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今年の流行は味噌で決まりっ!

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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●おーぷにんぐだよっ!
 チャーラッチャーチャー♪
 自作なのだろうか、なんとも言い難いメロディでその配信はスタートした。
 画面内に映るのは機関車頭の怪人だ。
「やあみんな、機関車やり込みチャンネルの時間だぞ。今回推していく内容はこれだ!」
 デン!と取り出されたるは味噌。しかも赤味噌。さらに樽ごと。
 その迫力に「8888」といった拍手やら「おおー」やら色んなコメントが流れる。
 『機関車やり込みチャンネル』とかそのまんま過ぎませんかね?とか、その味噌どこから出したの!?いうツッコミをするものは配信を視聴している中にはいないようだった。
「そう、味噌!といっても私はここに新しい味噌の使い方を提唱したい!」
 チャンネルに流れるコメントが騒然となる。
 そりゃあそうだろう、味噌と言ったらせいぜい味噌汁や味噌漬けに使われるものがほとんどだ。あ、味噌煮込みうどんも美味しいよね。
 というのはさておいて、怪人の次の言葉に期待する視聴者たち。
「その使い方とはこれだ!」
 再びデン!と取り出されたのは──果物だった。リンゴ、イチゴ、メロンにバナナ。多種多様な果物が一口サイズに切られた状態で登場している。
 そして一口サイズの果物を一つ串に刺すと、そのまま樽の赤味噌の中へイン。正気かこいつ。
 しかも怪人は躊躇いなく赤味噌まみれになった果物を食べましたよ、むっちゃ美味しそうに。
「名付けて直付けミソフォンデュ!この味噌と果物のマッチがたまらないのだ。もうすぐチョコをあげるというものもいるだろうが、サプライズにも使えるぞ。色が似ているからな!」
 さすがに無いだろ……と思うのだが意外とコメントは好評そうだ。
 そんなこんなで直付けミソフォンデュとかいう地雷臭しかしない食べ物がじわじわと勧められていくのだった。

●味噌はおいしいけど使い方は考えよう!
「と、いうわけなのです。キマイラフューチャーで徐々に視聴者を獲得しているこの怪人さんをどうにかしたいのです」
 これ絶対不味そうだなぁ、という顔をしながらフルール・トゥインクル(導きの翠・f06876)は猟兵達に見せていた配信(外部録画していたらしい)を閉じた。
 猟兵達の反応も芳しくない。まぁそりゃ明らかに不味そうだもんね。
「このままですとこの直付けミソフォンデュとかいうとんでも料理が広まってしまいますし、百歩譲って!百歩譲って!美味しいとしても赤味噌は塩分が多いのであんなペースで食べていたら体調崩してしまうのですよ」
 大事なことなので二回言いました。もしかしたら味噌と果物の奇跡のコラボはあり得るかもしれない。が、今はこのとんでも料理が広まるのを止めるのが先決だ。
「ここまで味噌を推してくる怪人なのです、せっかくですのでこれを逆手にとって利用しちゃうのですよ」
 すっとフルールは小型のビデオカメラを取り出した。
 これで味噌料理で対抗した動画や放送をしようというつもりらしい。
「推してる分野で負けたら怒って怪人も乗り込んでくると思うのですよ。会場も抑えてありますのでお任せくださいなのです」
 本当に美味しい味噌料理をキマイラの皆さんに教えてあげるのですっ!とフルールは息巻きながら猟兵達を撮影会場へ送り出したのだった。


心音マリ
 こんにちはこんばんは、心音マリでございます。
 味噌カツや味噌田楽がとても好きです。赤味噌多めの合わせ味噌の味噌汁が大好きです。
 今回は1作目ぶりのギャグシナリオです、戦闘も含めて始終ギャグの予定でございます。ご了承くださいませ。

 冒険パートですが、怪人よりも美味しそうな味噌料理や食べすぎは良くないなど、味噌激推しの怪人の配信に影響を与える、もしくは人気を奪い取るような内容をお勧めいたします。

 余談ですが味噌フォンデュは実際に料理として存在するようです。ですが、オープニングのように味噌に直でつけるようなものではありませんので、もし興味がある際はレシピを調べてから作ることをお勧めしたいです。

 それでは、皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『ソーシャルネットワーカー』

POW   :    キマイラ達が喜びそうな配信をして、人気をゲットしよう

SPD   :    とにかくたくさん活動して知名度で怪人に勝つぞ!

WIZ   :    人気配信の人気の秘訣を冷静に分析して、怪人のブームを乗っ取ってしまおう

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鈴木・志乃
【猟兵配信番外~最高級の牛肉を西京焼きにしてみた】

どーも皆さん、配信者のブラックです
怪人に対するストレスが溜まったので、料理作って発散することにしました
でね、私お金はたいてめっちゃ良い肉買ってきたの
見て下さいこれ。サシすーごい入ってますよ!?
野菜も瑞瑞しいでしょ~

んじゃ調理していきますかー
西京みそにみりんと酒を加えて味噌床を作ったら
切り込みを入れた肉を漬け込みます
包丁の背で肉を叩くとやわらかくなるよ!
しばらく経ったら引き揚げる

焼くぞー!
クッキングシート敷いて焦がさないようにしておくね
たったこれだけ、簡単クッキング
付け合わせの野菜にはバルサミコソースを合わせました
ご飯と一緒にいただきまーす!



●配信開始!
 配信画面に軽快なBGMをバックに慣れ切った様子の鈴木・志乃(ブラック・f12101)の姿が映る。
 彼女の背後には簡易な調理台と冷蔵庫、一目で料理内容の配信とわかる。
 ちなみに配信画面の上部には【猟兵配信番外~最高級の牛肉を西京焼きにしてみた】というタイトルが表示されていた。
 タイトルの猟兵というだけでもキマイラ達には目を引く単語であり、さらには志乃は『ブラック』という名で元々配信している。配信を開始した時点でみるみる視聴者数が伸びる伸びる。公式生かなこれ?という勢いだ。
「どーも皆さん、配信者のブラックです。怪人に対するストレスが溜まったので、料理作って発散することにしました」
 なんか理由酷くない?料理作りに至る理由が酷くない?怪人が見てたらしょんぼりしそうな理由だった。
 その時、笑ったり拍手や期待するコメントの中に毛色の違うコメントが流れた!明らかにしょんぼりした顔文字が通過する!見てる、怪人見てるよ!しかも凹んでるよ!
「でね、私お金はたいてめっちゃ良い肉買ってきたの」
 コメントをチラ見するも志乃はこれをスルー。反応する理由も意味もないしね!
「見て下さいこれ。サシすーごい入ってますよ!?野菜も瑞瑞しいでしょ~」
 言いながら見せるお肉は知識がなくても見てわかるほど高級そうなそれ。綺麗にサシが入り、そのまま焼いて食べるだけでも美味しそうだ。コメント、大歓声。
 一緒に置かれた野菜も新鮮そうだ。お肉だけでないのがポイント高い。
 ひとしきりコメントが落ち着いたタイミングを見計らって志乃は料理を開始する。

 まずは味噌。お肉のインパクトで忘れがちだけど一応味噌料理で対抗しようって話だったからね、今初めて出た気がするけど。
 西京みそにみりんと酒を加えて味噌床を作り、あらかじめ切り込みを入れておいた美味しそうな!美味しそうな!高級肉を漬け込む。
「包丁の背で肉を叩くとやわらかくなるよ!」
 ただ料理するだけでなくワンポイントを伝えることも忘れない。
「よし、そろそろいいかな。焼くぞー!」
 しばらく漬けたお肉を引き上げ宣言するだけで盛り上がるコメント、歓声で埋まる配信画面。
 焦がさないように対策をしたフライパンで綺麗に焼き上げるとあらかじめ準備しておいた野菜の乗ったお皿の上へ。いやー、これは絶対美味しいに違いない。画面越しなのに匂いも漂ってきそうだ。
 コメントも『美味しそー』やら『飯テロだ!』などで大いに盛り上がっている。
 トドメとばかりに白米を用意して、いざ実食タイム。
 美味しいと笑顔を見せる志乃、『俺も作ってくる!』などとさらに盛り上がるコメント。
 おや?『肉がいい肉なんだから美味しいに決まってるだろ!』そんなコメントが流れたが……多数の他のコメントに埋もれてすぐに流れていったとか、いかなかったとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ライヴァルト・ナトゥア
【WIZ】、料理、アート技能を使用

赤味噌を直付けとか、それは料理に対する冒涜だろ!
チーズフォンデュやチョコフォンデュと比べるのもおこがましい。そもそも、直付けはフォンデュでは、ない!フランス語で溶けるという意味の言葉から派生した言葉だ!
(ひとまず吐き出して、肝心の強みはインパクトであろうと思い至る)
魅せてやる。料理っていうのがどういうものなのかを
(イベント会場で色こんにゃくを岩や人、モンスターの形に飾り切りにして、それを使って味噌田楽を仕立ててゆく)
さぁ、ただのインパクトだけではない料理の美しさを見るがいい!
(完成したのは味噌田楽で作られたジオラマ。『食べられるジオラマ』であった。試食は皆で!



