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Red Line on the SkyHigh

#クロムキャバリア

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#クロムキャバリア


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 『ーOctober 1st 14:00 PM
 乗組員の皆様に、お知らせ致します。
 都市型航空飛行艇タルタロスは、まもなく、ザンテロッサ平原を抜け、サガルマータ首都タバリア郊外へと入ります。ドッグ入港は、1624時の予定です。
 格納区画職員は、担当エリアの、積荷の確認をお願いします』
 (あ……もうそんな時間か……)
 アリア・シルバートーンは、スピーカーから流れたアナウンスにハッと目を覚ました。
 ここは飛行船の貨物デッキの裏口へと繋がる非常階段。
 大多数の職員は船内の正面ゲートから此方に来る為、此処はあまり人が来ない。アリアのお気に入りのサボり場所だった。
「しょーがない、少しはお仕事しないと怪しまれちゃうもんね」
 大欠伸をしながら重い腰を上げた彼女は、貨物デッキに入ると滑り込むようにコンテナの陰へ。
 既に他の職員達がそれぞれの持場で点検を始めている。
 同僚に見つからないように持ち場へ向かうのも慣れたものだ。
「よっしとうちゃーく……あれ?」
 しかし、この日は彼女の持ち場に、見慣れないものがあった。
 (なんだろ…キャバリア用の武装パーツ?) 
 金色に輝く巨大な円筒形の機械部品は、なるほど言われてみれば大砲の様にも見える。
「えーこんなの私の担当カテゴリーじゃないじゃんもー……」
 ぶつくさ言いながらも取り敢えず隅に移動しようと手をかけたその時。

 ―――破壊■よ……■壊せ■……破■■■―――

「えっ?」
 突如、アリアの脳内に洪水の如くどす黒い思念が流れ込んでくる。

 ―――破■■よ…■■■…■■■■■■!!!!―――

「なに…これ…! 頭の中に……直接…」
 脳髄を虫に食い荒らされる様な頭痛に、その場に倒れ伏すアリア。
 薄れゆく意識の中で彼女の目に映っていたのは、どす黒いオーラの触手を伸ばしながら自分に迫る、金色の砲の姿だった。
(誰か……助け……)

●inグリモアベース
「本当に…曰く付きの武器って言うのはどの世界にもあるんですね」
 予知映像をホログラムウインドウに映していたユノ・ウィステリア(怪異蒐集家・f05185)は、そう言い軽く溜息を付いた。
「この後、飛行船は操られたアリアさんの手によって中から撃墜されてしまいます。後で説明しますが、もしそうなった場合、地上に甚大な被害が出ますので、何としても阻止しなければいけません」
 新世界クロムキャバリア。
 無数の小国家が生産施設「プラント」を巡って戦いを繰り広げる戦乱の世界。
 その国家の一つ、巨大企業連合体サガルマータは、重工業から製薬メーカーまで、様々な企業が寄り集まった連合国家だ。
 キャバリアの製造技術、運用レベルにおいても周辺国から頭一つ抜きん出ていると言われており、何かと目の敵にされやすいと言う。
「そもそも戦争の目的が「プラント」の争奪戦と言うことは、「プラント」とは即ち国の心臓部も同然。当然ながら、どの国もプラントの防衛は厳重に固めますよね。只、サガルマータが取った対策はちょっと変わっていて、プラントそのものを飛行船に搭載してしまったらしいんです」
 都市型航空飛行艇タルタロス。
 ステルス迷彩で姿を消し、常に国内の領空を彷徨う、文字通りの空飛ぶプラントである。
「プラントの位置を常に移動させる事で、敵国に攻撃座標を絞らせない狙いなのでしょう。只、プラントは生産施設ですので、どうしても貨物輸送機能は持たせないといけません。タルタロスは国内を定期的に巡回する事で物流網の要になっているらしいのですが、今回はその物流を逆手に取られた様ですね」
 ユノがウインドウに武装パーツの設計図を映し出した。どうやら腕に取り付けるキャノン砲の様だ。
「そしてこれが、今回何者かによってタルタロスに持ち込まれ、アリアさんを取り込んでしまった【BS-A量子収斂炮『プリマドンナ』】と言われる物です。この世界のオブリビオンはオブリビオンマシンと呼ばれ、キャバリアを汚染してパイロットを操ります。このプリマドンナは謂わば呪われた武器ですね。このパーツ単体がオブリビオンマシンとなって、装着したキャバリアをオブリビオンマシンにしてしまうのですが……厄介な事に人間にも装着する事が出来てしまいます」
 恐らくプリマドンナから発せられるビーコンによって座標を割り出す作戦なのだろう。
 既にタルタロスの進行方向上にキャバリア部隊が展開しているとの情報もある。
 問題はその攻撃地点だ。
 ユノが新たなウインドウに広域地図を表示し、そこにタルタロスの進行ルートが重ねられる。
「このまま行くと、タルタロスはサガルマータの首都付近で撃墜される事になるでしょう。只、これを見て下さい」
 地図が拡大され、3Dの鳥瞰図へと変わる。
 急角度で下を向いたタルタロスの進行ルートは、何か巨大な施設に激突している。
「戦闘区域の近くには、化学プラントが密集しているんです。軌道計算の結果、もし私の予知したタイミングでタルタロスが撃墜された場合……高圧ガスの燃料タンクを直撃します」
 猟兵達の間を静かな緊張感が走り抜けた。
 その様子にユノは、お分かりですね?と念を押し、
「―――では作戦の流れを説明しましょう。フェイズは大きく分けて二つ。まずはタルタロスの進行ルート上に展開している敵国のキャバリア部隊を先回りして排除してもらいます」
 既にサガルマータ軍にも協力は取り付けてある為、キャバリアを所有していなければ借り受けることも出来る様だ。
「第二フェイズでは通りがかったタルタロスに侵入し、アリアさんを捜索、無力化してもらいます。最も、今の彼女は【目に映る武装している物を無差別攻撃する】バーサーカーと化しています。キャバリアが集団で近付けば、態々探すまでもなく向こうから船外に飛び出してくるでしょう。空中戦となりますが、この世界には「殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)」と呼ばれる軍事衛星によって、高速飛翔体が破壊されてしまうと言います。あまり高度を上げすぎるのは危険かもしれませんね」

 天球儀が回転を始める。
 リング状に展開したゲートの向こうからは、鉄錆の匂いが風に乗って流れてきた。

「状況が状況だけに、アリアさんの生死は作戦目標には含まれません。出来るだけ助けては欲しいですが……もしもの時は、決断をお願いします」


龍眼智
 騙して悪いが仕事なんでな……このシナリオに参加してもらおう
( ・`ω・´)
 龍眼智です。

 いやぁ遂に来ましたねロボ物世界!
 龍眼もテンションが上りすぎてオープニングがめちゃくちゃ長くなってしまいました(汗
 仕方有りませんね。きっと身体が闘争を求めていたんです。
 では、以下構成です。

第一章;集団戦【ギムレウス】
 地上戦となります。
 ユノも言っていましたがキャバリアが無い方は借りる事も出来ます。
 専用機がある方は是非とも文字数が許す限り設定を詰め込んで見て下さい。
 可能な限り頑張って拾います。

第二章;ボス戦【BS-A量子収斂炮『プリマドンナ』】
 タルタロス船外でアリアとの空中戦になります。
 説得して正気に戻すのは不可能と言っておきましょう。
 やるなら力づくで。只、隙を作る事は出来るかも知れません。
 尚、殺す方向でプレイングを書くと、三章開始時にアリアは死亡します。

第三章;日常
 戦いの後はお風呂ですね! 
 タルタロス内部の大浴場を貸してもらえます。 
 脈絡がない?気にしてはいけません…


 ―――OPEN COMBAT―――
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第1章 集団戦 『ギムレウス』

POW   :    砲撃モード
自身の【背部大型キャノン砲】を【砲撃モード】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
SPD   :    メタルファング
自身の身体部位ひとつを【機械で出来たワニ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    接近阻害地雷敷設
自身からレベルm半径内の無機物を【対キャバリア地雷】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


―――ザンテロッサ平原 サガルマータ国境付近

 キャバリアの残骸が転がる荒れ果てた大地を、黄色の集団が走り抜けていく。
 陸戦型強襲爆撃機ギムレウス。
 鈍重なフレームと肩に背負った大口径キャノン砲を活かして密集陣形を組み、遠距離から目標を焼き払う戦法を得意とする量産型キャバリアである。
「ザッ……此方アローヘッド1、狙撃ポイントへ到着した」
『アローヘッド1了解、400秒後にターゲットが有効射程に入る。周辺を警戒しておけ』
「了解、Over」
 隊長機らしきエンブレムをプリントした一機が片手を上げ、チーム回線を開いた。
「アローヘッド1より各機。此処で密集陣形を敷く。フォーメーションはブリーフィングで伝えた……ん? いや待て、キャバリア反応だと!?」
 そう言った矢先、レーダーに奇妙な反応が現れる。
 自分達から見てすぐ後方。そこに突如数機のキャバリアが出現したのだ。
「馬鹿な! 情報が軍部に漏れていたのか!?」
『機体コード:Unknown サガルマータ軍用機ではありません』
 機体の搭載AIからそんな識別結果が上がってくると同時。最後尾にいた一機が爆砕した。
 立ち昇る黒煙を突き破り、姿を現したのは―――
エメラ・アーヴェスピア
地上や地下にある国には出向いたけれど…今度は空?すごいわねクロムキャバリア
でも、一歩間違えると即墜落なのによくやるわ…後で見学できるかしら…時間ね、猟兵の仕事を始めましょう

先に潜入して情報収集と行きたかったけれど…どうにも無理そうね
…ああ、勿論相手を放置する気はなかったわよ?場所が分かっているのなら配置は簡単だから
『焼き尽くすは我が灼熱の巨人』、砲弾すら焼き溶かす超高熱の盾を張りつつ接近
後は相手を叩いたり、高熱を発する兵器で撃ち抜いたり
まぁ、脱出できるように加減はするわよ?私は猟兵であって傭兵じゃないから
キャバリアの4倍はある魔導蒸気製の無人機体よ
さぁ、派手に行きましょう!

