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吹き荒ぶ悪夢

#クロムキャバリア #グラン=ルベレア戦争

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#クロムキャバリア
#グラン=ルベレア戦争


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 それは、悪夢の風と呼ばれていた。

 ツンドラの荒野に並ぶキャバリア達は、冷たい風に晒されながら、国境線を監視する。
 クロムキャバリア北部の国家『グランドール』は敵対する隣国『ルベレア』と緊張状態にあり、グランドールに所属する兵士達は、昼夜を問わず、代わり映えの無い色褪せた大地に目を光らせていた。
「異常なぁし……と」
 一つ目のキャバリアに搭乗した兵士『フリス』はレーダーを一瞥してシートに沈み込んだ。
 今日で任務5日目。敵が来ないのはいいことだが、こうも暇では欠伸ばかりが出て仕方がない。これで何回目かの大あくびをした辺りで響いたノック音に、は目を擦りつつ身体を乗り出した。
「フリス。食事だぜ」
「待ってました」
 この戦場で唯一の楽しみと言えば、この時間だ。最前線で支給されるものなどパンに肉に、屑野菜のスープくらいの質素なものではあるが、腹を満たしさえすれば苛立ちや閉塞感は和らぐというもの。
 を開いて、足元の同僚が持つトレーを手にしたところで……激しい衝撃が彼らを襲った。
「な、なにっ!?」
 食事は全て泥に塗れてしまった。しかしそんなことを悲しむ余裕等ない。フリスは急いでシートに座りなおすと、ノイズの激しい通信が機内に響き渡る。
『敵襲! 敵襲! 数は……!!』
 ぶつりと言葉が切れる。直後、数10メートル先に立つキャバリアから爆炎が上がった。
「やばい……やばいやばいやばい!」
 額から脂汗が溢れ出す。国境線の向こうに、フリスはずんぐりとしたフォルムのキャバリアを見た。
「ギムレウス……っ!!」
 遠距離砲撃型キャバリアだ。だが、いくら緊張状態とはいえ、何の勧告もなく砲撃をしてくるであろうか?
 そんな疑問は、恐怖と焦りにかき消された。
「う、うわあああああっ!!!」
 断末魔の叫びと共に、フリスの身体は、炎に包まれるのであった。

 国境線が赤く輝く。それを眺める光の翼をたたえた青いキャバリアは、じっとそれを見つめていた。
「ロアルーム少佐。国境線警備隊はほぼ壊滅いたしました」
「あぁ」
 ロアルームと呼ばれた男は、配下の報告に一言頷いた。
「流石の手際。伊達に『悪夢の風』と呼ばれてはいませんね」
「その名はよせ。俺は悪夢ではない。悪夢とは……あのグランドールのことを言うのだ」
 これは失礼、と配下が通信を切ると、ロアルームはキャバリアが手にした無敵斬艦刀を掲げて叫ぶ。
「敵は中枢にあり! 全軍、このまま進め!!」

●吹き荒ぶ悪夢
「新たな世界、クロムキャバリアが発見されましたわ!」
 エリル・メアリアル(孤城の女王・f03064)は猟兵達に向かって叫んだ。
 クロムキャバリアとは、5メートル級の人型ロボット『キャバリア』を用いた、戦乱の世界であるという。数千からなる小国同士が絶えず『プラント』を奪い合い、数知れぬ血と涙が大地に流されている。
「それもこれも……この世界の敵『オブリビオンマシン』が原因なのですわ」
 エリルがそう語るオブリビオンマシンとは、その名の通りオブリビオンであるという。大きく違うのは、『マシン』の名の通り、搭乗者が必要であるということだ。
「搭乗者はオブリビオンでは無いのだけれど、乗り込んでしまえばオブリビオンマシンの影響を受けて狂気に晒されてしまいますの。その結果、世界を破滅に導くような行動をとってしまう……」
 さらに都合が悪いことに、一般人にはオブリビオンマシンと通常のキャバリアの区別がつかないことだ。これが結果として国家間の不信を煽り、戦乱は拡大する一方なのだという。
「ですから……これからはわたくし達も平和に向けた戦いに参戦いたしますわよ!!」
 そう拳を掲げ、息を荒げるエリルであった。

「今回皆様が向かう国は『グランドール』と呼ばれる大陸北部の国ですわ。冬は凍土に覆われた不毛な大地だけれど、保有している『プラント』のお陰でそれなりに豊かな生活は送れているようですわ」
 エリルはそう言って、グランドール周辺の地図を猟兵達に示す。エリルは首都と思しき位置から指を東に滑らせると、隣接する『ルベレア』という国で指を止めた。
「今、グランドールはルベレアの勇猛な指揮官、ロアルームによって攻め入られようとしていますわ」
 ロアルームという男は、数々の戦場で名を馳せた勇将だ。彼が参戦する戦場では、類稀なる手際で素早く、かつ、少ない損害で勝利を収めることで知られており、その姿からまるで戦場にが吹いたかのようだと言われる。
「それからついた渾名が『悪夢の風』……。とはいえ、彼は勇猛ではあっても、決して残虐ではありませんでしたの」
 敵兵であってもなるべく殺さない。それを信条とした彼が、ここ最近で豹変してしまったのだ。それは最新鋭機として手にしたキャバリアが『オブリビオンマシン』であったことに端を発している。
「オブリビオンマシンの狂気に捕らわれたロアルームは、隣国『グランドール』を激しく憎み、全てを殲滅しようと考え始めたんですわ」
 ロアルームは自分の配下にもオブリビオンマシンを与え、いまや一大軍隊を築き上げてしまった。
「ですから、皆様にはグランドール側からロアルームの軍隊による破壊行為を食い止めてくださいますかしら」
 そこまで言って、エリルが「そうそう」と付け加えた。
「オブリビオンはあくまで『オブリビオンマシン』そのもの。パイロットは人間ですわ。オブリビオンマシンを破壊しさえすれば、中のパイロットを生かして救出することも可能ですわよ!」
 罪もない人を殺さなくてすむのならばそうしたい、エリルはそんな含みを持たせて猟兵達にそう告げた。
 それにしても、敵は5メートルものキャバリア……いわゆる巨大ロボットだ。対抗することは可能なのだろうか?
「ご安心くださいまし。皆様にはそれぞれキャバリアの貸与を受けることが出来ますわ。希望があれば、拠点から借り受けるよう手配いたしますわよ」
 手際よくエリルが語る。だが、ふとそこで首を傾げた。
「……けれども、皆様であればその身で渡り合うことだって可能なんじゃないかしら」
 キャバリアに乗り込むか、生身で戦うか。そのどちらの選択も可能ということだ。
「さ……長くなりましたわね。そろそろ行きますわよ!」
 そう言って、エリルのグリモアが輝き始めた。
「いざ、鉄と炎の世界へ!」


G.Y.
 こんにちは。G.Y.です。
 新世界『クロムキャバリア』での戦いを皆さんにお送りいたします!

 今回は戦闘メインのシナリオとなります。
 ロアルーム少佐率いる敵軍と真っ向から対決いたしましょう。

 オープニングのとおり、皆さんは『キャバリア』の貸与を受けることが出来ます。しかし、生身で戦って勝てない相手ではないので、希望者のみプレイングに記載してください。
 またその際、どんな姿かのプレイングがあっても格好良いかもしれません。

 今回は全ての戦闘において、敵のパイロットを救出することが可能です。
 オブリビオンマシンだけを倒す工夫をしていれば、パイロットは正気に戻り自力で脱出するはずです。
 工夫がない場合は最悪の場合死んでしまう場合もありますのでご注意ください。

 なお、冒頭で登場したフリス達の部隊はほぼ壊滅した状態になっています。
 生き残りはいるかもしれませんが、仲間としての援護は期待できません。
 それでは、新しい戦場での皆さんのプレイング、お待ちしております!
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第1章 集団戦 『ファイアディザスター』

POW   :    ガトリングストーム
【両腕のガトリングガンの連射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    ハウリングショット
レベル分の1秒で【両腕のガトリングガン】を発射できる。
WIZ   :    ガトリング・フィアー
【轟音を伴うガトリングガンの掃射】を披露した指定の全対象に【動けない程の恐怖の】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アイ・リスパー
「ここが新世界クロムキャバリアですか」

ロボの世界と聞き、メカ好きな私としては心躍るのですが、まずは任務を果たすのが先ですね!

「お仕事は早く終わらせて、この世界を観光します!」
(人間同士の紛争に介入する気はないですが、オブリビオンが原因なら話は別です!
オブリビオンマシンの軍団、撃破します!)

ここは、私のパワードスーツがキャバリアにどこまで通用するか、試させてもらいましょう!

【強化外装】で『機動戦車オベイロン』をパワードスーツに変形させて搭乗。
ミサイルランチャー、ロケットランチャーで砲撃をおこないつつ敵機に接近です!

「これを……受けてくださいっ!」

近距離からプラズマブレードを一閃します。



「第一陣、前へ」
 ロアルームの指揮の元、ファイアディザスター達が前に出る。
 黒いボディの各部で明滅する赤い光はまるで敵に災厄が訪れることを警告しているかのようであった。
「ここが新世界、クロムキャバリアですか」
 アイ・リスパー(電脳の天使・f07909)はファイアディザスター達の隊列を眺め呟いた。接敵までもはや幾ばくも無いが、いまのアイには恐怖感よりも高揚感のほうが勝っていた。
「ロボの世界なんて、心が躍りますが……」
 アイは機動戦車オベイロンに乗り込むと、コードを入力する。
 オベイロンの形が人型に変わってゆく。アイを包むように装甲が重なると、ファイアディザスターとは対照的な、白いパワードスーツへと変形した。
「パワードスーツ形態への変形を確認。パワードスーツ、装着します!」
 アイがオベイロンの内部で叫ぶ。その言葉に呼応するように、オベイロンの眼が強く輝いた。
「お仕事は早く終わらせて、この世界を観光します!」
 アイはこの世界の情勢には関わるつもりは無い。それよりも、このロボットに満ちた世界を知りたいという欲求の方が強いのだ。
「けど、オブリビオンが原因ならば話は別です! オブリビオンマシンの軍団、撃破します!」
 そう言って、アイはオベイロンを駆り、戦場へと走るのであった。

「なんだ、あのキャバリアは!?」
「単騎とは無謀な……構わん、射程に入り次第撃て!」
 ファイアディザスター隊は、前方から向かい来る謎の白いキャバリア――本来はパワードスーツであるが――を察知するや、武器を展開する。
「私のパワードスーツがキャバリアにどこまで通用するか、試させてもらいましょう!」
 アイは敵の射程圏内に入る前に、オベイロン肩部のミサイルランチャーを放つ。ミサイルは大地に着弾し、大きな爆炎をあげる。その炎に巻きこまれまいと、ファイアディザスター達の脚が自然と遅くなった。
「止まるな! やられたいのか!」
 隊長機らしきものが叫ぶ。直後、爆炎の中から一発の砲弾がファイアディザスターを直撃した。
「ロケットランチャーか……! 遠距離豊富なキャバリアのようだ。距離を散開して距離を詰めっ……!?」
 直後、爆炎の中から隊長機へと急接近する白い影を、ファイアディザスターは捉えた。
「これを……受けてくださいっ!」
 砲撃は接近の為の目くらまし。真の一撃はプラズマブレードでの一閃。隊長機は光に飲まれながら、真っ二つに切り裂かれるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

雨咲・ケイ
当然と言えば当然ですが、
やはりこの世界でもオブリビオンが
害をなしているのですね。
そして、巨大ロボですか……。
どれだけ操縦できるかわかりませんが、
やってみましょう。

