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胸中の歌は戦場(そこ)に在るのか

#クロムキャバリア #科学小国家ジャパニア

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#クロムキャバリア
#科学小国家ジャパニア


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 クロムキャバリアに存在する科学小国家があった。
 その名は『ジャパニア』!
 議会民主制でありながら、技術者が政治に携わる実力主義の小国家である!
 中でも、様々な専門分野の精鋭が集結して組織された特別軍事科学研究機関……通称『開発チーム』は、この100年近く続く戦争において、政権中枢から絶大なる信頼と権限を任されていた。

 だが先日、開発チームの行った新型キャバリア稼働実験は失敗。
 その際、伝説の存在と歌われていた超常の戦士――猟兵との接触の機会を得た。
 猟兵達は、オブリビオンマシンへと変貌を遂げた実験機の沈黙に貢献。
 実験機は廃棄処分となってしまったが、貴重なデータが集まった。
 猟兵達の戦闘データを元に、開発チームは新たな新型キャバリアの開発に着手した。

 ……だが、そう簡単に話がまとまるわけもなかった。
「主任~! なんでアタシ達が輸送部隊に配属されるんですか~!」
「黙って資材を運べ! もたもたしてると日が暮れるぞ!」
 主任と呼ばれた壮年の男が、愚痴る女性職員を一喝した。
 他の職員も不満を漏らし始めた。
「新型機の開発の認可をもらいたければ、自分たちで必要な資材を取ってこいだとさ!」
「精鋭機関とか言われてる俺達が、お遣いに向かわされるとか、ヤキが回ったなぁ」
「まぁ……前回の暴走事件、かなり上が期待してたらしいですからねぇ」
 これらに主任は、ため息混じりに言葉を返す。
「ジャパニア初のジャイアントキャバリアだったからな。それを私達がむざむざと廃棄処分にしてしまったんだ。軍法会議で死刑にならなかっただけ、ありがたいと思えよ?」
「うへ~、その結果、開発チーム全員が輸送部隊へ転属とか、笑えないですよ~」
 開発チームは必要な資材を『プラント』……鋼材や食料まで様々な資源を生産する、高さ15mの固定施設から飛行船へ積み込み終わると、休憩もそこそこに市街地外れの研究施設へと向かうべく離陸した。
 しかし、彼らはすぐに異変に気が付く。
「んん? なんだろう、この音楽は……?」
 何処からか奇っ怪な音楽が聞こえてきた途端、レーダーに複数の敵影が浮かぶ!
「前方から未確認の飛行キャバリアの大隊が接近中!」
「パターン:O(オー)を検出! オブリビオンマシンです……!」
「くそっ! まずいぞ、この飛行船には最低限の武装しか搭載されていない!」
「敵機からの攻撃確認! 回避不能です! きゃあっ!」
 前方からミサイルやレーザーの雨が降り注ぎ、開発チームと山積みの資材を満載した飛行船が空中で爆発四散してしまった。

「――っていうのを予知したから、急いでみんなはクロムキャバリアへ向かってもらうよっ! 準備が出来た人から、あたいへ声を掛けてねっ!」
 グリモアベースにて、猟兵達へ予知の内容をグリモアから投影してみせた蛇塚・レモン(蛇神憑きの金色巫女・f05152)は、すぐさまクロムキャバリアへの転送準備に取り掛かった。
「オブリビオンマシンの大軍勢は、空中戦特化型キャバリアだよっ! と言っても、暴走衛星『殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)』から逃れるため、低空での飛行しか出来ないけど、停止と3次元機動を可能にしているから油断しないでねっ!」
 更に、この大軍勢を指揮している指揮官機が存在する。
「指揮官機は、機体の各部に音響兵器を搭載したオブリビオンマシンだよっ! この機体から発生する音楽自体が攻撃だから、すごく厄介だよっ! でも、対策はあるっ!」
 レモンはいつの間にかマイクを握り締めると、猟兵達へ叫んだ。
「みんなもっ! 戦場でっ! 歌っちゃえばいいんだあぁぁぁぁーっ!」
 ……つまり、音楽には音楽をぶつけろ、ということらしい。
「そのまま戦ってもいいけど、演奏や歌で敵の音楽に対抗すれば、もっと有利に戦えると思うよっ! 無理にとは言わないけど、頭の片隅に入れておいてねっ!」
 そしてレモンの頭上のグリモアが輝きを放つ。
 いよいよ、クロムキャバリアでの『飛行船護衛ミッション』が幕を開ける……!


七転 十五起
 科学小国家ジャパニアをよろしくお願いします。
 なぎてんはねおきです。
 今回のシナリオは急に歌うよ。
(前回のシナリオ:https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=28855)

●概要
 暴走衛星『殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)』により高速飛翔体が破壊されるこの世界では、自国間の輸送(例:プラント→市街地)に『飛行船』を使うこともあります。そして今回は、グリモア猟兵が【プラントからの飛行船を満載した飛行船が、オブリビオンによって撃墜される光景を予知した】事からはじまります。この悲劇を防ぐため、飛行船に群がるオブリビオンマシンの大軍勢を撃破しましょう。

 第一章は集団戦です。敵軍勢は空中にいます。
 対空戦で叩く、若しくは自身が飛行して対処して下さい。

 第二章はボス戦です。敵指揮官機は音響兵器を操るオブリビオンマシンです。
 邪悪な【音楽】に対抗するべく、猟兵の皆様も【音楽】に対抗すれば、プレイングボーナスが発生します! 戦場で皆様の音楽を、歌を、戦場に響かせて下さい!
 勿論、通常戦闘でも問題ありません。

 第三章は日常です。
 基地で音楽フェスを開催するそうです。
 猟兵の皆様も飛び入り参加が出来るそうなので、一緒に楽しんじゃいましょう。

 それでは、皆様の燃えるような熱いプレイングを、お待ちしております!
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第1章 集団戦 『機動殲龍『空翔』』

POW   :    ブリッツウィング
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【キャバリア】から【ミサイルと機銃による追尾攻撃】を放つ。
SPD   :    オーバーブーストマキシマイズ
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【キャバリアを更に加速。敵に近づき翼】から【敵機を吹き飛ばす衝撃波】を放つ。
WIZ   :    ダブルバレルカノン
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【キャバリア】から【鋼鉄をも貫くビームカノンによる連続攻撃】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ニコレット・エスポワール
大好きな妹のクリス(f02149)と一緒♪

プテラノドン退治?コレが『オルフェ』の初舞台だけど
ソレなら『ユリディス』に変形して突撃だーっ!

※【星海を翔けるは、愛に生きる舞精】使用済
※SSW風味のSF飛翔体として高速戦闘
※モーションダイレクト式操縦故ニコ自身が飛ぶ感覚

って頭上を取ろうとしたらクリスに怒られた!
衛星砲あるのココ?シャンデリアならいいのになー…ちぇっ
ごめんごめん♪でも、それならそれでランデブー行くよ、クリス!

砲撃されない地上スレスレへ急降下したら
メテオールとロンドの様な錐揉み機動でグルグル♪
ビームの【弾幕】張ってミサイルも【一斉発射】
ホラホラ、コレからボクらが歌うんだから邪魔しないの!


クリスティーヌ・エスポワール
双子の……大好きな姉のニコ(f02148)と参加よ!(赤面)

翼竜型のキャバリア……
機動性勝負なら【メテオール】の初舞台には丁度いいわね
って、こらニコ!殲禍炎剣に落とされるから頭上取るのダメだってば!
衛星砲かミサイルかは知らないけど、やめて本当に心臓に悪いから……
うん、それじゃ合わせていくわよニコ!

UC【流星は闇天を裂く】で、ニコのオルフェと輪舞を踊るような戦闘機動
地上スレスレを低空飛行しながら【推力移動】でバレルロールし、【レーザー射撃】【誘導弾】でホーミングレーザーの一斉射撃よ!
ダメ押しで機体に懸架したカービン銃も叩き込むわ!
私達の舞台、整えさせてもらうわよ!



 飛行船の周囲を取り巻くよう旋回飛行する機動殲龍『空翔』――オブリビオンマシンの大軍勢。軽機関砲しか搭載されていない飛行船を嘲笑うかのごとく、大軍勢はじわじわと標的を嬲っていた。
「くそっ! 奴ら、ナメた真似を……!」
 開発チームの主任は、操縦桿を握りながら必死に堪えていた。
「この飛行船の最大速度は!?」
「……時速40kmです!」
 輸送部隊の隊員の言葉に、主任は舌打ちをした。
「もっと速度をあげられないのかっ?」
「無理です! あまり速度を上げると、殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)の的になってしまいます!」
「じゃあなんであいつらは撃ち落とされない!?」
「お、おそらく、一瞬加速してから滞空、停止することで、殲禍炎剣の監視から逃れているかと思われます……!」
「つまり、ブレーキのないこの飛行船には出来ない芸当ってことか!」
 頭を抱える主任。
 窓の外には、オブリビオンマシンの大軍勢が、砲門をこちらに向けているのが目視で分かった。
 ここまでか、と主任は目を瞑って天に祈った。
「誰か、頼む! 私達を助けてくれーっ!」
 助けを求める叫びは、無線電波に乗って拡散された。
 すると、すぐさま反応が!
<おまたせ! ここからは、大好きな双子の妹のクリスと!>
<双子の……だ、大好きな姉のニコが、引き受けるわよ!>
<あれ、クリス? もしかして、照れてる? かーわいぃー♪>
<う、うるさいってば! ほら、早く飛行船を何とかするわよ、ニコ!>
 無線から声が返ってきた次の瞬間、飛行船の周囲を旋回していたオブリビオンマシンの大軍勢が突如として爆発炎上!
 黒煙を上げながら、機竜の群れが地上へ墜落してゆくではないか!
 その黒煙をかき分けるように現れたのは、少女型キャバリアと細身で流線型のキャバリアの二機!
「おお……! もしや、来てくれたのか……!」
 主任が感嘆の声を漏らす傍ら、オペレーターがニ機の所属を確認する。
「機体の解析完了! パターン:グリーンを検出……! 猟兵達ですっ!」
 船内に歓喜と安堵の声が溢れ返った!
「やったぞ! 俺たちは助かる!」
「暴走事件のときと同じよ! 奇跡が2度も起きたわ!」
「いや、これはもう奇跡じゃない! 必然だぁ!」
 希望で息を吹き返した船内の様子が無線から伝わってくる。
 この様子に、互いに専用機を駆る猟兵2人――ニコレット・エスポワール(破璃の黒百合・f02148)とクリスティーヌ・エスポワール(廃憶の白百合・f02149)の双子姉妹も胸を撫で下ろす。
<よかったわ。みんな、安心してくれたみたいよ、ニコ>
<そうだね! 間に合ってよかった!>
 姉妹は飛行船の周囲に機体を滞空させたまま、今だ遠巻きに周囲を旋回するオブリビオンマシンの大軍勢と対峙する。
<ねぇねぇ、クリス? あれってプテラノドン? 今回の任務ってプテラノドン退治だっけ?>
<ニコ、あれは翼竜型のキャバリアよ……。まぁ、プテラノドン型とも言えるけども……。でも、あっちが機動性勝負なら、私のメテオールの初舞台には丁度いいわね>
 流線型の高速性特化柄キャバリア『メテオール』。
 この任務でロールアウトとなるが、この機体、操作性は劣悪で制御が性能に追い付いていないのだ。その証拠に、不自然に急発進しては急停止を繰り返すメテオールに、クリスティーヌは嘆息を吐いてしまう。
<やっぱり、ピーキーすぎるわね……。実践でこの癖の強さに慣れるようにしないとだわ。ニコは大丈夫?>
 クリスティーヌはプリマドンナめいた少女型キャバリアをカメラアイで捉える。
 ニコレットの機体『オルフェ』は本来、歌と踊りに特化した芸能型キャバリアである。だが、衣装のような追加装甲にはミサイルポッドやホバーユニットが仕込まれており、音波による攻撃も可能にしているのだ。その最大の特徴は、モーションダイレクト式操縦を採用しているため、ニコレット本人の身体の動きに合わせてキャバリアを動かすことが出来る点である。これによって、歌やダンスがより本人とリンクし、キャバリアが人間に近い動きを獲得できる。
<平気平気! コレがオルフェの初舞台だけど、こんなにオーディエンスがいるなら気合が入るよね!>
 すると、オルフェの機体が突如、SF世界に登場するかのような戦闘機形態へ変形してゆく。
<ソレなら、『ユリディス』に変形して突撃だーっ!>
 ユーベルコード『星海を翔けるは、愛に生きる舞精(ランデヴー・ロマンティーク)』発動!
 操縦部ではニコレットは両手を広げ、飛行機ポーズで前傾姿勢に。
 まるで自らが空を飛ぶ気分だ。
<それじゃ、いっくよー! ドッグファイトだよ!>
 スラスターから赤白い炎を拭き上げたかと思えば、トップスピードでオブリビオンマシンの大軍勢の制空権を握ろうと飛翔してゆく。
 だが、これをクリスティーヌが強く静止した。
<って、こらニコ! 殲禍炎剣に落とされるから頭上取るの、ダメだってば!>
<ほーりー・ぐれいる? なにそれ?>
<衛星砲よ! 高高度での高速飛行体は、大気圏外から狙撃されるの!>
<えー! 衛星砲あるのココ? シャンデリアならいいのになー…ちぇっ>
 やむなくニコレットは高度と速度を下ろすと、オブリビオンマシンの大軍勢の外周を飛び出し、ゆっくりと飛行を始めた。
 一部始終を見守っていたクリスティーヌは、背筋が凍えそうなほどヒヤヒヤしていた。
<まぁ、実際のところ、衛星砲かミサイルかは知らないけど、高高度での高速飛行はやめて、本当に心臓に悪いから……>
<ごめんごめん♪ でも、それならそれでランデブー行くよ、クリス!>
<うん、それじゃ合わせていくわよニコ!>
 二機はすぐさま地表スレスレまで降下すると、機体の腹同士を向かい合わせたまま空中に螺旋を描いて空気を穿ってゆく。
<わぁ! ボクとクリス、ロンドを踊ってるみたいにクルクル回ってる♪>
<ニコ、敵の軍勢の一部がこちらへ高速接近中よ! もっと引き付けて!>
<オッケー! ほらほら、プテラノドンくん達、おいでおいで♪>
 スラスターを器用に扱いながら、ニ機は超低空飛行でバレルロールを継続してゆく。クリスティーヌも次第に機体の扱いが理解できてきたようだ。
 そこへ上空から急降下してくるオブリビオンマシンの小隊! その翼に衝撃波を纏わせ、ニ機へ突撃を敢行してきた。
 だが、クリスティーヌはこれを待ち望んでいたのだ。
<敵が射程圏内に入ったわよ! 全方位の敵性体にマルチロック! バレルロールはこのための布石なのよ!>
<こっちも準備出来たよ!>
 双子姉妹ならではの阿吽の呼吸、言葉を発しなくとも、互いにトリガーを引くタイミングは同時!
<ホーミングレーザーの一斉射撃よ! ダメ押しで機体に懸架したカービン銃も叩き込むわ!>
<フルバーストアタックだよ♪>
 ニ機のキャバリアが翻るたびに、上空へ拡散するホーミングレーザーと機銃の弾幕!
 接近してきたオブリビオンマシンは、回避できずに弾幕を浴びて爆散した!
 地表近くに赤黒い炎と煙を咲かせ、上空にパラシュートで降下するパイロット達が不時着してゆく。
<逃げても無駄だってば! ホラホラ、コレからボクらが歌うんだから邪魔しないの!>
<そうよ、私達の舞台、整えさせてもらうわよ!>
 その後も、降下してくるオブリビオンマシンの小隊を、容赦なく次々と撃墜してゆく2人。
 双子姉妹の先制攻撃によって、まずはオブリビオンマシンの大軍勢に痛撃を与えることが出来たのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ノインツィヒ・アリスズナンバー
アハ☆
ジャパニアの皆さんにまた歌をお届けするために私ちゃん頑張っちゃう☆
頑張りま~す☆
……え?アイドル業じゃなくてオブリビオン?はい。