●おこだよっ!
 ライヴァルト・ナトゥア(巫女の護人・f00051)は震えていた。はて、この会場はそんなに寒かったか。
「赤味噌を直付けとか、それは料理に対する冒涜だろ!」
 カッと目を見開きライヴァルトは叫ぶ。
 あ、これ寒さではないですね。単純な怒りで震えてましたねこれ。
 会場の設営を手伝ってくれたスタッフのキマイラが『これはチャーンス』とばかりにカメラを向けている。ナイスプレイ。
「チーズフォンデュやチョコフォンデュと比べるのもおこがましい。そもそも、直付けはフォンデュでは、ない!フランス語で溶けるという意味の言葉から派生した言葉だ!」
 キレッキレのお言葉と正論、ありがとうございます。あまりのかっこよさに会場のスタッフから拍手が沸き起こりましたよ。同時に始まった配信画面でも湧き起こる拍手コメント。
 だが、言葉だけでは怪人の謎料理を気に入ってしまったキマイラの心を奪うのは難しい。だからこそライヴァルトは会場に用意された食材の中からこんにゃくを選び、包丁を手に取った。
「魅せてやる。料理っていうのがどういうものなのかを」
 言葉と共にカメラはライヴァルトの手元へズームイン。彼は器用な手つきでこんにゃくを切っていく。いや、違う、ただ切っているだけではない!今、彼の手元では芸術作品が生まれようとしていた。
 ライヴァルトが選んだこんにゃくはただのこんにゃくではない、色付きこんにゃくだ!その色をうまく使い、まな板の上にはこんにゃく製の岩や草、人(いろんなタイプのキマイラ型だ!)にモンスター(これは怪人を模したのか機関車頭が精密に再現されている)までが生み出されていく。
 コメントは……超大盛り上がりだ!一つ一つが完成していくたびに配信画面をコメントが埋め尽くす勢いだ!
 だが、こんにゃくでアートなだけではない。もちろん主軸は味噌料理。形を成したこんにゃく達をお湯に入れて茹でるとお皿の上へ。
「さぁ、ただのインパクトだけではない料理の美しさを見るがいい!」
 最後に味噌ダレをそれぞれの頭にアクセントのように塗ると、そこに現れたのは料理と芸術の融合であった。『コメントのせいで画面が見えない!』『もっとよく見せてカメラ寄って!』『えっ、これ俺?機関車まで綿密ですげー!!!』視聴者のテンションも最高潮!……ん?今、変なコメントが流れたような……気のせいだな!
 ともあれライヴァルトの味噌田楽で作られた食べられるジオラマは大いに受け、調理部分を個別で動画化希望!と叫ばれるほどだったとか。

 作られたジオラマはスタッフと会場にいた猟兵達で美味しくいただきました!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベルベナ・ラウンドディー
●WIZ
機関車怪人さんリスペクトという建前の動画で人気を奪います
どうせ適当にやっても猟兵ブランドでウケますよ
相手は味噌フォンデュで美味しいとか言っちゃう味覚の連中ばっかだし
負けフラグ?ナニソレ知りません



と、いうわけでやってみましたー
フルーツじゃなくマタタビとかミントの葉とか色々試しちゃったんですー
見てくださいこのイチゴパスタ
味噌をかけた途端に生前のように元気に空を飛び始めました(念動力で操作)
ここを空の果てか艦の中かだと勘違いしているのでしょう
思えば…思えば…

…(プツン)


よっくもあの時苦戦させてくれたなこのやろおおお!!(ユーベルコード発動)
ぶった切って串刺しにしてギタギタにしてくれらぁ!



●怪人さん、マジぱねーっす!
 この日、一本の動画が投稿された。タイトルは【味噌好き怪人がすごいので猟兵が真似してみた】いわゆるリスペクト動画のような位置づけだ。
 動画に映るのは緑の瞳に左右で色の異なる髪色が特徴的な竜頭、ベルベナ・ラウンドディー(ドラゴニアンのバイク乗り・f07708)である。横にはうん、これ明らかに味噌だな、って樽が置いてある。でっかいなぁこれ。
「と、いうわけでやってみましたー」
 動画の趣旨なんか話しながらにこやかに進めるベルベナ。だが、内心は猟兵の名前でウケるだろーとか適当なことを考えていた模様。フラグじゃないかそれ?大丈夫?
 実際、タイトルに『猟兵』が入っていれば動画チェックが趣味のキマイラ達の目を引いて動画を開かせるのは間違いないが。そして動画が開かれれば再生数は稼げるが。
「せっかくなのでフルーツじゃなくマタタビとかミントの葉とか色々試しちゃったんですー」
 デン!と取り出される赤味噌に突っ込まれたであろうそれら。さすがにこのタイミングでコメントが途切れている。猟兵の動画にしては珍しい沈黙空間だった。
 まぁ、いかんせんフルーツよりも明らかに地雷臭するものが出てきたらそれもそうなる。キマイラ達にだって常識や良心はあるのだ!
 だが、その『明らかにやばいだろ……』という空気を払拭するものが取り出された。
「見てくださいこのイチゴパスタ」
 イチゴパスタ!?
「味噌をかけた途端に生前のように元気に空を飛び始めました」
 飛んだ!?
 いやマジで飛んでる。赤い麺にイチゴとホイップが乗っているその上に赤味噌をかけられた一品が飛んでる。というかイチゴパスタの生前ってなんだよ……。
 ちなみにこれ、ベルベナの念動力で浮かせて動かしているだけである。
「ここを空の果てか艦の中かだと勘違いしているのでしょう」
 ここまで来るとマジで気になるイチゴパスタの生態。世界にはそんな生き物もいるのかと錯覚するレベルだ。
 飛翔する味噌乗せイチゴパスタ(……あれ、味噌要素少なくない?)のインパクトで視聴者を釘付けにしたベルベナ。さて、これで終わりかと思えば最後にすごいものが収録されていた。

「この動画を作るきっかけになったのも思えば……思えば……」
 動画の締めを語っているところでベルベナは突然黙り込む。かと思えば、その瞳がギラリと輝き、それまで腰に差していた刀を抜いてやたらめったら突きまわして暴れはじめる。
「よっくもあの時苦戦させてくれたなこのやろおおお!!」
 一体、彼の過去に何があったというのだろうか……ただわかるのはこれは怪人への宣戦布告だろうということだけだ。
 しかし縦横無尽の乱れ打ち。哀れ、まだ飛んでいたイチゴパスタも犠牲となってしまった……。
「ぶった切って串刺しにしてギタギタにしてくれらぁ!」
 いやもう本当に何があったんだろうか。
 だが後日『乱心する猟兵動画』としてランキング入りするのを彼はまだ知らない。
 ……あれ、味噌本当にほぼ関係ないな!?