【POW】で行動。
白い騎士甲冑のようなサイキックキャバリア
をお貸りしましょう。
「よろしくお願いしますね」
と機体に挨拶しておきます。

敵機体は射撃型のようですね。
ならばサイキックエナジーの光で
【目潰し】を仕掛けてから、間合いを詰めて
接近戦を仕掛けましょう。
【グラップル】で両腕を破壊してから
敵機体のコクピットを残して【魔斬りの刃】
で斬り裂きます。

アドリブ・共闘歓迎です。



「4番隊がやられた! グランドールの増援だ!」
 ファイアディザスターに乗り込むルベレア兵達が慌ただしく通信を取り合う。
「だが数はこちらが圧倒的! 包囲するぞ!」
 グランドール国内へと向けた足を返し、出現した謎のキャバリアの殲滅を最優先に。それはルベレアの兵達にとって正解でもあり、不正解でもあった。
「……! 前方にサイキックキャバリア型1機!」
 ルベレア兵が荒野の先に捉えたキャバリアを報告する。白く輝く、騎士の甲冑を思わせるキャバリアだ。戦闘に介入してきた者達で間違いないだろう。
「射程圏内に入り次第、一斉射撃だ、いいな!」
 兵達に指示を出し、ファイアディザスターは両腕のガトリングをキャバリアへと向ける。

「よろしくお願いしますね」
 白銀のキャバリアに乗り込んだ雨咲・ケイ(人間の學徒兵・f00882)は、そう自身のキャバリアに告げた。
 この世界に来て初めて乗り込むのだ。事前にマニュアルは読んだが、どこまで操縦できるやら。そんな不安をよそに、白銀のキャバリアはケイのサイキックエナジーを感じ取り、まるで手足のように動いてくれる。これならば十分に戦えるはずだ。
「それにしても、当然と言えば当然ですが……」
 前方から襲い来るオブリビオンマシンを見て、呟く。
「やはりこの世界でもオブリビオンが害をなしているのですね」
 だが、敵はあくまでもオブリビオンマシン。内部の人間はオブリビオンでは無い。
「やってみましょう」
 そうして、ケイはサイキックエナジーをキャバリア全身に巡らせた。
「!!?」
 突如、激しく白銀のキャバリアが発光した。その光を受け、ファイアディザスターのコックピットはホワイトアウトし、レーダー類も一時的に効果を失ってしまう。
「し、しまった!」
 ルベレア兵が叫んだ直後、衝撃が走る。
「何っ……何が起きた!」
 操縦桿を動かし、ガトリングのトリガーを引くが、反応がない。操作盤は腕部と武器の異常を警告している。
「はっ……!!」
 コックピットに周囲の映像が再び映し出された。その画面いっぱいに、白銀のキャバリアが対面していた。そして、その腕には、ファイアディザスターの両腕と、ガトリングガンが掴まれていた。
「邪妖を斬り裂く刃……。その身で受けてみますか?」
 キャバリアがファイアディザスターの腕を捨て、装備した刃を抜く。
「ひっ……!!」
 一閃。ファイアディザスターの上半身がばっさりと斬り裂かれ、コックピットが露出する。下半身だけとなったファイアディザスターは、その場で立ち尽くしたまま、機能を停止させるのであった。
「……お、俺は一体何を?」
 コックピットから這い出した兵士は、戸惑った様子で周囲を見る。
「ここは今戦場です。早く退避をお願いします」
 白銀のキャバリアからケイの声が響く。それに従い、兵士は戦場から離れてゆく。
「さぁ、次は……」
 ケイは残るファイアディザスター達へ再び刃を向けるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミスト・ペルメオス
【SPD】

…つまり、こういうことか。
パイロットはそのまま、マシンにだけ壊れてもらうッ…!

キャバリアの貸与は受けず、愛機たる機械鎧を駆って参戦。
デバイス等を介して念動力を活用、機体をフルコントロール。
殲禍炎剣の介入を受けぬよう高度・速度に制限を設けつつも、スラスターを駆使しての高速戦闘を仕掛ける。

ただ撃破してしまえれば早く片が付くものの、助けられる者は可能な限り助けるべき。
ドレッドノート・デバイス展開。威力を抑えての【クイックショット・ホークアイ】。
遠距離から敵キャバリアの四肢を素早く撃ち抜くことにより、パイロットを生かしつつも敵機の撃破・戦闘能力の喪失を狙っていく。

※他の方との共闘等、歓迎です



 クロムキャバリアの空には『殲禍炎剣(ホーリーグレイル)』と呼ばれる暴走衛星が常に世界中を監視している。
 それは高速飛翔体を無差別で砲撃するといった性質を持っており、その結果、この世界では広域通信網が失われたばかりか、高高度からの爆撃や、空中戦はすべて行うことが出来なくなってしまっているのだという。
「なるほど……高度・速度には制限が必要ですね」
 ミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)はキャバリアの貸与を辞退し、自らの機械鎧『ブラックバード改』を駆って戦場に躍り出た。全長5メートルのキャバリアに対し、ミストのブラックバード改は9メートルにも及ぶ。その巨体は、戦場で嫌でも敵の眼に留まってしまうだろう。
「ですが、それは承知の上……ドレッドノート・デバイス展開!」
 ミストはブラックバードの手に対艦重粒子砲を構えると、スラスターを噴かせて地面スレスレを高速で飛ぶ。
「――そこかっ!」
 スラスターの出力は上げたまま、ドレッドノート・デバイスの照準を合わせる――。

「……なんだ?」
 戦場で、ファイアディザスターに乗り込んだルベレア兵が違和感を覚えた。
 ぞわりと心に直接触るような、不快な感覚だ。その正体が掴めないまま、ファイアディザスターの右腕が吹き飛んだ。
「な……っ!?」
 驚く暇もないまま、左腕、右脚、左脚――次々と吹き飛ばされる。あっという間に四肢を失い、無力化されてしまったファイアディザスターが衝撃の反動で宙に浮いた。
「てっ……敵っ!」
 通信をする前に、頭が撃ち抜かれた。小さな爆発の後、機能を停止したファイアディザスターのコックピットが地面に落ちる。
「……お、俺は何を……?」
 中から這い出してきた兵士は、戦場に渦巻く異常な気配を感じ取り、その場を離れる。その様子を遠方から狙撃した張本人――ミストは手応えを感じ、頷いた。
「パイロットはそのまま、マシンにだけ壊れてもらう……!」
 ドレッドノート・デバイスによる射撃は威力を抑え、コックピット以外を狙う。それによって無力化されれば、コックピット内の兵士は正気に戻るのだ。
 ただ撃破するのならば、もっと容易く行うことは出来るだろう。しかし、助けられる命ならば、可能な限り助けたい。それがミストの考えであった。
「さぁ、次……!!」
 ミストはブラックバード改を駆り、高速かつ精密な連射で、パイロットを生かしたまま、多くのオブリビオンマシンの撃破に成功するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フォーサイス
まずはガトリングのキャバリアか。

RS-SミサイルポッドとRS-Aアームキャノンを装着した量産型キャバリアはあるかな?換装してくれる?ありがとう。

操作系はそれほど難しくなさそうだね。初めてのぼくでもうまくいきそうだよ。

よし、射程範囲外から集中砲火だ。エレクトロレギオンを偵察機として出して、その情報をもとに、ミサイルとキャノン砲をアウトレンジからあびせるよ。



「各隊に被害が出ている! 敵は手強いぞ! 1機でも油断するな!」
 ファイアディザスター隊が隊列を整える。壊滅した隊の隊員は別の小隊へとその場で再編成し、国境線を踏み越えるべく猟兵達へと再び挑む。
「ふぅん……」
 慌ただしいファイアディザスター達とは対照的に、アリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)はコックピットで操作盤を眺めながらうんうんと頷いていた。
 搭乗機は量産型キャバリア。国境線を守るキャバリアのうち、無傷なものを借り受けた。
「RS-Sミサイルポッド、RS-Aアームキャノン、システムグリーン。うん、いいね」
 無造作にがしゃがしゃと動かしてみせて、操作感を確かめる。この武装は、アリスの希望であった。
「操作系はそれほど難しくなさそうだね。初めてのぼくでもうまくいきそうだよ」
 そう言うと、レーダーを一瞥し、コックピットに映される外部の映像を確認する。
「まずはガトリングのキャバリアか」
 彼我距離を確認し、エレクトロレギオンを飛ばす。
 戦場には既に交戦した記録が残されている。その情報を収集し、敵の射程距離を確認する。
「よし、射程範囲外から集中砲火だ」
 距離5000、4800、4200……。徐々に近付いてくる豆粒のようなキャバリア達に対し、アリスは一つ一つロックする。
「ミサイル、発射だよ!」
 アリスがトリガーを引くと、肩のミサイルポッドから多数のミサイルが発射された。
「続けて、キャノン砲だ」
 腕で構えたのキャノン砲で狙いを定める。
「さん、にぃ、いち」
 ゼロ、の声とともに地平線の向こうで爆炎が上がった。炎が渦巻き、ファイアディザスター達の何体かが直撃したようだ。
「シュート!」
 追い打ちをかけるようにキャノン砲を撃ち放つ。その一射は、炎の中を抜けたファイアディザスターのオーバーフレームを撃ち抜いた。
「さぁ、おいで。まだまだ弾はたっくさんあるんだからね」
 ミサイルを放ちながら、キャノンで狙いを定める。ファイアディザスター達は近付くこともままならないまま、壊滅状態となるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユウヤ・シュバルツ
相棒の結華(f01731)と参加
スマートな白銀色の高機動機「シルフィード」で行くぜ

コクピットで携帯端末をセットし電子妖精を呼ぶ
「ルル、機体の調子はどうだ?」
画面に現れたフェアリーの少女が元気よく返事をする
「大丈夫。ばっちりだよ!」
「よし。結華、準備は大丈夫か?」

「ユウヤ・シュバルツ、シルフィード。行くぜ!」
UCを使用。残像を生み出す程の高速飛行で避けつつ、右腕の粒子砲で頭部と武装を正確に撃ち抜いていく
「食いついたな。ルル、結華は?」
地面ごと敵の足が凍り付いたら、右腕の粒子砲を腰部にセットし、ショートブレードを二刀流で構え
「疾風一閃!」
敵が混乱中に接近し、敵のアンダーフレームを纏めて切断していく


御門・結華
マスター(f01546)と参加。
精霊の力を操る魔導人形の少女。

ユウヤが準備中、デッキからウンディーネのカードを取り出し
「水の精霊よ。我が身に宿れ」
防具改造で水色のドレス、武器改造でアクアグレイブを装備
「はい、こちらの準備は整いました」
シルフィードの肩に乗り、敵陣近くで飛び降りる
「マスター、ご武運を」
UC使用。氷のエレメントを薙刀に装備すると氷の大鎌へ変化。
「行きます」
大鎌を振るうと、絶対零度の全力魔法が地面を凍らせていき敵全員の脚部を凍結させる

