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白雪姫は野心に踊る

#アリスラビリンス #戦後

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#戦後


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「――そう。オウガ・オリジンは死んだのね」

 アリスラビリンスを構成する『不思議の国』の1つ、白と黒の世界でその女は呟いた。
 豪奢でありながらも煽情的な意匠のドレスを身に纏い、誰もが目を奪われるような美貌に冷たい笑みを浮かべて。この世界の長たる『始まりのオウガ』の訃報を聞いた彼女は。

「ずっと幽閉されていれば、猟兵などに敗れることも無かったのに。無様なものだわ」

 その死を悼むでもなく、惜しむでもなく。愚かなものだと言わんばかりに蔑み嘲笑う。
 元よりオウガ・オリジンに対して忠誠心の類など一切持っていなかった。彼女が認める支配者とはただ1人、この世で最も美しく優れた自分をおいて他にいないのだから。

「まあいいわ。あの女が死んだのなら、私がこの世界を統べる時が来たということ」

 こんな小さな国ひとつで満足できるほど、彼女は謙虚ではない。荘厳にしつらえられた玉座から立ち上がった女王は、チェス盤のような床に跪いている配下のオウガに命じる。

「さあ行きなさい、この私、スノーホワイトの名の下に、全てを支配するのよ」

 「傲慢のスノーホワイト」は高らかに笑い、その忠実なる配下達は城外に散っていく。
 はじまりのオウガなき後も、オウガの支配に終わりはなく。傲慢なる女王に支配されたその不思議の国は、今だ色を奪われたままだった――。


「不思議の国を奪還しましょう。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵たちの前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「8月の迷宮災厄戦でオウガ・オリジンを倒したことで、アリスラビリンスにおけるオウガの支配体制は大きく揺らいでいます。今だこの世界に残されている"アリス"や愉快な仲間達のために、オウガに支配されている不思議の国を取り戻す絶好の好機です」
 オブリビオン・フォーミュラであるオウガ・オリジンを倒したからと言って、アリスラビリンスにいるオウガの全てが消え去ったわけではない。不思議の国に真の平和をもたらすには猟兵の力が必要だと彼女は語り、自らが予知したとある国について説明を始めた。

「リムが予知したのは『傲慢のスノーホワイト』と呼ばれるオウガが支配する不思議の国についてです」
 この不思議の国の特徴は、国中にある全てのものが白と黒のモノクロに染め上げられている、という点だ。町や建物といった人工物はもちろん、草花や獣たち、住んでいる愉快な仲間たちまで、何もかもが色のないモノクロームの世界なのだ。
「"色のある"例外はこの国を支配するオウガたちだけ。傲慢のスノーホワイトはその女王として、モノクロームの国の真ん中にある大きな城に居を構えています」
 "傲慢"と名のつくとおり、彼女は己の美貌と力に絶対の自信を持つプライドの高いお嬢様で、またそれに相応しい文武両道の実力者である。美貌による魅了の魔力や配下の召喚、童話「白雪姫」の物語になぞらえた強化など、そのユーベルコードは多岐にわたる。

「元は"アリス"だった彼女はユーベルコードに目覚めたことから己を特別な存在だと信じ、特別な自分が世界を治めるべきだと考えているようです」
 その行動原理はまさに七つの大罪がひとつ"傲慢"そのもの。七罪により歪められてしまった彼女は今や完全なオウガであり、オウガ・オリジンが倒れたのも自らがアリスラビリンスを支配する好機としか考えていない。討伐するより他に選択肢はないだろう。
「作戦としてはまず、アリスラビリンスにいる時計ウサギの力を借りて、ウサギ穴から直接敵の城に奇襲を仕掛けます」
 スノーホワイトの城にある玉座の裏には、城主さえも知らない「抜け穴」と言うべきウサギ穴が繋がっている。スノーホワイトはその傲慢さゆえに自らが奇襲を受けることなど考えてもいないため、確実に不意を討てるはずだ。

「強力なユーベルコードを操るスノーホワイトですが、誇り高く傲慢な性格のために隙も多く、そこを突いていけば勝機は十分にあるでしょう」
 あの強大な力を誇ったオウガ・オリジンさえ撃ち破った猟兵が、今にしてオウガ1人を倒せない理由はないだろう。モノクロームの国の主であるスノーホワイトを最初に撃破できれば、そこから先の作戦はかなり楽になるはずだ。
「スノーホワイトを倒したら、配下のオウガが集まってくる前に、国内にいる愉快な仲間たちと協力して不思議の国を改装していきましょう」
 スノーホワイトの配下は彼女の野望を叶えるために各地に散っており、国内で異変が起こってもすぐには気付けない。その間にモノクロームに染め上げられたオウガの王国を、明るく楽しい不思議の国へと塗り替えてしまうのだ。

「愉快な仲間たちも白と黒しかないこの国の現状には不満を感じているようで、新しく建てたい建物や植えたい草花などを提案すれば喜んで協力してくれるはずです。彼らと一緒に住み良くカラフルな不思議の国を作りながら、オウガに対する備えも行ってください」
 そうすれば配下のオウガが戻ってきても恐るるに足らず。モノクロームから改装された不思議の国では彼らも思うようには動けず、猟兵にとっては有利な環境で戦えるはずだ。
「オウガの悪意に歪められた世界を元に戻す機会です。どうかよろしくお願いします」
 そう言ってリミティアは説明を終えると、手のひらにグリモアを浮かべてアリスラビリンスへの道を開く。スノーホワイトの城まで案内してくれる時計ウサギは既に待機中だ。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回の依頼はアリスラビリンスにて、今だオウガに支配された「不思議の国」を解放すべく、オウガ達とその主を討伐するシナリオです。

 第一章では敵の城に繋がるウサギ穴を通って、いきなりボスである「傲慢のスノーホワイト」に奇襲を仕掛けます。
 相手は強敵ですが奇襲については想定していないうえ、配下も(ユーベルコードで呼び出す者を除き)全て出払っています。勝算は大きいと言えるでしょう。
 なお、ウサギ穴を先導してくれる時計ウサギさんは、猟兵を案内した後は死んだり大怪我をしない程度の応援に回ります。戦闘中の大きな貢献は期待できません。

 無事ボスを撃破できれば、第二章は不思議の国を改装するパートになります。
 オウガの悪意によってモノクロに染め上げられた世界を、愉快な仲間たちと協力して明るく楽しくカラフルな世界に作り変えましょう。ここでどんな国にするかによって、三章の展開にボーナスが入ります。

 三章は異変に気付いて戻ってきた、スノーホワイトの配下との集団戦です。
 敵は大群ですが、ここで勝利を収めればこの国を脅かす者はもういません。
 愉快な仲間とも協力して、悪いオウガをやっつけましょう。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『『七罪』傲慢のスノーホワイト』

POW   :    常時発動型UC『世界で一番美しい者』
【世界で一番の美しさによる魅惑の魔力 】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【美貌による魅了・洗脳効果と常時全能力低下】で攻撃する。
SPD   :    勇猛で忠実なる七人の小人(レジェンド・ゴブリン)
【高い戦闘力と殺戮技能を持つ七人の小人 】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    スノーホワイト・ストーリー(白雪姫の物語)
【全てを魅了し、虜にする世界一の美貌 】【毒林檎に込められた魔女の魔力と魔法技能】【王子の愛による超再生、不死能力と身体強化】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はフレミア・レイブラッドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

隣・人
「お姫様!!!隣人ちゃんと一緒に遊びましょうか!!!さあ。さあ。さあ。たとえばお姫様に相応しいのはこの席でしょう!!!」
飛び込むと同時に『拷問術』使用。傲慢なお姫様には滅茶苦茶に回転する椅子が望ましい
部位破壊とは外見だけに有らず。その肥大化したプライドと共にモザイク吐き散らしやがれ!!!
小人どもが現れたら『殺戮』の開始ですね。え。常時発動の云々?
――隣人ちゃんはそもそも『目を回して吐いている』お姫様以外魅力的に感じませんね!
「おら!!!此処がてめぇのエチケット袋だ!!!」
ぐでんぐでんになったお姫様には撲殺が悦ばしい。バールじみた一撃喰らえッ!!!



「お姫様!!! 隣人ちゃんと一緒に遊びましょうか!!!」
 傲慢なる支配者によって本来の美しさは色褪せ、モノクロームに染め上げられた『不思議の国』。その陰気な空気を吹き飛ばしたのは隣・人(🌈・f13161)が放つ大声だった。
 ウサギ穴を通じて敵の本拠地の城に直接飛び込んだ彼女は、城主たる『傲慢のスノーホワイト』の姿を捉えるなり、愉しそうに笑いながら【隣人ちゃん流拷問術】を仕掛ける。
「さあ。さあ。さあ。たとえばお姫様に相応しいのはこの席でしょう!!!」
「なッ、なによ貴女は―――うぐッ?!!」
 予期せぬ奇襲にスノーホワイトがガタンと玉座から立ち上がった直後。その身は隣人の放った手枷と足枷に拘束され、用意された回転椅子に無理矢理座らされる。隣人が愛用する拷問具であるその椅子は、今宵の標的を乗せて勢いよく回転を始めた。

「さあ。早く吐くんですよ。吐きたくないなら」
「こ、こんなことをして、何のつもり……ッ」
 傲慢なお姫様には滅茶苦茶に回転する椅子が望ましい。遊園地のコーヒーカップなど目ではない猛スピードで回る椅子は、刃物や棘といった苦痛を与える器具を備えずとも、三半規管に致命的なダメージを与える凶悪な拷問具だった。
「その肥大化したプライドと共にモザイク吐き散らしやがれ!!!」
「うぷっ……き、気持ち悪い……うええぇぇぇぇっ!!!!」
 隣人が容赦なくガンガン椅子を高速回転させるうちに、スノーホワイトの顔色は次第に青ざめていき、とうとう胸の中からこみ上げてくるものを思いきり吐き出す羽目になる。
 誇り高く傲慢な女王が、気品のカケラもないものを人前で晒す――それが彼女のプライドをどれほど傷つけるか、この拷問の主はようく理解していた。

「うぇ、っ……こ、この私に、よくもこんな辱めを……!!」
 四肢を椅子に縛られたスノーホワイトには、口元を汚すものを拭うことさえ許されない。自慢の美貌が損なわていく以上に、彼女の内面と尊厳が受けたダメージは甚大だった。
 屈辱と怒りに震える彼女が呼びつけたのは【勇猛で忠実なる七人の小人】。高い戦闘力と殺戮技能を持つ女王の忠臣は、殺意の篭もった視線を不埒なる襲撃者に向ける。
「行きなさい! あの女を八つ裂きにして、その首を私に献上なさい!」
 ヒステリックに叫ぶ女王の命を叶えようと、標的に襲いかかる小人達――だがそれを迎え撃つ隣人の笑みは崩れないまま、手には名状し難いバールのようなものを握っている。

「さあお次は殺戮の開始ですね」
 他者を殺傷し蹂躙する手練に長けるのは、七人の小人だけではない。心を駆り立てる殺人衝動を我慢することなく、隣人は嬉々としてバールのようなものをフルスイングする。
「グギャッ?!」
「ギャピッ!!」
 重たい鈍器を叩きつけられた小人の頭が弾け、飛び散る血肉が隣人のメイド服を汚す。
 本体が万全な状態ならまだしも、今だ拷問具に捕らわれたままの女王の配下など、ちっとも恐ろしくはない。モノクロな玉座の間を赤く染めて、即座に退場させられる小人達。

「ええいっ、この役立たず……そもそもお前はなぜ、私の美貌にひれ伏さない……?!」
「え、常時発動型のユーベルコード? ――隣人ちゃんはそもそも『目を回して吐いている』お姫様以外魅力的に感じませんね!」
 スノーホワイトの自信を支える能力の1つに、他者を魅了・洗脳し全能力を低下させる魅惑の魔力がある。しかしそれは『めまい』や『嘔吐』といった妙なものへの執着をみせる、特殊性癖者の隣人には正しく機能していなかった。
「そ、そんな……うぇぇ……っ!」
 とうとう吐くものもなくなったスノーホワイトは、回転する椅子にぐったりと寄りかかって力ない嗚咽を漏らすばかり。そんな彼女に隣人は容赦のないトドメの一発を見舞う。

「おら!!! 此処がてめぇのエチケット袋だ!!!」
 ぐでんぐでんになったお姫様には撲殺が悦ばしい。バールじみた一撃を食らったスノーホワイトは回転椅子からふっ飛ばされ、綺麗な放物線を描いて白い壁に叩きつけられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

緋月・透乃
今回の敵は多くの世界の支配を目論むとは威勢がいい奴だね!
こりゃ戦いがいがありそうだね!

武器は重戦斧【緋月】を使うよ。
ウサギ穴からでて敵を確認したら、すぐに罷迅滅追昇で奇襲をかけるよ!
それだけでは終わらずに、手を緩めずに更にガンガン攻撃して、チャンスがあったら再び罷迅滅追昇を狙うよ!
攻撃しながら、
「世界一美しいと思っているならこんな白黒の世界じゃなくてもっと綺麗なものだらけの世界で目立てみなよ!おっと、そこまで美しくないからこんな世界にいるのかな!」
等と声をかけてみよう。もしかしたら美しさに疑問をもってユーベルコードが弱体化するかもしれないしね。しなくても気合で耐えるよ!



「今回の敵は多くの世界の支配を目論むとは威勢がいい奴だね!」
 敵の城へと続くウサギ穴を移動しながら、緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)は今回の戦いへの意気込みを見せる。オブリビオン・フォーミュラが倒れてなお、それを好機と捉えて成り上がらんとする野心や向上心は、それほど嫌いなものでもない。
「こりゃ戦いがいがありそうだね!」
 敵が手強ければそれだけ戦いは面白くなる。自分の楽しみのためにオブリビオンと戦っている側面も大きい彼女は、メイン武器である重戦斧【緋月】を担いで意気揚々と戦場に飛び出した。

「こんにちは! そしてくたばれ、消え去れ、あの世の果てまで飛んでいけー!」
 透乃は敵を確認するとすぐさま、斧を担いだままショルダータックルで奇襲をかける。
 不意を突かれた『傲慢のスノーホワイト』は避けるまもなく直撃を喰らい、妖艶な肢体が宙に浮き上がる。
「かは―――ッ!!!?」
 直後に放たれるのは重戦斧による、下から上へと打ち上げる一撃。必殺の連携技【罷迅滅追昇】は見事にスノーホワイトを捉え、天井に激突する程の勢いで敵を吹き飛ばした。

「世界一美しいと思っているならこんな白黒の世界じゃなくてもっと綺麗なものだらけの世界で目立てみなよ!」
 敵に体勢を整える隙を与えず、透乃は豪快に【緋月】を振り回してさらなる追撃を仕掛ける。重量のある戦斧を軽々と扱う人並み外れた怪力は、単純かつ恐ろしい脅威となる。
「おっと、そこまで美しくないからこんな世界にいるのかな!」
「言わせておけば……ッ!」
 攻撃を続けながら挑発的に声をかけてみれば、スノーホワイトは剣を抜いて斧撃を受け流しながら眉を吊り上げる。怒りを露わにしていても彼女の相貌はなおも美しく、ユーベルコードとなった【世界で一番美しい者】の美貌は対峙する者の心を妖しく蕩かせる。

「ほらどうしたの? 悔しかったらやり返してみなよ!」
 だが透乃は気合で魅惑の魔力に耐え、抜けそうになる膝に力を入れて斧を振るう。相手がどんな美人だろうと、戦闘中にそれ以上に彼女を夢中にされることなどありはしない。
「スタイルなら私だって自信あるし!」
「く……っ?!」
 一向に激しさの衰えない攻勢に圧されたか、あるいは己に負けず劣らず魅力的な相手の体型に気を取られたか。自らの美しさの絶対性に一抹の疑問を覚えたことで、スノーホワイトのユーベルコードが弱体化する――その好機を透乃が逃すはずは無かった。

「チャンス!」
 身体にのしかかる能力低下の影響がなくなった瞬間、勢いよく肩から敵にぶつかっていく透乃。勢いの乗ったタックルを捌ききれず、スノーホワイトの体制がよろりと崩れる。
「しま―――ッ、がはぁっ!!!!!」
 女王の顔色が青ざめた直後、再び叩き込まれた【罷迅滅追昇】。初撃に劣らぬ破壊力の乗った斧刃が身体に食い込み、スノーホワイトの肢体はまたも高々と宙を舞うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フォーサイス
モノクロームの世界か。かっこよくて、嫌いじゃないけどね。

せっかくの奇襲だし、いきなり全力魔法で、炎の矢の雨をふらせるよ。

ぼくたちが誰かって?猟兵だよ。キミたちの天敵のね。

さあ、ここからは魔法対決かな。
魔女の魔法の仕組み、見させてもらうよ。

同じ魔法で相殺したり、スノーホワイトの魔法の弱点をついたりして攻めていくよ。

超再生は厄介だけど、その代償にどこまで耐えきれるのかな。



「モノクロームの世界か。かっこよくて、嫌いじゃないけどね」
 チェス盤のように白と黒で綺麗に染められた世界も、それはそれで悪くないものだとアリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)は思う。しかしそれを悪意によって誰かに強制したり、住民の愉快な仲間たちに不満を感じさせるのなら話は別だろう。
「せっかくの奇襲だし、いきなり全力でいくよ」
 ウサギ穴の出口を見つけた彼女は、外に向かってウィザードロッド型情報端末をにゅっと突き出すと、魔力をフルパワーにして炎の矢の雨を降らせる。新たな猟兵からの奇襲、かつ戦場となった屋内全体に広がる範囲攻撃は、いかな強大な女王も対処しようがない。

「くぅ……っ、次から次へと……貴女達は一体何者なの?!」
 降り注ぐ火矢の雨に射抜かれて、苦痛に顔を歪ませながらスノーホワイトは叫ぶ。傷つき血に塗れてなお、その容貌は見るものの心を蕩かすほどに美しく――しかしアリスは動じることなく無邪気な笑顔で、彼女の問いに答える。
「ぼくたちが誰かって? 猟兵だよ。キミたちの天敵のね」
「猟兵……オウガ・オリジンを倒したという、あの……ッ」
 アリスラビリンスのフォーミュラを打倒したというその実力を、人づてに聞いてはいても、このスノーホワイトが実感するのは初めてだった。警戒心を強める彼女の前で、情報を操りし妖精は端末をすっと構え直す。

「さあ、ここからは魔法対決かな。魔女の魔法の仕組み、見させてもらうよ」
「ッ、この私があの愚かな女のように、猟兵に遅れを取るわけが……!」
 余裕を見せるアリスに対し、傲慢なる女王は【スノーホワイト・ストーリー】を発動。さらに美しさを増した容貌に不死の肉体、そして魔力を宿した毒林檎を手に襲い掛かる。
「死になさい!」
 かざした林檎から放たれる毒の矢を、アリスは魔力の壁で防御すると同時に【能力解析】を実行。敵のユーベルコードの特性を情報として解析・理解して、一時的に借用する。
 "白雪姫の物語"になぞらえたそのユーベルコードは、折しも物語を好物とする彼女には相性のいいものだった。可変衣装レイヤーのデザインを変更し、可憐なプリンセスの姿に変身したアリスは、スノーホワイトが放ったのと同じ毒の矢を相手に浴びせる。

「なっ……そんなバカな?!」
 自らの魔法がコピーされたという事実は、己こそが唯一無二の存在であると誇るスノーホワイトのプライドを動揺させた。慌てて違う魔法を放っても【スノーホワイト・ストーリー】に含まれる魔法技能の全てを会得したアリスは、全く同じ魔法で攻撃を相殺する。
「それ、理解したよ。次は何かな?」
「きいいぃぃぃぃぃっ!!!!」
 ヒステリックに叫びながら魔法を乱れ撃つスノーホワイト。アリスはそのことごとくを解析し、さらにその弱点をつく魔法を編み出して反撃に転じる。"王子の愛"による不死性を得ている敵に与えられる傷は微々たるものだが、肝心なのは魔法のダメージではない。

