10
鋼騎が纏うは恩讐の黒炎

#クロムキャバリア

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#クロムキャバリア


0





『第一中隊長より総隊長へ。まもなく王国との国境線です』

 鋼鉄の殻にも似たキャバリアのコックピットに、友軍機からの通信が入る。
 それを聞いた軍服を纏う壮年の男は、深みのある声で厳かに通信を返した。

『総隊長より第一中隊長へ。戦闘態勢を維持、このまま国境を超える』
『……よろしいのですね? バレット少将』
『既に決めたことだ。王国との和平など認められん』

 カール・バレット。またの名を"黒炎の"バレットと称されたその男の瞳に迷いはない。
 かつては彼も、終わりのない戦乱の時代を憂い、次の世代のために平和を訴えていた時期もあった。だが半年程前、新たなキャバリアに乗って以来、彼の中で何かが変わった。

 このまま戦争が終われば、死んでいった兵士達の命に何の意味があったのか?
 愛する家族を、友を、我が子を奪った王国に、誰が報いを与えるというのだ?
 報復を、復讐を、勝利を。怒りに握った拳を振り下ろさぬままいられるものか!

 戦争に絶対的な加害者も被害者もない。王国が我が国から奪ったのと同じものを、我が国も王国から奪い続けてきた。そんな理屈は彼とて理解していた――したつもりだった。
 だが男の中で燻り続けてきた復讐の火種は、戦騎に宿る破滅の意思により燃え上がる。
 ここに居るのは愛国心ある誇り高き軍人ではなく、ただひとりの復讐の鬼であった。

『全機に告ぐ。諸君らの怒りの炎で、憎き王国を焼き尽くせ』

 ひとりの男から燃え上がった恩讐は、今や部隊全体を漆黒の意志に染め上げていた。
 戦乱の世界クロムキャバリア。終わりなき戦史に、また新たな1ページが刻まれる。


「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「クロムキャバリアのとある小国に、オブリビオンマシンに乗った隣国のキャバリア部隊が侵攻する事件を予知しました」
 キャバリアと呼ばれる人型兵器を用いた戦乱が100年近くも続く、荒廃した世界クロムキャバリア。戦いが終わらない元凶となっているのが、パイロットを洗脳し破滅へと導く「オブリビオンマシン」である。一般人には識別不可能なこの呪われしキャバリアを破壊し、混迷した状況を打開できるのは、猟兵をおいて他にいない。

「今回侵攻を受けた『ブランルージュ王国』は、王家と議会を中心とした立憲君主制国家です。隣国である『ノワールヴェルト共和国』とは政治的・軍事的に長い緊張状態にありますが、近年では融和的な政策が取られたことで比較的平和な状況を維持していました」
 両国の首脳陣は賢明で、これ以上の戦争はいたずらに国力を疲弊させるだけであり、百害あって一利なしだと理解している。長きに渡る戦乱の遺恨はそう簡単に消えるものではないが、それでも前を向いて歩みだそうとしていた――その矢先に今回の事件は起きた。
「侵攻軍の指揮官であるカール・バレット少将は、かつては共和国における穏健派の中軸とも呼ばれた人望の厚い将校です。しかしオブリビオンマシンの影響で正気を失ってからは、逆に過激派の急先鋒として王国との徹底した戦いを主張しています」
 その果てに起こった事件が今回の独断による王国への侵攻である。それがオブリビオンマシンの仕業だと知らない人々には、この事件は「軍部過激派の暴走行為」として解釈され、両国の政治状況に影響を及ぼすだろうが――そこは猟兵達の関与すべき事ではない。
「皆様にお願いするのはオブリビオンマシンの破壊行為を阻止し、狂気に陥ったパイロット達を救出することです」
 今ならばまだ、共和国の侵攻部隊が王国の防衛部隊と衝突する前に事件に介入できる。
 オブリビオン化しているのはあくまでキャバリアのため、機体さえ破壊すればパイロットを正気に戻すこともできるのだ。

「侵攻部隊の第一波は、指揮官によってオブリビオンマシン化された量産型キャバリア『GC-04カルキノス』の大部隊です」
 商業国家「グラパール」で設計・製造されたこの機体は、単純な構造と丈夫さ、メンテナンス性の高さから民間から軍用まで幅広く運用されている。機体性能は高いとは言えないものの、装甲の分厚さと友軍機との集団戦術には注意が必要だろう。
「マシンだけを倒せばパイロットは正気に返るので、余裕があれば安全な場所にかくまってあげてください。もっとも彼らも訓練された兵士なのでそう心配はいらないでしょう」
 なお、自前のキャバリアを持っていない猟兵には、この「カルキノス」の同型機(もちろんオブリビオンマシンではない)を貸与する準備がある。操縦技術は本職には敵わないだろうが、機体を介してユーベルコードを放つこともできる――もっとも猟兵なら生身でも十分以上にオブリビオンマシンと戦えるだろうが。

「しかしこの第一波は、敵軍をキルゾーンに誘い込むための囮に過ぎません。本命となるのは長距離支援型キャバリア『ギムレウス』を主軸にした第二波です」
 鈍足ながら長射程と高火力を誇るこのオブリビオンマシンによる一斉砲撃は、一瞬で敵を壊滅させられる威力がある。猟兵と言えども集中砲火を浴びるのは得策とは言えない。
 加えて、首謀者であるバレット少将の企みなのか――こちらの部隊に搭乗するパイロットは、第一波にいた兵士達の親友、恋人、父親といった絆を持つ人々で編成されている。
「もし第一波の戦いで死んだ兵士がいれば、絆を失った彼らはオブリビオンマシンの狂気により深く取り憑かれてしまいます」
 そうなれば敵戦力の増強は確実。しかし逆に、救出したパイロットの言葉や想いを彼らに伝えることができれば、オブリビオンマシンの狂気を振り払う力になるかもしれない。

「第一波、第二波の攻勢を退ければ、いよいよ指揮官であるバレット少将との対決です」
 彼の搭乗機はオブリビオンマシン『ブレイジング・バジリスク』。上半身に備えつけられた大型バーニアユニットがもたらす高速による三次元機動を得意とする機体で、パイロットの命をも削りながら戦場に破壊の嵐を巻き起こす、まさに呪われたマシンである。
「狂気に取り憑かれてしまったバレット少将ですが、まだ彼を正気に戻せる可能性は残っています。速やかにブレイジング・バジリスクを撃破し、事件を収束させてください」
 依頼の説明を終えたリミティアは手のひらにグリモアを浮かべ、クロムキャバリアへの道を開く。鉄血と砂塵が舞う騎士達の戦場で、猟兵達の新たなる戦いの幕が開かれる。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 やってきました新世界クロムキャバリア。今回の依頼は暴走した小国のオブリビオンマシン軍団を撃破し、戦火の拡大を阻止することです。

 第一章では『GC-04カルキノス』で編成された敵軍の第一波との戦闘です。
 オブリビオンマシンに乗るパイロットは、機体を破壊すれば正気に戻すことができます。ここでより多くの兵士を救出できれば今後の展開で有利になります。

 第二章は『ギムレウス』で編成された敵軍主力部隊との戦闘です。
 この第二波のパイロットは第一波のパイロットの縁者で構成されています。第一章で救出した兵士の想いや言葉を伝えれば、オブリビオンマシンの狂気を弱体化させられるかもしれません。

 第三章は『ブレイジング・バジリスク』に搭乗した敵指揮官との決戦です。
 元は両国の融和に努める高潔な軍人でしたが、オブリビオンマシンのせいで豹変してしまいました。パイロットとしての実力も機体性能も抜群ですが、彼を倒さなければ共和国軍の暴走は止まりません。

 ジョブやアイテムとしてキャバリアを持っていない方には、希望すれば敵と同型の「GC-04カルキノス」が貸し出されます。生身での戦闘でも特にペナルティはかかりませんが、ロボット同士で戦ってみたいという方はどうぞ。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
288




第1章 集団戦 『GC-04カルキノス』

POW   :    マシンガンアタック
【RSマシンガンによる掃射と共に行う 】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【遠隔兵器で装備した友軍機】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    チョバム・アーマー
敵より【も丈夫な装甲のキャバリアを操縦している 】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
WIZ   :    ディストラクション・フェーズ
自身が操縦する【キャバリア 】の【装備を拠点攻撃用重爆撃装備に換装し、火力】と【攻撃範囲】を増強する。

イラスト:右ねじ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

雛菊・璃奈
これがキャバリア…正に人型ロボットって感じだね…

「きゅ~!」(おめめキラキラ)

ミラ、こういうの好き…?そういえば、UFO奪う時も出て来てたね…

折角だから借りて行こうか…装甲は厚そうだけど、機動性は低そう、かな…。

「きゅ~♪」

折角だし、ミラの力、借りるよ…。

コクピットにミラ(影竜進化)を連れて出撃…。

機体を影の中に沈めつつレーダーにも映らないように接近し、敵部隊に奇襲…。
マシンガンやオプションで借りて来た火器類で敵機の頭部や四肢を狙って戦闘不能にし、一撃加えたらまた影に潜って離脱、を繰り返して徐々に敵部隊を削っていくよ…。

影に敵を引き摺り込んで動きを封じたり、ミラには一緒にサポートをお願い…



「これがキャバリア……正に人型ロボットって感じだね……」
「きゅ~!」
 格納庫に用意された無骨な鋼鉄の人形――この世界の主力兵器たる「キャバリア」を見上げて、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は静かに呟いた。その傍らでは1匹の仔竜が、いかにも興味津々といった様子で、つぶらなおめめをキラキラさせている。
「ミラ、こういうの好き……? そういえば、UFO奪う時も出て来てたね……」
 あれは宇宙人に占拠されたヒーローズアースの基地に潜入した時のことだったか。武器と魔法の世界で生まれた仔竜にとって、この手のマシンは物珍しくロマンを感じるのかもしれない。その様子を見ていた璃奈は、少し考えてから搭乗用のタラップに足をかけた。

「折角だから借りて行こうか……装甲は厚そうだけど、機動性は低そう、かな……」
 用意された量産型キャバリア『GC-04カルキノス』のコックピットに乗り込んで、各部の動作を軽くチェック。量産機ということもあってか操縦手順はそれほど複雑ではなく、いきなりプロの兵士並みとはいかずとも、十分に動かして戦うことはできそうだ。
「きゅ~♪」
 主人に続いて乗り込んできたミラは、嬉しそうにパタパタとコックピットの中を飛び回っている。ご機嫌な仔竜の様子に目を細めながら、璃奈は【呪法・影竜進化】を発動。
「折角だし、ミラの力、借りるよ……」
 璃奈の呪力を受けた仔竜は仮初めの進化を遂げ、闇の衣を纏った影の竜へと成長する。
 その力を、自らを介して機体へと伝えながら――少女のキャバリアは戦場に出撃した。

「キャバリアに乗ったままでも、力はちゃんと使えるみたいだね……」
 璃奈とミラを乗せたキャバリアは、影竜の力によって影の中に沈めたまま敵に接近する。待ち受けるは隣国との国境線を超えた『ノワールヴェルト共和国』のキャバリア部隊――だが、彼らの機体のレーダーには、影に潜航する璃奈たちの機影は映っていない。
「いくよ、ミラ……」
 射程距離に近付いたところで璃奈は影の中から浮上すると、敵部隊に奇襲を仕掛けた。
 標準装備のRSマシンガンを始め、オプションとして借りてきた火器類が発砲音を響かせる。不運にも最初の標的となったキャバリアが、壊れたマネキンのように崩れ落ちた。

「っ、敵襲! バカな、一体どこから!」
「レーダーには何の反応も無かったぞ……王国の新型ステルス機か?!」
 共和国の兵士達とて、来たる王国軍の迎撃に備えて十分に警戒はしていたはず。その索敵網をくぐり抜けての完全な不意打ちを食らって、部隊は大きな動揺と混乱に包まれた。
 敵に強烈な一撃を加えた璃奈は、すぐにまた影に潜ってその場を離脱する。機体性能は同型で、数では圧倒的に向こうが有利となれば、作戦はとにかく敵陣をかき乱すことだ。
「ミラも一緒にサポートをお願い……」
「きゅいっ!」
 コクピットの中でミラが一声鳴くと、戦場に落ちるキャバリアの影がゆらりと動いた。
 同化・潜航をはじめとする影を自在に操る能力こそが影竜の真価。うごめく影に引き摺り込まれたキャバリアは、まるで底なし沼に嵌まったように動きを封じ込められる。

「な、なんなのだ、これはっ?!」
 自分達の常識を覆すユーベルコードの力に、共和国軍は状況判断さえも追いつかない。
 足の止まったキャバリアなど、ただ的の大きい木偶の坊に過ぎない。再び機体を浮上させた璃奈は頭部や四肢を狙って、パイロットを殺すことなく敵機を戦闘不能にしていく。
「いい調子だね……」
 初戦の流れは順調、しかし決して油断はせず、魔剣の巫女は操縦桿をぐっと握りしめ。
 影竜の加護受けし鉄騎は影からの一撃離脱を繰り返して、徐々に敵部隊を削っていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレミア・レイブラッド
この世界のロボット…キャバリアだったかしら?面白い兵器ね。

【ブラッド・オブリビオン】で「荒野に飛来する氷鳥達」の「氷雪の鷲獅子」を召喚。
【騎乗】し、自身と鷲獅子に【念動力】の防御膜を纏わせつつ、地上型の敵に対し、鷲獅子の飛行能力を活かして空中から鷲獅子の【極寒の風】や【凍てつく息吹】で攻撃。
吹雪や凍気で敵を凍結させて引きつけるわ。

自身も鷲獅子の背から雷撃や凍結、爆裂の魔力弾【属性攻撃、高速詠唱、全力魔法、誘導弾】を放ち、雷撃や凍結で機体を停止させたり、爆裂で武装や四肢、ヘッドカメラを吹き飛ばす等して戦闘不能にするわ。
その後、コクピットハッチを怪力でこじ開けたり、槍で破壊して救出しようかしら。



「この世界のロボット……キャバリアだったかしら? 面白い兵器ね」
 砂埃を上げ荒野を駆ける鋼の巨人を眺めながら、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は生身のまま戦場に立っていた。彼女が伴とするのはキャバリアではなく、獅子の下半身に鷲の上半身と翼を持つ、この世界には存在しないはずの獣。
「血の隷属を用いて命ずる……。フレミア・レイブラッドの名の下に、嘗ての力を以て骸の海より戻り、わたしに力を貸しなさい」
 かつてアックス&ウィザーズで討伐した幻獣「氷雪の鷲獅子」を、ユーベルコード【ブラッド・オブリビオン】で召喚・使役した彼女は、その雄々しき背に跨って空を翔ける。

「上空より接近する機影を確認!」
「飛行装備のキャバリア……ではない? 鳥……いや違う、何だあれは?!」
 進撃中だった共和国軍の「GC-04カルキノス」部隊は、グリフォンに乗って飛来する金髪の美少女の姿をとらえて困惑する。鉄と血が支配するはずの戦場に、いきなりファンタジーのような存在が紛れ込んでくればそういう反応にもなろう。
「分からんが……とにかく敵だ! 撃ち落とせ!」
 だが彼らとて訓練された兵士である、理解するよりもまず作戦の達成を優先させ、装備したマシンガンによる一斉掃射を仕掛ける。生身の生物であれば一瞬でミンチになろう銃弾の嵐は、しかしフレミア達を傷つけることなく見えない壁によって弾かれた。

「銃弾が効かない……?!」
 敵からすれば魔法のようにしか見えないそのカラクリは、フレミアが自身と鷲獅子に纏わせた念動力の防御膜。その耐性がこの世界の兵器にも有効であることを確認した彼女は、鷲獅子の飛行能力を活かして空中から地上型の敵に対して攻撃を仕掛ける。
「安心しなさい、殺しはしないわ。すこし寒い思いはして貰うけれど」
 鷲獅子の両翼や口から放たれる【極寒の風】と【凍てつく吹雪】が、真冬の北国のような冷気を戦場に運んでくる。いかに銃撃や衝撃に強いよう設計されたキャバリアの装甲でも、この寒さは如何ともし難く――ピキピキと音を立てて機体が蒼氷に覆われていく。

「なんだこの寒さは、王国の新兵器か?!」
「クソッ! 機体が動かん!」
 コックピット内の兵士がどれだけ操縦桿を握りしめても、駆動部の凍りついたキャバリアはぴくりとも動かない。未知の攻撃に動揺する敵部隊の上空を鷲獅子は颯爽と飛び続け、吹雪や凍気による凍結の範囲を広げていく。
「キャバリア同士の戦いには慣れていても、生身の相手には不慣れなようね」
 フレミアも鷲獅子の背から真紅の魔槍「ドラグ・グングニル」を掲げ、雷撃や凍結、爆裂などの属性を付与した魔力弾を次々と撃ち放つ。吹雪と一体となった凍結弾は敵機を巨大な氷像に変え、雷撃弾から迸る電流は機体の回路をショートさせる――それらは何れも操縦者を殺傷することなく機体を停止させ、戦闘不能にするのを目的とした攻撃だった。

「ええい、たった1人と1頭に、これ以上好き勝手させてたまるか――!」
 業を煮やした敵部隊は、装備を本来なら拠点攻撃用の爆撃装備【ディストラクション・フェーズ】に換装し、火力と攻撃範囲を増強することでフレミア達を撃墜しようとする。
 しかし彼らの爆撃武装が火を噴くよりも早く、フレミアの爆裂弾が炸裂する。その威力はキャバリアの武装や四肢、ヘッドカメラを吹き飛ばし、継戦能力を根こそぎ奪い取る。
「なぁ……っ?!」
 周辺の残存機体が崩れ落ちたのを確認すると、フレミアは鷲獅子と共に地上に降りる。
 そして破壊または停止した機体のコックピットハッチを力任せに、あるいは槍で破壊してこじ開けて、中にいるパイロットを救出していく。

「しばらく安全なところに隠れていなさい」
「うわぁっ……?!」
 引っ張り出された兵士達はまだ混乱しているようだが、じきに正気に戻るだろう。彼らはオブリビオンマシンの影響で思考を狂わせられていただけで、本来は普通の一般人だ。
 速やかに救助活動を終わらせたフレミアは、再び鷲獅子の背に飛び乗って空に上がる。王国への侵攻を図る共和国のオブリビオンマシン部隊は、これで全てではないはずだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

白峰・歌音
大切なものを無くした怒りを抱くのは仕方ない。けれど、それを収めて互いに手を取り合っていこうと選んだ未来を破壊する事は見過ごせないぜ!
「望まない絶望を引き起こさんとする怒りの荒波!このマギステック・カノンがここでせき止めて終わらせてやる!」

まずはUCで迷宮を生み出して動きを制限させる!足を上げて乗り越えられない高さまで壁を作れば迷宮に沿ってしか動けず、足元を見ながら動くから視界を制限させることは出来るはず!
その後、オレ自身が<空飛ぶ箒『相棒』>で【空中浮遊】し飛んで、【鎧無視攻撃】風の【属性攻撃】で足元をすり抜けて破壊したり、頭の高さまで飛び上がってモニターを破壊したりと【空中戦】を仕掛けるぜ!



「大切なものを無くした怒りを抱くのは仕方ない」
 恩讐の炎が燃ゆる地で、白峰・歌音(彷徨う渡り鳥のカノン・f23843)はかく語る。
 ここは鋼鉄の騎士達による戦乱の世界。終わりなき戦火で悲劇や喪失を味わった者が、悲憤や憎悪に駆られるのは人として当たり前の感情だろう。
「けれど、それを収めて互いに手を取り合っていこうと選んだ未来を破壊する事は見過ごせないぜ!」
 怒りがさらなる怒りを生み、繋がれるはずだった和解の手を断ち切ってしまう前に。
 少女の内なるヒーローとしての魂が滾り、紫と紅のオーラとなってその身を包んだ。

「望まない絶望を引き起こさんとする怒りの荒波! このマギステック・カノンがここでせき止めて終わらせてやる!」

 戦場に轟く決意の叫びと共に、発動するのは【フリージング・デッド・ラビリンス】。
 キラキラと煌めきながら舞うダイヤモンドダストが氷の壁となり、戦場全体を覆う巨大な迷宮を生み出す。敵軍の「GC-04カルキノス」部隊は、諸共その中に巻き込まれた。
「何だ、これは……っ?!」
「氷の壁……? クソッ、邪魔だ!」
 体高5メートルのキャバリアの大きさでも乗り越えられず、マシンガンの銃撃でも砕けない、高く強固な氷の壁。それまで障害物のない平地を進撃してきた敵部隊は、ここに来て大きく行動を制限されることになった。

(これで迷宮に沿ってしか動けず、足元を見ながら動くから視界を制限させることは出来るはず!)
 そんな歌音の思惑通り、惑いの氷宮に迷い込んだ敵部隊はやむなく限定されたルートに沿っての移動を余儀なくされている。向こうにとっては慎重にならざるを得ない状況なうえ、搭乗するキャバリアの巨大さも狭い迷宮では動きづらい要因となってしまっていた。
 迷路の先から何が出てくるのかと、警戒しながら進むキャバリア部隊。歌音はそんな連中の意識の死角を突くように、空飛ぶ箒の『相棒』に乗って空中からの攻撃を仕掛ける。

「くらえっ!」
「な……ッ?!」
 コックピットのモニターに箒に乗った少女の姿が大写しとなった直後、紫紅のオーラを纏った拳がメインカメラを破壊する。視界を失った機体は闇雲にマシンガンを乱射するが、縦横無尽に空を飛び回る歌音には掠りもしない。
「大人しくしてろ!」
 股くぐりの要領で敵の足元をすり抜けざま、放たれた暴風の刃が脚部装甲を切り裂く。
 脚を破壊された「カルキノス」はバランスを崩してどうと倒れ込み、起き上がってくることはない。中にいるパイロットは健在だが、これ以上の戦闘行動は不可能だろう。

「よし、次に行くぜ!」
 歌音はそれからも勇ましく箒を駆り、迷宮を彷徨う敵機体を次々と無力化していく。記憶を失えど体に染みついた戦闘技術は、相手が人型兵器だろうと変わらぬ冴えを見せた。
 自らが作り出した迷宮ゆえに、その構造をも知り尽くしている彼女から、果たして逃げおおせた者は――皆無であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
まったく厄介な話だね。
しかし、オブビリオンマシンのせいというにはちょっと非道すぎる作戦じゃない?

さて、ボクも参戦するよ。
愛機のクロムキャバリアで出撃だね。
量産型キャバリアにはARICAを搭載して僚機設定で無人出撃させるよ『援護射撃』ヨロ


オーバーブースト点火ッ
すっごい衝撃だけどボクの『操縦』テクと『肉体改造』されてるボクのボディなら問題ないね。
『空中戦』は得意分野。空中から『威嚇射撃』している隙に、『索敵』して敵機の『情報収集』うん。コックピットはここで動力はここ。
ならこの位置をイニティウムで『切断』したならパイロットを殺さずキャバリアを無力化できるはず!!行くよッ

アドリブは自由にってね。



「まったく厄介な話だね。しかし、オブビリオンマシンのせいというにはちょっと非道すぎる作戦じゃない?」
 復讐に取り憑かれた元穏健派将校による暴走行為――親類縁者を別々の部隊に配属させ、戦場における味方の死さえも利用せんとする狂気の作戦に、ユーリー・ザルティア(レプリカントのクロムキャバリア・f29915)はやれやれと言わんばかりに溜息をついた。
 直接的な原因がオブリビオンマシンにあるとしても、芽生える狂気の種となる感情がなければこうはなるまい。本件の首謀者の心の中には、余程昏い闇が眠っていたのだろう。

「さて、ボクも参戦するよ」
 敵の動機が何であれ、依頼を受けた以上はそれを果たすのがキャバリア乗りの仕事だ。
 愛機のクロムキャバリア"レスヴァント"に搭乗したユーリーは、学習型AI【ARICA】を搭載した量産型キャバリア"パールバーティ"を僚機に設定し、2機同時に戦場へ出撃する。
「ボクが先行して飛び込むから、援護射撃ヨロ」
『Yes my lord』
 散歩にでも行くような軽い調子の指示に、返ってくるのは機械的で簡潔なメッセージ。
 モニターの隅に踊る電子文字にふっと笑みを浮かべてから、少女は【オーバーブースト・マキシマイザー】を起動する。

「オーバーブースト点火ッ」
 機体各部のスラスターが蒼白い炎を噴き上げ、鋼鉄の騎士が凄まじい速さで飛翔する。
 最新鋭機クロムキャバリアが誇る驚異的機動力は、そこらの量産型キャバリアの比ではない。しかしその桁外れの性能は、操縦するパイロットにも相応の適性と負荷を強いる。
「すっごい衝撃だけど、問題ないね」
 優れた操縦テクニックと、肉体改造を施したレプリカントのボディを持つユーリーは、その適正を十二分に満たしていた。僅か数秒で後方から最前線へと到達した彼女の"レスヴァント"は敵の「GC-04カルキノス」部隊を確認後、直ちに攻撃を開始する。

「敵機襲来!」
「速いぞ、新型か!」
 上空から浴びせられるアサルトライフルの弾幕。新手の襲来に気付いた敵部隊はマシンガンで応戦するが、空を飛翔するクロムキャバリアの機動力に反応が追いついていない。
 空中戦はユーリーの得意分野。連射性に優れた「RS-SAW-R01アストライア」による威嚇射撃で敵を牽制しながら彼女はレーダーユニットを起動、敵機の情報収集と解析を行う。
「コックピットはここで動力はここ。ならこの位置を切断したならパイロットを殺さずキャバリアを無力化できるはず!!」
 分析を完了した丁度そのタイミングで、遅れ馳せながら"パールバーティ"も到着する。
 無人運用を前提に改造されたその機体は、AI制御による精密な援護射撃によって、敵部隊の動きに隙を生みだした。

「ARICAナイス! 行くよッ」
 僚機が作り上げたチャンスを逃さず、オーバーブースト中の"レスヴァント"は急降下。
 まばたきする程の一瞬で間合いをゼロに詰めると、「RX-イニティウム」を一閃する。
「馬鹿……なッ!?」
 一撃の威力に優れたキャバリア用ブレードの斬撃は、頑丈に設計されたカルキノスの【チョバム・アーマー】をものともせず、フレームごと真っ二つに両断する。閃光と見紛うばかりの早業に、敵のパイロットはただただ呆然とするばかり。

「ざっとこんなところかな!」
 戦場を翔け抜けた"レスヴァント"は、一太刀で十数体の敵機を同時に無力化していた。
 しかも、パイロットのいるコックピット付近には一切ダメージを与えていない――計算通りの戦果をあげたユーリーは快活に笑いながら、次の敵を探して愛機を駆るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

獅子戸・玲桜奈
せっかくの平和を壊させやしないぜ。オブリビオンマシンは俺が全部ぶっ潰す!行くぜフレイムウィング!

向こうが突進してくるならこっちもやってやろうじゃねえか。銃撃を躱しながらダッシュで突撃だ!
近づいたらフレイムナックルでぶん殴る。どんなに装甲が厚くても貫いてやるぜ!

オブリビオンマシンを破壊するのはいいけど、勢い余ってパイロットを巻き込まないようにしねえと。それに脱出に手間取るようなら助けてやらねえとな。
助けるついでに後ろに控えてるやつらに伝言があれば伝えるぜ。縁者なんだろ?絶対助けてやるから安心しな!



