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埴輪豪雨の降る夜に。怪談の会もあるよ!

#カクリヨファンタズム

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#カクリヨファンタズム


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●埴輪の少年と馬と。
「はにゃ?!スクネおにーさん?!スクネおにーさんなの?!」
『ああ、久しぶりだなオージ……ヒーンベも元気そうで何よりだ……』
「ふにゃあ……す、ノミノ殿にはもうお会いできないかと……また会えるなんて……感激ですぞ――――!!」
 聞こえてくる声に埴輪の様な見た目の子供と馬が嬉しそうに泣きじゃくる。
 余程親しかったのだろう。
 スクネ、或いはノミノと言われている者の声もとても嬉しそうであり、穏やかだ。
「はにゃぁ……ごめんねスクネおにーさん……僕が居眠りしてる間に古墳が盗掘されちゃって……」
「ふにゃァ……本当に申し訳ないであります……ずっと謝りたかったのですぞ……」
『気にするな、と言っても難しいかな?
 けれど、私はお前達が無事でいてくれた事の方が嬉しかったんだよ?
 ああ、そうだ。久しぶりにヒーンベの好きなニンジン料理を作ってやろうかな?』
「ふにゃあ?!ま、誠でありますか?!ノミノ殿の作ったニンジン料理ですとー?!」
 二人と一匹は本当に楽しそうに話しており、それだけなら微笑ましい光景と言えるだろう。
 ……周囲に埴輪が降ってなければ。
 そう、古墳時代の日本特有の器物の埴輪である。
 円筒埴輪も馬や犬、人等様々な物を象った形象埴輪も……様々な物が空から無数に降ってきていた。
 しかも本来なら割れる筈の其れはまるでゴムでできたボールの様に勢いよく跳ね返って何かにぶつかっては跳ね返ってを繰り返している。
「本当に嬉しいなあ。……ずっとスクネおにーさんと話せれたら良いのに……」
「そうですなあ……時よ止まれ、お前は美しい、ですぞー」
 そして、其の言葉と共に世界は崩壊し始め埴輪豪雨はカクリヨ全体に及ぶこととなるのであった……。

●グリモアベースにて。
「という訳で、カクリヨで起きてる世界の崩壊と『埴輪豪雨』を止める為にも皆には埴輪が降り注ぐカクリヨファンタズムを走破して骸魂と融合した子を止めてきてほしいんだなー」
 集まってきた猟兵達に雁之助はそう告げると更に説明を続けていく。
「先ずは埴輪が降ってくる埴輪豪雨が起きてるから無理やりにでも進むなり片付けながら着実に進んでいくなりして突破してほしいんだな。
 そうしたら骸魂と融合しちゃった埴輪妖怪のオージとヒーンベていう子達が居るから、説得するなり戦うなりして骸魂と引き剥がしてほしいかな」
 因みにオージは騙されやすい位に純真な子で骸魂を慕って居りヒーンベは食いしん坊で骸魂の作ったニンジン料理が大好きだそうでそっち側の説得は難しいだろう。
「だからまあ、説得するのなら骸魂の方になるかな?
 とはいえ、最終的には倒さないと骸魂も開放されないから説得の言葉だけというのも拙いけど」
 説得が骸魂の心に刺されば相手は弱体化するし場合によっては自分から攻撃を受け入れる事もあり得るが、別に説得はせずに戦っても倒せない相手ではないとの事。
「それと骸魂の素性についてだけど、埴輪を造っていた人みたいでね。
 その関係でオージとヒーンベとも交流があったみたいなんだ。
 割りと世話好きな人だったみたいで生前はよく騙されてたオージを助けてたりヒーンベに料理を作ってあげたりしてたそうだよ。
 で二人と別れた後、カクリヨに渡るのに失敗して、って感じだね」
 骸魂の状態なので世界が崩壊する事に対し躊躇いを持てない状態だが基本的には善人なので説得し自分の今の状態が異常な事に気付かせる事も不可能ではないだろう。
 更に言えば一人と一匹に搦めての説得をすれば尚良いかもしれない。
「まあ、出来れば後悔のない形で決着をつけてくれたら嬉しいかな?」
 其れが済んだら二度目の別れにショックを受けている一人と一匹を元気づけてほしいとの事。
 因みに二人は怖がりだが怖い話を聞くのは好きだそうなので現地の他の妖怪達も巻き込んでの怪談の会を準備しているが、別に楽しい話や面白い話、創作落語やコント等でも構わない。
「大事なのはオージとヒーンベを元気づける事だしね。
 それじゃあ、色々と大変な事件だけど、皆頑張ってきてほしいんだなー」
 そう言うと雁之助は集まった猟兵達を送り出すのだった。


久渓洞
 初めまして、或いはお久しぶりです久渓洞です。
 今回の依頼はカクリヨファンタズムの事件。
 埴輪の豪雨を掻い潜り、埴輪妖怪の主従に憑いた彼等の友人の骸魂を戦うなり説得して戦うなりして引きはがし、その後に落ち込んでいる彼等を元気づける為に怪談の会を行います。
 皆様のプレイング楽しみにお待ちしております。
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第1章 冒険 『見上げれば、なにかが』

POW   :    気にせず無理矢理先へ

SPD   :    回避しながら先へ

WIZ   :    片付けながら先へ

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし/わしら 豪快古風
対応武器:黒燭炎

自分達と今回の『オージ』『ヒーンベ』『骸魂』。何が違うのやら。
と他の三人が中で考え込んでしまったからの、わしが表に出ておる。というか、勝手に依頼受けた(いつもは四人総意で受ける)。

埴輪豪雨とは、ある意味ブレんのう…。
いくつかは見切って黒燭炎で捌いていくが、間に合わなそうなら『四天霊障』を使用してのオーラ防御だの。

…まずい、悩んでた三人に気づかれた。とにかく突破だ突破!!

