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かわいた荒野に潤いを

#アポカリプスヘル

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#アポカリプスヘル


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●忘れ去られたかつての繁栄
 生き物の気配も文明の名残もない、どこまでも広がる荒野。今日は空が晴れ渡っているのが逆に憎らしくも感じる。
 奪還者数名のチームリーダーを務めているオロフはようやく見つけた拠点―――と言うにはみすぼらしい、ここを行き交う奪還者達が廃墟を利用して一時体を休めるようにしただけのポイントに到着した。
「この下に繁華街があるのか……」
 メンバーに休憩を言い渡し、自分も腰を落ち着けて懐から紐で綴じた冊子を取り出す。とある廃墟で見つけた何らかのページをかき集めて綴った物だ。
 派手なレイアウトも色褪せてボロボロになっていたが、リーダーが注目したのは地図があった事だ。地図を参考に探索すると有用な物資が残る廃墟の名残や遺構が見つかった。
 更にここには巨大な地下街があったと言う。オロフはこのポイントに何度も来ていたが地下街の入り口らしきものを見た事はなかったので半信半疑だった。
 しかし数日前にこのポイントに通りかかった時、地面に積み重なった瓦礫が更に崩壊した事で地下に続く階段らしきものが見えたのだ。
 冊子によればかつては地下の巨大繁華街として栄え鉄道まで通っていたらしい。地下にあるなら『嵐』の影響も少なく物資が多く残っているかもしれない。
「親父、この保存食袋破れてる」
「袋が駄目だと長持ちしねえな。今食っちまえ」
「いいの?!ありがとう親父!」
 この前三十を過ぎたオロフより一回り以上も若いメンバー達はいつからか自分を親父と呼ぶようになった。確かに拠点が襲われ親も住む場所も失くしたこいつらを奪還者として鍛えたのは自分だが物好きな事だと思う。
 今は特にうまくもない保存食すら満足に食わせてやれないが、次の探索で物資が手に入ったら少し楽をさせてやれるだろうか。

 オロフが目指す場所には崩れた建物が一つ。その瓦礫の下には確かにかつて栄えた地下街に繋がる階段があった。
 だがオロフは知らない。地下街に巣食う異形の存在も、異形に襲われ重傷を負ったメンバーを逃がすため、自ら囮になって死ぬ未来も―――。

●パンドラの箱にだって希望がある!
「みんないらっしゃい!アポカリプスヘル行きのお仕事だよ!」
 出迎えたキャロ・エレフセレリア(たーのしー!・f12156)は相棒の『メガロス』のタンクを開いてずらりと並んだ缶ジュースを猟兵達に振舞う。
 思い思いの缶ジュースを選んで喉を潤した猟兵達に伝えられたのはとある廃墟に向かった奪還者達の危機だった。
「この奪還者チームのリーダーさん、名前はオロフさんだね。昔あったものすごく大きな地下街を見付けたんだけど、そこがオブリビオンの巣だったの!」
 背中にあらゆる拠点を潰して手に入れた物や拠点そのものを背負う巨大なヤドカリ型のオブリビオン―――『ヤドリリ』。
 人の道具を理解し自己改造に利用できるほどの知能と技術を備えている。単体でも生殖可能な能力で巨大な群れを形成し、全てを蹂躙していく驚異のヤドカリだ。
「オロフさんはヤドリリがいる事に気付いてすぐ撤退しようとしたんだけど―――」
 待ち伏せされている事に気付いたオロフが声を上げた時にはすでに回り込まれていた。メンバー二人が重傷を負い、オロフは全員を逃がすために囮になる。
 しかしオロフが力尽きた後、残りのメンバーも包囲に加わっていなかったヤドリリに発見されて全滅してしまうのだ。
「地下街の入り口になってる建物の残骸あたりに送るからね!オロフさんが来たら合流してみんなで協力してほしいんだ!」
 予知では全滅してしまったオロフ達だが、原因の一つに地下街に降りる際の騒音と時間の問題があった。
 まず地下街へ行く階段は建物の瓦礫に埋もれているので入るには瓦礫をどかして入口を整備する必要があるし、途中の階段や通路も経年劣化とヤドリリ達の移動に巻き込まれて瓦礫やレールで塞がっている。
 これをオロフ達は六人で片付けたので時間もかかった。その間にヤドリリ達に完全包囲されてしまったのだ。
「もちろんみんなが手伝ってもヤドリリに気づかれる事は避けられないけど、時間を短縮できれば完全包囲前に到着できるし、事前に襲われる事を知ってれば準備もできるからね!」
 ヤドリリ達に奇襲されるのではなく、こちらから戦いを挑む形にできるのだ。知ってさえいればオロフ達も上手く立ち回ってくれる。
「ヤドリリを倒せば大きな地下街って言う拠点も手に入るし、更にボーナスもあるよ!」
 地下街に巣食うオブリビオンは絶望だけでなく希望も背負っていた。
 ヤドリリの背負うものは拠点を潰して手に入れた物で作られているが、なんと全てが稼働している。電気をはじめとしたエネルギー装置や工業機械、食糧を生産するプラントや、拠点にあった農場まで丸ごと入っているのだ。
 襲われて命を落とすはずだった奪還者チームは生還し、大量の設備や品が手に入る。是非とも成功させてほしいとキャロが目を輝かせた。
「自動販売機の山を背負ってるようなヤドリリもいるから、無事に終わったら自動販売機から飲み物を買って喉を潤すのもいいよね!」
 それじゃあみんな行ってらっしゃい!グリモアを起動したキャロは手を振って猟兵達を見送った。


水見
 猟兵のみなさん初めましてこんにちは、マスターの水見です。
 今回の舞台はアポカリプスヘル。予知でオブリビオンに襲われ全滅してしまった奪還者チームを救うため、そしてオブリビオンを倒した後に残るボーナスタイムを楽しむお話しです。
 第一章は奪還者のチームと合流して皆で一緒に瓦礫をどかしたり整備したり補修したりと地下街に降りるために作業をするお仕事。
 第二章は地下街で待ち受けるオブリビオン『ヤドリリ』の群れと戦うお仕事。
 第三章はヤドリリ達が残して行った設備の中で一際目立つ自動販売機の山から飲み物を買ってまったりするお仕事です。

 第一章は特殊な技術がなくても瓦礫をどかしたり鉄道のレールを補修する作業のサポートをしたりやれる事はたくさんあるので技能の有無をそれほど気にする事はありません。
 第二章はヤドリリとの集団戦!巨大なヤドカリのオブリビオンを全力で倒してください。背負った物を巻き込むのは気にしなくても大丈夫です。
 第三章は飲み物を買うとありますが、所持品が減ったり★が減ったりすることはありませんので安心して好きな飲み物で喉を潤して下さい。
 みなさまのプレイングをお待ちしています! 
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第1章 冒険 『地下に伸びる希望と絶望と』

