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キャニオンの攻防、落ちるのは人か過去か

#クロムキャバリア

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#クロムキャバリア


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●???
 自分達を挟み込むようにそびえる崖を見て、船員達は思わず息を呑む。
 彼らが搭乗しているのは古い飛行船。衛星に狙われないのはいいが、それはキャバリアに狙われれば間違いなく逃げ切れないことを示している。
 だからこうして息を潜め、地形の影に身を隠すのだ。例えそれがなけなしの機動性をさらに殺す選択だとしても、だだっ広い平原を飛ぶよりは狙われる可能性は低い。
「……もっと早く飛べないのか?」
「我慢してくれ……これでも限界まで速度を出してるんだ」
 高い崖は自分達の姿を隠してくれるが、自分達の視界も制限してしまう。あの上から敵が近づいているのではないか、不意に飛び出してくるのではないか、そんな不安が彼らの心臓を掴む。
 そして、悪い予感とは常に当たるものだ。
 無数の黒い機体を引き連れ、紅のキャバリアが一直線に飛行船に向かって進行する。接触まで残り数分、彼らを阻む者は……まだこの世界に存在しない。


●グリモアベース
「鋼鉄の騎士が駆ける新世界クロムキャバリア、色々と興味深い世界だけど……まずは困ってる人を助けないとね」
 そういうとアンノット・リアルハート(忘国虚肯のお姫さま・f00851)は猟兵達の方に向き直ると、何かを組み立て始めながら自らが見た予知を語る。
「早速だけど、その新世界で事件よ。内容はオブリビオンマシンによる輸送船の襲撃、これを防がなければ輸送船の船員達と物資の届け先である小国家の人々が失われます」
 その言葉と共にアンノットが完成させたのは、巨大な峡谷のジオラマとその中を悠然と飛ぶレトロな飛行船の模型。これが今回猟兵達が降り立つ戦場であり、守るべき輸送船の姿だ。
「クロムキャバリアでは高速飛翔体が飛ばせないから、こういう飛行船を輸送に使うのはよくあることらしいわ。だけど当然動きも遅いから、オブリビオンマシンの恰好の的になってしまう……そこで貴方達には敵の攻撃から飛行船を守り切り、無事輸送物資を目的地まで届けさせてほしいの」
 飛行船は大型のものが一機。機動性に劣るこの機体が狙われれば逃げ切れないことはわかっているため、身を隠すように峡谷の中をギリギリまで低空で飛行している。
 それに対して敵オブリビオンマシンは量産型が複数と指揮官機が一機。全機飛行能力を持っているため崖の上も谷の中も問題なく移動することができ、放っておけばあっという間に飛行船は包囲されて撃墜されてしまうだろう。
 しかし飛行船は峡谷の中を移動しているため、オブリビオンマシンが飛行船を襲撃する道は限られている。極端な話、敵が谷の中に飛び込む前に撃墜してしまえば飛行船に危険が及ぶことはない。
「とは言え、相手も数が多いから飛行船に一機も近づけさせないというのは無理でしょう。だからこの戦いでは峡谷の上で敵を迎撃する人達と、峡谷の中で飛行船を護衛する人達の二組に分かれる必要があるわね」
 相手の主戦力である量産型オブリビオンマシン、オブシディアンMk4の武装は三つ。
 ホークナパームは命中したものを燃やす油脂焼夷弾。飛行船にとって致命的な弱点である火を使う攻撃であり、直撃すれば一撃で撃墜されることも考えられる。何があろうと、この攻撃だけは飛行船に近づけないよう注意しなければならない。
 ピアシングショットは遠距離からの狙撃。精度が高く生身の猟兵に対しても正確に弾丸を当ててくるため、狙われないように常に動き回ることが大切だ。無論飛行船の操縦席やガス袋にも攻撃してくるため、そちらも注意しなければならない。
 マイクロミサイルポッドはその名の通り、無数のミサイルによる範囲攻撃。飛行船への直撃もそうだが、狭い峡谷の中で放たれれば落石などの副次的攻撃を生み出す可能性がある。落石は猟兵達には大したダメージにはならないが、飛行船にとっては無視できない損傷となる場合もあるだろう。
「基本的には防衛第一、飛行船を守り切ることを一番に考えて。それとこの世界では望めばキャバリア……人型ロボットのレンタルができるみたい。戦力として考えてみてもいいかもね」
 そこまで言うとアンノットは一度言葉を区切ると、短い深呼吸と共に改めて猟兵達を見つめる。
「難しい任務だけど、貴方達なら達成できると信じています。見境のない破壊兵器に猟兵の力を見せてあげましょう!」


マウス富士山
●マスターコメント
 初めましての方は初めまして、お久しぶりの方はお久しぶりです。マスターを勤めさせていただくマウス富士山と申します。
 オープニングをご覧いただきありがとうございます、今回はクロムキャバリアでの防衛任務。峡谷を飛ぶ飛行船を防衛しながら敵オブリビオンマシンを殲滅してください!
 最初の目標は『集団オブリビオン オブシディアンMk4の撃破』。この世界ではキャバリアのレンタルが可能です、その場合はプレイングにて装備等を書いていただけると幸いです。
 鋼の騎士が激突する新たな戦場、皆様のプレイングをお待ちしております。

●オープニング公開次第、プレイング受付を開始します
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第1章 集団戦 『オブシディアンMk4』

POW   :    ホークナパーム
【油脂焼夷弾】が命中した対象を燃やす。放たれた【高温の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    ピアシングショット
【スコープ照準】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【RSキャバリアライフル】で攻撃する。
WIZ   :    マイクロミサイルポッド
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【誘導ミサイル】で包囲攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミスツ・シューパリツェ
キャバリアねぇ
操縦の仕方なんぞわからねぇが、無機物ならなんとかなるかね?

とりあえず飛べるのとそれから射撃武器、あと耐熱耐火装甲を用意してもらってから、それをUCで触手で捕食し吸収し合体
機械と触手が合わさった独自キャバリアに変身
こうすりゃ手足のように動かせる

落とされたら終わりだし、防衛に回るか
キャバリア用射撃武器を取り込んだ触手《撃式》で◆制圧射撃
ナパームは素早く移動し耐火耐熱装甲を取り込み◆火炎耐性を得た触手の壁で防御し◆拠点防御
カウンターで◆一斉射撃して可能なら撃墜しときてぇな

世界の中のドンパチには何も言わねぇが、幽霊の鉄屑が横やり入れてんじゃねぇや
しかしキャバリアか、悪くねぇな。欲しいかも


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

新世界は空が飛べない?
……ああ、航空戦ができないって程度なのか。
なら、この峡谷でならアタシもやり合えそうだね。
後部ハッチ開けとくれ、出るよ!
あん、キャバリア?
……そいつもいいが、アイツにゃ相棒がいるんでね!
吉報を待っときな!

カブに『騎乗』してそのままハッチから落下
……しつつ、【人機一体・天】を発動!
アーマーを纏って超高速でオブシディアン共に肉薄し、
電撃の『属性攻撃』でFCSにジャミングを掛けていく!
ついでに関節へ『衝撃波』を叩き込んで、
攻撃能力を奪っていくよ。

『弾幕』でアイカメラも潰し、
小型機とばかりに大立ち回りさ。
飛行船にこれ以上近付けさせるかっての!



●規格外の騎士達
「キャバリアねぇ」
 飛行船の格納庫に鎮座する巨大な人型、その腹部に付いたハッチを開いたミスツ・シューパリツェ(バイオモンスターのバーバリアン・f17654)は自分には少し狭いコックピットシートに上半身だけ滑り込ませ、調子を確かめるに計器のスイッチを入れていく。
 その様子を恐る恐る見ているのは飛行船の船員。彼女の慣れない手つきに我慢できなくなったのか、彼はミスツの背後から声をかける
「だ、大丈夫なのか……?初めて触るような手付きだが」
「んー、正直操縦の仕方なんぞわからねぇが。無機物ならなんとかするさ」
 ミスツの言葉に、船員は驚愕と絶望の混じった短い悲鳴を上げる。峡谷で敵に見つかった自分達の前に突然現れ、護衛をするからと船に乗り込んだ人物がキャバリアの動かし方すらわからないというのだから、その混乱は計り知れないだろう。
 滝のように汗を流す船員の背中を、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)が少しだけ力強く叩く。不意の衝撃に堂々巡りするだけだった思考を中断された船員が反射的に多喜の顔を見ると、彼女は自信に満ちた笑顔を浮かべて自らの『相棒』に騎乗する。
「なあに大丈夫さ。空を飛べないと聞いた時は少し不安だったが、様子を見るにアタシも充分やり合えそうだ」
「やり合えるって、せめてキャバリアくらいは……」
 多喜が乗っているのは、お世辞にも空中戦には向いているとは思えない二輪車。それで戦場に出ようとする多喜の姿を見て船員の顔に再び不安の色が浮かび始める。
「そいつもいいが、アタシにゃコイツがいるんでね!……後部ハッチ開けとくれ、出るよ!」
 迷っている間にも敵は接近してきている。船員は苦渋の表情で開閉機に手をかけると、迷いを振り切るように一息でハッチを開く。外から差し込む光に船員が目を細め、再び視界を開いた時……彼の前には、見たことのない異形のキャバリアが立っていた。
「操作がわからなくても、こうすりゃ手足のように動かせる……それじゃ、鉄屑の入れる横槍を折って来るか」
 そう語るミスツが乗るのは機械の人型に純白の触手が混ざり合った、半機半生の騎士。その詳細を問いただす前に、彼女達は機体のエンジンを起こす。
「吉報を待っときな!」
 多喜の声と共に猟兵達が峡谷の空に飛び出すと同時に、接近してくるオブリビオンマシン、オブシディアンから砲撃が放たれる。
 一発でも当たれば飛行船を落としかねない焼夷弾。その砲火を見たミスツは自らの機体に絡み付く触手の一部を解くとキャバリアの全身を覆うことのできる巨大な盾に組み直し、迷いなく弾道の中に自分を割り込ませた。
 盾に触れた弾頭が弾け、炎がミスツの身体の一部でもある触手を焼くが、彼女はそれを意に介さず触手を再び別の形に組み替える。
 キャバリアの射撃武装を取り込んで作り出した触手の銃。その砲身を複数作り出したミスツはキャバリアのFCSを介して敵に照準を合わせると、先程の砲撃のお返しとばかりに一斉射撃を放つ。
 銃身から飛び出した弾頭は燃え移った炎で光の軌跡を残しながらオブシディアンの装甲を突き破り、爆炎を上げながら墜落させていく。
「キャバリアか……これは悪くねぇな、欲しいかも」
 敵の攻撃を耐える装甲と高い機動性、新世界の兵器の使い勝手にミスツが感心しているとオブシディアン達は急激に速度を落とし、崖に阻まれない峡谷の上へと高度を上げ始める。
 自らが盾になっている以上ミスツは飛行船から離れられない、それを見越し敵は遠距離から弾を散らせるように撃つ作戦に切り替えたのだろう。だがミスツのキャバリアばかりを警戒していた彼らは、接近するもう一つの影に気が付かなかった。
 不意に、轟音と共に衝撃と共に一機のオブシディアンの腕が引き千切られるように宙を舞った。手にした銃ごと肘から先を失ったその機体はカメラアイを光らせて周囲の索敵を始めようとするが、赤く輝く瞳は再びの攻撃で叩き割られた。
 攻撃は一度では終わらず、数秒の間に一機また一機と攻撃の正体が掴めないままに腕と頭部を破壊されていく。なすすべもなく機体を失っていく中、オブシディアン達は自分達の間を駆ける何かの存在を捕らえた。
 FCSの認識しない、光学映像でのみ確認できる影。それを敵の攻撃だと認識した彼らはその影に向けて一斉に焼夷弾を放つが、手動照準で合わせた精確性の欠ける射撃で落とすには、それは余りにも小さすぎた。
「離れてくれて好都合、飛行船にこれ以上近付けさせるかっての!」
 影の正体、漆黒のアーマーに雷電を纏った多喜は弾丸を擦り抜け一機のオブシディアンに肉薄すると、蹴りと共に放った衝撃波で鋼の関節を叩き折り、その反動で距離を離しながら両手に持った銃の射撃で的確にカメラを破壊する。
 固まればミスツの弾丸に撃ち抜かれ、離れれば多喜が自由に駆ける空間ができる。進退窮まったオブシディアンが混乱で動きを止めた瞬間、峡谷の空に爆発の光が広がるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

