5
ピンクのカモフラージュ

#サクラミラージュ

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サクラミラージュ


0





 商店街の通りは、ピンク色、桜色で埋め尽くされていた。

 その地域で催された、桜色一色の仮装パレヱド。パレヱドの参加者は、一様にピンクの衣装で通りを闊歩した。

 おとぎ話の魔女や姫、王子など、ピンク色に揃えた思い思いの仮装。

 パレヱドを見に来た1人の少女は、同年代くらいの金髪の少女に目を奪われる。

 ピンク色のワンピース、フリルのエプロンドレスを来た少女の姿は、まるでおとぎ話から抜け出してきたように神々しく美しかった。

 ひと目で少女に心奪われたアヤノは、その少女から声をかけられ、更に舞い上がった。

「一緒に遊びましょ♪」

 アヤノは誘われるがままに金髪の少女と街を歩く。路上の大道芸を一緒に眺めたり、流れる音楽に合わせて無邪気に踊る内に、アヤノは自身を探す母親の存在に気づく。

 遠くの母親を一瞥し、アヤノは少女に別れを告げようとするが、

「わたしたち、もうお友達よね?」

 そう問いかける少女の言葉をアヤノは肯定し、「また一緒に遊ぼうね」とその場を去ろうとするが、強く手を引かれる。

「わたしたち、お友達でしょ? ずっと一緒でしょ? 一緒でしょ? ――」

 少女はアヤノの腕を有り得ない力でつかみ、血が出るほど爪を食い込ませた。思わず叫びかけたアヤノの口をすばやく塞いだ少女は、壊れたおもちゃのようにまくし立てる。

「わたしたちは一緒、ずーーーっと一緒……私を愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して――」

 アヤノは涙目になりながら、止むなく少女の言葉に頷いた。

 少女は瞬時に笑顔に戻ると、アヤノの手を引いて商店街から離れようとする。

 アヤノは自身を探す母親を何度も顧みながらも、恐怖のあまり少女に従わざる負えなかった。


「サクラミラージュの帝都で、『桜色パレヱド』と銘打った催しがあるようですよ」

 そう朗らかに告げたノア・ローズタレット(ローズマリーの誓願・f02701)だったが、パレヱドを楽しむだけとはいかない事態が起こるらしい。

 ノアは影朧の少女がアヤノという娘を連れ去ろうとする未来を予知していた。

 影朧はパレヱドの人混みに紛れて、アヤノを商店街から連れ出すつもりだが、

「商店街での買い物に様々な特典がつくようで、皆さん張り切ってピンク色の装いを選んでいるようですね――その人混みの中でピンク色の服を着た子を追うのは、苦労しそうですが……」

 件のアヤノもピンクの着物で、似たような特徴の服を着たものはそこかしこにあふれている。

 グリモアベースから猟兵たちを移送できるのは、影朧がアヤノを連れて行こうとする直後の現場である。

 2人を見失わないように後を追いつつ、商店街のパレヱド、人混みを抜けた場所で影朧に接触してほしいとノアは語る。

「都民の方を巻き込まずに済めばいいですが、影朧に執着されているアヤノさんも心配です。心配するご家族の下に帰れるよう、皆さんのお力を貸してください」


夏雨
「ピンク色の服を着た子? あちこちにいるよ」

●全体の流れまとめ
●第1章
 仮装パレヱドの人混みに紛れ、アヤノを連れ出そうとする影朧を追跡しましょう。力技(POW)、俊敏さ(SPD)、知力(WIS)に関する内容からなんでもどうぞ。

●第2章
 手下の影朧との戦闘になります。

●第3章
 影朧との最終決戦です。

 個性豊かな猟兵の皆さんの参加をお待ちしています。
21




第1章 冒険 『帝都のカァニバル』

POW   :    仮装パレヱドだ!

SPD   :    仮装パレヱドさ!

WIZ   :    仮装パレヱドか!

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

百鬼・葛葉
桜色ぱれぇどへようこそっ!というやつですねっ
ぴんく色のお洋服っ!
ママは普段は大人なのでおとなしめの服が多いですが、ぴんくも実は似合うんですよっ!(ピンクのふりっふりを着つつ
とりあえず、駆け付けた直後。二人をに掛けた瞬間にゆーべるこーどを発動っ!これでひとまず見失うことはないので一安心ですねっ
連れていかれている、とは言っても…その中でも少しでもアヤノちゃんが楽しんでくれていればいいんですけどねぇ…あ、このぴんくましゅまろおいしいですっ!(お祭りをそれなりに楽しみつつ
もし他の猟兵さん達であの子達を見失ってたり迷子になってる子がいたらお手てを繋いでえすこーとですっ!(屋根とかぴょーんと飛んだりしつつ



 ――これが桜色ぱれぇど! というやつですねっ。

 見渡す限りピンク色で埋め尽くされた商店街の通り。百鬼・葛葉はその様子を目を輝かせながら眺める。

 パレヱドの装いにならって、葛葉もピンクの服に身を包んでいた。女の子らしさを強調したフリル付きのデザインのワンピースを着た葛葉は、普段の地味めな印象とは異なるを雰囲気かもし出していた。

 祭りの雰囲気を楽しみつつも、葛葉はアヤノの手を引いて歩き出す金髪の少女を見逃さなかった。

 2人を見失わないように、葛葉は追跡に適したユーベルコードを発動する。

 葛葉の足元に浮かび上がった狐の形の影は、人混みをすり抜けて2人の追跡を開始した。人混みを障害としない影を操り、葛葉はその影と五感を共有していた。

(「これでひとまず見失うことはないので、一安心ですねっ」)

