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🍫チョコプールにマグロを放流してはいけませんので

作者：remo

●チョコレートのアスレチックプールinキマシフロント
「バレンタインはチョコプールで遊ぼう！　マグロもあるよ！」
　キマイラフューチャーにある遊園地『キマイラ・シー・フロント』で期間限定のバレンタインイベントが開催される。そんな宣伝がSNSで拡散されていた。
　宣伝を見たものが現地に行ってみると、なんと遊園地の一角に広々としたチョコレートのプールが出来ているのだ。
「チョコレートのプールだー！」
　子どもたちは大喜び。
　贅沢にも甘やかなチョコプールの上には特殊チューブで出来た柔らかい浮島のごときアスレチック。
　スタートは幅3メートルほどのブリッジを直進、ブリッジの先には3段階段、登ったのちはトランポリンにジャンプ＆バネにより再ジャンプで3メートル先の次の浮島へ。
　着地先の浮島を直進すると聳え立つのは90度の角度の坂、いや壁だ。これを登ればターザンロープが用意されているので叫びながらターザンタイム！　途中に遊園地のジェットコースターのコースがあるため運が悪いとジェットコースターと衝突する危険あり。隠し玉でマグロも用意したという。
「マグロ？」
　不思議そうにしながら子どもが1人、チョコのプールに手をつける。甘いチョコレートを舐めようと思ったのだ。すると……、
「きゃああ！」
　母親が悲鳴をあげた。なんと子どもはチョコレートの像と変じてしまったのだ！

●グリモアベース
「怪人はバレンタインを台無しにしようとしているのでございます」
　グリモアベース。猟兵の視線の先でルベル・ノウフィル（星守の杖・f05873）が話をしていた。
　説明によると、怪人は遊園地の一角を危険なアスレチックチョコプールに改造し、人々に挑戦するよう唆すのだという。
　しかも、誰もクリアできないとマグロをチョコプールに放流する。
「そんな事態になってしまっては、せっかくのバレンタインも台無しです。僕が遊園地へと皆様を転送いたしますので、チョコプールを制覇し、マグロの放流を阻止してくださいませ」
　ルベルは困ったように耳を垂らした。曰く、現地では一般人が大勢見守っている。怪人は遊園地のスタッフに成りすましてノリノリでマイクを手に実況するので、いきなり攻撃を仕掛けるのと社会的に危険だという。
「怪人の企みを阻止すれば、怪人も正体を現して戦いを挑んでくることでしょう」
　グリモアが淡く光を帯び。人狼が囁く。
「チョコレートもマグロも、人々に美味しいと言ってもらえる楽しいバレンタインであってほしいと、僕は思います。どうか、バレンタインの楽しい時間をお守りくださいませ」

第1章 冒険 『天国か地獄か？チョコプールアスレチック』

POW   :    力が全て！ゴリ押しで進む！ SPD   :    テクニックが命！タイミングよく進む！ WIZ   :    無謀にも挑戦？または応援！ 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●ゆらゆら揺れるプールだよ
　チョッチョコプール♪　ユッユッユラユラチョコプール♪
　チョコを溶かしたプールだよ♪
　ゆらゆら揺れるプールだよ♪
　マグロを落とせばチョコマグロ♪　キマイラ落とせばチョキマイラ♪

　空はからりと晴れていた。
　遊園地内には楽しそうなキマイラやテレビウムたち、一般人たちが家族や友達と歩いている。子どもたちは手にカラフルな風船を持ち、風船が風に遊ばれるようにふわふわ揺れる。
　パンフレットを手にする者は不思議そうに一角を見た。
「チョコプールだって」
「ああ、SNSで宣伝してるの見たよ」
　行ってみるとそこには並々とチョコレートを湛えたアスレチックプールが出来上がっていた。

　怪人が人を呼び込もうとし――、
　そのタイミングでアスレチックプールの前に猟兵たちが転移されてきた。

「バレンタインを台無しにするなんて許せません！
　しかもチョコプールにマグロ流すとか意味がわかりません！！
　そんな悪いやつを放置してはいけませんね……」
　アトラクションの列をかき分けて進み出たのはゴスロリ姿のテフラ・カルデラ（特殊系ドＭウサギキマイラ・f03212）。ふにゃり柔らかく先の垂れたうさ耳、褐色の肌に苺のように甘やかな瞳、乳白色の髪が艶やかで愛らしい。
「エントリーします！　エントリーシートを書きました！」
　まだ呼び込みしていないのに早速参加すると言ってきた小柄なうさぎ耳のキマイラを見て、怪人は驚きながらも歓迎した。
「おっと！　これは可愛いお嬢さ……」
　エントリーシートに書かれた性別を見て怪人が一瞬「ん？」という表情をした。再びテフラを見る。どこからどう見ても女の子にしか見えない。だが、性別の欄には男とあった。
「えー……挑戦するようです！」
　怪人は誤魔化した！　マイクを手にアナウンスする。

「見て！　何か始まるみたい」
「がんばれー」
　野次馬から声がかけられる。動画を撮影している者もいた。

（「チョコプールにアスレチックってロクな思い出がないんですけども…
　えぇい！　もうヤケでアスレチックをゴリ押ししますよ！！！」）
「いきま～す……！」
　テフラ、耳を揺らしながらアスレチックチョコプールへと進む。一歩を踏み出し、チューブの上へ。弾力性のあるチューブは危なげなく足場として機能している。
「この上を落ちないように進むんですね」
　なんとなく落ちるようなフラグを感じつつ、テフラが先へ進もうとしたその時。

「アッ、ちょっと待ってください！」
　怪人から待ったがかかった。
「な、なんでしょう？」
　怪人、エントリーシートを追加で3枚出した。3枚を高く天に掲げ。
「3人！　あと3人挑んでくれるとのことです！」
　おおっ？　と沸き立つ野次馬。

　スタッフに誘導され人だかりの前に歩み出たのはほぼ同時に転移されてきた3人の猟兵。　
　宮落・ライア（英雄こそが守り手！（志望）・f05053）、トリテレイア・ゼロナイン（紛い物の機械騎士・f04141）、リヴェンティア・モーヴェマーレ（血も骨も、灰すら残さず・f00299）。
「全員で仲良く挑戦してもらいましょう！」
　怪人はハイテンションだ。猟兵たちへと順にマイクを向けていく。

「チョコのプール……チョコフォンデュのプールバージョンでしょうカ……？」
　リヴェンティアは目を丸くしていた。
「チョコアスレチック……衛生的に大丈夫なんでしょうか……」
　機械馬に騎乗したトリテレイアは常識的な懸念を口にした。頭にはチンチラの藍ちゃんが乗っている。
「可愛いですね、お散歩中ですか」
　怪人が愛想よくインタビューする。
「藍ちゃんもエントリーする気持ち……！」
「あ、じゃあエントリーシートに藍ちゃんの情報を書いてもらっていいです？」
　怪人はご機嫌でエントリーシートを差し出す。さらさらとペンを走らせるリヴェンティア。仕上げに藍ちゃんが足形をぺたりと押して立派なエントリーを果たした。
「藍ちゃんの足形、キレイにできマシタ！」
　リヴェンティアが嬉しそうに笑うと藍ちゃんも嬉しそうにくるりと一回転してみせた。