POW   :    入り口拠点の改善

SPD   :    鉄道レール修復

WIZ   :    繁華街の改装

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達が到着した場所には事前に聞いていた通り崩れた建物の瓦礫が積み重なっていた。近付いて確認すると瓦礫の隙間から階段が見える。
 瓦礫をどかすのはもちろん、崩れた入口もどうにかしなければならない。聞いた所によれば内部もあちこち崩れて邪魔な瓦礫を排除し、壊れたレールも修復が必要だろう。
 そうやって猟兵達が現場を見て回っているとオロフ達がやって来た。
「―――なるほど、あんたらもこの下に用があるのか」
 言葉を交わしてしばらくすると、オロフは猟兵達に警戒を解いた。チームの仲間とも名乗り合い、お互い地下街に向かうために協力する事が決まった。
 オロフが持っていた冊子によると通路の途中には繁華街の一部である店舗も通路の両脇に並んでるらしい。入口の様子を見る限り、その店舗の改装を行えばこの場所にやってきた奪還者達のいい休憩場にもなりそうだ。
「瓦礫の撤去や休憩所の作成なら俺らも慣れてる。まあよろしくな」
 こうして敵が待ち受ける地下街に向かうために、猟兵達はオロフ達と協力してまず片付けから始める事になるのだった。
ライアン・フルスタンド
不採用含め全て歓迎だよ。
POW対応
本当ならこんな、死地に赴くようなマネなんてしたくないけど。

脆そうで狭い場所にキャバリアは持ってけないし。がんばる君を装備していこう。
入り口の瓦礫を運搬、オロフさんたちの手伝いをしながら危険が迫っている事を伝えるよ。
けど、こっちもそう大した情報持ってないもんなぁ。
携行火器の中から小銃と散弾銃を持ってくよ。爆発物は地下に影響を与えるかも知れないから置いて行く。

人の道具を改造できるっていう奴に会ってみたいな。もし有用性のある道具を持っていたら、どんな仕組みか解体して調べておきたいし。
地下に行くまでに捕獲機とか作れないかな?


朝多・御早
ウイーす、かったるいけどヨロシクね。っと軽ーく作業に紛れ込みます。
持ち前の「怪力」で瓦礫を軽々と寄せたり、壊れて曲がったレールを力づくで曲げ直したりします。
とにかく力仕事を手伝います。



 荒野に辛うじて残るかつての街の残骸。風化と経年劣化でボロボロになった建物の名残と瓦礫の山。ライアン・フルスタンド(ヒューグリーム決戦の悪魔・f30184)はいかにも脆くなっていそうな残骸を見てキャバリエを持って来なくてよかったと思う。
「本当ならこんな、死地に赴くようなマネなんてしたくないけど」
 常に死と隣り合わせの過酷な環境を生き抜いて来たとは言っても、ライアンはスリルを楽しむタイプではない。
(人の道具を改造できるっていう奴に会ってみたいなとは思うけど)
 有用な道具を持っているなら仕組みを解体して調べたいが、好き好んで死地に首を突っ込むほど命知らずではない。
 ―――知らずに赴こうとする奪還者達を放っておく事も出来なかったが。
「そうか、この下に異形化したバケモンが……」
「こっちもそう大した情報持ってないんだけど、武装はしっかりしてきたからね」
 装備した小銃と散弾銃を見せる。奪還者チームのリーダーオロフはライアンの武装と装備の中から爆発物を外している慎重な行動に頷き、ライアン達にオブリビオンの存在を教えてくれた事とこの場に来てくれた事に礼を言う。
 こうしてお互いの顔合わせと状況の把握も終わり、早速地下街に行くための準備を始める。
 ライアンは戦闘用の業務用旧式強化外骨格がんばる君を装着して積み重なった瓦礫を撤去する。作業の途中にコンクリートから飛び出す鉄筋などを見て、そこらの素材で捕獲機なんかは作れないだろうかと考えながら撤去した物を運んで行く。
「ウイーす、手伝いにきたよー」
 瓦礫の撤去作業には朝多・御早(おはよう・f30267)も加わった。目立つ寝癖と大きなレンズの眼鏡はちょっとぼんやりした印象を与えるが、実際は体の全てが武器となり力となる怪力の持ち主でもある。
「かったるいけどヨロシクね」
 軽い挨拶で作業に混ざる御早は早速瓦礫の一つをひょいと持ち上げた。
「素手でやんのかよ……」
「まあ見てなさい」
 奪還者チームから感心半分呆れ半分といった顔だが、御早は気にせず持ち前の怪力で軽々と瓦礫をどかして行く。
 邪魔な瓦礫を順調に片付けて行くと、今度は階段付近にある曲がったり外れたりした手すりや一体どこから飛んで来たのか壁に刺さったレールまで行く手を阻む。しかし御早の怪力はここでも発揮された。
「こんなものかな」
 ほぼ直角に折れ曲がったレールを怪力で伸ばし直した物だ。
 足でカンカン踏みつけるとなかなかしっかりした手応えが返って来る。力で曲げ直したレールの感触を確かめて、これならすぐに壊れる事はないはずだと別の作業に移る。
 なにしろ片付けなければいけないものはまだ山ほどあるのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

美聖・らふる
はじめまして……ええと。
怪しい、ものでは、ありません……。
私立新世界学園から……派遣されて、来ました
美化委員会副会長、美聖・らふる……と言います

校則第二十四条に則って……“清掃活動”を……開始、します

瓦礫を退けたりするなら……キャバリアに、おまかせ。
ミーゼの操る“ミゼラブル”は……通常駆動でも、力仕事なら、百人力……です。

えっちら、おっちら、キャバリアを操作して、瓦礫を退けて、鉄骨を引き抜いて……。

(チーン)
……あ。
パンが……焼けました
浪漫志向謹製、キャバリアの駆動熱で焼き上げる、内蔵ホームベーカリー、です
オロフさん……達も
よかったら、お一つ、どうです……か?
お腹が空いたら、作業、できません。



