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竜の遺跡を踏破せよ!

#アックス&ウィザーズ #戦後 #龍の遺跡

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#戦後
#龍の遺跡


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 帝竜が倒されたからといって、アックス&ウィザーズに元から住んでいるモンスターが全滅することも、それに紛れるオブリビオンの残党がいなくなるわけでもない。
 群竜大陸で猟兵がドンパチやっていても、猟書家がどこからともなくやってきて騒ぎを起こそうとも、あいかわらず地上の酒場の掲示板には依頼が舞い込み、冒険者の仕事が尽きることはなかった。
「と、いうわけで今回は気楽にアックス&ウィザーズで新しく見つかったダンジョンの攻略に行っていただこうかなー、と」
 そう言ってルウ・アイゼルネ(マイペースな仲介役・f11945)は最近見つかったばかりだというダンジョンの探索依頼の紙を大きなテーブルの上に置いた。
 今回のダンジョンは仮の名称として「竜の遺跡」と呼ばれている。入口付近に竜の意匠が確認されたから、という理由で名付けられたそこはゴブリンやオークなどが生息していることは確認されているが、竜種のモンスターも出てくるかどうかは確認されていない。
「『竜の』という枕詞はついていますが本当に竜が出てくるかどうかも不明、どれだけの深さなのかも不明、そもそも何があるのかも不明……と分からないことづくめといった感じですね。まだまだ調査中、ということです」
 しかしそういう分からないことづくめの場所にこそ多くの冒険者は食いつくのである。
 なぜなら未踏破のダンジョンには多くの財宝が眠っていることが多い上に、その内容を記録すれば「地図」として同業者に売ることが出来、当座の大金を稼ぐにはもってこいなのである。
 また、それを求めて多くの冒険者が訪れることで周囲にある宿屋や食事処が賑わい潤う。
 ……つまりダンジョンという存在自体が多くの人々にとって大きな金脈なのである。
「実際、今回の発見を受けて多くの人の動きが生まれているそうです。我々が紛れ込んでも何らおかしくないくらいには」
 猟書家とは全く関係ない所に観光しに行くのもたまにはいいでしょう、といたずらっ子ぽくルウは笑う。
「アルダワに続いて、アックス&ウィザーズの迷宮も我々が踏破してしまいませんか? 興味のある方は是非声をかけて来てください」


平岡祐樹
 数が一応出揃ったようなのでアックス&ウィザーズの日常をお送りいたします、平岡祐樹です。

 今回は猟書家から離れて、「竜の遺跡」という仮の名前がつけられたダンジョンを探索する依頼となっております。第1章で戦う敵やトラップは皆様の希望に沿った物にしたいと考えております。もちろん、おまかせでも構いません。

 なお、今シナリオに参加したとしてもMSからアイテムが支給されることはございませんが、まつわる品を作ることは禁じておりません。その点をご了承した上でのご参加よろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『ダンジョン探索』

POW   :    ずんずんすすむ! ぐんぐんすすむ!

SPD   :    トラップなどを解除したり、マップを取りながら進む。

WIZ   :    経路の法則性を考えたり、探知をしながら進む。

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アニス・セリオン
冒険って楽しそう!竜の遺跡ってドラゴニアンと縁がありそうだね!
宝物とかあるのかな?あったらどんなものかな、おいしいものかなぁ……
ううん、今日は地図をちょっと埋めれたらいいなって来たんだから、集中しないとね!
わぁ、何だろうこの沢山ぼこぼこした床。歩いてもいいのかな……
ワナっていうものがあるかもしれないから、作動させないように飛んでいこうかな。大人なら狭そうだけど、行けそうだね。怖いから着こんでいくよ!
あわわわわ何か向こうから足音が聞こえるよ。猟兵さんかな、わるい敵さんかな。会わないように進んで撒くよ!わるい敵もワナは避けないとだからね!



「冒険って楽しそう! 竜の遺跡ってドラゴニアンと縁がありそうだね!」
 ドラゴニアンと縁がありそうな名称に心を弾ませるアニス・セリオン(腹ペコドラゴニアン・f32470)は手に持ったランタンを揺らしながら、遺跡の中を歩いていた。
 炎に照らし出されるのは石を積み重ねられた建造物。こんな大きな物が長年土の中に埋まり続け、見つからなかったのは驚きである。
 そんな隠された遺跡、何かがあるに違いない。
「宝物とかあるのかな? あったらどんなものかな、おいしいものかなぁ……ううん、今日は地図をちょっと埋めれたらいいなって来たんだから、集中しないとね!」
 そんな夢現な状態から、アニスは頭を横にブンブン振って気合を入れ直した。
 竜の遺跡の地図はまだまだ入口付近しか埋まっておらず、まだお金を取れるような状態でないからといって無料で配布されている状況である。なのでルウの言っていた「当座の大金」はまだいっぱいある。
 だがアニスは深入りはせず、小金で満足するつもりであった。
「わぁ、何だろうこの沢山ぼこぼこした床。歩いてもいいのかな……」
 そんな中で見つけたのはまるで足ツボマットのような突起だらけの床。見た感じモンスターの動きや地殻変動によって変形したのではなく、初めからその形になるように作られた様子である。
「ワナっていうものがあるかもしれないから、作動させないように飛んでいこうかな」
 大人なら狭くても、小柄なアニスなら余裕で通れる道である。アニスは戦闘鎧をどこからともなく取り出すと着込み出した。
 しかしのんびりとしている余裕はなく、後ろから何者かの複数の足音が聞こえてきた。
「あわわわわ何か向こうから足音が聞こえるよ」
 アニスは背中の翼をはためかせると問題の通路へ逃げ込む。するとその声か羽ばたき音に気づいたのか、足音が早まり出した。
 近づいてきたのは緑色の肌をしたゴブリン達。ゴブリン達は夜目がきいてないのか、アニスの後を愚直に追って足ツボ床の餌食になりつつも前進し続ける。
 だが、一定の距離を進んだ先で足ツボ床はその真の本性を露わにした。
「グギャッ!?」
 足ツボ床の突起物が踏まれた瞬間に鋭さを増し、ゴブリンの足裏に突き刺さるとそのまま伸び始めて低い天井に叩きつけたのである。
 頭が当たっても背中が折れても助けを求める声をあげても伸び続ける突起にゴブリンは耐え切れず、絶命した。
「うわぁ……危なかったなぁ……でも」
 ゴブリンの悲鳴を聞いて戻ってきたアニスは床と天井に挟まれて肉塊と化したゴブリンを見て安堵の息を吐く。しかしこの道が本来は一方通行であったことも分かってしまい複雑な表情を浮かべるのであった。
「この先に帰り道、あるといいなぁ……」

