撃って 撃たれて また撃って
#クロムキャバリア
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「ダイジョーブだって! ワタシはレプリカントなんだからこの子が爆発したってピンピンしてるよ」
争いによる硝煙が絶えることのないクロムキャバリアのとある小国家。
そこのプラントに併設された研究所では、今まさにこの戦いへ新たな一手を指そうと新機体のテストが行われていた。
褐色の肌に金髪の二つに結ぶ彼女は、やや心配そうな研究員に対して快活な笑顔で胸を張ると新機体へと乗り込んでいく。
「……あぁ、分かってるさ。 選考したのはボクだからね」
そんな彼女がコクピットへ消えていくのを見ていた研究員は、不安を拭い切れない表情で、女性のような面影を残すジャイアントキャバリアを見上げた。
女神のようなその機体は、搭乗者の脳とリンクし脳波によるダイレクトコントロール機能を実装したもの。
他国ではともかく、この小国家では初めての試みであり実働データがまるで足りてないい技術である。
そのため何か不具合があれば身体が丈夫であろうとパイロットにまで影響が及ぶかもしれない。
研究員はそのことが不安でならないのだ。
「応答してくれ! どうしたんだ!? 何が起こっている!!」
そして嫌な不安が当たるのは世の常なのか、彼女の乗った新機体『電脳巨兵オリバレス』はテストフィールドに乱入した敵機体と交戦後、負傷によりオブリビオンマシンとなって暴走。
「ザザー……みん、な……壊れ……まえ! ザザ……」
この通信を最後に研究室へ戻って来ることは無いのであった。
「ってことになってるんだって!」
そういうと、グリモア猟兵の明石・真多子(軟体魔忍マダコ)が動画の停止ボタンを押す。百聞は一見に如かず、拙い説明より動画を見せたほうが楽な現代っ子だ。
「脳波なんとかで動く機体がオブリビオンになちゃったんだって! しかも中にまだ人が乗ってるみたい! 助けてあげなきゃ!」
六本の腕をしっちゃかめっちゃか振り回し、なんとか身振り手振りで状況を説明する。
「現場は【見通しの良いテストフィールド】のままみたいだけど、盾になる障害物なんかもあるみたいだよ! 他に敵はいないみたいだから全力で止めてあげてね! あと相手は大きいし、もしキャバリアが必要なら向こうで借りてね!」
ピコンとアホ毛を伸ばし、緊張した様子を見せる。
「それと、あの脳波なんとかで周囲の施設をハッキングしてるみたい? 機体が沈黙しても、その後に何か仕込んでるかもしれないから気を付けてね!」
そういうと、真多子はすぐさまキミ達をグリモアで転送し始めた。
ペプシ派
新世界ですね!ロボですよロボ!ちょっと乗り遅れましたがシナリオを出してみます!
暴走機体を止めるお話ですが、その後もひと騒動ありそうです。
以下、当シナリオの流れです。ネタバレ含みますので注意してください。
【一章】OPの通り、ジャイアントキャバリアを止めてください。パイロットは頑丈なので派手にブチかましても大丈夫です。
戦場は見通しが良く、適度に壁となる障害物が配置されています。
猟兵のキャバリアへの搭乗は任意です。生身で5mの巨体とガチンコバトルしてもかまいません。
【二章】ミサイルの雨です。暴走機体が最後の置き土産に周辺の防衛装置を稼働させてミサイルレインが降り注ぎます。
ジャイアントキャバリアから飛び出したパイロットは未だ正気に戻っていないようなので、ミサイルをかいくぐり追いかけてください。
【三章】オブリビオンマシン化したキャバリア武器を身に着けたパイロットとの戦いです。彼女から武器を切り離さない限り正気には戻らないでしょう。
機体を捨て生身になりましたが、相変わらずレプリカントであるパイロットは頑丈なのでフルボッコしていただいて大丈夫です。
第1章 ボス戦
『電脳巨兵オリバレス』
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POW : ユミルの落とし子
自身の身体部位ひとつを【プラントで生まれ損なった巨人】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD : シンクロゲイザー
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【電脳】から【洗脳電波】を放つ。
WIZ : UCフィールド
【電磁バリア】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、電磁バリアから何度でも発動できる。
イラスト:key-chang
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ナギ・ヌドゥー」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
黒影・兵庫
(「脳に住んでいない素人が機械とリンクさせようだなんて冒険にも程があるでしょ」と頭の中の教導虫が呆れる)
それはともかく止めないと!
(「黒影。絶対にキャバリアに搭乗して戦いなさい。満足に動けなくとも盾になる」)
了解です!借りてきます!
後は『オーラ防御』壁と障害物で攻撃を防ぎながら
『念動力』で{錨虫}を操作して敵を『捕縛』し
『衝撃波』とキャバリアの武装で敵の体勢を崩しにいきます!
成功したらUC【光殺鉄道】で召喚した光学兵さんのレーザーブレードで攻撃です!
(「おっけー!作戦開始よ!」)
おーっ!
淡い光が収束し、脚が地に着いたことを確認すると黒髪の青年はゆっくりと目を開けた。
しかしまだ光に慣れない眼よりも先に入ってきた情報は、きな臭い硝煙の臭いと銃撃と破壊音。
それはすぐに戦争の香りであると認識できた。
明るく晴れた空だと思っていたのは飛び交う光線のよるものであり、瞳孔の落ち着いた今ではこの世界の現状をはっきりと視認することになる。
「これは……どこの世界でも縄張りの争いっていうのは醜いものですね、せんせー。 確か今回の国は追い詰められて脳波接続した機体がいるんでしたっけ」
そう一人呟く青年、黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)。
彼はどこを見るでもなく語りかけると、頭の中に女性の声で返事が返って来る。
『ええ、ブリーフィングの話に間違いがなければね。 まったく、脳に住むことすら出来ない素人が機械とリンクさせようだなんて冒険にも程があるでしょ』
それは兵庫が『せんせー』と呼ぶ彼の脳に寄生した虫の声である。
脳からのダイレクトな通信は確かに他の何よりも反応速度は良いかもしれない。
しかし、今回のケースのように何かトラブルがあればその影響をより強くフィードバックしてしまう危険性も伴うのだ。
「あっはは! その点、俺はいざという時にせんせーが守ってくれるから安心ですね!」
彼はそう言うと嬉しそうに頭をポリポリと掻きながら、照れくさそうにはにかんだ。
この戦場においても気を許せるのは、それだけ互いに信頼している証拠なのだろう。
『しょうがない子ね。 さ、気を引き締めなさい黒影! まずは絶対にキャバリアに搭乗しなさい。 サポートはするけど満足には動かせないでしょうが、それでもあなたの盾にはなるのだから』
「了解です! 早速借りに行ってきますね!」
親心から『せんせー』が助言すると、素直に聞き入れた兵庫はすぐさまプラント併設研究所へ飛び込みキャバリアを借りたのであった。
手負いの獣のように手当たり次第破壊を繰り返す、女神のようなジャイアントキャバリアがいるテストフィールド。
そこへ、黄色と黒のツートンカラーで腰背後へ兵装コンテナを積んだ、まるでハチのようなキャバリアが飛び込んで来た。
「見た目はだいぶ妥協しましたけど、かなり虫っぽいキャバリアがあって良かったですねせんせー! やっぱりやる気が違いますよー!」
四脚二腕で作業安定性に富んだクレーン車の発展とも言える工事建設用なのだが、ピーキーさが無い分素人には扱いやすい機体である。
『だからといってむやみに接近しては駄目よ黒影。 新型と比べれば運動性は圧倒的に不利、死角から蜂のように刺すつもりで動きなさい!』
彼女の忠告通り、遮蔽物から覗いたあの暴れ狂う敵キャバリアは凄まじい速度で周囲へ飛び掛かっており、こちらの上をいっているのは一目瞭然であった。
さらに機体は腕を巨人の頭のような有機体へと変化させて、破壊した施設を食い漁っているようであった。
「あれって……やっぱり噛みつかれたら俺達の機体も喰われちゃいますよねせんせー? どうやって避けましょうか」
オブリビオン化したことによりおぞましい能力を発現したその光景に、兵庫は「うわー」と若干引いている。
しかし、ブレイン役である『せんせー』は冷静に状況を分析し、ある答えに辿りつく。
『いいえ黒影、その逆よ。 あいつに【喰わせて】やるのよ!』
テストフィールドの外周をジャイアントキャバリアに気付かれないように回り込み、兵庫達の機体が敵の死角へと到着する。
そして身を隠していた遮蔽物から飛び出すと、コックピットを守るようにキャバリアの両腕で庇いながらジャイアントキャバリアへと接近していった。
「いっけぇぇ! コンテナ展開!!」
元より建設工事用であるこの機体には戦闘用の武器といえるものは無く、腕は盾くらいにしか使えない。
しかし、廃材回収用コンテナに自前の武器を仕込むことは可能だったのだ。
だが、獣のように鋭い嗅覚でも持っているのか、ジャイアントキャバリアは即座にこちらへ反応し、巨人の顎を大きく開いて兵庫へと襲い掛かる。
『行きなさい錨虫!』
脳の『せんせー』が念動力でコンテナから錨のようなものを浮かせると、巨人の口の中へ無数に詰め込んでいく。
そしてそこらの鋼材よりも硬い彼らがみっしりと詰まると、巨人の頭は苦しそうに首を振っていた。
「今です! 光学兵の皆さん!」
二の矢としてコンテナから飛び出したのは、レーザーを放つ虫達。