 瓦礫に埋もれた階段と通路の復旧。その話を聞いた美聖・らふる(メガデス・f29983)はこれは自分の出番だと早速自身の愛機であるキャバリア『ミゼラブル』を駆って指定のポイントに降り立った。
「はじめまして……ええと。怪しい、ものでは、ありません……」
 作業現場には生身の徒歩で来たらふるは奪還者チームのリーダーオロフにぺこりと一礼した。
「私立新世界学園から……派遣されて、来ました美化委員会副会長、美聖・らふる……と言います」
「びかいいんかい?」
 文明が滅んで時間が経ったアポカリプスヘルで教育らしい教育を受けず生まれ育ったオロフ達。ピンと来ないようなので学生証を名刺代わりに軽く説明をする。
「てことはあのデカイのをわざわざ掃除のために……」
「はい……校則第二十四条に則って……”清掃活動”を……開始、します」
 幸い先に来ていた猟兵達のお陰で振動だけで崩れそうな脆い箇所はクリアしている。らふるがミゼラブルで大きな瓦礫をまとめてどけても鉄骨を引き抜いても重量や振動で崩れるほどではない。
 順調に進む作業に皆が気を良くして作業をしていると―――。

 チーン

「……あ。パンが……焼けました」
「パン?!」
「浪漫志向謹製、キャバリアの駆動熱で焼き上げる、内蔵ホームベーカリー、です」
 驚くオロフ達にらふるはいそいそとミゼラブルから降りてアタッチメントの一つを開く。ふんわり漂うおいしそうな匂い。排熱機関を利用した焼きたてふかふかのパンを取り出した。
「オロフさん……達も、よかったら、お一つ、どうです……か?」
 お腹が空いたら作業できませんと言おうとしたらふるのお誘いにかぶせ気味の歓声が上がる。
 小麦やバターを惜しみなく使った焼きたてパンなど食べた事がないオロフ達だけでなく、作業に集まった猟兵達もそのおいしさに舌鼓を打った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォルセティ・ソルレスティア(サポート)
◆性格
明るく元気で、好奇心旺盛で何にでも興味を持つけど、少し飽きっぽいところも。
年齢より子供っぽく(見た目に近い)、味覚も完全にお子様。
よく女の子に間違えられるが、言うほど気にしていない。
口調は「ボク~だよ」「わー、~だね」

◆戦闘
聖なる箒を振り回して、遠距離からの魔法系UCを使用。
グアルディアン・サトゥルノで相手のUCを相殺したり、ラビリント・ネプトゥノで
行動を制限したりすることもある。
フィニッシュはカラミダド・メテオーロが多い。
TPOに応じて愛用の宇宙バイクで戦うことも。意外と乗りこなす。
負傷者がいれば楽器演奏と歌で癒すことも多い。

◆非戦闘
情報収集を中心にしつつも直感を信じて行動することも


風雷堂・顕吉(サポート)
アドリブ連携歓迎

約100年前、ダークセイヴァーの人類敗北以来、ヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピール、それが俺だ。
ダークセイヴァー世界の大抵のヴァンパイア相手ならそれがどのような血族かは知っているし、知らなくとも調べる伝手はある。
それ以外の世界については物珍しそうに振る舞うことになる。すぐに慣れるだろう。
ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は日差しが強すぎるので、サングラスを着用する。

戦闘は剣士の動きだ。
フェイントを多用する。相手が格上や多数の場合は挑発をして隙を作ることもある。
次に参加する猟兵が戦いやすい状況を作ることも多い。



 美味しいパンでお腹を膨らませ、気力も充実。精力的に作業を再開する皆の中で、フォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)はオロフに謝られていた。
「いいよ、ボク気にしてないから!」
「おう。ありがとなお嬢ちゃん、じゃなかった坊主」
 見た目も服装も愛らしい彼を少女と間違えてしまったオロフが訂正されて謝ると言う一幕を終え、フォルセティは元気よく作業現場に入って行った。
「わー、思ったよりボロボロ」
 入り口付近の作業が終わり通路の中に入れるようになったが、両脇に並んでいた店舗の瓦礫やショーウィンドウの破片などが瓦礫と鉄道のレールに混ざり合って実に混沌としている。
 これは一つ一つ拾いあげていたら何日かかるか分からない。
「そうだ、固めて一気に持ってっちゃおう!」
 幸いここには猟兵達も、猟兵が連れて来たキャバリアもいる。塊を運ぶのに苦労はしないだろう。
 聖箒ソル・アトゥースをくるんと一振り。魔力を増幅するペンダントに意識を集中して氷の槍を出現させる。
「全てを貫け、ロンギヌスの槍よ!」
 できれば壊さないように!と放たれた氷の槍が混沌とした瓦礫の山を凍らせていく。
 魔法が珍しいオロフ達が見詰めている間に瓦礫は氷の塊になり、乾いた荒野の太陽にきらりと光った。
「できたー!あとはこれを運ぶだけだね!」
 氷塊になった瓦礫の山はキャバリアの手も借りて次々と運ばれて行った。
「残るはこの鉄道のレールか」
 差し込むくらいに片付いた通路の中で、陽光の中より月夜の中にいた方が似合いそうな風雷堂・顕吉(ヴァンパイアハンター・f03119)がサングラスを掛けた赤い瞳で通路を見回す。
 もしかしたらこの通路の上か下あたりを通るように設置されていたものなのだろうか。飴細工のようにぐにゃりと曲がった鉄道のレールが通路を完全に塞いでいた。
 どちらかと言うと戦闘特化の顕吉だが、他の世界の存在を知って以降自分の知識にないものを学び戦い以外の知識も異世界の知識も順調に増やして行っている。
 知ってはいたが実際目にするのは初めての鉄道レール。どうせなら列車が走っている所を見たかったものだと少し残念に思いながらレールを軽く揺らしてみる。
 パラパラと小石くらいの破片が降ってきて近くにいたオロフがヘルメットに乗った破片を払う。
「どこかの瓦礫にぶっ刺さってるな。無闇に引っこ抜くと崩れそうだ」
「そのようだ。全て取り除かない方がいいだろう」
 なら崩れない程度の場所をどうにかすればいい。顕吉は崩れそうな場所にあたりを付けると腕に白木のパイルバンカーを装着する。まさか吸血鬼を倒すための白木の杭を土木作業に使う事になろうとは。
「これも違う世界を知ったからこそか……」
 さて、使うからにはきっちりと作業をこなさなければ。白木の杭をつぎつぎとレールに打ち込み、ひびが入ったレールを崩して行く。余計な所が崩れそうになっていないかどうかはオロフ達に見てもらいながら作業をこなす。

 そして猟兵達と奪還者チームの協力の末、地下街へと続く階段は解放された。
 待ち受けるのはオブリビオンの群れ。しかし猟兵達は躊躇わず先へと進む。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『ヤドトリ』

