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祭夜天灯の彩

#カクリヨファンタズム

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#カクリヨファンタズム


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●あかに燃ゆる夜
 紅が咲き、朱を潜り、赤を解き放つ。
 今宵のあかは一等深く、夜を支配する。
 だって今日は――そう、天灯祭なのだから。

 ゆるりと続く坂の石段を、沢山のあかが染め上げる。
 燃ゆるような紅き彼岸花が両脇に咲き誇る坂に並ぶのは、朱色の千本鳥居。
 そして天灯祭の夜、列を成し此処をそぞろに歩くのは、面を被った妖怪達。
 赤き炎灯る手持ちランタンを翳し、今宵限りの百鬼夜行は、数多の鳥居を潜って。
 辿り着いた社で、新しい炎を受け取るのだという。
 空へとそのいろを、想いや願いを込めて解き放つ為に。
 そして賑やかな祭りの広場へと戻ってくれば、夜空へと一斉にふわり舞い上がらせる。
 授けられた炎燃ゆる数多の天灯――ランタンを、空へと放つのだ。
 願いや想いをそうっと、燃ゆるあかに宿して。

 けれど……今宵灯る祭りのあかは、残酷なほどに世界を燃やし尽くす。
 想い焦がれた不死鳥と、遂にひとつになった竜神の少女が、全てを燃やすのだ。
 そしてその炎は、崩壊する世界をも彩る。
 そう――少女は口にしてしまったのだ。滅びの言葉を。

「時よ止まれ、お前は美しい」

●あかの崩壊
「滅びの言葉、か。崩壊を食い止めるべく、カクリヨファンタズムに向かってくれないか」
 筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)は集まってくれた猟兵達に礼を言った後、視た予知の内容を語り始める。
「骸魂は、生前に縁のあった妖怪を飲み込んでオブリビオン化する存在であるが。この世界の妖怪達にとって「大切な存在」が骸魂となって己の元へと戻り、自分とひとつになった事で心が満たされ、思わず「時よ止まれ、お前は美しい」と呟いてしまうという。しかし、これは世界の終わりを告げる「滅びの言葉」。世界が崩壊し始めたというのだ」
 この世界の妖怪達は皆長く生きている為、普段は明るく振る舞っていても、それぞれに後悔や、失った「大切な人」の思い出をいつまでも持ち続けているものも少なくはないと思われる。
 けれどその大切な存在が骸魂となり、自分とひとつになったことで、ついその妖怪は口にしてしまうという――「滅びの言葉」を。それにより、世界が崩れ始めたというのだ。
「そんなカクリヨファンタズムを元に戻す為には、崩壊の中心にある骸魂を倒し、一度はひとつとなった二体を引き裂かなければならない」
 その気持ちに触れれば、思うところがある者もいるだろうが――成さねばならぬ事。世界のためでも、妖怪のためでも、望まずに骸魂となった誰かのためでもあると……そう信じて。

「今回向かって貰うのは、『天灯祭』という祭りが行われる神社だ。千本鳥居が並ぶ緩やかな坂の石段の両脇には今の時期、燃える様に彼岸花が咲き誇っているという。そしてその千本鳥居を潜り抜けた先に、件の骸魂と妖怪がいるようであるが」
 この日、その神社では『天灯祭』という炎に纏わる祭りが行われていて。その祭事の為、社に容易に入れなくなっているのだという。
 けれどひとつだけ、社へと侵入できる手段がある。
「炎を授かる百鬼夜行に参加する事だ」
 それは、『天灯祭』の催しのひとつ。
 あかの彩り満ちる夜のそぞろ歩きを楽しむというものだ。
 面を被って列を成し、手持ちランタンを掲げ、神社へと炎を授かりにいく。
 この百鬼夜行に参加すればよいというわけである。
 しかし崩壊を始め、歪になってしまった世界。そう易々と社へは辿り着けない。
「崩壊する世界の影響か、元凶の妖怪の仕業か。千本鳥居が、無間鳥居へとその様相を変えていて。幾千の階段に幾千の鳥居が連なり、怪異が襲う坂と化し、立ち止まれば更に伸びてゆくのだという」
 幸い、手にしているランタンの炎を嫌がって、生じる怪異は襲ってはこないらしいが。
 彼岸花咲く道の両脇に佇む何かを、視ることくらいはあるかもしれないし、何も視えないかもしれない。
 けれども足を止めずに、幾千の階段を上がり幾千の鳥居を潜って。
 元凶のいる社へと向かって欲しい。
「そして社に居るのは、不死鳥の骸魂とひとつになった竜神の少女。彼女が滅びの言葉を口にしてしまったようだ」
 心に想い焦がれていた存在とひとつになり、彼女は満たされてしまったのだ。
 けれど放っておけば、暴走し、全てをその炎で燃やし尽くしてしまうというので。
 不死鳥の骸魂を倒し、少女から話して欲しいと。そういう内容の依頼である。

「無事に崩壊を止められたなら、『天灯祭』の続きを楽しんで帰還するのも良いだろう。社で授かった炎を、空へと飛ばす事ができる専用のランタンに灯して。願いや想いを込め、夜空に一斉に解き放つようだ」
 その景色はまさに幻想的で圧巻。
 想いや願いを託し、ランタンを空へ飛ばすのも良いし。
 数多の炎が空へと舞う光景を、ただ眺めるだけでも十分に楽しめるだろう。
 周囲には祭り定番の出店なども多数でているので、食べたり飲んだり遊んだり、幻想的な輝きの中、祭りの雰囲気を楽しむのも良いし。
 浴衣で参加する者も多く、自前のものは勿論レンタルも行なっているようだ。

「幻想的なあかに染まる『天灯祭』を楽しむ為にも、まずは骸魂の退治をよろしく頼む」
 清史郎はそう皆に改めて頭を下げた後。
 掌に満開桜のグリモアを咲かせ、猟兵達を様々なあかに彩られる夜へと送る。


志稲愛海
 志稲愛海です。
 よろしくお願いします!

 ※ご連絡※ 第1章のプレイングは、9/15(火)朝8:31より受付開始します。
 それ以前に送信分は流れる可能性があります。

 今回の依頼内容は以下です。

 第1章:無間鳥居(冒険)
 第2章:フェニックスドラゴン(ボス戦)
 第3章:炎燃ゆる夜(日常)

 第1章は、百鬼夜行に加わり、無間鳥居を突破して頂きます。
 百鬼夜行参加条件は『何らかの面を付け、手持ちランタンを掲げている』事。
 面は何でも構いません、夜店に売っている様な物でも。
 貸出もありますのでお好きなものをつけていただければ。
 手持ちランタンは祭りで貸出されますので準備不要です。
 両脇に満開に咲き狂う彼岸花を眺めつつ。
 無間鳥居を潜る百鬼夜行のそぞろ歩きを楽しむだけでもOKですし。
 今回は襲ってこない様ですが、彼岸花咲く中に何かを視る事もあるかもです。
 過去現在未来、大切な存在や逢えるはずのない存在、はたまた自分でもモノでも。
 もしも何かを視る場合は、何を視たのか等記していただければ。

 第2章は、骸魂を倒すボス戦です。

 第3章は、『天灯祭』のひとときを過ごせる日常です。
 想いや願いを込めた空へと飛ばせるランタンを、空へ解き放てます。
 解き放たずその光景を眺めるのも良いですし、夜店巡りもできます。
 具体的にどの様に楽しめるかの詳細は断章にて改めて掲載いたします。
 お声掛けあれば、この第3章のみ、清史郎もご一緒させていただきます。

 自前の浴衣は勿論、浴衣の貸出も行なっていますので、よろしければ!
 勿論、浴衣以外でも構いません。

 公序良俗に反する事、他の人への迷惑行為、未成年の飲酒は厳禁です。
 第2章第3章の詳細は、前章の結果を受け、追加OPを記載します。
 締切等はMS個別ページやTwitterでお知らせします。

●お願い
 同行者がいる場合は【相手の名前(呼称可)と、fからはじまるID】又は【グループ名】のご記入お願いします。
 ご記入ない場合、相手と離れてしまうかもしれませんのでお忘れなく。

 グループ参加の人数制限はありません、お一人様~何人ででもどうぞ!
 ですが複数人の場合は失効日の関係上、同行者と送信タイミングが離れすぎていたり、ご指定の同行者が参加していない場合は返金となる可能性もあります。

 可能な限り皆様書かせていただきたく思っています。
 どうぞお気軽にご参加ください!
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第1章 冒険 『無間鳥居』

POW   :    鳥居ごと破壊し駆け抜ける

SPD   :    怪異の元を絶ちながら進む

WIZ   :    魔法で止まらぬよう細工して登る

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

薬師神・悟郎
天狗の面で顔を覆い、貸し出されているランタンを手に百鬼夜行に加わろう

咲き狂う彼岸花の赤、赤、赤
俺の本能が好む鮮血とは似て非なるその色が視界いっぱいに広がれば集中が途切れそうになりそうだ
この永遠に続くような光景に、どこまで自分が保てるだろうか…

視線の先、ぼんやりと見えるのは夢、幻か
いや、彼らが魅せる悪戯かもしれない
「…間違いない、あれは俺だ」
真の姿、ヴァンパイアの
奴のフードの下から覗く赤い目がこちらを見返したのを見て、混乱しそうだ
過去現在未来を視ることがあると聞いたが、ならば、あれは…?

…考えるのは全てが終わってからでも遅くはない
百鬼夜行はまだまだ続く
置いていかれないように、しっかり着いていこう



 夜空に掲げたランタンにゆうらり揺れる炎のもいろも。
 そして手に取り選んだ面も、赤ら顔の天狗のもの。
 今宵、その整った顔立ちを隠すのは、フードではなく天狗の面。
 そんな天狗に扮した薬師神・悟郎(夜に囁く蝙蝠・f19225)はランタンを手に、一員に加わる。
 今宵限りの、特別な百鬼夜行に。
 そんな行列がそぞろ歩く夜に浮かぶのは、ただひたすらに燃ゆるあかのいろ。
 無間に続く朱の鳥居の両脇に燃えるのは、咲き狂う彼岸花の赤、赤、赤――。
 そのあかの只中で、悟郎は思ってしまう。
(「この永遠に続くような光景に、どこまで自分が保てるだろうか……」)
 本能が好む鮮血とは、似て非なるその色。
 それが視界いっぱいに広がれば――集中が途切れそうになりそうだ、と。
 そんな乱れ咲く赤へとふと向けた、視線の先。
 ……なにかが、いる。
(「ぼんやりと見えるのは夢、幻か。いや、彼らが魅せる悪戯かもしれない」)
 だってその姿は、悟郎がよく知っているものであるから。
 月の様な金の瞳に映る者、それは。
「……間違いない、あれは俺だ」
 けれど、今の自分とは違う自分。真の姿、ヴァンパイアの――。
 刹那、悟郎は混乱しそうになる。
 フードの下から覗く赤い目が、己の姿を捉えたのを見て。
 そして、その赤い視線をいまだ感じつつも、ふと思う。
 ――過去現在未来を視ることがあると聞いたが、ならば、あれは……?
 けれどふるりと、悟郎は首を横に振る。
(「……考えるのは全てが終わってからでも遅くはない」)
 だって、まだまだ百鬼夜行は続くし。
 それに、足を止めれば……ずらり並ぶ鳥居の赤から、いつまでたっても逃れられないから。
 悟郎はそんな数多の赤に惑わされぬよう、纏う天狗面をより目深に被る。
 ――置いていかれないように、しっかり着いていこう、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御剣・刀也
POW行動

白塗りの狐の面を顔の横につけている
鳥居を殴り壊しつつ進み、彼岸花のほうを見ると、サムライエンパイアで戦った上杉謙信の影をおぼろながらに見つける。
その場で立ち止まって、謙信と戦いの事を目で語り合っているかのように、しばらくその場にたたずんで、影が消えたら笑いながらまた百鬼夜行の列に加わっていく。
(謙信、お前との戦いは楽しかったぜ。いつか、お前の領域にまで進んでみせる。そして、俺が死んで、お前が転生してなかったら、酒でも飲みながらその時の話をしよう)



 何処まで、何時まで続くか分からない、連なる朱色の無間鳥居。
 この延々続きそうなほどの数がある鳥居を潜り抜ける為には、妖怪に化ける必要があるという。
 面を着けて妖怪になり、赤に照る灯火を掲げて……百鬼夜行の行列に参加しなければならないという。
 そして御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)が選んだ面は、白塗りの狐。
 その狐面を、顔の横にちょこんとつけてから。
 準備が整えばただひたすら、あかで満ちる世界へと、行列と共に足を踏み入れる。
 これは――オブリビオンの魅せる幻。
 いくら潜り抜けれども、延々と続く朱の鳥居。
 けれども刀也は、それに惑わされない。
 無間に続く鳥居を殴り、壊しつつ進みながらも。
 ふと鳥居とはまた別のいろを帯びた、その両脇に並んで燃える、彼岸花の赤。
 そしてその只中に、人の影を視る。
 それが誰であるか――刀也には、すぐわかったのだった。
 朧げながらに見つけた影。
 それは――サムライエンパイアで戦った、上杉謙信の影であった。
 足を止めてはいけないと、そう告げられていたけれど。
 敢えて刀也は立ち止まり、暫くその場に佇む。
 謙信と戦いの事を目で語り合っているかのように。
 そしてふっとその影が消えれば、笑いながらまた百鬼夜行の列に加わって。
(「謙信、お前との戦いは楽しかったぜ。いつか、お前の領域にまで進んでみせる」)
 朱の鳥居を壊し進みつつも、今度は足を止めずに。
(「そして、俺が死んで、お前が転生してなかったら」)
 刀也はこう、続ける。
 ――酒でも飲みながらその時の話をしよう、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トート・レヒト
【神玄世】

狐の面を被り、ランタンを手にしてゆっくり歩く
無限鳥居は幻想的だが少し恐い
空いた手で親友の服の裾を掴む

なんて、子供みたいだろうかと君は笑うだろうか
現に今だって子供扱いしてくるし
俺の方が年上なんだぞぅ

彼岸花の先には何も見えないが…彼は違ったのだろう
しょげたような、動揺したような、そんな様子
視たな――屹度、お兄さんを

もう居ないお兄さんに妬まれ疎まれてきたんだと話してくれたのは、もう随分前になる
その心がヴィランの改造によって引き出された本心であったということも

なぁ、三嵩祇くん
君の心に根付いたものがどんなに深くとも、俺は君を置いて行ったりしないからな
だから安心して、今は心を預けてくれ


三嵩祇・要
【神玄世】

夜店で買った雷神の面
ランタンを手に

連れの歩調に合わせ無間鳥居を進む

面の所為で視界が悪いんだ
ぼんやりしてっと転ぶぞ
別にガキ扱いはしてねぇだろ
心配してるとは言えねぇが

掴まれた裾はそのまま好きにさせておく
依頼にはまだ不慣れだろうから
こいつの代わりにオレが気を張ってないと

彼岸花に過去の兄貴を見た
オレの唯一の味方だった

兄貴がヴィランの手下になってから
本当は嫌われてたと知った

兄貴を慕って付き纏う程
憎しみが増したのだろうと今ならわかる

過去は変えられないが
レヒトに出会った時に兄貴みたいだと思った事は燻り続けている
同じ過ちを繰り返すのではと
そんな内心は奥底に留めて
「頼りにしてるよ」と親友に返し先を急ぐ