※侵す者は43歳です。二番目に年齢が低いです。



●埴輪の雨の降る夜に
「埴輪豪雨とは、ある意味ブレンのう……」
 目の前で起きている無数の埴輪が降り注いでいる光景に呆れたような表情を浮かべながら着物を着た壮年男性、馬県・義透(多重人格者の悪霊・f28057)はそうぼやく。
『ですが、今回の……が私達とどこが……』
『確かに……が……』
『そうだな、だから……』
「やれやれ、未だ考え込んでしまっておるようじゃな」
 馬県、いや四人の死者が合わさって生まれた複合型悪霊『馬県・義透』。
 其れを構成する一人である『侵す者』は「自分達と今回の『オージ』と『ヒーンベ』、『骸魂』が何が違うのか」と想い、自分達の中で考え込んでしまっている他の三人の姿に僅かに苦笑い。
 その悩み様は『侵す者』が表に出てきて、何時もは四人の総意で依頼を受けるのを勝手に依頼を受けたのに未だに気付かない程だ。
「おっと、中々に激しいのう」
 猿の形状の埴輪が、台の様な物に腰掛ける巫女の形状の埴輪が、埋め込む関係で足が長くなっている犬の形状の埴輪が『侵す者』へと降り注ぐが、彼は其の動きを見切って槍でさばき、時に避けていく。
 だが、其の内に地面や木々に激突し超エキサイティング!とばかりに跳ね返りまくる埴輪も増えてきた為に槍でさばくのも避けきるのも難しくなっていく。
 其の為に四人の無念が集った霊障たる『四天霊障』を障壁へと転換し防ぐのだが……。
『……む?『  』、何時の間に?』
『勝手に依頼に参加したのか?!』
 四人の無念が集まった物を用いた為か悩んでいた三人が気付いてしまい、『侵す者』に問いかけだす。
「……まずい、気付かれたか!とにかく突破だ突破!!」
 『侵す者』は其れに追い立てられる様に埴輪の雨の中を突き進むのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒影・兵庫
【蜂皇族】
槍とかじゃない分マシなんでしょうか?
(「結構な高さから落下してるから当たると痛いじゃすまないと思うわよ?」と頭の中の教導虫が話しかける)
うっ...そうですね、せんせー
(「さて、どうする?」)
そうですねぇ
ん?何?クロリア
巨人を召喚するからそれを傘にして切り抜けよう?
ふむ...それに加えて『オーラ防御』壁でカバーしつつ{錨虫}を『念動力』でヘリの回転翼みたいに振り回して埴輪を弾き飛ばしましょう!
(「よぉし、行ってみよう!」)
おーっ!
(UC【脳内教室】発動)


播州・クロリア
【蜂皇族】
こんな世界の終わり方もあるのですね...
っと浸っている場合ではありません
止めないと
(黒影の服の袖をくいっくいっとひっぱる)
あにさん、私がUC【蠱の影】で巨人を作るのでそれを傘にしましょう
(直立し目を閉じて祈るようなポーズをした後{渦流の旋律}で『ダンス』を始める)
土から生まれたのなら水に溶けるはず
きっと埴輪を防いでくれるでしょう
(UC【蠱の影】を発動し体は水でできた全身に渦が発生している巨人が{渦流の旋律}を踊りながら召喚される)
私の動きをトレースするというのは、自分のダンスの粗が突きつけられるようでダラキュですが
これも勉強、どうってことないです



●埴輪の雨を描ける兄妹
「こんな世界の終わり方もあるのですね……」
「槍とかじゃない分マシなんでしょうか?」
『結構な高さから落下してるから当たると痛いじゃすまないと思うわよ?』
 埴輪が降り注ぎ更に地面に激突した埴輪が跳ね返って木や岩等に激突を繰り返す。
 そんな異様な光景に播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)と黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)の兄妹は一瞬目を丸くし、其れに対し黒影の頭の中に寄生する教導虫の「せんせー」が黒影に忠告する。
「うっ……そうですね、せんせー」
「ええ、浸っている場合ではありません、止めないと」
『さて、どうする?』
「そうですねぇ……」
 黒影はユーベルコードを用い脳内の思考領域を活性化。
 『せんせー』と共に自身の脳内で作戦会議を行い始める、
 そして、暫く脳内で対策を練っていると黒影の袖をくいっくいっと誰かが引っぱってくる。
「ん?何クロリア?」
「あにさん、私がユーベルコードで巨人を造るので其れを傘にしましょう」
「成程……それなら、さっき迄こっちが考えてた作戦を流用すれば確実に防ぎきる事が出来そうかな?
 壁や木に激突して横から跳ね返って来る埴輪は気の障壁でカバーして―――」
 クロリアの作戦を聞いた黒影は即座に先程迄考えていた作戦を流用する事で其の作戦を補強する事を思いつき、クロリアに説明。
 其の侭、黒影はクロリア、そして頭の中の『せんせー』と共に話し合い、更に細かい所を詰めていき、作戦を開始する。
『よぉし、行ってみよう!』
「おーっ!」
「おー!」
 そして、作戦は始まった。
 先ず動くのはクロリア。
 彼女は直立し目を閉じると何かに祈る様な動きをする。
 そして、其の侭、全てを薙ぎ払う大渦の激しさと岩の中をすり抜ける水の流れの穏やかさ、水の持つ剛と柔を表現したリズム、渦流の旋律に合わせ踊り始める。
 時に激しく、時に緩やかに……其れを観るあらゆる者を鼓舞し惹き付ける其の踊りは人ならぬ者すら魅了し……水の身体の渦の巨人を此の地に召喚する―――。
(土から生まれたのなら水に溶ける筈。
 きっと埴輪を防いでくれるでしょう)
 己の踊りに合わせ踊る巨人の姿を見上げクロリアはそう心の中で考える。
 事実、巨人に激突した埴輪は其の侭巨人の身体に飲み込まれ、渦に入り込んで粉々に。
 其の侭巨人の身体の中に溶け込んでいっている。
「私の動きをトレースするというのは、自分のダンスの粗が突きつけられるようでダラキュですが、此れも勉強、どうってことないです。
 行きましょうあにさん」
「ああ!」
 そして二人は埴輪の豪雨を突き進む。
 時には岩にぶつかった埴輪が跳ね返って巨人でカバーしきれない真横から突っ込んでくるが其れは黒影が対応。
 気の障壁で其の勢いを殺し、念の力でヘリの回転翼の様に高速回転させた錨虫により大空高く打ち上げる。
 そして其の侭、黒影は巨人でカバーしきれない動きをする埴輪を気の障壁と高速回転させた錨虫によって的確に防ぎ凌いでいくフォローを続行。
 二人で埴輪の雨が降る中を駆けていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『埴輪妖怪』オージとヒーンベ』