氷の上を滑るように高速移動。攻撃は凍り付いた敵の死角へ素早く回り込み避けて、大鎌で四肢を刈り取る
「当たらない攻撃に恐怖は感じません」
「これで終わりです」



 国境警備隊の前線基地は壊滅状態であった。
 しかし、首都への伝令を除き、わずかな生き残りがこの基地で負傷者の手当を優先できたのは、突如現れたキャバリア乗り達のおかげであろう。
「すごい戦いだ……」
 突然見舞われた戦火の絶望は、今、希望へと形を変えようとしている。
 そんな希望の一端を担う白銀色のキャバリアは、エネルギーインゴットの補充を終え、今まさに出撃せんとしていた。
「ルル、機体の調子はどうだ?」
 白銀色のキャバリアに乗り込んだユウヤ・シュバルツ(疾風迅雷・f01546)は、専用の接続ドックに携帯端末をセットして、自らの電子妖精を呼び出した。
「大丈夫、ばっちりだよ!」
 緑の髪をした妖精の少女『ルル』が画面いっぱいに現れ、ぐっと指でまるを作る。
「あぁ、だったらちょっと小さくなってくれ」
「はーいっ!」
 画面の中でルルが小さくなると、ユウヤの眼前には炎の上がる荒野が映し出された。
「よし……。結華、準備は大丈夫か?」
 ユウヤが外部スピーカーで声をかける。すると、足元に立っていた銀髪の少女、御門・結華(色褪せた精霊人形・f01731)がキャバリアを見上げて、こくりと頷いた。
 流れる水を思わせる爽やかなドレスに身を包み、手には同じく水の力が宿った槍を携えている。
「はい、こちらの準備は整いました」
 結華は、自身の持つカードから生まれた水の精霊ウンディーネの力を、武器と防具に宿していた。
「なら」
「はい」
 ユウヤがキャバリアを屈め、手の平を結華の足元へと寄せる。結華がキャバリア緒手のひらに乗るのを確認すると、キャバリアは立ち上がり、結華は肩へと飛び移る。
「そ、そんな場所で大丈夫なのか!?」
 国境警備隊員が驚愕の表情で叫ぶ。だが、結華は涼しい顔で答えた。
「心配はいりません」
 その言葉に、警備隊員はそれ以上何も言わず、キャバリアから離れ、その姿を見守ることにしたようであった。
「ユウヤ・シュバルツ……シルフィード、行くぜ!」
 背面のバーニアを全開にして、白銀色のキャバリア――シルフィードは飛び立つのであった。

「熱源急速接近! 新手か!?」
「な、なんて速い……!」
 シルフィードというその名に違わず、激しい風のように迫りくるキャバリアに、ファイアディザスター隊は困惑の表情を隠せずにいた。
「隊列を乱すな!一斉発射!」
 隊長の言葉に従い、ファイアディザスター達は銃撃を開始する。だが、突如その照準がブレ始める。
「な……何!? 1体ではないのか!」
 レーダーやコックピットから移される映像が乱れ、白銀のキャバリアの姿が何体にも現れる。超高速の回避運動は電子機器をも惑わす残像を生み出していた。
 その姿は、シルフィードにとっては隙だらけ。右腕の粒子砲を3発。それだけで先頭に立っていたファイアディザスターの腕と頭は撃ち抜かれ、大地に倒れ伏してしまう。
「くっ、追うな! 制圧射撃だ!」
 隊長は部下の撃破に方針を変えながらも、迫るシルフィードの撃墜を隊員たちに指示する。
「マスター、ご武運を」
 この超高速機動の中でも振り落とされず、肩に掴まっていた結華が突如、その身を乗り出した。
「あぁ、頼んだぜ!」
 結華はそのまま大地へと落下してゆくが、ファイアディザスター達はそんな小さな的など意に介さず、シルフィードを追う。
「食いついたな……。ルル、結華は?」
「ちょっと待ってね、今映像出すよ!」
 ルルが画面端に小さな小窓を作る。そこには、まさに今大地へと激突せんとする結華の姿があった。
「精霊よ、我が武具に宿れ」
 その言葉に応じ、結華の槍がみるみる凍り付く。そして、巨大な氷の鎌へと変化すると、大地に向けてそれを大きく振るった。
「行きます」
 大地に触れた大鎌の刃が、周囲の熱を急速に奪ってゆく。荒野のツンドラですら体験したことのない絶対零度の氷が、戦場中に駆け巡る。
「何……脚部に異常っ!?」
「動けん!」
 ファイアディザスター達が異常に気が付くのは、その脚部までもが凍り付いてからであった。
「よし、うまくやってくれたようだ!」
 ユウヤはその様子に安心した様子で、粒子砲を腰に収め、二本のショートブレードを抜く。
「行くぜ!」
 同時に結華も駆ける。凍った大地を、まるでフィギュアスケーターのように華麗に、そして流れるようにファイアディザスターの四肢を刈り取ってゆく。
「な、うおおおっ!!」
 ようやく、その小さな脅威に気が付いたファイアディザスターがガトリングを放つ。だが、凍結した足では射角は狭く、狙いが狂う。
「当たらない攻撃に恐怖は感じません」
 静かに言って、ガトリングの方針を斬り裂く。そこにシルフィードの二つの刃が、ファイアディザスターの脚を狙って接近する。
「疾風一閃!」
 その一振りは激しい疾風となり、大量のファイアディザスター達のアンダーフレームを一気に切り裂く。
「これで終わりです」
 続けて結華が、腕を刈る。小さな爆発の後、攻撃を受けたファイアディザスター達は全て機能を停止するのであった。
 オブリビオンマシンの気配が消え、コックピットから抜け出したルベレアの兵達は不思議そうな顔をしながら周囲を見渡す。
「よかった、殺さず済んだみたいだ」
「やったね!」
 ユウヤはその様子に安堵し、ルルが笑う。そして結華を再び肩に乗せる。
「マスター、ご無事でしたか」
 結華は静かに言う。表情をあまり変えなくとも、少し安心した様子が伝わって、ユウヤは笑って返す。
「結華こそ。さぁ、次だ。まだ敵は残ってるぜ!」
 そう言うと、シルフィードは次の戦場へ向けて、再び速度を上げるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

清里・柚月
ここがクロムキャバリア、そしてあれがキャバリアか。
なるほどー、無駄に大きくもなく堅牢、火力も機動力も十分、と。いい兵器じゃない。
でも、こっちだって負けてないんだからね!

というわけで“Reviathan”に搭乗して出撃。
TripleCrownの【制圧射撃】で足止めしたところにコード・ブレイクショットを氷属性で撃ち込むよ。
腕や脚をロックオンして、できるだけ多くの目標を狙い射出、破壊しきれなくても命中箇所を凍結させられれば動きは鈍らせられるはず。そこをTripleCrownの射撃で追撃して破壊しようかと。
敵のユーベルコードはこっちの攻撃の発射音で轟音を掻き消し相殺!


エイス・シノノメ
名も知らぬ国の戦争の介入というのも不思議な感覚です
まさかキャバリアが人を狂わせていたとは!
これらを撃破すれば理なき戦さは減らせるかもしれないというのですね
この世界にどれだけ居るかは判りませんが…敵ある限りこれを討つ!それが機獅道!
量産機の良いところは換装が容易という事です
今回はリロードタイムを犠牲にロングバレルに換装し射程を延長してガトリングのアウトレンジからの砲撃を試みます
しっかり狙って撃つ!そして離脱、と機獅道に基本に忠実に
機獅道の教えにも動かず二射するべからず、とあります
いくら有利な場所を確保したとしても撃てば場所が割れ追い詰められる原因
確実に敵の数を減らしていくのも機獅道の教えです



 戦況は一転。ルベレアの第一波として送り込まれたファイアディザスター隊は壊滅状態にあった。
 国境線はいまだ維持され、グランドール国境警備隊は生き残りを集め、組織の再編を急ぐ。だが、警備隊員が戦闘に使えるキャバリアはもはや残ってはいない。
「オーライ、オーライ!」
 コックピットが剥き出しの、アンダーフレームだけで直立したキャバリアの脇で、国境警備隊の整備士達が砲身の長いキャノン砲を備えたオーバーフレームを引き上げる。クレーンに吊るされたオーバーフレームは慎重にアンダーフレームへと寄せられ、下ろされる。
「今出来るだけのことはしました! 十分戦えるかと思います!」
 オーバーフレームとの接続作業を続けながら、作業員の一人がコックピットに向かって叫ぶ。
「ありがとうございます!」
 コックピット内から響いた声は、少女のそれであった。少女の名はエイス・シノノメ(機獅道一直線ガール!・f30133)。このクロムキャバリアの世界で生まれ、機獅道と呼ばれる道をひた走ってきた。
「名も知らぬ国の戦争の介入というのも不思議な感覚です」
 数千もの小国からなるクロムキャバリアにおいて、全ての国を知る者など皆無と言って良い。だが、それ以上に不思議な感覚は――。
「確かに、あのキャバリア達は何かが違う……まさかキャバリアが人を狂わせていたとは!」
 猟兵となった彼女が感じ取った『オブリビオン』の気配である。オブリビオンマシンと呼ばれるそれらが、人々を狂わせ、そして100年を超える戦乱を巻き起こしているのだと知っても、なまじこの世界の者である分ピンとこない部分もある。
「ですが、敵ある限りこれを討つ! それが機獅道!」
 オーバーフレームの換装が終わる。そろそろ出撃の時だ。
 そんな量産型キャバリアを、じっと観察していたのは清里・柚月(N.D.O・f26171)であった。
「ここがクロムキャバリア、そしてあれがキャバリアか」
 全長5メートルの体躯、人型をした汎用性……機械弄りを趣味とする柚月にとっては新鮮な事づくめだ。
「なるほどー、無駄に大きくもなく堅牢、火力も機動力も十分、と……いい兵器じゃない」
 そう興味深げに頷きつつ、じわりと対抗心を燃やす。何故ならば。
「でも、こっちだって負けてないんだからね!」
 彼女は"Reviathan"と呼ばれる人型の機械に乗り込んだ。それはキャバリアとは似て非なるもの……グリードオーシャンにおいて『メガリス』と呼ばれる超常的秘宝であった
 国境警備隊が合図を送る。2つの機体は横並びで戦場へ向け、バーニアを噴かす。
「エイス、いきます!」
「Reviathan、出るわ!!」
 二人は掛け声とともに戦場へと駆け出すのであった。

「量産機の良いところは換装が容易というところ!」
 エイスは換装したばかりのオーバーフレームを操作し、肩に装着されたロングバレルを伸ばす。
 射程があるぶん、リロードタイムは落ちる。だが、近距離戦を主体するファイアディザスターであれば、欠点を補って余りあるほどの利点となる。
「しっかり狙って……撃つ!」
 画面に表示された敵機に照準を合わせ、トリガーを引く。放たれた砲弾が弧を描き敵へと向かう間に、エイスはすぐその場を離れる。
「機獅道の教えにも動かず二射するべからず、とあります」
 その教えに従い、エイスは一射ごとに砲撃位置を変えながら、敵の接近を妨げる。

「結構極端な調整も出来るのね!」
 頭上を越えて敵へと向かう砲弾を見上げて、柚月は感心したように言う。直後、砲弾は敵陣に次々と着弾し、炎と土煙を巻き上げる。
 敵陣は射程外からの一方的な砲撃に浮足立ちながらも、やはり訓練された軍人というべきか、即座に体勢を立て直して散開を始める。
「させないよ!」
 砲撃の合間に懐へと潜り込んだ柚月とReviathanは、換装しておいた腕部ガトリングガン『TripleCrown』を乱れ討つ。
 銃撃の嵐に、敵軍の機動が鈍る。そこを狙い撃つようにエイスの砲弾が直撃し、敵機のオーバーフレームが爆炎を上げながら大地に倒れ伏す。
「う、うおおおおおお!!」
 恐怖にかられたか、ファイアディザスターがガトリングガンを出鱈目に放ち始めた。否。これは威嚇である。銃撃で生まれる轟音は、人を本能的に委縮させる。それは時として、動けなくなるほどに。
 だが、それは柚月にとって絶好の機会であった。すかさず柚月はReviathanにコードを入力すると、肩部のミサイルランチャーの蓋が一斉に開かれる。
「纏めて吹き飛ばしてあげるっ!」
 ガトリングの轟音すらもかき消す激しい爆裂音とともに、無数のミサイルが敵軍に放たれた。それらはガトリングの弾丸をすり抜け機体の腕、脚へと着弾する。
「なっ……凍っている、のか!?」
 柚月の放ったミサイルには、氷の魔力が付与されていた。着弾地点からは炎の代わりに氷柱が立ち、ミサイルそのものの衝撃によってぼろりと崩れる。破損していなくとも、関節の奥まで凍結した部位は、文字通り凍り付き、まったく動くことが出来ない状態だ。
「こうなればもう、良い的だね!!」
 再び向けられたReviathanのガトリングが、ファイアディザスターの頭部を破壊した。エイスの砲撃も止む事無く、次々と敵機を撃破してゆく。
 そして間もなく、大多数の部隊であったはずのファイアディザスター隊は、国境線を踏み越えることなく、壊滅するのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『ギムレウス』

