#UDCアース
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あめあめふれふれ。
懐かしい童謡を口ずさみながら、ぼんやりと夕暮れの校庭を見下ろして。
この時、私の胸にあったのはちょっとした出来心と反抗心。
ただちょっと明日の出来事がなくなればいいって。
そう思っただけだったのに。
「君の願いは僕が叶えよう」
私の目の前に現れたのは小さな神様。
神様は私の思いを汲み取って……大事なものもそうでないものも、全部押し流していってしまった。
窓の外から聞こえてくるのは、しとしと降る秋雨の音だけだった。
●
「集合お疲れ様。皆にはUDCアースに向かって欲しい」
グリモア猟兵、茜谷・ひびき(火々喰らい・f08050)は猟兵達へと顔を向けて言葉を紡ぐ。
「目的地は『奈月高校』、ごく普通の公立高校だ。ここに邪神が呼び出されるって予知が出たから対処にあたって欲しい」
予知から得られた情報によると、奈月高校のどこかで邪神を召喚するための儀式が行われてしまうとのこと。
儀式の詳細や決行場所、それから儀式の主催者が誰かは判明していない。
それらの情報は足で稼がなくてはいけないだろう。
「ただ……全く得体のしれない儀式って訳ではなさそうだぜ。この学校の生徒がこの学校のどこかで情報を得て、それを元に儀式をするらしいから……儀式の原型や情報源、それに主催者も全部学校の中にあるはずだ」
古い伝承や噂話、あるいは不審な行動など。
取っ掛かりになるものはいくつか存在しているはずだ。それを探してみるのも大切かもしれない。
「高校に潜入するための準備はUDC組織も手伝うぜ。必要な道具とか立場とか……そういうのは申請してもらえばすぐに用意する」
転入生や新任の教師のふりをしたり、学校に立ち入る業者のふりをしたり。
他にもこっそり潜入するなど学校に潜り込む手段は様々だ。
最低限怪しまれない言い訳を用意すれば聞き込み調査も難しくないだろう。
何か奇妙なことをしている生徒を探すもよし、何かしらの噂話を探るもよし。
最終的に儀式を止められればいいのだ。
説明を終え、転移の準備を始めたひびきだが――ふと、何かを思い出したように口を開く。
「ああ、それと……関係あるかもしれないから、この事も伝えておくな。奈月高校、明日は体育祭をするんだって」
誰かが邪神を呼び出そうとしたのも、それが理由にあるかもしれない。
改めて話が終わるのと同時にゲートも開く。
その向こうでは柔らかな秋の日差しに包まれた、奈月高校が出迎えてくれるだろう。
ささかまかまだ
こんにちは、ささかまかまだです。
秋の学校です。
●一章「UDC召喚阻止」
舞台の学校で邪神召喚の儀式が行われるので、それに関する情報を集めましょう。
儀式の内容や主催者など、全てはこの学校の内部で完結しているようです。
●二章「集団戦」・三章「ボス戦」
邪神の配下、そして邪神との戦いです。
戦いの舞台は学校のどこかとなります。
邪神達は学校という場所に不慣れなため、戦場が学校であることを活かして戦えば有利に立ち回ることが出来るでしょう。
●
どの章からでも参加していただいて大丈夫ですし、特定の章だけ参加していただくのも歓迎です。
進行状況や募集状況はマスターページに適宜記載していく予定です。
それでは今回もよろしくお願いします。
第1章 冒険
『UDC召喚阻止』
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POW : UDCの発生原因となりそうなものを取り除く
SPD : 校内をくまなく調べ、怪しげな物品や痕跡がないか探す
WIZ : 生徒達に聞き込みを行い、UDCの出現条件を推理する
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
事前に聞いていた話の通り、奈月高校は何の変哲もない高校だ。
生徒たちはそれなりに授業を受け、それなりに雑談に興じ、どこにも異変はなさそうに見える。
強いて言うならば――今日は体操着を着た生徒が多い。
明日の体育祭の準備のためだろう。
まずはこの学校に立ち入り、情報を集めなくてはならない。
ある程度の用意をすれば生徒も教員も猟兵達を怪しまないだろう。
邪神復活の儀式を防ぐためにも、行動を始めよう。
化野・花鵺
「高校潜入…せぇふくだぁ!ねぇねぇ、終わったらそのせぇふくもらえるぅ?」
狐、嬉しそうに質問した
「こんにちはぁ。カヤは転入生なのぉ。学校に通うのは明日からで今日は手続きだけぇ。いろいろ教えてもらえるぅ?」
整合性がとれない部分は「狐の化かし」
短時間の夢を見させ相手を何となくそんなものかと納得させる
「そぉ言えばどんな部活があるのか興味あるぅ。誰か案内してもらえないかなぁ。夏は終わっちゃったけどぉ、肝試し出来そうな旧校舎とかあったら興味あるぅ。前の学校はそういう面白そうなもの1つもなかったからぁ」
狐、進学校出身者装い質問した
「カヤ興味あるぅ。教えて教えてぇ」
狐、上目遣いで誘惑した
「うふふ、楽しみぃ」
●
今回の任務は高校への潜入。その話を聞いてから化野・花鵺(制服フェチの妖狐・f25740)の瞳はきらきらと輝いていた。
「高校潜入といえば……せぇふくだぁ!」
手続きを行っていたUDC職員と交渉し、『任務終了後に使用した制服を貰ってもいい』と約束できたのなら大満足。
奈月高校の制服はこれといった特徴のないブレザーだったが、花鵺からすれば大切なコレクションの一着になるはずだ。
「せぇふく持って帰るためにも頑張らないとねぇ!」
ひらひらとスカートを翻しつつ、花鵺が目指したのは適当な教室だ。
時刻はちょうど昼休み。生徒たちは各々の時間を過ごしているようだ。
花鵺が目をつけたのは穏やかそうな女子グループ。彼女達の元へと歩み、まずは人懐っこい笑みと共に挨拶を。
「こんにちはぁ。ちょっといいかなぁ?」
「ん、どちら様?」
「カヤは転入生なのぉ。もうすぐこの学校に通うんだけど、今日は手続きにやってきたんだぁ。学校のこと、色々教えてもらえるぅ?」