播州・クロリア
(借りてきたキャバリアに搭乗し迎撃しようと峡谷の上へ向かう)
最初は操作に手こずりましたが
やっと思った通りに動かせるようになりました
操縦してダンスは初めてなので緊張しますね
(キャバリアで肩幅ほどに足を開き、両手で太ももをなぞりながらゆっくりと上体を起こした後{紅焔の旋律}で『ダンス』を始める)
このリズムはキャバリアでダンスという新しい境地に対して
極めたいという私の欲望と情熱のリズムです
それにしても火気厳禁なものをたくさんお持ちの様で
(UC【蠱の珠】で{紅焔の旋律}から生み出した業火の結界に敵を閉じ込め火器類への誘爆を狙う)
いかがでしたでしょうか?私のキャバリア・ダンスは?


桐原・剛将
アレンジOK
連携等可

「よぉ考えたらなんで俺この依頼に入っとんのや」
桐原・剛将は射撃がド下手である。キャバリエに乗って全部AI任せにしてやっと人並みである。
そして左手の負傷のせいでキャバリエには乗れない。
更にここは飛行船で空の上である。
「しゃあないか。船で寝とるわけにもいかんしな。峡谷の上に出る機体にへばりついて崖上に降りよか」

着地後は味方の機体や地形、【残像】を駆使して接近。
まさかクロムキャバリエで生身で突っ込んでくるのがいるとは思うまい。
剣刃一閃で機体を両断する。
「パイロットも真っ二つにせえへんようにせんとな」



●燃え上がる鋼のダンス
「……よぉ考えたらなんで俺この依頼に入っとんのや」
 先行した猟兵達の戦闘と自らの左手を見比べながら、桐原・剛将(焔の剣士・f29916)は今更な疑問を口にする。別段射撃が得意というわけではない、むしろAIの照準補助が無ければまともに当てることのできない下手な部類に入る。
 そしてここは空の上。護衛として飛行船に乗り込んだはいいが、足場が無いところでは剣技も術理もありはしない。
 ──キャバリアであれば、あるいは。そんな考えは意思に反して動かない左手がすぐにかき消してしまう。
 とは言えこのまま船で寝ているわけにもいかない。緊褌一番、剛将が飛行船から身を乗り出した瞬間、鉄板を勢いよく地面に叩きつけた音を数十倍増幅したような轟音が彼の鼓膜を振るわした。
「操作に手こずりましたが、やっと思った通りに動かせるようになりました」
 そう口にしながら播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)はキャバリアの足を力強く踏み出し、規則的に足音を立てながら外へ出るハッチに近づいていく。
 関節に必要以上に負荷がかかって後から整備員にネチネチ言われる歩き方だなと、その動きを観察していた剛将だったがクロリアが崖の上に視線を向けているのを見てひょいと機体の肩に飛び乗る。
「おっと、どうかしましたか?」
「俺も崖上行きたくてな、ちょいと肩貸してくれんか」
 いいですとも、クロリアの返事と共に彼女の機体が峡谷の空に飛び出す。
 落下の浮遊感を感じるのは一瞬。ブースターを点火したキャバリアは急速に高度を上げ、瞬く間に崖の上に到着する。
 そこでは既にオブシディアンが動物の群れの如く展開しており、対岸もその機影で黒く染まってしまっている。峡谷からは見えない死角から一気に雪崩れ込んで奇襲するつもりだったのだろう。
「ダラキュ……火気厳禁なものをたくさんお持ちの様で」
 機体が敵に狙われていることを示す警報が鳴り響くコックピットの中でクロリアは心を落ち着けるように深呼吸すると、決意を新たに操縦桿を握り締める。
「少々揺れます」
 肩に乗る剛将にそう告げると、足先から火花を散らしながらクロリアの機体が肩幅程に足を開く。そして鋼の指先が同じく鋼の太腿をなぞながら、ゆっくりと上体を起こした。
 何をするかはわからないが、どう見ても隙だらけな行動。敵がそれを見逃すわけもなく、複数の銃口がクロリアに向けられる。
「……っ!」
 剛将の手が、反射的に腰に下げた木刀に伸びる。だが彼が木刀を掴むよりも早く、クロリアの機体が動いた。
 右足を軸に、一歩前に踏み出した左足が地面に弧を描きながらクロリアの機体が回転する。回避行動……ではない、かつてキャバリアに搭乗したことのある剛将にはその動きがプリセットされた戦闘用動作でないことがすぐにわかった。
 ブースターによるホバー移動で滑るように地面を駆け、エッジをきかせる爪先でリズムを奏でるそれは、キャバリアの性能を充分に活かした新機軸のダンス。
「ですが、存分ではない。これは新しい境地を極めたいという私の欲望と情熱のリズムです」
 戦場を舞うクロリアのすぐ横をオブシディアンの放った弾丸が掠める。だが、その攻撃は直撃することはない。
 AIによる照準補正とは戦場の環境や敵の動き学習し、分析することで当てる動きを追加することだ。戦場の真ん中で踊り出す機体のデータなど分析できるほど数が存在するわけがないのだから、対応できるはずがない。
 だが踊りながら逃げているだけなら包囲すればいずれ撃墜できる。そう考えたオブシディアン達がクロリアを包囲しようと動いた瞬間、彼らの機体に備え付けられていた計器類が全て限界値を振り切った。
 クロリアの奏でる情熱のリズム。それが炎の結界を作り出し、オブシディアンを包み込んだのだ。その熱は推進材や弾薬に引火し、燃え上がる黒い機体は次々と爆散していく。
「いかがでしたでしょうか、私のキャバリア・ダンスは?」
 広域スピーカーで放たれるクロリアの質問に、答える敵はいない。攻撃の正体を掴めていない彼らは一度範囲外に逃げようと後退を始めた。
「良いもんを見せてもらったんや、拍手の一つでもするのがマナーちゃうか?」
 瞬間、一部の機体の片足が分断される。
 重量バランスを崩した彼らは勢いよく地面に叩きつけられ、自壊しながら転がっていく。敵襲、しかし銃声はなく姿は見えないということは歩兵による襲撃の可能性が高い。
 熱源探知、呼気を検知する生体探知、それらを使えば人間でも簡単に見つけることができる。
「普通の場所なら、な!」
 発声と回転による勢いをつけ、剛将の振るう木刀がまた一機キャバリアを両断すると、すぐに彼は炎の影に滑り込む。
 熱も息も、燃え上がる炎が隠してしまう。敵からすれば今の剛将は透明人間も同然だ、気づかれずにクロリアの機体から離れ、接近して敵を斬るなど造作もない。
 キャバリアの構造も計器の仕組みも、そう簡単には忘れられないほど頭に叩き込んできた。その知識を元に剛将はパイロットを殺さないように的確に機体だけを無力化していく。
 残像を残しながら敵を制圧するその動きもまた、武闘による舞のようであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エドゥアルト・ルーデル
護衛ミッションって神経使うから面倒よね

飛行船の進行方向と反対側、追撃してくる連中を叩きますぞ!
キャバリエを一台、装備は可能な限りミサイル特盛で借りますぞ!崖の上から撃つだけだから機動力は要らないよ
あ、拙者は乗らないよ?乗るのはその辺に居た【知らない人】でござる

