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暴走と静謐 ~The longest day

#クロムキャバリア #科学小国家ジャパニア #新世界シナリオ第一作目

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#クロムキャバリア
#科学小国家ジャパニア
#新世界シナリオ第一作目


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 新世界クロムキャバリア!
 100年に渡る戦争が繰り広げられる闘争の世界!
 グリモアが新たな輝きを生み出したとき、猟兵を新世界の予知を見せた。

 ――科学小国家『ジャパニア』。議会民主主義の小さな国だ。
 彼の国が技術革新の粋を集めた体高5mの人型兵器『キャバリア』の新型起動実験を行っている真っ最中に、その事件は起きた。
『操縦が……こいつ、勝手に動くぞ! うぅっ、意識が、遠のく……!』
「おい、どうした!? パイロット、応答しろ!」
「駄目です、主任! パイロットのバイタルシグナル、途絶えました!」
「パターン:O(オー)を検出! オブリビオンマシンです!」
「第一級戦闘配備! 並びに最大級避難警報【アビス】を発令!」
 開発チームが緊急シークエンスを実行してゆく。
「馬鹿な! 最新機体だぞ!? なぜオブリビオンマシンにっ?」
 主任は目の前の最新機が異形へと変質してゆく様に唖然とする。
『グオオオオオォォォォォーッ!!!!!!!』
 咆哮する最新機体、否、オブリビオンマシン!
 その機体は禍々しい青紫色のオーラで包まれていた。
 そして、実験場の施設内で大暴れし始めたではないか!
 更に機体内のパイロットは意識を失い、そのまま反応がない!
「応答せよ、目を覚ませ! お前の妻も子供も、帰りを待っているんだぞ!」
「主任! ここは危険です、早く避難を!」
「くそっ! 我が国はオシマイなのか!?」
 この瞬間、『ジャパニア』の希望が絶望に変わってしまった。

「早速、みんなには新世界クロムキャバリアに転送するから、任務内容をよく聞いてねっ!」
 グリモア猟兵の蛇塚・レモン(蛇神憑きの金色巫女・f05152)は、グリモアベースに集まってくれた猟兵へ、新たな任務を伝達し始める。
「みんなには科学小国家『ジャパニア』の兵器製造実験場に向かってもらうよっ! そこで今、最新の人形兵器『キャバリア』がオブリビオン化……つまりオブリビオンマシンになっちゃって、暴走しているんだよっ!」
 つまり、今回の任務は、その暴走したキャバリアとやらを停止させればいいのか。
 しかし、操縦者は今、どうなっている?
 これにレモンが答えた。
「どうやらコックピットで気絶してるっぽい! あ、搭乗者は新婚で、美人の奥さんと生まれたばかりの娘さんがいるんだってっ!」
 あからさまに死亡フラグであった。
 うまく搭乗者へ呼び掛ければ、戦闘で有利になるかもしれない、とレモン。
「事は一刻を争う状況だから、準備が出来た人からどんどん転送してゆくよっ! みんな、新しい世界での任務、くれぐれも気を付けて遂行してねっ!」
 レモンの頭上のグリモアが、新たな世界へ猟兵を誘う!


七転 十五起
 新世界クロムキャバリアです!
 鉄血と闘争の世界で、新たな冒険が始まります!
 なぎてんはねおきです。

 シナリオ内容は至ってシンプル。
 起動実験中の新型キャバリアが、謎の異形化を経てオブリビオンマシンになってしまいました。このままでは実験場の破壊のみならず、科学小国家『ジャパニア』が壊滅してしまうでしょう。
 皆様には、この暴走するオブリビオンマシンを撃破してもらいます。
 撃破すれば、搭乗者も救出できます。

 猟兵は強いので、生身でも戦えます。
 ですが、相手は体高5mの人形兵器ですので、開発チームに断りを入れたり入れなかったりで、借用したキャバリアに乗り込んで戦うことも出来ます。ユーベルコードもしっかり発動します。
 キャバリアに搭乗して戦いたい猟兵の皆様は、プレイングにその旨を明記願います。

●オブリビオンマシン
『モノアイ・ゴースト』
 射撃能力に長ける、指揮官型オブリビオンマシンです。肩部シールドから発生するバリアフィールドによって高い生存力を誇り、ユーベルコードで援軍を呼ぶことも出来ます。

 それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちしております!
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第1章 ボス戦 『モノアイ・ゴースト』

POW   :    バリアチャージ
【バリアを纏った】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【支援機】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    パルス・オーバーブースト
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【オブリビオンマシン】から【光学兵器による一斉攻撃】を放つ。
WIZ   :    ゴーストスコードロン
自身が【敵意】を感じると、レベル×1体の【支援キャバリア】が召喚される。支援キャバリアは敵意を与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

メディウム・シャルフリヒター
新しい世界の英雄を迎えに来たと思ったら、どうもここは機械しかいないようですね。パイロットだけであればヴァルハラに迎え入れましょうか。

迎え入れられるか、1つ試練を与えましょう。UCを使用し、巨人の獄炎剣を代償にその使い手、炎の巨人 スルトを召喚しましょう。20m級の大剣とその使い手、大きさでは勝っていますが。さぁ、スルト。あれを捕まえ、手足をもぎ取りなさい。

私は、スルトの近くで飛びまわり、メディウムのサブマシンガン(2丁)で相手の足を狙いましょう。後ろに噴射するような機構があってもバランスを取るのは足のようです。私を狙いに来るなら残像を残した回避を行い、スルトに敵意が向くよう動きましょう。



 新世界クロムキャバリアは、小国家同士が100年間近く戦乱に明け暮れる世界だ。
 そして、その少国家群のひとつ、科学小国家『ジャパニア』の兵器開発実験場に猟兵が転送されてきた。
 メディウム・シャルフリヒター(ヴィランヴァルキュリア・f20877)は周囲を見渡していると、突然、耳をつんざく方向が頭上から聞こえた。
 彼女が見上げると、青紫のオブリビオンマシンが暴れだし始めたではないか。
 どうやら、予知でみた暴走のタイミングにメディウムはまっさきに駆け付けたようだ。
「クロムキャバリア……新しい世界の英雄を迎えに来たと思ったら、どうもここは機械しかいないようですね」
 本業は、勇敢な戦士をヴァルハラヘムへ向かい入れる戦乙女であるメディウム。
 クロムキャバリアでも、任務がてら職務を全うしようとしていたようだ。
「仕方がありません。パイロットだけであればヴァルハラヘムに迎え入れましょうか」
 メディウムはその場でユーベルコードを行使、エインヘリヤルを召喚する。
「武器にふさわしい持ち手を今ここに。さぁ、戦いなさい! 炎の巨人スルト!」
 彼女は自身の頭上で浮遊する巨人の獄炎剣を媒介に、北欧神話に登場する炎の巨人を召喚させると、オブリビオンマシンと退治させた。
 スルトは浮遊する獄炎剣の柄を掴み、暴走するオブリビオンマシンにも負けない声量で咆哮を轟かせた。
 その巨体と剣身は、ゆうに20mは超える!
「あの機体のパイロットをひとつ試してみましょう。ヴァルハラヘムへ迎え入れられる資格を持つ戦士かどうか、を。さぁ、スルト。あれを捕まえ、手足をもぎ取りなさい」
 命じられた巨人は、前屈みになると、オブリビオンマシンを掴み掛かろうとしていた。

 これに慌てたのは、実験場から避難をしようとしていた開発チームだ。
「巨大高エネルギー反応物体が突如出現……!? 識別標識、不明です!」
「おい、見ろ……! もしかして、あのデカブツじゃないか?」
「嘘だろ……キャバリアが玩具に見えるほどの巨人だとぉ!?」
「まずい! あのまま握り潰されたら、パイロットの命はないぞ!?」
 職員は半ば恐慌状態に陥り、ただ右往左往するばかり。
 だが、主任は不思議と冷静だった。
「狼狽えるなッ! まずはあの巨人とコンタクトをとるんだ!」
「は、はいっ!」
 職員は急いで外部マイクへ音声を切り替えると、主任がスルトに呼び掛けを始めた。
<待ってくれ! そのキャバリアを破壊しないでくれ! まだパイロットは生存している! 意識を失ってるだけだ!>

「おや……?」
 メディウムは司令室からの呼び掛けに気付くと、スルトを制止させた。
 オブリビオンマシンは、目の前の巨人が敵だと判断したようで、全身に禍々しいバリアを纏いながら突進を繰り返してきた。
 だが、巨人は鬱陶しそうにそれを足蹴にしてしまった。
 地面を数回バウンドするオブリビオンマシン!
 なんてあっけない!
<おい! 話を聞け! 今のでパイロットが死んだらどうしてくれるんだ!>
「無論、ヴァルハラヘムへ入れるだけですが?」
 首を傾げるメディウムは、声を張って主任と言葉をかわした。
「私はメディウム・シャルフリヒター。戦士をヴァルハラヘムへ向かい入れる役目を担う戦乙女にして、世界を渡り歩く猟兵です」
<りょ、猟兵……!? 実在、したのか……!>
 驚愕の声を漏らす主任。
 開発チームもにわかに信じられないと、モニターに映し出されたメディウムの姿を凝視していた。
 だが、メディウムの明らかにクロムキャバリアとは違う文化の武装や戦闘様式、そして忽然とこの場に姿を現した事から、開発チームの面々の表情が次第に明るくなってゆく。
「伝説の超人が、この窮地に駆け付けてきてくれたぞ!」
「でもヴァルハラヘムって死後の世界だよな?」
「あいつ……まさかパイロットを殺しに来たのか?」
 期待と不安の感情が入り交じる開発チーム。
 主任は部下の気持ちを汲み取り、メディウムに懇願した。
<頼む、搭乗者の命はどうか見逃してくれ。あれの帰りを待つ妻と子供がいるんだ。オブリビオンマシンを破壊すれば、おそらく彼の命はまだ救えるはずなんだ! 頼む、この通り……!>
 主任の男の懇願に、メディウムは嘆息を漏らした。
「残念ですが、ここでは戦士の勧誘は難しそうですね。ですが、そういうことならば、目的をパイロットの救出に切り替えましょう」
 巨人が足蹴にした機体へ接近しようとするメディウム。
 だが、オブリビオンマシンは瓦礫の中から飛び起きると、再びバリアを展開!
 今度は召喚者であるメディウムへ向かってくる!
<逃げろ、メディウム君!>
 主任が警告を発するが、彼女は一向に退こうとはしなかった。
 それどころか、天使の装飾がされた二挺のサブマシンガンを何処からともなく出現させて掴み取ると、そのまま敵機と同じ目線まで飛翔。そのまま躊躇なくそのトリガーを引き絞った。
 2つの銃口からビーム弾が乱射され、敵の突撃の勢いを削いでゆく。
「スルト!」
 彼女の声に炎の巨人が応える。
 持っていた獄炎剣の切っ先を、オブリビオンマシンに眼前に叩き付けた!
 爆炎とともに足元は放射状にひび割れて吹き飛び、突進してきたオブリビオンマシンは再び錐揉み状態で空中を舞う!
 だが、2度目ともなるとスラスターを駆使して空中で姿勢を立て直すオブリビオンマシン。
 そこへ、メディウムの放ったビーム弾幕が、オブリビオンマシンのスラスターにヒット! スラスターが損傷したオブリビオンマシンは、体勢を崩して地面に墜落してしまった。
「後ろに噴射するような機構があっても、機体のバランスを取るのは足のようですね。そこを破壊すれば、機動力が落ちるはずですね」
 メディウムの判断は実に正確で、その後の突撃も最初の頃より精彩を欠く威力に落ち込んでいた。
「スルト、私を守りなさい」
 飛行するメディウムをかばうように、オブリビオンマシンの行く手を阻む炎の巨人。
 オブリビオンマシンは巨人へ突撃しては、そのまま蹴っ飛ばされて地面に転がるという動作を幾度か繰り返すも、損傷分が生き物のように再生してる。
「これは……まるで生き物ですね」
 やはり手足をもぎ取るべきか、とメディウムが逡巡したその時、ようやく後続の猟兵が到着した。スルトもユーベルコードでの顕現限界時間が迫っている。
「……時間切れですか。まぁ、いいでしょう。この世界のことは大体分かりました」
 メディウムはスルトを下がらせると、あとは後続の猟兵へ任せることにした。

成功 🔵​🔵​🔴​

フォルティス・ワーライン
【アサルトリベルタ】
搭乗型のマシンとはな。
なんか、懐かしい気がするぜ。俺もああいうロボットにそろそろ乗りたいと思っていたところだが・・・。まぁいい、俺は航宙駆逐艦『鬼やらい』で空中から同じアサルトリベルタ隊の援護を行う。

出ろ!UCを使用してメカニカルガーディアンを召喚する。
相手が機械だろうが関係はない、ヨウが戦っている間敵の支援キャバリアを狙って射撃しろ!足を止めれば、航宙艦用『タングステン弾磁力加速砲』で撃ちぬいてやる。いくら数を出しても質に劣れば意味がないのさ。

ヨウ、借りたキャバリアの調子はどうだ。
他の奴らは気にするな。俺が全部喰いとめてやる。遠慮なく最新機体と戦ってこい!


