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正々堂々とキャバリアボール!

#クロムキャバリア #ギャグシナリオ

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#クロムキャバリア
#ギャグシナリオ


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「試合開始よ!」

 ユメカ・ドリーミィ(夢幻と無限のシャボン玉・f18509)がぶわっとシャボン玉を撒き散らしながら、きっぱりと言い放つ。あたかもその瞳に燃える血潮が沸騰しているかのようだ。
「あっと、ごめんね、今度、新しい世界が見つかったのは知ってる? ロボット……『キャバリア』っていうんだけど、それを使う世界、『クロムキャバリア』っていうの。その世界ではキャバリアで色々な抗争をしているってことなんだけど、でも、それだけじゃないの」
 うんうん、とユメカは頷き、手を胸の前で組み合わせた。
「ロボットは人の夢だものね、戦うといっても、何も殺伐としたものだけじゃないわ。鋼鉄のマシンに乗って、青春と熱血、勇気と努力と根性をぶつけ合う、キャバリアスポーツもあるのよ」

 そのひとつが、とユメカは楽しそうに紹介した。
「キャバリアボールっていうらしいの。キャバリアに乗った選手たちが2チームに分かれて、野球に似たようなルールで試合をするみたいなのね。何せキャバリアが凄い勢いでボールを投げたり、それをものすごいパワーで打ったり、さらにそれをスラスター吹かせて大ジャンプキャッチしたりする大迫力のゲームだから、すごい人気があるんだって。……まあ、多少、ミサイルやナパーム撃ったりすることもあるみたいだけど。でも威力は減らしてある競技用の奴だから大丈夫!」

 ……あまり大丈夫ではない気がするが、一応、観客席にはシールドが張られているのでフィールド内にいるもの以外は問題ない、はずである。
 でも、と、そこまで瞳を煌めかせていたユメカは不意に顔を曇らせた。
「でも……いやな予知が見えたのよ。今度開始されるそのキャバリアボールの試合の中に、一体だけ、「オブリビオンマシン」がいるんだって。機体そのものがオブリビオンで、中に乗っているパイロットさんを洗脳しちゃって世界を滅ぼそうとするようなの。しかも、放っておいたらそのオブリビオンマシンは他の機体までどんどん侵食していって、手に負えないことになりそうなのよ」

 そこで、今回の猟兵たちの使命だ。
「みんなはそのキャバリアボールの試合に加わって、プレイをしつつ、どの機体がオブリビオンなのかを見極めてほしいの。大丈夫、機体を持っていない人には貸してくれるわ。どのチームも、凄腕パイロットは垂涎の的だもの」

 その1、高速特化型キャバリア。次々に塁を陥れるランナーとして、あるいはアクロバットのように飛球を捉え、レーザービームのように返球する外野の守備として活躍できるだろう。
 その2、重装甲パワー型キャバリア。クリーンナップを務め豪快に場外弾をぶちかますスラッガー、もしくは音速に迫る球速を出す剛腕ピッチャーや、ガッチリとホームを守るキャッチャーとしての出番が多そうだ。
 その3.特殊戦型キャバリア。精密なマニュピレーターを備え、鋼鉄のボールでさえも自在に変化させる技巧派ピッチャー、あるいは高度なマルチセンサーを駆使し、相手の剛速球に対して『秘打』で挑むテクニカルなバッターとしてスタジアムを沸かせるだろう。

 無論、キャバリアを借りずに生身で、あるいはすでに所有しているマシンで試合に参加しても良い。生身や他のメカでの出場は本来ならルール上あり得ないことだが、猟兵は世界に保護されているため疑問を抱くものはいないはずだ。

「どちらのチームの、どの選手の機体がオブリビオンなのかはわからなかったの、ごめんね。だから、試合をしながら怪しい相手を見極めてね。自分のチームにいるかもしれないし、相手チームにいるかもしれないわ」
 チームA『ホーリーゲイルズ』は伝統と格式があり、豊富な資金で機体のバージョンアップも積極的に行い、常に最新鋭のキャバリアを揃える名門チームだ。
 一方チームB『マッドスマッシャーズ』は新興チームで雰囲気も荒々しく、機体性能の差をラフプレイで補っていることで賛否両論だが、それだけ勢いと試合に掛ける熱意がある。
 どちらに所属するかは猟兵たちの自由だ。
 とりあえずは思い切り試合を愉しみつつ、油断なく周囲に目を光らせる……そんなところでいいだろう。

「この世界、決して明るい世界ではないと思う。でもだからこそ、人に夢と楽しみを与えるスポーツは大切だと思うの。みんな、がんばってね」

 満員のスタジアムが湧きたつ。
 アナウンスと登場ミュージックに合わせ、現れた猟兵たちは今、世界を掛けた試合に挑む!


天樹
 こんにちは、天樹です。
 今回は新世界・クロムキャバリアでのお話です。楽しく、でも熱血に。
 みなさんは試合を行いつつ、「どこかに潜んでいるオブリビオンマシン」を発見してください。
 なるべく「派手なプレイ」をして目を引いた方が、敵も反応してくるでしょう。敵の目標は全ての機体のオブリビオン化なので、有力な選手ほど侵食したがるというわけです。楽しくプレイしながら囮作戦、と言ったところですね。

 一章の「戦闘」はあくまで試合上のプレイとお考えいただき、あまり具体的指針にとらわれずとも自由に書いていただいて大丈夫です。『どちらのチームに所属し』『攻撃か、守備か、どういう派手なプレイをするか』『その上で敵のどんな反応を探るか』などを書いていただくとありがたいと思います。もちろん、生身あるいは自前のメカでの出場もオッケーです。

 では正々堂々と……プレイングお待ちします!
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第1章 集団戦 『オブシディアンMk4』

POW   :    ホークナパーム
【油脂焼夷弾】が命中した対象を燃やす。放たれた【高温の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    ピアシングショット
【スコープ照準】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【RSキャバリアライフル】で攻撃する。
WIZ   :    マイクロミサイルポッド
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【誘導ミサイル】で包囲攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アイ・リスパー
フィーナさんと

「クロムキャバリアでの平和(?)なスポーツ(?)を妨害するオブリビオンマシンは許せません!
いきましょう、フィーナさん!」

私達は『マッドスマッシャーズ』のメンバーとして試合に潜り込みます。
【強化外装】で『機動戦車オベイロン』をパワードスーツとして装着。
これならば選手の機体に紛れ込めることでしょう!

「来てください、フィーナさん!」

守備ではキャッチャーとして敵バッターの弱点を解析。
ピッチャーのフィーナさんの炎の魔球(魔法)をキャッチします!

「さあ、反撃ですっ!」

打席に立ってボールを打ったら、ボールとともにロケットランチャーも発射!
ボール落下地点を爆破しキャッチできないようにしましょう!


フィーナ・ステラガーデン
アイと

ん!新世界で暴れれるわけね!任せておくがいいわ!!

(マウンドにて)
・・・おかしいわ。どうして私はこんな所にいるのかしら
え、何アイしれっとキャッチャーしてるの!?
まあいいわ!食らいなさい私の魔球!【属性攻撃】
弱点はー、OK!顔ね!!しねえええええ!!

全員倒れれば私達の勝ちよ!え、だめ?仕方ないわね!
以後はアイの指示を聞いてピッチャーを行うわ!

バッターよ!さあって今度こそぶっ飛ばしていいわけよね!?良いって聞いたわよ!?
ぶっ飛ばしてやるわ!
バットにボールが当たった瞬間UCを発動するわ!しねええええ!!!

(アレンジアドリブ大歓迎!)



「クロムキャバリアでの平和なスポーツを妨害するオブリビオンマシンは許せません! いきましょう、フィーナさん!」
「ん! 新世界で暴れれるわけね! 任せておくがいいわ!! とにかく全員倒れれば私達の勝ちよ!」
「ちょっぷ」
 ごいん、と素敵な音が響いた。アイ・リスパー(電脳の天使・f07909)が、フィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)の後頭部をどついた音である。アイの行為である以上、それは角度スピード力の入れ方間合いタイミングに至るまですべて完璧で理想的な一撃であった。
「いったああ! ちょっと何するのよ!」
「こちらのセリフです! 駄目に決まっているでしょう! オブリビオンは一体だけ、それ以外はみんなまともな機体なんですよ。これは、観客の皆さんに、そして選手の皆さんにも夢と希望を与えるためのスポーツなんですから」
 腰に手を当てて目を尖らせたアイに、しかしフィーナはふふん、と胸を反らせる。
「ぬるいわ! 夢や希望なんてのは自分の中から生み出すものであって機械なんかに与えられるものじゃないのよ。そんなものに頼ってどうするのよ!」
「うわー暴論に見せかけた正論に見えてやっぱり暴論……いや、ですから、その人々が自分の中から生み出したのが、このスポーツなんですってば。おとなしく試合に集中してください」
 むー、とフィーナはやや不満げであったが、それでもアイの言う言葉は正しい。ここはアイに従うべきか、と彼女はおとなしく考えることにした。
 ……その結果。

「……で、……おかしいわ。どうして私はこんな所にいるのかしら」
 マウンド上で眉をしかめ、首を捻るフィーナの姿があったのだった。
「それに加えて、何アイしれっとキャッチャーしてるの!?」
「キャッチャーはフィールド全体を見渡すことができ、観察には最適です。それに相手チームのバッターも至近距離から調査することもできますからね。そして私がキャッチャーである以上、呼吸を合わせることができるフィーナさんがピッチャーなのも当然。以上、論理的に証明されました」
 平然と言い返すアイの小さく華奢な体は、今は水を制し陸を覇する機動戦車オベイロンに硬く覆われ、外見は周囲のキャバリア選手たちに遜色がない。
 ……というか、何もないところでさえ往々にして転ぶほどのアイがフィールダーをやるほうが少々無理があるわけだが。そっちの理由はあえて口にしないアイなのだった。
「ええい、まあいいわ! こうなったらなんでもやってやるわ! まず最初のバッターはあいつね! 弱点は顔と見たわ!」
「え、ちょっと待ってくださいフィーナさ……」
 アイの制止する間もあらばこそ。
 天をも、そう月をも焦がすような紅蓮の炎と化して猛り逸ったフィーナを止められるものはこの世に誰一人存在しない、そう、フィーナ自身でさえも。
「しねええええええ!!!!」
「ぐわあああああああ!!!!」
 CRAHAAAASH!!!!
 大気をも焼き尽くさんとする轟焔と共に唸った鋼の烈球が、今しもバッターボックスに立ったホーリーゲイルズの先頭バッターに突き刺さった! 壮絶な破壊音とともにそのメインカメラが粉微塵に粉砕される!
 思わずアイが頭を抱えた、その背後で
「キミ、何をやっているんだ!!」
 スピーカーの割れそうな音量でアンパイアキャバリアが叫ぶ。
(あーもう。それは怒られるに決まって……)
「まだプレイボールの宣告前だぞ!!」
「え、そっちで怒られたんですか!?」
 破壊行為の方じゃないんだ……、と思わず振り返って突っ込んだアイに、アンパイアは当然だというようにマルチセンサーを光らせた。
「当然だろう! きちんと私が試合開始を宣告してから投球を行いたまえ! まったく審判をなんだと思っているのかね!」
 ぷしゅー、とエアダクトから怒ったように排気するアンパイアを見て、やはり物騒なゲームであること自体は間違いないのだな、と納得するアイなのだった。

 かくして正式に試合が開始されたが、フィーナの火炎魔球は(最初のクラッシュボールで無条件に一塁へ出た1番バッターを除き)2・3・4番を連続で三振に切って取った。
「ふん! マッドスマッシャーズの新人に相応しい、品のない投手ですね。とにかく無駄に暴れればいいと思っているようですが、キャバリアボールはそんな下品なスポーツではありませんよ」
 攻守交代時に、憎々しげに捨て台詞を吐きながらグラウンドに向かっていったのは、ホーリーゲイルズの4番にしてエースである超高性能キャバリア、「ゴールデンデラックスグレートスーパーエンペリアルカイザー」であった。彼は自慢の高出力スラスター&反発フィールド発生器付き超硬合金バットをフィーナの火炎魔球に溶解させられ、黄金に煌めくカラーリングの機体のバランスを大きく崩し、あっけない三振を演じさせられたのである。
「む! なんですって!? 失礼な奴ね! 燃やすわ!」
「お、落ち着いてくださいフィーナさん」
 くってかかろうとしたフィーナを慌てて抑えながら、アイは電脳空間でデータを精査する。
 この選手は、以前から確かに、実力はあるものの、高圧的な態度で知られていたようだった。しかし、だからと言って、こうまであからさまに他選手を侮蔑してくるようなことはなかったらしい。
(……性格がやや凶暴化している? なるほど、確かにおかしいですね。では、この機体がオブリビオン化してしまった? それとも、他の、近くにいるオブリビオンに影響されているだけでしょうか……まだデータが不足ですね……)
「この借りはバッターボックスで返しましょう、まずは私が」
 アイは先頭打者として打席に立ちつつ、引き続き相手ピッチャーである「GDGSEカイザー(略称)」の分析を行い始めた。一球、二球、と「(略)カイザー」は確かに素晴らしいボールを投げ込んでくる。それをアイは冷静に見極めていた。
(発表されている公式データに比べるとやや機体の出力が高くなっているようです……それでいて不正改造をしている形跡はありません、やはりオブリビオン化なのでしょうか……)
 しかし、それ以上の考察をしている余裕はなかった。三球目が唸りを上げて投げ込まれてきたのだから。
(フィールド上に残った方がデータを集めやすいですね。ならば凡退するわけにはいきません……ここは出塁することです!)
 既に相手の球威球速コースタイミングは分析済みだ。アイはもっとも当たる確率が高い範囲にバットを──置くように横たえる、バントだ!
 狙いたがわず、アイのバットはしっかりとボールを捉え、鋼の球はころころとフィールドを転がる。
「ちっ、小技を!」
 「(略)カイザー」はスラスターを噴射し高速ダッシュで転がったボールを捕捉すべく走る、だが。
「そうはいきませんよ!」
 アイの撃ち放ったミサイルが上天から豪雨のように降り注ぐ! 競技用に威力を減じてあるとはいえ、その弾幕は地形を破壊し、複雑にバウンドしたボールは、まるで意思をもって前略カイザーを嘲笑うかのようにその捕獲用マニュピレータをすり抜けて、アイの一塁到着を成し遂げさせていた。
「次は私がバッターよ! さあって、今度こそぶっ飛ばしていいわけよね!? 良いって聞いたわよ!?」
 満を持してバッターボックスに立ったのはフィーナである。自らの身長を大きく上回るキャバリア用の巨大なバットをずりずりと引きずり、ぐいと天に向けて構えたその姿こそまさに恐るべし。
 その小さな体からは燃え上がる炎のような闘気が噴き出し、大地も天も悉く赤く染め上げていく。グラウンドを己のキャンバスとし、ただ真紅の絵の具のみで強引に豪快に塗りこめていくかのように。
「くっ、舐めるなっ!」
 前略カイザーもその気迫に対抗するように、渾身の力を込めておおきく振りかぶる。セットポジションではなくワインドアップ。ランナーを気にしていてはフィーナに対しきれないと悟ったのだ。各関節から充満したエネルギー光が漏れ、彼の本気を知らしめる。
「うおりゃあああああ!」
 おお、見よ。カイザーの脚部から腰、肩、肘、手首へと順次ブースターが轟音爆裂点火! 超絶のパワーが伝えられていく! そのすべての勢いをボールに込めて──今! 剛速球が放たれた! これぞ必殺の大カイザーボール!
 だが同時、フィーナの瞳がギラリと光る。彼女の動態視力はキャバリアのセンサーさえも凌駕し、その反射速度はキャバリアのオートドライブをも上回り、その身体に漲る限界を超えたパワーはキャバリアのエンジンを越えていく!
「もいっかい、しねええええ!!!」
 風が哭き叫び空が引き裂かれる勢いで振られたフィーナのバットは──刹那にさえも満たない一瞬で、見事にボールを捉えていた。
 だがそのボールに込められた勢いでフィーナは押し切られそうになる。バットとボールが互いに互いを食いちぎらんもののと拮抗し、空間が歪み、ぐにゃりとひしゃげた。
 それでも、フィーナはにやりと笑う。
「捕まえたわ! 覚悟しなさいよ! てぇえええい!!!」
 次の転瞬──
 バットもボールも、いや空間が丸ごとはじけ飛んだ。超新星の爆発かとも思える閃光と爆音、そして衝撃がグラウンド全体を覆い尽くす。
 おお、それこそはフィーナの全力魔法、暴走魔力の注入──!
 もちろん、ボールが吹き飛んでしまえば試合にならない。だがフィーナは辛うじて、ボールの切れ端だけは、オーラの防御幕によって大爆発から保護することに成功していた。
 オーラに包まれたボールだったものの残骸は、遠く高く飛び……そしてフェンスを越えていった。
「よぉぉし! ホームランよ! 見たかってのよ!」
 自らも魔力の爆発で黒こげになりかけながらも、フィーナは意気揚々と高く腕を上げ、塁を駆けていく。
 ……けれど。
「……ちょっぷ」
「いったぁあい! 何するのよ、アイ!」
 ホームインしたフィーナを待っていたものは、後頭部へのアイの手刀だった。こう、角度とかいろいろ揃ったやつ。
「フィールドに残っていた方がデータ集められるって言ったじゃないですか。ホームラン打ってどうするんです。帰ってきちゃったじゃないですか」
「それはだって……しょうがないじゃない! 勝負なんだから! 勝負には負けられないわ!」
 アイは吐息をついて頭を抱えつつ、それでも取得できたデータを何とか解析しようと試みる。
「……まあ、フィーナさんのホームランの時に、確かにオブリビオンの反応が一瞬膨れ上がりました。詳細まではつかめませんでしたが、明らかにこの試合場に潜んでいるのは確実ですね……」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒影・兵庫
キャバリアでスポーツなんて風習があるのは嬉しいです!せんせー!
(「心まで荒廃してない、ということだものね」と頭の中の教導虫が答える)
だからこそ!オブリビオンマシンは早急に倒さないと!
(「そのためにも、どっちのチームのどの機体に搭乗する?」)
チームは『マッドスマッシャーズ』、キャバリアは重装甲パワー型!
攻撃では場外へかっ飛ばす豪快なスイングを披露し
守備では外野で『衝撃波』を使った重装甲とは思えない高機動と
艦砲射撃のようなバックホームで観客を盛り上げようと思います!
そうして目立てば敵も侵食の標的として近寄ってくるはず!
そこを迎撃します!
(「よぉし!作戦開始よ!」)
了解です!
(UC【脳内教室】発動)


