5
大島蟹クライシス ~ 詠百合島を救え!

#グリードオーシャン #七大海嘯

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#グリードオーシャン
🔒
#七大海嘯


0




●七大海嘯・三つ目の魔の手
 今、詠百合島(よみゆりとう)は未曽有の危機に瀕していた。「七大海嘯」が一つ、「三つ目」の配下を名乗るコンキスタドールの海賊達が島を占拠し、島民を次々と攫っていた。
 その目的は労働力。ただひたすらに魚や貝などの海産物を採取し続ける労働力が必要だった。
 女も子供も関係ない。適当に目に付いた島民から連れていかれ、家に籠っても海賊達は家を破壊し連れ去っていく。
 まだ目をつけられていない島民達も、恐怖に震えながらその時を待つことしかできなかった。

 労働環境は過酷だった。休息や食事は満足に与えられず、ただただボロ雑巾のように使い捨てられていくだけだ。
「おらぁ!! しっかり働けやぁ!!」
 手を休める者には容赦のない怒号が飛んでいた。海賊達は奇妙な形の木の棒を使い、作業が疎かになった島民の背中を強か打った。
 ぼぐん、と重く籠った殴打音。島民は激痛に声も出ず蹲り、それがさらに海賊達の懲罰を誘う。
 殴って殴って殴り尽くして。無限ループの果てに、力尽きて横たわる島民が出来上がる。黙りこくった島民をさらに二、三度殴り、全く反応がなくなったと見るや、
「かーっ、全然もたねぇなあ」
 首根っこを掴み上げ、邪魔にならないよう適当に放り投げる。そこかしこからこのように島民の死体が出てくるため、死体置き場のような場所が自然に出来上がっていた。
「結構な山になってんなあ……ボスはそろそろ下りてくる頃か?」
「そうだな。ま、ボスにとってはいい口直しになるだろうさ」
 海賊達が持ち場に戻り、ややあって。
 のそり、のそりと山から「ボス」なるコンキスタドールが下りてきた。火山を背負った巨大蟹だった。
 ボスではあるが、「七大海嘯」が一つ、「三つ目」から見れば、この甲殻類モンスターもまた配下の一体に過ぎない。
 その甲殻類は二本のハサミで死体を掴み、口に運んでバリボリグチャグチャ喰らっていく。海賊達でもなかなか目を向けない光景だ。島民達も言わずもがなだが、音はどうしても聞こえてきてしまう。自身の末路を想像してしまい気分を害し、嘔吐する者も現れていた。
 死体を喰らい尽くすと、ボスはまた山に登っていく。島の生命の一切を喰らい、島を完全に我が物とするために。

●島に勝利を!
「猟兵の皆さーん! 事件のご案内です!」
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)がグリモアベースにやってくる。もう馴染みの光景になってしまったか。猟兵達も気づいた者から近寄ってくる。
「『グリードオーシャン』の詠百合島という島で、『三つ目』の配下を名乗るコンキスタドールが確認されました」
 最近新たに予知されるようになった「七大海嘯」。「三つ目」はその勢力の一つであるが、未だ謎多き存在だ。
「そのコンキスタドールは島民達を強制労働させ、挙句殺してしまっているようです。また、1体とても強大な力を持つコンキスタドールがいるのですが、どうやら島の自然を食べ進めることで、島そのものを『三つ目』の支配下にしようとしているようですね」
 詠百合島は、UDCアースでもまだ多く海と山の自然が残っていた部分が落ちてきて出来た島だった。その一切を喰らい尽くすことで支配を主張しようということなのか。
 ともかく、事態は悪化の一途を辿るばかりだ。急ぎ島に向かい、コンキスタドールを撃破しなければならないが。
「今回の作戦では、島への上陸から困難な状況になりそうです。戦闘も発生することでしょう」
 海岸沿いには海産物採取のために島民が多くいる。当然、彼らを監視、使役するコンキスタドールの海賊達もいることになり、船で近づけば容易に発見されてしまう。
 それでも強引に島へ到達するために、猟兵達はまず船を守りながらコンキスタドールの海賊達を排除する必要があった。
「海賊達も大艦隊を編成してこちらの上陸を阻んできますので、海上戦が予想されます。船の存在が生命線ですから、決して破壊されないように気を付けてください。もし可能なら敵の船を奪うなどすれば、戦力の強化に繋がって海賊達を排除しやすくなるかもしれませんね」
 艦隊を撃破してようやく上陸となるが、猟兵達にとっての困難は続く。
「島に上陸した後はボスとなるコンキスタドールと戦うことになりますが……『七大海嘯』の配下ですから非常に強力な相手で、今の皆さんの力を以ってしても退けるのは容易ではありません」
 ロザリアが困難を口にすることはそれなりにあるが、これほど「勝機が薄い」ことを仄めかす口ぶりで話すのは珍しい。
 しかし希望もないわけではない。
「ですが、このコンキスタドールを間近で見ていた島民の皆さんなら……何か気づくことがあるかもしれません。島民の皆さんは日々の強制労働に苦しみ、また連日死の恐怖と隣り合わせで心も相当すり減らしていると思います。避難の傍ら、そういった部分を労わって交流を深めてもらえば、勝機が見えてくるかもしれませんね」
 今回の作戦では、島民の存在が鍵となりそうだ。
「考えることが多くて大変かと思いますが……皆さんならできると信じています。どうか、この島を救ってください!」


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 島の名前はまあ……可能な限り寄せました。

●フラグメント詳細
 第1章:集団戦『巨人海軍』
 詠百合島の巨人海軍です。
 身長が3メートルあるとか4メートルあるとか、そういう意味での巨人ですよねきっと。
 武器はバットのような何かです。血がついているのは島民を殴り殺した証みたいなものですかね。
 自分達の船を守ったり、相手の船を奪ったりするようなプレイングがあると状況が好転しやすいと思います。
 が、まあ拘らずやっちゃってください。

 第2章:ボス戦『大島蟹『カルキノス・タイラント』』
 猟兵が何の情報もなく向かっていくとほぼ間違いなく返り討ちに遭います。
 なので、島民達を助けて弱点を見つけましょう。
 強制労働に従事していた島民達が海岸沿いにいます。
 巨人海軍の支配は解かれましたが、心身共に疲弊しておりほとんどの人が自分の力で動けない状態です。
 そういう方々を何かしらの方法で助け、また労わってあげるなどすれば、心を開いてくれるかと思います。
 リプレイとして描写された弱点については他の猟兵達にも共有された情報として扱って構いません。

 第3章:冒険『海産物が押し寄せてくる』
 細かい情報は第3章開始時に提示すると思います。
 まあその辺を参考にプレイングを記載して頂ければなんとかなります。

●MSのキャパシティ
 合わせプレイングはお受けできません。申し訳ないです。
 ゆったりペースで進行予定です。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
112




