15
夢鳥籠のソナ=ニル

#UDCアース #おまかせ #サポート参加 #クトゥルフ神話 #ドリームランド

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#UDCアース
#おまかせ
#サポート参加
#クトゥルフ神話
#ドリームランド


0




 ――ぱら、ぱらぱら。乾いた音色を奏でて、色褪せた頁が捲られていけば、現実と夢とがゆっくり入れ替わっていく。
(「すとん、と落ちて。階段を一段ずつ下っていくみたいに」)
 物語の輪郭をなぞるようにして、浅い眠りのなかをゆらゆら彷徨いながら――深く深く、幻夢境に至る門を目指して沈んでいく。
(「……夢が生まれる場所に、縞瑪瑙の都市。猫を殺してはいけない街」)
 それは、ささやかなおまじないのつもりだった。辛い現実から逃れて、せめて夢の世界で安らげるように。古書店で手にした本に書かれてあった、幻想的な記述に惹かれつつ、眠る前のひとときを楽しむ――ただ、それだけのつもりであったのに。
『わたし、は――』
 ――なのに、夢の世界に突如ノイズが走って。星辰の宝冠を頂く少女が、眼帯越しの瞳をゆっくりと瞬かせて此方を見つめていた。
『おそらのうえから、あなたをすくいにきました』
(「――……ぇ、」)
 ああ、幾千もの千切れた羽が降り注いで、満ち足りた気持ちが胸を満たしていく。血に染まった切れ端もいつしか白に埋もれて、考えを巡らせることも億劫になっていったけれど、溺れるほどの喜びが指先まで伝わってくるから、もう何も怖くはなかった。
『わたしが、そばにおります。だから――』
(「うん、わかってる」)
 ――しあわせで、ありますように。

 それは、偶然が重なった末の出来事なのだとアストリット・クロイゼルング(幻想ローレライ・f11071)は言った。
「何気ない思いつきで始めた、おまじない……それに惹かれて、邪神が召喚されてしまったようなのです」
 ――悩み多き現実に疲れて、夢に救いを求めた少女。その願いに応えようと現れたUDC。まじないの参考にした古書にも、もしかしたら微かな力が宿っていたのかも知れない。
「普段であれば、怪異を呼ぶほどの力は無かったでしょうが……幾つもの偶然が重なってしまった結果、悪夢が現実となってしまった」
 アストリットが語るところによると、この召喚された邪神を倒すだけでは終わらず――それを迎えに来るようにして、更に恐ろしい邪神も姿を現すらしい。
「……夢を現に変えてしまう、数多の夢を喰らう存在。目覚めているひとすら、夢に引きずり込んでしまう恐るべき存在です」
 けれど先ずは、偶然召喚されてしまった邪神を片付けるのが先だろう。覚めぬ夢に囚われてしまった少女が、昏々と眠り続ける星見の丘は今や、邪神の力によって夢と現実が混じり合う不安定な空間となっているらしい。
「そんな場所で戦い続けることは、己の正気をすり減らしていくことになるでしょう。それでもこれ以上、夢を現に齎す訳にはいかないのですから」
 ――どうか夢見人が、二度と銀の鍵を手にすることが無いように。


柚烏
 柚烏と申します。今回はUDCアースでの、偶発的邪神召喚シナリオになります。執筆方法がいつもと違っておりますので、ご確認して頂ければ幸いです。

●このシナリオについて
 基本は『サポート参加』や『おまかせ』での、定型文のプレイングで大丈夫です。こちらの書けるタイミングでリプレイを執筆し、完結まで持っていこうと思います。
 プレイングが送信出来る間は、いつ送信して頂いても構いません。同じ内容での再送も大丈夫です。
 ※通常通りにプレイングを送って下さっても大丈夫ですが、期限内での執筆・採用は保証できませんので、その点ご了承頂ければと思います。

●シナリオの流れ
 夢と現実が入り混じる、郊外の星が見える丘での三連戦となります。一章のみの参加も大歓迎です。
 第1章:ボス戦『ノーズワンコスモス09』
 第2章:集団戦『楽園の鳥』
 第3章:ボス戦『夢の現』

 フレーバーにクトゥルフ神話をちょっぴり加えつつ、幻想的な戦いを繰り広げられたらと思っております。それではよろしくお願いします。
235




第1章 ボス戦 『ノーズワンコスモス09』

POW   :    無気力なる果ての夢
【千切れた自らの羽 】を降らせる事で、戦場全体が【全て満ち足りた理想の世界】と同じ環境に変化する。[全て満ち足りた理想の世界]に適応した者の行動成功率が上昇する。
SPD   :    全き善なる光
【記憶に刻まれた傷と経験を癒し消す優しい光】【身体に刻まれた傷と鍛錬を癒し消す柔和な光】【心に刻まれた傷と戦意を癒し消す暖かい光】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    願いは叶う、何度でも
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【集めた誰かの成し遂げたいとするエネルギー】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は奇鳥・カイトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ハロルド・リード
 アンサーヒューマンのサバイバルガンナー×オブリビオンマシン、20歳の男です。
 
普段は鍛冶屋のハロルド。無気力、無口です。

戦闘が始まったり、マシンに乗ると人が変わります。
マシン乗りのハロルド。活発、饒舌。挑発的。

数日数年問わず過去の記憶が酷く曖昧です。



 ――夜空に瞬く星々の光を、ハロルド・リード(scrap・f30129)も何時か、何処かの地で目にしたことがあったのかも知れない。
(「……だが、あァ」)
 紅蓮の髪を億劫そうに掻き上げる彼は、確かな記憶と言うものを持たずにいた。霧がかかったように曖昧なそれは、ともすれば数日前のことも掻き消えていて――手探りのまま未来へと進む、微かな灯火にもなってはくれない。
『つらいですか、かなしいですか』
 疲れた吐息をゆっくりと漏らしつつ、何処へと向かうかも分からぬ彼の行く先で、邪神の囁きが星のように瞬いた。無数の羽を舞わせ、満ち足りた理想の夢を描きながら、その無垢な少女の唇が優しい笑みを形づくる。
『だいじょうぶ、わたしはみすてません』
 ――願いは、叶うから。その成し遂げたいと言う想いを奪い去り、無気力なる果ての夢へと誘っていく邪神とは、成程ひどく残酷で狡猾な存在であるのだろう。
(「――……それでも、てめぇは」)
 銀の瞳にともる光が、不意に激しい熱を持ってハロルドの相貌を彩ったとき。彼の雰囲気は一変していて、手にしたアサルトライフルが次々に少女の羽を撃ち抜いていた。
『!? っ、……!』
「生憎だがな。分かんねぇんだよ、そういうの」
 ――救いだとか幸福だとか、記憶に刻まれた傷も喜びも。いつ終わるとも知れぬ戦乱のなか、キャバリアを駆る為だけに『造られた』ハロルドは、極限まで瞬間思考力を拡大された次世代の人類だ。
「理由も意味も、思考の連なりも捨て去った――」
 直後、夢と現実が混ざり合う世界に、轟音と共に出現したのは――禍々しい輪郭を持つ人型兵器、オブリビオンマシンであった。乗り手を狂気へ誘う、過去からの干渉を振り切って、ハロルドの操るキャバリアから膨大な骸の海が放出されていく。
「過去も未来もない、ただ『今』だけがある」
 ――淀み、停滞してしまった世界では。羽は舞うことを忘れ、成し遂げると言う願いもまた、凍り付いてしまうのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

伊織・遥
『あぁ、「あの方」はどこにいらっしゃるのでしょう……』
 人間の探索者×グールドライバー、20歳の男です。
 普段の口調は「丁寧(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、敵には「丁寧なように見える(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

基本的に依頼は仕事として割り切ってます。「あの方」以外に興味が無いので。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


漣・寧萌
 強化人間のUDCメカニック×グールドライバー、15歳の女です。

過去に邪神教団により家族を失い、その復讐を果たすため学業の傍らUDC組織に所属しています。
良くも悪くも合理的で、目的のためなら手段は選ばない性格です。
他人の名前を覚えることは稀で、相手の特徴で呼びます。

攻撃は主に銃器による電磁砲や氷の飛礫ですが、武器は刀の形に変形することも可能です。

 MS様のお好きなように、楽しく書いて頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします!



 星々の連なりを追いかけながら、現実にふと顔を覗かせる『それ』に踏み込んで、躊躇うこと無く手を伸ばす。
(「あぁ」)
 ――それは普通の人間ならば、目を背けたくなる程の真実で。彼の存在に対して余りにも矮小な自身はきっと、目覚めと共に消えていく、取るに足らない夢の残滓のようなものでしかないのだろう。
「『あの方』、は――」
 なのに、それを理解してしまってなお、伊織・遥(混沌に呑まれた徒花・f18781)は『それ』を求め続けている。とうに正気でないのかも知れないが、口元に浮かべる笑みは穏やかで、その胸元では深紅の首飾りが囁くように瞬いていた。
『なにを、ねがいますか』
 母を求める子どものように、ゆっくりと頭を巡らす遥の元へ、甘い言葉を投げかけたのは星の邪神。彼女が降らせる善なる光は、彼の肉体と精神を蝕むものを全て癒していくのだろう――愛おしげに伸ばされた遥の手が、邪神の頬をそっと撫でていくなかで、舞い散る羽は全てを夢に変えて消し去っていこうとする。
「『あの方』の面影が、蠢く黒き肉が……赤い、目が」
 そうして――妖しい輝きに囚われて、遥の瞳がうっとりと細められていった、その直後。何処からともなく出現した黒い糸が、触手のように脈打って邪神の肉体に絡まっていった。
「違う、……違う。あなたは『あの方』ではない」
『――……っ、』
 きりきりきり、と無慈悲に首を絞めつけていく混沌黒糸によって、少女神は言葉を吐き出すことを封じられ、その身から放たれる光も急速に窄まっていく。
「残念でしたね。あなたの救いは、届かない」
 其処でふと、闇夜を切り裂く涼やかな声に顔を上げてみれば――星が落ちてきそうな丘の上、長大な電磁砲を構えた漣・寧萌(Ripple・f27491)が居た。
「……それは、救いなどではありません」
 ――恐らくは、未だ年端も行かない少女の筈。なのに彼女の瞳は暗澹とした光を湛えていて、標的を見定めるその様子は、残酷で狡猾な復讐者のものだ。
「あなたは、何も知らないのでしょう。私の過去も味わった苦痛も……どれほど心を凍らせてきたのかも」
 吹きすさぶ風に舞う晦冥の髪には、時おり刻印から生まれたのであろう、氷の魔力がちらついていて。絶佳の力を用いた寧萌は、遥の戒めより抜け出そうと足掻く邪神に先んじて、加速した銃弾を撃ち出して斬り込んでいった。
「それに、あなたは絶対に、わたしの願いを叶えられない」
 驚異的な思考速度が紡ぐ、銃と刀の連続攻撃によって追い詰められていく邪神の元では、遥もまた再び『あの方』を探し求めるべく、簒奪した光を用いて任務の遂行に当たっている。
(「大切な人を亡くす辛さを、もう味わわない」)
 ――寧萌が秘めた微かな誓い。それは世界を滅亡に導くオブリビオンとは、決して相容れないものだったから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

