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男は黙って贄になれ!

#グリードオーシャン

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#グリードオーシャン


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●男、いただきます
 『UDCアース』を起源とするここ、雨音色島(あまねいろじま)において、島民達は決断を迫られていた。
 このままコンキスタドールが敷く悪の掟に屈服するのか。それとも反旗を翻し、島の覇権を取り戻すのか。
 町の広場で今まさに行われている島民会議。どういうわけか、集った島民の男女比は大きく女性側に傾いている。
 しかしこの状態こそが、島の現状だった。
「もう耐えられねぇよ! このまま『順番待ち』なんてよぉ!!」
 数少ない男の一人が、喉が破れそうなほどに強く叫んだ。
「そんなこと言ったって、あんな奴らに勝てるわけないじゃない!!」
 大多数の女の一人が、顔に絶望の色を浮かべながら反論した。
「そうよ! 男さえ、男さえ差し出せば……!!」
 また別の女は現実から目を背け、自らの保身のみを考えていた。
「そういうわけにはいかないわ! そんなことを言ってたら、いずれうちの子も……!!」
 ある母親は涙を溢れさせながら我が子を抱きしめていた。
 何を決断すれば救われるのか、島民達は判断しかねていた。
 無益な論争が続き――そして、審判の時。
「はいはーい、『今日の男』を貰いに来たわよー?」
 桃色の花に体を埋めた女性――女性型コンキスタドールがずらりと島民達の前に並ぶ。
 裸体に植物の蔓を巻きつけて最低限隠すべき部分は隠しているようだが、その姿は妖艶だった。
 しかし、彼女達の登場を喜ぶ男など、この島にはいない。
「お……お前達の言いなりになんか、も、も……もうなるかよっ!!」
 島民達の中から聞こえた、無鉄砲な男性の声。コンキスタドールは、それを島民の総意と見なし、
「あら、『掟』に従えないと言うのね……? じゃあ仕方ないわ……貴方達の命、全て頂きましょう」
 それから島民の声が一切聞こえなくなるまで、ものの数分の出来事だった。

●贄を増やすな!
「皆さん! おはようございます!」
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)が猟兵達に呼び掛けたのは、早朝のことだった。このところ事件発生の『予知』をよく視るため、一刻も早く伝えようと急いで来たのだ。
「『グリードオーシャン』の雨音色島という島で、コンキスタドールによる『悪の掟』の事件が発生する『悪夢』を見てしまいました。そのことについてお伝えしたいと思います」
 使い込まれたアイテム『ぐりもあのーと』にはいくつかの情報が走り書きされていた。それをロザリアはささっと読み上げる。
「雨音色島の皆さんは今、『1日1人、男を捧げよ』という悪の掟に苦しんでいます。どういう理由で男性限定なのかはわかりませんが……ともかく、それが雨音色島の掟なんです」
 一人だろうと十人だろうと、コンキスタドールに贄を差し出すなどあってはならないことだ。しかもコンキスタドールが掟を敷いてからロザリアが予知するまで相当の期間があったようで、島の男性はすでにかなり減っている。
「ここからは私が見た悪夢の出来事ですが、島の人々はコンキスタドールの掟に対してどう対応すべきか、会議を開きます。結論は出ないまま、その日の男性を迎えに来たコンキスタドールに、誰かが反発してしまったことで……結果、島の人々はその日の内に全滅します」
 凄惨な事件だ。しかし、これはロザリアが言うように未来の出来事。回避する術はある。
「これから皆さんにやって頂きたいのは、その会議を止めて人々を避難させ、コンキスタドールを迎え撃つことです」
 コンキスタドールが島民達の元へ向かうような行動を取るため、猟兵達との交戦場所は島民の生活圏付近になる、との予測が立つ。故に、一刻も早く島民の安全を確保し、コンキスタドールを倒すのが猟兵達の目標だ。
「避難の方法はいくつかあるかと思いますが、とにかく『戦闘が発生した際に巻き込まれない』状態であれば大丈夫です。なので、その場から単に引き離すでも、その場でバリアのようなものを張って守るでも、何でも構いません」
 猟兵達が各々、自分のやりやすい方法で対応すればよい、ということだ。
「それから、皆さんが戦うことになるであろうコンキスタドールですが……『ラフレシア型『敵性植物群』』ということがわかっています。ただし、これは力の弱い集団のコンキスタドール……その裏には、もっと強力なコンキスタドールの主がいるでしょう」
 猟兵達は集団戦の中でコンキスタドールの群れを遡り、最終的に拠点でコンキスタドールのボスを倒す、という二連戦を繰り広げることになる。
「新しい世界が見つかったことで忙しい時期でもありますが……かと言って他の世界の事件も疎かにはできません。皆さんの力を、どうか貸してください」
 ロザリアは真剣な眼差しで集まった猟兵達を見つめ、頭を深く下げていた。


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 「あまいろ(亜麻色)」はありますが、「あまねいろ」という色は多分無いと思います。

●フラグメント詳細
 第1章:冒険『避難誘導』
 島民達が広場という一か所に集まっています。ぼけーっとしているとコンキスタドールがやってきて島民達が死んじゃいますので、どうにかこうにか避難させましょう。
 OPにもあるように、広場にいたままでも島民達が攻撃を受けない状態になっていれば大丈夫です。
 それぞれやりたいようにやってみてください。

 第2章:集団戦『ラフレシア型『敵性植物群』』
 第1章で島民への対応は完璧になっていますので、やってくるコンキスタドールに対してうぉりゃーって戦いに行くだけです。
 敵の拠点に近づく云々はプレイングに書いてなくても雰囲気でリプレイにしておきますので単にバトるプレイングだけでも大丈夫ですよ。
 なお、敵が割とお色気系ですが、過度な期待はしないでください。

 第3章:ボス戦『???』
 OPに登場していないので名前は伏せておきますが、TOPに立ってる子ですね。
 敵の拠点とかその辺の諸々は多分第3章冒頭とかで書くと思います。
 ちなみに、過去攫われた男性はすでに死んでいて遺体も遺品もまるで残っていません。捜索しても何も出てきませんので悪しからず。

●MSのキャパシティ
 合わせプレイングはお受けできません。申し訳ないです。
 ゆったりペースで進行予定です。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『避難誘導』

POW   :    離れた場所へ力ずくで運ぶ

SPD   :    シェルター等の隠れられそうな場所を探し、誘導する

WIZ   :    魔法的な結界・防御壁などを作る

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鳳凰院・ひりょ
WIZ
このまま犠牲者を増やさせるわけにはいかないな
男だけが差し出されるという状況、何か理由があるのだろうけど、今は目の前の島の人達を守らなきゃ

周辺に落ちている石ころを媒体に固有結界・黄昏の間を発動
その場にいる島民を一か所へ集めた後、地の疑似精霊に指示を出し島民を囲うように頑強な岩で出来たドームを作成
島民を敵の攻撃から守る
敵の攻撃からは守れるようにしつつ、空気穴などはちゃんと確保
万一に備え、それなりの時間をドーム内で過ごせるよう風の疑似精霊にはドーム内部の空調を管理させる
敵の第一波さえ凌げばとりあえずの島民の危機は回避出来るはず
それまでの辛抱だ、と【コミュ力】【落ち着き】を駆使し島民を励ます



