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荒野に届けるハロウィン

#アポカリプスヘル

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#アポカリプスヘル


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●グリモアベースにて
「みんな、集まってくれてありがとう」
 猟兵たちを一人一人見つめると、エリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)は大きく頷いて微笑む。そうしてこう話を切り出した。
「もうすぐハロウィンよね。みんなも準備は進んでいるのかしら?」
 戦いの息抜きに、思い思いの仮装をして楽しむのはきっと楽しいひとときで。
「ハロウィンはUDCアースだけでなく様々な世界で知られているそうよ。でも、なかなかそれをゆっくり楽しむ余裕がない世界もあるわよね……」
 オブリビオンの脅威はどの世界にもあるが、それ以前に日常を送るのですら大変な世界だってある。
「アポカリプスヘルは慢性的に食糧不足に物資不足。お祭りを楽しむ余裕はきっとないの。でも、そんな世界でたくましく生きる人たちに食糧や物資を届けるついでに少しでもお祭りを楽しんでもらえたら……素敵だと思わない?」
 猟兵ならそれができる。アポカリプスヘル全てに物資を届けることはできないが、それは励みになり、そこに暮らす人々に生きる希望を与えることになるだろう。
「みんなも知っての通り、大量の物資を届けようとすれば、オブリビオン・ストームを呼び寄せてしまうことになるわ。でも、たとえストームが発生したとしても、人的被害が及ばない場所を見つけたとしたら……この計画も可能になるのよ」
 異世界から持ち込んだ物資を集積すれば、オブリビオン・ストームが発生することはわかっている。ならばそこから現れたオブリビオンを猟兵たちで倒してしまえば付近のベースにも被害が及ぶ心配はないうえに、物資が配給できるのだ。
「あたしが見つけたのは、今は無人のかつて研究所だった場所。オブリビオン・ストームによって世界が破壊される前には、高度な研究施設だったみたい。この近くには今は荒野が広がるばかりだから、現れたオブリビオンを討つにはうってつけよ」
 それにね、とエリシャは付け加える。
「研究所は今は廃墟と化して、壁や扉は崩壊しているから中に入ることができるの。ベースに持っていける貴重な物資があるかもしれないわ。以前は完璧なセキュリティを誇っていたそうだから、未だにその機能を持ってるみたいだけど……みんななら大丈夫よね」
 未知の施設ではあるが、そのセキュリティに保護され、まだ他の奪還者も中に入っていないようだ。きっと貴重な資源や物資が眠っているに違いない。
「ハロウィンに必要そうなかぼちゃとか食料品や物資はみんなで準備して持っていくけど、それ以外のものもあればもっと喜ばれるだろうし……探索の方も頑張ってね」
 物資が揃えば、じきにオブリビオン・ストームが発生する。そこに現れたオブリビオンを討ち、周辺のベースへ食糧や物資を運び、猟兵たちでハロウィンのお祭りを開催し、住人たちにも楽しんでもらうのだ。
「この世界に住む人たちにもハロウィンを楽しんでもらえるように……どうかよろしくお願いするわね」
 そう言ってエリシャは猟兵たちを送り出すのだった。


湊ゆうき
 こんにちは。湊ゆうきです。
 ハロウィンも近づいてまいりましたので、わくわくしながらそんな感じのシナリオをお送りします。

●第一章【冒険】
 ハロウィンのお祭りに必要な物資はそれぞれ持ってきてもらいます。こんなのを用意する、と指定してくださってもいいです。せっかくなので、他にも使えそうなものをベースに届けましょう。
 かつて研究所だった廃墟となった施設を探索してもらいます。時折外敵を排除するセキュリティが起動するようなので、回避や対処をお願いします。特に引っかからなかったとかでもいいです。見つけるものもその施設にありそうなものなら何でも構いません。ベースの人々に喜ばれそうなもの、ハロウィンに使えそうなものなどなど。

●第二章【集団戦】
 物資を持ち込んだことにより発生したオブリビオン・ストームから現れるオブリビオンの群れと戦います。それほど強力ではありませんが、数が多いので素早く撃破してください。

●第三章【日常】
 近くのベースに物資を届けます。日々暮らすので精一杯な人々にもハロウィンのお祭りを楽しんでもらいましょう。持ち込んだ物資で飾り付けたり、仮装の衣装や小道具を作ったり。かぼちゃの料理を振舞ったり、子供たちにお菓子を配ったり。自由にお祭りを盛り上げてください。
 お声掛けがあった場合のみエリシャもご一緒させていただきます。届けた食材を使って料理をしようと思っているようです。

 ご参加は途中からでも一章のみでも大歓迎です。
 プレイングは10/10(土)8時半以降から受付いたします。
 それでは、皆様のご参加お待ちしております!
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第1章 冒険 『かつて研究所だった場所』

POW   :    壁や扉などの罠を力任せに破壊し調べていく

SPD   :    少しばかり弄ってやればこんな罠など余裕で解除

WIZ   :    なにも真正面から進むだけが能じゃないよ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

逆傘・からかさ
「ハロウィンかい、 いいわねぇ。 化かし化かされ化かしあい唐笠お化けとしてはこれ以上楽しそうなお祭りもないねぇ」
「それを助けるのなら、あたしも力を貸そうじゃないか」 という意気込みで参加します
ハロウィンに関しては、基礎知識はあるもののお菓子よりもお酒な性格の為にお酒でいいかな? と思いお酒を用意します。

研究所探索には
「壁や扉などの罠を力任せに破壊し調べていく(POW)」に挑戦します。
 ユーベルコード「剣刃一閃」を使い、扉や罠などを一刀両断しながら進みます。
時折、液体の入ったタンクやドラム缶を見つけてはお酒かな?と思いつつ確保していきます。逆に精密機械や重火器などの機械類は詳しい仲間に任せます。


小雉子・吉備
〈所持物資〉
南瓜にチョコ、きびだんごの材料
調味料やお菓子に必要な材料一式
調理器具一式かなっ?

〈POW〉
キビや〔なまり〕ちゃんや〔ひいろ〕ちゃんの【第六感】だよりに怪しい所調べ尽くし、扉や壁や罠の破壊も

その前に【オーラ防御&激痛耐性&結界術】で備え

〔九頭雉鶏精メダル〕を併用しUC発動、この世界の人達に一時でもお祭りを

ひいては皆を守る為っ!

このUCだとテクター(さとみ候補生様の真の姿)の本領じゃないけど
この件ならこれで充分

【怪力】と腕の【残像】と【グラップル】の併用で世紀末アニメみたいに殴り

〔なまり〕ちゃんや〔ひいろ〕ちゃんに
【動物使い】で対応したカードの指示も併用を

〈アドリブ掛け合い絡み大歓迎〉



●妖怪たちのハロウィン
「ハロウィンかい、いいわねぇ」
 アポカリプスヘルの荒野に、異世界から次々と物資が運ばれてくる。ハロウィンに欠かせないかぼちゃをはじめとした食材や、お菓子類、仮装にも使えそうな衣類などが積み上げられていく様を見て、逆傘・からかさ(唐笠お化けの剣豪・f30188)は目を細めた。
「化かし化かされ化かしあい……唐笠お化けとしては、これ以上楽しそうなお祭りもないねぇ」
 この荒野に不釣り合いにも思える和装という装いに和傘を持ったどこかミステリアスな雰囲気を漂わせている女性は、自身を唐笠お化けと謳う東方妖怪だ。お化けの仮装をするというこの催しに興味も抱いたが、それがこの地の支援に繋がるなら手伝わない手はない。
「それを助けるのなら、あたしも力を貸そうじゃないか」
 からかさが支援物資にと用意していたお酒を、かつて研究所の駐車場であったのだろう広い敷地に運んでいると、同じようにせっせと荷物を運ぶ猟兵が目に入った。
「ひいろちゃん、チョコはそっちに置いてくれる? なまりちゃんもありがとう」
 雉の妖怪――雉鶏精の小雉子・吉備(名も無き雉鶏精・f28322)は、箱に詰められた物資を器用に運ぶ赤い猿【ひいろ】に声をかけ、かごに入った調味料を口にくわえて運ぶ青色の狛犬【なまり】の頭を優しく撫でる。
「おや、どうやらお仲間のようだねえ」
 言葉をかけながらこちらに近づいてくるからかさに気づいた吉備が会釈をし、二人はお互い名乗り合う。妖怪にとってはやはりハロウィンというものは気になるイベントのようだ。
「それはなんだい?」
 たくさんの物資を積み上げていく吉備の手元に、食材でないものを見つけ、からかさは興味を持って問いかける。
「これは調理器具一式だね。きびだんごの材料もあるんだよ」
「ほう、手作りとはいいねえ。あたしはお菓子よりお酒な性格なもんでね」
 言って持参した酒瓶を見せてにっこりと笑んで見せる。
「うん、いろんなものがあった方が喜ばれるんじゃないかな。……っと、じゃあ、あそこにも何かいいものがないか探してこないとね」
 吉備が指差したのは、巨大な研究所。オブリビオン・ストームによって世界が破壊される前には高度な研究施設だったのだという。万全のセキュリティを誇っていたが故、その機能が完全に失われることなく、奪還者の侵入を阻んでいたようで、中にはきっといろいろな物資が眠っているに違いない。
「お宝探しってやつだね」
「罠とかもあるみたいだし……はい、からかさちゃんにも」
 吉備が自身と仲間たちにオーラ防御を施して未知なるトラップに備えると、【九頭雉鶏精メダル】を取り出す。
「この世界の人達に一時でもお祭りを……ひいては皆を守る為っ!」
 正義の誓いを立てた力強い言葉と共に魔方陣が展開され、そこから赤い鎧が現れると――吉備は九頭雉鶏精テクターを纏った真の姿へと変化する。
「おや、頼もしいねえ。あたしも剣の腕には覚えがあるからね。障害物は遠慮なく斬り捨てていくよ」
 罠を回避するよりも破壊していく作戦で一致した二人は、崩れかけた壁を人が入れるくらいの大きさまで広げると、潜入を開始した。

「なまりちゃん、そっちだね」
 広い研究施設の中を、動物たちの持つ第六感を頼りに進んでいく。パスワードを入れなければ入れない部屋もあったが、そこは力技だ。からかさが手にした業物が一閃すると、分厚い扉が真っ二つに切断される。扉を破壊したことで発動した罠も、ひいろが格闘の身のこなしで落下物を蹴飛ばし、皆を守る。
「これはお酒かな?」
 先を進んでいった部屋で見つけた瓶に入った液体は、ラベルが滲んでよくわからないが。からかさが蓋を開けてみるとアルコールの匂いがした。
「お酒というより消毒薬かな? ほら、あそこに包帯とかガーゼもあるよ」
「あら、残念。でもこれはこれで必要かもねえ」
 きっとこの世界では貴重な物資だと、使えそうなものを回収する。
 派手に破壊して通過したせいか、戻る途中にも何度か罠が発動し、天井から怪しげな液体が降り注いできたときには、からかさが傘を開いて直撃を防いだ。
「ありがとう、からかさちゃん……って、あれ行き止まりになってる……」
 来た道を戻ってきただけのはずなのに、途中に分厚い鉄の扉が出現して、道を塞いでいた。
「ここは任せて!」
 吉備は鎧の下のスカートを翻らせ駆け寄ると、怪力を駆使して鉄の扉を目にも止まらぬ速さで殴りつけた。あっという間に鉄はボコボコにへこみ、最後に仕上げとばかりにビームカードを取り出す。
「なまりちゃん、いくよ? 目標補足……『虹色幾何学ナマリスパーク』撃てぇーっ!」
 吉備の指示に従い、なまりから虹色のレーザービームブレスが放たれる。七色のビームは幾何学模様を描きながら鉄の扉へと突き刺さり、ついに鉄壁の扉に穴をあける。穴だらけになった扉をからかさの刃が一薙ぎし、切断すれば道は開かれる。
「機械類はとんとわからないからねえ」
 何かしら罠を回避する術もあったのかもしれないが、あいにくハイテクや機械には疎くて。
 それでも充分な成果を上げた二人と二頭は、物資を手に引き上げるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

榎木・葵桜
どの世界でだって、ハロウィンを楽しむ権利はあるよね!
私もお手伝いするよ!

持っていくのはじゃがいもとかぼちゃ!
小さな包みに入ったキャンディとチョコレートをたくさん!

ちょっと多いけど
オブリビオン・ストームありきで行くなら
どうにかなるかな?

物資は、UCで巨大田中さんに背負ってもらって運んでもらうんだ
私は肩に乗って移動する

あと研究施設散策でゲットするよ
白衣とかあったら
アレンジして仮装衣装に使えそうだよね

施設散策は
天井壊れてるとことか中心に散策するよ
セキュリティは…[第六感]でいい感じに回避できたらって思うけど
万一作動したら田中さんの巨大化パンチで物理的に壊して止めてみようかな
ダメそうならその時考える!