じゃ、拙者は今から鳥になってくるから
崖の上からI can fly!敵の一体に飛び乗り【ハッキング】でござるよ
良いマシンだな!死ぬまで借りるぞ!
借りたキャバリエとハックしたオブシディアンの【誘導ミサイル】をばら撒いて逆に敵群を包囲攻撃してやりますぞ!飛行船が飛ばない方角だから暴れても安心!
\ミサイルカーニバルだよ!/派手に行きますぞ


トレーズ・ヘマタイト
※アドリブ自由
使えるものは使わんとな

電子戦型の機体と狙撃銃を借りて、射線の通る場に布陣
機体はドゥーズに任せ自分は刻印の異空間から出した水と空気でミストゴーレムを降魔錬成

敵が来れば、ジャミングと霧で敵の目を潰し動きを鈍らせ
自分は魔力で視界を確保しつつ魔法陣による短距離転移で敵最後尾の機体に取りつき
体内のナノマシンも使い機体上半身に侵食し、強制的に下半身ごと操縦席を切り離す
あとは●限界突破状態で全武装を敵にデタラメに撃たせながら次の機体に突撃させ同様のことを繰り返す

ドゥーズと降魔には適時●援護射撃や氷●属性攻撃で侵食時の●時間稼ぎをさせる

脚付きなら不時着は出来るだろう、操縦席回収は後で考えるか

以上



●霧と黒煙のカーニバル
「護衛ミッションって神経使うから面倒よね」
 そんなことを呟きながらエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)は自分の足元を飛んでいく飛行船を見送る。猟兵達の戦闘により敵の進行速度は目に見えて落ちてはいるものの、動きの遅い飛行船では敵が闇雲に撃った弾丸が当たって撃墜……なんてこともありえる。最後まで気を抜くことはできない。
「こちら側の準備はできた、タイミングは任せる」
 聞こえてきたトレーズ・ヘマタイト(骸喰らい・f05071)の声にRogerと短く言葉を返すとエドゥアルドは手を伸ばせば届きそうな位置にある雲に手を振った後、一直線に駆け出した。
 それはそれはさながらロボットアニメのオープニングの如く、エドゥアルトの視線の先にあるの二機のキャバリアの姿。
 耐Gスーツのジッパーを首もとまで引き上げ、ゴーグルを下ろしたエドゥアルトはそのまま電子戦と狙撃に特化した機体……の前を通りすぎ、大量のミサイルポッドを積んだ機体……の横を通過して、生身で峡谷へと飛び降りる。
「アーイキャーン、フラアアアアイ!!!」
 36歳の全力の叫びを検知したオブシディアン達の視線が、僅かな時間だか上空に集中する。その瞬間、彼らは空に浮かんでいた雲が雪崩のように峡谷の中に落ちてくるのを見た。
 無論自然現象ではない。実態は雲に扮して生成されたトレーズの使い魔、霧の体を持つミストゴーレムが降下してきただけだが、それを知らない敵には天候を操るように見えたことだろう。
 純白の濃霧に視界が覆われると同時に、オブシディアンのレーダーにノイズに走る。こちらもトレーズが計画したジャミング攻撃、完全に目を奪われたオブシディアンは先程注目していたエドゥアルトを見つけることすらできなくなっていた。
 生身でもキャバリアを打倒する存在がいる、ということはこれまでの戦闘でも理解させられている。ゆえに、オブシディアン達の行動は迅速なものだった。
 肩のミサイルポッドを開放し、互いの背中を守るように全機で円陣を組む。そのまま敵の位置が見えないことも気にせず、彼らは一斉に誘導ミサイルを放つ。
 直撃はせずともその爆風や飛散する破片は生身の人間にとっては致命傷足りうる、同時に周囲を包む霧を吹き飛ばすことができれば仕切り直しも難しくはない。
 そう考えて放たれた逆転の一手。しかし起死回生の一撃を放った直後、霧の向こうから飛び込んできた弾丸が空中に赤い線を引きながら一機のオブシディアンのコックピットに直撃した。
 ミサイル発射時の熱や音から位置を割り出しての反撃、そこまでは想定の範囲内だ。違ったのは直撃を受けたはずの機体が撃墜されず正面装甲に赤く輝く発光体を張り付けていることと、放ったはずのミサイルがいつまでも起爆しないこと。
 咄嗟にオブシディアン達は円陣を崩し、散開を始めるが一歩遅かった。
「良いマシンだな!死ぬまで借りるぞ!」
 その叫びと共にエドゥアルトが発光体を受けた機体にへばりつくと、彼の背中から触手のように自らの身体を伸ばしたトレーズが装甲の隙間からキャバリアの内部に侵入する。
「掌握完了、操縦は任せる」
 時間にして一秒足らず。トレーズの侵食によりコントロールを奪われたオブシディアンは上半身のブースターを全快にし、そのままコックピットごと下半身を切り離す。
 同時にエドゥアルトがハッキングによりコックピットを失ったキャバリアの操作系統を再フォーマットすると二重の衝撃を与えそうなゲームコントローラーを接続し、心の底から楽しそうな笑顔を浮かべた。
「さあ、派手に行きますぞ!」
 装甲はより黒く、カメラはより紅く。トレーズの侵食により変貌したオブシディアンは機体の性能限界を超越し、スラスターの炎を翼のように広げながら敵の前へと躍り出る。
 どうみても正常ではない機体の姿からさすがに味方と誤認することはなく、オブリビオン側のオブシディアンは即座に銃口を向けてくる。
 ……が、引き金を絞ろうとした瞬間。その指先が鈍い音を立てて動きを止め、関節から氷の破片がこぼれ落ちる。
 そう、辺りを包む濃霧は全てトレーズの操る降魔。この中に突入してしまった時点で、オブリビオン達は圧倒的な不利を押し付けられている。
 動きを止めたオブシディアンの肩装甲にエドゥアルトの機体のブレードが突き立てられ、その接触点から再びトレーズが侵食することで早くも2機目の下半身が切り離される。
 そして今度は機体ではなく手持ちの武器として強引に制御系統を再フォーマットすると、さながらパペットを操るように上半身を構え、搭載された火器をばら蒔きながら2機分の推力を強引に振るい峡谷の空を縦横無尽に飛び回る。
「ヒャッハー!身体は闘争を求める!!」
「盛り上がってるところすまないが、全機ロック完了だ」
「あ、はい」
 トレーズの言葉にスッとテンションを抑えたエドゥアルトは弾を使いきった敵上半身を捨て、峡谷から離脱するように高度を上げながらL1ボタンで味方機に通信を飛ばす。

『\ミサイルカーニバルだよ!/』

トレーズが敵を見つけ、キャバリアのデータリンク機能で霧の外に待機させた二機と情報を連携させることでその位置は完全に把握している。通信を受けたキャバリアのパイロットはおもむろに峡谷へと飛び降りると、落下しながら搭載していた全てのミサイルを一斉に発射した。
 視界もミサイルアラートも殺されているオブシディアンは、どんな攻撃をされたのかも理解していないだろう。霧が晴れ、一瞬遅れて広がった爆煙が風に流された時、戦場には敵の機体から切り離されたコックピットブロックと、凍り付いたミサイルだけが残されていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エイス・シノノメ
名も知らぬ国の輸送機防衛ですか猟兵は今までにない経験ができます
こういった誰の利にもならぬ戦いをオブリビオンキャバリアが強いていたのですね!
これらを減らすことが理なき戦いを減らす道でしょうか…
この世界にどれだけ居るかは判りませんが…敵ある限りこれを討つ!それが機獅道!
今日も機獅道を邁進です!

折角なので今回はお借りした機体に搭乗します
他国の機体に乗る事も良い経験になります
機獅キャバリアを選ばず、です
防衛は呼吸が大事
さぁ皆さん力を合わせてこの飛空艇を護りましょう!
弾幕を張って近づけないのが肝要です!

#アレンジは歓迎ですが理不尽を許容するものではありません



●今を生きる者達
「他国の機体も良い経験になると思いましたが……この発想は少しありませんでした」
 感心するようにエイス・シノノメ(機獅道一直線ガール!・f30133)が乗りこんだのは飛行船に搭載された一つのキャバリア。
 両腕は二連装の機銃、ガラス製の風防が付けられたキャノピーが頭部の代わりとなっている人型から離れたシルエット。
 特徴的なのは下半身で、脚は最低限の自立ができるランディングギアのような簡素なものであり、腰部から伸びたコードが飛行船のエンジンと繋げられている。
 おそらくは飛行船の砲台兼予備の燃料タンクとして運用するために改造されているのだろう。キャバリアとして使うには削ぎ落とされているものがあまりにも多いように見えるが、この機体の一番の利点は同じ種類の機体が十台ほどこの船には搭載されていることだ。
 備え付けのインカムを装着したエイスは心を落ち着けるように深呼吸をすると、意を決したように無線のスイッチを入れた。
「皆さん、ご協力ありがとうございます!」
『俺達はこれが仕事だ、サボってちゃ給料引かれるからな』
『それに女の後ろでガタガタ震えてたなんて、嫁さんに知られたら笑われちまう!』
 エイスの通信に応えるのは飛行船の船員、元々この機体のパイロットである砲兵達。オブリビオンマシンの前では力こそ足りない彼らだが、この船を守りたいという思いは猟兵達にも負けはしない。
『どうだい嬢ちゃん、腰が一軸しか回らないポンコツは?降りるなら今だぜ』
「機獅キャバリアを選ばず、何より敵前逃亡など機獅道に反します!」
『……さっきから気になってたんだが、キシってなんだ?』
「む、それはですね──」
 砲兵の質問にエイスが応えようとした瞬間、彼女達の機体が乗っていた床がスライドし、飛行船の外に機体が露出する。飛行船が砲撃体勢に入った……つまり、敵が接近してきたということだ。
「──この任務が終わったら、未熟ながら教えさせていただきます!」
 エイスの言葉と共に、彼女と砲兵達は飛行船の後方を向くように機体を旋回させる。
 視線の先にいるのはオブリビオンマシン、誰の利にもならぬ戦いを続ける過去の遺物。それを撃墜することができれば、ただ破壊を振り撒くだけの理なき戦いを減らすことができる。
「どれだけ居るかは判りませんが…敵ある限りこれを討つ!」
 エイスの宣言に合わせるように、キャバリア達の機銃から咆哮が上がる。一機一機の力は弱く、オブリビオンの前ではあまりにも脆い。直撃しても撃墜することはできないだろう。
 だが一発で駄目なら十発、それで駄目なら百発とでも言うように放たれる無数の弾丸は雨の如くオブリビオンマシンに降り注ぎ、削り取るように撃墜していく。
 これがこの世界を生きる人々の力であり、それを束ね強化するエイスのユーベルコードの効果。弾幕の壁を作られた敵は飛行船に近づくこともできず、峡谷の底へと沈んでいくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『ブレイジング・バジリスク』