「超再生は厄介だけど、その代償にどこまで耐えきれるのかな」
 これだけ多彩かつ強力な効果を内包したユーベルコードに代償が無いはずがないだろうと、アリスはよく理解していた。スノーホワイトがムキになって物語を紡ぐたびに、その身は呪縛や流血、そして毒によって蝕まれていく。
「よくも……よくもおぉぉぉ……っ!!」
 ついに代償に耐えきれなくなったスノーホワイトは、悔しげに叫びながら膝をついた。
 魔法の時間はいずれ解けるもの。その機を逃さず放たれた情報妖精の全力魔法が、愚かな女王を打ちのめした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クライド・エント
「流石の美貌だな…傲慢になるのも頷けるかもしれねえな」
【POW判定】【アドリブ歓迎】【ソロ希望】

取り敢えず【切り込み】で至近距離まで近づいて攻撃してくぜ
俺自身、美人に目がないってのもあるし、戦闘中でも口説き文句での【挑発】で相手とのやり取りを楽しませてもらおうかね

まあ折角の美人相手だし楽しませて貰うか(女性相手ってのもあってちょい楽観+油断気味)



「流石の美貌だな……傲慢になるのも頷けるかもしれねえな」
 ウサギ穴の出口からこっそりと頭を出しながら、クライド・エント(だらしない海賊・f02121)は戦闘中の敵の横顔を見てほうと息を吐き、感心したように声を漏らした。
 傲慢のスノーホワイト。肥大化した自尊心と野心のままに不思議の国を支配する悪人だが、『世界で一番美しい者』と本人が誇るその美貌には他を魅了する魅惑の魔力がある。
「まあ折角の美人相手だし楽しませて貰うか」
 元々美人に目がない彼は、女性相手ということもあって少々楽観的な――あるいは油断気味の様子でバスタードソードを抜く。だがウサギ穴から飛び出すなり敵の至近距離まで切り込んでいく動きのキレは、さすがに場数を踏んだ戦士のそれであった。

「ようお姫様。俺とも遊んでくれよ」
「っ、なによ貴方っ!?」
 挨拶代わりに振り下ろされた奇襲の一撃は、スノーホワイトの背中をばっさりと斬る。
 背後から襲うことに悪びれない海賊らしさと、だらしのない笑みに砕けた口調。その全てが気位の高いプリンセスには不快に映った。
「貴方のようながさつな輩なんて、お断りだわ!」
「つれないねえ。そういうお高くとまった所も嫌いじゃないぜ」
 かあっと怒りで顔を赤くしながら剣を振るうスノーホワイトを、けらけらとからかいながら斬り結ぶクライド。軽薄な口説き文句での挑発に相手がそんな反応を見せるか、その態度は明らかに楽しんでいる様子だ。

「ああ、なんて不快なの。この私の耳目を汚した罪、死んで償いなさい!」
「おっと、っと」
 剣戟の音が鳴り響く玉座の間で、両者の戦いは次第にスノーホワイト優勢に傾きだす。
 クライドが彼女の実力を見誤っていたというのもあるが。それ以上に彼女の美貌に惑わされたクライド自身の能力が低下しているのだ。
「こりゃ、ちょっと油断しすぎたか?」
 腕力も、足運びも、咄嗟の判断力も、全ての能力において普段よりもキレがない。
 本人がようやくそれを自覚しだした頃には、彼は敵の剣に防戦一方となっていた。

「これでっ!!」
 細腕ながらも巧みな剣捌きから繰り出される鋭い刺突。心臓を貫くはずだったその一撃は、間一髪クライドが身を躱したことで右肩に突き刺さった。つうと流れた血が刃を塗らし――溜飲の下がった笑みを浮かべるスノーホワイトと、痛みに顔をしかめるクライド。
「……仕方ねえ、少しは本気を出すか」
 だがそれは、火付きの悪かったこの男をやる気にさせるのに十分な刺激だったらしい。
 目つきの変わったクライドの右手が、肩に刺さったままの刃をぐっと握り込む。剣を引き戻せなくなったのに気付き、スノーホワイトの顔色がさっと青ざめる。

「いくぜ」
「しまっ……!!!」
 右肩の傷を引き換えにした、左手による不可避の一閃。これまでの剣戟が本当に"お遊び"だったのかと思ってしまう程の鋭い一撃が、スノーホワイトの胸元を深々と斬り裂いた。
「かは……ッ」
 鮮血のほとばしる傷口を押さえながら、傲慢な女王はよろよろと後退していく。
 傷を負い、血に塗れ、苦痛に呻いていても、その姿は皮肉なまでに美しかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カビパン・カピパン
スノーホワイトがゲストとして招かれ【黒柳カビパンの部屋】

ようこそいらっしゃいました。
傲慢で有名なスノーホワイトさんです!
ダラダラしていらっしゃるのでしょうか?(怠惰)それは怠慢でしたね。
それはそうと、世界一の美貌をお持ちとか(自惚)早速面白いネタをどうぞ。えっできない!(憤怒)世界一の美貌なのに?ふーんいいですけど(悲嘆)

それで毒林檎に込められた魔女の魔力やら技能の欲張りセットを使えるですよね(強欲)それってただの毒の入った林檎じゃなくて?
あぁ王子の愛(笑)とかでビンビンになれるんでしたっけ、やらしいですね(淫蕩)

七つの大罪が揃いました!面白いことが起こるんでしょうか?(無茶振り)

…つまんね。



「ううっ……猟兵なんかに、この私が、こんな……」
 ぽたりぽたりと自らの血でモノクロームの床を塗り替えながら、スノーホワイトは悔しげに呻く。傷つけられた身体の痛みより、プライドに負った傷のほうが彼女を苦しめる。
 そんな傲慢な姫の耳に聞こえてきたのは「ルールルー……」という妙に耳に残る音楽。いつの間に回り込んでいたのか、そこにはカビパン・カピパン(女教皇 ただし貧乏性・f24111)が自分とゲスト用の椅子を用意して待っていた。

「ようこそいらっしゃいました。傲慢で有名なスノーホワイトさんです!」
「……は? なんなのかしら、貴女」
 そもそもここは私の城なんだけど、というツッコミを入れさせる隙もなく、カビパンは本日のゲストであるスノーホワイトを【黒柳カビパンの部屋】に招き入れる。伝説級のトーク力を持つ霊をその身に宿した彼女の話術は、一度始まってしまえばもう止まらない。
「ダラダラしていらっしゃるのでしょうか? それは怠慢でしたね」
「何を言っているのよ。私はいつだってとても忙しいわ!」
「でもバッチリ奇襲されてたじゃないですか。警戒不足では?」
「ぐっ……!」
 いきなり怠惰を指摘されたスノーホワイトはムキになって反論するも、痛いところを突かれてあっさり口をつぐむ。ギャグ時空に取り込まれた戦場において、カビパンのトークと存在感が放つ強烈なプレッシャーは、この傲慢な姫さえも怯ませるものがあった。

「それはそうと、世界一の美貌をお持ちとか。早速面白いネタをどうぞ」
「え、いや、ネタって言われてもそんな、急に何をしろって……」
「えっできない! 世界一の美貌なのに? ふーんいいですけど」
 今度は彼女が自慢にしている『世界で一番美しい者』の容姿をネタにイジるカビパン。
 恥ずかしさとバカにされた悔しさでかぁっと顔を赤くするスノーホワイトは確かに美しい。が、そういうのに見惚れるような素直な性格を持ち合わせている相手ではなかった。
「それで毒林檎に込められた魔女の魔力やら技能の欲張りセットを使えるんですよね」
「……はっ! そうよ、貴女なんてこの毒林檎でイチコロにしてやるわ!」
 気を取り直したスノーホワイトは【スノーホワイト・ストーリー】を発動、傷を再生して立ち上がると、魔力のこもった毒林檎をその手に掲げる。そして刺し殺すような眼光で自分をバカにしてくれた無礼な女を睨み付けるが――黒柳カビパン、やはり動じず。

「それってただの毒の入った林檎じゃなくて?」
「違うわよ! その身で味わいなさい……!」
 魔女の力が宿った毒林檎にパワーが集まっていく。それが至近距離で解き放たれようかという間際、カビパンはスノーホワイトの傷が治っていくのを見てしれっとこう言った。
「あぁ王子の愛(笑)とかでビンビンになれるんでしたっけ、やらしいですね」
「んなッ?!」
 あまりに堂々としたセクハラ発言に、林檎を操る手元が狂う。発射された毒々しい魔力の奔流は、優雅に椅子に座ったままのカビパンの紙一重をすっとかすめて飛んでいった。

「これで七つの大罪が揃いました!」
 危機一髪の窮地にも素知らぬ顔で、カビパンはウキウキした様子で笑う。怠惰、自惚、憤怒、悲嘆、強欲、淫蕩。ここまでのトークはスノーホワイトに隠された"傲慢"以外の七罪を暴き立てるためのものだったのだ。一部こじつけっぽいものがあるのはさておいて。
「面白いことが起こるんでしょうか?」
「え、え、いや……」
 渾身の一発をスカされ、さらなる無茶振りを強いられたスノーホワイトは困惑の極みに達し。えぇと、あの、としか言えなくなった彼女に、最初はワクワクしていたカビパンの表情は次第に曇っていき――。

「……つまんね」
「ぐはぁッ!!!」

 なぜだか分からないがその一言は、傲慢なる女王のプライドを深く、深く、傷つけた。
 ばったりと倒れ伏すスノーホワイトにはもうカメラさえ向けず、本日の黒柳カビパンの部屋はこれにて終了と相成ったのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
(美貌故に城を空にすることに異を唱える者を得られなかった。いえ、そもそもオウガなどに…遣り切れません)

不躾な訪問、失礼
この国を解放する為、討ち取らせていただきます

どうされましたか?
ああ、成程
仮に、貴女を護衛する騎士が美貌に惑い木偶となればどう思われますか?
つまり…そういうことです

(UCで精神干渉無効)

その細剣…伊達ではないのでしょう?

魔力弾を盾で防御し近接戦
剣で武器受け直後に怪力も併用し武器落とし

確かに貴女は世界一の美貌です
ですが…

宙に浮く細剣を操縦するワイヤーアンカーで確保
そのままドレスの裾に投擲、串刺し
逃走封じ剣を一閃

アリスの頃の貴女は更に魅力的であった
そう思わずにいられないのです



(美貌故に城を空にすることに異を唱える者を得られなかった。いえ、そもそもオウガなどに……遣り切れません)
 敵地へと通じるウサギ穴を移動しながら、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)はこれから相まみえる敵に思慮を巡らせる。他を支配するユーベルコードを得てしまったがために『傲慢』の罪に堕ちた元・アリス――己に心酔する無批判な臣下から傅かれる日々がどのようなものか、彼には想像することしかできないが。
(……嘆いているだけでは何も解決しません)
 やりきれぬ想いを抱えながらも自らの使命を思い直し、機械仕掛けの騎士は外に出る。
 手負いの敵に奇襲を仕掛けるのではなく、騎士らしい堂々とした所作と名乗りと共に。

「不躾な訪問、失礼。この国を解放する為、討ち取らせていただきます」
「今度は異界の騎士なんて……次から次に出てくるわね」
 トリテレイアの呼びかけに振り返ったスノーホワイトは、幾分か落ち着きを取り戻して優雅に微笑む。『世界で一番美しい者』を称するだけのことはあり、その美貌は人の心を蕩かすような魅力に満ちているが――今、目の前に立つ騎士に動じた様子は見られない。
「……あら?」
「どうされましたか?」
 魅惑の魔力による洗脳が効いていないのに困惑し、思わず声を上げるスノーホワイト。
 不思議の国の民もオウガもこの力で支配してきた彼女にとって、自らの魅了が及ばない存在――猟兵は己のアイデンティティを揺るがしかねない存在であった。

「なぜ、お前は私の美貌に傅かない……?!」
「ああ、成程。仮に、貴女を護衛する騎士が美貌に惑い木偶となればどう思われますか?」
 【式典・要人護衛用銀河帝国製ウォーマシン】として開発されたトリテレイアは、女王の疑問に種明かしをする。護衛用機体としての本領を発揮した彼の電子頭脳はあらゆる精神的干渉を無効化する。敵の手から要人を守るための騎士が、敵の手に陥ちないように。
「つまり……そういうことです」
 トリテレイアがすっと儀礼用長剣を抜き放つと、スノーホワイトもはっと剣を構える。
 毒林檎から放たれる牽制の魔力弾は、重質量の大盾に弾き返され。彼我の戦いはただちに接近戦へと移行する。

「その細剣……伊達ではないのでしょう?」
「当然よ……! 魅了が効かなくたって、お前などに遅れを取るものですか!」
 そう豪語するだけはあって、スノーホワイトの剣戟は巧みで美しかった。軽やかに踏み込みながら剣を振るうさまは舞を踊るようであり、剣閃の輝きは彼女を彩る星々に似る。
 対するトリテレイアの剣技は実直にして剛毅。敵の力量に応じて最適化された動作と、戦闘機械としての体躯と膂力を駆使して、正面から相手の剣戟を受け止め、抑え込んだ。
「見事な剣技です。ですがその程度で護衛用機種の出力を破れるとお思いですか」
 力任せにかち上げられた細剣が、スノーホワイトの手から放れてクルクルと宙を舞う。
 トリテレイアはすかさずワイヤーアンカーを射出して空中で細剣を確保すると、丸腰となった敵のドレスの裾めがけてそれを投擲した。

「確かに貴女は世界一の美貌です。ですが……」
「……ッ!!」
 まち針のようにドレスを串刺しにした剣は、スノーホワイトの足を止め逃走を封じる。
 刃を引き抜くまでの僅かな時間に生じる隙。それを逃さずトリテレイアは剣を振るう。

「……アリスの頃の貴女は更に魅力的であった。そう思わずにいられないのです」

 もしも彼女が道を誤らなければ、或いは"騎士"として彼女を討つのではなく、守る側に在れたかもしれない。そんな可能性を振り切るように一閃された剣は、標的を過たず。
「あ、く……ッ!!!!」
 斬り伏せられた傲慢なる女王は、その身を赤く鮮血で染めながら、戦場に倒れ伏した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シウム・ジョイグルミット
[SPD]
到着だー、ありがとー!(時計ウサギにハグ)
ここからはボク達に任せて安全な所に避難してね

小人達が邪魔になるから、数には数で勝負!
『Crazy Blackjack』を召喚して纏わりつかせるね
手足に噛みつかせて柔らかマシュマロに変えちゃうよ
動けなくなって戦力低下だね
最終的には全身マシュマロにして食べちゃおう

小人達が戦えなくなったら、今度はオウガを狙うよ
顔に纏わりつかせて、仲間を視認できないように妨害だー
これぞ、魅了・洗脳封じ!
仲間が攻撃しやすい状況を作ってサポートするのが狙いになるね
ちょっとずつ噛みつかせてお菓子にしちゃうのもいいかな
ごめんねー、ボクは美しいよりも美味しいの方が好きなんだ♪


西堂・空蝉
「どこを向いても白と黒。まるで水墨画ですねこりゃ。もしかしてこれ、“わびさび”ってぇやつですか?ふむん、ちょっとあたしの趣味じゃあないですね。もっとこう、派手にかぶいてたほうが……」
ウサギ穴を抜けたらすぐさま攻撃に移ります。【忍び足】で背後から近づく上、上着を身代わりに投げて気を引く【だまし討ち】で確実に死角から【血衾】を当てて最大限のダメージを狙います。
「まずはその玉座、手前さんの色で染めてやりますよ」
攻撃機会に余裕があれば、そのまま【グラップル】で追撃を加えてから敵の視界に捉えられる前に離脱します。
「闇討ち御免……いっくらオウガといっても、麗しい乙女のかんばせにはあたしだって弱いんです」



「到着だー、ありがとー!」
「はうっ?!」
 スノーホワイトの城に繋がるウサギ穴。ここまで先導してくれた時計ウサギに、シウム・ジョイグルミット(風の吹くまま気の向くまま・f20781)は親愛を込めてハグする。
「ここからはボク達に任せて安全な所に避難してね」
「う、うんっ。みんなもどうか気をつけてねっ」
 微笑むシウムにこくりと頷くと、時計ウサギは戦いに巻き込まれないよう応援に回る。その裏では西堂・空蝉(血錆お空・f03740)が穴の出口から外の様子を見回していた。

「どこを向いても白と黒。まるで水墨画ですねこりゃ。もしかしてこれ、"わびさび"ってぇやつですか?」
 まるで世界から"色"が抜け落ちたように、見事なモノクロームに染まった不思議の国。
 これがこの国を支配する女王とやらの趣味なら、馬は合いそうにないと空蝉は思った。
「ふむん、ちょっとあたしの趣味じゃあないですね。もっとこう、派手にかぶいてたほうが……」
 オウガのボスを倒した暁には、この世界を自分好みに塗り替えることもできるだろう。
 その肝心の城主――スノーホワイトは【勇猛で忠実なる七人の小人】に周囲を守らせ、負傷の回復に努めているようだった。

「小人達が邪魔になるから、数には数で勝負! あれはボクに任せてよ」
「お任せしますよ。じゃああたしは大将首を狙いましょうかね」
 空蝉は扱い慣れた高枝鋸「土瓶落とし」を手に穴の中で機会をうかがい、女王を守る小人を蹴散らすためにシウムが先に出る。【Crazy Blackjack】を唱えた彼女の周りから召喚されるのは、ケラケラと笑う口のついた金属製トランプの大群だ。
「キミのハンドは『21』になるかなー? 楽しみだねぇ♪」
 敵の不意をついて飛びかかったトランプは、中心にある口でガブリと小人に噛み付く。
 すると噛まれた箇所から徐々に、小人の身体が白くて柔らかいマシュマロに変わっていく。このトランプには噛んだ大将を菓子化させるという、厄介な能力があるのだ。

「ッ!? お前達っ!?」
 頼みの配下が奇襲を受け、スノーホワイトは慌てた顔を見せる。小人達が反撃に転じようにもふにゃふにゃになったマシュマロの四肢では踏ん張りもきかず、拳の威力もない。
「動けなくなって戦力低下だね」
 そのままトランプの群れはガジガジと小人達を齧りつくし、全身をマシュマロに変えて食べてしまう。配下が食い尽くされれば、次に狙われるのはもちろんクイーンの番だ。

「よくも私の小人達を……んむッ?!」
 いきり立つスノーホワイトが抜剣した直後、飛びかかったトランプが顔に纏わり付く。
 仲間を視認できないように――そして仲間からも彼女の顔を視認できないようにすれば、『世界で一番美しい者』の美貌による魅惑の魔力は効果を失う。
「これぞ、魅了・洗脳封じ!」
 得意げな顔で笑いながら、シウムは護身用のナイフとフォークをタクトのように振るって配下を指揮する。トランプが引っ剥がされればすぐに次の者がスノーホワイトに飛びつき、仲間が攻撃しやすいように妨害に努める構えだ。

「さあ今だよ!」
「承知してます」
 シウムが敵の気を引いている隙を突いて、ウサギ穴から飛び出した空蝉が駆ける。音を立てないよう忍び足で背後へと回り込み、仕掛ける寸前には着ていた上着をばっと投げる――トランプに狭められた敵の視野では、その布は新たな敵の奇襲のように見えたろう。
「ッ……そこっ!!」
 不確かな視界でも剣捌きは衰えず、スノーホワイトの刺突は見事に上着を貫く――だが、それだけだ。上着を身代わりにした空蝉本人は死角から、高枝鋸を構えて襲い掛かる。

「まずはその玉座、手前さんの色で染めてやりますよ」
 すきあり、とばかりに繰り出された【血衾】の一撃は、雪のように白いスノーホワイトの肌を切り裂き。追撃の二段目がその傷をより深く抉り、大量の出血を彼女にもたらす。
「が、あっ?! い、痛い、痛い、痛い……ッ!!」
 子供のような悲鳴を上げて騒ぎたてるスノーホワイト。自らの血でその身を赤く染めても、世界一と誇る容姿の美麗さは損なわれず。きっと苦痛に歪んでいても、その相貌は美しかろう――背後に回った空蝉の位置からは、その表情を窺い知ることはできないが。

「闇討ち御免……いっくらオウガといっても、麗しい乙女のかんばせにはあたしだって弱いんです」
 敵が奇襲にのけぞったのを好機とみて、空蝉は体術でさらなる追撃を重ねる。大連珠を握りしめた拳打が横腹にめり込み、「ぐえッ」とカエルが潰れたような悲鳴をスノーホワイトに上げさせた直後――敵に振り返られる前に、速やかに彼女はその場を離脱する。
「ま……待ちなさ……っ」
「おおっと、行かせないよ!」
 不埒な刺客を魅了の視界に捉えようとするスノーホワイトを、執拗に妨害するのはシウム。視界を塞がせるついでに隙をみてトランプにちょっとずつ噛みつかせていたのが功を奏し、少しずつお菓子化が進んだ女王の身体は本来の動きができなくなっていた。

「貴女達……この私の美貌にひれ伏さないなんて、なんと無礼なッ!」
「ごめんねー、ボクは美しいよりも美味しいの方が好きなんだ♪」
「あいにく人様にかしずくのは慣れていないもんでしてね」
 飄々とした様子で笑うシウムに、しれっとした調子で答えてウサギ穴に引っ込む空蝉。
 スノーホワイトは怒りに震えるも、マシュマロ化した身体には思うように力が入らず、さらには失血に耐えかねて、自らが作った血溜まりにがくりと膝をつくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アイリス・レコード
まだオウガの脅威が全て去ったわけではないんですね……
なら、私は騎士として、その脅威から皆を護るだけです……!