最初は訝しげだった女子達も花鵺の自然な態度によってすぐに打ち解けた。
簡単な雑談から入り、少しずつ情報を引き出すべく話は続く。
「カヤね、部活動も頑張りたいって思っててぇ……この学校ってどんな部活があるのか興味あるぅ。前の学校だとあんまり面白い部活なかったから、そういうのもないかなぁって」
「それならねー……」
部活動の話をすれば、一人の生徒が小さな冊子を渡してくれた。どうやら入学式の頃に配られた部活紹介のパンフレットのようだ。
「女子ならバレー部が強いんだよね」
「文化系だとやっぱり吹奏楽とか……あ、変わり種だとこれかな?」
わいわい話を広げつつ、生徒達が教えてくれたのは『オカルト研究部』だ。
いかにも、といった雰囲気に花鵺の耳のぴこんと立つ。
「旧校舎が部室棟にもなってて、そこで活動してるんだって」
「わぁ、面白そぉ。もっと教えて教えてぇ」
上目遣いで話をねだる花鵺の様子は女子から見ても愛らしい。生徒達は和やかな笑みを浮かべ、話を続けてくれた。
「部員数は少ないけど、結構な頻度で活動してるみたいだよ。放課後とか行ってみたらいいんじゃないかな」
「ありがとぉ。手続き終わったら行ってみるねぇ」
朗らかに別れの挨拶も交わし、花鵺は再び校舎の中を歩みだす。
目指すは旧校舎、オカルト研究部の部室だ。
果たして何が待っているのか。きっと儀式の首謀者も制服を着た生徒に違いない。どんな子に会えるんだろうか。
想像を巡らせる花鵺の表情はどこか悪戯っぽい子供のようだ。
「うふふ、楽しみぃ」
花鵺の制服はまたしてもゆらゆらと弾んでいた。
成功
🔵🔵🔴
榛・琴莉
儀式におまじない。
そう言ったものの舞台としては定番ですねぇ、学校って。
ほら、こっくりさんとか。
ああいうの、本当に成功してしまったらロクな事にならないと思うんですけどね。
指定の制服をお借りして、生徒として潜入します。
カーディガンを羽織れば、Haroldも隠せるでしょう。
『武器改造』でHaroldを分散させ【飛翔捕食】を起動。
『失せ物探し』と行きましょう。
魔法陣や呪具、あとは妙な気配がする場所を探してください。
僅かな痕跡でも構いません。
学校中に散らばって、隅々までです。
私は図書館で手掛かりを探しますので、何か見つけたら報告を。
猟兵の方以外には見つからない様に。
さて…オカルト系の本、ありますかねぇ。
●
奈月高校の図書館は最上階の3階にあった。
そちらへ続く階段を登りつつ、榛・琴莉(ブライニクル・f01205)は静かに目を伏せる。
彼女が着ているのはこの高校の制服だ。上にカーディガンも羽織っているが、少し肌寒くなってきたこの時期なら違和感もない。
けれどその下には――しっかりと埒外の証拠が潜んでいた。
「Harold。私が今から調べものをしてきます。あなたは探しものをしてきて下さい」
ふわり、琴莉のカーディガンが揺れる。
その下から姿を現したのは小さな不定形の存在だった。『Harold』と呼ばれたその存在は水銀の身体を波打たせ、不格好な小鳥の姿へと変わっていく。
「魔法陣、呪具、妙な気配……どんな僅かな痕跡でも構いません。学校を隅々まで調べてきて下さいね」
琴莉の言葉を受けてHaroldは更に姿を変える。
小鳥達は分裂し、また小さな鳥となり、そしてそれを繰り返す。気がつくと琴莉の周囲には銀色に輝く小鳥の群れが出来上がっていた。
彼らは歪な形の翼を羽ばたかせ、学校の中を飛んでいく。
「それでは、お願いします」
小鳥達が通風孔や小さな隙間へ入っていくのを確認し、琴莉も再び歩き出す。
時刻はちょうど授業中。図書室は無人のようだ。
物音を立てないように気をつけつつ、目指したのはオカルト系の本を集めた棚。
「(学校といえばこういうのが定番ですよね。儀式とか、おまじないとか)」
背表紙を確認しつつ、琴莉は思考を巡らせる。
こっくりさんや学校の七不思議。昔から学生の興味を引く不思議な物事。
その殆どはデタラメだ。けれど――。
「……ああいうの、本当に成功してしまったらロクな事にならないと思うんですけどね」
ぽつり、言葉が溢れる。この世界の裏に潜む恐ろしいものの存在を、猟兵達は知っているから。
そんな事を考えつつ棚を覗いていると、一冊の本が目に留まった。
背表紙のタイトルは『雨神さま』。何気なく手に取って開いてみれば、中からひらりと紙片が落ちた。
そこには可愛らしい文字で「ティッシュ、紐の束は近所で買える。前日までにロッカーに」とメモ書きが残してあった。
恐らく誰かが抜き忘れた買い物のメモだろう。けれど気になったのは、メモの片隅に描かれた奇妙な何か。
描かれていたのは、顔をぐちゃぐちゃに塗りつぶされたてるてる坊主の絵だった。
「何でしょうか、これ」
妙な気配に琴莉の表情が微かに強張った。
それと同時にHaroldが報告へと戻ってくる。小鳥の嘴にはイラストと同じてるてる坊主が引っかかってた。
「ありがとう、Harold。このてるてる坊主があった場所まで案内してくれますか?」
琴莉の言葉に小鳥は頷きで応え、共に図書館を後にする。
目指しているのは旧校舎。きっとそこが儀式の会場なのだろう。
だとすれば、待っていれば儀式の主も現れるに違いない。
「……儀式が本当に行われるなら、止めなければいけませんね」
凍えた心臓に決意を宿し、琴莉は確りと歩を進めていった。
成功
🔵🔵🔴
聖ヶ丘・彩乃
学校、敷地、そして体育祭
スペースと生贄の準備は万端ってワケね
ホントにイヤよね邪神、やれ血だのやれ肉だの…
教室の設備の点検業者に扮して行こうかしら
クリップボードにボールペンで書き込んでおけばそれっぽくなるでしょ
設備に問題は無いでしょうけど、記入して…
検査はそこそこに、儀式の痕跡が無いかを調べていきましょう
近くに生徒が来たら最近あった事なんかを聞いてみたり
誰か怪しい人とか、見なかった?とかね
久々の【コミュ力】を発揮するわよ
基本的に調べるだけだけど、落書きがあったら普通は人として消すわよね?