POW   :    砲撃モード
自身の【背部大型キャノン砲】を【砲撃モード】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
SPD   :    メタルファング
自身の身体部位ひとつを【機械で出来たワニ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    接近阻害地雷敷設
自身からレベルm半径内の無機物を【対キャバリア地雷】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 破壊されたファイアディザスターのコックピットから、ルベレア兵達が這い出し、戦場を離れてゆく。
 戦場である以上、完全な犠牲を防ぐことは出来なかったが、激戦の中、最善と言っても良い程、死者を抑えることが出来たと言えよう。
 投降するルベレア兵達の憑き物が落ちたような様子に、グランドールの国境警備隊は多少戸惑いつつも彼らを迎え入れた。
「俺、どうしたってんだろう……いつもならこんな風には思ったことは無かったのに。今日は全部……全てが憎かった。何もかも壊したいと思った」
 ルベレア兵の一人が震えながら言う。彼の言うことがオブリビオンマシンの宿した狂気、ということなのだろう。
 その時であった。
「第二波来ました!! ギムレウスです!」
 国境警備隊の一人からの焦り交じりの報告が入ったのだ。
「砲撃準備を確認! 間もなく砲撃が開始される模様です!」
「馬鹿な! こっちには捕虜がいるんだぞ!」
 警備隊員達が叫ぶ。だが、オブリビオンマシンの狂気に囚われたルベレア兵達は、そんなことお構いなしだ。
「そ、そんな……あの部隊には俺の弟がいるんだぞ!」
「彼女は俺を見捨てるのか!?」
 ルベレア兵達にも激しい動揺が走る。これが、ロアルームの用意した第二波の卑劣な策であった。
 第一波に縁のある者達で構成し、第一波が壊滅したならば、彼らが殺したと吹いて回り、復讐に駆り立てさせる。そしてオブリビオンマシンの狂気はそれをさらに増幅し、第二波に通常以上の力を発揮させるのだ。

 だが今回、猟兵達は多くの兵を救ってきた。その真実を伝えることが出来れば、おそらく復讐心で増幅されたパワーを軽減することが出来るだろう。
「どうしちまったんだ、あいつ……!」
「頼む……俺は生きているって、伝えてくれ……!!」
 ルベレア兵の切実な願いを聞き入れ、猟兵達は再び戦場に舞い戻る。
 グランドール国境防衛戦。戦いは新たな局面を迎えようとしていた。
御門・結華
マスターと参加
引き続き、水の精霊を憑依させた状態です

捕虜たちへ
「大丈夫です。彼らもあなた達のように必ず元に戻します」


「マスター。私が全力で行きます」
UCを使用。水の魔力で戦場を満たして水中へと変えます。
「水の精霊よ。己が力で世界を満たせ」
水中機動と深海適応を活かし高速移動で接近し
「すみません。私たちの話を聞いてください」
グレイブを振るうと水流が発生して、地雷の爆風を逸らす
「あなた達の家族や恋人たちは捕虜として預かっています」
攻撃を残像で回避
「止められないのなら、私たちが止めます」
全力魔法を使用。片手をゆっくりと握りしめるのに合わせ、敵の周囲の水圧を上げ、コクピット以外を圧壊させる
「水精の抱擁」


ユウヤ・シュバルツ
結華と参加

捕虜たちへ
「オレ達に任せておけって!」
結華へ
「結華、やる気みたいだな。任せるぜ」
結華に合わせ、UC使用
「ルル。アーマーチェンジだ!」「はーい!任せて、ユウヤ!」
装甲と背面のスラスターをパージ、青と黒の耐圧装甲と水中用のジェットブースターに換装
「いくぜ、ルル!」
水中用ブースターで接敵。敵の動きを見切り、ショートブレイドを抜刀して頭部や武装を切断
「オレ達が倒した兵士達の多くは捕虜になってるんだ!死んでなんかない!」
残像で反撃を回避
「やっぱ、簡単にゃいかねぇか」

結華の全力魔法に
「結華!パワーを上げすぎるな。そのままでいい!」
敵が動けないうちに、頭部と武装を斬り落としコクピットを救い出す



 突然の襲撃を凌いだグランドール国境警備隊の警戒の甲斐もあり、基地からは迅速な退避活動が行われていた。
 遠距離からの無差別な砲撃に、折角生き延びた者達が再び危機に陥らねばならない理由はない。それは捕虜たちとて同じである。
 退避指示に従いながらも不安げな捕虜たちに、結華は落ち着き払った口調で言う。
「大丈夫です。彼らもあなた達のように必ず元に戻します」
 その言葉に、ユウヤも笑って頷いた。
「オレ達に任せておけって!」
 その言葉に、ルベレアの捕虜たちはどこか救われたような顔で、その場を離れてゆく。
「……マスター。私が全力で行きます」
 捕虜たちを見送った結華が戦場を振り返り言う。ざわざわと戦場に魔力が溢れ出した。
「結華、やる気みたいだな。……任せるぜ!」
 そう言うと、ユウヤはコックピットへ飛び乗り、シートに身体を沈める。シルフィードが起動し、静かに駆動音が鳴り響く。
 一足先に結華が前へと出た。一歩、二歩。結華の踏みしめた足跡から、じわりと水が溢れ出す。
「水の精霊よ。己が力で世界を満たせ」
 その詠唱に呼応して、溢れ出た水が激しい水流となって吹きあがった。瞬く間に戦場は結華の水の魔力が包み込み、猟兵達、そしてギムレウス達を水中に沈めてしまう。
「ルル、アーマーチェンジだ!」
「はーい! 任せて、ユウヤ!」
 ユウヤの呼びかけに、ルルが画面内を駆け巡る。同時にシルフィードの装甲、そして背面スラスターがばっくりと外れ、代わりに現れた青と黒の装甲がシルフィードを包んでゆく。
「ジェットブースター、装着!」
 背に巨大なブースターを装着すれば、白銀の騎士は水中を自在に泳ぐ戦士として生まれ変わる。
「いくぜ、ルル!」
 ブースターを点火し、激しく機体が揺れる。爆発的な勢いで、シルフィードは敵陣へと切り込んでゆく。
「あいつらが、友を……! 許せない……!!」
 突然の水中戦となっていながら、ルベレア兵達に動揺はなかった。猟兵達を目の当たりにしたことで、憎しみの心だけが増幅しているらしい。
 結華は水中機動にてルベレア兵達にに接近するが、ルベレア兵達はそれを阻むべく地雷を設置していく。
「もっと近付かなければ、話は聞いてくれませんね」
 結華は手にしたグレイブを振うと、戦場に大渦が発生する。地雷はそれに巻き込まれて爆発し、ぼこぼこと細かい気泡となって消えてゆく。その間から、結華が一気に距離を詰める。ギムレウスのコックピット前まで接近すると、機体に手を当てて言う。
「すみません。私たちの話を聞いてください」
「な、なんだ!? こいつ正気か……!?」
 突然の呼びかけに、ルベレア兵が混乱する。
「あなた達の家族や恋人たちは捕虜として預かっています」
「な……に?」
 結華の言葉に、ルベレア兵の動きが鈍る。その様子は、明らかに動揺している。
「敵の目の前で何をしている!」
 結華を狙い、別の機体が砲身を向ける。仲間をも巻き込みかねない動作だが、敵に一切の迷いはない。
「やめろっ!!」
 その射線にシルフィードが割って入り、ショートブレイドを抜刀する。
「なっ……!」
 一閃。砲身はショートブレイドによりバラバラに切り刻まれ、地面にごとんと沈み落ちる。唖然とした兵に、通信が割って入る。
「オレ達が倒した兵士達の多くは捕虜になってるんだ!死んでなんかない!」
「……!」
「ほ、本当、か?」
 その通信に、ざわざわとルベレア兵達に動揺が広がってゆく。憎しみに曇った心が、徐々に晴れていく。それでも、その言葉を信じきれない者もいた。
「ろ、ロアルーム大佐が嘘など言う筈がない!!」
 頭部をワニの形に変形させ、ギムレウスがシルフィードを襲う。
「やっぱ、簡単にゃいかねぇか」
 ユウヤはやれやれ、といった具合に、それを受け止める。だが、それは残像。ワニの大顎がシルフィードを噛み砕こうとした瞬間に残像は消え、シルフィードはその背後でショートブレイドを構えていた。
「やっぱりあの機体から降ろさないとダメみたいだな」
 ユウヤの言葉に、結華が頷いた。
「止められないのなら、私たちが止めます」
 結華が静かに告げる。片手をギムレウスに差し伸べ、ゆっくりと握りしめてゆく。
「な、なんだっ!?」
 結華の手の動作に合わせて、ギムレウスの機体全体に圧力がかかり始める。それはキャバリアの耐圧能力をも上回る力で、装甲がべこべこにひしゃげてゆく。
「水精の抱擁」
 ぎゅっと結華が手を握りしめた。関節が砕け、オイルが水中に染み出す。
「結華! パワーを上げすぎるな。そのままでいい!」
 ユウヤが叫び、ショートブレイドを構える。そして、ボロボロに崩れたオーバーフレームを切り離し、コックピットを露出させた。
「さぁ、そこから出ようぜ!」
 無理矢理コックピットをこじあける。ルベレア兵は呆気にとられただけではなく、毒気を抜かれたような表情で、ユウヤと結華を交互に見る。
「本当に……あいつは生きてるんだな?」
「えぇ。さぁ、行きましょう」
 結華が手を差し伸べる。ルベレア兵はその手を取り、オブリビオンマシンの狂気から解放されるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アイ・リスパー
「なるほど、敵将は捕虜の存在を兵士たちに隠しているのですね。
情報戦ということなら、電脳魔術士の私の出番ですね」

【千里眼】によって電脳空間から偵察用ドローン群を召喚。
それを敵の第二波に向かって飛ばし、オープンチャンネルで映像を流しましょう。

「ルベレア軍の兵士の皆さん、この映像を見てください!
皆さんの家族や友人の皆さんは、このように生きています。
軍事協定に従って丁重に扱っていますので、即刻砲撃を中止してください!」

空中を飛ぶドローンたちなら、敵が設置した地雷も無関係です!

「では、ドローン各機に通達!
敵キャバリアの姿を撮影して動画ストレージに保存です!」

帰ったらゆっくりと鑑賞しましょう!