それらが籠を編むような格子状の光線で巨人の頭を切り落とすと、武装を失い丸裸となったジャイアントキャバリアが一歩たじろぐ。
「これで最後だ! 念動パイルバンカー!」
腕を組んでいた機体の両腕を前方へ伸ばすと、一瞬動きを止めていたジャイアントキャバリアのコックピット上下を掴む。
そして念動力を衝撃波のように一気に送り込むことで、オブリビオン化した機体からパイロットを無理やり引き剥がすつもりなのだ。
ボン! と破裂するような音を上げると、見事綺麗にコックピットのみを回収することが出来た。
『おっけー! 作戦成功よ!』
「はい! せんせー!」
二人は互いに成功を祝い、そのままコクピットをこじ開けようと再びキャバリアを操作するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
黒城・魅夜
機械の戦士に興味がなくもありませんが、ここは生身でお相手しましょう
巨大な敵と戦うことなど、これまで数えきれないほど経験してきましたからね
ふふ、電波攻撃ですか? 私にとっては与しやすい相手
鎖を「早業」「範囲攻撃」で全方位射出し高速で舞わせます
電波は金属に反射されるもの、我が鎖によってその攻撃は霧散します
同時にこの鎖は高速飛翔するあなたを捉えるためのもの
ふふ、逃がしませんよ
「オーラ防御」で補足した時のショックに耐えつつ
飛行するあなたに取り付き「呪詛」を乗せた「衝撃波」で外装を破壊
その「傷口をえぐる」ように108本の鎖全てを叩きこみましょう
ふふ、これが最新の技術でも及ばない古の悪霊の力です
淡い光が収束し、脚が地に着いたことを確認すると黒髪の女性はゆっくりと目を開けた。
しかしまだ光に慣れない眼よりも先に入ってきた情報は、きな臭い硝煙の臭いと銃撃と破壊音。
それはすぐに戦争の香りであると認識できた。
明るく晴れた空だと思っていたのは飛び交う光線のよるものであり、瞳孔の落ち着いた今ではこの世界の現状をはっきりと視認することになる。
「機械巨兵の世界、ですか。 ……興味がなくもありませんが、今はその時間もなさそうですね」
黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は、一瞬だけ後方のプラントに併設された研究所を見やる。
しかし先ほどから空気を震わせるこの衝撃音は、オブリビオンマシンを近くのテストフィールドに抑え込むのが限界であり、この研究所に襲撃するまでさほど掛からないだろうと物語っていた。
今にも駆け出し現場へ急行しなければ新たな被害を産むだろう。
しかしそうすれば自身の身長の倍以上もある鋼鉄の巨兵に対し、必然的に生身一つで戦わなければいけないことになる。
「怖いかと問われれば……ふふ、恐れは微塵もありません。 巨大な敵と戦うことなど、別に初めてでも無ければこれまでに数えきれないほど経験してきましたからね」
そう一人呟くと、周囲の空気をヒンヤリと冷たいものに変えながら、微笑する顔で口を開く。
「いいえ、むしろ恐怖されるのは私の方となるでしょう。 なぜなら私は希望の悪夢。 オブリビオン達にとっての悪夢なのですから……」
一見すれば邪に取られかねない言葉であるが、その裏には研究所に残され避難できずにいる職員たちへの励ましが含まれていた。
そして魅夜は、その黒い髪をむせるような戦争の風に流しながらテストフィールドへと向かうのであった。
手負いの獣のように手当たり次第破壊を繰り返す、機械達が暴れるテストフィールド。
その様子を隠れ見るように魅夜が障壁の影に紛れていた。
「目標は……いうまでもなくあの子で間違いないですね」
現場は敵も味方も無く、ターゲットボットや襲撃してきたキャバリアの残骸が互いを撃ち合い壊し合い、混沌を巻き起こしていた。
だがその中心地の上空に佇む女神のようなジャイアントキャバリアが一人傍観していたからだ。
「ですが襲撃者はともかく、なぜ研究所側の兵器まで……?」
魅夜のその疑問はすぐに答えを得ることとなる。
プラントを囲む防壁上部に並べられたミサイルランチャーが一斉にジャイアントキャバリアへ向けられるが、女神が後光のように電磁波を放つと防衛兵器が全て沈黙したからだ。
「ふふ、なるほど機械までも洗脳する電波攻撃ですか。 人に創られた神らしいですね。 ですが私にとっては与しやすい相手です」
タネが分かってしまえば神もペテンも変わりない。
対処法をすぐに思いついた魅夜は不敵に微笑みながら、ジャラジャラと長い鎖を取り出し障壁から身を晒す。
すると、すぐにジャイアントキャバリアの目に付いたのか、上空のそれはクルリとこちらへ振り向くと再び背後を光らせ始めた。
「機械が夢を見るかは知りませんが、意思があるならこれを『悪魔』だと呟くかもしれませんね」
辺りが光に包まれる瞬間、魅夜が準備した鎖その数なんと108本を全方位へ向けてバラして振り回す。
そして電波攻撃が納まると、未だ健在して鎖を手にする魅夜の姿があった。
「…………」
物言わぬ機械仕掛けの女神だが、なぜ電波攻撃により正気を保つ人間がいるのか計算中のようで動きを止める。
今までに出くわしたことのない脅威にフリーズしているのだ。
人間でいう所の戦慄に近いだろう。
「ふふ、電波とは金属に反射されるもの、我が鎖によってその攻撃は霧散したのです。 そして同時にこの鎖は上空で飛翔するあなたを捉えるためのもの。 ……絶対に逃がしませんよ」
振り回されていた鎖が次々とジャイアントキャバリアへと巻き付いていくと、魅夜がグッと手元を引いて大きな鎖の束にまとめ上げた。
(フォォォォォォン)
ガチガチと鎖を解こうと女神が足掻きながら悲鳴のような機械音を上げるが、ビクともしない。
「無駄ですよ。 この鎖を通して呪詛を流しています。 いつまでも神を騙っていないで地に這いつくばりなさい」
そのまま魅夜が一気に呪詛を送り込むと、鎖が爆発するような衝撃を放ちジャイアントキャバリアの翼をもぎ、鎧を剥ぎ、フレームが剥き出しの丸裸にして突き落とした。
墜落の衝撃か先ほどの呪詛の影響か、電磁波も放てずもはや女神だったものに為す術はなくされがままに転がされる。
「さて、神を騙った悪い子にはお仕置きが必要でしょう。 そうですね、例えばこんなのはどうでしょうか。 鞭百叩きの刑です」
相変わらず微笑を崩さず、薄らと恐怖を抱かせる魅夜がビシャリと手元で鎖を鳴らす。
彼女の手には先ほどの108本もの鎖が嘲笑うようにジャラリジャラリと唸っており、一本ずつ代わる代わる放たれてはジャイアントキャバリアの装甲を削いでく。
それはコックピットが開くまで延々と続き、神々しい遺物は鉄くずの山となっていたのであった。
「ふふ、これが最新の技術でも及ばない古の悪霊の力です」
大成功
🔵🔵🔵
ナザール・ウフラムル
結構不安定なモンなのか?キャバリアって。
5m……まあ、いけるだろ。
(今まで相手にしてきたオブリビオンの平均より多少大きいが、不慣れな装備を借りるほどではないと判断)
テストフィールドに入ると同時にUCを発動して、障害物を視線切りに使いながら対象に接近。
ある程度まで近づいたところで【属性攻撃】(風)の応用による蜃気楼の再現で俺の位置を誤魔化しつつ、急加速の勢いを乗せて蹴りを叩き込む。
で、蹴った直後の硬直はいい的にしかならないから、UCの飛翔能力で強引にその場を離脱する。
向こうの攻撃は、「グローツラングの瞳」で強化した【視力】で【見切り】、適宜回避行動をとるとするかね。
淡い光が収束し、脚が地に着いたことを確認すると緑髪の青年はゆっくりと目を開けた。
しかしまだ光に慣れない眼よりも先に入ってきた情報は、きな臭い硝煙の臭いと銃撃と破壊音。
それはすぐに戦争の香りであると認識できた。
明るく晴れた空だと思っていたのは飛び交う光線のよるものであり、瞳孔の落ち着いた今ではこの世界の現状をはっきりと視認することになる。
「嫌な風が吹いてるな。 どこも戦争ばかりしてる世界だったか。 それにしても結構不安定なモンなのか? キャバリアって」
ナザール・ウフラムル(草原を渡る風・f20047)は足元の小石を蹴り上げ右手に掴むと、プラントに併設された研究所の壁へ自分の背の高さに合わせて擦って線を引く。
そしてナザールは壁から後ずさって離れると、掴んだ小石に風の力を込めた。
「キャバリアの大きさは……5mだったか。 だったらあの辺か」
自身の背丈は大体把握しており、約1.7mほどだったはずである。
つまりキャバリアは先ほど引いた線の約三倍の高さであり、そこへ目掛けて風で強化された小石を投擲し壁に印を付けた。
「ふぅん……身長差は、こんなもんか。 まぁ確かに今までの奴らよりはデカいな」
ナザールは顎に手を当て、値踏みするように壁に付けられたスケールを眺めている。
ブリーフィングではもしものために現地でキャバリアを借りるよう推奨されていたが、しかしそれを真正直に従っては己の実力に不安があるようで癪に触っていたのだ。
「だけど少しデカいだけ、それだけだ。 リーチ差を埋めて間合いにさえ入れれば……まぁ、いけるだろ」
単純計算でも自身の三倍のリーチを有する相手。普通に考えれば圧倒的に不利ではある。
しかし負けず嫌いな性格ゆえか、ナザールはグローブをギュッと締め直すとそのまま研究所を後にするのであった。
手負いの獣のように手当たり次第破壊を繰り返す、女神のようなジャイアントキャバリアがいるテストフィールド。
その様子を隠れ見るようにナザールが障壁の影に紛れていた。
「まったく、綺麗な顔して食い意地の悪いヤツだ。 流石にもう周辺に隠れられそうな壁はないか」
件のジャイアントキャバリアは今も敵味方無く暴走し、腕を巨人の頭に変えながらスナックでも貪るようにコンクリートの壁を粉々に噛み砕いている。
ナザールがいくらスピードに自信があっても、生身であるのなら無策で飛び込めば巨人の食べかすになるリスクは無視できないだろう。
「だが既に被害が広がっていたのは好都合か」
