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滅びの護法(サイボーズ)

#クロムキャバリア

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#クロムキャバリア


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●法を汚すもまた法なり
 ニルヴァーナ寄進領。
 かつて、新興の寺院に周辺領主が自らの領地を寄進することで成立した宗教国家だ。
 その教義は概ね穏健なものであり、率先して周辺国家の紛争調停を担うなど、この地域の平和を担う重要な働きを果たしてきた。
 だが、その平和はプラント・パータリプトラで破られることになる。
「聖人ニルヴァーナの法(ダルマ)に仕える兵士諸君! 私はニルヴァーナ護法軍少佐、ウパーリである!」
 広場に立つ、天女か仏像の如き神々しさを湛えた一機のキャバリア。
 その手に乗ったパイロット、ウパーリ少佐が声を張り上げた。
 ニルヴァーナ寄進領の軍事部門である護法軍において、彼は市民を、部下たちを守るために力を尽くしてきた。当然、彼を慕う者は多い。
 彼のキャバリアの足下に多くの兵士たちが集まっていることが、その証明だった。
 衝撃を吸収する特殊繊維製の袈裟スーツに剃髪した頭、袈裟スーツから覗く機械化された手足という出で立ちは、ニルヴァーナ寄進領の僧侶に共通するものだ。
 護法軍と呼ばれるこの国の軍には、彼らのような機械化僧侶も珍しくない。
「今、我々は偉大な聖人の祖法を忘れ、機械化率や法の解釈に汲々とする寄進領の老人どもから、プラントを奪還した! これより我々は、祖法を彼らに受け入れさせるための戦いを開始する!」
 兵士から一斉に歓喜の声が上がった。
 その後、ウパーリ少佐は滔々と「祖法」について説法した。
 崇める聖人に倣った全身の完全義体化。
 法の名の下に、全ての物資を平等に信徒に分配する。
 その実現のため、この世界の全員を改宗させ、従わぬ者を仏敵として排除する。
 それは宗教の名を借りた過激思想そのものであった。
「聖人ニルヴァーナの法をこの世に取り戻せ! 腐敗に仏罰を! マニ車機関の駆動音の導きが我らにあらんことを!」
 ウパーリ少佐と配下の兵士たちは高らかに声を上げ、熱狂を共有する。
 その姿をキャバリアが嘲弄の色で見下ろしていることに、誰も気づくことはなかった。

●その法は衆生のために
「というわけで、クロムキャバリアでプラントを占拠した過激派を排除してほしいの」
 ホログラムディスプレイから視線を戻し、クリスティーヌ・エスポワール(廃憶の白百合・f02149)は猟兵たちに向き直った。
 資源の限られたクロムキャバリアにおいて、生産施設であるプラントは文字通りの生命線だ。供給される食料などの様々な製品は、多くの人々の命を支えている。
 そのプラントのひとつ『パータリプトラ』を、軍の一部隊が襲撃して占拠したのだ。
「彼らを率いているのは宗教国家『ニルヴァーナ寄進領』の青年将校・ウパーリ少佐で、教義の原点回帰、全世界の強制改宗及び完全なサイボーグ化を掲げているわ。典型的な過激思想だけど、それ自体は大きな問題じゃないの」
 問題のひとつは、この思想がウパーリ少佐の発想ではなく、彼の搭乗するオブリビオン化したキャバリア……『オブリビオンマシン』によって刷り込まれたものであること、そしてオブリビオン化が伝染することだ。
 間違いなく、この過激派はオブリビオンマシンの影響下にあるだろう。
 そして、もうひとつの問題は、この過激派が資源の供給を止めていること。
 事実、プラントから食料や各種資源の供給を受けていたニルヴァーナ寄進領は逼迫しつつあり、指導者層である高僧たちの寄進で何とか食い繋いでいる状態だという。
「もちろん、こんな状態は長く続かないわ。だから本当に干上がってしまう前に、過激派部隊を操るオブリビオンマシンたちを撃破してきて」
 キャバリアで戦うのが正道だが、猟兵ならば生身での撃破も可能だろう。
 もちろん、望めばニルヴァーナ寄進領の護法軍からキャバリアを借りることもできる。
「ただ、過激派もオブリビオンマシンの被害者よ。幸い、乗っている機体を破壊すれば正気に返るから、彼らも助けてあげてちょうだい。
 新しい世界で勝手が違う部分もあると思うけど、よろしくお願いするわね」
 そう言うと、クリスティーヌは頭を下げるのだった。


西野都
 我々の求めていた闘争がついに来ましたね、西野都です。
 というわけで、刃金と刃金がぶつかりあうクロムキャバリアの依頼をお送りします。

 本依頼は、以下のような構成となっております。
 第一章:降り注ぐミサイルの雨を突破する。
 第二章:過激派キャバリア部隊との戦闘。
 第三章:過激派指揮官・ウパーリ少佐の駆るオブリビオンマシンとの戦闘。
 第二章及び第三章では、マシンのみを撃破すればパイロットを救出できます。
 また、第三章ではウパーリ少佐の本来の思想や人柄を思い出させ、良心を呼び起こすことでオブリビオンマシンの動きを鈍らせることも可能です。
 詳細については、断章で追記いたしますので、よろしくお願いいたします。

 なお、『ニルヴァーナ寄進領』についても少し。
 かつて天に至ったというサイボーグ聖人を至尊の存在とし、天上にある守護神たちも崇拝する宗教の寺院を中核とする宗教国家です。
 僧侶は聖人を模して身体の義体化を行うのがならわしで、首都中枢のサイバーポタラ大伽藍では、サテライト大僧正を頂点とするサイボーグ僧侶たちが働いています。
 しかし、近年では聖人と同じく全身義体化すべきという議論もあり(そうしないのは、長い宗教議論や義体維持の難しさを鑑みてのことです)、今回の過激派の主張の下敷きはこれになっています。
 寺院や町並みは、UDCアースの東南アジアの国々に近いものです。
 お客様の参考になれば幸いです。

 待ちに待ったクロムキャバリア、精一杯描写しますので、よろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『ミサイルカーニバル』

POW   :    強度に任せて強行突破する

SPD   :    トップスピードでミサイルの隙間を駆け抜ける

WIZ   :    ミサイルの被害を受けずに済む方法を考える

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 パータリプトラ・プラントまで残り10キロ。
 プラントの建物が、その周囲に立ち並ぶ仏塔(パゴダ)がいくつも遠景に見えるようになった頃、前方の目標から無数の煙の柱と、火柱が上がるのが見えた。
 仏塔がモナカを割るように中央から開き、その中から現れたのは巨大なミサイル。
 ニルヴァーナ寄進領で標準的に使用されている短距離弾道ミサイル、『プルパ』。
 ロケットエンジンに内蔵された、キャバリアのそれと同等品のマニ車機関の駆動音は、味方に功徳を、仏敵に折伏を与えるとされている。
 無数の仏塔群は、そのミサイルサイロだったのだ。
 そうした宗教的な話を抜きにしても、一度空へと飛び上がったあと、その鎌首をこちらに向けて襲いかかってくるミサイルの雨は、猟兵にとっても無視できる存在ではない……!

 着弾まで僅かの時しかない。
 ミサイルの雨を抜け、過激派部隊に肉薄するのだ。
西園寺・優臣
「待ちな!!」
そう凛とした声が戦場に響き渡る。
上空を見上げると体の末端部が光熱と化してそこから聖剣、聖槍が現出していく少年が天空に腕を組んで座している。

「西園寺・優臣……誰にも慣れる、正義の味方だ!!」
そう言うと同時に飛来していくミサイルにぶつけるように高熱で出来た武装が高熱で出来ていることによって光速で飛来し相殺していく。
「さぁ、次だ次だ!」

「アンタたちが貶すご老人の方々は過去にしがみついているんはない。未来に自分たちの祈りを託したいと思っているからそうしているんだ!!」
「それを知らぬ存ぜぬというなら……俺が目を覚ましてやるよ!1」




 前方の平野部の彼方に、白煙の絡み合う菩提樹がそびえている。
 その樹の根元に座する者たちの教えでは、それは「悟り」を意味する。
 だが、その白い菩提樹の先端は、それとは程遠い滅び、そして不寛容の意志をもって猟兵たちへと伸びていこうとしていた。
「我らが祖法を望まぬのであれば世界の敵……消えよ」
 敵を征伐せんと飛び征く神の矢を見上げながら、ウパーリ少佐は厳しい顔で呟いた。
 その瞳の奥には絶対悪への憎悪と、正義への確信が渦巻いていた。

 パータリプトラ・プラントを臨むパトナ平地。
 青々とした草原の真ん中に、プラントへ向かう幹線道路が一直線に伸びる土地だ。
 だが、その光景はもはや過去のものになろうとしている。
 天を振り仰げば、白い航跡を描きながら、無数のミサイル群が迫る。
 空を覆いつくし、一切を焼き払うために放たれたそれは、地形もろとも敵手たる猟兵たちをこの世から消滅せしめると放った者たちは確信していた。
「待ちな!!」
 だが、その滅びを拒否する凛とした声が戦場に響いた。
 その声を追い、空へと目を向ければ、虚空に座し、腕組みをする少年の姿。
 本来柔和な表情を浮かべている整った容姿は今、無数のミサイルに対し鋭い視線を投げかけており、手足の末端は白光と変じ、熱は周辺の空気に陽炎を生じさせている。
 何よりも、彼は戦場に生身を晒していた。
 それは、この世界の戦闘のセオリーからは完全に外れた行動であった。
「や、奴は何者だ……!」
 戦場の向こう側で、指揮官であるウパーリ少佐は気圧されていた。
 あまりに彼らの戦いの常識に反した存在を、どうすべしか逡巡が生じていたのだ。
 そう、彼の名は西園寺・優臣(光熱集合生命体系ギャルゲ主人公・f23739)。
「……誰にも慣れる、正義の味方だ!!」
 優臣は、悪意を投げかける者たちに対し、そうきっぱりと告げた。

「……くっ! だが、このミサイルの密度で何ができる! 愚かな所業だ!」
 ウパーリ少佐は愛機であるサイキックキャバリアのコクピットに滑り込み、コンソールを操作。神秘的なニルヴァーナ文字のコンソールを呼び出す。
 それは、放たれたプルパ・ミサイルの制御システムであった。
「マニ車回転スラスターのベクトルを変更! 周辺のミサイルを全て叩き込む!」
 ミサイルを構成する複数の円筒が急激に回転し、軌道を大きく変える。
 彼らは全て、優臣の頭上へと降り注ごうとしているのだ。
「やらせるかっ!」
 刹那、優臣の手から光が閃いた。
 彼に殺到しつつあったミサイルの何発かをその光条が貫き、爆発した。
 爆発は他のミサイルに連鎖、数珠繋ぎになった爆発が空を染める。
 コクピットで一部始終を見ていたウパーリ少佐は目を剥いた。
「馬鹿な、アレだけのミサイルを生身で撃破したのか……!」
「さぁ、次だ次だ!」
 優臣は放った光と同じ輝きを持つ手に、輝く聖剣や聖槍を握りしめ、飛来するミサイルの第二陣へとその身を躍らせた。
 右手の聖槍を投擲。3発のミサイルが串刺しになり、爆発四散。
 回転した逆手で聖剣を放ち、その爆風を抜けてきたミサイルを切り裂く。
「何故だ、何故旧態依然の老人共のためにそこまでできる!」
 ウパーリ少佐は凄まじい速度でコンソールを叩きながら叫ぶ。
 彼らは祖法を貫く、聖人本来の意志の体現者のはずだった。
 聖人や諸天の厚い加護があるはずだった。
 だからこそ、この事態には拒絶感が強い。
 だが、そんな思想は優臣にとって知ったことではない。
「アンタたちが貶すご老人の方々は過去にしがみついているじゃない。未来に自分たちの祈りを託したいと思っているからそうしているんだ!!」
 優臣は、爆風の向こうの過激派たちに届けと叫んだ。
 拒絶や強制では何も変わらないことは、彼らの知る歴史が証明している。
 この世界の先人たちもそれを知っていたからこそ、時代時代の考えと折り合い、時には忍耐をもって諸人の幸せを模索してきたのだ。
 オブリビオンマシンによって過激思想を吹き込まれ、洗脳されたとは言え、それを全く知らないかのように振る舞う彼らの所業には、優臣は怒りを覚えていた。
「それを知らぬ存ぜぬというなら……俺が目を覚ましてやるよ!1」
 その妄念に届けと再び彼は高熱の剣槍を投擲。
 閃いた光は、ミサイル群に大きな穴を開けるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

彩波・いちご
【恋華荘】
強制改宗に改造……なんだかUDCアースの邪教団みたいな国ですね

金枝さんは召喚して自立で動く機体…?
私もそういう召喚術の組み立て考えましょうかね…?

ともかく今は一緒にミサイルの迎撃を
機械触手に対抗して、生物触手…?
悪い予感がしないでもないですが…私の邪神由来の力と金枝さんの力で干渉とかしないとも限らないし…フェイスレス…貌のない……?
深く考えるのはよしましょう
【異界の抱擁】で触手を召喚し、ミサイル群の迎撃をさせましょう
私自身はマイクロッドから放つ魔法で、撃ちもらしを迎撃です

あとは触手が暴走しなければ大丈夫
まぁ、仮に何かあっても、金枝さん変身したボディースーツですから大丈夫でしょう


音取・金枝
【恋華荘】

強制改宗及び完全なサイボーグ化、ですか
邪教組織に改造された身としては断固抗議したいですね

いちごさんと一緒ですし、変に巻き込まれうちに……ナイアルティンに変身だ
そして【召喚呪法・無貌の巨神像(コールスペル・フェイスレス)】で、金枝篇・三眼混沌編集再編版からデウスエクスキャバリア『フェイスレス』を招喚して操るぞ
フェイスレスに重力場と機械触手「夜に吠えるもの」でミサイルを迎撃させる
私はその影に隠れて対霊狙撃銃バレットM82でこちらに来る危険度の高いミサイルから順に撃ち落とす
いちごは触手でミサイル迎撃か。やはり最初に変身していて正解だったな
向こうの触手とフェイスレスが変に干渉しなければいいが




「強制改宗に改造……なんだかUDCアースの邪教団みたいな国ですね」
 彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)は、なおも今いる平地を焼き尽くそうと殺到するミサイル群を見上げながら嘆息した。轟々と唸るロケットの音が多重奏のように響き渡る。
 いちご自身が邪神を宿していることもあり、邪教団は宗教的な色彩を纏う脅威としては、割と身近と言える存在である。実際、交戦経験も数多い。詳述は避けるが。
 裏に座するオブリビオンの性質が大きく異なるものの、彼が今見上げているミサイル群を放った過激派の性質は、それらを思い起こさせるのに十分であった。
「邪教組織に改造された身としては断固抗議したいですね」
 それに頷いたのは、音取・金枝(若奥様は秘密の変身ヒーロー・f25315)。
 緩くリボンで纏めた紫の髪を、平地を吹く風になびかせている。
 その美貌から、仕草から、成熟した女性としての色香を漂わせる金枝であるが、彼女もまた邪神の欠片を内包した存在である。しかもいちごとは異なり、人為的にだ。
 がらんどうの独房と、引き出されては苦痛とともに『ナニカ』を植え付けられ、物理的にも、魔術的にも身体を弄られた経験は、忘れようとも忘れられるものではない。
 だからこそ、金枝には過激派たちの改修と義体化を強制する主張は許せなかった。
「ともかく今は一緒にミサイルの迎撃を……大丈夫ですか、金枝さん?」
 気づくと金枝の眼前に、心配そうな表情を浮かべるいちごの顔があった。その表情が、刹那の間だけ金枝の最愛の夫と重なり合う。心臓が、どくりと高鳴る。
「い、いえ、何でもありません。ともかく変に巻き込まれ……じゃない、ここが焦土になる前にミサイルを墜としてしまいましょう」
 邪神の欠片が宿る心臓が脈打つまま、金枝は女性的な丸みを帯びた銀のスーツ姿……燃える三眼を持つ銀の戦士『ナイアルティン』へと変身した。

「いあ! にゃるらとてっぷ! 召喚呪法……無貌の巨神像!」
 金枝の変じた銀の超人・ナイアルティンの喚び声に応じ、彼女の眼前で無数のページが舞い踊った。人ならざる者によって編まれた邪悪なる記述は、神の写し身である機械仕掛けの巨像となる。
 その名は、デウスエクスキャバリア『フェイスレス』。
 フェイスレスは歓喜の如き歯車の軋みを発しながら、巨大なスカート部を展開。
 複数のパーツに分解されたその内から、『月に吠えるもの』と呼ばれる、無数の触手としか呼びようのない、捻れた金属構造体が飛び出した。
 それらは飛来するミサイル群に殺到すると、ある者は薙ぎ払い、ある者は貫く。
 異次元の法則により編まれた金属触手は無数の爆発を起こし、空を赤く染めた。
 その神威をもすり抜けてなおもミサイルが襲い来るが。
「やらせはしない!」
 フェイスレスに搭乗していなかったナイアルティンが、巨大な対霊狙撃銃を構えた。
 高圧ガスと霊子によるマズルフラッシュが閃いたかと思うと、轟音とともに邪神の手から逃れたミサイルは残らず爆発四散した。
「金枝さんは召喚して自立で動く機体……? 私もそういう召喚術の組み立て考えましょうかね……?」
 いちごは、ナイアルティンと荒ぶる無貌の機神の戦いを見て呟いた。
 金枝とは背中を預けて戦ったこともあり、自らと似たような系統の彼女の力についてはある程度知識があるため、彼女が邪神に呑まれぬために、自立して動く「キャバリアもどき」として目の前の機体を召喚したのは理解できた。
「そうすれば、暴走しがちの私の触手とかも制御できるかも……いえ、それは後で」
 気を取り直して、いちごは頭上からなおも迫るミサイルへと向き直る。
 その桃色に艶めいた唇から、謳うように異界の旋律が流れ出た。
「ふんぐるいふんぐるい……」
 彼の背後の空間が渦を巻いて歪み、水面に見立てられた境界面から、無数ののたうつ肉塊がその悍ましい姿を顕す。
 フェイスレスの機械触手とは似て非なる、異界の生命で脈打つ生きた触手。
「星海の館にて微睡む我が眷属よ!」
 いちごの声が朗々と響くと、忌まわしき触手たちは一直線に空へと伸びた。
 その先には、聖人の法の名の下に放たれたミサイル群がある。
 邪悪なる神の指先とも言える触手たちは、思う様にそれらを蹂躙し、陵辱した。
 ミサイルのマニ車機関を捻り切り、先端が八方に広がった触手が丸呑みにし、あるいは単純に重量を持って叩き伏せる。
 その合間を縫って、地上からいちごの放った幾条もの魔力光が貫く。
 爆発の光を縫うように、さらなる犠牲者を求めて生体と機械の触手が伸びた。

 その破壊を見上げながら、いちごは思う。
(悪い予感がしないでもないですが……私の邪神由来の力と金枝さんの力で干渉とかしないとも限らないし……)
 いちごとナイアルティン……金枝の力は、いずれも邪神を力の源としている。
 しかし、邪神と一言で言っても千差万別であり、水面下でどう反応するかは人の子には窺い知れぬ部分も多々あるのだ。
 まして、いちごの触手は暴走の前歴が多々あるため、警戒するのも無理はない。
(いちごは触手でミサイル迎撃か。やはり最初に変身していて正解だったな)
 そして、ナイアルティン……金枝もまた、同じようなことを考えていた。
 むしろ暴走の可能性を警戒して戦闘どころではない、という事態を避けるため、先行してナイアルティンへと変身したのが実態であった。
 だが、空に伸びる生体と金属の触手たちは、嬉々としてミサイルを叩き潰し、爆炎すらも歓喜をもって受け入れているように見えた。互いに絡み合うように肉と鉄の不浄なる大樹と化し、炎すら呑み込んでいたのである。
 空は、静寂を取り戻そうとしていた。
「何とかなったみたいですね、金枝さん。今のうちに戻しちゃいましょう」
 微笑みながら、いちごがナイアルティンに変じた金枝の傍らに立つ。
 愛する夫を持つ身ではあるが、その微笑みは金枝にとっても魅力的であり、何人もの女性たちが思いを寄せるのも分からなくはない。
 とは言え、いつまでも邪神の化身を顕現させるのも世界にとっては良くない。
「分かった。異界へと還れ無貌の巨神像(フェイスレス)……む?」
 感触が硬い。
 空を仰ぐと、ミサイルを貪り尽くした触手たちが完全にその動きを止めていた。
 いちごの召喚したものも、金枝のフェイスレスの機械触手も。
「フェイスレス……貌のない……?」
 金枝の言葉の一節に、いちごの顔が凍りつく。
 無貌の神、闇の魔神、燃ゆる三眼……考えまいとした単語が脳裏を駆け巡る。
 そう、トリックスターにして這い寄り、嘲笑う……。
 そこまで考えた刹那、召喚されていた無数の機械と生体の触手が一斉に伸びた。
 その先にいたのは。
「ああっ、やっぱりっ!?」
「やっぱりこんな結末ですかっ!?」
 いちごと金枝の叫び声が平地に響き、肉のうねる音と金属の軋む音が続いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミホ・ペルウィーシュ
※コクピット内の鎖で四肢【捕縛】
※吊るされつつ魔術的同調で【操縦】

熱狂の宗教軍が初陣の敵で良かった
邪悪への憎悪も当然と割り切れますし

ボクを『ヒト』として拾う人がいる以上
その人の為に全力で戦いたいですから…(ちらっ)

では【勇士を狩る無常の影刃】発動
『ルカ』の転身用魔法陣を展開
『殲禍炎剣』対策も兼ね【衝撃波】と共に低空飛翔
正面レーダー網の極短時間突破を狙いましょう

攻撃力は【レーザー射撃】でのミサイル迎撃程度に抑制
そして移動力強化…尾羽型の使い捨てブースターを魔術で構築
目標は最高時速5千キロ、10秒以内の突破…

【瞬間思考力】で逐次突入ルートを補正
強烈なGは忌まわしい【ドーピング】と【肉体改造】で…!