成功 🔵​🔵​🔴​

鈴木・志乃
【猟兵配信番外~味噌焼きおにぎり茶漬け~】

はー…
(土鍋釜を直火にかけている。その火で温まっている)

今日も寒いですね、皆さん
配信者のブラックです
前回は皆ありがとね

こんなに寒いのもきっと怪人のせい
怪人に負けずにぬくぬくしましょう

この釜?
この前〇〇でコンコンしたら出たよ
そろそろ炊けたかな
うん、お米つやっつやですね(釜ごとカメラに向ける)
お焦げも美味しそう
お米を潰さないように優しく握って、お味噌を塗って
フライパンで軽く炙る

器に鰹節乗せて、焼おにぎり乗せて、今回は昆布茶を注ぎまーす
紫蘇も合うかもね
寒がりな人は生姜味噌使うと体にも良いと思います

(ほう、とため息)
あったか~い……



●配信せかんど!
 少し前にも聞いたようなの軽快なBGMと特徴的な黒キャップ、鈴木・志乃(ブラック・f12101)は再度配信を開始していた。
 今回の配信タイトルは……【猟兵配信番外~味噌焼きおにぎり茶漬け~】と表示されてますね。タイトルだけで普通に美味しそうなのが想像できる。外れなさそう。
 さて、画面に映るは畳とちゃぶ台、上に乗せられた火のついたコンロに土鍋。志乃はといえばゆったりとちゃぶ台の前に座ってコンロの火で温まっている。
 え、というかこの畳とか準備したの?コンコンして?わぁすごい。雰囲気作りにかけるスタッフ達の情熱がうかがえる。
「はー……今日も寒いですね、皆さん。配信者のブラックです。前回は皆ありがとね」
 微笑を浮かべて土鍋越しにひらひらと画面に向かって手を振る志乃。前回の配信もあって相変わらずすごい視聴者数である。
「こんなに寒いのもきっと怪人のせい」
 えっ?それはさすがに濡れ衣ではなかろうか。また怪人が配信見るようなことあったら泣いちゃうよ?
「怪人に負けずにぬくぬくしましょう」
 何ともナチュラルに怪人をディスっていく。あ、『俺関係ねぇだろう!?(泣)』ってコメントが流れた。だが志乃は安定のスルー、知ってた。っていうか怪人も暇だね。
 そうこうしている間にもコメントはいくつも流れていく。いくつか抜粋すると『ブラックー、今日は何するのー?』やら『その鍋どこの?』やら『飯テロ期待!』といった具合だ。
「あ、この鍋?ご飯用の土鍋。この前コンコンしたら出たよ。場所はここ」
 ひょいっと志乃は何もない空中を示す。一見何もないように見えるがすぐに配信画面に場所への地図を示したリンクが張られる。えっ、すごい。そして後でキマイラが押しかけそう。
「今日はね……そろそろ炊けたかな」
 ミトンを着けてカポっと土鍋の蓋を開ける。蓋を持っていない方の手には配信用の小型カメラを持っており、開けると同時にのぞき込むようにカメラも土鍋へ。
 うわ、めっちゃ綺麗にお米が炊けている。一粒一粒が輝いて美味しそうに見える。コメント、拍手と歓喜の嵐。
「うん、お米つやっつやですね。お焦げも美味しそう」
 カメラでじっくり中を映してから、ここからが本番。カメラを置いて、手早く炊き立てのご飯を握る。そしてできたおにぎりは味噌を塗ってフライパンへ。画面越しではお届けできないのが残念だがめっちゃいい匂いがする……すでにこの時点で飯テロものである。
「まだ、これで終わりではないですよ?」
 はい、ここで配信タイトルを思い出してみましょう。【猟兵配信番外~味噌焼きおにぎり茶漬け~】です、おにぎり茶漬けです。つまり……!
「今回は昆布茶を注ぎまーす」
 用意された器に鰹節と出来立ての焼きおにぎりの乗せて注がれるお茶。焼きおにぎりが味噌を塗られて作られているのでよりいい味が出そうですね。
 しかも寒がりな人へは生姜味噌を勧めたり、シソも合うかもといった簡単なアレンジの提案も欠かさない。
 実はこの辺りで最初よりコメントの勢いが落ちているのだが、これほぼ間違いなく良さに惹かれた視聴者達みんな作りに行ってますね?
「あったか~い……」
 明らかに作るための配信離脱コメントが並ぶ配信者画面を見ながら、志乃はほっこりと作り立ての味噌焼きおにぎり茶漬けを楽しむのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

緋月・透乃
ふーむ、味噌に果物を直接……瓜って付くし西瓜なら案外……動画の外で試すのはありかな。

怪人が色物料理で視聴者を稼ぐから、こっちは正統派を力押ししていくよ!
こうみえてもサムライエンパイア出身だから、まずは本場の普通のお味噌汁を一人では食べきれないほど大量に作るよ。ご飯も大量に用意しておこうね。
あとはそれを「やっぱり味噌汁とご飯だよねー」等といいながら、幸せそうにひたすら食べるよ!美味しいから食もすすむ、ってことだね。
前にキマイラフューチャーで恐竜の怪人との大食いバトル動画が割りといい感じだったし、今回も大食いで視聴者稼ごうって魂胆だね。



●順当!真っ当!普通が一番!
「ふーむ、味噌に果物を直接……」
 動画の撮影準備をしながら真剣に考えていたのは緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)だった。瓜って付くし西瓜なら案外いけるのでは……などと考えている辺り食への探求心はさすがと言える。もし美味しかったら教えてください。
 さて、とはいえこれは動画の外の話。今回透乃が作った動画は正統派料理の内容だった。早速見ていこう。

 BGMと共に動画は始まる。タイトルには『猟兵がご飯を楽しんでみた』とありきたりながら猟兵が出ているとわかるそれが付けられていたためキマイラ達の目を引く。
 まず初めに映るのは簡単な調理台の前に立つ透乃とその後ろにあるたくさんの炊飯器に巨大な……それこそ業務用レベルの大きさの鍋。1つで何人分作れるんだろうか。
「こんにちは!今日も元気に食べていきたいな、と思って動画を作ったよ。良さがわかってもらえたらいいな」
 ぱっと挨拶をしてさっそく調理に取り掛かる透乃。コメントの反応も上々だ。
『うおっ、すげー』『すげーいいスタイル』『どうやったらこうなるんだ……』
 上々……なのだろうか。注目する場所が幾分違うような気もしつつ動画再生には関係のないことか。
 透乃といえば、さすがサムライエンパイアの出身。慣れた手つきで具材を切り、大鍋にお湯を沸かして煮込んでは味噌を溶かす。作っているのは一般的な味噌汁だ。……量としては一般的ではないが。
 この辺りで手慣れた様子に動かされたのか少しずつコメントが透乃から料理の方へと移っていく。
「完成!ご飯もちょうど炊けたみたいだね」
 ピーピーと音を立てる(複数台の)炊飯器を見て透乃はにっこりと笑う。料理の良さを知ってもらうには美味しく食べる姿を見てもらうのが一番だからだ。
 完成したそれらをスタッフに頼んで移動させ、移った場所はどっかで見た覚えのある畳にちゃぶ台の場所。二度も使われることになるとは……。
「いただきまーす!」
 味噌汁を鍋から器へと移せば、後はご飯と一緒に食べるだけだ。ご飯を一口、二口。そして味噌汁を一口。バランスよく食べ進めていく。
「うんうん、やっぱり味噌汁とご飯だよねー」
 食べ進める透乃の表情は誰が見てもわかるほどに幸せそうであった。ただのご飯と味噌汁のはずなのに。否、美味しいご飯と味噌汁だからこそ食も進むのか!透乃の食べ方にはそう思わせるだけの説得力があった。
 だがしかし……。
『幸せそうなのはいいがあんなにたくさん食べられるのか……?』
 コメントで心配されるはその量だ。なにせ明らかに一人前ではない。家族分としても明らかに多い。たぶん一学級分ぐらいある。
『いや、この猟兵見たことある!大食い動画があったはずだ』
 だがそんな視聴者達を安心させたのは過去に投稿された動画を見たことがあるらしい一つのコメント。『マジで!?』『リンクプリーズ!』盛り上がるコメント欄に貼られるリンク。キマイラ達は楽しそうだなぁ。
「ごちそうさまでした!」
 そんなコメントとは縁遠い動画の中の透乃はしれっと全てを食べ終えると、別の動画でも見せたことのある笑顔で食への感謝を告げたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『働き蜂戦闘員』