 同じ夜を照らす灯火でも、纏う雷神の面を買った賑やかな夜店のものと。
 手元でゆうらり揺れるランタンのいろは、全く違った印象で。
 それを恐らく自分よりも強く感じている様子なのは、隣をゆっくり歩く親友。
 三嵩祇・要(CrazyCage・f16974)は、狐の面を被った連れ――トート・レヒト(Insomnia・f19833)の歩調に合わせながらも。
 彼と共に、もう幾つ目になるか分からない鳥居を潜り抜ける。
 赤きランタンの灯火に、朱が連なる無間鳥居、紅を咲かせた彼岸花たち。
 ――無限鳥居は幻想的だが少し恐い。
 そう感じてしまうトートの空いた手が伸びたその行先は、親友の服の裾。
(「なんて、子供みたいだと君は笑うだろうか」)
 きゅっと彼の服掴んだ手はそのままに、思わずそう微か苦笑すれば。
「面の所為で視界が悪いんだ。ぼんやりしてっと転ぶぞ」
 刹那降って来たのは、そんな声。
 要の言葉に、現に今だって子供扱いしてくるし、と。
 ちらり黒の瞳で僅か、その雷神の面纏う顔をトートは見上げて。
「俺の方が年上なんだぞぅ」
「別にガキ扱いはしてねぇだろ」
 むう、と向けられた声に、要はそう言って返す。
(「依頼にはまだ不慣れだろうから、こいつの代わりにオレが気を張ってないと」)
 心配してる――なんて思っている事は、言えないけれど。
 だから、そのまま好きにさせておく。伸ばされた手で掴まれた裾は。
 けれど……ふと緑の視線を巡らせれば、要は彼岸花の中に見つけてしまう。
(「オレの唯一の味方だった」)
 ――過去の、兄の姿を。
 当たり前の日常が当たり前でなくなった時。
 突き付けられたのは、思いもよらなかった残酷な事実。
 兄がヴィランの手下になってから、要は漸く知ったのだ――本当は嫌われていたと。
 けれど、今ならわかる。
(「兄貴を慕って付き纏う程、憎しみが増したのだろう」)
 彼岸花咲く中で自分を見つめている兄が、どんな目をしているのか。
 やはりあの時と同じ、憎悪のいろを宿しているのだろうか……。
 けれどあの兄が幻だと分かっていても、それを平然と受け止めることなんて、出来やしない。
 そしてトートは、そっと雷神の面を目深におろした連れの姿を見て、気付く。
(「彼岸花の先には何も見えないが……彼は違ったのだろう」)
 先程までは、年上の自分を子供扱いしていたのに。
 今、隣に在る要は……しょげたような、動揺したような、そんな様子。
 そしてその理由が、トートには察しがついたのだ。
 ……視たな――屹度、お兄さんを、って。
 もう随分前になるが、話してくれたことがある。
(「もう居ないお兄さんに妬まれ疎まれてきたんだと……その心がヴィランの改造によって引き出された本心であったということも」)
 ――けれど。
「なぁ、三嵩祇くん」
 トートはふと彼を呼んで、こう続ける。
「君の心に根付いたものがどんなに深くとも、俺は君を置いて行ったりしないからな」
 ――だから安心して、今は心を預けてくれ、って。
 そんな、親友から向けられた言葉に。
「頼りにしてるよ」
 そう返し、要は先を急ぐ。
 過去は変えられない、それは分かっている。
 だが、どうしても燻り続けているのだ。
 親友に出会った時に……兄貴みたいだと思った事は。
 そして、だからこそ恐れてしまう――同じ過ちを繰り返すのではと。
 けれど、そんな内心を奥底に留めておく要も。
 その隣を並んで歩くトートも、互いに思っている。
 隣の連れには――俺以外に友達いないから、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

硲・葎
三日月さん(f01960)と。
わ、すっごい……鳥居がたくさん。
これはちょっと圧巻だね。
お面は虎の面をお借りしようかな。
白いのにしようかな。綺麗でちょっと神秘的。三日月さんは鬼面?かっこいいね!
わあ、景色綺麗だね……!
彼岸花……何か見えたりするかなあ。彼岸花之葬が反応してくれたら嬉しいんだけど。第六感と視力を使って辺りを確認しようかな。
厳しいようなら、野生の勘で大体の位置だけでも……。
あれは……人?お兄ちゃんやパパとママが……楽しそうにしてる。大丈夫、私も幸せだよ。三日月さん、何か見えたりした?私は家族が見えたよ。
あ、はぐれないようにしないとね。
キョロキョロしすぎないように。


月隠・三日月
硲さん(f01013)と共に

千本鳥居……凄い迫力だな。
……と、気圧されている場合ではないね。まずは百鬼夜行に加わらなくては。
手持ちランタンと、あとは面が必要なのか。角が引っかからないように、額が出る面がいいな。鬼の面など似合うだろうか。
硲さんは白虎の面かい? 品があって硲さんによく似合っているよ。

百鬼夜行に加わって、無間鳥居を突破しよう。
彼岸花の中に何かがいるかもしれないとは聞いたけれど、特には何も見えないな。しかし美しい景色だね……普通に観光として来たかったものだよ。
あまり花ばかり見ているとはぐれてしまうかもしれないから、程々にしておこう。
……硲さんはどうだろう? 何か見つけたかい?



 夜の闇に数多浮かぶそのいろは、ただひたすらに、あか一色。
「わ、すっごい……鳥居がたくさん」
 ……これはちょっと圧巻だね。
 そう延々と何処までも連なる朱を眺め、紡いだ硲・葎(流星の旋律・f01013)に。
「千本鳥居……凄い迫力だな」
 月隠・三日月(黄昏の猟兵・f01960)も、こくりとそう頷くけれど。
「……と、気圧されている場合ではないね。まずは百鬼夜行に加わらなくては」
 数多の朱を潜り抜けるべく、妖怪達のそぞろ歩きの一員となる。
 そのために必要だというのは、手持ちランタンと面。
 そして三日月が纏うのは鬼の面。角が引っかからないように、額が出るものを選んで。
「白いのにしようかな。綺麗でちょっと神秘的」
「硲さんは白虎の面かい? 品があって硲さんによく似合っているよ」
「三日月さんは鬼面? かっこいいね!」
 似合うだろうか、なんて訊ねる三日月に、大きく頷いて返す葎。
 そしてそれぞれ、鬼と白虎に扮したふたりは、あかのいろだけしかない世界を並んで歩く。
「わあ、景色綺麗だね……!」
 葎の瞳に映り、移りゆくのは、あかはあかでも、様々な彩のあか。
 ずらりと並ぶ鳥居の朱に、手元でゆうらり揺れる灯火の赤。そして。
「彼岸花……何か見えたりするかなあ」
 無間鳥居の石段の両脇に咲き誇る、彼岸花の紅。
 三日月は鬼面の下から、黒の瞳をその紅の只中へと凝らしてみるけれど。
「彼岸花の中に何かがいるかもしれないとは聞いたけれど、特には何も見えないな」
 映るのは、咲き誇り、さわりと夜風に揺れる花々だけ。
 だが燃えるように闇に咲くいろは、妖しくも幻想的で。
「しかし美しい景色だね……普通に観光として来たかったものだよ」
 そうじっくりと楽しんでばかりではいられない現状に、そう呟きを落としたあと。
 ……硲さんはどうだろう?
 そうそっと、隣の白虎面纏う彼女を、三日月は見遣ってみる。
 そんな葎も、第六感や視力を駆使し周囲を見回して。
(「彼岸花之葬が反応してくれたら嬉しいんだけど」)
 そうそっと手に取るのは、夜に咲く花と同じ色を宿す、赤い刃の妖刀。
 ――それと同時に。
 握る彼岸花之葬が纏う妖気が、仄かにそのあかを深くした気がして。
「あれは……人?」
 顔を上げれば……彼岸花咲くそこには、いつの間にか数人の影が。
 そしてそれが誰のものか、葎にはすぐわかったのだった。
(「お兄ちゃんやパパとママが……楽しそうにしてる」)
 その姿をみれば、あの日のことが思い出されて、胸がぎゅっとなってしまうけれど。 
 でも、今はひとりじゃないから。
 彼岸花の向こうに視える家族へと、葎はちゃんと告げる。
 ――大丈夫、私も幸せだよ、って。
 そんな葎の様子に気付いた三日月は、ふと首を傾けて。
「何か見つけたかい?」
 そう訊ねる彼を見上げ、葎はこくりと頷く。
「三日月さん、何か見えたりした? 私は家族が見えたよ」
 そして三日月も、彼女の視線を辿ってみるけれど……やはりそこにあるのは、風に揺れる彼岸花の紅だけ。
 彼女には、きっと何かが視えているのだろう。
 ……けれど。
「あまり花ばかり見ているとはぐれてしまうかもしれないから、程々にしておこう」
「あ、はぐれないようにしないとね」
 やはりちょっぴり、彼岸花の向こう側は気にはなるけれど。
 ……キョロキョロしすぎないように。
 そう葎は三日月と共に、何本もの朱い鳥居を潜ってゆく。
 もう、振り返らず……足を止めずに。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
あ、アヒルさん、アヒルさん、見てください。
アヒルさんにそっくりなお面です。
あれ、アヒルさん、どうしたんですか?
後ろなんて向いたりして。
あ、ごめんなさい。
このお祭りはお面を付けていないと参加できないんでしたよね。
私ばっかり浮かれて・・・
ふええ、アヒルさん、しっかりひょっとこさんのお面をしているじゃないですか。
なんでそんな落ち込んだようにしていたんですか?
ふえ、そのお面じゃ私のことをつつけないからって、つつく必要はないじゃないですか。



 これから加わるのは、妖怪達が列を成しそぞろ歩く、百鬼夜行。
 けれど、それににはまずは、準備が必要。
 フリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)は、配られた赤い灯火のランタンを貰ってから。
 もうひとつの必要アイテムを借りるべく、ちょっぴりおどおどしながらも視線をそっと巡らせて。
 ふと目に入ったそれを指差し、アヒルさんに声を掛ける。
「あ、アヒルさん、アヒルさん、見てください。アヒルさんにそっくりなお面です」
 百鬼夜行に参加するために必要なもの。
 それは、夜に掲げる赤のランタンと、妖怪に化けるためのお面。
 フリルは見つけたアヒルさんに似たお面を、アヒルさんにも見せてあげようとするけれど。
「あれ、アヒルさん、どうしたんですか? 後ろなんて向いたりして」
 アヒルさんの様子に、不思議そうにこてんと首を傾げてから。
「あ、ごめんなさい。このお祭りはお面を付けていないと参加できないんでしたよね。私ばっかり浮かれて……」
 ついはしゃいでしまった自分を反省するように、そうアヒルさんに謝るフリル。
 けれど、ようやく振り返ったアヒルさんを見て、瞳を思わずぱちくり。
 だって、ちゃっかりアヒルさん。
「ふええ、アヒルさん、しっかりひょっとこさんのお面をしているじゃないですか。なんでそんな落ち込んだようにしていたんですか?」
 ひょっとこさんのお面を、いつの間にか装備!?
 けれど、じゃあ何故、後ろを向いてばかりだったかといえば。
「ふえ、そのお面じゃ私のことをつつけないからって、つつく必要はないじゃないですか」
 ひょっとこさんも、ちょっぴりだけ口がとがってはいるけれど。
 しょんぼりしていたのは、いつもみたいにフリルのことをツンツンできないから、だそうです……!?

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジノーヴィー・マルス
アイシャ(f19187)と。

浴衣、なんて猟兵になる前はあんまり着たことないけどな、多分。でも、ちゃんと着れてるんならよかった。
アイシャも似合ってるぜ。
お面かー……まぁ、ぶっちゃけそこは何でもいいし、適当に取ったやつを揃えて付けるか。

さ、ランタンも借りた事だし、行列に混ざりますか。
何かこう、自分も妖怪になっちまった気分だ。おれは妖怪ものわすれ…ってか?

彼岸花…ねぇ。確かに綺麗だけど、皆揃って赤ばっかなのはどういう事なんだろうな。
…誕生花なんだ、いい事聞いた。

花の向こう、俺には何も見えねえが、アイシャは何か見えたのかね…。
いつまで、か。少なくとも今は一緒にいる。それだけは確かな事だろ?