「ママー、ロボットが馬に乗ってるー」
　一方、通りすがりの子どもがトリテレイアへと熱い視線を送っていた。
「あら、ほんとうね」
　トリテレイアは礼儀正しい騎士の所作で手を振った。
「イラストが無くてバレンタインとは縁遠いのですが、キマイラの皆様のバレンタイン盛り上げの為、力を尽くしましょう」
　誠実そうに語れば観客の中にも共感を示す者がいた。
「俺も1年前は南瓜行列の納品を冬を過ぎ春になっても待ち望んでいたものだ」
「あたしは受理すら貰えていないわよ」
「好きな絵師様がリクエストを受付していません！　かれこれ3年になります」
　騎乗していたトリテレイアは馬から乗り、観客へと礼をした。機械の馬をまるで生き物のように動かして座らせれば子どもたちは大喜びだ。
「あれ、乗りたーい」
「あっちにメリーゴーランドがあるから行きましょう」
　そんな子どもを、親がニコニコしながらメリーゴーランドに連れて行った。平和な光景である

「?　??　????????」
　ライアは頭の上にハテナを大量に浮かべていた。青いリボンが風に揺れている。
（「キマイラフューチャーのノリと勢いはなんとなく分かってきたと思ってたけど」）
　その思いを軽く越えていた事例だったのだそうな。

「はいっ、皆さんやる気満々ですね！」
　怪人は微妙な空気を感じつつもちょっと無理やりにまとめた。
「ではスタート！」
　そして無理やりスタートさせた。怪人の後ろに控えたスタッフがマグロ漁のような立派な旗を手に振る。具体的に言うと『マグロ』という3文字が書いてある。

「観客席つくりました！　こちらでどうぞ」
　別のスタッフが野次馬を誘導し始めた。
　見ると、いつの間にか立派な観客席ができているではないか。
「さっきまでなかったのに！　いつの間に」
「これが怪人パワーです！」
　怪人は冗談めかして怪人を名乗るが、観客たちは冗談だと思って笑っていた。
「アイスありますよー？　ジュースもありますよー？」
　ワゴンを押して食べ物を売り始める者が出現し、炭酸飲料やスイーツが売れ始める。ソフトクリームやフランクフルト、ポップコーンを片手に観戦（？）する者も出始めた。
「誰が一位にあるか賭けようぜ」
「皆さんこんにちは、ボクは今日遊園地に来ています！　これからアトラクションが始まるようですよー」
　賭け事を始める者や生配信をスタートする者も出てきた。

「あの、あれ？　えぇ……？」
　うさ耳を戸惑いに揺らすテフラ。その姿は庇護欲を誘うのか、観客の一部の女性がスマホを構えてこっそりと写真を撮る。
　テフラの後ろで、集まってきた3人の猟兵が一斉にアスレチックプールに足を踏み出み。

　ザブンッ

「「「あっ」」」

　重みでチューブが一気に沈む。とろとろのチョコレート液がどぷん、と音をたてて足元に迫る。
「ちょっ、ちょっとまって」
「このチョコレートって触ったらダメなんだっけ！」
　猟兵たちはあたふたとスタートに避難しようとし。
「スタートに戻ることは認められません！」
　怪人がスタート地点を塞いでいる。後ろでスタッフがマグロと書いた旗を振っていた。
「チョコレートとかマグロとか意味わからないんだけど」
　ライアが言うとリヴェンティアも同意した。
「チョコフォンデュのプールバージョンでしょうカ……？　アレは果物やお菓子を付けて食べるから美味しいと思うのですガ」
　リヴェンティアは想像する。マグロをチョコレートに付けた食べ物は絶対美味しくなさそうだ、とミレナリィドールは思った。
「流石にマグロは……」
「マグロはないよね」
　味方へと頷きつつも、怪人のすることなので、とリヴェンティアは首をかしげる。
「バレンタインを台無しにしようとしてる方の所業なノデ、コレくらいが普通なのでしょうカ……？」

　そんなやりとりをしつつも、浮島はぐらぐらと不安定に揺れてチョコレート液がひたひたと今にも足に付きそうだ。
　スタートが塞がれては先に進むしかない。
「さ、先にいきます！」
　テフラがぴょこんと跳ねた。3段階段の上はまだ沈んでいない。素早くトランポリンに飛び降りるとその勢いのままに次の浮島へとジャンプした。長い耳を風に揺らし、体重を感じさせない軽い身のこなしはまさにウサギ。

「このチョコレート、触れると危険でしょうカ……？」
　リヴェンティアがチョコレート液を不思議そうに見ながらテフラに続いて次の浮島にジャンプした。
「たぶん、危険だと思います」
　テフラが後ろを振り返り同意する。
「あのぅ、そのチンチラは……」
　ちらりと気にした視線の先、リヴェンティアの頭にはチンチラの藍ちゃんが健在だ。
「藍ちゃんと協力プレイ、デス」
　藍ちゃんは頭の上でお日様の光をたっぷりと浴びて気持ちよさそうに寝ていた。

「さて、2名が次の浮島に飛び移りました。残り2名は～」
　怪人が実況を続ける。
　そして、残った2名に突然轟音と共に横合いからジェットコースターが迫る。
「おっと！　あぶなーい！　ジェットコースターの熱烈アターック！」
　きゃー、と観客席から悲鳴があがった。
　怪人の声と共にジェットコースターはゴゴゴゴゴと高速で走ってくる。ジェットコースターの最前列ではカップルが手をつなぎ楽しそうだ。
「きゃ～～ん。こわぁ～い。タカシくぅーん」
「うひょーい」
　カップルたちは意外と余裕がありそうだった。

「ちょうどいいよ！」
　ライアは素早くジェットコースタに飛び移り足場にすると大跳躍。勢い付いて硬い足場は一瞬とはいえ良質の足場となり、トランポリンを使うまでもなく次の浮島へと着地……、した瞬間に浮島が勢いでぐらりと揺れ、チョコレートの波が立つ。
「3人目が次の浮島にジャンプしましたー！」
　怪人が実況するのにあわせて観客が拍手する。
　しかし、浮島はぐらぐらと激しく揺れていた。