●当たり前の楽しみを
「どの世界でだって、ハロウィンを楽しむ権利はあるよね!」
 オブリビオン・ストームによって人類の大半が死滅した世界。栄えた文明は破壊され、交通や通信インフラは完全に分断された。孤立した集落に拠点を築いては、禁忌の技術を使ってでも生き延びようとする人々が逞しく生きるこのアポカリプスヘル。
 生きるのに必死かもしれない。でもだからこそ、季節のお祭りを楽しんで欲しくて。
「私もお手伝いするよ!」
 荒野の先にあるであろうベースの方を見つめ、榎木・葵桜(桜舞・f06218)は力強く宣言した。
「田中さん、この荷物を待っている人たちがいるから、ちょっと多いけど、あとで運搬よろしくね」
 ユーベルコードで召喚した古代の戦士の霊・田中さんにそう語り掛けると、こくりと静かに頷きが返ってきて。
 葵桜が用意したのは、じゃがいもやかぼちゃといったしっかりとお腹を満たしてくれる野菜たち。田中さんがいるからとたくさん用意したのだが、他の猟兵たちによっても荷物はどんどん運ばれてきているし、オブリビオン・ストームの発生を今更警戒する必要もないのなら多くてもいいかと考えたのだ。
「え、こっち? こっちはね、キャンディやチョコレートだよ!」
 田中さんが軽い方の箱を持ち上げては首を傾げたので葵桜は中を見せて笑みを浮かべる。
「ハロウィンにはお菓子がなくちゃね」
 小さな包みに入ったお菓子たちを大切に箱にしまうと、田中さんと一緒に物資を集積する場所へと運んでいく。
「よーし、じゃあ研究施設散策で、他にもいいものゲットだよ!」
 葵桜は巨大化した田中さんの肩に乗せてもらうと、付近を見渡す。大きな研究所だ。他の猟兵たちも手分けして探しているから、さてどこから入ろうかと考えていると、研究所のすぐそばにこれまた大きな倉庫のようなものがあるのが目に入った。これなら巨大化した田中さんが入っても狭くなさそうだ。
「よーし、田中さん、あの倉庫を探索するよ!」
 田中さんはやはり無言で頷くと、葵桜を肩に乗せてはそちらへと移動した。

 倉庫の屋根に穴が開いている箇所から中を覗くと、大きな機械類が置いているのが目に入った。工場のような場所で何かを作っていたのだろうか。田中さんが通れるほどの穴が開いている場所から中に侵入する。
 ところどころに監視カメラのようなものがあるが、特に動く様子もないので今のところ大丈夫そうだった。
「ここは更衣室かな?」
 入り口近くの部屋にロッカーのようなものが置いてある。そこには作業着や白衣などもあって。
「これはアレンジして仮装衣装にも使えそうだよね」
 もうここで誰かが使うことのない衣類を活用させてもらう。他には救護室か仮眠室のような部屋があり、そこでシーツや毛布など使えそうなものを回収する。
「何の工場だったのかな?」
 部屋を出て、田中さんに荷物を渡すと葵桜は辺りを見回し呟いた。研究所の隣にある工場なら薬品などを作っていたのだろうか。
 と、監視カメラのランプが不意に光った気がした。次の瞬間こちらに迫る何かを葵桜は身を翻らせとっさに避ける。
 床には派手な色の塗料が広がっていた。おそらく防犯用カラーボールのようなものだろう。
「怪我はなくても、これ服に付いたら泣きたくなるよね……」
 葵桜の言葉に頷くと、田中さんは天井を指差した。監視カメラと連動して作動するようになっているようだ。
「他の人が被害に遭ってもいけないし、ここは物理で……田中さんお願い!」
 その言葉を待っていたように、巨大化した田中さんの拳が監視カメラを次々と破壊していく。
 きっとまた別の奪還者たちがいつかここを訪れるだろう。その時のために不必要なセキュリティ機能は排除しておくのだ。
 必要な物資を田中さんと共に運びながら、葵桜は倉庫をあとにした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パラス・アテナ
この世界にも縁があるもんだ

研究所についたらエライアを召喚
仕事だよ
この研究所のトラップを解除して
使えそうな物資を探索しといで

「りょーかいばーちゃ…違ったボス!いくよみんなー!」
「おー!」
明るく駆け出す梟たちを見送ってしばし待機
やがて見つけた物資のところへ行く
倉庫にあったのは抗生物質に消毒薬等の医療器具
なかなかの成果にエライアの頭を撫でる
抗生物質一本で助かる命ってのはあるからね
よくやった

机からは大量の飴や菓子が
これを食べながら仕事してたんだろうね
悪いが有り難く貰ってくよ
ここの物資は命を継ぐ糧となる
それで良いにしとくれ

セキュリティは解除コードを設定して戻しておく
街の連中がまたゆっくり探索すればいいさ



●希望のために
 オブリビオン・ストームによって破壊された荒れ果てた大地。それでもなんとか作物を耕し、生き抜こうとする人々がいる世界。 
「この世界にも縁があるもんだ」
 遠くを見晴るかし、パラス・アテナ(都市防衛の死神・f10709)は誰にともなく呟いた。
 何度も予知で見た街は、おそらくここからは遠いのだろうが、やはりこの世界であることには変わらない。オブリビオン・ストームによって世界は切り裂かれ、破壊されたものがオブリビオン化する世界。何が正しいのかもわからなくなりそうなそんな世界で生きる人々へ、猟兵としてできることをするまでだ。
 巨大な研究所のそばの開けた場所に持ってきた物資を積み上げると、パラスはユーベルコードで私設諜報部隊ククヴァヤを呼び出す。
「仕事だよ」
 呼び出された諜報部隊は、パラスの孫の亡霊と、彼が勧誘した少年少女探偵団の霊たちで構成されている。黒髪くせ毛の少年――エライアは、大好きな祖母の呼び出しにびしっと敬礼してみせた。
「りょーかいばーちゃ……違ったボス!」
 これは仕事だ任務だと、きりりと顔を引き締めてから返事すると、エライアは辺りを見回した。
「この研究所のトラップを解除して、使えそうな物資を探索しといで」
「これは探索し甲斐がありそうだね。いくよみんなー!」
「おー!」
 賑やかに駆け出していく梟たちを見送って、パラスはしばしその場で待機する。パラスが自ら出ていったって構わないのだが、こういった調査は彼らにはうってつけだ。役に立ちたくてうずうずしているだろうから、その点でもちょうどよかった。
 しばらくすると、探索を終えたエライアたちが帰ってきた。
「ボス、トラップは発動させて無効にして、研究所内を探索し、貴重な物資を発見しました!」
 背筋を伸ばして大きな声で真面目な顔で報告するエライアだが、内心褒めてほしいのだろう。期待に満ちた瞳がそれを物語っていた。
「どれ、成果を確認しようかね」
 梟たちが物資を見つけたという場所へと向かう。侵入者を阻む罠は霊である少年少女たちには確かに効果はない。
「罠は一度だけ発動するとも限らないから、可能ならそれごと破壊するのも有効だよ」
 怪しげな溶剤が床に飛び散っているのを確認し、その出所を探って特定してはパラスは銃で撃ち抜いた。
 最終的に辿り着いたのは倉庫のような場所だった。薬や医療器具が棚に並んでいるのを見て、ようやくパラスはエライアの頭を撫でた。
「抗生物質一本で助かる命ってのはあるからね……よくやった」
 なかなかの成果だよ、と言われたエライアの顔がぱっと輝く。年相応の表情で喜びを露にした少年は、祖母の役に立てて本当に嬉しいのだろう。
 倉庫の隣には事務所のような部屋があり、事務作業をするようなデスクがずらりと並んでいた。
「わ、引き出しの中にお菓子がある!」
 エライアの声に少年少女たちがどれどれと次々に机の引き出しを開けると、飴や個包装されたチョコやラムネなどの菓子がたくさん出てきた。
「これを食べながら仕事してたんだろうね」
 パラスが少し口元を緩めてそう呟くと、かつてここで働いていた者たちへと向けて言葉を紡ぐ。
「悪いが有り難く貰ってくよ。ここの物資は命を継ぐ糧となる……それで良いにしとくれ」
 何の研究をしていたかはわからないが、おそらく人々の生活を向上させるためだったのだろう。ならばきっとその意志は受け継がれる。
 エライアと少年少女たちが持てる限りの物資を手にして引き上げると、パラスは最後に残った一仕事に手を付ける。数々の戦場を渡り歩いてきた経験と第六感でセキュリティを管理していると思しき場所を探り当てる。解除コードはおそらく……。
「街の連中がまたゆっくり探索すればいいさ」
 広い施設だ。この設定もどの範囲まで有効かはわからないが、とっかかりさえあればまた有能な奪還者たちが物資を得る助けになるだろう。
 もちろん、農作物が豊かに実り、物資が人々に十分に行きわたる、そんな世界になるのが一番だけれども。
 確保した貴重な物資をせっせと荷物にまとめる梟たちを見ながら、パラスはそんなことを思うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シビラ・レーヴェンス
露(f19223)と。
施設の入り口前で【小さい援軍】を召喚し協力要請する。
彼女達への指示は物資の発見と保護機能の有無の調査だ。
「特に物資の方を調べて貰いたい。早速だが頼む」
3人で一組で施設内部に入ってじっくりと調べて貰う。
安全第一と何かあったら私の元へ戻るよう指示する。
「露…。指でつついたり抱き上げないでやってくれ…」

私は露と施設内を調べてみよう。さてどこへ行こうか。
できれば施設内の地図が欲しいところだが…難しいかな。
とりあえず一階か…あるならば地下へ進もう。
地下は備品などの保管場所になっていることが多いと思う。
一階は特に理由はない。なんとなくそう考えただけだ。
「戦闘は君に任せる。頼んだ」


神坂・露
レーちゃん(f14377)と。
わぁ♪また逢えたわ。ちまレーちゃん達に。
あのねあのね。あたし命名なんだけどね。
戦闘用のデフォルメさん達は『ちび』さんで。
この子達は『ちま』さんなの♪可愛いでしょ?
ってちまさんと遊んでいたら怒られちゃった。

レーちゃんと二人で施設の中を探索たんさく。
時々戻ってくるちまさん達の情報聞きながら調べる。
この子達ってお話しできるのね。知らなかったわ。
仕草が一々かわいいわ♪きゅってしたくなっちゃう♪
レーちゃんに注意されるけど仕方がないわよ。
だって表情豊かですっごく可愛いんだもん。