とりあえず、イドラは【念動力】を利用して空中戦を展開するね。
そんでもってえ、敵が突っ込んできたところにUCを発動。
連打の拳に加速して突っ込んでくるものなら、【カウンター】のいい餌食☆
ついでに【怪力】を利用して敵をはるか上空に【投擲】しちゃう☆
ほーら殲禍炎剣の的になれー☆

今日も今日とてオブリビオン。
私ちゃん、アイドルが本職なんだけどなぁ。
……フェスのステージ演出、よろしくね☆開発部さん☆

アドリブ・絡み歓迎


箒星・仄々
心歪められている操縦者さんを
早く助け出してあげたいです

そして蘇りなお戦いへ誘う兵器さんは哀れです
海へお還ししましょう

貸与機体
スピーカー装備

鳥さんを矢で射落としましょう

先陣は疾さの風の矢
敵機に追い縋り
或いは先回りして攻撃

かなり機動力に優れた鳥さんですし
避けられるかも

けれど外れた風の矢は
重なり相乗し合い乱気流となり
渦巻いて敵機の機動を阻害します

そこに水の矢
超水圧が装甲や羽を貫通

そして炎の矢
穴から内部へ延焼
過熱や誘爆を起こします

脱出した操縦席や操縦者さんは救助します

敵ビームは
風で機体を揺らす
炎で空気を歪めで光条逸らす
ことで回避です

終幕
鎮魂の調べ
今度こそ静かな眠りを

パイロットさんはご無事でしょうか?


アウル・トールフォレスト(サポート)
(基本好きにお任せします)
「今日はどんなところに行けるのかな?」

楽観的で感情豊か、夢見る乙女な性格の少女
年相応に無邪気であり、根本が人でない故に残酷

神出鬼没に出現し、気まぐれに歩き回り、楽しげに爪を振るう
猟兵の役割は理解し依頼も一応遵守しようとするが、それはそれとして楽しそう、面白そうで物事を判断し、それを優先して行動する

バイオモンスターの特徴として、肉体は植物の性質を持つ

戦闘では怪力の発揮や身体の巨大化、鋭い爪での引き裂き、捕食等の野性味溢れる攻撃スタイル
理力の扱いも得意で、体表で自生する蔓や苔植物を操り、防御や隠密に罠等サポートも行わせる



