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それが徒花となる前に、白よ白で在れよと

#サクラミラージュ #逢魔が辻 #姉妹桜

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#サクラミラージュ
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#逢魔が辻
#姉妹桜


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●徒花の妹桜
 ただ何の変哲もないはずの雑木林――かつて神を祀った祠があり、その痕跡も今やほとんどなきその場所で一際に異彩を放つ白き桜が其処に在った。
 暗き逢魔の闇の帳を照らすように、無垢な白き花弁が舞い散れば、その鮮やかな輝きと仄かな甘い香りに引き寄せられた影朧が戯れ、その中で女は無邪気に笑う。

 遠慮しないで。
 あなたも、あなたも、そこのあなたもいらっしゃい。
 怖がらないで私に話して。私が受け止めてあげるから。
 一緒に遊んで、一緒にお話して、癒されていって頂戴ね。
 あなたが次の生命で幸せになれますように、私は祈っているからね。
 嗚呼、見ていらっしゃいますか姉様、私は忘れていませんよ……。

 ――数多の影朧と戯れ柔らかな光を振り撒くも、それは浄化の光に非ず。
 場所の違えど紅桜の徒花が作り出した過ちを繰り返す、狂ってしまった白き悲しい輝きであった……。

●徒花となってしまうその前に
「無知という罪に裁かれるか、過知という罠に陥るか」
 グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは、掌の上で一枚の札をくるくると回しながら意味深に語り出した。
「知らぬが華、という言葉もある。何もかも結果論に過ぎないのだがね」
 物憂げに銀灰色の瞳を僅かに伏せ、やり切れぬ感情を鼻息の内に吐き出して、スフィーエは重たげにグリモアを淡く輝かせた。

「さぁ語ろうか! 舞台は千年の桜舞い散る花の都サクラミラージュ! 君達には逢魔が辻に出てしまった徒花を救いに行って貰いたい!」

 グリモアが映し出す光景は、雑木林以外の何物に表現の出来ない場所だった。
 雑多な広葉樹がほどほどの間隔をあけて立ち並び、戦場となる夜にあっても逢魔が辻の影響か、あるいは住み着いた影朧の影響か、幻想的な白い輝きが戦場を満たす。
「元々は神社だったのだが、今は雑木林だ。社などはもう残っていない」
 大分前に取り潰されたらしく、今は僅かに石畳が残っている程度。
 とはいえ逢魔が辻であることには変わらず、影朧が発生している――まだ犠牲者は出ていないが、出てしまうのは時間の問題だろう。
 そうなる前にこちらの方で対処して欲しいのだとスフィーエは語った。

「まあいつものように、影朧を対峙し、逢魔が辻を攻略して欲しい」
 そう言ってスフィーエは相対する影朧の姿を映し出す。
 相対するべき存在はどれもが真っ白な体色をメインとし、戦場を満たす輝きに紛れるようにも見える。
 こちらからも雑木林という地形を生かし、木陰に潜むか木の上に潜むかして奇襲を掛けて戦えば有利になるだろうとスフィーエは語る。
「ただ注意して欲しいのは、第二波は最初にとった戦法を逆用してくる」
 影に潜む戦法を使えばそれを真似し、奇襲を仕掛けてくるだろう。
 裏を返せば、それこそそれを逆用し返すことで、第二波も有利に戦えるだろうとスフィーエは補足する。

「然る後、彼女を……止めてやって欲しい」
 そういってスフィーエが映し出した支配者の影朧の姿は、真っ白な花弁を纏い微笑む白き姿の少女だった。恐らく生前は桜の精だったのだろうが……それを映し出した瞬間、スフィーエは微かに眉間に皺を寄せた。
「以前に担当した事件でも、似たような徒花がいた。彼女はその妹だ」
 かつて別の逢魔が辻にも自らを影朧と認められず、癒す力もないにも関わらず哀しく影朧を引き寄せ続けてしまった紅桜の徒花があった。
 この逢魔が辻を支配する影朧は、その紅桜の姉妹桜にあたる存在だったらしい。
 尤も影朧となった以上、オリジナルの姉妹桜そのものではないのではあるが……。
「今は犠牲者は出ていないが、影朧を引き寄せてしまっていることに変わりはない」
 ――その言葉に暗にまだ引き返せるはずだ、と言外に微かな期待を込めて。
 引き寄せられてしまった影朧と、逢魔が辻自体は確実に潰さなければと彼女は語った。

「彼女もまた、救われぬのかもしれないけれど」
 そうして一通りを語り終えたスフィーエはゆっくりと息を吐いた。
 かつての事件で担当した姉桜のことを思い出したか、やりきれぬ思いに顔を顰めつつも、猟兵達の視線に気付き、彼女は肩を竦め。
「……いや、私達が出来るのは犠牲者が出てしまう前に止めてあげることだ。そうだろう?」
 ――少なくともそれだけは行わなくてはならない。
 スフィーエは静かに微笑みながら、グリモアを用いて門を開いていくのだった。


裏山薬草
 どうも、裏山薬草です。
 真っ白なものって綺麗ですけど汚れやすいですよね。
 だから汚したいって人もいるのかもしれませんが。

 さて今回はですね、逢魔が辻に赴きかつて桜の精だった影朧を止めに行って貰います。
 一応ですが過去作「徒花の下には常に死の影が踊る」の続編となっております。
 ですがこのシナリオ単品でも大丈夫だとは思うので、当該シナリオに参加してなかったとしてもお気軽にどうぞ。

 第一章・二章ともに集団戦となっております。
 一章は雑木林という地形を上手く利用すればボォナスです。
 二章では一章での戦いに応じて敵が対策を取ってきますので、それを逆用したりすれば、プレイングボォナスとなります。

 第三章ではボス戦となっております。
 説得の有無については皆様にお任せします。
 桜の精の方がいらっしゃれば、希望があれば最後に癒しを与える描写を入れます。
 ただし説得が皆無か、失敗していれば入れることは出来ないのでご了承を。

 最後に逢魔が辻の特徴を軽く説明しておきます。良かったら参考にしてください。

 帝都の外れにある、大昔に神社があった雑木林。
 時間帯は夜。
 逢魔が辻となった影響で白い薄明りに照らされ、視界は確保できている。
 神社の名残は殆どなく、石畳が良く見ればあるかな?という程度。
 木の間隔自体はそこそこ離れているので立ち回りには影響はないが、木に隠れての奇襲などが可能。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
 裏山薬草でした。
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第1章 集団戦 『ルールー』

POW   :    るーるるーるるーるるー
単純で重い【シャベル】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    るーるるるーるる
【死者の国の王の力】を籠めた【シャベル】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【猟兵としての在り方】のみを攻撃する。
WIZ   :    るるるるるるる
戦場全体に、【骸骨】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●白き骸
 逢魔が辻に辿り着いた猟兵達が出くわした影朧は、白き身体をしていた。
 一見すればスコップを片手にしたアルビノの少女にも見えるが、その脚のみが白骨化していることが、化け物である影朧であることを強く伺わせる。
「るーるーるー……」
「るー……るー……、るー……」
 どこかもの悲しく響き渡る、るーるーという言葉以外に発せられぬ声。
 何かを求めるように彷徨う姿と、逢魔が辻を満たす淡い白き輝きと、ひらひら舞う白桜の花弁に照らされたそれは儚げにも見えるかもしれない。
 恐らくは偽りの癒しを求めてきたのだろうが……。
 だが彼女らは猟兵の存在に気が付くとスコップを握り締め、一斉に向かってきた。
 非難めいたこの目は、この癒しを邪魔するなと言っているのだろうか。
 だがそれは決して彼女達の為にはならない――逢魔が辻を祓う為、最初の戦いが始まった。
フレミア・レイブラッド
…あの子の妹桜なのね…。
まさか、姉妹両方の事件に関わるとは思わなかったわ…(思い返して)

…偶然だけど、妹桜の子にできる事がある…。
妹桜の元へ辿り着く為…排除させて貰うわ

雑木林の木陰に身を潜めつつ、【ブラッディ・フォール】で「ジ・アサシネイター」の「カメレオナ」の力を使用(黒いボディスーツへ変化)。
【ステルス・スカウティング】のカメレオンクロークで透明化及び探知遮断状態で敵に接近。
【サイレント・ザン】【シュリケン・アサシネイション】で木々や林で様子を隠しながら奇襲を仕掛け、一体ずつ戦闘不能にしていくわ

貴女達も浄化の光に惹かれたのでしょうけど…
願わくば、この子達にも安らかに次の生を得られます様に…



●彼女桜ヲ思フ
 白い薄明りの照らす雑木林の中、寄ってきた白き花弁を見ながら赤き装束を纏った女は紅の瞳を細めた。
「あの子の妹桜なのね……」
 切り揃えられた金髪の下、鮮血の色を持った瞳を陰らせ、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は思う。
 嘗て別の逢魔が辻で相対し討つこととなった紅桜――この逢魔が辻の支配者たる白桜の姉を。
「るー、るー……」
 そんな思いに耽っていたフレミアの思考を戦いに研ぎ澄ますは、スコップを両手に迫る声。
「悪いけど、あの子の下に向かう為に排除させて貰うわ」
 仮面を纏うかのように彼女はその掌で顔を覆うと、時を遡り過去の異形から力を引き出す――。
「骸の海に眠るその異形、その能力……我が肉体にてその力を顕現せよ!」
 次の瞬間、溢れ出た過去の力の奔流がフレミアの装束を黒く身体を密着するように覆うものとなる。
 変色竜の名を冠した怪人の力を纏うと、彼女はその力の通り姿かたちはおろか、気配も物音も、全てを覆う外套を纏い姿を隠す。
 迫ってくるスコップを両手に進軍する姿を、木陰から冷静に見据えながらフレミアは音もなく駆ける。
 落ちた木の葉の音も、地を擦る音も立てることなく、木の影に己の存在を隠しながらフレミアは忍者刀を影朧の背後から突き立てた。
「る……」
 短き声を上げ四肢から崩れていく影朧を冷たく見送りながらも無論追撃は終わらない。
 何かしらの敵の接近に気付いた影朧が骨の迷宮を作り出そうとすれば、木の上に音もなく潜んだフレミアが音もなく放った手裏剣が喉元に突き刺さる。
 哀しき鳴き声も奏でられることもなく、ただ白骨化した脚が崩れる微かな音を耳に流しつつ、彼女はまた別の影朧へと音もなく逆手に構えた刃で、その脚を断ち斬っていく。
「願わくば、この子達にも安らかに次の生を得られます様に……」
 彼女達もまた偽りの癒しに引き寄せられた者達だ。
 姉桜の時のようにいつか逢魔が辻に訪れた者を手に掛けてしまうその前に止められたのは僥倖か。
「待ってなさい。貴女に、出来ることがあるから」
 妹桜を想い改めて決意を固め、フレミアは己の存在を闇に紛れさせていき、立ちはだかる影朧を仕留めに駆け抜けていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
…悔やんだって時は戻せない
あの時の言葉を胸の中で繰り返しながら、彼女たちの止まった時間を進めるためにボクたちも前に進む
行こう、ウィーリィくん

草むらを利用して【ロープワーク】+【罠使い】でスネアトラップを仕掛け、ウィーリィくんと二人で【フェイント】でそこへ誘導して影朧たちの動きが止まったところで【クイックドロウ】+【乱れ撃ち】で協力してまとめて掃討する
「ごめんね、キミたちの安らぎはここにはないんだよ」


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
皮肉だよな。
ある意味救いかも知れないけど。
ともあれ、彼女に手を差し伸べる為には踏み出さなくちゃな。
彼女に悲しみと向き合ってもらうのに、俺達が目を背ける訳にはいかないし。

その前にまずは影朧の対処から。
【地形利用】と【物を隠す】で木陰から木陰へと身を隠しながら移動し、【フェイント】で時々姿を見せながらシャーリーが罠を仕掛けた草むらへと敵を誘導し、引っかかったところへシャーリーとタイミングを合わせて【飢龍炎牙】で一気に焼き払う。
救いになるかどうかわからないけど、これが俺達に出来る精いっぱいだ。



