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終末世界の少年は、神に祈りを捧げない(作者 河流まお
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 タキが暮らす村は、幾人かの孤児が集まって出来た村である。
 いや、果たしてそれを村と呼んでいいほどのモノなのかどうか――。
 要は行き場のない者達がたまたま身を寄せ合っているだけで、やがて食料が尽きれば死を待つばかり、というひどく脆弱な集まりである。
 忘れ去られたような商業施設の廃墟に住み着き、這いまわりながら缶詰やネズミを探す……そんな毎日。
 たまたま年長だったという理由でリーダーに祭り上げられたタキは、灼けつくような焦燥感を抱えながら日々を過ごしていた。
「……畜生……」
 嗚咽の交じりの悪態が口をつく。

 ここ数日、食料が全く手に入っていない。
 ついに来たのだ。その時が――。

 儚い「家族ごっこ」が終わりを告げ、やがて仲間同士で食料を奪い合う地獄の門が開く。
「……」
 たとえ、その生存競争に『勝った』としても、死ぬのが数日先延ばしになると言うだけ。
 結局のところ、根本的な解決にはなりやしない。
 だが――。
「……あの場所なら、もしかしたら」
 タキには、この絶望的な状況を打開しうる心当たりが一つだけあった。
 北に数十キロ行った場所にある干上がった海岸線。
 そこに、巨大な漂流船がある。
 これまで、幾人かの仲間が探索に行って、誰一人として帰ってこなかった曰く付きの場所だ。
「……奇跡を祈りながら万が一にかけてみるってか?」
 クックッと苦笑するタキ。
 このクソ約体も無い世界で、神様がそんな慈悲深く、都合よく、タキの願いを叶えてくれるとは到底思えなかった。
 だが――。
「……まぁ、どうせ死ぬなら同じこと、か」
 自分を兄と慕ってくれる弟妹たち。
 彼らと殺し合いになることよりは、それは幾分かマシな選択に思えた。
 覚悟を決めて、タキは漂流船を目指す。
 その場所に絶対的な「死」が潜んでいることを予感しながら――。


 予知を語り終えた嬉乃・抹茶子が静かにその瞳を開く。
「アポカリプスヘルに暮らす奪還者(ブリンガー)の少年が、オブリビオンの犠牲になろうとしています」
 転送扉の準備を進めながらも抹茶子は猟兵達に状況の説明を開始してゆく。
 要約すると、おおよそこうだ。

 まず転送先は巨大な漂着船の直ぐ近くとなる。
 猟兵達は少年・タキよりも3時間ほど先に現地に到着することになるので、彼を避難させる必要はない。
 巨大な漂着船は入り組んだ構造をしており、先ずは内部を探索してゆくことになるだろう。
 もし船内に物資が残っていれば、一先ず確保しておいて後ほど少年に渡してあげるといいかもしれない。
 なお、船内は怪しげな教団の施設と化しており、探索の際には罠なども考慮する必要があるとのことである。
「探索で見つかるものによっては、少年の村が死の運命を免れることが出来るかもしれません――。幼い子供達を救うため、皆さんの力を貸してください」
 そう説明を結び、抹茶子は猟兵達に深く一礼するのだった。





第2章 集団戦 『破邪顕正宗の信者』

POW ●世の平穏のために
自身の【配下の命】を代償に、【召喚した鬼の亡霊】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【物理攻撃無効の炎の肉体】で戦う。
SPD ●破邪顕正のために!
【命を賭して戦え】という願いを【自身の配下】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
WIZ ●死にたくない!
【命を賭して私を助けろ】という願いを【自身の配下たち】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 シャラシャラとした鈴の音が船内を伝播してゆく。
 施設内の物資が持ち去られていることに気が付いた教団員たちが警戒の報を伝えたのだ。 「罪深き侵入者に、死の救済を」
「救いの方舟に、魂を」
 うわ言のように呪言を唱えながら法衣を纏った狂信者達が船の底から次々と這いあがってくる。
偽りの救済を植え付けられ、狂気に染まった『破邪顕正宗の信者たち』。
4、5人ほどでチームを組み、狂信者達は船内を荒らした侵入者……すなわち猟兵たちを探し出すために行動を開始してゆく。

