売れない漫画家はエログロパロディ炎上芸で使い潰そう!
「うう……うううう……」
薄暗い、小さな部屋は荒れ果てていた。
インスタント食品の容器が散乱し、衣服が積み重なる。荒廃した部屋を照らすのはPCのモニターだけで、そのモニターの前には一人の漫画家――描木台・絵麻(かきたい・えま)が座っている。
「……うう……」
モニターいっぱいに表示されているのは漫画製作ソフト。ペン入れを始めたばかりのページの中では、異常に胸が大きい女の子が最近SNSで話題のキャラクターにそっくりの衣装を着て科を作っている。
ページを切り替えればまた別のシーン。敵の攻撃を受け血まみれになった少女の苦悶の表情のアップの後ろには、緻密に肉塊が描きこまれている。
「……」
仕事の続きをする気が起きなくて、描木台は漫画製作ソフトを閉じる。
――性的な描写もグロテスクな描写も、描木台には好ましいものではない。
繊細な心情を描きたい。匂い立つ情景を描きたい。そのために漫画家になったはずなのに、編集から指示された漫画の方向性はまるで真逆だった。
過剰なほどのバイオレンスとエロス、ストーリーラインはSNSで話題の何がしかを取り上げて囃すような内容で、それでも仕事がもらえるだけありがたいと言い聞かせて描木台は連載を続けてきた。
「……」
ブラウザを立ち上げて、SNSを開く描木台。
自分の名前や連載作品で検索すれば、過剰な表現に苦言を呈し、揶揄する言葉が並んでいる。
『雑誌のエログロ枠にしてもやりすぎ、全年齢だろ』
『本人の趣味全開でドン引き』
『こういうの描きたいならエロ漫画に行けよ』
似たような内容を繰り返し投稿するユーザーは、自己紹介に『描木台せんせーのクソ漫画をヲチるアンチ垢です!!』と書いており、毎日楽しそうに描木台の漫画を罵り合っている。
「うう……!」
その時、描木台のスマートフォンに着信が入る。
電話は描木台の担当編集――エログロとパロディに溢れた漫画の方向性を決定した人間からだ。
「も、もしもし……」
『あー描木台さん? この漫画のSNSアカウント作ろうと思うんですけどいいですよね!』
「え?」
『そろそろ炎上芸も覚えた方が良いですからねー! 運用はこっちでやるんで、描木台さんは引き続き今の感じでお願いします!』
「あの……でも、こういうのはもう……!」
『何言ってるんですかー。無名なんですから話題性ある漫画にしなきゃダメですって。あ、アカウントもいい感じに炎上とかさせたりしてみるんで、もっと話題になると思いますよ!』
「炎上……!?」
ネット上での炎上がどれだけ恐ろしいことか……想像して青ざめる描木台を気にした様子もなく、担当編集はまくしたてる。
『イマドキ話題性がない漫画なんて埋もれて終わりですから、どんな形でも目立ってナンボの世界ですよ! 雑誌の発行コード限界までやっちゃいましょう! ――じゃ、そういうことで!』
切られた電話の向こうからは、機械音が響くのみ。
「……うう……」
描きたくない漫画、自分にばかり集中する非難――心のどこかが、感覚を失うのが分かる。
「うう……うううううっ!」
悲鳴と共に、描木台は異形へと変貌する――。
●
「UDC-HUMANって知ってるか?」
タハニの問いに、うなずく者もいれば首を傾げる者もいる。
「人間がUDCに変貌するってことらしいぜ。何かのきっかけで心が壊れて、UDCになっちまうんだ」
――今回、UDC-HUMANになってしまうのは1人の漫画家。
「描きたくない過激な漫画を描かされて、そのせいで自分に批判が殺到しているみたいだな」
漫画のアカウントで炎上芸を行うという話が切っ掛けで心が壊れた描木台は、『姿を奪う者』に変化してしまった。
「人の姿を奪って戦う敵だ。姿だけでなく知識や記憶も奪ってくるから、気を付けてくれ」
幸いにも、今すぐに倒せば描木台を人間に戻し、救うことが出来る。
「描木台のことを考えて呼びかけてやれば、敵の攻撃威力は弱まるはずだぜ」
戦場となるのは、描木台が暮らすアパート。
取り壊しが間近の古アパートに描木台以外の住人はおらず、描木台自身も近日引っ越す予定らしい。建物の倒壊等に気を使う必要はあまりないだろう。
「ただ、アパートに入るために通る駐車場にもUDCが集まっているみたいだぜ」
スピリティア・レディと呼ばれるUDCは、描木台が嫌悪しながらも描き続けたキャラクター達のように煽情的な姿をしている。
「全員ブッ倒して、描木台の所に行ってやってくれ」
スピリティア・レディの撃破後はすぐに描木台――『姿を奪う者』との戦闘になるだろう。
「戦闘が終わり、描木台が無事に人間に戻った後なんだが……『制裁』を頼みたいんだ」
描木台に望まない作品を描かせた担当編集、あるいは熱烈なアンチ活動を行うSNSユーザー。
彼らの居場所は突き止めている。二度と同じことが起こらないように、彼らに何らかの『制裁』を加えてほしいとタハニは依頼して、
「――じゃ、頼んだぜ!」
手の中で、グリモアが瞬いた。
遠藤にんし
遠藤にんしと申します
今回はUDCアースです
1章:集団戦『スピリティア・レディ』
アパートの駐車場(無人)での戦闘です
2章:ボス戦『姿を奪う者』
描きたくない漫画を描くよう求められ、心が壊れた漫画家「描木台・絵麻(かきたい・えま)」が変化した姿です
描木台以外の住人がいないアパートで戦闘します
描木台の気持ちに寄り添うような言葉を掛ける、何らかの行動を取るなどにより、敵の攻撃威力が弱まる場合があります
3章:制裁
描木台に望まない作品を作らせた担当編集や、アンチ活動をしているユーザーに制裁を加えることができます
皆様のプレイングを楽しみにお待ちしております!