トリテレイア・ゼロナイン
※重装甲パワー型
(●ハッキングで機体と直結して●操縦し)
故郷の競技大会や戦闘試合の興行と似ていますね
機械は浪漫と言われても戦機の私には良くわからないのですが…

ともあれスポーツマンシップは騎士道に相通じるもの
その秩序を護る為、騎士として尽力しましょう

溶け込みやすいホーリーゲイルズにキャッチャーとして参加
攻撃は犠打など援護重視

同期機体のセンサーの●情報収集で敵の可動域や挙動●見切り、ピッチャーへ適切なサインを送り走者牽制
盗塁はUCでの●怪力スナイパー投擲剛速球
ホームではUC超反応で討ち取り

浸食手段が機体への接触の可能性鑑み、選手の不必要な危険プレーに注目
守備のこのポジションならば全体を把握出来ます



「キャバリアでスポーツなんて風習があるのは嬉しいです! せんせー!」
 心から喜ばしそうに、黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)は盛り上がってきた試合を眺めていた。
 そう、娯楽が、それも健全なスポーツがあるということは、
(……心まで荒廃してない、ということだものね)
 兵庫の脳内に生きる寄生虫、恩師にして慈母たるスクイリアも同感との意を伝えてきた。
「俺としてはダンスもいいものですよ、とお伝えしたいところです! キャバリアを使ってのダンス大会、きっとすごい迫力があって見事だと思います!」
 兵庫の言葉に、微笑んだようなスクイリアの感情が楽しげに揺れる。楽しい発想だ。どこまでも前向きで素直な兵庫らしい。そして実際、それはおそらく素晴らしい光景でもあるだろう。巨大な鋼鉄の機体が、ただ美と芸術のために舞う姿は。
 スクイリアは思う、いつか兵庫のその夢がかなうときの到来を祈りたいと。けれど、その前に。
(……そのためにも、この事件をまず解決しないとね)
「はい、せんせー!」
 スクイリアの願いを知ってか知らずか、兵庫は素直に力強く頷いた。

「故郷の競技大会や戦闘試合の興行と似ていますね……」
 一方、他の試合場の片隅では、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)もまた同じように試合を観戦していた。
「『機械は浪漫』と言われても戦機の私には良くわからないのですが……」
 出撃時に聞いたグリモア猟兵・ユメカの言葉がメモリに蘇り、トリテレイアは不思議そうに首を捻る。
 「浪漫」とは、おとぎ話や騎士道物語の中にあってその骨子を貫く抽象的雰囲気、と認識できる。
 そして、自分は機械……ロボットである。
 では、自分は生まれながらにして、おとぎ話の登場人物に近い存在であったのか。あれほど追い求めてきた騎士道物語の中の騎士たちに、自分は既に近い存在であったのか?
 そんなはずはない、とトリテレイアの理論回路は結論を下したがる。もし自分が「すでにそうある」なら、それを「求めることが出来なくなる」のではないか?
 パラドックスに他ならぬ。もし自分が「浪漫」なら、トリテレイアは彼の願望を既に叶えていることになり、そして同時に、それを追い求めるという道を失いかねない。
「……検討事項として保留しておくことにしましょう。今はまず、オブリビオンマシンを発見打破することが先決ですね」
 トリテレイアはその巨体を揺らし、試合場の奥へと消えて行った。気にかかる想いを強引に振り払いながら。

「おや」
「おっと」
 それは、かなり珍しい状況といえるだろう、
 同じ猟兵が、敵味方として顔を合わせたのだ。もちろんスポーツという場ではあるが。
 ホーリーゲイルズに所属していたのはトリテレイア。
 マッドスマッシャーズに所属していたのは兵庫である。
 二人は相互にすぐ、お互いを猟兵と感知した。兵庫もトリテレイアもキャバリアに搭乗してはいたが、選手アナウンスの時には機体ハッチを開けて観客の声援にこたえる。その際に互いを認識したのである。
 互いにかなり顔が広く、猟兵間に仲間の多い両者ではあるが、意外なことに彼らはまだ直接の知己ではなかった。
 とはいえ、共通の知人ならいくらでもいる間柄でもある。
(猟兵データバンクに照合開始、……他の皆様から伺ったことがある黒影・兵庫様と推論して間違いないでしょう)
(あの方は、多分トリテレイアさんですね! 他の皆さんから聞いていた通りカッコイイです! それに、せんせーと同じくらい大きいですね!)
 同じ任務であるのは確かだ。では、互いに協力して任務を遂行すべき、ということになるが。……だが、とトリテレイアのCPUは行動倫理に重大な疑義を生じた。それは相手チームと密かに意を通じることになるのではないだろうか。
(……ある意味では背信行為では? スポーツマンシップは騎士道に相通じるものですし、その秩序を護る為、騎士として尽力するつもりだったのですが……)
 トリテレイアはまた新しい問題にぶつかってしまっていた。ただのネタ依頼だと思っていてはいけない、組み合わせや流れでは結構シリアスな展開にもなるのである。
(せんせー、トリテレイアさんは何か考え込んでいるように見えますが?)
(きっと任務のことを真剣に考えているのね。黒影、見習わないとね。じゃあアタシたちも、作戦会議を始めるわよ!)
 一方、兵庫とスクイリアはトリテレイアの迷いなど知るすべもなく、普通に彼に尊敬の念を抱くのだった。

 それぞれの思いを余所に、試合は進行する。
 マッドスマッシャーズが2ランホームランにより2点を先行し、ホーリーゲイルズの攻撃。マッドスマッシャーズのバッテリーは交代しており、2塁にランナーを置き、トリテレイアに打順が回ってきていた。
(……この際、騎士としての大義はオブリビオンの発見と定義づけ、それを優先します。さて、ホームランを打てば同点ですが……)
 目立つことにより敵をおびき寄せる、という行動指針からすればホームラン狙いでも構わないはずである。しかし、とトリテレイアは相手チームの外野を守る兵庫の姿を認めた上で、考えを進める。
(ホームランを打ってしまえば、逆にその瞬間に反応は終息しますね。しかし、黒影様が守備でファインプレーを見せてくだされば……敵の反応は持続する可能性があります。であれば、黒影様に託す方がオブリビオンの反応を確かめやすい……チームの利に反する行為で、騎士としては問題があるでしょうが)
 しかしある意味、それも「犠打」ではあろう。チームに対しての犠打ではなく、より大きな視点、世界を護るという視点に立った「犠打」である。
 トリテレイアは己の回路に軋みを覚えながら、それでも決断を下した。
 トリテレイアの搭乗した重装甲キャバリアが鈍く光る重金属ヘビーバットを構え、動く要塞のような巨体の影を落としてバッターボックスに入る。
 難敵と見極めたマッドスマッシャーズ投手キャバリアの上半身が高速回転を始める。無論ボークなどは取られない、これはキャバリアボールであるのだから。
 竜巻のように超高速の旋風をマウンドに巻き起こした投手キャバリアから、吹きすさぶ風の中、第一球が──投げられた!
 高速回転により球速を増し、さらに旋風によりその球筋を見定めることを困難にする魔球……しかし。
「……追いつけますか、私達の時間に」
 トリテレイアの超電子頭脳は相手投手に劣らぬ、いやそれをはるかに上回る高速回転を為す! 単に打ち崩すだけならまだ容易い、けれどそれだけではなく、打球を兵庫の元へ導き、彼にファインプレーを為さしめなければならぬという至難の条件!
 すべてのセンサーが120%以上の性能を叩きだし、魔球の流れを把握する。同時にバットを繰り出す角度、タイミング、パワーのすべてを瞬間的に調整し、ハッキングしたキャバリアに伝えねばならぬ。トリテレイア自身が直接動くよりも、それはさらに困難を極めるも──おお、トリテレイアはそれを……為した!
 一閃、居合太刀の如く振ったバットがボールを捉え、高く澄んだ打球音、そして鋭いバウンドと共に外野へ運んだのだ。兵庫の護るポジションへと。
「きましたね!」
 兵庫は爛と目を光らせる。彼の搭乗するキャバリアもまた重装型。鋭く速い打球に追いつけるか、さらに、追いついたとしてバックホームに間に合うか。
 だが、その重々しい巨体からは想像もできないほどに軽やかに──その機体は舞った!
 それは兵庫が心に期待していた、キャバリアによるダンスが具現したかのようでもあった。兵庫の打ち出した衝撃波はふわりと重装甲の機体を風に乗せ、踊るように空へ身を投げ出させる。あたかもその機体自体が一陣の旋風と化したかのように観客には見えただろう。
 回転しながらのダイビングキャッチ。キャッチングマニュピレータに打球が自分から吸い込まれたかのように思えた次の瞬間、回転の勢いを殺さず、いやさらに──スラスターを全開にし、その勢いを加速して!
 兵庫は光さえ欺くような速さで、キャッチした打球を返球した、ただ真っ直ぐに、レーザーの如く、ホームへ向かって!
 ローラーダッシュで三塁を既に回ったランナーが高速でホームへ突っ込む、その背後から返球が届く。
 轟音と衝撃、そして濛々と上がった土煙がスタジアムを包み込んだ。
 ……やがて、その煙が収まった時。
 観客は見た、マッドスマッシャーズのキャッチャーキャバリアが展開した多重ブロックシールド……その数枚をぶち破りながら最後の一枚で食い止められていたホーリーゲイルズのランナーを。そして、キャッチャーがしっかり受け止めていたボールを。
「……アウト!」
 アンパイアキャバリアの宣告が高くスタジアムに響き、観客の歓声が天地を湧き讃えたのだった。
「きましたね、せんせー」
「……ふむ。黒影様の方に喰らいつくのは想定通りでしたが、こちらにも来るとは」
 そのスタジアムのざわめきの中、ただ二人のみは表情を険しくしていた。
 兵庫とトリテレイアである、
 二人はそれぞれ、今のプレーの直後に密やかに忍び寄ってきた「光の環」を各個に迎撃していたのだ。
 おそらくそれが、オブリビオンが放った侵食攻撃であったのだろう。
 ファインプレーを見せた兵庫を襲うだけならわかる、その素晴らしい動きには、誰しもが目を奪われただろうからだ。しかし、トリテレイアにも襲い掛かるとは。
「……だいぶ絞れてきたようですね」
 トリテレイアは小さく呟きながら、改めて今のプレーの際に何があったのかを検証し直していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

キャバリアボール☆いいわね♪
私のデモンキャバリアはエナジー製だから、生身の時と変わらない動きができるわ♪
左投げの技巧派ピッチャーとして参入したいわね。緩急自在のスライダーとごにゃーぽボール3号(イレギュラーチェンジ)、変則イーファスピッチ(山なり超スローボールと、高高度に投げ上げての高速落下ボール)。
アンダーの低いリリースポイントに慣れたとこにイーファスを放ればまるで消える魔球みたいに思えるでしょうね。かといって、イーファスを警戒して意識を上に向ければアンダーへの対処が難しくなる。
そして、ライズ。アンダーのジャイロは中速でふわりと浮かぶ魔球なのよ♪


エドゥアルト・ルーデル
全員ブチのめした方が早くない?と思ったがまあいいや、磯野ー野球しようぜ!

キャバリアなんぞいらン!生身のままでよろしい
マッドスマッシャーズで攻撃、盗塁で魅せるでござるよヒャッハー!
二塁へ盗塁時にスライディングしながら全身を【ドット絵】に変換!二次元のペラペラボディでタッチを掻い潜り塁を奪いますぞ!
変身の呪文は「野球ガデキテタノシイナ」
そのまま三盗決めて煽ったる!ヘイヘーイピッチャー球遅っせぇぞー!