ヨウ・ツイナ
【アサルトリベルタ】
新しい世界でござるな。そして新しい機械、技術!うむ、私の好みでござる。
私はフォルティス殿が戦っている間に、研究チームから量産型でも良いのでキャバリアを借りてくるでござる。何、古風と思う出ないぞ、機械にはめっぽう強いでござる。

刀をベースとした武装があれば、それで良いでござる。
量産型と侮るなかれ!所詮は敵の攻撃を見切れば当たるものではないでござる。見切ることが出来たならば、早業で相手の頭を武装で刺突してくれるでござる。コクピットは胸にあるなればカメラを潰せばそうは動けぬでござろう?オブリビオンだとそのような常套はないやもしれぬが。

なれば腕の一本はいただく、剣刃一閃でござる!



 続けて駆け付けたのは、アサルトリベルタ隊所属のフォルティス・ワーライン(宇宙を駆けるケントゥリオ・f18278)とヨウ・ツイナ(絶対守護の女武者・f18276)の2人。
 フォルティスは転送ちょくに早々にユーベルコードを行使。
 頭上に航宙駆逐艦『鬼やらい』を呼び寄せると、そのまま艦内へ乗り込んでゆく。
『搭乗型のマシンとはな。なんか、懐かしい気がするぜ。俺もああいうロボットにそろそろ乗りたいと思っていたところだが……まぁいい。ヨウ、援護する』
 外部マイクからフォルティスの声が外に響く。
 彼が操縦する『鬼やらい』の格納庫から、近未来的水陸両用船舶が発進する。
 その中には、ジェットパックとサブマシンガンで武装した死を恐れない小柄な特殊部隊隊員が320人乗り込んでいるのだ。
『出ろ! メカニカルガーディアン! 防衛線を構築だ。相手が機械だろうが関係はない。敵を沈黙させろ』
 船舶から飛び出した隊員がジェットパックで浮遊しながら、サブマシンガンの弾の雨をオブリビオンマシンに浴びせていった。
 BATATATATATATATATATATATTATATATATATA!!!
 十字に瞬くマズルフラッシュがオブリビオンマシンを取り囲み、銃弾がその装甲と激突して火花を散らす!
 すると、オブリビオンマシンは自身の周囲に80機の支援キャバリアを召喚。
 鋼鉄の腕が幽霊隊員を攻撃する!
 体高5mの鋼の巨人に対し、数は勝っているが人間サイズの幽霊隊員たち。
 その戦力差は僅かに敵機側が勝っており、徐々に幽霊隊員たちが超大な狙撃銃から放たれる光線の餌食になってゆく。
 フォルティスはこの瞬間、自身のユーベルコードと敵のユーベルコードの相性が悪いことを悟る。
『ぐ……っ! 総員、足を止めろ! 足を止めれば、航宙艦用『タングステン弾磁力加速砲』で撃ちぬいてやる!』
 いくら数を出しても質に劣れば意味がないのさ、と言おうとしたが、まさかそのまま言葉のブーメンランを食らうとはフォルティス自身も思いもよらなかった。
 フォルティスは更に高度を上げて敵の射程外へ逃げたかったが、あまり高度を上げて航行すると、この世界の上空で眼を見張る暴走衛生『殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)』の標的になってしまう。
 基本、この世界は飛行タイプにはリスクが高い世界なのだ。
 想像以上に苦戦を強いられる戦況に、パートナーの参戦を待つフォルティス。
『ヨウ! まだ機体は借りられないのか!?』
 彼の苛立つ声が頭上から響いた。

 一方、その頃、ヨウは開発チームの主任と面会をしており、キャバリエに対しての知識を軽くレクチャーを受けていた。
「さすが新しい世界でござるな。そして新しい機械、技術! うむ、私の好みでござる!」
「飲み込みが早くて、正直此方は驚いているよ……」
 主任はヨウの白兵戦特化の量産型キャバリエの操縦方法の理解度に舌を巻いていた。
「普通なら半月は座学と訓練を重ねてやっと操縦できるんだがな。さすがは伝説の戦士ってところか」
「なるほど、ここでは猟兵はそんな位置付けでござるか。それにこの刀が主兵装のキャバリエは、拙者との相性が抜群でござる」
 ヨウは既に自身の体の一部のように使いこなせていた。
 主任はその機敏な動きに、思わず感嘆の声が漏れた。
「こいつはエースパイロット並みの機動力だな……。古風な身なりだから、機械の類は苦手だと思っていたよ」
「何、古風と思う出ないぞ、機械にはめっぽう強いでござる」
『おい、ヨウ! 早くしてくれ! もうこっちはギリギリだ!』
 上空の航宙駆逐艦から焦りの声が聞こえてきた。
「む、フォルティス殿はどうやら劣勢の様子。こうしてはおられぬ。主任殿、この機体をお借りしますぞ」
「ああ、勿論だ。あいつを、助けてやってくれ……!」
 一礼する主任に、ヨウは力強く頷く。
 搭乗を完了すると、スラスター全開でホバリングしながら前方へ疾走してゆくヨウ!
「量産型と侮るなかれ!」
 黒いヨウの鎧と同じカラーリングのキャバリアが、戦場を稲妻のごとく縦横無尽に駆け抜けてゆく!
 その度に甲高い金属の激突音が鳴り響き、オブリビオンマシンの僚機が上下真っ二つになって消滅するではないか。
『遅いぞ。何をしていたんだ、ヨウ!?』
「申し訳ござらぬ! 操作方法の確認に少々時間を要したでござる! フォルティス殿は拙者の援護を!」
 行く手を阻む敵僚機をなで斬りにしたヨウが更にオブリビオンマシンへ駆け寄る。
 だが、まだまだ敵僚機が彼女の前を阻むべく立ち塞がる。
 そこへ、上空から巨大なタングステン弾が降り注ぎ、敵僚機を破壊した!
『最初からその手筈だろう? 俺がお前を守る。これ以上、他の奴らは気にするな。俺が全部喰いとめてやる。遠慮なく最新機体と戦ってこい!』
「かたじけない、フォルティス殿! ……愛しておるぞ」
 黒い疾風が敵僚機の合間をすり抜けてゆくと、時間差で巨大なタングステン弾が航宙駆逐艦『鬼やらい』の超大型コイルガンから連射される!
『新しい機体は調子良さそうだな、ヨウ? さぁ、さっきはよくもやってくれたな。総員、総攻撃だ!』
 フォルティスは幽霊隊員達に伝令を下すと、残存する敵僚機を次々と撃破してゆく。その撃破して空白となった場所が、ヨウへオブリビオンマシンへ辿り着く最短ルートを示す。
 だがオブリビオンマシンも青紫のバリアを展開し、ヨウの機体へ突っ込んできた!
「何の! 所詮は敵の攻撃を見切れば当たるものではないでござる!」
 敵の突撃は僚機を伴って、まるで空飛ぶ鳥の翼のような陣形となった。
 これは、鶴翼の陣!
 敵を包囲して棒で叩く極悪非道な戦術だ!
 だがヨウはその包囲網を突き破るべく、更に機体を加速させる!
「オブリビオンだとそのような常套はないやもしれぬが……!」
 ヨウは副武装のヒートダガーを抜くと、敵の突進を半身引いて回避すると同時に赤熱する刃を突き付け、すれ違うオブリビオンマシンの頭部を引っ掻くように斬り払った!
「コクピットは胸にあるなれば、カメラを潰せばそうは動けぬでござろう?」
 包囲網を狭める僚機は、上空と亡霊兵士からの攻撃で地に伏せてゆく。
 取り巻きがいなくなったオブリビオンマシンは、左半分の視界が奪われたことでヨウの姿を見失っているようだ。
 だが、頭部の損傷が、時間を巻き戻すかのごとく、ゆっくり復元しているのをヨウは見逃さなかった。
「此奴、再生するのでござるか。ならば、その腕の一本切り落とさせてもらおう!」
 電撃めいた速度でヨウの機体はオブリビオンマシンに肉薄すると、主兵装の巨大刀を下段から逆袈裟に振り上げた。
「剣刃一閃でござる!」
 ぶつかり合う金属音、飛び散る火花!
 巨大刀は腕ではなく、敵機の肩部の装甲を切り落とすだけに留まった。
「む、早いでござる! むしろ速度が上がったような……!?」
 バリアで剣閃の威力が削がれたこともあるが、急に敵機の機動力が向上した。
『どいてろ、ヨウ! タングステン弾磁力加速砲を喰らえ!』
 動きが止まったオブリビオンマシンにタングステン弾を浴びせてゆくフォルティス。
 だが、敵を完全停止まで追い込むことは出来なかった。
「此奴……よもや、拙者たちの攻撃を学習しておるのか?」
『まずいな、そうなると俺とヨウの攻撃は既に見切られてる可能性がある』
 この戦闘の中で、オブリビオンマシンは猟兵との戦闘経験を通して、進化を遂げているのだ。
 手詰まりを感じる2人のもとへ、他の猟兵がキャバリアを乗り付けて駆け付けてきた。やむなく、2人は前線から退き、後方支援に徹することにした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アトシュ・スカーレット
やって来ました、新世界!!
……死亡フラグが凄い!!
でもそれをなんとかするのがオレ達だもんね!やってやるぞー!!

研究者のみんな!!ここは危ないから逃げて!
……あのロボかっこいい……
でも慣れない事して失敗したら奥さんとお嬢さんに合わせる顔ないから今回は諦める……

【転移術・剣撃式】で支援キャバリアに目印の剣を投げて確実に懐に入れるようにするね

Tyrfingに腐敗の【呪詛】を重ね掛けしてから【切り込む】よ!
転移術を駆使してなるべく長時間同じ場所にはいないようにするね

「さっさと目ぇ覚ませ!!家族を悲しませる為にそれに乗ったんじゃねぇんだろうが!!」


コトト・スターチス
メカの動かしかたをゲームでべんきょうしたコトトですっ
ぼくは防御がつよいキャバリアをおかりして、施設とみなさんをまもります!

戦闘では『うるとらちゃっと』で、視聴者のお兄ちゃんたちにお願いします
「みんなを無事に助けられるようにすごい防御力がほしいです! どうか、応援してくださいっ」
わざと目立つよう動いて敵の攻撃をぼくに集中させますが、敵に負けないくらい強化したバリアシールドと【残像】のジャマーで防ぎます!

パイロットさんがはやく目を覚ませるよう、戦いながら通信を【ハッキング】して、味方の通信を直接届けられるようにしたいです
「ぼくたちが死亡フラグをクラッシュします! ご家族のために、起きてくださいっ」


ユーリー・ザルティア
やれやれ。これだから新型は当てにならないんだよね。

さて、ボクは愛用のクロムキャバリアで行くよ。
量産型キャバリアは僚機設定でボクの援護だ。
―ッユーリー・ザルティア出るッ!!

