怪奇作家は現世にて真実の怪異と対峙をす
「ああ……何かネタは無い物か」
そう呟くのは学生ながら怪奇作家として名声を馳せた少女、久野・イリスは手入れをしていない割に艶やかな黒髪を掻きながら構内の掲示板に目を通す。
「ん?これは……なかなか面白そうな催しだな」
そこには何でも独自の祭事を持つ村への調査同行の募集。優れた才を持つ者なら幾らでも募集しているとのことだ。
「いいネタになるやもしれん。早速担当に連絡して……一々行くのは面倒だな。文庫本サイズの電話でもあればいいのにな」
そのブツブツと呟くイリスを遠くから見つめるのは。
「そうか、彼女もか……優れた文才を持つ者ならあるいは……」
「みんなお疲れ様。各世界で様々な事件が起きているわね」
と、金の縦ロールを揺らしながらグリモア猟兵の令嬢、シャルロット・シフファート(ツンデレの国のアリス・f23708)は集った猟兵たちに今回の任務の概要を告げる。
「今回の任務はサクラミラージュでのスパイを捕らえる系列の依頼ね。少し変則的な形になるけれど……」
そう言うとホログラフを展開してある壮年の男の顔写真とサクラミラージュ製のフィールドワーク同行者の募集広告を空中に映し出す。
「この男はある村の祭祀をフィールドワークの調査するとして優秀な学生を集めているのだけど、この男の目的はその村に秘匿されているとされている秘儀を学生たちを利用して封印を解除、幻朧戦線にリークするのが目的のスパイよ」
つまり、この男の目論見を暴いて阻止するという任務になるがシャルロットは言葉を続けていく。
「まだそれならいいんだけど、問題はこの子……久野・イリスという子なんだけど、彼女が無意識に使った文豪としてのユーベルコードが封印を解除するらしくてね……彼女にも目を通しておかなくちゃいけないのよ」
つまり、二重監視というわけだ。
「それだけじゃないわよ。何でも今回の任務では怪奇現象が連発してね……現地の村に到着してからそれが劇的に現れるんだけど、その理由については詳しく見えなかったわ。けど、断片的に見た予知からは『なぜ、怪奇現象が起こっているのか』、『教授の他に今回の任務には裏はないのか』、『なぜ、現地に着いてから怪奇現象が劇的になるのか』を調べることが重要みたいなのよ」
つまり、現地に赴いて調査しながら推理を行うという任務となるだろう。
「複雑な任務だけど、ちゃんと落ち着いて推理すれば大丈夫よ。後、秋も深まっていく時期だけどその村は涼しくて紅葉が一足早く訪れる地理や気候のようだからゆっくりと過ごしてみるのも手じゃないかしら?」
また、せっかくの豪華列車での施設や料理を楽しむのも良いだろう。
「それじゃあ任務完了を待っているわ。転移、開始」
「ふう、思ったより人が多いな……」
豪華列車発射前、人いきれ気味となり列車の自室に戻ったイリス。
「ん?なんだ?」
ふと、違和感を感じて寝台を見渡す。
「……ッ!!」
――部屋に飾られていた絵画の額縁が、一様に反対方向に向けられていた。
「は、は……質の悪い悪戯だな……」
ザザッ!!
鳴り響くは各部屋に取り付けられたラジオ。
そこから鳴り響くのは……
「うえっ!!?」
女のすすり泣く声。それがノイズ交じりにラジオから流れていく。
かと思えば唐突に止まり、元の無音に戻るラジオ。
「……は、は。職員に行って直してもらおう……」
逃げるように部屋から出るイリス。
――これが、始まりだった。
黒代朝希
こんにちわ。
どんなものであっても、非日常はフィクションだから楽しめるという理論ですね。
OP公開後に断章を執筆しますので、断章が追加されたときからプレイングを受け付けます。
第一章はイリスに付き添って侵食してくる怪奇現象に並行しながら豪華列車の中で『教授』の企みを暴いて下さい。
この時、調査と並列して怪奇現象の他に列車でのサロンや高級料理等、豪華列車に関連することを楽しむことが出来ます。
第二章以降は断章を公開して詳細を告げます。
久野・イリス
学生ながら怪奇作家として名を馳せている小柄(148㎝)で長い黒髪の泰然とした口調のフランス人とのハーフの美少女。しかし実はビビり(執筆については「虚構」である故問題なし、彼女が怯えるのは「現実」にある現象だけ)であり、実際に怪奇現象が起きたら猟兵に縋り付いて振るえるでしょう。
服装は冬服の学生服に黒タイツを履いていますが、彼女自身が決めた服装でなく担当からキャラ付けとして着た服を選択をして毎日それで日常生活を送っているとのこと。
『教授』
著名な人類学者にして幻朧戦線のスパイ。
今回の学生たちを介して秘儀を奪う任務を受けている。
第1章 日常
『締め切りに追われて』
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POW : 美味いモノを食べさせてやる気を出させる!
SPD : 面白い話や冒険譚を聞かせて創作意欲を湧かす!
WIZ : スランプに陥った原因を聞き探り自分自身で克服させる!
