつしか日が傾いて島を囲む海原が黄金色に染まりつつある。それに合わせるように夜の帳が下りてくると、山頂の頂きが燃えるように赤く照らされた。婚礼を済ませて夫婦となった花婿と花嫁、島民達は一同に火山の『ご神火様』へ拝跪すると、彼らの記憶の中では過去となって風化して火山と一体化した島の守り神へ祈りを捧げ始めた。

 猟兵達はこの隙を見て祝いの場となった村落から抜け出し、火山の頂きに続くゴツゴツとした石が剥き出しの道を登っていく。緩やかな傾斜続きでこのまま進めば、日が沈む前までに山頂へ到着するだろう。
 一行が火山を取り囲むように広がる麓の森へと足を踏み入れると、何か違和感を感じる。それは何者かに『見られている』感覚で、風がないのに木々の下に群生する藪がざわめいてるようでもあった。

『うふふ……ノコノコとごはんがやって来たわ』
『そうね。もうお腹はペコペコよ。早く、早く、こっちにいらっしゃいな』
『もう待ちきれない。こっちから行くわよ』
 暗くなりつつある森の中で声が響く。ガサガサと藪を掻き分けて現れたのは、緑色の髪と肌を持った女性……いや、違う。下半身はすっぽりと巨大な花の中へ呑み込まれていて、人一人分入りそうな大きさの花弁の穴からは甘ったるい臭いが漂ってくる。

『さぁ、いらっしゃいな。イェーガー……夢心地の中、痛みもなくゆっくり消化してあげるわ。うふふふ』
 これがコンキスタドールが仕掛けた障害、オブリビオンなのだろう。すると奴は今、この島をメガリスがあるという火山の頂上へ向かっているかもしれない。猟兵達は人を惑わす妖花『ラフレシア型敵性植物軍群』の誘惑を振りほどくように前へ進む。一刻も早く、この森を抜けねば。
備傘・剱
あー、誘惑系の奴なのか…
しかも、夜の森を抜けてとか、そういうたぐいの、ね
こいつはちゃんともてなしてやらなきゃな

敵進行を確認後、式神を多数召喚、囮と敵攻撃に対するデコイにして、サイバーゴーグルの赤外線視モード機動
そして、猟犬狩、発動
敵の攻撃範囲外からの長距離精密狙撃を行ってやるよ

触手が来るようなら、空中浮遊で上空へ移動し、オーラ防御全面展開、触れた端から、迎撃をパンドラゴラと一足りないのダイス攻撃で行うぜ

この手の進行ってのは、知られてないから有効なんだぜ?
接近しなきゃ役立たない能力しか持たないのに、悠長に歩いてくるなんて、殺してくれって言ってるもんだ
覚えたか?

アドリブ、絡み、すきにしてくれ



「あー、誘惑系の奴なのか…。しかも、夜の森を抜けてとか、そういうたぐいの、ね」
 森の至るところから気配を見せ始めるラフレシア型敵性植物群の声に、剱はおどけてみせた。こいつはちゃんともてなしてやらなきゃな、と零したものの、時間は限られている。このマンイーター達の甘言に乗れば乗るほど相手の思う壺となるのは必定だ。

『そこのお兄さん、いらっしゃいな。私達と楽しい時間を過ごしましょ、うふふふ』
「悪いが急いでいてね。この森を抜けた先に用事があるんだ。君達のご主人様との用事がね」
『あーん。イ・ケ・ズ♪』
 ラフレシア型敵性植物の誘いを丁重に断るが、相手ははいそうですかと引き下がるわけでもない。相手が来なければこちらから捕まえて引き寄せるだけ。巨大な花弁の下に広がる葉がガサガサと震えたと思ったら、突如蔓が剱を目掛けて襲った。

「おっと。その手は見え透いているぜ」
 不意打ちに近い攻撃だったが、相手の出方は既に予想済みであった剱は身を翻すと、ジャケットからある物を取り出し投げ捨てる。数枚の紙に書かれた文字が怪しく光ると、彼と同じ大きさのヒトガタとなる。突如現れたそれを、鎖のように絡まった蔓草が捕縛をした。それらが囮となって機能している内に剱はサイバーゴーグルを下ろすと、赤外線モードを起動して周囲を見渡す。

「居るわ居るわ。姿隠してなんとやらだが、これなら丸分かりだ」
 行く手を遮るよう、彼女たちは至るところに存在している。だが、こうして何処で獲物を待ち構えていると筒抜けとなれば、あとは簡単な草狩りの始まりだ。