最後はホームスチール!
タッチされる瞬間に軽快なジャンプ音を立てながらキャッチャーを駆け上がり踏み台にしてジャンプ!ホームベースに華麗な着地!
盗塁は足の速さだけで決まるものではない!テクニックでござるよ!


幻武・極
チームB『マッドスマッシャーズ』
まあボクは伝統や格式より新しい風を吹かせる方が好きだしね。
それに武術家としては常にチャレンジャーであり続けたいからね。

とりあえず、情報収集からかな。
まずは両チームの猟兵は確認しておこう。
本来の目的を忘れたら意味がないからね。
猟兵を含め要注意選手には警戒をしておくかな。
チームの中にオブリビオンが潜んでいるかもしれないから疑われないためにもね。

生身で出場し、バットをさんざん振り回してからのホームラン予告をしておきながらのピッチャー返しで反応を見てみようか。
羅刹旋風まで合わせた速球にどう反応するかな?



「ISONOー野球しようぜ! なおこの場合のISONOは一般的に野球しようぜという言葉に付随する定型詞であり個別具体的な特定の存在を意味するものではありませんぞ?」
「……誰に向かって何を言っているのかしら……第4の壁? 何それ」
 マッドスマッシャーズ控室には、エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)の不可解な言動に首を捻るアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の魔少女・f05202)の姿があった。彼女の豊富で優れた透視系能力をもってしても、エドゥアルトの心中はよくわからない。というか、多分わかってはいけない。エドゥアルトを覗き込んだものはその時同じくエドゥアルトに覗かれているのだという格言もある。
「……世界メタ、ね。まあ、ボクもある意味似たような存在だから、若干わからなくもないかな」
 幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)も小さく苦笑した。極もまた、世界の枠組みそのものを超越した存在に近い。もっともエドゥアルトがそういった自分を愉しんでいるのに対し、極の場合は己の小さな胸に刺さったとげのようなものではあったが。

「……ほう、てめえらが新人か。ふん、どこまで使えるんだかな」
 そんな猟兵たちの前に、一機の巨大なキャバリアがゆらりと濃い影を引いて現れた。
 漆黒のボディに髑髏をかたどったヘッドパーツ、そして、おお、何たることか。その胸部には、大いなる神秘の力を宿すという東洋の文字、「カンジ」が使われ、敵への恐るべき精神攻撃と威圧を為さしめているではないか。
 この機体こそ、マッドスマッシャーズのNo.1スラッガーであり守備の要でもあるキャッチャーの「デスデビルデンジャーデストロイデーモンmk.13」通称D5である。そのパワーは絶大であり、チームの得点の多くを稼ぎ出しているという。
「何人も抱え込みやがって、うちのチームも貧乏所帯の癖に張り込みやがる。だが言っておくぜ、うちのトップはこの俺だ。新人があまり出しゃばらねえことだな。キャバリアボールではな、相手チームからばかり攻撃されるとは限らねえんだぜ」
 D5は髑髏の眼の奥に不気味に赤く灯るセンサーアイで猟兵たちをねめつけると、ゆっくりと踵を回し、重々しいギアの音を鳴らして出て行った。
「ずいぶん攻撃的な態度ね、もしかしたらあれがオブリビオンマシンなんじゃないかしら?」
「ま、注意して見ておいたほうがいいかもね」
 D5の後姿を見つめながらアリスと極が肩をすくめる。しかしその隣で。
「……いや、っていうか。あの漢字はあれでいいんでござるか?」
 エドゥアルトが髭の奥でゲラゲラと笑いを漏らしていた。
「ああ、多分、『呪』って書きたかったんだろうなあ……」
「……『祝』だったけどね……」
 ……クロムキャバリアは長距離間の交通が遮断された閉ざされた世界である。故に、遠い世界の文化や伝承の姿が変わってしまっていても仕方がないのだ。クロムキャバリアの哀しい現状をよく表した事件であった……。

 そんなこんなで試合である。
 序盤にマッドスマッシャーズが2点を先制し、そのあとも猟兵選手たちの活躍で押し気味に試合を進めていた。しかし、機体性能で全体的に上回るホーリーゲイルズがそのあと1点を返し、勢いを押し返しつつあった。
 2アウト2、3塁、一打出れば同点から逆転。しかもバッターはホーリーゲイルズ不動のスラッガー、ゴールデンデラックスグレートスーパーエンペリアルカイザー!
 この絶体絶命の流れを止めるべく、マッドスマッシャーズは期待の新人をマウンドに送りだす。
 深く静かな夜のエナジーそのもので生成された凄艶にした流麗なワンダーデモンキャバリアを身に纏う、その名はアリス・セカンドカラー!
「いきなりリリーフとはね。ま、やりがいはあるわ」
「ふん、新人ごときに私を止められるとは思わないことですね。このまま一発で逆転し、この試合の栄光と歓声はすべて私が頂きましょう」
 カイザーがヘッドパーツの前から垂れる長い放熱ケーブルをふぁさっと靡かせ、堂々たる足取りで歩み出る。
「ケッ、なめんじゃねえぜ気取り屋。てめえを打ち取って、この試合はこのまま俺たちのもんだ」
「下品な獣が球界の宝たる私にキャンキャンと吠えかかるとはまだ躾が足りないようです、私のバットで身の程を教えてあげましょう」
「何だとぉ、この野郎!」
 キャッチャーとして構えるD5が憎々しげに相手を見上げて吐き捨て、それに対してさらにカイザーが食って掛かる。
 その姿を、アリスはじっくりとマウンド上から眺めながら考えていた。
(どっちもまあ、ずいぶん攻撃的で、オブリビオンマシンの可能性自体はありそうね。でも、オブリビオンにしてはちょっとどっちも……IQ低い気もするわね……もしかして単に、素でアホの子ってだけなのかしら、どっちも)
「ええい、遅延行為とみなすぞ! どちらも早く試合に戻りなさい!」
 アンパイアの一喝で、カイザーとD5は不承不承のように口論を収めた。
 バッターボックスに立つカイザーを前に、アリスはキャバリアの中で唇に笑みを浮かべる。
 オブリビオンであってもなくても、とりあえずは、今のこの戦いに集中することだ。試合の趨勢を掛けた強打者との対決、ピッチャーにとってこれほど昂ぶる舞台があろうか。
 アリスは身構えると、大きく腕を振る。おお、深く深く沈んだその動きは、あたかも大海洋を思うがままに潜航するサブマリン!
 大地から土煙を立てんほどの低高度から、アリスは風を巻き起こし、第1球を、投げた!
「むうっ!」
 カイザーは黄金の機体を軋ませ、ブースターを噴かせて加速し、スイングを試みる、しかし。唸ったボールは大きく軌道を変え、カイザーのバットを嘲笑うかのように曲がった。
 バシィ、とキャッチングマニュピレーターから音が響く。D5は自らも身体を投げ出すようにして、空間ごと歪んだようにさえ見えるアリスの高速超絶スライダーを止めたのだ。
「ットライック!」
 アンパイアの声が上がり、D5はぶるると髑髏のヘッドギアを振る。
「ケッ、なんて球だ、新人。俺じゃなければ取れなかったぜ」
「ふふ、でもあなただから取れた、それでいいじゃない?」
 いい返球を受けながらアリスは笑む。心の中で、この反応は普通の選手としてのものなのか、それともオブリビオンとして、侵食すべき獲物を見つけたという意思なのかと考えながら。
 続けて2球目──アリスが投じたのは天まで届かんと思える山なりの超スローボール。カイザーは完全にタイミングを狂わされ、たたらを踏むように体勢を崩して二回目の空振りを喫する。
「さあ、次で三球三振よ!」
「くっ、次こそは!」
 ぐっと球を前に突き出し勝負を賭けるアリスと、全身からエネルギーを放出しフルドライブを始動して構えるカイザー。
 アリスはマウンドをならすと、きっと相手を見つめる。ワンダーデモンキャバリアの眼光が迸り、カイザーのセンサーアイの光と絡み合ってバチバチと火花を散らす。満員ながらも、水を打ったように静まり返ったスタジアムの背後で、雷鳴が轟き稲光が奔った。
「はああああっ!」
「ぬおおおおおおっ!」
 三度、アリスの身体が沈む、蒼い海原に深く姿を消すサブマリンのように!
 もうその球筋はメモリに刻んだと、カイザーのバットがブースターを点火して始動する。そのブースターはスイングスピードを高めるのみならず、変化球に追随する姿勢制御スラスターとしても機能するのだ!
 嗚呼、しかし。
 アリスの手から放たれたボールは、海底深く姿を隠したに終わらなかった。
 そこから一転、天を突いて浮き上がる! 波を裂いて浮上しそこから空の高みへと飛び立つかのように! これこそ魔球ジャイロボール、しかもアンダーの手によるそれは、重力を無視したかのように、中途から浮かぶのだ!
「何ぃぃぃぃっ!?」
 それでも最新鋭の機体の全性能をオーバードライブさせ、必死に食い下がろうとしたカイザーだったが、僅かに。ほんの一瞬、ほんの数ミリ、及ばなかった。
 次の瞬間、ボールは見事にキャッチャーの手に収まっていたのだ。
「ストラッック、バッターアウッッ!」
 アンパイアが宣告し、茫然と立ちすくむカイザーを尻目に、マッドスマッシャーズの面々がフィールドから帰ってくる。
 アリスもゆっくりとマウンドを降り、ベンチへと向かいながら、ちらりと振り返っていた。
 ──彼女の鋭敏で繊細な透視能力は、まぎれもなく強く膨れ上がる邪気を捉えていたのだ。オブリビオンマシンの妖気を。
 アリスの送る視線の先は、ホーム……そこにはいまだに佇むカイザーとG5の姿があった。

「ぐえええええ!!!」
 攻守交代し、マッドスマッシャーズの攻撃。
ばたりとバッターボックスでエドゥアルトが倒れていた。その身をあたかもドット絵がバグったかのようにバラバラに砕け散らして。
 ちなみにエドゥアルトは生身である。いやキャバリアであっても大事ではあるが。
「クラッシャーボール、バッター1塁!」
 しかしアンパイアの声に、ひょこりと起き上がったエドゥアルトはそのままトコトコと1塁へ向かった。無論こう見えてエドゥアルトはきちんとしているので、自分のばらけた体をちゃんと元に戻してからである。スポーツマンシップに則っていると言えよう。
 だが無論、相手チームは恐れ慄く。生身で出場すること自体には世界の加護が働くとはいえ、そこで起こす行動自体には驚くというものである。特に今のように非常識な現象には。
「な、なんだあれは……まさか光学迷彩を持った機体なのか!? マッドスマッシャーズのような貧乏チームにそんな機体が!」
 繰り返すがエドゥアルトは生身である。あくまでこれはユーベルコードの効果であった。
「デュフフ。塁に出さえすればこっちのもんでござるよ?」
 にたりと髭の中でほくそ笑んだエドゥアルトは、相手に動揺を与えた今の瞬間こそが好機と睨んだ。立ち直る心の余裕を与えてはならぬ、畳みかけるべし!
 瞬時にエドゥアルトは二塁へと向かう。同時に広範囲にあたりかまわず撃ちまくった衝撃波で巻き起こした土煙に身をまぎらせて。左様、いかなる場所であってもその地形を効果的に利用することは、戦場傭兵たる彼の面目躍如に他ならない。
「ちっ、舐めてもらっては!」
 しかし高速の返球が二塁へ送られた。ホーリーゲイルズの機体はすべて高性能、濛々たる土煙であろうと見通す高機能センサーを完備しているのだ。対して、いかに身のこなしが素早いとはいえ、エドゥアルトは生身。スピードでは及ばず、タイミングとしてはあえなく憤死かと思われた……しかし。
「野球ガデキテタノシイナ」
 今再び、エドゥアルトのユーベルコードが常識を覆す!
 その身は瞬時に次元の一つを欠いたかのように薄い被膜と、いやドット絵と化したのだ。
「うわあああ!?」
 クロムキャバリアという世界の性質上、この技の効果は計り知れない。そう、二塁手の立場にしてみれば、己の機体のモニターがいきなり故障し、ドット絵を映し出したようなものなのだから。
 いや、各キャバリアの機体そのものもその現象に対応しきれず、次々とエラーを吐く。
 その間隙を縫い、エドゥアルトは悠々と塁上に到達していた。
「盗塁は足の速さだけで決まるものではない! テクニックでござるよ!」
 ……それはテクニックというのだろうか。
 無論、エドゥアルトと言えども、ただ驚かせることが目的だったわけでも、またシンプルに試合に勝つことだけが目的なわけでもない。その双方とも、一応エンジョイ&エキサイティングという彼の理念に合致したものではあるとしても、少なくとも、一応猟兵の仕事はしようとしている。一応。
(さーて。今の展開、すなわちユーベルコードに「驚かなかったもの」……つまりオブリビオンは誰でござるかなー?)
 塁上からグラウンドを見まわすエドゥアルトの眼は、ある一点を捉えていた。
(ふふん。……ま、あのあたりでござるかなー)