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
――豪華寝台列車、それは線路沿いにある寒村へと向かっていく。
『教授』が招集した優秀な学生たち、人類学だけでなく生物学、工学、カメラや映画撮影などの撮影技術を得意とした学生たち。それらは豪華な寝台車両の旅で浮足建っているようだ。
その優秀な学生の中で文学などの優れた才能の持ち主として選ばれたのが久野・イリスだ。
彼女は明るいサロン内で落ち着かない様子でメモ用紙に作品のプロットを書き上げている。しかし筆の進みは良くないようだ。
君たちはイリスを監視しながら怪奇現象を調査しても良いし、イリスを気遣って美味しい物を食堂車両で一緒に食べたりサロンでおいしい飲み物やお菓子でお茶したりして落ち着かせても良い。
(プレイング、受け付け開始です)
神代・凶津
今回の仕事は一筋縄ではいかないようだぜ、相棒。
「・・・気を引き締めていきましょう。」
とりあえず『教授』とやらに五感を共有できる式神【追い雀】を付けて情報収集するぜ。
それとイリスって嬢ちゃんの様子を見に行くか。
どうやら既に怯えているようだぜ。
相棒、少し心配か?
んじゃ、お茶にでも誘って気分を和らげてやりゃどうだい?
「・・・もしよろしければ、一緒にお茶でもいかがですか?」
お茶でも一服すれば心も落ち着くってもんだぜ、嬢ちゃん。
ん?喋る仮面が気になるか?
お化けじゃねえから安心しな。
寧ろその手の輩にはプロフェッショナルだぜ、俺達。
怪奇現象が発生したら『退魔の鈴』を鳴らして退散させるぜ。
【アドリブ歓迎】
神代・セシル
文学と封印解除の関係はあまりないと思いますが、もしかすると久野さんは必ず今回の調査を参加すること教授は知り、久野さんの能力を利用ために彼女を選んだ。
「これをかけた方がいいかもしれませんね」(モノクルをかけた)
私一応読書好きですから久野さんにお話ししましょうか。
『行動』
まずは[変装]と[目立たない]を使って学生を変装し、[学習力]と[世界知識]で久野さんに話を掛け、怪奇現象について話します。
後は移動します。[視力]、[第六感]で周囲を感覚します。必要があれば[追跡]を使用する。
最後は教授に接近して、教授と話している時[読心術]と[情報収集]を使ってできるだけ彼の考え、目的をわかるようになります。
洒脱な意匠のインテリア。上質なペルシャ絨毯。各列車ごとに飾られている名画。
正しく豪華寝台列車というに相応しい風雅さを醸し出す列車の一区画がサロン。
そこに身を小さくしてメモ用紙にアイデアを書き連ねるイリスの姿。
『今回の仕事は一筋縄ではいかないようだぜ、相棒』
「……気を引き締めていきましょう」
「文学と封印解除の関係はあまりないと思いますが……もしかすると久野さんは必ず今回の調査を参加すること教授は知り、久野さんの能力を利用するために彼女を選んだのかもしれませんね」
その怯えているイリスを遠くから眺める二つの人影と三つの声。
鬼の仮面を片手にする少女――その本質は仮面と巫女の二つの存在が揃って一つの猟兵、神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)。
もう一人は片モノクルをかけた吸血鬼の少女、神代・セシル(夜の読書も大事です・f28562)。
奇しくも苗字が神代――セシルの方は「セシル・アイリニス」という本名があるのだが、ここでは割愛する――で統一されている猟兵二人組である。
『とりあえず『教授』とやらに五感を共有できる式神【追い雀】を付けて情報収集するぜ』
そう仮面が呟くと同時に巫女の少女、神代・桜が雀の式神を放ち『教授』への監視を行う。
「こちらも『教授』の目的も後で探るのですが、助かりますね」
『ああ、それじゃまずはイリスの嬢ちゃんに話しかけるか。相棒も気になっているようだからな』
「……もしよろしければ、一緒にお茶でもいかがですか?」
『お茶でも一服すれば心も落ち着くってもんだぜ、嬢ちゃん』
「うわっ!?しゃ、喋る仮面!?」
鬼の仮面がしゃべる光景が突如目に入り込んだ。それは驚くだろう。
しかし、鬼の仮面は慌てず言葉を紡ぐ。
『ん?喋る仮面が気になるか?お化けじゃねえから安心しな。寧ろその手の輩にはプロフェッショナルだぜ、俺達』
「プロフェッショナルって……ユーベルコヲド使いか?」
『ま、そんなものさ。見た所怯えているがどうしたんだ?』
「あ、ああ実はどこかの学生に悪戯を仕掛けられてね……」
と、先程自室で額縁の細工やラジオのノイズの件を話すイリス。
それを聞いたセシルはイリスの怪奇作家としてのプライドをくすぐる方針で話を振る。
「しかし、聞いたところ貴方は怪奇作家とのことですが……少し、代表作についてお聞きしても?」
「ああ、ならまずは私の処女作であるポルターガイストに纏わる『部屋の中の揺らぎ』について話そうか……」
自らの作品について饒舌に語るイリス。イリスの作品は写実的な描写によるリアリティ溢れる恐怖描写が特徴的な小説であり、セシルもこの作品の出来には満足出来るものだった。
「素晴らしいです。まだ全部読み終えてませんがこれは久野さんの他の作品も読んでみたいですね」
「そうかそうか。なら、神隠しを題材にした『攫う羽』なんかが良いし……おっと、お茶菓子が来たようだな」
香ばしく芳醇な香り。それは深い橙に緑がかった上質な紅茶にチョコの生地で焼かれたマドレーヌの香。
それを三人は取り分けて食していく。
『俺は食えねぇが、どうだい?お味は』
「うん!素晴らしいな」
「おいしいです」
「……うん、おいしい」
