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声のなき悲鳴

#カクリヨファンタズム

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#カクリヨファンタズム


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 ここはカクリヨファンタズムのとある地域。
 その地域では、毎年この時期に収穫祭が行われていた。
 今年もまた収穫祭を行うために会場が設けられ、出店が出て妖怪たちが訪れる。
 その収穫祭の一角に、肝試しができる林がある。
 この肝試しの林は、毎年これ目当てに訪れる妖怪もいるほどの人気ぶり。
 妖怪なのだから普段は脅かす側。たまには驚かされてみたいものらしい。
 祭り会場に隣接した小さな林の中を提灯を片手に2人1組で歩き、中央の広場に置いてある赤い印のついた石を持ち帰ってくるというルール。
 脅かし役はいるものの、林道が整備されていて迷うことはほぼないので、子供たちだけでの参加も許可されている。
 日が暮れ始め、脅かし役が立ち位置の確認をし始めた頃にやってきたのは3人の妖怪。人間で言えば十くらいの歳だろうか。
「1人ずつでいいよな?」
「あったりまえだろ!」
「ビビって逃げんなよ?」
 それを微笑ましく眺めていた係りの妖怪は提灯が入った箱を片手に道の説明をしようとして口を開き……そのまま口だけが虚しく動く。
「?」
 どうしたのかと問いかけようとした子供たちも同様。口がパクパクと動くだけ。
 気付けば先ほどまで聞こえてきていたざわめきも、屋台の呼び声も何も聞こえない。
 何事かと子供たちと顔を見合わせた妖怪の目に映ったのは、林の中で光る複数の目。
 それは決して友好的な視線ではなく、こちらの命を狙うもの。
 声もなく怯える子供たちを守るように前に出ると、ざりりと足の裏が砂をかき、落とした箱がガタタと音を立てた。
 その音を合図に、黒い影が妖怪たちに襲いかかる。
「──、──!」
 この日、この地域から、妖怪の声が奪われたのだった。


「急ぎでお願いしたい依頼があるんだが」
 そう声をかけてきたのは芙蓉・藍(妖狐の死霊術士・f25709)。
 いつもは無表情に近いその顔には焦りが見える。
「カクリヨファンタズムのある地域で、声が奪われることが予見されたんだ」
 声?と問い返せば、藍は小さく頷く。
 声だけが奪われているので音は出せる。音楽は奏でられるが歌を歌おうとすると声が出ない。身振り手振り、筆談では意思疎通が取れるらしいが、今回はそういうことをやっている場合ではないそうだ。
「その地域で今夜、収穫祭が行われるらしくてね。そこの会場の肝試しコースにオブリビオンが現れるんだ」
 予見したのは肝試しに一番乗りした妖怪の子供たちと係りの妖怪が襲われる場面。妖怪たちも応戦はするものの数が多く、さらに声が出ないことで応援も呼べず、悲惨な結果となってしまうらしい。
「襲ってくるオブリビオンは奇襲を得意としているみたいだね」
 肝試しコースの林の中にどれくらいの数がいるか分からないが、奇襲に警戒して損はないだろう。さらにそのオブリビオンは連携を取ってくるらしい。
「体力はそこまでないみたいだけど……こちらへの攻撃が成功すると、その分戦闘力が上がってしまうみたいだから、気をつけてくれ」
 体力がないとは言え、今の説明を聞く限り、油断のできない相手となるだろう。
「それが終わったら、肝試しコースの一番奥……広場に向かって欲しい」
 そこにはこの騒ぎを起こしたオブリビオンが待っているのだそう。
「そのオブリビオンは『無銘なる憎悪の残骸』。彼は刀が武器で、自己強化や武器の強化、それから軍勢への変化など、攻撃に特化したユーベルコードを使用してくるよ」
 こちらも体力は低いものの、攻撃力が高いので注意が必要だろう。
「そして重要なことなんだけれど……猟兵の声も奪われてしまうみたいなんだ」
 つまるところ、仲間たちとの声かけができなくなるのだという。
 幸い音は鳴るようなので、笛や鈴など別のものを合図として使うか、仲間を信頼して動き回るか、事前にしっかりと話し合いをして臨むなどの対策が必要となってくるかもしれない。
「ああそうそう、無事に解決できたら、肝試しに参加してきてもいいんじゃないかな? 普通にコースを楽しむよし、脅かし役として妖怪や仲間たちを驚かせるのもよし」
 突然のことに混乱している妖怪たちを日常の感覚に戻す手伝いだとでも思えばいいだろう。
「じゃあ、よろしくお願いするよ」
 そう告げて、藍は猟兵たちを戦場に送り出したのだった。