POW   :    御槍奉公
【槍】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    飛行モード
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ   :    数で圧す
自身が戦闘で瀕死になると【さらなる増援】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●怪人さんはおこでした!
「ぐぬぬぬぬ、なぜだ!なぜだぁ!!!」
 ものの見事に人気を猟兵達に取られた怪人は頭を抱えて悶絶していた。
 なお、そんな怪人の横には器やら土鍋やら……あれ、どこかの配信や動画で見たことあるようなものがありますね?
 何故ってあなただって配信見てたじゃないですか、なんて背後に控えるスタッフ……じゃなかった働き蜂戦闘員は思うが何も言わない。だって言っても無駄じゃん?あれ。
「こうなったらお前ら、あいつらの邪魔をしてやれ!場所は配信で特定した!」
 そのために配信を見ていた!と胸を張る怪人。でも、横にある何か作ろうとした形跡のあるこんにゃくとかで割と台無しなんだよね。
 かくして、働き蜂戦闘員達はしょーがないなーって気持ちで猟兵達のいる会場を襲撃するのであった。パリーンと窓を割って入ってくる。

 スタッフ達?慌てて逃げていったけど追わないよ?だって邪魔するの『あいつら(猟兵達)』だもの。
緋月・透乃
ふーむ、西瓜の皮を炒めたり漬物にして味噌に付けるようなのはあるけど生は……
おや、誰か来たのかな?窓割りエントリーは視聴数稼ぐにはどうかと思うよー。
っと、誰かと思えば働き蜂の怪人だね。今度は『直付けハチミツフォンデュ』とかやるのかなー?
果物につけるなら味噌よりはいけそうだね。私は甘い物よりしょっぱい物のほうが好きだから果物にハチミツ付ける気はないけどね。
まあ無難にホットケーキとかがいいんじゃないかなー。

え、違う?殺し合い?
いいよいいよ!いっぱい食べたし丁度暴れたかったところなんだよね!
既に【色々食べよう!】が攻撃力重視で効いていそうだし、突っ込んでいって荒々しく手当たり次第にぶっ飛ばしていくよ!



●いっぱい食べたらさぁ運動だ!
「ふーむ、西瓜の皮を炒めたり漬物にして味噌に付けるようなのはあるけど生は……」
 西瓜×味噌の無限の可能性を緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)はキマイラのネットワークで調べていた。しかし、やはり皮になってしまい果肉部分は難しいのか……!
 ──パリーン!!!
「おや?」
 そんな最中に響いた何かの割れる音、上がる悲鳴に透乃は顔を上げる。見れば逃げるスタッフさんに黄色い、二足歩行する蜂たちの姿。働き蜂戦闘員達の襲撃現場を目撃していた。
「窓割りエントリーは視聴数稼ぐにはどうかと思うよー」
 とても丁寧に、丁寧に?働き蜂戦闘員達たちへアドバイスを送る透乃。その声が聞こえたのか、顔を向けた働き蜂戦闘員と目が合った。手に持つ槍が鈍く光る。
「っと、誰かと思えば働き蜂の怪人だね。今度は『直付けハチミツフォンデュ』とかやるのかなー?」
 槍を見ても透乃はのほほんとした様子を崩さない。むしろ、ハチミツなら味噌よりは果物につけるならいけそうとか、でも甘い物よりしょっぱい方が好きだからやらないかなーとか、そんなことを考えていた。
 しかし『直付けハチミツフォンデュ』とはどこかの狼が聞いたらこれもキレそうな案件である。
「まあ無難にホットケーキとかがいいんじゃないかなー」
 思考の果てに出た言葉に働き蜂戦闘員、さすがに困惑。というか、武器持ってるんだから察して!と言わんばかりに槍をブンブン振り回した。たぶんそうしない方が長生きできたと思う。
「え、違う?……もしかして殺し合い?」
 働き蜂戦闘員達の意図を察したのか透乃は驚くでもなく、嬉々として立ち上がった。ついでにたわわな果実も揺れる。あ、働き蜂戦闘員の何人かが見惚れた。だから、気づかなかったのだ。
「いいよいいよ!いっぱい食べたし丁度暴れたかったところなんだよね!」
 自身の持つ武器、大斧を持って彼らへと突っ込んでくる透乃の存在に。
 慌てて槍を構えるが、すでにきっちり食べてユーベルコードすら発現させている彼女の力を止めることは叶わない!
 ぶんっ! 斧がひと振り。見惚れていた数名の働き蜂戦闘員が吹っ飛んだ。
 ぶんっ! 返すように弧を描いてもう一振り。槍で受けとめようと試みた働き蜂戦闘員が努力の甲斐なく飛ばされていく。
「まだまだ、どんどんいこー!」
 食後の運動とばかりに、透乃は働き蜂戦闘員達を吹き飛ばしていくのだった。いやぁ、楽しそうだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴木・志乃
【猟兵配信~味噌フォンデュ怪人を追い詰めに行く~】

どうも、ブラックです
皆味噌シリーズ見てくれてありがとうね
おかげで怪人を誘き寄せられました!
ボスとの戦闘まで時間ないから
皆早めに拡散ヨロシク!
応援頼むぜっ!!

【戦闘】
UC発動
オラトリオの羽を展開して空中戦で勝負
マイク片手に【歌唱】の【衝撃波】でガンガン攻めていくよ
(尚選曲はこの世界の流行り曲多め。男性ボーカルを転調せずに歌い上げる。
敵の意識を歌で【誘惑】出来たら良いね!)
敵の羽音で動きを【見切り】、【第六感】と共にいなす
近づかれたら予め毒を塗っておいた鎖で【武器受け】して
【カウンター】狙っていくかな【毒使い】



●戦闘模様、生配信開始!
 働き蜂戦闘員達の突然の窓割り乱入ににわかに騒がしくなる会場。スタッフのキマイラは逃げ、猟兵達は各々身構えるなか、その配信は開始された。
 タイトルには【猟兵配信~味噌フォンデュ怪人を追い詰めに行く~】と表示されている。すでに何度か見た形式の分かりやすいタイトルだ。
「どうも、ブラックです。皆味噌シリーズ見てくれてありがとうね。おかげで怪人を誘き寄せられました!」
 そして画面に映るはもはや聞きなれたBGMと配信者ブラックこと鈴木・志乃(ブラック・f12101)その人だ。
 志乃はカメラを動かすと会場内へと侵入を果たした働き蜂戦闘員を映し出す。まさかの戦闘の様子を生配信にコメントは大盛り上がりだ。戦闘前からすでに『動画化希望!』というコメントすら出ている。そこんとこどうするんでしょう?
「ボスとの戦闘まで時間ないから皆早めに拡散ヨロシク!応援頼むぜっ!!」
 さておき、カメラを巻き込まれにくい位置へと固定しながらウインクを決めた志乃。さっと手を振るとその背の翼を広げ、空中へと飛び立った。
 コメントでは……早速視聴者による拡散が始まっているようで、目まぐるしくコメントと来場者数が増えていく。うーん、さすが今まで配信してきただけのことはある。
「それじゃ、一曲目っ!知ってる人も多いと思うけど」
 戦闘モードに突入しても配信者としての顔は崩さない。飛び上がった志乃へ向けて働き蜂戦闘員達が空中を蹴って飛び掛かってくるが、それより早く彼女は自身の持つマイクへとその歌声を響かせた。
 それはちょうどキマイラフューチャーで流行っている力強さが売りの男性ボーカル曲であった。少々低めのその曲を、力強さはそのままに音程を変えることなく志乃は歌い上げる。
「ああ、この空に我らの居場所はないのか!」
 そして、ただ歌うだけではない。その歌声は波紋となり、衝撃波となり、働き蜂戦闘員を吹き飛ばして会場へと叩きつける!
 かろうじて回避した働き蜂戦闘員──長いからもう戦闘員でいいか、戦闘員すら女性のやわらかな声で謳われる低く力強さにあふれる歌声に聞きほれて空中を蹴る足が止まっている。あ、落ちた。
 流行っている曲というのもあり、コメントも大盛況。歌詞職人もしれっといる。というか視聴者もコメント使って歌ってる。大合唱だ。
 おや?『お前ら聞き惚れてないで戦えよ!働けよ!』なんてコメントが……見えたような気がしたけどきっと気のせいですね。まさか大本命の怪人が配信見てるわけないですよね!

