10
戦乱のケンドリックス~SIDE-A:プラント奪還戦

#クロムキャバリア #戦乱のケンドリックス

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#クロムキャバリア
#戦乱のケンドリックス


0




●クロムキャバリア:ケンドリックス共和国
『――……これでいい』
 天使を思わせるサイキックキャバリアから、若い男性の声が響く。
 周囲には無数のキャバリア――すべて、オブリビオンマシンと化したものだ。
 首魁であるこのサイキックキャバリアもまた、同様である。
『人類はプラントに依存しすぎた。だから戦乱は終わることなく続いているんだ。
 ならば、そのプラントをこの世界から消し去ればいい。そうすれば戦乱は終わるはず。
 多くの人が死ぬだろう。だが適者生存の法則が、より強い種を選別してくれるのだ』
 声音には恍惚とした熱狂がある。明らかに、正気の沙汰ではない。
 彼の名はレイオン。本来ならばこの国を護るべき戦士である。

●グリモアベース:予知者、ムルヘルベル・アーキロギア
「新たに見つかった世界で、早速グリモアの予知を見出した」
 少年めいた姿の賢者は、集まった猟兵たちを見渡すとそう切り出した。
 クロムキャバリア――先頃発見された、戦乱の異世界におけるオブリビオン事件を。
「この世界では数多の小国家が、「プラント」と呼ばれる万能装置を奪い合っておる。
 問題となるのはそのプラントだ。事件の舞台となるのは、"ケンドリックス共和国"」
 その名の通り共和制を敷く小国家で、これまでは平和な日々を過ごしてきた。
 それも、共和国を護る精強なる軍部があらばこそと言える。
「……だがその軍部の若手将校、レイオンという青年がマシンに乗っ取られた。
 彼はいま国内にあるプラントの一基を制圧し、立てこもりを続けている」
 レイオンの主張、それは「プラントが無ければ戦乱は終わるはずだ」というもの。
 彼はそのために、この世界に現存するすべてのプラントの破壊を謳っているらしい。
「共和国側は、討伐作戦を計画中だ。すでに国内の困窮も悪化しつつあるそうでな。
 ……だが彼の翻意は、あくまでオブリビオンマシンの悪影響によるもの。
 オブリビオンが引き起こす意図的な紛争を、黙って見ているわけにもいくまい」
 そこで、猟兵の出番となる。

「共和国側には、すでに話をしてある。オヌシらは「傭兵」という立場になるな。
 キャバリアは必要があれば貸し出しも可能だそうだ。機動力の心配はないぞ」
 そう前置きした上で、ムルヘルベルは詳しい状況を解説する。
「敵の陣容は、プラントとレイオンを中核としておよそ三層で構成されておる。
 施設の外縁部には大量の量産型オブリビオンマシンが配備されているようだ」
 急造のためか、一体一体の戦闘能力はさしたるものではない。
 しかし敵は軍人のため、パイロットの練度が高いのが厄介だという。
「加えて第二層に配備された『ギムレウス』による砲撃が、絶え間なく降り注ぐ。
 この『ギムレウス』を叩くためにも、外縁部は最速で突破しなければなるまい」
 殲滅よりも突破力が重要となる局面のようだ。
「そして先ほど名前を出した『ギムレウス』……これは砲撃特化のキャバリアだ。
 彼奴らは防御陣地を組み上げ、外敵を弾幕と大量の地雷で迎撃するつもりらしい。
 頭上を取れば楽かもしれぬが……この世界での高速飛翔には危険が伴うぞ」
 暴走衛星「殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)」に目をつけられれば、終わりだ。
 侵攻は自然に徒歩ないし走行での移動となる。そこに地雷が牙を剥く。
 実に考え込まれた厄介な防御陣形。突破するには技量が試されるだろう。
「レイオンも含め、彼らはみなオブリビオンマシンで正気を失っているだけだ。
 出来る限り、機体の破壊に留めて人命を優先してくれ。絶対ではないが、な」
 彼らは共和国を護る軍人である。もしも多くの人命が失われてしまえば、
 それは共和国の防衛戦力の低下を意味する。それが何を意味するか……。
「国内の貧窮は、近隣諸国から見れば攻め込むのにいい口実でしかない。
 罪なき人々の命を救うためにも、その力を貸してくれ。頼むぞ」
 そう言って、ムルヘルベルは本を閉じた。
「"強き者ではなく、変化に適応した種こそが生き延びるのだ"という言葉があるな。
 実のところあれは、進化論を記した学者の発言というわけではないそうだ。
 ……正気を喪った者の戯言など、所詮そんなもの。オヌシらの健闘を祈る」
 その言葉が、転移の合図となった。


唐揚げ
 陸戦型唐揚げです。ついにきましたね、新世界!
 そんなわけで新シナリオです。以下はシナリオ関連ワードについて。

『ケンドリックス共和国』
 共和制を敷く小国家。比較的平和。普段ならば国内は安定している。
 軍部の士気が高く精強なことで知られ、対外戦争に打って出ることは滅多に無い。

『レイオン』
 同国の将校。年齢は20歳前後。キャバリア乗りとしての練度は相当に高い。
 普段は心優しく穏やかな性格だが、現在は正気を失い暴走している。

●その他
 別シナリオ『戦乱のケンドリックス~SIDE-B:侵略軍迎撃』は、
 このシナリオと同じ時間軸で起きた(ということになる)ものです。
 内部の造反を鎮圧するか、はたまた外部の襲撃に対処するか。
 どちらでも、お好きな方を選んでご参加ください。

 プレイング採用率は普段よりちょっと低めかもしれません。

●プレイング受付期間
 2020/09/28 14:59前後まで。
533




第1章 冒険 『敵陣突破』

POW   :    群がる敵を正面から蹴散らし、突き進む

SPD   :    敵陣の薄い箇所を突き、一点突破を狙う

WIZ   :    敢えて多くの敵を引き付けておき、一気に倒す

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ケンドリックス共和国北部:プラント防衛陣地
「――……フン、来たか」
 オブリビオンマシンがもたらす超感覚が、レイオンに敵の襲来を告げた。
 だがコクピットのレイオンは、すぐに眉根を寄せる。
「傭兵だと?」
 然り。
 こちらに討伐軍が派遣されることまでは、当然予期していた。
 しかしレーダー上に浮かんだのは、自国の兵隊ではない……。
「識別コード不明……いや」
 マシンが告げている。
 あれは仇敵であり天敵であり、相容れることのないモノだと。
「――猟兵(イェーガー)。それが、奴らの名か」
 驚きはしたが、敵として来るならばやることは変わらない。

 すべて殺す。
 この世界に新たなる、そして正しき秩序を布(し)くために。
『全機、迎撃体勢を取れ! キャバリア乗りとしての違いを見せてやるがいい!』
 審判者を驕る男の号令とともに、無数の砲火が猟兵を迎え撃つ――!
 
●追記:採用について
 本シナリオは「SIDE-B」と並行して進行するシナリオになっています。
 両作への同時参加は基本的に出来ませんので、その点ご了承ください。
ミスト・ペルメオス
【WIZ】

これはまた、見過ごせないな…。
…やるぞ、ブラックバードッ。

キャバリアではなく愛機たる機械鎧を駆り参戦。
デバイス等を介し念動力を活用、機体をフルコントロール。
殲禍炎剣の介入を防ぐため飛翔こそ出来ないが、スラスターの活用により疾走・滑走、高速戦闘を仕掛けるとする。

平均的なキャバリアの倍近い全高を有する愛機はこの世界でも相応に目立つと判断。
敢えて隠密行動など欠片も考えず突貫、回避機動やビームシールドでの防御を駆使して消耗を抑えつつ敵勢を誘引。
頃合いを計ってヘルファイア・デバイス展開、【バラージショット】。
決して足を止めないまま弾幕射撃を叩き込み、敵勢を打ち破る!

※他の方との共闘等、歓迎です



●羽ばたくは黒き翼
 キャバリア。
 人類を次なる進化へ導くと謳われし、戦乱を切り開く剣にして盾。
 クロムキャバリアを象徴する新たな力――だがそれは初めてのものではない。
『……やるぞ、ブラックバードッ!』
 ゴシュウ! とスラスターからサイキックエネルギーを噴射し、黒き影が翔ぶ。
 否――翔ぶという表現は正しくない。
 恐るべき"殲禍炎剣(ホーリーグレイル)"の介入を招いてしまうからだ。
 たとえるならばその軌道は、水上すれすれを舞い踊る猛禽類のようである。
 水面に姿を見せた獲物を狙う、ナイフのように鋭い滑空のような、地上疾走。
 ミスト・ペルメオスの技量をまざまざと知らせる、いっそ美しいまでの機動だ。

 機械鎧ブラックバード。
 全長9メートルの黒き機神は、キャバリアと比肩すると極めて大型だ。
 しかしスピードも小回りも、明らかにブラックバードのほうが上回っている。
 黒きボディはそれゆえによく目立ち、敵に驚愕と畏怖をもたらした!
『なっ!? なんだあの巨大な機体は!』
『キャバリア、なのか……いや、それよりも!』
『……疾すぎる!!』
 敵とて一流のパイロットだ。驚くばかりではなかった。
 BRATATATATA……マシンガン斉射がブラックバードを絡め取ろうとうねり、走る。
 多頭の竜が獲物を求めてその体をくねらせるような、執拗な迎撃弾幕。
『――遅い』
 熟練の鎧装騎兵たるミストにとっては、すべてが止まってみえた。
 さりとてブラックバードの出力にも限界がある。すべてを回避するのは不可能。
 だからこうして、ビームシールドを斜めに薙ぐことで弾丸を"カット"する。
 バチチ、と電弧が火花を散らす。黒き鬼は地上をスライスする一枚のナイフだ。
『バカな、これほどの弾幕の中を……!』
(捉えた)
『――!!』
 キャバリアを駆る敵パイロットは、心臓を鉤爪に鷲掴みされる幻痛に震えた。
 通信が開かれているわけではない。肉眼でパイロットが見えたわけでもない。
 だが、何故だ。モニタを通じて、たしかな冷たい殺意に撃たれた。
 これがプレッシャーというものなのか。あるいは蛇に睨まれた蛙の――。
『ヘルファイア・デバイス展開……退いてもらうぞッ!』
 BRRRTTTTTT!!
 スピードによる誤差をも計算し尽くした連続射撃攻撃が敵ユニット群を襲う。
 キャバリア隊はそのたった一回の反撃で機能不全に陥り、撃破を余儀なくされた。
 黒き翼は屍のように停止したオブリビオンマシンを乗り越え、大地を翔ぶ。
 目指すべき場所はひとつ。それ以外はすべてマイルストーンに過ぎぬとばかりに。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アウレリア・フルブライト
人心を歪ませる魔性の兵器。それがこの世界のオブリビオンですか。何とも悪辣なことですわね。
ならばかの禍払うべく、参ると致しましょうか。

まずは地雷原と砲撃の突破ですわね。
地雷は悠長に見極め回避…などという器用さは私にはありません。
万一踏んだ場合は何とかするという【覚悟】を以て、全力の【ダッシュ】にて駆け抜けて参りましょう。こまめな切り返しで砲撃は回避。
【ジャンプ】での前方跳躍を走行に交えたり【第六感】で地雷のありそうな場所を避ける等、一応の地雷対策は取ります。

踏みつけてしまった場合はダメージを【激痛耐性】で抑え込みつつ不撓不滅の闘魂発動、地面ギリギリを低空飛行し敵陣へ突入します。



●インヴィンシブル・チャージ
 BOOOM……KRA-TOOOOM……!!
 断続的な超・超遠距離砲撃が、大地を抉り間欠泉めいて土を巻き上げる。
 さながら神話の巨人が投げつける巨大な岩石じみた、容赦なき大火力砲撃。
 悪夢じみた弾幕のなかを、アウレリア・フルブライトは生身で突破するつもりだ。
「人心を歪ませる魔性の兵器――それが、この世界のオブリビオンならばっ!!」
 その身を黄金のオーラが鎧い、人間とは思えないスピードの疾走を可能とする。
 "不撓不滅の闘魂(インヴィンシブル・ソウル)"――闘志に拠って立つ信念の証。
 吹き上がる土煙が、破砕した榴弾の残骸が、アウレリアの肌を切り裂く。
 その傷が、傷みが、困難に対する反逆の意思こそが彼女の推進力なのだ!
「悪辣なる禍を払うまで、私は止まりませんわっ!!」
 言葉通りにアウレリアは走る。空から見ればまるで黄金の弾丸のようだ。
 いや、あるいは矢か――悪の中枢めがけてまっすぐと飛翔する、金の鏃!
 一秒ごとにアウレリアは加速する。大気が耐えきれずに爆ぜ、大地を撫ぜた!

『敵影接近! なんてスピードだ――いや、これは!?』
 防衛戦力として配置されたオブリビオンマシン部隊は、驚愕に包まれた。
 それも当然だろう。なにせ、やってくるのはキャバリアどころか乗り物ですらない。
 生身の、人間。そうとしか思えぬあまりに小さき姿――だが!
『撃て撃て撃てーッ! 決して通すなーッ!!』
 BRATATATATA! BRATATATATATATA!!
「……!!」
 一発一発がアウレリアの上半身を消し飛ばすほどの威力を秘めた弾幕。
 アウレリアは防御を放棄した。あの運動エネルギーに意地を張るのは愚の骨頂。
 なによりも……。
(こんなところで、足を止めているわけにはいきませんわっ!!)
 一秒でも早く前に進まなければならない。焦燥感があった。
 アウレリアは地面を斜めに跳躍し、飛来する弾丸を飛び石として蹴り渡った。
 運動エネルギーを逆に呼び水にして、前転跳躍することで加速したのだ!
『な……!?』
 あまりの早業に、もはやキャバリアのセンサーではその動きを捉えられない。
 そして直後、KRAAASH!! 弾丸じみた速度のチャージがマシンの頭部を破壊!
「次っ!!」
 煙を上げて崩れ落ちるマシンを踏みしめ、アウレリアはさらに前へジャンプする。
 一刻も早く、悪辣なるマシンをその拳で砕くために。
 たとえどんな世界、どんな国、どんな環境であろうとも。
 罪なき人々が苦しみと哀しみにあげる悲鳴ある限り――アウレリアは、止まらない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

銀山・昭平
内から外からの挟み撃ち、って事か……でも勝算はなくはないべ。

というわけで【銀山流即席絡繰術・弐式】で盾を作って敵陣を突破するべ。量産型相手とはいえ油断はできねぇべ。盾を構えて突撃しながら守りの薄い箇所を突破してやるべ。

何匹かは後ろから攻撃してくるだろうが、そのための【咄嗟の一撃】、中にいる人間には悪いが強い衝撃でノックダウンしてもらうべ。
あとはうまく敵陣の後ろに回り込めたらおらの【破壊工作】で機械どもをバラしていくべ。しかしおらの知ってる絡繰りとはまた違うんだべな。一匹持って帰っても良いべ?



●ノックダウン・ビート
『うお……ッ!?』
 堅牢なボディを誇るオブリビオンマシンが、がくんと大きく震えた。
 カメラモニタはノイズを走らせるばかりで、もう役に立たない。
 何が起きた? パイロットは、焦りと驚愕にかられた頭を落ち着かせようとする。

 ――はじめにモニタに映ったのは、巨大な……キャバリアからすれば小さな……盾である。
 おそらくは人一人を覆ってようやくという大きさの、しかし堅固な盾。
 そのシールドが、まっすぐこちらに向かって突っ込んできたのだ。
 ……キャバリアがシールドアタックを仕掛けてきたというならば、わかる。
 それはこのマシンが得意とする戦術でもあるし、だから迎撃できる自信があった。
 しかし。予想通り、盾を構えていたのはちっぽけな人間ひとりであり……。
(あんなシールドバッシュ一撃で、このマシンがやられたのか……!?)
 叩きつけられたのは、速度に任せた豪快な盾打ち一発きりだったのだ。
 信じられぬ。自慢のキャバリアを、機体にも乗らぬ人間がたったの一撃で!?
「悪いけど時間がないべ。荒療治だけど、このまま眠ってもらうべな!!」
『――!!』
 KRAAAAASH!! 再度の衝撃がマシンを大きく揺らした!
 パイロットは揺れで後頭部をシートに打ち付け、ぐ、と呻いて気絶する。
 そして機体の外……銀山・昭平は、めり込んだシールドをぼこりと引き抜いた。
 すぐさま身を翻し、背後からの弾幕を弾く。なんと堅牢なシールドか!
「機動性も何もかも、おらが知ってる絡繰とは違うべ! 興味深いべな!」
 BRATATATA……降り注ぐ弾丸をシールドで弾きながら、ドワーフは不敵に笑う。
 絡繰技師としての性が疼く。ぜひとも持ち帰って分析したいところだ。
 ガジェッティアの観察眼は、マシンの何処を壊せばいいかをたやすく見抜く。
「その足、整備不良を起こしてるべ? こうやって横から叩いてやりゃあ!!」
 SMAAAASH!!
『うおおおおっ!?』
「ほうら、お陀仏だべ」
 ボン、と駆動部から火を吹き、敵キャバリアの二脚部分がくの字に折れ曲がった。
 昭平は燃え上がる膝部分を駆け上がると、胴体部にシールドバッシュを叩き込む。
「自分の国を焼くなんてのは、機械の使い方としては最低最悪だべ!!」
 ぐしゃん!! と串刺しにされたマシンが、オイルを吹き出して停止。
 昭平は一瞬の手さばきで駆動系をバラすと、すぐさま次の機体へと跳んだ。
(勝算はなくはないべ――おらたちが来たならば!)
 この共和国を、戦乱の猛火から救うため。ドワーフは、戦う!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミレア・ソリティス
暴走衛星の攻撃がキャバリアも狙えるならば、私のサイズでの高速飛翔形態は避けるべきと判断します。

UC【コード・レギオン:γ】を使用。
隠密3型装備の同型(※たくさん出せる簡易型でない)ミレアを現地転送

私は
《衝撃波・吹き飛ばし》による爆発力強化したリアランチャーで地雷原への《範囲・砲撃》を仕掛け、強行突破のそぶりを見せ《挑発》し攻撃を誘い
敵砲撃は《オーラ防御》、ブラスターによる迎撃、隠密機からの敵情報共有で凌ぎつつ、隠密機が敵機への《部位破壊》狙撃で敵前線戦力の無力化を狙います。

数が減ればランチャーの閃光弾の目潰しと隠密機のハッキングで砲撃手の視界を奪い、一気に突破を掛けましょう

※アドリブ他歓迎です


黒川・闇慈
「新しい世界は戦乱の渦ですか……鉤爪の男の故郷なだけはありますねえ。クックック」

【行動】
wizで行動です。
さて、オブリビオンマシンとはいえ敵は機械。それも戦闘用となれば精密機器の塊でしょう。
属性攻撃、全力魔法、高速詠唱、範囲攻撃の技能を用いて雷獄襲軍を使用します。
雷の矢を命中させてオブリビオンマシン群の電装系を破壊して動きを封じましょうか。これならば中のパイロットも死んだりはしないでしょう。
……多少は痺れるかもしれませんが。
無力化した敵の間を抜けて侵攻させていただきますよ。

「機体諸共に爆散させるわけにもいきませんしねえ。クックック」

【アドリブ歓迎】


御園・桜花
「キャバリアが体高5mなのでしょう?つまり、それ以下の低空飛行であれば滞空監視には引っ掛からない可能性が高いのではないでしょうか。私達、キャバリエに搭乗しての歩行移動を推奨されているようですから」
「私、複葉機より高度な飛行装置を操縦できる気がまだしなくて。もう少し慣れたらお借りしますね」
目を逸らす

UC「精霊覚醒・桜」使用
地上5m以下の超低空飛行で敵キャバリエを翻弄
敵を地雷原に誘い込み爆破損耗させる
敵の攻撃や進路妨害は第六感や見切りで躱す

「適者生存は私達植物にはとても馴染みやすい行動指針ですけれど。プラントを全破壊して生存出来る強者だけを残すのは違うと思うのです。それは人為的天変地異でしょう?」



●狼よりも深く這え
 ――突如として、戦場を燃え上がる灼熱のナイフがジグザグに焼き切った。
『"殲禍炎剣(ホーリーグレイル)"だ!!』
 悲鳴じみたその声は、はたして敵のものか味方のものか。
 殲禍炎剣――痴れ狂った軌道上の悪魔。飛翔体を襲う悪夢の具現。
 おそらく、トリガーとなったのは気の急いたオブリビオンマシンなのだろう。
 ランダムに見えて的確なレーザー砲撃が、大地を抉り深い傷痕を遺す。
 はたして犠牲者は脱出出来たかどうか。それを確かめる暇も、猟兵にはない。
「……やはり、私のサイズでの高速飛翔形態は避けるべきですね」
 ミレア・ソリティスは、殲禍炎剣の恐るべき火力を目の当たりにし、呟いた。
 もしも彼女が高速飛翔形態に変形し、突破を試みていたとしたら。
 あの灼熱のナイフは、間違いなく彼女のボディを焼き切っていたであろう。
「コード・レギオン:γを発令。待機中の3型兵装機の転移を要請――」
 ミレアは当初の予定通り、隠密装備の同型機体を転送召喚する作戦に打って出た。
 ミレア本体(という表現も、個にして群体たる彼女にはややそぐわない)が強行突破のふりをして敵の攻撃を誘発し、隠密機が敵前線戦力の無力化を測る。
 自分自身と連携することで、陽動と奇襲を同時に敢行するというわけだ。
 全長244cm。ウォーマシンの巨体も、キャバリアと比すれば子どものようである。
『高速飛翔はするな! 全機、地上走行モードで敵を迎え撃て!』
 ザザザザザ……BRATATATATA! BRATATATATATATA!!
(多数の被ターゲッティングを検知。ブラスターを迎撃モードに移行)
 ミレアは飛来弾幕を熱線で焼き払い、リアランチャーで爆炎を起こし目眩ましにする。そして地上を滑るように疾走して敵の足並みを乱す。
 孤立無援の状況。敵迎撃火力は、ミレアひとりの手には余るか……!?