さて、パイロットくん君には還るべき場所と、帰りを待つパートナーがいるんだろ?
彼女を未亡人にするきかい?
テストパイロットになったのはそんなバットエンドを押し付ける為じゃなかったはずだよ。

動きが鈍くなった?
今だッ!! オーバーブースト・マキシマイザー起動ッ!!
『肉体改造』された、この肉体を『限界突破』するぐらいの超速機動だ
ボクの『操縦』もなかなかだろ。
僚機。今がチャンスだ!うてぇー

アドリブと他猟兵の共闘はご自由にってね。よろしく♪


ルリララ・ウェイバース
互いに姉妹と認識する四重人格
主人格で末妹にルリララ以外序列なし

乗機はアルアニマ
愛称はアル
複座式で前に姉一人、後方で動力と繋がったルリララが管制する
彼女の精霊力で動く(アルの自己申告)

WIZ
『とにかく、操縦者を助けるぞ』
「数が多いわ。凍らせて動きを封じましょう。アル、エレメンタル・ファンタジア使うわよ」
【了解しました。操縦桿を持って普段通りに使って頂ければ問題ありません】
極寒の竜巻で敵を凍らせ、他の猟兵をサポートする
操縦者救出後は氷柱の雨に切り替えて攻撃
『生身で戦う時みたいに寒くなくて良いな』

暴走時、味方に回避を通達
【僚機の皆さんは回避行動を推奨します】
「精霊語じゃダメでしょ!みんな逃げて」



 開発チームの主任は唖然としていた。
「……伝説の戦士が、他にもたくさん……?」
 猟兵という存在は、この科学小国家『ジャパニア』では伝説上の存在である。
 生身でキャバリアを撃墜させ、摩訶不思議な異能力を行使する超常の戦士。
 科学では到底説明不能な戦士達が、次から次へと自分の元へ尋ねてくるのだ。
「もしかして、君達は他にもたくさんいるのか?」
 主任の疑問にアトシュ・スカーレット(銀目の放浪者・f00811)は頷いた。
「そりゃもう、たくさんいるよ! えぇと、1000人? いや10,000人以上?」
「ぼく、お兄ちゃんたちから『猟兵は今や3万人を超えた』って聞いたです」
 コトト・スターチス(バーチャルネット辻ヒーラー・f04869)の言葉に、主任は目を白黒させていた。
「それほどの猟兵が存在していたのか……。って、今はそれどころではないな!」
 主任はモニターに残存しているキャバリアの一覧を2人に提示した。
「キャバリアの借用だろう? 好きな機体を使ってくれたまえ!」
「ありがとうございます! やっぱりキャバリア乗ってこそ、やって来ました、新世界!って感じだね!」
「新世界?」
 首を傾げる主任に、アトシュは慌てて取り繕う。
 クロムキャバリアの人々に、骸の海とそれに浮かぶ他の世界について言及するには、今は時間がなさすぎる。
「あ、いや、こっちの話! えーっと、オレはこの白兵戦特化の量産型を選ぶよ!」
「君もこれを選ぶか。今、暴走している機体に乗り込んだヤツも、結婚する前はその機体で数多くの武勲を上げたもんだ……」
「……死亡フラグが凄い!! 二重の意味で!!」
 主任はパイロットとアトシュの死亡フラグを同時に建てる荒業をやり遂げてみせた。
 だがアトシュはこれくらいでめげるような脆いメンタルの持ち主ではない。
「でもそれをなんとかするのがオレ達だもんね! やってやるぞー!! というか、研究者のみんな!! ここは危ないから逃げて!」
 一向に逃げない開発チームの面々に避難を促すアトシュ。
 しかし、彼らは逃げない。むしろ積極的に猟兵達をサポートしようと動き回っている。
「なんで逃げないの!?」
「決まってるさ、こんな貴重なサンプルデータ採取の機会を逃すなんて出来るか! 君達は私達がバックアップする! だからアイツを助けてくれ!」
 開発チームの面々も、仲間のために戦いたいのだ。
 その意思を汲み取ったコトトは、ニコニコと主任へ言葉をかけた。
「メカの動かしかたをゲームでべんきょうしたコトトにまかせてっ! ぼくは防御がつよいキャバリアをおかりして、施設とみなさんをまもります!」
「ゲ、ゲーム?」
 きょとんと惚ける主任だったが、コトトは人間に見えて実はバーチャルキャラクターである。ゲーム内で体験したことは、彼女にとっては現実の出来事と同じなのだ。
 早速、2機のキャバリアが、オブリビオンマシンへ向けて出撃する。

 ちょうどその頃、オブリビオンマシンのほど近くに出現する、完全オリジナルのキャバリア2機。
「主任! 空間から凄まじい高エネルギー反応を有するキャバリア2機が出現しました!」
「まさか、あれも猟兵なのか! だが何故キャバリアを持っている!? というか、片方は他国のキャバリアじゃないか!」
 主任はますます混乱してしまう。
 と、ここで司令部に入電の通知が届く。
 相手は、ユーリー・ザルティア(レプリカントのクロムキャバリア・f29915)だ。
<あれー? なんで判っちゃったのかなぁ? ボク、この国は知らないんだけど?>
「科学小国家『ジャパニア』以外の専用機だってことくらいは、解析しなくても分かる。……悔しいが、我々の技術よりも格段に上だという事もすぐ分かったよ。外の世界は、我々よりも力のある世界があるのだな……」
 主任の言葉に、ユーリーは内心首を傾げていた。
(この流れ、もしかして、ボクがサルディア統一帝国第二王女だってバレてない??)
 実は彼女、悪名高いレプリカントが支配する管理社会国家サルディア統一帝国の正統後継者、第二王女『ユーディ・サルディア』本人だ。
 猟兵活動を始めたきっかけは、日々の権力闘争や後継者争いに疲れてしまい、自由を求めての出奔だ。故に、今、彼女はフリーのキャバリア乗りである『ユーリー・ザルティア』として、この場に駆け付けたのだ。
 ……本名を少しだけもじっただけなので、いつバレるかと心配になりそうだが、本人は全く気にしてない残念さ。
<えーと、こほん。確かに、ボクは他国出身で通りすがりのキャバリア乗りだけど、この国を侵攻するつもりは全然ないから! というか、これだから新型は当てにならないんだよね。やれやれって感じだよ>
<そういうことよ。ルリララ達は、オブリビオンマシンを止めに来ただけだから>
 多重人格者ルリララ・ウェイバース(スパイラルホーン・f01510)の人格のひとつであるリラが通信に割り込んだ。
<ルリララ達がアルを別世界で拾ったんだよー♪ 最初は畑を耕す重機にしようと思ったんだけどねー?>
 すぐに人格がララに切り替わり、口調と雰囲気が変わる。
「じゅ、重機……? 別世界? この世界以外に、キャバリアが漂着していたというのか??」
 理解が追い付かない主任。
 だが、またすぐに人格がルリが前に出てきた
<リラ、ララ、主任さんがますます混乱してしまうわ。……ごめんなさい、主任さん。アルというのはこの子アルアニマの愛称よ。そして、たしかにこの子はこの世界――私達がクロムキャバリアと呼ぶこの世界の外で出会ったわ。それと、ルリララ達は主人格の『ルリララ』、そして彼女が姉と慕う3人……私『ルリ』、そして『リラ』と『ララ』。この4人の人格を1つの肉体に宿しているわ>
<え、それすっごいね?>
「ああ、そんな状況も、人間も、猟兵には存在するのか……」
 ユーリーも主任も、猟兵のトンデモさに驚いていた。
 この反応に、ルリは2人を戦闘に集中するように注意した。
<敵が僚機を呼び寄せたわ。来るわよ!>
 オブリビオンマシンは80機の僚機をユーベルコードで召喚させ、部隊を指揮し始めた。
<部隊指揮ならボクだってっ! ――ッユーリー・ザルティア、出るッ!!>
 すると、ユーリーの傍らに量産機キャバリアを呼び出すと、脳波で2体同時に操縦してみせた。
 これに開発チームがどよめいた。
「彼女はレプリカントだったのか! しかし、複数操縦だというのに、なんて精密な動きなんだ!」
 2機同時での銃撃は、単独で同時操作しているとは思えないほど多彩なコンビネーションを繰り広げている。
「主任! 猟兵4機のキャバリアが合流します!」
 司令室のモニターには、猟兵の乗るキャバリア4機がオブリビオンマシンと対峙する光景が映し出されていた。

『ルリララ、そっちはどう?』
 操縦桿を握るルリは、動力部と同化した主人格ルリララに念話で呼びかける。
 アルアニマの操縦席は複座式で前にルリ、後方で動力と繋がったルリララが管制する。
 この操縦席の中では、人格ごとに肉体が精霊力で生成されるらしい。
『問題ないぞ。アルもルリララの精霊力があれば稼働に支障はないと言っている』
【現在、精霊力100%です。稼働状況に問題はありません】
 精霊語で2人に語りかけてくるアル。
 最近拾った人型重機が、他世界から漂着したサイキックキャバリアだったとは、運命とは数奇なものである。
 目の前には群がる敵僚機。
 ルリララは姉ルリに提案する。
『とにかく、操縦者を助けるぞ。だが、あの数の暴力は厄介だな』
「確かに数が多いわ。凍らせて動きを封じましょう。アル、エレメンタル・ファンタジア使うわよ。……って、どうやってユーベルコード使うのかしら?」
 この疑問に、アルが精霊語で回答した。
【了解しました。操縦桿を持って、普段通りにユーベルコードを使って頂ければ問題ありません】
「そういうことなら……水よ、凍てつけ! 風よ、逆巻け!」
 ルリとルリララが水と風の精霊力を解き放つと、アルの武装から極寒の竜巻が発射された!
 真正面から呑まれた敵僚機は、たちまち真っ白な霜に覆われて凍結してしまった。
<ユーリー、ルリララ達が取り巻きを抑えてるから、早く……!>
<わ、分かったよ! うへぇ、すごい威力だね……怖っ!>
 ユーリーもまた、外の世界の猟兵の凄まじさを痛感していた。
(ははは……恐怖の管理社会国家サルディア統一帝国とか、笑っちゃうよね? ばっかみたい。あんな化け物みたいなユーベルコードを使うキャバリア乗りが外の世界にいるとかさ……。ボクもまだまだ世界を知らないってことだね……)
 ならば、もっと世界を見て回りたい。
 小さな管理社会国家の姫に収まっていたら、こんなワクワクや恐怖を感じることなかった。
(もっと、もっとボクは世界を知りたい! だから――)
 ユーリーの操縦桿を握る手に力がこもる。
「ボクは、君を助ける!」
 ユーリーはオブリビオンマシンに組み付き、そのままパイロットへ呼び掛け始めた。
<さて、パイロットくん? 君には還るべき場所と、帰りを待つパートナーがいるんだろ? 奥さんを……彼女を未亡人にする気かい? テストパイロットになったのは、そんなバットエンドを押し付ける為じゃなかったはずだよ?>
<そうです! ぼくたちが死亡フラグをクラッシュします! ご家族のために、起きてくださいっ!>
 コトトが通信回線をハッキングしてユーリーの会話に乱入!
 分厚い装甲に覆われた防御耐久型キャバリアで、ユーリーの機体を敵僚機から守るコトト。銃弾をいくら浴びても倒れないコトト機は、ある秘策を行っていた。
「これをみているお兄ちゃんたち、力をかしてくださいっ! 今、ぼくは新世界クロムキャバリアで、オブリビオンになっちゃったメカの中にとりのこされたパイロットさんを助ける任務中です! ぼくもメカに乗ってたたかってます! いっぱい銃で撃たれてちょっとこわいけど……!」
 コトトは涙目でおこさまむけスマホのカメラに向けて訴えていた。
 カメラを通じて、世界線を超えた先でコトトの生配信を視聴してるファン達――お兄ちゃんたちから声援と心配の声が入り乱れた。
『コトトちゃんがんばって!』
『幼女を銃で撃つとか許せねえ!』
『俺たちのできることなら何でもする!!!』
 チャット欄にPOPする言葉に、コトトは涙を拭った。
「うんっ! コトト、がんばるっ! みんなを無事に助けられるように、すごい防御力がほしいです! どうか、応援してくださいっ!」
『まかせろおおおおー!!』
『とどけえええええええ!』
『コトトちゃんを守れー!』
 お兄ちゃんたちの投げ銭が配信中に集まってゆく。
 動画収益の高まりに比例して、コトトの乗っているキャバリアに変化が表れた。
「主任! これを……!」
「キャバリアが、進化しているだとぉ!?」
 みるみるうちに、コトト機は重装武装化し、銃弾程度では傷一つ付かないほどの防御力を有していた。
「主任! あの猟兵のコトトちゃんの配信中に投げ銭をすると、あの機体が強化されるようです! さっき、僕もしました!」
「仕事中に何やってるんだバカヤロウ! 私もやるから、やり方教えるんだ!」
 開発チームの投げ銭も加わり、コトト機は金剛無双の鉄壁となった。
 コトトがユーリーを守り、2人がかりでパイロットへ語り掛ける。
 すると、オブリビオンマシンの動きが徐々におとなしくなってゆく。
<動きが鈍くなった? 今だッ!! コトトちゃん、離れて!>
<わかりました!>
 ユーリー機とコトト機は同時にオブリビオンマシンから離れる。
 そして、ユーリーは一気に勝負を決めにかかる。
「オーバーブースト・マキシマイザー起動ッ!!」
 実験場の上空を低空で飛翔すると、マッハ5を超える速度のまま、登場するキャバリアから全搭載武装の同時攻撃を敢行!
 だが、オブリビオンマシンも突如飛翔すると、ユーリーを超える速度で光学兵器による一斉攻撃を放ってきた!
「くっ! 疾いっ!」
 2機は螺旋を描きながら空中でドッグファイトを開始!
 実弾とビームが実験場の上空を飛び交い、炸裂して空を灰色の爆煙で満たしてゆく!
「当たれえぇぇぇぇーっ!!!」
 ミサイル弾の白い噴出煙が何本も空を切り裂き、オブリビオンマシンへ伸びてゆけば、その機体は赤黒い爆炎に包まれて轟音を撒き散らした!
「やったか!」
 手応えを感じたユーリーが体勢を立て直した、次の瞬間だった。
 青紫のバリアを纏ったオブリビオンマシンが、爆炎を突き抜けて猛然と突撃をしてきたではないか!
 バリアを張る前にダメージがかなりはいったようだが、このままではユーリー機は地面に叩き付けられてしまう!
「まずい! 緊急回避……!」
 だがオブリビオンマシンが隕石めいて迫ってくる!
(駄目! 避けきれない!)
<おねえちゃん!>
 コトトがインターセプト!
 バリアタックルを正面から受け止める!
 しかし、その勢いは減退せず、むしろ加速している!
「そんな、ここまでか……!」
「いや、まけない! まけたくない……!」
 ユーリーとコトトが目を瞑って覚悟を決めた、次の瞬間!