ナザールがジャイアントキャバリアから視線を横にズラすと、破壊された建築物の電気系統がショートし炎上していた。
立ち昇る黒煙、向こう側が揺らぐ熱量、屋外による絶えることのない酸素供給、放っておけば火事はどこまでも大きく広がっていくだろう。
「あれを利用させてもらうか。 薙ぎ払うは無双の暴風! 手操るは幻惑の熱風!」
ナザールが叫ぶと彼の前髪がブワと吹き上がり、一瞬の時を置いて身体までもがふわりと浮かび出す。
目に掛かる髪を指ぬきグローブの白い指先で撫で、『敵』をしっかりと見据えるとシャツの下から青白い瞳が輝き浮かんだ。
「グローツラングの瞳……繋がったか」
その瞳と称された服の下に隠しているラブライトの宝石は、まるで爬虫類の様な縦長に切れる瞳孔を開きナザールの第三の眼として爛々と光らせていた。
「多少デカいからっていい気になるなよオブリビオン!」
準備が整うとナザールは地に足を着けぬまま、空気を蹴ってジャイアントキャバリアへと弾丸のように跳び出したのであった。
もはや獣と成り果てた女神の様なジャイアントキャバリアは、こちらへと向かって動くモノを野性的な反応速度で感知し、壁に噛り付いていた巨人の頭を引っ込めると、背中からまた頭を生やして飛び込んで来るモノを噛み砕いた。
瞬間、ガチンと歯を鳴らす衝撃音が空気を揺さぶり、衝撃波が黒煙を揺らす。
しかし巨人の両目がジロリと下を向き、口内の違和感を確かめた。
噛んだ瞬間、確かに『噛み砕いた』と感じたはずなのにまるで触感がなかったのだ。
「そっちは熱風で作った蜃気楼の俺だ。 敵うやつがいなかったからって眼に頼りすぎだろ」
巨人の顎の下でナザールの声が上がる。
火事の熱気を風で運んで囮にしていたのだ。
「ググゥ……ッ!?」
「今更遅いんだよ! そのまま歯喰いしばってな!」
鎧に覆われてない巨人の頭を引っ込めようとジャイアントキャバリアが慌てて動き出すが、既に間合いに潜り込んでいたナザールがそれを許すはずも無く、空気を蹴って大顎へ膝で蹴り上げる。
そしてアッパーのように顎の骨をダイレクトに叩かれた巨人の頭は、脳をシェイクされて白目を剥いてしまった。
しかし今度は、動かなくなった巨人の頭をハンマーのように振り回し、ナザールを叩き落そうと襲い来る。
「ったく、格闘技なら頭に入れればお終いだっていうのにしぶとい奴だな」
対するナザールは背中にも目があるかのように機敏に回避し、巨人の頭の反対側、キャバリアの正面へと回り込む。
「だったらこっちの頭ならKO取れるだろ!」
そしてナザールが拳に風の鎧を一際多く集めると、女神の美しい顔を叩き割って地に伏せてしまう。
「さて、パイロットはこの辺か?」
カウントするまでも無く完全に沈黙キャバリアの腹部に立つと、ナザールはコックピットをこじ開けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
鷹羽・エルザ
邪悪に囚われた方を助けるためにも頑張らなくてはいけませんね。
キャバリアは愛機のクルセイダーを使用しますね。確実に邪悪を破壊するためにも使い慣れたものに乗るのが一番ですから。
戦闘時の動きについてですが、ユーベルコードを使用して火力で押し切る方向で戦いたいと思います。悪を打ち破るには相応の火力が必要ですからね。
片腕をキャノンフレームに換装し、攻撃回数を強化して戦いますね。敵の機体は飛行能力が高そうなので確実にダメージを与えるためにも攻撃の試行回数を増やすことが重要だと思います。
ユーベルコードにより移動力が低下してしまうので、敵の攻撃には残った腕に持ったオートキャノンで弾幕を張りつつ対応しますね。
淡い光が収束し、脚が地に着いたことを確認すると黒髪の女性はゆっくりと目を開けた。
しかしまだ光に慣れない眼よりも先に入ってきた情報は、きな臭い硝煙の臭いと銃撃と破壊音。
それはすぐに戦争の香りであると認識できた。
明るく晴れた空だと思っていたのは飛び交う光線のよるものであり、瞳孔の落ち着いた今ではこの世界の現状をはっきりと視認することになる。
「この空気……懐かしいですね。 機械歩兵だったころを思い出します」
この世界にあるとある宗教国家、そこで生まれた鷹羽・エルザ(サイボーグの量産型キャバリア・f29930)はサイボーク比率が今よりも少なかった当時のことを思い出す。
そして、記憶を掘り起こすにつれて自然と指を片目にそっと被せた。
「そういえばこの『眼』も……今でこそ使いこなせますが、代えたばかりの頃は大変でしたね。 ですが、それも全ては教えを守り邪悪を滅すため。 後悔なんて微塵もないのです」
今ではキャバリア乗りへと転身したが、駆け出しのころは先兵の機械歩兵として命を削っていた。
それでも彼女に恐怖は無かった。
幾たびもの戦闘が続く最中、彼女の心を支えたのは国家の掲げる宗教があったからだ。
そして敬虔な信者となったエルザは、サイボーグ化した今でもその心までもは機械に染まらず、悪を駆逐するため今日もこの地に踏み入ったのである。
指で覆った影に映る過去の情景。その手を離し陽の光に眼を慣らすと、あの光景はもうなくなっていた。
「では邪悪を破壊しに行く前に、まずは準備ですね。 確か現地でキャバリアを借りれるとのことでしたが……他国の技術に興味はないわけでもないですが、やはり使い慣れた愛機にこの身を預けましょう」
エルザは既に自国でキャバリア乗りとして配属されており、量産機とはいえ自分用に配備されたキャバリアがあるため借りる必要はなかったのだ。
少しだけ興味を惹かれてプラントに併設された研究所の方へ視線を流したが、すぐに一緒に転移してきた愛機に近寄る。
「今回も共に精を尽くし神に仕えましょう……『クルセイダー』」
そう呟くと、エルザはグレートヘルムと騎士鎧風の装甲に包まれた旧時代的なデザインのキャバリアの脚に手で触れる。
まるで中世の戦争騎士のような出で立ちであるが、しかし中身はエルザの国の最新技術を量産化に成功させたものである。
そのためここの研究所に配備されているその場凌ぎのテストキャバリアに比べて、抜群の安定性を誇るのだ。
そしてエルザが触れた箇所に反応し、搭乗用の吊り紐が降りて来ると彼女がコックピットへと乗り込む。
「邪悪に囚われた方を助けるためにも頑張らなくてはいけませんね。 『クルセイダー』、出ます!」
機械の身体を身に纏い、エルザは邪悪の根源へと向かい飛び出していくのであった。
手負いの獣のように手当たり次第破壊を繰り返す、女神のようなジャイアントキャバリアがいるテストフィールド。
そこへエルザの駆る銀光のキャバリアが飛び込んで来た。
「敵機確認、これより神の裁きを代行し、邪悪を……確実に破壊します」
エルザの金色に輝くサイバーアイがモニターをせわしなく這わせ、現場の状況を一瞬で把握する。
戦場で一瞬でも油断すれば命を落としかねない。
それを防ぐためにサイバネ技術を己の身体に施して来たのだ。
「敵機周辺に遮蔽物は無し……接近戦は、不利。 でしたら……フレームオーダー、キャノンをお願いします」
熟練の経験から冷静に、そして的確に状況を判断し、キャバリアの武装変更を申請する。
しかし、換装までに僅かな時間が産まれてしまう。
そして獣のようなオブリビオンマシンはその隙を見逃すわけも無かった。
野性的な直感でエルザの『クルセイダー』に反応すると、ブワっと機体を急上昇させて瓦礫に邪魔されない様に襲い掛かって来たのだ。
その右腕は巨人の頭へと変貌し、鋭く大きな顎でエルザのいるコックピットを噛み砕くつもりなのだろう。
「あなたに施しのパンは勿体ないですね。 代わりに鉛弾はどうでしょうか?」
キャバリアこそ借りては来なかったが、研究所から共通規格の銃を両腕に拝借しており、肩のオートキャノンと併せて一斉射によってジャイアントキャバリアを弾幕で空へと押し返す。
全ての音を掻き消しながら鳴り響く銃弾の雨が逆さに降り、硝煙の虹がテストフィールドに掛かる。
そして銃身が焼け付き、弾が底をついてようやくオブリビオンマシンの巨人の頭を肉片に変えて機体ごと吹き飛ばし距離を取れた。
さらに墜落の衝撃により敵機は一時的に動きを止める。
だが手元の武器は全て撃ち尽くし、追撃のチャンスを逃してしまうのかと思われたその時、エルザの後方から換装フレームが飛来する。
「逃がしません。 言ったはずです、完全に破壊します……と」
『クルセイダー』が荷物となった不要な武装と右腕を全てイジェクトすると、大口径キャノンフレームが右腕に換装される。
先程は生身部分しか削り切れなかったが、このキャノンフレームならば装甲ごと粉々に粉砕できるのだ。
「邪悪は消し去ります。 右腕キャノン、フルバースト……!」
放たれる度に地を揺らす爆音が轟き、地に伏していたオブリビオンマシンの手を、脚を、頭を次々と消し去りコックピットを残すだけに成り果ててしまった。
「さぁ『クルセイダー』、彼女を早く邪悪から解放してあげましょう」
残されたコックピットに近づくと、機体の左腕を器用に操り、コックピットをこじ開けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『ミサイルカーニバル』
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POW : 強度に任せて強行突破する
SPD : トップスピードでミサイルの隙間を駆け抜ける
WIZ : ミサイルの被害を受けずに済む方法を考える
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
キミ達はテストフィールドで暴走するジャイアントキャバリアをなんとか破壊し、そのコックピットを発見することが出来た。
しかし、先ほどまでオブリビオンマシンの中に囚われていた影響なのか自分で脱出する様子は見られない。
このままでは安否がわからないため、仕方なくキミ達はコックピットを無理やりこじ開けるのであった。
ギィ……ギギギ……ガンッ!!