うん!戦いは任せて。新技幾つもつくったの♪
今回は【蒼光『月雫』】を使うわ。
これなら周り壊さないから♪



●愛らしい援軍
 準備した物資を運びながら、シビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)は、この荒れた大地を見つめた。自身も極寒の地で生まれ育った身だ。食糧が豊富にあったわけではない。だからこそ物資の大切さはわかっている。
 中には有用な物資が眠っているという研究所の前で、シビラはユーベルコードを用い、【小さい援軍】を召喚する。シビラと同じ顔をした黒ヴェールを被った少女が八十数体。どれも手のひらに乗る愛らしいサイズだ。
「わぁ♪ また逢えたわ。ちまレーちゃん達に」
 召喚された小さなシビラを見て、神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)は瞳を輝かせる。シビラのことも大好きだが、シビラとそっくりの手乗りシビラが可愛くないわけがない。
「ちま……?」
 露が呼ぶその名に怪訝な表情を見せたシビラだが、露は全く気にした様子もなく、むしろ誇らしげにこう告げた。
「あのねあのね。あたし命名なんだけどね。戦闘用のデフォルメさん達は『ちび』さんで。この子達は『ちま』さんなの♪ 可愛いでしょ?」
 シビラが召喚するのはこの手乗りシビラ以外にも、シビラに似た戦闘用デフォルメ人形がいる。その人形たちも露はそれはもうとても可愛がっているのだが、この手乗りサイズのシビラを『ちま』と呼ぶのは、愛らしい語感と共にとてもぴったりなネーミングだと思ったのだが。
「呼び名について私が何か言うことはないが……」
 反対したところできっとその呼び方を変えるつもりはないのだろうしと内心思いながら。
「それより露……。指でつついたり抱き上げないでやってくれ……」
 あまりの可愛さに小さな体をつんつんしたり、抱き上げてぎゅっとしたりしていた露は、えへへとごまかすように笑ってから、そっとちまレーちゃんを地面に下ろす。
「えへへ、可愛くってつい。お仕事いってらっしゃーい♪」
 ちまレーちゃんこと小さな援軍たちは、三人一組となって行動を開始する。シビラが与えた指示内容は研究所内にある物資の発見と、未だ機能している可能性のあるセキュリティの有無だ。
「特に物資の方を調べて貰いたい。早速だが頼む」
 もちろん安全第一で、何かあればすぐにシビラの元に戻るようにということも忘れずに。
「これだけ広いと当てもなく探せば時間を浪費してしまう」
 ちまたちにどこに何があるかを調べてもらいながらも、シビラと露はそれぞれ施設内を探索することにした。おそらく入り口だったであろう建物正面の扉は固く閉ざされていたが、その横の壁は穴が開いていた。小柄な二人はなんなくそこから侵入し、さてどこから探索しようかと思案する。
「さてどこへ行こうか」
「レーちゃん、簡単な見取り図があるわ~」
 露が指差した先には壁に施設内部を記した見取り図があった。
「ほう……地下もあるのか」
「地下に何かあるの?」
 露の質問にシビラは頷いて答える。
「地下は備品などの保管場所になっていることが多いと思う」
「さすがレーちゃんは物知りなのね♪」
 そうこうしている間にちまたちが順番に続々と帰ってきた。
「……なるほど、そうか。露、やはり地下に行こう」
 報告を確認し、露を振り返ったが、そこにはちまたちを労うように抱きしめる露の姿が。
「この子達ってお話しできるのね。知らなかったわ」
 シビラに報告する際も身振り手振りを交え、一生懸命なところが愛らしくて。
「仕草が一々かわいいわ♪ きゅってしたくなっちゃう♪」
「露、さっきも言ったはずだが……」
 その言葉にちょっとばつが悪そうな顔をした露だが、言い訳するように頬を膨らませる。
「だって表情豊かですっごく可愛いんだもん」
 ちまたちによると、一階は他の猟兵たちが探索済みの場所もあるようで、地下はまだ誰も足を踏み入れておらず、食糧などの備蓄もあるとのことだった。
 二人は地下へと向かうと、確かにそこには保存のきく食糧や飲料水などが備蓄されていた。
「ちまレーちゃんたちも運んでくれるの? ふふっ、かわいいー♪」
 手乗りサイズの小ささだが、何人かで一緒に物資を運んでいく様はとても健気で愛らしくて。
 順調に物資を確保していくが、ここは高度なセキュリティに保護された施設。物資を運んだことによって、防犯装置が作動したらしく、物音がした後に貯蔵庫の奥から何かの影が現れた。
 それはこの世界では珍しくない機械化動物。オブリビオン・ストームに世界を破壊される前からこの研究所ではこうしたものを作っていたのだろうか。
 豹のような姿をした機械化動物は、獲物を狙うかのようにこちらの隙を伺っている。
「戦闘は君に任せる。頼んだ」
 小さい援軍たちに戦闘力はない。彼女たちを守るように立つシビラの言葉に、露は大きく頷いた。
「うん! 戦いは任せて」
 新しい技も幾つもつくったの、と言う露は辺りを見回す。壊れやすそうなものもあるが、この技なら辺りを壊すこともない。
「闇に散れ~♪」
 蒼い光が月の雫のように輝けば、幾何学模様を描いた数百もの蒼白い棘が複雑に飛翔し、機械化動物へと迫り突き刺さる。
「えへへ、頑張ったから、ちょっとぐらいいいわよね?」
 機械化動物が動きを止めたことを確認すると、露はちまレーちゃんの一人をそっと抱き上げる。
「全く……何度言っても……」
 もはや言っても無駄だと諦めたシビラは、深い深いため息をこぼすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

吉備・狐珀
他の人も持っていくと思いますけど、ハロウィンですし、南瓜は幾つあっても構いませんよね。
ウカ、この小ぶりな坊ちゃん南瓜をできるだけ沢山運びたいので馬に姿を変えて運んで貰えますか?
他にも干し野菜や干し肉、魚の干物を真空パックにして持っていきましょうか。
これなら日持ちもするし置き場所も選ばないでしょう。
ウケ、貴方は研究所を安全に探索するため結界をお願いします。

ここは何の研究所だったのでしょう?
使える薬品類があれば医術の心得もありますし調剤するのですけれど…。

他にも使えそうなものがあれば持ち出すとしましょうか。
安全な道順を確保したらウケ、貴方も馬に姿を変えてウカのお手伝いをお願いしますね。


フローライト・ルチレイテッド
アドリブ連携歓迎でーす。
WIZ分野でいきましょー。
あと馬力がそんなにないので台車持ち込みです。

【聞き耳】と【野生の勘】を駆使して周囲の【情報収集】をしながら探索していきましょー。
暗いなら【暗視】で見通したり、光ったりして視界を確保。
罠とかを見つけたら、もとの【地形を】うまく【利用】して回避したり、
【パフォーマンス】で培った身軽さとかでかわしつつ、
物理破壊系UCでドーンして壊します。

物資は主に他の何かとかに作り変えられそうな類の資材を。
食べ物とかは他の人にオマカセで。
芸能部門の人らしく、エンタメ方面に使えそうな物を中心に。
楽しみは必要だと思うのでー。
ある程度集めたら指定UCを起動、運搬します。



●安心と潤いを届けるため
「ハロウィンですし、南瓜は幾つあっても構いませんよね」
 続々と積み上げられていく異世界からの物資の山。そこにはやはりハロウィンということでかぼちゃがたくさん積まれていたのだが、いくらあっても困るということはないだろう。
 吉備・狐珀(狐像のヤドリガミ・f17210)は、小ぶりの坊ちゃん南瓜を用意しては、来るべきお祭りに思いを馳せた。この荒れた大地に住む人々に食糧と共に楽しい時間を届けるのだ。
「ウカ、できるだけ沢山運びたいので、あとで馬に姿を変えて運んで貰えますか?」
 眷属である黒い狐の【ウカ】は、普段は狐珀を戦闘時においても補助してくれる頼りになる存在。だがこうして戦闘以外でも姿を変えることのできる能力を活かし、役に立ってくれる。
 その他にも狐珀は干し野菜や干し肉、魚の干物など日持ちのするものを真空パックにして準備していた。置き場所も選ばない保存食はきっとどこでも重宝されることだろう。
 狐珀が準備した荷物を積んでいるそばに、台車でせっせと物資を運ぶ仲間がいた。銀色の髪から覗く獣の耳とユニコーンのような角はキマイラの証。フローライト・ルチレイテッド(重なり合う音の色・f02666)は、細腕で一生懸命荷物を運んでいた。
「わあ、かぼちゃに日持ちのする食糧。いいですね!」
 狐珀が積んでいた荷物を見て、フローライトはにっこりと微笑む。
「僕は楽しめるものがいいかと思って、そこの研究所で使えるものはないか探そうかと思っていて」
「ちょうど私も今から行こうと思っていたんです。ウケ、貴方は研究所を安全に探索するため結界をお願いします」
 ならばと狐珀は今度は白い狐の眷属【ウケ】に結界を張ってもらい安全を確保する。
「わ、ありがとうございまーす!」
 二人は研究所の中に一緒に足を踏み入れる。既に他の猟兵たちも探索済みとあって中に入るのは容易だった。
「ここは何の研究所だったのでしょう?」
「かなり大きな施設ですよねー。研究と言えば、薬を作ったりとかそういう印象はありますが……」
 フローライトは獣の耳をぴんと立て、少しの物音も逃さないというように周囲の様子を探っていく。無人の場所だとしても、以前は完璧なセキュリティを誇っていたのなら、何かが勝手に動き出してもおかしくない。
 薄暗いが真っ暗ではない道を暗視で見通し、ひとつひとつ部屋を確認していく。
「薬があるといいですね。きっとこの世界では貴重でしょうし」
 そのまま使える薬でなくてもいい。薬草などの材料だけでもあればと狐珀は思うのだ。
「使える薬品類があれば医術の心得もありますし調剤するのですけれど……」
「ん? あれは……」
 暗がりでも目の利くフローライトが、とある部屋で何かを見つける。そこには植物や昆虫の標本が、瓶に詰められずらりと並べられていた。
「この中になら使えそうなものもありそうですね」
 狐珀が並んだ瓶から使えそうなものを吟味する間、フローライトは何かに作り変えられそうな資材を探していた。生きることに必死な人々にもきっと心に潤いは必要で。愛用のギターを奏で、歌とパフォーマンスを届けるフローライトらしい視点だった。
 たとえばこの木片一つにしても、作り変えればカスタネットになる。金属の棒だって、曲げれば即席のトライアングルになる。子供たちが遊ぶにはぴったりだ。
 それぞれ有用な物資を見繕うと、フローライトはユーベルコードで巨大スピーカー付き飛行ステージを召喚する。それは人と物資を運ぶには十分な大きさだった。
「ここに乗せてください。これなら安全に運べますから」
 狐珀が集めた薬の材料になりそうなものと、フローライトが見つけた使えそうな資材を乗せたところで、異変が起きた。この部屋から物を動かしたことでセキュリティが作動したのだろうか。短い警告音のあと、部屋に怪しげなガスが充満する。
「おっと、急ぎましょう!」
 フローライトは狐珀に手を差し伸べ、一緒に飛行ステージに乗ってもらうと、急ぎ部屋を脱出する。ガスが二人へと忍び寄る前になんとか物資ごと部屋を後にすることができた。
「Ride on! 音に乗れ! スポット! 照らせ!」
 フローライトが口ずさむ歌はマイクを通してスピーカーから大きな音となり響いていく。
「Clapping! 打ち鳴らせ! 愛と夢を乗せて♪」
「届けましょう……この荒野に暮らす人々の元へ」
 人々の生活を見守ってきた狐像のヤドリガミらしく狐珀はそう呟いた。
 オブリビオン・ストームから現れるオブリビオンを倒し、安全な道を確保したならば、ウカとウケにも馬となり運搬を手伝ってもらおう。
 飛行ステージが研究所を出て、荷物を積み上げている場所へと戻ると、遠くから暗黒の竜巻がこちらに迫ってくるのが見えた。
 オブリビオン・ストームだ。
 この荷物を必要とする人たちに届けるのだ。彼らにもハロウィンというお祭りを楽しんでもらうために。
 二人は頷きあうと、他の仲間たちと共に黒い竜巻に向かって駆け出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『グラトニーアント』

POW   :    異常発達した大アゴ
【鉄筋コンクリートをも噛み砕く大アゴ】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    超濃縮蟻酸
【頭】を向けた対象に、【体内で作り出された蟻酸を吐きつける事】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    巨大アリの大軍
【フェロモンを周囲に撒き散らす事で仲間たち】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


※連絡事項※
第二章のプレイング受付は、導入文挿入後、10/17(土)8時半からを予定しています。
●満たされぬものたちの進軍
 荒野に現れた黒い竜巻――オブリビオン・ストーム。それは異世界から多量の物資を運んだことにより呼び寄せられたもの。
 だがここには巻き込まれる人や建物もない。ならば猟兵たちがオブリビオン・ストームから現れたオブリビオンを全て倒してしまえば何の問題ない。
 黒い竜巻から現れたのは、アリだ。ただのアリではない。オブリビオン・ストームの影響で異常進化を遂げた中型犬ほどもある巨大アリ。異常発達した顎は鉄筋コンクリートさえも噛み砕く強靭さ。体内には濃縮された強力な酸を蓄えている。
 そのアリたちが群れをなして物資の集積場所を目指してやってくる。
 絶えず満たされない飢えに苛まれているアリたちは、そこに食糧があることを本能的に察知したのだろう。
 巨大アリの大群が全てを喰らい尽くそうとこちらへと向かっていた――。
蒼・霓虹
チーム名〔蛟〕

まさか吉備ちゃんが猟兵になってしまわれるなんて……保護者として心配で再びこの道を志す事になりましたが

準備にだいぶ手間取りましたね
ですがリハビリも兼ねて

彩虹さん行きましょうか。

〔WlZ〕
保護者として前に出たいですが、わたしも駆け出しも当然ですから、吉備ちゃんを援護する形で

【オーラ防御&激痛耐性】で備え〔彩虹(戦車)〕で【操縦】し【悪路走法&推進移動】で駆け敵の攻撃を【第六感】で【見切り】り【高速詠唱&早業】で〔茶柱「ハッピーディトラップ」〕を【範囲攻撃】で【レーザー射撃】と一緒にばら蒔きつつ

UCの詠唱を【多重詠唱&魔力溜め】で準備しUCを【範囲攻撃】で

〔アドリブ絡み掛け合い大歓迎〕


小雉子・吉備
チーム名〔蛟〕

ちょっ!?竜神さまっ!?と言うか同僚になるなら、名前で読んだ方が良いよね
って、こんな事聞いてない上に無茶極まりない事しちゃって

なってしまったから仕方ないけど、無理は厳禁だからね、霓虹ちゃん。

〔WlZ〕
【早業】でUC発動、九頭雉鶏精テクターの本領発揮だよっ!