「わかりません、何故です?」
「え?」
 マウンドに立つホーリーゲイルズのエース、カイザーから、次のバッターである極は言葉を掛けられていた。
「この試合に出場したあなたたち新人は、みな素晴らしい力を持っている。残念ながら認めましょう。ならばなぜ、多くがマッドスマッシャーズなどに所属したのです? 我々、伝統と格式のホーリーゲイルズの方が、はるかにあなたたちの力を発揮できると思いますが」
「伝統と格式かぁ……」
 武術家である極は小さく笑みを浮かべた。
 武術は古来より受け継がれ、その歴史と共に長く育まれて、伝わってきたものだ。
 ゆえに、伝統そのものを軽視するつもりは極にはない。それはそれで、尊重すべきものだろう。
 けれど。
「……守・破・離、って言葉があってさ」
 少しだけグラウンドを吹きすぎる風を見つめてから漏らした極の言葉に、カイザーはセンサーアイを怪訝そうに瞬かせた。
「伝統を守る。それは最初の段階。大事な基礎だよ。何事もそこから始まる。……でも、その基礎が出来たら、次はそれを、あえて破壊しなきゃいけない。いつまでも伝統にとらわれていちゃいけないんだ。それが武術の考え方さ」
 そう、頑迷固陋と古い考えややり方にこだわっていては進歩を生み出すことはない。それゆえに、極は常に、新しい風を吹かせることを目指すのだ。
「そうですか……仕方がありません。では勝負です!」
「うん、受けて立つよ!」
 大きくバットを振り回しながら、極はボックスに立つ。その先端はバックスクリーンへと向かう……すなわち、ホームラン予告として!
「むっ! 普段なら気に喰わないところですが、あなたたちにはそれだけの力があるのは確か。ならば……こちらも全力でお相手しましょう!」
 カイザーはマウンド上で大きく振りかぶると、同時に、背部のスラスターを全力で噴かせる! その構えは、先程他の猟兵が討ち破った大カイザーボールとも異なる投法!
「受けてみなさい、大カイザーボール2号!」
 次の瞬間、さしもの極も目を大きく見開いた。
 カイザーは球を握りしめたまま──自分自身もろともに打席へ突っ込んできたのだ!
「そう、私自身がボールになることです!」
「何でもアリだねこのスポーツ!」
 しかしいかになんでも、それはボークではないのか? ──否。
 よくご覧いただきたい、カイザーの脚部はピッチャーズプレートに置かれたまま、長いワイヤーで射出された本体とつながっているのだ! すなわちプレートを外してはおらず、ボークにはならない! っていうか、だいたいこれは野球ではなく、あくまでキャバリアボールなのだから!
「すごい技だ! でも、それには致命的な弱点があるよ! それは!」
 極は臆せず、小さな体で巨大なキャバリアが真正面から突っ込んでくる凄絶な勢いに立ち向かう。長いバットが旋風を巻き起こし、暗雲を引き裂くかのように吠え猛った!
「それは……打たれたらキミ自身も一緒に吹っ飛ぶことだよ!」
 鮮烈な打球音が響き渡り、荒れ狂う衝撃が大地を激震させた。
 これぞ極の秘技、羅刹旋風に他ならぬ! ボールもろともに撃ち返されたカイザーはそのまま外野まで凄まじい勢いで叩き返されていた。
「これも一種のピッチャー返し、かな?」
 くすりと笑いながら極はダイヤモンドを駆ける。その向こうでは、猛然とダッシュしたエドゥアルトがまたしてもドット絵と化して周囲のキャバリアに強制エラーを引き起こし、本塁を陥れていたのだった。
 硬直したキャッチャーのボディを踏み台として天高く跳躍し、ホームへ見事な着地を決めたエドゥアルトがダブルピースを決めている姿を見て、極は苦笑する。
(……守・破・離の最後の一つ、離は、教えを守ることにもこだわらず、かといって破ることにもこだわらない自由な境地のことだけどさ。……あそこまで自由なのはすごいよね)

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『機体整備』

POW   :    破損した装甲を修理する

SPD   :    武装を整備し、動作不良を予防する

WIZ   :    新たな兵装やAIを組み込み、更なる強化を目指す

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 試合は前半を終了した。
 キャバリアボールは激しい試合展開によりキャバリアが損傷することが珍しくないため、前半と後半の間に短いメンテナンスタイムが置かれている。
 今が自由に動く好機と言えるだろう。
 猟兵たちは、前半の試合で怪しいと睨んだ相手をさらに深く探るべく、『ホーリーゲイルズのベンチ裏やブルペン』『マッドスマッシャーズのベンチ裏やブルペン』『その他、スタジアム内の気になる場所』へ移動し、オブリビオンマシンの確証を得るべく調査しても良い。
 また、チーム内のメンバーや職員などに聞き込みを行ってもいいだろう。
 果たしてオブリビオンマシンは誰なのだろうか。
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
実は私も第4の壁を越える側なのよね。今回は自重するけど。(等と思い込んでるだけの世界シミュレーション仮定罹患者)

ドラマなんかだとあからさまに怪しい行動するやつはミスリードで実は味方側なんてのがお約束なのだけど、現実は非情なのよね……。
接触してきたのには混沌魔術でマーキングしておいたから、集合無意識の海を介して分霊(式神使い)を憑依(降霊)させて、感応能力(第六感/読心術)で精神世界を読み解いて情報収集といきましょうか。ミステリに超能力や魔術は禁じ手だけど現実は以下略。
並列思考(瞬間思考力/多重詠唱)によるマルチタスクは混沌魔術師の嗜みよ☆


幻武・極
さて、ボクは彼の元に行ってみるかな。
やあD5、キミに初めて会った時から気になっていたんだけど、キミのそのマークは漢字だろ?
ボクも登録の時はここの書式に合わせてKiwame Genbuにしたけど本当は幻武 極って書くんだよ。
東方の小国家出身でいろいろカッコいい漢字を知っているんだけど興味ないかい?

ざっと、こんなものかな。
さっきよりもかなりカッコよくなったんじゃないかな(おめでたいという意味で)。



「やあD5。試合は優勢だね」
 幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)はフランクに声を掛けながら、機体整備を行っていたデスデビルデンジャーデストロイデーモンmk.13の元へと現れていた。
 じろりと極の小さな体を睨みつけ、D5のパイロットは不機嫌そうな顔を見せる。
「ふん、新人か。何の用だ。邪魔すんじゃねえぞ」
 尖った言葉を投げつけたD5に、極はそのキャバリアの胸元を指差し、感心したような声を出して見せた。
「いや、キミに初めて会った時から気になっていたんだけど、キミのそのマークは漢字だろ? カッコいいよね」
「何っ!? そうか、この良さが分かるのか、チビ。てめぇいいセンスしてるじゃねえか、見直したぜ」
 途端に上機嫌になったD5に、極は続けてその顎の下を撫でるように柔らかい言葉を紡いでいく。
「実は、ボクも登録の時はここの書式に合わせて『Kiwame Genbu』にしたけど、本当はカンジでさ。こう書くんだよ」
 手元にあったカラーリング用のスプレーで、極は自らの名前を示して見せる。──『幻武・極』。
「実はボク、東方の小国家出身でいろいろカッコいい漢字を知っているんだけど興味ないかい?」
「そ、そうなのか!? じゃあてめぇの機体にもカンジが……いや、機体? お前、どんな機体を持っていたっけ? しかし機体を持っていないなどあり得ねえしな……?」
(……おっと、微かにだけど、違和感を覚えているようだね)
 極はD5の反応を興味深く見守る。世界の加護を受け、基本的には違和感を抱かれることはないはずの猟兵。その猟兵に対し、事前情報なしで何らかの反応を示しうるものは、同じ猟兵か、あるいは。……オブリビオンか、である。
(とはいえ、確実にボクが猟兵だとわかっているってわけではないんだね。なんとなく変だ、と感じているって程度か……)
 影響を受けているだけでD5がオブリビオン本体ではないということなのか、それともまだパイロットへの侵食が不十分なだけで、機体がオブリビオンマシンであること自体はビンゴだったのか。そのどちらの可能性もある、と極が判断を保留していた時。
 事態は動いた。

 それは、ほぼ同時刻のことだった。
「さてと。ドラマなんかだとあからさまに怪しい行動するやつはミスリードで、実は味方側なんてのがお約束なのだけど、現実は非情なのよね……」
 アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の魔少女・f05202)はまだ前半の試合の興奮の残るスタジアムを見回しながら、細い指を顎に当て考えていた。
 オブリビオンに侵食されているのだから、その破壊衝動を抑え込むことはできないだろう。暴力性や怒りっぽさが前面に出てきている可能性が高いはずだ。
「……まあ、このスポーツの選手はだいたい攻撃性が高い気もするんだけどね」
 肩をすくめてくすっと微笑むアリスは、しかし無論策を用意していた。──混沌魔術。
 彼女は既に接触者に対し、一種のマーキングを行っていたのだ。各人の潜在意識にその繊手でそっと触れるかのように。
「あとは集合無意識の海を介して情報収集ね。……ふふ、ミステリに超能力や魔術は禁じ手だけど、現実は非情、よね」
 荒く波打ち逆巻き飛沫を上げる闇黒の夜の海を覆わせる集合無意識。無数にして無限の人々の本能や欲望が理性の枷なく荒ぶる、その原初の混沌に僅かなりとも触れるものあれば、その自我はたちまちに飲み込まれ、己自身を喪ってしまうだろう。……普通の人間であれば。
 けれどアリスこそは混沌魔術師、ケイオスを寝床としその不条理と遊び無秩序と戯れるもの。彼女にとり、人の無意識を手玉にとることなどは息をするがごときもの。
 そう、たとえ無限の可能性に接触しつつ、その情報を解析するには、同数に思考を分割し並列同時展開を行うという離れ業さえも求められるとしても。
 それさえも魔術師のたしなみと可憐に笑ってのけるのが、アリスという恐るべき少女に他ならなかった。
「ん……この機体と……それにこの機体は、かなり色濃く影響されているけれど、でも、オブリビオンマシンの本体そのものじゃない……」
 瞼を閉じて精神を集中させつつ、アリスは海底から浮き上がっていく夢幻泡沫のような無数の思考を探りながら、可能性を一つずつ潰していった。
 そこに浮かぶ『容疑者』を絞り込みながら。
 ……やがて、アリスはそのうちの一つにふと注意を止めた。
 明らかに深く、濃く、淀んだ瘴気にも似た感覚。まともな人間では──いや、まともな生物ではあり得ない、『骸の海』より現れしものの手ごたえを感じて。
「……ああ、そう言えば。……あの時、私が感じた反応の場には……確かに、いたわね」 
 アリスは瞳を開け、その「感覚」が誰であったのかを悟りながら、くすりと笑む。記憶をたどり、頷きながら。
「考えてみれば確かにね。……すべての機体を侵食しようというのなら、これほど適したポジションはいなかったわ」
 だが、その時。
 アリスに思考を触れられたことに僅かにでも気づいたのか、その相手は大きく反応したのだ。

「うわっ、なんだこれは!?」
「下がって!」
 虚空から現れた『光の輪』に、D5のパイロットが驚愕の叫びをあげた時、極は素早く相手を庇って前に飛び出していた。
 『光の輪』はその瞬間、あたかも生き物のように二人へ踊りかかってきたが、極はとっさにその身に闘気を纏い、オーラの如き防御壁と為してその一撃を防ぐ。
「『侵食』に来たね……ってことは」
 ──D5は『シロ』だ。
 D5以外の何者かが、D5、そして極を『侵食』しに来たのだ。おそらく、どこかで別の猟兵がオブリビオンに何らかの接触を果たし、それによって急激に反応を起こしたのだろう。
「絞れたね、とりあえず今はこいつを始末しないと」
 極は高く跳躍し『光の輪』の追撃を回避すると、整備用のクレーンに捕まり、大きく反動を利用して間合いを取る。それに対して『光の輪』が勢いよく距離を詰めようとした時、逆に極は鋭く突っ込んでいった。極との相対距離を測り損ない、『光の輪』の反応が一瞬遅れる、そこへ極は気勢鋭く拳を叩きこんでいた。
 間合いは常に己の感覚で取り、相手にペースを合わせない、武術の基本である。
 極の一撃に、『光の輪』は小さな火花を上げて消えて行った。
「お、お前一体……それに、今のは……!?」
「何、大したことじゃないさ。それに、実はさっきから、ボクの方が驚いてるんだからね」
 極はD5のパイロットを改めて見つめ直し、くすりと笑う。
「試合前はキャバリアに乗ったままだったし、ボイスは効果が掛かってたから分からなかったけど。……キミ、……女の子だったんだね」
 そこにいたのは、パイロットスーツも可憐な、華奢な一人の少女だったのだ。
「な、なんだよ。俺が女じゃ悪ィのか」
「いや、全然。ボクも女だしね、ふふ」
 確かにキャバリアに関しては機体との相性とパイロットの操縦の腕が確かでありさえすれば良く、性別は関係ない。毒々しい外装も、そうとわかれば、なんだか急に可愛らしいゴスロリ少女の背伸びのように思えて来て、極はなおもくすくすと笑い続けたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

播州・クロリア
(マッドスマッシャーズ所属の整備員に変装しモニターで試合を観戦しながら拍手をする)
キャバリアでのスポーツというのはテレビ越しでも迫力満点で
これが大人気になるというのも頷けます
さて...
(モニターを消しキャバリアの格納庫に潜入する)
やはり調べるならキャバリアの方でしょうね
(機体の整備をしつつも軽やかなステップで『ダンス』をする)
踊っている方がリズムをつかみやすいですからね
キャバリアからも搭乗者のリズムが仄かに感じられます
みなさん荒々しいですが競技に対する情熱は凄まじいです
これなら世界の破滅を願うなどと競技を冒涜するようなリズムなど一目瞭然でしょう
(UC【蠱の一念】発動)


エドゥアルト・ルーデル
拙者はヒャッハー共のマシンの魔改造に勤しみますぞ!

激しいプレーに必要なのは頑丈なボディとパワフルなエンジン…やはりエンジン…エンジンは全てを解決する…V8を讃えよ!
エンジンの燃料混合比の調整やらで懐に優しく…イザという時の為にリミッター解除を仕込んでおいたがエンジンには内緒にしておいてくだされ
モヒカン共!貴様らのマシンに命を吹き込んでやる!

調べるならトッププレイヤーのカイザーかD5ですな
びっくりするぐらいヒャッハー側に猟兵が集まっとるしD5は誰かが調べるだろとメタ読み
カイザーをストーキングするようにその辺に居た【知らない人】に頼んどいたヨ
拙者に正体を聞かれても知らないし…誰こいつと言う他無い



「……女の子じゃないんでござるか?」
 愕然とした表情でエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)が立ちすくむ。目の前には、ゴールデンデラックスグレートスーパーエンペリアルカイザーのパイロットが困惑しきった表情で立っていた。若く眉目秀麗ではあるが逞しい体躯のイケマッチョ男性である。男性である。大事なことなので2回書きました。
「……訳が分かりませんが、何故私が女性でなければならないのです?」
「だって」
 とエドゥアルトは震える指で上を指す。
「上のリプレイでD5ちゃんが女の子だった展開やったじゃん! そしたらこっちも期待するじゃん!」
「上に何があるのです? というか何故D5が女性なら私が女性でなければいけないのです? というか何故相手チームのあなたがここにいるのです?」
「やだーやだー、拙者もD5ちゃんの方に行けばよかったー! prprしたかったでござるよー!」
 ジタバタするエドゥアルト。だって同じ展開したってつまんないし。
「くすん……もういいですぞ、じゃ『知らない人』、あとよろしく」
 とぼとぼと帰っていくエドゥアルトの後姿に、狐につままれたような表情を浮かべるカイザーだった。
 そんなカイザーを物陰から壁に片手を当ててじーっと見つめている『知らない人』の存在には気づかないまま。
(……見ていますよ……)

