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砂嵐の只中に希望は輝く

#アポカリプスヘル

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#アポカリプスヘル


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●聖女の演説
 ここは、アポカリプスヘルの『拠点(ベース)』の一つだ。
 場所は、元ショッピングモールの廃墟である。……現在は、この拠点の周囲は全て、砂漠に囲まれているが。
 加えて、今、この拠点を囲むものはもう一つあった。
 オブリビオンの群れである。
 体長150センチを超える、大砂ネズミの群れ。それは、堅牢な甲殻を持つ蠍の怪物に率いられ、拠点周辺の砂漠地帯をちょろちょろと動き回っている。
「お兄ちゃん、怖いよ……」
 呟いた少女の頭を、寄り添う少年が左手でそっと撫でる。彼の右手には、拳銃。
「大丈夫だ、キサラ。奴らは拠点内には侵入して来られない。待っていれば、必ず助けは来るさ」
「うん……」
 少女は、目元の涙を拭って頷く。
 そんな兄妹を含んだ、拠点内の人々に向けて、一人の女性が声を張り上げた。
「皆の者! よく聞け! こうして閉じこもっているのは、勇気ある行いとは言えぬ!」
 人々がざわめくのにも構わず、女性は続ける。
「黒き風は神の意志。オブリビオン・ストームより現れしオブリビオンは、臆病者だけをこの世から消し去り、世界を浄化するのだ」
「そんなわけないだろ……!」
 女性を睨みつけたのは少年。女性は彼へ視線を向けると、問いかけた。
「お主、名は?」
「レキだ」
「では、レキ。この、黒き風の聖女『ニグレド』が、証拠を見せよう。見ているがいい」
 言った女性は、拠点の扉を開け、外に出た。
 そのまま、女性……ニグレドは、廃墟周辺を悠々と一周する。大砂ネズミは、彼女を害さない。
「嘘だろ……」
 レキが息を呑む。
 戻ってきたニグレドは、拠点内の人々へ向けて、高らかに宣言した。
「このとおり、オブリビオンは勇気ある者を傷つけないのだ。人々よ、今こそ勇気を持って外に向かう時だ!」
 その言葉に力づけられた人々は、ごくりと生唾を飲み下し、そして――。

●グリモアベースにて
「外にノコノコ出て行って、全滅するぜ、この拠点の人々は。……このままだとな」
 宙夢・拓未(未知の運び手・f03032)は、目を伏せて語る。
「ニグレドが大砂ネズミに攻撃されなかった、そのタネは簡単だ。ニグレドもオブリビオンだぜ。まずは拠点内部に皆を転送するから、ニグレドと戦って倒してくれ」
 人々が外に出る直前のタイミングで、猟兵のテレポートは完了する。ニグレドさえ倒せば、ユーベルコードを用いた演説による人々の洗脳は解け、自分たちだけで外に出るのが悪手であることに気づくはずだ。
 逆に言うと、ニグレドを倒すまでは、人々は外に出ようとする可能性が高い。
「拠点の内側の、唯一の出入り口の真ん前に皆を転送するから、洗脳された人々は簡単に外に出られはしないと思う。けど、人々を外に出さない工夫があれば、より良いのは確かだぜ」
 ニグレドを倒すことに成功したなら、次は外の大砂ネズミの掃討である。
 猟兵がついていれば、人々の危険は大きく減る。戦闘を手伝ってもらうこともできるだろう。
「人々の中でも、レキとキサラの兄妹は、猟兵ほどではないけど腕が立つぜ。レキはサバイバルガンナー、キサラはソーシャルディーヴァだ。上手く指示を出して、レキたちに援護してもらえればベストだぜ」
 大砂ネズミを全て倒したなら、次はそのネズミの群れを率いていたオブリビオンとの戦いだ。大きな、蠍の怪物だと拓未は説明する。
「この蠍の怪物は強敵だから、レキたちには拠点内に戻っておいてもらってくれ」
 全ての説明を終えた拓未は、最後にこう締めくくった。
「こういう事件をコツコツ解決していけば、いずれそれが、人類の再建に繋がるかもしれない。皆、頑張ってくれよ」
 彼の手のひらの上でキューブ状のグリモアが輝き、転送が開始される。


地斬理々亜
 地斬です。
 よろしくお願いします。

●第1章
 『黒き風の聖女『ニグレド』』とのボス戦になります。
 洗脳された人々を外に出さない工夫があれば、プレイングボーナスを差し上げます。

●第2章
 『大砂ネズミの群れ』との集団戦です。
 サバイバルガンナーのレキ(16歳男性)、ソーシャルディーヴァのキサラ(13歳女性)は、ユーベルコードは使えませんが、猟兵の指示次第では戦力になり得るでしょう。
 他の人々にも指示することが可能です。拠点の人々の援護が受けられれば、プレイングボーナスを差し上げます。

●第3章
 『『鎧蠍』アンタレン・オリオス』とのボス戦です。
 強敵のため、レキたち拠点の人々は戦闘に参加できません。
 猟兵対オブリビオンの純戦になります。

●プレイング受付
 各章ごとに、断章投下と同時に受付開始します。
 今回はプレイング締め切りは設けず、サクサク書き進めていく形式にする予定です。

 それでは、良き戦いを。
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第1章 ボス戦 『黒き風の聖女『ニグレド』』

