青年よ大志を抱け(ただし常識的な範囲で)
#クロムキャバリア
タグの編集
現在は作者のみ編集可能です。
🔒公式タグは編集できません。
|
●若者は未来への希望
「アラタ少尉、新型キャバリアのテストパイロットとしての任ご苦労である!」
「はっ! これは大佐殿自ら! 恐縮であります!」
キャバリアのコックピットの中、出撃準備をしていた20歳になるかどうかという若き軍人に上官からの通信が入る。この若さで少尉ということは士官学校卒のエリート候補生だろうが、それでも大佐となれば雲の上の人間だ。彼の声がいささか上ずっているのもそれ故だろうか。
「改めて言うが、この機体は新型とは言うものの、実際には偶然鹵獲された未知の機体を修理したものでしかない。解析の結果既存の機体を上回る性能があるということは分かっているが、それがどれほどのものかは全く持って未知数だ。もし君がこの機体の性能を十全に引き出し実用に耐えると証明できれば、そのまま正パイロットへの道も開けよう。そうでなくとも、この役に任命されたこと自体が軍が君に期待をかけているという証である。是非とも君にはそれに応えてもらいたい」
恐らくは士気高揚のためのリップサービスも多分に含まれているのだろうが、その言葉にパイロットの若者は素直に目を輝かせる。
「分かりました……不肖アラタ・ジン少尉、一命を賭してこの大任を果たして見せます!」
「うむ、よろしく頼む。して、まずは何をするかは覚えているかね?」
「はい。戦乱の原因となるプラントへ赴き跡形もなく破壊して参ります!」
「ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
●若さとは暴走するもの
「皆様方、スクランブルのお時間にござる!」
そう言って集まった猟兵たちに声をかけるシャイニー・デュール(シャイニングサムライ・f00386)……だが、何だか妙にデカい。元々身長2メートル以上あるウォーマシンだが、今日はその倍以上の5メートルはある。
「本日出撃していただくのはクロムキャバリア! キャバリアという体高5メートルのロボットを主力に小国家が戦乱を繰り返している世界にござる! キャバリアが具体的にどんなものかというと、一例としてはこういうものでござる!」
そう言いながら無駄に動き回る巨大シャイニー。多分これ自慢したいだけだ。
「して、今回の事件はオブリビオンとなったキャバリアにそれとは知らず乗ってしまった軍人が、プラントがあるから戦乱が終わらないのだという考えに取り付かれ自国のプラントに立てこもってしまったのでござる。現在彼を討伐すべく国の軍が動こうとしておりますが、自国内で戦乱を起こさせることそのものがオブリビオンの目的。このままではその思う壺にござる。故に皆様方は傭兵として国に雇われ、この戦乱を沈めて頂きたく存じます」
幸いにしてクロムキャバリアで猟兵が活動を始めて数日、どこからともなく現れる異端の超凄腕傭兵の噂は広まりつつある。雇われること自体は簡単だろう。
「まず皆様方には、暴走するキャバリアのアンダーフレーム……つまりは下半身を鎮圧していただきたい。こちらはプラント近くの飛行フレーム格納庫を目指して突進、飛行可能な上半身を得たうえでプラントへ合流するつもりな模様。その前に足だけの状態のうちに是非止めて頂きたく」
クロムキャバリアでは高速で飛行する物体は漏れなく衛星『殲禍炎剣』によって狙撃される。あえてその的になることで周囲にその砲撃を撒き散らすことも可能となるため、地走しているうちに制圧したいところだ。
「そしてプラントまでたどり着けば、そこで極地作業用人型重機『クロムブルー』という人型機械の集団が襲ってきます。これらは本来プラントで作業していたAI搭載の無人機械なのですが、オブリビオンマシンの影響によりその配下となってこちらに向かってきます。パイロットはいない故破壊しても死人は出ませんので、思い切り蹴散らしてください」
後のことを考えればなるべく壊さず済ませたいが、状況如何ではそう言ってもいられまい。とにかく迅速に制圧するのが第一だ。
「そしてプラント内部では、今回の事件の元凶とも言えるオブリビオンマシン『ブレイジング・バジリスク』との決戦になります。この機体は大型バーニアを用いた三次元軌道による戦い方を得意としております。ライフルを主武装として多角的に射撃をしてくる強敵にござる」
しかし、とシャイニーは続ける。
「このマシンにはパイロットが乗っておりまして、彼をマシンが洗脳することによって自身を操縦させております。しかし彼は実際は希望と意欲、愛国心に溢れる純粋な若者でして、プラントの破壊など本来なら考えもしないようなこと。彼に呼びかけ本来の意識を呼び起こすことでマシンの支配を弱め、その動きを鈍らせることもできましょう」
そうすればパイロットを傷つけずマシンのみを破壊することも可能だろう。無論それが能わなければ、最悪の事態を避けるために冷酷な決断をする必要もあるだろうが。
「クロムキャバリアではキャバリアに乗っての戦いが主流となっております。お持ちの方は自身のキャバリアで乗り込めますし、そうでなければ国が貸与してくれます。勿論自信があるなら生身で戦っても構いませぬ。ご自身のスタイルに合わせお選びくださいませ。さあ、この誰も喜ばぬ戦乱を止めてきてくだされ!」
そう言ってシャイニーはグリモアを起動し、クロムキャバリアへの道を拓き猟兵を送り出した。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。クロムキャバリア初シナリオでございます。
今回は生産施設であるプラントを占拠したオブリビオンマシンとその配下たちを討伐していただきます。
第一章では冒険フラグメントで、爆走する下半身だけのキャバリアを止めていただきます。強い相手ではないので、やりたいように処理していただいてOKです。傭兵としては簡単に雇ってもらえるので、軍への自己アピールなどは不要です。
第二章は極地作業用人型重機『クロムブルー』との集団戦になります。作業用ロボットですが装備を兵器に換装しているので、それなりには戦闘能力はあります。AI制御で人は乗っていないので、人命を気にする必要はない反面説得などは出来ません。
第三章ではオブリビオンマシン『ブレイジング・バジリスク』とのボス戦になります。ボス相応の強さがありますが、パイロットに呼びかけを行うことでマシンの支配を弱め、操作を鈍らせパイロットの生存率も高めることができます(プレイングボーナスとなります)。
以下、パイロット詳細。
アラタ・ジン少尉(男・19) 士官学校を優秀な成績で卒業した若きエリート候補生。愛国心や熱意、そして少々身の程知らずな向上心を持つ良くも悪くも純粋な若者。キャバリア操作技術は高いが実戦経験はない。パーソナルカラーに塗った専用の特注キャバリアに乗るのが夢(ただし色すらまだ決めていない)。童顔なのが悩み。
またこのシナリオではキャバリアを持っていない方でもキャバリアに乗って出撃が可能です。特に希望がない場合軍所有の量産型キャバリアを借りることになります。自分の機体や生身で戦いたい方はプレイングに一言添えて頂くとそちらを参照します。
それでは、プレイングをお待ちしています。
第1章 冒険
『爆走アンダーフレーム!!』
|
POW : 力付くで脚をぶっ壊せ!!
SPD : 素早く関節を破壊するんだ!!
WIZ : ハッキングや罠を使うんだ!!
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
スクランブルを受け現場へと駆け付けた猟兵たち。その眼前に現れたのは、一か所をめがけて走っていく大量の下半身だけのキャバリアであった。
はっきり言ってかなり不気味な光景だが、その向かう先は飛行能力を持ったオーバーフレームの格納庫。合体すれば一体のキャバリアとしてオブリビオンマシンの配下となるだけでなく、いざとなれば高速飛行して『殲禍炎剣』の的となり、その砲撃を辺りに撒き散らす自爆テロも可能となってしまう。
だが幸か不幸かその格納庫があるのは最終目的地であるプラントと同じ方向だ。
猟兵よ、道すがらのウォーミングアップも兼ね、この爆走する下半身軍団の歩みを止めてやれ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・【POW】使用
・アド/絡◎
■行動
斜め上の方向に解決策を求められたみたいですねぇ。
何とか対処してみましょうかぁ。
『キャバリア』のレンタルは行わず、生身で向かいますねぇ。
【白翼衣】を使用、速度を『飛行船』と同程度に抑え、それなりの高度で飛行しますぅ。
相手の目的地がわかっている以上、格納庫とプラントの間で待ち構えれば彼方から来てくれるでしょう。
『下半身だけ』であれば『上空への攻撃手段』はほぼ無いでしょうし、多少有っても【白翼衣】で強化された『FSS』が有れば、問題なく防げますぅ。
『FCS』を使用し『FRS』『FSS』の弾頭を『炸裂弾』に変更、[爆撃]による[範囲攻撃]で破壊して回りますねぇ。
格納庫を目指し大爆走する下半身軍団。その前に立ちはだかるのは一人の人間であった。
「斜め上の方向に解決策を求められたみたいですねぇ。何とか対処してみましょうかぁ」
今回の事件の発端となった若き将校の主張を思い返し、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はそう声を漏らした。
格納庫の前で待ち構える彼女に向かい、アンダーフレームたちは一目散へ駆け寄っていく。
下半身だけ……つまり大きさは通常の半分とはいえ、それでも人間よりは大きい。ましてるこるは横はともかく身長は決して高い方とは言えない。このままでは蹴り転がされ、踏み潰されてしまうのは必定としか見えない。
だが、るこるはその迫る巨大下半身にもまるで動じることなく、己の体に女神の加護を纏わせた。
「《大いなる豊饒の女神》の使徒の名に於いて、その証たる衣を此処に」
【豊乳女神の加護・白翼衣】の力にて、その体を乳白色のオーラで包むるこる。そのオーラはるこるの持つ美貌と豊かな体をこれ以上なく引きたてながら、彼女の体をふわりと宙に浮かせた。
るこるはそのままアンダーフレーム達よりも上方へ飛翔、自身の周囲に脳波コントロール可能な浮遊兵装たちを展開した。
オブリビオンマシンの影響によって目的地へ自走する存在となったアンダーフレーム達だが、その進路上に何かが現れれば停止し、必要とあれば攻撃する程度の自立性は持っている。進路を阻むように現れたるこるの姿を認めたアンダーフレームは、走る速度を落としてその邪魔者を迎撃にかかった。
最もるこるの近くにいたアンダーフレームが、その足を振り上げてるこる目掛けてハイキックを放つ。2メートル近くある鉄柱の如き足が勢いよく振り回されるが、るこるはそれを避けようともせず、自身の横にビームシールド『FSS』を数機展開させることで難なくそれを防いだ。
さらにその後ろから別のアンダーフレームが飛び蹴りを放つが、るこるはそれをすっと横に動き、無駄なく躱す。ターゲットを失ったアンダーフレームはそのまま後方て飛んでいき、上半身がないためかバランスを取ることもできず無様に開脚したまま転倒する。
そうしてアンダーフレームからの攻撃を躱したるこるは、お返しとばかりに射撃機能を持つ『FRS』『FSS』の二種の兵装を広く展開させた。そしてそこから一斉に撃ちだされるのは、『FCS』によって換装された大量の炸裂弾だ。
るこるの眼下に大量の爆発が起こり、地上を赤い炎で染め上げる。多くのアンダーフレームは衝撃で転倒し、またそれに耐えても関節を焼かれてバランスを崩したり、倒れた他のフレームにぶつかって将棋倒しになったりと次々と行動不能に陥らされていった。
それら全てに耐えたフレームが反撃しようとしても、もう元の位置にるこるの姿はない。るこるは空中を絶妙な速度で移動し、戦場を把握しつつ敵の的にならないよう動き回っていた。
この世界では高速で飛行するものは漏れなく『殲禍炎剣』の的となる。だがそれと同時に、この世界では飛行船が重要な輸送手段として使われている。つまりその飛行船の硬度と速度を参考にすれば、『殲禍炎剣』に狙われることなく飛行できるのだ。
「申し訳ありませんが、ここで行き止まりとさせていただきますぅ」
世界の理を味方につけ、るこるは空中から地を這うフレームたちを炎で包んでいくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ノイ・グランガイオス
アドリブ、連携歓迎 大阪弁です
「ほぁー。この世界はウチらよりもデカいロボが戦争の主役やねんなあ」
キャヴァリアの貸し出しは遠慮しとこかな。ウチの武器はウチ自身やさかい。
「何やあの……何?」
爆走する下半身の群れ……なんかめっちゃシュールな光景やな……
とりあえず、アレを叩き潰せばええんやね。
「ブースター装着! 高機動型ノイ・参上!」
UCで装着したブースターで敵の群れに突入! 敵の弱点はそこやぁーー!