【オーラ防御&激痛耐性】で備え【空中戦】で駆け、霓虹ちゃんに近寄らない様に立ち回りつつ

【第六感&見切り】で敵や霓虹ちゃんのトラップを避けつつ〈霊力の光翼〉と【高速詠唱】した〈従雉「フェザントファミリア」〉の【弾幕】を【範囲攻撃】でばら蒔きつつ

〈なまり&ひいろ〉ちゃんに【動物使い】での撹乱指示も併用

〔アドリブ絡み掛け合い大歓迎〕



●荒野にかかる虹
 黒い竜巻から現れた巨大なアリたちが、異世界から届けられた物資のもとへと向かっている。それを見て、猟兵たちはそれぞれ駆け出していった。その中に見知った姿を見つけ、蒼・霓虹(彩虹駆る日陰者の虹龍・f29441)は赤い瞳を瞬かせる。
「まさか吉備ちゃんが猟兵になってしまわれるなんて……」
 霓虹は虹と幸運を司る竜神「虹龍」だ。しかし初めから竜神として生を受けたのではない。ある一人の少女が夢や理想を壊され自身の居場所を失ったところ、そしてまたある虹と霓を司る二柱の龍が信仰を否定され、力を失い窮地に陥ったところ――出会い生まれた存在なのだ。少女と虹龍は意気投合の上、融合し竜神となった。それはそれぞれの願いの形でもあるのだ。
 そんな霓虹が竜神となったあと、幽世で出会ったのが吉備だ。保護し、教え子となった彼女が猟兵になっていたことは純粋に驚きだった。けれどそれは霓虹に刺激を与えるきっかけにもなった。
「保護者として心配で再びこの道を志す事になりましたが……」
 自らも猟兵となり、過去の化身たるオブリビオンと戦う存在になったのだ。少々準備に時間がかかってしまったが、これで教え子とも一緒に戦える。竜神としての潜在的な力はもともとあるが、その力を上手く操るために。
「リハビリも兼ねて……彩虹さん行きましょうか」
 虹龍の虹の力が顕現した意思を持つ龍を模した戦車――彩虹に乗った霓虹は吉備の元へと向かうのだった。

「吉備ちゃん、敵の数は多いようです。私も助太刀しますよ」
 突然に降ってわいた聞き覚えのある声に振り返った小雉子・吉備(名も無き雉鶏精・f28322)は、その姿を見て聞き間違いでなかったと思いながらもひどく驚いていた。
「ちょっ!? 竜神さまっ!? どうしてここに!?」
「わたしも猟兵になりましたから」
 しれっとそう言われ、確かに霓虹が猟兵になるのは不思議ではないとどこか納得する。
「……って、そんな事聞いてない上に無茶極まりない事しちゃって」
 事前に知らせてくれればこちらだって心の準備も出来たのに。それでも幽世でお世話になった恩師と呼ぶべき存在だ。心強いし、頼もしい。
「……と言うか同僚になるなら、名前で読んだ方が良いよね。なってしまったから仕方ないけど、無理は厳禁だからね、霓虹ちゃん」
「はい、よろしくお願いしますね吉備ちゃん」
 まだ戦いに慣れていないのかもしれないと気遣って、吉備はこちらへと迫るグラトニーアントへと視線を向ける。
「霓虹ちゃんには近づかせないよっ! テクターアップッ!」
 吉備は素早く九頭雉鶏精メダルを用いては魔方陣から現れた九頭雉鶏精テクターを纏い、雉鶏精の特徴が現れた真の姿に変身する。その背には霊力を秘めた光の翼。先ほどの探索では任務の内容上本領発揮とまではいかなかったが、ここでなら十分にその力を発揮することができる。
 ユーベルコードにより強化された飛翔能力で、吉備は光の翼を羽ばたかせ一気にアリの群れへと迫る。移動しながら高速詠唱し、吉備に追従している雉鶏精の霊魂達を突撃させ、弾幕のように展開させると、吉備自身は霊刀【偽御神刀・吉備男】を手に、霊魂達に触れ、時と共に凍り付き動きを止めたアリたちを薙ぎ払っていく。
「さすが吉備ちゃん。さて保護者として前に出たいですが、わたしも駆け出しも当然ですから」
 ならばと吉備を援護する形を取ろうと、霓虹は彩虹を駆り、荒野を走り抜ける。アリたちは進軍を邪魔する存在を見つけると、巨体から体内で生成した強力な酸を吐き出し攻撃する。彩虹を上手く操縦し、その攻撃を避けた霓虹は【茶柱「ハッピーティートラップ」】を彩虹の主砲から辺り一面に放った。放たれた時は球形の液体状の弾幕だったものが、敵の存在を感知すればそれは茶柱型レーザーへと姿を変え、まるで剣山のようにアリたちの身体に突き刺さり、その動きを封じていく。
 グラトニーアントたちは更に数を増やそうと、辺りにフェロモンを撒き散らすと仲間を召喚する。ますます数を増やしたアリたちに、吉備は青い狛犬の【なまり】と赤い猿の【ひいろ】に攪乱の指示を出す。
 アリたちはまるで軍隊のようにその数を武器に守りを固めながら進軍していたが、なまりの虹色ビームや、ひいろの炎を纏った格闘技に怯み、隊列はあっさりと瓦解する。
 吉備はそれらを雉鶏精の霊魂達と共に確実に撃破しながら、霓虹が動きを封じたアリたちも一掃する。
「霓虹ちゃん、大丈夫?」
「はい、ありがとうございます。さすがは吉備ちゃんですね。わたしも段々と感覚を取り戻してきましたよ」
 落ち着いた様子でにこりと微笑み返すと、霓虹はグラトニーアントの群れへと視線を移す。
「……虹龍の本領発揮と参りましょうか」
 心を落ち着かせ、その身に眠る魔力を呼び覚ます。残ったアリが怯んでいるその隙に詠唱を始める。
「圧縮された濃度の濃すぎる運気……アリたちが受けきる事はできるでしょうか?」
 虹と幸運を司る虹龍である霓虹が駆る彩虹から、七色のビームが放たれる。それは環水平アークと呼ばれる、水平にかかる虹の如く。真っ直ぐに伸びていくその攻撃は、虹や水、光や氷、太陽といった属性を持ち、薙ぎ倒したアリたちをもキラキラと輝かせていた。
 殺風景な荒野に現れた美しい水平の虹は、確実にグラトニーアントたちの数を減らしていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

パラス・アテナ
連携歓迎

食糧の匂いを嗅ぎつけたか
飢えが苦しいのは分かるよ
身に覚えがあるだけに気の毒だが
この物資は拠点で飢えてる連中への物でね
悪いがアンタ達にやる食糧は一欠片も無いんだ
せめて飢えからは解放してやるよ
骸の海へお還り

敵の数が多い時にはこちらも手数で勝負だよ
弾幕を張って味方猟兵を援護
2回攻撃、一斉発射、鎧無視攻撃、マヒ攻撃を併用して足止め
物資に近づいたアリを優先的に仕留めるよ

敵のUCは大アゴに噛まれなければ効果が無いんだ
大顎を開けたらしめたもの
口の中を積極的に狙って撃っていくよ
アンタにやれるのは菓子じゃなくて鉛玉さ
もし攻撃されたら武器受けと激痛耐性で継戦能力を発揮
悪いがここで倒れる訳にはいかないんでね


逆傘・からかさ
 「やってきたねぇ。思ってたより多いよ。 まるで黒い川のようだよ」
「まったく祭りの日になんてやつらだよ 招かねざる客にはお帰りを、ってね」
「さぁ、トリックオアトリートだよ、 あんたらにはいたずらしかないけどねぇ」

戦法
近づく相手には刀で対処して切り払いますが、流石にキリがないので
『九十九神百鬼夜行』で 付喪神達を呼び出して数で勝負します。
敵の大あごは、技能の『残像』でかわし、蟻酸は唐傘で受け止めるようにして回避します。

危なくなりそうあるいは、味方が押されてるようなら、技能『浮遊』で高くまで浮かんで移動して下がったり援護に行ったりします。
ここは通さないという意思を持って戦闘にあたります。


吉備・狐珀
ここにある物資は苛酷な環境でも日々たくましく生きる人達に送るためのもの。
絶えず満たされないのはお気の毒だと思いますが、何一つ渡しはしません。
骸の海にお還りなさい。

UC【神使招来】使用
ウカ、神剣に眠る水の神、玄武を力を借りて濁流を起こし蟻の呼び出した仲間もろとも流してしまいなさい。
月代、水の流れの勢いを増すために衝撃波を起こしてウカの補助をお願いしますね。
ウケは御神矢の雨を降らし取りこぼした蟻を確実に仕留めていって下さい。
守りのことは考えなくて大丈夫です。貴方達に近づけないように私が結界を張ります。だから攻撃に集中して、ここにある物資を守ることだけを考えて下さいね。



●この荒野で生き抜くために
 荒野に黒い竜巻が現れ、そこからおびただしい数の巨大アリが姿を現す。
 異世界から物資を運べば、そこにオブリビオン・ストームが現れることは承知の上だ。
「やってきたねぇ。思ってたより多いよ。まるで黒い川のようだよ」
 アリの大群を視界に捉え、そう感想を漏らす逆傘・からかさ(唐笠お化けの剣豪・f30188)だが、そこに焦りの色はない。来るべきハロウィンのお祭りには皆で仮装して行列をなすというが、アリの行列はお呼びでない。
「まったく祭りの日になんてやつらだよ。招かれざる客にはお帰りを、ってね」
 巨大アリ――グラトニーアントたちが目指すのは、猟兵たちが運んだ物資の中でも食糧だ。常に満たされず飢えに苛まれているアリたちは本能的にその場所を目指す。
「食糧の匂いを嗅ぎつけたか」
 同じくアリたちの大群を視認したパラス・アテナ(都市防衛の死神・f10709)が厳しい表情でその様子を見つめる。戦場傭兵として常に戦いの中に身を置いてきたパラスは、アリたちがその身を苛む飢えからそういった行動にでるのは理解できた。
「飢えが苦しいのは分かるよ。身に覚えがあるだけに気の毒だが……」
 そうして皆で持ち寄った食糧や物資、研究所で見つけた貴重な物資たちが置かれた場所を振り返る。
「この物資は拠点で飢えてる連中への物でね。悪いがアンタ達にやる食糧は一欠片も無いんだ」
 パラスの言葉に大きく頷くと、吉備・狐珀(狐像のヤドリガミ・f17210)も同意を示す。
「はい、ここにある物資は苛酷な環境でも日々たくましく生きる人達に送るためのもの」
 文明は破壊され、交通や通信インフラは分断され未だ復旧には至っていない。それでも身を寄せ合い、禁忌の技術を使ってでも生き延びようと前を向いて生きている人々がこの世界にはいるのだ。
「絶えず満たされないのはお気の毒だと思いますが、何一つ渡しはしません」
「ああ、せめて飢えからは解放してやるよ」
 骸の海へと還す――それが猟兵たちにできることだから。
 徐々に迫るグラトニーアントに向かい、三人はそれぞれ駆け出していく。

「さぁ、トリックオアトリートだよ。あんたらにはいたずらしかないけどねぇ」
 いくら腹を空かせていようと、貴重な食糧をやるわけにはいかないと、からかさは手近なアリを刀で斬り伏せていく。グラトニーアントも数に物を言わせ、仲間が斬り捨てられようとも、その異常発達した大アゴでからかさに食らいつこうとする。たおやかな和装美人だが、その剣の腕は確かで。からかさは流れるような動きで刀を閃かせ、アリの攻撃を残像を残してかわしていく。
「流石にキリがないねえ……」
 一体一体を葬るのにそれほど苦労するわけではないが、なにせ数が多い。ならばとからかさはユーベルコードで数多の付喪神を召喚する。
「此度現れるは古びた茶碗や壊れた銃器らの付喪神、九十九に我合わせて百の鬼……いくよ、九十九神百鬼夜行」
 呼び出された付喪神たちはからかさの感情に呼応し、アリたちを追跡、攻撃する。多種多様の付喪神たちはそれぞれの姿にあった攻撃でグラトニーアントたちに狙いを定める。
「敵の数が多い時にはこちらも手数で勝負だよ」
 パラスもまた、多数の敵に対する戦い方は心得ている。両手に持った愛用の銃から一斉に弾丸が放たれる。素早くも正確に放たれた銃弾がグラトニーアントの身体を撃ち抜き、マヒ攻撃も交え、その動きを止めていく。それでもなお進撃を進め、物資へ辿り着こうと前へと進むアリを優先的に仕留めていく。
 アリたちは倒れようとも、仲間を乗り越え、前へ前へと進軍を続ける。自分たちの前に立ちはだかる敵を排除しようと、頭をもたげ、蟻酸を吐きつける。
「おっと、そうはいかないよ」
 たとえ命中率が高かろうが、その頭の動きで行動を読むことができる。さっと朱塗りの唐傘を開いて、からかさがそれを受け流すと、唐傘に巨大な目が現れ、ぱちくりと瞬きした。それに驚いたアリたちをパラスの弾丸が撃ち抜いていく。
「大顎を開けたらしめたものだよ」
 アリとはいえ、その身体はそれなりに硬い。だが口の中も同じ強度を持っているわけではないだろう。
「アンタにやれるのは菓子じゃなくて鉛玉さ」
 甘い飴玉ではないが、銃弾を口に受け、動きを止めたアリたちはようやく飢えから解放されることだろう。
 パラスは弾幕を張り、味方を守り、援護しながらアリたちの数を減らしていく。
「猛き者達よ。深き眠りから目覚め、我と共に闇を祓う力となれ」
 狐珀の厳かで力強い言葉に応え、神の使いたち――【倉稲魂命『ウカ』】と【保食神『ウケ』】に眠る近衛兵の霊が召喚される。
「ウカ、神剣に眠る水の神、玄武を力を借りて濁流を起こし蟻の呼び出した仲間もろとも流してしまいなさい」
 グラトニーアントも形勢不利を悟り、フェロモンを撒き散らしては、さらに仲間を呼び寄せる。けれど多くは動きを鈍らせているせいか、バラバラとまとまりなく猟兵に捨て身の攻撃をしかけるだけ。
 狐珀は今が好機と、大気や気象を操る力を有する黒狐ウカに命じると、次々と指示を与えていく。
「月代、水の流れの勢いを増すために衝撃波を起こしてウカの補助をお願いしますね」
 かつてアックス&ウィザーズの依頼で出会った風と雷を操る月白色の仔竜は肯定するような仕草を見せ、ウカの元へと向かう。
「ウケは御神矢の雨を降らし、取りこぼした蟻を確実に仕留めていって下さい」
 防御を受け持つことの多い白狐ウケの問いかけるような視線に、狐珀は安心させるように柔らかい微笑みを浮かべる。
「守りのことは考えなくて大丈夫です。貴方達に近づけないように私が結界を張ります」
 結界術に長けた狐珀が守りを強化する。それに他の猟兵たちも協力してくれる。
「だから攻撃に集中して、ここにある物資を守ることだけを考えて下さいね」
 その言葉に力づけられ、四神の力を宿した宝玉が埋め込まれた神剣から玄武の力を借り、ウカは荒野に荒れ狂う濁流を出現させる。水の神が生んだ激しい水流は、月代が起こした衝撃波により勢いを増し、動きを鈍らせたアリたちを押し流していく。
 それでもその激流に流されずに、満たされない飢えからの解放を求めて、残ったアリたちは弱りながらも進軍を続ける。
 狐珀の指示通り、ウケは破魔の力を宿した御神矢を雨の如く降らせると、飢餓に喘ぐグラトニーアントたちをその力で浄化していく。
 からかさがふわりと空中を浮遊し、残ったアリたちの元へと向かい、刀を振るう。その飽くなき生命力には敬意を表するところだが、こちらとてここを退くわけにはいかない。
「……もう飢えに苦しめられることはないさ……」
 パラスも残ったアリの掃討にかかる。この荒れ果てた大地で生を繋ぐために生きようとするその姿は、人間にも重なるところではあるが。
「それでもここを通すわけにはいかないからね」
 猟兵たちの隙のない攻撃にグラトニーアントたちはその数を大きく減らしていたが、それでもなお後方からまた新たなアリが食糧を求めて進軍を進めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シビラ・レーヴェンス
露(f19223)と。
折角集めた食糧や材料を無駄にされるのは困る。