成功 🔵​🔵​🔴​

岩倉・鈴音
オークやゴブリンがいるんならそいつらはある程度ダンジョンの構造を知ってるだろうし、隠れ家もってそうだよね。
偵察ゴブリンとかにあったら隠れてやりすごし、ンッフッフすとーきんぐをつかって連中の行動を把握するとしよう。
壁とかに先にいった冒険者の落書きメモあればチェックして冒険に利用するよ。なにか罠がある場合は後に続く者のためにチョークで書き記しておく。
ゴブリンの巣があったら全滅させるよ。攻撃あるのみさ!



 長年埋もれていた故に外の干渉を受けなかった結果、溜まった土埃の上に残された人間やドワーフの物とは違う小さく歪な足跡を辿りながら、岩倉・鈴音(JKハングマン・f09514)は遺跡をマイペースに進んでいた。
「オークやゴブリンがいるんならそいつらはある程度ダンジョンの構造を知ってるだろうし、隠れ家……もってそうだよね」
 このダンジョンで生きていく以上、何か問題でも起きない限り自ら死地に入っていくわけがない。つまり彼らの寄り付かない所に罠があることは確定的に明らかである。
 だが何か物を渡したところで快く教えてくれはしない。そもそも言葉がわからないので交渉の仕様がない。
「はてさてどういたしますかなー……っとおやあ?」
 前から近づいてくる気配を感じ、鈴音は素早く柱の裏に隠れる。そして影の正体が近くを進むのに合わせてゆっくりと自分の位置も横へ横へと移らせていった。
 影の正体は何の変哲もないゴブリン。しかしその手にはよく見かける棍棒や杖などの武器を持っていなかった。
 つまり、速度を重視する役職についている種。
「偵察隊ですかな?『ひそめ!さぐれ!のぞきみよ!!ンッフッフ♪』」
 鈴音の含み笑いをトリガーに光速で飛び出していった影の追跡者が、ゴブリンの足元から伸びる影に沈む。ああなってしまえば、もう逃げることは出来ない。
「さて、安全なアジトまでの案内をよろしくお願いいたしますよー、ンッフッフ♪」
 聞こえないように小声で言いつつも、愉快そうに笑う鈴音は予想通り、何の罠にかかることもなくこのゴブリンが住む巣穴にまでたどり着いた。
 まだ出来たばかりなのか、獲物が見つかっていないのか、中にお宝のような物はなく沢山のゴブリンだけが屯している。
 それを持ち前のサイバーアイで確認した鈴音はおもむろに偵察役のゴブリンの背を蹴り飛ばした。
「案内ありがとうございました! お礼は攻撃あるのみさ! ンッフッフ♪」
 突然の襲撃にゴブリン達は対応出来ず慌てふためくのみ。その混乱に乗じて鈴音は勝虎巣を振り回し、何の傷も負わずに全滅させてみせた。
「ゲームだったらここらへんに良いお宝があるものですが……現実はめめっちいございますな」
 ゴブリン程度が持っている素材は外でも買取不可な物ばかり。改めて隠し扉や戸棚の類がないことを視認しため息をついた鈴音は巣穴の入り口まで戻るとおもむろにチョークを取り出し、すぐ隣の壁に文字を刻んでいった。
『この先、元ゴブリンの巣穴。お宝の類はありません』
「信用しないで無駄足を食うのは自己責任でありますよ。それでは次に向かうといたしましょうか。ンッフッフ♪」
 先達の冒険者達と同じことをできたことに満足しつつ、鈴音は軽い足取りで当てもない旅を再開させるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルィーク・エスカトリア
竜の遺跡かぁ…タルちゃんのお仲間もいたりするのかな?お仲間が居たらおともだちになってくれるかな?ふふ、楽しみだな♪

UCを行使して、タルちゃんに壁を透過して見てもらって罠や敵が居ないか慎重に進もうかな?マッピングも欠かさずにしなきゃね
うーん、敵がいたらなるべく迂回しようかな、あくまでまだ攻略じゃなくて探索がメインだし…

っと噂をしたら敵が…1匹か、はぐれかな?その周りに敵影なし、か…それじゃあここはひとつ私達の糧になってもらおうかな?



「竜の遺跡かぁ……タルちゃんのお仲間もいたりするのかな?」
 心なしか足取り軽いルィーク・エスカトリア(死地の銀嶺・f33146)は綺麗に積み重ねられた道を堂々と歩む骸龍に笑顔で話しかける。
 しかしタルちゃん、と呼ばれた骸龍は大して興味のない様子で振り返ろうともせず先へ進んでいった。だがルィークは気にすることなく、胸の前で小さく拳を握りしめた。
「お仲間が居たらおともだちになってくれるかな? ふふ、楽しみだな♪」
 そんなルィークの期待とは裏腹に竜どころか他の猟兵や一般の冒険者と出会うことは中々無かった。
 元々この遺跡が少なくとも横には広いことは分かっている。そのため、人が分散してしまったことは可能性としてあるだろう。なのでルィークはそこまでがっかりはしなかった。
 そんな中、骸龍が俊敏な動きで旋回し戻ってくる。どうやらモンスターを見つけたらしい。
 しかしやる気満々の骸龍と対照的にルィークはそこまで乗り気ではなかった。
「うーん、敵がいたらなるべく迂回しようかな、あくまでまだ攻略じゃなくて探索がメインだし……」
 ちなみにこの時、骸龍と出くわしたゴブリン達は慌てて逃げ出していた。明らかに格上の人間に襲いかかることもある彼らが竜に恐れ慄いたのは、生態系の頂点捕食者……この地の支配者の正体などが関係しているかもしれない。
 そんな弱肉強食のピラミッドから外れた存在が、静かに音もなくルィークの元に忍び寄っていた。
「っと噂をしたら敵が……」
 腕を急に引っ張られたルィークは倒れないように踏ん張りながら振り返り、犯獣の姿を目視する。
 その先にいたのは口から粘着性の糸を吐くクモだった。糸を吐く頭に爛々と輝く8つの赤い目や大きな腹は同じだが、子供を乗せられそうなほどの巨体やそれを支える巨大な脚は初見の物だった。
「1匹か、はぐれかな?」
 糸の引っ張り合いが繰り広げられる中、別方向からの一発が撃ち込まれる気配もなければ骸龍も飛び出そうともしない。
 この骸龍は障害物を透過してその裏を見破れる目を持っている。そんな彼が静かに指示を待っているということは、そういうことだった。
 元々群生の種じゃないかもしれないが、それで挑みかかってくるのはなんて無謀なのだと、ルィークは内心ほくそ笑んだ。
「その周りに敵影なし、か……それじゃあここはひとつ私達の糧になってもらおうかな?」
 乗り気でないのは自分から敵意の無い者へ攻め込むこと。先に叩かれて見逃すのは性に合わない。
「やりなさい」
 ルィークが指を鳴らすと同時にクモの体が持ち上げられ、砕かれ、体液が勢いよくばら撒かれる。
 食べても大して身持ちの無い貧相な体に、骸龍は大して咀嚼もせずにその場へ吐き捨てた。 しかしたった一噛みだけでもクモの体は元の形が分からないほど潰されていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