POW   :    だいじょーぶ、オージにまかせて
自身の【カタストロフに発展するほど騙され易い性格】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    ヒーンベ、いっしょにがんばろうよ
【コミカルなのにやたらと威力のある】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【いつもお腹を空かせてるヒーンベ】の協力があれば威力が倍増する。
WIZ   :    ふぇー、むずかしくてわかんないよー
【小難しいことを言われても理解できない困惑】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は黒玻璃・ミコです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●また離れ離れになりたくなくて
『来てしまったか……もう少し話したかったが、まあ、仕方な「ダメー!!」オージ?』
「はにゃ!スクネおにーさんは連れてかないで!」
「そうですぞ!それがしはもっとノミノ殿と一緒に居たいのです!!」
 やってきた君達の存在を確認し苦笑いと共に自分が還る事を受け入れようとした骸魂。
 だが、其れに対し埴輪妖怪の主従は涙ながらに抵抗しようとする。
 しかし、彼等を止め骸魂を還さなければ世界は滅んでしまう為、彼等は止めなければならない。
 君達は彼等主従を止める事が出来るだろうか。



※今戦闘ではOPでも触れましたが説得をする事で戦いの難易度を下げる事が可能となっております。
 ただ埴輪妖怪の主従、オージとヒーンベは精神年齢的には子供なので理屈よりも感情に従う面が強いので説得は難しいですが逆に骸魂は比較的温和なのと今の自分の状態が異常な事に気付きかけている為、説得は割りと簡単です。
 特に埴輪妖怪の主従の安全などを絡めると効果的でしょう。
 但し、彼はあくまで骸魂なので自らの意思で還る事はできませんので戦わなければ還す事はできません。
 なので、説得する場合、戦い方も書いて頂けると助かります。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。
不動なる者「必要なら武器は貸すが、終わりまで一人でやりきれ。我らは黙る」

というわけで引き続き『侵す者』

まとめ役な兄者(慕ってそう呼んでる。血の繋がりはない)に言われては仕方ない…。
まあなあ、今の状態は似ておるのよ。立ち位置が違うだけで。
似ているが故に聞くが。お互いの姿を視認できるか?声は聞こえども姿は?
わしらか?UCで分身しても姿同じになるしの。大半『疾き者』の姿だぞこれ。
それに、このままだとオージとヒーンベの暮らしている場所もなくなるであろうな。それは悲しいことぞ。

攻撃は黒燭炎での2回攻撃だの。
UCは極力使わんようにする。
防御には四天霊障を使うが…うむ、やはり見えぬ。



●似ているが故に止める
『必要なら武器は貸すが、終わりまで一人でやりきれ。
 我らは黙る』
(まとめ役な兄者に言われては仕方ないな)
 四人で一人の複合型悪霊である馬県・義透(多重人格者の悪霊・f28057)。
 その内の一人の『侵す者』は慕い兄者と呼ぶ『不動なる者』の言葉に頬をかく。
 そして、そんな彼の視線の先には陶器の剣を構え、ヒーンベに跨ったオージの姿。
「スクネおにーさん。だいじょーぶだからオージに任せて!」
「ですぞー!」
『オージ、ヒーンベ?!』
 『侵す者』が現れた事に気付いたオージは止めようとするスクネの言葉を振り切ってヒーンベを駆って『侵す者』に向かって一直線。
 陶器の剣を彼に幾度も振り下ろすが技量もへったくれもないオージの剣は容易く見切られ、其の全てが『四天霊障』を変換した障壁によって防がれる。
 勿論ただ防ぐのではなく手に持つ槍、黒燭炎による反撃を行うのも忘れない。
「はにゃー……全然当たらないー!」
「ふにゃ!こっちばかり攻撃されてずるいですぞー!」
『いや、確かに此方しか攻撃を喰らってないが……これは……』
 まあ、ユーベルコードを用いずにあくまで通常の攻撃で、だが。
『何故だ。何故ユーベルコードを使おうとしない?!』
「まあなあ……お主等の今の状態はわしらに似ておるのよ。
 立ち位置が違うだけでな」
 スクネの問いに対し『侵す者』は困った様な笑みを浮かべてそう応える。
 現状のオージとヒーンベは骸魂、つまり死者であるスクネと一体化しているが『侵す者』達も四人の死者が合わさった存在。
 そういう似通った面がある事もあってか、猟兵とオブリビオンという立場が違うだけで自分達と何処が違うのだと彼等は思ってしまったのだろう。
 又、オージがスクネをおにーさんと慕っているのも『侵す者』にとっては『不動なる者』を兄者と慕う自分と重なってしまったのかもしれない。
 だからか『侵す者』はオージ達に問いかける。
「似ているが故に聞くが、お互いの姿は視認できるか?
 声は聞こえども姿は?」
「はにゃ?スクネおにーさんの姿は見えないけどそれの何が問題なの。
 そりゃあ目を合わせて話せないのは残念だけど。
 そんな事聞くなら、そっちこそどうなのさ」
 『侵す者』の問いに対し剣を振るいながら答えつつオージは逆に問い返す。
「わしらか?
 わしらはユーベルコードで分身しても同じ姿になるのう。
 大半は『疾き者』の姿だぞ此れ」
『大半は、と言う事はそうでない部分もある、と言う事かい?
 ……君達に私が似ているというのなら……私もオージ達を侵食してしまうのだろうか』
「さて?じゃが基本骸魂は憑りついた者と一体化した見た目になるのが大半じゃな」
 自身が望まない、二人を侵食し変貌させてしまう可能性に気付いたスクネの問いに対しオージの攻撃をいなしながら『侵す者』はそう応える。
「まあ、浸食云々を抜きにしても此の侭だとオージとヒーンベの暮らしている場所は無くなるであろうな。
 其れは悲しいことぞ?」
『……二人の暮らしている場所……。
 そうなったら二人の友人も……そうしたらオージもヒーンベもどんなに泣いてしまうか!
 そんな事、私は……!!』
 決して望まぬ未来に思い至りスクネはショックを受け言葉に詰まる。
「はにゃ!よく判らないけど、スクネおにーさんを虐めるなー!!」
「そうですぞー!」
「別に虐めた訳ではないんじゃがなあ」
 そんなスクネの状態に難しい事は分らないオージとヒーンベは単に『侵す者』がスクネに酷い事を言ったと思い込み『侵す者』に猛然と襲い掛かる。
 其の後は幾ばくかの言葉をかけただけに終わったが、自分がオージ達と共にいる事で彼等を歪めかねない事、二人の今を、自分以外の友を奪いかねない事。
 其の事に『侵す者』の言葉により気付いたスクネは迷い始める事となる。
 そして、其れは世界の崩壊を防ぐ第一歩となるのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒影・兵庫
【蜂皇族】
あの埴輪妖怪の方の説得は無理でしょうね
(「諦めが早すぎない?もっと粘らないと」と頭の中の教導虫が窘める)
いや、俺に置き換えたら、せんせーと離れることを納得しろと
言っているに等しいです
なので説得は無理です
(「...」)
ですから骸魂を説得しましょう
クロリア、相手の心を鎮めるようなダンスをお願い
俺の方は...
(UC【穿つ言霊】を発動し羽音のない鈴虫を召喚する)
言霊兵さん!俺の言葉を言霊に変えて骸魂にぶつけてください!
(武器を捨て危害を加えないことをアピールしながら話しかける)
『貴方が埴輪たちから離れてくだされば世界の滅亡を回避できます。埴輪たちの未来のため、還っていただけないでしょうか?』