「せっかくの平和を壊させやしないぜ。オブリビオンマシンは俺が全部ぶっ潰す!」
 和平の道を歩もうとしていた二つの国を引き裂き、戦乱を憂える人の心を歪めるオブリビオンマシン。かの邪悪な鉄騎に怒りを燃やすは獅子戸・玲桜奈(炎の翼・f30087)。
 その胸に滾るは熱き魂。曲がったことを許せない純粋でまっすぐな怒りを抱いて、彼女は手にした「フレイムサイン」を高々と空に掲げる。
「行くぜフレイムウィング!」
 その名を叫んだ瞬間、どこからともなく現れたのは、炎を纏う赤いキャバリア。
 雄々しく戦場に立つそのスーパーロボットこそ『紅蓮神機フレイムウィング』。
 永き闘争を終結させる為に開発された、この世界に残された希望の煌火である!

「何だ、あの機体は……王国軍の新型か?」
「だが、たった一機で何ができると言うのだ!」
 通常のキャバリアとは明らかに異質な紅蓮の機体に、共和国軍の部隊は動揺している。
 しかしそれも束の間、オブリビオンマシンがもたらす破滅の衝動に衝き動かされる彼らは、友軍機と連携しての【マシンガンアタック】を仕掛け、戦線を突破しようとする。
「向こうが突進してくるならこっちもやってやろうじゃねえか」
 押し寄せるキャバリアの大軍を前にしようと、玲桜奈の心に怯懦の二文字は無かった。
 金色の瞳を闘志で輝かせ、自らも愛機を突撃させる。乗り手の熱き想いに応えるフレイムウィングは、まさに一心同体の動きで銃弾の雨を躱し、敵機へと肉迫する。

「受けろ!一撃必殺! フレイムゥ……ナッコォ!」
 叩き付けられるのは炎を纏った機神の鉄拳【フレイムナックル】。さながら数十発のナパーム弾が零距離で直撃したような破壊力が、敵の「GC-04カルキノス」を打ち砕いた。
「どんなに装甲が厚くても貫いてやるぜ! 破ぁぁッ!」
 スーパーロボットの超パワーと、玲桜奈の熱き闘志が宿ったその一撃に破壊できぬものはなし。量産型としては頑丈なカルキノスの装甲も、彼女らにかかれば飴細工も同然だ。
 群がる敵機を次々と殴り飛ばし、叩きのめす様は、現代戦の基本とはかけ離れたもの。有象無象のオブリビオンマシンを圧倒するそのパワーは、まさに炎神の如しであった。

(オブリビオンマシンを破壊するのはいいけど、勢い余ってパイロットを巻き込まないようにしねえと)
 たとえ義憤に燃えていようとも、玲桜奈は本来の使命を忘れてはいない。振るう拳は敵機のコックピット付近は避けて、戦闘機能だけを破壊するようにきちんと加減している。
 周辺にいた部隊を倒し終えたところで、彼女は壊れた機体にゆっくりと近付いていく。フレイムウィングの無双を目の当たりにしていた敵パイロットは思わず恐怖するが――。
「大丈夫か? 今出してやるよ!」
 開かれた機神の手はコックピットハッチをこじ開け、中にいたパイロットを救出する。
 他にも脱出に手間取っている兵士を見かければ、玲桜奈は順番にそれを助けていった。

「う、う……私はいったい、何を……」
 オブリビオンマシンの呪縛から解放された兵士達は、なぜこんな事をしでかしてしまったのか自分でも理解できていないようだった。彼らは首謀者によって乗機をオブリビオンマシン化されただけの一般兵であり、正気に戻りさえすればこれ以上戦う意志もない。
「ついでに後ろに控えてるやつらに伝言があれば伝えるぜ。縁者なんだろ?」
「あ……そうだ、私の息子が!」
「俺の父さんもだ!」
 我に返った彼らが真っ先に気にかけるのは、別部隊にいる家族や友人のことだった。
 情報によれば彼らは今だ狂気に囚われたまま、共和国軍の第二波として待機中らしい。

「こんな戦いは無意味だと、伝えて欲しい……」
「俺だって王国の連中は好きじゃない。けど戦って大切な人が死ぬのはもっと嫌だ!」
 兵士達からの訴えかけと、皆を救ってほしいという願いを受け取って、玲桜奈は再びフレイムウィングに乗る。彼らを安心させるように、快活で男勝りな笑みを浮かべながら。
「絶対助けてやるから安心しな!」
 そう言って紅蓮の神機は再び炎を纏うと、戦場をさらに深く駆けていく。この無益な争いの元凶である、全てのオブリビオンマシンを破壊するまで、彼女の戦いは終わらない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

ほんの少しの蟠りを際限なく増幅させられたか
オブリビオンマシン…想像以上に厄介な相手かもしれんな

戦場に到達すると同時にUCを発動
背部にあるブースターを起動させたダッシュで敵機体へと肉薄し
レーザーガトリング砲とビームライフルで攻撃
事前に敵コクピットの位置を調べた上で、そこ以外を破壊しよう

かなり硬い装甲だが…
フン、ならば切り裂くまでだ

敵UCが発動したらレーザーブレードも取り出して攻撃
瞬間思考を駆使し、敵機体の脆弱な部分を見切り装備武器で四肢を部位破壊して行動不能にする
敵パイロットの殺害には気を付けて行動しよう

殺さずに倒すのは骨が折れるが…
争いの禍根を、此処で増やす訳にはいかないからな



「ほんの少しの蟠りを際限なく増幅させられたか。オブリビオンマシン……想像以上に厄介な相手かもしれんな」
 今回の事件の首謀者、カール・バレット少将が豹変した経緯を聞いたキリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は少なからぬ危機感を抱く。元は善良で理性的な人間さえも破滅的な思考に狂わせてしまう兵器――それは正しく悪夢のマシンと言うほかない。
「この世界の戦いも楽ではなさそうだが……相手が何だろうと負けはしない」
 鉄騎が駆ける戦場に到着した彼女は、凛とした漆黒の瞳で迫り来る敵部隊を見据えて。
 着用したバトルスーツ「ヴェートマ・ノクテルト」の手首のブレスベルトに手を当てると、ユーベルコード【コンケラント】を発動する。

「その全てを蹂躙してやろう……Viens! Conquérant!」
 召喚された追加装甲がスーツの上からキリカの全身を覆い、漆黒の甲冑にも似た重装甲強化パワードスーツ「Conquérant」を完成させる。その装着プロセスは一瞬の事だった。
 装甲によるサイズアップを含めても、キリカの身の丈は体高5メートル台のキャバリアには及ばない。だが2メートルにも及ぶかどうかというその機体には、鉄騎を凌駕しうる数々の武装が集約されていた。
「行くぞ」
 背部にあるブースターが火を噴き、凄まじい勢いでキリカの身体が加速する。殺人的なGにも耐えうる超人的な肉体とスーツの補助機能により、人間を超えた脚力で敵と肉迫した彼女は、搭載したレーザーガトリング砲とビームライフルによる同時攻撃を仕掛けた。

「くっ、何だコイツは……!」
「キャバリアと同等以上の機動性能のパワードスーツだと!?」
 唸りを上げるガトリングとレーザーの銃撃に晒された敵部隊は、自分達の常識を超えた「Conquérant」の性能に驚愕することになる。この世界の主力兵器であるキャバリアに、パワードスーツ着用とはいえ歩兵が対抗するなど、通常ならばあり得ないことだ。
「驚いているようだな」
 キリカは装甲の下で笑みを浮かべながら、敵機体の四肢や武装を的確に破壊していく。
 事前に調べたところ、キャバリアのコックピットは一般的に上半身と下半身の接合部分にある。ならばそこ以外を狙って攻撃すればパイロットに被害が及ぶことは無いだろう。

「ええい怯むな! 装甲はこちらの方が上だ、押し切れ!」
 未知の戦力が相手とはいえ、敵兵もただ手をこまねいている訳ではない。搭乗機「GC-04カルキノス」の長所である【チョバム・アーマー】を前面に押し出し、一機がキリカの銃撃を受け止めている間に僚機が反撃を仕掛ける戦法に打って出た。
「かなり硬い装甲だが……フン、ならば切り裂くまでだ」
 量産型とはいえかなりの頑丈さを誇る装甲は「Conquérant」の射撃武装でも容易には貫けそうにない。しかしキリカは慌てることなく近接戦闘用のレーザーブレード「黄泉返太刀(ヨミガエシノタチ)」を取り出すと、立ちはだかる巨大な鉄騎を切り払った。

「なっ……斬られた?! このカルキノスの装甲が……!」
 紅く発光するレーザーブレードの刃は、巨大な宇宙船すら切断する。熱したナイフをバターの塊に差し込むように、滑らかにアーマーを溶断されたカルキノスが地に倒れ伏す。
 いかに丈夫な装甲であれ無敵のものはこの世にない。瞬間加速するキリカの思考は敵機体の脆弱な部分を即座に見抜き、斬撃と銃撃を駆使して次々と行動不能にしていった。

「殺さずに倒すのは骨が折れるが……争いの禍根を、此処で増やす訳にはいかないからな」
 この世界の脅威はあくまでオブリビオン化したキャバリアにある。洗脳されたパイロットを殺害しないようにキリカは細心の注意を払いながら、悪しきマシンのみを破壊する。
 数にもサイズにも勝る敵部隊を、たった1人の兵士が圧倒する。その姿はまさに戦場の「Conquérant(征服者)」と呼ぶに相応しいものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カビパン・カピパン
「帝都軍少尉カビパンお召しにより、ただ今参上いたしました」
「入れ」

ここはノワールヴェルト共和国の司令部。
「これよりGC-04カルキノス大部隊の指揮は私が執る」
圧倒的な存在感と威厳をもって歴戦の風格を漂わせる。
『…了解、指示を』と通信が入った。

「全軍突撃。一人が複数撃破し一人でも生き残ればこちらの勝ちだ」
それはひょっとしてギャグで言っているのか、とパイロット達はツッコミたくなった。

続けて「オールハンドゥ↑ガ~ンパレード♪」と歌い始める。
マシンに乗るパイロット達は、通信機からの世にも恐ろしい音痴歌で内部から色んな意味でやられて正気に戻った。

カビパンが獅子身中の虫になるとは思ってもみなかっただろう。



「帝都軍少尉カビパンお召しにより、ただ今参上いたしました」
「入れ」
 ここは野外に設営されたノワールヴェルト共和国の仮設司令部。王国への侵攻軍の指揮を執る場所に、なぜかカビパン・カピパン(女教皇 ただし貧乏性・f24111)はいた。
 おそらくは持ち前の「女神の幸運」と謎のカリスマ性によって、共和国軍に自分を味方だと誤認させたうえでここに辿り着いたのだろうが、果たして何をするつもりなのか――いかにも歴戦の将校と見間違うような凛々しい佇まいから真意を推し量るのは難しい。

「これよりGC-04カルキノス大部隊の指揮は私が執る」
 司令部に入るなりカビパンが開口一番に言い放ったのは、耳を疑うようなことだった。
 普通なら外部の人間に指揮を預けるなどあり得ることではない。だが彼女の圧倒的な存在感と有無を言わせぬ威厳は、周囲にいた兵士達に口を噤ませるには十分なものだった。
 元よりここに居るのはオブリビオンマシンの影響を受けただけの連中に過ぎない。ただの一般兵がカビパンの放つオーラ――別名ギャグ世界の不条理に抗うのは困難である。
『……了解、指示を』
 なんか無駄に自信満々だし、なにか良い作戦でもあるのかもしれない。そう考えた司令部はものの試しで彼女に指揮権を預けてみることにする。さっそく前線の部隊から入った通信に、新指揮官カビパン少尉が下した命令とは――。

「全軍突撃。一人が複数撃破し一人でも生き残ればこちらの勝ちだ」

 それはひょっとしてギャグで言っているのか、とパイロット達はツッコミたくなった。
 どう考えてもそれは作戦ではない。やけっぱちになった軍隊が破れかぶれでやらかす、特攻もしくは玉砕と呼ばれるヤツである。いくらオブリビオンマシンに洗脳された連中でも、そこまで破滅的な――というか無茶無謀な思想にはまだ染まりきっていなかった。
 が、当のカビパン少尉はどうもマジなようで、命令を撤回することなく今度は聖杖を片手に歌い始めた。知る人ぞ知る恐怖の音楽祭、【カビパンリサイタル】の開幕である。

「オールハンドゥ↑ガ~ンパレード♪」

 一体どこぞの突撃行進曲のつもりなのか。およそコレを音楽と呼ぶのも憚られるような世にも恐ろしい音痴歌が、通信機を介してキャバリアに乗るパイロット達に届けられる。
 恩讐の炎もかき消えるような絶望的なソングを聞いた一同はもだえ苦しみ、ある者は戦うのをやめてコックピットから逃げ出すか、あるいはのたうち回った末に正気に戻った。
「う……うぅぅ……俺たちは一体何を……」
 内部から色んな意味でやられた兵士達に、戦意や士気はこれっぽっちも残っていない。
 戦わずして敵を無力化したカビパンの歌は、ある意味平和の歌とも言えるのかもしれない――代わりに与えた精神的なダメージは甚大だが。

「なんてことだ!」
「いい加減にしろ!」
 自分達がとんでもない獅子身中の虫を招いてしまったことを悟った司令部の面々は、あらん限りの怒声と罵声をカビパンに浴びせかけ、キャバリアに乗って襲いかかってくる。
 結果、司令部からは追い出されてしまったが、その間に彼女が共和国のオブリビオンマシン部隊にもたらした混乱は相当のものであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
長き戦歴の穏健派、血が血を呼ぶ哀しみを理解していた筈…
少将を歪めた元凶を速やかに破壊せねばなりませんね

ロシナンテⅣに搭乗
自機●ハッキングの直結●操縦で機体追従性●限界突破

突撃戦法ですか…それは私の領分でもありますよ

●瞬間思考力で敵の挙動や攻撃を●見切り狙い絞らせぬ●推力移動で突撃
●盾受け●武器受けで防御や頭部、肩部格納銃器とサブアームの二丁のライフルの●乱れ撃ちスナイパー射撃で●武器落とし

やはりキャバリアとは良き物ですね
得手の接近戦を行えるのですから!

敵集団かき乱し●怪力近接攻撃
センサーの●情報収集で得た装甲継ぎ目狙い解体

ご無事ですか?
大丈夫です、砲撃機に搭乗した皆様の縁者もお救いいたします



「長き戦歴の穏健派、血が血を呼ぶ哀しみを理解していた筈……」
 量産型改造キャバリア「ロシナンテⅣ」に搭乗し、砂塵舞う戦場に立つトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)。進撃してくる敵のキャバリア部隊の陣容を確認しながら、彼の思考は本件の首謀者であるカール・バレット少将に向けられていた。
「少将を歪めた元凶を速やかに破壊せねばなりませんね」
 戦いの無益さと無情さを知る高潔な軍人を、復讐の闘争へと駆り立てたオブリビオンマシン。彼の暴走が取り返しのつかない事態を招いてしまう前に、事件を収集できる可能性があるのは、ここに居る猟兵達だけだ。

「前方に新たな敵機を確認!」
「あの機影は……まるで騎士物語の再現だな」
 王国に侵攻する「GC-04カルキノス」部隊が目にしたトリテレイアの機体は、白に紫の騎士型の外装を纏っていた。搭乗者の装備をスケールアップさせた剣と盾を両手に構えたその姿は、まさに「キャバリア(騎士)」の名に相応しい。
「見栄えに怯むな。フォーメーションを組め、一斉に仕掛けるぞ」
 対して無骨なブリキ人形のようなフォルムをした「カルキノス」は、しかし兵士としては洗練された動作で【マシンガンアタック】を仕掛ける。RSマシンガンによる掃射突撃と友軍機との連携攻撃は、数の利を活かした量産機ならではの戦い方と言えるだろう。

「突撃戦法ですか…それは私の領分でもありますよ」
 電子頭脳の演算力を活かした瞬間思考によって、敵部隊の挙動の意図を即座に見切ったトリテレイアは、攻撃の狙いを絞らせぬようにスラスターを吹かしながら高速移動する。
 搭乗者とキャバリアを直結させ制御システムに随時ハッキングを行うことで、ロシナンテⅣはトリテレイアの操縦にダイレクトに追従する。その外観に違わず耐久性と運動性を重視した機体は、同サイズのキャバリアと比較しても驚異的な機動力で戦場を駆ける。
「くっ、素早いやつ……!」
 派手にスラスタから炎を噴き出しながら前線へ飛び込んでいく【機械騎士の突撃】は、敵部隊の注目を引きつけるのに十分なもの。しかしどれだけ激しい銃弾の雨を浴びせられても騎士の大盾は砕かれず、照準も合わせられぬまま敵機は隊列をかき乱されるばかり。

「今度はこちらの番です」
 疾走するロシナンテⅣの頭部と肩部から格納銃器が展開され、サブアームに保持された二丁のRSライフルと同時に火を噴く。乱れ撃たれる弾幕は、カルキノスのコックピットブロック等の重要部位を避けて、マシンガンや腕部のマニピュレータを的確に撃ち抜いた。
 そのままトリテレイアは武器を落とした敵機に肉迫すると、センサーにて見抜いた装甲の継ぎ目を狙って剣を振り下ろす。
「やはりキャバリアとは良き物ですね。得手の接近戦を行えるのですから!」
 目的達成のための手段は選ばないが、やはり正面切っての白兵の戦いこそは騎士の華。
 戦機の怪力と剣技をフィードバックされた騎士の"愛馬"は、瞬く間に敵機を解体した。

「ご無事ですか?」
「あ、あぁ……何だか、悪い夢を見ていたみたいだ……」
 機能停止したキャバリアのコックピットから這い出してきた敵のパイロットは、ひどく青ざめた顔をしている。オブリビオンマシンの洗脳が解けたことで、自分達のしでかした事の重大性にようやく理解が及んだのだろう。
「はっ……そうだ、他の部隊は?! 後方の部隊には俺の親友が……!」
「大丈夫です、砲撃機に搭乗した皆様の縁者もお救いいたします」
 別部隊に配属された縁者の安否が気に掛かる者には、心配ないと力強い口調で答え。
 無血のまま敵部隊を制圧したトリテレイアは、次の目標に向けてキャバリアを駆る。
 彼らに狂気を植え付けた元凶たるマシンを破壊するまで、この戦いに終わりはない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリステル・ブルー
●WIZ/アドリブその他◎
必要なら味方と共闘やサポート、情報共有、人手足りない場所に積極的に向かうよ

機械と戦うのは他の人がやってくれそうだから…パイロットの救出、護衛や誘導かな
一応機体のレンタル手続きだけはしておくね、今回は生身で動くけど
使い魔のユールに偵察をお願いするよ、頼んだよ

使わない方が良いけど万一に備えて回復UCを準備しておく
パイロットは全力で可能な限り救っていくよ
今ならまだ間に合う…なら全力で事件を阻止したいよね
少なくとも2つの国で戦争がなくなるかもしれない機会を潰されるなんて許せないよ

見つかりたくないけど戦闘するなら、パイロットかばいながらオーラ防御と激痛耐性でふんばりたいところ



 王国と共和国の国境線付近を戦場として、激戦を繰り広げる猟兵と共和国の侵攻部隊。
 だが、戦争とは前線で戦う兵士達だけのものではない、多くの猟兵が華々しい戦果を挙げる裏で、各々の得意分野を活かして戦闘以外の重要な働きをする猟兵達もいた。

「機械と戦うのは他の人がやってくれそうだから……パイロットの救出、護衛や誘導かな」
 そうした猟兵の1人、アリステル・ブルー(果てなき青を望む・f27826)は、戦闘が終わった後の戦地を巡り歩き、取り残されたパイロットの確認と救助活動に専念していた。
 一応、彼もキャバリアのレンタル手続きだけはしているが、あんな大きな機体で戦場をうろついても目立つだけである。ゆえに彼は危険も承知で生身のまま活動を行っている。
「ユールは偵察をお願いするよ」
 頼んだよ、と彼が囁やけば、青い鳥の姿をした使い魔がチュンと一声鳴いて空を舞う。
 主人と意思疎通を行うだけの知能を持ち、視聴覚の共有も可能なこの使い魔ならば、周辺の安全確認や要救助者の捜索にはうってつけだろう。

「ううっ……痛え……」
 ユールと手分けしながらの捜索のすえ、アリステルは破壊されたキャバリアのコックピットでうずくまる兵士を発見する。どうやら撃破された際に足を負傷してしまった様だ。
 猟兵達もパイロットの殺傷はなるべく避けてはいるが、それでも戦闘である以上はこうした負傷者も出る。傷の痛みを訴えるその兵士に、人狼の青年は【癒やしの風】を送る。
「使わない方が良かったけど、万一に備えて準備しておいて正解だったよ」
 清浄なる風がパイロットを包みこみ、傷ついた身体を高速治癒する。魔法のようなその力に彼は目を丸くするが、アリステルは何でも無いことのように穏やかに微笑みながら、そっと手を差し伸べるのだった。

「立てるかい?」
「ああ……助かったよ」
 コックピットから出てきたパイロットは、傷は癒えてもまだ浮かない表情をしていた。
 それも当然だろう。オブリビオンマシンに乗っていた間の記憶は、正気に戻ってからも失われるわけではない。和平へ向かって動きだしていた二国の関係に、決定的な亀裂を入れるところだったのだ――国境線を超えた以上、もはや何も無かったでは済まされまい。
(今ならまだ間に合う……なら全力で事件を阻止したいよね)
 それでも誰も命を落とすことなく事態を収拾することができれば、最悪の事態は防げるはずだ。現地の政治的問題に介入するのは猟兵の本分からは外れるが、オブリビオンが引き起こした無辜の人命と平和の危機を、救いたいと願うのはけして間違いではない筈だ。

(少なくとも2つの国で戦争がなくなるかもしれない機会を潰されるなんて許せないよ)
 そうした決意を胸に秘めて、アリステルは人命救出のために戦場を奔走する。使用時に疲労を伴う【癒やしの風】はなるべく最低限に――疲労を厭うわけではないが、ここで自分が動けなくなれば、救助した兵士達を安全な場所に誘導する者がいなくなってしまう。
(見つかりたくないけど戦闘するなら、パイロットが逃げるまでふんばりたいところ)
 いざとなれば我が身を盾にしてでも皆を護るつもりでいるほど、彼の決意は固かった。
 魔力のオーラによる防御手段もあるとはいえ、危険な役回りだ――しかし天が味方してくれたのか、あるいは戦闘中の他の猟兵に敵の注意が引きつけられたのか。幸運にもアリステルの前に敵のキャバリアが姿を現すことは無かった。

「この辺りまで来れば、しばらくは安全だと思う。なるべく身を隠しておいて」
「分かった。恩に着るよ」
「この礼は、いつか必ず……」
 窮地を救われたパイロット達は、ほっと安堵を顔に浮かべて口々に感謝を伝える。
 アリステルはそんな彼らに微笑みかけると、すぐに踵を返して戦場に戻っていく。
 侵攻軍との戦いはまだ続いている。新たな負傷者の救助に味方との情報共有、人手が足りない場所への援護――出来ることが残っている限り、自分だけ休むつもりはなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
ただの戦争なら、あまり関わることではないと思うけど、
オブリビオンマシンが関わってるとなると、そうもいっていられないね。
相手は大部隊ってことだし、ここはこちらもしっかりと数を揃えて迎え撃たないと!

わたしは直接戦うのは得意ではないけど、猟兵さんの機体もあるだろうし、
王国の部隊の機体も相当数あると思うから、整備や調整だって重要だよね。

一番自分を生かせるところで、全力でがんばらせてもらおう。
【モーター・プリパラタ】でみんなや王国の機体を整備・調整して、しっかり戦えるように送り出そう。
あ、あと、途中の補給もかな! 作戦行動している間は動いていられるから、
とりあえず第一波を凌ぎきるまでは、がんばる、ねー!