「3人はきつい！　3人は沈みます！」
　悲鳴をあげながらバランスを取る3人。
「いや、見切ったね！」
　ライアが目をキラーンとさせた。ぽよーんと振動をさせて再び跳びあがる。
「見切ったってなんですかぁ！？」
　テフラが反動でさらに揺れる足場で手をばたばたさせてバランスを取った。優れた体幹を発揮し、なんとか堪える。
　リヴェンティアも藍ちゃんが転げ落ちないように抑えていた。
「説明しよう！」
　ライアはジェットコースターのレールの上にすたっと着地する。すぐ下のチューブの上にいる2人が真面目な表情で頷いた。
「浮島の柔らかさを見切ってギリギリの強さで踏み切るんだ」
　腰に手を当てて演説すればまるでヒーローショーのような光景に観客席がスマホを構えて写真を撮る。
「その話がたぶん一番有用な人は今……」
　テフラが視線を向けると、どよめきが起きた。なんと先ほどのジェットコースターの上に身長285.2cmのトリテレイア（ウォーマシン）が乗っている！
「えぇ！？　さっき飛び乗ったんですか？」
　驚き見守る先でジェットコースターは猛烈な勢いで走り遠くなっていくが、なんとトリテレイアは格納スラスターでスライディングしてジェットコースターを逆走しチョコプール上空へと戻ってきた。
　レールの上で再会したライアとトリテレイアは拳を突き合わせた。
「やるじゃん！」
「そちらこそ」
　超人的なパフォーマンスに観客は一斉に拍手した。

　一方、地上では怪人がマイクを手にスタッフと会議をした。その間、5秒。
「今のは、沈んでいないからセーフです」
　セーフ判定が出された。ジェットコースターの上に乗ったりレールの上を走るのはセーフ。トリテレイアはトランポリン目掛けて飛び降りる。
「着地点は見切りました！」
「あっ、さっきの話聞いてたんですかぁ」
　それは勝利宣言にも似て。機械騎士の重量を活かした踏みつけによりトランポリンが盛大に軋む。重量を最大に活かし技能まで注ぎ込んで渾身の踏みつけを披露し、跳んだ瞬間。

　ボギッ、

　トランポリンが破壊されつつ、浮島全体も一瞬チョコレートの中に沈むほどの大ジャンプ！　大柄の機械騎士が宙で一回転を披露しながら3人がいる浮島へ跳んでくるッ！

「えぇ！？　待ってください、もう満員です！　飛んで来たらこの浮島しずんじゃいますよ！」
　テフラが悲鳴をあげ、慌てて浮島を走る。リヴェンティアが並んだ。テフラは先に壁を登っていき、壁上に立つ。
　ちょうどそのタイミングでトリテレイアが同じ浮島へと飛んでくる。
「えぇい！　もうヤケでアスレチックをゴリ押ししますよ！！！」
　テフラ、飛んできた味方から逃げるようにターザンロープに手を伸ばす。同時にトリテレイアが着地。ズシン！　と着地すると浮島が大きく揺れ。ザバアッとチョコレートの波が立つ。

「あ、ああ～！」
　振動でターザンロープを掴み損ね、テフラはそのままチョコプールへ落下！
「フラグには勝てなかったです……でも、ど、どうせ落ちるならー！」
　落下しながらあざとかわいいポーズを決めるテフラ。一瞬で唇に親指を添えたサムポーズを取り、しっとり憂いを含んだ表情。足元からはぱりぱりとチョコレートに固められてチョコの像となっていく。
「こんな……ポーズで……決め……て……」
　ファンのお姉さんたちが悲鳴をあげた。

　怪人、大喜びでマイクで実況。
「ひとり落ちました！　たった今、ひとり落ちました！」

「犠牲が出てしまいましたか……」
　トリテレイアがセンサーを沈痛な色に染める。
「テフラ様を元に戻すためにもクリアしなければなりません」
　決意を新たに拳を握り――、
「これってクリアしたら元に戻るの？」
　ライアが浮島の上に飛び降りてバランスを取り、荒ぶるチョコレート液の波をジャンプで避けながら首をかしげていた。

　振動を壁にしがみつくようにして耐えていたリヴェンティアは壁をじりじりと登っていく。
「テフラさんのためにも行きましょうナ気持ち！」
　藍ちゃんは頭の上で寝ていた。
「藍ちゃーん、がんばえー」
　観客でちびっこが応援している。藍ちゃんはリヴェンティアの頭の上で寝がえりをうって応えた。
「藍ちゃんはファンサ精神、豊富デス……！」
　リヴェンティアは藍ちゃんに感心しながら自身も観客に手を振る。
「ねえちゃん！　がんばれよ！」
　見知らぬおっさんが顔を赤らめて応援している。手にはカップ酒があった。
「ありがとうな気持ち……、がんばりマス」
　ふわっと笑みを浮かべれば通りすがりの若い男性も目を奪われ、足を止めて応援し始める。
　その後ろではトリテレイアが壁にグリップ穴を開けながら登攀している。その横をライアがひょいと登っていくが、徐々に壁はぐらついている。
「なんだか壊れそうですね。軟弱な壁です」
　怪人はソワソワとその光景を見守る。
「それにしてもこの挑戦者たち、随分と身体能力が高いんですね。しかも、なにやら眺めていると敵意が湧きあがってくる気がするんですよね」
　フッと息をはき、怪人は首をふる。
「まるで猟兵のようです」
「猟兵なんだけどね」
　怪人に聴こえないようぼそぼそっと言いながら3人は壁の上に登り切り、観客へと手を振った。拍手が起きる。
「3人が壁を登り切りました！　なんという身体能力（？）でしょうか！」
　少し悔しそうにしながら怪人がアナウンスしている。そして、観客がざわっとする。
「あ、あれは！」
「見て！」
　なんとチョコ像になったテフラがギギ……ギ……とぎこちなく動き、拍手をするかのように微かに手を叩く動きをしている。
「まだ生きている！」
「テフラ様！　今お助けします！」
　猟兵たちはテフラへと声をかけ、先へ進む決意を固めるのであった。その視線の先には……。

「あとはターザンロープですね」
　そう、ターザンロープがあった。人数分垂れさがったロープを手にいざ飛ぼうとしたところ、再び轟音が近づいてきた。
「また来まシタ！」
　襲いくるジェットコースター！　轟音と共に壁に激突し壁をぶち破って走り去る！
「きゃ～～ん。こわぁ～い。タカシくぅーん」
「うひょひょーい」
　カップルたちが手をつないでいた。
「あのカップルさっきも乗ってたね！」
　ライアが見送る。カップルたちは壁の残骸を顔につけながら笑い合っていた。愛が深い。
「ジェットコースターが大好きなのですね」
　トリテレイアが呟きながら遠ざかるジェットコースターを見送った。
　ジェットコースターは元気に走り去っていき、壁をぶち破ってしまったのでぐらりと足場が崩れていく。
「あっ、足場ガ」
「このアトラクションもう遊べないよね！」
　リヴェンティアとライアがロープを掴んで宙へ体を滑らせる。ロープにつかまりゴール目掛けてチョコプールの上をひょーいと飛んでいく。トリテレイアもそれに続き、掛け声と共に飛んでいく。
「ハイヤー！」
「あーああー！　って言うんじゃないっけ」
「ターザンな気持ち……！」
　藍ちゃんはリヴェンティアの頭上で風を感じていた。
　3人は風を切り、ロープに掴まってスイーっと宙を走る。メリーゴーランドで子どもが手を振るのも、カップルが乗った観覧車も、くるくる回るコーヒーカップも、出口がわからなくて困っている人がいる迷路も、すべてがぐんぐんと近づいてはサッと後ろに流れていき。
「これ、楽しいねー！」
　そんな声とともに風を楽しむ猟兵たち。