POW   :    これがボクたちのちからだーっ!
【動きは遅いが一族一丸となって頑張る】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【超巨大な移動拠点を背負ったヤドトリ】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    シューリもカイゾーも任せろーっ!
【改造修理用器具】が命中した対象を治療し、肉体改造によって一時的に戦闘力を増強する。
WIZ   :    でんぱゆんゆんっ!
【脳から発する会話用思念波】から【お涙頂戴の作り話、実話や関係ない豆知識】を放ち、【対象にさせる強制的ツッコミ】により対象の動きを一時的に封じる。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 地下街を蠢く山脈。それはありとあらゆるものを破壊して行く驚異の群れ。人も建物も兵器も、一つの例外もなく押し潰され飲み込まれてその背を覆う『貝』の中に組み込まれて行く。
 異形化した巨大なヤドカリのオブリビオン―――『ヤドリリ』の群れはこの地下街でも建物や施設を切り崩し背中の『貝』に組み込んでいた。
 その鋏がぴたりと止まり目が忙しなく動いた。地上の方で何かを崩す音や移動する音が聞こえて来た事で作業を中断して音の出所を探る。
 ―――地下街に続く地上の階段から音は近付いて来る。侵入者を迎え撃つためにヤドリリ達は階段の出入り口を取り囲む事にした。

 予知の中でこの包囲に囚われ血の海に沈むはずだったオロフ達奪還者は今猟兵達の隣で遠くに蠢く物音に緊張を高め銃の動作を確認している。
 彼等も異形化した機械や賊を相手に戦って来た奪還者だ。けして弱者としてただ守られるだけの存在ではない。
 蹂躙され全てを奪われた人々のために、その背にある希望の欠片を手に入れるために、猟兵達は奪還者と共にヤドリリの群れに挑む。
七詩野・兵衛(サポート)
『アルダワ魔法学園応援団『轟嵐会』団長 七詩野兵衛である!』
アドリブや他の猟兵との連携と絡みは歓迎だ。

多少の怪我は厭わず積極的に行動する。
よほどの事情でやらなければいけない時以外は、
他の猟兵に迷惑をかける行為や、公序良俗に反する行動はしないぞ。

戦闘は応援団としてバーバリアンの力強さと、
スカイダンサーの身のこなしを駆使して応援するのだ。
我輩の「ダンス」と「パフォーマンス」で皆を「鼓舞」するのだッ!

応援する相手がいなければ仕方ない、自分で戦闘する。
後はおまかせだ。よろしくおねがいしよう!


ミロ・バンドール(サポート)
大人向けな依頼は不採用にしてください

口調はステシの基本通り
強がって一匹狼を気取った態度ですが、連携にはきちんと応え
最善の結果のために努力します
いわゆるツンデレ

基本的な戦闘スタイルは敵の力を削ぎ、次の味方の行動へ繋げるサポート役で
次いで重視する行動が敵の押さえです
技能の各種耐性や改造を活かし、戦場の状況に合わせたスタイルを模索します

一般人等保護対象には耐性技能を利用して盾になり
UCは誰かが望まない犠牲になるときは差し控える傾向

*備考
・精神攻撃にはとても弱い(ヘタレると寝言時の口調)
・ギャグ展開にはよく巻き込まれる(弄られOKです)

※キャラぶれても気にしないので、お気軽に弄って下さい


四十物・寧々(サポート)
サポートプレイングです。

ひとつの肉体に複数の人格を有し、人格ごとに別々の特性を修得でき、人格を切り替える事で様々な状況に対応できます。(多重人格者の種族説明より抜粋)

そのため、口調は「現在の状況に対応できる人格」です。
シナリオ進行に必要な内容など、喋らせたいことを喋らせて下さい。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

あとはお任せ致します。
よろしくおねがい致します。



 地下の階段を降りた猟兵達の前には既にヤドリリの群れが集まっていた。予知ではここでオロフ達奪還者チームが最期を迎えていた。
「お前ら、前に出すぎるなよ!」
「分かってるよ親父!」
 しかし予知された未来は覆される事だろう。オロフ達は猟兵をサポートするために銃を構え、猟兵の一人四十物・寧々(あいもの・ねね・f28377)は無謀な突撃をしないオロフの指示にこれなら大丈夫だと安心する。
「折角助けにきたんにうしなかす訳にいかんし」
 特徴的な訛りは人格交替が行われた証だ。他にも複数の人格がそれぞれ違う方言を話すために『ご当地寧々ちゃん』なんて呼ばれている寧々だったが、今出て来たのはこの富山弁を話す人格だった。
 長い袖の中から手を出して身に着けているポンポン飾りの一つポンポンヴァッフェを握った。
 見た目はふわふわのポンポン飾りにしか見えなかったが、ヤドリリに向かって投げつけられた時その本領を発揮した。
 紐状の器官が伸びて怪物じみた動きでヤドリリの鋏に絡みついて捕縛する。
「うちらも頑張って仕事せんにゃ」
 な?と言葉をかけたのは『ネイティブ・ダブル』で現れた別の方言を話すもう一人の寧々。彼女は「せやな」と頷いて寧々が捕まえたヤドリリにポンポン飾りを向ける。
 ポンポン型記憶消去銃の引き金を関西弁の寧々が撃ち、富山弁の寧々は反撃しようとするヤドリリを更にきつく拘束する。
 しかしなんとか改造修理用具を取り出したヤドリリが自分の肉体を改造して戦闘力を増強すると、拘束を保つのが難しくなって来た。
「しょわしない……!」
 拘束を解こうと暴れるヤドリリに寧々の額から汗が流れる。
「闘志を燃やせ!猟兵、ファイアーーー!」
 寧々を励ます声と一緒に七詩野・兵衛(空を舞う熱血応援団長・f08445)が長い学ランと深紅のハチマキを靡かせて、寧々とヤドリリの間に仁王立ち。
「アルダワ魔法学園応援団『轟嵐会』団長 七詩野兵衛である!」
 そして胸を張り拳を握って名乗りを上げた兵衛の声は広い地下街にもかかわらず、すべての猟兵達の腹にまで響く。その声が焦り始めた寧々を鼓舞して背中を伸ばし、気力を取り戻した。
 兵衛はそれを見届けると応援の声を張り上げるだけではなく、自分も拳を武器にヤドリリの群れに飛び込んで行く。
「気合いだぁー!」
 襲い掛かる巨大な鋏を軽い身のこなしでかわし、『グラウンドブレイカー』の単純で重い拳を叩き込む。
 直撃地点から周辺の地形を破壊する程の威力を持つ拳はヤドリリの巨大な体さえも殴り倒し、時に軽やかに時に激しく重厚に、バーバリアンの身体能力を最大限に発揮した戦いぶりは味方を鼓舞するに相応しいパフォーマンスでもあった。
 しかしどれだけ殴り倒しても別のヤドリリがすぐに押し寄せて来る。動きが遅い分巨大な体と背中に背負った超巨大な移動拠点も加えた突進は強烈で、一度くらっただけでも体中に衝撃が走る。
 それでも兵衛は堂々と背を伸ばし拳を振るう。応援団長の肩書き通り、兵衛は味方を鼓舞するために戦っているのだ。
「こういう熱血、俺には合わないんだよな……」
 兵衛の奮闘にミロ・バンドール(ダンピールの咎人殺し・f10015)は憎まれ口を叩くが、兵衛の背後から襲い掛かろうとしたヤドリリを攻撃してその背中を守っている。
 一匹狼を気取っていてもちゃんと仲間のフォローに動くミロはいわゆるツンデレだった。
 まだまだ少年らしいあどけない見た目もあって実に微笑ましいが、魂のジビットのギロチンの刃は恐るべき毒が滴り、切り裂かれたヤドリリの鋏も体も傷口から入った毒に侵されて行く。
 毒のせいで徐々に体は動かなくなり、刈り取られれば魂のジビットの三つ目、捉えた魂を苛む吊り篭に閉じ込められてお終いだ。
 ヤドリリ達がお互いの意思疎通にも使う脳からゆんゆんっ!と発する会話用の思念波でお涙頂戴の作り話、実話や関係ない豆知識を放たれ思わず強制的なツッコミを誘発されても、一度武器を振るえばミロの武器が猛威を振るう。
「錆びて朽ちたる処刑の樹、釣られ吊られて首くくる」
 魂のジビットの鎖がヤドリリの巨大な体をものともせず拘束して自由を奪う。
「くくる首がどこか分からないが切り落としてしまえばどこでもいいよな?」
 ギロチンの刃が振り下ろされ、ヤドリリの頭がごとりと落ちる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ウォーヘッド・ラムダ(サポート)
一人称、二人称、性格等はプロフィールを参照。