露と私で波状攻撃を行う。【氷凍蔦】を行使。
(破魔、属性攻撃、全力魔法、範囲攻撃、鎧砕き)
術の威力を多重詠唱と限界突破の技能で底上げ。
手をだむっと地に付けて氷の蔦を地を這う蟻へ。
蟻の進行速度に応じて早業と高速詠唱を使用する。

まずは三列までの蟻の脚を凍結させ停止させよう。
そうすれば多少は進行スピードが遅くなるはずだ。
その後は後方列の蟻の行動を観察し術を行使。
初めと同じように蟻の脚を凍らせて動きを封じる。

蟻とは間合いを取る。不用意に近づかない。
…確か蟻酸とかいうものが体内にあったはずだ。
近接戦闘が得意な露にも一言伝えておこう。


神坂・露
レーちゃん(f14377)と。
今度は蟻さんなのね。食べ物は渡さないわ。
数がすっごく多いし近づくと危険みたいね。
だったら【蒼光『月雫』】を使うわ。
(早業、高速詠唱、全力魔法、範囲攻撃)

レーちゃんは足止めをするみたい。
ならあたしは身体を攻撃しちゃうわ♪
狙うのは強力な顎がある頭がいいかしら。
え?ぎさんってゆー酸を出すの?
へー。丁度いいわ。やっぱり頭を叩くわね。
酸攻撃があるから近づいたら危ないみたい。
遠くから大量の棘で包んで刺しちゃうわ。

最初は脚が凍って動けなくなった蟻さんを。
次にこっちに向かってくる蟻さんを。
三体ずつくらい纏めて倒していくわね。
頭が堅かったら脚の関節を狙ってみるわ。



●氷の蔦と月の雫
 黒い竜巻から現れたのは、同じく黒い体躯を持つ巨大アリだ。すでに他の猟兵たちが交戦中であり、徐々にその数は減ってきている。しかし何といっても数が多い。
 こちらへ向かってくる巨大アリの群れと皆で集めて積み上げた物資を見比べ、神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)は拳を握りしめると大きく頷いた。
「今度は蟻さんなのね。食べ物は渡さないわ」
 アリは本能のままに食糧を求めているのだろう。だが、これはベースの人々に配るための貴重な食糧と物資なのだ。奪われるわけにはいかない。
「ちまレーちゃんたちが一生懸命運んでくれたんだもの」
 たかがアリだとしても、相手はオブリビオン。皆で集めた食糧は、巨大なアリの群れによって簡単に食い荒らされてしまうかもしれない。
「……折角集めた食糧や材料を無駄にされるのは困る」
 シビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)は表情を変えず、抑揚のない声で静かに呟くと、露と作戦を共有する。
「露、二人で波状攻撃を行おう。私は蟻たちの足を凍結させ、足止めさせる」
「レーちゃんは足止めね。ならあたしはその隙に身体を攻撃しちゃうわ♪」
 近づくのは危険かもしれないが、シビラが足止めをしてくれるならずっと戦いやすくなる。
「狙うのは強力な顎がある頭がいいかしら」
「確かにあの顎も強力だが……確か蟻には蟻酸とかいうものが体内にあったはずだ。それを吐き出してくる可能性は高い。警戒が必要だ」
「え? ぎさんってゆー酸を出すの?」
 ぱちくりと瞳を瞬かせる露に、シビラは大きく頷いてみせた。シビラ自身はアリと一定の間合いをとって近づくつもりはないが、近接戦闘が得意な露は一応警戒しておく方がいいだろう。
「一種の毒のようなものだ」
「さすがレーちゃんは物知りね。へー、でもちょうどいいわ。やっぱり頭を叩くわね」
 ならば蟻酸を吐き出させないように頭を叩いてしまえばいいと、露はにっこり微笑むと頷いた。
「……よし行くぞ」
 徐々にアリたちの群れが近づいてきたので、シビラは多重詠唱を交え、素早く魔法を展開する。
「Târâtoare, viță de gheață... Opriți mișcarea a ceea ce atingeți!」
 詠唱を続けながら、手のひらを勢いよく荒れた大地に叩きつけると、詠唱時間に応じ上昇した威力を伴った氷の蔦が、一直線にアリの群れへと伸びていく。限界突破の全力魔法は瞬く間にグラトニーアントの脚を凍り付かせ、動きを止める。
 列をなすアリたちのまずは三列目までを凍結させれば、背後に続くアリたちは動きを遮られ、進行の速度を鈍らせる。
 露もまた足止めを食らったアリたちに攻撃を仕掛けようと駆け出した。
「レーちゃんが教えてくれたし……酸攻撃があるから近づいたら危ないわよね」
 ならば遠方からでも攻撃できるユーベルコードをお見舞いするまで。
「闇に散れ~♪」
 高速詠唱で展開した全力魔法が空中に幾何学模様を描き出すと、月の光の如き蒼白い光を放つ棘が複雑な軌跡を描きながら、動きを封じられたアリたちを包みこむように突き刺していく。
 動きを止めた仲間を見て、他のグラトニーアントたちもこの攻撃に多少は怯んだものの、進軍を止めるわけにはいかないと思ったのだろうか。数を減らされてなお、辺りにフェロモンを撒き散らし、仲間たちを呼び寄せて歩みを止める様子はない。
「ふむ……」
 後方列のアリの行動を観察していたシビラはなるほどと頷くと、倒れたアリたちの骸を乗り越えて進撃を続けるその群れを、同じように氷の蔦を這わせ凍りつかせる。
「まあ、撤退することはないか。ならばまとめて……露、効率よくいくぞ」
「まかせて~」
 凍り付いたアリたちを優先的に狙いながら、露は複数体をまとめて攻撃してはその数を減らしていく。たまに棘をその身体で弾き飛ばすものもいて、ならばと露は脚の関節部分に狙いを定める。
「アリさん、ほんとすっごく数が多いわ……」
「無限ということはない。……続けて行くぞ」
 間合いを取っての波状攻撃でこちらへのダメージは皆無に等しい。それでも何度も何度も魔法を全力で展開していると疲労がたまってしまう。それでも二人は息を合わせ、グラトニーアントの数を減らし続けたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フローライト・ルチレイテッド
アドリブ連携歓迎です。
アリですねぇ…。
巣とかあるのかな?

ともあれライブと行きましょう!ステージの幕を上げて!
【真っ赤な夜】の音量を上げて!
皆を【鼓舞】して【援護射撃】です!
【情熱】のままに、【楽器演奏、歌唱、パフォーマンス、浄化、範囲攻撃、催眠術】を駆使して指定UCを使用。
魂を震わせ、浄化する旋律のキラメキを増えるアリ達に放ちます。
あちらからの攻撃は【迷彩】で撹乱し、【地形の利用】と【早業】でかわしたり、【オーラ防御】等で防いだりします。
せっかくの広い場所ですし、景気づけも兼ねて思う存分音楽を鳴らしましょう!

この世界の人たちの、楽しいハロウィンのためです、頑張っていきましょー!


榎木・葵桜
うっわー、アリだ…!
でっかくていっぱいいる!しかも群れてる
さすがにちょっと気持ち悪い光景だよね
でも、ここで怯んでたらこの後のハロウィンが楽しめないもん
ここはガンガン蹴散らしちゃうよ
すべてはこの後のハロウィンのために!

引き続きUCで巨大田中さんと一緒に戦うよ!
荷物は物陰とか、安全なところに一時退避させて、
荷物を守りながら戦いたいな

さすがにあの大アゴに腕や足を噛まれたらきっついなぁ
[衝撃波]で弾き飛ばして可能な限り間合いを取りながら蹴散らしていきたいところ
巨大化田中さんが通常版みたいに炎も使えそうなら衝撃波と組み合わせて
炎で燃やしていきたいな
オブリビオンストームならぬ、ファイアストーム…なんてね!



●炎と星屑のステージ
「うっわー、アリだ……!」
 巨大化した古代戦士の霊・田中さんの肩に乗って、辺りの様子を窺っていた榎木・葵桜(桜舞・f06218)は、オブリビオン・ストームから現れた巨大アリの群れを見つけると思わず呟いていた。アリはUDCアースでは珍しくない。小さな体で一生懸命巣に食糧を運ぶ姿は微笑ましくすらあるのだが。
「でっかくていっぱいいる! しかも群れてる」
 もともと女王アリと働きアリのいる群れを作って生きる昆虫ではあるが、その大きさも相まって気持ち悪いとしかいいようがなかった。
「アリですねぇ……」
 黒い塊が進軍してくる様子を葵桜の隣で確認してから、フローライト・ルチレイテッド(重なり合う音の色・f02666)も思わずそう呟いていた。
「巣とかあるのかな?」
 アリは巣を作る生き物。今はオブリビオン・ストームによって呼び寄せられた存在だとしても、食糧を手に入れれば巣を作って貯蔵しようと思うかもしれない。
「アリの巣見つけるのとかちょっと楽しかったけど……これだけ大きいアリの巣なんて脅威でしかないよね」
 この世界にとって貴重な食糧を、飢えたアリたちは食らいつくしてしまうかもしれない。異世界から運んだこの世界にとって大切な食糧に、みんなで集めた貴重な物資。
 それらを守るため、他の猟兵がグラトニーアントと交戦中の間も物資のそばで待機していた二人だが、敵の数は仲間の活躍で相当減った。ならばあとはこちらにやってくる前に撃破してしまうまでだ。
「気持ち悪いけど……ここで怯んでたらこの後のハロウィンが楽しめないもん」
 何よりもこの世界で生きる人々に季節の行事を楽しんでほしいから。
「はい、この世界の人たちの、楽しいハロウィンのためです。頑張っていきましょー!」
 二人の気持ちは同じ。そうしてフローライトは始まりの合図のように、愛用のダブルネックギターをかき鳴らす。
「さあ、ライブと行きましょう! ステージの幕を上げて!」
 まるで野外ライブのように、フローライトの近くを浮遊する野外用スピーカーポッド【真っ赤な夜】が赤い光を放ちながら、荒野という舞台を彩る。ボリュームを上げたスピーカーから流れる力強い演奏に、葵桜の力も漲っていく。
「よーし、ガンガン蹴散らしちゃうよ!」
 田中さんと共に、こちらに近づくアリの群れへとダッシュで迫ると薙刀【胡蝶楽刀】を振るい、衝撃波で吹き飛ばしていく。
「さすがにあの大アゴに腕や足を噛まれたらきっついもんね」
 できるだけ近寄りすぎず、間合いを取りながら蹴散らしていきたい。巨大化した田中さんも葵桜の動きをトレースし、同じようにアリたちを衝撃波で吹き飛ばしていく。
「せっかくの広い場所ですし、思う存分音楽を鳴らしましょう!」
 このあとのパーティーに向けての景気づけも兼ねて。そんな思いで奏でられるフローライトの演奏と情熱的な歌声は、スピーカーで拡散され、広い荒野に響いていく。その歌声は遠くで戦う仲間たちにも力を与えることだろう。
 吹き飛ばされながらも、なんとかその大顎による攻撃で一矢報いたいグラトニーアントたちが葵桜と田中さんへと迫るが、しっかり間合いを意識して立ち回る二人にその大顎の威力を発揮することはできなかった。それでもアリたちは、数で迫ろうとばかりに、フェロモンを周囲に撒き散らしては仲間を増やす。
「キリがないなあ……よーし、田中さん。まとめてやっちゃうよ!」
 田中さんは葵桜の意図するところを察すると頷く。葵桜の攻撃と同じ動きで巨大な薙刀を振るうが、そこに炎を纏わせる。
「オブリビオンストームならぬ、ファイアストーム……なんてね!」
 衝撃波に炎が加わり、竜巻の如きうねりをもった炎が、グラトニーアントたちを燃やしていく。骸の海へと還るのなら、もうこれ以上、飢えに苦しむことはないだろう。
 荒野の野外ライブもクライマックスを迎える。猟兵たちを鼓舞し続けていたフローライトの演奏と歌声が、グラトニーアントへと向けられる。それは、浄化の旋律。
「闇空の中、眩く光る、無数の星達、散りばめ空に飾ったら♪」
 魂を震わせる浄化の力を秘めた旋律は、幾何学模様を描きながら眩い煌めきとなってグラトニーアントたちを包み込む。 
「翼広げ、世界を輝かせよう♪ まだ、来ない明日に届くように!」
 満たされない飢えに苦しめられているアリたちのその思いを浄化するように、優しい眠りに誘うように。フローライトの演奏と歌声が巨大アリたちの動きを止めていく。
 世界を切り裂く暗黒の竜巻が現れようと、その空には星が輝く。失われた文明、分断された道、孤立し食糧難に喘ぐ人々。
 それでも、その闇に光は届くから。光と共に明日への希望を届けるから。
「この世界の人たちのために」
 力強いフローライトの言葉がスピーカーを通して荒野に響き渡る頃。そこにはもう、動くことのできる巨大アリは一匹も残っていなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『フェスティバルをもう一度』