亞東・霧亥
ほう、新しいダンジョンが見付かったのか。
どこまで踏破されているか分からないが、腕が鳴るというものだ。

先行する猟兵に追い付くためにも、多少の被害など気にしてはいられん。
【UC】
ここ最近呼んでなかったし、たまには使ってやらんと拗ねるかもしれん。
(首狩が来たら真っ直ぐ突進しろと命じる。)

どんな罠も踏み抜き、あらゆるモンスターを、奴1人で斬り伏せる。
俺は後ろから『目立たない』ように、破壊された罠と屍を横目に通り抜けるだけ。

皮算用ではあるが、もしも竜種が居るならば、余す所無く素材にしてやろう。



「ほう、新しいダンジョンが見付かったのか。どこまで踏破されているか分からないが、腕が鳴るというものだ。皮算用ではあるが、もしも竜種が居るならば、余す所無く素材にしてやろう」
 そんなことを出立前に語っていた亞東・霧亥(夢幻の剣誓・f05789)であったが、実際に竜の遺跡に辿り着いてからの戦いぶりは正反対の物だった。
「首置いてけ!」
 久々の出番に昂っている鎧武者が突撃し、見つけたゴブリンやオークの首を薙ぎ払っていく。一方で霧亥は大量の血と死骸に彩られたその後を進むだけであった。
 不幸にも見つかってしまったモンスター達は近づいてくる狂戦士の勢いに気圧され、のんびり後をついてきてる霧亥には気付かない。もし気づいていたとしても仲間に伝える前に、武者に首と体を離されてしまっていただろう。
 そんな幾度目か数え切れないほどの殺戮劇を終え、意気揚々と再び前へ進み出そうとした武者の姿が唐突に消えた。
 直後に轟いた雄叫びにも似た悲鳴を頼りに霧亥が消えた所へ近づくとそこには大穴が開いており、その底には大量の液体が溜められていた。
 そしてそこで泳がされていた武者の体からは肉が溶け落ち、白い骨の部分が顔を出し始めていた。
「硫酸系の落とし穴か。……なかなかにエグい罠じゃないか」
 霧亥はそう冷静に分析するが、武者を助けようとは一切しない。そのうち絶望の色を顔に貼り付けたまま武者は力尽きて沈んでいった。
「先行する猟兵に追い付くためにも、多少の被害など気にしてはいられんからな」
 そんなことを呟きながら霧亥は持ち込んでいた水筒の水を口に含む。すると後ろから何者かが近づく音が聞こえてきた。
 振り返った先にいたのは、沈んだ者と全く同じ装束を身につけた男だった。霧亥は目を細めると平然と指示を出した。
「遅かったな。オーダーは簡単だ、真っ直ぐ突進しろ。『存分に注目されてこい。』」
「御意!」
 武者は短く応えると落とし穴のない別の道へと進み出す。途中、何が塗られているのか分からない矢が大量に天井から降り注いできたが武者は全て簡単に斬り伏せてみせた。
 霧亥は武者に、自分の前任者がいたこと、それが今ついさっき死んだばかりであるという事実を伝えない。
 どんな罠もあらゆるモンスターも武者が全て受け止め、自分さえ無事であればそれで良かったからだ。
「ここ最近呼んでなかったし、たまには使ってやらんと拗ねるかもしれん」
 生き残れば存分に暴れられたことによるストレスの解消、死んでも不満分子の消滅、と霧亥にとってマイナスになることはない。冷酷だと憤る者もいるだろうが、彼らがそれを納得している以上入り込む余地はない。……納得するだけの頭があるかどうかも怪しい点は置いといて。
「卑しき下等生物よ、命乞いが出来ぬのなら大人しく死ね、首置いてけ!」
 霧亥達の前に再びゴブリンの集団が現れる。敵襲に勘付き、武器を構え出すゴブリン達へ武者が喜び勇みながら刀を抜き払う姿を、霧亥は遠巻きに眺めながら欠伸を浮かべていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

バジル・サラザール(サポート)
『毒を盛って毒で制す、なんてね』
『大丈夫!?』
『あまり無理はしないでね』

年齢 32歳 女 7月25日生まれ
外見 167.6cm 青い瞳 緑髪 普通の肌
特徴 手足が長い 長髪 面倒見がいい 爬虫類が好き 胸が小さい
口調 女性的 私、相手の名前+ちゃん、ね、よ、なの、かしら?