●第2章の補足説明
 ここからは船内に狂信者達が徘徊するようになります。
 引き続き船内の物資を回収することは可能ですが、狂信者と戦闘になった場合の備えも必要になってきます。
 ササッとズラかってしまうも良し、あえて敵を蹴散らして船内の奥底に進んでみるも良し、戦闘は他の誰かに任せして物資の回収に専念してみるのも良しです。

それでは、皆様の楽しいプレイングをお待ちしております。
火土金水・明
「それでは、他の方が物資の回収を引き続きできるように、狂信者達の注意をこちらに引き付けましょうか。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃方法は、【高速詠唱】で【破魔】と【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【コキュートス・ブリザード】を【範囲攻撃】にして、『破邪顕正宗の信者』達を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「確実にダメージを与えて、逃がさないように。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。


桜井・乃愛(サポート)
 桜の精のパーラーメイド×咎人殺しの女です。
 普段の口調は「元気(私、~さん、だ、だね、だろう、だよね?)」、偉い人には「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は明るく天真爛漫で、少し天然ボケな感じの少女。
一番好きな花は桜で、その他の植物も好き。
強敵にも怖気づく事は少なく、果敢に挑む。
人と話す事も好きなので、アドリブ歓迎。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 朽ちた漂流船の船底から狂信者たちが次々と溢れ出してくる。
「罪深き侵入者に、死の救済を……」
 シャンシャンと鈴を鳴らしながら、部屋を一つづつ確認してゆく『破邪顕正宗の信者たち』。
「……なんだか、ホラー映画みたいな感じになってきちゃったね~」
 手近な倉庫の一室に身を隠していた桜井・乃愛(桜花剣舞・f23024)がピョコンと顔を出して困り顔で微笑む。
「このままだと、見つかるのは時間の問題ですね」
 同じく、この倉庫に隠れていた火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)が乃愛に頷きを返す。
 徐々に、だがしかし確実に、鈴の音はこちらへと近づいてくる。どうやら、あまり迷っている時間はないらしい。
 乃愛と明はお互いの顔を見合わせる。
「じゃあさ、いっそのこと派手に暴れちゃうっていうのはどうかな?」
 薄闇の支配する船内で、場違いなほど明るく、乃愛の天真爛漫な笑顔が咲く。
 その大胆な提案に、明は一瞬だけ面食らったものの――。
 案外、その作戦は悪くないのではないかと思い直す。
 もはや戦いが避けられないのなら、いっそ討って出るほうが先手がとれるというものである。
 それに、もうひとつ――。
 今回の依頼では、オブリビオンを倒すことも重要だが、どれだけ船内の物資を回収できるかもまた重要である。
「それでは、他の方が物資の回収を引き続きできるように、狂信者達の注意をこちらに引き付けましょうか」
 明と乃愛が暴れれば暴れるほど、船内の狂信者どもはこの場所に殺到してくるに違いない。
 二人の受け持つ敵は多くなるが、これも全体としてみれば立派なチームプレイとなるはずだ。
「よーし、私に任せてよ!」
 提案した作戦が採用されて、乃愛はにっこりと微笑みを返す。手に持った桜の枝を軍配のように振るいながら「いざっ!」と敵が徘徊する通路を指し示す。
「では、行きましょうか」
 隠れるのを止め、先手を取って通路へと躍り出た二人。
「――!?」
 通路の先で5人の狂信者達がぎょっと身を強張らせるのが見て取れた。
 鈴のついた錫杖を構え直し、隊列を整えようとする狂信者たちだが――。
 遅い、とばかりに明は高速詠唱を完了させる。
『我、求めるは、冷たき力』
 大気中の空気が瞬時に凍り付き、無数の氷の矢を生み出す。冷たく、鋭利な刃が敵の前衛を一瞬にしてなぎ倒した。
「侵入者発見ッ! 侵入者を発見!!」
 すぐさま大声で応援を呼ぶ狂信者たちだが、これも二人の目論見通りである。
「私はここにいるよ! さー、かかってこい!」
 怖気づくことなく、むしろ果敢に大声で敵を呼び寄せてゆくスタイルの乃愛。
 やがて敵は次々と集結し、通路の正面からだけでなく――。
「後ろも来たよ!」
 互いに背中を合わせるように、通路の両方向の敵をそれぞれで受け持ってゆく乃愛と明。
『さぁ、これでお終いにしてあげるよ!』
 乃愛が取り出したのは軽機関銃『ブルーミング・ファイア』。
 必殺の弾丸豪雨。銃口に数えきれないほどの烈火の華が咲き誇る。
 雪崩のように迫り来る敵を、鉄弾掃射が打ち倒してゆく。
「確実にダメージを与えて、逃がさないように」
 狂信者たちの足を氷の矢で撃ち抜きながら明は背中越しの乃愛に語り掛ける。
「おっけーだよ!」
 まさに獅子奮迅とばかりに大暴れする二人に、敵が次々と群がってゆく。
 船内の警備も、これで幾分か手薄になるはずだろう。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