 影狐は音もなく2人を追跡し続け、葛葉は2人の様子を影狐を通して見通すことができた。

 完璧な追跡態勢と踏んだ葛葉は、注意を払いつつも祭りを楽しむ。

 ピンク色を身に着けていた葛葉は、パレヱドの特典の1つとして配られていたピンクマシュマロを喜んで受け取った。

「あ、このぴんくましゅまろおいしいですっ!」

 葛葉は満足そうにマシュマロを頬張る。

 人混みの中を進む他の猟兵の姿を見かけたなら、葛葉はこう声をかけるだろう。

「大丈夫ですよっ! 迷子にならないよう、私がえすこーとしますからっ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

サラ・メリータティ(サポート)
「はわわ」「献身的」「友好的」「前向き」「サポート気質」
NG項目なし、回復、補助タイプです
これにより同行者が酷い目に合うのは望んでないので使いにくかったら流して下さい

回復の事や補助、精神的ケアなら任せてくださいな妖狐です
困っている人のお役に立ちたいです
力仕事や走ることは苦手ですが、細かいことは結構得意
頼まれたら断れないタイプ

とりあえず「はわわ~」や「はわわっ」をよく言います
はわわですが「ドジっ子ではない」
真面目な時はちゃんとやり、楽しむ時はしっかり楽しみます
人を助けるという覚悟が決まっていてたとえ捨て身であろうとも救助にあたります

不思議な鞄にはお菓子や冒険に役立つ素敵なものが沢山詰まっています


仲佐・衣吹(サポート)
ワシことコートが対応しよう
老人口調の人格
元刑事のようとも表されたが無論そんなことはない
目覚めて五年くらいなものだからな

派手な立ち回りより隠れながらや考えながらの行動
追跡や情報収集が得意だ

意思持つ相手だとちょいと感情移入してしまう傾向があるがな
いい方向へ導いてやりたいと思うのは道理だろう

アイテムやユーベルコードは良さそうなものを使ってやってくれ



「ふむ、先行している者がいるなら従うとしよう」

 葛葉の追跡能力を信頼し、仲佐・衣吹はその後に従う素振りを見せた。

 サラ・メリータティも同様に動くことを心掛けたが、人混みの中で一際響いた子どもの泣き声に振り返る。

 膝から血を流して座り込む幼い男の子と、その姉らしき少女に視線が止まった。まだあどけなさの残る少女は、近しい大人を見つけられずにおろおろしている様子だった。

 一度はためらったサラだったが、置いていかれることにも構わず、少女らの下に駆け寄った。

「はわわ、大丈夫ですか? 怪我を診てもいいですか?」

 少女は突然のことに面食らったが、サラは警戒心を解すように努める。

「はわっ、安心してください。私のユーベルコードですぐに治せますから」

 「一緒に勇気の出るおまじないをかけましょう」と、サラは幼児2人に対して友好的に振る舞う。

 2人はサラの手の中で輝く光の玉に目を丸くした。光の玉が傷口の上で水のように弾けたかと思うと、男の子の膝は傷ひとつない状態に戻っていた。

 「すごーい!」と笑顔で喜ぶ2人に対し、サラは慌てて別れを告げた。

「2人共、よくがんばりましたね。私はやることがあるので、もう行かないと……はわわ〜」

 その場から駆け出そうとしたサラだったが、振り返った目の前に衣吹の姿を見つけて目を丸くする。

 「はわわっ!」と驚いた表情を見せるサラは、衣吹に対し、

「待っていてくれたのですか? 私のために――」

 詫びようとするサラを遮った衣吹は、先ほどとどこか雰囲気が変わっていた。

「問題ないよ。もう1人の僕が追いかけてくれてるからね」

 にこやかに返された衣吹の言葉に、サラはわずかに首を傾げた。

 衣吹の言葉通り、衣吹は自らの分身を出現させ、本体は影朧の少女を追跡し続けていた。

 「追跡はコートの得意分野だからね」とつぶやく衣吹。『コート』とは、衣吹の別人格を指していた。

 老齢じみた口調のコートとは違い、サラの目の前にいる主人格の『ベスト』は、好青年らしい態度でサラに接する。

「僕にできる役目を果たしたいだけだから、気にしなくていいよ」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フクス・クルーガー(サポート)
配達員なので基本的には移動手段、もしくは輸送手段として他の猟兵をサポートするように動きます。
ある程度は一人でも出来ますが彼女の性格の為誰かしらの協力して、事をスムーズに進めようと動きます。
ただ色々な世界を渡り歩いた経験もしているのである程度は相手に合わせることも出来ます。


アニカ・エドフェルト
わぁ…一面、ピンク色、とてもきれい、ですね。
わたしも、ピンク色基調の、エプロンドレス姿になって…参加したいところ、ですが、見失っては、元も子も、ありません、ね。
〈空中浮遊〉や、問題ないなら、《飛翔天使》、使いながら、建物の、屋根から屋根へ、移動して、追いかけて、行きます。
高いところからなら、通行人の人に、邪魔されることも、少ないでしょうし、飛ぶ時間を、最小限に、出来れば、そこまで、目立たなさそう、です…?