篠突・ササメ
「僕で力になれるなら。ああでも、ちょっと湿っぽくても平気かな…?」
「ああ…来たばかりなのにそんな…」

雨男の東方妖怪。
温厚な優男だがどこでも雨を寄せてしまうため若干陰気。
それでも人間を愛おしみ、手助けようとやってくる。

同じ場所に長くいると雨を寄せてしまいますが、
それらを利用し(UC)、多少操り戦います。
雨脚はまちまちなので、戦況が台無しにならない程度に都合よく降ったり降らなかったりします。
ですが総じて、本人の気分は台無しになることが多いようです。

公序良俗に反しない範囲でご自由に、
あとはおまかせ、よろしくお願いします


亞柳・水雷
水の畔の社に住まう龍、傍にある都市を守護する神だった。

守りたいものを守れず身は滅び、神器を飲み込む事で存在を保つ。

不安定な存在だからか、感情の揺らぎはほとんどなく凪いだ水面のよう。
ただ偶に守れなかったものを思い出し、人(特に子供)を害する輩には『悪龍』となり怒りを顕にする時も。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、積極的に攻撃するよりは一歩ひいて補助を行うようなタイプ。
自身が戦うしかない場合は雷や水を用いる。

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。



 天に瞬く星のかけらが、銀の雨に変わって静かに降り注いでいた。一歩、そしてまた一歩――篠突・ササメ(誘い水・f30166)が歩みを進めるたびに、大気には湿った土のにおいが混じっていき、その灰色の髪からとめどなく雫が滴り落ちていく。
「ああ、……来たばかりなのに」
 握りしめた傘には骨と皮ばかりが残っていて、ササメを雨から守る、少しの助けにもなってくれなくて。力無く落とした肩は、すっかり雨に濡れてしまっていたけれど――彼は「仕方ない」と諦めた様子で、儚い笑みを浮かべて溜息を吐いた。
「空もあんなに……晴れてたんだけどね」
 ――雨男は、雨を呼ぶ。朝には雲に、暮れには雨に。ひとを愛おしむ想いとは裏腹に、ひとびとの心を曇らせて、時に涙を連れてきてしまう。
(「……願い、か」)
 ああ、もしかしたら。空の果てから舞い降りた、星の化身の如き神ならば。ササメの胸裡に今も満ちる、ぶ厚い雨雲を吹き飛ばしてくれるだろうか。
『どうか、しあわせに』
 血が混じり、雨を吸って重たげな翼を懸命に動かしながら――目の前の邪神は繰り返し繰り返し、壊れたレコードのように救いの言葉を口ずさんでいる。
「うん、そっか。……でもね、ごめんね」
 現実の世界を浸食していく夢は、心の雨を癒してはくれないから。全てが満ち足りた世界では、本当の意味での『しあわせ』が無くなってしまうと、ササメは思ったから。
「雨は湿っぽくて、嫌なものだけどね。雨上がりの空に輝く虹は、とっても綺麗なんだ」
 ぽつ、ぽつぽつ――雨のあやかしが呼び続けるのは、生命の熱源を奪う春驟雨。消えない水たまりが、大地に蓮の葉の如く広がっていく間を、雨糸の如き髪を靡かせた亞柳・水雷(祟ノ蛇龍・f28343)が駆けていく。
(「私が守りたいものは、そう――」)
 その凪いだ水面のようなこころにふと生じた波紋は、夢のような嘗ての記憶。水の畔の社に住まう龍として、慈しむ存在が――守れなかった存在が、水雷にはあった。
(「全て、全てを失って。それでもこの身を保ち続けたのは、」)
 忌まわしい悪霊と化してまで、うつくしき竜神が飲み込んだ神器――それがかっと熱を帯びていけば、黄金の瞳が雨粒のなか煌めいて、星さえも喰らおうと天を目指す。
「雨よ、雷よ――」
「……うん、僕で力になれるのなら」
 完全な龍と化し、神雷を用いて邪神を滅ぼそうと飛翔する水雷を助けるように、ササメも躊躇うこと無く雨を呼んで、狂気に呑まれた世界に立ち向かう。
「ああでも、ちょっと湿っぽくても平気かな……?」
 ――たぶん、きっと大丈夫だろう。雨男には、竜神の加護があるなんていう言い伝えもある。それに、己の心は散り散りになってしまったのだと、呟いたのは水雷だった。
(「だが。……いつかは、それを」)
 切れ切れの心の名残りを宿した、揺れる柳のまぼろしが水面に揺れたと思った刹那――稲妻に打たれた邪神の羽が、泡沫のように弾けて消えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ロシ・ギアルギーナ
デッドマンのストームブレイド × レトロウィザードの少年。

赤い天竺牡丹の花飾りを身につけ、スチームパンク風のドレスを身に纏い、一人称は『わたくし』で女性のように振る舞う。

どちらかと言えば好戦的で、天竺牡丹の花言葉「華麗」「気品」「優雅」「移り気」をイメージする行動をとる。

自分を枯らす(終わらせる)のは2人(父と姉)だけだと思って居る。
なので既に死んだ身なのも合わせて、ダメージを負うことに頓着せず敵陣に切り込む狂戦士。
とは言え得意なのは魔法剣を雨あられと降らせること。

本心を見せず、はぐらかすのが得意。
ふと零す独り言だけは、本来の少年らしさが出る。


ニアニナ・ルルベル
継ぎ接ぎだらけの躯
ボロボロの漆黒ドレスを纏います

色素の薄い白金髪
ふんわり癖髪の膝下ロングヘア
手入れをしていないのでボサボサ
糸目、瞳を開くと反転目

一人称はアタシ、昂ると自分の名前
間延びとカタカナ混じりの口調
にんまりと楽しげに笑っています
見た目はお嬢様なのに品はありません

倒錯した理想を掲げる芸術家
部位破壊に長けた殺人鬼
獲物は窓硝子を割ったような歪な刃物
標的は少女に向きやすく、異性への興味は限局



 ――とうに死んだ筈の肉体が、月光の下で揺らめき踊る。伸ばした手足は継ぎ接ぎだらけで、襤褸のドレスは蜘蛛の巣みたいに、ニアニナ・ルルベル(Gift・f30207)の肌に絡まり黒花を咲かす。
「……あぁ、素敵だなァ」
 にぃんまりと歪めた唇から、時折ひゅうひゅう零れる笑声は、枯木が奏でる葉擦れの音にも似ていて。糸のように細めた瞳が邪神の姿をゆっくり捉えていけば、掌の刃が恍惚にカタカタと身震いしていった。
 ――色素の薄い髪も綺麗だし、首まわりの華奢な輪郭や、右手の指の先もニアニナ好み。どれが良いかなと刃物を弄びながら、標的にあけすけな視線を送る彼女の仕草は、令嬢の美貌にそぐわないものだったが、ロシ・ギアルギーナ(愛求哀散・f29735)は特に気にした素振りを見せなかった。
(「わたくしは、ただ戦う為に居るのですから」)
 射干玉の髪を彩るのは、闇夜のなかでも鮮やかに咲く天竺牡丹の花飾り。しかし――儚くも凛とした、花の如き美貌を持つロシもまた、その肉体は朽ちた屍者のもの。魂の抱える衝動のままに舞って踊って、肢を止めることは許されないのだと、彼は恭しく一礼する。
「アタシはさァ、難しいコトはわっかンないのね。……頭もヨくないからァ」
 生命の埒外にある――既に、ヒトとは呼べぬもの。彼らうつくしき死者が夢と現のはざまに踊っていくなかで、邪神の放つ光はその衝動を消し去ろうと、身体と心の両方から浄化を行っていく。
『きざまれた、きずを――』
(「……否、わたくしの、癒しは」)
 記憶を灼き尽くそうと迫る善なる光に、ロシの瞳が震えて、天竺牡丹の花がはらりと舞った。遠いどこか、此方に背を向ける人影を追いかけようと、踏み出した足がぼろぼろと崩れていく。
(「待って――自分を見て、」)
 ふたりに並びたくて、必死に声を掛けようとして。其処でロシは、己の喉が腐り落ちていたことに気づいたようだった。ああ、行ってしまう。彼らだけが自分を終わらせてくれるのに。
(「わたくしを……ボク、を」)
 ――愛して、と。その魂を揺さぶる衝動を思い起こした直後、ロシの偽神兵器が起動して、周囲一帯に艷華の嵐が吹き荒れていった。狂い咲くような魔力が、邪神を浸食して深紅の花を咲かせていくなかで、風に乗ったニアニナが一気に跳躍をする。
「……まァだ、もォっとニアニナと遊ぼ?」
 星の冠を頂く、邪神の脳天目掛けて歪な刃を振りかざし、白と黒が入れ替わった瞳がぎょろりと瞬けば。九死殺戮刃が彼女の肉を削ぎながら、少女の姿をした異形を斬り裂いておびただしい朱を散らしていった。
(「ああ、やっぱり素敵ね」)
 ――ぽとりと落ちた指は、ほら。艶やかな紅をひくルージュみたいでしょう?