「皆ありがとね!続けて二曲目、ちょっとマイナーだけどどうかな?」
 そんなことはつゆ知らず、歌い終えた志乃はカメラに向かって手を振ると別の曲を歌おうと再びマイクと向き合うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ライヴァルト・ナトゥア
お前らか?あの巫山戯た動画を配信したのは?
(威圧感たっぷりに言い放つ。未だ怒りが持続している模様)
今すぐにお前らの親玉の場所を言え。そうすれば寿命が5分ほど伸びるかもしれないぞ?
(無慈悲に言い放つ。5分というのは行ってボスを倒して戻ってくるまでの時間のようだ)
そうか、残念だ。ならば、ここで贖罪をして貰うとしようか
(ユーベルコードを起動して蒼狼を纏う。空へは【空中戦】【ジャンプ】で空を蹴って飛び、飛翔する斬撃で撃ち落とす)
空にも地面にも、お前らの逃げ場は、無い
(高速移動しつつ次々と撃墜していく様は近接型の飛行機のようで)
何処だろうと、追いかけて追い詰めて、刈り取ってやる。なんせ俺は、狼だからな



●こっちもまだまだおこでした!
 乱入してきた戦闘員たち。さて、手近な猟兵達の邪魔をしてやらんと身構える彼らに忍び寄る殺気。
 びくり、恐る恐る気配の方へ視線をやった戦闘員たちが見たのは、蒼狼だった。
「お前らか?あの巫山戯た動画を配信したのは?」
 静かに、だが深く深く地の底から響くような迫力をもって戦闘員たちへ疑問を投げかけたのは未だお怒りモードのライヴァルト・ナトゥア(巫女の護人・f00051)である。
 狼の持つ迫力というのか、恐ろしさに戦闘員たちはすくみ上っている。コクコクコクと揃って首を縦に振って肯定。まぁ配信の時はカメラマンとかの裏方スタッフ役してましたからね、彼ら。
 それを見たライヴァルトの目がギラリと光る。ひっ!?と戦闘員たちの中から声が漏れた。
「よし、今すぐにお前らの親玉の場所を言え。そうすれば──」
 そうすれば……?
「寿命が5分ほど伸びるかもしれないぞ?」
 なんと無慈悲なことか。『言ったら助かるんだろうか』とか一瞬でも考えた戦闘員の希望を綺麗に打ち砕くその言葉。もはや倒すのは確定事項で先か後か、ただそれだけではないか!ついでに5分で倒す宣言されてますよ怪人さん。いや、行って帰ってくる分も入ってるからさらに短い?
 余計な話はさておいて、戦闘員たちにもプライドというのはある。例えツッコミどころ満載の怪人だろうが売るわけにはいかないのだ!やられる前にやるしかねぇ!とばかりに空中を蹴って戦闘員たちはライヴァルトへと殺到する。
「そうか、残念だ。ならば、ここで贖罪をして貰うとしようか」
 行動による拒否。それを見てライヴァルトは小さく息を吐き首を横に振った。
「封印限定解除、此処に来るは大いなりし蒼き狼。地を駆け、空駆け、獲物を屠れ。疾くあれかし、《限定解放・天狼疾駆せし戦場幻景》」
 そして彼は本当に蒼狼となった。
 飛び掛かってきた戦闘員たちを右手の鎌で薙ぎ払うと、その足で宙を蹴り、まだ天井付近に残る戦闘員に向けて左手を振るう。狼の爪から放たれた斬撃が彼らをあっさりと撃ち落とす。
 くるり、瞳を動かし次の獲物を探して彼は高速で飛び掛かる。その様子は飛行機か、捉えられないほどの速さから未確認飛行物体か。
「何処だろうと、追いかけて追い詰めて、刈り取ってやる。なんせ俺は、狼だからな」
 空にも地面にも逃げ場はないのだと、周辺の戦闘員を一掃し、聞くは猟兵ばかりのままライヴァルトは言葉を紡いだ。……あ、逃げて隠れてたスタッフのキマイラも聞いてたようだ。パチパチパチと拍手が響いたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

緋月・透乃
蜂怪人も結構いっぱい来るね。
そういえば、蜂の子を炊き込みご飯にして食べたことあったんだよねー。なかなか美味しかったよー。
蜂も佃煮とかにして食べるところがあるらしいねー。どんな味なのかなー?
まあ、怪人は人っぽさが強くて食べようとは思わないから安心してね!だから殺そっ♪

今回はいつもの斧ではなく、スプーンで戦うよ!
そのままぶん殴ったり、敵を掬って飛ばして別の敵にぶつけたりしてみよう!
視聴者も同じようなものばかりだと飽きそうだからねー。ユーベルコードは暃迅滅墜衝を攻撃回数重視で適当に使っていくよ!



●運動。そして、またご飯?
 ズコーン!バコーン!戦闘員を吹っ飛ばし、いい運動をしたとばかりに緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)は汗を拭って一息つく。
 だが、まだ数は尽きないのか。割れた窓から戦闘員たちはわらわら入ってくる。君たちも大変だねぇ……。
「そういえば、蜂の子を炊き込みご飯にして食べたことあったんだよねー。なかなか美味しかったよー」
 まだまだやってくる戦闘員たちを見て笑顔で透乃が口にしたのはそんなセリフ。えっ!?と硬直する追加の戦闘員達。
「蜂も佃煮とかにして食べるところがあるらしいねー。どんな味なのかなー?」
 ぱちん。戦闘員と透乃の目が合った。引く戦闘員、笑顔の透乃。
 もうやめてあげて、すでに精神ダメージだけで戦闘員倒せそうだよ。
「まあ、怪人は人っぽさが強くて食べようとは思わないから安心してね!」
 よかった!マジで喰われるかと思った! ほっとした空気を怪人たちが包む!
 だが、未だ笑顔の透乃が巨大な、身の丈ほどもあるスプーンを取り出したことでそんな空気も凍り付いた。
「だから殺そっ♪」
 ごめん、なんだって?
「怪人だから殺そっ♪」
 聞き違いじゃなかったね。笑顔で殺戮宣言だったね。突然の物騒な宣言に怪人たちはもうパニックを起こして戦う前に逃げ惑うばかりだ。大体かわいい笑顔とのギャップのせい。
「慈悲も遠慮もいらないよ!衝動のままにぶっ潰せー!暃迅滅墜衝!!」
 そしてそんな戦闘員たちに対して透乃は慈悲も手加減も一切ない。スプーンをぶん回し、まずは一撃が戦闘員の脳天にクリーンヒット!スプーンなのに超痛そう。
 さらには振り回すだけではなく、スプーンという特徴を生かして、戦闘員を具か何かのように掬い上げるとそのまま投げ飛ばして別の戦闘員へ。直撃の上に、投げ飛ばした風圧で近くの戦闘員まで軽く吹っ飛んだよ。
 どうにもこの図、働き蜂戦闘員という料理を天真爛漫に召し上がる透乃という風にしか見えない。等身大お料理番組だろうか。
「視聴者も同じようなものばかりだと飽きそうだからねー」
 しかもこのスプーンでの独特な戦い方、透乃からどこかしらで配信され見ているであろう視聴者達へのサービスであった。視聴者サービスって大事だよね!きっと視聴者達はスプーンで掬い上げたりの動作で揺れる果実に注目しそうだけどね、きっとね?
 何はともあれ、スプーンによる無双、第二幕がスタートしたのであった。ちょっと戦闘員が哀れかもしれなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『機関車怪人』

POW   :    トレイン・フリーク
【時刻表】【鉄道模型】【鉄道写真】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    出発進行!
自身の身長の2倍の【蒸気機関車】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    アクシデントクラッシュ
対象の攻撃を軽減する【高速走行モード】に変身しつつ、【煙を噴き上げながらの体当たり】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●さぁ、とんでも怪人のご登場だ!
 ドタン!バタン!
 猟兵達の活躍で次々湧き出てきた(?)戦闘員たちはほどなくして一掃された。
 一部の戦闘員たちが哀れだった気がしないでもない。
「ぬぅぅぅぅ!情けない!!!」
 そして、大きな音を立てて会場の扉が開け放たれた。
 そこに立っていたのは機関車頭の怪人。間違いない、会場に来る前に見せられたあの味噌によるとんでも料理を提案していた怪人だ。片手に味噌樽持ってる……。
「やっぱりこういうものは自ら出向いてやらねばダメか!」
 ぐるり、怪人は猟兵達を見渡すと自信ありげに笑う。ついでに味噌樽に手を突っ込んで赤味噌舐めてる……。
「お前たちを倒してもう一度、直付けミソフォンデュを広めてやるのだ!味噌は、いいぞ!」
 きらんっと効果音が付きそうな感じでぐっと親指を上げる怪人。ポー!と汽笛が鳴り、それが開戦の合図となった。
轟・富士王
味噌は美味いと思うし、おじさんも旅行先には味噌携帯してキャンプで振る舞っちゃう系おじさんだから気持ちはわかるけど、今の時代押し付けはいかんよ。セクハラとかパワハラって言われちゃうよ。
さて、とりあえず序盤だし手始めに状況を変えてみようか。
飛閃・流れ星で体当たりだ!
……味噌樽に。
さあ、怒って冷静さでも欠いてみるといい!
その瞬間、貴様はやられているであろう!
おじさん以外の猟兵にね(味噌まみれおじさん)