 猟兵達の介入により、開発チームが乗り込む飛行船に活路が見えてきた。
 他の飛行型オブリビオンマシンを撃墜させるため、少し遅れて他の猟兵達も駆け付けてくれた。
<アハ☆ 開発部さん、おっひさー☆>
 あざといスイートボイスが飛行船の無線に届く。
 これには開発チーム達は一層の歓喜に包まれた。
<おお! 君は、前回の暴走事件のノインツィヒ君だったか!>
<ピンポーン☆! 主任さん、大正解ー☆ てか私ちゃんのこと、覚えててくれたんだ~! 嬉しいー☆>
 キャバリアの操縦席の中で目を輝かせるノインツィヒは、ついつい笑みが溢れてしまう。
<ジャパニアの皆さんにまた歌をお届けするために、私ちゃん、あいむばーっくっだよ☆ それじゃ、アイドル活動、頑張りま~す☆>
<いやその前に、このオブリビオンマシンの大軍勢をなんとかしてくれないかっ?>
<……え? アイドル業じゃなくてオブリビオンが先?>
<頼んだぞ、ノインツィヒ君!>
<はい(素の低音ボイス)>
 一瞬でテンションが直滑降したノインツィヒであるが、彼女の専用キャバリアであるイドラ・キャバリアは念動力で飛行船と同じ高度を空中浮遊して敵の盾になっていた。
「はぁ、今日も今日とてオブリビオン。私ちゃん、アイドルが本職なんだけどなぁ」
<そう気落ちしないで下さい。あと無線に本音がダダ漏れですよー?>
<ちょ……っ!>
 慌てて僚機同士の限定回線へ切り替えるノインツィヒ。
<黒猫くーん? 乙女の本音の盗み聞きはマナー違反だゾ☆>
<それは大変失礼しました。ですが、主任さんの仰るとおり、まずはこの状況を打破しましょう>
 黒猫、と呼ばれたもう一機のキャバリアの操縦者が無線で呼び掛けてきた。
 量産型のキャバリアに、大型スラスターを搭載して対空しているのだ。
 イドラの操縦席のワイプモニタに、黒猫ケットシーの箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)の顔が表示された。
<ノインさん、私の乗るキャバリアの借用許可のために付き合ってくださってありがとうございました。出遅れた分は取り戻さねばなりませんね>
<いいよいいよー、私ちゃんの顔パスが必要なら、いつでも貸すから☆ ってか、黒猫ちゃんは真面目だねー? 私ちゃんはアイドル活動ができるって聞いたから飛んできたのにー! もー!>
 ふてくされるノインツィヒの言葉に、箒星はワイプ越しに苦笑いを浮かべていた。
<それは、心中お察しします……。私はただ、心歪められている操縦者さん達を早く助け出してあげたいだけなのです。それに、蘇ってなお戦いへ誘う兵器さんは哀れです。しっかりと骸の海へお還ししましょう>
<やだ、黒猫くんってば健気……っ!>
 ノインツィヒ、箒星の任務に取り組む姿勢に胸がキュン……としてしまう。
<そんなふうに言われちゃったら、私ちゃんも手を抜けなくなっちゃうよね? 開発部さん達も見てるし?>
 飛行船をチラリと盗み見た後、イドラはもう一機の僚機と連絡を取り始める。
<そっちは準備オッケーかな、アウルちゃーん?>
<大丈夫だよ、ノインちゃーん。私は言われたとおり、地上からサポートすればいいのかな?>
 2.5mほどの体躯を誇るバイオモンスターのアウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)は、ジャパニアの中でも特殊なモーションダイレクト式操縦席を採用したキャバリアに乗り込んで、地上から2人の機体を見上げていた。
 従来のコックピットではアウルの巨躯は狭すぎたため、急遽、試作品のコックピットに換装しての出撃である。
<合図が来たら、ユーベルコードをぶっ放せばいいのかな?>
<オッケーオッケー☆ よろしくねー? 突っ込んできた敵機はその都度、対処しちゃってね☆>
<わかったよ! って、早速来たね!>
 相手を吹き飛ばせそうな程の衝撃波を纏ったオブリビオンマシンの小隊の翼が、マッハの速度で超低空飛行のままアウル機へ突っ込んでくる!
 このままでは、アウル機は正面衝突で木っ端微塵だ!
「これは大きな“網”が必要だね!」
 アウルは植物の特性を持ったバイオモンスターだ。その特性はキャバリアに乗っていても発揮される。
 彼女の体表に自生している蔦植物が、コックピットの外へ溢れると、キャバリアの周囲に網目状の防壁を生成・展開し始めた。
「よし、虫取り網の完成だよ! これで――!」
 植物で出来た網をアウル機がフルスイングすると、突撃してきたオブリビオンマシンの小隊を一気に絡め取ってしまったではないか!
 衝撃波でアウル機が大きく後退するも、網は破けず敵機を一匹たりとも逃さない。
「やった! 大量ゲットだね! さーてと、中のパイロットさんを救出しないといけないんだったよね? ……このあたりかな?」
 アウル機は網にかかった敵機の翼を無造作に引き千切って飛べなくすると、機体を握り潰すように解して解体してゆく。まるで幼い子どもが、興味本位でバッタなどの昆虫の脚や触角を引きちぎるかのごとく、アウルは無造作に怪力で敵機をグシャグシャにしていった。次第に機体の中から球体状のコクピットを発見すると、おもむろに引っこ抜いて明後日の方向へ投げ捨てた。
「よっと! あとは自力で脱出してね?」
 地面に激突して数度バウンドしたコックピットから、目を回して這い出てくるパイロット。手荒い救出方法のおかげか、精神汚染も解除されているようだ。
「それじゃ、サクサクと救出しよっと! なんだか楽しくなってきた!」
 この後も、アウルは合図が来るまで、敵機をブチブチと毟ってはコクピットを投げ捨てて人命救助に精を出す。
 一方、上空では、金属音の激突音が絶え間なく鳴り響いていた。
<っしゃアーッんなろオォォォーッ!>
 ノインツィヒが乗るイドラの鉄拳が、突っ込んでいた飛行型オブリビオンの頸部を粉砕! カメラアイを失った機体は、勢いよく敵僚機と衝突して爆発四散! 機体の中からベイルアウトしたパイロット達は、そのままパラシュートで地表へ降り立っていった。
<ああーもう! むやみにこっちから攻め込むと、飛行船に突っ込んできちゃう! 今日はアイドルの私ちゃんのままでいようと頑張ってるのにー! って寄ってくんなテメッコラーァツ!>
 突っ込んでくる敵機をガッキンガッキンと殴り倒しては撃墜させてゆくイドラに、敢えてノーコメントを貫く箒星。
 気遣い◎の持ち主!
 そんな箒星も、ユーベルコード『トリニティ・ブラスト』を発動させ、火・水・風による化学反応を応用した術式を駆使して迎撃していた。
<では、鳥さんを矢で射落としましょう>
 箒星機はマッハ速度で三次元高機動飛行をやってのけるオブリビオンマシンの大軍勢へ、まずは風の矢をキャバリアから射出した。
(なるほど、ユーベルコードは機体のサイズに合わせて再現されるのですね)
 この世界の固有ルールを体感した箒星は、敵機の移動地点を予測しながら、風の矢で牽制をしてゆく。
 しかし、敵機は空中での滞空停止からの急旋回が可能であり、なかなか射線に入ってくれずに空振りばかりだ。
「これは、かなり機動力に優れた鳥さんですね。たやすく避けられてしまいます」
<黒猫くん、もっとしっかり狙ってよー!>
 ノインツィヒの叱責に、箒星は含み笑いをこぼす。
<安心して下さい。矢が回避されるのは織り込み済みです。そうだ、ノインさん、ここからはセッションと洒落込みませんか? 私、こう見えてシンフォニアなんですよ。音楽を媒介にした魔法が得意なんです>
 そう告げた箒星のキャバリアの背中には、ミサイルポッドのような重装備が備わっていた。
<もしかしてそれ、スピーカー!?>
<そのとおりです、ノインさん。一曲、いかがですか?>
<もうやだ、黒猫くんってば! イケメンならぬイケネコ……!>
 ノインツィヒはイドラの機体をパフォーマンスモードに切り替えると、サウンドスピーカーユニットを起動させる。
<やっぱり、今日の私ちゃんは絶対無敵のアイドルモード☆ 歌って殴って、注目を浴びちゃうよ☆>
<さあ、ショータイムですよ~!>
 操縦席の中で、蒸気機関式竪琴『カッツェンリート』の拡声機能をキャバリアと連動させた箒星は、三属性の魔力を乗せた楽曲を演奏し始める。
 すると、箒星の機体の周囲から、風の矢がデタラメに敵機の軍中へ放たれてゆく!
<すごい! でも全然当たってない!>
 ノインツィヒの指摘の通り、風の矢は敵の脇をすり抜けてしまっていた。
 だが、しばらくすると、オブリビオンマシンの大軍勢に異変が起きる。
 戦闘空域の気流が乱れ始め、高速で飛び交う敵機同士が衝突事故を起こし始めたのだ。
<この空域に、これだけの数の敵が密集しているのです。乱射した風の矢で気流が乱れたら、敵の隊列も乱れ、接触するもの時間の問題でしょう>
<まさか、これを狙って!?>
 ノインツィヒは箒星の慧眼に舌を巻いてしまう。
<そして、隊列が乱れた機体は、私の恰好の的ですよ~>
 音色に合わせて、今度は水流の矢が放たれる。
 超水圧が敵機の装甲や翼を貫通し、次々と飛行不能へと陥らせて墜落させてゆく!
 更に別方向では、炎の矢を乱射させ、動力源を射抜いて暴発・炎上させてしまう。
 美しい音色を奏でながら、たちまち敵軍を堕としてゆく箒星は、まるで破滅を告げる天使のような畏怖さえ漂わせている。
 その旋律に、ノインツィヒも機体を合わせて踊るように拳を奮ってゆく!
「なんか、こんな音ゲーの筐体があった気がするー! それ、ワンツー☆」
 突っ込んでくる敵機をリズミカルに叩き落としてゆくノインツィヒ。
 しかし、敵機も馬鹿ではない。
 周囲から一斉に、全方位突撃を敢行してきたのだ!
 これでは、ノインツィヒひとりだけではカバーリングしきれない!
「きゃー! 助けてー! ……なーんて、思った? ざーんねん☆」
 ノインツィヒはココまで、実はユーベルコードを使用していない。
 そしてこの状況で、初めて虎の子の秘技を発動させる!
「見せてあげる☆ これが乙女のォ……百裂拳(ラッシュ)じゃああっ!」
 コックピットの中で気合を入れるために自身の腹を殴った後、イドラの拳の攻撃速度が9倍に上昇!
「ダァララララララララララララララララララララララララララララーッ!!!!」
 マッハで迫る敵機の方位を、高速鉄拳弾幕で全て粉砕してみせるノインツィヒとイドラ! 砕け飛ぶ敵機の残骸を、怪しく光るイドラキャバリアのカメラアイが捉える!
「テメェ等ァ……狙う相手を……間違えちゃったね~☆」
 荒ぶる口調を、慌ててアイドルモードへ戻すと、パラシュートで降下してゆくパイロット達を眼下に眺めながら、第二波に備えるノインツィヒ。
 その間も、踊るように機体を稼働させ、オブリビオンマシンへの威圧を強めてゆく。
<黒猫くんの演奏、カッコイイね☆>
<ありがとうございます、ノインさん。ですが、第二波が来ますよ!>
 箒星の言葉通り、もう一度、無数の敵小隊が飛行船へ殺到してくるではないか!
 その時、ノインツィヒは地表のアウルへ通信を入れた。
<アウルちゃん! お願いっ!>
 無線からのその言葉に、アウルは待ちくたびれたとばかりに機体を上空へそらす。
 そして、人形兵器エンキドゥをキャバリアの機体の外へ飛び出させると、すぐさまユーベルコードを発動させた。
「狙いを定めて……あの飛行船だよ、行って暴れて! エンキドゥ!」
 固定砲台のようにその場でじっとと留まるアウルは、右手でエンキドゥを掴むと、力の限りに上空へ投げ飛ばした!
 投擲されたエンキドゥは、次第にその身体を光の槍へと変え、空気を穿ちながら飛行船の真下まで高速飛来!
「やっちゃえ、エンキドゥ!」
 主の声に答えるべく、光の矢がたちまち広範囲に分裂、そのまま敵機の群れを容赦なく地対空ミサイルめいて突き刺って爆撃! 無数の敵機を地表へ撃墜させてみせた!
<おっとっと! パラシュートが開けなかった機体は、わたしが受け止めて助けるからね!>
 受け止めた敵機の胴体から、コクピットをベキベキと引き剥がしてはポイポイ放り捨て、また上空からキャッチしてという動作を繰り返してゆく。
 そして、遂に隊長格と思しき機体の一機が、痺れを切らして飛行船へ突っ込んできた!
 放ってくるのは、鋼鉄をも貫くビームカノンの連続射撃だ!
<ノインツィヒさん、任せて下さいね~!>
 箒星は三属性の魔力を操ると、目の前の景色がグニャリと歪み始めた。
 すると、なんとビームカノンが空中で軌道を捻じ曲げて、明後日の方向へ飛んでいってしまった!
 一体、何が起きたのか?
<火と水で限定的な蜃気楼を発生させて、光の屈折率を操ってみました。上手くいったようで良かったです>
<黒猫くん、ヤッバッ! 頭イイねー☆>
<それほどでも。ではノインさん、仕上げ、お願いできますか?>
<まっかせてっ☆>
 ノインツィヒの操縦するイドラの聞き手が、敵機の頸部を鷲掴みに!
 そのままイドラは空中で大回転!
 これは……ジャイアントスイング!
<そーれ☆ 殲禍炎剣の的になれー☆>
 遠心力に任せて上空へ放り投げた敵機は、高度と速度をどんどんあげてゆくと……突如、上空から降り注ぐ極太の光線に飲み込まれてしまった。
 あれが暴走衛星『殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)』……!
 巻き添えを食らった敵機から、次々とベイルアウトしてゆくパイロット達。
<パイロットさんはご無事でしょうか?>
 心配する箒星に、アウルが反応した。
<大丈夫だよ! 無事にパイロット達は地表へ帰還してるね。みんな、正気に戻ってるから、わたしはこの人達を避難させるね!>
<アウルちゃん、よっろしくー☆>
 ノインツィヒはアウルとの通信を終えると、今度は開発チームの無線に連絡を入れた。
<任務が終わったら、市街地で開催している音楽フェスに私ちゃんも出演したいなー☆ ……フェスのステージ演出、よろしくね☆ 開発部さん☆>
<わ、わかった! 無事に帰還できたら、すぐに主催者に連絡を入れよう!>
<約束だよー☆>
 はしゃぐノインツィヒの反応を無線で聞きながら、箒星も機会があったら出演してみようかと考えるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ミフェット・マザーグース
歌を唄えるロボッ……キャバリア?
いいないいな、ミフェットも、そんなキャバリアなら
えっ、オブリビオンマシン? 音楽が武器? もー、がっかりだよ

あわわ、戦場どまんなか! ロボットを借りてる場合じゃないよね
髪を触手に変えて「クライミング」、飛行船の上がミフェットのステージだよ!
ほかの猟兵さんとのアンサンブルも大歓迎、アドリブでがんばるね

UC【楽器のオバケの演奏隊】
リュートを片手に「歌唱・楽器」でオーケストラのステージを呼び出して
ミフェットの歌声じゃ小さすぎるけど
ズラリと並んだ楽器のオバケの、突き抜ける管楽器の雷鳴は空まで届くよ!

楽器たちの音の衝撃波を、飛行船に迫る悪いキャバリアにぶつけて追い払うよ!