口に広がる焼いたチョコレートの風味としっとりとした生地。それは正しく頬が落ちそうな味わいだ。
「と、せっかくだから付属したジャムを紅茶に入れ……て……」
ふと、紅茶に目を向けたイリスが固まる。
――クルクルと、誰も触っていないカップに入っている紅茶が、渦を巻いて波紋を芸術的なまでに広げていく。
それがふと急に動きを止めて波紋無き紅茶の水面へと戻る。
「……見た、か?」
「ええ、これは……」
「……怪奇現象、だけど」
「……害はない、わな」
再び怯えるイリスを凶津と桜に預け、セシルは床に敷かれたフカフカの絨毯を踏みしめて『教授』の元へと向かう。
「ん?ああ、君は久野君と同じく文学専攻から選ばれたという……」
「神代・セシルです。今回のフィールドワークの立案者の貴方に少しお話が聞きたくて」
今回の問題は『教授』がこれから赴く村の秘儀を学生たちを利用して封印を解き、それを略奪することだ。
今の段階で警戒を抱かれていない間に、『教授』の詳しい人柄や凡その目的を掴むアプローチは今後において大きな意味を持つだろう。
「――つまり、今回赴く村に伝わる祭祀を詳しく調査しておく事で他の地域における関連性のある祭祀についての類似性などが見つけられるかもしれなくてね……」
「は、はぁ……」
分かったことはこの『教授』という男、とにかく知的好奇心が強い。
それこそ何よりも優先して至上命題にするほど……
「(こういう手合いは、危険ですね)」
心の中で『教授』に対する警戒心を強めるセシル。目的については詳しいことはわからないが、その知的好奇心を満たすことと並列してスパイ任務を行っているという推測は、容易にできた。
「と、長々と話し込んでしまったね。もうすぐ夕食になるからここで切り上げても良いかな?」
「ええ、お構いなく……」
そう言った瞬間、フッと電車内の照明が消える。冷房の音が聞こえていることから電車内のブレーカーが落ちたわけではないとセシルは理解する。
やがて十数秒して照明は戻り、紫と橙の混じった天然の光を純白の人工灯が引き裂いていく。
「さて、それでは――ッ!?」
何気なく床に目をやり、セシルは固まる。
――絨毯が、ない。
――確かに靴と足で踏みしめていたはずの、列車全てに敷かれていた絨毯が、床から消え去っていた。
やがて大きくなる騒ぎ。どうやら他の車両でも起こっているようだ。
「(『教授』の様子は……!?)」
床を見るふりをしながら『教授』を観察するセシル。
――その横顔は、興味深そうに笑みを浮かべている。
――まるで、予期せぬ来客が来た、というばかりに。
「(……?)」
その様子を訝しみながらもイリスの事を思い、サロンへと戻るセシル。
――『教授』の笑みは、増々濃くなっていくのを見届けながら。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
一ノ瀬・はづき
これから奉公先へと向かう為に電車に乗り合わせたメイドさんという設定でボクは捜査に参加するね。
メイド服を着ているけれど眼帯も付けているよ。
すこし厨二病はいってるかも…。
技能の恥ずかしさ耐性で周囲の目は気にならないかな。
「面白い話や冒険譚を聞かせて創作意欲を湧かす!(SPD)」に挑戦するね。
教授も気になるけれど怖がっている彼女を何とかしてあげたいな。
この様子だと作品作りが捗らないよね。
怪奇現象の調査をよかったら一緒にしてあげようと思う。
分からないから怖いんだよね、きっと。
あと美味しい紅茶をいれてあげたいな。
UC「オールワークス」を使用してメイド服の奉仕技能を引き上げて最高の紅茶を彼女に振舞うね。
諏訪・樹
「彼女のそばにいてやるか。万が一のことがあったらいけないしな」
一応、念の為に大人しい学生として猫を被っておこうか。
POW
筆が進まない彼女を一瞥し、
「何か食べたらどうかな?良い気分転換になると思うし」
と提案し彼女が食べたいものを訪ね、食事を注文する。
一緒に食事をしながら彼女を落ち着かせつつたわいもない話をするかな。
彼女との会話からもしかしたら何か今回の事件解決の糸口につながる何かがあるかもしれないしな。
会話中は常に周りの気配に気を配りながら怪奇現象が起きた場合に備えておくか。
「それにしてもこの食事美味しいなー」
食事に夢中になって任務のことを忘れないようにしなくちゃな。
「これから奉公先へと向かうところだったんだけど……どうにも怪奇的な事件が起きちゃったね」
「ま、言っても絨毯がいつの間にか全部の車両の床から一瞬で消えた『だけ』だしね」
「そ、そうだな……言ってみれば絨毯が消えただけだしな……」
と、竦んでいるイリスを落ち着かせて食堂車両に連れ込んだのは諏訪・樹(幻影を追う者・f24982)と一ノ瀬・はづき(人狼の正義の味方・f29113)の二人だ。
今回、イリスのフォローを重視した彼らは保護観察も兼ねてディナーに誘ったのだ。
「(教授も気になるけれど怖がっている彼女を何とかしてあげたいからね)」
この様子だと作品作りが捗らないよね、と内心思いながら彼女にオレンジジュースのお代わりを注ぐはづき。
「で、何食べたい?美味しい物でも食べれば少しは気が楽になるさ」
「あ、じゃあトマトで煮込んだ暖かいロールキャベツを……」
おずおずとメニュー表に書かれている品物を指すイリス。2人もそれを頼んでメニューが届くのを待つ。
やがてテーブルに運ばれたのは産地直送のトマトとそれで煮込まれたロールキャベツ。その中には粗挽きのミートボールが肉汁をたっぷりと含ませて存在感を主張している。
その絶品の味に猟兵の二人と同じくイリスは満足しながらも、やはりどこか不安そうな様子だ。
「……やっぱり気になる?」