【行動】
戦闘開始とともにランスで奇襲をかけます
魅了効果には狂気耐性で抗います

ですが小人を呼ばれ時間がかかれば、
もともと元アリスとの戦いに迷いがあったこともあり、
魅了の影響を受け、抗おうという意思を挫かれ、そのまま……

(「アイリス」の意思が挫かれた結果【指定UC】により意識の奥底のオウガの衝動が顕在化し、同化侵食能力を帯びた攻撃を仕掛けます

魅了も今更。
アリスの全てを知りたいと、
混ざり薄まり己を失うまでアリスとの同化を続けたそのオウガは、
今でもアリスに惹かれているのだから)

※アドリブ歓迎です



「まだオウガの脅威が全て去ったわけではないんですね……」
 今だ悪意のモノクロームに染め上げられたままの『不思議の国』の景色を、ウサギ穴の中からアイリス・レコード(記憶の国の継ぎ接ぎアリス・f26787)は見る。オリジンの死によって新たなオウガの出現が止んだとはいえアリスラビリンスの脅威は今だ尽きず。
「なら、私は騎士として、その脅威から皆を護るだけです……!」
 アリスランスをぐっと握りしめ、穴から飛び出たアリスナイトの少女は奇襲をかける。
 この不思議の国を支配する邪悪なる女王――『傲慢のスノーホワイト』を討つために。

「参ります!」
「ッ……!!」
 スノーホワイトの死角を突いたアイリスの一撃は、背中からぐさりと敵を突き通した。
 苦痛と怒りに震えながら振り返った女王の形相は、背筋が凍えるほどに恐ろしく――でありながら目を離せないほどに美しい。それがユーベルコードの力だと分かっていても。
「次から次へと……お前達、やっておしまい!」
 呼びつけられた【勇猛で忠実なる七人の小人】が、主君の怒りを代行すべく牙を剥く。
 アイリスは血の付いたアリスランスを振るい小人達を迎え撃つ。弱きを助けるアリスの騎士として、ここで遅れを取るわけにはいかないのだから。

「私は、皆を守る騎士なんだから……」
 自己暗示にも近い決意を支えにして、勇猛な小人達とも互角以上に渡り合うアイリス。
 だが、その間にも『世界で一番美しい者』の魅惑の魔力はじわじわと心を蝕んでいく。
 彼女がそれに抗いきれずにいるのは、戦っている相手が"元"アリスだということ。相手を完全に"倒すべき敵"と認識しきれない迷いが、少女の騎士道に揺らぎを生んでいた。
「この私に傷をつけた罪は重いわよ。跪いて首を差し出しなさい!」
 そこにスノーホワイトの一喝が飛ぶと、アイリスの肩はびくりと怯えたように震え、熱っぽい情動と引き換えに抗おうという意思が挫けていく。そのまま彼女はからんとランスを取り落し、女王の前に頭を垂れようと――。

「―――ッ?!!」
 その時。勝利を確信していたスノーホワイトは、突如膨れ上がった凶気に総毛立った。
 完全に魅了の支配下においたはずの少女が、再び立ち上がる。しかしそれはもう、先程までの「アイリス」では無かった。
「貴女……私達と同じ……っ!!?」
 そこにいるのは【記憶の国の×××××】。少女の心の奥底に眠るオウガの意識や記憶の断片、それに由来した衝動が顕在化したもの。それはもはや純粋なオウガとも言い難く、ただ全てを"捕食"し"同化"し"蒐集"する――名状しがたき真の"怪物"であった。

「っ……お前達ッ!!」
 鬼気迫る笑みを浮かべるアイリス――正しくはその身体を動かすオウガの衝動に青ざめながら、スノーホワイトは七人の小人をけしかける。対する"アイリス"は衣服の内側から殺戮刃物を取り出し、これまでとは比べ物にならない程の速度で一閃する。
「ギ……ッ!?」
 喉を、首を、心臓を抉られ、瞬時に絶命する七人の小人。その血肉と魂魄の全てはオウガが持つ能力によって同化・侵食・吸収され、肉片の一片も余さず彼女のものとなった。

「(たべちゃうよりわたしはぜんぶしりたかったから、わたしはありすをわたしのなかにしまうことにしたの)」
 それがアイリスに取り憑いたあるオウガの意思。混ざり薄まり己を失うまでアリスとの同化を続けたそのオウガは、今でもアリスに惹かれ続けている――そう、それは"元"アリスだとしても例外はなく。
「ひっ……こ、来ないでッ!!」
 スノーホワイトの一喝も今や虚しい。魅了など今更なこと、アリスに焦がれるオウガは己の"アイ"のためにまっすぐ標的を捉え、血に染まった刃を振りかざして襲いかかった。

「―――――ッ!!!!」
 絹を裂くような女の悲鳴と、モノクロームの城を濡らす真っ赤な鮮血。
 傲慢のスノーホワイトの命が、名を失ったオウガに喰われていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雛菊・璃奈
貴女も、元はアリスなんだよね…?
貴女にも元の世界に家族や大切な人がいたでしょう…?
完全に人に戻す事はできないけど…今なら、わたしの力(共に歩む奇跡)でやり直せる…。
だから…!

【九尾化・魔剣の媛神】の封印解放…!
終焉の魔剣や黒桜の呪力解放で牽制したり、呪力の縛鎖で拘束する等、交戦しながら、元アリスというスノーホワイトに呼び

かけ…。
呼びかけに応じる様なら【共に歩む奇跡】で最適化して助けるよ…。

応じなければ…明らかに敵意剥き出しだし、倒すしかない…かな…。
神太刀の力で再生・不死能力を封じ、神速と高速化の二重加速による超神速の二刀で連続攻撃…。

悲しいね…自身の美貌と力に溺れ、歪まされるなんて…



「我が眼前に立ち塞がる全ての敵に悉く滅びと終焉を……封印解放……!」
 ウサギ穴の出口から飛び出した瞬間、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)が唱えたのは【九尾化・魔剣の媛神】の封印を解く呪文。全身に莫大な呪力のオーラを纏い、九尾の妖狐へと変身した彼女は、その手に呪いの槍を構えながら神速のスピードで城内を駆ける。
「―――っ!!?」
 光に迫ろうかという速度での奇襲に、傲慢のスノーホワイトはまったく反応することができず。黒き呪力を纏った刺突が、雪のように白い肌をより鮮やかな紅に濡らしていく。

「貴女も、元はアリスなんだよね……?」
 奇襲を成功させた璃奈は自らの周囲に魔剣を顕現させ、隙のない構えで槍を突きつけながらスノーホワイトに問いかける。彼女が"元"とはいえアリスだったのなら、まだ心の中に人としての良心が残っていることを期待して。
「貴女にも元の世界に家族や大切な人がいたでしょう……?」
「家族……? 大切な人? そんなもの、この世界に来た時に忘れてしまったわ」
 スノーホワイトはすでに深手を負っているが、それでも凛とした口調で答えながら【スノーホワイト・ストーリー】を発動する。全てを魅了する美貌、絶大なる魔力と魔法の技、そして王子の愛による不死の身体――強大なるユーベルコードの力を誇示するように。

「その代わりに私はここで素晴らしい力を手に入れたの。世界を統べるに足るこの力こそ、私が特別な存在である証――この世界は特別な私によって治められるべきなのよ」
 力に溺れ『傲慢』の罪に歪められた元・アリスは、己がいかに優れているかを滔々と語る。そこに故郷への未練は一言も口にされず、ただ野心とプライドを誇示するばかり。
「だから、それを邪魔する貴女達……猟兵には消えてもらわないとね!」
 毒林檎の魔力を細剣に宿して襲いかかってくるスノーホワイト。璃奈は手にした呪槍・黒桜から呪力の桜吹雪を放って相手の目を眩ませると、同時に魔剣を放って牽制を行う。
 もはや彼女の心は完全に闇に堕ちており、この世界と猟兵に対する敵愾心は明らかだ。それでも璃奈は一縷の望みに賭けて、彼女を救おうと懸命に呼びかける。

「完全に人に戻す事はできないけど…今なら、わたしの力でやり直せる……」
 彼女が持つユーベルコード【共に歩む奇跡】は、オブリビオンを共存可能なように最適化する力がある。だがそのためには対象となる者に敵対の意思がないことが条件だった。
「だから……!」
「くどいわ! 私はもう元の世界になんて帰らない!」
 少女の懸命な訴えは怒声にはねのけられ、林檎から放たれた魔力の矢が頬をかすめる。
 事ここに至って説得が不可能だと判断した璃奈は、哀しげに目を細めながらもついに覚悟を決めた。

「応じなければ……明らかに敵意剥き出しだし、倒すしかない……かな……」
 璃奈の身体から放たれる呪力が勢いを増し、モノクロームの玉座の間が崩壊していく。
 本気を出した魔剣の媛神の気迫にスノーホワイトがたじろいだ瞬間、足元から伸びた呪力の縛鎖が、彼女の身体をぐるりと縛り上げる。
「ぐぅ、っ?! 何よこれ、放しなさい!」
 拘束を断とうとスノーホワイトは剣を操るが、それよりも早く璃奈は距離を詰める。呪槍に替わって彼女が抜くのは妖刀「九尾乃凶太刀」と「九尾乃神太刀」の二振りだった。

「どうしても、この世界の人達を苦しめるなら……もう容赦はしない……」
 媛神の力による神速と、凶太刀に込められた加速の呪力のあわせ技によって、璃奈の剣技はもはや視ることさえ叶わない超神速の域に達する。圧倒的早業で繰り出される斬撃の乱舞によって、スノーホワイトの全身はたちまち鮮血に染まる。
「ぐ、ぁ……ッ、何故、再生しないの……!?」
 白雪姫の物語のように、どんな苦難を受けても彼女は決して死ぬことはなく、受けた傷はすぐに再生するはずだった。だが璃奈が凶太刀と共に振るう神太刀には、神や超常の存在の不死性や再生能力を封じ滅ぼす力が宿っていた。

「悲しいね……自身の美貌と力に溺れ、歪まされるなんて……」
 超神速の剣技と不死殺しの力。その二つにより敵を圧倒しながらも璃奈の表情は昏い。
 せめて、これ以上の罪を重ねる前に終わらせないと――そう祈りをこめて二刀を振るう彼女の姿は、まるで鎮魂の舞いのようでもあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネーヴェ・ノアイユ
一難去ってまた一難とはこのことでしょうか……。オリジン様に勝利をしたとしても……。この世界に平和に包まれるにはまだ時間がかかりそう……。ですね……。

時計ウサギ様のご協力により……。気づかれることなく潜入出来ましたが……。事前にお聞きした情報だとスノーホワイト様は強力なUCを操られるみたいですし……。ここは不意打ちの一撃にて先手必勝を狙いたいところ……。ですね……。
なので、上手く身を隠しながらリボンに魔力溜めしていた魔力を私へとしっかりと送り……。魔力が十分に得られましたら全力魔法にてとっておきの一撃を放ちますね。
スノーホワイト様……。その名の通りどうか白き雪に染まってください……!



「一難去ってまた一難とはこのことでしょうか……」
 モノクロームの国へと続くウサギ穴を移動しながら、ぽつりと呟くのはネーヴェ・ノアイユ(冷たい魔法使い・f28873)。アリスラビリンスの命運をかけた迷宮災厄戦からはや一月が過ぎたものの、この世界は必ずしも平和になったとは言い難い現状だった。
「オリジン様に勝利をしたとしても……。この世界に平和に包まれるにはまだ時間がかかりそう……。ですね……」
 今だオウガの悪意に苦しむ愉快な仲間たちや、自分と同じ"アリス"達の境遇に胸を痛めながら。その状況を少しでも改善していくために、彼女は再び戦場へと赴く決意をする。

(時計ウサギ様のご協力により……。気づかれることなく潜入出来ましたが……)
 ひょこり、とウサギ穴の出口から頭を出したネーヴェは、きょろきょろと周囲の様子を確認しながら作戦を考える。幸いにして予知されていた通り、敵はこちらの奇襲に対して鈍感であり、すぐに見つかる恐れはなさそうだ。
(事前にお聞きした情報だとスノーホワイト様は強力なユーベルコードを操られるみたいですし……。ここは不意打ちの一撃にて先手必勝を狙いたいところ……。ですね……)
 そこで彼女は城内の物陰に上手く身を隠しながら、魔力タンクとしての役割を持つ頭の大きなリボンから、貯蔵していた魔力を自分の身に移していく。敵の不意をつけるチャンスは一度きり、ならばその一度に自分が持てる全力の魔法を味わってもらう算段だ。

「束ねるは妬み。放つは憎悪」
 仲間の猟兵達が戦っている喧騒に紛れて、囁くような小さな声で呪文を紡ぐネーヴェ。
 リボンから得られた魔力は十分。詠唱に従って氷雪や冷気へと変換されていくその力は、彼女の手元で小さく渦を巻き、氷点下のさらに下、絶対零度へと迫っていく。
「砕くは虚飾。貫くは傲慢」
 この魔法はネーヴェが持ちうる中でも最大級の威力を誇る、まさに奥義とも呼べる技。
 その為に必要となる魔力や詠唱も多大だが、何よりこの魔法は詠唱した時間に応じて、無制限に威力が上昇するという強力な特性があった。

「万象奪う力となれ。総て凍てつく猛吹雪」
 気取られることなく十全な詠唱を重ねたネーヴェの手の中で、冷気の球体は今にも弾けそうなほどの力を蓄え。じっと戦いの様子を窺っていた彼女は、仲間の猛攻に圧されて傷ついたスノーホワイトが、がくりと膝をつくのを見た。
(仕掛けるなら……今ですね……)
 それを絶好の機会とみた真白き少女は、潜んでいた物陰からさっと飛び出すと、敵の死角側から射線を確保して――とっておきの大魔法【総て凍てつく猛吹雪】を解き放った。

「スノーホワイト様……。その名の通りどうか白き雪に染まってください……!」
 ぱっと広げられたネーヴェの手のひらから、勢いよく放たれるのは絶対零度の猛吹雪。
 解放の時を待ちわびていた氷雪は直線上に指向性を与えられ、さながら白銀の光線のように戦場を貫いて、驚愕するスノーホワイトを呑み込んだ。
「な―――に、ィッ!!!!?!!」
 防御や迎撃の余地はない。【スノーホワイト・ストーリー】がもたらす超再生能力や不死性すらも凌駕する破格の威力により、敵の肉体はたちまち骨の髄まで凍りついていく。
 猛吹雪の勢いはそれでも収まりきらず、城内の壁を貫通して屋外まで達し――その後に残された凍結の軌跡と白銀に染まったスノーホワイトの姿が、その威力を物語っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレミア・レイブラッド
美しくも傲慢なアリス…オウガ・オリジンを倒しても、貴女は元に戻れないのね…。
貴女にも、元の世界に家族や大切な人がいたでしょうに…。
もう元に戻れないのであれば…わたしが貴女を止めてみせる!

【吸血姫の覚醒】を発動。
【念動力】の防御膜で魅了の魔力を防ぎつつ、敢えて「白雪姫の物語」の発動を促し、本気と本気の戦いを繰り広げるわ。
わたしの真祖の魔力と魔女の魔力、真祖の力と白雪姫の不死・身体強化、傲慢な女王にどちらが上か見せてあげる!
最後は魔槍を突きさした状態で全力の【限界突破】【神槍グングニル】でその再生が不可能な程、消し飛ばしてあげるわ…!