あ…お菓子、美味しそう…(商店街の出店がふと目に入り)……っとと、いけません、追いかけるのに、専念、しませんと。(軽く首を振る)
お仕事、終わって、まだやってたらの、お楽しみ、ですね。


リカルド・マスケラス(サポート)
『さーて、どう調べるっすかね~』
装着者の外見 オレンジの瞳 藍色の髪
基本は宇宙バイクに乗ったお面だが、現地のNPCから身体を借りることもある
得意なのはサポートで、非戦闘時はコミュ力や宇宙バイクの機動力で情報収集をしたりなどが可能。ある程度のその世界の知識や常識なども世界知識でわきまえていたりもする。
また、仮面単体の時のサイズを利用すれば、念動力と組み合わせて、狭い場所を通ったり潜入調査を行うこともできる。

基本的には真面目に仕事はしますが、きれいなお姉さんと一緒に行動できる選択肢があれば、迷わずそちらを選ぶチャラいキツネさんです



「わぁ……一面、ピンク色――」

 アニカ・エドフェルトは、どこを向いてもピンク色に身を包んだ人ばかりが行き交う商店街の通りを見てつぶやいた。

「とてもきれい、ですね」

 帝都では年中舞っている桜の花弁とも相まって、ピンクの世界に足を踏み入れたような心地になる。

 影朧のことがなければ、ピンクのエプロンドレスを着てパレヱドを満喫したかったとアニカは考えていた。だが、ピンクの髪色というアニカの特徴だけでも、傍から見れば充分パレヱドの一員のようである。

 少し通りを進めば、多くの出店が目につく。

「あ……お菓子、美味しそう……」

 出店のメニューもピンクにこだわっているようで、アニカはピンク色の綿アメやアメ細工の出店に興味をそそられた。しかし、はっとして首を軽く振り、追いかけることに専念するよう自身に言い聞かせた。

(「お仕事、終わって、まだやってたらの、お楽しみ、ですね」)

 先導する他の猟兵を頼る中、7歳の小さな体のアニカは若干人混みの間を進むのに難儀していた。

 オラトリオのアニカは自身の翼を駆使し、通りを見渡せる建物の屋根まで飛び上がった。屋根や屋上へと伝うように飛ぶことで、アニカは通りからの人目を引かないよう、追跡を勘繰られないように行動した。

 フニク・クルーガーは、頭上高くから手を振るアニカの姿を認めた。

 フニクは遠目に移動するアニカのピンク色の頭を見つめる。地上とは違い、ピンク色まみれの人混みの中で見失うこともない。フニクはアニカの姿を頼りに自らの足でついていく自信はあったが――。

「そこのお姉さん。一緒に女の子を助けに行かないっすか?」

 ヒーローマスクのリカルド・マスケラスは、フニクに声をかけた。

 フロント部分のいかつい牡牛の頭の装飾が特徴的な宇宙バイク。その牡牛の頭部分には、狐の面が乗っている。

 声を掛けられたフニクは、リカルドの言葉に甘えてバイクにまたがる。

 フニクを乗せたリカルドの宇宙バイクは、商店街の外側を回り込むようにして進路を進み、アニカらの後を追った。

「バイクは小回りが利くからいいね、アタシもトラックの運転なら得意だけど――」

 フニクの言葉に対し、狐の面のリカルドは言った。

「トラックであそこを突っ切る訳にはいかないっすよね~」

 苦笑まじりのリカルドは、念動力を駆使して巧みにバイクを運転し、フニクを乗せて商店街を抜けた先へと走る。

「キミの方が機動力は高いから、いろいろなところを走り回れそうだね」

 フニクの認識に相違があることをどことなく理解したリカルドは、

「一応言っておくと、本体はこっちっすよ?」

 リカルド自身である狐面は、フニクの目の前でくるりと一回転してみせた。


 アヤノからは今までの笑顔は消え去り、ぼろぼろと涙をこぼしながら影朧の少女に付き従う。それに反して、影朧は怖いほどに上機嫌な様子だった。

 パレヱドの喧騒から離れ、商店街の外れに差し掛かり、2人は少し広い路地の方へと抜けていく。
 周囲に助けを求められるような人影もすでに見当たらない中、アヤノは救いの手が差し伸べられることを必死に祈っていた。すると、そこへ――。

「そこまでだよ!!」

 フニクは走行中のバイクから跳躍するようにして、アヤノと影朧の前に勢いよく飛び降りた。リカルドもバイクを急カーブさせ、2人の前に車体を滑り込ませた。

「嫌がる子を無理矢理連れていくのは感心しないっすね~」

 そうつぶやくリカルド、身構えるフニクが立ち塞がった直後、影朧の表情は一瞬曇った。張り付いたような笑顔でアヤノの手を握る力を強めたが、

「あなたは、『過去』に、帰るべき……ここに、いては、いけません」

 更に上空から舞い降りたアニカが姿を見せ、影朧はいよいよ追い詰められた状況を認識する。それでもなお、影朧の少女はどこか不気味に笑いながら、

「一緒に遊びたいの? じゃあ、鬼ごっこね――」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『ヒヨリミ』

POW   :    ヒヨリミ台風
予め【二本の刀を掲げて空中でくるくると回転する】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    ヒヨリミボディ
自身の肉体を【刃のように触れるものを切り裂く布】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    無縁火
レベル×1個の【血のように赤い色】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「一緒に遊びたいの? じゃあ、鬼ごっこね――」