「ただの戦争なら、あまり関わることではないと思うけど、オブリビオンマシンが関わってるとなると、そうもいっていられないね」
 骸の海から蘇り、搭乗者を破滅的な思考へと駆り立てる狂気のキャバリア、オブリビオンマシン。その脅威を理解する菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は、迫る共和国軍の侵攻を阻止すべく今回の依頼に名乗りを上げた。
「相手は大部隊ってことだし、ここはこちらもしっかりと数を揃えて迎え撃たないと!」
 用意したのは愛用のウェアラブルコンピュータやタブレット等の電子装備に、機械の修理・整備用の機材一式。ここは戦場の最前線からやや後方にあるキャバリア格納庫だ。

「わたしは直接戦うのは得意ではないけど、猟兵さんの機体もあるだろうし、王国の部隊の機体も相当数あると思うから、整備や調整だって重要だよね」
 なにも敵機を撃破するだけが戦いではない。キャバリアとて動かせば消耗もするし破壊されもする、ならば前線で戦う味方機達のサポートをするのも重要な戦いの一部である。
「一番自分を生かせるところで、全力でがんばらせてもらおう」
 【モーター・プリパラタ】――最高峰の設計・整備技術者の称号を持つ少女は、その技術を最大限に活かして、格納庫に配備されているキャバリアに整備と調整を施していく。

「うーん、この子は整備しやすくっていい機体だね」
 理緒がまず手をつけたのはレンタル用に手配された『GC-04カルキノス』。王国と共和国の双方に同型の機体が配備されていることからも分かるように、この量産機の強みは単純な構造ゆえの頑丈さとメンテナンス性の高さにあった。
「いま整えてあげるからね!」
 とはいえ長い間運用され続けていれば、どんな丈夫な機体にもガタがくる。技師としての理緒の慧眼は傷んでいるパーツを瞬時に見極め、交換と整備を同時に行う。ついでに機体のOSも電脳魔術でちょちょいと弄くり回して、反応速度や照準精度も向上させてみる。
「しっかり戦えるように送り出さないとね」
 そうして整備と調整の完了した「カルキノス」は、新品同然――否、それ以上のコンディションに仕上がっていた。オブリビオンマシン化した共和国軍の「カルキノス」と比較しても、スペックは間違いなくこちらが上。同型機ながらも有利に立ち回れるだろう。

「次は猟兵さんの機体もしっかり見ていかないとね」
 量産型の機体とは異なり、自前のキャバリアを持つ猟兵の機体はそれぞれのカスタマイズが施されていることも多く、整備も一筋縄ではいかない。理緒は機体のコンセプト等を操縦者に確認しつつ、万全な状態で彼らが戦えるように可能な限りの手立てを施す。
「あ、あと、途中の補給もかな!」
 彼女が整備に奔走している間にも、前線から味方キャバリアが戻ってくることもある。
 原理不明のスーパーロボットならまだしも、永続稼働できるキャバリアなどそうあるものではない。必要なエネルギーを補給して再び戦場へと送り出すのも彼女の仕事である。

「これは思った以上に忙しくなりそうかも」
 新たな味方が参戦し、戦闘が激化するにつれて、理緒の仕事も加速度的に増えていく。
 彼女の役割はけして華々しいものではなく、スポットライトも当たりづらい舞台裏だ。しかしその働きがあってこそ、前線のキャバリア乗りはその力を最大限発揮できている。
 整備に没頭している間の理緒は、通常の12倍の精度と速度でこれらの作業を行い、かつ不休で動き続けることができる。このユーベルコードを持つ彼女でなければ、多数のキャバリアの整備・調整・補給を全て行うことは不可能だったろう。

「作戦行動している間は動いていられるから、とりあえず第一波を凌ぎきるまでは、がんばる、ねー!」
 機械油に汚れた手で額の汗をぬぐいつつ、疲れを感じさせぬ朗らかな顔で理緒は笑う。
 整備機材や調整用のタブレットを操作する手つきに淀みはなく。前線を支えるひとつの整備工場として、彼女は自らの役割に没頭し続けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

尾守・夜野
■ワンダレイ
名前←側呼び

■行動
「復讐自体はいいんだよ
俺もやった口だし
でもやんなら
自分で望んでだろ?
責・咎も手前一人で背負うものだろう
部下を巻き込むな
それに操られて復讐して満足かよ」
吐き捨て錆鉄に乗り込もう
まぁ見ての通りのおんぼろ具合、二足と四足歩行の変形機能があった筈の機体に今現在それはない
完全に四足で固定されてんだよな…わからんから多分だが
速度も装甲も攻撃もお察したぁ涙が出るぜ
だから出来る事もあんだがよ
「弾や動きはこっちが止める!
頼んだ!」
攻撃性能低いからこそ内部の奴にダメージ行く事もねぇだろ
黒鉄で弾と呪いを撒き散らす
相手の攻撃?
爆撃に意思はねぇ
故に抵抗はない筈
駆け回りUCで止め盾となろう


ルイス・グリッド
【ワンダレイ】の皆と参加
名前←側呼び

戦争、復讐か。難しい問題だが狂気の最中にしたんじゃ意味がない
折角、前を向いていこうとしているのにこれ以上犠牲を出させないぞ
赤の災いは炎熱を齎す、燃えてしまえ

仲間が敵を止めてくれている間に俺は救助や援護に回る
強制的に脱出させられたパイロットを【早業】【救助活動】で回収、救助
その後、敵を【視力】で補足して【スナイパー】【クイックドロウ】【全力魔法】【焼却】【継続ダメージ】を使いUCで攻撃
装甲が分厚くても内部から燃やされたらどうしようもないだろう


メンカル・プルモーサ
【ワンダレイ】の皆で参加
改造装甲車【エンバール】に乗って参戦
復讐心を増幅させられてる感じ、かな…彼の誇りが曲げられるのはいただけないね…止めないと…
敵の集団の足下を走り回りながら浸透破壊術式【ベルゼブブ】より車体周囲に展開される魔法陣を介して自作のウイルスを送り込むよ…
…それも【浮かびて消える生命の残滓】により生命と人以上の知性が与えられた物を…
命令は『防壁を抜けシステムをダウンさせろ』『緊急脱出装置を作動させろ』『増殖し通信を介して感染せよ』これらを自己判断で行わせてパイロットの救出と足止めを行うよ
…ロボット相手ならこの手が効くからね…回収作業は仲間に任せて…ハッキングと攪乱に専念しよう…



 鉄と鉄がぶつかり合い、火花と硝煙の匂いを散らし、砂塵が舞うキャバリア達の戦場。
 その模様を【飛空戦艦ワンダレイ】に所属する猟兵達はそれぞれの思いで眺めていた。

「復讐心を増幅させられてる感じ、かな……彼の誇りが曲げられるのはいただけないね……止めないと……」
 改造装甲車【エンバール】の操縦席で呟いたのはメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)。オブリビオンマシンによって心を歪められた少将を慮るその言葉に、銀色のキャバリアに乗るルイス・グリッド(生者の盾・f26203)もこくりと頷く。

「戦争、復讐か。難しい問題だが狂気の最中にしたんじゃ意味がない。折角、前を向いていこうとしているのにこれ以上犠牲を出させないぞ」
 戦乱の中で芽吹きかけた平和の種を、狂気に摘み取らせはしない。"Soldato d`argento"――銀の銃兵と名付けられた彼の愛機も、その決意に応えるように駆動音を響かせる。
 そして3人目の猟兵――尾守・夜野(墓守・f05352)は、仲間の2人よりも一等暗く鋭い眼差しで、復讐の狂気に駆られた敵のオブリビオンマシン部隊を睨みつけていた。

「復讐自体はいいんだよ、俺もやった口だし。でもやんなら自分で望んでだろ?」
 吐き捨てながら乗り込むのは"錆鉄"と名付けた、どこぞの戦場に打ち捨てられていた機体。錆の浮いた装甲と歪んだフレームに修繕を施した、お世辞にも格好の良いとは言えないキャバリアだが、これがこの世界における彼の相棒。
「責・咎も手前一人で背負うものだろう。部下を巻き込むな。それに操られて復讐して満足かよ」
 マシンの狂気に憑かれた少将へ怒りの滲んだ言葉を口にし、錆びついた鉄騎が前進する。その後を追ってメンカルとルイスも各々の機体を駆って、戦いの最前線へと突入した。

「新たな敵影の接近を確認。キャバリア2、装甲車両1!」
「あれは……王国軍の雇った傭兵部隊か?」
 新手の襲来を察知した敵の『GC-04カルキノス』部隊は、統一感のない【ワンダレイ】チームの機体編成を非正規軍のものと判断したらしい。だが狂気に陥れどもプロの軍人である彼らに油断の色はなく、統率された動きでマシンガンを構え、迎撃の体制を取る。
「一機損傷したキャバリアがいるな。そこから崩すぞ」
「了解」
 敵部隊が最初の標的に選んだのは夜野が乗る"錆鉄"だった。戦力的に劣る箇所から火力を集中させて各個撃破する、常識的で理にかなった戦術だが――それゆえに読みやすい。

「まぁ見ての通りのおんぼろ具合、真っ先に狙ってくるのは当然だわな」
 獣のような四足態で駆ける"錆鉄"のコックピットでぼやく夜野。発見時相当にガタのきていたこの機体、元は二足と四足歩行の変形機能があった筈だが、今現在はそれもない。
(完全に四足で固定されてんだよな……わからんから多分だが)
 修繕したとはいえその機体性能は、はっきり言ってオブリビオンマシン化した敵の「カルキノス」にも劣る。与し易い相手だと敵部隊から侮られるのも無理からぬことだった。
「速度も装甲も攻撃もお察したぁ涙が出るぜ。だから出来る事もあんだがよ」
 それでも夜野は怯むことなく鉄火場の突入する。スペックの低さは技術とユーベルコードでカバーすればいい――自分が敵の砲火に晒されれば、その分味方は動きやすくなる。

「弾や動きはこっちが止める! 頼んだ!」
「任せて……」
 搭載火器による銃撃で応戦しながら、敵の弾幕を一手に引き受ける夜野の"錆鉄"を横目に、装甲車を走らせるのはメンカル。敵の注意はおんぼろキャバリアに向いているうえ、一見して武装を搭載していないように見える【エンバール】は、相手からの警戒も薄い。
「そう考えるのが命取りだけどね……」
 鉄巨人の足下を巧みな運転技術で走り回りながら、描くのは電子と魔力が織りなす魔法陣。車体周囲に展開されたそれがキャバリアと接触した瞬間、灰魔女謹製の浸透破壊術式【ベルゼブブ】が作動、敵機体の制御システムにウイルスを送り込む。

「なんだッ?! こんな時にエラーだと……?!」
 敵の「カルキノス」のコックピットのモニターに浮かび上がる大量の『ERROR』の表示。
 魔術師にして科学者であるメンカルの自作したウイルスは単なるプログラムの域を超え、人間以上の知性を与えられた疑似生命体と化していた。
「造られし者よ、起きよ、目覚めよ。汝は蜻蛉、汝は仮初。魔女が望むは刹那を彩る泡沫の夢」
 【浮かびて消える生命の残滓】に与えられた命令は『防壁を抜けシステムをダウンさせろ』『緊急脱出装置を作動させろ』『増殖し通信を介して感染せよ』の3つ。これらをウイルスは自己判断で実行し、敵機を機能停止させるか、あるいは搭乗中のパイロットを強制的に機体の外へ脱出させる。

「う、うわぁっ?!」
 動かなくなった鉄騎から放り出されたパイロットは、落下を予感して思わず目を瞑る。
 だが、彼が地面に激突するよりも早く、駆け込んできた銀色のキャバリアが、その手でそっとパイロットを受け止めた。
「回収成功。大丈夫か?」
「あ、あんたは……」
 オブリビオンマシンから引き離されたことで正気を取り戻したパイロットは、憑き物が落ちたような顔で"Soldato d`argento"を見上げる。その様子から無事を確認したルイスは丁寧な動作で彼を地上に下ろすと、すぐさま次の要救助対象に向かう。

(仲間が敵を止めてくれている間に、俺は救助や援護に回る)
 夜野が囮となり、メンカルが撹乱するなら、敵兵を回収・救助するのがルイスの役目。
 右腕に移植したメガリスの銀腕で操作盤に触れれば、銀の機体は彼の意のままに動く。
 ハッキングにより強制的に脱出させられたパイロットの元へ駆けつけ、戦火の巻き添えを喰らわないよう安全な場所まで移送する、その手際は迅速かつ無駄がなかった。
「た、助かったよ。ありがとう」
「なぜ俺達はこんなことを……ともかく、感謝する!」
 マシンの呪縛から救出された兵士達は口々にお礼を言うが、コックピット内のルイスはにこりともせず「戦闘が終わるまで隠れていろ」と告げるのみ。その態度は一見冷たいようでもあるが、彼の強面の裏に隠された性根はお人好しで、万が一にも犠牲者を出させまいと、救助者達のことを第一に考えていた。

「僚機が次々と誤作動を……? 敵のハッキングか!」
「このままでは不味い、ディストラクション・フェーズの使用を!」
 味方が次々と機能を停止していく中、狼狽えた敵のカルキノス部隊は、本来なら拠点攻撃に用いられる重爆撃装備で一気に戦局を覆そうと目論む。換装された砲台から放たれる爆撃はワンダレイチームの機体のみならず、救出された兵士までをも巻き込まんと――。
「させるかよ。解析開始……存在を置換、再構成を開始!」
 だがその時、爆撃の予測着弾点に駆けつけた夜野が【俺の世界】の入り口を開いた。
 "錆鉄"を中心として展開された巨大な魔法陣は、意思なき爆撃をその内部に取り込み、ダメージを現実世界から精神世界に霧散させた。

「バカなっ!? あのオンボロキャバリアに、今の攻撃を防げるはずが!」
 壊れかけの量産機体だと侮っていた相手の思わぬ隠し玉に、敵部隊は大きく動揺する。
 その隙を逃さず"錆鉄"の口内に格納された回転式多銃身散弾銃「黒鉄」が唸りを上げる。元は重なる暴発と威力不足から廃棄されていた兵器であり、カルキノスに採用された【チョバム・アーマー】を貫通するには火力の足りない豆鉄砲だが――。
「傷一つで十分だ」
「なに……ッ?!」
 撒き散らされた散弾が敵機を掠めると、その傷からじわりと錆のような呪詛が浸みる。それはまたたく間に全体に広がっていき、装甲の劣化と機体性能の低下を引き起こした。
 単純なスペックでは劣る"錆鉄"が持つ最大の武器が、接触物に伝染するこの呪詛だった。かの機体の表面に浮かぶのはただの錆でなく、可視化された夥しい呪いだったのだ。

「攻撃性能は低いからこそ、内部の奴にダメージ行く事もねぇだろ」
 トドメは任せた、と防御用の魔法陣を維持したまま後退する夜野に応じて、装甲車の中のメンカルがコンソールを叩く。感染を広げる彼女のウイルスは錆呪詛に覆われた機体群にまで到達し、中にいるパイロットを強制脱出させる。
「……ロボット相手ならこの手が効くからね……」
 回収作業を仲間に任せ、ハッキングと撹乱に専念する魔女の御業に、カルキノスのセキュリティは紙切れも同然。搭乗者を失い棒立ちとなったオブリビオンマシンに止めを刺すのは、救助活動から戻ってきたルイスの"Soldato d`argento"だ。

「銃を使わせて貰うぞ」
 銀のキャバリアがその手に構えるのは、搭乗者の魔の力を増幅し撃ち出す魔銃"Fucile magica d'argento"。目標をロックオンしたルイスの義眼が、虹色から紅蓮に色を変える。
 発動するのはメガリス「イリダセント・ウィッシュ」の力による【属性付与】。その眼に映したものに災いをもたらす力を込めて、放たれるのは炎熱の赤色弾。
「装甲が分厚くても、内部から燃やされたらどうしようもないだろう」
 狙うのはパイロットが脱出したきり開かれたままのコックピット。見事直撃した銃弾は錆びついたオブリビオンマシンを猛烈な火力で熱し、灰塵と帰すまで徹底的に焼却する。
 もの言わぬ鉄騎が焼け落ちていく音は、まるで獣の断末魔の叫びのようにも聞こえた。

 かくして敵部隊の1つを壊滅させたワンダレイの面々は、すぐに次の作戦行動に移る。
 途切れることのないかに思えた敵軍の第一波にも、徐々に終わりが見え始めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月代・十六夜
そのUC、相手がキャバリアに乗ってなければ効果が十二分に発揮できないと見たぜ。
いやどっちにしろ乗る気は最初から無いんだけど。
攻撃せずに時間稼ぎする気しか無ければ非戦闘行為(抗弁)
マシンガンの掃射を【縦横無尽】で【見切り】ながら接近して相手コクピットに【韋駄天足】の要領の【ジャンプ】で機体にとりつく。
ここまで接近しちまえば同士討ちが怖くてそうそう射撃はできまい!
そのまま居合で攻撃する【フェイント】を入れながら相手の迎撃行動を誘発させながら【時間稼ぎ】。
まわりから飛んでくる味方の攻撃も紙一重に避けながら囮になるぜ。



「敵の第二波が来そうなのはあっちのほうかね」
 各方面で猟兵と共和国軍が激戦を繰り広げるなかで、月代・十六夜(韋駄天足・f10620)はひとり戦場の奥深くまで先行していた。キャバリアに乗らずとも生身でそれ以上の敏捷性を発揮できる彼は、敵軍の目を引くことなくここまで進むことができたのだ。
「む……貴様、王国軍の斥候か!」
 だが、それもここまで。敵陣深くまで踏み込むにつれて敵の警戒も強くなり、ついに十数機の鉄騎が彼の周りを取り囲む。量産型キャバリアと言えども分厚く覆われた【チョバム・アーマー】を貫通できるような攻撃手段を、彼は持ち合わせてはいない。

(まあそもそも攻撃する気なんてまったく無いんだけど)
 常人であればキャバリアに発見された時点で死を覚悟すべき状況。しかし十六夜は余裕の表情のまま――敵キャバリアの銃口が向けられるより速く、一瞬で射線上から逃れる。
「なッ?!」
 およそ人間とは思えない脚力と反応速度。驚愕した敵はマシンガンのトリガーを引き続けながら照準を補正しようとするが、ばら撒かれる弾丸はひとつとして十六夜を掠めることもない。

「そのユーベルコード、相手がキャバリアに乗ってなければ効果が十二分に発揮できないと見たぜ」
 十六夜は敵機が装甲に劣る相手との戦いを有利に運ぶ技術を身に着けているのを察していた。だが彼らの戦術はこの世界の戦場――キャバリア同士の戦いに最適化されたものであり、キャバリアに乗らずにキャバリアと戦える個人との戦闘は想定外であった。
(いやどっちにしろ乗る気は最初から無いんだけど)
 共和国軍にとって未知となるタイプの敵である彼は、己の身体と研ぎ澄まされた五感のみを頼みとし、掃射を避ける最適機動を導き出しながら【縦横無尽】に戦場を駆け巡る。
 狼狽する敵の動きを完全に見切ったところで、稲妻のような速さで急接近。巨体を見上げるような位置から【韋駄天足】で跳び上がると、相手コックピットの上に取りついた。

「ここまで接近しちまえば同士討ちが怖くてそうそう射撃はできまい!」
「ぐ……おのれッ」
 マシンガンの射程の内側に入り込んできた相手にパイロットは歯ぎしりし、周囲にいる味方機も射撃を止めざるを得なくなる。そのまま十六夜は腰から下げたサムライブレイド「型無」に手を当て、居合抜きの構えを取る。
「くっ!」
 ここまで驚異的な能力で銃弾すら避けてきた彼がどんな攻撃を繰り出すのかと、警戒した敵は咄嗟に鋼鉄の拳を握って迎撃行動を取るが――しかし、それはフェイントだった。

「ほい残念」
「ごぁッ?!」
 居合で攻撃すると見せかけてひょいと飛び退いた十六夜。彼を叩き落とそうと振るわれたカルキノスの拳は自らを殴りつけることになり、もんどり打ってその場に倒れ込んだ。
 十六夜のサムライブレイドには最初から柄と鞘しかない。彼は最初から攻撃するつもりなど毛頭なく、徹頭徹尾敵の足止めと時間稼ぎをする気しかなかったのだ。
「俺一人に手こずってる間に、もう時間切れだぜ」
 見れば彼の後方から土埃を上げて、幾つもの人影やキャバリアがこちらに迫ってくる。
 他の戦線を突破した猟兵達が、残存する敵機を倒しながらここまでやってきたのだ。

「他の部隊は……全滅?! バカな、ありえん!」
「現実を受け止めろよ、もう勝ち目はないぜ」
 驚愕する敵部隊の前で十六夜が不敵に笑った直後、周囲から味方の攻撃が開始される。
 味方と合流しても彼のやることは変わらない。敵味方問わず全ての攻撃を紙一重で避けながら、ギリギリまで敵機に張り付いて囮に徹する。
「く、くそ……バレット少将、申し訳ありません……」
 たった一人の青年に翻弄され続けた鉄騎達は、無念の言葉を残して、完全に沈黙した。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ギムレウス』

POW   :    砲撃モード
自身の【背部大型キャノン砲】を【砲撃モード】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
SPD   :    メタルファング
自身の身体部位ひとつを【機械で出来たワニ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    接近阻害地雷敷設
自身からレベルm半径内の無機物を【対キャバリア地雷】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:逢須 かた丸

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 王国との国境線付近を戦場として、侵攻する共和国軍の第一波を無事撃退した猟兵達。
 オブリビオンマシンに乗っていた敵パイロットも全員救助に成功しており、怪我人はいても命に別状のある者はいない。少なくとも緒戦はパーフェクトな結果と言えるだろう。

 だが、これはまだ侵攻軍にとっては敵をキルゾーンに誘引するための囮に過ぎない。
 第一波を凌ぎきった猟兵達の前に姿を現したのは、背中に巨大な砲台を搭載した無骨なキャバリアの部隊だった。

「敵を射程距離内に補足……ギムレウス部隊、いつでも攻撃可能です」

 長距離支援型キャバリア『ギムレウス』。量産型らしい丈夫さとメンテナンス性を売りにした『GC-04カルキノス』とは異なり、こちらの機体の長所は一目で分かる長射程と高火力にある。欠点としては鈍足だが、それを補って余りあるほどに、背部大型キャノン砲による一斉砲撃は脅威だ。

『諸君の友人、家族、恋人は立派に役目を果たした。次は諸君の番だ』

 既にギムレウス部隊は猟兵達を砲撃するための位置取りと陣地構築を完了させている。
 その時、彼らに向けて入った通信は、この事件の首謀者にして侵攻軍の総指揮官――カール・バレット少将からだった。

『王国はこれまでも我らの愛おしいものを奪い続けてきた。諸君らの胸に燃える憎しみの炎が、キャバリアの放つ砲火が、奴らに裁きをもたらす地獄の業火となるのだ』

 冷徹な憎悪に染まった彼の声に衝き動かされるように、兵士達は操縦桿を握り締める。
 愛しい者は死んだと思い込まされ、マシンキャバリアの狂気に取り込まれつつある彼らを救おうと思うのなら、悠長にしている時間は無いだろう。

 憎悪に取り憑かれた「ギムレウス」部隊による、共和国軍の攻勢の第二波が始まる。
 彼らを制するための力を、あるいは言葉を携えて、猟兵達は再び戦場に出撃する。
フレミア・レイブラッド
随分と重装甲・大火力な相手ね。
でも、その分、動きは鈍重ね。

1章に引き続き、鷲獅子に騎乗。
確かに、その背中の巨砲なら【念動力】の防御膜も破られそうね。
でも、甘いわ。そんな動きで鷲獅子が捉えられるかしら?
それに、強力な火砲でも、(魔力弾で)迎撃すれば意味が無いのよ【属性攻撃、高速詠唱、全力魔法、誘導弾】

地雷は空中進み対処。
砲撃は回避または迎撃して接近し、爆裂の魔力弾で砲身を破壊。
1章同様、空中から【極寒の風】や【凍てつく息吹】で凍結させるか、【魅了の魔眼・快】で操縦者を魅了して(脱出させ)行動不能にするわ。

兵士を眷属にする気はないけど…残ったキャバリアは使えるのかしら?
使えそうなら持ち帰っても?



「随分と重装甲・大火力な相手ね」
 氷雪の鷲獅子に乗って共和国軍の第一波を退けたフレミアは、出現した第二波の『ギムレウス』部隊を見やる。『GC-04カルキノス』と同等かそれ以上の装甲、そして大火力のキャノン砲。なるほど侵攻軍が本命とするだけのことはある、強力なキャバリア部隊だ。
「でも、その分、動きは鈍重ね」
 長所も短所も丸分かりな機体に、彼女はふっと笑みを浮かべて。鷲獅子の首元にそっと手を当てると、白銀の翼は矢のように翔け、砲撃陣地を敷いた敵部隊の元に迫っていく。

「来るそ。対空砲撃、用意!」
 空翔ける鷲獅子を捉えたギムレウス部隊は、その幻想的な姿にも動揺することなく機体を砲撃モードに移行する。搭載された背部大型キャノン砲、その砲口がフレミアを狙う。
「確かに、その背中の巨砲なら念動力の防御膜も破られそうね。でも、甘いわ。そんな動きで鷲獅子が捉えられるかしら?」
 余裕の笑みを崩さぬままに鷲獅子を駆るフレミア。その機動はただ速いだけではなく、飛行機やキャバリアとは根本的に動きを異にする。訓練の標的とはまるで違う縦横無尽の挙動に敵兵は戸惑い、なかなか照準を合わせることができない。

「それに、強力な火砲でも、迎撃すれば意味が無いのよ」
 やっと敵が鷲獅子に狙いを付けだした頃には、フレミアは既に術の詠唱を終えている。
 轟音と共に火を噴くキャノン砲。それに応じて彼女が放った炎の魔力弾は、中空で砲弾と激突し、炸裂――花火のような爆発を次々と起こしながらも、本人はまったくの無傷。
「なんだと……っ?!」
 爆煙を突き抜けて近付いてくる鷲獅子と吸血姫の姿を確認した敵のパイロットは、コックピットの中で思わず瞠目する。あのサイズで、それも生身で、機動力だけでなく火力もキャバリアと同等以上のものを持っているとは、この世界の一般人には想像もつくまい。

「近付いてしまえば、あとの対処は前の敵と一緒ね」
 本来ならば障害となるはずだった【接近阻害地雷敷設】地帯も空を進めば問題はなく。
 悠々と敵部隊の真上まで接近したフレミアは、まずは敵のキャノン砲目掛けて爆裂の魔力弾を放つ。砲口に飛び込み内部で爆ぜる炎と衝撃が、完膚なきまでに砲身を破壊した。
「ッ……! 背部キャノン砲大破、砲撃不能……!?」
 最大の武器を破壊された敵が動揺する間もなく、再び戦場を席巻するのは【極寒の風】と【凍てつく息吹】。退けられた第一波のカルキノス部隊と同様、このギムレウスも鷲獅子が起こす氷雪の嵐によって凍結していく。

「さあ、そこから出てきなさい……あなたはもう、わたしのトリコ♪」
 仕上げとしてフレミアが使ったのは【魅了の魔眼・快】。強烈な快楽を伴う魅了の魔力が、彼女の視界を通じて戦場にいるパイロット達に伝播し――それはオブリビオンマシンがもたらす洗脳以上の効果をもって彼らの心を虜にした。
「ああ……なんて美しいんだ……」
「降伏です! 降伏させて下さい!」
 自らの手でコックピットのハッチを開き、武装を捨てて投降するパイロット達。動かす者を脱出させてしまえば、まだ凍っていないオブリビオンマシンも全て行動不能になる。

「兵士を眷属にする気はないけど……残ったキャバリアは使えるのかしら?」
 フレミアは魅了した兵士をひとまず安全なところへ退避させながら、置き去りにされたギムレウスを見る。大砲以外に大きな損傷はなく、凍結が溶ければまだ十分動きそうだ。
 猟兵の中にはオブリビオンマシンを強固な意志と力で乗りこなし、敢えて自らの乗機とする者もいる。敵機の鹵獲や回収を咎める者も特にいない――彼女は自らの手で仕留めた鉄騎から状態の良いものを見繕うと、それを自身の居城に持ち帰ることにしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

獅子戸・玲桜奈
何が裁きだ笑わせんじゃねえ!これ以上戦えば無意味に犠牲が出るだけだって判らねえ訳じゃねえだろ!
ギムレウスに乗ってる奴らに大声で第一波の奴らの生存と伝言を伝えるぜ。それでもやるってんなら付き合ってやる。

ギムレウスの砲撃をジャンプして回避。そのまま敵陣に吶喊するぜ!
空中から敵陣に降り立つついでに敵を踏みつけて一体潰す。そのまま肉弾戦に移行するぜ。
ご自慢のキャノン砲も接近しちまえば自由には撃てねえだろ?大人しく殴られな!