第1章 集団戦
『スピリティア・レディ』
|
POW : これが主より授かった力ですわ
【自身の体に内包する多大な精気】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【噴き出す霊気を、腕に鋭利化させた霊刃】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD : ごめんあそばせ、もう抑えが効きませんの
自身の【霊気とUDCに侵された証である赤い瞳】が輝く間、【霊刃の攻撃】または【精気を奪う快楽責め】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ : わたくし…足りないの、貴女ので補わせて
【快楽の儘に貪る艶やかな女学生モード】に変形し、自身の【理性と戦闘能力】を代償に、自身の【拘束能力と快楽責めの技量と精気吸奪力】を強化する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
現場へ急行する猟兵たちの前に、少女の姿をとるオブリビオンが立ちはだかる。
薄く微笑む口元、あどけなさを残した顔には似合わない豊かな肢体。
アンバランスな姿の彼女たちは霊剣を携え、猟兵たちへと斬りかかる――。
ヴォルフ・バイリンフェルト
「Foo! セクシーなカワイ子ちゃんってのはたまらないねぇ。」
と、不純な動機でレディの相手をします。
襲い掛かってくるレディには、剣と盾で足止めしながら、【挑発】も兼ねて性的で挑発的な視線を向け続けます。
消耗したレディが誘惑してきたら、それに乗ってさりげなく手袋を投げつけます。
「ここから先は大人の時間だぜ。」
『デュエリスト・ロウ』でそう宣言することで、この世界の学生="大人ではない"という認識を利用し、レディが"子どもが行うべきではない"性的な行為や戦闘行為をする度にじわじわとダメージを与えて、優しく力尽きさせようとします。
失敗して精気を吸われても、それはそれで役得と思ってます。
金の瞳を細め、ヴォルフは接近するスピリティア・レディたちを見つめる。
「Foo! セクシーなカワイ子ちゃんってのはたまらないねぇ」
彼女達の豊満な身体に目をやりつつも、霊剣の刃が自らに届かないよう距離を取り続けるヴォルフ。
振られた剣に合わせて右へ左へ回避を続けるたびに、クリーピーコインが追随して金属音を響かせる。
烈しさを増す剣戟をコインが受け止め、そのたびに響く不協和音。眉をひそめたくなるけたたましさの中でもヴォルフの視線は彼女たちの身体に注がれ、攻撃が届かないことに苛立ったスピリティア・レディは己のシャツのボタンをひとつ開ける。
「ほぉ……」
思わずヴォルフが声を漏らしたのは、敵の全身から膨大な精気が迸ったから。
先鋭化した霊刃には先ほど以上の殺気が宿る。攻撃を受ければ無事ではいられないと思いながら、ヴォルフは手袋を脱いで彼女たちへと放り投げる。
「ここから先は大人の時間だぜ」
――宣言には、女学生の姿を取る彼女たちを戒めるために。
「……ッ、!」
宣言の効果はすぐに出た。
女学生、大人ではないはずの彼女たち。
衣服をはだけさせての誘惑も命を賭けた戦いも、子どもには似合わない。だからこそスピリティア・レディは存在そのものがヴォルフのルールに反しているのだ。
「ッ――!」
剣を突き出せばそれだけで傷が増し、胸の谷間が覗くたびに痛みが増す。
威力が上がったはずの攻撃はブレ、何も届けられないまま彼女たちは消耗していく。
そして、
「終わりにしたらどうだい?」
優しいヴォルフの呼びかけに、スピリティア・レディは静かに倒れ伏した。
大成功
🔵🔵🔵
ロート・カニーンヒェン
「描木台ちゃん助けに行かないと行けないんだ、そこ退いて貰うよ~。」(POW)
やりたいことやれない、やりたいことでもやらないと・・・あるよねぇ。なので、すぐにでも助けに行きたいから問答無用で殴り通らせて貰うよ~。ハザードイグニッションで暴走モード、一切合切手加減無しの残虐タイムよ!女の子の姿だろーと男女平等腹パンで一気に勝負を決めさせて貰うよ~。
(アドリブ歓迎です)
「描木台ちゃん助けに行かないと行けないんだ、そこ退いて貰うよ~」
その言葉をきっかけに、ロートはハザードモードに切り替わる。
即座に放たれるのは炎の弾丸。至近まで迫っていたスピリティア・レディの顔面を容赦なく吹き飛ばし、戦果を振り返ることなくロートはフォースセイバーの輝きを手に敵へと迫る。
やりたいことを出来ない、やりたくなくてもやらなくてはいけない――苦悩に共感するからこそ、早く描木台に会いたくて。
「――ふっ!」
鞘で腹に刺突、背後になびいたニンジャマフラーに何かが触れたのを察知して即座に振り返り、肉薄する霊刃をサラマンドラ・マグナムの一発で吹き飛ばす。
「ひどいわ、貴方……」
次々に倒れる仲間を見てスピリティア・レディは囁きかけ、霊剣に次いで武器である己の身体を見せつけようとするが、
「邪魔だよ〜」
即座に砲撃でリアクションするロートの目には、自慢の肢体は届かない。
ロート自身がひとつの戦火となり、銃声と剣戟は止む気配がなかった。
成功
🔵🔵🔴
ライザー・ヴェロシティ(サポート)
・出身世界「アックス&ウィザーズ」の猟兵だ
元の世界でも傭兵として活動していた
依頼の傾向は純戦闘