 否、見よ。
 突如として戦場に咲き誇った桜吹雪。そして、地面を跳躍飛行する女の姿を。
 御園・桜花は"精霊覚醒・桜"によって、超音速の飛翔スピードを手に入れていた。
 桜花もまた、殲禍炎剣の恐るべき破壊力をその目で目の当たりにしていたのだ。
 低空飛翔するのではなく、飛び石めいて地面を蹴ることで「跳躍」する。
 そうして狂った機動衛星の目を誤認させながら、縫うように敵陣を突破する!
『走行体か!? いや、違う……人間だと!?』
「桜の精なんですけどねぇ」
 キャバリアのセンサーをも掻い潜るスピードで跳ぶ、人型生命体。
 それはこの世界のキャバリア乗りにとって、信じがたい幻想生物めいていた。
 いやこの場合は、むしろあってほしくない悪夢そのものと云うべきか。
 キャバリアの強みは、換装による高い汎用性と大火力、そして機動力にある。
 生身でそれを超越しうる存在など、そもそもハナから想定していないのだ。
 だが、猟兵は――否、ユーベルコードはその奇跡を可能とする!
「適者生存は私達植物にはとても馴染みやすい行動指針ですけれど。
 プラントを全破壊して生存出来る強者だけを残すのは違うと思うのです。
 それは人為的天変地異でしょう? ――だから、あなたたちは止めますよ」
 桜花は敵の目を惹く幻惑的な高速機動で、弾幕の半分を引き受けた。
 ミレアは頷き、ランチャーから閃光弾を射出して敵のセンサーを狂わせる。
 そして、KRA-TOOOM!! 地雷原が誘爆、さらに隠密機の奇襲が敵機を破壊!
『は、疾すぎる! しかも伏兵がいるだと!? 一体どこだ!?』
(――オブリビオンマシンの連携ネットワークに強制接続。ハッキング開始)
 敵機体の駆動系を物理掌握した隠密機が、敵ネットワークに介入を仕掛けた。
 センサーはもはや役に立たず、友軍機と敵影を識別することすら出来ない。
 統率された敵の足並みが乱れる。すなわち、ここが好機!

「なるほど、これが鉤爪の男の故郷ですか。クックック」
 混迷極まる戦場を空より睥睨する、黒衣の魔術師あり。
 黒川・闇慈は常日頃の陰気な笑みを浮かべ、ぬばたまの瞳を細める。
 先のスペースシップワールドでの戦いを思い出させるような戦場、実に厄介だ。
 しかし――化け物には化け物の、機械には機械の殺し方というものがある。
「少々痺れるかもしれませんが、まあ勉強代ということで我慢してもらいましょう」
 バチ、バチバチ、バチチチ……!!
 闇慈の周囲、オゾンの焼ける匂いとともにいくつもの電弧が生まれた。
 火花はやがてプラズマ光となる。それは、世界に産声を上げた雷の子らである。
「天より至れ雷轟の嚆矢」
 バチバチバチ……!
 稲妻は大気を焼きながら増大する。その数、実に800以上!
「一切全てを襲い撃て――雷獄襲軍(ケラウノス・ブリッツ)」
 細められた瞳が、大きく見開かれた――直後、雷は矢となりて空気を裂く!
 幾何学模様を描くエネルギー飛翔体は、狂った機動衛星にすら止められない。
 まさしく稲妻の速度で到達した雷の矢が、マシンを貫き――電装系を破壊!
 バチバチバチ……パパパパパン! と、祝砲じみた規則的連鎖爆発が響き渡る!
 闇慈はミレアと桜花の連携で動きを止めた敵群を雷の矢で貫き、無力化したのだ。
 なんたる魔力制御であろうか。その攻勢、まさしく襲いくる稲妻の軍勢なり。
「機体もろともに爆散させるわけにもいきませんしねえ。クックック」
 闇慈は地に降り立つと、もはや遮るものとてなき荒野を悠々と侵攻した。
 目指すはあのプラント施設。歪んだ適者生存の法則を無に帰するために。
 猟兵たちは狼よりも深く這うように、地を滑り、跳び、そして走る――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

矢来・夕立
永遠に小競り合いが続いててほしい世界ですね。お金になるので。
どんなに平和な国であっても、攻め込まれたら応戦しないとでしょう。こんな風に。

突破自体には寄与できませんが、生身は生身でやりようがあります。
きっとキャバリア以外にも防衛機構がありますよね。
それ、ダメにしちゃいましょう。
ロックされている出入り口を開けるとかもアリです。
ハッキングやメカニックに明るいひとがいればついてきてもらいます。
いなけりゃ物理でどうにかする。

攻め入るための隙を作ります。【紙技・紙鳴】。
閃光と《闇に紛れて》キャバリアの足元をすり抜ける。
…ほら。オレを探してる場合じゃありませんよ。
この隙、他の猟兵にも有効に働くでしょうから。


狭筵・桜人
うーん、いちいちデカくて隠れるのにピッタリ。
規格統一された量産型ってことは、ひとつを解析出来れば芋づる式ですよねえ。
でも動力源がダークマターじゃないですか。愛とか勇気でも動くの?怖……。

まあ武装パーツなり制御システムなりを潰せれば儲けもんってことで。
『code/S.B』。破壊特化のクラッキングツールです。
ただ壊すだけならシステム改竄やらの操作をしない分、単純で楽なんですよ。
しかしオブリビオンマシンねえ。
帝都で見た蒸気甲冑と大差無いっていうか……度し難いですね。

コード使用後は破壊ないし機能停止したキャバリアから搭乗者を救出して行きますよ。
救出作業用にキャバリアを一機借りるかもしれません。



●戦乱が奪うもの、戦乱が生み出すもの
『……あの、すいません』
「なんですか? オレのことは心配しなくていいんでさっさと動いてください」
『いや心配とかまったくしてないんで。そうじゃなくてですね』
「ああ、なんかこうそれっぽいセリフ言ったほうがいいです? ロマンですもんね。
 パンチだキャバリア! みたいな……オレ、あなたと違って詳しくないですが」
『勝手に人をオタク扱いしないでもらえます!? そうじゃなくて!!』
 コクピット越し、狭筵・桜人の大声がガガピーとがなり立てた。
『私が借りた大事なキャバリア! その汚い土足で踏まないでくれません!?』
「チッ」
『はいかいいえで反応してくださいよ!? なんですかその舌打ち!』
「舌打ちは舌打ちですが? あ、もしかして舌打ち出来ない不器用でした? ダサ」
『チッ』
「出来ましたね。よかったですね」
『そういう意味じゃないんですよ!!!!!!』
 ぎゃあぎゃあやかましい桜人の戯言を、矢来・夕立はスルーした。

 夕立はいま、桜人が借りてきたキャバリアの肩に悠然と立っている。
 ハッキングに明るい誰か……そんな適材を探していたところにこいつが居たのだ。
 正直夕立としてはだいぶ不満(なにせ他にもっとハッキングの達人を知っているからだ)ではあったが、そこはそれ。
 腕前が足りないぶん、このピンク頭は実に御しやすい。ならばそれでいい。
「しかしいいですねこの世界。永遠に小競り合いが続いていてほしいですよ」
『金になるから、ですか? 度し難い俗物ですねあなた』
「お前に言われたくねえよ(あなたに言われるとイラッときますね)」
『いま心の声も本音もたいして変わらない気配がしたんですけど!?』
 桜人のツッコミを完全スルーしつつ、夕立は頬を叩く戦乱の風を舌で転がした。
 戦場の匂い。
 火薬の匂い。
 血の匂い、死の匂い――いのちの味。慣れ親しんだ、懐かしく忌まわしい味わい。
 ここが己のあるべき場所であり、そんな自分をどうしようもなく嫌悪する。
 だが、性分とはそういうものなのだ。いまさら後悔するほどおぼこくもない。
「どんな平和な国であっても、攻め込まれたら応戦せざるを得ませんからね。
 貧窮すれば奪うしかなくなりますし、そうすれば金の流れが生まれるんですよ」
『あー、やだやだ。私みたいな平和主義者はそういうの吐き気がしますよ』
「そうですか」
『ツッコミすらも放棄するとかなんなんですかあんた!!』
「それより敵、来てますよ」
『えっ』
 KRAAAAAAAASH!!
 超・長距離砲撃が地響きを起こし、桜人のキャバリアを大きく揺らした。
『マジの奴じゃないですか!? 早く言って……あっいない!』
 桜人は文句をぶーたれながら、慣れないコクピットで必死に姿勢を立て直す。
 その動きは首も座らない赤子のようだ――特に、敵パイロットと比較すると。
 当然敵は、そんな桜人のキャバリアを容赦なく包囲し撃墜しようとした。
「あーあ……ほんと、帝都で見た蒸気甲冑と大差ない。度し難いですね」
 桜人はキャバリアをホールドアップさせながら、嘆息混じりに呟いた。
「――付け入る隙だらけですよ? いや、私もそうなんですけどね」
 桜人がコクピットで冗談めかした瞬間、閃光がその場を照らし、支配した。

 強烈な閃光と轟音を浴びた時、生物は本能的に身を守るために体を丸める。
 丸めて「しまう」というべきか。それは、訓練ではいかんともしがたい反射だ。
 とはいえキャバリアのシステムは、そうした閃光への防御手段を持っている。
 システムが十全に機能していれば、夕立の紙技は期待ほどの効果を持たなかった。
 ――それがわかっているから、夕立は専門家を必要としていたのだ。
『ぐ、ぁ……ッ!?』
 モニタが焼き付くほどの閃光を浴び、パイロットらは反射的に身を丸めた。
 減衰されるはずの閃光と轟音が、律儀なセンサー系によってお届けされたのだ。
 オブリビオンマシンの動きが止まる。その一瞬があれば、それで十分だった。
「生身には生身の戦い方があるということです。勉強になりましたね」
 夕立はマシンを素早く駆け上がり、駆動系を苦無で一突きして沈黙させた。
 実に、たやすい。デカブツであるぶん、隠れ潜む影も隙も取りたい放題だ。
「……ところで"それ"、あなたのマシンは大丈夫なんですか?」
『さすがに敵味方は区別しますよ、私のことなんだと思ってるんですか』
 桜人が密かに仕込んでいたもの、それは破壊特化のクラッキングツール。
 無害で無力な素人を装いながら、システムの毒はすでに回っていたのだ。
 そして防衛機構を無効化したところに、夕立の"紙鳴"がほとばしった。
 閃光と轟音の二重攻撃。身動きできぬマシンは、あとは「殺して」やればいい。
 システムを焼き切るなり、駆動系を物理破壊するなり、ご自由に。
『とりあえず次に備えて色々解析しておきますか……ってあれ、どちらに?』
「次の仕事場ですよ。オレ、救出までは請け負ってないので」
 せっせとパイロットを救出しようとする桜人を、夕立は一瞥した。
 別にそいつらが野垂れ死のうが構わない、そういう目をしていた。
『ほんと、度し難いですねえ。金蔓なんでしょ?』
「ただの莫迦って言うんですよ。そいつらは」
 にべもない言葉に、桜人は肩をすくめるばかりだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ケンタッキー・マクドナルド
クロムキャバリア……ロボ共が犇く世界ってか。
巨人だの魔導だのスーパーロボだの 俺様お手製の連中と同規格のメカが犇く世界……イイじゃァねーか。興が乗った。
     ニンギョウ
この世界の機 械がどンなもんか味わい尽くしてやらァ。

機体の貸出なンざ必要ねェ。
俺にはこいつがありゃァいい。
行くぞ『GULLIVER』!!

敵共の攻撃ァバーニア吹かした超速機動で回避、ミサイル類は銃撃で撃ち落とす!!
邪魔する奴ァ砲撃とプラズマカノンでぶち抜いて強行突破だ!!
(ダッシュ×操縦×パフォーマンス×砲撃×決闘)

見晒せ機甲世界の機械繰りども
これが俺様の愛機と俺様の人形繰りだァ!!!



●フェアリー・ドール・ダンス
「――イイじゃァねーか」
 転移を終えたケンタッキー・マクドナルドを出迎えたのは、戦乱の匂い。
 火薬と硝煙、そして煤けた荒野と、無機質な鋼が照り返す空の輝き。
 誰もが震え上がる戦場を前にして、しかし神の手を持つフェアリーは不敵に笑う。
「気に入ったぜェ、クロムキャバリア! 俺様が暴れるにゃ最適の世界だァ!!」
 ゴウン――!
 やや遅れて転移した巨大機械人形『GULLIVER』が、ケンタッキーを迎え入れる。
 全長約5メートル。奇しくもそのサイズはキャバリアとほぼ同等!
「行くぞGULLIVER、この世界の機械(にんぎょう)を味わい尽くしてやるぜェ!!」
 高らかに飛翔する機体。出迎えるのは無数の砲声、そして分厚い弾幕!
 恐るべき機動衛星の攻撃を招かないよう、ケンタッキーは超・超低高度滑空を敢行。
 殺人的加速Gを伴う超速機動を駆使し、立ちはだかる敵影をくぐり抜けていく!
「ハ! 練度もなかなかのモンじゃァねえか、だがなァッ!!」
 BRATATATATATATA!! 飛来ミサイルを縦断で迎撃、爆炎を突き抜け吶喊。
 敵陣のど真ん中を駆け抜け、プラズマカノンで敵キャバリアを薙ぎ払う!
『な……は、速いッ!?』
『一体何処のキャバリアだ!?』
「速いィ? ちげェよ雑魚ども――てめぇらが、遅すぎンのさァ!!」
 連鎖爆発! 驚くべきことに、敵キャバリアのコクピット部は無事だ!
 ケンタッキーは敵機の手足や駆動系といった部位のみを貫いていたのである。
 これほどの高速機動を敢行しながら照準を調整するとは、まさしく"神業"。
 そう……彼こそは神の手を持つ妖精。巨人はおろか竜すらも討ち果たした人形師。
 新生GULLIVERは、誇らしげに弾幕をくぐり抜けさらなる敵を堕とす。また堕とす!
『は、疾すぎて捉えきれん! なんだこの敵は……!』
「見晒せ機甲世界の機械繰りども! これが! こいつがァッ!!」
 BRATATATATA! KA-BOOOM……KRA-TOOOOM!!
 パイロット脱出と同時に爆発四散した機体を貫き、敵陣を駆け抜ける機影!
「俺様の愛機と! 俺様の人形繰りだァ!! ハァーッハハハハハァ!!」
 勇者のように勇猛果敢に、そして魔王のように雄々しく恐ろしく。
 巨人の名を与えられた決戦兵器が、混迷の戦場を矢のように貫き通る――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

レン・ランフォード
やってきましたクロムキャバリア
また変わった世界ですねー
ろぼっといっぱいでれんは好み…
とりあえず仕事だ仕事、観光はさっさと片付けてからだ
ですね。行きましょう、私たち

でも忍び込むは無理そうで、なぎ払っちゃダメなんですよね…あれ?れん?
…折角だから借りてきたよ…三人分…

というわけでUCを使用して三人・三機で突撃します
錬が刀持って突っ込んで
私は機関銃で援護射撃しつつ刀で隙を突いたり
れんは機関銃で牽制しつつ盾で守ったり
役割は絶対ではなく状況によって装備と一緒にスイッチしたりして
キャバリアの機構的に足と頭を切断・部位破壊しながら進みます
操縦技術の差は連携で埋めましょう



●スリー・ダーティ・ガールズ・アソールト
『! こちらに近づいてくる新たな敵影を確認……機数、三! 援護を求む!』
 レーダー上に浮かび上がった敵影反応を認め、キャバリアパイロットが叫んだ。
 途端に後方からの超・長距離砲撃が、猟兵の侵攻を阻まんと降り注ぐ。
「さっそくのお出迎えですね……"れん"、それに"錬"。準備はいいですか?」
『うん、大丈夫。ろぼっといっぱいで、ちょっと気分いいし』
『それはしゃいでるっつーんだよ。ハメ外しすぎてトチるんじゃねえぞ?』
 レン・ランフォードは分身した別人格たちの他愛もない会話にため息をついた。
「これから戦闘なんだから気持ちを切り替えて! 行きますよ、私たち!」
『はーい』
『はいはいっと。観光はさっさと片付けてから、ってな!』
 "分身・雪月花"を使って分離した三人ならば、こうしてキャバリアも使える。
 自分自身だからこそ、まったくのよどみない完全な連携が可能なのだ。
 スリーマンセルで弾幕に突撃するレンたち。前衛を担うのは"錬"の仕事だ。
『このぐらいの弾幕で、俺らを止められると思ってんじゃねえぞ!!』
 はじめて乗り込んだとは思えぬほどの体捌き。対キャバリア用大型カタナによる素早い剣舞が、降り注ぐ弾丸をバラバラに斬り裂いた!
「れん、牽制をお願い! 私が仕留めます!」
『了解……危なくなったらカバー、するね』
 BRATATATATATA! れん機が機関銃をばらまき、敵群を牽制する。
 同士討ちを恐れて後退したところに、錬と入れ替わる形でレンが吶喊!
「その隙、頂きますっ!!」
 疾い。全バーニアをフルブーストさせ、局所的加速を得て一気に間合いを詰める。
 そして駆動系を狙った鋭い斬撃。オブリビオンマシン三機が一瞬で無力化された!
『次、来るぞ! れんッ!』
『――うん』
 れんは肩部大型シールドを前面に展開し、新たな敵機による弾幕を防御する。
 今度はレンが機関銃で援護を行い、その間に錬が突撃する番だ。
『ったく、パイロットを生かさなきゃならねえのが面倒くせえな!』
「間違っても殺してはいけませんよ、彼らは正気を喪ってるだけなんです」
『わぁってるよ! こんな雑魚相手に仕損じる俺じゃねえのさ!』
 KA-BOOOM……脚部をばっさりと切断されたキャバリアが小爆発を起こし停止。
 無力化した機体にはもはや構わず、三人娘は風のように敵陣を突破する。
 たとえ操作技術で先を行かれているとしても、彼女らには鉄壁の連携がある。
 タイムラグのない役割のスイッチと攻防の使い分け。それが忍びの武器なのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーザリア・シン
――アイ・ハブ・コントロール。搭乗者ユーザリア・シンより、完全自律行動を承認されました。
これにより、量産型キャバリエ213番機は制御ユニットの自己判断にて行動します。
目標を確認。確認……オブリビオン――オブリビオンを認識。
あれこそ我々、執鍵守護騎(ハーロイーン)の果たすべき目標――我々?
今、「私」は何を思考した?