魔法陣みたいなのとか壁とか床に書いちゃう時期ってあるのよねー
私と夫が生まれ育った世界を邪神の好きにはさせないわ
●
校舎のところどころから賑やかな声が響いている。
どこにでもある、ありふれた平和な光景。
こういう場所にこそ恐ろしい闇が潜む。聖ヶ丘・彩乃(ロスト・ラブ・f26391)はそのことをよく知っていた。
「ホントにイヤよね邪神、やれ血だのやれ肉だの……」
用意したクリップボードを持ち直し、彩乃は奈月高校の校舎を見上げた。
広い敷地は儀式の会場としても使いやすく、いざとなれば生徒や先生の命だって捧げられる。
『なんの変哲もない学校』だからこそ邪神にとっては良い餌になるはずだ。
「それを止めるために私達が来るんだけどね。さあ、行きましょう」
姿勢を正し、彩乃はしっかりと歩を進める。彼女が目指しているのは教室の方向だった。
「お疲れ様です、点検に参りました」
「ああ、どうも。よろしくお願いしますね」
彩乃は今回ごく普通の点検業者として学校に訪れていた。
適当な教室に入り、電灯や配線といった部分を確認してはクリップボードに書き込んで。
それと同時に怪しい痕跡も探してみるが――教室の方に異常はなさそうだ。
「(怪しいのはやっぱり旧校舎かしら……ん?)」
調査を続ける彩乃だが、ふと何かを感じて振り返る。
どうやら数名の生徒が自分のことを見ていたようだ。その視線に悪意等はなく、単純に興味を示しているのだろう。
「こんにちは、点検お疲れ様です」
「ええ、こんにちは。明日は体育祭なのでしょう? 何かトラブルがあったら大変だものね、しっかり点検しないと」
「そうですねー。明日は天気も良さそうですし、楽しみですよー」
最初は軽い挨拶と世間話。彩乃と生徒たちはすぐに打ち解け、少しだけ雑談の時が始まった。
「体育祭ってどんなことするのかしら?」
「んー、本当に普通の体育祭ですかね? グラウンドで陸上競技したりとか……」
生徒達の話から察するに、体育祭に関しても特におかしな点はない。
ここ暫くの間おかしなことも起こっておらず、本当に平穏そのものといった様子のようだ。
「あー……でも、旧校舎で変なものは見かけましたね」
「変なもの?」
「カーテンのところにいっぱいてるてる坊主がさげてあって……」
旧校舎、てるてる坊主。他の猟兵が手に入れている情報とは合致している。
生徒は更に言葉を続けた。
「あ、てるてる坊主さげてたのはうちのクラスメイトだったんですよね」
「あら、どんな子?」
「新島って女子です。オカ研の子だしやっぱりおなじないしてたんですかねー」
恐らく儀式を行おうとしているのは『新島』という女性生徒。新たな情報を確認し、彩乃はボードの隅に小さくその名前を書き込んだ。
「あら、もうこんな時間。私はそろそろ行かないと。お話してくれてありがとう」
「いえ、こちらこそ。点検頑張って下さい」
適当なところで話を切り上げ、彩乃は再び校舎を進む。
向かうべき場所はやはり旧校舎のオカルト研究部で良さそうだ。
「……その子が何かをしているというのなら、止めないといけないわね」
この世界は彩乃にとって大切な場所だ。それを邪神の好きになどさせるものか。
再び姿勢を正し、彩乃はしっかりと進んでいくのであった。
成功
🔵🔵🔴
古野・茂乃子
……ふむ、体育祭か
各々の身体能力を、競うもの、だな
それ自体も興味深いが、なんにせよ……人が集まる場所を調べる、か
大人数で集まり、無駄話を多くする場面といえば……重いものや、数が多い物を運んだり、か
体育祭で使う物を、納入しに来た業者、ということにしようか
来賓用の机や椅子などを、持ち込みに来たと
子供たちと一緒に運び……終わったら、話を聞こうか
ここで聞くのもあれかもしれないが……明日が雨になったら、どうなるだろうか?
そうか、中止か
それは困るな、楽しみにしている者たちは
では……楽しみにしていない者であれば、どうするだろうか?
まぁ、たとえばの話だ……そのような噂話やまじないが、伝わっていないだろうか?
●
奈月高校の廊下にて、何かをずるずると引きずるような音が響いていた。
その正体は古野・茂乃子(古の者・f29757)。彼女はバイオモンスターであり、蔦の足を引きずりながら歩を進める。
目的地は体育館。そこなら体育祭の準備をしている人々もいるはずだ。
「ところで……ふむ、体育祭か」
その学校行事では生徒達は身体能力を競い合い、仲間と協力して何かをしたりもするらしい。
人間は独自の文化を持っており、学校生活や行事もその一環なのだろう。時間があればそちらも関わってみたがったが――。
「なんにせよ、今日の目的は邪神復活の阻止だ。とりあえずは人の集まる場所を、調べなくては……」
果たすべき目的を改めて意識しつつ、茂乃子は己の足を前へと動かす。
体育館では生徒達が様々な道具を運んでいた。
茂乃子も用意した道具を運びつつ、手近な生徒へ声をかける。
「少し、いいだろうか。頼まれていた道具を搬入しに来たのだが」
「あ、本当ですか? お疲れ様です」
茂乃子は運搬のためにやってきた業者として来校していた。必要な手続きはUDC職員がやってくれていたし、力仕事だって苦ではない。
生徒達と軽く雑談もしつつ、茂乃子は次々と道具を運んでいく。
幸いなことに生徒ともすぐに打ち解けることができた。話をして情報を得ることも難しくなさそうだ。
「これで一通り終わった、だろうか」
「はい、ありがとうございました」
設営はつつがなく完了した。生徒達も一息ついてのんびりしだしているようだ。
そんな彼らへ向け、茂乃子は言葉を投げかける。
「明日は晴れ、らしいが。もしも……明日が雨になったら、どうなるだろうか?」
「あー、万が一そうなったら中止でしょうね。大丈夫だとは思いますが」
この学校の体育祭は屋外で行われる。グラウンドには屋根のある場所も少なく、雨になれば素直に雨天中止のようだ。
「そうか、中止か。それは困るな、楽しみにしている者たちは」
「そうですねー。あ、でも確かに体育祭って嫌がる人もいるかなぁ……?」
「ああ……楽しみにしていない者であれば、どうするだろうか?」
茂乃子の言葉に生徒は小さく首を傾げる。そして何かを思案するように黙り込み――ハッと顔を上げた。
「あー……もしかしたらですけど、『雨神さま』にお祈りしちゃうかもしれないですね」
「雨神さま?」
「この辺りに伝わってる神様ですよ。なんでも雨乞いの神様だとか……捧げ物のてるてる坊主を用意したら雨を降らせてくれるとかなんとか」
生徒の話だけ聞けば眉唾ものだが、『雨神さま』の名前は図書館の本にも残っている。
その伝承が本物なら。そしてその神が邪神、或いは邪神へと変質した神だったのなら。
気まぐれに捧げものを試した者の前に、姿を現す可能性はあるだろう。
「……そうか。ありがとう」
「いえ、オカルト話なんかしちゃって申し訳ないですね」
「いや、興味深かったよ。それじゃあ……明日は、晴れるといいな」
話を切り上げ、茂乃子はグラウンドから離れていく。
彼女が目指す先は旧校舎だ。日は既に傾き始め、夕焼け空が顔を覗かせている。
その向こうで――少しだけ、黒い雲も見え始めていた。
成功
🔵🔵🔴
第2章 集団戦
『『エラー』』