<諦 め ん な !>

 怒号とともに、アトシュの放った魔法剣が、バリアを突き破ってオブリビオンマシンの脇腹に直撃!
 そのままオブリビオンマシンは真横に吹っ飛び、アスファルトを叩き割って墜落!
 アトシュがユーリーとコトトの元へ駆け付けた。
<出遅れてごめん! 敵僚機が邪魔で割り込めなかった! 間に合ってよかったー!!>
<助かったよ! 君も猟兵なんだね? 白兵戦特化が剣をぶん投げるとか、斬新だね!>
 ユーリーの言葉にアトシュは得意げに告げた。
<まだまだここからが本番だよっ! それにしても……あのロボかっこいい……。あ、でも慣れない事して失敗したら奥さんとお嬢さんに合わせる顔ないから、今回は諦める……>
 オブリビオンマシンの禍々しくも男心をくすぐるフォルムに、アトシュは思わず見入ってしまっていた。
 気持ちを切り替えたアトシュは、コトトがこじ開けた通信回線に割り込むと、オブリビオンマシンの中のパイロットへ腹の底から呼び掛けた。
<さっさと目ぇ覚ませ!! 家族を悲しませる為にそれに乗ったんじゃねぇんだろうが!! テストパイロットは名誉なことじゃねぇか! なにみんなを悲しませてんだ!!>
 立ち上がるオブリビオンマシンが、アトシュを標的と認識して銃口を向けた。
 再びバリアを展開して、そのまま銃撃とともに突進してくるオブリビオンマシン!
 しかし、突如、オブリビオンマシンの視界から、アトシュのキャバリアが消失した!
 同時に、オブリビオンマシンの下半身がたちまち腐食してゆく!
<こっちだ、ノロマ!>
 なんと、アトシュの機体がオブリビオンマシンの脇腹に刺さた魔法剣の元まで瞬間移動している!
 これが彼のユーベルコード『転移術・剣撃式(テレポート・シュヴェーアト)』!
<剣よ、この一撃を手向けとすべく、その力を奮え!>
 腐食の呪詛を宿した魔法剣は、突き刺さったところからオブリビオンマシンを錆付かせてゆく。そして、アトシュ機は魔法剣を引き抜くと、返す刃でオブリビオンマシンの上半身を叩き斬った!
<目ぇ覚ましやがれ!!>
 オブリビオンマシンの左半身が剣撃で粉砕!
「僚機。今がチャンスだ! うてぇー!」
 ユーリーも量産機の僚機とともに射撃で加勢!
 コトトもこれに続き、3人の総攻撃がオブリビオンマシンに浴びせられた。
 その時、通信に反応が!
 3機は攻撃を中止!
<ぅぐ……な、何が、おき、てる……?>
<ッおい! しっかりしろ! 今助けてやる!!>
<逃げ……ろ……。私は……もう……ガハッ!>
 通信遮断! オブリビオンマシン側からの強制切断だ!
「おい! 冗談はよせ! そんな、嘘だろ!?」
 パイロットの容態はかなり悪いと推測される。
 だが、半身を割かれても、なお暴れるオブリビオンマシン!
 素体がジャイアントキャバリア……脳無き巨人『ユミルの子』に、装甲とコックピットを取り付けた代物であるがゆえか、自我を持つように猟兵達へ殺意を向けてくる。
「本当、化け物だね……!」
 苦笑いが溢れるユーリー。
「皆さんは、コトトがまもりますっ!」
 本当は泣きたいほど怖いけど、誰かを守りたい気持ちがコトトを突き動かす。
 アトシュも最後まで諦めずに立ち向かうべく、機体を構えさせた。
 そこへ、敵僚機を氷像に変え終わったルリララ達とアルアニマが前に進み出る。
「だったら、オブリビオンマシンも氷漬けにするわね」
 広範囲に効果が及ぶエレメンタル・ファンタジアは、オブリビオンマシンの高速移動を逃すことはない。
「下がってください。もし暴走したら、ここら一帯が氷原に代わってしまいます」
「うわぁ、あからさまなフラグ発言!」
 アトシュは機体を後退させて真っ先に避難した。
 この男、危険フラグ感知に関しては並々ならぬ精度を持っているようだ。
 他の2機も言われるがまま退くと、アルアニマは武器から猛吹雪を射出!
(本当は搭乗者を救出したかったけど、なかなか難しそうだわ……)
 完全破壊するために、氷柱を降り注ぐことも考えた。
 しかし、オブリビオンマシンの抵抗にこれを断念。身動きを封じるだけに留まる。
『生身で戦う時みたいに寒くなくて良いな』
「ルリララったら呑気よね。って、ルリララ?」
『すまん、ちょっと制御が難しくてな……あ、駄目だなこれは』
「まって、暴走!? アル、抑えられるかしら!?」
【僚機の皆さんは回避行動を推奨します】
「精霊語じゃダメでしょ! みんな逃げて! 精霊力が暴走するわ!」
「やっぱり暴走するんだ!?」
 アトシュに先導され、ユーリーとコトトはその場から緊急退避。
 白銀の暴風は実験場を覆い尽くし、あらゆる物を氷で覆ってしまう。
 数分後、精霊力が出力低下して、ようやく止まったアルアニマ。
 その相向かいには、氷像と化したオブリビオンマシンが佇んでいた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『悪路踏破』

POW   :    地形を破壊し、移動しやすくする

SPD   :    何らかの手段で低空を飛行し、悪路を飛び越える

WIZ   :    迂回路を探し、悪路を避ける

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ――私は、死んだのか?

 取り残されたパイロットは、真っ暗な海の中で浮かんでいた。

 ――ここは……海? 私は起動実験中だったはずだが?

 彼は訳も分からず揺蕩い続ける。
 身体に力が入らない。
 むしろ身体に力を入れようとすると、沈んでしまいそうで。

 ――なんて、静かなんだ。

 この場所は静謐に満ちている。
 こんな場所があっただなんて。
 戦いに明け暮れていた日々が嘘のようだ。
 そうだ、妻や子供もここに連れてこれるだろうか?
 戦いを忘れて、ひっそり暮らすのも悪くないだろう。

 ――2人に、逢いたい……。

「オブリビオンマシン、再覚醒! 氷柱から脱出します!」
 ボロボロの機体を覆う氷を粉砕し、中から這い出てきたオブリビオンマシン。
 その身体の変貌ぶりに、猟兵達と開発チームは唖然とする。
「脱皮、しただとぉ!?」
 ボロボロの外装を脱ぎ捨てたオブリビオンマシンは、青紫から真っ赤な体表を露出すると、凄まじい速度で四足走行を開始!
 瓦礫の山を軽々と超えて、実験場から逃走を図る!
「まずい! この先の市街地へ向かう前に、なんとしても動きを止めてくれ!」
 主任が猟兵達へ依頼する。
「まさかアイツ……自分の奥さんと子供に逢いに行くつもりじゃ!? オブリビオンマシンにアイツの精神が汚染されてる? もしくは同化している? もともとは脳がない『ユミルの子』が素体だ、操縦者の意思が宿ることも十分ありうる……!」
 主任は猟兵達に注文をつけた。
「今は追跡と足止めに専念してほしい! その間に、あの機体とパイロットのバイタルを調べてみる! とにかく、時間を稼いでほしい!」
 猟兵達は得体のしれないオブリビオンマシンを追跡するべく、遠方まで続く瓦礫の山に立ち向かってゆくのだった。
フォルティス・ワーライン
(SPDで判定)
【アサルトリベルタ】
なかなか逃げ足が速いな。それに、少しグロテスクだな。最早ロボットといえるのか不明だ。仕方ない、急いで追いかけるとしよう。
上空の衛星が少し気になるから、検知しないような高度で追いかけるか。

障害物は『タングステン弾磁力加速砲』で破壊していくとしよう。こうすることで他の奴らも可能な限り追いかけることが出来るだろう。元は艦隊戦に使う砲撃だ、十分な破壊力があるだろう。

しかし、もはやコクピットのパイロットはオブリビオンマシンに同化してしまっているのか。救出は難しいかもしれないな・・・。


ヨウ・ツイナ
(SPDで判定)
【アサルトリベルタ】
私はフォルティス殿の航宙駆逐艦『鬼やらい』に借り受けたキャヴァリアごと乗艦してオブリビオンマシンを追跡するでござるよ。

ふーむ、借り受けたキャヴァリアには新型のキャヴァリアの情報はあるでござるな。追跡するにはこのデータが使えるやもしれぬでござる。フォルティス殿、周辺の地形と奴の追跡にはこの借り受けたキャヴァリアのデータを使われよ。実験場とその付近のデータが入っているでござる。

しかし・・・。このキャヴァリアも同じようにジャイアントキャヴァリアが元であれば暴走しかねぬでござるな。最悪、破棄する危険性もある事を念頭において戦闘に臨む必要がありそうでござるな・・・。



 フォルティス・ワーライン(宇宙を駆けるケントゥリオ・f18278)は航宙駆逐艦『鬼やらい』を引き続き航行させていた。
「なかなか逃げ足が速いな。それに、少しグロテスクだな。最早ロボットといえるのか不明だ。仕方ない、急いで追いかけるとしよう」
 ……とはいうものの。
「高速飛翔体を無差別砲撃する暴走衛星『殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)』か。厄介な代物だな。仕方がない、検知されないように最新の注意を払いつつ、目標を追尾するか」
 フォルティスは何やら両手で操作を行うと、地上のキャバリアを自艦へ格納し始めた。
「ヨウ、これでいいか?」
<かたじけないでござる、フォルティス殿>
 キャバリアに搭乗していたのは、恋人のヨウ・ツイナ(絶対守護の女武者・f18276)である。
 ヨウは暴走したオブリビオンマシンを追尾するべく、フォルティスの艦へ乗り込む選択をしたのだ。
 早速、2人は空中からゆっくりとオブリビオンマシンを追跡開始。
 地上では、まるで獣のように四肢を使って這い回るオブリビオンマシンをモニタ越しに確認できた。
「随分と派手に暴れたせいか、瓦礫などの障害物が多いな。タングステン弾磁力加速砲で破壊していくとしよう」
「それは名案でござる! 流石でござるな!」
 ヨウはフォルティスの考えに手放しで称賛した。
 フォルティスはすぐにタングステン弾磁力加速砲の準備に取り掛かる。
 その間、ヨウは借り受けたキャヴァリアから、機体データの解析を始めていた。
「ふーむ、借り受けたキャヴァリアには、新型のキャバリアの情報があるでござるな」
「本当か、ヨウ? それがあれば……」
「左様でござるよ、フォルティス殿。追跡するにはこのデータが使えるやもしれぬでござる。フォルティス殿、周辺の地形と奴の追跡にはこの借り受けたキャバリアのデータを使われよ。実験場とその付近のデータが入っているでござる」
 機体から抽出したデータを、艦内のモニターへ表示させるヨウ。
 そこには、実験場の周辺地図、そして新型キャバリアの情報が表示されていた。
 だが、ふと此処でフォルティスが疑問を口にした。
「なぁ、ヨウ? この新型キャバリアの情報なんだが、あの変異したオブリビオンマシンにも当てはまるのか?」
 彼の質問に、ヨウは思わず言葉が詰まってしまった。
「……迂闊でござったな。あれはもはやキャバリア稼働かも怪しい存在……。この新型キャバリアのデータは、もはや当てにならないやもしれないでござる……」
 第一、最初から脱皮するような設計なんかにしていないことくらい、開発チームの驚き用で推測できたはずだ。
「申し訳ござらぬ、フォルティス殿……」
「いや、ヨウのおかげでこの周辺の地図だけでも取得できたのは大きい。航行に大きく影響するからな」
 そう告げると、ようやくタングステン弾磁力加速砲の準備が整った。
「目標、前方の障害物。撃てっ!」
 次の瞬間、対艦用の砲撃が、眼下の瓦礫の山を一瞬で粉々に吹き飛ばしてしまった!
「これで、皇族の猟兵も追跡しやすくなるだろう」
 更地になった地面を眺めながら、フォルティスは満足げに頷いた。
「しかし……。このキャバリアも同じようにジャイアントキャヴァリアが元であれば、もしなすると暴走しかねぬでござるな。最悪、破棄する危険性もある事を念頭において戦闘に臨む必要がありそうでござるな……」
 ヨウの言葉に、フォルティスも神妙な表情を浮かべる。
「もはやコクピットのパイロットはオブリビオンマシンに同化してしまっているのか。救出は難しいかもしれないな……」
<待ってくれ! ようやく回線が繋がった!>
 ここで、開発チームの主任から入電が。
<ジャイアントキャバリアは、あの新型だけだ! 君たちに貸し出したのは、すべてただの量産機だ。暴走の心配はない! それに、パイロットの安否はまだ解析中だが、完全に同化しているわけではないことが分かったぞ。むしろこれは精神汚染に近いようだ……!!>
 主任の連絡に、フォルティスは眉をひそめ、ヨウは俯いて考え込み始めた。
「つまり、まだ救出の余地があるのでござるな? ならば、最善を尽くすべきでござろう、フォルティス殿?」
「ああ、やってみるか、ヨウ。……でも、これ以上の高度と速度は、上の衛星に撃墜されそうだ。仕方がない、地上の猟兵に先行してもらおう」
 フォルティスは各猟兵が乗り込んだキャバリアへ周辺地図データを送信すると、撃墜されない速度と高度を模索するチキンレースを繰り広げるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アトシュ・スカーレット
【SPD】