元橋りん
 どうも、元橋りんです!
 秋です。収穫祭です。
 梨食べたい。
 では以下詳細。

【シナリオ参加の際の注意点】
 このシナリオは、ボスを倒すまで声が出せません。
 具体的に言うと、第一章、第二章で声が出せません。
 心の声など思考はOKですが、仲間との声の掛け合いができませんのでご了承ください。

●第一章
 集団戦です。
 時刻は夕暮れ。
 敵のユーベルコードはOPや詳細でご確認ください。
 猟兵の皆さんは、林の入り口に飛ばされることになります。
 近くには肝試しに参加しようとしていた子ども3人、それから係りの妖怪がいます。
 彼らが襲われる直前に向かうことになります。
 彼らの生死は問いません。

●第二章
 ボス戦です。
 時刻は夕暮れでも夜に近い逢魔時。
 必要な方は明かりをご持参ください。
 敵のユーベルコードはOPや詳細で確認をお願いします。
 林の中央にある広場での戦闘になります。
 遮蔽物なし、広さも十分にある場所です。
 広場の端に台が設置してあり、そこに赤い印のついた石が置かれています。

●第三章
 肝試しです。
 猟兵たちを本気で驚かせてくれます。
「あの妖怪に驚かされたい!」というリクエストがありましたら承ります。
 また、驚かす側になりたい、というリクエストも承ります。
「カップルを重点的に驚かせる」、「日頃のあれそれのお返しをして差し上げたい」ということでしたら、お相手を【お名前、ID】などでご指定の上、ご参加ください。
 お誘いがあった場合のみ、芙蓉・藍(妖狐の死霊術士・f25709)も参加させていただきます。

 以上です。
 それでは皆様のご参加をお待ちいたしております!
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第1章 集団戦 『幽み玄影』

POW   :    黒曜ノ刃ニ忘ルル
【集団で暗がりからの奇襲】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【名前とそれにまつわる記憶を奪い、その経験】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD   :    願イハ満チ足ラズ
戦闘中に食べた【名前や記憶】の量と質に応じて【増殖し、満たされぬ執着を強め】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    名モナキ獣ハ斯ク餓エル
【群れの一体が意識】を向けた対象に、【膨大な経験と緻密な連携による連撃】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

椙野・霧亜
「(声が奪われるとは厄介極まりないな。まあ、音を発する物はある事はあるが。)」
 
 ・暗所からの奇襲に備えサイバーアイを装着後【暗視】を使い、その上で警戒態勢を維持。
 
 ・敵の群れの影を先に発見出来たら、【2回攻撃】+手数重視のヴァリアブル・ウェポンを放ち轟音を発生させる&注意を惹きつける。
「(これでこちらに注意を惹ければ被害は抑えられ、かつ、位置も判明するだろう)」

・【暗視】は継続して使用し【見切り】で回避しつつ【情報収集】を試みる。攻撃はアサルト・ウェポンを主軸に脚部を狙う。



(「声が奪われるとは厄介極まりないな。まぁ、音を発する物はある事はあるが」)
 サイバーアイを装着した椙野・霧亜(黒鋼の傭兵・f05486)は林の中へと目を向ける。
 クリアになった視界のおかげで、薄暗い林の中の目標はすぐに発見できた。
 発見したらやることは一つだ。
 霧亜はすぐさまユーベルコードを発動させ、林の中に向かって撃ち放つ。今回優先するのは手数だ。
(「これでこちらに注意を惹ければ被害は抑えられ、かつ、位置も判明するだろう」)
 タタタタ、と続け様に林の中に弾が撃ち込まれ、あちこちで慌てふためく動きが見える。
 この攻撃で霧亜の予定通りオブリビオンたちの注意を引き、位置も大体のところを把握できた。
 奇襲を得意とするオブリビオンだが、それは位置が不明だからこそ真価を発揮するもの。数の驚異はあるものの、それに対しても対策を練っている。
 飛び出てきたオブリビオンの攻撃を避け、霧亜はアサルト・ウェポンで応戦。こちらを狙った攻撃をギリギリで躱し、すれ違い様に発砲する。
 狙うのは彼らの脚部。素早さを奪う事は即ち、自身と仲間の生存率を上げることになる。
 連携攻撃を見切り、無理をせず、反撃をできる相手だけを狙って脚部を撃つ。攻撃の隙をついて、もがいている音を頼りにトドメの一発を撃ち込んでやるが、聞いていた通り数が多く、あまり減った気はしない。
 しかし霧亜に絶望はない。
(「傭兵として、できることをやるだけだ」)
 ふっと息を吐き、霧亜は再びユーベルコードを発動させたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御影・しおん
独りは慣れているけど、誰かと連携するなら意図だけは説明しておこうかしら。