播州・クロリア
【蜂皇族】
リクエストされて踊るというのは新鮮です
お任せください、あにさん
全身全霊を持って心安らぐリズムをお届けします
(直立し目を閉じて両腕で自分を抱きしめるようなポーズをした後{白銀の旋律}で『ダンス』を始める)
別れた大切な人とまた出会えた喜び
そしてまた別れることへの恐怖
きっと埴輪のお二人は心が嵐のように
かき乱されていると思います
会話ができるこのひと時を
後悔残さずに語りつくせるよう
このリズムを捧げさせていただきます
(UC【蠱の一念】発動)



●舞い鎮め凪いだ心に言霊を
「あの埴輪妖怪の方の説得は……無理でしょうね」
『あきらめが早すぎない?もっとねばらないと』
 埴輪の豪雨を抜けた先で見つけたオージ達を一瞥しつつ嘯いた黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)に彼の頭の中に住まう『せんせー』はそう返す。
「いや、俺に置き換えたら、せんせーと離れることを納得しろと言ってるに等しいです。
 なので説得は無理です」
『……』
 だが黒影の返事を聞いて確かに自分に置き換えてみると其れは難しいと納得してしまったのだろう。
 黒影の事をとても大事にしており割りと子離れが出来てない方な『せんせー』は返す言葉もなく押し黙ってしまう。
「ですから骸魂を説得しましょう。
 クロリア、相手の心を鎮めるようなダンスをお願い」
「リクエストされて踊るというのは新鮮です。
 お任せください、あにさん。
 全身全霊を以って心安らぐリズムをお届けします」
 そして、黒影は共に行動していた妹の播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)にそう願い、クロリアも又其れに応え行動を開始する。
「はにゃ!又来たの?!」
「ええ、来ました。世界を、そして貴方達自身を救う為に」
 クロリアは警戒するオージの前にまっすぐと立つと両腕で自分を抱きしめ、踊り始める。
 其の美しい舞いと共に流れるのは静寂と純真のリズムに彩られた雪の如き白銀の旋律。
「ふにゃ……随分と綺麗ですぞー……」
 しんしんと降り積もる雪と朝日に照らされ光り輝く雪原を表現した其の音階に合わせて踊るクロリアの姿は見る者の目を惹き、魅了する。
(別れた大切な人と又出会えた喜び。
 そして又別れる事への恐怖……きっと埴輪のお二人は心が嵐の様にかき乱されていると思います)
 クロリアは舞い踊りながらオージ達の心の内を想う。
(会話ができる此のひと時を後悔を残さずに語り尽くせる様に……此のリズムを捧げさせて頂きます)
 少しでも彼等があの時こうしていれば良かったと思う事が無い様に、あの時は又敢えて嬉しかったと又話せて楽しかったと笑顔で思い出せる様に……そんな願いを籠めて彼女はただ只管に祈り踊る。
「はにゃ……綺麗……」
『ああ、綺麗だなオージ……』
 其の思いが伝わったのか、それとも只クロリアの舞が余りにも美しすぎただけなのか。
 警戒し波立っていたオージ達の心は静寂に満ちた雪原の様に静かに落ち着き、クロリア達より前に顕れた猟兵の言葉に惑っていた骸魂、スクネの心も落ち着いていく。
 そして、其れは此れから動く黒影、彼女の兄の行動を大きく助ける事となる。
「ありがとうクロリア。
 それじゃあ次は俺が頑張る番だね」
「はにゃ?!何か鈴虫が周りに増えてる?」
「ふにゃ、それも驚きですが其の前に男の猟兵がこっちに近付いてきてますぞ?!」
 ヒーンベの視線の先には何時も使う警棒も錨虫も傍らにおき、武器を捨て危害を加えないという事をアピールしながら近づいてくる黒影の姿。
 そして、彼の傍には彼が呼び出した言霊兵と呼ばれる羽音のない鈴虫たち。
「はにゃ!其れ以上近付いたらだめだからねー!
 君達猟兵は素手だからって強いんだから!」
『君が何を考えているかは判らないが、戦うつもりがないのなら此れ以上近付かない方が良い。
 オージ達を刺激しかねないからね』
 そして、そんな黒影にオージ達は戸惑い、警戒しつつ声をかける。
「ええ、判りました。此れ位近付ければ話すには十分ですしね」
(そう、此れだけ近付けば言葉を伝えられる。
 言霊兵さん!俺の言葉を言霊に変えて骸魂に、スクネさんにぶつけてください!)
 そして、黒影はオージとヒーンベを刺激しないように傍らの言霊兵達に無言で指示。
 其の侭、彼等を介し羽音で反響させ威力を増幅した言霊、黒影の想いをスクネを狙い撃って解き放つ。
⦅貴女が二人から離れてくだされば世界の滅亡を回避できます。
 二人の未来の為に還っていただけないでしょうか?⦆
(此れは私だけに、かい?……やはり私が居ると二人の今を奪ってしまうんだね)
 急に掛けられた声に骸魂、スクネは驚きはするもののクロリアの舞によって高まる心が鎮められた事もありオージ達に気取られぬ様に表に出さずに冷静に対応。
 そして其の侭二人は話し始める。
⦅ええ……貴方の事を二人は本当に慕ってます。
 だから二人に此の事を伝えても聞き入れて貰えないでしょう。なので……⦆
(ああ。オージもヒーンベも抵抗するだろうね。
 ……再び会えた事が嬉しかったけれど、ずっとそうしてもいられない、か)
 心の壁を穿ち剥き出しのスクネの心に直接訴えてくる黒影の言葉に彼は寂しげに笑いながら自分が去る事に同意。
 但し自分は骸魂である為に自ら去る事は出来ず力を抑える事しか出来ない。
 なので結局のところ戦いで自分やオージ達に勝たなければ自分は還れないのだとスクネは言う。
(まあ、其の辺りは次にくる猟兵達に願うしかないのかな?
 ああそうだ。もし可能だったら、で良いんだが……君に、君達に一つ頼みごとをしても構わないかい?
 多分、オージもヒーンベも泣くだろうし、慰めてやってほしいんだ)
 自分はもう彼等の傍にいる事は出来ないから、君達猟兵に頼むしかない、と悲し気にスクネはそう言ったのだという―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。