源・ヨーコ(サポート)
『悪い子はお仕置きっすよー!』
人間のブレイズキャリバー × ビーストマスター
年齢 16歳 女
外見 158.4cm 金の瞳 ピンクの髪 色白の肌
特徴 胸が大きい 八重歯 ギャル ハイテンション! 運動が好き
口調 体育会系(自分、~先輩、~っす、~っすよ、~っすね、~っすか?)

悪いヤツは鉄拳制裁!
あまり難しいことは考えず、敵に向かって猪突猛進するタイプ。全ては拳で解決できると信じていて、とりあえず接近して殴るが基本戦術。
硬そうな相手にはカウンターでの一撃必殺を狙い、素早そうな相手には連撃と使い分けぐらいはする。

単独行動を好み、調査などは苦手。
基本は戦闘オンリーな感じですが、よろしくお願いします。



 蝋燭の炎が煌々と照らす船内に、シャンシャンと鈴の音が鳴り響く。
 終末世界で『偽りの救済』を植え付けられた狂信者たちが、『救済の方舟』を荒らす不届き者を処罰するため、船内を探し歩いているのだ。
「いや~、なんか気軽に依頼を受けたつもりが、とんでもないことになってきたっすね~」
 物陰に身を隠しながら、「あはは~」っと内心で微笑む源・ヨーコ(鉄拳制裁・f13588)。
 この場所はどうやら昔はレストランだったらしい。かつての栄華を思わせる豪華な調度品と、固定されたテーブル。
 ヨーコはその下に隠れて、敵をやり過ごさんと試みる――。
「きっと、すげー豪華客船だったんすね~」
 なんだっけ? そう、タイタニック号的な? まあ、この船は沈まないどころか干上がった海に乗り上がっちゃってるっすけど。
 
 ヨーコがそんなことを考えていたら、敵の一団がレストランへと入ってくる。
(割とテキトーに隠れちゃったし、きっとすぐ見つかっちゃうっすね。
 ま、そうなったら拳で万事解決するだけっす!)
 と、ウズウズとした思いで身を潜めていると――。
 突然、機関銃を乱射するような激しい戦闘音が船内の何処かで鳴り響いてきた。
「――!?」
 レストランの中を探索しようとしていた狂信者達は、途中で踵を返して戦闘音が鳴り響いてきた方向に応援に向かおうとしてゆく――。
(って、おーい! 引き返しちゃうんすか~!?」
 すでに心が戦闘態勢に入っていたヨーコとしては、肩透かしをくらった気分である。
(やっぱり隠れてるなんて性に合わね~っすね! 悪いヤツは鉄拳制裁! これに限るっす!)
 と、自分を納得させるヨーコ。
「悪い子はお仕置きっすよー!」
 無防備に背中を晒し、走り出そうとする敵を助走をつけてぶん殴ってみんとす。
「ぐほあっ!?」
 テーブルをなぎ倒しながら、狂信者が吹っ飛んでゆく。
「く~……。やっぱりコレっすね!」
 痺れるような拳の快感に酔いしれながら、ヨーコは満面の笑みを浮かべる。
「さ、次に相手してくれるのは誰っすか!」
成功 🔵🔵🔴