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鵜飼・章
僕は鵜飼章…旅人だ
何かの縁でここにやってきて
状況は大体解っている
だからさりげなくその場に溶けこみ
依頼をいい感じに進める行動言動をするよ
シリアスでもギャグでも皆に合わせます

可能さ…そう
UC【空気を読む】があればね
(読めない時もあるよ)

僕にできる事は技能一覧を見てほしいな
これ以外の事は大体できないと思ってくれて構わない
特に苦手なのは労働と力仕事だよ
できないからやらないとは言ってない
装備アイテムを使えば割とどうにかなる
きみが僕をなんとかするんだ

困っているきみ…
この依頼心情系ですか?
全部捏造でいいんじゃないかな
描写された内容が真実とは限らない…
僕、謎なので

つまり全部お任せだよ
アドリブアレンジ大歓迎です


斬断・彩萌
お嬢様ギャルJK。丸眼鏡とキツい巻髪が特徴的な女の子
明るく楽しい事が好きで、基本的には楽観的にして好戦的
人を思いやる気が強く、気付かぬうちにフォローに回っている事が多い
一人称は私、二人称はキミ(気に入らない敵には『アンタ』)

さぁて、お仕事するとしましょーか!
まずは状況把握から。話を聞いて現状を理解する
その後は適宜UCを使って応戦
接近戦には神霊剣Oracleを、遠距離にはExecutionerとTraitorの二挺拳銃で戦う
サイキッカーなので超常的な事態には慣れている&使いこなす
一般人がいたら被害が出ないように人命優先で行動

NG:エログロ



 邪神を呼び出すきっかけになった、書物に語られる神話曰く――ひとの夢の奥深くに、幻夢境はあるのだと言う。
 浅い眠りのなかでゆっくりと、階段を降りて洞窟へ。そこから更に下っていけば、異世界の入り口である深き眠りの門に至る。
(「だから……うん。これも何かの縁、なんだろう」)
 ――鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)が今、此処に居るのも。旅人とは、ふいに訪れて去っていくもので、此度の章は夢見人。夢のなかでは素っ裸になってしまうものらしいけれど、其処は章のこと、しっかり空気を読んで普段の黒衣を纏っている。
「それに、状況は大体解っているつもりだよ」
 目の前で苦しみながら、白い羽で辺りを包み込もうとしている邪神――彼女を何とかすれば良いのだろう。物理的にどうこうするのは彼の得意分野では無いが、精神的なものならば融通が効く。
「……ホントかしら。でもまぁ、被害者の安全は確保されたみたいだし」
 そんな風に、さりげなく戦場に溶け込んでいる章の前方で、眼鏡をそっと押し上げたのは斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)だった。彼女の性格を表すような、きつく巻かれた髪をそっと揺らせば、辺りにばちばちと光の粒子が舞う。
「彼女のことは、UDC組織に任せれば問題ないだろうね」
「後は私達の仕事って訳ね……さぁて、」
 昏睡状態に陥っていた一般人の少女については、一先ず大丈夫だと頷いた彩萌は、超常の力を用いて光の剣を生み出し――そのまま邪神の元へ斬り込んでいった。
「――覚悟はいい?」
 斬断の名に相応しい、天を断つ刃が邪神の翼目掛けて振り下ろされていくと、そのまま躊躇なく傷痕を抉って紅を散らす。凄惨な戦いが繰り広げられているにも関わらず、優雅な彩萌の佇まい故だろうか――華々しく光が舞い跳ぶ様はさながら、春の嵐。空高く飛んで追撃を逃れようとする邪神の元へは、高速で放たれた光楼の弾丸が迫り、善なる光を打ち消してなお迫る。
『……ま、だ』
 翼が吹き飛び、墜落していく邪神が捉えたのは、悠然と戦場に立つ章の姿だった。せめて彼だけでも、と――無気力なる果ての夢に誘おうとしたその刹那、夢と現のはざまからのっそりと、羊の着ぐるみを着た章のまぼろしが現れる。
「僕、謎なので」
 ――既に無気力だったと言わんばかりに、ずるずるっと邪神を押し潰していくその存在は、章の精神攻撃によるものだろう。ごろごろ転がっていく羊に巻き込まれ、悲鳴をあげる邪神を見て、彩萌の宿す夢魔も悪戯に加わりたそうにしているのが、そこはかとなく哀れみを誘う。
「……クロちゃん。邪神は、玩具じゃないからね」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

日下部・舞
話を聞いて私は後に退けない
他愛のないおまじない、応えた邪神が彼女を救う

「聞いたことがある話ね……」

ずっと『今』が続けばいいと祈った私に、応えてくれた神がいた
現実は壊れて、夢こそが現実と入れ替わる
目覚めた時には全てが終わって、そして私は『今』の躰になった

「まだ間に合うかもしれない」

影を滑るように疾駆して【先制攻撃】
放たれる光に構わず【黄昏】を発動
振るうたびに彼女の羽が舞い散る

浴びるたびに癒されていく感覚
傷も過去も願いすら消し去る光

「私だけが癒されて、それでいいはずがない」

封じられたユーベルコード
でも私の戦いは終わらない
いいえ、これは戦いですらない

「私は『今』を生きるだけだから」

夜帷を静かに薙いだ



 ――他愛のないおまじないが、星の邪神を呼ぶ引き金となって『救い』が齎される。どこかで聞いたことがある話だと、日下部・舞(BansheeII・f25907)は思う。
(「ずっと『今』が続けばいい」)
 他愛のない夢はたぶん、誰もが一度は思うこと。泡沫みたいに弾けて消えて、それを聞き届けるものなんて居ない――居てはならない筈の、夢。
(「なのに、私には――」)
 応えてくれた、『神』がいたのだ。舞の現実はそこで壊れて、夢こそが現実と入れ替わる。機械仕掛けの神が笑えば皮膚の下で歯車が回り、鋼の四肢が冷たい鼓動を刻んでいく。
(「目覚めた時には、全てが終わっていて」)
 人形のようだ、なんて嘘。舞の『今』の躰は造られた人形そのもので、ドールの名を冠したそのシリーズは、今も続々と生産されているのだろう。
「だけど、あの子はまだ」
 星明かりに浮かび上がる丘を疾駆して、地に落ちた邪神の元へ一気に肉薄する。全き善なる光が彼女の肌を掠めたものの、構わずに夜帷の封印を解いた。
「間に合うかもしれない、だから」
 その片刃の長剣となったUDCが、舌なめずりをするように震えた直後――黄昏の残光がぎらついて、邪神の羽が千切れて舞った。
 何度も、何度も。振るうたびに視界を埋め尽くす白のなか、舞の記憶がずきりと熱を持ったが、最後の力を振り絞った邪神が、それをも癒そうと笑みを浮かべる。
『ないて、いるのですか』
「――……っ」
 剣を握る手が、戦い方を忘れたように引き攣ったのが分かったが、歯を食いしばって耐えた。浴びるたびに癒されていく光は暴力的で、舞の抱えた傷も過去も――願いすらも消し去ってしまうけれど。
「私だけが癒されて、それでいいはずがない」
 後には退けないのだと、吐き出した吐息には血のにおいが混じっていた。敵を屠れと相棒を奮い立たせ、封じられた力に目覚めを促しながら、星空の下で影が踊る。
「私の戦いは終わらない。……いいえ、これは戦いですらない」
 震える手で夢路へ誘う、少女の姿をした異形を――その時、夜帷の刃が静かに薙いだ。
「私は『今』を生きるだけだから」

 ――星が、落ちた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『楽園の鳥』

POW   :    楽園においでよ、一緒に歌おう♪
自身の身体部位ひとつを【食べた人間】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    楽園はすてきだよ、苦しくも悲しくもないよ
【夢と希望に満ちた『楽園の歌』を歌う】事で【高速で空を飛ぶ戦闘モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    楽園にいこう、体寄越せ寄越せ寄越せ寄越せ
【おぞましい叫び声】【楽園を賛美する演説】【食べた対象の知性を真似た声でのお願い】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ニアニナ・ルルベル
お次のお前はどォんな子なのかなァ??
………なァんだ。人喰いの鳥には興味ナイなァ
生やした頭部は少女のもの??
あぁ、醜美が混在しているよォだ
なんとも芸術的だねェ
けれどもアタシの好みじゃあない。

壊そうか。壊そう。そうしよう。
まずはその両翼を切り取りたいなァ
くるくると硝子の獲物を回して駆けよう

裸足の足が汚れていく
襤褸のドレスまでも汚れようが気にしないさ
此処に品性なんて必要ないンだから。

悲鳴が好きだ。慟哭が好きだ。
劈くような演奏を奏でるのが好きだ。
枯れた喉を潤す恍惚の味が好きだ。
真っ赤な色はニアニナを昂らせるのさァ

あァ……五月蝿い。ウルサイ
お前の声はとても耳障りだなァ
その喉を潰してしまおう。それがイイ。


鵜飼・章
大丈夫だ
僕は元々正気じゃないし狂ってもいない
なんにでもなれるしなんでもないんだよ
ここにあるのは空気の色を読むだけの無だ

だからかな
きみたちみたいな子にはよく懐かれる
一緒に楽園に行こうって皆誘ってくれるよ
そんなに可哀想に見えているのかな
だとしたら確かに可哀想かもしれない
実感はないけれど

教えてあげる
楽園で検索するとパチンコ屋が出てくるんだ
打ちに行こうか
遊び方は知らないけれど

UC【無神論】
僕は安易な救いをもたらす神を否定する
信じてほしいならこの曲を止めてよ
僕の笛は音楽じゃない
【言いくるめ】で【精神攻撃】だ
神様もパチンコも本質的には大差ないでしょう