アイシャ・ラブラドライト
f17484ジノと
口調→華やぐ風
ジノ以外には通常口調

浴衣(全身図参照)を着て、基本的にはジノの肩に座っている

浴衣姿のジノ、かっこいいよ
お面付けないとだね…どんなのにする?
あはは、お面のくじ引きだね…何になるかな

妖怪さんたちのなかに混ざって歩くなんて不思議な気分
いろんな妖怪さんがいて面白いね

私、彼岸花って好き
幻想的だし…私の誕生花なんだよ
綺麗だよね
夢の中に居るみたい

花の向こうに穏やかな笑みをたたえた青年の姿をみて息を飲む
それは記憶を失った直後に拾ってくれた主人の姿

肩に置いた手にぎゅっと力を込める
ねぇジノ、私はいつまでジノの近くに居られるんだろう

ん…そうだね。変なこと聞いてごめん
今この時を楽しもう



 今宵染まるそのいろは、数多のあか。
 けれど、そんなあかの世界に足を踏み入れる、その前に。
「浴衣、なんて猟兵になる前はあんまり着たことないけどな、多分」
 記憶は全て失ったから、本当のところは分からないけれど。
「浴衣姿のジノ、かっこいいよ」
「アイシャも似合ってるぜ」
 己の肩にちょこんと座っているアイシャ・ラブラドライト(煌めく風・f19187)に、そう返しつつも。
 ジノーヴィー・マルス(ポケットの中は空虚と紙切れ・f17484)はそっと瞳を細める。
 ……でも、ちゃんと着れてるんならよかった、って。
 それからアイシャは、ぐるりと周囲を見回してみて。
「お面付けないとだね……どんなのにする?」
 百鬼夜行に加わるために必要だという面を借りるべく、そう彼に訊ねてみれば。
「お面かー……まぁ、ぶっちゃけそこは何でもいいし、適当に取ったやつを揃えて付けるか」
「あはは、お面のくじ引きだね……何になるかな」
 お面選びも、どきどきのお楽しみ。
 せーの、で一緒に引いてみれば――ジノーヴィーは黒、アイシャは白の、お揃いの狐面。
 そんな白と黒の狐さんに扮して、赤の灯火を手にすれば、準備も万端。
「さ、ランタンも借りた事だし、行列に混ざりますか」
「妖怪さんたちのなかに混ざって歩くなんて不思議な気分」
 ……いろんな妖怪さんがいて面白いね、って。
 そう、ちょっぴりわくわくした響き纏うアイシャの声に、ジノーヴィーもこくりと頷く。
「何かこう、自分も妖怪になっちまった気分だ」
 ――おれは妖怪ものわすれ……ってか? って。
 そして行列を成す妖怪仲間と共に、幾つもの朱の鳥居を潜りながら。
 赤い灯火を掲げ、ジノーヴィーは首を傾ける。
「彼岸花……ねぇ。確かに綺麗だけど、皆揃って赤ばっかなのはどういう事なんだろうな」
 無間鳥居の両脇に延々咲き誇る彼岸花も、燃えるような紅。
 夜にただ一色浮かぶそのいろには、何か特別な意味があるのだろうか。
 そんなことを考えるジノーヴィーの肩の上から、アイシャも満開の彼岸花を見つめ、紡ぐ。
「私、彼岸花って好き」
 ――幻想的だし……私の誕生花なんだよ、って。
「綺麗だよね。夢の中に居るみたい」
「……誕生花なんだ、いい事聞いた」
 緑色の瞳にも紅の花を咲かせるアイシャの言葉に、そうジノーヴィーはぼそりと呟きを落とす。
 けれど、ふとアイシャの瞳に、あかのいろ以外のものが映って。
 そしてそれが何か、いや……誰なのかに気付いた瞬間、思わず息を飲んでしまう。
 紅に咲く、その花の向こう。
 穏やかな笑みをたたえた、青年の姿に気付いて。
 刹那、無意識的に、ぎゅっと彼の肩に置いた手に力がこもる。
 それは――記憶を失った直後に拾ってくれた、主人の姿。
 そして、アイシャの力のこもった手に、ジノーヴィーは気付いて。
 彼女の視線を、そっと追いかけてみるけれど。
(「俺には何も見えねえが、アイシャは何か見えたのかね……」)
 ただ彼の瞳に映るのは、沢山のあかのいろだけ。
 そして耳に届いたのは、呟くようなこんな声。
「ねぇジノ、私はいつまでジノの近くに居られるんだろう」
 その声には、様々な想いが入り混じっているような気がして。
 けれど、敢えて詳しくは聞かないまま、ジノーヴィーは答える。
「いつまで、か。少なくとも今は一緒にいる」
 ――それだけは確かな事だろ? って。
 そんな彼の返答に、アイシャはこくりと頷いて。
「ん……そうだね。変なこと聞いてごめん」
 そうっと、あかのいろに佇み向けられる穏やかな笑みに背を向け、ジノーヴィーと共に進む。
 足を止めれば、彼と逸れてしまうかもしれないから。
 このあかの世界で迷子にならないように――今この時を楽しもう、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

怨燃・羅鬼
天灯祭!お祭りいいネ!
お祭りを楽しむためにもじゃあ崩壊を止めないとネ☆

らきちゃんは般若面を被っていくよ!
可愛いでしょ☆

それじゃあ☆社へ、れっつごー☆


陰摩羅鬼、それは人の死体の気より生じた妖怪…
あぁ、あそこにいるのは…で死んだ俺ではないか…
あぁ、あそこにいるのは…で死んだ私ではないか…
僕では、儂では、ウチでは、

口惜しや、口惜しや、口惜しや…


だから、皆の気が済むまで殺すネ☆
そして、また陰の気を取り込んで自身とし気が済むまで…


……ん、ずっと同じ景色でらきちゃんぼーとしてたみたいだネ☆
早く終わらせてお祭り楽しみたいネ☆

もし、全ての陰の気が満足したら羅鬼はどうなるんだろうネ?



 燃えるように夜に満ちるあかの色も、炎上系アイドルにぴったりの舞台……?
「天灯祭! お祭りいいネ!」
 そうはしゃぐように声を上げるのは、怨燃・羅鬼(怒りの心を火に焚べろ・f29417)。
 けれどこのままだったら、楽しみなお祭りが台無しになってしまうみたいだから。
「お祭りを楽しむためにも、じゃあ崩壊を止めないとネ☆」
 この世界の崩壊を防ぎ、祭りを目一杯満喫するために、百鬼夜行に加わる羅鬼。
 そんな彼女も勿論、必須装備は忘れていません。
「らきちゃんは般若面を被っていくよ!」
 ……可愛いでしょ☆
 そうアイドルの様にきゃるん☆ と決めポーズを取りつつも。
「それじゃあ☆ 社へ、れっつごー☆」
 そして延々続く無間鳥居を潜ってゆけば。
 さわりとゆれる、燃えるような赤の花の只中に、視えては聞こえる声たち。
 ――陰摩羅鬼、それは人の死体の気より生じた妖怪……。
 ――あぁ、あそこにいるのは……で死んだ俺ではないか……。
 ――あぁ、あそこにいるのは……で死んだ私ではないか……。
 ――僕では、儂では、ウチでは、

 口惜しや、口惜しや、口惜しや……。

 だから羅鬼は、皆の気が済むまで殺して恨みを晴らすのだ。
 そして、また大好きな陰の気をいっぱい取り込む。
 自身とし、気が済むまで……。
 それからぱちくりと、羅鬼はアイドル然に瞳を瞬かせて。
「……ん、ずっと同じ景色でらきちゃんぼーとしてたみたいだネ☆」
 早く終わらせてお祭り楽しみたいネ☆ って、わくわく再び心躍らせつつ。
 無間鳥居の朱を幾つも潜り抜けながら、ふと首を傾け、思うのだった。
 ――もし、全ての陰の気が満足したら羅鬼はどうなるんだろうネ? って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

揺・かくり
【幽楽】

仮面と提灯は貸出の中から拝借しよう
此れと云った拘りは持ち合わせていないのさ
適当に見繕ってくれるかい。

一夜限りの夜行
此度は呪符を張り付け、地を歩んで往こう
其の様な気分なのさ。

幽世を彷徨う中で夜行を見掛ける事は有れど
此度の様に参列をする事は初めてなのだよ。
ああ、どうやら君も同じ様だね

美しいものには秘め事が有る
曼珠沙華ならば花の毒なのだろう
何とも妖美で不可思議な光景だ。

鮮紅の花海の向こうに揺らめく波が見える
ゆら、ゆら。あれは水面だろうか
其れが、私から欠けた過去だと云うのかい。
何を伝えようとしているのだろうね
残念だが、私には理解が出来ないよ

ああ、悪くはない。
此の夜行の終着まで、歩みを進めようか


ミア・レイシッド
【幽楽】

鴉の面を被って参加をするのだわ。
灯りは借りましょう。

もう随分と幽世にはいるけれど、百鬼夜行に参列するのは初めてなのだわ。
わたくしや王様のような鴉は、参加を許されていないのよ。
烏天狗がいるから、全てあの子に任せているの。

彼岸の花がきれいね。
真っ赤な色をしているのだわ。
あれには毒があるって知っていらっしゃるかしら。
わたくしたちが誤って食べると、暫く床に伏してしまうのよ。

彼岸花を見ていると霞がかった景色が見えたのだわ。
あれは、わたくしの過去かしら。
悲しい過去は誰にでもあるでしょう。
わたくしはそれを受け止めているのだわ

さらなる悲劇を起こさないようにすれば良いだけよ
漫ろ歩きはたのしいのだわ



 夜の闇に灯る数多のあかに照らされながら。
 借りたランタンを握り、その顔を鴉の面で覆うのは、ミア・レイシッド(Good night・f28010)。
 その隣で、適当に見繕ってくれるかい、と。
「此れと云った拘りは持ち合わせていないのさ」
 言った揺・かくり(うつり・f28103)へと手渡されたのは、白に赤の模様が入った兎面。
 そんな兎面をつけたかくりは、呪符を張り付け歩む。
 何せ今宵は、一夜限りの夜行――地を歩んで往こうって、其の様な気分だから。
 いや、この世界に在るかくりにとって、幽世を彷徨う中で夜行を見掛ける事は有れど……此度の様に参列をする事は、初めて。
 そんなことを思っていれば。
「もう随分と幽世にはいるけれど、百鬼夜行に参列するのは初めてなのだわ」
 ……わたくしや王様のような鴉は、参加を許されていないのよ、と。
 そう聞こえたミアの声に、かくりは兎面の下の金の瞳を細める。
「ああ、どうやら君も同じ様だね」
「烏天狗がいるから、全てあの子に任せているの」
 ミアは加わった行列に抗わず無間鳥居を潜り、歩み進めながらも。
 ふと、青い瞳に咲いた数多の紅に目を向け紡ぐ。
「彼岸の花がきれいね。真っ赤な色をしているのだわ」
 ……あれには毒があるって知っていらっしゃるかしら、って。
 そう、燃える様に群れて咲く眼前の花たちを見遣れば。
「わたくしたちが誤って食べると、暫く床に伏してしまうのよ」
「美しいものには秘め事が有る。曼珠沙華ならば花の毒なのだろう」
 かくりも、毒を秘めつつも咲き誇る花たちを眺め、その紅を暫し楽しむ。
 ……何とも妖美で不可思議な光景だ、って。
 そして、不意にさわさわと。
 鮮紅の花海が揺らめいた、その向こう。
 ゆら、ゆら――あれは水面だろうか。
 其処までは分かったものの、かくりはこてりと首を傾げる。
「何を伝えようとしているのだろうね。残念だが、私には理解が出来ないよ」
 紅の奥に立つ、その波の揺るぎを見つめながら。
 ……其れが、私から欠けた過去だと云うのかい、って。
 そんな揺蕩いを視るかくりの隣で。
 ミアの瞳に映るのは、ぼやけて霞む霧の景色。
「あれは、わたくしの過去かしら」
 その霞がかった風景に、ミアもそう呟きを落とすけれど。
 だからと言って、その足を止める事はない。
 だって、ミアはそれを受け止めているのだから。
「悲しい過去は誰にでもあるでしょう」
 ……さらなる悲劇を起こさないようにすれば良いだけよ、なんて。
 むしろそう、笑んでさえみせる――漫ろ歩きはたのしいのだわ、って。
 そしてそれは、隣を往くかくりだってそう。
「ああ、悪くはない」
 ――此の夜行の終着まで、歩みを進めようか、って。
 兎面と鴉面を染める赤の灯火をゆうらり揺らしながら。幾つもの朱を、潜ってゆく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒鵺・瑞樹
アドリブOK

現在正しくは無限鳥居だが、千本鳥居に彼岸花。馴染みもあって好きなものが目一杯あるとは。普通に観光なら文句なしの状況なんだけど。
シンプルに狐面とで迷ったけど、月の神使の白兎の面をつけて、ランタンを借りて。
百鬼夜行か。なんだか可笑しい。
UDCには付喪神が百鬼夜行してる絵もあるし、そこと繋がってるカクリヨでヤドリガミが百鬼夜行に参加してるってのがな。

ランタンの灯りを頼りに時折彼岸花を眺め進んでいく。
盆・彼岸だと見えてしまう方、というかうろついてるのが普通だと思ってたから、人影程度なら見えても気にしない。
というか気にしたら負けだし。夜の寺社なら見えてしまうものと割り切ったほうが精神的に楽。



 夜に浮かび上がる数多のあか。
 そんないろに密かに心躍らせるのは、黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)。
 それも無理はない。
(「現在正しくは無限鳥居だが、千本鳥居に彼岸花。馴染みもあって好きなものが目一杯あるとは」)
 ……普通に観光なら文句なしの状況なんだけど、と。
 そう呟きを落とす彼にとって馴染み深く、好きなものが沢山なのだから。
 そして選ぶ面はちょっぴりだけ迷って。
 シンプルに狐面と目移りしたけれど――纏うのは、月の神使の白兎の面。
 借りた赤の灯火照るランタンを手にすれば、そぞろ歩く妖怪の仲間入り。
 ――百鬼夜行か。なんだか可笑しい。
 瑞樹はそう青い瞳をつい細めてしまう。
 UDCには付喪神が百鬼夜行してる絵もあるし。
(「そこと繋がってるカクリヨでヤドリガミが百鬼夜行に参加してるってのがな」)
 そう白兎に扮しながら、ランタンの灯りを頼りに。
 朱色の鳥居を潜り、時折彼岸花を眺め進んでいく。
 その紅咲く花の中、いくつか影を視た気がするけれど。
 盆・彼岸だと見えてしまう方、というかうろついてるのが普通だと思っていた彼にとって、視えても気にするようなものでもなく。
(「というか気にしたら負けだし」)
 瑞樹は足を止めず、社へと向かう。
 ――夜の寺社なら見えてしまうものと割り切ったほうが精神的に楽、と。
 そう、知っているから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桜枝・冬花
【偶々お会いしたティーシャ(f02332)さまとご一緒に】

あら、ティーシャさま?
お面があるのに、よくお分かりになりましたね
この髪と桜の枝のせいでございましょうか
ええ、勿論、喜んで
皆さまをお助けすることこそ、メイドの本懐にございます

わに……でございますか?
確か、お口の大きい、水に棲むものでしたね
わたくしはこちら、狐さんです

満開の彼岸花はどこか身の引き締まるようでいて
すこうし、怖ろしくも感じてしまいますね

……ああ、その向こうに立つのは
朧な影だけでも判る
長い黒髪のうつくしい、わたしのあねさま

顔を上げることはいたしません
いつものように笑ってくださったら、帰りたくなってしまうから
――もう、帰れないのに


ティーシャ・アノーヴン
桜枝・冬花(f22799)さんを見かけてご一緒に。

百鬼夜行がどういうものかは良く知りませんが。
少し楽しそう、と言うと不謹慎でしょうか。

でも一人と言うのは少々不安ですわね。
・・・あら、あらあら、あの人は?
もしかして冬花さん?
奇遇ですね、貴方もご参加されるのですか?
同じ旅団のよしみ、よろしければご一緒しませんか?