●地の守り
 鳳凰院・ひりょ(人間の聖者・f27864)が見た島民達は皆、思い詰めた様子で険しい表情をしていた。ずぅん、と鉛のコートでも羽織ったかのような重い空気が感じられた。
(このまま犠牲者を増やすわけにはいかないな……)
 何もしなければこの場にいる全員が命を失うことになる。それは何としても止めねばならない。
 行動を開始する。ひりょは周囲に目を向け、適当な石ころをいくつか見繕った。
 そして『固有結界・黄昏の間』を発動する。
「場よ……変われ!」
 すると石ころがカタカタと震え出し、やがて地の疑似精霊へと変換された。明るい褐色の輝きを持つ疑似精霊がひりょの元へ集まってくる。
「よし、足りそうだね。次は……あのー、そこのみなさーん!」
 今まさに喧々囂々の論争が勃発しそうなところへ呼び掛けると、気づいた島民の一集団が一斉にひりょのほうへ振り向いた。
 一触即発の癇癪持ちがくわっとひりょを睨むのだ。一瞬ぞくりと悪寒が走った。
 何事か、と集団が移動してくる。
「なんなの、アナタ。急に大声なんか出して」
「そうよ、これから話し合いを始めるってのに、ねぇ」
「すみません。でも、その話し合い、ちょっと待ってもらえますか?」
 ひりょは物腰低く島民達に接する。突然の申し出に島民達はやや戸惑って顔を見合わせていたが、ひりょは気にせず作業を進めた。
「皆、頼んだよ」
 地の疑似精霊達に声を掛けると、疑似精霊達は島民達を囲むように円を作る。そして魔力を使い、その場にごろごろと頑強な岩を生成し始めた。
「な、何が始まるの!?」
 島民達の戸惑いも大きくなり、きょろきょろと見回す者が増えた。
「あ、動かないでください。今、岩のドームを作ってますんで」
 地の疑似精霊達が作る輪の外に出ようとしていた島民を制止し、ひりょはドームが完成するのを見守る。
 岩が積み上がり、壁ができていく。緩やかなカーブを描く壁だ。
 半分ほど完成したドームの岩壁をこつこつとノックしてみた。相当に硬く、並大抵の攻撃なら易々と防いでしまうことだろう。
 また、それなりに長い時間この中に居てもらう可能性も考慮し、岩の間に無数の隙間を作った。空気が通り抜けられるようにして酸欠を防ぎながら、温度、湿度の調整役として新たに変換した風の疑似精霊をそっと忍ばせる。
「今日も来るんですよね……奴らは」
 岩のドームが完成に近づいていく中、ひりょは中にいる島民達へ語り掛ける。岩の隙間から、島民達の息を呑む表情が見えた。
「そ、そうよ! だから、なんとかしないと……!!」
「大丈夫ですよ。俺は、皆さんを守るために来ました。ただ……近くで戦闘が起こるかもしれないから、こうして防御用のドームを作っているんです」
 今はとにかく、目の前の島民達を守らなければならない。
 誰一人として失わせない。強い思いが、そのドームには籠っている。
 島民達はひりょの言葉を黙って聞いていた。
「第一波さえ凌げば、とりあえずこの場の危機は回避できるはずです。だからそれまで、どうかこの中で待っていてください」
 ひりょの声色は島民達を包み込むように柔らかく、そして温かく。緊張状態で凝り固まった心に触れ、ゆっくりと解きほぐしていた。
「……わかったわ。でも、他の人も――」
「大丈夫です。ちゃんとやりますし、俺の仲間もきっと」
「……お願いするわ。ここは皆の、大切な島だから……」
 安堵からか、涙する島民達。
 この涙を、嬉し涙へ変える。そして笑顔を必ず取り戻す――と、ひりょは完成したドームを前に、心に誓った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

豊原・フィリス
男の人を1日に1人ねぇ理由は不明だけれど、
それってあっという間に島を維持できなくなりそうねぇ
それが狙いなのかしらぁ?
ま、今考えてもわからないものねぇ、まずは島民さんの避難をすすめましょう

じゃあ【街区経営遊戯】の中に避難してもらいましょうか
この板(イェーガータブレット)に触ってもらえれば、安全な場所に転移させてあげられるわぁ
こことは違う空間で決して見つからないところよぉ
町があるから、敵を倒すまでのちょっとの間なら全然問題ないはずよ
帰ってきたい時は、すぐに帰ってこられるから心配しないでね

……そういえば、娼館街経営ゲームのデータが基になってるけど
……問題ないわよねぇ?



●娼館街へご招待
(男の人を1日に1人、ねぇ……)
 豊原・フィリス(セクシー系バーチャルキャラクター・f15722)は『イェーガータブレット』と呼ばれるタブレットPCをトントンと軽く叩くようなタッチで操作しながら、集まった島民達を見つめていた。
 男女の人数の差は明らかだったが、それ以外にも目に付いた部分はあった。
 中年の女性に目をつける。その手は荒れて生傷だらけ。
(島だもの、男手が必要な場面も当然出てくる……それを無理矢理女の手でこなして生活しているのね。これじゃ、あっという間に島を維持できなくなりそうねぇ)
 日が経つにつれ、残った島民の負担は増えていったのだ。このままでは島のコミュニティが崩壊すると判断しての、この島民会議なのだろう。
(それが狙いなのかしらぁ? ……ま、今考えてもわからないものねぇ。まずは島民さんの避難を進めましょ)
 タブレットPCを片手に、フィリスは島民達へと接触した。
「はぁ~い、ちょっといいかしらぁ?」
 フィリスは男だらけの集団に目を付けた。女性達の視線に怯え、島民会議への参加も程々に、後は片隅で震えているハムスターのような存在だ。
「はひぃ! な、なんですかぁ!?」
 フィリスの声掛けに男の一人が過剰反応を示した。返答の声が裏返っている。
「こんなにびくびく怯えて、可哀そうねぇ……。どう? ここよりもずぅーっと安全な場所に、行く気はないかしらぁ?」
「あ、安全な場所……?」
 初めはフィリスにさえも警戒心を露にしていた男達だったが、安全という言葉を聞いて興味を瞳の中に輝かせた。
「こことは違う空間で、決して見つからないところよぉ? そこには町があるから、わたしたちが敵を倒すまでのちょっとの間なら全然問題ないはず……それに、帰ってきたい時はすぐに帰ってこられるから心配ないわよ~」
「本当ですか……? じゃあ……お願いします!」
 交渉成立だ。フィリスはにこりと微笑む。
「なら、これに触れてね~」
 フィリスが差し出したタブレットPCに、男達は次々と触れていく。すると、男達の体が光に包まれ、タブレットPCの中に吸い込まれていく。
 一集団、島民の避難を終えると、フィリスは優しくタブレットPCを撫でた。
「……そういえば、娼館街経営ゲームのデータが基になってるけど……問題ないわよねぇ?」
 フィリスはそう呟きながら、屈託のない笑みを浮かべていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゴリラ・シャーク(サポート)
 賢い動物の力持ち×鮫魔術士

ゴリラの身体にお腹にサメ(シャーク)が突き刺さってます
ゴリラは優しい「」で(おいら、~くん、~さん、うほ、だな)
例「よろしくうほ」「おいらが来たからにはもう安心だな」
シャークは荒々しい『』で(オレ、おめぇ、か、だろ、かよ、~か?)
例『よろしくたのむぜ!』
『なんだぁ、オレに喰われてえのか?』