敵の間を縫うように高速で滑走しつつ、パンチで、手刀で、エルボーで、次々金○(股関節)をぶち抜いたらァ!!
瞳ヶ丘・だたら
クロムキャバリア、黒鉄の地! 未知のマシンとメカニズムが溢れる新天地! ……と胸躍らせ来てみれば、人型兵器の下半身だけが走り回る異様な現場。
面白いじゃないか。
キャバリアは不要、あたしの〈戦車〉がこの世界にどこまで通じるか試してみるとしよう。
戦車を[操縦]し、飛行フレーム格納庫の直前に陣取る。発動したUCにて蒸気兵士を量産し、それらを爆走するアンダーフレームの移動阻害に向かわせるぞ。突進してしがみ付き、動きが鈍ったものに〈主砲〉を[砲撃]していこう。それでも接近してきたものは、直接車体で踏み付け、突進し、[蹂躙]してくれる。
視界に機械がいっぱいで嬉しいのを隠しきれないあたしだ。
「ほぁー。この世界はウチらよりもデカいロボが戦争の主役やねんなあ」
ノイ・グランガイオス(ごっつウォーましん・f08595)が辺りを見回し、感心したように言う。ウォーマシンである彼女の身長は258.3cm。人型であればだいたいの敵よりは大きいサイズだ。だが、そんな彼女もこの世界では、主力兵器であるキャバリアの半分の大きさしか無い『小柄』な存在。その感覚の新鮮さは如何ばかりか。
そしてこの世界に胸を躍らせる者がもう一人。
「クロムキャバリア、黒鉄の地! 未知のマシンとメカニズムが溢れる新天地!」
瞳ヶ丘・だたら(機械ヲタな単眼少女・f28543)はその緑の片目を輝かせこの黒鉄の世界を見つめる。だが、その目に映るものは人型兵器の下半身だけが爆走するシュール極まりない光景。
「何やあの……何?」
ノイは困惑気味にその光景を見つめるが、だたらはそれを見て一言。
「面白いじゃないか」
彼女がその光景に思うのは、この暴れ回る機械の群れに己の戦車がどれほど通じるか。それ故だたらはキャバリアの貸与は受けてない。己の戦車と蒸気機関が、眼前の機械の群れをも上回ると信じているから。
そしてそれはノイも同じ。
「ブースター装着! 高機動型ノイ・参上!」
【HM・カスタム】の大出力ブースターを装着し、高速で下半身の群れの中へ飛び込んでいくノイ。彼女もまたその巨体と恵まれた姿態に不尽のパワーを秘めた戦闘機械だ。自身の体こそを最も信じられる武器として、ノイはアンダーフレームの群れへと立ち向かっていった。
格納庫の前に陣取り戦闘を挑む二人を、アンダーフレーム達は進軍を妨害する邪魔者と認識して排除せんとする。とはいえ下半身しか無い存在。その攻撃手段は限られている。ほとんど唯一と言ってもいい武器であるその足を振り上げ、敵と断じた者を破壊しにかかるアンダーフレーム達。
「そら行け進め、踏み潰せ」
もちろん大人しく踏みつぶされる猟兵たちではない。蹂躙するのはこちらだとばかりに自前の戦車に乗り、【蹈鞴印の蒸機兵軍団】のモノアイ蒸気兵士たちをけしかけるだたら。兵士達はその号令の元、一斉にアンダーフレームめがけて突進していく。狙うはその移動の要であり、まさに武器でもある足。まるでラグビーやレスリングの様に、兵士達は次々とその足に取りつき、その動きを抑え込んでいった。
己に絡みつく妨害者達を振り払うべく、足を振り回すアンダーフレーム。これはスポーツでは無い、相手を破壊して退けてしまっても何ら文句を言われる筋合いは無いのだ。遠慮の無い振り回しが蒸気兵士たちを襲う。しかし容赦ない攻撃が許されるのは双方同じ。
「弱点はそこやぁーー!」
ノイの強烈な打撃がアンダーフレームに見舞われた。パンチが、手刀が、エルボーが、次々とアンダーフレーム達を打ち抜いていく。そのインパクトの場所は兵士達が抑え込む足の接合点……即ち、股間。
もちろんキャバリアに痛覚などはない。そういう意味での弱点は今回の敵にはないはずである。だが、下半身しかないこのアンダーフレーム達にとってはそこは機構の中枢部、言うなれば頭部にも等しい場所だ。そういう意味では、その部分は間違いなく『弱点』と言えた。おまけに通常5メートルのキャバリアの下半身のみ、つまりは半分の高さと言うことはちょうどノイの身長と同じ程度。まっすぐ攻撃を繰り出せば丁度そこに当たるのだ。
やはりスポーツなら反則必至な強烈な攻撃を、ノイは高速で敵の間を縫いながら次々と叩き込んでいった。
「いい的だ、叩き潰してやろう」
そしてだたらもまた、戦車の主砲による砲撃をアンダーフレームの腰部分に次々と撃ち込んでいく。兵士によって脚を完全に抑え込まれた者はもちろん、抵抗をする者だって振り回せるのは片足のみ。立ってバランスをとらねばならない関係上片足は地に着けていなければならないし、腰の部分を過剰に振り回すこともできない。半端な人型という形状によってできた弱点に、だたらの砲撃が容赦なく炸裂していった。
片目の視界一面に広がる、機械と機械がぶつかり合う戦場。その光景に嬉しさを隠しきれないまま、だたらはその興奮をぶつけるかのように主砲をどかどかと放ち続けるのであった。
そして鉄の戦線の中、アンダーフレームたちは前に進むことを許されずに次々と沈黙していく。しかし一機のフレームが、兵士達の拘束を振り切り戦列から一歩前へ進み出た。そのまま邪魔者を、そして格納庫を踏み破り、合体を果たさんとするそのフレーム。
「おっと、行かせへんで! 往生せいや!」
だが、そこに高機動ブースターを思い切り噴かし、高速で戻ってきたノイが貫手の一撃を見舞った。その超スピードと重量が乗った鋭い一撃が、アンダーフレームの尻に容赦なく突き刺さる。
その勢いで大きく前に倒れたフレームに、だたらの乗った戦車が迫る。
「これが我が蹂躙だ……!」
興奮をにじませる声と共に、戦車による直接の踏みつけが地に伏せたその腰部をぐしゃりと踏み潰した。
クロムキャバリアの地にて、猟兵たちの信じる機械がその地の戦闘機械を見事蹂躙してのけたのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
泉・火華流
あのアンダーフレーム…一つもらってもいいのかしら?