POW   :    洗脳演説「黒き風こそが神の意志である!」
【『黒き風の教団』の教義の演説】を披露した指定の全対象に【オブリビオン・ストームを信仰する】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
SPD   :    『黒き風の教団』「信徒達よ、ここに集え!」
戦闘力のない、レベル×1体の【『黒き風の教団』の狂信者達】を召喚する。応援や助言、技能「【言いくるめ】」を使った支援をしてくれる。
WIZ   :    黒風魔術「神の意志に従うのだ!」
【オブリビオン・ストームを模した風の魔術】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠天御鏡・百々です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●聖女の正体
「人々よ、今こそ勇気を持って外に向かう時だ!」
 高らかな宣言をするニグレド。その後方――拠点の内側、出入り口の正面。そこに猟兵たちは転送された。
「何!?」
 ニグレドは、気配に気づいて振り向いた。
 猟兵が一目見れば、分かる。彼女は、オブリビオンだ。
「……邪魔をしに来たのか!?」
 ニグレドは戦闘態勢に入った。猟兵たちもまた、身構える。
桐原・剛将
連携・アドリブ可

「おっと悪いなぁ。こっから先は通行止めや!」
アームガンを天井に向けて撃って威嚇や。
その隙に木刀で扉を一撃。歪ませて開かないように。
そんで木刀をつっかえ棒に。
衝撃を与えると重量が3tに増える超高比重金属製や。そうそう動かせへんで。

したら後はオブリビオンに向かって突撃や。
「可愛い女の子を殴るのは信条には反するけどオブリビオンやからな。堪忍やで!!」
「生憎と宗教には興味あらへんのでな!」
殴りかかると見せかけてアームガンによる【だまし討ち】のヤクザショットを叩き込む。
まぁ実際殴るねんけどな。
「銃は苦手でなぁ。どうやっても当たる距離まで近づかんとあかんのや」



●通行止め
「おっと、悪いなぁ」
 出入り口へと近寄ろうとしていた人々を見渡すと、桐原・剛将(焔の剣士・f29916)は、天井へ腕を掲げた。
「こっから先は通行止めや!」
 その腕に装着した篭手には、銃が付いている。
 アームガンは火を噴き、銃声を響かせた。
 剛将の威嚇射撃により、拠点内の人々は身を竦ませる。その隙に彼は、『木刀』を扉へと振るった。
 ガン、と重い金属音が響き、扉は歪む。さらに、剛将は木刀をつっかえ棒にした。
 木刀と呼ばれてはいるが、それは木製ではなく、超高比重金属でできている。容易に人々がこれを動かすのは、不可能だろう。
「……ほな」
 剛将はニグレドへと向き直ると、拳を固めて突進した。
「可愛い女の子を殴るのは、信条には反するけど……オブリビオンやからな。堪忍やで!!」
「この私を傷つけようというのか。黒き風の聖女たるこの私を害す者に、災いあれ!」
「生憎と、宗教には興味あらへんのでな!」
 剛将は、ニグレドの洗脳演説をはね除けた。
 彼の拳が、ニグレドに迫る。
「往生せいやぁ!!」
 拳が命中するその直前、篭手と一体化している銃が、再び火を噴いた。
 ユーベルコード、『ヤクザショット』。至近距離でのみ使える、超高速かつ大威力の銃撃である。
「がっ……!?」
 だまし討ちの銃撃を腹部に受けたニグレドが、そのまま殴り抜かれて吹き飛び、床に転がる。
「銃は苦手でなぁ。どうやっても当たる距離まで近づかんとあかんのや」
 アームガンの銃口に軽く息を吹きかけ、剛将は、にっと笑ってみせる。
「……この女性がオブリビオンだって?」
「まさか……」
 人々が、ざわついていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