（「いけない、まだ油断しては……」）
　下のチョコプールではテフラがあざといポーズのまま固まっていたが、テフラには意識があった。オチを予感して楽しそうに頭上を滑っていく味方へと必死に念じる。

　皆さん……、聞こえます……か……！

「こ、この声は！　脳内に直接！？」
「えっ、ファ●チキ買えばいい？」
「テフラさんの声が聞こエタ気持ち！」
　藍ちゃんも目を瞬かせている。

　皆さん……！　ジェットコースターが、また来ます……！

　固まりながらも必死に声を届けるテフラ。ジェットコースターは三度来る。

「「「！！！」」」

声は届いた。味方は迫りくるジェットコースターに気付く。
「なんてしつこいジェットコースターでしょう！」
　トリテレイアが呻く。ライアは見た。
「カップルがまた乗ってる！　3週目！？」
「きゃ～～ん。こわぁ～い。タカシくぅーん」
「うひょひょひょーい」
　カップルたちは手をつないで楽しそうだ。
「ックチュ」
「藍ちゃんがクシャミを……しまシタ」
　藍ちゃんはクシャミをした。

　ゴゴゴゴゴ！
「あぶなーいッ！　ジェットコースターがぶつかるぅー！」
　怪人がノリノリでマイクを握って叫んでいる。観客が悲鳴をあげ。その瞬間。

「どーんと任せるのだよ！」
　ライアはロープを器用に左右に揺らし反動をつけるとジェットコースターに跳び、ジェットコースターを渾身の力を籠めて蹴った。そしてそのままジェットコースターを足場にゴールの方向へと大ジャンプをする。
「そんな馬鹿な！」
　怪人が目を瞠る。
　あまりの怪力、衝撃にジェットコースターが一瞬止まり、再び動き出すも大幅に減速する。
「マグロより先にジェットコースターを捌くことになろうとは」
　トリテレイアはジェットコースターのレールに飛び移り、迫るジェットコースターをがしっと受け止める。ズズズ、と足がレールを滑り、ズズズズと後ろへと押されて行くが脚部スラスターを点火し勢いを足してしっかりとレールを踏み、堪える。ジェットコースターは徐々にその動きを止めていく。　
「なっ、なんだって！　化け物か！」
　怪人は仰天した。

「藍ちゃん、先にゴール！　の気持ち……デス」
　その騒動の裏でリヴェンティアが藍ちゃんをホイッと投げてゴールテープを切らせ、自分も軽やかにゴールに着地した。

「1位は藍ちゃんだー！」
　観客がワッと歓声をあげた。

　続き、ジェットコースターを足場に蹴って途中観客へのパフォーマンスの意味でくるりと一回転していたライアがゴールへと真っ直ぐに跳び――あまりの脚力にジェットコースターの一部がへこんだ――途中空を蹴り角度を足しながら数回空中ジャンプを加えて着地する。
「すごい！　空中で何回まわったんだ！？」
　観客が自身の撮影した動画を再生して確認していた。
「動画サイトで流したら再生数が伸びそうだ！」
　このあたりで観客は思った。もしや、この挑戦者たちは猟兵なのでは？　と。

　一方、トリテレイアはジェットコースターから手を離すとチョコプールへと手を伸ばす。
「テフラ様、警告をありがとうございました」
　味方のゴールによりチョコレートの魔法が溶けたのかチョコ像から元の姿へと戻ったテフラを掬い上げ、両腕で抱きかかえるとずんずんとチョコプールの中を歩いていく。
　トリテレイアとテフラが一緒にゴールすると全員のゴールに観客たちも温かな拍手を贈るのであった。
　チョコレートまみれのテフラにいつの間にか女性ファンが付いていたらしく黄色い声援が飛んでいる。

「なんということでしょう。せっかくチョコ像を作ったというのに」
　怪人は悔しそうにしながら、それでもとマイクを握り直した。
「ですが、このアトラクションはここからが本番ですよ！　我々は世の皆さんに新しいブームを今日！　湧き起こしますッ」

　猟兵たちは一斉に身構える。一体なにをしようというのか！

　……


　…………

　しばしの沈黙。

「えっと？　準備中……でしょうカ？」
　リヴェンティアが淡紫の瞳を不思議そうに瞬かせた。
「ジェットコースターがさっき減速されたせいでちょっと時間がかかってるんですよ、少々お待ちください」
　怪人、バツが悪そうにアナウンスをする

　急遽スタッフたちがちゃぶ台を用意し、猟兵4人は席で出し物を待つことになった。
　スタッフが申し訳なさそうにお茶を淹れてくれる。緑茶だ。
「ありがとうございます」
「飲めないんですよねえ」
　そんなことを言いながら10分休憩。観客の中にはトイレに行ったり他のアトラクションへと出かける者も出始めた。

「準備ができました！」
　怪人の声がした。
「準備お疲れ様な気持ち……デス」
「お疲れ様です」
　労う猟兵たち。

「ご覧ください！　これが流行の最先端！　2019年のバレンタインはこれで決まりっ！」
　怪人が示す先、なんとジェットコースターのレールの上に無人のジェットコースターが……否。ジェットコースターには、大量のマグロが乗っている！　びちびちと跳ねながら新鮮なマグロたちがジェットコースターで運ばれてくる！　マグロたちの隣の席にはスタッフの姿が！
「ぼく実はジェットコースター苦手なんですよね」
　スタッフはこっそり涙目だ。
　なお、ジェットコースターからおろされたカップルは少し残念そうにジェットコースターを見ていた。
「また乗りたいね」
「ね」
　そんな事を話している。

「このマグロたちをプールに浸し、チョコレート漬けにしたマグロを作ります。そのマグロを引き上げ！　完成したチョコマグロをスタッフがジェットコースターにて遊園地中に散布しましょう！」
　怪人の企みが加速していた。
　観客席が戸惑う中を怪人は熱く語る。
「バレンタインにチョコレートを渡してイチャイチャするなんてもう古いです。これからはチョコマグロ空爆！　チョコマグロジェットコースターです！」
　これを流行させてみせる――そんなアツイ意思を感じさせる熱弁であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

第2章 冒険 『マグロバレンタイン、ご期待ください』

POW   :    猟兵達による新しいバレンタインイベントを発案する SPD   :    猟兵達のバレンタインイベントの支援、または怪人達のバレンタインイベントを妨害する WIZ   :    怪人達のバレンタインイベントを自分達が巻き起こしたブームだと言うことにしてしまう 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●それは、激戦であった。
　『前回のあらすじ』
　キマイラフューチャーの遊園地に駆けつけた猟兵たちは、チョコプールを舞台にアツイ戦いを繰り広げた！　それは、キマフュの未来をかけた激しくも哀しい戦いであった……。
　途中で生き別れのお父さんと再会したり、故郷の幼馴染と別れたり、伝説の武器を見つけたりしながらコミック本で20冊分ぐらいの大冒険した猟兵たち。