引き続き『侵す者』
…すまん、UC一つ貸して。
疾き者「仕方ありませんねー」

さっきの疑問に答えるか。
『疾き者』って、本来髪色は銀灰色でなぁ。つまり、色は三人が侵食しておる。わしは橙色な。
(白&身長は『静かなる者』、黒&瞳の色は『不動なる者』)
UC使わなかったのは、わしの対応UCが地形破壊を引き起こすからだの。
ここを壊したくない。一時とて、三人で語り合った大切な場所であろ?

で、だ。さっき一つのUCを戦友より借りた。これを共に見た、最後の風景にするがよい。攻撃対象は『スクネ』殿よ。
さっきとは違い、こちらへの攻撃は甘んじて受けよう。

ただ安らかに骸の海へ返るとよい。



●そして彼は骸の海へと還る
(すまん、UC一つ貸して)
『仕方ありませんねー』
 馬県・義透(多重人格者の悪霊・f28057)、否、『侵す者』は内に籠った状態の同胞たる『疾き者』に願い、『疾き者』は其れに応える。
『君は先ほどの……成程、トドメは君がさしてくれる、と言う事かな』
「はにゃ!ダメ、ダメだからね!」
 目の前にいるのは覚悟を決めた気配を漂わせたスクネと其れでも諦めきれないオージとヒーンベの姿。
 其れを見据えながら『侵す者』はスクネへと声をかける。
「さっきの疑問に答えるか。
 『疾き者』って本来髪色は銀灰色でな。
 つまり、色は三人が侵食して居って、わしは橙色でな」
 又、今回は言ってないが髪の白い部分と背の高さは『静かなる者』、髪の黒い部分と瞳の色は『不動なる者』だそうで色々と混ざり合っているらしい。
『成程、髪の色が、か。
 ……だが、私の場合は其の程度で済む事はないだろうな』
 『侵す者』の答えにスクネは完全に覚悟を決めたのだろう。
 抵抗しようとしていたオージの動きは目に見えて鈍っているのが見て取れた。
「は、はにゃ!スクネおにーさん、何で!
 僕達は其れでもスクネおにーさんがいるのなら!」
「そうですぞ!!混ざる位なんでもないですぞ!!」
『そう言ってくれる二人だからこそ、嫌なんだよオージ、ヒーンベ』
 オージとヒーンベはスクネに自分達は融合しても構わないともっと一緒に居たいと言い、スクネはそんな二人だからこそ骸魂と化した自分が穢すのは嫌だと、死者はもう帰る時だと説得する。
 そして、そんな二人と一匹に対し『侵す者』が語り掛ける。
「そういえば、ユーベルコードを使わないのかと聞いたが……わしの用いるユーベルコードが地形を破壊する威力の物ばかりだからでな。
 一時とて三人で語り合った大切な場所を壊したくない、という想いがあったのよ」
 其の言葉と共に『侵す者』の手に持つ槍が徐々にほどけ、無数の紫色の花びらへと変じていく。
「で、だ。さっき一つのユーベルコードを戦友より借りた。
 これを共に見た、最後の風景にするが良い」
『此れはオニバス、か……』
「綺麗……」
「本当に美しいですぞー……」
 紫の花が舞い散る其の光景は現実の物とは思えぬ美しさであり、スクネだけでなく抵抗しようと足掻いていたオージとヒーンベさえ其れに見惚れて足を止める。
「スクネ殿……ただ安らかに骸の海へ帰るとよい」
『……ああ……本当に素晴らしい冥途の土産だ…ね……ありが…とう……オージ……ヒーンベ……楽し……か……』
 そして、其の花びらに誘われスクネは黄泉の旅路へと旅立っていく。
「スクネおにーさん!?やだよ!いっちゃヤダ――――!!」
「そうですぞ!!未だ一緒に!!」
『此れで……良い…んだ……二人は…今を……大事に…元気で、ね……』
 オージとヒーンベに優しくそう言うと骸魂、スクネは消えていった。
 何より大切だった一人と一匹の友を遺して―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『真夏の夜、妖怪相手に怪談話!』