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

あーもーこれだから宗教家ってやつは…!
変な方向に吹っ切れだすと本気で歯止め効かないんだからタチ悪いなんてもんじゃないってのにもー…

全部撃ち落とす、ってのは、さすがにいくらなんでも無謀よねぇ。なら――〇覚悟決めて突破するしかない、か。
ミッドナイトレースに○騎乗してエオロー(結界)で○オーラ防御を展開、即フルスロットル。直撃弾は流石に無理にしても、爆風と欠片程度なら凌ぎきれるはず。軌道〇見切って撃ち落としつつ最短距離を最大戦速の●轢殺で一気にブチ抜くわぁ。

他人が何信じてようがどーでもいいし興味もないけれど。
…他所に迷惑かけるんじゃないってのよ、まったく…




 戦いの荒野を、二騎の猟兵が征く。
 一騎は、ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)のバイク型UFO『ミッドナイトレース』。過去の戦争においてティオレンシアが奪取したという愛騎に騎乗するのは、バーテンダーの制服に身を包んだ妙齢の女性である。
「あーもーこれだから宗教家ってやつは……!」
 空の彼方に無数のミサイルを認めた彼女は、愚痴を言わずにはいられない。
 裏町のフィクサーとしても知られる彼女は、それなりに世界の暗部というものにも通じている。そして、そうした場所にいれば、これから相対する過激派のような連中など一山いくらでいるものだ。
「変な方向に吹っ切れだすと本気で歯止め効かないんだからタチ悪いなんてもんじゃないってのにもー……」
 苦々しい記憶が次々と蘇り、ティオレンシアは暗澹たる気分になった。
 だが、僚騎のパイロットの意見は、それとはまた違うものであった。
「熱狂の宗教軍が初陣の敵で良かった。邪悪への憎悪も当然と割り切れますし」
 安堵の息を漏らすのは、ミホ・ペルウィーシュ(凶鳥に魅入られし虚刃の魔女・f29987)。流線型の魔導騎士型キャバリア『バル・ゴルカ』の装者である。
(まぁ、無理もないかしらねぇ。戦闘経験もほとんどなさそうだし)
 ティオレンシアは、未だ機体を降りたミホと対面したことはないが、中性的な声の語尾が僅かに震えていたことから、そう考えた。
 事実、ミホはこれが猟兵としての初陣であり、彼女の見立ては確かなものだった。
「まぁ、余計なことを考えすぎて戦えなくなるよりはいいかしら。あたしも手伝うから、無理はしないでねぇ?」
 甘く優しげ声で、ティオレンシアは隣を並走するキャバリアへと語りかける。
「ありがとうございます、ティオレンシアさん。でも、ボクを『ヒト』として拾う人がいる以上、その人の為に全力で戦いたいですから……」
 気弱な中にも、一本の芯を感じさせるミホの返答。
 それを聞いて、ティオレンシアは安堵した。
 守りたいものがあるならば、人は案外戦えるものだ。まして猟兵であれば。
「分かったわぁ。なら、ちゃんと生きて帰りましょ」
 そう言いながら、彼女は再び空を見上げる。
 飛来するミサイルのシルエットが、もはや視認できていた。

「全部撃ち落とす、ってのは、さすがにいくらなんでも無謀よねぇ」
「そうですね……ボクのルカも、流石にあの数は厳しいです」
 無数の影を見て、ティオレンシアとミホは即座に撃破の線を捨てた。
 既に複数の戦域で猟兵たちがミサイルの迎撃を試みており、数自体は分散しているはずだが、それでも非現実的、と即断しなければならない程度には、その数は多かった。
 となれば、やることはひとつだ。
「なら――覚悟決めて突破するしかない、か」
「……ですね。一気に戦域を駆け抜けるのがいいと思います」
「わかったわぁ。なら、敵陣で合流しましょ」
 まず駆け出したのは、ティオレンシアのミッドナイトレースであった。動力炉が唸りを上げ、反重力力場を発生させながらフルスロットル。
 接地面が存在しない、UFOであるが故の急加速で戦場へと飛び込む。
 闖入者に向けて反応したミサイルが、一斉に殺到する。
 だが、いつの間にかティオレンシアの手中に現れていた6連装リボルバー『オブシディアン』が火を吹いた。あっという間に弾倉が空になるが、彼女への直撃コースに入っていた6発のミサイルが一斉に紅蓮の炎を上げて四散した。
 爆風がミッドナイトレースを揺らし、破片が飛来するが、走る彼女たちが纏うオーラの輝きが、そのことごとくを逸らし、致命的な打撃を回避する。
「本当にタチ悪いわねぇ!」
 そう吐き捨てたティオレンシアは、腰のガンベルトからクイックリーダーを取り出し、弾倉へと即座にリロード。同時にミッドナイトレースを大きく傾け、乗騎を横滑りさせた。
 乗騎はそのまま超低空をティオレンシアめがけ飛行していたミサイルの下へと滑り込み、即座にその腹へとリボルバーを6連射。
 あっという間に後方へと流れていったミサイルは、誰も餌食にすることなく爆発した。
 ミッドナイトレースの姿勢を再び安定させながら、新手の存在を確認したティオレンシアは再度クイックローダーを取り出そうとする。
 だが、その全てが天から降り注いだレーザーに串刺しにされ、彼女に届くことはなかった。
 思わずティオレンシアは空を見上げた。
「あの子……!?」

 キャバリア『バル・ゴルカ』のコクピットの中で、ミホはふぅと息を吐いた。
 立ち乗り式のコクピットに収まったミホの矮躯は、驚くほど細く、性別の主張は乏しい。
 だが、異様なのは、ミホの四肢が鎖に緊縛され、吊るされていることであった。
 鎖には光る魔術文様が刻まれ、鼓動のように脈を打っている。そのリズムは、ミホの心臓のそれと、完全に同じリズムであった。
 縛られたままで、ミホは前を向く。
 その動きのままに、彼女のキャバリアも動き、戦場を見据える。
 尖った指を広げた手の先で、巨大な魔法陣が展開され、そのまま中へ飛び込んだ。
 次の瞬間、魔導騎士の姿をしたキャバリアは、自らの姿を猛禽へと変えていた。
 ユーベルコード【勇士を狩る無常の影刃】によって、飛行形態に変形したのだ。
 翼を広げたバル・ゴルカは、牙の生えた口で咆吼する。
 尾羽根……その形をした使い捨てブースターを瞬時に構築し、全基点火して急加速。
「くふっ……か、翔け抜けますよ、ルカ……!」
 潰されそうな重圧と、口の中から血の香りを感じながら、ミホは愛機に命じた。
 クロムキャバリア世界を監視する衛星『殲禍炎剣』の攻撃を避けるべく、超低空での高速飛行に移行する。
 無論、闖入者を見逃すミサイル群ではなく、雨のように凶鳥の姿を取ったキャバリアへと降り注いでいく。
「ルカ、対空は魔導レーザーでの迎撃程度に抑制。残りの制御を全て推力に回してください。目標は……最高時速5000キロ、10秒以内の突破……」
 常人なら、いや並の猟兵でも耐えられないであろうGに耐えながら、ミホは己のキャバリアを愛称で呼びながら指示を下す。彼女がかつて受けた忌まわしき身体改造と、薬物でのドーピングによるものだが、こういう時には役に立つ。
 機体表面の魔法陣から魔導レーザーを連続発射しながら、残りのミサイルは、その高速性で纏った衝撃波で逸らしていく。
 機械仕掛けの黒い凶鳥は、咆吼を上げながらミサイルの雨を飛び抜けていく。
 だが、ミホは気づく。
「前方からミサイル多数接近……避けられない!?」
 新たに発射されたミサイルが、確実にミホを撃墜しようと一斉に殺到したのだ。
 着弾まで1秒未満、機体の運命は風前の灯と思われたが。
「他人が何信じてようがどーでもいいし興味もないけれど」
 地上から響いた甘い声と同時に、6発のミサイルが火の玉へと変わった。
 ミホの瞬間思考力は、その状況の変化を瞬時に計算に叩き込む。
「突破ルートあります! ルカ、翔び抜けますよ……!」
 つかの間生じた攻撃の空白地帯を、一気にミホとその乗騎は飛び抜けた。
 爆発を後にして、黒い鳥型のキャバリアが誇らしげに戦域を突破していく。
「……他所に迷惑かけるんじゃないってのよ、まったく……」
 それを見上げていたのは、ティオレンシア。
 手にしたオブシディアンからは、硝煙の香りが漂っていた。
 先のミサイルを撃破したのは、彼女の射撃だったのだ。
「さて、お互い生きて帰るために、先に進むかしらぁ」
 そう言いつつ、ティオレンシアもミサイルが降り注ぐ戦域を駆け抜けていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

亞東・霧亥
【POW】
いつもなら駆け抜けるんだが、たまには真っ向勝負も良いだろう。

・カウンター、怪力、略奪、投擲、砲撃、ダッシュ、残像

UC発動までの時間を稼ぐために、飛来するミサイルを掴み、砲撃の様な投擲で投げ返す。
適当なミサイルに当たって、上空で誘爆すれば儲け物。
捌ききれない分は残像で狙いを反らす。

【UC】
他の猟兵を巻き込まない様に撃つ。
直径6mのレーザーが駆け抜けた後は、射線内で大爆発が起こる。

「派手な花火を撃ち込んで、戦闘の火蓋は切った。さあ、奪還の始まりだ!」
嬉々として戦場に乗り込む。




「いつもなら駆け抜けるんだが、たまには真っ向勝負も良いだろう」
 亞東・霧亥(峻刻・f05789)は、自らの立つ戦域に飛来しつつあるミサイルの群れを黒い瞳でしっかりと見据え、はっきりと宣言した。
 それは決して根拠のない言葉ではない。
 霧亥はその右手に収まるずっしりとした重みに視線を向ける。
 手に握られているのは、四角柱の銃身を持つ銃『第一種臨界不測兵器』。
 これを介したユーベルコード【Warning voice】は、この状況を打開するだけの力を持つ、その確信が霧亥にはあった。
 だが。
(発動までの時間稼ぎが必要だ)
 巨大な力を有する分、そのチャージには時間がかかる。
 その時は……自分の手で稼がねばならない。
「じゃぁ、行くか」
 ごきり、と受肉したヤドリガミの手の関節が鳴った。

 霧亥は、第一種臨界不測兵器を一度収め、両手を無手として駆け出した。
 一歩で加速開始、二歩で加速度を上げ、三歩で最高速へ。
 猟兵であるからこそ可能な速度をもって、降り注ぐミサイルの雨へ身を躍らせる。
 ミサイルの側も、それを見逃すはずもない。
 戦術指揮所とデータリンクをしている誘導装置の人工知能は、自らの群れへと突っ込む霧亥を目標敵性体と認識。排除すべく彼へと殺到する……!
「案の定、俺が目標か。まぁやってみな、出来るもんならな」
 飛来したミサイルに向けて、霧亥の腕が伸びた。
 その手が鋼へと食い込み、彼とともに爆砕しようとしていたミサイルは、その手の中で目標を見失い、出鱈目にロケットエンジンの炎を振り回しながら暴れていた。
 霧亥は、その手を鞭のようにしならせ、振りかぶる。手にミサイルを握ったまま。
 手放されたミサイルは、彼の意志を無視して矢のように飛び出し、後続して向かっていたミサイル群へと向かっていく。
 運の悪い後続の一発が、霧亥の投擲したミサイルと正面衝突した。
 先端部が互いに潰しあって拉げ、次の瞬間に大爆発を引き起こした。
 爆発は周囲のミサイルを次々と巻き込み、連鎖。
 包囲網の一角に大穴が空いた。
 だが、その炎をも裂いて、更なるミサイルが襲来する。
(次を投げるには、爆発が近すぎる。ならば)
 駆けていた霧亥のステップのリズムが変わる。
 純粋な速度を追求する規則的なものから、フェイントを交えた不規則なものへ。
 速度の落ちぬままの不規則な歩法は、その周囲に無数の霧亥の影を生み出す。
 残像は光学カメラを欺瞞し、彼の本体を無視して、次々に残像へと突っ込んでいき、霧亥の短い黒髪を揺らすが、彼を揺るがすことは叶わなかった。

「さて、そろそろか」
 霧亥は再び、第一種臨界不測兵器を抜き放った。
 各所のスリットから赤い光が漏れ、力は空間を軋ませ、甲高い高周波を発している。
 霧亥は銃爪に手をかけた。
 引き絞るにつれ、充填された力がひとつのベクトルへ収束していく。
 そして、銃爪が引かれると同時、ドン、という重い音と共に『力』が、直径6mに及ぶレーザーのようなものが発射された。
 射線上のミサイルはおろか、大気中の微細な分子を巻き込み、全てが瞬時に消失。
 一瞬の後、気体をも失った空間に周囲の大気が瞬時に流入し、射線になかったミサイルも、その爆発的な奔流に巻き込まれて次々と爆発した。
 その爆発を見上げ、霧亥はニヤリと笑った。
「派手な花火を撃ち込んで、戦闘の火蓋は切った。さあ、奪還の始まりだ!」
 そして、彼はミサイルの雨の向こうにある、プラントへと飛び込んでいった。
 オブリビオンに奪われたものを取り戻すために。

成功 🔵​🔵​🔴​

灯璃・ファルシュピーゲル
【SIRD】一員で連携
●安定性の高いキャバリアを借用

…件の少佐と同じく信心深さが悪い意味で出てる感じですね
(ありがたみ~に頷きつつ)

まずは(情報収集・見切り)で敵ミサイル群の軌道と味方の動きを把握
同時に指定UCでMHD型爆薬発電機応用のEMP爆弾を搭載した
大型無人輸送機を作成し直ちに敵ミサイル群に突入。
仲間に合図しつつ起爆し航法・誘導装置の破壊を試み。
慣性誘導・敵の通信誘導等による能動的な回避を阻害して
味方の攻撃を支援する

EMP攻撃後は更に指定UCで車載型の57㎜高射機関砲を作成
キャバリアで手持ちし(スナイパー・戦闘知識)で
ハヤトさんの攻撃に合わせ死角をカバーするよう
撃ち落とします

アドリブ歓迎


ネリッサ・ハーディ
SIRDのメンバーと共に行動

軍の過激派によるプラントの占拠…これは実質的にクーデターですね。
宗教と過激派が結び付くと、少なくとも私の世界では碌な事にならないのですが…兎に角、早急に鎮圧しましょう。

まずは短距離弾道弾の雨を切り抜けなければなりませんね。
UCの炎の精を召喚し、迎撃に当たらせます。
ターゲットは短距離弾道弾、その機関部や炸薬を誘爆させる、もしくは誘導装置が詰まっていると思しき弾頭部分を破壊し、着弾地点を逸らします。
誘爆もしくは逸らせる時は、こちらが危害半径に入らない距離で行います。また、付近にある一般の施設等への被害が出ない様心掛けます。彼らには、何の罪もありませんから。

アドリブ歓迎


ミハイル・グレヴィッチ
SIRDの面々と共に行動

威勢のいいコト言ってるが、要は排外主義者だろ?。どうやら、連中には宗教の自由って考え方はないらしいな。やだねぇ、以前俺が中東やアフリカで見てきたモンと大差ねぇな。

まぁそれはともかく、どうやら連中俺達の為にたっぷり花火打ち上げて歓迎してくれるらしいな。折角熱烈な歓迎してくれるんだ、こちらとしてもそれにしっかり応えてやらにゃなんねぇな。

UCを使い、UKM-2000Pで弾幕張ってミサイルを迎撃だ。ミサイルといっても、弾道ミサイルだろ?あんなデカブツ、目ぇ瞑ってても当てられるぜ。しかし、よもやCIWSの真似事させられるとは、夢にも思わなかったな。

アドリブ・他者との絡み歓迎


ハヤト・ノーフィアライツ
【SIRD】の面々と参加。
アドリブ歓迎。

んじゃま、せいぜい派手にやるとするか。
…しかし、ありがたみのない宗教施設だな。

【ブラストユニット】のミサイル類は事前にVT信管に変更。
味方の様子を見つつ、▼戦闘知識を駆使して双方の動きの予測を立てた上で
宇宙バイクに▼騎乗。

味方への▼援護射撃も兼ねて、手始めに指定UCで飛来するミサイル類を▼範囲攻撃し一気に薙ぎ払う。

その後の飛来物はなるべく高空で、誘爆させやすい位置関係を▼戦闘知識で予測しつつ、VT信管の▼誘導弾を小出しにして迎撃。
自身もアクセルをふかせて▼ダッシュで進撃。

撃ち漏らしやおかわりは熱線銃で▼早業▼クイックドロウ▼スナイパーを駆使して迎撃する。




 パータリプトラ・プラントへ続く幹線道路を、一両の奇妙な車両が走っていた。
 見た目は、運転席が存在しない、簡易的に装甲化された荷台のみの六輪トラック。
 しかし、その前面には全周カメラやレーダーなどの電子装置を備えられている。
 それは、自律的に道路や障害物を検知して走行することのできる無人車両であり、旅団【特務情報調査局】、通称SIRDが用いる兵員輸送車でもあった。
 その荷台の中、簡易的な席といくつかのディスプレイが備え付けられ、そこでは4人の猟兵が顔を突き合わせていた。
 ディスプレイには、無人運搬支援車両の運転データはもとより、周辺の地形及び施設、レーダーの反応などが複数のウインドウに分割されて表示されている。
 その中には、
『聖人ニルヴァーナの法(ダルマ)に仕える兵士諸君……』
 過激派部隊指揮官、ウパーリ少佐の決起演説を流しているものもあった。
 その演説を聞き流しながら、ミハイル・グレヴィッチ(スェールイ・ヴォルク・f04316)が鼻で笑いながら肩を竦めた。
「威勢のいいコト言ってるが、要は排外主義者だろ? やだねぇ」
 軍の特殊部隊として、そしてフリーの傭兵として戦場に在ったミハイルには、様々な地域の様々な組織が主張していた意見と、大した違いを感じていなかったのだ。
 そして、それは紛れもない事実でもあった。
 先鋭化した意見は、往々として同じ帰結に辿り着くのである。
「しかし、軍の過激派によるプラントの占拠……これは実質的にクーデターですね」
 局長であるネリッサ・ハーディ(クローク・アンド・ダガー・f03206)は、状況を整理しながらため息を漏らした。
 現状、ニルヴァーナ寄進領の政治的主体は、未だ旧来の政治・宗教的指導者である大僧正らにある。しかし、彼らが持つ兵力は質量ともに過激派部隊に対抗し得るものではない。
 そうでなければ、手持ちの部隊で速やかにプラントは奪還されているはずだ。
「はい。軍事的に優位に立つ過激派部隊が、この世界で資源の生産を一手に担うプラントを握ることは、国家の生命線を握るのと同義です」
 灯璃・ファルシュピーゲル(Jagd hund der bund・f02585)がネリッサに同意する。
「待てば勝手に相手は飢えて、権力も転がり込む寸法か。よく考えるもんだ」
 ハヤト・ノーフィアライツ(Knight Falcon・f02564)が無精髭の生えた顎をさする。
「ただ、宗教と過激派が結び付くと、少なくとも私の世界では碌な事にならないのですが……」
 ネリッサが、権力が過激派に渡るまでの過程を考え、渋い顔をする。
 宗教の生み出す熱狂と過激派の視野狭窄は、多くの場合において人道的に看過できない蛮行と悲劇をもたらしてきた。
 この道の先にいる過激派たちが、それをなぞる可能性は高い。
 いや、この平地に放たれようとしているミサイル群のことを考えれば、彼らは間違いなくそのレールに乗ると、この場の全員は断言できた。
 自領を躊躇なく焼く者たちだ。敵対者に容赦する理由が見当たらない。
「まぁそれはともかく、折角熱烈な歓迎してくれるんだ、こちらとしてもそれにしっかり応えてやらにゃなんねぇな」
 ミハイルが愛銃『UKM-2000P』にマガジンをセットしながら軽口を叩く。
 金属同士の噛み合う音がいやに大きく響き、同席する猟兵たちをはっとさせた。
「ミハイルの言う通りです。兎に角、早急に鎮圧しましょう」
 ネリッサが決断的に猟兵たちに告げた。
 そう、過激派がどうあれ、猟兵がそれより早く動き、鎮圧すればよい。
 そして、その記録を世界移動できるようになって間もないクロムキャバリアのオブリビオンの動向についての情報とし、積み重ね、次の戦いへ活用するのだ。
 それが、SIRDの在り方なのだから。
「んじゃま、せいぜい派手にやるとするか。……しかし、ありがたみのない宗教施設だな」
「……件の少佐と同じく、信心深さが悪い意味で出てる感じですね」
 仏塔をミサイルサイロとするという、世界が違えば罰当たりと言われても仕方のないプラントの寺院施設の映像を見て、ハヤトと灯璃は頷きあうのであった。

 パトナ平地の幹線道路を真っ直ぐプラントへ向けて走る、IFF(敵味方識別装置)の反応のない地上車両に、ミサイル群は即座に敵と判断した。
 何発ものミサイルが殺到した地上車両は、即座にこの世から消滅した。
 文字通りに、一切の破片も飛び散らせることなく。
「まずは短距離弾道弾の雨を切り抜けなければなりませんね。各員、行動開始!」
 少し離れた草むらの中から立ち上がったネリッサが号令した。
 同時に、彼女の許に無数の小さな生ける火球がフォーマルハウトより召喚され、眩い光を放ちながら対空砲火の如くミサイルへと殺到する。
 彼らが機関部や炸薬へと触れた途端、瞬時にミサイルの外壁が融解、爆発した。
 単なる火球ならば弾きもしただろうが、彼らは南の魚座α星に座する邪神の眷属『炎の精』であり、その身体は超高温のプラズマである。人の作ったミサイルなどひとたまりもない。
 更に、弾頭の航法装置やセンサーを破壊された何本ものミサイルが、狙いを大きくそれた場所へ落下し、炎の花を咲かせる。これもミサイルを危害を受ける範囲から逸らすというネリッサの意図によるものだ。
 平地に一般の施設があれば避けるつもりであったが、途中までの道行きで、施設はプラント周辺に集められていることが分かったため、この指示は行われることがなかった。
 だが、ミサイルの量はネリッサ一人で迎撃するには多すぎた。
 後方から飛来したミサイルが、爆炎を突き破って次々と殺到する。
「ミサイルといっても、弾道ミサイルだろ? あんなデカブツ、目ぇ瞑ってても当てられるぜ!」
 ネリッサが立ち上がったのとは別の地点から、無数の銃弾が放たれた。
 ミハイルの愛銃、UKM-2000Pから放たれた7.62mm弾である。
 主に対人用の携行小火器に使われる弾丸であり、ミサイル迎撃には不向きなはずだ。
「薙ぎ払ってやるぜ、覚悟しな!」
 が、薙ぎ払うように放たれた弾丸は、その軌跡の上のミサイルを瞬時に爆散させた。
 ミハイルのユーベルコード【Пулеметная развертка(マシンガンスウィープ)】の加護が、この機関銃を対空火器へと変貌させていたのである。
 遊底が一往復するたび、破壊の炎が増えていく。
「しかし、よもやCIWSの真似事させられるとは、夢にも思わなかったな」
「いやぁ、俺もまさか地上でスターライダーの真似事をするとは思わなかったよ」
「おいおい、本職が何言ってんだ。どこでもスターライダーなのは変わらんだろ」
「それもそうだ。じゃ、こっちもやりますか」
 宇宙バイクで上空を疾駆しながら、ハヤトはミハイルと軽口の応酬を繰り広げる。
 だが、その間もハンドルと目は止まることなく動き続け、蓄えられた戦術知識をもってミサイルの感知範囲のギリギリ外を飛行している。
「高空が押さえられてるのが面倒臭いな……!」
 拡張パーツを接続し、長大なライフルのような見た目となった熱線銃『ファルコン・ショット』を、ハンドルから手を離してハヤトは構えた。
 目標は、熱線到来時に最もミサイルの密度が高くなる一点。戦術データは送られてきているが、最終的な射撃地点の選定は、経験と知識に頼るしかない。
 全パーツ接続。
 セーフティ解除。
 チャージ完了。
「んじゃま、派手に行くぜ!」
 ハヤトの声とともに、ファルコン・ショット改め【ファルコン・キャノン】と化すことで桁違いの熱量となった熱線が放たれた。
 射線上のミサイルの外壁は瞬時に溶解、炸薬は瞬時に発火温度を超え、爆発。
 直線状に爆発は連鎖し、レーダー上には大きな空白が生じたのである。
「よーし、今だ灯璃嬢!」
「はい! ・・・Was nicht ist, kann noch werden. 輸送機、離陸します!」
 幹線道路に、黒い影が一瞬差した。
 見上げれば、巨大な航空機が使い捨ての補助ジェットエンジンを切り離し、空へと舞い登っていくのが見えただろう。
 その後方には、ニルヴァーナ護法領から借り受けたキャバリアに搭乗する灯璃。
 この航空機こそ……いや、最初に爆散した無人車両も含めて、彼女のユーベルコード【Ouroboros Arsenal】で作成したものだったのだ。
 ミサイル迎撃に灯璃が加わっていなかったのは、この航空機を作成し、離陸するための時間を稼ぐための遅滞戦闘に他ならなかった。
 灯璃の作成した無人輸送機は、四発の大型ターボプロップエンジンをフル稼働させ、指定した座標へと一直線に飛んでいく。
 もちろん、敵も飛行物体の存在を許す気などない。
 しかも、ミサイルに比べれば遥かに速度の遅いターボプロップエンジン機である。
 その存在は風前の灯どころか、風の前の塵に等しい。
 だが、当然と言うべきか、灯璃はそこまで計算に入れていたのである。
「行きます! EMP爆弾、起爆!」
 その時、空間が震えた。少なくともそう思える激震が音もなく起きた。
 灯璃の作った大型輸送機に殺到しつつあったミサイルのエンジンが突如停止し、植え付けられた人工知能が発狂し、延々とエラーを吐き出すだけの代物となった。
 異常は同心円状に広がり……空に舞っていたミサイル群が次々と機能を停止し、墜落し、敵を破壊することなく無為に地面を耕していった。
 敵にとっては異常としか思えぬ光景を見て、ネリッサは安堵の息をついた。
「作戦、成功のようですね。お疲れ様です、灯璃さん」
「いえ、局長やハヤトさん、皆さんの対空迎撃があってこその結果ですから」
 そう、SIRDの作戦行動は、全て無人輸送機を飛ばすためのものだったのだ。
 無人輸送機には、その巨大なペイロードを活かし、ある非殺傷兵器が搭載されていた。
 EMP爆弾……強力な電磁波を発生させる非殺傷兵器である。
 電磁波は、ケーブルやアンテナ、電子回路などに瞬間的な大電圧と、それに伴う大電流をもたらす。デリケートな電子機器は、こうした巨大な電圧や電流を受け止めるようには出来ていないため、機器そのものを破壊してしまうのだ。
 あるいは、破壊されなくともその回路には多数のノイズが乗り、異常が起こる。
 この作用を広範囲にもたらすことで、敵の電子機器を無力化させるのである。
 通常、こうした兵器には大電力が必要であるが、灯璃が用いたものは、爆薬の爆発によってアルゴンガスをプラズマ化させ、導電物質として用いるMHD型爆薬発電機によって、輸送機に乗せられる程度の小型化に成功していた。
 とは言え、かなりの重量があるため、離陸に時間がかかり、無策に用いては炸裂前に撃墜される可能性が高かったため、今回の作戦が立案されたのだ。
 とは言え、完全に無力化できたわけではない。僅かながら、残存したミサイルがSIRDの面々に向けて飛来しようとしている。
「では、作戦のフェイズを移行させます。ハヤトさん、お願いします」
「よし来た。タンデムになるが、しばらく我慢してくれよ」
「ミハイルさん、キャバリアの手に!」
「タンク・デサントか! よし、残りの花火も全部やっちまうぞ!」
 ハヤトのVT信管付きミサイルや熱線銃が。
 グランドファルコンの後部座席に乗ったネリッサの炎の精が。
 灯璃の搭乗するキャバリアが放つ57㎜高射機関砲が。
 キャバリアの手の上からミハイルが乱射する機関銃、UKM-2000Pが。
 互いの死角を補い合いながら、迫りくるミサイルを次々と撃墜していく。
 SIRDのメンバーは、確実にプラントへと到達しつつあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