【そなたが妾を呼んだのか、古き忘れられた祈りの果てよ。
 何の必然か。偶然か。妾はそなたの声と祈りを聞いた。
 ゆえに妾はそなたを行為しよう。
 妾を使って、そなたの意味を成すが良い。
 その血統を覚醒せよ、『ヴァンパイア』・ザ・インカーナダイン】

――「私」は正面から突き進む。



●過去の摂理に反逆するモノたち
 過去は世界を埋め尽くし、劣悪な自己複製によって未来を蹂躙する。
 生命は生命であるがゆえに過去を棄却できず、残骸はいずれ世を埋め尽くす。
 それが摂理だ。消費によって前進する時間は過去に戻ることは出来ない。
 ゆえに残骸は無限であり無数であり、未来を求めることが過去の増幅に至る。
 闘争の果てに待つのは、必然的な敗北でしかない。

『――否定(ネガティブ)』
 血の盟約によって覚醒せし執鍵守護騎(ハーロイーン)は、言った。
『"私"は摂理を認めない。滅びという終焉を認めず、受け入れず、諦観もしない。
 我々執鍵守護騎(ハーロイーン)は、忘却を滅却し未来を立証してみせる』
 それは忘れ去られた名。忘却された残骸よりもなお旧き騎士たちの御名。
 もはや"それ"を憶えている者はおらず、"それら"は潰え、滅び、果てた。

 だが、遺志までは消えていない。
 それでも、意思だけは潰えていない。

 ――旧き、忘却(わす)れられた祈りの果てよ。
   そなたが妾を喚んだ。その声が、界の海を渡り妾に届いたのだ。
   これは必然であり、偶然であり、しかしてそのどちらでもない。

 機体のコクピット、ユーザリア・シンは己が座する鋼に語りかけた。
「そなたはその正しき祈りを以て世界の摂理に抗い続けた。だから妾に届いた。
 その声は骸の海を渡りて妾のもとに偶然辿り着いた。これは宿命であり運命。
 ゆえに妾はそなたを行為しよう。そなたは騎馬であり士である。さあ、駆けよ」
 旧き機体は赫灼たるバーニア光を惹きながら、戦場を駆け抜ける。
 残光を描くカメラアイもまた真紅の輝き。それは血を吸う鬼のように。
「その血統を覚醒せよ。『ヴァンパイア』・ザ・インカーナダイン。
 妾(そなた)は、摂理を否定する。忘却を以て過去を滅却する者なり!」
 ふたつの声は一時に重なり、渾然一体となって意思を同じくした。
 鋼鬼一体。旧き遺志を継ぐ祈り子は、血の力を以て紅き翼を花開かせる!
『アイ・ハブ・コントロール。正面より突き進み、すべてを滅却します』
 BSX-Aキャスケットサイキックウェイブ、放出。血の剣がその身を護った。
 幾何学模様を描いて迸る朱き閃光。貫かれし機体は小爆発を起こし機能停止!
 それはいのちを奪う剣ではなく、未来を滅する鉾でもない。
 それは過去を屠る刃。オブリビオンという忘却を滅却する姫にして騎士の牙。
 大地を染め上げるは血に非ず――ただ、鮮血のようにな暁のみ。
「心思うままに翔べ、旧き祈りよ。妾はその賦(うた)の導き手とならん」
 鋼と鬼が空を舞う。すべての過去を滅ぼすため、凱歌をあげて天高く。

大成功 🔵​🔵​🔵​

玉ノ井・狐狛
こいつァ何とも騒がしい
今までいろいろ巡っちゃ来たが、そのなかでも最上級に賑やかだな

地雷原があるって話だから、そこを狙おう
透視で位置を特定
圧力、センサー、あるいはワイヤーなんかを使ってか……起動方式も色々あるだろうが、事前に視えてりゃ回避はできらァ
▻視力▻偵察▻見切り

砲撃のほうはそうもいかねぇな
しょうがないから適当にちょろまかそう(UC)
飛んできた砲弾やらミサイルやらを念動力で奪って、そのままお返しだ
やっこさんらの得物で叩く分にゃ、オーバーキルしちまうってコトもあんまりないだろうし

自棄を起こされると手間がかかっちまうから、むやみに追い詰めてもいけねぇ
ほどほどに相手しつつ移動を優先するぜ


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

……なるほど、アレがキャバリア。
鎧装騎兵とかウォーマシンとも違う感じかねぇ。
本当はアタシも一機借りたいところだけど、
妙にカブの調子が良いときてやがる。
いいさ、一気に駆け抜けてやろうじゃないか!
地を駆ける能があるのは足だけじゃないからね!

いつもながらカブに『騎乗』し、
弾幕の合間を『操縦』テクですり抜けながら
量産機地帯へ『ダッシュ』で肉薄する!

そうしたら【弱点特攻作成】で、
対キャバリア用のチャフとECMグレネードを作成して
放り投げる!
そうして『ハッキング』の『範囲攻撃』を仕掛けて、
後続が抜けやすくしようじゃないのさ。

狂ったヒトを正すのも、
猟兵の仕事だからねぇ……!


神元・眞白
【SPD/割と自由に】
クロムキャバリア、新しい世界。
また知らない景色に知らない場所が続々と。興味が尽きないこと。
少しばかり散策は待つ事にして、今は頼まれたことをしてしまわないと。

キャバリアを借りる事もできる様ですが、大きいのでこういう場では不向きでしょう。
符雨、違う私達を囮にしてこちらは先行しましょう。目立たないように。
目立つぐらいには皆に動いてもらってその間に敵陣の通過を。

一旦相手方の布陣を抜けたら少しの間場とキャバリアの観察を。
後方からの攻撃にはちゃんと対応できているか、第二層以降の情報収集も兼ねて。
時間は限られていますし、こういうタイミングで相手方の仕様を知っておかないと



●キャバリア・ヴァーサス・イェーガー
「……なるほど、アレがキャバリア。この世界の人型兵器ってやつかい」
 弾丸飛び交う戦場を空から見下ろし、数宮・多喜はひとりごちた。
 本当ならこのまま空中を飛び越えて一気にショートカットしたいところだ。
 だが多喜は、恐るべき『殲禍炎剣(ホーリーグレイル)』のことを忘れていない。
 いまもはるか頭上――おそらくは軌道上に、重たい殺意を感じる。
 ヒトのそれとは違う、無機質で冷たい殺意……冷徹な機械の殲滅意思。
 サイキッカーである多喜は、それをよく知る。皮膚感覚として。
(頭の上にはおっかねえ番人がいやがる。けどそれ以上に気になるのは……)
 多喜は宇宙カブのボディを指で撫でた。エンジンの調子はすこぶるいい。
 ……そう、「妙に」調子がいい。この世界のなんらかの様相が影響しているのか?
 多喜の相棒は未だブラックボックスが多く、想定外の挙動は珍しくない。
 だがその力は、多喜にとってあまりネガティブなものには感じられなかった。
「まあいいさ。だったら一気に駆け抜けてやろうじゃないか、行くよ相棒!」
 多喜はほとんど垂直に滑空し、着地するとともにフルスロットル。
 エグゾーストを撒き散らしながら、猛然たる勢いで敵陣真っ只中へ突入した!

 降り注ぐ弾幕……敵防衛戦線第二層からの超・長距離砲撃だ。
 援護射撃弾幕を味方につけた敵オブリビオンマシン群は強固な防御陣形を組み、
 猟兵たちによる波状攻撃をよく防いでいる。統率された軍人ならではか
「こいつァなんとも騒がしい……いままでいろいろな世界を巡っちゃ来たが、
 そのなかでも此処ァ最上級に賑やかだねィ。いやまったく派手でいいこった」
 玉ノ井・狐狛は、戦乱の空気に顔を顰めてうんざりとした様子で呟いた。
 景気がいいのは博徒の望むところ。だが鉄火場となれば話は別である。
 この戦乱の世界では、ヒトとヒトとが相争い当然のように血を流すのだろう。
 こうして自国内でのクーデターが起こることすら、珍しくはないのかもしれない。
 オブリビオンが引き起こしているというのならば、まだいい。止められる。
 だがそうでないケースもあるはずだ――それが、狐狛を辟易させた。
「おまけにこォんなモンまでわんさか仕掛けやがって、飽きないねェ」
 そして狐狛の目は、地中深くに埋没した無数の地雷を透視していた。
 種類も威力も多岐に渡る、人類が生み出した兵器の中で二番目に愚かなもの。
 見えるならば避けるのは容易い。が、他の猟兵まではそうもいくまい。
「せっかくデカブツかましてきてンだ、だったらそいつを利用させてもらおうか!」
 狐狛めがけて降り注ぐ砲弾――を、狐狛は手をかざして静止させた。
 そして、見よ。狐狛がカッと目を見開くと、砲弾は狐狛の意のままに動く!
「イイもの持ってやがるねぇ、アタシにも使わせてくんなっ!」
 "得たりや応と質流れ(ブラック・ブラック・マーケット)"。
 敵が放った攻撃を"盗む"ことで、逆に自分が利用してしまうという術式だ。
 狐狛はこれを利用し、飛来した砲弾を敵……ではなく、地面に向けて投げつけた。
 すると、KA-BOOOOM!! 地雷が誘爆し、土煙をあげて派手に燃え上がる!
「この調子で煙幕にしてやりゃ――っと?」
 そのとき狐狛は、土煙を突き抜けて突撃する大群を見てきょとんとした。
 それはキャバリアではない……淑女めいた姿の、ミレナリィドールの群れである。
 狐狛は知るよしもないが、その人形の大群は神元・眞白が喚び出したもの。
 ユーベルコード"百器夜行"によって召喚・増幅された、戦術器の群れなのである!
「おやおや、こらまた輪をかけて派手だねぇ。だが悪くねえや!」
 狐狛はニヤリと笑い、人形たちに降り注ぐ弾幕を"盗んで"逆用した。
 そして狐狛自身もまた、戦術器たちの大行進に紛れて敵陣深くを進むのだ!

「目には目を、大軍には大軍ってかぁ? いや有難いんだけどね!」
 一方多喜もまた、戦術器の大群をうまく利用して敵の攻撃を回避していた。
 さらにユーベルコード"弱点特攻作成(カニングクラフト)"により、物質を生成。
 テレパスで察知した敵の弱点――この場合は、チャフ・グレネードである。
 さらにECM(電子対抗)手榴弾を同時生成。それらを敵機へと投げつける!
 ――KBAM!!
 グレネードが破裂した瞬間、無数のアルミニウム片が桜花のように舞い散った。
『く、システムダウンだと!? これは……!!』
「悪いね。先を急いでんだ。ま、おねんねしといておくれよ」
 多喜はうろたえるパイロットに言い放ち、宇宙カブで戦場を駆け抜ける。
 一手遅れて降り注ぐ無数の砲弾……狐狛が"盗んだ"敵弾幕が、敵機に命中!
『も、もうダメだ! 脱出する!!』
「そうそう、命あっての物種だぜ? しばらく頭冷やしときな」
 狐狛もまた飄々と言い、ベイルアウトしたパイロットを見送り先を急いだ。
「……うん、みんな突破できているみたい。陽動作戦は成功ね」
 そして戦術器たちを召喚した当人……眞白は、すでに敵陣の奥深くに潜んでいた。
 この騒ぎそのものを隠れ蓑として、密かに独自ルートで潜入を果たしていたのだ。
 敵の混乱を確認した眞白は、側仕えの戦術器、符雨と目を合わせて頷く。
「先を急ぎましょう。戦いはこれからだもの」
 弾幕は絶え間なく降り注ぐ。防衛網、いまだ健在なり――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロク・ザイオン
(通信機からは、聞き慣れたノイズ)
…外は任せた。
まるごと全部、この地を救おう。
おーば。

…ここにはまだ、救える人間がいるんだ。

(さあ、ここに鼠を銃で仕留める者はいるだろうか)
(弾雨を【野生の勘】で掻い潜り【ダッシュ】敵陣に飛び込む
懐に入ってしまえば、高さ5mの鎧は鉄の森だ
【地形利用】しながら「烙禍」で地面を脆く、足から崩そう
倒れたキャバリアは更に「烙禍」で【鎧を砕き】破壊する)
(なあ。鎧を剥げば、キミだって鼠じゃないか)

生きられる地を選んで生きるのは、弱さじゃない
それを自ら捨てることを許すほど
世界は、キミに甘くないよ。


(通信機から景気のいい音が聞こえる)
……はしゃいでるな、あっち。



●レグルス・アクション:サイドA
 立ちはだかるキャバリア。そこかしこから響き渡る砲声と爆音。
 災禍の浜辺にあって、ロク・ザイオンの表情にはいささかの恐怖もない。
 彼女は背後を振り返り、南西部から迫る黒き蝗じみた軍勢の群れを遠くに認めた。
 グロンダール公国、機甲師団。ケンドリックス共和国を簒奪せんとする軍勢。
 このプラント施設の騒ぎを格好の得物として、漁夫の利を得に来た形だ。
 それがただの侵略行為であるならば、まだしも流れる血は少なかっただろう。
 しかしロクは知っている。あれらの目的が、ただの殺戮だけであることを。
「――ジャック」
 ロクは相棒に呼びかけた。あの、黒き軍勢に挑まんとする鋼の豹を。
「……外は任せた。まるごと全部、この地を救おう」
『――了解。中はそちらに任せる』
 通信越し、砂嵐めいたノイズまじりの相棒の声がもう一つ付け加えた。
『――こちらには頼りになるハッカーも居てくれる。問題はない』
 その言葉に、ロクはぴくりと耳を跳ねさせた。
「ヴィクティムが、いるのか」
 なら、心配はいらない。ロクは彼の実力をよく知っている。
 このクロムキャバリアは、あのランナーにとってのまさしく「狩場」だろう。
「わかった。おーば」
『オーヴァ』
 かくして通信は終わり、ロクは生身で戦場へと飛び込んだ。
 たとえ戦場が離れたとしても、レグルスの二柱がやることは変わらない。
 星は空を見上げればどこでも見えるもの。つまりは、そういうことなのだ。

 地雷原を一瞬たりとも足を止めずに駆け抜けるのは、常識的に言えば自殺行為だ。
 かといって足を止めたならば、たちまち降り注ぐ砲火がそのものを灼く。
 こんな状況では、見て聞いて反応するようでは後手に回るばかり。
 頼れるのは第六感――あるいは、野生の勘だ。戦場も狩場も根本は変わらない。
 死の牙をかいくぐり、角を避け、触れてはならぬ場所を躱して敵の喉笛を裂く。
 サイズ差はまるで鼠と狼……いや、もっとあるかもしれない。
 だがそのサイズ差こそが、小さくか弱き者にとっての活路となる。
「懐に、入ったぞ。――おれを撃てるなら、撃ってみろ」
 ロクは目の前にそびえるキャバリア……その乗り手を、ぎらりと睨んだ。
 モニター越しに凝視を受けたパイロットは、おそらく縮み上がったことだろう。
 超接近距離を高速移動する1/4サイズの獲物を、大口径の弾丸で狙い撃つ。
 そんな芸当は、一流のパイロットですら至難の業と言えよう。
 いわんや、狂気に侵されたパイロットでは、動きに対応することが出来ない!
『クソっ、このやろう……うおおッ!?』
 そのとき、キャバリアが踏みしめた地面が炭化して崩れ落ちた。
 ロクのユーベルコードが地を侵していたことに、敵は気付けたかどうか。
 どちらにせよ、強烈な衝撃がパイロットの意識を刈り取ってしまった。
 ……ロクの追い撃ちを受けたキャバリアの振動である。機体は黒煙をあげ停止。
「……ここにはまだ、救える人間がいるんだ」
 ロクはコクピットハッチをこじ開けて中の無事を確認すると、走った。
 あくまで悪いのはマシンだ。彼らはオブリビオンの被害者でしかない。
 鎧を割ればどちらも同じ鼠ならば、あえて殺す理由などないのだ。
「……あっちも、はしゃいでるな」
 通信機から響くのは、相棒とハッカーが巻き起こす破壊のシンフォニー。
 ロクは困ったように笑いながら、戦場を駆け抜けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ギムレウス』

POW   :    砲撃モード
自身の【背部大型キャノン砲】を【砲撃モード】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
SPD   :    メタルファング
自身の身体部位ひとつを【機械で出来たワニ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    接近阻害地雷敷設
自身からレベルm半径内の無機物を【対キャバリア地雷】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●クーデター軍仮設作戦本部
「も、申し上げます!」
『どうした』
 レイオンは、慌てた様子でやってきた部下を冷たい目で見下ろした。
「て、敵戦力は予想以上のもの……第一防衛線が突破され、依然進行中の模様!」
『チッ。所詮一山いくらの量産型では埒が明かないか』
 役に立たない部下がどれだけ死のうが、今の彼は意に介さない。
『ギムレウス部隊を前に出せ。なんとしてでも、奴らを第二防衛線で食い止めろ』
「し、しかし! ギムレウスでは万一防衛線を突破された場合、白兵戦では……!」
『知ったことか。自爆してでも止めろ』
「……!」
 部下もまたオブリビオンマシンの悪性に囚われているとは言え、
 上官の酷薄な物言いには、目を見開かざるを得なかった。
『貴様も出撃しろ。奴らを通すな!』
「りょ、了解しました……!」
 レイオンはもはや部下を一瞥すらせず、プラントを見上げた。
『こんなものがあるから争いが続く。なぜ奴らはそれを理解しない……?
 ……だが、いいだろう。死にに来るならば、誰であろうと蹴散らすまでだ』
 急げ、猟兵よ。捨て身で迫るキャバリア部隊を突破し、プラント施設を目指せ。
 オブリビオンマシンがもたらす滅びのときは、刻一刻と迫りつつある!

●プレイング受付期間
 2020/10/05 08:30前後まで。
黒川・闇慈
「砲兵……いえ、砲撃機を前線に押し出さざるをえないあたり、相手方も追い詰められていますねえ。クックック」

【行動】
wizで対抗です。
ギムレウスの地雷に対処せねばなりませんか。
高速詠唱の技能を用いてUCを使用し、超アストラル体に変身します。
地雷が重量感知式かセンサー感知式かは存じませんが……物理法則を外れたアストラル体を捉えられるでしょうかねえ?
もっとも、任意で起爆されてもアストラル体にダメージを与えるのは難しいでしょうが。
全力魔法、範囲攻撃の技能を用いてアストラルレーザーで攻撃です。砲身を狙えば戦闘力を効果的に奪えるでしょう。

「砲兵とは後ろに控えているものですよ……クックック」

【アドリブ歓迎】



●火砲V.S魔砲
 普通に考えれば、砲撃戦に特化したキャバリアを前線に出すのは愚の骨頂である。
 戦術的に見て正しい選択ではない。黒川・闇慈は、目を細めてくすりと笑った。
「砲兵……いえ、砲撃機を前線に押し出さざるを得ないあたり、相手方も追い詰められていますねえ。クックック」
 ここが敵の防衛線の要。猟兵たちは敵を着実に追い詰めつつある。
 だからこそ気を抜いてはならない――闇慈は沈着冷静に判断し、防御陣を張った。
 するとその瞬間降り注ぐ、大量の砲火! 魔力障壁が軋みを上げるほどの弾幕!
「そして追い詰められた獣は、捨て身になるもの。油断できませんねえ」
 砲兵を前に出す……たしかにそれは戦術的に考えれば、愚かにもほどがある。
 しかしそもそも、敵軍は尋常の戦術・戦略で測りきれる相手ではないのだ。
 オブリビオンマシンの狂気に染まった、死すらも恐れぬ狂戦士なのだから!

