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空白に捧げしイデア

#クロムキャバリア #レガルシオン

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#クロムキャバリア
#レガルシオン


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●とある『部品』の記憶
 ……意識が、遠のいていく。
 コクピットブロックに『接続』された俺は、外から流れ込んでくる何かに、侵蝕されていた。
 ああ、どうせ俺はその為に生まれたんだろう。そんな諦念にも近い感情が身体を支配する。
 どうせ、俺は、此処で『廃棄』されるのだと。

 その機体の向こう側、司令室に響く声を彼は聞くことはない。
 彼を思い衝突する一人の指揮官の怒号と、彼を省みぬ一人の研究者の声を。

●それは『部品』か『人命』か
「クロムキャバリアには色んな国家があるってのは、皆の既に知ってる所だとは思うが」
 霧島・クロト(機巧魔術の凍滅機人・f02330)は集まった猟兵達を見回して、そう話を切り出し始める。
「今回頼みたいのが、その国家の1つである『レガルシオン』ってとこだ。ちょいと訳ありでな、そこの実験機がよりによって暴走を始めちまうらしい」

 その言葉を受けるなら、猟兵達も経験はあるだろうパイロットの救出や声掛けが必要な部類の任務だろう、というのは想像に難くない。だが、どうもそんな単純に事が済む事情では無いようで。
「だが、1つ問題があって。そのキャバリアのパイロットが、開発部には『部品』扱いされてるのさ」
 ……生体部品、と言うべきなのだろうか。そのパイロット達は『アンサーヒューマン』として最初から部品として『製造』され、一生を終える者が多いのだと言う。
 その国の開発部はキャバリアのパイロットを消耗品のように見做す向きもあるらしく、定期的に現場の指揮官たる男と衝突を繰り返しているとも言うのだ。

「俺が今からその喧嘩真っ最中な起動実験現場に転送する。お前らが話を聞くべきなのはその現場の指揮官――サンマ傷のおっさんの方だ。その指揮に乗っかりつつ、暴走した実験機を無力化して欲しい」
 彼ならば、猟兵の立場も理解している上に、話が早いだろう、ということだ。
 開発部の連中はどうあがいたってパイロットの人命などどうでもいいだろうし、その結果オブリビオンマシンが生まれているという事実など知る由もないだろう。

「今回はそのパイロットを、単純に人間と見るか、部品と見るかって話だ。無論俺もそいつは『人間』だとは思ってる。だから――」
 クロトは少し数巡しながらも、改めて猟兵達に向き直る。
「……教えてやってくれねぇか。せめて世の中に絶望しない為の『生き方』って奴を」


逢坂灰斗
 新世界出てから一月経とうとしてない? 大丈夫???
 逢坂灰斗です。
 今回は『実験機の暴走により発生したオブリビオンマシンの破壊』と
 『実験機のパイロットであるアンサーヒューマン』の救出をこなして頂きます。
 もちろん、両方やるんですよ。

【以下は参考に設定】
・『レガルシオン』
 現代~近未来程度の技術を持つ都市国家。
 現場と開発部の一部において、キャバリアのパイロットへの扱いに関して、
 衝突が絶えず、度々今回のような問題が起きることがある。
 レンタル機体はクロムキャバリア、量産型キャバリアが中心。

・サンマ傷の指揮官
 現場主義。本人もキャバリア乗り。
 アホな事を抜かした文官を病院送りにした回数は計り知れない。
 『アンサーヒューマン』に対しては人命であるという認識。
 口は悪いが部下(になる人間も含めて)には優しい(ようには見えないが)。

・開発部主任
 結果主義。ついでに効率主義。
 『アンサーヒューマン』を部品としてみている派閥の長。
 何度指揮官にぶん殴られても平然と退院してくる頑丈さを誇る。

・ヴォート
 今回の救出対象。名前は正式な物ではなく、指揮官が不便だからと付けたもの。
 半ば、自分達の在り方に諦念している。
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第1章 ボス戦 『セラフィム・リッパー』

POW   :    断罪の剣
【無敵斬艦刀】が命中した対象を切断する。
SPD   :    エンジェルビット
自身が装備する【BS-Fクリスタルビット】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    フォールンウイング
【光の翼】を向けた対象に、【プラズマビーム】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●熱情と非情
「実験機、稼働率の超過を確認」
「パイロット意識喪失――反応ありません」
 実験機、セラフィムリッパーが暴走した。
 だが、レガルシオンの開発部の者らは、恐ろしい程に平静であった。
「成程、なら機体処分の準備を。設計は最初から『やり直せば』いい。部品の替えなど幾らでも利く」

 開発部の長たる男は、淡々と眼前の現実に対処を始める。
 コクピットに接続されている者は『人間』ではない。ただの『部品』だ。
 この『部品』のような存在は幾らでも『製造』されている。この国の暗部はそうやって出来ている。だから、使えなければ処分をすればいい。

 そうやって密やかに進められようとしていた処分に、いつもの『例外』が起きた。
 扉を蹴飛ばし、道行きを阻止しようとするものを殴り飛ばし。
 顔にサンマ傷を刻んだその指揮官の男は開発部の長の胸ぐらを掴みかかる。
「――てめぇ、どういう了見だ。出撃命令が出て、『嫌な予感』を感じ取ってみれば、だ」
「貴方には関係の無いことでしょう。此方が部品をどう扱うかなんて此方の勝手ですから」
「……巫山戯るなよ。俺達(パイロット)は消耗品じゃねぇんだ。乗らないからって良い気になるんじゃねぇぞ!」
 指揮官の怒号と共に、掴みかかる腕は高く、高く。周囲の恐怖を煽りながらも、肝心の長は、その表情を見ても態度を改めることは無い。
「ですが、どの道あの実験機は制御コードを最早受け付けません。どうすると?」

 指揮官は乱暴にいけ好かない男を投げ飛ばし。踵を返して部屋を出ようとする。
「――決まってんだろ。救いに行くんだ」
 その光景を、開発部の長は鼻で笑う。
「なんて無駄な事を」

 ――彼らは知る由もない。
 目の前で産声を上げようとし始めているのは、世界を蝕む機体。
 『オブリビオンマシン』なのだと……。
メアリーズ・エリゴス
まぁ生体部品のパイロットですか、お仲間ですね
アンサーヒューマンということは先天的生体部品ですね、そこは私とは違いますか
私ですか?私は後天的に外科手術や投薬で強化された生体CPUですよ?
部品製造の品質管理では此方のが優れてそうですね。ですが、私の性能も悪くはないですよ?

うふふ、生体部品同士。性能比較試験といきましょう?
っ!ビットが多い、避けきれないっ、ロートガルに傷を……許せませんねぇ
素の性能では私の負けですか、なら【オーバードーズ】で性能向上するまでです
きひっ!うふふ、ひひっ!
見える、見えますよぉ!さぁ此処からが本番ですよぉぉぉ!
絶望しなくていいですよ、私が壊(アイ)してあげますからねぇぇぇ!