御魂・神治
ワイは神道と仏教と密教のチャンポンが歩いてるような男や
連中からしたら助走をつけて殴りたくなる野郎かもしれんけど仕事や
拒否権はないで!

武神を大型二輪モードに変形、天将の式神使い自動操縦モードで一気に抜ける
安全運転で頼むで!
ミサイルはなぁ、まともに対処してたら物量で負けるのは見えとる
ジャミング効果のオーラ防御で軌道を逸らせる
仏塔...あれ破壊したら大分マシになりそうやけど
ええんか?破壊しても?バチ当たらへんか?
答えは聞いてへん!
リミッター解除した天誅のスナイパー射撃で壊したる




 攻撃を受けても、なおもミサイルは発射され、猟兵たちに迫りくる。
 生産施設であるプラントを押さえられているのが大きいのだろう。生産されたものを次から次へとサイロに装填していなくては、この物量は成り立たない。
 だが、そもそも世界の生命線とも言えるプラントを、兵器生産に大きく傾斜させている段階で、それは狂気の沙汰に他ならない。
「連中もようやるわ」
 その姿に、御魂・神治(除霊(物理)・f28925)は嘆息する。
 プラントを占拠する過激派の方向性が、明らかに偏狭かつ極端すぎるためだ。
 清すぎる清流には魚は棲まぬと言うが、彼らはまさにそれだ。
「ワイは神道と仏教と密教のチャンポンが歩いてるような男や。連中からしたら助走をつけて殴りたくなる野郎かもしれんけどな」
 そう神治は肩をすくめる。
 そもそもが、従来の除霊手順が「めんどくさい」として、物理的威力も持つ神器銃での物理的除霊に傾斜したのが御霊・神治という男である。
 神器銃にしても、彼の操る術にしても、その系統は一様ではなく、人によってはつまみ食いだと言うこともあるだろう。
 だが、それでも。
「これは仕事や。拒否権はないで!」
 仕事として通すべき筋は、誰にも譲るつもりはなかった。

「天将、『武神』大型二輪モードや!」
 声とともに神治は跳躍した。
 その先に突如光が現れ、弾けると、そこには美麗な流線型の大型バイクがあった。
 神治は迷わずそのハンドルを掴み、シングルシートへと全体重を預ける。
『ペーパードライバーなんですから、せめてハンドルは離さないでください』
 バイクから響く辛辣な響きの女性の声。
 サポートAI的存在の人工式神、天将である。
 マフラーから咆吼の如きエキゾーストノートを発すると、天将の制御するバイク……強化外骨格『武神』は急発進。急激な加速度が神治の身体を圧迫する。
 その背後で大きな爆発音が響いた。
 落下したミサイルが炸裂したのだ。
 爆風で武神の車体が大きく揺れて、思わず神治は叫んだ。
「安全運転で頼むで!」
『ミサイルの雨の中に転送しておいて、それですか』
 天将が辛辣に切り捨てる。こういうやり取りはいつものことだ。
 だが、その運転は正確無比である。
 高速でミサイルの落下座標から逃れ、巧みなスラロームと重心移動で速度を下げることなく狙いをそらし、虚しく爆発させ続けている。
 更に神治の巡らせたオーラが、ミサイルの誘導装置に僅かな狂いを生じさせた。
 紙一重の領域において、その狂いは大きなものだ。
 何発ものミサイルが大きく軌道を逸れ、見当違いの場所で爆発四散した。
 だが、神治には焦りがあった。
(まともに対処してたら物量で負けるのは見えとる)
 猟兵の座乗するバイクとは言え、僅か一両に過ぎない。
 神域の回避を続けているとは言え、必ず限界点はある。
 それを超えれば、自分自身が世の中から『掃除』されかねない。
 だが、貪欲に勝算を探し続ける彼の目に、ひとつの答えが飛び込んできた。
「仏塔……」
 ミサイルを発射するサイロとして機能している仏塔群であった。
 過激派の用いる短距離弾道ミサイル『プルパ』は、仏塔(パゴダ)型ミサイルサイロから発射され、彼らのもとに迫ってきていたのである。
 神治は天将に問いかけるように言った。
「あれ破壊したら大分マシになりそうやけど、ええんか? 破壊しても?
 バチ当たらへんか?」
『それはそちらで決めてください。こちらは操縦で手一杯で構っていられません』
 その間も、天将の駆る武神は超絶技巧をもってミサイルを回避し続けている。
 爆風が四方八方から騎乗する神治の髪を乱し、コートをバサバサと鳴らす。
 それは間違いなく徐々に強くなりつつあり、猶予がないのは明らかだった。
「せやな。まぁ、端から」
 彼はハンドルから手を離すと、背負ったものを引き抜き、構えた。
 それは、剣のような狙撃銃であった。名を『天誅』。
 鐵小杉と呼ばれる神木から形作られた、神力が宿る神器銃である。
 その銃身(バレル)の先には、仏塔を象ったミサイルサイロ。
「答えは聞いてへん!」
 銃爪が絞られ、170cmもある長大な銃身から大口径の弾丸が放たれる。
 神の加護を得た弾丸は鉄風雷火を縫い……。
 次の瞬間、仏塔型ミサイルサイロは、装填されたミサイルに銃弾の直撃を受けて爆発、周囲のサイロにも次々と誘爆し、巨大な連鎖爆発を起こした。
 ミサイルの雨が、止んだ。
「よっしゃ、ざまあみろや!」
『バチが当たらないかと言っていた割には、調子がいいですね』
 そんなやり取りを交わしながら、神治と天将は平地を走り去っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

セフィリカ・ランブレイ
宗教かあ
『何遠い目してんのよ』
シェル姉…相棒の魔剣と状況確認

それで心が潤ったり連帯感が出るならいい話
でも私は適切な距離を保ちたい派カナ
各信仰に対する配慮とかで胃を痛めて来た父王を見てると面倒そう、の印象が、ね

『人が集まるってのはそういうことよ』

機体は借りる
今回は足が命
多少装甲に難があっても1番早いやつを頼む
出撃前には多少弄って最適化
反応速度と小回りの良さを重視

自前の機体、準備はできてるけど、稼働時間が短い上に武器も開発中だからね

【月詠ノ祓】を準備

あとはもう突っ切るしかないね
ある程度の予測を立てたあとは臨機応変に対応!
最悪かわせなきゃ斬り払う!

シェル姉には、まだ力を温存しておいてもらうよ!




「宗教かあ……」
 ニルヴァーナ寄進領、その護法軍から借り受けたキャバリアのコクピットで、セフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)は呟きながら思いを巡らせていた。
 その赤い瞳は、機体のメインカメラより遥か向こうを見つめているようにも見える。
『何遠い目してんのよ』
 セフィリカの腰から、涼やかかつぶっきらぼうな女性の声が響く。
 声の主は、セフィリカの所有する『魔剣シェルファ』。
 彼女が携える、精緻な装飾の施された意志ある魔剣である。
「あ、シェル姉。今回の相手を見てたら、ちょっと色々と思い出しちゃってね」
 セフィリカは親しげに魔剣シェルファに答えると、メインカメラへと目をやる。
 映し出されているのは、目的地のパータリプトラ・プラント。
 この地域特有のきらびやかな寺院建築様式の内には、ミサイルサイロが隠されていることを、既に彼女たちは知っている。
 その光景が、セフィリカの脳裏で、故郷の……父王が治めていた王国の教会や寺院群と重なっていく。いつも定刻に鐘が鳴り、それに合わせて人々が日々の営みを重ねていた。
「それで心が潤ったり連帯感が出るならいい話。
 でも私は適切な距離を保ちたい派カナ」
 記憶の中から、別の光景が浮上する。王国の広場で、教会の信徒と寺院の門徒が、よく諍いを起こしていたのを彼女は何度も見た。
 彼らは皆、熱心な信仰者であった。
 その原因は戒律の違い、生活様式の違い……あるいは普通なら譲り合うような些細な行き違いだったり。
 今思えば、原因自体は彼らにとってどうでもよかったのかもしれない。
 彼らが別の神を奉じる、それだけで諍うには十分だったのではないかと。
「各信仰に対する配慮とかで胃を痛めて来た父王を見てると面倒そう、の印象が、ね」
 教会や寺院は、国内の様々な場所で派閥を作りだしていた。
 国政も例外ではなく、父王は統治のために様々な配慮をせざるを得なかった。
 それは、薄氷を踏みながら湖を渡るように難しいことだったろう。
 その背中を、セフィリカは見て育った。
 その腰から、魔剣シェルファは見上げていた。
 セフィリカが魔剣の主となってからは、共にその背中を見ていた。
 故にシェルファにもセフィリカの思いは理解できた。
 だからこそ、言わねばならなかった。
『セリカ』
 シェルファは、セフィリカを愛称で呼んだ。
「何よ、あらたまって」
『人が集まるってのはそういうことよ』
 たとえ宗教がなくても、人は些細な違いから争うものだ。
 人が人である以上、そこからは逃れることはできない。統治者ならば、尚の事。
『だから、距離を取るなとは言わないけど、せめて視線だけは向けてなさい』
 そこまで言うと、シェルファは沈黙する。
 だが、セフィリカは姉と慕う魔剣の気持ちの一端に触れたように思えた。
 だから、両頬を一回平手で叩き、気を取り直すことにしたのだ。
「よし、今は切り替える! 前へ進むよ、シェル姉!」

 セフィリカの駆るキャバリアは、踵についた車輪を高速回転させた。
 甲高い音を立てながら速度を上げ、猟兵たちが戦闘を繰り返すことで大まかに分かった、ミサイルの射程範囲内へと侵入する。
 今回、彼女が乗っている機体は、ニルヴァーナ寄進領から借り受けたものだ。
 速度重視の機体に、反応速度と小回りの良さを重視した調整を施している。
 元々薄い装甲を更に削る結果となったが、セフィリカの操縦に最適化を施したものとなったため、特に気にしていなかった。
「自前の機体、準備はできてるけど、稼働時間が短い上に武器も開発中だからね」
『まあ仕方ないわね』
 流石に徒手空拳で戦うわけにも行かないため、彼女のキャバリアは留守番である。
 そんなセフィリカたちをめがけ、無数のミサイルが飛来する。
 先行した猟兵たちが軍事施設を攻撃しているため、その数はかなり減じていたが、それでも脅威であることに変わりはない。
 彼女は、機体に懸架した長剣を抜き放った。拍車のような車輪の回転数をさらに上げ、ミサイルとの相対距離を縮めながら、セフィリカは機体に覚えさせた構えを取る。
 それは、セフィリカの習い覚えた剣技、夕凪神無式剣術の基礎。
「一式」
 機体の速度が瞬間的に増大した。
 明らかに仕様外の速度だが、セフィリカもシェルファも気に留めない。
 機体速度から軌道を算出していたミサイルは、その瞬発力に追従できぬまま、彼女が走り抜けた後の地面に虚しく突き刺さり、爆発していく。
 そう、この構えこそ【月詠ノ祓】。夕凪神無式剣術の基礎にして奥義の一。
 驚異的な瞬発力をもって、多対一の戦いに対応するための構えである。
 ユーベルコードの域にまで高められた剣技は、搭乗するキャバリアにもその恩恵を与えることができるのだ。
 だが、瞬発力はずっと続くものではない。
 速度の減退した瞬間を狙い、複数のミサイルがセフィリカ機へ突っ込んでくる。
『前、ミサイル3発来るわよ!』
「おっけい! かわせなきゃ……」
 セフィリカ機は更に一歩踏み出した。そして、そのまま剣を振り抜く。
「『斬り払う!』」
 3発のミサイルは、命中することなくセフィリカ機とすれ違い、そのまま爆発。
 一瞬機体が浮き上がりかけるほどの爆発だったが、その勢いを殺すことなく、再び加速し、アクセルターンをしながら更に2発のミサイルを回避した。
 円軌道から直線での加速に戻り、メインカメラに目をやると、プラント外壁のゲートが既に視認できていた。
 セフィリカはエンジンの回転数を上げながら、相棒にして姉の魔剣に叫んだ。
「シェル姉には、まだ力を温存しておいてもらうよ!」
 彼女たちの機体は、敵陣へと飛び込もうとしていた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『GC-04カルキノス』

POW   :    マシンガンアタック
【RSマシンガンによる掃射と共に行う 】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【遠隔兵器で装備した友軍機】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    チョバム・アーマー
敵より【も丈夫な装甲のキャバリアを操縦している 】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
WIZ   :    ディストラクション・フェーズ
自身が操縦する【キャバリア 】の【装備を拠点攻撃用重爆撃装備に換装し、火力】と【攻撃範囲】を増強する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「敵部隊、ミサイルによる制圧射撃を突破! プラント外縁部に到達します!」
「準備の出来た機体から順次発進せよ! 少佐と諸天が見ていらっしゃるぞ!」
 通信に様々な怒号が飛び交いながら、キャバリアが市街地へと出撃する。
 ニルヴァーナ寄進領の制式量産型キャバリア「GC-04 カルキノス」である。
 元々は別の小国家で設計・製造されたものだが、この国においてもプラントでの量産が行われ、軍において広く用いられている。
 そのカルキノスのみで構成された前衛部隊、「第一」は、堅牢な装甲で市街地中央通りのフェロクリート舗装を削りながら、RSマシンガンを構えて進撃する。
 巨大な鋼鉄の人形たち以外に動くものの姿はなく、カルキノスの心臓部であるマニ車機関の祈りの声のような響きのみが戦いの巷となりつつある街に響いている。
 先頭を走るカルキノス2機のうち、「02」のナンバーの描かれた機体が、僚機に向けて頭部のモノアイを向けた。
「しかし隊長殿、よもや敵がミサイルの砲撃を越えてくるとは」
「背教の者かどうかと、腕は関係ないということだな」
 ナンバー01の機体――肩に白い象のエンブレムの描かれた隊長機が、重々しい声で返答を返し、手にしたRSマシンガンを握り直すと、部隊向けの通信チャンネルを開いた。
「パータリプトラ方面第23警備中隊改め、第1特殊空挺機甲大隊『アージュン』の諸君。敵は僧服を着た悪魔どもの手先だが、手練れだ。油断なく当たれ!」
 後続の機体のパイロットたちの歓声が入り混じって隊長機のコクピットに響く。
 体調は満足そうに頷くと続ける。
「会敵は30秒後だ。各機は市街地を盾にしつつ、確実に敵を落とすよう動け。最終的に奴らを倒せるならば、後退も被撃墜も恐れるな。我らの戦いは少佐殿と諸天が見ていらっしゃるのだ、どんな手を使ってでも確実に勝利を掴め!」
 通信が再び歓声に満たされ、再び隊長が頷く。
 その熱に浮かされるパイロットたちを、乗機が嗤っていることに気づかないまま。
御魂・神治
厄介なモンが出てきよったで
天将!武神を人型に変形や!
大二輪形態の装甲が開いてスライドして入れ替わったり差し変わったりで
なんやかんやめんどくさい変形してな
はいどーも、メカおっさ...メカおにいさんやで!
メカ少女やのうて残念やったな!
まぁ、煩悩に苛まれへんからこれでええやろ

ガト銃の掃射は天将の電磁障壁と弾道計算で対処(オーラ防御・戦闘知識)
突進は当たる寸前で光学迷彩で姿を消して飛んで回避(迷彩)
して背面に回り込んで空中から頭目掛けて攻撃(空中戦・スナイパー)
遠隔兵器でワイを撃ち抜こうなら撃つ前に駄目にしたるで(ハッキング)
仕上げは天の神さんの言う通りに「天神」ぶち込んだる




 パータリプトラ・プラント外縁部市街地。
 市街地の建造物を遮蔽にしつつ、過激派の守備部隊「第1特殊空挺機甲大隊『アージュン』」は防衛戦を開始しつつあった。
「敵ヴィークル接近! 会敵まで15秒! 他方面にキャバリアの機影もあります!」
「重爆装備の第7小隊は待機! 第2から第6小隊は持ち場を意識しつつ、敵を市街地に引きずり込みつつ防御戦! 地の利を活かしてかき回せ!」
 隊長機が毅然とした声で、指揮下の部隊に命じる。
 そのメインモニタに映し出された市街地には、既に彼の部下たちが潜んでいる。
 戦闘開始すれば、彼らは市街地を灰燼に帰してでも、頑強に抵抗するだろう。
「隊長殿直参の第1小隊はどうされるのですか!」
 部下の誰かが、隊長機に対して通信を入れてきた。個別ではなく、全体のチャンネで話をしている辺り、隊員全員に聞かせようという意図があるのだろう。
 口元に笑みの形を作り、隊長機はそれに答えた。
「我が第1小隊は、遊撃隊として敵の阻止に回る! 直接どやされたくなければ、一機でも多く背教の悪魔どもを撃墜しろよ!」
 通信は見る間に歓声で満たされた。

「厄介なモンが出てきよったで!」
『この依頼を請けた時点でほぼ確定でしたけどね』
「分かってても厄介なのは変わらんやろ!」
 神治は、街路を塞ぐように現れたサポートAIの「天将」と漫才めいたやり取りを交わしていた。
 脇道から現れた数機の量産型キャバリア・カルキノスが、マシンガンを腰だめに構えて一斉射撃。
 放たれた銃弾が、舗装材の強化フェロクリートを削りながら大型二輪に迫る。
 だが、神治はその中で武神のスロットルペダルを踏み込んだ。
 タイヤから悲鳴を上げさせながら銃弾を避け、車体周辺に発生した電磁障壁が金属片や舗装材を神治から守る。
 銃弾によって敵の動きを鈍らせられるだろうと踏んでいた兵士たちは、神治の予想外の行動に算を乱した。
「くそっ、弾幕の中に突っ込むだと!? 正気か!」
「落ち着け! ならば機体の重量で潰せばいい!」
 弾幕を張っていたキャバリアたちが一斉にバーニアを吹かせ、突っ込んできた。
 カルキノスは、どちらかと言えば防御力に優れた機体だ。重量も相応にあり、バイク程度ならぶつかれば一方的に破壊することができる。
「せやけど、それはお見通しや!」
 衝突の直前、神治と武神の姿がかき消えた。
「馬鹿な、消えただと!?」
 姿勢制御用のスラスターを逆噴射させ、突撃していたキャバリアたちは急制動。
 つんのめりつつも停止し、兵士たちはレーダーに目をやる。
 彼らの背面に、反応がある。
「気いつくの遅いわ! 天将!武神を人型に変形や!」
 飛び上がった武神は、ナノマシンマテリアル製の変形機構を起動させた。
 スーパーカーを思わせる流線型の装甲が開き、内部の機構が大きく角度を変えて、そのシルエットを人型に……女性型のパワードスーツめいた流麗な機体へと変化させていく。
 その中心に、神治の身体が収まり、手足が装甲内に収納される。
 大型二輪の姿だった武神は、大型強化外骨格としての真の姿を顕にしていた。
「はいどーも、メカおっさ……メカおにいさんやで!」
『おっさんとしての自覚はあったんですね』
「やかましいわ!」
 天将にツッコミつつ、武神に搭乗した神治は白いスナイパーライフル、神器銃「天誅」をその機械の手で掴んだ。
 彼の腕の動きを正確にトレースした武神は、生身の腕で構えるのと全く同じ感覚で狙いを定めさせる。
 だが、兵士たちもただ撃たれるままを望むはずがない。
「何がメカおにいさんだ、朝のナーガールジュナ・ショーじゃあるまいし!」
 ニルヴァーナ寄進領で毎朝放送されている子供番組の司会の顔を思い出しながら、兵士たちはカルキノスを反転させ、武神を撃ち抜く。
 ……はずだった。
「馬鹿な、機体が動かない!?」
「制御系にエラーだと……!」
 だが、カルキノスは動かない。動けない。
 彼らは気づいていなかったが、神治は無策にジャンプしたわけではない。
 天将を通じて、制御を司るOSにハッキングを仕掛けていたのである。
 オブリビオンマシンに対して完全な機能掌握は不可能だが、それで十分。
「メカ少女やのうて残念やったな! 四の五の言わずに黄泉へ帰れや!」
 オブリビオンマシンにできた隙を突いて、銃口からユーベルコード【神器霊弾『天神』】が雷とともに轟いた。
 一撃目の銃弾が、最後尾のカルキノスの左膝の駆動系に突き刺さり、それを目掛けて、二撃目の轟雷が飛び込んだ。
 天神の怒りとして顕現した絶対貫通の光は、最後尾のカルキノスの下半身を完全破壊。そのまま動きを止めていた2機の僚機へも躍りかかり、同じ末路を辿らせた。
 武神が膝を立て着地する。
 その後ろで、上半身だけの3機のカルキノスが地面にキスをし、目を閉じるかのようにモノアイの光が消えていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

西園寺・優臣
いいか、本当に宗教……祈りに応える者に携わるなら力でねじ伏せてどうするんだよ。
力でねじ伏せるは理不尽を打ち砕く時に使わなきゃいけないんだよ。
それを知らぬ存ぜぬというなら……俺が真なる光を魅せてやるよ!!