闇に紛れて妖怪たちに接近後、UCを使用し周囲へ封剣を配置、結界術でわたし達の周りを進入禁止の「閉鎖領域」で一方向除いて囲い、敵が来る方向を限定するわ
(……手早く事情を説明できないし、妖怪たちが変に逃げださないようにする意味もあるけどね)

後は「目の前にいつ敵が来るか」でしかないし、
わざと空けた守りの“穴”で待ち構えて神罰弾幕で迎撃、さらにわたしの影から射出する『影刃縛』で捕縛し盾に使って撃破よ

一応状況が落ち着くまで妖怪達はこの囲いの中に留めておくわ。
最悪、化術と目潰しで下手に動き回れないように………冗談よ?(くすくす)



 キン、と高い音がして、御影・しおん(Unknown・f27977)の周りに数多の剣が現れる。
 ユーベルコード『隔絶する封剣領域』の白き闇の剣は林をぐるりと囲み、動けないままでいる妖怪たちもまとめて結界の中に。
 ただし、彼らがいる場所は蛸壷のような形にし、一か所だけ通り道を作っている。
 その出入り口付近に、しおんが妖怪たちを守るように立ち迎撃の体制を整えていた。
 彼らに危害を加えようとするならばここを通らなければならず、得意とする奇襲は使えない。
(「……手早く事情を説明できなし、妖怪たちが変に逃げ出さないようにする意味もあるけどね」)
 逃した方が早いのかもしれないが、言葉で説明できない以上、危険な方向に逃げ出すことも考えられる。そのための措置だった。
 暴れられたら目くらましや目潰しなども必要かと思ったが、幸い彼らはじっとその場所に留まってくれているようで、しおんとしても目の前の敵に集中できる。
 狙い通り、この抜け穴に吸い込まれるようにオブリビオンたちが駆けてくる。
 向かってくる彼らを神罰の弾幕で出迎え、こちらの脇をすり抜けようとしているオブリビオンには、糸状の『何か』が絡みつく。
 夕暮れ時で長く伸びたしおんの影から射出されたソレは『影刃縛』。細く丈夫なそれはオブリビオンの体に巻きつき、締め付けながら切り刻む。
 次々とやってくるオブリビオンたちの攻撃を、しおんの金色の瞳は一つも見逃すことなく防ぎ、すべて撃退していったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

グレゴール・リッツ(サポート)
 西洋妖怪の地獄の獄卒×サバイバルガンナー、外見年齢が31歳の男です。
 普段の口調は「口数少なく(俺、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)」、敵には「殺意を込めて(俺、貴様、言い捨て)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

 首から上が存在しないガンマンです。戦うことに執着していて、戦闘時は銃と斧を距離によって使い分け戦います。無口で感情を表に出しませんが、悪に対する強い憎しみを原動力に行動しています。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 声が出ないという特殊な戦場でもグレゴール・リッツ(首無し銃手・f27979)は特に困りはしなかった。
 元々口数が少ないが、グレゴールには声を発するための口が存在しない。首から上がない仕様の西洋妖怪だ。一応、声は出せる。無口なだけで。
 そんなグレゴールは今、生前から愛用しているMk3リボルバーを手に、オブリビオンと対峙していた。
 連携を取ってくる彼らの動きは素早く、視覚情報がないグレゴールとしてはなかなかに苦戦する相手だ。
 オブリビオンからの奇襲をグレゴールは感覚だけでかわしていくが、連携攻撃に対しては無傷というわけにはいかなかった。
 じわりとした痛みが足に走る。
 しかし、これこそが、戦い。
 やるかやられるか。
 不利な状況での戦闘こそ、最高の舞台である。
 もしグレゴールの首が健在であったのならば、悦びの表情を浮かべていたかもしれない。
 グレゴールは先程の攻撃や感じる気配から標的がいると思わしき場所へ弾丸を打ち放つ。
 Mk3リボルバーから撃ち出された弾丸は正確に相手を捉え、動きを止めていく。
 弾切れを狙ってきただろう攻撃も想定済み。
 血濡れの斧で頭を叩いて地に落とし、攻撃が収まった隙にユーベルコードを解き放つ。
 無詠唱で行ったので威力はさほどでもないだろうが、怪我を負ったオブリビオンにはこれで十分だった。
 グレゴールはさらなる敵を求め、静かになった林道を走り始めたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

