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そこは光も無く希望も見えない

#ダークセイヴァー #辺境伯の紋章 #番犬の紋章 #地底都市

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 黒魔術師は自らが封じる地底都市の門の上に降り立った。
「今日も『安寧』が保たれているようですね。ここは、『素材』も豊富。さらなる研究のため、さあ素材となる人間よ、その命を捧げなさい」
 彼女が命じると、多くのハルピュイアたちが封鎖された地底都市へと舞い降りていった。

 地底都市では、人々が暗い顔をしながら生活しているようだ。
 何かに怯えながら、光を無くした瞳で静かに生きている。
「生贄の時間だわ」
 誰かが震える声をあげた。
 そこに、大量のハルピュイアが飛び込んでくる。
「いやだ、死にたくない、助けて」
「ああ、離して、離してください」
 人々の叫びなど無視してハルピュイアが目に入った人間を掴み運んでいく。
 この都市には楽しみも嬉しさもきっとない。
 人はだた、一定の数を保ちながら生きているだけ。

 ハルピュイア達が持ち寄った人間を、黒魔術師は満足そうに見つめる。
「今日の素材が揃いましたね。我が研究に命を使われること、光栄に思いなさい」
 彼女の名はブラックスミス。
 この地底都市を封鎖し、多くのハルピュイアを従えている黒魔術師だ。
 もう何のために研究を続けているのか、何を作っていたのかは忘れてしまったけれど。
「さあ、黒騎士の糧になりなさい」
 門を守る黒魔術師の研究は続く。
 人間は都市から出ることができない。
 黒魔術師の額には「番犬の紋章」が光っていた。

●そこは光も無く希望も見えない
「みんな、ダークセイヴァーの地底空洞について、もう知っているかな?」
 ルビナ・ベイビーブルー(スペースノイドの電脳魔術士・f01646)が説明を始めた。
 ダークセイヴァー各地には広大な「地底空洞」があり、その中には「地底都市」がいくつも存在しているというのだ。
「私も、ひとつ、そんな地底都市を予知したんだよ」
 ルビナが予知したのは、ブラックスミスと名乗る黒魔術師のオブリビオンがいる都市だ。
 黒魔術師ブラックスミスは、地底都市の門を閉ざして守り、地上との交流を完全に断っている。
 閉ざされた門の中にある地底都市では、人間が生活しているようなのだが……。
「黒魔術師ブラックスミスは、連日気ままに人間を実験の素材にしているんだよ。都市に住む人々は、希望も無く、恐怖に震えながら生かされている状態だね」
 黒魔術師ブラックスミスがどのような研究をしているのかは分からない、しかし。
「とにかく黒魔術師ブラックスミスを撃破して、地底都市の人達を助けてあげて欲しいの」
 もちろん、ダークセイヴァーの地上も確実に安全とは言い難い。だが隷属を絶対とされた地底よりははるかにましといえるだろう。
「ブラックスミスの額には『番犬の紋章』という寄生虫型オブリビオンが光っているよ。ブラックスミスを強化していて、『番犬の紋章』に対する攻撃以外はほとんどダメージを与えられないんだよね」
 幸い、『番犬の紋章』は額という良く見える場所にある。
 工夫して狙うことができれば、撃破は可能だろう。
「ただし油断だけはしないでね。相手は強力な『門番』だよ。凄まじい手練れの猛者だから」
 だが『門番』が門を守っている限り、地底都市で恐怖に震えながら生きている人々を救うことはできないだろう。知ってしまった以上、できる限りのことはしてあげたいのだとルビナは言った。
「もし黒魔術師ブラックスミスを倒せたとしても、その後には地底都市に多数いるハルピュイアとの戦いになるかもしれないよ。でも、その戦いを見せることで地底都市の人達に希望を見せることができるかも!」
 ともあれ、だ。
「まずは黒魔術師ブラックスミスの撃破を目指してね。いきなりの厳しい戦闘だけど、よろしくお願いします」
 そう言って、ルビナは説明を締めくくった。


陵かなめ
 ダークセイヴァーでの事件です。
 第1章:ボス戦『黒騎士の武具造りし黒魔術師ブラックスミス』
 第2章:集団戦『ハルピュイア』
 第3章:『日常』
 を予定しております。
 第1章では、『黒騎士の武具造りし黒魔術師ブラックスミス』との戦いになります。彼女の額に輝いている『番犬の紋章』を狙ってみてください。それ以外の攻撃はあまり効果がありません。うまく工夫して『番犬の紋章』を攻撃することができれば有利に戦えます。
 第2章、第3章につきましては、断章を記載してからのプレイング募集になります。

 それでは、プレイングお待ちしております!
 プレイングは10/11 8:31から受付ます。よろしくお願いします!
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第1章 ボス戦 『黒騎士の武具造りし黒魔術師ブラックスミス』

POW   :    捧げなさい、我が黒騎士にその命を。
【黒騎士の武具を作り出す黒魔術の青き炎の海】を披露した指定の全対象に【呪詛】を放ち【この炎に飛び込まねばという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
SPD   :    誇りなさい、彼の軍勢に加われる栄誉を。
自身の【黒魔術を施した一般人たち(生死問わず)】を代償に、【創造したレベル×1体の黒騎士】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【剣や鎌、弓矢など様々な呪いの武器】で戦う。
WIZ   :    換わりなさい、いずれ摘まれる贄の姿に。
【呪いの鎚及び鎚から放つ無数の鉛の花びら】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を生命力を吸収し朽ちさせる鉛の花園で覆い】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はルパート・ブラックスミスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ユリウス・リウィウス
ヴァンパイアの武器職人か。どうせ呪われた剣ばかり打っているんだろう。いい機会だ。討滅してくれる。

目眩ましに「恐怖を与える」戦意を挫く「呪詛」の死霊の霧を展開。
そこに映る人影に精々怯えろ。
俺は、静かに霧の中を動いてブラックスミスの背後を取り、「暗殺」の足払いをかけて転がせて、全体重をかけた踏みつけを額に叩き込む。名もなき暗殺術ってやつだ。