 闇慈は殲炎禍剣(ホーリーグレイル)の攻撃を警戒し、飛行高度を大きく下げた。
 これは正しい判断だ。空中に上がれば上がるほど対空砲の危険度が増す。
 さりとて地上は、無数の地雷が埋没した地雷原である。はたしてどうする!?
「我が身を星幽(アストラル)の彼方へ解き放たん。秘された神秘を今ここに――」
 闇慈は静かに呪文を唱える。するとその姿が、うっすらと幽霊めいて薄らいだ。
 ユーベルコード"アストラル・ハイ"によって、自らをアストラル体に変えたのだ。
 いまの闇慈は物理世界にありながらして、同時に星幽界にも存在している。
 ユーベルコードで生み出されたものであれ、埋没地雷は物理存在しか感知不能。
 すなわち、超アストラル体となった闇慈ならば難なく地雷原が突破出来るのだ!
『敵影接近! 生身の分際で一体どうやって地雷原をごまかしている……!?』
『そんなことはどうでもいい、迎撃しろ! 地雷ごと吹きとばせ!』
 ギムレウス隊は対地攻撃モードに入り、無数のミサイルやカノン砲を撃ち出す。
 KA-BOOOM……地雷に誘爆・引火して派手な花火が花咲く。しかし!
『む、無傷……だとぉ!?』
「残念でしたねぇ。あなたがたが魔術型のキャバリアならば話は別でしたが」
 爆炎の中から無傷で現れた闇慈は、アストラル界から魔力エネルギーを抽出。
 それをレーザーめいた光条に収束させ、お返しとばかりにギムレウス隊を攻撃!
 曲線を描いた光芒はキャバリア本体ではなく砲身を赤熱させ、誘爆を起こした!
『こ、こちらB小隊! 戦闘続行不可能……う、うわああああっ!』
「砲兵とは後ろに控えているものですよ……クックック」
 無力化されたキャバリアからほうぼうの体で這い出した兵士たちは、
 悠々と頭上を飛翔していく闇慈の、幽霊めいた半透明の姿を見送った。
 超絶の砲兵は遠近の戦闘をすら同時にこなす。それが、猟兵という存在なのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

銀山・昭平
こりゃまたずんぐりとしたからくりだべ。
こうなりゃおらのからくりと戦わせたくなっちまうべな。

◆戦闘
【銀山流絡繰地神人形術】で召喚したからくりジャイアントを相手と戦わせてやるべ。
白兵戦に持ち込めればたとえメタルファングで回復されても、ゴリ押しの力押しで行くべ。人が乗ってるなら鎧扱いになって【鎧砕き】って効くか試してみるのも良いかもだべな。

トラップの敷設もやるようだが、その対処こそおらも得意なところ、【破壊工作】と【地形破壊】でトラップ毎ぶっとばして突き進むべ。
捨て身で止めようとするならおらも捨て身の覚悟で突破してやるだけだべな。



●からくり仕掛けの力持ち
『B小隊がやられたぞ! 陣形を再構成、猟兵どもをなんとしても通すなぁ!!』
 敵は一次攻撃で開けられた風穴を塞ぐかのように素早く陣形を整える。
 そして地雷原と防衛に適した地形、なによりも凶悪な弾幕で猟兵を阻むのだ。
「ありゃあまたずんぐりとしたからくりだべ、鉄砲もおっかねえべさ!」
 銀山・昭平はゴーグルのズーム機能でギムレウスのフォルムを認め、嘆息した。
 砲撃戦に特化した重装甲のシルエットは、それゆえに無骨な機能美がある。
「こうなりゃおらのからくりと戦わせたくなっちまうべ……ようし!」
 すると昭平は突然回収したキャバリアのパーツを広げ、レンチを手にした。
 一体何を始めようというのか……などと言っている間に完成した、あの巨体は!
『なんだ、あれは? キャバリア……いや、それにしては小さすぎる』
 満足げにオイル汚れを拭う昭平の背後で立ち上がった、2m強の巨体。
 キャバリアに比すればそれでもなお矮躯だが、イカツいフォルムは力強い。
「銀山流絡繰地神人形術、ここに完成だべ! さーあ、力比べと行くべさ!」
 昭平はそう言うとレンチを懐にしまい、軽やかに絡繰の肩に飛び乗った。
 ゴオウウン――! と絡繰地神は鋼の雄叫びをあげ、地雷原の中を駆け出す!
『あいつ、真正面から近づいてくるぞ! 自殺志願者か何かか?』
『なら望み通りにしてやるだけだ。火砲を集中させろ!』
「そうはいかないべ!」
 昭平が使っていたシールドを投げ渡すと、絡繰地神はそれを前面に展開。
 降り注ぐ砲弾を弾きながら、のっしのっしと地雷原の中を駆け抜ける。
 DOOM! KA-BOOOM!! 次々に爆発する地雷、だが絡繰地神には傷一つない!
『地雷の位置を察知して処理しながら進んでいるのか? なんてやつだ!』
『敵に感心してる場合か! 撃て、撃てーッ!』
 BRATATATA、BRATATATATATA……!
 弾幕はさらに苛烈さを極める。いかな分厚いシールドでも限界はあった。
「まだまだ、おらのからくりはこんなもんじゃねえべーっ!!」
 すると昭平はシールドを投げ捨て、絡繰地神そのものを盾に捨て身の特攻!
 その執念と覚悟には、狂気に染まった兵士たちですら舌を巻いた!
「おめぇらが捨て身で来るなら、おらも捨て身の覚悟で突破してやるだけだべさ!」
『こ、こいつ……! くそっ、メタルファングを起動する!』
 懐に入り込まれたギムレウス隊は、近接兵装メタルファングで迎撃を試みた。
 しかし鋼鉄のワニと化したマニピュレータが噛み付くより、絡繰地神の方が疾い!
「うおおおおっ、チェストだべーっ!!」
 KRAAAAASH!! キャバリアのジェネレータ部分をむしりとる絡繰地神!
 いわば爆発寸前の爆弾と呼ぶべきそれを地面に叩きつけ、他の機体を牽制する!
『『『ううっ!?』』』
「その危なっかしい砲塔も頂いてくべ!」
 メキメキメキ……! 絡繰地神の馬鹿力がギムレウス隊の砲身を圧潰!
 無力化されたギムレウスから兵士たちが脱出し、避難する!
「さあ、この調子で行くべさ! おらのからくりの力、見せてやるべ!」
 たとえ身の丈が小さくとも、鋼の体に詰まった力は無限大なのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

矢来・夕立
第二防衛線ですね。
『朽縄』で一匹、雁字搦めに捕まえる。
機体の上に乗って目立ってあげます。
人質さん?通信回線を開けます?だめなら頑張って大声を出します。

撃ちたきゃ撃てばいいんじゃないですかー。
あなた方が同僚さんを安全な鎧から叩き出してー。
それをオレが殺しますけどー。

部隊としての練度が高ければ高いほど、互いを知っています。
名前。好物。家族。生きていた証拠のすべて。
目の前でそいつが死にそうなら、
「まだ助けられる」なら、僅かでも迷う。

【紙技・冬幸守】。
キャバリアの駆動部や砲弾を詰まらせて動きを阻害。可能なら破壊して無力化。
ずっと見ていましたよ。
そんなの迷う猶予はないってご存知でしょう。…バカですね。


狭筵・桜人
前線に出て退かないってことは、まあ、そういうことですよねえ。

エレクトロレギオンを召喚。無機物ですね。
敵機による“地雷への変換”を許可します。
ただし操作権は譲らない……つもりですけど、違う機体出してくるとか解析損じゃないですかもう!
リアルタイムで解析、【情報収集】、【ハッキング】。

敵機体の装甲の隙間、足関節部分か
砲口に地雷化したレギオンを突っ込ませて自爆させます。
対キャバリアの威力がデカすぎる可能性もありますから
牽制距離で試してから目測で加減して調整しますよ。

自爆機能があれば先に機能停止したいところですが
躊躇っている内にコクピットごと引っこ抜いた方が早いですかねえ。
ゴリラのやり方がうつったかな。



●命の価値
「違う機体出してくるとか解析損じゃないですか、もう……!」
 狭筵・桜人は慣れないキャバリアを操作しながら、必死で解析を続けていた。
 この程度のこと、あの"端役"ならば軽くやってのけるのだろう。だが自分は違う。
 所詮はどこまで行っても学生で、一般人気分が抜けきらないナメた小僧だ。
 嘲られることもある。プロフェッショナルを気取るつもりもない――しかしだ。
「自爆特攻とか仕掛けてくるんでしょう、どうせ! 困るんですよそういうの!!」
 桜人は苛立ちながら叫んだ。その叫びが誰かに届くことなんてない。
 届かせるつもりもない。相手に泣き落としや説得なんて通用すまい。
 するつもりもない――だからこれは、どこまでいってもただの八つ当たりだ。
「困るんですよそういうの、本当に……!!」
 殺させはしない。
 死なせはしない。
 義憤? 正義感? まさか。そんな御大層なもの、自分にあるわけがない。
「私はねえ、自殺とか自爆とかそういうのが厭なんですよ……!!」
 だからこれは、どこまでいってもただの自己満足でしかない。
「レギオン! 突撃して駆動系でも砲口でもいいから破壊――は?」
 展開した機甲兵器部隊に指示を出そうとした時、桜人は目を丸くした。
 ギムレウス――敵キャバリアが一樹、ワイヤーか何かで雁字搦めになっている。
 そして。
『撃ちたきゃ撃てばいいんじゃないですかー。
 あなた方が同僚さんを安全な鎧から叩き出してー。
 それをオレが殺しますけどー』
 この状況で絶対に聞きたくないワードを、聞きたくない奴が吐いていた。

 時間はやや遡る。
「ぐ……ッ!?」
 ギムレウスE小隊に所属する所属するエリオット・バーンズ二等兵は、
 突然自分のキャバリアが動かなくなったことに気付き、コクピットで目を剥いた。
 駆動系にエラーはない。何かが機体に絡みついている? いつの間に。
 敵が近づいたなら感知できる――システムをハッキングされたならそれもわかる。
 組み付かれたりしたのならなおさらだ。一体、いつ? そして、誰が?
『すみません。ちょっといいですか』
「な……」
 モニター上に逆さに現れたのは、眼鏡をかけた黒髪の少年だった。
『人質さん、通信回線を開いてもらえますか』
「ひ、人質だと!? 誰がだ! 俺は――」
『コクピット破壊するのは手間なので、降参してもらえませんかね』
「……!」
 エリオット二等兵は、気付いた。こいつが機体を動けなくさせたのだと。
 サブカメラが機体状況を知らせる。全身に絡みついた奇妙な縄状物体。
 そして機体上に立ち、上からカメラを覗き込む少年の存在を。
『あなたがダメなら他の機体を奪います。面倒なんで三秒以内に答えてください』
 エリオット二等兵に、選択肢はなかった。

「……あー。これで通るんですかね。まあ音声だけで十分でしょう」
 接触回線を横取りした矢来・夕立は、喉の調子を整えながら言った。
「反乱軍の皆さん、いま……あなたなんて言いましたっけ? えーと、はい。
 エリオット二等兵さんを人質に取らせてもらいました。抵抗するなら殺します」
 突然響き渡った大音声に、敵はあっけに取られて視線を集中させた。
 そして理解する。敵は、友軍機を拘束して生身の分際で人質を取ったのだと!
「おっと。まあ、そう来ますよね」
 無数の砲口を向けられても、夕立はいつもの鉄面皮を崩すことはない。
 代わりに彼はこう言うのだ、これみよがしに。
「撃ちたきゃ撃てばいいんじゃないですかー。
 あなた方が同僚さんを安全な鎧から叩き出してー。
 それをオレが殺しますけどー」
 敵がギムレウスごと自分を撃とうとするなら、それはそれで好都合。
 このギムレウス自体がいい弾除けになるし、爆炎は隠れ潜むのに最適だ。
 それに――奴らは撃てない、夕立はそう確信していた。
 名前。
 好物。
 家族。
 生きていた証拠のすべて――同じ釜の飯を食った兵士ならば、必ず知っている。
 そんな人間が、"仲間"が目の前で死にそうならば。
 まだ助けられるならば、わずかでも迷う。ヒトはそういうもなのだと。

 はたして友軍機の砲口は次々と爆発し、もはや射殺も叶わなくなった。
 それは夕立が仕込んだ式紙によるもの"でも"あり、彼の狙い通りではあった。
 ただし。夕立にとってひとつだけ、予期せぬイレギュラーがひとつだけ混ざっていた。
「オレが本気で殺すつもりだとでも思いましたか? 狭筵さん」
『思いませんよ』
 キャバリアから聞こえてきた声は、とてつもなく不機嫌そうだった。
『ただね、自爆とかされたらどうするんですか。機能がなかったからいいものの』
「それなら当然無力化します」
『他の連中の話をしているんですよ! あなたそもそも――』
「あんな卑怯な手を使うな、とでも?」
『…………』
 やや長い沈黙があった。
『……別に、そうは言いませんよ。私が言えた義理でもありませんからね』
「そうですね」
 エレクトロレギオンによる誘爆。それが夕立を狙っている敵機を爆破した。
 武装を無力化された兵士は、じきに正気づくことだろう。
『最悪コクピットごと引っこ抜くつもりでしたけどね』
「荒っぽい手段を使うんですね。誰に影響されましたか」
『わかってて言ってるんでしょう、あなた』
 桜人は嘆息した。夕立に文句を言える立場でないことは、自分が一番知っている。
 知ったようなことを言うつもりもない。ただ。
『……こういうのやめませんか。効果的でも気分悪いですよ』
「……バカですね」
 夕立の声は桜人に向けられたようでもあり、
 躊躇した兵士たちに向けられたようでもあり。
 なにより――こんな手しか取れない己に向けられたようでもあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミスト・ペルメオス
【SPD】

まずは突破…、…次だッ!

引き続き愛機たる機械鎧を駆って参戦。
デバイス等を介して念動力を活用、機体のフルコントロールも継続。
殲禍炎剣の介入を防ぐべく、機体の高度・速度に制限をかけつつも可能な限りの機動力を発揮。
スラスターを駆使して疾走・滑走しつつ(時には跳躍もして)、砲戦型機体と思わしき敵部隊との戦闘に突入。

小刻みなフェイントを混ぜての回避機動で砲撃を凌ぎ、機を見てドレッドノート・デバイス展開。
ある程度出力を絞っての【クイックショット・ホークアイ】。敢えての遠距離狙撃でカウンター。
コックピットへの直撃は避け、敵機の下半身や主砲を損壊させることでの撃破を狙う!

※他の方との共闘等、歓迎です



●砲火の中を舞え
 BRATATATATA……KBAM!! KBAM!!
 空を覆わんばかりの対空砲火が爆炎を起こし、戦場に黒ずんだ雲を生み出す。
 雨の代わりに降り注ぐのは弾丸の破片と硝煙。荒野に満ちるのは鋼と地雷の山。
 まさしく死の大地。もはやこの地に、恵みの緑が実ることはあるまい。
 ――だがその不可能を可能にする力が存在する。それが、プラントだ。
『人々の希望の種を、破壊させるわけにはいかない……ッ!!』
 ミスト・ペルメオスは決意を新たにし、破滅的な弾幕の中へと飛び込む。
 気持ちは逸る。実際のところ、その気になればもっとスピードは出せるのだ。
 だが全速力で飛翔すれば、空の暴君――殲禍炎剣が、その存在を許さない。
 降り注ぐレーザーナイフめいた炎は、戦場を蹂躙し焼き尽くすだろう。
 ……そうなれば己はおろか、キャバリアもその搭乗者も否応なく巻き込まれる。
 身の危険は恐ろしい。だがそれ以上に恐ろしいのは、予期せぬ死者が出ること。
 ミストにとって、護るべき人々とは共和国の無辜の民に限った話ではない。
 オブリビオンマシンの狂気に囚われたパイロットたちもまた、救う対象なのだ。

 高度・速度に制限をかけられた状況でありながら、ミストはよく戦った。
 機械鎧の持ち得る機動力を遺憾なく発揮し、一撃受ければ即死の砲火を避ける。
 敵も練達のパイロットだ、徐々にその高機動に対応しつつはあった。
 だが、一手遅い。紙一重のような差だが、そこに間隙がある!
『くそっ、一騎だぞ! ただの一騎の敵が、なぜ仕留められない!?』
 敵パイロットは毒づいた。照準の中をすさまじく飛び回る忌まわしいハエを。
 一発当てればいいのだ。当てさえすれば。このギムレウスならば!!

『――当たるものか』
 ミストは決然たる面持ちで呟いた。
『当てるのは、私だ――そこッ!!』
 ドウッ! とすれすれを狙った砲弾を回避し、ミストはスナイプでカウンター!
 ギムレウス部隊をワンホールショットめいて、次々に狙撃し貫いていく!
 無論狙いはコクピットではなく、敵主砲あるいは脚部であった。
 駆動上の致命的部位を撃たれたギムレウスは沈黙、パイロットはベイルアウト。
 遅れて機体が爆発し、死の荒野に新たな炎の華を咲かせる。
『誰も死なせない。殺させもしない。誰一人とて……!』
 そしてミストは飛翔する。己の為すべきを為すために。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レン・ランフォード
第一層突破!次は砲撃機ですが…
たいほうなのに前にでてる…
トチ狂った司令がトチ狂った指令でも出したんだろ。それよりまずは
ええ、道を付けましょう

情報では防御陣形の前に地雷原が
なのでまず地雷の撤去です
実体化を雪月花から実現符に移行
二人にガードをお願いしてキャバリアから降ります
光線式斬撃兵装・童子切起動、リミッター解除!
敵の足とそこまでの地面を抉るようになぎ払います!

再び機体に搭乗
足を崩しても砲は生きているので弾幕を避けあるいは防御・切り払いながら接近
武器を切断・部位破壊し無力化しましょう
攻撃は第六感も合わせて見切り回避しますが
自爆を感づいたらコックピットを抜き出して救助活動を



●ロード・トゥ・ロード
「たいほうなのに、前にでてる……」
 次々と前線に繰り出すギムレウス部隊を見た"れん"は、呆然と呟いた。
 対して錬は舌打ち混じりに、苛立ちに満ちた言葉を吐き捨てる。
「トチ狂った司令が、トチ狂った指令でも出したんだろ。だがそれより、まずは」
「……ええ。地雷を撤去し、友軍が突撃するためのラインを開きましょう」
 レン・ランフォードはその言葉に頷くと、突如……キャバリアから降りた!?
「ふたりとも、ガードをお願い! 地雷原は私が対処します!」
「りょうかい!」
「今回は殿になってやるよ、しくじるんじゃねえぞ!」
 BRATATATATA……降り注ぐ砲火は圧を増し、空が砲火の黒で染め上げられる。
『見えているか? キャバリアから小娘が降りてきたぞ。何をするつもりだ?』
『おおかた生身なら地雷原を誘発しないと思ったんだろ。バカめ!』
 敵パイロットたちは、レンの不可解な行動をあざ笑う。
 仮に地雷をかいくぐれたとしても、ギムレウスの真価は砲撃にこそある。
 キャバリアの守りを失った生身の人間ひとり、消し飛ばすのは赤子の手をひねるよりもたやすい!
「ぜったいに、通さない……!」
「させるかってんだよぉ!!」
 そこでインタラプトをかけるのが、ふたりである。
 レンめがけて降り注ぐ砲火をカットし、切り払い、あるいは機体で防ぐ。
 弾着した破片が舞い飛び荒野を染める。レンは息を整え符を構えた。
「来たれ童子切! リミッター解除(カット)――道を、切り開くッ!!」
 おお、見よ。光線式斬撃兵装・童子切の輝きがくろぐろとした空を割る!
 大上段に掲げられた光の刃は、雲耀の太刀めいて降り注ぎ、そして地を薙いだ!
『こんな距離が届くわけ、が……ッ!?』
 常識的に考えれば、ありえない。だがユーベルコードは奇跡を起こす力だ。
 刃渡り六キロ。視認しているのであれば、童子切はその間隙を縫ってみせる。
 ギムレウス部隊は足をぶった斬られて爆砕し、一瞬にして機能停止した。
 そして――KRA-TOOOOOOM!! 薙ぎ払われた地面が、地雷が火花をあげる!
「はっはぁ! 派手でいいねぇ、悪くねえ花火だ!」
「地面、でこぼこになっちゃうけど……しかたない、ね」
「ええ、この間に進みましょう。このまま突撃ラインを構築します!」
 レンはひらりとキャバリアに飛び乗り、再び三位一体となって戦場を駆ける。
 すべては狂気を止めるため。必要なき戦火を、ここで食い止めるために!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミレア・ソリティス
作戦、第二段階へ移行
敵の短期間での無力化が必要と判断、私自身も隠密3型兵装に換装し、引き続きオプションγで転送した隠密機と連携、こちらは囮を務めます

隠密機接近前にこちらからジャミングミサイルを発射、内蔵粒子散布による《ジャミング》を仕掛け、その隙に接近した隠密機が近接戦、私が遠距離狙撃で《スナイパー・部位破壊・マヒ攻撃》による無力化を行います。

幸い、先程のハッキングで内部構造等のデータを得ていますから、
コア部位と上下フレームとの連動阻害や機体関節部を狙います

敵UCに対しては発動の暇を与えない、あるいは使用機体を優先して無力化して不発化し、脱出者への不要な被害を防ぎます

※アドリブ連携他歓迎です。



●静かなる闘争
『第二防衛ライン、損壊率40%を突破! これ以上は……!』
『知ったことか! 司令官はなんとしてでも止めろとおっしゃった。それが全てだ!』
『適者生存の法則は我々にも適用される。死ぬならばここで死ね!』
 オブリビオンマシンの狂気が敵パイロットから撤退という選択肢を奪う。
 通常、大規模な軍隊の戦闘は戦力が三割削れればそれで「全滅」とみなされる。
 三割も兵力を失った軍隊では、大規模な作戦行動が取れないのだ。
 しかし。敵はその矛盾を狂気と闘争本能で補填し、なおも立ちはだかる!
「……敵の短期間での無力化が必要と判断。隠密3型兵装への換装を行います」
 ミレア・ソリティス本体は囮として前に出ながらも、兵装を隠密3型へと換装。
 兵装転移完了と同時にMP-01ジャミングミサイルを射出、内蔵粒子を散布した!
『センサーが効かない!? くそっ、ジャミングか!』
『今撃ち落としたミサイルがそうだったのか? 撃墜まで予期しての攻撃とは……!』
 パイロットたちは、敵――つまりミレアの取った判断に舌を巻いた。
 大軍を相手にしての的確な妨害行動。並の特殊部隊では不可能な芸当だ。
 ミレアはそれを個にして群というユーベルコードの力で可能にしてしまう。
 完全同一個体の同期による、ゼロタイム完全連携……すなわち、一心同体の動き!
「近接戦闘に移行します」
『!! 敵!? いつのまに……うわああああっ!!』
 敵パイロットはジャミングに乗じて接近した隠密機により、兵装を無力化された。
 駆動系をSS-03"ペインレス・セイバー"によって即時破壊する手並み、見事なものだ。
『有視界戦闘に切り替えろ! センサー類は頼るな!』
『兵学校時代を思い出すなあ、訓練でやらされたもんだ……!』
 敵はコクピットのハッチを開け、肉眼による有視界白兵戦に打って出た。
 極めて危険だが、センサーが無力化された状況においては他に手がない。
 狂気に浸されたとは言え、相手も名うてのパイロットではあるということか。

 だが、その悪あがきを許さないためにミレア本体が潜んでいるのだ。
「AB-01S、ロングレンジブラスターライフル展開。遠距離狙撃モードを起動」
 ガコン――と長大な砲身が変形し、スリットから蒸気熱を噴き出す。
 射撃用アンカーを打ち込み、ミレアは耐衝撃姿勢を取った。スコープと網膜が同期。
 敵は隠密機にかかりきりだ。――よく見える。狙うのは、たやすい。
「対キャバリア用スタン弾頭、セット。狙撃、開始」
 ZAAAAP!!
『うっ!?』
『こ、れは……この距離での狙撃、だとぉ!?』
 驚愕する間もなく、フレーム連結部分を破壊されたギムレウスは沈黙!
 巨大砲塔および地雷射出部分を隠密機がナノマシンで破壊する二段構えの攻撃。
 一体の反撃を許さぬ静かなる闘争。これこそが、隠密機の真価なのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ケンタッキー・マクドナルド
ケッ、新手の連中か。
数が多いがチンタラしてる暇ァなさそうだなクソったれ。
あくまで目当てはこの奥にいる奴だからなァ。

――つゥ訳で一々ご丁寧に丸々相手なンざしてやるかよ。
切り抜けさせて貰うぜ。

選手交代だ、ガリバー格納――来い『刑天』!!

