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エクスプレス・オーバーチェイス

#クロムキャバリア #レイルレーン鋼国

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#クロムキャバリア
#レイルレーン鋼国


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 新世界、クロムキャバリア。
 百年にわたる戦争で疲弊した荒野を、エネルギーインゴット駆動の超特急が走る。
 積荷は遠方のプラントで生産された食料。運ぶ先は世界有数のターミナル駅だ。
 ここはレイルレーン鋼国。数百の鉄道網そのものが形成する独立国家である。

「目的地グレート・フォーカス駅まで、あと――」
 乗員のアナウンスが不意に途切れたのは、遠方からの砲撃が車体に直撃したからだ。
 一拍置いて轟音を上げ、迫り来るキャバリア――オブリビオンマシンの群れ。
「後部コンテナハッチ解放。ブルネル隊、発進せよ」
 最後尾のコンテナ車両から、小型の量産型キャバリアが次々に出撃していく。
 鋼鉄の巨人同士の戦い。それはクロムキャバリアにおいて、ありふれた光景だった。
 人々の食料を運ぶ列車が無慈悲に破壊される、そんな出来事すらも、また。

 ☆ ☆ ☆

 グリモアベース。
「鉄と機兵の世界、クロムキャバリア。かの世界は、今も百年続く戦乱の最中にある」
 ツェリスカ・ディートリッヒ(熔熱界の主・f06873)は豪奢な椅子に腰掛けたまま足を組み直し、もったいぶって指を弾いてみせた。すると魔導書から空中に映像が現れる。
「その世界において重要な役割を担うのが、全高5mの人型兵器『キャバリア』だ。
 高い汎用性を持つキャバリアは、文字通り鉄の兵士として戦争の主力を担っている」
 百年の戦争は文明と人心を荒廃させ、大国は無数に分裂して数千の小国家群となった。
 資源は乏しく、それらを生産する施設『プラント』を新たに建造する技術も既に無い。
 つまり現存するプラントをどれだけ保有しているのかが直接国力を左右するため、小国家群は常に隣国との武力衝突の危険を抱えており、平和の糸口すら見つからない状態だ。
「加えて『オブリビオンマシン』――オブリビオンと化したキャバリアが搭乗者を乗っ取り、破滅を振り撒いているという。汝らの役目は、その悪しき機兵を排除することだ」
 ツェリスカはもう一度指を鳴らし、映像を切り替えた。ここからが本題だ。

「さて、資源の限られたクロムキャバリアで最も重要なもののひとつは、流通であろう。
 小国家群は常に対立状態にあるとはいえ、人や物資の往来が起こり得ない訳ではない。
 このたび汝らが向かうのは国家群を繋ぐ鉄道網の要、『レイルレーン鋼国』である」
 暴走衛星『殲禍炎剣』によって航空機や通信衛星を封じられたクロムキャバリア世界では、必然的に陸路での輸送が中心となる。特に大量の物資を迅速に移送できる鉄道は重要な役割を占め、遂には世界最大級のターミナル駅『グレート・フォーカス』を中心とした鉄道網そのものが『レイルレーン鋼国』という国家として独立するに至ったのだった。
「レイルレーンには数百に及ぶ鉄道路線が存在し、常に人や物資を運搬している。此度の予知で、遠方のプラントからグレート・フォーカス駅へと食料を運ぶ貨物列車が襲撃されることが判明した。列車が破壊されれば当然、積荷の食料は人々の手に渡らなくなる」
 レイルレーン鋼国は独自の量産型キャバリアを開発し、鉄道警備隊として運用しているが、オブリビオンマシンが相手では分が悪い。そこで猟兵達の護衛が必要となる。
「汝らはあらかじめ貨物列車に同乗し、敵の襲来に備えてくれ。そして、走行し続ける列車を護衛しながら、迫り来るオブリビオンマシンの群れと戦闘してもらうことになる」
 貨物列車は先述の量産型キャバリア『ブルネル』を格納したコンテナ車両を牽引しており、戦闘時は猟兵もこの機体で出撃することが出来る。脚部に動輪を装備しているため、列車と並走しながらの戦闘も十分可能だろう。もちろん他に移動手段があるならそれを使ってもいいし、列車の上から攻撃してもいい。あるいは敵機に飛び移りながら戦闘を行っても構わない。敵機は人間の三倍以上のサイズだが、猟兵なら十分相手取れるはずだ。
「コクピットさえ無事なら、オブリビオンマシンの搭乗者は戦闘後に鉄道警備隊が救出してくれるだろう。汝らは列車を破壊されないことを最優先にして行動してくれればいい」
 なお、敵部隊は多数の量産型キャバリアを指揮官機と思われるクロムキャバリアのオブリビオンマシンが率いているようだ。攻防に秀でた機体のため、注意が必要だろう。

 さて、無事に貨物列車をレイルレーン鋼国の中心まで護衛した後のことだが。
「汝らの任務は列車が駅に着いた時点で終了だが……せっかくの新世界、観光がてら羽根を伸ばすのも良かろう。幸いレイルレーンは流通と商業の国ゆえ、駅の內部には巨大なショッピングモールやレストラン街も併設されている。キャバリアの店まであるようだ」
 UDCアースに存在するような駅ビルが、街ひとつの規模にまで拡大されているものだと考えればいい。休日を楽しむには十分な場所であるはずだ。食事やショッピングで依頼の疲れを取るのもいいし、専門店でキャバリアの操縦を体験してみるのもいいだろう。
「まだまだ我らには未知の世界だが、何事も直に触れてこそ理解できるものだろう」
 とはいえまずは列車の護衛だ。ツェリスカは改めて激励し、猟兵達を送り出した。


滝戸ジョウイチ
 こんにちは、滝戸ジョウイチと申します。
 遂に来ましたねロボ世界。私にとっても思い入れのあるジャンルだけに気合が入っておりますので、お付き合いいただけたらと思います。

●シナリオ概要
 集団戦→ボス戦→日常の全三章構成です。
 第1~2章では疾走する貨物列車を護衛しながら、迫り来るオブリビオンマシン部隊と戦うことになります。基本的に移動しながらの戦いになるのでご注意ください。
 また後述の量産型キャバリア「ブルネル」を戦闘で使用することが可能です。

 第3章では、護衛を終えた後での観光パートとなります。基本的に「超巨大な駅ビルで出来そうなこと」なら何でも出来るはずですので、思い思いに過ごしてください。
 なお第三章で「一緒に○○する」等の具体的なプレイングがあった場合に限り、グリモア猟兵のツェリスカも現地に合流します(そうでない場合は登場しません)。

●「レイルレーン鋼国」
 世界最大級のターミナル駅「グレート・フォーカス」へと繋がっている数百に及ぶ路線が形成する巨大な鉄道網で、それ自体がひとつの独立国家でもあります。
 周辺の小国家間の輸送を一手に担い、人とモノが行き交う国として発展しました。
 住民は商売に携わる者が多く、また文化やレジャーも周辺国以上に盛んです。
 一方で流通の重要拠点であるため、自衛のため独自のキャバリアを保有しています。

●量産型キャバリア「ブルネル」
 鋼国が独自開発した、蒸気機関車を人型にしたような外見の量産型キャバリアです。
 手足を折り畳み貨物車に積めるようやや小型に設計され、鉄道での輸送が可能です。
 また脚部に走行用の動輪がついており、鈍重な見た目の割に機動力は侮れません。
 基本武装はブラストナックルとパルスマシンガン。他の武器への換装も可能です。
 シナリオ開始時に一人一機ずつ貸与されますが、乗るかどうかは猟兵次第です。

●シナリオ進行について
 各章の最初に導入が追加された時点からプレイングを受け付けます。
 厳密な締切は設けませんが、おおむね章開始から三日が目処になると思います。
 なおボス戦からの参戦や、第三章の観光パートだけ参加するのも大歓迎です。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしています。
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第1章 集団戦 『ギムレウス』

POW   :    砲撃モード
自身の【背部大型キャノン砲】を【砲撃モード】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
SPD   :    メタルファング
自身の身体部位ひとつを【機械で出来たワニ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    接近阻害地雷敷設
自身からレベルm半径内の無機物を【対キャバリア地雷】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「本日はレイルレーン鋼国鉄道をご利用いただき、誠にありがとうございます。
 ウェストランド線グレート・フォーカス行き特急、間もなく発車いたします――」

 列車内にアナウンスが響き、程なくして窓の外の景色が徐々に速度を上げ始める。
 ウェストランド線は荒野地帯のプラントとグレート・フォーカス駅を結ぶ特急路線だ。
 列車の編成は大部分を貨物車、次いでキャバリアを搭載したコンテナ車が占めている。
 猟兵達は数少ない客車に乗り込み、その時が来るまで束の間の旅行気分を味わった。
 見渡す限り広がる雄大な荒野は、西部劇めいた旅情を見る者に与えてくれる。

 だが路線の中程に差し掛かったところで、突如車内に警報が鳴り響いた。
 客車の窓から身を乗り出して目を凝らすと、砂塵を巻き上げて接近する何かが見える。
 あれは量産型キャバリアの一団……データベースによれば機体名は『ギムレウス』。
 火力とパワー、特に長距離砲撃に秀でた、重攻撃型のキャバリアだ。
 代わりに機動力は劣悪なはずだが、あろうことか飛行ユニットで強引に加速している。
 ギムレウスの部隊は列車の両側に接近し、並走しながら巨大な砲門をこちらに向けた。

「本列車は只今より戦闘態勢に移行します。強い衝撃にお備えください――」
 アナウンスと共に、客室のすぐ後ろに接続されたコンテナ車の外壁が一斉に弾け飛ぶ。
 レイルレーン鋼国側の量産型キャバリア「ブルネル」の出撃準備は整っているようだ。
 一方の敵は、飛行ユニットの全推力でようやく列車に追いついているように見える。
 つまり並んで走るので精一杯で、空を飛んだり機敏に回避する余裕は無いのだろう。
 とはいえ大砲の火力は見るからに脅威だ。列車がやられる前にやるしかない。

 猟兵達は頷き合い、全力疾走する車両の外へと身を躍らせる。
ジェイ・ランス
【SPD】※アドリブ、連携歓迎
■心情
いやー、広い荒野に長い列車!情緒満載だねえ!
で、この世界の風物詩がキャバリア、と。ロマンだねえ……
さて、出撃したいんだけどさ。隊長さん、キャバリア2~3機借りれる?
いや、無人でいいんだ。遠隔で使うから。
じゃ、いきますか~