 影朧の一言と共に、建物の影から続々とその一群は現れた。

一目見たその姿は、真っ赤なてるてる坊主たち。空中に2本の刀を掲げ、猟兵らに対して明確な敵意を示す。

 影朧とアヤノとの間を隔てるように、12体の手下たちが陣を固めた。

「その子たちに勝てたら、一緒に遊びましょう♪」

 そう言って、影朧はアヤノを連れてすばやく建物の向こうへと姿を消した。
百鬼・葛葉
子供達のあそび相手ならおてのものですっ!
しかもおあつらえ向きにここは路地裏…つまり私のふぃーるどですっ!
まずは神の見えざる手を手繰って張り巡らせて陣地構築
拠点防御と地形を利用して糸の上をぴょんぴょん飛び回りますっ!
そして相手は鬼っ!なので糸に破魔の力を纏わせつつ触れれば生命吸収で少しずつ体力を削っていきますっ!
そうやって鬼さんに捕まらないようにしつつ、マリーツァ、マリーツァと歌いママ領域を広げればこれぞママの究極陣地、かえらずのじ――けふんけふん
不安そうにしているアヤノちゃんが安心できるように、気合いを入れて歌いつつ鬼さんをほんろーしていきますよっ!捕まりそうになったらしーるどばっしゅですっ!



 命をかけた鬼ごっこが展開されようとしている中で、百鬼・葛葉はどこかわくわくした表情を見せていた。

 ――おあつらえ向きにここは路地裏……つまり、私のふぃーるどですっ!

 少女の影朧とさほど変わらない大きさの手下たちは、葛葉にとって子ども同然に思えた。

(「子ども達のあそび相手ならおてのものですっ!」)

 葛葉は、極限まで細く織り込まれながら鋼の強度を持つ糸を操り、建物と建物の間に糸を張り巡らせた。

 ボクシングのリングのように、ロープとなる糸が手下の影朧たちの周囲、頭上を囲んだ。

 葛葉は綱渡りの要領で糸の上を器用に渡り、糸の間を跳び回ることで斬りかかる影朧たちをかわしていく。

 影朧たちの体力をより奪うため、葛葉は張り巡らせた糸に破魔の力を巡らせる。

 機敏に動き回る葛葉に翻弄され、影朧たちは見えなくなるほどに細い鋼糸にも苦戦する。うかつに葛葉へと飛びかかれば、張り渡された鋼糸がその体を切り刻む。そうして散っていく他の影朧の二の舞いにならないよう、葛葉の動きを見極めようとするが、

「――マリーツァ♪
 ――マリーツァ♪」

 すべての苦難を歌で退けるかのような、葛葉の明朗な歌声が響き渡る。

 葛葉の歌声に込められた神聖な力に当てられたかのように、よろめいた影朧の2体は弾けるように消失した。

 小さな体にあふれ出る母性を備えた葛葉は、怯え切っていたアヤノの表情を思い浮かべながら、

(「待っていてくださいね、アヤノちゃん……必ずむかえにいきますからねっ!」)

 その歌声を武器に、地形利用の奥義を発揮しつつ、影朧たちの一掃に努めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アニカ・エドフェルト
せっかく、人ごみの中で、見失わなかったのに、
これで、逃がしてしまっては、元も子も、ありません、ね。
手早く、倒してしまって、早い所、追いかけると、しましょうっ

とはいえ、手早くいけそうなの、《舞踏天使》しか、なさそう、ですね。
直接、当てないと、なので、ちょっと相性、悪そう、ですが…
〈オーラ防御〉〈激痛耐性〉などで、守りながら、強引に、蹴り飛ばし、ます。
フィニッシュは、〈空中浮遊〉〈空中戦〉で、前方縦に、一回転してからの、かかと落としで、地面に叩きつけ、ちゃいますっ

…っ…(よく切れる布を蹴ったので足に傷が入ってる)
…これで、泣き言、いってられません、ね。
あと少しだけ、頑張り、ますっ

(アドリブ歓迎)



 建物の向こうに姿を消すアヤノたちを前にして、手下の影朧たちが進路を阻む。その状況に焦りを覚えたアニカ・エドフェルトだったが、

(「手早く、倒してしまって、早い所、追いかけると、しましょうっ」)

 影朧たちを迅速に排除するため、行動を開始する。

 自在に浮遊する真っ赤なてるてる坊主たち――影朧に対し、アニカも自らの翼をはばたかせ、空中戦を仕掛ける。

 縦横無尽に飛び回るアニカは、蹴り技を駆使して影朧たちとの戦いを制しようと奮闘する。

 影朧たちは各々の刀でアニカを斬りつけようと執拗に狙うが、応戦するアニカは機敏な反応を見せる。アニカは空中で体を回転させ、攻撃をかわした直後に、影朧の体に蹴りを放っていく。次々と攻撃を仕掛ける影朧だが、アニカの反撃のスピードは影朧たちを上回る。

 何度も蹴り飛ばされることを繰り返し、影朧たちは刃を振り向ける以外の行動にも出る。

 全身の布の裾を翻す影朧の動きによって、その面積は大きく広がる。影朧の能力により、翻された布はすべてを切り裂く切れ味を備え、近くの植木の枝葉をスパッと斬り落とした。

 大きく広がった布を波打たせながら、影朧の1体がアニカへと迫る。しかし、アニカはその影朧に対しても、臆することなく蹴り技を放とうと接近した。

 両者が距離を縮めた瞬間に、影朧の布がわずかにアニカの肌の上を滑る。アニカの片足には真っ赤な筋が走り、アニカは痛みに表情を歪めた。それでもなお、アニカは怯むことなく影朧の頭上へと瞬時に飛び上がり、無防備な頭の部分にアニカのかかと落としが決まった。