下半身が蛇とのキマイラな闇医者×UDCエージェント
いわゆるラミア
バジリスク型UDCを宿しているらしい
表の顔は薬剤師、本人曰く薬剤師が本業
その割には大抵変な薬を作っている
毒の扱いに長け、毒を扱う戦闘を得意とする
医術の心得で簡単な治療も可能
マッドサイエンティストだが、怪我した人をほおっておけない一面も

アドリブ、連携歓迎



 息を切る音と激しい足音が前から聞こえてきたところでバジル・サラザール(猛毒系女史・f01544)は蛇腹を止める。
 すると前から冒険者達が現れ、バジルに気付くと急停止して慌てて武器を構え出した。
「くそっ、急がなきゃいけないのに……」
「待って待って、私はそこら辺のモンスターとは……」
 相手から放たれた殺気にバジルは慌てて弁解しようとしたが、後方にいる大柄な甲冑男に背負われた小さな影に意識が向いてしまった。
「ちょっと、その子は」
「近づくなモンスター!」
 その隙をつき、先頭にいた剣士が片手剣を振りかざし、バジルに斬りかかる。
 しかしバジルは切られる前に長い尾で手から叩き落とすと、戦闘が始まったにも関わらず武器を構えない甲冑男へ肉薄した。
「ひっ……!」
「安心なさい食ったりしないからすぐ後ろを向きなさい!」
 バジルは息を呑む甲冑男の両脇を掴み強引に後ろを向かせる。するとそこには背負われたエルフの少女の姿があった。その息は荒く、顔は赤く、一目で正常でないことが分かる。
「痙攣、顔面紅潮、息切れ……」
 症状を羅列しながらバジルは薬箱から注射器を取り出すと、すでに中に入っていた薬剤をエルフに注入する。
『甲の薬は乙の毒、生かすも殺すも薬師次第、なんてね。』
 男達が顔を青褪めさせながら見つめる中、エルフの呼吸は徐々に安定していき、呼吸も穏やかになった。
 バジルは安堵の息を吐くと、得物を拾わず見守っていた剣士へ振り向いた。
「……私とすれ違って良かったわね。あと数分遅れてたらダメだったわよ」
「あ、ありがとうございます! あと、切りかかって申し訳ございませんでした……」
「別に良いわよ。あ、これはあくまで応急処置だからちゃんと外できちんとしたお医者さんに見てもらいなさい」
 バジルの見た目は服を羽織ったラミアでしかない。極限状態の時に出会したら、モンスターと勘違いしても仕方ないだろう。なのでその点で冒険者を咎める気は無かった。
「ちなみにあの毒は罠? モンスター?」
「モンスターです。ユーリが刺された時は大丈夫、って言ってたんですけど、信じてそのまま進んでいったら突然倒れて……」
「モンスターの攻撃を舐めちゃいけないわ。かすり傷だから平気だと思ってたら痛い目を見るわよ、今回みたいにね」
「……肝に銘じます」
「肝に銘じる前に、さっさと脱出しなさい! 応急処置だって言ったでしょ!」
 反省からか大きな体を縮こませて動かない男2人を急かすべく、バジルは大声を上げながら両手を叩いた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『黒龍細胞片』

POW   :    過食
戦闘中に食べた【有機物や生き物】の量と質に応じて【細胞分裂の速度が増して肥大化し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    飽食
攻撃が命中した対象に【自身の細胞の一つ】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【付着した箇所から細胞が増殖、取り込み】による追加攻撃を与え続ける。
WIZ   :    食物連鎖
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【侵食し、細胞群で覆わせ眷属】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 グチュグチュ、と肉が擦れ合う音が響く。
 音の鳴る先にあったのは鳴動する黒い肉塊。それは近くに転がっていた死骸を取り込むと、その質量分巨大化して冒険者達の行く手を遮り始める。
「くそっ、スライムか!」
 遭遇した冒険者がそう仲間に伝えると、肉塊は憤慨したかのように体を震わせる。
 そして飛び散った肉塊は冒険者の体に付着すると全身を喰らうべく急激な成長をし始めた。
 地図の情報だけで判断すれば、このモンスターの情報はまだ町には伝わっていない。
 この情報を伝えることさえ出来れば、きっと小金持ち程度にはなれるだろう。……生きて、他人に情報を伝える口さえあれば。
亞東・霧亥
有機物と生命体を取り込み増殖。しかし、そのどちらでも無ければ増えようが無い。

【UC】
全く同じ姿で、更に殺気を漲らせた分身が細胞片に殺到。
分身は高度な残像。
取り込まれても消えるだけで増えはしない。

次は細胞膜の破壊。
細胞分裂を抑えるため、[ヴァルギリオスの毒血]を『毒使い』の技術で精製した強酸を使い、『ロープワーク』で天井に飛んで強酸を撒き散らす。

膜が破壊されたら核が露出するはずだ。
分身に紛れて『目立たない』様に近付き、高電圧の『属性攻撃』で核を『部位破壊』する。

「これは、黒竜が出るか?楽しみだ。」



「首置いてけ!」
 切り飛ばされた肉塊が床を這い、自分より大きな肉塊へくっつき、再び一体となる。
 逆に敵にくっついた個体はその肉を喰らい、自らの質量を増していく。例え大部分が抉り取られようと、残った部位がありさえすればそのまま喰らい続け、元の大きさにまで戻ってしまう。
「なるほど、手当たり次第の攻撃ではすぐにくっつけ直されてしまうか」
 そんな持久戦の前に力尽き、成す術も無く取り込まれる鎧武者を見届けながら、霧亥は真っ黒な外套を羽織った。
「なら、狙っての攻撃を受けたらどうするか見せてもらおう」
 すると周囲に何十人もの霧亥がスライムを囲むように現れ、堰を切るように一斉に飛びかかった。
 どこからどう見ても手当たり次第の襲撃にしか見えない波状攻撃にスライムは右に左に触手を伸ばし、殺気を漲らせた霧亥達を掴み喰らおうと試みる。しかし触ったそばからその姿は霧散していった。
 それもそのはず、飛びかかった霧亥は全て残像による分身。有機物と生命体を取り込み増殖するスライムでも実体のない物をどれだけ取り込もうと材料が無いのだ増えようも無い。
 なら本物の霧亥は何処にといえば、スライムが右往左往している様子を引っ掛けたロープを使って天井から眺めていた。
 霧亥は音を立てないように器用に液体の入った試験管の蓋を取り、垂らす。頭からそれを被ったスライムは音と煙をたてながら溶け始めた。
 試験管の中身はヴァルギリオスの毒血から精製した強酸性の物。細胞の分裂を抑えながら、その体を覆う膜も壊すうってつけの代物である。
 真に「狙い澄ました一撃」に上へ下へもがみ苦しむスライムの中から赤く光沢のある核の一部が露出する。霧亥は天井を蹴って跳び降りながら、両手にはめた無限竜の素材を使ったグローブの鋲同士を擦り合わせる。
 痛みと分身によって集中力が削がれていたスライムはその直滑降を止めることが出来ず、摩擦を起こす事で膨大な電気を纏ったそれを核で受け止めてしまった。
 高電圧の一撃を喰らった核は耐え切れずに瓦解し、周りにあった肉も維持が出来ずに石畳の隙間に吸われていく。
 そして後には命が絶たれたことで赤みを失った核だった物だけが残されたが、立ち上がった霧亥は落胆するどころか不敵な笑みを浮かべていた。
「確かに『竜の』遺跡だな」
 これはただのスライムではなく、かつてこの世界でも有数の実力を持っていた黒竜の残滓。
 そんな物がこんな上層に何の意味もなくいるとは考え難い。
「これは、最奥部で黒竜でも出るか?楽しみだ」
 この奥に潜んでいるかもしれない存在との邂逅を心待ちにしつつ、霧亥は下層へ続く坂や階段の類を求めて先に進み出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アニス・セリオン
☆アドリブ連携OK