POW   :    住人を励ましてやる気を引き出す

SPD   :    行事に必要資材や道具を用意する

WIZ   :    資料を調べたり住人に話を聞いたりして再現度を高める

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


※連絡事項※
第三章のプレイング受付は、導入文挿入後、10/29(木)8時半からを予定しています。少し間が空いてお手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
 
●荒野に届けるハロウィン
 オブリビオン・ストームから現れた巨大アリの群れを全て倒しつくしたため、これで辺りに異世界からの物資を運んだことによる被害が現れることはない。
 持ち込んだ食糧や研究所探索で見つけ確保した貴重な物資は、既に連絡を済ませていた近隣のベースに住む住人が馬車に乗ってきてはそれで運んで行ったり、猟兵たちがそれぞれの力やアイデアを活かして運んだりした。
 猟兵たちも一緒に近隣のベースへと移動すると、住人は一堂に歓迎の意を示した。特に子供たちが英雄を見つめる眼差しで猟兵たちに近づいてくる。
「ねえねえ、かぼちゃがいっぱいだけど、何にして食べるの?」
 ハロウィンのお祭りを知っているのかいないのか。知っていてもそれを楽しむ余裕がない人々にとっては、かぼちゃは貴重な食糧のひとつ。もちろんそうではあるのだが、せっかくだから食べる以外の楽しみも知ってほしい。
 猟兵たちはそれぞれの方法で、楽しいハロウィンを住人たちに伝えようとするのだった。
 
小雉子・吉備
[チーム名・蛟]

[ランタン作り]
先ず霓虹ちゃんと一緒に南瓜のランタンを作ろうかな?くり貫いた中身と一部の皮は……確かお菓子作りに作るんだったよね?

[料理]
先ずは吉備団子の中身のチョコ餡から
南瓜の中身を蒸してマッシュしたら
刻んだチョコ(ブラック)と黒糖と牛乳とシナモンパウダーを混ぜて溶かして色が染まればチョコ餡は出来上がり

生地は下拵えしたもちきびを
磨り潰して、白玉粉、砂糖、水を
加えてこねて出来た生地で
チョコ餡を包んで丸めて……

霓虹ちゃん、ソレも包んで欲しいの?
面白そうだから、ソレも包むかな

後は、お湯で茹でて冷水で絞めれば
出来上がりかな?皆もエリシャちゃんも
良かったら

[アドリブ絡み掛け合い大歓迎]


蒼・霓虹
[チーム名・蛟]

[ランタン作り]
先ずは吉備ちゃんと一緒に南瓜のランタンを作りをしましょう

くり貫いた中身と一部の皮を無駄なく
このまま利用しないのも勿体無いですしね

くり貫いた南瓜のランタンは可能なら【属性攻撃(温風)】で加減しながら乾燥を

[料理]
南瓜の中身を蒸してマッシュしたら
ハロウィンの国でも作った
南瓜きんとんを

吉備ちゃんの方は吉備団子を……ハロウィン仕様で作ると、南瓜とブラックチョコで餡を作るのも美味しそうですね

折角なので、南瓜きんとんも
餡として入れてみます?

あっ、エリシャさんですか?
吉備ちゃんの保護者の蒼霓虹です
いつもお世話になってる様で
有難うございます。

[アドリブ絡み掛け合い大歓迎]



●お祭りのはじまり
「今から、何かはじまるの?」
 運んできた物資をベースの貯蔵庫へと移動させれば、猟兵たちはそれぞれの方法で、ここで暮らす人々にハロウィンのお祭りを楽しんでもらおうと動き出す。
 何かの準備を始めた猟兵たちへと、子供たちがわくわくとした様子で駆け寄ってきた。
「今からお菓子作りをするよ。それから南瓜のランタン作りも」
 持参した調理道具一式と食材を準備しながら、小雉子・吉備(名も無き雉鶏精・f28322)は近寄ってきた子供たちに笑顔で説明する。
「え、かぼちゃのランタン? かぼちゃは食べないの?」
「南瓜はちゃんと美味しいお菓子になりますよ。ランタンに使うのは外側だけです」
 実際にかぼちゃの一つを手に取ってみせて、蒼・霓虹(彩虹駆る日陰者の虹龍・f29441)は、かぼちゃの底の部分に丸くナイフを入れる。中には種やわたがつまっているので、それらをスプーンで取り除き、身の部分も無駄にならないようしっかりと取り出す。
「皮の部分もお菓子作りに使うんだったよね?」
 霓虹と一緒にかぼちゃの中身をくり抜きながら吉備が問うと、霓虹は頷く。そして子供たちにはスプーンで中身をくり抜く作業と、ランタンに顔を書く作業を手伝ってもらう。
「たとえばこんな感じですね」
 三角の目と鼻、ギザギザとした口を霓虹がペンで描くと、子供たちは興味深そうに眺め、それをお手本に思い思いに顔を描きはじめる。
「同じように見えてもみんな違うね」
 子供たちが描いた顔をナイフでその通りにくり抜きながら、吉備は楽しそうに笑うのだった。
 くり抜いた南瓜ランタンは、戦闘時には虹色の炎を帯状に噴射する魔法火炎放射を霓虹が熱量を調整し、そこから温風を送り込んで素早く乾燥させる。こうすることでかぼちゃの水分を抜き、長持ちさせることができるのだ。
「じゃあ次はお菓子作りだよ」
 南瓜のランタンを手に駆け出して行った子供たちを笑顔で見送ると、吉備と霓虹はお菓子作りに取り掛かる。まずはくり抜いたかぼちゃの中身を蒸していく。この物資に乏しい世界では食材は無駄なく利用し、使い切らなければいけない。
 吉備が作るのは吉備自身も大好きな吉備団子。記憶を失った吉備はこの好物から名前を拝借したのだった。お団子はいろいろとアレンジはきくので、今日は中に入れるものはチョコ餡にしようと材料も用意したのだ。
 蒸しあがったかぼちゃをマッシュし、細かく刻んだブラックチョコに黒糖と牛乳とシナモンパウダーを混ぜてしっかり溶かし、チョコレート色に染まれば餡の方は出来上がり。
「私は先日ハロウィンの国でも作った南瓜きんとんです」
 同じように柔らかくなったかぼちゃをマッシュし、砂糖やバター、塩を入れ手早く混ぜる。ハロウィンの国でオウガを眠りに誘った美味しい一品だ。まるで宝物を隠すように中に栗の甘露煮を閉じ込めて。
「今度は生地作りだよ」
 吉備は水で洗って下ごしらえを済ませておいたもちきびをボウルに入れ、すりこぎ棒ですりつぶしたところに、白玉粉に砂糖と水を加えてしっかりと混ぜ合わせてこねていく。そうしてできた生地をちょうどいい大きさに分け、先ほど作ったチョコ餡を包んでは丸めていく。
「吉備ちゃんは吉備団子ですね。ハロウィン仕様で作ると、南瓜とブラックチョコで餡を作るのも美味しそうですね」
 南瓜きんとんをかぼちゃの形に調え、皮で作った顔とかぼちゃのヘタを乗せていた霓虹がなるほどと頷く。吉備団子はいろいろとアレンジがきく。ふと手元の南瓜きんとんを見て、いいアイデアが閃いた。
「吉備ちゃん、折角なので、南瓜きんとんも餡として入れてみます?」
 チョコとはまた違った味がして、美味しいに違いない。
「ソレも包んで欲しいの? ……うん、面白そうだから、ソレも包むかな」
 手際よくチョコ餡を包んでいた吉備だが、確かにそれは面白そうと頷くと、まだ成形されていない南瓜きんとんを餡として吉備団子に包んでいく。
「あとは、お湯で茹でて冷水でしめれば出来上がりかな……霓虹ちゃん、みんなにもうすぐ出来上がるって声をかけてきてもらってもいいかな?」
「はい、わかりました」
 せっかくなので意志を持つ龍型戦車・彩虹に、仲間が研究所で見つけたシーツをかけてお化け風にしてベースを回ってはお菓子が完成するから食べに来てほしいと声をかけて回る。
「あっ、エリシャさんですか?」
 その中に今回転送を担当したグリモア猟兵を発見し、霓虹はその後ろ姿に声をかけた。
「あら、霓虹ね。ベースの人たちも喜んでくれているわ。本当にありがとう」
 振り返ったエリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)は今回の依頼に力を貸してくれたことに感謝を述べ笑顔を浮かべる。
「実はわたしはまだ駆け出しではあるのですが……改めまして。吉備ちゃんの保護者の蒼霓虹です。いつもお世話になってる様で有難うございます」
「まあ、そうだったの。こちらこそいつも吉備には助けてもらって感謝しているのよ。霓虹には義弟の案内した依頼も手伝ってもらったみたいで、本当にありがとう」
「吉備ちゃんとハロウィンにちなんだお菓子を作ったんです。良ければ食べてくださいね」
「ありがとう。ぜひいただくわ」
 エリシャは近くにいた子供たちにも声をかけ、吉備団子の仕上げに入っている吉備の元へとみんなで向かう。
「わあ、お団子? 食べていいの?」
「こっちはかぼちゃの形をしてるよ!」
「よかったらみんなで食べてね」
 わいわいと、初めて見るお菓子に瞳を輝かせながら、吉備に勧められるまま子供たちは手を伸ばし、その優しい甘さに嬉しそうに瞳を輝かせる。
「先ほどランタンになった南瓜の中身を使ったんですよ」
「あのランタンの中身なの? すごいね!」
 エリシャも吉備団子と南瓜きんとんをごちそうになっては至福の表情。
「かぼちゃの甘さがとっても優しい。またレシピ教えてね」
 大好評のうちにあっという間に作ったお菓子はなくなって。そしてまたランタンを欲しがる子供も現れて。
「まだ南瓜はたくさんありますから。もう一度作りましょうか、吉備ちゃん」
「そうだね霓虹ちゃん」
 持ってきた吉備団子の材料はなくなってしまったけれど、他にもいろいろと作ることもできそうで。
 二人はこの世界で暮らす人々がもっとハロウィンを楽しめるように、またお菓子作りを始めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シビラ・レーヴェンス
露(f19223)と。
南瓜の中身だけをくり抜いて簡単な菓子を作る。
外皮は綺麗に洗浄してランタンにでもするか。
菓子には少々貴重な砂糖とミルクを使わせて貰う。

菓子はプリンを作ろうと思う。
袋の中に卵を入れて撹拌するように揉む。
次にミルクとペースト状にした南瓜を加え振る。
味見をして砂糖で甘みの調節。
鍋に湯を沸かし空気を抜いた袋の口を結んで投下。
調節が困難だろうが極力中火で固まるまで加熱。
固まったら冷やして…食べやすいように。

調理の間は子供達の挙動に注意しよう。
聞かれた場合は菓子の説明もしよう。
火を扱う。火傷などをされたら面倒だ。
火の番や子供達のおもりは『私』に任せる。
というわけで【小さい援軍】を行使。


神坂・露
レーちゃん(f14377)と。
南瓜のお菓子作るお手伝いするわね。
皮を切るのはあたしに任せて欲しいわ♪
子供達がいるから派手なことできないけど。
「危ないから、少し離れていてねv

レーちゃんの指示で料理の手伝い手伝いv
って。えー子供達の遊び相手になれ~?
ぷぅ…。あたしもお料理できるのにー。

じゃあじゃあ何しようかしら…。
あ!南瓜のランタン作りしましょ♪
「ランタン作りお手伝いしてくれる人~♪」
って子友達へ呼びかけてから説明を。
「南瓜でね、ランタン作るのよ~」
南瓜の皮って硬くて刃物を使うから。
子供達に刃物の扱いを教えたり。
注意して見守ってあげたりする。
えへん!おねーさんに任せなさい!