クロムキャバリアで…何故かキャバリア整備士とかしてる(キャバリアの勉強の為らしい)機械いじりが好きな娘
行動
レガリアス・エアシューズで駆けながら、ミニガンやFBCで関節部や配線がむき出しになっている部分を狙って攻撃して動きを止めて…
悪さする子は一度バラバラにしてあげるわ
…と、マジカルメカニックセットの巨大スパナやドライバーでネジやボルトを抜いて解体する
指定UCを使用して、Shark小型戦闘機隊を飛ばして…
アンタ達の作戦…先にやらせてもらうわね
アンダーフレーム達の頭上で高速飛行し、殲禍炎剣からの砲撃を回避してアンダーフレーム達に当てる
メフィス・フェイスレス
シュールねぇ
とはいえヘタに足下に近づくのは危険ね
キャバリア?ダクセの住人が機械いじりとか出来る訳ないでしょ
しかし天高くに浮かぶ飛翔体を撃ち落とす砲台、ね
よくもまぁそんなもんを
どんな意図で造ったか知らないけど、せいぜい利用させてもらうわ
・「飢渇」を敵の足下に先行させて「微塵」化し、地雷として設置、先頭を転倒させ行進を滞らせる
・UCを発動、腐食性を付与した血霧を散布して錆び付かせる事で全体の動きを止める
・ジグザグに方向転換を繰り返しながら砲撃の雨を躱しつつ群れに突っ込み、自身を追うように降り注ぐ砲撃の巻き添えにする
攻撃のスケールの違いにはちょっとヒヤリときたわね
死ぬかと思ったわ、死なないけど
見事爆走するアンダーフレーム軍団の第一陣をしのいだ猟兵たち。だが先陣がやられたことを察したか、新手のフレーム達がどこからともなく現れ、格納庫を目指し始めた。
その進路上にある荒野でその一団を待ち構えるのは、メフィス・フェイスレス(継ぎ合わされた者達・f27547)と泉・火華流(人間のガジェッティア・f11305)の二人だ。
「シュールねぇ」
遠目にその姿を認めたメフィスは、シンプルかつこの上なく的確な感想を漏らす。たが見た目はどうあれ、その機動力と重量は本物。下手に足下に近づくのは自殺行為でしかない。ましてや彼女は機械とは無縁のダークセイヴァー生まれ、故にキャバリアを使用することなくこの戦いに挑んでいる。その体格差を如何ともしがたいことは厳然たる事実であった。
「あのアンダーフレーム……一つもらってもいいのかしら?」
一方火華流はその下半身達を物欲しげな目で見つめる。彼女はこのクロムキャバリアにおいて、キャバリアに関する勉強のため整備士として各地に雇われ、その知識を吸収していた。機械いじりが趣味なこともあり、自由にいじり回せるキャバリアは是非ともほしいものである。どうせこうなってしまった時点で破壊される運命にあるのだから、無事だったものがあれば回収しても構わないかもしれない。
だがそのためにはまずはこの事件を解決せねばならない。火華流は『レガリアス・エアシューズ』に大気の渦を車輪にし、アンダーフレームの群れの中へとかけだしていくのであった。
目の前に飛び出してきた相手を妨害者とみなしたか、アンダーフレーム達は速度をやや緩め、代わりに脚を振り上げるようにして火華流を踏みつぶすような動きを見せる。その踏みつけを急速に方向転換してかわす火華流。そしてその次の瞬間、たたらを踏んだその脚が突然爆発を起こした。
「足下がお留守……というやつかしら」
その爆発は、メフィスの飢餓感に連動してあふれ出るタール状の粘液『飢渇』、そしてそれが爆弾へと変じた『微塵』。絡みついたらはがすことの難しいその爆弾で動きの要となる脚を破壊され、先頭のアンダーフレームが派手に転倒した。
そのフレームが邪魔となって進軍が滞る後続に、火華流のミニガンやビームキャノン『FBC』が叩き込まれる。関節や配線など弱い部分をメカニックの知識で的確に狙った射撃に、後続フレームたちも次々と動きを鈍らされていった。
「悪さする子は一度バラバラにしてあげるわ」
さらに追い打ちとして叩き込まれる、『万能マジカルメカニックセット』の巨大工具による解体攻撃。緩んだ関節を外され次々倒れていくその上から、今度は赤い霧雨が降り注いだ。
「見下ろすなぁ!!」
それは【醜翼を翻す】によって上空からメフィスの降らせた、猛毒の霧の雨。機械であるキャバリアに生物毒は効かないが、腐食性なら生きているかどうかは関係ない。その雨を躱す術を持たないアンダーフレームたちは、見る間にその全身を錆びさせていった。
「そろそろとどめだね……次元格納庫オープン……Shark小型戦闘機隊、各機出撃準備整い次第、次元滑走路より出撃お願いね♪」
「天高くに浮かぶ飛翔体を撃ち落とす砲台、ね。よくもまぁそんなもんを」
動けなくなったフレームの上、メフィスは高く飛翔し、火華流は離脱しながらShark小型戦闘機隊を呼び寄せる。そしてその飛翔体の軍団は、フレームの上を高速で飛び回り始めた。
「アンタ達の作戦……先にやらせてもらうわね」
「どんな意図で造ったか知らないけど、せいぜい利用させてもらうわ」
この世界において高速で飛び回る。それは自ら死を招く行い。そして、このアンダーフレームたちが合体の果てに行おうとしていた破壊行為。
案の定、『殲禍炎剣』がその飛翔体を撃ち落とさんと放たれた。
次々に起こる破壊の爆炎。Shark小型戦闘機隊は一瞬で消滅し、メフィスは高速で動くことでそれを躱して周囲を巻き込んでいく。正確な狙撃が何度もギリギリをかすめ、強烈な爆風がメフィスをあおってバランスを崩させる。一瞬でも気を抜けば直撃、そのギリギリの世界を、メフィスは飛び続けた。
ややあって炎が収まったとき。そこには文字通りに何も無くなった荒野と、宙に浮かぶメフィスの姿だけがあった。
「あ、フレーム……」
あまりにも激しすぎる爆炎は、フレームたちを跡形もなく消し飛ばした。こうなってしまえば回収などは当然不可能だ。
「攻撃のスケールの違いにはちょっとヒヤリときたわね。死ぬかと思ったわ、死なないけど」
しかし不死のデッドマンの体とはいえ、跡形もなく消滅してしまえばどうなるか。
相手が暴走する命ない機械であり、場所が人のいない荒野だからこそなった作戦。強力であることは間違いないが、市街地やプラントなどの重要施設近辺、救出や守護する対象がいる場合などには到底使えたものではないだろう。もちろん、自分が巻き込まれれば想像できるのは最悪の結末だ。
ともあれこの場を平らげた。それは間違いない戦果だ。
強すぎる力の制御。戦争の続くクロムキャバリアの、そしてもしかしたら猟兵の至上命題かもしれないそれを思い、二人は次の戦いへと向かうのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ジェイク・リー
・キャバリアに乗らずに戦闘
紅いルーン文字の入った黒いローブに黒いバイザー付きの鳥の上顎を付けたフルフェイス姿のウォーロック、グリムニルで行動。人格等にも影響が出ている。
「科学か魔術……面白い」
二重の機械音声で話す。
カード状にした魔力を操り、天候操作で雨を降らせる。
続けて両腕から属性攻撃による電撃を放ちながら空中浮遊で移動、範囲攻撃で攻める。
「使えそうなものがあれば報酬としてもらうか」
絡み・アドリブOK
数機のアンダーフレームが格納庫への道を爆走していく。だが、その数は最早無数と言うにはほど遠く、それ以上の増援の報告も入っては来ない。
これが爆走下半身軍団の最後の一団だろう。その前に立ちふさがるのは一人の猟兵、ジェイク・リー(影の護り手・f24231)だ。
だが、その姿は普段の彼とは大きく違っていた。
いつもの黒一色の服ではなく、紅いルーン文字の入った黒いローブに黒いバイザー付きの鳥の上顎を付けたフルフェイスというその出で立ちは、アックス&ウィザーズの魔道士か、あるいはヒーローズアースのヒーローもしくはヴィランのようでもある。
今の彼はジェイクであってジェイクではない。彼がその身に宿す人格の一つ、ウォーロックであるグリムニルの人格を強く前に押し出した存在であった。
「科学か魔術……面白い」
それを表すかのように二重の機械音性で話すジェイク。それはまるで一機の小型の機械が、大きいだけの有象無象を蹴散らしに行くロボットヒーローのワンシーンの様でもあった。
しかし、ジェイクが取り出したのはその声の印象にそぐわぬ一枚のカード。ほのかに光るそれは機械技術の代物という前提で見ればなにがしかの情報を込めたICカードといった所だろうか。
だがジェイクはそれを何かに読み込ませるのではなく、天高く掲げた。それと同時にカードは霧の様に手の中から消え、空へと吸い込まれていく。
そしてそれが呼び水になったかのように、クロムキャバリアの空に黒雲が満ちる。そして僅かな時間もおかず、天から大粒の雨が降り始めた。
今ジェイクが掲げたのは科学技術によって作られたものではない。グリムニルの魔力を『ウォーロック・ハンド』によって制御し一つの形にまとめた、いわば魔力の塊のようなものだ。
そしてそれで降らせた大雨の中、ジェイクはふわりと浮き上がる。この浮遊もまたバーニアや反重力装置の様な機械によるものではなく、魔術的な浮遊術だ。技術では長く人類の夢と言われつづけていた浮遊術も、魔法では古来の伝承からある基本術の一つに過ぎない。
しかし、アンダーフレーム達とて半身のみと言えどこの世界の技術の粋を集めたキャバリアである。いかに強い雨だろうとそれで濡れた程度で動きに支障が出ることなどない。周囲の認識にも問題はないのか、自身の前に現れたジェイクに対してその脚を振り上げて叩き落としにかかる。
それに対しジェイクはゆっくりと両手をあげ、そこに次なる魔力を溜めた。
「超越した力を」
二重の音声と共に、グリムニルの力がより解放される。それは迸る稲妻となって、その両腕から放たれた。
ジェイクを発信源とした電撃はまっすぐにアンダーフレームに吸い込まれる。そのまま閃光と火花を立て、まさに落雷といった様子でそこに直撃した。
濡れたフレームの上を舐めるように電撃が伝い、轟音と共に各駆動部から火花が上がる。そのまま爆破で外部を、電気で駆動系をやられ、フレームは膝をついて動かなくなった。
魔術的に撃たれたものだろうと電流は電流。水を通り電送系を破壊できるという性質は変わらない。ジェイクはそのままゆっくりと飛行しながら電流を撒き散らし、次々とアンダーフレーム達に雷を落としては沈黙させて行った。
魔法で撃ち出された雷が電流としての性質に則って機械を破壊していく。それは当然の光景でありながら、まさに魔術と科学がぶつかり、そして共存した形とも言えた。
程なくしてその場の全てのアンダーフレームが、電撃にやられ動けなくなる。あるものは関節から火花を噴き、あるものは装甲を焦がして炎に舐められ、その姿を屍のように雨の中に曝していた。
ジェイクは地に降りると、動かなくなったそのアンダーフレーム達を見上げ呟く。
「使えそうなものがあれば報酬としてもらうか」
もちろん今のまま使えるものは一つとしてないだろう。だが、損傷の度合いによっては修理すればいくらでも蘇らせることができる。それが科学の、そして機械の強みなのだ。
その不思議なき蘇生を行うことが可能なものを探すべく、ジェイクはアンダーフレームの残骸達を検分し始めるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『極地作業用人型重機『クロムブルー』』
|
POW : 戦闘用改造個体