ごめんなさいね、貴女がオウガになる前に助けてあげられなくて…。



「美しくも傲慢なアリス……オウガ・オリジンを倒しても、貴女は元に戻れないのね……」
 傲慢の罪に堕ち、己が美貌と力に溺れたアリス――誇り高くも罪深きスノーホワイトを、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は哀しげに見つめる。
「貴女にも、元の世界に家族や大切な人がいたでしょうに……」
 望まずしてオウガの餌として召喚され、それまでの人生を奪われ、身に余るほどの力を手に入れた。そのいずれも彼女自身の責ではなかったが、今や彼女は被害者から加害者となり、不思議の国の住民達や、かつての自分と同じ境遇の"アリス"を脅かす敵となった。

「もう元に戻れないのであれば……わたしが貴女を止めてみせる!」
 フレミアはウサギ穴から奇襲を仕掛けることなく、堂々とスノーホワイトの前に立つ。
 すでに【吸血姫の覚醒】を発動している彼女の身体は真祖の魔力に包まれ、背中には4対の真紅の翼を生やし、背丈も普段の十代前半から17~8歳程の外見に変化している。
 妖しくも美しきその姿こそ、彼女が真の力を解き放った証。真紅の魔槍「ドラグ・グングニル」を手にした美しい佇まいは、スノーホワイトの美貌と比較しても見劣りしない。
「私を止めるですって……なんて傲慢な輩なのかしら……!」
 激戦により深く傷ついたスノーホワイトは、それでも『世界で一番美しい者』と自負する美しさを損なっていない。怒りと屈辱に歪められた美貌は妖しい魅力を放ち、目にした者の心を蕩かすが――念動力の防御膜を張った吸血姫には、魅了の魔力は通じなかった。

「貴女の魅了はわたしには効かないわ。全力でかかってきなさい」
「言ったわね……! この私を侮った罪、とくと後悔させてあげるわ!」
 涼しげな顔のフレミアに促されるままに、傲慢なる女王は【スノーホワイト・ストーリー】を発動。毒林檎に込められた魔力を解き放ち、王子の愛による超再生能力で傷を癒やしながら、細剣を構えて猛然と突き掛かってくる。
「死になさい!」
 魔女の魔力を帯びたその一撃は、目にも止まらぬ速さで標的の心臓を貫くはずだった。
 だがフレミアは間一髪、ドラグ・グングニルの穂先で細剣の切っ先を受け止めると、即座に稲妻が閃くような鋭い一撃を返した。

「わたしの真祖の魔力と魔女の魔力、真祖の力と白雪姫の不死・身体強化」
 スノーホワイトが残された全ての力を振り絞っているように、フレミアもまた全力だった。真祖の魔力を込めた魔槍は真紅に煌めき、それを操る膂力・速度はどちらもヒトを凌駕し、高位の竜種すら上回ろうかというもの。敵のユーベルコードにも力負けはしない。
「傲慢な女王にどちらが上か見せてあげる!」
「望むところよ……!」
 互いの誇りと意地を賭けた、本気と本気の戦いが繰り広げられる。白雪姫が魔法を放てば吸血姫の魔力がそれを相殺し、吸血姫が槍を突き出せば白雪姫の剣がそれを受け流す。
 持てる力と技の全てを駆使した美姫たちの激闘は、ともすれば戦いの最中であることを忘れ、思わず見惚れてしまうほどに美しい。モノクロームの王城を舞台としたふたりの舞踏会は、永遠のようにも、あるいは瞬きするほどの刹那にも感じられた。

「はぁっ……はぁっ……!」
 先に息を荒げだしたのはスノーホワイトの方だった。速さと重さを兼ね備えたフレミアの攻勢を次第に受け止めきれなくなり、再生の追いつかない負傷が身体中に増えていく。
 負けられない、負けたくない、負けるわけがない――傲慢なるプライドを脅かされる焦りから彼女の攻めは拙速なものとなり。そこに生じる隙を見逃すフレミアではなかった。
「全てを滅ぼせ、神殺しの槍……」
 細剣の刺突を紙一重で躱し、詠唱を紡ぎながらドラグ・グングニルを繰り出す。真祖の魔力を収束したその穂先は、過たずスノーホワイトの胸に突き刺さり――彼女はそのまま全ての魔力を槍に注ぎこみ、全力すらも超えた限界以上の一撃を解き放つ。

「その再生が不可能な程、消し飛ばしてあげるわ……!」

 刹那、目を開けていられないほどの真紅の爆光が、モノクロームの世界を染め上げた。
 スノーホワイトの零距離で発動した【神槍グングニル】は、その絶大な破壊力の全てを彼女の内部で炸裂させ――再生の余地もなく、灰塵すらも残さずに消滅させた。

「ごめんなさいね、貴女がオウガになる前に助けてあげられなくて……」
 主のいなくなった城で、変身を解いたフレミアは哀しげに、静かに哀悼の意を示す。
 かくして、モノクロームの世界を支配した傲慢のスノーホワイトは斃れたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『極彩ブリックロード』

POW   :    手近な色から塗りたくる

SPD   :    インスピレーションに従って彩色する

WIZ   :    丁寧な配色にする

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ウサギ穴を利用しての奇襲作戦は成功し、猟兵達は見事『傲慢のスノーホワイト』を討ち破った。悪しき支配者が倒されたとの報せは、周辺にいた愉快な仲間にすぐに広まる。

「スノーホワイトがいなくなった!」
「これからボクたちは自由だ!」
「猟兵ばんざーい、ばんざーい!」

 これまでオウガの圧政に苦しんでいた愉快な仲間たちは大いに喜び、猟兵達を称える。
 だが、まだ全てが終わったわけではない。スノーホワイトの命令で各地に散っていた配下のオウガはまだ残っており、主君の死を知ればすぐにでも戻ってくるだろう。

「今のうちにここをボクらの住みよい国にしよう!」
「もっと明るくてカラフルなほうがいいよね!」
「ボクたちの身体も"お色直し"しなきゃ!」

 喋る花や歩く樹木、お人形や動物など、様々な姿をした――そして一様にモノクロな愉快な仲間たちは、オウガが戻ってくる前に不思議の国の環境を改善するつもりのようだ。
 この国には立派なお城もあれば大きな城下町もあり、町の外には豊かな森や草原が広がっている。本来なら美しい国だったはずが、モノクロのせいで活気がないように見える。
 もし、この国の改装に猟兵が提案や協力を申し出れば、愉快な仲間たちは大いに歓迎してくれて、作業も捗ることだろう。同時にオウガを迎え撃つ備えもできれば一石二鳥だ。

 野心の白雪姫が倒れた後のモノクロームの国は、果たしてどんな極彩に染まるのか。
 オウガの支配からこの国が抜け出すための、ほんとうの一歩がこれから始まるのだ。
緋月・透乃
よーし、白雪姫は倒せたね。
次は国をカラフルに、だね。
元々モノクロならそれもなんか味があっていいかもしれないけれど、色が奪われたってことだし、私もカラフルなほうが元気な感じがして好きだし、どんどん色を取り戻していくぞー!

うーん、私は戦い以外だと食べることが好きだから、カラフルな野菜や果物を植えていくことにしよう!
とはいえ私は運搬や整地等の力仕事をメインにして、植えるのはできるだけ愉快な仲間達に任せるよ。私が植えるとにんじんだらけになりそうだからねぇ。
あくまでこの国に住んでいる仲間達にとって良い場所になるようにしないとね。



「よーし、白雪姫は倒せたね。次は国をカラフルに、だね」
 傲慢のスノーホワイトが討たれた不思議の国では、さっそく模様替えが始まっている。
 ペンキ缶や絵筆を持って、白と黒の世界をぴょこぴょこと駆け回る愉快な仲間たち。彼らを手助けしようと、透乃は斧をしまってその輪の中に加わる。
「元々モノクロならそれもなんか味があっていいかもしれないけれど、色が奪われたってことだし、私もカラフルなほうが元気な感じがして好きだし、どんどん色を取り戻していくぞー!」
 元気いっぱいに拳を突き上げると、周囲にいた愉快な仲間も「おーっ!」と呼応する。
 見たところ城下町の中ではモノクロな家や建造物を塗り替える作業が。町の外では草花の塗り替えや植え替えが行われているようだ。

「うーん、私は戦い以外だと食べることが好きだから、カラフルな野菜や果物を植えていくことにしよう!」
 という訳で透乃が畑のほうを見に行ってみると、そこも"お色直し"の真っ最中。植えられていたのは瑞々しさの無い灰色のニンジン、キャベツ、リンゴにブドウ――料理は味だけでなく見た目も大事だと言うが、確かに全品モノクロでは食欲をそそられないだろう。
「ボクたちも食べるの大好き!」
「手伝ってくれるの? ありがとう!」
 灰色の作物を収穫し、新しい作物の種を植えようとしていた愉快な仲間たちは、諸手を挙げて透乃を歓迎する。農作業というのは結構な力仕事なうえに人力を必要とするが、彼らは育てたいもののアイデアは山のようにあったが、人手が足りていなかったようだ。

「私は運搬や整地等の力仕事をメインにして、植えるのはできるだけみんなに任せるよ」
 透乃は重たい荷物を【ひょいっと】持ち上げ、斧にかわって農具を振るい、そうした重労働を一手に担う。スノーホワイトとの戦いでも発揮された彼女の怪力と運動能力は、畑仕事においても遺憾なく発揮され、十人力、いやさ百人力の働きぶりを見せていた。
「すごいすごーい!」
「お姉さん力持ちだね!」
 愉快な仲間たちはキャッキャと彼女の周りではしゃぎながら、耕された畑に種を撒いていく。不思議の国ゆえの特別な力だろうか、土に埋められた種はすぐに芽を出し、茎や枝葉を伸ばし、瑞々しく彩りのある作物を実らせた果樹や野菜となった。

「わぁ、すごい。もうこんなに育ったんだね!」
 自分が開墾したあとの土地にカラフルな果樹園や野菜畑が広がっていくのを、透乃は満足そうな表情で眺めていた。と、同時に自分だけでやってもここまでバランスのいい彩りにはならなかっただろうなとも思う。
「私が植えるとにんじんだらけになりそうだからねぇ。あくまでこの国に住んでいる仲間達にとって良い場所になるようにしないとね」
 この国の主役は愉快な仲間たちで、自分はお手伝いができれば十分。好物の「美味しい満腹にんじん」をぽりぽり齧りながら、みんなのために汗を流す彼女は楽しそうだった。

(お姉さん、にんじん食べてる。好きなのかな?)
(じゃあさ、お礼にお姉さんのためのニンジンをつくろう!)
 そんな透乃の様子を見ていた愉快な仲間も、彼女のために何かしたいと思ったらしい。
 従来よりもずっと面積が広がり、作物のレパートリーも増えた野菜畑。その一角にはみずみずしい緑とオレンジのニンジン畑が作られたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雛菊・璃奈
以前に色彩の雨が降る不思議の国に行った事があるけど…ここも色を塗ればモノクロじゃなくなるのかな…?

少しだけ色彩のお手伝い…太陽の輝きと恵みをここに…。

【理想郷】で新たに植えた色鮮やかな植物の生育を促したり、柔らかに輝く太陽の光でこの国を鮮やかに彩るよ…。
草花が育って、緑豊かな国になればきっと彩溢れた国になるはず…。
後は色とりどりのお菓子とか売ってると嬉しいな…(じゅるり)
あ、ミラ達が…。

「きゅ?」
「きゅ~」
「きゅ~?」(インクとかペンキで壁とか塗り塗りとお手伝いしてたら、いつの間にかカラフルになってた仔竜達)

後は、オウガが戻って来た時の為に、幾つか呪符による呪術トラップを仕掛けておくよ…。



「以前に色彩の雨が降る不思議の国に行った事があるけど……ここも色を塗ればモノクロじゃなくなるのかな……?」
 愉快な仲間たちがモノクロームの国をお色直しする様子を、興味深そうに眺める璃奈。
 どこから用意してきたのか、ペンキや絵の具を使って建物や町、果ては動植物や自分たちの色まで塗り替えていくのは、まるで国全体を使ったアート活動のようにも見えた。
 なぜ絵の具だけでちゃんと色が着くのかは分からないが、それが"不思議の国"なのだろう。今まさに生まれ変わろうとしているこの国のために、璃奈も出来ることを考える。

「少しだけ色彩のお手伝い……太陽の輝きと恵みをここに……」
 璃奈が使うのは【天照(限定開放)・理想郷】。スノーホワイト戦でも使った九尾化の力を違うカタチで限定解放することで太陽神・天照の権能を発現するユーベルコードだ。
 六尾となった彼女が歌うように詠唱を紡ぎあげると、空からは暖かく柔らかな日の光と、栄養豊富な恵みの雨が同時に降り注ぐ。日光を反射した雨粒がキラキラと輝くさまは、まるで宝石が空から落ちてきたかのようだ。
「わあ……っ!」
「すっごく綺麗!」
 東洋では"狐の嫁入り"とも呼ばれる見事な天気雨に、愉快な仲間たちも思わず色を塗る手を止めて空を見上げる。それはこの地に光と希望をもたらすもの――恵みの雨にうたれた草花は、まだ種や芽の段階からすくすくと育ち、みずみずしい緑の葉を茂らせた。

「草花が育って、緑豊かな国になればきっと彩溢れた国になるはず……」
 白と黒と灰に包まれていた世界に緑が広がっていくのを見て、璃奈は快く目を細める。
 もともとこの国では植物の生育は早いらしいのもあって、雨の降ったところからみるみる土地の彩りが変わっていく様子は壮観ですらあった。
「後は色とりどりのお菓子とか売ってると嬉しいな……」
「いいね! ぼくたちもお菓子は大好き!」
 じゅるりと下心をちょっぴり垂らしながら呟くと、それを聞きつけたのは愉快な仲間。
 食べるものさえこれまでモノクロに統一されていた鬱憤を晴らすように、カラフルなグミやキャンディ、フルーツパフェにフルーツあんみつなどを売るお菓子屋さんやスイーツ店が開店し、食という側面からもこの世界の彩りを豊かにしていく。

「いいね、とても美味しそう……。あ、ミラ達が……」
 目まぐるしく変化していく不思議の国の中、ふと見れば璃奈と一緒について来た仔竜のミラ、クリュウ、アイ達もカラフルになっている。インクやペンキで壁とかを塗り塗りとお手伝いしていたら、いつの間にかこうなっていたらしい。
「きゅ?」
「きゅ~」
「きゅ~?」
 ペンキまみれの仔竜達はきょとんと小首をかしげ。そんな可愛らしい仕草に璃奈はくすりと微かに微笑む。あとでお風呂に入れるのが大変かもしれないが、これはこれで今の不思議の国の風景によく溶け込んでいる。

「後は、オウガが戻って来た時の為に、幾つかトラップを仕掛けておくよ……」
 模様替えに張り切る愉快な仲間と仔竜達の様子をひとしきり見守ってから、璃奈は巫女装束から呪符を取り出すと、城壁や建物の隙間、生い茂る緑の陰などに貼り付けていく。
 異変に気付いたオウガがやって来れば、この符に仕込んである呪術が作動する。あのスノーホワイトのような強敵ならともかく、数を頼みにする敵には有効な手段となる筈だ。
「せっかく綺麗な国になったんだしね……」
 必ず守るよ――と、小さく呟く魔剣の巫女の手で、迎撃準備は着々と進められていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カビパン・カピパン
「帝都軍少尉カビパンが告げる!」

右手を掲げる。

「ただ今より、不思議の国は我等が統治する。これは私利私欲の為ではない。世は未曾有の危機に陥っている。何故そうなるのか?それは皆が一つに纏まっていないからだ。スノーホワイトは皆の為に何かをしたか?否。なにすることもなかった!このまま混迷を指加えて見ていることしかできないのか、それも否である。我等は座して死を待つ者にあらず」

見回すと愉快な仲間に義憤の光がともっている。

「戦おう。この国に光と色に溢れる未来を与えてやるために!恐れるな、我に続け。未来への希望を繋ぐものであると信じるのだ!」

国中がどよめく。やがては歓声となった。
しかしカビパンは悪霊だった。



「帝都軍少尉カビパンが告げる!」
 傲慢のスノーホワイトが打倒され、お色直しが進んでいくモノクロームの不思議の国。
 その中央でカビパンが大きな声で叫ぶと、ペンキや絵筆を持って走りまわっていた愉快な仲間たちは、なんだなんだと集まってくる。
「お姉ちゃんどしたの?」
「軍人さんごっこ?」
 基本的にのんきで楽観的な愉快な仲間は、これは何かのお遊びだと思っているようだ。
 しかしカビパンはキリッと大真面目な表情のまま、右手を掲げて彼らにこう告げた。

「ただ今より、不思議の国は我等が統治する」
「「「えーーーーーっ!!!?」」」

 悪いオウガたちの女王がやっと居なくなったと思っていたところに、突然の統治宣言。
 これには愉快な仲間も愉快ではいられない。仰天、不満、ブーイングなど様々な声が上がるなか、カビパンは「静粛に!」と一喝して話を続ける。
「これは私利私欲の為ではない。世は未曾有の危機に陥っている」
 スノーホワイトが倒されても、まだこの国の危機が去ったわけではない。かの女王の配下だったオウガ達は今だ健在であり、それが戻ってくればせっかくの改装も無駄になる。スノーホワイトの後釜に座り、新女王としてこの世界を支配するオウガも現れるだろう。

「何故そうなるのか? それは皆が一つに纏まっていないからだ」
 この国の危機的現状を理解させたうえで、さらにカビパンは住民の問題点を指摘する。
 基本的に善良でお人好しな傾向の強い愉快な仲間たちだが、のんきで自由きままな気質が災いして団結力は弱い。女王に率いられたオウガに対抗できなかった一因はそれだ。
「スノーホワイトは皆の為に何かをしたか? 否。なにすることもなかった!」
 厳しい口調で事実を突きつけられ、「うぅっ」とバツが悪そうに縮こまる愉快な仲間。
 自由になったと思ったのに、このままではまたあの息苦しい日々に逆戻りなのか――? そんな不安と悲しみがじわじわと彼らの間に広がっていく。

「このまま混迷を指加えて見ていることしかできないのか、それも否である」
 どんよりとした雰囲気を吹き飛ばすように、カビパンは告げた。我等は座して死を待つ者にあらず、と。かつては手も足も出なかった敵でも、これからはそうではないのだと。
 澄んだ碧眼で群衆を見回すと、愉快な仲間たちの瞳には不安や悲しみに紛れて義憤の光がともっている。そう、理不尽に対する正しき怒りこそ、暗雲を振り払う力となるのだ。

「戦おう。この国に光と色に溢れる未来を与えてやるために! 恐れるな、我に続け。未来への希望を繋ぐものであると信じるのだ!」

 カビパンの力強い演説に愉快な仲間たちは心打たれ、不思議の国中が大きくどよめく。
 それはやがて歓声に、そして割れんばかりの喝采となり、万雷の拍手が降り注いだ。
「いいぞー、軍人さん!」
「わたしたちも戦うわ!」
「ぼくらの国は、ぼくらの力で守るんだ!」
 見事な【洗脳】、もといマインドコントロールによって愉快な仲間たちの士気は大いに向上し、彼らの心にはカビパンへのカリスマ性と女神の加護がしっかり印象付けられた。
 来たるオウガとの防衛戦において、この成果は大きなプラスに働くはずだ――彼らが尊敬のまなざしを送るカビパンが実は悪霊であることは、黙っておいたほうが花だろうが。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
真っ先に防衛設備を考慮するのは騎士か、それとも戦機の性でしょうか…
いえ、国を豊かに彩るのは私よりも余程上手くこなせる方に任せましょう

投石機(カタパルト)と据え付け式クロスボウを城に配備
弓より扱いやすく、銃より単純な手持ち式クロスボウも制作しオウガ達に備えましょう
製作方法は●世界知識を元に愉快な仲間たちに伝授

この国の護りは今後、皆様が担う事になるでしょう
騎士として、その準備のお手伝いをさせて頂きます
共に頑張りましょう!

