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美しき死は戦場に在り

#クロムキャバリア #偽装廃墟地区サウリーズ

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#クロムキャバリア
#偽装廃墟地区サウリーズ


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●戦士であるならば、命を投げよ
「良いですか、皆さん」
 ある時、宣教者ファティシア・ウーは唱えた。
「望んでいようとも望まなくとも、私達はこの世界に生れ落ちてしまいました。キャバリアに搭乗し、永遠に戦い合う、おぞましい戦乱の地に」
 それは運命なのか、はたまた地獄なのか。
「人には血が流れています。しかし、キャバリアに乗れば、血すら流せず散る命もあります。それはなんとも悲しく――そして美しい事であると、私は感じるのです」
「宣教師様……?」
 キャバリアに乗った乗組員が一人、また一人と機体の異変に気付き、そして悲鳴を上げる。
「宣教師様! 機体に異常が、あ、ぁっ……ッ!!?」
「この世に生まれた者、戦場から逃れる事などできません。ならば、勇ましく戦い、美しく散る事こそ、素晴らしい生き方だとは思いませんか?」
「せんきょ、し……サ、ま…ッ……ガガ……ッ!!」
「戦いましょう、戦いましょう。屍の道を踏み、進み続けるのです。……例えその先に誰もいなくとも」
「――」
 宣教師ファティシア・ウーは優しく微笑む。オブリビオンと化したキャバリアの戦士達は人間らしい声を発する事無く、静寂の中で片腕を高々と上げ、宣教師を崇めた。

●アザミの情報
 人型兵器『キャバリア』が飛び交う世界、クロムキャバリア。新たな未開の地の情報にざわめくグリモアベースに、アザミ・アカシア(忘却のUDCメカニック・f05817)も訪れていた。
「アポカリプスヘルも最初は物騒だとは思いましたが……似たような世界もあるものなんですね」
 機械の腕に資料を持たせ、それを眺めながらアザミは猟兵達へ説明を始める。
「ええと、早速ですが俺も予知を視ましたので、アンタ達には現地へ向かって貰います。向かって貰う場所はこちらです」
 アザミの背景にクロムキャバリアの世界が投影される。荒んだ廃墟の風景は、まるでUDCアースが滅んだようにも見えた。
「この街は滅んでいません。滅んでいるように見せかけ、平和を求める人々がひっそりと住み着いている場所です」
 偽装廃墟地区『サウリーズ』。生産施設であるプラントが偶然生き残ってる事を発見し、以降その地で静かに過ごす人々が集う場所である。キャバリアも数機あるのだが、好戦的ではないパイロットが多い為か戦力は期待できない。
「このサウリーズの人々がいる場所へ、別の小国家の軍勢が押し寄せて来ます。その軍勢こそ、オブリビオンに侵食、洗脳されたキャバリア、オブリビオンマシンです」
 オブリビオンマシンとなった軍勢は戦いを求め暴走しており、乗組員すらそれを止める事はできない。このまま放っておけばサウリーズの人々も抵抗できず壊滅してしまうだろう。
 オブリビオンマシンを破壊し、乗組員を救う術を持っているのは猟兵だけである。無意味な争いを広げない為にも、戦場へ赴く必要があるとアザミは伝えた。
「オブリビオンマシンだけを破壊できれば、その乗組員は正気に戻るでしょう。被害が出ないよう、マシンの破壊後は救出と非難の誘導もお願いしますね」
 乗組員は正気に戻れば指示は素直に聞いてくれるだろう。
「敵の乗組員はそれぞれが他人ではありません。家族や兄弟だったり、師弟関係だったり。恋人同士もいるかもしれませんね。そういった人達が乗っているので、無事である事を伝えられれば腕が鈍る可能性もあります。……逆に助けられなかった場合は、怒りに身を任せるでしょうね」
 彼らも人ですから、とアザミは呟いた。

「では、説明は以上ですかね。暴走した乗組員や首謀者を倒し、そして救い出して下さい。あぁ、キャバリアはサウリーズにて貸し出してくれるでしょう。勿論、生身で戦っても構わないです」
 キャバリアの説明も終え、アザミは投影された映像を消す。
「向かう準備が出来次第、声を掛けて下さい。何せ、新しい世界ですからね。アンタ達からの興味深い結果報告、待ってますよ」
 機械の腕が持つグリモアが、そっと輝き始めた。


ののん
 お世話になります、ののんです。

 ●状況
 クロムキャバリアが舞台となります。
 偽装廃墟地区『サウリーズ』の近くの荒れ地にて戦闘を行います。

 ●戦闘について
 集団戦、ボス戦問わずオブリビオンマシンだけを破壊すると乗組員を救う事ができます。
 乗組員を救い、避難させる内容があればプレイングボーナスとします。

 ●2章について
 1章で乗組員を救っていた場合、2章のオブリビオンマシンの乗組員に救出した事を伝える内容があればプレイングボーナスとします。
(家族らしい人を助けた、恋人らしい人を助けたなど、乗組員設定はお好みでどうぞ。なくてもOKです)

 ●キャバリアについて
 キャバリアをジョブやアイテムで持っていないキャラクターでも、キャバリアを借りて乗ることができます。
 ユーベルコードはキャバリアの武器から放つこともできます。
 借りずに出撃する事もできます。お好みでどうぞ。

 ●プレイングについて
 受付期間は特に設けておりません。

 キャラ口調ですとリプレイに反映しやすいです。
 お友達とご一緒する方はIDを含めた名前の記載、または【(グループ名)】をお願い致します。
 同時に投稿して頂けると大変助かります。

 申し訳ありませんがユーベルコードは基本的に【選択したもののみ】描写致します。

 以上、皆様のご参加お待ちしております。
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第1章 集団戦 『ファイアディザスター』

POW   :    ガトリングストーム
【両腕のガトリングガンの連射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    ハウリングショット
レベル分の1秒で【両腕のガトリングガン】を発射できる。
WIZ   :    ガトリング・フィアー
【轟音を伴うガトリングガンの掃射】を披露した指定の全対象に【動けない程の恐怖の】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 偽装廃墟地区サウリーズを目指し、大勢の鉄の巨人が破壊と戦乱を求め行進する。
 否、あれは巨人ではない。あれこそが人型兵器キャバリアである。
 オブリビオンマシンと化し暴走する彼ら、彼女らを止める術はただ一つ。猟兵達がマシンを破壊する事だ。

 今、遠くの方から軍勢の第一波である紅色のオブリビオンマシン軍団が横一列に並び、こちらへ向かっている光景が目に入る事だろう。
 両腕のガトリングガンは既にこちらへ向けている。平穏を貫いてきたこの地も、間もなく戦場へと変わる。
 ――果たして猟兵達は、救世主と成り得るのだろうか。
シャルロット・クリスティア
鋼の巨体の軍勢……威圧感のある光景ですね。
これがこの世界のスタンダードなんでしょうが、初見となると圧倒されます。

……しかし、それだけです。
所詮はこけおどしのめくら撃ち。キャバリア同士の撃ち合いならともかく、人相手にそんなばら撒き方ではそうそう当たりませんよ。
荒野の起伏に身を隠し、遠間から狙撃します。こいつの射程なら敵にも引けはとりません。

極力殺すなと言うオーダーですが、そもそもコクピット周りの装甲を抜くのは難しいですからね。
狙うべきはカメラアイ、腕部ガトリングの結合部、膝や足首と言った関節部あたりで。
人型である以上、構造上の欠陥と言うのは出るものです。
歩兵だからと油断すると足元を獲られますよ。



 今まで見てきた世界の戦場とは明らかに違うもの。それは敵が巨体である事だけではない。その巨体である敵は全て機械であり、敵の軍勢から何とも冷たく恐ろしい威圧をぴりぴりと感じるのだ。
 更にはその機械の中には操縦者がいるのだ。無言を貫きだただ地面を揺らし突き進むその姿から、感情を読み取る事などできない。
「これがクロムキャバリア、ですか」
 事前に世界の情報を聞いているとはいえ、これほどとは。いざ現場に辿り着き、己の目で見渡し空気を肌で感じると、やはり圧倒されてしまうものだ。シャルロット・クリスティア(彷徨える弾の行方・f00330)も、そういった反応を見せた一人であった。
「やはり新しい世界は何処も初見は驚くものですね……」
 見新しい土地の空気をたくさん吸い込み、ふう、と大きく吐く。改めて目標である敵の軍勢に目を向けると、両手でがちゃりと機関銃を握り締めた。
「……しかし、それだけです」
 例えどのような敵が襲って来ようとも、自分の戦術は変わらない。シャルロットは愛用の武器だけを構えると、己の足で地上を踏み、戦場を駆けた。

 炎の如き紅色のオブリビオンマシンの軍勢はガトリングガンを一斉に発射させた。その連続した大きな発砲音は、戦闘が始まった合図でもあった。降り注ぐ弾は豪雨の如く。地面を破壊し砂嵐を巻き起こす。
 しかし、所詮相手は対キャバリア用の機体である。まさかオブリビオンマシン(キャバリア)に生身で対抗しようとする者が現れるとは、誰もが予想していなかった事だろう。
 更に生身の者はただの人間ではない。様々な異世界で戦闘の経験を積み上げた異端者なのだ。
「所詮はこけおどしのめくら撃ち。人相手にそんなばら撒き方ではそうそう当たりませんよ」
 シャルロットは岩陰と岩陰を行き来しながら身を隠し、ガトリングガンの嵐の射程や機体の様子を確認する。
「……いいでしょう、分かりました」
 ぱらぱらと降り注ぐ破片や石を払いながらシャルロットは機関銃の口を一機のオブリビオンマシンへ向ける。引き金を引くタイミングは、相手の攻撃が止まり砂嵐が視界から消え去ったその一瞬だ。
 今、シャルロットのすぐ傍にあった岩が敵の攻撃によって吹き飛んだ。巨大な音と爆風がシャルロットの左耳を塞ぐ。しかし、片耳が壊れそうになっても、髪が乱れ帽子が吹き飛ばされそうになっても、彼女の集中力が途切れる事はない。
「……今です!」
 視界が晴れたその一瞬、彼女の機関銃が光り輝く。発射された術式弾は雷の如き速さで戦場の合間を真っ直ぐと掻い潜る。彼女の弾が撃ち抜いたものはオブリビオンマシンの右膝関節。弾に秘められた雷の魔力はすぐさま脚部を侵食し、その動きを停止させた。
 操作不能となったオブリビオンマシンは大きく転倒し、その衝撃によって周囲のオブリビオンマシンも巻き込まれ次々と陣形を崩していく。
「倒れたくらいで死んでしまうほどコックピットも脆くはないでしょう。多少の怪我はするかもしれませんがね」
 シャルロットは次の標的に向け、二度目の銃弾を放った。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミスト・ペルメオス
【POW】

ただ墜とすだけではダメだ。
やるぞ、ブラックバード…!