第1章 集団戦 『巨人海軍』

POW   :    鉄の掟『常勝不敗』
【常勝不敗という掟を掲げた巨人海軍団員】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[常勝不敗という掟を掲げた巨人海軍団員]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    愉快で楽しいマスコットのロジャー・兎くん
戦闘力のない、レベル×1体の【橙色のロジャー・兎くん(結構でかい)】を召喚する。応援や助言、技能「【パフォーマンス・鼓舞・ダンス・ジャンプ】」を使った支援をしてくれる。
WIZ   :    永久不滅の巨人海軍
【野球道具(巨人用のオーダーメイド)】で武装した【伝説の巨人海軍OB達】の幽霊をレベル×5体乗せた【水陸両用選手バス】を召喚する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

一郷・亞衿(サポート)
廃墟探索中に呪われ、その結果として力を得た猟兵です。独自に開発した混沌魔術や呪詛を纏わせたカッターナイフ、金属バット等の道具を用いて戦います。
各種オカルト話を好みますが、UDC怪物やオブリビオンに対しては基本的に容赦しません。
外見特徴として、マスクで常時顔を隠しています。

一人称は「あたし」。
年下~同年代にはくだけた感じの口調で話し、年上や偉い人には敬語(さん付け、ですます口調)を使います。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使いますが、寿命が減るタイプの物はタイミングを見計らい極力短時間の使用で済ませるようにしています。
軽口を叩いたりもしますが、戦闘時は真面目に役割を果たそうとするタイプです。



●頑なに主張する「バットのような何か」
 敵船はどういうわけか、橙色の人形のようなもので埋め尽くされていた。
「フレー! フレー!」
「っしゃあ! いっちょ狙うぜぇ!」
 愉快で楽しいマスコットのロジャー・兎くんだ。ラインダンスのような軽快な応援を受けて巨人海軍団員は俄然やる気とパワーに満ち溢れていた。
 甲板を猛ダッシュして、ガン、と船体が揺れるほどに強く踏み切った。空を覆い隠すほどの巨体が跳躍し、猟兵達の船へと飛び掛かってくる。
「そうは問屋が……下ろさないんだよねっ!」
 そこへ一郷・亞衿(奇譚綴り・f00351)が金属バットを振りかぶって一撃カウンター! グァキーンと思い切り打ち上げられた団員の体が元居た場所に戻され、ドゥンとバウンドしていた。
「というかかぶってるんだよね。それ、バットでしょ?」
 白いマスクが声に合わせてもそもそ動く。予告ホームランのように突きつけられた金属バットは海軍団員の明らかにバット的な何かに向いていた。
「さぁなぁ!!」
 海軍団員は白を切る。その答えは肯定も否定もしないので結局何なのかは闇の中だ。
「いや、バットだよね……まあ別に何でもいいんだけど、オブリビオンとかぶってると、なーんかムカつく」
 不満の意を表明した亞衿は敵のお株を奪うかのように甲板をダッシュし、今度は逆に敵船へ跳躍した。
 まるで翼が生えたかのような綺麗な姿勢のまま、敵船甲板へ。すたん、と軽やかに降り立った亞衿の前には先程吹っ飛ばした海軍団員の他にもぞろぞろと増援が現れてきた。
 殴り合いの様相を呈してきた。片や金属バット。片や木製バット――のような何かである。
「行くぜぇお前ら! 乱闘だぁ!!」
「うおおおぉぉぉ!!」
 正面から、右から、左からと一斉に海軍団員達が木製バット様武器を振り上げて迫ってきた。海軍団員達の巨体はまるで壁のようで、それだけでもずずずっと押し潰されそうな圧迫感があった。
 しかし亞衿は怯むことなく、相手の得物を注視する。一気に全方向から叩き潰されるようなことは、物理的、空間的にあり得ない。ならば攻撃を一つ一つ捌いて反撃するのみだ。
 まずは右から振り下ろしの一本目。これを横っ飛びで回避しながら他の相手の得物の振りを確認する。
 正面から来るものがやや早い。見切り、素早くフェイントを入れて反転する。ずどん、とまた一本バット様武器が空を切って甲板を叩く。
「乱闘って言ってるし……バットだよやっぱり。あーあームカつく」
 恨み節は呪詛となって金属バッドに溜まっていく。亞衿はそれを両手で持ってアッパースイングで近くの海軍団員の脛を一撃打ち抜いた。
「あがああぁぁ!!」
 ゴキン、と鈍い音がして海軍団員の足がひしゃげた。亞衿に攻撃された部分から真っ黒な痣のようなものが全身に広がり、海軍団員は息絶える。
「てんめぇぇぇ!!!」
 いきり立った別の海軍団員が襲い掛かってきた。今し方思い切り振り抜いた姿勢から金属バットを防御に戻すことなどできやしない。
 そこで亞衿はふっ、と全身から力を抜いた。膝がかくっと折れそうなところへ海軍団員の横薙ぎの一発が突き刺さった。
『\いちごうくん ふっとばされた!/』
 打たれた亞衿の体はほぼ水平の状態で飛んでいた。その上に謎の吹き出しが飛び出し、亞衿の体がぼよんと甲板の柵に跳ねた。
 まるで棒のようにくるくると回りながら亞衿の体は宙を舞う。意識を根こそぎ刈り取る一発を貰ったにも関わらず、亞衿は目もパッチリと、意識をしっかり保っていた。
 空間の在り方を歪めることで自身へのダメージを無効化する。そして無効化されたダメージは『\いちごうくん ふっとばされた!/』というコミカルな文字列となって亞衿の手の中にあった。
「……漫画ってさあ」
 亞衿の体がぴたりと宙に留められた。眼下に集結する巨人海軍達を見る。
 亞衿は文字列を投擲用の槍のように投げ下ろした。
 それはまさに――巨人海軍達にとっては『地』を割る槍となった。一体の巨人海軍の体を貫いたまま船体に突き刺さると、そこから火薬庫に着火したかのように巨大な爆発を起こして他の巨人海軍達やマスコット達を全て吹き飛ばした。
「見開き2ページでこういうシーン、あるよね」
 船体が真っ二つに折れる爆発を背後に、亞衿は着地した猟兵達の船の上で金属バットを背負うように構えていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ナイリーラ・ノクトーズ(サポート)
西洋妖怪(サキュバス)の女です
 普段の口調は「女性的(私、~君、~さん、だね、だよ、だよね、なのかな?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●放て白炎、取れ打て白球
「俺達巨人海軍はあぁぁぁ……永久に不滅だっっっっ!!」
 バットのような何かを振り上げながら巨人海軍が溜めに溜めて空に叫ぶと、ぼわわんっと宙にバス状の乗り物が召喚された。そこには巨人の身体に合わせて巨大に作られたオーダーメイド野球道具で武装した巨人海軍OBの幽霊がぎっしりと詰め込まれていた。
 それは水陸両用のバスだった。じゃっぱーんと水柱を噴き上げて着水すると、猟兵達が乗る船へ向かって動き出す。
 バスの窓から溢れんばかりの幽霊がうじゃうじゃとうねっていた。まるでムカデの足のようだ。
「うーん……あれはあまり好みじゃないかなぁ」
 その様子を船の舳先に立って眺めていたのはナイリーラ・ノクトーズ(西洋妖怪のどろんバケラー・f27978)だった。
 足元はほとんど点のようなもの。そこに器用に足を揃えて立っているのだから、超人的なバランス感覚だ。
 翼を広げて直立する姿は船の守り神のようでもあり――しかしその翼は実に悪魔的、サキュバス的だった。
 巨人海軍の幽霊が乗るバスはご丁寧にも船の真正面からやってきていた。ナイリーラにとっては実に都合がいいポジションとなる。
「……ま、戦場だし仕方ないよね。貰える物は貰っておかないと♪」
 バスはもう船から数十メートルの距離。ナイリーラの射程に入った。右手の親指と人差し指を伸ばして銃の形を作り、狙いをつける。
「来たれ白き裁きの炎――邪なる者を焼き払え!」
 ナイリーラの指先を中心に、視界が真っ白に飲み込まれた。神々しいほどの白炎の破壊光線が一直線にバスへと発射されていた。
「うおおぉぉ! あれは……白球!?」
 巨人海軍達は謎の盛り上がりを見せていた。それは幽霊も同じらしく。バスの窓からにゅるりと飛び出した幽霊達が我先にと防具らしいグローブを掲げて捕球……ならぬ捕獲体勢に入っていた。
 しかし相手は破壊光線である。ずどんとグローブを突き抜け幽霊共をじゅわっと焼き払っていた。
「ふんふんふ~ん♪」
 ナイリーラは鼻歌交じりに指を動かす。それは絵を描くような軽やかなタッチだった。
 破壊光線はバスをバターのように焼き溶かしていく。そうして何等分にもなったバスと共に焼き払われた幽霊達は海に散っていく。
 吸収した力を糧に、ナイリーラはタンと舳先から飛び上がり、巨人海軍の船に近づくと、
「ついでにもう一発……お見舞いするねっ!」
 先の攻撃と同じように手の形を作り、今度は眼下の巨人海軍の船へと破壊光線を撃ち出した。その熱量は幽霊達を焼き払った時よりもなお増して襲い掛かる。
「白球来たらば……打つべしぃぃぃぃ!!」
 光と熱の中で巨人海軍達が構えた打撃フォームはそれぞれが様になっていたが、その光景も見ることができたのはほんの一瞬。
 スイングはしたかどうかわからない。次の瞬間には船は破壊光線に飲み込まれて爆発四散、消え去っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