●彼ラ戻ラヌ時ヲ悼ムカ
 その光は柔らかく、漂う花弁の香はどこか甘く。
 逢魔が辻に響く澄み切った声はそれを求める者を引き寄せるのだろうか――少年と少女は繋ぐ手の温もりにやり切れぬ胸の痛みを紛らわせる。
「……悔やんだって時は戻せないし、少なくともお姉さんはちゃんと送れた……よね」
「……ああ。そして俺達が目を背けちゃいけない。彼女に向き合って貰う為にもな」
 少女シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)の呟きに、少年ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)は答える。
 嘗て似たような逢魔が辻の戦いと、支配者の白桜の――最期に救われて逝くことが出来たと信じる他ないと。そして今も、救わなくてはならない、向かい合わなくてはならない悲しみに向き合う決意を少年は固める。
 故に少女は頼りなく握っていた手を一際に強く握り、影朧の足音を耳に収めながら頷いた。
「行こう、ウィーリィくん」
「ああ。頼むぜ」
 シャーリーが戦場を駆け巡ると同時、ウィーリィもまた雑木林の木の影に身を紛れさせながら影朧を惹き付けにかかる。
 影から影へ、目立つ紅衣が逢魔が辻の薄明りに鮮やかに目立つ影を残しながらも、目まぐるしく駆け抜ける彼の姿は影朧の眼を翻弄する。
「るー……」
 白い薄明りに目立つそれに吸い寄せられるように影朧が蝗を思わせるように跳び、掲げられたスコップを次々に打ち下ろしていく。
 かの細腕のいずこに在るかも分らぬ重厚な破壊の圧が広がり、生木を引き裂く嫌な音を響かせながら地面を陥没させていくが、ウィーリィはそれを軽やかに、影に身を紛れさせながら躱していき。
 また別の影朧が躱したその先へとスコップを打ち下ろしても、ウィーリィはしなやかに後方へ軽く宙返りを行うことで躱していき。
 誘うように数瞬、その場に止まれば益々に、引き寄せられるようにウィーリィの下へと殺到していく。
 ――だがそれこそ、彼らの仕掛けた罠だった。
 影朧が向かう先はシャーリーが仕掛けていた罠の張り巡らされた草叢、殺到する影朧の群れに今と罠を発動すべく彼女が一歩を踏み出すと。
「るー、るるー……るー……」
 それに目を付けた影朧は哭きながらもスコップを振るえば、切っ先がシャーリーの鼻先の寸前を掠っていく。
 幸いに咄嗟のスウェーバックを以て躱した故に怪我など一つも無かったが、スコップに籠められた力と舞い散る白桜花が鼻腔を煽り彼女に訴える――あなたはこの在り方で良いのかと。
(ボクの在り方、かぁ……)
 幾ら問いかけても明確な答えは出ない、けれども今、確実にやれることはある。
 シャーリーがとあるものを握った掌に力が籠ることを感じながら、彼女はそれを口に出した。
「……何度も言うよ、時間は決して戻せない。だからこそ、前に進まなきゃいけないんだ!」
 籠った力を以て引き上げるように、シャーリーはここから一気に攻勢に躍り出るべく発動した。
 仕掛けられた括り罠が白骨と化した足首を引き締めるように捕えると、蛇のうねるが如く擦れる音を立てながら影朧達は次々と吊るされていく。
「何も言わない。ただ俺は、俺達は出来ることをするだけだ!」
 転げ行く影朧達の虚ろな眼を見据えながら、ウィーリィは大包丁の柄をより強く握り締めた。
 例え救いになるかどうか、その明確な答えを与える者がいないのだとしても――マスケット銃の銃口が突き出され、大包丁が天を衝くように掲げられると。
「ごめんね、キミたちの安らぎはここにはないんだよ」
「……喰らい尽せ。こいつらの悲しみも、何もかも全部」
 シャーリーがマスケット銃の引鉄を弾き、ウィーリィが体中より迸る闘気を文字通り燃え上がらせ竜を象って。
 流星の如く煌めき走る熱線が影朧の脳天を、心臓を貫き怯ませていきつつ、解き放たれたウィーリィの操る炎の竜が顎門を開ける。
 炎の盛る音と象られた竜の咆哮は、何処か悲しく響きながらも開かれた顎門が影朧を喰らっていく。
「るー……るるー……」
 業火と爆音、閃光の激しきが逢魔が辻を揺さぶりながらも影朧の悲しい声はどこか鋭く響く。
 一切の表情を変えぬそれは齎された熱に身を焦がし、やがて灰塵と身を変えて行きながらも
「俺達に出来る精一杯だ……またな」
「……うん、またね」
 白灰が風に乗り消えていく――雑木林の木々の狭間を縫って消え逝くそれを振り向くこともなく彼らは駆け出していく。
 逢魔が辻に待ち受ける、悲しみを終わらせるその為に。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジード・フラミア
ジード「ここにいるだけじゃ救われない……」
メリア『ケドマァ、分からないデショウネェ……過去に囚われた影朧……オブリビオンデスカラ。早く終わらせマショウ。』

UC【変化する人形】を使用
メリア人形に銃と太さ様々な縄を取り付けます。
縄は林の木々に張り巡らせます。
メリア人形に近づくルールーを縄で転ばせたり、わざと縄を見せて行動を阻害したり。
躊躇ってるうちにジードが林の陰から近づいて攻撃、もしくはメリアが銃で撃ち抜きます。


四季乃・瑠璃
緋瑪「あの子の妹かぁ…お姉さんに会わせてあげたかったなぁ」
瑠璃「姉桜が安らかに逝けたかは判らないけど…私達は私達に出来る事をやるしかないね」

【チェイン】で分身

木々や草むらに隠れ、奇襲・暗殺で対処。
瑠璃がK100にサイレンサーを付け、心臓や頭部を狙って銃撃【早業、ドロウ】。
緋瑪が孤立した敵や混乱する敵を優先で狙い、【マヒ攻撃、毒使い、早業】麻痺毒を装填したダガーで奇襲。
なるべく苦しめず、一撃で仕留める様にして一体ずつ素早く倒していくよ。

緋瑪「ごめんね。癒しはあげられないけど…」
瑠璃「なるべく苦しめずに送ってあげるから…。次の生へ転生できるよう、祈ってるよ…」



●一ツノ身体ニ異ナル魂ヲ持ツ者ノ在リ方
 はらりはらりと白桜の幻の花弁が舞い、白き薄明りが暗き逢魔が辻の雑木林を照らす中、掌に零れた花ひとひらを手にその身を二つに分けた、同じ肉体に宿った異なる魂は想う。
「あの子の妹かぁ……お姉さんに会わせてあげたかったなぁ」
「姉桜が安らかに逝けたかは判らないけど……私達は私達に出来る事をやるしかないね」
 この逢魔が辻を支配せし影朧、そして彼女の巡り合うこと叶わなかった紅桜の姉を想い、四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)と半身の緋瑪は拳を握り締める。
 されど感傷に浸るも刹那の間、逢魔が辻に響き渡る地を踏み鳴らす白骨の足音と、響くもの哀しき「るーるー」という哭き声。
 スコップを手に持ち迫るアルビノめいた見た目の少女達も又、逢魔が辻の支配者が齎す仮初の癒しに惹かれてやってきた存在かもしれないが。
「ここにいるだけじゃ救われない……」
 されどその姿を見、ジード・フラミア(人形遣いで人間遣いなスクラップビルダー・f09933)は悲痛に顔を歪める。
 彼の傍らにある人形の口もカタカタと開き、同じくしてジードの身に宿るもう一つの魂のメリアは語る。
『ケドマァ、分からないデショウネェ……過去に囚われた影朧……オブリビオンデスカラ』
「結局の所、やれることは一つだけだよね」
「せめて苦しまないように、ね」
『ええ。早く終わらせマショウ』
 るーるーと鳴きながらスコップを手に、影朧の世界を憎む本能のままに進む姿はどう足掻いても癒されることはないかもしれない。
 故に出来ることは、解放(殺し)てやることしかないと、確かな矜持を以て進む瑠璃と緋瑪にメリアが頷けば。
「メリア! これを使って!」
『オーケー! イキマスヨ!』
 ジードがメリア人形に手渡すは縄と銃――太さ様々なそれを手に、メリアが周囲の木々にそれを張り巡らせ始め。
 同時に瑠璃と緋瑪がそれぞれ木々と草叢に隠れ身を潜めながら影朧達を翻弄し引き付けていきつつ。
 そしてメリア人形が縄の罠を手繰れば、一切の虚ろな注意を払わなかった影朧が面白いように転び地にその身体を地に沈めていき。
 その好機を逃がすことなく、木々と草叢に息を潜めていた瑠璃と緋瑪、ジードが一気に攻勢に躍り出ていく。
 まず手始めに瑠璃が起き上がらんとした影朧の脳天を、消音を備え付けた大型拳銃を以て掠れた微かな音を立てながら鉛弾を真っ直ぐに飛ばし。
 撃ち抜かれた影朧が崩れ去っていく傍ら、同胞を盾としながら自らは逃れ立ち上がる影朧達に音もなく迫るは緋瑪とジード。
 ジードの掲げた奇々怪々な我楽多を組み合わせたような鈍器が、防護のために掲げられた影朧のスコップごとその脳天を粉砕し。
 音もなく忍び寄る緋瑪が逆手に構えたダガーが、動揺する影朧の頸椎を無音で、断ち切られたことにも気付かぬ勢いで刃を通り過ぎさせていけば。
 仕込まれた毒の効果も相俟って喉元を抑え膝を着き始める影朧達を、追い撃つようにメリアの銃が心臓を撃ち抜いていき。
 二組の多重人格者たちは、影朧の群れを着実に、苦しめる間も与えずに葬り去っていく――
「ごめんね。癒しはあげられないけど……」
「なるべく苦しめずに送ってあげるから……次の生へ転生できるよう、祈ってるよ……」
 崩れ去る影朧の虚ろな表情を目に収め、心に、魂に刻みながら殺しの姫君達はただ黙って得物を振り抜いて。
 スコップを掲げながら崩れていく影朧達が、最後の悪あがきのようにそこに籠められた死の国の気配を解き放つ。
 されど色濃き力の波動は不発に終わったか、スコップが乾いた音を立てて地面に落ち、影朧は塵散り散りとなって消え失せる。
「在り方……改めて問われると……」
『難しいものデスネ……彼女達ニに問われるとは、思いマセンデシタガ』
 元来の力は猟兵としての在り方を傷つけ、心を刻む刃だが、単に発せられた気配だけでは只問われただけか。
 まさか自分が何者かもわからぬ者に問われる日が来るとは、とジードとメリアが肩を竦めれば。
「……行こうか」
「うん」
「ですね」
『そうしマショウ』
 ――その結論を出すのは今ではなく、今は唯突き進むのみしかなく。
 瑠璃の言に緋瑪、ジード、メリアと続き肯定の意を示していきながら、彼らは桜舞う逢魔が辻を往くのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ルク・フッシー(サポート)
こ、こんにちは。ぼ、ボクは、ルクといいます

戦いは怖いですけど…誰かの大切な物を守るために…
大丈夫です。ボク、戦います…!

できるだけ敵と中〜遠距離を保ち、相手の能力を考え、最適だと思うユーベルコードを使い戦います
塗料に属性や誘導弾などの性質を宿す事もあります

攻撃はよけるよりオーラ防御や武器で受けて軽減したり、激痛耐性で耐えたりする方が得意です

たとえ依頼達成のためでも、他の猟兵や一般人などに迷惑をかけるような事や公序良俗に反する事はしません

よ、よろしくお願いします…!(絵筆をきゅっと抱きしめる)


紬雁・紅葉(サポート)
『業邪…御鎮めします』
基本戦闘場面に参加

破魔、属性攻撃、衝撃波、薙ぎ払い等とUCを適宜組み合わせて攻撃

見切り、残像、オーラ防御、武器受け等とUCで防御や回避

窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃

範囲攻撃と2回攻撃での雑魚払いが得意だが
ボスとの戦闘も遜色なく行えるし行う


羅刹紋を顕わに戦笑み
傷負っても笑みを崩さず
何処までも羅刹の血と"剣神"の導きに従い
災魔業邪を打ち倒す

敵の最期に
去り罷りませい!
の言葉を

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


櫟・陽里(サポート)
『操縦が上手いは最高の誉め言葉!』

乗り物が活躍できる場と
レースとサーキットが得意分野
相棒バイク以外も乗りこなしてみせる
配達系依頼もお待ちしてまーす

走りこそが俺の武器!
マシン性能・路面や周辺・相手の動きなど幅広い情報収集
それを扱う集中力・傭兵の経験・判断速度
乗り物と操縦者の総合力で戦う

シールド展開バイクで体当たり吹き飛ばし
補修ワイヤーは補助武器
バイクは機動力のある盾にもなる
壊れたらほら、直すついでに新パーツ試せるし!