キャバリアの貸与は受けず、愛機たる機械鎧を駆って参戦。
デバイス等を介して念動力を活用、機体をフルコントロール。
殲禍炎剣の介入を受けぬよう高度・速度に制限を設けつつも、スラスターを駆使しての高速戦闘を仕掛ける。

ビームアサルトライフル、セット。ヘルファイア・デバイス展開。【オープンファイア】。
常に駆け回りながらも狙いを定め、僅かな攻撃機会に集束射撃を捻じ込んで。
敵機体の武器や四肢を破損させることで、パイロットを生かしつつも敵機の撃破・戦闘能力の喪失を狙う。
撃破した敵にはオープン回線で退避を呼びかけていく。

※他の方との共闘等、歓迎です



 荒れ地に並ぶ巨大な機械兵の軍勢。距離が離れていようとも伝わる地響きと冷たい殺意。静かなる紅きオブリビオンマシンに、ミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)は挑む。
「やるぞ、ブラックバード……!」
 愛機たる機械鎧、ブラックバードに語り掛けると、ミストはコックピットから敵軍を見定め、ブラックバードを出撃させた。スラスターから噴き出る熱風が地面を抉る。
 スラスターとミスト自身から発する念動力によってブラックバードは巨体でありながらも超高速を保ち、敵軍へ急接近した。オブリビオンマシンはキャバリアではない見知らぬ機体にガトリングガンを向け、一斉射撃を行う。
 なんと安直な攻撃方法だろうか。数々の戦場を生き延びた軍人からすれば、そんな風に思えてしまうものであった。いや、飾りのないシンプルな戦法こそ、この世界の性格を表しているのかもしれない。
「(であれば、しっかりと確認しながら確実に撃破を狙うべきか)」
 空中を滑るように滑空し敵の銃撃から逃れていくミスト。オブリビオンマシンの形状を確認しながら移動を繰り返し、攻撃の周期やコックピットの場所を把握していく。
『オブリビオンマシンのパイロットに告ぎます。今すぐ射撃を中止して下さい!』
『――』
 オブリビオンマシンの頭上に近付き回線での会話も試みたものの、返答が返って来る様子は一向にない。
 なるほど、これがオブリビオンマシンに操られている状態なのだな。と、パイロットの確認も終えた所で、ミストはオブリビオンマシンから距離を引き離す。
「見せてやる、これが猟兵の戦い方だ……!」
 ガトリングガンの嵐が止んだその瞬間を狙い、ブラックバードはオブリビオンマシンの軍勢へと振り向き、武器を構え始める。
「ビームアサルトライフル、セット。ヘルファイア・デバイス、展開」
 アサルトライフルの口を目標に向けると同時に、機体に内蔵された投射器の発射口が開く。
「(――攻撃開始)」
 念じたその言葉を合図に、ブラックバードは引き金を引いた。アサルトライフルと多連装粒子投射器から発射された複数のビームは的確に狙った目標へ着弾し、その装甲を貫いていく。
 次々とオブリビオンマシンは倒れていった。しかし破壊された箇所は機体の四肢や装備していた武器のみであり、あくまでコックピットがあるであろう胴体に被害はない。
「敵機の部位破壊、確認」
 戦闘不能となった事を確認し、陣形の崩れたオブリビオンマシンの軍勢に再度接近するミスト。すると、倒れたオブリビオンマシンの胸部が開き、パイロットの姿が見えたではないか。
『あいたた……』
 それは偶然か、誤作動だったのか。繋がれた回線から確かにそんな声が聞こえたのだ。
『オブリビオンマシンのパイロットに告ぎます。こちらの声が聞こえますか?』
『え……オブリビオンマシン? どういう事だ!? 俺は何をしていたんだ!?』
 一度目の問い掛けとは明らかに違う反応が返って来た。オブリビオンマシンの暴走から解き放たれた証拠だろう。ミストは素早くパイロット達に向けて指示を呼び掛けた。
『あなた達をオブリビオンマシンの洗脳から解放しました。今すぐこの場から退避して下さい。敵の攻撃はこちらで引き受けます、さあ早く!』
 正常に戻ったパイロット達は現状をすぐに理解する事はできなかったが、混乱しつつもミストの呼び掛けに従い、慌ててコックピットから飛び降りた。驚いた表情を見せたまま戦場から離れていくパイロット達の姿を見たミストは、オブリビオンマシンの恐ろしさを改めて思い知ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サンディ・ノックス
生身で戦う

接敵したら胸鎧と一体化、全身黒鎧姿に変身
暗夜の剣を鎖鎌に変形させて敵の片脚を狙い【投擲】
絡ませた状態で攻撃力を重視したUC解放・宵を発動、脚をもぎ取りたい
関節部を狙えばうまくいきそう
脚を失えばバランスも取りにくいんじゃない?
続いて武器の破壊も狙う

最初はどこまで壊せば動かなくなって乗組員を助けられるかわからないから時間かかりそうだけれど、動かなくなるポイントを見つけたらさくさく壊して救出したいね

破壊後はコクピットをこじ開けて救出
魔力を高めて【オーラ防御】を発動、他機の流れ弾が当たらないように保護しながらある程度の距離まで避難を手伝い、以降は自力でできるだけ戦闘区域外に向かうよう指示



 弾丸降り注ぐ荒れ地を走る少年、サンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)。巨大な機械兵の軍を目の前にしても動じる事なく、暗夜の剣を背負い全力で駆け抜ける。
「やっぱりね。キャバリアじゃない相手には弱いみたいだ」
 この世界では機体に乗って戦う事が当たり前であった。よって、生身でキャバリアに向かう事など自殺行為にも等しい行為である。――そう、猟兵が現れるまでは。
 サンディは猟兵だ。この世界クロムキャバリアのルールに縛られる事などない。故に、敵軍も地上を素早く動く小さな標的へ確実に弾を当てる事など難しいテクニックであったようだ。

 一機のオブリビオンマシンの足元付近まで辿り着けば、セピア色に塗装された鎧がサンディを包み込む。怪しい瘴気を漂わせるオブリビオンマシンに目を細めれば、黒剣の形状を鎖鎌へと変化させ、鎖を相手の脚部へ放り投げる。鎖が膝の関節部に絡むと、オブリビオンマシンはそれを振り払おうと機体を空中へと飛翔させた。
 ぐい、と強大な力で体を引っ張られるサンディ。いくら猟兵とはいえ、やはり巨大な機械と小さな人間では力の差は歴然であった。気を抜いていれば鎖を握った腕が引き千切れたかもしれない。――普通の人間であれば。
 サンディは違う。彼は自ら機体へ向かって飛び立った。引っ張られる引力を利用し、鎖を辿り超高速で機体へ接近する。黒剣を構え、彼は笑う。
「さぁ、宴の時間だよ」
 黒剣の刃が輝く。ぐるりと体を回転させながらサンディはオブリビオンマシンの膝の関節部を切断してみせた。
 突然片足を失いバランスを崩したオブリビオンマシン。ぐらりと機体が傾いた所へ、容赦なくサンディの鎖がマシンガンへ襲い掛かる。
「ま、残すよりはマシだしね」
 絡めた鎖を引っ張り上げ、空中へ放り投げられたままの体を軌道修正させる。サンディはマシンガンへ急接近すると、再び黒剣を振り下ろしマシンガンを引き裂いた。
 サンディの着地の後に続き、破壊されたオブリビオンマシンがずしんと大きな音を立てて崩れ落ちる。相手が動かなくなった事を目視すると、すぐさまオブリビオンマシンへ駆け寄った。次に狙う箇所は胸部のコックピット。機械の味を覚えた黒剣は、胸部に刃を刺し込んだ。

 ……しかし、それは急所を外していた。
「よ、っと」
 サンディは黒剣を器用に動かすと、傷を付けた胸部から無理矢理コックピットをこじ開けた。操縦席には突然の眩しい光に驚く若い乗組員が座っていた。
「な、何……? 一体何が起きて……!?」
 その様子を見るに、どうやらオブリビオンマシンを操縦していた記憶はないようだ。何が起きているのかさっぱり分からない、と一人パニックに陥っていた。
「落ち着いて、とにかく今はここから逃げて欲しいんだ。もう大丈夫だよ、僕が助けに来たからね」
 サンディの言葉と差し伸べられた手に、少しずつ落ち着きを取り戻す乗組員。とにかく避難するべき事だけを把握し、慌ててサンディの手を握り返す。
「途中までは同行するよ。さあ、走って!」
 円状のオーラを展開すると、サンディと乗組員は戦場を駆け抜けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハロ・シエラ
これが噂のキャバリエ、ですか。
スペースシップワールドの敵などと比べると思ったよりは小さいですが……だから与し易い、と言う事も無さそうですね。