クララマリー・アイゼンバウム(サポート)
私、クララマリー・アイゼンバウムと申します。
普段は世界を渡る旅人をしています。
特技は料理と、誰とでも仲良く話せること…でしょうか。
旅人なので体力には自信がありますが、荒事は苦手です。
戦闘は召喚したバロックレギオンにお任せですね。

戦闘開始と共に『トイソルジャー行進曲』を発動させましょう。
ライフル銃を構えたおもちゃの兵隊を大量召喚、統率の取れた団体行動で集団戦術を展開します。
共闘する猟兵の方がいるならば援護射撃中心で立ち回り、ここぞという時は一斉発射で決めましょう。

念のためですが、公序良俗に反する行動、他人に迷惑をかけたり倫理的に問題のある行いはしません。
あとはおまかせ。よろしくお願いしますね。



 夕暮れ時の林の中。
 不気味な気配にクララマリー・アイゼンバウム(巡るメルヒェンの旅人・f19627)は即座にユーベルコードを発動させていた。
 召喚されたクララマリーのバロックレギオン……大量のおもちゃの兵隊は、彼女を守ように隊列を組む。
(「荒事は苦手なのですが……」)
 ジリジリとこちらに狙いを定めているのは黒い、犬のような姿をしたオブリビオン。
 誰とでも仲良く話せるクララマリーではあるが、『声』がなくなった世界でそれは無意味。しかし声が出たとしても、あの黒い犬に話は通じないだろう。
 仕掛ける機会を窺っている彼らとの睨み合い。獲物として見られていることに、心がざわつく。
 先に仕掛けたのはクララマリーの兵隊たちだった。
 指示がなくとも彼女の恐怖心をおもちゃの兵隊たちは敏感に感じ取り、林に向かって一斉にライフルを撃ち放つ。
 群れで行動してている彼らは、突然のことに混乱しているようだった。
 ガサガサと草が揺れる音が響き、何体かのオブリビオンが林道へと躍り出る。
 バラバラと飛び出してくるオブリビオンは、おもちゃの兵隊たちにとっては狙いやすい的だった。
 クララマリーを守るように展開していた隊列は徐々に前へ。
 飛び出てくるオブリビオンを撃ち、出てくる数が少なくなれば兵隊の何体かは林の中へ。
 発砲音が消えたのは、敵の気配が完全になくなってから。
 辺りを見回し脅威が消えたことを確認したクララマリーは、心の中で兵隊たちを労い、ほっと息を吐き出したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ペパシア・ドロキペ(サポート)
「わたくし、今日も張り切ってまいりますわ!」

かかしのお嬢様。おしゃまでやんちゃ。子供っぽい。大好きなのはカラスさん。
カラスさんが出てくる依頼はどこかしら?


使うユーベルコードはご自由に。解釈もお任せします。

プレイング方針としてはサポートに徹したり、徹しない時はがむしゃらに特攻したりします。
かかしなので防衛戦とかも得意です。畑防衛はもっと得意です。

公序良俗に反する行動はNG。えっちなのはいけません!