呪詛をかけてくるか。だがそれは俺も得意分野でなぁ。「呪詛耐性」で撥ね除けさせてもらおう。

もう一撃放つ余裕があれば、「傷口をえぐる」虚空斬を額に叩き込もう。

こんな紋章、誰にもらった? 狗なら狗らしく、強者に媚びろよ、なあ、おい?
ふん、怒ったか? ならば霧に沈もう。



●呪詛
 暗い地の底にたどり着いた猟兵達は、黒魔術師ブラックスミスと対峙した。
 最初に動いたのはユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)だ。
「ヴァンパイアの武器職人か。どうせ呪われた剣ばかり打っているんだろう」
 答えるようにブラックスミスが小首を傾げる。
「さあ? 何を作っていたのかは思い出せません。分かることは侵入者を許さないことだけ」
 途端に彼女の足元から青い炎が立ち上った。
「お前たちを、焼き尽くすべきだと!!」
 ユリウスは表情を変えず歩き始める。
 全身の鎧が炎の輝きを淡く反射させていた。腰の左右に黒剣が揺れている。だがその黒剣には手を触れない。
 代わりに呪いを込めた霧を展開した。
「いい機会だ。討滅してくれる」
「ほほ、これは可笑しなことを」
 ブラックスミスは両手を広げる。
 同時に、周囲に広がった青い炎が勢いを増して襲い掛かってきた。
 ユリウスが霧の中に身を潜める。
 この霧は恐怖を与える呪詛の籠った霧だ。
「そこに映る人影に精々怯えろ」
「それではその人影も、贄に捧げましょう」
 青い炎が霧に絡みつく。霧と炎とが混ざり合い、ドロドロとした呪詛を撒き散らした。
「さあ捧げなさい、我が黒騎士にその命を」
 ブラックスミスが高らかに宣言する。
 その足元に、痛烈な一撃が入った。背後からユリウスが放った足払いだ。
「そ――」
 敵の身体がぐるりと反転し地面に叩きつけられる。
 霧と炎に紛れ、ユリウスがいつの間にか敵の背後を取っていたのだ。
 敵は必死に逃れようとしている。
「ああ、すまんな。そのままずっと寝てろ」
 ユリウスはそれを許さず、全体重をかけその額を踏みつけた。ユーベルコード『名もなき暗殺術』だ。
「ぐ、あ、ぁあ!!」
 ブラックスミスが身を捩るが、甲冑の鉄靴は決して動かない。超高威力の一撃だ。
 踏みつけられながらも、敵が炎を操った。
「お、おのれ。……お前は、あの炎に飛び込まなければならない!」
 通常ならば、『炎に飛び込まねば』という感情に囚われるのだろう。そういう類いの呪いだ。
「だがそれは俺も得意分野でなぁ」
 ユリウスは己に降りかかる呪いを撥ね退けた。
 何も心を揺さぶられることも無い。
「こんな紋章、誰にもらった?」
 逆に敵を責め立てる。
「狗なら狗らしく、強者に媚びろよ、なあ、おい?」
 踏みつけたまま、そのように畳みかけた。
「っ、私は、我が黒騎士にこそ……!」
「ふん、怒ったか?」
 何かが敵の琴線に触れたのだろうか。更なる炎が湧いて出た。
 ユリウスはあっさりと身を引き、霧に紛れる。
「出てきなさい、この炎に沈むのです!!」
 その場には、敵の言葉だけが響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

七那原・望
どうせくだらない研究なのでしょうけど、そんなに人を集めて何の研究をしているのですか?

あぁ、そうですか。やっぱりくだらない研究ですね。いえ、研究と呼ぶのすらおこがましい、ただの命の無駄遣いです。

【限界を超えた】【呪詛耐性】を持つ【結界術】による【オーラ防御】で敵のユーベルコードを防ぎます。

【第六感】と【野生の勘】で敵や黒騎士の行動を【見切り】、回避しつつオラトリオとセプテットの【範囲攻撃】【一斉発射】【乱れ撃ち】で黒騎士を【蹂躙】します。

隙を見つけたら【限界を超えて】【魔力を溜めた】【全力魔法】攻撃特化の【Lux desire】を【クイックドロウ】【スナイパー】で放ち、敵の額を狙い撃ちましょう。



●研究の価値
 ひとしきり青い炎を滾らせた後、ブラックスミスは再び立ち上がった。
 そして冷たい眼差しを猟兵に向ける。
「つまり貴様たちは、ここを破壊しに来た不届き者と言うことですね」
 傷ついた額に指を這わせ、再び青い炎を呼び起こした。
 その前に立ったのは七那原・望(封印されし果実・f04836)だ。
「どうせくだらない研究なのでしょうけど、そんなに人を集めて何の研究をしているのですか?」
 敵との間合いを取りながら、敵の様子を感じながら、質問のため小首を傾げる。
 ブラックスミスは口の端を持ち上げ、上機嫌でこう答えた。
「人間は勝手に増える素材そして贄です。その素材を有効活用するのが目下の研究でしょうか。我が黒騎士は今日も強く猛々しいでしょう?」
 その言葉を聞いて、望は小さくため息を吐く。
「あぁ、そうですか。やっぱりくだらない研究ですね」
「何?」
「いえ、研究と呼ぶのすらおこがましい、ただの命の無駄遣いです」
 そんなくだらない事を、研究と呼んでいるのかと。
 はっきりと敵の主張を切り捨て、銃奏・セプテットを手に取る。
「無駄遣い? それは価値のあるものに使う言葉ですね」
 ブラックスミの周辺を青い炎が這いまわった。
「さあ捧げなさい、我が黒騎士にその命を」
 青い炎に囲まれながら、敵が花の意匠を施した金槌をくるりと手元で回す。
 それだけで、炎に誘う呪詛が襲い掛かってきた。
「これが呪詛ですか。ですが――」
 望はオーラを身に纏い、強く結界を展開する。
 ドロドロとした呪詛は結界にせき止められ、行き場を失い渦を巻いた。
「それで我が炎を防いだなどと思わないことです」
 ブラックスミスが次の炎を操る。
 青い炎が次々に襲い掛かってきた。
「次はこちらですか」
 第六感を頼りに炎を避け、望は走る。次の炎を右に、その次を左に。
 走りながらセプテットを構え、流れるように一斉射撃を仕掛ける。弾丸が嵐のごとく降り注ぎ、敵の後方に控えていた黒騎士たちを撃ち抜いていく。
「っ、ですが黒騎士はいくらでも呼ぶことができます。ええ、『素材』があれば、ね」
 ブラックスミスがチラリと門の中を見た。
「余所見ですか?」
 その一瞬の隙を望は逃さない。
 ギリギリの間合いに滑り込んで、自身の魔力を極限に高めた。
 そしてユーベルコード『Lux desire』を放つ。
 狙いは一点。敵の額だ。
「全ての望みを束ねて……!」
 膨大な量の光が重なり、敵の額を撃ち抜いた。
「狙いは外しません」
「あ……?」
 正確無比な攻撃で、敵の身体が後方へ吹き飛んだ。
 青い炎はクッションにはならない。ブラックスミスの身体は床に叩きつけられた。
「研究は、役には立たないようですね」
 望が静かにセプテットをおさめた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
うおっ悪趣味…
流石ダークセイヴァー
いやまあ、研究が楽しいのは分かるけどね
こーいう悪趣味なのは解釈違いかなー


武具造り!楽しいよねえ!
私のこの武器も私お手製!
人造邪神、カッコいいでしょー
けど君のやり口は気に食わないから、ちょっと殴るね…
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
鉛の花びらは両剣で『念動力』を込めた剣風で『吹き飛ばし』て当たらないように
変化した地形には『オーラ防御』で飛び石的に足場を作って花園に触れないよう移動
接近し、射程距離に入ったら【光剣解放】を起動
600本の光剣で敵の動きを制限するよう、頭部以外に連続して当てて移動を妨げ残りの光剣で額の紋章を狙おう

アドリブ等歓迎



●思い、闇に溶け
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)はブラックスミスをちらりと見た。
「うおっ悪趣味……」
 どんなに人の命を消費してきたのだろうか。
「いやまあ、研究が楽しいのは分かるけどね」
 呆れたようにつぶやいた。
「こーいう悪趣味なのは解釈違いかなー」
 と。
 4振りの武器を展開させる。
「武具造り! 楽しいよねえ!」
 伸ばした手で掴むのは『《RE》Incarnation』と『Blue Bird』だ。
「武具……造り」
 玲の言葉を聞いたブラックスミスは目を細めた。
「私のこの武器も私お手製! 人造邪神、カッコいいでしょー」
「……、作る……武器を……」
 抜刀した二つの武器を、敵が眺める。
「この人造邪神が気になるの? それとも、武器を作るってことが引っ掛かる? 今までとは違う表情だよね」
 玲は慎重に敵の様子を観察した。一体、何に反応しているのだろうか。
 だが、その答えは返ってこなかった。
 代わりに敵が動く。
「いいえ、いいえ何も……。私は素材を使い研究するだけです。さあ換わりなさい、いずれ摘まれる贄の姿に」
 敵の鎚から無数の花びらが散った。
 それは鉛の花びらで、辺り一面に広がっていく。
 敵の足元には鉛の花が咲き、花園が出来上がった。
「君の様子は少し気になるけど……そのやり口は気に食わないから、ちょっと殴るね……」
 二振りの武器を器用に繰り、玲が風を巻き起こす。
 込めた念動力が力となって風に宿り、鉛の花びらを吹き飛ばした。
 飛び散った鉛の花びらが地面に突き刺さり、いくつも亀裂が走る。あれをまともに喰らっていたら、相当なダメージだろう。
 だが玲は怯まず地面を蹴った。
「鉛の花園に飛び込んでくるというのですか」
 ブラックスミスは自身の足場を完全なテリトリーに仕立て上げている。
「それはどうかな?」
 玲は敵の花園の手前でオーラを使った。それを小さな足場とし、蹴ってまた進む。
「な――」
「こういう使い方もいいよね」
 言いながら、次々足場を作って跳んだ。
 二人の距離があっという間に縮まる。
「機能解放」
 射程距離まであと一歩だ。玲が装備の機能を解放する。
「光剣よ――」
 次の一歩で光の剣を展開。
「おのれ……」
 慌てたようにブラックスミスが鎚を振るう。だが、遅い。
「舞い踊れ!」
 玲の掛け声と共に、600本の光剣が敵の身体に突撃した。
「これが、一体何だというのです?」
 強化された敵の身体には傷がつかない。
「うん、知ってる」
 しかし、敵の動きを制限することはできる。
 行き場を失い棒立ちになった敵の額を狙うのは容易かった。
 玲が腕を振り下ろす。
 その動きに合わせ、残りの光剣が敵の額を一斉に攻撃した。
「そ――」
 呆然と、ブラックスミスは傷のついた額を抑えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