「なるほど、敵将は捕虜の存在を兵士たちに隠しているのですね……」
 退避する兵達を誘導していたアイは戦場の奥、今はその姿を確認することの出来ないロアルームに目を向けた。
 オブリビオンマシンの狂気から解放されたルベレアの兵達は皆一様に不安の表情をしており、友が、恋人が、肉親が憎しみにかられて襲い掛かってくる現実は直視しがたいものであった。
 だが、アイはそんな彼らを安心させるべく胸を張る。
「皆さん! 皆さんがいることは、ちゃんと私達が伝えます!」
 その言葉に、ルベレア兵達は自然とアイに注目する。
「情報戦ということなら、電脳魔術師の私の出番です!」
 そう言って、アイは一斉にドローンを戦場へと送り込むのであった。

「……何か小型のものが接近中。ミサイルや砲弾ではない模様」
 ギムレウスに搭乗しているルベレア兵が、レーダーで感知した影を周囲に報告した。
「一体何でしょうか?」
「何でもいい。『向こう』から来たというなら敵だ」
 隊長が一蹴した。何であろうと、ロクなものであるはずがないのだ。壊してしまえば良い。憎しみに思考が曇っているとはいえ、それはある意味では合理的な判断でもあった。
「……!! 回線、オープンチャンネルで開かれます!」
 突如、ギムレウス達のコックピットに映像が割り込んできた。そこには、アイとともに立つルベレア兵達の姿が映し出されていた。
『ルベレア軍の兵士の皆さん! この映像を見てください!』
 映像の中のアイが手をルベレア兵達へ向ける。
「……こ、これは……」
『皆さんの家族や友人の皆さんは、このように生きています』
 アイの言葉の通り、そこにはルベレア兵達にとって良く見知った顔が並んでいた。
『軍事協定に従って丁重に扱っていますので、即刻砲撃を中止してください!』
 ルベレア兵達は動揺しながらも、間違いなく、アイの言葉は嘘ではないのだと感じ取っていた。
「お、俺……降りる」
「俺も……」
 戦意を喪失し、オブリビオンマシンの狂気からも解放されたのだろう。コックピットが開き、ギムレウスから降りるルベレア兵達。その様子を撮影した映像をアイは基地でも流すと、捕虜となったルベレア兵達は皆、一様に安堵の表情を浮かべていた。
 その雰囲気に満足気なアイは、再びドローンに指示を出す。
「では、ドローン各機に通達! 敵キャバリアの姿を撮影して動画ストレージに保存です!」
 それは偵察のためか、研究の為か。否。
「帰ったらゆっくりと鑑賞しましょう!」
 趣味の為であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フォーサイス
さすがにこの砲撃を許せば、苦すぎて美味しくなさそうだな。
砲撃は阻止させるよ。

敵の通信回線にハッキングをしかけて、無事な捕虜の様子を伝えるよ。

それでも撃ってこようとするなら、キャノン砲を狙い撃つよ。


雨咲・ケイ
なるほど、これがこの世界のオブリビオンの
やり方というわけですね。
ならば、その悪意の連鎖を断ち切りましょうか。

【SPD】で行動。
引き続き同じサイキックキャバリアに搭乗します。
事前に捕虜の方々からメッセージを聞いておきましょう。

「私の目的はあなた方の命を奪う事では
ないのですよ」
と捕虜の方々からのメッセージを伝えます。
そして、初手で【退魔集氣法】を使用して
高速移動で攪乱しながら接近。
敵の死角から【グラップル】による接近戦を
仕掛けて、コクピットを残し破壊しましょう。
戦闘不能になった機体のパイロットは、
乱戦に巻き込まれないように促し
必要であれば盾になります。


清里・柚月
…随分とまあイイ策仕込んでくれるじゃない。
でも、こっちにも考えがあるんだからね!

ルベレア兵のところに【武器改造】でビデオカメラをつけたKillerWhaleを置いて、わたしはReviathanで出撃。
接敵次第、コード・クロックワークヘッドで空間投影型プロジェクターを装備した機械化サメを呼び出して、捕虜の様子を映し出してもらった上で説得するよ。
この通り、皆の大切な人達は生きてる!すぐ攻撃をやめて投降を!このままやったらあなた達自身の手で大切な人達を殺しちゃうから!

投降するならよし、それでも攻撃するならMultiBoxのミサイル(【誘導弾】)で攻撃手段を奪いにかかるよ。


エイス・シノノメ
お次は砲撃型が主軸の部隊ですね!
前衛部隊が壊滅したから仕方なく前に出てきたという感じでしょうか
戦術が似通うため激しい撃ち合いが予想されますが…
機獅とは破壊を撒き散らすために戦うのではありません、護るために戦うのです!
機体が大破し戦意喪失した者は戦略上もはや障害足り得ません!
しかもオブリビオンマシンにより強引な突撃を強いられて居たのですから!
今この戦線は絶対に護らなければならないものとなりました
オブリビオンマシンにより思考を歪められている事を説きつつ皆に協力を呼びかけます
戦うだけが戦さではありません、避難誘導、怪我人の後送、物資の補充…出来る事は様々です!
各々が今出来る事を最大限に力を合わせて!



 迫りくるギムレウス達は、先行した猟兵達の活躍もあり、次々と無力化されている。
 それでもなお、オブリビオンマシンの狂気に侵された者達は、武器を収めず国境線を狙う。
『奴らの言葉に惑わされるな! 奴らは悪夢を生み出す国に与する者達だ!』
 ヒステリックな叫び声が、通信機越しに響く。その声に、ケイは深く頷いた。
「なるほど、これがこの世界のオブリビオンのやり方というわけですね」
「……随分とまぁイイ策仕込んでくれるじゃない」
 柚月も、苦々しい顔で戦場を見る。この先に、今この場にいるルベレア兵達の近縁の者がいて、彼らはお構いなしに攻撃を仕掛けてくるだろう。
「でも、こっちにも考えがあるんだからね!」
 そう言って鮫型ガジェットのKillerWhaleを基地に設置すると、柚月は再びReviathanに乗り込んだ。
「さすがにこの砲撃を許せば、苦すぎて美味しくなさそうだな。砲撃は阻止させるよ」
 量産型キャバリアに乗ったアリスも、緊張感のない表情をしながらも、どこか忌々しそうな口調であった。

「戦うだけが戦ではありません! 避難誘導、怪我人の後送、物資の補充……出来ることは様々です!」
 エイスは敵の接近を前に、国境警備隊や捕虜のルベレア兵へと呼びかける。
 残った警備隊には自身のキャバリアへ砲弾と燃料の補給を頼み、再出撃までの時間はもう間もなく。エイスは捕虜となった国境警備隊や捕虜たちの意志を一つにまとめ上げ、来る戦いへと着々と準備を整えていた。
「今この戦線は絶対に護らなければならないものとなりました! 各々が今出来ることを最大限に、力を合わせて!」
 そんなエイスの前に、一人のルベレア兵がふらりと現れた。
「なぁ、あんた……あいつら一体、どうしちまったんだ……?」
 ルベレア兵の言葉に、エイスは目を伏せる。
「彼らは、あのキャバリアによって思考を歪められているのです」
 破滅的な思想、狂気。それは猟兵であるエイス達にしか認識することは出来ないが、ルベレア兵達にも、敵の異常性はひしひしと感じ取れていた。
「けれど……安心してください!」
 ぱぁっとエイスが笑顔を作ってみせる。
「皆さんも必ず救出してみせますから!」
 エイスの言葉には、強い確信があった。何故なら、今話しかけているルベレア兵。彼は先ほどまでオブリビオンマシンの狂気に侵されていながら、今はこうして正気を取り戻しているのだ。次もまたきっと、うまくいくに違いない。
「準備OKだ! 出られるぞ!」
 警備隊がエイスに声をかける。
「はいっ! では、行ってきます!」
 ルベレア兵に軽く挨拶をして背を向けたエイスがコックピットに飛び乗った。
 そして、猟兵達それぞれが出撃準備を完了させる。
「アリス、いくよー」
「Reviathan、出撃!」
 アリスと柚月が一足先にブースターを噴かし、戦場へと向かってゆく。
「ケイ、出ます」
 続けて、ケイのサイキックキャバリアが魔力を放出しながら出撃し、最後にエイスのキャバリアが立ち上がる。
「……エイス、いきます!」

「……敵機接近! 数は3!」
 ルベレア兵が通信を送る。それを聞いた隊長らしき人物は、隊に指示を出す。
「迎撃だ! 各機砲撃モードに移行!」
 その合図に合わせ、各ギムレウスの背部大型キャノン砲が砲身を敵キャバリアへと向ける。先頭をまっすぐ突っ込んでくる相手キャバリアに照準を合わせた。
「隙だらけだな……!」
 そう言って砲弾を放つ。砲弾は弧を描き、キャバリア目掛けて急速に落下してゆく。その時。
「こうしたら、より美味しくなるんじゃないかな」
 そんな言葉がルベレア兵達の通信に割り込んできた。砲弾は大地に着弾し、キャバリアは無傷のまま爆炎の中を駆ける。
「外れた!?」
 そのキャバリアはアリスのキャバリアであった。あえて不利な行動を取ることでキャバリアの性能を格段に引き上げたのだ。そのままアリスは通信回線をハッキングする。
「さぁ、ボク達の話を聞いてよ」
「な、何だと……?」
 訝しむルベレア兵達に、ケイが言葉を続ける。
「私の目的はあなた方の命を奪うことではないのですよ」
 その言葉に合わせ、柚月の呼び出した機械化サメが一気にギムレウス達を取り囲むと、口をぐぁっと開き、口内から空間に映像を投影した。
「この通り、皆の大切な人達は生きてる! すぐ攻撃をやめて投降を!」
 映っていたのは、死んだと聞かされていた者達の姿であった。柚月があらかじめ設置していたKillerWhaleと機械化サメが結びつき、リアルタイムで映像が映し出されているようだ。
「き、貴様らの言うことなど聞けるかぁ!」
 ギムレウスの砲身が猟兵達に向く。だがその瞬間、遠方から飛来した砲弾が、砲身を撃ち抜き破壊する。
「前衛部隊が壊滅したから仕方なく前に出た……という感じでしょうか」
 その砲弾を放ったのはエイスのキャバリアである。警備隊で力を合わせて整備した結果、第一波以上の性能で戦場を駆ける。
「くそっ、奥にももう一機いたか!」
 続けて別のギムレウスがエイスを狙おうと向きを変える。
「撃ってくるなら、それは阻止するよ」
 だがアリスはそれを予測し、砲身を狙ってキャバリアのライフルを放つ。
「うわっ……!!?」
 砲身が破壊され、ギムレウスの機能が停止する。コックピットを開いた兵士は、戸惑うように戦場を見渡している。
「な、何でオレ……あんなことを……?」
 機械化サメが映し出しているのは、間違いなくその兵士の家族であった。その映像は録画ではない。今、生きて、彼自身が狙っていた場所にいることがはっきりと理解できる。
「このままやったらあなた達自身の手で大切な人達を殺しちゃうから!」
 柚月の言葉に、兵士が頷く。強い後悔が兵士の心に渦巻き、嗚咽を漏らす。
「あ……そ、そうか……」
「ダメだ、こんなことは……」
 猟兵達の言葉に、徐々に兵達の狂気が薄れてゆく。だが。
「だ、騙されるな! そう言った筈だ!!」
 兵の一人が虚ろな瞳で叫んだ。もはや彼にも何が正義かわからない状態だ。
「あいつらさえ、あいつらさえ消えれば!」
 そう言ってギムレウスが走る。狙うは、柚月のReviathanだ。
「投降するならよし……それでも攻撃するなら……」
 ギムレウスの頭部が巨大なワニの顎へと変形する。速度を上げ、Reviathanを噛み砕こうとさらに接近してくる。
「攻撃手段を奪うよ!」
 肩部のミサイルランチャーから複数のミサイルが同時に放たれた。
「!!」
 ミサイルは頭部に直撃、その勢いでギムレウスは大地に倒れ、パイロットが投げ出される。
「お、俺、何して……うわっ!?」
 その頭上を、砲弾が飛び越えてゆく。抵抗をするギムレウスに対し、エイスの砲弾が放たれたようだ。どうやら見逃してくれるのだと理解したパイロットは、急いでその場を走り去る。
「戦意喪失した者は戦略上もはや障害足り得ません。しかも、オブリビオンマシンにより強引な突撃を強いられて居たのですから!」
 それがエイスの矜持、破壊ではなく、護るために戦う、機獅道である。
「皆さんにメッセージを伝えます」
 今だ抵抗をしようとする相手には、ケイが捕虜からのメッセージを送ってゆく。サイキックキャバリアの魔力を通じ、ギムレウスのコックピット内に様々な言葉が行き交う。
「ち、違う、違う違う違う!」
 ギムレウスがケイのサイキックキャバリアへと襲い掛かる。
「仕方がありません……無力化します」
 ケイのサイキックキャバリアが闘氣を纏う。続いて蹴りを放つと、衝撃波がギムレウスを襲い、ギムレウスは動きを止めた。
「しまっ……!!」
 気が付いた時には、既にギムレウスの視界にはサイキックキャバリアは影も形も見当たらなかった。何故ならば、ケイは既に、背後に回っていたのだから。
 ケイはギムレウスの腕を掴んで引き抜くと、続いて頭、砲身を砕いてゆく。
「さぁ、機体は破壊しました。脱出してください」
 ケイの言葉に、死を覚悟していたルベレア兵がハッチを開いてキャバリアから降りてゆく。そのルベレア兵の表情は、困惑しつつも憑き物が落ちたような表情であった。
「お前達、許さんぞ!!」
 それでも、オブリビオンマシンの狂気は止まらない。未だに狂気から解放されない兵の矛先は、正気を取り戻した兵にまで及ぼうとしていた。
 生身の兵を押しつぶそうと、ギムレウスが接近してくる。
「いけませんっ!」
 そのギムレウスを、ケイのサイキックキャバリアが受け止めた。
「さぁ、早く逃げてください!」
 庇われた兵は軽く頷き、その場を一目散に離れてゆく。
「貴様ぁぁ!」
「あなたも、狂気から解放される時です!」
 兵が十分に離れたことを確認したケイが、拳を突き上げた。ギムレウスのオーバーフレームが砲身ごと砕け、コックピットが露出する。
「あ……あ?」
 呆然とした様子で、兵がコックピットから顔を出す。先程まで怒声を張り上げていた男とは思えない程、弱弱しく見えた。