UC起動。光熱に変換した体を使ってそこから光線と光熱で構築された剣を放射し、命中したマシンガンの掃射を砕き、そのままキャバリアに光熱を直撃させる。
「分かるか、世界なる物よ……これが世界の敵の味方の光なんだ」
「そして、この身(ひかり)は弱者のために……」
「ならばこそ、改めて自己紹介させてもらおうか」
そう言って体を煌めかせながら告げる。
「俺は西園寺・優臣……どこにでもいる世界の敵の味方だ!!」




「前方より高熱源体接近! サイズは……人間大です!」
 小隊4番機が、レーダーの反応を見ながら叫んだ。
 キャバリアは、この世界の戦場の支配者であるが、その歴史の中には(少なくとも局地的な戦いにおいて)歩兵による肉薄攻撃に悩まされてきた歴史があった。
 そのため、少なくともこのパータリプトラ・プラントで生産されるキャバリアには、歩兵探知用のレーダーが装備されていた。
 が、それに熱源探知のレイヤーを重ねてみると、人間大の高熱源体がキャバリア部隊に向けて接近する、という異様な状況が明らかとなる。
 これに対し、小隊長は迷わなかった。
「あのミサイルを越えてきた連中だぞ! 悪魔どもに容赦するな、射撃始め!」
 率先して小隊長機を前面に出し、マシンガンを反応へと向けて掃射する。
 一瞬、マシンガンの発射音のみが響き、小隊員たちも、この後に続いた。
「いいか、本当に宗教……祈りに応える者に携わるなら力でねじ伏せてどうするんだよ」
 キャバリアに向けてきっと視線を向け、西園寺・優臣(光熱集合生命体系ギャルゲ主人公・f23739)は真っ直ぐに言葉を投げかけた。
 体の横を銃弾が通過し、掠めるが、そこには一片の躊躇も恐怖もない。
 一方、言葉を投げかけられたキャバリア隊も、その言葉から逃げなかった。
 小隊長が、決然と優臣に言葉を返す。
「だが、現実として祈りに応える僧侶が腐敗しているのだ! 富や力を独占する者に対して、裁きの刃を振るわねばならぬこともある!」
 それを現実に対する諦観と見るか、現実に抗すると見るか。
 だが、優臣にとって、それは単なる諦めに過ぎなかった。
「力でねじ伏せるのは理不尽を打ち砕く時に使わなきゃいけないんだよ。腐敗した僧侶ってのは、本当に力でねじ伏せなきゃ倒せないのか? 対話は考えなかったのか?」
「……もはや、どうにもならぬ所に来ているのだ! 貴様のはただの理想論だ!」
 キャバリア隊の再度の掃射を、優臣は跳躍して回避する。
 そして確信する。
 彼らは現実を地道に変えるのを諦めたのだ。そして、それをオブリビオンマシンに突かれ、暴発するに至った。
 ならば、することはひとつだ。
「それを知らぬ存ぜぬというなら……俺が真なる光を魅せてやるよ!!」
 優臣の両手が白熱して光と化し、その手に光の刃が握られた。

「分かるか、世界なる者よ……これが世界の敵の味方の光なんだ!」
 決然とした言葉とともに、優臣は両腕に握られた光熱の剣を投擲した。
「何が世界の敵の味方だ! 世界の敵を撃て!」
 小隊長の号令一下、一斉に銃口がマズルフラッシュで光った。
 銃弾と光熱剣の激突は、光熱剣の放射熱で銃弾が溶解することで、一方的に終わりを告げた。そのまま、剣は3番機の首へと突き刺さり、上体を大きくのけぞらせる。
「メインカメラ沈黙! レーダー機能しません! くそっ!」
「慌てるな3番機! ガンカメラをメインディスプレイに回して視界を回復しろ!」
 3番機は小隊長の指示に従い、戦果確認用のガンカメラの回路を接続。
 だがその瞬間、ディスプレイの前に跳躍した優臣が大写しになった。
「そして、この身(ひかり)は弱者のために……!」
 光熱の剣が閃き、胴を薙ぎ払った。
 溶断されたアンダーフレームからコクピットが切り離され、3番機は沈黙した。
 地響きをあげ、機能を失ったオーバーフレームが落下。
 切り離されたアンダーフレームも後に続く。
 異能を持つとは言え、ただの人間に3番機が解体されたのを見、2番機と4番機は浮足立った。
「くそっ、俺達が突撃して奴をぺしゃんこにします!」
「分かった、行くぞ!」
 バーニアを吹かせ、2機のキャバリアが突撃する。
 散開して、通りの両側を走る2機は、足並みを揃えて優臣に迫る。
「はああああっ!」
 再び優臣は両手に光熱の剣を生成させ、突撃する2機に肉薄。
 挟み込もうとするキャバリアに銀光が閃いた。
「ふたり、がかり、だぞ……!」
「勝てないのか……!」
 2号機と4号機もまた、3号機と同じく解体の道を歩んだ。
 上半身を構成するオーバーフレームがまず落下し、慣性のままに突き進んだアンダーフレームは、雑居ビルに激突して停止した。
 ただ一人残された小隊長は、世界の敵を名乗る敵を睨みつけた。
「おのれ……貴様は一体、何者だ!」
 問われた優臣は、まっすぐに小隊長機のモノアイに視線を向けた。
「ならばこそ、改めて自己紹介させてもらおうか」
 同時に、その全身が光を帯び、煌めく。
 地上の超新星のように眩い光を発した優臣と、マシンガンを構えた小隊長機は同時に突撃し、激突した。
「俺は西園寺・優臣……どこにでもいる世界の敵の味方だ!!」
 こうして、第1特殊空挺機甲大隊第4小隊は、連絡を絶ったのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

音取・金枝
【恋華荘】

前回からナイアルティンに変身したままだ
そして【召喚呪法・無貌の巨神像】でデウスエクスキャバリア『フェイスレス』も招喚して遠隔操作しっぱなしだ

市街戦とは厄介な
だが、幾ら建物を盾に隠れたところで無駄だ
いちご、フェイスレスで仕掛ける。その援護を頼むぞ
さぁ、風よ吹け、吠えろフェイスレス!
フェイスレスのワームホール砲「黒い風」で敵機を死角から同時多数多角攻撃で撃ち抜く!逃げ場などないぞ!
まぁワームホール発生させているから目立ってフェイスレスは集中攻撃されるだろうが、ンガイの重力障壁があるからそう簡単には墜ちることはないだろう
私は私で市街地に隠れて対霊狙撃銃バレットM82によるゲリラ戦をするしな


彩波・いちご
【恋華荘】
引き続き金枝さんのフェイスレスの支援ですね
…私もフェイスレスのようなキャバリア的なもの召喚できないですかね
ちょっと戦いながら試してみますか

【異界の抱擁】出の触手召喚で、敵機に絡ませて足止めを狙いますが
その際意図的に召喚する触手に金属的なものを混ぜるよう術式をいじくって…
よし、うまくいきそうです

建物の影に隠れた敵機に、建物自体を貫いて金属製の触手が伸び、拘束していきます
拘束してしまえば、あとは金枝さん達が何とかしてくれるでしょうから、私は次々と召喚&拘束を続けつつ、ゲリラ戦です

金属触手…建物や敵機の残骸なども取り込んで一体化しつつある…?
これを応用すれば、人型に体裁を整えることも…?




「……市街戦とは厄介な」
 白銀に輝くボディスーツに身を包んだ、音取・金枝(若奥様は秘密の変身ヒーロー・f25315)こと変身ヒーロー『ナイアルティン』はうんざりした声で言った。
 その赤い三眼の向こうでは。
「敵キャバリアのテンタクルアームの射程に入るな! 間断なく射撃を浴びせろ!」
 大通りの向こうと、手前の角から一斉にマズルフラッシュが煌めいた。
 銃口の向こうには、ナイアルティンが招喚した機械仕掛けの邪神(クロックワーク・ファントム)、デウスエクスキャバリア『フェイスレス』の巨体。
「ンガイの闇よ!」
 ナイアルティンは、フェイスレスに秘められた重力操作魔導装置の封印を解除。
 歓喜の軋みを上げながら、フェイスレスは巨大な銃を思わせる両腕を広げ……その前を起点に、黒々とした闇の球体がいくつも生まれ出る。
 そこに挑みかかった銃弾の群れは何者も貫くことなく光ごと吸い込まれた。
 その行方は、操者であるナイアルティンにも分からない。
 冒涜的な光景に、一瞬放心して動きを止めかけたカルキノス隊だが、
「散開! 足と射撃を止めるな! あんな芸当、何度も続くものか!」
 小隊長機の声に我に返ると、彼らは一斉に踵を返して市街地へと散った。
 そのまま、金属触手「夜に吠えるもの」の射程のギリギリ外から、建造物を遮蔽にして断続的な射撃を見舞う。
 フェイスレスが触手を伸ばそうとすれば、退避。
 別の場所から攻撃を仕掛ける。
 まさに、模範的な市街地での機動戦であった。
 フェイスレスのように大きな一撃を得意とするタイプには、厄介この上ない。
「でも、これで退くわけにもいきませんね。手伝いますよ、金枝さん」
 フェイスレスの後方、ナイアルティンこと金枝の傍らで戦況を見守っていた彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)は、頭一つ高い彼女を見上げながら、こくりと頷いた。
 少女を思わせる美貌には、金枝への信頼が満ちている。
 それに答えるように、ヒーローとして金枝は……ナイアルティンは頷き返した。
「ああ。幾ら建物を盾に隠れたところで無駄だ。それを奴らに教え、極(き)めてやるとしよう! いちご、援護を頼むぞ!」
「はい、任せてくださいっ。行きましょう!」
 ナイアルティンは対霊狙撃銃バレットM82を、いちごは龍の骨から形作られたマイクロッドを手に、市街地へと駆け出していった。

 なおも、フェイスレスは鉄風雷火の中心から逃れられずにいた。
「手を緩めるな! 足を止めつつ敵のエネルギーを削れ!」
 射程外を周りながら、カルキノス隊は四方八方から断続的に一斉射を放つ。
 虫を払うように、鬱陶しげにフェイスレスが腕を振るう。
 その軌跡に無数の小型の闇の球が生まれ、その銃撃をことごとく虚空へと放逐するが、フェイスレスの攻撃範囲からは、敵キャバリアたちは巧みに逃れていく。。
 双方とも決め手を欠きながら、戦線は膠着状態へと陥りつつあった。
「……私もフェイスレスのようなキャバリア的なもの召喚できないですかね」
 その戦闘を横目に、いちごはアイドル衣装を翻して市街地を駆けていた。
 得意かどうかはともかくとして、いちごは異界から邪神の触手を直接召喚し、戦場を蹂躙する戦法を多く用いている。
 これは広範囲の攻撃としては有用な戦法だが、一方で召喚中は常に制御に意識を割かねばならず、油断するとすぐに暴走を始めてしまう危険性も孕んでいた。
「でも、一定の基準で自律して動く『モノ』を喚べれば、こちらの制御の手間も減りますし……」
 その時、視野に重々しい鋼鉄の人型をしたカルキノスが入る。
 いちごは足を止めるとくるりと回転し、運動エネルギーを制御。
 スカートの白いフリルが舞い、ストッキングに包まれた太腿の美しいラインが一瞬だけ顕となる。
 マイクロッドを握りしめ、いちごは異界の旋律を謳いあげた。
「ふんぐるいふんぐるい……、星海の館にて微睡む我が眷属よ!」
 いちごの呼び声に応え、世界の境界を越えて巨大な気配が己の触手を伸ばす。
 不浄な肉塊が、奏でられる旋律の理に従い、この世に溢れ出ようとする。
 だが、その歌には続きがあった。それは新たなる召喚の理。
「闇黒の宇宙、その深淵より至れり刃金を纏え! いあ! いあ!」
 巨大な気配が、その旋律によって調律され、顕現した。
 現れたのは、のたうつ触手。その根元がどこに在るかは窺い知れぬ。
 だが、普段召喚しているものと異なり、不浄の粘液は纏っていない。
 代わりに、金属の光沢を纏っていた。
 どくん、どくんと生命の鼓動を刻みながら、その筋肉繊維は人類の語彙では金属としか呼べぬものによって構成されている、鋼鉄触手と言うべき存在であった。
 それを見て、いちごは頷いた。
「よし、うまく行きそうです。……行ってください!」
 声とともに放たれたいちごの思念に従い、鋼鉄の触手たちは『敵』へと飛びかかった。

「くそっ、なんだこいつは!? 近づくなぁぁぁっ!」
 カルキノスの一機が、悲鳴とともにフェイスレスから銃口を離した。
 小隊長機には、通信越しに銃撃の音と、恐慌した部下の声が断続的に聞こえてくる。
「やめろっ、銃弾を全て弾きやがった……金属なのに生きて……のたうって近づいてくるんだ……やめろっ、俺の機体に触るなっ……!」
 自分の部下たちに一体何が起きているのか。
 小隊長は背筋に走る恐怖を隠して呼びかけようとするが、その必要はなかった。
「くそっ、こいつか……!」
 白い雑居ビルの壁を突き破り、のたうつ鋼鉄触手が隊長機たちへ踊りかかった。
 即座に小隊長は後退、バーニアを吹かしながら横一文字に銃弾を浴びせる。
 だが、生きた金属に飛びかかった銃弾は、火花の一文字を描くだけで、何の損傷も与えることができない。
「やはりダメか……! ならば、こいつを……!」
 小隊長の言葉とともに、背中で爆砕ボルトが弾ける音が響いた。
 小隊長機は背中にマニピュレーターを伸ばし、目的のものを掴み取ると、前方にのたうつ金属触手に向けて構える。
 それは二本のミサイルを懸架装置で束ねた、キャバリア用の重爆撃装備。
「くたばれ、化け物っ!」
 自らも余波で間違いなく大破するであろうそれを、躊躇なく小隊長は使おうとした。
 だが、それは叶わなかった。
 小隊長の視界が、急に空へと転換する。三半規管が振り回される。
「ぐわぁぁぁぁぁっ!?」
 足下へ忍び寄っていた鋼鉄触手に足を取られ、機体が転倒したのだ。
 小隊長機へ、無数の鋼鉄触手が絡まっていく。
 その動きが拘束されるまで、時間はかからなかった。

 いちごが召喚した鋼鉄触手によって敵の動きが止まったのを、ナイアルティンは見逃さなかった。
 バイザーに覆われた三眼が輝く。
「いちごがやったか! ……風よ吹け、吠えろフェイスレス!」
 ナイアルティンの声に応え、フェイスレスは腕を広げ、センサーも何もない頭部を天に向け、人類には聞き取れぬ星気領域に至る吠え声を上げた。
 胸部が開き、赤い筋の入った不揃いな平面の多面体が現れる。
 奇妙なことに、それは中心を取り巻く金属製の帯と、捻れた7本の支柱で保持されていながら、理外の法則をもって回転を始めていたのだ。
 回転とともに、敵キャバリアの攻撃を防御した黒い球体がいくつも現れる。
 同時に、多面体の回転は臨界に達し、「黒い光線」としか形容しがたいものが無数に放たれた。それらは余すことなく黒い球体に吸い込まれ、別の球体から角度を変えて吐き出される。
 闇黒の光芒は、のたうつ鋼鉄触手に囚われたカルキノス部隊へと降り注いだ。
「き、機体の腕がっ! 足がっ! がっ!」
 一機のカルキノスが肩に黒い光線の直撃を受けた。
 光線の通った先の装甲は崩壊し、機体骨格もろとも砂のように脆く崩れ去る。
 接続部を失い、腕が胴体から落ちた。
「こんな理不尽に……っ!」
 その言葉を最後に、小隊長機の頭が消し飛んだ。
 通信は途絶え、機体は力を失ってかく座する。
 他の機体も状況は同じだった。
 皆、コクピットは外しながらも、手足や頭を潰されて攻撃能力を失っていた。
 それを見て、いちごはほっと息をつく。
「終わったみたいですね。お疲れ様です、金枝さん」
「ああ、いちごの援護のお陰だ。それにしても、こんな術を使えたのか?」
 ナイアルティンの疑問に対し、いちごが声をあげようとしたその時。
「背教者……いや、悪魔どもめ!」
 辛うじて右腕だけ残った一機のキャバリアが、マシンガンの銃口を動かした。フェイスレスの攻撃を辛くも生き残っていたのだ。
 その銃口の先には、いちごとナイアルティン。
 不名誉な悪あがきなのはパイロットにも分かっている。それでもこの惨状をもたらした者に一矢報いねば収まらぬと、殺意を銃爪に込める……!
「……いちご!」
 気づいたナイアルティンが反射的にかばおうとするが、間に合わない。
 だがその時、今だのたうっていたいちごの鋼鉄触手が弾けた。
 いちごの前に立ち塞がると、イソギンチャクのように広がって盾となる。
 鋼鉄触手の表皮で銃弾が火花を上げ、逸らされた。
「撃ち漏らしか……!」
 ナイアルティンは腰だめに構えたバレットM82を放つ。
 2発の速射で腕と頭を砕かれたカルキノスは今度こそ機能を停止。
 盾となった触手も解け、異界へと還っていった。
「大丈夫か!? ……すまない、反応が間に合わなかった」
「いえ、何とか無事ですから。でも触手が、助けてくれた……?」
 いちごはナイアルティンに感謝しつつ、ともすれば暴走しがちな触手が彼をかばったことに驚いていた。
 そして、二人は消えた触手にひとつの変化を目撃していた。
「今のを……見たか?」
「ええ、一瞬ですが変容していました。まるで金属鎧と海の生き物の化石、それと敵や建物の残骸を混ぜ合わせたみたいな形で……」
 それは歪んではいたが、まるで腕のような形状であった。
 銃弾を受け止めたのも、触手というよりは掌のような……。
「もしかして、建物や敵機の残骸なども取り込んで一体化しつつある……?」
「そうかもしれない。それがショゴスのように、一時的に腕に近い器官を生成したんだ」
 いちごの推測を、ナイアルティンは肯定した。
 ショゴスは古の不定形UDCであり、生物の器官を模倣して生成することができた。
 また、そのショゴスを創造したとされる別のUDCは、その技術を応用し、搭乗型の魔術機を建造していたとも伝わっている。
 その旧き神話は、いちごにひとつの示唆を与えるものであった。
(もしかして、これを応用すれば、人型に体裁を整えることも……?)
 それが何をもたらすかは、まだ誰にも分からない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎
少佐殿とやらはともかく、諸天は見てはいるでしょうけれど。…月光菩薩や閻魔天あたりは頭抱えてるんじゃないかしらねぇ…

ミッドナイトレースに○騎乗してエオロー(結界)で○オーラ防御で傾斜装甲を展開、●轢殺・適応を起動して攻撃力を半減、装甲と移動力を状況に応じて強化するわぁ。この子、武装なんて一切積んでないもの。実質ノーリスクなのよねぇ。
突進は初動見切ってバレルロールなりバックフリップなりで回避、豆鉄砲はそのまま装甲任せに突っ切っちゃいましょ。
電撃の帝釈天印、遅延のルーン三種にEMPグレネード、魔道も化学もより取り見取り。攻め手も足引きも手筋はいろいろあるのよぉ?