箒星・仄々
この世界の未来を担う方々を守りたいです

そしてニグレドさんもOストームの犠牲者です
海へ還してあげましょう


工夫
入口やその周辺にUC
摩擦0で触れませんよ♪

風の魔力で音の広がりを操作
ニグレドさんの声が人々へ届かないようにします

更に破魔の祈り込めた旋律と
魔法の根源へ響く歌声で
洗脳の減弱~解除を試みます


竪琴を奏でながら
UCで摩擦抵抗操作し高速で滑走
華麗なドリフトで回避

すれ違いざま狂信者さん達をペロ
摩擦0で動けなくしたり
ドミノ状態にさせたり

狂信者さん達を突破したら
ニグレドさんもペロ
行動を封じます

Oストームで切り裂かれた世界への絶望が
狂信の所以でしょうか
お可哀そうに

終幕
鎮魂の調べ
安寧を願います



●ねこのうた
 一人のケットシーが、出入り口やその周辺をペロペロとなめていた。
 ユーベルコード、『猫の毛づくろい』だ。摩擦抵抗を極限まで減らしているのである。
 扉が歪み、つっかえ棒もされただけでなく、近づけば滑るようになったこの出入り口を通るのは、今や至難だ。
「貴様、何が目的だ!」
「この世界の未来を担う方々を守りたいです」
 叫ぶニグレドへ、 箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)はきっぱりと答える。
(「そしてニグレドさんも、オブリビオン・ストームの犠牲者です。海へ還してあげましょう」)
 仄々が取り出した物は、懐中時計に見えた。しかし、ボタンを押すことにより、それは展開する――蒸気機関式竪琴、『カッツェンリート』だ。
 奏でる音色が、風の魔力を帯びる。それは音の広がりを操作し、ニグレドの声が拠点の人々に届かないようにした。
 旋律は続く。込めてあるのは、魔を破る祈り。魔法の根源へと響く仄々の歌声がそれに重なり、人々の心へと作用する。
「……なあ、もしかして……本当にあの女性がオブリビオンなんじゃあ……?」
「騙されたのか……?」
 人々は、疑問を口にし始める。洗脳は、確実に弱まっていた。
「騙してなどいない」
「正しいのはニグレド様だ」
 ニグレドがユーベルコードで召喚した狂信者たちが、口々に言った。
「その竪琴を止めろ!」
 ニグレドが、仄々へつかみかかろうとする。自身の摩擦抵抗を減らした仄々は、高速滑走し、華麗なドリフトで回避した。
 すれ違いざま、彼はニグレドと狂信者たちをペロッとなめる。途端に、狂信者たちはドミノ倒しのようになり、ニグレドもそれに巻き込まれた。
「オブリビオン・ストームで切り裂かれた世界への絶望が、狂信の所以でしょうか。お可哀想に」
「哀れむな……!」
 ニグレドが、苦しげに、吐き捨てるように言った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アビー・ホワイトウッド
アドリブ及び連携歓迎

理由なんてない。あなたはオブリビオン。私は猟兵。だから殺す、それだけ。

始まったら封鎖された出入り口に火炎瓶を投げつける。これで暫くは扉が燃えて誰も近付けないはず。
あとはニグレドに拳銃を向けて、ただ撃つ。
弾倉1本分撃ち込んでも死なないなら、それは人間ではない証拠。
弾倉を交換したらUC発動。風の魔術とやらが被害を出す前にニグレドに立て続けに鉛玉をお見舞いして動きを止める。
弾倉の弾が切れるまで引き金を引く。

もう終わり。この後にもまだ猟兵が来る。諦めて骸の海に帰って。



●撃ち尽くすまで
「なぜだ……」
 砂まみれの床に倒れ伏したニグレドが、苛立たしげに呟いた。
「理由なんてない」
 ブーツが床を踏む音と共に、声が響く。ニグレドが顔を上げれば、そこに、アビー・ホワイトウッド(奪還屋・f24498)の姿があった。
「あなたはオブリビオン。私は猟兵。だから殺す、それだけ」
 言うと、アビーはニグレドに視線を向けたまま、自身の肩越しに、後方へ向けて火炎瓶を放る。
 たちまち、アビーの後方にあった出入り口周辺に炎が広がった。しばらくの間は、誰も寄せ付けないだろう。
 即座にアビーは自動拳銃を抜くと、表情を変えることもなく、銃口をニグレドに向け、引き金を引いた。
 銃声が響く。一発。二発。三発。……合計で十の弾丸が、ニグレドの体に撃ち込まれた。
 油断なく弾倉を交換しながら、アビーはニグレドの出方を見つめる。
「…………きさ、ま……!」
 血を流しながらも立ち上がるニグレドの姿に、人々がどよめいた。
 もはや、ニグレドは自身がオブリビオンであることを表沙汰にしたも同然だ。
 かといって、無抵抗で猟兵に殺されても意味がない。この選択しかなかったのだ。
「……神の意志に従うのだ!」
「させない。喰らえ」
 黒風魔術を発動しようとしたニグレドだが、アビーのユーベルコード『ストッピングパワー』の方が早かった。
 それは一見すれば、先刻と同じ、拳銃の連射であった。だが、弾丸がもたらす衝撃はニグレドの行動を阻害する。再び、ニグレドは床に倒れた。
 立て続けに見舞われた追い討ちの弾が、ニグレドの肌に次々と穴を穿ってゆく。
 再び十発の弾丸が撃ち込まれ、弾倉の弾が尽きたところで、アビーはようやく引き金を引くのをやめた。
「もう終わり。この後にもまだ猟兵が来る。諦めて骸の海に帰って」
 冷ややかにアビーは言い放つ。
 血の海に沈んでいるニグレド。その手が、ぴくりと動いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユウキ・スズキ
「どうだ、勇気を出してネズミの餌になりたいんならご自由にだ。試してみたい奴は?」
 ま、そもそもこんだけ扇動者がコテンパンにされてりゃ、多少なりとも目は覚め始めている頃合いか。
「選択肢は3つ。その馬鹿の世迷言を信じて出ていってみるか、ここで生まれたての子鹿みたいにガタガタ震えて事が終わるのを情けなく見届けるか……あるいはそうだな……俺達と武器を取り、共に戦うって骨のある奴は居るか?」
UCを起動し、民衆を奮い立たせる。
「どうだ、惨めな腰抜けで終わるか、勇ましく戦って生き残るか、貴様らはどっちを選ぶッ!?」
 さて、後は奴らの根性次第だが…
 それ、まだ死んでないんだろ?
 弾倉何本で動かなくなるかね?
 