わぁぁあん何あれ!ぐちゃぐちゃしてて気持ち悪いよう!!
ももも戻れないし!帰れないし!!!誰かいませんかぁ!
わわわっ、こっちに来た!
とにかく【空中機動】で捕まらないように飛びつつ、アリスランスからのドラゴンオーラで攻撃するよ!
当たったらUC!【ブレス攻撃】の爆発でどかーん!うえぇ……残骸がオーラの鎖についていたら、解除しながら遠くに飛ばしちゃえ!ぽいぽーい!



 ゴブリンのせいで道を遮断されてからというもの、アニスはどれだけ歩こうと飛ぼうと、冒険者にも彼らが残した痕跡にも出会えていなかった。
「うう……こっちに進みたいのにぃ……」
 ちょっとだけ分かっている遺跡の地図に自分が進んできた道を書き加えていくことで、出口への方角は大体分かる。しかしそちらに行きたい時に限って分厚い壁が鎮座して、反対の方向にしか進めずにより奥地へと迷い込まされていた。
 全容が分かれば分かるほど、情報屋に要求できる金額は増えていく。だがそれは生きて帰れて伝えられた時の話である。
 このまま力尽きてひとりぼっちで死ぬのは嫌だと、最悪の事態が脳裏をよぎってしゃくりあげながらも地図無き道を進むアニスは暗がりで丸まって震えている何かを見つける。
「あ、あの……」
 野宿か怪我の手当てをしている人かもしれないと一縷の望みをかけ、遠巻きにしながらアニスは話しかける。しかしランタンの光に照らされたのは蹲っている人ではなく、蠢いているスライムであった。
「わぁぁあん何あれ!ぐちゃぐちゃしてて気持ち悪いよう!!」
 気持ち悪い見た目だけでなく、ちょっとスライムが動いただけで狭い通路に充満した悪臭に微かな希望を壊され、すり減っていたアニスの精神は追い詰められる。
 その結果、思わず口から漏れ出てしまった大きな悲鳴に興奮でもしたのか、スライムはにじり寄る速度を上げた。
「わわわっ、こっちに来た!」
 その動きにアニスは翼を限界まで広げ羽ばたかせ、スライムから逃げ出す。しかし道中にある草やすれ違った別のモンスターを巻き込んで膨張していくスライムとアニスの差はどんどん縮んでいった。
「こ、こっちに来ないでぇ!」
 涙を目一杯に溜め込んだアニスは白銀の槍を投げる。地に足をつけず、狙いもつけずに投げた槍の威力は大したものではなかったが、触れた瞬間にとんでもない爆発が巻き起こった。
 辺りの天井や壁に飛び散った肉塊が叩きつけられる。そんな中で床に残った一番大きな肉塊とアニスの右手首がオーラで出来た鎖で繋げられた。
 鎖は逃げれば逃げるほど新たな部品が生まれ、伸びていく。それをつたうように生き残った肉塊が競り上がってきた。
「ひっ……! ぽいぽーい! ぽーいー!」
 その動きに気づいたアニスは生理的嫌悪を隠そうともせず、鎖をちぎってすぐに明後日の方向へ投げ捨てる。
 一気に距離を取られたスライムはこのままでは追いつけないと悟りでもしたのか鎖に縋りつき、吸収しようとする。しかしオーラでしかない鎖をいくら食らおうと失われた体積は戻ってこない。そうしている間にもアニスとの距離はどんどん離されていった。
「うえぇ……」
 だがアニスはそれどころではない。無我夢中で飛び回り走り回った結果、どこをどう曲がって進んできたのも分からない位置に迷い込んでしまった。
「ももも戻れないし! 帰れないし!!! 誰かいませんかぁ!」
 帰り道に繋がりそうな手掛かりをすべて失ってしまったアニスの悲痛な叫びは遺跡の一角に響き渡った。

成功 🔵​🔵​🔴​

シェーラ・ミレディ(サポート)
※OK:シリアス
※NG:エロ、ネタ、コメディ、心情系
※傭兵的なスポット参戦

称号通り、僕の身体を維持するための金儲けと、弱者をいたぶる醜い行いが許せぬ義侠心が行動指針だ。
美しいものは愛でるべきだが、恋愛には結びつかないなぁ。
性格ブスは醜い。見るに堪えん。

複数の精霊銃をジャグリングのように駆使する、彩色銃技という技(UC)を使って、敵を殲滅しようか。
敵からの攻撃は基本的に回避する。が、護衛対象がいるならかばうのも検討しよう。
……嗚呼、僕を傷付けたなら、代償は高くつくぞ!