●『部品』達の踊り
「――まぁ、生体部品のパイロットですか。『お仲間』ですわね」
 メアリーズ・エリゴス(生体CPU・f30579)は、眼前に『囚われている』パイロットとそのオブリビオンマシンを恍惚と眺めて、そう告げた。
 彼女の肢体に繋がれているのは、明確に、キャバリアの中枢であるかのような『処遇』。その点では彼女は向こうと同じと言えた。

『……ったく、同じようなことしやがる連中はどこにでも居るわけか』
 その言葉を聞いた指揮官は嫌悪混じりに彼女を水先案内代わりに実験場へと通してゆく。
「私は『後天的』な外科手術や投薬で強化された生体CPUですよ? そちらは『品質管理』では優れていそうですが――」
 彼女が口を割れば割るほどに、どちらがマシなのか、という頭をしてしまうほどに、『部品』である自認というのは厄介だと。
 指揮官は頭を派手に掻き毟った後に、出撃許可を彼女のキャバリアへと出す。
『……褒められてる気が一切しないのは気の所為じゃねぇな!』

「うふふふ、ご期待には添ってみせますから。私の性能も悪くはないですよ?」
 半ば諦めかけたようなその声を背に、赤きクロムキャバリア、ロートガルはその鈍重な躯体をセラフィム・リッパーの前へ踊らせる。
 無理矢理に実験機へ通信を繋げれば、意識なき彼が『部品』として搾取される声のみが聞こえる。

「――うふふ、生体部品同士。性能比較試験といきましょう?」
『う、ぐっ……』
 小さな呻きが聞こえたかと思えば、ビットは数多煌めいて、その鈍重な機体を覆うように素早く包囲網を築き上げた。
 余りのビットの多さに、装甲と火砲の手厚さで対応するキャバリアは苦労するのは明白であった。
「……っ!ビットが多い、避けきれないっ、ロートガルに傷を……許せませんねぇ」
 素の性能では向こうが上とするならば、彼女の方にはまだ手がある。
 繋がれた管から流し込まれる恭悦は、エリゴスを更なる『高み』へと導いていく。
 それは人為的な物からは程遠い悪魔の『扱い』。それでも、彼女は最早受け入れてしまっている。

 ビットの物量が何するものぞ――今の彼女には『認識』できる。
「きひっ! うふふ、ひひっ! 見える、見えますよぉ! さぁ此処からが本番ですよぉぉぉ!」
 その『認識』が、彼女の『部品』としての寿命を加速させようとも、彼女は止まることはないだろう。
 ロートガルの砲火は確実に装甲を剥がし、まるで彼女の思いを叩きつけるかのように実験機を圧倒してゆく。

『だれか、おわらせて、くれるなら――』
 『部品』の、虚ろな独白を、彼女は聞いた。それならますます、愛を注いでやらねばならぬのだ。
「絶望しなくていいですよ、私が壊(アイ)してあげますからねぇぇぇ!」
 彼女の狂ったような苛烈さを眺めていたのは、指揮官だけではない。
 開発部の長が、少しばかり妙案を得たかのような顔で、その姿を眺めていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

レストア・サブミット
アドリブ歓迎
『』は愛機ダフィー

生体部品だってさ。なんだかボク達と似てるね
『あぁん? アタシはお前を部品扱いした事ないぜ』
分かってるよ。そこが彼とボク達の違いだ。さあ、彼の意思を確認しに行こう

さて指揮官、細かい話は抜きにして手を貸そう。機体の詳細を教えてくれ

ダフィー、コクピットを傷つけないよう敵機を無力化するよ
遠近両用の万能な機体だ。UCを発動して機動力を生かして接近戦に持ち込もう
フットワークを軽くジャブで牽制
タイミングを合わせて、今!真剣白刃取り!

勧告する。キミが部品である事を良しとするならこのまま破壊しよう。もしそれが不服なら、諦めないで、助けるよ
『様は生きたいか死にたいかってこった!』



●剥がれぬ化けの皮
「……生体部品、だってさ。なんだかボク達と似てるね」
『――あぁん? アタシはお前を部品扱いした事ないぜ』
 機体の中で、誰にも知られぬ対話が起きている。

 レストア・サブミット(グラフティング・f30676)は本来、誰かの為の『予備の部品』である。
 全てが義体で、『部品』であることは否定できないだろう。それでも尚、愛機たるダフィーは『そんな扱い』を彼の電脳に返さない。
 眼前の実験機に囚われたパイロットは、最初からキャバリアの部品として生を受けて、そして消耗されることを『望まれている』。
 が、それがこの国全てからの望みではないのは、あの指揮官の態度からも明白であった。
「分かってるよ。そこが彼とボク達の違いだ。……さあ、彼の意思を確認しに行こう」

「――さて指揮官、細かい話は抜きにして手を貸そう。機体の詳細を教えてくれ」
 突然現れた一機のジャイアントキャバリアは指揮官達に取っても驚愕の一言では片付けられなかったろう。
 向こうからの通信を受け、『味方』だと判断した指揮官は、レストアに向けて詳細を手短に語りながらも、自身の抱える懸念を告げる。
『あれは、生体部品で性能が向上するかどうかの実験機……とは言うんだが、それはきっと『表向き』だろ』
「つまり、貴方の判断は、『まだ何か隠している』ってことかい?」
 声色だけでも、眉間にシワを寄せていることが『分かりやすい』間を経て、指揮官は返答を返す。
『……そういうこった。化けの皮を剥がされるくらいなら先に処分してやるつもりだったんだろう』
 連中なら、ただの実験機と言い張って『ろくでもない』機体の偽装をやってのけるだろうとも、指揮官は断じる。

 だからこそ、だろうか。
 ――アイツを、頼めるか。
 そう、小さく聞こえたのはきっと気の所為では無かった。

「ダフィー、コクピットを傷つけないよう敵機を無力化するよ」
『――あんなこと言われちゃ『しない理由が無い』っての』
 この対話は、指揮官には精確には聞こえない。だが、二人の答えは一致していた。
 遠近に対し万能な機体の『ガワ』を被っているならば、懐に飛び込めば自然と正体が見えてくるだろう。
 自身を『制御中枢』として請け負ったレストアは、ダフィーの全力を最適化する。その動きは理性なき化け物とは程遠く、『彼女』のそれを手練の格闘家の如き洗練された動きへと昇華させた。

 軽々としたフットワークは、ビットによる牽制を軽くいなし、本体の眼前へと躍り出る。
 向こうが無理矢理排除しようと、斬艦刀を振り下ろそうとした瞬間。ダフィーはそれを見切ったかのように美しく白刃取りした。
「勧告する。……キミが部品である事を良しとするならこのまま破壊しよう。もしそれが不服なら、諦めないで、助けるよ」
 無理矢理に繋いだ対話の糸口の先からはくぐもった声が聞こえる。だが、間違いない。此方の言葉は『届いている』。
『――様は生きたいか死にたいかってこった!』
 ダフィーが受け止めた斬艦刀を振り払い、そのままセラフィム・リッパーへ鈍重な拳の一撃を与えれば、その声は聞こえた。

『……いや、だ。俺は――叶うなら、しにたく、ない。『棄てられ』たくな――』
 ようやく、彼の声が聞こえた瞬間に、奇妙な通信音を拾った。
 まるで、彼の言葉を塞ぐように、キャバリア自身が『パイロット』との接続を『深めた』。その瞬間の苦悶の声と『キャバリア自身』の絶叫。
 それを受け取った『彼女』は、ボソリと呟くように、相棒へと告げる。
『……アレから、アタシと同じ『匂い』がする』
 彼女の言葉は、事実なのか、それとも――眼前の実験機の『化けの皮』は、未だ剥がされない。