神樹・鐵火
呪詛は羅気で精神を律し、影響を最小限にする
炎の海を激痛耐性・地形耐性で耐えダッシュで相手の懐に飛び込む
この手の輩は接近されると雑魚だ
UCで足首を引っ掴み、遠心力を利用し頭を地面に叩き付ける
額の位置に紋章があったのも好都合だ
なら徹底的にさせて貰おう
周囲の黒騎士も邪魔だ!掴んだヤツを叩き付けるついでに纏めて吹き飛ばす
どうせ紋章以外には大したダメージは入らんのだろう?
ならこの程度は平気だよな?
貴公はブラックスミスだろ?余の武器として役に立て
返事は「はい」か「いえす」だ!
力溜めし、最後は壁に向けて頭から投擲する



●誰がための武器
 ブラックスミスの額に輝く『番犬の紋章』には、すでにいくつか傷がついているようだ。
 それでも敵はよろめきながら立ち上がった。
「……、ああ、我が黒騎士たちよ……、私はまだ倒れません」
 その背後には黒騎士が並んでいる。
 神樹・鐵火(魔法(物理)・f29049)は、負傷したブラックスミスに向かい走り出した。
「随分しぶといようだな」
 踏み込む足に力を込め、さらに加速する。
 対する敵は、再び青い炎を呼び起こした。それはまるで激しく波打つ海のよう。この地の底に、青い光が揺れ動く。あれに込められているのは死の炎へと誘う呪詛だ。
 鐵火はそれでも真っすぐ敵の元へ走り込んだ。
「この炎が見えませんか。さあ我が黒騎士にその命を捧げなさい」
 ブラックスミスが不敵に笑う。
 炎が大きく膨れ上がり、鐵火に襲い掛かってきた。
「その程度の呪詛で、私を乱したつもりなのか?」
 炎への誘惑を濃く感じる。
 対して鐵火は、覇気を纏い己の精神を律した。その堂々たる態度で、敵の呪詛を払い除ける。
 そして、さらに大きく一歩敵の懐に飛び込むと、あっと言う間にユーベルコード『蛮神乱舞』を披露した。
「戯れだ、受け取れ」
 素早く腰を落とし、まずは敵の足首を掴む。
「な……」
 その動きに敵は対応できない。
 鐵火の思った通り、接近戦は断然こちらが有利だ。
 腕を引き上げ敵の体を浮かせると、遠心力を利用してその身体を地面に叩きつけた。『番犬の紋章』が額にあったのは好都合だ。徹底的に仕掛けることができる。
「っ……」
 ブラックスミスの顔が歪む。
 鐵火は足元に転がるブラックスミスを見下ろした。
「どうせ紋章以外には大したダメージは入らんのだろう?」
 事実、敵は衝撃に顔を歪ませているようだが、身体的なダメージは受けていない様子だ。
「貴公はブラックスミスだろ? 余の武器として役に立て」
「お前の……武器、ですって?」
 地面に打ち付けられた敵の顔が歪む。
 足首は鐵火がしっかりと掴んでいるので、逃げることはできないようだ。
「返事は『はい』か『いえす』だ!」
「……、いいえ、私は……彼の、ために」
「武器はこうして使おう!」
 どちらにしても、敵の返事など聞かない。
 鐵火は足首を掴む手に力を溜め、大きく足を広げた。続けて上半身を大きく捻り腕を回す。
 ずるずるとブラックスミスの身体が引きずられた。
 そして、投擲体勢に入る。
「そこだ!」
 一つ息を吐き出し、勢いをつけて敵の身体を投げつけた。
 ブラックスミスの身体が飛んでいく。彼女に制空権は無い。
 さながら槍のごとく放り出された敵は、頭から壁にめり込んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

西院鬼・織久
我等もまた人の血肉と魂を刃とする者、悍ましい所業はお互い様です

故にこそ狩るのは我等よ
炎と化し一振りの刃となっても消えぬ我等が怨念、しかと味わうがいい

【行動】POW
五感と第六感+野生の勘で周囲を把握し敵行動を予測
武器と自身に満ちた怨念の炎(殺意+呪詛+生命吸収+各種耐性)は敵を弱らせるだけでなく、毒を以て毒を制し精神作用に対抗する

先制攻撃+UCに敵の注意を誘い残像と炎によるフェイントで死角に回り込みなぎ払い
敵UCは上記の怨念の炎で対抗し、ダッシュ+串刺しで接近
敵がそれに防御か回避体勢を取ろうとした瞬間を狙い二回攻撃の早業+夜砥で捕縛
動きを封じ紋章に串刺し+UCで傷口を抉る



●炎の狂乱
 パラパラと壁が崩れ破片が零れ落ちる。
 ブラックスミスは息も絶え絶えに壁から放り出され、地面に着地した。
「……、ああ、こんな……」
 額の『番犬の紋章』はすでに瀕死。
「ああ……『素材』をもっと生贄にしなくては」
 だが敵は体を引きずりながら門へと近づいた。
 門の中の人間を利用するつもりのようだ。
 それに気づいた西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)は静かに武器を構えた。
「我等もまた人の血肉と魂を刃とする者、悍ましい所業はお互い様です」
 そして、内に満ちている怨念の炎をその身に纏わせる。
 これは殺意と呪詛で彩られた怨念。
「故にこそ狩るのは我等よ」
「……私を、狩る? そんなこと、あってはなりません」
 殺意に気づいたブラックスミスが振り向いた。そして織久に対抗するように青き炎を走らせる。
 敵の炎が織久に迫った。
 だが、怨念の炎は敵の呪詛にも全く引けを取らない。毒を以て毒を制するとはよく言ったものだ。織久は敵の呪詛を己の呪詛で洗い流し、精神作用を緩和した。
「炎と化し一振りの刃となっても消えぬ我等が怨念、しかと味わうがいい」
 そして、反撃に出る。
 ユーベルコードを発動させ、青い炎を凌駕するほどの『殺意の炎』を敵に放った。
「我等が怨念尽きる事なし」
 黒い炎が敵にまとわりついていく。
 青と黒と、炎はせめぎ合いますます燃え広がる。
「私は、研究を……、黒騎士を、もっと強くする……」
 ブラックスミスが夢中になって黒い炎に対抗していた。
 その隙に、織久は素早く敵の死角へと回り込んだ。チャンスは逃さない。言葉も無く、武器を薙いでなぎ払いをかける。
「そ……」
 敵の身体が大きく吹き飛んだ。
 それに合わせて地面を蹴る。
「炎よ……我が黒騎士にその命を」
 敵は地面を転がりながら炎を猛らせた。額へ確実に仕掛けなければ、大きな傷を負わせることは不可能のようだ。
「我等が怨念を忘れたか」
 織久は怨念の炎で敵の炎を打ち消しながら、武器を突き立てる。
 とっさにブラックスミスが転がり逃げた。
 その行動も織り込み済だ。
 超極細の糸『夜砥』を操り、織久は敵の身体を捕縛した。
「は、放しな、さい……」
 手足の自由を奪われ敵が地を這う。
 織久は敵の身体を蹴って転がし、仰向けにした。
 額の『番犬の紋章』が無防備にさらされる。
 そこにひと突き、織久が武器を突き刺した。
「あ、ああ」
「消えて行け」
 手元で武器を返し、傷口を抉る。
 最後の一撃で、ブラックスミスは完全に動かなくなった。
 武器を引き抜き織久が立ち上がる。
 傷だらけの『番犬の紋章』が砕けて消えた。ブラックスミスの身体も同じく消滅していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ハルピュイア』