「急いでいるので、最短コースで行かせて貰おう。追いて、仕留めよ、異界の猟犬! この常世次元に、汝を縛る鎖、一切、有らざり! 我が括れぬ、汝が野生、その身に満たせ!」
 彼が遺跡より発掘した短刀『Orthrus』。その真の姿を顕現させる詠唱と共に抜いた刀身は、闇に覆われつつある森を強く照らし出す。誘蛾灯に集まる虫のように、ラフレシア型敵性植物はそれらを目印に姿を出して蔦を伸ばした。だが、そこには剱の姿は居なかった。居るのは……異界の猟犬『Orthrus』。主人より放たれ獲物を前にしたソレは牙を剥き、蔦鎖群の先に居るラフレシア型敵性植物の喉元に喰らいついた。

「この手の進行ってのは、知られてないから有効なんだぜ? 接近しなきゃ役立たない能力しか持たないのに、悠長に歩いてくるなんて、殺してくれって言ってるもんだ。覚えたか?」
 息を潜めずに痺れを切らした時点でお前達の負けだ。剱はOrthrusによって無残にも喰い散らかされたラフレシア型敵性植物の残骸にそう言い捨てる。再びサイバーゴーグルで進路を確認すると、至る所で赤く反応していた物らが消失している。とは言え、この森にどれ程の数が放たれているのは皆目見当もつかない。やはり急いで抜けるのが最善か。劔はOrthrusにコンキスタドールを追跡せよと命じ、道なき森を駆けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

楊・宵雪
WIZ

同行
神崎・柊一(f27721)

結界、オーラ防御張りつつ空中浮遊でリーチ取る

敵WIZ
フォックスファイアで抵抗、脱出後恥部を尻尾と手で隠す
「駄目っ…裸になっちゃうわ!

柊一が敵に捕獲されたら
「人の男に随分好き勝手してくれるじゃない?
嫉妬でありったけの弾幕お見舞い

はっと素に戻って柊一を巻き込んでないかしら…と心配し
自分の格好も忘れて飛びついて介抱
「撃っていいと言われたってあなたを傷つけたくはないわ

「パーカーありがとう…どうやって帰ろうかって思ってたの
(あんなところまで見られちゃったらもうお嫁に貰ってもらうしかないわね


神崎・柊一
楊・宵雪(f05725)と同行
引き続き黒のトランクス型水着とパーカーで行動
流石にシャオに先行させるわけには行かないので自分が先行する
最悪囮で自分事撃っていいという事は伝えておく
それはそれとして胸も大きいし中々かわい…おや、嫌な予感と悪寒が
群がられてちょっと鼻の下伸ばしたところで何か飛んでくるかもしれないし、ちゃんと僕のシャオのほうが可愛い事は理解してるので程よくひきつけてUC発動、一気に焼き払う
シャオの水着が溶かされていたら来ていたパーカーをシャオに着せる
いや、その。シャオの身体、他の男に見られるの。なんか嫌だし



 先程の猟兵が切り開いた道を、柊一は宵雪を守るかのように先頭に立ちながら進んだ。二人の格好は先程のままで、片や黒のトランクス型水着とパーカー、片や牛柄マイクロビキニのまま。ラフレシア型攻性植物の巨大な花から出ている上半身は女性を模しているものの、だからと言って流石に彼女を先行させる訳にはいかない。

「シャオ。もし襲われても、僕が囮になって君を守るよ。もし捕まってしまったら、僕ごと撃ってくれ」
「え、ええ……分かったわ。でも、柊一。あまり無茶しないでね?」
 何時しか森には甘い香りで満ちている。先程まではラフレシアのように巨大な花から漂う臭いを便りに避けてきていたが、こうなれば鼻が慣れてしまって何処にオブリビオンが待ち構えているか分からない。

「方角はこれで合っているのは確かなんだけど……暗くなってるから、余計に方向感覚が狂うんだよね」
「でも…ほら、あそこ。ほんのり明るくなっていない?」
 明かりを灯せば相手に自分達の場所を知らせるとして、妖狐の狐火も迂闊に使えない状況であった。徐々に勾配が付き始めているのでこの方角で正しいと登って数刻、火山の明かりでほんのりと赤く染まる切れ目が見えたのを、宵雪が指でその場所を指し示す。