力仕事等は引き受け
最後の仕上げとして城下町の道を花の模様で彩り

装飾でもありますが…特定の花の箇所は投石機の着弾点の目標でもあります
望遠鏡などで確認し放てば敵を一網打尽に出来る筈です



「真っ先に防衛設備を考慮するのは騎士か、それとも戦機の性でしょうか……」
 スノーホワイトとの戦いを終えても、トリテレイアが考えるのは「いかにしてこの国をオウガから守るか」という防衛策の検討だった。周りではモノクロな世界をカラフルにするために皆が駆け回っており、自分もそちらを手を貸そうかとも考えたが――。
「いえ、国を豊かに彩るのは私よりも余程上手くこなせる方に任せましょう」
 人にも機械にも適材適所というものがある。皆が豊かに生まれ変わらせた国を、オウガ等の悪しき者の手から守り抜くこと。それが機械仕掛けの騎士が果たすべき使命である。

「おぉー? ねえねえ騎士様、なにをしているの?」
「この城をオウガから守るための武器を配備している所です」
 城の壁をぺたぺたとカラフルに塗り替えていた愉快な仲間が出会ったのは、大きな投石機(カタパルト)と据え付け式のクロスボウを城の各所に設置するトリテレイアだった。
 次の戦いは攻め寄せるオウガを迎え撃つ防衛戦になる。これらの兵器をうまく運用すれば、猟兵よりも非力な愉快な仲間たちでも、オウガの軍勢に大打撃を与えられるだろう。
「丁度良かった。手の空いている方や、手先の器用な方を集めて貰えませんか」
「……? うん、いいけど」
 トリテレイアの頼みに彼らはきょとんと首を傾げつつ、近くにいた仲間を集めてくる。
 配備したカタパルト等の兵器とは別に、騎士はこの国の住民達にもうひとつ武器を与えるつもりだった。

「この国の護りは今後、皆様が担う事になるでしょう」
 トリテレイアが愉快な仲間達に伝授するのは、弓より扱いやすく、銃より単純な手持ち式クロスボウの製作方法だった。この不思議の国のテクノロジー水準で量産可能な武器で、なおかつ遠距離から一方的に敵を狙い撃てるものとなればこの辺りが打倒だろう。【理想/模倣の騎士】によりローディングした知識を元にして、懇切丁寧に作り方を教える。
「騎士として、その準備のお手伝いをさせて頂きます。共に頑張りましょう!」
「うん! ボクたちも騎士様や猟兵のみんなといっしょに戦うよ!」
 これまで散々苦しめられてきた相手から、自分たちの国を守るためとあって、愉快な仲間たちの士気は高い。手先が器用な者などは、もう自作のクロスボウを組み立てている。
 頼もしい限りですとトリテレイアは微笑むようにカメラアイを点滅させ、彼らの射撃訓練の指南を行ったり集団戦法の基礎を教えたりと、即席の兵隊として教練を施していく。

「城下町の整備は私もお手伝いしましょう。力仕事等はお任せください」
 伝えるべきことを伝えたところで、トリテレイアは不思議の国の改装にも手を加える。
 重たい建築資材の運搬や設置などはウォーマシンの怪力がものを言う。目抜き通りとなる城下町の大通りの石畳を張り終えたところで、彼は最後の仕上げにペンキを借りる。
「なに描くのー?」
「お花? お花だ!」
 離れた所からでもよく見えるようにでかでかと描かれたのは、色とりどりの花の模様。
 まるで町中に花畑ができたような光景を見て、愉快な仲間たちがぱあっと笑顔になる。

「装飾でもありますが……特定の花の箇所は投石機の着弾点の目標でもあります」
 装甲に付着したペンキを拭いつつ、トリテレイアはこの花柄のもう一つの意味を語る。
 兵器の扱いに慣れていない愉快な仲間たちが、襲ってくるオウガに攻撃を狙って当てるのは難しい。命中精度を向上させるには何かしらの目印が必要になると考えたのだ。
「望遠鏡などで確認し放てば敵を一網打尽に出来る筈です」
「なるほどー! うん、覚えておくね!」
 騎士のアイデアに住民たちは感心したように頷き。目標となる花の色や形を確認する。
 時がくれば、この訓練や準備は防衛戦において大きな効果を発揮することだろう。その時がけして遠くはないことを、トリテレイアの戦機としての経験は感じ取っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレミア・レイブラッド
酒場とかレストランとか美味しいお店が増えると良いわね♪

【虜の軍勢】で雪花、「万能派遣ヴィラン隊」(総勢多数)や「罠うさぎ」、「エビルウィッチ」、「邪悪エルフ」、「神龍教派のクレリック」を召喚。
愉快な仲間達の環境改善の手伝い及びこれから戻って来るオウガとの戦いに備えて罠や防御設備の作成を指示するわ。

よく来てくれたわね。みんな、よろしくね♪

…もし良ければ、あの子…スノーホワイトのお墓を町の隅に作ってあげても良いかしら?
あの子も元は普通の少女だったのが、この世界で歪んでしまっただけ…。
だから、せめてあの子の魂だけでも、元の世界の家族の下へ戻れるように…祈らせて貰えないかしら…。



「酒場とかレストランとか美味しいお店が増えると良いわね♪」
 女王のいなくなった国をこれからどうしようかという問いを受けて、フレミアがまず提案したのは飲食店の充実だった。目だけではなく舌も楽しませてくれるような美食を味わえる場所があれば、きっと日々の暮らしも彩り豊かなものになるだろう。
「いいね! これまではずーっと灰色のご飯ばっかりだったもん」
 愉快な仲間たちもモノクロな食事には飽き飽きしていたようで、味にも盛り付けにもこだわった料理のアイデアが次々と飛び出してくる。この様子なら様々な世界の名物を味わってきたフレミアの舌も満足させるだけの料理店が、きっと出来上がることだろう。

「わたしの可愛い僕達……さぁ、いらっしゃい♪」
 飲食店の開業準備を進める愉快な仲間を見送ってから、フレミアは己の居城より【虜の軍勢】を召喚する。眷属筆頭である雪女見習いの「雪花」を始めとして、万能派遣ヴィラン隊に罠うさぎの群れ、エビルウィッチに邪悪エルフ、神龍教派のクレリック等々――総勢十数名にもなる吸血姫の眷属達が、主君の呼びかけに応えて不思議の国に馳せ参じる。
「よく来てくれたわね。みんな、よろしくね♪」
「「お任せ下さい、フレミア様(なの~)」」
 フレミアが彼女らに命じるのは、愉快な仲間たちの環境改善の手伝い、及びこれから戻ってくるオウガとの戦いに備えて、罠や防御設備の作成だ。今回招集したメンバーには、そうした作業に役立つスキルを備えた者が多くいる。

「これより業務に移ります」
 あらゆるニーズに答えることを矜持とする万能派遣ヴィラン隊は、メイド服を翻して不思議の国中を奔走する。彼女らにかかればモノクロな建物の模様替えや、景観を損なうことのない防衛設備の配置など、何でもござれだ。
「この木、邪魔なら燃やしちゃうわね!」
「灰は灰に、倒木は下僕に……」
 城下町の外では、エビルウィッチがオウガの悪意に染まったモノクロの草木を【ファイアー・ボール】で焼却し、倒れた木々から邪悪エルフがゴーレムを創造する。開拓や植え替えのための土地を切り開きながら、労働や防衛のための戦力も整えられて一石二鳥だ。

「ここはトラップの仕掛けがいのありそうな所だね!」
 アルダワの迷宮生まれの罠うさぎ達は、町のあちこちに【えげつない多段トラップ】を仕掛けていく。改装中の町のカラフルさは、トラップを隠すのにいい迷彩になるようだ。
「これもフレミア様への信仰心を示す機会……」
「おねぇさまのためにがんばるの~」
 クレリックと雪花も主に対する想いを支えに、一生懸命にこの国の改装に働いている。
 ぺたぺたとモノクロの町並みを塗り替えているうちに、いつの間にか彼女たちまで色が着いているが、それもご愛嬌といったところだ。

「みんな、よくやってくれているわね」
 眷属達の働きぶりを見守りながら、フレミアはふと町外れの閑静なところへ足を運ぶ。
 人通りは少なく静かで、町の中心にあるお城のよく見える場所。そこで彼女は愉快な仲間たちにある提案――いや、お願いをする。
「……もし良ければ、あの子……スノーホワイトのお墓を町の隅に作ってあげても良いかしら?」
「えっ、あの女王様の……?」
 それはこの国の住民達からすれば驚くような提案だっただろう。彼らが知っているスノーホワイトは傲慢で、残酷で、自分たちを苦しめていたオウガ達の親玉だったのだから。

「あの子も元は普通の少女だったのが、この世界で歪んでしまっただけ……」
 しかしフレミアは彼女が元はアリスであり、七罪に堕ちてしまった理由を知っている。
 アリスラビリンスに迷い込まなければ、そして支配と魅了の力に目覚めなければ――あの娘も本来はきっと普通の暮らしができていたはず。被害者としての側面もあったのだ。
「だから、せめてあの子の魂だけでも、元の世界の家族の下へ戻れるように……祈らせて貰えないかしら……」
 切々と訴えるフレミアの心に胸を打たれたか、愉快な仲間たちは「そういうことなら……いいよ!」と、彼女の願いを承諾する。中には墓作りの手伝いを申し出る者までいた。

「ありがとう……」
「いいよ。あの子も元はアリスだったならね」
「歓迎はできなかったけど、お見送りしてあげなきゃ!」
 ニコニコと笑う愉快な仲間たちに、感謝の気持ちを込めてふっと淡く微笑むフレミア。
 ――かくして、不思議の国の片隅に、白雪姫を名乗ったとある少女のための墓が、ひっそりと作られたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フォーサイス
みんながカラフル好きならその方がいいね。

あとでぼくが戦いやすいように、ペンキの中にアナロジーメタモルフォーゼで変換する用の無機物を入れておこっと。

カラフルと言ったら、虹色かな?この森一体を虹色にしちゃえ。

これ、楽しいね。どんどん染めてくよー。



「みんながカラフル好きならその方がいいね」
 格好いいモノクロの世界も嫌いではなかったアリス。しかし愉快な仲間たちが一生懸命色を塗っているのを見ると、自分もこの世界をカラフルにするためのお手伝いを始める。
 受け取ったのは色とりどりのペンキとブラシ。これで塗れば不思議なことに、建築物でも動植物でもきれいに色が着くらしい。「キミの好きな色でこの国を描いてね!」と、愉快な仲間は笑いながらそう言っていた。

「カラフルと言ったら、虹色かな? この森一帯を虹色にしちゃえ」
 ペンキ缶を抱えたアリスは「メアリー・アンブレラ」を広げ、風に乗ってふわふわと城下町の外まで飛んでいく。彼女が目をつけたのは、郊外に広がる大きな森林地帯だった。
 まるで生気の感じられない灰色の森の上空で、ペンキをつけたブラシをぱっと一振り。
「こんな感じかな?」
 赤、青、黄、橙、藍、紫、緑。様々な色の雫に当たった木の葉が染まり、まるで生き返ったように枝を揺らす。それまで元気のなかった草花も、七色に塗られて元気に花開く。
 地上から見ても美しいが、空から見たその様子はまさに絶景だった。地上に虹を描くように、アリスが翔けていく軌跡はそのまま七つの色彩となって、森全体に広がっていく。

(あとでぼくが戦いやすいように、ペンキの中に無機物を入れておこっと)
 情報妖精が振りまく七色のペンキには【アナロジーメタモルフォーゼ】を使いやすくするための仕込みがある。それは周囲の無機物の情報を分解・再構築することで自在に操作するユーベルコード――つまり、彼女がペンキを塗った場所は彼女の支配領域に等しい。
「ちゃんと操作できるかな?」
 試しにすこしユーベルコードを使ってみると、ペンキに含まれた無機物の変換はもちろん、ペンキを塗った植物を間接的に操作することもできた。自分の意のままに枝葉を揺らす森の木々を見て、アリスは「大丈夫そうだね」とニコニコ笑う。

「これ、楽しいね。どんどん染めてくよー」
 最初は皆のリクエストに合わせて始めたペンキ塗りも、やっている内に面白くなってきた。アリスは大量のペンキを【アナロジーメタモルフォーゼ】の応用で操ると、広い面積は大雑把に、細かな仕上げはブラシでぺたぺたと、灰色の森を虹色に染め上げていく。
 オウガによる支配を象徴するかのようなモノクロームの森は、いつしか美しくカラフルな森となり。それを見た愉快な仲間たちからも「すごいすごい!」「アートだね!」と、絶賛の嵐が舞い込んだのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネーヴェ・ノアイユ
皆様と……。この国のお色直し。私も微力ながらお手伝いをさせていただきますね。
まずは……。お人形様とウサギ様をご本人達のご要望をお尋ねしながら色付けをさせていただけたらと思います。
せっかくの色を得る機会なだけに……。お人形様とウサギ様に喜んでいただけるよう慎重かつ丁寧に……。ご要望にお応えしたいところです……!

お人形様とウサギ様の色を塗り終わりましたらお二方が他にも色を付けたい場所があればその場所の色塗りもお手伝いをさせていただければと思います。
高所にも回復してきた魔力による空中浮遊や……。snow broomのお力をお借りすれば塗りにいけますので、どのような場所でもお手伝いいたしますよ……!



「皆様と……。この国のお色直し。私も微力ながらお手伝いをさせていただきますね」
 モノクロームからカラフルに染め替えられていく城下町の様子を楽しそうに見つめながら、ネーヴェは愉快な仲間たちに話しかける。"お色直し"を必要としているのはこの国だけではなく、オウガの悪意によってモノクロにされた住民たちもそうだった。
「まずは……。お二方のご要望をお尋ねしてもよろしいでしょうか?」
「あら。お嬢さんが私達に色を塗ってくれるの?」
「ラッキー! 自分じゃうまく塗れないところがあってさ!」
 ドレスも髪も白黒にされたお人形。暖炉の中に突っ込まれたような灰色のウサギ。少女に声をかけられた2人の愉快な仲間は、ありがたいと笑顔で自分達の身体を差し出した。

「せっかくの色を得る機会なだけに……。お人形様とウサギ様に喜んでいただけるよう慎重かつ丁寧に……。ご要望にお応えしたいところです……!」
「ふふっ、ありがと。じゃあそうね、まずは髪の毛をブロンドに塗ってもらおうかしら」
「おいらは嬢ちゃんの瞳みたいな、アイスブルーの毛並みにしてくれよ!」
 嬉々としてそれぞれの要望を伝える愉快な仲間たち。ネーヴェは小さな拳をきゅっと握って意気込みを見せると、用意された絵筆と絵の具を手に取って彼らの色付けを始める。

「そうそう、毛先は丁寧にお願いね。それが終わったらドレスも塗り直して頂戴」
「こう……。ですか?」
 気の強そうなお人形は、色を着けられている最中もあれこれ細かい注文をつけてくる。
 やれ肌の塗りにムラがあるだの、やれスカートの色が気に入らないだの。そのたびにネーヴェは何度も色を塗りなおすことになったが、あの女王の傲慢さに比べれば可愛らしいワガママにも思える。
「きゃはははは! 耳をこちょこちょされるのくすぐったい!」
「ウサギ様……。すこしだけ、じっとしていただけると……」
 やんちゃなウサギは落ち着きがなく、絵筆の先が触れるたびにちたぱたと暴れまわる。
 そのせいでうっかりと筆が滑って、毛並みにヘンな模様ができてしまうこともあったが。本人はそれも「これはこれでイケてるじゃん?」と気に入ったらしいので、結果オーライというやつだろう。

「うんうん、いい感じになったじゃない」
「どうだい、クールでカッコいいだろ?」
 しばらくした後に出来上がったのは、鮮やかなブロンドの髪と七色のドレスを翻すお人形と、キリッと決めポーズを取るアイスブルーのウサギだった。ネーヴェが丹精込めて仕上げた着色はどうやら気に入ってもらえたようで、2人の表情は満面の笑顔。
「喜んでいただけて何よりです……」
 ひと仕事を無事やり遂げたネーヴェは、口元に仄かな笑みを浮かべながらほっと一息。
 白い服やほっぺたに飛んだ絵の具の跡が、彼女の努力と頑張りのほどを物語っていた。

「お二方は、他にも色を付けたい場所がありますか……? もしあれば、その場所の色塗りもお手伝いをさせていただければと思います」
 ネーヴェがそう問いかけてみると、お人形とウサギは顔を見合わせてから、ぴしっと同じ方向を指差す。そこに建っているのは、町の中心にそびえ立つモノクロームのお城。
「やっぱりアレよね」
「町のシンボルがあのままじゃ、格好つかないもんなあ」
 スノーホワイトが住んでいたそのお城は、この不思議の国を象徴する建築物でもある。
 オウガの支配を脱した証として、それを綺麗に塗り直して欲しいというリクエストに、ネーヴェはもちろん二つ返事で頷いた。

「魔力も回復してきましたし……。snow broomのお力をお借りすれば高所にも塗りにいけますので、どのような場所でもお手伝いいたしますよ……!」
 白い箒に乗って空に舞い上がったネーヴェは、大きなリボンを風に揺らしながら、お城をてっぺんから塗り替えていく。お人形やウサギたちをはじめとした、この国に住まう愉快な仲間たちの希望を取り入れて、カラフルに、賑やかに、そして美しく。
「いいね、いいね!」
「とっても素敵だよ!」
 地上からわあっと湧き上がる歓声を聞いて、雪色の少女は頬をほんのり朱色に染めて。
 圧政と傲慢の象徴たるモノクロームの城を、魔法のようにお色直ししていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シウム・ジョイグルミット
[SPD]
仲間たちー、もう大丈夫だよー!(一緒にバンザイして喜ぶ)
よーし、皆でこの世界を賑やかで綺麗な世界にするぞー!

せったくだし、遊びながら色塗りなんていうのもどうかな?
集まってくれた仲間たちをチーム分けして、チーム毎に違う色を渡してみたり
それで一斉に塗り合いして、塗った色が一番多かったチームが優勝、とか!
その時はボクも参加して皆いっぱい染めちゃうよー♪
あとはチームメイト同士で色塗りし合って、一番綺麗になるのはどのチームだーみたいなのをショー形式にしたら楽しいかも
それぞれの個性が出るし、賑やかになって盛り上がりそうじゃない?

とにかく、今まで苦しんでた分も皆笑顔でワイワイはしゃいでほしいかな!



「仲間たちー、もう大丈夫だよー!」
 傲慢のスノーホワイトとの戦いを終えたシウムが呼びかけると、モノクロームの町のあちこちから愉快な仲間たちがひょこりと顔を出す。これまでオウガの暴政に苦しめられてきた彼らは、敵の親玉が倒されたと知れば大いに喜んだ。
「猟兵のみんな、ありがとう!」
「ばんざーい! ばんざーい!」
 歓喜にわく住民達の輪に加わって、皆と一緒にバンザイして喜びを分かち合うシウム。
 この世界の出身ではないとはいえ、彼女もまた時計ウサギの1人。同族である愉快な仲間のノリに溶け込むのも、意気投合するのも早かった。

「よーし、皆でこの世界を賑やかで綺麗な世界にするぞー!」
「「おーーーっ!!!!」」
 シウムがぐっと拳を突き上げて叫ぶと、集まってきた愉快な仲間たちの声が唱和する。
 どこからともなく用意されたのは、カラフルなペンキや絵の具と、絵筆やブラシなどの色塗り道具一式。それと住民達の人数を数えた彼女は、ふと思いついた様子で提案する。
「せったくだし、遊びながら色塗りなんていうのもどうかな?」
「遊びー? なになに?」
「どんなふうに遊ぶの?」
 その名のとおり、愉快で楽しいことが大好きな仲間たちは、遊びと聞いて飛びついた。
 シウムは集まってくれた彼らを同じ人数になるようチーム分けして、チーム毎に違う色のペンキと絵の具を渡してみる。

「それで一斉に塗り合いして、塗った色が一番多かったチームが優勝、とか!」
「おもしろそう! やるやる!」
「よーし、負けないぞーっ!」
 シンプルで分かりやすいルールの説明を受け、がぜんやる気に満ちる愉快な仲間たち。
 発案者のシウム自身もチームのひとつに加わって。全員の準備ができたのを見計らうと、絵筆を振りかぶって号令する。
「それじゃあ、スタートッ!」
 わっと楽しそうな声が弾けて、蜘蛛の子を散らしたように仲間たちが町中に駆けていく。赤、青、黄色、緑、ピンク、オレンジ、それぞれのチームカラーを掲げ、道路や建物を思い思いのセンスで塗り潰す。まるで色水のバケツをひっくり返したような大騒ぎだ。

「みんな楽しそうで良かった。ボクもいっぱい染めちゃうよー♪」
 チームの一員として参加中のシウムも、皆に負けじとモノクロの壁いっぱいに自分の故郷、お菓子の森を描いてみる。【Lucky Star】の学習力と野性的なセンス、そして素早い筆致から描きだされるそれは、アートの初心者とはいえなかなか目を引く出来栄えだ。
「わぁっ、すごいすごい!」
「それじゃボクも!」
 チームメイトも一緒になって、町というキャンバスにひとつの作品を作り上げていく。
 他のチームの様子を見ても、それぞれに色の塗り方にはカラーだけではない個性が出ている。そこでシウムはぽんと手を打って、もうひとつ皆に提案をしてみる。

「チームメイト同士で色塗りし合って、一番綺麗になるのはどのチームだーみたいなのをショー形式にしたら楽しいかも。賑やかになって盛り上がりそうじゃない?」
「「さんせーいっ!!」」
 塗った色の多さによる順位付けを競うのも楽しいが、順位とは関係なしにそれぞれの作品を鑑賞しあうのもまた楽しいもの。いっそう熱を込めて不思議の国を色づけていく愉快な仲間たちを見て、シウムはふっと満足そうな笑顔を浮かべる。
(とにかく、今まで苦しんでた分も皆笑顔でワイワイはしゃいでほしいかな!)
 もう誰にも縛られることのない自由を、皆に思う存分楽しんでもらうのが彼女の願い。
 モノクロの世界が鮮やかに染まっていくのを見れば、心も自然に浮きあがってくる。

「それじゃあ塗った色の多さの順に、ランキング形式で発表していくよ!」
 楽しい色塗り大会が済んだら、シウムは棒付きキャンディをマイクのように持って司会役に。カラフルに染まった愉快な仲間たちが、わくわくした表情で作品発表の時を待つ。
 モノクロームの支配から解放された人々のお祭り騒ぎは、まだまだ終わることはない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

