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喜びの船を護衛せよ

#クロムキャバリア

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#クロムキャバリア


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●アーホルン宗主国首都「アイト市」上空
 アーホルン宗主国は、首都アイト市の周辺においては栄え、平和で、幸福な国だ。
 首都周辺はその潤沢な物資で豊かな暮らしをするが、首都から離れた辺境地域は首都からもたらされる補給物資を頼りに、生きていくしかない。
 故に、辺境に物資を輸送する宗主直属の飛行船は、まさに国全体の命綱だった。
 今日も宗主国西側の辺境、ドゥエル市に向けて物資を積んで航行しようとしていた飛行船「フロイデ」。その船内にけたたましいアラームが鳴る。
「機長!」
「どうした、何事だ!」
 舵を握る船員が、慌てた様子で機長グスタフ・フォーゲルへと振り返る。野太い声を張り上げるグスタフに、船員が計器のモニターを指さして言った。
「キャバリアです! 当機を複数の、所属不明キャバリアが取り囲んでいます! ドゥエル市に向かえません!!」
「なんだと……!?」
 グスタフは困惑した。宗主直属の飛行船は、国家によって手厚く保護されている。国内の誰であろうと、これらの飛行船に手を出したら問答無用で重罪だ。
 国内の人間なら、それを知らないはずはない。国外の人間であるなら別だが、それなら所属不明なのが不可解だ。
 意を決してグスタフはマイクを握った。所属不明機に向けて大声を張り上げる。
「そこのキャバリア、当機はアーホルン宗主国直属、物資輸送飛行船『フロイデ』である! 当機の進路妨害は、宗主国への妨害と見做す。所属国を明らかにせよ!」
 グスタフの声に船員たちは身を強張らせた。この大男の声はどうしたって腹に響く。
 相手方にも聞こえていないはずはないのだが、しかしうんともすんとも返事が返ってこない。
「……」
「聞こえないのか! 所属を――」
「き、機長!! やつら撃ってきます!!」
 業を煮やしたグスタフがさらに大声を上げた途端、船員たちが悲鳴を上げる。
 見れば、赤黒いキャバリアのいずれもが、無言のままにガトリング砲の銃口をこちらに向けてきていた。

●グリモアベース
「新しい世界が発見されたぞ、皆!!」
 グリモアベースにて。梯・剛士(ヴァリウードの随伴者・f12919)は機体に満ち溢れた表情で言いながら、集った猟兵たちにそう言った。
 新しく発見された世界、クロムキャバリア。
 荒廃し、分断され、生産設備であるプラントを巡って争いを繰り広げ、キャバリアが飛び交う、戦争と闘争の世界。。
 ゲーマーである剛士にとっては、ゲームにある世界が目の前に広がっているようなものだろう。目を輝かせるのも分かる。
 ともあれ、彼がここにいるということは、オブリビオンの魔の手が世界の人々に迫っているということだ。楽しんでばかりもいられない。
 猟兵たちが先を促すと、剛士に付き従う狼獣人・ヴァリウードが、主人の口を大きな手で塞ぎながら口を開いた。
「彼の世界は荒廃してこそいますが、文明は高水準で保たれております。小国家はそれぞれ人々が生活し、国家内であれば飛行船で物資のやり取りなどもしておりますが……今回、その飛行船が襲撃を受けるようなのです」
 ヴァリウードの説明に、剛士も言葉を切った。こうしてしっかり説明されては、自分も仕事をしないわけにはいかない。
 自分の予知した内容をグリモアから映し出しながら、剛士が舞台の説明を始める。
「今回皆に向かってもらうアーホルン宗主国は、まぁ、現代の西欧系国家を想像してくれればいいかな? 町は整っていて、人々は平和に暮らし、衣食住も足りている……首都アイト市の周辺では、な」
 最後の言葉に重きを置いて、人狼の彼は言う。
 小さい国家において、首都周辺に物資や人が集中するのは往々にしてあることだ。首都に住む人は幸福を享受し、首都からあぶれた人は貧困にあえぐ。この国もそうだという。
「だから国内の辺境地域は、首都地方からの飛行船が運ぶ物資頼りってわけ。そいつがオブリビオンマシンによって襲撃されたら、辺境は一気にアウトだ」
 真剣な表情をしながら、剛士は言った。
 辺境にとって、首都からの物資を運ぶ飛行船は文字通りの救いの船だ。これが落とされたら、とんでもないことになるのは目に見えている。
 となれば、飛行船を護衛し、襲撃してくるオブリビオンマシンを撃破する必要があるだろう。剛士もヴァリウードも、猟兵たちに向かって頷いた。
「敵は指揮官機が遠方から指示を飛ばして、量産機が飛行船を取り囲んで撃ち落とそうとしております。指揮官機は身を隠していることでしょう、まずは飛行船の周りの量産機を何とかしてください」
 敵の量産機は「ファイアディザスター」、両腕の大型ガトリングガンを武器とする、強襲型のオブリビオンマシンだ。機動性と攻撃力に長けており、「フロイデ」の周囲を縦横無尽に飛び回って動きを止めながら銃撃を繰り返している。
 数は、6。それらを全て撃破すれば、指揮官機が自ら決着をつけるべくやって来るだろう。
「指揮官機は青っぽい機体で、天使の輪と光の翼が特徴だ。天使みたいな見た目をしているけど、まぁ、堕天使だよな。オブリビオンだし」
 指揮官機「セラフィム・リッパー」は、断罪の剣を振るい、クリスタルビットとプラズマビームでの遠距離攻撃も行える、遠近両用の万能機だ。己が審判者であるかのように尊大にふるまい、敵を高火力で撃滅せんとしてくる。
 そこまで説明したところで、ヴァリウードがはたと手を打った。
「ああ、それと先んじて。今回、オブリビオンとなっているのは機体の方です。搭乗者はこの国内に住む一般人ですし、オブリビオンとはなっておりません。機体によって妄執に囚われているだけ……救出は可能でございます」
「そうそう。コックピットさえ無事なら、例え空中で爆散してもピンピンして出て来れるんだってさ。すげーよな!」
 従者の言葉に同調しながら、剛士も楽しげに話した。搭乗者は操られているだけ、コックピットが守られていれば無事が確保できるし、機体の支配からも解放されるのだ。
 改めての説明を終えたところで、剛士の手の中でグリモアが回転する。ポータルの向こうからは市街地の喧騒と、銃声の音。
「さあ、いよいよ新たな世界での初仕事だ。皆、無事に帰って来てくれよな!」


屋守保英
 こんにちは、屋守保英です。
 新世界が来ましたね。
 ロボットものの話は初めてですが、いいリプレイが書けるように頑張ります。

●目標
 ・飛行船「フロイデ」の護衛。

●特記事項
 この依頼では、キャバリアをジョブやアイテムとして持っていないキャラクターは、飛行船「フロイデ」を所有するアーホルン宗主国から借りて搭乗することが出来ます。
 ユーベルコードはキャバリアの武器等から、通常使用するのと同様に放つことが出来ます。

●場面・戦場
(第1章)
 アーホルン宗主国首都「アイト市」の上空です。
 飛行船「フロイデ」がファイアディザスターに襲撃されています。数は6機。
 キャバリアに搭乗し、「フロイデ」を敵マシンから守りましょう。
 なお、搭乗者は敵マシンが撃墜されても、コクピットが無事なら無事に地上に生還できます。

(第2章)
 第1章と同様、「アイト市」上空です。
 部下を撃破された指揮官機、セラフィム・リッパーが「フロイデ」を確実に撃墜するべく出現します。これを撃破しましょう。
 なお、搭乗者は敵マシンが撃墜されても、コクピットが無事なら無事に地上に生還できます。

(第3章)
 「アイト市」市内のキャバリア整備工場です。
 地上に帰還した皆さんのキャバリアは、整備工場で整備を受けることになります。
 機体を整備し、次の戦いに備えましょう。

 それでは、皆さんの力の籠もったプレイングをお待ちしています。
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第1章 集団戦 『ファイアディザスター』

POW   :    ガトリングストーム
【両腕のガトリングガンの連射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    ハウリングショット
レベル分の1秒で【両腕のガトリングガン】を発射できる。
WIZ   :    ガトリング・フィアー
【轟音を伴うガトリングガンの掃射】を披露した指定の全対象に【動けない程の恐怖の】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

バロン・ゴウト
クロムキャバリアでは皆ロボットに乗って戦うんだにゃ。
以前他の世界でもロボットに乗ったことはあるし、ボクの【騎乗】の技術があれば、キャバリアも乗りこなしてみせるのにゃ!

使用するキャバリアはスピードタイプで、レイピアでの近接攻撃に長けたものを借りるのにゃ。

【ダッシュ】で敵に一気に近づいて【先制攻撃】にゃ!
【アイリスの嵐】を【全力魔法】で使用し、花弁を敵のガトリングガンの発射口に潜り込ませ、内部から武器をズタズタに壊すのにゃ!
武器が壊れてしまえばこっちのもの。後はコックピットに当たらないよう気を付けながら敵キャバリアを破壊するのにゃ!