「少佐殿とやらはともかく、諸天は見てはいるでしょうけれど。……月光菩薩や閻魔天あたりは頭抱えてるんじゃないかしらねぇ……」
 ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は、乗機であるバイク型UFO「ミッドナイトレース」で傍受していた敵部隊の通信を聞きながらため息をついた。
 ティオレンシアが名前を出した月光菩薩や閻魔天は、いずれもUDCアースの仏教において、慈悲の心で知られる天部である。
 いわゆる閻魔大王とルーツは同じながら別の神性とも言われるが、いずれにせよ「全人類の改宗もしくは死」という偏狭な教義とは相容れない在り方と言える。
 彼女の脳裏に蘇る過去の亡霊が、笑顔の下の心の表情をを苦々しいものにする。
 だが、敵はそれを待ってはくれない。
「非武装のヴィークルで挑もうとは愚かな! 神罰の代行を食らうがいい!」
 ティオレンシアの前方に現れた2機のカルキノスが、彼女のUFO型バイク「ミッドナイトレース」をロックし、フルオートで銃弾を吐き出した。
 同時にバーニアを吹かせ、腰を低くして突撃する。
 重量に優れるカルキノスだからこそ有効な戦法であり、フルカスタム機や上位機種のクロムキャバリアであっても、その攻撃は無視できない。
 だが、ティオレンシアは殺到する重量を恐れなかった。
 2機のキャバリアをまっすぐ見据えながら、ギャルソンの制服から一本のペンを取り出す。黄金色の輝石、シトリンが付いているのが印象的だ。
「ゴールドシーン、お願いねぇ」
 ペン先から光が溢れ、その軌跡が結界のルーン、エオローを描く。
 ヘラジカを象ったとも言われる魔術文字から吹き出した魔力の奔流が、疾駆するティオレンシアとバイクを覆い、オーラによる卵状の外殻を形作った。
「それだけじゃないわよぉ?」
 ティオレンシアの座するシートの位置が低くなり、その側面にどう畳まれていたのか、装甲が次々と展開され、前後の推進装置を覆う。
 そこに現れたのは、上部を透明なキャノピーで覆った、流線型のUFOだった。
 ユーベルコード【轢殺・適応】により、装甲と移動力を強化されたミッドナイトレースの強行突破形態である。
「ふん、変形したところで所詮は非武装。我らに対し何ができるというのだ!」
 確かにエンジンなどが装甲で覆われ、防御力は大幅に上がっている。マシンガンの銃弾が着弾しても傷一つ付けられないが、逆に言えば相手もカルキノス2機を傷つけることができない。
 ならば、最大の武器である重量を生かした突撃で一方的に潰すことができる。
 そうタカを括ったパイロット二人は、大きなツケを払うことになる。

「それじゃ、まずこれねぇ?」
 カルキノス2機の突撃に対し、ティオレンシアは乗機の舵を大きく切った。
 流線型のUFOが側転し、建造物に突っ込む寸前で姿勢制御。そのまま壁を走り、突撃するキャバリアの横を悠々とすり抜けていく……!
「くそっ、反転……何だっ!?」
 動きに対応しようとしたキャバリアは、操縦桿に対する機体の反応が、極度に遅くなっているのに気づいた。通り抜けていくUFOに追従できない。
 その手足に、ニイド、ソーン、イスの三種のルーンをすれ違いざまに刻まれていることに、彼らは気づいていなかった。『遅延』を意味する三種のルーンが、動きを縛っている。
「くそっ、非武装のヴィークル如きに……」
 キャバリア間の通信が突如途切れた。
 通信機のシステム……いや、その他のシステムも含めて複数の機能がダウンしている。
 動かないキャバリアの背中をちらりと見て、ティオレンシアが微笑む。
 そのまま機体をターンさせ、キャバリア2機の背中を正面に捉えた。
「EMPグレネードもうまく行ったみたいねぇ」
 炸薬の代わりに強力な電磁波を発するEMPグレネードは、電子機器を撹乱する。
 ルーンが魔道的に、EMPグレネードが科学的に、キャバリアの動きを封じていた。
 敵は、ティオレンシアの搭乗する『ミッドナイトレース』を非武装として脅威度を低く見積もっていたが、真に恐るべきは搭乗するヴィークルではなく、ティオレンシアのバラエティ豊かな攻撃手段。そして。
「攻め手も足引きも手筋はいろいろあるのよぉ?」
 その使い時を明確に見極める実力にあった。
 ティオレンシアの左手が複雑な形に曲がり、唇からはマントラが漏れる。
「ナウマク、サマンダ、ボダナン、インダラヤ、ソワカ!」
 それは、仏教における護法神にしてヴェーダの雷神、帝釈天ことインドラの真言。
 雲もない青空を切り裂いて閃光が走り、一瞬遅れて腹に響く大音響が響いた。
 同時にミッドナイトレースを横滑りさせ、急停止させる。
 走行を止め、浮遊モードに移行したミッドナイトレースのキャノピーがスライドし、ティオレンシアが立ち上がった。
「ふぅ、こんなものかしらぁ。たかを括って、油断したのがあなた達の敗因よぉ?」
 視線の先には、関節から煙を上げながら機能停止したキャバリアが2機。
 天の法を取り戻すと自称した戦士たちが、天の矢に敗れるという皮肉であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ネリッサ・ハーディ
【SIRD】の面々と共に行動。

敵兵力は、キャバリアがおおよそ中隊規模。なかなかの強敵ではありますが…こちらは、地の利を使って対抗しましょう。幸いフィールドは市街地。遮蔽物が多く、キャバリアも比較的動きに制約がある地形。これを利用しない手はありません。
市街地でも特に入り組んでいる裏通りを待ち伏せポイントに設定、ここにキャバリアを誘引、迎撃を試みます。
まず、ノーフィアライツさんがキャバリアをおびき寄せ、灯璃さんの狙撃でメインカメラを破壊、怯んだところをグレヴィッチさんが足の関節等を破壊し擱座させ、無力化した後に投降を勧告します。
私は夜鬼を飛ばして、状況把握及び指揮管制に努めましょう。

アドリブ歓迎


灯璃・ファルシュピーゲル
【SIRD】一員で連携

指揮に従い待伏せ地点に移動
指定UCでナノワイヤ製の対赤外線偽装網と
一章の機関砲を再利用したキャバリア用の選抜射手小銃を作成
更に57mm徹甲榴弾も造り装填

建物の影も利用し隠れつつUC:オーバーウォッチを発動し
仲間と敵の動きを把握(情報収集)しハヤトさんに誘引され
キルゾーンに入った瞬間に最接近してる敵の頭部を狙撃(スナイパー)

「種明かしは歓迎会後までお楽しみに。」


追撃を止めたらミハイルさんに引き継ぎ
ハヤトさんの反撃に合わせ指揮官機or即時に反撃態勢に出る古参機を(戦闘知識・見切り)で割り出し狙撃。指揮系統を攪乱しつつ
更に動き回りつつ死角をカバーする様に支援狙撃する

アドリブ歓迎


ミハイル・グレヴィッチ
SIRDの面々と共に行動

今度はデカブツが相手か。ま、狭い裏路地に誘い込めば、こちらにも勝機は十分ある。
そんじゃキャバリア狩りだ、楽しもうぜ。

敵キャバリアが接近するまで、手頃な建物中に潜んで待つ。灯璃が目を潰したタイミングを見計らって建物からダッシュで出て必中の距離50m付近まで接近してから、UCを使用。キャバリアの足関節部分狙ってRPGで射撃し、擱座させる。
歩のない将棋は負け将棋、ってな。歩兵をなめんじゃねぇぞ。
後は武装等を破壊して無力化し、完全に身動きできなくなったらパイロットに対して降伏を勧告。
このバカ騒ぎに手前の命賭ける価値があるか否か、よく考えてみるんだな。

アドリブ・他者との絡み歓迎


ハヤト・ノーフィアライツ
【SIRD】の面子と。アドリブ連携は歓迎。
んじゃま、追いかけっこと洒落込むかね。周辺の地形を頭に叩き込み、【戦闘知識】で経路と動きの予測を立てつつ移動。
発見した奴の足に【ロープワーク】を駆使して【マイクロチェーン】を放つ。
捕まえたら【怪力】に任せてそのまま引きずって適当な所でポイだ。
失敗したら【迷彩、ダッシュ、クライミング、ジャンプ、空中戦】を駆使して市街地を3次元機動で逃げるぜ。
【地形耐性】も駆使して、市街地をドライブさ。
指定地点に向かい、現地でいい感じに囲まれたら指定UCを使用。
ロボ77機と味方後方にワープ。ま、ちょっとした手品さ。
投降勧告に従わん場合は装甲の隙間だのを狙って【一斉発射】。


亞東・霧亥
SIRDと共闘

【POW】
市街地に侵入、戦況を見守る中で見知った面々に気付く。
SIRDの作戦行動。
無闇に攻撃を仕掛けて邪魔をするわけにはいかない。

ならば、後詰めだ。
敵の友軍機が俺の獲物。

・ダッシュ、ジャンプ、目立たない、暗殺、切断
遮蔽物の影から影へ。
縦横無尽に飛び回り、両手の刀で切りつける。
このままでは切断は難しいが注意を引けば良い。

最後は敵友軍機の中央に降り立つ。
【UC】
過去の激戦から『猟書家サー・ジャバウォック』に変身。
ヴォーパル・ソードを巨大化させて、敵全体を3回斬る。
主力部隊は囮を追って彼方に行った。
ここには『敵しかいない』から、敵味方の区別はしない。

「作戦の足しにはなるかな?」




 アジア的な様式の街並みを、3機のカルキノスが歩いていく。
 分厚い装甲に覆われた足が地面につく度に、放棄された自転車や露店の看板が跳ね、酒場のドアがガタガタと音を立てて揺れる。
 だが、キャバリアのパイロットたちは、街から人の営みが消えたことも、自分たちがそうしたことに頓着などしていなかった。
「こちら第4小隊、B地点に到着。現段階では会敵なし」
「こちら第5小隊、了解。引き続きA地点の防衛を行う。敵は混成部隊のようだが、あのミサイルをくぐり抜けた連中だ。油断するなよ」
「そっちこそな。折角街の連中はシェルターに追い出したんだ。我らが祖法と少佐殿のために、最大限地形を利用させてもらおうじゃないか」
 傲慢と言える会話がキャバリアの間に飛び交う。
 だが、彼らはそれ故に気づかなかった。
 陽が当たらず闇の垂れ込めた裏通りを、それより暗い何者かが奥へ消えるのを。

 パータリプトラ・プラントの裏路地は雑然としている。
 道は辛うじて人がすれ違える程度の幅しかなく、タイヤが破裂したバイクが壁によりかかるように転がされ、湿気で化粧板の反り返った木製のドアが半開きで軋んだ音を立てながら風に合わせて開閉を繰り返している有様だ。
 一切の人の姿が消えた細い通り、そこを黒い影が飛び抜けていく。
 膜状の翼を器用に羽ばたかせたそれには顔がなく、痩せ細ったゴムのような手足に、長い長い尾を備えた、悪魔のような姿をしていた。
 それは、地球の夢の深層に広がる幻夢境より喚ばれた、夜鬼(ナイト・ゴーント)と呼ばれる怪物であった。
 無貌の怪物は「周囲を見渡しながら」飛行していた。のっぺりとした顔がぐるりと細い通りを見渡すのは不気味であるが、その所作は奇妙なまでに人間的である。
 読者に魔術の心得があるならば、夜鬼の星幽体(アストラル・ボディ)から、細い糸のようなものが伸びているのが見えただろう。
 その糸を辿ると、とある雑居ビルが現れる。一階の店舗の横にあるくすんだ白タイルの階段を上がり、最上階の部屋へ。
 その扉を開けると現れるがらんどうの部屋の中心に、一人の女性が立っていた。
 夜鬼から伸びた星幽体の糸は、彼女の星幽体と繋がっているのだ。
 彼女こそがネリッサ・ハーディ(クローク・アンド・ダガー・f03206)。旅団【特務情報調査局】(通称SIRD)を率いる旅団長にして、魔術師でもあった。
「敵兵力は、キャバリアがおおよそ中隊規模。なかなかの強敵ではありますが……」
 ネリッサは、夜鬼より得た情報を、手にした情報端末へと入力していく。
 入力の度、ネリッサの中で取るべき戦術も組み上がっていく。
(幸いフィールドは市街地。遮蔽物が多く、キャバリアも比較的動きに制約がある地形。これを利用しない手はありません)
 そして、彼女は通信アプリを起動する。
「皆さん、これからブリーフィングに入ります。準備はよろしいですか?」

「んじゃま、追いかけっこと洒落込むかね」
 テンガロンハットをかぶり直し、ハヤト・ノーフィアライツ(Knight Falcon・f02564)は口元を笑みの形に歪めた。
 砂塵を巻き上げながら、彼と宇宙バイク『グランドファルコン』が飛び立ち、細く曲がりくねる通りを、1mほど浮遊した機体が一切の迷いなく駆け抜けていく。
「この通りを右に、次は左に回りつつまっすぐ、っと……!」
 頭の中に叩き込んだ周辺地図と、地形が重なり合い、地図に引いた最適経路を正確にバイクがなぞる。
 事前予測の通りなら、この先の通りにそろそろ……。
「おー、ドンピシャで通りがかってきたな」
 宇宙バイクが疾走する裏通りと、表通りの合流地点から、巨大な足音が聞こえてくる。住民のいない状況においては、その原因はひとつしかない。
 過激派の量産型キャバリア、カルキノスがここを通りつつあるのだ。
 そして、それは彼らの予測通りであり、作戦の前提でもある。
「さて、それじゃ西部劇的なチェイスに付き合ってもらうか!」
 ハヤトは、内蔵兵装であるマイクロチェーンを、目の前の丸太のような足に放った。

「今度はデカブツが相手か」
 待ち伏せポイントのビルの一室。
 窓から大通りの方を覗きながら、ミハイル・グレヴィッチ(スェールイ・ヴォルク・f04316)はふてぶてしく笑った。
 鍛え上げられた肉体に防弾ベスト『プレート・キャリア』を着用し、首にバンダナを巻いた姿は、中東やアフリカ諸国の傭兵と言われても違和感はない。
「キャバリアは戦車とはカテゴリの違う兵器ですが、戦えそうですか?」
 ミハイルとは別地点で待機している灯璃・ファルシュピーゲル(Jagd hund der bund・f02585)が、冷静な声でミハイルへと声をかけた。
 現在の灯璃は、キャバリアの機上の人だ。
 古いビルの跡地に膝を立てて乗機を収め、その上に対赤外線処理を施した偽装網をかぶせてある。動力源であるマニ車機関の回転数も最小限に調整することで、ニルヴァーナ寄進領製キャバリア特有の、念仏のような駆動音もほとんどしない。
(この機体に乗って分かりました。戦車を上回る踏破性と速度、様々な武装に対応できる柔軟性、機体によっては立体的な機動もできますし、UDCアースの基準からすれば、装甲強度も高い……)
 このクロムキャバリアで、戦場の支配者となったのも納得できる。
 だが、ミハイルの答えは違っていた。
「問題はねえよ。突き詰めりゃ、戦車もキャバリアも変わらねぇ。ウイークポイントに当てりゃ止まるんだからな」
 無論、戦車に対するキャバリアの優位性を軽視しているわけではない。もし軽視するような価値観が彼の中にあったなら、そもそも戦場を生き残り、ここに立つことはなかっただろう。
 だが「当てれば止まる」というシンプルな真理は変わらない。
「そりゃ、飛んだり跳ねたりすりゃ怖い相手だが、今回の作戦は待ち伏せだろ? ここに来た時点で、キャバリアの良さは殺されてんだ」
 彼らが伏せているのは、そういう場所だ。
 旅団長のネリッサが用意した、自分たちのための戦場だ。
「だったら、歩兵にできるのは、撃って逃げる。もし擱座したら相手をホールドアップさせる。それだけの単純な理屈だぜ」
 ミハイルはくつくつと笑った。
 灯璃には、そこに一介の傭兵として戦場を渡った者の凄みが見える気がした。
(そうした見方ができることが、ミハイルさんの強さなのでしょうね)
 その強さは、この戦いにおいて頼もしいものであった。
「ミハイルさん、灯璃さん、まもなく作戦開始です。準備はよろしいですか?」
 ネリッサからの通信だ。
 二人は口々にネリッサへ応えながら、己の持てる道具で備えた。

「くそっ、カルキノスの重量があんなヴィークルに引きずられるだと!?」
 部隊の先頭を歩いていたパイロットは、現状に毒づいた。
 今、彼の機体は背中から転倒し、裏通りを滑走していた。
 もちろん、搭乗するキャバリア、カルキノスにそんな機能は備わっていない。万が一備わっていたら、開発者を背教者として、助走をつけ顔をぶん殴りたいぐらいだ。
 自分の前方を走るバイク型のヴィークルに、チェーンを絡み付けられ、そのまま裏路地の奥へと引きずられているのだ。場違いなテンガロンハットを被った時々こちらを振り返っては、余裕の笑みを浮かべるのが妙に癇に障る。
 無論、そのヴィークルの主はハヤトである。
「2番機、すぐに助ける! 少しだけ待っていろ!」
 後続の機体がマシンガンを発射しながら追跡する。放たれた銃弾が林立する建造物を破砕し、その破片がカルキノスを白く薄化粧していく。
 だが、カルキノスを引きずるハヤトのグランドファルコンは、街路を三次元機動し、的を絞らせない。むしろ、そのせいでカルキノスは右へ左へと引きずられ、コクピットの中は悪路を行く兵員輸送車よりもひどい揺れに見舞われていた。
「くそっ、お願いだから止めてくれ! 俺の脳みそがペーストになってしまう!」
「オーケイ、なら切り離してやるかね。悪かったな」
 手を掲げると、ハヤトはマイクロチェーンを切り離した。
 しばらく慣性に引きずられたものの、ようやくカルキノスはシェイクから解放され、パイロットはほっと息をついた。
 当のカルキノスを引きずっていたヴィークルは、姿を消していた。
 細い路地にでも入り込んだのだろう。
「2番機、無事か!?」
 小隊の残り3機が、転倒したカルキノスの許へと辿り着く。
 一列縦隊の先頭の隊長機が、2番機を起き上がらせようと手を伸ばす。
「いや、全く助かった隊長……何だったんだあれは」
 カルキノスはその手を取ろうと、機体をうつ伏せの態勢にしようとするが。
 その瞬間、パイロットは見た。
 隊長機の頭に一発の銃弾が命中し、モノアイが爆散するのを。

「敵隊長機と思われる機体頭部に着弾確認しました」
 灯璃の声が、SIRDの共有回線に響く。
 コクピットのメインカメラには、頭部を破砕され、大きくのけぞる敵キャバリア部隊の隊長機が大写しになっている。
 灯璃のキャバリアが手にしているのは、選抜射手小銃。マークスマンライフルとも呼ばれる、狙撃に対応したオートマチック式の小銃だ。
 硝煙を上げる銃口を持ち上げ、偽装網を振り払いながら、灯璃のキャバリアが立ち上がった。急速回転したマニ車機関が甲高い読経の声を上げる。
 一方、敵キャバリア部隊は、隊長機の頭部が突然爆散した光景を目にし、算を乱していた。
「くそっ、前方にキャバリアだと!? さっきのは囮か!」
「だが、敵は一機だ! さっきのヴィークルさえ警戒すれば、容易に押し潰せる!」
 頭部を失った隊長機が、果敢に声を上げる。
 メインカメラは失ったが、ガンカメラなどを連動すればまだ戦えるし、ここで部隊が恐慌に支配されるようなことがあれば、それこそ前方のキャバリアに部隊が潰される可能性もありえなくはない。
 それを避けるためにも、声を上げざるを得なかった。
「交戦音を聞いて、近隣の第6小隊にも動き出すはずだ!踏ん張れ!」
 通信を受けて、転倒した2番機を除く、3番機と4番機がマシンガンを構えた。
 敵の射程はカルキノスよりも長いが、2号機を飛び越えれば肉薄できる。
 その命令を隊長機は下そうとし……突如その脚部関節が爆散した。
 何が起きたのか分からぬまま、隊長機は地面に転倒する。
「そんじゃキャバリア狩りだ、楽しもうぜ!」
 攻撃の主は、建物から走り出してキャバリアに肉薄したミハイルだった。
 その手には、筒の後部をラッパ状にし、グリップと銃爪、照準器にバイポッドを付けたものが握られている。
 彼のユーベルコードでもある対戦車擲弾発射器【RPG-7V2】である。
 先端に装着した成形炸薬弾は、当たりどころによっては戦車を一撃で倒す程の威力を発揮する。更にユーベルコードとして昇華したことで、それはオブリビオンマシンと化したキャバリアの装甲をも貫徹する能力を得ていたのだ。
「オールタンクドクトリンで失敗した奴は、この世界にいねぇのか? 簡単すぎるだろ」
 彼はそう言って軽く首をすくめる。
 何を言っているかは、3番機と4番機のパイロットには分からなかったが、侮辱されているだろうということだけは理解できた。
「このっ、歩兵風情が!」
 一斉にマシンガンをミハイルに向けて構えるが、今度は3番機の頭部が爆散した。
「こちらを忘れてもらっては困ります」
 灯璃のキャバリアが、手にした選抜射手小銃で再びキャバリアの頭部を撃ち抜いたのである。3番機のマシンガンが明後日の方向に向き、ミハイルはその死角……足下へと滑り込んだ。
「歩のない将棋は負け将棋、ってな。歩兵をなめんじゃねぇぞ」
 RPG-7V2がバックファイアの炎を上げ、再び火を吹いた。3番機の脚部関節も隊長機と同じ運命を辿り、そのまま駆け抜けたミハイルの背部に、どうと倒れ込んだ。
「くそっ、これじゃ完全に罠じゃないか……!」
 キャバリアの優位を剥奪され、4番機のパイロットがようやく気づく。
 そう、先頭の2番機が転倒し引きずられたのは、SIRDの作ったキルゾーンへと引きずり込むため。キャバリアの機動性を制限し、歩兵と共同して迎撃する計画だったのだ。
「勝敗は決しました。降伏する気はありませんか」
 灯璃が、選抜射手小銃で油断なく狙いながら、4番機へ問いかける。
「このバカ騒ぎに手前の命賭ける価値があるか否か、よく考えてみるんだな」
 ミハイルも、4番機の後ろからRPG-7V2を構えて降伏勧告。
 もはや戦力比は逆転しており、戦う理由はない。
 だが、4番機は予想外の行動をとった。
「くそっ、降伏などできるか! 俺は捲土重来を図る!」
 後退を試みたのである。
 バーニアの炎にミハイルが晒されようとしたその時。
「ったく、往生際が悪いのはよろしくないぜ?」
 4番機が、濃密な銃火に晒されて糸の切れた人形のように踊った。
 そのまま、僚機の上に折り重なるように倒れる。
「ハヤトさん!」
 灯璃が銃火の主を認め、声をかけた。
「ちょっとした手品が役に立ってよかったぜ」
 いつの間にか、ミハイルの傍らに立っていたハヤトが手をひらひらと振った。
 その背後には、ユーベルコード【ファルコン・スクランブル】によって召喚された、銃器を構えた無数の小型ロボが浮かんでいた。
 ミハイルはそんなハヤトの軽い仕草に苦笑する。
「とりあえず、礼を言っておくぜ。ところでネリッサ」
「はい、何でしょうか?」
 ミハイルは、通信を通じて指揮を執っていたネリッサへと問いかけた。
 その表情が引き締まり、喉元の咽頭マイクにかかる手にも力が入る。
「さっき、第6小隊がどうのと聞こえたのが、そっちの対応はどうする?」
「それは問題ありません。現在後詰めで霧亥さんが動いてくれています」
 ネリッサはきっぱりとミハイルに答えるのだった。

 その頃。
「第5小隊の反応が途切れた。市街地に入り込んだ敵部隊だろう」
 大通りを進撃する、4機のキャバリアが通信を交わし合っていた。
「第5小隊は再編後に加えられた部隊だ。連携訓練が不十分だったのが裏目に出たか」
「だが、我々がその轍を踏むわけにはいかない。各員、戦闘に備えよ」
 隊長機が静かに隊員に宣言する。
「総員、V字陣形を取れ。敵の誘いに乗るな。こちらの動きやすい地形を確保することを心がけろ」
 言葉と同時に、言葉もなく彼らはV字型の陣形を取る。
 装甲の厚いカルキノスで戦線をこじ開ける際に使われるものだ。
 その整然とした動きには、訓練に裏付けされた洗練ぶりが伺われる。
 だが、その第6小隊に追走している存在に、彼らは気づいていなかった。
「こいつらが、俺の獲物だ」
 細身の身体に黒いコートを纏うのは、亞東・霧亥(峻刻・f05789)。
 遮蔽物の影から影へと飛び回り、電子を含めた敵の目を逃れていた。
 今回、単独で戦線に身を投じていた霧亥であったが、その中で彼自身も所属しているSIRDが作戦行動をしているのを目にしていた。
 だが、同じ対象に対し攻撃を無闇に仕掛けては、作戦の邪魔になる。
 ならば、後詰めとして動くのみ。
 霧亥は、先頭を進撃する隊長機へ、二刀を掲げて斬りかかった。
「敵襲! 火力は低いようだが油断するな!」
 散発的なマシンガンの牽制射撃をかわしながら、その視線を引きつける。
 手応えは極めて硬く、切断は叶わないが霧亥は構わなかった。
 一方、第6小隊は互いに背中を預けるように円陣を組んだ。
 単騎ならば背中に大きな死角が発生するが、それを互いに補い合う形で陣形を組めれば、その死角は消える。全周360度に誰かの視界があり、敵は攻め手を失うのだ。
 これを即座に行える第6小隊の練度は極めて高いと言えた。
 だが、霧亥もそれで怯む男ではなかった。
 ほんの僅かな隙間を縫い、円陣の中心へと降り立ったのである。
「背後を制圧せよ!」
 隊長機の言葉に、一斉に機体が反転し、霧亥を取り囲む陣形となった。
 四丁のマシンガンの銃口が霧亥に向けられる。
「いささか手こずったが、これで終わりだ」
 一切の油断も慢心もなく、無機質に隊長機が断ずる。
 だがその時、銃口を向けられていた霧亥の姿がぐにゃり、と歪んだ。
 次の瞬間、そこには一人の老紳士が立っていた。
 黒いコートは、黒いマントと仕立ての良いスーツに。
 手にした二刀は、青白い輝きを放つ斬竜剣と、侵略蔵書に。
 それは、かつて猟兵の戦った強敵。
 猟書家、サー・ジャバウォックの姿であった。
「こいつ、何者だ……!」
 第6小隊は、その姿も存在も知らない。
 だが、少なくとも脅威と捉え、一斉に銃爪を引こうとした。
「敵のみならば、容赦をする必要はありませんな。さぁ、写し身とは言え、我が声に応えなさい、斬竜剣……!」
 青白い光が一閃。
 同時に、向けられていた四丁のマシンガンのバレルが切断され、宙に舞った。
 そして。
「馬鹿な……! 一瞬で……!」
 4機のキャバリアの機影が、バラバラに崩れ去った。
 猟書家の姿が再び歪み、霧亥の姿へと戻る。
 彼はぐるりとコクピットのみを残し切り裂かれたキャバリアの残骸を一瞥し。
「作戦の足しにはなるかな?」
 そう、SIRDの作戦区域へと視線を向けて呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミホ・ペルウィーシュ
※アドリブ絡み大歓迎

何分、この姿ですからね…
きっとルカとボクは悪魔扱い
でも半分事実です

※前章ブースターを分解・投棄
※魔導騎士形態で【威圧】しつつ着陸

それに「隊長の傍に悪魔がいた」現実から
少しでも兵士達を遠ざける為
堂々義憤故の誹りを背負います

命は狩りません、道を開けて下さい
弾丸を【盾受け】しつつアゾット・スクリーマーを【投擲】
【フェイント】の【精神攻撃】で隊列を乱したら突撃です

んぐっ…ふぁあっ!?
ルカは損傷を『様々な形』でボクに転化

ルカの甚振りを堪えて【魔力溜め】しつつ術式を編んだら
【ダンス・オブ・ブレイドウィッチ】発動
ルカを取り囲む一隊を斬り刻み吹き飛ばします

…コレがボクらの【全力魔法】です!