「クッ、こんなはずでは」
　怪人は奥の手を使うことにした。

「ご覧ください！　これが流行の最先端！　2019年のバレンタインはこれで決まりっ！」
　怪人が示す先、なんとジェットコースターのレールの上に無人のジェットコースターが……否。ジェットコースターには、大量のマグロが乗っている！　びちびちと跳ねながら新鮮なマグロたちがジェットコースターで運ばれてくる！　マグロたちの隣の席にはスタッフの姿が！
「ぼく実はジェットコースター苦手なんですよね」
　スタッフはこっそり涙目だ。

　怪人は演説する。
「このマグロたちをチョコプールに浸し、チョコレート漬けにしたマグロを作ります。そのマグロを引き上げ！　完成したチョコマグロをスタッフがジェットコースターにて遊園地中に散布しましょう！」
　観客席が戸惑う中を怪人は熱く語る。
「バレンタインにチョコレートを渡してイチャイチャするなんてもう古いです。これからはチョコマグロ空爆！　チョコマグロジェットコースターです！」
　これを流行させてみせる――そんなアツイ意思を感じさせる熱弁であった。

　猟兵たちは、チョコマグロのブームを広めようとしている怪人を阻止しなければならない！




●お日様の下で
　小さな子どもが赤い風船を手に嬉しそうにスキップしていた。風がふわふわと風船を揺らすと、隣を歩くお父さんは言う。
「ちゃんとつかんでおくんだぞ」
　子どもがうん、と頷き親子は次のアトラクションへと歩いていく。

　その姿を視界の隅におさめつつ、はあ、と悩まし気なため息をつく者がいた。
「やっぱり意味が分かりません……マグロをチョコ漬けにして空爆とか……」
　テフラ・カルデラ（特殊系ドＭウサギキマイラ・f03212）が傍らのシエナ・リーレイ（年代物の呪殺人形・f04107）に視線を向けた。視線を向けた先でシエナはスカートをたくし上げている。
　彼女のスカートの中は人形世界。人形達が暮らす布と綿で出来た世界なのだ。シエナのユーベルコード『スカートの中の人形世界』はスカートの内側に触れたお友達を吸い込み、人形達の世界に誘う。

　お友達であるテフラを人形世界に誘う意味でシエナは先ほどからスカートをたくし上げているのだが、テフラは目の前のトラブルに意識を持っていかれているのか、全くスカートの中に入ろうとしない。
　テフラに連れられ遊園地を訪れたシエナは『お友達』の姿を不安の滲む赤の瞳で見つめる。そう、2人の友情に不安を覚えているのだ。
　その内心を知らず、テフラがシエナに問う。
「シエナさん何かいいアイディアはないでしょうか？　わたしはさすがにこういったのは疎くて……」
　へたり、とウサギ耳を垂れればシエナが小首をかしげた。
「マグロ要素を抜けばいいの？　とシエナは確認します」
小さな花がそのまま人形になったような可憐な少女は宝石めいた赤い瞳を真っ直ぐにテフラに向ける。瞳はやはり不安の色を拭いきれていない。テフラは頷いた。
「そうですね……マグロ要素を抜けば何とか……」

「落ち着いて考えてみましょう。シエナは椅子に座ります」
　シエナは近くにあった観客席のベンチに座り込む。
「ありがとうございますぅ……！」
　テフラも隣にちょこんと座った。ベンチの高さは少し2人には高かった。2人は足をぷらぷらと揺らす。
　軽く首をかしげて考えるシエナの灰の髪を風がさらりと撫でていった。テフラが自分でも何か思いつかないかと頭を悩ませながら、そっとシエナの横顔を見守る。お揃いの赤の瞳がふと絡み合う。
　ふわ、とシエナが笑んだ。
「うふふふふ！　シエナは思い付きに喜んで踊り出します」
　シエナはぴょこんとベンチから降り、テフラの座るベンチの周りで円舞曲のように軽やかにステップを踏んだ。花のようなスカートがふわりと風を孕み踊る。
「友情を確かめるイベントにしましょう！　とシエナは提案します」
　シエナがやわらかく手を差し伸べる。
「ゆ、友情を……？」
　テフラは戸惑いながらも手を取った。つないだ手をゆらゆらと軽く揺らしてシエナが楽しそうに言う。
「高いところからプールに飛び込むイベントです！　とシエナは説明します」
「うーん……？　それで友情を？　な、なぜ友情……？　果たしてこの世界の住人に受けるかどうか……」
　頭の上にハテナマークを浮かべているテフラの手をシエナは軽く引いて歩き出す。大人たちの間を2人ですり抜け、ベンチの間を歩いてスタッフのもとへ。

「うん？　どうしたんだいお嬢ちゃんたち？」
　シエナに向かい、軽くかがみこむようにして視線を低くしながら遊園地のスタッフがきいた。
　シエナが蜜のように甘い笑顔を浮かべ、スタッフを見上げる。
「こんなイベントを考えました！　とシエナはメモを渡します」
「へっ」
　スタッフはきょとんとした。
「あ、シエナさんは自分で自分の行動を説明する癖があって……って、シエナさん？」
　説明するテフラの視線の先でシエナはスタッフにピンクのリボン柄の紙に何やらメモ書きされたお手紙を渡している。
「シエナさん、スタッフに手紙を？」
「はい、お手紙でイベントをやりたいと伝えました！　とシエナは頷きます」
　シエナがニコニコと頷いた。そして、のんびりとテフラの手を引いてジェットコースターのレールに近づき。
「テフラさん、せーの、でジャンプしましょう？　とテフラは提案します」
　窺うように視線を向けるシエナにテフラが躊躇いがちに頷いた。
「わ……わたしたちがやるんですか？」
　シエナは答えずにつないだままの手を軽く振り、合図した。
「せーの」
「え、えいっ」
　ぴょんっ、と2人がジャンプし、手をつないだままジェットコースターのレールに乗る。
「高いところにいきましょう、とシエナはテフラさんを引っ張ります」
「あっ、引っ張らなくても、ちゃんとついていきますよ……」
　シエナがテフラを促し、2人はのんびりとレール上を歩く。風がふわ、と2人の髪を揺らした。少し遠くから人々の楽しそうなざわめきが聞こえる。観覧車の中で語り合っていた家族は近くを通る2人を見てびっくりした顔をしていた。
　頭上では眩い真昼の太陽が照り付けていて暖かい。
　子どもが手放してしまったらしき赤い風船が青い空を楽しむように飛んでいくのが見えた。ぷか、ぷかと。
　飛んでいき、遠くなる。どこかへと飛んでいく。

「このあたりから……と、シエナは考えます」
　下にはチョコプール、プールの脇では先ほどメモを渡したスタッフがマイクを取り、何かアナウンスしていた。アナウンスに興味を惹かれた人々が集まってきて2人に注目している。
　2人は軽く地上の観客に手を振った。
「注目されてますね、マグロから少し注意を離すことができたでしょうか？」
　テフラが安堵し、そして気付いた。
「ってあ、え？　シエナさん？　どうしてチョコプールに追い詰めているんで……」
　なんとシエナがじりじりとテフラをレールの端へと追い詰めていくではないか。
「うふふふ！　友情を確かめるため！　とシエナは説明してテフラさんをプールに落とします」
　つないだ手は、そのままで。