POW   :    アエロー
【爪】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    オーキュペテー
自身に【仲間の怨念】をまとい、高速移動と【羽ばたきによる衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    ケライノー
レベル×5本の【毒】属性の【黒い羽】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ハルピュイア
 ブラックスミスが守っていた門が開かれた。
 猟兵達が地底都市へと雪崩れ込む。そこには、地上と同じように人間が生活していた。

 地底都市の人々は、突如開かれた門を見て驚いているようだ。
 だが誰も門の外へ出ようとはしない。
 皆が暗い顔をし、猟兵達の様子をうかがっているようだ。
「門が開いたネ」
「デモ、人間を狩るの、やめられないネ」
 そのとき、地底都市の上空からハルピュイアの群れが飛び込んできた。
「命令無いカラ、沢山狩ろう!」
 そして、人々を狙い襲い掛かってくる。
 人々は悲鳴をあげながら逃げ惑った。
 その絶望を払拭できるとしたら、それはハルピュイア達に対抗する力強い姿であろう。
 地底都市で絶望している人々を勇気づけるように声をかけるのも良いかもしれない。
 あのハルピュイアの群れを、圧倒する時だ。

 ※第2章のプレイング受付を開始します。地底都市の人々を勇気づけるよう、ハルピュイアの群れを蹴散らしてください。
火土金水・明
「それではみなさんを勇気づけれるように、一つ盛大に相手を攻撃し倒していきましょうか。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃方法は、【対空戦闘】で【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【新・ウィザード・ミサイル】を【範囲攻撃】にして、『ハルピュイア』達を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】【毒耐性】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。



●空中に舞う
 火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)は上空から降りてきたハルピュイアの群れを眺めた。
 そして目の前には怯える人々の姿。生きる希望は無く、だが死ぬのは怖い、そんな様子だ。
 ただ虐げられてきた姿は痛ましい。
「それではみなさんを勇気づけられるように、一つ盛大に相手を攻撃し倒していきましょうか」
 明は人々とハルピュイアの間に割って入り、広く狙いを定めた。
「誰? 邪魔をすルのハ、許さナイ」
「お前モ、殺す。殺そウ!」
 それに気づいたハルピュイア達がいきり立つ。黒い羽を広げ、攻撃態勢をとった。
 明は精神を集中させる。
「全ての属性を収束して、今、放つ!」
 そして全力で魔法を解き放った。
 ユーベルコード『新・ウィザード・ミサイル』を発動させ、450を超える魔法の矢が一斉に空中に展開。飛び回るハルピュイアめがけて飛んだ。
「まとめて、串刺しですね」
 守りを無視するような激しい攻撃が敵の群れに襲い掛かる。
 明の全力を乗せた魔法の矢が羽をもぎ、腹を貫き、足を撃った。
「ギャ?!」
「ッ、飛んで逃げロ」
 第一撃を免れた敵の集団が上空へ飛んで逃げる。
「逃がしませんよ」
 明は待機させていた魔法の矢を操り、その一群を狙った。
 まずは魔法の矢が敵の背後に回り込む。敵がそれを見越して急降下。あっという間に向かう方向を変更した。
「ハハハ、飛ぶことハ、負けないヨ」
「ココまでおいで」
 くるくると回転しながらハルピュイア達が嗤う。
 だが明の口元にも笑みが浮かんだ。
「少しでもたくさん撃ち落として、次の人に繋げましょうか」
 その言葉と同時に魔法の矢が距離を詰め、敵を串刺しにした。
 反対側から速度を変えて飛ばしたフェイントの矢だ。
「許さナイ!」
 攻撃の範囲から離れていたハルピュイア達が近づいて来る。一般人を襲うのを止めて助太刀に来たようだ。
「毒デ、死んで行け……!」
 毒を帯びた黒い羽をばら撒いて攻撃を仕掛けてくる。
 ギリギリのところで見切った明は、軽やかにステップを踏んでこれを回避した。
 敵の攻撃が貫いたのは、そこに残った明の残像だ。
「残念、それは残像です」
 明は言いながら駆け出す。
 そこかしこに残像を残して敵を欺き、続く攻撃も避けた。
 そして、最後に残った矢を放つ。
 魔法の矢はさらに数体の敵を貫いた。

「あ、ああ、助け……助けなの?」
 人々は猟兵の力を目の当たりにし、目を見開いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

七那原・望
わたし達よりも人間を狩ることの方が優先なのですか。

アマービレでねこさん達をたくさん呼んだら、【全力魔法】【多重詠唱】【浄化】【結界術】【オーラ防御】で人々を護ってもらいましょう。
更に【癒竜の大聖炎】を展開し、数個は自分に纏わせて毒の羽を無効化しつつ、残りはねこさんに纏わせます。

その結界の中なら安全です。あの敵はわたし達が処理しますから、そこで待っていてください。それともし毒にやられてる人がいたらこの炎に触れさせてください。それで解毒できます。

背中の翼で【空中戦】。【第六感】と【野生の勘】で敵の行動を【見切り】、セプテットやオラトリオ、【属性】魔法の【乱れ撃ち】で一方的に蹂躙していきましょう。



●希望の灯るとき
 まだまだ上空から一般人を狙うハルピュイアは多い。
 七那原・望(封印されし果実・f04836)は獣奏器『共達・アマービレ』を手に持ち、その様子を探った。
「わたし達よりも人間を狩ることの方が優先なのですか」
 急いで白いタクトを振ると、しゃらんと鈴の音が辺りに響く。すると多くの魔法猫が飛び出してきた。
「ねこさん達、お願いします」
 ねこ達が一斉に人々を守るために駆け出していく。
 望はその後ろから全力で魔法を発動し、幾重にも重ねて結界を展開した。
 恐怖に震えていた人々は、突然現れたねこ達を見て目を丸くした。
 そして――。
「何ダ? 何、コレ?」
 結界とぶつかったハルピュイアが次々弾き飛ばされる。
「きゃあ……っ、え?」
「どう……したの?」
 今にも襲われようとしていた人々は、弾かれたハルピュイアをただ茫然と見上げた。その場にいた誰も、敵の犠牲になっていない。
「何だコレ!!」
「壊せ、壊そウ!」
 それに気づいたハルピュイアの大群が更に勢いをつけて襲い掛かってきた。
「いやぁ……」
「助けて」
 人々が今度こそ絶望の悲鳴を上げる。
 望は落ち着いてユーベルコード『癒竜の大聖炎』を発動させた。
「癒しと為り邪悪を祓え」
 邪悪を祓い毒を浄化し負傷を治癒する炎をいくつも放ち、自分、そして猫たちに纏わせる。
 ねこはハルピュイアの動きを阻害しながら人々を守った。
 さすがに敵を撃破することまでは難しいが、動きを邪魔することに関しては十分すぎるほどだ。
「その結界の中なら安全です」
 敵の黒い羽を炎で防ぎながら望は人々に声をかけた。
「安全……? 本当に?」
「ええ、あの敵はわたし達が処理しますから、そこで待っていてください」
 口元に笑みを浮かべ、望はゆっくりと話す。
 人々は大きく呼吸をして望の言葉を聞いた。
「助かるの……?」
 僅かだが、その言葉の中に希望の色が見え隠れする。
 望は大きく頷いた。
「もし毒にやられてる人がいたらこの炎に触れさせてください。それで解毒できます」
 『癒竜の大聖炎』の炎が人々に寄り添う。
 ただ怯えるだけだった人々の表情が和らいだ。
「ここはしばらく大丈夫でしょう」
 これで自分も飛んでいける。
 望は背の翼を広げ、一気に上空へと飛んだ。
「やられに来たのカ!」
「殺しテしまえ!!」
 敵が一斉に黒の羽を放出する。
 その攻撃を見切って回避し、望は魔法を乱れ討った。魔法は次々と敵を貫き撃ち落としていく。
「ありがとう……頑張って……」
 望の背に、人々からの言葉が届いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユリウス・リウィウス
同行:西院鬼・織久(f10350)

地の底でも飛び回るか、オブリビオンども。だが限定された空間であれば、俺にも目がある。
血統覚醒でヴァンパイア化。翼を広げ、奴らと同じように宙に舞う。
俺を斬るなよ、織久?