重視するのは報酬だ(金銭、食事等)
仕事は仕事として割り切るスタンスだな
あとは強敵と戦う依頼を好む
・性格は荒っぽいほうだろう
デジタルとか近未来の文化にゃ馴染みがない
・風属性の魔法を主体とするマジックナイトだ
剣に風属性を付与して行う近接戦闘を主とするぞ
使用するユーベルコードは主に近接の強化
または攻撃のレンジや範囲を補うモノだ
・耳がいい
乱戦時とかにゃ僅かな音を頼りに見えない敵の位置を把握するぜ
ただ耳がよすぎるんでな、歌や高音は聞きすぎると頭が痛くなる
特に歌は嫌いだ
味方なら兎も角、敵が歌ってんなら全力で止める
ライザーを取り巻く風が、スピリティア・レディたちを寄せ付けない。
「報酬は期待出来ないが……これも何かの縁、か」
独りごちて黒剣を抜けば、刻まれた呪いのルーンが力を帯びる。
「我慢しなくても良さそうね――」
闘気を隠さないライザーを前にして、スピリティア・レディの赤い眼だけが輝く。
ライザーに向けられる数多の赤い視線。数の面では不利だが、ライザーは決して慌てず剣を構え。
――地を蹴る音、霊剣を突き出す音。
スピリティア・レディが風を切って動くたびに耳に届くそれらの音を聞き分け、ライザーは天を仰ぐ。
乱れなく襲いかかるスピリティア・レディの携える霊剣は必殺の構え。傭兵一族の出であるライザーであっても、彼女たちの一撃を喰らえば無事ではいられないだろう。
「風よ、我が足に!」
刃が目前まで迫った時、ライザーは告げる。
瞬間、逆巻く風が足に宿ってライザーを宙へ押し上げる。風の階段を踏み越えてスピリティア・レディの攻撃から逃れたライザーは、敵どもを見下ろして。
「喰らってみろ!」
上空からの痛烈な一撃で、敵陣を薙ぎ斬った。
成功
🔵🔵🔴
アーサー・ツヴァイク(サポート)
※何でも歓迎!
『貴様らの悪事は、お天道様はもちろん…何より俺が許さねぇ!』
俺はアーサー、改造人間だ。
普段は寝てばっかりだが…事件が起きたら即覚醒! 悪い奴らを太陽の向こう側までぶっ飛ばす正義のヒーロー【ドーンブレイカー】になって大暴れ、だぜ!
苦手な事は頭を使う事、得意な事はオブリビオンをぶっ飛ばす事だ!
NG行為はないつもりだが…ヒーローらしい動きの方がやりやすいな。まあ、策を弄する頭が無いから問題もないけどな!
あと、武器やUCは好きに使っていいぜ。
んじゃ、宜しく頼むぜ!!
アーサーはサンドライバーを腹部にかざし、スピリティア・レディへと告げる。
「貴様らの悪事は、お天道様はもちろん……何より俺が許さねぇ!」
大声にスピリティア・レディの注意がアーサーへ向けられた。
彼女達の顔に浮かぶ敵意に臆することなく、アーサーは――否、ドーンブレイカーは疾駆する。
わっと襲い掛かるスピリティア・レディの攻撃をいなし、必殺の一撃をバク宙で回避。
華麗に着地を決めるアーサーが天を仰げば、太陽の輝きはそこに。
太陽を掴むように手を伸べて、アーサーはじりじりと距離を詰めるスピリティア・レディを見据える。
――Select…BURST ACTION!
「フルパワーで……ぶちかますぜ!!」
叫びが力に変わり、極太のビームが敵群を飲み干す。
陽光そのもののような輝きが収まった時、スピリティア・レディの姿は跡形もなく消えていた。
「これこそが……正義の力だ!」
拳を突き上げ、アーサーは戦場いっぱいに鬨の声を響かせた。
成功
🔵🔵🔴
マナ・シュテル
まー全年齢でエログロもパクリ一歩手前のパロディも好きですけど、作者が好きで描いてんじゃねーなら話は別ですね。
っつーワケで編集部はお仕置き決定です。でもその前に絵麻さん助けに行きましょう。
まずは雑魚共の掃除ですね。
手当たり次第に『黙示の角笛』の音波をブチ当てて、「自分達は産みの親が嫌々生み出した存在」「誰からも愛されず寧ろ嫌悪される存在」って事実をぶつけて絶望させてやります。
それでも立ち上がる奴は『ANDROMEDA-G』に通して加工した声の【衝撃波】で【範囲攻撃】して纏めてブッ飛ばしてやりましょう。
(アドリブ・連携歓迎)
ヘンペル・トリックボックス(サポート)
「ヘンペルと申します、しがない紳士です。お茶のついでにちょっとしたマジックでも……如何ですかな?」
【設定】
UC偽身符で作られた、本物そっくりの式神です。
【イメージ】
のらりくらりと現れる、紳士姿の胡散臭い奇術師です。胡散臭いの延長線上で、符術も使います。
【性格】
常に礼儀正しい姿勢ではいますが、要所要所でしれっとボケを入れる剽軽モノ。放っておくと延々戯言を垂れ流します。
【行動理念】
『誰かの笑顔のために』行動します。水面下で老体に鞭打って頑張るタイプです。
【好き/嫌い】
笑顔、のんびり、甘いもの/作り笑い、不実、紳士的でない行動
【その他】
ノリは良い方です。感覚で動かしていただいて結構です。
大半が倒れてなおしぶとく生き残るスピリティア・レディを見やり、マナはANDROMEDA-G MODEL SFを手にする。
「まー全年齢でエログロもパクリ一歩手前のパロディも好きですけど、作者が好きで描いてんじゃねーなら話は別ですね」
マナとしては編集部はお仕置き決定。
その意見に異論はないとばかりに、隣に立つヘンペルもうなずいた。
「人の笑顔を奪うとは、何とも度し難い」
「絵麻さん助けに行きましょう」
「勿論です、参りましょう」
マナと共に言い合うと、異次元シルクハットのつばを仕込み杖で叩くヘンペル。