「本当だ。シャオ、もう少しでこの森を抜けれるよ!」
「ええ。だけど柊一、気をつけてね。一番危ないのは…」
 ようやく見えた森の出口に早く抜けようと急かす柊一に、宵雪は嗜めようとある事を告げようとしたが……遅かった。張り詰めた緊張が解けた彼は何かを踏んでしまう。それに反応し、地面に張り巡らされた蔦が柊一の身体に絡みついて、彼を捕らえ上げた。

「柊一!?」
 目の前で突然襲われた彼の姿に気を動転した宵雪だったが、獲物を察知した別の蔦が彼女も捕らわれてしまう。

『ざぁんねんでした♪ ここに来るのか分からなかったけど、森を抜ける獲物なら出口付近で待ち構えるのが一番よね』
 そう。宵雪が伝えかった事とラフレシア型攻性植物が言っているのは、終わりが見えると気が緩んでしまう心理を突いた物だ。
 もう大丈夫と思って気を抜いた時が一番危ない時で、最後まで気を抜くな。そう言えばそんな故事を習った記憶があると、今になって柊一は思い出すがこうなってしまえばもう後の祭りである。

『うーん、どっちから食べようかなぁ? 美味しそうなお兄さんとぉ、肉付きの良いお姉さん。迷っちゃうなぁ♪』
 一度に二人も捕らえた事にご満悦な食人植物のオブリビオンは、柊一と宵雪を宙に浮かせながら手繰り寄せ、どっちから食べようかと品定めしながら更に強く締めあげた。肌に食い込むその苦痛に思わう目を見開く柊一だったが、その時彼は見た。人を惑わす為に植物が作り出した器官とは言え、女性を模した上半身を。その豊満な胸を。

(早く脱出しなければならないけど、それはそれとして胸も大きいし中々かわ……)
 この痛みから逃れようと無意識に鼻の下を伸ばしてしまったその時、ぞくりという背筋に悪寒が走る。ぎこちなく首を向ければ、恨めしそうに何かを訴えている宵雪の顔があった。

「……人の男に随分好き勝手してくれるじゃない? 柊一、ちょっと熱いかも知れないけど、ごめんね?」
 彼女の中で怒りと嫉妬の炎は静かに燃え盛り、それがUC『フォックスファイア』となって宵雪と柊一を捕らえる蔦を焼き払った。宙に浮かぶ彼女とは対象的に、柊一は落下してしまう。心の中で彼女への謝罪と感謝を思いながら、UCで作り出したアームドヒーローの火器をラフレシア型攻性植物に向けた。

「この距離なら外すことなんてない! 吹き飛べ…フルバースト!」
 全兵器開放の一斉射撃でラフレシア型攻性植物は消失する。だが、その射撃の反動で彼の身体は木の幹に背中を打ち付けてしまい、地面に落ちると腰を抑えながら立ち上がろうとした。

「柊一、大丈夫!?」
 宵雪は宙から降り立つと、彼を介抱しようと背中を擦った。

「ありがとう、シャオ。君のお陰で助かったよ」
「…撃っていいと言われたってあなたを傷つけたくはないわ」
 思わず感情に任せてフォックスファイアを彼に向けて放ったが、蔦を燃やすだけに留めていた。彼もオブリビオンよりもシャオのほうが可愛い事は理解しており、その健気さを改めていじらしいと実感する。

「けど、シャオ……その、水着なんだけど」
「水着? ……ああっ!?」
 彼女は彼のバツが悪そうに目線を反らしているのを先程の罪悪感の事かと思っていた。だが、柊一の言葉で着ているマイクロビキニを確認すると……上半身の紐が切れていた。擦り切れて切れたのではなく溶けるように切れていることから、恐らくは先程捕らわれた際に蔦からにじみ出る微弱な溶解液によるものだ。マイクロビキニの紐はそれに耐え切れなかったのだ。

「駄目っ…裸になっちゃうわ!」
 布地を繋ぐ紐がなくなれば、後はお察しの通り。咄嗟に尻尾と手を使い、生まれたままの姿を曝け出そうとしている胸を隠しながらしゃがみこんでしまう。そんな彼女に柊一は自らが着ていたパーカー脱ぐと、目を反らしながら背中から被せる。