寝過ごせば明日に置いていかれるよ
悪い夢からは醒めなくちゃ



 ――空の彼方から落ちてきた、星冠を頂く少女神。
 その無垢な悲鳴に血が混じり、白い羽がぐしゃりと重力に押し潰されたと思った刹那、けたたましい囀りが辺りに響き渡る。
『ラクエンニ、オイデヨ』
『ラクエンハステキナトコロダヨ、ラクエンニツレテッテアゲルヨ』
 夢の終わりは、新たな夢へと繋がっていき――ニアニナ・ルルベル(Gift・f30207)がふと天を見上げると、今度は邪神の遣わした尖兵が、『楽園』の素晴らしさを歌いながら舞い降りてきた所だった。
(「お次のお前は、どォんな子なのかなァ??」)
 少女のかたちを模すその鳥たちは、夢想家であれば天使のようだと讃えただろう。しかし、長い髪の後ろに隠された獰猛な嘴を、とっくにニアニナは見抜いていたし――片翼に散った生臭い赤からも、向こうの貪欲な本性が滲みでていて溜息を吐く。
「……なアんだ。人喰いの鳥には興味ナイなァ」
 重罪人であるがゆえに、穢れに浸ったものの気配には敏いのだ。否、ニアニナが『芸術』と呼ぶそれを、周りのニンゲンが勝手に『罪』と呼ぶだけのこと。
(「でも、向こうの男は……ちょっと違う。何がどうとかは、わかンないけど」)
 ――楽園の鳥たちに群がられ、『楽園』に行こうと繰り返し歌を聞かされている、黒衣の男。その儚げな、寂しそうに微笑む彼の姿は、此の手の怪物にとって恰好の餌に見えているのだろう。
「……大丈夫だ。ここにあるのは、空気の色を読むだけの無なんだから」
 そうして――ちらりと此方に視線を向けた、屍人の女に頷いてみせてから、鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)は高速で向かってきた鳥を躱し、彼女らの誘いを振り払うように手を翳した。
「だからかな――きみたちみたいな子には、よく懐かれる」
 ――楽園はすてきだよ。苦しくも悲しくもないよ、と。そんな風に、一緒に楽園に行こうって皆が誘ってくれるけれど、そんなに自分は可哀想に見えているのだろうか。
「……だとしたら、確かに可哀想かもしれない。実感はないけれど」
 そのまま考え込む素振りを見せた章だったが、理屈っぽいのはニアニナのやり方ではない。少女の頭部を生やした裏側で、ぎちぎちと鳥の嘴が人の肉を貪ろうと蠢いている――あァ、醜美が混在したその姿はなんとも芸術的で、ぐつぐつ煮込まれた魔女の大釜のように見るものを魅了するのだろう。
「あァ、……けれども、アタシの好みじゃあない」
 倒錯した美を求め、うっとりと細められていく黒い瞳が、底無しの沼みたいにどろりと濁る。手遊びに回す歪んだ硝子はまるで、不条理な彼女のこころそのものだ。
「――壊そうか」
 くるくると、硝子の刃物が風車のように回転していけば、暴風と化したニアニナが空を駆けて、彼女に掴みかかろうとした鳥の翼が根元から斬り落とされた。
「壊そう。そうしよう」
 ――偽翼のアクセサリーみたいに、綺麗な切断面から噴き出た赤が、ニアニナの素足を汚していくが気にしない。無造作に少女の頭を踏みつけつつ、直ぐにもう一羽の翼に狙いを定め、殺戮の刃を振り下ろしていく。
(「悲鳴が好きだ。慟哭が好きだ」)
 夢と希望に満ちた歌声が、断末魔の叫びに変わっていく瞬間が――だけど、楽園の鳥が響かせる絶叫はひどく耳障りで、僅かに眉を顰めたニアニナは、逆手に持った刃で喉元を掻っ切っていくことにしたようだった。
「あァ……五月蝿い。ウルサイ。だから、その喉を潰してしまおう」
 襤褸のドレスを乱暴にたくし上げて、汚れることも構わずに鳥の首を絞めていく。まるで屠殺場みたいだと思ったが、此処には品性なんて必要ないのだ。
「ねェ、もっと遊ンで――?」
 ――それに、ほォら。章だって。この状況を平然と受け容れているし、優しげな表情はさっきと全く変わっていない。大丈夫なのだと、邪神の配下に微笑みかけておいて、笛を握るその手は『獣』を呼びだすことを止めはしない。
「教えてあげる。楽園で検索すると、パチンコ屋が出てくるんだ」
 その拙いメロディはどうやら、勇壮な軍艦行進曲のものらしい。銀玉がじゃらじゃらと零れ落ちる音は幻想でも何でもなく、実際に空から落ちてきて鳥たちに直撃しているようだ。
「打ちに行こうか。……遊び方は知らないけれど」
 それは、彼の無神論――安易な救いをもたらす神を否定するように、章は音楽とも呼べない『曲』を鳴らし続ける。神様もパチンコも本質的には大差ないでしょうと、歓楽街にいるおっちゃんが拍手喝采しそうなことをのたまいつつ、楽園の鳥を巨大なチューリップに落としていく。
(「劈くような演奏を奏でるのが好きだ」)
 ――それがニアニナの持論だったが、章とは音楽性の違いを感じずにはいられない。だから代わりに、枯れた喉を潤す恍惚の味を堪能しようと、九つ目の刃を少女の喉に奔らせた。
「……真っ赤な色はニアニナを昂らせるのさァ」
 きっと彼女も、章も――元々正気じゃないし、狂ってもいないのだ。なんにでもなれるし、なんでもないんだよ。そう微笑んだまま、章は空気の色を読んで無のなかに意識を溶かしていった。
「寝過ごせば明日に置いていかれるよ。……悪い夢からは醒めなくちゃ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シアン・ナアン
『まずは自分を壊しちゃお!世界もどーせ壊れてるから!』
『自由こそ真の秩序……』
『シアン難しい話わかんなーい☆』

◆口調
コロコロ変わり、ぐちゃぐちゃである

◆行動
戦闘、遊び、調査等何をするにも分身を使って活動する
分身も意識があり区別がつかない
行動指針に一貫性がなく都度変わる

爆発物好き、派手好き

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、怪我や死ぬことも厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為は多分しません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動は恐らくしません。
 つまりはだいたいおまかせ。よろしくおねがいします!!



『ラクエンハステキダヨ、ステキステキステキ』
『ユメトキボウニミチタ、ステキナトコロ!』
 ――飛び込んだ世界でくるくると、少女の姿をした楽園鳥が歌う。まるで、死肉を狙って旋回する禿鷹のようだと、シアン・ナアン(自己壊乱・f02464)の持つ大鎌が甲高い音を響かせて、大地に歪な笑みを刻んでいった。
「ねぇねぇ、すっごく悪趣味な場所だよね☆ 夢のなかにいるハズなのに、不自由で行き場が無くて――」
 突然、シアンの周りに姿を現したのは、彼女とそっくりな分身たち。派手なピンクの髪をふわりと揺らし、あるものは現実と切り離された世界で堂々巡りをして――またあるものは我関せずと寝転がり、鳥たちに手を振っている。
「そう鳥籠! 籠の中の鳥ってヤツ?」
「別にいいじゃん。夢で二度寝とか楽しそうだし」
「えー、つまんない。もっと面白いことが出来ると思うんだけど」
「何だよそれ、あのトリでも絞めてチキンにする?」
 ――ギョロっとした目玉飾りが、赤から緑へと色合いを変えていくなかで、きゃあきゃあと騒ぐシアンたちの話題も目まぐるしく変わっていく。
「あー、私バナナ食べたい! 7本ぜんぶ!」
 コロコロ変わる口調は、とっくにぐちゃぐちゃになっていて、互いが互いの話なんて聞かずに一方的に喋っているようで。すっかり存在を忘れていた邪神の配下が、此方を喰らおうと襲い掛かってきたところで、7人のシアンは顔を見合わせた。
「……楽しければ、過去だろうが夢だろうが何だっていいんだけどさ。何より大事なのは、」
「「「「「「自分!!!」」」」」」
 そして――可憐な声が綺麗に調和したと思ったら、その中のひとりが爆弾を取り出して、鳥の群れ目掛けて一気に投げつけたのだ。
「自由こそ真の秩序……!」
「いゃっほーぅ!!!」
 サブマシンガンを連射しながら特攻していった別のシアンが、その爆風に巻き込まれて――ハイテンションな叫びと共に吹き飛んでいったけど、誰も気にしたりはしない。だって、どうせ世界も壊れているのだ。
「だからまずは、自分を壊しちゃお!」
「自分……私、え? オレだっけ、どっちでもいいや」
 さぁ、踊り狂え私達――生きるとは、死に向かうことなのだから。自分そっくりの分身たちと、死の舞踏会を繰り広げていくシアンの元では、楽園の鳥たちが無残な屍と化して壊れた夢を彩っていく。
「「イェーイ♪」」
 ――ぱぁん、とシアン同士がハイタッチを決めた瞬間。脳天を撃ち抜かれた鳥がまた一羽、大地に墜ちて厭な染みを作った。

成功 🔵​🔵​🔴​

日下部・舞
「楽園……」

数多の鳥たちの叫び声
それはどこかにあるとして、少なくともここじゃない

影を滑るように疾駆して【先制攻撃】
鳥たちを【怪力】任せに薙ぎ払いながら、

「起きなさい、夜帷」

呼び声にクランケヴァッフェの『彼女』が目を覚ます
敵の噛みつきを夜帷で【受け】て切り返す
その感触に、歓喜にも似た彼女の圧は【恐怖を与える】

「あなたたちに未来はなく、辿り着く楽園もない」

私は死を告げる者
惹きつけられるだけ惹きつける
ダメージは【肌】の機能で痛覚遮断
【継戦能力】を発揮、鳥たちの群れを一身に集めて【深淵】を発動

暗黒物質が鳥たちを根こそぎに飲み込み喰らっていく
塵ひとつ、羽一枚すら残さない

「闇に抱かれて眠ればいい」



 ――少女の姿をした神を墜とした瞬間、自分は確かに夢から醒めたのだと思っていた。しかし、空から降り注ぐ白い羽は、先ほど見た夢の続きを日下部・舞(BansheeII・f25907)の元へ運んでくる。
「楽園……」
 ――ラクエンニオイデヨ。何気なく手にした羽根は血に塗れていて、コスモスの少女の儚い笑みが脳裏にちらついた。
『イッショ、ニ。イッショニウタオウ』
 舞の耳をつんざく、数多の鳥たちの叫び声はもはや暴力に近い。しかし少女の顔の裏側にある、鋭い嘴がぐるりと前を向き――此方の肉を啄もうと襲い掛かってくるよりも早く、舞は動いていた。
(「……望まなくても、影は寄り添うもの」)
 銀盤を滑るように影を疾駆して、次々に飛来してくる鳥たちを躱す。そうして、遅れて飛び掛かってきたものを怪力任せに薙ぎ払ったところで、相棒の剣に声を掛けた。
「起きなさい、夜帷」
 クランケヴァッフェに身をやつした『彼女』が、幾重もの封印から目覚めて身震いをすると、舞はそのまま夜帷の刀身で敵の攻撃を受ける。
『ラクエン、ラク……エ、カラダ。ヨコセ、ヨコセヨコセヨコセ!』
 ――彼女の長剣に喰らい付いていたのは、先ほどの邪神とよく似た少女の顔で。楽園の鳥の肘から先、白い羽の合間から顔を覗かせた『それ』が、夜帷を砕かんばかりに歯を鳴らしていたが、舞は表情ひとつ変えずに片刃を滑らせていく。
『ヨコ、ヨココセセセセセセ』
「楽園、それはどこかにあるとして。……少なくともここじゃない」
 鮮やかに寸断された頭部が、白い羽に戻って辺りに舞い散っていくなかで、夜帷が歓喜に震えたのが分かった。彼女の与える恐怖が圧となって襲い掛かり、我を忘れて出鱈目に向かってくる鳥の群れ――其処へ、深淵を叩き込むべく手を翳す。
「あなたたちに未来はなく、辿り着く楽園もない」
 ――惹きつけるだけ惹きつけて、痛覚を遮断した葬送乙女の肌で数多の牙を受けながら。封印を解かれた暗黒物質は、楽園に囚われた鳥を根こそぎ呑み込んで、その存在を瞬く間に食らい尽くしていった。
 彼女は死を告げる者。塵ひとつ、羽一枚すら残さない。だから、そう――。
「闇に抱かれて眠ればいい」