ハルピュイアどもと距離がある間は、イービルデッドで一羽ずつ墜とす。
群に突っ込んだら、双剣で「恐怖を与える」「なぎ払い」を仕掛け、数を減らしつつ正常な判断力を奪い、一方向へ追い立てていく。
そこにいるのは織久だ。
追い込んだ連中の後を織久に任せ、俺は次の群を狙う。
数が減ってきたら、わざわざ追い込むまでもない。「生命力吸収」「精神攻撃」の双剣撃で一羽ずつ屠っていくさ。

住民諸氏、今こそこの地は解放された!


西院鬼・織久
同行:ユリウス・リウィウス(f00045)

リウィウスさんもお気を付けて
一応敵味方の区別はできますが、加減はしません
巻き込まれないで下さいね

何せ我等が怨念は一度触れれば区別なく
喰らい尽くすまで決して消えぬ

【行動】POW
五感+第六感+野生の勘を働かせ周囲の状況と敵の行動を把握し予測
先制攻撃+UCの範囲攻撃で空間を空けると同時に敵を誘導し味方の突撃の機会を作る

敵の攻撃は残像+フェイントの回避と武器受け+体術を利用し、複数なら範囲攻撃+なぎ払い、単体なら串刺しでカウンターを行いつつ味方が追い立てるのと同じ方向へ誘導
纏めて範囲攻撃+UCで爆破。生き残りがいても二回攻撃+なぎ払いの範囲攻撃でとどめ



●暗く覆う羽を滅する
 ユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)は人々の上を飛び回るハルピュイアの群れを見た。
「地の底でも飛び回るか、オブリビオンども」
 空も見えないというのに、だ。
 だがこのような限定された空間であれば自分にも戦い方はある。
 ユリウスは瞳を真紅に覚醒させ翼を広げた。そのままひらりと宙に舞う。
「俺を斬るなよ、織久?」
 ちらりと地上に立つ織久を振り向いた。
「リウィウスさんもお気を付けて」
 西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)が頷く。
 一応、敵味方の区別はできる。だが加減はしない。
「巻き込まれないで下さいね」
 織久の周囲に怨念が満ちる。
「何せ我等が怨念は一度触れれば区別なく、喰らい尽くすまで決して消えぬ」
 その怨念の炎を身に纏い、織久は周辺の状況を探った。

 敵の広がりは広範囲。
 猟兵達の存在に気づいた個体は爪や羽で攻撃する機会をうかがっている。
 この有象無象の群れを割き、まずは道を、と。
 織久は黒い影を走らせた。
「何人たりとも死の影より逃れる事能わず」
 ユーベルコード『影面』を発動させ、敵よりも早く仕掛ける。
 敵の黒い羽よりもなお黒い。影が地を這い空を舞い敵の集団に絡みついた。
「ギャ」
「ッ、アァ」
 瞬間、敵の身体が爆ぜて霧散する。
 影は触れた個体を次々と爆破して進んだ。
 先の言葉通り、一応の敵味方の区別はつけている。だがこの爆発の連鎖に巻き込まれないかどうかは仲間の力次第だ。
 ユリウスならば上手くやるだろう。織久は遠慮なく更に影を伸ばした。
 上空に一線、黒い影が走る。
 遅れて敵が次々に爆破される音が連なった。影が敵の身体の欠片も残さず吹き飛ばす。
 織久が一呼吸終えた頃には、目の前に黒い空間が開けた。
「我等の歩みは止まらぬ」
 そして、歩き始める。
 道は作った。だが、まだ空を飛ぶ敵は多い。
「危なイ」
「飛んで逃げろォ」
 そしてようやく敵が逃げ始める。
「だが遅い」
 織久の目には、敵が逃げる先に回り込むユリウスの姿が見えていた。

 織久の影を避けたユリウスは、逃げた敵の集団の正面に回り込んだ。
「良いように逃げ込んでくれるようだな」
「飛んで来タ?! ドコから!!」
「落とせ、落とセ!!」
 宙に浮いたユリウスを見つけ、ハルピュイア達が攻撃の準備をする。影から逃げてきたようだが、戦意を喪失してはいないようだ。
「わざわざ群れて来てくれるとは、な」
 左右の黒剣に手を伸ばす。
「落とセ」
「殺しテしまえ!!」
 敵は尖った爪をむき出しにした。
 この暗い空を埋め尽くすようなほどの多くの敵。黒い羽が都市を覆い尽くしているようだ。
 まずは一振り、黒剣『ソウルサッカー』を振るう。恐怖を与えるよう、せいぜい力を込めた。
「さあ落ちて行け」
 黒剣の刃が群れを薙ぎ払い、羽を、身体を切り裂いて捨てていく。
「ギャア、ア」
「イタイイタイ」
 ハルピュイア達がパニックになり、バラバラに飛んで逃げようとした。
「もう一撃だ」
 ユリウスは冷静に次の一手に出る。
 黒剣『ライフイーター』を大きく振り上げ、広がっていく敵の群れに大きく一撃を喰らわせた。多くのハルピュイア達が切り捨てられて消えた。
「こっちは危なイ!」
「逃げろ、逃げよウ!!」
 飛び散る羽を見てますます敵が混乱する。ハルピュイア達は攻撃の来なかった場所へと向かい逃げた。
「誰から逃げて来たのか、すっかり忘れているようだな」
 ユリウスはわざと敵を追い込むように立ち回る。
 敵が逃げる先には道を切り開いた織久の姿。変わらず怨念の炎を纏い、影を燻らしている。
「そっちは任せた、織久」
 ある程度敵を追い立てたら、後は任せて次を狙う。
 ユリウスは方向転換して次の集団目がけて飛んだ。

 織久は逃げ惑って自分に近づいて来た敵の集団をすでに捉えていた。先ほど影を放った場所から移動していたし、何よりパニックになった敵の集団は真っ直ぐ織久のいる場所へ飛んでくる。
 全く状況が見えていないのだろうと推測できた。だから織久は待ち構えることができる。
 さて互いの顔がはっきりと認識できるような距離になり、ハルピュイア達がようやく織久に気づいたようだ。
「ドケ!!」
「今度こそ、殺ス」
「やっちゃおウ」
 ハルピュイア達は上空から重なるようにして突撃を仕掛けてきた。
「そのような攻撃が、我等に届くはずもない」
 織久は残像を残しながら静かに移動する。
「取っタ!!」
 爪を突き立てたハルピュイアが声をあげた。だがそれは幾つか前の残像だ。
「な――?」
 爪が空を切った感覚に、敵が首を傾げる。
 次の瞬間、織久の槍が敵の身体を串刺しにした。
 続けて周囲の敵をなぎ払い一掃する。
 まだまだ影も健在だ。周囲に走らせ、まとめて爆破。ハルピュイア達は断末魔を残して消えていった。