水を向けたのははづき。その言葉にイリスは無言で頷く。
「……私は、少し怖い。私が書く小説のように、異常な事が段々と現実で起きていくことが……」
少なくとも、先程の絨毯消失事件は普通の人間には不可能だろう。このサクラミラージュではユーベルコードはユーベルコヲド使いという存在によって認知されている。しかし、今回起きた『消失』については前後して起きた事象も相まって、怪奇事件としての側面が強いだろう。
「でも、こうして震えていても何もわからないことだらけだしな……」
グラスに注がれたオレンジジュースを傾けながら、イリスは項垂れる。
「なら、私達でその原因を探し出して突き止めてみようよ」
「そうだな。分からないから怖いってのは、逆に言えば分かっていれば怖くないってことだしな」
そう樹もはづきの言葉に頷き、荷物を纏めていく。
「あ、せっかくだから……」
と、ティーポッドを用意して紅茶の準備を進めるはづき。
カップに注がれていく琥珀の液体は、芳醇な香りで食堂車両を満たしていく。
「……旨い」
技能向上ユーベルコードを使った紅茶の一杯。それは少女の怯えを溶かすには十分だった。
「……フム、あれから時々ラップ音や不自然な照明の不具合などは各車両で確認されるが、絨毯消失よりも目に見えて分かりやすい『現象』は起きていないか……」
そう面白そうに呟く『教授』。
「私の『想定外』の事態だが……もしやしたら、とんでもない発掘をしたかもしれん」
やがて、自室に戻り窓を開け放つ。
「プランニング変更と行こう。秘儀の封印開放と並列して久野君に集中的に影から干渉することでこの怪奇現象多発事象の解析を図るとするか」
そう言い放ち、窓から飛び降りる『教授』。
――やがて目的地の村に到着すると、フィールドワークをする学生たちへ告げられたのは「『教授』の原因不明の失踪」だった――
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 冒険
『血塗られた村の謎』
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POW : 村を歩き回ってしらみつぶしに調査する
SPD : 村人や容疑者に聞き込みをする
WIZ : 理論や推測をたてて推理する
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
――『教授』の失踪。
それはフィールドワークに参加した学生に大きな混乱と衝撃を与えていた。
「どうするよ、例の隠し撮っていた映像……」
「それどころじゃないだろ、軍警に連絡して捜索願を……」
「もしかしたら、ドッキリとか……?それともこれは『教授』からのテストでどうアタシたちが動くか見極めるとか……?」
混乱する学生たちだが、一先ず予約していた村の民宿に赴く。
村もそんなに疎開しているわけでもなく、自然豊かな土地と言ったところだ。
君たちはイリスを気遣い傍にいたり、村のもてなしとして民宿の料理や緑の自然を楽しむもよし、恐らく村の周辺に潜伏していると思われる『教授』の捜索を行うもよしだ。
または、イリスの他の学生たちのも話を聞いてみるのも手かもしれない。
神代・凶津
一連の怪奇現象は『教授』にとっても想定外、そしてイリスの嬢ちゃんに影から干渉して怪奇現象多発事象の解析を図る為に姿をくらましたっと。
・・・まあ、『教授』の監視の為に付けた式神【追い雀】はそのままなんだがなあッ!
五感を共有できるこの式神にかかれば行動から独り言までまる見えまる聞こえってもんよ。
列車の窓から飛び降りた程度でこの式神は撒けないぜッ!
このまま『教授』の行動を監視して情報収集といこうか。
ベラベラと今回の悪事の全貌を喋ってくれりゃ楽なんだがなぁ。
後はイリスの嬢ちゃんに何らかのアクションを仕掛けくるようだから、傍にいて護衛した方が良さそうだな。
【技能・式神使い、情報収集】
【アドリブ歓迎】
神代・セシル
WIZ
教授は落ち着かないことはわりますけど、こんなに早いとは..
彼はどこかに隠れているでしょう。スパイとして、簡単に私に見つけられると思わない。一応村民の反応も怪しいと思いますので、とりあえずこの辺りで調査しましょう。
その後。色々な現象を発生して、久野さんの事を心配しすぎので、彼女のところに行く。保護加えてもっとお話ししましょう。
(もしかすると久野さんの能力とこの村のことが共鳴しているかもしれません。)と思って唐突にUCの『3rd Chapter of Grimoire』を発動し、頭の中に情報まとめ推理し、そのまま昏睡する。
一ノ瀬・はづき
人狼の正義の味方×ゴッドペインター、17歳の女です。
普段の口調は「少し男性的(ボク、キミ、だねー、かもね、なんだね、なのかな?)」です。
村人や容疑者に聞き込みをする(SPD)に挑戦します。
そしてイリスを気遣い共に行動をしたいと思います。
技能は「優しさ」「コミュ力」「礼儀作法」を使用します。
あとの行動ははお任せします。
UCはもし必要に迫られたら指定されているものを一つ選び使用します。
これもお任せします。
公序良俗に反するような行動や他のメンバーに迷惑がかかる行動は一切とりません。
よろしくお願いします。
諏訪・樹
「このタイミングでの失踪か…なんかきな臭いな」
俺たちを混乱させるために失踪…てわけじゃなさそうだな。
【SPD】
情報を得ることが重要だな。まずはイリスや俺たちと列車に乗っている学生たちに聞き込みをしようか。
教授のことや列車で怪しい人物の有無も聞くぞ。彼らの聞き込みが終わったら村人たちに教授のことや怪しい人物の有無、それに加えて村でおかしな現象がおきていないかも聞いてみるか。