 通路の行き止まりで一仕事を終えたシェーラ・ミレディ(金と正義と・f00296)は銃口に息を吹きかけ、沈むスライムの影で腰を抜かしていた少女に手を差し伸べた。
「……さて、大丈夫でしたかマドモアゼル?」
 シェーラの端正な姿に少女は顔を赤らめながらその手を取る。
 ただシェーラにとって美しいものは愛でる対象であるが、恋愛には結びつかない。仮に少女が恋心を抱いたとしても、それが成就することは絶望的であろう。
 もはや受け慣れたと言ってもいい熱い視線を気にせず、シェーラは引き上げながら少女の身の回りを確認する。
 一片でも残っていればそこから増殖して宿主を食い殺せるあの肉塊は見過ごせば大惨事に陥る。目の前で助けた者がそのような目に遭うことはシェーラにとって許し難いことだったからだ。
「どこにもついてないようだな。……今ので疲れているだろうし、ここは一旦撤退の選択肢を取った方がいい」
「は、はい……」
 この先に隠し扉の類はなく、どうせ引き返すことになる。護衛ついでに分かれ道まで案内することは別に面倒事ではない。そんな裏の思いを知ってか知らずか言われるままに少女は頷いた。
 そうして振り返った瞬間、進もうとした先の天井からポタポタと黒い水滴が落ちてくる。
「戻ってきた……わけではなさそうだな」
 直後、巨大な物体が音を立てて落ちて蠢き出す。それは先程撃ち抜いたスライムと全く同じ存在だった。
 少女が小さく悲鳴をあげる中、シェーラは腰のホルスターから複数の精霊銃を出し、宙に放り上げる。
「同胞が今まさにやられたばかりというのに、何の策も講じずに来るのは愚かとしか言いようがないな」
 4つ目の銃を手に取ったシェーラは引き金を引き、他の銃と同じように上へ投げる。するとどこからともなく現れて待ち構えていた精霊が次の弾を装填した。そして銃は再びシェーラの元へ戻り、スライムの体を穿つ一撃を放ってはまた精霊の元へ戻る。
 しかしこれら一連の動作は少女から、銃を撃ちながらジャグリングをしているようにしか見えなかった。
 一点を集中的に当てられ続けたスライムの体から核のが露出する。シェーラはそれを二丁拳銃で撃ち抜き、残り二つの拳銃も淡々と受け止めた。
「すごい……あのスライムを、遊びながら一瞬で……」
「別に凄くはない」
 自身の高価な身体を維持するため、シェーラの懐は常に涼しい。故にこのような金稼ぎの場に足を運ぶのは往々にしてある。
 ならばそこで遭遇するモンスターの特徴や弱点は頭のうちに置いておかなくてはならない。
「この業界で生きていきたいならこの程度の雑魚の特徴くらいは覚えておけ」
 遭遇した時に手当たり次第に使える魔法でも打ったのだろう、魔力を尽かしたウィザードの少女に向けてシェーラは冷たい視線を送った。

成功 🔵​🔵​🔴​

クリミネル・ルプス(サポート)
関西弁の元気な肉体武闘派人狼。
人狼の身体能力と鍛えた格闘技で戦う。
痛み等の耐性用いての潰し合い上等。
体内に蓄積させた糖原物質を使用した搦め手も使う。
周囲(空間、物質)の匂いからの状況把握推察も可能。

基本は『生き残る事』だが、オブリビオンは許さない姿勢。
特に命や尊厳を踏み躙る系統には本性(真の姿など)が出る。
【ネタ、絡み、合わせなど歓迎です】
【肌の露出やエッチな事には羞恥心はあまり無い。彼氏持ちで一線は超えさせない】

・真の姿時
身体能力の向上と体の変化。
戦闘思考が先立ち、やや、残忍(確実にトドメ刺す)



「なんか、なーんか臭うんよなぁ……」
 クリミネル・ルプス(人狼のバーバリアン・f02572)はしきりに首を傾げながら遺跡の中を進んでいた。
 様々な経験から得た嗅覚が捉えるのは長年閉じられていたことによる黴臭さやモンスター特有の泥臭さではなく、嗅ぎ覚えのある匂い。しかしこの遺跡に向かうサポートメンバーの中に知り合いの姿は無く、クリミネルの困惑は極みに達していた。
「知り合いが通った後、ちゅーんやらまだ分かるんやけどなぁ……」
 そんなことを呟きながら、体目当てで飛び掛かってきたゴブリンの頭を鷲掴みにし、地面に叩きつける。石畳を砕きながらめり込んだゴブリンは痙攣すらせず、その場で絶命した。
 流れるような迎撃に残りのゴブリンは我が身惜しさに失禁しながら逃げ出していったが、その行く手を黒一色の肉塊が遮る。
 肉塊はおもむろに体を伸ばすとゴブリン達を掴み、自分の体に引きずり込んでいく。ゴブリン達は生存本能から手に持った棍棒や刃物を振り回し、その拘束から逃れた。
 それでも肉塊は諦めず、触手を伸ばす。しかし多勢に無勢で、一体を追い詰める間に他のゴブリンに集られ、その肉体を削られる。
 そうして露出した赤い核を砕かれると肉塊は萎んでいき、石畳の隙間に沈んでいった。
 後ろにクリミネルが立っていることを忘れ、ゴブリン達は勝ち名乗りのような雄叫びを上げだす。だが腰蓑に染み付いた肉汁はゴブリンの汚い体に付着する油脂などを食らうことで成長し、新たな肉塊へと変貌した。
 自分の体から突然湧いて出た肉塊にゴブリン達は半狂乱になりながら全身をかきむしって剥がそうとするが、その度に肉塊は触れた部位へと活動場所を変えてゴブリンの手や足を食らっていく。そうしてどんどん巨大化していった肉塊はゴブリンとの身長差を逆転させてその全身を飲み込んだ。
「マジか……」
 その一部始終を見せられたクリミネルは苦々しい表情を浮かべつつ思わずうなり声を上げる。なぜなら先程から感じていた例の臭いが、その肉塊から放たれていたからだ。
「なんでこんなのから……ウチに肉塊のお友達なんていーひんで?」
 ゴブリンを消化し切った肉塊達は一ヶ所に集まってさらに巨大化すると次の狙いをクリミネルに絞り、じわじわと距離を詰め始める。クリミネルは深く息を吸い込むと、凄まじい咆哮を発した。
 空気を揺さぶる衝撃に肉塊が震え、ゴブリンの武器や骨と共に核が露出する。それを肉塊が隠し切る前に一足跳びに近づいたクリミネルの手刀が粉々に打ち砕いた。
 割れた核から生暖かい赤い液体が飛び散り、黒い液体と共にクリミネルの肌を染める。
 しかしクリミネルの体から突然立ち上がった炎が肉塊によるあらゆる液体を蒸発させ、反撃の機会を完全に奪い去った。
「ウチを食らおうなんて一億年早いわ!」
 クリミネルは力なく沈んでいく肉塊に向けて指を立てて勝ち誇る。しかし肉塊の臭いから発せられる既知感の正体は結局分からず仕舞いであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リカルド・マスケラス(サポート)
『正義のヒーローの登場っすよ~』
装着者の外見 オレンジの瞳 藍色の髪
基本は宇宙バイクに乗ったお面だが、現地のNPCから身体を借りることもある
得意なのはサポートで、NPCに憑依(ダメージはリカルドが請け負う)して戦わせたりも可能