POW   :    寿命が縮みそうなこわい話をする

SPD   :    背筋が凍るようなこわい話をする

WIZ   :    わかるとこわい話をする

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●前を向き歩く為に
「たっく、オージもヒーンベも俺等がどうなるか考えてなかったってんだから困ったもんだよなあ」
「ふふ、でも其れもあの二人らしいといえばらしいじゃないですか」
「ま、確かにな。未だへこんでるみたいだし、怪談話をして気分転換させてやらないとな」
 本当にあいつ等は仕方ないなあ、でもあいつらが笑ってないと調子狂うしよ、等と笑って言いながら妖怪達は怪談の会の準備を行っている。
 皆、オージやヒーンベと仲のいい妖怪達。
 君達は彼等やオージ達を相手に怪談を話しても良いし、他の形でオージ達を励ましてもいい。
 妖怪達も君達に協力してくれるだろう。
 オージとヒーンベを慰める事さえすれば何でもあり、という事だ。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。
引き続き『侵す者』。

怪、談…?(一人でやりきれ言われたので、必然的に話すのも彼である)

わしが10の頃な。寝ていたら、半透明の腕が畳から生えて、わしのことを掴みおって。
それが毎夜毎夜なので、安らかに寝たいわしは『向こうが掴めるなら、こちらも掴める』理論で掴んで引っこ抜いていた。
で、ある日。寝ていたら頭の両脇の床から赤黒い腕が生えてきてな。これに捕まったらマズイと本能がな。
だから、『先に捕まえて、起き上がる勢いを助けに引っこ抜いて投げた』。以降、腕は生えてこんかった。
親玉だったんだろうの。

※養子に行くきっかけ話。基本、魔を断つ家に養子に行った『侵す者』の話はこんなの。


ヘスティア・イクテュス
【天花】
オカルト…霊…そういうのはどうも苦手ね
怖いとかじゃなくて不確かさがね?


怖い話…(お茶請けを出し)
そうだね…ミャーソってリゾート艦があってね?
そこの艦のソーセージってすごい美味しくて人気だったらしいのよね…

けれど、そこは実は精肉工場の艦で客はひっそりと加工されてたのよ
その時に余った皮で船員が加工した客になりすましてたらしいわよ…そして地位を手に入れ他の人を艦に誘導するってね…?


そういえば…お前達の食べた肉…彼女の腸詰めなんだけど味はどうだったか?(アベルを使った違う声への変声)
そして自身は光学『迷彩』で最初から姿を隠しホログラムの自身を不気味な声で笑いながら消える

どう?怖かったかしら?


栗花落・澪
【天花】

飛び入り参加も大丈夫かな
霊感は強い方だから

あ、そんな事言ってー
ビビっても知らないからね?

その日は任務があって、結構疲れててさ
帰ってすぐ寝たんだよ、僕
なのに耳元で響く大きい音と
妙な肌寒さで目が覚めてね

夢かとも思ったけど
覚えのある嫌な気配を感じたから

僕が聞いてたのは踏切の音
いつのまにか線路のど真ん中に倒れてた
慌てて立とうと思ったけど立てなくて
見たら女の人が足首を掴んでるんだよ
電車も近づいて来るし
久々に死を覚悟したね

無事だったのは両親に貰ったお守りのおかげ
熱と共に体が軽くなった瞬間線路から飛び出した
これが僕の話

さーヘスティアさんの話も聞かせてもらおうか?
僕は怖がらないよ、男だからね(どや



●第四夜『床から生える腕』
「怪、談……?」
「おう、怪談だぜ。おっさんはどんな話を聞かせてくれるんだ?
 あ、参加してくれるなら別に聞くだけでも構わないぜ?」
 四人の悪霊の集合体たる馬県・義透(多重人格者の悪霊・f28057)。
 一人でやり切れと言われた事もあって、其の代表として怪談の会に参加する事になった『侵す者』に蝋燭をセットしていた五徳猫がフォローする様に話しかける。
「ああいや、大丈夫じゃぞ?うん」
「そうか、それじゃあ楽しみにしておくぜ!」
 そう言うと五徳猫は蝋燭のセットに戻っていく。
 そして、暫くすると準備も終わりオージ達を励ます為の怪談の会は始まっていく。
 そして、其の内に『侵す者』の番が回ってくる。
「……これはわしが10の頃の話じゃ……」
 其れは未だ『侵す者』が四人の悪霊の集合体たる馬県・義透となる遥か前、未だ彼が幼い頃の話。
「……其れでわしが寝ていたら半透明の腕が畳から生えて、わしのことを掴みおってな?」
「はにゃ?!そ、それでどうなったの?!」
「ふにゃ!首を絞めてきたとかですかな?!」
「いや、だったらおっさん生きてねぇだろ?
 あー、でもおっさん霊みたいだし死んでても可笑しくないのか?」
 『侵す者』の醸し出す雰囲気も相まって出だしは好調。
 怪談の会に参加した妖怪達は好き勝手に言葉を連ねていく。
「まあ首を絞めたりはしてこんかったし、この頃は生きて居ったぞ?
 ただまあ其れが毎夜毎夜なので、安らかに寝たいわしは『向こうが掴めるなら、こちらも掴める』理論で引っこ抜いていたんじゃよ」
「はにゃー?!何それ凄い?!」
「ふにゃ!よくそんな事ができましたな?!」
「稲生武太夫でも当時16歳だぜ。すげーなおっさん……」
 恐ろしい腕がどう恐ろしい真似をしてくるのか戦々恐々としていた聞き手達は10歳の子供とは思えぬ其の行いに驚愕しきり。
 だが、その後も彼等を更なる驚きが襲う訳で……。
「で、ある日。寝ていたら頭の両脇の床から赤黒い腕が生えてきてな。
 これに捕まったらマズいと本能が警鐘を鳴らす訳じゃな」
「はにゃ!其れで其れでどうなっちゃうの?!」
「きっと恐ろしい事態が起きるんでしょうなあ」
「いや、このオッサンの場合どうだろうなあ……」
 先程迄語られていた当時の『侵す者』の力強さが逆に此れだけすごい人が拙いと思うなんてどんな凄い事になるんだろう等と思って聞き手達はワクワクしながら続きをせがんでくる。
「だから、『先に捕まえて、起き上がる勢いを助けに引っこ抜いて投げた』。
 行こう、腕は生えてこんかったし親玉だったんだろうの」
 そう言って語り終えると『侵す者』は自分の目の前の蝋燭の火を吹き消す。
「えええええええ?!!!」
「こう、凄いと言えば凄いですが?!」
「うん、怖いっちゃ怖いがオッサンが怖いわ。
 俺も人間、特に猟兵おどろかす時は気を付けるわ、うん」
 そして、怖い話というには少しツッコミ処はあったものの、『侵す者』の話は其れでも聞き手達に大いに受けて場は大盛り上がりで終わったという。
 因みに此の事件、別に作り話でも何でもなく『侵す者』が魔を断つ家に養子に行くきっかけとなったお話だそうである。