 かなりの数の飛行型オブリビオンマシンを撃墜し、パイロット達を救出してきた猟兵達。
 だが、敵の最後の攻勢が飛行船の行く手を阻む。
「まだこの空域を抜けないのか! あともうひとり、猟兵が来てくれれば……!」
 祈る開発チームの主任。
「無事に帰還して、猟兵達の音楽フェスの出演交渉をするという約束を果たすためにも、なんとしても突破したいのだが……!」
「主任! これを見て下さい!」
 オペレーションの女性が、オブリビオンマシンの機動殲龍『空翔』の解析データを提示した。
「どうやらこの機体群、特殊な周波数の音波によって統率されているようです!」
「そうか! だから、先程から不気味な音楽が聞こえてきていたのか!」
 飛行船内に響いてくる、おどろおどろしい旋律は敵の策略だったのだ。
「歌を操るキャバリアか……。猟兵達のキャバリアにも同様の機能があるようだし、敵も侮れないな……!」
 主任の言葉に、不意に答える幼い少女の声があった。
「歌を唄えるロボッ……キャバリア? いいないいな、ミフェットも、そんなキャバリアなら乗ってみたい!」
 キャッキャと笑顔ではしゃぐ、ホワイトスモークカラーの肌の黒髪少女がいつの間にか佇んでいた。
 振り返った主任が、訝しがりながら少女へ尋ねた。
「き、君も……猟兵なのか?」
「あわわ! そういえば、なんでミフェット、ここにいるだろ? もしかして、転送される場所、間違えたかも!?」
 ミフェット・マザーグース(沼の歌声・f09867)は急にオロオロと狼狽しだした。
 どうやら、想像していた転送場所と違っていたようだ。
「あ、あの! その歌を唄えるキャバリア、貸してください!」
「残念だが、歌で操られているのは、オブリビオンマシンの方らしいんだ……。それと、この飛行船にキャバリアは搭載されていなくてね……」
「えっ、オブリビオンマシンが? もー、がっかりだよ」
 主任の言葉に、触手っぽいミフェットの髪がべっちゃりと萎れてしまう。
 その様子に、開発チームの面々は興味津々。
「気を悪くしたら申し訳ないが……君は、人間以外の種族なのか?」
「おじさん、ブラックタールを知らないの? ミフェットはね、ブラックタールっていう黒いタールのような液状生命体だよ。身体の形を自由に変えられたり、こうして人間に擬態出来るよ。あ、でもね? ミフェットは髪を細くするのが苦手で、こんなふうに触手っぽくなっちゃうんだよね」
 ミフェットの話に、開発チームは目をパチクリさせて驚いていた。
 主任も思わず唸ってしまう。
「なんと、猟兵は……様々な姿をしているんだな。しかも子供じゃないか……! いや、前回は君よりももっと小さな女の子が、生身でキャバリアをボコボコにしていたっけか……」
「すごいですね、その子! って、こうしてらんない! ロボットを借りてる場合じゃないよね。ちょっといってきます!」
「行ってくるって、おい、君っ! 待つんだ、一体何処へ!?」
「決まってるよ! “ミフェットのステージ”です!」
 ミフェットは飛行船の昇降口の扉を開け放つと、髪の毛を触手に変えて動かし、飛行船の側面に貼り付けて器用に登ってゆく。
「とうちゃ~く! この戦場ど真ん中、飛行船の上がミフェットのステージだよ! って、おじさんっ!?」
 彼女の眼下に見えたのは、半身を乗り出している主任の姿であった。
「ミフェット君! このマイクを使いたまえ! この飛行船のスピーカーと繋がっている!」
 全力で投擲されたマイクを、ミフェットの髪の触手がキャッチ!
「ありがとうございます、おじさん! これでミフェットの歌声が遠くに届く!」
 開発チームの粋なアシストを得たミフェットは、早速、ユーベルコードを発動させた。
「緩やかに奏でられる音の波、音階を駆け上がる鼓動、高く遠く空へ吸い込まれるラッパの雷鳴。偉大な演奏家のみんな、力を貸して!」
 ユーベルコード『楽器のオバケの演奏隊』を召喚!
 飛行船の上部に突如、オーケストラのステージが出現!
 そこには、435体もの壊れてしまった管楽器らの幽霊が整然と並んでおり、開演の時を今か今かと待ち侘びている。
 中央の席には、ぽっかり空いた真っ赤なお立ち台。そこへミフェットが上ると、愛用のオーツ麦の紋章がロゼッタとして刻まれたテナーリュートを片手に楽団へ一礼。
 マイクを神の触手で固定しながら、そのまま大きく息を吸い込み、透き通るようなソプラノボイスを戦場へ響かせた。
「♪Lan LanLaLa LanLanLan LanLaLa LanLan Lan~」
 爪弾くリュートの音色に合わせて、楽団員の音色が一斉に虚空へ弾けた!
 次の瞬間、衝撃波として高く鳴り響く音が上空に突き抜ける。
(ズラリと並んだ楽器のオバケの、突き抜ける管楽器の雷鳴は空まで届くよ!)
 やがて、ミフェットと楽団の演奏は、青天の霹靂となってオブリビオンマシンの軍勢の機体へぶつかる!
 稲妻めいた音の爆弾が機体に命中するたび、オブリビオンマシンは制御不能に陥り、そのまま地上へゆっくりと墜落してゆくではないか。
「もしや、これは……!」
「主任! ミフェットちゃんのユーベルコードが、敵の特殊な周波数の音波を中和しています!」
「しめたぞ! これで敵は総崩れだ! 急いでこの空域を抜けるぞ!」
「徐行運転、解除! 最大速度でエンジン再点火!」
『聞こえるかね、ミフェット君! そのまま敵をこの船に近寄らせないでくれ!』
『わかりました! ミフェット、頑張って歌うね!』
 飛行船は最大速度まで加速を開始。
 操縦不能になったことで、明後日の方向へ放たれるビーム弾幕を掻い潜りながら、飛行船は戦闘空域を離脱してゆく。
 それでも追ってくる敵機には、ミフェット達の音楽衝撃波が襲いかかる。
 次第に追跡してくるオブリビオンマシンの数も減り、最後の一機を吹き飛ばすと、船内からは歓声が湧き上がったのだった。
「ありがとう、猟兵!」
「あの状況から生還できるなんて、夢みたいだわ!」
「これが猟兵の実力……! まだまだ私の知らない未知の部分を隠し持っているようだな……!」
 主任も超常の戦士である猟兵のパワーの底の知れなさに、ますます興味をそそられるようであった。
 ミフェットも、渾身の演奏と歌唱が披露できて大満足の様子。
「みんな、手伝ってくれてありがとう! って、あれ? なにか、近付いてくるよ……?」
 船外にいたミフェットは、地表からこちらへ向かってくる未確認機体に目を細める。
 その存在が、新たなオブリビオンマシンであると判明するのは、この直後のことであった……!

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『ディソナンスウェイブ』

POW   :    ヒュプノシス・コンダクター
【全身のスピーカー】から【自身からレベルm半径内の全員に催眠音波】を放ち、【精神を支配すること】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    ノイズウェイブキャノン
【両肩のスピーカーから放つ強力な騒音】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【音の衝撃破】で攻撃する。
WIZ   :    ディソナンス・オーケストラ
【全身のスピーカーから強烈な不協和音】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠夢幻・天魔です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ホバリングユニットを背負い、飛行船へ接近するオブリビオンマシン。
 その姿は、まるで指揮者のようであった。
『よくも、よくもワタシの楽団を壊滅させてくれましたネ!?』
 オブリビオンマシンのパイロットの怨嗟の声が、外部スピーカーから流れた。
『この世界は戦争で汚れきっていマス! このディソナンスウェイブに見出されたワタシこそ、破壊の旋律を司る新時代の申し子でアリ、全ての戦いに終止符を打つ英雄なのデス! だというのニー? NOOOゥ! その尖兵達を全部、ぜぇ~んぶ破壊してくれやがりまシテ、このドチクショウ共メ! ナシノツブテ!』
 オブリビオンマシンのパイロットは精神が歪められ、常人では理解できない思想や言動に走る。このパイロットの場合、戦争を割らせるために、音楽で全てを滅ぼそうという考えらしい。
『ワタシ、もう許しまセーン! その飛行船ごと、猟兵共をデストローイしちゃうのデス!』
 ディソナンスウェイブは全身に埋め込まれた魔改造スピーカーから、破壊の旋律を大音量で飛行船へぶつけ始めたではないか!
「ぐわああああーっ!?」
「いやあぁー!!」
 開発チームの面々が、涙を流し白目を剥いて悶絶し始めた!
『猟兵……諸君! 聞いてくれ! あいつの弱点は『音楽』だ……!』
 主任の言葉がスピーカーで拡散される。
『こんな酷い旋律をぶっ飛ばすような、君たちの胸の中の歌を、どうか、戦場に響かせてくれたまえ! そうすれば、敵の音楽を凌駕し、圧倒できるはずだ……! ぅぐっ……!』
 さぁ、猟兵たちよ、時間がない!
 開発チームが発狂する前に、その心の中の音楽を奏で、歌いながら戦え!
 
クリスティーヌ・エスポワール
ニコ(f02148)と一緒よ
セッションは他の人とも歓迎するわ

「破壊の旋律って、甘えたこと言ってるわね……!」
パイロットにそう突きつけていくわよ
「全然徹底してないのよ!音楽の破壊兵器転用なんて、単なる八つ当たりよそれ!」
「本当に音楽を志すなら、世の中には……空き缶やコンビニ入店音で音楽を奏でる気合の入ったアーティストだっているわよ!」
そして、UC【電影の鞘は剣を抜く】で、エトワールの背後にパイプオルガンに見立てた砲と、鍵盤のように大量の機関砲を並べるわ!
ちなみに、ニコのナノマシンも借りて、違う音階の銃声が出るよう調整済みよ
「どうせなら、これぐらいやってみなさい!」
一斉射撃・砲撃の砲声交響楽!


ニコレット・エスポワール
クリス(f02149)と一緒♪他の人ともセッション大歓迎☆

ステージで恨み言とかダサいよ?
後、楽団って…アレもコレも全ッ然イケてないっ!
※『オルフェ』には歌う口も弾く指もある為
※ニコのブーイング完全再現で【挑発】

新世代の旋律ってのは、こーゆーのだよっ!
※ギターを弾きつつ可憐な歌舞で、敵の歌に対抗
※曲調はアップテンポで脳天気、希望満点のラブソング

♪はれたソラに、フワリフワリ、キミと舞うよ、どこまでも♪

あ、クリスー。ナノマシン必要なら貸すよ?
ってなんか普段と逆だね♪(くすっ)

さぁさ、皆で太陽より煌めいちゃおっか!
【ダン・ルシェル・ブルー】機動ー♪

♪くらいソラで、キラリキラリ、キミに歌お、いつまでも♪



 飛行船の行く手を遮るオブリビオンマシン『ディソナンスウェイブ』!
 その機体には両肩と両脚に、合計6つの音響兵器が装着されていた。
『さァ! 地獄の演奏会の始まりデスヨ!』
 そう告げると、両肩のスピーカーから放つ強力な騒音、更に全身のスピーカーから強烈な不協和音を放ち、飛行船へ攻撃を仕掛けてきた!
 飛行船が衝撃波と音響兵器でミシミシと軋んでゆく!
 だが、そうはさせないと猟兵キャバリア2体が飛行船の前に立ちはだかり、音波をその機体で受け止める!
『うぐ……ッ! 破壊の旋律って、甘えたこと言ってるわね……!』
 クリスティーヌ・エスポワール(廃憶の白百合・f02149)が操縦するキャバリア『ASP-44 メテオール』は、音の振動を操縦席まで通してしまう。
 だが、それをクリスティーヌは音楽への崇高な信念で耐え忍ぶ。
『この程度の音楽で世界を屈服させるつもりだったの? 全然徹底してないのよ! 第一、音楽の破壊兵器転用なんて、単なる八つ当たりよそれ!』
『そう、いうこと! てか、うるさい! ちょっと黙っててよ!』
 ニコレット・エスポワール(破璃の黒百合・f02148)が操るキャバリア『ASP-62 オルフェ』は、機体の両掌に仕込まれたビーム機関砲『BS-A-06FR アマ・デトワール』を、ディソナンスウェブに向かって発射!
 ディソナンスウェブはこれを高速側転回避!
『ニコ!』
 クリスティーヌもすかさず『BS-S26IC ニュアージュ・メテオリク』の拡散追尾レーザーで攻撃!
『Wow! 油断大敵ですネー!』
 前回比こそ出来なかったか、敵機は光の雨を最小限の被弾で凌いでみせた。
『……ふざけた相手だと思ってたけど、あいつ、強いわね……!』
 クリスティーヌはさっきの攻撃で撃墜できなかった事に、正直驚愕していた。
 だが、彼女の攻撃のおかげで、飛行船とオブリビオンマシンとの距離が離れた。
 ならば態勢を立て直さねばなるまい。
『ニコ、反撃の準備よ!』
『待って、クリス! その前に、あいつにどーしても言いたいことがある!』
 ニコレットはぶりぶりとふくれっ面のまま、ディソナンスウェブのパイロットへ向けて、外部スピーカーを介して怒りの声をぶつけた。
『仮にも音楽を奏でるパフォーマーがさ、ステージで恨み言とかダッッッサいよ? あと、なに“楽団”って……? 中二病? いい年して英雄ごっこ遊び? マジキモいんだけど? むしろ、アレもコレも全ッ然イケてないしっ!』
 キャバリア『オルフェ』は、本来は芸能事特化の機体だ。
 モーションダイレクトで操縦者の歌唱や楽器演奏や舞踊をキャバリアの機体で再現するために、人間の口や両手指などが、事細かく忠実に再現されているのだ。
 故に、オブリビオンマシンへ、オルフェは両手で親指を下に向けて見せた。
『英雄ごっこは他所でやってよねっ!? ばぁか!』
『ニコ? それ、挑発……』
 クリスは苦笑いしつつも、いつでも迎撃できるように準備を整えている。
 激昂するニコレットも、思念波を増幅するキャバリア用エレキギター『BX-13LG アルプ・デ・フィー』を機体から取り出す。
『新世代の旋律ってのは、こーゆーのだよっ! やるよ、クリス!』
『待ちかねたわ! 本当の音楽っていうのを、あいつに教えてやるわよ、ニコ!』
 2つの機体が操縦者のユーベルコードを増幅・展開してゆく!
『これは人の夢と欲望と業の残滓……でも、今はこれを借りさせてもらうわっ!』
 メテオールの背後に、突如として出現するパイプオルガンめいた大量の機関砲!
『あ、クリスー。ナノマシン必要なら貸すよ? ってなんか普段と逆だね♪』
『ありがとう、ニコ。“調律”を頼めるかしら?』
『いいよー、任せて♪』
 ニコレットは、ナノマシン内包型キャバリア用追加装甲『EP-14GL シャントゥーズ』をクリスティーヌのメテオールへ向けて射出!
 ナノマシン装甲は、メテオールの背後の機関砲と同化すると、バレルの長さや口径の大きさなどを調節する。
『これで、砲声で音階を奏でられるわ! 本当に音楽を志すなら、世の中には……空き缶やコンビニ入店音で音楽を奏でる気合の入ったアーティストだっているのよ! 機関砲で音楽を奏でるくらい、易いものよ!』
『それじゃ、キャバリアライブ、スタート! 楽曲はー? Dans le Ciel Bleu(ダン・ルシェル・ブルー)!』
 オルフェが巨大なキャバリア用エレキギターをかき鳴らせば、アップテンポで脳天気、希望満点のラブソングが始まった!
 これに合わせ、クリスティーヌがメロディーとリズムを機関砲で表現!
『電影の鞘は剣を抜く(シベール・アーセナル)、砲声交響楽! どうせなら、これぐらいやってみなさい! オブリビオンマシン!』
 ギター音に混じって、砲声のリズミカルかつメロディアスな音が楽曲をリード!
 そこへ、オルフェと通してニコレットの歌声が加わった。
『♪はれたソラに フワリフワリ
 ♪キミと舞うよ、どこまでも』
 猟兵達の音楽が埒外の力となって、ディソナンスウェブの破壊の戦慄と激突!
『なんですトー!? ワタシの音楽が、あんな軽い浮ついた音楽に中和されてるのデスカ!?』
 ディソナンスウェブは更に音量を上げ、弾幕とエスポワール姉妹の音楽に対抗しようと試みる。
 だが、2人の音楽の熱量は、秒を追う毎にパワーが増してゆく!
 このまま盛り上がってサビ前突入!
『♪さぁさ 皆で太陽より煌めいちゃおっか!』
 オルフェの両掌から発射されたハート型のエネルギーがクロムキャバリアの空へ舞い上がると、それはたちまち炸裂してポップにキラキラと輝いた!
『♪皆に届いて ボクの想い!
 キラキラ舞うよ ソラの蒼にっ!』
「ヒュウッ! なかなかイケてる演出をカマしてくれるもんだ!」
 飛行船の窓から戦況を眺めていた開発チームの主任も、思わず熱狂してしまう。
 対して、オブリビオンマシンのパイロットは、キラキラなステージ演出に思わず見惚れていた。
『オーマイガッ! ワンダホゥ! エクセレンッ!』
 賞賛の言葉を贈るオブリビオンマシンだが、そこへクリスティーヌの撃ち込んだ弾幕が直撃! これにより脚部のスピーカー1個を破壊した!
『♪くらいソラで キラリキラリ 
 ♪キミに歌お いつまでも――!』
 アマ・デトワールをビームウィップ型に変形させたニコレットは、そのままオブリビオンマシンを強かに打ち据えた!
『これでおしまいっ!』
『ぎゃあああっ! スピーカーがぁ!』
 反対の脚部のスピーカー1つも破壊され、ディソナンスウェブは一旦、距離を取って態勢を立て直す。
 双子のエスポワール姉妹のゲリラライブも大成功を収め、まずは敵機に痛烈な先制撃を喰らわせたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