明るく話しやすい先輩タイプ
補助仕事もドンと来い
乗り物が無い戦場では手数が少ない
普通の拳銃射撃や誘導、挑発など小技を利かせるしかなくテヘペロしてる

過去は過去に還すべき、その辺割と無慈悲



●彼ラハ過去ハ過去ト祓フ
 逢魔が辻の白く淡き光に照らされ、死者の国の住民と化した影朧がるーるーと物悲しく迫る。
 死を誘い引き込まんとする悲しくも悍ましき響きが、戦場に赴いた猟兵の一人の胸を引き締めるように打った。
「っ……」
「怖いかい?」
 小さなドラゴニアンの少年であるルク・フッシー(ドラゴニアンのゴッドペインター・f14346)は逢魔が辻を満たす殺気と気配に僅かに動揺を見せた。
 それを横で気遣うように穏やかな笑みを浮かべ、スペースノイドの櫟・陽里(スターライダー ヒカリ・f05640)はルクの怯えに対しそれを否定するでもなく声を掛けた。
 確かに戦いそのものも恐ろしい。だがそれを放置すれば人的被害も出れば、何よりも偽りの癒しに救われぬ影朧もまた救われぬか。
「……けど、頑張ります! 守る為に!」
「うし! サポートは任せな!」
 恐れる心をその為に奮い立たせ拳を握るルクに、陽里は快活に笑うとその背を軽く叩いて激励を送り。
 頼れる兄貴分からの励ましにルクはやや困ったように笑いながらも、叩かれる背の揺さぶりに顔を緩め。
「恐れを知り立ち向かうならば言うことはありません、逢魔が辻の呪を祓う為、いざ!」
 そのやり取りを眺めていた羅刹の女、紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)も何も心配はいらぬと刀を抜き放つ。
 深深と春告の象徴たる桜でありながら、その白に秋の終わりも近き冬の訪れを思わせる雪にも似た白桜の花弁の中、染まる頬に戦の昂ぶりを見せる。
 鬼神の紋様を露わに前線へと乗り出す紅葉を追うように、バイクの原動機を吹かす陽里と、絵筆と塗料を手に駆け出すルク。
 逢魔が辻のこの白き邪悪に抗う、色彩様々なる彼らの下へ、影朧達が一斉に飛び掛かる。
 その両手に携えたスコップを掲げ、振り下ろされる鉄の一撃、それが舞い上げる砂塵と風圧は雑木林の木々を薙ぎ倒す。
 重厚にして数も揃えた鉄槌の流星群が如き連撃の風圧を、咄嗟に身体から怯えるように解き放ったオーラでルクが防ぎ。
 紅葉は刀を真っ直ぐに掲げ、光の柱のように闘気を迸らせながらその衝撃を割り。
 陽里はスロットルを回し、バイクの急激な旋回を以て逃げるようにして躱す。
「ひゃっ……!」
 それでも影朧の追撃は終わらず――影朧達は打ち下ろしたスコップを即座に拾い上げると、ルクを猟兵としての在り方ごと斬り伏せんと水平に薙ぐ。
「当て逃げ注意、ってな! 大丈夫か!?」
 だがそれを真横から、バイクの車輪がぎゃりぎゃりと削る音を響かせ恵ながら文字通りの横殴りに弾き飛ばすようにルクを庇い。
「……せいっ!」
 弾かれたその影朧を、刀を真っ直ぐに構えていた紅葉が真っ向から斬り伏せる――されど影朧の追撃は止まらず。
 今度は影朧達は逢魔が辻の大地より、骨を湧き上がらせ壁を作り上げ始めていく。
「分断されちゃ敵わねぇからな……分かる奴には分かるだろ、なあ!?」
 これまでの戦いの中、自身の戦場とそして他の猟兵達の戦場で垣間見た骨の迷宮を作り出す技の気配を察し。
 折角三人で追い詰めたこの敵の好機、分断という魔手を入れさせんと陽里はバイクの原動機の音を昂らせた。
 空気の振動すらも静まる逢魔が辻の重い空気を揺るがし、似合わぬ音が弾ける――桜花幻朧界<サクラミラージュ>の蒸気機関とは違う、純然たる機械の騒音が重くけたたましく戦場を揺さぶった。
 すれば、響き渡るビートが大気の揺さぶりをそのまま重たい絡め手と化すように影朧に纏わりつき、死者の紡ぎを鈍らせていく。
 るーるーという哭き声すらもスローモーションに、どこか間抜けに聞こえる中に。
「ええ。この昂ぶり、この騒音……素晴らしい」
 淡く頬を染めた紅葉にとって、空気を揺さぶる原動機の音色と振動は戦に昂る己の鼓動にも似た律動を感じ。
 淡く頬を染めながら、刀の柄を握り力を昂らせていく紅葉に陽里は快活に笑い。
「だろっ!? いや、あんた良く分かってる!」
「ありがとう、ございます……!」
 一瞬の硬直から立ち上がるルクもまた、この戦場を満たす心地よい振動には背を叩いて激励してくれた陽里の揺さぶりにも似たものを感じつつ。
 自分ばかりがやらずにはいられないと、このスローモーションとなった敵の動きを封じんと決意を手に、ルクは絵筆を握ると。
「やぁっ!!」
 振り下ろされる絵筆の軌跡、それは何と美しきか。
 塗料の残影が弧月を描き振り下ろされた風切りの音は、一流の剣客が下ろす剣の一撃にも似たりか。
 そして振り抜かれた塗料の迸りは、そのまま白き影朧へと、その白を染め上げるように灰色が飛ぶ。
 其処に籠められた大地の魔力は、付着した部位を石と変えて影朧の身を石化という形で完全に封じ込める。
「――御二方の援護や見事。なれば決めましょう」
 そして託されたバトンを受け取るように紅葉が羅刹紋様を昂らせながら、その刀を構えながら一歩、また一歩と歩む。
「山を断ち川を流し雲を割り野を薙ぐ剣……以て斬り祓い奉る!! 去り罷りませい!!」
 ――刹那。
 石と化していた影朧が、滑らかなる断面を見せながら次々と、その胴体が真っ二つに分かれていく光景が繰り広げられた。
 無尽蔵に張り巡らされた刃の斬撃は、雑木林の木々の全てを一切も傷つけず、ただ無数の点在する石化した影朧のみを斬り伏せる。
 紋様の輝きと昂ぶりも露わに、石の身体を紙の如く斬り捨てる様は正に鬼神の如く――やがて斬り捨てた影朧が砂塵と変わり白い朧灯に消えゆく様を見送れば。
「終わったな」
「で、でも……まだ、先が……」
 その先が待ち受けている。
 この死者の国の住民めいた存在を退けたとしても逢魔が辻を守る第二の群れと、その支配者もまた存在する。
 遠目に映る、狂ったことにも気付かぬままに鞠を弾ませた白桜の影も小さく、それを紅葉と陽里は見やると、陽里が肩を竦めた。
「ま、過去は過去さ。こいつらも、あの娘もな」
 過去は唯、過去として滅ぼしてやるべき――名の如く明るきを見せていた陽里の顔もどこか真剣に引き締まれば。
 白桜舞う朧灯の中、肩についた花弁を払いながら紅葉が場を取り直すように口を出した。
「行きましょう」
「は、はい!」
「おう!」
 彼女の言葉にルク、陽里と続き頷いて。彼らは逢魔が辻の先へと進むのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

真宮・響
【真宮家】で参加

別個体だが、一度紅桜と関わった事があってね。あの子の妹桜と聞いて気になってね。大切な人と離れるのは辛いことだ。それが姉妹となれば。アタシ達に出来る事があれば何でもしてやりたい。・・・前に立ち塞がる子達も救いたかったが、しょうがない。

このシャベルの一撃はまともに喰らいたくないね。雑木林を利用して【目立たない】【忍び足】で木に隠れながら接近。敵の集団の背後を取り、シャベルの攻撃を【オーラ防御】【残像】【見切り】で凌ぎ、【二回攻撃】【範囲攻撃】を併せた竜牙で攻撃。ここはアンタたちがいていい世界ではない。眠りな。


真宮・奏
【真宮家】で参加

紅桜の妹桜ですか。一度別個体の紅桜と相対しましたが、あの時は桜を散らす事しか出来ませんでした。私も瞬兄さんがいるから分かりますが、姉妹が離れているのはとても辛いものです。散らす以外に出来ることがあれば。

トリニティエンハンスで防御力を上げ、【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】で防御を固め、敵の攻撃をしっかりと受け止めます。貴女達ももうここにはいてはいけない存在なんです。痛いでしょうが、骸の海へ送ります。心を込めて全力で【衝撃波】【二回攻撃】で攻撃を。


神城・瞬
【真宮家】で参加

あの紅桜の妹桜、ですか。(「愛と死の、桜の木の下で」参照)僕は奏がいるから分かりますが、姉妹が離れてるのはとても辛くて、寂しいもの。無垢な白桜をただ散らす以外になにか手段があるならば。

まず【オーラ防御】を展開、前に出る奏を援護する感じで【誘導弾】【武器落とし】【目潰し】で攻撃。敵の集団が多ければ【衝撃波】で吹き飛ばした上で、疾風閃で確実に仕留めていきます。痛い目に遭わせて申し訳ありません。でも貴方達はここにいてはいけないですよ。おやすみなさい。



●ソシテ家族ハ家族ヲ想ヒテ
 逢魔が辻が逢魔が辻として在るが故に、暗き雑木林を朧気ながらも戦に支障はないほどに白い朧灯が照らす。
 空間に心沈ますようにひらひらと舞う花弁の真白きと、仄かに香る影朧とは思へぬ柔らかな香に三人家族はその眼を軽く伏せた。
「あの子の妹桜ね……やり切れないね」
「あの人が言ってた姉桜ではありませんがね。でも言わんとすることは分かりますよ……」
 揃った三人家族の中の年長、母親に当たる真宮・響(赫灼の炎・f00434)は頭を掻き毟りながら思う。
 かつて関わった別のグリモア猟兵の事件、別の個体である姉桜――歪んだ想いを抱えて尚、世に留まる影朧。
 そして大切な家族との別れ、それが親(ちか)い双子の姉妹ならば猶更に。
 その(義)息子である神城・瞬(清光の月・f06558)もまた同様に、その哀しき姉妹の別れを、隣に立つ末妹をちらりと一つ目を向けながら頷き。
「……あの時は散らすことしか出来なかったけれど」
 その目を向けられた末妹にあたる真宮・奏(絢爛の星・f03210)は、それでも尚、散らすことでしか救えなかった記憶を思い返す。
 今度こそ、散らすこと以外で何かしらを救えるのならば――決意を新たに、奏が拳を握れば戦の始りを促すように響が頷いた。
「感傷は後だ。さ、行くよ!」
「ええ」
「はいっ!」
 母の促しに息子と娘が返せば、彼らの前に白骨と化した足にて落ちた葉を踏みしめる音鳴らし、スコップを両手に握り迫る影朧。
 猟兵の存在に気付いた影朧の群れ、その内の一体が跳躍しながら全体重を乗せたスコップの一撃が地面を殴打すれば、大地を陥没させ木々を軋ませる。
 咄嗟に後方へ地を蹴り、真宮家の三人はその攻撃を躱しつつ、るーるーと物悲しく鳴きながらも戦意を向ける影朧に対し本格的に戦意を向けた。
「ひゅーっ……この一撃は真面に喰らいたくないね」
 一撃二撃喰らったところで遅れを取るレベルの攻撃ではないが、それが数を以て圧して来ればどうなるか分からない。
 今にも儚げに消え去りそうな骨の脚からは似つかわしくない跳躍と破壊力を前に、爆風に髪を靡かせながらも響は林中を駆け抜ける。
 鳴き声を挙げながら影朧の敵意という本能そのままに響を追う姿を、雑木林に数多に並ぶ木々を陰とし、舞い散る白花弁を分け入りながら音もなく、気配も出さず駆け抜ける――
 そうしてものの見事に背後を取った影朧の背を、赤赤と輝く光剣の刃が貫き。
 引き抜けば崩れ去る影朧の塵を煙とし、それを割りながら打ち下ろされる影朧達のスコップの連続した殴打を軽やかに踊るようにいなし。
 打ち下ろされる鉄の先を真っ向から光剣と、体中より迸る闘気でその衝撃諸共捻じ伏せながら、返す刀で影朧を斬り伏せると。
「そっちはあんた達任せたよ! アタシはあっちをやるからね!」
 その声も最早遠く、三分の一ほどの影朧が響を追う姿を見送りながら、母から託されたものを果たさんと息子と娘は頷き合う。
「瞬兄さん、援護を頼みます!」
「無理は禁物ですからね」
 杖を片手にいつでも打って出れるよう準備を整えた兄を背にしながら、奏は己が内の魔力を高める。
 周囲を踊る風が逢魔が辻に踊る花弁を更に軽やかに踊らせ、戦意の熱き顕現たる炎が白桜花を焦がし、思考の清廉さを表す流れ水が焦がした桜花を流す。
「――せぇいっ!!」
 そうして決意を固めながら、スコップを振り上げた影朧達の攻撃を一斉に受けるように前へ出で。
 あの破壊力が真っ向から、それも数多の数を以て奏を押し潰すかと思われたが、両腕を交錯させながら受け止める彼女の身には傷一つたりともなく。
 纏う魔力の齎した強固な防御は、宛ら要塞の如く揺るぎの一つも許さずに。そして攻撃の僅かな硬直を見逃すはずもなく、風精の名を冠した剣を手早く抜き放つと。
 神ががった速度による抜剣、走る刃と風を切り裂きながら迸った衝撃が群がる影朧の群れを吹き飛ばす。
(……ごめんなさい)
 呻き声すらもるーるーと虚無に泣く、吹き飛ばされた影朧が他の影朧を巻き込み、骨の脚を圧し折っていく音を耳に刻みながら。
 この痛みを胸にしながら、背後に支える兄に彼女は力強く目を向けた。
 心に湧く悲しみと痛みを押さえ付けながら、瞬の翳した杖より迸った不可視の衝撃波が踊る。
 瓦解していく影朧の群れが持つ、そのスコップを手から弾き飛ばすように、吸い込まれ導かれていくかのように走る衝撃が次々とスコップを天高く、雑木林の木々を上回る程に舞い上げていった。
「疾風よ、奔れ!!」
 だが追撃は終わらず――掲げられた杖の先より迸る不可視の衝撃は、荒れ狂う風の刃と化して逢魔が辻を巡る。
 風の齎した大気の歪みが、戦場に舞い散る桜の花弁を以て可視化しながらも、そのうねりと文字通りの風斬音が戦場を満たし。
 死の国の使者を思わせる影朧達は、風前の塵という表現そのままに、塵となって消え失せていき。
 担当する影朧達を滅した瞬と奏の下に、遠きにも聞こえる母の威勢の良い声が鼓膜を揺さぶった。
「この一撃は竜の牙の如く!! 喰らいな!!」
 そして遠きに響き渡る、赤き閃光――彼らの母たる響の、正しく竜の咆哮が如き苛烈な、竜の劫火を思わせる赤き剣閃が影朧をいとも容易く斬り伏せて。
 斬られたことすらも追いつかぬ程に、虚ろな顔で身体を複数のパーツに分かれさせていく影朧達は、その身体を崩しながら砂塵となっていく。
「……ここはアンタたちがいていい世界じゃないよ」
 それでも悲しみに満ち溢れた鳴き声を、響は心を鬼にするように目を閉じながら斬り捨てた。
 出来ることならばこの影朧達も救いたかった。されど集団でやってくる影朧は幾ら頑張ったところで転生の望みも薄い。
 故にこうして滅ぼすことのみが、せめてもの――瞬もまた、僅かに瞼を下げながら言葉を続けた。
「痛い目に遭わせて申し訳ありません。でも、本当にここにはいてはいけないんです」
 故にこの家族は、真宮家の三人は揃って同じ言葉を消え去り逝く影朧へと向けた。
「「「――おやすみなさい」」」
 来世といふものがあるならば、願わくば平穏無事に生まれてくるように。
 骸の海の中に安らかに過去よ眠れと、その滅びを悼みながら、暫しの時を経て――
「……行くよ。まだ終わっちゃいないんだ」
「はい、母さん」
 響の声に瞬が答えれば、ただ黙って奏が共に走り逢魔が辻の奥へ奥へと進んでいく。
 その最中、不意に視線のみを滅ぼした影朧へと奏は向けると。
「……、ごめんなさい。でも、せめて」
 ――その呟きへの答えは、ただ彼女達の周りにはらりと舞う白桜の花びらが頬を撫でることのみが示す。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『『白の悪魔』シュバルツ』