●おじさんのエントリーだ!
 まず真っ先に怪人の元へと躍り出たのは一人の男性だった。白い髪に鋭い目つきが特徴的な……。
「味噌は美味いと思うよ」
「だろう!?」
 あれ?
「おじさんも旅行先には味噌携帯してキャンプで振る舞っちゃう系おじさんだから気持ちはわかるよ」
「だろう!!!???」
 うんうん、頷いてみせる轟・富士王(テキトーおじさん・f03452)にポー!ポー!と汽笛を鳴らして超同意してみせる怪人。なんだか仲良さそうに見えるけどめっちゃうるさい。ご近所迷惑ですよ!
「でもね、今の時代押し付けはいかんよ」
「な、なんだと?」
「セクハラとかパワハラって言われちゃうよ」
「いや、だが押し付けた覚えはこれっぽっちもだな……」
 まぁ配信してるだけならまだ押し付けたとは言わないかもだが、でもここまで邪魔してーと実力行使まで入ってくると押し付けと言わないことはない。
 思いがけない指摘に困惑する怪人。それを隙とみて、富士王はまだ始まったばかりのこの戦況を変えるべく動き出した。
「さあ、星になってみようか!」
 足を引き、力を込めて、彼は発射した。それは秒にも満たない速度で放たれ機関車怪人を……いや、違う。放たれたそれが狙うのは怪人の手だ!より正確には怪人の持つ味噌樽に向けて一直線に飛んでいく。
「む!いや、なんだ、それぐらいなら当たらんさ。当たらなければ問題もなかろう?」
 味噌激推しで部下にも引かれる怪人であったが、それでも実力はそれなりのものか。軌道が自身に直撃するものではないとみるや否やどや顔で高笑いだ。だからこそ富士王の本当の狙いに気づかない。
 ガッシャーーーーン!!!
 とんでもない激突音と共に辺りに飛び散る破片、と味噌。そして漂う香り。
「ああああああああああ!!!!!俺の味噌樽がぁ!!!」
 そう、富士王の狙いは怪人ではない。彼の狙いは最初から怪人の持つ味噌樽、だったのだ!
「ふっふっふ、さあ、怒って冷静さでも欠いてみるといい!その瞬間、貴様はやられているであろう!」
 ババーン!と効果音が鳴りそうな勢いで怪人へ指を突きつける富士王……あれ?さっきまでいたところに彼がいないぞどこに行った。あ、いたいた。怪人の近くで指突きつけながら味噌まみれになってる。味噌まみれ?
 そう、まるで味噌樽に激突したかのように味噌まみれだ。それもそのはず、彼が放ったのは物ではない。富士王──彼自身を放っていたのだ!!!
「くそう!くそう!油断した!俺のお気に入りの味噌を全身に浴びやがって!お前もそんなに味噌が好きか!でもぜってーに許さねぇからな!!!」
 ともあれ、地団駄を踏んで激おこの怪人。狙いは果たしていた。ならば激高した今こそ攻撃の好機、のはずなのだが。
「ま、おじさん以外の猟兵にね」
 そこは他人任せなのかよ! 逃げ隠れていたスタッフのキマイラ達や配信によって戦況を見ていた視聴者達、さらには会場にいた猟兵達、みんなの心が割と一つになったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

鈴木・志乃
待ってたよ
さあ、ショータイムの始まりだ


UC発動
皆応援ありがとう【礼儀作法】
お待ちかね、ボスのご登場だ
最後まで一緒に行こうぜ!【パフォーマンス】

バトル系アニメのOP
ノリノリのポップス
声量が必要なロックの神曲から数点セレクト【コミュ力】
当然男性ボーカルオンリー
【歌唱】で敵も視聴者も【誘惑】【パフォーマンス】
敵には【衝撃波】攻撃
皆、音量には注意してね

【第六感】【見切り】【オーラ防御】で攻撃をいなしつつ
可能なら【スライディング】含めて派手に立ち回り
近接格闘も仕掛けていく
関節の継ぎ目を狙う

【スライディング】で足払い
飛んで回避したらそのまま踵おとし
鎖で【武器受け】しつつ【カウンター】
肘ひざを入れていく



●配信、とうとうメインへ突入!
 味噌樽を壊され、激おこの機関車怪人。そんな怪人を前にしても鈴木・志乃(ブラック・f12101)はいつも通りだ。
「待ってたよ。さあ、ショータイムの始まりだ」
 パチン、と指を鳴らすと音もなくドローンが現れて、消えた。正確にはそこに浮いているがステルス機能によってその姿をくらませているのだ。ドローンは自動でカメラを志乃へと合わせ、先ほどまで使っていたカメラからの配信映像をドローンのものへと切り替える。
「皆応援ありがとう。お待ちかね、ボスのご登場だ」
 召喚した志乃の意思に応じるようにカメラがいまだ激おこの機関車怪人を映し出す。映されたのに気づいたのだろう、怪人が志乃の方を見た。
「あ、お前!配信では散々ディスってくれたやつ!!!」
 肉で釣るとか寒いのは俺のせいとか酷いだろ!泣くぞ!泣いちゃうからな!!!などとぎゃーぎゃー騒いでいるが流れ去るコメントを眺めるがごとく志乃はこれをスルー。愛用のマイクを握り、そこに息を吹き込むのだ。
「最後まで一緒に行こうぜ!でも、音量には注意してね」
 きゃー、ブラックー!かっこいい!決めちゃえー!! 戦闘員の時から続けられている配信では次々とコメントが流れていく。一つ一つは小さなコメントだ。けれど画面越しから向けられるブラック──志乃への応援は確かな力となる!
「音量調節はいい?じゃあ、一曲目いくよ!」
 そして、志乃は歌い始めた。選曲はノリの良いバトル系アニメのオープニングだ。その声は大きく、力強く響き渡る。ちなみに主人公のキマイラがかっこいいとのことでキマイラフューチャーでも男女問わず人気が高いアニメである。
「くっそぉ!それぐらいの歌で……いや、かっこいいけど!でも、俺は惑わされないからな!」
 そういえば戦闘員たちが魅了されてたのを配信を通じてみてましたね、怪人。若干惑わされてないかな。
 しかし、このままいいように歌わせてたまるかと高らかに警笛を鳴らし、あちこちの煙突から白い煙を噴出すると機関車怪人は志乃目掛けて突撃。さすがは機関車頭、そのスピードはかなりのものだ。
 もちろん、普段ならば。
「いくぜ!」
 しかし志乃の持つヘッドフォンが、勘が、怪人の行動を知らせる。行動がわかるのなら、対処もできる。だから、歌詞に合わせるように流れるような身のこなして志乃はサイドステップを踏んだ。そのまま、決めポーズのように片足を横へ、先ほどまで自分がいたところへ伸ばし──。
「おわぁぁぁぁ!!!???」
 突っ込んできた怪人の足を見事に払った。勢い余ってスンゴンバコと転がる機関車怪人。会場がめちゃくちゃである。
 さらに歌い続ける志乃はシャウトで見事な衝撃を生み出すと転がった怪人を追撃。さらに一回転分追加で転がった。
「歌いながら攻撃してくるとか卑怯だ……いてててててて!!!!」
 ガバッと起き上がって反撃……よりは文句をぶつけようとする怪人へ無慈悲に振り下ろされる志乃の踵落とし。柔らかそうな関節の隙間に入った。かなり痛そう、というか怪人はめっちゃ痛がってる。
「皆ありがとね!続けていきまーす!」
「俺の話聞いてる!?」
 痛みに悶える怪人を完全に無視。彼女の歌もパフォーマンスを兼ねた攻撃もまだまだ尽きることを知らないようだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベルベナ・ラウンドディー
【恫喝・殺気・恐怖を与える・挑発】

味噌のどこがいいんです?
味噌がいいなら私の動画のウケの悪さは何なんですか?ん?
貴方、じつは再生数詐欺してるんじゃないですか?