　トンッ
　
　軽い仕草で突き落とされ、テフラとシエナは真っ逆さまに落ちていく。
「あぁっ！　やっぱり！？」
「うふふふ！　笑いながらシエナも一緒に落ちます」
　シエナが笑っている。だが、少しだけ瞳は不安に揺れていた。テフラは落ちていく中でほんの少しだけその瞳に揺れる色を見た。
　空中でぎゅっと手をつかみなおす。
「シエナさ、」

　ドボーン！

　何か言いかけたままピキピキとチョコプールの魔法が2人に及ぶ。
「イベントをするというのでチョコが固まる魔法をもう一度かけたんです」
　スタッフがアナウンスしていた。
　2人は手をつないだまま、仲良くチョコレートの像になった。

　スタッフがメモを手に説明を続けている。
「チョコ漬けにされ高所から落とされて尚離れなければ二人の友情は真の物である、と、そういうイベントだそうです！」

　観客たちは微笑まし気にチョコ像に拍手を送るのであった。そのアナウンスと拍手はチョコ像になった2人の耳にも届いているのであった。

　周囲には他の味方もいた。そのため、味方の手で救出された2人は、ほんの数分で元に戻ることができた。
　付近にいた観客たちは2人の無事を喜び、マグロのことをすっかり忘れてしまったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●🐟🐟🐟
「チョコマグロ空爆なんて流行るわけないでしょう」
　青空を背にウォーマシンのトリテレイア・ゼロナイン（紛い物の機械騎士・f04141）が直言した。
（「チョココーティングされたマグロの重量を考えたら、ジェットコースターから投下されたマグロは殺傷力十分の凶器となりカップル達の頭を直撃。血のバレンタインとなることは必定……！」）
　怪人の企みによる最悪の被害を危惧しつつ、決意を固くする。
「なんとしても阻止せねばなりませんね」

「というわけで、早速失礼します」
　律義に断りつつトリテレイアは先ほどまで別の猟兵たちが歩いていたジェットコースターのコース上に向け、弾丸を放つ。着弾と同時に薬剤がコースへとぶちまけられた。
「な、なんですかそれっ」
　ジェットコースター上のスタッフが目を丸くする。
「御伽噺の魔法の薬ほどではありませんが、色々と応用が効くんですよ」
　言う矢先、ジェットコースターが薬剤のぶちまけられたコースに差し掛かりもっちりと絡めとられたかのように動きを止めた。
「お、おお……」
　機械騎士がスタッフへと優しく手を差し伸べる。スタッフは涙目ですがりついた。
「配置転換は出来るのでしょうか……」
「……、スタッフには色々な配置を満遍なく経験させていくスタイルなので、頑張っていればきっと」
　楽しい遊園地の裏事情が少しだけ垣間見えた気がしてトリテレイアは深く頷いた。

「さて、怪人に対抗すべく何か新しい見世物をしてみましょうか」
　スタッフを地上におろし、トリテレイアは世界知識のデータを照会する。目の前には大量の新鮮なマグロがあった。
「あの、人を集めたりしましょうか」
　スタッフは協力的だ。マイクを取り、観客へ呼びかけてくれる。
「み、みなさん。この方がショーをするらしいです」
（「まだ何をするか決めていないのですが……、いえ」）
　その瞬間ピーンと思いつき、トリテレイアはマグロを抱きかかえた。世界知識のデータ頼みの見よう見真似だが、猟兵パワーできっとなんとかなるに違いない。

「これより、マグロを解体します」
　スタッフがささっと丁度良いサイズのエプロンを持ってきた。
（「この一瞬でどこから持ってきたのでしょう」）
　内心でツッコミながらトリテレイアはエプロンを装着する。
「こちらも」
　スタッフがサッとねじり鉢巻きを差し出した。
「……ありがとうございます」
　ねじり鉢巻きを巻くと観客が一斉に写真を撮った。すでに立派な見世物となっている。

「ここからが本番ですよ」
　トリテレイアは腰より少し低い高さの台へとマグロを横たえた。使うのは己の剣だ。
　関節の間に沿い刃をいれ、マグロの肉を傷つけないように気を配りながら尻尾を切り落とす。
　胸びれの下から頭のこめかみ付近に向かい緩やかに刃を入れ、斬り込む。
再度胸びれの下に刃をいれ、腹上部からエラ下を通過させるように斬り込む。
それを逆側にも繰り返し胸びれの下に手を入れ、アタマを取った。驚くほど美しい断面が披露される。
（「ズバッと切り落とした方が格好良かったでしょうか？」）
　反応を窺うように周囲に高感度のセンサーを向ければ、観客は断面の鮮やかな色合いに見とれ歓声をあげていた。
（「大丈夫そうですね」）
　ワッと観客から歓声があがる中を淡々と本体に刃が入れられていく。背中にブイの型に切込みを入れ背びれをそぎ落とし、
「ママ、何をしてるのあれ？」
「解体ショーよ」
　子どもとお母さんの声が聞こえる。
　遠くからは楽しそうな遊園地のBGMが聞こえてくる。BGMと歓声に背中を押されるように胴体頂点に沿って入れられた刃は迷いなくリズミカルに運ばれた。
　血合い部分に頭から尻尾に向けて刃を入れ。中心部へと入れた刃は腹側へとザックリ切り進む。中骨に沿い延髄まで到達するように刃を入れていき、
胴体の四分一を切り出した。あわせて背中側へ刃を切り進み、胴体の四分一を切り出す。
　身を抱えると思っていたよりも身は柔らかい。
（「身が割れないよう気を付けないといけませんね」）
　考えつつ機械ならではの正確さで中落ちを一気にはがせば胴体の四分一が二丁あがり、拍手が起きた。本体も中落ちも共に宝石のように煌めく肉を晒し、新鮮さを雄弁に物語る。
「わあ！」
　子どもが目をキラキラさせている。
　トリテレイアはさらにそれぞれをブロックに割り切り、短冊へと切り分ける。そして、短冊をお刺身に切った。皿に盛りスタッフに渡す。

「次々解体します。たくさんありますから皆様全員でお召し上がりください」
　そう言うと次のマグロへと手を伸ばし、同じように解体していく。人々は刺身に手を伸ばしながら解体ショーを楽しんだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

●ハッピーレイン
「この怪人さん……凄く色々な企画を発案しますネ……」
　リヴェンティア・モーヴェマーレ（血も骨も、灰すら残さず・f00299）がのんびりとそんな事を呟いていた。
　視線の先には怪人がいる。
　怪人は先に行動した猟兵たちにすっかり観客の注意を引かれてしまって地面にのの字を描いていた。
「怪人じゃなければもしかしたら企画者として世に出てたカモしれませんのに……」
　そう呟くとピクッと反応する怪人。
「私の企画の良さをわかってくださるのですか？　あなたはなんて良い人なんでしょう」
　怪人、なんとリヴェンティアに感動したように目に涙を浮かべた。