■戦闘行動
敵への接近、または敵からの攻撃回避は装備『フライトブースター』『ダッシュブースター』を使用しての回避行動。
防御に関しては装備『アサルトヴェール』>『重厚シールド』>『超重装甲』の優先順位での防御行動。
攻撃に関しては『ASMー7』『LLS-3』をメインにしつつ、他装備も使用。

強襲用ってことで自分への多少の被害が承知済み。

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動は無し。
また、"本目的に関係ない"NPC民間人への攻撃行動は無し。(やむを得ない牽制・威嚇射撃は有り)
あとはおまかせです。
アドリブ歓迎


姫神・咲夜(サポート)
 桜の精の死霊術士×悪魔召喚士、女性です。
 普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
 片思いの人には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

清楚で女流階級風の口調で、お淑やかな性格です。
基本的に平和的な解決を望みますが
戦わざるを得ない時は果敢に戦いに向かう勇敢さを持っています。

 あとはおまかせです。よろしくおねがいします!



「標的捕捉。本機はこれより迎撃態勢に入る」
 出入り口で待ち受けるヤドリリの群れと比べたら3m近いボディを持つウォーマシンのウォーヘッド・ラムダ(強襲用試作実験機・f18372)も小さく見えてしまうだろう。鋏一つにしてもウォーヘッドより大きい。
「まずは包囲に穴を開ける」
 ヤドリリは改造修理用器具を駆使して多少の傷は治療してしまう。しかも治療と同時に肉体改造を施して戦闘能力を上げると言う技能を身に着けている。
 この山脈の如き包囲の壁に穴を開けるなら散発的な攻撃では通じないだろう。
 ウォーヘッドはフライトブースターとダッシュブースターの両方を全開し最高速度でヤドリリに突撃する。大柄な分動きが遅いと言っても数が多いヤドリリが一斉に集中攻撃すれば全てを回避するのは難しい。
 しかしウォーヘッドのボディは強襲用として作られた超重い装甲と重厚シールドを備えている。ウォーヘッド自身のコミュニケーションAIもまた強襲用として設計されている。アサルトヴェールでダメージを軽減した攻撃程度で足を止められるほどヤワではない。
 強襲用ウォーマシンの名に恥じない多種多少な銃火器とレーザーソードでヤドリリにダメージを与えて包囲網の中で最も弱い部分を見付け出す。
「セーフティ解除」
 『対重装甲用サブマシンガン(タイジュウソウコウヨウサブマシンガン)』 が包囲の弱点部分になっているヤドリリを容赦なく蜂の巣にして行った。
 包囲網の一角が崩れた事によって猟兵達はより自由に動き回って戦えるようになり、状況はヤドリリによる包囲戦から猟兵による反攻の時に転じていた。
「私も前に出ましょう。戦って倒す以外に解決する方法もないようですから」
 地下街の薄暗がりに浮かび上がるような桜の精が混沌とした戦場に自ら舞い降りる。
 姫神・咲夜(静桜・f24808)は見た目こそ儚い桜の花弁そのものだったが、手にした白桜の魔杖は桜に憑りつく悪魔を逆に制御し使役する物。肩に担いだバズーカ・ブロッサムは弾丸が命中すると同時に桜の花びらが舞うと言う、火力と雅を併せ持った重火器だった。
「私もこの囲みを崩すのに協力いたします」
 バズーカ・ブロッサムの弾丸がウォーヘッドが開けた穴を更に広げる。桜の花弁が舞えば舞うほどヤドリリの包囲網は崩れていくのだ。
 それを阻止しようとヤドリリの会話用思念波が咲夜の脳に直接響いてくるが、咲夜を完全に止めるまでには至らない。
「私が動けなくてもまだ戦う手段はありますの」
 『リザレクト・オブリビオン』で召喚された死霊騎士と死霊蛇竜が動けない咲夜に代わりヤドリリを相手に剣と牙を振るう。
 こうして猟兵達を取り囲んでいたヤドリリの壁は完全に崩れ落ちた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

叢雲・凪(サポート)
人間のミュータントヒーロー×ゴッドハンド、
ヒーロー名【ジンライ・フォックス】

まずはその世界の住人・猟兵仲間に挨拶をしよう…。
礼儀は大事。年上の人や先輩にはちゃんとしないとね。
『どうも ジンライ・フォックスです』(お辞儀しつつ)

基本的な戦い方は【リミッター解除】を使ってからの【ダッシュ】+【残像】+【疾雷】を使った電光石火の接近で敵との距離を詰めよう。ボクは広範囲への攻撃ができないから【黒雷槌】や【一撃必殺】を使った各個撃破に努めよう。【気絶攻撃】や【マヒ攻撃】で無力化するのも効果的だと思う。

『天誅・・・』


シアン・ナアン
『まずは自分を壊しちゃお!世界もどーせ壊れてるから!』
『自由こそ真の秩序……』
『シアン難しい話わかんなーい☆』

◆口調
コロコロ変わり、ぐちゃぐちゃである

◆行動
戦闘、遊び、調査等何をするにも分身を使って活動する
分身も意識があり区別がつかない
死に対して一家言ある
行動指針に一貫性がなく都度変わる

爆発物好き、派手好き

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、怪我や死ぬことも厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為は多分しません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動は恐らくしません。
 つまりはだいたいおまかせ。よろしくおねがいします!!