スピレイル・ナトゥア(サポート)
精霊を信仰する部族の巫女姫です
好奇心旺盛な性格で、世界をオブリビオンのいない平和な状態に戻して、楽しく旅をするために戦っています
自分の生命を危険に晒してでも、被害者の方々の生命を救おうとします
技能は【第六感】と【援護射撃】と【オーラ防御】を主に使用します
精霊印の突撃銃を武器に、弾幕を張ったり、味方を援護したりする専用スタイルです(前衛はみなさんに任せました!)
情報収集や交渉のときには、自前の猫耳をふりふり揺らして【誘惑】を
接近戦の場合は精霊の護身用ナイフで【捨て身の一撃】を繰り出します
マスター様ごとの描写の違いを楽しみにしている改造巫女服娘なので、ぜひサポート参加させてくださると嬉しいです!



●後方に機在り、不滅を砕け
 まるで砲弾の雨が降っているかのように海は荒れていた。そこかしこに巨人海軍が召喚したバスが着水していたからだ。
「俺達は不滅っっ!! 不滅だあああぁぁぁ!!!」
 やたらと不滅に拘る巨人海軍達。だがこの状況を暢気に眺めてはいられない。
 余分な戦力が増えているのだ。戦闘が長引けば長引くほど、溢れる敵戦力は猟兵達を苦しめることだろう。
「……見えました」
 船上で静かに精神を集中させていた。スピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)はすっと目を見開くと、緩急をつけたように素早く精霊印の突撃銃を取り構えた。
「みなさん。伏せてください……ああいえ、この状況ならば跳んでいただいても構いません!」
 猟兵達が火花を散らすのは海の上。ともかくどうにかして避けてほしいということを口走ると、スピレイルは船の縁に沿うように走りながら突撃銃をぶっ放した。
 弾丸には炎の精霊を宿し、その威力はグレネードランチャーに匹敵する。威力故に取り回しが難しいかと思えば、スピレイルは正確な狙いで海に浮かぶバスを銃撃していた。
 標的は山ほどある。リソースは大事だ。スピレイルは「見えた」勘を辿り、バスの急所を少ない弾数で撃ち抜いていた。幽霊蠢くバスは悉く穴を開けられ、ずぶんと海に沈んで消えていく。
「ぬぅぅぅぅ!! 不滅!! 不滅っっ!!」
「ここは戦場……『滅せず』などということはありません。この私が、撃ち破ってみせましょう」
 スピレイルは銃口をやおら宙に向けた。そこには巨人海軍達が今まさに召喚したバスが浮いている。それが重力に引かれ着水する――その前に。
 銃口が赤炎を噴く。火球と化した弾丸がバスの中央を射抜くと、バスは瞬く間に燃え上がり着水と同時に砕け散った。
「うおおおおああぁぁ!!」
 自身が信じる力を破られ怒り狂う巨人海軍達。そうなればもう防御など崩れたも同然で、他の猟兵が悠々と攻撃を命中させ撃破する。
 後方支援に徹していたスピレイルだが、その力は前を跳び回る猟兵と同じく巨人海軍の包囲に風穴を開けていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

雛里・かすみ(サポート)
 バーチャルキャラクターの戦巫女×UDCメカニックの女性です。
 普段の口調は「明るく朗らか(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
寝起きは「元気ない時もある(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

明るく朗らかな性格の為、
男女分け隔てなくフレンドリーに会話を楽しみます。
どんな状況でも、真面目に取り組み
逆境にも屈しない前向きな性格です。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●常勝不敗、海に沈む
「巨人海軍はぁぁぁぁ!! 常勝不敗也っっっっ!!」
「うおおぉぉぉぉ!!」
 波打つ音もそれなりに存在感を放っている海上で、巨人海軍達の号令はよく轟いていた。
 常勝不敗。それは巨人海軍達にとって絶対の掟だ。それを掲げている限り彼らに負けは無いようにも思われた。
 しかしここには猟兵がいる。雛里・かすみ(幻想の案内人・f24096)もまたその一人だ。
「まだ力を高めてくるのね……」
 巨人海軍団員が集まるにつれ、増幅される力は波動となってかすみの体にも伝わっていた。戦況は猟兵達に傾きかけていたが、それを押し戻さんとする強い意志が襲い掛かってくる。
 底知れぬ精神力。それを打破するのはやはり、底知れぬ精神力だった。たとえどんなに敵が強大になっても、かすみは決して屈しない。
「でも、その力が私の魂を震わせるのよ……!」
 気付けばその身は空中にあった。甲板を蹴り飛び立ったかすみは己の内に叫ぶ。
『私の魂よ、覚醒せよ。そして底に秘めた多大な力を放出せよ!』
 天からの贈り物のような後光がかすみを包み込み、空駆ける翼を与えていた。宙に留まるかすみはキッと巨人海軍達を睨む。
「さぁ……勝負よ!」
「どこからでも来い!!」
 かすみは旋風刃と呼ばれる薙刀を取った。巨人を狩るには丁度いい得物だ。どこからでもとは言われたが、かすみは真っ向から巨人海軍達に挑んだ。
 空間さえ切り裂くと思わせるほどの音速の刃が巨人海軍の集団に深々と刺さったかに見えたが、集団を成した巨人海軍達も手にした木製の棒を器用に宙で重ねて受け止めにかかる。
 どちらの力が勝るか。純粋な力勝負だ。
「俺達は、決して敗れぬっっ!!」
「私だって負けない……あなた達から、この海を、島を……取り戻すっ!!」
 不敗の掟に対抗するは正義の覚悟。それがかすみの魂に充分備わった時、手にした刃は全てを超越する力を発揮する――。
「うううぅぅぬううぅぅっっっ!!!」
 巨人海軍達の猛々しい唸り声の中に、ピシッ、と不吉な音がした。それは常勝不敗の掟が崩れ去る――破滅の音。
 刃はついに振り抜かれた。眼前の巨人海軍達を裂き、彼らが乗る船をも崩壊させる一撃だ。
 真っ二つに折れた船など、行き着く先は海の底しかない。
「私が本気を出せば……こんなものよ」
 空へ翻り船が沈みゆく様を見下ろしたかすみは、薙刀に付着した塵埃を一振りで払うとまた次の船へと向かっていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