「パーカーありがとう…どうやって帰ろうかって思ってたの」
「いや、その。シャオの身体、他の男に見られるの。なんか嫌だし…これで大丈夫なはずだよ」
 差し出された柊一の手を取ると宵雪は立ち上がる。そして二人は手を繋ぎながら、先程のように森の出口を目指すのであったが……。

(あんなところまで見られちゃったら…もうお嫁に貰ってもらうしかないわね)
 パーカーがなくなった柊一の背中を目にしながら、ほんのりと頬を赤らめた宵雪はそう心積もりするのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ラング・カエルム(サポート)
「なんだ、さては楽しいことをしているな!よし、私も混ぜるといい!」
何かと首を突っ込みたがる。とても偉そうだけど人類みな友達だと思っている毎日ご機嫌ハイカラさん。
別に男に間違われてもなんら気にしない。そもそも自分の性別を意識していない。
とてもポジティブ。人類みな友達だけど、悪いことした奴に叱るのも友達。なので誰にだって容赦もしない。容赦なく殴る。容赦なくUCも使う。だって友達だからな!



「なんだ、さては楽しいことをしているな! よし、私も混ぜるといい!」
 祭りの気配を察知して転送されてきたラング・カエルム(ハイカラさんの力持ち・f29868)は、何かと首を突っ込みたがるお祭り人間ならぬお祭りハイカラさんだ。だが、祭りは既に終わって、猟兵達は森の中。

「むぅ、楽しい事の気配を察知したのだが、もう既に後の祭りだったとはな。いや、待てよ。今は戦闘中ではないか! それなら戦いを楽しめるじゃないか。よし、決めた。私は思う存分楽しむぞ!!」
『あら、面白そうなお兄さんがやってきたわ。こっちにいらっしゃいな。私達と楽しみましょう、うふふふ』
 気を取り直してはしゃぐラングに、ラフレシア型攻性植物は花粉と甘ったるい花の蜜の匂いを飛ばして誘惑する。ラングがそれに釣られてフラフラと近づき、彼女が差し出した手を取って掴む。

『ふふ、素直なお兄さん。じゃあ、このまま引き寄せて、抱きしめて…美味しく頂いちゃいま……』
「ハハハッ! 残念だったな。私はお兄さんではなくお姉さんだ!!」
 そう。ラングは女性であった。ラフレシア型攻性植物は男性を誘惑する花粉と匂いを放ったが、女性である彼女にはまったく効果もない。では、何故最初から男性ではなく女性だと言わず、騙されたフリをしていたのか?

「その方が面白そうだったのでな!」
 まんまと騙されたと気づいたラフレシア型攻性植物の顔が、彼女の得難い報酬である。そしてラングはもう片方の腕で蔦状の触手を掴むと、力づくで根っこ状の脚を地面から引き剥がした。そして、ブンブンと遠心力に任せで振り回し、周囲に隠れているラフレシア型攻性植物を巻き込みながら彼女を木々に叩きつける。

 ──ブチッ。
 掴んでいた蔦が切れる音が鳴ると、急に手にしていた先が軽くなる。

「ふむ、もう終わりか。少し持つかと思ったが、つまらないものだ」
 ポイッと蔦を投げ捨てると、それは塵となって虚と消え去る。この主であるラフレシア型攻性植物も同じ運命を辿ったのであろう。

「さて、まだ変な匂いが漂うが、少しはマシになったかな? それでは、私も山頂に向かおう。噴火する直前の火山の火口なんて、滅多に見れるものはないからな!」
 ハーッハッハッハと笑いながら、ハイカラさんは進む。
 こうして猟兵達は森を抜け、山頂に続く山道を駆け登って行くのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『『少女海賊』キャプテン・マリーナ』

POW   :    「おっと、船長には指一本触れさせませんぜ」
いま戦っている対象に有効な【武器を使用する海賊幹部】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
SPD   :    ちょっと、あんた達まじめにやりなさいよ
戦闘力のない、レベル×1体の【小型の子分鮫】を召喚する。応援や助言、技能「【空中浮遊と大食い】」を使った支援をしてくれる。
WIZ   :    あの方の恩義に報いる為に、あの時の姿を取り戻す‼
「【あの方(コンキスタドール)の恩義に報いる】」という誓いを立てる事で、真の姿に変身する。誓いが正義であるほど、真の姿は更に強化される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠幻武・極です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 山頂に近づく頃には日はすっかり沈み、空には満点の星空が広がっている。噴火する寸前にまでマグマ溜まりから昇った溶岩の熱が地面越しに伝わり、まるで炎天下の日の熱が地面に照り返しで反射しているかのような錯覚を猟兵達は覚えるだろう。
 蝕むような熱さの中でようやく山頂にたどり着くと、カルデラ内の火口は今にも溶岩が溢れるほど上昇している。そして、その赤く発する光により、夜にも関わらず周囲は昼のような明るさだ。猟兵達が見回すと、火山の山頂から下に続くようにぽっかりと空いた溶岩洞の入り口の前で、何者かが騒いでいるのを気づく。