成功 🔵​🔵​🔴​

カタリナ・エスペランサ
人を人とも思わない、か。まるで吸血鬼だ
そんな手合いばかりなら逆に話は早かったのかもしれないけれど……それだけじゃなかったのは幸か不幸か。
ああ、助けてみせようじゃないか
いずれにせよオブリビオンマシンも放ってはおけないしね

【災華殲尽】で加速して《空中戦》を展開、青白色に染まった羽が示すは霧の属性。《爆撃+属性攻撃+弾幕》を構成する羽弾は同時に相手のビームを吸収・拡散して無害化する一種のデコイでもある
相手の動きは《第六感+戦闘知識》、直感と理論の組み合わせで《見切り》先読み。《武器改造》で屠竜刀に再錬成したダガーに《早業+怪力》とUCの加速を乗せて《ダンス》の要領で《鎧砕き》の連撃を重ねて行こうか



●災禍に立ち向かう蒼翼
「……人を人とも思わない、か。まるで吸血鬼だ」
 カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)の故郷を思い返すような、人の扱い。
 それは彼女の眼差しを否応無しに怒気の孕んだものに変えたのは気の所為だったろうか。
 この国は――恐らく昔から、そういう『部品』を製造する部門が存在したのだろう。研究者達の一部からはとっとと始末しろなどの怒号も聞こえたが……。
「……それだけじゃなかったのは幸か不幸か」

 彼女は聞いた。『部品』として扱われていようと、眼前に囚われた部下を救う道を選んだ男の姿を。
 半ば縋るようにキャバリア乗りの猟兵達に通信をしていた彼のその声は――紛れもなく本物だったから。
「ああ、助けてみせようじゃないか。いずれにせよオブリビオンマシンも放ってはおけないしね」
 そうして、彼女は自分自身の身を実験機の座す実験場へと翻らせた。

『……いくら超人とはいえ、本気で生身で渡り合うってのか嬢ちゃんよ』
 貸し与えられた現場用の小型通信機は機能しているが、それでも肉眼でカタリナの動きを追い、的確な通信を出すのは至難の業だ。
 殆ど必要な時にしか使われないであろうそれが、緊急事態通信として使われない事を祈りつつも、作戦が続行されている。

 時折、天より来る『制裁』が誤認知する程の速度で、カタリナは蒼翼と化した翼で激しく舞い踊る。
 蒼翼が示すは霧の如き幻惑の羽弾。けして、セラフィム・リッパーの性能が劣っているだけではない。だが、力量差は明白。
 ビットの攻撃を上回る速度でデコイの羽が展開され、次々にその強みが無力化されていく。遂には『生身である』彼女をコクピットの至近にまで許したのだ。

「――コクピットをこじあけさえ出来れば楽なのだけれど」
 屠竜刀を携えて、装甲をまるで舞い踊るかのように破壊し続ける彼女は、一度、開きかかったコクピットの中。『彼』の、今の姿を見た。
 ……明らかに装置のようにキャバリアに飲まれつつあるその姿。
「――だし、て。ここか……あ、ぐ……ああああああああ!!」
 絶叫とともに再びコクピットの中へ呑み込まれていく彼の姿を脳裏に焼き付けて、彼女は再び舞い踊る。
「……当然、そうするに決まってるじゃないか」

大成功 🔵​🔵​🔵​

霧江・英梨
ー起動完了・全システム動作良好・linker認証、接続確認 おかえりなさいー
そうですね、「性能」を求めるなら「こう」なるのはきっと…ひつぜんなのでしょうね。オブリビオンのおなかに物理的に取り込まれかけている私が言うと面白くないでしょうか、サイボーグジョークです

戦法ですか?たんじゅんですよ
真正面から、うちあいます
数であっとうするのは強いですからね。虚数展開 武装召喚
使いやすいアサルトライフルをたくさんです
テュポーン、掴み上げなさい
ー火器管制領域より武装識別・念動固定完了ー
アサルトライフルで動かして、隙を見せたらキャノンでずどんです
最後に一つ聞きます、あなたは「こちらがわ」にいますか?



●『こちら』か『あちら』か

ー起動完了・全システム動作良好・linker認証、接続確認 おかえりなさいー

「――そうですね、『性能』を求めるなら『こう』なるのはきっと……ひつぜんなのでしょうね」
 異形の城塞の中枢――霧江・英梨(アイアン・メイデン・f10940)を表現するべきは、それに近かっただろう。
 彼女の在り方は、眼前の試験機の『部品』である彼の在り方に似ていた。
「……オブリビオンのおなかに物理的に取り込まれかけている私が言うと面白くないでしょうか、サイボーグジョークです」
 相対するものどちらも『オブリビオンマシン』であり、強いて言うならば、猟兵であるかどうかという差は大きかったが――彼女の淡々とした言葉に反し、その冗句を笑い話にするのは難しい。
 ……きっと、目の前の彼と、自分自身は『逆』の立場であった可能性も、どこかであるのだから。

「虚数展開 武装召喚」
 テュポーンの周囲には、セラフィムリッパーと対を成すかのように、数多のアサルトライフルが現出する。分かりやすく、尚且つ明快に『制圧する』手段として、彼女はこれを適解として選んだ。
「――テュポーン、掴み上げなさい」

ー火器管制領域より武装識別・念動固定完了ー

 そして、異形の城塞が中空にその砲火を全て『掴んだ』のならば。互いの砲撃の交差が始まる。
 互いに、逃げ道を塞ぎ、仕留める為の攻撃である。
 ビットとアサルトライフルという違いはあれど――目的としては同じもの。
 ……ただ、堅牢な城塞には『逃げる必要性』が存在せず、逃げる他ないのは実験機の側だった。

「……最後に一つ聞きます、あなたは『こちらがわ』にいますか?」
 仕留めの砲火を通信と共に、放つ。
 機動力が削がれ、最早装甲も半壊しつつあるセラフィムリッパーからは『肉』の質感が存在しており、指揮官の示唆していた化けの皮として正しく異変が露出しつつあった。
 そんな最中に、彼から返答が届いたのだ。
『……たすけ、てくれ。このまま……だと、本当に俺は、『部品』に――』

 半壊した機体のハッチをこじ開けようとしたその身は、既に『取り込まれ』かけているかのように、夥しい数のケーブルが突き刺さっていた。
 ……程なくして再び機体に飲まれた彼を見て、猟兵達はもしや、と思い始める。
 あのケーブルの数こそ、諦念していた筈の彼の、抵抗の証なのでは――と。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハヤト・ノーフィアライツ
アドリブ連携歓迎。

さぁて、行くかね。
バイクに変形する【アサルトファルコン】を【操縦】して現場に飛び込むぜ。
よう、大将。勝手に一枚噛ませて貰うぜ。

助けに来たぜ。…明日への【勇気】を用意しときな!
UCを発動、戦闘力とスピード、地上戦性能を強化。
【戦闘知識】を生かして相手の動きの予測を立て【グラップル、2回攻撃、鎧無視攻撃】で叩き、遠距離では熱線銃で【スナイパー】の如く狙い撃つ。
【救助活動】も考え爆発しそうな部分は避ける。
【ロープワーク】を駆使した【マイクロチェーン】による搦め手も併用。
上がった走破性も活かし、【ダッシュ、ジャンプ、空中戦】に【迷彩】も加え更に撹乱。