「これで、この隊の砲撃は阻止できたね」
 アリスが周囲を確認して言う。救出したルベレア兵達も安全な場所に固まってもらい、猟兵達は再び戦場へ目を向ける。
 敵はあと少し。この卑劣な作戦が潰える時は近い。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ミスト・ペルメオス
【WIZ】

…時間が無い。協力を要請します。
あなた方の無事をお伝えした上で、彼らを止める!

捕虜となった者達とやり取りをした後、引き続き愛機たる機械鎧を駆って戦闘に参加。
デバイス等を介しての念動力の活用、機体のフルコントロールも抜かりなく。
スラスターを駆使しての滑走や低空飛行により移動、高速戦闘を行うとする。

とはいえ。接敵直後は広域通信で捕虜の名や個人情報を挙げ、彼らと親しい者に対しての言葉を届ける。
増幅された悪意や戦闘力が鈍ったところで【サイキック・プレッシャー】。
…ここは戦場だ、手段は選ばない。
威圧により生じた隙を突き、敵機の主砲や頭部を破壊することで戦闘力を奪う!

※他の方との共闘等、歓迎です



 ギムレウス達は着々と猟兵達の手によって破壊されていた。
 パイロットであるルベレア兵達は、オブリビオンマシンの呪縛から解き放たれ、我先にと戦場から離脱する。
 だが、敵軍が用意したギムレウス達はまだ残っている。倒された仲間達を尻目に、あるいは敵とすら見なしながら、半ば強引に戦線を押し返す。
「射程に入り次第基地を攻撃! あの拠点さえ落とせば、我等は悲願の礎となれるのだ!」
「おぉお!!」
 そして戦線を突破したそのギムレウス部隊はキャノン砲を携えて叫ぶ。最後の部隊となりながら、非常に高い士気を発揮していた。
「……時間がない……!!」
 その様子にミストは焦りを覚える。間もなく砲撃が始まってしまう。基地の非戦闘員を退避させる時間は十分に稼げてはいた。それでも攻撃を受けてしまえば、多かれ少なかれ、被害は免れない。
「フルコントロール……!」
 どう、と背中のバーニアを唸らせるミストのブラックバード改は、低空飛行で大地を疾走する。目指すはギムレウス。目指すは救出すべきルベレア兵達。

 ――時は数分前に遡る。
『皆さん、協力を要請します!』
 ミストは第一波で救出され、捕虜となった者達との対話を試みていた。
 ルベレアとグランドールは緊張状態にあったとはいえ、それは上層部同士の問題である。彼らに、グランドールを深く憎むだけの感情は本来持ち合わせていなかった。
「あなた方の無事をお伝えしたうえで、彼らを止めます」
 だから、そんな言葉にも彼らは素直に応じ、深く頭を下げたのだ。
 ならば――。ミストはコックピットに映されるギムレウス達を見据える。
「彼らだって、言葉は届くはずだ!」

「敵機接近! ……なんだ、これはキャバリアなのか!?」
 ギムレウスの約2倍にも及ぶ黒い機械鎧を前に、ルベレア兵達が動揺する。しかし、それよりも彼らの心を震わせたのは、その巨体から届けられた言葉であった。
「イコースさん。あなたの兄、チェスターさんは今、生きてグランドールに保護されています!」
「……な、何で俺と、兄貴の名前を!?」
 突如として知らされた事実に、イコースと呼ばれたパイロットの動きが止まった。そして一呼吸して冷静になると気付く。
「……兄貴が生きてる、のか?」
「えぇ、そして皆さんに親しい方々もです!」
 ミストは一人一人、隊の者達に縁のある人物の無事を告げる。その言葉に、オブリビオンマシンの齎した狂気が薄れてゆく。……だが。
「違う、兄貴は死んだはず……大佐からそう聞いたんだ……!!」
 再びオブリビオンマシンの侵食が始まった。このままでは再び狂気に陥ってしまう。
「……ならばここは戦場、手段は選ばない」
 ミストが強く精神を集中させる。強い意志と強いサイキックエナジーが、プレッシャーとなりブラックバード改から放出された。
「はっ……!?」
 ルベレア兵がその圧に反応した時には、もはや全てが遅かった。
「――やらせるかッ!」
 ミストのアサルトライフルが一足先に武器を撃ち抜く。続けて頭、四肢、コックピットだけを残し、ギムレウスを破壊してゆく。
 言葉で足りないのならば、狂気の元を断てば良い。ミストは次々とギムレウスを破壊しながらパイロットたちを救出するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『モノアイ・ゴースト』

POW   :    バリアチャージ
【バリアを纏った】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【支援機】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    パルス・オーバーブースト
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【オブリビオンマシン】から【光学兵器による一斉攻撃】を放つ。
WIZ   :    ゴーストスコードロン
自身が【敵意】を感じると、レベル×1体の【支援キャバリア】が召喚される。支援キャバリアは敵意を与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達の活躍によって、第二波で出撃した全てのパイロットはギムレウスの狂気から解放された。
 それは同時に国境警備隊の防衛を意味しているのか?
 否。最後に残された――この戦いの元凶が地平線の奥より現れる。
「剣は不要」
 ゴトリと巨大な剣を棄てて身軽になったそのキャバリアは、より速度を上げて猟兵達へと接近する。
 地平線の向こうで翼のように見えたものは、キャバリアから放たれる憎悪のオーラであった。
 頭部に一つだけ備えられたカメラアイが紅く輝く。その機体の名は者アイ・ゴースト。
「我等の国を裏切り、我等のプラントを奪った貴様らを許しはしない!」
 コックピット内部でロアルーム大佐が叫ぶ。

 かつて友好な関係を築いていた両国には、両国から隣接する空白地帯が存在していた。厳しい北の大地の痩せ細った土地などは、両国にとって無価値である。長年どちらの国家も領土の主張は行ってこなかったのだが、その荒廃した大地の氷の下から、突如プラントが発見されたのだ。
 それに端を発し、両国の領土争いは突如として激化してしまった。たった一つのプラントが二つの国の関係性を決定的に変えてしまったのだ。
「戦えども戦えども、貴様らは蛆虫のように湧いてきて、そしてプラントを奪い去った」
 結果として、グランドールがその領地を得ることで戦争は終結したが、常に火種は燻り続けていたと言える。それでも再び戦争が起きなかったのは、ルベレアの疲弊と、戦後の外交によるところが大きい。
 だが、ロアルームはそれで納得しなかった。
「腑抜けた政府の連中ももはやあてにはならん! 貴様らこそが我等の国の悪夢。私は許さない。悪夢は晴らさなければならない!」
 それはオブリビオンマシンに侵された戦鬼による正当な侵略理由であった。
 もはや目的は奪う為ではない。滅ぼすために。ロアルームは全ての怒りをオーラに乗せ、猟兵達へと銃を向ける。
 たった一機。されどそれは『悪夢の風』。
 嵐が吹き荒れようとしていた。
アリス・フォーサイス
※ブライダルベール(サイキックキャバリア)獲得イベント

くっ、腕が。さすがリーダー機だね。
ん?声がする。キミを呼べばいいの?
召喚!ブライダルベール!

魔法の大きな鎌を作り出すよ。魔力が循環する。これなら!

支援キャバリアの外装ををばったばったと切り裂いていくよ。

政治のことはわからないけど、ちょっと冷静になった方がいいんじゃないかな。まず、その機体を降りてからね。



 モノアイ・ゴーストを駆るロアルームは疾風の如き勢いで猟兵達に接敵する。
 尋常ならざる動きは、溢れるオーラより生まれ、そのオーラは戦場に散らばった、破壊されたはずのキャバリアにまで伝播する。
「キャバリアが動いてる?」
 アリスが目を擦る。確かに破壊したキャバリアだ。ロアルーム、そしてモノアイ・ゴーストから発せられたのサイキックエナジーが無人のキャバリアを動かし、ロアルームを護るように布陣したのだ。
「けど、無人機にやられるボクじゃないよ」
 キャノン砲を構え、撃ち放つ。砲弾は先頭のキャバリアを破壊したが、直後アリスを包囲するように一気に散開する。
「速いね……!」
 だがアリスは落ち着いた様子で砲撃を重ねキャバリアを破壊してゆく。しかし。
「……!!」
 突如激しい衝撃がアリスを揺さぶった。彼女の搭乗した量産型キャバリアの肩に、大きな風穴が空いたのだ。
 狙ったのはロアルーム。支援機の背後に隠れ、アリスの死角へと入り込み、武装のビームを撃ち出したのだ。ロアルームは、すかさず第二射を放つ。
「くっ……!!」
 表情はあまり変わらないが、アリスの声には焦りが混じっていた。咄嗟の回避運動にコックピットへの直撃は免れたものの、キャバリアの腕は完全に千切れ飛び、関節部から小さな爆発が起こる。激しいスパークにコックピット内の計器類に異常が発生し、モニターから映された視界が歪む。
「さすがリーダー機だね……」
 もう一撃を受けたら終わりだ。体勢を崩した量産型キャバリアではこれ以上の激しい回避運動は望めまい。その時を待っていたとばかりに、モノアイ・ゴーストのレーザーガンの銃口は、アリスのコックピットにピタリと狙いを定めていた。
「……ん?」
 絶望を待つその瞬間、アリスはふと何かの声を耳にした。
『……ル……ベー……ル』
 まるで時が止まったかのような不思議な感覚に囚われる。その感覚の中から徐々にはっきりと聞こえ始めた声は、空からのようで、地の底からのようでもあり。
「キミを呼べばいいの?」
 そう、アリスに呼びかけているようであった。
『ブライダルベール……!』
 アリスはこくりと頷いた。そして、大声で叫ぶ。
「召喚! ブライダルベール!!」
 直後、ギュンと鋭い光の奔流が、アリスの乗る量産型キャバリアのコックピットを貫いた。
 赤熱し溶解した装甲がどろりと地に落ちると同時に、コックピット付近から爆炎が上がる。そのままキャバリアを飲み込み、巨大な爆発が戦場に巻き起こった。
「……まずは一機……何?」
 ロアルームがそう言った直後、燃え上がる炎の中に強い気配を感じ取った。咄嗟に空を見上げると、黒煙の中に輝く瞳を見た。
 黒煙を切り裂いて、巨大な鎌を持った正体不明のキャバリアが戦場に舞い降りた。
「その名も、ブライダルベール」
 アリスの声が響く。召喚と同時に、アリスの身体はブライダルベールと呼ばれたサイキックキャバリアに転送されていたのだ。
 アリスの魔力がサイキックキャバリアと連結し、全身に巡ってゆく。
「魔力が循環する……これなら!」
 手にした鎌の刃に魔力が集中する。アリスが鎌を大きく一薙ぎすると、支援キャバリアが真っ二つに切り裂かれ、連鎖的に爆発してゆく。
「政治のことはわからないけど、ちょっと冷静になった方がいいんじゃないかな」
 アリスがにこやかに言う。鎌に魔力が再び集まってゆく。
「まず、その機体を降りてからね」
「……!!」
 鎌を一振り。大地が抉れ、土煙が上がる。咄嗟にかわしたかに思えたロアルームの装甲にも傷を付け、ロアルームは距離を取る。
「冷静……? 私は冷静だとも。貴様らこそ大人しく滅びれば良い」
「ううん、やっぱりまずは降りてもらわないとだね」
 アリスは困ったように笑って、再び鎌を構えた。
 戦いはまだ始まったばかりである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユウヤ・シュバルツ
結華と参加