●第七夜『線路で足を掴む女』
「オカルト…霊…そういうのはどうも苦手ね。
 怖いとかじゃなくて不確かさがね?」
「僕はそういう所が面白いと思うんだけどなあ。
 あ、飛び入り参加も大丈夫かな?
 霊感は強い方だから自信ありだよ」
 そう言ってやってきたのは青い髪の少女、ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)と琥珀色の髪の少女……に見える少年、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)。
「はにゃ、勿論大丈夫だよー!」
「しかし、霊感が強いなあ」
「あ、そんな事言ってー。
 ビビっても知らないからね?」
 二人の申し出にオージは快諾。
 五徳猫がちょっと前に話した元本職の悪霊の事を思い出して又怖い話?だったりするのかと余計な心配をして其れを澪が疑ってると誤解したりする一幕も在ったりしたが、早速澪に語って貰おう、と言う事となった。
「其の日は任務があって、結構疲れててさ……。
 帰ってすぐ寝たんだよ、僕。
 なのに耳元で響く大きい音と妙な肌寒さで目が覚めてね……」
 そして、ゆっくりとした語り口で雰囲気を盛り上げながら澪は怪談を語り始める。
「はにゃ!それでそれで?目が覚めたら何が居たの?」
「おお、此処迄は真っ当な怪談ですな!」
「いや、その反応、一体私達が来る前にどんな怪談が在ったのよ……」
 其の出だしは真っ当に怪談らしい流れで聞き手の期待も上々の反応。
 その反応を見て澪は更に言葉を連ねていく。
「夢かな、とも思ったけど覚えのある嫌な気配を感じたから……僕が効いていたのは踏切の音。
 いつの間にか線路のど真ん中に倒れてたんだ……。
 見たらね、女の人が足首を掴んでるんだよ……。
 電車も近付いてくるし、久々に死を覚悟したね」
 当時の事を思い出したのだろう。
 澪は体を震わせる。
「はにゃ!?こ、怖いね、其れ……其れでどうなったの?」
「ふにゃ……此れは最後迄聞かないと夜眠れなさそうですな……」
 そして、聞き手達も其の語りの迫真具合にもし自分達がそんな状況に陥ってしまったら、と怖がっていく。
「へぇ……でも無事だったのよね?
 どうやって助かったの?」
「ああ、無事だったのは両親に貰ったお守りのお陰。
 熱と共に体が軽くなった瞬間、線路から飛び出したんだ。
 これが僕の話だよ」
 そう言うと澪は自分の目の前の蝋燭を吹き消していく。
「はにゃー……無事で本当に良かったねえ!」
「ふにゃ、しかしお守りが無ければ大ごとでしたな!」
「しかし、対策を練りにくいのは困りものね。
 ああ、お疲れ様。語り疲れただろうし御茶でも飲む?」
 澪の話は大好評で聞き手達は大盛り上がり。
 ヘスティアが差し出したお茶を飲み御茶請けの腸詰めを楽しみつつ、そんな彼等の姿を澪は満足気に微笑んだ。
「さー、ヘスティアさんの話も聞かせてもらおうか?
 僕は怖がらないよ、男だからね」
 そして澪はどや顔でヘスティアに話を振っていく。
 其処にどんな恐怖が在るかも知らずに……。

●第八夜『入れ替わりの艦』
「判ったわ。……怖い話……そうだね。
 ……ミャーソってリゾート艦があってね?
 そこの艦のソーセージって凄く美味しくて人気だったらしいのよね」
 そして、そんな澪を一瞥し、淡々とした語り口でヘスティアは語り始める。
「はにゃ、リゾート艦?どんな所なのかな?」
「ふにゃ、噂に聞く宇宙世界の船ですかな?」
「へぇ、スペースシップワールドの話なんだ」
 ヘスティアの語り口は淡々としており、だからこそどんな怖い話が出てくるだろう、と聞き手達はワクワクしている様子。
「そうね、スペースシップワールドの話よ。
 けれど、そこは実は精肉工場の艦で客はひっそりと加工されていたのよ。
 其の時に余った皮で船員が加工した客に成りすましてたらしいわよ……そして地位を手に入れ他の人を艦に誘導するってね……?」
 余りにも恐ろしい内容でありながらヘスティアの語り口は淡々としており、だからこそ聞き手の恐怖心を煽っていく。
「は、はにゃ?!そ、ソーセージ?!」
「ひ、人の肉を、ですと?!」
「は、ははは……此の御茶請けも怪談を盛り上げる小物だったんだね」
 特にヘスティアが差し出した御茶請けの腸詰を食べていた面々の怖がり具合は相当な物で顔色も真っ青で今にも卒倒しそうな様子であった。
「そういえば……『お前達の食べた肉……彼女の腸詰なんだけど味はどうだったか?』」
「「「「「うわあああああああああああああああああ?!!!!」」」」」
 急に男の声の声に変った挙句、ヒーヒッヒッヒ、と不気味な声を挙げながらヘスティアは消えていく、という事態に会場は阿鼻叫喚の状態に。
 澪を始め参加していた猟兵達は周囲を警戒したりしたのだが……。
「どう?怖かったかしら?」
 全てはヘスティアによる恐怖を煽る演出。
 男の声に変ったのはAIによる変声であり、最初からいたヘスティアはホログラム。
 彼女自身は光学迷彩で姿を隠していたのだという。
「はにゃー……凄い驚いたんだなー」
「ふにゃ、本当に心臓が止まるかと思いましたぞ?」
「う、うん。ちょっと凄すぎたよね……」
 とはいえ、其処迄して演出した彼女の怪談は、全て演出と判った後は大好評。
 皆、淡々とした語り口が怖かった、あの肉を食べてしまったかと思って卒倒しそうになった等と大盛り上がり。
 その後も怪談の会は大盛り上がりでオージとヒーンベは実に愉しそうであったという―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒影・兵庫
【蜂皇族】
ひとまず世界の危機は回避できたけど
あの埴輪二人、かなり落ち込んでますね
(「励ましたいけど、なんて声を掛ければいいのか...」と頭の中の教導虫が困った様子で声を零す)
うーん...ん?何?クロリア
踊ろう?
...そうだね!俺たちだけじゃなくて
他の妖怪のひとたちも誘おう!
あの骸魂のひとが俺たちを信じて残してくれた未来です!
明るくぱぁっと夜空のように
キラキラ輝く未来にしましょう!