自身の【アーム部分】を【指揮官から支給された兵器】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
SPD : 移動用改造個体
【強化された脚部機能と攻撃軌道予測AIで】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : 防衛用改造個体
【拠点を死守すべく共に戦う同型機】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[拠点を死守すべく共に戦う同型機]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
イラスト:エンシロウ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
爆走するアンダーフレーム軍団を完全に沈黙させ、後ろの不安を完全に払った猟兵たち。だが本番はここからである。
クロムキャバリア各国の生命線であり、今回の事件の首謀者が破壊せんとする巨大生産施設プラント。そこは既にオブリビオンマシンによって制圧され、内部にいた人間は外へと締め出されていた。
そしてその周囲には、丸く巨大な頭部を持った人型のメカがあたりを警戒するように何機も歩き回っている。
あれが情報にあった極地作業用人型重機『クロムブルー』だろう。元はプラント内での作業に従事する優れた労働力だったはずだが、今や完全にオブリビオンマシンの支配下となり、作業用だったアームに武装を着け外敵の侵入を防ぐ歩兵となっている。
たかが作業用と侮るなかれ、その高い生産性を活かし有事の際は安価な戦力とすることも見込まれた設計になっているのだ。戦闘に関わるAIは元から搭載されている上、オブリビオン化の影響でより凶悪に変化させられている可能性もあるだろう。
幸い彼らは無人機であり、戦闘に置いて搭乗者の心配をする必要はない。戦闘の余波がプラントに及ばないようにだけ注意すれば、思い切り破壊してもいいだろう。
さあ猟兵よ、心ならずも蜂起した作業員達を鎮圧するのだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
人間は退避済み、救助の必要が無いのは有難いですねぇ。
それでは、始めましょう。
【燦華】を使用して全身を『光』に変換、10m程の高さを飛行しますねぇ。
『兵器』による攻撃であれば、実体の曖昧な『光』の状態なら殆どの攻撃を無効化出来ますぅ。
後は、影響を受けそうな攻撃のみ『光速回避』ですねぇ。
『光』であればそのままで飛行可能ですから、『FBS』はプラント近くの敵へ回し、攻撃と同時に引き離しましょう。
プラントから離れた個体は『FRS』の[砲撃]、密集箇所には『FCS』で弾頭を炸裂弾に変更した『FSS』の[爆撃]で[範囲攻撃]しますぅ。
出来れば『動力』の[部位破壊]を狙いたいですが。
プラントに侵入者を近づけまいとその前に多数陣取る極地作業用人型重機『クロムブルー』の集団。締め出された作業員と思しき人間たちがそれを遠巻きに見守る中、キャバリアにも乗らぬ一人の人間がずっと前に進み出た。
「人間は退避済み、救助の必要が無いのは有難いですねぇ。それでは、始めましょう」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はそう言いながらさらに前に出て、クロムブルーたちへと近づいていく。周囲からざわめきが起き、中には止めようとする声も聞こえるが、るこるは構わずクロムブルーの感知範囲へと入っていった。
近づいてきた相手を追い払おうというのか、クロムブルーたちは作業用だったアームに取り付けられた機関銃をるこるに向ける。すぐに弾を発射しないのは、オブリビオンマシンの洗脳によるものとはいえ指揮官の目的がプラント破壊であり、人を傷つけることではないからだろうか。
「大いなる豊饒の女神、その象徴せし欠片の一つを我が身へ」
その威嚇にも動じず、るこるは【豊乳女神の加護・燦華】を発動、その身を光へと変えた。
眼前で突如るこるが形態を変えたのを攻撃とみなしたか、クロムブルーたちは一斉に機関銃をその光へと放つ。だが、実弾は光を傷つけることは出来ず、その体を突き抜ける。キャバリアより体格の小さい相手に向けた射撃は後方への流れ弾とはならず、地面に穴をあけるだけにとどまった。
そのままるこるは浮遊兵装たちを操作、クロムブルーたちを攻撃にかかる。
自身に攻撃してきた敵機体には、防御も兼ねて展開していたビームシールド『FSS』に取り付けられた砲台からの射撃で応戦する。その弾薬は、先にアンダーフレーム戦でも使った炸薬弾だ。次々と起こる爆発に、元よりさして頑丈とは言えないクロムブルーたちはその体を揺らがせ、次々転倒していく。
さらに離れた場所でプラント警護していたものにも、戦輪『FBS』を差し向け攻撃を仕掛ける。だがこちらの第一の目的は殲滅ではない。FBSはクロムブルーたちの装甲を浅く切りつけてから挑発するようにその前を浮遊、そのままプラントとは逆方向へと離脱していった。クロムブルーはそれを追いかけ、機関銃を乱射しながらその行く先へと誘導されていく。
そして誘導されたその先には、砲台『FBS』がその砲身を並べて待ち構えていた。クロムブルーを射程に捕らえた瞬間、FBSの砲撃が一斉に放たれる。その砲弾はクロムブルーたちたの上半身、動力機関があると思しき場所を的確に撃ちぬきその動きを止めていった。
敵をプラントから引きはがしての戦力削減と、戦場から離れた場所で機能停止させることで戦後の回収と再利用をやり易くするための策があたり、遠く離れた場所で最低限の損傷で多くのクロムブルーが沈黙していく。
「これで大丈夫でしょうか……」
そう思った瞬間、るこるの前で爆発に飲まれていたクロムブルーの一体が、光のるこるに向けて射撃を放った。その弾は実弾ではなく、レーザータイプの熱光線。
光同士では干渉を受けるかもしれない……そう考えたるこるは、光の速さで横に動きその射撃を回避した。光速で動くことに殲禍炎剣が反応する不安が一瞬よぎったが、高度の関係か殲禍炎剣が落ちることはなく回避に成功、そのままFSSに射撃を命じ、その機体も完全に停止させた。
爆発で倒した機体は修理は難しそうなほどに破壊されていたが、それでも周囲に被害を出さず破壊できたことは間違いない。
「さて、ここまでは遠慮なく倒せましたがぁ……」
そう呟きながらるこるは目の前に聳える塀の向こう、プラントの建物へと目を向けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
シル・ウィンディア
自身のサイキックキャバリア、精霊機『ブルー・リーゼ』で出撃
プラントをできるだけ傷つけずに、か
となると、いつもの砲撃系のUCとか使えない
メインはエトワールで何とかしないといけないのか…
ええい、悩んでも仕方ないか
シル・ウィンディア、ブルー・リーゼ、行きまーすっ!
敵機接近前の選択UCを行使だね
ブルー・リーゼ、ヘキサブーストモードいくよっ!
【空中戦】で高度に気を付けつつ敵機へ高速接近
すれ違いざまにビームセイバー『エトワール』で敵機の腕部を【切断】していくね
敵の攻撃は【第六感】を信じて動きを【見切り】、【瞬間思考力】で判断して効率よく回避
回避時は【フェイント】と【残像】の急加減速で回避だね
今まさにプラント制圧事件発生中のこの国では、事態を鎮圧すべく軍が慌ただしく出撃準備を進めていた。既に凄腕の傭兵たちが手際よく事態の収拾に向かっているが、かといって国軍が何もしないなどあってはならない。
軍所有のキャバリアが出撃のため発進場所に並ぶ中、そこに明らかに周囲とは違う造形の、青い流線型の形を持ったキャバリアが一機紛れ込んでいた。
「プラントをできるだけ傷つけずに、か。となると、いつもの砲撃系のUCとか使えない。メインはエトワールで何とかしないといけないのか……」
その機体のコックピットの中で、シル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)が今回の作戦の概要と注意点を思い出しその対処方法に頭を悩ませる。
本来は魔術や意志力を媒体とした砲撃戦を得意とする機体だが、誤射や流れ弾の可能性を考えると迂闊に威力の高すぎる砲撃はできない。近接攻撃でどこまで戦えるのか……
「ええい、悩んでも仕方ないか。シル・ウィンディア、ブルー・リーゼ、行きまーすっ!」
ここで考えていても仕方ない。シルの明るい掛け声と共に、青きサイキックキャバリア『ブルー・リーゼ』は国軍のキャバリアを置き去りにするスピードで戦場へ向けて飛び立った。
見た目に違わぬ高機動型キャバリアは、あっという間にプラントへと接近する。このまま行けば間もなく接敵だが、その前にとシルは己の魔力をキャバリアの操縦機能へ伝達、その機動力にさらに戦闘力を上乗せした。
「六芒星に集いし精霊達よ、我にさらなる力を与えよ……ブルー・リーゼ、ヘキサブーストモードいくよっ!」
【ヘキサドライブ・ブースト】が機体に纏われ、その背に二対の光の翼が現れる。そのまま殲禍炎剣の標的にならぬよう低高度を維持したままプラントへ高速接近、そこに群れるクロムブルーの群れの間を、青い疾風のように駆け抜けた。
突如として感知範囲内に現れた所属不明機を、状況から敵と判断して撃ち落とそうとするクロムブルー。だが、その銃口が敵を捕らえる前に銃が腕ごと体から離れ、地面へと落ちた。
高速で鉄器の間を通過するその刹那、ブルー・リーゼの持つBXビームセイバー『エトワール』がその腕を切り裂き武装を解除させたのだ。
敵が非常に高い機動性を持つと認識したクロムブルーたちは、残ったもう片腕を変形、巨大なバーニアに変えてそれを自身の後方に噴かすことでブルー・リーゼの機動力に対抗しようとした。
遠方へと一旦離脱したブルー・リーゼに向かい大幅に強化されたスピードで迫るクロムブルーの一団。腕を移動に使う関係上攻撃に用いることは出来なくなったが、そのスピード自体を武器に自身をぶつけるつもりなのだろう。
だが、弾丸となったその体が届く寸前、青き疾風が再び掻き消える。それは突進してきたクロムブルーたちの後ろを一瞬のうちに撫で、そのバーニアさえも切り飛ばした。
敵にぶつからず、バーニアの炎にも巻かれず、敵を沈黙させるための過不足ない損傷を与えるだけの攻撃を放てるその瞬間。そのコンマ一秒にも満たない刹那を見極めた、煌めく残像だけが残るような斬撃が、クロムブルーたちを完全に機能停止へと追い込んだ。
「この場は抑えたね。ブルー・リーゼ、次の戦場へ移動します!」
次なる敵を吹き散らすべく、青の旋風が再びプラントの周囲を舞った。
大成功
🔵🔵🔵
ノイ・グランガイオス
アドリブ、連携歓迎 大阪弁です
「第2陣は、いかにもな作業用量産機が来やったな……」
ゆーても元々作業用やろ? ウチはこー見えて戦闘用ロボやで。
量産型らしく数は大したもんやけど、ウチら相手にはちょっと役者不足とちゃう?
ブラスターで牽制しつつ【フェイント】や【ダッシュ】を駆使して敵の隊列に潜り込み、乱戦に持ち込んで同士討ち、もしくはそれを警戒する敵の隙をつく形でグラン・バッシュ…力任せのケンカパンチで敵を1体ずつ各個撃破したるわ!