マリン・フィニス
メガリスの力に溺れた者共め
……本当の海の恐ろしさをその身で知るのだな。

メガリスの力もあるが、こっちは正真正銘の「海」の出だ。
《水中機動》で徹甲船に先行し、連中を迎え撃つ
敵船付近に《天候操作》で嵐を起こして航行を妨害、そこまでは欲張らないが、船の上にいる敵も波に浚わせて減らしておこう

そして多くを巻き込むような形で【ウェーブ・ブラスター】を使用、
敵船・バス諸共に、津波に飲み込み押し流し沈める

念のためバブルワンドで《爆発属性》の泡を浮かべ、接近しようとした敵への罠にしよう。

※全身鎧で、口調も魔法で誤魔化しているセイレーン女性です。
上のキャラも作っており、普段は素は出しません。

※アドリブ歓迎です



●「海」を知る者
「……メガリスの力に溺れた者共め」
 幻想的な声だった。全身を蒼の鎧で包んでいるため反響していたということもあっただろう。
 そこに居ながらにして、天上から嘆いているかのように。マリン・フィニス(蒼海の騎士・f26997)は意識を敵方へ投げながら呟いていた。
「本当の海の恐ろしさを……その身で知るのだな」
 全身鎧の体を徹甲船の前に投げ出しそのまま海へ。無数の気泡と共に海中へ飛び込んだマリンは自身が持つ水中の機動力を生かし前に出た。
「こうなりゃもう……一気に突っ込めぇぇぇぇ!!!」
 巨人海軍達も猟兵達の数多の攻撃を受け、戦線が崩壊しかけていた。一発逆転に賭けるしかないと、ありったけの力を突っ込んで水陸両用バスを召喚していた。
 それらを使っての超特攻攻撃。命中してしまえばそれこそ逆転満塁ホームランのような大打撃だ。
 マリンは海中に佇み、巨人海軍達を迎え撃つ。
 海軍だなんだと言っているが、マリンにとっては赤子のようなもの。
 身に付けた全身鎧こそメガリス「蒼海の鎧」であり――そしてマリン自身が深海より生まれしセイレーン。
 「モノ」が違う――それを知らしめるのだ。
(……嵐よ!)
 マリンが強く念じると、不意に海が荒れだした。激しく波打つ海面が巨人海軍の船隊、そして召喚されたバスの一団にぶつかっていく。右からと思えば左から、左からと思えば今度は正面からと荒れに荒れ、敵軍の侵攻を妨害していた。
「うおおおぉぁぁぁぁ!!」
 当然船上にいる巨人海軍達も翻弄される。勢い余って船から投げ出された者達はそのまま波の中に飲み込まれていた。バスも大きく傾いたものは態勢を元に戻せず転覆していく。
 まさに落ちていく様を見ていたマリンだが、彼らもタダでは沈まない。海中でもがきながらどうにか浮上しようとしていた。
(また上がられると厄介だな)
 マリンはバブルワンドを手にした。魔法の短杖から出る泡は様々な属性を籠めることができる。
 素早く水面へ浮上しながら短杖を敵陣に突きつけ、ボコボコと爆発属性の泡を作り出した。嵐に荒れた海は海中にも激しい流れを巻き起こし、泡を彼方へと流していく。
「…………!!」
 巨人海軍達に海中の自由はなかった。泡は巨人海軍達に直撃するとボゴンと爆発を起こし、今度こそ暗き海の底へ沈めていく。
 そしてまた、流された泡は機雷の役目も果たす。漂う泡は巨人海軍の船に接触するとまた爆発を起こし、船底に大穴を開けていた。水が流入する中で嵐に揺すられた船は瞬く間にバランスを失い横倒しになる。そうなれば当然戦線離脱だ。
 残った敵軍はどうにかこうにか嵐と機雷を避けながら進軍する。限られた狭き海上の道を行く軍勢は知らず知らずのうちに集団となっていた。
 猟兵の乗る船に対し海を広く使って攻め込んでいた巨人海軍達も、今や丸め込まれた毛玉のようだ。
 ざぶんと海上に出てきたマリン。向き直ると同時に静かに詠唱した。
『……ただ、押し流すだけだ』
 海が揺れる。マリンの前方に大津波が立ち上がった。強力に圧縮された波は氷のように冷たい。
 海の恐ろしさを示す――強き意志が籠められた津波は一瞬、敵陣全体にすっぽり覆いかぶさった。
「は、白球が……見えん……」
 辺りから光が消え、絶望する巨人海軍達は津波に押し潰されて海中へと消える。
 粗暴な叫びももう聞こえない。

 嵐が止むと、猟兵達の前には澄み切った海路が開かれていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『大島蟹『カルキノス・タイラント』』

POW   :    アイランド・ブレイズ
【背中の火山を噴火させ、炎を纏う岩石の雨 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    ハサミスマッシュ
単純で重い【両鋏 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
WIZ   :    ゴースト・パレード
【カトラスとラッパ銃 】で武装した【海賊】の幽霊をレベル×5体乗せた【今までに喰らった海賊船を元にした幽霊船】を召喚する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は安室・玲華です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●弱点を討て
 巨人海軍を撃破し詠百合島に辿り着いた猟兵達が目にしたのは、疲弊しきった島民達の姿だった。
 労働を強いる巨人海軍はこの場にはもういない。だが――動くことができない。
 体力、気力はほとんど底をついている。足場が砂浜なら動くのは尚更億劫だった。

 そして、この島の主となるコンキスタドール、大島蟹『カルキノス・タイラント』は何食わぬ顔で死肉を貪る。
 生餌は逃げていかないのだから、喰らうにしてもまずは前菜を、とでも言っているつもりなのだろうか。
 だが、その余裕そのままに強大な敵であることはグリモア猟兵の予知でわかっている。
 どこかに奴の弱点が――それを見つける鍵は島民達にあることだろう。
カシム・ディーン(サポート)
口調
基本丁寧なですます唇を