化けの皮はがしてくれましょう



【見切り・残像・カウンター・鎧砕き】にユーベルコードを加えた展開で臨みます
カウンター気味に金属っぽい体の部分を狙いますね

宣告する。貴方は今から【更に錆び付く】
…だって塩分の多い味噌は物理的に本来は金属の天敵です
そんなの毎日とってればサビが浮いてくるはず
食器洗いやら掃除が得意なら知ってて当然です


…改めて聞きます
貴方、なにか詐欺してません?(←こだわってます) 


吐いてない?嘘つくんじゃねえこのやろおおお!



●怒りを怪人へぶつけろ!
 痛みにのたうち回る機関車怪人へベルベナ・ラウンドディー(ドラゴニアンのバイク乗り・f07708)はつかつかと歩み寄る。何とか起き上がった怪人は、むっちゃ涙目でベルベナを見ている。助けてくれない?って顔してる。でも、猟兵が怪人を助ける理由なんてないんだよね!
「味噌のどこがいいんです?」
 怪人の元へとたどり着いたベルベナはさっそく爆弾を落とした。怪人の目つきが鋭くなる。
「味噌がいいなら私の動画のウケの悪さは何なんですか?ん?」
「いや知らねーよ!?」
 怪人もさすがに動画までは把握してなかったらしい。まぁどうも配信を主に見てたっぽいし仕方ない。
 ちなみに強いて言わせてもらえるなら内容だと思います……でも後日別の内容としてウケるから……!!!
「貴方、じつは再生数詐欺してるんじゃないですか?」
「してねーよ!?日々の努力だよ!!!」
 イチャモンか!?嫉妬か!?嫉妬なら俺もまだ捨てたものじゃないなーとツッコミつつも勝手に悦に入る怪人。ベルベナのこめかみにほんのり青筋が浮かんだ。
「……宣告する。貴方は今から更に錆び付く」
 しゅっといつの間にか出していた爪をしまうとその指を怪人に向けて告げる。
「は?日々の手入れを欠かさない俺が錆びるわけないだろ?」
「塩分の多い味噌は物理的に本来は金属の天敵です。そんなの毎日とってればサビが浮いてくるはずです」
 冷静に、ゆっくりと、染み入るように言いながら怪人に向けた指が打ち鳴らされる。ぼうっと怪人の身体から紋が浮かび上がり、その場所から徐々に錆びていく。
「な、なぁ!?俺の自慢の身体がぁ!?」
「食器洗いやら掃除が得意なら知ってて当然です」
 自身の刻んだ紋の通りの効果の発揮にベルベナは満足そうだ。だがしかし、やられるばかりの怪人ではない。
「く、くそぉ!それならさらに強化してコーティングするまで!」
 警笛と共に取り出される分厚い時刻表に古びた鉄道写真、それと──。
「あああー!!!俺の大事な俺モデル模型がぁ!?」
 サビた、完全に錆び切った鉄道模型。元の形はわかるけど、いっそよくここまで錆びたな、とばかりに全体が錆びてる。これも怪人へ刻み付けられた紋の効果だというのか!
 思ったような強化ができず怪人は狼狽えている。だってこれでコーティングしても錆びてるから意味ないもんね、錆が広がるだけだもんね。
 今がチャンスとばかりにベルベナは口を開く。
「……改めて聞きます。貴方、なにか詐欺してません?」
 追撃とかでもなんでもなく、口から出たのは動画の再生数の話だった。かなりこだわっている……というよりどれだけ再生数伸び悩んだこと気にしてるの!?
「いや、だからしてないって。くっそ、錆が取れねぇ!!!」
「絶対にしてるでしょう。怪人ですよね?」
「ぐぬー、錆取りスプレーが欲しい……俺のはコツコツとした努力だから、勢いで集めたから」
「詐欺なんてしてないと?……嘘つくんじゃねえこのやろおおお!」
 錆に対してどうにかしようと悪戦苦闘している怪人との何ともなやり取りに、とうとうベルベナはキレた。
 一気に刀を引き抜くと、その勢いのまま怪人へ一撃!金属同士が当たる音が響き渡ると怪人は吹き飛ばされて会場の壁に強かに体を打ち付けた。
 さらには錆びた身体の部位がボロボロと剥がれ落ちていく。硬そうな機関車を元にしたような身体もこれでは台無しだ。
 自慢の身体を錆びつかされ、なんだか理不尽にも思える怒りで攻撃され、機関車怪人は割ともうボロボロだった。

 ──でも決めつけって良くないと思うよ?

成功 🔵​🔵​🔴​

緋月・透乃
機関車なら「しゅっぽっぽー」とかいってエントリーすればキャラも立つし動画映えも多分いいのに。
なんて気が利かんしゃ!(ドヤ顔を決める)
あと未だに直付けミソフォンデュを推そうとしているのも新しいネタ考える気がない手抜きってことなんじゃないかなー。
機関車なら駅弁ブームとか狙えばいいのにね。
本当に気が利かんしゃ!(ドヤ顔を決める)
そんな機関車怪人は廃棄処分でスクラップにしちゃおう!
普通なら炎上必至の破壊動画も怪人なら問題ないよね!

今のあんたはミソフォンデュ・フリークだからトレイン・フリーク使うなんてブレたことはしないよね?っと精神的けん制を決めてから火迅滅墜衝を連発して物理的に炎上させるよ!



●炎上動画?いいえ、怪人退治動画です!
「機関車なら『しゅっぽっぽー』とかいってエントリーすればキャラも立つし動画映えも多分いいのに」
 サビて(色んな意味で)ボロボロの機関車怪人に赤い影が近づいていく。それは後ろで手を組んだ緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)だ。
「全くもう、なんて気が利かんしゃ!」
「……え?」
 今上手いこと言った!とばかりに怪人へ透乃はドヤ顔を向ける。固まる怪人、水を打ったように静まる会場。
 彼女は今、何と言ったのか。気のせいじゃないのか?徐々に会場がそんな空気に包まれる。
「あと未だに直付けミソフォンデュを推そうとしているのも新しいネタ考える気がない手抜きってことなんじゃないかなー」
「はぁ!?ちょっと待てよ、言わせておけば!!!」
「機関車なら駅弁ブームとか狙えばいいのにね」
「そんな安直なのウケるわけ無いだろ!多数の同ネタに埋もれるわ!世の中インパクトだよインパクト!!!」
 まぁ、機関車怪人あちこちで報告上がってるからね。機関車ネタを使ったら……ネタ被りでインパクトがないのは否定できない。わかってないなぁとガミガミ怪人は怒りだす。というか味噌の良さについて語ろうとしている。
 だがそれを遮って、透乃は指を怪人へと向けた。

「本当に気が利かんしゃ!」
 ぱちーん、ドヤ顔に今度はウインクが追加された。
 聞き違いではなかった。二度目の出来事に会場内はもう極寒だ。怪人も含め、誰も彼もが凍り付いている。これだけでもだいぶ強い気がするぞ。後インパクトも強い、味噌より強い。
 すでに勝っているようなものだが、だからといって何もしないわけではない。透乃の片手には先ほども戦闘員を掬っては投げ、掬っては投げをしていたスプーンがある。
 なんだか会場の空気が冷えている気がするが、それなら燃やせばいいとばかりに透乃はスプーンを振り回す。
「燃え上がれ私の魂!あいつの全てを焼き尽くせー!桃火の一撃、火迅滅墜衝!!」
 スプーンに桃色の炎が宿る。まるでアイスかゼリーをすくい上げた後のようだ。
「今のあんたはミソフォンデュ・フリークだからトレイン・フリーク使うなんてブレたことはしないよね?」
「えっ?えっ、いや待て俺はだな……」
「問答無用ー!」
 このままやられてたまるかと鉄道模型(ただし錆びてる)を手に取った怪人であったが意外なところを指摘されて一瞬詰まった。その隙だけで充分と言える。
 スプーンから投げられた炎が怪人に直撃し、燃え上がる!
「これぞまさに炎上動画ってね!」
「あっつ!あっつぅぅぅい!!!!」
 燃える身体に転げまわる機関車怪人。手元の鉄道模型が熱で溶け始めている。だが透乃は容赦しない。燃えろ燃えろとばかりに次から次へと桃色の炎が放たれていく。
 しばらくの後、そこには黒焦げになった怪人が転がっていた。呻いているからまだ生きてるっぽい。割と生きしぶといようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

緋月・透乃
渾身のギャグも決まって動画見てる人達はきっと抱腹絶倒だろうし、怪人も追い詰めているしいい感じだね。
会場が妙な感じだったのは……まいっかー。
それはそうとなんか駅弁じゃ勝負できないから味噌に逃げたっぽい感じなの?やっぱりトレイン・フリーク使う資格ないじゃん!
それに味噌にも失礼だよね!謝って!あとミソフォンデュ・フリークも失格だよね!