わにのお面を探したのですが、見つかりませんでした。
ですので、この犬っぽいお面にしました。冬花さんは?
ふふ、では参りましょうか。

見える影は故郷の方々ですわね。
もうきっと今生会えない方々。両親や、律儀で厳しい弟。
懐かしい気持ちになります。あちらは厄介者扱いでしょうけれど。
・・・どうかお元気で。



 故郷の森は勿論、これまで赴いたところともまた違った、妖たちの世界。
 そんな、崩壊が常な幽世の風景に。
 お淑やかな様に見えるけれど、旺盛な好奇心を宿した紫の瞳を巡らせながら。
(「百鬼夜行がどういうものかは良く知りませんが。少し楽しそう、と言うと不謹慎でしょうか」)
 これから始まる、妖怪達のそぞろ歩きに密かにわくわくしてしまうのは、ティーシャ・アノーヴン(シルバーティアラ・f02332)。
 とはいえやっぱり、まだよく知らない世界で一人と言うのは、少々不安でもあって。
 きょろりと窺う様に周囲を見回してみれば。
「……あら、あらあら、あの人は?」
 ふと目に映ったのは、見知った人物の姿。
 ティーシャは瞳をぱちくりさせながらも、そんな彼女へと近づいて。
「もしかして冬花さん?」
 そう声を掛ければ、振り向いた桜枝・冬花(くれなゐの天花・f22799)も、驚いた様に声を上げる。
「あら、ティーシャさま? お面があるのに、よくお分かりになりましたね」
 ……この髪と桜の枝のせいでございましょうか、なんて。
 そう首を傾ける彼女に、ティーシャはこんな提案を。
「奇遇ですね、貴方もご参加されるのですか? 同じ旅団のよしみ、よろしければご一緒しませんか?」
 そんな誘いの声に、こくりと頷く冬花。
「ええ、勿論、喜んで。皆さまをお助けすることこそ、メイドの本懐にございます」
 そしてふたり並んで、赤の灯火を手に。
 連なる朱い鳥居を潜らんと、行列に加わる。
 そんな百鬼夜行に参加するために必要なのは、手に握るランタンと、そして顔を覆うお面。
 ティーシャは借りたお面を手に、ちょっぴりだけ残念そうに口にする。
「わにのお面を探したのですが、見つかりませんでした。ですので、この犬っぽいお面にしました」
 大好きなわにのものは、生憎見当たらなかったけれど。
 犬っぽいお面を付けてから、冬花さんは? と訊ねてみれば。
「わに……でございますか? 確か、お口の大きい、水に棲むものでしたね。わたくしはこちら、狐さんです」
 狐さんに扮した彼女へと笑み、進み始めた行列に抗わずに歩み始める。
「ふふ、では参りましょうか」
 そして足を踏み入れるのは、ずらりと何処までも朱の鳥居が並ぶ石段。
 その両側には、燃えるように咲く紅の彼岸花。
 そんな満開の彼岸花はどこか身の引き締まるようでいて。
(「すこうし、怖ろしくも感じてしまいますね」)
 冬花はその美しくも妖しいいろに、少々圧倒されながらも。
 ふとその紅の中に、人影を見つける。
 そして、それが誰のものなのか……朧な影だけでも、すぐに判る。
「……ああ、その向こうに立つのは」
 ――長い黒髪のうつくしい、わたしのあねさま、と。
 そんな冬花の隣を歩くティーシャもまた、彼岸花咲く中に、色々な人の影を見ていた。
 それは、もうきっと今生会えない人たち。
(「両親や、律儀で厳しい弟。故郷の方々ですわね」)
 きっと相手にとって自分は、厄介者扱いだろうけれど。
 それでもやはりその姿をみれば、懐かしい気持ちになって。
 けれど足を止めることなく、ティーシャは彼らに告げる。
 ……どうかお元気で、って。
 そして冬花も、自分を見つめるあねさまの影へと、その顔を上げることはしない。
(「いつものように笑ってくださったら、帰りたくなってしまうから」)
 でも、分かっているから。ふいに口から零れ落ちる声。
 ――もう、帰れないのに、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

陽向・理玖
【月風】
瑠碧姉さんの浴衣に合う鉄紺の浴衣借り
色違い揃いの黒い狐面
首から指輪

片手にランタン
開いた手を差出し
百鬼夜行ではぐれたら大変だろ?
つか…ランタンの火は大丈夫?
少し気遣わしげに
心持ち強く手を握ろうと

それにしてもめっちゃ雰囲気あるなぁ
肝試しかよ
千本鳥居も階段もそんでもって彼岸花も
色んな妖怪いてわくわくするぜ
うわっあの妖怪なんだ?
祭りで練り歩いた記憶もねぇから新鮮だし
自分も妖怪になった気分だわ
足取り軽く

にゃ?
支えようとし間に合わず慌てて

…足大丈夫か?
痛くなったら支えるし言えよ?

ん?あれは…
彼岸花の先に
見覚えある
けれど少し違う影に一瞬気を取られ
少し先
未来の…俺?
隣り、は…

いや何でもねぇ
唯の…願望だ


泉宮・瑠碧
【月風】
コンテストの浴衣
色違いで揃いの白い狐面
左の中指に銀の指輪

ランタン…
火は怖いので、身体から離し気味に
は、い…
理玖の手を取れば少し落ち着いて、頷きます

足を止めては、いけないのですよね
肝試しは、概要を知っている位ですが…
こういう感じ、なのですか?
どれも、あまり見た事は無いので
不思議そうに周りを見ますが

…にゃ!?

躓く所でした…
下駄、履き慣れてないので、歩く事も、集中しないと…
一本足の妖怪の真似で、たまにぴょこっと跳ねて
理玖に追い付きます
まだ、大丈夫ですが…転んだら、引き上げてください…

彼岸花は…どの時も怖くて、視れずに
不意に
繋ぐ手の先の、歩調が少し鈍ったような…
…理玖?
足を止めては、駄目ですよ



 夜の闇を照らし揺れるのは、仄かに揺れる赤の灯火。
「ランタン……」
 そうぽつりと呟きを零しながらも。
 中指に銀の円環光る左手で恐る恐る灯りを持つのは、泉宮・瑠碧(月白・f04280)。
 そんな、火を怖がるように、身体からランタンを離し気味な姿に。
 陽向・理玖(夏疾風・f22773)は、ランタンを持つ手とは逆の開いた手を、彼女へと差出して。
「百鬼夜行ではぐれたら大変だろ? つか……ランタンの火は大丈夫?」
 少し気遣わしげに訊ねてみて。
「は、い……」
 そうっと伸ばされたその手を、理玖は心持ち強く握ってあげる。
 そんな彼の大きな手の温もりに、瑠碧も少し落ち着いて頷いてみせて。
 ふたり並んで百鬼夜行――あか満ちる世界へと歩き出す。
 そんなふたりが纏うのは、この雰囲気にぴったりな浴衣。
 落ち着いた薄青や緑の柄が入った清楚な浴衣に、青の帯を締めた瑠碧に合わせて。
 理玖が纏うのは、借りた鉄紺の浴衣。
 いつもと違うそんな装いで、下駄を鳴らしながら。
「それにしてもめっちゃ雰囲気あるなぁ。肝試しかよ」
 ……千本鳥居も階段もそんでもって彼岸花も、色んな妖怪いてわくわくするぜ。
 そう心躍らせる理玖が、きょろり視線巡らせてみれば。
「うわっあの妖怪なんだ?」
 にょろりといきなり首が伸びた妖怪に、思わず声を。
 けれどすぐに興味津々、楽しそうに見つめるその瞳を細めて。
「祭りで練り歩いた記憶もねぇから新鮮だし、自分も妖怪になった気分だわ」
 妖怪達と一緒に、祭りの夜のそぞろ歩き。
 いや、そんな理玖も今は、黒狐の妖怪。顔につけているのは、隣を歩く白狐な瑠碧と揃いの狐面。
 そんな狐の様にはしゃぐ、足取り軽い彼をそうっと見上げて。
「足を止めては、いけないのですよね。肝試しは、概要を知っている位ですが……こういう感じ、なのですか?」
 ……どれも、あまり見た事は無いので。
 瑠碧もそう不思議そうに、そうっと周りを見てみるけれど。
「……にゃ!?」
 突如聞こえた、叫び声。
「にゃ?」
 理玖は咄嗟に揺らいだ瑠碧を支えようとするけれど、間に合わず慌てて。
「躓く所でした……」
 何とか転ばずに済んだ瑠碧は、今まで以上にそろりと慎重に歩みを進める。
(「下駄、履き慣れてないので、歩く事も、集中しないと……」)
 たまに、ぴょこっと。一本足の妖怪を真似て、跳ねたりしてみながら。
 そして歩調緩めた自分に追いついた彼女に、理玖は声を掛ける。
「……足大丈夫か?」
 ……痛くなったら支えるし言えよ? って。
 その声に、瑠碧は白狐の面をつけた顔を縦にひとつ、こくりと頷いてから。
「まだ、大丈夫ですが……転んだら、引き上げてください……」
 やっぱり、隣の黒狐さんの大きな手を頼りに。
 そんな彼女の様子を気にかけつつも。
「ん? あれは……」
 ふと何かの気配を感じて、顔を上げた理玖の瞳が捉えたもの。
 それは――彼岸花の先。
 紅の花々と共に揺れる黄昏色の髪。見覚えがある、けれど少し違う影。
 それに一瞬だけ、気を取られてしまう。
(「少し先、未来の……俺?」)
 ――隣り、は……。
 そう思わず、足を止めそうになるけれど。
 彼とは逆に、彼岸花はどの時も怖くて。視れずにいた瑠碧はふと気付く。
 不意に、繋ぐ手の先の、歩調が少し鈍ったような……って。
「……理玖?」
 そして揺れて咲く紅のいろを見つめる彼の顔を青の瞳で見上げ、紡ぐ。
 ――足を止めては、駄目ですよ、って。
 その声に、はっと理玖は瑠碧へと視線を戻して。
「いや、何でもねぇ」
 止めそうになった足を踏み出しながら、こう呟きを零す。
 ――唯の……願望だ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

紫の縁取りを施した白の狐面にランタンを手にして参加しましょう
ふふ、僕もきみと分かってはいても不思議な感覚ですね
きみのかんばせが見れないのは残念ですが

きょうは浴衣ですから、きみに選んでもらった香を焚き染めてきましたが気づいてくれるでしょうか
ええ、もちろん
きみの手が何よりの道しるべですからと手を繋ぎ

無間鳥居をめぐる最中にふと足をとめたきみに気づいて
かれが何を視たのかなんとなくわかる気がして
無言で握った手に力を込めましょう
連れて行かせませんし、きみとともに歩むのはこの僕です

ええ、僕がいるからには迷わせませんし、きみを導いてゆきますとも
参りましょう、この道のさらに向こうへ


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

青の縁取りが有る黒の狐面にランタンを持ち参加
宵は白の狐面か…、…否、宵だと解っては居るが不思議な心持ちだな
そう宵を見つめながらも己が選んだ―己の身の香りに似た香が宵から漂えばついぞ笑みを浮かべてしまう
逸れたとて見つけ出す自信はあるが…手は繋ぐだろう?

百鬼夜行の際は途中彼岸花の間に赤毛の前所有者の後ろ姿を視てしまい足が止まってしまうやもしれんが…だが、己の手に触れる手指に気付けば愛しい相手を振り返り笑みと共に手を握り返そう
面を被って居る故表情は見えぬだろうが…宵にはきっと伝わっているのだろうと瞳を細めつつ頷こう
…お前が居てくれるならば俺は惑う事などないからな。…では、先を急ぐか



 握るランタンの赤に照らされ浮かび上がるのは、青の縁取りが有る黒の狐面。
 そんな狐面纏うザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)が視線を向けるのは、すぐ隣を歩く白狐。
「宵は白の狐面か……、……否、宵だと解っては居るが不思議な心持ちだな」
 紫の縁取りを施した白の狐面纏う逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)は、そう紡いだかれに笑んで返す。
「ふふ、僕もきみと分かってはいても不思議な感覚ですね」
 ……きみのかんばせが見れないのは残念ですが、って。
 そんなふたりが纏うのは、一緒に誂えた、控えめに華咲く落ち着いた印象の浴衣。
 宵は、ちらりザッフィーロを微か見上げ、心にそっと思う。
 ……気づいてくれるでしょうか、って。
 きょうは浴衣だからと、焚き染めてきたのは、選んでもらった香。
 そんな、ふわり宵が纏う沈香の香りに、勿論ザッフィーロは気が付いて。
 己が選んだ、そして己の身の香りに似たその香が宵から漂えば――やはり照れてしまうけれど、ついぞ笑みを浮かべてしまう。
 そしていつもの様に差し出すのは、大きな掌。
「逸れたとて見つけ出す自信はあるが……手は繋ぐだろう?」
「ええ、もちろん」
 宵もいつもと同じように、その手を取って、ぎゅっと繋ぐ。
 ――きみの手が何よりの道しるべですから、と。
 それからふたり、朱に染まり連なる無間鳥居を巡りゆけば。
 その最中……ふと足をとめたかれに、宵は気付いて。
 同時に、無言で握った手に力を込める。
 なんとなく宵にはわかる気がしたから。かれが、何を視たのかを。
 ザッフィーロの銀の瞳が捉えたもの。
 それは、紅に咲く彼岸花の間に在る、赤毛の前所有者の後ろ姿。
 その姿を視てしまって、ついザッフィーロの足は一瞬止まってしまうけれど。
「連れて行かせませんし、きみとともに歩むのはこの僕です」
 届く声と己の手に触れる手指に気付けば、愛しい相手を振り返って。
 笑みと共に、瞳を細めつつ頷いて。
(「面を被って居る故表情は見えぬだろうが……宵にはきっと伝わっているのだろう」)
 そしてその手を、確りと握り返す。
「……お前が居てくれるならば俺は惑う事などないからな」
「ええ、僕がいるからには迷わせませんし、きみを導いてゆきますとも」
 そんなすぐに返ってきた言の葉に。
 ……では、先を急ぐか、とザッフィーロがそう紡げば。
 宵もこくりと頷いて、彼と共に、あかの世界をそぞろ歩く。
 ――参りましょう、この道のさらに向こうへ、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シキ・ジルモント
面は適当に手に取った物を借りる
狐の面か。いやよく見ると、これは犬の面か?
…まぁ、何でも構わない
そのまま着けてランタンを持ち百鬼夜行に参加し社へ向かう