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POW : ■、1あ■アオ、蒼、青い■あァあ、%2■3屍%蒼
【■アl■%あ、蒼い跳ぶ、頭■%、■格闘技】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : %2あ、か■赤血赤赤、■ア垢か、ぁ■赤い、%1■
【紅、?■2閼伽■紅い紅い紅い紅い紅い紅い】【紅い、紅い■■あああ■、紅い%貴方、四肢】【屍%、4赤■■、■ぁ■死あァぁ7。%呪術】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ : キき■%、4■黄イ生ぇ膿キ■徽き、君、君■■%4
【■%黄い脳m、キ嬉々、黄%■未来、予知で】対象の攻撃を予想し、回避する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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奈月高校旧校舎、オカルト研究部の部室にて。
そこでは無数のてるてる坊主が吊り下げられ、その中央には小柄な少女が立っていた。
「あ、あの……何か用、ですか」
その少女――新島・ゆかりという女子生徒は、やってきた猟兵の姿に驚き目を丸くしている。
彼女の手元にもてるてる坊主が握られており、その顔面はぐちゃぐちゃに塗り潰されていた。
新島は急いでそのてるてる坊主を窓辺に吊るし、猟兵達へと向き直る。
「これはただのおまじないで、怪しいこととか悪いことをしている訳じゃないんです。だから大丈夫です」
早口で言い訳をまくし立て、新島は猟兵達を追い出しにかかるが――次の瞬間、部屋の空気が一変した。
最後に吊るされたてるてる坊主を中心に、強力な魔力が広がりだしたのだ。
「え、嘘。まだ雨神さまを呼んでないのに……」
新島も異変を察知し、その場で蹲っているようだ。そんな彼女を無視して怪異は広がる。
てるてる坊主達はぼとりと床の上へ落ちていき――それらは顔をぐちゃぐちゃに塗りつぶされた怪物へと変わりゆく。
「●■じゅ、%2×■■呪文」
「■■、■ぁ■、唱えて」
怪物達は新島を取り囲み、不気味な声で何かを命令しているようだ。
幸いそれ以外に危害を加える様子もない。恐らく怪物達は――新島に儀式を完遂させようとしている。
怪物達を倒し、新島に儀式を止めさせることが出来れば邪神の完全復活は防げるだろう。
その後どうなるかは分からないが……まずは目の前の危機を乗り越えなければ。
※
『エラー』のUCは「格闘技で対象を攻撃する」「紅い四肢と呪術で攻撃する」「未来予知で攻撃を回避する」の3種類です。
基本的には殴る蹴るといった格闘戦で攻撃してくるでしょう。
また、『エラー』は新島に攻撃しません。
彼女も自分で逃げたり隠れたりするので、意識して助け出さなくても大丈夫です。
古野・茂乃子
ふむ、雨を呼ぶ呪文を唱えろと……悪いが、止めさせてもらおう
私の身体は蔦だ、いくらでも伸びて纏まることが出来る
足元を縫って動き、エラーたちと少女との間へと体をまとめて立ちはだかろう
私の目の黒いうちは、君には手を出させない……だったか、このような場面で言う言葉は
それはともかく……君は、雨神さまとやらへの祝詞は唱えるな……いいな?
さて、君らは……まともな人間の姿も取れない、哀れな精神体といったところか
君たちには、簡単な授業を行うとしよう
主題は……未来を見ることが出来る者へ、攻撃するにはどうしたらいいか?だ
そう聞いた時には、結んだ呪印から魔法剣をエラーの背後に生みだそう
避けることも適わぬ、包囲攻撃だ
●
周囲の状況を確認しつつ、古野・茂乃子は小さく唸る。
「ふむ、雨を呼ぶ呪文を唱えろと……」
それは止めさせるのが最優先だろう。そのためにすべきことは敵の排除と新島の保護だ。
判断したならすぐに行動。茂乃子は蔦の身体を器用に這わせ、一気に新島の前へと躍り出た。
「ひゃっ……!?」
「大丈夫だ。私は君に危害を加えない。それに……私の目の黒いうちは、君には手を出させない……だったか」
驚く新島に対し、かけるべき言葉を吟味してから投げかけて。
こういう時はこういう風に言うものだとどこかで学習した。幸いなことに新島もその意図を理解してぶんぶんと頷いている。
ならばもう少し釘も刺しておこう。
「それはともかく……君は、雨神さまとやらへの祝詞は唱えるな。……いいな?」
「わ、分かりました!」
低い声で囁かれた忠告に、新島は更に強く首を振る。とりあえず彼女への対処はこれで大丈夫だろう。
あとは――怪物達を倒していかねば。
「■■て●%、敵●■倒6●ス」
「●アあ■雨、神%サま■■2呼ぶ」
モザイク塗れの怪物達は、じわじわと茂乃子へにじり寄って来ているようだ。
彼らの纏う気配やゆらぎは常に壊れ続けている。シルエットは人間じみているが、その姿はとうていまともなものではない。
「ふむ、まともな人間の姿も取れない、哀れな精神体といったところか。ならば君たちには、簡単な授業を行うとしよう」
ゆらり、茂乃子の周囲で空気が揺らめく。彼女の蔦の一本一本が魔力を帯び、人智を超えた魔術が起動し始めたのだ。
まずはシンプルな魔法の矢を一投。怪物達に狙いを定めて放たれたその一撃は――あまりにもあっさりと躱された。
けれど茂乃子の表情は変わらない。何故なら『こうなることは分かっていたから』だ。
「私は自らの予測でこうなることが分かっていたけど……君達は違うな。未来でも覗いていたのだろう」
怪物達の動きには一切の迷いがなかった。彼らは何かしらの力で未来を予知し、それにより攻撃を回避したのだ。
このまま戦えば攻撃は避け続けられてしまう。なら、どうするべきか。
「授業の主題は……君達のような未来予知を出来る者へ、攻撃するにはどうしたらいいか、だな」
言葉を紡ぎつつ、茂乃子は素早く呪印を結ぶ。
合わせて怪物達も動こうとしたのだが――彼らの動きはその場で止まってしまった。
それは茂乃子がそうしたからではない。彼らが諦めてしまったからだ。
「物分りのいい生徒で助かるよ。答えは、こうだ」
次の瞬間、眩い光が部室の中を覆い尽くした。
呪印から放たれたのは無数の魔法剣。それらは複雑な幾何学模様を描きつつ、怪物達の背後を飛び交った。
刃の一本一本が的確に怪物達の動きを阻害し、そして回避不可能な攻撃がその身体を見事に貫く。その光景には美しさすら感じられた。
「――避けることも適わぬ、包囲攻撃。これが私の回答だ」
古きものとして、そして魔術師としての矜持を掲げ、茂乃子は怪物へと己の答えを叩きつけていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
化野・花鵺
「ふーん、サトリの親戚くらいの感じかなぁ。もうちょっとショボい感じがするけどぉ。でもねぇ、サトリの撃退法方は有名なんだよねぇ」
狐、コロコロ笑った
「呪詛争いで妖狐が新参の紛い物に負けるなどあるわけなかろ?身に刻んでさっさと滅ぶが良いわ、ホーッホッホッホ」
高笑いつつ「狐の呪詛」
敵が術範囲に入った途端自動で連続不幸のオンパレード開始
攻撃しようとして体勢を崩し仲間や自分に攻撃を当てる
何もない所で転んで後続を巻き込む