POW   :    ブレイジング・シュート
【ライフルの集中射撃】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    バジリスク・ランページ
【右腕のライフル】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    エンジンキラー
自身の【オブリビオンマシン】から【漆黒のオーラ】を放出し、戦場内全ての【エンジン】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●幕間
 オブシディアンは撃墜され、峡谷の出口は目の前。そこを抜ければ飛行船の目的地である自分達の国は目前だ。
 だが、船員達は警戒を解かない。それは戦闘を終えたはずの猟兵達が警戒を続けているのもあるだろうが、それ以上に確信めいた予感があったからだ。
 オブシディアン達は集団で動いていたがその動きは皆同じ、指揮官といえるような機体が存在していなかった。
 逃げたか、あるいは……そう船員達が考えた瞬間、飛行船の進路を遮るように火線が走った。
 崖を溶かし、その内側から出てきたのはライフルと一体化した右腕を持つ一機のキャバリア。それが予知に合ったオブリビオンマシンだと猟兵達はすぐに気付くことができるだろう。
 オブリビオンマシン、ブレイジング・バジリスク。レーダーに映らないように峡谷を掘り進んで来たそれはライフルに付いた熔けた岩石を振り払うと、その銃口を飛行船へと向ける。
 輸送を阻む最後の壁、それを越えるための戦いが始まろうとしていた。

●マスターコメント
プレイングは10/2(水)の9:00からの受付となります
※マスターコメント修正
プレイングの受付は10/2(金)の9:00からとなります。
混乱を生む誤字をしてしまい申し訳ありません。
桐原・剛将
連携アドリブ歓迎

「いや、だから相性悪すぎやん?」
「あー、やりたくあらへん。けどやらんといかんよなぁ! パラシュート貸してくれー」

崖の中腹まで行く方法は一つ、キャバリアに放り投げてもらう。
誰かに頼んでもいいし、量産機体に動きをプリセットしてもいい。
それくらいは片腕でも出来る。

穴に直は普通にカウンター食らいそうなので穴のやや上か横。
崖に着地と同時に【悪路走破、足場習熟、ダッシュ】で走り、【瞬間思考力】でルートを算出、陰陽転変で装甲を半分、移動力を5倍にして崖を突っ走る。

穴に飛び込むと同時に【捨て身の一撃、重量攻撃】で木刀をぶん投げる。
狙いは右腕のライフル。これを潰せば後は味方がやってくれるだろう。


播州・クロリア
狙撃型のオブリビオンマシン、厄介ですね
飛行船に一撃、いや掠っただけでも墜落の恐れがあります
大変危険ですが敵の射線に身を晒して飛行船を護るとしましょう
(キャバリアに搭乗したまま『オーラ防御』壁を展開し防御を固めた後、さらに『念動力』で周囲の岩を盾代わりに浮かせながら『衝撃波』を使った突進で敵に突っ込む)
敵にぶつかった後はキャバリアから脱出し
UC【蠱の宴】で敵の動きを封じて{霹靂の旋律}で生んだ雷撃による『属性攻撃』で砲身部分とカメラ部分を破壊していきましょう
(肩幅ほどに足を開き、深く息を吐きながら全身の力を抜いた後{霹靂の旋律}で『ダンス』を始める自身を想像しながらキャバリアを操縦する)



●閃光は刹那の間に
「いや、だから相性悪すぎやん?」]
 新たに現れたバジリスクの姿を見て、桐原・剛将(焔の剣士・f29916)は頭を抱える。目に見える武装は右腕のライフルのみだが、裏を返せば機体の出力を全て本体の機動力と一つの武器に注ぎ込んでいるということだ。
 高機動、高火力の中距離射撃機体。一度空に上がられれば飛ぶことのできない剛将は追いつくことも難しいだろう。ゆえに敵が崖に空けた穴から出てこないうちに一撃加えなければならない。
「あー、やりたくあらへん……けどやらんといかんよなぁ!誰か、俺をかっ飛ばしてくれや!」
 腹を決めた剛将は木刀を落とさないようにしっかりとベルトで固定すると、崖の中腹を指さしながら戦場にいる猟兵達に聞こえるように叫ぶ。この戦場にいる猟兵の大半はキャバリアに搭乗している、その内の一人に協力してもらって崖の向こうへと投げてもらおうというのが剛将の作戦……だったのだが。
「リア、承知しました」
 その言葉と共に、剛将の身体が見えない糸に引っ張れるように一人で空中に浮かび始める。
 それは播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)を使う念動力。彼女は周囲の岩と共に剛将を浮かび上がらせると岩は盾のように自らの周囲に、剛将は自身が操るキャバリアの頭頂よりも高い位置に配置する。
「お互い大変危険ですが、ご武運を」
 剛将が何か言う前に、彼の身体はクロリアの念動力によって峡谷の空をミサイルの如く飛んでいく。同時に岩を自身の周囲に円陣を組ませるように浮かばせたクロリアはそのままキャバリアのブースターを点火し、さらに衝撃波を加える事で弾けるように敵へと突撃する。
 上空を飛ぶ者と、一直線にこちらに向かってくるものバジリスクが先に対抗したのは後者だった。
 バジリスクが自らの纏う黒色のオーラに右腕のライフルをおもむろに突っ込むと、その銃身が急速に膨れ上がる。瞬く間にキャバリアの全長を越える巨大な砲身を持つ大砲へと変化したバジリスクのライフルを見て、クロリアは咄嗟に周囲に展開していた岩石を全て前面に集中させた。
 刹那、崖に空いた穴をさらに大きく押し広げながら放たれた閃光がクロリアの機体に直撃し、圧倒的な熱量によって空気が爆発し、融解した岩石が灼熱の雨となって周囲に拡散する。
 その威力驚いたのは空を跳ぶ剛将だ。クロリアの狙いは正確で、崖に取りつく理想的な軌道を描いていた。降り注ぐ雨を躱そうとすれば、膨張した大気が作る気流と合わせてその軌道が乱されてしまうかもしれない。
 迷いは……一瞬。剛将はあえて防御姿勢を取らず、灼熱の嵐を全身に浴びる。
「ッ…!」
 ジャケットが焼け焦げ煙が上がる程の高温。全身に走る激痛を耐え抜いた剛将はそのまま叩き付けられるように壁面に着地すると、熱波が収まると同時にユーベルコードを発動する。
「ちょっと、真剣にやるからな!」
 防御を削り、その分を機動力へ。【陰陽転変】によって構えを変えた剛将は一直線にバジリスクの隠れる穴へと走る。
 穴を直接覗き込むことできない自分でも、既に二射目の光が見えている。させはしないと高速で穴の中に飛び込んだ剛将は眩い大砲の閃光にも目を細めず、手に持った木刀を投擲した。
 その姿を見たクロリアは咄嗟に機体を動かし、熱で揺らぐ空気の中でダンスを始める。無論それはただの舞ではなく、ダンスを楽しんでいない者の動きを減速させる彼女のユーベルコード。
 剛将の視界で自分の投げた木刀がゆっくりと突き進む。流れる汗が蒸発する程の熱気の中、敵の砲身に木刀が滑り込んだ瞬間、収束していた閃光が弾けた。
 大砲の中に溜め込まれていたエネルギーが炸裂し、バジリスクを中心に球状に広がる。その中に剛将が呑み込まれそうになった時、クロリアの機体が壁になるように彼の前に出た。
 オーラによる防御をしていたにも関わらず、光に接した瞬間熱量限界を伝える警報が鳴り響く。しかしクロリアは焦ることなく深く呼吸すると、脳内でリズムを想像した。
 閃光にも怯まない……否、閃光を怯ませるほどの雷光のリズム。それをイメージしながらクロリアが操縦桿を前へ突き出し、キャバリアはそれに応えるように装甲を赤熱化させながら閃光の中を進みむと、敵の大砲を掴んだ。
 歩むリズムはクロリアがイメージした通りの雷光のリズム。それによって発生した雷撃が砲身、そしてそこを伝ってバジリスクの頭部へと突き刺さる。
「……ありがとうございました」
 その言葉と共にクロリアはキャバリアの背面から外へと脱出し、鋼鉄の装甲が壁となっている間に剛将を抱え峡谷へと跳び出す。
 その背後で、爆発したエネルギーが峡谷の壁に更なる大穴を開けるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミスツ・シューパリツェ
ついに大将の登場か
防衛だとあのライフルが厄介だな
なんとかするけどな
しかし、258cmの俺だと融合しないと普通のキャバリアじゃ乗れそうにねえな
融合しないとなると特注で作るか?

引き続き飛行機体に合体した状態で戦闘だ
触手《撃式》の◆制圧射撃で接近を封じて
飛行船を◆拠点防御しとくか
後は爆発弾頭で◆吹き飛ばしてできるだけ近づけないようにする

敵が集中射撃の様子を見せたら
身体中の視覚器官で敵を捉えてUCを発動するぜ
狙いは奴のライフル砲身及びその根元部分
切断はできなくても斬撃の衝撃で少しでも狙いをずらして飛行船への直撃を避ける
カウンターで◆一斉発射で仕留める!