防御モードに移行、回避力とパリィに全力注ぎつつそのまま突き進む。刑天の戦舞って奴を披露してやらァ!!
コッチに来る弾は舞踊機動で回避 仮に命中しそうな弾がありゃァ斧でそのままブチかましてくれた奴に叩き返してやる。

テメェら頭でっかちの軍の犬どもにゃァこの舞踊――『カンブ』は見切れやしねェだろ。
(アート×操縦×決闘)

押し通るぜ テメェらの先に用があるんだよこちとらよォ。



●ダンス・ウィズ・ア・バレット
『これ以上猟兵を通すな! なんとしてでも食い止めろ!!』
 砲撃機を前に出すという愚策を犯しながら、敵は前線を強引に進める。
 これまでキャバリアの自爆という最悪のシナリオは食い止められているものの、
 もはやギムレウスそのものを爆弾として特攻しかねないほどの追い詰められぶり。
 ケンタッキー・マクドナルドはその気迫と、なにより狂気に舌打ちした。
「ケッ、頭ァおかしくなっちまった連中が無駄な気迫見せやがってよォ。
 そンな捨て鉢な戦い方で、この俺を! 俺たちを止められると思うなよッ!!」
 ケンタッキーはガリバーのコクピットから飛び出すと、手をかざし叫んだ。
「来い、『刑天』!! てめぇの舞踏を見せるときだぜェ!!」
 異空間に収納されたガリバーの代わりに出現したのは、首なしの機動人形。
 中国に伝わる怪物の姿を模した『刑天』が、新たにケンタッキーを迎え入れる。
 飛来する弾丸を盾で弾き、刑天は原始的舞踊を思わせるステップで地を蹴った!
『なんだあの妙な機体は? 首なしのキャバリアだと……?』
「キャバリアじゃねェ! コイツは! 俺様の!! 人形だァッ!!」
 BRATATATATATA! ケンタッキーはドッジ&パリィを意識して弾幕を突き進む!
 弾丸を回避した勢いを殺さず盾を振るうさまは、なるほど舞いそのものである。
 そして勢いに乗ってぐるぐると回転し――アクス型の近接兵器を叩きつけた!
『な、なにぃ!?』
「おねんねしてろォ!」
 砲台を破壊したケンタッキーは無力化されたギムレウスを蹴飛ばし、宙へ。
 BRATATATATA……砲口がつられて上向き対空砲がケンタッキーと刑天を襲う。
 刑天は空中で鞠めいて身を丸めると、バネの要領で斧を振るい弾丸を反射した!
『な――!?』
 射角そのままで打ち返された弾丸が砲口にシュートされ、爆発!
 これこそ"カンブ"。回避とパリイングという防御に特化した舞踊なのだ。
 破壊されたギムレウスの上に着地した刑天は、アクスを構え周囲を威圧した。
 敵はその武勇と戦いぶりに気圧される。狂気に侵された軍人たちが、だ。
「このまま押し通るぜ。こちとら、テメェらの先に用があンでなァ!!」
 だんっ、と機体を足蹴に跳躍し、刑天のアクスがギムレウスに振り下ろされる。
 なんとも獰猛で前のめりな戦い。だが、敵とこちらにはひとつ違いがあった。
 ケンタッキーは、命まで捨てるつもりなどさらさらないということだ!
「どけどけどけェ!! 死にたくねェならさっさと退きなァ!!」
 砲を破壊し、首を刎ね、足を砕き、肩を叩き斬りながら、刑天は舞う。
 誰一人殺すことなく、誰一人殺させることなく、神の如き舞を戦場に咲かせる!

大成功 🔵​🔵​🔵​

玉ノ井・狐狛
敵さんの本丸も近づいてきた
つまり相手にとっちゃ後がない
となりゃァ、ろくでもない手を使ってくるかもな
追い詰められた軍隊、ましてやオブリビオンに誑かされてる連中なんて、おっかないったらないぜ

つーワケで、距離を維持したまま――正確にゃ身動きをとらせないようにやるか

地面を隆起・陥没させて、防塁をつくる、あるいは体勢を崩して砲撃をずらす
当然、移動も自由にさせちゃやらねぇ

攻めとしちゃァちょいと悠長だけどよ
アタシぁ兵隊じゃないからな、拙速を尊ぶ道理もない

あんまり身軽な機体じゃなさそうだし、転ばせときゃ静かになりそうだが、悪あがきが止まらないようなら埋めておく
発信機とかあるだろうし、事が終わりゃ回収されるだろ



●追い詰められた獣の狩り方
「……おっかねェなぁ」
 加熱する戦線をやや後方から見守りながら、玉ノ井・狐狛は呟いた。
 猟兵たちの侵攻はうまくいっている。それ自体は喜ばしいことだ。
 敵は追い詰められている、それも悪くないことだ――だが、同時に危険だ。
 追い詰められた獣が捨て鉢な行動に出るように、人間だってろくなことをしない。
 しかもここは敵の本丸の目前。防衛陣地的には、隙がない「はず」なのだ。
 それをこうも鎧終一触されているとなれば、なおさら相手は切羽詰まるだろう。
「鍛え上げられた軍隊、しかもオブリビオンに誑かされてるとなりゃア……ハァ」
 それこそ、自爆特攻に出てもおかしくない。狐狛は嘆息した。
 彼女は旅の博徒だ。一夜の宿を住処として、色んな国をぶらついてきた。
 ゆえに、わかる。狂気に冒された人間は、「なんだってやる」のだと。
「となりゃ、ここは"身動きを取らせねぇ"のが一番かねぇ……っと」
 風が一陣吹きつけ、砂塵が狐狛の姿をひととき覆い隠した。
 砂塵が吹き抜けたあとには、そこには誰もいなかった。

 ……戦場!
『こうなった以上、レイオン様の命令を遂行するしかあるまい……』
 追い詰められたギムレウス部隊は、ついに自爆特攻の決断を下した。
 いかにオブリビオンマシンの狂気に冒された軍人とて、命を喪う決断は重い。
 だがもはや進退窮まり待ったなし。急遽取り付けられた自爆スイッチに親指を――。
『ま、待ってください隊長! あれを!!』
『なんだ、あれは……!?』
 そのとき突如として、目の前の地面がボコボコと音を立てて「起き上がった」。
 さらにギムレウス部隊の足元は逆に陥没し、激しい凹凸を生み出したのだ!
『て、敵のなんらかの攻撃によるものと思われます!』
『そんなことはわかっている! 敵はどこだ!? 近くにいるはずだ!』
『エネルギー発信源を探知――あそこです!』
 モニター上に映し出されたのは、砲撃可能距離限界に立つひとりの女。
 金髪を粉っぽい風になびかせて、不敵に笑う博徒――すなわち、狐狛である。
『あんな距離から術式を使ったのか……!? ええい、吹き飛ばす!』
 DOOM……大距離用砲弾が放たれる。しかしさらなる隆起現象が狙いをそらした!
 滅茶苦茶な角度での無理矢理の砲撃は、かえって機体負荷を強めてしまう。
 砲身が焼け付いて爆発し、ギムレウス部隊は無力化された……!
「攻めとしちゃァちょいと悠長だけどよ。マ、しばらく転んでてくれや」
 見当違いの方向で炸裂した砲弾をみやりつつ、狐狛は呑気に言った。
 戦いの基本――それはいかに相手の土俵に上がらず、不利を押し付けるか。
 戦術の基本にしてもっとも重要なポイントを、狐狛は実践してみせたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

よーしファーストタッチダウン!
本命じゃなさそうだけれど……
成程さっきの砲撃をしてきた連中か!
懐に飛び込めば何とかなりそうだねぇ、
けれどもあの装甲を抜くには……この座標データ……そういう事か!
いつもよりは調子が良い理由が分かりやすくて助かったよ!

ギムレウスの砲撃陣地までは、
カブを『操縦』してそのまま『ダッシュ』で駆け抜ける。
そうして集団に肉薄できたなら、その時さ!
【心機一体】でキャバリア"Overd"を転移させ、
周囲を動揺させつつ『ジャミング』の念動波を
『範囲攻撃』のように撒き散らす。
手近な機体は電撃の『属性攻撃』で黙らせるよ!
次はどいつをスクラップにしようかねぇ!?



●セカンド・ブロウアウト
 数宮・多喜は訝しむ。相棒の出力はますます高まるばかりだ。
 このマシンはもともとじゃじゃ馬で多喜自身にすら理解し得ない部分がある。
 だとすればこの反応は、宇宙カブがなんらかの変化を起こしつつあるのか?
「座標データ受信? 一体――ああ、そういうことかい」
 ウィンドウに表示された座標データを見た瞬間、多喜は理解に到達した。
 いやに調子のいい相棒。送信元不明の敵キャバリアに関する詳細データ。
 そして「こいつを使え」と言わんばかりの、新たに組み上げられたプログラム。
「今回はわかりやすくて助かったよ、相棒。だったら望み通り駆け抜け――いや」
 多喜は正体不明のプログラムを起動し、にやりと笑った。
「ぶち抜いてやろうか、アタシとお前で! サイキックロード、接続ッ!!」
 多喜は弾幕に突っ込むのを厭わず、宇宙カブのハンドルをひねりフルスロットル!
 スピードがサイキックエナジーと相乗効果を起こし、一人と一機を光に包む!
『なんだ、あの発光現象は!?』
『わかりません! しかし、あの光の中から急激なエネルギー反応が……!』
 敵は驚愕に包まれた。そして本能的に、その光を恐れ砲撃を集中させた。
 サイキックロードの光はすべての弾丸を素粒子に分解し、そして収束する。
 やがて光の中から現れたのは……おお、見よ! 一体のキャバリア!!
「行くよ、オーヴァード!! 立ちふさがる敵はすべて、叩き潰すッ!!」
 バイクを思わせる流線的フォルムは、同時に重装甲としてその身を鎧う。
 陸上走行用のタイヤが接続された脚部からは、激しいエグゾースト!
 これこそ、多喜の相棒が見せた新たな可能性――すなわち、JD-Overed。
 常識を"超越"して多喜を新たな領域へと連れて行く、心機一体の姿なのだ!
『変形しただと!? そんなキャバリアは聞いたことがないぞ!』
「当然だろうねェ! アタシだって今さっき知ったばかりさ!」
 流れ込んできた敵パイロットの混乱を一笑に付し、多喜はブースターを起動。
 バイクを思わせる強烈な加速で間合いを詰め、同時にジャミング念動波を展開!
 ギムレウス部隊のセンサー系を狂わせ、電撃を込めたパンチを頭部に叩き込む!
『せ、戦闘不能、だと……ッ!?』
「おねんねしてな! 殺しゃあしないさッ!」
 バチバチと電撃の飛沫が散り、ギムレウスだったものが倒れ込んだ。
 パイロットが脱出するに任せ、オーヴァードは次の敵に狙いを定める。
「言っておくが相棒(コイツ)は疾いよ。捉えきれるかねぇ?」
 BRATATATATATA! 飛来する弾丸を、オーヴァードは意外な高機動で回避する。
 地面をローラー走行しながら接近し、電撃を鞭めいて放ち敵の武装を破壊!
『た、耐えられない! 脱出する!!』
「それが利口さ! さあ、次はどいつをスクラップにしてやろうかねぇ!?」
 まさしく鎧袖一触。敵の懐は、オーヴァードと多喜の独壇場だ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーザリア・シン
おお、デカい大砲を背負っておるな
ところで妾たちに遠隔攻撃はあるのか?
そなたさっきから随分と蛮族的機動であるが
『不要です』
無いのか
『不要なので』
そなた実は欠陥品であるとか
『アイ・ハブ・コントロール。敵ギムレウス部隊を破壊します』

サイキックウェイブを前面展開し防衛線を突撃突破
…敵機、自爆機能を感知。戦術データ更新。機動修正。
敵機の懐に入り、敵パイロットをサイキックウエイブで保護し、貫手で掴んで引きずり出します
私の性能ならできます
砲撃機への対処、敵搭乗者の保護、どちらもスマートに解決する方法ですね
『悪かった、悪かった。そなたは理想的なキャバリアだ。調子が出てきたか?』
肯定。次の目標に向かいます。



●凸凹だらけのツー・マン・セル
『くそっ、これ以上は敵を抑えきれん! このまま自爆特攻、を――!?』
 無謀な特攻に打って出ようとしたギムレウスに、超速接近する一陣の風。
 否、それは一騎のキャバリアだ。まるで、真紅の瞳というべき異形のフォルム。
 キャバリアはコクピットハッチに痛烈な貫手を決めた。だがパイロットは無事!
『!? !!? な、何が起きて……』
『敵パイロットを保護完了。機体を破壊します』
 キャバリアはパイロットをサイキックウェイブで包み込み、リリース。
 同時に搭乗者を失ったギムレウスを縦に両断し、別にキャバリアへ蹴りつけた。
 KA-BOOOM!! 爆発に巻き込まれたギムレウスは砲撃機能を無力化され沈黙!
「……ずいぶんと蛮族的攻撃をするではないか。そなた割と乱暴なのか?」
 コクピットに収まったユーザリア・シンは、呆れたような顔で言った。
「遠隔攻撃がないからといって、あんな乱雑さでは驚いて腰を抜かすであろうに」
『最優先されるべきは人命保護です。加えて、これは乱暴な手段ではありません。
 本機――私に可能なもっとも合理的かつスマートな手段を使った、人命救助です』
「あそこに残ったパイロット、ガチで震えておるが」
『救出に成功した喜びを全身で表現しているのでしょう』
「化け物がどうとか騒いでおるが」
『戦闘に伴うPTSDと推測されます。兵士にはつきものの症状です』
「……やっぱり遠隔攻撃とかでなんとか」
『不要です』
「ないのじゃろ?」
『不要なので』
「そなた実は欠陥品あいたぁ!!」
 ゴウッ!! 急加速により後頭部をおもいっきりシートに打ち付けるユーザリア。
 彼女はこの機体のパイロットではない、動力源のようなものだ。
 すべては機体に一任される。なるほど、なかなかじゃじゃ馬な乙女らしい。
『砲撃機への対処、敵搭乗者の保護、どちらもスマートに解決する私の機能です。
 これは他のキャバリアでは到底達成不可能な難題と言えます。つまり』
「悪かった、悪かった。そなたは理想的なキャバリアだ、調子が出てきたか?」
『――肯定(ポジティブ)。次の目標に向かいます』
「好きにやるがよい。そなたの祈りをもって、救うべき命を救うのだ」
 ユーザリアの声は、はしゃぎまわる幼子を見守る母のようでもあった。
 真紅の瞳が空を舞う。一縷たりとて、血を流させぬために。
 それはたしかに野蛮で危なっかしいが、優しい戦い方だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロク・ザイオン
おれは平気。そっちは?
よかった。
(通信機へ声を送りながら)

…あれは…

ううん、なんでもない。
砲撃ならいつも、もっと凄いの見てるからさ。
じゃ、がんばれ。
おーば。

(己の手管はもう共有されているのだろう
選ぶのは開けた場所での面制圧か)

(なんて、相棒が考えそうだ)

(広範囲爆撃だろうが弾幕が来ようがやることは変わらない
弾を躱し肉薄し鉄甲を砕いて乗り手を暴く
弾が掠り、肌を炙られても足は止めない
閃煌、雷華、ひとの造った二刀は鈍らない
だって躊躇う理由が何処にある!)

これが、おれだ。
これが森番の仕事だ。

(キミたちの呪いが、キミたちに死ねと命じるのなら)

笑えよ。
ーーただの人間が、キミたちをたすけにきたんだぜ。



●レグルス・アクション・ACT2:サイド-A
「……おれは平気。そっちは?」
 外縁部での対公国軍戦闘が激化していた、その頃。
 プラント施設に攻め込む戦場において、ロク・ザイオンは通信をしていた。
 その相手は誰であろう、対公国軍防衛戦に参戦した相棒・ジャックである。
「……そうか、よかった。こっちは――」
 ロクはなおも陣取るギムレウス部隊をみやり、やや沈黙した。
 そして頭を振り、相棒に対してこう伝える。
「ううん、なんでもない。砲撃ならいつも、もっとすごいの見てるからさ。
 ……うん、そっちもがんばれ。おれもがんばるよ。……おーば」
 通信を終えると同時に、ロクは獣じみたしなやかさで地を蹴った。
 直後、さきほどまで彼女の立っていた地形を砲撃が抉る。KRA-TOOOM!!
 こちらの手管は共有されているか。当然だ、相手は素人ではなく軍隊なのだ。
 そしてギムレウス部隊の武器は圧倒的砲撃能力、そして大地に埋没した無数の地雷。
 だからなんだ? そんなものは相棒の圧倒的火力に比べれば児戯にも等しい。
 きっとジャックならば、開けた場所での麺制圧を選ぶことだろう。
 だが、ロクにはその力はない。ならば人として、この二刀を振るうのみ。
 閃煌、雷華。ヒトの手によりて鍛えられしこの二刀ならば!
『くそっ、なぜだ!? どうしてあの砲火の中を突っ込んでこれる!?』
 モニタでロクの接近を目視した敵パイロットは、恐怖と驚愕がないまぜになった声で叫んだ。
 こちらを射すくめるその眼差し。風になびくたてがみ。死を恐れぬ強き意思!
 否、ロクに死ぬつもりはない。彼女は殺すのでも滅ぼすのでもなく、そう――。
「これが、おれだ」
 救うために来た。
「これが、森番の仕事だ」
 倒すために来た。
 狂気もたらすマシンに刃を突き刺し、砕き、破壊し、人を救う。
 いのちを救う。爆散する砲塔、炎を背中にしょって、ロクは笑った。
 驚くパイロットは正気づき、そして女の顔を見上げた。
「――笑えよ。ただの人間が、キミたちをたすけにきたんだぜ」
 ロクがやることは、いつだってひとつだけ。
 救うべきいのちを救い、護る。ただそれだけなのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『セラフィム・リッパー』

POW   :    断罪の剣
【無敵斬艦刀】が命中した対象を切断する。
SPD   :    エンジェルビット
自身が装備する【BS-Fクリスタルビット】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    フォールンウイング
【光の翼】を向けた対象に、【プラズマビーム】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ケンドリックス共和国軍所属、レイオン・ガウアー。
 20歳の若さで破竹の昇進を遂げた、若き俊才と評される穏やかな青年だ。
 だが猟兵たちを前にした彼は、いまや破滅的選民思想にかられる狂人そのものだった。
『……まったく、役立たずどもを部下にすると苦労するな』
 猟兵たちの進軍を止められなかった部下たちの力不足を、レイオンは侮蔑した。
 普段の彼であれば、こんな物言いは決してすまい。
 そもそもこのクーデター軍は、彼よりも年下の将校まで参加している。
 だが狂気に冒されたレイオンにとって、自分以外はすべて駒に過ぎない。
『このままプラントを破壊してからキミたちの相手をしてもいいが――』
 ちらり、と背後のプラントを振り返り、レイオンは言った。
『だが愚かな連中に適者生存の法則を理解させるには、それは相応しくないだろう。
 キミたちという敵対者を真正面から返り討ちにして、血祭りにあげる。
 キミたちは謂わば、プラント破壊を飾る素敵な前座に過ぎないというわけだ』
『セラフィム・リッパー』が放つ超常的圧力は、けして嘗められるものではない。
 それを可能にする力を奴は持っている――だからこそ、油断は禁物だ。
『来るがいい、猟兵。この『セラフィム・リッパー』がその名を教えてくれたぞ。
 招かれざる来訪者どもめ。この世界に、キミたちの屍を晒してあげよう……!!』
 BS-Fクリスタルビットがセラフィム・リッパーを包むように展開した。
 そして狂気が光とともに襲いかかる。ここが攻略戦のクライマックスだ。
 狂気に冒された青年将校を救い出し、ケンドリックスの戦乱を終わらせよ!