カルロス・エルウラカン
【チームお人好し】ルイスさん(f26203)と共闘します。

【WIZで行動】
正直言いますと破戒僧の私には盲目的に神を信じる信者たちが羨ましいですね…。
しかし、あなた達から見れば理不尽かもしれませんが、大きな厄災が起こって苦しむ人々を見捨て、信者だけが救われるというコミュニティーを良しとする教義は少々疑問が有りますね。

戦闘
多勢ゆえ簡単ではありませんが、『サウンド・オブ・パワー』で戦闘力底上げのため仲間を鼓舞する曲を演奏します。
その後、私は【神獣殺しの銃】を使用して、ルイスさんの攻撃をサポートする【援護射撃】に移らせて頂きます。
共闘者が敵に背後を取られない様【2回攻撃】で包囲を解除よう心掛けます。



 闇の深まる下層部へと、より多くの物資を求めて進み出たカルロス・エルウラカン(復讐の仮面・f06567)とルイス・グリッド。
「これだけ集まれば、十分ですかね」
 食料をはじめとして、使えそうなものを一通り集め終えてカルロスは頷く。この物資があれば少年の村は当面の間は食い繋ぐことが出来るはずだ。
「まあ、それでも、この世界では根本的な解決にはならないのかもしれませんが……」
 荒廃したアポカリプスヘルの世界。
 この世界において、脅威はオブリビオンだけではない。
 今回のケースのように、限られた食料を人間同士で奪い合うことは決して珍しいことではないはずだ。
 神に見放された荒野、それがアポカリプスヘルなのだ。
「神、か……」
 どこか渇いた様な、ポツリとした言葉がカルロスの口から洩れる。
 それは自嘲のようでもあり、怒りのようでもあり、呪詛のようでもあり――。
 仮面の下に隠れたその表情は、誰にも推し量ることが出来なかった。

 と、その時である。

 シャンシャンと鈴の音が、カルロスたちの方へと迫ってきているのが聞こえてきた。
「……戦うしかないようですね」
 覚悟を決めて構えるカルロス。
 やがて、通路の先から浮かび上がるように、狂信者たちの一団が現れる。
「おお、なんということでしょう。異教の神の信徒ですか」
 リーダーと思われる女がジャラジャラと鈴のついた錫杖を鳴らしながら呟く。
 カルロスの姿を見て、そう判断したらしい。
「おお、この世界を真に救済するのは破邪顕正宗に他なりませぬ!」
 大仰なそぶりで腕を広げる狂信者の女。自らの言葉をまるで疑わない、狂気のような信仰心が見て取れる。
「正直言いますと、破戒僧の私には盲目的に神を信じる信者たちが羨ましいですね……」
 皮肉でもなんでもなく、心からの本心でカルロスは狂信者に返す。
「しかし、あなた達から見れば理不尽かもしれませんが、大きな厄災が起こって苦しむ人々を見捨て、信者だけが救われるというコミュニティーを良しとする教義は少々疑問が有りますね」
 狂信者の恍惚の表情が強張り、緊とした空気が流れる。教義の痛いところを突かれたということだろう。
「異教徒に、死の救済をッ!」
 リーダーの号令で狂信者たちが迫ってくる。
「響け、歌声よ」
 『サウンド・オブ・パワー』。ゆるりとした風を纏いながら、カルロスは聴くものの魂を揺さぶるような歌声を響かせる。
 共闘者を鼓舞しながら、カルロスは古びたライフル銃を構える。
部族の伝説で『誤って神獣を殺めてしまった』と伝えられる神獣殺しの銃だ。
「さて、道を開けていただきますよ」
 正確無比な射撃が敵の心臓を穿つ。
 息の合った連携で敵の陣形を崩しながら、二人は帰路を突き進むのだった。
大成功 🔵🔵🔵