●軍人の矜持
 ユウキ・スズキ((自称)不審者さん【少尉】・f07020)は、拠点の人々を見渡してから言った。
「どうだ、勇気を出してネズミの餌になりたいんならご自由にだ。試してみたい奴は?」
 そのユウキの言葉を聞いてなお、外に向かおうとする人々はいない。
(「ま、そもそもこんだけ扇動者がコテンパンにされてりゃ、多少なりとも目は覚め始めている頃合いか」)
 ユウキが考えているとおり、ニグレドによる人々の洗脳は解けかけていると見てよさそうだった。
「……騙されるな。信じるべきは、神の意志だ」
 そこでニグレドは、ユーベルコードの洗脳演説を、改めて人々に聴かせようと試みる。
「選択肢は3つ」
 けれど、ユウキもまた演説を始め、人々の注意はすぐにユウキの言葉に向けられた。もうニグレドの言葉は、人々の心を震わすことはない。
「その馬鹿の世迷言を信じて出ていってみるか、ここで生まれたての子鹿みたいにガタガタ震えて事が終わるのを情けなく見届けるか……あるいはそうだな……俺達と武器を取り、共に戦うって骨のある奴は居るか?」
 この演説に同意した者には、戦うための力が与えられる。これが、ユウキのユーベルコードだ。
「どうだ、惨めな腰抜けで終わるか、勇ましく戦って生き残るか、貴様らはどっちを選ぶッ!?」
 彼の演説は、人々の心に火を灯す。
 ユウキに呼応して、人々が鬨の声を上げた。彼らはオリーブドラブの軍服に身を包み、各々、銃火器を手にしている。ユウキのユーベルコードによって、力を得たのだ。
「総員、かかれッ!」
 ユウキが指示を飛ばすと共に、人々はニグレドを取り囲み、銃撃を開始する。
 何本もの弾倉が使い果たされた後には、もはや微塵も動かなくなったニグレドが、その場に残された。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『大砂ネズミの群れ』

POW   :    踏み荒らすネズミたち
【更に大量の大砂ネズミの群れ】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
SPD   :    突進するネズミたち
【大量の大砂ネズミの】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【もっと大量の群れ】の協力があれば威力が倍増する。
WIZ   :    喰い荒らすネズミたち
戦闘中に食べた【物】の量と質に応じて【大砂ネズミたちの細胞が活性化し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●兄妹
「……助かった。まさか、とっくに拠点内へオブリビオンが侵入してるなんて……。あのままじゃ、オレも含めて全員が外に出るところだった。心から、感謝する」
 人々の中から歩み出た少年が、猟兵たちに頭を下げた。
「オレはレキ。こっちの小さいのは、妹のキサラだ」
「……助けてくれて、ありがとう」
 レキに紹介されたキサラもまた、猟兵にぺこりと一礼する。
「それで……皆、この後どうする?」
 レキが問えば、猟兵の一人が作戦を説明した。
 すなわち、拠点の外にいる大砂ネズミの掃討である。
「! 本当か。なら……オレも力になる」
 レキは拳銃を手に、言う。
「……わたしの歌も、何かの役に立てるなら」
 怯えていた様子のキサラも、勇気を振り絞って口にした。
 サバイバルガンナーのレキと、ソーシャルディーヴァのキサラ。ユーベルコードは使えないが、上手く指示を出せば力になるだろう。
 レキやキサラ以外の人々も、猟兵が指示を出せば戦うつもりのようだ。
 封鎖されていた出入り口の扉の外からは、チュウチュウと大砂ネズミの鳴き声が響く。
 人々にいかなる指示を出し、いかに大砂ネズミの群れと戦うか。それは、猟兵に託された。
アビー・ホワイトウッド
アドリブ及び連携歓迎
【ユウキ・スズキ】と共闘

あまり変なこと言ってると間違えて撃つかもしれない。気を付けて。

モールの外に出たらすぐにUC発動、アサルトライフルで鼠を片っ端から撃ち抜いて行く。
前面に出るユウキを援護するように、集まる鼠に鉛玉をお見舞いする。
そしてどうやらこの拠点の人々は戦えるらしい。援護してもらおう。
拠点の人々と一緒に鼠に対して弾幕を張りながら、一番前で戦ってる男を援護する。合図で一斉射撃。
ある程度鼠を減らしたら105mm無反動砲を準備。照準器を覗いて狙いを定める。

ユウキ、頭を下げないとローストビーフみたいになる。

聞こえたかな?多分大丈夫。
そのまま鼠の群れに撃ち込んでやる。


ユウキ・スズキ
【アビーと参加】
「やぁみんな!ハハッ!!ボクはユッキー・マ……駄目?……駄目かぁ」
(突進してくるネズミを見つつ)
「ほら見ろよ、勇気を出して友達になろうとしてるのに、あの目」
(隣のアビーの目とネズミの血走った目を交互に見つつ)
さて、たまには俺も案内だけじゃなく実際に戦う場所を見せんとな
出来る限りアビーより前方で敵の注意を引きつつ制圧射撃
どうしても至近距離に詰められたらUCで叩き伏せる
相手が単調なネズミ相手なら頭を使わんで良いから楽よな
しかも、あの大きさで馬鹿正直に真っ直ぐ突っ込んでくるなら大して狙わずとも頭に当たる
アビーに近付くようなら無理矢理にでも止めるさ
たまには歳上に格好付けさせろ