シャークは元々UDCであり人やオブリビオンを食べていいかとゴリラによく聞きます。ゴリラは基本的に止めます。サメも大抵冗談で言ってます。

ゴリラは怪力を使い物事を解決します。基本的に戦術や行動方針もゴリラが決めます。
シャークは鋭い牙と水泳能力を使います。ゴリラに刺さったまま泳ぎます。



●ゴリラとサメと少女
『ごちゃごちゃうるせぇなあ……おい、こいつら食っていいか?』
 ゴリラ・シャーク(森の賢者×海の支配者・f24959)の腹の辺りから声が聞こえてくる。
 腹から声を出す、などという言い回しがあるが、この声はまさに腹そのものから出ていた。
 厳密には、ゴリラの腹に突き刺さったサメの口から。ゴリラ・シャークとは奇妙な共存関係なのだ。
 荒々しい気性のシャークは煮え切らない島民達の態度に、いっそオレが全部食ってやろうか、などと言い出す。
「それはダメうほよ。大切な島の人達を、おいらたちで守らないといけないうほ」
『へっ、そうかい!』
 ゴリラにたしなめられへそを曲げたかに見えたが、ゴリラとシャークのこのようなやりとりは日常茶飯事。シャークも本意でないことがままあるため、気にすることはない。
『でもよぉ、こんなにぐちゃぐちゃした集まりを、どうやって守るってんだよ』
 島民会議は真っ暗なトンネルを歩ているように、話が進んでいるのかどうか、まるでわからない論争を続けていた。やれ抵抗するだのしないだの、逃げるだの逃げないだの。どんな意見にも賛成派と反対派がぶつかってこんがらがってしまう。
「どうにかして、ここから別のところへ移動してもらえばいいんだな」
『どうにか、ねぇ……しかしこいつら、話を聞くか?』
「わからないうほ……それに、あまり説得できる自信、ないうほね……」
 作戦においては戦術・基本方針を考えるゴリラも、千の甘言、万の偽りがすらすらと言えるほど頭の回転がいいわけではない。事実、怪力でその場をどうにかすることが多かった。
『ならよ……こいつら捕まえちまって、どっかに運べばいんじゃね? おめぇならできんだろ?』
「うー……気は進まないけど、そうするしかないうほか……」
 ゴリラは心の優しいオス……いや、男だ。怪力はあるが、荒事を起こしたいわけではない。
 それでもやらねば、と心を鬼にして島民達を見て回ると、喧々囂々の論争から弾き出されたらしい女性を見つけた。傍らには不安そうな表情を見せる少女がいた。
「あの……ちょっといいうほか?」
「え……えぇ!?」
 女性は声を掛けられたことより、ゴリラ・シャークの容姿に驚いていたようだった。
 ゴリラの腹にサメの顔が突き出しているのだ。仕方がない。
「ここはこの後敵が来て危ないうほ。逃げるうほ」
「そ、そりゃあ、来るでしょうけど……男の人を1人差し出せば、また……」
「それじゃだめうほ! もう犠牲者は出したくないうほ! だからおいらたちが来たうほ!」
『こいつの言うとおりだぜ! オレたちがボッコボコにしてやろうってんだ。悪くない話だろ?』
「で、でも……」
「……ゴリラさん、サメさん、本当にやっつけてくれるの?」
 女性の代わりに答えたのは少女だった。少女はゴリラ・シャークの容姿を恐れることなく近づいてくる。
 ゴリラが少女と視線を合わせるためにしゃがみ込むと、丁度いい高さに来たシャークの鼻先を、少女はぺちぺちと叩いた。
『いてっ、いてっ……おいおい、俺の顔はおもちゃじゃねーぞ!!』
「あははは! 喋ったー!!」
 今度はすべすべの額を撫で回す。完全におもちゃにされていたが、相手が子供ではさすがのシャークも威勢のいい反論はできず、されるがままになっていた。
 そんな少女の様子に、女性の気持ちも固まる。子供は純真だ。その子供が恐れないのであれば、自分もまた、恐れるわけにはいかないと。
「わかったわ。でも、他の皆は……」
「そううほね……」
 一人一人声を掛け説得など時間がかかりすぎる。しかし何とかして聞く耳を持たせなければ、話が進まない。
 そんな中でも子供は奔放だ。シャークを小さな両手でただただこねくり回していたが、これにはシャークもさすがに我慢の限界だった。
『おめぇなぁ……オレだってされてばっかりじゃねーぞ!!』
 はぐっ、と少女の服の襟を器用に噛むと、ぶん、と顔を仰け反らせて少女を上へ放った。俗に言う高い高いだが、キャッチする人物がいない。
 慌ててゴリラは立ち上がり少女を受け止める。
「わーい! 面白ーい!」
 驚いているかと思えば、シャークの怒りの行動もアトラクションかのように楽しんでいた。
「……これなんだな! よーし、次はジェットコースターなんだなー!!」
 何かを思いつき、ゴリラは少女を両手で持ち上げると、上下左右に振り回しながら走り出した。
「きゃー! なにこれー!」
 甲高い悲鳴にも似た歓声を上げる少女。
 少女の声は、騒々しい島民達の中にもはっきりと通った。それは、島という小さなコミュニティにおいて、子供が大切にされている証でもあった。
「ちょっと! 何あれ!? 待ちなさーい!!」
 少女を連れ去ろうとしているゴリラの姿に、島民達が追ってきた。
 子供の一大事なのだ。あれこれ言っている場合ではない。
『ははっ、こいつはすげぇな! 金魚のフンみてぇにぞろぞろついてきやがるぜ!』
「あとでごめんなさいして、事情を説明するんだな。それくらい、みんなの命に比べたらどうってことないんだな」
 ゴリラは少女を極力安全にぶんぶん振り回して精一杯楽しませながら、島民達に自分を追わせることで避難誘導に成功していた。

成功 🔵​🔵​🔴​

カミンスキー・テレサ(サポート)
 多重人格者の學徒兵×力持ち、14歳の女です
口調は設定を参照して下さい

 普段(テレサ)は軍人口調で、生真面目な性格の優等生
規律を重んじ従順に従い行動しますが、世間知らずで割と天然です
馬鹿なので力と勢いで解決します
自己犠牲心が強く、他人を優先して行動します

別人格のゾフィアは余裕のあるクールな成人男性の人格
テレサよりは融通が利き、大人っぽいです。
ドジな所はあまり変わりません

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


四軒屋・綴(サポート)
※口調
・語尾に「ッ!」がつきます(重要)
・敵には『貴様ッ!』
・一般人には『貴方』
・『~なのだなッ!』
・身振り手振りを多用します

※台詞例
・「仲間の為ならえんやこらッ! だッ!!」(だんだん《!》が多くなります)
・「良い夜だな、ご令嬢"フロイライン"。」(ルビを《"○○"》の形で振ります)

※行動例
・「なるほどッ! 了解だッ!!」(素直)
・「流石だ○○さんッ!」(サムズアップ)
・「生憎だがな、貴様達は此処が『終点』だッ!!」(それっぽい台詞)

ヒーローであろうとする一方、自分のことをヒーローとは呼ばず、正義を名乗る敵には一層の憎悪を抱く、ヒーローの仮面を被った面倒な奴です。

被弾とか破損とか全然OKです



●避難場所を探せッ!
「残っているのは……ざっと三割程でありますか」
 猟兵達は近く訪れる戦いの時に向けて、島民達を避難させたり、防壁などで保護したりと対応を進めていた。
 カミンスキー・テレサ(貫き通す意思・f23215)はまだ処置を受けていない島民達を見積もる。
「島民会議とやらももうほとんど中断されてしまっているようだし、残った人達をどこかにでも誘導しておけば大丈夫そうだね」
 テレサの隣に立っている青年。名はゾフィアと言うが、彼は一個体としての猟兵ではなく、多重人格者テレサの一人格として在るものだ。今はユーベルコードの力でこうして実体化している。
「つまりは、最後の仕上げというやつだなッ!」
 態度も口調も一際気合が入っている四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)。いかにも少年が好きそうな、可動ギミック感たっぷりの出で立ちだ。
「そういうこと。じゃ、早速行動だね」
 ゾフィアは笑顔を作り、残りの島民達に呼び掛ける。
「ここはこれから危険な場所になりますから、僕と一緒に避難しましょう!」
「そ、そうなのね……わかったわ」
 ゾフィアの物腰柔らかい雰囲気に安心感を抱き、島民達は皆、従ってついてくる。
 先頭はゾフィアに任せ、テレサと綴は後方から逃げ遅れている島民がいないかチェックしていた。
「こちらにはもういないであります」
「こちらも異常なしッ! ゾフィアさんのお陰で至極スムーズに終わったなッ!!」
 二人は列の最後尾に付き、そのまま避難場所へ――だが、列の中から声が聞こえてくる。
「これ、どこに向かってるのかしら?」
「なんか、ぐるっと戻ってない?」
 ひそひそ声に綴が気づく。
「……島民達が不安がっていないかッ!?」
「……ちょっと見てくるであります」
 テレサは最後尾を綴に任せ、駆け出して先頭にいるゾフィアの元へ。
「ゾフィア、君はどこに向かっているでありますか」
「えーと避難場所……って、どこだっけ?」
「なっ……自分は、ゾフィアが意気揚々と人々を連れていくからもう見つけているものとばかり思っていたでありますが」
「とりあえず避難させなきゃ……って思ってたんだけどね、そういえば、避難場所を探すのも、僕達の役目だったね……」
 ゾフィアは遠い目をしていた。つまりはそういうことだ。
「わ、わかったであります。場所はこちらで探すので、ゾフィアは引き続き人々が散らばらないようにしておくであります」
 テレサは来た時の倍のスピードで走って最後尾、綴の元へ戻った。
「その様子、何かあったんだなッ!」
「この人数を収容できるだけの避難場所を、探さないといけなくなったであります! 自分も探すでありますが、四軒屋様にもお願いしたいであります」
「なるほどッ! 了解だッ!!」
 問題発生にも文句を言わず、綴は素直に了承して駆け出した。同じくテレサも別方向へ走り、場所を探す。
 島民全体の三割程とは言え、大人数だ。その全てを隠せる場所はなかなか見つかりそうにもないように思えたが。
「これは……野外ステージでありますか」
 貝殻が立ち上がったような壁を持つステージが広場からやや離れた場所に設置されていた。そのステージ上であれば、壁が島民達を隠してくれそうだった。
 時同じく、綴は屋外野球場を発見していた。
「屋根がある部分は使えそうだなッ! 戻って報告だッ!!」
 チームベンチやバックネット部分に一部屋根が取り付けられており、上空からの飛来物も防げそうだった。
 どちらも避難すべき島民達を全て収容するには小さかったが、それぞれを活用に島民達を分割できればいけそうだ。
 二人はゾフィアの所へ戻る。ゾフィアは島民達を宥めながら二人の帰りを待っていた。
「ああ、よかった。戻ってきてくれたね」
「全く、ゾフィアが先走るからでありますよ……それより、こちらは野外ステージを見つけたであります。今いる島民をある程度は連れていけるかと。四軒屋様はいかがでありましたか?」
「こちらは野球場を発見したッ! 屋根付きの部分なら島民達も安心して避難できるだろうッ!! ただ、こちらも連れていけるのは全員ではないと思うが、それぞれに分けて連れていけば何とかなるんじゃないのかッ!!!?」
「それしか方法はないでありますね。では……お集まりの皆さん! 今から二手に分かれて避難します!」
 テレサは手際よく島民達を二つに分け、一つを先導して野外ステージへと向かっていく。ゾフィアはその最後尾をついていく。
「では、また後で」
「了解だッ! 残りの皆さんは、俺についてきてくれッ!!」
 綴も島民達を先導して、屋外野球場へ連れていく。