●思い出のハロウィン
「レーちゃん、レーちゃん、ハロウィンのお祭りよ。何をしようかしら」
 物資を運び入れ、活気づいたベースに、猟兵たちがそれぞれハロウィンの楽しみを伝えるべく動き出す。お祭りが始まるわくわく感に胸を高鳴らせた神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)が、大好きな親友であり妹――と、露は思っている――シビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)に語り掛ける。
 うきうきしている露とは対照的に、シビラはいつもの落ち着いた表情で運んだ物資から使えそうなものを選び出していた。
「子供が喜びそうなもの……やはり菓子だな」
「お菓子を作るの? いいわ、素敵だわ~」
「よし、では南瓜を使ってプリンを作ろう。中身だけをくり抜いて、外皮は綺麗に洗浄すればランタンにでもなるだろう」
 支援物資として運んできた、少々貴重な砂糖とミルクを使わせてもらうことにして。シビラは早速プリン作りに取り掛かる。
「じゃあ、あたしはお菓子作りのお手伝いするわね。この南瓜を使うのね。皮を切るのはあたしに任せて♪」
 必要な材料を手にしていれば、ベースの住人に屋外にある調理のできる場所へと案内され、露が張り切っていると興味をひかれた子供たちが集まってくる。
「なになに、なにするの?」
「今からこの南瓜でお菓子を作るのよ。まずは皮を切るから、危ないから少し離れていてね」
 硬い南瓜の皮の底の部分にナイフを入れる。そうしてそこから中をくり抜いて菓子に使う身の部分を取り出していく。
 シビラは鍋を用意しながらも子供たちが怪我をしないようにその挙動に気を配る。どんどんと子供が集まってきていて、これから火を扱うのに、万が一火傷でもされると厄介だ。
「火の番とおもりを頼みたい」
 ユーベルコードで呼び出した手乗りサイズの黒ヴェールをかぶったシビラたちが現れると、その指示にこくりと頷く。
「露、子供たちの遊び相手になってくれるか」
「きゃー、ちまレーちゃん可愛い! ……って子供の遊び相手? あたしもお料理できるのにー」
 現れた小さいシビラ達に目を輝かせた後、ぷうと頬を膨らませる露。子供と遊ぶのも大好きだが、シビラと一緒に料理するのも捨てがたかったのだ。
 けれどシビラの言葉に露を見つめる子供たちの目は期待に満ちていて。
「おねえちゃんあそんでくれるの?」
 そうだわ、姉として妹のお願いを叶えてあげなくちゃ、と考え直した露は何して遊ぼうかと思案する。
「じゃあじゃあ何しようかしら……」
 手にした南瓜を見て思い出す。シビラはこれがランタンになると言っていた。
「あ! 南瓜のランタン作りしましょ♪」
「ランタン? かぼちゃで?」
 子供たちが不思議そうな顔をする。きっとハロウィンのお祭りを知らないのだろう。
「そうよそうよ。南瓜でね、ランタン作るのよ~」
 子供たちと一緒に作ればそれは楽しい思い出になる。
「ランタン作り、お手伝いしてくれる人~♪」
 はーい! と元気よく子供たちが露の元に集まる。シビラのお菓子作りを見学したいという子供以外はこちらにやってきて、小さなシビラが子供たちを見守るように付き添う。
「刃物を使うから、手を切らないように気をつけてね。南瓜の皮ってとっても硬いのよ」
 はーい、と素直に話を聞く子供たちに、露は丁寧に刃物の扱い方を教えながら南瓜のランタン作りをする子供たちを優しく見守る。
(「あちらは露に任せておくとして……私は菓子作りに集中するとしよう」)
 大鍋に湯を沸かすため、火をおこしたが、そちらの番と菓子作りを見学する子供たちのお守りは小さなシビラ達に任せて、シビラは袋の中に卵を割り入れ、撹拌するようにしっかりと揉む。
「これから先ほど南瓜からくり抜いた中身を使ってプリンを作る」
 露や子供たちがくり抜いてくれた中身を、お湯を沸かした鍋の上で蒸し、柔らかくなったものを袋に投入し、同じように揉んでペースト状にする。そこにミルクを加え、思いっきり振る。いい具合に混ざったところで一旦味見をする。もう少し甘い方が子供好みだろうかと少し砂糖を加え、もう一度振る。
「どうして袋で作るの?」
 最前列で見学していた少女の疑問に、シビラがうむ、と頷いては答える。
「これなら調理器具がなくても作れるだろう? 持ち運びもできるし、いざという時の非常食にもなる」
「そっか、なるほど!」
 洗い物も出ないし、この世界ではこういった作り方がきっと重宝するだろう。
 次に中の空気をしっかり抜いてから袋の口を結んで、鍋に入れる。細かい火力調整は難しいが、火が強くなりすぎないように気をつけながら固まるまで加熱して、頃合いを見計らって取り出し、あとは粗熱を取って冷ましていく。
「うん、そうそう、上手上手!」
 露が子供たちが作ったランタンを褒める。かぼちゃの表面に描かれた顔はどれも個性的だ。顔を彫るのに苦労している子供が露に助けを求めれば、元気よく応じる。
「えへん! おねーさんに任せなさい!」
 たまにちらちらと、シビラの方に目をやりながら。あたし、いいおねえちゃんでしょ? とでも言うように。
 プリンを食べやすいように切り分けたなら、小さなシビラたちが子供たちに配っていく。
「ちまレーちゃんも頑張ってるわ~。相変わらず仕草が可愛い!」
 ちまたちも露も子供たちのいい遊び相手になって、子供たちはすっかり心を開いていた。
「プリンとっても美味しい!」
「ランタン作りも楽しかったよ。これ持って帰ってもいいの?」
「ええ、もちろんよ♪」
 わあ、とその瞳はきらきらと輝いて。
「レーちゃん、あたしいいおねえちゃんだったでしょ?」
「子供たちにとって、という意味ではな」
 ちまたちと遊んでいるときは、どっちが子供かわからないような時もあったけれど。
 ハロウィンというお祭りを知らなかったのだとしても、今日体験した全てのことは、きっと彼らが大きくなっても忘れられない思い出となるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

パラス・アテナ
ハロウィンね
収穫の祝いと悪魔祓いが起源だったか
死者の霊が家族を訪ねてくるとも

指定UC
拠点の子供達と遊んでおやり
普段は息苦しいだろうから
たまには遊べばいいさ

「トリック オア トリート?」
笑顔で手を差出すエライアに底意地の悪さがよぎり
「菓子をやらなきゃどんな悪戯を仕掛けるんだい?」
顔を見合わせる梟達の総攻撃を迎撃
「そうくるかい!おいで相手してやるよ!」
傍目にゃガキと戯れているだけに見えるだろうが
数が多い上に人の目もある
半分いなして隙を作ってさっさと逃げ出すよ

拠点の屋上にいるとエライアが笑顔で手を出す
死者の霊が訪ねてくるってのは本当だね
分かった分かったアタシの負けだよ
ハロウィンドリンクを作ってやろう



●Trick or Treat?
「ハロウィンね……」
 仲間たちがかぼちゃを使ったランタンを作ったり、かぼちゃの菓子を振舞ったりしている様子に、パラス・アテナ(都市防衛の死神・f10709)は目を細めてそう呟いた。戦いに明け暮れていた傭兵として過ごした日々に、お祭りをゆっくり祝う余裕はなかった。それはこの世界の人間も同じなのだろう。けれど祭りを楽しむことは生きる活力にもなる。
「収穫の祝いと悪魔祓いが起源だったか」
 この世界にはまだ豊かに作物が実る土地は少ないが、猟兵たちの助けもあって、あちこちで農地の開拓も行われている。そうすればこの秋の収穫を祝う祭りももっと身近になるのかもしれない。
「そして死者の霊が家族を訪ねてくるとも……」
 先祖の霊が家族に会いにやってくる日でもあるのだと聞いた。ただ悪霊も一緒にやってくるので、それを驚かせて追い払うために仮装をするようになったのだと。
 ベースの子供たちはやってきた猟兵たちが教えてくれるハロウィンのお祭りに目を輝かせている。普段は息苦しいこともきっと多いだろう。そう思ったパラスは遊び相手になる存在をユーベルコードで召喚する。
「拠点の子供達と遊んでおやり」
 現れたのは、パラスの孫のエライアの霊と彼が勧誘した少年少女探偵団の霊たちだ。先ほどの研究所の探索でも彼らは大活躍したのだ。
「了解です、ボス!」
 遊びとは言えこれは任務だと、エライアは真面目な顔で元気よく返事をする。けれど、探偵団の仲間を引き連れて、現地の子供たちと遊ぶ様子は年頃の少年の顔をしている。
 研究施設で見つけた白衣やシーツで簡単な仮装をして早速ハロウィンらしい遊びをしているようだ。
「トリック・オア・トリート?」
 シーツのお化けになったエライアが、こちらにやってきてはパラスに笑顔で手のひらを差し出す。お菓子を要求してのことだとわかってはいたが、そう簡単に渡したのでは面白くない。
「菓子をやらなきゃ、どんな悪戯を仕掛けるんだい?」
 そんな意地悪な質問に、梟たちは顔を見合わせる。けれどそれならと、笑顔で頷き合いながら、一斉にパラスに迫る。
「みんな! お菓子をくれないボスを捕まえてくすぐりの刑だ! それと顔にいたずら書き!」
「おー!」
 エライアの声に重なる気合の入った梟たちの声。
「そうくるかい! おいで相手してやるよ!」
 パラスもにやりと好戦的に微笑んで。迫りくる梟たちの総攻撃を迎撃する。
 子供と言っても侮るなかれ。まるで容赦なく、しかも数で攻めてくるので、パラスを捕まえようとする手をかわすのも簡単ではない。本気を出して泣かせてもいけないので、怪我をしない程度にあしらい、身をかわす。
 傍目から見れば子供と戯れているだけに見えるだろうが、こっちも相手も本気なのだ。
「うーむ、さすがばあちゃ……いや、ボス。捕まえて猫耳とかつけてみたかったのに……!」
 この底意地の悪さは誰に似たのかと心の中で思いながら。梟たちの手をかいくぐり、お化けのシーツを目くらましに使って隙を作っては、キリがないのでこの辺りで切り上げることにした。
「あれ、どこに行ったのかな?」
 きょろきょろと辺りを見回す梟たちの姿を目の端に捉え、パラスはその場から撤退した。
 一息ついたパラスは、ベースにある建物の屋上にいた。ここならば辺りの風景がよく見渡せる。ベースに住む子供たちと遊ぶ猟兵や、ハロウィンの菓子を作って振る舞う仲間たち。子供たちの輝いた瞳と笑顔に、パラスの頬も緩む。この世界が当たり前の日常を心穏やかに過ごせるのようになるには、まだもう少しかかるかもしれない。けれど、ここに暮らす人々は生きることに貪欲で逞しい。それは予知を通して見てきたパラスにも思い当たることで。季節の祭りを当たり前のように楽しめるようになる日もきっとそう遠くない。
「ばあちゃん、ここにいたんだね」
「おや、見つかったかい」
 屋上にいたパラスに、エライアがやってきては声をかける。
「子供たちは楽しんでたかい?」
「うん、とっても! だから、ね……トリック・オア・トリート?」
 エライアが満面の笑顔で手を差し出す。
(「死者の霊が訪ねてくるってのは本当だね」)
 大切な孫を死なせてしまった辛さを一生忘れることはないけれど。それでもこうして孫と過ごす時間があって、生前はしてやれなかったことをしてやれるのは、悪くない。楽しそうに笑うエライアを見ることができる。
「……分かった分かった。アタシの負けだよ」
 自然と和らいだ表情に笑みを浮かべて、孫の柔らかい髪をなでてやる。
「ハロウィンドリンクを作ってやろう」
「やったー!」
 ハロウィンカラーのオレンジとぶどうの二層仕立てのジュースにしようか。メニューを考えながら思案するバーテンダーの顔になったパラスの隣で、悪戯好きの可愛らしいお化けが嬉しそうに喜びの声を上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フローライト・ルチレイテッド
アドリブ連携歓迎でーす。