接近戦で戦う場合は鎖鎌の【薙ぎ払い】と鎖分銅の【ロープワーク】による【2回攻撃】がメイン。
遠距離戦では宇宙バイク内臓のビーム砲で【薙ぎ払い】
その他状況によって【属性攻撃】や【破魔】等使用。

猟兵や戦闘力のあるNPCには【跳梁白狐】で無敵状態を付与できる。
また、無力なNPCが大人数いる場所での戦闘も彼らを【仮面憑きの舞闘会】で強化して戦わせつつ身を守らせることも可能。



「くそっ、また食われた! 元の大きさに戻っちまうぞ!」
「逃げろ逃げろ、触れられたら焼いて落とせ! 絶対に手では触るんじゃねぇぞ!」
 冒険者達は大声で状況を共有しながら、自身の体を膨張させながら食事をする肉塊から一目散に逃げだしていた。
 物理攻撃が墓穴を掘ることになる相手に対し、魔法職の者と同行していなかった彼らの判断は間違っているものではない。だが持ち込んできた重い装備や遺跡内で手に入れたお宝を捨てて逃げ出さなかった故にその機動力は低く、あっさりと追いつかれてしまった。
「い、いやだ、死にたくねぇ! いやだ、あ」
 一番後方にいた仲間の断末魔が響き渡ってもその足取りは止まらない。しかしこのまま逃げても追いつかれるかもしれないという半分確定に近い予想が後ろ髪を引いた。
「くそ、迎撃するか!?」
「やめろ、そんなことやっても俺達も死ぬだけだ! くそっ、誰か、どっかに魔法が使える奴はいねぇのか!? 見つかったばかりのダンジョンだぞ!?」
 別のパーティを巻き込もうという邪な考えの混じった、悲鳴じみた助けを求める声が辺りに響く。すると通路の奥に広がる闇の中から一筋の光が伸びて肉塊の一部を撃ち払った。
「おうおうおう、派手にやってるっすね~」
 光が差した方から狐のお面をつけたバイクが勢いよく乗りつける。しかしその座席に人の姿は無い。てっきり人が乗っている物だと思っていた冒険者は思わず驚きの声を上げた。
「だ、誰かの使い魔か!?」
「違うっすよ。ここっすここ~」
 するとバイクのメーターの前面についた狐のお面……リカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)が赤い目を光らせて存在を主張したが、助けた冒険者たちの全容を見て露骨にテンションを落とした。
「……男はむさ苦しくて趣味じゃないんすよね~。ここは自前でやるとするっすか」
 そう呟くと同時にバイクが変形をはじめ、巨大なロケットランチャーが顔を出す。
『押し潰されるがいいっすよ!』
 そこから放たれた、圧縮された高重力の闇弾が肉塊を床に這いつくばらせる。さらにその重みに耐えかねた石畳に急激に罅が入り始め、崩落を始める。
 足場を失った肉塊は石畳だった物と一緒に落ちていき、地面に叩きつけられる音をたてた。
 リカルドの干渉により九死に一生を得た冒険者のうちの一人がおもむろにランタンを穴の中へと向ける。すると下の石畳に吸われていく肉塊の姿が映し出された。
「お、おい! これ見てみろよ!」
「なんだ……っておいマジか、この遺跡にはまだ地下があるのか……!」
「まだまだ探索する場所はいっぱい残ってる、ってことだな! とりあえずこの穴を地下2階へのルートとして申請して今晩の酒代に……」
「……現金な奴らっす」
 命の恩人への礼も死んだ仲間の弔いも忘れ、目の前の未知に歓喜の声をあげる冒険者達の様子にリカルドは思わず嘆息した。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『騒いで盛り上げて』

POW   :    食べ物をがつがつ食べる

SPD   :    得意の話術で盛り上げる

WIZ   :    忙しい厨房のお手伝い

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 今日も一日が終わる。
 ダンジョンから引き上げた者達の表情はいつも様々である。思わぬ収穫を得て上機嫌な者、これといった成果が得られず苛立つ者、大切な者を亡くして消沈する者。
 だが、どんな結果が待ち受けようとも探索という運動を終えた体は栄養の補給を欲する。故に彼らは報告や着替えなどの諸作業を終えた後に酒場や軽食屋へ集う。
 さぁ、ジョッキを高らかに打ち鳴らせ。明日が今日よりも良い日になることを祈りながら。
亞東・霧亥
「黒焦げの細胞片に価値なんて付くかよ。」
最奥には何もなかった気がする。