●前衛と狙撃手
 元ショッピングモールの廃墟を出てすぐに、アビーはユーベルコードを発動した。
 そのユーベルコードの名は、『狙撃』。アサルトライフルでの精密射撃によって、近寄ってくる大砂ネズミが次々に撃ち抜かれてゆく。
 そんなアビーの隣に、不審者が一名立っていた。
「やぁみんな! ハハッ!! ボクはユッキー・マ……」
「あまり変なこと言ってると間違えて撃つかもしれない。気をつけて」
「……駄目? ……駄目かぁ」
 アビーの反応に、不審者ことユウキはちょっぴり意気消沈。
「ほら見ろよ、勇気を出して友達になろうとしてるのに、あの目」
 赤く血走った大砂ネズミの目を見てユウキは言い、それから隣のアビーの目を見る。
 射抜くような鋭いブルーの瞳は、既に、大砂ネズミの群れだけに向けられていた。
「……さて」
 グリモア猟兵として案内をするだけでなく、たまには、実際に戦うところを見せねばならない。そう考えているユウキは、銃器を手にし、前方へと駆け出す。
 そんな彼を援護する形で、アビーは後方から、集まってくる大砂ネズミたちへ鉛の弾丸を見舞った。
 アビーの狙撃により、一体ずつ大砂ネズミの数が減ってゆく。
「援護を」
「分かった」
 アビーが短く言うと、レキを始めとした拠点の人々が頷いた。威力は低いながらも数の多い弾丸が弾幕となり、ユウキに左右から近づく大砂ネズミの群れの動きを止める。
 ユウキの正面から来る大砂ネズミに対しては、ユウキが制圧射撃を行った。
 ユウキは最前線で敵の注意を引いているが、弾幕によって大砂ネズミはユウキに近づけない。動けないところを、アビーが撃ち抜いてゆく。アビーの合図による人々の一斉射撃で、さらに多くの敵が骸と化した。
 猟兵や拠点の人々に一切の損害なく、敵の数の減少が進んでいく。
 だが、偶然にも弾幕をかいくぐり、ユウキに突進した大砂ネズミが一体存在した。
 ユウキは動じることなく、格闘の構えをとる。
 徒手技術の基礎、当身技の一つ。縦拳での突きが、綺麗に大砂ネズミの頭部に決まった。
 これがユウキの、『陸軍式近接格闘術』である。
「ユウキ、頭を下げないとローストビーフみたいになる」
 彼へと、アビーが声を投げかける。照準器を覗き込みながら。
「おっと、そりゃ勘弁だ」
 素早くユウキが地面に伏せた直後、砲弾が頭上を通り過ぎた。アビーが、大砂ネズミの群れに向けて、肩に担いだ『105mm携行無反動砲』を発射したのだ。
 轟音が響く。
「これで、かなり鼠は減ったはず」
 使い捨ての無反動砲を下ろし、アビーが呟いた。遠くに、こんがりと焼けた大砂ネズミの死体の山がある。
 ……ふと、その山がもぞりと動き、中から、無事な大砂ネズミが一体、アビーの方へ走り出した。
「行かせるか」
 その尻尾を、ユウキの右手がつかむ。
 ユウキに標的を切り替えた大砂ネズミの口に、ユウキは自身の左腕を挟ませる。ガチンと硬質な音が響き、ネズミが動きを止めたところで、ユウキはネズミの首の骨をへし折った。
「たまには年上に格好つけさせろ」
 ユウキはアビーに視線を向け、その無事を確認すると、笑いかけた。

 大砂ネズミの群れの第一波は、これで全滅した。
 個体の総数は、既に半分を切っている。
 残りは、後に続く猟兵に託された。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々


ネズミさんも
ただ生き抜こうとされているだけかもしれませんが
既にOストームで過去の化身へと変じておられる身であれば
もう決して未来へ進むことはできません
何とも哀れです
海へお還ししましょう

援護
確かに只々余所者から守られただけよりも
自分たちの手で力合わせて勝利を手にされた方が
今後の糧になりそうです

遠慮なくお力をお借りしましょう

住民さん:入り口へ近づけさせぬよう弾幕役
レキさん:弾幕を掻い潜った敵を仕留める役

別の住民さん:他の方向から敵が来ないか見張り役
キサラさん:見張りや弾幕役のネットワーク&子供たちを勇気づける歌を

風の魔力で浮遊移動
疾風纏い素早く動きながら
三魔力の矢で槍衾に

終幕
鎮魂の調べ
静かな眠りを



●自分たちの手で、勝利を
(「ネズミさんも、ただ生き抜こうとされているだけかもしれませんが」)
 仄々は、心に浮かべた。
 大砂ネズミは、既に、過去の化身であるオブリビオンと化している。
 もう決して、未来へ進むことはできない。
(「なんとも哀れです」)
 ネズミたちを骸の海へ還すべく、仄々は立ち上がった。
「さて、皆さん。遠慮なくお力をお借りしますよ~」
「なんでも言ってくれ」
 まず仄々は、拠点の人々へ、作戦と役割分担を伝え始める。