「……モニター越しでしたけど、とても迫力がありましたね。キャバリアスポーツが大人気だというのも頷けます」
 先ほどまでモニター越しに観戦していた試合を心中で何度も反復しながら、播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)は満足げな表情を浮かべていた。スタジアム内の通路に美しい長身を歩ませながら。
試合そのものも熱中できたし、それに加えて
「あにさん、とてもカッコよくてリアでしたしね。あのファインプレーはもうSNSや今夜の各局スポーツニュースで大評判に違いありません」
 兄である黒影・兵庫の見せた大活躍にも大喝采を贈っていたのだ。
 選手として兵庫が表から、一方クロリアは整備員に扮し、裏に回って事件を調べる。兄妹ならではの、これもまた息の合ったファインプレーの一つともいえるだろう。
「……さて、こちらからの調査をしてみましょう」 
 自分が身に着けた整備士の制服を改めて整え、クロリアが向かったのは、マッドスマッシャーズのキャバリア格納庫だった。機体の反応からオブリビオンマシンの特定を試みようというのがクロリアの考えだったのである。
「このむしゃくしゃはすべて機体にぶつけるでござるよ! モヒカン共! 貴様らのマシンに命を吹き込んでやる!」
 ……もっとも、そこでなんか妙に燃えている男がいたが。
「……すみません、何を?」
「おお、黒影家妹氏、奇遇ですな。やはり妹氏もV8を讃えに来たのでござろう? エンジンはすべてを解決する……うぉぉぉ! V8! V8!」
 もちろんそれは怒りの死の道を突っ走っていそうなエドゥアルトであった。彼もまたキャバリアの機体に目を付けたという意味ではクロリアと同じだったのである。
「なにか悲しいことがありましたか? ダラキュなリズムがしますよ」
「うん、とても悲しかったの。ゆえに! その行き場のない感情を込めて、すべてのマシンをいじくりまわしてくれるわー!」
「……よく分かりませんが、まあ公式のレギュレーション内ならいいのではないでしょうか。それに、なんだかリアで面白そうですし」
 かくして、なんだかよくわからないけれどにぎやかな一幕が展開されることとなった。
 エドゥアルトが憤怒と哀しみをその手に込めて凄まじい勢いでキャバリアのカスタムをはじめ、その傍らではクロリアが優雅に華麗に天女のように舞い続ける。ハーブでも……と言いたくなるような光景だが、それでも不思議と、二人の息は合っているように見えた。不協和音ゆえの和音、とでも評すような。
 無論二人はただ遊んでいるわけではない。エドゥアルトは機体を徹底的に調べ、またクロリアはそのキャバリアたちの内部に潜むパイロットたちの息吹、鼓動、そして情熱を感じ取ることで、それぞれオブリビオンマシンをあぶり出そうとしていたのだ。
 ……しかし。
「んー、みんな、ふっつーの機体ですなー」
「確かに。リアな情熱を感じ取ることはできましたが、ダラキュな波動はどの機体にもありません……」
 ほとんどの機体を調査し終わった二人が首をかしげた。どこにもオブリビオンマシンらしき反応は見いだせなかったのだ。
 だがその時。
(聞こえますかヒゲ……私は知らない人。今あなたの脳内に直接語り掛けています……)
「誰!? 誰なの!? 怖いよぉ!」
「ど、どうしたんですか?」
「今拙者の脳内に知らない人がいきなり声を」
「ルーデルさんにも、あにさんとおふくろさんのように、脳内に寄生する蟲が?」
「もっと怖いこと言いだすのやめて―! いやまあ、知らない人からの声って時点で知らなくはないのでござるがね」
 そう、その声はエドゥアルトにとっては『知らない人』だった。しかし、『知らない人』の声が直接響く時点で、それは先程発動していた彼のユーベルコードに他ならないのだ。
(ヒゲ……なんかヤバいです。カイザーさんが変な「光の輪」に襲われています……)
 知らない人からの急報に、おっと、とエドゥアルトはヒゲを撫でる。
 オブリビオンがカイザーを襲った……それはつまり、と彼は眉をしかめたまま、クロリアに状況を説明した。
「オブリビオンが、カイザー野球しようぜ、って言ってきてるらしいですぞ」
「な、なんですって!? それはダラキュです、すぐ助けに行かないと……」
 クロリアは慌てて格納庫を飛び出して行こうとする。しかし、ここはマッドスマッシャーズの格納庫。対して、カイザーがいるのは広いスタジアムの正反対側……ホーリーゲイルズの格納庫だ。いかに猟兵の身体能力と言えども、一秒を争うこの場合に、間に合うか!
 だが、エドゥアルトはヒゲの中からニヤリと笑みを漏らし、クロリアの前にすっと立ちはだかった。
「フッ……落ち着くでござるよ妹氏。何のために拙者がここの機体をいじくりまわしていたと思うでござるかな」
「えっ……意味なんてあったんですか」
「何気にきついでござるね妹氏。……まあいいですぞ。すなわち! ここの機体のエンジンをばらし燃料混合比を変え、そして……リミッター解除機構をも組み込んでいたのでござるよ!」
「な、なんですってー。つまりそれによって機体のポテンシャルが急上昇し、瞬時にカイザーさんを助けに行けるということですね」
「話早いでござるな……まあ、そういうことですぞ。そこで拙者はダンディなウインクと共にキザな微笑を浮かべて、こう言うのでござるよ……」
「エンジンには内緒にしておきます! では行ってきますっ!」
 その言葉さえも置き去りにし、疾風のように手近にあったキャバリアに乗り込んだクロリアは、格納庫の壁をぶち破り、一直線に反対側、ホーリーゲイルズの格納庫へと疾駆していった。そのあとに残された炎の軌跡がぶすぶすとくすぶっているのを見ながら、エドゥアルトはまたもがっくりと肩を落とすのだった。
「……いや、その決め台詞は言わせてほしかったんですがなー!」
 ……それはともかく。
 クロリアはすんでのところで間に合った。
 格納庫に踊りこんだ彼女の機体はその凄絶な勢いのまま、カイザーに襲い掛かろうとしていた『光の輪』を叩きのめしたのだ。
 かくして、猟兵たちはカイザーを危うく助けることはできた、しかしそれは、彼もまたオブリビオンマシンではなかったことを意味する。
 では、真のオブリビオンマシンとは……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フィーナ・ステラガーデン
アイと

怪しいやつ?わかんないわ!っていうかそんなのいたら既に焼いてるわ!
というかルールすらよくわかってないのよね!なんか途中詳しいそうなのいたわよね?アンパイヤだったかしら?それにルールとか細かい話聞きに行きましょ!というわけで探しにいくわ!

あんたこのゲームに詳しいみたいね!ちょっと色々教えなさい!
試合の途中お腹すいたら何を食べたらいいのよ?
我慢?嫌よ!!っていうかあんた何か持ってんじゃないの?よこしなさいよ!

で!あんた審判なのよね!ゲームのルールがよくわかんないわ!
どこまで何人ぶっ飛ばしていいのかしら!やっていい限度とかあるのかしら?
ちょっと細かいこと教えなさい!

(アレンジアドリブ大歓迎!)


アイ・リスパー
フィーナさんと

「フィーナさん、アンパイアキャバリアのところに行くなら、私も一緒にいきます!」

【チューリングの神託機械】で情報処理能力を向上させ推理します。

そう、私達の考え方は間違っていたのです!

(略)カイザーやD5といった怪しいキャバリア……
その他にも怪しいキャバリアがいるではないですか!
私達の目に映っていたにも関わらず、容疑者となっていなかったキャバリアが!

「アンパイアキャバリアさん!
ズバリ、お聞きします!

キャバリアボールのルール内なら、何体のキャバリアを吹き飛ばしても構わないのですよね!?」

敵味方のどこにオブリビオンマシンがいるか分からないなら、全部倒せば良いのです!

……え、ダメ?


トリテレイア・ゼロナイン
(キャバリア・ロシナンテⅣの搬入を確認した後)

偵察用妖精ロボ達を彼らの●情報収集用センサー頼りに人目に付かぬよう●瞬間思考力で遠隔●操縦
通風孔なども利用し球場を移動
メンテ中のキャバリアや試合の映像ログの保管場所に●ハッキング
試合中の映像を隅々まで検証し容疑者を絞り込み

『全てのキャバリア』を
フィールド整備担当にボールボーイ、塁審、外審、そして球審

奇天烈…では無く驚異の猟兵のプレイングに驚かず試合を円滑に進めていたのは…

通常の試合では言い逃れ出来ぬ不正行為ですね、これは

問題はデータを取る際「もはやこれまで」と暴れる可能性です
即応出来るよう各機体への接触タイミングをズラし避難手順なども考えなくては…



「きましたね。これからはあなたの力も必要となるでしょう」
 壮麗に輝く白銀の巨体を静かにたたずませながら、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は頷く。そのセンサーアイに映し出されていたものは、戦況に応じて選択される彼の強化外装甲にして相棒たる鋼の機体。ロシナンテ・ナンバーズと呼ばれるうちの第4号機が搬入されてくる光景であった。それはキャバリア──この世界に最も相応しい、彼の新しい力。
「さて、準備は整いつつあります。……もう一度、試合前半の映像をチェックしてみるとしましょう。……あらゆる角度から、あらゆる機体を」
 トリテレイアは己のメモリ内に記録されているこの試合の情報のみならず、ハッキングによって得た試合映像をも駆使して、オブリビオンマシンの存在を突き止めんとしていた。
 もっとも、それはもはや推理のステージに非ず。既にトリテレイアにとって、最終確認と検証の作業に他ならなかった。
 直接彼の目撃した場面だけではなく、他にも顕れた事象を細大漏らさず拾い集めるようにして。いくつもの傍証がトリテレイアの論理回路に共鳴し、相互に強化しあって、確固たる結論を作り上げていく。
「あらゆる機体」とトリテレイアは言った。その言葉の通りの結論を。
「ええ、そうです。奇天烈……では無く、驚異の猟兵のプレイングに驚かず試合を円滑に進めていたのは……」
 トリテレイアは動かぬ結論を己の中でしっかりと把握し、特定した目的地へ向かうべく、ゆっくりと歩み始めた。

「怪しいやつ? わかんないわ! っていうかそんなのいたら既に焼いてるわ!」
「怪しくなくても焼きますものね、フィーナさんは……」
 フィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)が頭から蒸気を出しそうな声を出している姿に、アイ・リスパー(電脳の天使・f07909)は細い顎を引いてうんうんと頷く。
「もちろんそうよ! さすがアイね! 分かってるじゃない!」
「いえ別に褒めてはいませんが。まあ、色々と暴れてくださったフィーナさんのおかげで、私も一応の目途がついたような気がします。……ふふ、ここは名探偵らしく関係者の皆さんを集めて、『さて』と言い出す場面でしょうか……」
 電脳美少女名探偵登場。手を細い腰に当て、どやっとした顔で唇を開こうとしたアイだったが、しかし名探偵に千慮の一失あり、ホームズにアイリーン・アドラーの失敗あり。そう、フィーナが落ち着いて人の話など聞いているわけがないのだった。
「というかルールすらよくわかってないのよね! なんか途中に詳しそうなのいたわよね? アンパン屋だったかしら? 美味しそうね! それにルールとか細かい話聞きに行きましょ!」
 小さな体で己の道をただ真っ直ぐに突っ走る、フィーナの勢いを止められるものは誰一人いはしない、そう、彼女自身であっても。
「ちょ、フィーナさん!? 今から私がカッコよく謎解きをする場面なんですけど!? 一人で先行かないでくださーい!」
 あわてて彼女のあとを追いながら、しかし同時にアイは感心もしていた。フィーナの中の、鋭敏な勘とも言うべき感覚に。論理ではなく、フィーナは天賦の嗅覚で獲物を見つけ出す。それはダンピールというフィーナの種族によるものというよりは、フィーナ個人の資質によるものであろう、とアイは考える。
(ふふ、まったく、フィーナさんは大したものですね。ええ、私が行こうとしてた目的地も……同じなのですから) 

「おや、リスパー様」
「あら、トリテレイアさん」
 トリテレイアはスタジアムのホーリーゲイルズ側から。
 そしてアイとフィーナはマッドスマッシャーズ側から。
 双方向から歩んできた両者は、そのちょうど中間で顔を合わせることとなった。
 トリテレイアとアイは互いの能力を知り、信じあう知己。故に、お互いの姿を見たことで、その心中の確信はさらに揺るぎないものとなる。
「やはり、どうやらお二方も同じ結論にたどり着かれたご様子ですね」
 トリテレイアの重々しい言葉に、フィーナは怪訝そうに首を捻る。
「何? アンタもアンパン買いに来たの?」
「……アンパン?」
 今度はトリテレイアが困惑したような光をセンサーに走らせ、慌ててアイが掌をパタパタと振りながら話を引き取った。
「ああいえいえ、つまり、そう、そうです。……この場所に答えがあると、私も考えたんです」
 アイは静かに息を吐きながら言葉を紡ぐ。
「カイザーやD5、この試合には何人も怪しいキャバリアがいました。……けれど、その他にも怪しいキャバリアがいたんです。私達の目に映っていたにも関わらず、容疑者となっていなかったキャバリアが」
 アイとトリテレイアはそろって同じ方向に目を向ける。
 
 そこは、──アンパイア・キャバリアの格納庫に他ならなかった。

「ちょっと! 試合の途中お腹すいたら何を食べたらいいのよ? やっぱりアンパン? アンタ、ルールとかに詳しいんでしょ? アンパン屋が何で詳しいのか知らないけど!」
「フィーナさーん!」
 いきなり格納庫の扉を蹴破って入って来た女の子が言う言葉だろうか、と、アイはフィーナの腰にすがり付く。なんかこう、もっと渋くかっこよく決める登場の仕方とかなかっただろうか。
「……空腹に、なったら?」
 だが、キャバリアの前に立っていた男──アンパイアは、そんなフィーナの言動に驚く様子もなく、瞬きもしない眼球で猟兵たちを凝視した。その目つきは血走り、顔色は蒼白で、そして何よりも……その身に纏わりつく、闇より深い漆黒の気配があった。
 その淀んだ暗鬱な気配は、あたかも人形と人形遣いのように──アンパイアと、キャバリアを悍ましい紐帯で結び付けていることを、猟兵たちはしっかりと見て取る。
「空腹になったら、喰らえばいい。この試合場には、いくらでもいいキャバリアがあるからな」
 その言葉は不気味なる二重唱。アンパイアが発したものであると同時に、キャバリア自体が発したものでもあったのだから。
 そう。「人形遣いと人形」の比喩は、恐るべき逆転の構図となって現実に現れる。
 「ヒトを操るキカイ」として。

「……やはり、あなたでしたね、オブリビオンマシンに取り込まれていたのは。そしてこれが、オブリビオンマシンそのもの」
 
 トリテレイアの静かな声が、格納庫に響き渡った。

 なぜかいつも攻撃的な態度だったもの。
 すべての機体を俯瞰し、睥睨し、その反応をもっともよく見極めることができるポジションにいるもの。
 キャッチャーであるD5や、ピッチャーであるカイザーに対して、強い影響を及ぼせるほどに近くにいるもの。
 猟兵たちの行使した奇跡の力・ユーベルコードに対して驚愕を見せなかったもの。
 そう、オブリビオンに取り込まれていたもの。……それはつまり。
 ──アンパイアに他ならない。