ライフルやパーツの一部だけでも回収できねえかなー


エイス・シノノメ
むむっ、先の交戦では回避機動が画一的で動きが読みやすいと思っていたら指揮官機が後からご登場ですか…
戦力の逐次投入、しかも刻一刻と状況の変化する戦場において現場の指揮を取らず悪戯に戦力を損耗させるのは悪手ですね
機獅道の教えにも兵の出し渋りは敵にボーナスステージを与えているようなもの、とあります
オブリビオンは戦術戦略は理解されないのでしょうか

まぁそのお陰で十分時間が取れましたので連装機銃を連結してロングバレルに換装(改造)、リロードタイムを犠牲に射程を延長したキャノンフレームとします
アウトレンジからの射撃により近づけないのが狙いです
あわよくば武装または飛行能力を損壊できればより有利となりましょう!



●一射天元を穿つ
「ついに大将の登場だが……硬ってえなぁ」
 猟兵の捨て身の攻撃により発生した膨大なエネルギーの奔流、それにより抉れるように熔け落ちた崖、そしてその熱の中心で装甲を爛れさせながらも健在なブレイジング・バジリスク。
 自分よりもよっぽど怪物的な姿にミスツ・シューパリツェ(バイオモンスターのバーバリアン・f17654)は溜め息を吐くように呟く。
 だが猟兵の攻撃を集中的に受けた右腕は赤熱化しており、おおよそライフルの射撃に耐えうる耐久性を残してるようには見えない。攻撃を仕掛けるにはこれ以上のチャンスもないだろう。
 ミスツは自身と融合したキャバリアを崖に寄せると、機体の背後に十の触手を展開させる。その一つは崖に突き刺し、残る九つは鎌首をもたげる蛇の如くその先端をバジリスクへと向ける。
「コイツをやるから、近づくんじゃねえぞ!」
 恫喝と共に突き刺した触手が岩を呑み込み、展開した九つの触手から無数の弾丸が放たれる。撃ち出している弾は融合したキャバリアの装甲と崖から抽出した鉱物を混ぜた特殊合金性。その威力は牽制に留まらないと察知したのかバジリクスはブースターを吹かしてその場から飛び上がると、一瞬で反転し峡谷の底に向かって急降下を始めた。
 その突飛な行為にミスツは眉を潜める。反撃の手段を持たないからと言って、オブリビオンがこうも簡単に逃げようとするだろうか?
 そう疑問に思いながらミスツがバジリクスを追って視線を下に向けた時、彼女の視界に峡谷の底を流れる河川が映った。
「……させるか!」
 触手の吐き出す弾の色が変わる。弾速は落ちたが、それは空中でミサイルの如く爆発し水面へと近づこうとするバジリスクの動きを乱す。
 水流による砲身の急速冷却、実行されれば高威力の一撃が再び来るのは間違いない。ミスツは相手を降下させないように爆発弾頭を連射するが、敵と距離が離れるほど炸裂のタイミングは遅れバジリスクが河川へ近づく速度が上がっていく。
 急降下を始めてから時間にして数秒足らず。ミスツの弾幕を潜り抜けたバジリスクが河川に右腕を沈めた瞬間だった。
 ミスツの爆発弾頭よりも強烈な、臓腑に叩き付けてくる轟音が戦場に響き渡ると同時にバジリスクが急激に姿勢を崩し、水面を水切りしながら跳ね回る。
 その様子を照準器越しに確認したエイス・シノノメ(機獅道一直線ガール!・f30133)は心の中で握り拳を掲げる。
 彼女が搭乗しているのは先程と同じ砲撃特化の量産機にして、彼女の操縦する機体を先頭に同型機が五つ直列に並び砲身を連結させた即席のロングバレル仕様。
 バジリスクが体勢を整える前に、エイスは二発目の弾丸を発射する。
 最後尾の機体が発射した弾丸が前方の機体の薬室を通過した瞬間、その機体の炸薬を爆破し弾頭をさらに加速させる。それを二つ三つと繰り返していけば、銃口から飛び出した弾丸の初速は通常仕様とは比べもないほど上昇する。
 この構造は多薬室砲と呼ばれ、とある世界においては砲弾を宇宙に飛ばした実績もある長射程兵器。
 この機体ではさすがにそこまでの速度は出ないが、放たれた弾丸はそれでも様々な抵抗を無視し直線を描いてバジリスクに直撃する。
 無論欠点が無いわけではない。五体のキャバリアを連結させているのだから的は大きくなり、機動力も大きく低下する。敵キャバリアに狙われれば逃げることもできず撃墜されるだけだろう。
(ですが、一機しかいない貴方にはそれができない)
 戦力の逐次投入、一対複数、現場指揮を放棄したスタンドプレイ、どれも戦術的な視点から悪手ばかりだ。どれだけ単体の戦闘能力が高くとも戦場を動かすのは総合的な戦力、すなわち兵力と戦術の合計値。
(兵の出し渋りは敵にボーナスステージを与えているようなもの、機獅道の教えにもあります)
 どうにか姿勢を直したバジリスクだが、冷却を終えたライフルを構える暇もなくミスツの弾幕に追いたてられてる。そして爆発弾頭で動きが鈍った瞬間、エイスの三度目の砲撃が放たれ装甲ごと推進機をもぎ取る。
 機動力の低下、反撃の気配はなし。ここが好機とミスツは機体からさらに多くの触手を展開すると、その先端に目を生成する。大量の穴の空くような視線、それを受けたバジリスクの装甲に無数の亀裂が走った。
 視線を介して対象を切断するミスツのユーベルコード、それを受けたバジリスクは急激に失速し河川の中に墜落する。
『なんとも……オブリビオンが戦術戦略を理解していないようでしたね』
「ん、おぅ」
 反撃は……ない、それを確認したミスツはエイスの通信に生返事をしながらバジリスクの墜落地点へと近づく。
 オブリビオンマシンのパーツ、これから自分用機体を作るとしたらこれを活かせるかもしれない。そう考えながらミスツは推進機と紅の装甲を回収するのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

トレーズ・ヘマタイト
※アドリブ自由

●武器・防具改造で鹵獲機の上半身を補強・追加パーツで飛行ユニット・サンクを大型化し下半身とし両方タール体に接続
刻印からSSWの宇宙船の外壁を出し大盾代わりに、機体用杭打ち機も借りていく

前回の霧降魔は殲禍炎剣対策も兼ね雷雲に擬態し空を覆わせる

●呪詛で敵に視野狭窄を起こし自分を狙らわせ●オーラ防御と●盾受けで防御、鹵獲機の武装で反撃

敵UCで大盾を破壊されればUC起動
音速飛行と残像で撹乱し接近、鹵獲機の剣で装甲を●鎧砕き、杭打ち機で●傷口を抉り、刺さった杭に降魔から雷●属性攻撃の●援護射撃
鹵獲機部をパージ、敵機に組付き自爆させ、自身は離脱する

その後は飛行船への流れ弾を防いでいよう

以上


エドゥアルト・ルーデル
借りたキャバリアは置いてきた、ハッキリ言ってこの戦いにはついてこれそうもない
ガン詰みしすぎて機動性が死んでるから仕方ないネ

そろそろ拙者もロボットに乗りたいので代わりに【架空兵器】をお出ししますぞ!
そう…18mの白いヤツでござるよ
基本空は飛べないのでブースターを使った大跳躍で渓谷を飛び回って敵の【ライフル】の射線を躱しビームライフルで反撃でござる
敵弾が当たりそうなら盾で防いだりもしますぞ
そのまま渓谷内を飛び回り壁際に追い詰めるように攻撃しながら徐々に接近、最後はロボットとは思えない妙に人っぽい動きをしつつピンクに光るサーベルでどっかで見たことあるポージングの唐竹割り!