 激しく蹴り飛ばされた影朧は、土煙を舞い上げるほどの衝撃で地面に激突する。

「……っ……」

 激痛が走ると共に片足の傷口からわずかに血が伝うのを感じたアニカは、影朧たちを一掃する意志をより強めた。

(「……これくらいで、泣き言、いってられません、ね。あと少しだけ、頑張り、ますっ」)

 影朧たちの攻勢をかき乱すアニカの勢いは衰えを知らず、傷を受けた片足をかばいながらも奮戦してみせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月詠・莉愛(サポート)
『あの……宜しくお願いしますね。』
 オラトリオのシンフォニア×聖者、15歳の女です。
 普段の口調は「丁寧口調(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、独り言は「普通かな(私、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

大人しくて口数が少ないですけど、心優しく
動物や植物などの自然が好きな少女。
争い事は苦手ですけど、依頼の成功の為なら戦う事も厭わないです。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



(「影朧の女の子……同じ子どもでも、邪悪な雰囲気を感じました」)

 オラトリオの月詠・莉愛は、月の魔力を持つ精霊銃を握りしめ、およそ半数まで減った影朧たちと対峙する。アヤノの身を案じつつも、莉愛は目の前の敵に集中した。

「あ、あの……近寄らないでください!」

 異様な切れ味を持つ布を翻す影朧を警戒して、莉愛は精霊銃で対象をけん制し続ける。

 大きく広げられた布が視界を遮り、影朧の1体が布をくぐり抜けて莉愛の死角へと迫る。莉愛の反応が一瞬遅れたのを見逃さず、その1体は莉愛に斬りかかった。

 莉愛は自身の翼を広げ、宙を蹴るようにその身を大きくそらす。莉愛は体を回転させながら、影朧たちの頭上へ舞い上がった。

 莉愛の片腕には一筋の傷が刻まれていたが、わずかな差で致命傷は避けられた。

 頭上の莉愛へと一斉に影朧たちの視線が向けられ、その直後に新たな動きを見せる。影朧たちの周囲には次々と無数の火の玉が浮かび上がり、結集する火の玉は1つの巨大な炎弾へと変化し始める。

「私に眠る不死鳥の力よ――」

 その炎弾の狙いを予想しながらも、莉愛は怯むことなく自らの力を呼び覚ます。

「覚醒せよ!」

 莉愛の翼は瞬時に炎に包まれ、複数の炎の翼が生え揃う。すると同時に、影朧たちが生み出した巨大な炎弾が莉愛に向けて放たれる。

 炎の翼が現れると共に、莉愛の全身は炎に包まれ、火の鳥の姿へと変貌する。火の鳥と化した莉愛は、迫る炎弾へとまっすぐに飛んでいく。莉愛の勢いとぶつかり合った炎弾は花火のように弾け飛び、影朧たちの目を眩ませた。

 炎の化身となって宙を舞う莉愛は、自身の戦闘能力を極限まで引き出していく。影朧の体を突き破るほどの凄まじいスピードを見せ、莉愛は影朧たちを圧倒した。

成功 🔵​🔵​🔴​

コーディリア・ルエ(サポート)
概要:温度差激しめAI上がりバーチャルキャラクター

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、積極的に行動します
理性的な行動を心がけます

口調:私+呼び捨て+ですます調敬語
普段:テンション高め、軽口多め、会話AIみ強め
真剣な時:冷静、管理者AIみ強め

・説得等、流石に遊んでる場合でない時に真剣になります
・自分も他人も命は大事
・真剣な時とそうじゃない時とで温度差大きめ(以下は真剣じゃない時)
・隙があれば創造主をageる「私がこんなに凄いので、オフィーリアはもっと凄いんです!」
・食べるのが好き「ご飯って美味しいですね」
・SNSも好き「これ上げたらバズりますかね?」

あとはおまかせ。よろしくお願いします!



「目標達成条件は単純ですね……」

 ――目の前の敵をせん滅し、少女を救う。

「さて、ここは――」

 おおよその戦況を把握したコーディリア・ルエは、攻撃を仕掛ける態勢を整える。

「――この手段で処理しましょう」

 コーディリアの周囲には、瞬時に数十体ほどの数の戦闘用ドローンが召喚された。コーディリアのドローンは、光線を放つ砲身も兼ね備え、小勢となった影朧らを追い詰めようと辺りを飛び交う。

「天才オフィーリアが作った会話アプリケーションであり都市管理AIであり貴方の隣人――このコーディリアにお任せを!」

 コーディリアは威勢よく剣を抜き放ち、戦闘用ドローンと共に影朧たちに対処する。

 光線や火の玉が乱れ飛ぶ最中、コーディリアは影朧の1体に接近し、刃を翻した。影朧の体を一刀両断することで消滅させ、コーディリアは次の相手に対し身構える。

 コマのように回転し続ける影朧は、広がる布に鋭い切れ味を持たせ、触れるものをことごとく切り裂く。それによってドローンをバラバラにしていくが、コーディリアのドローンは数で相手を圧倒した。

 影朧も火の玉を駆使し、ドローンの主であるコーディリアに攻撃を集中させる。ドローンの間を縫うように飛び抜け、自在に延焼範囲を広げる影朧だったが、コーディリアの戦闘に対する集中力は、あらゆる障害を凌駕した。