歩くうちに彼岸花の中に、白が混じっているのが視える
花だ、小さな白い花、鈴蘭?こんなところに?
次いで、白い花の傍に立っている人狼らしい少女に視線を奪われる
…昔に亡くした妹が鈴蘭の隣に立っている
二度と逢えない筈の、大切な家族

鈴蘭はあいつの好きな花だった
足を止めれば昔のように一緒に花を眺めていられるだろうか
このまま足を、時を

…止めては、いけない
仕事が、成すべき事がある
面をかぶり直して視えたモノから視線を逸らす
浮かびかけた考えを全てなかった事にして、前へと



 ひときわあかに染まるのだという、今宵の空の下で。
 行列を成すのは、妖怪たちの百鬼夜行。
 けれどこのそぞろ歩きに参加するには条件が。
 ひとつは、赤が灯るランタンをその手に持つこと。
 そしてもうひとつは、面を被って妖怪となること。
 シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)はそんな百鬼夜行に加わるべく。
 借してくれるという面をひとつ、適当に手に取って見てみれば。
「狐の面か。いやよく見ると、これは犬の面か?」
 狐……? それとも、犬?
「……まぁ、何でも構わない」
 とりあえず、狐のような、でも犬のようでもあるその面をそのまま着けて。
 ランタンを持ち、社へと向かうべく、連なる朱の鳥居潜りゆく行列に参加する。
 数えきれない朱色の鳥居の両脇に咲き乱れるのは、紅の彼岸花。
 でも――此処には、あかのいろしかないはずなのに。
 歩くうちに、別のいろが混じっているのが視える。
 彼岸花の中に在るそれは、白。
(「花だ、小さな白い花、鈴蘭? こんなところに?」)
 いや、鈴蘭だけではない。
 次いで、視線を奪われたのは――白い花の傍に立っている人狼らしい少女。
 それは、二度と逢えない筈の、大切な家族……昔に亡くした妹が鈴蘭の隣に立っていた。
(「鈴蘭はあいつの好きな花だった」)
 そしてシキは一瞬思う。
 足を止めれば昔のように一緒に花を眺めていられるだろうか、って。
 ――このまま足を、時を。
(「……止めては、いけない」)
 ……仕事が、成すべき事がある。
 シキはぐっと、目深に面をかぶり直して。
 視えたモノから視線を逸らし、背を向ける。
 浮かびかけた考えを全てなかった事にして――あかだけの世界をただ、前へと。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リカルド・アヴリール
ライナス(f10398)と
アドリブ歓迎

何かを選ぶ、というのは不得手なんだが……
ライナスが選んだ面を見て
同じ様に、梟の面を選ぼうと思う
ああ、確かに……これでは顔が見え辛いな

逸れるなよ、とライナスに告げてから
共に百鬼夜行に紛れる
……何を言い出すんだ、お前は
紛れて良かったに決まっている、見失わずに済むからな
化物発言には色々と物申したい気持ちはあれど
今は、周囲の彼岸花に対して静かに警戒を

彼岸花の中に立つのは、俺自身
虚ろな瞳、無駄な思考や感情を削ぎ落とした……人型の機械
有り得る未来の姿を目にして、足を止めそうになるが
……いつかが来るまでは
ライナスを一人にしたくないからこそ、歩みは止めない


ライナス・ブレイスフォード
リカルドf15138と

俺は梟の面をつけランタンを手に参加
あんたもそれにしたんだな
あんたの顔が見られねえのは残念だけど…ま、似合ってんじゃねえのと面の下から笑み交じりの声を投げんぜ

百鬼夜行に紛れ進む際は興味深げに周囲を見回してみる
化け物達の行列か…ま、俺も似た様なもんだけどなと声を漏らしながらも、隣のリカルドを見ればあんたは紛れちまってよかったのかよと揶揄うような声を
途中彼岸花の中親に喰らわさせられた幼馴染の少女の姿を見れば少女から視線をそらすも、至近に居るリカルドを見ればくしゃと緑のそれを軽く掻き混ぜる様撫でてみる
…リカルドが何をみたかは聞かねえけどよ
ほんと悪趣味なもん見せんなっつうの。なあ?



 深い夜の色を彩るそのいろは、ただひたすらに、あかなのだという。
 それは、延々と連なる鳥居の朱であったり、その両脇に乱れ咲いている彼岸花の紅であったり。
 ライナス・ブレイスフォード(ダンピールのグールドライバー・f10398)が手にしている、ランタンの炎のいろであったり。
 けれど、眩暈がするほどのあかの世界をそぞろ歩くことができるのは、赤き灯火を掲げた妖だけなのだという。
 だから、あかの世界を征く百鬼夜行に参加するべく、妖へと暫し化ける為に。
 ライナスが見回すのは、狐に兎に天狗……様々な種類の面。
 そしてその隣で、同じようにランタンを手に、面へと視線を巡らせるのはリカルド・アヴリール(機人背反・f15138)。
 正直、面さえ被っていれば、どれだって構わないようなのだけれど。
(「何かを選ぶ、というのは不得手なんだが……」)
 どの面を手に取るか、いまだ決めかねていた。
 けれど、ライナスがふと手にしたものを見て。
「あんたもそれにしたんだな」
 同じ様に選んだのは、梟の面。
 そして互いに面をつけ、梟の妖へと変化してから。
「あんたの顔が見られねえのは残念だけど……ま、似合ってんじゃねえの」
「ああ、確かに……これでは顔が見え辛いな」
 面の下から聞こえた笑み交じりの声に、リカルドもこくりと頷き返す。
 そして――逸れるなよ、って。そうライナスに告げてから。
 共に紛れるのは、あかき夜を徘徊をする妖たちの行列。
 風にそうっと揺れる紅き華々が両脇に咲く中、延々と連なる朱を潜りゆきながら。
 ライナスは興味深げに周囲を見回して。
「化け物達の行列か……ま、俺も似た様なもんだけどな」
 ――あんたは紛れちまってよかったのかよ。
 隣に並び歩くリカルドへと向けるのは、巡らせていた視線と揶揄う様な声。
「……何を言い出すんだ、お前は」
 そんな漏れ零れたライナスの言葉に、夜の様ないろの瞳を向けて。
 リカルドは続ける――紛れて良かったに決まっている、見失わずに済むからな、って。
 いや、ライナスの化物発言には、色々と物申したい気持ちはあるけれど。
 でも今は――ふたり、揃いの梟の妖と成って。
 見失わぬよう、逸れぬようにと……数多の赤が灯る連なる朱を、並んで潜ってゆく。
 周囲に咲き乱れる彼岸花の妖しくも美しい紅に、静かに警戒の心を向けながら。
 そしてふと、その紅の只中に立つ影にリカルドは気付く。
 ――虚ろな瞳、無駄な思考や感情を削ぎ落とした……人型の機械。
 それは、有り得る未来の己の姿であった。
 ……決して足を止めてはならぬ。足を止めれば、この無間鳥居からは決して抜けられない。
 それは分かっていても。でもその姿を見れば、思わずその歩みを止めそうになる。
 ――けれど。
(「……いつかが来るまでは」)
 リカルドは決して、前へと足を踏み出すことを止めない。
 今はまだ、その時ではない。だって――。
 刹那、ふいに伸びた手が、くしゃと己の緑の髪を軽く掻き混ぜる様に撫でて。
 目を向ければ重なるのは、至近に居るライナスの瞳。
 そしてそんな自分の姿を見るリカルドに、ライナスは笑ってみせる。
「ほんと悪趣味なもん見せんなっつうの。なあ?」
 リカルドが何をみたかは、聞かないけれど。
 ライナスも……視線を逸らしたかったから。
 彼岸花の中に視える、親に喰らわさせられた幼馴染の少女の姿からは。
 そして、そんな撫でられた手の感触と自分の姿を映す瞳に、リカルドは改めて思う。
 例え紅に佇む、あの人型の機械になるのだとしても……それは、今ではない。
 だから、共にあかの中を歩み続ける――ライナスを一人にしたくないから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ベイメリア・ミハイロフ
幽兵さま(f20301)と百鬼夜行に

なんてロマンチックな滅びの言葉なのでございましょう
しかしながら、この世界を崩壊させる訳には参りませんね
折角のご縁を裂くのは、心が痛みますけれど

黒地の浴衣姿に猫さんのお面をつけて
まあっ、幽兵さまは一つ目の?おかわいらしくていらっしゃいますね
着流しもよくお似合いでいらっしゃいますよ

良いですか、決して足を止めてはいけませんよ
何かに気を取られていては、階段が増えてしまうやもしれません
体力が削られすぎてしまっては大変でございますもの
(はぐれぬように、おずおずと幽兵さまのお袖の端をつまみながら)

ふふ、では、無事に事が済みましたら
わたくしからも幽兵さまにご馳走いたしますね


花屋敷・幽兵
ベイメリアf01781と
滅びの言葉…バル…いや何でもない。
時よ止まれ…確かにロマンチストの言いそうなセリフだな。
だが俺は時が流れるからこそ美しいと思う。世界も崩壊させる訳にはいかないしな。
ではいくか、ベイ。

薄紫の一文字の文様の入った着流しに舌を出した一つ目小僧の面を付けて、ランタンをぶら下げる。
豆腐小僧にも見えてきそうだな。ベイメリアも中々どうして似合っているな。
ランタンに照らされた金髪が奇麗だぞ。
足を止めずに…だな。これは中々難儀だが、やらねばなるまい。
何なら捕まってもいいぞ?よし、それでいい。バランスを崩したら手を掴むからな?
この後は…なんか食べていくか?
何ならおごってやるぞ。



 幽世の世界がまた大きく綻び、崩壊へと進んでいる。
 その切欠は、不死鳥の骸魂とひとつになった竜神の少女が口にした言の葉。
 ――時よ止まれ、お前は美しい。
「なんてロマンチックな滅びの言葉なのでございましょう」
 ベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)はそう緑の瞳を細め、感嘆の溜息と共に零すけれど。
 美しさと同時に孕むのは、滅びを齎すという禁忌。
 現にまた景色が歪み、世界が脆くも儚く崩れ落ちている気がするから。
「しかしながら、この世界を崩壊させる訳には参りませんね」
 ……折角のご縁を裂くのは、心が痛みますけれど、と。
 不死鳥の骸魂に呑まれた竜神の少女を思えば、少し複雑な気持ちではあるけれど。
 猟兵として、滅びを止めるべく此処へとやって来たのだ。
「滅びの言葉……バル……いや何でもない」
 そううっかり、ある意味口にしてはいけない滅びの言葉を飲み込んだ花屋敷・幽兵(粗忽なダークヒーロー・f20301)であるが。
 ベイメリアの声に、こう続ける。
「時よ止まれ……確かにロマンチストの言いそうなセリフだな」
 ――だが俺は時が流れるからこそ美しいと思う、と。
 止まった時の中では、それ以上のものは生まれないから。
 それに幽兵も、ベイメリアと同じ気持ち。
「世界も崩壊させる訳にはいかないしな」
 幽世の世界を、みすみす崩壊させやしないから。
 ……ではいくか、ベイ。
 そう隣の彼女へと声を掛け、百鬼夜行の一員と成って。
 あかの世界へと、足を踏み入れる。
 そんな幽兵が纏うのは、薄紫の一文字の文様の入った着流し。
 そして百鬼夜行に参加する者の必須アイテムであるお面は、舌を出した一つ目小僧。
 勿論その手には、赤い炎宿るランタンが。
「まあっ、幽兵さまは一つ目の? おかわいらしくていらっしゃいますね。着流しもよくお似合いでいらっしゃいますよ」
 ぺろりと舌を出す一つ目の妖の面はとてもお茶目で。
 纏う着流しは、この世界にも彼にも、よく似合っている。
 そして耳に届いたそんなベイメリアの声に、豆腐小僧にも見えてきそうだな、なんて口にしながらも。
「ベイメリアも中々どうして似合っているな。ランタンに照らされた金髪が奇麗だぞ」
 黒地の浴衣姿に猫さんのお面。
 掲げた赤き灯火が、煌めく金の髪を、薄っすら夕焼けのようないろに染め上げる。
 そんな赤にほんのり染まった金色の髪を微かに揺らしながら。
「良いですか、決して足を止めてはいけませんよ」
 ……何かに気を取られていては、階段が増えてしまうやもしれません、と。
 幽兵へと念の為、そう確認するように紡げば。
「体力が削られすぎてしまっては大変でございますもの」
「足を止めずに……だな。これは中々難儀だが、やらねばなるまい」
 一つ目小僧の面と一緒にこくりと頷いた幽兵は、ベイメリアへと己の袖を揺らし差し出す。
「何なら捕まってもいいぞ?」
 ベイメリアは、向けられたそんな言の葉に甘えて、おずおずと。
 そうっと伸ばした手で、彼の袖の端をちょこっとだけ摘まめば。
「それでいい。バランスを崩したら手を掴むからな?」
 朱の鳥居をいくつも潜りながらも、まだ先が長そうな石段へと一瞬視線を向けた後。
 言われた通り足を止めずに、こう続ける。
「この後は……なんか食べていくか?」
 ……何ならおごってやるぞ、って。
 ベイメリアは届いた声に、思わず笑み零し返す。
「ふふ、では、無事に事が済みましたら、わたくしからも幽兵さまにご馳走いたしますね」
 けれどその為には、猫さんに確りなりきって。
 一つ目小僧と並び、そぞろ歩きと洒落込む。
 決して……その足は止めずに。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

氷條・雪那
滅びの言葉、ですか
長年、想い焦がれていた者と会えたのならば
この時がずっと続けば良いと、そう願うのも無理は無いでしょうに
それでも、それが世界を滅ぶすのならば私は務めを果たしましょう

面は手持ちが無いので、手持ちランタンと共に
貸し出している物を借りましょう
何でも良いのですが、やはりこういう場所では狐の面が相応しいでしょうか

百鬼夜行として歩きながら、満開の彼岸花を眺め
その中に亡き両親と、兄の姿が在るのに気付いたならば
例え、私の弱さが見せた幻だとしても
恥ずかしい姿は見せまいと、ただ会釈をして

父上、母上
そして……兄上
私は、氷條の名に恥じぬ武士となり、必ず無念を晴らします
だからどうか、安らかにお眠りください



 紡がれてしまった言の葉が、幽世の世界を蝕み崩壊させてゆく。
 ……滅びの言葉、ですか、と。
 そうぽつり呟きを落とした氷條・雪那(凍刃・f04292)には、分かる気はするのだ。
(「長年、想い焦がれていた者と会えたのならば。この時がずっと続けば良いと、そう願うのも無理は無いでしょうに」)
 だから竜神の少女は口にしてしまったのだ――時よ止まれ、お前は美しい、と。
 けれど、それでも。雪那の心に、迷いはない。
(「それが世界を滅ぶすのならば私は務めを果たしましょう」)
 そのためにはまず、今宵限りの妖とならなければいけないのだという。
 赤き炎揺れる手持ちランタンと共に雪那が受け取るのは、面。
 面を被っていれば、何でも良いのだけれど。
(「やはりこういう場所では狐の面が相応しいでしょうか」)
 そっと雪那の顔を覆ったのは、狐の面。
 そして数多揺らめく赤の灯火が、幾重もの朱の鳥居を潜りゆく。
 雪那はそんな面妖な百鬼夜行として歩き、満開の彼岸花を眺めてみれば。
 咲き乱れるその紅の只中にある、人影に気付く。
 けれど雪那はそれらに、ただ会釈をするのみ。
 ――亡き両親と、兄の姿。
(「例え、それが私の弱さが見せた幻だとしても」)
 恥ずかしい姿は、見せまいと。
 そして歩みを止めぬまま、雪那はあかのいろで満ちる世界の只中、その心に紡ぐ。
(「父上、母上、そして……兄上。私は、氷條の名に恥じぬ武士となり、必ず無念を晴らします」)
 ――だからどうか、安らかにお眠りください、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​

橙樹・千織
ランタンと…そうですねぇ
猫の面をお借りできますか?