●プレイング受付期間
 2020/10/11 20:59前後まで。
アウレリア・フルブライト
己の本来在るべき形を見失わせる程の狂気。
全く、この世界のオブリビオンもまた質の悪い代物ですわね。
良いでしょう。その狂気、打ち砕いて差し上げますわ!

【第六感】【見切り】に地形も活用し射撃攻撃を回避しつつ【ダッシュ】で敵へ接近。
遠距離からでは決定打を与えられぬと思わせ接近戦を誘えればと。

距離を詰めましたら打撃にて攻撃。脚やブースタ等の機動を司る部位を【部位破壊】し、距離を取る動きを阻害できれば理想ですね。
敵が斬艦刀での斬撃を繰り出してきたら、そこに合わせて【カウンター】気味に爆撃闘吼を叩き込みに行きましょう。
この一撃こそ、我が信念ですわ!



●肉を斬らせて骨を断つ
「……醜いですわね」
 狂気にひび割れた声を聞いたアウレリア・フルブライトは、顔をしかめた。
 誰かの上に立つ者のあるべき振る舞い――ノブレス・オブリージュ。
 アウレリアはそれをよく理解し、そして規範たろうと常に意識して務めている。
 貴族と軍人。在りようは大きく異なるが、根本的なところでは同じと言えた。。
 その身その魂は、無辜の民の幸福と平穏のためにこそある。そうあるべきだ。
 己の狂った理想のために民を犠牲にしようなどと、まさしく狂気に他ならぬ。
 しかもその狂気すらも、オブリビオンマシンが与えたものに過ぎない……。
「……レイオン様、あなたのことを言っているのではありませんわ。
 私が嫌悪し唾棄するものは、あなたを狂わせたそのオブリビオンの在り方。
 だからこそ私は、憎悪や侮蔑ではなく、怒りと信念によってあなたを砕きます!」
『……怒り? 信念? くだらない。そんなものを燃やして、何が出来る。
 何も変えられない。この世界も、愚かな民も、国も、何も変えられない!!』
「少なくとも、あなたを狂気から解き放つことは出来ますわっ!!」
 アウレリアは呼吸と同時に地を蹴り、クリスタルビットの攻撃を回避した。
 ビュン、と地を薙いだメスのようなレーザーが、地面を短く抉る。
 直撃すれば、アウレリアとてただでは済むまい。間合いを縮めるのが肝要だ。

 ……とはいえ敵も素人ではない。20歳の若さで指揮官にまで上り詰めた男。
 アウレリアの武装と身のこなしから接近戦に秀でたことを即座に看破し、
 しかも彼女が生身でキャバリアを破壊する手練だと警戒し、慢心もしなかった。
 ビットと翼から放たれるビームによって距離を詰めさせない遠距離戦を続ける!
(さすがに、これまでのように鎧袖一触とは参りませんわね……っ!)
 瓦礫や障害物を利用し、この猛攻をかろうじて防ぐアウレリア。
 戦局は一向に埒が明かない。完全に千日手の状態だ。
『――生半可な牽制は動きを見切られるか。なら、仕方あるまい』
 接近戦を誘っている……ということを、レイオンは当然理解していた。
 その上で誘いを買う。真正面から叩き潰すべき難敵だと改めて認識したのである。
 キャバリアのスリムなフォルムに似合わぬ無骨な斬艦刀を鞘走らせた!
(今、ですわねッ!)
 アウレリアは決断的戦意を燃やし、ロケットスタートを決めて敵に肉薄。
 斬艦刀のリーチは埋めがたい。敵の斬撃到達が先んずるのは必定と言えよう。
『荒野のシミとなれ、猟兵ッ!!』
 生身の人間ひとりを殺すには、それはあまりにも分厚くそして強力だ。
 アウレリアは……なんたることか、片腕を盾として、無敵斬艦刀を受け止めた!?

『――何!?』
 しかし、見よ。ガントレットは斬艦刀を受け止めたのではなかった!
("殴りつけた"のか、インパクトの瞬間に!)
 レイオンはその優れた動体視力で、モニタに映った光景を目の当たりにしていた。
 然り……アウレリアは斬撃到達の瞬間に、斬艦刀の峰を殴りつけたのだ。
 その勢いで反発力を生み、バウンドするボールめいて自らを"打ち出した"!
 当然、拳は無傷ではない。ガントレットの中から血がぼたぼたと溢れる。
 しかし斬殺の憂き目は回避した。そしてアウレリアは、接近距離に到達する!
「この一撃こそ、我が信念ですわ!!」
 アウレリアは無事なほうではなく、あえて傷ついた方の拳を叩きつけた。
 痛みをも力に変えての"爆撃闘吼(ダイナミック・スマッシュ)"!!
 打撃が爆発を生み、水晶めいたセラフィム・リッパーの装甲を破壊する!
『片腕を犠牲にしてまで、私を打ち倒すというのか……ッ!?』
 狂気にまみれた若者は、その驚くべき覚悟と信念の強固さに慄いた。
 サイズ差など問題にはならない。ここに居るのは、巨人よりも強大な戦姫なのだから!

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒川・闇慈
「プラント破壊が目的ならばとっとと済ませてしまえばいいでしょうに……マシンに乗っ取られた者に言っても詮無きことですか。クックック」

【行動】
wizで対抗です。
相手のプラズマビームには火炎耐性と電撃耐性の技能を応用し、耐熱耐電荷術式を組み込んだホワイトカーテンによる防御魔術でしのぎましょう。
防御で時間を稼ぎつつ、UCの詠唱を進めましょうか。全力魔法、属性攻撃、多重詠唱の技能を用いてUCを使用します。
あまり威力を上げすぎては搭乗者諸共に消し飛ばしかねないので、詠唱時間はそこそこに留めておきましょう。

「熾天使の名を冠する機体を狩るのには、地獄の軍勢がふさわしいというもの……クックック」

【アドリブ歓迎】



●アーマゲドン
 黒川・闇慈とセラフィム・リッパーの戦いは、まるでキャバリア戦のようだった。
 プラズマビームと魔力光線が乱舞し、白と黒のコントラストを空に刻む。
 高速機動によるドッグファイトじみた回避合戦は、常人にはなしえない戦いだ。
『部下たちの報告は常に入ってきている。恐るべき殲滅力を持つ猟兵がいると!』
「それは光栄ですねぇ。でしたらさっさとプラントを破壊すべきだったのでは?
 ……などと、マシンに乗っ取られた者に言っても詮無きことですか。クックック」
『そうはいかない。このプラント破壊は我々の意思表明でもあるのだから!』
 闇慈の身体をまるまる飲み込むほどの極太のビームが、スレスレを通り抜けた。
 強烈な余熱が大気を焦がす。闇慈自身は、防御魔術によってそれを防ぐ。
 いかに"ホワイトカーテン"の防御魔術が強固とは言え、敵の攻撃もまた強大だ。
 ビームを真正面から受けるのは愚策。つまり、闇慈は停止することが出来ない。
 並の術者であれば、これほどの機動力を発揮した状態で術式発動など不可能だ。

 ……だが見て分かる通り、闇慈は並の術者などではない。
 だからこそキャバリアとドッグファイトを繰り広げ、そして!
「獄軍の轍、烈壊の城壁、回天せよ森羅万象――」
 まるでふたつの脳を持っているかのように、闇慈は詠唱と防御を同時に行う。
 乱舞するプラズマビームをいなし、弾き、躱し、破滅的魔力を練り上げる。
「戒炎」
 周囲の大気が陽炎に揺らぎ、
「號氷」
 しかして陽炎は冷たく冷え、
「禅風」
 かと思えば暴風がつかの間渦巻き、
「玉岩・塔雷・嚇樹」
 めきめきと岩が浮き上がり、プラズマ熱が雷光を起こし、裂け目から芽が萌え出る。
 莫大な魔力が地脈に影響し、異常な速度での植物の成長を促したのだ。
「欠ける黒点、満ちる白原、天地一切滅せぬ者のあるべきや――!」
『……来るか、その一撃を打ち砕く!!』
 敵もまたプラズマビームを収束させ、極大の一撃を練り上げた!
「熾天使の名を冠する機体を狩るのには、地獄の軍勢がふさわしいというもの。
 ああ、直撃は避けますからご心配なくクックック……では、参りましょうか」
 闇慈は大きく目を見開き、複合属性極大魔力砲撃を解き放った!
 これこそ八獄総軍(ラグナロク・レインボー)。終末をもたらす破滅の一撃!
『ぐ、ううおおおお……ッ!?』
 白と黒のコントラストが空を染め上げ……そして、黒が白を飲み込んだ!
 プラズマビームを退け、破滅の魔力がセラフィム・リッパーを吹き飛ばす――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

銀山・昭平
散った仲間や敵対する相手を甘く見てる奴は良い死に方しないべ。おらの経験則だべな。

◆戦闘
【即席絡繰強化術】でシャーク・アヴェンジャー8を対物ライフル並の威力のマシンガンに魔改造、【地形の利用】や【暗殺】の技能を生かしてガレキやら建物やらの物陰に隠れながら遠距離で戦ってやるべ。
ビットが出てきたらそいつらを冷静な銃裁きで全部叩き落としてやるべな。そのまま本体にもダメージを与えられれば良いが、こっちに飛んできた時やプラズマビームが厄介だべ。
弾幕で動きを牽制しながらなんとか戦い抜く感じになりそうだべな。

※共戦・アドリブ等大歓迎です



●散った命の扱い方
 いまのところ、猟兵の攻撃によって命を落とした敵兵士はひとりも居ない。
 それは喜ばしいことである――彼らが軍に復帰できるかどうかは未知数だが。
 しかし仮に命を落としていたとしても、レイオンはそれを省みはしなかったろう。
 軍人として戦士として、それは恥ずべきことだ。銀山・昭平はそう考える。
『――そこか!』
 クリスタル・ビットがレーザーを射出し、昭平の隠れる瓦礫ごと焼き払った。
 しかし一瞬早く昭平は着弾地点を離れ、別の物陰にカバーリングしている。
「いい目をしてるべ、けどおらだって攻撃は予測できるべな!」
 BRATATATATA!! 昭平は物陰から身を乗り出し、ガトリング砲をぶっ放した!
 ユーベルコード"即席絡繰強化術"でカスタマイズされたシャーク・アヴェンジャー8の威力は、一発一発がアンチマテリアルライフルめいたものに跳ね上がっている!
 いかなキャバリアとて、そんなものをまともに喰らえば穴だらけになるだろう。
 レイオンはビットを盾にして銃撃を防ぐ。攻撃の手を止めざるを得ない!
『くっ、厄介な武器を……! それも、ユーベルコードの力か!』
「そうだべ。マシンなんかに操られてるやつには、生身でも負けないべよ!」
 若き戦士を叱咤するように叫び、昭平は銃身が焼け付くまで弾を撃ち続ける。
 BRATATATATATA!! クリスタル・ビットが墜ちていく。墜ちていく……!
『いつまでも、好き勝手出来ると思うなぁっ!!』
 セラフィム・リッパーはサイキックエナジーを迸らせ、銃弾を弾いた。
 そしてビットが特攻兵器めいて、猛スピードで昭平のもとへと迫る!
「――そうやって、部下も兵器も使い捨てるべか」
 昭平は冷淡な声で言うと、ガトリング砲でビットを薙ぎ払った。
「そんな奴はいい死に方しないべ。おらの経験則、その身に叩き込んでやるべよ!」
『く……っ!?』
 守りを失ったセラフィム・リッパーは、ガトリング砲の追撃をまともに食らう!
 水晶めいた装甲は火花をあげて切り裂かれ、焼け焦げ、そして翼は燃えた。
 戦士としての怒りを込めた弾丸が、狂気もたらすマシンに届いたのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

レン・ランフォード
この人が首謀者ですか
まぁ問答するつもりはねえ
狂わされてる奴に何言っても無駄だ無駄
斜め上からのちょっぷで元にもどそー…
…ですね。貴方の蛮行、止めさせて頂きます!
行くよ、私たち!

これまでの戦いでこの子にも慣れました
二人にも手伝ってもらっていきます
分身殺法・陽炎舞発動
それだけの数を動かしながら、私たちを見切れますか?

リミッター解除した機体で残像分身を発生させ錯乱
レーダーを誤魔化すためジャミングは発動済み
攻撃は第六感を合わせ殺気を見切り、バレない様に回避
武器の投擲をフェイントとして
死角から暗殺じみた騙し討ちで仕留めます…機体を

不殺…改めて中々難度の高い世界だな
殺さなくていいならそれが一番ですよ



●蛮行を止めるため
『これは……!?』
 レイオンは、コクピットの中で呻いた。
 目の前に立ちはだかった少女たち……レン・ランフォードとその別人格たちが、
 突如として「増えた」のだ。それも残像というレベルではない、無数に!
『これが東洋に伝わるというニンジャの技か! 面妖な!』
 レイオンはクリスタルビットを複製召喚し、次々に分身を蹴散らす。
 しかし……消しても払っても、次から次に分身は現れ続ける!
 さながらそれは、斬っても撃っても消えることなき陽炎のように。
「それだけの数を動かしながら、私たちを見切れますか?」
「こちとら鍛えてんでなぁ、簡単にはやられちゃやらねえぜ!」
「斜めうからちょっぷして、すぐに元にもどしてあげるね」
 三人はキャバリアのリミッターを解除し、すさまじいスピードで飛び回る。
 クリスタルビットが撃ち抜くのは、あくまで残像でしかない。
 しかしその数! センサーを頼ろうとしても、レーダーは封じられている!
(ジャミングか! アナログな技術とデジタルの小細工を併用するとは……!)
 レイオンは舌打ちし、攻撃に専念した。
 恐るべきは敵の技量か、はたまたオブリビオンマシンの性能か。
 レンたちとセラフィム・リッパーの戦いは攻防一体、どちらも退かぬ!
(なかなか耐えますね、クリスタルビットの数が多いせいでしょうか)
(それだけ向こうも鍛えてんだろ? なら根比べしてやろうじゃねえか!)
(化かしあいで、まけるつもりはない……よ)
 三人はさらなる高速機動に踏み込む。お互いに激突しかねないほどの速度だ。
 しかし自分自身とでもいうべき"レン"たちのコンビネーションは、まさに一心同体!
『捉えきれないだと!? この私が――!』
「「今だ!!」」
 錬とれんが同時に仕掛け、セラフィム・リッパーの動きを止めた。
 背後に回った蓮が、必殺の刺突をセラフィム・リッパーに繰り出す!
「その機体だけを、破壊してみせます……ッ!」
 逆手に構えた対キャバリア用大型ダガーが……水晶めいた装甲を、切り裂く!

大成功 🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

あの思念……
マシンに呑まれたか?
大の男が情けないねぇ、
もっと気合を見せてみろってんだ!
そんなやわな思念じゃ、アタシと"Overed"の『ジャミング』に
太刀打ちできないんじゃねぇのかい!?

そう『鼓舞』するように『挑発』し、"英霊"3基を展開。
レーザーで『弾幕』を張りつつ致命的なビットは『盾受け』し、
合間にブラスターで電撃の『属性攻撃』弾を撃ち込む。

そんなんじゃまるで『制圧射撃』をしてるようにしか見えないだろうねぇ?
半分正解、半分間違いさ。
この射撃戦で帯電したアンタのクリスタルビットこそがこの戦いの鍵。
オープン回線で聖句を紡ぎ上げ、
【黄泉送る檻】で天使を葬りにかかるよ!


ミレア・ソリティス
ここで貴方が敗北するならば
「貴方は適者ではなかった」あるいは「そもそも理屈が誤りであった」のどちらかでしょうか

先んじて「ジャミングミサイル」による《ジャミング》を仕掛け、
その後UCで簡易機の部隊を展開、同時に2型突撃兵装のランス+シールドへと換装

簡易機部隊はビットへの実弾での対処やランス突撃や味方攻撃への援護射撃、集中砲火による敵機攻撃を、

私はバリアを展開しランスチャージからの零距離射撃で本体攻撃、また隙を見て再換装しペインレス・セイバーでの敵装備弱化を狙います


この刃の弱化は単なるウィルスの電脳汚染に非ず、ナノマシンでの実体侵食ですから、そうそう防がせはしません。

※アドリブ連携他歓迎です


狭筵・桜人
あーあーいらないこと言った……もうマジで最悪な一日ですね。
キャバリアは降りておきます。救助対象もあと一人となれば目立つだけの木偶ですからねえ。

で、これどうやって近付くんでしょうね。
まいいや。サポートに回ります。

『code/S.B』――誰かさんにバグデータ突っ込まれて勝手に書き換えられたレギオンで猟兵かそのキャバリアの姿を隠します。
多分ですけど、白兵戦の方がまだ勝ち目ありそうですからね。
近づけるように手伝いますよ。私は隠れてますけど。

正気を失っているとはいえ、戦乱を終わらせたいってとこは本音でしょう。
到底人ひとりが実現出来る内容ではありませんけど、何も考えずにいるよりはずっとマシだと思いますよ。



●"最悪"な一日
『コード・レギオンを発令。オプションαを適用。簡易兵装機生成――展開』
 ミレア・ソリティスの周囲に、何体もの簡易兵装機体が召喚された。
 簡易兵装機体は即座に陣形を構築し、セラフィム・リッパーを包囲にかかる。
 ミレア本体は隠密兵装から2型突撃兵装――ランス&シールドに換装。
 クリスタルビットを簡易兵装部隊が抑え、本体が突撃を仕掛ける二段構えだ。
『突撃ライン構築。ランスチャージ、開始』
『その程度の攻撃で! 私を落とせると思うなッ!』
 しかし敵もさすがの天才パイロットか、急速なランスチャージを回避!
 さらに飛翔しながら光の翼を展開し、無数のレーザーをバラ撒いた!
「少しはやるじゃないか! けどねぇ、だったらもっとしゃんとしろってんだ!」
 簡易兵装部隊に降りかからんとした光を歪曲させたのは、数宮・多喜である。
 強力なサイキックウェーブを電磁波にして投射し、レーザーを捻じ曲げたのだ。
 KRA-TOOOOM……着弾地点が盛大に炸裂し、大きく土煙をあげた!
 多喜が駆る"Overed"は、ブースターを点火しミレアとともに距離を詰める!
「大の男がマシンに呑まれて情けない! もっと気合を見せてみろ、若大将!」
『呑まれた? 否! 私は目覚めたのだ、己が真に為すべき使命に!』
「それが思念を喰われたっつってんのさ、"それ"はアンタの主張じゃないだろう!
 借り物の主張に借り物の信念、それで何かを変えられると思ってんのかい!?」
『黙れ……ッ!』
 レイオンは斬艦刀を展開、大きく振るうことで二機を引き離した。
 簡易兵装部隊の包囲網をビットとレーザーで牽制しながら距離を取る。
『あなたの唱える適者生存の法則には、ひとつ致命的な陥穽があります』
『何? どういう意味だ』
『……提唱者であるあなたが敗北した場合、それ自体が誤りになるということです。
 例外を認めなければ成り立たない法則は、法則と呼ぶことは出来ません』
『そんなことは……』
「"自分が適者でなかったとしても結構"なんて、覚悟を持っては言えないんだろう?」
 多喜の痛烈な指摘に、レイオンはうぐ、と呻いて言葉を失った。
「ああ、まったく言う通りさ。アンタはアンタが死ぬ可能性を含んじゃいない。
 部下を使い捨てておいて、自分自身は君臨するつもり満々でいやがるわけだ!」
『ゆえに、あなたの主張はオブリビオンマシンのもたらす狂気であると定義出来ます。あなたの発言には、一貫性がない』
『……ッ!! 知ったような口を効くな、猟兵ッ!!』
 クリスタルビットが複製展開され、ミレアと多喜を襲う!
『この世界は閉塞している! 戦乱は進化を阻み、人々は生存意識を失った!
 人類が再び万物の霊長として君臨するためには、破壊と犠牲が必要なんだ!!』
「いかにも取って聞いたような台詞だねえ……!」
『ダーウィンの進化論には学術的な矛盾が存在します。議論として成り立ちません』
『知ったことか! 私は必ず閉塞を打ち破ってみせる、そのためならば――』
 レイオンの脳裏に、正気であった頃の記憶が去来した。
 信頼すべき仲間、部下たち。世話になった上官や家族、友人……。
 それらの暖かな記憶が過ぎ去り、そして狂気が脳髄を浸していく。
『……なんであろうと犠牲にしてやる。すべてを殺し尽くしてでも!!』
 もはやその声音に、一縷たりとも正気は存在しなかった。