「低空を高速で飛行する可変型キャバリア接近! 黒い鳥型です!」
「……ふん、まさに悪魔だな! 迎撃体制に移れ!」
 飛来する飛行物体を視認し、パータリプトラ・プラントに布陣するキャバリアのうち、重爆撃装備に換装された第7小隊が迎撃体制を取り始めた。
 一方、飛行物体……可変型キャバリア【バル・ゴルカ】に搭乗するミホ・ペルウィーシュ(凶鳥に魅入られし虚刃の魔女・f29987)は、その通信を傍受し、諦観のこもった声で呟いた。
「何分、この姿ですからね……でも半分事実です」
 敵のキャバリアもそうだが、彼女のキャバリアもまたオブリビオンマシンだ。
 仮に世界の敵を「悪魔」と呼ぶならば、この機体こそ相応しい。
 そうミホは考えていた。
「でも……隊長の隣に悪魔がいたと知れば、彼らは」
 オブリビオンマシンに踊らされたとは言え、元は信心深い者たちだろう。
 そんな彼らの隊長が悪魔に魅入られていたと知れば、それは苦悩の種になるのではないだろうか。
 それぐらいなら。
「堂々と義憤故の誹りを背負います……!」

「ルカ、ブースターを分解投棄。 魔導騎士形態に変形して降下します!」
 愛称の「ルカ」で呼ばれたオブリビオンマシンの機関が禍々しく咆吼した。
 尾羽根型のブースターが切り離され、自由落下。
 余計なものを振り捨てたルカは、黒い鳥から所々エッジの効いた、禍々しい魔導騎士へと姿を変える。
 ルカは翼に手をかけると、十字型の投擲武器に変形させた。
 その名はアゾット・スクリーマー。精神汚染をもたらす呪いの刃である。
 自由落下したまま、眼前の第7小隊へと投擲する。
「命は狩りません、道を開けて下さい」
「う、うわぁぁぁぁぁぁっ!?」
 その刃から放たれる呪いは、無意識レベルでの恐れを呼び起こした。
 ブースターが次々と落下したことも手伝い、彼らは隊列を乱す。
 だが、その呪いの影響を受けない者も若干数は存在した。
「くそっ、撃て、撃てぇぇぇっ!」
 降下するミホとルカに向けて、腕に懸架された連装ミサイルが放たれる。
 白煙を上げて迫るミサイルに対し、ルカは細長い形状のシールド『トライ・オニキス』を構えて受け止めた。
「んぐっ……ふぁあっ!?」
 機体の損傷が、コクピットで鎖に縛られ、宙吊りにされたミホに転化される。
 痩せ細ったミホの細い肢体が、ルカによって強制的に与えられた刺激によって、びくんびくんと痙攣するかのように震える。
「んんっ……はぁっ……」
 肉付きの悪い太腿をすり合わせながら、ミホは意識を立て直して前を向いた。
 機体の態勢を立て直しつつ、呪詛を帯びた魔力を逆噴射、衝撃を殺す。
「くぅぅぅぅぅっ!」
 着地の衝撃が襲いかかるが、無視して意識を機体制御に集中。
 そのまま、第7小隊の陣取る高所陣地へと滑り込んでいく。
「この距離で重爆撃装備は使えん! マシンガンで撃ち落とせ!」
 第7小隊のカルキノスは、腕に装備されたミサイル懸架装置を切り離し、携行していたマシンガンへと手を掛けた。
 だが、彼らが銃口を魔導騎士へと向けるより早く、着地したミホが動いた。
 機体後方から無数の邪剣を射出。
 それを足下から吹き上がった呪詛の風に乗せて嵐に変える……!
「……コレがボクらの全力魔法です!」
 暴風に舞う虚属性の邪剣によって、魔導騎士の周囲のキャバリアが、指が、装甲が、腕が、首が次々と切り飛ばされていく。
 風が収まった時、彼女たちの周囲に立っている者はなかった。
「……ふぅ」
 ミホは一息ついた。
 ルカの操縦は、心身に負荷をかけるが、まだまだ倒れるわけにはいかない。
 黒い魔導騎士は、プラント最深部へと向けて、進撃するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

セフィリカ・ランブレイ
上手いね
速度重視の機体で突撃の選択肢を与えて、相手の装備重量を減らす
ここで壁役に頑丈な奴らを配置!

『速度のため火器は結構削ったものね。貧弱なブレードと豆鉄砲でやれる?』
シェル姉……相棒の魔剣が挑発してくる
相手さん、あのアーマーで簡単には倒れないからとどっしり構えてるね
一体一体、確実に仕留めていくよ!
【神薙ノ導】にて、相手の行動パターンを見極めながら装甲の隙間を的確に破壊する


でも派手に動き回り過ぎたな
ブレードがダメになってきてるし、何より機体の脚周りの調子が悪いよ
『操縦が荒いのよ』
私のテクに機体がついてこないだけだもん!

機体を物陰に隠してここからは生身で進むしかない
アレを呼ぶ準備はしておこう




「カルキノスの装甲を信じろ! 相手はブレード一本だ、受け止めればカウンターで勝てるぞ!」
 第1小隊の隊長が檄を飛ばす。
 彼らは機動防御の要である打撃部隊であり、この中隊全体の指揮部隊でもある。
 だが、市街地各所に配置された部隊が壊滅した結果、最後の砦と化していた。
「上手いね」
 セフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)は、真っ直ぐに眼前の敵を褒めた。
 機体の操縦技量もさることながら、ここまでの戦術の構成含めて、そう言わざるを得なかった。
「速度重視の機体で突撃の選択肢を与えて、相手の装備重量を減らす。
 ここで壁役に頑丈な奴らを配置!」
「だが、それが分かったところでどうしようもあるまい!」
 隊長はセフィリカの振るったブレードの一撃を、丸みを帯びた肩の装甲で受け流し、弾き飛ばす。そのまま反発しながら距離を取る。
 セフィリカ機は、足を止めることなく踵の車輪を高速回転。
 畳み掛けるように小隊機が放ったマシンガンの銃撃を回避し、更に距離を離した。
「うーん、これはしんどいな……」
『速度のため火器は結構削ったものね。貧弱なブレードと豆鉄砲でやれる?』
 セフィリカが「シェル姉」と慕う、腰に下げた相棒の魔剣シェルファが挑発する。
 とは言え、彼女の物言いは事実そのものであり、反論しがたい。
 ならば、どう攻めるか?
「相手さん、あのアーマーで簡単には倒れないからとどっしり構えてるね。なら!」
 セフィリカの機体は、夕凪神無式剣術の構えを取る。
 それは、基礎にして奥義の二。
「一体一体、確実に仕留めていくよ!」
 刹那、セフィリカの機体は地面を強く踏み込むと、急加速した。
 目的は隊長機ではなく、それに随伴する小隊員の機体……3号機。
「二式」
 その名は、【神薙ノ導】。
 振り上げたブレードが、巧みに装甲の隙間をかい潜り、その腕と首を斬った。
「もう一つ!」
 神速の踏み込みを、もう一度。次の目標は4号機。
 3号機とは違い、こちらはマシンガンを立て、盾にして受け流そうとしている。
「だけど、甘いよ!」
 4号機のパイロットは、相手のパイロットの腕の冴えを考慮しなかったことを、後悔する羽目になった。
 マシンガンごと胴を切り裂かれた機体が、横に吹き飛ばされてどうと倒れる。
 回転しながら、セフィリカ機は小口径マシンガンをフルオートで発射。
「うおおおっ!?」
 後方から突撃しようとしていた2号機が思わずモノアイを腕でかばう。
「三つ!」
 がら空きになった胴をセフィリカのブレードの一閃が薙ぎ払い、そのまま2号機の上半身がごろりと転がった。
 残りは、隊長機のみ。
「いい腕をしている。だがっ!」
 隊長機は肩を全面に出し、ショルダータックルを仕掛けた。
 セフィリカ機は、それを迎撃し、腰を薙ごうと低い構えからブレードを振るう。
「嘘っ!?」
 だが、隊長機は直前で機体を止めると、肘を振り下ろして斬撃を受け流す。
 セフィリカ機は車輪を逆回転させて深追いを避け、再び距離をとった。
『いい腕してるわね、あの隊長』
「相手を褒めてどうするのよ。こうなったら……っ!」
 セフィリカ機は、再び【神薙ノ導】の構えを取り、踏み込んだ。
 車輪によるダッシュなしの、神速の踏み込み。
 だが、その動きは隊長機も予期していた。
「同じ動きが何度も通じると思うな!」
 ブレードの予測位置に、右膝を立て、そこに肘を叩きつけようとしている。
「ブレードを折る気だね! でも……!」
 再び、セフィリカ機が踏み込んだ。
 まさかの再加速に、隊長機の対応が遅れる。
「まさか、二度目だと!?」
「左側、もらったよっ!」
 セフィリカ機の振るった渾身の一撃が、左腕を、そして機体の首を斬り飛ばした。

「でも派手に動き回り過ぎたな」
 第1小隊の機体を全て倒したものの、セフィリカ機のダメージも大きかった。
 特にブレードと脚部のコンディションが最悪で、エラーの警報が鳴りっぱなしだ。
 車輪駆動用のモーターや、関節は間違いなく焼けているに違いない。
『操縦が荒いのよ』
「私のテクに機体がついてこないだけだもん!」
 姉妹喧嘩を繰り広げている間にも、機体の状態は悪化の一途を辿っている。
 今はまだ辛うじて動いているが、偶発的な戦闘でも起きたら最悪だ。
「戦闘中にお釈迦になられても困るし……ここからは生身で進むしかないか」
 セフィリカは、裏通りでキャバリアを停止させた。
 コクピットから飛び降りると、プラントの中央部へと視線を向ける。
 あそこに、過激派の指揮官と、彼を操るオブリビオンマシンが待ち受けている。
 激戦になるのは間違いないだろう。
(アレを呼ぶ準備はしておこう)
 切り札を抜く決意を固め、セフィリカは中央部へと自らの足で歩き始めた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『セラフィム・リッパー』

POW   :    断罪の剣
【無敵斬艦刀】が命中した対象を切断する。
SPD   :    エンジェルビット
自身が装備する【BS-Fクリスタルビット】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    フォールンウイング
【光の翼】を向けた対象に、【プラズマビーム】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「来たか、僧服を着た悪魔どもの手先よ」
 パータリプトラ・プラントの中枢ユニット前広場。
 このエリアの、反乱の心臓部を背に、ウパーリ少佐は猟兵たちへ向き直った。
 そのキャバリアの背中には、エネルギーを収束させた「光の翼」が輝いている。
 曰く、ウパーリ少佐は軍内でも良識派として知られていたという。
 部下には公明正大であり、罪は罰し、功績は正しく評価して、時には粘り強く上司を説得してまで、然るべき地位につけたという。
 また、上記の逸話からも分かる通り、どのような上司に対しても礼を尽くし、たとえ相手が礼を失する行為に出ても、それが崩れることはなかったというのが、軍上層部内での評価であった。
 無論、こうした人物であるので、自らの思想を押し付けることもなかった。
 彼の部下には、信心の薄い者も厚い者も、信ずるものが異なる者すら集い、その「個」を尊重し、激突することがあれば利害や感情を調整することすらした。
 時に自分の信心にそぐわぬ者や生身の者を排除しがちな、サイボーグ僧侶出身者には珍しいほどの人格者だったと、護法軍に残った者は口を揃える。
 だが。
「私は諦めるわけにはいかない。あの人面獣心の輩を罰し、祖法を軽んじる者を罰し、祖法を知らぬ者には祖法に帰依させ、全てを聖人の理想のままにせねば!」
 キャバリアの細い肢体が、巨大な斬艦刀を振り、下段に構えた。
 刀の切っ先の向こう。
 そこには物言わぬ兵士の亡骸が幾人も転がされていた。
 全員が後頭部を撃ち抜かれており、その両手両足は生身かサイボーグ化したかを問わず、例外なく破壊されている。
 その傍らには、立て札がひとつ。
『この者、祖法を軽んじる背教者なり。背教の代償を忘れるな』
 古くからウパーリ少佐の下にいる者ならば、彼らが「信心の強さや教えが違いながらも、少佐に付いてきた部下たち」の顔であることが分かっただろう。
 そう、少佐は彼らを見せしめに処刑したのだ……!
「さぁ、断罪の時だ。我が部下にも祖法を軽んじる者がいたが、彼らは既に断罪した。その道をお前たちも辿るがいい……!」
 ウパーリ少佐の搭乗するキャバリアの背の、光の翼が輝き、謎の輝く粒子を発し始めると同時に、その背中の景色が歪んでいく。
「行け、我が機体よ! 我を祖法のしろしめす新たな世へと導け!」
 極限に達した瞬間、爆発的な加速とともにキャバリアが猟兵へと斬り込んだ。

 ウパーリ少佐の操縦に従いながら、『それ』はほくそ笑んでいた。
 オブリビオンマシン、セラフィム・リッパー。
 そのニルヴァーナ寄進領仕様『ガンダルヴァ』が彼の名である。
 彼がパイロットに植え付けたのは、ただひとつ。『狂信』のみ。
 言い換えれば盲目的な正義である。
 そのひとつだけで、彼は良識的な指揮官から、狂信的な悪鬼へと堕した。
 人を慈しみ軽んじなかった者が、人を憎み軽んじる者になったのだ。
 その事実が、彼にとってはおかしくて仕方がない。
 この邪魔な猟兵たちを倒して、この者の行末を見守り、嘲笑おう。
 仮に、本来の人格が蘇れば、些か厄介なこととなるが、それもあるまい。
『ガンダルヴァ』は、機械の仮面の下に悪意を秘めて、刃を振るうのだった。

※MSより
 第3章においては、ウパーリ少佐の「本来の思想や人柄」を思い出させるような言動や行動を行えば、彼の良心を一時呼び覚ますことができます。
 これによって、オブリビオンマシンとの意志の齟齬が発生し、動きが鈍くなるため、プレイングボーナスを得ることができます。
 プレイングを書かれる際の参考にしてみてください。
彩波・いちご
金枝さんと

暴走した正義の成れの果て…止めなくてはいけませんね
何のために法があるのか、思い出させてあげましょう

金枝さんの機体が活動限界を迎えて送還されましたか…
なら、次は私の番ですね
前のでコツは掴みました
今なら眷属をキャバリアに変化させ呼び出せるはず
いでよ【異界の巨神】
深紅の金属の巨体が異界より呼び出され、私もそこに乗り込みます
内部で触手が手足に絡みついて巨神と接続し、操縦機構になり…
…けど、初召喚だから、今は制御で精いっぱい
「金枝さん、乗ってください!」
攻撃担当任せます

私の眼前で変身の解けた金枝さんが巨神と接続され
金枝さんの攻撃方法に合わせて両腕から刃が伸び

あとは2人でその狂信を断つのみです!


音取・金枝
いちごさんと

引き続きナイアルティンに変身したままだ

くっ、フェイスレスの招喚限界が来て送還されてしまったか!
なに?今度はいちごが……?
こ、これは……眷属がキャバリアを模しているのか?
乗れと言われも、こいつはキャバリアの姿をした邪神の眷属だろう?
嫌な予感しかしないが……えぇい、背に腹は代えられんか

え?乗り込んだら変身が解除された?
しかも操縦席に触手がっ!手足に巻き付いて、これで動かすんですか!?
もう嫌な予感しかしませんよ!
仕方ありません。此処から早く出る為にも戦いましょう
捉えた!駆け抜け、切り裂きます!【閃光双斬呪法ミーティア・ストライク】です!
貴方を歪める、その悪意に満ちた邪悪な機体を断ちます!




 異界より来たる機神、無貌の仮面を被った邪悪なる神像『フェイスレス』が、銃身を思わせる巨大な腕を振り下ろした。 
「くっ、邪悪なる神の眷属が私と斬り結ぶか……!」
 ウパーリ少佐は、乗機『ガンダルヴァ』の斬艦刀で真っ向から受け止める。
 オブリビオンと化したキャバリアと異神の膂力は拮抗し、発した衝撃波がフェイスレスを操る音取・金枝(若奥様は秘密の変身ヒーロー・f25315)ことナイアルティンの装甲と、その傍らの彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)の青い髪を震わせる。
「あれが暴走した正義の成れの果て……」
 いちごは巨神たちの戦いをまっすぐに見つめる。
 ウパーリ少佐は正義の人であったが、自らを省みる人でもあったはずだ。
 それが今、正義の、法の名の下に人を殺め、踏みつけている。
「それが、たとえオブリビオンマシンがもたらした狂気のせいであっても」
 フェイスレスを操りながらナイアルティンがいちごに頷き、いちごも頷き返す。
 二人の思いは同じ。
「止めなくてはいけませんね……。何のために法があるのか、思い出させてあげましょう」
 紅の三眼と蒼い瞳が、倒すべき敵を真っ直ぐに見つめた。

 だが、猟兵たちの真っ直ぐな視線の先で、異変は起こっていた。
「敵のプレッシャーが弱まっている……! ならば、離れろ!」
 斬り結ぶ少佐は、敵の振るう刃金の重みが落ちていることをすぐに悟った。斬艦刀を横一線に振るい、光の翼の粒子放出を後ろへと向け、距離を取る。
 そして、機体を操っていたナイアルティンもその異変を悟る。
「くっ、フェイスレスの招喚限界が……!」
 鬼械による神の似姿とは言え、邪神を招喚するには相応の負荷がかかる。
 それは招喚者だけでなく、異なるものを受け容れさせられる世界にとってもだ。
 本来クロムキャバリアにあり得ざる『異物』を受け入れさせることに、世界の方が耐えきれなくなったのだ。
 異鉄の偶像の影が薄れ、光の粒子となって崩れ去った。
 オブリビオンに対抗する剣を失ったかに見える二人の猟兵。
 だが、いちごがオブリビオンマシンへと向ける真っ直ぐな視線は揺らがない。
「なら、次は私の番ですね」
 ナイアルティンが、何かを成そうとするいちごへ赤い視線を向ける。
 バイザーの奥で、スーツのものと同じ輝きの、赤い瞳が理解とともに見開かれた。
「まさか、さっきのを……!」
「はい、前のでコツは掴みました」
「この娘……何をする気だ!」
 いちごの性別を知る由もないウパーリ少佐とガンダルヴァは、機体各所から結晶状の無線兵器を一斉に射出した。
 何をするかは分からないが、いちごの背後から放たれる気配にフェイスレスと同質のものを感じていた『彼ら』は、このままにはできないと直感していた。
「何をするにせよ、その邪悪なる気配は断つ!」
 バラバラに制御された無線兵器が弧を描き、いちごへと砲口を向ける。
 かつてのウパーリ少佐ならば、キャバリアで生身の人間を狙うという行為は是としなかったであろうが、狂信を植え付けられた今ならばそれをためらうことはない。
「いちご!」
 ナイアルティンがその射線上へと割り込もうとした、その時であった。
 無数の真紅の柱が、現れた。
 鋼鉄と海産物の化石を混ぜ合わせたような『それ』は、いつもいちごが招喚する邪神の触手によく似ていた。だが、それは金属の光沢を帯び、それでいて間違いなく生きていた。
 UDCアースやクロムキャバリアにはあり得ざる、金属と生命の融合体であった。
「今なら眷属をキャバリアに変化させ呼び出せるはず……いでよ【異界の巨神】」
 触手たちが、絡み合い始めた。
 肉のようにおぞましく蠢きながら、互いに融合し、別の形を形作る。
「くっ……やらせるなエンジェルビット!」
 ウパーリ少佐は、無線兵器【エンジェルビット】に一斉発射を命じた。
 煌めく結晶は輝きを収束させ、レーザーとして形作られつつある『何か』を撃つ。
 だが、上下左右前後の全てから放たれたレーザーは、到達する前に霧散した。
「馬鹿な……全てを薙ぎ払った、だと!?」
 ウパーリ少佐は、それが眼前で行った行為に、その威容に戦慄した。
 そこにいたのは、魔術文字の刻まれた甲冑と、複雑な頭足類の化石を奇妙な割合で混ぜ合わせ、それを人型に無理やり捏ね上げたような存在だった。
 そのシルエットの要所からは、スプリング製の鞭のような触手が何本も生え、その頭部らしき器官には14もの青い瞳が輝いている。
 それは、異界から召喚された巨神と言うべきものであった。
「これは……眷属がキャバリアを模しているのか?」
 呆然と見上げるナイアルティンと、キャバリアもどきの視線が合う。
 その瞳は見覚えのある人間的な輝きを持ち、聞き覚えのある声で呼びかけた。
「金枝さん、乗ってください!」
「乗れと言われても……」
 ナイアルティンには、嫌な予感しかしない。
 いちごの触手には何度か「痛い目」に遭わされているし、それがキャバリアの姿を取っているならば尚更である。だが、フェイスレスがこの世界から退去した今、この巨神しか、眼前のオブリビオンに対抗する手段がないのも確かである。
「えぇい、背に腹は代えられんか!」
 そうナイアルティンが叫んだ直後、巨神の腹に当たる部位から無数の触手が放たれ、ナイアルティンを包み込んだ。