軽く二度叩いただけで、空っぽだったはずのシルクハットからは次々と符が溢れ出る。その横でマナはアンプを召喚。
「黄昏に死を想うがいいです」
接近して戦うよりも、後方より攻撃する形を取る二人――スピリティア・レディには格好の的に見えたか、一息に距離を詰めてくるが、
耳をつんざく絶望の音色がアンプから響き渡った瞬間、敵たちは一様に足を止める。
「……!」
敵意を孕んだ瞳が揺らぎ、赤と青の双眸が絶望に塗り替わる。
「おや、これはこれは一体どうしたわけでしょう」
わざとらしく首を傾げるヘンペルに、マナは表情の浮かばない顔を向け。
「事実をぶつけただけです。『自分達は産みの親が嫌々生み出した存在』『誰からも愛されず寧ろ嫌悪される存在』って事実を」
「成程、確かに絶望的でございます。斯様な反応も納得出来る次第です」
傷は身体ではなく心に刻むもの――重圧にも似た絶望を背負ってなお霊剣を振りかぶる者もいるが、そんな相手にはヘンペルから縛符のプレゼント。
「どうぞ、お好きなだけお持ちください」
殺到する符は防壁のよう。もがいて暴れ、ようやく突破したと思えば待ち構えていたマナは、『ANDROMEDA-G』を口元に。
「聴くが良いです――――」
大きく吸った息を、声に替えて。
全霊の叫びを浴びたスピリティア・レディたちは、一人残らず吹き飛んだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 ボス戦
『姿を奪う者』
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POW : あなたの顔、いいわね
【触れた対象の仮面を剥ぎ取る繊手】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【仮面を被り、対象の記憶や知識、癖】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD : わたしはただの通りすがり
レベルm半径内の、自分に気づいていない敵を【無力な一般人の姿】で攻撃する際、ほぼ必ず狙った部位に命中する。
WIZ : 残念だけど……
【パーカーの下から仮面を取り出し、被って】から【対象の好む姿へと変わって拒絶の言葉】を放ち、【対象を精神的に傷つける事】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠アト・タウィル」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
スピリティア・レディを一掃し、猟兵たちはアパート内部へと踏み入る。
「うううう……っ!」
古びたアパートの奥から聞こえる声を頼りに奥へ進み、彼らは姿を奪う者と相対する。
「愛されるキャラクター、愛されたキャラクター、愛されるにふさわしいキャラクター……」
うわごとのように繰り返す『姿を奪う者』の表情は、パーカーの奥に隠れて読み取れない。
「顔も、すべて、何もかもを奪えば……」
声音に苦悶が滲み、PCのモニターの明かりを背負って『姿を奪う者』は猟兵と相対する。
「……そうすれば、私はもっと、面白い漫画が描ける?」
描木台の声で呟いて、『姿を奪う者』は攻撃を始める――。
ロート・カニーンヒェン
「ストレス、愚痴、その他もろもろ全部ぶつけてこぉい!!」(POW)
言えなかった辛さ全部口に出して攻撃にのせて打って貰って、それを全部シャイニングノヴァモードで受け止める!受け止めながら、胸を張って自分の描きたい漫画を描いてたくさんの人を楽しませてほしいって伝え続けるよ。止める人も傷つける人も、みんな私達が何とかするから、夢を叶えてほしいよ~。止まるまで、この身で攻撃を受け止め続ける!!
(アドリブ歓迎です)
「ストレス、愚痴、その他もろもろ全部ぶつけてこぉい!!」
ロートは『姿を奪う者』の真正面に立ちはだかる。
「ううううううッ……!!」
呻きを上げながら接近した敵は、ロートへと躊躇なく頭突きを一発。
「消費されたくない……!」
求め、すがるように『姿を奪う者』の手はロートの肩に伸びる。
素肌に爪が食い込み、色の濃い肌に血が滲む。
「描きたいモノを描きたい……! 私は、そのために漫画家になった!」
「読みたいよ!」
逃げられない位置から繰り出される攻撃の数々はどれも強烈だが、シャイニングノヴァモードを発動しているから傷は残らず、ロートは声を張り上げる。
「胸を張って自分の描きたい漫画を書いて、たくさんの人を楽しませよう!」
ロートの胸に疑念はなく、無敵の姿は翳らない。
「ッ私は……」
間近にいても『姿を奪う者』の表情は読み取れず。
それでも、声音で感情を知ることはできた。
「――描きたい――!」
叫びとともに放たれる一撃も、ロートは受け止めた――。
大成功
🔵🔵🔵
テフラ・カルデラ
※絡み・アドリブ可
POW
何て酷い事を…これじゃあただのいじめじゃないですか!
それに…この状況で逆らえないのが恐ろしいのです…
でも…こんなのが正しいなんてわたしは思いません!
だからこそ…絶対にこの人は助けなければいけません…!
と…相手は他人の仮面を奪うのですね…?
それじゃあ、わたしの場合だと…あの癖とかコピーしちゃうんですね?
ならばわざと受けつつ…【黄金呪術球】を思い切り投げる!