■戦闘
"事象観測術式"による敵味方の【情報収集】を行い、無人の味方キャバリアを【ハッキング】、随伴機とします。自身と随伴機に"慣性制御式"と"重力制御術式"を掛け、キャバリアを縦列陣にて音速接近。【残像】で【ジャミング】を敵機に仕掛けての近距離戦に持ち込みます。
敵陣に飛び込んた後は、UCを展開し、自身は生身で撹乱。随伴機で敵機を擱座させます。


御倉・ウカノ
キャバリアってのには興味あるが、あたしの好みにゃちと合わないね…デカブツ相手だがいつも通りにやろうか。

見るからに鈍重な連中だが、追加パーツで無理やり追いつかせてるのか。あれじゃ自由な動きはできないだろう。軌道が読めてるんなら動いてないのと一緒さね。

UC『狐静』を使用してギムレウスの上に飛び乗り、大砲を切り落としていくよ。可能ならコクピットを外して制御系が集中してそうな頭も切り落としておこうか。それらが終わったら再びUCを使用して次の敵機にも同じことを繰り返していくよ。

「全く、邪魔しおってからに…この世界に来てから旨い酒にゃ出会えてないんだ。ちゃっちゃか片づけて飲みに行こうかね」



遮るもののない荒野を疾走する貨物特急。乾いた大地が一瞬で置き去りにされてゆく。
 これが平和な列車の旅であったならば、きっと心ゆくまで情緒を楽しめただろう。
「で、この世界の風物詩がキャバリア、と。ロマンだねえ……」
 土煙を上げて接近する量産型キャバリアの群れを客車の窓から眺め、ジェイ・ランス(電脳の黒獅子・f24255)は一人頷いた。実際、巨大ロボット兵器が当然のものとして運用される光景など、このクロムキャバリア以外ではそうそう見られるものではない。
「なに呑気なこと言ってんのさ。早く行かなきゃ出遅れちまうよ」
 そんなジェイを急かしつつ、御倉・ウカノ(酔いどれ剣豪狐・f01251)は客車の後部デッキから車外へと足を踏み出した。途端に土の匂いを含んだ荒野の風が肌を撫でる。

 客室のすぐ後ろはコンテナ車、つまり有事に備えて列車護衛用の量産型キャバリアを格納する車両となっており、ちょうどそれらのキャバリアが立ち上がるところだった。
 レイルレーン鋼国独自の量産機「ブルネル」。蒸気機関車めいた独特のフォルムだ。
「大丈夫だって、ちゃんとお仕事はするから……おお、いよいよロマンだ」
 遅れて客車から出てきたジェイが、全高5メートルの巨体を見上げる。その様子を見て二人が何者か察したのだろう、鋼国鉄道警備隊の隊員と思しき青年が声を掛けてきた。
「あんた達が猟兵ってやつだな。駅長からは必要ならキャバリアを貸すよう言われてる」
 駅長とは行き先であるグレート・フォーカスの長だろうか。いずれにしても隊員たちは嫌な顔ひとつせず協力してくれるようだ。手柄よりも積荷が大事なのかもしれない。
「ってことみたいだけど、どうする?」
「興味はあるが、あたしの好みにゃちと合わないね……いつも通りにやるよ」
 ジェイの問いにそう答えるや否や、ウカノは手すりを乗り越えて列車外へ身を投じた。だが驚いた警備隊員が声を上げるよりも早く、彼女の足は虚空を蹴って列車の進行方向へと跳躍する。改変御倉流巫女神楽『狐静』。神楽舞を元とした歩法で空中を駆け、その身は列車と並んだのも束の間、見えない点から点へ飛び移るように敵機へ向かっていく。
「キャバリアにも乗ってないのに、どうなってるんだ……?」
「あー、驚いてるとこ悪いんだけどさ隊員さん。オレと彼女ともう一人分、借りれる?」
 ジェイの言葉で我に返った警備隊員は「もちろんだ」と発進準備を始め、途中で違和感に気づいたのか手を止めた。この場には一人しかいないのに、なぜ三機も必要なのか。
「いや、3機とも無人でいいんだ。全部遠隔で動かすから」
「待て待て、ブルネルにそんな機能は……うわっ!?」
 最後の叫びは、隊員が触れてもいないはずのブルネルが一斉に起動したからだ。ジェイは遠隔ハッキングで制御下に置いた三機のうち、手近な一機の肩に飛び乗った。
「じゃ、いきますか~」
 ジェイが顔を上げるのと同時、3機のブルネルは脚部の動輪で荒野へ飛び出していく。

   ▼  ▼  ▼

 列車の左右に展開したギムレウス部隊は、列車と同等の速度を維持しながら主砲で列車を狙おうとしている。単純な射程距離で考えるならば遙か遠方からの砲撃も可能なはずのギムレウスがここまで近付いてきたのは、動く目標へ確実に当てるためだろうか。
「なんにせよ、追加パーツで無理やり追いつかせてるようじゃあね」
 空中を蹴り、蹴り、蹴って、更に跳躍。ウカノは空中を疾駆しながら、地上の状況を把握した。ひと目見ただけでも、敵機がまともな機動力を持たないのは明らかだ。
「軌道が読めてるんなら動いてないのと一緒さね。さて……!」
 ギムレウスの一機へと狙いを定め、見えない天井を全力で蹴るようにして急降下。ウカノは空中で愛用の大太刀「伊吹」を抜刀し、直上から目標の機体へと飛び乗った。
「デカブツ相手でも、やることは同じってね!」
 反撃できない真上から、大太刀の剣閃がギムレウスの砲塔を斬り飛ばす。続けて機体前方へと張り出した頭部を破壊すると、敵機はバランスを崩してそのまま地面へ激突した。
「こいつはこのまま置き去りにするとして……おっと」
 再び上空へ駆け上がったウカノの目に疾走する3機のブルネルが映った。ジェイが遠隔操作する機体群だ。事象観測で戦況を把握し、慣性制御と重力制御で機体を安定させたまま急加速させている。不安定な肩に乗るジェイ自身も、二重の制御で涼しい顔だ。
「慣性制御術式――Ubel:Code Edler_Löwe Dame.」
 ブルネルのマシンガンで牽制しつつユーベルコード『高貴なる獅子』を発動。自身は強化された慣性制御で生身のまま敵機を撹乱し、3機の連携で敵を追い込んでゆく。
「RX-Aブラストナックル起動。飛行ユニットの制御部に打撃、直後に電磁パルス」
 ブルネルの一機がジェイの指示通りにナックルを叩き込み、パルスで機動系を破壊されて推力を失ったギムレウスは列車の速度についていけず置き去りにされた。すかさずウカノが降下して砲塔を斬り飛ばし、機体を改めて再起不能の状態に落とし込む。
「全く、邪魔しおってからに………ちゃっちゃか片づけて飲みに行こうかね」
 旨い酒に乏しいこの世界だが、流通の拠点ならば良品も手に入るかも知れない。その終着駅へ向かう列車を守るべく、猟兵達は次々とギムレウスを打ち破っていく。   

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フロッシュ・フェローチェス
※アドリブOK
初の、クロムキャバリアだね。それに走りながらの闘いは十八番、ならここはアタシ自身で……行きたいけどスタミナは温存だ。
それに彼もいるからね。初陣だよ『駿吼』、スピーディに行こう。

機体と自分を、加速式を使って繋いだから、早業ダッシュは可能なはず……先制攻撃の蹴りを叩き込む!
刃のような躯体を活かすか……関節部など脆い場所を見切り、衝撃波が出る速度で手刀、脚刀を決めよう。

列車狙いの砲撃は早業で近付きカウンターで砲身を叩き折る。
アタシ狙いはスライディングと残像を交えて回避……驚いた?巨体が残像を残すのはさ。
フェイントも使いつつ翻弄していこう。
合間にUCを撃ち機体同士をぶつけて吹き飛ばすよ。



「お嬢さんは、うちの機体を使ってくかい?」
「いや、大丈夫だよ。アタシには『彼』がいるからね」
 フロッシュ・フェローチェス(疾咬スピードホリック・f04767)は守備隊員の申し出を断り、ホロデバイスゴーグルを降ろして遠方へ目を向けた。迫り来るギムレウス部隊の大半は未だ健在で、万が一にでも一斉砲撃に晒されれば列車はひとたまりもないだろう。
(幸い、敵はスピードがぎりぎり過ぎて上手く射撃体勢を整えられていない。対するこっちは逆に、走りながらの戦いは十八番……でもここは、彼に出番を譲らないとね)
 フロッシュが彼と呼ぶ機体。クロムキャバリア、紺碧刃機『駿吼』。
 主と同様に速さを限界まで突き詰めた、刃のような形状の手足が特徴的なマシンだ。
「随分華奢な機体だな。武装も見当たらないし……」
「まぁ、見ててよ。すぐにあっと言わせてみせるからさ」
 コクピットに搭乗し、自分と機体を加速式を介して接続する。これでフロッシュ自身のスピードがキャバリアにも反映されるはずだ。実戦で試すのは初めてだが、問題はない。
「さ、初陣だよ『駿吼』。スピーディに行こう」
 機体を動かし、コンテナ車から飛び降りる。爪先が大地に触れ――そして、加速。

   ▼  ▼  ▼

 オブリビオンマシンは、機体の邪悪な意志に汚染されているとはいえ基本的には人間が操縦している。元々ギムレウスに搭乗しているパイロット達は、戦乱の中で数多くの実戦経験を積んだ者だった。その経験はオブリビオンの傀儡と化した今でも変わらない。
 だが、そんな彼らといえど、このような機体と戦ったことはなかったはずだ。
 ブースターもローラーも使わず、ただ足で走るだけで追い付いてくる機体などとは。
「加速式は問題なく機能してる……なら、このまま先制攻撃といこう」
 貨物特急と同等のスピードから更に瞬間的な加速を行い、フロッシュは敵機の懐に飛び込んで渾身の蹴りを見舞う。ウェイトでは明らかに勝っているはずの重攻撃型キャバリア・ギムレウスが、一見華奢なフォルムの『駿吼』に押し負けて体勢を崩しかけた。
「流石に堅いな。でも、流石に関節部までは装甲で覆ってない……なら!」
 飛行ユニットの推力を全開にして逃げ切ろうとするギムレウスにやすやすと追いつき、手刀一閃。『駿吼』の薄い手足は、ただ軽量化のためだけにこんな形をしているわけではない。薄さとはすなわち鋭さ。この手足そのものが、遷音速で振り抜かれる刃だ。
 大気を引き裂く衝撃と共に振り抜かれた腕は、メタルファングに変形させた敵機の片腕を肘関節の部分で斬り飛ばした。更に足刀を続けざまに叩き込んで怯ませ、反撃はギムレウス側のセンサーが誤作動を起こしてモニターに残像が残るほどの速さで回避する。
「驚いた? だけど、そんなものじゃ済まさない」
 敵が砲門を向けた瞬間に距離を詰め、手刀で砲をへし折ると共に胴部を蹴り飛ばす。
 刹砲『トリニダード・スコーピオン』。砲弾めいて吹き飛んだギムレウスは、他の機体を巻き込んで沈黙した。これなら『駿吼』の初陣は申し分ない戦果を上げられそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鞍馬・景正
キャバリア――興味はありますが、付け焼刃の操縦は些か心許ない。