連携アドリブ歓迎します。



 夕暮れ時の林道。
 カラスが出るにはとても良いシチュエーションであるのだが、ペパシア・ドロキペ(お嬢様はカラスと戯れたい・f00817)を出迎えてくれたのは黒い犬の姿をしたオブリビオン。
 色だけならば、カラスと同じなのだけれども。
(「残念ですわ……」)
 失われた声の代わりにはぁとため息をつき、ペパシアは目の前の敵に集中する。
 数が多く、連携を取ってくる敵は厄介な相手だ。それを1人で迎え撃つ気などなかった。
 すぐさまからくり人形である【かかし】をその場に出して斧を持たせ、自身も愛用している【いい感じの枝】を手に持った。
 かかしがトントンと歩み出れば、オブリビオンが一斉にそちらへと飛びかかる。だがかかしは慌てず騒がず、斧を片手にくるりんと一回転。
 遠心力を利用したそれはオブリビオンたちの身体をザクザクと切っていき、倒れたところをペパシアが枝でペシリと叩く。
 次々に襲ってくる彼らは連携を取ってくるが、こちらも負けてはいない。
 ペパシアはかかしを操りながら、前後左右とそれぞれの位置を入れ替わり、狙いを定めづらくしながら立ち回る。その姿はまるでダンスを踊っているようだった。
 くるくると回り攻撃を避け、敵の隙を見つけてはそれぞれの獲物を振り下ろし、とどめをさしていく。
 少しずつ確実に数を減らし、そして最後の1体
(「さぁ、フィニッシュと参りましょう」)
 ふっと息を吐き出して、ペパシアはかかしと共にオブリビオンに枝を振り下ろしたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『無銘なる憎悪の残骸』

POW   :    只、不条理への憎悪を抱き
【憎悪】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD   :    其の太刀、神を討つ逆神の刃也
装備中のアイテム「【妖刀村正『逆神』】」の効果・威力・射程を3倍に増幅する。
WIZ   :    死して尚、死を畏れ足掻き
【呪いで死した者たちの軍勢】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は無銘・サカガミです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 夕暮れの赤い陽が、広場に長い影を作る。
 逢魔が時と言われる時間帯に、ソレはひとり、佇んでいた。
 あらゆる憎悪を凝縮し、顕現したソレに秋の虫もただ息を潜めるしかない。
 手に持った刀を引きずるようにして、『無銘なる憎悪の残骸』は猟兵たちに顔を向けたのだった。
椙野・霧亜
「(獣の群れの次は憎悪の塊とはな。まあ、職業柄恨まれる事には慣れているがな)」

・逢魔が時故に視界確保は急務。サイバーアイを装着し【暗視】を起動し、敵の刀を振り抜く速度 範囲を【情報収集】しつつ【見切り】で回避する。

・次に敵の機動力を少しでも殺ぐためにアサルト・ウェポン(アサルトライフル)【2回攻撃】で脚部を集中的に狙う。少しでも動きが鈍ればゴッドスピードライドを起動させ、超高速で背後を取り突撃して鉄塊剣を抜刀し、頭部を狙って速度を乗せた一撃を叩き込む。


・怯んでいなければ脚部への攻撃を続行するが、敵の視界を奪う事を狙って眼を狙い撃つ。
「(視界を奪えれば、少しは避けやすくなるか?)」



(「獣の群れの次は憎悪の塊とはな。まあ、職業柄恨まれる事には慣れているがな」)
 霧亜は傭兵だ。
 依頼内容は多岐に渡るが、たとえ恨まれるような依頼であったとしても、見合った報酬があれば引き受ける。
 そもそも傭兵を必要とする依頼は生臭いものが多く、誰にも恨まれない依頼など思い当たらない。
 そんなことを思い返しながら、霧亜はサイバーアイを起動させていた。
 クリアになった視界で振り抜かれる刀の速度、軌道を見切って回避し、二の太刀も同じように避けきる。
 霧亜が仕掛けたのは、敵が次の攻撃に入るまでの一瞬。愛用のアサルトライフルを2発連続で撃ち放つ。
 脚部を狙った弾は右足に着弾し、動きが鈍ったその隙に霧亜は宇宙バイクを展開。ユーベルコードを発動させ、一瞬のうちにオブリビオンの背後へと回り込んでいた。
 一気にスピードを上げ、鉄塊剣・撲で狙うのは頭部。
 ゴ、と重たい音が広場に響き、それと同時に霧亜の腹部も焼けるように熱くなる。
 鉄塊剣を振り抜き様に見えたのは、頭を強打されながらも刀を伸ばして攻撃を仕掛けてくるオブリビオンの姿。
(「防御よりも攻撃、か」)
 サイボーグである霧亜だから軽傷で済んでいるが、これが通常の人間であれば胴体を切り離されていてもおかしくない。どちらにしろ、あの攻撃を受け続けては身が保たないし、同じ手に引っかかる気もさらさらない。
(「視界を奪えれば、少しは避けやすくなるか?」)
 そう考え、霧亜はアサルトライフルの銃口をオブリビオンに向けたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミーヤ・ロロルド(サポート)
『ご飯をくれる人には、悪い人はいないのにゃ!』
楽しいお祭りやイベント、面白そうな所に野生の勘発動させてくるのにゃ!
UCは、ショータイムの方が使うのが多いのにゃ。でもおやつのUCも使ってみたいのにゃ。
戦いの時は得意のSPDで、ジャンプや早業で、相手を翻弄させる戦い方が好きなのにゃよ。