 こうして、広場にいた島民達の安全は全て無事に確保された。

 そんな中、遠くから『今日の男』を求める者達の足音が少しずつ近づいていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『ラフレシア型『敵性植物群』』

POW   :    花に引き摺り込む、必殺の「捕食形態」
【広範囲に広がる花粉による「引き寄せ」と、】【魅了と束縛効果を持つ「抱きしめ攻撃」と、】【接近した場合は接吻による「体力吸収攻撃」】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD   :    素早く対象を束縛する「のびるツルクサリ」
【早業とマヒ効果を持つ「蔓草で出来た鎖」】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    衣服を溶かす、不可視の「緑触手の招来」
【防御力減少効果を持つ「おぞましき触手」】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●世界一綺麗なラフレシア
「『今日の男』はどんなのがいいかしらぁ」
「そうねー。もうイイトコは全部食べちゃったしぃ……あ、でも、子供は残してあるからぁ……いよいよちっちゃい子、頂き時かしら?」
「いや~ん、楽しみ~。どんな声で『鳴く』のかしらねぇ?」
 などなど、ラフレシア型『敵性植物群』――ラフレシア少女達は今日の獲物をどうするか、口々に話していた。
 巨大な葉の集合体を乗り物のように扱い、しゅるしゅると蔓をくねらせ地面を這うように、また跳ねるように進んでいく。
 彼女達はまだ知らなかった。目的地である広場で待ち構えているのは、島民ではなく猟兵だということに。
鳳凰院・ひりょ
WIZ
アドリブ歓迎

島民の避難は終わった、なら後は敵を倒すだけだ
これ以上、島の人達に被害は出させないぞ!
普段の俺なら妖艶な姿の相手に気持ちが乱れる所だけど…今は心を鬼にする!島民の皆の怒りと悲しみを背負ってるんだ
相手の攻撃が察知しにくいのなら、こっちも万全の迎撃態勢を整えればいい
周辺にある小石を媒体に、【高速詠唱】でUC【固有結界・黄昏の間】を発動
風の疑似精霊に指示を出し自分の周囲に風の結界を張る
例え見えなくても風の結界に触れればただでは済まない、切り刻まれる
触手を風の結界で防御しつつ、【多重詠唱】で火の疑似精霊に指示
空中より敵へ火球の雨を降らせる
相手は植物系、なら火での攻撃はかなり有効なはずだ



●怒りの烈火、嵐となりて
 猟兵達の活躍により、島民達の安全は確保された。ならば後は敵を倒すのみ――。
 ひりょはグリモア猟兵が伝えた予知の内容を頼りに広場を抜けた。予知通りなら、もうすぐ……。
「あら、わざわざ向こうから来てくれたわ~」
 ラフレシアを彷彿とさせる巨大な花弁。もっさりと固まる葉はその巨大花を支え、そこに見目妖艶な少女が腰かけていた。ひりょの姿を目にすると、ぺろりと舌なめずり。
「あなたが『今日の男』なのかしら~?」
「そんなわけ、ないだろっ……!!」
 ひりょは憤怒の表情を作り、言い放つ。
 もし街でばったり出くわしていたら思わず目を背けてしまうほどに、少女は身に纏っていなかった。蔓が巻き付き大事な部分こそ隠れているが、豊満な胸はその形を強調するように蔓に縛られており、異性の目を強烈に惹きつけるだけの魅力があった。
 ひりょは心を掻き乱されまいと制しつつ、しかし敵から目を逸らすことはない。
 今、ひりょの心は鬼神であった。避難のために助けた島民の中には、涙ぐむ者もいた。最愛の夫を失った女性もいた。命果てるまで、と長年連れ添ったが、無残にも引き離されてしまった老婆もいた。
 島民達の心に直に触れていたひりょ。背負う物を胸に、その意志は鋼よりもなお固く、そして髪の一本も入らぬほどに隙は無い。
『場よ変われ!』
 余計な言葉は交わしたくなかった。手当たり次第、小石を媒介に風の疑似精霊を作り出す。
「風よ――何者をも阻む結界を作れ!」
 ひりょの周囲に渦巻く風が遠く向かい合う少女達の、厚く重なる葉を揺らす。
 結界の周囲は砂埃が舞い、場が荒れ始めた。
「なぁんだ、違うの……なら、死んで♡」
 少女達が両手をひゅっと掲げると、葉が何枚かめくれ上がった。そこには何もないように見えて――不可視の触手がにゅるるると飛び出していた。
 貫かれた砂埃が歪な形に変わることでようやく認識できる触手は確実にひりょへと迫る。
 しかしひりょは動じない。その特性を聞いていたからこそ、彼は四大元素の中から風を選んだのだ。
 風は無形であり、空間を隙間なく満たすことが可能だ。その結界は、たとえ不可視の存在であろうと確実に捕らえる。
 びびびっ、と風が鳴った。その奥で少女達の顔が苦痛に歪む。
「いぐっ……つ、貫けない……」
 少女達が召喚した触手は召喚者自身と五感を共有している。触手が風に刻まれれば、当然少女自身も刻まれるのと同等の痛みを受ける。
 触手には敵の防御を破る力があった――にも関わらず、ひりょの風の結界が勝ったのは、ひりょが持つ信念の強さが少女達の誘惑に勝ったということに他ならない。
 結界を周囲に維持しながらひりょは攻めに転じた。長く連なるようにして向かってくる少女達――敵性植物群へ、反撃とばかりに突っ込んでいく。
「火よ――降り注ぎ悪を焼き払え!!」
 風の結界を維持しつつ、多重詠唱で新たに火の疑似精霊を生み出した。そして降らせる火球の雨は張り巡らせた結界の中に落ちていく。
 結界は暴風だ。そこへ火球が加わることで烈火の嵐へと変貌した。
 不可視の触手も今目の前にいる少女達も、丸ごと飲み込み焼き尽くす。
「いや……燃えっ……ああああっ!!」
 辺りに火柱が立った。その芯は当然、少女達だ。
 ひりょが通った後に転がるのは、曲線美を綺麗に残した黒炭だけだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゴリラ・シャーク
島民を避難と説得を終わらせてから駆けつけます。

シャーク『なんだなんだぁ!肉っぽく見えるけど植物かよ!お前らはおいしいのか?味見してやるよ!』
ゴリラ「食べ物じゃないんだな……お腹壊さないうほか?」

UC【"奴"からは逃げられない…】を使用
シャークは絡みつく触手から手始めに食べ始めます。弱肉強食を教えつつラフレシア達を食すことで蹂躙していきます。

ゴリラとしてはシャークがお腹壊さないか心配ですが、シャークなりの作戦だと信じているのでそのまま召喚したUDCを補佐する形で戦闘に入ります。
食す側も食される側も同じオブリビオンですしね。