POW   :    魂に重さは関係ない、ただ大きいと掴みにくいだけだ
レベル×1tまでの対象の【魂を掴み、魂に引き付けられるように肉体】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD   :    僕達の役目は時間稼ぎだから、ゆっくりしていきなよ
戦闘力のない、レベル×1体の【自身の姿を模した分体】を召喚する。応援や助言、技能「【結界術・情報収集・団体行動・魔力溜め】」を使った支援をしてくれる。
WIZ   :    これは悪魔からのちょっとした置き土産
【自身へのユーベルコードを用いた攻撃】が命中した対象を爆破し、更に互いを【代償を相手に肩代わりさせる呪い】で繋ぐ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●白き悪魔
 順調に逢魔が辻の影朧を退けた猟兵達――彼らが進むは、逢魔が辻の支配者を形は違えど等しく救うために。
 猟兵達は突き進む。朧灯と白き花舞う雑木林を真っ直ぐに。
 されど猟兵達の前に立ちはだかるのは、先に相手にした影朧とはまた別の種類の影朧達だった。
 白き輝きの中にまたもや紛れそうな、溶け込んでいきそうな白き翼、そして尾――その角も白きに満たされた、名そのものも白を表す悪魔の影朧。
 彼らは猟兵達に数少ない白に当たらぬ青い目を向け、溜息を交えた。
「こうまで早く潜り抜けてきてしまったか」
「予想外だが仕方あるまい。その前に聞こうか君達」
「君達は本当に“彼女”を手に掛けるつもりかい? 偽り、仮初……君らは言うかもしれないが紛れもなく彼女達も、そして僕達も癒されているのに」
 ――確かにあの妹桜の振り撒く癒しが仮初のものであり、ただ影朧を引き寄せてしまうだけの悲しいものとなっているのは否めないだろう。
 勿論、仮初といえど確かに快楽を感じ妹桜に集う影朧もいることも。
 しかし転生の望みも一切なく続けられるそれが影朧を呼び、人を引き寄せてしまえばいつか必ずその犠牲者が出てしまう。
「成程、退く心算はない、と」
 故に戦意を曲げぬ猟兵達の意志に気付くと、影朧達もまたありありと戦意を向けた。
「全力で来るといい。彼女の望み、誰にも邪魔はさせない……!」
 ――この影朧達は、先の戦いを見ているだろう。
 故に猟兵達が使ってきた雑木林という地形を生かした攻撃を、今度は逆用してくる可能性は充分にある。
 それでも、真に救うものの為に、猟兵達は気持ちを新たに立ち向かうのだった。
ジード・フラミア
『私たちの真似をスル……縄を使って罠を仕掛けケル?炎で燃やし尽くすノガ早いのデハ?』
「……UCで炎を操れるわけじゃないから火事になっちゃうよ。」
『チェッ、ナラ、罠の中を通らないようにシマスカ。』

UC【変化する人形】を使用
メリアのボディを中心にヘリコプターの様な機械を作ります。奇襲をされにくい空から人形を操ってシュバルツを捜索します。
人形が罠にかかっても問題なし、人形を攻撃しようとしたところを狙います。
発見出来たら地上から人形で、上からバラックスクラップを投げて攻撃します。

「……どっちが悪いやつか、わからないね」
『戦いなんてそんなものデスヨ……どちらも正義が、主義があるから戦うんデスカラ。』



●正義ト正義
 戦意には戦意を――臨戦態勢を整えた影朧達は指を弾くや否や、己と同じ姿を模した分身体を呼び出した。
 直接的な戦闘力に乏しくも、侵入者の行く手を阻む結界の如く、彼らは林中を駆けながら罠を張り巡らせていく。
「しばしの時間稼ぎだ。彼女の邪魔をしないでくれ」
 張り巡らされた罠は、僅かでも引っ掛かればたちまち脚を絡め取られ、転ばされるだろうか。倒すことは叶わなくとも、時間稼ぎにはうってつけか。
 正しくジードとメリアの放った戦法を真似たのだろうが、それ故にメリアはカタ、と口を動かしながら呟いた。
『コレハ……炎で燃やし尽くすノガ早いのデハ?』
「……炎を操れるわけじゃないから火事になっちゃうよ」
『チェッ、ナラ、罠の中を通らないようにシマスカ』
 延焼分も自在に操れる技もあるにはある。
 されどその手の技を持ち合わせていない――とすれば、とジードは咄嗟にメリアに或るパーツを取り付けた。
「なら、これを使って!」
『オーケー、イキマスヨ!』
 刹那、逢魔が辻の木々を突き破るように空へと出でたメリアの姿があった。
 ジードが取り付けたアタッチメントは羽、より正確にいうならば人形を中心として作り上げたヘリコプターだった。
 地に張り巡らされた罠も、木々の間に張り巡らされた罠も意味を為さず、天空より白き悪魔を補足し追い詰めれば。
 天より人形、地より我楽多を組み合わせたような刃――逃げ場を失った白き悪魔はそれでも生き汚く逃れようとするも。
 彼らの刃はそれよりも速く、白き悪魔に喰らい付く――!
「……駄目、かあ」
 青い瞳を虚ろに濁らせながら、影朧は分かっていたように塵となりながら朧灯の中に溶け消えて逝く。
 その瞳から目を逸らさずに、ジードとメリアはふと呟いた。
「……どっちが悪いやつか、わからないね」
『戦いなんてそんなものデスヨ……どちらも正義が、主義があるから戦うんデスカラ』
 そしてただ、より強い正義として別の正義を退けた。そしてこれ以上の救われぬ影朧を引き寄せる前にという曲げれぬ正義の為に。彼らは先を急いでいくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレミア・レイブラッド
それはあなた達の勝手な理屈ね。彼女は言ってなかったかしら?
「あなたが次の生命で幸せになれますように」と。
彼女の望みは「癒し、浄化しての転生」癒しだけの悲劇を求めているわけではないわ。
現状を続けても彼女を真の救いにはならない。それを邪魔するなら容赦はしないわ。

地形を駆使しての暗殺…厄介ではあるけど、対処法はあるわ。

【念動力】と【サイコキネシス】による念御網を張り巡らし、近づいて感知次第捕縛。
敵を拘束した後、動けない敵に聖属性の魔力弾【高速・多重詠唱、全力魔法、属性攻撃】の高速多重連射を叩き込み、浄化殲滅。

吸血姫だけに聖なる力はわたし自身得意ではないけど…白き悪魔、聖なる光に抱かれて眠ると良いわ



●紅キ魔ノ送ル白ヘノ葬送
「それはあなた達の勝手な理屈ね。彼女は言った筈だわ。次の生命で幸せになれますように、と」
 白き悪魔の心乱すような問にも怯むことなく、フレミアは紅き瞳を以て影朧を睨み返した。
 桜の精が望むは癒し清め転生を与えるが故の癒し――転生の望みなく、ただ過去を引き寄せることを彼女が望むかと。
 されど影朧は冷たく答える。
「それでも今生の癒しには変わりない。悲劇があろうと癒しは癒し。真実でなくとも救いは救い」
「そう……なら、容赦はしないわ!」
 最早言葉は不要と、白き悪魔達は一斉に駆け出した。
 音もなく、白き薄明りに体色を紛れさせながら木陰に潜み出しながらも、フレミアを取り囲む影朧から発せられるは濃厚な敵意。
(……厄介ね)
 一瞬でも臆せば、たちまちの内に魂を引っ張り上げ身体を叩きつけさせにいくだろう。
 油断もならぬ隠密の逆用の中、フレミアは目を伏せ感覚を研ぎ澄ませる。
 視覚という余分を廃し、肌と耳の感覚を研ぎ澄ましながら感じる――この凄まじい敵意が動き出すその一瞬を。
 研ぎ澄まされた感覚と共に張り巡らせた、思念波の糸に敵が引っ掛かるその時を、はらりはらりと舞う桜の中に待つ。
 そう、膠着に痺れを切らし、動きださんとした、今まさしくその一時を――!
「ぐっ!」
 魂を狙わんと不可視の手を伸ばした影朧達を、逆に見えざる手が掴むように。
 強く目を見開いたフレミアから発せられた念動力の力場は、影朧達の四肢と胴を強く掴み上げ縛り上げる。
 呻き声をあげながらフレミアに敵意と、抵抗の意を向ける影朧を冷たく見据えながら更に彼女は周囲に浮かべる。
 それは朧灯の中に於いても鮮明に輝ける純白の光――聖に属し魔を祓う魔力弾。
「得意ではないけれど……この聖なる光で、ね……」
 解き放たれた数多の魔力弾は縛り上げられた影朧を一瞬で飲み込み、その身体を一瞬で滅ぼす。
 魔に生まれたフレミアなれど、膨大な魔力はそれを補って余りある聖なる力を産み出していたのだ。
「……おやすみなさい」
 朧灯と白桜舞う中に溶け込むように白塵と化す悪魔を、僅かに伏せた目で見送りながら。
 紅き半魔は逢魔が辻の道を阻む白き悪魔を清め、滅さんと駆けて行くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四季乃・瑠璃
緋瑪「逆に聞くよ。あなた達はそれが本当に癒しになっていると思ってる?」
瑠璃「その癒しは仮初。転生は無く、悲劇は続く。それは姉との再会を願い、陽朧達の浄化を祈った妹桜が真に願う事じゃない」
緋瑪「あの子の為にも、ここで断ち切らせて貰うよ」