※アドリブ・絡み歓迎



それは文字通り、天からの火であった。
 地面に打ち立てられた真紅の柱は、高密度に焦点を凝縮した火炎放射器の一撃だ。
 駆動部を撃ち抜かれ、内側から破裂する様に爆発するギムレウス。
 それに一瞬遅れ、大地に地響きを轟かせたのは、ギムレウスの全長を遥かに凌駕する要塞級の人型兵器だ。
 【焼き尽くすは我が灼熱の巨人】。エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)の操る全長20m超の魔導蒸気鎧装である。
 大破したギムレウスから射出された脱出ポッドの軌道を見上げながら、エメラは未だ見ぬ飛行船に思いを馳せていた。
(地上や地下にある国には出向いたけれど…今度は空?すごいわねクロムキャバリア)
 中々に思い切った事をしたものだと思う。何せ空では逃げ場がない。一歩間違えば国の生命線とも言える重要設備が真っ逆様に自分達の上に墜ちてくるのだから。
 最も、それが逆説的にこの国の技術力の高さを証明しているとも言えよう。
 エメラは腰に付けた懐中時計を確認すると、改めて残りのギムレウスに目を向けた。
「まぁ……それは後で見学させてもらうとして、時間ね。猟兵の仕事を始めましょう」
 内燃機関が唸りを上げ、蒸気の巨人が全身から咆哮宛らに白煙を放射する。
 赤熱する巨大な拳を振り上げながら、真っ直ぐにギムレウス達に突撃した。
「チッ! 時間がねぇってのによぉ!」
『アローヘッド1、アローヘッド5の通信が途絶えた。何が起きている』
「此方アローヘッド1! 所属不明機の攻撃を受けている! ジャイアント級だ!」
『何だと....!? 悪いが急いでくれ。接敵までもう時間がないぞ』
「うるせぇな分かってるよ!」
とは言え、巨人の動きは鈍重だ。不意打ちで先制攻撃には成功した物の、長距離射撃を得意とする相手からすれば格好の的である。
 事実、大型キャノン砲の集中砲火に晒された巨人は瞬く間に爆炎の中に身を沈める事になる。

だがそれは---相手に特別な防備が何もない場合の話である。

 巨人が纏う蒸気の白煙は単なる排気ガスではない。超高温によって発せられる陽炎で距離感を狂わせるだけでなく、飛来物を溶解させるバリアにもなるのだ。
 コックピットのない無人機だからこそ可能な芸当と言えよう。
「終わりかしら? じゃあ此方の番ね、派手に行きましょう!」
 大上段から地面目掛けて振り下ろされた拳は、ギムレウスの砲身を分厚い装甲ごと飴細工の様に割断した。
 次の瞬間には、頭部から照射された熱線が数機纏めて頭部を吹き飛ばす。
「クソッ! どうなってんだコイツは! 当たってる筈なのに全然ダメージを食らってる感じがしねぇ!」
「表面温度...4000!? 違う、当たってるんじゃない! 当たる前に弾頭が燃え尽きてるんだ!」
「安心しなさい....加減はしてあるから。だって、私は猟兵であって傭兵じゃないもの」

 吹き荒れる熱風に金色の髪を遊ばせながら、彼女は巨人の蹂躙を眺めていた。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

獅子戸・玲桜奈
プラント付きの飛行船とはなかなかスケールがデカいじゃねえか。そんなデカブツを落とさせる訳にはいかねえな。
行くぜフレイムウィング!俺たちで飛行船を守るんだ!

どれだけ数がいようが関係ねえ。敵陣に切り込んでぶん殴るだけだ!格闘戦なら大得意だから任せとけ!
噛みつきで応戦されたら顎を押さえつけて防御だ。逆にそのまま怪力で引き裂いてやるよ!

このまま殴り合ってても構わねえがあんまし時間かけてもいられねえ。悪いが一気に決めさせてもらうぜ!
現れろ炎の翼……エネルギー充填120%!クリムゾンサンダーで全員丸焦げだ!



 つい先程まで静寂が支配していた平原は、この時一気に戦場へと化した。
 この時、巨人が暴れまわる隙を突いて側面に回り込んでいた者がいる。
「へっ、プラント付きの飛行船とはなかなかスケールがデカいじゃねえか。そんなデカブツを落とさせる訳にはいかねえな」
 金の瞳に燃える様な真紅の短髪が特徴的な少女、獅子戸・玲桜奈(炎の翼・f30087)はギムレウス集団の真横まで全力疾走で辿り着いた。
 不意打ちで相手が陣形を崩している今が好機。此処から敵集団を強襲すれば更なる打撃を与えることが出来るだろう。
「俺の熱き想いに応えろ!フレイムウィング!」
 中天にフレイムサインを掲げ、玲桜奈は己が相棒の名を叫ぶ。
 背後で炸裂した天を焦がす火柱が瞬く間に人形となっていく。
 一瞬の後、そこには鋭角なシルエットの真紅のスーパーロボットが顕現していた。
 その名も、紅蓮神機フレイムウィング。
「行くぜフレイムウィング!俺たちで飛行船を守るんだ!」
 コックピットに入った玲桜奈は操縦桿を握り、吼える。
 この激情が、フレイムウィングに無限のエネルギーを与えるのだ。
「なっ!? 新手だと!」
「オラァ! まずはお前からだ!」
 弾丸めいて突貫したフレイムウィングの右フックが、ギムレウスのキャノン砲を根本から吹き飛ばした。
 そのまま勢いで回転した砲身の先端をキャッチし、全身で回転しながら即席のメイスとして隣の機体に叩き込む。
 巨大ロボットらしからぬ有機的な動きは、格闘戦を得意とする玲桜奈ならではだろう。
「このっ…いい加減にしやがれ!」
 勿論向こうもやられっぱなしではない。
 被弾した機体を庇うように、横から新たなギムレウスが割り込んできた。
 変形した胸部装甲を衝角の様に突き出しながら突進してくる。
「へっ、動きが単純なんだよ!」
 玲桜奈が先端の向きを変えて突進をいなそうとしたその時、
「そいつはどうかな!?」
 鋭角に尖っていた先端が突如、中央から真っ二つに割れた。
 その断面は鋼鉄の処女と言うべきか。一度獲物に喰らいついたが最後、万力の様な力で相手を圧壊させてしまうだろう。
 長距離射撃特化のギムレウスに搭載されている唯一の白兵装備、メタルファングである。
 黄金の顎は、そのままフレイムウィングの胴体をガッチリとホールドしてしまった。
「ハハッ! 手間かけさせやがって……!」
 ギリギリと万力の様な力で顎が締め上げられ、フレームが軋みを上げる。
「……言ったろ。動きが単純だってよ!」
 しかし―――果たして軋みを上げていたのは何方だったのか。
 次の瞬間、フレイムウィングの両手が勢いよくメタルファングを中央から押し広げた。
「なっ!?」
 可動域をあっさり超えた胸部装甲が派手なスパークを撒き散らしながらもぎ取られる。
 自由を取り戻した玲桜奈は、装甲を投げ捨て空へと舞い上がった。
「このまま殴り合ってても構わねえがあんまし時間かけてもいられねえ。悪いが一気に決めさせてもらうぜ! 現れろ炎の翼……」
 フレイムウィングの眼に金色の光が宿り、背部バーニアの出力が爆発的に上がっていく。
 そうして形成されるのはフレイムウィングの全長を遥かに超える長大な炎の翼。
 神機を名前にもなっているこの赤き炎の翼は、神機が操縦者の熱き魂に応え、真の力を解放した時に現れるのだ。
 燃え盛る炎は翼を通じてフレイムウィングの全身を駆け巡り、掲げた掌に凝縮していく。
「エネルギー充填120%! 響け閃光!貫け雷破!クリムゾン……サンダァァァ!」
 一瞬、辺りから全ての音が消えた。
 臨界点を迎えた玲桜奈の熱き魂のエネルギーが、雷となって大地を駆け抜けたのだ。
 莫大な閃光が収まったその時、彼女の前には、抉れた大地が残るのみであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

荒谷・つかさ
よくもまあ、そんな被害の出る作戦を平然とできるものね……
これ考えた奴もオブリビオンマシンに取り込まれてるんじゃないかしら?