足を滑らせ自分から敵の攻撃に当たりに行く
避けた場所に仲間や猟兵の攻撃がクリーンヒットする等々
「ヌシらは意図せず自分自身の行動で自滅するのじゃ。分かりやすかろ、ホホホホホ」
狐、機嫌よく笑った
●
怪物達はノイズ混じりの唸り声をあげながら、ゆっくりと猟兵や新島へにじり寄る。
その光景を見つめる化野・花鵺の表情にネガティブな色はない。むしろどこか楽しそうだ。
「ふーん、サトリの親戚くらいの感じかなぁ。もうちょっとショボい感じがするけどぉ」
敵の様子を観察し、自分の知識に当てはめて。彼らが何者かはどうでもいいが、撃退方法はなんとなく予想がついている。
「サトリの撃退法方は有名なんだよねぇ。そうじゃなくても……キミ達の気配でなんとなーく分かるんだぁ」
ゆらり、花鵺の声に応えるように怪物達が姿を揺らめかせる。
彼らが身に纏っているのはスーツだし、ノイズはテレビでとく見るモザイクに似ていた。
けれど怪物達の根幹にあるものは――昔からある呪詛の類だ。
それなら花鵺が負ける道理はない。
「呪詛争いで妖狐が新参の紛い物に負けるなどあるわけなかろ? さあ、ヌシらに狐の恐ろしさを教えてやろう!」
花鵺の口調が変わった瞬間、彼女の周囲の空気も変わった。
普段はゆるゆるな彼女だけれど、その身に流れるのは紛れもない天狐の血筋。
怪物達よりも濃厚な呪詛の気配が部室を覆い、ゆっくりと飲み込んでいく。
「ああ、そちらの娘は妾の後ろへ。巻き込まれたくなかろう」
「ひゃっ……は、はい!」
新島が後方の机の影に隠れたのを確認し、花鵺は更に強烈な呪詛を展開し始めた。
「妾の呪い、その身に刻んでさっさと滅ぶが良いわ。ホーッホッホッホ!」
高笑いと共に放たれたのは無数の管狐だ。
管狐達は牙を剥き、次々に怪物へと襲いかかる。例え未来を予知できたとしても、狭い教室で物量作戦に対抗するのは難しいだろう。
一体、また一体と怪物達は噛み跡をつけられ――そして、強烈な呪詛が彼らの身体を侵していく。
そこから先は花鵺が直接手を下すまでもなかった。
ある個体は思い切り足を滑らせ、机の角に頭をぶつけてあっさり撃沈。
またある個体は仲間を巻き込みスリップし、共に後方のロッカーへと頭を突っ込む。
思い通りに動けない怪物達は次々に自滅し、少しずつ数を減らしているようだ。
「……娘。お主が展開しようとした儀式によっては、お主もこんな風になっていたかもしれんぞ」
花鵺は少しだけ鋭い声で、新島に向けて忠告を投げかける。
こうやって火遊びする若者に釘を刺すのも力ある者の役目だろう。新島がぶんぶんと頷くのを確認し、花鵺も安堵するように息を吐く。
「そうなると最後は簡単。こんな風に自分自身の行動で自滅するのじゃ。分かりやすかろ」
ホホホ、と花鵺がご機嫌な笑い声をあげたのなら、新島は更に涙目で大きく頷く。
その後ろでは怪物達が自滅を続け、なんとも滑稽な光景が繰り広げられ続ける。
呪いに儀式、こういったものは正しく扱ってこそ。天狐の女はオイタをする若者と滑稽な怪物達に、そのことをしっかりと教え込んでいくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
聖ヶ丘・彩乃
悪戯っ子の方には興味なさそうね
好都合だわ、巻き込まれたくなければ離れていなさい
白兵戦がお望みならその通りにしてあげる
合金骨格による【肉体改造】は伊達ではない、【蹂躙】してあげるわ
熱線銃を片手に持つから基本は蹴りで応戦するわ
どういう敵かは分からないけど、【落ち着き】を持って対応すれば問題無いはず
敵の行動に慣れてきたら攻撃に合わせて【ジャンプ】、UCを【零距離射撃】でぶち込みましょう
他には、敵に囲まれないように牽制で熱線銃を撃ちまくる
敵の数は多いし、囲まれないようにしなきゃね
お前達、何言ってるのか分からないのよ
一昨日来なさいな…意味が分からない?
…二度と来るなって意味よ。これでお分かりかしら?
●
怪物達の数は減りつつあるが、彼らは懲りずに儀式を完遂させようとしている。
幸い新島に危害を加えるつもりはなさそうだ。それならとにかく闘うしかない。
聖ヶ丘・彩乃は教室の隅で震える新島を見遣り、彼女へ向けて鋭く言葉を投げかける。
「悪戯っ子は……そこにいるわね。好都合だわ、巻き込まれたくなければそこから動かないでちょうだいね」
新島がこくこくと頷いたのを確認し、彩乃はホルスターから熱線銃を引き抜いた。
「……怪物には容赦しないわ」
彩乃が臨戦態勢を取ったのを確認すると、怪物達も四肢を紅く染め構えを取る。
白兵戦がお望みならその通りにしてあげましょう。ここから先はシンプルな潰し合いだ。
彩乃は一見華奢な女性だが、その骨格は特殊合金により改造されている。
そんな彼女の放つ蹴りは――見た目より遥かに凄まじい威力で、次々に怪物達を蹴り飛ばしていく。
「邪魔よ、どきなさい!」
怪物達の四肢には呪いの力も宿っているが、動き自体は単調だ。
しっかり落ち着いて動きを見れば回避することも難しくない。
周囲の机や椅子も利用しつつ、彩乃は立体的に立ち回り続ける。
空いた両手にはしっかりとブラスターも構え、牽制の射撃を放つことも忘れない。
こちらへにじり寄る怪物は次々に撃ち抜き、油断している相手には蹴りをお見舞い。映画のスターさながらのアクションで彩乃は暴れ続ける。
「弱い者を数で囲って脅す……そういうの、情けないと思うわよ」
だからこそ、そのような相手に負ける訳にはいかない。
新島という少女は確かに良くないことをした。だからといって彼女は見捨てない。
それに――このまま完全な邪神が召喚されてしまえば、自分のような悲劇に見舞われる人も生まれてしまうだろう。
「■3あア、●じゃ■、召喚」
「■■%4、そ祖●、続行」
怪物達は不気味な声を発し、諦めることなく彩乃へ迫る。
その声には精神を抉ってくるような呪詛が籠められているが、そんなことはどうでもいいのだ。
「お前達、何言ってるのか分からないのよ。一昨日来なさいな!」
彩乃が放ったブラスターの熱戦が怪物の足を穿ち、彼の姿勢を大きく崩す。
そこにすかさず飛び込んで――放つは渾身の飛び蹴りだ!
「意味が分からない? ……二度と来るなって意味よ。これでお分かりかしら?」
私と夫が愛したこの世界を、これ以上邪神に踏みにじらされてなるものか。
愛を弔った女の放つ強い怒りは、また世界を汚す狂気を打ち消していくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
榛・琴莉
「まだ」と言うことは呼ぶ気だった、呼べば来ることを確信していたのでは?
雨神さまとやらが何かは知りませんけど…やっぱロクなもん来ませんよねぇ、この類のオマジナイ。
まだ途中でこれですもん。
Haroldを『武器改造』で分散、魔力を込めて周囲に浮遊させます。
机やイスがある教室では、こちらから動くより、向かってきたところを迎撃する方がやりやすいでしょう。
障害物があるお陰で動きは読みやすそうですし。
障害物を避ける、乗り越える動作に合わせてHaroldを飛ばしてUCで攻撃します。
接近してきた対象は攻撃をHaroldで『武器受け』して『カウンター』で。
えーっと、新島さんでしたっけ。
オマジナイ、まだやります?