敵は射撃が得意な様なので、まずは【ダッシュ】で接近します。
砲口の動きを【見切り】なるべく攻撃に当たらない様にします。
この数だと【オーラ防御】が必要かも知れませんね。
接近出来れば動いている【敵を盾にする】様に動きます。
私のサイズが相手なら、敵は足元を狙うはず。
盾にしてもパイロットに直撃はしないでしょう。
後はユーベルコードでキャバリエを破壊するのみ。
コックピットと爆発しそうな物のの位置は事前に【学習力】で覚え、そこを避けつつ手足等斬って無力化して行きましょう。



 戦場に蠢く鉄の巨人の群れ。巨人とは言え、スペースシップワールドの敵と比べれば小さく見えるものだが。
「……だから与し易い、と言う事も無さそうですね」
 元キャバリア、オブリビオンマシンを眺めハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は呟く。
 他の猟兵達が交戦する様子を確認し、遠くから相手の行動を把握していくハロ。小さく頷くと、レイピアを構えながら戦場へと足を踏み入れた。

 大きな地響きが絶えず引き起こされる戦場。その中を駆ける小さな人影。ハロに気付いたオブリビオンマシンはガトリングガンを向け弾丸を発射させる。しかし、気付くには遅すぎた。ハロは既に敵軍の領域へと潜り込んでいたのだから。
「今更、遅いですよ」
 オーラを展開させながらハロは射撃から逃れていく。他の機体の足元や背後を狙っては、その影へと向かって駆け抜ける。結果、射撃は味方同士の撃ち合いにも発展し、脚部を大破したオブリビオンマシンは次々と動きを鈍らせていく。
 やはり生身で攻める相手には慣れていないようだ。しかし、こちらも敵の機体とは距離が近い。少しでも気を抜けば転倒に巻き込まれたり蹴り上げられてしまうだろう。攻撃の瞬間はしっかりと見極めなければならない。
 だが、ハロは他の猟兵達の戦う姿から敵の動きを学んでいた。射撃が一度止まるタイミングも、狙うべき関節部も、既に彼女は知っている。
「(この射撃が終わった次……そう、今!)」
 攻撃の激しさが緩んだその一瞬。ハロは機体の影から飛び上がり姿を現すと、愛用のレイピアを構え一機のオブリビオンマシンを斬り裂く。彼女が地面へと着地した瞬間、オブリビオンマシンの腕と脚がぼろりと切断され、大きな音と共に機体は崩れゆく。
 着地を終えたかのように見えた少女の姿は再び消える。そして、別の機体が腕と脚を失い倒れる。
 ハロは休む間もなく次々と機体を狙ってはレイピアを振るう。戦闘不能となったオブリビオンマシンからは意識を取り戻した乗組員達がコックピットを開き、混乱をしつつも機体から脱出するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ガーネット・グレイローズ
ここが新世界、クロムキャバリアか。
さて、まずはロールアウトしたばかりのブラッドギアの初戦闘。
慣らし運転といったところかな!
機体を《念動力》で制御し、低空ダッシュで敵陣に乱入する。
《空中浮遊》したり、急降下、急な方向転換を繰り返して
敵を攪乱。弾数を考えずに撃ちまくってもらえるならこちらのものだ。
【裁断領域】を展開し、ブレードワイヤーのトラップを戦場一帯に
張り巡らせる。そのうえで遠隔射撃装置「PSDホーネット」を射出して
攻撃開始!《瞬間思考力》と《念動力》で端末を操り、
《レーザー射撃》で四肢を撃ち抜いて全機を無力化させる。
戦闘で得たデータを《情報収集》して、
機体にフィードバックさせるのも忘れずに。



 戦場に降り立った一つのサイキックキャバリア。ブラッドギア『夜の女王』は敵軍であるオブリビオンマシンの軍勢を目の当たりにする。
「さて、初戦闘だ。慣らし運転といったところかな!」
 ブラッドギアの操縦者、ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)は念動力による操縦を試みる。ブラッドギアの指を数回動かし動作確認も終えた所で、次は脚部に力を籠める。目標に向かって顔を前へ向けると、全速力で前進した。

 銃音響く戦乱の中へ、急接近する新たな機体が現れた。気付いたオブリビオンマシンはすぐさまガトリングガンを向け発砲を行う。陣地へと近付けさせまいと豪快に連射を続ける。
「飾り気のない攻撃だ」
 ガーネットは地面を蹴り上げ大きく跳躍する。地上を照らす太陽の中へと潜り込めば、敵の射撃も必然的に外れるというもの。目を眩ませたその隙にガーネットはブレードワイヤーを操り、敵軍の頭上へ急降下しながら鋼糸を戦場へ撒き散らす。
「お前達はもう、私から逃れられないよ」
 着地したガーネットはその勢いを止める事なく、オブリビオンマシンの間をすり抜けては先の読めない方向転換を繰り返し、何であろうとその体に傷を付ける鋼糸を広範囲にわたり更に張り巡らせた。トラップの迷路に囲まれたオブリビオンマシンは思うように身動きが取れず、思わず攻撃の手を止める。慌ててガトリングガンを動かす機体もいたが、鋼糸によって武器は二つに引き裂かれてしまった。
「よし、出番だ。PSDホーネット射出!」
 遠隔射撃装置『PSDホーネット』がブラッドギアから姿を現す。混乱した戦場の中を素早く低空飛行し、目標のオブリビオンマシンへ急接近すると、発射口から細く鋭いレーザーを発射した。レーザーが同時に両足を撃ち抜くと、PSDホーネットはすぐさま向きを変え、次に右腕、左腕と次々に撃ち抜いた。
 崩れゆくオブリビオンマシン。しかしPSDホーネットのレーザーは機体の胸部をわざと狙っていなかった。巨体故大きな音こそ響くが、コックピットだけは恐らく無事だろう。
「オブリビオンとは言え、機体そのものに特に変化はなさそうだ。このまま武器と足元さえ狙えば戦力は削れるな」
 ブラッドギアもPSDホーネットの動作も好調だ。キャバリアを用いた戦術の実地訓練を行うにも丁度良い。ガーネットはブラッドギアを躍らせながらPSDホーネットを駆け巡らせ、オブリビオンマシンの戦意を喪失させていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

クリスタル・ファイアヘッズ
敵のオブリビオンマシンは火力重視のようですね、少し借りるとしましょう。
光学迷彩発生装置起動、敵の足元まで移動してすぐにジェットアーマーでコクピットハッチまで近づきましょう。マグネティックアーマーはアクティブです。さぁ、パイロット席を貸してもらいましょうか。UCを使って、ハッチをこじ開け、洗脳されたパイロットは一度外に出て貰いましょうか。なるほど、体が細めの男性ですか。今は関係のないことです。

さて、このガトリングガンの連射で他の同じような機体の足を狙うとしましょう。機動力を一気に落とす必要があります。

コクピットハッチを狙ってきた攻撃はアーマースーツのバリアで防御しましょう。



「光学迷彩発生装置、起動」
 クリスタル・ファイアヘッズ(憑依の守り手・f18277)は自身の姿を隠す。生身で戦う猟兵とキャバリアを用いて戦う猟兵がオブリビオンマシンの軍勢と交戦する様子を観察した彼女は一つの答えに辿り着く。
「敵のオブリビオンマシンは火力重視のようですね、少し借りるとしましょう」
 オブリビオンマシンが装備するガトリングガンは火力を重視したものだ。戦い方は単調ではあるが、武器の攻撃力そのものは高いと認識した。あれを奪えばこちらの戦力を上げる事ができるだろう。
 目標が決まれば後は実行するのみ。クリスタルはすぐさま戦場を駆け抜けた。生身のまま姿を隠した者に気付くオブリビオンマシンは誰一人いなかった。荒れる戦場でそのような行動をする人間などいないと、誰しもが思っていたのだろう。猟兵が登場するまでこの世界ではそれが当たり前であったのだから。
 彼女はあっという間に一機のオブリビオンマシンの足元まで到着した。射撃に集中をしているのか、その場から動く気配はない。クリスタルはジェットアーマーで高く飛び上がると、マグネティックアーマーを作動させ機体の胸部に手足を張り付けた。絶えないガトリングガンの発砲音が耳障りだが、サイボーグである彼女は騒音など気にもしない。
「それでは、少し貸していただきましょう」
 コックピットのハッチらしき場所へ手をかけると、クリスタルは力の限り、思い切り引っ張り上げる。いくらマグネティックアーマーを使用しているとはいえ、外部から人の腕力で無理矢理ハッチを開こうとするなど不可能である。しかし今回は例外だ。何故なら彼女は猟兵であり、ユーベルコードが使用できるのだから。
 ハッチからみしみしと音が鳴る。その異常にオブリビオンマシンはやっと何者かがいると気付いたのか、ガトリングガンの発砲が停止した。
「終わりましたか。では、開けていただきましょうか」
 クリスタルは表情を変える事なく、両腕を振り上げた。なんと、外部から決して開くはずのないハッチが開いたのだ。コックピットの中身が露わとなったオブリビオンマシンは完全に動きを停止させてしまった。
 パイロット席に座っていた細身の男は、虚ろな顔を浮かべたまま何処か遠くを見つめていた。ぼうっとしていた男だったが、コックピットが開き眩しい太陽の光を直に浴びると、次第にその意識を取り戻していった。
「……?」
 何をしていたのか覚えていない。そんな表情を浮かべながら周囲を見渡し、そして開いたハッチから見下ろす青髪の女性、クリスタルを見ると、男はやっと驚きの声を上げるのだった。
「あなたには少々危険です。今すぐこの機体から降りてください」
 まだ状況が把握できていない男であったが、今はそれをゆっくり待つ時間はない。クリスタルは冷静なまま男の腕を引っ張り上げると、抱きかかえ地上へと降ろした。男は自らの足で立つと、訳も分からずその場から離れていった。
 クリスタルは停止したオブリビオンマシンのコックピットに乗り込みハッチを閉めると、手早くコンソールを操作し機体を動かしてみせた。動作に問題はない。これなら動かせる。
 彼女はガトリングガンを構え、過激化する戦乱の中へと突撃する。威力の高い連射を放ち、敵軍を更なる混乱へと陥れてみせた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