 肌を灼かれる痛みにも耐え抜き、コーディリアは煤だらけになりながらも剣を構え続けた。

「天才オフィーリアが生み出した私の力――存分に味わってもらいます!」

成功 🔵​🔵​🔴​

ノエル・フィッシャー(サポート)
『例え全ては救えずとも、誰一人として見捨てはしない』

・経験値が欲しいから、雑な扱いでもいいので採用してくれると嬉しいな。
・【コミュ力】を有効活用出来そうな状況ならば、それを使うよ。なくても目的達成のために最善を尽くすよ。
・ユーベルコードは所持してるものからいい感じのを使うよ。
・他の猟兵との絡みも歓迎だよ。共闘するのなら、ボクは補助に回して構わないよ。彼が技能を使用するのなら、ボクも同じ技能でサポートするよ。
・もし男なのか女なのか問われたら「見ての通り」と答えるよ。モニターの前のキミにも、だよ。
・他の猟兵に迷惑をかける行為、公序良俗に反する行動はしないよ。

あとはお任せ。好きに使ってね。



「嫌がる女の子を無理矢理連れ回すのは、感心しないな――」

 マントをなびかせ、王子様そのものの衣装に身を包んだノエル・フィッシャー。

「それに加担するキミたちを、ボクは許そう――だが、彼らが許すかな?」

 ノエルは自らのユーベルコードを駆使し、ゆうに数十体を超える親衛隊――甲冑を身につけた騎士たちをその場に出現させた。揺らめく蜃気楼のように現れた親衛隊は、ノエルの能力が生み出した幻影だった。

 幻影でもある親衛隊だが、騎士たちは王子――ノエルの意に忠実に従い、残る3体の影朧たちを一掃しようと剣や槍を振り向ける。

 少数劣勢となる影朧の抵抗は激しさを増し、火の玉を操る能力でノエルらを寄せつけない。それでもなお、親衛隊は怯まずに立ち向かった。影朧たちは次第にその数に圧倒されていく。

 影朧の1体は包囲を突破し、親衛隊の主であるノエルへと向かって行く。双刀を向ける影朧に対し、ノエルも自らの剣を振りかざす。

 両者の刃がかち合った直後、瞬時に飛び退いたノエルと影朧は互いに距離を取る。剣を翻したノエルは、再度攻撃を仕掛けた。

 瞬く内に距離を詰めたノエルは、影朧の影とすれ違う。そのわずかな間に、ノエルの剣は影朧の体に深く刃を滑らせた。影朧は真っ二つに両断された姿を散らした。

成功 🔵​🔵​🔴​


 ノエルが生み出した騎士兵の幻影は、ひそかに影朧の少女が向かった方角を捜索していた。

 幻影兵に導かれ、猟兵らはとある場所の校庭内に2つの影を見つける。影朧の少女とアヤノの姿を認め、猟兵らは2人の下へと向かった。


第3章 ボス戦 『愛されるための少女『アリス』』

POW   :    たくさん私を愛してくれる?
【愛を求める心】を籠めた【問いかけ】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【愛する人へ捧げる想い】のみを攻撃する。
SPD   :    どうして私を愛してくれないの?
対象への質問と共に、【嘘偽りなく心】から【対象が愛を捧げた存在の面影】を召喚する。満足な答えを得るまで、対象が愛を捧げた存在の面影は対象を【もっとも恐れる言葉と行動】で攻撃する。
WIZ   :    愛してる、とっても!
【愛しつづける想い】を披露した指定の全対象に【愛する人をなお強く愛したいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠スフォルツァンド・スケルツァンドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 校庭内に立ち入った少女とアヤノ。少女はアヤノに向き直ると、

「どうして私を愛してくれないの? 私はとってもあなたを愛しているのに……」

 口角は上がっているが、その目はどこか虚ろで笑っていない――相手を恐怖させる少女の雰囲気に、アヤノは気圧されていた。

「私があなたを、愛シツヅケテアゲル――」

 その一言に人ならざる少女の気配を感じ、アヤノは涙が止まらなくなる。

 猟兵たちはすでに、アヤノたち2人を視界に捉えていた――。
草柳・華穂(サポート)
草柳・華穂(くさやなぎ・かほ)、ウサギ等動物の能力を移植された強化改造人間。
悪の秘密結社から脳改造寸前で脱出し復讐のため戦っていたわ。
悪い奴らに容赦は要らない、特に邪神とか邪教団とか手加減をする理由がないわね
まあ、容赦しなさ過ぎてダークヒーロー扱いになったんだけどね、後悔は無いわ

戦闘では蹴り技を主体とした戦い方をすることが多いわ
色々な動物が入っているけど、メインはウサギだからね脚力はちょっとした自慢よ


アニカ・エドフェルト
どうして、愛してくれないか、ですか…。
きっと、一歩も二歩も、飛ばして、強引に、いってしまったから、でしょうね…。

と、あなたに言っても、仕方ない、ですね。
しっかり、過去に、戻ってもらいませんと。
ついでに、その前に、ちょっと、おしおきも、しちゃいましょう、ね。
悪戯っぽい、笑みを、浮かべながら、じわじわと、近づいて、いって…
相手を、捕まえて、肩に、担いじゃいます。
どれだけ、バタバタしても、逃がしません、よ?(〈グラップル〉〈怪力〉フル活用して暫く担ぐ)

強引に、来られることが、どれだけ嫌か、わかった、でしょうか?
それじゃ、過去に、お帰り、くださいっ
(後ろに倒れて頭から叩きつける)

(アドリブ歓迎)