大成功 🔵​🔵​🔵​

漣・寧萌
 強化人間のUDCメカニック×グールドライバー、15歳の女です。

過去に邪神教団により家族を失い、その復讐を果たすため学業の傍らUDC組織に所属しています。
良くも悪くも合理的で、目的のためなら手段は選ばない性格です。
他人の名前を覚えることは稀で、相手の特徴で呼びます。

攻撃は主に銃器による電磁砲や氷の飛礫ですが、武器は刀の形に変形することも可能です。

 MS様のお好きなように、楽しく書いて頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします!


ノイシャ・エインズワース
 永遠に執着し、時計の針を止めた女。
男性的な口調で淡々と話すが立ち振舞に粗暴な部分は微塵もなく、貴人そのもの。
やや不遜な態度で人によっては高圧的な印象をうけるものの、物事の分別は限りなく常識人であり、倫理感は永遠で有り続けるという事以外は正常。
失う事、欠ける事、忘れる事を忌み嫌う。

ユーベルコードは必要であれば使用、メインで戦うよりサポートや遊撃のほうが得意だが求められれば必要に応じて戦う。【闇に紛れる】【空中浮遊】をメインによく使う。
武器は金の薔薇の装飾のついた金の鳥籠。
ノイシャの求めに応じる触媒。


ハロルド・リード
アンサーヒューマンのサバイバルガンナー×オブリビオンマシン、20歳の男です。
 
普段は鍛冶屋のハロルド。無気力、無口です。

戦闘が始まったり、マシンに乗ると人が変わります。
マシン乗りのハロルド。活発、饒舌。挑発的。

数日数年問わず過去の記憶が酷く曖昧です。



 ――永遠というものに執着し、時計の針を止めた女がいた。
 黒手袋で覆われた指先に、ちらちらと纏わりついていくのは黄金の燐光。その源である久遠の時は、今も彼女の持つ鳥籠のなか、消えぬ炎となって揺らめいている。
「……楽園、と言ったか」
 その淑女然とした佇まいに反して、男性的な口ぶりで言葉を発したノイシャ・エインズワース(永久の金糸・f28256)は、次々に舞い降りてくる異形の鳥たちに向けて、ゆっくりと手を伸ばした。
「苦しくも悲しくもない、素敵な場所。それは確かに『楽園』の定義に当てはまるのだろう」
 ――粗暴な素振りは微塵もないと言うのに、ノイシャの金瞳に捉われてしまえば、言いようのない畏れが全身に広がっていくような気がした。
『ダカラ、イッショニ――』
「だが」
 甘い誘惑を囀ろうとした鳥を遮って、淡々としたノイシャの声が現実を突きつける。その『楽園』に至る代償は、彼女が看過出来るものでは無かったから。
「……『体を寄越せ』、それは私が最も忌むべきことだ」
 失う事、欠ける事、忘れる事。それでは、永遠で有り続ける事が出来なくなってしまう。ふわりと飛び立つ黄金蝶は、ノイシャが抱く記憶の欠片で――それは牙を剥いて襲い掛かる人間の頭部を、忽ち分解して元の部位へ戻していった。
「叡智の神に希う――」
 指摘と実証によって出現したアカシック・レコードが、楽園の鳥たちの牙を封じていくなかで、動いたのは漣・寧萌(Ripple・f27491)だ。鳥は未だ空にいて、楽園の歌をうたいながら高速で旋回している。
『ステキダヨ、ラクエンハステキナトコロダヨ』
 ――波が近づき、遠ざかっていくような不安定な音程で、寧萌のこころを揺さぶってくる。だが、彼らの本性はとっくに見抜いていたし、寧萌の思い描く『楽園』は今この時には存在しえないものだ。
(「……吐き気がする」)
 彼らのやり口に、言葉通り『人を食い物にする』ことに。だから――此方も、手心なんて加えてやらない。
(「駆ける」)
 ぱちん、と指を鳴らしたと同時に、寧萌の時間は加速していた。赤から青に移り変わる光のなかで、クランケヴァッフェの砲身を刀に変えて、一気に跳躍する。
「――お、」
 その寸前で目が合った、ハロルド・リード(scrap・f30129)はどうやら、興味の無い素振りで鳥たちの歌を聞いていたようだったが、戦いの気配を察して銃を取ることにしたようだった。
「漸くか、アイツらの歌は聞き飽きた所だった」
 言うが早いか、ハロルドの姿は星明かりに紛れるように姿を消していて。凍てつく刃で辺りをなぎ払った寧萌の直ぐ近くを、恐ろしいまでに正確な狙いをつけた銃弾が通り過ぎていった。
「……あァ、汚ェな。やっぱ」
 柘榴のように弾け飛んでいく、鳥の頭部――遠くからハロルドの溜息が聞こえてきたが、二度三度と闇を貫く凶弾はその瞬間に最適な軌道を選んで、増大した敵の反応速度の上を行くのだ。
(「やっぱ、り? ……分かんねェや」)
 ――いつか、何処かで。過去の自分もこうして敵を迎え撃ったことがあったのだろうか。物陰に隠れながら頭を狙い撃つ動作は、ハロルドの身体にすっかり染み付いていて迷うことは無かったが、記憶だけが曖昧だ。
(「アイツは、嫌で堪らないだろうがな」)
 忘れるとは即ち、永遠ではいられないことを意味するから、ノイシャであれば憐れんだかも知れない。そんな黄金の薔薇を思わせる魔女が、鳥たちを惑わして動きを封じていくなかで――寧萌の生む氷の飛礫はいつしか、鮮やかな花びらと化して星空に降り注いでいく。
 ――ネモフィラ。空と大地が交わる景色のなか、寧萌は懐かしい声が自分の名前を呼んでくれたような気がして、鮮やかな青の瞳をほんの少し細めた。
(「……大丈夫。私は、覚えている」)
 だから――刀を握りしめたまま、青に落ちていく。楽園を青に、墜としていく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

斬断・彩萌
楽園ねぇ。本当にそんなところがあったら、是非行きたいところだけど……一人で行っても詰まらない
大事な友達、好きな人、家族……みんなと一緒じゃなきゃイヤ
でもね、あなた達みたいな迷惑そうな連中がいたんじゃ、其処はもう楽園とは呼べないわよね?

そういうことだから、私はあなた達の楽園を否定する
大体、人は自分に都合の良いところを楽園と呼ぶのよ
アンタ達にとっての楽園は、私の楽園じゃない。だから――……

UC光楼を発動。二挺拳銃で以って敵に乱射!
ほら、ほらっ!あなた達は苦しくも悲しくもないんでしょう!?
でもどうかしら、現実はそう甘くない
銃撃されたら痛いし、夢と希望だけじゃ生活できない
さぁ、骸の海に還りなさい!



 ――夢と希望に満ちた楽園とは、一体どんな場所なのだろうか。イマドキの少女である、斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)が咄嗟に思い浮かべたのは、色とりどりの風船で飾られたアミューズメント・パーク。
「本当にそんなところがあったら、是非行きたいところだけど……」
 片っ端からアトラクションを回りつつ、キャストと一緒に写真を撮ってみたり。レストランで限定メニューを堪能したあとは、ナイトパレードの光を眺めながら日常に戻っていく。
「うん、悪くないかも。……でも、一人で行っても詰まらない」
 オイデヨ、と歌う楽園の鳥を不敵に睨みつけ、彩萌の周囲に生まれていくのは、華々しい光楼のイルミネーション。それは楽園の閉園時間を告げるみたいに、空高く打ち上がって鳥たちの羽を散らした。
「私は。大事な友達、好きな人、家族……みんなと一緒じゃなきゃイヤ」
 ――超能力で次々に打ち上がっていく弾丸花火は、爆発的な速度を得た怪物にも難なく追いつき、彼らが反応するよりも早く心臓を貫く。
「でもね、あなた達みたいな迷惑そうな連中がいたんじゃ、其処はもう楽園とは呼べないわよね?」
 このまま空中に留まれば、狙い撃ちされる――そう悟った鳥たちが急降下を仕掛けてきたようだが、それさえも手間が省けて良いとばかりに、彩萌は口角を上げた。
(「……そういうことだから、私はあなた達の楽園を否定する」)
 あはは、と享楽的な笑みを零し、ホルスターから取り出したのは愛用の二挺拳銃。処刑人と叛逆者の名を冠したそれを両手に構えれば、気分はアトラクションのガンシューティングだ。
「大体、人は自分に都合の良いところを楽園と呼ぶのよ。アンタ達にとっての楽園は、私の楽園じゃない。だから――……」
 ――数を頼りに此方へ向かって来ると言うのなら、片っ端から乱射するまでだ。絶え間ないマズルフラッシュはリロード要らずの無限弾薬のお陰であり、そのチートじみた精神力を武器に、彩萌は楽園の鳥を撃ち落として着々と屍を積み上げていく。
「ほら、ほらっ! ほらっ! あなた達は苦しくも悲しくもないんでしょう!?」
 ――楽園はすてきだよ、苦しくも悲しくもないよ。そんな『楽園の歌』が皮肉に聞こえるくらいに、夢で繰り広げられる戦いは血生臭くて、早く夢が覚めて欲しいと願いもするけれど。
(「でもどうかしら、現実はそう甘くない」)
 銃撃されたら痛いし、夢と希望だけじゃ生活できない。一族の当主として、完璧に振る舞うことを余儀なくされた彩萌は、そこら辺の折り合いは上手くつけて生きているのだ。
「さぁ、骸の海に還りなさい!」
 其処は夢も希望も過去に埋もれた、何も生み出すことのない場所。だからきっと、苦しいとか悲しいとか言う気持ちもない――彼らにとっての『楽園』なんだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『夢の現』