決めるぜ!バーニングソウルで棺桶マシンどもをぶっ壊す!
お前らを必ず助けるって約束してんだよ!だから俺は絶ッッッ対に負けねえ!
……家族が心配してんぜ?早く会いに行って安心させてやんな。



「何が裁きだ笑わせんじゃねえ! これ以上戦えば無意味に犠牲が出るだけだって判らねえ訳じゃねえだろ!」
 烈火の如き怒りを叫びながら、赤きキャバリア"フレイムウィング"を駆るは玲桜奈。
 彼女には許せない。復讐に取り憑かれて徒に戦火を拡大させる輩も、それを煽り立てるオブリビオンマシンも。元は彼らとて平和と隣人を愛する者だというなら、なおさらに。
「聞け! お前らの大切な奴らは無事だ! 俺達は1人だって殺しちゃいない!」
 戦場中に響き渡るような大声で、玲桜奈は第一波の連中の生存を新たな部隊に伝える。
 カルキノス部隊は全滅したとの報を受けていたギムレウス部隊は、その言葉を鵜呑みにこそしなかったものの――機体の挙動に動揺が浮かんだのを彼女は見逃さなかった。

「我々を惑わそうとしても無駄だ。貴様ら敵に情けをかける理由など……」
「嘘じゃねえ! あいつらも言ってたぞ、こんな戦いは無意味だってな!」
 【砲撃モード】に移行した敵機の砲口を向けられても動じずに、玲桜奈は救出したパイロットからの伝言を伝える。見ず知らずの自分の言うことが信じられなくとも、オブリビオンマシンの呪縛から解放された縁者達からの言葉なら届くだろう。
「王国の連中は好きじゃない、けど戦って大切な人が死ぬのはもっと嫌だって、あいつらは確かにそう言った! お前らも本当は同じ気持ちなんじゃないのかよ!」
 家族や友人に傷ついて欲しくないという、当たり前の願い。自らの熱意も込めてそれを訴える玲桜奈からの伝言は、マシンがもたらす狂気すら超えて人々の心に突き刺さった。

「それでもやるってんなら付き合ってやる」
 紅蓮の機体に闘志を漲らせ、雄々しく仁王立ちする"フレイムウィング"を前にして、敵部隊はもはや平静ではいられなかった。比較的洗脳の弱かった者はすでに戦意を失い、項垂れるように砲身を下げている。
「お……俺は、もう……」
「ええい、何を弱気になっている!」
 その有様に部隊長と思しき機体が業を煮やして叫ぶと、キャノン砲のトリガーを引く。
 ズドンと腹に響く砲声とともに、唸りを上げて飛来する砲弾。しかし玲桜奈の操る機体はサイズに見合わぬジャンプ力でひらりと砲撃を回避すると、そのまま敵陣に吶喊した。

「まずは一体!」
「ぐがッ?!」
 空中から敵陣に降り立つついでに着地点にいた敵を踏みつければ、神機の重量と落下速度をモロに食らった機体は頭部をひしゃげて沈黙する。そのまま玲桜奈の"フレイムウィング"は拳に炎を纏い、荒々しい肉弾戦へと移行する。
「ご自慢のキャノン砲も接近しちまえば自由には撃てねえだろ? 大人しく殴られな!」
 ギムレウスは長距離支援に性能を偏らせているぶん、近接戦闘においては弱みを露呈させる。鈍重な機体では攻撃を避けることもできず、分厚い装甲も炎の打撃の前では意味を成さない。敵は連携すらまともに取れぬまま神機の拳を受けて続々と殴り倒されていく。

「決めるぜ! 覚悟しろよ棺桶マシンども!」
 トドメとばかりに放つは【バーニングソウル】。玲桜奈の荒ぶる魂に共鳴した"フレイムウィング"が炎を纏い、まさに人機一体となり猛烈なスピードで突進する。其は立ちはだかる全てを突破する炎神の進撃、たかが量産機のオブリビオンマシンに止められるものか。
「な、なんだこれはッ?! たった一機のキャバリアにこんな出力が……!!!?」
「お前らを必ず助けるって約束してんだよ! だから俺は絶ッッッ対に負けねえ!」
 豪ッ! と裂帛の気迫を漲らせて敵陣を駆け抜ける"フレイムウィング"の背後で、敵のキャバリア部隊が爆散する。爆発の寸前にコックピットの脱出装置が作動したことで、搭乗していたパイロットは全員無事だ。

「……家族が心配してんぜ? 早く会いに行って安心させてやんな」
 玲桜奈はパイロット達に背を向けたまま、救助された兵士達が避難した方角を指差す。
 破滅の狂気はマシン諸共焼き尽くされ、我に返ったパイロットは口々に感謝を伝えた。
「あと少しで家族に顔向けのできない事をするところだった……ありがとう」
「いいさ。気にすんなよ、約束を果たしただけだ」
 背中越しにひらひらと手を振って答えながら、玲桜奈は休むことなく次の敵に向かう。
 今はただ前だけを向いて突き進むのみ。人々を狂気に駆り立てたすべての元凶は、きっとこの先にいるはずだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

次の目標はあちらか…
憎悪と狂気に全てが呑まれる前に、彼らを止めなくてはな

パワードスーツを一時的にパージ
身軽になったら敵の一団にダッシュで接近
鈍足ならば接近も容易いな
そのままジャンプで敵機に取り付いたらカメラと回線をハッキング
マッキナ・シトロンに動画で保存した兵士達の無事な姿を回線を通して周辺の敵機のモニターに映す
愛する者達の無事な姿を見せて言葉を聞かせれば一時的に動揺を見せるはずだ

その後はUCを発動
地上の、更に量産機であれば気密性も薄いであろう機内に即効性の睡眠ガスとなって侵入し周辺のパイロットを無力化する
その後は動きが止まった機体から彼らを救出する

誰一人として死なせはしないさ


菫宮・理緒
長距離砲あいてには、超長距離砲でお相手するよ。
キャバリアは苦手だけど、わたしには【ネルトリンゲン】があるからね!
空母で出撃して、前線での拠点と避難所になりたいと思うよ。

【モーフィング換装】で射程を5倍にして、移動力を半分に。
飛べる速度は飛行船程度しかだせないけど、5倍射程の【砲撃】なら相手のレンジ外からいけるはず!

あまり精密な射撃はできないかもだけど、攻撃は相手の足元を狙っていきたいと思うよ。
コクピットは避けて、倒しきらないように気をつけないとね!

同時に【ハッキング】と【ジャミング】も使って、相手の照準を妨害していけたらいちばんかな。
「センサー全部、目隠しさせてもらっちゃう、よー」



「次の目標はあちらか……」
 共和国軍の第一波を退けたキリカは、息つく間もなく現れた敵の第二波を遠目に見る。
 長距離支援型キャバリア「ギムレウス」により編成された砲撃部隊。彼らの放つ一斉砲火はたちまち戦場を火の海に変え、敵も味方も民間人もなく一切を破壊し尽くすだろう。
「憎悪と狂気に全てが呑まれる前に、彼らを止めなくてはな」
 オブリビオンマシンがもたらす破滅思想などのせいで、彼らの未来を血に染まらせるわけにはいかない。表情を引き締めながら前に進むと、敵のキャノン砲がこちらを向いた。

「長距離砲あいてには、超長距離砲でお相手するよ」
 一方、味方が前線に押し上げるのに合わせて、格納庫から戦場に姿を現したのは理緒。
 彼女が乗るのは鋼鉄の騎士ではなく、ゆっくりと空中を航行する巨大な母艦であった。
「キャバリアは苦手だけど、わたしには【ネルトリンゲン】があるからね!」
 正式名称はミネルヴァ級戦闘空母【ネルトリンゲン】。普段はボトルシップとして収納され、必要に応じて宇宙、海上、空中など、戦場を選ばず運用可能な万能型空母である。

「今回はこれでいこう!」
 理緒はその"ネルトリンゲン"に【モーフィング換装】を行い、移動力を犠牲にして搭載火器の射程を拡張する。これで飛行速度は飛行船と同程度しか出せなくなるが、艦砲の射程は実に5倍にまで跳ね上がる。
「これなら相手のレンジ外からいけるはず!」
 長距離支援機である敵の「ギムレウス」のお株を奪う超長距離砲撃。敵が陣地を敷いた場所に、戦闘空母の砲台が遥か遠方から狙いをつけ――ブリッジに立つ少女がコンソール代わりのタブレットをピピッと操作すると、鼓膜を突き破るような砲声が空に轟いた。

「な――――ッ!!?」
 音速を超える速さで撃ち出された砲弾は、理緒の狙い通り陣地のど真ん中に着弾した。
 派手に巻き上げられる土砂と衝撃波、遠雷のごとく空から響き渡る砲声は、猟兵側にも支援砲撃の用意があることをギムレウス部隊に知らしめるには十分だった。
「あまり精密な射撃はできないかもだけど、なるべく相手の足元を狙ってー」
 理緒は第一射の結果から即座に諸元を修正すると、立て続けに第二射、第三射を放つ。
 反撃を行おうにも彼女の母艦は空のはるか彼方。いくらギムレウスのキャノン砲でも、撃ち返すにはいささか遠すぎる距離だ。

「支援砲撃か。ありがたい」
 砲撃により敵陣が混乱しているのを見たキリカは、装着中の「Conquérant」の装甲を一時的にパージ。インナーのバトルスーツのみの身軽な格好となって戦場を全力疾走する。
「鈍足ならば接近も容易いな」
 本来ならば近付かれる前に迎え撃つための砲撃陣地だったのだろうが、その目論見は理緒の超長距離砲撃によって誤算が生じた。その隙に乗じて近付けば敵からの迎撃は驚くほど少なく、まばらに飛来する砲弾程度ならば、キリカの運動能力なら容易に避けられる。

「クッ。照準が……!」
 生身のサイズでキャバリア以上の機動性をみせるキリカに、敵兵はなかなか狙いを付けられない。しかも先程からセンサーにノイズやエラーが幾つも発生しており、キャバリアの照準機能は実質意味を為していなかった。
「センサー全部、目隠しさせてもらっちゃう、よー」
 その様子を上空から見下ろすのは理緒。彼女は支援砲撃と同時に敵機体にハッキングとジャミングを仕掛け、相手の照準を妨害していたのだ。優れたメカニックであり電脳魔術士でもある彼女には、異世界の兵器であろうとこの程度の工作は取るに容易いこと。

「――掴まえたぞ」
 理緒が目眩ましをしている間に、敵陣に接近したキリカはジャンプで敵機に取り付く。
 そのままマシンブレスベルト「マッキナ・シトロン」を使って、敵機のカメラと回線をハッキング。回線を通じて周辺にいる敵機全てのモニターに、あるデータを表示させる。
(愛する者達の無事な姿を見せて、言葉を聞かせれば一時的に動揺を見せるはずだ)
 それは先刻、彼女が助け出した兵士達の様子を保存した動画。死んだと思い込まされていた家族や友人達が元気な姿で、戦いを止めろと訴えかけてくる――それは狂気に取り憑かれていたパイロット達の心を大きく揺さぶった。

『もうやめてくれ! こんな事おかしいよ!』
『俺達だって本当は、戦いなんて望んじゃいなかった……!』
「こ……これは……ッ?!」
 眼前に突きつけられた事実とオブリビオンマシンによる洗脳がぶつかり合い、パイロットの思考が停止する。一時的にでも敵の動きが止まれば、その機を逃す猟兵達ではない。
「コクピットは避けて、倒しきらないように気をつけないとね!」
 理緒のレンジ外からの超長距離砲撃が、ギムレウスの脚部を粉砕し転倒させる。そこにキリカが【プワゾン】を発動、自らの身体の一部を毒霧に変化させ、戦場に拡散させた。
「地上の、更に量産機であれば気密性も薄いだろう」
 即効性の睡眠ガスとなったキリカの霧は機体の隙間からコックピット内まで充満し、乗っていたパイロットをたちまち無力化する。眠りに落ちた兵士達の表情はみな、これまでの憎しみや悲しみに満ちた表情とは異なり、とても穏やかなものだった。

「誰一人として死なせはしないさ」
 本来ならば甘く芳しい死をもたらす毒霧も、今は安らかな眠りをもたらす無害なもの。
 傷つけることなく敵の一団を制圧したキリカは、動きを止めた機体のハッチをこじ開け兵士達を救出する。丁度そこに飛んできた"ネルトリンゲン"の理緒から通信が入った。
「助けた兵士さんたちは、わたしのほうで保護する、よー」
「ああ、そちらの艦内にいれば彼らも安全だろう」
 理緒が今回の戦いに空母を持ち出したのは砲台としてだけでなく、自らの艦を前線での拠点と避難所にするためでもあった。艦内には兵士を収容するための十分なスペースがあり、キャバリアを始めとするマシンの収容・整備を行うための設備もある。

「では私は次の目標に向かう」
「うん。後方支援は任せてね」
 通信を終えたキリカは次なる敵の陣地へと移動を始め、兵士を収容した理緒の戦闘空母は再び浮上する。経験を積んだ熟練の戦場傭兵と手厚いバックアップ、このふたつが揃っている限り、いかなる戦場であろうとも彼女達に敗北の二文字はあり得ないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カビパン・カピパン
ここはノワールヴェルト共和国の別の司令部。

「我らが総指揮官。バレット少将は敵国の卑劣なる暗殺によりお隠れになられた。…しかし、少将の闘魂は我らと共にある!今後は諸君らの揮官はバレット少将の祖父の兄の娘のイトコの叔父の孫にあたる子の私、カビィ少尉が執る!」

圧倒的な存在感と威厳で周囲に自分が総大将たるハッタリを認めさせる。
「不服があるのならば去れ、総指揮官に相応しくないと思うなら代わってみせよ。少将の闘魂が共にある限り私は負けぬ!」
兵士たちの中には涙を流している者もいる。

「従軍聖職者でもある私がレクイエムを捧げる。清聴せよ」
また世にも恐ろしい音痴鎮魂歌で内部から色んな意味でやられて正気に戻った。



「ギムレウス部隊の状況はどうなっている?」
「それが……劣勢です。敵部隊の戦力は我々の予測を超えています」
「ええい、泣き言を言うな! このままでは総指揮官殿に申し開きもできんぞ!」
 ここはノワールヴェルト共和国軍の司令部。戦況の把握と指揮にあたる将校達は、猟兵という未知の戦力の介入に混乱していた。囮部隊の『GC-04カルキノス』が撃破されるのまでは想定内でも、まさか本命となる『ギムレウス』部隊までもが苦戦を強いられるとは。

「傾注せよ!」

 そこにのこのことやって来――もとい堂々と姿を現したのはあのカビパン少尉である。
 別の司令部から追い出されたはずが、性懲りもなく場所を変えて戻ってきた彼女は、何だコイツはという一同からの冷たい視線にも負けずにキリッとした表情で話し始めた。
「我らが総指揮官。バレット少将は敵国の卑劣なる暗殺によりお隠れになられた」
「「な、なんだってーーー!!?!」」
 いきなりの爆弾発言に騒然となる司令部。もちろんそのような事実があるはずもない。
 少し調べればすぐに分かるようなウソを、彼女は自らの存在感とカリスマ性で場の空気を掌握することで、事実かもしれないという疑念と不安を植え付けることに成功した。

「……しかし、少将の闘魂は我らと共にある!」
 居合わせた将校や兵士達がショックから立ち直れないうちに、カビパンはなおも畳み掛ける。威厳ある振る舞いで語られる言葉には、内容如何によらず一定の説得力が宿る。そして彼女はそういった雰囲気とノリで物事をゴリ押しするのがいやに上手かった。
「今後は諸君らの揮官はバレット少将の祖父の兄の娘のイトコの叔父の孫にあたる子の私、カビィ少尉が執る!」
 それってもはや他人では、というツッコミを入れられる冷静さを保っていた人間は、その頃には誰もいなかった。ほとんど与太話同然のハッタリを、なぜか誰も聞き流せない。

「不服があるのならば去れ、総指揮官に相応しくないと思うなら代わってみせよ。少将の闘魂が共にある限り私は負けぬ!」
 謎の自信に満ちたカビパンが群衆を睨めつけると、目があった将校達がたじろぐ。階級では少尉よりも上となる者でも例外はなく、一般兵士の中には涙を流している者もいた。
 異を唱えられるような者は1人もいない。圧倒的な存在感と威厳を武器に、とうとう彼女は自分が総大将たるハッタリを周囲に認めさせてしまった。

「従軍聖職者でもある私がレクイエムを捧げる。清聴せよ」
 新指揮官カビィ少尉が着任して最初に命じたことは、マイクと通信危機の準備だった。
 総大将直々に死せる兵士への鎮魂歌を歌うとあれば、耳を傾けないわけにもいかない。
 前線にいるギムレウス部隊への回線もオープンとなり、何百という将兵の注目が集まる中で、再び【カビパンリサイタル】が開催され――。

「ねぇ~むれぇ~↑ ねぇ~むれぇ~↓ は~は~の~てぇ~で~↑↓」

 世にも恐ろしい音痴鎮魂歌を聞かされた兵士は、カルキノス部隊と同じ末路を辿った。
 すなわち内部から色んな意味でやられ、悶え苦しんでからなんやかんや正気に戻った。
「な、なんじゃこりゃあああああ?!」
「こんなモン死人だって目が覚めるわ!」
「つーか冷静に考えたらお前が総大将ってあり得ないだろう!」
 すっかり雰囲気に呑まれていた将兵も我に返り、またも司令部を追放されるカビパン。
 もはや嫌がらせのようにしか思えないが、その行動(主にリサイタル)が共和国軍に与えるダメージが少なくはないのもまた事実なのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

白峰・歌音
今攻撃を仕掛けたら、自分たちで自分の大切な人を殺してしまう……!それだけは止めないと!

相棒に乗って空中を【ダッシュ】して砲撃や(あれば)浮遊してくる地雷を【第六感】も頼りにしながら【見切り】回避して敵陣に一気に飛び込み、
前線で戦った人はみんな生きている事を叫んで伝え
「言葉だけ鵜呑みにするだけじゃなくて、しっかり見て自分で判断しろよ!」
「今攻撃すれば、向こうの人だけじゃなくて、自分たちの大事な人を自分たちが攻撃してしまうんだぞ!」
と【情熱】を込めて説得するぜ!
それでも聞かない奴が砲撃しようとしていたら
「この……分からず屋がー!!」
とUCの暴風の一撃で押し倒して戦闘不能にするぜ!

アドリブ・共闘OK



「今攻撃を仕掛けたら、自分たちで自分の大切な人を殺してしまう……!」
 空飛ぶ箒の「相棒」に乗って戦場を翔ける歌音の顔には、焦りと必死さが滲んでいた。
 戦場にはまだオブリビオンマシンから救出された兵士達がいる。もし『ギムレウス』部隊が無差別砲撃を開始すれば、被害を受けるのは猟兵だけではなく彼らにも及ぶだろう。
「それだけは止めないと!」
 一刻も早くパイロット達を正気に戻すために、少しでも敵部隊に近付こうとする歌音。
 しかしマシンに洗脳された兵士はそんな彼女の思いを知るよしもなく、迎撃のためにキャノン砲を向ける。

「見慣れない飛行装置を使っているようだが、所詮は生身だ」
 放たれる大型キャノンの砲撃は、命中すれば標的を撃墜するに足る威力を秘めている。
 しかし相棒に乗る歌音のスピードは敵パイロットの予測を上回るほどに速く。研ぎ澄まされた第六感も頼りに攻撃がくるタイミングを予測して、砲火の雨をくぐり抜けていく。
「そうだ、オレを狙え……!」
 空中にいる自分に気を取られているうちは、少なくとも地上にいる避難民が狙われることはない。もちろん歌音とてただ囮に徹しているつもりはなく、砲撃と再装填の間に生じる隙を見切ると、一気に敵陣の内部まで飛び込んだ。

「聞いてくれ! 前線で戦ってたお前たちの仲間はみんな生きている!」
「なんだと……!?」
 居並ぶ鋼鉄の騎士達の前で、歌音はありったけの大声で叫ぶ。死んだと思っていただろう彼らの大切な者は実は生きていて、今はこちら側の味方が保護しているという事実を。
「バカな……バレット少将からは、前線のカルキノス隊は全滅したと……」
「言葉だけ鵜呑みにするだけじゃなくて、しっかり見て自分で判断しろよ!」
 戸惑うパイロットを一喝して、救出した兵士達のいる場所をびしっと指差す。長距離砲撃用のギムレウスのセンサーなら、この距離でもギリギリ彼らの姿を捉えられるだろう。

「あ……あそこにいるのは……親父……?」
「俺のダチもいるぞ……生きている……」
 憎悪と復讐心に目の曇っていたパイロットは、ようやくそこに誰がいたのかを知った。
 我が目を疑うようにカメラアイを見開いたまま硬直するギムレウス部隊。彼らが何をしようとしていたのかを、歌音が改めて言葉にして突きつける。
「今攻撃すれば、向こうの人だけじゃなくて、自分たちの大事な人を自分たちが攻撃してしまうんだぞ!」
 それはもう復讐でも何でもない、本当に大切にすべきものさえ見失ったただの暴走だ。
 お前たちは本当にそれでいいのかと、情熱を込めて訴えかける少女の説得は、ハンマーで殴りつけたようにパイロット達の心を打った。

「お……俺達は、なんてバカなことを……」
 1人、また1人と、戦意を喪失したパイロットがコックピットから出てくる。多くの者は歌音の呼びかけでオブリビオンマシンの洗脳から脱したようだが、マシンの呪縛に深く囚われた者の中にはそれでも戦闘を続行しようとする者もいた。
「これは敵の偽装工作だ……いや、仮に真実だとしても……死んでいった者達の無念を晴らすために、王国は滅ぼさなくてはならない……!!」
 ドス黒い怨念のオーラがギムレウスの機体からほとばしり、その周囲から敷設されていた対キャバリア地雷が浮かび上がる。これ以上は言葉も通じないと察した歌音は、意を決して浮遊地雷の中をくぐり抜けると、忌まわしきオブリビオンマシンに肉迫し――。

「この……分からず屋がー!!」

 姦し春乙女、情熱の夏乙女、華やかな秋乙女、憂いし冬乙女。四季の風乙女の力を集いて放つ【フォーブリーズ・ロンド・サイクロン】の暴風がギムレウスに叩きつけられる。
 今まさに砲撃モードに移行せんとしていた機体は、その一撃で勢いよく押し倒され、ズシンと地面に沈んだきり起き上がってくることは無かった。

「まだやろうってヤツがいるなら、オレが相手だ!」
 重厚なキャバリアを一撃で戦闘不能にする実力を見せつければ、もはや戦意の残っている者はいない。倒した敵のパイロットは気絶しているようだが、命に別状はないだろう。
 どうやら最悪の事態は未然に阻止できたようだと、歌音は握っていた拳を開き、ほっと胸を撫で下ろすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雛菊・璃奈
これは…遠距離で戦うとあの火砲の分、不利だね…。
借りて来た機体じゃ、近づく前に吹き飛ばされそう…でも。
重装甲でパワーはありそうだけど…その火砲が最大の武器であり、弱点だよ…。

敵部隊の背面の火砲を絡めとる様に呪力の縛鎖を展開し、地面に縫い止めて動きを封じ、照準を合わせさせない様にして接近…。
当らない火砲なら怖くないしね…。

借りたカルキノスの手に魔剣を顕現させ、【神滅】を発動…。
敵機体のオブリビオンとしての核と狂気を破壊…。
神滅には防御も物理的な装甲も関係無い…。
兵士達を解放して貰うよ…!

安心して、先発部隊の人達はみんな無事…誰も死んでないよ…。
今ならまだ間に合う…大切な人と一緒に、生きて…。



「これは……遠距離で戦うとあの火砲の分、不利だね……」
 新たに出現した敵部隊『ギムレウス』の大型キャノン砲を見て、璃奈は眉をひそめた。
 鈍重さと引き換えに長距離砲撃にスペックを割いたあの機体と、同じ土俵で戦うのは下策だろう。さりとて接近戦を挑もうにも容易には近付けさせてはくれまい。
「借りて来た機体じゃ、近づく前に吹き飛ばされそう……でも」
 策はある、といった表情で璃奈が操縦桿を握ると、借りうけたカルキノスが前進する。
 向かうは敵部隊の砲撃陣地。当然、接近に気付かれた瞬間に敵のキャノン砲がこちらに向けられるが、その刹那に彼女はコックピットの中から呪術を発動させた。

「重装甲でパワーはありそうだけど……その火砲が最大の武器であり、弱点だよ……」
 【砲撃モード】に移行したギムレウス部隊の足元の影から、呪力の縛鎖が展開される。
 それは彼らの背部に搭載された大型キャノン砲を絡めとるように巻き付き、照準を璃奈のカルキノスに合わせられないよう地面に縫い止めた。
「装填完了、発射……ぐッ?!」
 今まさにトリガーを引こうとしていたパイロットと機体は、砲身に引っ張られる形で強引に姿勢を変えさせられ。轟音と共に放たれた砲弾は、何もいない空中を貫いていった。

「当らない火砲なら怖くないしね……」
 砲撃の妨害と同時に動きを封じてみせた璃奈は、その隙にギムレウス部隊に接近する。
 白兵戦が可能な距離まで近付くことさえできれば、そこから先は彼女の間合い。コックピットから呪力を集中させると、搭乗するカルキノスの手に一振りの魔剣が顕現する。
「神をも滅ぼす呪殺の刃……あらゆる敵に滅びを……」
 その構えは【妖刀魔剣術・神滅】。魔剣に籠められた莫大な呪力を纏ったカルキノスは、本来の機体性能からはあり得ないほどの速度で大地を駆け、神速の一閃を繰り出した。

「な――――ッ!!!?」
 ギムレウスに乗る兵士からは、璃奈の乗るカルキノスの動きがまったく見えなかった。
 味方にも同型機がいるからこそ分かる、スペックを超えた運動能力と反射速度。条理を超えるユーベルコードの力を込めた一撃は、鋼鉄の砲兵を一刀両断に――しない。
「これは力の根源や宿した力のみを斬る技……」
 幻のように鉄騎の装甲をすり抜けた呪殺の刃は、敵機体のオブリビオンマシンたる所以、すなわちオブリビオンとしての核と狂気のみを破壊し、それ以外には傷一つ付けない。
 機体はもちろんのこと、中にいるパイロットも無傷のまま。傍目には何も変わっていないが、そこに在るのはもう二度と動かない、コアの停止したキャバリアの残骸であった。

「神滅には防御も物理的な装甲も関係無い……。兵士達を解放して貰うよ……!」
 機体の鈍重さを感じさせない動きで、敵陣にて大立ち回りを見せる璃奈のカルキノス。
 その魔剣に斬り伏せられた悪しきキャバリアは、機械の断末魔を上げて機能停止する。
 ほどなくして彼女の周囲から戦闘可能な機体は一機もいなくなり、倒れたギムレウスのコックピットから正気に戻った兵士達がはい出してきた。

「あんたが、俺達を助けてくれたのか……そうだ、他のみんなは?!」
「安心して、先発部隊の人達はみんな無事……誰も死んでないよ……」
 兵士達を安心させるように穏やかな口調で璃奈は語る。すでに猟兵の手で助け出されたカルキノス部隊の兵士は、戦いに巻き込まれないよう安全な場所に避難しているはずだ。
「今ならまだ間に合う……大切な人と一緒に、生きて……」
 その言葉は、かつて大切な家族をオブリビオンの侵攻により失った少女の、心からの願いでもあった。彼女の気持ちが胸に響いたのか、兵士達は「本当にありがとう」「この恩は忘れない」と感謝の想いを伝えながら、大切な人達のもとに向かって走り去っていく。
 最後までそれを見届けてから、璃奈は再びキャバリアを起動させる。この戦場に満ちる憎しみと怨嗟と悲しみの感情――その全ての元凶を絶ち斬るために。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クリミネル・ルプス(サポート)
関西弁の元気な肉体武闘派人狼。
人狼の身体能力と鍛えた格闘技で戦う。
痛み等の耐性用いての潰し合い上等。
体内に蓄積させた糖原物質を使用した搦め手も使う。
周囲(空間、物質)の匂いからの状況把握推察も可能。

基本は『生き残る事』だが、オブリビオンは許さない姿勢。
特に命や尊厳を踏み躙る系統には本性(真の姿など)が出る。
【ネタ、絡み、合わせなど歓迎です】
【肌の露出やエッチな事には羞恥心はあまり無い。彼氏持ちで一線は超えさせない】

・真の姿時
身体能力の向上と体の変化。
戦闘思考が先立ち、やや、残忍(確実にトドメ刺す)


ノエル・フィッシャー(サポート)
『例え全ては救えずとも、誰一人として見捨てはしない』

・経験値が欲しいから、雑な扱いでもいいので採用してくれると嬉しいな。
・【コミュ力】を有効活用出来そうな状況ならば、それを使うよ。なくても目的達成のために最善を尽くすよ。
・ユーベルコードは所持してるものからいい感じのを使うよ。
・他の猟兵との絡みも歓迎だよ。共闘するのなら、ボクは補助に回して構わないよ。彼が技能を使用するのなら、ボクも同じ技能でサポートするよ。
・もし男なのか女なのか問われたら「見ての通り」と答えるよ。モニターの前のキミにも、だよ。
・他の猟兵に迷惑をかける行為、公序良俗に反する行動はしないよ。

あとはお任せ。好きに使ってね。



「例え全ては救えずとも、誰一人として見捨てはしない」
「基本ウチは生き残る事優先やけど、それでもアイツらは許せへんな」
 パイロットを破滅的な思考に狂わせ、終わりなき闘争に駆り立てるオブリビオンマシン。命と尊厳を踏みにじる邪悪な兵器から人々を救うために、駆けつけた猟兵が2人いた。
 ノエル・フィッシャー(呪いの名は『王子様』・f19578)とクリミネル・ルプス(人狼のバーバリアン・f02572)。復讐の狂気に取り憑かれた長距離砲撃型キャバリア『ギムレウス』との戦線に降り立った彼女達は、状況を判断するとすぐさま行動を開始した。

「まずはアイツらに近付かないことにはどうにもならへんな」
「幸い向こうの動きは鈍重なようだし、接近さえすれば勝機はあるね」
 格闘技で鍛えられた人狼の肉体を頼みとするクリミネルは、砲撃を受けることも覚悟の上で真っ向から敵の陣地に向かっていく。それを見たノエルは彼女を援護すべく【王子様、時空を駆ける】を発動、過去の自分と未来の自分を召喚して前線に突入させる。
「復讐のために敵を滅ぼし尽くすまで戦うなんて、そんなの間違ってる!」
「彼らも戦いで大切な人を失う悲しみや痛みを知っているはずなのに……」
 過去のノエルは理不尽な未来に怒り、未来のノエルは理不尽な過去に悲しむ。対照的なふたりの「ノエル」は簡素な拵えの無銘の剣を手に、運命を革めるために立ち上がる。