「どっちが悪いかどっちが正義かなんて部外者のオレ達にゃ分かんねぇよ」
「オブリビオンに暴走させられているアンタを止める、それだけだ!」
「いくぜ、結華!ルル!オレ達でアイツを止めるぞ!」「了解だよ!」
UCを使用。背面のメガスラスターを展開、高速移動で敵の一斉発射の隙間を翔け抜け、残像を囮にしたり、敵が呼び出した支援機の後ろに回り込み盾にして回避
「スピードなら負けねぇ!」「ユウヤ!情報をモニターに出すよ!」
砲撃を連射する隙を見切り、カウンターに右手のビーム砲を撃ち込む。

敵の武装が壊れ、砲撃が弱体化したら敵へ突っ込み左手のオリハルコンブレードでビームを切断しながら斬り抜ける
「――疾風一閃!」


御門・結華
ユウヤと参加。

マスターの機体の肩に戻り、左手の怪力でしっかり掴まりながら
「はい。マスター」
右手でデッキからカードを引き、全身に炎を纏う。
「火の精霊よ、我が身に宿れ」
防具改造で紅蓮のドレスを、武器改造で大剣を右手に装備する。

シルフィードの高速機動に振りほどかれないように怪力でしっかり掴まりつつ、UCで生み出した無数の炎弾を周囲に展開し、敵の支援機に撃ち込んだり、モノアイ・ゴーストからの回避できない光学兵器に対して炎弾を集めて盾にします。
「マスター、援護します!」

支援機がある程度、片付いたら魔力を集中させ隙を見て全力魔法をモノアイへ撃ち込む
「炎は竜となり、我が敵を焼き払え-サラマンダーフレイム-」



 戦闘が始まった。ロアルームを中心に、爆炎が巻き起こり、その炎の隙間を抜けてモノアイ・ゴーストが駆ける。
 放たれたオーラが周囲に散乱した無人のキャバリアを呼び起こす。そしてロアルームは、自身を狙う存在に気が付いた。
「キャバリアも無しか。どこまでも愚弄する!」
 ロアルームが狙うのは結華。彼女は今の戦場で唯一生身と言っても良い姿で戦っている。それでも十分な戦果を上げていることはロアルームにも理解していたが、それでも異質な存在に苛立ちは募る。
 それも、彼女が足場にするキャバリア……ユウヤのシルフィードがいてこそだとも考えた。ロアルームは手にしたビームガンをシルフィードに向け、照準を合わせる。
「どっちが悪いかどっちが正義かなんて部外者のオレ達にゃ分かんねぇよ」
 シルフィードのコックピットに座るユウヤは、視界にロアルームの姿を捉えながら言う。下手に動けば、その瞬間を狙われる。ユウヤは用心深く注意を払いながら、言葉を続けた。
「……オブリビオンに暴走させられているアンタを止める、それだけだ!」
「何を言っている?」
 歯牙にもかけない様子でロアルームが鼻で笑う。今の彼にとってはこの状態こそが正常であり、自身が暴走しているなど露程も思っていない。
「なら、教えてやる。いくぜ、結華! ルル! オレ達でアイツを止めるぞ!」
 ユウヤが叫ぶ。その声に呼応して、肩に立つ結華と、モニターを飛び回るルルが同時に言葉を放つ。
「はい、マスター」
「了解だよ!」
 直後、シルフィードの背面スラスターが激しい光を発した。
「先に動くか!」
 ロアルームもすかさず全武装を解放する。躊躇いなど一切なく、モノアイ・ゴーストのすべての武装からビームが放たれた。
「うおおっ!!」
 その隙間を縫うように、シルフィードが回転しながら加速する。シルフィードを狙ったビームを次々と避けながら、シルフィードはモノアイ・ゴーストに肉薄する。
「まだだっ!!」
 第二射。全砲門から放たれる弾幕はシルフィードを掠めるが、捉えたのは残像ばかり。それでも射線を修正し、ロアルームは追いすがる。
「――!!」
 このままでは直撃する! ユウヤはシルフィードを急旋回させ、軌道を変えて距離を取る。
「結華! ついてきてるか!!?」
「えぇ、マスター」
 激しい攻撃に晒され、急激な機動をするシルフィードの肩に、左手だけで捕まる結華が静かに言う。
 それは結華の怪力ばかりではなく、信頼関係のなせる業か。攻めあぐねるシルフィードに、結華は空いた右手でカードを引く。
「火の精霊よ、我が身に宿れ」
 カードの魔力が結華の姿を変えてゆく。燃えるような紅蓮のドレスを着込み、自身の半身はある巨大な剣を携えて、結華は改めてユウヤに告げる。
「マスター、援護します!」
 結華は大剣を向ける。すると無数の炎弾が生まれ、モノアイ・ゴーストを支援する無人機へと放たれる。
「しまった!」
 支援機が火球に晒され、爆発した。その爆炎が煙幕となり、視界を奪う。
「チッ……!!」
 だがこちらの様子が曖昧なのはシルフィードも同じはず。ロアルームはレーダーを注意深く観察しながら周囲に神経を張り巡らせる。
「そこか!」
 わずかな空気の流れに、ロアルームが銃撃を放つ。だが、シルフィードは黒い煙を押し分けて、強引にロアルームへと急接近する。
「炎弾が盾となったか!」
 シルフィードの前には結華の放った炎弾が張り巡らされていた。それを盾代わりとして、間一髪、シルフィードは直撃を免れ、そのまま直進したのだ。
 それを知るや、ロアルームは距離を取るべく後退し、今度はシルフィードが追う番となった。
「スピードなら負けねぇ!」
 ユウヤの言葉通り、シルフィードはモノアイ・ゴーストにぴったりと張り付き、距離を取らせまいとさらに加速する。
「離れろッ!」
 ロアルームが再び一斉発射を試みる。放たれた無数のレーザーは急接近したシルフィードの装甲を掠めるが……。
「何故直撃しない!」
 ロアルームが激昂し、叫ぶ。その問いに、ユウヤは笑って答えた。
「俺には優秀な情報妖精がついてるんでな!」
「ユウヤ! 情報をモニターに出すよ!」
 ルルが戦場の様々な情報を読み取り、ユウヤとシルフィードに伝達する。そして見つけ出した隙を、ユウヤ達は正確に進んでゆく。
 そして、シルフィードはとうとう彼らの射程へと踏み入れた。
「炎は竜となり、我が敵を焼き払え」
 肩に立つ結華の前に、一際大きな火球が生まれた。全魔力を集中させた、特大の火球はモノアイ・ゴーストのその一つ目を狙い、放たれた。
「―サラマンダーフレイム―」
「くううっ!!」
 ロアルームの視界が炎に染まる。そこにすかさずシルフィードはオリハルコンブレードを抜き、モノアイ・ゴーストへと刃をかざす。
「舐めるなぁ!」
 ロアルームが銃撃を放つ。出鱈目ではない、だが、今までのように精密でもない。
 オリハルコンブレードは、そのビームを切り裂き、そのままモノアイ・ゴーストへと刃を振る。
「――疾風一閃!!」
 風のようにシルフィードがモノアイ・ゴーストを通り抜けた。
「どうだ!?」
 ユウヤがモノアイ・ゴーストを見やる。……動かない。カメラアイも暗く、光を失っている。致命傷を与えたか? そう思った瞬間、消灯していたモノアイ・ゴーストの瞳がギンと赤く輝いた。
「……損傷は大きい。だがまだ、我等は動けるぞ!」
 ロアルームが叫ぶ。しかし、シルフィードによって機体に深々と刻まれた大きな傷は、モノアイ・ゴーストが着実に力を失っていることを意味していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雨咲・ケイ
オブリビオンにその在り方を歪められるなど
あってはならない事です。
少佐にもかつての勇将に戻っていただきますよ。

【SPD】で行動。
引き続き同じサイキックキャバリアに搭乗。

慣れてきたとはいえ、操縦技術では及びませんね……。
ですが、猟兵にあるのはそれだけではありませんよ。

初手で【退魔集氣法】を使用して
敵の一斉攻撃は高速移動で回避。
回避し切れない攻撃は【オーラ防御】で
凌ぎます。
そして【衝撃波】を放ち、牽制しながら接近。
【グラップル】による接近戦で戦闘機能を
削いで無力化しましょう。
敵パイロットの安全を確保してから
機体の破壊にかかります。

アドリブ・共闘歓迎です。


アイ・リスパー
「大佐を操るオブリビオンマシンを倒し、この戦いに決着を付けます!
行きましょう、オベイロン、ティターニア!」

『機動戦車オベイロン』と『小型宇宙戦艦ティターニア』を【夏の夜の夢】で合体。
強化型パワードスーツとして身にまとい、ホーリーグレイルの攻撃を受けない低空を飛翔し戦闘です!

「合体すれば、出力でもキャバリアに負けませんっ!」

ミサイル、ロケットランチャー、レーザーガトリングを連射しながら敵のバリアに攻撃です!
いかに堅牢なバリアでも長時間は維持できないはず!

敵のバリアが弱まったところを狙い、荷電粒子砲をフルチャージ!

「これで終わらせますっ、受けてくださいっ!」

全力の荷電粒子砲を放ちます。


ミスト・ペルメオス
【POW】

プラントを、資源を巡る戦争…。
その無念は分からないでもないが、だからとて認めはしない…!

引き続き愛機たる機械鎧を駆って参戦。
デバイス等を介しての念動力の活用、機体のフルコントロールも継続。
殲禍炎剣の干渉を受けない程度に高度・速度を制限しつつ、スラスターを駆使しての滑走や跳躍、高速戦闘を実施する。

一段と高性能と見て良いだろう隊長機。万が一、は避けるべきだが全力で迎え撃つ。
ヘルファイア・デバイス展開。【オープンファイア】!
戦闘機動をとり動き回りながらの弾幕射撃、或いは集束射撃。
エネルギー散弾の嵐を叩きつけることで敵機の耐久値を削り切り、戦闘不能に追い込む!

※他の方との共闘等、歓迎です


エイス・シノノメ
今までと比べ格段に動きが良い…操者・機体の質が共に別次元です!
これが悪夢の風、二つ名に劣らぬ嵐の如き荒々しさか!?
グランドールのメカニック達は良くやってくれましたがこれまでの連戦での酷使がここに来て
たった僅かな砲身の歪みが…これでは牽制が精一杯!
何より接敵されては成す術無いので何か手を打たねばなりませんが…漸く待ちに待った通知!
間に合いました!予め手配しておいたアタシの機体の受領とカーゴヘリでの輸送が!
即回線を開きAIに緊急降下と敵機へ牽制を指示
敵機が離れた隙に機体を寄せハッチ開放し飛び移ります!
今の機体は秘匿回線で操作チャネルを解放しAIに遠隔で砲撃支援を!
機獅と愛機の連携ご覧入れましょう!