「聞き込みなんてまるで探偵や刑事みたいだな」
恐らく、真実には近づける筈だ。気を引き締めていくぞ。
――『教授』が進めていた奪取作戦の対象となる秘儀が伝わる村。フィールドワークと称し学生たちを集めて秘儀の封印開放を狙っていた『教授』だが、その作戦を途中変更してフィールドワーク隊から失踪を図った。
これに対して到着の翌日、散発的なラップ音や重要度の低い物品の喪失などの対処をした後、四人の猟兵が顔を突き合わせて相談を開始する。
「このタイミングでの失踪か…なんかきな臭いな」
「……まあ、『教授』の監視の為に付けた式神【追い雀】はそのままなんだがなぁ……流石にスパイだ。一旦見失って散策してまた補足しては見失ってを繰り返させられている」
その諏訪・樹(幻影を追う者・f24982)の呟きに答えるは神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)。彼は寝台車両内にて『教授』への監視として式神を付けていたのだ。
「今のところは村近くの森林地帯に潜んでやがるようだ。まだ何かを起こす気はないが……ありゃ企んでいるというよりは解析って腹だな」
「解析、というと?」
そう疑問を呈したのは片モノクルをかけて青い髪を靡かせた知的な印象を見た者に与える少女、神代・セシル(夜の読書も大事です・f28562)。
「しかし、教授は落ち着かないことはわかりますけど、こんなに行動を起こすのが早いとは……」
「前に報告してくれた人物像とやら通りだな。好奇心ゆえだろ、あの手の類は」
「俺たちを混乱させるために失踪…てわけじゃなさそうだな。その言い振りだと」
「大体は『教授』を警戒するに越したことはなさそうだね。ボクはイリスを見守る一環でこの村の人達から話を聞いてみることにするよ」
と、眼帯が特徴的な少女、一ノ瀬・はづき(自称忍者・f29113)は改めて今回の状況の再確認をする。
「まず、『教授』がこの村に伝わる秘儀を奪うために今回のフィールドワークを画策、学生を利用して秘儀の封印解除を狙った」
「けど、そこで誤算になったのはあの寝台車両での『怪奇現象』だ。どうやらあの現象は『教授』の意図しないものだったらしいってことだ」
「そこで、『教授』は久野さんに目を付け失踪を装って裏からこの村を舞台に『怪奇現象』の謎を暴くべく行動を開始した」
「そこで、ボクたちはイリスを守りながらこの村の調査や『教授』の捜索を並行して行う……と」
改めて今までの状況を再確認する中で、一番の疑問点はやはり『怪奇現象』だろう。原因が『教授』でないならば一体その根源は何に由来するのだろうか?
「お、オイ……?どうしたんだお前たち?」
そこに現れたのはイリス。不安そうに四人を見つめる目は恐怖は去っていたものの、不安に揺れていた。
昨日からも小規模な怪奇現象は起こっていたが、交流していた四人が支えとなって大きな恐怖に飲み込まれていないのだろうが、それでも怪奇的な現象が起こっているとなれば心は揺らぐ。
ましてや、今は『教授』が失踪しているという状況なのだ。真相を知らない者にとっては「そういう可能性」も想起するのは自然とすら言えるだろう。
「ああ、心配ないよ。ちょっと四人で相談をしていたんだ」
宥める様にイリスに語り掛けるはづき。他の三人に目線を合わせて了承を得る。
「ほら、川床も設けられているみたいだし、そこでご飯を食べようよ」
川床とは川の上に張り出す形で設えた席であり、そこにフィールドワークの学生を迎えるべく用意された料理が並ぶ。
どれも素朴ながら繊細な仕込みによって見た目も味も良い仕上がりとなっている。
イリスはアユの塩焼き――この時期のアユは落ち鮎と呼ばれ、腹に宿した卵の触感も味わえるという旬のものとはまた味わいが異なるのだ――をお行儀よく食べながら川沿いの紅葉を見る。
「何だか、裏のある村って感じじゃないな。村人の皆も良い人そうだし。いや、何を当たり前の事を言っているんだろうな」
「……」
その言葉に疑問を感じたのはセシル。
「(久野さんの言う通り……仮に村人が何か画策していたとしてこの料理に何か盛るとするのは安易すぎるとして、今まで散発的な怪奇現象は起きましたが村人からの工作らしき事象は起こっていない……)」
これが、意味するものとは。
「(村人自体は、この怪奇現象には関係ない……?)」
「聞き込みなんてまるで探偵や刑事みたいだな」
そう呟いて川床を一足早く離れた樹は村人に聞き込みを開始する。
「それで、この村に纏わる祭祀とはどのようなものなのかな?」
「ああ、豊穣と学問に纏わる神様に対して今年の季節ごとの収穫を紙に写した後、その紙をお焚き上げするってものさ」
そう言うとこの村の来歴らしき昔話を聞かせてくれる老人。それを聞く中で樹はあることが気にかかっていた。
「『紙に写す』……ね。彼女は文豪に由来するユーベルコードを使えるんだっけ」
どうして封印が解除される予知が映ったのか当たりを付けた後、ふと樹はこうも思う。
「……一般ユーベルコヲド使いってことは……複数持っている可能性もあるってわけだよな……」
「おい、ちょっといいか?」
そこへやって来たのは凶津。その様子はどこか憤然としているようだ。
「どうしたんですか?」
「ちょいと分かったことがある。ついて来てくれるか?」
「で、聞きたいんだが……イリスの嬢ちゃんをはじめとして、何で学生の客室にあんな仕込みをしていたんだ?具体的には留守の間に忍び込んで額縁を逆さにしてラジオにノイズを仕込むあれだ」
凶津が詰問をしているのはカメラや映画撮影などの撮影技術を得意とした学生のリーダーだ。