彼岸花の道で視えたのは
二度と逢うことの出来ない
銀に一筋の紅を携えた大切なあの子の姿

思わずそちらへ行こうとしたけれど
百鬼夜行の中
上手く進めず見失ってしまった

…この姿じゃ、あの子もわからないのにね
条件反射での行動を思い返し、独り言と共に自嘲の笑みが零れる
“前”と変わってしまった自分の姿
例えあの子でもわかりはしないだろう
そもそも、合わせる顔なんて無いのに…と

生前に縁のあった、か
湖の底で弔ったはずの想いが再び見え隠れするけれど
ちりん、と歌う鈴の音にハッとして苦笑する

共に歩むことはもうできない
それはわかってる
静かに首を振って前を向き、再び鳥居の先を目指す



 数多のあかへと足を踏み入れることができるのは、灯火を手にした妖のみ。
「ランタンと……そうですねぇ」
 ゆらり尻尾を揺らしながら、橙の視線を巡らせて。
 橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)が今宵化ける妖はやはりこれ。
 ……猫の面をお借りできますか?
 そう手に取った面でそっと顔を覆って。
 加わるのは、あかの中をそぞろ歩く百鬼夜行。
 連なる朱の鳥居の両脇には、咲き狂う紅の華。
 そんな彼岸花の道で視えたのは――あの子の姿。
 銀に一筋の紅を携えた大切な……いつしか、互いにかけがえのない存在になった、二度と逢うことの出来ない親友。
 暖かな日々を共に過ごした宝物。
 そんな紅に揺蕩う姿を目にすれば、思わずそちらへと行こうとしたけれど。
 赤の灯火が数多揺れる百鬼夜行の中――上手く進めず見失ってしまう。
 けれど追って、たとえ掴んだところで。
「……この姿じゃ、あの子もわからないのにね」
 条件反射での行動を思い返し零れるのは、独り言と自嘲の笑み。
 “前”と変わってしまった自分の姿。
 ……例えあの子でもわかりはしないだろう。
 ほんの一瞬の気の緩みで犯した過ち。
 ――そもそも、合わせる顔なんて無いのに……と。
(「生前に縁のあった、か」)
 再び見え隠れするのは、湖の底で弔ったはずの想い。
 けれど刹那、千織はハッとする。
 ちりん、と歌う鈴の音を耳にすれば――苦笑して。
 ふるりと静かに首を振って、前を向く。
 そして狂い咲く紅ではなく、幾重にも連なる朱の先を再び目指す。
(「共に歩むことはもうできない」)
 千織には……それが、わかっているから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

劉・碧
未春(f14270)と無間鳥居を潜る

覆いの面に洋燈か…つまり本来の面を見られると都合が悪いということなのだろう
纏うは女物の白浴衣に鬼神の面、下駄は平時の物ならずとも漫ろ歩きは慣れたもの

とは言え、傍らの連れより先に行くのは気が引ける
逸れても捜す余裕はなさそうだ
会って間もない間柄で手を引くのは無礼となるか…
顔色と手を交互に見て掴みやすいよう手を差し伸べる
掴まれれば柔く手を握り、歩く

鮮やかな彼岸花の中、懐かしい誰か…妹や或いは師範、見慣れぬ顔を見た気がした
あいつなら此処にいて良い筈もない
仮面の下、今し方見えたものを脳裡から追い出し先を進む
引いた筈が引かれる側になったことに苦笑しつつ、足早に駆け抜ける


晴海・未春
碧(f11172)と
白地に薄青の文様で彩った猫のお面とランタンを手に
浴衣は今年誂えたもので、翼はしまっておこう、かな

真っ赤な鳥居と咲き誇る彼岸花の眺めがとてもきれいで、美しくて
任務でなければこれらを絵に描いておきたかったな
鳥居を潜り巡りゆく途中、ふと隣のきみから手を差し出されたなら
きみの貌を覆う面と、差し出された手を見比べて
それからその手をとってみよう

どこまでも続く朱い鳥居と彼岸花
ぼくの視界に見えるのはただただ美しいそれらだけだけれど
繋いだ手の先のきみが何事か思案した様子なら
軽く引っ張って、路を足早に駆け抜けていこう
ぼくが見えるのはいまこの時の美しい眺め
そう、ぼくたちはこの瞬間に生きているんだ



 崩壊するあかの世界を征くふたりが纏ういろは、白。
 今日は、二対の翼はしまっておいて。
 晴海・未春(春の仔・f14270)が纏う浴衣は、今年誂えたばかりのもの。
 まるで人魚の尾鰭かのように裾の部分がきゅっと絞られた、花咲きひらりと踊る白。
 被った面も、薄青の文様で彩った白猫さん。
 手に握るランタンの赤が、そんな白たちを仄かに染め上げて。
 纏うは女物の白浴衣、未春の隣を歩く劉・碧(夜来香・f11172)が纏うのもやはり白。
 からりころり、鳴らす下駄は平時の物ならずとも……漫ろ歩きは慣れたもの。
 そして顔を覆う鬼神の面の下、灯火を掲げつつも碧は思考を巡らせる。
(「覆いの面に洋燈か……つまり本来の面を見られると都合が悪いということなのだろう」)
 加わる行列は、只の列に非ず。妖たちの百鬼夜行である。
 そんな列が進み行くのは、延々と続くのではないかと思ってしまうほど連なる朱のいろ。
 いや、実際に延々と潜り続けなくてはいけなくなるかもしれない。
 無間鳥居を潜りゆくその足を、もしも止めてしまえば。
(「任務でなければ絵に描いておきたかったな」)
 真っ赤な鳥居と咲き誇る彼岸花の眺めがとてもきれいで、美しくて――未春はそう、周囲を彩る様々なあかへと思いを描くけれど。
 いくら慣れた漫ろ歩きでも、傍らの連れより先に行くのは気が引ける、って。
 碧はその顔色と手を交互に見ながらも。
(「会って間もない間柄で手を引くのは無礼となるか……」)
 掴みやすいようそっと、未春へとその手を差し伸べてみる。
 逸れても捜す余裕はなさそうだから。
 そしてそれにふと気づいた未春も、隣をゆく彼の貌を覆う面と、差し出された手を見比べてから。
 大きな掌に己の手を重ねた。その手をとってみよう、って。
 碧は足を止めず、彼女と共に朱の鳥居を潜ってゆく。掴まれた華奢な手を、柔く握りながら。
 どこまでも続く、朱い鳥居と紅い彼岸花。
 未春の凍てる湖色の瞳に見えるのは、ただただ美しいそれらだけだけれど。
 碧の金緑石の瞳が捉えたのは、鮮やかな彼岸花の中に揺れる影。
 懐かしい誰か……妹や或いは師範、見慣れぬ顔を見た気がして。
 けれど直ぐに仮面の下、碧はそれらを脳裡から追い出す。
(「あいつなら此処にいて良い筈もない」)
 咲き乱れる紅の中――今し方見えたものから、視線逸らして。
 そんな繋いだ手の先の彼が、何事か思案したようだから。
 未春はその手を軽く引っ張って、あかの路を足早に駆け抜けてゆく。
(「ぼくが見えるのはいまこの時の美しい眺め」)
 引いた筈が引かれる側になったことに苦笑する碧と共に、幾つもの朱を潜りながら。
 ――そう、ぼくたちはこの瞬間に生きているんだ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

紹・羅沙
ラファン(f18585)と一緒ネ

浴衣を着つけて貰う為に、邪神の千本桜で少女達を召喚アル
このまま帰すの勿体ないネ、少女達も夜行に参加するヨロシ
ワタシは翁の面、少女たちは真蛇の面
少女たち、手とり腰とり大事な友人をもてなすアルヨ
ラファンと少女のキャッキャウフフをニヤニヤと楽しんでから帰すネ
彼女たちも楽しんだアルヨ。故郷には娯楽がほとんどないアル
土産話を元に無間鳥居っぽいものを作るヨ
招待するネ。見に来るヨロシ

彼岸の花の中に真蛇の面の女性
面に隠れた顔は、たぶん、自分にそっくり
勇者と奉られた娘
最期に捧げられた生贄
あぁ……あの芸術的な豊満な胸を残したかったアル
あ、逃げたネ
アレは自分の胸、じっくり見たかったヨ


ラファン・クロウフォード
アドリブ、アレンジ、歓迎
同行者:羅沙(f12083)

涼し気な色合いの浴衣を着用
屋台で目についた白い猫のお面をつけてランタンを手に百鬼夜行に参加
少女たちも同行して賑やかだな
もてなされる、というか、もてあます
鬼蛇が乱舞する異様な光景からすれば、狂い咲く彼岸花のなんと美しいことか!
少女たちの表情は見えなくても嬉し気な気配に気持ちも表情も和らぐ
礼をするように一人一人の頭をやさしく撫でるよ
名残り惜しく別れを告げて
さて、招待をどう断ろうか
羅沙の気配が変わったのを察して、静かに見守る
何かあれば、すぐに助けに動けるように
準備した拳で羅沙の頭を軽く叩く
深く呆れたため息とバカは置き去りにして足取り軽く先へ先へ



 行列を成す為に集まって来た妖たちだけでも、十分に賑やかだけれど。
「このまま帰すの勿体ないネ、少女達も夜行に参加するヨロシ」
 そう少女達を引き連れやって来たのは、翁の面を被った紹・羅沙(白漠の帽蛇・f12083)。
 真蛇の面の少女達は、浴衣を着つけて貰う為に、邪神の千本桜で召喚したのだが。
「少女たち、手とり腰とり大事な友人をもてなすアルヨ」
「少女たちも同行して賑やかだな」
 屋台で目についた白い猫のお面をつけて。
 涼し気な色合いの浴衣を纏うラファン・クロウフォード(泡沫の神殺し・f18585)は……少女たちにもてなされる、というよりも、もてあます。
 けれど、潜る朱の鳥居の両脇を埋め尽くす紅のいろへと紫の視線を巡らせて。
(「鬼蛇が乱舞する異様な光景からすれば、狂い咲く彼岸花のなんと美しいことか!」)
 少女たちの表情は見えなくても……嬉し気な気配に気持ちも表情も和らいで。
 礼をするように一人一人の頭へとその手を伸ばし、やさしく撫でてあげる。
 そんなラファンと少女のキャッキャウフフを、羅沙はニヤニヤと楽しんでから、少女たちを帰す。
 ……彼女たちも楽しんだアルヨ、って。
 だって故郷には、娯楽がほとんどないのだから。
 そしてラファンは帰される少女たちに、名残り惜しく別れを告げてから。
「土産話を元に無間鳥居っぽいものを作るヨ。招待するネ。見に来るヨロシ」
 ――さて、招待をどう断ろうか。
 そうふっと、白い猫の面の下の瞳を細めるのだった。
 そんな二人並んで、幾重にも連なる朱い鳥居を潜り歩いていれば。
 羅沙は気付く。揺れる彼岸の花たちの中に、真蛇の面の女性の姿が在るのを。
(「面に隠れた顔は、たぶん、自分にそっくり」)
 それは――勇者と奉られた娘。
 そして、最期に捧げられた生贄。
 ラファンは、そんな羅沙の気配が変わったのを察し、静かに見守る。
 何かあれば、すぐに助けに動けるように、と。
 けれど、刹那聞こえたのは。
「あぁ……あの芸術的な豊満な胸を残したかったアル」
 そうじーっと瞳に焼き付けるかのように、紅の只中に在る女性をガン見する羅沙。
 だって、食い破るのが惜しい程に、ストライクゾーンど真ん中だったのだから。
「あ、逃げたネ」
 ……アレは自分の胸、じっくり見たかったヨ。
 花の向こうの気配が去った後、そう紡げば。
 その頭を軽く叩くのは、準備されていた拳。
 ……深く呆れたため息とバカは置き去りにして、って。
 足取り軽く、先へ先へ――ラファンはその足を止めず、そぞろ歩く。
 結局はあかの世界を、隣の彼と並び征きながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

宵鍔・千鶴
【朔夜】

あかが、何処までも己を這う
彼岸の花が
無間鳥居が
虚ろ彷徨わせるように

藤の花咲く黒狐の面に
浴衣と下駄をからころ鳴らし
化けるは妖たちの連なる列へ
今宵は百鬼夜行の参列者
面白可笑しい歪む幾千を超え

灯りを揺らして完璧に演じてみせよう

あかの隙間に佇む少女の影は
じっと此方を見つめて
何か言葉を紡ぐけれど
面が今は隔てる壁、
眸を閉ざす、耳を閉ざす

隣でそぞろ歩く白き虎へ
裾を少し引いて
コン、と狐の仕草で気を逸らす
今宵は物言わぬあやかしなれど、この狐めがおりますゆえに
なあんて冗談めかすも
あやかしらしく在るだろう?