【武器受け】で防御、【早業】で回避



●天使という『皮』
 実験場へ、とある1つの『大きすぎる』バイクが乱入する。
 明らかにそれはキャバリアを元にしたもので。フレームとしてはレガルシオン国内でも、国外でも見かけることはない特殊なものだ。
「――よう、大将。勝手に一枚噛ませて貰うぜ」
『勝手、って……てめぇ、今の状況わかってんだろうな!?』
 一方的に通信を繋いだハヤト・ノーフィアライツ(Knight Falcon・f02564)に、指揮官は半分キレかかったような声を出すが、彼はわかってる、と答えを返し。改めて実験機へと向き直る。
「助けに来たぜ。……明日への勇気を用意しときな!」

 眼前の実験機の被っている『皮』は間違いなく高機動タイプである。だが、それに追随するハヤトのキャバリアも高機動型としか言いようが無い。
 それ故、『拘束』が可能であるという一点が、ハヤトの利として大きく存在している。
 中枢たるコクピットは傷つけず、あくまで『救出』に重きを置きながらも、彼の動きは熱情に反して冷静さに満ち溢れていた。

 斬艦刀による攻撃を掻い潜りながら、腕や脚部と的確に狙撃し、その上でマイクロチェーンによる立体的な挙動で近接的にも優位に立つ。
 満身創痍に近い『天使』に比べ、勝利は最早明白。
「――さて、返して貰うぜ。お前が取り込もうとしてる奴の追いかけた『希望』って奴をさ」
 機動力も封じられたセラフィムリッパーに、アサルトファルコンは最後の一撃を穿った。

 数多の猟兵に無力化されたセラフィム・リッパーは、その姿に似つかわしくない『肉』を晒しながらも、見てくれでは動く気配がない。
 その隙を見て、ハヤトはコクピットのハッチをこじ開けた。中には悍ましい程の配線が生き物のように密集していたが――たった一つだけ、人の姿がそこにはあった。
「……まだ、生きてるな? その様子じゃ、明日に大事なモンを持っていくつもりは有るみてぇだな」
「――はぁ、はぁ……すいません、俺なんかの、ため、に」
 妙に卑屈さすらもある彼の身体から、ぶちぶちとケーブルを引き抜き、そのまま機体から引き剥がそうとハヤトが試みた――その時だった。

「だめ、だ。離れ――」
 指揮官がヴォートと呼んでいたその青年が、ハヤトを反射的に突き飛ばした。
 それと『引き換え』に。パイロットは再びコクピットから伸びたケーブルに『呑まれた』のである。

 突き飛ばされた本人は半ば呆然と、その様子をアサルトファルコンの機上で見つめていた。
「……畜生め、確かに機体は潰した筈……じゃあ、なんだっていうんだ今のは」
『おい、聞こえてるかバイクの兄ちゃん! 今すぐそこを離れろ!!』
 ハヤトが疑問を呈するも、最早息つく暇もなかった。
 実験機『だった』ものは、パイロットを取り込み、この国の誰もが想定しないものへと変異を始め――
 ……完全な『暴走』を開始したのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『無限弾幕』

POW   :    守りを固めながら前進する

SPD   :    射撃が途切れた隙を狙い、一気に進む

WIZ   :    ジャミングやハッキングで射撃機構を無力化する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●羽化の予兆
 救出作戦に、粗は多少あったかもしれないが、それでも間違いは無かった筈だ。
 だが――実験機はその秘されていた筈の正体を現した。
 その姿は光で象られた繭の如く。然しながらそれに『触れさせぬ』とばかりに、光の雨を降らし始めたのだ。

「パイロットの反応ありますが――稼働率が急速に上昇しています!!」
「指揮官、明らかに『逃げる』つもりです! 各種コード全て遮断されてます!!」
「――至急障壁展開!! 完全に『近づけさせない』つもりで動いてやがるぞ!!」

 実験場だろうと、近隣地であろうと、お構いなしに降り注ぐその雨は、司令部の対応を否が応でもそちらに割かせるに十分であった。
 この構成を壊れたように、愉快そうに見ていたのは、開発部の長くらいだ。
 司令部から猟兵達に向けて、再び怒号のような通信が入電する。
「……悪い! 俺らは此処を死守するので手一杯だ!! 俺達の代わりにアレを追ってくれ!!」

 雨から身を守る間にも、光の繭は遠ざかって、国の外れへと向かっていく。
 そこに何が有るかは尋ねる他なさそうだが――
 兎も角、オブリビオンマシンを追わねば、話にならなそうだ。
中小路・楓椛
アドリブ連携歓迎
SPD

【クロさん】がどうしてもというので来ましたが、少し遅かったようですね。
自分が何よりも優れていると錯覚するニンゲンが此処にも居ましたか。
本来でしたら相応の報いを直ちに受けて頂くところですが、一刻を争う状況の様です。

【ばーざい】全技能行使、【神罰】【呪詛】を以てUC【とりにたてぃす】を起動。
――アルデバランの、カルコサの、羊飼いに謳われし名状し難き皇太子の名の下に我に翼を預けよ。
あい、あい、ハストゥール!

背中に高機動ユニット「ばいあくへー」、【谺(魔笛/鼓)】バスターライフルモードに第五元素収束加速(サテライト)ユニットを召喚装備。

星海を渡る速度で追跡するとしましょうか。



●光の繭の胎動
「クロさんがどうしても――というので、来ましたが」
 中小路・楓椛(流しの家事手伝い狐・f29038)は空から降り注ぐ光条を一瞥しながらも、状況を見遣る。
「……少し遅かったようですね」

 現状としては、どこまでもこの実験を手動したであろう開発部の長たる男の思惑通りに動いているとしか言いようが無い。
 こんな状況下で一人だけ笑っているような存在は、分かる範囲でもその男だけだろう――
 この国の暗部は全てが詳らかにされた訳では無いが、それでもかの男の断行がこの事態を生み出した、と言うならば。
「自分が何よりも優れていると錯覚するニンゲンが此処にも居ましたか……本来でしたら相応の報いを直ちに受けて頂くところですが、一刻を争う状況の様です」
 光の繭のような存在と化した実験機の胎動は近くでも無いのに不気味さを醸し出していた。このままでは『ふたつの命』が混ざり合って、この国に本当の破滅を齎すだろう。

「――アルデバランの、カルコサの、羊飼いに謳われし名状し難き皇太子の名の下に我に翼を預けよ。あい、あい、ハストゥール!」
 クロさんと呼ばれた機体は――油断すれば正常な人間の思考を巻き込みそうな程の悍ましさを放ちながら、光の雨を縫って飛翔する。
 超低空飛行ではあるが、その速度は高度を上げすぎてしまえば殲禍炎剣(ホーリーグレイル)の暴威に目を付けられてしまいそうな速さだ。
『狐の嬢ちゃん! あの機体の状況はどうなってる!!』
「明らかに時間稼ぎの砲火――としか言えませんね。高速機動で回避することは容易ですが……」
『此方もデータを解析してみてるが、『パイロットとの接続率』が急に跳ね上がってやがることしか分からん!』

 指揮官曰く、実験機の中でヴォートはまるで『組み込まれていく』ように存在が溶け合い始めているのだという。
 中の機体状況がそれとは限らないが、限りなく今のパイロットの状況は人間というよりは『部品』に近い、ということだろう。
「……業腹ですが、一人の設計思想通りのままに状況は動いている、ということですか」
 させませんよ、と一人の狐は呟き――猛追を再開した。
 かの機体の中にあるのは『人命』であって、『部品』ではないのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハヤト・ノーフィアライツ
SPD分野で。