「なんぼ5m級でも、AI操作の作業用重機に倒されるようなウチらやあれへんで!」
泉・火華流
とりあえず、人的被害は出そうにないのはいいね…
行動
指定UCを発動
エアシューズ+ミニガンの高機動戦闘術で敵の攻撃を回避しつつ射撃攻撃【ダッシュ・継戦能力・弾幕・乱れ撃ち・見切り・掃除】をメイン
基本的に足を止めずに相手と撃ち合い、周囲の建物を利用して戦闘【地形の利用】
相手のUC(SPD)にはナイトメア&クロスシザーズを取り出し【封印を解く・リミッター解除】による【時間稼ぎ+結界術】で自分を中心に僅かな時間だが、中に入った相手の時間を緩やかにする結界を形成して対抗
いくら先読みできても、こっちの速度についてこれないと意味ないよね…(自分はUCでの身体能力強化に加えて、【瞬間思考力】で行動)
猟兵によっていくらかのクロムブルーは排除された。しかし元の数が多いからか、それでもなおプラント周囲にはクロムブルーの大群が配置されている。
あくまで邪魔者を中に入れないことが目的だからか近づいてこない者には攻撃しない彼らを、遠くから二つの人影が見つめていた。
「第2陣は、いかにもな作業用量産機が来やったな……」
シンプルなデザインと生産性を重視したような安価な作りのクロムブルーの姿に、ノイ・グランガイオス(ごっつウォーましん・f08595)はそう呟く。
「ゆーても元々作業用やろ? ウチはこー見えて戦闘用ロボやで。量産型らしく数は大したもんやけど、ウチら相手にはちょっと役者不足とちゃう?」
そう、そのシンプルさと安さは確かに一つの武器と言えるものではあるが、所詮は『戦闘にも使える作業ロボ』、ウォーマシンたる自分が後れを取るはずはないと、ノイは確信し群れる相手を見据える。
「とりあえず、人的被害は出そうにないのはいいね……」
戦場になり得そうな場所と敵を見てそう考えるのは泉・火華流(人間のガジェッティア・f11305)。敵であるクロムブルーはAI操作の無人機、破壊したところで犠牲になるパイロットは存在しない。またプラント自体は重要施設だが、相手がいるのは外縁部であり多少壊れたところでプラント全体の機能に影響はない。そこで働く人間の作業員は全てクロムブルー自身が追い出しており、一般人が巻き込まれる心配もない。よほど広範囲な攻撃でも使わない限り、人命や重要施設が危険にさらされることはないだろうと、戦場のある種の安全性を火華流は確認した。
そうして状況を把握したら後は行動あるのみ。二人はそれぞれに作戦を自身の中で確認すると、一息にクロムブルーの群れの中へと駆け出した。
「HIKARU・GEAR発動!!」
まず先に敵陣に切り込んだのは火華流。【HIKARU GEAR:SILENTACTION】……略称【HGS】を発動し、機動力と隠密性を極限まで高め敵中へと飛び込んだ。
そのまま大気の渦を車輪にしたエアシューズで敵の間を駆け回りつつ、ミニガンを連射し敵を攻撃していく火華流。
クロムブルーたちは突然のことに一瞬反応できないが、そこは機械ゆえの切り替えの早さ。敵襲を理解し即座に戦闘用AIを起動、脚部を強化しつつ敵の軌道を分析しその行動を予測する。それに従ってアームについた機関銃を火華流に向けるが、火華流とて敵が自分の行動を呼んでくるのは予測済み。近くにある資材置き場と思しき建物の陰に入り、それを盾にして敵の第一射を防いだ。
さらに追いすがろうとするクロムブルーに、後ろから別の攻撃が迫る。
「おらおらこっち見んかい!」
そこにはブラスターを連射しながら猛然とクロムブルーたちに殴り込みをかけるノイの姿があった。連射される光線がクロムブルーに当たり、その機体に小さな爆発を次々と起こしていく。だがその光線だけでは動きを止めることは出来ず、クロムブルーたちは新たに現れたノイを敵と認定、即座にアームをライフルに変え、ノイへ向かって発射した。
だがノイは怯むことなくそのまま前進、敵の群れのど真ん中まで強引に飛び込み、手当たり次第に敵へと掴みかかった。それでも構わずクロムブルーはノイに向かいライフルを撃つ。だがそれは巨体でありながら俊敏に動くノイを捕らえることは出来ず、そのまま後ろにいた別のクロムブルーを撃ち倒してしまった。
動揺する感情こそ持ってはいないが、無暗に撃っても戦況を悪化させるだけだと判断する知能はある。銃口を向けたまま包囲態勢を取ろうとするクロムブルーたちに、お構いなしにノイは近づき拳を振り上げた。
「だっしゃあ!」
気合の掛け声と共に振り下ろされる【グラン・バッシュ】のハンマーパンチ。その鋼鉄の拳は安いとはいえ分厚い金属性であるクロムブルーの装甲を紙のように突き破り、その中枢部に致命打を与えた。
その振り下ろしの隙、そこを逃すまいと他の機体が一斉に弾丸を発射しようとする。だがその足元に、再び小さな影が走り寄っていた。
「いくら先読みできても、こっちの速度についてこれないと意味ないよね……」
ノイに狙いが行ったのを確認した火華流は再び敵中へと戻り、『ナイトメア&クロノス・シザーズ』を抜き空間を切り裂く挙動を見せた。切られた空間は彼女を中心に結界へと変わり、その中にいる者の動きを無差別に遅くする。
元々機体の性能自体は高くないクロムブルー。その動きは目に見えて遅くなり、狙いをつける動作もスローモーションだ。
「のんびり狙っとる暇があるんかいドアホ!」
その動きを見逃すはずもなく、ノイが一体のクロムブルーをまた殴り倒す。
「こっちは消し飛ばさないでおいてあげるよ……」
さらに逆方向のクロムブルーは、後ろに回り込んだ火華流のミニガンで駆動系を破壊された。
火華流の結界は近くにいるノイはもちろん、自分自身の動きさえ制限する。だがユーベルコード由来ではない結界なこともあり、ノイのパワーなら強引に踏み倒して動けるし、火華流自身は【HGS】で強化された機動力とこのクロムキャバリアで身に着けた瞬間的にものを考える力がある。二人に対しては影響はないに等しかった。
「なんぼ5m級でも、AI操作の作業用重機に倒されるようなウチらやあれへんで!」
「ばらした後はもう君たち……私のものだからねっ!!」
弱いものだけが絡めとられる世界で、圧倒的な力とスピードが多量の敵を破壊していく。それはまさにワンオフのエースが量産機を駆逐する、ロボットバトルの花形シーンとも言える戦いであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
瞳ヶ丘・だたら
【アドリブ連携等々歓迎】
作業用重機の群れ。見くびって掛かるわけにはいかないが、性能で遅れを取ることはもっと許されんな。
UCによって、奇妙な電波塔のような形の"放射型高磁力発生装置"を作り上げ、設置しよう。動かそう。向けた磁力場、分かりやすく「攻撃」とは言えぬこれを回避するのは、いかに高性能とて無人機には難しかろう。
これによって敵機をがしがしと集め、次から次へと[砲撃]していくぞ。もちろん砲塔はプラントに向けないように注意しよう。中には引きずり込まれながらも攻撃を仕掛けてくる個体とているだろうが、姿勢の定まっていない攻撃であれば、あたしが[防具改造]を施した〈超重装甲〉を貫けはすまいさ。
ジェイク・リー
筋肉質な体躯にダークグリーンのアーマーとフェイス姿、最も殲滅力に長けたガンナーであるドゥームに変化。
寡黙で一言もなく、唯敵を殲滅する事しかないらしくゼノファジをショットガンに形成して戦闘に入る。
ダッシュで滑る様に回避しつつ、ショットガンからヘビーマシンガンに切り替え、スナイパーの狙撃で頭部を狙う。
ロケットランチャーに切り替えては範囲攻撃で一気に叩き潰す。
アドリブOK
数多くいたクロムブルーたちも、動けるものはついに数える程となった。その残った機体は全て一つの場所……プラント正門前に集中する。恐らくその奥に指揮官機がいるのだろう。真正面から押し通ろうとする力自慢、それだけは何としてもここで防ぎきるつもりということか。
だがそれはこの先には死んでも守らなければいけない何かがあると周りに教えるも同じ行為。その作業機械の群れを、一つの目が静かに見据えていた。
「作業用重機の群れ。見くびって掛かるわけにはいかないが、性能で遅れを取ることはもっと許されんな」
瞳ヶ丘・だたら(機械ヲタな単眼少女・f28543)はクロムブルーの姿をその緑の瞳に映し、その存在を頭の中で分析する。
そしてその機械の群れを見つめるもう一人の人影。ジェイク・リー(影の護り手・f24231)は先にアンダーフレームと戦った時のローブ姿ではなく、ダークグリーンのアーマーとフェイスという姿であった。違うのは服装だけではない。今顕現している人格はウォーロックのグリムニルではなく、彼に宿る中で最も殲滅力に長けたガンナーであるドゥームという人格。彼……いや、一言もしゃべらぬその姿からは性認識さえも窺えないが、その威容を示したままショットガンへと形成した『ゼノファジ』を構えクロムブルーの群れを見つめている。
そしてその一団を駆逐するべく、二人は動いた。まず敵中に飛び込んでいったのはジェイクだ。無言のままショットガンを連射し、クロムブルーを打ち倒していく。
敵襲を確認したクロムブルーはアームを即座に換装、連射性能の高い機関銃へと変え、ジェイクを狙った。その掃射をジェイクは素早く動いて躱し、隙を見ては反撃していく。ショットガンで面を攻めた後は銃をヘビーマシンガンへと組み替え、頭部を狙うことでその機能を停止させていった。
そしてだたらは、敵地に飛び込むことはせず少し離れた場所で工具を広げていた。そしてその工具たちを一見滅茶苦茶に動かしながら、一つの機械を組み上げていく。
「さあ完成だ。こいつを設置しよう。動かそう」
だたらの眼前に聳え立つのは、アンテナを備えた歪な鉄塔のような何か。その機械がうなりを上げアンテナから不可視の何かが発された瞬間、ジェイクと戦闘していたクロムブルーは突如その動きを鈍らせ、まるでかき集められるかのように一か所に向けて動き始めた。
一見すれば奇妙なオブジェにしか見えないそれは、しかし【ガジェットショータイム】にて作られた、この場を制するに相応しいガジェット。その正体は"放射型高磁力発生装置"であった。
「分かりやすく「攻撃」とは言えぬこれを回避するのは、いかに高性能とて無人機には難しかろう」
いかにクロムキャバリアの技術で作られたAIであろうと、磁力を認識してそれに対策を取るなどという細かい機能までは搭載されてはいない。有人機であればあるいはパイロットの創意工夫で何がしかの対策を取ることもできたかもしれないが、作業を本分とするAIではそう言うわけにもいくまい。