 やがて、仄々が立てたその作戦を実行する時が訪れた。
 大砂ネズミの群れの第二波が、迫っている。
 赤子や幼子は、怯え、泣き出しそうになっていた。
 ――歌声が聞こえる。
 キサラであった。仄々が教えた、勇気を与えるメロディを彼女は響かせる。
 子供だけでなく大人も、力強い笑顔を浮かべた。ぴりぴりとしていた場の空気は好転し、士気が高まってゆく。
 銃を構えた人々は、拠点の入り口へ大砂ネズミを近づけさせないよう、弾幕を張る。
 その弾幕をかいくぐったネズミが一体、人々の喉笛を食い破らんと迫り――。
 銃声が響く。レキが、拳銃でネズミを仕留めたのだ。
「……やれた」
 レキは自身が握る銃を見つめる。
『見張り班から弾幕班へ。左方向に敵影だ』
「了解」
 通信に応じた人々が、その方向への警戒を強める。仄々の指示でキサラが配った超小型端末が、これを可能にしていた。
 仄々の作戦どおりに、人々が協調して拠点を守り抜いている。
 防衛役は、人々。では、殲滅役は誰かというと……もちろん、仄々だ。
 疾風を纏い、空中を駆け抜けるように動いていた彼は、動きを止めずに、炎・水・風属性の魔力の矢を空中から放つ。ユーベルコード、『トリニティ・ブラスト』だ。
 無数の矢がネズミたちを貫き、地へと伏せさせてゆく。
 やがてネズミの第二波も全滅し、砂漠に、仄々が奏でる鎮魂の調べが響いた。
 残りのネズミは、あとわずか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桐原・剛将
「相手の数が多いのは苦手やねんって。キャバリアがあればな、クッソ」
愚痴を吐いたところでキャバリアに乗れるわけではない。
ちまちま木刀を振るってネズミを潰していく。

「あ~~~。うっし、気合い入れ直すか!!」
絶対防衛戦線使用。
「全員気合いれなおすで!! 戦えそうなのは銃でも弓でもええから援護せえ!」
レキやキサラを強化しつつ、手の回らないところのフォローをさせる。
他に参加している猟兵や一般人も強化されるから多少は戦力になるはず。
木刀の特性を利用して瓦礫をふっとばしてネズミを巻き込むなりして、多少でも数をへらす努力をする。



●ネズミ退治
「相手の数が多いのは苦手やねんって。キャバリアがあればな、クッソ」
 剛将は、がしがしと自分の頭を右手で掻く。
 愚痴をこぼしたところで、彼がキャバリアに搭乗できるわけではない。……すなわち、剛将が猟兵になる前に左腕に受けた怪我が、なかったことになるわけではないのだ。
「ま、しゃーない……な!」
 彼は『木刀』を振るうと、大砂ネズミを叩き潰してゆく。一体ずつ、着実に。
 大砂ネズミはわらわらと湧き、キリがないようにも見えた。大砂ネズミの群れのユーベルコードにより、さらなる群れが召喚されているのである。
「あ~~~。うっし、気合い入れ直すか!!」
 剛将は声を上げると、ユーベルコードを発動した。
 『絶対防衛戦線』。自身と、拠点を死守すべく共に戦う仲間の能力を強化するものである。
 剛将は振り向き、叫ぶ。
「気合い入れ直すで!! 戦えそうなのは銃でも弓でもええから援護せえ!」
「了解!」
 レキは力強く応答する。キサラもまた、しっかりと頷いた。
 ほどなくして、レキたちによる援護射撃が開始された。剛将が即座に倒しきれない位置にいるネズミが弾丸で射抜かれ、動きを止める。それから剛将が、ネズミの頭部へ木刀を叩きつけてとどめを刺していった。
 時間がかかる作戦ではあるものの、シンプルで隙がない。大砂ネズミの群れは徐々に数を減らし、やがて、生き残りは剛将の正面にいる数体のみとなった。
「ほな、これで……」
 剛将は木刀を大きく右斜め後ろに引いて構える。
 狙いは大砂ネズミ……ではなく、砂漠に落ちている瓦礫である。
「――仕舞いや!」
 大きく砂地をえぐった木刀が瓦礫を弾き飛ばす。飛んだ瓦礫は、弾丸のような勢いでネズミたちを襲った。
 短い鳴き声と共に、残っていた全てのネズミたちの息の根が止まる。
「……さて。確か、まだ親玉がおるって話やったな」
 剛将は、ネズミの群れがいたその向こう側……砂漠の遠方を見つめた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『鎧蠍』アンタレン・オリオス』

POW   :    鎧蠍之鋼砕鋏
単純で重い【堅牢かつ重厚な甲殻に覆われた巨大な鋏】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    鎧蠍之死蝕針
【自身の技能一つの数値を戦闘中0にすること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【0にした技能の数値に応じた威力の毒針】で攻撃する。
WIZ   :    鎧蠍之斬鉄角
【剣状の触角】が命中した対象を切断する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアポリオン・アビスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●砂嵐の只中に希望は輝く
 砂漠に姿を現したのは、大きな蠍の怪物であった。
 『鎧蠍』アンタレン・オリオス。大砂ネズミの群れを率いて、人々の拠点を襲おうとしていた、元凶のオブリビオンである。
 猟兵が、拠点の人々へと拠点内での待機を頼めば、人々はそれに応じた。
「……信じてる。必ず、あいつを倒してくれ」
「頑張って……!」
 レキとキサラが、戦場を離脱する直前に、猟兵へと言葉を投げかける。
 彼らの瞳には、猟兵たちへの確かな信頼と、希望の輝きが宿っていた。
箒星・仄々