「どうも ジンライ・フォックスです」
 黒い狐の面を被った叢雲・凪(断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072)は礼儀正しく仲間の猟兵とオロフ達に挨拶をした。礼儀は大事。バチバチと鳴る黒い雷のマフラーをなびかせ一礼する。
「おうよろしくな、俺はオロフだ。こんな状況じゃ格好つかねえが、援護は任せな!」
 奪還者チームのオロフはなかなかフレンドリーなタイプだった。他のメンバー達もヤドリリと戦う猟兵をサポートするべく銃を撃ちながらきちんと挨拶を返してくれた。
 満足した凪はヤドリリに『天誅』を下すべく纏っていた黒い雷―――凪のミュータントパワーである『黒雷』をさらに激しく轟かせる。
「出てこい…眠れる九尾…黒神の化身!!夜天九尾!!」
 黒雷のマフラーが解かれ、黒い狐面の目がくわっと開く。夜天九尾形態になった凪は黒雷の尻尾を生やした姿に変身し、爆発的なスピードでヤドリリに挑む。
 凪の寿命を削るほどのスピードと反応速度は巨大な分鈍重なヤドリリには追い付けず、残像に虚しく空振りするばかり。ダメージを修理できると言っても追い付かない速度で攻撃され続けてはたまらない。
 電光石火の一撃を食らい倒れるヤドリリと黒い雷をバックに言った。
「天誅…!」
 倒されたヤドリリの背中に爆発物があったのか、派手に爆炎が上がる。
「ヒュウ!かっこいーい☆」
 爆炎にはしゃぎながらサ改造ショットガンを乱れ撃ちするシアン・ナアン(自己壊乱・f02464)に標的にされたヤドリリはちょっとかわいそうな事になっていた。
 口調が別人かな?と思うほどコロコロ変わる上に爆発好き派手好きな性格がそのまま戦闘スタイルにも影響を与えているのかとにかく派手でメチャクチャなゴリ押しだった。
 さきほどの凪が尋常ならざるスピードによる手数でヤドリリの修理速度を上回ったのなら、シアンは『数』によって物理的に『手』を増やし、ゴリ押しでヤドリリの修理速度を上回って来た。
『『『『『『さぁ、踊り狂え私達!!』』』』』』』
 『死の舞踏会(ドッペルパーティタイッ)!』の明るい声が七人分。シアンそっくりの七人の分身が現れ、四方八方からヤドリリに襲い掛かる。
 誰かがマシンガンを乱れ撃ちしたかと思ったら誰かが捨て身の一撃でヤドリリを吹き飛ばし、誰かが爆弾をしかけて爆破する。更に誰かがロケットランチャーを多段式にしたようないっぱいロケランをぶっぱなす。
 しかもシアンも含めて分身全員が怪我も死ぬことも厭わずに捨て身の一撃のような特攻をしてくるのだ。と言うか同士討ちでもしたいのかと思うほどフレンドリーファイアも気にせず撃って来る。
「まずは自分を壊しちゃお!世界もどーせ壊れてるから!」
「さんせーい!じゃあまずそっちの俺が逝こっか!」
 もうヤドリリは修理もままならずメチャクチャである。広大な地下街の空に轟く黒い雷と所構わず放たれるあらゆる銃撃によってヤドリリの数は更に減って行った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

美聖・らふる
ミーゼは、美味しいパンが好きです。
毎日、毎日食べています。
それが、当然でした。

……それが日常でない世界があることを、知りました。
もしこの場所に、そんな日常を、ミーゼがもたらせるなら。
それはきっと、何より嬉しい。

だから……行きましょう、“ミゼラブル”。

コード、“ユースアネイジア”。
対象は非キャバリアにつき、出力は40%。
威力を絞り被害を軽減、視認できる“ヤドリリ”が存在する、広域を殲滅します。

“メガリス・ドライブ”、出力安定。
……“メガデス”、発射。



 また一体のヤドリリが倒れ背負っていた設備が地面に落ちる。主に食糧を扱うプラントや工場を背負っていたのだろう。美聖・らふる(メガデス・f29983)の所までパンの香りが届いた。
「ミーゼは、美味しいパンが好きです。毎日、毎日食べています。それが、当然でした」
 戦闘用のキャバリア、ミゼラブルにホームベーカリー機能がついたアタッチメントを付けるくらいだ。焼きたてふかふかのパンを毎日食べる。それがらふるにとっては必要な事で、当たり前の事だった。
「……それが日常でない世界があることを、知りました」
 オロフ達奪還者チームが生きるアポカリプスヘルでは、水一杯保存食一袋を得るだけでも簡単な事ではなかった。
 もしこの場所にミーゼが当たり前に思っていた物を、当たり前に享受できる日常をもたらす事ができるなら。
 それはきっと、何よりも嬉しい。
「だから……行きましょう、”ミゼラブル”」
 ミゼラブルの殲滅砲塔”メガデス”の砲門が開く。
「“ミゼラブル”、マスター・モード変更。“メガデス”の出力を調整。……威力確定。……“清掃開始”」
 コード『”ユースアネイジア”』―――視認できる限りのヤドリリを広域殲滅する攻撃が開始された。
 出力は最大時の40%だが、威力を絞った分標的以外の被害を軽減し、攻撃範囲を広げたメガリス・ドライブの一撃は超巨大な移動拠点を背負ったヤドリリ達の突進をまとめてなぎ払う。
 一つの集団を片付ければまた次の集団へ、らふるは的確な砲撃でヤドリリの数を減らして行く。
「”メガリス・ドライブ”出力安定……”メガデス”、発射」
 一つ、また一つと落として行く。
 ヤドリリの群れが全滅してようやく、メガデスは砲撃を止めて沈黙するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『自販機』