 更に数体敵を斬り裂いたユリウスが着地した。
 そこには、猟兵の結界に守られた住民の姿がある。
「だいじょうぶ……ですか?」
 都市に住む人々は祈るように抱き合っているようだ。
「住民諸氏、今こそこの地は解放される!」
 堂々としたユリウスの言葉。
 それを聞いて住民たちの表情が更に明るくなる。
「ああ、ああ……ありがとうございます」
 都市の入り口付近では織久が敵の始末を終えたようだ。
「すべての憂いが消えるまで、あと僅か」
 あれほどいた敵の集団が、今では数少なく感じられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神樹・鐵火
見た限り相手は空中戦主体、此方は地上での打撃主体
リーチ的にも圧倒的に此方が不利...
空中からの奇襲は厄介だが、空中はまともな遮蔽物がない、無防備というワケだ

空中からの攻撃は見切って回避、死角からの奇襲は心読術で予測し回避
かぎ爪による攻撃は戦女神の籠手で受け止める(激痛耐性・武器受け)
あえて敵の中心に飛び込み、紅炎神判を放つ
殴る蹴るしか能がない女だと思ったか?
羽による範囲攻撃を相殺し、そのままハルピュイア共も巻き込む
たかが羽だ、その程度の攻撃が通用するか
当れば良くて黒焦げ、最悪蒸発だがな
頑張って防ぎぎってみたまえ



●黒を染める紅
 鐵火は都市上空を飛ぶハルピュイア達を見上げた。
 数は減ってきているものの、戦意を喪失しているわけではないようだ。結界で守られている都市の人々を狙う個体も見受けられる。
 見た限り、空中戦主体の敵のようだ。
「対する此方は地上での打撃主体」
 独り言ちる。
 リーチを考えても圧倒的に此方が不利か。
 だが、その口元には僅かな笑みが見えた。
「空中からの奇襲は厄介だが、空中はまともな遮蔽物がない」
 現に敵の姿はこちらから丸見え。数が減ってくるとなおさら、一体一体の位置もよく分かる。
 つまり――。
「無防備というワケだ」
 誰にともなくそう言って、大きく一歩を踏み出した。
「敵が来たヨ!」
「殺そウ!!」
 鐵火の接近に気づいたハルピュイア達が羽を広げる。そして、一斉に黒い羽を舞わせた。
「毒にまみれて、死ネ!!」
 敵が嗤う。
 数多の黒い羽が、鐵火に向かって降り注いだ。
「やはり上空からの攻撃か」
 予想の範囲内だ。鐵火は軽やかにステップして羽を避け、さらに加速して敵群の真下へ走り込んだ。
 見上げると、敵の数がまだ相当残っているのが分かる。
「向かってくるなんて、馬鹿だネ」
「それはどうかな?」
 襲い来る敵を戦女神の籠手で受け流しながら、鐵火は強く地面を蹴った。
 あえて、敵の中心へ飛び込んだのだ。
 危険を感じたハルピュイア達が、黒い羽をいっそう鋭く飛ばしてくる。
 このまま敵の中心で無数の黒い羽に抉られたならば、さしもの猟兵も無傷では済まないだろう。
 だが。
 鐵火は全身に敵の攻撃を喰らう、まさに直前。
「灰も遺らず消えろ」
 ユーベルコード『紅炎神判』を放った。
 あっという間に戦場が紅く染まる。
 鐵火の周辺に700もの紅炎の刃が躍った。
 刃は周辺に飛んで来た黒い羽を根こそぎ焼いて蒸発させる。黒が赤に染まっていった。
「殴る蹴るしか能がない女だと思ったか?」
 次の対象を求め、紅炎の刃は自由に空を飛び回る。
「たかが羽だ、その程度の攻撃が通用するか」
 今や、空を埋めているのは黒ではなく紅。鐵火は静かに着地した。見上げると、もう自分を狙う羽は無い。
「ギャアァ」
「アツイ、ア、アァ」
 空から悲鳴のような断末魔。
 黒い羽を焼き尽くした紅炎の刃は、続けてハルピュイア達に向かったようだ。
「頑張って防ぎぎってみたまえ」
 その声は、もう敵には届かないだろう。当れば良くて黒焦げ、最悪蒸発。ハルピュイア達は消えていくしかないのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
突撃隣の地底都市!
地底都市って凄いな…悪趣味だけどよくまあこんな施設作ったもんだ
さてと、後はあの飛んでる奴等だけかな
一気に倒して、安心させてあげなきゃね


真の姿、解放
圧縮空間より外装解凍
さてと、本気で行こうか!
【アームデバイス起動】
ハルピュイアが近接攻撃を仕掛けて来るのを待ち構えて、『カウンター』!
副腕でハルピュイアの足を掴む!
そして周囲に叩き付けて、他のハルピュイアに対して投げつけて『吹き飛ばし』
バランスを崩したハルピュイアをまた掴んでバシンバシンと大暴れしよう

ほらほら暗い顔していない!
門番はもう倒したよ、後はこいつ等だけ!
もうちょっとだけ待っててね、そしたらもう君たちは自由!
アドリブ等歓迎



●光をここに
 玲は門の中の様子を見ていた。
「地底都市って凄いな……悪趣味だけどよくまあこんな施設作ったもんだ」
 あのバカげた『研究』のために、よくもまあと。
「後はあの飛んでる奴等だけかな」
 都市には猟兵の作った結界に守られつつも、まだまだ怯えの色を隠せない人々の姿。
「一気に倒して、安心させてあげなきゃね」
 玲は一つ大きく頷いて、何もない空間に手を伸ばした。
「さてと、本気で行こうか!」
 瞬間、圧縮空間から外装を解凍する。背に腕ユニットを装着し、真の姿を解放した。
「デバイス転送。動力直結」
 各ユニットに青いラインが走る。動力が届いた個所から淡く光を放ち、全てのパーツがスタンバイになった。
 玲は迷いなくアームデバイスを起動させる。
 起動フロー正常。各部の駆動を確認。
「攻勢用外部ユニット、起動完了」
 全て制御下に置いた。
「それじゃあ、最後の仕上げにやっちゃおうか!」
 残る敵の群れは都市の真上に固まっている。それならと脚部に力を込め、一気に踏み込んだ。
「何ダ?」
「また、邪魔が来タ!」
 ハルピュイア達がいきり立つ。
 一方、玲は涼しい顔で都市に入った。
 ふと、結界の中で怯えている人と目が合う。
「あの……」
「ほらほら暗い顔していない! 門番はもう倒したよ、後はこいつ等だけ!」
 玲は明るく手を叩いた。
 その頭上から一体のハルピュイアが飛び込んでくる。
「壊れてしまエ!」
 むき出しの爪が鋭く光った。
 その動きをすべて読んでいたかのように、敵の足を副腕が掴む。
「もうちょっとだけ待っててね、そしたらもう君たちは自由!」
 玲は敵を見向きもせず、都市の人々に笑顔を見せた。
「自由……?」
「ここから出ていけるってこと!」
 そして暴れる敵を、空中で待機する別の個体に投げつけた。
「ギャァ?!」
 激しくぶつかり合うハルピュイア達。その身体が砕けて消えていく。
 投擲ひとつで、数体を粉砕した。
「……あ、ああ。それが、本当なら……嬉しい」
 結界に守られた人の瞳に光が灯る。
 玲はそれを確認してハルピュイア達に体を向けた。
 まだ失ってはいない。この人たちは、まだ光を灯すことができる。
 それが分かれば十分だった。
 次のハルピュイアを掴み、群れに投げつけ吹き飛ばす。逃げ出した個体は強引に引き寄せて打ち付けた。
 最後の一体を砕き尽くすまで、玲は踏み込んでいく。
「さあどうしたの? もう飛び込んでこないのなら、こちらから行くけど?」
「死んでしまェ!!」
 残る一体が突撃を仕掛けてきた。
 玲の副腕が狙いすましてその身体を鷲掴む。
「ぁ、放せ……、放し……テ」
「それを言われて、放したことってあるの?」
 人間を良いように狩ってきたハルピュイアが、そうであったとは思えない。
 玲は最後の一体を砕いて消し去る。
「よし、討伐完了」
 振り向いて人々を見た。