とりあえず指定UCを使用。【操縦】する【アサルトファルコン】をキャバリアサイズのバイクに変形させる。
効果は射程半分、移動力5倍。

【戦闘知識】と【視力、聞き耳】で【情報収集】しながら、隙を伺う。
エネルギーが無限で砲身の耐久も減らねえってんなら無限に撃てるだろうが、そんなもんありゃしないからな。
必ず規則性があるはずだ。
タイミングが見えたら【早業】で攻撃をかわしながら、【ダッシュ】で一気に突っ切ろう。
避けきれん奴は装甲で【武器受け】して弾く。

あと、乗っていく奴がいるなら、急ぐなら乗りなって声をかけて、キャバリア一体分くらいまでなら乗せて行くぜ。
何せバイクなんでな。



●光雨の所以
「……ひでぇなこりゃ。無差別攻撃にも程がある……強いて言うなら、市街の中心部を通ってないだけマシってトコか」
 アサルトファルコンを巨大なバイクのようにしてハヤト・ノーフィアライツ(Knight Falcon・f02564)は疾走する。
 下手な鉄砲でも数を打てば当たるなどとはよく言うが、こんな濃密な光条による弾幕では防御するのが『普通』は手一杯だろう。
 だが――生身でキャバリアと渡り合える可能性を持つ猟兵は『普通』の範疇には留まらない。

 観察を繰り返しながらも、アサルトファルコンは的確に、かつ見失わないように走り続ける。
 その最中に感じた違和感を拾い上げていけば、からくりの推察には十分であった。
「――無限のエネルギーって訳じゃねぇが、これのからくりは……思念か、電脳魔術かってとこか?」
 光の雨は『攻撃』である。キャバリアの攻撃には何らかのエネルギーかリソースが割かれるのが『普通』だろう。
 まるで、何かの慟哭かのように降り注ぎ続けるこの雨は、絶望の涙のようにすら見えて。
「……無限ってのは基本的には『ありえねぇ』からな。ってなるとこれは――」
『――パイロットから感情やらエネルギーを『吸い上げてる』って見方か。バイクの兄ちゃん』
「そう、文字通り『部品』として見なきゃ、こんな扱いは出来ねぇだろ。強制的に吸い上げる類なら尚更な」

 キャバリア大のバイクは光の繭を追い、街中を国の郊外へと駆けていく。
 それをまるで『導くかのように』。実験場から離れ、辺鄙な、奇妙な場所へと、光の繭は飛んでゆく。
「……ただ逃げてる訳でもねぇか。この先に――何が有るってんだ」
 まだ、『ふたつの命』には、他に明確な意図があるように見えたが、それが何なのかは、まだ誰も知らない――

大成功 🔵​🔵​🔵​

レストア・サブミット
逃げられたか。搭乗者の意思とは考えにくいしおそらく機体の方だね
捕まれば処分されるのが分かるんだろう。……このまま逃がせば片方は救えるかもしれないね。
けど、二人とも救わないと意味がないんだ。追いかけるよダフィー
『びびらせやがって!そうこなくっちゃな!』

周囲への被害は大きいけどこの雨は個人に対してそこまで指向性を持っているようには見えないね
だったらこっちに向かって飛んできたヤツだけ弾いて行こう。
周りに手頃な獲物かなにかないかな?最悪壊れた建物の屋根でいいや
『お前たまにロクでもない発想するよな……。』

準備よし!走れダフィー!突っ込めー!
『あぁクソッ!こうなったらヤケだ!やってやる!』



●光の行く先は――
「――逃げられたか。搭乗者の意思とは考えにくいし……おそらく機体の方だね」
 レストア・サブミット(グラフティング・f30676)の見遣る数多の流星の『たもと』は郊外へと飛び去っていく。
「捕まれば処分されるのが分かるんだろう。……このまま逃がせば片方は救えるかもしれないね」
 ただ、その救いは『オブリビオンマシン』である以上、偽りであるし、世界の毒であることには変わりなく。
 その片方というのは、恐らく『機体』の方であるだろう。逃せばこのままに搭乗者は部品と成り果てて、暴走する『機体』のみが残るだろうから。

『おいおい、それでお前は『満足』だって、言うのかい?』
 それには少年は首を振る。その結末は誰も求めていないだろう。求めているとしたら、一人か『オブリビオン』位のものなのだ。
「……けど、二人とも救わないと意味がないんだ。追いかけるよダフィー」
『びびらせやがって!そうこなくっちゃな!』
 機体そのものが笑ったかのようにしてレストアに『応えれ』ば、ふたりは加速してゆく。
 ……あの光の真意を追う為に。

 光の雨に規則性は無い。むしろ『無差別』といった風体のそれは市街地を突っ切らないだけ『マシ』ではあるが、確かな被害を齎していた。
「周囲への被害は大きいけどこの雨は個人に対してそこまで指向性を持っているようには見えないね。なら――」
 自身に降りかかる分だけを『弾けば』問題は無い。その上で油断なく追いかけるまでだ。
「周りに手頃な獲物かなにかないかな? ……最悪壊れた建物の屋根でいいや」
『お前たまにロクでもない発想するよな……』
 彼の眼下に広がるのはふっとばされて最早機能していない高速道路の看板や、郊外に立てられた廃墟の成れ果てであったり。そういった意味では使うのに困らなかっただろう。
 だが、それ以外に『弾除け』にできそうなものはないわけで。つまりは――

『弾除けを拾いながらアタシに駆け抜けろってか!!』
「準備よし! 走れダフィー! 突っ込めー!」
『あぁクソッ! こうなったらヤケだ! やってやる!』
 そんな無茶振りにしっかり応える彼女も彼女なのだが、ダフィーは荒れ果てた高速道路を踏破しながら、光の繭へと追い縋っていく。
 遠く、遠くまで来た頃に、漸く司令部からの通信は再開された。

『――市街地が狙いって訳でもなさそうなルートだな。……プラントもそっちに無い筈だぞ?』
 単純な逃走ならば、素早く国外に出てしまえばいい。だが、実験機だったものは、わざわざ遠回りするかのような郊外へと飛んでいくのだ。
「目的はプラントの掌握でもなさそう、だけど――」
『ああ、こりゃあ、簡単な話だな。レストア』
 指揮官からの通信で何かに勘付いたダフィーが、レストアに『だけ』に語りかけるように。告げる。
 明確に公表されているプラントの掌握でも、素早い国外への逃亡でも無いのならば――
「……行き先は、彼らの『故郷』かな」

 国の深淵は、もう少しで開かれようとしていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

メアリーズ・エリゴス
くひっ!私から逃げるつもりですか?私の愛から逃げると?
うふふ、ふふっ、アハハハ!そんなこと、許すわけないじゃないですかぁぁぁ!
【オーバードーズ】を継続したまま、追いかけますよぉぉ!
ロートガルを舐めないでくださいねぇ!スペースシップワールドの技術を投入した重装甲・高機動・大火力を実現した試作重キャバリア!
そしてその高性能を制御する為の操縦系たるサイコ・コントロール・システム!最後にそのコクピットシステムを十全に扱う為の生体CPU!
その羽化しようとする機体にも劣ってはいないはずですよぉぉ!
ロングビームライフルも胸部メガビーム砲も連射、拡散モードで弾幕を撃ち落とし、機敏な機動で追いかけますよぉぉぉ!