八岐・剛牙(サポート)
 竜神の悪霊×神器遣い、42歳のおっさんです。
 普段の口調は「気さくなおっさん(おら、お前さん、だ、だべ、だべさ、だべ?)
真剣な時は 竜神(我、お主、言い捨て)」です。

 日常・冒険では気さくな感じで一般人に話しかけたり、コミカルな感じな行動をとります。
 集団戦・ボス戦では竜神口調となり竜神の威厳を見せながら前衛に立ち、敵に神罰を下すと言う気持ちで敵と戦います
両肩、両手、両足、尻尾に有る竜の頭はコブみたいな物でユーベルコードを使うと八岐大蛇の本能が解放されて手足の様に操る事が出来ます。



 サポートに駆け付けた八岐・剛牙(竜神の悪霊・f28093)は、褌風の祟り縄で風を起こし、生身のままオブリビオンマシンへ立ち向かってゆく。
「愚かな人の子よ。我は正真正銘の竜神だ。大人しく退けば、神罰は下さず見逃してやろう」
 竜神の威厳を見せながら飛行船の前に立ち塞がる八岐は、尻尾の先端に生えた龍の頭でオブリビオンマシンを威嚇する。
 しかし、この八岐の行動に、オブリビオンマシンのパイロットはせせら笑う。
「何が神ですカ! ただのデブのトカゲが、オブリビオンマシンに勝てると思ってるのデースカ?」
 オブリビオンマシンの両肩のスピーカーから、強力な騒音が発生すると、凄まじい衝撃波を八岐の全身に浴びせてゆく!
 普通の人間ならば、あっという間に全身の骨が粉々に砕けてしまうものだが、八岐は神の力を開放し、神器をもってこの衝撃波を受け止めてみせた。
「……その驕り、後悔させてやろう」
 八岐はオブリビオンマシンにユーベルコードを使用した。
 四肢・両肩・尻尾に有る竜の頭部に施された神竜・八岐大蛇化の封印を解除。
 すると、八岐の姿が、八首の神竜の姿に近付いてゆく。
「我の力の一端、見せてやろう。ふぅぅぅんっ!」
 封印を解き、その迸る竜神の力を発揮し始める八岐。
 大音量のスピーカーへ向けて、竜の頭が次々に殺到してゆけば、現存する6つのスピーカーのうち、肩の1つが破壊されてしまう。
「オー、ノゥー! またスピーカーが壊れまシタ!」
「その程度の騒音、我の呼ぶ雷鳴に比べれば取るに足らんものだ」
 八岐は天叢雲剣の剣先を天に掲げると、たちまち天候が変化してゆく。
 神剣には、天候を操作する奇跡を呼び起こせるのだ。
 暗雲の隙間から断続的に閃光が瞬けば、八岐は神剣をオブリビオンマシンへ突き付けた。
「竜神の怒りを思い知れ!」
 オブリビオンマシンの頭上に、巨大な矢の如き稲妻が直撃!
 大轟音を撒き散らしながら、オブリビオンマシンの機体のあちこちから火花が飛び散り、動きが鈍くなった。
「さあ、早く先を急げ!」
 八岐は飛行船を先に進ませ、なるべく長い間、オブリビオンマシンを足止めするべく、龍の頭と神剣を振るって立ち向かっていったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミフェット・マザーグース
オブリビオンマシンにやられて暴走してるヒトは
みんな似ていることを言うよね
この世界はもうダメだから、ぜんぶ壊してしまおうって

みんな諦めたいのかな
でも、終わりじゃないよ。だってみんなが頑張ってるから今があるんだもん

UC【一人ぼっちの影あそびの歌】
ミフェットの「歌唱」で不協和音を打ち消して船のみんなを守るね
ほかの猟兵さんとのアンサンブルも大歓迎、アドリブでがんばるよ

♪空を飛べないハトたちが 地面の豆をうばいあう
せめてみんなで分け合いたいのに まぎれたカラスが邪魔をする
そんな世界が大キライ!
みんなみんな なくなっちゃえと 暴れるあなたの羽根はなに色?
あなたのキライのその奥の ほんとの願いを思い出して


箒星・仄々
心歪まされている操縦者さんも
音で人を苦しめる機として蘇ったウェイブさんも
共にお可哀そうです
お救いし
マシンさんを海へお還ししましょう

音楽は心震わせ希望を示すもの
その思いを込めて演奏

対策
不協和音に対し音を合わせ
また風の魔力で音の伝播を操作し
周波数を変え和音へ変換
敵の音があたかも勇壮な曲の如くに

私たち猟兵への応援歌ですね♪

飛行船>
さあ今のうちに!


戦場に広がる様々な音
機体や武器の駆動音
風を切る音
皆さんの演奏や歌
それらを借り受け風の魔力へ変換

風の矢自体が音楽を宙に響かせながら
そして敵機の音をも吸収して更に力を増しながら
そのスピーカーを破壊します

終幕
鎮魂の調べ
音楽に包まれて静かな眠りを

操縦者さんを救助


ノインツィヒ・アリスズナンバー
破壊のシンフォニーってやつ?まあそういうのもあるよね。
でもでもー☆戦場だろうが、地獄だろうがここが私のステージだ☆
それを邪魔するのなら潔く消えてもらおう。

敢えて敵の攻撃は【勇気】を持って受け止める☆
そしてがっつり【歌唱】【楽器演奏】しちゃうよ☆
スピーカーユニットから出す私ちゃんの大音量の音楽!
あんたのそれとどっちが上かなー?☆

良い感じにダメージを受けてきたらUCを発動☆
ホントは柄じゃないんだけどねえ、こういうマジな戦いさ。
私ちゃんアイドルキャラなんで☆
まあやるんなら本気でやろうかぁ?その方が楽しいでしょ!
本気の【切り込み】つつ【怪力】で奴のスピーカユニットをもぎ取っちゃうぞ☆

アドリブ・絡み歓迎



 飛行船を追い掛け、オブリビオンマシン『ディソナンスウェイブ』が猛追してきた。
『待ちなサーイ! ワタシの破壊の旋律から逃れることハ出来まセン!』
 ホバリングユニットを最大出力で推進力を得ながら、ディソナンスウェブは全身のスピーカーから不協和音を衝撃波とともに解き放つ。
 だが、6つのうち既に3つのスピーカーが猟兵によって破壊されており、その音波攻撃のユーベルコードの威力は半減している。
『全てを壊さねば、新しい世界は生まれまセン! そのための礎になりなサーイ!』
 操縦者の狂笑がスピーカーから漏れる。
 だが、その衝撃波も笑い声も、2機のキャバリアと1人の少女の歌声によって遮られる。
「♪あなたのために歌う唄 あなたに合わせて踊る影――」
 ミフェット・マザーグース(沼の歌声・f09867)の歌声はユーベルコードとなって、マイクを通して飛行船からクロムキャバリアの空に広がってゆく。
「♪くるりくるりと入れ替わり あなたの声はだれの声?」
 ――『一人ぼっちの影あそびの歌』。
 ミフェットはその歌声で戦闘空域を包み込み、オブリビオンマシンが放つ不協和音を中和させていった。
 彼女は想う。
 呪われた敵機に乗り込んでいるパイロットの心を。
(オブリビオンマシンにやられて暴走してるヒトは、みんな似ていることを言うよね。この世界はもうダメだから、ぜんぶ壊してしまおうって)
 どうしてだろう、と疑問になってしまう。
(みんな諦めたいのかな? でも、終わりじゃないよ。だってみんなが頑張ってるから今があるんだもん)
 絶望からパイロットを引き上げるべく、ミフェットはより力強く歌い上げる。
 彼女の歌声は、敵のユーベルコードを模倣して、歌声として放つことで相殺をすることが出来るのだ。
「主任……! これは、もしかして?」
「ああ、ミフェット君の歌声だ……!」
 ミフェットの歌声のおかげで船内にいた開発チームの面々は身体の不調が収まったため、船内から猟兵達のバックアップに奔走する。
 早速、主任は船外スピーカーを通して、猟兵たちへ語り掛けた。
『猟兵諸君ッ! 礼を言おう。我々は持ち直した! このまま諸君をバックアップする!』
『駄目です、私達が戦っている間に逃げてください~!』
 キャバリアに乗り込んでいる箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)が反対するが、主任は断固として突っぱねた。
『いいや、駄目だ! 船の上にはミフェット君が乗って唄っている! 我々は諸君と共に随伴飛行する! 軽機関銃程度なら援護も可能だ!』
『無茶しちゃ駄目だよ、主任さん? みんなを守るために私ちゃん達、此処まで頑張ってきたんだし?』
 ノインツィヒ・アリスズナンバー(90番目のアイドル・f29890)は相棒のキャバリアのイドラから言葉を届ける。
『それでもバックアップするっていうなら、景気の良い音楽のひとつは掛けてほしいなー☆』
『分かった! 前回の借りもあるノイン君のリクエストだ、盛大に盛り上げてやろうじゃないか!』
『主任さん、よろしくね☆』
 音声会話を終えたノインツィヒは、全身に浴びる不協和音にずっと耐え続けていた。それもこれも、飛行船を守り抜くためだ。
『スピーカーを壊してくれたおかげで、イドラがギリギリで耐えられるダメージに抑えられるか。それにしても、破壊のシンフォニーってやつ? まあそういうのもあるよね?』
 ノインツィヒはイドラの音量大増幅ユニットをフルボリュームで展開し、ディソナンスウェブに指を突き付けた。
『でもでもー☆ 戦場だろうが、地獄だろうがここが私のステージだ☆ アイドル舐めんなコラ☆』
 ノインツィヒは自身のアイドル魂というべきマイクをコクピットで握りしめると、イドラのサウンドスピーカーユニットを通して大熱唱を開始!
 持ち歌のカラオケも爆音で流し始めれば、クロムキャバリアの上空でのゲリラライブが開幕!