●食物連鎖の頂点
 少々個性的な避難手段をとったため、島民達への事情説明に少し時間を使ってしまった。
 ゴリラが次なる戦場に駆けつける。無論シャークもである。
『なんだなんだぁ! 肉っぽく見えるけど植物かよ!』
 シャークは声高に残念がった。如何に男を魅了する艶めかしい四肢をした相手でも、シャークの興味は食えるのか食えないのか、その一点のみだ。
 それはこの場においてはプラスに働いたと言える。外見に惑わされては、端から相手の舞台の上で戦う羽目になるからだ。
「あら、あなたこそ『今日の男』……ではなさそうねぇ」
 周りでは別の猟兵も戦い、少女達も余裕を見せている場合ではなさそうだった。更なる猟兵の登場に、少女達は眉間に皺を寄せ露骨に嫌そうな表情を見せる。
『お前らはおいしいのか? 味見してやるよ!』
「食べ物じゃないんだな……お腹壊さないうほか?」
『壊したらそん時だ!!』
「ええ……」
 不安は残る。しかしシャークもただの無鉄砲なUDCでないことは、長い付き合いの中で理解している。普段はあれやこれやと策を練るゴリラも、今はシャークに任せることにした。
 ゴリラの腹にいるシャークは、あたかも水中を泳ぐかのようにばたばたとヒレを動かし、それに合わせてゴリラがどすどすと走り出す。
 そこは少女達の『網』の中。不可視の触手がゴリラとシャークを縛り、途端に身動きが取れなくなった。
「……やっぱり、サメじゃぁ、ねぇ?」
 少女達はゴリラとシャークに触手を絡めながら悩ましそうな表情だ。サメ肌、などという言葉があるあたり、触手触りもよくないのだろう。
 捕らわれたゴリラとシャーク。一見ピンチに見えて、その実、これはチャンスの裏返し。不可視の触手への対処方法として最も分かりやすい手段だった。
『見えねぇけど、ここに在るんだよなぁ!? 1度狙ったら、海だろうと陸だろうと、"オレたち"は襲いかかるぜ!』
 シャークが突如じったんばったん、可動範囲ぎりぎりまで体を反ったりひねったり、触手の力に負けず暴れ回った。そうして少し緩んだ触手をカブリ! と鋭い牙で食い千切る。
「いやあああああ!!」
 ぶちりと断裂した触手。五感を共有する少女達にとって、それはつまり肉を食い千切られたに等しい。
『植物がサメを食おうなんざ、百万年早ぇんだよぉ!! オラァ、次はどいつだ!!』
「ひっ、食べられる……!」
 自分達が捕食される側に回るなど、考えたこともなかったのだろう。深緑の肌が青ざめていくようだった。
 恐怖を植え付けられた少女達には、さらに召喚されたサメ形のUDCが放たれる。宙を水の中のように泳いで獲物目掛けて一直線。背びれが空気を裂く幻覚さえ覚えさせられる。
「来ないでぇ!」
 不可視の触手をぶんぶん振り回して応戦しようとしていたが、それはサメ達にとって餌をばら撒かれているようなものだ。一度その身で受けて位置を把握したところで、華麗に跳んで次々と捕食した。
「あああああ!! いやっ、やめでぇ……!」
 少女達の悲鳴がそこかしこに響き渡る。
『オイ! オレたちも負けてらんねぇぞ!! 走れ走れ!!』
「わ、わかったんだな」
 ゴリラの腹に刺さっているが故に、シャーク自身が攻撃を仕掛けるにはゴリラにも動いてもらう必要がある。尾びれでばちばちとゴリラの背を叩き発破をかけた。
 シャークはひたすら触手を食い千切る。ゴリラは自らの体を叩く不可視の触手が逃げる前にむんずと掴み、腹にいるシャークや近くにいるサメ形UDCの口に持っていき食い千切らせた。
 とにかく、触手さえ食ってしまえばどうとでもなった。やがて1体、また1体と触手を食われ力尽きた少女が倒れていく。
『あー……なんだ、なんつーか歯ごたえもねぇし味もそんなにねぇ! おめぇは食わねぇほうがいいぜ!』
「もとから食べる気なんてないうほ……」
 ゴリラは掴んだ時に気づいていた。触手の表面が不規則に蠢いて、色を塗れば悍ましい形をしていたであろうことに。
 元より食べる気などなかったが、改めて考えてもゴリラにとっては食欲がそそられるものではなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

豊原・フィリス
あらぁ……ただの食いしん坊かしら、しょうもないわねぇ

触手には触手で対抗ね【粘液女王】に変身
衣服を溶かすって言っても、わたし恥ずかしさ耐性あるからどうって事ないわぁ
だいたい今スライムだしねぇ
手をつなぐ様に相手の触手を絡めとって、そこを通じて生命力吸収しちゃいましょう

それにしても男しか食べないなんて贅沢な植物ねぇ



●吸われるキモチは?
「あらぁ……ただの食いしん坊かしら、しょうもないわねぇ」
 敵性植物の少女達と対峙したフィリスの体は、一本芯が抜けたかのように揺れている。
「女はいらない……ただの敵よ!」
 男の猟兵を相手取る時と明らかに態度が変わっていた。彼女達にとって女性とは、利用価値の欠片も認められない純粋なる悪なのだろう。
 ひゅん、と風を切って触手が飛んだ。不可視の触手がぱちゅん、とフィリスの体を打った。
「……!?」
 感触が明らかにおかしく、少女達は同様の色を隠せない。生身ではない――何か。
「触手には触手で対抗――さあネトネトぬるぬるよ楽しみましょう?」
 今のフィリスは攻撃を和らげるスライムの体へと変身していた。形を保った姿は人でありながらスライムでもある。不可視の触手による打撃は大して通用していない。
「このっ……このっ!!」
 少女達はムキになって触手を振り上げ、フィリスへ落とす。頭に、体に。足元には掬い上げるように触手を打ち込んだが、やはり手ごたえというものがまるで感じられない。
 打たれる度にぐにゃぐにゃと凹み、人ならざる容姿を露にするフィリスも、時間が経てばまた人らしい容姿に戻る。衝撃の吸収能が抜群によく、触手攻撃による衣服の乱れも気にしていないようだった。
「男しか食べないなんて贅沢な植物ねぇ……そんな子には、お仕置きよぉ?」
「ひぃっ」
 バチン、と体を打った触手にフィリスは腕を伸ばした。スライム状の腕はにゅるにゅると不可視の触手に巻き付き離さない。
 ねっとりとした触感に、触手の大元である少女は身震いした。
「あぅ……や、やめてぇ……」
 掴まれているだけなのに体から力が抜けていく。触手を通して、フィリスは少女の生命力を奪っていく。
 1体1体ちまちまやっていくのも面倒と、もう片方の腕もスライムの特性を生かして長く伸ばし、引き下がろうとしていた触手を捕らえた。侵食するように触れる範囲を伸ばし、効率よく力を、命を奪っていく。
「奪われるって、辛いのよねぇ。これまでしてきたことを悔いるなら今の内よぉ? もうすぐ吸い尽くしちゃうからぁ……」
「あぁ……ぁぁぁ……」
 生命力を奪われた少女達は枯れた声を残し、倒れていく。息絶えたことを確認して触手から手を離したフィリスは心なしか、つやつやしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サーシャ・ペンローズ(サポート)
 バーチャルキャラクターの電脳魔術士×バトルゲーマー、18歳の女です。
 普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、敵には「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
エッチな描写もNGです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●ハレンチなのはいけないと思います!
「ハ、ハレンチ! ハレンチです!!」
 戦場に飛び込んできたサーシャ・ペンローズ(バーチャルキャラクターの電脳魔術士・f26054)は開口一番、驚き叫んで顔を両手で覆った。
 自身も割と身軽で露出のある服を纏っているが、裸体に蔓を巻きつけた少女達の姿はいささか刺激が強すぎたようだ。
「女同士なのに、そんなこと気にするのね……まあいいわ、誰が来ようと、女なら始末するだけよ」
 早速敵性植物の少女達は触手を伸ばしてくる。しゅるしゅると風を切る音だけが聞こえてきた。
 見えずとも、サーシャは何かを察知しユーベルコードで対抗する。
「エレクトロレギオン……召喚です!!」
 顔を覆っていた両手を今度は胸の前に突き出して、小型の戦闘用機械兵器の壁を作った。
 防壁でありながら、恥ずかしさのあまり直視できないものを緩和してくれるモザイクでもあった。一石二鳥とはまさにこのこと。
 しかし数は多いものの、一つ一つの強さはそれほどでもない。ばしゅっ、と壁は触手に貫かれ、機械兵器が散っていく。
 それでもサーシャが機械兵器で壁を作ったのは、「破壊されるところまで」織り込み済みで作戦を立てていたからだ。
 不可視の物体を確認する方法はいくつかあるだろう。直に触れることでその存在を認識してもいいし、「見えている物の変化から、その位置を特定」してもいい。
 サーシャは機械兵器の壁を作りながら身を屈めていた。そして壁がどう変化するか、見逃さないように凝視していたのだ。
 一つ、穴が開いた。そこには何か――すなわち、不可視の触手が通り抜けている。
「そこです!!」
 触手が機械兵器の壁から引き抜かれる一瞬の間。そこへ割り込んで電脳世界を展開し、ゲームデバイスを用いて「伝説の剣」を具現化した。
 伝説なのだから、攻撃力も半端ないに違いない。たまにそんなものよりも強いメタルなんちゃらとかの剣があったりはするが――ともかく。
 サーシャは両手で剣を取り、空間を狙って真上からズドンと振り下ろした。地面に刃先が突き刺さるほどの破壊力は触手を両断するに十分だった。
「きゃああああ!! いったーい!!」
 触手を斬られた少女は悶え苦しむ。感覚を共有しているが故に、不可視の触手は弱点でもあった。
(触手を斬り飛ばしていけば――勝てそう!)
 無理に少女達へと攻め入らなくてもよい、と理解したサーシャは機械兵器の壁を活用して触手を次々と斬り飛ばしていった。