『あちちち、船長! この熱さではとてもじゃないが中に入ることはできやせんぜ!』
『言い訳はいいから、早く中に入ってメガリスを奪ってきなさーい! 早く入らないと、ペドレリーア・デ・ヴォルカンは力を取り戻して、近づいただけでも消し炭にする熱を発するようになるんだからね!?』
 海賊めいた少女がいかつい海賊達を前に発破を掛けていた。あの様子からして、恐らくアレがメガリス『ペドレリーア・デ・ヴォルカン』を奪おうと企てる賊…コンキスタドールとその一味なのだろう。

『むむむ、誰!? もしかして、イェーガー? いいえ、そうね。そうに決まっている。念の為に種を撒いて、攻性植物がうじゃうじゃ居る森を抜けてきたのなら、貴方達はイェーガーに決まってる!』
 『少女海賊』キャプテン・マリーナ。それがこの島を護るメガリス『ペドレリーア・デ・ヴォルカン』を狙うコンキスタドールで間違いない。何故、このメガリスを奪おうとするのか猟兵が問うと、彼女はえっへんと胸を張り誇らしげに語った。

『そんなの決まっているじゃない。恩義あるコンキスタドールにプレゼントするの。そして、いいムードになったら私はその方に告白して、その後永遠の誓いをして……もーやだー。これ以上何を言わせるのよ、もー!』
 詰まるところ、これを手土産に別のコンキスタドールに愛の告白をすると。恋の熱はバーニング・ハートと言うが、身勝手な彼女の手によりメガリスを喪った火山はせり上がる溶岩を抑えることが出来なくなり、麓の村落は溶岩に飲み込まれて消滅してしまうのは明白だ。何が何でも彼女の恋の暴虐を止めなければ。

『そうだわ、きーめた♪ あなた達をやっつけて、その死骸を盾にして火山の熱を遮ればいいのよ。さぁ、あんた達。コテンパンにやっちゃいなさーい!!』
『りょうかいでっさ、キャプテン!』
 可愛い姿をしているが、やはり性根は残虐なコンキスタドールそのものである。
 かくして、猟兵とコンキスタドールの戦いの火蓋は切り落とされたのであった。
火土金水・明
「中々、お熱いことを言っていますね。少々、その熱を下げてさしあげましょうか。」「もちろん、メガリスはあなたに渡しませんよ。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃方法は、【高速詠唱】で【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【コキュートス・ブリザード】で、『『少女海賊』キャプテン・マリーナ』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。


備傘・剱
オブリビオンにも、そういうの、あるんだなぁ…
まぁ、発情した猫には水を掛けるが一番、ってな

という訳で、青龍撃、発動!
高速移動しつつ、衝撃波、呪殺弾、誘導弾、水弾、ブレス攻撃を咥えつつ、接近戦に持ち込もう
接近したら、爪で鎧砕きと鎧無視攻撃を重ねた二回攻撃で、攻撃していくぜ
敵の動きは結界術で封じ、攻撃は、オーラ防御で防ぐぜ

…とりあえず、冷静になるまでは、ずっと、水弾をぶつけ続けるぞ

でさ、ちょっと思ったんだが、一方的な贈り物は、不気味がられると思うんだが…
相手と面識っていうか、仲いいのか?
そうじゃないと、ドン引きされると思うんだが…
昨今、ストーカーとか病みとかあるからな

アドリブ、絡み、好きにしてくれ。



「中々、お熱いことを言っていますね。少々、その熱を下げてさしあげましょうか」
 火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)は、もしそれがただの年頃の少女の言葉であれば祝福か応援の言葉を送ったかもしれない。だがオブリビオン、もしくはコンキスタドールが島の消滅と引き換えにしているのであれば話は別である。