「大丈夫ですか、金枝さん?」
 巨神の胎内へと導かれた金枝は、目を開いた。
 そこは金属触手で形作られた繭のような形状であった。既存のキャバリアのような操縦桿やペダル、ディスプレイなどのインターフェイスが存在しない空間だ。
 そして、その奥には手足に触手を絡ませたいちごの姿があり……また、金枝自身もナイアルティンの姿から元の「音取・金枝」へと戻っていることを悟った。
 その白い素肌へと、金属触手が何本も絡みついていく。
「え、乗り込んだら変身が解除された? しかも触手が手足に巻き付いて!?」
「すいません、攻撃担当任せます! その触手で機体にアクセスできますから!」
 肌を這い回る触手から、膨大な情報が金枝の脳へと流れ込んでくる。
 巨神の14の瞳、またそれ以外の感覚器官が金枝と同調し、その手足や触手の先までが彼女の意に従うのが直感的に理解できた。
 そして、それをいちごが巨神を必死で制御しながら整えていることを。
 更に、エンジェルビットの攻撃を弾かれた『眼前の』オブリビオンマシンが反撃体制を整えつつあることを。
 金枝は、今までの経験から来る嫌な予感をねじ伏せ、決断した。
「仕方ありません。此処から早く出る為にも戦いましょう!」
 その意志とともに、巨神の腕がぐにゃりと変容した。
 関節のない5本の指を備えていただけの腕から、鋭い刃が伸び、その表面から膨大な魔力流が吹き出した。
 スプリング状の触手が同じ魔力流を纏い、魔力を推進力と変える。
「……ほう、来るか! ならばその邪神の刃、私が粉砕する!」
 斬り込もうとする巨神に対し、オブリビオンマシン『ガンダルヴァ』も爆発的な加速力をもって突っ込んだ。
 下段に構えた斬艦刀が、上へと斬り上げる断罪の剣を振るおうと迫る。
 だが、金枝は怯まなかった。
「捉えた!駆け抜け、切り裂きます!」
 いちごと金枝の操る異界の巨神が、魔力流による加速力を持って、ガンダルヴァの長大な斬艦刀をかい潜り、その懐へと飛び込む……!
「あとは2人でその狂信を断つのみです!」
「ええ!貴方を歪める、その悪意に満ちた邪悪な機体を断ちます!
 ミーティア・ストライクッ!」
 異界の魔力で編まれた双剣が、オブリビオンマシンの胸部を切り裂いた。
 斬撃に一瞬遅れてもたらされた衝撃波が、敵機体を後方へと吹き飛ばす。
「邪神が……この斬撃の速さを上回るだとっ!?」
 オブリビオンマシンの青い機体が吹っ飛び、大地へと叩きつけられる。
 14の瞳を持つ異界の巨神は、魔力流の名残で高熱を放つ双剣を構え、要所から伸びる機械の触手を僅かにくねらせながら、その矮小な邪悪を見下ろしていた。
 金枝の嫌な予感が的中したかは、定かではない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

亞東・霧亥
SIRDと行動

【問答】
「稚拙で短絡的、祖法を盾に断罪を謳う。噂とは似つかぬ有り様。貴君の正義は個で揮うのではなく、共に掲げて担うものではなかったのか?」

・殺気、ダッシュ、残像、切り込み
真の姿に覚醒し、先陣を切る!
心技体備えた頃なら幻など通用しなかったろうが、濁った心眼で俺を捉える事は出来ない。

【UC】
斬艦刀に野太刀を合わせ、剣戟開始。
油断は死を招くと存分に思い知れ。

「体術だけで押し切れると思うな!思い出せ!」


ネリッサ・ハーディ
【SIRD】の面々と共に行動

我々の目標は、あくまでオブリビオンマシンであり、ウパーリ少佐ではありません。ですので、少佐には可能な限り生存した状態で身柄を確保するのが望ましいです。できれば、このまま投降してくれるのがいいのですが・・・虫が良過ぎますね。それにここで殉教者を作ると、後々厄介です。

まずは、少佐を説得するところから始めましょう。
少佐は、いわば視野狭窄を起こしている状態ですから、そこから視線を変えさせるのがいいかと。信仰の強制は、不信仰を喚起するだけでです。
そしてチャンスを伺い黄衣の王を召喚、敵キャバリアの手足に触手を絡みつかせ拘束、可能であれば手足を破壊して動きを封じます。

アドリブ歓迎


灯璃・ファルシュピーゲル
【SIRD】一員で連携・アドリブ歓迎

信じてると言いながら伝え続けなかったんですか
…守るべき国民(部下)の命を奪って、それで神への確信の無さから
逃げられましたか?

前章継続のキャバリアと武装を使用
更にUC:ウロボロスアーセナルで機体に無線爆薬設置

仲間の動きを(情報収集)して合わせ
ビット及び頭部センサーを狙撃(スナイパー)し牽制、
味方の近接を援護

ハヤトさんと依頼での(戦闘経験)で呼吸を合わせ
死角を補いつつ接近し、タイミングを見計らって
仲間に合図し全速吶喊。自身は脱出しつつ目くらましに爆破

爆塵に紛れつつハヤトさんに呼応し敵の死角から
指定UCで関節・動力ライン狙いで巨狼の顎で襲い掛かり
翻弄しつつ戦います


ハヤト・ノーフィアライツ
【SIRD】の面々と。
アドリブ連携は歓迎っと。

指定UCを使用、変身ポーズしつつ真の姿へ。

あんたが嘗て持っていた正義は、誰かを守り、許す事のできる【勇気】ある正義だった。
今は何一つ認めない、何一つ守らない、神にすら背を向けた、勇気無き正義だ。

…さあ、正義を貫く【覚悟】はいいか?ガラクタが貼り付けた、薄っぺらいだけの【勇気】無き正義を貫く覚悟は、よ。

【戦闘知識】を駆使して相手の動きの予測を立てつつ、【早業、空中戦】を駆使して肉薄。
味方とうまく連携しながら、【怪力、グラップル、2回攻撃、鎧無視攻撃】を駆使してフォースブレードと打撃を織り交ぜた攻撃を行う。

防御は【戦闘知識】による先読みと【早業】の回避


ミハイル・グレヴィッチ
SIRDの面々と共に行動

やれやれ、すっかり自分のやってるコトに酔ってるな。あそこまでテンパってるんじゃ、降伏勧告なんざするだけムダだ。となると後は、実力で捻じ伏せるしかねぇな、こりゃ。

UCを使用して援護射撃を行う。まぁ7.62mm程度じゃ効果なんてありゃしないだろうが、あくまで牽制、偶然致命的なところに当たれば御の字だ。常に位置を変えて、嫌がらせの射撃で多少なりとも相手の気を散らせる。

ふん、聖人の理想?笑わせる。手前のやってるこたぁ、正義という名のお題目にかこつけて、他者に無理矢理自分の考え押し付けてるだけじゃねぇか。俺が過去に見てきた思想と、大して変わりねぇぜ。

アドリブ・他者との絡み歓迎




「貴様らも、祖法を敷かんとする私の前に立ち塞がるか! ならば散れ!」
 ウパーリ少佐の搭乗するオブリビオンマシン『ガンダルヴァ』の背後の空間が帯電し、電光を散らせながら歪曲した。
 即座に復元した空間は、その反作用を斥力として、光の翼を広げたガンダルヴァに爆発的な加速を与える。
 空間歪曲によるエネルギーが斬艦刀に集まり、青白く輝いた刃が猟兵へと迫る。
 そのはずだった。
「馬鹿な……!?」
 甲高い金属音を立て、カルキノスの重装甲すら一撃で断つ斬艦刀の一撃を受け止めたのは、それよりも遥かに小さな亞東・霧亥(峻刻・f05789)の野太刀、『ゲートブレイカー』であった。
 城門破壊用として頑丈に作られているとは言え、サイズそのものの異なるキャバリア相手には蟷螂の斧としか見えないが、青く輝く斬艦刀は、その一振りを打ち砕くことができない。
「稚拙で短絡的、祖法を盾に断罪を謳う。噂とは似つかぬ有り様」
 その様に、霧亥は大きくため息をつく。
 斬艦刀を打ち据えた彼の野太刀はぴくりとも動かない。
 霧亥の視界の隅には、ウパーリ少佐ら過激派が斬り捨てた者たちの打ち捨てられた骸が映っている。彼らの声を聞くことはできない。
 だが、彼らが無念を、嘆きを残したことは想像できる。
 そこから汲み取った想いを、霧亥は言の葉に乗せる。
「貴君の正義は個で揮うのではなく、共に掲げて担うものではなかったのか? 共に掲げる者たちを斬り捨て、貴君の正義に行く場所はあるのか?」
「私の目が曇っていたのだ! 正義を掲げるを望まぬ者は、正しき道行きを歪ませる! だからこそ、私はこの世全ての悪を斬る! その果てに拓いた聖人の理想、天への道こそ、私の行く道だ!」
 霧亥の言葉を振り払うように、ウパーリ少佐は斬艦刀を横に払い、そのまま弾かれるように後方へと逃れた。
 その声には、陶酔の色が宿っていることは明らかであった。
「いいや、俺も霧亥に同感だね」
 横合いからの声と同時に、後方へ跳躍していたはずの青いオブリビオンマシンが、慣性の法則を無視して横へと吹き飛んだ。倉庫の一角を吹き飛ばしながら、崩れ落ちてきた瓦礫に埋もれてしまう。
「だ、誰だ……!」
 少佐がカメラアイを衝撃の襲った方へと向けた。
 そこに立つのは、カウボーイスタイルの伊達男。片手だけに白銀のガントレットを装着し、もう片方の素手でテンガロンハットを押さえている。
「一応、特務情報調査局局員って肩書はあるがね。こう言ったほうがいいか? 『猟兵』ってな」
 にやりと伊達男……ハヤト・ノーフィアライツ(Knight Falcon・f02564)は笑った。
 一方、ウパーリ少佐はコクピットの中で憤怒の表情を向けていた。
「この機体が教えてくれている……『猟兵』、悪魔の手先……!」
「やれやれ、そんな機体にそそのかされて目を曇らせたのか。こりゃ部下も浮かばれねえな」
 その憤怒を受け流すようにハヤトは肩をすくめる。
 そして、受け流されぬようにと、静かに少佐をその視線で射抜く。l
「いいか。あんたが嘗(かつ)て持っていた正義は、誰かを守り、許す事のできる勇気ある正義だった」
「貴様、何を……」
「今は何一つ認めない、何一つ守らない、神にすら背を向けた、勇気無き正義だ。
 ……変身!」
 打ち切った言葉とともに、ハヤトは独特の変身ポーズを取った。
 動きを検知して体内の変身機能が励起し、その全身が光を放つ。
 光は次々と物質化し、彼の身体を白銀のスーツに包み込んでいく。
 スカーフが長く伸び、マフラーとなってクロムキャバリアの乾いた風にばたばたとたなびいた。
 そう、これこそがハヤトの真の姿。
 5メートル以上の鋼鉄板をも砕くことができる、ヒーローだ。
そして、その傍らに立ち、野太刀を油断なく構える霧亥。
「……さあ、正義を貫く覚悟はいいか? ガラクタが貼り付けた、薄っぺらいだけの勇気無き正義を貫く覚悟は、よ」
「貴君の覚悟、見せてもらう!」
 霧亥は野太刀を、ハヤトは鉄拳を構え、オブリビオンマシンへと斬り込んだ。

 その激突より、少し時間を戻す。
「我々の目標は、あくまでオブリビオンマシンであり、ウパーリ少佐ではありません。ですので、少佐には可能な限り生存した状態で身柄を確保するのが望ましいです」
 ネリッサ・ハーディ(クローク・アンド・ダガー・f03206)は、ブリーフィングでそうSIRDの団員たちへと呼びかけた。
 とは言え戦場の只中で足を止めるわけにも行かない。
 戦場を駆けるキャバリアの鋼鉄の手のひらの上が、彼女にとってのブリーフィングルームであった。
「できれば、このまま投降してくれるのがいいのですが……」
「いや、あそこまでテンパってるんじゃ、降伏勧告なんざするだけムダだ」
 ネリッサが言いかけた希望的観測を、首を振ってミハイル・グレヴィッチ(スェールイ・ヴォルク・f04316)が否定した。
 ネリッサが手のひらに収まっているのと同じキャバリアの肩の上にどっかと座り、愛用する旧東側製の機関銃『UKM-2000P』の動作を確認しながらの発言だ。
「決起した時の御高説は聞いたが、ありゃすっかり自分のやってるコトに酔ってる声だ。そういう手合いが素直に白旗振ると思うか?」
「俺も同感だ。奴がその程度で自説を翻すなら、そもそもこうはなっていない」
 霧亥がミハイルの言葉に同意した。
 戦場に転送された際は別行動だったが、彼は今、ハヤトの宇宙バイクの後席だ。
「……確かに。虫が良過ぎますね」
 一息つき、ネリッサは自らの言葉を撤回した。
 狂信者というものは、信仰のためならば死をも厭わない。
 末端の構成員を自爆テロに使うのはよくある戦術であるし、指導者自身も最後の一人が倒れるまで戦うということになりがちだ。ミハイルと霧亥はそれを指摘したのである。
「ですが、投降は無理でも、説得は無駄ではないと考えます」
 灯璃・ファルシュピーゲル(Jagd hund der bund・f02585)が、キャバリアのコクピットから発言した。怜悧な藍色の瞳は、その間もメインカメラや計器から目を離すことはない。
 機体の上に乗るネリッサやミハイルの状態にも気を配っている。
「機体撃破で我に返った量産型のパイロットを見る限り、敵はパイロットを完全には掌握できていないのだと考えます」
「なるほど、やっこさんの精神操作は完璧じゃないってわけだ」
 ハヤトの補足に、灯璃がコクピットの中で頷く。
「はい。ならウパーリ少佐の本来の人格を揺さぶるような言葉をかけ続ければ……」
「上と下の意志疎通が上手くいかなくなりゃ、隙もできる。後は、実力で捻じ伏せてコクピットから引きずり出しゃいいわけだ」
 灯璃の続けた言葉に、ミハイルがにやりと笑った。
 ネリッサには、その言葉は端的にこれからの指針を言い表していると感じられた。ならば、あとは補足を添えてやればいい。
「ミハイルさんの言う通りだと思います。それにここで殉教者を作ると、後々厄介です」
 宗教的なバックボーンを持つ組織では、教えを抱いたまま死んだ殉教者は、その死自体が偶像として崇められる性質を持つ。今の少佐と同じような思想の者たちが活気づいては騒乱の種となるし、それがオブリビオンマシンに目をつけられれば最悪だ。
 ならば、答えは自ずと見えてくる。
「彼自身に幕引きをしてもらうために、少佐を説得するところから始めましょう」
 こうして、SIRDの戦術の骨子が出来上がったのだ。

「くっ、速い……!」
 ガンダルヴァの斬艦刀で敵の一撃を払いながら、ウパーリ少佐は舌打ちした。
 歩兵による抜刀突撃など、本来であれば無謀の極み、とうに廃れた戦術だ。
 だが、目の前の『猟兵』たちは、その常識をやすやすと覆す。
「悪いがあんたの動きは見え見えでね」
 白銀のスーツを纏ったハヤトのガントレットは、斬艦刀の一撃が狙う「点」をずらし、火花を散らしながら斬撃を受け流す。
 バックステップで間合いを取ろうとするが、その動きを読むかのように逆手からフォースセイバーの一撃が伸び、装甲の一部が切り裂かれた。
「油断は死を招くと存分に思い知れ」
 ガンダルヴァの首を断ち切ろうと、すかさず霧亥の野太刀が居合で振るわれる。
 少佐は機体を即座に側転させて霧亥の正面へと向き直り、斬艦刀の刀身を盾にした。
 重い一撃が火花を散らし、あちこちの関節部から負荷の警報が鳴り響く。
「油断しているのは貴様だ! 悪魔め、潰れろっ!」
 野太刀をキャバリアの膂力で跳ね除け、そのまま斬艦刀の腹を霧亥へ叩きつける。跳躍していた霧亥にそれを避けられるはずはなかったのだが。
 倒せたと確信した瞬間、霧亥の身体は音もなくかき消えた。
「残像!?」
「濁った心眼で俺を捉える事は出来ない」
 ガンダルヴァのカメラアイを欺瞞する程の速度で発生した残像を、ウパーリ少佐は追っていたのだ。
 その戦闘の状況は、明らかに少佐の理解を、信念を揺らすものであった。
 その思いを吐き出すように、彼は叫んだ。
「何故だ! それだけの力がありながら、何故聖人の理想に共鳴しない!? 正しきを追い求めようとはしない!?」
「ふん、聖人の理想? 笑わせる」
 その吐き捨てるような声とともに、周囲の倉庫街から火線が伸びた。
 大部分はガンダルヴァの装甲で火花とともに弾かれるが、数発の弾丸が関節の装甲の隙間に入り込み、内部機械の幾ばくかを破壊した。
 ガンダルヴァの機体が震え、その動きにぎこちなさが交じる。
 その結果を、建物の狭間の暗がりから見つめながら、満足げにミハイルは口元を歪める。彼の持つ機関銃UKM-2000Pの銃口からは、硝煙がたなびいていた。
「手前のやってるこたぁ、正義という名のお題目にかこつけて、他者に無理矢理自分の考え押し付けてるだけじゃねぇか」
 移動しながら、彼は7.62mm弾と言葉の弾丸を少佐とガンダルヴァに浴びせ続ける。
 彼自身は、この国を憂えているつもりだろうが、そんな思想は彼の渡ってきた戦場に溢れていた。唯一無二の解放者と思う所まで、判を押したように同じだ……!
「そんなことはない……! 全ての者が祖法に帰依すれば、この国は救われる……!」
 ミハイルの銃弾と言葉に、ウパーリ少佐は怯んでいた。
 言葉は必死に否定し、機体は銃弾を払おうとするが、猟兵たちの言葉が脳裏に反響し、集中力が削がれていく。自分の言葉に疑問が浮かぶ。
 そして、それは猟兵たちにとって大きな隙だった。
 倉庫街にネリッサの声が響く。
「いいえ、彼らの言う通りですよ。信仰の強制は、不信仰を喚起するだけです」
 ガンダルヴァの眼前に、黄色の襤褸(ぼろ)を纏った人影が現れた。
 その輪郭は判然としないが、蒼白の仮面を被っていることだけは理解できた。
 刹那、少佐の心の綻びから『恐怖』が生まれた。
 それはウパーリ少佐の自制心によって飲み込まれるが、それで十分であった。
「The Unspeakable One,him Who is not to be Named……。王の襤褸がはためくところで、ヒュアデスのうたう歌が聞かれることもなく消え入るのは、朧なカルコサの地……」
 戯曲『黄衣の王』の一節とともに、人影の裾から無数の触手が伸びた。
「これは……邪神の触手か!」
 超自然の膂力をもって絡みついた神の手を、ウパーリ少佐は振り解こうとする。
 だが、関節が悲鳴を上げるばかりで、その手足は全く動かすことができない。
 自身の『恐怖』が、この触手を導いたのだとは、知る由もない。
 そして、自分がもはや棒立ちに等しいことを悟る余裕も失われていた。
「今です! 吶喊します!」
 気がつくと選抜射手小銃をセミオートで射撃しながら、灯璃のキャバリアが突っ込んできていた。ビットのターミナルである光背が射撃され、ビット数基が爆発四散する。
「卑怯な……くああああっ!?」
 メインカメラが閃光でホワイトアウトした。
 続いて、コクピットに響く衝撃。装甲にぶつかる金属製の何か。
 灯璃の乗ったキャバリアは、ただ突撃したのではなかった。
 彼女の作り出した爆薬が積み込まれた、自走爆弾と化していたのである。
 だが、ガンダルヴァの装甲は揺るがない。
 絡まっていたはずの触手もいつの間にか消失している。
 そしてその事実が、搭乗するウパーリ少佐に平静をもたらした。
「自爆まで行うとは。だが、これで万策尽きたか!」
「いいや、もう一撃残ってるぜ!」
 爆発に紛れて接近したハヤトが、白く輝く拳を振りかぶった。
 ガンダルヴァの脳天へ向けて振るわれる必殺の拳を、少佐は無理矢理振るった斬艦刀の柄で辛くも受け止めた。
「信ずるもののためなら、私は何度でも貴様らの狂拳を止めよう!」
「あんた、やるねえ……なんてなっ!」
 ハヤトは拳を素早く引き、斬艦刀の柄を蹴って後ろへと跳躍した。
 その意味をウパーリ少佐が悟るのは、一瞬遅かった。
「信じてると言いながら伝え続けなかったんですか、あなたは」
 その声とともに、空から降ってきた巨大な灰色狼の頭部が、斬艦刀を握る手首へ食らいついた。鋭い牙の間から、関節や動力パイプのひしゃげる音が聞こえ、火花が散る。
 それは、灯璃が操るユーベルコード、北欧神話の太陽を呑む巨狼、フェンリルの名を冠した【Gebruell Fenrir】の一撃。
 そう、キャバリアの自爆も、ハヤトの拳も、この布石だったのである。
「守るべき部下の命を奪って、それで神への確信の無さから逃げられましたか?」
 大顎に変異した手でガンダルヴァに食らいつきながら、灯璃は静かに続ける。
 彼女は思う。心から神を信じるならば、それを言語化する必要はない。
 事更にその名を言い立てるのは、その存在に、信仰に確信が持てないからだ。
 言わば壮大な八つ当たりであり、それは誰もが報われない。
 ……灯璃の問いにウパーリ少佐は答えなかった。
 その沈黙を肯定と捉えた灯璃は、その手に、顎に力を込めた。
「……地を揺るがす"牙"《Fenrir》よ――――喰らい尽くせッ!《du verschling!》」
 ついに手首が噛みちぎられた。
 手から離れた斬艦刀は、切っ先から道路に突き立つ。
 ウパーリ少佐とガンダルヴァは、それを省みることはなかった。
 手首から先を失った瞬間、光の翼を広げて後退したのである。
 灯璃は、その光跡を黙って見上げていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

西園寺・優臣
……大丈夫だ。
悪い夢はここで終わらせる。
躰を光熱に変換し、断罪の剣――物質的攻撃の影響を少なくする。

躰から迸る光熱を以てセラフィム・リッパ―を焼き焦がしていく。
躰が光熱で出来ている以上、その速度は光速であり、その速度で超高熱の集合体が接近していくのはそれだけで疲弊するだろう。

「……ここだな」
と、あえて敵のユーベルコードを食らい、斃れるも俺のユーベルコードの効果で精神力で復活し継戦、相手に光熱でダメージを与える。

その光景に、ウパーリ少佐の脳内にかつての自分の有り方が芽生えていき、『ガンダルヴァ』の支配から逃れていく――!