今はそういう余裕はないかもですが、文化って大事だと思うので、頑張りましょー。

指定UCを使って、妖精軍団を召喚です。
【アート、メカニック】の知識を生かして簡単な楽器を製造したり会場や飾りを造ったりします!
金管とか難しいのを造っても、誰も使えないだけという可能性がありそうですし、リズム楽器とか中心に。

色々揃ったら、【楽器演奏】開始です。【Dress】の機能でキラキラ光ったりしつつ、スピーカーの音量も上げて【存在感】を出して行きましょう。
あとは近付く人を【誘惑】して、楽器を渡して【パフォーマンス】に巻き込んで行きましょう。
お祭りは歌って騒いで楽しんでなんぼでしょうからー。



●音を楽しむ
 荒野にあるベースに子供たちの楽し気な笑い声が響く。猟兵たちが持ち込んだ荷物で、様々なハロウィンの楽しみが子供たちを笑顔にしている。大人たちはそれをにこやかに見守っていたが、お祭りは大人にだって楽しんでほしいと思うのだ。
「今はそういう余裕はないかもですが、文化って大事だと思うので」
 子供たちがこうして暮らしていけるのもそれを守る大人たちがいるからで。今は生きることに精一杯かもしれないが、文化や芸術は心を癒し、豊かにする。フローライト・ルチレイテッド(重なり合う音の色・f02666)はそんな思いで、頑張りましょう、と呟きエールを送る。
「さあ、お祭り会場を設営しますよー」
 ユーベルコードで召喚した妖精軍団が、運び込んだ資材やベースにあるものを使って会場を設営していく。古着で作ったハロウィンカラーのガーラント。廃材で作った小さいながらもしっかりとしたステージは解体すれば薪としても使える。様々なモノ作りに長けた妖精軍団は、その手で次々と新たなものを生み出していく。
「これ、なあに?」
 妖精軍団が作り出したものたちに興味を持った少女が指をさしてはフローライトに問いかける。
「それはカスタネットだね。こうやって叩く楽器だよ」
 フローライトが実際に叩いて見せ、少女に手渡すと、真似をして叩いては瞳を輝かせる。人々に音楽を楽しんでほしくて。けれどあまり難しい楽器ではそれも難しいだろうと、リズム楽器を中心に、妖精軍団は研究施設から運び入れた資材を使ってタンバリンやマラカス、トライアングルなどを作り出す。
「さあ、今から楽しいステージの幕開けだよー。どなたさまも聴いていって、良ければ参加してねー!」
 急ごしらえのステージの上に立ったフローライトは、愛用のダブルネックギター【蛍灯】をかき鳴らし、人々の視線を集める。獣の耳と尻尾、角と翼を持ったキマイラのフローライトは仮装なしでも目を引く。その身に纏うのは電子の海から創造されたバーチャルレイヤー【Dress】。まるで素早く衣装チェンジを行ったかのように、Dressは煌めきながらその表情を変えていく。
 野外用スピーカーポッド【真っ赤な夜】が赤いセンサーライトを光らせながら、宙を浮遊し、ボリュームを上げてはフローライトの演奏をベース中に届ける。
 子供も大人も、その魅力的な音楽に引き寄せられるように次々とステージに集まってくる。
「俺達は創り出す。行くぜ、創れ歌え、心のままに♪」
 少女のような愛らしい容姿から響く歌声は、この世界に生きる人々の背中を力強く押し、鼓舞するように。巧みな演奏技術と伸びやかな歌声に、聴衆も知らず身体を揺らしてリズムを刻む。
「いつもいつでも、信じる想いのまま♪」
 手拍子や聴衆に対してのパフォーマンスでさらにステージを盛り上げると、フローライトはステージを降り、先ほど作り出した楽器を近くの人に手渡していく。
「間違いなんてないんだ! 何でも奏でれば音楽になる……さあ一緒に!」
 手にしたタンバリンをおずおずと叩いていた女性も、リングベルを手にしてきょとんとしていた少年も、トライアングルを受け取ってしまった男性も、フローライトの言葉に勇気づけられたように、楽器を自由に奏で始める。楽器に触れたことがなくたって、楽しんで音を奏でればそれが音楽なのだから。
(「お祭りは歌って騒いで楽しんでなんぼでしょうから」)
 妖精軍団が作り出した楽器をさらに聴衆に配れば、フローライトは合わせやすいテンポでギターを奏でる。楽器を持っていない人もそのリズムに合わせて手拍子をしたり、大きく身体を動かしリズムを刻む。
「お祭りを楽しんで、それをまた明日からの力にしてくださいね」
 どこか疲れていたような大人たちの表情も生き生きと明るく輝き、そしてみんなで奏でる音楽の一体感に包まれながら、心躍る音楽の祭典はしばらく続くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

吉備・狐珀
貴重な食料なのは重々承知していますが今日くらいはいいですよね
こういう特別な日が明日からの活力にかわるものですし

昨年アルダワで作った南瓜プリンを作ろうと思うのですが、その前に
エリシャ殿、私と一緒にプリンをつくりませんか?

用意した坊ちゃん南瓜を器にして丸ごと南瓜プリンを皆さんに振舞おうと思います!
ウカとウケに南瓜をどんどん蒸してもらい、あら熱のとれた南瓜の上の部分を少しだけ切ってスプーンでくり抜きます
くり抜いた実の部分を滑らかになるまで潰して他の材料と混ぜたら裏ごししながら南瓜の器に流しいれる
先ほど切った南瓜を蓋にして様子を見ながら蒸せば完成です!

食べる前にカラメルソースかけて召し上がって下さいね


榎木・葵桜
可能ならエリシャさんも一緒に

じゃがいもは
ポクスティを作るの
アイルランドの郷土料理で
ハロウィンで食べる料理なんだって

じゃがいもの半分はすりおろして
あと半分は鍋で茹でて潰してから
混ぜ合わせて塩コショウで味付けして
フライパンで焼いたらね、
パンケーキみたいになるんだよ♪

それからかぼちゃのポタージュ
カボチャは先に内側くり抜いて
柔らかくして潰してなめらかにしてー
牛乳と混ぜて火にかけたらできあがり♪

かぼちゃの外側はランタンにしちゃおう!
子ども達にも手伝ってもらうね
力仕事は田中さんにお願いするね

皆で飾り付けしたり衣装で着飾ったりしたら
ハロウィンパーティー始まりだよ!

さぁ、皆で一緒に!
トリック・オア・トリート!



●心を込めた手料理を
 猟兵たちがそれぞれのハロウィンで住人たちを楽しませているのは、子供たちの笑い声や聞こえてくる賑やかな音楽で伝わってくる。
 そうしてここでもハロウィンの楽しみを知ってもらうべく、ハロウィンにちなんだ料理やお菓子作りが行われていた。
「貴重な食料なのは重々承知していますが……今日くらいはいいですよね」
 慢性的に食糧不足なこの世界では、奪還者と呼ばれる者が廃墟から食糧や資材を調達しているぐらいだ。今回たくさんの食材を運んできたけれど、それでもこの世界で食糧が貴重であることを知っているからこそ、吉備・狐珀(狐像のヤドリガミ・f17210)は運んできた坊ちゃん南瓜を大切そうにテーブルに並べていく。
「ええ、こんな日くらいは普段食べれないものを食べてほしいじゃない。食材も日持ちしないものは順番に使っていかないとね」
 狐珀の言葉を肯定するように、エリシャは力強く頷いた。みんなが一生懸命運んでくれた食糧はかなりの量がある。それになにより、出来上がった料理や菓子を喜んでくれるだろうと思うから。
「そうですよね。こういう特別な日が明日からの活力にかわるものですし」
「うん、ここで暮らす人々にとってまた明日も頑張ろうって思えるような楽しい思い出になればいいよね」
 隣でたくさんのじゃがいもを準備している榎木・葵桜(桜舞・f06218)も笑顔を浮かべる。
「葵桜ちゃんはじゃがいもを使うの? どんな料理?」
「このじゃがいもでボクスティを作るの。アイルランドの郷土料理でハロウィンで食べる料理なんだって」
「まあ、そうだったの。初めて知ったわ。どんなお料理か楽しみにしてるわね」
 ハロウィンにはかぼちゃが定番だけど、お腹の膨れるじゃがいもでハロウィンらしい料理を作ろうと葵桜はたくさん用意したじゃがいもの皮むきを始める。
「狐珀は何を作るの?」
「昨年アルダワで作った南瓜プリンを作ろうと思うのです」
「ふふ、あれでしょ? 迷宮の中でマダム・プディングに教わったっていう」
 噂は聞いてるわよ、とエリシャが片目を瞑ってみせると、狐珀も笑顔で頷く。
「エリシャ殿、私と一緒にプリンをつくりませんか?」
「ええもちろん。作り方、教えてほしかったのよね」
 バレンタインの時に言ったことを覚えててくれたのねと嬉しく思いながらエリシャは腕まくりする。
「葵桜ちゃんも、何でも手伝うから遠慮なく言ってね」
「うん、ありがとう!」
 葵桜は皮をむいたじゃがいもを二つに分け、半分を鍋で茹でる。その間に残った半分をすりおろしていく。茹で上がったものを潰しては、すりおろしたじゃがいもと混ぜ、塩コショウで味付けしてフライパンで焼くと……。
「パンケーキみたいになるんだよ♪」
「まあ、ほんと。見た目はパンケーキね」
 平べったく焼き上げられたボクスティはいい色の焼き目がついて食欲をそそる。葵桜は次々とボクスティを焼き上げていく。
「この坊ちゃん南瓜を器にして丸ごと南瓜プリンを皆さんに振舞おうと思います」
 狐珀が準備していたたくさんの小ぶりの坊ちゃん南瓜はこの時のために。
「器もかぼちゃなら見た目も楽しめるわね」
「はい。では、ウカ、ウケ。南瓜をどんどん蒸してもらえますか」
 眷属たる黒狐の【ウカ】と白狐の【ウケ】が器用に坊ちゃん南瓜を蒸し器に運んでいく。蒸している間に狐珀がプリンにかけるカラメルソースを小鍋で作り、蒸し終わり、粗熱が取れたかぼちゃの上部を少しだけ切ってスプーンでくり抜く。くり抜いた実は柔らかくなっているのでなめらかになるまで潰す。そこに卵や砂糖を入れて良く混ぜ、最後にミルクを混ぜ合わせ、なめらかになるようこしてから器に流しいれる。
「今日はお砂糖ですが、アルダワの時は蜜ぷにの蜜を入れました」
「あの蜜美味しいものね」
 プリンをこしては器に流し込みながら、エリシャはくすりと笑う。そうして先ほど二人で切った坊ちゃん南瓜の上部を蓋にして、器ごと蒸しあげていく。
「私はもう一品作るよ」
 葵桜は柔らかくなったかぼちゃを潰してなめらかにしてから鍋に入れると、ミルクを合わせて火にかければ完成だ。
「かぼちゃのポタージュだよ」
「メインにスープにデザートで完璧ね」
 かぼちゃを潰す工程を手伝いながらエリシャがそう言って微笑むと、葵桜は先ほどくり抜いたかぼちゃを手に思案顔。そう、せっかくだから外側はランタンにしてしまおう!
「これ、ランタンになるよね」
「ハロウィンの定番ですね」
 何よりもこのお祭りを飾るにふさわしい。それに顔を描いて彫るという楽しい作業もある。
「よーし、じゃあ子供たちに手伝ってもらおう。田中さん!」
 葵桜の呼びかけに、外で力仕事を手伝っていた古代の戦士の霊の田中さんが姿を現す。
「子供たちと一緒にランタン作りをしてもらえる?」
 料理の準備は整った。あとは簡単な仮装を用意したり、それとなく着飾ったり。葵桜は用意していた小さな包みに入ったキャンディやチョコレートを持ち、子供がなすべきハロウィンの作法を教えようと田中さんと子供たちの元へ向かう。
 準備した料理を屋外のテーブルにウカとウケが運んでいると、早速子供を中心に人が集まってくる。
「わーい、ごちそうだ! 食べていいの?」
「はい、皆さんのために用意しました。みんなでいただいてくださいね」
 子供たちは手に手作りのランタンを携え、それをにこにこと見守る大人たちも一緒に、テーブルを囲む。
 思い思いの簡素な仮装に身を包み、今日初めて教えてもらったハロウィンを目いっぱい楽しむ。
「どの世界でだってお祭りは楽しまなきゃね」
 秋の収穫を祝う祭りでもあるのだ。この世界にもっと豊かな農作物が実るようにと祈りを込めて、エリシャは目を閉じた。
 集まった人々を見て、葵桜は元気よく語り掛ける。
「さぁ、皆で一緒に!」
 秋の楽しいお祭りの定番の合言葉をみんなで唱えよう。
「トリック・オア・トリート!」
 秋の気配が色濃くなる頃、猟兵たちによって、荒野に暮らす人々に楽しいハロウィンが届けられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月04日


挿絵イラスト