一際頑丈に作られていた開閉口の軋む音を聞きながら開くと、キミ達は中に声を掛けてみる。
「…………」
微かに息遣いは聞こえるが、しかし返事は一向に返ってこない。
ならばとパイロットを引きずり出そうと開閉口をさらに広げた瞬間、突如中から何者かが飛び出し遥か上空へ飛び立った。
一瞬の出来事のためあまり見えなかったが、あれは伝え聞いていたパイロットのはずだ。
唯一違ったのは、その右腕にオブリビオンマシンの一部と思われる機械を身に着けていたことだろう。
ハッと我に返ったキミ達は、すぐさま彼女を追いかけようと踵を返すが、その時テストフィールド全体にアラートが鳴り響く。
「最終防衛モード機動……全職員は地下シェルターに避難してください。 これより地上を全て破壊します。 繰り返します、全職員は……」
それと同時に、このプラントを囲む防壁の上のミサイルランチャーが一面見えない所が無いほどの数がせり上がり、攻撃を開始したのであった。
そこへ慌てたような研究所職員の通信が入る。
「大変だ!! 先ほどのオブリビオンマシンに防衛機能を乗っ取られていた! エンジンの停止が合図だったんだ! キミ達も早く逃げてくれ!!」
こうして、キミ達は降り注いで止まないミサイルの雨の中、逃げていったパイロットの追跡をすることとなった。
黒影・兵庫
(「乗っ取られた!?この国のセキュリティ脆弱過ぎない!?」と頭の中の教導虫が憤慨している)
せんせー、相手はオブリビオンですし、しょうがないですよ
(「命が危険なのよ!?文句も言いたくなるわ!黒影、隙見て機体乗り換えなさい!コイツじゃもたない」)
了解!ってもう替えの機体を見繕ってるんですか!?
さすがせんせー!
(「施設のコンピューターに『ハッキング』したら良いの見つけたから設備を使って運搬したのよ!」)
え?それって敵と同じ...
(「緊急時なんだから問題ないわ!機体名は{要塞蠍}よ!」)
りょ、了解です!搭乗したら『オーラ防御』壁のバリアと『衝撃波』での移動で追跡再開します!
(UC【脳内教室】発動)
黒髪の青年の耳には、軽い頭痛覚える程の緊急アラートが鳴り響いている。
そして彼の目線の先には、既に豆粒ほどに小さくなるほど遠くへ行ってしまったパイロットの影。
『黒影ッ!! 呆気に取られている場合じゃないわよ! さっきの研究員が言っていたことは本当なの! こんな簡単に乗っ取られるなんて、この国はどんな脆弱なセキュリティーしてるのよ、まったく!』
近くの物音も聞き取れない大音量の中、黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)にハッキリと彼女の声、『せんせー』の言葉が届きハッと我に返った。
「そうは言いますけどせんせー、相手はオブリビオンですし物理的にセキュリティー食い破ってたんですからしょうがないですよぉ……」
兵庫は頭の中に直接響く彼女の声に言葉を返す。
見た目は異質であったが、あのオブリビオンマシンは脳波操作や電子操作に長けていたようであり、あの巨人顎もハッキング場所を作るためのものだったのだろう。
『そういうことじゃないの。 私たちの島なら物理的な警備も含めてセキュリティーを堅める……ってそれどころじゃないでしょ! あなた今、命が危ないのよ!? いいからまずはその機体を乗り捨てなさい!』
黒影が危険な目に遭ったとあれば、このまま時間が許せばいくらでも文句を言い出しそうであった『せんせー』。
しかし、それすら許されない状況であることは弁えているのか、すぐに本題を切り出す。
「了解ッ! さすがせんせー! ですが生身でミサイルの雨を渡るのはいくらなんでも無茶じゃないですか?」
疑問には思いながらも、兵庫は『せんせー』の話を素直に聞き入れて黄色と黒のツートンカラーな機体を降りる。
元々作業用であるものを無理やり戦闘に使っていたが、爆風に耐えられるようには作られていないのだから仕方ないだろう。
『そのことなら心配しなくていいわ。 さっきの研究員の話を確かめるついでに施設のコンピューターにもうハッキングしていたの。 そこの格納庫から良いのを見繕ったから既にこちらへ手配しているわ』
なんてことないこのように、『せんせー』はさらりととんでもないことを言いのける。
底の見えない人だと兵庫は感心しながらも、流石に問い返す。
「えぇ……? それって敵と同じ……」
『いいのよ黒影! ハッキングされる方が悪いの! と、見えて来たわね。 あれが名付けて要塞蠍よ。 正式名称は別だけど緊急時なんだから呼びやすくするわね』
兵庫達の前にオートカーゴで運ばれて来たのは、直立させた蠍のような機体。
黒光りする重厚な装甲に身を包み、背部に対空砲を背負ったまさに蠍のようなキャバリアであった。
「おぉ~! さすがせんせーですね! これならミサイルを撃ち落とせますし、多少の被弾ならビクともしなそうです!」
超合金風の玩具にも似たその姿を目に写すと、黒影は少年のように目を輝かせてコックピットへ駆けのぼる。
『ミサイルの対応とダメージコントロールはこちらでやるわ。 あなたは目標を追うことだけに集中しなさい』
「了解です! では、要塞蠍……発進!!」
頑強なキャバリアが動き出すと、その表面に『せんせー』が薄く念動による保険を張って、背部対空砲へエネルギーを充填させていく。
一方兵庫は、先ほどの作業用キャバリアで基本的な操作のコツは掴んだのか、キャバリアの脚を前へ踏み出し降り注ぐミサイルの雨の中へと飛び込んでいった。
「せんせー! 上は任せましたよ!」
兵庫は『せんせー』を信じ、一切脚を止めずに爆風の中を駆け抜ける。
互いの信頼感が成せることなのだろうか、『せんせー』も減速を考慮しないで計算し次々とミサイルを撃ち落とした。
そして、そのままプラントを抜けることでミサイルレインを突破し、逃げたパイロットを遂に追い詰めるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
黒城・魅夜
ふふ、スピード勝負には多少の自負があります
「早業」「範囲攻撃」「ロープワーク」で鎖を射出
その「衝撃波」を使って加速し
ミサイルの雨の中を「第六感」で「見切って」駆け抜けます
撃ち出した鎖はアンカーとなり
超高速を維持したまま方向制御にも役立つでしょう
飽和攻撃は確かに効果的ですが私の前では止まって見えますよ
……と言いますか、本当に止まっているのですけれどね、ふふ
ええ、我が牙により「時」は既に私のしもべと化しました
この止まった時間の中ではミサイルなどただのオブジェにすぎません
無骨であまり美しくないオブジェですけれどね、ふふ
そして同時に、止まった時の中では
あなたに追いつくのも容易いことです、パイロットさん
黒髪の女性の耳には、軽い頭痛覚える程の緊急アラートが鳴り響いている。
そして彼女の目線の先には、既に豆粒ほどに小さくなるほど遠くへ行ってしまったパイロットの影。
しかし、黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は相変わらず微笑を貼り付け顔色を崩さない。
まるでわざと逃がして楽しんでいるような余裕が、彼女から見て取れた。
「ふふ……相手に逃げられるほど追いかけたくなりますね。 私もスピード勝負には多少の自信があります。 どこまでも、どこまでも、あなたを追いかけて行きますから楽しみにしていてくださいね」
そして遠い影に魅夜がそう語り掛けたころには、空を覆う黒い雨が降り注いでいた。
黒煙の尾を引き、時雨のように一面に地を叩き、轟音と共に赤いアジサイを咲かせるのだ。
「ふふ、綺麗……ですがあの子をあまり待たせるわけにもいかないですね。 そろそろ出ましょう」
全職員は避難済みとはいえ、傍から見ればプラント周辺が一面塵と還る地獄絵図である。
だが魅夜にとっては地上の全てが咲いて散る儚い光景でしかなく、その顔はやはり凛と澄ました微笑のまま。
もしもここに誰かがいれば、彼女のその表情はまるで悪夢の中で輝く光のように眼を集めただろう。
「まずは片付けが必要ですね。 あの子の抜け殻は……綺麗に咲くでしょうから、このままでいいですね」
魅夜が先ほどの戦いに使った鎖をまとめて掴み、ビシャリと鞭のようにしならせる。