●砲火の交差する中で
「――くひっ! 私から逃げるつもりですか? 私の愛から逃げると?」
 メアリーズ・エリゴス(生体CPU・f30579)の狂気の中には、若干の失望と――執念が入り混じっていた。
 薬漬けによって極限まで破綻したその思考は正常とは言い難かったが。それでも彼女が『許す』道理など一片たりともなく。
「うふふ、ふふっ、アハハハ! そんなこと、許すわけないじゃないですかぁぁぁ!」

『――予測ルート一帯避難させろ!! あれは完全に真正面からドンパチかましにいく奴の『顔』だ!!』
「くひひひひひひ!! よく、わかってるじゃぁ、ないですかぁ!!!」
 他世界の技術が持ち込まれ、重装甲・高機動・大火力という、存在自体が高速戦艦のような赤い『狂気』が駆け抜けていく。
 飛び去り、『目覚め』ようとする、実験機の本性は如何程かは測りかねるが――彼女の自負するものは、それにも劣らぬ。
 鈍重な機体が光雨の中を駆け抜けながらその雨の根元へ至るかのような『逆走する雨』を叩き付けてゆく光景は、性能比較どころの話ではない。

「高性能を制御する為の操縦系たるサイコ・コントロール・システム! 最後にそのコクピットシステムを十全に扱う為の生体CPU! その羽化しようとする機体にも劣ってはいないはずですよぉぉ!」
 彼女は『部品』であることを突き詰められた存在であるとも言える。だからこそ、『彼ら』の真意を読み取るのは少し難しい向きはあった筈だ。
 だが――『対極』にあるからこそ、理解できることもある。
 今は『部品』である、彼が堕ちいこうとする果ては『絶望』からの告発であろう。司令部の『駒』でもあった、嘗ての彼女がしなかったことだ。

 だからこそ、彼女は愛するのだろう。上を行き『粉砕』出来るのならば自らの証明にも成り得る。
 空中で熾烈にぶつかり続ける『雨』同士の軌跡は、段々と光の繭の望む方へと向かっていくだろう。その果てに何が待ち受けていようとも、彼女は――
「うふふふふ、受け入れるのも良いものですが――大丈夫ですよぉ! その苦しみも、嘆きも全て!!」
 ――壊(あい)してくれるだろうから。

成功 🔵​🔵​🔴​

カタリナ・エスペランサ
隠し事の多い依頼は厄介だね、まったく…!

まず【架空神権】、事象の《ハッキング》に特化した瘴気の黒風を展開し《範囲攻撃》の要領で拡散。
第一に優先するのは《情報収集》による光雨の解析と《オーラ防御》、特に現地の人に被害が出ないよう《庇う》事を念頭に動くよ
第二に残ったリソースの一部で時間流を操りアタシ自身を加速して《追跡》
こうして光の雨を防いで距離を詰め、黒風の一端でも繭まで届かせる
とはいえこの段で強引に攻撃する訳じゃない、三つ目の狙いは相手自体の解析だ
実験機の意思或いはそれに相当する目的、ヴォートの知る事情がもしあれば《早業》で読み取る
そんな牢獄にいつまでも囚わせはしないよ
なに、あと少しの辛抱だ



●今、白日の下へ
 レガルシオンという国は市井に立場が近ければ近いほどに、闇を知らないといった風向きが強かった。
 カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)の見る限りでも、その傾向は強い。
 駆け抜ける街並みには人々の動揺ばかりが募る。まさかこんな事態が起きるとは、と言わんばかり。
「指揮官も全ての暗部は知らないようだし、暗部を知っていそうなあの開発者は口を割るようには思えない――」
 だからこそ、本当の平穏を取り戻す為にも、彼は部品でなく、『人間』として救わなければならない。

「隠し事の多い依頼は厄介だね、まったく……!」
 光の雨の間を高速で飛翔し駆け抜けていく姿は、猟兵の存在を誇示するのには十分であった。
 だが、避けて光の繭を『追跡』するだけでは、ただ解決するだけとなってしまう。
 一瞬でもいい。『彼ら』の抱える秘密を探らなければならない――その一心で、黒風は繭を捉えた。
 ……刹那、彼女に流れ込んできたのは『全く同じ顔をした人間達』が、数多『製造』されている光景。
(プラントは此方には無い筈だけれど、それは表向きの話。裏を知る人間ならば、違う事実も存在する……という事かな)
 ヴォートはどこまで知っているのだろう。少なくともあの開発部の男よりは持ち合わせては居ないものの、彼自身も裏の一端であることは理解出来る。
 もし、それが『彼ら』の動きに関わるのならば……そんな思考を過ぎらせた矢先、繭はとある箇所の上空で静止した。

 動きを止めた繭の真下に広がっていたのは――プラントによく似た設備だった。
 巧妙に偽装されていた筈だったそれは、ついに表の世界で指揮を取る彼らにも知れ渡る事となり。
『……おい、こんな所にも『プラント』があるだなんて聞かされてねぇぞ』
「それに、このプラント、食料とか『そういうものを生産する』場所でなくて……」
 一部、光の雨で倒壊した建物の隙間から見えたのは、培養槽の中で揺蕩う『生身の人間』達。
「――ヴォート達の『故郷』という訳だね」
 ……国の暗部は、とある実験機の暴走を発端にして今、告発されようとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『電脳巨兵オリバレス』

POW   :    ユミルの落とし子
自身の身体部位ひとつを【プラントで生まれ損なった巨人】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    シンクロゲイザー
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【電脳】から【洗脳電波】を放つ。
WIZ   :    UCフィールド
【電磁バリア】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、電磁バリアから何度でも発動できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナギ・ヌドゥーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●誰にも知られずに捨てられるくらいなら
 ――繭が、羽化する。
 中身から這い出たのは、有機的な造形すら感じ取れる程に、機械と『落とし子』の混じり合った『ジャイアントキャバリア』と呼ばれる代物であった。
 機体の臍部には、まるで同一化しつつあるようなヴォートを『宿す』コクピットが据えられていた。

『――俺達が、使い捨てられる為に生まれるのであれば、俺達にも、この世界を『捨てる』権利はある』
 巨人から聞こえる彼の声色に反し、コクピットの当人は大量の配線に繋がれたまま意識を失っている。最早、あの言葉は当人の本当の意志であるのかすら、怪しいものがある。
 コレが、あの開発者の望んだ形だというのか。部品としてのパイロットのあるべき形だというのだろうか。

『俺達が誰にも知られずに『生まれて』、誰にも知られずに『捨てられる』くらいなら、誰の『記憶にも残るように』。全て――壊してやる』
 オブリビオンマシンとしての意志に呑まれた眼前の機体の破壊活動はいずれにせよ阻止しなければならない。
 ふたつの命、そのどれを助けることを選ぼうとしても……それは、避けられないのだ。
レストア・サブミット
どうやらダフィーの予感が当たったようだね
プラントより生まれし巨人、ユミルの子!

ボクたちと同じなんだね。……機体を破壊するしかないって分かってるよ。けどさ、助けたいっていう気持ちも本当なんだ。
「あーあーだったらそれをアイツに伝えてやれよ、お前なら出来んだろ! 道は作ってやるからよ!』
……ごめんね、ありがとうダフィー。

よしっ! 行くよ!
接近戦に持ち込んで取っ組み合いだ!
『噛みつき攻撃が来るのは分かってんだ! 歯ァ食いしばって【怪力】で押さえ込むぜ!』
ハッチ開けて!出るよ!
『行ってきな、相棒!』

キミを助けたいって事、ボクには出来ないって事
不甲斐ないけどせめてキミを憶えていさせて。【花束を君に。】!