奴の背負ってる砲は明らかに対大型目標用、人間サイズのものを狙撃するには不向きのはず
可能な限り見つからないよう、障害物を利用したり他の戦闘に気を取られてる隙を突いたりして至近距離まで生身で接近し【XGG00『機煌炎神』スルト】発動
走りながら召喚した機体と合身、そのまま格闘戦へ移行
噴進式鉄拳(ロケットパンチ)や胸部熱線砲、スーパーロボット故の高出力を活かした「怪力」での投げ飛ばし等で豪快に戦う
(※なおスルトの頭頂高は約3m、この世界の一般的キャバリアより二回りほど小さいです)



 ―――タルタロス到着まで、残り200秒。

(よくもまあ、そんな被害の出る作戦を平然とできるものね……これ考えた奴もオブリビオンマシンに取り込まれてるんじゃないかしら?)
 爆炎と鉄塊が乱れ飛ぶ荒野を風の様に駆ける濡羽色の影が一つ。
 荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)だ。
 5mの鋼鉄の巨人が高速で行き交う現状は、生身の人間の視点で見ると大型トレーラーが縦横無尽に走行する中を突っ切る行為に等しい。
 言うまでもなく自殺行為だ。如何に異次元の膂力で数々の敵をねじ伏せてきた彼女と言えど無事では済むまい。
 だが、つかさは微塵も臆すること無く、身軽な動きで巨人の爪先を乗り越え、爆風を掻い潜り、ギムレウス集団の奥へ奥へと足を進める。
 狙いはこうだ。
 敵機体のコンセプトは明らかに対大型目標を想定して製造されたものであり、人間サイズの目標を狙うのは不向きであろう。
 加えてこの乱戦状態だ。
 少なくとも、こうして足元を走り回っている間は、自分が攻撃対象として狙われる事はまず無いと言っていいだろう。
 その隙を突く。
 正面、鶴翼の陣を展開した一個小隊が見えてきた。
「よし、アレに決めた…!」
 数にして5対1。
 だが、つかさは狙いを定めラストスパート。
 同時、虚空に向かって自らの乗機の名を叫ぶ!
「顕現せよ 焔の鉄巨神 紅き眼光 鐵の腕 その姿 神をも灼く刃也!」
 焔と共に、周囲に機殻パーツと無数のリベットが召喚され、牽引ビームによってつかさの全身を鎧装として覆っていく!
『合身!』
 変形した胴体から頭部パーツがせり上がり、両目に真紅の眼光が宿った。
『機煌炎神、見!!参!!』
 その名を、XGG00 『機煌炎神』スルト。
 神々の黄昏において、世界を焼き尽くした炎の巨人の名を冠するスーパーロボットである。
「なっ!?」
 突如現れた新たなキャバリアに反応が間に合わなかったか、中央の一機は助走の勢いを載せた渾身の鉄山靠を諸に喰らった。
 何という威力だろうか。重量級と言っていい黄金の巨体が、僅か3mの小型キャバリアによって宙へと打ち上げられたのだ。
 頭から地面に落下したギムレウスは、ひしゃげた装甲の破片を撒き散らしながら派手に地面を転がっていく。
「こいつッ! 何処から湧いて出やがった!」
 反応するように、周囲のギムレウスが一斉に変形を開始した。
 両腕と頭を折り畳み、砲身を固定した重装甲モードだ。
 最大の長所である射程を犠牲にする代わりに、大幅に装甲の強度を上げる近接戦に適した形態である。
 その幅広の身体で城壁のようにスルトの周囲を取り囲むと、四方から集中砲火を浴びせてきた。
「ッ!? おい待て撃つな!」
 何かに気付いた一機が対面の機体を止めようとする。

 実はこの時―――既につかさは文字通り次の手を『撃っていた』。

 身を低く屈めたスルトから発射された噴進式鉄拳が、砲身の中間付近をガッシリとホールドしているのだ。
「ダッ、ダメだ、間に合わッッグワァアアアー!!」
 軋む様な音と共に、一瞬で砲身が握り潰される。
 エネルギーベクトルの逆流に耐えきれず、機体は破裂するように大破した。
「……へぇ、その変形、少しは意味あったのね。ちゃんと原型を留めてるじゃない」
 再び胴体へとドッキングした手に掴まれたままになっている残骸を、横薙ぎに振り回し、残りの3体を一掃する。
 
 殴り、抉り、引き千切り、灼き尽くす。
 炎の巨人は止まらない。
 その眼に映る盡くを―――この身で打ち砕くまでは。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​


 ―――タルタロス到着まで、残り100秒。
 
 この時、戦場の両端に二つの巨影が姿を現した。
 一つは空、もう一つは陸上だ。
 空に浮かぶそれは、一見して真っ白な立方体のオブジェに見えるが、側面に備えられた4基のエアボンベが、それが飛行船であることを物語っている。
 一辺の長さはメートルで見積もったとしても4桁は下るまい。
 流れる雲を引き千切りながら、悠然と空を征く。
 
 それを迎え入れるように、反対側からは巨大な装甲車が疾走してくる。
 此方も大きさは戦艦クラス。飛行船ほどでは無いにせよ十分にモンスターサイズだ。
 そして車体正面に大きくプリントされた『S』の紋章。

『アローヘッド1、悪いニュースだ』
『安心しろ、もうとっくに最悪の事態だよ!』
『サガルマータ軍に補足された。キャバリアが来るぞ!』
『チッ……本隊のお出ましってか。タイムアップだ、プランBに移行する!』
エル・クーゴー
【Lv2】
●POW


躯体番号L-95
当機は搭乗兵器へのL95式シリーズ武装適応改修に高い適性を発揮します


・マニピュレーター群を操りお借りしたクロムキャバリアをサガルマータ軍人さん達がビビるくらいバチバチにチューン、L95式アームドフォートをアップサイジングして搭載(メカニック+武器改造)

・自分みたいな白/緑のカラーリングに女性的なラインの人型二脚――
・射撃戦特化型高機動キャバリア、命名【アルテミス】(もはや貰ってく気満々)を【操縦】し出陣

・バーニアを噴かしての低空飛行&高高度上昇で敵群をすり抜け(推力移動+空中戦)、こちらを向いた「砲身の中」を照準し【フルバースト・マキシマム】(一斉発射+蹂躙)



 サガルマータ軍移動前線基地スナップスネーク
 キャバリアを5、6機纏めて運搬できる軍用超大型装甲車である。
 格納ドッグでは、エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)がマニピュレーターを操作して自らが搭乗するクロムキャバリアの武装を換装している真っ最中だ。
 当初はサガルマータ軍整備士チームによって調整が行われる予定であったが……

『躯体番号L-95』
『当機は搭乗兵器へのL95式シリーズ武装適応改修に高い適性を発揮します』

 というエルの強い要望により、整備を彼女に一任する事となったのだ。
『オーバーフレームをパージ。管制システムにL95式ウェポンデバイスコンバーターを接続します』
『アクチュエーターラインチェック終了。ギアトルクを8.4に設定します』
 テキパキとキャバリアのオーバーホールを進める彼女の仕事ぶりに、整備士達も舌を巻く。
「へぇ……言うだけあって手慣れてますね」
「あぁ、とても初めて見たとは思えない」
『外部装甲をパージ。内部フレームの軽量化を行います』
「うんうん、次はフレームの軽量化……んッ!?」

「「「軽量化ッ!?」」」

 と思ったのも束の間、ゴツいサンダー(電動のヤスリ)を取り出したエルに泡を食う整備士達。しかし止める間も無く、エルは装甲板を外すと骨格材を削り始めてしまった!
「アァァアァアァァァァ………」
「し、士長!? しっかりして下さい!」
 白目を向いてひっくり返る白髪の整備士長。
 武装や各種部品の規格統一がなされているキャバリアにとって、骨格材はそれらを支える基礎部分である。当然ながら精密な重心計算がされており、そのバランスが狂ってしまうと、もう元には戻せない……。
 そんな整備士達の心の叫びがエルに届いたかどうか……それは定かではないが、とにもかくにも作業は終了したようだ。
 ハンガーに固定されていたオーバーフレームが被せられたその機体は、一般的なクロムキャバリアよりもやや細身だろうか。
 エルと同系統の白と緑を基調とした女性的なボディラインのアンダーフレーム。
 同じく白と緑で纏められたオーバーフレームの背部には三日月型の大型バーニアが搭載されている。
『換装完了。本機を【アルテミス】と呼称します。名称登録。L95式シリーズ火器管制システムとリンクします』
 整備士達の醸し出すうわぁどうするんだこれ的な空気感の中、突如発進シークエンスの開始を告げるサイレンが鳴り響く。
「ちょちょちょっと待ったまだコンバットプルーフ(※安全性の証明みたいな奴)が!」
『機密ハッチ開放。射撃戦特化型高機動キャバリア【アルテミス】、発進します』
 泡を食って復活した整備士長の止める声も虚しく、バーニアを全開にしたアルテミスは、カタパルトを滑り一気に空へと舞い上がるのだった。