一人称

二人称
呼び捨て、君、あなた、お前(敵には


女好きの盗賊少年だが
サポート参加の場合では基本戦闘やそれ以外の補助をメインとした立ち回りに従事する

本当はもう少し楽しい事をしたいんですけどね

【情報収集】
戦う場所や敵について
その他有用な情報を集め仲間に伝え

戦闘
【属性攻撃】で風を全身に纏いスピード強化
基本攻撃は【盗み攻撃】で敵の武装の強奪による戦力低下を狙う
敵集団には一度【溜め攻撃】で魔力を収束させウィザードミサイル

単体相手にはシーブズギャンビットで服を脱ぎつつ猛攻を仕掛ける

一人で行動はせずにメイン参加者と息を合わせて攻撃を行う

今日の僕は盗賊として少し頑張ってみるとしますよ



●大島蟹の弱点は
「もう大丈夫です、僕達が来ましたから」
 倒れている女性を助け起こし、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は囁いた。
 未だ食事中のカルキノス・タイラントをなるべく長くそのままに。できる限りの配慮、という部分もある。
 できれば喰われる島民達も命尽きる前に助けたかったが、それはできぬ相談。今は命ある者を助けることを使命として心に留めて、カシムは盗賊救急セットを開いた。
 女性は手にも足にも生傷が浮かび痛々しい。カシムは薬草を取ると、手揉みして、
「ちょっと痛むかもしれませんが、我慢してください」
「……うぅっ」
 傷口にあてがい、その上から包帯で巻いて固定した。
 この作業を傷の一つ一つに丁寧に施していく。女性は痛みに耐えながら、必死に生きようとしていた。
「ここは危険です。少し移動しましょう」
「は、はい……」
 いわゆるお姫様だっこで女性を抱え、カシムは戦闘の余波が来なさそうなところまで移動していく。
「……ところで、あのコンキスタドールについて、何か気づいたことはありませんか?」
「気づいたこと……ですか……?」
 道すがらカシムは女性に尋ねてみた。だが腑に落ちない表情をしていたので、もう少し噛み砕いて説明する。
「そうですね……例えば、何かを嫌がっているとか、痛がっているとか……そういう『弱点』のようなものがあれば、と」
 猟兵達がカルキノス・タイラントへ付け入る隙、それを知りたかった。女性はしばし考えこみ、何かにピンと来たように顔を上げた。
「そういえば……あの背中に乗っている『山』のような部分に木の実が落ちてきた時に、凄く暴れていた気がします……。こんな話で、よろしかったですか……?」
 それがカシムにとって有益な情報なのかよくわからぬまま、女性は話しているようだった。不安そうに見上げる女性に、カシムはこの上ない笑顔を見せて、
「えぇ、大変参考になりました。ありがとうございます」
 そうして女性を安全な場所まで避難させ、カルキノス・タイラントのもとまで戻ってくる。
「キシシシシ……」
 食事を終えたらしいカルキノス・タイラントはカシムの姿を見て、何やら不穏な鳴き声を漏らす。
 音そのままに笑っているのか、それとも。
 詳しいことはわからない。だが、一つわかっていることがある。
 カシムは風に乗った。目指すはカルキノス・タイラントが背負う島に聳える山。
 正面から仕掛けていく。単調だが、図体のでかい動きのノロそうな相手ならカシムのスピードが勝る。
 カルキノス・タイラントは両の鋏を振り上げていた。タイミングを計り、重い一振りがずどんと刺さる。しかし舞い上がったのは大量の砂と、カシムの黒いマントだった。
 マントを脱ぎ捨てさらに加速したカシムは鋏を掻い潜り、逆にそれを足場にして高く跳ぶ。
「お前……『ここ』が弱いんだってね?」
 手にしたダガー、ソードブレイカー・カシムカスタムを突き立てるように、カルキノス・タイラントの背に乗った山の頂へ叩き込んだ。ざっくりと食い込んだ刃が白い頂に傷をつける。
「キシャアアアアァァァ!?」
 途端にカルキノス・タイラントは鋏をじたばたと振りながら暴れ出した。それはまさに、痛みに悶える姿だった。
「これならいけそうですね……あの【背中の山の部分】が弱点です!」
 女性から聞いた情報がカルキノス・タイラントの弱点。そう確信して、カシムは周囲に伝えるように叫んでいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

陽環・柳火(サポート)
 東方妖怪のグールドライバー×戦巫女、21歳の女です。
 普段の口調は「チンピラ(俺、てめぇ、ぜ、だぜ、じゃん、じゃねぇの? )」

悪い奴らはぶっ潰す。そんな感じにシンプルに考えています。
戦闘では炎系の属性攻撃を交えた武器や護符による攻撃が多い。
冒険等では割と力業を好みますが、護符衣装を分解して作った護符などを操作したりなどの小技も使えます。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●変身、骸魂
「はっ、でかい図体にでかい弱点がくっついてるとは、笑わせるぜ」
 他の猟兵に伝えられた弱点は背中の島の、山の部分。それは陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)の耳にも届いていた。
 完全に露出した場所。どうぞ叩いてくださいと言っているようなものだ。
「ぶっ潰すのもいいかと思ったが、てめぇ、蟹ってんなら焼き蟹にでもしてやろうじゃん」
 そう言い放った次の瞬間、柳火の体が光に包まれた。
 光はにゅにゅっと大きく伸び、やがて八つの頭が生まれる。
 ヤマタノオロチ、その骸魂と合体し、一時的にオブリビオンと化した柳火が現れた。
「キシャアアァァ!!!」
 カルキノス・タイラントは両の鋏を振り上げて威嚇する。だが大きさでは柳火が変じたヤマタノオロチも負けていない。
 巨体を揺らし、ヤマタノオロチが突撃する。長い首を前に突き出しての突進が振り下ろされる鋏とぶつかった。
 威力は互角だ。鋏と頭は共に大きく弾かれる。
 だが、鋏は2つに対し、頭は8つだ。数に勝るヤマタノオロチは残った頭、その口から火炎を吐いた。
 鋏は諸手を上げるように弾かれたままだ。防御などさせはしない。火炎はカルキノス・タイラントを包み、当然山も焼かれていく。
「シイイイィィィィ!!」
 島を背負った巨体はこの上なく俊敏に砂地を転げていく。鋏で砂を巻き上げて空気の流入をなんとか防ごうともがく。
 そうしてどうにか鎮火するも、山肌は煤け、まるで火山のように黒い煙を上らせていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

漏刻・カイカ(サポート)
本性は怪火、それに色んな都市伝説が合わさって生まれた妖怪。
見た目や精神年齢は精神年齢は小中学生程度。
生い立ちのせいで揺らぎやすい一面はあるが、基本的にお気楽で好奇心旺盛、知りたがり。都市伝説とUMAと古代生物と中二病っぽい魔術についてはちょっと詳しめ。
生まれたときに近くにいた、自分をおやびんと慕ってくるカエルのけろろ(怪談に巻き込まれて妖怪化した)が相棒。
大体いつも肩の上にいて探索や詠唱などを手伝ってくれる。