こんな感じで好き勝手しゃべりつつ、ずっとぴょんぴょん跳ねたり体を振ったりして【乳揺ぶーすと】の効果を高めておくよ!
十分だと感じたら重戦斧持って、胸が揺れるような激しい動きで攻撃を続けて倒しちゃおう!
サービスしながらのしめってことだね!


ライヴァルト・ナトゥア
また味噌を無駄にしたのか?
(冷えた笑顔で味噌まみれおじさんと怪人を見据える)
なぁ、配信を見ていたなら知ってるだろう?味噌への侮辱は許さないと、聞いてなかったのか?それとも、耳が詰まってるのか?後、そこのおじさんも後で仕置してやるから覚悟しておけ
(錆びた相手に鎌をガツガツ打ち付けてゆく)
味噌を無駄にする悪い腕はこれか?これか!?
(変身したなら)
デカくなったところで勝てるとは思わんことだ
(ユーベルコード起動。周囲700mくらい刻んでしまうので範囲は抑えめに、しかし怪人を消し飛ばすには過剰に)
その湧いた頭ごと吹き飛ばしてやろう
地獄で味噌に謝罪してくるがいい!

悪は滅びた。これで平和が訪れるだろう



●さらば、残念な味噌推し怪人!
 そこには、もはや割と元型がわからない怪人がいた。錆だか焦げだかどっちだかわからないもので覆われ、ぷすぷすと黒煙を上げてる機関車怪人。生きているのが奇跡だな。
「渾身のギャグも決まって動画見てる人達はきっと抱腹絶倒だろうし、怪人も追い詰めているしいい感じだね」
 ぴょいんぴょいん、怪人を黒焦げにした犯人である緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)は止めを刺す準備とばかりに軽くジャンプしている。それゆえに、揺れている。何がとは言わないが、大きくて、たわわなそれが、揺れている。揺れているのだ、ジャンプの振動に合わせて。
「会場が妙な感じだったのは……まいっかー」
「え?お前あのギャグ……ギャグ?ウケたと思ってる……の……」
 ボロボロの怪人が会場の全ての思いを代弁するように突っ込もうとした、突っ込もうとしたのだ。だが、突如向けられた殺気にゆっくりと、ゆぅっくりとそちらを見る。
「また味噌を無駄にしたのか?」
 狼がいた。表情は笑顔だけど一切笑ってない。あ、これヤバイやつだ、と黙り込む怪人。
 そんな狼──ライヴァルト・ナトゥア(巫女の護人・f00051)の視線は怪人だけにとどまらない、先に味噌樽を己の身体で破壊したおじさんにも向けられている!だが安心して欲しい、目下の対象は機関車怪人だ。ぴょこぴょこ跳ねている透乃を横目にツカツカと怪人へ歩み寄っていく。
「なぁ、配信を見ていたなら知ってるだろう?味噌への侮辱は許さないと、聞いてなかったのか?それとも、耳が詰まってるのか?」
 ガツガツガツガツ。
「待って痛い痛い痛い、怖い怖い怖い。錆びてるところ弱ってるから、穴開いちゃうから」
 ガツガツガキンガキン。
「知らん」
 ばっさり、言葉で一刀両断を決めるとライヴァルトは手に持った巨大な鎌を怪人へ打ち下ろしていく。でも弱ってると聞いたので錆びてる部分を重点的に狙っている。なんだか蛇に睨まれた蛙みたいという例えが浮かびました、そこにいるのはキマイラな狼さんと怪人ですけど。
 怪人の哀れな悲鳴に会場の空気も静まり返っている。雰囲気が怖いから仕方がない。
「それはそうとなんか駅弁じゃ勝負できないから味噌に逃げたっぽい感じなの?やっぱりトレイン・フリーク使う資格ないじゃん!」
 いや、違った。会場(と一部の配信用カメラ)がただ跳ねまわる透乃に注目してただけだった。ライヴァルトが怪人にお仕置きを加えている間も彼女は好き勝手に喋りながらやっぱり跳ねていた。ええと、たゆんたゆんに揺れてますけど痛くないんですかね。具体的な言及は避けますけど、避けますけど!
「うるせ……いたたたた!だから痛いし錆びついてるところはやめろと!」
「それに味噌にも失礼だよね!謝って!」
「え?あ、はい。ごめんなさい?……って痛い痛い痛い!欠けたから!俺の身体の一部が欠けたから!!」
「味噌を無駄にする悪い腕はこれか?これか!?」
 ゴリゴリガツガツ。
「いてぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
 なんか透乃の勢いと与えられる痛みで反射的に謝ってますよ。ついでにライヴァルトが鎌を振り下ろすたびに硬そうだった怪人の金属質な部分が剥がれていってる。
 しかし、このまま無抵抗にやられてしまえば機関車怪人の名折れ!負けてたまるかとばかりに会場の地面をぺしぺし叩く。……ギブアップにも見えるね。
 ポーーーーーー!!!!
 だがそれは蒸気機関車を呼び寄せるための合図。どっからともなく現れた機関車は、ライヴァルトから救い出すように怪人を乗せて走り出す。
「はーはっはぁ!よくもやってくれたな。これでみんな吹き飛ばして……」
「結局機関車じゃん!それじゃミソフォンデュ・フリークも失格だよね!」
「うるせー!!!さっきから好き勝手言いやがって!!!」
 お前から轢いてやる!とばかりに怪人は機関車に乗って透乃へ突撃。だが、先ほどまで痛みで悶えていた彼は知らなかった。
「ぽよんぽよ~ん♪」
 ドガッ!!!
「ぐぇっ!?」
 ぴょんぴょん跳ねまわりそれ(あえて言及は避ける)を透乃が揺らしていたことを。それが彼女のユーベルコードであったことを。そしてかなり長い間揺らしていたおかげで重戦斧を持つ彼女の力はかなり高まっていたことを。
 振り下ろすような一撃。それだけで機関車は吹き飛ばされ乗っていた怪人もろとも横転。さらにジャンプするように近づくと追撃の一撃。斧が振り下ろされて機関車が凹む。
 そして巨大な爪が透乃の横を抜ける。
「デカくなったところで勝てるとは思わんことだ。その湧いた頭ごと吹き飛ばしてやろう」
 それはライヴァルトが放つユーベルコード。天狼の爪に切り裂けぬものなど何もない。
 スパンッ! 小気味よい音が響いた。
 一瞬の後、凹んだ機関車が真っ二つに避け、消えてゆく。後に残るはもはや動くこともかなわぬ怪人のみで……。
「地獄で味噌に謝罪してくるがいい!」
「サービスしながらのしめってね!」
 再び振るわれた爪と未だ揺らしながら振り下ろされる斧によって、怪人はついに力尽きたのであった。

 ついに怪人を打ち倒し、歓喜に沸く会場。配信画面でも大盛り上がり。
 透乃の動画もミリオン間違いなしだろう、いろんな意味で。
 だが、それはそれとして大暴れした分の片づけはしないと……と何人かの猟兵が動き出す。他にも配信を締めたり、録画を止めたり猟兵達が各々に動き出す中、ライヴァルトは一つだけ釘を刺した。
「後、そこのおじさん。後で仕置してやるから覚悟しておけ」
 結局この後どうなったのか。それはここで語ることではないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月17日


挿絵イラスト