磁力に絡めとられ動けなくなっている所に、だたら謹製戦車の砲塔が向けられる。
どかんと轟音を響かせ放たれた砲弾がクロムブルーの塊に放たれ、着弾と共にそれらを一塊の鉄屑へと変えた。
さらに連続で砲弾が放たれ、磁力に覆われた一体に次々と爆炎の花を咲かせていく。その爆炎の中、磁力の弱い部分に偶然入ったか、何体かのクロムブルーが磁力の戒めを抜け出し、だたらへ向けて動き始めた。
目立つ形のガジェットができた瞬間動けなくなったことを認識できたか、それを破壊するつもりなのだろう。もがくように動きながら、クロムブルーたちは磁力の世界から抜けだろうとしていく。
だが、その磁力が切れるその場所に、暗緑の影が立ちふさがっていた。
ジェイクはロケットランチャーを肩に担ぎ上げ、その銃口をクロムブルーたちに向ける。
そして無慈悲な爆炎が、黒鉄の作業機械たちを磁力の中へと押し戻した。
ここまでの攻撃でそもそも数もほとんど残っていなかったクロムブルーたちは、磁場から脱出すること叶わずそのほぼ全員がスクラップへと変じていった。
だが、爆炎と煙に紛れて、たった一機だけがその磁力の檻を抜け、ジェイクの脇をすり抜け、ついにだたらの元までたどり着いた。
その最後の一機は、ボロボロのアームに取り付いたライフルをだたらに向けて放つ。しかし姿勢が定まらぬまま放たれたその一射は、だたらが手ずから改造した超重装甲に当たり、冷たい金属音を立てるだけに終わった。
「良くここまで食らいついた。だがこれが戦車……『戦う車』と作業機械の差だ」
ここまでたどり着いたその一機にこれが最大限の敬意だと言わんばかりに、強烈な砲弾が撃ち込まれた。
こうして無人作業機械たちは全てがその機能を停止、プラントへの道は完全に開かれたのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『ブレイジング・バジリスク』
|
POW : ブレイジング・シュート
【ライフルの集中射撃】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : バジリスク・ランページ
【右腕のライフル】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ : エンジンキラー
自身の【オブリビオンマシン】から【漆黒のオーラ】を放出し、戦場内全ての【エンジン】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
イラスト:純志
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
プラントを警備するクロムブルーも全て打ち倒し、プラントは完全に守る者のない丸裸となった。
それと時を同じくし、多くの量産型キャバリアがプラント周囲を取り囲む。その機体には国章が付けられ、国軍所属のキャバリアだということが見て取れる。
そしてその中の一機、他とは違う色に塗装され豪華な装飾のついた機体が前に進み出ると、そのスピーカーを通して中年の男の声が響いた。
「アラタ少尉! 君は完全に包囲されている! 大人しくキャバリアから降り投降したまえ!」
男の声に応えるようにプラント内部から、ダークレッドの機体から黒煙を上げるキャバリアが現れた。
「いいえ大佐殿、自分はここを離れるわけにはいかないのです! 自分はこの国を愛しております。それ故他国から狙われる原因となるこのプラントを存在させておくわけにはいかないのです!」
その機体から若い男の声が聞こえる。そもそもあらゆる生産を担うプラントが破壊されれば、戦争云々以前に国の全てが機能停止し即座に生活が立ちいかなくなるのだが、恐らく彼にはもうそれが理解できないのだろう。
オブリビオンマシンによって狂気に走らされた彼だが、無人兵器ばかりを配下にし、いきなり破壊せず一度プラントを制圧していること、その際に人間の作業員を殺しも人質にもせず追い出していることなど、無駄な行動がやたらと多く見られる。
恐らくこれは彼が心の深い所ではまだマシンに抗っているというその証左だろう。国を愛するその本当の心を呼び覚ましてやれば彼をこちら側に引き戻し、真の元凶であるオブリビオンマシンのみを破壊することも可能となるはずだ。
この一件に不可解な部分が多くあることは国も分かっている、猟兵からの説明があれば彼も悪いようにはされないだろう。
軍が持ってきた拡声器や通信機、あるいは猟兵自身の能力を使えば声をマシンの中の彼に届けることも可能である。
さあ猟兵たちよ、悪夢に捕らわれた若者を救い出し、無益な戦乱を撒き散らす兵器を破壊せよ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
この方が一応の首謀者、ですかぁ。
『呼び掛け』用に『インカム型のマイク』を借り、生身で参りますねぇ。
そして『FBS』を四肢に嵌め地表近くを浮遊、『FRS』『FSS』を『光の結界』へのエネルギー供給に回し、【耀衣舞】を使いましょう。
弧を描く様に『ライフル弾』より速い『光速突撃』を行えば、狙いを定めることは出来ません。
プラントから引き剥した上で『刀』&『光速突撃』による『ライフルの使えない接近戦』に移行しますねぇ。
外の人間に『国の事』を言われても説得力はないでしょう。
『オブリビオンマシン』について国軍にも聞こえる様話せる範囲で話し、彼に『何に抗っているか』を自覚させますねぇ。
ついに現れたプラント占拠の主犯、アラタ・ジン少尉。彼の乗るキャバリアを見上げ、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は呟く。
「この方が一応の首謀者、ですかぁ」
この事件を起こしたのは紛れもなくこの機体に乗る若き将校だが、そもそもその行動自体が彼の乗るオブリビオンマシン『ブレイジング・バジリスク』に操られてのものだ。そう考えれば、彼女の言う『一応の首謀者』という表現は、まさに的を射たものであった。
だが、このままただマシンを破壊し彼を止めたとしても、錯乱した個人の凶行とされ、真の驚異の危険も理解されず彼一人が全ての責を負うこととなるだろう。
この事件の本当の解決を図るべく、るこるは軍からインカム型のマイクを借り戦いを始めた。
まずは戦輪『FBS』を四肢にはめ低空に浮き上がり敵から適度な距離を保った場所を浮遊する。さらにその上で残る二種の浮遊兵装を攻撃の力を犠牲に自らへエネルギーを供給する、エネルギータンクとして自身に接触させた。
「あなたはこの国の人ではありませんね。これはこの国の問題です、手を出さないでもらいたい!」
キャバリアからアラタの声が響く。銃口こそ向けているが発砲しないのは、警告のみで立ち去れば手出しはしないという彼の意思がさせるものだろう。だが、彼を止めるためにはそれだけで全ての解決にはならないとはいえ、マシンの破壊は必須だ。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その衣を纏いて舞を捧げましょう」
るこるは【豊乳女神の加護・耀衣舞】を発動、自らを光の結界で包んだ。そしてそのまま地表すれすれを飛行しブレイジング・バジリスクへと近づいていく。
「それ以上近づけば撃ちますよ! ……警告はしました!」
止まらないるこるに、一度の警告の後ライフルが放たれる。が、引き金が轢かれた瞬間るこるが光の線となり、弧を描きながらブレイジング・バジリスクへと体当たりをした。光速の突撃はライフル弾を置き去りにし、ブレイジング・バジリスクの左肩に直撃する。
「ぐううぅぅっ!?」
その衝撃で装甲は大きくへこみ、ブレイジング・バジリスクの巨体も大きく吹き飛ばされた。
機体がプラントから離れたのを確認したるこるは、相手が戻って来ないようFBSを急がせ距離を詰める。
体勢が崩れたままのブレイジング・バジリスクだが、それを迎え撃たんと無理矢理右手だけを上げ、ライフルを構えてそれを連続で放った。
「きゃっ!?」
集中した射撃はその大部分が光の結界に弾かれるが、その威力はすさまじく衝撃だけでも体が揺れる。突撃のような光速でないとはいえそれでもそれなりの速さで飛行する相手の軌道を捕らえられるのは、マシンの性能とアラタのポテンシャルが合わさっての事だろう。
「でも、その力は……使っていただくわけにはいかないのですよぉ」
るこるは再び光速での突撃を敢行、さらに刀を構えその刃を当てにかかることで、弾丸を切り落としながらライフルの使えぬ接近戦へと移行する。
ブレイジング・バジリスクが突撃を躱そうと黒い煙を散らしながらバーニアをふかし右へと動くが、それでも光速から逃れられることはできず、へこんでいた肩の装甲が今度はばっさりと切り落とされた。
「どこで手に入れたかは存じませんが、そのキャバリアは『オブリビオンマシン』、搭乗した人の心を侵し無益な戦乱に駆り立てる危険なものです。ですが、意志の強い方なら完全に洗脳されるまで時間がかかり、その間不可解な行動を多くとるようになります。アラタさん、あなたは今まさに国と世界を侵す脅威と戦ってらっしゃるのです。マシンに負けてはなりませんよぉ」
るこるはブレイジング・バジリスクの体制が整わないうちにと、インカムでアラタへと呼びかけた。説明を交えることで彼に本当の状況を自覚させ、さらにこの事件の真の原因を話せる範囲で軍に聞かせもする。
突然の話に後方で待機する軍にざわめきが起こるが、一方ブレイジング・バジリスクはまるでパイロットが放心でもしたかのように、崩れた体勢を立て直すこともせずしばらくその場を動かないのであった。
成功
🔵🔵🔴
シル・ウィンディア
国を愛することが、歪んじゃってるのかぁ…
でも、惑わされているだけなら、わたし達が助けてあげないとねっ!
よし、それじゃここはめったに使わない手で行こう
【高速詠唱】でエレメンタル・スフィアを展開っ!
近接戦闘に持っていくときに、牽制射撃とかできると思うしね
それじゃ…
悪い夢を切り裂かせてもらうよっ!
【空中戦】で接近、【フェイント】で惑わせながら
ビームセイバーで敵腕部を狙って【切断】!
すれ違ったら【推力移動】でクイックターンして
【空中戦】で三次元機動っ!
【残像】も生み出して、さらに撹乱だねっ!