西堂・空蝉
アドリブ・連携OK

「さ、こんな陰気くさい世界は早いところリフォームしてやりましょう」
 とはいえ特段絵心などもない己はどうしたものか……と考えたところでポケットの中の飴玉包みを思い出し、それを愉快な仲間たちに渡してやりながら、
「飴玉、練り菓子、チューインガム。甘味で飾り付けるってぇのはどうです?」
 愉快な仲間たちに提案し、協力しながら、色とりどりの菓子類で白黒の世界を賑やかに変えていきます。甘いものを食べれば気分も上向くもの。目に見える部分だけでなく、舌の上まで賑やかに変えてやりましょう。
「ま、正直を言うとあたしが甘味を切らしてるってぇのもあるんですけどね」
などと舌を出しておどけつつ。



「さ、こんな陰気くさい世界は早いところリフォームしてやりましょう」
 凝りをほぐすようにうんと伸びをして、辛気臭いモノクロに染まった町を見渡す空蝉。
 傲慢な女王がいなくなった以上、不思議の国をこのままにしておく理由はないだろう。
 とはいえ特段絵心などもない己はどうしたものか――と考えたところで彼女はあるものを思い出して、ジャケットのポケットに手を突っ込む。
「そういやこれがありましたね」
「なになにー?」
 中から取り出したのはポップな絵柄がプリントされた飴玉包み。興味津々でやって来る愉快な仲間たちにそれを渡してやりながら、彼女は飄々とした態度で提案を持ちかける。

「飴玉、練り菓子、チューインガム。甘味で飾り付けるってぇのはどうです?」
 単にペンキなどで色を塗り替えるだけでなく、色とりどりの菓子類で白黒の世界を賑やかに変えるのはどうか。そう語る空蝉の口ぶりはふとした思いつきのような風だったが、それを聞いた愉快な仲間たちは「なんて名案!」とばかりに目をキラキラと輝かせた。
「それ、とってもいいアイデアだよ!」
「ボクたちのお菓子も持ってくるね!」
 甘くて美味しいスイーツは不思議の国には欠かせないもの。オウガの支配下でもこっそり隠し持っていたのだろう、秘蔵のお菓子を各自が持ち寄って、モノクロの世界をスイートな世界にする作業が始まった。

「甘いものを食べれば気分も上向くもの。目に見える部分だけでなく、舌の上まで賑やかに変えてやりましょう」
 空蝉はそう嘯きながら、愉快な仲間たちと協力して町をお菓子で飾り付けていく。花壇には白黒の花にかわって練り菓子の花を置いたり、木の枝には果実のように飴玉を吊るしてみたり――幼い頃より身を置いてきた鉄火場とは比べものにならないほどまったりとした仕事だが、やってみればこれも祭りの準備のようで面白いものだ。
「こーんな感じ、かなっ」
「いいね、いいねっ!」
 辺りを見れば愉快な仲間たちがチューインガムを建物の壁にくっつけて遊んでいたり、マシュマロを雲に見立てて高い所に飾ってみたり、思い思いに不思議の国を彩っている。
 飾り付けが進むにつれて、町に漂う甘い香り。陰鬱な雰囲気が消えていくだけでなく、その行程そのものを皆に楽しんでもらっているようなら、なによりだと空蝉は思う。

「ま、正直を言うとあたしが甘味を切らしてるってぇのもあるんですけどね」
 などと舌を出しておどけつつ、飾り付けられた飴玉をひとつ、こっそりとつまみ食い。
 ころころと口の中で転がる甘さは、スノーホワイトとの戦いで疲れた心と体を癒やし、次の戦いのための活力になってくれる。故郷エンパイアからUDCアースに移り住んでからというもの、彼女はこうしたスイーツに目がないのだ。
「よっし、充電完了です」
 町中がお菓子箱になったように、賑やかで鮮やかに様変わりした不思議の国を眺めて。
 高枝鋸を担ぎなおす空蝉の嗅覚は、彼方からやってくる戦いの気配を嗅ぎ取っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『サーバントバニー』

POW   :    ウサキ~~ック!
単純で重い【高く跳んでからのジャンプキック 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    ウサキッス
【投げキッスをする事で放つ衝撃波 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【にハート型のマークを刻み】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    ウサウサスカイジャンプ
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 スノーホワイトを倒した猟兵は、愉快な仲間達と協力して不思議の国を改装していく。
 住民達の趣向によって"お色直し"された世界は、今やモノクロではなくカラフルに彩られた、賑やかで楽しい世界に様変わりしていた。

「綺麗なもの、美味しいものがいっぱい!」
「これが猟兵さんと作った、ボクらの不思議の国!」

 かつて傲慢な女王が住んでいたお城は新たな町のシンボルに相応しいよう塗り替えられ、目抜き通りとなる中央の大通りには花のアートが咲き誇る。その他にも町のあちらこちらには猟兵と愉快な仲間たちが共同で描きあげた作品が、明るい雰囲気を作っている。

 愉快なグラフティと一緒に町を彩るもうひとつの要素は、美味しい食事とスイーツだ。
 立ち並ぶ酒場やレストラン、お菓子屋さんやカフェなどからは常に美味しそうな香りが漂っており、キャンディやチューインガムなどのお菓子が町を飾り立てている。

 城下町の外に向かえば、まず目に入るのは広々とした豊かな野菜畑と果樹園だろう。
 さんさんと降り注ぐ日光と雨の恵みによって育った作物は、どれも瑞々しく食べ頃だ。
 さらにその向こうには、七色に染め上げられた木々や草花が茂る「虹の森」が広がっている。不思議の国中どこを見回しても、オウガが支配していた頃の面影は微塵もない。

「ど……どーなってるのっ!!?」

 ――そんな光景を目の当たりにして吃驚仰天したのは、戻ってきたオウガたちである。
 バニーガールの格好に身を包んだ、女性型オウガ「サーバントバニー」。スノーホワイトの命令で城下町を離れていた彼女らは、遅ればせながら異変に気付いて戻ってきたのだが、留守にしていた短い間にこうも様変わりしているとは思いもよらなかったようだ。

「スノーホワイト様もやられちゃったみたい?」
「ちょっとプライド高すぎるけど、美人だし嫌いじゃなかったのになあ」
「しょーがない、だったら弔い合戦よ!」
「この国であたし達オウガに逆らう奴は皆殺しなんだから!」

 少し間が抜けた調子でノリの軽い連中だが、意外にも主君に対する忠義は篤いらしい。
 一見ふざけた格好だが、その身のこなしは本物のウサギのように機敏で、高い戦闘力を窺わせる。そしておどけた仕草の中に紛れた殺気は、敵を殺すことに何の躊躇もない。

 だが、猟兵達も戻ってきたオウガを迎え撃つ準備は万全だ。不思議の国のあちこちには対オウガ用トラップが仕掛けられ、城には投石機と大型のクロスボウが据え付けてある。
 白黒からカラフルに様変わりした愉快な仲間たちも、手持ち式のクロスボウで武装し、猟兵と一緒に徹底抗戦する構えだ。

「ボクたちの国で、これ以上好き勝手にさせるもんか!」
「せっかく素敵な国になったんだもの! オウガなんかに負けないぞ!」

 拳を握りしめて高らかに叫ぶ愉快な仲間たちに、押し寄せるサーバントバニーの大群。
 モノクロームか、カラフルか。この国の未来を決める決戦の火蓋が切って落とされた。



 ※マスターより追記
 本章では愉快な仲間に加え「不思議の国そのもの」が猟兵の戦いを支援してくれます。
 色を塗った植物や建物がオウガを妨害したり、料理やお菓子を食べるとパワーアップしたりするので、それらの不思議な力の援護を利用するとプレイングボーナスがつきます。
 愉快な仲間達と不思議の国と協力して、オウガの魔の手からこの国を守って下さい。
隣・人
取り敢えずお菓子食べます。紅茶で一息していたら不思議の国直ってましたね
「綺麗な色の国になりましたねぇ。取り敢えず。邪魔な兎さんは脳漿ぶちまけたりしてください。宜しくお願い致します」
単純明快な撲殺し遭いは隣人ちゃんに任せてください
高所からの一撃を躱すのは楽々そうですが地形破壊が面倒です。拷問具(コーヒーカップ)にオーラ防御とかつけて迎え撃ちましょう。少し欠けても問題ありません。別のコーヒーカップ召喚しますから
防いだら此方の番ですよ。ぶん回るコーヒーカップ叩きつけてミキサーしてやりましょう。うさぎ肉の団子ですね

「鍋の季節にゃ早いですが素敵な素敵なハギスでしょう!」



「紅茶で一息していたら不思議の国直ってましたね」
 スノーホワイトが倒れてからゆっくり休憩していた隣人は、いつの間にか近くに飾られていたお菓子をひょいとつまんで一口。広がるふんわりとした甘さがとても紅茶にあう。
「綺麗な色の国になりましたねぇ。取り敢えず。邪魔な兎さんは脳漿ぶちまけたりしてください。宜しくお願い致します」
 すっかりと見違えたモノクロあらためカラフルの国を眺めながら、謎多き人型オブジェクトは拷問具(コーヒーカップ)を手に再び立ち上がる。キレイな飾り付けはあまり得意ではなくとも、派手にぶちまけたり飛び散らせたりするのは彼女の得意分野である。

「単純明快な撲殺し遭いは隣人ちゃんに任せてください」
「ふうん、自信満々ね? で~も、アタシらだってブッ殺すのは得意よ!」
 ぴょんぴょん飛び跳ねながら不思議の国を襲う『サーバントバニー』たちは、立ちはだかる隣人を見るとひときわ高く跳び上がり、落下の勢いを乗せたジャンプキックを放つ。
「ウサキ~~ック!」
 ふざけた掛け声通りのシンプルな技。高所からの一撃を躱すのは楽々そうだが、そうすると直撃地点の地形が破壊されてしまう。せっかく綺麗になった国を壊されるのは面倒だと考えた隣人は、持っているコーヒーカップに虹色のオーラをつけて防御の構えを取る。
「跳んでカップに入る秋の兎、なんて」
「な~んの諺にもなってないわよ!」
 げしげしどすぅ、とカップの盾に突き刺さるバニー達のヒール。見た目以上に重たい威力を受け止めたカップにはピシリとヒビが入り、隣人自身も衝撃でズザザっと後ずさる。

「少し欠けても問題ありません。別のコーヒーカップ召喚しますから」
 しかし隣人は何のその、割れたカップの代わりにすぐ新しいものを取り出すと、ぐるんと勢いをつけて回しだす。使い手の血を啜ることで高速回転するソレは、単なる盾でも遊具でもないことを示すようにクルクル、クルクル、クルクルクルクルクルウルウ――と。
「防いだら此方の番ですよ」
 派手なジャンプキックの直後ではバニー達の体勢も乱れる、そこに叩きつけられたのは【六六六番外・隣人地案流殺人技芸・撲圧一撃回々繰ル】。先のひと蹴りの意趣返しかのように、単純で重いコーヒーカップの一撃がオウガの群れをまとめて押し潰す。

「ぎゃっふん?!!!」
 ぶん回る拷問具の下敷きとなったサーバントバニー達は、そのままカップから生える触手に身体を絡め取られ、かき回される。さながら巨大なミキサーにかけられたように、粉砕されたウサギの肉片と血と脳漿その他が混ざりあったナニカが辺りにぶちまけられる。
「鍋の季節にゃ早いですが素敵な素敵なハギスでしょう!」
 ――あの料理は本来、羊の内臓を使うものだったような気もするが、それはさておき。
 隣人ちゃんは出来上がったうさぎ肉の団子を前にしてスッキリした笑顔を見せると、モザイクのかかったコーヒーカップを担いで次の獲物を探しにいくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カビパン・カピパン
軍人さんごっこに飽きたカビパンは愉快な仲間たちと雪でかまくら作りつつコブシを効かせながら〇雪を熱唱していた。

「しらぁ~↓↑ゆきぃ~ねぇ~」

やたらと音が外れて音痴が癪に障るが、歌いだしたカビパンはのってきたらしく、その後別の曲を三曲ぐらい歌い続けた。そして、四曲目に入ろうとしたところでハッと気づく。
色んな意味で異様な光景を目にした吃驚仰天のサーバントバニーがやってきた。

「な、何をしているの!?」
「幕府を作っているのよ」
「バクフ???」

当店の結希CEOだったらキリモミ回転しながらツッコミしてくれるのに、このバニー達は困惑するだけ。センスの無さにムカついたカビパンは愉快な仲間たちと共にしばき倒した。



「しらぁ~↓↑ゆきぃ~ねぇ~」
 不思議の国の改装中、愉快な仲間たちを相手にあれだけ熱弁をふるっていたカビパン。
 しかし、いざオウガの群れが襲ってきた現在――軍人さんごっこに飽きた彼女は愉快な仲間たちと一緒に雪でかまくらを作りつつ、コブシを効かせながら〇雪を熱唱していた。
 普通に考えればまだ雪が降るような季節ではないのだが、ひょっとするとそれはお色直しされた不思議の国からのちょっとしたお礼だったのかもしれない。冷たくも美しい雪景色に愉快な仲間もテンション上がったのか、戦いなんてそっちのけで遊んでいる。

「ここぉ~ろまぁ~で~しぃ~ろくぅ~↑↓」

 やたらと音が外れた音痴が癪に障るが、歌いだしたカビパンもノッてきたらしく、二曲目三曲目と別の曲を歌い続ける。「やーい、ヘッタクソー!」と聞いていた愉快な仲間たちからは雪玉を投げつけられたが、その程度じゃ彼女はめげない折れないへこたれない。
「応援ありがとー! それじゃ次の曲は――」
 ノリノリのまま聖杖を握りしめ四曲目に入ろうとしたところで、彼女はハッと気付く。
 色んな意味で異様な光景を目にした、吃驚仰天のサーバントバニーがやってきたのだ。

「な、何をしているの!?」
 バニー達からしてみれば、ちょっと留守にしていた間に国はなんかカラフルになっているし、雪は降っているしかまくら作って遊んでるしヘンテコな歌は聞こえてくるしで、もはやツッコミの大渋滞。困惑する彼女らの問いかけに、カビパンがドヤ顔で答えて曰く。
「幕府を作っているのよ」
「バクフ???」
 おそらく"かまくら"と"幕府"をかけた高度なギャグのつもりなのだろうが、それを理解するには最低限、日本の歴史を知らないといけない。前提となる知識が足りないサーバントバニーの困惑は深まるばかりだが、そのビミョーな反応はカビパンのカンに障った。

「当店の結希CEOだったらキリモミ回転しながらツッコミしてくれるのに」
 センスの無いバニー達にムカついたカビパンは聖杖をほっぽり出してハリセンを取り出す。しかし自分の店の従業員に対するツッコミの信頼度がやたらと高いが、初対面のオウガにそのレベルを要求するのはハードルが高いと思う。
「お前たち、やってしまいなさい!」
「イエッサー!」
 一声号令を発すれば、近くにいた愉快な仲間たちが一斉に雪玉やボウガンの矢を投げつけ始める。ただの雪と矢とはいえ束になれば油断ならない威力を発揮し、おまけに敵は【ハリセンで叩かずにはいられない女】の作り出したギャグ世界の影響で弱体化していた。

「ちょっ、ちょっと待って……ぎゃふんっ!!!?」
 ここではカビパンのペースに合わせたギャグに適応できない者には死あるのみ。ツッコミ不適格とみなされたサーバントバニーは愉快な仲間たちの手でさんざんにしばき倒され、トドメにカビパンのハリセンフルスイングを食らってキリモミ回転しながら吹っ飛ぶ。
「ふっ、他愛もないわ。あーさむ、なんか寒くなってきたわね……」
 ギャグの力で敵をぶちのめしたハリセン女教皇は、かじかんできた手にはあと息を当て。かまくらに引っ込むと、その後も愉快な仲間たちと歌って遊んで騒ぎまくるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

緋月・透乃
白雪姫の手下だから小人がくるかと思っていたけれどうさぎかー。ま、敵なら倒すだけだね!
国をカラフルに変えたみんなの力を見せつけるぞー!

愉快な仲間たちが作ってくれたにんじんを食べてから戦闘へいくよ!
今回も使う武器は重戦斧【緋月】。
戦い方はパワーアップした能力を頼りに正面から突っ込んでいって斧で叩き潰すのみ!作ったものを守るためにも、私自身は守りを捨てた攻めでどんどん敵を倒していくよ!
敵が跳ねてユーベルコードを使ってきた時だけは、被刃滅墜衝での反撃を狙うよ!
愉快な仲間たちには敵の足止めをしてもらえると戦いやすいね。



「白雪姫の手下だから小人がくるかと思っていたけれどうさぎかー。ま、敵なら倒すだけだね!」
 向かってくるオウガ「サーバントバニー」の大群を見やりながら、再び重戦斧【緋月】を担ぎ上げる透乃。スノーホワイトとの戦闘中にも現れた【勇猛で忠実なる七人の小人】のようなのを想像していただけに少し意外ではあったが、やることが変わる訳ではない。
「国をカラフルに変えたみんなの力を見せつけるぞー!」
 腰から吊り下げているのは、愉快な仲間たちが畑のお礼にと作ってくれたニンジン。
 その一本をぽりぽりと齧りながら、赤毛の娘は敵群の真っ只中に勇ましく吶喊する。

「ば~か、1人で正面から突っ込んでくるなんてっ!」
「アタシたちのウサキッ~クの餌食になりなさい!」
 突出した透乃に狙いをつけたサーバントバニー達は、ぴょんと高く跳び上がりながらジャンプキックを仕掛けてくる。軽いノリに反して重たいその一撃を、しかし透乃は重戦斧を盾にしてガッチリと受けとめる。
「効かないよ!」
「ウソッ?!」
 オウガの支配から解放してくれたお礼に、不思議の国そのものが力を貸してくれているのだろうか。ニンジンを食べてからと言うもの普段以上に身体が軽いし、力もみなぎっている。バニー達のキックは彼女を一歩たりとも退かせることはできなかった。

「お返しいるよねっ! 被刃滅墜衝!!」
 バニー達の攻撃を凌いだ透乃が返す刃で放つのは、反撃の一撃【被刃滅墜衝】。
 攻撃直後のバランスを崩した敵を、大振りな【緋月】の一閃が纏めて薙ぎ払う。
「ぎにゃぁぁぁぁっ!!!?!」
 突風に散らされる落ち葉のように、悲鳴を上げてクルクルと吹っ飛んでいくバニー達。
 敵陣の一角が崩れたのを皮切りに、そのまま透乃はパワーアップした能力を頼りに斧を振り回し、当たるを幸いとばかりに周囲のバニーをどんどん叩き潰していく。

「作ったものを守るためにも、身を守っている場合じゃないよね!」
 大技のジャンプキックを除けば、透乃はほとんど防御の構えを取らない。守りを捨てて全身全霊を攻めに傾けて、敵を倒すために――みんなと作り上げたカラフルな町や畑に近寄らせないように専念している。
「お姉さん、僕たちも手伝うよ!」
 そこに駆けつけた愉快な仲間たちが、勇戦する彼女の後方からクロスボウの援護射撃を放つ。その顔ぶれの中には、透乃と一緒に畑を耕し、野菜の種を撒いた仲間たちもいた。

「ぴょんっ?! こいつら、邪魔~っ!」
 降り注ぐ矢の雨を受けて、サーバントバニー達の足が止まる。猟兵の攻撃と比べれば与えたダメージは微々たるものだが、連携して立ち向かえば牽制としての効果は十分ある。
「ありがとう、戦いやすいよ!」
 その好機にずんと踏み込んだ透乃が、渾身の力で重戦斧を振り下ろせば。不思議の国の奪還を目論む悪しきオウガたちは「ぎゃああああっ?!」と断末魔を上げて粉砕される。
 好戦娘と愉快な仲間たちの奮戦は、数においては勝るオウガの群れを、一歩も国に寄せ付けはしなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレミア・レイブラッド
へぇ…忠誠心に篤い子達ね。好きよ、そういう子達。
外見も可愛らしいしね♪

呼び出した眷属達に【吸血姫の契り】を使用し、制圧を指示。
ヴィラン隊は【業務の邪魔は許しません】、邪悪エルフはゴーレム、クレリックは【神龍降臨の儀】で前衛。
エビルウィッチは【ファイアー・ボール】、雪花は【とにかくふぶいてみる】で後衛を担当。