『♪Do you know?
 ♪愛の道理を どーのこーのって
 ♪まだ足りないの 貪欲な本能☆
 ♪あのねどうなの? 何処がダメなの?
 ♪すぐに求めて 私の感情☆』

 そのままノインツィヒは流行りのRapパートになだれ込むと、何故か敵機のスピーカーのひとつが爆発する!
『うるさいうるさいデス! ワタシの破壊の旋律で、そのキャバリアごと粉々にしてあげマース!』
『あっそ。私ちゃんのステージを邪魔するのなら……潔く消えてもらおうか』
 不機嫌そうな口調、アイドルらしからぬドスの利いた低いトーン。
『私ちゃんをキレさせるなんて、大したオブリビオンマシンだ。RapのDisだけじゃ不十分てことかな?』
『ただ耐えるしか出来ない分際で、生意気ですネ!』
『待って下さい、その言葉は本当に本心からですか?』
 此処で、箒星が2人の会話に遮った。
 ミフェットは絶えずパイロットの心を慰める歌を唄い続けているため、会話に参加できない。だが、その慈愛の気持ちは確かに戦場に届いている。
『ミフェットさんの歌を聞いて下さい。貴方を憂いていますよ?』

「♪空を飛べないハトたちが 地面の豆をうばいあう
 ♪せめてみんなで分け合いたいのに まぎれたカラスが邪魔をする
 ♪そんな世界が大キライ!
 ♪みんなみんな なくなっちゃえと 暴れるあなたの羽根はなに色?
 ♪あなたのキライのその奥の ほんとの願いを思い出して」

 そしてタイミング良く流れ出す管楽器の交響曲。
 主任が飛行船から戦闘に相応しいと思しき楽曲を選んだようだ。
 更にミフェットがアドリブで歌唱を披露し始める。

「♪きれいなものだけ見たいのに ひとつの色に塗り潰す
 ♪色とりどりじゃいけないの? 真っ黒だけじゃつまんない
 ♪そんな世界にさせないで!
 ♪全部が全部 黒しかダメと ガンコなあなたの心はなに色?
 ♪あなたのキライのその奥の ほんとの涙を思い出して」

 ミフェットの歌声は、飛行船から流れる音楽のメロディーに乗せた即興の唄だ。
 しかし、彼女の歌唱センスが、ユーベルコードが、戦場での唄に心を乗せて響かせていた。
『ミフェットさんの歌の通りです』
 箒星はオブリビオンマシンのパイロットへ訴えかける。
『心を歪まされている操縦者さんも、音楽で人を苦しめる兵器として蘇ったウェイブさんも、共に不憫でお可哀そうです。私が救って差し上げましょう。そして、ウェイブさんは骸の海へ還してみせます』
『しゃらくせーデスヨ! みんなみんな、壊れてしまえばいいのデース!』
 ディソナンスウェブの音楽の出力が上がってゆく。
 箒星は声を震わせながら叫んだ。
『どうして分からないのですか! 貴方も音楽を嗜むならばきっと分かるはずです! 音楽は心震わせ希望を示すもの、その思いを込めて演奏するものだと! このように……!』
 箒星は飛行船から流れる管楽器の交響曲に合わせ、操縦席から蒸気機関式竪琴を掻き鳴らし始める。
 途端、言の音色に呼応して、火・水・風の精霊たちが箒星のキャバリアに集まってきた。
「風よ震えて壁となれ」
 ディソナンスウェブの放つ不協和音が、飛行船周辺の空気の層に弾かれ始めたではないか。
『音は所詮、空気の振動です。そして、同じ周波数をぶつければ、ミフェットさんのユーベルコードのように、私にもその不協和音を中和することが出来ます』
 2重の相殺効果で、敵のユーベルコードはたちまち弱体化の一途を辿ってゆく。
『さらに、こんな事もできますよ~』
 風の精霊を言の音色で操ると、不協和音が徐々にキレイな和音となって、飛行船から流れる音楽と重なってゆくではないか。
『音の周波数をいじれば、こんな芸当も可能です』
『ねーねー、黒猫くん? それって私ちゃんの歌声やミフェットちゃんの歌声もパワーアップできたりするのかな☆』
 ノインツィヒの疑問に、箒星は低く唸る。
『強化は流石に……。ですが、音量を上げることは出来ると思います』
『オッケーオッケー☆ それじゃ、そろそろ私ちゃん、急に唄い出すからサポートよろしく☆』
 ノインツィヒは飛行船と仲間への不協和音の効果が薄まったのを確信。
 ここから一気に反転攻勢に乗り出す。
『ホントは柄じゃないんだけどねえ、こういうマジな戦いさ……。ほら私ちゃん、アイドルキャラなんで☆』
 でも、と漏らした次の瞬間、ノインツィヒの声が一層低く威圧的なものへと変わった。
『まあやるんなら本気でやろうかぁ? その方が楽しいでしょ!』
 コクピット内で邪悪な笑みを浮かべたノインツィヒは、満を持してユーベルコードを発動させる――!
『見せてやれよ、イドラ。お前の可能性ってやつをさ……!』
 イドラのカメラアイが突然発光したかとおもえば、唄いながら鉄拳の高速ラッシュを開始!
『破壊のシンフォニーと私ちゃんの唄、どっちが上かなー?☆』
『アバッ!? アババッ! アンバアァァァーッ!?』
 これは……意図的な暴走モード!?
 唄いながらオブリビオンマシンをボコボコにしてゆくイドラは今、敵に与えるダメージと命中率、そして回避率が通常時の3倍に強化されているのだ。彼女のユーベルコード『イドラ・リミットパージ』のトリガーは、敵機よりも自機キャバリアの被弾数が多い場合である。今まで飛行船を庇っていたのは伏線だったのだ!
『♪さあ 私の愛の拳を受け止めてええぇぇぇぇぇぇぇぇーッ!!』
 右ストレートがオブリビオンマシンの左肩をスピーカーユニットごと粉々に粉砕!
 すかさずイドラを半回転させると、裏拳をオブリビオンマシンの頭部へクリーンヒット!
 オブリビオンマシンの頭部が爆発!
 意外と情け容赦なかった!
『あ、ごっめーん☆ スピーカーをもぎ取るつもりが潰しちゃった~☆ 黒猫くん、あとはお願いっ!』
『心得ました~!』
 箒星はレクイエム代わりの旋律を残る炎と水の矢を455本ずつ生成すると、一斉にオブリビオンマシンの動力部へ殺到させる。
『これで幕引きですよ~』
 すると、オブリビオンマシンの中からコクピットがベイルアウト!
 その数秒後、水と炎が入り混じって水蒸気爆発を起こすオブリビオンマシン!
 真っ白な煙を上げながら地表へ墜落していく様子を眺めていた開発チームの面々が、飛行船の窓から顔を出して大歓声を上げる。
「うわわっ!」
 歌い上げたミフェットの目の前に何かが落下してきて飛び跳ねてしまう。
 飛行船の上にボスッと落ちてきたのは、さっきベイルアウトしたコクピット。
 ミフェットは恐る恐るコクピットを開けて中を確認する。
 ……そこには、目を回して気絶しているパイロットがいた。
「パイロットさん、無事だよー!」
『よかったです! それでは、改めて……』
 箒星が骸の海へ返っていったディソナンスウェブへの鎮魂曲を静かに奏でる。
「LuLu Lu~♪」
 ミフェットがそのメロディーにハミングを乗せ、これにノインツィヒもユニゾンで歌い上げる。
 先程までの激戦が嘘のような静かな時間が、ジャパニアの空に流れてゆく。
 風が一陣吹き抜け、飛行船は着実に街向かうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『戦場の音楽隊』

POW   :    明るい歌や演奏を楽しむ

SPD   :    技巧を凝らした歌や演奏を楽しむ

WIZ   :    しっとりした歌や演奏を楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達の活躍により、開発チームは資材運搬ミッションを無事に完遂できた。
 開発チームの主任は、とある猟兵との口約束をきっちり果たすべく、音楽フェスの主催者に連絡をすぐに入れた。
「こちら、特別軍事科学研究機関『M.A.K.E』の主任、ジャック・カブラギだ。忙しい中、突然連絡して申し訳ない」
『メ……『M.A.K.E』が突然、私に何の用ですか?』
「そう怯えないでくれたまえ」
『いやいやいや! 『M.A.K.E』は国家の中枢機関じゃないですか! えっと、なにか、このイベントに問題でも……?』
 怯える主催者に、主任……カブラギはかんらかんらと笑い飛ばした。
「ハッハッハッハッ! むしろ開催してもらわなくっちゃ困るんだ! いやね? 我々は先程、猟兵に危ないところを救われてだね……」
『え! 猟兵って実在するんですかっ!』
 受話器から漏れる声が裏返るほど、主催者は驚いていた。
 これにカブラギは気まずそうに目を細めた。
「……ああ、そうだったな。まだ、猟兵が実在するってことはマスコミには伏せていたな。だが、もう隠すこともないだろう。2回も助けてもらえたということは、今後も交流がありうるってことだからな? コホン、実はその猟兵達の存在を、キミの主催する音楽フェスでお披露目の場を設けてほしいんだが」
『本当ですかぁ!? 是非やらせて下さいっ!』
 主催者の割れんばかりの声が受話器から響き渡ると、カブラギ主任は猟兵達へ向き直った。
「……と、言うわけだ。色々と込み入った事情になってしまったのは済まないが、諸君の出演許可は降りた。あとは、諸君のパフォーマンスとともに、猟兵のスゴさを存分にアピールしてくれたまえ!」

 ――色々と政治的なしがらみがあったようだが、それはそれ。
 猟兵達は自身のパフォーマンスを最大限に発揮することだけを考えよう。
 さあ、戦場での音楽祭が、いよいよ幕を開ける!
ミラリア・レリクストゥラ(サポート)
やや戦いの不得手なクリスタリアンの旅人です。唄を得意とし、必要であれば口だけではなく全身を震動させ発声します。また、ユーベルコードとして唄う場合は様々なサポートをします。
性格としておっとりしている所はあるものの、尊厳を卑劣に踏みにじる行為を見ると許せないと憤怒します。
ビーストマスター適性はかなり限定的で、『地母の恵み』で活性化した大地の恩恵を求め集まったものと一時的な協力関係が築かれます。
食事も呼吸も不要で、大地の放射エネルギーを糧とします。このためスペースシップワールドには適性がありながら苦手意識が強く、近寄りたがりません。

『お祝いですね!一曲唄わせてください!』
『あら?お困りでしょうか…』


ケルスティン・フレデリクション(サポート)
たのしく、たのしく。
周りが楽しいのを見るのも大好きだし、そんな皆と遊ぶのも大好き。
「わーい、あそぼ!