使用ユーベルコードはお任せします。シナリオに必要であれば、怪我や他の人の引き立て役OK。公序良俗に反せず、他者に迷惑をかけない程度に好きに動かしてください。



●叩くは王道
 どうにもカルキノス・タイラントは鋏が自慢と見える。
 ならばその鋏で叩かれたらどうなるか。漏刻・カイカ(あやしび・f30045)はふとした疑問に突き動かされて走り出していた。
 好奇心旺盛な一面はたとえ戦いの場においても変わらない。カイカは走りながら笑っていた。
 カルキノス・タイラントの正面、やはりそこが最適なポジションだ。両の鋏が愚直なまでに真っ直ぐ振り上げられ、そして振り下ろされる。
 その下に潜り込み、カイカもまた、両の手から不可思議な炎――怪火を放ち、鋏へ向ける。
『ド派手に行くぜ!』
 ズン、と鋏がカイカの体へ重くのしかかる。ずずっと砂に足が沈み込むがどうにか耐えた。
 カルキノス・タイラントは連続で鋏を振り下ろそうとまた振り上げたが、その一瞬を見逃さずカイカは砂を抜け出し、カルキノス・タイラントの頭を踏み台にして跳び上がった。
 両手を体の前で揃えて怪火を合わせる。そうして二倍の大きさに膨れた怪火から巨大な鋏が飛び出した。
 それはカルキノス・タイラントが持つものと瓜二つの鋏。
「『お前』の鋏、しっかり味わいな!!」
 山の頂目掛けて振り下ろされた鋏は、ドスンと重く突き刺さった。衝撃に耐えられずカルキノス・タイラントは足を広げて砂地に潰れる。
 叩かれれば潰れるのだ。至極当然の結果と言えた。
「シイィィィ……」
 小さな目を吊り上げるようにして、離脱するカイカを見上げるカルキノス・タイラント。
 その口からはポコッと白い泡が噴き出ていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

シホ・エーデルワイス(サポート)
助太刀します!


人柄

普段は物静かで儚げな雰囲気ですが
戦闘時は仲間が活躍しやすい様
積極的に支援します


心情

仲間と力を合わせる事で
どんな困難にも乗り越えられると信じています


基本行動

味方や救助対象が危険に晒されたら身の危険を顧みず庇い
疲労を気にせず治療します

一見自殺行為に見える事もあるかもしれませんが
誰も悲しませたくないと思っており
UCや技能を駆使して生き残ろうとします

またUC【贖罪】により楽には死ねません

ですが
心配させない様
苦しくても明るく振る舞います


戦闘

味方がいれば回復と支援に専念します
攻撃は主に聖銃二丁を使用


戦後
オブリビオンに憎悪等は感じず
悪逆非道な敵でも倒したら
命を頂いた事に弔いの祈りを捧げます



●砂にも負けず、炎にも負けず
「キシシィィ……」
 カルキノス・タイラントの鳴き声は心なしか弱くなったか――いや、まだだ。
 背中の島にある山が仄かに赤みを帯びだした。そこはカルキノス・タイラントの弱点でもあるが、同時に強力な武器でもあった。
「キシィ!!」
 気合いを注入するように一声叫ぶと、ドドン! と砂地がざわめくほどの衝撃が広がる。
 山が噴火した。黒い噴煙と共に噴射された岩石は炎を纏い、雨となって猟兵達の頭上に降りかかる。
(……いけません!)
 シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)は危険を感じた瞬間に駆け出していた。
 このままカルキノス・タイラントを放置してはまずい。そう第六感が告げるのだ。
 カルキノス・タイラントは体を震わせながら第二波、第三波の噴火を続ける。先に発射された岩石が砂浜へ着弾し始め、猟兵達へ当たらずとも砂を激しく撒き散らして行動、視界を阻害する。
 これではいずれ命中し倒れてしまう。猟兵達は回避に必死だったが、それ以上にシホは必死に前を向き続けた。
 両手にはそれぞれ聖銃を持っている。遠くからの狙撃も可能だったが、それではきっと弾かれる。
 だからこそ、射程という利を捨てて間合いを詰めた。砂は波となって容赦なくシホを襲う。口の中でジャリっと嫌な音がしたが、気にしてなどいられない。焼けつくような熱気に見舞われてもシホは決して逃げなかった。
 全ては共に戦う仲間の為。
 踏み出す足は一歩一歩、力を増していた。仲間を助けたいと思う気持ちが力へと変わっているのだ。
『私の手が届く以上、誰も失わせたくない……いえ、失わせません!』
 その手は――しっかりと届いた。
 カルキノス・タイラントの無骨な鋏を、聖銃を握り締めた手で叩きつけながら跳んだ。空中で天地が反転し、頭上に噴火口が覗く。そこは真っ赤に燃え滾っていた。
 噴火の間の一瞬の隙、カルキノス・タイラントが丁度力を溜めているところだった。
 噴火口へ、シホは両手を伸ばして銃口を突きつける。
 二つの十字が星のように輝き、銃弾が流星群となって噴火口へ集中した。着地するまで十秒とあっただろうか。その間に可能な限り、弾丸を誘導し噴火口へと流し込んだ。
 ぶく、と山が膨らんだ。噴火を目指していた岩石が弾丸の雨あられと衝突し内部で詰まりを起こしていた。
「キシッ……シャアアァアァ!!」
 着地するシホの背後でカルキノス・タイラントは硬直しながら悲鳴を上げた。行き場のない岩石が山の内部で破裂し、その度にカルキノス・タイラントはびくびくと痙攣する。
 岩石の雨が止んだ。戦場に凪を取り戻したのは、紛れもなくシホだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

マリン・フィニス
アレは……大きいが“島蟹”か
あの巨体だが泳げるか海底を歩けるはず……水攻めは効果が薄い、か

先行した猟兵の聞いた話では背中が弱点らしいが……よし。
先ほど同様《天候操作》による嵐を起こし、そこに加えてUC【シャーク・エヴォリューション】
フカする……もとい付加する属性は《氷》、それに《破邪(聖)》属性だ