それに、まずこの身で敵の実力を量るが武士の本懐。

◆戦闘
窓から身を躍らせ、呼び寄せた愛馬に【騎乗】
列車とは逆走し、敵機と交差する瞬間に撃破を狙いましょう。

馬上で直立し、抜刀して【太阿の剣】の構えを。
斬るべきはあの砲塔。

轢かれぬように迂回しつつ、距離が迫れば機体に飛び乗って渾身の【怪力】籠めた斬撃の【衝撃波】で両断致します。

コクピットは傷付けぬ程度に本体も叩き斬り、その機体を足場に跳躍して脱出。

別の機体が近くにいれば飛び移り、距離が離れていれば夙夜の背に戻ってと繰り返し、同様の手段で撃破を。

可能な限り一騎でも多く仕留めて参りましょう。



 列車後部のコンテナ車両からは、キャバリアの出撃準備で慌ただしい声が聞こえる。
 そちらに心惹かれるものを感じながらも、鞍馬・景正(言ヲ成ス・f02972)は再び視線を客室の窓の外へ向けた。迫る鉄の巨人と戦うなら、付け焼き刃の操縦では不安が残る。
「それに、まずこの身で敵の実力を量るが武士の本懐……!」
 窓を限界までこじ開けて身を乗り出し、景正はそのまま躊躇うことなく列車外へと身を投げ出した。本来ならば自殺行為だが、景正は猟兵であり、そして一人ではない。

「夙夜!」
 列車の走行音に並んで高らかに、蹄の音が響く。現れた愛馬の背に飛び乗って跨り、景正は鋭く手綱を引いた。進む先は列車とは逆方向。すなわち、敵のキャバリアとは真っ向からすれ違う格好になる。相対速度を考えれば、攻撃の機会は僅かに一瞬だろう。
(敵の体躯は一丈六尺余り。いざ目の当たりにすると、流石に大きいですね)
 景正は走りを愛馬に任せ、その鞍の上に立って抜刀した。ギムレウスの全高は砲塔を除いて約5メートル。こうして馬上で直立しても、背の丈はせいぜい敵機の胸元に届くかどうかといったところだ。より大きな敵と戦ったことぐらいはあるが、クロムキャバリアではあらゆる兵士がこれだけの巨躯を有することになる。それは純粋なる脅威だろう。

 景正は、馬上に立ったまま愛刀『濤景一文字』を構え、精神を研ぎ澄ませた。
 夙夜が奔る。ギムレウスが全推力で突進してくる。そして、一瞬の交錯。
「天下に刃障になる物なし――たとえ鉄の巨人であろうとも!」
  その技の名は太阿の剣、あるいは雲耀の太刀。
 雲耀とはその字のごとく、雲間に耀(かがや)く稲妻の煌めき。すなわち雷の速さで剣を閃かせるということ。敵がどれだけの速度で迫ろうとも、その一撃があれば。
 すれ違う僅かな一瞬、景正は馬上から身を躍らせて敵機の肩へと飛び移った。そのまま渾身の力を込めた一太刀の衝撃によって、ギムレウスの巨砲を唐竹割りに両断する。
 更に返す刀で、続けざまに敵機の本体をも叩き斬っていく。キャバリアはコクピットブロックを上半身と下半身のフレームで挟む構造になっている。十分に洗練された太刀捌きがあれば、コクピットを斬らずにフレームのみを斬るような芸当も不可能ではない。
 攻撃手段を失い体勢を崩したギムレウスの巨体が地に伏せるその直前、景正はその背を蹴って跳躍した。主の思惑を察した夙夜が再び足場となり、次の敵へと疾駆する。
 景正は再び太阿の剣を構えた。今一度の刃を振るい、武士の本懐を遂げてみせよう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーザリア・シン
ブルネルと言うのか、なかなかカワイイ面構えであるな
では空いてる奴を借りるぞ どうやって入るのだコレ パイロット? いや違うが…?
さて(ワイズマンユニットをドスっとコンソールに接続し)ではユーハブコントロールであるぞ、インカーナダイン
妾はそなたと皆の無事を、ここで祈っておこう

――『アイハブコントロール。『ブルネル』操作掌握。完全自律機動開始します
護衛対象に並走し、味方騎と連携して敵キャバリアに対してマシンガンで牽制
列車がキャノン砲の直撃を受けそうになったら『ヴァンパイア』へと「変身」して受け止め、弾を投げ返して破壊します
敵操縦席はサイキックウェイブで保護
そのような祈りで、今は駆動していますから



「線路の反対側からも来てる! ブルネル、発進まだか!」
 コンテナ車両に警備隊員達の怒声が飛ぶ。隣国との小競り合いであればこの世界では珍しいことではないが、敵がオブリビオンマシンともなれ脅威は段違いだ。人々はオブリビオンを見分けることが出来ないが、今回の襲撃者の危険性は肌で感じていた。
「ブルネルと言うのか、なかなかカワイイ面構えであるな」
 一方、ユーザリア・シン(伽藍の女王・f03153)はスタンバイ状態のキャバリアを見上げてそんな感想を漏らした。確かに曲線を多用したブルネルの蒸気機関車めいたフォルムは、一般的な量産型キャバリアの無骨さに比べると幾分か愛嬌があるようにも思える。
「では、空いてる奴を借りるぞ。……む、どうやって入るのだコレ」
 ユーザリアが首を傾げていると、それに気付いた警備隊員の一人が駆け寄ってきた。
「ありがたい、パイロットか! ブルネルは格納時の都合でハッチが背中に……」
「パイロット? いや、妾は違うが」
 隊員に教えられるまま機体背部のハッチを開放したユーザリアは、自分が乗り込む代わりに装置を操縦シートに固定し、コンソールへと接続した。ワイズマンユニット――キャバリアに装備するサポートAIだ。だが、このユニットは単なる補助装置などではない。
「では……ユーハブコントロール、であるぞ。インカーナダイン」
 ユーゼリアの言葉に応え、『インカーナダイン』の名を持つ中枢思念体が目醒める。

『――アイハブコントロール。ブルネル操作掌握。完全自立機動、開始します』
「うむ、任せたぞ。妾はそなたと皆の無事を、ここで祈っておこう」
『必ずその祈りに応えます……発進』
 ブルネルの両脚部に装備された動輪が唸りを上げ、機体を列車と並走できるほどの速度まで加速させる。キャバリアの純粋な機動性は、敵機よりもこちらが勝っているようだ。
 今、このブルネルの機体制御は全てワイズマンユニット……厳密にはその內部に存在する中枢思念体『インカーナダイン』によって為されている。サポートAIの枠を超えた完全自立機動。人間と同等の臨機応変な判断を行えるほどの、完全なる自意識の証だ。
『照準補正完了。電磁徹甲弾装填。パルスマシンガン、撃ちます』
 脚部動輪の加速で一気に射程距離まで接近し、インカーナダインは牽制射撃を放った。俊敏な機動が困難なギムレウスにとっては、牽制といえど十二分の脅威となる。
『……! 敵機の砲撃モードへの移行を確認。照準は護衛対象……』
 劣勢を悟ったのか、突如ギムレウスは貨物特急へと砲門を向けた。所詮は量産型キャバリアに過ぎないブルネルでは、咄嗟に止める手立てがない。ブルネルであれば、だが。
『――ユーベルコード起動。顕現、ヴァンパイア・ザ・インカーナダイン』
 放たれた砲弾を念動波だけで停止させたのは、ブルネルの『変身』によって出現した深紅のキャバリアだった。かつて執鍵守護騎(ハーロイーン)と呼ばれた、その一騎。
「皆の無事を――そのような祈りで、今は駆動していますから」
 念動波で敵のコクピットブロックを覆うと、紅きヴァンパイアは静止した砲弾を掴んで投げ返す。念動力で加速したそれは、保護された部位以外を一撃で吹き飛ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

火土金水・明
「やはり、魔法使いは箒で空を飛んでいないと。」「そう簡単に攻撃はさせませんよ。」
護衛時の移動は魔法の箒に跨って、殲禍炎剣に攻撃されない高度で貨物列車と並走飛行します(【空中戦】と【空中浮遊】の技能を使用です)。
【WIZ】で攻撃です。
攻撃方法は、【先制攻撃】で【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】を付けた【サンダーランス】を【範囲攻撃】にして、『ギムレウス』達を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。


エイス・シノノメ
さて…猟兵としての初陣、疾く仕りましょうか!
しかし不思議な気分ですね、名も知らぬ国で闘うと言うのは
グリモアの転送?とやらは便利なものです
物流や交流に使えれば争いを収める一役買ってくれたのですが…

まぁセン無き事を思っても仕方ありません
目の前の戦さ場に集中せねば
折角なのでブルネルをお借りします
機獅キャバリアを選ばず、です
他国の量産機に乗る事も良い経験になります

あの機体が『敵』…これが猟兵の感覚ですか
防衛戦は呼吸が大事
さぁ皆さん力を合わせてこの列車を護りましょう!
砲撃は脅威ですが加速のための飛行ユニットは明らかに弱点
弾幕を張りユニットを破損させるだけでもマトモな砲撃はままらないでしょう!
さぁ撃て!