●存在しないモノ達
「……機体が流されていってるが、いいのか?」
「ヤツは置いていく、ハッキリ言ってこの戦いにはついてこれそうもない……ガン詰みしすぎて機動性が死んでるしネ」
 搭載していたミサイルを撃ちつくし、峡谷の底を流れる河川に流されていくキャバリアを心配するトレーズ・ヘマタイト(骸喰らい・f05071)に、エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)はサムズアップで返す。一応パイロットは乗っているので知らない内に勝手に帰還してくれるだろう。
「そちらの機体は……ふむ、足が付いていないでござるな」
「拾いに行く余裕があるわけでもないからな」
 トレーズは鹵獲したオブシディアンの上半身を彼の侵食で強化し、失われた下半身に自前の飛行ユニットを接続。さらにスペースシップワールドから持ち込んだ宇宙船の外壁を盾代わりにと、自身のできる最大限の改修を機体に施していた。
 性能で言えば最新鋭機であるクロムキャバリアと同じかそれ以上。それゆえに、トレーズは空の先にあるもう一つの脅威も意識しなければならない。
 いつの間にか空は雷雲が多い、周囲は薄暗い闇に包まれている。その暗幕を突き破るように、純白の閃光が水中からトレーズに向けて放たれた。
「来たか!」
 機体を旋回させ閃光に盾をぶつけるトレーズだったが、一瞬にして盾は白熱化し機体の手から熔け落ちてしまう。宇宙開拓のための技術の粋を集めた装甲でも耐えきれないこの火力はオブリビオンゆえのものか。
「開拓の技術で耐えらないのならば……拙者はそれよりも先の技術で行く」
 急にそんなことを言い出したエドゥアルトはお面を被るようなジェスチャーをすると、おもむろに峡谷へと飛び降りる。
 するとどうだろう、回転しながら落下するエドゥアルトの身体がワイヤーフレームに包まれ巨大な人の形を形成していく。
 全長18m、トリコロールカラーと額のVの形をしたアンテナが特徴的なそれは、とある世界においてはロボットアニメの代名詞にも使われる超有名作品の主人公機にしてエドゥアルトのユーベルコード。
【例のアレがこの世界に現れたようです】。常識を覆す猟兵の力によって存在し得ない架空の兵器が今、大地に立った。
「ヒゲ!行きまーす!!」
 着地の衝撃で河川の水が大量に跳ね上がり、同時に水中に身を潜めていたブレイジング・バジリスクが強引に空中へ押し出される。
 キャバリアと白いヤツのサイズ差は大人と子供というレベルではない、だがそれは小さい方から見れば的が当てやすいということ。既に二射目の用意を終えていたバジリスクは白いヤツの胴体中央、あからさまにコックピットのありそうなハッチに向かってライフルを放つ。
 それに対してエドゥアルトは盾で防ぐでも装甲で受けるでもなく、飛んだ。
 この世界の住民からすれば信じられない光景だっただろう。18mがキャバリアの如く空を飛び、軽やかにライフルを躱したのだから。
 飛行船の船員の中には反射的に身を屈めたものもいた。しかし、危惧していた殲禍炎剣の一撃は降り注いでこない。その代わりとでも言うように、雷雲から落ちた雷が空を跳ぶ白いヤツのシルエットを映し出した。
「成功したようだな」
 空を覆う雷雲──トレーズの召喚した降魔──が衛生の目を潰したことを確認すると、トレーズは自らの機体に更なる強化を加える。漆黒の機体は緋色の霧に包まれ、左腕には格闘戦用の杭打ち機を装備する。
 奇しくも紅の装甲に漆黒のオーラを纏うバジリスクと対になる姿となったオブシディアンは正面に敵を見据えると、音を置き去りにした。
 時速8100km、おおよそ音の六倍、弾丸やミサイルを遥かに上回る飛行速度。通常であれば殲禍炎剣に撃ち落とされるがゆえに、この世界で存在するはずがない速さ。それを避ける術などあるはずがない。
 バジリスクが攻撃されたと気がついたのは、自身の左腕が宙を舞った後だった。咄嗟に敵の姿を見ようと反転した時、今度は頭部に杭が叩き込まれる。
「さらばだ」
 そう言うとトレーズは自身と下半身の飛行ユニットをオブシディアンから切り離し、鹵獲した上半身をバジリスクに組付かせたまま離脱する。
 そんな彼と入れ替わるように、エドゥアルトの操る白いヤツがピンク色のサーベルを振りかぶりながらバジリスクに向かって飛び掛かった。
「でやああああ!!」
 気持ち若々しい雄叫びを上げながらエドゥアルトは手にしたサーベルを振り下ろす。もはや両断というよりも押し潰すようなサイズ差、動くことのできないバジリスクはそのままオブシディアンごと灼熱のビームエネルギーの奔流に呑み込まれていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

さぁて、どうしたもんか。
ありゃさっきまでの雑魚とは違うねぇ。
アレじゃあ速度で撹乱しても……ん?
カブに新しい座標データ?
格納データ……こりゃキャバリアじゃないか!
そういう事かよ、ご先祖様……!

アーマーを纏ったまま一直線に『ダッシュ』で突っ込むけど、
その理由は特攻でも何でもないよ。
周囲の空間を確保する為!!
空中で高らかに叫ぶよ、【心機一体】を!

『操縦』系統はカブと似てるのはなんとなく分かる。
だから、後はあのライフルの火線を『見切り』、
キャバリア同士の『グラップル』でライフルの可動範囲を制限し
接触の電撃『属性攻撃』でFCSをダウンさせる!
これがアタシの"Overd"だ!!



●限界を越えたその先に
「ありゃ、どうなった……?」
 流れ弾を警戒し、アーマーを纏ったまま飛行船の近くで護衛をしていた数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)だったが、視線の先で瞬く閃光を見てそんな事を呟く。
 峡谷の出口は近い、飛行船がそこを抜ければ両脇の崖が失われ射線が通りやすくなってしまう。その前に撃墜されてほしいというのが本音だが……残念ながら、そう都合よく事は進まないようだった。
 左腕を失い、関節のシーリングは剥がれ骨のような内部構造が剥き出しとなり、まるでゾンビか亡霊のような姿となってなお、ブレイジング・バジリスクは退くことなく飛行船へと突撃する。
「さっきまでの雑魚とは違うってことかい!」
 バジリスクと正面から向かい合う多喜だったが、具体的な迎撃案があるわけではなかった。
 速度も火力もオブシディアンとは桁が違う、さらに追い詰められた相手とは何をするかわからないものだ。最悪刺し違えてでも飛行船を落とそうとしてくるかもしれない。
 ならばこちらもぶつかってでも……と多喜が思案した時、不意に彼女のカブから聞きなれない電子音が鳴り響いた。
「なんだってんだいこのクソ忙しい時に……!って、ん?こいつは……」
 カブのコンソールに表示されているのは座標データと、そこに何かを格納していることを示す暗号データ。座標の方はカブのコンパスで自分のすぐ目の前ということはわかる、そして暗号データに付けられている名称は……。
 思わずコンソールの文字に釘付けになっていた多喜だったが、バジリスクの甲高いエンジン音ですぐに意識を戦場に戻す。
 敵は既に目視できるまで迫っている。迷っている暇はないと、多喜は示された座標──バジリスクの正面径──へと突っ込んだ。
「絶対座標チェック、空間クリア。サイキックロード接続―――いくよ、心機一体!」
 多喜の掛け声と共に彼女の纏っていたカブがアーマーから二輪車の形態に変わり、さらにその頭上に出現したキャバリアのオーバーフレームがシートに覆い被さるようにドッキングする。
 カブのフロントパーツはそのまま胸部装甲の一部に、シートは一瞬にしてコックピットに変わり、車輪が腹部側に折り畳まれた車輪をジョイントに新たに出現したアンダーフレームがオーバーフレームに接続される。
 変形の完了と同時にコックピットのコンソールに躍り出る文字、その名こそカブの新たな姿。
「これがアタシの"Overd"だ!!」
 直後、バジリスクから放たれたライフルに反応し多喜がハンドルを切るとOverdは上体を横に反らしてその攻撃を避ける。続けて前ペダルを数回蹴り付け、アクセルを捻るとOverdはスラスターを全開にしてバジリスクに組み付き、そのまま飛行船から引き離していく。
「いい加減に、落ちろやぁぁ!」
 真紅の機体を崖に叩きつけると同時に、Overdの拳から溢れだした紫電がバジリスクに流し込まれる。
 それがトドメになったのだろう。バジリスクの胸部からコックピットシートが射出され、操縦士を失った機体は残った手足を力無く垂らすと、装甲の隙間から火花を散らしながら炎上を始める。
 熔けるようにその姿を崩してくオブリビオンマシンが完全に消滅したと同時に、飛行船は峡谷を抜け船員達の歓喜の声が通信機越しに響き渡る。
 彼らの視線の先にあるのは目的地である祖国、危険な輸送任務は猟兵達の活躍によって無事完遂されたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『地域新聞』

POW   :    訓練場所に記者を招き、鍛錬の様子を実際に見せる

SPD   :    質問に簡潔で分かりやすい答えを返す

WIZ   :    ウィットに富んだ受け答えで会話を盛り上げる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●幕間
「どいたどいた、着陸するぞ!」
 任務を終え、帰ってきた飛行船を人々は完成を持って迎える。そう言えば結局何を運んでいたのかと猟兵達が荷物を覗き込むと、そこにあったのは大量の紙の書物。内容は技術書や歴史書、漫画に娯楽小説まで多岐に渡り、特にジャンルを選定しているわけではないようだ。
「このご時世、隣に暮らしてる奴らのこともわからないが……たまに誰かがこうして文化を残してる時もある」
 荷を降ろしていた船員の一人はそういうと、適当な本を一冊手にとって猟兵達に見せる。
「残してるってことは知ってほしい、覚えていてほしいってことだ。だから俺達はこう言うのを集めて忘れないように記録する……自分達の身に起こったこともな」
 船員が指差す先にいるのはカメラとメモ帳を携えたこの国の記者。グリモア猟兵から頼まれた任務は終わったが、この国でやることはまだ残っているようだ。

●マスターコメント
プレイングは10月8日(木)の9:00からの受付となります。
桐原・剛将
「あかん、マスコミはあかんて!」
どうやら最後まで相性が悪いらしい。
とある学園国家から出奔している桐原だ。そしてその学園国家はそこまで周囲に閉鎖的ではない。
つまり、うっかりすればそこの耳に入ってしまうということ。
「かっこつけて出ていったのにとんぼ返りして別の国で活躍してましたとか洒落にならん! クッソ恥ずかしいやんけ!」
しかも生身でキャバリアとやりあっている
知られれば面倒くさいことになるのは明白

だが自分を転移させてきたグリモア猟兵のアンノットはすでに報道陣に囲まれている。
こうなったら裏から逃げるしかない。
なに、崖に飛び移ったのに比べれば軽い軽い
「誉は浜に捨ててきたんじゃ」
そのまま町中へ逃亡する。