 眼下に広がる荒野では、ギムレウス達が次々と戦線を退き、タルタロスへと向かって距離を詰めていく様子が見て取れる。
 アルテミスとリンクしたエルの電脳ゴーグルに敵方の新たな狙撃ポイントがARで表示された。
 プランB―――タルタロス接触前にサガルマータ軍との戦闘及び不慮の事態が発生した場合に決行されるオプションプランである。
 狙撃ポイントを放棄し、至近砲撃にてタルタロスのエアタンクを破壊する。
 当初の狙撃ポイントからは位置がズレてしまう為、化学プラントに突っ込ませることは出来ないが、その分、プラントを使える状態で奪取出来る確率は上がる。
『敵キャバリア座標から進行ルートを算出します』
 エルは、錐揉み回転で一気に高度を下げると、低空飛行に移行。
 ギムレウス達との距離は大分離れているが、機動力の差は歴然だ。
 一気に集団の背後に肉薄すると、すれ違いざまに機関砲の掃射を浴びせる。
「チッ、もう来やがった!」
「気を付けろ、空戦型だ!」
 再び高高度へと逃れたアルテミスを狙い、ギムレウスのキャノン砲が剣山めいて立ち上がる。

 ―――それこそが狙いだ。

 先程の機関砲は此方の存在を知らせる為の只の囮。
 本命は頭上からの一斉掃射!
 エルの視界を瞬く間にロックオンサイトが埋め尽くす。

【 Automatic Aiming Error Correction System ーORION― STANDBY】

【―LOCK ON―】

 キャバリア用にアップサイジングされたアームドフォートの砲門が一斉に火を噴き、雨霰と地面に降り注ぐ。驚いたことに、その全てが、ギムレウスの砲口を真っ直ぐに貫いていた。


「……………………軽量化……成功してるみたいッスね」
 ドッグから双眼鏡で様子を観察していた若い整備士は、同じく背後で双眼鏡を覗いていた整備士長を振り返った。
「………………………………そうみたいね……」

成功 🔵​🔵​🔴​

穂照・朱海
(演技しない口調)
呪われた武器が、こんな形で存在するとは…
これは…捨て置けないな

(量産型のキャバリアを借りたい)
(乗ると妖刀が活性化する)
妖刀が…戦うために作られた者同士共感しているのか?!
闘争を求めるのか…こいつも!
呪いが機体中に広がる!
僕(やつがれ)の体をも操って勝手に操縦し始めた!

(機体がUCの効果を発揮、背には【錦燕】が展開される)
敵に接近し、気迫(というか呪い)で【恐怖を与える】
高速移動で敵を翻弄し、衝撃波を飛ばして攻撃する
白兵戦をメインに戦う

パイロットは殺すな、と必死で精神力を振り絞って抵抗するよ
「闘争を求めるなら、闘争出来る者だけを殺せばいい!」



 そうして地上に咲いた炎の華を、穂照・朱海(妖刃飛翔・f21686)はスナップスネークの甲板上から眺めていた。
 既にタルタロスまでの距離は目と鼻の先だ。
「あの中に、呪われた武器が……」
 聞けば今回の騒動の発端となった少女も、偶然、運悪く呪われた武器を手にしてしまったが為に操られてしまっていると言う。
 脳裏を過るのは嘗て妖刀の呪いを受け、人斬りへと憂き身をやつした自らの姿だ。
「これは…捨て置けないな」
 そう、望まぬ殺生を強要される苦しみはよく解っている。それが呪いの武具によって引き起こされているとなれば尚更だ。
「あぁ、此方にいらっしゃいましたか。機体の調整が完了しています。ドッグまでお越し下さい」
「あぁ、ありがとう。今行くよ」
 サガルマータ軍の整備士の言葉を背に受け、朱海は後ろ髪を引かれながらも、甲板を後にした。
(待っていてくれ…僕(やつがれ)が必ず、君を救ってみせる…)
 そんな静かな決意故だろうか。 
 この時彼は、自らに起こった僅かな違和感を見落としてしまった。

 即ち―――腰に下げていた彼の妖刀・朱天狗に彫られた『朱』の文字が、幽鬼めいた朧気な光を放っていた事に……。

 ドッグに用意されていたのは、主にサガルマータ軍の一般兵が搭乗する量産型キャバリアだ。
 武装はRS-Sミサイルポッドが二門にRXキャバリアソードと言うシンプルな物。
 異変は、整備士から簡単な説明を受け、コックピットのシートに身を預けた瞬間に起こった。
「うッ!?」
 全身の筋肉が一斉に張り詰めた様な、強烈な金縛り。
 だがこの感覚には覚えがある。否、どうして忘れられようか。
 耳元からガタガタと何かが揺れる音がする。
(やはり……妖刀が活性化している!)
 何とシート脇に立てかけておいた朱天狗が独りでに浮き上がると、メインコンソールのパネルを抜き放った刀身で貫いたのだ!
 激しいスパークと煙に包まれるコックピット。
『ザザッ…kえiこく……警告、制御系統に深刻なエラーが発生しました。パイロットは、脱出操作を行って下さい』
 しかし、キャバリアは停止するどころか固定ハンガーを無理やり引き剥がし立ち上がった!
(まさか……戦うために作られた者同士共感しているのか!?)
「ちょ、ちょっと何してるんですか!? 発進シークエンスの途中ですよ!?」
 通信回線からオペレーターの切迫した声が響き渡る。
 歯を食いしばり何とか首から上の自由を取り戻した朱海は、身体を強張らせたまま叫ぶ。
「すまない制御が効かないんだ!」
 回線越しにオペレーターの息を呑む気配が伝わってくるが、時既に遅し。
 妖刀から薄ぼんやりした朱い光が溢れ出したかと思うと、朱海は見えない何かに操られているかの様に、無理やり操縦桿を握らされた。
 そのまま一気にバーニアの出力を最大に上げる。
『緊急事態発生、発進シークエンスを強制終了します。気密シャフトロック解除』
「ダメだ止めるな!!」
 朱海が回線に叫ぶのとキャバリアが爆発的に加速するのは同時。
 一瞬にして目の前に迫る外部ハッチをミサイルで吹き飛ばし、キャバリアは外界へと躍り出た。
(……闘争を求めるのか…こいつも!)
 バランスを崩しながらも高速で宙を舞っていた機体は、背中に巨大な蛾の翅を広げると羽ばたきを一つ。高速飛行へと移行した。
「おいおいおい何だありゃ!?」
「……羽?あの機体羽が生えてんのか!?」
 低空飛行のまま腰だめにキャバリアソードを構え、ギムレウスの背中に肉迫する。
(ッ! マズい!)
 狙いは相手の丁度腰の辺り。先程整備士から聞いた。
 キャバリアの部品は規格統一されている為、構造はどれも大体同じだと。
 それはつまり、相手の機体も【同じ位置にコックピットがある】と言うことだ。
「ウッ、オ、オォォォォォォ!!!」
 渾身の力で朱海は操縦桿から両手を引き剥がすと、朱天狗の刀身を思い切り握り締めた!
 ぬるりと、掌に熱さを感じる。
「殺すな…! 殺すんじゃない!! 闘争を求めるなら、闘争出来る者だけを殺せばいい!」
 
 僅かに―――キャバリアソードの切っ先が変わった。

 高速でギムレウスの横をすり抜けた直後、巻き起こったソニックブームによって黄金色の片腕が宙を舞った。
 その一撃は腕のみならず胴体をざっくりと抉り、コックピットを覆うシェルまで到達している。
 風通しの良くなったコックピットからは、青褪めた顔のパイロットが顔を覗かせていた。
「ハァ……ハァ……」
 滝の様な汗を書きながら息を整える朱海。
 だがキャバリアは動きを止めない。再び単眼に朱い光を宿らせると、Uターンして次の獲物へと襲いかかる。
(早く……早く片付けなくては……)


 ―――タルタロス到着まで、残り20秒

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『BS-A量子収斂炮『プリマドンナ』』

POW   :    クワンタム・カノン
【エネルギーインゴットを装填すること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【量子収斂炮の高エネルギー量子ビーム】で攻撃する。
SPD   :    オーバーロード・クワンタム
【量子収斂炮から飽和量子エネルギー攻撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    クワンタム・ヴォイド
自身の【量子収斂炮】から【骸の海】を放出し、戦場内全ての【近接武器】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はピオネルスカヤ・リャザノフです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ―――タルタロス到着まで、残り 0秒。

 この時遂に、地上を疾駆するギムレウス集団がタルタロスの真下に到着した。
 激しい戦闘をによって、あれほどいた友軍機は最早数える程しかいない。
『ザザッ……アローヘ……ガッ…ッド1より各機。プランB指定座標に到着次第最大出力で主砲発射!』
『ザッ……理です隊長! 残り10機もいないんですよ!? 火力が足りな過ぎます!』
『解ってんだよんなこたぁ!! 不意打ち食らって一撃も入れられませんでしたじゃクライアントに顔向けできねぇだろうが! それにスコーピオン1への合図は我々の攻撃開始がトリガーになっている。この際だ、多少狙いは逸れても構わん! とにかくエアタンクを撃て! 徹底はそれからでも遅くない!』
『あぁぁあもうどうなっても知りませんからね!?』
 そんな自棄糞の通話が交わされ、真上を向いた砲塔から次々とビームが放たれる。
 タルタロスの船底に小規模な爆発が乱舞するが、その面積は微々たるものだ。
 ふと、その中の一つが徐々に赤みを増し、面積を広げていく。
『やったぞ! 延焼したか!?』
 