一人称 わたし
二人称 名前を呼び捨て

口調は幼く
言い切る形や「〜なの」「〜よ」言葉尻を伸ばすことも多い

基本的には皆のお手伝い役
戦闘や情報収集、その他言われた事を行います。
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。



 音楽フェスは、盛大に催されていた。
 市街地……と言っても戦火で破壊された区画に、廃棄されたキャバリアを改造した大型音響装置を使っての簡素な野外ステージだが、その熱気は無限に昂り続け、控室にまで大歓声が出演者に伝わってくる。
 本来は戦闘でのサポートのために駆け付けた猟兵も、この時ばかりはカブラギ主任の計らいにより、特別にステージに立たせてもらえることとなった。
「キミ達は歌が得意らしいし、せっかくだから唄ってゆくといい」
「ありがとうございます、カブラギさん」
 全身がスピネルの体にオパールの目を持つクリスタリアンであるミラリア・レリクストゥラ(目覚めの唄の尖晶石・f21929)は、丁寧にカブラギ主任へ頭を下げた。
 その隣で、すみれ色の長い天然パーマの髪を揺らす幼い少女ことケルスティン・フレデリクション(始まりノオト・f23272)も、赤い宝石の淑女を真似て頭を下げた。
「……うん、おうた、がんばってうたうね?」
「ああ、ふたりとも、頑張ってくれたまえ。ところで、ミラリア君。その身体は……」
 カブラギ主任はクリスタリアンを見るのが初めてであった。
 まじまじとスピネルの身体を見詰める彼に、ミラリアは思わず目を細めて困惑してしまう。
「嫌ですわ。あまり女性の身体はジロジロ見詰めてほしくないですわね」
「む、これは失敬……」
 カブラギ主任はすぐに目を逸らし、無礼を侘びた。
「しかしながら……いやはや、猟兵という存在は、本当に多種多様な姿をしているのですな。特に違和感を思えないのが不思議だが、それにしても研究職の私は気になってしまってね?」
「そうだね~。わたしもね、いろんなりょうへいさんを、みかけるよ?」
 ケルスティンもカブラギ主任の顔を見上げながら、コクコクと頷いて同意を示す。
「……あのね? おにさんみたいなひとや、すっごくおっきいひともいるしね? あとあと、ちっちゃいようせいさんも、りょうへいさんなんだよ?」
「う、うむ? 鬼に巨人に小さな妖精……?」
 目を輝かせて一生懸命教えてくれるケルスティンだったが、カブラギ主任はますます混乱してしまっていた。
「ま、まあ……喋る猫君もいるし、アイドル戦士もいるし……深く考えないほうがいいのやもしれないな?」
「そういうことですわ、カブラギさん」
 ニコリと微笑むミラリアに、カブラギ主任は思わず苦笑いを浮かべていた。
 その時、ちょうど2人の出番が到来した。
「それでは、行ってまいりますわね」
「……いってきまーす!」
 2人は揃って、ステージ袖から観衆の前に姿を表した。

 観衆は、初めて見る猟兵の存在を、固唾を飲んで静かに見守っていた。
 猟兵特性によって、どんな姿でも大衆に違和感を覚えさせないのだが、それでも、この科学小国家ジャパニアでは伝説上の存在と歌われ続けてきた猟兵が実在していることに、人々は驚いていた。
「はじめまして、ジャパニアの皆様。私達は猟兵です。申し遅れました、私はクリスタリンのミラリア・レリクストゥラと申します。以後、お見知りおきを」
「みなさん、はじめまして! わたしのなまえは、ケルスティン・フレデリクションです! おともだちからは、ケシィやルーシィってよばれてるよ!」
 ミラリアとケルスティンの自己紹介が終わると、早速、演目が開始された。
 2人が歌うのは、互いの故郷に伝わる童謡だ。
「大地よ、元気を分けてください……。スゥ――Ahhhhhaaa……!」
 ミラリアは大地から放出されるエネルギーを吸収することで活動している。
 歌唱の際も、そのエネルギーを吸収し、自身の体全体を震わせることで音を発生させているのだ。
 その歌声は、天使の歌声ともいわれた楽器であるアルモニカを連想させる。
 艷やかで滑らかで、天にも誘われるような甘美なハイトーンの歌声は、聴く者をたちまち魅了し、虜にしていった。
 ケルスティンも幼さゆえの天然のソプラノボイスで会場を席巻してゆく。
 家庭の事情で、翼こそもぎ取られてしまったが、ケルスティンは立派なオラトリオ――つまり、正真正銘の天使である。
 天使の歌声が2つ重なり、極上のハーモニーがスピーカーを通して群衆の最後尾にまで届けられ、いつの間にか会場は歌声以外は何も聞こえなくなっていた。それだけ彼女達の歌声に聞き入っている証拠である。
 更に、ミラリアは歌声にユーベルコードを乗せ、会場周囲の土塊を操ってヒト型のモニュメントを作り上げてみせた。
「♪ 未来を夢見た あの日の幻 とこしえに 底へと 眠りなさい……」
 本来なら、オブリビオンを捕縛する為のユーベルコードの歌唱だが、こうやって単純に土を操作することも出来る。
 人々は猟兵のユーベルコードに驚き、喝采し、2人を力の限り拍手で讃えた。
 そして、無事に歌い上げたミラリアとケルスティンは、大観衆に惜しまれながら舞台袖へ下がってゆくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

クリスティーヌ・エスポワール
姉で恋人のニコ(f02148)と参加っ

さぁ、ニコが歌うなら全力で演出させてもらうわよ!
【演出家は情熱を謳う】発動、高揚する幻影のバーチャル舞台装置をニコと乗機のオルフェの周辺に展開!
自身も踊るように動きながら、効果的にニコとオルフェを照らし出す照明演出と、全力のバーチャルキーボードでのオケ演奏で、最っ高にニコを魅力的に見てもらうわ!
そして、演目が終わってアンコール……いい仕事に満足してたら、ちょ、ニコ、引っ張らないで!
舞台に引きずり出されて、チークダンスと歌を一緒に……
もう、しょうがないわね……(くすっ)
舞台装置はオートにして、心ゆくまで歌って踊っちゃうわ!


ニコレット・エスポワール
双子妹で恋人のクリス(f02149)と一緒♪
他の人も歓迎☆

わぁ、念願のフェスだっ!
ボクの夢の一つだし全力全開でキラキラ☆
【金糸雀は鳴き、人形姫は廻る】っ!
猟兵らしく『オルフェ』もバックダンサー♪
重力制御で浮くから振動とか平気だよ!

♪キミだけに囀る夜、今は星天も遠いけど♪
♪キミの瞳があれば、シリウスもいらない♪
♪キミと闇を超えて、熱く何度もキスを…♪

しっとり甘く激しいテクノ風即興曲
クリスの演出で全力パフォーマンス☆
『オルフェ』も軽やか♪

はふー♪…ん、アンコール?
んじゃ次は、クリスも一緒に歌い踊るよっ!
だって一番魅せたい娘だしねっ♡

♪おいで、星天の下へ♪
♪ケンカ、終わったら♪
♪ずっと、アイシテル♪



 クリスティーヌ・エスポワール(廃憶の白百合・f02149)とニコレット・エスポワール(破璃の黒百合・f02148)は双子の姉妹であると同時に恋人同士である。
 猟兵の間では、同性愛や近親愛はさほど珍しくない風潮だ。
 そんな2人の相性は言うまでもなく息ピッタリであり、それは音楽でも同じことのようだ。
「わぁ、念願のフェスだっ!」
 ニコレットは、自分達の楽屋があることに感動して、先程からソワソワしっぱなしだ。
「フェスはボクの夢のひとつだし、今日は全力全開でキラキラするよ☆」
「ニコが歌うなら全力で演出させてもらうわよ!」
 クリスティーヌも恋人の夢の実現のために、戦闘のときよりも気合が入っていた。
 そうこうしているうちに2人の出番が迫ってきた。
「それじゃクリス! 最高の演出、期待してる☆」
「任せなさい、ニコ!」
 2人はハイタッチした後、ステージ脇へと向っていった。

「やっほーっ! はじめましてー☆ ボクはニコレット・エスポワール! 後ろのキャバリアはボクの相棒の、オルフェだよ!」
 紹介されたオルフェは、操縦者もいないのに、ひとりでに動き始めたではないか!
 これに観客は何が起きたのかとざわつき始めた。
「これ、ボクの念動力で操作してるんだ! これがボクのユーベルコード『金糸雀は鳴き、人形姫は廻る(ラ・ヴィルジニテ・デマイユ)』!」
 ニコレットの体の動きに左右されず、まるで自我があるかのようにステージの後ろで軽やかに踊りだすオフフェ。
「あ! 重力制御で浮くから、いくらオルフェが踊っても振動とか平気だよ!」
 オルフェと一緒にニコレットが観客へ向って手を振ってみせた。
 これに観客は唖然として、一瞬だけ会場が静かになってしまった。
 ジャパニアにはない技術を軽々と披露したニコレットに、畏怖や興味の視線が集中してゆく。
 一方、舞台袖では、クリスティーヌがユーベルコード『演出家は情熱を謳う(プロデュクトゥール・フェルベール)』を発動させていた。
 ニコレットとオルフェの周囲に、バーチャルキーボードを出現させた。
 この演出に観客は再びざわつき始める。
「さあ! 思いっきり楽しむわよ!」
 クリスティーヌはニコレットのバックでバーチャルキーボードの鍵盤をリズミカルに叩き始めた。
 すると、会場は激しいリズムと疾走感溢れるエレクトロサウンドに包まれ、一気に高揚感を煽ってゆく。
 静かだった観客はたちまちEDMの虜になり、あちらこちらで歓声を上げ始めた。
 ニコレットは楽曲に合わせてキレキレのダンスを披露すると、後ろで控えているオルフェも巨体をくねらせてバックダンサーとして動き回る。
 乱舞する少女とキャバリアを彩るべく、クリスティーヌが召喚した照明器具が色とりどりの光を浴びせて主役を盛り立ててゆく。
(このジャパニア国民のみんなへ、最っ高に魅力的なニコ見てもらうわ!)
 そしてクリスティーヌ自身も影の中で踊り出し、ニコレットの舞台の一部になろうと努めていた。
(さっすがクリス! 即興とは思えないほどの練度の高さだね♪)
 実は、エスポワール姉妹の演目は徹頭徹尾アドリブであり、その場の空気で即興でクリスティーヌもニコレットも作曲と作詞をやってのけるのだ。
 十分に盛り上がってきたところで、ニコレットも即興の歌詞で歌声を披露し始めた。

 ♪キミだけに囀る夜、今は星天も遠いけど♪
 ♪キミの瞳があれば、シリウスもいらない♪
 ♪キミと闇を超えて、熱く何度もキスを……♪

 唄い出した歌詞の中身は、しっとり甘いラブソングだった。
 五線譜を跳ね回るような激しいリズムとメロディのEDMには意外過ぎるチョイス。むしろ強引過ぎる感じもあった。
 しかし、ニコレットは後ろで頑張ってくれるクリスティーヌへの思いが溢れた結果、愛しい妹への慕情を歌い上げたくなってしまっていたのだ。
(ニコってば……! ちょっと恥ずかしいけど、すごく嬉しいわ……!)
 そんな多少の歌い手の暴走も、舞台装置を操れば一瞬で曲調と演出をラブソング仕様に早変わり。
 電子音の激しさはそのままに、ムーディーな曲調へと変わったその時だった。
「クリス! 次は一緒に歌い踊るよ!」
「ちょ、ニコ、引っ張らないで!」
「いーからいーから! だって、ボクが一番みんなに魅せたい相手は、クリスなんだからね❤」
 華咲くニコレットの笑顔と温かい言葉に、クリスティーヌは耳までたちまち真っ赤になってしまう。
「もう、しょうがないわね……」
 クリスティーヌは舞台装置を自動演奏モードに切り替えると、ニコレットと共に肩を抱き合ってチークダンスを始める。
 そしていつしか互いの感情が高ぶり、肌を寄せ合うダンスから、情熱的なタンゴへと発展していった。

 ♪おいで、星天の下へ♪
 ♪ケンカ、終わったら♪
 ♪ずっと、アイシテル♪

 ニコレットは歌い終わると、すかさずクリスティーヌと唇を重ね合う。
 もはや舞台は2人だけの世界。愛しき恋人同士の感情がぶつかり合う。
 そんな2人を、観客等の祝福の拍手が盛大に包み込んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミフェット・マザーグース
わ、わ、わわわ、わ~~! 音楽フェス!
すごい! スピーカーいっぱい! 人がいっぱい! 楽しそう!!
…………歌っていいの? やったーーーーー!!!

猟兵のスゴさのアピール……やっぱり普通の歌じゃダメなのかな?
でも、ヒトじゃないことは、ヤだから……
歌でみんなを癒やしたりできるよって、そういう、ぱふぉーまんす

リュートを持ってオンステージ
ぺこんと一礼してから「歌唱・楽器演奏」で演奏開始!