「……ド、ドッキリだよ。今回の旅の思い出づくりの一環として心霊ドッキリを企画したんだ」
「で、でもまず最初の久野へのアプローチをして次に取り掛かろうとしたときにあの絨毯消失が起きて、止めに『教授』が失踪してお流れにしようかと思ったんだよ」
「お、お前らなぁ……」
怒り心頭を通り越して呆れたのか、イリスは脱力する。しかし、最初の一件が人の手によるものだったとしてもあの絨毯消失は人工では決して起こせない。
つまりはこういう意味だ。
「つまりは、久野さんが最初に遭遇した『怪奇現象』は、人工のドッキリだったと」
「でも、アレが呼び水みたいになってこうして本物の怪奇現象が起きているんでしょ?」
そこに凶津が水面に石を投げるかのように声を発する。
「ッと、式神が『教授』を見つけやがった……」
「まず、今回の秘儀の正体は豊穣と学問の神の権能……それは『複製』だ。ある程度の物体や霊的な加護を一定数まで劣化させずに複製する権能。これは農耕だけでなく古き時代の伝書を書き写す際に『同じ物を一つ起点として数多くの恵みを複製する』という点が類似され、そのような神が祀られた」
そう語る『教授』の声は冷静さと深い情念の熱が混じり合っていた。
「そこで、彼女……久野君の力、文豪のユーベルコヲドが封印のカギとなって申請を承認したのだが……いや、思わぬ拾い物をしたようだ」
ニヤリ……と笑い、森林を突如として駆けていく。
「突発的な仕込みだが、彼女は驚いてくれるかね?」
「ッ……イリスの嬢ちゃん!?」
「ふぇ?一体なんだ……よ……」
凶津の声に振り向いたイリスは硬直し、みるみると顔色を蒼くしていく。
「おい、どうした!?」
「窓!窓の外に……女の人の顔だけが……!」
その言葉と同時に砕け散る電球。そして大人数が足を踏み鳴らしているかのようなラップ音。
まさに、怪奇現象。しかし、セシルはこの光景にふとした観点を想起した。
「(もしかすると久野さんの能力とこの怪奇現象が共鳴しているかもしれません)」
ならば今こそ、今までの状況を振り返って推理して真実を導くべきだろう。
66秒間吸血鬼の力によって増強した思考能力、推理力、記憶力、直観力、それらを含めた脳機能がこれまでの事件の情報を推理して纏めていく。
――人の手によるものであった最初の怪奇現象とそこから始まった本物の怪奇現象。
――ユーベルコヲド使いであるイリス。そのユーベルコードの複数所持の可能性。
――猟兵がイリスの傍にいることで小規模に収まっていた怪奇現象。
――そして、何らかの『教授』の仕込みにより増幅された怪奇現象。
そこから、導かれるのはある異能使いとしての系統とその固有の性質を持つユーベルコード。
「バロックメイカー……おそらく、久野さんは恐怖を感じると怪奇現象を起こす能力を持つバロックメイカーのリアライズ・バロックをベースに持つユーベルコードを保持しているのでしょう」
――猟兵たちによって安堵したときには小規模に収まっていた怪奇現象。
――『教授』の仕込み、恐らく『教授』が保有している幻術か何かを見せる系統のユーベルコードによって恐怖し、増幅された怪奇現象の出力。
――そして、最初の『怪奇現象』による恐怖から始まった本物の『怪奇現象』。
それらからこの結論が導き出された。
「そう、それが面白い。何せ希少種とも言えるユーベルコヲドだ。是非とも確保して複製し、研究してみたい」
異なる世界から流出した汎用ユーベルコード自体を有する一般ユーベルコヲド使いはまぁそれなりには存在するだろう。
しかし、このユーベルコードはイリスオリジナルのユーベルコード。唯一無二の固有ユーベルコード。それは幻朧戦線に引き渡せば奴らの戦力や研究に大きな影響を与えられるだろうし、何より『教授』自体がその知的好奇心を抑えられないのだ。
「では、この甲冑を用いて彼女を確保するとするか……さて、猟兵たちのユーベルコヲドも見ものだな」
そして、舞台は最終局面へと至る――!!
大成功
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第3章 ボス戦
『スパヰ甲冑』
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POW : モヲド・零零弐
【マントを翻して高速飛翔形態】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【目からのビーム】を放ち続ける。
SPD : 影朧機関砲
レベル分の1秒で【両腕に装着された機関砲】を発射できる。
WIZ : スパヰ迷彩
自身と自身の装備、【搭乗している】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
――村内に現れたスパイ甲冑。
その騒乱の中、甲冑に搭乗している『教授』はイリスを見つける。
「さぁ、久野君。迎えに来たよ」
「や、やめろ……わ、私は本が書きたいだけだ……決してこんな事態を起こしたわけじゃない……」
騒乱によって憔悴したイリス。彼女を心身ともに守りながら戦うのは通常の戦闘よりも難易度は高いだろう。
だが、もしイリスの心を守り抜くことが出来たら……
彼女の力が、別の意味を持つかもしれない。
(プレイングボーナスとして『騒乱やユーベルコヲドを自覚して憔悴しているイリスを鼓舞しながら戦う』ことで心に決意を固めたイリスが、バロックメイカーとしての力が別の側面を引き出して猟兵たちの力となります)
神代・凶津
そんな御大層なもんまで持ち出して漸くお出ましか。
へっ、こんな騒乱すぐに俺達が収めてやるよ。
目の前の『教授』をぶちのめしてお縄にしてなぁッ!
そうだろ?相棒ッ!!