「敵の歩兵がこちらに接近してきます! 数は3……いえ、後方にもう1人!」
「たったそれだけの人数で何ができるつもりだ……? 砲撃をお見舞いしてやれ!」
 猟兵達の接近に気付いた敵部隊は【砲撃モード】に移行したギムレウスの背部大型キャノン砲の照準を合わせ、一斉攻撃を開始する。大地を揺るがすほどの砲声が響き渡り、超音速の砲弾が雨あられと降り注ぐ。
「ウチの身体能力、舐めてもらったら困るで!」
 クリミネルは鍛えぬいた人狼の運動性をフルに活かし、砲火の嵐をくぐり抜けていく。
 避けきれない砲弾はウォーハンマー『巨人の手』で打ち返し、さもなくば無骨なバトルアックスで叩き斬る。キャバリアにも乗らず純然たる肉体の力のみで道を切り開いていく様は、まさにバーバリアンと呼ぶにふさわしい。

「あとちょっと……っ!?」
 だが。あと一息で敵に肉迫するかに見えたその時、彼女の足元から突如爆発が起きる。
 【接近阻害地雷敷設】により事前に仕掛けられた、対キャバリア地雷が炸裂したのだ。
「ハハハ! バカめ、木っ端微塵だ―――」
 勝ち誇ったような笑みを浮かべながら、モニターで爆発地点を確認するパイロット達。
 だが――爆煙の中からぬうっと銀髪の人狼が姿を現した時、彼らの笑いは凍りついた。

「潰し合い上等。今度はこっちの番や!」
 爆発で傷だらけになりながらも、凄絶な笑みを浮かべて敵機体に取り付くクリミネル。
 その様子はまるで痛みなど感じていないかのようで。武器を放り捨てた彼女がその五体より繰り出すのは【我流闘法-絡みの型-】。
「極めたら、折れ! 相手の心ごと!」
 キャバリアの造形は基本的に人型である。ならば関節技等の極め技も有効ということ。
 少々図体が大きいくらいのことは何の問題にもならない。クリミネルの両腕の筋肉が隆起し、メキメキと音を立ててギムレウスの脚部関節がへし折れていく。

「こ、こんな事が……ッ?!」
 生身の人間が巨大人型ロボットの関節を極めるという、人智を超えた所業に兵士達は愕然とするが、それは間違いなく現実だった。そのままクリミネルは近くにいるキャバリアの関節を次々と極めていき、パイロットを傷つけることなく敵機を戦闘不能にしていく。
「援護するつもりが逆に助けられたね」
「ボクたちもここから挽回しないと」
 そこに少々遅れて駆けつけたのは過去と未来のふたりのノエル。クリミネルの大立ち回りのお陰で、"彼ら"は砲撃や地雷の被害を最小限に留めつつ敵陣に近付くことができた。

「キャバリアのパイロットの人、聞こえるかな? ボクらはキミを助けにきたんだ」
 四肢を折られたキャバリアの前で、ノエルはよく通る声と芝居がかった振る舞いで話しかける。足運びから指先を動かす仕草、微笑みの作り方まで洗練された"彼"の所作は、砂塵舞う戦場においても曇らぬ輝きを放っていた。
「キミたちの大切な人は無事だ。ボクらの仲間が保護している」
「どうか戦うのを止めて。思い出して欲しい、キミ達はなぜ兵士になったのか」
 後方にて待機している現在のノエルの言葉を、過去と未来のノエルが切々と訴える。
 兵士達はどうしてか"彼ら"の言葉に耳を傾けてしまう。何者にも無視できない驚異的なコミュ力の高さこそが、ノエルの持つ最大の技術であった。

「キミたちは誰かを殺すためじゃない、護るために兵士になったんじゃないのかい!」
「そう……だ。俺達は……なぜ、復讐なんか……」
 兵士達の心に響いたノエルの説得は、彼らをオブリビオンマシンの呪縛から解放する。
 我に返った人々は滂沱の涙を零しながら、自らの意志でキャバリアを降り、降伏した。
 ――かくしてクリミネルとノエルは誰一人として傷つけることなく、オブリビオンマシンに囚われた人々を救い出すことに成功したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

月代・十六夜
基本的にこの手の砲撃機体は高性能な観測装置が付き物だが…砲にもあるし、全体的に見える赤い奴かな?
と【情報収集】しながら狙われないように単独行動で近づいていく。
はい、ということで近づきましたら箱から取り出しましたるは、昔の依頼で使った割と使う事があるペンキ缶(UDC製)の余り~♪
遠距離砲撃と至近距離迎撃の装甲変形噛み付き、更に地上からの機体の迎撃の地雷。噛み付きが届かない距離の滞空が安全だな。
【スカイステッパー】で機体の間を跳び回りながら見えるセンサー目掛けてペンキをぶっかけろ!
機体を直接ぶつけてくるようなら【カウンター】でペンキぶっかけながら【韋駄天足】で離脱すればいいだけだから簡単だな!



(基本的にこの手の砲撃機体は高性能な観測装置が付き物だが……)
 猟兵と共和国軍が激戦を続ける最中、十六夜は狙われないように身を隠しながら単独で敵部隊の陣地に近付いていた。敵味方の戦闘音や舞い上がる砂塵はいい具合の隠れ蓑となり、敵のキャバリアはまだ誰も彼のことに気付いていない。
(砲にもあるし、全体的に見える赤い奴かな?)
 双眼鏡いらずの並外れた視力をもって観察するのは、敵機体の"目"となるセンサー系の配置。大砲構えた相手とバカ正直に撃ち合ってやる必要はない、ようは撃てないように目を塞いでしまえば勝ったも同然なのだ。

「はい、ということで取り出しましたるは、昔の依頼で使ったペンキ缶の余り~♪」
 十六夜が腰からぶら下げた謎の箱をいじくると、中からぽんと円筒形の缶が出てくる。
 UDCアースでならどこでも市販されているような、ごく普通のペンキ缶である。しかしこれが割と他の機会でも使うことがあり、今回も常備していたというわけだ。
「んじゃ、行きますかねっと」
 とん、と軽く地面を蹴って跳び上がると、【スカイステッパー】で空中を足場にして。
 剣でも銃でもなくペンキ缶を持った謎の韋駄天男は猛スピードで敵機に近付いていく。

「……っ?! こいつ、いつの間にこんな所まで!」
「敷設した地雷は作動しなかったのか?!」
 相手からすれば突然現れたかに見える十六夜の奇襲は、敵部隊に少なからぬ動揺を与えた。陣地の内側にまで踏み込まれては、長射程を誇る大砲は逆にお荷物となってしまう。
(遠距離砲撃と至近距離迎撃の装甲変形噛み付き、更に地上からの機体の迎撃の地雷。噛み付きが届かない距離の滞空が安全だな)
 事前の観察から敵武装のリーチの隙間となる距離感を把握していた十六夜は、近付きすぎず離れすぎずの間合いを保つように心掛けて機体の間を跳び回る。そして風のようにすれ違いざま、見えているセンサー目掛けてペンキ缶の中身をぶっかけた。

「ほらよっと!」
「しまった?!」
 センサーの視界をペンキで塗り潰された機体のパイロットは、コックピットの中で焦りを露わにする。長距離砲撃が行えなければ『ギムレウス』という機体はただ鈍重なだけの量産キャバリアに成り下がり、強みの9割までもが喪失すると言っても過言ではない。
「目を瞑ったまま撃ったって当たらないだろ。さっさと降参したほうがいいぜ?」
 十六夜はニヤリと笑いながらペンキをぶちまけて回り、付近にいた機体を次々と視界不良にしていく。別に全てのセンサーを塞がなくともある程度塗りつぶせば命中精度は大幅に下がるだろうし、そうすればあとは味方の猟兵がなんとでもするだろう。

「こいつ、いい加減にしろよ……!」
 ただのペンキと歩兵1人にキャバリアが無力化されるなど、あってはならないことだ。
 怒りに震えるギムレウスのパイロットは、機体を直接ぶつけて敵を叩き落とそうとするが――そんな悔し紛れの雑な攻撃が十六夜に当たるはずもなく。
「まったく簡単な仕事だったな!」
 ひょいと空中で体勢を変えて体当たりを躱しざま、残っていた缶の中身をぶっかけて。
 ペンキ塗れになった機体の上に足をつくと【韋駄天足】で一気に離脱。弾丸のような疾さで遠ざかっていく彼の後を追える者も、狙い撃てる者も、ここには誰もいなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
生存者の声を届け混乱させるのも手ですが…
欺瞞工作だと徹底抗戦の意思持つ一群がいますね
真正面から打ち破る他ありません

キャバリアサイズUC構えメイン推力として低空突撃
機体各部サブスラスター用いた●推力移動でバレルロール
横移動織り交ぜ砲撃回避
Gや機体制御…常識外れの戦闘機動は自機ハッキング直結●操縦と●瞬間思考力で●限界突破した機体制御で実現

陣地突入し一機●串刺し
中央まで押しやり乱戦開始
鈍足機体●踏みつけ飛び移りながら剣や盾でオーバーフレーム破壊
同士討ち厭わぬ敵の挙動を動体センサーの●情報収集で●見切り頭部格納銃器旋回、●スナイパー射撃で砲破壊

さて、皆様の帰還をお待ちしている方々がいらっしゃいますよ



「生存者の声を届け混乱させるのも手ですが……欺瞞工作だと徹底抗戦の意思持つ一群がいますね」
 騎士型キャバリア"ロシナンテⅣ"のコックピットから戦況把握に努めていたトリテレイアは、味方の説得により投降する敵がいる一方で、なおも強く抵抗する者達に気付く。
 オブリビオンマシンによるパイロットの洗脳にも個人差があるのだろう。首謀者であるバレット少将の憎しみや復讐心に強く共感"してしまった"者達――終わりなき怨恨の業火に身を投じようとしている彼らを止める手段はもはや一つしかない。
「真正面から打ち破る他ありません」
 キャバリア用にサイズアップされた【艦船強襲用超大型突撃機械槍】の推進機を点火し、機械仕掛けの騎士は低空飛行で敵陣に突撃する。待ち受ける敵の『ギムレウス』部隊、その最大の武器である大型キャノン砲が彼の"愛馬"に向けられた。

「我らは最後の一機となろうとも、少将の命令を遂行する! 撃てェーーーッ!!!」
 部隊長と思しき機体の号令一下、【砲撃モード】に移行したギムレウスの一斉砲撃が始まる。移動力を犠牲にして増強された火力は、耐久性に優れた"ロシナンテⅣ"でも直撃を受けるのは得策ではないだろう。
「しかし発射地点の特定された固定砲台ならば、避けるのは難しくはありません」
 トリテレイアは突撃槍の推進機をメイン推力としつつ、機体各部に搭載したサブスラスターを用いて螺旋を描くように機動する。航空機ではバレルロールと呼ばれるマニューバの一種で、高度を変えないまま左右に大きく位置をずらし、飛来する砲弾を回避する。

「躱しただとッ?!」
 装備次第で飛行能力を付与できるとはいえキャバリアは戦闘機とは違う。にも関わらず高度なマニューバを成し遂げてみせたトリテレイアの技量に、敵パイロットは驚愕する。
 常識外れの戦闘機動を実現したのは、強烈なGに耐えるウォーマシンのボディと、操縦者の瞬間思考力をダイレクトに反映する直結操縦による、限界を超えた機体制御だった。
「暴れ馬ならぬ暴れ槍ですが……御してみせましょう」
 ともすれば振り切られそうな機械槍の推力を完璧にコントロールし、降りしきる砲火の嵐の中を翔け抜ける"ロシナンテⅣ"。彼我の間にあった距離をまたたく間に詰めきった騎士は、陣地突入と同時に前方にいたキャバリアの一機を串刺しにした。

「ぐおおぉぉぉぉッ?!」
 重量機であるギムレウスが、白き騎士機の推力に負けて押しやられていく。敵機を貫いたまま敵陣中央まで突き進んだところで、ようやく"ロシナンテⅣ"の突進は止まった。
「これでもう砲撃は不可能でしょう。乱戦なら此方の得意分野です」
「くっ……舐めるなッ! たった一機でこの数に敵うとでも……」
 喚き散らす敵機を踏みつけにして跳び上がりながら、トリテレイアは役目を終えた突撃槍に代わって剣と盾を構える。敵は同士討ちすら厭わぬ構えで襲い掛かってくるが、彼に搭載された動体センサーはその挙動の全てを見切っている。
「ご安心を。命を取るつもりはありません」
 敵機を足場に戦場を飛び移りながら、振るわれる剣は敵機のコックピットを避けて上半身のオーバーフレームのみを破壊する。第一波との戦いでも示された"ロシナンテⅣ"の運動性の高さは、鈍重なギムレウスには追随することさえ困難であった。

「クソッ! かくなる上は同志達よ、許せ……!」
「……それだけはさせるわけには参りません」
 味方を巻き込むのも承知で再び砲撃モードに移行するギムレウス。だがその寸前に"ロシナンテⅣ"頭部に格納された銃器が旋回し、正確に放たれた銃弾がキャノン砲を破壊する。
 乱戦状態に持ち込んだ時点で、すでにトリテレイアの勝利は決まっていた。ほどなくして戦場に立っていたのは、彼が操縦する白に紫の騎士型キャバリア、ただ一機であった。

「さて、皆様の帰還をお待ちしている方々がいらっしゃいますよ」
 戦闘終了後、トリテレイアは破壊したギムレウスのパイロット達を救出し、安全な避難場所を伝える。そこには先の戦闘で救出されたカルキノスのパイロット達もいるはずだ。
「早くあの方達に、無事な姿を見せてさしあげて下さい」
「ああ……何から何まで、本当にすまない。感謝する」
 深きオブリビオンマシンの呪縛から解放された兵士達は、まだ顔色が優れない様子だったが、それでもしっかりとした足取りで避難していく。これであの人々も無事に大切な人と再会できると思うと、機械仕掛けの騎士は少しだけ肩の荷が下りた気がするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
ワンダレイのみんなと合流するよ。
いや、ちょっと先走ってたあははは…

ふう、オブビリオンマシンのせいにしないよ。
絶対あの指揮官…キャバリアから引きずり出してぶん殴る。

でもまあ、まずはこの戦場だね。
さて、忌々しい殲禍炎剣に狙われない低空を『滑空』『推力移動』して戦場を駆け抜けるよ。『空中戦』は得意でね。

レーダーユニットで『索敵』『情報収集』っと。
味方に敵のデータを送信。うん、ボクはこっちの方面を受け持った。

チェンジマイズ・トリル。砲戦フレームβに換装して『範囲攻撃』『制圧射撃』で機体だけを破壊するよ さっきの索敵で敵機のコックピットや動力の位置も把握したからね。
仲間への『援護射撃』も忘れずに…っと


ルイス・グリッド
【ワンダレイ】の皆と出撃
呼び方は前章同様
AIは女性の声で敬語

国全体で復讐に走れば泥沼化するなんて普通なら分かるだろうに、酷い話だ
俺は遠距離の防御と足止めをする
思い通りになると思うなよ

味方がくれた情報を基に戦闘
黄の災いの感電【マヒ攻撃】と藍の災いの圧壊【重量攻撃】をUCで付与した弾丸を【スナイパー】【クイックドロウ】【全力魔法】【鎧無視攻撃】を使い撃ち込み足止め
自分の機体のAIに【情報収集】して貰い攻撃動作があるようなら圧壊の弾丸を【スナイパー】【クイックドロウ】で放ち砲撃と相殺させる


メンカル・プルモーサ
引き続き【ワンダレイ】で参加
エンバールは通信機能をONにして救助者の近くに停めておき、箒に乗って参戦
ふーむ……上手く誤魔化してるな…ま、やりようは有る…
【我が身転ずる電子の精】を発動…右上半身を変換…地表すれすれを飛んで敵機体へ接近…緩急を付けた飛行で砲撃や噛みつきを回避…
…貰ったデータを元に機体を右目で「見て」誰が乗っているかを確認…通信機を介してその身内を呼び出し…
右手で通信信号を「掴んで」強引に機体に接続することで機体との通信経路を繋げ、身内の声を届けるよ…
身内の説得が効いて正気にもどったなら避難をしてもらい
そうじゃないなら制御システムを千切ってシステムダウンさせて次へと向かうとしよう…


尾守・夜野
■ワンダレイ
名前←側呼び

■行動
演説にきれる
真に復讐遂げようとしてると見えねぇから
「仇討ちなら国を出るのが筋だろう
巻き込まねぇ為
最悪己が首一つにで手打ちにする為
何まだ国民で英雄ですって顔してんの?復讐鬼が
手前の勝手で戦禍広げ国民の誰かが同じ目に合うかもしれんのに
裁き?
己が道理を通す為だろうが
国を死者を言い訳にすんな!」

言う言葉は俺も当てはまる
というか美談になどされちゃ困る

煽るが機動が低いのも射程も見切られてる…
軽く威嚇射撃され前と同じUCで防ぎ膠着状態に
奴さん地雷の奥に引き籠るつもりなようだ
ならこうだ
味方を巻き込める範囲にいれば敵を、居らずば適当な石を敵に見立て選択UC発動
強化を重ねていこう



 侵攻する共和国軍の第一波を退けた【ワンダレイ】の面々は、続く第二波の『ギムレウス』部隊を攻略するための作戦を練っていた。敵の陣地を見やるルイス、メンカル、夜野の元に、別行動を取っていたユーリーも加わって、ここからは4人での作戦行動だ。
「いや、ちょっと先走ってたあははは……ちょっと雰囲気重くない?」
 照れ笑いしながら頬をかくユーリーは、その場にただようピリピリした空気に気付く。
 それにメンカルが無言のままついっと指差した先には、目に見えるような怒りのオーラを滾らせた夜野がいた。

「仇討ちなら国を出るのが筋だろう。巻き込まねぇ為、最悪己が首一つにで手打ちにする為。何まだ国民で英雄ですって顔してんの? 復讐鬼が」
 自らも復讐者であったが故に、夜野は敵の首謀者・バレット少将の演説にキレていた。
 それは少将の言動が復讐者としての筋をあまりに違えたもの、真に復讐を遂げようとしているようには到底見えなかったからだ。
「手前の勝手で戦禍広げ国民の誰かが同じ目に合うかもしれんのに、裁き? 己が道理を通す為だろうが、国を死者を言い訳にすんな!」
 "錆鉄"のコックピットから吐き捨てるように叫んだ言葉は彼自身にも突き刺さる。そもそも美談になどされても困る。彼は収まらない激情を叩きつけずにいられないだけだ。

「国全体で復讐に走れば泥沼化するなんて普通なら分かるだろうに、酷い話だ」
 そんな夜野の怒りを見ていたルイスも、静かに語りながらこくりと頷く。あの少将とやらが望んだ復讐戦に待っているのはただの地獄だ、それを見過ごす理由などあるものか。
「ふう、オブビリオンマシンのせいにしないよ。絶対あの指揮官……キャバリアから引きずり出してぶん殴る」
 そしてユーリーも夜野ほど感情的ではないものの、少将の行為には憤りを感じていた。
 愛機"レスヴァント"のコックピットから見据える敵の砲撃陣地。侵攻軍の総指揮官であるカール・バレットは、間違いなくあの先にいる。

「でもまあ、まずはこの戦場だね」
 ユーリーの言葉通り、少将の元に辿り着くまでの最大の障害が『ギムレウス』部隊。長距離支援に特化した敵部隊はワンダレイ一同の接近に気付くと、直ちに砲撃を開始する。
 その破壊力は先ほど戦った『カルキノス』の火力を遥かに上回る。夜野が前と同じように【俺の世界】を展開して砲弾の雨から味方を守るが、それ以上の前進は困難であった。
「機動が低いのも射程も見切られてる……奴さん地雷の奥に引き籠るつもりなようだ」
 強引に砲火をくぐり抜けて接近しようにも【接近阻害地雷敷設】により敷かれた対キャバリア地雷もある。煽るように散弾を撃ってもまるで意に介さず陣地から威嚇砲撃を続けてくる敵部隊に、夜野はどうしたものかと思案を巡らせる。

「それならボクが先行するよ」
 魔法陣による守護の傘から真っ先に飛び出したのはユーリーの"レスヴァント"。飛行用装備「RX-Bソニックウイング」を装着した彼女の機体は今回のメンバーの中でも高い機動性を誇り、敷設された近接阻害用の地雷も気にせず空から敵に近付くことができる。
「空中戦は得意でね」
 忌々しい殲禍炎剣に狙われない低空を滑るように、ツインエンジンから推力を噴き上げ戦場を翔け巡るユーリー。陣地にいる敵からもその機影は見えているはずだが、鳥のように軽やかで鋭い機動を捉えきることができず、彼女を狙った砲撃は全て空を切った。

「まずは索敵と情報収集っと」
 砲火の嵐の中を悠々と飛び回りながら、ユーリーは周囲に浮遊させたレーダーユニット「アマテラス」による情報分析を実行。高所から見えた敵部隊の布陣や機体を調べあげると、後方にいる味方にデータを送信する。
「うん、ボクはこっちの方面を受け持った」
 そして自らが担当するエリアを決めると「みんなよろしく!」と檄を飛ばしてから先に進んでいく。そして彼女から受け取った情報を元に、残るメンバー達も行動を開始した。

「俺は遠距離の防御と足止めをする」
 銀の魔銃を構えた"Soldato d`argento"に狙撃姿勢を取らせ、敵陣に狙い定めるのはルイス。相手は遠距離攻撃をよほど得意としているようだが、それは彼とて負けてはいない。
「思い通りになると思うなよ」
 いつまでも好き勝手に撃たれてやるつもりはないと、メガリスの義眼を黄と藍のグラデーションに輝かせ。【属性付与】を行ったキャバリアの魔銃に、感電と圧潰の力が宿る。
 敵の配置はユーリーがくれた情報で分かる。放たれた弾丸は雷光の矢となって敵陣に到達すると、砲撃体勢を取っていた敵機体を見事に撃ち抜いた。

「な……ッ、撃ち返されただと!? この距離から!?」
 災いの弾丸を受けたギムレウスのオーバーフレームが圧潰し、ほとばしる電流が操縦システムをマヒさせる。棺桶と化したコックピットの中で、敵パイロットは目を丸くした。
 目標を視認できてさえいれば、属性付与された魔銃の有効射程は7000メートル近くに達する。アウトレンジからの一方的な砲撃というギムレウスの優位はこれで失われた。
「"Minerva"、敵機の情報収集を頼む」
『了解しました』
 ルイスは機体に宿る戦闘補助AIに敵の分析を任せながら、再び魔銃のトリガーを引く。
 黄と藍に染まった弾丸の雨が、針に糸を通すような精度で敵に災いをもたらしていく。

「今のうちに……」
 ユーリーの撹乱とルイスの狙撃により敵部隊の動きが乱れている隙を突いて、ひっそりとメンカルが敵陣に迫る。第一波との戦闘で乗っていた【エンバール】は救助者の近くに停めて置いてきたので、今の彼女は飛行式箒【リントブルム】に乗っての参戦である。
 地雷原の上を音もなく飛び越え、砲撃陣地に侵入した彼女を待っていたのは鋼鉄の巨人。いかに砲撃戦に特化したギムレウスと言えど近距離武装のひとつくらいは持っている。
「1人でのこのこと、何のつもりかは知らんが……!」
 機械鰐の頭部に変形した腕で、空飛ぶ魔女を食い千切ろうとする敵部隊。しかしメンカルはふわりふわりと緩急を付けた動きで地表すれすれを飛び回り、舞い踊る蝶のように【メタルファング】をすり抜けた。

「我が体よ、変われ、集え。我は掌握、我は電霊。魔女が望むは電網手繰る陽陰」
 メンカルは敵の攻撃を躱しながら【我が身転ずる電子の精】を発動し、自らの右上半身を粒子の集合体に変える。この状態に変異した彼女は、周囲にある電子的なデータや信号を直接見て、聞いて、触れることが可能になる。
「ふーむ……上手く誤魔化してるな……ま、やりようは有る……」
 ユーリーから貰ったデータを元に、対面する敵の機体を粒子化した右目で"見る"。先程ハッキングした『カルキノス』に比べればセキュリティは強固だが、それでも彼女にとっては少々手間が増える程度のこと――コックピットに誰が乗っているかも丸分かりだ。

「聞こえる……? 今からあなたのお父さんと通信を繋ぐから……」
『えっ、まだ戦闘中では……一体どうやって?』
 メンカルは続いて後方待機中のエンバールに通信を繋ぎ、目の前にいる敵パイロットの身内を呼び出す。オブリビオンマシンに取り憑かれた人間を正気に戻そうとするなら、伝言よりも直接身内に話してもらったほうが効果はあるだろう。
「こうやって……」
 粒子化した右手で通信信号を"掴んで"敵機体に接続させる。本来必要となる様々な障害やプロセスをすっ飛ばした強引な手法だが、確かにエンバールとの通信経路は繋がった。

『父さん……父さん、聞こえる……?』
「なっ……その声は……ジャック?!」
 通信機から聞こえてきた家族の声に、そのパイロットは驚きのあまり戦闘を停止する。
 死んだとばかり思っていた身内の声。夢か何かの工作ではないかと疑うが、それがニセモノでないことは他ならぬ彼自身の耳がよく分かっているだろう。
『父さん、もう止めてくれよ……こんな戦いに意味なんてない……!』
 オブリビオンマシンの呪縛を身を以て知る者は、大切な人を救おうと懸命に説得する。
 その言葉は果たしてパイロットの心にも届いたらしいと、メンカルは感じ取っていた。
「正気にもどったなら避難してて……」
「わかった……すまない……!」
 我に返った兵士はオブリビオンマシンから脱出すると、脇目も振らず戦線を離脱する。
 僚機からすれば敵前逃亡としか見えないだろうが、残されたギムレウス部隊にそれを咎めている余裕はなかった。

「チェンジマイズ・トリル。オーバーフレーム強制排除!!」
 混乱する敵陣の真上から、天翔けるキャバリアが強襲を仕掛ける。飛行状態を維持したまま機体上半身を砲戦フレームβに変更――これぞユーリーの秘技"空中換装"である。
 飛翔力を向上させながら、地上目標の制圧に機体を最適化。背部の粒子ビーム砲「ダークマンティス」の砲口が輝けば、荷電粒子の光がギムレウス部隊の頭上から降り注いだ。
「さっきの索敵で敵機のコックピットや動力の位置も把握したからね」
 パイロットを傷つけぬように、コックピットを避けて機体のみを破壊する。彼女の砲撃に晒されたオブリビオンマシンは、反撃もままならぬまま次々と機能を停止していった。

「みんな派手にやってるなあ。俺も遅れるわけにはいかねぇぞ、っと」
 仲間達の戦いを頼もしく眺めながら、夜野の"錆鉄"も敵陣に近付いていく。呪いの錆に覆われた彼の機体の周りには今、鮮やかな緋色に燃える炎の蝶の群れが飛び回っていた。
「現と幻想をさまよえるものよ、死と再生の象徴よ。かの神に連なるモノよ。来たりて禍福となせ! 焔の如く舞うがいい!」
 ユーベルコード【炎々蝶堕】。その蝶々の羽ばたきが散らす鱗粉は敵対する者には害となり、味方には強化と回復をもたらす。近くに転がっていた適当な石を敵に見立ててこの術を発動させた夜野は、鱗粉の重ねがけにより大幅に機体性能を向上させていた。