政木・朱鞠
可哀想に…心酔状態にさせられて自分の命をも軽んじて神に準じちゃうのか…。
でもさ…自分勝手にもっともらしい教義を振りかざし、信ずる者以外は眼中に無い教えなんて本当の神様の言葉じゃないと思うんだよね。
寄る辺無い人達の為にこの閉じた『方舟』を解放させて貰うよ。

戦闘【SPD】
犠牲を強いる『破邪顕正のために!』での捨て身の構えの攻撃は厄介だね。
機動性を狙って真の姿を前借りして足部分に重点的に再現して『忍法・狐龍変化身』で強化状態で牽制しながら隙を作りたいね。
武器は拷問具『荊野鎖』をチョイスして【鎧砕き】で防御を緩めて【傷口をえぐる】→【生命力吸収】で信者達を絞め潰してダメージを狙うよ。

アドリブ連帯歓迎



 闇の底から這い出すように溢れ出てくる狂信者達。
 その動向を政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)は忍法・繰り飯綱(ニンポウ・クリイヅナ)で把握していた。
 このまま戦闘を避け、華麗に物資だけを頂いて船を去るというのも朱鞠には可能であったが――。
「忍びに徹するのなら、それが一番なんだろうけどね~……」
 里の長老たちが知ったら、きっと怒られるに違いない。
 だが、朱鞠はあえて敵を討ち倒し、この狂信者の教団施設と化した船を解放することを選んだのだった。

 蝋燭が照らし出す通路の先から、瞳を狂気に染めた破邪顕正宗の信者たちが現れる。
「さあ、罪深き侵入者に罰を与えるのです! 行きなさい!」
 一団のリーダーと思われる狂信者の女が、錫杖を鳴らしながら部下たちに号令をかける。
「破邪顕正のために!」
 その自らの身を顧みることの無い、捨て身のような突撃に朱鞠は哀れむような表情を浮かべる。
「可哀想に……心酔状態にさせられて自分の命をも軽んじて神に準じちゃうのか……。
でもさ……」
 個々の価値観を塗り潰し、教団にとって都合よく仕立て上げるそのやり口。
 信仰と言えば聞こえはいいが、こんなものはただの洗脳である。
「自分勝手にもっともらしい教義を振りかざし、信ずる者以外は眼中に無い教えなんて本当の神様の言葉じゃないと思うんだよね」
 迫り来る敵を前にしながら、小さく吐息する朱鞠。
 その足に、狐火のような蒼炎が浮かんだ。
『抑えし我が狐龍の力…制御拘束術第壱式にて…強制解放!』
 忍法・狐龍変化身。部分的に真の姿を解放し、身体能力を爆発的に向上させる技が発動される。
「――なッ!?」
 狂信者達の錫杖が地面を打つ。
 きっと彼女らの眼には、朱鞠の姿が突然消失したようにしか映らなかっただろう。
 そして――。
「こっちだよ」
 最後方に控えてリーダーの女は、背中越しに『その声』を聴いた。

 まさか、そんな――。

 と、振り返ろうとするものの、それは叶わない。
『荊野鎖』が獲物を捕らえ、一瞬の間で締めあげたのだ。
「ぐ……がはッ」
 血飛沫の華を咲かせながら、狂信者が倒れる。
「寄る辺無い人達の為に、この閉じた『方舟』を解放させて貰うよ」
 荊野鎖を振り、血を払いながら朱鞠は薄闇の中で冷たく宣言するのだった。
大成功 🔵🔵🔵