「ああ、ああもう私たちは……自由」
 人々の流す涙は、嬉しさの表れだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『闇に閉ざされた世界に、癒しの光を……』

POW   :    力仕事を手伝ったり、勇壮な英雄談を語る。

SPD   :    破壊させた施設を修復したり、軽妙な話術や曲芸で楽しませる。

WIZ   :    怪我や病気を癒したり、美しい歌や芸術で感動させる。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●守ったもの、灯った光
「ああ、ありがとうございます」
 黒魔術師の実験に怯えながら生きているだけだった人々が笑顔を見せる。
 見上げた頭上には、もう恐ろしい魔物の姿は無い。

 さて地底都市は人々が暮らすだけの機能は保たれているようだ。
 だが繰り返された襲撃の疵痕は深く感じられる。
 家を壊され継ぎ接ぎの布で寒さをしのぐ女性。
 飢えてやせ細った子ども。
 活力を無くし、病人のように沈み込む老人。
 そんな人々が猟兵達を見ている。

 地上に移住するにしても、なんとか彼らの心を癒してあげたい。
 それには何が必要だろうか。
 破壊された施設の修復、家屋の修理、そして怪我の治療。いくつも人々を励ます方法はあるはずだ。
 明るい話を聞かせるのも良いだろう。
 歌や芸術、曲芸など思いつくことをやってみるのも手だ。
 束の間の平和だとしても、人々に希望の光を与えることができるのなら。
 手を差し伸べるのも悪くは無いだろう。

※10/22 8:30からプレイングを受け付けます。地底で辛い日々を送っていた人々の心を、どうか癒してあげてください。
ユリウス・リウィウス
ふむ、オブリビオンから解放されたとはいっても、傷は深そうだな。
俺に出来ることはそう無いが、やるだけやってみよう。

「降霊」で、オブリビオンの犠牲になった人の霊を尸童に降ろし、最後の別れをさせる。
尸童は、五歳くらいが適当か。それくらいの子供を連れてきてもらって、候補の中から俺が相応しそうな子供を選ぶ。
これが屍術の本来の使い方だ。屍人を戦闘に使うのは、本来邪道なんだよ。

一人ずつ順番に受け付けよう。死者の名と関係を教えてほしい。そうすれば、既に亡い人と最後の出会いを行おう。心残りを全部吐き出すといい。

――終わったか。尸童には携帯食を礼に渡して。
ここに残るか移住するか、どうするかは自分達で決めるんだな。



●呼び寄せる声と光と
 ユリウスは都市の様子を眺めた。
「ふむ、オブリビオンから解放されたとはいっても、傷は深そうだな」
 自分にできることは少ないけれど、見過ごすことはできない。やれるだけのことはやってみようと、傷付いた人々へ近づいた。
 人々は猟兵を見て、かすかに希望の光を浮かべている。だがそれと同時に計り知れないほどの悲しみも見えた。
「すまないが、手伝ってくれないか?」
 軒先で座り込んでいる子どもを見つけ声をかける。5歳くらいだろうか。痩せてはいるが、意識ははっきりしているようだ。
「なにをするんですか?」
「身体を一刻、貸してほしい」
「いたい? こわい?」
 ユリウスは首を振る。子どもは少し考えて頷いた。

「最後の別れをするときだ。今まで犠牲になった者を忘れられない者はいるか?」
 広場で声をかけると数人が寄ってくる。
「死者の名と関係を教えてほしい。そうすれば、既に亡い人と最後の出会いを行おう」
 彼の言葉を人々は疑わなかった。何より、勇敢に戦ってハルピュイアを蹴散らしたユリウスが言うことなのだから。
「母を……、ヴェリーネという女性をお願いします」
 最初に一人の女性が手を挙げた。
 自分を家の奥に隠し、身代わりのようにハルピュイアに連れて行かれたという。
 ユリウスは『降霊』を行った。
 協力者となった子どもに、ヴェリーネという女性の霊を降ろす。
『……ルトラ?』
「お母さん!!」
 およそ子どもの声色とは思えぬ優しい声が女性を呼んだ。
 女性は必死にヴェリーネを降ろした子どもに縋りつき涙を流す。
「お母さん、私だけが生き残ったって!! 一人で、一人でずっと生きなければならないの? わたしは」
『それでも、あなたに生きてほしいの』
 母の声にルトラがわっと泣き崩れた。
 その後は気の済むまで、何度も何度も母を呼ぶ。
『ほんとうに、困った子ねぇ』
「お母さん、お母さんっ。いっしょに、行きたかった。生きたかった」
 ヴェリーネがルトラの頭をなでる。
『ゆっくりお別れが言えて、よかったねぇ』
「うん……うん……」
 やがて気持ちの落ち着いたルトラは立ち上がった。
 頃合いを見て、ユリウスがヴェリーネを送る。
「これが屍術の本来の使い方だ」
 涙を拭いたルトラを見ながら、独り言ちた。屍人を戦闘に使うのは、本来邪道だということだ。
 その後も多くの人に死者との別れを与えた。
 皆がユリウスに感謝し、涙を流すたび瞳に光が戻った。

「これはほんの礼だ」
 小さな協力者に携帯食を手渡す。
「ありがとう! みんな、おれいを言っていたね!」
 子どもは大切そうに携帯食を握り締め笑顔を見せる。
 少しでも傷を癒せたのなら、それで良い。
 ユリウスは振り返り都市の様子を再び見る。
「ここに残るか移住するか、どうするかは自分達で決めるんだな」
 いずれにせよ瞳に光が戻るのなら、自分で進むこともできるはずだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

七那原・望
みんな疲れ果てているみたいですね……
やるべき事、やれそうな事は片っ端からやっていくべきですか。

アマービレでねこさん達をたくさん呼ぶのです。
一部はもふもふ癒やし要員としてこの場に残し、人々と遊ばせる事で精神的なケアをさせ、残りは黒魔術師の生活拠点に向かわせるのです。

オブリビオンに食事が必要かわからない上に、あの性格なのであまり期待はしてないですけど、嗜好品として食糧を溜め込んでいたら根こそぎ取ってきてもらって、【料理】してみんなに振る舞いましょう。

後はねこさん達やオラトリオで作った影のバックダンサーとの【踊り】と共に【シンフォニック・キュア】を【歌い】、人々を楽しませつつ怪我を治癒しましょう。



●温かなもの
 望は都市の中を歩きながら人々の様子を観察する。
「みんな疲れ果てているみたいですね……」
 脅威が取り払われたからといって、すぐに心身が回復するわけではない。
 やるべき事・やれそうな事は、片っ端からやっていくべきだと思った。