POW   :    夢喰み
【対象の精神を喰らうこと】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【戦意の喪失】で攻撃する。
SPD   :    魂攫い
【深層の欲望を見抜く視線】を向けた対象に、【欲を満たし心を奪う空間を創り出すこと】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    心砕き
いま戦っている対象に有効な【対象が最も苦手とする存在】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はルメリー・マレフィカールムです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ロシ・ギアルギーナ
デッドマンのストームブレイド × レトロウィザードの少年。

赤い天竺牡丹(ダリア)の花飾りを身につけ、スチパン風ドレスを身に纏い、一人称は『わたくし』。
女性のように振る舞う。

やや好戦的で、ダリアの花言葉「華麗」「気品」「優雅」「移り気」を思わせる行動をとる。

自分を枯らす(終わらせる)のは2人(父と姉)だけだと思って居るので既に死んだ身なのも合わせて、ダメージを負うことに頓着せず敵陣に切り込む狂戦士。
とは言え得意なのは踊るように無差別に、機械の羽根や魔法剣を雨あられと降らせること。
狩ったモノは捕食し、自らの力へ変える。

本心を見せず、はぐらかすのが得意。
ふと零す独り言だけは、本来の少年らしさが出る。


亞柳・水雷
元は水の畔の社に住まう龍、傍にある都市を守護する神。
穏やかで慈悲深い性質を持つ。

しかし守りたいものを守れず身は滅び、今は神器を飲み込む事で存在を保っている。

不安定な存在だからか、感情の揺らぎはほとんどなく凪いだ水面のよう。
ただ偶に守れなかったものを思い出し、人(特に子供)を害する輩には『悪龍』となり怒りを顕にする時も。

積極的に攻撃するよりは一歩ひいて補助を行うようなタイプ。
だが悪霊(祟り神)ゆえか、攻撃されれば反撃で同じダメージを返す神罰を与え、継続してダメージを与える呪詛を刻む。

自らの意思で戦うしかない場合は雷や水を用いる。



『おそらのうえから、あなたをすくいにきました』
 ――おまじないの始まりは、星が落ちるようにして邪神の少女が姿を現したことだった。
『ラクエンハステキナトコロダヨ! ラクエンニツレテッテアゲルヨ!』
 救いの光は夢と交わり、楽園をうたう鳥たちが肉体を喰らおうと羽ばたいていって。そうして残された魂もまた、実体を得た夢魔が貪るように喰み――攫い、粉々に砕いていくのだろう。
(「何も、残らない」)
 まぼろしの幻夢境が砕け散ってしまえば、其処に居るのは悪夢の担い手でしかない。邪神の黒外套から覗く触手はさながら、ムーンビーストの頭部を思わせて――嗜虐の悦びに震えるそれを一瞥した、亞柳・水雷(祟ノ蛇龍・f28343)の瞳に微かな熱が生まれていった。
 ――ぞわり、と粟立つ肌は恐怖からでは無く、嘗て邪神を滅ぼした竜神の血が滾っている所為だろう。今の彼を形づくる神器は力を放ちたいと訴えているようで、その指先からは絶えず稲光が生まれて闇夜を照らす。
「……攫うか、我を」
 悪龍と化したその身を晒しながら、水雷は魂攫いの視線を迎え撃ち、心を奪う空間にも恐れず踏み込んでいった。深層の欲望を満たすもの――不安定な彼のこころが求めるのは、もしかしたら元通りの姿を取り戻すことなのかも知れないが。
「だが、」
 ――それがどんなものなのかも分からない今は、目の前の敵を屠ることが一番の望みだった。
「人の子を食い物にする、邪神の類が相手なら……尚更のことだ」
 水雷の静かな怒りが天叢雲剣に宿れば、己に向けられた呪詛がそのまま、夢魔の元へと跳ね返っていく。その欲望の世界に囚われた敵が、頭蓋を巡らせて新たな獲物を探そうとするものの――優雅に空を舞う機械仕掛けの翼の主は、艶めく唇に笑みを浮かべながら、直ぐに手の届かない場所まで飛び去ってしまう。
「生憎ですが、貴方に喰われてしまう訳には参りませんので」
 夢を喰む夢魔の異能を、魔法剣の一振りで弾き返すロシ・ギアルギーナ(愛求哀散・f29735)は、此方の戦意を喪失させようと迫る幻影ごと、本体目掛けて膨大な電流を撃ち出していた。
「わたくしを枯らす存在は、あの人達だけ――」
 代償に捧げた片腕が見る間に焼け焦げていったが、どうせ既に死んだ身だ。天竺牡丹の花の如く華麗に、優雅に舞い続けて――そうして散る時が来るまで、命を繋いで咲き続けなくてはならないから。
「それを思えば、在りし日の夢も愛おしくて」
 移り気な花びらが風に舞うように、ロシの羽が夜空を埋め尽くして悪夢の怪物を捕食する。毛むくじゃらのガグに、鱗に覆われたシャンタクの巨鳥――幻夢境に巣食う獣を喰らって、ダリアは更に赤く色づき艶を増していく。
「……でも、まだ夢の現は続いているのですね」
「ならば、悪夢の果てまで赴くとしようか」
 ぐちゃりと千切れた触手が溶けて消えていくのを見届けてから、顔を見合わせたロシと水雷は、邪神の気配を辿って更なる夢の奥へと踏み込んでいく。
「……夢が生まれる場所、ソナ=ニルまで」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シアン・ナアン
『まずは自分を壊しちゃお!世界もどーせ壊れてるから!』
『自由こそ真の秩序……』
『シアン難しい話わかんなーい☆』

◆口調
コロコロ変わり、ぐちゃぐちゃである

◆行動
戦闘、遊び、調査等何をするにも分身を使って活動する
分身も意識があり区別がつかない
行動指針に一貫性がなく都度変わる

爆発物好き、派手好き

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、怪我や死ぬことも厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為は多分しません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動は恐らくしません。
 つまりはだいたいおまかせ。よろしくおねがいします!!


ノイシャ・エインズワース
永遠に執着し、時計の針を止めた女。
男性的な口調で淡々と話すが立ち振舞に粗暴な部分は微塵もなく、貴人そのもの。
やや不遜な態度で人によっては高圧的な印象をうけるものの、物事の分別は限りなく常識人であり、倫理感は永遠で有り続けるという事以外は正常。
失う事、欠ける事、忘れる事を忌み嫌う。

ユーベルコードは必要であれば使用、メインで戦うよりサポートや遊撃のほうが得意だが求められれば必要に応じて戦う。【闇に紛れる】【空中浮遊】をメインによく使う。
武器は金の薔薇の装飾のついた金の鳥籠。
ノイシャの求めに応じる触媒。



 ――『夢の現』の出現により、どんどん現実が夢に侵食されていく。そうして、目を開けたまま引きずり込まれてしまえば、夢と現の区別はつかなくなるのだろう。
(「コロコロ変わる、ココは何処?」)
 踏み出した足が宙に浮いたと思った直後、シアン・ナアン(自己壊乱・f02464)の身体は逆さまに放り投げられていて――其処では天から伸びた千の塔が、此方に鋭利な切っ先を向けているのが見えた。
「へーぇ、何だっけなーコレ。何かで見たような気がするんだけど」
「探索行の果てに狂気に陥る……的なアレじゃない?」
 こんな時でも、死の舞踏会によって作り出したシアンの分身たちは、其々が好き勝手に動いて夢の世界を引っ掻き回している。
「やっべ、ダイス振らなきゃ!」
「でもアレじゃん、オレらの正気度とっくにゼロ切ってるじゃん」
 ――例え其処が、魂攫いの空間であったとしても。シアンの欲を満たし心を奪うものなんて、彼女自身にも分かっていないのだ。
「ああ、幻夢境……って、もうちょっとで思い出せそう。オオス=ナルガイ渓谷にある、大理石の壁と青銅の門でしょ」
「……セレファイスだな。光明の都、永遠が約束された場所だ」
 探索者として培った知識を掘り返す、知的な雰囲気を漂わせたシアンの傍で、不意に響いた硬質な声はノイシャ・エインズワース(永久の金糸・f28256)のものだった。同じように空の彼方へ落下していくなかでも、ノイシャの表情は変わらずにおり――その一方で、彼女に従う黄金の蝶は、重力に煩わされること無く優雅に辺りを飛び交っている。
「もしかしたら、私の精神が影響してしまったのかも知れないが――」
「えー、シアンは難しい話わかんないんだけどー?」
 邪神召喚のきっかけになった書物、それに書かれた文章に想いを巡らせて、ノイシャの睫毛が微かに伏せられた。
(「永遠……そう、永遠だ」)
 ――現世の苦しみから逃れようとした夢見人が、夢を見続けることで手に入れた楽園。其処では時の流れが失われており、ひとびとは老いも死もなく永遠を生きる。
(「時が何かを壊すことなど、ない」)
 壮麗な都市が朽ちていくことも、縞瑪瑙の欠片ひとつ砕けることもなく――時計の針を止めていられる。
(「だが……分かっているとも。これが罠であると」)
 魂攫いの先に待つのは、心砕きなのだ。夢の現はきっと、ノイシャが最も苦手とする存在を――全てが失われ、欠けしまって、忘却された自身の姿を突きつけてくる筈。
「だから、此方も罠を張らせて貰うとしよう」
 しゃらり、と澄んだ音色と共に取り出されたのは、ノイシャが触媒に使う金の鳥籠だった。直後、久遠の時を閉じこめた炎が妖しく揺らめくと、永遠のセレファイスを硝子の迷宮が取り囲んでいった。
 ――クローズド・グラスケイジ。それもまた、不変たる永久の存在であり。巨大な温室を思わせる硝子の鳥籠は、魂攫いの空間ごと夢魔を閉じこめ、決して逃がさぬように追い詰めていく。
「じゃあ、……出口に現れたところで、一気に殺っちゃう?」
「「「イエーイ♪ レッツパーリィ♪」」」
 どうせ壊すのなら、徹底的にやってしまうのが良い。空と大地が反転した夢の世界で、7人のシアンは思い思いに武器を取って歓声を上げた。
「すげー爆弾! すげぇ爆発するやつ!」
「こっちはロケランいっぱい行くぜ。無敵無敵ィ!」
 ――どっかーん!!!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