「……そう。アンタが、ね。どこまで何人ぶっ飛ばしていいのかわかんなかったから、聞こうと思ってたんだけど」
 フィーナは会心の笑みをその可憐な唇に浮かべる、凶暴と表現しても許される笑みを。
「ここにオブリビオンがいたってんなら話が早いわね。アンパン屋! アンパンを悪いことに使おうなんて許さないわ!」
「フィーナさんそれ違う……いえ、まあ、違わないのですが」
 アイは引きつる顔を何とかシリアスに修正しつつ、オブリビオンに白い指を突きつける。
「ルール内で全員吹き飛ばそうと思っていましたが、そこまでのことはしなくてすみましたね。さあ、9回裏、ツーアウト、ランナーなしと言ったところですよ、覚悟してください!」
「ええ!? アイ、アンタ、私が最初に全員ぶっ飛ばせばいいって言った時に怒ったじゃない!」
「それはフィーナさんがルール関係なしに燃やそうとしたからです。私はあくまでルール内で、ルールの隅を突き裏をかいてグレーゾーンを巧みに駆使しながらギリギリ反則にならないようにやろうと思っただけですよ」
「……リスパー様の方が悪質に思えるのは気のせいなのでしょうか……それはともかく」
 トリテレイアは首を捻りながら、二人に声を掛けた。
「既に私の妖精ロボたちにより、スタジアム内の警備システムのハッキングに成功。緊急警報を作動させました。観客や他の選手たちは避難を始めているはず。……思い切り、暴れられますよ」

 猟兵たちはアンパイアを捉えようと手を伸ばす、しかし同時、オブリビオンマシンから輝く閃光が放たれた! これまで何度か他の機体を侵食しようとした、『光の輪』だ。
 猟兵たちがこれをかわした瞬間、オブリビオンマシンは暗黒の紐帯を手繰り寄せるようにしてアンパイアを己の内部に収納してしまった。
 おお、……見よ、それと共に、アンパイアキャバリアの外見が変化していく。影が膨れ上がるように、光がのたうつように……神々しさと悍ましさを共に供えた、侮るべからざる姿へと。

「……勝手に試合を進行しようとするなど許さぬ……我こそがルールであり、ルール違反者は退場だ、我が餌食となってな!」

 オブリビオンマシンは猛々しく吠え、ついにその本性を顕現させた──!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『セラフィム・リッパー』

POW   :    断罪の剣
【無敵斬艦刀】が命中した対象を切断する。
SPD   :    エンジェルビット
自身が装備する【BS-Fクリスタルビット】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    フォールンウイング
【光の翼】を向けた対象に、【プラズマビーム】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「そう、我こそが裁定者! 我こそが審判者なのだ! アンパイアであるが故に!」

 オブリビオンマシンは吠える。その機体は、パイロットの精神を侵食し、自分が世界の審判者だと思い込ませる能力を有するのだ。

「……って、そのまんまじゃん!」

 猟兵たちが異口同音に突っ込むが、実際アンパイアという職務上、侵食されやすかったという点はあるのだろう。なにしろアンパイアというのは大変な仕事だ。常に正しくジャッジして当たり前、ちょっとでも失敗があったら責められる。試合には絶対必要な重要な仕事なのに、花形となるのはいつも選手。それはストレスもたまるだろう。
 だが同時に、アンパイアもやはりこのキャバリアボールというスポーツを愛しているはずだ。破壊の権化となって試合そのものを崩壊させてしまうのは本意ではないはずだ。
 猟兵たちはオブリビオンマシンを破壊し、アンパイアを救出してほしい。
 機体が丈夫なので、本気で攻撃してぶち壊すだけでもアンパイアは助かる。
 ただ、もし機体内のアンパイアに声を掛け、キャバリアボールへの愛を思い出させることが出来たら、戦闘を有利に進めることができるかもしれない。
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

キャバリアボールしようぜ☆
ワンダーラビットに乗り、反射鏡な結界術のバットで【プラズマビーム】をボールに見立ててピッチャー返し♪
あくまでもキャバリアボールの技術で応戦することで、アンパイアのキャバリアボール魂の情熱の炎を燃え上がらせて、オブリビオンマシンの破壊の衝動を焼却し浄化しちゃいましょ☆
ふふ、私のワンダーケイオスマジックならそういったことも可能なのよ♪
時間感覚が引き延ばされる程の深い集中で己の最大のパフォーマンスを発揮するフロー体験(第六感/降霊/ドーピング/読心術/限界突破)に入った私を崩すのはそう簡単ではなくてよ?


幻武・極
やれやれ、キミは審判失格だよ。
審判は試合を円滑に進行させる為に起こったイレギュラーに対して公正にジャッジするのが仕事でしょ。
自分から何かをしたいと思っちゃダメじゃん。

まあ、審判が相手だったら勝負はできなかったけど、そんなバット(無敵斬艦刀)を持っているバッターが相手なら勝負ができるね。
さあ、どっちが無敵か勝負だよ。
ボクは幻想武術で無敵の自由自在にオーラのボールを投球する武術で勝負だ。
さて、審判、ボールが切断されてしまった場合はどうなるんだい?



「我こそは審判! ゆえに世界に裁きを下す! 然り、我こそは神判なり!」
 格納庫の壁を撃ち砕いてスタジアムへと進み出たオブリビオンマシンが咆哮する、世界へ向けて。全てを裁き、すべてを己の定めの元に置かんと。言動は道化めいて見えはするが、その秘めた能力自体は紛れもない脅威であり、世界に対して恐るべき影響力を持つことは歴然としていた。
「ちょっと待った。ほんとうにそれでいいのかい、審判として」
 だが、そのオブリビオンの背に凛とした声が降りかかり、機械仕掛けの魔神は振り向いた。……ピッチャーズマウンドへと。
 小さな体に燃えるような闘気を漲らせ、その孤高の戦場に立っていたのは一人の少女。──幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)。
 極はマシンではなく生身、しかしオブリビオンマシンとのその圧倒的なサイズ差も、極の鮮烈な闘志と覇気の前には問題にはならぬ。まさに極はマウンドに立つ小さな巨人に他ならない!
「裁定中の試合を途中で放棄してどこかへ行ってしまおうというのなら、キミは審判失格ってことになるんじゃないかな」
「何だと? 世界を裁く神判たる我が審判失格だというのか。許せぬ、まず貴様を我が裁いてくれるわ!」
 青白い電光のようなオーラを激しく噴出させ、オブリビオンマシンは極に向かって猛り狂う。対して極は薄く笑みを浮かべ、細い指を突きつける。
「そこまで言うなら、さあ、ボクのピッチング、見事ジャッジして見せてもらおうか」
「良かろう! 我が絶対なるジャッジメントをとくと目に焼き付けて ……いや待て、ピッチャーだけでは試合など成立せぬぞ」
 オブリビオンマシンの唸るような声に、その時、可憐ながらも威厳溢れる声が響く。
「バッターならここにいるわ! さあ、キャバリアボールしましょう☆」
 振り返ったオブリビオンマシンはそのモニターに映し出す。バッターボックスに立つ影を。おお、それは世界の破壊者に立ち向かう勇者にふさわしく凛々しい……訂正、可愛らしい、二足歩行する、もふっとしたウサギの姿であった!
「……ウサギ?」
「紹介させて貰うわ、この子こそ私のスーパーロボット、ワンダーラビット☆ さあ、ピッチャーとバッターが揃ったわよ、アンパイア!」
 シルクハットと燕尾服、そしてモノクルと言った正装に身を包んだ巨大なウサギ。それはまさにスーパーかつワンダーでダイナミックなパワーを漲らせたメカと言えた。
 そのワンダーラビットのコクピット内で人形のように美しい髪をふわりとなびかせていたのは、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト魔少女・f05202)。まさに彼女が支配し駆使する混沌そのもののような空間を作りだしている。
「むう、いいだろう。我が完璧なジャッジの前に恐れ戦くがいい!」
 かくしてピッチャーとバッター、そしてアンパイアが揃い、ここになし崩し的に、世界を賭けた戦いがいつの間にかキャバリアボールの試合へ話をすり替えられ、もつれ込んだのである。猟兵たちの見事な駆け引きであった。

 ピッチャー極は鋭い視線をバッターボックスへ送る。バッターボックスにすっくと立ち、これを迎え打つのはアリスinワンダーラビット。その背後でオブリビオンマシンがどっしりと身構えて試合の行方を見定めんとする。
「はああああっ!」
 極は大きく振りかぶり、風雲を引き裂くような勢いと共に、第一球を──投げた! 卓越した武術家たる極がその身体能力をフルに生かし、彼女自身が旋風と化したかのようなフォームでボールが放たれる。いや、ボールではない、空間ごと捻じり裂くような猛進でバッターボックスに向かったのは、閃電とも見間違うほどに輝くオーラのエネルギー球!
「いい球ね! ならこちらも!」 
 駆け引き無しのストレート、コースはど真ん中。大きな曇りなき瞳にその球筋を鏡のように映し出し、アリスは大きく踏み出してスイングする。そのバットもまた尋常のものに非ず、混沌を支配する魔術師たるアリスがその信じがたいほどの技巧と知識を注ぎ込み、結界術を形成して作りだした古今稀なる秘術の結晶!
 オーラの球と結界のバットが……空中で激しくぶつかり合った! 轟音と衝撃、そして火花が散って巨大なスタジアム全体を大きく揺るがせる。しかし、双方の威力は全く互角、拮抗し譲らない!
 その勢いが、やがて炸裂するようにはじけた。極のオーラ球は結界のバットにより僅かに軌道を逸れ、ヘッドパーツを叩き潰すような凄まじい威力を保ったままで、……アンパイアへとぶつかったのだ!
 そして同時、ぐるりと高速回転で勢いを保ったままのアリスのバットも、アンパイアの装甲を撃ち砕くようなパワーでその側面を襲う!
「ぐわあああああ!!!」
 ダブルの衝撃に巨体を揺らがせ、オビリビオンマシンは猛烈な土煙を立てて転倒した。
「ぬ、ぬうう……ファ、ファールボール……」
 倒れたまま、モニターアイをぴくぴくと明滅させながらも、オブリビオンはコールする。
「いいスイングだね、見事だよ」
「あなたもすごい球だったわ、見惚れてしまうわね☆」
 スポーツマンシップに則り互いに讃えあう二人の猟兵。しかしまだ勝負はついていない。再び極は振りかぶり、オーラボールを投げ込む! これを結界バットで迎え撃つアリス!
 またしても双方の力量は互角、軋み対抗しあった双方の力を乗せて、弾かれたオーラボールがアンパイアのどてっ腹に直撃する! さらに空を切って襲ってきたアリスのバットがアンパイアを叩きのめす!
「ぐえええええ!!!! ファ、ファール……いや待て、わざとやっていないかお前たち!?」
「何を言っているんだい、キミは!」
 ビシッと指差す極にオブリビオンは気圧されてたじろぐ。
「試合を円滑に進行させること、そして、選手の情熱に応えるのがアンパイアの務めのはずだよ。今のボクたちの情熱を、キミはジャッジできていないというのかい」
「ええ、あなたと真正面から戦うつもりなら最初からそうしているわ、でも、私たちが今行っているのはあくまでもキャバリアボールなのよ」
 極の言葉に頷いてアリスも続ける。その声に、オブリビオンマシンは思わずよろけ、頭を抱えた。そのボディが震えるように振動をはじめ、身を覆っていた青白い輝きが僅かにその明度を弱めたようにも見える。
「そ、そうだ……これはキャバリアボール……俺の愛したキャバリアボールなんだ……」
『動揺シテハナラナイ。全テヲ、我ガるーるノモトニ支配スルノダ』
 二つの声が同時にオブリビオンマシンから漏れた。いや、ひとつの声は確かにオブリビオンマシン、しかしもう一つは。
(アンパイア自身の声のようだね。今の衝撃、そしてボクたちの言葉で、機体の中で自分の意思を取り戻しつつあるかな)
 極はオブリビオンマシンの様子を観察し、その内面を察した。同様にアリスも、己の策が上手く的中したことを理解する。
(あえてキャバリアボールで挑むことで、アンパイアの情熱の炎を燃え上がらせて、オブリビオンマシンの破壊の衝動を焼却し浄化しちゃおうと思ったけど、いい感じね☆)
 あらゆることを真実とするアリスのユーベルコード、「不可思議混沌魔術(ワンダーケイオスマジック)」。そしてすべての不可能を可能とする極のユーベルコード、「幻武流『幻想武術』(ゲンブリュウ・イマジナリーアーツ)」。
 奇しくも、二人のユーベルコードは共に、条理を翻弄し虚と実を反転させ、望む結果を導く点で共通しており、互いに共鳴し合ってさらなる相乗効果を生み出していた。そしてそれは、世界の「ルール」を改変する能力という点で──自分の「ルール」を世界に及ぼそうとするオブリビオンに対して特効だったのだ。
 けれど、もちろん、それだけではなく。
 極とアリス、二人の激しい対決が、アンパイアの中に眠っていた、燃えるキャバリアボール魂を呼び起こしたこともまた大きかったのだ。
 この複合効果により、オブリビオンマシンはアンパイアへの洗脳が弱体化され、その動きを鈍らせている。
 さあ……反撃の時だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ソウジ・ブレィブス(サポート)
なんかこんな感じのー間延びした口調で喋るよーう?
年齢にしては頭悪そう、って感じが理想かな
僕より年下の子には猫ちゃん!みたいに呼ぶかも
気分で呼ばないことも在るから、深く気にしないでねえ

単体攻撃系ユベコがわりと捨て身な攻撃になり得るから
怪我や流血は必要経費だね、へへへ
攻撃武器は足の鉤爪が飛び出す仕込み靴が基本だよ
ユベコ次第では持ってると、不便だからねぇ……
藍銅って愛刀なら持ってるかも
必要なら投擲道具に使うし、雑に扱うよ?

誰かが話をしてるなら奇襲系はしかけない
ボスの話、主張は聞きたい派
「へえ、ふーん?そうなんだ?」
自信ありげな表情で、戦闘狂気質でいるけれど
僕はお話、聞くの好きだからね
大いに語って?