「オブリビオンにも、そういうの、あるんだなぁ…まぁ、発情した猫には水を掛けるが一番、ってな」
 恋で浮かれ過ぎた頭を冷やすには剱も同意見である。オブリビオン同士の恋愛事情は初耳ではあったが、海賊として長く活動するコンキスタドールも居ればオブリビオンとなる前の縁もあるかもしれない。そういうケースもあるだろうと、剱自身は納得しようとしたが、ここである疑問が浮上する。

「でさ、ちょっと思ったんだが、一方的な贈り物は、不気味がられると思うんだが…。相手と面識っていうか、仲いいのか? そうじゃないと、ドン引きされると思うんだが…昨今、ストーカーとか病みとかあるからな」
『なにそれ、ひっどーい! 私とあの方の仲はそんなものじゃないもんね。そう、それはあの時、ひどい嵐の日の事……』
『せ、船長…。今は思い出話に浸っている場合じゃありませんぜ?』
 劔の出した一方的な贈り物は如何なるものかという疑問に、キャプテン・マリーナは頬を膨らませながら怒り、そして思い出話を語りだそうとする。当然であるが、流石に手下の船員達がそんな場合じゃないと制する。どこか調子の狂う相手であるとため息をつきながら、明は手にした七色に輝くロッドをメガリスが安置されている洞窟へ向けた。

「もちろん、メガリスはあなたに渡しませんよ。お嬢さん?」
『むー! そんなに私を子供扱いして。わかった、見せてあげる。キャプテン・マリーナの本当の姿をね!!』
 散々子供扱いされて、更に頬を膨らませて抗議するキャプテン・マリーナ。そういう所が子供っぽいのだと明が言葉に出さず内心思うのだが、それを他所に彼女の周りにいる船員達が次々とサメに代わり始める。
 なるほど、あの船員はサメが化けた物であったのか。興味深そうに感心する明を他所に、サメ達はぐるぐるとキャプテン・マリーナの周囲を泳ぐように回る。そして、サメが一匹また一匹と彼女へと吸収されていき、全てのサメ達が吸収し終えると、そこには一人の海賊風の出で立ちの人魚が居た。

『どう、驚いた? これが私の真の姿! これであなた達をギタギタにしてやるんだから!!』
「なるほど。真の姿か。これはまた驚いた。しかし、姿は変わってもやはりお子様だな」「ええ、そうね」
『ちょっとぉ! それってどういう意味…ひゃああ~~~っ!!?』
 息巻くキャプテン・マリーナへ襲いかかったのは、氷の刃。剱が放った空気中の水分を凝縮して作った高圧の水弾に、明のコキュートス・ブリザードの氷の矢が組み合わされたものだ。真の姿を見せた瞬間に襲ってきたのだから、キャプテン・マリーナにとってはたまったものではない。

『ちょっとちょっとちょっとぉ!? 人が変身している最中は何もやらないのがお決まりでしょ!?』
「確かにそうだけど、それはそれでこれはこれ。夢見て火遊びをする海賊の人魚姫にはちょうどいい薬でしょう」
 特撮やその手のアニメでは長々と変身している最中に、何でこの最中に敵が攻撃してこないかという疑問がよく出されるが、大抵は無粋な真似だからと説明される。とは言え、その暗黙のルールを破った変身中に攻撃する展開もある訳で、変身している最中だから攻撃したりその準備をしてはならないという決まりなどない。寧ろそんな隙をだしてれば好機にすぎないのが現実だ。

『ちょっと、あんた達まじめにやりなさいよ!!』
『シャーク、シャーク!(超意訳:船長、無理言わないで下さいよ!)』
 先程の可愛らしいサメと違い、リアルテイストのサメが召喚される。彼女同様に先程の姿が仮の姿とすれば、この凶暴そうなサメも彼らの真の姿というわけだろうか。サメ達は反撃しようと牙を剥かせて打って出るが、劔は自らの指先をUC『青龍撃』で青龍の爪へと変えた。

「…とりあえず、冷静になるまでは、ずっと、水弾をぶつけ続けるぞ。踊り奏でよ、爪牙、嵐の如く!」
 青龍の爪と牙を纏っている劔が鋭い龍の爪を振り下げると、生じた真空の刃が虚を切り裂きながらサメ達をナマスのように切り刻む。だが、次々と押し寄せるサメ達で、その攻撃はキャプテン・マリーナには届いては居ない。