絡み、アドリブ大歓迎にゃ。



●出撃
 銃声が響く。銃弾が飛び交う。
 宗主直属物資輸送飛行船「フロイデ」が多方面からの猛攻に晒される中、船員の一人と敵の一人が、地上から光が瞬くのを見た。
「むっ……」
 そちらに視線を向けた敵は、コクピットの中で目を見張った。同時に飛行船の船員たちも、口々に声を上げながら眼下の地面から迫りくる『それ』を指さしている。
「おい、あれを見ろ!」
「キャバリア……? ハイドリヒ商工社のロゴだ! 救援だ!」
 地上から猛スピードで接近し、その手に握った近接戦闘用レイピアを輝かせるそれは、キャバリアだった。黒い地金が太陽光を反射している。
 ハイドリヒ商工社所属、近接戦闘用キャバリア「レルヒェ At-III」、貸与された搭乗者はバロン・ゴウト(夢見る子猫剣士・f03085)だ。
「以前他の世界でもロボットに乗ったことはあるし、ボクの騎乗の技術があれば、キャバリアも乗りこなしてみせるのにゃ!」
 ケットシー対応型コックピットの中で操縦桿を握りながら、バロンは敵キャバリア、ファイアディザスターのガトリング砲を睨みつけた。
 相手もこちらの姿は確認できたようで、ガトリング砲の狙いを「フロイデ」から「レルヒェ」へと変えてくる。
「敵影を確認した、応戦せよ……!」
「応戦せよ……!」
 即座に放たれる無数の弾丸。それを急旋回と急加速を駆使しながらバロンは回避していった。
「キャバリア『レルヒェ』、その力を見せるのにゃ!」
「むっ……早い!?」
「なんだと……!?」
 対遠距離戦用キャバリア、近接戦用キャバリアでは分が悪いが、こちらにはそのアドバンテージをひっくり返せるだけの機動力がある。
 すぐに一体のファイアディザスターに肉薄した。懐に潜り込めればこちらのものだ。
「そこにゃ! アイリスの花びらよ、敵を討つにゃ!」
 ユーベルコードを発動させると、キャバリアにそれが伝播する。「レルヒェ」の構えた黄金のレイピアが無数の花びらへと姿を変え、ファイアディザスターの両腕のガトリング法へと殺到した。
 花びらが内部から外部から衝撃を与え、あっという間にガトリング砲が使い物にならなくなる。
「なっ、武装が!?」
「武器が壊れてしまえばこっちのものにゃ!」
 「レルヒェ」はすぐさまにもう一本のレイピアを取り出して、頭部部分に突き刺した。コックピットを破壊しないよう気をつけながら、次々にキャバリアにレイピアの刃を突き刺していく。
 しかして、動力部を含めて全身を貫かれたファイアディザスターの一機が、爆発を起こしながら地面へと落下していった。
「フュンフ、戦闘続行不能! 戦闘続行不能!」
「おのれ……忌々しい首都の連中め!」
 残された五機のパイロットたちが、憎々し気に「レルヒェ」を見やる。バロンはその内部で、にやりと口元を歪ませた。

成功 🔵​🔵​🔴​

セフィリカ・ランブレイ
キャバリアの操縦は大体覚えた
後は、自分用の機体を作るために私自身のデータをとらないとね

武装、装甲、推進力のバランスが取れた機体を借りて参戦!

シェル姉、ナビよろしくね!
『それに乗ってる限りは私より計器の方を信頼しときなさい』
相棒の魔剣は少し暇そうだ
そのうち嫌というほど仕事を与えてやる!

私の魔導ゴーレムがどの程度通用するかもみておきたいね
出番ないと思ってたけど、低空飛行なら大丈夫そうだね
【黄槍の飛竜】、注意を引いて!
スピードで引っ掻き回して回避に専念!
その隙に私が攻撃するよ!
この機体で出来ることを確かめつつ、様々な武装を試してみよう
勿論、コックピットは外して狙わないとね



●翻弄
 「フロイデ」がオブリビオンマシンの猛攻から守られるようになった頃。
 アイブリンガー工業所属、偵察警戒用キャバリア「ヴェヒターSCT」を貸与された、セフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)が戦場に飛び込んでいく。
 事前に講習を受けて、キャバリアの操縦方法は大体覚えた。後は実戦で学んでいくだけだ。ゆくゆくは自分専用の機体も作りたい。
「シェル姉、ナビよろしくね!」
 彼女はコックピットに持ち込んだ相棒の魔剣に声をかけるが、魔剣の方は随分とつれない声だ。
『これに乗ってる限りは、私より計器の方を信頼しときなさい』
「ちぇっ、暇そうにしちゃって! そのうち嫌というほど仕事を与えてやるんだから!」
 そう悪態をつきながら、セフィリカは計器のボタンを押し込んだ。ブースターが起動して、赤黒い敵影へと急速に接近していく。
「アイブリンガーの『ヴェヒター』だと!?」
「馬鹿な、一体どういう状況だ!?」
 所属する会社が異なる機体が現れたことに、敵機のパイロットたちはますます困惑した。
 アイト市周辺における市街戦およびその上空での空中戦において、複数社のキャバリアが戦場に出てくることは稀だ。大概、トラブルが起こったら各社が持ち回りで対応する慣習が出来上がっている。
 それが、この現場では破られていた。まるで辺境地域でエアトベーレ都市軍やアイヒェ首長国を相手取った戦闘をするかのようだ。
 そんな宗主国の慣習と、アーホルン人である敵パイロットの困惑など、セフィリカは知る由もない。まごつく敵に笑みを浮かべた。
「どこまで通用するかも見てみたいわね、魔導ゴーレム展開! 黄槍の飛竜、敵の注意を引いて!」
 操縦桿を通してユーベルコードを発動させる。「ヴェヒター」の周囲に現れる、翼と槍を携えたゴーレムが、ファイアディザスターの間を高速で飛び回る。
 その動きに、存在に、ますます彼ら、あるいは彼女らは混乱の渦に叩きこまれた。
「なんだ、新手かっ!?」
「ビットとも異なる動きだ、なんだこれは!?」
 高速で動き回るゴーレムに攻撃を仕掛けようと試みる彼らだが、飛竜はガトリング砲の弾丸の雨を潜り抜けるように飛んでいく。
 すっかり注意はあちらに向いている。本体である「ヴェヒター」から、彼らの意識は完全に離れていた。
「よし、いい感じ。今のうちに武装もいろいろ試してみようか! 全武装展開!」
 武装展開のスイッチを押せば、ブレード、ショットガン、ビームビットが一気に展開される。偵察警戒用なだけあって、遠近両用、取り回しのききやすい武装だ。
 再びブースター全開、敵機に突っ込んでいく「ヴェヒター」。ショットガンを何度も撃ち、ビームビットで逃げ道を塞いでからのブレードで一閃。コックピットを外して放たれた攻撃に、ファイアディザスターの一機が爆散する。
「ぐわ、がっ……!!」
「フィーア、戦闘続行不能!」
 再び一機、墜落していく敵機体。ゴーレムを手元に戻しながら、セフィリカは確かな手ごたえを感じて笑うのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

御門・結華
マスター(f01546)と参加。
精霊使いのクールな魔動人形。礼儀正しいが、マスターにはツンデレ。

キャバリアを操縦できないため、マスターの機体の肩に怪力で片手掴まりしています。
デッキから、ウンディーネのカードを引いて融合変身。
「水の精霊よ。我が身に宿れ」
防具改造で水色のドレスを、武器改造で水を纏う薙刀アクアグレイブを手に。
UCを使用。全力魔法により周囲に水の魔力が降り注ぎ、水中と同じ環境になります。
水中では移動速度は勿論、弾丸も威力と速度が激減する。
そして
「水中なら、私のほうが速いです」
ウンディーネの力を宿した水中機動で空を泳ぎ敵へ近づき、人外の怪力でアクアグレイブを振るい敵の武装と頭部を破壊。


ユウヤ・シュバルツ
相棒の結華(f01731)と参加
お調子者なシーフだが、敵を油断させる演技な時もある

シャープな白銀色の愛機「シルフィード改」に乗り、コクピットにセットしてある端末の電子妖精へ
「ルル。今のうちに、シルフィードを水中戦もできるように調整しておいてくれ」
画面に表示された無邪気な妖精が元気よく
「うん!任せて、ユウヤ!」
愛機の肩に乗る少女へ
「作戦通りにいくぞ。頼むぜ、結華」

結華が変身したのを確認すると、ショートブレイドを二刀流に構え。
「よし、いくぞ!」
UCを使用し、水中環境の中でもルルのサポートとユウヤの操縦技術で混乱する敵へ素早く切り込み、二本のブレードを振るい、頭部と武装を持つ両腕を切断し無力化する。



●環境変化
 ユウヤ・シュバルツ(疾風迅雷・f01546)と御門・結華(色褪せた精霊人形・f01731)は、白銀色が眩しい最新鋭機「シルフィード改」を駆りながら「フロイデ」の浮かぶ領域に突入した。
 だが、この機体が他のキャバリアとは大きく異なる点が二つある。
 一つは、所属を示すロゴが機体のどこにも印字されていないこと。ファイアディザスターのパイロットたちからは、こちらも所属不明機に見えていることだろう。
 そしてもう一つは、「シルフィード改」の肩部分に、結華を掴まらせたまま飛行していることだ。
「なんだ、あの所属不明のキャバリアは!?」
「人間が機体外部に取り付いているぞ、どうなっているんだ!?」
 ファイアディザスターのパイロットたちは、なにがなんだか訳が分からなかった。
 普通に考えたらあり得ないことだ。高速で飛翔するキャバリアの機体に、片手の握力だけで取り付いているなど、常識では考えられない。
 しかし悲しいかな、魔導人形で猟兵たる結華に、人間の常識は通用しない。
 「シルフィード改」のコクピットの中では、ユウヤがキャバリアに内包した電子妖精ルルに声をかけている。
「ルル、結華はちゃんと掴まっているな?」
「うん、大丈夫よ」
 端末の画面の中では、ルルがにこやかに応答しながら「シルフィード改」の周辺状況をモニタリングしていた。
 結華はその尋常ならざる握力で機体に掴まっている。これだけスピードを出していて振り落とされないなら、機体の操縦に専念するのでも大丈夫だろう。
「分かった。今のうちにシルフィードを水中戦も出来るように調整しておいてくれ」
「うん! 任せて、ユウヤ!」
 ルルに指示を飛ばしながら、ユウヤは機体外の結華に呼び掛けた。内蔵されたスピーカーから声を飛ばす。
「作戦通りに行くぞ。頼むぜ、結華」
「はい、マスター」
 対して結華は、淡々と返事を返した。この一見不愛想に見える応対も、信頼関係があるから出来ることだ。
 しかして、敵のキャバリアを視界に捉えながら結華がカードを握る。
「行きます。水の精霊よ、我が身に宿れ。そして己が力で世界を包め!」
 青みが買ったカードをかざせば、そこから飛び出した水の精霊ウンディーネが結華の身体に飛び込む。
 水色のドレスを身にまとい、大振りの薙刀を握った結華が薙刀を振るえば、そこから生じた水の魔力が戦場全体に満ちた。
 急速な環境変化に、敵陣映画混乱に包まれる。
「な、なんだっ!?」
「敵の超広域魔法が展開! 飛行速度が大幅に低下しています!」
 彼らにとっては、突然水中に放り込まれたようなものだ。適切な装備もないし、行動も大幅に制限される。溺れることが無いのだけが救いだ。
 敵機がまごつき始めたのを見て、ユウヤはにぃと口角を上げた。二振りのショートブレイドを抜き放ってキャバリアの両手に握る、
「よし、いくぞ!」
「環境変化を確認、出撃します」
 ユウヤが飛び出すと同時に、結華も「シルフィード改」の肩から離れた。
 普通なら急速に落下するところだが、今この場は水中と同じ。水の中を泳ぐように、結華の脚が空を蹴る。
 その有り様に、ファイアディザスターのパイロットたちはますます困惑した。
「なにっ、人が空中を泳ぐだと!?」
「くそっ、武装が起動しない!」
 攻撃をほとんど封じられ、敵は自在に動き回る。不利なことこの上ない。すぐさま結華の薙刀が、機体に迫る。
「今は水中です。そして水中なら、私の方が速い」
「俺達の連携を甘く見るなよ!」
 そしてほぼ同時に、「シルフィード改」も敵に肉薄していた。ショートブレイドが、薙刀の刃が、的確に二機のファイアディザスターの頭部を刈り飛ばす。
 爆発が、二ヶ所で同時にとどろいた。
「うわ……!」
「こ、こんな……!」
 落ちていく二機のファイアディザスター。コックピットは傷ついていないから、彼らのパイロットは地上で正気を取り戻すだろう。
 対して、残り二機。成すすべなく墜落させられた同胞の姿に、引き攣った声を発していた。
「ど、ドライ、ゼクス、戦闘続行不能!」
「なんてことだ……奴らは何者だ!?」
 飛んでいく「シルフィード改」と、再び「シルフィード改」の肩に掴まり飛んでいく結華を見送るようにしながら、広域魔法が解除されたのを確認した彼らは困惑の声を上げるより他に無かった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