●輝かしきに隠れるは
(あかん、マスコミはあかんて!)
 呼吸を隠すように片手で口元を押さえながら物陰に隠れた桐原・剛将(焔の剣士・f29916)は、そのまま物音を立てないように摺り足で取材陣から離れ始める。
 クロムキャバリアはUDCアースのように距離を越えて情報が飛び交っているわけではない、だが不思議なことに噂というのはインターネットや広域通信が無くても自然と広がっていくものだ。
 ここでのうのうとインタビューを受けて、その情報がもし自分が所属していた学生国家に行き渡ってしまったら……。
「かっこつけて出ていったのにとんぼ返りして別の国で活躍してましたとか洒落にならん! クッソ恥ずかしいやんけ!」
 おまけに今の自分は生身でキャバリアと戦闘をしている。キャバリアに乗れなくなったから出ていったのにキャバリアなしで戦う手段を手に入れましたー、なんて知られたら間違いなく面倒なことになるだろう。
 三十六計逃げるに如かず、ここは適当な理由を付けてさっさとこの世界から離脱しよう。そんなわけで剛将がささっとグリモア猟兵に連絡を取ると、今回の事件を予知したアンノットが謎の浮遊機械に乗って現場に現れ……一瞬にして報道陣に囲まれていった。
(あかん、詰んだわ)
 こうなったらと剛将は飛行船の出口ではなく格納庫に向かうと、素早くコックピットに飛び込みシートの裏に身を隠した。
「誉は浜に捨ててきたんじゃ」
 狙いどおり。キャバリアはメンテナンスのために飛行船から降ろされ取材陣とは逆の方向、整備場へと運ばれていく。
 取材が終わるまで一時間か二時間か。それまでは町中で時間を潰して、絡まれそうになったら取材はもう受けたから今は観光中などと言って誤魔化せばいいだろう。幸いここは文化を尊重する国、退屈することはなさそうだ。
「……アイツらのこと書かれた本とかもあるんかな」
 顔は会わせづらいが、思いが存在しないわけではない。生まれ故郷の空を見上げながら、剛将はかつての仲間達の顔を思い出すのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

エイス・シノノメ
積荷は…紙類? ありとあらゆる書物ですか…
少し意外でした
この世界で生き抜くためにはプラントで生産された食物、エネルギー、そして武器…人々の生きたいという極々根源的な欲求を満たすものではなく、文化を運んでいたとは
この国の人々は豊かで恵まれているという事なのでしょうね
記者の皆様のご質問には誠実にお答えします
機獅道とは、ただの操縦術にあらず
このクロムキャバリアという黒煙棚引く世界に生きる事への教範です
あ、朝起きは3Eインゴットの徳など生活に則した教えもありますよ?
今回の相手はあまり組織だって動けておらずそこに十分付け入る隙がありましたね
この国の量産機に乗るのも良い経験となりました
無事、任務完遂です!



●新たな場所へ、これまで学んできたことを
「積荷が書物とは、少し意外でした」
 やってきた記者達の前でエイス・シノノメ(機獅道一直線ガール!・f30133)はまず最初に正直な感想を伝える。
 無数の小国家が並び、しのぎを削るこの世界で生きていくために必要なものは際限がない。食料にエネルギー、キャバリアなどの兵器類、それらを削ってでも文化を運んでいたこの国の人々はエイスにはとても珍しく見えたのだ。
「余裕がある時だけですけどね、色々な理由で手に入ったものをプラントで修繕して読めるようにしているんです。普段は食料やキャバリアの部品が優先ですよ」
「それでも、この世界で形ないものを残そうとしている貴殿方は豊かな心の持ち主なのだとわたしは思います」
「ありがとうございます。まあ、反動がないわけではないのですけど……」
 そう言って記者が視線を向けた先にあるのはエイスと砲兵達が乗っていた量産機、一台の機械に複数の役割を持たせているのはこの国特有の事情もあるのかもしれない。
「まあ私達の国のことはこの辺りにして、砲兵達から貴方はキシドウというものを身に付けていると聞いたのですが……どういったものなのでしょう」
 記者の言葉にエイスの背筋がピンと伸びる。このインタビューが記録に残るということは、ここでの自分の発言がこの国における機獅道の基準になるということ。つまり機獅道の代表者になるということだ、見習いだからとは言い訳にもならない。
 自身を落ち着けるように小さく深呼吸をしたエイスは記者の目を真っ直ぐと見つめ返し自分の言葉を紡ぐ。
「機獅道は操縦術としての側面もありますが、その根幹はこのクロムキャバリアという黒煙棚引く世界に生きる事への教範です」
「教範ですか、この世界で生きる事へのと聞くと苛烈なもののように聞こえますが……」
「否定はしません、ですが朝起きは3Eインゴットの徳など生活に則した教えもありますよ」
 虚飾は飾らず、誠実に。そんなエイスの一言一句を記者は聞き漏らすことなくメモに写していく。
「この国の量産機に乗るのも機獅道を磨く良い経験となりました。今回は相手があまり組織だって動けていなかったのもあって、砲兵の方々との連携が大きな助けになりました」
 そう言って砲兵達にピースサインを送るエイスに、カメラのフラッシュが焚かれる。機獅道を邁進する少女を写したこの一枚は、残される記録を鮮やかに彩ることだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

播州・クロリア
(両手をお腹の前で組んでもじもじしながら記者の問いかけに答える)
な、名前ですか?播州クロリアです...
はい、猟兵です。近頃世間をにぎわしてるあの猟兵です
え?何があったか...ですか?
えぇっと...峡谷を飛行船が飛んでいたんです
そしたら敵が現れて
危ない!と思ってキャバリアを借りて踊って敵が燃えて
そしたら敵の司令官が崖から飛び出して
大変!と思ってキャバリアを捨てて踊って爆発して
...そんな感じでした
え?分からなかったですか?
え、えっとですね...
(あたふたしながら身振り手振りで説明する)



●乱れたリズムはそれもまた
「それでは、お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか!」
「な、名前ですか?播州クロリアです……」
 普段は凛と背筋を伸ばした姿が印象的な播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)だが、インタビューというものには慣れていないのか好奇心で瞳を輝かせる記者を前にやや恥ずかしそうな様子で背中を丸めていた。
「クロリアさんですね……それで、輸送任務の最中に何があったのか教えていただけないでしょうか!」
「え、えぇっと……峡谷を飛行船が飛んでいたんです。そしたら──」
「そしたら!?」
「そ、そしたら敵が現れて──」
「現れて!!??」
「え、えっと……危ないと思ってキャバリアを借りて踊って敵が燃えて、そしたら敵の司令官が崖から飛び出して、大変!と思ってキャバリアを捨てて踊って爆発して……」
 これが記者も新人なのか、クロリアの話を急かすようなリアクションをするので彼女はさらに焦ってしまい説明が途切れ途切れになってしまう。そんなグダグダになり始めたインタビューの様子に気付いたのか、別の記者が手帳で新人の頭を叩きインタビュアーを交代する。
「すいません、騒がしい奴で……もう一度最初から質問させてもらってもよろしいでしょうか?」
「え?分からなかったですか?」
「いえ、ちょっとメモを取り損ねてしまったもので」
 まさかのリテイクにクロリアはあたふたとしながら、身振り手振りを交えて最初から説明を再開する。
「その敵はどのような相手だったのでしょうか?」
「あ、えっと、黒くて沢山いました」
「踊ると敵が燃えた、というのはクロリアさんの猟兵としての力なのでしょうか?」
「は、はい。私はダンスのリズムで色々なことができまして──」
 記者からの質問で少しずつ話題を掘り下げることができるようになり、時間をかけた事で状況に慣れてきたのかクロリアの表情に自然な笑顔が戻る。始まりこそどうなることか分からなかったインタビューだったが、この様子ならリアな結果で終えることができるだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミスツ・シューパリツェ
ぁあ?ブン屋の取材ぃ?んなのタコにして追い出……って現役時代のようにはいかねえか

俺はまあ人間じゃねえ。バイオモンスターっていう人外だ。
こんな図体じゃあキャバリアには本来は乗れねぇが、ユーベルコードでこうやってキャバリアを呑み込んで合体すれば、こうやって操れる訳だな。
なんで戦うか? 昔はよくワルやってたし、生まれ変わったのを良い事に善行を……なんてのは建前で、きにいらねえ奴をしめてるってだけだな。
ま、それで何か守れるってんなら悪くねえ身分ではあるけどよ?

後はどんな感じで戦ったのかを軽い実演込みでやってやりゃいいかね?
なんかありゃ、暇だったら駆けつけてやるとするかねぇ



●白き怪物はかく語りき
「ぁあ?ブン屋の取材ぃ?んなのタコにして追い出……って、んなことやるわけにもいかねえか」
 前職のせいか、あまり記者に良い印象を持たないミスツ・シューパリツェ(バイオモンスターのバーバリアン・f17654)は始めこそ苦々しい顔をしながらも仕方ないと溜め息を吐きながら記者の前に姿を現す。不躾にフラッシュを焚かれないだけマシと思うしかないようだ。
「で、何を話しゃいいんだ。名前?出生?見ての通りの人外だ、あんま込み入った話は黙秘権を使わせてもらうぜ」
「興味はありますが、今回は輸送任務中に起きた事だけで。早速ですが、キャバリアに対してどのように対抗を?」
「……なんだ、そんなことか」
 拍子抜けしたようにミスツは肩を竦めると、背中から伸びる触手をおもむろに一本引っ張る。するとミスツの身体と融合したままのレンタルキャバリアがリードを引かれる犬のように飛行船の格納庫から姿を現した。
「見ての通り俺の図体じゃあコックピットに入れねえから、こうやって合体して上手く操ってる訳だ。これが猟兵の使うユーベルコードってやつだな」
 触手と融合し半機半生の姿を見た野次馬達が驚嘆とも動揺ともとれる声を上げる中、記者はミスツの言葉を手帳に書き写していく。
「不躾な質問ですが、そこまでの力を持っているのならば強力な生産拠点と融合すれば戦場に身を置かずとも生きてゆけるのではないでしょうか?」
 そう言う記者の視線の先にあるのはこの世界の生産の要である巨大な塔、プラント。確かにあらゆる資源を生み出すことができるアレと融合することができれば衣食住に武装までもが思いのまま、そう思われるのは納得がいく。
「そうだなぁ、まずこの融合は永久に続くもんじゃねえからってのが一つ。それと今のこの身体は色々あって二つ目でな、昔はよくワルやってたし生まれ変わったのを良い事に善行を……なんてのは、建前だな」
 二っと、口だけ狂暴な笑みを浮かべたミスツはおもむろに記者の手からペンを取ると、その先端を記者に突き付ける。
「実際は気にいらねえ奴をしめてるってだけだな。ま、それで何か守れるってんなら悪くねえ身分ではあるけどよ?」
 暇だったら、また駆けつけてやるとするかねぇ。そう言ってミスツはペンを記者に投げ返す。後は適当に実演をすれば絵的にも問題はないだろう、そう考えながらミスツはキャバリアの方へと向かっていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

トレーズ・ヘマタイト
※アドリブ自由
ただの心配のしすぎとは思うが、一応確認しておくか

事前に飛行船の責任者を通して
後学のためにこの国のキャバリアを見てみたいと申し込んでおく

偶然飛行船が見つかった可能性はあるが、この国にオブリビオンマシンが存在していて
そこから情報が漏れたパターンもありうる
猟兵だから見ればわかるが、それ以外では気付くことも出来ないならば、念のためでもこの目で確かめておくのが一番だろう

といったことを話していい範囲でついてきている記者に説明しておく

見れる範囲で見て無いならば良し、もしあった場合は報告の上で破壊か回収だろうか

取材自体は今回の事件のことなら普通に話すが、果たして参考になるものなのだろうか?