『おーっほっほ! この隙に、私もすごーいUCで反撃しちゃうんだか…痛っ!? 痛い痛いっ! 今度は何なのよぉ?!』
 真空の刃はキャプテン・マリーナまでには至らない。しかし、龍の牙から放たれる細かい水滴がそれらを抜け、高速高圧の水弾のつぶてとなって襲いかかったのだ。

『あーん、もう変身が解けちゃったじゃないのぉ!!』
 キャプテン・マリーナの真の姿がタイムリミットを迎え、元の少女海賊姿へと戻る。彼女が自慢していたとっておきのUCはどういった物だったのかは今になれば不明だが、とりあえずは未然に防げたのに変わりない。
 悪びれる様子もなく再びぷんすこ頬を膨らませるキャプテン・マリーナに、猟兵達はまだまだお灸をすえなければならないようだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

楊・宵雪
WIZ
同行
神崎・柊一f27721

結界術、火炎耐性、オーラ防御で耐熱
UCで飛行
「恋愛なんて自己中なもの。正義なんかじゃなくて、むしろ世界を敵に回してでも貫くものよ?

弾幕で同行者の対敵SPDUC支援

「あのセクハラ植物を蒔いたのはあなたなのね。貞操の意味がわからないお子様にはたっぷりおしおきしてあげる
同行者と一緒に敵抱え、マグマに沈める

「愛しい人のためなら火の中に躊躇わず飛び込めなきゃダメよ…でも柊一はわたくしのために危ないことをしたらゆるさないわよ?


神崎・柊一
同行:楊・宵雪(f05725)

可愛い外見で中々怖い事言ってくるねぇ
いや、そもそもの話耐熱処理してなければ死体だろうがそこらのものだろうが変わらないからやめない?やめない、あ、そう

そういえばシャオが変な植物で世話になったね
良いもの見れたしお礼はがっちり利子付けて返してあげるよ

SPD勝負
UCを発動し、高速で翻弄しながらバックを取り抱え上げる
若しくは砲撃を零距離で叩き込み足を潰すなどして自由を奪う
そのままシャオと共に火口まで運び
せーの、でマグマにダイブさせる

憧れってのはね、理解からもっとも遠い位置なんだってさ
だから君のそばには誰もいない
次はだれか隣にいるといいね
僕たちみたいに、さ



「いや、そもそもの話耐熱処理してなければ死体だろうが、そこらのものだろうが変わらないからやめない?」
 コンキスタドールとは言え、キャプテン・マリーナがぷんすこと怒る姿がどこか可愛いが、この外見でも中々怖い事言ってくるものだと柊一の背中に冷たいものが走る。尤もそれは子供であるが故の残酷さもではあろうが、可愛いらしいと言いかけた時に宵雪から殺気のようなものを感じ為でもある。とは言え彼女からして見れば、愛する者が自分を差し置いて他の女に目が移る嫉妬心よりも、キャプテン・マリーナが自ら種を撒いたと暴露したオブリビオンに森の中で恥ずかしい目に遭わされた恨みの方が強いのではあったのが不幸中の幸いと言うべきなのだろうか。

「あのセクハラ植物を蒔いたのはあなたなのね。貞操の意味がわからないお子様には、たっぷりおしおきしてあげる」
『セクハラ植物だなんてひっどーい! 餌代は奴隷代になっちゃうけど、あの子達は可愛い観賞植物でもあるのに、そんなのも分からないの!? それにあなた達を死体にするのも変えませーん! ボロボロになるまで利用するもんねー』
 何やら聞き捨てならない物騒な発言を再びしたので、柊一は先程抱いた第一印象を忘れることにした。やっていることは人食いザメがうようよ泳ぐ海に人間を落として楽しむショーと何ら変わらず、やはり彼女は残虐極まりないコンキスタドールであると改めて実感するのである。

「やめない、あ、そう。じゃあ、交渉は決裂ということで。そういえばシャオが変な植物で世話になったね。良いもの見れた…じゃなかった。シャオの分まで、お礼はがっちり利子付けて返してあげるよ」
 ついうかっり本音を喋りそうになったが何とか言い繕うものの、柊一は宵雪のじっと見つめる視線を背中で感じた。だが、彼女からすれば何れは責任を取って貰おうという想いであったが、今は惚気けている時ではない。宵雪は周囲に張り巡らせた結界術で溶岩から伝わる熱を遮っているものの、火口近くというのもあって熱はじりじりと足元からも伝わってくる。柊一はともかく、宵雪は彼から借りたパーカーのチャックを締めて紐が溶け切れた水着から晒け出た豊満な胸を隠している。中で蝕む汗で一刻も脱ぎたい気持ちであるのは柊一も見て分かるので、ここは早く決着をつけるに越したことはない。二人は目を合わせると互いに頷いて合図を送る。