すると、あれだけバラバラに絡みついていた百本近い鎖が、丁寧にすいた女性の艶髪のように真っ直ぐに長く並んでまとまった。
そしてキャバリアの鋼鉄の身体を打ち表面が磨かれた鎖たちは、爆風の閃光に煌めき、魅夜の長い黒髪のような艶を放っていた。
「ふふ、髪も道具も手入れに手を抜けないですからね」
伸ばした鎖を丸めて輪にすると、腰に下げて必要な分だけ取り外せるように携帯する。
そのまま両手に鎖を一本ずつ握ると、弧を描きながら両手を挙げて鎖をしならせ、勢いよく地に叩きつける。
その衝撃により魅夜の身体は空高くへと跳び上がり、黒煙の雨雲へと身を寄せた。
だが、空中に飛び込んでしまえば身動きも取れないまま落ちて来るミサイルと衝突するのは免れないだろう。
落ちて来るミサイルとの距離も密近く密集度も上がるため、普通に考えれば悪手といえる。
ただしそれは空中において身動きの取れない場合だ。
羽も無ければ空飛ぶ機械を身に着けているわけでもない魅夜だが、策はある。
「鎖とは……繋ぐだけではなく、時として楔のように撃ち込み縛ることもできるのです。 ええ、こんな風に」
身体が落ちる前に新しい鎖を取り出した魅夜は、近くで半壊している管制塔に鎖を突き刺しアンカーのように固定すると、鎖を引いて身体を移動させる。
丁度今まさに魅夜の上に降り降りてきたミサイルを紙一重で躱すと、ミサイルの胴を蹴って加速した。
「飽和攻撃は確かに効果的ですが私の前では止まって見えますよ」
常人離れした動体視力と反射神経により無理やり空を泳いでいるかのような身のこなし。
しかし、それは他者から見た光景である。
「……と言いますか、本当に止まっているのですけれどね、ふふ」
魅夜が蹴ったミサイルは未だそこにあり、突き刺した鎖は鉄棒のように真っ直ぐ地面と平行の線を描きたるまない。
絶え間なく聞こえていた轟音もいつしか鳴り止んでおり、静寂と灰色の世界が広がっていたのである。
「ええ、我が牙により『時』は既に私のしもべと化しました。 この止まった時間の中ではミサイルなどただのオブジェにすぎません。 無骨であまり美しくないオブジェですけれどね、ふふ」
既に魅夜が支配した世界の中、彼女だけが自由に動き、彼女だけが世界の理となっている。
この鬼ごっこは初めから勝敗が決まっていたのだ。
魅夜の余裕な表情はこの能力ゆえだったのだろう。
そうして、空に留まるミサイルに鎖を括り橋渡ししながら最短距離で駆け抜けていくと、あっという間にプラントを抜けミサイルレインを突破し、逃げたパイロットを遂に追い詰めるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
鷹羽・エルザ
spd
降り注ぐミサイルですか。私のクルセイダーは強固な守りを有していますが無策で突き進めば致命的な結果を生むことでしょう。
なのでスラスターを用いた推力移動で対象を追跡しつつ、ミサイルを回避しながら進みます。
もちろん回避しているだけでは思うように進めないので、火器によるミサイルの迎撃も行います。
ただ、現在使用できる武装が右腕のキャノンフレームのみなので、残弾のことを考えると迎撃するミサイルは慎重に選ばないといけませんね。
闇雲に迎撃するのではなく向かってくるミサイルの中でも回避が難しいものを的確に選び迎撃していきます。
深く考え最良の道を選び勇気を持って行う……それをこそ神は望んでおられるのです。
黒髪の女性の耳には、軽い頭痛覚える程の緊急アラートが鳴り響いている。
そして彼女の金色の瞳には、既に豆粒ほどに小さくなるほど遠くへ行ってしまったパイロットの影が映り込む。
そして深く息を吐きながら鷹羽・エルザ(サイボーグの量産型キャバリア・f29930)はゆっくりと目を瞑った。
「良かった……彼女は無事だったようです。 ですが、まだ安心は出来ないようですね」
エルザはその強い信仰心から、自分が熱くなりすぎることがあるの自覚している。
特に邪悪とされるオブリビオン化したキャバリアが相手となればなおさらだった。
「神は彼ら邪教徒の存在を許していません……ですから私も手を抜くわけにはいかなかったですからね」
信じる神への報告のために両手を合わせて閉じていた瞼を上げると、天を仰ぎまた言葉を繋ぐ。
そこに神はおらず、ただミサイルの雨が降り注ぐばかりだが、彼女の眼にはその先が見えているのだ。
「あぁ、ですがなんということでしょう。 飛び出した彼女の腕には、確かに邪悪を感じる機械が侵食しているのを感じ取りました。 彼女はまだ完全には救われていないのです」
それがとても悲しいのか、はたまた悔しいのか。
エルザは眉をひそめて愛機『クルセイダー』に手を置いた。
「追いましょう『クルセイダー』。 この先にどんな苦難が待っていようと彼女を完全に救うのが、神より遣わされた私達の使命なのです」
エルザの美しい瞳が決意に染まると、彼女は再びグレートヘルムの騎士に乗り込み吹き荒れる爆風の中へと飛び込んでいった。
「しかし降り注ぐミサイルですか。 私の『クルセイダー』は強固な守りを軸に立ち回る機体ですが、ミサイルの直撃を何度も受ければ中の私がまいってしまいますね。 勿論、機体性能の優秀さにかまけてそんな無策な突撃をするつもりはありません。 私は選ばれたパイロットなのですから」
消耗品だった突撃機械歩兵の頃とは違う。
本国が自分を選んだ理由は、しっかりと自負しているつもりなのだ。
エルザはサイバーアイをフル稼働させて散眼すると、機体背部の重量級キャバリアを無理やり飛ばす出力を持ったピーキーなスラスターを全力で吹かす。
その出力は凄まじく、重装甲がビリビリと震え、握っていた操縦桿が暴れそうになる。
それをサイボーグアームで抑えつけると、強化された膂力により巧みに動かし『クルセイダー』が空を駆け抜けた。
また震えているのは操縦桿だけでなく、メインモニターや計器類まで振動によりまともに読み取ることが出来ないはずだが、そこはサイバーアイが補正をかけて確実に情報を掴んだ。
「この程度の死線、私たちは何度も乗り越えてきました。 今回も、あなたとなら越えられるはずです。 飛びましょう『クルセイダー』!」
こうしてエルザの駆る『クルセイダー』の高機動かつ重装甲を活かした爆心地横断が始まった。
こんな芸当は、ノーマル(非サイボーグ)な人間には到底不可能であり、まさにエルザだからこそ出来る強襲作戦といえるだろう。
しかし、全てが順調とまではいかなかった。
降り注ぐミサイルの直撃はなんとか避けているが、時が経つごとにミサイルの密度は徐々に上がっていくのである。
「流石にこれ以上は厳しいですか……温存していた火器の制限を解除、段数に限りがあるので最低限の攻撃で最大効率を目指します。 センサー、熱源を表示してください」
強襲形態を取る今の機体では、自由に扱える火器は右腕のキャノンフレームのみ。
火力は申し分ないが、用途が違うためばら撒くには物足りなかった。
「大丈夫、落ち着きましょう。 焦りは全てを仕損じます。 深く考え最良の道を選び勇気を持って行う……それをこそ神は望んでおられるのです。」
サイボーグ化しているため手に汗握ることはないが、しっかりと操縦桿を握りしめるとモニターからセンサーの反応を見極める。
「この並び……ここです!」
エルザが叫ぶと、親指でトリガーを押し込む。
発射されたキャノン砲は『クルセイダー』の進行方向とは別のミサイルであった。
しかし、それが爆散するとミサイルが後続に誘爆していき一面に光の大輪が咲き誇る。
そして見事プラントを抜けミサイルレインを突破し、逃げたパイロットを遂に追い詰めるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ナザール・ウフラムル
【SPD】
そういやパイロット、レプリカントだったか……!って、防衛機構の乗っ取り!?ああでも、元の機体はこの施設のか……。(バックドアなんて用語は知らないがその辺りから乗っ取りを食らったのだろうというのは分かった)
ミサイルの落下位置を【見切り】ながら、風の噴射を後押しに【ダッシュ】。
どうにも避けるルートが見えない場合には一番近いミサイルを【属性攻撃】・風刃で迎撃して突破。
侵食されきっちまう前にオブリビオンとの接続切らねぇと……!