「機体はお借りしないで大丈夫です。やはり、魔法使いは箒で空を飛んでいないと」
 引き止める隊員達へ笑顔を向けてから、火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)は愛用の箒にまたがった。その体はすぐに重力に逆らって浮き上がり、列車と並んで飛行できるほどに加速する。魔法の存在を知らない周囲の人々は呆気に取られるばかりだ。
「念の為ですが、あまり高度は上げ過ぎぬよう!」
「ご忠告ありがとうございます。『殲禍炎剣』に狙われないよう気をつけますね」
 低空飛行で戦場へと飛び去る明を見送ってから、エイス・シノノメ(機獅道一直線ガール!・f30133)は空へと視線を向けた。高速飛翔体を自動的に狙撃する暴走衛星の危険性は、この世界で生まれ育ったエイスもよく知っているが、あの高度なら大丈夫だろう。
「しかし不思議な気分ですね。名も知らぬ国で闘うというのは」
 出撃の支度をしながら、エイスは感慨に耽る。このクロムキャバリアで「機獅」として腕を磨いてきたエイスにとって、キャバリアは他の猟兵と違い身近なものだ。逆に先ほど目にした魔法やグリモアによる転移のほうが、よほど物珍しいものに感じられる。
「あれが物流や交流に使えれば、この世界の争いも……まぁ詮無き考えではありますが」
 余計な思案を頭から振り払い、エイスはブルネルのコクピットに飛び込んだ。共通規格だけあって、操縦系は故郷のキャバリアとよく似ている。問題なく動かせそうだ。
「さて……猟兵としての初陣、疾く仕りましょうか!」
 気合を入れて機体の出力を上げ、エイスもまた戦場へと飛び込んでいった。

   ▼  ▼  ▼

「残念、それは残像です。こちらの速さにはついてこれないみたいですね」
 箒にまたがった魔女が、荒野を走る巨大ロボットの間を縫うようにして飛ぶ。
 敵部隊をそのスピードで撹乱しながら、明は隙を見て虹色の杖を振るった。迸る雷撃が敵機を捉え、駆動系にダメージを与えると共にその動きを一時的に封じていく。
「少しでもダメージを与えて、次の方に……」
 縦横無尽に飛び回り遊撃に徹していた明のもとに、外部スピーカー越しの声が届いた。
「お待たせしました、只今より加勢いたします!」
 明の電撃で足を鈍らせた機体へと、パルスマシンガンの電磁徹甲弾が撃ち込まれた。黒煙を上げて失速するギムレウスを追い抜き、エイスの駆るブルネルが戦場に到着する。
「他国の機体に乗るのも良い経験……何より、機獅キャバリアを選ばず、です!」
 脚部動輪の回転を上げて更に接近し、次の標的へとブラストナックルを叩き込む。
 その瞬間、エイスの背筋に走る感覚。猟兵が本能的に敵と感じる存在が目の前にいる。
「これが猟兵の感覚ですか。新たな戦さ場、いよいよ実感が湧いてきました」
 初めて間近に感じるオブリビオンの存在を、しかしエイスは一切怯むことなく電子パルスで吹き飛ばす。更に体勢を大きく崩した敵機目掛けて、上空で魔力が膨れ上がる。
「我、求めるは、新たな雷撃の力――受けてみなさい、サンダーランスを!」
 明が放った、これまでの攻撃とは威力・速度・範囲の全てにおいて勝る必殺の雷槍は、標的のコクピットブロックを傷つけない位置を正確に貫いた。しかも一撃で終わりではない。空中で大量に展開された同等の雷槍が一斉に降り注ぎ、敵を次々に穿ってゆく。
「あれが魔法……ともかく好機と見ました! 皆さん、呼吸を合わせましょう!」
 エイスの呼びかけに応じ、列車の直近を守っていた鉄道警備隊のブルネルが次々に集結していく。彼らも猟兵達も、共に「列車を守る」という同じ意志を宿す者同士だ。同じ想いを胸に同じ拠点を守る、その強固なる団結力が『絶対防衛戦線』となって敵を阻む。
「狙うは飛行ユニットです! 加速を封じれば敵はマトモな砲撃もままならないはず!」
 疾走する列車に沿って一列に並んだブルネル部隊が、一斉に敵の飛行ユニットへとパルスマシンガンの銃口を向けた。一糸乱れぬ正確な動きは、絶対防衛戦線の成果だ。
「機獅道心得其の一、護るべきモノは万難を排し護るべし!――さあ、撃て!」
 号令とともに、電磁徹甲弾の暴風が吹き荒れた。最大の急所を撃ち抜かれたギムレウスは黒煙を上げながら沈黙し、まだ動く余裕のある機体には明が上空から放った追撃のサンダーランスが突き刺さる。明もまた列車を護るという意志を共有しているからだ。
 飛行ユニットを破壊されたギムレウスを次々置き去りにしながら、列車は進む。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
〇生身

機体の特性を生かすのであれば待ち伏せして砲撃するもののように見えますが、待ち伏せできるような地点がなく苦肉の策でしょうか……?

鳥の形をした氷晶ゴーレムに乗り【ブリザード・マニューバ・ブースト】を使用、列車から飛び立ちます。

機動力が低いとは言っても普通の人間が走るよりは早いのでしょう。ですが、全力で走行してこの列車と同じくらいなのであれば……追いつかせはしません。

最大9000km/hの速度を活かして敵のワニの頭部の範囲から逃れつつ、砲撃の的を絞らせないように敵集団の周りを飛び回り敵の攻撃を回避。
隙を見て飛行ユニットや動力源などに急速接近、氷の弾丸の連射を撃ち込んで破壊していきます。



 猟兵達に加えて警備隊のキャバリアも出撃し、防衛戦はより激しさを増していた。
 敵の火力は脅威ではあるものの、砲撃戦用の機体に無理やり加速性能を持たせるという強引なカスタマイズが祟り、その性能を発揮し切れぬまま次々と擱座していく。

「機体の特性を活かすのであれば、待ち伏せして砲撃するもののように見えますが……」
 鳥型に変形させた氷晶ゴーレムの上から、セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は改めて戦況を把握した。敵部隊が仕掛けてきた時から列車は止まることなく走り続け、既に相当な距離を移動しているはずだが、未だどちらを向いても荒野ばかりだ。ろくに遮蔽物の地形での砲撃戦はリスクが高い……という判断なのだろうか。
「いずれにしても、全力で列車と同等の速さならば……追いつかせはしません」
 状況を確認し終えたセルマは氷晶ゴーレムの高度を下げ、更に加速させた。

 ユーベルコード『ブリザード・マニューバ・ブースト』により、理論上このゴーレムはマッハ7を超える速度にまで到達できる。実際の戦闘でそこまでの加速を必要とすることは稀だろうが、少なくともこの戦場において、敵機にセルマを捉える術はない。
 ギムレウスの前腕部がワニの顎を模した形状に変形し、恐るべき咬合力での噛み付き攻撃を繰り出してくる。その攻撃範囲に入りながらもゴーレムで容易く回避、セルマは一瞬で敵機体の背後へと回り込んだ。愛銃フィンブルヴェトで射撃体勢を取りながら、だ。
「たとえ重装甲の機体であろうと、狙いさえ外さなければ……」
 敵機の後方から一気に接近し、外付けの飛行ユニットへと銃口を向ける。照準合わせに要した時間は僅かに一瞬、その直後には既に氷の弾丸が装甲の隙間を貫徹していた。
 ゴーレムがその翼を翻して離脱した直後、弾丸は巨大な氷の結晶を作り出して飛行ユニットを内側からの圧力で破砕した。生命線たる加速能力を失えば、戦闘続行は困難だ。

 セルマは氷晶ゴーレムを巧みに操り、敵の懐に潜り込んでは急所への射撃を繰り返していく。周囲の敵には次々に氷晶が出現し、一撃で戦闘不能となる機体まであった。
(……未だ指揮官機が姿を見せないのが気がかりではありますが)
 それ以上の余計なことは考えず、飛び、躱し、撃つ。
 猟兵達の奮戦により敵部隊が壊滅状態に陥るまで、そう長い時間は掛からなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『モノアイ・ゴースト』

POW   :    バリアチャージ
【バリアを纏った】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【支援機】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    パルス・オーバーブースト
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【オブリビオンマシン】から【光学兵器による一斉攻撃】を放つ。
WIZ   :    ゴーストスコードロン
自身が【敵意】を感じると、レベル×1体の【支援キャバリア】が召喚される。支援キャバリアは敵意を与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 最後のギムレウスが爆炎と共に崩れ落ち、みるみるうちに遠ざかっていく。
 猟兵達はひとまず走行を続ける列車の上へと戻り、補給と休息を取ろうとした。
 目的地のグレート・フォーカス駅まではもうしばらく荒野地帯を走る必要がある。
 それまでの間に何事もなければよいのだが、それはあり得ないと誰もが確信していた。

 結果として息を整える暇すらもなく、猟兵達の耳につんざくような轟音が届く。
 見上げると、上空を超高速で飛行する何かが列車目掛けて降下してくるところだった。
 両肩にバリア発生装置を装備した、禍々しいオーラを纏う一つ目の巨人。
 量産機ではない。クロムキャバリアだ。機体コードは「モノアイ・ゴースト」。
 先ほどのギムレウスとは桁違いの推力で、荒野を滑るように列車を猛追してくる。

《その列車は破壊させてもらう。これはプラントを独占する国家への正当な報いだ》
 モノアイ・ゴーストのパイロットからの通信が、列車上で身構える猟兵達へも届く。
 既に搭乗者は機体の意志に侵食され、破滅的な思想へ駆り立てられているようだ。
《ゴーストスコードロン起動。敵対勢力を排除し、レイルレーンに裁きの鉄槌を下す》
 ユーベルコードが発動し、支援キャバリアとしてギムレウス部隊が召喚される。
 対話の余地はない。両肩から発生するバリアをはじめ、性能は量産機とは段違いだ。
 単眼の亡霊がレーザーライフルを構える。何としてでも、列車を守り切らなければ。
ジェイ・ランス
【POW】※アレンジ、連携歓迎
■心情
("事象観測術式"での【情報収集】し)ほほー、走攻守揃ったって感じの敵だなー。機体、もうちっと借りるねえ。
さて、何とかするかね。

■戦闘
ブルネルを1機借りて、引き続き【ハッキング】でのリモートで動かしつつ出撃します。
"重力制御術式"による重力航行で【空中戦】を仕掛けつつ、パルスマシンガンと"電送砲"、"ガトリング砲"で牽制、威力偵察しつつ、ブラストナックルによる接近戦を仕掛けます。
敵のUCに対しては"慣性制御術式"によって機体のノックバックを軽減させつつ、【鎧砕き】を狙ってUCを発動、バリア発生装置の破壊を試みます。


フロッシュ・フェローチェス
※アドリブOK
来たね大物、いよいよここからが本番だ。
このためにスタミナを温存して、おいたんだ。存分に走しらせてもらう。
キャバリアより、アタシの方が速いのなら、素で駆けるのはそうおかしくないよ……なんて。

ダッシュしながら、撃銃を【砲撃モード】に変え敵機を狙い撃つ。衝撃波を伴う砲弾なら足止めにはなるはず。
敵の攻撃は早業の疾走と、緩急を付けた残像でかわす。
敵の銃に対しては、銃で迎えうつフェイントを入れ、カウンターの蹴りを叩き込む。
ゴーグルでの情報収集も怠らない。周囲を把握しなきゃまずいからね。

敵の弱所を見切ったらUC発動。
追跡も、攻撃も、ボスに張り付けばさせずに済む。
限界突破の速さでぶっ潰してやる!