ライフルは【第六感】を信じて動きを【見切り】
効率よい回避を【瞬間思考力】で判断して回避するよ
第一戦でダウンを取られたブレイジング・バジリスクだが、やがてゆっくり立ち上がる。それは気を取り直したように……あるいは揺らいだパイロットの洗脳を再度かけ直したかのようにも見える動きだ。
その動きを愛機『ブルー・リーゼ』のカメラ越しにシル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)は見ていた。
「国を愛することが、歪んじゃってるのかぁ……でも、惑わされているだけなら、わたし達が助けてあげないとねっ!」
青臭いとも言える理想を歪められ凶行に駆り立てられた若者。だがその真実を看破し、救う術を持っているのならやらないわけにはいかない。吹き荒れる猛毒を清めるため、青き疾風は再び戦場へと立った。
「見たことのない機体……国所有のキャバリアでないなら破壊に躊躇はしません」
ブルー・リーゼの姿を見たアラタは、見覚えのないそのフォルムに冷たく言う。国の者でなければ関係ない、これもまた彼の国を愛する個事が歪められた故の言葉か。
「よし、それじゃここはめったに使わない手で行こう。精霊達よ、我が声に集いて力となり、全てを撃ち抜く力となれっ!」
シルはコックピット内で【エレメンタル・スフィア】を発動、機体の周囲に無数の魔力球を浮かべた。その球体から4元素の魔力を元にした砲が放たれ、ブレイジング・バジリスクの動きを制限するよう牽制射撃をかけていく。
「それじゃ…悪い夢を切り裂かせてもらうよっ!」
そしてブルー・リーゼはビームセイバーを構え、滑るような軌道で一気に鉄器との距離を詰めた。
「来るなっ!」
ブレイジング・バジリスクは牽制射撃の雨を素早く動いて躱しながら、右手に着けたライフルを撃つ。その弾は射撃の元である魔力球に正確に当たるが、シルが信じる限り無敵を保つその球は大口径のライフルを受けても消えることはなかった。
そして無数に撃たれる砲の雨の中、空中からビームセイバーの一閃がブレイジング・バジリスクを襲った。その速さでギリギリまで左右どちらから切るか惑わせながらの一閃は、ブレイジング・バジリスクの右腕装甲を浅く切り裂く。
「くっ……早い!」
とっさに動き切り落とされる事こそ防いだが、メイン武装を持つ右手を僅かにでもやられたのは痛い。ブレイジング・バジリスクは高速で上昇、さらに敵の追撃を許さぬかのように反転しながら前進し、ブルー・リーゼへ向かっていく。
「おっと、スピードなら負けないよ!」
シルはフットペダルを踏みこみ推進力増加を期待に指示。翼のようにも見える背部パーツが展開し、まるで羽を散らすかの如く青い炎を噴き上げながらクイックターンし空中を舞った。
そのまま赤と青の二基の機体が上下左右にまるで球を書くように飛び合い、三次元機動でのドッグファイトを展開する。シルはビームセイバーでの斬撃で敵の武装解除を狙い、ブレイジング・バジリスクは何とか相手の動きを制し致命の一射を狙う、そんな高速の攻防が幾度となく展開された。
やがてブレイジング・バジリスクがブルー・リーゼの腹部に蹴り飛ばしを入れ、その動きを一瞬止める。そしてその反動で数メートル離れたブレイジング・バジリスクは、右手のライフルをブルー・リーゼのコックピット部分へと向けた。
「ブレイジング・シュート!」
アラタの掛け声と共に無数の弾が集中してブルー・リーゼを襲う。
「集弾させるなら……皆で守って!」
だが、蹴られた瞬間に必殺の射撃が来ることを予感していたシルはその銃の角度から相手の狙いを瞬間的に看破、無敵の魔力球をコックピット前に集めることで盾とした。
「目を、覚ましてっ!」
ブルー・リーゼはその魔力球をくぐるように飛び、ビームセイバーを一閃。ブレイジング・バジリスクの脚部に深い傷を負わせた。その足からは、まるで青い清涼な風に吹き散らされたかのように、黒く禍々しい煙が上がっていた。
成功
🔵🔵🔴
瞳ヶ丘・だたら
アドリブ等々歓迎
とうとう本命だ。オブリビオンマシンとの決戦。燃えるな。
逸る気持ちを抑えながら敵機への[悪路走破]を試みるぞ。とはいえあのライフルによる射撃(もはや砲撃か?)は、あたしの[戦車]といえど無傷では済むまい。こういう時はこの手に限る、とUCを発動しよう。
これを使うとあたしの操縦が効かなくなるのは難点だが……それはお互い様か。
戦闘そのものは戦車の自動操縦機能に任せつつ、動けないあたしは拡声器を通して乗り手へ声を掛けることに集中しよう。
……正直クロムキャバリアの国家情勢には疎いし、気の利いたことが言えるかは分からんが。技師として、パイロット志望者に対する期待の言葉を投げかけるとしようか。
オブリビオンマシンの支配下に置かれ、その手下として蜂起した作業用機械クロムブルーの軍団。その残骸が転がるプラント正門前に、一台の戦車が鎮座していた。
「とうとう本命だ。オブリビオンマシンとの決戦。燃えるな」
その戦車に乗り、瞳ヶ丘・だたら(機械ヲタな単眼少女・f28543)は闘志を燃やす。不完全な半身だけのキャバリア、AI操作の作業マシンと来て、いよいよパイロットの動かす戦うために作られた完全なキャバリアが相手となるのだ。心が震えぬわけがない。
逸る気持ちを抑え、だたらは戦場で荒れた道をものともせずに、オブリビオンマシンの元へと戦車を走らせるのであった。
そしてややあって、赤い機体がだたらの視界に入る。その大きさはクロムブルーと変わらぬおおよそ5メートル程だが、その禍々しさを感じさせるデザインと右手に着けた巨大なライフル、そして一部は戦闘で破壊されているが大型のバーニアユニットと、戦闘に特化した機体であることが一目でわかる外見だ。
「あのライフルによる射撃……というよりもはや砲撃か? あれは、あたしの戦車といえど無傷では済むまい」
そのこけおどしではないだろう姿を見て、だたらは冷静に彼我の性能差を考える。重くて硬くて速くて強い、その戦車を信じてはいるが、相手は戦争が続く世界で主力を張る巨大戦闘兵器。それも猟兵が何人もかかってやっと倒せるかどうかという程の戦闘特化機だ。その攻撃を受けて無傷でいられると思えるほど楽観的ではない。
だがさりとて、何も打つ手がないわけではない。
「こういう時はこの手に限る。これを使うとあたしの操縦が効かなくなるのは難点だが……それはお互い様か」
だたらは戦車を操作し、その形状を変形するよう促す。戦車はだたらの手を離れ、自分で自分を操作しあらゆる攻撃を受け付けない敵機迎撃用自動操縦形態へと変形を遂げた。
そのまま戦車は自走を続け、やがてブレイジング・バジリスクの射程内へと入る。
「そこの戦車、止まってください! いえ、ここに来るということはあなたも言って止まってはくれないでしょう……撃ちます!」
続いた戦いで様々な規格外の強豪が自身に攻めかかってくることを理解したアラタは、警告もそこそこに戦車に向けて集中射撃を放つ。それはだたらの予想通り戦車など軽々吹き飛ばしてしまいそうなほどの強力な射撃であったが、ユーベルコードの力によって超防御を得た戦車はそれすらもものともせず平然と耐えた。
そして攻撃を受けたことで、迎撃機能も始動。戦車砲がどかんどかんと連続してブレイジング・バジリスクへと放たれた。
「遅い!」
しかしその砲撃は、バーニアを噴かして宙に浮いた機体にあっさりと躱される。それでも自動迎撃の砲はお構いなしに放たれるが、やはり機械任せのその攻撃は判断力を持った強化パイロットには見切るのも容易いのか、かすることすらなく全て避けられてしまった。
だがこうなるのも予想済み。攻防を自動操縦に任せたのは、心ある者にしかできないことを自ら行うため。だたらは拡声器を顔の前にかざし、戦車の外、ブレイジング・バジリスクの中にまで聞こえるように声を張り上げた。
「聞こえるか、キャバリアのパイロットよ! はっきり言ってあたしはこの世界の国家情勢には疎い! だからキミの主張の是非についてどうこういうことはできない! だが! 技師として、人の乗る兵器を愛するものとして言えることはある!」
技師としてのだたらの声がアラタの耳に届き、心もちブレイジング・バジリスクの動きが鈍ったようにも見える。
「どんな優れた戦車やキャバリアを作っても、乗って動かす人間がいなければそれはただのでかい鉄屑だ! 良いパイロットがいてこそ搭乗型の兵器はその力を出せる! そして良いパイロットとは、機体と通じ合いその力を十全に引き出せるものの事だ! キミがその優秀なパイロットになって、技師の業が詰まった戦車やキャバリアの力を引き出してくれることをあたしは期待している。だからそんな搭乗者を勝手に操るガラクタに潰されないで欲しい!」
拡声器を通して響くだたらの声。その言葉は、このプラントへ向けて飛び立つ前に上官からかけられた言葉と重なる。
『軍が君に期待をかけている』
いかに純朴なアラタとて、それが社交辞令のようなものだとは分かっている。だが、それでも憧れのパイロットを目指す第一歩の中かけてもらった喜びは本物だった。
通じ合える自分の機体を作ってくれる技師がいて、その期待に応える名パイロットとなる……そんなかつての、そしてこれからの夢をアラタが思い起こし手を止めた時、ブレイジング・バジリスクの動きは止まり戦車の砲弾が連続してその期待に直撃した。
その衝撃は、コックピットに捕らわれたパイロットの目を覚ますかのように機体を激しく揺さぶるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ノイ・グランガイオス
「このぉ、アホーーーーーー!!」
超エネルギーと【気合い】込めたアブソリュート・ビンタで漆黒のオーラもろともはり倒す!
エンジンの無力化? 知ったことか! ウチのハートに流れる熱いオイルはそんなもん屁でもないわ!
自分な! 他国に狙われとるゆーてなに自分とこのプラント壊して解決しよーとしとんねん!
敵が来るんやったら敵をしばくんが自分の仕事やんか!
敵が狙ってくるからプラント壊すとか、じゃあ敵がカネよこせゆ―たら国庫の札束燃やすんか?
土地よこせゆ―たら国土更地にするんかい!
しょーもないことクヨクヨ考えてドツボにハマってやんで、自分のホンマの仕事思いだしぃや!