POW   :    一服する

SPD   :    出た物で遊ぶ

WIZ   :    当たり付きルーレットじゃないか!当てよう

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ヤドリリの群れが全滅した後に残っていたのは今まで蹂躙し奪って来た拠点や設備の数々。人々がこの世界で懸命に生きて繋いできた文明の利器だった。
 戦闘で壊れてしまったものもあったが皮肉な事にヤドリリの自己改造機能のお陰で多少の修理を行えば充分復帰できる。
「すげえ!見てよ親父、食べ物がこんなに!」
「水もある!」
 オロフをリーダーとした奪還者チームの若者がはしゃいでいるのは食糧プラントや工場で生産された安全な水とパッケージングされた食べ物だった。
 『嵐』により世界全体が荒野になってしまったアポカリプスヘルでは水も食糧も貴重品だ。はしゃぐのも仕方ない。
 猟兵達は奪還者チームのはしゃぎようを聞きながらヤドリリの残骸を確認してあるものを見付けた。
 長方形の機械の中に並んだ缶やペットボトル―――それは自販機だった。
 そう言えば巻貝のように周囲をぐるりと自販機だけで覆っていたヤドリリもいたなと猟兵達は思い出す。
 しかもこの自販機の数々は食糧プラントと製造工場で生産されて運搬から搬入迄すべてオートメーション化されていると言う超ハイテク自販機らしい。
「つまり……ここに入ってるのは全部飲める?!」
 更に言うと自販機は飲み物だけでなくちょっとしたお菓子や軽食が売られている物もあった。
 お金の方は心配ない。ヤドリリが背負っていた設備の中に金庫があった。とは言っても今ではもうここの自販機にしか使えない外に持ち出してもただの紙切れだ。
 なのでここで遠慮なく使ってしまおう。
 さあ、好きな物を選んで戦闘の疲れを癒し、また明日に向けての活力を養おうじゃないか。
スピレイル・ナトゥア(サポート)
精霊を信仰する部族の巫女姫です
好奇心旺盛な性格で、世界をオブリビオンのいない平和な状態に戻して、楽しく旅をするために戦っています
自分の生命を危険に晒してでも、被害者の方々の生命を救おうとします
技能は【第六感】と【援護射撃】と【オーラ防御】を主に使用します
精霊印の突撃銃を武器に、弾幕を張ったり、味方を援護したりする専用スタイルです(前衛はみなさんに任せました!)
情報収集や交渉のときには、自前の猫耳をふりふり揺らして【誘惑】を
接近戦の場合は精霊の護身用ナイフで【捨て身の一撃】を繰り出します
マスター様ごとの描写の違いを楽しみにしている改造巫女服娘なので、ぜひサポート参加させてくださると嬉しいです!


御堂・茜(サポート)
アドリブ連携歓迎
細かい事は気にしませんわ!
感嘆符過剰で喋らせて下さいませ!!!!!

・性格
わたくしは御堂茜!
弱きを助け悪を挫く正義の使者にございます!
いついかなる時も御堂の為す事は正義!
どんな状況でもその意思は絶対に曲げず
超絶プラス思考であらゆる行為を正当化致します!
立ち塞がる悪を躊躇なく成敗し
苦しむ民を助ける為に行動しますわ!
(熱血脳筋正義バーサーカーです。繊細なシナリオで気まずくなる場合流して下さい)

・日常
御堂は武士であり女子にございます!
可愛い雑貨や動物、すいーつが大好きです!
戦国武将グッズにも目がありませんわ!
鍛練や国作り、慈善事業にも積極的です!
民の喜ぶ顔がわたくしの幸せにございます!


若王子・真珠(サポート)
 人間の陰陽師×UDCエージェント、21歳の女です。
 普段の口調は私、あなた、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


ディルク・ドライツェーン(サポート)
実際の年齢より無邪気で子供っぽい言動です。
好奇心旺盛で素直なので、楽しい事などは積極的に行動し
友好的な相手には仲良く接します
戦闘以外の知識には乏しいですが、戦闘時は本能的に考えて戦います。
拳に【怪力】を乗せて戦うのが主ですが、敵が多い場合はオウガ刀で【なぎ払って】【吹き飛ばし】て戦います。
敵の攻撃には【野生の勘】で回避したり【激痛耐性】で耐えます
バディペットのアインや海竜のシュタインと連携して戦います。
仲間が危なければ【かばい】ます。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「この自動販売機、くじがついていますね」
 手当たり次第に買ってみては飲んでおおはしゃぎする奪還者チームを微笑ましく見守っていたスピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)が軽快な音楽を流して回るルーレットに気付いた。
 遊牧民として生まれ育って来たスピレイルだったが猟兵として様々な世界を巡る中で元々の暮らしとはまったく違う世界や文化に触れて来たがこんなにたくさんの自動販売機を目にするのは初めて。好奇心をそそられて無造作に積まれたコインを取りに行っていそいそと戻って来る。
「どれにしましょう……」
 文字通り山と並んだ自動販売機があるので一つ決めるだけでも大変なので直感に従う事にした。
 選んだのは蛍光色のけばけばしいデザインの缶。遊牧生活ではまず見なかったデザインに好奇心が疼いた結果だった。ボタンを押してすぐに同じデザインの缶ジュースが落ちて来る。
 ジュースを取ろうとしゃがんだ目の前でルーレットが回り出す。
 楽しそうな音楽に合わせて回る矢印。ちょっとドキドキしながら先に落ちて来た缶を開けるとプシュ!と弾ける炭酸の音。
「し、舌が弾けそうです!」
 炭酸の感触は新鮮で面白くて、スピレイルは同じ物が当たったらいいなとジュースを飲みながらルーレットが止まるのを待った。
「こんな自動販売機もあったのですね!」
 そびえ立つ自動販売機の山裾で御堂・茜(ジャスティスモンスター・f05315)はある自動販売機を発見していた。
 写真やイラスト入りの紙箱やプラスチックの袋に入った大小様々な容器。茜が見付けたのはお菓子を打っている自動販売機だった。
「皆様!こちらにお菓子の自動販売機がありますわ!」
「お菓子?!」
 あっという間に奪還者チームが自動販売機を取り囲む。甘い物なんてよっぽどのことがない限り食べられないし、口に入れられたとしても小さな砂糖の粒を舐めるくらいだった奪還者チームはパッケージの写真や絵を見てもこれがお菓子だと気付かず通り過ぎていたのだ。
 しかしこうやって見てもどのパッケージがどのお菓子なのかさっぱり分からない。
「茜にお任せくださいませ!」
 奪還者達が迷い始めてすぐに茜が自動販売機にお金を投入。迷いのない手つきでボタンを全て押して行く。そう、すべてだ。どれがいいか分からない?なら全部試せばいいのでございます!
 どさどさと勢いよく落ちて来るお菓子とクルクル光るルーレット。
 当たりでも外れでも、もう一回同じ物を買ってしまうのは確定だったが。
 飲み物もあればお菓子もある自動販売機の山の中、若王子・真珠(黄昏時の・f27804)は目的の自動販売機を探して歩いていた。
「煙草の自販機は……」
「おっと、先に一服させてもらってるぜ」
 自動販売機の前に置かれたスチールのベンチでは奪還者チームのリーダーオロフが一服していた。
 漂う紫煙と独特の香り。オロフは一足先に煙草の自動販売機を見付けていたようだ。
 今までオロフが口にしたことがある煙草と言ったらしけっていて中身もケチった手巻きの煙草ばかりで、まともな物を買うくらいなら食糧や装備に回すのが当たり前。いま吸ってる煙草なんて相当な金持ちくらいしか使えないだろう。
「私も一服させてもらおう」
 その辺りの事情は聞いている真珠は満足そうな表情で煙をふかすオロフを邪魔しないように自動販売機の前に立つ。異なる世界から渡って来た真珠、当然見た事のない銘柄ばかりだったがこの世界の物も味わってみたい。
「これにもルーレットがついてるんだ」
 もらえるものならもらうスタイルの真珠は煙草の封を切って早速一本。慣れた煙草特有の香りに世界が変わっても煙草はどこにでもあるんだなと煙を吸い込む。
「これうめえ!」
 真珠がルーレットの結果を待っていると自動販売機の山の裾野辺りでディルク・ドライツェーン(琥珀の鬼神・f27280)の歓声が上がった。
 お菓子の自動販売機の前で食べ比べをしていた奪還者チームの輪の中に入って一緒に片っ端から袋を開けてお菓子を頬張ってはこれが美味いあれが変な味だと盛り上がっている。
「こっちもうまかったぞ、ほら食べな」
「やったー!」
 見た目より幼い雰囲気と仕草に実年齢はディルクより年下の奪還者達に年下扱いされているが気にしない。重要なのは目の前に山と積まれたお菓子を味わう事だった。
 それと飲み物。お菓子ばかりでは喉が渇くことを初めて知った奪還者達は別の自動販売機から飲み物を調達して改めてお菓子を食べ始めた。
 こんなにおいしいものを食べてしまってはこの後元の生活に戻るのが大変そうだったが、チームのリーダーであるオロフは二度とないかもしれない機会だからと許可を出してくれた。
「どうせならこの街全部アンタらのものにしちまえよ!必要な設備とかってあのヤドカリが持ってたんだろ?」
 ディルクはお菓子を頬張りながら何気なく言った一言だったが、奪還者達チームの若者達とはしゃぐ声をきちんと聞いていたリーダーのオロフの心に一つ大きな望みが生む事になる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