「いよっと!」
 錆と炎を纏った四足のキャバリアは、獣さながらの走力と跳躍力で地雷原を駆け抜けると、射程に捉えた敵に黒鉄の銃撃を浴びせる。伝播する錆の呪いとともに敵機に付与されるのは、炎の蝶に敵味方の識別を行わせるための弱体印だ。
「ぐっ……なんだこの虫けらは、ぐぁぁッ?!」
 錆呪詛に侵された上から炎の鱗粉まで吹き付けられては一溜まりもない。ボロボロになったギムレウスのコックピットから、スーツを焦がした敵パイロットが転がり出てきた。

「ぐ、ぐぬぬぬぬ……まだだ、まだ負けるわけにはいかん!」
 ワンダレイチームの攻勢により追い詰められていくギムレウス部隊は、なんとか状況を打開しようと砲撃の構えを取る。このまま撃てば味方にも被害が及びかねないが、狂気に取り憑かれた彼らはもはや平常の判断力を失っていた。
『敵機体、攻撃態勢に入りました』
「分かった。タイミングを頼む」
 その動きにいち早く気付いたのは、今だ遠方から敵陣を望む"Soldato d`argento"だった。女神の名を冠するAIからの助言を受けて、ルイスは銀の魔銃に災いの銃弾を込める。

『カウント3,2,1,今です』
 敵のキャノン砲が火を噴いたのと、ルイスの発砲のタイミングはまったく同時だった。
 放たれた藍色の弾丸は空中で砲弾と衝突し、その威力が地上へと及ぶ前に圧潰させる。
「な―――ッ!!」
 砲撃を狙撃で撃ち落とすという神業めいた技量に敵パイロットが愕然とする中、今度はコックピット内に突如として異常を示す警告音が鳴り響き、システムが強制停止される。
「説得を聞く耳がないようなら、こうするしかないね……」
 その手で"千切った"キャバリアの制御システムの残骸を捨てて、そう呟いたのはメンカル。電子の精に転じた彼女にかかれば、あらゆるシステムは壊すも繋ぐも思いのまま。
 エンバールにいる救助者達には引き続き説得を行ってもらいつつ、彼女は説得に応じない頑固な敵機をシステムダウンさせて、次の目標へと向かう。

「もう諦めて投降しろ……って言っても聞かないよな」
「当たり前だ!」
 別の方面に目を向ければ、夜野の"錆鉄"が抵抗を続ける敵と戦いを繰り広げている。
 より性能に劣るカルキノス相手に苦戦していた彼の機体も、炎々蝶堕の強化がかかった今なら話は別だ。鈍重な敵を翻弄するように駆けながら、呪いと散弾をばら撒いていく。
 じりじりと追い詰められるギムレウス。さらにその頭上からユーリーの"レスヴァント"が、猛禽のような速度で翔け抜けながらすれ違いざまに銃撃を叩き込む。
「仲間への援護射撃も忘れずに……っと」
 サポートを行う一方で、夜野の近くにいる彼女も強化の対象に識別され、炎の鱗粉が機体を加速させる。互いを援護しあうことで生じる相乗効果に、もはや敵は為す術もない。

「ここまでか……ッ!!」
 陣地にいた最後のキャバリアが倒れ、コックピットに残されていた兵士が救助される。
 第二波との戦いにも勝利を収めたワンダレイの面々は、合流後すぐにまた次の戦場に向かう。この戦いを引き起こした首謀者と対峙する時は、もう間近に迫っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アリステル・ブルー
アドリブその他◎
必要なら味方と共闘やサポート、情報共有その他積極的に行うよ

僕はこの世界では部外者だから所詮綺麗事にしかならない…だけど
「その復讐はいつまで続けるつもりなの?」
失った命は永遠に戻らない、死んだ大切な人とは二度と語らえない
だけど、今戦争を続ければ犠牲者は増え続けるんだ
喪う悲しみを、誰かを恨む気持ちを、君たちは子に孫に伝えて行きたいの?
今ならきっと間に合うから踏みとどまって、お願い

祈りながら、先遣隊は可能な限り助けたことだけは伝えるよ
オーラを張りながら防御して必要なら回避行動を取る
攻撃されるなら砲身や装甲の薄そうな場所を狙って全力UCを打ち込む
命じゃなく、機体の行動不能を狙っていくよ



「僕はこの世界では部外者だから所詮綺麗事にしかならない……だけど」
 通信から聞こえてきた敵の言葉を聞いたアリステルは、それでも思わずにはいられないことがあった。オブリビオンマシンの狂気に侵され、復讐心に取り憑かれた『ギムレウス』のパイロット達に向けて、彼はその思いの丈を包み隠すことなく語りかける。
「その復讐はいつまで続けるつもりなの?」
 やはり彼はキャバリアには乗っていない。あくまで人を救うために行動する彼は、敵と戦うよりも説得をより優先する。しかし既にマシンによる洗脳が進んでいる彼らに、言葉を伝えるのは容易なことではない。

「いつまでだと……? 決まっている、王国が滅びるその時までだ!」
 砲撃陣地に籠もる敵部隊のキャノン砲が一斉に火を噴き、砲火の雨が戦地に降り注ぐ。
 しかしアリステルも積極的に戦う気はないとは言え、幾度の戦いをくぐり抜けてきた猟兵である。素早い身のこなしで砲弾の直撃を避け、破片や衝撃はオーラを張って防ぐ。
「失った命は永遠に戻らない、死んだ大切な人とは二度と語らえない。だけど、今戦争を続ければ犠牲者は増え続けるんだ」
 回避行動を取りながら、砲声に負けぬよう声を張って、なおも彼は敵兵に呼びかける。
 先遣隊の兵士達も可能な限り助けたことも伝える。今は安全な場所に退避して貰っていることも――だが、このまま戦火が拡大すれば、彼らさえも巻き添えになりかねない。

「喪う悲しみを、誰かを恨む気持ちを、君たちは子に孫に伝えて行きたいの?」
 武器を手に取ることもなく、ギリギリまで反撃をしないまま、切々と語りかけ続ける。
 そんなアリステルの姿と言葉に敵のパイロットの心は揺さぶられ、次第と砲撃の音がまばらになっていく。攻撃の手が緩むのは、まだ彼らの精神にも迷いが残っている証だ。
「今ならきっと間に合うから踏みとどまって、お願い」
 鋼鉄と砲火が支配する戦場で、諦めることなく訴えられた祈りと願いは実を結ぶ。
 砲撃を止め、自らの意思でキャバリアから降りるパイロットが現れ始めたのだ。

「そうだ……こんな事をこれ以上繰り返しちゃいけない」
「なっ……血迷ったか貴様! 死ぬのが怖くなったか!」
 憑き物が落ちた表情でそう語る兵士に、今だ呪縛に囚われたままのパイロットは驚きの声を上げる。戦え、殺せ、復讐を遂げろと、怯懦をなじりながら怒鳴り散らすが、オブリビオンマシンの呪縛から解放された兵士の瞳はもう曇らない。
「血迷っていたのは今までの俺達だ。もうこんな事はやめろ!」
「この裏切り者め……ッ!!」
 頭に血の昇ったパイロットは、仲間であったはずの兵士にギムレウスの砲身を向ける。
 しかしその砲口が火を噴く刹那、天から一条の光が悪しきキャバリアへと降り注いだ。
「それだけは、やっちゃいけない」
 そう告げたのはこれまでと違う厳しい口調で、キャバリアに指先を向けるアリステル。
 彼の放った【ジャッジメント・クルセイド】は、敵機体のコックピットを避けて砲身や装甲の薄い箇所を狙い撃ち、命を奪うことなく機体を行動不能にしていった。

「大丈夫かい?」
「ああ……あんたには何てお礼を言えばいいのか分からないよ」
 動けるキャバリアが一機もいなくなったのを確認してから、アリステルは陣地に足を踏み入れ、正気に戻った人々に手を差し伸べる。見たところでは怪我を負った者もいない。
 一滴の血を流すことなく、戦いを収めてみせた人狼の青年は、ここにいる誰よりも嬉しそうな表情で、ほっと胸を撫で下ろしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ブレイジング・バジリスク』

POW   :    ブレイジング・シュート
【ライフルの集中射撃】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    バジリスク・ランページ
【右腕のライフル】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    エンジンキラー
自身の【オブリビオンマシン】から【漆黒のオーラ】を放出し、戦場内全ての【エンジン】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。

イラスト:純志

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「――残ったのは私一人だけか。作戦は失敗だな」

 侵攻する共和国軍の第一波、第二波を退けた猟兵達は、遂に敵の指揮官機を補足した。
 全体に漆黒のオーラを纏った紅い装甲のキャバリア――悪鬼の如き頭部の形相が印象的なその機体こそ、カール・バレット少将の『ブレイジング・バジリスク』に他ならない。

「諸君の戦いは拝見させて貰った。我が方の兵士を誰一人殺さずに制圧するとは、敵ながら見事と言わざるを得まい……だからこそ惜しい。ここで諸君を殺さねばならぬのが」

 少将の言葉は冷静で理性的に感じられたが、その機体からは凄まじい威圧感を感じる。
 性能でこれまでの量産型キャバリアを凌駕しているというだけではない。オブリビオンマシンによって増幅され、歪められたパイロットの憎悪がそう感じさせているのだ。

「諸君も知っているだろう。我が共和国と王国は幾度にも渡って無益な戦争を繰り返し、その度に数え切れない血が流れた……私の戦友達も、愛する家族も、みな犠牲となった。良い奴らから真っ先に死に、私のような人殺しが上手かっただけの人間が生き残った」

 次第に熱を帯びてゆく少将の言葉と呼応するように、キャバリアのエンジンが唸る。
 悔恨、悲嘆、憤怒、絶望、憎悪。パイロットの負の感情と共に高まる出力は、まるで機体が操縦者を喰らっているかのようだ。

「一度はこの感情を鎮めようと思った。次の世代を担う若者達に同じ思いをさせたくないとも思った。だが、無理だった――この『ブレイジング・バジリスク』と出会ったその日、私は自分の中にある本当の憎しみを知ってしまった」

 ギシリと奥歯を噛みしめる音が、通信越しからでも聞こえてきた。
 深い、深い、あまりにも深い憎悪の感情が、漆黒のオーラとなり機体からほとばしる。

「私は憎い。愛するものを奪った王国も、その王国と手を結ぼうとする我が国も――和平だと? 国の為に敵を殺せと繰り返し戦場に国民を送り出しながら、今更平和ヅラして全て水に流せと? それができるなら何故あと十年早くやらなかった!!」

 オブリビオンマシンにより増大した彼の復讐の対象は、もはや一国のみに留まらない。
 王国を、共和国を、愛するものを奪った戦争を、その屍の上に築かれた平和を、果てはこの世界そのものを、あるいは自分自身さえも――全てを憎み、全てに復讐する、それが現在のカール・バレットという復讐鬼。

「王国の破壊などもはや海戦の狼煙に過ぎん。これより私は修羅に堕ちる――終わらぬ戦乱も仮初めの平和も死者達への慰めにはならぬ、戦乱に携わる全てを焼き尽くした時にこそ、私の復讐は完遂される!」

 およそ非合理で狂気的な、無軌道で破滅的な復讐心。
 元は誇り高き軍人を、ただ一機でこうも狂わせる、それがオブリビオンマシンの脅威。
 この世界――クロムキャバリアを終わりなき戦火にて焼き尽くさんとする悪夢の兵器。

 この恐るべき兵器を破壊し、少将の凶行を止められるのは猟兵達をおいて他にない。
 戦闘機動を開始する『ブレイジング・バジリスク』。決戦の火蓋は切って落とされた。
菫宮・理緒
あと10年早く、か。それも解る。
でも、いま平和になれば、10年後の人はこんな思いをしなくてすむんだけどな。
逆に言えば、このまま同じことを続ければ、
10年後20年後もあなたと同じ思いをする人がでてきちゃう。
いまならそれを防げるんだけど……。
オブリビオンマシンに操られてたら、そんなのも解らなくなっちゃうよね。

それでも、呼びかけはやめないけどね。
艦内のみんなも、よかったら協力してほしいな。
いっしょに戦っていたみんなの言葉なら届くかもしれないから!

わたしは、みんなの機体の整備や補給をしつつ、
【ネルトリンゲン】は【モーフィング換装】で装甲を5倍、移動力を半分にしよう。
沈められるわけには、いかないからね!


獅子戸・玲桜奈
お前は何のために今まで戦ってきたんだ?未来の……次世代の為じゃねえのかよ!
過去に囚われてたら前には進めねえ。お前を縛る過去は俺が破壊する!

ライフル砲の三連射!当てれるもんなら当ててみな!クリムゾンモードでパワーアップした俺は止めらんねえぞ!
ダッシュのスピードを最大まで上げて一気に接近する。撃たれても一瞬で見切って回避してやるぜ。

当てやすいように目の前まで来てやったぜ?この距離で外したら……お前の負けだ。……へっ、止まって見えるぜ。
上昇したスピードは何も足が速くなるだけじゃねえ。踏み込みの速度や拳を叩き込む速さだって上がってるんだぜ!
機体がベコベコに凹んじまうくらいの拳の連打を叩き込んでやるぜ!



「あと10年早く、か。それも解る。でも、いま平和になれば、10年後の人はこんな思いをしなくてすむんだけどな」
 憎しみに囚われた赤い機体を見下ろしながら"ネルトリンゲン"に乗った理緒は言う。
 過去は変えられずとも、ここで悲劇の連鎖を断ち切られれば、未来は変えられると。
「逆に言えば、このまま同じことを続ければ、10年後20年後もあなたと同じ思いをする人がでてきちゃう。いまならそれを防げるんだけど……」
 きっと少将もそれは理解していたはずなのだ。なのに今、相手のキャバリアから感じられるのは底知れぬ殺意と憎悪ばかり。邪悪なる兵器によって信念と思想は歪められ、そこにいるのはあらゆる犠牲を顧みず、妄執を果たさんとする復讐の鬼であった。

「オブリビオンマシンに操られてたら、そんなのも解らなくなっちゃうよね」
 哀しげに眉をひそめながら、それでも呼びかけることをやめない理緒。そんな彼女の乗る戦闘空母を煩わしげに見上げた"ブレイジング・バジリスク"は、上半身に備え付けられたバーニアユニットを起動させる。
「私の復讐を邪魔立てしようと言うのなら……何者であろうと容赦はしない」
 紅蓮の炎を噴き上げながら、稲妻のような機動でキャバリアが翔ける。これまでの敵機とは比較にもならないスピード――この艦内には先頃の戦いで救出された共和国の兵士達も乗っているというのに、まるで一顧だにする様子さえなく轟沈させるつもりだ。

「馬ッ鹿野郎!!」
 だが。ブレイジング・バジリスクのライフルが火を噴く寸前、玲桜奈の操る"フレイムウィング"が飛び掛かる。同じ赤いカラーリングでも、彼女の乗るそれは情熱と熱血の炎――滾る怒りを出力に変えて、邪悪なるオブリビオンマシンに真っ向から立ち向かう。
「お前は何のために今まで戦ってきたんだ? 未来の……次世代の為じゃねえのかよ!」
 敵機と組み合いながら叩きつけるのは怒りの言葉。憎しみに囚われたせいで戦う理由も、進むべき道さえも忘れてしまったと言うのなら、自分達がそれを思い出させてやる。玲桜奈が戦う力を手に入れたのは、平和を愛する人々の未来を守るためなのだから。

「過去に囚われてたら前には進めねえ。お前を縛る過去は俺が破壊する!」
「ならば、やってみせろ……諸君の未来のために、私の憎しみを打ち砕いてみせろ!」
 紅蓮神機の勢いに負けて空母の射程外まで押し返されたブレイジング・バジリスクは、右腕に搭載されたライフルを巨大化させて砲撃体勢を取る。範囲内にいる全ての目標を無差別攻撃する【バジリスク・ランページ】――オブリビオンマシンのユーベルコードだ。
「俺に限界なんてもんはねえ! ぶっちぎってやるぜ!」
 それを見た玲桜奈はライフルの攻撃範囲から逃げるのではなく、敢えて前進を続けた。
 最高潮にまで荒ぶる魂に呼応して熱血エンジンのリミッターが解除され、フルスロットルに達した"フレイムウィング"は真紅のオーラを纏う。これぞ神機に秘められし真の力の一端、高速戦闘形態【クリムゾンモード・閃】である。

「受けよ、我が復讐の業火を!」
「当てれるもんなら当ててみな!」
 尋常ならざる威力を誇るライフル砲の三連射。しかし紅い閃光と化した"フレイムウィング"は目にも止まらぬスピードで攻撃を避けながら、一気に最大速度で敵機に接近する。
 敵の砲撃から着弾までの一瞬のうちに弾道を見切って回避する。その機動は機体のスピードもさることながら、操縦する玲桜奈の反応速度も卓越している証だ。膨大な熱量やGに耐えるための特殊な改造手術を受けた彼女だけが、神機の性能を100%発揮できる。
「クリムゾンモードでパワーアップした俺は止めらんねえぞ!」
 その宣言通り一度も被弾もなく戦場を翔け抜けて、玲桜奈は敵機の目前まで肉迫する。
 向かい合う赤の機体達。その身に纏うオーラの色は漆黒と真紅。それぞれが象徴するものは、過去と未来。

「当てやすいように目の前まで来てやったぜ? この距離で外したら……お前の負けだ」
「……およそ非合理的な戦法だな」
 コックピットの中でにやりと笑った玲桜奈に、バレット少将は皮肉げな笑みを返した。
 挑まれているのは意地と度胸試し。およそ戦術的な有利などかなぐり捨てた直球勝負――だが、故にこそ退くわけにはいかない。ここで自分の意地と執念を貫きたいのならば。
「いいだろう、受けて立つ―――ッ」
『少将!』
 まるでガンマンの早撃ちのように、ブレイジング・バジリスクがライフルを構えようとした――その瞬間。少将の耳に飛び込んできたのは、聞き馴染みのある人々の声だった。
『少将……お願いです、もう止めてください』
『これ以上、過ちを犯さないでください……!』
 それは憎悪から解放された人々の声。発信源は後方に待機中の"ネルトリンゲン"だ。
 理緒は少将を説得するために、自らの艦内に収容した兵士達に協力を呼びかけたのだ。

「みんなも、よかったら協力してほしいな。いっしょに戦っていたみんなの言葉なら届くかもしれないから!」

 オブリビオンマシンの洗脳に縁者からの説得が有効なのは先の戦闘で証明されている。
 理緒の要請を受けた兵士達は快く協力に応じてくれた。それは猟兵に救われた恩義を返すためであり、同時にバレット少将をかつてのような敬愛する上司に戻すためでもある。
『あんただってずっと、平和を望んできたじゃないか!』
『俺は貴方みたいな誰かを守れる人になりたくて、兵士になったんです!』
 口々に伝えられる親身な言葉に、バレット少将がどんな反応を示したかは分からない。
 だが。触れあえるほどの距離で敵機と対峙する玲桜奈からは、ブレイジング・バジリスクの挙動から確かな動揺を感じ取ることができた。

「私は……!!」
 動揺を振り切るように轟音を上げるライフル砲。だがその射線上にもう標的はいない。
 一瞬の出来事だった。陽炎のように砲弾を躱してのけた"フレイムウィング"は、拳を固めながら姿勢を低くして敵機の懐に潜り込む。
「……へっ、止まって見えるぜ」
 クリムゾンモード・閃によって強化されたスピードは何も足が速くなるだけではない。
 踏み込みの速度から拳を叩き込む速さまで、全ての動作が高速化されるということ。
 速力を威力へと変換した神機の拳擊が、唸りを上げて敵機のボディに突き刺さった。

「俺の熱き想いに応えろ! フレイムウィング!」
 烈火の咆哮と共に繰り出される猛打のラッシュ。一発一発に全力を込めた炎の鉄拳が、ブレイジング・バジリスクの赤い装甲をベコベコに凹ませていく。その姿、まさに闘神。
 格闘戦において勝機が無いことを悟った少佐は「くっ……ッ!」と悔しげに呻きながら、機体を大破させられる前に後退する。玲桜奈はすぐに追撃を仕掛けようとするが――。
「あなたも後退して。今のうちに機体の整備をしよう」
「……ちっ、仕方ないか」
 後方にいる理緒に呼び止められ、小さく舌打ちしながらクリムゾンモードを解除する。
 リミッター解除による爆発的な機能向上は、機体にもパイロットにも負担がとても大きい。無理攻めをして自滅するリスクを犯すよりは、万全の状態で戦うほうが良いはずだ。

「機体のメンテナンスはわたしに任せて!」
 理緒は戻ってきた味方機を"ネルトリンゲン"に収容すると直ちに整備・補給を行う。
 前線の味方の戦いを支えるための後方拠点として、彼女の仕事は首尾一貫していた。
 先程のように艦自体が攻撃を受ける危険に備えて、艦の移動力と引き換えに装甲を強化するよう【モーフィング換装】済みだ。
「沈められるわけには、いかないからね!」
 ここは銃後の守りにして救出した人々の身命を預かる場所。絶対に墜ちてはならない。
 自分の仕事に対する覚悟と誇りを胸に、理緒は"フレイムウィング"の整備を迅速に完了させ、パイロットと一緒に前線に送り出す。

「がんばって、ねー!」
「おう!」
 紅蓮の炎纏うキャバリアが再び戦場に降り立ち、勇ましく大地を踏みしめ駆けていく。
 敵侵攻軍の総指揮官機、ブレイジング・バジリスクとの戦いはまだ始まったばかりだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カビパン・カピパン
『少将、聞こえてます?』
『相棒…公共の場で、個人的な発言はあかんで』
ノワールヴェルト共和国の通信司令部に奴らはいた。
お昼休みの学校放送以下のレベルで進行していく通信に、敵味方問わず爆笑だ。

『共和国にお住まいのバレット少将から。あ、少将の日記から取りました』
モロばれな紹介をするパーソナリティ。
『俺はいずれ、皆が手を取り合い平和となった王国を護れるような強い軍人になりたいです。だって。きゃー』
『微笑ましいのぅ』

若気の至り――誰もが持つ黒歴史。

復讐心取り込まれたバレット少将も、黒歴史開示に羞恥に転がりまわる。
「な、見るな。俺をそんな目でみるなーっ!」
思わず正気が戻り、元の人格が出てきたのである。



『少将、聞こえてます?』
『相棒……公共の場で、個人的な発言はあかんで』
 読者諸氏は覚えておられるだろうか、フリーダムな行動で共和国軍をたびたびギャグと混乱の渦に巻き込み、そのたびに司令部を追い出されてきたカビパン・カビパンの事を。
 今、彼女は相方の『ラーメン大好きトリッピー』と共に、ノワールヴェルト共和国の通信指令部にいた。各部隊に指令や情報を伝達するこの重要な場所にどうやって潜り込んだのか、それは彼女の類まれな幸運と数奇な巡りあわせによるものだが、詳細は割愛する。

『えーっと、それじゃ最初のコーナーは……なんでしたっけ?』
『おたより紹介や! 忘れんな!』
 軍の重要電波をジャックして、お昼休みの学校放送以下のレベルで進行していく通信。
 止めようとした連中は全員【ハリセンで叩かずにはいられない女】にしばき倒されふん縛られている。相方トリッピーと繰り広げられるボケとツッコミの嵐によって通信指令部はすっかりギャグの世界に染まり、通信を介してその範囲は戦場にまで広がっていく。
『あーそうだった。えっと最初のおたよりは……どこやったっけ』
「ぶふっ!!」
 戦場のシリアス感をぶち壊すようなゆる~い展開とのギャップに、通信を聞いた兵士達の間から思わず笑いが漏れる。死と隣り合わせの緊張の中で、笑うことも忘れていた彼らにとっては良い兆候だが――果たしてカビパンが意図してのことかは分からない。

『共和国にお住まいのバレット少将から。あ、少将の日記から取りました』
「……待て、どうやって私の日記などを?」
 モロばれな紹介をするパーソナリティに、現場にいる少将も流石にツッコミを入れた。
 流石にこればかりは入手する手段が思いつかないので、恐らくカビパンのネタだろうが――少将をはじめとするリスナー達にその真偽を確かめるすべは無い。
『俺はいずれ、皆が手を取り合い平和となった王国を護れるような強い軍人になりたいです。だって。きゃー』
『微笑ましいのぅ』
 真偽はさておくとして、語られた内容はまだ世界の厳しさを知らない若者が語るような、まさに若気の至り――誰もが持つ黒歴史にして、誰しもが願った希望あふれる未来像。

『少将にもこんな時代があったんですねえ』
 通信越しにでもニヤニヤ笑いが伝わってきそうな声で、カビパンの黒歴史開示は続く。
 それが本当に少将の日記に書かれていたのかはもはや関係ない。希望にあふれ、未来を信じ、平和を願っていた時代が彼にもあった。それだけは紛れもなく事実だからこそ、この公開――もしくは後悔生放送はバレット少将に"刺さる"。
「……見るな。そんな目で"俺"を見るな……ッ!!!!」
 羞恥心か、あるいはかつての自分の姿を思い出させられたせいか。戻りかけた正気を振り払うように、バレット少将は本来の人格を垣間見せながらコックピットの中で悶える。
 例によって例のごとく、この放送から間もなくしてカビパンは三度司令部を追い出されることになったが――彼女が少将の心に与えた揺さぶりは、やはり小さくはなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリステル・ブルー
連携アドリブその他◎

僕は人の可能性を信じている
「初めまして少佐殿。僕はアリステルって言うんだ」
僕も時々どうしようもなく憎悪を抱くから想像は出来る
一度認めれば目をそらす事は難しい…止める資格も本当はない
だけど和平は彼らが血と涙に濡れながらようやく得たものだろう
「何年戦争が続いたの?」
これを逃せばまた憎悪と悲哀の連鎖が続いて誰かが泣くんだ
今度は片方が滅びるかもしれない
この和平手放すのはあまりにも惜しいと思うんだ
まだ引き返せる、皆で生きて帰ろうよ?