「・・・転身ッ!」
纏うは雷神霊装。
さあ、派手に決めてやるぜッ!
先手必勝、高速移動で距離を一気に詰めて雷撃を纏った妖刀で先制攻撃だぜ。
そのまま戦場を縦横無尽に駆けながら攻撃を続けるぜ。
敵が高速飛翔したら動きを見切って雷撃を纏った妖刀の斬撃の放射を叩き込んでやるッ!
シャキっとしろ、イリスの嬢ちゃんッ!
「・・・大丈夫です。貴女には私達がついています。」
相棒の言う通りだぜ、大船に乗った気でいなッ!
【技能・先制攻撃、見切り】
【アドリブ歓迎】
神代・セシル
「(複製…攻撃系のユーベルコードあんまり使わない方が良いでしょう)」
【Windows of Heart】を発動する。
久野さんの鼓舞役とする。そして【Last chapter of Grimoire】を試しに使う。
「魔導書さん、久野さんのことをお願いします!」
魔法で攻撃したいんが、疲労感に襲われる。
「…ユーベルコードを使いすぎて、魔力が……」
魔法を使うのを止め、ルーンソードで久野さんを保護する。
(機会が有れば)最後は【自爆装置(魔力稼動)】を『教授』に使う。
「久野っいいえ…イリスさんの小説…最後まで見たいです…」
一ノ瀬・はづき
イリスちゃんをこれ以上苦しませたくないね。
その為にも彼女の前では弱い所見せられないけれど…
教授つよそうだねー。
UC【グラフィティスプラッシュ】を使用するね。
イリスに好きな色を聞いておくよ。
彼女の心理的負担を減らすためというか…戦意高揚?どうせ応援してもらうなら気分がのらなきゃね。カープ女子みたいに。
イリスの好きな色で場を染めてみせるよ。
技能は【第六感】【見切り】【残像】【オーラ防御】を使い敵の攻撃に対処、こちらから攻めるときは【乱れ撃ち】【2回攻撃】を使用するね。
ヘタな鉄砲数うちゃ当たる戦法になっちゃうかな。でもボクのやり方で派手に染めちゃうね。
共闘OK、チームワーク優先、後おまかせだよー。
諏訪・樹
「イリス、お前の力はみんなを怖がらせるだけのものか?逆にみんなを楽しませることもできるんじゃないのか?」
恐怖によって怪奇現象が起こるのなら逆のパターンもあるんじゃないのか?
彼女のその時の精神状態で左右されるのなら俺たちが彼女を励ましてやれば良いと思う。
敵の攻撃に対しては「見切り」で避けていくぞ。ダガーで敵を切りつけつつ敵に攻撃の隙を与えないようにしよう。ユーベルコード「シーブズ・ギャンビット」を使用するぞ。すばやくそして鋭く攻撃するのが一番だからな。
「教授、あんたの好きにはさせないぜ!」
さてと、事件も終盤だ。さっさと終わらせようぜ。
『さぁ、フィナーレと行こう。久野君と君たちを確保して撤退と行こう』
そう告げるのはスパイ甲冑に乗り込んだ『教授』。
その視線の先にあるのは震えて蹲るイリス。
――そして、正義を烈するは猟兵たち四人。
「そんな御大層なもんまで持ち出して漸くお出ましか。へっ、こんな騒乱すぐに俺達が収めてやるよ。」
そう鼻を鳴らしてスパイ甲冑と対峙するは巫女が装着せんと構えている鬼の仮面、神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)。イリスの傍で庇う様に立ち、二人の力を一つにして顕現する霊装をまといながら無銘の妖刀と霊鋼の薙刀をそれぞれ片手に持ちながら切り込んで往く。
「目の前の『教授』をぶちのめしてお縄にしてなぁッ!そうだろ?相棒ッ!!」
「・・・転身ッ!」
纏うは雷神霊装。顕現するは退魔の戦巫女。
「さあ、派手に決めてやるぜッ!」
瞬間、両腕に装着された機関砲が戦巫女を襲わんと唸りを上げる。
「ハッ!鈍い鈍い!お返しだッ!」
「食らいなさい!」
銃弾への後の先として放たれるは霊装から放出する雷を妖刀に集束させた斬撃。高速移動と高速飛翔による対空攻撃と対地攻撃の応酬。
『これはこれは!!超弩級戦力であるから油断はしていないつもりだったが……ここまで並み外れているとは!!』
「俺たちは、まず死ぬことがほぼないんでねぇ」
『ほう、まるで生命としての理を逸脱しているかのような言い草、増々興味深い』
「知りたければ――」
「私達を倒してみなさい!!」
機関砲と雷撃が、交差する――
「(複製…攻撃系のユーベルコードあんまり使わない方が良いでしょう)」
そう推測するは神代・セシル(夜の読書も大事です・f28562)。
『目、心の窓よ…』
それはユーベルコードを起動させる祝詞。彼女はWindows of Heart――視力強化ユーベルコードを使いサポート役へと回っていた。
「出来るなら、Last chapter of Grimoireを使いたいとこ、ろ、ですが……」
そう言葉をとぎれとぎれにするのはユーベルコードの多重使用による脳の酷使。それによる強烈な疲労感によるものだ。
「けど……何とか魔導書さんを召喚できたようですね……魔法は使えそうにないですが……」
そう途切れ途切れに呟きながら、魔法収納陣から彼女独自のルーンソード『レオナルソード』を召喚し、イリスの護衛を行っていく。
「魔力を『レオナルソード』と身体能力向上に割り振って……そこです!!」
『無駄だよ。迷彩機能機動――『スパヰ迷彩』』
「ッ……消えましたか」