 そして気づけば死屍累々。サーシャも含め、猟兵達はラフレシア型『敵性植物群』を討伐しつくしていた。
「これにて、ミッションコンプリートです!」
 バーチャルキャラクターとして何となく言わないといけない気がして、サーシャは可憐な勝利ポーズを決めた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『十字皇シュラヴィア』

POW   :    我が怒り知る必要なし。我が怒りに呑まれ果てよ!
敵を【完全開放メガリス「ストームクルシス」 】で攻撃する。その強さは、自分や仲間が取得した🔴の総数に比例する。
SPD   :    我が民よ、報いを受けるときだ!
【嘗て守りし超越した力を持つ悪しき人々 】の霊を召喚する。これは【嗜虐の満ちたナイフでの連続斬撃】や【肉体的・精神的苦痛を齎す陰湿ないじめ】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    古き友よ、今こそ約束を果たそう・・・・
【亡き無二の友、嵐を起こす魔剣の騎士 】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠白石・明日香です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●十字皇シュラヴィア
 悪の掟を定めた張本人、十字皇シュラヴィア。
 彼女の拠点は島民の居住区から遠く離れた山中にあった。
 舗装された道路が山中から居住区に伸びており、ラフレシア型『敵性植物群』はその道路を辿って島民達の元へとやってきていたのだ。
「……そうか、彼女達は全て、倒されたということか」
 猟兵の姿を見て全てを悟る。配下ではあるが、倒されたとて別段悲しむことでもない。
 利害がある面で一致していたので使っておいただけの、ただの道具。シュラヴィアにとってはその程度の存在だった。
 シュラヴィアからすれば不本意な邂逅だが、悲観もない。
 倒さねばならぬ相手として、腰ほどもあるツインテールを揺らしながら猟兵達を睨みつけた。
鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
WIZ

彼女が敵の大将か…
パッと見は顔だちの整った女の子
でもその纏っている雰囲気は先ほどまでの相手とは別格のものだ

何故、島の男達を?
自分の気持ちのスイッチを切り替える為にもそう彼女に聞いてみる
まぁ、例えどんな答えが返ってきたとしても島民達の為には彼女を倒さねばならない事に変わりはないのだけど

序盤は彼女と魔剣の剣士の攻撃を【見切り】を使いつつ直撃を避け、相手の太刀筋を確認
退魔刀でまともに切り結ぶには厳しいかもしれない
相手の動きをある程度把握出来たら【黄昏の翼】で勝負に出る
負傷した傷を力に変え、上空から光陣の呪札の【乱れ撃ち】と退魔刀による上空からの一撃離脱攻撃
攻撃に緩急を付けながら戦う



●地上、そして空の戦いへ
「君が……あの植物の子達を使って、島の男を連れ去っていたのか」
「……そうだ」
 ひりょの言葉にシュラヴィアは短く答える。
 ぱっと見は顔立ちのよく整った少女だ。黙って街を歩けばナンパの二つ三つは受けてもおかしくなさそうだが、彼女に声を掛けた男は悉く首を刎ねられるのだろう。
 ひしひしと伝わる威圧感。シュラヴィアが持つ大剣も然ることながら、シュラヴィア自身が纏うオーラがひりょの精神に圧をかけている。
「……何故、島の男達を?」
 ひりょはまた言葉をぶつけた。
 どんなに敵だとわかっていても、見た目というものは思っているより脳に働きかけてくる。それが美麗な少女ともなれば、まさか、という疑念が過らないわけでもない。
 その考えは捨てねばならない。そして、敵の真意を敢えて聞くのは、気持ちのスイッチを戦闘モードへと切り替えるための一つの手段だった。
 尤も、たとえどんな理由が出てこようと倒すべき相手であることはひりょも承知している。
「メガリスを用い、我が直属のアマゾネス部隊を作る――その下準備といったところだ。お前達が倒してきた敵性植物とは丁度利害が一致したからな。いいカモフラージュになった」
 メガリスを手にすれば、人は生きてユーベルコードに覚醒するか、死んでコンキスタドールへと変貌する。その力を利用したアマゾネス部隊の構築がシュラヴィアの真の目的。
 つまり、「男は不要」だから島から間引かれていたというわけだ。そして単に殺すならば、敵性植物の餌にしておけば戦力の増強にも繋がる。わざわざ1日1人にしていたのは、敵性植物の趣味趣向の問題だったのだろう。
 やることが遠回りで――だからこそ、島民達は長く苦しんだ。
 倒さねばならない。ひりょは一層決意を固める。
「長話もここまでだ……古き友よ、今こそ約束を果たそう……」
 シュラヴィアは大剣を墓標のように眼前に立て、念じた。辺りに風が生まれ、旋風となり、空高く成長し嵐となった。
 ひりょは右腕を盾に突風を堪える。
 嵐より現れたのは魔剣の騎士だった。全身が甲冑に覆われ、仮面の奥の顔は伺い知れない。
 魔剣の騎士が風に乗って前へ、ひりょへ襲い掛かる。重厚感のある甲冑ながらそれに似合わぬ俊敏さを併せ持ち、瞬きをする間もなく詰めてきた。
 退魔刀『迅雷』を握る手に力が籠るが、ぐぉんと唸る太刀筋に考えを改めた。真正面からやり合ってはいけない――警鐘に反応し魔剣の軌道を見極める。
 間一髪の反応だった。漆黒の前髪がひりょと騎士、二人の間にはらりと散った。
「かの剣を受けられねば、話にならぬぞ!」
 騎士が巻き起こす嵐に乗ってシュラヴィアが飛んでいた。騎士の頭上を越え、落下の勢いを乗せて大剣をひりょの頭に落としてくる。
 黙ってかち割られるわけにはいかない。ひりょは騎士が魔剣を薙いだ方向とは逆に跳んだ。空間を断つシュラヴィアの刃は地面を砕き、半透明の刃の向こうで景色が揺れた。
 シュラヴィアが騎士とひりょの間に割って入る位置関係になり、更なる追撃が一瞬遅れた。それでも一秒にも満たない余裕、その中でひりょは魔剣の出所を探る。
 右方向からのかち上げ――魔剣は今し方攻撃を終え身を屈めたシュラヴィアの頭上を越えて飛んできた。それをひりょは、今度は前髪を断たせずに避けていく。
 互いの特性をよく理解したシュラヴィアと魔剣の騎士の連携に、若干ながらひりょの目が慣れてきた。だからといってこのまま回避を続けるのは、シュラヴィアが言うように話にならない。
 ひりょは勝負に打って出る。
『翼よ、今こそ顕現せよ!』
 ひりょの全身に黒白のオーラが宿る。それは背に翼を象り、飛翔による機動力を与えた。
 一対二だ。数で勝てぬ分、手数を稼いでいかなければならない。そしてこのオーラの特性を生かすため、ひりょは先にあえて接近戦に臨んだ。
 まともに一太刀入れば上等。そうでなくとも刃を交えておくことでシュラヴィアと騎士を纏めておく必要があった。
 退魔刀を握り、ひりょは前に出る。狙うは魔剣を振り抜いたことで体が開いた騎士だ。魔剣を持つ右腕を狙い退魔刀を袈裟に薙ぐが、割って入ったシュラヴィアが下から剣を振り出して受け止めた。
「これしきの力……造作もない」
 がつん、と下からハンマーを打ち付けられたような感触だった。シュラヴィアの跳ね上げに体が伸びたひりょへ魔剣が嵐を帯びて迫る。それもシュラヴィアの体の陰から――。
 ひりょは退魔刀を跳ね上げられた勢いを利用し、空への脱出を図った。翼がばさりと宙を掴み飛び上がったひりょの体はどうにか魔剣を逃れたが、嵐の余波が細かくひりょの全身を刻む。
 肉が焼かれたかのような熱い痛みに表情を歪めながらもひりょは光陣の呪札を取る。負傷することも作戦の内に入れていたからこそ、即座の反撃が可能だった。
 ひりょの負傷はオーラを介して力へと変わる。呪札の輝きが増していた。
「貫け!」
 投擲された呪札は光の槍の雨となった。急上昇から間髪入れずの反撃は然しもの二人も対応が遅れ、光が甲冑を砕き、シュラヴィアの柔肌を切り裂いていく。
「空中か……!」
 シュラヴィアは騎士の肩を踏み台にして跳躍した。時間制限の空中戦。大剣が暴れるも、空に機動力を持つひりょが優位に立っていた。退魔刀を大剣にぶつけ、離脱しては呪札を飛ばし牽制する。
「ぐっ……」
 やがてシュラヴィアの体が落下を始める。呪札を大剣の側面で弾いているところへ、ひりょは滞空状態から一気に速度をつけての急降下。二段階の攻めをシュラヴィアは防ぎきれない。
 シュラヴィアのお株を奪う振り下ろしの一撃がシュラヴィアの脇腹を裂いた。そしてひりょは地面スレスレまで下りたところでUターンのように空へ舞い戻る。
「こ、のっ……!」
 騎士の体に手を付きながら空中で受け身を取って地面への激突は免れたが、滴る血はシュラヴィアのひらひらした衣装を紫に変えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レシア・ラミリィズ(サポート)
「わたくしと楽しく殺し合いましょう?」
「まあ、(相手を褒める様でいて遠まわしに非難する言葉)ですこと」
「(味方を攻撃しかけて)うふふ、ごめんあそばせ!」