【破壊の姫君】で分身

先程のこちらの手段は奇襲・暗殺。
それなら、遮蔽物が無く、奇襲・暗殺が成立し難い空中へ飛翔翼で展開。
二人掛かりで身を隠す遮蔽物ごとまとめて広域を強化した接触式ボムや焼夷式(ナパーム)ボムで爆破・焼き払い、遮蔽物から飛び出した敵を空中からK100で銃撃【ドロウ、早業】。
広域を殲滅しつつ、それでも反撃や逃走を試みる敵は1体ずつ確実に仕留めるよ



●全テ火柱ニ包ミ
 ――この影朧とて、決して全てが全て間違っていることを言っているわけではないのかもしれない。しかし。
「逆に聞くよ。あなた達はそれが本当に癒しになっていると思ってる?」
「だからこそ守る。心地よきは事実だから」
 緋瑪の問いに白き悪魔は答える。
 偽りであると知りながら受ける側には偽りでないと詭弁を以て。
「その癒しは仮初。転生は無く、悲劇は続く」
「続いても彼女は癒すさ。それが望みだから」
 瑠璃の反論に対して白き悪魔は告げる。
 それでも続けるのが白桜の性、なれば気のすむまでと告げる悪魔に、瑠璃と緋瑪は互い違いのオッドアイを引き締めて睨みつけた。
「それは姉との再会を願い、陽朧達の浄化を祈った妹桜が真に願う事じゃない!」
「あの子の為にも、ここで断ち切らせて貰うよ!」
 ――さぁ、全ての破壊を始めよう。
 一斉に魔導の翼を以て二人で一人の殺人姫達は空を翔けていく。
 先ほどに取った戦法は奇襲と暗殺、なれば彼らはそれを逆用してくる――故にそれの意味を為さぬ空へとその身を踊らせると。
 上空から見据えるは動揺に影に潜み、機を伺わんとする姿、見えぬ姿に痺れを切らしたところを狙う算段であろうがそうはいかない。
 頷き合った瑠璃と緋瑪が戦場を覆い尽すは、降ろされていく焼夷弾と強化された広域を薙ぎ払う爆弾。
 如何な場所に隠れ忍耐を示そうと、遮蔽物そのものを焼き払う降下は轟音と共に木々を薙ぎ払い、白き悪魔の姿を紅蓮の炎が照らし出す。
 無論のこと、飛び出た存在を殺人姫達が放置する筈もなく、冷徹に突き出された大型拳銃の鉛弾は白き悪魔の頭部を撃ち抜き、その命脈を断つ。
 下ろした爆弾が隠れる先を焼き、広がっていく破壊の余波が白き悪魔を冷たい殺意と裏腹の大熱の攻撃性が焼き尽くしていく。
「あなた達は逃がさないよ」
「悲しみを産むわけにはいかないからね」
 生まれ変わらせられない仮初の癒し、新たな悲しみを産む元凶となるならば。
 ここで滅ぼすが殺し姫の慈悲か。
 立ち上る火柱が舞い散る桜花すらも焼き尽くしながら逢魔が辻を鮮烈に照らし、白き悪魔を灰と変えていき。
 解き放たれる鉛弾の冷たきに徹した銃撃が、行く手を阻む悪魔を滅していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
悪いけど、仮初の癒しは癒しなんかじゃない。
そこには何の救いもないんだから。
もっとも、俺達に出来るのはこれくらいだけどさ。

さっきと同じ様に【地形の利用】で木々を利用してその影に身を隠し、草むらに誘導するかの様に時折姿を見せて相手を挑発する。
……様に見せかけ、実際には俺の上着で作った案山子を突き出して奴のUCのターゲットにする。
そして敵がUCを空振りさせているところへシャーリーの攻撃に合わせて【飢龍炎牙】を叩き込む。

俺達の戦いを見ていたのなら、シャーリーの悲しみも知ってるはずだ。
そいつはお前らに対しても例外じゃない。
だから、『またな』。


シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
望みって未来に向かうためにあるんだよね
けど、その望みの先にあるのは止まった時間だけ
だから、悪いけどボクたちは止まる訳にはいかないんだ
行こう、ウィーリィくん

残念だけどキミたちの相手をしている時間はないんだ
木を遮蔽物にしながら【援護射撃】で敵の注意を逸らしてウィーリィくんの仕掛けがバレないようにし、分体を召喚したら【範囲攻撃】+【乱れ撃ち】+【クイックドロウ】で本体ごとまとめてやっつける

キミたちだって犠牲者なんだってわかってる
だからこの悲しみを少しでも早く終わらせたい
これが、ボクたちに出来る精いっぱいなんだ



●彼ラハ見送ル
 白い薄明りの中を溶け込むような身体の悪魔達と、目立つ褐色と、紅衣を纏った二人の化かし合いが続く。
 光の溶け込みも無と化す、木の影に隠れ息を潜めながら、互いに互いの居場所と気配を探る見えざる気のようなものの交錯が齎す緊張が、影朧達と猟兵二人の額に汗を浮かばせていく。
 幾度目か、視線を遮る樹木の影に身を隠した影朧――宛ら結界を巡らすように、音で位置を探らせぬように一斉に悪魔達は声を発する。
「どうかこのまま去ってはくれまいか」
「断る!」
 悪魔の誘いというものがこの声色ならば、魂を引っ張られそうなその音を、業火が飲み込むかの如く苛烈にウィーリィは斬り捨てる。
 それでも悪魔とウィーリィは互いの気配を探り合いながら言葉を交わす。
「どうしてもか。彼女の癒しを、望みを邪魔するのか」
 なれば滅ぼすと手を伸ばした影朧のそれを、林中を刹那で走り去った熱き光が制することで、影朧の攻めを止める。
 その銃撃を放ったシャーリーは直ぐ様にマスケット銃を隠し、射撃を放った地点からまた別の物陰に移るように走る。
「望みは未来に繋げるものだよ。でも、彼女の望みは繋がらない」
 気持ちは分からないこともないけれど――と、僅かに目を伏せながらシャーリーは駆けつつ返す。
 何かがしたい、何かを為したい――そうした望みは未来を紡ぐ為のもの。失われた過去として在るべきでない形に戻った者の望みと、その為の行為は決して未来を紡げはしないのだからと。
「仮初……」
「お前達はそういうけどさ」
 これ以上の反論をその前にと切り捨てるようにウィーリィが言葉を放つ。
「やっぱりその癒しは何も結局癒せない。だから止める。それだけだ」
「……お前達がそう思うならそれでもいい。ただ我等は我等の為に止める」
 こうして相対し滅ぼす事しか互いに出来ぬならばと。
 最早交われぬ正義に溜息一つ、悪魔はシャーリーが絶え間なく注がせる射撃を擦り抜けながら伸ばす。
 薄明りの中に目立つ、この鮮やかな紅衣――煽るように草叢より顔を出したウィーリィのそれを。
「グッ……!」
 その魂を掴み、地に叩き付けるべく悪魔は見えざる手を伸ばす――取った。後は、そのまま硬い地面に叩き付けるだけ。
「何っ!?」
 だが叩きつけられた紅衣の千切れる様に手応えはあまりにも淡く。
 弾け飛んだ腕が木の棒で括られた案山子であることに気付くのに、僅かな時を要してしまったが命取りか。
 上衣を脱ぎ捨てたウィーリィと、マスケット銃を構えて木の影から攻勢に出でた姿を見、僅かに歯咬みしながらも影朧達は時間稼ぎを行うかのように分身体を嗾けた。
「かかったな! ……行くぞ、シャーリー!」
「ごめんね、キミたちだって犠牲者ってことは分かってるけど――行こう、ウィーリィくん」
 一斉に結界を張らんと掌を翳す分身体を目掛け、研ぎ澄まされたシャーリーの狙いはそれよりも尚早く、的(マーカー)を付けるように突き出された。
 指が煽れるように弾かれ、引鉄が音を置き去りにして踊り、銃口より放たれた閃光は膨大な熱量と共に大気の元素を電離させていく。
 火花迸り過ぎ去る悪魔を蒸気と変えながら、その傍らをウィーリィが駆け抜ける。
 呆気に取られる白き悪魔のその本体を目掛け、彼は一気に大包丁を振り抜く――すると。
 立ち上った鮮やかな紅蓮の業火が多頭竜の姿を為しながら、偽の悪魔が巡らせた結界をも突き破り、突き立てられる牙が白き悪魔に次々と炎の楔を打ち込む。
「……これがボクたちの精一杯なんだ」
 その瞬間、悪魔の中心より立ち上った紅蓮の大熱が、悪魔の身体を清め焼き払う中でシャーリーがマスケット銃を下ろしつつ告げる。
 仮初の癒しに救われても、何も残せず害悪となりかねないものを先んじて潰すこの重みを噛み締めながら、彼女は滅びゆく悪魔達から目を逸らさずに。
「戦いを見ていたなら、分かるはずだ」
 先の戦いの中にシャーリーが何を想い、どうして自分達が戦うのか。
 崩れ去っていく影朧達の虚ろな眼を真っ直ぐに見据えながら、ウィーリィはこの言葉を只送った。
「……『またな』」
 そしてそれは例外なく、この滅びゆく悪魔達もまたせめてもの救いと信じて。
 いつの日か敵ではなく友として会えるように――別れを告げる言葉よりも、いつしかの再開を願う言葉を捧げ。
「行こう。彼女を止めに」
「ああ」
 シャーリーの言葉に大包丁を握る手をそっと緩めながら、改めて彼は逢魔が辻のその最奥に。
 戦場を照らす薄明りをより鮮烈にしたような、強き光の白桜を目掛け二人は先を急ぐのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加

まあ、見方によっては癒されたかもしれないけどね。それが犠牲者しか生まない事は看過できない。アタシはこの先の白桜の子に用があるんでね。突破させて貰うよ!!

戦闘力が無いとはいえ、団体行動で結界術は厄介だ。まずは分身を消そうか。真紅の騎士団を発動、アタシは【二回攻撃】【範囲攻撃】で【衝撃波】で攻撃していく。敵の攻撃は【オーラ防御】【見切り】【残像】で凌ぐ。アンタに用はないんだ!!とっとと消えな!!


真宮・奏
【真宮家】で参加

確かに仮初とはいえ、癒しを与えている方を大事にしたい気持ちは分からないではないですが、その仮初に浸った後を考えなければ。私は白桜の娘さんに用があるのです。立ち塞がるなら・・・倒します。

集団で団体行動で結界術は厄介ですね・・・戦闘力は無いみたいですので、一気に薙ぎ払いましょう。【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】で防御を固め、彗星の剣で攻撃。心が痛まないといったら嘘になります。でもこの先の白桜の子に気持ちを伝えたいので・・・押し通らせて貰います!!


神城・瞬
【真宮家】で参加

貴方にとっては癒しでも、その後に起こる禍を想えば、退く理由はありません。僕らはその先の白桜のお嬢さんに用があります。相容れないならば、戦うしかありませんね。

母さんと奏が召喚される分体の対応に回りますので、シュバルツ本体の相手は僕が。【オーラ防御】を展開し、【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】を仕込んだ【結界術】を相手に使用。氷晶の槍を相手に使います。最初の爆破は敢えて受けましょう。敵と繋がれたら零距離から【誘導弾】を撃ち込みます。肉を斬らせて骨を断つ、ですね。さあ、どいて貰いましょうか!!