パルピ・ペルポル
興味はあるけど今回は生身でいくわ。

まずはこの巨大な折り紙で7mほどの折り鶴を複数折り、そのうちのひとつに乗って飛行船に近づきましょ。
あとは一般的なサイズの折り鶴も千羽用意しとくわ。
飛行船程度の速度なら大丈夫でしょ。

気付かれたら巨大折り鶴を敵にけしかけて攻撃させるわ。
その後ろから千羽鶴もけしかけて敵の気をそちらに向けさせて。
その間にわたしは自前で飛んで敵機にこっそり近づいて。
雨紡ぎの風糸を敵機の関節部に巻きつけて、糸に炎の魔力を纏わせると同時に火事場のなんとやらを使って全力で糸を引いて切り落としてあげるわ。
特に両腕は優先して落としにいきましょ。メイン武装を潰せばだいぶ楽になるし。



●隠匿
 さて、キャバリアが飛び交う戦場にあっても、猟兵に限っては生身で渡り合うことも可能だ。
 パルピ・ペルポル(見た目詐欺が否定できない・f06499)もその一人、しかも彼女は自前で空を飛ぶことが叶う。キャバリアに乗る必要性は大きくなかった。
「キャバリアにも興味はあるけれど、今回は生身で行くわ」
 そう呟く彼女が乗っているのは、実に全長7メートルを超す巨大な折り鶴だ。それと同じものが数羽。周囲には通常サイズの折り鶴がさらに数千。
 壮大な紙の軍勢が、「フロイデ」の飛ぶ空域へと突入していった。
「ツヴァイ、何やら巨大な飛行物体が飛んでくるぞ!?」
「何っ、だがセンサーに反応はないぞ!? キャバリアではない……何だあれは!?」
 ファイアディザスターのパイロットたちからも折り鶴を視認は出来るが、紙であるゆえにセンサーには反応しない。キャバリア同士の戦闘に慣れたパイロットたちを混乱させるには充分だった。
「よし、いい具合に気を引けているわね、いってらっしゃい」
 にんまり笑ったパルピが、ファイアディザスターへと折り鶴をけしかけていく。折り紙とはいえ猟兵の駆るもの。武器として成立するくらいの強度と操作性は備えている。
 まとわりつかれながら折り鶴のくちばし部分でガスガスつつかれて、二機のキャバリアは途端に混乱のうちに叩き込まれた。
「うわっ、ツヴァイ、謎の飛行物体から攻撃を受けている!!」
「こちらもだ、くそっ、捉えられない!!」
 真の敵の姿を捉えられないままに、攻撃され続けるファイアディザスター。その一機の背後に、折り鶴から離れて自前の羽で飛ぶパルピが接近する。
「はい残念でした、本命はこっち」
 そう言ってほくそ笑みながら、彼女が繰り出すのは不可視の糸だ。途端にファイアディザスターの全身が、細く硬い糸に絡め取られる。
「ぐわっ!?」
「ツヴァイ!?」
 熱を伴って引き絞られる糸が、キャバリアの躯体を寸断する。四肢をもぎ取られながら、ファイアディザスターの一機が地上へと落下していった。
「ツ、ツヴァイ、戦闘続行不能! 作戦続行に支障あり!!」
 スピーカーから悲痛な声がする。味方が落下していくそちらをちらと見ながら、最後の一機が憎らしげに呻いた。
「おのれ……憎らしい!」
「ふふ、姿も捉えられないのに勇猛ね」
 未だパルピの姿を捉えられない哀れな敵機を、パルピは宙を舞いながら笑って見やるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ロイ・ベイロード
ロイ・ベイロード、行かせてもらう!

今回は、キャバリアは借りずに、雷竜シグマリアを呼ばせていただく。
「さて、機械巨人の世界だが、今回は、おまえの力を借りさせていただく。」
『ふむ、この世界の人間は、ゴーレムを動かして戦うのだな。だが、しかし!!我がどうにかしよう!!』

遠距離からは、射撃戦になるので、シグマリアに【騎乗】し、飛行しながら【空中戦】で【ブレス攻撃】によってサンダーブレスを量産機どもに浴びせる。
そして、接近したら、シグマリアからキャバリアに飛び込み、雷属性の【属性攻撃】【切断】【切り込み】【力溜め】で頭部を吹き飛ばし、その後アベルストライクを胴体に食らわせて切り裂く。



●切断
 敵の猛攻から逃れることが叶うようになった「フロイデ」が、戦闘空域を離脱しようと全速前進、エンジンを作動させる中。
 ロイ・ベイロード(剣聖・f18208)も相棒の雷竜シグマリアの背に乗って、戦場に飛び込んだ。
「機械巨人の世界だが、シグマリア、今回はおまえの力を借りさせていただく」
 シグマリアの背に跨ったロイは、そう言いながら相棒の首筋を撫でる。
 機械による推進力を持ち、大きさの割に軽量なキャバリアに、自前で空を飛べるとはいえドラゴンが相対するのは、有利とは言えない。しかし、不利な相手を前にしてもシグマリアは雄々しく吼えた。
「ふむ、この世界の人間は、ゴーレムを動かして戦うのだな。だがしかし! 我がどうにかしよう!」
「よろしく頼む!」
 そう告げて力強く羽ばたくシグマリアの首を、ロイがしっかと両手で掴む。そんな彼らへと、最後の一機となったファイアディザスターが両腕のガトリング砲を向けた。
「新たな敵性存在を確認……! おのれ、次から次へと!」
「勇者ロイ・ベイロード、行かせてもらう!」
 ロイが声を発すると同時に、シグマリアが前進した。そんな彼らへと真っ正面からぶつかってくる無数の弾丸。顔や翼を打たれ、シグマリアが忌々しく歯を食いしばる。
「くぅっ、小癪な……!」
「シグマリア、ブレスで応戦だ!」
 ロイの言葉を受けて、自身に向かって飛んでくる弾丸めがけてシグマリアが雷のブレスを放った。ブレスに貫かれ、弾丸が次々に空中で爆散する。
 そうして出来上がった何も無い空間に、ロイは一気に飛び込んだ。
「よし、行けるっ!」
「無茶だけはするでないぞ!」
「なっ!?」
 シグマリアの心配する声を後方に置き去りにして、ロイは彼の背から飛び出した。驚きの声を上げる敵パイロットを横目にファイアディザスターの機体に取り付いて、剣を振るう。
 一撃で機体の頭部が切り離されて消え去る。その勢いのまま、ロイはもう一度剣を振った。
「この一撃にかける! アベルストライク!!」
 一閃。ファイアディザスターの胴体部分を横一文字に切り裂いて、次いで発生する大きな爆発。その爆風にあおられたロイの身体が空中へと投げ出される。
「わっと」
「全く、無茶をするなと言った矢先に!」
 彼の身体はシグマリアが、すんでのところで掬い上げた。雷竜の手の中で、ロイは墜落していく最後の一機を見やる。
 落ち行きながら、ファイアディザスターのスピーカーから必死な声が飛んだ。
「ズ、ズィーベン、戦闘続行不能! アインス、救援求む、アインス……!!」

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『セラフィム・リッパー』

POW   :    断罪の剣
【無敵斬艦刀】が命中した対象を切断する。
SPD   :    エンジェルビット
自身が装備する【BS-Fクリスタルビット】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    フォールンウイング
【光の翼】を向けた対象に、【プラズマビーム】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●降臨
「全く、私の指揮がありながら不甲斐ない……」
 そんな尊大な声を外部スピーカーから響かせながら、猟兵たちの上空から飛来する機体があった。
 それは、まさしく降臨と呼ぶに相応しかった。
 背中に翼を備え、頭上に光輪を戴く群青の機体が、腕を組みながら飛んできたのだから。
「ハイドリヒ、アイブリンガー、所属不明機に加えてキャバリアですらない敵性存在……そのような烏合の衆がいくら集まったところで、このセラフィム・リッパーを墜とせるものか」
 猟兵たちの駆る機体、あるいは猟兵たち自身を見やりながら群青のキャバリアが自信に溢れた声を発する。
 強敵を前に身を強張らせる猟兵たちへと、セラフィム・リッパーは背の翼を広げた。
「『フロイデ』は去りゆくが、まぁいい。貴様らを片付けてから追いかけるのでも遅くはない!」
 青い翼を広げた敵機が、猟兵たちへと向かってブースターを起動する中。
 飛行船「フロイデ」は、本来の自らの任務を全うするべく、ドゥエル市に向かって真っ直ぐ飛んでいくのだった。

●特記事項
 ・飛行船「フロイデ」は本来の航路に向けて飛行を開始、戦闘空域からの離脱を図っています。
  セラフィム・リッパーは「フロイデ」の追撃よりも、猟兵との戦闘を優先します。
バロン・ゴウト
腕を組みながらの登場とは、随分とカッコつけたキャバリアなのにゃ。
けど、それはきっとそれだけ実力に自信があるということ。油断せずに行くのにゃ!