二天堂・たま(サポート)
ワタシは流血を伴わない攻撃手段が主だ。
武器:ケットシーの肉球による“負の感情浄化”や、UC:常識を覆すピヨの波動によるスタミナ奪取を多用する。

直接触れないような相手(体が火や毒で覆われている等)の場合はUC:アルダワ流錬金術を応用した攻撃が主力だ。
(火に覆われているなら水、毒液で覆われているなら砂嵐等)

しかし実際には直接的な戦闘以外の方が得意だな。
ボビンケースの糸を使った即席の罠の用意、料理や情報収集や掃除。
UC:親指チックで呼びだした相棒による偵察と、同UCによる居場所交代(テレポート)で潜入・解錠して味方の手引きとかな。

もふもふが必要ならなでても構わんぞ。UCで呼んだ相棒達(ひよこ)もな。


筒石・トオル(サポート)
「邪魔をしないでくれるかな」
「油断大敵ってね」
「ここは任せて」
正面切って戦うよりも、敵の動きを封じたり、属性防御を固めて盾や囮となったり、味方が倒し切れなかった敵にトドメを刺して確実に倒すなど、味方の安全性を高めるように動く。
ユーベルコード使用はお任せ。
使用しない場合は、熱線銃での援護射撃を主に行う。
人見知りではあるが人嫌いではないし、味方が傷付くのは凄く嫌。
戦うのも本当は好きではないが、誰かを守る為には戦う。
もふもふに弱い。敵がもふもふだと気が緩みがちになるが、仕事はきちんと行う……ホントだよ?



 自動販売機の中には飲み物以外を売っている物も少なくない。二天堂・たま(神速の料理人・f14723)が見付けた自動販売機はおもちゃの自動販売機―――自動販売機の形をしたおもちゃではなく、正真正銘様々なおもちゃを売っている方の意味での物だった。
「ほう……」
 ふかふか、ピヨピヨ。
「むむ」
 むにむに、ピヨピヨ。
「これはクセになる感触……」
 たまが勝ったのは相棒であるひよこにそっくりなおもちゃ。一見すると小さなぬいぐるみのひよこ。とても感触が良く自分の毛並みに自信を持っているたまも認めふかふか。しかもこうして撫でているとセンサーが反応してピヨピヨ鳴くのだ。
 これにはひよこたちも喜んだ。戦いにおいては頼りになるひよこたちだが、たまと一緒になってひよこのおもちゃをむにむに押しては返事が返って来るのを楽しむ姿はただのひよこ。
 そんな光景はもふもふしたものに弱く、もふもふであれば例え敵でも緩みそうになってしまうほどのもふもふ好きな筒石・トオル(多重人格者のマジックナイト・f04677)にとっては実に幸せな光景だった。
 しかしトオルの人見知りはもふもふと言ってもケットシーであるたまとその相棒のひよこたちにも発揮されてしまっていた。
(なでさせて、なんて言えるわけないよね)
 見た目がどれだけもふもふでもたまはれっきとした猟兵の一人。しかもここに来る時に何気なく聞いた年齢はなんと三桁いっていた。
 こっそり溜息をついたトオルだったが、そのため息を聞き逃さなかったたまに見つかった。
「もふもふが必要ならなでても構わんぞ。相棒達もな」
「え?!」
 元々人見知りなトオルは突然話しかけてきたたまに思わず警戒してしまったが、それでももふもふの魅力には抗いきれなかったらしい。
 猫が毛を逆立てるように警戒しながらも玩具を売っている自動販売機と、たまと相棒のひよこが戯れる場所に来てはその警戒もなかなか続けられなかった。
「やわらかい……」
「そうだろうそうだろう。だがこの玩具もなかなかのこだわり。オブリビオンに背負われる前に知りたかった」
 たまとトオルはひとしきりもふもふタイムを楽しむと、今度は玩具の自動販売機の攻略に当たった。
 ひよこの形以外にもたくさんの種類と見た目から分かる素材の違いもあった。あれがいいかこれがいいかと品定めしている猟兵二人の姿を他の猟兵や奪還者チームは和みながら見ていた。

 地下街に巣食ったオブリビオンを倒し、無残に死を迎えるはずだった奪還者チームを救う事に成功した猟兵達は奪還者チームに見送られ地下街を後にする。
 そう遠くない未来で彼等ははこの地下街を再生するために奔走するのだが、それはまた別の話。今はまだ確定していない未来の一つだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年11月07日


挿絵イラスト