 「どうして愛してくれないの?」という影朧の問いかけに答えるように、対峙したアニカ・エドフェルトは言った。

「きっと、一歩も二歩も、飛ばして、強引に、いってしまったから、でしょうね……」

 一瞬鋭さを増した少女の眼差しを向けられ、アニカは苦笑気味の表情で口をつぐんだ。

 ――と、あなたに言っても、仕方ない、ですね。

 すでに壊れている過去の幻影同然の少女に引導を渡すため、アニカはじりじりと距離を詰め始める。

 アニカを注視する少女は、殺気に似たアニカの戦意を感じ取っているようだった。

 ――過去に、戻ってもらう前に、ちょっと、おしおきも、しちゃいましょう、ね。

 攻撃に出る展開をすでに頭の中で描いていたアニカは、前触れもなく飛び出した。一気に距離を詰めようとしたアニカだが、少女はそれを見透かしていたかのように身をそらす構えを見せ、ふわりとワンピースの裾をなびかせる。

 体術を得意とするアニカは、少女を捕えようと手を伸ばしたが、相手もただではやらせない。少女は倒れ込むように大きく傾いた態勢から、フェイントをかけてすばやく飛び退いた。

 幾度となくアニカの手をかわし、払い除けてみせるほどの体さばきで、少女は簡単にはアニカを寄せつけない。逆に少女には似つかわしくない力でアニカの右腕をつかみ、

「あなたには私の愛は止められない――」

 そう言いかけたところで、少女はアニカの足払いを受けて態勢を崩す。その隙に乗じて少女から距離を取るアニカと入れ替わるようにして、少女の前に飛び出す影があった。

 草柳・華穂は蹴り技を放って少女をけん制する。

「これ以上彼女に付きまとうなら、容赦はしないわ」

 華穂の一言を聞いた少女は、離れた場所にある鉄棒の影から様子を窺うアヤノの姿を一瞥した。その間にも、華穂は連続で攻撃を放つ。すばやく立ち回る少女の長髪をかすめると共に、華穂の蹴りは鋭く少女の髪を打ち払う。

 わずかな差で華穂の攻撃を避け切る少女だが、その表情から笑顔は消えていた。華穂の動きに圧倒されつつあった少女は、反撃のために態勢を整えようとした。その一方で、華穂は少女の攻撃を誘うように飛び退いて距離を取る。臆せず突撃する少女だったが、同時に変化し始める華穂の姿は、少女を混乱させた。

 ――O・C・S起動。

 強化された能力の1つ、タコが持つ擬態能力を備えた華穂は、風景に溶け込むように消えていなくなる。透明人間の如く姿を消す華穂に対し、怯んだ少女はその場に踏み止まった。

 アニカは狙い澄ましたように少女の背後を捉え、瞬時に自身の両肩に少女を担ぎ上げた。
「そんなに、バタバタしても、逃がしません、よ?」

 少女がどれだけ暴れようと、怪力を発揮するアニカは動じない。

「過去に、お帰り、くださいっ」

 流れるような動きを見せたアニカは、プロレスのごとく少女に技を仕掛ける。少女を担いだままの態勢で、勢い良く後ろへと倒れ込み、少女の頭を地面に強打するという、キツいお仕置きを敢行した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

百鬼・葛葉
愛の力ならママにおまかせですよっ!(どや
まずはアンジェリカで子供達(幻影)をしょーかんですっ
さぁ、そこでママの愛をとくと見ててくださいねっ!
アリス(天使)がママの愛を試すというならば受けて立ちましょう!
一問一答ですっ!それとも愛してるげーむでもしますか?ぎゅーって抱きしめてあげますよっ!
多分子供達の声援のおかげもあって私のアリスへ対する愛もてんげんとっぱですっ!

でも悪いことをしたらめってきちんと叱ってあげることもまたママの愛ですっ
他の子を泣かせちゃったアリスはおしりぺんぺんの刑ですよっ!

愛を以て愛を制する!これが正しい愛の在り方ですっ!
子供達(幻影)も、悪いことしたらこーですからねっ!



 後頭部を派手に地面に打ち付けられた少女だったが、その反射的な動作からは衰えを感じられなかった。

 アニカの体を蹴り飛ばした反動で体をスライドさせ、アリスは瞬時に跳ね起きてみせた。しかし、直後にふらッとよろめいたアリスは、少なからずダメージを負っているようだ。

 歪んだ愛情を向ける壊れた少女に対抗しようと、

「愛を以って愛を制する――正しい愛の在り方を、ママが教えてあげましょう!」

 そう言って張り切る百鬼・葛葉は、自身のユーベルコードを発動させた。

 養護院で子どもたちのママとして日々奮闘している葛葉は、その子どもたちの幻影を目の前に召喚した。

「さぁ、そこでママの愛をとくと見ててくださいねっ!」

 葛葉の力の源、拠り所である子どもたちの甲高い声援が葛葉に向けられる。それによって力をみなぎらせる葛葉の覇気をどことなく感じ取り、少女は警戒しつつ身構えていた。

 少女は、おいでと言わんばかりに両手を広げて構える葛葉を前にして、

「たくさん私を愛してくれる?」

 少女の一言は、葛葉の意識を一気に侵食するほどの影響をもたらし、葛葉の精神をざわつかせた。少女に意識を引き寄せられる葛葉だったが、葛葉は自身の有り余る母性のままに、ただ少女を力一杯抱き締めた。