設定口調等プロフィール参照
メイン武器は『鮮血剣』カーミラ(呼び:鮮血剣)

生き血を求める魔剣を振るうダンピールの姫君です
主に愛剣に血を吸わせる為にと依頼に参加します

剣の腕は素人並、剣に操られた時は達人の如く扱います
操られてるが故の
敵味方や自分の身も顧みずに斬りかかり
血塗れにされても【生命力吸収】で回復する
バーサーカー的戦闘スタイルが基本

また剣だけでなく吸血鬼の能力や持ち物を活かした
様々なUCを使い戦います

後はお任せ
アドリブ・連携・交流も歓迎です!


ラウラ・クラリモンド
「なるほど、この世界の十字を名乗る者はあなたですか。」「十字皇と聞いては、剣を交えるしかありません。」
【WIZ】で攻撃します。
【フェイント】や【カウンター】を織り交ぜながら、【破魔】を付けた【全力魔法】と【鎧無視攻撃】の【死女の恋】で『十字皇シュラヴィア』を【範囲攻撃】でどこに動いても狙えるようにして【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「私の役目は、少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



●薔薇と十字の乙女たち
 ふぁさり、漆黒が舞い降りる。
「なるほど、この世界の十字を名乗る者はあなたですか」
 十字皇シュラヴィア――その名を聞きつけやってきたラウラ・クラリモンド(ダンピールのマジックナイト・f06253)は不敵に微笑みながら火刀、デイジーを取る。
「それがどうした」
 自らが冠する十字皇の称号にシュラヴィアは頓着する様子は見せず、ラウラを新たな敵とみて大剣を握り込んだ。
「十字皇と聞いては、剣を交えるしかありません」
「あら、独り占めはよくないですわね」
 ラウラとシュラヴィアの間に火花が散ろうかというところへ、仕切り直しの水を差す声が掛かる。
 真紅に深紅を重ねた薔薇衣装に身を包んだレシア・ラミリィズ(鮮血剣姫・f24125)が、また別の方向から優雅な登場を果たし、戦場は三つ巴のような格好だ。
 もちろんレシアは猟兵であるから、この場の勢力図は二対一……いや、厳密にはシュラヴィアが呼び出した魔剣の騎士も加わることで二対二となるが――控える姿は三人の美女を前に居場所を失っているようにも見えた。
「まあ、どこもかしこも十字架だらけ……せっかくだから貴女のその垂らした長髪も真横に伸ばして差し上げますの。そうしてこの鮮血剣を頭に突き立てれば……貴女も立派な十字架ですこと」
 鮮血の残り香を纏う黒剣をすらりと持ち上げ、レシアはシュラヴィアの姿から新たな十字架を作り笑ってみせる。
 尤も今は十字架というより、十字架に張り付けられた聖者のようにシュラヴィアの長髪はたわんでいた。
「減らず口を……!」
 いい加減嫌気が差した、といった風でシュラヴィアと魔剣の騎士は二人の猟兵と開戦した。
 騎士はシュラヴィアと交差しながら疾駆してラウラへと魔剣を向けた。帯びた嵐を斬撃に乗せ、ラウラへと放つ。
「私と十字皇の間に割って入ろうというのね」
 少々不服そうな口ぶりで、ラウラはあえて騎士の攻撃へ身を投じた。嵐を全身に受けて漆黒のドレスが翻る――かと思えば、ドレスはラウラのステップに合わせてふわりと舞うだけ。
 暴風を見切っていたラウラはその中に残像を残し、本体となる自身はくるりと回りながらオーラの防御で風をいなす。そうして今度は反撃に、と刀を放ってみせた。
『幻の快楽を得て、紅き闇に落ちよ』
 刀は瞬時に薔薇へと変わり、風の流れに乗って戦場全体に拡散する。
「ふふ……逃がしませんよ」
 ラウラは氷剣ヴァイオレットも取り、やはり戦場へと投じて薔薇の花びらへと変じさせていた。烈火の赤と氷結の青、二色の花びらは騎士のみならずシュラヴィアへも襲い掛かる。
「ちっ……鬱陶しい!」
 前を向かねばならぬというのに、舞う花びらは常に背後を取るように旋回していた。斬り捨ててもまたどこかから増えてきて厄介この上ない。
 騎士は花びらの奔流をまともに受けていた。甲冑を貫通する破魔の花びらは騎士の核へと突き刺さり力を奪う。がしゃん、と大きな音を立てて騎士は膝から崩れ落ちる。
「このっ……!」
 シュラヴィアは花びらを強引に突っ切って騎士の元へ庇いに回ろうとするが、そこへ雷のような剣閃が落ちた。
 レシアだ。花びらの中でタン、と一つ跳んだ後、鮮血剣カーミラの支配に従いシュラヴィアの進行方向へ剣を振り下ろしていた。
 目の前の地面が崩れシュラヴィアがバランスを失う。先の交戦で負った傷口から散った血液がレシアの黒剣に触れると、その剣身は赤黒いオーラを滾らせた。
「わたくしと楽しく殺し合いましょう?」
 魔剣に支配され、レシアの瞳がぽう、と赤く灯る。操られて薙ぎ振り払う一連の動作はまるでワルツを踊るかのようだ。
 決して騎士の元へは辿り着かせない。そう思考しているのは魔剣か否か。分断されたシュラヴィアは防戦一方となっていた。
「少しでもお役に立てるのなら……この薔薇、あなたに捧げましょう」
 ラウラもまた、魔剣の騎士を置き去りにしてシュラヴィアへと狙いをつけていた。剣と花びら、性質の異なる二つの攻撃を防ぐ術を、シュラヴィアは持ち合わせていない。小さく、それでいて確実に花びらに刻まれたシュラヴィアの体は少しずつ血を失い、それはレシアの鮮血剣が美味しく頂いているようだった。
 その礼なのか、花びらの射出角度を変えようとしていたラウラへひゅっと黒い斬撃が飛んだ。剣の切っ先はラウラの残像を掠めてピタリと止まる。
「うふふ、ごめんあそばせ!」
「あらあら、主以上に元気な子なのね」
 レシアは無邪気な笑みを、ラウラは余裕の微笑みを見せて。これが戦いの最中でのやり取りなのだから、二人の笑みもどこか恐ろしく映ってしまう。
「虚仮に……するな!!」
 それだけの余裕を見せられてはシュラヴィアも黙っていられない。自分の体が刻まれるのを覚悟で大剣を高く振り上げ、一撃で二人を斬り払おうとしたが。
 薔薇の旋風に乗って宙をくるりと回りシュラヴィアの頭上を越えていく二人の姿は、どんな絵画にも勝る美しさだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