UC【田園を照らす暖かな陽の光の歌】
会場に青い空と、いっぱいの森、川、風、自然の広がる風景を映し出すよ
みんなを癒せたら嬉しいな

他の猟兵さんのお手伝いやバックコーラスもやってみたいな
そっとお願いして、OKもらえたら頑張るよ


箒星・仄々
音楽や
それが生む沢山の笑顔
楽しみです♪

ウェイブさんの操縦者さんへ声掛け
お怪我はなかったでしょうか?

指揮棒とスピーカーを備えたマシンに搭乗…
軍楽隊の方でしょうか

今回の件を記憶されているかは判りませんが
どちらにしても後悔に苛まれていることでしょう
勇気づけてあげたいです

音楽の借りは音楽で返しましょう

貴方の奏でる又は指揮する旋律で
沢山の心にHOTやホッとなってもらっちゃいましょう!

操縦者さんや
その仲間さんたちと協奏
賑やかで元気な曲を

フェスの参加者や他PC様の
歌曲の伴奏も務めましょう

リズムと共に心も躍る
その踊る心に湧き上がる想いが
未来へと進む何よりのエナジーです
過去に惑わされず
眼差しは未来へGO!です


ノインツィヒ・アリスズナンバー
【POW】
はいはーい☆
ジャパニアのみなさ~ん!こ~んに~ち~わ~!☆
新人アイドルのぉ、ノインちゃんで~す!

今日はこんな音楽フェスでぇ、歌わせてくれてありがとうございまーす!
全力で皆さんに愛してもらえるように頑張りま~す☆
いや正直言うと足ガックガクなんですけどね。
こんなデカい箱流石に初めてです。

そんなわけで私ちゃん渾身の【パフォーマンス】【歌唱】【ダンス】を披露しちゃうよ☆開発部さんちゃんとステージ演出お願いね☆
【撮影】の映り込みもちゃんと意識して、ジャパニアの皆さんに私ちゃんを猛アピール☆
一大アイドル物語はここから始めちゃうぞー☆



「わ、わ、わわわ、わ~~! これが音楽フェス! すごい! スピーカーいっぱい! 人がいっぱい! 楽しそう!!」
 会場の熱気に、目を輝かせるミフェット・マザーグース(沼の歌声・f09867)。
 だが次の瞬間、不安そうに眉尻を下げた。
「本当にミフェットも、唄っていいの……?」
 これにカブラギ主任が笑顔で頷く。
「勿論だとも! ミフェット君はその歌で大活躍してくれたからね」
「……歌っていいの? やったーーーーー!!!」
 その場でぴょんぴょん飛び跳ねて喜ぶミフェット。
 一方、会場の熱気に身体をガタガタ震わせている者がいた。
「わわわわ私ちゃんの一大アイドル物語は、ここから始めちゃうぞー☆ だからこれは武者震い、嬉しさで歓喜に打ち震えてるわけで……」
 ノインツィヒ・アリスズナンバー(90番目のアイドル・f29890)、念願叶っての音楽フェス参加を前に、全身から汗が吹き出ていた。
「主任さん! 本当に私ちゃんをエントリーしてくれてありがとうございましゅっ!」
「ノインツィヒ君が語尾を噛む程度に緊張しているというのは、よく分かったよ……」
 あれだけせがんでいたのに、いざ実現したら挙動不審になっているノインツィヒに、カブラギ主任は思わず苦笑いを浮かべていた。
 ノインツィヒはグルグル目になりながら訴え掛けてくる。
「これ夢じゃないよね? 本当にアイドルやっていいんだよね? 今まではアイドル活動してたと思ったら任侠映画の主役みたいになってたり、周りの扱いがゴリラになってたり散っっっ々だったけど! 正真正銘、アイドルして、いいんだよね!?」
「当然だとも! ……というか、今まで苦労してきたんだね、ノイン君……」
「ノイン、かわいそ、かわいそ……。今日はいっぱい、お歌を唄おうね?」
 背伸びをしてノインツィヒの金髪をナデナデしようとするミフェット。
 これに感涙を目尻に湛えるノインツィヒが声を絞り出した。
「ミフェットちゃん、マジ天使……」
「ん……? ミフェットはブラックラールだよ?」
「しかもめっちゃ純真だし……!」
 このあと、しばらくノインツィヒはミフェットに頭を撫でられ続けて慰められるのであった。

 その頃、黒猫の魔奏剣士こと箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は、会場から少し離れた仮設テントの中にいた。
「ご無理を言って申し訳ありません」
「……正直びっくりしましたが、猟兵殿の嘆願ですので」
 ジャパニアの警察機構の関係者は、先程の戦闘でオブリビオンマシンを操縦していたパイロットを此処に連れてきていた。
 箒星たっての願いで、開発チームから連絡を回してもらったのだ。
「尋問なら、我々……警察の役目なのですが」
「まぁ、そこで見守ってて下さい」
 警察をなだめた箒星は、改めて今回の事件の首謀者である操縦者の男に声を掛けた。
「あの激しい戦闘で、お怪我はなかったでしょうか?」
「……怪我はしてません。本当に、ご迷惑をおかけしました」
 男は椅子から立ち上がり、深々と頭を下げた。
 まだ20代打と思しき若い男は、床にポタポタと涙を滴り落とす。
 これに箒星は優しく言葉を掛けた。
「座って下さい。私は貴方を叱責しに来たわけではありません。その様子だと、今回の件ははっきりと記憶されているご様子ですね?」
「……全部ってわけじゃないんですが。ただ、あの機体に乗って、恐ろしいほどの全能感が湧き上がって……その勢いで飛行船を襲ったのは、間違いありません」
 頭を抱える男は、深い嘆息を吐いた。
 箒星はゆっくり、優しく、此処に彼を連れてきた目的を告げる。
「そうなれば、今、貴方は後悔に苛まれていることでしょう。貴方は悪くありません。見たところ、軍楽隊の方でしょうか。そういったキャバリアが存在するのですよね? 指揮棒とスピーカーを備えたマシンが?
 男は無言で頷く。
 つまり、彼は軍楽隊の指揮者なのだろう。
「顔を上げて下さい。私は貴方を勇気づけてあげたいです。音楽の借りは音楽で返しましょう」
「何を言ってるんだ……? 自分は、このまま軍法会議に掛けられ、どのみち死罪に……」
「そうはさせません。挽回の機会、私が用意しますから」
「……は?」
 これには警察も聞いてないぞと目を細めてしまう。
「貴方のは指揮する旋律で、この音楽フェスを盛り上げるのですよ。沢山の心にHOTにして、貴方にも挽回してもらって“ホッと”なってもらっちゃいましょう!」
 この提案に、警察は首を扇風機のようにブンブンと横に振ってみせる。
 だが、男の目には希望の光が宿り始めていた。
「じ、自分が……やっていいのですか?」
「いや駄目だ駄目だ! いくら猟兵殿の頼みとはいえ、無茶苦茶な!」
「いいや、面白い試みだとは思わないかね?」
 会話に割って入ってきたのは、カブラギ主任であった。
「襲われた側が言うのも何だが、オブリビオンマシンの搭乗者に罪はないと思っている。オブリビオンマシンというのは、機体に何も異常がなくても、突然変異して“覚醒”してしまうのだ。だから君は、運が悪かっただけなんだ」
 カブラギ主任が男の肩に手を置く。
「幸い、まだ報道機関へ君の情報が流出するのをこちらで防いでいる。この意味、分かるかね?」
「ちょっと、カブラギ殿! 職権乱用ですよ!」
 警察の文句を、カブラギ主任はまぁまぁと右手で遮った。
「若い才能に挽回のチャンスを与えてやるのも、我々年長者の役割だと私は考えているのだが?」
「私からもお願いします」
 箒星が頭を下げると、警察は遂に天を仰いでしまった。
「この事は、しっかり上へ報告させていただきますので!」
「安心したまえ、これっきりにするさ。嗚呼、キミん所のボスに伝言しておいてくれないか? 『今度、また美味いカレーを食べに行こう』ってね?」
「は、はぁ……」
 警察は虚無感に苛まれて肩を落としてしまった。
 開発チームは、思っていたよりも強固な権力をジャパニアで有しているようだ。
 箒星は目の前の主任が、猟兵の味方でいてくれてよかったと、内心で安堵してしまう。
「それでは、この方をお借りしますね? 音楽やパフォーマンスから生みだされる沢山の笑顔が、いまからとっても楽しみです♪」
 拘束を解かれた男は、今度は箒星とカブラギ主任に連行されてゆくのだった。

 いよいよ、ミフェットとノインツィヒのステージの順番が到来する。
 まずはミフェット単独で歌い上げたあと、ノインツィヒとミフェットが合唱する運びとなった。
 そのバックバンドには、先程の男が指揮台に昇り、箒星が今や遅しと竪琴を構えていた。
「み、みなさん、こんにちはっ! ミフェット・マザーグースだよ! 歌がとくいです。よろしくね!」
 ぺこりと頭を下げたミフェットの手元には、愛用の『紋章のリュート』があった。
 それをポロロンと鳴らすと、彼女は観客に告げた。
「猟兵のスゴさのアピールしてっていわれたけど……やっぱり普通の歌じゃダメなのかな? でも、ヒトじゃないことは、ヤだから……。ミフェットはね、歌でみんなを癒やしたりできるよって、そういう、ぱふぉーまんすをするね!」
 早速、ミフェットはリュートの旋律をユーベルコードとして奏で始めた。

 ♪目を閉じて ほんの少しだけ
 ♪思い出して 胸のそこにしずんでる 暖かいばしょ
 ♪その陽の光は いつでもみんなを照らしてる

 ユーベルコード楽曲『田園を照らす暖かな陽の光の歌』。
 会場に青い空と、いっぱいの森、川、風、自然の広がる風景が人々の心に描き出される。ミフェットの音楽によって共感されたイメージだ。
 すると、ミフェットの身体が徐々に光り輝き、聴く者を優しく包み込み始めた。
(癒やしの音色と光……みんなを癒せたら嬉しいな)
 ミフェットの音楽に合わせ、バックバンドが即興で音色を奏で始める。
 その指揮を預かる男も、涙を流しながら光に癒やされていた。
 そんな男の様子に、箒星は心の中でエールを送る。
(リズムと共に心も躍る。その踊る心に湧き上がる想いが未来へと進む何よりのエナジーです。貴方は過去に惑わされないでください。その眼差しは未来へGO!です)
 ミフェットの演目が終わると会場は感動の渦に飲まれ、彼女が舞台袖にはけてからもスタンディングオベーションが続いたのだった。

「ちょっとやりづらい……!」
 ド緊張するノインツィヒの左手を、ミフェットが優しく両手で包み込んだ。
「一緒にがんばろ?」
「やっぱりこの子、天使じゃん……!」
 童女の優しさに触れて気力ゲージを回復させたノインツィヒは、意を決して夢のステージへ飛び出していった。
「はいはーい☆ ジャパニアのみなさ~ん! こ~んに~ち~わ~!☆ 新人アイドルのぉ、ノインちゃんで~す!」
 バババッと照明の色が、ノインツィヒのイメージカラーであるピンクと黄色に切り替わった。
 開発部のファインプレーである!
「今日はこんな音楽フェスでぇ、歌わせてくれてありがとうございまーす! 全力で皆さんに愛してもらえるように頑張りま~す☆」
「いいぞー! 鋼鉄の歌姫(アイアン・ディーヴァ)ー!」
「戦場を掛けるスデゴロ系アイドル!」
 観客の声援が何やらおかしい。
 ノインツィヒが舞台脇を見ると、カブラギ主任がサムズ・アップしていた。
(変な二つ名つけないでよ!)
 あとでシメると誓いながら、ノインツィヒは進行を続ける。
「いや正直言うと足ガックガクなんですけどね。こんなデカい箱、流石に初めてです」
 アイドルは笑いも取れるのだ。
「そんなわけで私ちゃん渾身のアイドルタイムを披露しちゃうよ☆ 開発部さ~ん、ちゃ・ん・と! ステージ演出お願いね☆」
 そして始まる華やかなアイドル王道のメロディー。
(カメラの映り込みもちゃんと意識して、ジャパニアの皆さんに私ちゃん、猛アピール☆)
 ミフェットのコーラスも重なり、アイドルライブは大成功!
 猟兵達は音楽フェスを満喫したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月25日


挿絵イラスト