うお、マジか!?
あ、キャバリアありがとうね!こっから先は自分の足の方が早いと見た!

【Krarvint】で空中を駆け抜けるよ!
【残像】が見える速度で【ジャンプ】と【ダッシュ】を繰り返せば【追跡】だけならいけるはず!
回数が切れても、悪路だろうが【足場習熟】してるから余裕だよ!ハイヒールで高速戦闘してんだぞこっちは!!足場が悪いくらい慣れっこじゃい!

他所様の猟兵さんとの連携、アドリブ大歓迎


ノインツィヒ・アリスズナンバー
うっひょー☆
一度倒れたのに再起動とかおっそろしいね☆
これ上手く行ったら私ちゃんのライブ開かせてよね!

それじゃあ、行くかぁ……!
ホントは舞台装置として運用したかったんだけどね☆
瓦礫の山に対してUCを発動。山の一部を胸倉と認識してつかんでは【投擲】でぶん投げて足止めを図るね☆

更には【歌唱】【ダンス】【パフォーマンス】で気を引くよ☆
まさかキャバリアが歌って踊るなんて思わないでしょ?
ヘイヘイヘーイ☆私ちゃんに注目しろー☆
これで時間稼げればいいんだけど……!

いざとなったら【覚悟】を持って瓦礫の山に突撃して【怪力】でぶっ壊し、切迫するよ☆
組ついてでも止めてやらあ☆

アドリブ・絡み歓迎


コトト・スターチス
これだと、ぼくのヒールがとどきませんね…
まずは追跡をがんばります!

『ねこへんしん』で、真の姿になりますにゃーっ
(黒猫耳尻尾と光の天使の翼が生える)
コックピットを降りて、最高速(415km/h)で飛行して敵メカを追跡しますにゃ!
追いかけつつ敵機の動きのパターンを【情報収集】して、皆さんの機体や開発チームさんたちに、分析した敵機の情報を送って共有しますにゃー!

隙を見つけて、すれ違いざまに足をメイスでがつんと叩きます!
少しでも【吹き飛ばし】て、機動力を削ぎたいですにゃ!
「パイロットさんっ、どうか戻ってきてくださいにゃー!」
敵機への【ハッキング】と【情報収集】を続けて、助ける方法を見つけたいです…っ!


ルリララ・ウェイバース
互いを姉妹と認識する四重人格
主人格で末妹のルリララ以外序列なし

乗機はアルアニマ
通称アル

◯追跡
「アルちゃん、とっぶよ~♪」
【各部を最適化・・・行けます】
『操縦はリラに変わって、ララは待機』
『場合によっちゃ偵察するんだから仕方ねぇだろ』
精霊飛翔で追跡(場合によっては[失せ物探し]も併用)

◯足止め
目標発見後、姉召喚でララに偵察を任せ進行方向に先行する
[地形の利用]をしつつ、エレメンタル・ファンタジアでセメントの沼等で物理的に、又は、砂の嵐等で視界を封じたりして足止めする
戦闘にならない距離感や妨害の威力に注意する
『暴走したら、その時だな』
「今度はちゃんと制御してくれよ」



 上空の砲撃で均された大地を、4機のキャバリアが駆け抜けてゆく。
 前方には、四足走行を維持するオブリビオンマシン。
 その猛走ぶりを追うアトシュ・スカーレット(銀目の放浪者・f00811)にとって、目の前で現在進行系で起きている現状は若干信じがたい光景だった。
「うお、マジか!? キャバリアって脱皮するのか!」
<いや、あの機体が特殊なだけさ。ジャイアントキャバリアはいわば、脳味噌のない巨大な生物だ。それに装甲を纏わせただけだけの存在故か、不確定要素を取り払いきれない>
 開発チームの主任は、アトシュの通信回線に言葉を返した。
<我がジャパニア初のジャイアントキャバリア運用は、もはや失敗だ。パイロットの精神汚染がこのまま進めば、完全に素体側と同化してしまう。その前に、量産型のキャバリアでどこまで出来るか……>
「あ、主任さん! キャバリアありがとね! でもこっからは自分の足で行ったほうが早いと見た! 機体は此処に放置させてもらうから、後で回収よろしく!」
<ぼくもキャバリアから降りるのですー!>
 コトト・スターチス(バーチャルネット辻ヒーラー・f04869)も、生身での追跡に切り替えることにした。
「パイロットさんがどんどん遠くへ行っちゃいます……。これだと、ぼくのヒールがとどきませんね……だから、まずは追跡を最高速度でがんばります!」
 2人はキャバリアの足を止めて外へ飛び出した。
「風よ、空へと導け!」
 アトシュはユーベルコード『Krarvint(クラールヴィント)』を発動、空中を蹴って跳躍する。
 一方、コトトはユーベルコードの効果で、真の姿に変身!
「へーんしんっ!  聖天使猫(ホーリーエンジェリックキャット)モードですにゃー!」
 コトトの頭とお尻から黒猫の耳と尻尾が生え、その背中の聖痕からは純白の光の翼が出現した。
「アトシュお兄ちゃんっ! お先に失礼しますね?」
 背中に出現した純白の光翼から眩い輝きが発せられると、コトトの身体は、一気に時速415kmまで加速!
 速度はあるが、地面近くの低空なので、上空の暴走衛星の標的になることはないようだ。
 一瞬で目の前から消え去ったコトトに、アトシュは思わず三度見した。
「えっ! 嘘、速っ!?」
 驚くアトシュだが、彼もまた残像が発生するレベルで空中を跳躍し続けているため、かなりの時速を叩き出している。
 だが、彼のユーベルコードは回数制限がある。
「ヤバ……跳躍回数が切れる……!」
 やむを得ない、一度、地上へ降りるか?
 決断を迫られたまさにその時だった。
 アトシュの足元へ、唐突に飛来するサイキックキャバリア!
「アルちゃん、飛っぶよ~♪」
 ルリララ・ウェイバース(スパイラルホーン・f01510)が抱える4つの人格のうちの1つ、『ララ』が声を弾ませた。
【各部を最適化……行けます】
 アルアニマは精霊語で操縦者に意思伝達をする。
 機体全体が風の精霊達で覆われると、最大マッハ7までの飛行が可能になった。
 しかし、上空の暴走衛星の標的になりかねないため、速度調整をしながらの運用をルリララ達は心懸ける。
『操縦はリラに代わって。ララは待機ね』
 ルリがララを諭すように告げる。
 これに対して、ララが不満を漏らした。
『えー? もっとアルちゃんと遊びたい~!』
『遊びじゃねぇぞ、ララ。場合によっちゃ偵察するんだから仕方ねぇだろ』
 リラがララの人格を強引に肉体から押しのけると、自身と交代した。
『ララ姉、あとで好きなだけアルを動かしてやる。今はルリララ達の意思をひとつに纏めなくてはならない』
 精神体となって動力部と直結しているルリララが、ララをなだめる。
 ユーベルコード『精霊飛翔(エレメンタルウィング)』は、4つの人格の意志の統一度合いに比例した戦闘力増加と飛翔能力を獲得できる。
 そのため、他の3つの人格は、必死に駄々をこねるララをなだめていたのだ。
『うぅー、もう、わかったよー! 絶対だからねー? 約束だよー!」
 なんとかララの機嫌が治ったところで、機体の飛行体勢も安定してきた。
 と、ここでルリララが違和感に気が付いた。
『アルの背中に何かが乗っているぞ?』
『敵か?』
『リラ、敵は目の前よ?』
『ルリ、違うよー? これ、猟兵だよー♪』
 ララの指摘通り、アルアニマの背中にはアトシュが腰を落ち着けていた。
「あ、ごめんごめんっ! ユーベルコードの発動回数が切れちゃってさ! ちょっと休ませてくれないかな?」
『仕方がねぇな。振り落とされんなよ?』
 リラがツンデレ気味に快諾した。
「ありがとうね! もう少し休んだら、また駆け抜けるからさ! って風圧すごっ!」
 アトシュは好意に甘えようと、全力でアルアニマの機体にしがみついていた。
 そんなやり取りの中、遅れて駆け付けた自称アイドル猟兵ことノインツィヒ・アリスズナンバー(90番目のアイドル・f29890)の駆る専用機『イドラ・キャバリア』は、他の猟兵とはワンテンポ遅れてオブリビオンマシンを追走し続けている。
「うっひょー☆ 一度倒れたのに再起動とかおっそろしいね☆ シンクロ率400%到達しちゃってたり?」
 やめろォ!
 あからさまなフラグ建てんじゃねぇよというツッコミが聞こえそうな発言をかますと、ノインツィヒは開発チームへ音声を届けた。
<ねーねー開発チームのみんなー? これ上手く行ったら、私ちゃんのライブ、開かせてよね!>
<え、ライブ……?>
 開発チームは唐突な単語に総じて首を傾げた。
<ライブって、もしや歌ったりするのかね?>
<それ以外なくない?? 私ちゃん、猟兵アイドルなんですけどぉー!? 主任さん、約束だからね! 私ちゃんのパフォーマンスで、開発チームの全員をガチ恋させてやっから☆ チュッ❤>
 ノインツィヒは通信回線を切ると、上ずった声を地声に戻し、ニタァ……と口端を釣り上げた。
「それじゃあ、行くかぁ……! ホントは舞台装置として運用したかったんだけどね☆」
 イドラはそこらに転がっているコンクリートの瓦礫をむんずと掴むと、悪いアンチキショウの胸倉だと認識して腰を跳ね上げた。
 まさかの背負投げ!
 これがユーベルコード『乙女の胸倉落とし(ブツリテキガールズトーク)』!
「オブリビオンマシンって名前が長ったらしいんじゃボケ☆ なめんてんじゃねええええええええ!!!!!!!」
 ぶおぅんっと風切り音を立てながら、瓦礫が砲弾のように前方へ投げ飛ばされた!
 その着弾点には、オブリビオンマシンが!
「グギャアァァッ!?」
 脳天直撃! オブリビオンマシンが思わず怯む!
「ストライィィィク! まだまだこれからぞオラァン! 往生せいやああああああ!!!」
 ノインツィヒはコックピットで血眼になりながら機体を操縦すれば、イドラは手当り次第に瓦礫を投擲!
 なんなんコイツ、出目がバグってクリティカルしてんじゃね?と疑うほどに、オブリビオンマシンの身体にしこたま瓦礫の雨が降り注ぐ。
 アイドル(物理)パワー全開でオブリビオンマシンの移動を阻害し続けるイドラのおかげで、コトトがその後ろに追いつくことが出来た。
「すごいですにゃー……! アイドルさんって前衛職だったのにゃー!」
 コトトが盛大な勘違いをし始めている……!
「ぼくも、アイドルのお姉ちゃんをみならうですにゃー!」
 コトトは自前のメイスを目一杯に振りかぶる。
「パイロットさんっ、どうか戻ってきてくださいにゃー!」
 魂の叫びを上げながら、コトトはオブリビオンマシンの左前脚をフルスイングで強打!
 魔力により可愛らしいエフェクトが発生するが、その威力は腕部の装甲が弾け飛ぶほどエグいものだった。
「+9まで強化したメイスはすごいのですにゃー! それにただなぐっただけではないですにゃ!」
 コトトが殴った箇所が浄化され、更に自身のバーチャルキャラクターとしての特性を発揮することでオブリビオンマシンへのハッキングの起点を生み出した。
 これで内部のパイロットへの通信回線をこじ開けることが出来る!
「止まって下さいにゃー! これ以上は街がめちゃくちゃになっちゃいますにゃー!」
 手足を集中的にぶん殴ることで、徐々にオブリビオンマシンの機動力を削ぎつつあるコトト。
 これによって、開発チームの解析の時間を稼ぐことに貢献しているのだ。
 この手応えに、彼女は確信した。
「やっぱり、アイドルは物理前衛職だったのですにゃー! なぐりヒーラーですにゃー!」
 ……誰かが後で誤解を解いてくれることを願うばかりだ。
「さてと、そろそろオレも行くねっ! よっと!」
 アルアニマから飛び降りたアトシュは、再度のユーベルコードで跳躍を開始!
「女の子ばっかりにいいトコ持ってかせないよ! たとえ跳躍回数が切れても、ここからは自分の足でダッシュだ! 悪路だろうが足場習熟してるから余裕だよ! ハイヒールで高速戦闘してんだぞこっちは!! 足場が悪いくらい慣れっこじゃい!」
 目の前のカオスを目の当たりにしたアトシュも、気分がハイになってしまっている!
 ここで好機とばかりに、ルリララ達は行動を起こした。
『リラ姉、手筈通りに偵察頼んだぞ』
『了解、行ってくる』
 ユーベルコードで姉の人格を半精霊モードで自律行動させる。
 火を司るリラは、燃える火の玉となってアルアニマから飛び出してゆくと、オブリビオンマシンの前方へ先回りしてゆく。
『この先、川がある。橋を落とせば足止めできるんじゃねぇか?』
『リラ姉、お手柄だ。すぐ駆けつけよう』
 ルリララはアルアニマを飛ばしつつ、オブリビオンマシンとすれ違いざまに精霊力を解き放った。
 すると、オブリビオンマシンの足元が突然液状化し、ズブズブと巨体が沈み込むではないか。
『ふう、今回は暴走せずに済んだな』
『怖いこと言うなよ、ルリララ……』
 アルアニマは先回りに成功すると、川に掛かった橋を水の精霊力で押し流してゆく。これでオブリビオンマシンは、街へ向かうために大きく迂回する必要が出てきた。
「ぼくも精霊のお姉ちゃん達、すごいですにゃー! ぼくのリソースも解析に回しますので、助ける方法をどうか見つけてほしいですのにゃー!」
 開発チームとともに、コトトもハッキングでパイロットのバイタル解析急ぐ。
 つまり、時間稼ぎが更に重要になってくる。
「おう、だったら私ちゃんが組ついてでもヤツを止めてやらあ☆」
 瓦礫の山をイドラの鉄拳で粉砕すると、その上を即興のステージに見立ててポージング!
「やっほー☆ ノインちゃんのスペシャルゲリラライブ、はっじまるよー☆ ヘイヘイヘーイ☆ 私ちゃんに注目しろー☆」
 付属ユニットで戦場があっという間にアイドルライブ会場へ早変わり!
「世界のはちぇ……果てまで、私ちゃんを抱きしめて☆」
 噛みました。
 ノインツィヒのキャバリアが歌って踊りだすという、ジャパニア開発チームにとっては未知の次元の光景が繰り広げられる。
 オブリビオンマシンも、歌と踊りを見て、急に暴力性が薄らいでゆくではないか。
 これはもしや、中のパイロットに影響が及んでいるからなのか。
「まさか、兵器であるキャバリアに、こんな使い道があったとは……!」
 主任が感動で胸を打ち震わせている最中、当のノインツィヒは案外必死だった。
(これで時間を稼げればいいけど……。というか持ち歌の数が持つかな??)
 それでも様々な有名アーティストのカヴァーソングを連続で披露し続けるノインツィヒの努力により、かなりの時間を稼ぐことが出来た。
 だからこそ、アトシュはオブリビオンマシンに取り付き、機体を調査することが出来た。
「みんな! パイロットの姿を確認できたぞ! まだ生きてる!」
 アトシュが無理矢理にコクピットをこじ開けようとしたその時だった。
「おっと! こいつ、二本足で立ち上がれるのか!」
 四足走行だったオブリビオンマシンが、突如、進化するように二足歩行を開始!
 ゆっくりと橋が落ちた川を迂回しつつ、着実に街への移動を再開し始めたのだ。
 決戦の時が迫る……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
ガチでヤヴァイね。
そのまま家族のところへ行っちゃったら色々台無しだよ。
何のために家族に会いたいのか…間違えちゃダメだ!!