 ―――そうではなかった。

 それは砲撃によるダメージではなく、内部からの超高熱によって船体が溶解しているのだ。
 次の瞬間、まるで溶け落ちた鉄が噴き出すかの様に、極太の熱線がギムレウス達を残さず焼き払った。
 そしてその穴から少女が一人、宙に身を投げる。
 そのまま地面へと真っ逆さまかと思いきや、彼女は空中で禍々しい機械の翼を広げ、タルタロスの真下10mほどの位置で静止した。
 その腕には、華奢な体躯と明らかに釣り合いが取れていない巨大な金色のキャノン砲が接続されていた。
「壊……せよ……キャ■リア…破壊せよ……」
 
 間違いない、あれこそがBS-A量子収斂炮『プリマドンナ』。
 罪なき少女を殺戮兵器へと変えてしまった呪われし武装である!
エル・クーゴー
【Lv3】
●SPD


躯体番号L-95
『要救助対象』を目視で捕捉しました


・キャバリア【アルテミス】を【操縦】しエントリー

・低空をカッ飛ぶ回避機動を取りながら(推力移動)、各搭載武装を仰角を持たせ運用
・少女とプリマドンナの寸断を狙い狙撃戦(スナイパー)

・同時、整備士チームに「もうこのキャバリアちょうだい(※意訳)」ってお願い
・要望が通れば採れる手段がある

・機体を完全に自分の物とする――『L95式キャバリア【アルテミス】』として完全掌握することで、この機体は【蒼い彗星】の強化対象に指定可能となる(リミッター解除)!

・『殲禍炎剣』を警戒しつつ高度アゲ(空中戦)
・向上した火力&機動でミドルレンジ戦を敢行


穂照・朱海
――これは『戦国』だ

サムライエンパイアで幕府成立以前、生前の織田信長が戦い抜いた時代

この世界は、今も戦国だ
そして……この妖刀は戦国に生まれた
殺すための道具として

この世界の空気に触れて、その本質を思い出したのか
或いは、『同類』の存在を感知したか
(プリマドンナ『だけ』を見る)

キャバリアは降りられない…
今下手に戦いを止めようとすれば意識までも乗っ取られかねない

ほんの一瞬でいい……
妖刀の怨念と同調し、斬る『箇所』と『範囲』を制御する
マシーン越しだが、キャバリアの精密動作性ならば可能なはずだ
砲のみを斬る!

自分に言い聞かせる
朱海…うまくやれよ
お前は猟兵になったのだろう

猟兵は殺すための道具じゃないんだ!



「キャバリア……破壊する……破■…」
 戦場の第二ラウンドは、土砂降りの様な光線の乱舞から始まった。
 上空に静止するアリア、否、プリマドンナから猟兵達へ向けて大量の飽和量子ビームが降り注いだのだ。
「『要救助対象』を目視で捕捉しました。MISSION TARGETを【対象の無力化】に設定。ワイルドハントを開始します」
 エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)の乗機【アルテミス】は、巧みなコントロールで光の雨を潜り抜けていく。
 その合間を縫って機体を地上スレスレの背面飛行にチェンジ。
「LOCK ON」
 L95式アンチマテリアルライフルを構えるが、しかし――

 【警告:要救助対象を損傷するリスクがあります】

 ターゲットサイトに【FRIENDLY FIRES】の文字が表示され、トリガーがロックされてしまう。
 チューンナップによってサガルマータ軍用キャバリアとは比較にならない機動性を手に入れたアルテミスではあるが、その搭載AIまで変わったわけではない。
 データ上は一般人に過ぎないアリアを対象として発砲する事は軍規上不可能な上に、キャバリア用の大型銃器ではプリマドンナのみに照準を絞る事が難しいのだ。
 エルは直様通信回線を開き、スナップスネークの整備士チームに繋ぐ。
「躯体番号L-95より支援要請―――」

 一方――極彩色の蛾の翅を広げた量産型機体を駆る穂照・朱海(妖刃飛翔・f21686)もまた、砲撃の中を飛び回っていた。
「ヌッ…グゥゥゥゥ!」
 同じサガルマータ軍用機とは言え、妖刀によって操られている朱海の機体には、最早リミッター等と言うものは存在しない。
 あるとすればそれは唯一つ、朱海自身に他ならない。
 明らかに機体出力の限界を超えているスピードでアリアへ肉迫すると、躊躇なくキャバリアソードをフルスイングする。
 とは言え、軌道自体は大振りだ。人間サイズのアリアを捉えるのは中々に難しく、その上、向こうはキャバリアをも貫く高出力ビームで反撃してくる。
 殺されずに、さりとて『殺させない』。朱海にとって、もどかしい戦いが続いていた。
(――これは『戦国』だ)
 極限状態の中、ふとそんな事を思う。
 オブリビオンフォーミュラ・織田信長がまだ存命だった時代。
 未だ幕府もなく、世界は沢山の小国に別れ、お互いに争っていたと聞く。
 その時代の名を、戦国時代と言うらしい。
(この世界は、今も戦国だ)
 応ずるように朱天狗が光る。
 もっと闘争を! もっと殺戮を!!
 もっと、もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと!!!
 そんな思念が脳内に響き渡る。
「……そんなにこの世界が気に入ったか…!」
 殺しの道具としての本分を思い出したか、或いは、『同類』の存在を感知したか。
 何れにしても、このままでは長くは持つまい。
 かと言ってキャバリアは降りるのは下策だろう。今下手に戦いを止めようとすれば意識までも乗っ取られかねない。
(一瞬……ほんの一瞬で良い……何かきっかけがあれば……)
 朱美の額を、一筋の汗が伝った。

「躯体番号L-95より支援要請―――クロムキャバリア、暫定名称【アルテミス】の譲渡を要求します」
「はい…!?」
 通信機越しにエルの口から飛び出したのは、そんな無茶振りであった。
 整備士達にどよめきが起こる中、エルは続ける。
「現状当該機体はL-95式火器管制システムと接続されていますが、49%のアクセス不能領域が確認されています。この為機体性能が30%ダウン。ターゲットの無力化にはアクセス不能領域の開放が必要です」
 それはつまり、サガルマータ軍標準搭載AIが占めるデータ領域を全て取っ払うフルフォーマットを意味する。
「……それで、何とかなるのかい?」
「整備士長!?」
 沈黙が支配する中、口を開いたのは整備士長だった。
「Yah」
「……解った。どの道もう一般兵を乗せることは出来ない機体だ。持っていくと良い」
「協力に感謝します」
 通信を切ったエルは、操縦をオートパイロットに切り替えると、コンソールキーを猛烈な速さでタイプし始めた。
「事象改変率、ユーベルコード認証ラインをマーク。サガルマータ軍用AIとL95式火器管制システムの入れ替えを行います」
 Access authentication――Done
 FireWall Breakthrough――Done
 System Uninstall――Done
 StackBass Update――Done
 complete――code name『アルテミス』

【System All GreenーWelcome to L-95 Series】

「L95式キャバリア【アルテミス】の機体IDを登録しました。これより本機体の所有権をサガルマータ軍から躯体番号L-95へ移譲。臨時アップデートを実装します」
【Access―――Blue comet】
 アルテミスの全身を純白の光のラインが走り抜けていく。
 両眼に緑色の光が灯ると、三日月型のバーニアが翼の様に展開した。
 蒼い彗星。L-95式シリーズが共通して持つ、出力リミッターの解除キーだ。
 今や何も縛るものが無くなった月の女神は、瞬く間に高度を上げると、タルタロスすら追い抜き、太陽を背に下界を見下ろした。
 
 構えるはL95式アンチマテリアルライフル。
 眼下を激しく動き回るアリアをターゲットサイトが追随し―――遂に、プリマドンナを捉えた。
「Fire」
 
 それは奇しくも先程と真逆の展開。
 超高速で天より飛来する貫通弾がプリマドンナの装甲を穿つ!