●思ヒ貫ク、例ヘ辛キガ待ツトモ
「どうしてここまで通ろうとする? 君達は仮初、偽りなどというけれど、紛れもなく我等は癒されているんだ。それの邪魔など無粋……」
 猟兵達の進軍は続き、逢魔が辻の静かな空気を戦の派手な音が掻き消す。
 逢魔が辻の突破も時間の問題ではあるが、それでも抵抗を続けんと、白き悪魔は猟兵の決意を乱すように語る。
 その言葉に真宮家を率いる母は、肩を竦めながらこう答えた。
「まあ、確かに、見方によっては癒される子がいるのかもしれないけどね。それを否定する気はないさ」
 ちらり、と遠きに戯れる白桜の歌と微笑みを見、気休め程度に荒れた心を癒された影朧もいるのかもしれない。
 されど桜の精が与える癒しは影朧を許し転生させる為の癒し、影朧となり果てた今となっては無用に影朧を引き寄せ危険地帯を作るだけの害悪。
「だが犠牲者しか産まない。それを看過することは出来ないね」
 今はまだと最初に語られたが、学徒兵なり何なり誰ぞの犠牲者が出ることは確実。
 毅然と悪魔の言葉を斬り捨てながら、娘の奏はそれに続けた。
「あなた達はそれで良いのかもしれない。でも、こうして私達を倒そうとしている」
「その通りだ。彼女の邪魔はさせたくない」
 それは赴く者があれば必ずそれを倒す――猟兵が相手だからこそ迎撃できているが、力を持たぬ者は犠牲となる未来が待ち受けている。
 非難めいた目を送る奏に冷たく悪魔が答えれば、瞬は更に言葉を続けた。
「相容れないのは百も承知。なれば通らせて頂きます。例え力づくでも」
 杖をその手に赤き瞳に冷たく、そして揺るがぬ決意を以て悪魔を瞬が見据えれば。
 それでも諦めきれぬと見たか、悪魔は大きく溜息を吐くと指を弾いた。
「……断る。邪魔はさせたくない。例え敵わなくとも、少しでも時間を……」
 残された影朧の数自体はそう多くはない、しかし次々と生み出されゆく分身体は一斉に魔力を溜めると、猟兵達の進軍を阻む結界を産み出した。
 逢魔が辻の白をより白く強烈に染め上げるが如く、悪魔の邪魔な軍勢に抗う対照的な軍勢の影が割り込んだ。
「さあ、アンタ達、出番だよ!! 全力でやっていいよ!!」
 鬨の声響き渡り呼び出されるは、激しい戦意に掲げた槍を赤熱させながら響の生み出した騎士の軍勢だった。
 白き悪魔の壁を赤き騎士団が抗うように追い詰め、逃げる悪魔を追う白と赤の幻想的な光景が産み出されていた。
 そしてそれを友軍として突き進むように、母の掲げる槍にも劣らぬ熱き揺らめきを以て舞う白桜を焼きながら。
 白銀の鎧をより眩く、朧灯を上書きするかのように煌めかせながら奏は同じく白き悪魔の分身体へと突き進んでいく。
「瞬、ここはアタシと奏に任せな!」
 突き進む瞬を阻まんと立ちはだかった悪魔の分体を力強く、薙ぎ払われる槍の残した熱気ですら炎放つほどに苛烈な一撃が分体を灰に返しつつ。
 母は翔け抜ける息子の背に激を送ると、息子は頷いた。
「分かりました。二人とも気を付けて」
「瞬兄さんこそ!」
 例え戦闘力のない分身といえど、阻む力に特化した存在が新たにその進撃を押し留めんと魔力を溜めれば。
 妹はそれを――心の痛みを捻じ伏せながら、それよりも尚熱く苛烈に、母の一撃にも劣らぬ熱き斬撃を以て分体を斬り伏せる。
 更に更にと、響が指揮をする騎士団が派手に鎧軋ませ剣を、槍を以て悪魔の分体を追い詰め際へ際へと追いやって行けば。
「かわさないでくださいね?」
 奏は今こそとその手にする剣を掲げる。すれば、その炎を象徴する剣が何本も――九十に迫る数に生成され、放たれる熱気が晩秋の気温を真夏日に変える如く立ち込める。
「……行きますよ~!」
 一斉に解き放たれる業火の剣は宛ら死を振り撒く彗星の如く――通り過ぎる莫大な熱量とその勢いが悪魔の分体を通り過ぎれば。
 数多の分体の断末魔の声も、咄嗟に生成される結界だろうと紙のように焼き払い、一瞬で蒸気と変えてそれを滅ぼして。
 そして残る分身体も一つ残らず、母と娘が滅し終えれば、本体の悪魔達はそれに焦り歯噛みする。しかしそれを追い詰める一つの影がそこにあった。
「逃がしませんよ! 貫いてみせます!」
 折角に母と妹が切り開いてくれた道、無粋な妨害の無き今ならば確実に攻め落としてくれようか。
 戦意を固めたように翼を広げる影朧の動きと合わせるように錫杖一つ瞬が振るえば、白き悪魔達の身体を半透明な金字塔めいた結界が包んだ。
 驚愕する悪魔達の動きを封じその場に留める結界を巡らせたまま、更に瞬は真っ直ぐに杖を突き出せば。
 降りる白桜の花びらを凍てつかせ、弾ける軽快な音響かせながら鋼すらも容易く貫く氷の槍が悪魔へ飛ぶ。
 このまま悪魔の心臓に杭を打つか――そう思われたその時、悪魔はニヤリと笑った。
「がはっ……!」
 しかし解き放った氷の刃は瞬へと返り、尖が彼の身に触れた瞬間、派手な爆発が彼を吹き飛ばしていた。
 よくよくに目を凝らせば、悪魔と瞬の身体を悍ましい紫色めいた呪いが繋ぐ光景が見える。恐らくは瞬の攻撃に合わせたカウンターの邪法だったのだが。
「……ふっ……な、なにッ!?」
「油断しましたね? 捕えました……!」
 ――ユーベルコードによる攻撃を受けた者を爆破し、己と繋ぐ為の邪法が逆に仇となってしまったか。
 悪魔の置き土産を昂らせた魔力の壁を以て致命傷を避けていた瞬が、繋がれた状態を逆に活かして油断した悪魔を捕らえ。
 正しく肉を切らせて骨を断つか、驚愕する悪魔の鳩尾へ杖を押し込むと、瞬は解き放つ――悪魔の腹部を一瞬で幾度となく打ち据える必殺の魔力弾を。
 これには流石の悪魔も堪らず、膝を着き赤き血を吐き出しながら呻くも、瞬と繋がった状態で逃げることは叶わず、そこを響と奏が一斉に得物を構えて迫っていく。
「アンタに用はないんだ! とっとと消えな!」
「押し通らせて頂きます! あの子の為にも!」
「さぁ、どいて貰いましょうか!!」
 炎と、氷と――数多の刃が一つと重なるように残った白き悪魔へと一斉に襲い掛かれば。
 思い貫く決意の一撃は、行く手を阻む悪魔を打ち払う一撃となりて、悪魔を骸の海へと還していく。
 この心の痛み捻じ伏せながら、真に救うべき白桜を想いながらの強き一撃は、歪んだ白き悪魔をも救い滅していくのだった。

 ――そして猟兵達は辿り着く。逢魔が辻を支配する哀しき白桜の許へ……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『妹桜』白桜華』

POW   :    白桜浄化
予め【対象の罪や後悔を自身に取り込む 】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    白桜吹雪
【触れた者の意識を奪う白桜の桜吹雪 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
WIZ   :    相枝相遭
【対象の後悔を吸い開花する白桜の枝 】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【後悔の念】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠幻武・極です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


※プレイングは明日以降断章を投稿してから受け付けます
●妹桜の無垢なる狂気
 昔々のことでした。
 あるところにそれはそれは美しい紅色の桜と、それに負けず劣らず美しい白の桜がありました。
 二本の桜からはやがて対となる優しい桜の精が生まれました。

 紅い桜はお姉さん、白い桜は妹として。
 仲良く影朧を許し、癒して生まれ変わらせていきました。
 大変なことも沢山ありましたが、姉妹桜は二人仲良く支え合い、桜の精として多くの影朧を癒していったのです。

 ある時、白桜の妹は遠い遠いところへ行ってしまいました。
 妹は深く深く悲しみました。
 寂しいよ、哀しいよ、どうして離すのと妹は嘆き、悲しみ枯れてしまいました。

 ――しかし妹はまた咲きました。
 自分が癒し導く筈の影朧となっても、それを知らずに。

 だから白い桜の妹は優しく優しく光ります。優しく光って、桜の精でいたときのように影朧を呼び寄せます。
 妹桜は影朧を本当の意味で癒す力を持ちません。生まれ変わらせることもできません。
 だけど妹桜は信じています。お姉さん桜がまだいるのなら、きっと影朧を癒し続けていると信じているから。
 私は忘れていない。桜の精の役目を使命を忘れていないから。
 尊敬するお姉さんがいつの日か会いに来てくれると信じて、仮初の癒しを振り撒いているのです。

●妹桜は止められない
「あら? いらっしゃい。遠慮しないで、あなた達も癒されにきたのでしょう?」
 逢魔が辻の最奥に辿り着いた猟兵達を迎えたのは、白き桜の花弁を束ねたような独特な様相をした手毬を持った白い着物の少女であった。
 青き瞳に僅かなもの哀しさを秘めながら、それでも彼女は気丈に笑う。
 逢魔が辻に広がる淡い輝きの中、その存在を際立たせるように、その周囲に眩き白桜を舞わせながら彼女は微笑む。
「大丈夫。あなた達は酷いことをしてしまったかもしれないけれど、私があなた達を許してあげる」
 ――酷いこと、というのがこれまで猟兵達が影朧に齎した救いのことを指すならば何と残酷なことを言うのだろうか。
 それでもこれ以上を止めなければならないと猟兵が一歩を踏み出せば、妹桜は更に微笑んだ。
「遠慮しないで。あなたも、あなたも、そこのあなたもいらっしゃい。皆が許してくれなくても、私があなた達を許してあげる。怖がらないで、いっぱい話して、いっぱい遊んで、癒されていってちょうだいね。愛おしい影朧の皆……!」
 手毬を弾ませ、その手に持つ枝――白桜咲かせた幻のそれ――を扇のように一振りしながら、彼女は猟兵達を慈しむ眼で見据えながら歌う。
 かつて影朧と化した姉桜のように、やってきた猟兵を影朧と思うことで己を保とうとしたか。
 匂い立つ影朧としての本能<敵意>を顕に、猟兵達へと戦意を向けた彼女は天を仰ぎながら祈る。
「ああ、見ていらっしゃいますか、いつの日か来てくれますか姉様……! 私は、忘れていませんよ……!」
 ……狂っているということも気付けないことは真の狂気に他ならぬか。
 この妹桜を止めて逢魔が辻を祓うべく――真に癒しが必要な者を救う為に、猟兵達は覚悟を決めるのだった。
ジード・フラミア
『その行為、癒さレ、救われる影朧の方は多いんデショウケド……
過去に囚わレ、過去の目的を邪魔するトハ……哀れに思えマスネェ……』
「ぼくたちは姉桜を知らない。影朧になる前の白桜華さんも知らない。でも二人の気持ちは変わらないんだろう……ぼくたちは影朧を転生させることはできないけど、少しでも魂と肉体を鎮めることができるなら……できるから……手伝おう。彼女たちを」


UC【共に寝るぬいぐるみ】を使用
戦いつつも、「ありがとう」「お疲れ様」影朧になっても姉を尊敬し、影朧たちを癒し転生させようとした白桜華に感謝の意を伝え、魂を鎮めようとします。
影朧を癒し転生させたいのは同じだから歩み寄りながら決着をつけたいです。



●例ヘ仮初モ誠ナレバ
『その行為、癒さレ、救われる影朧の方は多いんデショウケド……』
 されど転生の望みもなく、倒すことも敵わず過去は過去を引き寄せ続ける。
 還らぬ過去は時を停滞させ滅びを齎す、癒しどころか世を蝕む毒。
 妹桜の仮初の癒しが齎す光にメリアは声を漸く絞り出した。
『哀れに思えマスネェ……』
「ぼくたちは姉桜を知らない。影朧になる前の白桜華さんも知らない。でも二人の気持ちは……」
 元来の姉桜はおろか、徒花と化してしまった姉桜をも知らぬ身のジード。
 されど察することは出来る。
 変わらぬ想いが彼女達に在り、そして自分達にも出来ることがあるからと、彼は決意と共に拳を握り締めた。
 例え転生に導くことは出来なくとも、彼女達を癒すことは僅かでも出来る筈だと。
「……手伝おう。彼女たちを」
「さぁいらっしゃい。私が遊んであげる。遊んでお話して、私が癒してあげる……」
 そんなジードとメリアに気付いた妹桜は微笑みながら桜咲く小枝を振るう。
 羽扇のように白桜の花弁が揺れて、仄かに甘く癒すような香りが漂う――開く桜の花は後悔を糧として咲く。
 漂う香りは彼らの決意を揺さぶりかけるも、それをジードとメリアは心を奮い立たせながら掌を掲げた。
 すると。
「まあ……!」
 顔を輝かせる妹桜の周囲に舞うは、とても柔らかなぬいぐるみの数々であった。
 人形遊びね――唇を動かし、ぬいぐるみの手を取り戯れる妹桜にただ笑って頷きながら。
 ジードとメリアは口を動かし、語りかける――ぬいぐるみ達の絶え間なく見せる優しい安らかな夢の中、妹桜の心を僅かでも救うべく。
「ぼくたちは尊敬しています。こうなってもお姉さんを尊敬し続けて、影朧を癒そうとしたあなたのことを……」
『ワタシたちが手伝いマス。せめて、少しだけデモ、休んでいってクダサイ……』
 例え彼らの齎したものが妹桜と同じ仮初の癒しであったとしても。
 それでも、例え彼女の行為が毒でしかなかったとしても――毒花となる前に、ぬいぐるみと戯れながら白桜の花開かせて笑う桜の精へと。
 そして――偽りなく、狂っていたとしても望み動いた彼女へと、偽りなきこの言葉を彼らは送る。
「『今まで、ありがとう』」