●助けられぬ君に
「どうやらダフィーの予感が当たったようだね」
 レストア・サブミット(グラフティング・f30676)と『ダフィー』の見つめる機体――
 それは最早セラフィム・リッパーという虚飾を捨てて、生きた『部品』を取り込んだ。脳無き巨人。
「……プラントより生まれし巨人、ユミルの子!」

 だが、目の前の存在の関係性は、彼らとはあまりにも『違い』過ぎた。
 このままの形で二人が溶け合えば、齎されるのはただの破滅であり、『部品』の死を意味するだろう。
 それこそ彼は望まない。だが、事実として。両方を救うにはあまりに困難である現実のみが横たわっている。
「……機体を破壊するしかないって分かってるよ。けどさ、助けたいっていう気持ちも本当なんだ」

『あーあー。……だったらそれをアイツに伝えてやれよ、お前なら出来んだろ!』
 彼女は『知っていた』。彼ならばそうするだろうと。自分達も同様の存在故に手を差し伸べたいと。同時に――
 彼女は彼の意志を尊重した。……眼前の巨人にその感情が、情動があったのなら対話は出来ただろうか。
 だが、命の一方的な搾取を行っているという現状が思い悩む暇すらも与えてはくれない。
「……ごめんね、ありがとうダフィー」
『――道は作ってやるからよ!』

 彼女は動いた。
 オリバレスの優美なるその機体に掴みかかるのもまた巨人。決定的な差は、乗り手という存在であったろうか。
 オブリビオンマシンと成り果てたその巨人は『部品』として乗り手の命を搾取するが、ダフィーはそうではない。
 趨勢を見つめ続ける司令室でもその差は見て取れる程であった。
 通信は聞こえないが、祈りばかりが向こうから届くような、そんな気配。

『……噛みつき攻撃が来るのは分かってんだ! アタシはお前を足止め出来れば『それで十分』なのさ!!』
 脳無き巨人の本性が、ダフィーの身体へ激しく襲いかかるも、彼女がそれで止まることは無い。
 彼女の望みは――彼の、レストアの『意志』を伝えること。
 ハッチが、開く。
 ……自殺行為に見えるだろうか。だが、その姿は、大事な何かを贈るように、花束を抱えているかのようにすら見えた。
『――行ってきな、相棒!』

「……キミを助けたいって事、ボクには出来ないって事。不甲斐ないけどせめてキミを憶えていさせて」
 意識を失った中枢に、レストアは慈しむような手を添える。
 『彼』を介せば、巨人は否応なしに理解するだろう――彼の想いを。
 二人の意志を、『両方』目覚めさせる程の、強い想いが届いた時。
 ……聞こえていた声は二つに『割れて』。慟哭にも似た絶叫を奏でた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カタリナ・エスペランサ
指揮官は“救う”と言った。ヴォートは“出して”と願った。ならアタシはそれに応えよう
機体の方は――オブリビオンとして在る以上、その望みは棄却するけれど。

【堕聖の偶像】で変身、加速して《空中戦》を展開。
相手の動きを《第六感+戦闘知識》で《見切り》、《早業+怪力》を更に重力の《属性攻撃》で増幅して《鎧砕き》の連撃を重ねる

洗脳電波は…この為に切った奥の手だ、《精神攻撃+催眠術+ハッキング+誘惑》の精神干渉に特化した夢魔としての権能で介入し無害化するよ

まぁ、戦いに邪魔だから洗脳効果は打ち消すけれど。残る“声”はアタシの知った事じゃない
記憶に刻みたいなら、自分の存在を知らしめたいなら…魂の限り叫べばいいさ



●割れた『望み』
 ――声が、『割れている』。
 『部品』が目覚めたことを、カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)は感じ取っていた。
 撒き散らされる破滅願望、破壊願望は間違いなく『過去』からの物で。その中からか細く聞こえる願いは――
 ……『助けて欲しい』、ということだけであった。

「指揮官は“救う”と言った。ヴォートは“出して”と願った。ならアタシはそれに応えよう」
 編まれた金色の髪がさらりと解けていく。応える為ならば、その身を忌避する姿に変じさせることも厭わぬのであろう。
 ……向こうが奥の手を切ったのだ。此方も『奥の手』を切っても構わないだろう、と判断したのかも知れないが。
 周囲に響き渡る乗り手のような『声』が響き渡れば、苦悶の声を漏れ聞こえさせるのは司令部だろうか。
 それでも、彼らは信じている。信じているから、『救う』と言ったのだから――
「機体の方は――オブリビオンとして在る以上、その望みは棄却するけれど」

 レガルシオンの地に妖艶なる夢魔の姿となったカタリナが降り立つ。
 叫ぶ声が刻むものは、まるで隠されていたプラントから生じた『部品達』の怨嗟を濃縮したようなものだ。
 けれど、彼女は知っている。それはオブリビオンの与えた『指向性』、他ならぬオブリビオンの破壊の『意志』。

「……残る“声”はアタシの知った事じゃない」
 神すらも恐れず、欺きたもう夢魔の権能はオリバレスの声を、ただの『叫び』へと変えてゆく。
 交戦する最中、重力の刃に刻まれるその声が響けば響く程に伝わるのは――『彼ら』の言葉。

『――助けて、こんな為に『俺達』は生まれてきたの』
『――『俺達』は、人間じゃないっていうのか』

 白日の下に晒されたプラントから生まれたもの達の悲鳴は、確実に国を変えていく。
 けれども、『機体』の叫ぶ大半の『ノイズ』は、届くこと無く処理されていくだろう。
 それでも、彼らの叫びは、記憶に残るだろう。
「記憶に刻みたいなら、自分の存在を知らしめたいなら……魂の限り叫べばいいさ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

メアリーズ・エリゴス
きひっ!生まれ故郷に還り羽化して生まれ変わる、ですか、ロマンチストですね
隠れプラントを暴露するのはいいですが、生まれ故郷とはそんなにいいものですか?研究所以前の記憶は私には無いですが、それでも愛溢れて私は幸せですよ?

記憶に残るよう全てを壊す、それがアナタの愛ですか!
なら、どちらの破壊(アイ)が強い想いか、勝負といきましょう!
首に下げたT型サイコマテリアルが赤く発光して、サイコ・コントロール・システムを通じて機体から破壊(アイ)の念が赤い光として溢れ出しますよ!
溢れた愛(サツイ)の念で敵を拘束して、そこに一撃を加えてオリバレスを破壊しますよぉぉぉぉ!
さぁ!私が、壊(アイ)してあげますよぉぉぉ!!