清里・柚月
そうだね、悪夢は晴らさなきゃいけない。その機体、破壊させてもらうよ!

引き続きReviathanに搭乗。
コード・アナイアレイターを発動の上で、MultiBoxからのミサイル(【誘導弾】)で主に攻撃。
多分撃ち落とされるだろうから、その爆発を目くらましにしてTripleCrownのガトリング掃射で攻撃していくよ。
ダメージを与えるのも狙ってはいくけど、それへの回避行動で機動の選択肢を潰していくのが一番の狙い。
どう動くかが読めたところで、機体の胸部のビームキャノンの【砲撃】を敵機下半身目掛けて叩き込むよ!
その悪夢から覚めるのはこの後じゃない、今だよ!



 全てはルベレアの為であった。
 小国連なるクロムキャバリアの世界では、敵はグランドールだけではない。
 ロアルームはその全てを退け、ルベレア存続の為に戦ってきて、その度にプラント資源の枯渇に悩まされてきた。
 だからといって、そのプラントは『見つけてはいけなかった』。
 グランドールとの亀裂。プラント占拠の為に無茶な作戦を発案する上層部、結果、ルベレアは負け、国はさらに疲弊した。
 プラントなど無ければ。グランドールなど無ければ。
「この悪夢を晴らすためには、貴様らを業火にくべ、地獄に叩き落すしかない」
 ロアルームの駆るモノアイ・ゴーストのオーラが禍々しく輝いた。
 それはバリアとなり、何物をも寄せ付けない程の強大な障壁となる。
「プラントを、資源を巡る戦争……」
 ミストはブラックバード改を駆りながら、ぽつり呟いた。
「その無念は分からないでもないが……だからとて認めはしない……!」
「オブリビオンにその在り方を歪められるなど、あってはならないことです」
 ミストの言葉に、ケイもキャバリアの中で頷いた。
 手にしたサイキックキャバリアは大分馴染んできたが、猟兵達を前に立つロアルームの姿を見ると、技術不足を痛感する。
「ですが、猟兵にあるのはそれだけではありませんよ」
 ケイはそう言い、自身の闘氣をキャバリアに巡らせる。キャバリアの力だけではない。猟兵達はみな今まで、その身一つで死地を乗り越えてきた。
「そうです! 大佐を操るオブリビオンを倒し、この戦いに決着をつけます!」
 アイが叫ぶ。キャバリアとは似て非なる機動戦車オベイロンを駆る彼女は、小型の宇宙戦艦『ティターニア』を伴って、ロアルームへと駆け出した。
「機動戦車オベイロン、宇宙戦艦ティターニア……合体プログラム、機動!」
 オベイロンとティターニアの装甲が開き、組みあい、重なってゆく。オベイロンよりもより硬固で、より出力が高く、より強大な強化型パワードスーツへと変形する。
「合体すれば、出力でもキャバリアには負けません!」
 スラスターを全開にすると、アイのパワードスーツは大地を駆けるような低空を飛行しながら加速してゆく。
「……敵機2機、急速接近。そして……」
 そんな中、ロアルームは冷静にレーダーの点滅と、モニターに映される光景を観察していた。ミストとアイの2体は挟み込むように接近してきており、間もなく射程範囲内となる。正面にはケイのキャバリアが立ち、存在感を示す。ロアルームが逃げる道は、後退しかないように思えた。
「後方から来るか」
 視界の奥、空の下でチカチカと光るものが映るのを、ロアルームは見逃さなかった。
「コード・アナイアレイター起動!」
 3人の猟兵達よりもさらに後方から、ミサイルが飛来した。柚月のReviathanから放たれた誘導弾である。
「ふっ……!!」
 ロアルームが前進する。手にしたビームガンの銃口はごく自然にミサイルへと向き、数射した後ケイへと向ける。
「速い……ッ!」
 頭上でミサイルが爆ぜる。それを合図にするかのように、ケイが飛び退いた。構わずロアルームはケイへと照準を合わせると、全ての武装を一斉に放つ。
 いくつかの銃弾は大地を抉り、残りはケイへと向かってゆく。咄嗟の回避がなければ、全ての弾が直撃していただろう。今のケイに追いすがる銃弾であれば、オーラ防御で受け切れる。
「まだだ」
 ロアルームが静かに、そして速やかにトリガーを引いた。再びすべての武装がケイを狙う……その時。
「……っ!!」
 ロアルームが急遽反転し飛び退いた。放たれた銃撃は明後日の方向へと飛び去ってゆく。直後、ロアルームがわずか数秒前までいた地点が突如爆ぜた。
「今までと比べ、格段に動きが良い……操者・機体の質が共に別次元です……これが悪夢の風……二つ名に劣らぬ嵐の如き荒々しさか!?」
 それは遠方からエイスの放った砲撃であった。遠方からの一射は牽制となってロアルームを翻弄することに成功したが、その実、エイスの借り受けた量産型キャバリアではそこまでが精一杯であった。
 それでもグランドールのメカニックはよくやってくれた。ここまでの連戦、つうじょうならばとっくに機能停止していても不思議ではない。
 だが、その牽制は猟兵達が反攻に転ずる機会となった。

「悪夢……そうだね。悪夢は晴らさなきゃいけない」
 ミサイルの爆風、砲撃の土煙に紛れ、柚月のReviathanが一気にロアルームへと接近する。
「その機体、破壊させてもらうよ!」
 柚月が至近距離で、腕に装着したガトリングガン『TripleCrown』を放つ。
「舐めるなよ……!!」
 ロアルームがバリアを展開しながら回避運動を取る。放たれたガトリングの弾の多くはモノアイ・ゴーストへ届くことなく、わずかな傷をつけるだけ。
「でも、それでいい!」
 柚月がにやりと笑う。直後、モノアイ・ゴーストに衝撃が走る。
「……!!」
「破邪の闘氣……、その身で味わってみますか?」
 ガトリングに気を取られた隙に、ケイのキャバリアが一気に距離を詰めていたのだ。
「ぐうぅうっ!!」
 ケイから繰り出される激しい拳が、機体の武装を破壊してゆく。その度にロアルームを激しい衝撃が襲う。
「かつての勇将に戻って頂きますよ」
 ケイが拳にその想いを籠めて殴り掛かる。だが、ロアルームはまだオブリビオンマシンの狂気からは解放されていない。
「うおおおっ!!」
 たまらずバリアを激しく展開させ、ケイを引き離すロアルーム。直後レーダーが警告を告げ、高速で接近するアイとミストがとうとう射程圏内に入ったことを告げた。
「あの二機を相手にしても互角以上とは……隊長機は一段と高性能のようだ」
 ミストがブラックバード改に搭載された射撃武器をすべて展開する。
「全力でいく!」
「いきますよ!!」
 ミストの叫びにアイも応え、両機からミサイル、銃弾、ガトリングが豪雨のようにロアルームへと降り注いだ。
「やられるか!」
 避けられないと踏んだか、ロアルームが全身のバリアをさらに濃く纏い始めた。
 堅牢、強固なバリアは二人の攻撃を弾き、吹き飛ばす。無傷、とは言い難い損傷は与えているものの、致命傷にはなっていない。
「くっ……! ですが!!」
 ミストは怯まず、射撃を続ける。
「いかに堅牢なバリアでも、長時間は維持できないはず!」
 アイもそれに続く。だが、初撃を凌ぎ、体勢を立て直したロアルームは、バリアを長持ちさせるべく、スラスターを噴かして回避運動を取り始める。
「やらせないよ!」
「ちぃっ」
 そこに柚月のガトリングが加わった。
「あなたはそのオブリビオンに思考を歪められているんです」
 さらにケイが格闘戦を仕掛けることで、ロアルームに下手な回避を許さず、徐々に消耗させてゆく。

 その様子を口惜しそうに見ていたのは、エイスであった。
「このままでは成す術が……」
 手負いの量産型キャバリアでは、もはやあの中に牽制として入ることすら出来ない。仲間は必死で戦っているというのに……。
 そう歯噛みした瞬間。エイスのもとに、一つの通知が届く。
「……これは……間に合いました!」
 エイスはコクピットハッチを開きながら、空を見上げる。
 そこには低空で飛ぶ一機のカーゴヘリが、太陽の光を浴び、エイスの頭上で輝いていたのだ。
 量産型キャバリアのコックピットから指示を出す。すると、カーゴヘリから何かが投下された。
「アタシの……機体!」
 それは白銀に輝くクロムキャバリアであった。
「増援か!」
 ロアルームが銃口を向ける。4人に囲まれている状況でありながらも、降下する機体を狙って銃を向ける。
 だが、無人であるはずのキャバリアが手にした銃で牽制すると、ロアルームの放った銃撃は機体を掠めて空へと消える。
「ハッチ解放!」
 エイスが叫ぶ。それに応じて、キャバリアのコックピットが開くと、エイスは思い切りよく飛び移ると、クロムキャバリアの瞳が激しく輝く。
「エイスちゃん!」
 柚月の呼びかけに答えるように、クロムキャバリアが戦列へと加わった。
「機獅と愛機の連携ご覧入れましょう!」
 エイスが搭乗したクロムキャバリア、そして乗り捨てたはずの量産型キャバリアとで同時に砲撃を放つ。
「まだだぁっ!!」
 砲撃を受けながら、ロアルームのビームが無人となった量産型キャバリアを貫く。激しい爆音に爆風が襲う。その衝撃にも怯まず、猟兵達はさらなる追撃を重ねてゆく。
「オープン……ファイア!」
 ミストの弾幕がバリアを貫きはじめた。とうとう、ロアルームに限界が近付いて来ていた。
「今です!」
 アイが荷電粒子砲をロアルームへと向けた。
「フルチャージ……これで終わらせます! 受けてくださいっ!!」
 激しい粒子の奔流が、モノアイ・ゴーストのバリアを破り、装甲を溶解させてゆく。小さな爆発が各所で起こるが、まだ、かろうじてモノアイ・ゴーストの瞳から光は消えていなかった。
 すかさず、柚月が胸部のビームキャノンを放つ。
「その悪夢から覚めるのはこの後じゃない……今だよ!」
 脚を撃ち抜き、モノアイ・ゴーストが膝をついた。今度こそ、その一つ目は光を失っていた。

「さぁ、機体から降りてください」
 ケイがオーバーフレームを剥がし、コックピットを露出させる。そこにはうずくまって倒れているロアルームの姿があった。
「そんな!?」
 アイが悲痛な声を上げた。ケイはキャバリアのマニュピレーターで彼をコックピットから引き上げると、ハッチを開けてロアルームのもとへと駆ける。
 そして、安堵の表情で仲間の猟兵達へ告げる。
「……パイロットの安全を確認しました」
 その報は、全ての猟兵達の緊張を一気に解きほぐした。
 ケイが彼を自身のコックピットに収容すると、猟兵達はこれ以上オブリビオンマシンを残すまいと、武器を向ける。
「凄まじい相手でした。これが隊長機……」
 猟兵達の攻撃を受けて、粉々に砕け散るオブリビオンマシンを見上げ、ミストはふぅと一息つくのであった。

 こうして、グランドールとルベレアの国境線での戦いは幕を閉じた。
 ロアルームとその配下達はグランドール首都へと輸送され事情聴取の後、裁判にかけられ、国境警備隊は生き残りと、首都からの補充人員で再編成されることとなった。
 この戦いは、両国の間に再び大きな亀裂を生んでしまう可能性が高い。それがたとえオブリビオンマシンに拐かされた行いであったとしても、それを知る術は猟兵以外持ち合わせていないのだから。
 100年以上続く戦乱は、国を、人を翻弄する。その時代の荒波に飲まれた二国の行く末がどうなってゆくのか。それはまだ、誰も知らない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月16日


挿絵イラスト