加減して戦闘不能で【念動力】で捕縛し、【魅了の魔眼・快】で魅了するわ♪

それじゃ、早速最初の仕事よ♪
…貴女達があの子を慕ってくれていたなら、あの子の冥福を祈ってくれないかしら。あの子はようやく、歪んだ道から戻る事ができたのだから…。

(祈りの後)さぁ、他の子の加勢に行くわ。みんな、よろしくね♪



「へぇ……忠誠心に篤い子達ね。好きよ、そういう子達。外見も可愛らしいしね♪」
 不思議の国を取り戻そうと攻めてくるサーバントバニー達に、フレミアは好感を抱いた様子でにこりと微笑む。いかにも遊び人らしい風貌と言動ながらも、死した主君スノーホワイトへの忠義をあくまで貫く姿勢は、敵ながらも気分の悪いものではなかった。
「でも、この国をまた奪わせるわけにはいかないわね。いくわよ、みんな♪」
「「はい、フレミア様!」」
 国の改装のために呼び出した眷属達に号令をかければ、返ってくるのは力強い応答。
 カラフルに生まれ変わったこの世界を――ひとりの"アリス"が眠る地を荒らさせないために、彼女は虜の軍勢と【吸血姫の契り】を結ぶ。

「フレミア・レイブラッドが血の契約を交わします。汝等、我が剣となるならば、吸血姫の名において我が力を与えましょう」
 フレミアの血と魔力を用いて執り行われる制約の儀。これにより一時的に吸血鬼化した眷属の魔力や身体能力は飛躍的に向上し、その相互作用でフレミアの能力も強化される。
 力を授けられた眷属達は、直ちにフレミアの指示を受けて敵の制圧に乗り出した。邪悪エルフ、神龍教派のクレリック、万能派遣ヴィラン隊が前衛。エビルウィッチと雪女見習いの雪花が後衛を担当するフォーメーションだ。

「業務の邪魔は許しません」
 猛スピードで近付いたヴィラン隊は、目にも止まらぬ打撃のラッシュでバニーの群れを叩きのめす。その後から邪悪エルフの操るゴーレムが、巨体を活かして敵陣を蹂躙する。
「ここから先へは行かせません……」
「神龍よ、我らが主のために、その威光を示されよ!」
 進撃が止まったところに襲い掛かるのは、クレリックの【神龍降臨の儀】により出現した神龍。崇拝者の想像力が乱れぬ限り無敵の力を誇るドラゴンが、圧倒的なパワーで敵を薙ぎ払っていく。

「な、なになにこいつら?! ちょっと強すぎない?!」
 そこらの愉快な仲間とは一線を画するフレミアの眷属達の実力に、仰天するサーバントバニー達。しかし彼女らが態勢を立て直す間もなく、今度は後衛組からの追撃が飛んだ。
「ふふ、ちょっと熱いわよ♪」
「おとなしくしてなの~っ」
 エビルウィッチの【ファイアー・ボール】と雪花の【とにかくふぶいてみる】が同時に炸裂し、炎と雪の嵐が敵陣を吹き抜ける。シッポに火傷を負う者、ウサ耳の凍りついた者、ダメージはそれぞれだが無事な者は誰一人としていない。それでも死者が1人もいないのは、フレミアが予め眷属達に加減して戦闘不能に留めるように命じていたからだった。

「こ、これはちょっとヤバいかも~……うぐっ?!」
 ボロボロになったバニー達を捕まえるのは、フレミアの放った念動力。不可視の力場にて引き立てられた彼女達は、妖しく輝く【魅了の魔眼・快】と目を合わせることになる。
「わたしの僕になりなさい……あなたはもう、わたしのトリコ♪」
 サーバントバニーの事が気に入ったフレミアは、彼女らを新たな眷属として迎え入れることにしたらしい。これ以上抵抗する力もなかったバニー達の心は、強烈な快楽を伴う魅了の魔力によって陥落し、新たな主君の前に跪いた。
「負けちゃった~。じゃあこれからはアンタがあたし達のご主人サマね♪」
 眷属として虜になっても相変わらずノリのほうは軽いサーバントバニー達。しかし彼女らなりに忠誠を示しているらしい態度にフレミアは満足そうに微笑みながら「それじゃ、早速最初の仕事よ♪」と命を下す。 

「……貴女達があの子を慕ってくれていたなら、あの子の冥福を祈ってくれないかしら。あの子はようやく、歪んだ道から戻る事ができたのだから……」
 ――そう言った時の彼女の顔は、それまでと一転して穏やかで落ち着いた表情だった。
 傲慢の罪に堕ちたオウガの女王スノーホワイト。なれどその死を心から悼み、死後の安寧を願ってくれる者がいれば、きっとその魂は迷わずにあるべき所に還れるだろうから。
「ん。今の主人はフレミア様だけど、スノーホワイト様にも世話になったしね」
 眷属化したサーバントバニーは、この時ばかりは殊勝な振る舞いで、町の片隅にある墓の前で黙祷する。静寂が辺りを包むなか、フレミアも一緒にかのアリスの安息を祈った。

「……さぁ、他の子の加勢に行くわ。みんな、よろしくね♪」
「「りょーかい♪」」
 祈りを終えた後、フレミアは新たに加わった眷属を引き連れて、再び戦場に舞い戻る。
 勢いを増す攻勢に圧されゆく敵のオウガ軍団。戦いの流れは早々に、猟兵達の側に傾きつつあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雛菊・璃奈
もぐ…お菓子美味しい、けど…後は終わってからのお楽しみ、かな…(既に空の器たくさん)

「きゅ~♪」(お腹いっぱいな仔竜達)

敵が国に侵入すると同時に2章で仕掛けた各所の呪符を発動…。
呪力の縛鎖や呪いの雷撃【属性攻撃、高速詠唱、呪詛】で敵の動きを封じつつ迎撃…。

そこに愉快な仲間達のクロスボウや仔竜達のブレス、黒桜の呪力解放(手加減)【呪詛、衝撃波、なぎ払い、早業】で一気に攻撃…。

…降伏するなら命は助けるよ…。
【共に歩む奇跡】でこの世界に生きる一員として、迎えられる…。

でも、敵対するなら…これ以上は容赦はしない…。
これ以上、この国を好きにはさせないから…。
(【unlimited】を展開し、最終通告)



「もぐ……お菓子美味しい、けど……後は終わってからのお楽しみ、かな……」
 不思議の国にオープンしたばかりのお菓子屋さんで、大好きな甘味をたっぷり満喫していた璃奈。既に彼女の前のテーブルには空の器がたくさん重なり、お腹いっぱいになった仔竜達が「きゅ~♪」と幸せそうに寝転がっている。
「じゃあ、行ってくるね……」
「はーい、お気をつけて! またのご来店を!」
 席を立った少女は笑顔の店員に見送られて、攻め寄せるオウガの群れの迎撃に向かう。
 城下町の中には一羽たりとて通すつもりはない。ここはもう愉快な仲間たちの国。彼らの平和と美味しいお菓子のためにも、邪魔者は撃退するまでだ。

「へっへ~ん、一番乗り……みぎゃ~っ?!」
 意気揚々と不思議の国に侵入したサーバントバニーを出迎えたのは、仕掛けられていた呪術トラップだった。各所に設置された呪符から放たれた呪力の縛鎖や呪いの雷撃が、拘束や感電で敵の動きを封じつつダメージを与える。
「今だよ……」
「おっけー!」
「きゅ~!」
 そこに璃奈が手にした呪槍・黒桜の力を解放し、待機していた愉快な仲間たちが一斉にクロスボウの矢を射掛ける。満腹で元気いっぱいの仔竜達のブレスも同時に放たれ、呪力と矢と炎がひとつになった大嵐が、立ちすくむサーバントバニーの群れに襲いかかった。

「ヤバヤバヤバ……ぎゃっふんっ?!!」
 猟兵と竜と愉快な仲間たちの一斉攻撃が直撃して、ただで済むオウガなどいやしない。
 特に璃奈と仔竜達はこの国のお菓子をたくさん食べた恩恵か、普段以上の力を発揮できている。もし彼女らが手加減していなければ、バニー達は纏めてあの世行きだったろう。
「……降伏するなら命は助けるよ……」
 初手で力を見せつけたうえで、璃奈は倒れ込んだバニー達に降伏を勧告する。たとえオウガ――オブリビオンであっても敵対意思のない者であれば、共存可能な存在に変えられる特殊なユーベルコードを彼女は有していた。

「【共に歩む奇跡】でこの世界に生きる一員として、迎えられる……でも、敵対するなら……これ以上は容赦はしない……」
 懐から小さな符を取り出しながら、同時に璃奈は【unlimited curse blades】を展開。
 魔剣の巫女の魔力によって生み出された、数百本もの魔剣・妖刀の現身が顕現し、敵を威嚇するように切っ先を向ける。
「これ以上、この国を好きにはさせないから……」
 それが璃奈からの最終通告。あくまでバニー達が戦う姿勢を示すのであれば、呪われし剣達は瞬時に彼女らを葬り去るだろう。いかに俊敏なウサギの足でも、逃れる隙など一切無いことは、敵側の目から見ても明らかだった。

「う~っ……悔しいけど、ごめん、スノーホワイト様っ」
「降参、降参よっ! だからそのおっかないヤツ下ろして!」
 勝ち目がないことを悟ったサーバントバニー達は、両手を上げて降伏のポーズを取る。
 おちゃらけた言動や風貌のわりに、冷静な判断力もあったらしい――璃奈の【共に歩む奇跡】を受けた者達は、一度共存の為に最適化された後、罪滅ぼしを兼ねて不思議の国で暮らしながら復興に従事することになるだろう。
「これからは、仲良くね……」
 結果として敵味方の犠牲を最小限に抑えて、この場を無事収めることに成功した璃奈。
 彼女はそれからも各地を転戦し、このカラフルな不思議の国を守るために戦い続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
お菓子を食べると矢の威力が上がるとは一体…
それはさておき
皆様、準備は宜しいですか?
この国を護る為、共に力を合わせましょう!
(愉快な仲間たちに配った通信機越しに)

クロスボウ装填手と射手の二人一組を最小単位とし複数の組で班構成
連射速度確保

色付き植物や建物で跳躍が止まった瞬間が好機です

右の通路を抜けると味方と敵を挟み撃ち出来ます

一旦下がって投石機の射程に誘い込みましょう

望遠鏡で見えましたか? 準備願います

(複数の通信機から同時に別々の音声)
最前線で味方をかばい戦闘すると同時並行で戦術指揮

最後に一つ、皆様にお伝えします

『生きる為に逃げる』

この選択肢を忘れないでください
戦いは、騎士の役目なのですから



「お菓子を食べると矢の威力が上がるとは一体……」
 科学的にはありえない不思議の国からの恩恵に、トリテレイアは困惑を隠せずにいた。
 擬似的な機能はあるとはいえ本来飲食の必要のないウォーマシンには、食べるだけで強くなる感覚は理解しづらい。しかし実際にこの国のものを食べてパワーアップしている猟兵や愉快な仲間がいるのも事実であり――それはさておき、と彼は思考を切り替えた。
「皆様、準備は宜しいですか? この国を護る為、共に力を合わせましょう!」
『おっけー!』
 通信機越しに声をかけると、元気一杯な応答が次々に返ってくる。戦闘が始まる前に愉快な仲間に配っておいた小型通信機は、どうやらこの国でも正常に作動しているようだ。

「事前に決めた通り、班単位での行動を常に心掛けて下さい」
 トリテレイアの指揮下にある愉快な仲間たちは、クロスボウ装填手と射手の二人一組を最小単位とし、複数の組で構成された班を作っている。弓よりも扱いが容易だが装填に時間がかかるクロスボウのデメリットを補い、連射速度を確保するためのチーム編成だ。
「私が前線に出て敵を抑えます。色付き植物や建物で跳躍が止まった瞬間が好機です」
 通信で指示を続けながら、剣と盾を手に最前線に上がる機械仕掛けの騎士。カラフルな町並みの中でもひときわ目立つその威容は、敵からの標的ともなるが、元よりそうして味方をかばうのが彼の役割である。

「騎士さんが足止めしてくれてる! 今だー!」
 目標ポイントで敵群の動きが止まったのを見て、一斉に矢を射掛ける愉快な仲間たち。
 事前にたっぷり腹ごしらえをしていた恩恵と数の力により、オウガを撃ち抜くに足る威力を得た矢の雨は、サーバントバニーの身体に次々と突き刺さった。
「いったぁ~ッ?! よくもやってくれたわね!」
 怒ったバニー達はクロスボウを持った愉快な仲間たちに狙いを変えようとするが、すかさずトリテレイアが間に割って入る。敵を倒すのは味方に任せ、カバーと防御を重視した騎士の立ち回りは、いかに俊敏なウサギ達でもそうそう突破できるものではない。

「右の通路を抜けると味方と敵を挟み撃ち出来ます」「一旦下がって投石機の射程に誘い込みましょう」
『りょうかーい! 準備おっけい!』
『わかった! こっちは後退だね!』
 トリテレイア城下町の各所を転戦しながら、複数の通信機から同時に別々の音声を出して指示を送っている。愉快な仲間たちに渡した端末にはカメラも搭載されており、彼はそこから戦場全体の情報を収集しながら【機械騎士の臨時前線指揮】を実行しているのだ。
 驚くべきは直接戦闘と情報集積と戦術指揮のマルチタスクを可能にする演算能力だろう。近代的な軍隊さながらの各班の見事な連携は、次第にオウガの群れを追い詰めていく。

『騎士さん騎士さん! 目印の場所にオウガが近付いてきたよ!』
「望遠鏡で見えましたか? 準備願います」
 城で待機していた班からの通信が入る。花柄模様の大通りにオウガの群れが誘い込まれてきた頃には、彼らは備え付けられた投石機と大型クロスボウの発射準備を整えていた。
『どっかーん!!!』
「「ミギャーーーッ!!!?」」
 ひときわ大きな花のマークの上にサーバントバニー達が乗った直後、発射される巨大な岩と矢。作戦通りのタイミングと狙いで放たれたそれは、見事に敵部隊を吹き飛ばした。

「お見事です、皆さん。後は……」
『わかってる! 無理はしないよ!』
 オウガに大打撃を与えたのを確認すると、愉快な仲間たちは波が引くように後退する。
 トリテレイアが指示を出すよりも迅速な撤退の判断。それは今回の作戦を伝える際に、彼が何より強く教えたことだった。

「最後に一つ、皆様にお伝えします。『生きる為に逃げる』この選択肢を忘れないでください」

 まずもって己の生還を第一にする。それはオウガを倒すよりも絶対に優先すべきこと。
「戦いは、騎士の役目なのですから」
 自分達の国を守ろうとする彼らの勇気を悲劇の結果にしないためにも、戦闘の矢面には己が立つ。騎士としての努めを果たすために、トリテレイアは常に最前線に立ち続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フォーサイス
森さん、力を貸してね。
この虹の森はもう、ぼくたちの領域、オウガちゃんたちは撃退しちゃうよ。

森に妨害をしてもらって、さらにペンキから森の兵隊さんを出して攻撃するよ。
取り出すはカラフルな銃や剣。
さあ、兎狩りだ。オウガちゃんたちをこの世界からたたきだそう。



「森さん、力を貸してね」
 攻めてくるオウガの群れを撃退するためにアリスが戦場に選んだのは、自らの手で色を塗った「虹の森」だった。七色に染め上げられた森の木々は、まるで彼女の意思に呼応するかのようにピカピカと光り輝いている。
「この虹の森はもう、ぼくたちの領域、オウガちゃんたちは撃退しちゃうよ」
 自信満々な笑顔で発動するのは、予め準備していた【アナロジーメタモルフォーゼ】。
 森を染めるペンキから銃剣を持った兵隊が出現し、オウガを迎え撃つために整列する。

「この森を通り抜ければ、城下町は目と鼻の先よ!」
「アタシ達に逆らったこと、思い知らせてやるんだから!」
 ここがアリスの領域だと知らないサーバントバニー達は、ぴょんぴょんと【ウサウサスカイジャンプ】で跳ねまわりながら駆けていくが――不意に、ざわざわと動きだした木の枝や根が、鞭のようにしなって彼女らに襲い掛かる。
「えっ? な、なにこれっ!!」
 思いもよらない森の攻撃に、手足を絡め取られ動けなくなるバニー達。虹色の木々はモノクロにされていた頃の恨みを晴らすように、そのままギリギリと彼女らを締め上げる。
 そこにすかさず追撃を仕掛けたのは、アリスが作り出した森の兵隊たち。構えられたカラフルな銃からクラッカーのような銃声が一斉に鳴り響き、オウガの群れを撃ち抜いた。

「さあ、兎狩りだ。オウガちゃんたちをこの世界からたたきだそう」
 子供らしい笑顔を浮かべてアリスが号令を出すと、森の兵隊たちが行進を始める。
 すらりと鞘から抜き放たれるのは赤、青、緑、黄、さまざまな色に塗られた剣だ。
「こ、こんな連中に、アタシ達が負けるわけが~ッ!」
 サーバントバニーは近付いてくる兵隊を蹴り返そうとするが、事前に仕込みの終えてあるこの虹の森の中では、アリスがいる限りどこからでも新しい兵隊を次々と呼び出せる。
 どんなに蹴っても叩いても、押し寄せる兵隊の波は一向に途切れない。それに合わせて森自体も意思をもってオウガを妨害し、アリス達の戦いをサポートしてくれている。ここまで舞台が整っていてはもう、待っているのは戦いと言うより一方的な"狩り"だった。

「こ、ここは一時撤退、な~んて……」
「残念だったね、もう逃げられないよ」
 最初の威勢の良さはどこへやら、さあっと青ざめたバニー達は文字通り"脱兎のごとく"逃走を図るが。既に周りは無数の兵隊に囲まれているうえ、木々がひとりでに動いて退路を塞いでいる。一度自分達の領域に入り込んできた敵を逃がすつもりなどさらさら無い。
「さようなら。ここはもうキミたちの国じゃないよ」
 得意げにびしっ、とアリスが指差すのと同時に、一斉に襲い掛かる虹の森と兵隊さん。
 世界そのものを敵にしたサーバントバニーの後悔の断末魔が、森中に木霊していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シウム・ジョイグルミット
[POW]
皆も戦ってくれるんだね
よし、仲間たちー! 一緒に悪いヤツラを懲らしめるぞー!