戦闘の中、傷を負っていくブレイジング・バジリスク。単純な力負けだけではない、猟兵からの説得にパイロットであるアラタの洗脳が揺らぎ、操縦にも影響が出ているのだ。
そしてブレイジング・バジリスクの前に、また一人猟兵が立ちはだかった。その姿は大きさこそキャバリアの半分程度しかないが、それでも人間としてはあり得ないほどの巨躯を誇り、明らかに機械仕掛けの装備を全身に纏っている。ノイ・グランガイオス(ごっつウォーましん・f08595)のその姿を見て、アラタは彼女を自身の知らない機械兵器だと判断した。
「新型のキャバリアか? もしくは別の自立兵器……会話ができるタイプか分からないが、とにかく機械ならこれで……!」
アラタがコックピットのコンソールを操作すると、コックピットの各所からチューブのようなものが突き出し、彼の座る操縦席へと接続された。そこから何かを吸い上げるような音がするとともに、ブレイジング・バジリスクの各所から黒いオーラのようなものが巻き上がる。
「エンジンキラーシステム、起動!」
そのオーラはあらゆる機械の駆動系を止める呪詛の煙。パイロットの生命を糧に噴き出されるそれはノイを取り巻くが、彼女はそれを足を上げて平然と踏み越えた。
効いていないわけではない。その歩みは遅く、巨体の重さを差し引いても機動力に何かしらの影響が出ていることは確かだ。
元々の出力が異常に高いのか……そう思い、アラタは躊躇なくエンジンキラーの出力を上げ、自身の命をマシンへと捧げた。そうして一層濃くなる煙の中ノイはブレイジング・バジリスクへと接敵。その右手を上げた。そして。
「このぉ、アホーーーーーー!!」
気合の絶叫と共に、その顔を張り飛ばした。あまりの勢いに、ブレイジング・バジリスクはバランスを崩して横倒しになる。
「な……無力化させてまだこんな出力が……」
エンジンキラーの影響下にあるはずなのに自身の倍の巨躯を張り倒すその力にアラタは驚愕するが、ノイはお構いなしに倒れ込んだブレイジング・バジリスクにさらに掴みかかる。
「エンジンの無力化? 知ったことか! ウチのハートに流れる熱いオイルはそんなもん屁でもないわ! それよりな!」
怒りの形相でマシンの胸倉をつかむノイ。
「自分な! 他国に狙われとるゆーてなに自分とこのプラント壊して解決しよーとしとんねん!」
そのまま機体を引き起こし、顔を思いっきり近づけると、コックピットのモニターいっぱいにノイの顔が映し出される。
「敵が狙ってくるからプラント壊すとか、じゃあ敵がカネよこせゆ―たら国庫の札束燃やすんか? 土地よこせゆ―たら国土更地にするんかい!」
「そ、それは……」
ノイの絶叫に言葉に詰まるアラタ。オブリビオンマシンにとっては身内同士で無益な戦乱を起こさせること自体が目的だ。それ故搭乗者の意識を乱して与えた目的の成否などどうでもよく、それがどれだけ破綻していようが洗脳が続きさえすればそれでよかった。
だが、搭乗者自身はその破綻を突かれれば当然洗脳は弱まる。アラタはそれに対する言葉を探しているようだが、元々まともに成立していないような思想だ。ド直球の正論の前には屁理屈すら浮かばない。
「敵が来るんやったら敵をしばくんが自分の仕事やんか!」
その言葉に、アラタははっとしたように目を見開く。キャバリア乗りの、軍人の本当の仕事は何か。自分は何がしたくて戦いに赴こうとしているのか。
自分の本当の『仕事』を思い出させる言葉に、適当に塗りたくられただけの馬鹿げた考えが引きはがされていく。
「しょーもないことクヨクヨ考えてドツボにハマってやんで、自分のホンマの仕事思いだしぃや!」
もう一度、今度は左からの強烈なビンタ。その勢いでブレイジング・バジリスクは再び地に倒れる。
「自分、は……」
目の覚めるような衝撃の中、自分を思い出していくアラタ。その命を蝕み機体から上がる黒い煙は、すっかり収まっていた。
大成功
🔵🔵🔵
ジェイク・リー
「ったく、呑まれかけかよ」
フェンリアに変わり青紫色の魔刀を手に相対する。
「おい、どこに乗ってる?」
コックピットの位置を聞き出し、ダッシュで距離を詰め、残像と迷彩で油断させて飛び乗る。
「お前はなんの為に剣を取る?」
引っ張り上げる為に問いかける。
「てめえは黙ってろ」
魔刀を突き立て、マシンを黙らせる。
「もう一度聞く。お前は護るものがあるか?」
呪縛から抜け出せればハッチを斬り、引っ張り出して放り投げる。
武器受けで受けると共に魔力溜めで刀身に纏わせた魔力と融合させ、カウンターで撃ち返す。
「食い合いに付き合う程、暇じゃねえからな」
絡み・アドリブOK
泉・火華流
いやーあのデザイン何?カッコ悪いったらないわね…
敵マシンへの感想
高機動型キャバリアをレンタル
フォースウィップ+バイオニューロン【武器改造】
EP
メガスラスター
キャバリアエンジン
ナノクラスタ装甲
魔改造ユニット(足裏にローラー)【武器改造】
行動
指定UC使用して敵マシンへ突っ込む、敵の攻撃を高機動力で回避…被弾してもナノクラスタ装甲で修復
敵マシンにへばりついたら、フォースウィップ(改造)を関節部の柔らかそうな場所?(紫色の部分)に突き刺してマシン内部に侵入
聞こえる?…ちゃんと考えてみてっ!!…これが本当にあなたがやりたかった事かどうか?
敵マシンの思念に横槍を入れて説得
【ハッキング・破壊工作・救助活動】
戦場に立つブレイジング・バジリスク。その動きは、初めて出てきたときに比べれば明らかに鈍っていた。それは損傷が重なっただけではない。操作するパイロットがマシンの洗脳から少しずつ解放され、この戦いに疑問を持ち始めている証でもあった。
そのマシンを、一機のキャバリアと一人の人間が見据える。
「いやーあのデザイン何? カッコ悪いったらないわね……」
今まで生身で戦っていた泉・火華流(人間のガジェッティア・f11305)は、レンタルした軍所有の高機動キャバリアの中からブレイジング・バジリスクの形状を見て、そう感想を述べた。
いかにも悪役然とした顔の造詣に全体的に刺々しい形状、高機動用ブースターのため極めて広くなった肩幅など、確かに異形感を感じさせる形状をしているのは間違いない。戦場では敵の威圧や自身の喧伝のため、あえて悪目立ちする悪趣味な外見を選ぶことはままある。だが、彼女がブレイジング・バジリスクを否定するのはその外見からだけではあるまい。無益な目的の為に搭乗者さえ狂わすその在り方……それは間違いなく、『カッコ悪い』と断じて良いものだろう。
「ったく、呑まれかけかよ」
そしてその敵機の奥にいる男を思い、ジェイク・リー(影の護り手・f24231)は一言呟いた。その声は男性的な、しかしごく普通の声であり、今彼が顕現させているのが合成音声で喋るグリムニルやそもそも喋らないドゥームではないことがわかる。
今前に出ているのはフェンリア、やや乱暴な喋りだが決してただ粗暴なだけではないその男は、青紫色の魔刀を手に敵に相対していた。
あのキャバリアは倒すべき敵であり、救出すべき者を閉じ込める檻でもある。そのためただ完膚なきまでに破壊すればいいわけではなく、コックピットの部位を正確に把握しパイロットをそこから引きずりだす必要があった。
「おい、どこに乗ってる?」
ジェイクはブレイジング・バジリスクに向けて問いかけるが、当然返事はない。
分からないなら調べるまで。そしてキャバリアの検分は、様々な機械技術に通じる火華流の得意とするところであった。
「これより作戦行動を開始します……HIKARU・GEAR発動!!」
火華流はスピード勝負に出るべく、【HIKARU GEAR:SILENTACTION】を発動した。その力は火華流自身が生身で発動した時と同じように、キャバリアのエンジンを性能以上に動かし、スラスターに大量の推進力を発生させる。さらには脚部に巨大な大気の渦がいくつも並び、まるで彼女愛用のレガリアス・エアシューズをつけたような状態へと変化させた。
まるで機体が火華流自身の体になったようなその変化は、彼女がキャバリアに取り付けたバイオニューロンがその能力をキャバリアに直接伝達している故だ。
レンタル品に即興でつけた改造とは思えぬその動きでキャバリアはブレイジング・バジリスクへとつめよった。
「ランページシステム……!」
アラタは何かに苦しむよう顔をしかめながら、それでも迎撃のため機体を動かす。無差別破壊の指示を出すことで右腕に着けられたライフルが巨大に変形。三つに増えた銃口から大量の弾丸を発射した。
ばらまかれる弾丸は火華流のキャバリアのみならず、後ろにいるジェイクにまで届く。これはジェイクを狙ったというよりはとにかく辺りにやたらと弾丸を撒き散らしたが故なのだが、この場に僚機のいないブレイジング・バジリスクにとってそれは何のデメリットもない範囲攻撃となる。
ジェイクは自身への弾丸を魔刀で弾きながら、高速でブレイジング・バジリスクへと駆け寄っていく。そしてその前方では、やはり即興で取り付けたフォースウィップで弾丸を防ぎながら、火華流のキャバリアが敵機へと組みついていた。
「さーて、調べさせてもらっちゃうからね!」
組みついた状態でフォースウィップを敵機の装甲が薄そうな部分……関節やボディースーツのようにも見える紫色のスキン部分へと巻きつけ、そこから内部機能の浸食にかかる火華流。抵抗するようにブレイジング・バジリスクは腕を振り回し火華流を殴りつけるが、そうされることも想定して装甲もナノクラスタで強化してある、ある程度はこの状態でも耐えられるだろう。
締め上げてまるで内臓を攻めるように内部機関を攻める火華流だが、一か所その攻撃を一際防いでいる箇所がある。胴の上方、人間で言えば心臓のあるあたりであり、胸部の装甲が前面に膨らんでいる場所だ。
「……見つけた! やっぱり胸の所だ!」
「まかせろ」
それを伝えられたジェイクが一気にキャバリアの機体を駆け上がりその場所へたどり着いた。巨大なキャバリアと組み合っていた敵機は人間一人を叩き落とすことは出来ず、そのまま無防備に取りつかせてしまう。
「超越した力を」
ジェイクは指定されたその部位の装甲に、【守護者の光暗】で強化した力を叩きつける。グリムニルの魔力とドゥームの火力をも借りて合成してしたその力は、膨れ上がった胸骨のようなその場所を容易く引き裂いた。
そうして露になった無塗装の、おそらくコックピット外部と思しき装甲に向かってジェイクは声をかける。
「お前はなんの為に剣を取る?」
この世界の剣であるキャバリア。それに乗るからには例え青臭いとはいえ何かしら理想があったはずだ。
「聞こえる? ……ちゃんと考えてみてっ!! ……これが本当にあなたがやりたかった事かどうか?」
火華流もまたアラタに向けてそう叫ぶ。剥き出しになったコックピットに二人の声が叩きつけられ、その中にいるアラタの動きを止めていた。
「自分は……この国のを……愛して……」
ぶつぶつと呟くアラタだが、その手だけは僅かに動き、もがくようにブレイジング・バジリスクが二人を引きはがすような動きを見せる。
「てめえは黙ってろ」
邪魔者を払うように、その手にジェイクの魔刀が突き立てられた。さらに敵機の損傷の拡大に乗じ火華流も機体への浸食を強め、その機能と洗脳を低下させていく。
「もう一度聞く。お前は護るものがあるか?」
そして投げられる再度の問い。
「……あります……自分は……この国の全てを護る、軍人であります!」
その問いに、アラタははっきりと答えた。それを聞いたジェイクはコックピットの壁を切り裂き、彼をその中から引きずりだす。
オブリビオンとしての最後の力か、パイロットを失ってなおブレイジング・バジリスクが動き、右手のライフルをジェイクと、最早用済みとなったアラタへと向けた。
「食い合いに付き合う程、暇じゃねえからな」
その銃口に向け、ジェイクは魔刀の先を向ける。その先から放たれた魔力が銃口の中へと吸い込まれていき、中に詰まった弾丸に誘爆、ライフルを右腕諸共吹き飛ばした。
「もう……ううん、最初からあの人……君のものじゃないからねっ!!」
火華流が絡みつけていたフォースウィップにありったけのキャバリアの力を流し込む。それは内外からブレイジング・バジリスクを破壊し、そのあらゆる機能を完全に停止させた。
そして戒めを解き敵から火華流が離れた直後、ブレイジング・バジリスクは大爆発を起こし、跡形もなく吹き飛んだ。それは未来ある若者にプラント破壊をそそのかした過去からの遺物の、報いとも言える最期であった。
そしてそこから少し離れた場所、ジェイクは抱えていたアラタを地面におろし、そこにキャバリアから降りた火華流も駆け寄る。
オブリビオンマシンに洗脳され命を吸われていたせいか解放直後から意識を失っているが、命には別条はなさそうだ。
「……まずは色んな所に土下座かな?」
「口添えはしてやるよ」
目が覚めた後も彼は穏やかならぬ日々が続きそうだが、決して彼一人に全ての罪があるわけではない。彼の、そしてクロムキャバリア全ての未来をオブリビオンマシンにいいようにさせてはならない。それが猟兵がこの世界にいる意味なのだから。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