豊原・フィリス
あの掟を定めたこの子を倒せばひとまず平和ね
それにしても理由のよくわからない掟だったわ
あ、理由は別にいいわよぉ、そこまで興味ないからぁ

ダッシュして間合いを詰めて【巨乳激甚撃】でおっぱい属性攻撃の鎧無視攻撃よ
2回攻撃でダメージを重ねてほかの猟兵さんの援護をしましょう
ちょっとやそっとじゃ、おっぱいの浸透衝撃を防ぐことはできないわぁ

わたしは正直あんまり戦闘って得意じゃないけど、それでも時間稼ぎくらいなら問題ないわ



●進撃の巨乳
「ひとまずあの子を倒せばこの島は平和ってことね。何か言ってた気がするけど……興味ないから別にいいわぁ」
 掟を作った理由がどうたらこうたら。シュラヴィアは猟兵の問いに答えていたようだが、結局何であれ倒す、というのは猟兵の共通認識だ。
 これまでの戦いで疲労したシュラヴィア。動きは鈍っているようだった。フィリスは戦闘が得意なタイプではないが、それでも隙ができさえすれば一撃加えることはできる。
 肩で息をするシュラヴィアにフィリスはダッシュで詰め寄った。
 走れば揺れる。そう、揺れるのだ。ダッシュともなれば、ばるんばるんであった。
『うふふ、触ってみたいの?』
 大剣を握り締めたシュラヴィアの間合いへ一瞬早く踏み込んだ。耳元で囁けば、如何に同性のシュラヴィアと言えど、
「なっ――何を言う!!」
 たじろぎ、怯む。フィリスとシュラヴィアはほとんど密着しているような距離だ。
 故に、シュラヴィアがたとえ拒絶しようとフィリスのたゆんたゆんの胸からは逃れられず、メガリスの力の解放も間に合わない。
 大質量の二つの球体がボン、ボンとシュラヴィアの胸を直撃した。シュラヴィア自身もそこそこあるほうだったがフィリスには負ける。速度と質量が掛け合わさって膨大なエネルギーとなった一撃はシュラヴィアの胸を押し潰しながらその体を跳ね飛ばした。
 ダンプカーにでも衝突されたかのようにシュラヴィアは軽く宙を舞った後、地面の凹凸に体を痛めつけられながら転がっていく。大剣が手から離れ、からからからん、と滑っていった。
「あらぁ、ちょっと刺激が強すぎたみたいねぇ」
 腕を組んで胸を強調するポーズを見せるフィリスを前に、むせ返る砂埃を味わわされたシュラヴィアはぎりりと地面に爪を立てていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゴリラ・シャーク
シャーク『霊やら騎士やら美女やら……ハハッ!ここは食料に尽きねぇな!ゴリラなんかのお腹に刺さってなかったら全部食べたいぐらいだぜ!』
ゴリラ「さっきいっぱい食ったばかりなのにうほか?…今は島民のいる所に行かせる前に殲滅させることが優先うほ。中心の女の子のオブリビオンを倒すうほ!」
シャーク『わかったわかった…他は"障害物"だな。行くぞ!』

UC【フカきモノ】を使用
相手のUCで現れる騎士たちを"移動の邪魔になる障害"とみなし、すり抜けて直接シュラヴィアだけを攻撃します。
現在は1分程しか続けられないですが、懐に潜り込めたら問題なし。
UC解除後は背中の攻撃を、我慢しつつシュラヴィアの目の前を取り戦います。



●骸は島風に消ゆ
 シャークはヒレを器用に動かしてシュラヴィアを指……いや、ヒレ差した。
『霊やら騎士やら美女やら……ハハッ! ここは食料に尽きねぇな! ゴリラなんかのお腹に刺さってなかったら全部食べたいぐらいだぜ!』
「さっきいっぱい食ったばかりなのにうほか?」
 ゴリラは豪快にむしゃむしゃと触手を喰らっていたシャークを思い出す。シャークの腹部分はゴリラの腹に埋まっているのでよくわからないが、相当詰め込まれていたはずだ。
 なのにまだ食べたいというのだから、これこそまさに聞いて呆れるというもの。ゴリラは何と答えていいかわからず、ぽりぽりと頭を掻く。
「……ともかく、今は島民のいるところに行かせる前に倒すのが優先うほ。魔剣の騎士は無視して女の子のほうを叩くうほ!」
『わかったわかった…他は"障害物"だな。行くぞ!』
 シャークの目の色が変わっていく。
『そうだ……俺は"この海"で生まれ変わったんだ……"フカきモノ"として!』
 大口を開けたシャークからコントラストの無い水のようなものがだばだばと吐き出された。激流は瞬く間に場に満ちていく。
 これは骸の海――過去の集積体。ゴリラもシュラヴィアも魔剣の騎士も、等しく戦場に満ちる液体の中に居た。
『制限時間は1分だ! その間に決めろ!』
「わかったうほ!」
 液体の中でありながら、動きは地上のそれと同じだった。どすどすと走り出し、太い腕をぐるぐると回し勢いをつける。
 シュラヴィアの前には騎士が待つ。しかし、シャークが放出した骸の海の中ではその力も無力と化す。
 騎士が魔剣を振り上げた。そのまま斬り下ろそうとしたが、剣身がどういうわけか振り下ろす勢いに耐えられずボロボロと崩れ落ちた。
 騎士の顔は仮面に覆われ表情は伺えない。感情があるのかもわからない。魔剣を失った騎士はただ立ち尽くすだけであり、ゴリラが軽く小突くと事切れたように倒れた。
「なっ……我が友が……」
 唯一無二の友であり相棒が無残に散った。シュラヴィアは動揺の色を見せたが、向かってくるゴリラに対しキッと睨みつけながら落とした大剣を手にする。
「いいだろう……我が一撃に全霊を賭ける!」
「おいらも一撃で決めるうほ!」
 この一撃が外れれば、彼らに勝機はない。戦場でも茶化す心の余裕は忘れないシャークだったが、この時ばかりは固唾を呑んで行く末を見守っていた。
 力が漲る剛腕がぼぅ、と空気の壁を突き破って放たれる。拳は最短距離でシュラヴィアの顔面へと向かっていた。
 対し、シュラヴィアも大剣による突きを放つ。こちらもゴリラの顔面、急所を一撃で穿たんと。
 リーチの長い大剣が先にゴリラの顔面へ――届かなかった。体重移動で体をずらしたゴリラの耳の横をひゅん、と風を切って通り抜ける。
 刹那の後、シュラヴィアの視界は鮮血に染まっていた。骨ばった拳は突き出された大剣の横をすり抜けると、鼻先から顔面にめり込んだ。ゴリラはさらに全身の力を使い、巻き込むようにして真下へ拳を振り下ろす。
 シュラヴィアの足が地を離れ一瞬宙に浮いた。空中で半回転し後頭部から地面に激突、長いツインテールがばらけて地面に広がった。
「我が……野望、が……」
 骸の海が引いていく。空を見つめるシュラヴィアの瞳はやがて光が消え、体は砂となって島風に飛ばされた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月10日
宿敵 『十字皇シュラヴィア』 を撃破!


挿絵イラスト