わたしの癖がコピーされているのならば…避けられやすい子のユーベルコードも確実に当たるはずなのです…!
マナ・シュテル
いやまあ神絵師の腕食っても絵は上手くならねーんですし。
漫画を面白くするのは、自分の内にあるモンだと思いますよ。
つーワケで答え続けてゆく問いを発動、天使をけしかけつつ質問を投げていきます。
「あなたの描きたい漫画とは何か」
「何故描かないのか」
「望まない漫画を描くこと止める覚悟はあるか」
どう答えても満足いく答えとします。
まずは描くことです。そしてネットとかで読んでもらうことです。
あなたの漫画を評価するのは編集部の連中じゃない、読者一人一人ですから。尚アンチは除く。
まだ元に戻れないなら、GoldRushを絵麻さんの叫びに合わせて撃ち込みましょう。
「全力で叫んで下さい、あなたは漫画を描きたいか!」
戦場に駆けつけたテフラは、『姿を奪う者』――描木台の身に起きたことを思い起こし、眉をひそめる。
「何て酷い事を……これじゃあただのいじめじゃないですか!」
テフラが何より恐ろしいと感じるのは、この状況で逆らえないこと。
「でも……こんなのが正しいなんてわたしは思いません!」
絶対にこの人を助けなければいけない――テフラと同じ気持ちで、マナは『姿を奪う者』の前に立つ。
「いやまあ神絵師の腕食っても絵は上手くならねーんですし。漫画を面白くするのは、自分の内にあるモンだと思いますよ」
「うううううッ!」
咆哮を上げる『姿を奪う者』はマナを狙って駆ける。
その姿を認め、動き出したのはテフラ。
「マナさん!」
マナをかばって攻撃を受けたテフラーー手を伸ばさなくても触れ合える距離で、テフラは黄金球を召喚し。
「全てを黄金に変える呪いの球! 受けてみるのです!!」
近距離とはいえ初撃は外れやすく、『姿を奪う者』にとって回避は容易なはずの技。
ーーそのはずなのに、『姿を奪う者』は避けることなく、むしろ……。
「……当たりに行ったです?」
テフラの背後、戦況を見守っていたマナは、思わず呟く。
「わたしの癖、コピーしちゃったんですね」
初撃が当たれば二撃目は確実。
攻撃を続けるテフラの癖ーー『やられたくなっちゃう』習性を奪った敵は、猟兵のユーベルコードを避けることは出来ないだろう。
「今の内ですね。ーーただ、全てのために祈るが良いです」
マナの手にある歪な電話機が、顔の刻まれた天使を喚ぶ。
「っうう……!」
天使のうわ言は『姿を奪う者』の脳を揺らす。答えれば楽になるですよ、と告げてから、マナは『姿を奪う者』へと尋ねる。
「あなたの描きたい漫画とは何か」
「心情に寄り添った……プラトニックな関係性ーー」
「何故描かないのか」
「……求められていないから。描いたって、没になるだけ……」
答える間だけは天使のうわ言は聞こえないはずなのに、『姿を奪う者』の声には苦痛が滲む。
「望まない漫画を描くこと止める覚悟はあるか」
「ーーもしも、私の望む漫画を許してくれるならーー!」
答えの全てにマナはうなずいて『姿を奪う者』ーー描木台を見つめる。
「まずは描くことです。そしてネットとかで読んでもらうことです。あなたの漫画を評価するのは編集部の連中じゃない、読者一人一人ですから」
尚アンチは除く、と付け加えるマナの言葉に、テフラもうなずく。
「きっと、素敵な作品になると思いますよ」
「……うう……っ」
テフラの言葉に弱々しい声を上げる『姿を奪う者』へと、マナは携行型荷電粒子砲『Gold Rush』を向ける。
「全力で叫んで下さい、あなたは漫画を描きたいか!」
「ッーー」
『姿を奪う者』の顔は見えない。
でも、どんな表情が浮かんだのか分かる気がした。
「描きたいーーーーッ!!!!」
叫びと共に、光が辺りに満ちた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
スピレイル・ナトゥア(サポート)
精霊を信仰する部族の巫女姫です
好奇心旺盛な性格で、世界をオブリビオンのいない平和な状態に戻して、楽しく旅をするために戦っています
自分の生命を危険に晒してでも、被害者の方々の生命を救おうとします
技能は【第六感】と【援護射撃】と【オーラ防御】を主に使用します
精霊印の突撃銃を武器に、弾幕を張ったり、味方を援護したりする専用スタイルです(前衛はみなさんに任せました!)
情報収集や交渉のときには、自前の猫耳をふりふり揺らして【誘惑】を
接近戦の場合は精霊の護身用ナイフで【捨て身の一撃】を繰り出します
マスター様ごとの描写の違いを楽しみにしている改造巫女服娘なので、ぜひサポート参加させてくださると嬉しいです!
鵜飼・章(サポート)
僕は鵜飼章…旅人だ
何かの縁でここにやってきて
状況は大体解っている
だからさりげなくその場に溶けこみ
依頼をいい感じに進める行動言動をするよ
シリアスでもギャグでも皆に合わせます
可能さ…そう
UC【空気を読む】があればね
(読めない時もあるよ)
僕にできる事は技能一覧を見てほしいな
これ以外の事は大体できないと思ってくれて構わない
特に苦手なのは労働と力仕事だよ
できないからやらないとは言ってない
装備アイテムを使えば割とどうにかなる
きみが僕をなんとかするんだ
困っているきみ…
この依頼心情系ですか?