いよいよ準備した『Pleasant Revolution』を使うよ
この国を守ろうっていう気持ちは皆同じだよね
その勇気があれば、絶対オウガに勝てる!
今こそ、力を合わせて立ち向かう時だよーっ!(拳を突き上げて)

【空中浮遊】して戦況を把握しながら、戦う仲間たちをしっかりフォローしてあげないとね
押し負けそうだったり不意打ちされそうな子がいたら、強くなるお菓子とか護身食器を飛ばして助けてあげないと
食べ物はずっと気になってたし、ボクも戦いながら隙があれば食べちゃおうかな

戦いに勝ったら、皆とハグして喜びを分かち合わなきゃ♪



「皆も戦ってくれるんだね」
 不思議の国を守る為に立ち上がった愉快な仲間たちを見て、微笑みを浮かべるシウム。
 この世界を、これ以上オウガの好きにはさせないという気持ちは同じ。みんなの手で生まれ変わらせた国を、自分たちの手で守ろうという決意に、猟兵かどうかは関係ない。
「よし、仲間たちー! 一緒に悪いヤツラを懲らしめるぞー!」
「「おおーーーーーっ!!!!!!」」
 緑髪の時計ウサギが高らかに叫べは、それに続いて何十何百という鬨の声が唱和する。
 住民だけではない。カラフルになった不思議の国そのものが、意思を示すかのように微かに震えたのを、シウムは感じた。

「この国を守ろうっていう気持ちは皆同じだよね。その勇気があれば、絶対オウガに勝てる!」
 その言葉は根拠あってのこと。いよいよ準備したユーベルコード【Pleasant Revolution】の効果が発揮され、彼女の元に集った愉快な仲間の手元に戦闘用の金属食器が現れる。
 この能力はアリスラビリンス限定――それもオウガに支配された国のアリスや愉快な仲間のみを対象に発動するもの。そしてその効果は彼らの意思が統一されるほど強くなる。
「今こそ、力を合わせて立ち向かう時だよーっ!」
「うんっ! もうオウガなんかに負けない!」
「一緒なら、これっぽっちも怖くないよ!」
「みんなの力で、みんなの国を守るんだ!」
 今、この国に暮らす愉快な仲間たちの想いはひとつ。シウムが突き上げる拳にあわせてナイフやフォークを振りかざした彼らは、一丸となって攻めてきたオウガ達と激突した。

「っ?! こいつら、強いんだけどっ!!」
 ユーベルコードで強化された愉快な仲間たちの反撃は、敵の想像を遥かに超えていた。
 シウムから与えられた食器武器、もしくはクロスボウを構えて果敢に挑む彼らの猛攻は、サーバントバニーにも全く引けをとっていない――どころか士気では上回るほどだ。
「ちょ~っと助けが来たからって、調子乗るんじゃないわよっ!」
 しかし個人の戦闘能力ではバニーのほうが勝る。勢いづいた連中を一気に蹴散らしてやろうと、彼女は高く跳んでからの強烈なジャンプキックをお見舞いしようとするが――。

「くらえ、ウサキ~~……うぎゃッ!!?」
 しかしその跳躍は、上空から飛んできたステーキナイフやカニフォークによって撃ち墜とされる。見上げれば、青空をバックにふわふわと空中に浮かぶシウムが、大きな金属製ソーサーを円盤のようにくるくると指先で回しながらにっこりと笑っていた。
「シウム姉ちゃん!」
「大丈夫? しっかりフォローするから安心して戦ってね!」
 高所に陣取って戦況を把握しながら、戦う仲間たちを支援するのがシウムの立ち回り。
 敵に押し負けそうだったり不意打ちされそうな子がいれば、護身食器の援護射撃を飛ばして助けたり、お菓子をあげてパワーアップさせたり、戦場を縦横無尽に活躍している。

「食べ物はずっと気になってたし、ボクも食べちゃおうかな」
 戦いながら隙をみてお菓子やスイーツを食べてみると、口の中にひろがる甘さと一緒に、体中に力がみなぎってくる。不思議の国がオウガに立ち向かう者たちのために、自分の力を食べ物を通じて分け与えてくれているのだ。
「うん、美味しい。これなら負ける気がしないね!」
 勇気百倍元気一杯になったシウムと仲間たちは、意気揚々とオウガの群れを押し返す。
 勢いが落ち着くどころか、いや増すばかりの攻勢に、敵はたまらず敗走をはじめた。

「お、覚えてなさいよ~っ!!」
 捨てゼリフを残して、ボロボロになったサーバントバニーがぴょんぴょん逃げていく。
 それを見た愉快な仲間たちは互いに顔を見合わせて――爆発したような歓声を上げた。
「「「勝ったーーー!!!!」」」
 割れんばかりの歓喜の叫びの中心で、シウムも皆とハグして喜びを分かち合っていた。
 この国はもう二度と、オウガの支配に屈したりはしない。彼女たちは自らの力をもって、それを証明してみせたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイリス・レコード
う……て、き……?私が、がんばら、なくちゃ……
(前の戦いの影響でふらつきつつ無理して行こうとしよろけたところに【指定UC】)
(姿も存在もまるっきり別人のように『書き換わり』)

(以下姫様)
ああもういくらそう望まれたからってホントにお人好しねアリス!
仕方ない、この私が代わりにやってやるわ!

前に出て堂々としてるわよ!
さあ、周囲の地形を利用し、手近な無機物から殺戮刃物を「生やして」クビにしてあげる
建物、投石、あらゆるモノが私の武器で、世界の法則そのものが私の盾、
空へ逃げても待っててあげる。墜ちたとき首も落ちるけどね

愉快な仲間?私が相手してる後ろから石でも矢でも飛ばせばいいのよ!

※アドリブ連携他歓迎です



「う……て、き……? 私が、がんばら、なくちゃ……」
 スノーホワイトとの戦いの中で【記憶の国の×××××】を解放したアイリスは、その影響で自らも重い代償を背負っていた。それでも、不思議の国に再び攻めてきたオウガの気配を感じ取った彼女は、無理をおして戦場に向かおうとする。
「私は、騎士、なんだから……みんなを、まもら、ないと……」
 槍を杖にしてやっと身体を支えているような状態ながら、まるで何かに衝き動かされるように、ふらつきつつ歩いていく。しかし意思に反して身体は思うように動かず、ふらりとよろけたその時――無意識のうちに【断章「ひび割れハートのお姫様」】が発動する。

「ああもういくら"そう望まれたからって"ホントにお人好しねアリス!」

 ぐっと踏みとどまったアイリスの口から紡がれたのは、まったく別人の声色だった。
 声だけではない、容姿も格好も存在感も、まるっきり別人のように『書き換わり』、そこに立っていたのはハートのドレスの少女。アイリスの中に存在する、かつてオウガに取り込まれた無数のアリスの断片の一人が、ユーベルコードの力で顕在化したものだ。
「仕方ない、この私が代わりにやってやるわ!」
 プリンセスのような外見に反して口の悪い彼女は、しかし自分が代わりに戦うという。
 アイリスの、私達のアリスが、これ以上無理をして傷つくのは見過ごせない。ドレスを翻して颯爽と戦場に向かうその姿には、確かに姫君としての風格があった。

「さあ、アンタたち。一人残らずクビにしてあげる」
 攻め寄せる敵の前に出て、堂々とした佇まいで告げる「お姫様」。いかにも高飛車で気位が高そうなその振る舞いに、サーバントバニー達は今はなき自らの主君の面影を見る。
「何よコイツ。ちょっとスノーホワイト様に似てるわね」
「ふん。ただのアリスが、調子に乗ってんじゃないっての!」
 見た目に違わぬウサギの俊敏性と殺人を躊躇わない残忍さ。その二つを兼ね備えたオウガのバニーガールは、クビを刎ねられるのはお前のほうだとばかりに襲い掛かってくる。
 しかし彼女らの拳や蹴りが届くよりも早く、「お姫様」がすっと手をかざすと――道路の石畳や、建物の壁など、城下町の至るところから無数の殺戮刃物が飛び出した。

「あぎゃっ?!」
 何もないところから突然「生えて」きた刃物に切り刻まれ、血塗れで転がるバニー達。
 これが断章「ひび割れハートのお姫様」の能力。手近なところにある任意の無機物から殺戮刃物を「生やして」敵の首を切るのが彼女の戦闘――もしくは処刑のスタイルだ。
「もう私は欠片だけれど、それでも世界は跪き、アンタたちなんかすぐクビよ!!」
 高らかに言い放ちながら足下に転がっていた石ころを蹴っ飛ばすと、飛んでいった小石からも刃が生えて敵に突き刺さる。ぐェッ、と汚い悲鳴を上げたバニーは首から噴水のように血を噴き出しながら、ばったりとその場に倒れ伏した。

「くっ……やってくれたわね、こいつっ!」
 仲間を殺られて怒り心頭のサーバントバニーのキックが放たれるが、その攻撃は「お姫様」に当たる前にピタリと止まってしまう。どんなにバニー達が殺意を込めて攻撃しても結果は同じ――まるで世界の法則そのものが、彼女を傷つけるのを否定しているように。
「建物、投石、あらゆるモノが私の武器で、世界の法則そのものが私の盾」
 彼女がそう望めば、世界は応える。特にここは長年オウガの支配に苦しめられてきた不思議の国――外敵を排除するという目的と意思が一致したことで、世界はいつもよりも素直で力強い「お姫様」の手足となって働いてくれる。
「空へ逃げても待っててあげる。墜ちたとき首も落ちるけどね」
「くぅぅ……ッ!!!」
 逃げられるつもりなら逃げてみせなさいと、挑発的な笑みを浮かべる「お姫様」に、歯ぎしりするサーバントバニー。空中を跳ねる【ウサウサスカイジャンプ】を以てしても、生える場所を選ばない首切り殺戮刃物から逃げおおせることは不可能だろう。

「あっ、ここにもオウガがいた!」
「お嬢さん、ボクらも加勢するよ!」
 そこに駆けつけてきたのはクロスボウで武装した愉快な仲間たち、どうやら援軍のつもりのようだが――果たして今の「お姫様」にそれが必要かどうかは微妙なところだろう。
「愉快な仲間? 私が相手してる後ろから石でも矢でも飛ばせばいいのよ!」
 キツい口調で一喝しながら、彼女はたった一人でオウガの群れを圧倒している。抵抗も撤退も許さない無慈悲な女王の戦いぶりに、愉快な仲間たちも思わずぶるっと身震いを。
「ちょっとあの子怖い……」
「でも悪い子ではなさそう?」
「怒らせないようにしよっ」
 オウガの攻撃を受けないよう、そして「お姫様」の邪魔にならないように離れて矢を射掛ける仲間たち。その様子に「お姫様」はフンと鼻を鳴らしながらパチンと指を鳴らし――降りしきる矢の鏃から生えた殺戮刃物の雨が、オウガの群れを蹂躙していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネーヴェ・ノアイユ
バニー様見た目に違わないジャンプ力ですね……。空中すらもジャンプにてとても器用に移動されていますが……。あの状態を撃ち落とせればよいダメージになりそうですので……。気の強いお人形様にはsnow broom様に乗っていただき、アイスブルーのウサギ様は私が抱っこして空へと飛び立ち三人で空中戦を仕掛けます……!
私のUCはバニー様に狙いを定めて放つものと……。お人形様とウサギ様のクロスボウの矢の代わりとして使用するものに分けることで力を合わせこの戦いを乗り越えたいと思います……!

お人形様とウサギ様が攻撃されそうになられた際には全力魔法にて作り上げた氷壁にてかばうことで必ずや守り通してみせます……!



「バニー様見た目に違わないジャンプ力ですね……」
 ふわりと雪の妖精のように宙に浮き、オウガと愉快な仲間の戦いを俯瞰するネーヴェ。
 遊び人のような風貌と振る舞いからは考えられないほど、あのオウガ達の身体能力と戦闘能力は高い。特に彼女の目に印象的に映ったのは、サーバントバニーの跳躍力だった。
「空中すらもジャンプにてとても器用に移動されていますが……。あの状態を撃ち落とせればよいダメージになりそうですので……」
「うまく引きつけてバーン! ってことだな!」
「任せてちょうだい。ふふ、ウサギ狩りよ!」
 少女の腕の中で抱っこされたアイスブルーのウサギと、白い箒に乗った気の強いお人形が意気揚々と応える。不思議の国のお色直しの際にネーヴェの世話になったこの愉快な仲間たちは、どうやらすっかり彼女と仲良くなったようだ。

「力を合わせこの戦いを乗り越えましょう、ウサギ様、お人形様……!」
「とーぜんっ!」
「もちろんよ!」
 氷雪の軌跡を描いて空を翔けるネーヴェと一緒に、戦場に飛んでいくウサギとお人形。
 まずは敵の頭上を取った彼女達3人は、それぞれの武器を構えると空中戦を仕掛ける。
「せーのでいきましょう、お二方……。いきますよ……」
「「「せー、のっ!」」」
 降り注ぐは小さな氷鋏の雨【icicle tempest】と、弦を引き絞られたクロスボウの矢。
 タイミングぴったりで放たれた3人の攻撃は、見事にサーバントバニーを撃ち抜いた。

「いたたたっ! なによアイツら!」
「空が飛べるからってイイ気にならないでよねっ!」
 痛手を負ったバニー達は怒りの形相で空を見上げ、得意の【ウサウサスカイジャンプ】で跳び上がる。足場のない空中ですら縦横無尽に跳ね回る跳躍力は脅威だが、敵の行動は予め考えていた作戦通り――ネーヴェと愉快な仲間たちに動揺はない。
「降り注ぐ氷の鋏……。避けきれますか?」
 ネーヴェの魔法が精製する氷鋏は標的の四方八方から襲い掛かり、空中での回避するスペースを削っていく。そうしてバニーのジャンプの軌道を制限できれば、ウサギとお人形の射撃も当たりやすくなるだろう。

「そこだ! 当ったれー!」
 ネーヴェに抱きかかえられたままウサギが放った矢は、過たず標的の胸に突き刺さり。「ぎゃんッ?!」と悲鳴を上げたサーバントバニーは、真っ逆さまに地上に墜ちていく。
「ヒット! どーだ、すごいだろ!」
「あら、私のほうが凄いわよ」
 ネーヴェの箒「snow broom」に乗せてもらったお人形のほうは、ブロンドヘアーを風になびかせながら優雅なフォームでクロスボウを構え。発射された矢はこちらも狙い通り、飛び跳ねるバニーを撃ち落とす。
「お二方とも、お見事です……」
 ネーヴェは張り合うふたりの健闘を讃えながら新しい氷鋏を精製すると、彼らのクロスボウに矢の代わりとして装填する。飛行中はあまり多くの矢を持ち運べず、弾切れになれば補充しに戻らなければならないが、彼女にかかれば魔力が尽きぬ限り矢は無尽蔵だ。

「ぐぬぬぬぬっ。こいつらぁ~ッ!」
 仲間が次々と射落とされていくのを、敵も良しとするわけではない。かくなる上は多少のケガはやむなしと、氷の嵐の中を強引に突っ切ってきたサーバントバニーが強烈なキックを繰り出す。
「お返しよっ!!」
 あの凄まじい跳躍力を生み出す健脚によるひと蹴り。これは危険だと判断したネーヴェは全力の魔法で氷の壁を作り上げると、自らの身とともに愉快な仲間たちをかばった。

「「ネーヴェ!?」」
 ネーヴェに守られたウサギとお人形の声が空に響く。しかし少女の張った守護の氷壁は、サーバントバニー渾身のキックを受け止めても、砕けることなく白銀に煌めいていた。
「問題ありません……。お二方のことは必ずや守り通してみせます……!」
「な……ッ!!?」
 冷たく儚げな容姿に宿るのは、燃えるように強い、皆とこの世界を守るという意志。
 凛とした少女の瞳と目があったサーバントバニーは、その気迫に思わずたじろいだ。

「この国は……。もう貴女方のものではありません……!」
「「えーいっ!!」」
 3人一緒に放たれた氷の鋏と矢が、この国の旧き支配者達を撃ち抜き、決別を告げる。
 彼女らの後ろには、白いキャンバスに虹を描いたような美しくカラフルなお城が、太陽の光に照らされて輝いていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

西堂・空蝉
「よぅし、総仕上げといきましょうか!」
不思議の国もカラフルに飾り付け、甘味も補充して準備万端。ストレッチでもしながら敵を迎え撃ちます。
不思議の国のチューインガムをひとつ口に含んでおいて集中力を向上。どうやら敵は剛力の者揃いのようですから、戦闘ではカウンターを狙うとします。【残像】を用いた【だまし討ち】で敵のキックを至近距離で受け流し【天罰覿面髑髏】を叩き込みます。
「――さぁウサギさん、お命頂戴です」
敵の動きが止まったチャンスを逃さずに全力を込めた【なぎ払い】で素早く仕留めましょう。
「折角リフォームしたこの国、もういっぺんくれてやるなんてぇ道理はありません。まだ闘ろうってなら受けて立ちますよ!」



「よぅし、総仕上げといきましょうか!」
 不思議の国もカラフルに飾り付け、甘味も補充して準備万端。完璧な状態で戦いの時を迎えた空蝉は、軽くストレッチをしながら威勢よく叫ぶ。「土瓶落とし」の柄をくるりと回し、灰の瞳で見据えるは、バニーガールの衣装に凶気を帯びたオウガの群れ。
「なによ、アンタも邪魔するつもり?」
「アタシ達の国を返してもらうわよ!」
 留守中の失態を取り戻さんとする「サーバントバニー」達の士気は高く、殺意も高い。
 しかしここはもう彼女らの不思議の国ではない。地の利は我らにあり、というやつだ。

「国を返してもらう、ね。そりゃあこっちの台詞です」
 取っておいたこの国のチューインガムをひとつ口に含むと、澄んだミントの香りとチョコレートの甘みが空蝉の集中力を向上させる。攻めてくる敵群の一挙手一投足に目を凝らせば、どう対処すべきかも自然と見えてきた。
(どうやら敵は剛力の者揃いのようですから、カウンターを狙うとしましょうか)
 戦場で多くの強者や化け物と対峙してきた彼女の目から見ても、連中は巫山戯た格好と相反してなかなかの手練れだ。しかし怖気をふるうほどではない――あのスノーホワイトのような魅了の美貌も、巧みな技倆も、こいつらには無い。

「くらえっ、ウサキ~~ック!」
 ぴょんと高く跳び上がったバニーのジャンプキックが放たれる。単純ながらも重く、高所からの落下の勢いも加わった強烈な一撃は、まっすぐ空蝉に直撃した――かに見えた。
「殺った……って、あっれぇ?!」
 彼女らが踏み抜いたと思ったのはただの残像。足さばきと重心の移動により至近距離でキックを受け流した空蝉は、瞠目する敵の脳天めがけ鋭い気迫を籠めた拳骨を叩き込む。

「骨身に染みるとはまさにこのこと、さあさ神妙にいたすがよい……なんてぇのはどうです?」
 攻撃を捌いた直後、これ見よがしに高枝鋸を構えながら、徒手での一撃。完璧に敵の虚を突いて放たれた【天罰覿面髑髏】は、ものの見事にバニー達の天地をひっくり返した。
「は、はれぇ~~~っ?」
「な、なんで地面が揺れてるのぉ?」
 肉を打たず、骨を砕かず、されど脳天を駆け巡る衝撃が奪い去るのは平衡感覚。まるで酔っ払ったようにフラフラと千鳥足でよろめき、立っていることさえままならない有様。
 言葉通りの前後不覚に陥り、敵の動きが止まったチャンスを空蝉が見逃すわけはなく。

「――さぁウサギさん、お命頂戴です」

 全力を込めた「土瓶落とし」の大振り一閃。素早く戦場を薙いでいった白刃の軌跡のあとに、真っ赤な鮮血が飛沫をあげる。それは生命を"斬り落とされた"バニー達の血だ。
 ばたばたと倒れ伏した屍達の真ん中で、空蝉は残っている敵を静かに睨み付ける。返り血を受けた赤茶の髪はより深い錆色に染まり、眼光に宿る気迫は相手の比などではなく。
「折角リフォームしたこの国、もういっぺんくれてやるなんてぇ道理はありません。まだ闘ろうってなら受けて立ちますよ!」
「ひ、ひぃぃ~~っ!!!」
 手並みを見せつけたうえで雄々しく一喝すれば、戦意の折れた残党は脱兎の勢いで逃げていく。彼女らの姿が不思議の国のはるか彼方へと消えていくのを見届けてから、"血錆お空"は頬についた血をぐいと拭った。

「これでもう、二度と連中はここには寄り付かないでしょう」
 スノーホワイトの配下の大半は討たれ、戦いを生き延びたバニー達は同胞に伝えるだろう。この国にはオウガの侵略さえも跳ね除ける、強き用心棒と愉快な仲間たちがいると。
 ちょうど他の戦線での戦いも終わったらしい。国中で勝利を喜ぶ仲間たちの歓声を聞きながら、空蝉はお菓子をぽいと口に放り込んだ。



 ――かくして猟兵達の活躍によって、傲慢なるスノーホワイトの野心は打ち砕かれた。
 オウガの支配を脱したモノクロームの国は、これからはカラフルで美味しい国として、愉快な仲間たちの手で繁栄していくだろう。「いつでも遊びに来てね!」「歓迎するよ!」という彼らの見送りの言葉を背に受けて、猟兵達は不思議の国を後にするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月09日
宿敵 『『七罪』傲慢のスノーホワイト』 を撃破!


挿絵イラスト