 激化する戦場を見下ろす丘の上。
「…………はあ~~~~~~」
 うんざりした様子でしゃがみこみ、狭筵・桜人は頭を抱えた。
 まったく最悪だ。今日は本当に最悪の一日……彼にとっては特に。
 桜人はヒトを殺さない――殺せない。どんな悪党であろうとも。
 そんな桜人が、よもやあんな形で主張をぶつけることになってしまうとは。
 議論だの衝突だの、そんな青臭くて面倒な厄介事は彼の流儀に合わない。
 それでも、そうなってしまった。そしていま傍受した、レイオンの言葉。
「いらないことばっかり言いますねもう、今日はマジで最悪な一日ですよ」
 キャバリア乗りとしては半端すぎる自分が、あの戦場に踏み込むことは出来ない。
 ならばどうするか。いつものように、こそこそと隠れて搦め手を使うしかない。
「……正気を失っているとはいえ、あなたは戦乱を終わらせたいんでしょう」
 クラックプログラムを起動しながら、桜人はひとりごちた。
「そんなの、ヒトひとりが実現できるような内容じゃない。無理筋です。
 ……けど、何も考えずにいるよりは、ずっとマシなんじゃあないですかね」
 レイオンに向けた言葉ではあるが、届かせるつもりはこれっぽっちもなかった。
 これは独白……気恥ずかしくて誰にも言えない本音の吐露のようなものだ。
 ましてやあの性悪忍者に教えてやるつもりなどない。今日のようなことがあったならば、なおさらに。
「……人間ひとりに出来ることなんて、タカがあるんですよ」
 プログラムを起動完了する。桜人は電脳魔術を行使した。
「さっさと諦めてしまえばいいんですけどね、本当。みっともないったらない」
 それは狂気に落ちてなおあがくレイオンへの言葉でもあり。
「……本当に、みっともない」
 こんなざまになっても信念を捨てられない、呪われた自分への嘲りでもあった。

『――グッ!?』
「「!!」」
 突然のことだった。セラフィム・リッパーが痙攣し、動きを止めたのは。
 多喜とミレアは状況を訝しみこそすれど、躊躇する暇はなかった。
 姿なきハッカーによる支援。それが、ふたりに突破口を開いたのだ!
『ペインレス・セイバー、同時展開――突撃、開始』
 ミレアはブースターを最大点火し、一条の矢となって天井を貫いた。
 ランスが水晶めいた装甲を貫き、そして電脳を汚染する刃がシステムを破壊する!
 ナノマシンによる実体侵食は、防壁システムで止められるものではない!
「ashes to ashes,dust to dust,past to past...」
 そしてオープン回線で紡がれる、多喜の聖句。
 "Overed"は聖者めいて両手を開き浮遊し、電撃の檻を構築した!
「少しは頭を冷やしな! 収束せよ、サイキネティック・プリズン!!」
『ぐ、ガァアアアア……ッ!?』
 雷の檻が狭まり、セラフィム・リッパーを……レイオンを覆う狂気をつんざく。
 真に最悪な一日を迎えたのは、猟兵ではなく敵のほうなのだ――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ケンタッキー・マクドナルド
へェ
出来の良い機体じゃァねェか。
趣味も悪くねェ 機能も上々。
改めて"キャバリア"ってェ奴に興味が湧く。

機械繰りのテメェにも言いてェ事ァあるが
まァそれは後だ。
そのキャバリアの性能見せて見ろよ。

――いくぞ『刑天』。

敵の攻撃手法はレーザーでの遠距離攻撃――つってもこっちは牽制か。
最大火力はあの斬艦刀と見た。

なら――敢えて接近戦だ。
レーザーが来るなら舞踊機動で躱して斧で弾く。さっきの要領だ(アート×操縦×盾受け×ダッシュ)

相手が刀振り翳したら――
刀目掛けて『パラドクス』。
斬撃ごとテメェに叩き返してやらァ。

そォだ 言い忘れだ

繰り手がよォ
繰る相手に良いように使われてンじゃねェよ。
さっさと目ェ覚ましとけ。



●双刃の舞踏
「出来はいい、趣味も悪くねェ、機能も上々――!」
 ガ、ガ、ガガガガガガッ!!
 斧と斬艦刀が打ち合うたびに火花が散り、両者は大きく飛び退る。
 機動人形『刑天』に乗るケンタッキー・マクドナルドは、ニヤリと笑った。
「改めて"キャバリア"ってェやつに興味が湧くぜ。けどよ――」
 ケンタッキーはモニター越し、狂気に囚われたレイオンを睨みつけた。
「機械の繰り手がよォ、繰る相手にいいように使われてどォすンだ?
 機械ってのは"使われる"モンだ。人間であるテメェが操られるなンざ情けないぜ」
『……黙れ、黙れ黙れ黙れッ! 戦乱を終わらせるためのこの力を否定するか!!』
「ハッ、そしてなにより!」
 飛来するレーザーをかいくぐり、刑天は再び接近距離へと到達。
 斬艦刀と打ち合うさまは、原始的部族の危険ながら荒々しい舞踏を思わせた。
「その鼻で笑っちまうようなお題目も、テメェが考えたモンじゃねえだろうによ!
 機械に操られてスピーカーみてェに喋らされて、テメェはどこまでも情けねェ!」
『黙れェエエエエエッ!!』
 セラフィム・リッパーは大きく翼を広げ、光条を解き放った。
 さらにブースターを点火、亜音速の速度で刑天を貫こうと斬艦刀を構える。
 斬艦刀をかわせば、左右から抱きしめるように襲いくるレーザーに焼かれる。
 かといってレーザーに対処しようとすれば、斬艦刀が逃してくれない。
 二段構えの攻撃。ケンタッキーと刑天は……構えない。死ぬつもりか!?
『終わりだ、猟兵! 貴様は死ぬべき弱者だった!』
「――さァて、そいつはどうだろうな」
『……ッ!?』
 インパクトの瞬間、装甲を叩き割られたのは……セラフィム・リッパーだった!?

 ケンタッキーは意識を集中させ、インパクトの瞬間を読んでいた。
 その一瞬に盾でレーザーを弾き、刀をレール代わりに斧を叩き込んだのだ。
 なんたる神業的カウンターか。まさしく、"怪斧、不破の盾の如く在り"!
「さっさと目ェ覚ましとけ、テメェの実力はそンなモンじゃねえはずだろ?」
 その声音には、少なからず同じ繰り手としての敬意が感じられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーザリア・シン
焦るな、インカーナダイン
あれは確かに我らの宿敵、滅却すべき歪みだが
それ故に無策の力づくでは攻めきれぬぞ
こちらは変身素体となった量産型キャバリアのフレーム限界も近いしの
そう、つまり、頭を使って力づくだ
ユーハブ

――アイハブ。騎体状態確認…変身限界まで残り300。戦術策定…『賢く攻撃』
敵機の無敵斬艦刀に対し、サイキックウエイブを両手に集中させて受け止めます
招喚したガンバッドギャンビットで包囲し、音波兵装(アンプ)によってサイキックウエイブを増幅させて敵機を拘束
この距離は『私』の領域だ
抜け出される前に残存稼働出力を全て費やして殴ります
素体フレーム限界到達、変身解除
貴方の夢も終わりです



●ヴァンパイア・ザ・インカーナダイン
 ユーザリア・シンと"インカーナダイン"の意識は極限のシンクロ状態にあった。
 ユーザリアの血の力によって自我に目覚めたキャバリアは、もはやもうひとつの生命。
 それゆえにキャバリアは意思を持ち目的を持ち、そして敵意を持つ。
 目の前に立つオブリビオンマシン――狂気もたらす過去の残骸に対して。
『焦るな、インカーナダイン。あれはたしかに我らの宿敵、滅却すべき歪み。
 されどそれゆえに、無策の力づくでは攻めきれぬ。頭を使わねばならんのだ』
『……つまり、"頭を使って力づく"ということですね』
 ユーザリアは、ふっと笑った。呆れ? 違う――理解にだ。
『そうだ。つまりは、それだ。汝に委ねる(ユーハブ)、インカーナダイン』
『任されました(アイハブ)。戦術策定――滅却を、開始します』
 ゼロコンマ秒の対話が終わり、現実の時間がインカーナダインを出迎える。
 その瞬間、機体ごとすべてを両断する斬艦刀が音の速度で迫っていた。

 狙いは完璧だった。
 敵の性能では、セラフィム・リッパーの全力斬撃を躱すことは出来ない。
 無敵斬艦刀は狙い過たずその機体を両断し、そして爆散せしめる。
 ……はず、だった。否、そうなるべきであり、そうなるのが当然だったのだ。
 もはや確定された未来。99.99999……%の、揺るぎなき確定事項。
 そうだった。敵も味方もそう思った。だが。
『なんだ、これは……!?』
『この距離は"私"の領域だ』
 サイキックウエイブを集中させた両手が、斬艦刀を受け止めていた。
 召喚されたガンバッドギャンビットが敵機を包囲、そしてウエイブを増幅!
 見えざる音の波が思念と混ざりあい、セラフィム・リッパーを拘束する!
『バカな! このセラフィム・リッパーが、たかが量産型キャバリアに!?』
『否定(ネガティブ)。私は執鍵守護騎(ハーロイーン)歪みを糺すもの。
 過去を滅却し残骸を滅殺し、以て正しき未来と世界を肯定する祈りの徒』
 両手に燃え上がる祈りの力。真紅の瞳を見開き、朱き光が地平線を照らした!
『あなたの夢はここで終わりです。おやすみなさい(ナイティ・ナイト)』
 破滅のエネルギーを込めた手刀が、セラフィム・リッパーを貫いた。
 これこそが祈りのカタチ。滅びと破壊に呑まれた人々の正しき怒り。
 ほとばしるサイキックウエイブが、狂気を洗い流し光をもたらす――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミスト・ペルメオス
【SPD】

…その考えには同意しない。だが好都合ではある。

パイロットはそのまま! マシンにだけ壊れてもらうッ…!

引き続き愛機たる機械鎧を駆って参戦。
デバイス等を介し念動力を活用、機体をフルコントロール。
高度・速度を制限しつつもスラスターの活用により滑走し、時には跳躍もしての高速戦闘を行う。

戦闘を優先してくれるのならやりやすい。念のためプラントを巻き込まぬよう注意しつつも敵機に挑む。
念動力を活かした機体制御や火器管制。敵のデータ収集・解析による行動パターンの看破。
先読みの戦闘機動、弾幕の展開と集束射撃。回避も防御も許さず穿ち、叩き落す。
【“黒い鳥”】は伊達じゃない…!

※他の方との共闘等、歓迎です


玉ノ井・狐狛
適当にごまかしてきたが、最後くらいは相手に合わせてやるかね?
プラント破壊セレモニーの前座なんて、なかなかできる体験じゃないぜ

プラントってのは、つまり資源の拠点だろ?
なら、人間にとって最も重要な資源……「水」もどっかにあるよな
そいつを探す。風水、言い換えれば「合理的な立地」ってのはどこの世界も大差ない。難しくないハズだ
水でデカブツをこしらえて、将校サンのお相手といこう

戦闘の腕前じゃ、もちろん相手のほうが上だろうが……
こちとら精密な機械じゃァない
ちょっとやそっと斬られてもくっつけりゃ済むし、変形も自由だ

アンタの機体(クーデターのシンボル)が、苦戦してるところを披露してくれよ
前座の人選を間違えたなァ



●華々しく、雄々しく
 プラントを舞台とした戦いは、いよいよ佳境に迫りつつあった。
 ミスト・ペルメオスをはじめとする多くの猟兵は万一のプラント破壊を警戒していたが、どうやらセラフィム・リッパー……否、それを駆るレイオンに、いまのところそのつもりはないらしい。
 自暴自棄を起こして破壊に走る可能性は否定できない。しかし彼自身にとっては、プラントの破壊はあくまで副次的なものでしかないようだ。
 狂気に呑まれたとはいえ、その点は生真面目な指揮官としての矜持があるのだろう。
 ……それほどまでに、今のレイオンが適者生存の法則に囚われているということでもあるが。
『戦乱を終わらせるための犠牲となれ、猟兵ッ!!』
 無数のクリスタルビットがミストの駆る機械鎧を追い、空を切り裂く。
 ミストは"殲禍炎剣"を刺激しないギリギリのところで高度と速度を制限しつつも、恐るべき数のビットによる攻撃をかいくぐり続けていた。
 全身に併設されたスラスターを利用した、異次元的な機動によるものだ。
 一瞬たりとて停止することの出来ない戦い。両者の集中力はとっくに限界を越えていた。
『プラントを破壊した程度で、本当に戦乱を終わらせられると思っているのか?
 そのために私たちを落としたとしても、世界はそう簡単に変わるものかッ!』
『黙れッ! 100年だぞ、この世界は100年もの間、無為な戦乱に囚われ続けてきた。
 因習と既得損益が人々を絡め取り、もはや大木の根のように動かなくなっている。
 そんな世界を変えるには、相応の命を犠牲として血を流さねばならないのだ!』
『……そんな理屈は認められない。オブリビオンに拐かされたならばなおさらだ。
 たとえあなたが正気だったとしても、私はあなたを否定しマシンを破壊する!』
 白と黒の光は螺旋めいた軌跡を描き、目まぐるしく狂おしくぶつかり合う。
 そのさまを見上げる玉ノ井・狐狛は、聞こえてくる両名の舌鋒にため息をついた。
「ったく、プラント破壊セレモニーの前座とした上々、ってところかぁ?
 ……まさにいま、この騒ぎに乗じて攻め込んできてる奴らもいるしなァ」
 狐狛は背後を――遠く荒野を振り返り、公国軍と猟兵たちとの戦いを見やった。
 あちらもあちらで、オブリビオンマシンの狂気に突き動かされた連中ではある。
 しかしこの内乱は、グロンダール公国を含む周辺国家にとって千載一遇の好機と言えるだろう。
 仮にこのクーデターを無事に治めたとして、もはやこの地はこれまでどおりの小康状態を保つことは出来まい。
 共和国軍は少なからず痛手を負い、国内感情がさらなる恐慌を引き起こす。
 国によっては難癖をつけて内政に干渉しようとすらするかもしれない。
 あるいは弱体化を恐れた共和国が、外側から攻め込まれる前に動くのが先か……。
「……こンな戦乱(モン)を終わらせたいってぇ気持ちは、わかるがねぇ」
 狐狛は目的の場所……プラントに続く水源を見出し、ひとりごちた。
 その間にも式神化の術を行使し、水に干渉する。ざわざわと水面が波紋を生んだ。
「だからってオブリビオンの好きにさせるわけにゃいかねえのサ。
 ……サテ、それじゃ、前座にふさわしいデカブツを呼ぶとしようかねえ」
 狐狛が不敵に笑った瞬間――水面が瘤めいて膨らみ、そして爆ぜた。

『……なんだ、あれは……!?』
 "それ"を見た時、レイオンは戦闘中に許されないほどの動揺を見せてしまった。
 当然だろう。突如として水源の中から、キャバリア並の"巨人"が現れたのだ。
 剣らしき武器を携えたそれは、鋼ではなく……水そのものによって構成されている!
「前座の人選を間違えたなァ軍人さん! 苦戦するのはアンタのほうだぜ!」
『これもユーベルコードなのか!? おのれ……ッ!』
『――戦闘中に余所見をするとは、いいご身分だ』
『!!』
 わずかな動揺と逡巡。その隙を逃さず、ミストが間合いを詰めていた。
 斬艦刀を振ろうとするが、遅い。ゼロ距離射撃が水晶めいた装甲を砕く!
『ぐあ……ッ!?』
『パイロットはそのまま! マシンにだけ壊れてもらう……ッ!』
 一撃離脱の戦法を続けるさまは、まさしく"黒い鳥"そのもの。
 そして体勢を崩したセラフィム・リッパーを……巨人の剣が、捉えた!
「前座っていい出したのはアンタなんだ。派手にいこうぜ?」
 狐狛は不敵に笑う――水と爆炎が混ざりあい、空をあかあかと焦がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロク・ザイオン
に…
いや
たまには、キミが食べたいの選ぶといい。
…じゃ、楽しみにしてる。
おーば。

生きる強さがあったから生きて、弱いものが死ぬ
それを間違いだとは思わない
けれどキミは、「強さ」を間違えている

(大軍勢の鎧の骸を【地形利用】
必ず真っ直ぐ自分を狙う熱線なら、遮蔽物を利用し隠れながら躱す
全てを更地にされる前には、十分な灰が地に満ちる)

あらゆるものを糧に立ち上がるのが人間だ
…おれも、したいように、することにするよ
ととさま、
貴方の種を、お借りします

(「栄灰」
灰と炭、全て呑んで木々を喚ぼう
この灰の届くところすべておれの森とする
急速に伸びる蔦や暗く閉じる幹の檻で動きを鈍らせ
隙を突き【早業】光の翼を削ぎ落とす)



●レグルス・アクション:ACT3――SIDE:A
 "何か食べたいものはあるか?"
 ……だなんて、戦闘中とは思えないのんびりとした質問をぶつけてきたものだ。
 ロク・ザイオンは相棒の言葉を思い返しながら、ふと笑った。
 "たまには、キミが食べたいの選ぶといい。……じゃ、楽しみにしてる"。
 そんな呑気な言葉を返した自分も、大概かもしれない。

 そしていま、ロクを襲うのは嵐のごとき暴威だった。
 セラフィム・リッパー。天使の名を冠し、天使のごとくに戦う恐るべきキャバリア。
 光の翼を広げて雨とばかりにレーザーを降らせ、クリスタルのしもべを操る。
 近づけば無敵の斬艦刀は敵を真っ二つに切り裂く。ロクなど鎧袖一触だろう。
 しかして。ここは戦場。すでに落とされた無数の鋼の屍が転がる場所。
 ロクはそれら――つまりパイロットなきあとのキャバリアを障害物として利用し、この圧倒的なセラフィム・リッパーの攻撃に対して完璧に立ち回った。
『なぜだ? なぜ人間ひとり、このセラフィム・リッパーで殺すことが出来ない……!』
「キミは、間違えているからだ」
 灰燼と帰しつつある戦場で、ロクは敵をまっすぐと見据えて言った。
「生きる強さがあったから生きて、弱いものが死ぬ。それは、間違いじゃない」
『ならば、一体私が何を間違えていると……!?』
「――キミは、"強さ"を間違えている」
 ロクは知っている。
 どんな傷を負い、苦しんだとしても、再び立ち上がる強さを。
 その強さを持つ相棒を、仲間を、友を、大切な人々を。
 あらゆるものを糧に立ち上がる。それこそがヒトであり、ロクもまたそうなのだ。
「ととさま――あなたの種を、お借りします」
 灰のなかから起き上がったのは、無数の木々。つまりは、森だった。
『これは――』
「立ち上がれ。……キミに、"強さ"を教えてやるよ」
 ゆえにこそ見るがいい。これこそはレグルスの片割れ、朱き獣。
 木々によって回避余地を失ったセラフィム・リッパーに、破滅の刃が迫る。
「おれは、ヒトだ。そして――おれが! レグルスだ!!」
 その斬撃が、傲慢なる天使の光の翼を叩き切った……!