緑髪の青年の耳には、軽い頭痛覚える程の緊急アラートが鳴り響いている。
そして彼の目線の先には、既に豆粒ほどに小さくなるほど遠くへ行ってしまったパイロットの影。
機械化文化に疎い彼にとって、今目の前で起こったことに戸惑い唖然としていたのだ。
声を掛けても返事が無いからと、コックピットをこじ開け助けようとしたら突然空の彼方へ飛び出して行けば無理もないのだが。
「魔力もないのに空を……いや、そういやあのパイロットはレプリカントだったか。 身体が機械で作られたやつってのは魔法生物並みに何でもアリなんだな」
人間の身で生まれ育ち、精霊の力を借りて魔力を扱うナザール・ウフラムル(草原を渡る風・f20047)にとって、自力で超常現象を引き起こすことは出来ないことだという考えが身に付いている。
大きな力は何かから引き出すもの、それが精霊術士としての基本だからだ。
だからこそ、自力でも出来る限りのことはやれるように格闘術を身に着け、技を磨き出自の穴を埋めようとしてきたのである。
「機械の力か……たしかにすごいが、だからと言って羨ましいとは思わない。 俺には俺のやり方があるからな」
グッと握った拳に語り掛けるようにナザールが呟くと、鳴り響いていたアラートの他に機械の駆動音が上方から風に乗って聞こえて来る。
耳聡く感知し眼をやると、防壁の上に無数のミサイルランチャーが展開し、この周囲一帯へ向けて目標も無く撃ち放ってきたのだ。
「って、おい! なんだあれ!? はぁ? 防衛機構の乗っ取り!?」
そして彼の少し離れた場所に一発着弾し爆破、吹き荒れる熱風がナザールの顔を熱風が包み、ヒヤリと流れた汗を乾かす。
先ほどのアラートの内容は専門用語が多く、いまいちナザールにはピンと来ていなかったが、研究員からの通信によりようやく事態を把握したのだ。
「なんでそんなことが……? ああでも、元の機体はこの施設のか……」
機械のことは門外漢であるため確証はないが、魔力で制御する類も似たような暴走は聞いたことがある。
繋がりがあれば逆への干渉も用意ということなのだろう。
「ということは……アレの中身が戻らないと止められる奴はいないってことか」
ナザールは既に抜け殻となった元オブリビオンマシンをチラと見る。
猟兵としてそこにオブリビオンの気配が無くなっていることは分かっており、気配は既に空の彼方。
あのパイロットの右腕がオブリビオンマシンの元凶だったのだろう。
「ったく、ぐずぐずしてる暇は無かったか。 早く追いかけねぇとこの国が滅茶苦茶になっちまうぞ!」
ミサイルの雨に気後れしてる場合ではないと、ナザールは覚悟を決めて走り出すのであった。
ナザールの適正は風の魔力。
風は音を運び、伝える力も持ち、それは勿論彼に掛けられた加護にも適応されていた。
「よし、風の音は……ギリギリ拾えるな。 音の速度を超えてはいないか、ならなんとか避けられる、か?」
相手は銃弾ではなく爆発するミサイルである。
軌道だけを読み切っても、爆風に巻き込まれれば生身ではひとたまりもないだろう。
だからナザールは、眼だけではなく耳も使い爆撃地点を駆け抜けられたのだ。
その時、彼の耳に後方から飛び来る飛来物の音を捉えた。
「この音、少し右後方に着弾するな……だったら!」
そう呟きながらも次々とミサイルを避け、右方向へ脚を進める。
そして掌を後方へ向けて魔力を貯めると、後方の着弾による爆風に合わせて風の通り道を形成した。
それは彼の背中へ集まる漏斗型になっており、圧縮された空気が噴射するようにナザールの背中を押して、音すらも置いていき彼を瞬く間に前へと進ませてくれたのだ。
「うぉっ! 目論見通りだが速すぎる! このままじゃ避けきれねぇ! こうなったら!!」
地に脚付かない、音速で『射出』されたような現状では流れを変えることが出来なかった。
しかし、音速を纏った彼には全身に強力な風の力が渦巻いている。
それを手で掴みとるように拳に集めると、ソニックムーブの刃となってナザールの手に納まっていた。
「天翔ける尖刃よっ! 我が道を示せっ!!」
そして大きく振りかぶってブーメランのように放つと、前方上空に落ちて来るミサイルたちを一閃していった。
それにより道を切り開くと、見事プラントを抜けミサイルレインを突破し、逃げたパイロットを遂に追い詰めるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『BS-A量子収斂炮『プリマドンナ』』
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POW : クワンタム・カノン
【エネルギーインゴットを装填すること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【量子収斂炮の高エネルギー量子ビーム】で攻撃する。
SPD : オーバーロード・クワンタム
【量子収斂炮から飽和量子エネルギー攻撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : クワンタム・ヴォイド
自身の【量子収斂炮】から【骸の海】を放出し、戦場内全ての【近接武器】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
イラスト:裏海マユ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ピオネルスカヤ・リャザノフ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
キミ達は危険な状態にあるプラント周辺の防衛基地を無事に抜け、見事逃げ出したパイロットに追い付いた。
彼女はキミ達が近付いてきたことに気が付くと、逃げても無駄だと悟ったのかクルリと振り返り顔を見せる。
「あーあ、追い付かれちゃったか。 あのまま放っておいてくれれば、あの国は自分達の力で首を絞めることになって面白かったのに。」
祖国が壊滅するかもしれないというのに、彼女の表情は清々しいほどに笑顔であった。
口では残念そうであるが声のトーンも高く、気にも留めていない様である。
「まぁいいよ、ワタシを倒してミサイルを止めるか、キミ達を倒してあの国が亡ぶか……楽しいゲームの始まりだねっ!」
彼女はそう言うと、右腕のオブリビオンマシン化した巨砲をキミ達へと向けた。
その銃口は青白く光り始めており、説得は通じないのだろう。
こうなれば覚悟を決めて応戦するしかない。
あの国が滅亡するまえに、彼女から右腕の機械を切り離すのだ。
黒城・魅夜
私は楽しくはありませんね
ゲームは互いの力量が拮抗してこそ楽しくなるもの
機械などにやすやすと意思を奪われるような貴女程度では
到底私の相手は務まりませんよ、ふふ
量子砲ですか、怖いこと
しかし命中したと見えたのは
私が「オーラ」に投影した「残像」にすぎません
そちらに気を取られるよう、隙だらけに見えた動きで「誘惑」したのです
ええ、あなたの攻撃は「指定した対象」しか撃てませんからね
あなたは最初から間違った座標を指定していたのです
実際の私は「闇に紛れ」接近
間合いを詰めUCを発動
「スナイパー」を併用し鎖を右腕に集中させ破壊します
我に返りましたか?
色々な意味で多くのデータが取れたと前向きに考えましょう、ふふ
気の触れたかと思うほど悪びれも無く、国家転覆を賭けて挑んできたパイロットの少女。
褐色肌に金髪を二房揺らし、快活そうな雰囲気からはとても想像できない言葉であった。
少女の右腕を侵食するように結合した巨砲、あれがオブリビオンマシン化しているためにレプリカントの彼女も思考を侵されているのだろう。
そして彼女を前にした黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は、怒りも落胆も顔に出さず、静かに答える。
「……いいえ、私は楽しくありませんね。 ゲームは互いの力量が拮抗してこそ楽しくなるもの。 機械などにやすやすと意思を奪われるような貴女程度では到底私の相手は務まりませんよ、ふふ」
魅夜はパイロットの右腕へ視線を送り、いつものように腹の底の見えない微笑を浮かべる。
「へぇ……ワタシじゃ物足りないって言うんだ。 ……うーん、ちょっとは遊んであげようかと思ってたけどやーめた! 『キミ』は速攻でゲームオーバーにしてあの国が亡ぶのを見て遊ぶことにしたよ!」
夏に咲く花のように明るい笑顔の絶えないパイロットであったが、魅夜に格下扱いされたのがよほど癪に障ったのか、眉をひくつかせて右腕の巨砲を構える。
その銃口には青白いクワンタム量子による反応光が収束していき、飽和光が漏れ出してバチバチと音を上げていた。
限界まで溜めたその力は凄まじく、撃つ前であるのに強い光が周囲に影を作るほどだ。
「オーバーロード・クワンタム!! ワタシの量子砲を喰らって、あの世で後悔しちゃいなよ!!」
パイロットが臨界値まで充填した右腕に力を込めると、その場に佇み微動だにしない魅夜へ向けて地を抉るほどに大きな雷球が襲い掛かる。
「量子砲ですか、まぁ怖いこと……」
対する魅夜は、両手をそっと前へ突き出し雷球を受け止める格好を取った。
しかし、一瞬の内に飛来する攻撃に出来た対処はそこまで。
言葉を言い終える前にクワンタムの反応光が魅夜の両腕を消し去り、そのまま光の中へと彼女を包み灰すら残さなかったのであった。
「はぁ……つまんない。 全然楽しくなかったし、早くあの国をもっと滅茶苦茶にしに行きたいなぁ」
右腕の放熱を待つパイロットは、残念がりながら肩を落とし呟いた。
彼女の量子砲は臨界値まで稼働させたために、現在は放射熱で蜃気楼を銃身周りに作るほどである。
これを冷まさなければこの場を動けないのだろう。
そしてその様子を影の中から慎重に見つめる視線があった。
状況を把握したのか、パイロットの背後から衣擦れの音一つも無くするりと近寄ると、彼女の耳元にそっと囁き掛ける。
「ふふ、あれはただの残像ですからね、つまらなのも仕方ないでしょう」
その声を聴いた瞬間、パイロットはビクリと肩を跳ね上げて首を回す。
自分の肩眼に写っているその姿が信じられないのだ。
そう、それはまるで
「『幽霊でも見てるよう』……ですね。 ふふ、言ったでしょう。 あなたとは初めから力量が違うのです」
「こ、この悪霊めっ!! 死にぞこないはもう一度殺して……あっ!?」
背後にいた魅夜へ向けて量子砲を向けたとき、パイロットはまだ放熱が十分でないことに気が付く。
やられた……そう顔に書いてあるのが丸わかりであり、魅夜は再びふふと嗤った。
「ソレはあなたには過ぎた玩具です。 取り除いてあげましょう。 愚か者の骸を糧に咲き誇れ鋼の血華……!!」
魅夜の言葉に続き、影の中から無数の鎖が飛び出しパイロットの四肢を縛る。
そして右腕の量子砲は雁字搦めに巻き付けると、ミシミシと鳥肌の立つ悍ましい音を立てながら締めあげていき、疲労し切った砲身はメキャリと骨が砕けるように破壊されてしまった。
その後、パイロットが気を失ったため量子砲の残骸から解放してやると、しばらくして意識を取り戻した。
「あれ……ワタ、シ……何して」
「ふふ、我に返りましたか? 大丈夫ですよ。 この後色々あるでしょうけど、あなたは今回の件で色々な意味で多くのデータの収集の貢献していました。 前向きに考えましょう、ふふ」
魅夜はパイロットを優しく介抱すると、元凶が消えハッキングが止まったのか落ち着いているあの国へと連れ帰るのであった。
大成功
🔵🔵🔵
黒影・兵庫
{要塞蠍}の装甲と『オーラ防御』で何発かは耐えられると思いますが
こちらの攻撃を当てるのは難しそうで
このままだとジリ貧になりそうですね...せんせー
(「武器はキャバリアだけじゃないでしょ?」と頭の中の教導虫は窘める)
あ!そ、そうでした!俺には虫さんが居るんでした!