鮫達は分散、奴自身への攻撃役、奴の頭上で雨を「凍らせ」氷塊を作る役、奴が呼ぶ幽霊への牽制役に分ける。

巨体を支える脚部を直接攻撃させつつ、上を取り雨を凍らせ氷塊を降らせ弱点を攻撃、幽霊は破邪鮫に襲わせる

そして特大の氷結バブルを発生、破裂させ降り注ぐ雨全てを氷に変え一気に攻撃だ

※アドリブ他歓迎です



●氷をフカして熱サメて
(アレは……大きいが“島蟹”か)
 マリンが対峙する敵は島であり、蟹である。どうしても巨体が目を引いてしまうが、水中活動も難なくこなしてしまうのだろう。
 単に水を使った攻め筋では効果が薄い――マリンはそう睨んでいた。
 カルキノス・タイラントが本格的に動き出す前に島民を助け、得られた情報はマリンにも共有されていた。弱点は背中の山、そこを如何にして攻めるか。
 思案する間に。先に動き出したのはカルキノス・タイラントだった。弱点を執拗に突かれてダメージは蓄積していたが、それでもバタバタと半ば無理矢理に鋏を振り回す。
 それは何かの儀式だったのか、虚空から紫色の煙と共に幽霊船が現れた。カトラスとラッパ銃を掲げた海賊の幽霊がわんさか乗り込み、まるで空を海のように航行しマリンの前に塞がってくる。
(……よし)
 たとえ大群が相手であろうと手段はある。マリンは敵を見据えた。
(嵐よ、再び……!)
 念じ、巻き起こした嵐。風が砂を巻き上げ、激しい雷雨が戦場全体を叩きつける。
「キシ、シイィィィ……」
 カルキノス・タイラントは足を砂に食い込ませてじっと耐えている。しかし召喚した幽霊船は錨も下ろせずぐらぐらと嵐に揺り動かされていた。ラッパ銃をパンパン鳴らすが狙いはまともに定まっていない。
『新たなる力とともに、来たれ、我が戦友(とも)よ』
 マリンは味方となる嵐の中でバブルワンドを掲げ、静かに呼んだ。
 仲間を導く。その印はこの手に、高々と。
 召喚されたのは真っ青なサメだ。その色が象徴する属性は氷、そして聖なる破邪の力。
「行け!」
 号令一つでサメ達は嵐の中を悠然と泳ぎ散っていく。真っ先に速度を上げた一団は脇目も振らずカルキノス・タイラントへと向かっていく。別の一団はまるで滝登りのように嵐に逆らい荒れる空へ。眼下のカルキノス・タイラントを睨みつける。
 海賊の幽霊達は接近戦を目論んだか、船をマリンへ寄せてきた。しかしそこを捕らえる別のサメの一団があった。
 幽霊達は果敢にカトラスを振り回しサメに対抗する。だがサメは斬撃をするりと回避すると、逆にカトラスを噛み砕き、尾で幽霊達を薙ぎ払った。
 嵐の中に打ち出された幽霊達は寄る辺なく消滅する。
「……むっ!?」
 このままでは船が持たない、と身を投げた幽霊がマリンへカトラスを振り下ろしてきた。幽霊という存在に似合わぬ特攻だが、その一撃は鋭い。
 マリンはバスタードソードを手に幽霊のカトラスを受ける。斬撃は幽霊と思えないほど重く、ずしんと体に響いてきた。
 それでもマリンは勢いに呑まれず受け切った。接触したカトラスを押し返すと、幽霊は砂地に転がり溶けるように消えていく。
「勝機は我が手にあり!!」
 もはや幽霊達の手はマリンには及ばない。仕掛けるなら今、とマリンは叫んだ。
 カルキノス・タイラントへと一直線に向かったサメの一団は地を這うように分かれて進み、太い脚へ食らいつくと全身を使って暴れ出した。足元を揺るがし動きを封じる。
「キシッ……シャアアッ!!」
 抵抗を見せるがサメ達は食らいついて離さない。その隙に空へ昇っていた別のサメの一団が雨を凍らせ氷塊を生み出した。嵐が起こす暴風に乗り、雹となってカルキノス・タイラントの弱点たる山へと降り注いだ。
「シャアッ!! シャッ……シャアッ……」
 とにかく逃げようとハサミを砂に突き刺し、這ってでも動こうとするカルキノス・タイラント。しかし、その頭上には巨大な水球が出来上がりつつあった。それはサメの力で急激に温度を下げていく。
「はあっ!!」
 マリンは思い切り振りかぶって剣を投擲した。渾身の一投は水球へと突き刺さり、破裂し空中から滝のような雨が襲い掛かった。
 どぱんとカルキノス・タイラントを呑み込むだけの水が背中の山から全身に伝わり、そして一気に凍り付く。
 まるで氷山から掘り出された太古の生物のように氷漬けにされたカルキノス・タイラント。その終わりはあっけなく。
 水球を割った剣が頂点からガリっと突き刺さり、氷もろとも大島蟹は砕け散っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 冒険 『海産物が押し寄せてくる』

POW   :    パワフルに押し返す

SPD   :    スピーディーに片付ける

WIZ   :    スマートに対策する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●大島蟹が残したものは
 強大な敵を退けた猟兵達。しかしそれで全てが解決したわけではなかった。
 島民達が言うには、カルキノス・タイラントの住処にもなっていた島中央の湖、その真ん中に浮かぶ孤島に『海賊旗のメガリス』があると言うのだ。
 それを焼き払わなければコンキスタドールの増援が来てしまう。猟兵達は急ぎ湖へと向かうことになった。

 しかしそこは餌の溜まり場。島民達が採取させられていた海産物で水面は埋め尽くされ、タダでは猟兵を通さない。
 猟兵達は何かしらの手段を講じて、この押し寄せる海産物を抜けなければならなかった。
バン・クロスハート(サポート)
【冒険。調査ですね!任せてください!】
「どんな調査も基本は足です!」
探索、調査が必要な際は基本的に走り回って情報を集めます
罠を踏んでも耐えたり避けます
調査の際も走り回って聞き込みです
怪しい人物は拘束服、物は袋で確保します

<サイレンコンテニュー>
デストラップでしたらコンテニューします!


【救助、人命第一です!】
「大丈夫ですか?こちらにどうぞ!」
救助対象を体を張って守ります
救助対象が動けない場合等は拘束服で確保して安全な場所まで運搬します
「任せてください、安全な所まで僕が頑張ります!」
<セイブエリア>
安全なエリアをブロックで作成します!

使用技能:激痛耐性、ハッキング、救助活動、運搬、ダッシュ、逃げ足



●隠しブロックあります
「こ、これは大変なことになっています……」
 雑多な海産物が放り込まれた鍋をミニサイズになって眺めたら、こういう光景が広がるのかもしれない。ぎゅうぎゅうとすし詰め状態の湖を前に、バン・クロスハート(一×十Χのガーディアン・f23853)は一瞬言葉を失っていた。
 一体どれほど島民を働かせていたのか。そしてカルキノス・タイラントはこれほどの食料を集めてなお、あれやこれやとつまみ食いしていたのだから、大島蟹の食欲恐るべしと言う他ない。
「でも、どんな場所であろうと、足で辿り着くしかありませんね」
 地面があるなら歩けばいい。水があるなら泳げばいい。それだけのことだ。
 しかし今の状況は少々具合が悪い。水ではあるが泳ぐには海産物の存在が邪魔すぎる。かといって海産物の上を歩くわけにもいかない。
 ならばどうするか。
 足場が無ければ、作ればいい。
「ブロックにはこういう使い方もありますから……海産物も傷めませんね」
 バンは空中へトンと飛び出す。すると、跳んだ先の足元にヴゥンとレンガが出現しバンの足場となった。片足で着地してそのまま次のジャンプを繰り出すと、また足元にレンガが出現する。
 そうしてジャンプを繰り返せば、向こう岸まであっと言う間だ。バンは孤島へ辿り着くと、次に焚き火を具現化させた。孤島の真ん中で存在感を放つ海賊旗のメガリスへ近づけると、旗の部分へぼわっと燃え広がった。
 そうは言ってもメガリスだ。炎の中でもまだ形を保っている。それでもいつかは燃え尽きるのだろうが、やることはやってしまった。
「……せっかくですし、この辺りを少し調査してみましょうか」
 メガリスを焼く炎をしばし見守ると、バンは付近の植物に興味を移していた。