口調だけど、基本は文末に「にゃ」が多いのにゃ。たまににゃよとか、にゃんねとかを使うのにゃ。

食べるの大好きにゃ! 食べるシナリオなら、大食い使って、沢山食べたいのにゃ♪ でも、極端に辛すぎたり、見るからに虫とかゲテモノは……泣いちゃうのにゃ。
皆と楽しく参加できると嬉しいのにゃ☆

※アドリブ、絡み大歓迎♪ エッチはNGで。



 ミーヤ・ロロルド(にゃんにゃん元気っ娘・f13185)の手に汗が滲む。
 14歳といえ、ミーヤは猟兵。いろいろな依頼をこなし、様々なオブリビオンを見てきた。
 だがここまで邪悪な憎悪で出来た存在は初めてだ。
 ゆらゆらと揺れるように歩いてくるオブリビオンの手には刀。
 腕と一体化したような紫の炎が溢れているそれは、斬られたら痛いどころでは済まないだろう。
 せめて明るく努めようとしても、声が出ないという特殊な環境はそれを許してくれない。
 ミーヤはふー、と細く長い息を吐き出すと、固まりかけていた指を動かし、召喚したガジェットを発砲した。
(「先手必勝にゃ!」)
 ガジェットを発砲すると同時に走り出したミーヤの判断は正しかったらしい。
 先ほどまで居た場所にはオブリビオンの刀の鋒が伸びていた。
 3メートルほど伸びたそれが避けられたと悟るや否や、オブリビオンはミーアを追うように刀を横に動かした。
「っ!」
 刀が届く直前に地面を蹴って飛びあがり、ガジェットを打ち放つ。
 当たったかをじっくり確認する暇もなく、ミーアは再び飛び上がる。
 普通ならば怯んだりするものだが、オブリビオンはダメージを気にしていないようだった。振るわれた刀の速度は落ちていない。
(「気を抜けないにゃ……!」)
 ジャンプだけでなく、しゃがんだりバックステップを使いながら刀を避け、隙をついて攻撃を仕掛けていく。
 息をつく暇もない攻撃の中で、ミーアは再びガジェットを打ち放ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

御影・しおん
どうして「声」だったのかは永遠に分かりそうにないわね……
まあ、結局は討つんだけどね

闇に紛れるのはこっちも得意だし、暗視もあるけど油断はしないわ
ああいうのは視覚以外で“視て”くるから

まずは回避重視で動いて、相手の間合い、反応速度、それらを《見切る》
当たりそうな攻撃はこっそり《化術・オーラ防御・結界術》でしれっと誤魔化し、弾き、防ぐわ

相手がUCを使ってくるならこっちもUC、呼び出した封剣を“高速で”飛翔させて囮にしつつ、いくつかを起点に結界構築、敵をいくつかの小集団へ分断、結界面から「影刃縛」を放ち捕縛しては引き摺ったり投げて敵に反応させ、《敵を盾にする》形での同士討ちを狙うわ