鞘を捨てる代わりに、レルヒェの武器収納部辺りの装甲を切り離すのにゃ。
【オーラ防御】で身を守りつつ【フェイント】でビットを翻弄し、隙をついて【金色の一閃】を叩き込み、腕の関節部を【串刺し】して【武器落とし】を狙うのにゃ。

絡み、アドリブ大歓迎にゃ。



●翻弄
 自信満々な態度で降下してくるセラフィム・リッパーを見上げながら、バロンは「レルヒェ」のコックピットから歯を食いしばった。
「腕を組みながらの登場とは、随分とカッコつけたキャバリアなのにゃ」
 零したその呟きが、マイクに拾われていたらしい。セラフィム・リッパーのパイロットの傲慢な声が聞こえてきた。
「何を当然のことを。指揮官機たるもの、格好がつかねば部下を率いることなど出来ん。そしてそれは、類まれな実力に裏打ちされてのこと」
「ふむ。自分に自信が無ければ部下を引っ張れない、当然にゃ」
 その言葉は、オブリビオンマシンに思考を歪められていても尤もだ。指揮官は常に自信に溢れ、狼狽えてはならない。そうでなくては、部下は失望し、規律ある戦いを出来ないだろう。
 理解は出来る。だからこそ、こちらも自信満々にやらなくてはならない。
「ならばこちらも、油断せずにいくのにゃ!」
「来い、『レルヒェ』のパイロット!」
 バロンが操縦桿を握ると同時に、セラフィム・リッパーの背に装備されたクリスタルビットが展開した。それが、いくつも、いくつも複製されて空域に展開していく。
 一斉にビットから放たれるレーザーの雨。それを掻い潜りながら、バロンは「レルヒェ」の腰部分、レイピアを格納する部分の装甲をパージした。
 落下していく装甲を見ながら、セラフィム・リッパーが高らかに笑う。
「笑止、油断しないと言っておきながら装甲をパージするのか!」
「今のは必要なパージにゃ!」
 嘲笑う声にそう返しながら、バロンは「レルヒェ」を操ってレーザーを回避していった。
 今パージした装甲は武器の鞘がわりだ。これで元々機動性に優れた「レルヒェ」が、さらに速度を増す。クリスタルビットは幸い、レーザーの一撃が重たくない。防御はオーラを展開すれば何とかなるレベルだ。
 その卓越したスピードと、巧みな操縦によるフェイントに、セラフィム・リッパーは明らかに翻弄されていた。
「何っ、『レルヒェ』がこれだけの速度を出すだと!?」
「そこだにゃ!」
 困惑によって出来た隙。バロンはそれを見逃さない。
 一気にブースターを点火して突っ込めば、黄金のレイピアを突き出して攻撃を加える。果たして、レイピアは深々と、セラフィム・リッパーの右ひじ部分に突き刺さった。
「ぬぅっ……駆動部を的確に狙ってくるとは!」
「ボクと『レルヒェ』を甘く見るからこうなるのにゃ!」
 忌々し気に言葉を吐きながら、破損部分の修復を始めるセラフィム・リッパー。黄金のレイピアを手に退却していくバロンは、自慢げに笑っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セフィリカ・ランブレイ
このヴェヒターって子、警戒、偵察か主な用途なんだ
確かに、足回りが優秀だし、
各種センサーの範囲も広いね、情報処理も早い

で、コレを生かして目の前の強敵とやり合うわけね!

『で、勝算の程は?』
考え込む私に、シェル姉…相棒の魔剣は心なしか楽しげだ

高い機体性能、武装も充実
ビットで牽制、ビームで制圧、近づいた奴は刀の餌食
いやー、良い性能してる
分析したデータと、私の腕を考えると…
現状、突破は無理だね

『あら、正直ね』
機体壊して良いなら大分話は変わるけどね
ま、なので援護に徹しようか!

【神薙ノ導】
を応用した動きでいくよ、
相手の予測より常に1つ先に!
目標はあのちょこまか動くビット!
ネタ切れになるまで撃ち落としてやる!


パルピ・ペルポル
なんでこいつこんなに偉そうなの。
機体のせいだったわね。
でもそのせいで普段の思想がどんなものか露わになってるわよね…。

巨大折り鶴2羽をフロイデが戦闘空域から離脱するまでついていかせましょ。
流れ弾の1発ぐらいは防げるでしょ。

残ってる折り鶴をけしかけて、一撃当てて印をつけたらどこでも井戸端会議を発動させるわ。
(途端スピーカーから漏れてくる複数人による甲高い声での会話)
大体3人ぐらいでしゃべってるんだけど、今日は6人くらいいるわね…。
耳元で聞かされるほうは相当堪えると思うけど、頑張ってね。
わたしはその間に近寄って関節部に穢れを知らぬ薔薇の蕾を投げて動きを阻害して。
雨紡ぎの風糸で背中の翼を切り落とすわ。



●飛翔
 二羽の巨大な折り鶴が、戦場を突っ切るように飛んでいく。
「むっ……!」
 セラフィム・リッパーもその姿を認めたが、しかし攻撃を加えるには随分とおかしな方向に飛んでいく。しかも、速度を落とさないまま彼方へと飛んで見えなくなった。
「あの飛翔体。此方への攻撃では、ない……?」
「あ、よかった通った。攻撃されて落とされたらどうしようかと思ったわ」
 この折り鶴を飛ばした張本人であるパルピは、迎撃されなかったことにほっと安堵した。その飛んでいった方を見ていたセフィリカが、ぽつりと零す。
「あの折り鶴、『フロイデ』の方に……?」
「護衛代わりにね。流れ弾の一発くらいは防げるでしょ」
 彼女の言葉に、パルピは笑う。そこそこ距離が離れたからなくてもいいとは思うが、念のためだ。
 「フロイデ」の安全が確保されたところで、改めてパルピはセラフィム・リッパーへと向き直る。
「で、なんでこいつこんなに偉そうなの」
「何を、突然無礼な!」
 急に「こいつ」呼ばわりされたパイロットが憤慨する。彼の本性など知る由もないが、普段はこんな挑発に乗っかるほど尊大な性格ではないのだろう、きっと。
「仕方が無いわ、この機体に搭乗したことで、思想を歪められてしまったんだから」
「でもそのせいで、普段の思想がどんなものか露わになってるわよね……」
 セフィリカの言葉に、パルピは肩を竦めた。オブリビオンとは、本当に度し難い。
「小癪な、諸共叩き落してくれる!」
 憤慨しながらクリスタルビットと翼から発するビームを広範囲に展開するセラフィム・リッパー。飛んでくるレーザーとビームに当たらないよう、パルピは「ヴェヒター」の肩に乗りながら、コックピットのセフィリカに声を飛ばした。
「で……どうする?」
「うーん」
 彼女の言葉に、セフィリカは難しい声を上げてコックピットのディスプレイを睨んだ。無論、攻撃を躱すために機体の操縦を行ったうえで、である。
 悩む彼女の背後から、魔剣シェルファが楽し気な声を飛ばしてくる。
「あると思う? 勝算」
「……この子は足回りが優秀だし、各種センサーの範囲も広い。情報処理も早いわね、偵察用の機体なだけあるわ」
 彼女は整理する。自分の機体の戦力を。そして相手の戦力を。
 口に出して並べ立てていきながら、パルピにも状況を説明していくセフィリカだ。
「対してあちらは高い機体性能、武装も充実、ビットで牽制、ビームで制圧、近づいた奴は刀の餌食……いやー、良い性能してる。さすが指揮官やるだけはあるわね、隙が無さすぎて笑っちゃうわ」
「うわぁ、的確な分析だわ」
 その的確で率直な分析に、パルピが嘆息する。ここまで理路整然と説明されては、理解せざるを得ない。
 つまり。
「分析したデータと、この子の性能、私の腕を考えると……現状、突破は無理だね」
「あら、存外正直ね」
 正直に性能差を告白するセフィリカに、シェルファは意外そうな声を発した。随分あっさりと、そこを認めるものだ。
 レーザーとビームから逃げ回るだけの「ヴェヒター」に、セラフィム・リッパーのパイロットが高らかな笑い声をあげる。
「ははは、我が『セラフィム・リッパー』との性能差に手も足も出まいか、『ヴェヒター』のパイロット!」
「ええ、でもそれは……」
 しかし、しかし。性能差を確信しても、セフィリカは恐れない。
 何故ならば。
「私一人だけで対処した場合よ! 行って!」
「了解!」
 ここにはパルピ・ペルポルがいるからだ。「ヴェヒター」の肩から飛び出したパルピが、一気に無数の小さな折り鶴を展開する。
 その数は、さて、クリスタルビットとどちらが多いだろうか。
「なにっ、これだけの数を!?」
「ビットは私が落とすわ、接敵して!」
「任せて! 一撃でも入れられればこっちのもんよ!」
 薙ぎ払われ、撃ち落とされ、貫かれ燃やされても、パルピはめげない。一撃でも、一羽でもあの機体にこつんとやれれば、それで済むのだから。
 そして後方では「ヴェヒター」が次々と、クリスタルビットに攻撃して爆散させている。その先の先を突いた攻撃にはよどみがない。無数のビットが次々に消えていく。
 とはいえビームに消されていく折り鶴だが、しかし一羽、その硬く折られた嘴がセラフィム・リッパーの機体に傷をつける。そこに展開するお友達の印。
「よし付いた、ちょっとばかり付き合ってあげて!」
「な……!?」
 その途端だ。セラフィム・リッパーを取り巻くように、甲高い大音量がどこからともなく発生した。
 パルピのどこでも井戸端会議の効果だ。攻撃が命中した相手を、姦しい妖精たちのとめどないおしゃべりが苛む。しかし何故だろう、いつもより数段姦しい。
「ぐっ、ぐわぁぁぁっ!?」
「あーあー、今日はいつもより人数いるわね。六人くらい?」
「うわ、えげつない」
 すっかり動きを止めたセラフィム・リッパーに、接敵しながらパルピは肩を竦める。その攻撃のえげつなさに、後方でセフィリカがため息をついた。
 関節部に突き刺さる穢れを知らぬ薔薇の蕾。吸い上げられたオイルによって、黄金色の薔薇が咲く。
「でも今がチャンスよ。この隙にっ!」
 そして背後に取り付いたパルピが糸を引き絞れば。ばきり、と音を立てて、ビームを放つ翼が霧散した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロイ・ベイロード
こいつが、今回の倒すべき相手か。
では、シグマ…やつの剣に注意しておけ。
この武器は、かなりやばい。
だから、しばらくは遠距離で攻撃だ。
シグマのサンダーブレス(【ブレス攻撃】【属性攻撃】【空中戦】)で対処しながら、自らも雷属性魔法ギガボルト(【属性攻撃】)で相手に打ち込んでいく。
「奴も、おそらく、来る。こうなれば、カウンターで、あの武器を破壊する!!」
相手が無敵斬艦刀振ったら、【カウンター】【武器受け】【切断】で、その武器をへし折る。
「武器がなくなれば、あとは接近攻撃あるのみ!」
そして、接近して、相手に接敵したときにUCを使用して、ダメージを与える。
「これでもくらえっ!!」