 クロムキャバリア。それは世界の名であると同時に、ある兵器群を指す言葉でもある。
 量産型キャバリアとは一線を画す、世界を変革するとすら表現される超高性能機。
 その並外れた性能は、目の前の「亡霊」の佇まいを見れば誰の目にも明らかだった。
 人類を新たなステージへ誘うという謳い文句も、今なら信じてしまいそうになる。

「……ほほー、走攻守揃ったって感じの敵だなー」
 慌ただしく人と資材が行き交うコンテナ車両の上からプログラム術式にて敵機を含む事象を観測し、ジェイ・ランス(電脳の黒獅子・f24255)は感嘆の声を上げた。
 追加装備に頼らず単体の推進力だけで列車に追いつく速度、大型のレーザーライフルに支援キャバリアの援護射撃を加えた火力、そして攻撃にも転用可能なバリアの防御力。
 総じて、全ての能力がバランス良く高い。少なくとも護衛機であるブルネルと格が違う相手なのは一目瞭然で、車上の忙しなさはその危機感に由来するものでもあった。

 ひとつ後方の車両ではフロッシュ・フェローチェス(疾咬スピードホリック・f04767)が、直前まで操縦していた紺碧刃機『駿吼』のハッチを開いて身を乗り出す。
「来たね大物。このためにスタミナを温存しておいたんだ」
 機体と接続していた加速式を切り離し、自身の内部だけで循環させる。フロッシュ本来のコンディション。この状態ならば生身で『駿吼』の加速をも凌ぎ得るだろう。
「もうあんたらが何をしようが驚かんよ。機体は預かっとこう、補給はサービスだ」
「よろしくね。お礼と言っちゃなんだけど、トップスピードをお見せするよ」
 整備用のロボットアームが『駿吼』のエネルギーインゴットを交換していくのを横目で確認してから、フロッシュは軽く準備体操して体をほぐし、改めて決然と前を向いた。
「さて、いよいよここからが本番だ。存分に走らせてもらおう……!」
 その言葉と共にコンテナ車から飛び出し、砂煙を上げて乾いた大地を疾走していく。

「凄いもんだな、ありゃ……お兄さんも次は生身でいくのかい?」
「いや、次もブルネルもうちっと借りるねえ。なに、武装は足すから大丈夫さ」
 自分の脚力で列車を追い抜いていく姿を目にして呆気にとられる警備隊員に、ジェイは屈託のない笑みを作ってみせた。隊員は少しホッとした様子で、快く貸与に応じる。
「一応、ブルネルの背部には拡張用のアームが付けられる。規格が合えばいいが……」
「じゃ、それもせっかくだから借りてこう。どのみち規格は合わなくてもくっつくし」
 機体に追加した、背から両肩へと伸びる二本のアームのうち右側に「対戦車/対化物機関砲(ローヴェシュトゥント)」を、左側に「630mm電送砲(ブリッツカノーネ)」をそれぞれ電脳魔術による空間固定で接続。即席の武装強化を施し、ジェイはその上に飛び乗る。
「さて、こいつで何とかするかね」
 脚部動輪が唸りを上げ、電脳武装型ブルネルもまた再び戦場へと駆け出してゆく。

   ▼  ▼  ▼

 レーザーライフルが光を放ち、支援キャバリアの砲撃が轟音と共に大地を砕く。
 貨物特急の最高速と同等の速度を維持しながらも、モノアイ・ゴーストは一切攻撃の手を緩めることはない。一瞬でも気を緩めれば、列車は容易く破壊されてしまうだろう。
「撃銃・刻天炉、砲撃モード! 誘導と足止めさえ出来れば……!」
 ホロデバイスゴーグルを下ろして戦況をリアルタイムで把握しつつ、残像を残すほどの速度でフロッシュは疾走する。手持ちの散弾銃型ガジェットはアタッチメントによって砲弾を射出可能なモードへ切り替えられ、激しい衝撃と共に敵のバリアを震わせる。
「パルスマシンガン、630mm電送砲、対戦車/対化物機関砲、火線を集中」
 神速をもって回避するフロッシュを執拗に狙うモノアイ・ゴーストに、側面から集中砲火が浴びせられた。ジェイがハッキングによる遠隔操作で駆るブルネルが、ジェイ自身の武装をも含めた最大火力を見舞う。単眼の亡霊はそれを高出力のバリアで凌ぎ、慣性制御術式を用いた突進打撃をもよろめきながら受け止めた。そして反撃のライフルが光る。
『猟兵の手が加わっているとはいえ、所詮は汎用型の量産機……私に敵うものか!』
 レーザーライフルがブルネルを穿とうとする直前、今度はフェイントを交えて相手の注意を逸らしていたフロッシュが、神業めいた跳躍でライフルの銃身を蹴り上げた。
 敵が怯んだその隙を突き、フロッシュはジェイのブルネルの肩へと飛び乗る。
「やっぱりバリアが厄介だな……一瞬でいい、あれ止められる?」
「無論、問題なく。ユーベルコードで機先を制します」
 非戦闘時とは打って変わって無機質な口調のジェイがそう答えるや否や、ブルネルが瞬間的に加速した。『電送機動(リヒト・ローヴェ)』による限界の反応速度で敵のバリア突撃を受け止め、逆に発生装置へ狙いをつけた高出力レーザーを照射する。
「バリア貫徹。発生装置へのダメージを確認」
『味な真似を……だが決定打には至らなかったようだな!』
 敵パイロットが言うように、バリアは僅かに明滅するようになった程度だ。ほんの一瞬だけ障壁が揺らぐだけ……その隙を狙うのは至難の業だろう、並の人間ならば。
「でもアタシなら! 翠碧縛殴(バイスブレイク)――『ランペイジ・レイヴン』!」
 もはや瞬間移動と見紛う速度で、バリアが明滅する瞬間にフロッシュが障壁內部へ飛び込んだ。この距離ならどんな火力も機動力も無意味だ。後は叩き込むのみ!
「砕け散れっ!」
 防風を纏う拳が唸り、モノアイ・ゴーストの装甲を凄まじい衝撃が貫いた。
   

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鞍馬・景正
真打登場ですか。
ならば此方も対等の条件でお相手致そう。

◆戦闘
【羅刹天推陣】にて、銀河帝国から奪った騎航武者を呼び寄せ。
そのまま搭乗し、太刀打ちを所望して参る。

剣撃の【衝撃波】で牽制しつつ、突進や支援機の射撃等は【推力移動】を活かした旋回で回避。

しかしただ躱すのも限界があるでしょう。

ならば、敵の突進に合わせて加速。
衝突寸前に頭上へと跳躍し、そのまま滞空中に支援機に衝撃波を浴びせ撃破を。

先程、上空を飛行していた高度と速度、あそこまでなら殲禍炎剣も反応せぬようですからな。

そして単眼の背を奪えば、肩にあるバリアなる結界の発動機を切断。
そのまま繋げての【2回攻撃】で、コクピットは避けて胴を薙がせて頂く。


御倉・ウカノ
ふむ、強敵登場ってとこだね。コイツ以上の敵はもう出てこないだろうし、ここできちっとしめてやろうじゃないか。

さて、やっこさんの突撃をもろに受けちまうと列車はひとたまりもないだろうね。ここはひとつ、突撃をはじき返すように攻撃を当ててやって列車を守ってやろうじゃないか。

列車の上に立ちUCを発動して射程を5倍、移動力を半分にし、相手のUCによる突撃を『見切り』敵に斬艦刀をぶち当てていくよ。

「たとえキャバリアが相手だろうと、あたしの剱に断てないものはないよ。おとなしくまっぷたつにされな!」



『やるな……だがダメージは深刻なものではない。この程度では終わらん!』
 モノアイ・ゴーストは一時的に交代し、バリア発生装置を再起動する。その隙を埋めるように周囲の支援キャバリアが一斉に弾幕を張り、周囲は爆炎と轟音とで覆われた。
「……流石は真打、といったところですか」
 襟巻きを口に当てて粉塵を防ぎつつ、鞍馬・景正(言ヲ成ス・f02972)は立ち上る土煙の先を見据えた。朧げに見えるシルエットからは、機体が未だ健在であることが読み取れる。防御をバリアに頼っているようでいて、本体の強度も量産機の比ではないようだ。
「とはいえコイツ以上の敵は出てこないだろうし、きちっとしめてやろうじゃないか」
 コンテナ側から客車の屋根へと飛び乗り、御倉・ウカノ(酔いどれ剣豪狐・f01251)は大太刀の柄に手をかけた。疾走する列車との相対速度で生まれる風が、身に纏う巫女装束を激しくはためかせる。ウカノはその風圧を物ともせずに抜刀しながら振り返った。
「あたしはこのまま屋根の上から直接列車を守るとするよ。気にせず行ってきな」
「了解しました、こちらは任せます。ご武運を」
 返事代わりに酒瓶を掲げてみせてから、ウカノは太刀を構えて列車の前方へと屋根伝いに走っていった。それを見送り、景正もまた強敵に臨むための戦支度を整える。
「堤る、我が得具足の一太刀――今此時ぞ天に抛つ。“羅刹天推陣”!」
 呼び出されるは絡繰具足・羅刹天……かつてスペースシップワールドの銀河帝国が製造した、白兵戦特化型の強化外骨格スーツ。人体の二倍のサイズを有する、装着者の肉体の更なる延長。この羅刹天を身に纏い、景正は推力の限り荒野を一直線に疾駆する。