●刻む『愛』の言葉のように
「きひっ! 生まれ故郷に還り羽化して生まれ変わる、ですか、ロマンチストですね」
 狂気は――尚も奔る。
 メアリーズ・エリゴス(生体CPU・f30579)という赤き狂気の駆り手は眼前の『彼ら』とは違う。
「隠れプラントを暴露するのはいいですが、生まれ故郷とはそんなにいいものですか?」
 生まれ故郷が良いものなのかは『彼ら』にしか分からぬことだが、記憶が喪われ、『部品』であることを受け入れた少女は――
「――それでも愛溢れて私は幸せですよ?」
 人間としては、狂人であり、『彼ら』からすれば、いっそこうなってしまったほうが幸せだったのかもしれない。

 けれど、刻まれる事無く『消耗』される運命にあるのならば。刻みつける事を『煽動』したのがオリバレスならば――
「それがアナタの愛ですか! なら、どちらの破壊(アイ)が強い想いか、勝負といきましょう!」
 彼女の愛(サツイ)は、それ以上に苛烈であり、否が応でも『刻みつけられる』ものだ。

 首から下げたサイコマテリアルがまるで心臓かのように明滅し、一帯に彼女の愛が満ちゆく。
 巨人の咆哮は雄叫びのようにも、慟哭のようにも聞こえたが――確かにそこにあった一割は『死にたくない』という一念。
「くひひひっ! どうやら貴方(キョジン)と部品(パイロット)の意志がズレてきているようですねぇ!!!」
 ……そんな愛など、彼女の愛を『振り解けぬ』。

「――さぁ! 私が、壊(アイ)してあげますよぉぉぉ!!」
 コクピット『本体』を避けて、接合部へねじ込まれるその愛は残酷で、純粋。
 人間のように聞こえていたオリバレスの叫び声は遂に『人間のもの』でなくなり始め、コクピットの中では一人の明確な抵抗が始まった。
 それでも彼女の愛は止まらない――巨人が愛を受け止めることが出来さえするのならば、ずっと、続くのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

中小路・楓椛
アドリブ連携歓迎
WIZ

他の猟兵の皆さんが揃ったようなので私は支援に専念しましょう。
【ばーざい】全技能使用、【神罰】【呪詛】【残像】併用でUC【にとくりす】起動。
賢く(スマートで)ない攻撃を全て撃ち返します。

間隙で【谺(魔笛/鼓)】二丁拳銃モードと【ろいがーのす】で牽制入れて攻撃パターンを切替て迎撃する暇は与えません。

さて…うちの【クロさん】には特殊な動力源と明確な自我と知性が存在します。
つまり『製造経緯(産まれ)が同じ過程(オブリビオンマシン化)』を辿ったのですよ。
クロさんは今回の件に…それはそれはもう大層お怒りです。

――クロさん、汝が伴に為すべきと信じた救済の御手を。



●鏡写しの来歴
「さて……皆さんお揃いのようですし、支援に専念しましょうか」
 中小路・楓椛(流しのダゴン焼き屋台牽き狐・f29038)は周囲の攻勢を見て、自らは『護り』の側に徹する。
 これまで数々の猟兵の攻勢により生み出された『鏡写し』は、猟兵の数だけ存在していた。

「流石にここまで多岐に渡ると全てを迎撃するのは難しいですけれど……ただ『返す』だけが能とは言い難いですね」
 くるくると振るわれた後に地を突く『ばーざい』は、彼女の大術式の予兆でもある。
 即座に紡ぎ上げられる物は――かの魔術女王の用いた『鏡』にも似たそれ。その鏡は的確な『答え』のみを返す。
「ただの猿真似程度ではこの鏡には打ち勝てませんよ。それに……」
 その回答の間隙に捩じ込まれるのは手裏剣と二丁拳銃による驟雨のような弾幕。これを補助と言い切るには余りにも贅沢が過ぎるだろうか。

 『部品』に抗われながら苦悶の声を上げるオリバレスに、彼女の狩る『クロさん』はゆっくりと、悠然に。だが憤怒を込めた足取りで以て歩み寄る。
「さて……うちのクロさんには特殊な動力源と明確な自我と知性が存在します」
 それは、『彼』もオブリビオンマシンと成り果てた実験機である、という事。
 この歩みは、『彼』自身の怒りを孕んだものであることは、彼女には如実に伝わっていた。
「クロさんは今回の件に……それはそれはもう大層お怒りです」

 『彼』の手は、接続を取り戻そうとする哀れな伴へ振り下ろされる。
 制御が得られない存在には破壊こそ救いであり、下されるべき『罰』なのであるから。
「――クロさん、汝が伴に為すべきと信じた救済の御手を」

成功 🔵​🔵​🔴​

ハヤト・ノーフィアライツ
アドリブ連携歓迎だ。

真の姿を解放。…さあ、悪夢を振り切るぜ。
貴様とソイツを一緒にするんじゃねぇよ。
少なくとも、ソイツは『誰にも知られていない』わけでも『捨てられた』わけでもない。

指定UCを使用。キャバリアに武装に変形した宇宙バイクを合体。
【戦闘知識】で相手の動きの予測を立てて立ち回りつつ、
【失せ物探し】でヴォートを剥がすタイミングを探す。
攻撃は【迷彩】で撹乱し【空中戦、早業】でかわし、【カウンター】で潰しにかかる。
タイミングを見極めたら出力を【限界突破】させ、【怪力、ランスチャージ、鎧無視攻撃】で突撃、【串刺し】にし、コクピットを【怪力】で剥がす。

お前さんは生を望んだ。…だから、助けに来たぜ!



●悪夢の終わりに
「……さあ、悪夢を振り切るぜ」
 ハヤト・ノーフィアライツ(Knight Falcon・f02564)の姿がただひとりの鋼の戦士へと至る。
 その残像が残していくのはまるで銀河の流星の如く。隼は鋭く、オリバレスのコクピットへ向けて飛翔する。
 近づけば近づく程に、叫び声は激しくなる。巨人の言の葉は体の良いように『破壊』をする理由を並べ立てた慟哭にも聞こえて。

「――貴様とソイツを一緒にするんじゃねぇよ」
 実験機は廃棄される運命にあるだろう。よくて『再改修』と言った所か。それでも、組み込まれてしまったヴォートは使い捨ての部品ではなかった。
「少なくとも、ソイツは『誰にも知られていない』わけでも『捨てられた』わけでもない」
 一人の男が助ける為に動いたという事実が、巨人と彼の差を如実に物語っていたのだから。

 巨人を一喝すると共に、撹乱軌道のままに接続部を破壊したハヤトは、そのままコクピットを『奪い取った』。
 そこから剥ぎ取られたヴォートは、ハヤトからすれば『部品』ではなく、ただの人間であった。……紛れもなく。
「お前さんは生を望んだ。……だから、助けに来たぜ!」
「……ありがとう、ございます」
 既に息も絶え絶えという所ではあるが、それでも彼の意志は、届いたのだ。

『おい、早くしねぇと、お前の『兄弟』達を適当に――』
「おっと安心しな大将、『それだけはやらせねぇさ』」
 救助に息付く間もなく。ハヤトはヴォートを抱えたままにグランドファルコンで舞い上がる。
 眼下のオリバレスは、最早半壊といった様相だが、代替の『部品』を手に入れようと隠されていたプラントに手を伸ばし――

「――コネクター接続、さあ、一気にケリをつけるぜ!!」
 ……その手が届くことは無かった。光槍がまるで墓標のように、隠しプラントに至る寸前のオリバレスを貫きその機能を完全に停止させた。
 残されたのは、暴走した実験機の残骸たるユミルの子と、暴かれた『部品』達の製造プラントの姿。
「……さてと、後はあんたらの仕事だぜ、大将」
 通信の向こうからは、重苦しく頷く声のみが聞こえた。

 猟兵達の仕事はあくまで『ここまで』なのだ。後の末路は指揮官やヴォートなど、この国の者たちが『決める』ことだ。
 ……一先ず、レガルシオンの危機は去ったが、まだまだ懸念は払えきれていない。そんな様相を示していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月16日


挿絵イラスト