成功 🔵​🔵​🔴​

シホ・エーデルワイス
旗を焼くだけなら空を飛んで近づき
炎属性攻撃の誘導弾を撃てば済みますが…

海産物を食べていた大島蟹が不在な今
これを放置すると大量の死骸が発生するかも?
それに乱獲で海の生態系バランスも崩れているでしょうから
環境に悪影響が出るでしょう

皆を救うには…


【祝音】で海産物を癒しつつ
動物と話すにコミュ力で救助活動

皆さんを食べようとしていた大島蟹はもういません
海へ帰りましょう

自力で移動できる蟹等はリュートで優しい旋律を楽器演奏して鼓舞しつつ誘惑し
海へおびき寄せる

移動が難しそうな貝等は『聖鞄』の海産物用のくつろげる部屋に招き入れ運ぶ


一段落したら

島民を【祝音】で癒し
消せない傷は【犠聖】で移す
引受けた傷は【贖罪】で消す



●瞳には傷ついた島が映った
 シホは海産物ひしめく湖を見つめ、思いに耽る。
(旗を焼くだけなら空を飛んで近づき、炎属性攻撃の誘導弾を撃てば済みますが……)
 オラトリオであるシホにとっては、今も燃える旗に追い討ちをかけるなど容易い作業だ。何も考える必要はない。
 それでも彼女が未だ翼を広げていないのは、もっと別に気に掛かることがあったからだ。
 旗を焼けば作戦は終わる。しかし、猟兵とこの島の関係が切れてしまっても物事は進み続けるのだ。
 大島蟹はもういない。そうなると、湖に集められた海産物はどうなるだろうか。
 明日になれば。明後日になれば。この湖を埋め尽くしているのは大量の死骸では?
 これだけの数の海産物が乱獲された。海の生態系バランスも崩れているのでは?
 全てをコンキスタドールが支配する前に、とは言わない。ただ、今この時に、救えるだけのものを救いたい。
 シホはそう願い、そして行動した。
「主よ、この方々にどうか慈悲と祝福をお与え下さい」
 両手を組み、祈りを捧げる。命は人間であろうと海の生物であろうと、一つ一つ大事にしなければいけないものだ。
 光が湖に溢れてくる。それは遥か先まで届く慈愛の光。環境を移され、身動きを取れず苦しむ海産物を癒していく。
 その分シホ自身は激しく疲弊するが、この湖にある全ての命の苦しみを考えれば、それはちっぽけなものでしかなかった。
「皆さんを食べようとしていた大島蟹はもういません。海へ帰りましょう」
 それぞれの命に語らいながら、シホは自ら動くのが難しそうな貝類などをそっと『聖鞄』の中へ移していく。シホの言葉に素直に従っているようで、特に暴れもせずシホの手に乗っていた。
 そうして無理なく入るだけ入れると、今度はリュートを使って優しい旋律を奏でる。誘われ出てきた蟹やヤドカリを導き、シホは海へと向かった。
 人間が感じるよりも長き旅路となったことだろう。シホは念入りに光を送り、ついてくる生物達の体力を保ち続けた。
 体が辛くないわけがない。しかしそれでも全ての命を思えばこそ。シホはリュートを奏でる手も、生物達を先導する足も止めなかった。
 何往復かして。湖に溜め込まれた命をようやく全て海へ還せる目途が立つ。海賊旗のメガリスは未だ燃えているが、零れる灰が目立ってきた。
 いずれ燃え尽きるだろうし、他の猟兵が何かしら力を貸すにしても、湖から海産物が消えている分、孤島へと向かいやすいはずだ。シホの行いは命を重んじてのことだが、猟兵の作戦を遂行する上でもしっかりと役に立っている。
 最後の一団を引き連れて海岸へ戻る。ついてきた生物達はそのまま波にさらわれて海に消えていった。シホ自身が運んできた物は丁寧に手で水面まで戻し、そのままゆらゆら波に流されるままに去っていく様を見届けた。
「次は……」
 砂浜で息つく島民達。彼らにも癒しを与えなければならない。
 光の癒しはもとより、傷は癒えてなお跡が残る場合もある。
『私は祈る、私は払う、私は背負う、主よこの身を捧げます』
 顔に傷を負った妙齢の女性がいた。頬に残された痛ましい傷跡は、絶対に消さねばならない。
 シホが手で傷跡をなぞると、その下に玉の肌が現れた。傷跡を引き受けたシホはそれと共に鉄線で締め付けられるような呪縛を受けるが。
「もう、大丈夫ですよ」
「ありがとうございます……!」
 涙を流す女性に穏やかな微笑みを見せて。そして一瞬目を閉じ意識を切ると、次に目を開け立ち上がった時には移した傷跡は消えていた。

 いずれ、他の猟兵達がメガリス焼却完了の一報を届けてくれることだろう。
 その時まで島民達の体と心を癒して回る。それがシホの使命だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木霊・ウタ(サポート)
『命を弄ぶ者に、俺が負ける訳がない!』
 人間のサウンドソルジャー×ブレイズキャリバー、16歳の男です。
 口調は常に「男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」です。
浸食する過去への怒りと共に、捨てられた過去の復讐者らを哀れにも思っていて、それを滅して安らかをもたらしたやるのも猟兵の使命と考えています。
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●地獄の炎が吹き飛ばす
「あれが『海賊旗のメガリス』ってやつだな?」
 炎を散らし、灰を零して燃え続ける旗があった。それを木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)は遠目に眺める。
 黙っていてもいずれ燃え尽きるのかもしれないが、じっと待っているのもまどろっこしい。
 助太刀、と言うには少々不思議な作業だが、ウタは己の炎を注ぎ足してやることにした。
「焔摩天、転生!」
 ごう、とウタの全身が地獄の炎で一気に燃え上がった。
 火力は十分。そして、ウタはこの姿の時、空を裂き、不死鳥の嘶き如き音を轟かせる速さを得るのだ。
 湖上を炎が駆け抜ける。湖を埋め尽くしていた海産物は別の猟兵の手によって全て回収、海へと還された。海産物が焼き上がる、もしくは茹で上がるなんてことを気にしなくていい分、存分に力を発揮できた。
 風が湖面をあおる。弾けた水が炎で蒸発し、ウタが辿った空路には即席の霧が出来上がっていた。
「嵐のお通りだ。ちょいと荒っぽいぜ?」
 ウタは飛行の勢いそのままに炎の拳でメガリスを殴りつけた。地獄の炎が加わった分だけ旗を焼く火力が増し、脆くなったところへ鉄拳が飛んだのだからもはやメガリスもこれまで。
 炎の中に残っていた旗の影はぼろっと砕け散り、海賊旗のメガリスは完全に焼き払われたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年11月01日
宿敵 『大島蟹『カルキノス・タイラント』』 を撃破!


挿絵イラスト