何処までもあかと共に連れ添う
影へは振り返らぬ、決して
さあさあ進もう、
あかい炎を受け取るために


飛白・刻
【朔夜】

一宵限りの妖成れとは面妖な
選ぶ面は白虎の其れと
そぞろ歩きに交じり行く
天灯の導きなすままに
数多のあかの行方を映し追う

どこまでもあかく咲く曼珠沙華
鱗茎あるその毒は己が識るとどちらが上か
幾千の朱を登り潜りては歪み狂わす景色となるものだから
思考が燃ゆるあかに焼かれ始めたかと首を振る

顔ひとつ声ひとつすら憶えていないそのひとが
視える筈はないのだとは心隅置きて

見つめ細めて靜と頷き逸らす隣歩きの黒狐の裾引き
例え視えたとて今は惑わぬと識り得ると
コン、と鳴く狐の気付け薬を盛られたか
俺は獣とは相性が良いからな、頼もしいと切替える

噫、今宵はどちらもあやかしにすぎぬのだから
求むるあかを手にするまでは歩みは止めぬ



 崩れゆく世界に在るのは、数多の妖。
 そして今宵は、その一員にと。
 一宵限りの妖成れとは面妖な――飛白・刻(if・f06028)はそう紡ぎつつも。
 手に取ったその面は、白虎の其れ。
 顔に添わせ白き虎の妖と成れば、ゆうらり揺れる天灯の導きの成すままに。
 百鬼夜行に紛れ追うのは、映る数多のあかの行方。
 ――あかが、何処までも己を這う。
 彼岸の花の紅が、無間鳥居の朱が……虚ろ彷徨わせるように。
 そんなあかの中、白き虎の隣に在るのは、藤の花咲かせた浴衣姿の黒狐。
 宵鍔・千鶴(nyx・f00683)は、何処か桜の気配も宿す黒狐の面を纏いて。
 からころと下駄を鳴らし、化けるは妖たちの連なる列へ。
 ……灯りを揺らして完璧に演じてみせよう。
 千鶴も刻も、そう――今宵は百鬼夜行の参列者。
 そんな面白可笑しい、歪む幾千のあかを超え、どこまでもあかく咲く曼珠沙華を臨みながら。
 刻はふと思う……鱗茎あるその毒は己が識るとどちらが上か、と。
 幾千の朱を登り潜りては歪み狂わす景色となるものだから。
 そしてふるりと刻は微か首を振る。
 ……思考が燃ゆるあかに焼かれ始めたか、と。
 だって、視える筈はないのだ。
 顔ひとつ声ひとつすら憶えていない、そのひとが――。
 そんな燃ゆるあかは心隅に置きゆく刻の隣で。
 千鶴もまた、あかの隙間に佇む影を視る。ゆうらり揺れる、少女の影を。
 其れはじっと此方を見つめて、何か言葉を紡ぐけれど。
 眸を閉ざす、耳を閉ざす――面が今は隔てる壁と成ってくれるから。
 そしてふいに、隣でそぞろ歩く白き虎へと千鶴は手を伸ばして。
 ――コン、と。
 そっと掴んだ裾を少し引いて、演じてみせる。
 狐の仕草を真似て、狂い咲く紅の只中から気を逸らしながら。
 ――今宵は物言わぬあやかしなれど、この狐めがおりますゆえに。
「あやかしらしく在るだろう?」
 なあんて冗談めかす黒狐の裾引き。
 例え視えたとて今は惑わぬと識り得ると
 ……コン、と鳴く狐の気付け薬を盛られたか。
 刻はそう面の下、藍の瞳を細め紡ぐ。
「俺は獣とは相性が良いからな」
 頼もしいと切替える、と。
 そう、一等深く数多のあかに染まる今宵は獣で在り、そして。
(「噫、今宵はどちらもあやかしにすぎぬのだから」)
 刻はその歩みを決して止めない。求むるあかを手にするまでは。
(「影へは振り返らぬ、決して」)
 這い寄り纏わりつき、侵さんとする………何処までも共に連れ添うあか。
 けれど真に目指すそのいろは、幾千のあかの先。
 その手で狐を作ってみせた千鶴は、コン、ともうひと鳴きして紡ぐ。
 ――さあさあ進もう、あかい炎を受け取るために、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャルファ・ルイエ
百鬼夜行ってハロウィンのパレードと似たようなものだと思うんですけど、こちらはまた違った趣ですね。
浴衣を着て参加して、お面は貸し出して頂けるものからおすすめのものを選んでもらいましょうか。

ずうっと続いて行く鳥居は、違う世界の入り口みたいです。
もしも知っている人が居ても、見知った顔は今は全部仮面の下に。
足を止めずにそぞろ歩いて奥へ奥へ。
竜神の彼女は、どう思っているんでしょう。
離れるくらいなら、世界なんて滅びても良い気持ちなんでしょうか。
それとも、その前に誰かに止められて、また引き離される事を知っているんでしょうか。

赤い曼殊沙華や鳥居の向こう、
――わたしには、真っ暗な夜しか見えません。



 幽世の世界に居る妖たちが成す行列。
 その列に加わるべく、浴衣を纏ったシャルファ・ルイエ(謳う小鳥・f04245)は視線を巡らせて。
(「百鬼夜行ってハロウィンのパレードと似たようなものだと思うんですけど、こちらはまた違った趣ですね」)
 行列に必要だという面は、おすすめのものを選んで貰うことに。
 そして手渡された鴉の面を顔に添わせてから。
 シャルファは数多揺れるランタンの赤に紛れ、歩みを進める。
 ずうっと続いて行く朱の鳥居は、違う世界の入り口のようで。
 どこまでも、延々と続く様に思えてしまう。
 今宵のシャルファは、妖の一員。
 だからもしも知っている人が居ても――見知った顔は、今は全部仮面の下に。
 ……足を止めてはならない。もしも止めてしまえば、潜る朱から抜け出せなくなるから。
 シャルファはその言の葉通り、決してその足を止めずに。
 そぞろ歩いて、目指すは無間鳥居の奥へ奥へ。
 そして赤き炎を見つめながらも思う。
(「竜神の彼女は、どう思っているんでしょう。離れるくらいなら、世界なんて滅びても良い気持ちなんでしょうか。それとも、その前に誰かに止められて、また引き離される事を知っているんでしょうか」)
 その答えがでるとしても、それは幾千の朱を潜り抜けた先。
 それからふと、両脇の紅の華へと目を向けるけれど。
 赤い曼殊沙華や鳥居の向こうを見つめ、シャルファはふるりと首を横に振る。
 ――わたしには、真っ暗な夜しか見えません、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『フェニックスドラゴン』

POW   :    不死鳥再臨
自身が戦闘で瀕死になると【羽が燃え上がり、炎の中から無傷の自分】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    フェニックス・レイ
レベル分の1秒で【灼熱の光線】を発射できる。
WIZ   :    不死鳥の尾
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【炎の羽】で包囲攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


※お知らせ※
 第2章プレイング送信の受付は、【9/24(木)朝8:31】より開始いたします。
 それ以前に送信された分は流れてしまう可能性が高いのでご注意ください。
 追加情報を記載したOPを受付開始前日迄に掲載いたします。
 送信締切等のお知らせは、MS個別ページ等でご確認ください。
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●滅びの彩
 ――何て美しいんだろう。
 この社ではじめて目にしたあの時、そう思わず息を飲んで見入ってしまった。
 決して消えぬ、不死のあか。
 それは美しく眩くて……何よりも、あたたかく優しくて。
 これまで随分と長い間生きて来たけれど、出逢ったあの日のことは今でも忘れられない。
 そして毎日の様に、この社で、聖なる炎を共に守ってきたけれど。
 いつからか……その姿を見ることはなくなった。
 けれど、不死鳥は自ら焚死し、その灰から再生するのだと聞いたから。
 だからこの社で、聖なる炎を守りながらも待ち続けて。
 そして――帰ってきてくれた。
 でもやっぱり、ひとりは寂しかったから。
 だから今、とても私は満たされているの。
 あの日、目を奪われ、そして心通わせた炎と……ひとつになれたのだから。
 そして私は染めたい。この愛すべき幽世を、鮮やかで美しい、このいとしきあかで。
 ――時よ止まれ、お前は美しい。
 また離れるくらいなら。時なんて、止まってしまえばいい。

 幾重にも並び立っていた朱の鳥居を超えて。
 百鬼夜行が辿り着いたのは、聖なる炎が燃え盛る社。
 けれど今、眼前にある赤は――崩壊する世界を染め上げる、悪しき炎。
 そして燃えるように彼岸花咲き乱れる境内に在るのは、竜神の姿。
 心惹かれ通わせた不死鳥と……いや、骸魂と成り果てた存在と、ひとつになってしまった少女。
 天灯祭の夜、不死鳥と竜神の少女は、崩壊する世界を染めんとする。
 この幽世を全て燃やし尽くす、自分たちのあかで。
御剣・刀也
やれやれ
なんとも殺り難い。憧れ、親しんだ者が、帰ってきたと思ったら裏返っていたか
離れたくないって気持ちも分かるんだがな。せめて、一緒に輪廻の輪に送ってやる

不死鳥再臨で敵が二人に増えても、特に焦ることなく第六感、見切り、残像で攻撃を避け、グラップル、カウンターで零距離の間合いから日本刀の間合いに引き剥がし、勇気で反撃を恐れず本命の捨て身の一撃で斬り捨てる
「今度はそいつと一緒に、同じ時間を生きて行けると良いな。地獄の閻魔様が聞いてくれることを祈ってるよ」



 崩壊してゆく幽世を焦がす、あかのいろ。
 それは世界を全て燃やし尽くさんとする、悪しき骸魂の炎。
 いや……嘗ては、美しくも鮮やかな、優しいいろであったのだろう。
 竜神の少女が、心焦がれるほどのものなのだから。
 ――けれど。
 ……なんとも殺り難い、と。
 そう思わず呟きを落とすのは、御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)。
(「憧れ、親しんだ者が、帰ってきたと思ったら裏返っていたか」)
 もう、今在る彼女を呑み込んだ不死鳥の炎は……少女が惹かれたものとは、残念ながら違うものなのだ。
 むしろ、刀也の言うように、裏返ってしまった。
 妖怪を呑み込み世界を崩壊へと導く、骸魂として。
 それでも少女は、ひとつになりたいと願い、滅びの言葉を口にしてしまった。
 そしてその願いが叶った今、幸せそうに笑んでいるのだけれど。
「離れたくないって気持ちも分かるんだがな」
 刀也は躊躇なく、不屈の獅子の様に煌く日本刀を抜き放つ。
 ――せめて、一緒に輪廻の輪に送ってやる、と。
 彼女と、彼女が心惹かれた不死鳥を引き離すべく、握る獅子吼を振るう。
 大切な存在と共に在りたいという、その気持ちが分かるからこそ。
 けれど、刀也の一太刀を受けたフェニックスドラゴンはその羽が燃え上がらせ、炎の中から無傷の己を生み出す。
『私たちは、永遠に一緒なの……!』
 ……邪魔をしないで、と炎を滾らせながら。
 だが敵が二人に増えても刀也は特に焦ることなく、第六感を研ぎ澄まし見切り、残像で向けられた炎を避けて。
 一気に地を蹴って間合いを詰め、日本刀の間合いに引き剥がす。
 そして、反撃を恐れぬ勇気を胸に。
「今度はそいつと一緒に、同じ時間を生きて行けると良いな。地獄の閻魔様が聞いてくれることを祈ってるよ」
 ――この切っ先に一擲をなして乾坤を賭せん!!
『……! ぐッ』
 持てる力を振り絞り、敵へと上段から振り下ろすは雲耀の太刀――本命の、捨て身の一撃。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薬師神・悟郎
満たされたままで終われば良かったものの
災いを撒き散らすとは迷惑な
お前達のあかを染め直してやる

火には水が効くと思うが、これはどうだ?
味方に注意が向いた隙を狙い、UC発動
敵の行動阻害を狙い、属性攻撃による水と破魔を付与した特別製で継続ダメージを与えていく
簡単に抜け出せると思うなよ

攻撃は出来るだけ野生の勘、逃げ足で回避
回避不可ならオーラ防御、呪詛、環境耐性で防ぐ

弓を使い(地形の利用、スナイパー)
傷の深い部位を狙い暗殺の一撃
積極的に部位破壊も狙っていこう

昔からこうした類いのものに魅入られた者の末路は悲惨なものが多いが、最後までそれと共にいられることは少女にとって幸福かもな
ならば、俺はそれを叶えてやろう



 心惹かれた燃え盛るあかと、ようやくひとつになったのだという竜神の少女。
 不死の炎に包まれたその表情は確かに、幸せそうないろを宿しているけれど。
『私たちのあかで、全部燃やしてしたいの』
「満たされたままで終われば良かったものの。災いを撒き散らすとは迷惑な」
 それは薬師神・悟郎(夜に囁く蝙蝠・f19225)の言う通り、世界を燃やし尽くす災厄の彩でしかない。
 だから、そのいろでこの幽世の夜を染めんとしているのならば。
 ――お前達のあかを染め直してやる。
 悟郎はそう、燃え盛る炎を見据えて紡ぐ。
 世界を燃やさんとするあかを染め直して、この世界の崩壊を止めるために。
 そしてこの戦場に今在るのは、悟郎ひとりではないから。
 みんな燃やさんとフェニックスドラゴンが他の猟兵へと気を取られた、その隙を狙って。
「火には水が効くと思うが、これはどうだ?」
 ――捕らえろ。
『……!』
 座頭鯨の群れが刹那成すのは、泡粒の檻。
 冷たい夜の色が燃え盛る炎の行動を阻害し、水と破魔を付与した衝撃を折り重ねて。
「簡単に抜け出せると思うなよ」
 野生の勘を研ぎ澄まし、放たれる灼熱の光線を躱すべく身を翻す。
 それでも、避けきれぬ光線に焼けた焦げ臭さが鼻をつくけれど。
 それも守りの気や呪詛や耐性を以って受ければ、大した傷ではない。
 むしろ、敵の傷の深い部位を狙い番えるは、闇夜に紛れる黒い弓。
(「昔からこうした類いのものに魅入られた者の末路は悲惨なものが多いが、最後までそれと共にいられることは少女にとって幸福かもな」)
 ――ならば、俺はそれを叶えてやろう。
『く……っ!!』
 刹那、炎を裂くべく風を切り、唸りを上げて。
 影を縫うかの如く放たれた暗殺の一撃が、不死鳥の骸魂を的確に射貫く。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流

一人は寂しいのはよくわかる。でも一つになれてうれしいっていうのは少しおかしな話だと思う。
結局それは一人じゃないか。
相手を瞳に映し映される嬉しさも、触れ合う温もりも無いなんて。
それはとても、とても寂しい。

UC月華で真の姿になり、より火炎耐性を上げる。
一気に距離を詰めマヒ攻撃を乗せた暗殺攻撃を仕掛ける。
マヒも暗殺を簡単に通るとは思わないがそれでも無いよりはましかな程度の考え。
敵の攻撃は第六感で感知、見切りで回避。
回避しきれないものは本体で武器受けで受け流し、カウンターを叩き込む。
それでも喰らってしまうものはオーラ防御、激痛耐性で耐える。