焔・牙炎(サポート)
『俺と戦えぇ!!』
 羅刹の剣豪×ブレイズキャリバー、21歳の男です。
 普段の口調は「男性的(俺、~さん、か、だろ、かよ、~か?)」、気にいったら「フランク(俺、相手の名前、か、だろ、かよ、~か?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
基本的に仲間や依頼者、弱い人のために全力を尽くす戦闘狂です。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「へえ、ふーん、そうなんだぁ。なるほどなるほどぉ。それは確かに、君の言うことも一理あるかもしれないねーえ?」
「猟兵にしてはなかなか話の分かる奴ではないか。然り、今の世は千々に乱れ切っている。どの世界でもそうであろうが、特にこの世界は統一された国家すらなく、乱立した小国家が身勝手に各々のルールを定め己が主張を押し通さんとし、その結果、争いが尽きることはない。──故に、絶対の審判者が必要なのだ。あらゆるものをジャッジするアンパイアが、すなわち我がな!」
「そっかー、その理屈でアンパイアさんを洗脳したんだねえ……いやなんでもないよ、うんうん、いいねえ、大いに語って?」
 なんか妙な対話が成立しているように見えるが、一方は世界を破滅に導かんとするオブリビオンマシン、そしてそれをのんびりと聞き入っているように見えるのは、ソウジ・ブレィブス(天鳴空啼狐・f00212)……オブリビオンの宿敵であるはずの、まぎれもない猟兵であった。
「何を身勝手な! そういうお前も結局自分のルールとやらを世界に押し付けようとしているだけ……むがむが」
 オブリビオンに燃える炎のような瞳を向け、鋭い声を浴びせようとしたのはもう一人の猟兵、焔・牙炎(すべてを燃やす炎刀使い・f05425)。しかしその口はソウジによってむぎゅっと塞がれる。もがもがともがきながら、牙炎は、にこにこと微笑みを浮かべながら自分の口を抑えているソウジの気配を探った。
(彼も猟兵のはずだが、まさかオブリビオンにたらしこまれたのでは? ……いや、違うな。彼の気配、惑わされているどころか、恐ろしく研ぎ澄まさている……なるほど、良くはわからないが、どうやらこれが彼の策ということか)
 牙炎は敵が強者であるほどにその血をたぎらせるほど戦闘を好む戦士である。しかし同時に仲間のために行動することにも躊躇わない男でもあった。ソウジに何らかの意図があると察した牙炎は、今はとりあえず流れに身を任せることが上策と判断した。
 その傍らで、ソウジはのんびりと言葉を続ける。
「んー、でもさぁ、ほんとに君が、凄いアンパイアなのかどうかってのが問題だよねえ。つまり実力がないとさぁ、結局、この世界の争いをジャッジなんてできないじゃん?」
「何、我の実力を疑うのか。ならば見せてくれよう。我がいかなる場面でも的確にジャッジできる審判者だということをな! お前たちもピッチャーとバッターに分かれて戦うか!?」
「いや、それもいいけどさあ。やっぱ野球……じゃないや、キャバリアボールの醍醐味はホーム上のクロスプレーじゃない? それを見事に見極めることができればほんとに凄いアンパイアだってわかると思うんだよねえ。ね、君もそう思うでしょ?」
 不意に同意を求められ、何が何やらわからぬまま、しかし牙炎も一応重々しく頷いて見せる。
「ああ。確かにな。剣と剣の鍔迫り合いにも似た激しい一瞬の交錯、間合いを読み虚実を織り交ぜ、咄嗟の判断と瞬発力で相手を仕留めることができるか否か……。確かに、スポーツではあるが、剣士の真剣勝負にも通じるものがある男の戦いだと俺は思うぞ。貴様にそれを見極める目があるというのか、オブリビオン!」
 適当に話を合わせているだけではあるが、つい牙炎が早口になるのは、そこに本音が混じっているからでもある。何せ彼は戦闘狂と言ってもいいほどの男、戦を語り始めれば熱が入るのも無理はないというものだ。
「舐めるなよ猟兵! クロスプレーであろうが何であろうが、我にジャッジできぬものはない!」
 かくして世界を賭けた戦いは、いつの間にかなし崩し的に、キャバリアボールのプレイにすり替えられたのである。猟兵たちの駆け引きの勝利であった。

 ルールとしてはこうだ。例外的ではあるが、牙炎がバッターとキャッチャーを兼ねる。すなわち、彼のユーベルコードで炎の斬撃を飛翔させ、それを大きく曲射させてまた彼の元へ戻ってくるように撃つ。これがバッターによる打撃と、外野からの返球のキャッチングをシミュレートすることになる。
 一方ソウジはサードランナーとして準備し、牙炎のユーベルコードが放たれた瞬間ホームへ向かって突入する。本塁上での一瞬の競り合い、これを果たしてオブリビオンはジャッジできるのか! まさにコンマ1秒の勝負の世界である!
「プレイ!」
 ホームの後方で構えたオブリビオンマシンが高く宣告した。
 バッターボックスに立つは、紅蓮に燃え盛る刃を備えた炎刀・燈火を手にした牙炎。
(……なぜこうなったのか今一つよくわからんが……まあ、これも一つの戦いだ。戦いであれば全力を集中するのみ!)
 くわっと見開かれた牙炎の瞳の奥に、魂の焔が燃え上がる! いや、その背後にもまるで灼熱の火炎を背負っているかのごとき闘気が噴き上がり、牙炎の戦士としての気勢を示す!
「行くぜ! 心炎流:猛飛焔斬り!!」
 裂帛の気合と同時、大気をも焼き尽くさんとするほどのスイングが音の速ささえも越えて閃いた。炎刀の刀身から弾丸のように撃ち放たれた紅蓮の斬撃が鋭く外野へと飛翔し、そして三日月の如く弧を描いてホームへと返ってくる!
 同時、サードから閃電の如くソウジも飛び出した。グラウンドに舞う土煙すらソウジの身を覆うには至らない、彼は風より早く疾駆するのだから!
 紫紺の風となって突っ走るソウジの背後から、ホームへ返ってくる牙炎の斬撃が迫る! ホームを制するは風か! それとも炎か! 本塁上に交差するタイミングはほぼ同時!
 刹那の隙さえ見逃さぬとオブリビオンは大きく身を乗り出してプレイを注視し──そして次の瞬間。
「デッドリーマウントォー!」
「ぐわあああああ!!!」
 スライディングしてきたソウジのスパイク……いや、仕込み靴「蒼を奏でる狼」の先端から飛び出した鈎爪が、オブリビオンの胸元を深く引き裂いていた。
 同時、返ってきた牙炎の斬撃も、まともにオブリビオンに命中する。
「ぐええええ!!!!!」
「あはは、さっき、たっぷりとお話してくれたねえ? その分の追加攻撃だよぉ」
 ソウジが笑いながら宣する。然り、彼のユーベルコードは「敵が話した作戦や計画に応じて追加攻撃を加える」という凶悪なものであった。
「あー、……それでさっき好きなだけ話させてたのか……」
 牙炎はソウジの意図を悟って苦笑した。……まあそれはそれとして彼も追加攻撃を繰り出すのだが。飛翔した斬撃が命中した相手に対する高威力二次攻撃が、牙炎のユーベルコードの本命であるのだから。
 HIT! HIT! HIT! HIT!
……二人の猟兵による多段攻撃を受け、オブリビオンマシンは襤褸屑のように崩れ落ちながら、それでもわななく声で呟いた。
「うぐ……ホーム上のクロスプレー、確かに……キャバリアボールの醍醐味……!」
 それはオブリビオンの声であると同時にアンパイアの声でもあった。二人の猟兵の熱い対決は、今再びマシンの中に囚われたアンパイアの魂を強く震わせることに成功したのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アイ・リスパー
フィーナさんと

「裁定者として侵食とは、厄介な敵ですね!」

ですが、搭乗者のストレスを逆に利用させていただきましょう!

「アンパイアさん!
いつも選手ばかりにスポットライトが当たるのは寂しくありませんか!?
あなたも主役として戦える場を用意しますので、正々堂々とアンパイア精神にのっとって勝負です!」

勝負として用意するのは、キャバリアパン食い競走です!
グラウンドを一塁からホームまで、各塁上にあるパンを食べて一周してくる勝負です!
アンパン屋だけに!

「そして、あなたの勝負相手はフィーナさんです!
アンパイアVSバンパイア(ハーフ)として!」

なお、ルールは何でもありなので、フィーナさん、やっちゃってください。


フィーナ・ステラガーデン
アイと

そうよ!正々堂々と勝負するといいわ!
そうね!パン食い競争で!えええ!?アイ何言っちゃってるの!?
なるほどね!アンパン屋ならパン食い競争が正式な勝負となるわね!納得したわ!

え?何?あんたそんなこと言って逃げるの?アンパン屋なら仕方ないわね!
これがスポーツマンなら受けていたわね!違う競技のルールとかもわかんないわよね!アンパン屋だものね!あーあ。残念だわ!

強引にパン食い競争に持ち込むわ!
といっても相手は大きなロボだし競争に勝てるわけないのよね!
パンを食べようと中の人が出てきたタイミングで間髪も躊躇も容赦もいれずUCで機体をぶっとばすわ!
ルール?隙を見せるほうが悪いわ!

(アレンジアドリブ大歓迎



「裁定者として侵食とは、厄介な敵ですね!」
 アイ・リスパー(電脳の天使・f07909)は眼前の敵に対して思いを巡らせる。マシンの中に囚われたアンパイアの身を案じなければならないという意味では熟慮が必要だ。だが同時に、アンパイアの意識を目覚めさせることができれば、オブリビオンマシンの戦力は大幅に低下させられる。
 そのためには何をすべきか……。電脳天使の深遠にして怜悧、聡明にして明朗な頭脳は、即座に明晰かつ不謬の判断を下す。
「──パン食い競走です!」
 ……なんて?
「パン食い競争です!」
 アッハイ。
「そうね! パン食い競争で! ……えええ!? アイ何言っちゃってるの!?」
 さすがにフィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)もノリツッコまざるを得ない。だがアイの自信に満ち溢れた顔にはひとかけらの迷いもためらいもない。
「……いやお前は何を言っているのだ」
 そう、オブリビオンまでもがツッコむという前代未聞の事態に対してさえも。
「アンパイアさん! いつも選手ばかりにスポットライトが当たるのは寂しくありませんか!? パン食い競争ならあなたも主役になれます! 正々堂々とアンパイア精神にのっとって勝負です!」
「……いやお前は何を」
「なるほど! そういうことね!」
 さらに言いかけたオブリビオンの言葉を強引に無理やりに猛烈にフィーナが遮る。
「アンパン屋ならパン食い競争が正式な勝負となるわね! 納得したわ!」
「……いやお前たちは何を言っているのだ……」
 ちょっとだけオブリビオンが可哀想になってきた読者諸兄、オブリビオンは悪いやつなのを忘れてはいけない。なんにせよフィーナの勢いに加速したアイはそこですかさず二の矢を放つ。
「あなたは世界をジャッジするために立ち上がったと聞きました! そうであるなら、キャバリアボールのみならず、パン食い競争を含めた全ての競技に関しても造詣が深くなければいけないはずです、違いますか!?」
「ま、まあそうだが……」
「それに、理由ならもう一つあります!」
 ビシッと指をさしながらアイが高らかに宣する。
「あなたはアンパイア。そして! フィーナさんはバンパイア!」
 ハーフだが。
「どちらが真パイアなのか勝負すべきです!」
「ダジャレではないか!」
「え? 何? あんたそんなこと言って逃げるの?」
 今度オブリビオンにかみついたのはフィーナ。なお、少しだけオブリビオンが可哀想になってきた読者諸氏、オブリビオンは悪いやつなので気にしてはいけない。
「まあ、アンパン屋なら仕方ないわね! もしこれがスポーツマンなら受けていたわね!でもアンタアンパン屋だものね! あーあ。残念だわ!」
 言いがかり以外の何ものでもない。しかし、意外にも、フィーナのその一言はオブリビオンを……いや、その中にあって意思を共有しているアンパイアの心を強く激しく揺さぶったのだ。そう、彼の中に眠っていた熱く燃える魂を。
「はっ!……そうだ。我はスポーツマンであった……アンパイアであると同時に、いやそれ以前に、一個のスポーツマンであったはず。いつの間にか、己が全てを審判するという考えに飲み込まれ、そんな当たり前のことさえ忘れかけていたのか……!」
『待テ……ソイツラノ言葉ニ耳ヲ貸シテハナラヌ……ッテイウカ落チツケ……!』
 虚空を見上げ、風に訴えかけるように己自身を見つめ直すオブリビオンマシンの図。アンパイアの自我が表面にあらわれてきたことを察し、オブリビオンは焦りつつ、何とかこれを押しとどめようとしている。そしてついでに言えばもちろんオブリビオンの方が正しい。
 しかし、アンパイアはこれに屈せず、猟兵たちに向き直って大きく頷いた。
「いいだろう、パン食い競争受けて立とう!」
『何故ソウナル―!!』
 かくして世界を賭けた戦いは、いつの間にか、なし崩し的にパン食い競争へとすり替えられたのである。猟兵たちの口車の勝利であった。

「ルールは、各ベース上にパンが用意されていますので、それを食べてグラウンドを一周し、先にホームに帰って来た方の勝ちです!」
「ふむ、良かろう」
「任せなさい!」
 アイの説明にオブリビオンマシンとフィーナがそれぞれ理解を示す。各塁上にはパンが吊り下げられ、選手の到来を待ち構えている。
「では位置について……よーい……ドン!」
 アイの号令と共に、両者は一斉にスタートを切った。大地が激震し空気が引き裂かれるほどの勢いで二人の戦士は駆け抜ける。暴風のように砂塵を巻き起こし、週末のようにグランドを踏み割りながら。
 片や、常識の埒外……いや失礼、生命の埒外である猟兵フィーナ。片や、過去から染み出し世界を破壊せんとする怪物、オブリビオンマシン。その対決である以上、本来長閑であるべきパン食い競争は一転し、修羅の相打つ世紀末の戦場となる!
 だがしかし、互いに人知を超えた存在ながら、遺憾にして差はあった。フィーナは生身、オブリビオンマシンは機械の巨体という違いである。ただでさえ144.6cm(2020年10月現在)という小柄のフィーナのストライドは短く、対して5mという巨躯を誇るマシンの一歩は長大だ。見る間にその差は開いて行く。
 だが無論、そんなことはフィーナは百も承知だ。彼女には悪だくm……いや、策があった。
(パンを食べるためにコクピットハッチを開けてパイロットが出てきたところが隙よ! ユーベルコードを叩きこんであげるわ!)
 スポーツマンがどうとか言ってたのは誰だったのか。それはともかく、オブリビオンは見る間に最初のパン地点に到達する。
「さあ今よ……って、え!?」
 フィーナは目を見開く。コクピットハッチが解放されることはなく、おお、何たることか……そのまま……オブリビオンがパンを喰ったのだ!
「フハハハハハ! 良くイラストを見るが良い! 我が機体には口があるであろう! であればパンを喰うことも可能!」
「なんて非常識な奴なの!」
 歯噛みするフィーナだが、食べられるものは仕方がない。そのままオブリビオンはセカンドのパン地点へと激走していく。
「ええい、こうなったらもうどーでもいいわ! ぶちかます!」
 フィーナの魔法が続けざまに撃ち放たれ、轟音と共にグラウンドを破壊していく。走れなくすればいいだろうという、とてもIQの高い作戦だ。しかし、おお、なんたることか。
「フハハハハハ! 良くイラストを見るが良い! 我が機体には翼があるであろう! であれば地形を破壊されても空を飛べばよいだけのこと!」
「なんて卑劣な奴なの!」
 髪を逆立てて怒るフィーナだが、飛べるものは仕方がない。そのままオブリビオンはサードも回り、ついにホームへと先んじようとする!
「フハハハハハ! ホームイ……むうっ!?」
 だが、今度驚愕するのはオブリビオンの方だった。
 あるべき場所に、あるべきはずのものが。
 ……ホームベースがない!
「こ、これはいったいどういうこと……むっ!?」
 うろたえ、動転し、きょろきょろと周囲を見まわしたオブリビオンは、その時真実を知る。
 ホームベースを抱えて、アイがとっとと走り去っていたことに!
「ホームに帰って来たら勝ちというのがルール、そしてあなたもそれに同意したはずです。つまりホームを踏まないままでは勝ちではありません。……さあ、フィーナさん!」
 ベースをロケットランチャーに強引にぶち込み、アイはホームベースをフィーナに向けて撃ち放つ! 宙を舞ったベースは、今しもサードを回ったフィーナの目の前にあやまたず打ち込まれる。慌てたオブリビオンが逆走してくるより早く、フィーナはしっかりとそのホームを踏みしめていた。
「私の勝ちよ! さあ、敗者はおとなしく退場よ!」
 愕然としたオブリビオンに、今度こそ全力全開絶対破壊の威力を伴ったフィーナの最大魔法が叩きこまれた。我を失っていたオブリビオンに、回避する心のゆとりはない!
「ぐわあああああ!!!!!!」
 爆煙と共に吹き飛ばされたオブリビオンは、顔面からグラウンドへと叩きつけられたのだった。
「ぐうう……やはり……パン食い競争よりもキャバリアボールのほうがいい……」
 その声を聴いて、アイは満足そうにうなずく。
「その言葉を聞きたかったのです。あえて別競技をしてもらうことで、キャバリアボールへの愛情を再確認してもらうのが作戦だったのです!」
 ほんとかな。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
(口調やら被っていたので接触避けていた)(前略)カイザー様のブースター付きバット…ウォーマシンとして気になっていたのです