●
教室の様子は酷い有様に変わりつつあった。
吊るされていたてるてる坊主は床に落ち、机や椅子は大きくひしゃげている。
隅っこでは騒動を起こしたきっかけの生徒、新島が小さく震えていた。
その様子を見遣り、榛・琴莉は大きく息を吐く。
「……儀式の途中でこれですもん、やっぱロクなもん来ませんよねぇ、この類のオマジナイ」
新島の様子からしても、この儀式に関してはある程度の確信があったのだろう。
だとすれば――なおのこと、これ以上の被害を広げる訳にはいかない。
「いきましょう、Harold」
校内を偵察させていたUDC達を召集し、彼らに再び小さく分かれてもらう。
琴莉の周囲には煌めく水銀の鳥の群れが生まれていた。
「装填、ヘイグロト。戦場の様子や敵の戦術から迎撃作戦が有効でしょう。Harold、合わせて下さいね」
氷の術式を起動しつつ、琴莉は机や椅子の合間に堂々と立つ。
怪物達が大きく動き出したのは、それと同じタイミングだった。
ここからの戦いは分かりやすいものであった。
琴莉の作戦は見事に功を奏し、怪物達は彼女に触れることすら叶わなかったのだ。
激しい戦いの結果、教室の内部は荒れているが――それでも物が散乱していることに変わりはない。
怪物達は接近戦を行わざるを得ないため、琴莉に近づくには様々な障害物を乗り越える必要があった。つまり、その分隙も生じやすい。
「Harold、そちらは任せましたよ」
隙を見せた怪物達に撃ち込まれるのは、一片の容赦もない氷の魔術。吹雪を司る守護霊の名を冠した術式は、次々に起動し怪物達の懐で爆ぜる。
あっという間に出来上がるのは揺らぎのような怪物の氷像だ。
「不確かな存在を凍らせる、というのは不思議なものですが……結果が伴うのなら問題ありませんね」
無表情で怪物達を一瞥し、そちらが問題ないと分かれば新島へと向き直る。
琴莉の視線が自分へ向いたのを感じたのか、新島は小さい悲鳴と共に竦み上がった。
「えーっと、新島さんでしたっけ」
「はっ、はい……」
「……オマジナイ、まだやります?」
琴莉の静かな問いかけへ、新島は首を振ることで答えを返す。
ここまで恐ろしい目に遭ったのだ。彼女も充分懲りただろう。
だが――怪物が減りつつあるのに、教室の空気は変わらない。氷の魔術で教室の内部は真冬のように寒いのに、どこか湿度は上がり続けているようで。
「本命は……大人しくしてくれませんか。Harold、もう一仕事頑張りましょう」
最後の怪物が凍りついたのを確認し、琴莉は再び水銀の鳥を手元へと呼び寄せる。
琴莉の表情は凍りついたように変わらないけれど――宿る気配は、より鋭いものへと変わっていた。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『雨神『アメフリ』』
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POW : その雨はただ身体を蝕む
【中空から腐食の雨】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : その雨はただ刺すように痛い
【中空から降る、刺すような雨】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に水溜まりを作り】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ : その雨はただ哀しみを降らせる
自身の【傘に吊るされたてるてる坊主】を代償に、【心に降る雨のような哀しみ】を籠めた一撃を放つ。自分にとって傘に吊るされたてるてる坊主を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「入谷・銃爪」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
邪神の眷属は全て倒した。しかし、儀式は終わらない。
「●■あ、%2×■■雨神さま」
「4■イ来、■■%4来て」
死に際の怪物達が不気味な声で何かを呟き、そして教室の空気が一変する。
ぽた、ぽた。小さな音が響いたと思えば――教室の中で雨が降り出したのだ。
「願ったのは君達かい。その願いは僕が叶えよう」
雨の中心に立っていたのは小さな少年だ。
しかし、彼が纏う気配はあまりに異質。彼こそが召喚された雨神『アメフリ』だろう。
雨神は誰かを意図して苦しめるような神ではない。
彼はありのまま雨を降らし、そして全てを押し流す。
このまま邪神を放っておけば――校舎も、この一帯も、まるごと雨が押し流してしまうだろう。
「そんな、怖い神様だったなんて……私はただ、明日雨が降ればいいなって……」
新島も自分が起こそうとしていた物事の重大さを理解し、深く頭を垂れている。
彼女が目論んでいたのは、ただ明日の体育祭を中止にすることだったのだろう。しかし、その結果は邪神の召喚という形に終わってしまった。
新島の処遇は後で考えればいいし、UDC組織がうまくやってくれるだろう。
今すべきことは――目の前の邪神の討伐だ。
幸いなことに雨神が起こす雨はまだ大したものではない。
教室の備品を利用し続けることも可能だろう。
現在の状況を活かし、どうにか敵を倒さなくては。
古野・茂乃子
不完全なまま、呼び出されたか
よし、あとは上手く倒すだけだな
この雨はマズイな、身体が溶けてゆく
だがそれならば、あの邪神にも通用するだろう
だが、それよりも先にやることがあるな
新島といったか、彼女には傘を渡しておこう……誰かの忘れ物か、部屋に一本くらいあるだろう
私の蔦の先が溶けてゆくのを見せて、こう伝えよう
あの雨にだけは当たるなよ、このようになってしまうからな、と
さてでは、反撃といこうか
私の蔦によって、降りしきる雨を分解し、理解を深めよう
身体が溶けようが構うものか、それ以上の力を手に入れるなら安いものだ
分析が済めば、あの邪神の傘の下から降らせてくれよう、腐食の雨を
手加減はしない、溶けて消えろ
シアン・ナアン
『まずは自分を壊しちゃお!世界もどーせ壊れてるから!』
『自由こそ真の秩序……』
『シアン難しい話わかんなーい☆』
◆口調
コロコロ変わり、ぐちゃぐちゃである
◆行動
戦闘、遊び、調査等何をするにも分身を使って活動する
分身も意識があり区別がつかない
行動指針に一貫性がなく都度変わる
爆発物好き、派手好き
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、怪我や死ぬことも厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為は多分しません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動は恐らくしません。
つまりはだいたいおまかせ。よろしくおねがいします!!