「ですガ、流石にマグロはダメです……！」
「えっ」
　リヴェンティアはハッキリとダメ出しをした。
「ポテチにチョコとかしょっぱいものにチョコが意外とマッチして人気になってる世の中ですガ、流石にマグロはダメです……！
　小さいチョコをばら撒くならまだしも、マグロは危ないコトこの上ないノデやめてくださーい！」
　藍の髪が風にふわっと揺れ、花のような容姿のリヴェンティアがふるふると首を振り否定すると怪人はしょんぼりした。

　リヴェンティアの周囲にはいつの間にかチョコプールの頃から応援していた青年やおじさんが集まっていた。
「お嬢ちゃんがダメだって言ってるんだから、ダメだよ」
「女ゴコロがわかってねえなあ、スタッフさん」
　一般人を味方につけたリヴェンティアはふと思いつく。

「はっ……マグロ爆弾を止めて、逆にラッピングされたチョコの雨を降らせるという催しにすり替えられないですかネ……？」
　宝石のようにキラキラと目を輝かせ、リヴェンティアはスタッフに説明する。
　マグロではなく、可愛らしくラッピングされた美味しいチョコレートが無料でもらえたら人は喜ぶだろう。
「ギブミーチョコみたいな気持ち！」
　ニコッと笑えば藍ちゃんも賛成するように足元ですりすりした。愛おしむように紫の目を緩め、リヴェンティアはさらに提案する。
「出来るならジェットコースターが苦手なスタッフさんの代わりをしてあげたい気持ち……」
「試しに、やってみましょうか」

「チョコ買ってくるよ！」
「ラッピング手伝うよ」
　一般人までもが協力を申し出て、綺麗に可愛くラッピングされた沢山のチョコレートの山ができあがった。
「わあ、見てイルだけで楽しい気持ち……！」
　リヴェンティアは大切な宝物を抱えるかのように優しい手つきでチョコレートの山を抱え、ジェットコースターに乗った。

　遊園地にアナウンスが流れる。
「サプライズで、来園の皆様へチョコレートのプレゼントです！　ジェットコースターに乗った美少女が皆様へチョコレートの雨を降らせます」

　風を切り、ジェットコースターが広い遊園地を走る。
「楽しい気持ち！　風にナったみたいデス♪」
　リヴェンティアは楽しそうにチョコレートを降らせた。

「チョコだー！」
「わあ、可愛い」

　カラフルにラッピングされたチョコレートが降る。人々はそれを受け取り、笑顔になった。
「皆さん見てますか、遊園地にチョコの雨がふってます！」
　生配信している実況主は落ちて来たチョコをキャッチすると嬉しそうに視聴者に見せた。
「見てください！　ゲットしました。すごく嬉しいです。みんな、すごく嬉しそうにしています」
　今日は、最高のバレンタイン。
　みんながそう思い、幸せな笑顔となったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

第3章 ボス戦 『カロリー執事』

POW   :    血糖覚醒 【自らの野望の為 】に覚醒して【全身が高カロリーな食べ物】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。 SPD   :    カロリーボム 【口に向けて一日分超の高カロリーな食べ物 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。 WIZ   :    お食事会 いま戦っている対象に有効な【相手が好みそうな食べ物（カロリー激高） 】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●遊園地タイム！
　ボスの怪人、カロリー執事はしょんぼりとしゃがみこみ、地面にのの字を描いていた。彼の心はすでに折れている。戦う必要がないくらいだ……。
「でも、骸の海に帰って貰わないといけないから一発くらい殴ろうか」
　そんなことを仲間が言う。

※ボスは弱いです。「ボスは倒します」とか一言で戦闘プレを済ませて残りの文字数で遊園地を満喫しても大丈夫です。※

●遊園地タイム！
　遊園地は自由にお楽しみいただけます。前章までに出て来た一般人と会話したり何かしても良いですし、「こんなアトラクションを楽しむ」と書いて頂いてもよいです。
●！

●そういえば正体を現していなかった
　怪人はのの字を書いていたが、ふと思い直した様子で立ち上がるとマイクを握ってなにやら語り始めた。
「私はまだ諦めませんよ……」
　スタッフの衣装をバッと脱ぎ捨て、現れたのは頭部が三色アイス状の執事さんだ。どこからどう見てもその姿は、

「きゃー！　怪人よー！」
「正体を現したな怪人！」
　怪人執事は高らかに宣言する。
「バレンタインなんて中止じゃーい！　でございます！」








●風船を手に
「これは…女性の敵となりつつも味方ともなると言わんばかりのボスですネ……。
　でも残念、倒してしまいましょう！
　プログラムド・ジェノサイドGOでス！」
　リヴェンティア・モーヴェマーレ（血も骨も、灰すら残さず・f00299）が腰に手をあてて宣言すると、仲間たちもウンウンと頷いた。
「うん。まぁ……………まぁ？　おすわり」
　宮落・ライア（英雄こそが守り手！（志望）・f05053）は大剣の平で怪人をぶっ叩いた。ぺしゃんと怪人が地に伏す。
「よいしょ」
　軽く首根っこを掴み、上へとぶん投げた。
「ホームラーン」

　キラーン☆

「たーまやー、な気持ち……」
　リヴェンティアがほうっと息を吐き見送る。
　怪人が空を飛ぶ。ふわふわ空を飛んでいた赤い風船を途中で掴み怪人はズザーッと地に落ちる。
「落ちてきました。とシエナは説明します」
　テフラとの友情を確かめる事が出来て大満足なシエナ・リーレイ（年代物の呪殺人形・f04107）が言った。
　落下地点へ仲間たちが走る。
　怪人は風船を手に地面にのめりこんでいた。

「風船取ってきたの？　えらいじゃん！」
　ライアがその手から風船を奪う。きょろきょろと周りとみると風船を手放してしまって泣いていた子どもが赤い風船を見ていた。
「これ？」
　ライアが風船を差し出すと子どもはパァッと顔を明るくして走ってくる。親がついてきてペコペコと頭を下げた。

　一方、ライアに吹っ飛ばされた執事のもとへトリテレイア・ゼロナイン（紛い物の機械騎士・f04141）がかがみこむ。
「心が折れていながらも戦う姿勢を見せる姿は敵ながら見事ですが、貴方の使うユーベルコードには弱点があります」
　それは一体？　と怪人が頭の上にハテナマークを浮かべる。仲間たちは答えを察した様子で見ていた。
「そう、私のような物を食べられない存在にとって高カロリーなど恐怖の対象どころか存在しないも同然なのです！
　あとフードファイターの方にも弱そうですね」
　トリテレイアは隠し腕の電流で執事を無力化する。