 光線と鋼剣が交差する激しいドッグファイトの最中、朱海は真上からの一射によってアリアがバランスを崩したのを見た。
 衝撃で激しく回転しながら体勢を制御しようとする彼女。
(今しかないッ!)
 朱海は再び朱天狗の柄を握り、意識を研ぎ澄ませる。
 妖刀の怨念と同調し、斬る『箇所』と『範囲』を制御する。
 マシーン越しだが、キャバリアの精密動作性ならば可能なはずだ。
 狙いは勿論プリマドンナのみ....!
「朱海…うまくやれよ....お前は猟兵になったのだろう」
 強烈なGに揺さぶられるコックピットの中で、深く、深く意識の底へと潜って行く。
 世界から音が消え、光が消え、視界が漆黒の帷に包まれる。
 同時に噴き出すのは朱天狗から流れ込むどす黒い殺戮の思念の渦。
 
 ―――コロセ……コロセ!……コロセ!!!―――
 
 だが、もうそんな声には惑わされない。 
「猟兵は殺すための道具じゃないんだ!!」

 闇の中、彼方に見えた一筋の光を、水平に斬り払う!
 振り抜かれたキャバリアソードは、見事プリマドンナに一刀を見舞っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

荒谷・つかさ
聞いてはいたけれど……本当に人に直接キャバリア用武装を接続してるのね。
的は小さいし空も飛ぶ、厄介この上ないけれど。
いいわ、やってやろうじゃないの。

スルトは飛行能力を持たないし、対空攻撃も眼部レーザー砲と側頭部バルカン、あと噴進式鉄拳が使える程度と貧弱
なので、飛べるようにする
【黄昏の鉄巨神】発動
レーヴァテインユニットを召喚、分離させ「スルト・ラグナロク(全高約5m)」へと合体
追加された大型翼と大出力バーニアで飛翔、一気に距離を詰める
量子ビームは『黄昏を灼く焔の巨剣』で切り裂きながら突進、本体まで到達したら素手で捕縛
そのまま砲身部分のみを「怪力」で握り潰して救助を試みる



 キャバリアソードの一撃に弾かれ、破片を散らしながら地面に墜ちていくアリア。
 そのままあわや激突かと思いきや、プリマドンナから伸びた細いコードが、彼女の全身に突き刺さっていく。
「ッッ!」
 仰け反る様に痙攣するアリア。
 その背中からは、軋む様な音を立て、血と粘液に塗れた機械の翼が再生した。
「破■…せ…す…て…■壊せよ……助……け…破…」
 荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)は、地上からそんなアリアの様子を見上げていた。
「聞いてはいたけど……本当に人に直接キャバリア用武装を接続してるのね」
 サイボーグでも無い限り、否、例えそうであったとしても相当な無茶である。
 実際徐々に彼女の容姿が人間離れしている事を鑑みても、余り悠長にはしていられないだろう。
(全く……的は小さいし空も飛ぶ、厄介この上ないけれど)
「いいわ、やってやろうじゃないの」
 要するに、少しばかりすばしっこくて、少しばかり当たりにくいと言うだけの事だ。
 やることは何も変わらない。
 
 ―――真っ直ぐ行って、殴る!!

  レ ー ヴァ テ イ ン
「黄 昏 を 灼 く 焔 の 巨 剣!!!」
 
 つかさの咆哮と共に、天空からスルトの眼前に棺桶の様な長方形のブロックが降り立った。
 ムスペルヘイムに眠りし終末を呼ぶ炎の剣を封じたと言われる箱、レーギャルン。
 剣を収める鞘とも言えるこの箱が、スルトの追加装甲パーツへと変形するのだ!
「行くわよスルト。レーヴァテインユニット! エンゲーーージ!!!」
 中央に取り付けられた円盤に拳を叩き込むと、噴き上がる火柱と共に円盤の外周沿いに取り付けられた九つのロック機構が外れていく。
 そうして胸部外殻と飛行ユニットに分解したレーギャルンは、牽引ビームに導かれスルトに合体!
 最後に手元に降りてきた全長5mを超える巨大な鎖鋸剣をしっかり握りしめる。
『全ユニット接続……完了! KFG零型、オーバードライブ!』

 スルト・ラグナロク  
『『黄昏の鉄巨神』、見ッッッ参ッッッッ!!!!!!!!!!!!』

 遂に最終形態へと変化を遂げた炎の巨人は、バーニアを全開に噴かせ一気に空へと飛び上がった。
「無無無無無無駄駄駄駄駄駄無駄■駄駄■■■駄駄……」
 勿論、斯様に派手な挙動をプリマドンナが検知していない訳がない。
 一直線に此方に向かってくる火の玉めいたスーパーロボットは、まるでそれそのものが弾丸の様だ。
 アリアは砲口をスルトに向け新たなエネルギーインゴットをリロード。
 満タンにエネルギー充填された高出力量子ビームを発射する!
「それは……こっちの台詞よ!!!」
 だが、つかさとてそんな事は百も承知だ。
 撃つならば撃てばいい。
 向かってくるなら斬り伏せるのみ。
 それは相手がエネルギービームの類だろうと同じ事!
「レーヴァテイン! フルドライブ!!」
 騒音を掻き鳴らし鎖鋸剣が唸りを上げる。赤熱した刀身は瞬く間に炎に包まれ、正に神話に謳われる焔の魔剣と化した。
 眼前に迫る量子の顎に、振りかぶったレーヴァテインを渾身の力で振り下ろす!

 ―――光が断ち割れ、逸れた先の地上で大爆発を起こした。

 一瞬、白で埋め尽くされた世界が元に戻ったその時、虚空から伸びた巨大な鋼鉄の腕が、プリマドンナを握り締めた。スルトの手が、プリマドンナを掴んだのだ。
 残念ながら無数のコードが突き刺さったプリマドンナを力づくで引き抜く事は、最早アリアの腕を無理やり引き千切る行為に等しい。
 しかし、あらゆる物を粉砕せしめる羅刹の握力は、金色の砲身に文字通り手形を刻んだ。
 激しいスパークを上げてひしゃげた砲身には、確かにダメージは通っていることだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

獅子戸・玲桜奈
おいおい、いくら俺たちが熱に強いって言っても限度はあるぜ?オブリビオンマシンじゃなけりゃ俺も使ってみたかったぜ。

行くぜフレイムウィング!炎の翼を使った推力移動であいつのところまでひとっ飛びだ!
狙うのはあくまでキャノン砲だけだ。助けられるんなら助けてやりてえからな。

いきなりキャノン砲を使ってくるか!避けねえと……ってなんだありゃあ?あれが噂に聞く骸の海ってやつかよ。
一、二発ぶん殴ってやろうと思ったがうまく機体を動かせねえ……ってか、こんなもん使い続けたらアイツ消耗して死んじまうんじゃねえか!?
させるかよ!シャイニングレイでキャノン砲を攻撃して妨害するぜ。骸の海なんざ太陽の力で消し飛ばしてやる!



「AAAAAAAAAHHHHHHHhッッ―――――!!」
 ブチブチとコードを引き千切りながら、巨人の腕からひしゃげた砲身が引き抜かれる。
 砲撃の威力をそのまま推進力へと変え、拘束を抜け出したのだ。
「あっぶねぇ!?」
 その反動で地面を一直線に走った高出力量子ビームは獅子戸・玲桜奈(炎の翼・f30087)の愛機フレイムウィングの傍らを掠めていった。
 咄嗟に身を翻し交わした玲桜奈だが、ビームが焼き払った範囲を目の当たりにし冷や汗を拭う。
 余りの高熱に地表が溶岩と化してボコボコと泡立っているのだ。
「おいおい、いくら俺たちが熱に強いって言っても限度はあるぜ?」
 ままならない物だと思う。
 高熱で敵を焼き払うアームキャノンなんて、オブリビオンマシンでさえ無ければ自分が貰っていきたいぐらいの代物だ。
「まぁ、それを今言っても仕方ねぇな」
 張り手で両頬を叩き気合を入れると、玲桜奈は改めて操縦桿を握った。
「行くぜフレイムウィング! 炎の翼であいつのところまでひとっ飛びだ!」
 広げた炎の翼を大きく羽撃かせ、フレイムウィングは空へと舞い上がる。
 朱のラインを描き宙を駆けるその姿は不死鳥を思わせる。
 立体的な軌道で狂った様に飛び回るアリアを追い、一人と一機の壮絶な追いかけっ子が始まった。
(見た感じ大分ダメージは食らってる筈だ……一、二発ぶん殴ってぶっ壊してやる!)
 宙を乱舞する量子光線を掻い潜りながらフレイムウィングは着実にアリアへの距離を詰めていく。
 雲を突き抜け、タルタロスの真上に出たその時、遂に背後を取ることに成功する!
「貰った! さぁ、大人しくしや……ってなんだありゃあ!?」
 次の瞬間、アリアが砲身を此方に向ける。
 しかし、放たれたのは熱線ではなかった。
 どす黒く、しかし内部に虹色の輝きを宿したガスのような物が放出されたのだ。
 玲桜奈の猟兵としての勘が告げていた。
 あれこそ三千世界にオブリビオンを呼び寄せる全ての元凶。
「そうか……あれが噂に聞く骸の海ってやつかよ」
 フレイムウィングの炎の翼が急激に出力を落とし、高度が見る見る下がっていく。
「チッ! 機体が動かねぇ…アレの所為か!」
 そう、骸の海は触れた武装を無力化する。それが例えスーパーロボットであったとしても……。
(待てよ?)

 ならば―――猟兵ですら無い身でソンナモノを放出している彼女は大丈夫なのか?