播州・クロリア
【蜂皇族】
(黒影の服をつまんで、くぃっと引っ張って話しかける)
あにさん、踊りましょう
踊り好きな私の言葉ですから
あまりピンと来ないかもしれませんが
踊っていれば周りが楽しさに包まれていくのです
(目を閉じ、すっと手を真横にピンと伸ばすと{絢爛の旋律}で『ダンス』を始める)
悲しみは消えませんが
大切な思い出として昇華させるために
まずは心を陽光のような優しさで温め癒しましょう



●どう励ますか
 ここで一旦、時間は少し前に戻る。
「一先ず世界の危機は回避できたけど、あの埴輪二人、かなり落ち込んでましたよね……」
『励ましたいけど、なんて声をかければいいのか……』
 事件そのものは解決したものの打ちひしがれていたオージとヒーンベの姿を見て黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)は頭の中に住む『せんせー』と頭を捻らせる。
 暫くそうして悩んでいると彼の服を誰かがつまんで引っ張ってきた。
「うーん……ん?何、クロリア?」
 黒影が後ろを振り向くとそこには彼の妹の播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)の姿。
「あにさん、踊りましょう。
 踊り好きな私の言葉ですから余りピンと来ないかもしれませんが、踊っていれば周りが楽しさに包まれていくのです」
「踊りかあ。
 ……そうだね!俺達だけじゃなくて、他の妖怪のひとたちも誘おう!」
 そう言う事になった―――。

●そして彼等は前を向いて歩きだす
「はにゃ、踊りかあ。僕踊りは盆踊り位なんだけど」
「ふにゃ、そもそもそれがしは馬ですしなあ」
「まあ、其れならそれでやりようがあるんじゃね?」
 怪談の会が終わった後の余興に、という形で踊るという事になりオージとヒーンベ、其れに彼等の友人で怪談の会に参加していた五徳猫等、幾人もの妖怪達が集まった。
 元々彼等は愉しい事が大好きな性質。
 先程迄してた怪談が非常に怖いのがそこそこあった事もあって、体を動かして恐怖を吹き飛ばしたかったようだ。
 そして、そんな彼等が見守る中、お手本担当のクロリアは目を閉じ、すっと手を真横にピンと伸ばすと、流れるリズムと共に踊り始める。
 流れるのは絢爛の旋律、蒼天に輝く太陽と陽光に照らされ輝く大地を表現した栄華のリズム。
「はにゃ、何だか前を向いて歩こうって感じがする曲だね!」
「ええ、とてもいい曲ですぞ!」
 怪談の会を楽しみ多少元気を取り戻した二人には其の曲はとても良い印象を与えた様で、楽しそうな表情を浮かべているのが見て取れる。
 二人の友人の妖怪達も黒影やクロリアも其の姿を見て、ほっと一安心。
「ええ、悲しみは消えませんが大切な思い出として昇華させるために、まずは心を陽光のような優しさで温め癒しましょう」
「はにゃ……思い出に昇華かあ」
 踊りながら語り掛けてきたクロリアの言葉にオージは少し踊る手を止めて考えこむ。
 オージとヒーンベの友人達や猟兵達は落ち込んだ二人を励ます為に怪談の会を盛り上げてくれたし、こうして黒影とクロリアも踊ろうと誘ってくれた。
 其の優しさはスクネおにーさんが居なくなった痛みを癒してくれているけれど、其れは決してスクネおにーさんの事を忘れた訳じゃあないんだ、と。
「あの骸魂のひと、スクネさんが俺達を信じて遺してくれた未来です!
 明るくぱぁっと夜空の様にキラキラ輝く未来にしましょう!」
「ふにゃ、遺してくれた未来、ですか」
 納得ずくで消えていったノミノ殿の姿がヒーンベの脳裏に浮かぶ。
 彼は最後迄自分達の幸せを祈っていた。
 確かに彼の事を思えば輝く未来にしていかないと又会う時に会わす顔がないんじゃないか。
 何となくオージとヒーンベ、一人と一匹の埴輪の主従は顔を見合わせる。
「ヒーンベ……」
「オージ……」
「頑張って前を向いて行こう?スクネおにーさんに恥じない様に」
「ええ、何時か又会う時に笑って話せるように、様々なお土産話を用意していきましょう」
 二人はそう言って笑い合う。
「はにゃ、其れは其れとして今は踊りを楽しもっか!」
「ふにゃ!そうですな、此れも良い土産話になりそうですしな!」
 そして、一人と一匹は踊る。
 今はもう会えない友に恥じない様に前を向いて歩く事を決意して―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月13日
宿敵 『『埴輪妖怪』オージとヒーンベ』 を撃破!


挿絵イラスト