　シエナの視界に今にも息絶えそうな怪人が映る。その姿は嘗ての自身の所有者達と同じ気配を発していた。そのため、そんな彼をシエナは放置することができない。
「なんでバレンタインを嫌うの？　とシエナは問い掛けます」
　シエナが問いかける。その口調は優しい。
　怪人はプルプルしながら答えた。
「だって、みんな幸せそうなのに自分一人だけ孤独だし」
　周囲のギャラリーが何とも言えない視線を怪人に向ける。怪人の悲しみを知ったシエナは彼に残された時間の中で少しでも悲しみをなくしたいと思った。
「わたしとお友達になりましょう！　とシエナは怪人さんを誘います」
　シエナが誘うと、他の仲間たちも少し考えて頷いた。
　一度思い立ったら則行動なシエナは怪人の片手を取る。もう片方の手をトリテレイアが取り、2人で怪人を引っ張っていく。仲間たちがゾロゾロとその後ろに続いた。
「ど、どこへ行くのでしょうか？」
　戸惑う執事。
　ギャラリーはなんとなく察してどこか微笑ましい表情で見送る。そんなギャラリーへとリヴェンティアは礼を言った。
「応援してくれた方々にお礼を丁寧にしていきたい気持ち。
　皆さん有難うな気持ち！」
　リヴェンティアは笑顔で手を振り、仲間たちの後をついていく。

「風船、どうぞ」
　スタッフが彼らへと色違いの風船を手渡した。

●遊園地を、みんなで
　怪人を連れた猟兵たちは遊園地を歩く。手には途中で貰った色違いの風船があった。
「にしても遊園地かー。
　久しぶりにこんなところ来たかもなー。
　しかもイベント期間でチョコレートいっぱい！」
　ライアが呟く。先ほどリヴェンティアが配っていたチョコレートがライアの手の中にもあった。可愛らしくラッピングされたチョコに目を細める。そよりと心地よい風が吹いてラッピングのリボンをフワ、と揺らした。

「………」
　ライアは視線をあげた。周りには仲間と、少し情けない怪人と、楽しそうな人々がいる。
「休日の余暇の過ごし方なんて存じ上げないのですが、人々はこうやって休日を楽しむのですね」
　トリテレイアがそんなことを言っていた。
「藍ちゃんはどれで遊びたいですカ？」
　リヴェンティアが藍ちゃんと話している。
　シエナは風船を手に執事となにやら語り合っていた。
「うん、たのしもっか。
　皆笑顔なんだから、少しぐらい羽を伸ばしても大丈夫だよね」
　ライアはそう言うと走り出す。
「ねー！　ティーカップ乗る！？」
　ティーカップの受付で手を振れば、仲間たちがやってくる。

　怪人を取り囲むようにして全員がぎゅうっと入り、クルクルと回転。景色が廻る。
「回転王にボクはなる！」
　ライアが気合を入れると速度が増す。
「廻し過ぎじゃないですか？」
　怪人が目をまわしていた。
「藍ちゃんが喜んでいマス……！　藍ちゃんは回るの好きミタイデス」
「ふふ！　シエナも喜んでいます」
　ギャラリーも高速回転に驚いていた。

　次に彼らはメリーゴーランドに。
「一緒に乗りましょうね」
　トリテレイアが怪人を抱えて二人乗りする。
「頑丈だね」
　ライアが感心した。スタッフが胸を張る。
「キマイラフューチャーにはいろいろなキマイラがいますから、どんなお客様でもお楽しみいただけるようにと設計いたしております！」

　そして、ジェットコースターに乗り。
　ぐんぐんと高くのぼれば怪人がガクガクと震えた。シエナが手を握ってあげる。
「大丈夫、怖くない！　とシエナが励まします」
　そしてコースターが高速で降下する。風を切り、一瞬で景色が流れる。
「ワー！」
「キャアー！」
　一緒に乗っていた一般人の声がする。
「きゃ～～ん。こわぁ～い。タカシくぅーん」
「うひょーい」
　例のカップルたちも乗っていた。

「ハア、ハアア」
　ジェットコースターに疲れた様子の怪人がベンチでぐったりしていた。リヴェンティアがクレープを買ってきてシエナと食べあいっこしている。
「甘くておいしい！　とシエナは感想を言います」
「先程ボスにカロリーを貰った気がしますガ別腹と言うものがですネ……。
　明日からダイエットな気持ち……♪」
　トリテレイアが執事に話しかける。
「人に仕える属性の騎士と執事……やはり相性が悪いですね。
　お仕えするご令嬢とかいないんですか？」
　執事が首を振る。
「そうですか……」
　
「お化け屋敷ー！」
　ライアが引っ張ってお化け屋敷に連れていく。
　暗闇の中を進む仲間たち。
「暗視があるから全部見えるんですよねえ」
　トリテレイアがぼそっと呟いた。暗闇の中、仕掛けようとしていたお化け役がそんな彼へとシーッと指をたて、黙っていてくれるよう頼みこむ。
　トリテレイアは無言で頷いた。
「ワーッ」
　お化け役がおどかすと怪人が悲鳴をあげた。
「ギャアアー！」
「怪人でしょ、しっかりしなよ」
「怪人さんは怖がりデス」
　ライアとリヴェンティアが笑う。シエナは怪人の背中を撫でて安心させてあげた。

　お化け屋敷から出ると、藍ちゃんが走り出す。
「あっ、藍ちゃん」
　仲間たちは慌てて藍ちゃんを追いかけた。
「回し車型観覧車……ですカ？」
　追いついたリヴェンティアが藍ちゃんを抱き上げる。その視線の先にはユニークなアトラクションがあった。
「これは……自分で回し車のように回しながら観覧車を動かすのですカ……」
　説明を見る仲間たち。
「楽しそう！」
「大きいサイズもあるのですね」
　仲間たちが回し車に入る。藍ちゃんもやる気満々だ。
「藍ちゃん、体育会系ですネ！　よーし、頑張りマスよ！！」
　全員が回し車型観覧車に入る。猟兵パワーで物凄い勢いで観覧車が動き出した。
「なんだあの観覧車、すごいぞ」
　ギャラリーが吃驚している。藍ちゃんも楽しそうに回し車を回していた。

●そして
　やがて日が暮れて人々は帰り始める。楽しい一日はあっという間に過ぎるのだ。夕暮れの空が彼らの頭上に広がっていた。
　彼らの手には共にアトラクションを楽しんだ色違いの風船があり、ふわふわと仲良さそうに揺れている。
　怪人はベンチに横になっていた。もう動くことはない。
「……」
　しばらく放置すればいずれ骸の海へ還るだろう。
　仲間たちは怪人を見守っていた。
「帰りましょう。とシエナはおまじないをかけます」
　シエナがそんな怪人へと手を差し伸べる。全く反応する様子のない骸へとシエナはユーベルコードを発動させる。

　『あなたも、わたしのお友達になって』

　声なき声とともにシエナは骸となった怪人におまじないをかける。優しいひかりはふわり、と怪人を包み込む。
　そして、怪人の骸が人形に変化した。
　シエナは人形のお友達の手をそっと取る。そして、歩き出す。

「お家に帰りましょう。とシエナはお友達の手を引き歩みます」

　遊園地は夢と希望の溢れる非日常の世界だった。
　子どもたちはそこで冒険し、楽しい思い出をつくる。
　大人たちも、また。

「また来ようね」
　誰かが言った。

●HAPPY　END　

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年02月04日