悪の絡繰りと洗脳…か
俺達も乗れば洗脳されるのだろうかと眉を寄せつつ至近に居る宵へ視線を向けよう
…絡繰りは未だ恐ろしいが…否、お前が居るならば恐れる物等何もないな

戦闘時は乗組員の居る部位を観察し行動
中の者にダメージが行かぬ様【穢れの影】を敵マシンの手足に絡め動きを鈍らせんと試みつつ『部位破壊』にてマシン手足を『怪力』を乗せたメイスで破壊して行ければと思う
勿論常に宵は『かば』いながら行動をする故、宵へ攻撃が向かった際は動きを止めるべく【穢れの影】ち『盾受け』を

乗組員の無事を確認できたなら安堵の吐息を
俺にとって宵が己よりも大事な様にこの者にも大事な相手が居るのだろう
再会できると良いな


逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

洗脳とは、穏やかではないですねぇ
まぁ、何があろうと僕は洗脳されるつもりはありませんが
もちろん、かれもです
ええ、大丈夫ですよ、ザッフィーロ
僕が傍にいるのですから

「視力」「戦闘知識」にてかれが狙った機体や周辺の敵機体に注意を配りつつ
危害を加えてくる機体には【ハイ・グラビティ】で身動きを封じ
攻撃が向けられたなら「見切り」つつ「オーラ防御」で防ぎ
「カウンター」で「衝撃波」を放ち「吹き飛ばし」ましょう
防げず直撃するなら「狂気耐性」「呪詛耐性」「落ち着き」「覚悟」にて耐えましょう

乗組員の無事を確認したなら保護を手伝い
ええ、彼にとっての導となる方のところへ
再び逢えると良いですね



「ええと、あの巨大なものがキャバリア……というものでしょうか?」
 遠くの戦場で戦う鉄の巨人に静かに驚くのは逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)とザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)。
 機械的な存在はUDCアースやスペースシップワールドなどで見た事もある訳だが、やはり見慣れないものはいつでも新鮮に感じてしまう。
「あの巨人の中には人が入っていて、オブリビオンに飲み込まれてしまうと、巨人と共に洗脳されてしまうのですね。……洗脳とは、穏やかではないですねぇ」
「成る程、悪の絡繰りと洗脳……か。俺達も乗れば洗脳されるのだろうか」
 そう心配そうに呟いたのはザッフィーロ。その視線は隣に添う宵の顔へと向いている。その眼差しに気付いた宵はやれやれと苦笑いを見せた。
「ええ、大丈夫ですよ、ザッフィーロ」
 洗脳されるつもりはありませんよ、という返しを聞けば、ザッフィーロは安心したような表情を見せる。
「……絡繰りは未だ恐ろしいが……否、お前が居るならば恐れる物等、何もないな」
 ――そうですよ、何も恐くありません。僕が傍にいるのですから。あなたは本当に心配性ですね。

 キャバリアとオブリビオンマシンが激しく交戦し、戦場では大きな地響きが絶えない。これもまた他の世界ではあまり体験しない状況だろう。しかし、いつまでも慣れずに戸惑っている場合ではない。あの巨人の中には罪のない人が閉じ込められているのだ。
 巨人の構造が分からず、最初こそ閉じ込められている人が何処にいるのか分からなかった二人。しかし他の猟兵から救出されている様子を見てみるに、どうやら胸の辺りが開き、その中にいるようだ。
「まずは、あの巨人の武器や手足を狙うと良いみたいですね」
「四肢を捥がれても、痛みは感じないのだろうか」
「人型とて所詮は絡繰り、きっと問題ないでしょう」
 そんな会話をしている彼らに、一機のオブリビオンマシンが急接近を仕掛けながらガトリングガンを向ける。地面へ向け銃撃を行い、威嚇を試みているようだ。
 耳が痛くなるほどの爆音、そして破壊された地面と砂埃が襲い掛かる。すぐさまザッフィーロが宵を庇いながら自身の足元から影の腕を呼び出す。複数の影の腕はオブリビオンマシンの足元へ力強く絡み付く。突然の魔法に驚いた素振りを見せるオブリビオンマシンは影の足を振り払おうとし、攻撃の腕をぴたりと止めた。
「ありがとうございます」
「構わん。それにしても……流石外見に見合った重量は持っていると言うべきか。あの穢れだけでは長く持たない可能性がある」
「いえ、十分です。一瞬でも足止めをしてくれれば、そのまま僕が」
 隙を見せたオブリビオンマシンへ、宵は杖の先端を向ける。杖が夜色に輝いた瞬間、ずん、とオブリビオンマシンは突然地面へと両手をついた。まるで上から何かに押し潰されそうになっているのを必死に堪えているようにも見えた。否、オブリビオンマシンを押し潰そうとしているのは不可視の重力なのだ。
「ザッフィーロ、行けますか」
「任せろ」
 巨人がその背を低くするものならば、後はこっちのもの。ザッフィーロはオブリビオンマシンへ接近すると、メイスを振り上げ思い切り叩き付けてやった。手首の装甲が歪み、そこへもう一度メイスの攻撃が命中すれば、破壊された手首は腕から離れたのだった。
 支える腕を失い宵の重力波に耐え切れず倒れるオブリビオンマシン。仰向けとなった機体の上へ上ると、ザッフィーロは再びメイスを振り下ろす。閉じ込められているであろう胸部を歪ませ力いっぱいに押したり引いたりを繰り返すと、やはて胸部は扉のように開いた。
「宵、本当に人がいたぞ」
 改めて驚きの言葉を吐くザッフィーロ。後からやって来た宵も目を丸くした。巨人の中、操縦席には華奢な女性が座っていたのだから。
「あの、大丈夫ですか?」
「うぅ……え……?」
 宵がそっと声を掛ける。意識が朦朧としている女性だったが、呼び掛けには気付いているようだ。
「怪我は……少し負ってしまったか。申し訳ない事をした。手を貸そう」
「う、うん……? これくらいは大丈夫だけど……ここは……?」
 女性を抱えたザッフィーロと宵は機体から降りると、ゆっくりと女性を立たせた。洗脳されていた間の記憶はないようだが、とりあえずは無事なようだ。
「ここは戦場です。僕達が引き受けますので、どうか安全な場所へ避難をお願いします」
 宵から簡単な医術を施されると、女性は頷き、指示された方向へと走り去って行った。その後ろ姿にザッフィーロは未だ女性を発見した時の驚きを隠せないまま、ふと呟く。
「女性があの絡繰りを……少々意外だった。このような巨大な絡繰りを操り戦う腕を持っているという事は、それだけあの者にも大事な相手が居るという事なのだろう」
 ――自分のように、守りたいと想う相手が。その強い想いが、巨大な絡繰りを操る源となっているのかもしれないな。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エイス・シノノメ
偽装廃墟地区?
そんな廃墟に見せ掛け住む国があるとは
それが彼らの生存戦略、なのでしょうか?
このクロムキャバリアは誰もが戦わねば生きられぬ世界であるはず…アタシには少々解りません
アタシ、我が国の機獅道には戦略として一時的に戦わぬ事はありますが…それは後の勝利のためです
生きる事は戦う事だと教えられました

機体はお借りします
この機体で十分やれるのだと示すのは後に意味がある事だと信じています
そう…この機体でもマッハ5を超えた機動ができます
いえ、マッハに耐えうる機体だと言う事なのです!
ガトリング運用か腕部が肥大化しているため腕部破壊の方が制しやすそうですね
弾幕に捕まらぬ高速機動で肩を重点的に狙って行きます!



 生まれ育ったこの世界では、生きる事は戦う事だと教えられた。その戦いを避ける国があるとは驚きだ。「(それが彼らの生存戦略、なのでしょうか?)」
 そういった戦略もなくはないものですが、とエイス・シノノメ(機獅道一直線ガール!・f30133)は思考する。
「(しかし、現に予知されているではないですか。アタシ達が助太刀しなければ、今頃ここは……)」
 やはり戦いから逃げてばかりではいずれ滅びてしまう。この世界、戦いから逃れる事はできないのだ。
 だからこそとエイスは申し出た。この国のキャバリアを貸して欲しいと。キャバリアの整備は万全ではあったものの、確かに戦場へはあまり出撃していないのだろう、装甲には掠り傷一つすら付いていなかった。
「加勢をしろとは言いません。ですが、できれば遠くから見ていて欲しいのです」
 このキャバリアが本来持っているであろう勇姿を、その目に焼き付けて欲しいと。エイスは偽装廃墟地区に住む民にそう伝えると、キャバリアを起動させ格納庫から飛び出した。

「話によれば、あなたは荷物運びと盗賊の追い払いにしか使われていなかったと、そう聞きました」
 操縦するキャバリアに話し掛けるエイス。
「でも、あなたはもっと戦えます。それを今から……アタシが証明してみせます!」
 彼女は一気に速度を上げる。背部のスラスターから白い炎が噴き出る。加速していくキャバリアは白い線と衝撃波を残しながら戦場へと急接近する。
「あなたは……マッハに耐えうる機体です!」
 敵であるオブリビオンマシンがこちらへ気付いた時には、既に遅かった。エイスは力強く地面を踏み込み、空高く跳躍していたのだ。
「武装展開確認OK――fire!!」
 肩に仕組まれたミサイルポッドが姿を見せると同時に、両手で握ったアサルトライフルの引き金を引く。アサルトライフルから発射された複数のレーザーが雨のように戦場へ降り注ぐ。武器や腕を焼き切られたオブリビオンマシンへ更に追い打ちをかけるように、無数のミサイルが肩や腕を狙い破壊していく。
 地上へ降り立つエイスのキャバリア。地面へ横たわる紅き機体のオブリビオンマシンの軍勢。勿論コックピットへ攻撃は届いていない。
「ほら、できるじゃないですか」
 いつまでも眠り続けているのは良くないですよ。エイスの得意気なその呟きは、キャバリアに向けられたものか、それとも民に向けられたものか。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『オブシディアンMk4』