開発チームに連絡して、目的地周辺の地形情報を送ってもらうよ。
グダグダ言わずハリハリー。

キャバリアのオーバーフレームを換装。
機動力特化形態だよ。攻撃力が低いけど、今は撃破するわけじゃないから問題なし。
よし、前方の障害物を『砲撃』で排除しつつ、目的地へ。
ボクの『操縦』テクならトップスピードを維持したまま攻撃ぐらいおてなモノさ。

さて、問題のキャバリアを見つけたよ。
『威嚇射撃』で敵機周辺を攻撃。スピードが下がったのを見たら前方に回り込む。

アドリブと他猟兵の共闘はご自由にってね



 オブリビオンマシンは四足歩行から二足歩行に変わり、まるで生物が進化している過程を見ているかに思えた。
<ガチでヤヴァイね。やっぱり、素体が脳味噌のない巨人を使ってると不確定要素が多すぎるじゃないかな?>
 開発チームへ音声通信を介してツッコミを入れるユーリー・ザルティア(レプリカントのクロムキャバリア・f29915)。
 これに主任は嘆息混じりに答えた。
<ごもっともだとも。我々にはまだ早すぎたのかもしれない。しかし、今回の戦闘データがあれば、次こそは……>
<いや、次よりも今の話だよ。さっさとパイロット君の奥さんと子供が住んでる市街地までの周辺地図と最短距離のデータをボクに寄越して!>
<むぐ……わ、分かった! ただ少々時間を……>
<グダグダ言わずハリハリー! あの機体が街で暴れたら、今回のデータどころじゃないよ!?>
 ユーリーに正論を叩き付けられた主任は、ぐうの音も出ない。
<……それでデータは全部だ。川の橋は他の猟兵が落としてくれたおかげで、まだ幾許かの猶予はありそうだ>
<やれば出来るじゃん! ありがとね、主任さん!>
 通信を終えたユーリーは、己の顔をパンパンッと叩いて気合を入れた。
「オブリビオンマシンに乗り込んだパイロットは、その精神と思想が歪められる……。そのまま家族のところへ行っちゃったら色々台無しだよ。何のために家族に会いたいのか……間違えちゃダメだ!!」
 すかさずユーベルコードで、彼女のキャバリアのオーバーフレームを換装。キャノンフレームに変形させると、機動力特化形態に移行した。
「機動力を5倍にしたから、これで追い付くはず! その代わり火力が半減したけど、今は撃破が目的じゃないからね。むしろ威嚇射撃には威力が少ないほうが都合が良い!」
 ユーリー機は土埃を立てながら、はるか前方へ逃げてゆくオブリビオンマシンを猛追開始!
 5倍速で追い掛けるユーリー機に気が付いたオブリビオンマシンは、敢えて森林地帯を突っ切るように逃げてゆく。
「障害物でボクの脚を鈍らそうっていう魂胆? 学習能力があるの? 本当にメカ!?」
 知的行動を見せる敵機を訝しがるユーリーだが、これくらいの障害物で彼女の愛機が止まるわけがなかった。
「でも甘く見られたら困るよっ! ボクの操縦テクなら、トップスピードを維持したまま攻撃ぐらいおてなモノさ! レプリカントを舐めんなぁ!」
 威力が半減した砲撃で、目の前の木々をなぎ倒しながら突き進むユーリー機。
<待って! キミが街に行ったところで、被害が拡大するだけだ! 家族に会いたいなら、その機体から降りなきゃ!>
 ユーリーの呼び掛けに、一瞬、オブリビオンマシンの動きが鈍ったように見えた。
「しめた、やっぱりパイロット君の意識はまだ生きてる!」
 すかさず威嚇射撃で進路妨害を行い、オブリビオンマシンをある場所へ誘導してゆく。
<そっちは行かせないよ! 通行止めだ!>
 別の橋を封鎖するように先回りするユーリー。川を渡らせたら、市街地まであっという間に到達してしまうからだ。
 オブリビオンマシンは銃弾を避けるように別の進路へ向かわざるを得ない。
 だが、向かった先は、やけに開けた無人の廃墟であった。
「周辺地図のデータ提供、助かったよ、主任さん! ここはさっきの実験場の前身、つまり実験失敗の際に放棄された廃墟だよ。ここから、思いっきり暴れても被害は出ない!」
 ユーリーはオブリビオンマシンを市街地から遠ざけ、戦闘に支障がないこの場所へ誘導していたのだ。
<パイロット君! 聞こえているんでしょ!? 目を覚まして、お願いだから!>
 彼女の必死の呼び掛けに、オブリビオンマシンはしばし仁王立ちのまま無反応を貫く。
<聞いてるの!? キミの奥さんと子供をこれ以上、心配掛けさせちゃ駄目だ!>
 ユーリーの訴えに、ふと、相手から反応が返ってきた。
<……うるさい。せっかく静かな場所を手に入れたのに、お前たちが喚くせいで騒がしいじゃないか!>
 乗り込んだパイロットの声だ!
 ほぼ同時に、開発チームの主任から通信が入った。
<遅くなってすまない! 今、パイロットが完全に覚醒したようだ!>
<そのようだね! でも、精神は完全に飲み込まれてるよ。やっぱり、あの機体を破壊しないと、パイロット君は救出できないと思う……!>
 ユーリーの言葉に、主任はすぐに言葉を返した。
<構わん! 新型機なんかより、アイツの命の方が、なによりも大事だ!>
<ヒュウ♪ 主任さん、なんとなく思ってたけど、熱血キャラだよね?>
 ユーリーは通信機を切ると、愛機を操縦して武器を構える。
 他の猟兵達も続々と合流を果たし、いよいよ、最終決戦の幕が上がろうとしていた!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ブレイジング・バジリスク』

POW   :    ブレイジング・シュート
【ライフルの集中射撃】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    バジリスク・ランページ
【右腕のライフル】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    エンジンキラー
自身の【オブリビオンマシン】から【漆黒のオーラ】を放出し、戦場内全ての【エンジン】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ――黙れ! 『外』から喚くな!
 ――ここは争いのない静謐の空間なんだ。
 ――ここに来れば、誰もが幸福になれる!

 オブリビオンマシンに乗り込んだパイロットの妄言が司令室にも届く。
「パイロットの精神波、異常数値を検知! 非常に危険です!」
「あの馬鹿野郎! オブリビオンマシンに精神を飲まれてんじゃねぇよ!」
 ダンッと机を叩く主任。

 ――真っ黒な海は、とても静かなんだ。
 ――暖かくて、優しくて、全てが平等で、とてもここは心地いい……。
 ――だから、争いなんてやめて、みんな、この期待に乗り込めばいいんだ。

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――ッ!」

 オブリビオンマシンが咆哮ッ!
 真紅の機体から、骸の海めいた漆黒のオーラが立ち込める。
 早く止めなければ、あの機体はこの国のあらゆる人々を取り込もうとするだろう!