拠点の皆さんをお守りしたいです

オブリビオンストームで歪められた
哀れな蠍さんを海へお還ししましょう

風の魔力で空へ
鋏や触角が届かない位置です
毒針は風の魔力で砂塵の煙幕を張りながら
疾風の機動で回避

弦を爪弾き魔力練り上げ
属性宿した音色を生み
先程キラサさんが歌って下さった旋律

緋の音色=炎の魔力
鋏を炙り刃毀れさせ
全身へ延焼
甲殻は硬くても
高熱のダメージは防げないでしょう

動きが鈍ってきたら
更に翠や蒼の音色=風や水の魔力
も重ね
三魔力のハーモニーで畳みかけます

渦巻く風がその動きを封じ
超水圧の激流が赤い目?を砕きます

終幕
鎮魂の調べ
海で静かな眠りを

その後は拠点の発展と幸せを願い
キラサさんが歌って下さった旋律を再び


桐原・剛将
「へへ、そうそうこういうのでないとな……!」
蠍の化け物が放たれる殺気や圧はキャバリアで機体越しに感じるものよりも圧倒的に巨大。自身との圧倒的な実力差に折れぬ心が発動する。
「ああ、構わないとも。強敵の相手ほど燃えるものはないしなぁ!」
正面から木刀を構えて【ダッシュ】
【残像】を囮に側面に回り込む。
【足場習熟】で背中に飛び乗って本体を狙うと見せかけて、
「視界外。背後から狙ってくると思ったぁ!」
本命は尻尾。
【だまし討ち】からの【限界突破】の【捨て身の一撃】を尻尾に叩き込む。
そのまま背中から離脱する。
「本体は任せたからな!!」



●立ち向かう勇気と、勇気の音色
 剛将に向けて、蠍の怪物から放たれるのは、強大な殺気とプレッシャーだ。彼我を隔てるキャバリアの機体は、今はない。
 己を圧倒的に上回る実力を持つであろう強敵を前に、剛将は。
「――へへ」
 笑った。
 恐怖でおかしくなったわけではない。彼が宿すのは、『折れぬ心』だ。
「そうそう。こういうのでないとな……!」
 強敵の相手ほど燃えるものはない。燃える――その表現に偽りなく、剛将の心身に、敵に立ち向かうためのエネルギーがみなぎった。
「行けますか?」
「ああ」
 問いかけた仄々へと剛将は短く返し、『木刀』を構える。
「わかりました。オブリビオン・ストームで歪められた哀れな蠍さんを、共に、海へお還ししましょう」
 言うと、仄々は風の魔力を全身に纏い、高く飛び上がった。敵の巨大な鋏が届かない高度まで彼は上昇する。
 竪琴の弦を爪弾き、魔力を練り上げて、仄々は、炎・水・風の三属性を宿す音色を生み出す。そのメロディは、キサラが先刻歌ったのと同じものであった。
 一方、木刀を手にした剛将は、正面からダッシュしての突撃を仕掛けていた。
 鎧蠍が持つ剣状の触角が水平に振られ、剛将の体があっさりと上下に分かたれた――ように見えたが、その姿はかき消えた。残像である。
 その残像を囮に、剛将は鎧蠍の側面に回り込んでいた。
 ひらりと、剛将は鎧蠍の背中に飛び乗る。
 鎧蠍は剣状の触角を動かすが、剛将の位置に届かない。そこで鎧蠍は、彼を背中から払い落とすべく、尻尾を横から振るおうとした。
「そうくると思ったぁ!」
 だまし討ちだ。剛将の狙いは、元より鎧蠍の尻尾である。
 尻尾を迎え撃つように、普段をはるかに超える力で振るわれたのは、剛将の木刀。超高比重重金属製のそれは、鎧蠍の尻尾を何重にも覆う堅牢な甲殻を砕き、尻尾を叩き折った。
 鎧蠍は痛みに暴れる。少なくともしばらくの間は、尻尾を用いた攻撃は難しいだろう。
 鎧蠍の背中から離脱した剛将は、上空の仄々に向けて叫んだ。
「本体は任せたからな!!」
「はい」
 十分に魔力を練り上げ終えた仄々は、まず、緋の音色による攻撃を行う。その属性は、炎。鎧蠍の鋏が炙られ、刃こぼれが始まった。
「甲殻は硬くても、高熱のダメージは防げないでしょう」
 鎧蠍の全身へ、炎は延焼してゆく。仄々の言葉どおり、鎧蠍はもがき苦しんでいた。
 さらに仄々は竪琴を奏でる。翠の音色に、蒼の音色。風と水――炎と合わせて三つの魔力が、ハーモニーを生み出す。
 風は渦巻き、鎧蠍の動きを封じる。
 ユーベルコード『トリニティ・エンハンス』により、三属性の魔力で自身を強化した仄々は、その魔力を竪琴の音色に宿すことで、このような状態異常を伴う攻撃を可能にしているのだ。
 仕上げとして鎧蠍を襲うのは、超水圧の激流。狙いは、鎧蠍が持つ人間の上半身のような部位、その胸元にあたる部分。亀裂から覗く、赤い輝きだ。
 触角の付け根であるそこは鎧蠍の頭部であり、紛れもない弱点である。水流の直撃を受けた鎧蠍は、苦痛にひどく暴れた。
 その拍子に、鎧蠍の、人間のような部位の首の部分がもげて、砂地に転がる。
「やったか!?」
「いえ。あれはおそらく、『角が折れた』だけですね」
 思わず声を上げた剛将へと、仄々は言葉を投げかけた。
 きしむような呻き声を上げて、鎧蠍は猟兵たちに向けて再び身構える。
 鎧蠍が受けた傷は浅くなかった。キサラが歌ったのと同じメロディ……仄々が奏でる竪琴の旋律が、拠点に響き渡る時は、そう遠くない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アビー・ホワイトウッド