(……大丈夫なワケがねぇ!)
 事実、アリアの顔から急激に生気が失われていっている。
 タイムリミットがどれほどかは定かではないが、一つ確実なことがある。
 
 ―――このままでは、彼女は自滅する。

「させるかよ! 骸の海なんざ太陽の力で消し飛ばしてやる! フレイムウィング!!」
 炎の翼が燃え上がり、地に背を向けた背面落下の体勢になるフレイムウィング。
 組み合わせた両手に光が宿り、爆発的に輝きを増していく。
 其れはさながら手の中に小さな太陽を生み出そうとしているかのようだ。
「太陽の輝きよ!ここに集えッ!シャイニングゥ……レェェェイ!」
 臨界点を超え放たれた閃光の槍が、アメーバめいて空を覆っていく骸の海を薙ぎ払った。

成功 🔵​🔵​🔴​


 その時、戦場上空で一つの動きが起こった。
 太陽とは別に、もう一つ強烈な光源が現れたのだ。
 それは一瞬にして極太の光の柱へと転じ、空中をアリアの周囲を取り囲むように舞っていたサガルマータ軍用キャバリアの盡くを撃ち落とした。
 
 ―――殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)

 高精度GPSによって高速飛翔体を無差別砲撃する旧時代の遺物にして、世界の断絶を産んだ元凶である軍事衛星。
 周辺空域での度重なる戦闘に、遂に審判者が動き出してしまったのだ。
エメラ・アーヴェスピア
【Lv2】
…そう出て来るの?…拙いわね、このまま飛んでいたらいつ暴走衛星から狙われてもおかしくは無いわ
どうにか取り押さえたいけれど…こちらも飛ぶと危険度が上がる…どうしたものかしら

…迷っている時間は無いわね、巨人兵だとあの子ごと殺しかねない、なら…
『我が元に響くは咆哮』、確か武器がオブリビオンなのよね?
なら持たせる武装は命中率の高い物、そして武器を狙って攻撃させるわ
飛ばないように、地を滑るように移動しつつね
銃器が武器なのでUCは気にしなくてもいいわ
ただ相手のUCや衛星の関係で時間との勝負よ、手早く行きましょう
それと空中で開放してしまったのならキャッチに向かわせるわよ

※アドリブ・絡み歓迎



「……拙いわね」
 エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)の額を一筋の汗が流れ落ちる。
 彼女の眼には宙を飛び回っていたキャバリア達が突然爆発した様に見えた筈だ。
(あれが殲禍炎剣……なるほど、航空機が飛べないわけだわ……)
 最早一刻の猶予もあるまい。
 キャバリアが落とされたという事は……残りの標的は最早『彼女』しかいない。
 次の瞬間には光の柱に貫かれてもおかしくはないのだ。
「AHH……A…A……」
 周囲に骸の海を撒き散らしながら宙を駆けるアリア。
(でもどうすれば……)
 巨人兵はダメだ。キャバリアサイズの標的も正確に撃ち抜く殲禍炎剣の前では、単純計算で4倍も的が大きい事になる。
 第一、アレの特性を考慮に入れると確実にアリア諸共消し炭にしてしまうだろう。
「…迷っている時間は無いわね」
 エメラの背後でワイヤーフレームが空間に人形を描き、新たな魔導蒸気操機兵が姿を現す。
 今度はキャバリアと同サイズの5m程の機体だ。
 その手には巨大なアンチマテリアルライフルが握られている。
「さぁ、一仕事してきなさい」
 エメラが機体に掌を当てると、蒸気兵の眼に光が宿る。
 魔導蒸気スラスターを全開にして地を滑るように前に出た。
 そう、敢えて空には出ない。
 地上からの超ロングレンジ攻撃によって仕留める狙いだ。
(これで彼女が少しでも高度を下げてくれれば……少しは時間も稼げるかもしれないしね)
 果たして、その狙いは成功した。
「A……AAAAAAAAAAAAAA!!」
 強烈なマズルフラッシュが炸裂する中を、猛禽類の様な動きでアリアが急降下してくる。そして勢いのまま地上に向かって骸の海を放出!
 それは宛らキノコ雲を逆さにした様な光景だった。
 一瞬にして地上に到達した骸の海は、津波のように、放射状に広がっていく。
 為す術も無く漆黒の闇に包まれてしまう蒸気兵。

「残念ね、その子にそれは効かないわ」

 戦況を見守っていたエメラがそう呟いた次の瞬間。
 地表から放たれた一発の弾丸が、遂にプリマドンナの砲口を穿った。
 砲身の側面に輝いていたLEDが光を失うと同時、朽ち果てるようにアリアの全身に突き刺さっていたコードが、禍々しい機械の翼が抜け落ちていく。
 ずるりとアリアの腕から抜け落ちるプリマドンナ。
「ッ! 受け止めなさい!」
 地に落ちた金色の砲が大爆発を起こすのと、炎の中からスラスターを噴かせた蒸気兵が姿を現すのはほぼ同時。
 一瞬遅れて自由落下のコースに入ったアリアを、見事掌で受け止めていた。

(やっぱり……無効化出来るのは近接武器だけだったのね)
 先程空中で格闘戦を仕掛けようとした機体が動きを封じられたのを見てもしやとは思っていたが、その直感は当たっていたらしい。
 自らの元に戻ってきた蒸気兵が、掌の上のアリアを差し出してくる。

 ―――October 1st 15:48 PM
 アリア・シルバートーン 救出完了

「さて……任務完了ね」
 エメラは懐中時計で時間を確認すると、カチリと蓋を閉じた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『魅惑の銭湯プラント』

POW   :    じっくりと、腰を落ち着けて温まろう

SPD   :    様々な湯を反復して楽しもう。

WIZ   :    効率的に、色々入って疲れをとろう。。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ーOctober 1st 16:24 PM

『――第一から第四メインタンク内部気圧の低下を確認。
 ――バラストアンカー投下。アイボルトの接続を確認。
 ――気密ハッチを開放します。
 都市型航空飛行艇タルタロスは、只今、タバリア中央第一ドッグに入港しました。
 各区画職員は、担当エリアの、機内点検、及び、修繕をお願いします』

 無事に首都タバリアの陸港に辿り着いたタルタロスの船内。
 猟兵達は艦長を名乗る壮年の男性に連れられ、内部の見学ツアーへと繰り出していた。
「いやぁ本当に助かりました。我が国は国土面積に対して保有しているプラントの数が他国よりも少なく、こうして少ないプラントを様々なテクノロジーで補いながら、何とかやりくりしている状況なのです……。中でもこのタルタロスは、最近竣工したばかりの最新型。それがいきなり撃沈となれば、私の首が飛ぶどころではすまなかったでしょうね」
 ハハハ、と冗談めいて笑いながら艦長は歩を進める。
 外型からは巨大な四角形にしか見えなかったタルタロスだが、その内部もまた広大だった。
 中央に鎮座する巨大な円筒型プラントを起点として、通路が縦横無尽に伸びており、壁際に各施設が階層となって存在している様だ。
「お礼になるかどうかは解りませんが、皆さんには展望デッキのスパサウナへご案内します。普段は職員が使用している場所なのですが、本日は貸切にしておきましたので。あぁ、勿論お望みとあらば別の場所もご案内しますよ」

 砂埃に塗れた身体を清めるには丁度いいかも知れない。

――CAUTION――

・タルタロス船内を見学できます。
 操舵区画
 格納区画
 プラント中枢区画
 食糧生産区画

・展望デッキでお風呂に入れます。
 各種ジェットバス。
 サウナもある。
エメラ・アーヴェスピア
【Lv3】
さて、お仕事も終わり、時間もあるし見学と行きましょう
操舵区間と迷ったけれど…格納区間がいいかしら?
まぁ、時間はあるし色々と見て回りましょうか
…ふふっ…この都市からはいい空が見れそうね

目的・この世界の技術の観察
キャバリアはもちろん、都市型航空飛行艇にも興味あり

※アドリブ・絡み歓迎


エル・クーゴー
【Lv3】



●船内見学
・整備士チームの人達が居るのは格納区画らへん?
・サーチドローン『マネギ』もその辺に飛ばして探す

・そんなわけで、なし崩し的にクロムキャバリア一台貰っちゃったので改めて御礼に行く


躯体番号L-95
当機はオブリビオンマシンの特定に高い適性を発揮します
というか_猟兵は皆そうです

当機はこれからも無用の戦乱の芽を摘むべく作戦行動を適宜展開します

この世界を征く上で、キャバリアを自己所有することは非常に有用です
『L95式キャバリア【アルテミス】』――有難く使わせて頂きます
(バイザー上げてちゃんと顔見せる)


・お礼言ったら「もっとクロムキャバリア整備のノウハウおせーて(※意訳)」って超詰め寄る



 エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)は猟兵である。
 だが彼女自身が自らをどう思っているかと問えば、恐らくこう言うのではないだろうか。
 私は技術者、と。
 そう、タルタロスを敵国のキャバリアから守り、アリアを助け出した。
 猟兵としての仕事は、そこでおしまい。
 そして、此処からは技術者としての仕事―――つまるところ、エメラにとってはこれからが本番なのだ。
 屋上テラスを一陣の風が吹き抜け、彼女の髪を揺らす。
「…ふふっ…この都市からはいい空が見れそうね」
 今でこそ地上に降り立っているものの、飛行中のこの場所から見る景色はさぞ絶景な事だろう。
(せっかく来たのだもの。余すところ無く視察させてもらわないと)
 風に遊ぶ髪を押さえながらふわりと微笑むと、エメラは内部へと続く階段を降りた。