   ▼  ▼  ▼

『何だ、そのマシンは……? キャバリアではないのか?』
 初めて見るであろう系統の兵器に若干の狼狽を感じさせながらも、モノアイ・ゴーストは羅刹天の放つ衝撃波をバリアで防ぎ切った。そのまま滑るように移動し、迎え撃つ。
「此れなるは星の海にて鍛えられし羅刹天。真っ向からの太刀打ちを所望しよう」
 単純な機体のサイズであれば、強化外骨格である羅刹天と搭乗型の機動兵器であるモノアイ・ゴーストでは大人と子供の体格差がある。その差を埋めうるのは銀河帝国のテクノロジーであり、何より装着者である景正自身の卓越した技量に他ならない。
『生憎だが、我らは何も果し合いをしに来たわけではないっ!』
 推力を全開にして素早く踏み込んだ羅刹天の刃をモノアイ・ゴースト護身用のダガーで受け止め、そのままバリアの斥力で押し返す。景正はそれを巧みな重心移動で受け流し、周囲のギムレウス部隊による連続砲撃をも急旋回を繰り返すことで回避していく。
「しかし、こうしてただ躱すだけでは限界が来る。ならば……」
 単眼の亡霊が周囲のバリアを前方に集中させたのち、最大加速で突進してくる。必殺のバリアチャージ。直撃すればただでは済まないが、避けてしまえば列車に直撃する危険がある。敵もそれを織り込み済みで、相手が避けられない状況に追い込んだのだろう。
 だが景正はバリアチャージに合わせて跳躍し、紙一重で衝突することなく敵の頭上へと跳躍した。『殲禍炎剣』によって狙撃されない高度は、既に敵の襲撃時の動きから把握している。そして敵の進路上にある列車には、彼女がいる。いずれも問題は、ない。
「彼女は、列車の方は気にするなと言った。ならば、信じるのが道理というもの」
 羅刹天は空中で刃を振るった。降り注ぐ斬撃の衝撃波が支援機を撃破してゆく。

   ▼  ▼  ▼

「はは、随分と信頼してくれたもんだ。それじゃ、その信頼に応えるとしますかね」
 吹きすさぶ荒野の風を全身に受けながら列車の上に立ち、ウカノは愛用の大太刀「伊吹」を両手で構えた。眼前には、高出力のバリアを纏って最大戦速で迫り来るモノアイ・ゴーストの姿がある。あれだけの突撃を受ければ、この列車などただで済むはずもない。
「なら弾き返せばいいってね。御倉流巫女神楽『天狐』、いざ御覧に入れようか!」
 迫る敵の巨体に一切怯むことなく、ウカノは愛刀に己の霊力を注ぎ込む。膨大な霊力は大太刀「伊吹」全体を包み込み、遂にはそれを核として巨大な刀を形成した。
 刃渡りにしておよそ二十尺。キャバリアの全高をも凌ぐ巨大な刃は、もはや大太刀と呼ぶべき範疇を超えている。いわば斬艦刀だ。一太刀にて戦艦をも断ち斬る霊力の刃。
「さて……たとえキャバリアが相手だろうと、あたしの剱に断てないものはないよ」
 敵のバリアチャージが列車に激突するよりも僅か瞬きひとつ分だけ早く、ウカノは斬艦刀を通常の刀のごとく鋭く振るった。渾身の斬撃がバリアをも裂き、見事に弾き返す。
『生身でゴーストの突撃を止めたというのか……!?』
「……それを成す者が猟兵ということです。そして、その隙を突かせていただく!」
 押し返されたモノアイ・ゴーストの背後へと、周囲の支援機を一掃したまま滞空していた景正の羅刹天が急降下した。バリアの薄い背後からの居合が、片肩の装置を捉える。
「結界の発動機が沈黙すれば、流れはこちらのものです」
「そういうこった。おとなしく真っ二つにされな!」
正面と背後、刀と刀、二重の刃がモノアイ・ゴーストの胴体を薙ぐように斬り裂いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ユーザリア・シン
来たか、ドンキホーテ
ブルネルの相手に不足なし…まあ、拮抗…ややしんどい…うむ、まあ、カワイイさでは圧倒的に有利と言えるのではないか
十分だな
ゆけ、インカーナダイン
過去より木霊する滅びの意志を
過去より残響する抗いの意志にて滅却せよ

――アイハブコントロール
敵部隊戦力分析。支援部隊確認。当騎状態チェック…戦術策定…完了
ブルネル状態にて最大加速
敵騎のチャージを誘い、高加速状態にて『ヴァンパイア』に変身
サイキックウェイブ最大出力で敵バリアに対抗し、クロスカウンターで殴ります
最初から『ヴァンパイア』で戦えればよいのですが、変身素体のブルネルが出力反動に耐えられません
…これでも駄目でしたか
ありがとう、ブルネル



 轟音と爆炎のさなかを、貨物特急は目的地へ向けてひたすらに疾走する。
 そしてその列車を猛追する影。オブリビオンマシン、モノアイ・ゴースト。
 これまでの戦闘で少なからぬ損傷を受けているはずだが、速度が衰えることはない。
 機体の侵食によって思考が歪んでいるのだろう、異常な執念をもって追跡してくる。

「来たか、ドンキホーテ」
 再び列車に迫ろうとする単眼の亡霊を見据え、ユーザリア・シン(伽藍の女王・f03153)は呟いた。妄想に囚われた古き騎士……果たしてこちらが風車と知って挑んでくるのか。
「あの敵ならばブルネルの相手に不足なし……まあ、拮抗……ややしんどい……?
 ……うむ、まあ、カワイイさでは圧倒的に有利と言えるのではないか。十分だな」
 見ようによっては可愛げのあるブルネルの曲線的なボディを撫でつつ、ユーザリアは機体の状況を確認した。先の戦いは一介の量産機に過ぎないブルネルのフレームに少なからぬ負担をかけていたようだ。だが今更他の機体にユニットを移すわけにはいかない。
「なんとか保たせるしかあるまい。ゆけるな、インカーナダイン?」
 機体の後部ハッチを開き、今度はユーザリア自身もコクピットに搭乗した。もっとも操縦は引き続きワイズマンユニット内の中枢思念体『インカーナダイン』の担当となる。
『――アイハブコントロール。敵部隊戦力分析。支援部隊確認。当騎状態チェック……』
 そこでインカーナダインが僅かに間を置いたのは、やはり機体が思わしくないからか。
『……戦術策定……完了。最大加速で接近し、短期戦を敢行します』
 ブルネルの動輪が唸りを上げる。急接近を狙いながらの牽制射撃は、しかし敵機が発するバリアに阻まれた。敵にとっても見知った機体なのだろう、対応が手慣れている。
『所詮は凡百の量産機! クロムキャバリアの敵ではないと教えてやる!』
 モノアイ・ゴーストのパイロットが叫び、同時にバリアが一気に出力を上げた。バリアチャージで一思いに轢き潰すつもりか。こちらにスピード以外の決め手がないと思っているのだろう。敵機は躊躇うことなく推力を全開にして突撃してくる――今だ。
「ゆけ。過去より木霊する滅びの意志を、過去より残響する抗いの意志にて滅却せよ」
『了解。血統覚醒(アウェイクン)――ヴァンパイア・ザ・インカーナダイン』
 瞬間、加速しながらブルネル自体が紅いサイキックキャバリアへと「変形」する。
 その名を執鍵守護騎(ハーロイーン)ヴァンパイア・ザ・インカーナダイン。変形終了と同時に掲げた腕から放たれた念動障壁が、バリアチャージと真っ向から衝突する。
『サイキックキャバリア!? そんな馬鹿なことが――』
 敵パイロットが平静を取り戻すより先に、サイキックウェイブを纏ったヴァンパイアのクロスカウンターが敵のバリアを打ち破り、一撃で装甲を破砕しながら吹き飛ばした。
『……これでも駄目でしたか。ありがとう、ブルネル』
 渾身の一撃を放った状態のままヴァンパイアの変形が解除され、機体の限界を超えたブルネルはその場で静かに沈黙した。握りしめたその拳を、真っ直ぐに敵へと向けながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エイス・シノノメ
ふむ、新手は侮れない手合いですね
機体は先のギムレウスのように無理やり加速させているわけでもなく列車を追走するに十分な性能のようです
思考は真っ当とは思えませんが…これがオブリビオンマシンの影響
こと戦闘においてはむしろ強化されているようにも思えますね
戦さ場において妙に理りなき戦端を開く者を見掛けると感じておりましたが改めて理解すると何と由々しき事か!

ですがこちらもブルネルの扱いには慣れました!
相手は素早いですがこちらも機体を活かせし切れる事が出来れば十分ついて行ける性能です!
バリアも破らねばなりませんし、火線は切らさないように絶え間ない銃雨を浴びせ続けます
さぁどちらの技量が上回るか勝負です!


セルマ・エンフィールド
一体何がどう正当な報いなのかは分かりませんが……少なくとも今の搭乗者にとっては正当なのでしょうね。

光学兵器……レーザーというやつでしたか。列車を壊されるわけにもいきませんし、まずは防がせてもらいましょう。
【骸合体「雪女」】で雪女の力を使い、列車を覆うように吹雪を起こします。吹雪にエネルギーが拡散されてしまえば私や列車を害する程の威力は出せないでしょう。

吹雪を突っ切って接近すればその限りではありませんが……それが狙いです。あの速度で上空を飛び回られては当てるのは難しいですし、何より落とした時に搭乗者も危険ですからね。
接近してきたところを狙い、雪女の力でさらに強化された氷の弾丸を撃ち込みます。



 モノアイ・ゴーストの胴体で火花が弾けた。装甲の裂け目から內部の損傷が見える。
 両肩のバリア発生装置もダメージを受けている上、連続の酷使でオーバーヒート寸前。
 既に劣勢へと追い込まれても決して退こうとしないのはオブリビオンの狂気ゆえか。
『貴重な物資を金に変える鉄道国家など滅べばいい! プラントは我々が運用する!』
 パイロットの声が猟兵達にも届く。破壊を正当化するため取って付けたような理屈だ。
「……少なくとも今の搭乗者にとっては正当なのでしょうね」
 列車の屋根に立ち、セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は内心嘆息した。パイロットの思考は完全にオブリビオン側へと誘導されていて、まともに共感できるようなものではない。それよりも、敵が捨て鉢な動きになっていることの方が重要だ。
「危険を承知で列車を直接狙ってきてもおかしくない。まずは防がせてもらいましょう」
 突如、列車全体を白く吹き付ける風が覆い隠した。乾いた荒野に吹雪が吹いている。
 この異常気象を引き起こしたのは骸魂『雪女』。セルマと融合してオブリビオン化させることで、列車の運転席以外を一寸先すら見えない猛吹雪で白く染め上げたのだ。
『そんなまやかしなど、通用するわけが――!?』
 モノアイ・ゴーストが放ったレーザーは吹雪に隠された列車に直撃した、かに見えた。
 だが、実際のダメージは本来の出力よりも遥かに低い。レーザーとは一方向に束ねられた光だ。吹雪の層に偏在する細かな氷の粒子はレーザーの光を散乱させ、時に反射させる。レーザーの威力を減衰させることで、吹雪は列車を致命的な一撃から守っていた。
「もっとも、吹雪を突っ切って接近してくるならば別ですが……」
 召喚した随伴機もほとんど撃破された今、実際に敵はそうするより他にないだろう。
 だが、近付いてくるのであれば、それこそが猟兵達にとって好機となる。