※アドリブ他歓迎です



 どうして消えたのが『声』だったのだろう。
 しおんは少しだけ考えてみたが、わかりそうになかった。
 そしてその理由も、討つと決めた今、聞けはしないだろう。
 紅色の光と深い闇が同居する時間帯。
 暗視を用いていても、しおんは決して油断をしていなかった。
 闇に紛れつつ、オブリビオンからは視線を外さない。
(「……視られてるわね……」)
 気配を消し、音を立てないように移動をしていても、オブリビオンは正確にこちらに狙いを定めてくる。
 振るわれた刀を回避し、かすめそうになったニの太刀はオーラ防御を使って弾いていく。
 それでも黒い服がパックリと斬れているのだからその威力は脅威だ。
 幾度か攻防を繰り返し、反応速度と間合いをしっかりと頭に叩き込む。
 しおんが仕掛けたのは、相手のARUユーベルコードの発動を確認してから。
 ブワ、と全身が膨れ上がったかと思うと、オブリビオンの体は無数の軍勢に変化する。
 これが狙っていた瞬間だった。
 しおんの周りに闇の封剣が浮かんだかと思うと、それは高速で飛び回る。
 理性を失ったオブリビオンは速く動くものを標的とする。そのことを逆手に取りそちらに意識を向けさせ、同時にいくつかの封剣を発動。その軍勢を複数に分けていく。
 あとは影刃縛を使って適当な1体を引き摺り出し、結界の外にいる敵へと力任せにぶん投げる。ぶん投げられたそれは、軍勢たちにとっては攻撃対象……つまり同士討ち。
 しおんが立てた作戦は、予想以上に上手く型に嵌ってくれた。
(「数が多いから手早くいくわよ」)
 ふっと息を吐き、しおんは影刃縛を巧みに操ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

備前・編笠丸鬼矗
刀を持つ以上、憎悪の貴殿は武士であったのだろう! 誉れがあったのであろう!! ならば同じ武士として出来ることは一つ! 苦しまず介錯する事ぞ!!

【行動】
我こそはエンパイア最後の鎌倉武士!! 備前国の地頭、備前編笠丸鬼矗!!貴殿と一騎討ちを申し込む! 誉れある武士ならば、名を名乗られいっ!!

示現の構えをもって一撃で介錯せん! 大上段で妖刀を天高くかかげ、【力溜め】をし、敵が動くと同時に一気に【怪力】で振り下ろす。
相手のユーベルコードごと斬り殺す勢いでゆく

敵との距離が離れてる場合、自身の妖刀、備前地国の刀身を振り下ろす瞬間だけ一気に伸ばす。

この一撃に我が全てを乗せよう。

ゆくぞっ!!

介ッ!! 錯ッ!!



 刀を持つ以上、目の前のオブリビオンは武士であったのだろうと備前・編笠丸鬼矗(鎌倉武士・f29057)は推測する。
 かつては素晴らしい業物だっただろう刀は妖刀となり憎悪だけをその身に纏った姿は、禍々しい気がまとわりついている。
(「名を、聞いてやりたいものだが……」)
 この世界は『声』が失われた世界。
 あのオブリビオンは名乗りさえも出来ないのだ。
(「ならば、同じ武士として出来ることは一つ!」)
 苦しませずに、介錯する。
 猟兵たちの攻撃を受けてきたオブリビオンは、随分と傷だらけであったが、刀から手を離しはしていない。
 刀は武士の魂。それは鬼矗にもよくよく理解できる。
 愛刀の備前地国を手に、鬼矗はオブリビオンの前まで歩み出る。
 地国の刀を大上段で天高く掲げると、目の前の敵もそれに応えるように妖刀を上段に構えた。
 しんと静まり返った広場で、沈んでいく夕焼けが2人の武士を照らす。
 さわ、と風が2人の間を通りぬけた瞬間、先に仕掛けたのはオブリビオン。
 爆発した憎悪の感情がオブリビオンの体と攻撃力を膨らませる。
 鬼矗よりも一回り大きくなったオブリビオンから振り下ろされる刃は早く鋭い。
 それでも彼は怯みはしなかった。
 迷わずにユーベルコードを発動させ、相手の懐に入り込む。
 狙うのは、首。
 鬼矗が振るった刀は、相手の刀身を切り落とし、そしてその先にある首も。
 ぼとりと、広場に首が落ち、次いで体も倒れ伏す。
「また相見える事あらば……名を、聞きたいものよ」
 声が戻った広場で、鬼矗はポツリと呟いたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『楽し恐ろし肝試し』

POW   :    悲鳴をあげたりして、怖がってる振りをする/あるいはマジで怖がる

SPD   :    腰を抜かしたりして、怖がってる振りをする/あるいはガチで怖がる

WIZ   :    ガタガタ震えたりして、怖がってる振りをする/あるいは本気で怖がる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

御影・しおん
結局、背景は判らなかったわね
まあそういう何を考えているのかわからない相手なんて
今に始まった事じゃないし

ところで、脅かす側に回ってもいい……のよね?
ふふ、あまりこういうの慣れてはいないんだけど、
それでもいいのなら、やらせてもらおうかしら?