以上



●真実は瞳を介して
「すまない、急な申し出にも関わらず」
「いえ、こちらしても後顧の憂いは立っておきたいものですから」
 どこか緊張した顔色をしながら、飛行船の船長はトレーズ・ヘマタイト(骸喰らい・f05071)をキャバリアの整備工場へと招き入れる。本来ならすぐに大勢の整備員によってメンテナンスが始まってるところなのだが、今回は特別な状況だからと適当な理由を付けて一度工場から出てもらっている。
「しかし本当の話なのですか、そのオブリビオンマシンというのは」
「ああ……猟兵ならば一目でわかるが、それ以外では気付くこともできない」
「迷惑な話だ、下手に広まれば魔女狩りが起こるぞ……」
「そうならない為に、我々がここに居るのだ」
 苦々しい表情でキャバリアを見つめる船長の隣で、トレーズはダールの身体から紅い瞳を大きく突き出し機体を一つ一つ睨み付けていく。今回の事件、偶然飛行船が見つかっただけならばいいのだが、この国に忍び込んでいたオブリビオンマシンが情報を漏らしたパターンもあり得る。心配のしすぎと言われるかもしれないがクロムキャバリアはただでさえ争いの絶えない世界だ、不安要素は少しでも減らしておいた方が良いだろう。
「……ここに居る機体は問題ないようだ、他にキャバリアは?」
「偵察と警戒用に稼働しているのが何台か……国中を歩き回ることになりますよ」
「構わぬさ、一昼夜掛るとしても探していこう」
「カバーストーリーを作らせます。それと記者の方に渡す文章を作らないといけないので、今回の事件について伺っても?」
「それも構わないが、キャバリアの上半身だけで戦闘した話など参考になるものだろうか」
「……詳しくお聞かせ願います」
 記者の代わりに船長がインタビュアーとなり、トレーズの話を正確にメモに残していく。
 上半身のみの戦闘、雷雲による飛翔物の隠蔽。新聞として広く伝わるかはまたわからない内容だが、トレーズの話す事件の概要はこの国の知識として確かに残されるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変・絡み大歓迎】

いやぁ何とかなった!
ぶっつけ本番でも、やってみるもんだねぇ……
いつもながらこのカブには驚かされる事ばかりだよ。
ああ、記者さんか。
ちょうどいい、アタシも語りたいし聞きたいんだ。

まずは、このキャバリア、"Overed"。
なんでか異空間に格納されていやがった。
どうして変形するのか、操縦がカブと似ているのはなぜか、
アタシにもさっぱりさ。

だから、逆に教えとくれ。
こういうキャバリアの話をさ。
積んでいる「情報」の中に、似たような存在の話が在ったりしないかい?
お助け賃、というつもりもないけれど。
聞かせておくれよ、神秘の力を秘めたキャバリアの話を。
それが何かの手がかりになる筈なんだ。



●未知なる道は遥かに続く
「いやぁ何とかなった!ぶっつけ本番でも、やってみるもんだねぇ……」
 Overedから降りた数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)はヘルメットを脱いで額の汗を拭うと、緊張や疲れを外に出すように深く息を吐き出す。新たな力の行使のせいだろうか、疲労感のある多喜の前に冷えた金属ボトルが差し出される。
「この度は私達の飛行船を守ってくれてありがとうございます、こちらはほんのお礼の気持ちです」
「おっ、助かるねえ。ありがとう」
 ボトルの中身は良く冷えた経口補水液、ありがたくそれを受け取った多喜はふと自分にボトルを渡した人物の胸ポケットに手帳とペンが刺さっていることに気が付いた。
「ちょうどいい、アンタ記者さんか。色々と聞きたいことがあるんだろう?アタシで良けりゃなんでも話すよ」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
「その代わり……というとちょいとズルいが、一つアタシの話も聞いちゃくれないかい?」
 頭を下げて礼をしていた記者が、多喜の言葉に首を傾げながら頭を上げる。その様子を見た多喜は突然で悪いんだけど、と前置きをしながら自らの乗ってきた機体を裏拳で叩く。
「このキャバリア、"Overed"。これがアタシにもさっぱりわからなくてね、どうしてカブから変形するのか、操縦がカブと似ているのは何故か……その辺り、本職の意見を聴きたくてね」
「……少し拝見します」
 そう言うと記者は手帳を開き、その中身を確認しながらOveredの細部まで抜かりなく観察を始める。その表情は心なしか記者として振舞っていた時よりも真剣に見える。
「経年劣化の類はなし……このフレームにどこで保管を?」
「なんでか、異空間に。この国の情報の中に似たような存在の話が在ったりしないかい?」
「神話やおとぎ話、創作の話が大半になります……ですが、その中でも現存する神秘が一つだけ」
 サイキックキャバリア。その名が記者の口から瞬間、多喜の脳裏に自身の猟兵としての力が思い浮かぶ。
「システムの根幹はコックピットでもある中央の二輪車に依存していますね、操縦が似ているというのもそれが理由かと……私見ですが、この機体はキャバリアではなくこの中心部、カブの追加パーツの一つであるように思えます」
「……入り組んだ話になってきたね、つまりこのデカいのが根本的にはアクセサリーってことかい」
「断言はできませんが」
 先祖の残した謎の機体"Overed"。どうやら長い付き合いになりそうだと、その巨体を見上げて多喜は深く息を吐くのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

エドゥアルト・ルーデル
「誰か降りてきたぞ!」
(現れる知らない人)

…という訳で一章から居た知らない人に取材の相手を丸投げして脱出した拙者だ
取材とかどうでもいい、興味無いですぞ

飛行船の積荷に感化された拙者も空いた時間を使って一つ知を集めに行こうじゃないの
【航空機】召喚!お出しするのは第四世代以降のジェット戦闘機でござるな
何するんだって?だだっ広い空を飛んで殲禍炎剣の性能を探るんだよ
どの程度の速度で撃たれるのか、高度は?地形は?
砲撃は【操縦】技量を魅せつけるコンバットマニューバで躱し調査続行、撃たれてナンボですぞ
要は瀬踏みでござるよ

<<燃料が尽きるまで撃ち落とされなければ拙者の勝ちだ>>
<<花火の中に突っ込むぞ!>>



●エピローグ──
 取材が終わり、猟兵達も帰還の時がやってくる。後日発行される新聞には猟兵達の活躍や彼らが戦いに赴く理由などが輝かしく書かれていることだろう。
 各々散らばっていた猟兵達はグリモア猟兵のもとに集まり、記者や飛行船の船員達に見送られながら転送が開始される。
 こうして輸送船とその船員、彼らが運んでいた文化は無事目的地へ届けられた。それはこの人々によって大切に守られ、未来へと受け継がれていく、それはこの世界が滅ぶまで……いや、例えこの世界が滅びても。文化を残すこと、それがこの国の存在理由なのだから。
 願わくば再開は平和な時であることを、猟兵とクロムキャバリアの人々は互いそう思いながら世界を隔てた仲間達に向かって手を振るのだった。




●──の裏側
 その頃、エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)は檻の中で冷たい飯を出されいた。
 罪状は『意図的な殲禍炎剣起動誘発疑惑、及びそれに伴う国家転覆罪』。
 第四世代戦闘機を召喚し空を飛び立とうとしていたエドゥアルトは周辺をパトロールしていたキャバリアに発見され現行犯で逮捕。どうも領地内で飛翔物を上げて衛星に攻撃させるテロの一種と思われたようだ。
 猟兵の自分ならば振り切るのは容易い、しかしさすがにこのまま飛んでいって一般キャバリアを巻き添えにするのは良くないだろう。
 ならば仕方ねえと自分は飛行船護衛作戦に参加した猟兵でちょっと前の戦闘でできたことを再現しようとしただけなんですと、早口でそれらしい言い訳を並べたエドゥアルト。
 しかしキャバリアのパイロット達は怒髪天を突くと行った様子で騙されるか!猟兵の皆様は全員あっちでインタビューを受けてるんだよと街の方を指を指し、エドゥアルトがそちらに視線を向けてみると……色んなものを丸投げした知らない人が見事にインタビューを受けている姿があった。
 そして今、冷たいコンクリートの床に転がされるに至る。幸いリンチなどの暴力行為はなかった。
「看守殿ー、殲禍炎剣ってそんなにヤバいんでござるか?」
「俺も詳しくは知らん。基準はわからんが高度と速度のどっちかが一定以上になると宇宙から射ってくるってことと……飛んでるものだけを撃ち落としてくれるような生易しい兵器じゃないってことだけだ」
 出なきゃ、地形がわからなくなんてなるもんか。そう言いながら看守は苛立たし気に煙草に火を点ける。正直な話エドゥアルトが全力を出せばこの程度の檻は脱出できそうだが……それをすると猟兵という存在がこの国から出禁にされそうなので流石に自重しておく。
「……拙者、いつ出れるかな」
 鉄格子の窓から見える空を眺めがら、エドゥアルトは爽やかな笑顔でそう呟くのだった。

失敗 🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年10月10日


挿絵イラスト