POW   :    ホークナパーム
【油脂焼夷弾】が命中した対象を燃やす。放たれた【高温の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    ピアシングショット
【スコープ照準】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【RSキャバリアライフル】で攻撃する。
WIZ   :    マイクロミサイルポッド
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【誘導ミサイル】で包囲攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 炎の如き紅のオブリビオンマシンの数は減少した。敵軍の領域へと進むと、そこには更なる軍勢が視界に映る。
 漆黒の装甲に身を包み、多くの重火器を装備した第二波のオブリビオンマシンの軍勢。先程のオブリビオンマシンの後方から遠距離射撃を行うつもりだったのだろうか。こちらへ向かってキャバリアライフルを一斉に向けていた。
 しかし状況は一変。前衛のオブリビオンマシンの数が減った以上、接近戦を行わなければならない。
 漆黒のオブリビオンマシンは前衛で戦う者と後衛から援護射撃を行う者と分かれ、猟兵達に戦いを挑む。

 その動きには人の生は感じられない。この機体もやはり、乗組員が洗脳されているのだろう。
 彼らはただただ戦う。戦場を求め、名誉の死を得る為に。
ハロ・シエラ
違うタイプのキャバリア
……飛び道具相手となると、上手く立ち回らなければ。

ここは幻術を使わせて貰います。
敵キャバリアの大群がやってきた、と言うシチュエーションはどうでしょう。
そちらに目を向けさせ、動きを封じている内に【ダッシュ】で接近しましょう。
ミサイルを幻覚のキャバリアに撃ってくれるとより良いですね。
発射や爆発に伴う煙が作る【闇に紛れる】事も出来そうですから。
敵集団に肉薄すればミサイルも撃てないはず。
レイピアで装甲の隙間を突くなどして【鎧無視攻撃】を加え、内部に雷の【属性攻撃】を加えます。
電子部品だけ壊す事が出来れば、パイロットにはさほどダメージは無いでしょう。

後は機械に幻術が効くか、ですね。



 動く第二群のオブリビオンマシンを遠くから確認したハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)。
 どうも次はガトリングガンだけではなさそうだ。多くの遠距離武器を所持しているとなれば、上手く立ち回らないと厳しい戦いとなってしまうだろう。
 となれば、敵の攻撃をどうには別の方向へと向けたい所だ。その隙に近付ければ、あとはこちらのものだ。
「……試してみましょうか」
 ある一つの案を考えたハロ。その案は敵に有効かどうかは不明だ。だが、まだ知らない世界だからこそ試して効果を知る必要もある。彼女は迷う間もなくレイピアの先を敵軍へ向けた。
「……夢と現の水面より出でよ」

 漆黒のオブリビオンマシンの軍勢は低空飛行を行い、味方である第一軍が戦う場へと向かっていた。
 しかし、先頭を飛ぶオブリビオンマシンは突如目的地を変更し向かう方向を変えた。敵を察知したのだ。後ろに続く他のオブリビオンマシンもそれぞれの武器を構えながら突撃する。
 彼らは猟兵達のいる方向から逸れてしまった。第二の敵が現れたのだろうか。いや、違う。彼らは『存在しない敵』に向かって攻撃を仕掛けたのだ。
 『存在しない敵』へ発砲を続けるオブリビオンマシンの軍勢。彼らには謎のキャバリア軍団が視界に映っている事だろう。それもハロによる幻術だと知らずに。
「なるほど、効果は十分あると」
 機械とて所詮操縦する者は人だからだろうか。それとも術を使えば探知機能すら容易にハッキングが可能という事か。どちらにせよ誰にも気付かれる事なくハロはオブリビオンマシンへ接近する事ができた。
「では、このままもう一つ試させて頂きましょうか」
 キャバリアの幻影へ向いている今、足元はガラ空きだ。ハロは雷撃を帯びたレイピアを構えると、相手の背中から装甲の薄い部分を狙ってレイピアを突き刺した。一瞬にして機体全体に走る高圧電流。電子回路を破壊されたオブリビオンマシンはシステムダウンを起こし、その場で崩れるように膝をつくのだった。
 検証結果は十分得られた。ハロは動かなくなったオブリビオンマシンを蹴り上げ飛ぶように素早く移動し、次々とオブリビオンマシンの動きそのものを止めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガーネット・グレイローズ
※アドリブ・連携歓迎

死を美化して、人々を戦争に駆り立てるのか。オブリビオンめ……。
さあ、パイロットを救いに行こう。

【イデア覚醒】を発動させ、戦場一帯に満ちた兵士たちの
意志を読み取って回避率を向上させる。
《第六感》を研ぎ澄ませることで、キャバリアに乗っている人々の
心の声が聞こえる……。
家族、師弟、恋人たち。強い絆で結ばれた人々に忍び寄る死の影を絶つべく、
PSDホーネットを射出。敵軍の間隙を縫うように《空中浮遊》して飛び回り、
《念動力》によるオールレンジからの《レーザー射撃》で武装を破壊し無力化を試みる。

あなたには、愛する人と共に帰る場所があるんだろう?
簡単に命を捨てるなんて言ってはいけない!



 迫り来るオブリビオンマシンの軍勢。しかしその動きからは生気は感じられず。
「おかしい」
 ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)は嘆く。これは戦場に出でる者達ではないと。
「戦場とは死を求めて来る場所ではない。生きる者達がぶつかり合う場所だ。元から死を美化するなど馬鹿げている」
 美しき戦死というものは確かにあれど、それは自ら進んで求めるものではない。特にこの世界では、生き永らえる事が何よりの美ではないのだろうか。
「ああ、パイロットは死など望んでいない。きっとそうだ。何故キャバリアに乗ると心に決めたのか……思い出させてやらねばな!」
 必ず救う。そう心に誓ったガーネットは漆黒のオブリビオンマシンの軍勢に意識を集中させる。
「あなたには……愛する人と共に帰る場所があるんだろう? 簡単に命を捨てるなんて言ってはいけない!」
 狙いを定め、勢いよく射出させたのはPSDホーネット。目標に向かって真っ直ぐと高速で飛ぶPSDホーネット。それを撃ち落とそうとライフルを構えるオブリビオンマシン。発砲された弾も確実にPSDホーネットを狙っていた、はずだった。
 PSDホーネットは不可思議な動きを見せた。まるで一瞬テレポートでもしたかのように真横に動き弾を避けたのだ。
「私の念動力をなめない事だ」
 最も、あなた達には備わっていない力かもしれないが。そう呟きガーネットは指先を動かす。PSDホーネットは敵の領域に入るなり、その間を瞬時に掻い潜り相手を翻弄させた。
「さあ、いい加減目を覚ますんだ!」
 狙うはオブリビオンマシンの武器。PSDホーネットの鋭いレーザーが次々と銃器を撃ち抜いていく。銃器と共に吹き飛ぶのはオブリビオンマシンの腕。武器と腕を失ったオブリビオンマシンは撃たれた衝撃でその巨大な体を崩していく。
「戦うのであれば、そんな呪われた機体を扱うべきではない。……己の信じたキャバリアで挑むべきだ」
 その声は届いたのだろうか。戦闘不能となったオブリビオンマシンから、洗脳から解放されたパイロット達がふらふらとコックピットから顔を覗かせるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

クリスタル・ファイアヘッズ
先程奪わせていただいたオブリビオンマシンに乗って参加します。

どうやら、後衛と前衛で相手は分かれるようですね。
戦略的に動いてきますね。今回は私は味方の援護に徹するべきでしょうか。

常に、こちらの数が有利なように動きたいですが、難しいようであればソロでも戦いましょうか。私のUCの特性のままオブリビオンマシンを操縦します。このガトリングマシンを相手の頭を狙って部位破壊を狙ってみましょうか。反動はきつそうですが、微調整はしましょう。コクピットさえ当てなければ死にはしないでしょうから。

こちらに複数のキャバリアが向かってくるなら一度障害物に身を隠すことにしましょうか。隙を見て反撃したいところですが。


ミスト・ペルメオス
【WIZ】

まずは突破。さあ次だ…ッ!

愛機たる機械鎧を駆ることで戦闘を継続。
デバイス等を介して念動力を活用、機体をフルコントロール。
高度・速度に注意しつつ、スラスターを駆使しての高速戦闘を行う。

ヘルファイア・デバイス展開、【バラージショット】。
念動力を利用した機体制御・火器管制による高密度のエネルギー散弾の弾幕を展開。
フェイントを入れつつの滑走による高速移動と対空迎撃により誘導ミサイルの雨霰を強引に突破。
また有効射程に捉え次第、ビームアサルトライフルで敵機体を攻撃していく。
やはりパイロットは殺傷しないよう注意し、頭部や四肢、武装を破壊することで敵の戦闘力を奪っていく。

※他の方との共闘等、歓迎です



 オブリビオンマシンはそれぞれの銃器を構え、一斉に発射した。誘導ミサイルは猟兵達を狙い飛翔し、地形ごと爆破させる。
「(あれは見定めないと危険だな)」
 愛機に乗ったミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)は岩場に隠れながら誘導ミサイルの様子を静かに見る。あの攻撃の中を計画なく突撃するのは得策ではないだろうと考え、敵の動きを今一度確認することにした。
 接近し敵の懐へ潜り込める糸口があるはずだと、誘導ミサイルの軌道データを収集していたその時。戦場の雰囲気は一変した。