そう、対装甲粉砕用鈍器として使えないものかと

ということでハンガーから拝借してきました
(ロシナンテⅣにサブアーム含め持たせ四刀流)

さあ、今からこれで貴方の機体を殴打するのですが、アンパイアとして言うべきことがある筈です

(刀握る手や関節部をボコボコに殴り)

ええ、その通り
バットはボールを叩くものです

常時人質抱えたオブリビオンマシンとの相対で堪った鬱憤…この一撃で晴らす為…!(←本音)
(脚部粉砕し擱座した敵の頭部にフルスイング)

このような蛮行を許さない為にも…機体に負けてはいけません


黒影・兵庫
まさかアンパイアがオブリビオンマシンだったとは!
(「選手ばっかり注目してたからね...さて、どうする?」と頭の中の教導虫が尋ねる)
まずは説得を試みます!
(UC【穿つ言霊】を発動し操縦席の黒影の周りに羽音のない鈴虫が出現する)
ここが一番安全ですからね!
では言霊兵さん!俺の言葉を言霊に変えてアンパイアの方にぶつけてください!
『貴方は今、邪悪な意思によって貴方が守っていたキャバリアボールを壊そうとしています!
ファンの暴言、選手の抗議、試合を左右する判定、それらのプレッシャーに屈することなく
公明正大にジャッジしてきたその強靭な心を以て貴方を蝕む邪悪な意思を払いのけてください!』


エドゥアルト・ルーデル
乱闘の時間だオラァッ!
待ち侘びたぞ!

キャバリアと野球は親和性が高い
何処ぞの野球ゲームでは最後にロボットとの殴り愛が基本でござるからな
アンパイアに対抗できる野球に関連した【架空兵器】を創造でござるよ!何呼ぶのって?そりゃもちろんガンダー…
具体名をお出しすると危険が危ないのでふわっとさせつつ…乗り込んで格闘戦じゃい!【無敵斬艦刀】と想像ゆえ無敵が激しくぶつかり合う!お互いのロボットがズタボロになりながら格闘するのってとってもロマンだと思うの
最後は良い感じに必殺パンチで〆ですぞ!とーどめのぱーんちがあーれくるうー

説得は他の猟兵に任せよう、拙者は野球しに来てるんだからネ!



「まさかアンパイアがオブリビオンマシンだったとは……!」
 黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)は改めて驚きを噛みしめている。素朴で素直な兵庫は、アンパイアには気を止めていなかったのだ。
(アタシも選手ばっかり注目してたからね……さて、どうする? マシンはこれまでの戦いでかなりダメージが蓄積してるみたいだし、このまま破壊しちゃってもいいかもしれないわよ)
 兵庫の脳内で、恩師スクイリアが尋ねる。だが無論、返ってくる答えはわかっていた。兵庫なら迷わず違わず向かうはずの方向を。わかっていてもなお、兵庫のその言葉を聞きたくなるのが、彼女の親バカなところかもしれないが。
「……いえ、まずは説得を試みます! ただ機体を破壊するだけでもアンパイアさんは助けられるかもしれません、ですが、やはり本当の心を自分自身で取り戻してもらいたいんです!」
(ん。黒影らしい答えね、ハナマル!)
 どこまでも真っ直ぐな兵庫の意思に、スクイリアは、己の心が太陽に照らされているかのごとき眩さを感じていた。それはある意味では非効率的かもしれない、……けれど、そう。ホームに帰ってくるためには、大きくグラウンドを回らなければならないこともあるのだから。

「ふむ。黒影氏が説得に回るようでござるね。んじゃあこっちは……乱闘の時間だオラァッ! 待ち侘びたぞ!」
 兵庫と同じように、エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)もとても真っ直ぐである。自分の理念、エンジョイ&エキサイティングという旗印に。しかし同時に、それは今のこの場面にとてもよくマッチしている言葉でもあった。エンジョイとエキサイティング、それはすべてのスポーツに通じる基本の考えでもあるのだから。そう、キャバリアボールにとっても。
「まあ、ロボット呼ぶんでござるけどね! 拙者はガン……アレで行く!」
 本来なら光の巨人を呼びたかったが版権の問題上呼べない……というわけではなく、これこそがエドゥアルトの求めるもの、そう、鋼の機神同士の熱く激しい真っ向からのぶつかり合いこそが。
 己の意思のままにエドゥアルトは指をパチンと鳴らす。風に乗ってその音が響き渡るところ、おお、何たることか。
 響き渡る燃え上がれ系のBGMが読者諸兄の耳にも届いていることであろう。それと共に、周囲には想像力の関係上光にしか見えないであろうが、おそらくアレっぽいと思われるシルエットが虚空から次元を割って颯爽と雄々しく出現する。これこそエドゥアルトのユーベルコード、例のアレである!
「そちらの剣も無敵、拙者のこれも無敵! さあどっちの無敵が上か勝負ですぞ!」

「トリテレイア・ゼロナインと申します。カイザー様ではございませんので、念のため」
 さすが騎士たるに相応しく、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)、はどこまでも礼儀正しい。白銀に眩く輝く体躯を慇懃にかがめ、起きあがったトリテレイアは、己のキャバリアを装着していた。
 そして、その手に握るは……ホーリ―ゲイルズのエース、ゴールデンデラックスグレートスーパーエンペリアルカイザーが愛用している高出力スラスター付き超硬合金バットである。ハンガーから拝借してきたのだ。
 とはいえ、もちろんトリテレイアはどこまでも礼儀正しい騎士であるがゆえに、きちんと借用書を残して来てある。──破壊したハンガーの残骸に張り付けて。それは緊急避難的な対応であり仕方のない行為であった。トリテレイアは仕方のない場合にはきちんとそれに応じた対応が取れる騎士でもある。
「このバット、拝見した時から、ウォーマシンとして気になっていたのです。……そう、対装甲粉砕用鈍器として使えないものかと」
 トリテレイアは大きくバットを振りかぶり、スラスターを全開で噴出させた。然り、トリテレイアはやむを得ない場合にはきちんとそれに応じた無茶苦茶ができる騎士でもあるのだから。

「ぬううう……キャバリアボール……我が求めるキャバリアボールは……どこだぁぁぁ!」
 オブリビオンマシンはその行動にもはや緻密性も秩序もなく、半ば狂乱したような状態だった。これまでの戦いのダメージの蓄積、そしてアンパイアとマシンの精神が乖離しかけていることによる暴走と言って良い。
 だがそれはオブリビオンマシンの崩壊の序曲であると同時に、最大の暴威でもあった。もはやオブリビオン側による制御も、そしてアンパイアからの制御もどちらも効かないという状態であるがゆえに、破壊衝動のみが突出したような状況にあるのだ。
 オブリビオンマシンは刀を振り回して周囲を斬り刻み、ビットを乱舞させて手当たり次第に攻撃しまくり、ビームを乱れ撃って破壊の限りを尽くし始めている。
 そこへ。
「いやっはー! 無敵パーンチ!」
 光り輝く拳を握りしめ、上空から叩きつけるような一撃が見舞う! これこそはエドゥアルトの乗り込んだ鋼の機動兵器にして戦士!
 だがオブリビオンも恐るべきもの、エドゥアルトロボの一撃を無敵の刀で迎え撃つ。拳と刀、共に絶対の威力を有する無敵の存在同士が真っ向からぶつかり合い、スタジアムの隅々までを照らし出すほどの火花を舞わせ、嵐巻き起こるほどの衝撃波を生み出した。
 無敵と無敵の衝突の結果は……おお。凄まじい爆裂音と共に、オブリビオンマシンの刀が、そしてエドゥアルトロボの拳が、共に砕け散ったのだ!
「だが! 左がありますぞ!」
 意に介せず、すかさず繰り出したエドゥアルトロボの左拳が真空を巻き起こす!
 しかしそれをさえも、オブリビオンマシンは返す、残った刀の柄を叩きつけることで!
 ビリビリと天空の雷雲さえも揺るがせて、二体の巨神は互いに損傷を負いながらも一歩も引くことなく対峙する。
「いいねえ、これこそ浪漫(物理)でござるな!」
 
「また『浪漫』ですか……なんとも難しい概念ですが」
 微かに首を捻りながら、それでも一切ためらうことなく、オブリビオンマシンの背後から全力でスイングした一撃はトリテレイアの振るうスラスター付きバット。それが大気を引き裂く轟音と共に、オブリビオンマシンの脚部に叩きつけられた。
「決闘に背後から割り込む不意打ち。こういった行為に浪漫などないのだろうということは推測できます。しかし……それでも為すべきことは為さねばなりません。それが騎士として恥ずべき行為だとしても、使命を放棄することに比べればベターな選択であると判断します」
 言い放ちながらトリテレイアはバットを乱打する。大所高所に立ったうえで己の理想さえも犠牲にする使命感。それもまた一種の浪漫なのだと、トリテレイアが気付くことはないのだろうけれど。
「加えまして……常時人質抱えたオブリビオンマシンとの相対で堪った鬱憤……この一撃で晴らす為……!」
 ……まあ、その本音はあまり浪漫ではないのだが。

 一方、兵庫は己のキャバリアのコクピット内に「言霊兵」を召喚していた。羽音のない鈴虫の群れである。それは本来の美しい秋の調べの代わりに、相手の心へと響き渡る想いを届けるのだ。
「……アンパイアさん、貴方は今、邪悪な意思によって貴方が守っていたキャバリアボールを壊そうとしています!」
 兵庫の祈りにも似た言葉を、言霊兵たちは空間を超越した、妙なる、そして聖なる響きへと変えて、そっと送り出す。その調べは今しも激烈な戦闘が繰り広げられている、その轟音さえも越えて……オブリビオンマシンの奥深くへと沁みとおっていく。──アンパイアの元へと。
「……アンパイアさん、あなたは、これまで、ファンの暴言、選手の抗議、試合を左右する判定、それらのプレッシャーに屈することなく公明正大に試合をジャッジしてきたはずです」
 兵庫の言葉は、いやその想いは、あたかも水面に垂らされた命綱のように。
 そう、水の中で深くもがいており、何とか浮かび上がりたいと必死で水をかいているものへもたらされた、細く、けれど確かな救いの糸のように。
 アンパイアは手を伸ばす、兵庫の声を頼りに、懸命で己の手を水面へと伸ばす。
「その強靭な心を以て……貴方を蝕む邪悪な意思を払いのけてください!」
 アンパイアは、その微かな糸を──しっかりと、掴んだ!

「くっ……バットは、ボールを叩くもの……!」
 オビリビオンマシンは……いや。アンパイアは、自らの機体を乱打するトリテレイアを咎めるように言葉を発する。それは、はっきりとしてきた、アンパイア自身の意思による言葉。
「その通りです。さあ、今こそ己の力で、その忌まわしい機体にジャッジを下すときです。退場せよと」
「頑張ってください、アンパイアさん! そんなマシンに負けるあなたではないはずです!」
 トリテレイアと兵庫の言葉と共に、コクピットハッチから細い光が発せられる。
 内部から、こじ開けようとしているのだ、扉を。撃ち砕こうとしているのだ、呪いを。
『ヌウウウ……逃ガシハシナイ……我ガ生体部品ヨ……』
 オブリビオンマシンがそのハッチを自らのマニュピレーターで再び閉じようとする。しかしそれを、鋼の騎士は赦しはしない。
「ど真ん中ですね」
 かがみこんだオビリビオンマシンのヘッドパーツを、再びトリテレイアのスラスターバットがジャストミートで打ち抜く! 大きくのけぞり、力を弱めたオブリビオンマシンから、ついに。ついに、アンパイアが飛び出した。
 すかさず走り込んできた兵庫のキャバリアが彼をしっかりと受け止める。
「やった! やりましたよ、せんせー!」
(さすがよ、黒影!)
 兵庫とスクイリアが喜びを分かち合ったとき、スタジアムのすべての照明が一斉に赤々と点灯した。
 同時、天地に響き渡るような大歓声と称賛の声がスタジアムを揺るがす。
 周囲を見回した猟兵たちの目に映ったのは、いつの間にか、観客席を埋め尽くしていた無数のファンたちが手を叩き大旗を振って自分たちを応援している姿、そして、身を乗り出して励ましているホーリーゲイルズとマッドスマッシャーズの選手たちの姿であった。
「すげえぜ! やった! 良くやりやがったな、新人ども!!」
 興奮したように大きく手を振るD5パイロット少女の顔は輝いて。
「フッ、私を多少とはいえ打ち負かしたのですからね、これくらいのことは当然というもの。しかし、見事です」
 キザな笑みを浮かべ、腕を組んで、なんか理解者面をしているカイザーの姿。
 その他、僅かな時間ではあったが確かにチームメイトだった者たち、そして試合を観戦していたファンたちの熱狂的な応援が渦を巻いて猟兵たちを包み込んでいた。
「ヒューッ、これは血が滾りますぞ。これが『浪漫』でござるよ」
 髭の中でニヤリと笑み、エドゥアルトはボロボロにヒビの入った左拳を構える。ターゲットは、蹌踉とよろめいている、いまや崩壊寸前のオブリビオンマシン!
「さあ! とーどめのぱーんちがあーれくるうー!!」
 スタジアムから湧き上がる応援歌に乗って、エドゥアルトのロボは全力で爆走し、全霊を込めた最終最後の一撃を──叩きつけた!
 その左腕と引き換えに、空間ごとえぐり取るほどの衝撃と共に、ついに鋼の魔神が砕け、引き裂かれ、粉砕される!
 苦悶の叫びをあげて崩れ去り、塵と化していくオブリビオンマシンを前に。
 アンパイアは静かに宣告したのだった。
「……ゲーム・セット」

 かくして、猟兵たちの活躍により、キャバリアボール事件は無事解決を見た。
 今もまた、多くのキャバリアボールプレイヤーたちが鋼の球を追い、打ち、投げて、熱い血潮と青春をたぎらせている。
 それは戦乱続くこの世界にあって、人々の心を湧きたたせ、明るい希望へと導くもの。
 ゆえに、アンパイアは今日も高らかに宣言するのだ。
「正々堂々と、──プレイボール!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月12日


挿絵イラスト