日下部・舞
「叶わないから夢を見るの?」

それはいつか醒めるもの
醒めない夢はもう夢じゃない
【怪力】任せに夜帷で薙ぎ払う

「夢だから叶わない?」

眼前に現れたのは『私』だ
幸せそうな笑みを浮かべて、あるいは悲しみに目を伏せているのか
感情を露わにするのは苦手だった
時にそれが力になると知っても、感情のまま振る舞おうとは思わない
吹き飛ばされて、連戦のダメージも深刻な状態だ
痛みを感じないからまだ戦えるだけ

「夢は夢よ。あなたがそうであるように、彼女の夢は彼女のもの」

【殺戮回路】を起動

瞳が紅く染まり、私はもう暴力装置
折れた腕を叩きつける
頭突き、膝蹴り、首を強引に締め上げる

「もうちょっとだったのに」

時間切れに私は夢へと落ちていく



 ――少女を墜として、鳥を喰らって。繰り返される悪夢の果てにふと視線を彷徨わせてみれば、赤黒い血がこびりついた手に「ああ」と呼吸が漏れた。
(「……私、が」)
 塵ひとつ、羽一枚すら残さないと誓った筈なのに、それは日下部・舞(BansheeII・f25907)の奪った命が確かに存在したことを、魂の奥深くに刻みつけてくる。
(「いいえ、感傷に浸っては駄目。これが相手のやり口なのだから」)
 生臭い血のにおいも、靴に染みていくあたたかな血だまりも、夢の現が魅せるまぼろしでしかない。
 だって、ほら――深紅の水面に映った骸骨がカタカタと嗤っている。沸騰するみたいに粟立つ赤い滴が、幾つも浮かび上がって不気味な触手に変わっていく。
『叶わないから、夢を見るの?』
 ――零れ落ちた言葉は、果たしてどちらが口にしたものだったのだろう。怪力任せに振り回した夜帷が、咄嗟に触手をなぎ払うと、辺りに深紅のアーチが架かって突然の邂逅を祝福しているようだった。
『夢だから、叶わない?』
(「……ああ」)
 ――それはいつか醒めるもの。醒めない夢はもう、夢じゃないと分かっているのに。
(「『私』だ」)
 その時、舞の眼前に姿を現していたのは、彼女そっくりの『もうひとりの私』で。物静かでいて芯の強いところは確かに伝わってくると言うのに、その表情だけがぼやけてしまって見えなかった。
(「どんな、顔をしているの」)
 幸せそうな笑みを浮かべているのか――或いは、悲しみに目を伏せているのか。感情を露わにするのは苦手だったから、目の前の自分が何を訴えたいのかが分からない。
「――っ!」
 どんな顔をして戦えばいいのか、分からない。顔の見えない自分が振り下ろす、心砕きの剣をまともに受けて吹き飛ばされてしまうと、手元の夜帷が「不甲斐ない」とばかりに震えたのが分かった。
「ええ、そうね――でも」
 時にそれが力になると知っても、感情のままに振る舞おうとは思わないから。その最も苦手とするものと向き合いながら、舞は肩で大きく息を吐いて妖精眼を起動させていく。
(「連戦のダメージは深刻……痛みを感じないから、まだ戦えるだけ」)
 それでも、このままでは負荷がかかり過ぎて、先に回路のほうが焼き切れてしまうだろう。神経系統はとても繊細だから、ほんの僅かな狂いが生じただけでも『舞』は『舞』で居られなくなるかも知れないが――。
「夢は、夢よ」
 彼女の瞳が紅に染まって、起動するのは殺戮回路。不活性化した倫理思考の代わりに、増強されていく破壊衝動が、彼女を生きた暴力装置へと変えていく。
「あなたがそうであるように、彼女の夢は彼女のもの」
 折れた腕はもう、肉体の一部であると言う実感も無くなっていたけれど。もうひとりの自分を巻き込みながら、舞は夢魔に頭突きを繰り出し、膝蹴りをして――その骨と触手が絡まる首を、馬乗りになったまま強引に締め上げていく。
「……ああ、もうちょっとだったのに」
 ――其処で、すとん、と。電源が落ちるみたいに瞳のいろが失われていった直後、舞の身体がゆっくり傾いで血だまりのなかに叩きつけられた。
「時間、切れ」
 ――私は、夢へと落ちていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

斬断・彩萌
おっとぉ、いよいよ大ボスの登場かー。随分とまぁ禍々しいお姿をしていますこと。
と言ってもこっちのやることは変わらない。普通に戦って倒すだけよ!
相手の攻撃は第六感と見切りで躱しつつ、もし当たっちゃったらその時はその時で!
逆にこちらからは周囲の動かせそうな物を片っ端からサイコキネシスで持ち上げて投げつけるわ!
自分の手は汚したくないし…遠近両用で使える便利な技よ♪
まぁでも一応近づかれたくないし、二挺拳銃で牽制くらいはしとくか

(戦意喪失後)
あっははは! なーんかまるで戦う気起きなくなっちゃった。
でも義務感は残ってる。オブリビオンを倒すってコト。
悪いけど死んで。
(サイコキネシスで相手の脳内を直接揺さぶる)



 邪神によって捻じ曲げられた世界で、斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)は溌剌と笑い、短めのスカートを翻して地を駆ける。
「おっとぉ、いよいよ大ボスの登場かー」
 神出鬼没に襲ってくる、夢魔の触手を跳び越すついでに蹴り上げて、彩萌はあちこちに散らばっていた瓦礫を念動力で浮き上がらせた。
「随分とまぁ、禍々しいお姿をしていますこと」
『夢の現』と言う名の邪神は、お伽噺に出てくる悪魔そのものの姿をしていたが、望むところだ。いつも通り、気兼ねなく戦って――そして倒す。
「……こっちのやることは変わらない」
 そんな輝きを失わぬ少女の瞳に、超常の意志が宿ると同時――浮遊する瓦礫は弾丸に変わり、四方から夢魔の元へ押し寄せていった。
「あぁ、でも自分の手は汚したくないんで」
 黒外套を抉り、時に貫いていくその破片は、よく見れば縞瑪瑙のようだ。様々な色層が重なったその石をひとつ手にしつつ、彩萌は拳銃での牽制も忘れてはいなかった。
「便利な技よね♪ ……っと」
 瓦礫の雨を掻いくぐって伸ばされた触手を、叛逆者の弾丸が撃ち抜き、塵に変えていく。そうして――反動で持っていかれそうになる身体をそのまま、ふわりと宙に浮かせると、瓦礫の階段に着地させて一気に駆け上がっていく。
(「もし当たっちゃったら、その時はその時」)
 出たとこ勝負の戦い方だが、彩萌には天性の勘があったし、衝動的に振る舞うぶん次の手が読めない。春の嵐のように、気まぐれで激しくて――そして華々しく攻め立てていく。
「――……っ!?」
 それでも、夢喰みの力はじわじわと彼女の精神を浸食していったようで、不意に彩萌の瞳から光が消えた。カラカラと――力を無くして転がる縞瑪瑙の向こうから、夢魔の触手が不気味に忍び寄ってくる。
「……あっははは!」
 ――そうして、あとほんの僅かで彩萌を喰らえると思った直後。乾いた笑い声が悪夢の世界に木霊した。正気を失ったようにも感じられたが、冷ややかな彼女の声音はむしろ冷静だ。
「なーんか、まるで戦う気起きなくなっちゃった。でも、」
 ゆっくりと伸ばす手が掴んだのは、夢の現の頭蓋骨。有無を言わせずその脳を揺さぶってやろうと、不可視のサイキックエナジーが渦を巻いたかのようだった。
「義務感は残ってる。オブリビオンを倒すってコト」
 ――ああ、彩萌の影に潜む『何か』が、彼女と一緒ににやりと笑う。
「悪いけど死んで」

大成功 🔵​🔵​🔵​

漣・寧萌
目の前にいるのはかつての私
皆が死ぬ前の、両親からの愛を一身に受けて育っている私

嫌よ……見たくない
忘れたはずの
凍らせたはずのものがよみがえる

恐怖に
氷気が、冷気が、溢れて止まらない
ああ、きっとこれは夢ね

髪先は濁った雪白に染まり
絶対零度の荊がそれらを拒絶する
これが“真の姿”なんて……皮肉なものね

かつての私は凍てつく吹雪を知らない
“夢”は寒く冷酷な氷河を知らない

これは烈烈たる氷花の嵐
時の流れを止めて
灰となり朽ちれ
そしてもう私の前に顕れないで

さようなら



 ――ほんの僅かな時間、幸せな夢を見ていたのだと思う。瑠璃色の花びらが夜空に羽ばたいて、漣・寧萌(Ripple・f27491)の意識を過去へと連れ去っていた。
(「……あれは」)
 手を伸ばして、何かに縋りつこうとしたところで我に返る。忍び寄る違和感に身震いをすれば、吐き出した吐息が白く染まっていた。
(「かつての、私」)
 必死に顔を背けようとしたけれど、蒼玉の瞳は目の前の存在を捉えたまま動いてくれない。
(「嫌よ……見たくない」)
 才色兼備を絵に描いたような、普段の寧萌を知る者ならば驚いただろう。年相応の少女の顔で、彼女はかぶりを振って途方に暮れているように見えたから。
『ほら、見て?』
 ――夢か現か、花影の向こうから声が聞こえる。凍えるような現在よりも昔、ただ一身に愛を受けて笑っていられた頃の自分が、手招きをしていた。
『皆、ここに居るのよ』
(「死んだはず」)
『あなたの凍らせたはずのものが、』
(「……忘れたはず」)
『よみがえる』
(「見せないで!!」)
 ――凍った少女のこころに秘む熱情は、凍てついた炎となって荒れ狂う。瞳のなかの刻印が刺すような痛みを訴えたと同時に、とめどなく溢れる冰気が花びらを粉々に砕いていった。
(「止まらない」)
 噴き上がる恐怖が冷気に変換されていくのを、ただ寧萌は呆然と見ていることしか出来なかった。ああ、きっと――これは夢なのだろうと、零水の檻を形づくりながら彼女は思う。
「これが……私の、『真の姿』」
 ――頬を滑り落ちる髪先は、濁った雪白に変わっていて。絶対零度の荊が過去の自分を拒絶していけば、夢の現の本体が引きずり出されて氷霰の元に晒される。
「……なんて、皮肉なものなのかしら」
 ――かつての『私』は凍てつく吹雪を知らなくて、『夢』は寒く冷酷な氷河を知らなかったと言うのに。あたたかな夢は終わりを告げて、寧萌の生む悪夢が邪神に向けて襲い掛かっていた。
「これは、烈烈たる氷花の嵐――時の流れを止めて、灰となり朽ちれ」
 そうして、再び過去を凍らせながら――夢の現がまた何かを呼び出すよりも早く、冷気の刃を一閃させてはっきりと告げる。
「もう……私の前に顕れないで」
 ――さようなら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニアニナ・ルルベル
継ぎ接ぎだらけの躯
ボロボロの漆黒ドレスを纏います