   ▼  ▼  ▼

「戦さ場において、妙に理りなき戦端を開く者を見掛けると感じておりましたが……。
 これがオブリビオンマシンの影響とは。改めて理解すると、何と由々しきことか!」
 ブルネルのコクピットで、エイス・シノノメ(機獅道一直線ガール!・f30133)は大いに憤慨する。通常のキャバリアとオブリビオンマシンを見分けることが出来るのは猟兵だけだ。自分の生まれ育った世界の影に、人知れずこのようなものが存在していたとは。
「そのうえ敵は侮れない手合い……ですがこちらもブルネルの扱いには慣れました!」
 脚部の動輪を巧みに駆使して、エイスのブルネルは荒野を縦横無尽に走る。量産型キャバリアに過ぎないブルネル本来のスペックは、クロムキャバリアであるモノアイ・ゴーストに遠く及ばない。それにも関わらず、両機はほとんど互角の戦闘を続けていた。
『そのような普及品で、このモノアイ・ゴーストにどうして対応できる!?』
「キャバリアは使いようです! こちらの特性を活かし切れば十分ついていけますよ!」
 焦りを浮かべるモノアイ・ゴーストの操縦者へと力強く返答し、パルスマシンガンで絶え間なく弾丸の雨を浴びせかけていく。その一発一発はバリアで防がれてしまうが、しかし常にバリアを展開し続けることが相手にとっても負担であるのは間違いない。
(空を飛ばれては面倒でしたが、地上で戦ってくれる限りは何とかなりますね)
 敵機は常に標的である列車を意識している。セルマが作り出した吹雪の領域によってレーザーが減衰させられる現状、飛行などにより距離を取っての銃撃は意味がない。敵はどうにかしてエイスの機体を振り切り、接近戦で列車を破壊したいと思っているはずだ。
『……スペックが違うのだ! そんな機体にいいようにされてたまるものか!』
 モノアイ・ゴーストが吠え、更なる加速性能を発揮した。残像すら残るほどの速さでエイスの攻撃を躱し、レーザーライフルを構えて列車を覆う吹雪の結界へと突入する。
『レーザー光を散乱させるには距離が必要だ。肉薄して撃てば――』
 視界を遮る猛吹雪を突破した先に、疾走を続ける列車の姿がある。雪女と同化したセルマが客室の屋根に立つのを確認し、単眼の亡霊はレーザーライフルを躊躇いなく向けて。
「――言ったはずです、ついていける性能だと! ここからが機獅の戦いです!」
 モノアイ・ゴーストが発砲する直前、吹き荒れる吹雪の中から置き去りにされたはずのエイスが現れた。オーバーブースト・マキシマイザーによる加速、何より機体性能を極限まで引き出した機獅の業前だ。渾身のナックルが炸裂し、敵のバリアが明滅する。
「狙い通りの動き……そして予想以上の好機ですね。逃しません」
 バリアが解除された一瞬を狙い、セルマの愛銃フィンブルヴェトが火を吹いた。放たれるのは雪女の力で強化された氷の弾丸。それは敵機左肩のバリア発生装置を正確に居抜き、僅か一発で氷漬けにしてみせた。直後、エイスのブルネルがそれを氷塊ごと粉砕する。
「続けてもう一発……これで右肩も潰しました。もうバリアは張れませんね」
『……っ、まだだ、まだ機体は動く! まだ終わりではない!』
「最後の武器は操縦者の腕ですね。 さぁ、どちらの技量が上回るか勝負です!」
 クロスレンジで二機のキャバリアが同時に武器を構え、銃爪を引く。
 一瞬の沈黙の後、崩れ落ちたのはモノアイ・ゴーストだった。コクピットのみを残してオーバーフレームの急所を撃ち抜かれ、単眼の亡霊はその場で膝を突いて沈黙した。
 遙か後方に遠ざかる戦場を残して列車は走る。目的地までは、もう僅かだ。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『娯楽の城』

POW   :    体力の続く限り遊ぶ

SPD   :    マップを活用し、効率よくルートを取って施設を巡る

WIZ   :    座れる場所でのんびり過ごす

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 荒野を抜けて、いくつもの駅を通り過ぎ、貨物列車はひたすらに走り続ける。
 あのキャバリア部隊の襲撃も、今や遠く離れた世界で起こった出来事のようだ。
 途中でブルネルのコンテナを積んだ鋼国鉄道警備隊の列車とすれ違った。
 もしかしたら、あれはオブリビオンマシンの搭乗者を救助しにいくのかもしれない。

 やがて客車の窓越しに、目的地であるグレート・フォーカス駅が見えてくる。
 だが駅と呼ぶにはあまりに巨大だ。数百の鉄道路線が立体的に交差しながら接続するその複雑で規格外な建造物は、外見の印象だけでいえば駅というより要塞に近い。
 グレート・フォーカス――「大いなる焦点」という名が表すように、あらゆる路線がこの駅という一点を目掛けて集束する、大量の人とモノが行き交う物流の一大拠点だ。

 猟兵達を乗せた列車が第137番ホームに停車すると、あたり一面に紙吹雪が舞った。
 既に列車防衛の活躍は鋼国側に知られているらしく、駅員達が待ち構えていたらしい。
 列車から降りて改札を抜けるまでに、猟兵達は大々的な歓迎を受けることになった。

 さて、猟兵達の役目は列車の護衛だ。この目的地に着いた時点で、任務完了となる。
 すぐにグリモアベースへ引き返してもいいが、ここレイルレーンは流通と商業の国。
 このグレート・フォーカスはいわゆる駅ビルの規模を超えた巨大商業施設でもある。
 ショッピングモールやレストラン街どころか、レジャー施設までありそうだ。
 ショップで扱う商品も様々で、日用品からキャバリアのパーツまで売られている。
 せっかくだから、列車の旅の最後にと休日を満喫してみるのもいいかもしれない。
ジェイ・ランス
【WIZ】※アドリブ、連携歓迎
■心情
わ、すげーなこりゃ、駅のプラットフォームがそのまま街になってんのか。
探索したいけど、こりゃ一日じゃ終わんねーな……あ、そうだ。駅なんだから駅弁とかあるかなー?
名物買ってのんびり食うかな。

■行動
近くの売店でお勧め品を買い、MAPを見ながら食事し、行きかう人々を眺めつつ思いを馳せます。

んー。数日位、ここでのんびりしてもいいかもしれねえなあ~
ゆっくり周るかっ


エイス・シノノメ
近く車窓から眺めた限りでもかなり大きいと思いましたが…これは…
到着するとより大きさを感じてしまいますね最早どこまで広がっているのか分からないほどです
これが駅なのですか?祖国の要塞都市ほどの規模がありますよ!
これ全てが列車とそれに乗せられるヒト・モノの関連施設とは!
同じクロムキャバリアに生きる者として他国を何の気兼ねもなく観光できる機会というのも不思議な気分です
他国…隣国とは基本争うものでした
何故なら1つの国と成れなかった別の集団、ですからね
折角ですから文化や技術の見聞を広げたい所です
確実に迷うのは目に見えているのでしっかり案内を見ながら!


鞍馬・景正
一件落着ですね。
ですが休んでもいられません。

敵を知った以上、己も鍛えねば武士として不調法というもの。

行く先はキャバリアの専門店。
教本の購入や、操縦訓練も可能なら受けさせて頂きます。

ある程度基本を押さえれば、人との試合もしたい所。
ツェリスカ殿や、他にも訓練目的の方の手が空いていれば、シミュレータとやらでの模擬戦は如何かと誘わせて頂きましょう。

此方、射撃は牽制に、斬艦刀による接近戦を本命として立ち回らせて頂きます。
視界や射線をどう切るか、どの瞬間に突入するか、旋回の軌道を潰されぬには――。

恐らく数本試合して一本打ち込めれば良いくらいでしょうが――実戦ではこの一本を確実に掴み取るようにせねば。


ユーザリア・シン
朝まで飲んで踊って騒いでから
展望台に上がって朝焼けに染まる街を見下ろそう

大きな国だ
しかして、小さな国だ
この赤く染まった荒野と空に比べ、なんとちっぽけな事か
四方へと刻まれた鉄の轍の、なんとか細く頼りない事か
そんなちっぽけな命が寄り集まって、この景色がある
愛おしいものよな、インカーナダイン

『――肯定。当騎は目標を十分に達成したと自己判断します
オブリビオンを破壊し、失われるべきではない命を救助しました
かつての『私』には不可能でしたが、今は違う
今、『私』はかつてとは違う夜明けを見ている』

…そうだ、ツェリスカにお土産を買って帰らねば
ブルネル饅頭とかどうだ 連結出来るらしいぞ
『食べ物で遊ばないでください』


セルマ・エンフィールド
【SPD】

方針:キャバリアの装備(特に銃器)を売っている店を見に行く

まぁ、キャバリアに乗ることは恐らくないでしょうし、私がこの大きさを持つわけにもいかないので買って使うことはないのですが、調査は重要です。
今回もレーザーの特性を把握していたから対策が打てましたしね。

実弾だけでなく、レーザー、プラズマ……色々ありますね。
私のいた世界で開発されるとしてもまだまだ遠い未来のことになりそうですが、この世界やスペースシップワールドなんかで交戦する可能性はある。
次の戦いのためにも見ておきましょう。

見て回って疲れたらレストラン街へ。甘い物はあるでしょうか……?