●
屋内にも関わらず降りしきる雨は、教室に存在する全てへと浸食していく。
新島の前に猟兵達は立ち、そして邪神とは睨み合っている状態だ。
そんな中、古野・茂乃子は構成する蔦の一本一本で雨粒を認識しつつ、姿を現した邪神を見つめていた。
「不完全なまま、呼び出されたか」
邪神が纏う気配は異質だが、威圧感は思っていたほどでもなかった。儀式の中断が上手くいったからだろう。
それならあとは上手く倒すだけ。茂乃子がやるべきことを再認識すると同時に、教室の中に聞き覚えのない足音が響いた。
「なんだか楽しそうな予感! もしかしてクライマックス?」
足音の主は髪も瞳も桃色の少女だ。彼女は当然のように教室へと踏み込むが、この状況で平然としているのがまず不可思議。
少女の名前はシアン・ナアン(自己壊乱・f02464)。彼女も猟兵ではあるのだが、どちらかというと楽しそうな気配に引き寄せられて姿を現したようだ。
「猟兵ならありがたい。共にあの邪神を倒してくれるか?」
「邪神ってあの男の子? あの子を壊せばいいんだよね、りょーかい!」
茂乃子の呼びかけにシアンは明るく了承。二人は共に邪神へと向かい合う。
邪神の方も猟兵達が臨戦態勢を取ったことを確認し、ニヤリと笑みを浮かべている。
「僕を呼び出したのは君達じゃなくて、そっちの女の子なんだね。それなら君達にはどいてもらおう」
次の瞬間、教室の中に微かな異臭が漂い始めた。
さらなる異変に気づいたのは茂乃子の方だ。自分の身体の先端――小さな蔦が少しずつ溶け始めている。
恐らく邪神も戦う姿勢を見せたからだろう。降りしきる雨がより危険なものへと変化しているようだ。
そこで茂乃子が目をつけたのはひしゃげたロッカー。太めの蔦で扉をこじ開ければ、中には置きっぱなしになっているビニール傘が眠っていた。
「私は大丈夫だが……まずは新島、といったか。君にはこの雨は危険だろう」
傘を新島へと投げ渡し、茂乃子は更に自分の蔦を少女の方へと見せつける。
蔦の先端はどろりと溶けて、少し黒っぽく変色していた。その様子を見た新島は小さく悲鳴をあげ、すぐに傘の中へと身を縮こませている。
「それでいい。あの雨にだけは当たるなよ、このようになってしまうからな。それで……そちらは?」
「んー? シアンは平気平気。ちょっとくらい溶けてもどうってことないよ!」
茂乃子に不安げな視線を送られたものの、シアンは緩い笑みを還している。
そうは言いつつ彼女の身体にも雨のダメージは浸食しているようだが……それでも彼女は平然としていた。
この場にいるシアンはシアン本人ではなく、彼女の分身。だからこそ、彼女は己の負傷や死を恐れない。
相手が気にしない以上は声をかけるのも野暮だろうか。茂乃子もそう判断し、自分の戦いへと集中することを決めた。
「あ、そうそう。私、結構派手な戦い方するから、蔦の猟兵さんも女子高生も気をつけてねー☆」
「私も周囲への被害は出してしまうかもしれないな。だが、それも邪神を倒すためだ。許してくれ」
全力で戦うこそ遠慮は無用。二人は互いの意思を確認し、改めて邪神を睨んだ。
「それじゃあ……さぁ、踊り狂え私達!!」
先に動いたのはシアンの方だ。彼女がユーベルコードの力を高めたのなら、姿を現したのは7人のシアン達。
彼女らの腕にはサイコキャノンに大鎌、爆弾にロケットランチャーといった物騒な武器が握られていた。
「「「「「「「いっくよー!!」」」」」」」
七色の少女達は思い思いに飛び上がり、酸性の雨を物ともせずに邪神の方へと殺到していく。
邪神が操る雨は危険だが、それが齎すのは最終的な死だけ。死を厭わぬ者を止める手立てはそこに存在していない。
邪神の方も雨雲を調整して一人ひとり少女に狙いを定めているが、暫くはシアンの方が優位だろう。
誰が倒れようとお構いなし。七人のシアンは次々に教室を立ち回り、己の武器で邪神の命を削っていく。
「あちらが時間を稼いでくれているなら……私もやるべきことに集中しよう」
一方、茂乃子の方は先程の地点から動いていなかった。
雨によって蔦がじわじわと溶かされているが、それすらも己の知識に変える。それが茂乃子の戦い方だ。
雨が身体を溶かせば溶かすほど、その性質や魔力は理解できる。彼女もまた多少のリスクは厭わず戦うスタイルだった。
「……なるほど、こういうことか。面白い」
腐食の雨を理解しきり、そしてそれを再現する術式も思いついた。
それなら後は、あの邪神にそれを分からせてやるだけ。
「シアンといったか、合わせてくれないか?」
「邪神を徹底的に壊すんだね? りょーかい♪」
茂乃子が術式を完成させた瞬間、残ったシアン達が一斉に邪神へと殺到した。
ある者は弾丸の雨で邪神の動きを制限し、ある者は鎌で邪神の足を切り裂く。
そして充分に身動きを封じた瞬間――。
「手加減はしない、溶けて消えろ」
茂乃子は邪神の傘の内側に魔法陣を展開させ、腐食の雨を降らせ始めた。
「な、これは……!?」
「雨が好きなのだろう。好きなだけ浴びていくといい」
容赦なく降り注ぐ雨は古のものからの贈り物だ。邪神の皮膚は少しずつ爛れ、その力も溶け出している。
そこに再びシアンが飛び込んだ。
「いい感じに壊しやすそう♪ それならシアンからはこれをプレゼント!」
追い打ちとばかりに、投げ込まれるのは可愛らしい爆弾だ。
少女からのプレゼントはド派手な光や音と共に爆ぜ、邪神の身体を更にボロボロに溶かしていく。
その様子を見ていた新島が小さく悲鳴をあげていたが、その辺りはあとで対処すればいいだろう。
「……自分がやろうとしたことを、その身でとくと味わうがいい」
「派手に散っちゃうのも楽しいと思うよー?」
一方、猟兵達は腐食の雨の中でも思うがままに立っている。
それが彼女達の強さであり、そして己の持ち味を活かす確りとした戦い方だった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
榛・琴莉
神様なんて、人の手に負えるようなもんじゃないですって。
邪神ならなおのこと。
相応の対価もないのに、まともに願いを叶えてはくれませんよ。
…嗚呼、いえ、これから払わされるんですかね?命とかで。
新島さんを巻き込みかねない状況でこの雨は…
Haroldに魔力を込め『武器改造』で出来る限り分散。
攻撃回数を重視したUCで、雨神を取り囲むように仕掛けます。
これだけの数が教室を飛び回れば、振り撒かれる魔力で雨もある程度は凍るでしょう。
新島さん、その辺の机の下にでも潜っていていただけると助かります。
彼女がお望みの神様は、もう少し穏便な方だったようで。
なので貴方はお帰りいただいて結構です。
帰り道はお分かりになります?