全部捏造でいいんじゃないかな
描写された内容が真実とは限らない…
僕、謎なので
つまり全部お任せだよ
アドリブアレンジ大歓迎です
「ううううううッ!」
「スコーピオンテイル!」
叫びとともに繰り出される『姿を奪う者』を、スピレイルの土槍が迎え撃つ。
同時に舞い上がる砂塵はスピレイルの姿を隠し、『姿を奪う者』の狙いをブレさせる。そんな砂塵の内側に入り込んで、章は悠々自適に微笑んだ。
「やあ、ここは良いね。とても楽だ」
「はい、ここにいれば攻撃はほぼ届かないのですが」
ただ、とスピレイルは青い瞳を煌めかせる。
「この結界を展開している間、私は戦えません。それに、攻撃を受けたら解除されてしまいます」
「ああ――なるほど」
スピレイルを取り巻く空気を読んで章は得心がいった表情でうなずく。
「つまり、このままだとジリ貧ということか」
「……はい」
言葉を受けて、章は一本、針を取り出す。
「本当は展翅のための物だけども、そう言っていられる状況でもなさそうだね」
『姿を奪う者』からスピレイルと章の姿が見えないように、スピレイルと章からも『姿を奪う者』の姿は見えない。
「うう……うううう……ッ!!」
砂塵ごしに聞こえる呻きが苦しげなのは、自動で迎撃する土槍の攻撃を何度も受けているからなのだろう――声に耳を澄ませた章は、にこりと笑って。
「僕は聞き耳は苦手なんだった」
「えっ――」
不安の色を滲ませるスピレイルの横、章は気負わない調子で展翅針を投擲。
「う――ッア、アアアア!」
『姿を奪う者』の上げる悲鳴が変質したことで、章の攻撃が命中したのだと分かる。
「投げるのは得意なんだ。この調子でやっていこう」
「は……はい!」
表情を明るくしてスピレイルがうなずくと、精霊布のリボンについた鈴が可憐に鳴る。
砂塵を繰るスピレイルの手には精霊印の突撃銃。『姿を奪う者』がいつ防壁を突破しても次の手を出せるように準備して、スピレイルの警戒態勢は万全だ。
「僕はこんな感じでやるよ」
針と同じ場所にまとめていた展翅テープを眺めていた章は、今度はメスを投げて『姿を奪う者』を追い詰めていく。
砂の守りの中、二人の戦いは続く――。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
夕闇霧・空音
【アドリブOK】
認められないわね…
描きたいものを描けずに堕ちていくなんてのは…
私は彼女の「本当の絵」をネットで検索して探すわ。
あちこちのコンピュータを一気にハッキングして意地でも探してみせる。
今より下手でも、今の描きたくない漫画よりもずっとイキイキしているはず。
これがあなたの本当に描きたい絵なんでしょ!
私は…この絵を素晴らしいと思う。
ていうかこの漫画面白いじゃない。
…私はこの気持を守るわ。
私のユーベルコードを発動させる。
あなたの熱意、本当に描きたい絵をここに刻みなさい!
きっとそれはあなたの心に跳ね返り届くはずよ
描きたいものを描けずに堕ちていく――そんなことは認められないと、空音はネットで検索をかける。
探すのは描木台の『本当の絵』。
「ハッキング完了……見つけ出してみせる」
意地で探す空音は、ついにそれを発見する。
描木台すらも忘れ去ったような、古いブログ。
何度か更新しただけで放置されて長いこと経ったそのブログは、漫画家になる前の描木台の、描きかけの漫画が載っていた。
絵の拙さは否定できないが、ディスプレイごしに見るその漫画は今の漫画よりもずっとイキイキとして見えて。
「これがあなたの本当に描きたい絵なんでしょ! 私は……この絵を素晴らしいと思う」
「――うう――」
「ていうかこの漫画面白いじゃない」
「――!」
未完成で、あまり上手な絵ではないけれど、そこには確かな情熱がある。
その気持ちを守ると心に決めて、空音は『姿を奪う者』へ変貌した描木台へ手をかざす。
「防御兵装展開……絶対氷壁発動!」
眼前に展開される氷壁の表面はつるりとして白く、まるでまだ何も描いていないキャンバスのよう。
「あなたの熱意、本当に描きたい絵をここに刻みなさい!」
空音は告げる。
「……私の、描きたい絵……!」
『姿を奪う者』の手が氷壁に触れる。
激しい冷気は『姿を奪う者』の体力を奪っていくが、気にした様子もなく、線が刻まれる。
迷うことなく描かれる一枚の絵には、エログロパロディの要素はひとつもない――ただまっすぐに、描木台の描きたいものだけが載っている。
「あ――そっかぁ……」
描き終えた描木台は、氷壁に刻んだ絵を見上げて。
「私の描きたいもの……別にあるんだ……」
ひとしずく、涙をこぼした。
――空音は、描木台の涙が止まるまで、隣で寄り添っていた。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『人間の屑に制裁を』
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POW : 殺さない範囲で、ボコボコに殴って、心を折る
SPD : 証拠を集めて警察に逮捕させるなど、社会的な制裁を受けさせる
WIZ : 事件の被害者と同じ苦痛を味合わせる事で、被害者の痛みを理解させ、再犯を防ぐ
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「はー、今度からはもっとエログロ要素足してもらえれば炎上しやすくなるかな?」
ヘラヘラ笑いながら、描木台の担当編集はSNSを巡回している。
見ているのは描木台のアンチアカウント。批判的な書き込みを見るたびに、編集の胸にはなんとも言えない喜びが湧いた。
「んん、電話……?」
そうして楽しく過ごす編集の元に、一本の電話が入る。
「描木台先生からだ。珍しいな。……もしもしー?」
『あ、あの……描木台です。その――今描いている漫画のことで……』
「あーはいはい。何ですか?」
『その……今描いてる漫画、終了させてください!』
「は?」
『炎上アカウント作るのもやめてください。編集長さんにもお話ししておきますから! もう描かない……描きたいものだけ描きますから!!』
「え、ちょっと――」
いつものように言い返して言いくるめようとした編集だが、それより早く電話が切れる。
「はー……? 何様なんだろ」
苛立ち交じりの溜息をつく編集は、まだ自分の行いの非道さには気づいていない。
分からせてやるには、猟兵たちの力が必要なのだ。
夕闇霧・空音
【アドリブOK】
描木台さんには勇気を持って炎上芸を断ってもらうとして…
まぁとりあえずは担当編集の人に思い知らせなきゃいけないわね。
マスコミの人にこっそり連絡して潜伏してもらって…
通話記録を持って直談判に行くことにするわ。
それでその行為を糾弾しておくけど…
描きたくもないものを描かせて、炎上が楽しいことのように言って
相手の気持を考えたことあるのかしら。みたいな感じね。
この会話の内容はちゃんとマスコミや、動画サイトの生放送で中継してもらって
もしそこで本性を顕にしたらしめたものね。
担当編集さんが念願の炎上有名人ね。嬉しいでしょう?