●雷撃
 セラフィム・リッパーを見上げながら、ロイとシグマリアは共に目を細めた。
「こいつが、今回の倒すべき相手か」
「ロイ、お前はあの相手をどう見る?」
 シグマリアが翼をはためかせつつ問いかければ、ロイが視線を向けるのはセラフィム・リッパーが右手に握る無敵斬艦刀だ。
「あの巨大な剣……あれはかなりヤバい。接近戦を挑むのは愚策だな」
 その言葉を聞いて、シグマリアも頷いた。リーチは長く、重量もあり、破壊力は抜群だ。キャバリアという鎧がないロイにとっては、迂闊に近づいたら危うい武器だ。
「ほう、なるほど。であれば、遠距離からつつくとするか」
 そう告げながらシグマリアはセラフィム・リッパーから距離を取り、雷のブレスを放った。ブレスを真正面から浴びたセラフィム・リッパーが、僅かに進行速度を落とす。
「ぬぅっ、雷を放つとは小癪な!」
「いいぞシグマ、俺も加勢する!」
 相手が動きを止めたのを見計らって。ロイも雷魔法を叩きこんでいく。
 そこからは追って追われての繰り返しだ。シグマリアが逃げながらブレスを放ち、ブレスを浴びながらセラフィム・リッパーがビームを放つ。
 それを巧みに躱すシグマリアに、業を煮やしたように敵パイロットが叫んだ。
「巨体とはいえ、トカゲ風情が!」
「トカゲとはご挨拶だな、ロイ、あやつを叩き落しても構わないか?」
「いや……じきに、向こうから叩き落されに来る」
 腹立たし気に告げるシグマリア。それをなだめるように声をかければ、果たして、セラフィム・リッパーが無敵斬艦刀を構えて突っ込んできた。
 ロイの大剣が、刀を受け止める。
「ぐぅっ……!」
「ぬぬ……」
 並の人間なら、受け止めることも叶わずに叩き潰されて終わりだろう。しかし。
「うぉぉぉっ!!」
「なにっ!?」
 ロイが吼えると共に剣をかち上げれば、無敵斬艦刀が上方に弾かれた。胸部ががら空きになるセラフィム・リッパー。
「チャンスだ、これでもくらえっ!!」
 その隙をついて振り抜かれる二閃。青い機体にXの形に、傷痕が刻まれた。

成功 🔵​🔵​🔴​

御門・結華
ユウヤと参加

「マスター、本気で行きます。準備をして下さい」
今度はウンディーネだけでなく、セイレーンのカードも引き二重憑依させる
「了解しました。『ウンディーネ』『セイレーン』我が身に混ざれ!」
二体の精霊を宿し、水色の衣装に深い青色が混じり豪華なものとなり、右手の薙刀が大鎌へと変化
「この形態は長くは持ちません……全力で行きます」
UCにより、戦場を水の魔力で包み込む
「水の源たる海の力よ。己が力で世界を満たせ」

左手を敵に向けて広げてゆっくりと握ると、全力魔法により敵の周囲の水圧を操り全てのビットを圧し潰すように封じ込む。
「水精の抱擁」
敵が翼でビームを撃てば、水圧と屈折率を操作し捻じ曲げる。
「無駄です」


ユウヤ・シュバルツ
結華と参加

結華の提案に
「ルル。準備は大丈夫か?」「うん!調整はバッチリ整ったよ!」
「結華、聞いての通りだ。いつでも行けるぞ!」
結華のUCと同時にUCを使用
「いくぞ!アーマーチェンジだ!」「任せて!アーマー転送!」
オーバーフレームの装甲の一部と背面のスラスターをパージし、転送された青と黒の耐水圧装甲と水中機動用ジェットブースターを装備します。

結華の魔法で動きが鈍ったビットをショートブレイドの二刀流で斬っていく
「そこだッ!」
避けきれないビームは、カウンターでブレイドの斬撃を飛ばし切断する
「烈風一閃!」
残像を生み出す高速移動で接近し、結華と二人でコクピットを避けるようにクロスに斬る
「いくぞ、結華!」



●水葬
「おのれ……!」
 愛用の無敵斬艦刀が手から離れ、使うに使えなくなったセラフィム・リッパーが、憎らしさを前面に押し出して猟兵たちを睨む。
 その視線を真正面から受け止めながら、結華は「シルフィード改」のコックピットに呼び掛けた。
「マスター、本気で行きます。準備をして下さい」
 カードを取り出しながら呼びかける結華の声。それに頷いたユウヤは、電子妖精ルルへと呼びかけた。
「ルル。準備は大丈夫か?」
「うん! 調整はバッチリ整ったよ!」
 オールグリーン。その反応に、ユウヤは笑顔で頭上を見る。そこには結華がいるはずだ。
「結華、聞いての通りだ。いつでも行けるぞ!」
「了解しました。『ウンディーネ』、『セイレーン』我が身に混ざれ!」
 「シルフィード改」の肩の上で、結華がカードを掲げる。召喚されたウンディーネとセイレーンが結華の身体に飛び込んで、元々身につけていた水色の衣装に深い青が混ざり込んだ。手にしていた薙刀も大鎌へと変化する。
 そして。
「いくぞ! アーマーチェンジだ!」
「任せて! アーマー転送!」
 それと同時にユウヤは装甲の一部と背面のスラスターをパージ。ルルが転送した耐水圧装甲と、水中起動用のジェットブースターを装備した。
 まさしく、水中戦仕様だ。大きく姿を変えた「シルフィード改」に、セラフィム・リッパーが驚きの声を上げる。
「なにっ、変形しただと!?」
 驚愕して動きを止めるセラフィム・リッパー。その青い機体を見据えながら、結華は左手をかざした。
「この形態は長くは持ちません……全力で行きます。水の源たる海の力よ。己が力で世界を満たせ」
 刹那、戦場に降り注ぐ水と海の魔力。先程ファイアディザスターを駆逐した時よりも濃密な魔力、水圧、水の揺らめきが戦場に満ちた。
「部下を落とした水の魔法か! しかしこれは……!」
「ただの水中じゃない、今度は海中だ!」
 先程の比ではない状況にセラフィム・リッパーのパイロットが困惑する。こうも魔力が濃い中では、推進力も生み出せない。
 なんとかビットを展開しようともがくが、そこに結華の左手が広げられる。
「いきます……水精の抱擁」
 結華が手を握るとともに、水によって集約されていくビット。水圧操作で無数のビットが完全に一ヶ所に固められた。
「な……ビットが、て、展開できん!?」
「そこだっ!」
 そこに、「シルフィード改」が高速で接近する。水中だというのにそれをものともしない白銀の機体が剣を振るって、一閃、ビットをまとめて爆散させていく。
 飛び去りゆく「シルフィード改」に、苦々しい表情をしながらセラフィム・リッパーが背の翼を展開した。
「えぇい、ならばビームで……!」
「無駄です」
 しかし、そこから放たれたビームは滅茶苦茶な方向に飛んでいった。それと同時に「シルフィード改」の姿も歪む。
「なっ……」
「ここは魔法の海の中だぜ、水圧も屈折率も、結華が自在に操作できる!」
 ユウヤが自信満々に言い放てば、敵パイロットは愕然とした声を発した。
 剣は無い、ビットは出せない、ビームは当たらない、そして動けない。
 文字通り、手も足も出ない状況だ。
「バカな……このセラフィム・リッパーが……!?」
「よし今だ、いくぞ、結華!」
「はい、マスター」
 動けないキャバリアはもはやただの的。その的の中央部、コックピットをぎりぎり避ける位置を、「シルフィード改」のブレードと結華の大鎌が、クロスに斬り裂いた。
 水中で、連鎖的に爆発していく機体。
「がはっ……!」
 パイロットが苦悶の声を発する中、「シルフィード改」の両手がセラフィム・リッパーのコックピットを抱え上げた。
「コックピットは、無事か?」
「はい、搭乗者も生存しています」
 コックピットの中を確認した結華が、服装を元に戻しながら安堵の息を吐く。
 敵とはいえ、搭乗者は罪もない一般人なのだ。助けられたことは素直に喜びたい。
「よかった。なら、地上へ帰ろうぜ」
 そうして晴れ渡る青空の中、「シルフィード改」は地上へと帰還していく。飛行船「フロイデ」がその空の中、目的地に向かって真っすぐに飛んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『機体整備』