大成功 🔵​🔵​🔵​

四季乃・瑠璃
緋瑪「…悲しいね、お姉さんも似た様な事を言ってたけど…」
瑠璃「救う為の殺し、今再び果たさせて貰うよ」

【チェイン】で分身

緋瑪「貴女のお姉さんに会ったよ。お姉さんは貴女と離れ離れになった後、哀しみのあまり枯れ果て、陽朧になった」
瑠璃「貴女も同じだよ。既にその身は陽朧。真に癒す事も許しを与える事も叶わない」
緋瑪「そして、影朧になったお姉さんは既に次の世に向かった」
瑠璃「貴女も転生の時が来たよ。このまま、お姉さんのいる来世へ向かってくれないかな」

桜吹雪を調節した時限式ボムで吹き飛ばし、大量の感知式ボムによる飽和爆撃と機巧大鎌による斬撃で一気に仕留めさせて貰うよ



●空ノ彼方ヘ逃ガシテ
 双子というだけあってその言動も似るか、ある種の双子たる彼女らはまた嘗て相対した片割れの方へ想いを馳せた。
 彼女ら――二人で一人の殺人姫達に気付いた妹桜は、何処か狂ったように、されど柔らかく笑み、花を吹雪かせた。 
「……悲しいね、お姉さんも似た様な事を言ってたけど……」
「救う為の殺し、今再び果たさせて貰うよ」
 ――口の中に湧き上がる幻想の苦みに顔を歪めながら、彼女達は吹雪く白桜の花弁を掌から離した爆弾で吹き飛ばした。
 晴れ行く爆風の中、僅かに顔を悲しみに染めながらも諦めることなく影朧の本能のまま、妹桜は花を吹雪かせていく。
 意識を奪うような桜の香に危機感を覚えながらも、瑠璃と緋瑪は時を置いて爆ぜる爆弾を以て吹雪く桜花を吹き飛ばしつつ迫り。
「貴女のお姉さんに会ったよ」
「嘘……! 姉さまは、姉さまは何処……!」
 緋瑪から告げられた言葉に妹桜が驚愕を顔に浮かべながら、瑠璃の肩を掴み彼女を揺さぶる。
 その手を僅かに目を伏せ、緋瑪は静かに払いのけ――感情を押し込め、ただ事実を語る。
「お姉さんは……哀しみのあまり枯れ果て、影朧になった」
「嘘、嘘よ、嘘、嘘……!」
 ――反応は予想していた。予想していたが、口内を満たす苦みは殺人姫達の顔を歪める。
 それでも語らなければならない。
 受け入れ次なる世を迎えられるために――瑠璃は言の刃を繰り出した。
「貴女も同じだよ。既にその身は影朧。真に癒す事も許しを与える事も叶わない」
「やめてっ……!」
 認めたくないのも当たり前か。
 抗えぬ滅びを齎す本能が、殺し姫達を拒絶するように、吹雪く桜花が壁を作り出す。
 そこへ機械的に冷徹に、接触式の爆弾を投げ放ち、狂乱の抵抗による桜花を焼き払いながら彼女達は告げると、ゆっくりと大鎌を取り出し――擦れ違い様に妹桜に冷たい刃を斬り込ませた。
「そして、お姉さんは既に次の世に向かった」
「貴女も転生の時が来たよ。このまま、来世へ向かってくれないかな」
 ――交差するように刻み込んだ大鎌の刃、それが迸る鮮血が舞い散る花弁をその姉の色に染めながら。
 殺し姫達は胸を同様に刻むような痛みの湧き上がりを押し込めて、返す刃を妹桜に走らせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
辛いのも悲しいのもキミだけじゃない
だから、隣のパートナーの【手をつなぐ】
罪も後悔も一人で全部背負わせたくないために
そして一緒に目の前の影朧を救うために

きっとあなたもお姉さんと同じように自分の間違いに気づいているハズだよ
だってあなたのお姉さんもそうだったから
語りかけながら桜吹雪を【範囲攻撃】+【乱れ撃ち】で【吹き飛ばし】、ウィーリィくんの捨て身の一撃と同時に【クイックドロウ】+【スナイパー】で集中攻撃
彼女の孤独と悲しみを終わらせる

予兆がボクたちに彼女の事を教えてくれたのはきっと運命だよね
だから、この姉妹はまた一緒になれるよね
そうだよね


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
確かに、俺は酷いことをした。
それはあんたが絶対に許せない罪だ。
もちろん後悔が無い訳じゃない。
それでも、あんたの悲しみと過ちを止めたいから。
もう一度生まれ変わって姉さんと会って欲しいから。
「あんたの癒しも許しも要らない。憎んでくれてもかまわない」

敢えて俺の罪や後悔を相手に取り込ませて強化させる事でそれによって生じた隙を【見切り】、【カウンター】で【捨て身の一撃】で放った【神火の竈】で彼女を炎に包む。

「あんたの姉さんはあんたと同じ過ちを犯し、それでもあんたの事を思い続け、そして最後には微笑んでいた」
「だから、きっとまた会えるさ」
保証はないけど、それでも。



●旅立ツ貴女ヨ悲シマナイデ
 少年にとって後悔が無いと言えばそれは嘘になる。
 この妹桜が癒し、そして転生させるべきと思っていた影朧を手に掛けたこと、それは妹桜にとって決して許されざる罪なのだろう。
 それでも――前に進むことが禊なのだからと、決意を固めたその手を握り締めたものがあった。
「一人じゃないよ」
「……ああ。一人じゃ、ない」
 少年の――ウィーリィの手を握る少女シャーリーの声に頷く。
 この辛き猟兵としての義務も責任も、たった一人だけに背負わせるわけにはいかないから――そして、共に救うべきものを救う為に。
 頷いて、彼らは前へと進んでいく――手傷を負いながらも、許しと癒しを振り撒く桜の精を止めてあげる為に。
「いらっしゃい。あなたも、あなたも。それでも私は許してあげる。誰が許さなくても、私が許す……受け止めて、あげるから」
 ――猟兵の立場からすれば至極当然のこと、されど影朧にして生前の使命背負う彼女からすれば許されざる罪。されど彼女は微笑みながらその身を優しく輝かせる。
 許すと甘く響く。
 それでも、ウィーリィはそれを受け入れる訳にはいかず、大包丁の柄を握る掌は、柄の硬きに痛みを覚えた。
「あんたの癒しも許しも要らない。憎んでくれてもかまわない」
 突き付けた重厚な大包丁の、鈍色の刃が微かに揺れる程に、微笑み続ける妹桜にその感情<戦意>を向けるも。
 ただ、妹桜はふっと微笑むと、両腕を広げて――
「……眠りましょう。安らかに、安らかに……」
 その白き姿を溶け込ませて隠すかのように、莫大な白き桜の花吹雪が場を満たさんと舞い踊る。
 その刹那、飛び込んで来た無数の熱線の迸りが、それを橙色のカーテンと変えるように焼き尽くしていく。
 漂う桜花の焼ける仄かな甘美なる香に惑わされることもなく、シャーリーの突き付けるマスケット銃の口より白き煙が吐き出されていた。
「怖いのね? 大丈夫、恐れないで。私が受け止めてあげる」
 されど妹桜の攻撃の手が緩むことはなく、真白き桜の猛吹雪が二人に走っていく。
 触れる者全ての意識を奪い、眠りの中で癒す桜の精としての術法――されど相対する者の意識を刈り取る影朧の邪法となり果てたそれを、唇を噛み締めながらシャーリーは熱線を放ち焼き払う。
 白桜を赤に染めるが如き熱を割りながら、シャーリーは妹桜に語りかける。
「あなたも気付いているはずだよ。……間違ってるって」
「私は」
「お姉さんだって気付いてた」
「姉様も……?」
 生み出され続ける桜の嵐を撃ち落としながら、シャーリーは妹桜に訴える。
 嘗て相対した姉桜もまた同様に、決して報われぬ花実を続けられぬ徒花と化しながらも妹桜との再会を夢見て続けていた。
 使命を忘れていないという、哀しき偽りの癒しを。
 明らかな動揺を見せ、桜吹雪の勢いを止めた妹桜へとウィーリィは畳みかける。
 ――告げることと、その命を絶った罪とそうする他なかったという後悔で胸を痛ませながら。
「ああ。あんたの姉さんはあんたと同じ過ちを犯し、それでもあんたの事を思い続け、そして最後には微笑んでいた」
「そう……それでも……」
 止められぬ狂気は妹桜を掻き立てる。
 ウィーリィの罪と後悔を取り込みながら、己が負った傷を癒しながらその輝きを妹桜は高める。
 その闘気はウィーリィとシャーリーを、迎撃もさせぬ程に膨大な桜で飲み込まんとするべく肥大する――しかし、力を集中させたその一瞬。
 僅かな一時を狙い澄まし、ウィーリィが捨て身の勢いで大包丁を突き出し、凄まじい火炎流を解き放てばシャーリーもそれに続き銃口より無数の熱線を解き放つ。
 孤独と悲しみを終わらせる為に、ウィーリィの放つ原初の炎とシャーリーの放つ数多の熱閃が絡み合いながら、白桜の狂気の壁を紙の如く突き破り――火炎と閃光が過ぎ去った後には。
 白き衣と肌を炎に包みながら、静かに炎に焼かれる妹桜の姿が其処に在り、ただ静かに、それこそ苦悶の声一つ挙げず焼かれる姿を見ながら、シャーリーは唇を噛み締めた。
「……運命なんだよね。きっとまた、一緒になれるよね」
「会えるさ。きっと……」
 予兆が導いた逢魔が辻も、赴いたのも、きっと何かの。
 焼かれゆく身体を見守りながら、優しき救いは必ず訪れると信じて、少年と少女は涙を押し留める。
 でなければ、この世に救いはありはしない――かつて相対した姉桜の匂いと、齎された後悔の苦みを胸に刻みながら、二人は祈りを捧ぐ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加。

ああ、この子は・・ただ姉に会いたくて、純粋に癒したくて・・・それが害にしかならないのはとても悲しい。アタシも夫を失って、二度とあえない。気持ちは良く分る。・・・出来るのは、姉の所に送ってやる事だけだ。

ああ、アタシの後悔は夫を死なせてしまった事だ。攻撃は敢えて受けるよ。なるべく、【オーラ防御】【残像】で被害軽減はしておく。【衝撃波】で牽制はしとくか。子供達の攻撃で敵が吹き飛んだら近寄って、敵を抱きしめる。寂しかったよね。待ちぼうけはもうおしまいだ。姉は骸の海の向こうにいる。せめて2人がそこで会えるように。優しく頭を撫でて、想いを込めて、浄火の一撃を。


真宮・奏
【真宮家】で参加

私も、もしも母さんと瞬兄さんと別れてしまったら、この白桜の子のようにくるってしまうかもしれません。お姉さまに繋がるかもしれない手段を繰り返す気持ちも良く分ります。それが間違った手段でも。・・・でも止めねば。

まず【オーラ防御】【武器防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】で防御を固め。【狂気耐性】で攻撃を耐えながら敵の近接までダッシュ。渾身の【怪力】を込めた流星のタックルで吹き飛ばしましょう。私が成りうる可能性の子です。これ以上間違いが起こらないように、止めてあげたい。骸の海の向こうで、お姉さまに会えますように。


神城・瞬
【真宮家】で参加

・・・この白桜のお嬢さんは僕がなり得る可能性ですね。僕も、もし母さんと奏と会えなくなったら、何を仕出かすか分からない。だから、お嬢さんの気持ちも良く分ります。だからこそ、止めねばなりません。

僕の後悔は両親と故郷の人達を死なせてしまった事です。攻撃は甘んじて受けましょう。【オーラ防御】【第六感】でダメージの軽減を。そして【高速詠唱】【全力魔法】で氷晶の槍で胸を貫きます。余り痛みを感じずお姉さまの所に行けるように。長い間の待ちぼうけは寂しかったでしょう?今、終わりにしましょう。ええ、姉妹は一緒にいるのが一番です。僕と奏のように。