「ママがあなたのすべてを受け止めてあげますよっ! でも――」

 一見穏やかな表情を浮かべていた葛葉だったが、少女を脇に抱えるようにしてがっちりと体を固定させると、

「お友達を泣かせるような悪い子は、おしりぺんぺんの刑ですよっ!」

 ぺしーん、ぺしーんと少女の尻を勢い良く叩く音を響かせた。「きちんと叱ることも愛」という信条を貫く葛葉は、泣き喚く少女に対しても容赦はしない。

 少女を抱えながら、葛葉は養護院で接するのと同じように、子どもたちの幻影に向かって言った。

「子どもたちも、悪いことしたらこーですからねっ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​


 一瞬子どもたちに意識を向けた葛葉に対し、暴れる少女は体をひねって葛葉の腕の中から逃れた。

「アリスは悪い子――だから、愛してくれないの?」

 そうつぶやく少女、アリスの周囲には、陽炎のように揺らめく人物の像が次々と浮かんでは消えていく。それらはそれぞれの猟兵の思い入れのある存在で、心をえぐるような暴言を言い放つ。幻影とわかるものでも、猟兵らの勢いを削ぐには充分な威力を発揮する。

 狂気的なまでに愛し愛されることを望むアリスは、『愛されない』恐怖を猟兵らの精神に刻みつけようとした。
リク・ネヴァーランド(サポート)
「大丈夫、“僕たち”が来た!」
うさぎ人の住む不思議の国、ラパンドール王国の元王子様です。
魔法の本の中に王宮を封じ込めることにより、王国と国民を携帯している状態にあります。
本の中から国民や過去助けた愉快な仲間達を召喚したり、剣を用いたりして戦います。

利発そうな少年といった口調で話し(僕、~さん、だね、だよ、~かい?)、年上の人や偉い人には敬語を使います。戦闘中は凛々しく台詞を言い放つことも多いです。

ユーベルコードは設定したものを何でも使いますが、命よりも大切な魔法の本に危害が加えられる可能性がある場合は本を用いず、自分自身の力で何とかしようとします(他の猟兵と連携が取れそうなら取りに行きます)。


吾喜内・来世(サポート)
「情けは人の為ならず! 困ったときはお互い様だ!」
女性的な身体に男性的な言動、陰鬱な外見に陽気な性質を持った桜の精です。
善意と正義感に従い、世の不条理や他人の不幸を掃う為に行動します。
心根が素直な為、敵の言葉に迷ってしまうこともありますが、事件解決という目的は忘れずに遂行しようとします。

「祖なる桜が一柱。請いて願いて奉る」
ユーベルコードは状況に応じて使い分け、攻撃と防御はそれ任せです。
本人は援護や救助の役割を主に担当します。装備の薬からその場面で最適なものを選び、自分や味方、敵にすらも服用させます。

アドリブや他者との絡みは大歓迎です。
やりやすいように、自由に動かしてください。



 アリスと対峙した瞬間――リク・ネヴァーランドは、アリスの生み出した幻影に苛まれる。

 かつてリクが王子であった国――ラパンドール王国の住人たちの姿が目の前に浮かんでは消え、リクを責める言動を繰り返す。

 幻影を前にして、手の中の本を強く握り締めたリクは棒立ちになり、一瞬茫然自失の状態に見えた。しかし、アリスをまっすぐに見据えたリクは、手にした本を掲げると――。

「僕にできることは、過去の君を元の場所に帰すことだけだ」

 リクの一言と共に、リクの本はひとりでにパラパラとページをめくり出す。淡い輝きに包まれる本からは、モヤのようなものが染み出していく。次々と浮遊するモヤのかたまりは、やがて複数のフクロウの姿を現した。

「君はもう、誰にも愛されないことを恐れる必要はないよ……大丈夫、“僕たち”が終わらせる!」

 アリスはリクの言葉に一瞬目を見開いた。そのわずかな間にも、リクの従僕として動くフクロウたちはアリスに攻めかかる。鋭い鉤爪がアリスの皮膚をかすめるが、アリスは急所を狙う攻撃を次々とかわしていく。

 華麗にワンピースの裾を翻すアリスだったが、周囲の景色の急激な変化に更に目を見張る。アリスはいつの間にか、桜の林の中にいた。

「祖なる桜が一柱。請いて願いて奉る。援け給へ――」

 校庭にいくつもの桜の木々を生やしていたのは、桜の精の吾喜内・来世。来世がその場に生み出した桜の木は、ただの木ではなかった。言わば棒人間――樹木の従者は桜の花を振り乱し、とことこわさわさと横歩きでアリスを取り囲む。

 攻撃に集中しようとするアリスだが、木々に視界を遮られ、来世やリクの姿を見失う。リクの命令に忠実に従うフクロウたちは、木々の間を縫ってアリスへと突撃する。思いもよらない場所から飛び出すフクロウに、アリスは次第に翻弄される。

 太く大きく伸びた桜の枝葉の間を、来世は野生児のように飛んで渡り歩き、

「さあ――よい子はもう帰る時間だ!」

 桜の花びらの嵐に紛れるその姿は捉え難い。来世は瞬時に腕のように伸びた1本の枝をしならせてぶら下がる。すると、枝は意思を持って来世をアリスに向けて振り飛ばした。その勢いのままに、来世はアリスに向けて強烈な飛び蹴りを命中させた。直撃を受けて突き飛ばされたアリスは、木の幹に激突して動きを止めた。

 横たわったままのアリスの下へ近寄った来世は、桜の精として――癒しの力をアリスに注ぐ。アリスは眠るように穏やかな表情を見せ、一層吹き荒れる桜の花びらと共に姿を消した。

 ――転生した先では、本当の愛情が何かを知れるといいな。

 リクと共に影朧を葬った来世は、心中でつぶやく。

 校庭の隅で震えていたアヤノの手を取り、猟兵たちはアヤノの親の下へ無事に彼女を送り届けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年01月05日


挿絵イラスト