『むー。なーんか見せつけられてる感じ。こうなればもう一度人魚の姿になって、今度こそはぎったんぎったんにしてあげるんだからね!』
 キャプテン・マリーナの周囲で再びサメ達を放ちながら変身の準備をする中、宵雪はUCを発動させて金銀錦の戦装束姿となり、炎符から作り出した火華尖槍を構えて高速する回転する炎の足輪により宙を舞いながらサメを斬り伏せていく。

『あははは、無駄だよ。さっきのような失敗は二度としないもんねー』
 サメを全て取り込むと、キャプテン・マリーナは再び海賊風の人魚の姿となる。そして手を掲げると、UCの高まりによる共振で火山が震えた。こんな子供のような詰めの甘さを持つかの彼女であるが、実力は並のコンキスタドールよりも上というのだろうか。
 しかし、やはり詰めが甘かった。何故なら、勝ち誇ったキャプテン・マリーナの後ろには柊一が自らのUCで加速したことにより彼女の背後へと回っており、よいしょとお姫様抱っこの要領で辛うじて立っているのがやっとの人魚の足びれごと抱きかかえた。

『ちょ、ちょっとちょっとぉ!? いきなり何するのよ!!』
「シャオ、その炎の足輪で両腕を縛って」
「ええ、分かってるわ」
 たじろくキャプテン・マリーナを他所に、二人は打ち合わせで示し合わせたように彼女を炎の足輪で両腕を縛り上げ、両端を抱え持ちながらマグマが煮えたぎる火口へと近づいていく。

『まままま、まさか!? ちょっと、離しなさいよ!!』
 ジタバタともがき暴れるが、既に時遅し。脚側を持つ宵雪はいたずらっ子を諭すよう、にっこりと微笑んだ。

「恋愛なんて自己中なもの。正義なんかじゃなくて、むしろ世界を敵に回してでも貫くものよ? こんな目に遭ってもね? いい、柊一? せー…の!」
 どっぽん。哀れ、キャプテン・マリーナは火口に溜まる溶岩の中に投げ入れられ、身体が泡となりながら蒸発していく。

『ああああああッ!!? あつい、アツい、熱い!! なんで、何で私がこんな目に遭わなければならないのッ!? 私はただ、あの方に喜んで貰いたかった、だけ…な、の……に………』
 断末魔をあげながら、最期は想い人を思い浮かべながらキャプテン・マリーナは泡となり塵となり、溶岩へ溶け落ちた。

「…なんか、今になってみれば酷い事をしてしまったね」
「そうね。でも、愛しい人のためなら火の中に躊躇わず飛び込めなきゃダメよ…でも柊一はわたくしのために危ないことをしたらゆるさないわよ?」
 宵雪はめっと柊一の鼻先に人差し指を差しながら念を押すと、溶岩窟の方で何やら光り輝いた。それと同時に火口から溢れ出んとばかりにせり上がった溶岩溜まりが徐々に沈み込んでいくのが分かる。二人はメガリスが安置されている洞窟前まで行くと、内部は赤々しい焔で満ち溢れ、離れていても伝わる熱で侵入者を遮っているのが分かる。

「どうやら、メガリスに宿っている神様が力を取り戻し終えたみたいだね。彼女が倒されたとすればあの森も元に戻ったかもしれないけど、シャオはどうする?」
「……このまま帰りのゲートで転送されて帰りたいわ。もうあの森は懲り懲り」
 火口の入り口に開いたゲートを目指し、二人は手を取り合い歩む中、柊一はふと思い出したかのように喋りだした。

「そういえば、憧れってのはね。理解からもっとも遠い位置なんだってさ。だから君のそばには誰もいない。次はだれか隣にいるといいね……僕たちみたいに、さ」
「……ええ、そうね」
 二人はこの島での思い出を振り返りながらゲート潜り、グリモアベースへと帰還した。
 満点の星空が、高く昇った月夜の光が、火山を人々を、この島を照らし出す。何年も何百年も変わらぬ夜は明け、水平線より昇る朝日が火山を赤く染め上げる。
 メガリスに眠りし神の意思は、これからもこの島を護るのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月19日


挿絵イラスト