黒鏡で光を吸い暗闇を演出し、
《闇に紛れ》て、《化術》も使って……、
そして
【鏡像/狂像/ドッペルゲンガー】を使用するわ
本来は敵に化けるものだけど、まあ化かす化かされるの真剣勝負、という事で

巨大化、幽体化、軍団化とお好みのコースがあるわよ?
妙な暗闇を抜けたら同じ顔がいて、それが突然巨大化したり霊体になったり増えたりする、とか、どうかしら?

※アドリブ他歓迎です



 平穏を取り戻した林の中で、しおんは1人、身を潜めていた。
 彼女が待っているのは肝試しに参加する妖怪たち。今回しおんはお化け側として参加している。
 驚かす方法は、本気で考えてきた。
 まず黒鏡で周辺の光を吸い込みより暗くし、自分自身の姿を隠す。
 そしてユーベルコードを使い、やってきた相手の姿になってお出迎え。
 暗闇の中から突然現れた自分そっくりの存在に妖怪の子供たちは混乱し、泣きながら逃げていく子、攻撃を仕掛けてくる子、その場で腰を抜かす子と反応は様々だった。
 どの子もいい反応を返してくれたなと思っていると、次の獲物の気配。
(「この子はどうかしら?」)
 先程の子供には軍団化をお見舞いしたので、次の子供には巨大化をプレゼント。
「ね、遊ぼう……?」
 一歩一歩近づいてくる自分と同じ顔が、少しずつ大きくなっていくのはとても怖いものだったろう。
「ひ、う……うわっぁああああ!!??」
 悲鳴を上げながら走って逃げていく背中を見送り、クスリと笑う。
「いい悲鳴ね」
 先ほどまで声が出せなかったのが嘘のようだ。
「でも結局、背景はわからなかったわね」
 何故、声を奪ったのだろうか。憎悪ならば声を出したくなりそうなのに。
「ま、わからないのは今に始まったことじゃないか」
 何を考えているかわからない相手は大勢見てきた。今回もそのうちの一つということだろう。
 考えにそう区切りをつけ、しおんは再び闇に隠れる。
 妖怪の「誰かいますか」という怯えた声に、しおんは嬉々として「いますよ」と答えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

虎熊・月霞(サポート)
「まー焦らずのんびり行こー。とりあえず昼寝しよぉ」

 面倒臭いけど、僕とーじょーってねぇ。いつもどーり野太刀でバッサリと斬り捨てちゃうよぉ?
 伊吹流から派生した雷鳴を組み込んだ伊吹"雷切"流、僕の場合は『紫電』を利用した剣術を使ってー雷の速度で近付いてー敵さんを真っ二つにするよぉ。まぁ面倒臭くなったら首刎ねちゃえばいっかぁ、そうすれば大体の生き物って死んじゃうよねぇ?
 首の無い敵さん?……うん、まぁそこは高度な柔軟かつ臨機応変に対応していこー。
 あ、あとお願いされたら他の猟兵さん達と共闘もするしぃ、お手伝いもするよぉ。ご飯一回奢ってくれるならね!

アレンジ・共闘可



 遠くから聞こえる祭囃子を聴きながら、虎熊・月霞(電紫幻霧・f00285)はふわぁ、と一つあくびをした。
 今日最後の手伝いは、妖怪たちを驚かせるお化け役。
 昼寝もたっぷりしている月霞だが、それはそれとして夜は寝る時間だと思う。
「ん……次の子が来たかな?」
 のそりと草の上から起き上がり、やって来た子供たちに向かい「わー」と声をかける。驚かすつもりのそれではあるが、間延びしていることもあり、あまり驚いてはいないようだった。
「えっ、えぇ……」
「順路はあっちだよぉ」
「あ、ありがとうございます……?」
 指差す方向に素直に歩いていく子どもの妖怪は首を傾げているが、その先は本格的に怖い脅かし役がたくさんいることだろう。
「んー……少しだけ……」
 そう言ってころりと横になり、目を閉じる。
 秋が深まったこの時期。地面も風もそれなりに冷たいのだが、月霞にはあまり関係がないようだった。
 祭囃子と子どもの悲鳴を耳にしながら一眠り。
 次の子が来るまでの間と思っていた月霞だが、肝試しが終わり脅かし役の妖怪たちが見回りにくるまで眠りこけていたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年11月22日


挿絵イラスト