描木台が編集に連絡を入れる姿を見届けて、空音は動き出す。
「まぁとりあえずは担当編集の人に思い知らせなきゃいけないわね」
描木台から手に入れた通話履歴は空音の元に。
空音がはじめに行ったのは、マスコミへの連絡だ。
漫画家と担当編集の闇を暴く――そう伝えたマスコミには潜伏してもらうことにして、空音自身は編集がいる出版社へと向かった。
「あなたが描木台さんの担当ね」
「ええ、はい! 取材ですか? やっぱり過激な作風ってウケが違いますよねー!」
出版社の一角に通された空音は、描木台の担当編集と向き合っても表情を変えずに尋ねる。
「描きたくもないものを描かせて、炎上が楽しいことのように言って相手の気持を考えたことあるのかしら」
「気持ちぃ……?」
取材かと浮かれていた様子の編集の表情が曇る。
「そう、気持ち。自分がどれだけのことをしたのか自覚はある?」
「えー……だって描木台さん的にも評判になるしウィンウィンっていうか」
ごにょごにょと歯切れの悪い編集の言葉に、空音は追求を続ける。
「望まない形で評判になっているのだから、描木台さんにメリットはないでしょう?」
「アイツの実力からすればありえないぐらいの話題作を作ってあげたんですよ? 感謝はされてもそういう言い方される覚えはないですけどね」
「実力で勝負させなかったということ?」
「人聞き悪いなー。要はバカな漫画家は何やったって駄目なんですから黙って使い潰されてろってことですよ。わかりますー?」
責めるような空音の口調に機嫌を損ねてふてくされる編集。
姿勢は崩れ、顔を反らして空音の方を見ようともしない……これ以上、編集から何か話を聞くのは難しいだろう。
(頃合いね)
これ以上話を聞くことは諦めて、空音は持ち込んでいた電子端末を差し出す。
「なんですかこれ……って、え」
端末に表示されているのは動画配信サイトの画面。生放送の画面に映っているのは、他ならない編集自身の姿だ。
「え、え、ちょっとこれ」
空音の正面と画面に編集の焦り顔が映し出される。画面の横で流れ続けるコメント欄は、編集への批判の声でいっぱいになっている。
「待、っこれはヤバい、消してください!」
「消したとしても、この会話の内容はマスコミにも中継してもらっているわ」
「え!?」
状況を理解して青ざめる編集――批判ばかりのコメントは、止まる気配がない。
「担当編集さんが念願の炎上有名人ね。嬉しいでしょう?」
「――――」
空音に言われても、編集は絶句するばかりだった。
大成功
🔵🔵🔵
ロート・カニーンヒェン
「はーい、これから漫画家の描木台さんに無理矢理描きたくないもの書かせた編集者とアンチで好き勝手いってたアンチの黒歴史朗読会、始まるよ~。」(WIZ)
さすがにムッコロすのはダメなので、彼らに二度とそんなことができないように情報収集で集めた彼らの言われたら嫌なことをグッドナイス・ブレイヴァーで全世界ネット生中継するよ~。命を奪わない私優しいね(笑)
悪落ちするくらい好き勝手やって自分は無傷とか許せないからね、このくらいシカタナイネ。ゲストとして彼らを顔晒し&椅子に縛り付けて朗読会を聞いてもらおう。あ、私はホッケーマスクで変装します。いやー、タノシミダナー
(アドリブ歓迎です)
出版社で編集が追い詰められているのと同じタイミングで、ロートは情報収集を行っていた。
「ムッコロすのはダメだからね〜」
粛々と集める情報は担当編集とアンチの知られたくない情報群だ。
「いやータノシミダナー」
悪い笑顔を浮かべつつ、ロートは作業を進めていく。
そうして無事集め終えた情報は、もちろん――
「はーい、これから漫画家の描木台さんに無理矢理描きたくないもの書かせた編集者とアンチで好き勝手いってたアンチの黒歴史朗読会、始まるよ~」
グッドナイス・ブレイヴァーの力を借りた全世界ネット中継で暴露するに限る。
ロートの配信のゲストは担当編集およびアンチたち。椅子に縛り付けられた彼らは顔を隠してはおらず加工もなく、素顔を全世界に曝している状態だ。
「えーとまずは熱烈アンチのハンドルネーム『アンチ描木台』、本名『庵地・独舎』さん。中学校の文集の作文『合唱祭に本気出せない異端の独り言。』を今から朗読しまーす」
「ン゛――――!!!!」
抗議の声を無視して朗々と読み上げられる黒歴史――ホッケーマスクで隠れてはいるが、ロートの笑顔は『命を奪わない私優しいね(笑)』とでも言いたげである。
「悪落ちするくらい好き勝手やって自分は無傷とか許せないからね、このくらいシカタナイネ」
素敵な笑顔で言い放って、ロートによる黒歴史発表会は続く――。
大成功
🔵🔵🔵
テフラ・カルデラ
※アドリブ可
さてさて…わたしはアンチ活動している人たちにお仕置きといった方向で行きましょうか!