●ー操舵区画ー
 まず彼女がやってきたのは最上層に当たる操舵区画だ。
 その名の通りタルタロスの運行を司るメインブリッジであり、停泊中の現在はオペレーター達が船内整備の指揮に追われている。
「第一、第二プラント製造ライン停止。整備班作業開始願います」
「通信回線のテストを開始します。1番から順に繋ぎますので応答をお願いします。では1番どうぞ」
『此方1番、異常なし』
「1番了解。2番どうぞ」
『此方2番、異常ありません』
 総ガラス張りになっている壁面からは吹き抜けになっているタルタロス内部が一望出来るようだ。高所恐怖症には少々酷な景色かもしれない。
「初めて見た時から疑問だったのだけど……この形状でよく浮力が得られるわね」
 投げかけられた疑問に、隣で船内を見下ろしていた艦長が説明を始める。
「船底には約1000基の大型吸気ファンを装備しているのですが、構造材にCNF複合セラミックと言う新素材を採用しているのです。鋼鉄の10倍の強度を持ちながら、1立法cm辺りの重量も10分の1と言う軽さなので、船体を大きくしようとするとどうしても重くなってしまう骨組みが大幅に軽量化できるのですな」
「CNF?」
「セルロース・ナノ・ファイバーの略称です。植物の細胞膜から抽出した繊維質をミクロ単位で撚り合わせて結晶化した物ですね。ですので厳密に言えば、この艦は木造という事になります」
「へぇ……」
 思わず手近な柱の質感を確かめてしまうエメラの視界を、妙なものが横切った。
 羽の生えた猫だ。
 でっぷりと太った招き猫の様なシルエットがふよふよと飛び回っている。
「ねぇ、あれは?」
「はて……少なくとも当艦に由来する者ではありませんな…ん、彼処は」
 猫はしばらく辺りを彷徨うと、一気に高度を下げ、下層へと降りていった。
「彼処は?」

●ー格納区画ー
 操舵区画で艦長に見送られ、エメラは謎の空飛ぶ猫を追って更に下へと降りる。
 問題の猫を見つけたのは格納区画だった。
「へぇ……これは凄いわね……」
 プラント中枢部と放射状に取り囲む様に存在するこの区画は、プラントから供給される物資がカテゴリー毎にベルトコンベアに乗せられ、自立駆動する棚に乗せられていく。
(あら……あの機体は確か…)
 その一角、キャバリア用の大型機材を取り扱っている区画に見覚えのある機体を見つけた。
 白と緑を基調とした女性的なボディラインが特徴的なクロムキャバリア。
 背部に三日月型の大型バーニアを背負ったその機体は、今回、エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)が搭乗したL95式キャバリア【アルテミス】だ。
 ハンガーに固定されたアルテミスは、スナップスネーク整備士チームによって、改めてオーバーホールが為されていた。
『コンバットプルーフ、№39GX87E33QAを受理しました』
「よし…これで大丈夫だ」
 ロボットアームを操作していた整備士長が、コンソールから顔を上げ、エルに視線を移した。
「無事君の機体のコンバットプルーフが承認された。これで例え、国外で大破しようとも、このチップをハンガーに読み込ませれば修理する事が出来るだろう」
「協力に感謝します」
「それにしてもオブリビオンマシンか……初めて聞いたよ。そんなキャバリアがいたなんてねぇ」
 ICチップの入ったカードキーを受け取ったエルは、改めて整備士達に敬礼を返した。
「躯体番号L-95。当機はオブリビオンマシンの特定に高い適性を発揮します。当機はこれからも無用の戦乱の芽を摘むべく作戦行動を適宜展開します」
 そう、オブリビオンマシンは、猟兵にしか判別が出来ない。
 他の国がそうであるように、このサガルマータにも、これからもオブリビオンマシンの脅威は降り注ぎ続けるだろう。……その為には。
「この世界を征く上で、キャバリアを自己所有することは非常に有用です」

『L95式キャバリア【アルテミス】』――有難く使わせて頂きます。

 カシュッ、と音を立て、バイザーに覆われていた金色の瞳が姿を表す。
 
 ―――魔導機械人形は世界平和の夢を見るか。
 
 その時、エルの口元には、確かな微笑みが浮かんでいた。

「では機体の譲渡に当たり、当機のデータベースには機体ID『アルテミス』のメンテナンスデータが不足しております。サガルマータ軍用クロムキャバリアの設計データの開示を要求します」

「「「「えぇぇっ!?」」」

 凛とした爽やかな空気も束の間、その後暫く、エルからの質問攻めは続いたという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

穂照・朱海
借りていたキャバリアを引き取りたいと申し出る
理由は…この機体は妖刀に呪われてしまったからだ
自分以外の人間が乗るには危険である可能性があるし、
もしこの『機体が』妖刀に魅入られているなら、妖刀自身のように使い手を殺戮に仕向ける『呪いの武器』になっているかもしれない

非常識だろうけど
常識で説明がつく代物じゃない…

その代わり、この国の危機には必ず駆けつけよう


(※以下はどんなアドリブでも可
キャラ崩壊も許容)
引き取りの申し出が終わったらアリアの様子を見に行きたい
彼女の状態を気にかけている

あとは…
お風呂に入って休むよ
死んだように眠る
心身ともに消耗したからね

妖刀は戦いの終わりを感じ取ったのか、今は静かにしている



 そして―――格納区画ではもう一人、キャバリアの譲渡してほしいと申し出た者がいた。
 穂照・朱海(妖刃飛翔・f21686)だ。
 実際、彼の搭乗した量産型キャバリアは酷い有様だった。
 コックピットの制御コンソールは刀で真っ二つな上に、内部に朱海の血が流れ込んでおり重要回路が焼損している。
 コンソールの管理画面を渋い顔で見下ろしていた整備士は、朱海の言に顔を上げる。
「いやぁ、確かにコックピットはあれじゃあもう使い物にならないんで、どの道廃棄するんですが……全部ですか?」
「そうだ、先程取り外したフレームと武装を全て……非常識な事を言っているのは解っているつもりだ。だが……もうあの機体は、僕(やつがれ)以外の人間が乗るには危険すぎる」
「危険って、そんな、部品を交換すればまだまだ大丈夫ですよ」
 その為の量産型なんですからと笑う整備士に、朱海は腰から朱天狗の鞘を引き抜き、突き付けた。
 ただならぬ剣幕と眼の前の刀に思わず半歩身を引く整備士。
「悪いがこれは常識で説明がつく代物じゃないんだ……この機体は既にこの妖刀に呪われてしまった。キミも見ただろう、あの金色の砲を。もしこの『機体が』妖刀に魅入られているなら、妖刀自身のように使い手を殺戮に仕向ける『呪いの武器』になっているかもしれない」
「つまり……こういう事ですか。貴方が乗った事によって、このキャバリアもあの金色の砲の様になってしまったかもしれないから、責任を持って自分で処分したいと」
「そうだ……その代わり、この国の危機には必ず駆けつけよう」
「………………少なくとも、私の一存では決められません。少し待ってもらえますか」
「あぁ、結論が出たら教えてくれ」
 そう言い残し、朱海はその場を後にした。

 ―――乗務員居住区画

 『面会謝絶』と書かれた札が掛けられたドアを通り、朱海は医務室を訪れていた。
 ベッドでは、無惨な姿で横たわるアリアが、静かに寝息を立てている。
「……単刀直入に聞くが…彼女は治るのか」
 モニターでスキャン画像を見ていた担当医が徐ろに話し始める。
「少なくとも命に別条はないよ。只……完全に元通りになるかと言うと、それはどうかな」
 朱海がホッと一息付いたのも束の間、医師はモニターに数枚のレントゲン写真を並べる。
「左腕が問題なんだ。あのキャノン砲がくっついていた方だね。肩関節は脱臼しているし、複雑骨折や筋断裂も相当な数している。血管なんてもうグチャグチャだ。仮に再生したとして……確実に麻痺は残るだろう」
「そんな……」
「まぁ、幸いこの国なら精度の高い義肢が安く手に入る。いっそ丸ごと機械に置き換えてしまう方が早いのかも知れないな」
 
 医師が去ったその部屋で、朱海は一つの覚悟を決めた。

 ―――展望デッキ 屋上スパサウナ

 露天風呂に身を沈め、ぼんやりと自分の指を見つめる。
 そこには、先程医務室で自ら刻んだ刀傷があった。
(これは……僕(やつがれ)の傲慢かもしれないな…)
 妖刀に呪われた自分は、猟兵であると言う点を除いても、常人より回復力が優れている。
 その自分の血をアリアに投与する事によって、回復力の強化が図れはしないか。
 試した事など無いが、可能性が無いわけではない。
 プリマドンナと言う同じ『呪われた武器』に見初められた者同士、もしかしたら朱海の血に適合するかもしれないのだ。
 少なくとも、医師の説明を聞いて、そうですかと納得してあの部屋を出る事は……自分には出来なかった。
 全く矛盾している。
 日頃妖刀の力を忌避していながら、肝心なところでは妖刀に頼るなんて……
(上手く……行くと良いのだけどな……)
 疲労で朦朧とした意識の中、それでもそう思わずにはいられない。
 
 応える者は誰もいない。
 月明かりだけが、静かに彼を照らしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月25日


挿絵イラスト