 紅色の機体を持つオブリビオンマシンが突如現れ、味方であるはずの漆黒のオブリビオンマシンへ向けてガトリングガンを放ち始めたのだ。それは先程交戦した敵軍の機体の一つであった。
 紅色のオブリビオンマシンは次々と誘導ミサイルを撃ち落とし、オブリビオンマシンの武器や頭部を吹き飛ばす。流石のオブリビオンマシンも動揺したのか、誘導ミサイルは誰を狙っていいのか分からないまま地面へと着弾する。
 故障か? いや、それにしては岩陰にしっかりと自分の身を隠しながら銃撃戦を行っている。とするなら意識を取り戻し屈強な精神でオブリビオンマシンを操っているのか? ミストは例のオブリビオンマシンへ回線を繋ぐ事を試みた。
『オブリビオンマシンのパイロットに告ぎます。そちらは我々の味方ですか?』
 返答はすぐに返って来る。淡々とした女性の声だ。
『はい、猟兵ですので。先程、オブリビオンマシンを奪わせて頂きました』
 なるほどその手が、とミストは納得し頷いた。声の主、クリスタル・ファイアヘッズ(憑依の守り手・f18277)は続けてミストに伝える。
『こちら、後方から援護に回らせて頂きます。もしも接近戦を考えているのであれば手伝いますが』
『……助かります。では、あなたの銃撃に続いて私が敵領域に踏み入り敵軍を乱します』
『承知しました』
 空中飛び交う誘導ミサイルへ、クリスタルは両腕に握った二丁のガトリングガンの銃口を向け乱射させる。連鎖的に爆発が発生し煙に包まれる戦場。目くらましとなり敵を見失ってしまったオブリビオンマシンの軍勢。その一瞬を狙い煙の中から飛び出してきたのは、高密度のエネルギー散弾と機械鎧ブラックバードだ。
 エネルギー散弾は誘導ミサイルを破壊しながらオブリビオンマシンにも襲い掛かる。接近したミストはすぐさまビームアサルトライフルを撃ち込み、敵機を大破させていくのだった。
 大破した敵機に残されたのはコックピットのある胸部のみ。パイロットも次第に目を覚ます事だろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

ええ、数が多いですね
とにかく一機ずつ戦闘不能にし、一人ひとり掬いあげねばなりません
自分では望まぬ死を迎えぬためにも

ええ、きみも怪我のないように
―――なんて、お互い愚問でしたかね

ザッフィーロの援護をしつつ
【コード・モルゲンロート】で飛行型の魔法生命体を召喚
「マヒ攻撃」をもって対象に攻撃させます

敵からの攻撃は「見切り」と「オーラ防御」で防ぎつつ
まずは手を「衝撃波」で「吹き飛ばし」て武装解除させることを目的に
「部位破壊」を狙っていきます

マヒが回り身動きを封じたなら、魔法生命体にコクピットに取り付かせ
中の人の救出を試みましょう

救出させたなら対象を預かりつつ「救助活動」を


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

…又数が多いな
先の女性の大事な者も居るかもしれん故成るべく中の者を傷つけず倒したい所だが…
…宵、お前は俺にとっての大事な者だからな
怪我をするなよ?
そう声を交わしつつ戦場へ

基本的に宵を庇う事を優先
『盾受け』にて宵に降りかかる銃弾を防ぎ宵の攻撃を援護しよう
射程に入った敵には【罪告げの黒霧】
麻痺毒の黒霧をマシンの間から侵入させ動きを止めんと試みつつ『怪力』を使いメイスにて先に開いた胸部をこじ開けて行く
助けた者達には先に交戦した者達は無事だと、退避するよう伝えよう
先の女性の血縁らしき相手には女性を助けたが無事だと伝え安心させられれば幸いだ
…少しでも多くの者を助けられればとそう思う



「この世界の敵は、数が多いだけでなく巨体だからな」
 対処が厄介だ、とザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)はオブリビオンマシンを睨む。
「その上で、中に人も居る。先の戦闘で手段は少し理解したつもり故、成るべく中の者を傷つけず倒したい所だが……」
「大変ですが、とにかく一機ずつ戦闘不能にし、一人ひとり救いあげねばなりませんね」
 汗を拭う逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)も敵軍を眺める。まだまだ戦闘は終わらなさそうだ。
「……宵、お前は俺にとっての大事な者だからな。怪我をするなよ?」
「ええ、きみも怪我のないように」
 それも愚問でしたかね、と付け足し。休む間もなく二人は次の戦場へと進む。

「では、よろしくお願いします」
 宵はユーベルコードを発動し、一体の魔法生命体を呼び出す。からから、と生命体は鳴く。カンテラに翼が生えた姿を持つ生命体は空高く舞い上がった。カンテラが太陽の輝きを反射させ眩しさをより増幅させる。
 正体不明の謎の物体が空中を浮遊している事を感知したオブリビオンマシンは銃器を上へと向け、目標を撃ち落とそうと銃撃を行う。しかし不思議な事に謎の物体はひらりと弾丸を避ける。まるで瞬時にワープをしているようにも見えた。
 生命体はからからと鳴いた。突然星の灯火を輝かせたと思えば、オブリビオンマシンに向けて雷を落としたのだ。高圧電流を受けたオブリビオンマシンはその動きを鈍らせる。
 悪戯に雷を落とす生命体に尚攻撃を続けるオブリビオンマシン。しかし、それも長くは続くはずがなく。

 突如、次々と機体に異常が発生し始めた。しかし、あの雷を受けた形跡は全くない。機体のあらゆる回路がショートし、最後には全ての機能が破壊され動きを停止させるのだった。
 何故。もしオブリビオンマシンに自立した思考能力が搭載されていたとしたら、そう思った事だろう。その敗因は、下を確認しなかった事だ。
「目立つものばかり追う事に、良い結果が出たと聞いた事はないな」
 流れ弾を盾で防ぎながら、ザッフィーロは黒の吐息を吐いていた。吐息は毒霧となり戦場に満ちていく。毒霧はオブリビオンマシンの装甲に入り込むと、不思議な力で回路をショートさせていくようだ。
「……絡繰りにも毒は有効なのですね」
「何、罪は生ある者だけの特権とは限らん。その体に染み付いたものがあれば、それは穢れである」
 オブリビオンマシンのその腕、脚、武器は確かに覚えているのだ。今まで行ってきた戦争、そして破壊の記憶が。生きる為の行動だったとは言え、それらが己の身の破壊に繋がったのだろう。
 地面へ静かに膝をつき、崩れるオブリビオンマシンの軍勢。そこへすかさず近付いたのは、空を飛んでいた生命体だった。生命体はオブリビオンマシンへ密着すると、からからと鳴いた。魔法を使用したのか、胸部のコックピットの扉が勝手に開いた。宵はオブリビオンマシンに乗り上がり乗組員を確認する。意識を失っているが無事であるようには見える。
「良かった……。ザッフィーロ、あちらは任せました」
 次の機体のコックピットを開こうと生命体が飛び去る中、ザッフィーロもメイスで叩きコックピットを無理矢理開く。男性が力なく薄く目を開いている事を確認し、ザッフィーロは腕を伸ばす。
「安心するがいい、助けに来たのだ。早く離れろ」
 男性は言われるがままザッフィーロの腕を握る。太陽の光に照らされた男性の顔を見るなり、ザッフィーロは呟く。
「お前、似ているな……。先程、似た女性を見たのだが」
「……妹か?」
 男性の顔は真っ青になるが、ザッフィーロは首を横に振る。
「それも問題ない。俺達が助けた故、今は避難している頃だ」
 その言葉を聞いた男性は、心からの安堵の表情を浮かべた。

 避難経路を確保していた宵の元へ男性を連れ出し合流させる。まだ本調子ではないものの、状況を把握した乗組員達はすぐさま戦場から走り去る。ただ、一人の男性だけは宵とザッフィーロに向け、一言声を掛けてから去っていったという。
「……すまない、ありがとう」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャルロット・クリスティア
死を厭わない戦闘機動……有人兵器のそれではありませんね。
搭乗者の意思が介在してこの動きがやれるとしたら相当のものですが、オブリビオンマシン……ここまで影響を及ぼすとは。

……さすがに狙撃手がいるのはバレているでしょうし、誘い出しますか。
ミサイルを対空射撃で撃ち落としてやれば、こちらを潰しに接近してくるでしょう。
地雷地帯に踏み込ませます。
当然、キャバリアを吹き飛ばすほどの火力は用意出来ませんが……足を取り、防塵カバーを破り、内部構造に傷を入れる。
それだけで足首を殺すことくらいは少しの工夫で簡単にできます。
足さえ止まれば後はただの的。
ささっと武装を潰して投降していただきましょうかね。



 多くの数の誘導ミサイルが上空を飛ぶ。目標である猟兵達を狙い、ミサイルは爆破する。
 岩陰に隠れていたシャルロット・クリスティア(彷徨える弾の行方・f00330)は機関銃の口を空飛ぶミサイルに向ける。ひたすらにあの多くのミサイルを相手にするのは難しいと、そう思ったのだ。
 ミサイルを止めるには本体の数を減らさなければならない。その本体も、情報共有によってこちらの存在を知っている可能性もある。流石に真っ向勝負は無謀だろう。
「……そう考えるとするならば、誘い出してみましょうか」
 シャルロットが岩陰から身を乗り出して引き金を引くと同時に、ミサイルは花火のように空中で爆発を起こした。ミサイルとミサイルの距離が近くなった瞬間を狙った為、周囲のミサイルも誘爆し、あっという間に青かった空は爆破と煙に覆われた。
 オブリビオンマシンはすぐにシャルロットの姿に気付いた。勿論、それも彼女の計算のうちである。思惑通り、オブリビオンマシンの軍勢は炎を吹き出す重火器を構え、シャルロットの元へと急接近を行った。
「いけませんね……そんなに迂闊に動くと、危ない『かもしれない』ですよ」
 多くのオブリビオンマシンを目の前に、シャルロットは逃げも隠れもしなかった。堂々と岩の上に立ち、一丁の機関銃だけを構えているのだ。……まさにオブリビオンマシンは、そんな彼女だけをロックオンしていたのだろう。