『描木台の住所特定したからそこで抗議に行こう(ただし女子限定☆』と嘘の集会を募集、山奥の廃プールに女子達を集めます
水のない自力で脱出は不可能であるかなり深いプールに全員集めつつ…隙を見てわたしは安全なプールサイドから【対生物固化蝋液津波】を発動!ふっふーん♪最近ちょっとした遠隔発動もできるようになったのですよ♪
逃げ場も無ければ梯子の前には蝋の滝が流れる巨大蝋燭!完全に袋の鼠なのです!蝋の津波が引けばみんな人型の蝋塊に!しばらく反省してもらいますよ!
後は元に戻しつつ、UDC職員さんにお任せするのですよ♪
『描木台の住所特定したからそこで抗議に行こう(ただし女子限定☆』
テフラの投稿にはたちまちアンチたちが反応し、彼女たちはテフラが描木台の住所(ということにした)山奥の廃プールへと集められた。
「こっちですよー!」
アンチ活動の楽しさに魅せられた彼女たちは、明らかに怪しい誘いにもホイホイ乗って空っぽのプールの中へ。
広さはそこそこだが深さはかなりあるプール槽は、水がない現状では自力で脱出することは不可能だろう。
「わたしは準備があるので後で入りますね」
そう言ってテフラはプールの中には入らずプールサイドに残る。
全員がプールに入ったのを見届けて――、
「蝋まみれで固めてやるのです!!」
巨大蝋燭の津波を、安全なプールサイドからプールへと流し込む。
「ふっふーん♪ 最近ちょっとした遠隔発動もできるようになったのですよ♪」
「ひゃあああああ!?」
遮蔽物がないプールの中に逃げ場はなく、はしごを登ろうにもはしごの前は蝋の滝が流れてる巨大蝋燭が鎮座している。
あたふたする彼女たちの身体がたちまち蝋の中に埋もれて、流れた蝋はあっという間に固まって彼女たちを封じ込めていく。
――蝋の津波が引けば、そこには人形の蝋塊たちが残される。
「しばらく反省してもらいますよ!」
固められた彼女たちへの対処はUDC職員に任せることにして――テフラは、彼女たちにそう宣言するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
鵜飼・章
偉いよ描木台さんよく言えたね
事情はだいたい理解したよ
穴埋めの原稿は現役絵本作家の僕が代筆するね
絵柄も作風も変え雑誌の傾向とか完全無視の漫画を描くよ
可愛いカラスくんやパンダさんがリアルな担当さんの発言を暴露していくよ
画面は緻密に描きこみすごく【アート】に仕上げる
その方が狂気が出る気がする
最後2ページは見開きで
「うるせぇ!こんな曲芸やってられるか!」と描き強制終了
僕の【コミュ力・言いくるめ・催眠術】そしてUCがあれば
この漫画が何故か代原として雑誌に載るだろう
燃えるだろうなあ…
それはもう望み通りに…
後は放置しておけば皆が自由に解釈してくれる
もう描木台さんの事は忘れるよ
きみはペンネーム変えてやり直そう
「偉いよ描木台さんよく言えたね」
描木台の元に残った章は、電話を切った描木台へとうんうんうなずく。
言いたいことは言えて、担当編集もアンチもそれなりの罰を受けることになる――だというのに描木台の表情が晴れないのは、雑誌のページに穴を開けることになってしまうからだ。
「穴埋めの原稿は現役絵本作家の僕が代筆するね」
そんな描木台の不安を取り払うために、章はペンを執る。
絵柄も作風も章の絵本とはまるごと変えて、雑誌の傾向は完全無視で描かれるキャラクターは可愛いカラスくんやパンダさん。
――しかし、彼らの言動は担当編集の発言をリアルに暴露するもので、更に画面はアーティスティックにも思えるほど緻密に描き込んでいく。
「の、呪いの書……!」
目の前で仕上げられていく章の原稿に、描木台は思わずそんな言葉を漏らすほどだ。
狂気を狂気でサンドして狂気でコーティングした原稿は大詰め、最後の見開き2ページを残すのみ。
「見開きなんだから勢いが大事だよね!」
贅沢にページを使って、書くべきセリフは一つだけ。
『うるせぇ! こんな曲芸やってられるか!』
でかでかと書いて、目玉を見開いたカラス&パンダの顔のアップで原稿は〆。
常識的に考えて掲載することは不可能な原稿だが――そこは章がユーベルコードを発動。出版社にうまいこと伝えた甲斐もあって、載せてはならない怪作が掲載された最新号が各書店および電子ショップにて配信されることに決定。
「燃えるだろうなあ……それはもう望み通りに……」
次号発売時の阿鼻叫喚を夢想する章。
このまま放置しておけば、同時期に起こった本性暴露配信や黒歴史配信、アンチ一斉蝋人形事件などと共に読者たちが自由に解釈することだろう……最後に章は、描木台の名前を呼んで。
「きみはペンネーム変えてやり直そう」
章の言葉にうなずく描木台の顔は、これまでにないほど晴れやかだった。
大成功
🔵🔵🔵