 望は共達・アマービレを振るい、魔法猫をたくさん呼んだ。
 ねこたちは座り込んでいる人の膝に乗り、ぼんやりとしている人の足元で甘え、人々を癒していく。
「くすぐったいよ」
「ああ、あたたかいな」
 ねこを抱く人の瞳に光が灯っていった。
 今までは可愛いものを愛でる余裕も無かったに違いない。
 そうしておいて望は残りのねこたちに指示を出し、黒魔術師の生活拠点を探した。
 オブリビオンが食事をするのかどうかは分からない。
 だが、食糧をため込んでいる可能性は高いと踏んだ。人間を統制していたのだからあり得る話だ。
 そのうちにねこたちが頑丈な倉庫を見つけた。
「いかにも怪しいです」
 頑丈だが特に魔術的な要素は感じられないということだ。あるいは、主を失って魔術が機能しなくなっただけなのかもしれない。生活拠点ではなさそうだが、重要なものを隠しておくには良い場所のようだ。
 ねこたちが鍵を壊し倉庫を開けると、毛布や携帯食が見つかったとの報告。
「思ったとおりでした。根こそぎ取ってきてください」
 そうして、倉庫にある毛布や携帯食を広場に積み上げ、望は歌い始めた。
 寒い人には温かな毛布を。
 お腹がすいている人には食べ物を。
 当たり前の物が人々の手に渡る。
 人々は望の歌声を聞き集まって来た。
 ねこが踊り、笑いを誘う。人々の表情が生き生きと輝きはじめた。
 そして、この歌声はユーベルコード『シンフォニック・キュア』の歌声。
 望の歌が傷ついた人の傷を癒していく。
「あたたかい」
 毛布を手にした女性が溜息を漏らした。
「美味しいよ。これ、もっと食べたい」
 携帯食を夢中になって食べる子どももいる。
 望はくるくると踊りながら歌い続けた。
「ありがとうございます」
 ハルピュイアから人々を守り抜いた望に寄せられるのは、信頼と感謝だ。人々は望に守られていたことを忘れはしないだろう。何より今は傷を癒され晴れやかな表情を見せている。
 人々の胸に、あたたかな光が舞い降りたようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

西院鬼・織久
負傷の治療ならともかく、精神的に弱っている人間に俺が何をできると?
それは他の方にお任せします
地上に移住するならこの場にある物は資材にしましょう

【行動】POW
作業は動ける体力がある住人をここで頑張るほど今後の暮らしが楽になると言いくるめて一緒に行う
言いくるめで効きそうにないなら闇寧の魂に作用する音色で動かす

精神面の手助けは本人もよく分からないので物理的な面を手伝う
壊れた家や損傷が酷い家を完全に解体して斬って整え、利用しやすいように木材や資材にする
ボロ布は再利用ができる部分を切り取り縫い合わせて布材に、できない物は油を仕込んで燃え種に
地上の棲家が見付かるまでキャンプ生活できるよう資材と知識を整える



●湧き上がる力
 仲間の猟兵達の働きにより、都市の人々の瞳に光が戻ってきたように感じる。
 だが負傷の治療ならともかく、精神的に弱っている人間に何ができるというのだろう。織久は都市の中を歩きながら思う。それは頼りになる他の仲間に任せようと。
 実際、仲間は順調に人々を癒しているようだ。
 周囲を見回す。
「地上に移住するならこの場にある物は資材にしましょう」
 特に崩れた家屋を見た。柱がむき出しになっており、屋根もほとんど残っていない。もう人は住めないだろう。これなら残しておくより、解体してしまった方が安全だと感じる。
 織久は頷いて周囲の人々を見た。
「動ける方は一緒に作業をしませんか」
 路地に座り込んでいた人々がのろのろと顔を上げる。
 その表情は戸惑い。
 反対するわけではないが、どうしたものかという雰囲気だ。
「ここで頑張るほど今後の暮らしが楽になります」
「どういうことですか?」
「これからこの都市を出た後に、資材の使い方を知っていた方が良いと思います。その下準備です」
 織久が説明する。
 先程までハルピュイアと戦っていた織久の言葉を、人々は真剣な表情で聞いていた。
「あなたがそう言うのなら、手伝います」
「俺もやります」
「私も動けるわ」
 おそるおそる、手を挙げる人がいた。
「では大きいところから解体していきます。資材を運んでいただけますか。怪我をしないように気を付けてください」
 織久はまず屋根から斬り刻み木材を作っていく。人々が利用しやすいようできるだけ形を揃えた。
 動ける者は織久の作り出した木材を抱えて運んでいく。
 ある程度家屋を解体したら、次はカーテンらしき布を集め使える部分を切り取った。
「これは縫い合わせて布材にもできます。それもできない布切れは、燃え種にしましょう」
「燃え種?」
「炎を扱うことも覚えておいてください。地上の住処が見つかるまで、キャンプの生活になるかもしれません」
 人々に良く見えるようにしながら、織久がいくつか作ってみせる。
 今後の生活を考え、少しでも自分たちの力で解決できる知識を伝えた。
「なるほどなぁ」
「あなたが言うのなら、確かなんだろうな」
 織久の手元を見ていた人々が感心したように頷く。
 恩人である織久に向ける信頼の心は大きいようだ。
 資材を積み上げ布を整理していると、徐々に人々の内に活気が戻る。
 自分たちの力で進む力を取り戻す人々の姿を、織久は見ていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
うーんとりあえず後々移住するにしても、当面の施設の補修は必要なのかな
じゃ、まず私はその辺りをやっとこうか

破壊された部分の『情報収集』して、『メカニック』知識が何か使えるならそれを使って簡易補修しよう
井戸とかならちょっとくらい使いやすくしたりは出来るかな
ま、これでちょっとでも気が楽になってくれれば良いんだけど…

作業しながら、お喋りでもしてようか
後で連れて行ってあげるけど、やっぱり外はいいよ
解放感が違うしね、あとやっぱり空気が良いよ
見上げると満点の星空とかあるし
何より大きな音を出して騒いでも怒られないしね!
確かに地上もまだまだ危ないけど、ちょっとずつ人類の生きる土地は広がってる
希望はあるんだよ



●光と希望と
 徐々に人々の瞳に光が戻って来た。
 玲は辺りを見回し、まだ足りていない部分を探す。
 まず気づいたのは施設の劣化だ。長い間メンテナンスを行っていない家屋。何らかの攻撃によって壊れ崩れている壁。そして人々が座り込んでいる道もずいぶんくたびれているようだ。
「うーんとりあえず後々移住するにしても、当面の施設の補修は必要なのかな」
 自分はその辺りから手を付けていこうと、さっそく行動を始めた。
「やっぱり、この井戸滑車が蒙昧していて不便だよね」
 言いながら滑車が良く滑るよう調節する。
 カラカラと音が鳴ると、自然に玲の周りに人が集まって来た。
「井戸を修理してくださったんですね」
「ありがとうございます」
「貴重な水だったんです」
 人々は口々に礼を言い笑顔を浮かべる。少しは気持ちが楽になったようだ。
「他にも修理できるところがあるかな。良ければ連れて行って」
「ありがとうございます」
 次に修理が必要な施設まで皆と歩く。
 その間に色々な事を話した。
「後で連れて行ってあげるけど、やっぱり外はいいよ」
「外、とは……?」
 元々この都市しか知らない者も多く、玲の話を興味深そうに聞き入る。
「この都市を出たその先だよ。広い平原もあるし、門で囲まれていない場所もたくさんある。何より開放感が違うしね」
「そんな場所があるのですか」
 皆の期待に応えるように、玲がいくつも地上の話を聞かせてやった。
「やっぱり空気が良いよ、見上げると満点の星空とかあるし」
「空?」
「もっともっと上にあるんだよ。この世界は闇と夜に覆われているけど、空を見上げるのはいいものだよね」
 まだ空を知らない人々はその場で上を見上げる。
 今は見えないけれどきっとその先にあるのだと、高揚した気持ちでいっぱいの様子だ。
 壊れたドアを修復しながら玲が笑みを浮かべる。
「何より大きな音を出して騒いでも怒られないしね!」
「大きな音を……!」
「本当ですか?! 怪物が狩りに来ませんか?」
 人々は目を丸くした。
「危ないものを引き寄せるだけじゃない、騒いで楽しいことだってあるんだよ」
「楽しい? 大きな音を出すことがですか!」
「今から楽しみです」
 そして、人々の瞳に希望が灯る。
 もちろん地上もまだまだ危ないけれど、少しずつ人類の生きる土地は広がっているのだ。
 玲が言う。
「希望はあるんだよ」
 と。
 希望も無くただ生かされていた人々は、今や瞳を輝かせて玲の話を聞いていた。

 地底都市の人々に希望を与え、猟兵達は無事仕事を終えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月27日
宿敵 『黒騎士の武具造りし黒魔術師ブラックスミス』 を撃破!


挿絵イラスト