「祖法を以て祖国を、世界を救う。それは我らが共に見た夢、世界の悲願だ!
 ……貴様に邪魔立てはさせん、猟兵!」
 予備武装の斬艦刀を振りかざしながら、ウパーリ少佐が吠えた。
 先の交戦で損傷した手首も、前腕部ごと交換され、今は新品同様の状態だ。
 彼の乗機、ガンダルヴァのメインカメラに映し出されているのは、輝く手に光の剣を握った、西園寺・優臣(光熱集合生命体系ギャルゲ主人公・f23739)であった。
「ウパーリ少佐、あんたはそれを『夢』と言うんだな」
 自らが放つ灼熱の光とは裏腹に、優臣は穏やかにオブリビオンマシンへ言った。
 真っ直ぐに、敵機体の目(メインカメラ)を見据えている。
 少佐は、優臣の言葉に、我が意を得たりと頷いた。
「それを夢と言わずに何と言う! 全ての人類は救済を望んできたのだから! そして、私と同志たちがそれを叶える! 夢は夢でなくなるのだ!」
 陶酔の色がウパーリ少佐の声からにじむ。ガンダルヴァの拳が握られる。
 多くの兵士を熱狂させてきた演説だ。
 だが、その心の動きは優臣には無縁だった。
「いいや、それは悪い夢だ。救済のかたちなんて人それぞれなんだから!」
 優臣の纏う輝きが強く、大きくなった。
 手にした光熱の剣と、手足の末端だけであった光熱化が全身を包み込んでいく。
 それはつま先から、髪の一本に至るまで。
 今や人型の光、地上の太陽と化した優臣は、自らと同じもので構成された剣をウパーリ少佐とガンダルヴァへと突きつけた。
 切っ先から陽炎が立ちのぼる。
「……大丈夫だ。あんたの悪い夢はここで終わらせる」
 更に光量を増した優臣が、悪しきオブリビオンマシンへと跳躍した。

「この私の夢を、あしきゆめと言うのなら……それを自らの手で証明するがいい!」
 叫びながら、ウパーリ少佐は出力最大で機体を突撃させた。
 優臣の全身に負けぬ光量を翼から放ち、幾度も時空間歪曲させながら、稲妻のような軌跡を描いて優臣へと迫った。
 下段に構えた斬艦刀を握り直し、青い軌跡とともに振り抜く。
 だが、優臣はその斬撃の軌跡へと一直線に飛び込んだ。
「今、俺の身体は光熱だ……つまり、その速度は光速なんだ!」
 彼の背後で斬艦刀が振り下ろされる。
 その視線の先には、無防備となったガンダルヴァの胴体……斬艦刀が振り下ろされるよりも早く、その光は敵の懐へと飛び込んでいた。
「ぐあああああっ!」
 機体を揺さぶる衝撃に、ウパーリ少佐は叫んだ。
 優臣の一撃が、体格で遥かに上回り、亜空間歪曲による加速を繰り返していたはずのガンダルヴァの機体を吹き飛ばしたのである。
 だが、それだけでは終わらない。
 攻撃を受けて弧を描き空を舞うガンダルヴァの軌跡の先へ先回りし、もう一撃。
 光の柱を思わせる光槍が、ガンダルヴァの機体を舗装材の破片へとめり込ませた。
「くっ、損傷レベル増大……何だと?」
 攻撃を受けながらも機体の損傷を確認していたウパーリ少佐は、サブカメラのひとつに映し出されていた装甲を見て、うめいた。
 それは、耐熱にも高い性能を示すはずの複合装甲が、飴細工のように溶け崩れた姿であった。このような状況を起こす現象は、ひとつしか思い浮かばない。
「あの少年の光熱が、装甲を融解させているのか……!」
 そして、この状況で戦闘が続けば、それは致命的レベルに達することを悟る。
 多少無理をしてでも、奴は滅ぼさねば……!
 止めを刺そうと、まっすぐに突っ込んでいく優臣。
 その速度は、光速という自称もあながち嘘ではあるまい。
「だが、軌道が分かっていれば対処もできるっ!」
 ウパーリ少佐は、彼の動きを目で追うことなく、倒れたまま斬艦刀を振るった。
 オブリビオンマシンのユーベルコードが乗った一撃は、角度のみを調整した全速の一撃である。
 そう、避けられぬ一撃であれば、それを全力で振るえばいい。
 その機転は奏効し、斬艦刀は光熱の少年を切り裂いた……!
(祖法の敵を一人斬ることができた……!)
 理想世界への道を一歩進んだと、内心喜ぶウパーリ少佐。
 だが、その喜びは眼前で輝いた光によって、儚く消える。
「馬鹿な、この輝きは……!」
 斬ったはずの優臣が輝いていた。その姿は、斬られる前と変わっていない。
 いや、それどころか輝きは増している……!
「蘇れ、天地宇宙を光で照らす我が希望よ。再生せよ、秩序混沌を焔で浄滅する我が赫怒よ。暁は誰かの涙を拭うべく再臨するのだから……!」
 太陽風を思わせる衝撃が、再びガンダルヴァを地へと縫い止めた。
 これこそ優臣のユーベルコード【再なる生を以て黄泉返れ不滅不朽の暁光】。
 戦闘不能をもって発動するこの力は、彼の精神力をもって自らを再生させ、更なる光熱を引き出すことが可能となる。
 この力をもって、彼はもはや太陽そのもののように輝いていた。
 そして、彼の再生は誰かの笑顔を守るための誓約でもある。
 それは、オブリビオンマシンに操られるウパーリ少佐すら例外ではない。
「私は、祖法をもって衆生を救う……いや、違う。私は対話をもって人々を繋ぐ……なんだ、これは! この『違う』私はなんだ! いや、どちらが私だ……!」
 額に手を当て、苦しむウパーリ少佐。
 そう、光は束の間『その者の本来の在り方』を映し出す。
 喚起された彼本来の在り方は、ガンダルヴァにより刷り込まれた在り方と衝突し……その動きは、確実に鈍っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

御魂・神治
※前回に引き続き武神武装状態で参戦

正気に戻った所で狂っていた時に起こした惨劇は清算されへんけど
この事件終わったらアンタは退役して、残りの人生は咎人として懺悔し続ける事や
それしかアンタが報われる道はあらへんわ
まぁ、軍事裁判の結果次第かもしれんけどな

誘導弾の範囲攻撃、爆龍符の爆撃で牽制
UCで形成した超大型二丁神器銃を形成
相手のUCが当るタイミングで攻撃し、
相手の攻撃を相殺しつつ反撃
攻撃の予測や弾道計算は天将に任せて攻撃回避
相手がヘタレてきたタイミングで破魔の銃弾を撃ち込む

散々やりあってもコックピットは狙わんからな、優しいやろ?


ティオレンシア・シーディア
…あー、やっぱりやらかしてたかぁ…

作麼生!
「悪人正機」とは何ぞや!
御仏の大悲に縋り輪廻の苦より脱する、故に「成仏」。そして信心とは姿形に非ず、己が心の内より出づるもの。
…だからこそあなたは、自らの思想を押し付けることを厭ったのではないかしらぁ?

引き続き傾斜装甲の◯オーラ防御を維持、ラグ(水)とイサ(氷)で◯火炎耐性を追加。プラズマってすごく不安定な状態だもの、チャフやスモーク撒けばかなり減衰できるはず。
●蕭殺で刻むのは准邸観音印・不動明王印にカノ。「人間道の救済」の権能に破邪顕正の「炎」を併せて干渉を断つわぁ。さらにカノには「叡智」の側面もあるの。味方への〇援護射撃としてはうってつけでしょぉ?




 プラント中枢部近くには、生成された物資を収納する倉庫街が発達している。
 ウパーリ少佐ら過激派が、部隊内で信仰が薄いとされたり、異なる信仰を持つ者らを処刑し、見せしめとして晒し者にしたのが、中枢部から市街地を繋ぐ倉庫街の大通りであった。
 この地で働く者の多くが通る場所で、彼らの処刑を喧伝したのである。
「……あー、やっぱりやらかしてたかぁ……」
 その無残な遺体の群れを見て、ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は深くため息をついた。
 宗教に限らず、狂信的な組織は絶対的に『敵』を必要とする。
 組織そのものにその傾向がないとは言えないが、こうした組織は教義そのものの攻撃性が強いため、それが如実に現れるのだ。
 人生を歩む中で、そういう事例に多く遭遇したため、些か食傷気味であった。
「こういう連中、大体外敵では満足できひんしな。せやから内ゲバに走って、身内の『敵』を吊るしあげなあかん。業腹な話やけど」
 ティオレンシアの宇宙バイク『ミッドナイトレース』に並走する、女性的フォルムの大型強化外骨格『武神』を駆る御魂・神治(除霊(物理)・f28925)が、やはりため息をつきながら同意した。
『神治も随分敵を作っていますからね。例えば以前遭遇した……』
「けったくそ悪い思い出を掘り起こすな!」
 神治の傍らに浮いた、半透明の小さな女性――サポートAIの『天将』が、記憶の底にしまい込んでいた思い出を発掘しようとするのを、慌てて阻止する。
 仕事はするが、天将の言動は本当にAIかと疑うレベルで辛辣である。
 ティオレンシアは、軽い調子の神治たちをちらりと見た。
 その表情には、ほんの僅かだけ笑みの気配が漏れている。
「夫婦漫才も結構だけどぉ……」
「誰が夫婦や、誰が!?」
「もう敵さん、来てるわよぉ?」
 ティオレンシアの言葉に、慌てて神治は武神の身を翻す。
 一瞬前までの彼の位置を、青白く輝くプラズマビームが通り過ぎていった。

「外したか。ふざけたなりでも猟兵か、なかなかやる」
 ウパーリ少佐は、オブリビオンマシン『ガンダルヴァ』の光の翼を前方に向け、舌打ちをした。先のプラズマビームが放たれたのは、この光の翼からである。
「まあいい。ならば接近戦で叩く!」
 彼は即座に斬艦刀を握り、猟兵の許へと飛び出した。
 時空間歪曲による跳躍を繰り返しながら、敵の追従できぬ超機動で切り裂く。
 それがウパーリ少佐の近接戦闘における戦闘機動の基本にして真髄。
 物理的にありえない軌道を描くことで、敵の迎撃予測を困難にし、同時に隙を誘発するのだ。
「まずは、ひとつ!」
 目についた女性型キャバリア、武神を脳天から唐竹割りにせんと、上段から大質量の斬艦刀を振り下ろす。
 敵は無手、戦闘機動も直線的でその動きは読み切っている。
 必殺の一撃となるはずだった。
「悪いけど、それは当たってやれんなあ!」
 機体中央に収まっている神治が、無数の黒い符『爆龍符』を放った。
 神樹「鐵小杉」を薄く削り加工した特別製の符は、真っ直ぐガンダルヴァへと飛び、着弾と同時に無数の爆発を起こす。
「まさか、パイロットの直接攻撃とは……!」
 機体が大きく揺らぎ、ガンダルヴァは弾かれたように武神から距離を取る。
 思えば、先もキャバリアを自爆させ、パイロットによる攻撃を受けたところだ。
 似たような奇策を二度も受けるなど、普段のウパーリ少佐にはあるまじきことだ。
(動揺しているのか、この私が……?)
 ウパーリ少佐によぎる思いは、まさに正鵠を得ていた。
 猟兵たちが幾度となく彼の心に訴えかけてきたことは、彼自身が知らぬ間に、彼の本来の心を揺り動かし、ガンダルヴァが施した精神支配にほころびを生じさせていたのだ。
 そして、ティオレンシアと神治も、その手を緩める気などなかった。
「作麼生(そもさん)!「悪人正機」とは何ぞや!」
 ティオレンシアが、甘くよく通る声でウパーリ少佐へと問いかけた。
 禅問答における問いかけの形式である。
 これに対し、回答者は「説破」と言ってから問答に答える。
 だが、ウパーリ少佐はそれに答えることができない。
(悪人……正機、だと? 悪は断たねばならぬ……だが、それでいいのか? 天は、本当に我らが立たねば悪を識らぬままなのか?)
 彼の心のうちに、何故、何故、何故、と疑問が渦巻く。
 それは、己の立ち位置をも揺らがす疑問だ。
 言葉の出ないウパーリ少佐に代わり、神治が口を挟んだ。
「悪人正機って……あれやろ? 『悪人なお往生す、いかにいはんや善人をや』」
「然り。御仏の大悲に縋り輪廻の苦より脱する、故に「成仏」」
 御仏は衆生を輪廻から解脱させ、苦しみから救う。しかし、いかに小さな悪でも見逃さぬ御仏の視点から見れば、全ての衆生は「悪人」である。
 善を為し、自ら救われようにも、衆生には御仏の視座を持つことはできず、善行が悪に転じることもあるため、却って救いの道から遠ざかってしまう。
 それは驕慢である。
 故に、救われるためには、衆生一人一人が「悪人」であると、自力では真の善を成し得ないと自覚せねばならない。
 その時こそ、御仏の願いたる「本願」に縋ることで、成仏することができるのだ。
「私の行動が驕慢だと言うのか……? 天に背く行為であると……」
「そして信心とは姿形に非ず、己が心の内より出づるもの……だからこそあなたは、自らの思想を押し付けることを厭ったのではないかしらぁ?」
 ティオレンシアは、優しく諭すように語る。
 衆生は、人は真の善を知覚できないから、何が信心かも、また知覚できない。
 ウパーリ少佐にとって、聖人の法こそ本願に相当するものだが、部下によっては別の信心を、本願を持つ者もいたのだ。
 それを否定することも、また驕慢である。
 ウパーリ少佐には、それが理解できた。理解できていた。
「私は……私は……」
「正気に戻った所で狂っていた時に起こした惨劇は清算されへんけど、この事件終わったらアンタは退役して、残りの人生は咎人として懺悔し続ける事や。
 それしかアンタが報われる道はあらへんわ。それも悪人正機とちゃうか?」
 神治もまた、少佐へ言葉を向ける。
(軍事裁判の結果次第では、その機会もないのでは?)
(まぁ、それでも発心することはできるやろ)
 天将の小声のツッコミをいなし、相手がどう出てもいいように構えつつも。
 彼はそう願いたかった。

「私は……わたしは、ワタシは」
 突如、ウパーリ少佐の声から感情が消えた。
 ティオレンシアと神治に緊張が走る。ティオレンシアはゴールドシーンを、神治は無手のまま、ウパーリ少佐の乗るガンダルヴァを見据える。
 機体から、用意された原稿を読み上げる機械音声のような一本調子の声が響いた。
「私は、祖法をもって世を救う。猟兵の邪魔は拒否する」
「オブリビオンマシンがちょっかいかけよったな!」
 神治の吐き捨てるような声と同時に、ガンダルヴァの背中の光の翼から、無数の青い閃光が降り注いだ。戦闘開始時に遠距離射撃を行ったプラズマビーム砲である。
「なら、壊してでも止めるわよぉ」
 ティオレンシアの乗機、ミッドナイトレースが唸りを上げ、プラズマビームを乱射するガンダルヴァへと疾走した。無数の火線が、その車体へと殺到する。
 だが、手にした金属ペンが2文字のルーンを描き、車体からスモーク弾やチャフ弾が射出されると、それらは車体に届くことなく霧散する。
「プラズマビームのプラズマ状態、維持できず」
 自然界では雷などの形で観測されるプラズマは、その存在そのものが極めて不安定だ。電気を消せばネオンサインも消えてしまうのは、まさにこの現象を利用しているのだ。
 ティオレンシアは、チャフやスモークによる撹乱を行ってエネルギーを減衰させ、更にミッドナイトレース自身の傾斜装甲に、ラグとイサという水と氷のルーンを展開することで、プラズマビームをしのいでのけたのである。
 更にティオレンシアの細い指が次々とマントラの印を結んでいく。
 人間道を救済する准胝観音に、破邪顕正の権能を持つ不動明王。
 そしてもう一つ、情熱や炎の他に、叡智の側面を持つカノのルーン。
「これで時間はあたしの味方!」
 真言とルーンの複合魔術が、浄化の炎を巻き起こした。
 炎は邪悪なるオブリビオンマシンを包み込み、その装甲や駆動系へと入り込む。
「機体表面温度、急速上昇。装甲及び反応速度、低下」
 ウパーリ少佐の口を借りたオブリビオンマシンの声に焦りはない。
 だが、状況の不利は悟っていた。戦域を離脱しようと光の翼を展開しようとする。
「姐さんの攻撃でヘタレおったか! ならもう一撃や!
 神さんからの十八番や、手加減はせえへんで!」
 神治の搭乗する武神、その両手に一丁ずつ拳銃が現れた。
 ユーベルコードによって想像された神器銃、【八百万銃『付喪』】である。
 薬室に必殺の銃弾が装填され、破魔の意志を具現化すべく、放たれる……!
 巨大な轟音。同時発射された銃弾の轟音が、繋がって聞こえているのだ。
 飛来する銃弾は、狙いを違えることなく両肩と胴の接続部を撃ち抜いた。
「両マニピュレーター破損。戦闘使用不可能。撤退し、パイロットのデフラグと機体修復を図る」
 両腕の機能を失ったオブリビオンマシンは、姿勢制御もままならないまま、光の翼で飛行し、ほうほうの体で退却する。
「逃げられたわねぇ……もう少しだったのねぇ」
「まあ、しゃあないやろ。後は他の猟兵に任せるしかあらへん」
 ティオレンシアと神治は、敵のいなくなった戦場から背を向けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミホ・ペルウィーシュ
※アドリブ絡み大歓迎
※優しさ故に泣いて説得

あなたの信じる、尊き方は、偉大な先人は…
「隣人を須く殺める凶行」を理想と説くのですか?

違う筈です…(ぽろ、ぽろ)

あなたの様に隣人を受け容れ、良き世へ共に歩む
ソレを願い、祈り続けた筈です!
率先して嘆きを齎した訳ではないでしょう…?

…悪魔が善を説くか、とお怒りですね
でも、魔が魔を喰らう異常事態の前には…
ソレ位の奇跡、いいでしょう?

はい、その機体もまた「人を惑わす」魔です
だからあなたは、絶対に助けますね…
でも機体は、喰らい裂きます!

【絶刃を虚の涯に求めて】気絶寸前まで封印開放
血を吐き狂う程の甚振りを必死で堪えつつ
敵機上半身を悍ましき真紅の光で横薙ぎしますっ!




「デフラグ完了、パイロット精神行動を再起動……私は、何を」
 オブリビオンマシン『ガンダルヴァ』のコクピットシートから、ウパーリ少佐は上体を起こした。機械的な声が一気に感情の色で染まる。
 ウパーリ少佐は、先に何をしていたのか思い起こそうとした。
「随分記憶が曖昧だ。猟兵どもと戦闘を行っていたのは確かなのだが……」
 額に手を当て、記憶を呼び起こそうとする。
 戦闘の果てに、両方のマニピュレーターを破壊されたのは覚えているが、そう至るまでの記憶の細部が、あまりに朧げではっきりしない。記憶が虫に食われているような気すらもする。
「だが、確かなことが一つだけある」
 ウパーリ少佐が額から手を離し、顔を上げる。
 その瞳からは迷いは消えていた。
「猟兵を倒さねば、祖法をもって国を、世界を救うことはできない」
 ガンダルヴァの嗤いに、ウパーリ少佐が気づくことはなかった。

「邪魔をするな、猟兵! 私の理想の前に立ち塞がるなら機体ごと倒す!」
 ガンダルヴァは、光背から無数のビットを解き放った。螺旋を描いて機体の背後に広がったビットは、その前に立ち塞がる黒いキャバリアへと殺到する。
「あなたはっ……! あなたの信じる尊き方は、偉大な先人は……!」
 黒いキャバリア、オブリビオンマシン『バル・ゴルカ』のコクピットから、ミホ・ペルウィーシュ(凶鳥に魅入られし虚刃の魔女・f29987)は細い声の限りに叫んだ。
 翼から赤い粒子を発しながら、レーザーの雨をくぐり抜けていく。
「『隣人を須く殺める凶行』を、それを理想と説くのですか?」
「必要があれば、そうしなければならないのだ!」
 ウパーリ少佐も叫びながら、光の翼を広げて機体を制御しながら、ビットの射撃でレーザーの檻を形作る。両腕を失ったキャバリアは重心バランスが崩れているため、極めて難しい戦闘機動ではあるが、ウパーリ少佐ほどの技量があれば不可能ではない。
 だが、そうしながらも彼の心の奥には、ざわつくものがある。記憶を操作され、揺れた事実すらなかったことにされた心が、再び揺らされる。
 それを誤魔化すために戦い、叫んだ彼が、突然沈黙した。
 理由は、黒いキャバリアがレーザーの檻を吹き飛ばしたこと。
 そして、通信回線から聞こえる、その力に見合わぬすすり泣きの声であった。
「違う筈です……」
 ミホは、涙を流していた。
「あなたの信じる尊き方は、あなたの様に隣人を受け容れ、良き世へ共に歩むソレを願い、祈り続けた筈です! 率先して嘆きを齎(もたら)した訳ではないでしょう…?」
 ウパーリ少佐にもその涙の意味は分かった。
「貴様、私を私を哀れんで……いや、案じているというのか?」
 相対する敵を助けたいと思う心。優しき心。
 思えば、信ずる聖人は、その心をもって人々を教化したのではなかったのか。
 少佐本来の心と、それを封じる『ガンダルヴァ』の記憶操作がぶつかり合い、ビットの制御が乱れ、待機状態となったビットが光背へと戻っていく。
 心の軋みとオブリビオンマシンの怒りが、怒号となってミホに放たれる。
「笑止! 悪魔が聖人を……善を語るか!」
 だが、その言葉にミホは揺るがない。
 たとえ自らの機体によって、鎖で四肢を拘束されたコクピットの中でも。
「でも、魔が魔を喰らう異常事態の前には……ソレ位の奇跡、いいでしょう?」
「魔、だと……?」
 訝しげにうめくウパーリ少佐の眼前で、ルカははっきりと言った。
「はい、その機体もまた『人を惑わす』魔です。
 だからあなたは、絶対に助けますね……ルカ!」
 ミホが乗機を愛称で呼びかけると同時に、黒いキャバリアは片刃の剣を抜き放ち、その深い闇色の刃を構えた。

 普段はルカと呼ばれている、オブリビオンマシン『バル・ゴルカ』。
 その白兵戦用装備『トレウスの虚刃』の片刃に、枝を張るかのように刻まれた魔術刻印、『アンノウン・ブレイカー』が光を放つ。
 重力衝撃波を操ることでビットのレーザーを吹き飛ばしたのも、この力だ。
 だが、その真の力は全く異なる。
 それは、未知なる邪神の力を喚ぶ虚刃の力を封じることにあった。
 そして、ミホはその封印に手を掛けていたのだ。
「魔女の願いにて燃え盛れ、凶の翼持つ炎の瞳よ」
 アンノウン・ブレイカー、第一封印解除。
 トレウスの虚刃に走る魔術刻印の末端が光を失い、赤いオーラが立ち昇ると黒刃へ絡みつき始める。
「過去も未来も亡き『未知の虚無』を以て……」
 アンノウン・ブレイカー第二封印解除。
 枝葉のように伸びていた魔術刻印の主要な『枝』の部分から光が退き、封印の効果が減退することで更なるオーラが立ち昇り、炎の如く燃え盛った。
「……汝の欲する贄を喰らい裂け!」
 アンノウン・ブレイカー第三封印解除。
 ついに魔術刻印の『幹』の部分も光の殆どを失った。
 オーラは炎からプラズマ、そして禍々しい赤光そのものへと変わる。
 赤光は剣を伝ってルカのコクピットへと入り、鎖を通じてミホの身体を蝕んだ。
 ルカ自身の欲望が、彼女の細い肢体に赤光を流し込み、その度にその身体は痙攣するかのようにがくがくと震え、口の端からは一筋の血が流れる。
「んぁぁっ、あくっ! でも……!」
 ルカの瞳が輝くと、手にしたトレウスの虚刃を高々と掲げた。
 邪神の力を享けて出力を高めた赤光が赤い柱となり、天を染めていく。
 ガンダルヴァのマニ車機関が、それを恐れるかのように異音を上げる。
 気を抜けば狂いそうなルカの甚振りの中、ミホはその一撃を解き放った。
「機体は、喰らい裂きます!」
 振り下ろされた、赤く輝く虚刃を受け止める手段は、もはやガンダルヴァには残されていなかった。最初に赤光に晒された頭部が蒸発し、上半身もすぐにその後を追う。
 視界の全てを覆う赤光が晴れた時、上半身を失い、コクピットを露出させられたキャバリアが膝をつき、その場に倒れ込んだ。
 不思議なことに、上半身がほぼ全て消滅するだけの熱量に晒されながら、そのコクピットは全くの無傷であり、透明なキャノピーの向こうには、気を失ったウパーリ少佐が計器に顔を埋めて倒れているのが見えた。
(ウパーリ少佐が、この後どうなるかはボクには分かりませんけど)
 彼に咎を悔やみ、償う機会が与えられることを、ミホは祈った。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年11月11日


挿絵イラスト