アドリブ及び連携歓迎
【ユウキ・スズキ】と参戦
始まったら蠍に向けて二、三発射撃。

硬い。しかもデカブツの癖に足も速い。ユウキ、あの節足野郎の足を止めて。

戦闘が始まったら蠍の周りを駆け足で移動しながらライフルで牽制射撃。グレネードを投げつけてユウキが奴に接近する隙を作る。
ユウキのUCで蠍の脚が止まった所を見計らう。UC発動で105mm無反動砲を叩き込んでやる。

いくら硬くても内側はどう?プレゼント。

二重のUCで蠍の表皮が損傷したならば全力ダッシュで接近、必要なら奴の身体に登って破口にグレネードを放り込む。内側からズドン。
奴が吹き飛んだら撤退。モールに戻って傷の手当をしないと。
両腕サイボーグもアリ。


ユウキ・スズキ
【アビーと参加】
蠍……蠍か。
「ま、最悪壊れたらこっちも義手にすりゃいいさ」
アビーと簡単に作戦を話し、冗談めかしてそう笑う。
まぁ、出来れば娘を撫でる生の腕は残しときたいがね。
「オーケイ、不味そうだが相手してやる」
 先ほどと同じく前衛へ、装甲が固そうなので銃撃は牽制とヘイト集め程度に。
アビーの攻撃する部位を作るため、敵がUCを発動したらこちらも同時に発動。
真正面からかち合ってハサミを砕く。
ハサミが砕ければ銃撃の通る部分も見えるだろう。
……
…………
………………
「あ、思ったより痛い……」
流石にハサミは固かったらしい。



●鎧蠍の最期
 砂漠に、二発、三発と銃声が響き渡る。アビーが、鎧蠍に向けて様子見の射撃を行っていた。
 硬質な音と共に火花が散り、弾丸が甲殻に弾かれる。
「硬い。しかもデカブツの癖に足も速い」
 アビーは呟くと、ユウキへと振り向いた。
「ユウキ、あの節足野郎の足を止めて」
「オーケイ。不味そうだが、相手してやる」
 ユウキは先刻と同じく前へ出る。牽制、ならびに自身へ注意を向けるための銃撃を行いながら、彼は鎧蠍の真正面から迫った。
 アビーもまた駆け出し、鎧蠍の周囲を、円を描くように走る。そのまま彼女はライフルによる牽制射撃を行い、続けてコンカッショングレネードを投擲した。砂塵を伴う爆風が、鎧蠍に隙をもたらす。
 その隙をついて、鎧蠍の眼前まで距離を詰めたユウキは、右の拳を固めた。
 義手である左腕とは違い、彼の右腕は生身である。
(「出来れば、娘を撫でる生の腕は残しときたいがね」)
 己へと目がけて振り下ろされる、鎧蠍の巨大な鋏。それを見上げて、ユウキは笑った。
「よくもまぁ目を覚ますもんだな……このくたばり損ないがッ!!」
 オブリビオンと猟兵、互いのユーベルコードがぶつかり合う。それらは両者ともに、単純で重い一撃を叩きつけるものであった。
 すなわち。鎧蠍の鋏と、ユウキの拳が、衝突したのである。周辺の砂地は大きくえぐれ、同時に、硬い物が砕ける音が響いた。
 静寂。沈黙。風が流れる。
「あ、思ったより痛い……」
 ユウキが、ぽつりとこぼす。
 堅牢かつ重厚な甲殻を持つ鋏の一撃に、生身の拳をぶつける。かなりの無茶と言えよう。
 だが、それでも。鎧蠍の鋏の甲殻は、砕けて亀裂を晒していた。
 ユウキの本気の一撃が、鎧蠍の鋏の硬さを上回ったのだ。
(「でもめっちゃ痛い。手の骨、平気か、これ……?」)
 そんなユウキの前で、鎧蠍は横に吹き飛んだ。アビーが105mm携行無反動砲で、ユーベルコードの狙撃を行ったのだ。
 即座に、アビーは全力で鎧蠍へ接近する。
「いくら硬くても内側はどう?」
 体勢を整えようとする鎧蠍の、鋏にできた亀裂。そこに、アビーはグレネードを押し込んだ。
「プレゼント」
 アビーは言葉を投げると、ユウキを連れて後退する。
 そこで、ユウキが叫んだ。
「アビー!」
 警戒を促されたアビーは、鎧蠍の毒針が自分を狙っているのを見る。
 アビーは後退を続けながら、鎧蠍の尻尾を数度射撃。
 先に戦っていた他の猟兵に叩き折られてぐらついていた尻尾が、傾いた。その先端から発射された毒針はアビーの体を逸れ、砂地に刺さったのみであった。
 グレネードが爆発する。鎧蠍の甲殻の内部を衝撃が伝わり、鎧蠍は内側から破壊され、その甲殻はバラバラに飛散した。
 散らばった甲殻を除いて、鎧蠍は、もはや跡形もない。完全にその命が尽きたことを確認して、アビーはユウキに言葉を向ける。
「撤退よ。モールに戻って傷の手当てをしないと」
「はは……ま、最悪こっちも義手にすりゃいいさ」
「それもアリ」
 冗談めかして笑うユウキへと、アビーは短く返した。

 拠点へ戻ったならば、猟兵たちの勝利を知った人々は喜びに湧くことだろう。
 オブリビオンによってこの拠点が陥っていた絶望的な状況。それを打破し、希望をもたらしたのは、猟兵たちであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月10日
宿敵 『黒き風の聖女『ニグレド』』 を撃破!


挿絵イラスト