あの細胞さえ殲滅したなら、罠とオークやゴブリンといった初心者向けダンジョンでしかない。
図面を広げて詳細を書き込みながら、肉にかぶり付く。

骨折り損ではあるが、優秀な冒険者の育成という面では貢献出来た・・・と自分に言い聞かせる。

討伐されたか定かではないが、黒竜は居なかった。
細胞だけが生きているとは考え難い、去ったと見るべきか。

そういや、ベソ掻いてた女がいたが無事脱出出来ただろうか?
こんなダンジョンで迷うとは中々のものだ。
機会があれば如何にして迷ったか訊ねたい。



 酔っ払いと店員が大声を交わす中で、霧亥は眉間に皺を寄せながらジョッキの中身を豪快に飲んでいた。
「黒焦げの細胞片に価値なんて付くかよ」
 時間をかけた割に大した見入りが無かったことへ愚痴を吐きながら、広げた図面に自分が歩いたら道筋を書き加える。
 最奥まで歩き続けたつもりであるものの、共有されてないだけですでに討伐されたか定かではないが、黒竜の姿はなかった。
「それにしては黒竜が満足に動けるような場所も無かったがな……」
 細胞だけが生きているとは考え難いが、あれほどいた痕跡が残っていないのならば、どんな形であろうとあの場所から去ってからすでに長い時間が経っていると見るべきか。
 ともかく細胞さえ殲滅出来たなら、あの遺跡は致死性の罠とオークやゴブリン、各種昆虫といったモンスターが蠢く初心者向けのダンジョンでしかない。一攫千金の宝箱の発見情報がないことが数少ない減点対象だろうか。
 骨折り損ではあったが、優秀な冒険者の育成という面では貢献出来た……と自分に言い聞かつつ、霧亥は香ばしく焼かれた鶏肉にかぶり付いた。
 香草の風味がこってりとした脂を中和させ、非常に食べやすく仕上がっている。
「そういや、ベソ掻いてた女がいたが無事脱出出来ただろうか?」
 こんな簡単なダンジョンで迷うとは中々のものだ、と思ったがその時は探索の方を優先してたため、声をかけずに通り過ぎていた。ただあそこまでたどり着けていれば自力で出口を見つけ出せたか、通りかかった他の冒険者が声をかけてくれているだろう。
 機会があれば如何にして迷ったか訊ねたいところだが、この酒場にその姿はない。まあ、見た感じまだ成人してなさそうだったからこの場にいたらいたで問題だったりするのだが。
「おい、みんな聞いてくれ!」
 そんなことを考えつつジョッキの底の方に溜まったビールを喉奥に流し込んでいると、冒険者と見られる男が慌てた様子で店に飛び込んできた。
 その鬼気迫る様子に霧亥だけでなく、周囲の男女からの視線が何事かと一点に集まる。そんな中で息を整えた男は大声で叫んだ。
「竜の遺跡に第二層が見つかったそうだぞ!」
 どうやらまだまだあの遺跡は全景を見せてなかったようだ。とんでもない新情報による興奮からさらに大きくなる喧騒の中で霧亥は空になったジョッキをカウンターに置いた。
「……隠し扉の類は見当たらなかったと思っていたんだがな」
 再び上げられたその瞳には失望によって消えかかっていた火が勢いを取り戻そうとしていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

クリミネル・ルプス
「疲れた時には甘いモノがエェって言うしな?!」
大量?の上モノの砂糖が入った壺を前に現地で仕入れた卵?と牛乳?(の様なモノ)でプリンを振る舞おうクリミネルは厨房にて腕を振るう。
ダンジョンに砂糖なんかあったか?こんな上モノの砂糖、仕入れたか?
そんな疑問や仕入れ先を知ろうとした者は何故か消えたとか……。
(製糖業者ゆえに仕入れたとしか言わない)
カラメルソースたっぷり掛けたのから、プリンそのものが甘ーいのまで沢山のプリンの甘い香りと味わいに大人も子供も満足してくれるといいなぁ。



 とある宿屋の厨房の片隅にて、大量の卵と牛乳を合わせた物を潰すようにかき混ぜ終えたクリミネルは近くの台に置かれた仰々しい見た目の壺へ手を伸ばす。
 その中身は上質な白砂糖であった。
 卵や牛乳はまだ分かるものの、ダンジョンからの発掘物や流れの商人の品物にこんな上物の砂糖なんかあったか? という疑問を抱く料理人や冒険者はいたものののクリミネルの「仕入れた」一点張りの前に追及を諦めて各々の用事に向かっていた。
 その仕入れ先がどこだって聞いてるんだよ、というのが冒険者の率直な捨て台詞であったが、クリミネル側からしてみればその入手経路が入手経路なだけに、赤の他人に気安くは教えられない……というのが教えない理由の大半だろう。
 万が一相手が了承したとしても、毎回クリミネルが顧客の前に出張るわけにもいかないので教えないのはある意味当然である。
「疲れた時には甘いモノがエェって言うしな?!」
 疲労困憊な様子で出て来た一部同業者の姿を脳裏に思い浮かべつつ、大きなボウルの半分を占める卵液につり合うよう、大量の砂糖を惜しげもなく放り込んだクリミネルは再び混ぜ合わせていく。その後ろでは弱火をかけられ続けていた鍋が蓋の通気口から湯気を噴き出し始めた。
「おっと、アカンアカン……っと」
 その音に気づいてクリミネルは混ぜる手を止めて慌てて火を切る。しかしすぐに蓋を開けはせず、蒸らしの行程に入るようだ。
 それが出来るまでに混ぜ合わせた卵液を漉し器を通しながら、深めの小さな皿に丁寧に一個ずつ流し入れていく。
 そしてそれを終えるとクリミネルはボウルと泡立て器を流し台に置いてから蓋を開けた。
 湯気と共に甘い匂いが厨房に解き放たれる。そのまだ熱の残る発生源をおもむろに掴んで横に振ってみるが表面に細波は起きない。どうやらちゃんと火は通ったようだ。
「あとは粗熱を取ってから冷蔵庫で冷やして……ああ、あとカラメルも作らんといかんね」
 わざと焦がすことで得られるあの苦味は甘さを引き立てる重要なエッセンス。使わない店もあるが、クリミネルは「いる」派だった。
 砂糖と水を入れたフライパンを弱火で熱し、かき混ぜずにゆすりながら砂糖を徐々に溶かしていく。
 蒸発によって生じる大きな泡が小さくなり、色も濃い目の飴色になったら火を止め、冷蔵庫の中から取り出した物の上に流し入れていく。
 そうすればクリミネル謹製のプリンの完成である。
「甘い香りと味わいに大人も子供も満足してくれるといいなぁ」
 そんなことを笑顔で呟きながら後片付けを終えたクリミネルは、お盆に載せたプリンを持って厨房を後にする。
 まず振る舞うは、共同スペースのテーブルの上で倒れているであろう同業者からだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月12日


挿絵イラスト