色素の薄い白金髪
ふんわり癖髪の膝下ロングヘア
手入れをしていないのでボサボサ
糸目、瞳を開くと反転目

一人称はアタシ、昂ると自分の名前
間延びとカタカナ混じりの口調
にんまりと楽しげに笑っています
見た目はお嬢様ですが品性はありません

倒錯した理想を掲げる芸術家
部位破壊に長けた殺人鬼
獲物は窓硝子を割ったような歪な刃物
標的は少女に向きやすく、異性への興味は限局
異形に対する興味は無いにも等しいが、衝動の標的となる事も


ハロルド・リード
アンサーヒューマンのサバイバルガンナー×オブリビオンマシン、20歳の男です。
 
普段は鍛冶屋のハロルド。無気力、無口です。

戦闘が始まったり、マシンに乗ると人が変わります。
マシン乗りのハロルド。活発、饒舌。挑発的。
数日数年問わず過去の記憶が酷く曖昧です。


深淵の欲望は記憶が曖昧で満たされる事はない。
数日前の己れが何を思って居たのかも知らねェ。
己れは機体に全てを捧げている。
欲望を見抜かれても己れに自覚は無いンだよなァ。


ミルル・チックリオン
『・・・・・・もう寝よう?』
『もう目覚めなくていいよ……夢の中でいつまでも遊ぼうね……』
『悪夢を見せてあげる……』

 ヤドリガミのシンフォニア×竜騎士、11歳の女の子です。
 普段の口調は「眠い(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、眠くなると「寝る(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
基本無表情であるが、無感情というわけではない

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 ――夢の生まれる場所とは、一体どんなところなのだろう。例えば、とミルル・チックリオン(ヤドリガミのシンフォニア・f04747)が思い描いたのは七色の虹のたもと、宝物が埋まっているような草原だった。
「……あ」
 その眠たげな瞳がゆっくりと瞬きをすれば、極彩色の宝石が溢れてミルルのこころを攫っていこうとする。既に魂攫いの空間に囚われていたのだと悟ったが、それでも動じない彼女は、可愛らしい欠伸をして本体のぬいぐるみを抱きしめた。
「……眠い。此処なら、変わった夢を見られそう」
「へェ、欲を満たす場所。分かってンじゃないか」
 と、そんなミルルの首根っこを掴んで、にんまりと猫みたいな笑みを浮かべたのは、ニアニナ・ルルベル(Gift・f30207)だ。
「お前の瞳は綺麗だなァ、……くり抜いてしまいたいくらいだ」
 人形みたいにうつくしい少女を目にしたニアニナは、硝子の刃を暫くゆらゆらさせていたけれど――突如、夢魔の差し向けた怪物へ鬱陶しそうに破片を叩きつけて、ミルルを後方に押しやっていた。
「……おっと、危ねェ」
「ふん、邪魔な奴らが来たからねェ」
 宙を舞うミルルを、無気力な素振りで受け止めたハロルド・リード(scrap・f30129)に軽く声をかけてから、ニアニナの足が原っぱを蹴って跳躍する。
(「異形に対する興味は、無いにも等しいが――」)
 魂攫いの怪物は、角を持つ獣人のような姿を取って襲い掛かってきていて、彼女の『芸術』となるには相応しくない。しかし衝動ならば満たしてくれそうだと、硝子を振りかざして血潮を生んだ。
「細切れにして、紅玉の雨を降らせよォか?」
 継ぎ接ぎだらけのその手が空を弾けば、空間の向こう側に居た夢魔を斬り裂き、千切れた触手がぼとぼとと大地に赤い染みを作っていく。
 ――ボロボロのドレスで踊り続けるニアニナの姿は、彼女自身が望んだもの。魂を攫われながらも、己の生み出した悪夢に夢魔を引きずり込んで、そうして死ぬまで踊り続けていく。
(「……深淵の欲望、か」)
 夢の現が向けた視線を見つめ返すハロルドは、ほんの僅かに首を傾けて、何かを考えるような素振りを見せたが――何も掴めずに終わったらしい。
(「生憎、満たされる事はねェんだよ」)
 記憶は曖昧で、数日前の自分が何を思って居たのかも知れないのだ。知りたいと言う意志も、次の瞬間には消え失せてしまっていて、きっと欲望を見抜かれたとしても己に自覚は無いのだと思う。
「だが――」
 ふと、風向きが変わったと思った直後――ハロルドの瞳にともる銀の炎が、激しく揺れ動いて空を焦がした。忽ち魂攫いの空間を割って姿を現す、禍々しいオブリビオンマシンに飛び乗った彼は、そのままアサルトライフルの銃口を邪神に突きつけて、にやりと笑う。
「己れは、機体に全てを捧げている」
『――……!!!』
 獣の頭蓋骨を粉々に打ち砕く、鮮やかなヘッドショットを決めたハロルドが、そんな言葉を挑発的に投げかけていくなかで――夢を操るミルルもまた、悪夢の怪物を召喚して、不安定な空間を一気になぎ払っていった。
「もう目覚めなくていいよ……夢の中でいつまでも遊ぼうね」
 ――どうにかして現実へ這い出てこようとする夢魔に近づき、ひび割れたその頭部にそろりと指を伸ばして。優しく語り掛けるミルルの声はいつしか、眠りへ誘うオルゴールの音色に変わり、夢と現をあるべき姿に戻していく。
「おやすみ……良い、悪夢を」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

鵜飼・章
欲望なんてないさ
僕はただ永遠に退屈している
ああ…一つだけあるとしたら
『人間になりたい』それだけ
人間だったらきっと退屈で気が狂う事もないだろうから

奈落のような好奇心が満たされる世界なら
確かにそこは楽園に違いないよね
叶えてくれるのかな
生憎狂気には耐性があるのだけど

UC【バベルの塔】で満たされた僕の欲望
つまり…『人間らしさの獲得』だね
その人間らしさを代償に敵の攻撃を反射する
【精神攻撃】や【催眠術】の類なら僕も得意とする所だ

誰かに強制された人間性なんて気持ち悪いだけだな
やっぱりいらない
自分で探しに行くね

きみの望みを教えて
僕らを楽園へ連れていくことかな
悪いけど一人で行ってよ
楽園もあまり面白くはなさそうだ



 夢が生まれるその場所で、頭蓋の欠けた悪魔が藻掻いていた。夢を寄越せ、夢を喰らわせろと、腐り落ちていく触手が鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)の元に縋る。
「……欲望なんてないさ」
 深層の欲望を見抜き、完璧な理想郷――ソナ=ニルを生み出そうとする『夢の現』を一瞥して、今も永遠の退屈のなかにいる青年は、何でもないことのようにさらりと告げた。
「ああ……一つだけあるとしたら、」
 ――直後。苦しみも死も存在しない楽園のど真ん中に、天を衝く塔がそびえて、無数の言語が氾濫する。
「『人間になりたい』、それだけ」
 だって人間だったら、きっと退屈で気が狂う事もないだろうから、と。人より人らしくなりたくて塔を上り、ゆっくりと奈落の夢を下っていく章の傍で、知性あるカブトムシがぶーんと飛んでいた。
「ああ、確かに楽園に違いないよね」
 底が見えない好奇心が満たされるのだとしたら、確かに其処はそう呼べるのだろう。それなら人類滅亡後の未来で栄えることになるカブトムシと、精神交換するのも面白そうだ。
「……叶えてくれるのかな。生憎、狂気には耐性があるのだけど」
 ――ぶーん、と格好いい羽音を立てるカブトムシが、ペンとノートを取り出して章に頷いてくれたので、たぶん大丈夫だろう。確か、イスの偉大なる種族とか何とか名前がついていたような気がする。
(「欲望を、満たす。『人間らしさ』を獲得する」)
 そうして――その『人間らしさ』を代償に、あらゆる行動に成功してみせるのだ。上手くいけば永久機関の完成だが、『人間らしさ』の初期投資は運任せだった。
「でも、何とかなったな。……それでも、誰かに強制された人間性なんて気持ち悪いだけだけど」
 魂攫いの空間を一気に反射して、欲望に囚われた『夢の現』に手を振りながら、章は鳥籠みたいな夢に別れを告げる。
「やっぱりいらない、自分で探しに行くね」
 目覚めの先触れとなるのは、物語に出てくるような白い帆船だった。それに飛び乗った章が、鴉の群れを従え航海に乗り出していくなかで、夢魔はただひとりきり、楽園に取り残されて悲鳴をあげる。
「……最後に、きみの望みを教えてよ」
 ――僕らを楽園へ連れていくことかな。それとも空から落ちてきた邪神の少女を、ただ迎えにきたかっただけなのかな。でもそろそろ、世界は目覚めのときだ。
「悪いけど、一人で行ってよ」
 ――三千世界の鴉を殺してまで、朝寝をする趣味は章にはない。だから、ああ、

「楽園もあまり、面白くはなさそうだ」

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月26日


挿絵イラスト