POW   :    破損した装甲を修理する

SPD   :    武装を整備し、動作不良を予防する

WIZ   :    新たな兵装やAIを組み込み、更なる強化を目指す

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●整備
 アイト市の上空から帰還し、市内の整備工場へと戻ってきた猟兵たちを出迎えたのは、「ハイドリヒ商工社」「アイブリンガー工業」両社の整備班長だった。
「いや皆さん素晴らしい、この度はありがとうございます!」
「皆様のような凄腕のパイロットに乗っていただけて、わが社の機体も喜んでいることでしょう」
 「ハイドリヒ商工社」整備班長のクリスチャン・ズベレフが嬉しそうに言えば、「アイブリンガー工業」整備班長のヨアヒム・ベルガーも恭しく一礼する。
 その隣では、襲撃をかけて撃退され、墜落させられた敵機のパイロットが、揃って申し訳ない表情で頭を下げている。
「本当に、この度はご迷惑をおかけしました……」
「ハイドリヒの皆さんも、アイブリンガーの皆さんも、申し訳ない……」
 その振る舞いは礼儀正しく真摯なものだ。オブリビオンマシンに搭乗していた時とは似ても似つかない。
「なに、聞けば貴君らは異常な機体に操られていただけと聞く。こうして無事に帰還できたのだ、気にすることはない」
「『フロイデ』も被害を受けずにドゥエル市へと向かっていった。何も問題はございません」
 恐縮仕切りのパイロットたちに、両社の整備班長は揃って気にするな、と声をかけた。
 その言葉に顔を上げて安堵の息を吐くパイロットたち。彼らから向き直って、クリスチャンとヨアヒムは猟兵たちににこやかに声をかけた。
「さあ、あとは戦場から帰って来た機体の整備です。しっかり、機体を労ってやるのですぞ」
「またいつ、この機体を駆って戦場に出るか、分かりませんからね」
 また同じ機体に乗るとしても、別の機体に乗るとしても、使った機体の整備は重要だ。なにせ、命を預ける大事なキャバリアなのだから。

●特記事項
 舞台は「アイト市」市内の整備工場です。
 「ハイドリヒ商工社」「アイブリンガー工業」「その他個人所有機」、どの所属のキャバリアも整備できる場所です。
 両社の整備班長もいますので、整備やキャバリアについて相談がある際はお声かけください。
 ファイアディザスターに搭乗していた6名のパイロット、並びにセラフィム・リッパーに搭乗していた1名のパイロットは、正気を取り戻しており、怪我もありません。
 全員整備工場におりますし、熟達したパイロットなので、必要であればお声かけください。
 剛士も一応、整備工場内にいます。キャバリアの整備風景に興味津々です。
ユウヤ・シュバルツ
結華と参加

整備工場に置かれた、今は耐圧装甲により青が混じった白銀色のキャバリア「シルフィード」のチェックを手元の携帯端末にいる電子妖精のルルと話をしています
「ルル。調子はどうだ?」「うん!バッチリだよ!」
「水中用装備(ウンディーネアーマー)は問題なし、と……残りの武装もキャバリアの情報を集めて作っていったほうがよさそうだな」
補給と整備が落ち着いたら、先ほどの戦いで撃墜したパイロットたちへあいさつしにいく
「さっきは災難だったな。体調は大丈夫かい?」
「お礼代わりにキャバリアに詳しい皆さんに聞きたいことがありまして」
「うちの子の換装機能をもっと活かしたいもんで武装の組み合わせなど、ご教授願おうかと」


御門・結華
ユウヤと参加

愛機のチェックをしているユウヤとルルの後ろで静かに控えています。
(キャバリア、ですか。私には操縦の才能は有りませんでしたが……話に聞いた古代魔法帝国時代で作られたという『サイキックキャバリア』ならあるいは)
思案中に、整備が終わったユウヤ達に話しかけられて我に返ります。
「っ、すみません。マスター」
いつも無表情な結華にしては珍しく、少々焦ったような声色で
「だ、大丈夫です。次はどちらへ向かわれるのですか?」
移動中は、途中で会ったパイロットや整備員の方々に会釈をしながらユウヤの後ろを付いていきます。

パイロットや整備員の方々からユウヤが話を聞いている最中、結華も静かに情報集めに傾聴しています


パルピ・ペルポル
飛行船の妨害は重罪と聞いてたんだけどね。
まぁ原因は機体だし実害は出てないし熟練のパイロットを牢屋で腐らすのもあれだし。
必要ならわたしたちも口添えするわ。

整備風景に興味あるけど、パイロットにいろいろ聞いておくかしら。
各々の名前と所属と…記憶が割りとはっきり残ってるのはどのあたりまでか。
特にセラフィム・リッパーに乗ってたパイロット、あの機体はどこで手に入れていつから乗ってるものなのか。
最近なんか変わったことがなかったかとか…。オブリビオンマシンの出所を探りたくて。
あと、飛行船に関してあんまりいい感情持ってないような気がしたんだけど。
これは言いたくなければ答えなくていいけどね。他には言わないし。


バロン・ゴウト
クロムキャバリアでの初戦闘、無事に終わって安心なのにゃ!

まずはレルヒェを貸してくれたハイドリヒ商工社の整備班長さんにお礼を伝えに行くのにゃ。
「レルヒェを貸してくださってありがとうございましたのにゃ。レルヒェ、とっても頼りになるキャバリアだったのにゃ。」
お礼を伝えた後、【ライオンライド】や【眠りの悪魔アルプ】の召喚系のUCをキャバリアの武装で再現できないか相談してみるのにゃ。

その後休憩時間に紅茶を入れて、整備の方やパイロットの方、剛士さんや猟兵の皆も誘って休憩時間のおしゃべりを楽しむのにゃ。

絡み、アドリブ大歓迎にゃ。


セフィリカ・ランブレイ
やっぱ正式採用されてる機体は安定性バッチリ
長く使うならこれが正解だね

設備が使えるいい機会だし、自機の整備をやっちゃおう

廃都市で見つけたこの子はスプレンディア
通常炉と魔力炉の2つが搭載されている
ボディは軽量、出力は絶大と自壊必至な構造を魔力フィールドで押さえ込む構想だ

戦闘力の代わりに全てを捨て去っている短期決戦専用機

うーん馬鹿だ!
これを見つけた時の感想だ
けど、面白い
載せる人を考えてない机上の空論機体だけど

魔力制御をシェル姉と分担できる私なら、動かせるかも?と、思ってしまったのだ

本職が見れば頭を抱えるこのマシン
一緒に引き上げた設計図に忠実に修復していこう


ロイ・ベイロード
ふむ、ここが、キャバリアとかいう機械を作るところか。
今回は只の見学だ。まぁ、ここに来たからには、見て回ってもいいよな。
ちょっとした興味なだけだ。
ん・・・グリモア猟兵がいるな。
おまえも、ここに興味があるってところか。
さすがに、ここにシグマを入れるわけにはいかんしな。
一応、キャバリアが何たるか、とりあえず、見てこようと思ってな。
そういや、噂に効く惑星ロボってのは…スペースシップワールドか。
まぁ、未来の世界のことはよくわからんしな。
まぁ、とりあえず、色々と世界に違いがあるものだな。

アドリブ歓迎



●刑罰
「飛行船の妨害は重罪と聞いてたんだけどね」
 まず最初に、言葉を切り出したのはパルピだった。
 宗主直属の飛行船に手を出したら、問答無用で重罪。これは猟兵たちが剛士から話を説明された際に、聞かされたことである。
 しかし事実、その罪を犯した七人はここにいて、クリスチャンもヨアヒムも彼らを咎める様子がない。問答無用で罪に問われるのではなかったのか。
 その問いかけに、整備班長二人は揃って苦笑を零した。
「うむ、そこは突かれるだろうな、と思っておりました」
「致し方ありません、『飛行船保護法』第三条、『国家直属の飛行船の運航を妨げる者は、その行為が明らかになった場合、如何なる理由があろうとも罰せられるものとする』。ここに一つの例外も、あってはなりません」
 クリスチャンが素直にそう言えば、ヨアヒムが腕を組みながらきっぱりと告げる。その言葉を受けてパイロット七名が再び恐縮するあたり、そこに偽りはないらしい。
 その反応を受けて、パルピは釈然としない顔で眉間にしわを寄せた。
「まぁ原因は機体だし実害は出てないから、罰するってのもおかしな話なのかもしれないけれど」
「そうだ。あの機体は正規のキャバリアではない……異常な機体だ、というのは、まさにその通りだ」
 彼女に同調して、ロイも腕を組む。
 確かに「フロイデ」は損害を受けずに出発した。その妨害にあたって、直接の原因となったのはオブリビオンマシンの方だ。パイロットの問題ではない。
 異常な機体。ロイの発したその言葉に、ヨアヒムが大きく頷いた。
「その点に異論をはさむ余地はありません……が、もう一つ、かの機体について異常だ、と言える点がございましてな」
「と、いうと?」
 首を傾げたのはユウヤだ。総じて全員が不思議そうな顔をする中、クリスチャンがバロンとセフィリカへと、視線を投げかける。
「皆様に貸与した我が社の『レルヒェ』及びアイブリンガーの『ヴェヒター』について。お二方とも、搭乗時に搭乗者登録はなさいましたかな?」
「う、うん、ボクの名前を、パイロットとしてちゃんと登録したにゃ」
「私もそうね。貸してもらう時に、登録させてもらったわ」
 水を向けられた二人は素直に答えた。
 貸与された二機のキャバリアについて、搭乗前に操作方法のレクチャーを受けるとともに、機体への搭乗者登録を済ませているのだ。貸与された間の一時的なものであるとはいえ、あの出撃の間について、「レルヒェ」はバロンの、「ヴェヒター」はセフィリカの機体に間違いはなかった。
 その言葉を受けて、クリスチャンが大きく頷く。
「左様。シュバルツ殿の『シルフィード』についてまで、同じようには言えませんが、少なくとも宗主国内で製造されたキャバリアは、搭乗時に搭乗者の個人情報を取得、ブラックボックスに記録して稼働いたします」
「万一機体が撃墜され、オーバーフレーム、アンダーフレーム共に損壊したとしても、ブラックボックスに記録された搭乗者情報を元に、またキャバリアを調整、稼働させ、必要に応じて被撃墜キャバリアの搭乗者を明らかにする。そのような仕組みになっておりますため、彼ら七名についてもどのキャバリアに搭乗していたか、分かるのです……『本来は』」
 言葉の後を継いだヨアヒムが説明する中で、強調した「本来は」という言葉。それを受けて、ユウヤが表情を硬くした。
「本来は、ってことは、今回はそうじゃなかったんだな?」
 彼の言葉を受けて、クリスチャンとヨアヒムが揃ってこくりと頷きを返す。
「そうです。コックピットから回収したブラックボックスは七機分、既に解析が済んでおります。しかし、本来なら登録されて然るべき搭乗者情報が、『どこにも登録されていない』のです」
「ダミーのデータが登録されているならまだしも、完全に空白(ブランク)でしたからな。これでは、解析の仕様もありません」
 そう言いながら、力なく頭を振る両名だ。
 なるほど、本来なら登録されるはずの情報が、登録されなかった。これではブラックボックスを回収できても、その撃墜された機体に誰が登場していたか、証明することが出来ない。
 結華とセフィリカが、揃って目を大きく見開いた。
「ということは……」
「その、飛行船保護法は、適用できない?」
 彼女たちの言葉に、整備班長二名は、確かに頷いた。
「左様」
「搭乗者情報が拾えない以上、かの機体群に彼らが搭乗していたことを、証明する術はありません。ですので、今回は『所属不明機運用防止法』に基づき、彼らに奉仕労働を命ずることにしたわけです」
 そう話す彼らの表情は晴れやかだ。優れたキャバリア乗りである七名の人間を、無為に牢獄で腐らせることにならずに済んだのだから。
 その表情を見て、パルピがふっと息を吐いた。
「そっか……よかったじゃない」
「うん、よかったのにゃ!」
 彼女の言葉にバロンも頷く。これで、よかったのだ。