大成功 🔵​🔵​🔵​

嗣條・マリア
さあ、暴君が通りますよ
道を開けてください

『右後方。5秒後』
       『左。2基』
  『後方から1、来ます』
     『正面の2基は命中しません』
 『12秒後、左右から同時攻撃』

――――何が来るのか、“私たち”には手に取るようにわかりますよ
“声”に耳を傾けながら敵機へ肉薄
この距離では、御自慢の『セラフィムリッパー』も動かし難そうですね?
ですがここが“暴君”の距離です

敵機の周りで円を描くような軌道で至近距離を維持
回避しながら、時には敵機を盾に

離れようとするのならコフィンチョッパーを引っかけてそれを妨害
逃がしませんよ? 機体のパワーなら負けていませんので


残念ながら、前座はアナタになりそうですね



●"暴君"の跳梁
『――……あれは』
 そのキャバリアを前にした時、レイオンの全身に緊張が走った。
 国家の盾として戦うものならば、"私立新世界学園"の名は広く知られる。
 かの学園国家が擁するキャバリア戦力は、個性的かつ粒ぞろいだ。
 その中でも"暴君"の名を取る――事実その通りのコードネームを持つ――キャバリアと、その使い手が存在した。
 嗣條・マリア。コクピットのなかで、わずか14歳の少女は目を細める。
「さあ、暴君が通りますよ。道を開け、頭を垂れなさい」
 なんたる不遜さ。しかもセラフィム・リッパー相手に真正面からの突撃!
 レイオンは即座に光の翼を広げ、さらにクリスタルビットを展開。
 一切の油断なく、J-000 EMD Tyrant Phase4"タイラント"を撃滅せんとする。
 だが、見よ。タイラントは、まるで存在しない迷路が見えているかのように、
 前後左右上下からほぼ誤差なく襲いくる攻撃を、舞うように避けていた。
『これが、"暴君"が見せるという独立闊歩か……!』
 口さがないキャバリア乗りによれば、"暴君"はあらゆる攻撃を見切るという。
 超・長距離からの狙撃、あるいはステルス機体による不意打ち。
 はたまた地雷や対地攻撃を併用しての面制圧飽和攻撃。
 並のキャバリアであればひとたまりもない攻撃も、まるで見えているかのように。
 虚無の道=存在しない回避ルートを我が物顔で闊歩することから、タイラントの行進はこのように呼ばれた――すなわち、"ヴォイド・ストーカー"。
(けしてスピードは突出したものではない。機動性は高いがそこまでのものだ!)
 レイオンは猛攻をかけながら、狂気に浸された脳髄で考え続ける。
(これは機動力の問題じゃない、パイロットの技量、いや――)
 そして思考は中断される――暴君が、目の前にいた。
(……もはや、未来予知だ)
 実際のところその推測は、ほとんど正鵠を射るものではあった。

 マリアの耳には、常に自分の声が聞こえている。
 パラドクス・ドライブの次元歪曲能力による、限定的な平行世界との接続。
 "落とされた自分"からの今際の際の言葉が彼女を救うのだ。
 クリスタルビットによって撃ち落とされた世界のマリア。
 不用意な接近により機体ごと両断された世界のマリア。
 あるいは、光の翼が放つレーザーを避けきれず露と消えた世界のマリア……。
 "声"は言う。生きろと。積み重ねた骸の上に君臨せよと。
 暴君は、敵だけでなく――他の世界の己をもすら、踏み台にするのだ。
『残念ながら、前座はアナタになりそうですね』
 後方に飛び退こうとしたセラフィム・リッパーを、タイラントが掴み取る。
 JRX-09“コフィンチョッパー”は、さながら処刑剣めいて無慈悲に獲物を囚えていた。
「ここが、"暴君"の距離です。――さようなら」
 必殺の刺突が、水晶めいた装甲を一縷の歪みもなく貫く。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神元・眞白
【WIZ/割と自由に】
ロボット。いえ、キャバリアでしたか。
こうして見てみたらやはり大きいですね。大きい人形の参考にしましょう。
あとは装備と駆動部と……、いけないいけない。どうにも制作の考えに。

主武装はあの剣として、他は遠隔武器に隠し玉と言ったところでしょう。
大きな相手には大きく……がセオリーとせずにこちらはまたそのまま。
飛威、狙うのは駆動部、関節部。相手の動きはこちらで。
面で攻めるより点で攻める様にしましょう。きつつき、みたいに。

大きさの差がある以上、攻撃も集中するのでしょう。
来るのが分かっているのなら好都合。爆発なども演出して、不意を打つ様に
一旦攻撃を吸って、タイミングを見て返しましょう。



●啄木鳥のように
 KRAAAASH!!
「眞白様!」
 戦術器・飛威の声で、神元・眞白はようやく我に返った。
 無意識に回避行動を取っていたのは、伊達に戦術器ではないということだろう。
 眞白は自分がジャンプしていることと、ついさっきまで立っていた場所がバラバラに砕け散っていたことをようやく理解する。
「……いけないいけない。つい制作の考えに浸っていたみたい」
 戦場において足を止めるなど言語道断、余所見をするなどもってのほかである。
 しかし眞白にとって、それだけキャバリアとは興味深いアイテムであった。
 どういう構造なのか。
 どうやって動いているのか。
 そしてその技術は利用可能なのか……。
 仮にも人形遣いとして、仔細が気になってしまうのは職業病と言えよう。
 眞白の立っていた場所を破壊したのは、クリスタルビットによる射撃攻撃だ。
 セラフィム・リッパーはビットを展開しながら、光の翼を大きく広げる。
『ちょこまかと逃げ回るネズミめ、我が光で飲み込んでくれる!』
「――飛威」
 飛来するビットの予測軌道とレーザー攻撃の予兆を見て取った眞白は、無表情なメイド姿の戦術器に語りかけた。
「狙いは駆動部と、関節部。相手の動きはこちらで惹きつけます」
「承知いたしました」
 ふたりは左右に同時に跳ぶ。眞白は右、かつ敵に近づくような斜め前へ。
 とはいえ敵も一流だ、眞白の狙いが陽動であることは見抜いているだろう。
 ならば、"無視できないような攻撃"を繰り出せばいい。眞白の両手が不穏に唸った。
『エネルギー吸収機構だと? 厄介な!』
 センサーが弾き出した予測能力を見たレイオンは、舌打ちをして後方に下がる。
 眞白の戦術器としての能力は簒奪と吸収。キャバリアにとっては鬼門だろう。
 近づけさせないために攻撃が眞白に集中する――狙い通りに。
「来ましたね。それを待っていました」
 眞白が掲げたのは掌……ではなく、奇妙な銀色の符であった。
 それは歪曲して迫るプラズマビームを吸収し、そして反射する!
『反射能力まで持っているの、か……ッ!?』
 レイオンは反射された攻撃を避けようとし、がくんと意図せぬ揺れに驚いた。
 脚部。隠れ潜んでいた飛威の射撃により、関節部から火花が散っている!
 もはや避ける暇はなし。因果応報、光芒がセラフィム・リッパーに――到達した!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユウ・キリヤマ
風祭・ヒュウガ(f30077)と参加
アドリブ大歓迎

「まったくもって同感だ。役立たずな部下ほど面倒なモノはない」

無表情のまま淡々と接敵
駈るは"黒騎士"
オブリビオンマシンの動力部を転用、重力干渉機構によって自重を軽減し組み上げた漆黒の重装高機動機(解説終了)

自重抑制で機動性維持、切り結ぶ瞬間に剣(鉄社製片手半剣「機兵狩り」)等の重量を上げ打撃力向上

「この世には、無能共が多過ぎる」

己に対する揺るがぬ自信
しかしそれは、一人で全てを行える過信に非ず

格闘射撃防御機動全てを用い得た一瞬の隙
接触部から重力干渉、敵機重量を引き上げ確かな好機に


「もっとも

今の貴様と違って、私には時に役立つ部下もいるのでな」




「やれ」


風祭・ヒュウガ
ユウ・キリヤマ(f30057)と参加

ユウが先に接敵して派手に気を引いてくれてる
折を見て一撃、ブチ込んでやるさ

そんな作戦の元、乗機"フーガ"の原動力である「フォトン」を腕部にチャージしながら、ユウの"黒騎士"よりやや遅れて進軍
そんな中、オープン回線で聞こえて来た「役立つ部下も~~」なんて単語に、思わず叫び

「だぁれが部下だっつぅの!!!
 どきな! オブリビオンマシンの相手は、オブリビオンマシンでやる!!」

斬り結ぶ黒騎士に集中する今が好機とばかりに、セラフィム・リッパーへと急加速、突撃
確実に、動力にダメージを与えられる距離へと詰めて、ぶち抜く!!

「ったく、ムカつくくらい頼りになる副会長サマだぜ……」



●部下の使い方
『……おのれ……!!』
 セラフィム・リッパーの美しくも荘厳な水晶装甲は、見る影もなく傷ついていた。
 ひび割れた装甲の隙間から、まるで天使の血のように溢れ出す透明なオイル。
 スパークと火花をあちこちから散らすさまは、神の身許へ旅立つ聖人のようだ。
 終わりのときが近い。されど、かの機体が纏う邪悪さは健在であった。
『なぜ私がこうも追い詰められている……あの役立たずどもがもっと働いていれば』
 レイオンは口惜しげに、散っていった部下たちを罵った。
 無論、死んではいない――少なくとも猟兵たちが破壊した機体に限っては。
 だが役立たずの生死などどうでもよい。どのみち奴らはゴミ以下のクズなのだ。 レイオン=セラフィム・リッパーにとって、使いでのある戦力はパイロットではなくオブリビオンマシンそのものなのである。
 生き残ったパイロットたちは、貴重な戦力を浪費した敵とすら言ってもいい。
 それが、無益なる思想に取り憑かれた狂人の考えであった。
「――まったくもって同感だ」
『……!』
 そんなセラフィム・リッパーの前に現れたのは、対照的な機体であった。
 重装型でありながら全身あますところなく装備されたブースターとスラスター。
 装甲と機動力を両立しようという、コスト度外視のワンオフ型キャバリア。
 わけても特徴的なのは、てっぺんから爪先に至るまでを染め上げた黒の塗料。
『……"黒騎士"か。聞いたことがあるぞ』
 レイオンの軍人としての知識が引き出され、その名を口にした。
『研究者がこぞって狂死したという曰く付きの機体。ここで見ることになるとは』
「ほう。"黒騎士"を知るか。だがまあ、どうでもいいことだ」
 搭乗者のユウ・キリヤマは、コクピットで眼鏡の下の瞳を鋭く細めた。
「役立たずな部下どものように、貴様の機体もまた果てることになるのだから」
『…………』
「まったく、この世には無能どもが多すぎる。少しばかり同情するぞ」
 言葉と裏腹に、声音に宿っているのは揺るがぬ自信。敵対者への嘲り。
 謎めいた"黒洞"が不穏に唸る。セラフィム・リッパーはゆっくり立ち上がった。
 互いに構えるのは近接兵器。片手剣と両手剣で違いはある。質量も敵の方が上だ。
 だが万全と満身創痍。そしてチューンナップされた機動性は同等……いや。
「喜べ。貴様は"黒騎士"の手にかかるのだ」
 その言葉を皮切りとして、両者はまっすぐに加速――そして、ぶつかりあった!

「あーあ……だっりぃ」
 高速のドッグファイトじみた戦いを、丘の上から見下ろす機体あり。
 "KMZ-1001 フーガ"。キャバリアとしてはややイレギュラーな外観である。
 それもそのはず、この機体は厳密に言えばキャバリアではない。
 加えてこの機体は、あろうことか敵と同じ存在――つまりオブリビオンなのだ。
 オブリビオンマシン。それはいつ暴走してもおかしくない危険な狂気の産物。
 乗り手である風祭・ヒュウガとて、その狂気に晒されぬはずがないのである。
 伏して沈黙する現状も、さながら獲物を狙う肉食獣の沈黙と同義と言えた。
 ヒュウガは戦いを……黒騎士とセラフィム・リッパーの戦いを目視している。
 超高速の白兵戦。技量においてはユウとレイオンはほぼ同等……いや、敵が上か。
 性能差は測り切れぬ。黒騎士には"フーガ"同様、謎が多いからだ。
 ヒュウガを辟易させていたもの……それは、あの鼻持ちならない眼鏡野郎のことであった。
 あれは、自分の参戦を期待している――いや、そんな生易しいものではないか。
 自分があれの思う通りに動くことを前提とし、当然のものとして動いている。
 それはいい。ヒュウガは斯様な悪逆を見過ごすタイプではないからだ。
 オブリビオンマシンは破壊する。無辜の民を苦しめる厄災は取り除く。
 それはいい……ただどうにも、あの"副会長サマ"が気に食わぬのである。
「ったく、ヒトのことをなんだと思ってんだ、あの野郎は……ん?」
 そのときである。ザリザリとノイズ混じりの音声が、コクピットに響いた。
 オープン回線によるものだ。やや不明瞭とは言え、あの男の声であることはわかった。
『先ほど私は貴様に同情すると言ったが、私と貴様にはひとつ違いがある』
 相変わらずの高慢な物言い。冷ややかな表情が目に浮かぶようだ。
『それは――私には、"ときには"役立つ部下がいる、ということだ』
「……!!」
 考えるより早く、ヒュウガは動き出していた。
 あの男への忠誠? 違う、アンサーヒューマンとしての無意識の判断だ。
 セラフィム・リッパーの斬艦刀を弾いた黒騎士は、その掌を機体に押し付ける。
 "黒洞"が唸り、重力干渉機構を発動。対象は自機ではなく、敵機である。
 重力干渉により敵機重量の引き上げ。駆動率を引きずり落とすことによる好機。
 逃してはならないチャンス。誰のためだ? 決まっている、自分のためだ!
「だぁれが! 部下だっつぅの!!!」
 ゴウッ!! とブースター炎を撒き散らし、"フーガ"が戦場に馳せ参じた。
 その速度を乗せた拳が、フォトンを纏い破城槌のごとく叩きつけられる!
 KRAAAAASH!! セラフィム・リッパーは装甲片を撒き散らしながら吹き飛んだ!
『ぐっ!?』
「どきな副会長サマ! オブリビオンマシンの相手は、オブリビオンマシンでやる!!」
「当然だ。貴様のために開けてやった活路だ、せいぜい有効活用しろ」
「ほんっとそういうところがムカつくんだよてめぇは!!」
 ヒュウガは吐き捨てながら、さらに二度、三度の拳を叩きつける。
 その背中を見送り、ユウは静かに言った。
「これが部下の使い方というものだ。覚えておけ」
「だから!! おれは!! 部下じゃねえ!!!」
 ふたりの言い争い――ともつかぬやりとりは、まさしく若者のそれだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

矢来・夕立
話が通じないなら畜生の躾が如くぶん殴って聞かせるしかありません。
めんどくさそうな相手なんで援護に回ります。

【紙技・禍喰鳥】。ビームだのあの光だの、飛び道具を全部弾け。
……とはいえ、たかだか90匹です。全部焼け落ちたら仕方ない。オレが打って出ましょう。
《闇に紛れて》背後を取ります。
この…飛び道具の射出機構ですか?コレを暫く使えないよう、刀でブッ刺す。
さっき駆動部や砲口を壊したのと同じ要領です。
自己修復機能が備わっていてもおかしくありませんから、恐らくその場限りではあるでしょうけれどね。

先にプラントを破壊すりゃ良かったのに。
こっちにとっての最悪は、アンタの眠たい演説なんかじゃないんですよ。



●宴の終わり
 矢来・夕立は思う。
 光が乱反射する、目もくらむような白一色の世界で思う。
 オブリビオンマシンがもたらす狂気は、ことごとく"無益な思想"なのだという。
 何の意味もない殺戮。
 到底叶うはずのない野望。
 誰にとっても利のない無謀。
 物事が動けば誰かしらが得をするものだ、特にこのような世界では。
 共和国の内乱は、公国をはじめとする多数の周辺国家の好機とも言える。
 しかしオブリビオンマシンのそれは、成就すればすべての者に損をもたらす。
 つまりこの"プラント"の破壊が、無益さの象徴なのだろう。
 国家が争う理由はプラントにこそあり、プラントが失くなれば共倒れだ。
 レイオンはそれを為そうとした。なるほど、無益そのものである。
 ――だとすれば、この場で彼を降し、プラントを無事に奪還したとして。
 それは結局のところ、弱体化した共和国に付け入る隙を与えるだけではないか?
 いっそここでプラントともども滅んだほうが、まだしもマシかもしれぬ。
 軍事力の後退した共和国を、周辺諸国はけして放っておかぬのだろうから。

(――……どうでもいい)
 脳裏に去来した他愛もない思考を、夕立は目の前の炭ごと振り払った。
 焼け落ちた式紙の残骸である。視界はいまだ白に灼け、前後左右もままならない。
 ならば、皮膚で感じればよい。耳で聞き、空気を舌で転がせばいいだけだ。
 敵の位置。
 己の位置。
 敵の狙い。
 己の軌道。
 すべて視える。目が見えない程度で足を止める理由にはならない。
 この戦いはたしかに無辜の民を救うだろう。だがその先はどうなる?
 共和国はプラントを維持できるか?
 生き残ったパイロットたちは軍人として復帰できるか?
 同時に襲撃を仕掛けてきた公国軍との関係は?
 状況を虎視眈々と伺っている周辺国による介入は?
(どうでもいい)
 夕立はそうした他愛もない考えを振り払う。仕事を遂行することだけを考える。
 この場で救った命がその先無事であるかなど、自分には関係のない話だ。
 "関係を持つ必要がなく、そして持ったところで自分にはどうしようもない"。
 滅びゆく公国から聖処女の如く軍勢を引き連れて、新たな国を樹立するか?
 はたまた周辺国家とのパワーバランスを維持するため、つまらない暗闘に臨むか?
 依頼があればそうするだろう。だがそれは、その時の自分が考えることだ。
 義理も、理由も、そして背負えるだけの力も余裕もない。
 人の命なんてものは、自分ひとりが背負うにはあまりにも大きすぎるのだ。
 自分の命すらも、どう扱えばいいのかわかっていないのだから。

 ……こんなくだらない考えに浸るのも、あの莫迦の余計な一言のせいだろう。
 まったく煩わしい。仕事の最中に命の価値だのどうこうを考えることの無意味さ。
 雲のように湧き出る思考を切り裂く。思考と視界がリンクする。
 白い視界が切り裂かれるようにして戻る――逆手に構えた刀を、突き刺した。
 奇しくもそれは、セラフィム・リッパーの心臓部に当たる場所であった。

「先にプラントを破壊すりゃよかったんですよ」
 動力部に繋がる亀裂をこじ開け、誘爆しないようにクリティカルな部位の接続を断ち切る。
 セラフィム・リッパーは生き物めいて痙攣し、スパークを噴き出し、うなだれた。
『……わ、私、は』
「正気に戻りましたか。まあ狂いたくなるような展開が待っているでしょうね。
 軍法会議。戦争責任。アンタはいっそ死んだほうがマシかもしれませんよ」
 正気づいたレイオンに語りかける――いや、八つ当たりする顔は冷ややかだ。
『…………』
「最悪でしょうね、きっと。ただそんなものは、こっちには関係ありません」
『…………すまな』
「どうでもいいです」
 コクピットハッチをこじ開け、うなだれる青年将校の襟首を掴んで引きずり出すと、入れ替わりに持参した爆薬を放り込む。何も言わぬレイオンを連れて離脱――念の為の機体の破壊を見届けた。そして青年将校を荒野に放り捨てる。
 仕事は完了だ。この先のことなど知ったことではない、どうでもいい。
 心配などない。懸念などない。そんなものは、己が背負うべきではない。背負えない。
 救ったあとの進退など、ただの殺し屋が考えたところで何になる?
「アンタのせいでずいぶん嫌な気分にされました。慰謝料でもほしいところですね」
 ただうなだれる青年を一瞥すらせず、夕立は歩き出した。爆炎が陽炎を揺らめかせる。
 まったく今日は最悪だ。新世界の華々しい戦いとしてはあまりにも陰鬱だ。
 ――夕立は一度だけ、明日には滅びるかもしれない国土を振り返った。
 荒野を挟んだ共和国の中枢は、嫌味なぐらいに緑鮮やかな、平和な景色だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月17日


挿絵イラスト