(UC【誘煌の蝶々】を発動し{要塞蠍}の周りに儚く舞う蝶を展開する)
支援兵の皆さんの舞に敵が見惚れている隙に『念動力』で{皇糸虫}を操作し『捕縛』後
『衝撃波』を使って{要塞蠍}での体当たりによる『重量攻撃』を仕掛けます!
気の触れたかと思うほど悪びれも無く、国家転覆を賭けて挑んできたパイロットの少女。
褐色肌に金髪を二房揺らし、快活そうな雰囲気からはとても想像できない言葉であった。
少女の右腕を侵食するように結合した巨砲、あれがオブリビオンマシン化しているためにレプリカントの彼女も思考を侵されているのだろう。
『黒影、接近戦を仕掛ける時はあの右腕に注意しなさい。 こちらのキャバリア要塞蠍も侵食されないとは限らないでしょ』
重厚な装甲を何重にも重ねた動く鎧、もとい機動シェルター『要塞蠍』に乗り込む黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)の頭の中で、『せんせー』が注意を促す。
こちらには『せんせー』がついているとはいえ、精神侵食・干渉に対してかなり敏感に反応しているようであった。
「はい! 分かってますよせんせー! コイツには格闘武器しかないですからね、どうしても接近戦をしなければなりませんから!」
防御力に特化したこの機体には誘爆の危険がある火器類は一切なく、装甲と重量による鋏や尾等の純粋な質量攻撃が基本である。
装甲を活かした吶喊と、その勢いに乗せた近接攻撃による強襲。
それがこの多脚戦車型キャバリアの基本戦術なのだ。
『相手の攻撃自体は装甲で何発か防げるはずよ。 私もサポートするからあなたは迷わず進みなさい。 危険な兆候が見えたらまた注意するわね』
「了解です! 行くぞ要塞蠍!」
プラント郊外の不整地をものともしないキャバリアの多脚がそぞろに動きだす。
それが開戦の合図かのように、相手のパイロットは右腕の巨砲を撃ち放ってきた。
「人間の武器として大きいけど俺の要塞蠍にそんなの効かな……」
『っ!? 黒影だめよ! それは普通の弾じゃない!!』
その時、パイロットはニヤリと不敵に口の端を吊り上げた。
なんと巨砲から放たれたのは、ドス黒い闇の様なドロリとした波。
黒影たちはこれが何なのかよくわかっていた。
猟兵となったその時から。
「せんせー、あれって骸の海ですよね!?」
『やられたわ……間違いないようね』
相手が銃身をこちらに向けた時、銃口へ収束していく青白い光はフェイクだったのだ。
それを見て立てた作戦が仇となり、黒影たちの駆るキャバリアは骸の海に飲み込まれてしまう。
「う……くそっ! 要塞蠍の腕一本動かせれば殴れる目と鼻の先だっていうのに……操作が受け付けません! このままじゃジリ貧ですよせんせー!」
『ここでは格闘武器を使用できないみたいね。 でも、あなたの武器はそれだけじゃないでしょう?』
焦ったようにガチガチと乱雑にハンドルを動かす兵庫であったが、『せんせー』の一言でハッと目が覚めて我を取り戻す。
「あ! そ、そうでした! 俺には虫さんが居るんでした!」
この機体が鎧蠍ではなく要塞蠍と呼ばれる真の理由、それは数多の兵を内蔵し安全に前線へ運搬できることにある。
そして彼の誇る兵とは……
「支援兵の皆さん! この暗い闇を眩い舞踏で打ち払ってください!」
キャバリアの装甲の継ぎ目が開くと、そこから大量の蝶がひらひらと舞い上がり、誰を傷つけるでもなく優雅に踊り出す。
彼女達は薄らと発光する妖精の様な鱗粉を落とし、骸の海をスパンコールのように、宇宙に煌めく星々のように染めていく。
「敵……じゃないか。 なんだろうこれ、見てるとなんだか心が変な感じになる。 ……あれ、なんで涙が出て来るんだろう?」
外で銃撃によって黒影達へ追撃していたパイロットは、支援兵の舞を見てつつと涙が伝っていたことに気が付き手を止めた。
それはまだ彼女自身がオブリビオンマシンに完全には侵食されていない証拠なのかもしれない。
そして、その一瞬の隙を突いて第二陣が出撃する。
今度の虫は皇糸虫と呼ばれる紐状の頑丈な兵であり、彼らはパイロットをグルグルと締め上げると巨砲の発射口を塞いでしまった。
『よく出来たわね黒影!』
「はい! 動けるようにもなりましたよ! それではこのまま……!!」
骸の海が枯れ、遂に自由を取り戻した要塞蠍は、両腕の鋏を大きく左右に広げる。
そして両腕で挟み込むようにパイロットの右腕へ叩き付けると、バキンとへしゃげる音を立たせて巨砲を真っ二つに破壊するのであった。
その後、パイロットが気を失ったため量子砲の残骸から解放してやると、しばらくして意識を取り戻した。
「あれ……ワタ、シ……何して」
「もう大丈夫ですよ! 悪い機械は俺とせんせーと虫さん達でやっつけましたから!」
黒影達は虫を使ってパイロットを優しく介抱すると、元凶が消えハッキングが止まったのか落ち着いているあの国へと連れ帰るのであった
大成功
🔵🔵🔵
鞍馬田・珠沙子(サポート)
普段の口調は「~っしょ。~だべ?~じゃね?」といったギャル風。
戦闘時に敵を煽ることもしばしば。
性格も口調と同様その場のノリで生きる喧嘩っ早い性格ですが、元箱入り娘らしく分別と道徳心は割と持ち合わせています。
猟兵のスタンスとしては、自分の知り合いといった『自分の手の届く範囲の人』を守れれば十分と考えているため、態々依頼に参加する理由は何か面白そうだったから、もしくは『映え』そうな場所だったからといったふわっとしたものが大半を占めます。
割と勝つために手段を選ばない性格で、素手による戦闘を身上としてはいますが陰陽術を使った相手への妨害や周囲のものを武器として利用することも積極的に行います。
気の触れたかと思うほど悪びれも無く、国家転覆を賭けて挑んできたパイロットの少女。
褐色肌に金髪を二房揺らし、快活そうな雰囲気からはとても想像できない言葉であった。
少女の右腕を侵食するように結合した巨砲、あれがオブリビオンマシン化しているためにレプリカントの彼女も思考を侵されているのだろう。
彼女がその変質した腕を猟兵達へ向け、大きく膨れ上がったエネルギーを解き放とうとしたその時、突如今までにない声がその場に響き手が止まる。
「うわ、マジであっちの方火の海だし! ッパネー……流石都会は違うじゃん。 とりあえず映えそうだから一枚撮っておくっしょ」
声の主は、するりと指のすくようなストレートの長い金髪で、気崩したモッズコートを羽織るどこにでもいそうな女性であった。
唯一違和感があるとすれば、この辺では見かけない額から天へと伸びる一角の存在だろう。
その鞍馬田・珠沙子(SUTEGORO☆ONMYOJI・f26157)は今尚ミサイルの被害に遭っているプラント周辺の光景をバックに、ゴテゴテとしたスマホで自撮りをしていた。
パシャリと撮り終えると、唖然として珠沙子を見ていたパイロットへニコリと笑いかける。
「あ、どうも~珠沙子でーす。 こんちゃーす。 ごめん、待たせたっしょ? いつもはアタシもダチ以外のことではあんまり動かないんだけどさー。 ちょっと面白いモノが手に入ったから早速試すしかないべってわけ」
完全に場を自分のペースに持って行った珠沙子は、相手が何か言い出す前にスマホをトトトとタップしてコール音を響かせる。
しかし流石のパイロットもコール音で我に返って、猟兵達へ向けていた銃口を珠沙子へ向け直し口を開く。
「な、なんだ……? キミもワタシを止めに来た敵? まぁいいや、だったらまずはキミから消し炭にしてあげるよ!」
既にパイロットの右腕には初弾に必要なエネルギーが蓄えられていたため、言い終えた瞬間には眩い光の柱が地面と水平に伸びていた。
ブレることなく真っ直ぐに珠沙子へと走る閃光であったが、しかしそれが彼女を包み込む前に巨大な何かが現れ遮っていた。
「じゃっじゃ~ん! これがアタシのキャバリア、『メガネちゃん』だし! やっぱ、ビームにはビームっしょ!」
なんと珠沙子の前に立ちはだかり、彼女を守っていたのは全高5mの巨大な遮光器土偶。
土偶と言われて誰もが頭に浮かべる眼鏡の様な装飾とでっぷりした体型が特徴なTHE・土偶のアレである。
その憎めない愛らしさのあるキャバリアは、パイロットの右腕から放つビームに対し、眼からビームを放って対抗し受け止めていたのだ。