●雲雀
 全員を集めての話が終わったところで、猟兵たちはそれぞれの機体の整備にかかる。バロンは貸与された「レルヒェ」の前で、クリスチャンに頭を下げていた。
「『レルヒェ』を貸してくださってありがとうございましたのにゃ。『レルヒェ』、とっても頼りになるキャバリアだったのにゃ」
 礼儀正しく頭を下げるバロンに、同じく頭を下げながらクリスチャンが笑って答える。
「そうでしょうとも、『レルヒェ』シリーズはキャバリア初心者にも扱いやすく、かつ長く愛用できる、弊社が自信を持ってオススメ出来る機体です。皆様のように優れた乗り手に扱ってもらえて、機体も喜んでいることでしょう」
 彼の言葉に、バロンも顔を上げてにっこり笑う。キャバリアに搭乗するのは今回が初めてだったけれど、機体が喜んでくれるなら何よりだ。
「そうならよかったのにゃ……ところで、クリスチャンさん、少し相談したいことがあるのにゃけど……」
「はい、私でよければ何なりと」
 流れに乗って相談を持ち掛けるバロンに、クリスチャンは前屈みになりながら話を聞く。
 つまり、バロンの扱うユーベルコードについてだ。ライオンライド、眠りの悪魔アルプなど、バロンはいくつか、召喚系のユーベルコードを所持している。これを、キャバリアに乗っている最中も使用したい、ということなのだ。
「ふむ、なるほど……」
「キャバリアに乗っている時も、それを再現出来たらいいなーと、思っているのにゃ」
 口元を尖らせるクリスチャンに、バロンは真剣な表情で言葉を重ねる。シトラスやアルプそのものではないにせよ、一緒に戦う仲間だ。キャバリア戦闘でもその力を借りたい。
 しばらく考え込んだ後、クリスチャンがはたと手を打った。
「でしたら、クリスタルビットを装備して、放出したビットに幻影の形で召喚物を被せるのはいかがでしょう? 何かしら核となるものがあり、そこに映像や幻影を投影する方法なら、実装は難しくありません」
「なるほどなのにゃ。あとはそれぞれの能力や機能を、別の武装で再現する、って感じかにゃ?」
 頷いたバロンが言葉を返すと、クリスチャンがこくりと頷きを返す。
 確かに、ビットなどの武装を展開し、そこに召喚対象を乗せるというのはありだ。これなら機体搭乗中も召喚系のユーベルコードを扱える。
「しかし、キャバリアでの戦闘を補助するファミリアーユニット……ありですな」
「えへへ……役に立ったのならよかったのにゃ」
 バロンの質問をきっかけに、何かを思いついたらしいクリスチャン。その顔を見て、バロンはにっこりと笑った。

●番人
 一方、「ヴェヒター」の前で。セフィリカは改めて、自分が今回命を預けた機体を正面から見た。
「うーん、やっぱ正式採用されてる機体は安定性バッチリ……長く使うんなら、これが正解だね」
 機体コンセプトがしっかりしており、その上で性能調整がしっかりされ、長く使えるように安定性も高められている。さすが、企業が所有し公式に売り出しているキャバリアだ。
 それはいいとして、だ。セフィリカの視線はその隣に映る。
「さて、こっちはこっちで整備をするとして……こっちだね」
「おや、ご自分の機体をお持ちでいらっしゃった?」
 そこにやってきたのはヨアヒムだ。セフィリカが見上げる紫水晶の機体を、物珍しそうに見やる。
「あ、うん……と言っても最近廃都市で発掘したばかりだったから、ここでの戦いには持って来れなかったんだけど」
「サイキックキャバリアですか……ふむ、このタイプは未知ですな」
 セフィリカが今回、修理、調整のために持ち込んだのは自前のサイキックキャバリア「スプレンディア」だ。
 亡国の廃都市から発掘したこの機体、まだ調整前なので実戦に持ち出すのは危ない。なのでこの機に調整と修復をやってしまおうと思ったのだ。
 「スプレンディア」を見上げるヨアヒムに、セフィリカが古びた羊皮紙を差し出す。
「設計図、ご覧になります? 同じ廃都市で回収してきたものなんですけれど」
「これは、随分状態が良い。ありがたい限りですな、なになに……」
 設計図を受け取り、その内容を一瞥したヨアヒムは、途端に難しい顔になった。時に小さく唸り、時に設計図を睨みつけ、概ねの構造を把握したヨアヒムが、セフィリカに視線を向ける。
「ランブレイ様」
「はい」
「この機体、『どう動かすおつもりでいらっしゃる?』」
 どう動かすか。その根本的な、ともすれば常識を疑われるような質問に、セフィリカは苦笑を以て返した。
「やっぱりそう思います?」
「無論ですとも。こんな設計は、現代では一笑に付されて終わりです。リアクター二基搭載。装甲は必要最低限、しかも軽量金属製。膨大すぎる出力に自壊するであろうところを、魔力フィールドで無理やり外部から押さえつける運用……」
 そう、「スプレンディア」の構造を説明するヨアヒム。あらかた言い終わった彼は、ため息交じりにこう零すのだ。
「まあ、無茶苦茶ですな」
「ですよねえ」
 否定できない。こんな構造のキャバリア、現代ではとても作れないだろう。無茶苦茶すぎて。
 セフィリカ自身でさえも、魔力制御をシェルファと分担して担当すれば、動かせるかも? と思うくらいのレベルなのだ。常人にはこんな機体、危なっかしくて乗せられやしない。
 しかし、それでも。
「けど、面白いと思いません? こんなものが実際に空を飛んで戦ったら」
「でしょうな」
 セフィリカの悪戯っぽい笑みに、ヨアヒムも笑って返す。どうやら整備人の魂に火が点いた様子で、腰のベルトからモンキーレンチを抜き取った。
「であれば、ここでしっかりきっかり修復、調整し、実運用に耐えるようにして参りましょう。アイブリンガー工業の技術力を、遺憾なく発揮して差し上げます」
「よろしくお願いしまーす」
 そう言って、ヨアヒムが整備を始めるのを見つめるセフィリカ。見る見るうちに「スプレンディア」の破損部分、実用に耐えない部分が調整されていって、しばらくした頃にはしっかり戦場に出られる機体が、そこにあるのだった。

●勇者
「ふむ……」
 対して、キャバリアを持たず、借りもしなかったロイは、物珍し気に工場の中を見て回っていた。
 猟兵に対して、工場内の見学は許されている。むしろ「どんどん見て行って、ピンとくる機体があれば教えてください」と言われているほどだ。
 ゴーレムに乗るということに釈然としないものを感じるロイではあったが、関心が無いわけではないのだ。見て回っている中で、白い人狼の少年と顔を合わせる。
「お、ロイ。あんたも見学か?」
「グリモア猟兵か。おまえも、ここに興味があるってところか」
 今回の依頼を案内した剛士と言葉を交わせば、剛士は両手を後頭部に持ってきながら、屈託のない笑みを浮かべる。
「まーな。キャバリア、実際に間近で見たら超カッケーじゃん? これをもしかしたら自分で操縦できるかも、って考えたら、やっぱ気になってさ」
「そうか。俺も、まぁ一応、キャバリアが何たるか、とりあえず見てこようと思ってな」
 乗るかどうかは別にして、とりあえず見てみる。ロイのその姿勢を、剛士は否定しない。
「分かる分かる。今回はシグマリアが活躍したけど、同じように運用できる状況ばかりとは限らないしな」
「ああ。シグマは空中戦なら強いが、市街戦だと、どうしても分が悪い」
 そう話しながらロイは肩を竦めた。シグマリアが実際に聞いたら「そんなことはない」と怒るかもしれないが、それでも市街戦となると、キャバリアよりも巨大なシグマリアでは、どうしても行き届かないところが出てくるものだ。
 その場合はロイが自身で戦えばいいとはいえ、どうしたって体格差の問題がある。
「それにしても、巨大ロボや巨大機械となると、スペースシップワールドの範疇だと思っていたが……いろいろと、世界に違いがあるものだな」
「なー、すごいよな」
 ロイと剛士が揃ってすごい、と言いながら、工場内のキャバリアを見上げる。天井内の蛍光灯の光を反射して、キャバリアの表面がきらりと輝いた。