「わ、すげーなこりゃ。駅のプラットフォームがそのまま街になってんのか」
入国ゲートを兼ねた改札をくぐったところで周囲を見回し、ジェイ・ランス(電脳の黒獅子・f24255)は感嘆の声を上げた。人や荷物を運搬するための施設や駅員の作業場、客やスタッフが利用する店舗や娯楽施設、更には居住区までが数百の路線に沿って複雑かつ有機的に配置され、グレート・フォーカス駅はひとつの都市として機能している。
 他の猟兵達も続々と改札を抜けて、鋼国首都の威容にそれぞれの感想を漏らす。
「これが駅なのですか? 祖国の要塞都市ほどの規模がありますよ!」
 特にクロムキャバリア出身のエイス・シノノメ(機獅道一直線ガール!・f30133)の驚きようは大きかった。クロムキャバリアという世界は小国家ごとに異なる風土を持ち、また国家間の交流は基本的に乏しい。他国の文化に触れる機会は意外と少ないのだ。
「探索したいけど、こりゃ一日じゃ終わんねーな。ここは自由行動にするか」
「うむ。後ほど合流して共に食事でも取るのが良かろう。妾はまずお土産が見たい」
 ユーザリア・シン(伽藍の女王・f03153)がそう言って駅構内のマップを広げた。最寄りの土産物屋……規模的には商店街だが、いずれにしてもここからそう遠くない。
「私はキャバリアの専門店にて、教本などを見繕いたく」
「右に同じです。もっとも、私がキャバリアに乗りたいわけではないのですが」
 鞍馬・景正(言ヲ成ス・f02972)の案にはセルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)が同調した。キャバリア専門店は機体を試運転させる空間が必要なのもあって、基本的には駅の外縁部にて営業している。ここからだと少し距離がありそうだ。
「私は皆さんに付いて見聞を広めようと思います! では、後ほどまた改めて!」
 エイスの言葉を号令として、猟兵達はそれぞれ休暇を楽しむべく歩き出した。

   ▼  ▼  ▼

 キャバリアの店など別方面へ向かう者達とは一旦別れ、ジェイとユーザリア、それにエイスは直近の商店街を目指して歩いてゆく。当初はちょっとした売店のようなものを想像していたのだが、商店街とはやはり駅同様に土産物屋もスケールが大きいらしい。
「ジェイさんは何か買われるんですか?」
「んー、そうだなー。あ、そうだ、駅なんだから駅弁とか買うのもいいかもな」
 他愛ない会話をしながら歩くジェイとエイスの隣で、ユーザリアが目を瞬かせた。
「……驚いたな。駅の中を路面電車が走っているぞ」
 よく見れば床にはあちこちに路面電車用の線路が埋め込まれており、ちょうど三人のそばを車両が通り過ぎるところだった。駅がこれだけ大きいのだから徒歩で移動するのは現実的ではないだろうが、その問題すら列車で解決するのがレイルレーンのお国柄か。
「車窓から眺めた限りでもかなり大きな駅と思いましたが……これは……実際に歩くとより大きさを感じてしまいますね、最早どこまで広がっているのか分からないほどです」
 エイスは感心しながら、遠ざかる列車や忙しなく行き交う人々を眺める。

「それにしても、他国を何の気兼ねもなく観光できる機会というのも不思議な気分です」
「この世界だと、他所の国へ観光しに行くって難しいのか?」
 クロムキャバリアで生まれ育った者として、ジェイの疑問にエイスは頷く。
「隣国とは基本争うものでした。何故なら同じ国となれなかった別集団、ですからね」
 この世界で百年続く戦乱の中、隣国との武力衝突など日常茶飯事だ。領土問題やプラントの所有権、オブリビオンマシンによる扇動など、紛争の火種には事欠かない。
「この国のように、隣国と人や物資をやり取りしている国は珍しいんですよ。だからこそ周りから目をつけられて、今回のように列車を襲撃されたりするんだと思いますが」
 周囲の国と関わりが深ければ、そのことを面白く思わない者も当然出てくる。レイルレーン鋼国が独自のキャバリアを開発したのには、相応の理由があるということだ。
「俺達が守った荷物はこれからどこへ向かうんだろうな……っと、着いたみたいだ」
 ジェイが指差した先には活気ある市場が大通り沿いに続いている。ここなら何か面白いものが売っているかもしれない。もちろん、駅弁のバリエーションも豊富そうだ。
「豊富過ぎて悩むなー。おばちゃん、ここの名物は? え、全部?」
 店員と話すジェイから少し離れ、ユーザリアは別の土産物屋の品揃えを確認してみる。
「見ろ、ブルネル饅頭があるぞ。相変わらず可愛いな。連結も出来るらしいぞ」
『食べ物で遊ばないでください』
 同行していたサポートAI『インカーナダイン』が、主の言動に突っ込みを入れる。
「……せっかくですし、私も何かお土産を買っていきましょうか」
 出来れば祖国で売っていないものがいい。エイスもまた商店街を覗き込むのだった。

   ▼  ▼  ▼

 一方、キャバリア専門店に向かった景正とセルマは店内で見知った顔を目にした。
「おお、二人とも。この度はご苦労であった、存分に羽根を伸ばすといい」
 専門店の店主と何やら会話していたグリモア猟兵のツェリスカ・ディートリッヒ(熔熱界の主・f06873)が二人に気付いて顔を上げ、ひらひらと手を振ってみせた。
「おや、ツェリスカ殿もキャバリアに関心がおありなのですか?」
「いや、今回は依頼の後処理だ。実を言うとほとんど観光はできていなくてな」
 護衛任務で損耗した警備隊の機体にパーツを補充したりするのだろうか。景正が見回してみた限りでは、店内のガレージにブルネル自体は置いていないようだ。鉄道での運用に合わせて特殊化したブルネルは、こういう一般的な販売ルートには乗らないのだろう。
「では、いい機会ですから、後ほどシミュレータとやらで模擬戦など如何でしょう」
 ツェリスカにはそう提案したが、まずはキャバリアの操縦の仕方を学んでからだ。景正は予定通り教本を買ってから、店員に頼んで操縦訓練を受けさせてもらうことにした。
「敵を知った以上、己も鍛えねば武士として不調法というもの」
 あくまで武人らしくストイックに、新たな戦闘技法の習得を目指していく。

「私はキャバリアに乗る予定はないので、武器を見させてもらいましょうか」
 セルマはシミュレーターエリアから離れ、武装パーツを扱うコーナーへと足を向けた。
 共通規格による武装の汎用性が売りのキャバリアだけあって、ショップに並んでいる装備も多岐に渡る。警備隊のブルネルが装備していたナックルやマシンガンも見つかった。
「流石に私がこの大きさのものを持つわけにはいきませんが……調査は重要です」
 セルマは、銃身の長さだけで自分の身長の何倍もありそうなキャバリア用の狙撃銃「RSロングレンジライフル」が陳列されているのを下から見上げた。他にもライフルやバズーカなど、実弾装備は比較的馴染みがある。その一方で、ビーム兵器、レーザー兵器、プラズマ兵器……武装の原理も様々で、一つ一つ対策するのは骨が折れそうではある。だが先の任務でレーザーを吹雪で防いだように、知識は持つに越したことはないだろう。
「こういうものが私の世界で開発されるのは、まだ遠い未来になりそうですけどね」
 セルマは遠くダークセイヴァーへと思いを馳せながら、武装の合間を歩いてゆく。

『ふふ、余のキャバリアを倒せるかな?』
 シミュレーター内では景正とツェリスカの模擬戦が行われている。互いに実弾をばら撒きながら接近戦での一撃を狙う、基本を忠実に守るオーソドックスな戦い方だ。
 景正の機体は、武装として無敵斬艦刀を選んでいる。慣れた日本刀とはいえ、生身で振るうのとは感覚がまるで別物だ。同様の動きを実現するには相当の修練が必要だろう。
(視界や射線をどう切るか、どの瞬間に突入するか、旋回の軌道を潰されぬには――)
 景正は神経を研ぎ澄ませた。人間同士の駆け引きは生身もキャバリアも変わらない。そういった戦場の勘は一朝一夕で身につくものではなく、武士としての経験が物を言う。
「相手の呼吸を読み、一息にて踏み込む――今!!」
 斬艦刀が閃き、眼前のキャバリアが轟音と共に崩れる。シミュレーションは勝利だ。
「今はまだ運次第ですが……実戦ではこの一本を確実に掴み取るようにせねば」
「いや、初めてにしては大したものだ。余としても良い気分転換になった、感謝する」
 シミュレーターからツェリスカが顔を出し、満足気に微笑みかけた。
「余はこれでグリモアベースに戻るが、汝らは心ゆくまで観光していくがよかろう」
 その言葉で、そろそろ約束の時間が近付いていることを思い出す。景正は店員に礼を言って立ち上がり、キャバリアの武装を分析していたセルマにも声を掛けた。
「もうそんな時間ですか。食事とのことですが、甘い物はあるでしょうか?」
「私は……旨い酒があれば嬉しいですね」
 二人は連れ立って店を後にする。帰りは路面電車に乗っていくのもいいだろう。

   ▼  ▼  ▼

 護衛任務の打ち上げを兼ねた猟兵達の食事会は、大いに盛り上がった。
 その後は駅長が快く宿を貸してくれたため、好意に甘えて一泊していくことにする。
「んー。数日くらい、ここでのんびりしてもいいかもしれねえなあ~」
 ジェイが思わずそう呟いたように、しばらく滞在するのも楽しいだろうと思えた。

 猟兵達が自室で休んでいる頃、ユーザリアは宿を抜け出して展望台に登っていた。
 巨大な駅舎から遥か彼方の荒野まで、見渡す限りを陽光が赤く染め上げている。
「大きな国だ。しかして、小さな国だ。この赤く染まった荒野と空に比べ、この国のなんとちっぽけなことか。四方へと刻まれた鉄の轍の、なんとか細く頼りないことか」
 この過酷な世界に人々が造り上げた鋼の国を一望し、ユーザリアは呟く。
「そんなちっぽけな命が寄り集まって、この景色がある。愛おしいものよな」
 その言葉は独り言ではなく、ワイズマンユニットに収められた中枢思考体『インカーナダイン』に向けられたもの。僅かなタイムラグを経て、インカーナダインは返答する。
『――肯定。当騎は目標を十分に達成したと自己判断します。オブリビオンを破壊し、失われるべきではない命を救助しました。かつての『私』には不可能でしたが、今は違う』
 かつて執鍵守護騎(ハーロイーン)と呼ばれた存在の内に、去来するものは何か。
『――今、『私』はかつてとは違う夜明けを見ている』
「その通りだ、インカーナダイン。そして妾はその隣で、同じ景色を共に見よう」
 レイルレーン鋼国に朝日が昇り、刻一刻と世界を新しい色へと塗り替えていく。


 やがて始業の鐘が鳴り、グレート・フォーカス駅が唸りを上げて覚醒する。
 数百に及ぶ鉄道路線から次々に始発列車が走り出し、遙か線路の先へ向かっていく。
 その先には沢山の人がいて物があり、それを乗せて列車は今日もひた走る。
 ここはレイルレーン鋼国。クロムキャバリアに血潮を巡らせる鉄の心臓。
 戦乱が続くこの世界の最中にあって、その列車を心待ちにする人々は確かにいる。
 猟兵達が守った荷物もまた、列車に乗って何処か遠くの誰かの元へ届くだろう。
 汽笛が響く。彼方へ向けて発車オーライ、出発進行だ。

 
                   【エクスプレス・オーバーチェイス】終

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月16日


挿絵イラスト