オーラで回避を試みて、負傷は指定UCで動ける程度に回復
頃合いを見てユールに敵UC妨害してもらいつつ撤退かな

どうか彼らが選び歩む道が幸福で満ちていますように


キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

「投降しろ」と言っても素直に聞き入れてはくれないだろう
ならば、破壊するまでだ…そのマシンだけを徹底的に、な

UCを発動
高速で飛翔し、瞬間思考力を高め敵の射線を見切って避ける
無差別の3回攻撃に対しても、まずは全て回避に専念する

その驚異的な力も、心に巣食う底知れぬ憎悪も、全てはそこのふざけたマシンが齎した「紛い物」だ
思い出せ、かつて貴官の心に有ったものは、怒りと復讐だけではなかったはずだ

敵が3回攻撃を終えると同時にグレネードを発射し敵のライフルを狙い一時的に無力化
そのままレーザーガトリング砲を撃ち込んで攻撃をする

貴官を殺しはしないさ
我々は、その忌まわしい頸木を断ち切りに来たのだからな



「初めまして少将殿。僕はアリステルって言うんだ」
 共和国軍と猟兵の戦いが大詰めを迎える中、アリステルは隙をみて敵の総指揮官の前に立つと、まずは穏やかに名乗りを上げた。今回の事件の首謀者であるカール・バレット少将の『ブレイジング・バジリスク』――これまでの雑兵とは比べ物にならない脅威と対峙しても、彼は今だキャバリアには乗らず、武器を取ることも拒み続けていた。
「戦うつもりが無いならば去りたまえ。私の前に立つなら非戦闘員とて容赦はしない」
「そうはいかないんだ。僕は争いを止めるために、あなたを止めるために来たんだから」
 強大な敵の戦力を肌で実感しつつも、彼は決して恐怖や怯えを態度に現すことはない。
 恐れよりもずっと深く彼の心を占めていたのは、目の前にいる復讐に囚われた男に対する、共感と哀しみだった。

「僕も時々どうしようもなく憎悪を抱くから想像は出来る」
 猟兵として様々な事件に関わる上で、愛する故郷の皆を脅かす闇を感じるたびに――許せない、と黒い感情に身を焦がすことはアリステルにもあった。人は時に誰かを愛するがゆえに誰かを憎みうることを、彼は実感として理解している。
「一度認めれば目をそらす事は難しい……止める資格も本当はない。だけど和平は彼らが血と涙に濡れながらようやく得たものだろう」
 終わりの見えない戦火に身を焦がし、それでも平和を望んで戦い続けた少将の戦友達。
 彼らの犠牲の果てにようやく掴みかけたものを、ここで無に帰していいものかと問うと――少将は巨大化したライフルの砲口をアリステルに向けた。
「……散っていた我が同胞の血と涙の価値は、このような仮初めの平和と等価ではない」
 あまりにも多く、そして掛け替えのないものを喪い過ぎた男の絶望は、底知れず深い。
 ただ正論で訴えられるだけで止まれるなら、そもそもこの事件も起きなかっただろう。

「『投降しろ』と言っても素直に聞き入れてはくれないだろう」
 そこに駆動音を響かせながら姿を現したのは、黒いパワードスーツを装着したキリカ。
 愛する者達を戦場で失った者として、少将の嘆きや怒りは彼女にも理解できる。心の中で燃え続ける憎悪の焔をオブリビオンマシンが煽る限り、この戦いが終わることはない。
「ならば、破壊するまでだ……そのマシンだけを徹底的に、な」
 少将を復讐鬼に変えた全ての元凶を完膚なきまでに打ち砕けば、憎悪の暴走も止まる。
 無論、敵もそう安々と破壊されてはくれないだろう――ライフルの砲身にエネルギーが集束していくのを見て、キリカはアリステルに「避けろ!」と叫んだ。

「やってみせろ。我が復讐の牙『ブレイジング・バジリスク』を破壊できるのなら!」
 巨大化したライフルより放たれる高威力の広範囲攻撃【バジリスク・ランページ】。
 このユーベルコードは敵味方の区別を無差別にすることで連射が可能となり、対多数の殲滅戦においては部類の威力を発揮する。当然猟兵にとってもその破壊力は脅威的だ。
「まずは全て回避に専念する……Vol Conquérant!」
 キリカは「Conquérant」の背部に搭載した背部ブースターユニットを使い、重厚な装甲を纏ったまま超高速で戦場を翔ける。速度に加えて瞬間思考力を高め、此方を狙う敵の射線を見切って回避行動を取り――直前まで彼女がいた空間を、砲弾が撃ち抜いていった。

「何年戦争が続いたの?」
 一方のアリステルはオーラの防壁を張って身を翻しながら、なおも少将に訴えかける。
 オーラで砲撃を受け流す避け方では、いかに直撃は免れても無傷とはいかない。守護を貫通してきた破片や衝撃波を浴びて、彼の身体は傷ついていく。
「これを逃せばまた憎悪と悲哀の連鎖が続いて誰かが泣くんだ。今度は片方が滅びるかもしれない」
 それでも彼は【癒やしの風】で動ける程度まで自身を回復させ、休むことなく説得を続ける。真剣さと真心を武器として、憎悪の壁に囲われた少将の心に言葉を届かせようと。
 アリステルはこの世界の事情や少将が体験してきた悲劇について詳しいわけではない。だが、たとえ世界が違っても変わらないものはあると信じている。それは――。

「僕は人の可能性を信じている」
 人が人らしく自由に生きて、皆が幸せになれる可能性を信じて、追い求め続けてきた。
 だから、この世界でも平和に生きられる未来があるなら、その可能性を諦めたくない。
「この和平手放すのはあまりにも惜しいと思うんだ。まだ引き返せる、皆で生きて帰ろうよ?」
「っ……黙れ……!!!」
 傷ついてもなお真摯に訴えかけるアリステルの言葉に、バレット少将が動揺を見せた。
 それは機体の操縦に反映され、ライフルの照準が僅かにブレる――都合三度目となる攻撃が虚空を射抜いていった直後、猟兵達に反撃の好機が訪れた。

「その驚異的な力も、心に巣食う底知れぬ憎悪も、全てはそこのふざけたマシンが齎した『紛い物』だ」
 諸悪の根源たるオブリビオンマシンさえなければ、少将が狂うこともなかっただろう――空中で全ての攻撃を回避しきったキリカが、ブレイジング・バジリスクに急接近する。
 右手に構えるのはビームライフル「Colère(憤怒)」。その下部に取り付けられたグレネードランチャーの狙いを敵機のライフルに定め、言葉の矢と共にトリガーを引く。
「思い出せ、かつて貴官の心に有ったものは、怒りと復讐だけではなかったはずだ」
「ぐ……ッ!!!」
 その言葉はアリステルがこじ開けた心の隙間にするりと入り込み、憎しみに押さえつけられていた少将の良心を揺さぶる。回避行動が一瞬遅れた結果、グレネード弾は目標に直撃、激しい爆発がブレイジング・バジリスクの右腕からライフルを吹き飛ばした。

「わ……私に残されているのは……もはや復讐だけだ……!」
 一時的だが武装を無力化された少将は、しかし怒りに濁った眼で猟兵達を睨みつける。
 同時に機体から放出されるのは、彼の憎しみが具現化したかのような漆黒のオーラ。それはキャバリアを含むあらゆる兵器のエンジンを無力化させるユーベルコードだ。
「愛する者も、掲げた大義も、全て失われた! 今更生きて帰るつもりなど……!」
 オーラが戦場に充満するにつれて「Conquérant」のブースターにも異常が起き始める。
 このままでは失速する――墜落の危機に陥ったキリカは咄嗟に着地の構えを取るが、その間際に一羽の青い鳥が地上より飛び立った。

「お願いユール、君の力を少しだけ貸して」
 それはアリステルの友にして幸運をもたらすもの。魔力の篭もった青き鳥の羽ばたきが、風を呼んで漆黒のオーラを吹き飛ばす。一時の妨害に過ぎないことだが、効果は十分。
 エンジンの出力が回復し「Conquérant」が再び急上昇。この機を逃さずキリカは背部レーザーガトリング砲を構え、ありったけの出力を目前の目標に撃ち込んだ。
「この距離なら外しはしない、全弾持っていけ!」
「ぐ、おおぉぉぉぉぉぉッ!!!?!」
 高速飛行からの全搭載武器による必殺の機動戦マニューバ【ヴォル・コンケラント】。
 目にも止まらぬ速さで戦場を翔け抜けながら、「Étonnement(驚愕)」の名を与えられた砲は無数の破壊の光を放ち、少将が乗るブレイジング・バジリスクを撃ち抜いてゆく。

「貴官を殺しはしないさ。我々は、その忌まわしい頸木を断ち切りに来たのだからな」
「どうか彼らが選び歩む道が、幸福で満ちていますように」
 キリカとアリステルが敵とするのは、あくまで乗り手を惑わせるオブリビオンマシン。
 強き信念の下でコックピットを避けながら砲火を浴びせる戦場傭兵に、祈りを込めた囁きを零しながら後退する人狼――戦い方は異なれど、彼らの意志と目的はひとつだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

白峰・歌音
その復讐心は否定しない。けれど、その道の果てはお前諸共全てを破壊し廃墟と絶望の蔓延する世界に変えてしまうだけだ!
その復讐は、絶対にさせる訳にはいかない。お前自身を復讐心を煽るその機体から救う、そのためにも!!
「無くした記憶が叫んでる!希望の水流となり絶望で燃え盛る炎を沈めろと!」

<空飛ぶ箒【相棒】>で飛び周り翻弄する【空中戦】を仕掛けつつ、手足を狙って機動性と攻撃力を落とすのを狙い、『諦めず何度でも巨大な敵に立ち向かい続ける【勇気】カールの報われない復讐を止めて救いたい【優しさ】復讐心のみを破壊し全てを守り救う【覚悟】』の心を、一撃一撃に込めて復讐心とも戦い減らすのを試みる!

アドリブ・共闘OK



「その復讐心は否定しない。けれど、その道の果てはお前諸共全てを破壊し廃墟と絶望の蔓延する世界に変えてしまうだけだ!」
 復讐に憑かれたバレット少将に理解を示しながらも、敢えてはっきりと歌音は告げる。
 あの男の中で燃え盛る憎しみの炎は、火種となり得るものを全て滅ぼすまで鎮まることはないだろう。いつかは己自身すらも焼き尽くしてしまう、その時まで。
「その復讐は、絶対にさせる訳にはいかない。お前自身を復讐心を煽るその機体から救う、そのためにも!!」
 記憶を喪っても失われなかった何かが心の中で叫んでいる。見過ごしてはいけないと。
 胸の奥から湧き上がる魂の鼓動に導かれ、絶望の未来を阻止するために、彼女は戦う。

「青いな……その姿、その言葉、まるで若い頃に読んだコミックのヒーローのようだ」
 堂々として揺るぎのない覚悟を示されて、カール・バレットは眩しそうに目を細めた。
 彼女がヒーローなら、自分は悪役(ヴィラン)だろうか。そんな事を皮肉げに考えながらも、妄執に囚われた彼にここで戦いを止めるという選択肢は無かった。
「ならば見せてみろ。その小さな身ひとつで、私の憎悪の炎を止められるか!」
 ブレイジング・バジリスクの右腕のライフルが、空飛ぶ箒に乗った少女に向けられる。
 鋼鉄の騎士と生身の人間。スケール差は歴然だが、そんなものが猟兵の戦いを左右しないことを、歌音はこれまでの戦いで示してきた。

「無くした記憶が叫んでる! 希望の水流となり絶望で燃え盛る炎を沈めろと!」
 キャバリアのライフルが火を噴いた瞬間、歌音は箒を操ってひらりと砲撃を躱すと、そのまま敵機の周囲をぐるぐると飛び回る。相手もまた高速の三次元機動を得意とする機体だが、"相棒"と共に戦う空中戦において、遅れを取るつもりなどまったく無い。
「大した機動力だ……だがッ」
 少将の機体も上半身のバーニアを吹かし、その大きさからは想像もつかぬ稲妻のような機動で空飛ぶ箒に追随する。右腕に装備されたライフルが再び砲火を放つが、歌音は振り返りもせず巧みな箒さばきで機動を変え、またもや攻撃を回避してみせる。

「当たるかよ、そんな攻撃!」
 縦横無尽に戦場を翔ける歌音の操縦技術は、空中でのブレイジング・バジリスクを凌駕していた。いかに古強者のバレット少将といえども、既存のどの航空兵器とも異なる空飛ぶ箒の機動に対応するのは難しく、なかなか噛み合わない動きに次第に翻弄されていく。
 その隙を狙って歌音は敵機に接近すると、イマジネイトオーラを纏った拳を叩き込む。
 ガツンと音を立てて装甲が僅かに凹むが、それだけでは大したダメージにはならない。
「その程度の攻撃で、我がブレイジング・バジリスクが墜ちるか!」
 なおも激しく、炎のように苛烈に、歌音に逆襲を仕掛けるブレイジング・バジリスク。
 もし一度でも砲弾が直撃すれば、装甲に守られているわけでもない歌音は大きなダメージを負うだろう。優勢に見えて紙一重の攻防を続ける彼女の表情に、しかし恐怖はない。

「どれだけお前が強くても、どれだけお前が凶悪でも……今オレが抱くこの決意は、決して砕けない!」
 諦めず何度でも巨大な敵に立ち向かい続ける「勇気」、カール・バレットの報われない復讐を止めて救いたい「優しさ」、そして復讐心のみを破壊し全てを守り救う「覚悟」。
 今の歌音を突き動かしている3つの想いは、少将の憎悪と復讐心を上回るほどに強い。
 心の強さで敵を圧倒している限り、どんな強敵だろうと決して負けることは無い――それがユーベルコード【インダーミブル・ハート】の効果だった。
「捉えきれない……だと……ッ!!」
 スピードもパワーも増大した歌音の動きに、バレット少将は思わず驚愕の声を上げる。
 砲撃をくぐり抜けながら、少女の拳は何度も敵機に叩きつけられる。それはキャバリアの手足にダメージを蓄積させ、機動性と攻撃力を削ぎ落とすのが狙いだった。

「届け、この想い!」
 一撃一撃に勇気を、優しさを、覚悟を込めて放たれる拳が悪しきマシンを打ちのめす。
 それは単なる物理的な威力だけではない。敵機に搭乗するパイロットの精神にまで衝撃を響かせて、その心身を傷つけることなく、燃え盛る復讐の炎だけを破壊する。
「ぐっ……ううぅ……わ、私は……ッ」
 少しずつ、だが確実に少将の心から復讐の念は和らぎつつある。しかしそんな彼を逃すまいとするかのように、ブレイジング・バジリスクは不気味なオーラを放つのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

七星・桜華(サポート)
『天魔御剣流免許皆伝、だからこそ更なる高みへと。』
『一か八かの勝負?そんな事しなくても私達の勝ちだね!!』
『勝った後は派手に騒ぐんだ!誰一人として倒れないようにね!!』
とある隠れ里に伝わる戦闘術の免許皆伝。
残像を攻撃と防御の両方に使い腰に挿している6振りの刀と扇子を使い戦闘する。闘う姿は舞っているかの動きで空中戦もできる。第六感や野生の勘と言われる直感も鋭い、また見切りの速さも早い。
怒ると殺気が残像にまで残る程の濃密加減。戦闘において常に最善策を最短で気づき勝ってきた。
鎧等を無視した内部破壊系攻撃を当たり前のようにする。
敵の消耗と自身の回復に生命力を吸収する。



「今日の相手は鉄の巨人か。悪くはないね」
 片手で煙管をくゆらせながら、荒れ狂う鉄騎を見やるのは刀を佩いた赤髪の女武芸者。
 彼女――七星・桜華(深紅の天魔流免許皆伝・f00653)がこの戦場を訪れたのは剣豪として更なる高みを目指すため。無論、キャバリアに乗るつもりなど毛頭ない。
「御大層な事情があるようだけど、ひとつ私とも仕合ってもらおうか」
 腰に差した六本の刀の一つを抜き放ち、もう一方の手には九尾の尾薙扇子を構える。生身でキャバリアを斬らんとする暴挙、しかしその程度成し遂げられなければ『天魔流』の名折れだろう。

「新手か……歩兵と言えども油断はすまい」
 既に猟兵の驚異的な戦闘能力を目の当たりにしているバレット少将は、刀と扇子で戦おうとする桜華の様子を見ても決して侮らず、自機が有する最大の火力を叩きつけてきた。
 右腕に搭載したライフルによる集中射撃【ブレイジング・シュート】。単一目標のみに狙いを絞った砲火の嵐は、一発でも命中すれば人体を破壊するだけの威力を秘めている。
「そう来ないとね。いくよ」
 対する桜華は刀を構えたまま姿勢を低くし、疾風のごとく戦場を駆ける。歩幅の変化によって生じる残像はまるで分身のように敵の目を眩ませ、照準を狂わせて直撃を避ける。
 第六感や野生の勘などと言われる直感に優れた彼女は、目で見てからでは追いつかない超音速の銃撃にも瞬時に反応する。ひらりひらりと軽やかに砲火をくぐり抜けるその様子は、舞いを踊っているかのように華麗だった。

「こんなものかい?」
「いいや、まだだ」
 やはり一筋縄ではいかない相手だと悟った少将は、ブレイジング・バジリスクが得意とする高機動戦に打って出る。バーニアから炎の尾をなびかせながら高速の三次元機動を行う機体はまるで赤い稲妻、あるいは流星のよう。
「なるほど。この速さに砲撃を織り交ぜられると少し厄介だね」
 縦横無尽に飛行する敵から放たれる砲撃は、四方八方から同時に攻撃されているよう。
 しかし彼女は臆するどころか、むしろ血が滾ってきたと言わんばかりの闘志を放ち。
 容赦のない集中砲火をギリギリで回避しながら、鋭い眼光で敵機の動きを見定める。

「確かに素早いが動きそのものは単調だ。要はそれを見極めればいい」
 戦闘において常に最善策を最短で導きだしてきた桜華の戦術眼は、僅かな間に敵の動きを見切ると刺突の構えを取る。そして力強く地面を蹴り込めば、その身は鳥のように勢いよく空へと舞い上がり――高速飛行中のブレイジング・バジリスクの懐に肉迫する。
「なにッ?!」
 まさか装備もなしにこの高度まで接近してくるとは少将も思っていなかったのだろう。
 だが、鍛えられた羅刹の身体能力と体術があれば、空中の敵さえも刀の間合いの内だ。

「散れ! 星屑のように」
 跳躍の勢いのままに繰り出される技は【破突刃・零式】。天魔御剣流においては零距離攻撃の基本となる技のひとつだが、零距離であるがゆえに避け難く、そして威力も高い。
 その一撃は分厚いキャバリアの装甲を障子紙のように突き破り、ブレイジング・バジリスクの左腕を吹き飛ばした。
「ぐぅッ―――!!!」
 片腕を失った機体のバランスを急いで立て直しつつ、パイロット内で歯噛みする少将。
 異世界の戦闘術『天魔流』はこの世界でも通用することを、彼女は見事示してみせた。

成功 🔵​🔵​🔴​

月代・十六夜
【連携アドリブ自由】
それ、多分この騒動も十年早くなるだけじゃね?ま、運が悪かったねそういうこともあるさ。
それはさておき今日もお仕事と行きましょうかね。
とはいえ、エンジン止めるも何も。いや決まる相手には覿面なんだろうけど。
デメリットがやばいし、【時間稼ぎ】に徹して無駄うちさせてやるか。
ということで機体貸してください。弾薬無しの武装だけでいいや。
予めいつでも脱出できるようにカバー半開きにしておいて。

後は動きを止めに来たら、コクピットへの追撃が来るのを【見切っ】て【ジャンプ】で脱出。
そのまますれ違いざまに聴覚センサーに【指鳴】でジャミング決めながら離脱!
残念無念また10年後にチャレンジどうぞってな。



「それ、多分この騒動も十年早くなるだけじゃね?」
 あと十年早く和平できていれば無用な犠牲は避けられた筈――というバレット少将の主張に、すげなく返答するのは十六夜だった。当事者からすれば嘆きたくなるのも分からなくはないが、冷静に考えればそんな上手い"もしも"は無いだろうと部外者にも分かる。
「ま、運が悪かったねそういうこともあるさ」
 重苦しい殺意を背負った敵とは対照的に、彼の振る舞いはどこまでも飄々として軽い。
 本人の性分でもあるし、あるいは敢えてそうしているのかもしれない。他人様の世界への復讐に深く首を突っ込むつもりも、あれこれと口を挟んでやるつもりも無かった。

「それはさておき今日もお仕事と行きましょうかね」
 かくして少将の『ブレイジング・バジリスク』と対峙した十六夜は、なんと自らもキャバリアに乗っていた。機体は貸与された通常型の『GC-04カルキノス』だが、これまで生身で共和国軍を翻弄してきた彼にどういった心境の変化があったのだろう。
「……運が悪かったの一言で片付けるか。何も知らない貴様にはそうだろうな」
 コックピット越しに伝わってくるのは静かな怒気。同時に赤い機体から漆黒のオーラが放出され、凄まじい勢いで戦場全体を包み込んでいく。あらゆる機械類の動力を無力化する【エンジンキラー】を発動したということは、少将も本気で殺しにかかってきている。

(とはいえ、エンジン止めるも何も。いや決まる相手には覿面なんだろうけど)
 普段から生身で行動し、ウォーマシンやレプリカント等の機械系種族でもない十六夜にとって、本来このユーベルコードは何の意味もないものだった。しかし今はキャバリアに乗っているので、そちらのエンジンは止まってしまう――それ自体が彼の狙いだった。
(デメリットがやばいし、時間稼ぎに徹して無駄うちさせてやるか)
 【エンジンキラー】の使用可能時間には制限がある。少将の力量を考慮しても長くて2~3分程度――それを過ぎればパイロットは死亡しオブリビオンマシンも機能停止する。
 それなら敢えてキャバリアに乗って出撃して、貴重な使用時間を浪費させてやればいい。そのために十六夜はわざわざ後方で整備されていた機体を一機借り受けてきたのだ。

「にしてもこれ、鈍すぎてちょっとイライラするな」
 乗り慣れないキャバリアを操縦して漆黒のオーラから逃げ回る十六夜。耐久性とメンテナンス性を重視したぶん機動性に欠ける"カルキノス"は、はっきり言ってパイロットが自分で走るより遥かに遅い。反撃しようにも急な調達だったため武装の弾薬はゼロである。
 予めいつでも脱出できるようコックピットのカバーは半開きになっており、その隙間からは漆黒のオーラの中心で佇むブレイジング・バジリスクの姿を肉眼で視認できる。
「逃げられると思うな」
 厳かな少将の言葉通り、一度発動した【エンジンキラー】の効果は戦場全体へと及ぶ。低下するエンジンの出力はやがて完全に停止し、十六夜の機体は戦場で立ち往生となる。

「終わりだ」
 鋼鉄の棺桶と化した"カルキノス"のコックピットに、ライフルの砲口が向けられる。
 確実にパイロットを殺すつもりの容赦のない追撃――しかしそれを見切っていた十六夜は半開きのままのハッチから飛び出し、間一髪のところで脱出する。
「あっぶねぇ」
 その直後にコックピットに直撃を受けたキャバリアが爆散するのを見て、十六夜はひょいと肩をすくめつつ。爆風の煽りを受けて加速しながら、一気に敵機の懐に飛び込んだ。

「何を……ッ」
「ちょっとした隠し芸ってやつだな」
 スピードを緩めることなく敵機とすれ違いざま、聴覚センサーに【指鳴】を叩き込む。
 パチンと鳴り響く不意打ちのフィンガースナップの音が、一時的に聴覚を狂わせ集中力を削ぐ。ほんの一瞬意識を逸らされた直後にはもう、十六夜の姿は遥か彼方である。
「残念無念また10年後にチャレンジどうぞってな」
 彼と少将が戦っていた時間は精々数十秒だろう。だがその数十秒は貴重な時間だった。
 エンジンキラーという切り札をみすみす浪費させられた事を悟った少将は、コックピットの中でギリッと奥歯を噛みしめるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレミア・レイブラッド
その憎しみは本当に貴方自身のモノなのかしら?
貴方は機体に憎しみを増幅され、考えを歪まされてる…必ず止めてあげる!

【ブラッディ・フォール】で「侵略の氷皇竜」の「氷皇竜メルゼギオス」の力を使用(氷皇竜の翼や尻尾等が付いた姿に変化)。
【アイス・リバイブ】の氷の鎧を纏い、ライフルを受けても片っ端から再生・強化して無力化。
マシンじゃないからエンジンキラーも無意味よ。

空中から自身の魔力で強化【誘導弾、高速詠唱、鎧砕き】【アイシクル・ミサイル】の弾幕を叩き込んで動きを封じ、加減した【アブソリュート・ゼロ】で機体だけを完全に凍結させるわ

機体性能も操縦者の腕も高い分、無事に助けるのは至難ね…多少手荒になるわ



「まだだ……まだ私の復讐は終わらない。憎しみの炎で世界を焼き尽くすまで……!」
 猟兵達との激しい交戦を経て、バレット少将の『ブレイジング・バジリスク』には損傷と消耗が蓄積していく。いかに骸の海から蘇ったオブリビオンマシンとて無敵の兵器ではなく――だが、そんな事は関係ないとばかりに男は憎悪のこもった手で操縦桿を握る。
「その憎しみは本当に貴方自身のモノなのかしら?」
 狂気に等しい感情に衝き動かされ続ける彼に、そう問いかけたのはフレミアだった。
 当人は自覚していないだろうが、少将の言動には支離滅裂な点が少なからずある。自分の口ではなく、まるで何かに言わされているような違和感を彼女は聞き逃さなかった。

「貴方は機体に憎しみを増幅され、考えを歪まされてる……必ず止めてあげる!」
 高らかに宣言すると共に発動するのは【ブラッディ・フォール】。フレミアの身体から冷気が放出され、背中から氷の結晶のような翼と尾が生えてくる。かつてアックス&ウィザーズで討伐したオブリビオン『氷皇竜メルゼギオス』の力をその身に顕現させたのだ。
「たとえ、貴様の言うことが事実だったとしても……私は止まることを望んでいない!」
 対するバレット少将は獣のように叫ぶと、復讐を妨げんとする者にライフルを向ける。
 同時にブレイジング・バジリスクの赤いボディから滲み出す漆黒のオーラ――しかしマシンに乗っていないフレミアには【エンジンキラー】の効果も無意味だ。

「私が歪んでいると言ったか? 違う、歪んでいるのはこの世界そのものだ!」
 バーニアの咆哮を上げながら戦場を飛翔するブレイジング・バジリスク。高速の三次元機動から繰り出されるライフルの集中射撃は、氷翼にて空を舞う標的を的確に捉える。
 フレミアは放出した冷気を氷の鎧に変えて銃撃を防ぎつつ、その技量に内心で感嘆する。あれだけのスピードで激しく動き回りながら、彼の射撃の照準は極めて正確だった。
「機体性能も操縦者の腕も高い分、無事に助けるのは至難ね……多少手荒になるわ」
 止まない銃撃の嵐を片っ端から氷鎧で防いでは【アイス・リバイブ】で再生し、受けたダメージに比例して己を強化して。強大なる氷皇竜の力を得たフレミアは空高く舞い上がると、溢れんばかりの魔力を何百という氷の棘に変えた。

「コックピットは外すけど……凍傷くらいは覚悟してもらうわよ」
 言うやいなや一斉に放たれた【アイシクル・ミサイル】の弾幕は、三次元機動中のブレイジング・バジリスクに殺到する。少将はバーニアの出力を上げて振り切ろうとするが、フレミアの魔力にて強化された氷棘は一度指定された目標をどこまでも高速追尾する。
「振り切れぬ……ッ!!」
 鋭く尖った棘が機体のあちこちに突き刺さり、赤い装甲が徐々に蒼氷に覆われていく。
 敵機の動きが鈍ったのを見逃さなかったフレミアは、好機とばかりに氷皇竜が有する最大規模のユーベルコード――【アブソリュート・ゼロ】を解放する。

「人を狂わせる邪悪なキャバリアよ。凍り付きなさい!」
 これまでと比較にならない規模で放たれた極低温の冷気は、戦場の気温を奪い去りながらブレイジング・バジリスクを呑み込み、一瞬にして分子レベルまで凍りつかせていく。
 コックピット内にまで浸透してきた冷気に悪寒が走った少将は、咄嗟に最大出力で後退するが――その時にはすでに機体の半分以上が完全凍結し、動かない状態となっていた。
「バカな……ッ」
 パイロットを凍死させないようフレミアが加減していたからこの程度で済んだものの、底知れぬ猟兵の力を味わった少将は、寒さとは違う理由で身震いを抑えきれなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
合流したワンダレイの仲間と引き続き『集団戦闘』で頑張るよ。

馬鹿めッ。オブビリオンに増幅されてるって言っても、貴様は憎しみを言い訳にしてるだけだッ!

パールバーティは『遊撃』として『援護射撃』続行。
アストライアの『威嚇射撃』で牽制しつつ、敵の射線を『瞬間思考力』で瞬時に計算して回避しつつ接近。
イニティウムで装甲を『切断』して離脱だ
ボクの『操縦』テクでヒット&ウェイで削り切る。

言ったでしょ。あんたは必ずそこから引きずり出してぶん殴ってやるって!!!