<猟兵諸君! 聞こえているか! もはや、君たちの目の前のそれは怪物だ! 遠慮せずに破壊してくれて構わない! その代わり、どうか、アイツを……パイロットを救ってやってくれ!>

 主任の懇願の声が、猟兵達の耳に届く。
 科学小国家ジャパニア存亡の命運は、猟兵達の双肩に掛かっている。
 今、猟兵達の長い1日のクライマックが始まろうとしていた……!
ルリララ・ウェイバース
互いを姉妹と認識する四重人格
主人格で末妹のルリララ以外序列なし

乗機はアルアニマ
通称アル

WIZ
『中の男を救い出すぞ』
「って、アル動かねぇぞ!」
【敵性体からの攻撃です】
『アルは帰って。生身で行くわよ』

[全力魔法・祈り]を込めて精霊祈願を使用
「精霊さ~ん、それとみんな~、操縦者さんを助けたいから、力を貸して~」
彼に皆の声を届け、願わくば機体から助け出す事を願う
「そこは過去しか無いぞ。子供の成長が楽しみではないか?孫のか顔を見たくはないか?ならば、そこから出てくると良い」
[優しさ・鼓舞・祈り]を込め皆の声を伝える

回避移動は精霊飛翔
救出後は彼を連れて、安全圏に待避
余裕があれば、ガイアスプラッシュで攻撃


ノエル・スカーレット(サポート)
アドリブ&他の猟兵さんとの連携大歓迎。
性的描写NG

世界を飛び回るチビッ子ダンピールです。
吸血衝動はほぼなく太陽へっちゃら、お菓子が好きで、虫が嫌い。
色々な事件に首を突っ込みスカーレッド・ノヴァをぶっぱなします。
(ぶっぱなさなくてもOK)


基本的にいい子なので首を突っ込んだ事件やイベントの解決や成功の為に積極的に行動します。

戦闘は残像を伴う素早い動きから大鎌でなぎ払い攻撃したり。
ユーベルコードをご自由にお使いください。

記載がない部分はマスター様におまかせでお願いします。
自由に冒険させてあげてください。



 ルリララ・ウェイバース(スパイラルホーン・f01510)達は操縦するキャバリア『アルアニマ』へ命令を下した。
『中の男を救い出すぞ』
 動力部に直結しているルリララが叫ぶ。
 だが、すぐにリラが機体の異常に気が付いた。
「って、アル動かねぇぞ!」
【敵性体からの攻撃です】
 精霊語で不調を訴えるアルアニマ。
 それもそのはず。
 オブリビオンマシンから放出される漆黒のオーラは、ありとあらゆるエンジンを停止させてしまう。
 やむを得ず、ルリは4つの人格をひとつにまとめあげると、アルアニマをから離脱する。
『アルは帰って。生身で行くわよ』
「わかった、ルリ姉。って、ちょっとララ姉!? 今変わる!」
 主人格のルリララを押しのけて表に出てきたララは、不満そうに頬を膨らませていた。
「も~! アルちゃんの動きを止めちゃうなんてずるい~!」
『ララ姉、目的を間違えないでくれ』
「だいじょうぶ~! それじゃ、精霊さ~ん、それとみんな~、操縦者さんを助けたいから、力を貸して~♪」
 ララがユーベルコード『精霊祈願(エレメンタルウィッシュ)』を発動させ、周囲に存在する様々な精霊達に『悪しきモノから善き人々を守りたい』という願いを呼び掛け始めた。更には開発チームの願いも汲み取り、より強固な精霊力を練り上げてゆく。
 だが、願いの可否を採択している間は、彼女達は無防備になる。
 そこをカバーするべく、応援に駆け付けたダンピールの少女ことノエル・スカーレット(チビッ子ダンピール・f00954)が前に飛び出す。
「これがキャバリアですか! 思っていたよりもおっきいです!」
 体高5mの鋼の機人へ、花冠にも生身のまま果敢に突っ込んでゆくノエル。
「あの黒いオーラがエンジンを停止させてしまうのなら、私も生身で戦うべきですね! では、行きます!」
 ノエルの身体に宿るヴァンパイアの血が活性化すると、たちまち凄まじい速度で空中へ舞い上がってゆく!
 オブリビオンマシンと同じ目線まで飛び上がったノエルは、目の前で愛用のの大鎌『клюв(クリューヴ)』を振りかぶる。
「隙だらけです、もらいました!」
 オブリビオンマシンの頭部へ空中から突撃してゆくノエル。
 だが、オブリビオンマシンは左手でノエルを掴み掛かる!
 ガシッとノエルは巨大な鋼の手の中に握り込まれてしまった!
 ……かに思われたその時、オブリビオンマシンの背後から少女の声が聞こえた。
「貴方の背後を取るなんて超簡単♪」
 ノエルは握り潰される寸前に、ユーベルコード『瞬間移動(テレポート)』でオブリビオンマシンの後頭部へ転移していたのだ。
 そのままノエルは大鎌を振り上げ、オブリビオンマシンの頭頂部から背中にかけて、その刃を深々と刻みつけてゆく!
 ちょうどその時、ルリララ達から採決完了の報せがノエルの耳に届いた。
「オッケーだよ~♪ みんな、賛成してくれてありがとう~!」
 ルリララ達の身体に、煌々しい精霊力の輝きが満ちてゆく。
 その精霊力を彼女達は歌声に乗せ、パイロットの精神へ働きかけようと試みた。
「♪そこは過去しか無いぞ。子供の成長が楽しみではないか? 孫の顔を見たくはないか? 見たいだろう? ならば、そこから出てくると良い」
『Grrrrrrrru……!?』
 ルリララの歌声に、オブリビオンマシンが苦悶の声を漏らしながら悶絶し始めた。
 パイロットの精神波に変化が現れ、正気と狂気の狭間を絶えず行き来する。
 しかし、パイロットの完全な覚醒に至らせることは出来なかった。
『そんな~! ララ達の歌声が足りなかったの?』
「そうでもなさそうだ、ララ姉。明らかにオブリビオンマシンの動きが鈍ってきたぞ。精霊の声と人々の願いを乗せた歌は、無駄じゃなかったな」
 ルリララの言う通り、中のパイロットが精霊の歌に呼応し、オブリビオンマシンの精神支配から抜け出そうと抵抗を始めたのだ。
 これによって、オブリビオンマシンの戦闘力は大幅に激減した。
 後は、弱体化した敵機を沈黙させ、パイロットを無事に救出するべく、ルリララ達は他の猟兵達へ託すことにした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ユーリー・ザルティア
ヤレヤレ…暴走ココに極まるって奴だね。
主任さん…言われなくても救ってみせるよ。
命も…心もッ

なんて、啖呵切ったけどもうこの子も限界…か。
しょーがない。三号機…シビリアンジョー・イェーガーカスタム出撃ッ!!
オブビリオンマシン同士で決着だよ。

『索敵』『情報収集』完了…。
うん、コックピットの場所も変化なし…
ならここを撃ち抜けばッ

∀キャノン発射準備。
『エネルギー充填』開始…20%…60%…80%
悪いけど、ARICA量産型キャバリアで『援護射撃』囮よろしく
100%…『限界突破』120%『レーザー射撃』『砲撃』開始!!

よし、トドメ!!
『ジャミング』『ハッキング』でパイロットをベイルアウト!!


ノインツィヒ・アリスズナンバー
へえ。遠慮せずにぶっ壊していいんだ。
んじゃやろうかイドラ☆こういうの柄じゃないんだけどさー☆


【悪路走破】と【覚悟】でまっすぐ掴みに行くよ☆
ライフルの射撃は【レーザー射撃】で牽制しつつ、片手を盾にして受ける☆
腕1本あれば掴めるからね。
そして残った腕で【怪力】を使いがっちりつかんで……UC発動☆
さらに【頭突き】で追撃する☆

すこーし大人しくなったら、コクピット部分を【鎧砕き】で装甲だけぶっ壊して、仲にいるパイロットさんを救出するよ☆

アイドルにここまでやらせたんだよー?☆
ライブ演出と、イドラの修理代はお願いね開発部さん☆


アトシュ・スカーレット
骸の海がそんな場所だったとしても、それは世界から捨てられることを意味するんだよ…!!

【希望への軌跡】で動きを見極めつつ、自前も含めた腐敗の【呪詛】が付与されたTyrfingを持って突っ込むか

味方のキャバリアにこっそり乗らせて貰って隙を見てバジリスクに移動するか

もし足場が不安定なら【結界術】で形成した結界を緊急の足場にするか
【残像】が残るレベルで駆け抜ければ大丈夫だと思うが…

【鎧無視攻撃/鎧砕き/怪力】で可能ならコックピットをこじ開ける!
不可能なら装甲を削りに行くか

アドリブ、連携大歓迎


コトト・スターチス
(引き続き聖天使猫モード)
開発チームの皆さんの覚悟、伝わりました!
その想いに応えてみせますにゃ!

【ハッキング】による【情報収集】を続けて、敵機の行動パターンの情報共有を続けつつ、配信します!
「ついに最終決戦の時ですっ! パイロットさんを助け出せるように、僕たちを応援してくださいにゃー!」
応援パワーによって聖属性に強化されたメイスを振るって、漆黒のオーラを【浄化】しますっ!
そして一気に懐へもぐりこみ、解析していた敵機の弱点をがつんと叩き(【気絶攻撃】)、一時的にオーラの発生を止めて皆さんの攻撃チャンスを作りますにゃー!
「オブリビオンは平穏なんて作りません! どうか、戻って来てくださいにゃーっ!」