それは透明化ユーベルコードによるもの。そして、甲冑を装着しているということはただ腕を振るって一撃を与えるだけでも生身の人間相手には致命打になりうるという事だ。
「――そちらこそ、甘いです――『Windows of Heart』」
『そうか、視力を強化するとは――』
「魔力で身体能力を強化――つまり、『視力』も更に強化されて――視覚が、熱も拾う領域になります」
虚空へ、一撃を放つセシル。
爆音が、鳴り響いた。
「ねぇ、好きな色は何?」
「は……こ、こんな時に何だ一体……」
イリスにそう問いかけたのは一ノ瀬・はづき(自称忍者・f29113)。
「(イリスちゃんをこれ以上苦しませたくないね。その為にも彼女の前では弱い所見せられないけれど……教授つよそうだねー)」
学府に潜入していたスパイなのだ。その技能などは猟兵を除けば人類最高峰の域に列してると言えるだろう。
『さぁ、どうするかね?』
「イリスちゃん、好きな色は何?」
「……紫全般」
「そう……黒セーラーなのに?」
「これは担当に着せられて面倒だからそのままだ」
他愛無い会話の最中にも透明化した『教授』のスパイ甲冑ははづきに攻撃を叩き込まんと迫りくる。
「さてと、――『グラフィティスプラッシュ』!!」
しかし、その透明なる攻撃を文字通り塗りつぶしたのは紫の地平。
『――ほう、『グラフィティスプラッシュ』か、塗りつぶした地形の上に立つと戦闘能力を強化する……』
「それだけじゃないよ!!言わないけどね!!」
その意図とは――
「(彼女の心理的負担を減らすためというか…戦意高揚?どうせ応援してもらうなら気分がのらなきゃね。カープ女子みたいに)」
それは、確かに効果を発揮していた。
「すごいな……あんな甲冑に人間が……」
イリスから漏れたのは簡単と憧憬の声。
それは、彼女を蝕む怯えが駆逐されていく証。
「(イリスちゃんの好きな色で場を染めてみせるよ……その果てに、イリスちゃんのユーベルコードの意味が全く異なるものになると信じて)」
「イリス、お前の力はみんなを怖がらせるだけのものか?逆にみんなを楽しませることもできるんじゃないのか?」
それは、文豪というエンターテイナーなら不可能では決してないと、諏訪・樹(幻影を追う者・f24982)は確信していた。
「恐怖によって怪奇現象が起こるのなら逆のパターンもあるんじゃないのか?」
秒で最低でも数十の機関砲弾を見切りによって回避していく樹。ダガーで敵を切りつけつつ敵に攻撃の隙を与えないように――『シーブズ・ギャンビット』を発動する。
「(すばやくそして鋭く攻撃するのが一番だからな)」
そう思いながら、スパイ甲冑を睨みつける樹。
「イリスの書きたいものを阻むというなら……『教授』!!アンタの好きにはさせねぇ!!」
そう、諏訪・樹の声が聞こえる。
「シャキっとしろ、イリスの嬢ちゃんッ!」
「……大丈夫です。貴女には私達がついています」
「相棒の言う通りだぜ、大船に乗った気でいなッ!」
そう、神代・凶津と桜の声が聞こえる。
「イリスちゃん、自分の心の中を曝け出せば……もう怖くないよ」
「だから……好きにしてみるといいよ」
そう、一ノ瀬・はづきの声が聞こえる。
「久野さん……いいえ……イリスさんの小説……最後まで見たいです…」
そう、神代・セシルの声が聞こえる。
「……けど、私は怪奇作家だからな」
その声に混じるのは消して怯えでも自傷願望でもない。
「だけど……今書きたいものはなんとなく見えてきた」
そう、久野・イリスは呟いた。
『――『教授』の目論見は叶わない。なぜなら、その秘儀自体が『教授』を追い詰めるのだから』
『ム……!?これは!!』
そう、イリスが呟くと同時。『雷撃を纏った斬撃』が、『ルーンソード』が、『紫の塗料』が、『ダガー』が、累乗していくように増えていく。
『そして、彼はの勝利は確定された。なぜなら、秘儀の癒しの力が継戦による傷や疲労を癒していくのだから』
その言葉と共に突撃していくのは四人の猟兵たち。
『歴戦の勇者である猟兵たちの挟撃に隙はない。さぁ、今こそ騒乱の現況に終焉を――』
複製されたものでない『雷撃を纏った斬撃』が、『ルーンソード』が、『紫の塗料』が、『ダガー』が、スパイ甲冑に致命的な打撃を与える。
『こ、これは……ありえない……ぐ、ウウウァァ!!』
やがて爆散していくスパイ甲冑。そこに共振するかのようにイリスのユーベルコードが紡がれる。
「――『怪奇作家は現世にて真実の怪異と対峙をす(シンジツノキョコウハワガオモイカラナガレイデル)』」
・後日談
捕縛された『教授』は学府に引き渡された。著名な学者がスパイであったことは世論を騒がせたが、やがていつも通りの大正の世界を描いていくのだろう。
そして、イリスは――
「新刊、面白いですね~怪奇ホラーとその怪異との闘いを両面から描く作品ですか。新境地ですね」
「ああ……まぁ、色々思うことがあってな。打ち合わせが終わったならもう私は学府に行くぞ」
イリスはその独自の能力を買われて学府に所属することになった。その力は暴走の危険性もなく制御を可能とした。
だから、だからそう――もしかしたら。
彼らと並んで、対象の運命を決める戦いに挑むことも、ありうるかもしれない。
大成功
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