●優シキ世界線ニ感謝シテ
 身を包む炎が晴れ、白きその身を煤けた妹桜は、目の端から雫を輝かせていた。
 身を苛む苦痛以上に、心を引き裂く別離の悲しみと満たされぬ幾星霜もの孤独に胸を抑えながら、それでも彼女は天を仰ぐ。
「……姉様……ああ、姉様……私は、私は忘れていません……!」
 桜の枝を手に持ち、扇を持って舞うかの如く白桜の儚げなる花弁を舞い散らせ、仄かな香を放ち柔らかな輝きが逢魔が辻を包む。
 狂ったように微笑みを顔に張りつけ、偽りの癒しを振り撒き始めた姿を見た真宮家の三人は、それを
(ああ、この子は……)
(この人は……)
(このお嬢さんは……)
 ――誰が、彼女の悲しみと、この狂気を責められるというのだろうか。
 最も親しき者であった存在と、急な別離の末にそれを嘆き悲しみ失意の内に枯れ果て、二度と会えなくなった嘆きを。
 同じように夫を亡くした女がその悲しみを責められる筈もなく。
 もしも母か兄と急激に引き離されたら、同じように嘆き悲しみ狂ってしまうかもしれないという、有り得た未来を想い心を痛める娘も。
 同様に母か妹と分かれさせられれば、唯一繋がれるかもしれない手段を――例えそれが世界を蝕む毒でしかならなくとも、それを続けてしまう存在になってしまうかもしれないと思う息子も。
 誰もこの妹桜を責められない。
(だけど……)
 それでも止めなければならない。
 妹桜の想いが今も胸を痛ませる程に分かるからこそ、彼女の徒花となる行いを止めなければならない。
 決意を固めた真宮家の三人が歩みを進めていくのを見た妹桜は、柔らかな光を放ちながら三人に微笑みかけた。
「……いらっしゃい。あなたも、あなたも、そこのあなたも……」
 響、奏、瞬と三人の家族にその眼を向けながら妹桜は感じた。
 強い絆、血のつながりと、それ以上の愛に繋がった深き深き家族愛。それは今の妹桜がどれだけ手を伸ばしても手に入らないもの。故に。
「――羨ましい」
 透明な雫を頬に伝わらせながら、妹桜の本音がほろりと漏れた。
「っ……!」
 その本音を真宮家の三人が聞いてしまうことも無理からぬことであり。
 されど彼らの決意は一切も揺るぐことなく、悲しみの雫を強き決意を以て眼に留め乍ら三人は真っ直ぐに妹桜を見据える。
 故に妹桜も応えるように、柔らかな微笑みが放つ光が、彼らの罪と後悔を吸い上げるように煌めく。
 咄嗟に身体より光の障壁を迸らせ、心に決意を昂らせながらその影響を最低限に留める彼らだが、妹桜は更に振るう。
 白桜の咲き誇る小枝を――罪と後悔を吸い上げて咲き、罪過を洗い清めて咲く浄化の花咲く枝を。
 ――其れは容赦なく彼らを苛める。
 かつて母にとっての愛する夫であり、娘にとっての父を亡くしてしまった後悔を。
 悔やんでも悔やんでも、悔やみきれない胸を引き裂く狂気への誘いを。
 義息子にとっての本当の両親と故郷の人々を失わせてしまった後悔の念もまた同様に。
 甘んじて受け止める決意と覚悟を以てしても、千々に胸を引き裂く別離の悲しみは彼らの心を容赦なく蝕んでいく。
 それでも渾身の決意を以て耐え抜きながら、響の放つ衝撃波が妹桜を引かせると、奏と瞬が気合を振り絞りながら妹桜へと距離を詰めて行く。
「長い間、待ちぼうけで辛かったでしょう」
 ――どれだけの長い間、報われぬ出会いを求めて逢魔が辻の主となってしまっていったのだろう。
 それと同時に共に駆けてくれるこの妹と一緒が一番であるという幸福を噛み締めながら、彼は杖を掲げた。
 忙しなく唇が動き音も無き詠唱が紡ぎあげる、煌めく尖を瞬は真っ直ぐに妹桜に突き付ける。
「今、終わりにしましょう」
 せめて苦しまず、姉桜の許へと逝けるようにと。
 研ぎ澄まされた狙いを以て妹桜のその心臓へ、水晶の如き煌めく透き通った槍を打ち込むと。
 兄の目配せに頷いた奏が、全身より蒼く輝く闘気を迸らせる。
 抗うように揺れて舞い散る白桜の花弁を吹き飛ばしながら、駆け抜けていく様は正しく蒼く煌めく流星のように。
 ――あの子は、私が成り得る可能性の子だから。
 これ以上の間違いが起こらぬようにと、胸を今も痛みと共に犯す狂気への誘いを押し込めながら彼女は駆け抜けていく。
 ここで決めてやる為に。
 自身の強き決意と、兄が打ち込んでくれた水晶の槍という協力を得て今、奏の突撃が妹桜に叩きこまれる――!
「えいっ!!」
「きゃっ……!」
 その勢いたるや凄まじく、真宮家の罪と後悔を取り込み力を高めた筈の妹桜を容易く吹き飛ばし、数回転を経て彼女を逢魔が辻の大樹に背中から叩き付けられる。
 それは宛ら、家族の慚愧を強き意志を以て乗り越え吹き飛ばすように――胸に突き刺さる水晶の槍が叩きつけられた衝撃でより深く突き刺さり、妹桜を更に追い遣れば、彼女は血を吐き出しながら倒れ込んだ。
 後は頼んだと、全力を振り絞った息子と娘は息を荒げながら控える母に拳を掲げれば、母も応えるように頷く。
 そして彼女は妹桜まで、その歩をゆっくりと進めていき。
「う、ぅ……ぁ」
「……辛かったね」
 口から血液を吐き出し、苦しそうに呻きながら、それでも立ち上がる妹桜を優しく温かく包み込む身体があった。
 儚く消えて逝きそうな妹桜の鼓動を感じながら、母は――響は慈しみの心を以て、彼女を抱きしめていた。
 戸惑う妹桜の柔らかな白髪を、ただ母はその掌で優しく撫でる――。
「寂しかったよね。でももう、待ちぼうけは終わりだ」
 前髪の陰りに零れる雫を隠しながら母は強く強く、傷ついた妹桜を抱き締め続ける。
 どうか、この悲しき影朧に救いを。
 骸の海にいる姉桜との再会を――この痛みと罪を背負い、再会を祈る強き情熱を以て身体を離すと、微笑む妹桜に目を逸らさずに。
 決意に呼応し赤く鮮やかに輝く刃を正眼に構え、響は息子と娘が託した想いと自らの情熱を刃に籠めると。
 真っ直ぐに、彼女は、妄執を断つが如く歪んだ心を断ち切る刃を振り下ろし。
 膝を着く妹桜の頭を最後に一撫でし、母は息子と娘に歩み寄ると、二人の身体を強く抱き締めた。
「……家族は一緒にいるのが一番だよ」
「母さん……」
「……ええ、本当に……」
 兄は妹と、妹は兄と――兄妹もまた引き裂かれたくはないと。
 どうかあの妹桜もまた家族と過ごせるようにと――留めていた雫を眼より溢れさせた三人家族は、互いの体温を分け合うように身を寄せるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フレミア・レイブラッド
…偶然だけど、あの時「彼女」の血を得ていて良かったわ。
お陰でこの力が使えるもの…あの時果たしてあげられなかった後悔、今度こそ。

彼女を【念動力】で拘束し、彼女を【吸血】して血から彼女の「本来の力」(桜の精としての癒しの力)を【情報収集】し解析。
【ブラッド・オブリビオン】で「徒花の下には常に死の影が踊る」の「『姉桜』紅桜華」を召喚。
暫し、姉妹の再会の一時を見守り、その後姉桜に妹桜の説得と転生を促させるわ。

それでも尚、説得を拒むなら…仕方ないわ。
姉桜の癒しの力や【紅桜手鞠】を使い、妹桜を浄化しつつなるべく苦しまない様に眠らせるわ…。

姉桜経由での説得を受け入れて転生してくれればそれが一番なのだけどね



●紅キ魔ガ齎ス優シキ再会
 ――妹桜は文字通りの真っ白になったように力無く膝を着いていた。
 最早抵抗も無いのかもしれないが、念の為にと胸より湧きだす血を念動力の拘束で止めながら、フレミアは湧き出る血を指で拭うとそれを口に運んだ。
「少し失礼するわね……ん」
 仄かに甘く、そして――フレミアは指先を拭うと、改めて妹桜に向き直る。
「貴女に会わせたい人がいるの。……大丈夫、悪いようにはしないわ」
「……?」
 怪訝な顔をする妹桜の反応を待たず、出血を念力で止めながらフレミアは然る霊を呼び出した。
「……力を貸しなさい。骸の海から、この一時蘇り……」
 ――フレミアが骸の海より呼び出す霊は、正に妹桜が待ち望んだ紅だった。
 白桜花舞う逢魔が辻に対照的な紅桜花の花弁が鮮やかに映え、紅色の長い髪を持った桜の精が妹桜に触れた。
『白……!』
「姉様……? ああっ……姉様……ッ!」
 ――舞い散る紅白の桜が爆ぜるように広がり、今此処に出会えた姉桜と妹桜は互いの身を強く抱き締めた。
「姉様、何処に……いえ、わた、私、私ッ……!」
『……ええ。ええ、ええっ……!』
 幾星霜の時を経て出会えた双子桜の再開。
 影朧として犯した罪と狂気を嘆き、それでも互いを許し合い使命を忘れなかった双子桜の語らいが続く。
 矢継ぎ早に繰り出される話の数々を聞き取ることは出来ないが、さぞかし――さぞかし、彼女達は語らっているのだろう。
 再開の喜びを。永き空白の時を埋める喜びを。
(この分なら、何もしなくても良さそうね……)
 応じぬようであれば、妹桜から摂取した血より解析した癒しの力と、姉桜の協力を以て浄化するつもりだったが、その心配は必要ないとフレミアは確信していた。
 故に彼女はただ黙って、双子桜の再開を見守る――鮮やかな紅白の舞い散る桜の中、その甘い優しい芳香と朧灯を浴びながら、何処までも優しく。
『行きましょう』
「はい、姉様」
 やがて語らいを終え、徐々に朧灯の中にその身を塵と化していく妹桜の手を、姉桜は微笑みながら取る。
「おやすみなさい。もう離れなくていいのよ」
 その光景を見、満足そうにフレミアが微笑めば双子桜は彼女と、他の猟兵達に手を振りながら消えていく。
 残された桜の芳香と、白みだす空の端を眺めながら、フレミアは身体を伸ばしながら大きく息を吐き。
「無駄じゃなかったわね」
 あの時のやりきれない気持ちも、あの時の彼女と触れ合ったことも。
 為せなかった救いを為せた喜びに、漸く後悔を脱ぎ捨てて朝焼けを迎えるのだった。

●古都ニ咲ク華
 朝焼けが鮮やかに激戦を終えた猟兵達と、逢魔が辻の呪いから解放された雑木林を照らした。
 ここに哀しき姉妹桜の、一つの悲劇は終わりを告げたのだ。
 そして引き寄せられた影朧が悲劇を齎すことも最早無く、徒花は毒花とならずに済んだのだ。

 ――猟兵達の耳に響く、紅白の桜の精が無邪気に笑いあう声。
 かつて双子桜として咲き誇り、数多の影朧を許し癒して来世を与えてきた桜の精。
 哀しき別離の果てに齎された再会の喜びは、ここに集う猟兵の誰もが欠けてもなし得なかった。
 或る者は妹桜を許し、或る者は覚悟を以て刃を振るい、或る者は癒しを齎した。

 戦いを終えた猟兵達は雑木林を抜け出し、木々の邪魔をされぬ陽光をいっぱいに浴びていく。
 最後の最後で救われた、そして救えた影朧の安らぎを胸に、彼らはその顔に笑顔を花開かせて各々の在るべき場所へと帰って行くのだった。

●双子桜ヨ来世ハ必ズ幸福ニ
 昔々のことでした。
 あるところにそれはそれは美しい紅色の桜と、それに負けず劣らず美しい白の桜がありました。
 二本の桜からはやがて対となる優しい桜の精が生まれました。
 ――ですが、お姉さん桜と妹桜はまた会えました。
 影朧となり果てて、叶わぬ癒しで犯した罪は消えません。
 それでも二人仲良く出会えた喜びの中で、二人は生まれ変われるでしょう。
 いつの日か、今度は本当に離れ離れにならない、仲良しの双子の姉妹として、いつの日か必ず――

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月07日


挿絵イラスト