クラッキング・アンカー発射!
『ハッキング』してシステムを掌握。数秒が限界かな?でも十分。
動きが止まった一瞬に『重量攻撃』のパンチ。歯を食いしばれッ!!!


ルイス・グリッド
【ワンダレイ】の皆と参加
呼び方は前章同様
AIは女性の声で敬語

復讐だと騒げるのは被害者だけだ、あんたも彼方からみたら加害者だろうに
その染められた頭の中ごと冷やしてやる

AIと一緒に【視力】【聞き耳】【戦闘知識】で【情報収集】し、敵が攻撃する予兆を【見切る】
藍の災いの圧壊【重量攻撃】をUCで付与した弾丸を敵機の足元に【スナイパー】【クイックドロウ】【全力魔法】を使いながら【先制攻撃】で撃ち込み【地形破壊】、敵機の【体勢を崩し】て攻撃を妨害
それから橙の災いの爆破【爆撃】を付与した弾丸を先ほどと同じ技能を使って、コックピット以外の部分を爆破する


メンカル・プルモーサ
【ワンダレイ】で参加。引き続き箒に乗って参戦。
んー…復讐心を増幅させられてるんだと思うんだけど…増幅なら、最初からあった、ってことなんだよね…まあ、それも仕方ない話なんだけど…
ん、尾守が説得…説得?呼びかけている…ふむ、呼びかけ…
さっき使った通信はまだ生きてるから…避難したり救出した人も少将の話や尾守を聞いているはず…
さて、あのマシンにどこまで通じるかわからないけれど…右腕からのビームを【我が身転ずる電子の精】により強引に通信掴んでをつなぎ、今まで救助した人たちに将軍へと呼び掛けてもらおう…これで多少は聞いてくれれば良いのだけど…
ついでに照準システムに干渉して動きを制限して援護をするとしよう…


尾守・夜野
■ワンダレイ
呼び方一緒


揺さぶる事此度含め3回
重ねた強化
増した声量で問いかけよう
(※回線は古すぎて繋がらない lostは繋ごうとしてエラ
「再度問おう
本当に復讐してぇの?」
全てはこの時の為
…心を折り動きを止める!
「手前は自国も憎いと嘯きつつ 手前の王様を諌めもせず未だ国民を、軍を名乗り戦場へ?
十年早く止めたくば動けばよかった
諌めその先に殺されようと義は果たされた!
義も通さぬ手前と護国の士とし果てた彼らを同列に語るな!
貴様のは復讐ではねぇ!
和平に理由が欲しいなら手前を理由にしてやるよ!
自殺志願者!」
…本当に復讐してぇのは誰か突き付け
後は煽りながら皆の攻撃通るようサポート

…ブーメラン?
知らねぇな



「んー……復讐心を増幅させられてるんだと思うんだけど……増幅なら、最初からあった、ってことなんだよね……」
 戦況が激化するにつれて過激さを増す敵将の言動を分析し、箒の上のメンカルはふうと嘆息する。火のない所に煙は立たぬとはよく言うが、あの少将を復讐鬼にした火種も本人の中にあったのだろう。オブリビオンマシンにとっては格好の標的だったと言うべきか。
「まあ、それも仕方ない話なんだけど……」
「ボクは仕方がないで済ませるつもりはないけどね!」
 冷静でペースを乱さないメンカルを除くと【ワンダレイ】の面々は少将の言動に大なり小なり憤りを露わにしていた。"レスヴァント"に乗って真っ先に翔けていくユーリーを筆頭に、他のメンバーもブレイジング・バジリスクとの戦闘態勢に入る。

「馬鹿めッ。オブビリオンに増幅されてるって言っても、貴様は憎しみを言い訳にしてるだけだッ!」
 アサルトライフルの連射で敵機を威嚇しながら、怒気をこめて叫ぶユーリー。普段は天真爛漫な笑顔の裏に隠している、帝国皇女としての冷たい本性がその声色に垣間見える。
 しかし少将はその糾弾に怖じることなく銃撃を躱すと、こちらもバーニアから火を噴いて戦闘機動に移る。三次元機動を得意とするブレイジング・バジリスクのスピードはこれまでの量産型とは比較にもならず、ともすればユーリーでも位置を見失いかける。
「否、私は解放されたのだ。平和だの未来だのと繰り返してきたかつての言葉こそ、憎しみを誤魔化す言い訳に過ぎなかった!」
 驚異的な速さで背後を取った少将は右腕に構えたライフルを"レスヴァント"に向ける。だがその砲口が火を噴くよりも一瞬早く、遠方からの銃撃が彼の足元に突き刺さった。

「復讐だと騒げるのは被害者だけだ、あんたも彼方からみたら加害者だろうに」
 銃撃の主はルイスの"Soldato d`argento"。『ギムレウス』の砲撃タイミングを予測した時のように、"Minerva"と一緒に敵が攻撃する予兆を読んでいた彼は機先を制したのだ。
 銀の魔銃から放たれた藍色の弾丸は狙い通りのポイントに着弾すると【属性付与】された圧潰の力を解き放つ。隕石でも衝突したかのように音を立てて陥没する地面に巻き込まれて、ブレイジング・バジリスクの体勢が崩れた。
「痛みを与え合うだけの戦いなんて、もう止めろ」
「ぐっ……!!」
 少将は即座に機体を立て直すものの格好の攻撃チャンスを逃してしまう。その隙を突いてユーリーの"レスヴァント"と無人操縦の"パールバーティ"が同時射撃を仕掛けた。

「パールバーティはそのまま遊撃として援護射撃続行!」
 無人機のAIに指示を飛ばしながら、ユーリーはライフルのトリガーを引き絞ったまま前に出る。銃撃の雨に晒された敵機が再びライフルを構えるのを見ると、持ち前の瞬間思考力で射線を瞬時に計算し、銃撃を躱すとさらに接近。
「ボクの操縦テクを甘く見るなッ!」
 白兵戦の間合いまで踏み込むと同時に「RX-イニティウム」を振るえば、ブレイジング・バジリスクの装甲の一部が切断される。そのまま速度を緩めず一気に離脱――高機動機体のお株を奪うような徹底したヒット&アウェイで、敵機をじわじわと削り切るつもりだ。

「まだ若いのに良い腕をしている。それに見事な連携だ」
 不覚を取った少将はしかし取り乱すことなく、再び高速機動に移ると【ブレイジング・シュート】をユーリーに放つ。蛇のように不規則に変化する動きは恐らくルイスの狙撃を警戒してのもの。複雑極まる三次元機動を正確に補足するのはAIにも容易ではない。
「なかなか隙を見せないな」
「しつこいやつだね!」
 ルイスは"Minerva"と共に敵行動の再計算を余儀なくされ、ユーリーは回避を強いられなかなか切り込むことができない。戦闘が膠着状態に陥りかける中――それを打破するように、誰かの声が戦場に響いた。

「再度問おう。本当に復讐してぇの?」

 声の主は"錆鉄"のコックピットから身を乗り出した夜野。通信回線は古すぎて繋がらず、AIによる接続もエラーが起きたため、己の声量のみを頼りとして彼は問いかける。
 揺さぶる事此度含め3度。強化を重ねてようやく訪れた首謀者との対峙。全てはここで【先制王手】をかける為――カール・バレットの心を折り、動きを止める。
「手前は自国も憎いと嘯きつつ、手前の王様を諌めもせず未だ国民を、軍を名乗り戦場へ?」
「そうだ。私の事を憧れ慕う罪なき者達を騙し、洗脳し、死地へと送り込んだ」
 夜野の糾弾に少将は淡々とした調子で応える。"錆鉄"にライフルを向けることもない。
 現状では優先度の低い敵だと完全に放置されている。だがそんなことは夜野にとってもどうでもいい。今の武器はキャバリアではなく、ここからでも届く言葉のナイフだ。

「ん、尾守が説得……説得? 呼びかけている……ふむ、呼びかけ……」
 夜野と少将が何かを話し合っているのに気付き、ふと考えついたのはメンカルだった。
 彼女の半身は今だ【我が身転ずる電子の精】によって粒子化し、データや信号に直接干渉可能な状態にある。そして後方待機中の"エンバール"との接続も繋がったままだ。
「さっき使った通信はまだ生きてるから……避難したり救出した人も少将の話や尾守を聞いているはず……」
 ギムレウスのパイロットを説得した時のように少将にも同じ手が使えるかもしれない。
 だが、そのためには高速移動する敵の機体と通信を繋ぐ必要になる。そのチャンスを作ってくれることを期待して、メンカルはじっと夜野の様子を見守る。

「十年早く止めたくば動けばよかった。諌めその先に殺されようと義は果たされた!」
 夜野の説得――いやさ糾弾は次第に語気を強めていく。拳を叩きつけるように激しく。
 彼がこれほど怒りを示すのは珍しい。余程少将のやり方が腹に据えかねたのか、あるいは別の理由があるのか。それは本人にしか分からぬことだが、今の彼は怒り滾っていた。
「義も通さぬ手前と護国の士とし果てた彼らを同列に語るな!」
「成程。正しいな、貴様の言うことは正しい。まことに私は義を欠いた犬畜生で、散っていった者らとは及びもつかぬ只の人殺しだ――だから生き残った。生き残ってしまった」
 夜野の言葉が熱を帯びるのとは対照的に、少将の返す言葉は冷ややかさを増していく。
 彼の糾弾は全てカール・バレットという男に秘められた汚濁を捉えている。だが現在の少将はその汚濁がことさら強調され表面化したものである。悪党相手にお前は悪党だと責たところで痛痒はなく、心を折るには真に秘められたものを捉えなければならない――。

「貴様のは復讐ではねぇ! 和平に理由が欲しいなら手前を理由にしてやるよ! 自殺志願者!」

 ――そう。だからこそ夜野が最後に告げた一言が、彼の心を揺らがすのに必要だった。
「………………………貴様」
 ブレイジング・バジリスクの動きが止まる。着地体勢すらも覚束ないまま無様に転ぶ。
 戦場において少将がこれほど決定的な隙を見せるのは初めてのことだ。彼が本当に復讐したいのは誰なのか――それを他人から突き付けられた衝撃は、それほどまでに大きいものだった。
『目標停止しました』
「ああ、見えている」
「今だ、行くよッ!」
 夜野が作り出したこのチャンスに、仲間達は迷わず動いた。AIのサポートの元でルイスは「Fucile magica d'argento」の照準を合わせ、反撃に転じたユーリーの"レスヴァント"が敵機に斬り掛かる。ハッと我に返った少将は咄嗟に回避行動を取るが、それすら遅い。

「気付かれないとでも思ったのかよ、この野郎」
「……ハ。はは、そうだな、バレてしまったか」
 銀の銃撃に穿たれ、ブレードの斬撃に刻まれながら、コックピットの中で男は乾いた笑いを漏らしていた。こうも見事に胸の内を言い当てられては、笑うしか無いとばかりに。
 敵国よりも、自国よりも、世界よりも、本当に彼が憎んでいたのは己自身。戦火の中を"生き残ってしまった"後悔と、亡くした者達に対する負い目が彼の憎悪の本質だった。
「……ああそうだ。俺はもっと早く死ぬべきだったんだよ。こんなバカなことをしでかす前に、誰かの身代わりにでもなって……俺の戦友の中で一番ロクでもないヤツだって、俺なんかの何千倍も価値があった」
 いつの間にか口調が変わっている。これが"少将"ではない彼本来の口調なのだろう。

「しかしお前、よく見抜いたな。……そうか、お前もだな?」
「……ブーメラン? 知らねぇな」
 皮肉げな男の言葉に夜野もまた皮肉げな笑みで返し。言いたいことを言い切った夜野は"錆鉄"のコックピットに戻る。ようやく動揺から立ち直りつつある男も、反撃のために右腕のライフル砲を巨大化させる。
「……本気で私を止めたいのならば。"殺してでも止めてみせろ"、イェーガー!!」
 放たれるは最大出力の【バジリスク・ランページ】。半径100m以上の広範囲を無差別に薙ぎ払う破壊の閃光が戦場へと降り注ぐ。それはまるで狂える野獣の慟哭のように。

「さて、あのマシンにどこまで通じるかわからないけれど……」
 だが、その攻撃を待っていた者がいた。電子の精と化したメンカルは放たれるビームの閃光にあえて手を伸ばすと、レーザー通信の要領で強引に敵機との通信を"掴み取る"。
 直接接触して回線を結ぶ以上の荒業だが、彼女の知性と魔力はそれを成し遂げてみせた。不安定な接続を無理くりに安定させて、エンバールに待機する人々との通信を繋ぐ。
『少将、もう止めて下さい……!』
『これ以上見てられねえよ!』
『アンタのやってる事は、自分も他人も傷つけてるだけだ!』
 回線が開いた瞬間、堰を切ったように飛び込んでくるのは今まで救助した兵士達から少将に向けた言葉。先程の夜野とのやり取りは聞こえていたはずなのに、それでも彼らは少将の身を案じ、かつての少将に戻って欲しいと切実に願い続けていた。

「お前達……ッ!?」
 予想だにしていなかった相手からの説得を受けて、少将の心は再び乱れた。砲撃の照準が狂った隙を逃さずに、攻撃を躱しながら矢のように駆け抜けるのは"レスヴァント"。
「もうこれ以上バカなことはやめておきなさい。クラッキング・アンカー射出!」
 ブレードの斬撃を叩き込むのと同時に、ユーリーが放ったのはクラッキング用の有線式端末装置。散々切り刻んでやった装甲の隙間からブレイジング・バジリスク本体のフレームに突き刺さったそれは、直ちに機体へのハッキングを実行する。

「言ったでしょ。あんたは必ずそこから引きずり出してぶん殴ってやるって!!!」
 ユーリーのハッキング技術も並外れているが、メンカルのような電脳魔術士ではない。
 オブリビオンマシンのシステムを掌握できるのは数秒が限界だろう。だがそれで十分。
 動きが止まった一瞬に、叩き込むのは剣でも銃弾でもない。固く握りしめた鋼鉄の拳。
「歯を食いしばれッ!!!」
 有言実行――ガツン、と"レスヴァント"渾身のパンチが直撃した頭部は完全に粉砕され、コックピットまで伝わるほどの衝撃が、ブレイジング・バジリスクを殴り倒した。

「その染められた頭の中ごと冷やしてやる」
 横倒しとなった敵に立ち上がる暇を与えず、追撃を仕掛けるのは"Soldato d`argento"。再びルイスの義眼の色が変わり【魔力付与】された災いの弾丸が橙色の弾道を描く。
「その悪趣味な機体を徹底的に壊せば、少しは落ち着くだろう」
 右腕、左腕、右脚、左脚。胴体中央にあるコックピットを避けて撃ち込まれたそれは、着弾と同時に大きな爆発を起こす。装甲を削ぎ落された今の敵機にとっては、文字通り"骨身に沁みる"ダメージだ。

「ぐ……ッ、まだだ……!」
 四肢と頭部に深刻なダメージを負った悪機は、それでも立ち上がり反撃の構えを取る。
 だが照準が定まらない。メインカメラのある頭部を喪失したのもあるが、先程のメンカルによる通信ジャックの際、照準システムに干渉を受けて機能を制限されていたのだ。
「説得……まあ半分は説得……は上手くいったし、あとは援護をするとしよう……」
 ほんの一秒でも侵入の隙あらば、魔女はそれを見逃さず、聞き逃さず、掴み損ねない。
 物理だけでなく電脳の側面からも、ブレイジング・バジリスクは追い詰められていく。

「くそッ、動け……ッ!」
 エラーの洪水に埋もれたモニターを叩き、必死の形相で機体を制御しようとする少将。
 しかし今や戦いの天秤はワンダレイチームに傾いていた。前衛は"レスヴァント"、後衛は"Soldato d`argento"、そしてサポートに"パールバーティ"と"錆鉄"が加われば、万全でないブレイジング・バジリスク一機に覆せる戦力差ではない。
 ボロボロに破壊された赤の機体が、戦いの終わりが迫りつつあることを示していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
※ロシナンテⅣ搭乗

火種を煽り、油を注いだその機体…私の敵はそれだけです
その内なる恩讐の炎、騎士として阻ませて頂きます

格納銃器やサブアームの二丁ライフルの●乱れ撃ちスナイパーで装甲薄い箇所狙い
回避行動で集中射撃精度落とし●盾受け被害軽減

易々と近づけさせてはくれませんか
ならば…

剣とライフルを地面へ●投擲し突き立て●地形の利用の為の足場形成
UC発動
自己●ハッキング直結●操縦で正確に●踏みつけ●推力移動加速
ピンボールの様な挙動で急速接近
大盾殴打で機体を破壊

此度の件で自責の念に駆られる暇はありません
平和の陰で燻る人々の恩讐との戦いが貴方を待っています

ですが、それを自覚する貴方ならば…勝利を導ける筈です



「火種を煽り、油を注いだその機体……私の敵はそれだけです」
 "ロシナンテⅣ"のコックピットからトリテレイアが見据えるのは、禍々しい赤の機体。
 何を討つべきで、誰を救けるべきなのか、誤るつもりも混同するつもりもない。罪を憎んで人を――ではないが、彼が憎むのは乗り手を狂気に陥れるオブリビオンマシンのみ。
「その内なる恩讐の炎、騎士として阻ませて頂きます」
「騎士道、か。この世界では久しく聞かなくなったな」
 歴戦のキャバリア乗りは皮肉げに笑った。無益な戦乱を拡大させ続けるものが"騎士"の名を冠するとは皮肉だと。だが復讐の道を選んだ者はそれを止めるのではなく、ただ破壊することしかできなかった。

「阻んで見せろ。お前が見せかけではない本当の騎士だと言うのならば」
 破損したキャバリアのブースターが唸りを上げ、ライフルの砲口が標的に向けられる。
 同時にトリテレイアも機体の格納銃器とサブアームに保持したRSライフル二丁を展開。
 両者の武装が火を噴くのは全くの同時であり、回避機動を取ったのもまた同時だった。
(目標の装甲に破損を確認。装甲の薄い箇所を……)
 トリテレイアは機体との直結操縦と高い照準精度により、高速で移動しながら敵機の弱点を的確に狙い撃つ。だが少将のブレイジング・バジリスクも複雑な三次元機動で弾幕を躱しながら【ブレイジング・シュート】を仕掛けてくる。

「易々と近づけさせてはくれませんか」
 銃撃で敵に回避行動を強いることで集中射撃の精度を落とし、シールドで被害を軽減しながら得意の白兵戦に持ち込む――それがトリテレイアの演算した理想的な展開だった。
 だが現実が理想通りにいかない事は彼自身が何度も噛み締めている。すでに機体の損傷は限界に近いだろうに、少将は凄まじい操縦技術で"ロシナンテⅣ"を寄せ付けない。
「ならば……」
 大盾を前面にかざしたまま、トリテレイアは機体の右手とサブアームに保持した武装をそれぞれ投擲する。銃弾すら避ける標的にそんなモノをただ投げたところで当たる筈はなく、空を切った剣とライフルは地面に突き刺さった。

「武装を最小限にし、少しでも身軽になるつもりか……?」
 敵の行動を少将はそのように推測したうえで警戒を強めるが、トリテレイアの目論みはまた別にあった。ただ機体を軽くしたかったのではない――地面に置いた武装達は、目標に近付くための"足場"だ。
「……追いつけますか、私達の時間に」
 【戦機の時間】発動。自身の電子頭脳をフル回転させ、直結した機体の限界を超える。
 その瞬間、彼にとっての世界はスローモーションとなり、少将から見た彼の動作は早回しになる。92000分の1秒の超反応速度と負荷を顧みない超過駆動、それが鋼鉄の騎士を白紫の稲妻に変えた。

「な―――ッ!!」
 それは少将が驚愕の声を上げる一瞬の内に起こった。加速した"ロシナンテⅣ"は地面に突き立てた剣を踏みつけると、スラスターの推力を最大にして疾走を開始。その先に配置した二丁のライフルも同様に踏み台にしてさらに加速すると、ピンボールのような挙動でブレイジング・バジリスクに急速接近する。
「此度の件で自責の念に駆られる暇はありません。平和の陰で燻る人々の恩讐との戦いが貴方を待っています」
 接触の間際にトリテレイアがバレット少将にかけた言葉は、淡々と冷静なものだった。
 心に恩讐の炎を抱く者は彼一人ではない。共和国にも王国にもそうした人間がいて、オブリビオンマシンがある限り、戦禍は何度でも平和を願う人々に牙を剥くことだろう。

「ですが、それを自覚する貴方ならば……勝利を導ける筈です」

 信を込めた言葉と共に叩きつけたのは、最後まで手元に残しておいた防具にして武器。
 キャバリア用にスケールアップした重質量大型シールドによる殴打が、ブレイジング・バジリスクを破壊する。
「ッ……!! 私、は………」
 衝撃により大地に叩きつけられた機体の中で、少々は喉から絞り出すような声を出す。
 彼も、もう分かっている筈だ。自分の憎しみの正体を、本当は何を為すべきなのかを。
 戦機の時間を終えた機械騎士は、全身の駆動部から過負荷による白煙を上げながら――勝鬨を上げることもなく、あとはただ無言で、この復讐の結末を見届けようとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雛菊・璃奈
復讐じゃ誰も救われない…亡くなった人達も、貴方自身も…
貴方のその憎悪…止めてみせる…!

目覚めよ、厄災の神…魔剣の媛、雛菊・璃奈が汝を解き放つ…
(不意にトランス状態になり、ぼんやりと呪文を詠唱)

解放、ディザスター・ゼロ…!(空間を割り、呪力を撒き散らし呪装機神を召喚)

この機体…初めてなのに、知ってる気が…

(更に機体に乗り【真力解放】発動)

強化されたアンサラーでライフルの射撃を反射しつつ、解放されたゼロで一気に接近。銃を腕ごとバルムンクで叩き斬ろうとしたり、有り余るパワーで殴りつける等、普段の戦闘とかけ離れた荒々しく半ば暴走状態で戦闘…

最後、ゼロをなんとか制御し、二刀で操縦席部分を切り離して救出…



「復讐じゃ誰も救われない……亡くなった人達も、貴方自身も……」
 戦いが終わりに近付きつつある中、地に膝を突いた赤きキャバリアに近寄るのは璃奈。
 借り受けたキャバリアを置いてここまでやって来た彼女は、ボロボロに傷つきながらも復讐を続けようとする悪機を見て、哀しげに目を細めると毅然とした態度で宣言する。
「貴方のその憎悪……止めてみせる……!」
 憎しみの炎を鎮めんとする決意が心を満たした時――不意に"言葉"が浮かんでくる。
 まるで何かに導かれるように、トランス状態となった魔剣の巫女はぼんやりとした様子でその言葉を、荒ぶる機神を解き放つ呪文を詠唱する。

「目覚めよ、厄災の神……魔剣の媛、雛菊・璃奈が汝を解き放つ……」

「解放、ディザスター・ゼロ……!」

 地鳴りのような音が響き、空に巨大な亀裂が走る。否、割れているのは空間そのもの。
 空間が砕けた向こう側に広がるのは、虚無。その中から膨大な呪力を撒き散らしながら姿を現したのは一機の人型兵器。禍々しきその名を『呪装機神ディザスター・ゼロ』。
「これは、サイキックキャバリア……いや、だがこの力は何だ……?!」
 明らかに現代の技術体系上には存在しない異質な機体に、バレット少将は警戒を抱く。
 厄災の神と称された魔の機神は、まだ誰も乗っていないにも関わらずひとりでに動き出すと、自らの意思で魔剣の巫女を己のコックピットに招いた。

「この機体……初めてなのに、知ってる気が……」
 トランス状態から目覚めた璃奈は、初めて乗るはずの機神のコックピット内で、奇妙な既視感を覚えていた。借りてみた『カルキノス』に乗った時とはまるで違う、どうすればこの機体を動かせるのか、まるで最初から知っていたように"分かる"。
「今は……憎しみを止めるために、わたしに力を貸して……」
 湧き上がる疑問を振り払うと、彼女の戦意に呼応してディザスター・ゼロも動きだす。
 呪力を揚力に変えてふわりと空に浮かぶと、暴風のごときスピードで敵の元へ。対するブレイジング・バジリスクも右腕のライフルを構えて迎撃体勢を取った。

「まるで機械仕掛けの神だな。だが私の……"俺"の復讐は神だろうと止められるか!」
 軍人然とした口調から一転、荒々しい態度に豹変した少将が【ブレイジング・シュート】を放つ。大口径ライフルによる一点集中射撃、その威力はいかなる標的をも破壊する。
 恩讐の銃撃に対してディザスター・ゼロが構えたのは魔剣「アンサラー」。乗り手が持っている武装を荒ぶる呪力により再現した物のようだが、その特性はオリジナルと同一。
「我と共に戦い、歩みしものに真の力を……。真力解放……!」
 コックピットの中で璃奈が【呪法・真力解放】の呪文を唱えると、機神が纏う呪力はさらに何十倍にも膨れ上がり。"報復"の魔力を籠めたアンサラーで盾のように攻撃を受け止め、その弾丸を敵の元に反射した。

「俺の攻撃を跳ね返した……ッ!?」
 弾道をそのままなぞるように返ってきた弾丸から、ブレイジング・バジリスクが慌てて身を躱した直後。真の力を解放したディザスター・ゼロが、猛烈な勢いで彼に接近する。
 沸き立つ呪力の中から抜き放たれたのは魔剣「バルムンク」。大上段から振り下ろされた剛の一閃が、かつて魔竜を屠ったという逸話のように、蛇の名を冠する敵を叩き斬る。
「ッ―――!!」
 切断されたのは右腕。同時にライフルの喪失。敵機から最大の武器を奪ったゼロは、そのまま有り余るパワーを誇示するように、握りしめた拳でしたたかに敵機を殴りつけた。
 極めて単純で原始的、ただ純粋なパワーと機動性のみで敵の追随を許さない――その荒々しい戦い方は普段の璃奈の戦闘とはかけ離れている。封印から解き放たれた反動によるものか、呪装せし機神は半ば暴走状態に陥っていた。

「駄目……このままだと、殺してしまう……!」
 搭乗者諸共にオブリビオンマシンを破壊せんばかりの勢いで暴れるディザスター・ゼロを抑えようと、璃奈は懸命にコックピットから思念を送る。自分が戦うのはただ敵を殺すためではない――それでは自分もあの少将とオブリビオンマシンと同じになってしまう。
「お願い……わたしは……!」
 璃奈が祈るように叫ぶなか、荒れ狂う機神は妖刀「九尾乃凶太刀」と「九尾乃神太刀」の二刀を構え。もはや抵抗する力を喪っている敵に、容赦なくその刃を振り下ろし――。

「――――殺さないのか」
 必殺のはずの斬撃は、ブレイジング・バジリスクの操縦席部分を本体から切り離した。
 間一髪でディザスター・ゼロの制御を取り戻した璃奈は、コックピットの中で荒い息を吐きながら、救け出した少将にはっきりとこう答えた。
「言ったはずだよ……憎悪を止めてみせるって……」
 殺せばまた新しい憎悪が生まれる。復讐の連鎖を断ち切るには、救い、許さなければ。
 迷いのない意志を突き付けたれた少将は、しばし呆然としたまま彼女の機体を見上げていたが――やがて、憑き物が落ちたような表情で言った。

「……私の、負けだ」



 それが、後に共和国軍部過激派の暴走として記録される、ひとつの事件の終結だった。
 あわや開戦一歩手前の事件を引き起こしたバレット少将は、この後罪を償うことになるだろう。その裏にオブリビオンマシンという悪夢の兵器が存在した事を知る者は少ない。
 だが、猟兵達は確かに二つの国を危機から救ったのだ。狂気に囚われた兵士達を解放し、恩讐に身を焦がした男の心を救い――この戦乱の世界で、平和の種を守り抜いたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月22日


挿絵イラスト