 軍勢の先頭を飛んでいた一機のオブリビオンマシンが突然、爆破に巻き込まれた。爆破と言っても先のミサイルほどの威力はない。しかし地面を吹き飛ばし、脚部を損傷させる程の威力はあった。
 後に続くオブリビオンマシンは認識する。ここは敵による『地雷地帯』であると。しかしそれも既に遅い。あちらこちらで地雷は次々と発動し、オブリビオンマシンの足元を破壊していくのだった。
「人であれば、少しは怪しんだと思うのですがね」
 そんな意味も含めて、有人兵器の動きではないと改めて感じるシャルロット。やはりこれも、パイロットの死を求めるオブリビオンマシンによるものなのだろうか。
「……それの何処が良いのか、私には理解し難いです」
 動きを封じられた機体であれば、あとは撃つだけ。シャルロットは機関銃の引き金を引き、敵機の武装を破壊していった。

成功 🔵​🔵​🔴​

サンディ・ノックス
前後衛に分かれたね
相手できるのはどちらか一方…同業者の様子を確認し手が薄いほうに行くよ

真の姿解放、金眼の赤い竜人に変化
すぐUC青風装甲を発動し敵の懐に飛び込む
初動、最大速度でなくても俺を捉えるのは難しいはず

黒剣で武器を斬り落としていく
全身武器に見えるし攻撃場所を間違えると乗組員が危ないな
洗脳効果で本人は自分の身の安全なんて考えないだろうし…敵対者の命に気遣う攻撃ってやりにくい

武器の破壊が間に合わず行われた攻撃は着弾位置を予測、流れ弾が他の敵に着弾しないときはUCの機動力を活かし回避
着弾するときは仕方ないから受ける

交戦中は
仲間は無事だ、貴方を心配している、貴方が仲間を心配するように!
と訴え続ける



 戦場は猟兵達が優勢に見えていた。それでもオブリビオンマシンは攻撃を止めない。たとえ負け戦だとしても命尽きるまで戦う事が美徳であると、そうインプットされているのだろう。機体も、乗組員も。
 今、空から赤き竜の身に姿を変えたサンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)が敵の領域へと降り立った。その体はオブリビオンマシンと比べればなんと小さい事か。しかしオブリビオンマシンの誤算は一つ。『人間サイズと交戦した実績、記録がなかった』事だ。
「さあ、中にいる人を返して貰おうかな」
 瑠璃色の旋風がサンディを守るように吹き荒れる。その風はサンディの動きを更に加速させ、オブリビオンマシンの放ったナパーム弾をもはじき返す。
「(とはいえ)」
 高速移動により敵機の背後を取り、肩の銃器へ黒剣を滑らせるサンディ。しかし黒剣に込める力加減がなかなか安定しない。
「(いつも通りに戦えば乗組員ごと斬ってしまいそうだ。……気遣う攻撃ってやりにくい)」
 乗組員が乗っているコックピットを意識しなければ、簡単に機体ごと斬ってしまう。完全に破壊させない攻撃方法にサンディは悩む。
「(……斬る事に恐れがあるのならば)」
 一か八か。サンディは飛んで来たナパーム弾を睨み付けた。
「仲間は無事だ、貴方を心配している。貴方が仲間を心配するように!」
 覇気である旋風が強まり、旋風と共に黒剣を振るう。するとナパーム弾はその場で弾け飛んだのだ。散ったナパーム弾の炎はオブリビオンマシンの頭上へ降り注ぎ、機体の四肢や武装を焼き尽くしていく。
 行動を停止させるオブリビオンマシン。染み付いた炎を黒剣で斬り飛ばし、コックピットを抉じ開ける。乗組員はうっすらと意識を取り戻し始めたようで、小さく何かを呟いていた。
「うぅ……兄、ちゃん……」
「……避難場所で貴方の仲間が待っている。どうか早く、会ってあげて」
 サンディは優しく声を掛けると、次の機体へすぐさま飛び去る。サンディが開いたコックピットからは次々と乗組員が飛び降り、炎燃える戦場を駆け抜けていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『セラフィム・リッパー』

POW   :    断罪の剣
【無敵斬艦刀】が命中した対象を切断する。
SPD   :    エンジェルビット
自身が装備する【BS-Fクリスタルビット】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    フォールンウイング
【光の翼】を向けた対象に、【プラズマビーム】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 一際輝く白の機体がゆっくりと歩いてくる姿が見える。
 今まで現れたオブリビオンマシンとは明らかに異なると、猟兵達は一瞬にして察する。そう、恐らくあれがボスなのだろうと。

「異世界の者達に告ぎます」
 白のオブリビオンマシンに乗った宣教師、ファティシア・ウーの声が戦場に響く。
「私達は戦場で勇ましく散る運命にある命なのです。どうか、避難などという惨めな行いはやめていただけませんでしょうか」
 宣教師は哀れむような声で話を続ける。
「私は、死こそ美しいと悟ったのです。戦いの中で死ぬ事こそ、私達にとって幸福なのだと」
 ――もしそれの邪魔をすると言うのならば。
「貴方達と勇敢に戦い、そしてお互いに、美しく散りましょう」

 とあるキャバリアに回線が繋がる。それは避難場所へ到着した乗組員からの通信だった。
『聞こえますか、早急に伝えたい事があってジャックさせていただきました』
 乗組員は一方的に早口で告げる。
『宣教師様はあのようなお方ではありません。死など求めるお方ではありません! とても優しく、生きる事を大切に考えるお方です!』
 その声はキャバリアから戦場に響き、キャバリアに乗っていない猟兵達にも伝わる。
『きっと何か……何かに取り憑かれているんです! どうか殺さないで下さい! お願いします!』
 ああ、と猟兵達は思う。あの宣教師もまた、オブリビオンマシンに洗脳されているのだと。
 救い出した乗組員の願いに応える為、猟兵達は最後の戦いに挑む。
ハロ・シエラ
無敵斬艦刀、ですか。
大きいですが剣は剣、キャバリアも人型。
扱い方は人間とそう変わらないでしょう。
なのでここは正面から迎え撃ち、敵が斬り付けて来るのを待ちます。
死が美しいと言うのなら、良く見える距離でこちらを殺したいでしょうしね。
自分を餌に敵を【おびき寄せ】たら巨大な剣の動きと間合いを【見切り】、一旦【ダッシュ】で移動して接近し、間合いを外します。
地面にいる小さな相手を斬るなら、剣の先端を当ててくるのが自然です。
接近すれば立ち位置や力加減の調整が必要でしょう。
その隙にユーベルコードで【カウンター】を仕掛けます。
それで倒せるなら良いですが、無理なら手首や足首を【部位破壊】して戦力を削ぎたいですね。


サンディ・ノックス
そっか
情報もらってなくちゃ、望みどおりにと全力で潰しに言ってたよ
後で連絡くれたヒトにお礼言わなきゃね
過酷な環境でこの乗り物の力に頼っちゃったのかな…なんて思ってしまったけれど
これは推測じゃない、ただ俺と重ねただけだから無意味だな

真の姿維持
狙いは一点、光の翼

ここは【空中戦】の腕の見せ所だね
魔力を高め【オーラ防御】状態になりながら飛行して敵に向かい
一度攻撃が行われたら攻撃の予備動作を覚え(見切り)
それ以降は予備動作が行われたら大きく蛇行して攻撃回避を試みる
指定UCを翼に投げつけたら攻撃を止められるかな

同業者に気を取られているうちにでも背後を取る
黒剣で翼を斬る
不可能なら悩んだ末、根元の装置に剣を刺す



「そっか」
 乗組員からの通信が途絶えると、赤き竜、サンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)はそう一言、溜め息と共に吐いた。
「宣教師様……かな。後で連絡くれたヒトにお礼を言った方がいいよ」
 ふと口元を微笑ませるサンディ。
「情報貰ってなくちゃ、望み通りに……と、全力で潰しに行ってたからね」
「全くです」
 ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)も彼に同意する。
「死を美談として語っていましたが、先程の情報から推測するに、本来は生を美談として語っている方なのでしょう」
「この世界では、生きる事は戦う事……過酷な環境で、この乗り物の力に頼っちゃったのかな」
 今、自分達が守ろうとしている場所は争いを避ける偽装廃墟地区。戦わない事は死と等しい事なのだろうか。戦い生きねばならないと、呪われたキャバリアに乗り込み心を飲まれてしまったのだろうか。
 いや、そこまでは分からない。今はあまり考えすぎても無意味なのかもしれない。とにかくは、あの神々しく輝くオブリビオンマシンを止めれば、全ては分かるだろう。
「……お相手しましょう」
 ハロは静かに仁王立ちをし、その姿を宣教師へ見せ付ける。サンディもオーラを展開させながら黒剣を構える。
「――貴方達は死をもって英雄であったと、語り継がれる事でしょう」
 その口ぶりは、まるで生が罪であるかのよう。歩み寄った宣教師は巨大な刃を振り上げる。