●
新島の願いはきっと些細なものだった。
けれど、それを縁として呼び出されたのはどうしようもない邪神。
やっぱり。神様なんて人の手に負えるようなものではないのだ。
「そうですよね。相応の対価もないのに、まともに願いを叶えてはくれませんよ」
それとも命なんかを対価に払わされてしまうのだろうか。
爛れた身体を再生させつつ微笑む邪神に、榛・琴莉は鋭い視線を投げかけた。
「それならさっさとお帰り頂きましょう……Harold」
先程までの戦いと同じように、銀の小鳥へ声をかける。具体的な命令は告げずとも、慣れ親しんだ相棒なら意思疎通は可能だ。
最優先は邪神の討伐。けれどこのままでは新島も巻き込んでしまう。
彼女は傘で身を守ってはいるようだが、それもいつまで持つだろうか。こちらで出来る限りの対策は施しておこう。
「新島さん、その辺の机の下にでも潜っていていただけると助かります」
「わ、分かりました」
新島がひしゃげた机を引っ張り、その下に身を滑らせたのを確認すれば充分だ。
あとは――全て凍らせるだけ。
Haroldは琴莉の想いに応えるように身を震わせ、次々に分散していく。
小さな小鳥の群れが天井を覆えば、酸性の雨をせき止めることも可能だ。
しかし限度はある。雨に含まれた有害な物質は次第にHarold達を腐らせ溶かしてしまうだろう。
「おや、僕の雨はそんなに甘くないよ」
くすくす笑う邪神に対し、琴莉が投げる視線はあいも変わらず冷たいまま。
しかし、それはただ感情が見えていないからではない。琴莉の中には確信があったからだ。
「……甘く見ているのはあなたの方です」
次の瞬間、数羽のHaroldが動きを変えた。
歪な翼をはためかせ、向かうは邪神の方だ。翼は刃のような鋭さを帯び、放たれる羽ばたきは斬撃へと変わる。
「溶けた翼で切り裂けるとでも?」
「よく見て下さい。溶けてなんかいませんよ」
琴莉の言葉通り、Haroldが放つ斬撃は的確に邪神の身体を切り裂いていく。
Harold達の翼は確かに溶けているものの――それよりも鋭い氷が彼らの羽根を覆っていた。
琴莉が操るのは雪華の魔術。全てを押し流す雨を凍らせ、邪悪を殺す力。
自分が翼を得て此岸へと立っているように、自らの相棒にも翼を与えて共に立つ。琴莉の在り方は邪神の力にだって打ち勝てるのだ。
邪神の傷は更に増え、彼から的確に力を削げているようだ。
その様子を見遣りつつ、琴莉は改めて邪神を見つめた。
「後ろの彼女がお望みだった神様は、もう少し穏便な方だったようで」
だからあなたはお帰り下さい。
冷たい声色に確りとした意思を籠め、琴莉は言葉を紡ぐ。
「帰り道はお分かりになります? わからないのならHaroldに案内させますよ」
氷の道の先にあるは骸の海だ。
還るべき者は還るべき場所へ。やるべきことを見定めた少女は、銀の鳥と共に悪しき神を導くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
化野・花鵺
「半ズボンで書生風…高下駄じゃないしぃ、60点?」
狐、寸評した
「何か色目と表情が河童みたいぃ。もしかして河童の親戚ぃ?相撲好きで尻子玉抜いたりキュウリ好きだったりするぅ?」
狐、興味を優先した
「まあ大体分かったかなぁ。代償を先に潰しちゃえばぁ、その力は振るえないよねぇ」
「フォックスファイア」で先に傘に吊るされたてるてる坊主を焼き尽くす
敵や傘を焼くのはその後
「狐火なら延焼しないし操作はバッチリだしもうこれカヤの完封じゃないかなぁ」
狐、調子に乗った
「イヤなことから逃げ出すときはぁ、もっと全力でやった方がいいと思うぅ。威力妨害で捕まらないレベルに抑えとく必要はあるけどぉ」
狐、一応慰めた
●
「せぇふくぅ……せぇふくっぽいけどぉ……」
邪神が姿を現していても、化野・花鵺はマイペースだ。
彼女の興味や邪神の衣服へと注がれている。
「半ズボンで書生風……高下駄じゃないしぃ、60点? それより気になるとこがあるんだけどぉ」
「……なんだい?」
流石に気になるのか、訝しげな視線を送りつつも花鵺の言葉を待つ邪神。不思議な空気が教室の中に流れていた。
「何か色目と表情が河童みたいぃ。もしかして河童の親戚ぃ? 相撲好きで尻子玉抜いたりキュウリ好きだったりするぅ?」
「……何を言っているんだ君は。僕は雨の神、妖怪なんかじゃないよ」
ムッとした邪神の声色に合わせ、教室の中へと降り注ぐ雨が強まった。
幸いなことに今は毒性が薄れているようだ。おかげで花鵺の身体にダメージはないけれど、耳や尻尾、それに貰った制服が濡れるのはよろしくない。
「まあ大体分かったかなぁ。キミの力の在り処もねぇ」
雑談を続けるように言葉を紡ぐ花鵺だが、彼女の周囲の空気は少しずつ変化を始めている。
その身に宿すは邪悪を討つ天狐の力。花鵺の意思に応えるように、一つ二つと狐火が灯りだす。
「おや、雨の神に炎で挑むのかい?」
「ただの炎じゃないしぃ。狐火だからぁ」
ここから先は互いの力のぶつかり合い。猟兵も邪神もそれぞれのペースを崩さないまま、激しい戦いが始まった。
花鵺はただ邪神を観察していた訳ではない。勿論興味は津々だったのだが、本能的に邪神の呪力も見定めていたのだ。
彼が代償として操るのは傘に吊るされたてるてる坊主。あれさえ壊せば勝機は見える。
「そんじゃ、燃えちゃえ」
狐火は雨の中であろうと勢いを落とさず、次々にてるてる坊主へと向かっていく。
邪神も対抗すべく雨脚を強めるが――しかし、それでも狐火の様子は変わらなかった。
「おっと、どういうことだ……?」
「言ったでしょぉ、ただの炎じゃないってぇ。狐火なんだから花鵺の思うままに動かせるからぁ、もうこれカヤの完封じゃないかなぁ」
ふふん、と得意げな笑みを零す花鵺。
狐火がてるてる坊主を飲み込めば、花鵺の言う通りに邪神の力は次々に弱っていく。
ここまでの戦闘も相まって彼の力はもう残っていないだろう。それならあとは邪神そのものも燃やすだけだ。
「次はもっとカッコいいせぇふく着てきてねぇ」
別れの挨拶もマイペースに投げかけて。天狐の炎は不完全な神を討ち滅ぼすのだった。
こうして教室は静けさに包まれ、残ったのは猟兵達と新島だ。
花鵺は縮こまっていた新島に歩み寄り、顔をじぃっと覗き込む。
「あ、あの……ありがとう、ございました。ごめんなさい」
「んー、別にいいよぉ。それより……イヤなことから逃げ出すときはぁ、もっと全力でやった方がいいと思うぅ」
威力妨害とかで捕まったら駄目だから、そうならないようには気をつけてねぇ、なんて付け足して。
花鵺の現実的な慰めは、異世界を覗き込んだ少女も此岸へと引き戻した。
あとの処理は偉い人に任せておけばいいだろう。貰った制服の皺を正し、花鵺は窓の外へと顔を向ける。
外はすっかり暗くなり、星々が煌めき始めていた。
●
こうして呼び出された邪神は消え、学園に平和が戻る。
体育祭も無事に行われるだろう。新島も深く反省し、邪神に縋るような真似は二度としないはずだ。
猟兵達は、どこにでもある学園のありふれた日常を守り抜いたのだ。
大成功
🔵🔵🔵