「アタシはステゴロだしねー。 銃とかそういう奴の相手はこの子にお任せってわけ。 それに今のビーム同士のバチバチってマジ映えじゃね?」
絶妙なタイミングでメガネちゃんを召喚し攻撃を阻止できたためか、珠沙子はニヤニヤと相手を挑発するように笑った。
「ふーん、いい根性してるね。 だったら今度のはどうかな? エネルギーインゴット装填! フルパワー中のフルパワーでぶっ壊してあげるよ!!」
珠沙子の笑顔にヒクヒクと眉をひくつかせたパイロットは、とっておきだと取り出した金属の棒を右腕に差し込む。
すると、明らかに異常な排気音を鳴らしながら青白い反応光が巨砲のいたるところから漏れ出し全体が輝き出した。
「まー女は度胸っていうじゃん? ってかそれよりその攻撃大人げねーっしょ! だからって、ここで退いたら女がすたるってもんだし!!」
危険は承知の上、それを踏まえて珠沙子はメガネちゃんの設定を最大にして迎え撃つ。
両者同時にビームを放つと境で衝撃が辺りを包み、小石が吹き飛び珠沙子の髪をかき上げる。
そこには直視することすら難しい太陽の様な光の渦が生じており、どちらのビームが優勢なのかすら判断が難しい状態であった。
「やばっ! 眩しすぎっしょ! これじゃ映えるところ撮れないじゃん!!」
だが、この拮抗状態が長く続かないのはこちらのメガネちゃんのエンジンが悲鳴を上げていることから明らかだろう。
そして案の定、オーバーヒートのためかメガネちゃんのメガネの光が鈍くなってきた。
だがその時、パイロットの右腕が突然爆発し相手の攻撃が中断されたことで難を逃れる。
「ぐぁう!! くそっ! 真剣勝負に不意打ちはルールで禁止だろ!!」
「街を火の海にした子に言われたくないじゃん。 それに戦いはルール無用っしょ!」
パイロットのの右腕には、爆発を引き起こした珠沙子の操る形代の燃えカスが張り付いていた。
そして灰が二人を繋ぐ縄へと変わると、自慢の腕っぷしで珠沙子がパイロットの右腕をぐいと一気に引き寄せると、パイロットから切り離された右腕だけがメガネちゃんへと巻き付く。
「ポチっとな。 さっきは撮れなかったから映えチャンス挽回するし」
彼女がスマホを操作すると、メガネちゃんは右腕と共に大爆発しキノコ雲を立てるのであった。
その後、気を失っていたパイロットが意識を取り戻す。
そして元凶が消えハッキングが止まったのか、落ち着いているあの国へと無事に帰るのであった。
成功
🔵🔵🔴
鷹羽・エルザ
あれこそが人を蝕む邪悪ですか。囚われた方のためにも一刻も早く破壊しないといけませんね。
しかし、現状のクルセイダーでは腕のみを破壊するのは困難ですね……
なので、キャノンフレームの残弾を撃ちながら推力移動で突撃し、敵に肉薄した所で私自身が白兵戦を仕掛けます。
キャバリアが相手なると専用の重兵装が必要になりますが、人のサイズであれば問題はありませんね。大丈夫です。
機体から降りた後は肉体改造によって強化した脚力で敵の攻撃を避けながら接近し攻撃をしかけます。
攻撃時は腕に内蔵された剣でユーベルコードを使用しますね。
重視する点は命中率ですね。機械と体の接合部に当たるようにしっかりと狙って攻撃します。
気の触れたかと思うほど悪びれも無く、国家転覆を賭けて挑んできたパイロットの少女。
褐色肌に金髪を二房揺らし、快活そうな雰囲気からはとても想像できない言葉であった。
少女の右腕を侵食するように結合した巨砲、あれがオブリビオンマシン化しているためにレプリカントの彼女も思考を侵されているのだろう。
「あぁ……まだ遊んでも足りないくらいの子があのような思考になってしまうなんて……。 あれこそが人を蝕む邪悪、諸悪の根源で間違いないでしょう。 思考を囚われた方のためにも一刻も早く破壊しないといけませんね」
対面するパイロットを気に掛けながらも、鷹羽・エルザ(サイボーグの量産型キャバリア・f29930)は自身の駆るキャバリア『クルセイダー』の戦闘態勢を緩めることは無かった。
それは、たとえ相手がキャバリアを降りていると言っても、その一部のパーツを身に着けていることから十分な脅威であると見抜いていたからだ。
案の定『クルセイダー』のセンサーが、彼女がこちらに向けた銃身からエネルギー反応を感知してアラートを発している。
「……ですが、現状の『クルセイダー』ではあの方に憑りついた右腕のみを破壊するのは困難ですね。 キャノンフレームは分厚い装甲をも貫く火力がありますが、それではあの方まで吹き飛んでしまいますから」
しかし、だからといって対人装備に切り替える隙はもう与えてくれる様子も無い。
今にもこちらへ向けて砲撃が始まってしまうだろう。
この戦場における一瞬しか与えられない理不尽な選択肢、だがエルザは今までも機械歩兵として同様の選択を迫られた中で生き残って来たのだ。
ここで思考を止めて迷うようなことはない。
「であれば、まずは肉薄します……!!」
エルザが覚悟を決めてブースターペダルを底まで踏み込むと、キャノンフレームに残っていた残弾を全て吐き出す勢いで乱射する。
静から動へ、居合いのように瞬きも許さぬ速さで『クルセイダー』が姿を消すと、突然射線から消えたためにパイロットの初撃は宙へ消える。
「速い! さっすがワタシの巨人を倒した機体だね! でも今のはただの挨拶、今度は本気で行くよ! エネルギーインゴット装填!!」
パイロットは死を恐れていないのか、初めから牽制であると高をくくっているのか、キャバリアを破壊した『クルセイダー』のキャノン砲に臆することなく次弾を装填していた。
そして充填が終わると、目の前に迫った『クルセイダー』へ直ちに撃ち放つ。
直進優先で突っ込んでいた『クルセイダー』はゴギャンッと機体各部が軋む音を上げながら、後方へと大きく吹き飛ばされて天を仰いでしまった。
厚い装甲に破損こそないものの、内部モータに異常でもあるのか立ち上がる気配は無い。
「硬いなぁ~。 まぁでも手応えアリ、次でバラバラに出来るかな」
パイロットがトドメを刺そうと次のインゴットに手を伸ばす。
その時、予想もしていない方向から声が上がった。
「スナイパーは陽動から肉薄して叩く、上手く決まりましたね。 もう弾を込める隙は与えませんよ!」
なんとパイロットの背後から、『クルセイダー』を降りていたエルザが、機械化した脚部を活かして飛び掛かってきたのだ。
「な、なんで!? いつの間に!!」
眼を疑ったパイロットは手にしていたインゴットを取りこぼし、慌てて防御態勢を取らざるを得なかった。
オート操縦させていた『クルセイダー』の乱雑な射撃やブーストは注意を集めると同時に射撃音などでエルザの行動を隠蔽させる効果があったのだ。
不意を突いて飛び込んだエルザは、勢いをつけた回し蹴りでパイロットの防御を強引に崩す。
「ぐぁう!!」
「やはり接近戦はその不釣り合いに大きい腕のせいで苦手のようですね!」
右腕を蹴り掃われ遠心力で大きく体勢を崩したパイロットの隙を縫い、エルザはすかさず胸元に潜り込みサイボーグアームでパイロットの両肩を掴み地面へ叩きつける。
「く、くそぉ! 離せ! 離せよォ!!」
エルザが覆いかぶさるようにパイロットの四肢を押さえつけているため、レプリカントといえども身動きが封じられている。
「聞こえていますか? 届いていますか? それはあなたの本心ではないはずです。 今、私があなたを救い出してあげますから、絶対に諦めず心を失わないでください」
エルザはゆっくりとパイロットの眼を見つめ、その奥にいる者を鼓舞するように語り掛けた。
そして彼女の左腕がガコンと展開すると、仕込み刀が現れパイロットと右腕の継ぎ目を貫き切り裂いた。
「離せ、はな……ぁぅ」
そこでパイロットは気を失い、遠くから聞こえる爆撃音もピタリと止んだ。
その後、しばらくしてパイロットは意識を取り戻した。
「あれ……ワタ、シ……何して」
「良かった……本当のあなたを取り戻せたのですね。 もう大丈夫です、さぁ帰りましょう。 あなたを待っている人達がいますよ」
エルザはパイロットを優しく抱き起すと、元凶が消えハッキングが止まったのか落ち着いているあの国へと連れ帰るのであった。
大成功
🔵🔵🔵