●妖精
 対して、パルピはキャバリアには目もくれず、ある一ヶ所へと向かった。
「ちょっといいかしら」
「ん……俺か?」
 彼女が声をかけたのは、今回の戦闘で撃墜されたオブリビオンマシンに搭乗していたパイロットのところだ。そのうち一人が顔を上げて答えるが、パルピの目的はそのうち一人ではない。
「貴方に、というよりは、あの機体に乗っていた七人全員に、ってところかしらね。色々と興味あるし、聞かせてもらいたいの」
 そう言って、パルピは件のパイロットたちが集まっている中に入っていった。全員の顔を見回しながら話を切り出す。
「それぞれの名前、所属……あと、記憶がわりとはっきり残っているのはどの辺りまでか、ね」
 その言葉に、彼らは素直に自らを明らかにしていった。
 「セラフィム・リッパー」に搭乗していたのがアドルフ、「ファイアディザスター」に搭乗していた六人が、それぞれアルミン、カール、クリストフ、デニス、エリアス、カミル。
 所属はいずれもアーホルン宗主国の国境警備隊。しかし所属も配属先も、階級も統一性はない。アドルフも今回は指揮官機に搭乗していたが一兵卒で、逆にクリストフとエリアスが小隊長クラスだそうだ。
 ただし、記憶が鮮明だった頃合いまでは一緒だ。即ち、国境警備任務中に謎の機体を発見し、そのコクピットが開いているのを見た時、まで。
 以降は気が付いたら職務を放棄してその機体に乗り込み、アイト市に向かって、合流した後に発進直後の「フロイデ」を発見して……そこから記憶が途切れ、気が付いたら大破した機体のコックピット内で倒れていたらしい。
「ふーん……なるほどね。その機体は、見つけた時は何もおかしなところはなかった、って感じかしら」
「ああ、乗り捨てられているキャバリア自体は、そこまで珍しいものじゃないし」
「おかしなところと言えば、精々……随分『綺麗な状態』で乗り捨てられているな、と思ったことくらいだ」
 アルミンが話すのに同調して、デニスが口を開く。
 曰く、普通の乗り捨てられたキャバリアならもっと汚れたり、破損したりしているものだが、件の機体はいずれも、破損もなく綺麗な状態で荒野に転がっていたらしい。
 それを「珍しいこともあるものだ」と見ていたら、コックピットが開いているのを見て……そこからは、先に説明した通り、ということらしい。
「そう。ところで、アドルフ。追加で聞きたいことがあるわ」
「あ、ああ。なんだい」
 話をあらかた聞いたパルピが視線を向けるのは、セラフィム・リッパーに搭乗していたアドルフだ。彼が少し身を強張らせながら答えると、パルピの細い指がぴ、と向けられる。
「飛行船……特に、宗主直属の飛行船に関して、あんまりいい感情持ってないような気がしたんだけど。なにか、妬みとかあったりする?」
 彼女の問いかけに、アドルフだけではない、他の六人も目を見開いた。互いに顔を見合わせて、苦笑しながらため息をつく。
「……それは、ないとは言えないさ。俺達は命を懸けて他国からの侵略を防いでいるけれど、保障なんてたかが知れている」
「それが、宗主直属の飛行船乗りとなれば、豊かな生活も、身分も、なんなら家族の安全も保障される。妬ましいなんて感情、多かれ少なかれ、誰もが持っているさ」
 その言葉に、今度はパルピが目を見開く番だった。
 宗主直属の飛行船は国で保護されている。それをもっと、深く妬んでいるのかと思ったのだが、その感情は別段、特別なものでもなかったらしい。
「ふーん……そうなんだ」
 そう呟きながら、難しい表情で言葉を漏らすパルピだった。

●疾風
 対して、自身の持ち込んだキャバリアで戦闘を行ったユウヤは、ルルと協力しながら自前でメンテナンスを行っていた。
「ルル、調子はどうだ?」
「うん! ばっちりだよ!」
 ユウヤが携帯端末を手にしながらルルに問いかければ、返事は良好。特に破損部位もない様子だ。
 換装した武装と、取り替えた武装もチェックしていきながら、ユウヤはぺろりと舌をなめずる。
「水中用装備は……問題なし、と。残りの武装も、キャバリアの情報を集めながら、作っていった方がよさそうだな」
 その整備の様子を、結華はユウヤとルルの後ろから静かに見ていた。
「……キャバリア、ですか」
 結華は、今回キャバリアには登場していない。ユウヤの「シルフィード」の肩に掴まり、むき出しの状態で戦っただけだ。
 羨むわけではないけれど、守らせてしまうのも、何となく申し訳がない。
「(私には操縦の才能は有りませんでしたが……話に聞いた、古代魔法帝国時代で作られたという『サイキックキャバリア』なら、あるいは)」
「結華?」
 そう考えこんでいた結華に、整備を終えたユウヤが不思議そうに声をかける。突然のことに、結華は身が跳ね上がるのを押さえるので精一杯だった。
「っ、すみません。マスター」
「大丈夫か? さっきの戦闘では随分振り回しちゃったからな」
 いつも無表情な結華にしては珍しく、頬が赤みを帯びている。いつもと違う様子に、ユウヤが小さく首を傾げた。
 それに対して結華の声が、僅かに焦りを帯びる。このままではよくないことは、彼女自身も理解していた。
「だ、大丈夫です。次はどちらへ向かわれるのですか?」
 結華に問われたユウヤは、不思議そうに思いながらも歩き出した。その向かう先は、パイロットたちの休憩している方だ。
「ああ、さっきのパイロットたちに、話を聞きに行こうと思ってさ」
「なるほど、お供いたします」
 その後ろについて歩きながら、結華はそっと視線を落とす。他の整備員やパイロットに会釈をしながらも、結華は自身がキャバリアに乗るとしたら、をずっと考えていた。

●歓談
 各々の整備や用事が済んだ後は、自然と皆が一ヶ所に集まって。そこからは全員まとめての歓談の時間だ。
「さっきは災難だったな。体調は大丈夫かい?」
「問題ない、おかげさまでかすり傷一つ負ってないよ」
「あの白銀の機体のパイロットだろう? あれは実に見事な操縦だった」
 ユウヤが撃墜したパイロットたちを慮れば、彼らもにっこり笑って自分の腕を上げてみせる。実際、怪我らしい怪我は負っていなさそうだ。
 先程の戦闘の、ユウヤと結華の華麗な連携攻撃は、先に撃墜された六名のパイロットたちにも、よく見えていたらしい。口々に感動を口にしては、ユウヤと結華を恐縮させていた。
 そして、バロンが淹れていた人数分の紅茶が、それぞれの手に配られる。
「紅茶が入りましたのにゃ。皆さんどうぞなのにゃ」
「ありがとう」
「お、サンキューな、バロン」
 この場にはクリスチャンも、ヨアヒムも、なんなら剛士もいた。手に手にカップを受け取っては、バロンに礼を述べている。
 そこからは先の戦闘の話やら、キャバリアの話やら。やれバロンの駆った「レルヒェ」の動きがどうだ、やれ「ヴェヒター」のあの動きが良かっただ。話のタネには事欠かない。
 そんな話がされる中で、話題はセフィリカが持ち込んだ「スプレンディア」に及んだ。
「姉ちゃんの持ち込んだ機体見たぜ、すごいな!」
「あんなもんが空を飛んだら……カッコいいだろうなぁ」
 デニスとカミルがうっとりしながら言えば、褒められた当のセフィリカがはにかんだ笑みを浮かべる。まだ調整中の機体ゆえ、実戦デビューは先だ。しかし今から期待に胸が膨らむ。
 と、実際にその機体を目にしたヨアヒムが、隣に座るクリスチャンに目を向けた。
「サイキックキャバリアと言えば、御社の『ガイストリヒェ』シリーズはどうなんです、ズベレフ殿」
「おお、あれですか。あれも素晴らしい機体ですよ、ヒルシュの技術力はさすがとしか言いようがありませんなぁ」
「『ガイストリヒェ』?」
 その機体名を聞いて、結華が小さく首を傾げる。彼女に対して、クリスチャンが大きく頷いた。
「ハイドリヒ商工社が復元に成功した、古代魔導帝国の遺産であるサイキックキャバリアですよ。量産にまではこぎつけられていないのですが、後でレプリカをご覧に入れましょう」
「へえ、興味あるわね」
 クリスチャンの発した説明に、興味を示したパルピを皮切りに、猟兵たちがどんどん反応を見せていく。そこにヨアヒムも加わって、この後にハイドリヒ商工社とアイブリンガー工業のキャバリア見学会が始まりそうな様相だ。
 そんな中で、ユウヤが隣に座るアルミンへと声をかけた。
「ところでキャバリアに詳しい皆さんに聞きたいことがありましてね。うちの子の換装機能をもっと活かしたいもんで、武装の組み合わせなど、ご教授願おうかと」
「へえ? 武装換装型か。それならやっぱりキャバリアソードとサーフブレイドを換装しての、急接近からの一撃がロマンだろう」
「いやいや、甘いぞアルミン。パワークローとアームチェーンソーの破壊力を舐めちゃいかん」
「何言ってるんですか二人とも、キャバリアライフルとロングレンジライフルの中遠両用な運用が最高じゃないですか」
 そこにカールとエリアスも割り込んできて、こちらはこちらでどのキャバリアの武装が最高か、を論じる大激論。侃侃諤諤の議論に、問いかけた本人のユウヤと、隣の結華が目を見開く。
 と、そんな中で。クリスチャンの通信機が音を立てた。
「おっと……失礼。はい、こちらクリスチャン……おお、グスタフ! 到着したか!」
 通話を受け取ったクリスチャンが嬉しそうな声を上げる。そして発せられた言葉に、一同がわっと歓声を上げた。
 通話の相手は「フロイデ」機長、グスタフ・フォーゲル。ドゥエル市に無事に到着したらしい。
 広域通信網は失われて久しいが、国内での無線通話は、電波の送受信で何とか行えるらしい。無事の到着も、そうして伝えてきたようだ。
「ああ、ああ……分かった。確かに伝えよう。ゆっくり休んでくれ」
「『フロイデ』のフォーゲル機長からですか?」
 クリスチャンがにこやかに話して通話を切るのを、ヨアヒムが目を細めながら声をかける。それに頷いたクリスチャンが、猟兵たちに視線を向けた。
「ええ、そうですとも。窮地を救った皆様へ、メッセージをお預かりしました」
 キョトンとする六名。彼らに対し、クリスチャンはこの場の人間を代表して――宗主国の立場で、猟兵たちに大きく頭を下げる。
「『素晴らしい働きだった。諸君らの今後の活躍に期待する。ありがとう!!』……だそうですよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月16日


挿絵イラスト