 まるで自我を持った巨大生物のようだ、とユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は顔をしかめた。
「ヤレヤレ……暴走ココに極まるって奴だね」
 ユーリーは開発チームへ通信を入れる。
<オーケー、主任さん……言われなくても救ってみせるよ。命も……心もッ>
<へえ。遠慮せずにぶっ壊していいんだ?>
 通信にノインツィヒ・アリスズナンバー(90番目のアイドル・f29890)が混線してきた。
<んじゃやろうかイドラ☆ こういうの柄じゃないんだけどさー☆>
<え? さっきまで瓦礫投げてた人がそれ言っちゃう?>
 ユーリーは正論を言い放つと、ノインツィヒは声を上ずらせながらスローテンポで言葉を返す
<ユーリーちゃぁん? 忘れろ忘れろ☆ビーム……撃っちゃうぞ☆>
 回線越し凄まじい圧を感じたユーリーは、すぐさま通信を一方的に切断した。
「さあて、気持ちを切り替えて、人助けと洒落込むよ! なんて、啖呵切ったけどもうこの子も限界……か」
 激しい戦闘で、彼女の愛機は限界寸前を迎えていた。
「しょーがない。三号機……シビリアンジョー・イェーガーカスタム出撃ッ!!」
 ユーリーは愛機レスヴァントから飛び降りると、転移してきた別の機体の掌に受け止められた。
「ありがとう、ARICA!」
 学習型AI【ARICA】……搭載する事で、キャバリアの無人運用を可能にする。
 ユーリーを受け止めたのも、ARICAの自律行動によるものだ。
 だがその頃、開発チームは混乱に陥っていた。
「フィールドに新たなキャバリアの出現を感知! パターン:O(オー)を検出! オブリビオンマシンです!」
「なんだとぉ! 新手の敵機か!?」
「主任! オブリビオンマシンへユーリーさんが乗り込もうとしています!」
「誰か制止しろ! アイツの二の舞はゴメンだぞ!」
 事情を知らない開発チームはてんやわんやだ。
 そこへ、ユーリー本人から通信が入る!
<なんか驚かせちゃった? ごめんね! この子は確かにオブリビオンマシンだけど、猟兵が操縦できるようにカスタマイズ済みだから!>
<馬鹿な……っ! 猟兵はオブリビオンマシンさえも乗りこなすのか!?>
 猟兵達の精神力ならば、オブリビオンマシンの呪詛に抵抗力を持っているため、機体に適合すれば乗りこなすことが出来るのだ。
<……というわけ! ここからは、オブビリオンマシン同士で決着だよ!>
<分かった、ユーリー君! くれぐれも君まで飲み込まれるなよ!>
<了解!>
 通信を終えたユーリーは、乗り換えた機体で目の前の敵の解析を始める。
『みんな、少し時間を稼いで! 出来れば3分間だけ凌いで!』
 ユーリーは外へ音声を響かせ、生身で戦うアトシュ・スカーレット(銀目の放浪者・f00811)とコトト・スターチス(バーチャルネット辻ヒーラー・f04869)、そしてノインツィヒが操縦する『イドラ・キャバリア』へ協力を要請した。
『まっかせてー☆ ……って言いたいところだけど、あの黒いオーラに近付くと、イドラが止まりそうなんだよねー?』
 ノインツィヒは今すぐにでもオブリビオンマシンへ掴み掛かりたいところだが、断続的に放出される漆黒のオーラは、あらゆるエンジンを停止させてしまう。
 そこで、生身のアトシュとコトトが動いた。2人にはあの漆黒のオーラは無意味だからだ。
「骸の海がそんな場所だったとしても、それは世界から捨てられることを意味するんだよ………!! コトト、行けるか!?」
「アトシュお兄ちゃん! いつでも僕は行けますにゃー!」
 聖天使猫モードを継続中のコトトは、時速400kmオーバーの速度でオブリビオンマシンの足元を引っ掻き回しながら、ユーリーの機体にハッキングでアクセスする。
<ユーリーお姉ちゃん! 僕もあのオブリビオンマシンの解析を手伝いますにゃー!>
<ありがとう、コトトちゃん! 一緒に弱点を探すよ! そのまま時間稼ぎもよろしく!>
<かしこまりーですにゃ!>
 コトトは素早い動きの中にメイスの打撃を織り交ぜつつ、敵機の足へじわじわとダメージを蓄積させて妨害してゆく。
「開発チームの皆さんの覚悟、伝わりました! その想いに応えてみせますにゃ!」
 コトトのメイスの攻撃は、浴びせれば浴びせるほど対象を浄化させてゆき、同時にハッキング侵食度を引き上げる効果を持つ。即ち、攻撃が敵の解析進捗に直結しているのだ。
 と、ここで黒猫型の生放送動画撮影&配信用ドローンを召喚させたコトトは、再び生放送を開始する。
「今日も一日一ヒールっ! コトトですにゃ! にょりゃー!」
 ガキーン!とオブリビオンマシンのすねへ強化されたメイスをフルスイングて叩きつけるコトト!
 狙う部位がえげつない!
「ことなまっ☆第2枠目! ついに最終決戦の時ですっ! パイロットさんを助け出せるように、僕たちを応援してくださいにゃー!」
 ユーベルコードで世界を超えた生配信は、全世界の“お兄ちゃん”の再生数やコメントを掻き集めてゆく。
【コトトちゃん負けるな!】
【聖天使猫モードのコトトちゃん尊い……】
【俺たちのパワーをコトトちゃんへ!】
【お兄ちゃん達がついてるぞー!】
【ちくわ大明神】
【【誰だてめぇ!?wwwww】】
 すぐに視聴者数は1万人を突破、コメントも5万発言を超えた。
 すると、コトトの持っているメイスに変化が起こり始めた!
 純銀の輝きは聖なる光。
 メイスの丈は伸びて長大に。
 そして先端は、ちくわだった。
【誰かがちくわって言ったから、コトトちゃんのメイスがちくわになっただろうが!】
【いや待て! あれはちくわじゃなくて……】
「お兄ちゃんたち、ありがとうございますにゃ! 僕のメイスの先端に、サイレンサー付きの銃口が取り付けられました! 正直びっくりですにゃ!」
【【まじかwwwww】】
 斜め上の強化に、コトトもお兄ちゃん達も笑うしかない。
 柄に装着された引き金で、内蔵された弾丸が発射される仕組みの、聖なる仕込み銃杖へと強化されたのだ。
 一方、アトシュも遅れを取るまいと勝負に打って出た。
「俺もヤツの動きを止めにかかる! だから……おーい! アイドル番長! 頼みがある!」
『誰がアイドル番長だコラ☆ 私ちゃんはー、れっきとした王道系アイドルだよ☆』
「お前のさっきの豪快な瓦礫投げを見込んでの話だ!」
 だが、ノインツィヒの訂正など耳を貸さないアトシュが、彼女のイドラの足に登り始めたではないか。
「頼む! 俺をアイツの元へ投げてくれ! ヤツに乗り移って、コックピットを直接こじ開ける!」
『それ本気で言ってるのかな!?』
 確かに瓦礫をぶん投げてはオブリビオンマシンの脳天へ振らせていたノインツィヒの制球力があれば、アトシュをオブリビオンマシンね投げ付けることは出来るだろう。
『失敗したら大惨事だよ!? ナムアミダブツでオタッシャじゃ済まないよ!?』
「覚悟の上だ! それに、アイドルは、この期に及んで失敗や醜態を晒さないだろう?」
 アトシュの挑発めいた発言に、ノインツィヒは思わず乗っかった。
『へえ。言ってくれちゃうじゃん? 私ちゃんのハートに火を点けさせたこと、後悔しても遅いからね☆』
 イドラがアトシュの身体をむんずと掴むと、そのまま腕を大きく後ろへ振りかぶる。オーソドックスなオーバースロー投法だ!
 いや、それだけではない。そのまま機体をI字バランスめいて片足をピンと天へ突き上げたかと思えば、大きなストロークで踏み込んで腕を最大動力で振り下ろした!
『全☆力☆投☆球! 気張ってこいやあああぁぁぁぁーッ!!!』
「うおおおおおおおッ!!」
 火の玉めいてオブリビオンマシンにかっ飛んでゆくアトシュ!
 だが、オブリビオンマシンも手をこまねいて静観しているわけではない。
 右腕のライフルを巨大化させたオブリビオンマシンは、この場にいる猟兵全員を狙撃せんと照準を合わせてゆく! そして、ライフルの砲口が青白い光で満ち溢れ、今にも発射されそうになったその時だった。
『コトトちゃん! バリアの発生源は、その右腕だよ!』
「了解ですにゃ! メイスが銃になったのは意味がありました!」
 コトトは真上を見上げ、すぐさまメイスの先端をオブリビオンマシンの右腕へかざす。そのまま柄のトリガーを引くと、銃口からマズルフラッシュと弾丸が噴き上がった!
 弾丸はオブリビオンマシンの右腕に命中、爆炎を撒き散らしながら炸裂!
 行き場のなくなったエネルギーが、右腕を誘爆させて吹き飛ばす!
 たちまちオブリビオンマシンの機能が一時的にダウン。バリアも漆黒のオーラも、この時ばかりは消滅してゆく。
「オブリビオンは平穏なんて作りません! どうか、戻って来てくださいにゃーっ! って、危ないっ!」
 それでも無理矢理にライフルビームを照射させるオブリビオンマシン!
 斜線上には、アトシュの姿が!
「その絶望を塗り替える! はぁっ!」
 アトシュはユーベルコード『希望への軌跡(シュトラーサ・ホッフヌング)』による未来視の魔術で10秒先のオブリビオンマシンの攻撃を既に予測してた。更に、それを回避するために、空中に結界を生成し、足場として乗っかることで、空中を駆け抜けてゆくではないか!
「こうすれば無限に俺は空中を移動できる! 絶対に助けてやるからな!」
 遂にアトシュは、オブリビオンマシンに飛び付き、太刀型の神器『Tyrfing』の剣先を真紅の装甲に突き刺した!
 そのままコックピットへ移動しようと試みた、その時。
「アトシュくん、しゃがんで!」
 ノインツィヒが操縦するイドラがRS-SAW-R01アストライアを乱射!
 敵の虎の子の一発を銃弾で軌道を逸したイデアは、一気に敵の懐へ潜り込んだ!
 青白い接線が、イドラの左腕を掠めていった。
「つーかまえた! 腕1本あれば掴めるからね☆」
 イドラがオブリビオンマシンの頭部をガッチリ鷲掴みにすると、次の瞬間、まさかの光景が繰り広げられた。
「気合い入れろや☆ 潰すぞコラ☆」
 可愛らしい声のまま、ノインツィヒはイドラの頭部でオブリビオンマシンのカメラアイを破壊してみせたのだ!
「アイドルの頭はね? 愛と夢と希望が詰まってるから超頑丈だよ☆」
「アイドルのお姉ちゃん、かっこいいですにゃ!」
 まずい、コトトがノインツィヒを尊敬し始めている!
 一方、カメラアイが破壊されたことによって、中のパイロットは外界を視認することができなくなってしまった。
『何も見えない! 完全な闇だ! いや、この海も真っ暗じゃないか。最初から、真っ暗……? ううっ……!』
 搭乗してるパイロットの精神が、オブリビオンマシンへの抵抗を強めてゆく!
 ここでユーリーがハッキングで、パイロットの強制排除を試みる。
「よし、トドメ!! ジャミングとハッキングでパイロットをベイルアウト!!!」
 オブリビオンマシンの胸部装甲が跳ね上がると、コックピットが剥き出しになった。
 だが、ベイルアウト……強制射出が拒絶されてしまう!
「嘘だ! まさか、オブリビオンマシンの悪足掻きってやつ!?」
 焦るユーリー。
「やろうと思えば、コクピット以外の箇所をユーベルコードで吹き飛ばすことも出来るけど……!」
 判断を躊躇ったその時、コトトがオブリビオンマシンの足元からコクピットへ跳躍しながら肉薄!
「お願いです! 皆さんがパイロットさんの帰りを待ってます! どうか目を醒まして下さいにゃ!」
 大上段から振り下ろされる聖なる一撃が、コクピット脇のロックを破壊!
「そうか! ロックを破壊すれば、パイロットは射出できる! だったら!」
 アトシュは『Tyrfing』が纏う腐敗の呪詛を顕現させると、コトトが殴った向かい側へ回り込んで、コックピット下のロックへ剣先を滑らせた。すると、腐食の呪詛に侵食されたロックが腐ちてゆき、コックピットの動きを阻害するものはなくなった。
「いいぞ! もう一度ベイルアウトだ!」
『助かったよ! いっけえぇぇーっ!』
 オブリビオンマシンへコマンドを入力すると、コクピットの座部からスラスターが勢い良く噴出!
 そのままオブリビオンマシンの機体から、司令部へと飛び去ってゆく!
『やったー☆ 救出完了! 後は、残骸を潰すだけだね☆』
 イドラがバキバキと機械の指を鳴らす素振りを見せる。
 だが、ここでユーリーが声を張った。
「ここはボクに任せて! 最後は塵ひとつ残さずに、この世界から消滅させてやる!」
 シビリアンジョーのシークレットキャノンをアンロックさせたユーリーは、砲塔へのエネルギー充填を開始する。
「エネルギー充填開始……20%……60%……80%」
<気をつけて! オブリビオンマシン、未だ沈黙してません!>
 開発チームのオペレーターからの警告と同時に、右腕を爆発させながら極太のエネルギー砲が放たれた!
「ARICA! 量産型キャバリアで援護射撃と囮よろしく!」
 量産型キャバリア“パールバーティ”を自律稼働させるARICAが、エネルギー砲の盾となってユーリーを庇った!
 機体は半壊するも、残された腕でオブリビオンマシンに銃弾を浴びせて牽制する。
「私ちゃんも援護するよ☆ 死に損ないはおとなしく寝とけやボケ☆」
 ノインツィヒはキャバリアを右足を高々と振り上げ、そのままオブリビオンマシンの股ぐらを蹴り込む!
 オブリビオンマシンの下半身ユニットが壊滅!
「うわ、痛そ……!」
 思わず我が身のように声が出てしまうアトシュは、コトトと一緒に安全圏まで撤退してゆく。
 牽制と援護によって、シビリアンジョーの充填率が高まってゆく。
「充填率100%……限界突破…120%! これがシビリアンジョー・イェーガーカスタムの真の力だよ。代償は僕の命か……」
 自嘲するような声を漏らしたかと思えば、一変、ユーリーは総てを笑い飛ばすかのごとく高笑い!
「はははははっ! シャレてる兵器だバカヤローッ!!」
 レーザー砲撃、開始!
 シークレットキャノンから陽光めいた超高温の光線がオブリビオンマシンへ放たれた瞬間、目の前の世界は白黒の光と影だけに塗り替えられる。
 数秒後、光の明滅が収まると、オブリビオンマシンは宣言通り、塵ひとつ残さず、跡形もなく蒸発してしまった……!

 離脱したパイロットは無事に救出され、精神状態も正常に戻っていることが検査結果で明らかになった。
「アイドルにここまでやらせたんだよー?☆ ライブ演出と、イドラの修理代はお願いね開発部さん☆」
 ノインツィヒが主任に言質を取らせようと必死になっている横で、コトトは各世界のお兄ちゃん達へ感謝の言葉を述べていた。
「お兄ちゃん達、本当にありがとうございました! いつもコトトを助けてくれるお兄ちゃん達の事が、大大大すきです!」
 この時、開発チームの数名が尊死寸前で卒倒した事に、コトトは気が付いていない。
 ユーリーは今回の事件で解析したデータ群を、開発チームへ渡していた。
「はい、今回の戦闘データ。でも、もうジャイアントキャバリアに手を出すのは止めなよ? あんなデタラメな機体、ボクも聞いたことがないからね。あ、ボクのキャバリア達も整備よろしく!」
「あ、俺、キャバリアを森の中に放置したままだった! 回収してきまーす!」
 アトシュが残像が発生するほどの速度で空中を駆け抜けていった。

 この暴走事件をきっかけに、科学小国家ジャパニアに猟兵達の存在が知れ渡った。
「また会えることを願っているよ、猟兵諸君!」
 主任と猟兵達が固い握手を交わし、それぞれの帰路につく。
 だが、これがジャパニアと猟兵との長い付き合いになる最初の事件だったとは、この時は誰も知る由もない……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月07日


挿絵イラスト