 重々しい無敵斬艦刀が地面を叩き割る。振り下ろしと破壊による衝撃波は一瞬にして周囲に広がり、戦場に残された再起不能のオブリビオンマシンの数々が吹き飛んでいく。哀れ、彼ら機体が後世に語り継がれる事はあるのだろうか。
「いいや、語り継がれるにはまだ早いかな」
 破壊の砂埃から二つに伸びる線。空には大きな翼を広げた竜の青年が。地には真っ直ぐと駆ける幼き少年兵が。キャバリアに乗らず自身の身を挺して敵対者へと向かう。なんと死に急ぐ光景か。
 攻撃を外した宣教師はすぐさま光り輝く翼を広げる。サンディを目標に放たれたものはプラズマビーム。それと共に無敵斬艦刀の先端は地面を削りながらハロへと急接近する。
「ええ、残念ながら」
 腰を低く落とすハロ。直後、彼女は地面を蹴り上げ大きく跳躍した。ぐるりと体を捩じらせ無敵斬艦刀を飛び越えると、その上へと着地したのだ。
「何……!」
 思わぬ彼女の行動に驚く宣教師。空ではサンディも体を回転させ容易にプラズマビームを避ける。プラズマビームが目標からぶれたのは動揺によるものだったのだろうか。
「オブリビオンマシン……お前の敗因は一つ。ヒトを舐め過ぎた事だよ」
「ヒトは、そう簡単には死にません」
 サンディは作り出した漆黒の大剣を翼へ放ち、ハロは無敵斬艦刀から機体の手首へ接近しレイピアを振るう。
 片翼は貫かれ、片腕は地に落ちる。宣教師は嘆くと同時に、迫り来る敗北に恐怖と恍惚を感じる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と
ひとの一生は短いようで長く
そしてその限りある時間のなかにも様々な試練が襲い来ます
これもまた、かの者に与えられた試練なのでしょう……
僕たちは、そのお手伝いをいたしましょう

襲い来る敵の攻撃は基本ザッフィーロへ任せつつ
「高速詠唱」「多重詠唱」で術式を紡ぎ「属性攻撃」「全力魔法」で
「マヒ攻撃」をのせた【天響アストロノミカル】で「一斉発射」を行い
敵キャバリアの手足を「部位破壊」せんと試みましょう
「部位破壊」できなくとも、マヒにて一定の効果が得られると良いのですが

敵の動きを封じられたなら「医術」「救助活動」をもって救護にあたりたく
貴殿のような方は 人々とともに生きるべきです


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

洗脳され人々を死地に追いやってしまうとは…
正気に戻った際の絶望を思えば心が痛いが彼の者を慕う者達を悲しませる訳にはいかん故、生かして彼らの元に返さねばな

戦闘時は基本己と宵に向けられるピットやビームを『盾受け』で落とし『かば』いつつ行動
防ぎきれぬ物は『怪力』を乗せたメイスにて『武器受け』打ち落して行かんと試みよう

宵の攻撃を援護しつつも、間合いに入られてしまった場合は【鍛錬の賜物】
足を掴み地へと叩きつけんと試みる
巨体とはいえ90t程迄なら持てる故…きっと可能だろう
動きを止める事が出来れば『怪力』を使いコックピットを開け
怪我をしている様ならば宵と『医術』で応急処置を出来ればと思う



 人の一生のなんと短き事か。生まれる世界を選べない運命のなんと残酷な事か。それを嘆くのも仕方のない事なのかもしれない。
 それは、人よりも長き時間を過ごし、ようやくして人の姿を得られた事から学んだ事ではあるが。

 逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)とザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)は人ではない。長く続く世の流れを静かに見守ってきた『誰かに造られた作品』である。故にあの宣教師や救ってきた乗組員達よりは、気が遠くなる程の時を生きているという事になる。
 だから、彼らは思う。これもまた、かの者に与えられた試練なのだろうと。
「戦いの絶えない世界に生れ落ちてしまった故に至った考えが、死による美しさとは」
 宵は心を痛める。オブリビオンマシンの影響とはいえ、生きる事を大切に考えていた人物が、自らの口からそのような事を告げる時が来るとは思ってもいなかっただろう。
「しかしこのような状況に陥っても尚、他人から慕われるというのは何とも幸福な事だ」
 乗組員が必死に伝えた『どうか殺さないで下さい』『お願いします』という言葉が脳裏に染み付いている。ザッフィーロはその叫びを、幸福とも残酷とも感じられた。
「……幸福故、正気に戻り現実を知った際の絶望は計り知れぬだろう」
「それが彼の人生の、数ある試練の一つとなるでしょう」
 それを少しでも手伝う為にも。
「……僕達の手で救って差し上げます、必ず」

 光り輝くダイヤモンドが宣教師の周囲を飛び回る。クリスタルビットと呼ばれる浮遊兵器は宵とザッフィーロを狙うと、雨のようにビームを一斉発射させた。
 ザッフィーロは前へ歩み出ると、藍色の唐傘を回しながら開く。回る唐傘から不思議なオーラが展開され、二人を優しく包み込む。ビームはオーラを貫通する事ができず弾かれるが、雨が止む様子は一向に見られない。
 ザッフィーロに守られ、その背後では宵が片膝を着き、杖を掲げていた。目の前にふわりと浮かぶ宵刻の書がひとりでに頁をめくる。
 瞳を閉じればそこは闇。闇の中から創造するは小さな輝き。その光は数を増やし、熱を、雷を、宿していき。故にそれは、宇宙の星々。
「――流星群を、この空に」
 杖を地面へ突き刺すと同時に、魔導書がぱたりと閉じる。まだ真昼の空からきらきらと輝くそれらはまさに流星群。雷電を帯びた星々の欠片は輝きをより一層増し、戦場へと降り注ぐ。
 クリスタルビットのビームも儚く、隕石がクリスタルビットに衝突し次々と破壊していく。宣教師も思いもよらぬ空からの攻撃に防御態勢をとるが、隕石は容赦なく機体を損傷させ、関節部を感電させシステムを鈍くさせるのだった。
「何故だ……何故、キャバリアにも搭乗しない身の程知らずに、この私が……っ」
「それが本性か、オブリビオン」
「っ!!」
 気付けばオブリビオンマシンの足元にはザッフィーロが立っていた。ザッフィーロは両腕で機体の右足首を掴むように手を添える。
「絡繰りに乗らずとも、鍛錬さえ行えば何でも行える。人とは、そういうものだ。思い知ると良い」
 巨体が大きく揺れる。脚部の操作は全く効かない。巨大なオブリビオンマシンは一人の男によって体を一瞬持ち上げられ、地面へ向かって体を強く叩きつけられたのだった。

 ――なんだ、これは。私は何をしている?
 コックピットから衝撃を緩和するエアバッグが作動する。全身を大きく揺すぶられた宣教師は、コックピットの中でうっすらと何かを思い出そうとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ガーネット・グレイローズ
わかっているとも。あのような破滅的な思想は
パイロット本来のものではない……あのオブリビオンマシンの意志だ。
必ず、宣教師を救い出してみせよう。

ビットの遠隔操縦にウイング型スラスターによる高速機動……
戦闘スタイルからして、私の機体の完成形といえるだろう。
PSDホーネットを射出し、空中を疾走しながら《レーザー射撃》で攻める。
だが、こちらは圧倒的に手数が足りないだろう。
《瞬間思考力》でビットの軌道を読み取り、JOXブレイドで《なぎ払い》
ながら距離を詰める。多少の被弾は恐れず前へ!
感じるか!?私の体を通して迸る、エーテルの輝きを!
一際高く《ジャンプ》し、【烈紅閃】による宇宙カラテの飛び蹴りを
叩き込むぞ。



 乗組員の願いはしかと聞いた。ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)はブラッドギアを最後の戦いへと向かわせる。
「あのような破滅的な思想はパイロット本来のものではない。あれは……オブリビオンマシンの意思だ」
 既にオブリビオンマシンの機体そのものはボロボロだ。だが恐らく、オブリビオンマシンは勝利と敗北、どちらも望んでいるのだろう。
 勝利をすればまた多くの人に死を唱え、敗北すれば機体の宣教師は死を迎え信仰者は悲しむのだから。どちらにせよ人は死を覚えるのだ。
「(そんなもの、させるものか)」
 ガーネットはオブリビオンマシンを睨み、走る愛機を更に加速させていく。目の前では動きが鈍くなった代わりに起動させた敵機のクリスタルビットの群れが行く手を阻む。
「壁を築いた所で無駄だ」
 道がないなら作るのみ。PSDホーネットから射出したビームがクリスタルビットのビームを弾き返しながら一斉粉砕をする。真っ直ぐに作られた道をガーネットは駆けるが、クリスタルビットは尚邪魔をする。
「これだけでは流石に無理があるか。ああ、ならばこうだ」
 キャバリアが握り締めたフォースセイバーが一段と輝きを増す。光の刃を大きく一振りさせれば、クリスタルビットは破壊の連鎖を巻き起こすのだった。
 爆風に覆われる戦場。その中、一機のキャバリアが空中へと飛び出す。
「多少手荒にいかせてもらうぞ。……二度とその機体が目覚めない為にな!」
 ぐるりと回転するキャバリア。目標を合わせれば、ガーネットはキャバリアを急速に降下させる。オブリビオンマシンは負傷した腕で防御を試みるが、その姿も哀れなもので。
「――砕く!」
 急降下による力強い蹴りがオブリビオンマシンの顔面を抉る。地面へ叩き付けられる体。ぐしゃりと地面と一体化する頭部。
『――』
 大きな破壊音が戦場へと響き渡った後、オブリビオンマシンはシステムを完全に停止させた。それは、戦いの終息を意味していた。

「……! ……っ!」
「せ……さま……! ……宣教師様!」
 聞き慣れた言葉に目を覚ます。宣教師は見知った顔の数々をぼんやりと視界に入れる。安堵する人々だが、宣教師はまだ思考が働かない。
「私は……何を? 皆さん、一体、どうされたのですか……?」
「宣教師様! ああ、良かった……!」
 乗組員が避難していた場所へ宣教師を運んだガーネットと猟兵達。正気に戻った宣教師と、それを喜ぶ乗組員達を見るなり、今回の任務が無事に終わった事を悟る。
 ああ、死など起こればこのような歓喜など見る事はなかっただろう。オブリビオンマシンの狂気の力は恐ろしいものであるのだと、猟兵達は学んだ事だろう。

 後日、宣教師率いる小国家と偽装廃墟地区が同盟を組んだという報告がグリモア猟兵を通して報告された。待ち受ける試練は多くあれど、彼らならきっと、この世界を上手く生き抜いていく事だろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月19日


挿絵イラスト