 一体どれだけの間、彼女がこの場所でひとり、待っていたのかは分からない。
 彼岸花が燃えるように狂い咲く、朱き鳥居が連なる先に在るこの社で。
 それに、黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)にはよくわかるのだ。
 一人は寂しい――その思いは。
 ……でも。
「一つになれてうれしいっていうのは少しおかしな話だと思う」
 だって、それは……結局一人じゃないか、って。
『私たちは、ずっと一緒よ』
 心惹かれた不死鳥とひとつになった眼前の竜神の少女は、一見すると幸せに満たされているように見えるけれど。
 でも、瑞樹の青い瞳に映るのは、彼女ひとりだけ。
 その身を包む炎は、少女が想いを寄せた、優しく清らかなものではもうないのだ。
 それは幽世の世界を燃やし尽くす、悪しき炎。
 それに、瑞樹はふるりと銀の髪を微かに揺らし、首を振って続ける。
「相手を瞳に映し映される嬉しさも、触れ合う温もりも無いなんて」
 ――それはとても、とても寂しい……って。
『寂しい……? 私が?』
 瑞樹の言葉に、そう反応を示すフェニックスドラゴン。
 刹那、月読尊の分霊を降ろし真の姿へとなった瑞樹は、より火炎に対する耐性を上げて。
 一気に地を蹴り距離を詰め、痺れる様な衝撃をを乗せた暗殺攻撃を仕掛けるべく、胡と刀に形を変えた黒鵺の二刀を振るう。
『……!』
(「マヒも暗殺を簡単に通るとは思わないが」)
 それでも無いよりはましかな、と。
 持てる手段は惜しみなく、燃え盛る炎に対しては第六感で感知し見切り、反撃の刃を振るう。
 不死の炎はそれでも激しく、瑞樹の身を燃やさんと巻き起こるけれど。
 守りの気を施し耐性をもって迎え討てば、少々髪や服が焦げた程度で止まる刃ではない。
 そして確かに、眼前の炎は鮮やかではあるけれど。
 彼岸花揺れる風景の中、瑞樹は思わずにはいられない。
 ひとつになれたと笑う少女の顔は、やはり何処か……いや、とても寂しそうだと。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トート・レヒト
【神玄世】
炎の羽とはまた触れたら熱そうだな
それらを切り開くように【巫覡載霊の舞】で羽を散らしながら、薙刀を振り回し突っ込んでいく
いくら戦闘になれてないからって俺も猟兵なんだ、このくらい!
サポートは相方がやってくれるだろうと信じて、スーツが焦げないよう羽を払いのけて

それにしても、聖なる炎が世界を滅ぼすなんて恐ろしい話だな
確かに鮮やかで美しいが、今じゃそれは万物を燃やす邪悪な火だ
次に生まれ変わる時は、守りの炎に転生できますよう

なんて言ってるうちに炎の羽に囲まれる
避けきれるか、と思っていいるうちに三嵩祇君が駆けつけて
わわっ、姫だっことか女子じゃあるまいし…!
はいはい、どうせ戦闘初心者ですよ


三嵩祇・要
【神玄世】

足手纏いになるまいと気が逸ってるのか知らんが
急に前に出始める相方に少し眉を顰めつつ
【クロックアップスピード】発動
機動力を生かして灼熱の光線は可能な限り回避
炎の羽は導雷針と雷電で蹴散らしつつ相方をサポート

ここまで来たら戦闘中に小言をいうより
どこまでやれるのか実戦した方が早い
お互いに

世界を犠牲にしてもいいと思える程の存在と出会ったなら
何を言っても無駄だろうな
そう思ってしまう程の理由があったんだろう
だがこっちも守らなきゃならないものがあるんでね

導雷針で炎の羽を撃ち落とし数を減らした箇所から
相方を抱えて包囲から抜け出す
あちち
少々焦げても我慢しろ
文句があるなら突っ込んでった自分を恨め



 ――やっとひとつになれた、わたしたちのいろ。
 不死鳥の炎に呑み込まれた竜神の少女は、この世界を染め上げんとする。
 幽世を燃やし尽くす、悪しきあかのいろで。
「炎の羽とはまた触れたら熱そうだな」
 幽世の夜に赤々と舞うのは、まるで周囲に咲く彼岸花の様に、炎に燃えて咲き誇る数多の羽。
 けれどそれらを切り開くように振われるのは、神霊体と化したトートが握る薙刀。
 不死鳥の尾から舞い落ちるそれらは、触れれば熱そうであるが……ならば、触れなければ良い話だ。
 手に握る得物を振り回し炎の羽を散らしながらも、トートは果敢に突っ込んでいく。
(「いくら戦闘になれてないからって俺も猟兵なんだ、このくらい!」)
 きっと相方が支援してくれるだろうと、そう信じて踏んで……スーツが焦げないよう羽を払いのけ、前へ前へと。
 そんなトートの姿を見遣りながら。
(「足手纏いになるまいと気が逸ってるのか知らんが」)
 急に前に出始める相方に若干眉を顰めるのは、三嵩祇・要(CrazyCage・f16974)。
 けれど敢えて何も言わず、パチンと指をひと鳴らしして。
 襲い来る灼熱の光線を、それ以上の反応速度とスピードをもって素早く回避していきつつも。
 戦場に舞う炎の羽を相方の期待裏切らず、握る導雷針で蹴散らし、じゃらりと雷電鳴らして振り払っていく。
 ……いや、小言のひとつも言いたいところではあるが。
(「ここまで来たら戦闘中に小言をいうより、どこまでやれるのか実戦した方が早い」)
 そう――お互いに、と。
 要もトートに続くように、相方を支援しながらも攻勢に立ち回る。
 習うより慣れろ、とはよく言ったもの。むしろ戦闘に慣れていないからこそ、どこまでやれるのか……それを互いに知る機会にもなるだろうと。
 要は相方へと向けていた緑色の瞳を巡らせ、今度は眼前で激しく燃える炎をその瞳に映し出す。
『もう、離れないわ』
 零れ落ちるように紡がれる、竜神の少女の言の葉。
 その姿は悪しき炎を纏いつつも、何処か幸せに満ちた様子で。
 ――けれど。
(「世界を犠牲にしてもいいと思える程の存在と出会ったなら、何を言っても無駄だろうな」)
 ……そう思ってしまう程の理由があったんだろう、要はそう思いつつも。
「だがこっちも守らなきゃならないものがあるんでね」
 少女が焦がれた不死鳥の炎を撃ち消してゆく。得物に纏わせ戦場を走らせる雷を以って。
 トートも燃え盛る眼前の炎のいろたちを、夜の如き黒の瞳にも舞わせながら思う。
(「それにしても、聖なる炎が世界を滅ぼすなんて恐ろしい話だな」)
 幽世の世界を彩るそれは確かに、鮮やかで美しいけれど。
(「今じゃそれは万物を燃やす邪悪な火だ」)
 その色が齎すのは、全てを肺に化す滅びの未来。
 だからトートはその邪悪な炎を振り払いながらも、願わずにいられない。
 ――次に生まれ変わる時は、守りの炎に転生できますよう、と。
 けれど……ひたすら前へと出ていたその足が、刹那ぴたりと止まる。
『染まればいい。貴方も、私たちのいろに』
 周囲を見回せば、燃え盛る炎の羽に囲まれていて。
 ――避けきれるか。
 スーツに燃え移らんとした炎を振り払いつつ活路を見出すべく、あかのいろを見遣るけれど。
「……!」
 鮮やかな炎が不意にそのいろを失い、そこから飛び込んできたのは――導雷針振るう、相方の姿。
 ……そして。
「わわっ、姫だっことか女子じゃあるまいし……!」
 ひょいっと抱え上げられ、思わずそう声を上げるトート。
 そんな相方にも構わず、要はあかの包囲から抜け出すべく地を蹴りながらも。
「あちち、少々焦げても我慢しろ」
 咄嗟に振り払ったものの、鼻につく焦げ臭い匂いに微か顔を顰めつつ、腕の中にいるトートへと視線を落とし続ける。
 ――文句があるなら突っ込んでった自分を恨め、と。
 そんな雷神の面纏う顔を、むうと見上げ、トートは拗ねた様に返す。
「はいはい、どうせ戦闘初心者ですよ」
 けれど、そうちょっぴりむくれていても。
 相方を燃やされるわけにはいかないし、自分も燃えるわけにはいかないのだ。
 だって、お互い――友達がいなくなってしまうから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

硲・葎
三日月さん(f01960)と。秒速……ならば、こっちも秒速だね。まずは火炎耐性でバイクさんと三日月さんを守らなきゃ。
バイクさん、今回は君のスピードにかかってる。相手の攻撃は見切りとダッシュで回避したい。第六感を使わないと間に合わないかもだし、感覚を研ぎ澄まさないと。衝撃波で対抗。それで時間稼ぎして、UC発動したら一気に轢いてしまおう。
三日月さんが動きやすいように、おびき寄せを使いながら、彼岸花之葬で斬りつける。
「貴方の好きになんてさせやしない。同じ炎で焼かれて地獄に逝きなさい」
「相手とひとつになるよりは、私は一緒にその人のぬくもりを感じて、一緒の歩幅で歩いていきたいかな」


月隠・三日月
硲さん(f01013)と共に

【降魔化身法】で鎧を纏い、防御力を強化しておこう。多少の代償はあるけれど、何もなしに炎に巻かれるよりは遙かにマシだ。
私には火炎耐性がないから、防御はある程度硲さんに任せることになってしまうけれど……無茶はしないでおくれよ。仲間が大怪我するのは嫌だからね。
敵に隙が無いようなら、言葉をかけて動揺を誘えないか試してみよう(【恐怖を与える】)
「ひとつになるということは、ある意味永遠の別離と変わらないよね。だって、二度と相手のぬくもりを感じられないわけだろう」

不死鳥の骸魂……あの炎が本体なのだろうか。妖刀での攻撃なら、炎を斬ることもできるかもしれない。隙を見て一撃入れたいね。



 紅き彼岸花が咲き乱れ、幾重にも連なる朱の鳥居を潜り抜けた、その先。
 聖なる炎を授かるべくやって来たはずの社に今在るのは、幽世の夜を燃やし尽くさんとする激しいあか。
『全部、私たちの炎で染めたいの。だって……ほら、とても綺麗でしょう?』
 そんな、幸せそうに笑う竜神の少女の……いや、骸魂となり彼女を飲み込んだ不死鳥の炎を見遣りながら。
(「秒速……ならば、こっちも秒速だね」)
 ――まずは火炎耐性でバイクさんと三日月さんを守らなきゃ。
 そう一歩、敵の炎の攻撃に対抗するべく前へと足を踏み出すのは、硲・葎(流星の旋律・f01013)。
 そして降ろした魔をその身に宿し、鎧を纏い守りを強化しつつも。
(「多少の代償はあるけれど、何もなしに炎に巻かれるよりは遙かにマシだ」)
 月隠・三日月(黄昏の猟兵・f01960)は身体を蝕む毒の代償に、大人びてみえる表情を一瞬だけ微か顰めるけれど。
 自分を守る様に前に進む葎へと、黒の瞳を向ける。
 火炎に耐性がないため、防御はある程度、葎に任せることになってしまうが。
「……無茶はしないでおくれよ。仲間が大怪我するのは嫌だからね」
 ――葎に無茶はして欲しくない、そう思うから。
 三日月も燃え盛る炎の中、確りと敵を見据える。
 秒速で放たれるという、フェニックスドラゴンと成った敵の灼熱光線。
 それを躱す為の鍵は、そう。
「バイクさん、今回は君のスピードにかかってる」
 葎は戦場に喚んだAI搭載超大型バイク、通称バイクさんへと跨りつつも声を掛ける。
 そして相手の動きを見切り、バイクさんと共に戦場を駆け、攻撃を回避するべく。
(「第六感を使わないと間に合わないかもだし、感覚を研ぎ澄まさないと」)
『あかに燃やされればいいわ、何もかも』
「……!」
 敵の動きへと意識を集中させるけれど。
 骸魂とひとつになった炎は、隙などみせぬと言わんばかりに激しく燃え盛る。
 そんなフェニックスドラゴンへと、ふと言葉を投げたのは、三日月。
「ひとつになるということは、ある意味永遠の別離と変わらないよね。だって、二度と相手のぬくもりを感じられないわけだろう」
「相手とひとつになるよりは、私は一緒にその人のぬくもりを感じて、一緒の歩幅で歩いていきたいかな」
 その声にぴくりと微か反応を示した少女へと、そう葎も続ければ。
『……違うわ。ひとつになった私たちは、永遠に一緒よ……!』
 刹那、戦場へと放たれる灼熱の光線。
 けれどふたりの言葉に明らかに反応し、与えられた別離の恐怖と動揺のまま放たれたそれを、躱す事は難くはなく。
 躱せぬ攻撃は衝撃波で対抗しながら時間稼ぎをし、光線を放った隙を目掛け、一気にバイクさんで轢きにかかる葎。
 その重い衝撃に一瞬堪らず揺らぐも、再び炎を成さんとするフェニックスドラゴン。
 そんな敵を誘き寄せるように。
「貴方の好きになんてさせやしない。同じ炎で焼かれて地獄に逝きなさい」
 葎は言の葉を投げながらも、赤き刃の妖刀で斬りつけていく。三日月が、動きやすいようにと。
 そして燃え盛る炎に対抗しつつ、葎が敵の気を引いている最中。
(「不死鳥の骸魂……あの炎が本体なのだろうか」)
 ふと三日月が瞳に映すのは……少女の傍に在る、不死鳥の如き形をした炎。
 そして刹那、三日月が抜き放つのは――月隠に伝わる、常ならざる妖刀。
 葎が繰り出す彼岸花之葬の斬撃で生じた敵の隙を、決して見逃さずに。
 ――妖刀での攻撃なら、炎を斬ることもできるかもしれない。
『……!』
 炎操る竜神の少女の瞳が瞬間、大きく見開かれる。
 一気に踏み込んだ三日月が放った刃の閃きが、激しく燃ゆる悪しき炎を叩き斬るべく。
 骸魂と成った不死鳥を的確に捉え、見舞われたのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リカルド・アヴリール
ライナス(f10398)と
アドリブ歓迎

本当に戻って来たかもしれないが……
其れが本人かどうか、など知る術は無いだろうな

灼熱からライナスを守るべく
敵の動きを注視しながら、武器を構えようと
ふと、投げ掛けられた問いには少しの間を置いてから

機械には感傷も、感動も無い
だが、俺がもしも人間だと仮定するならば
お前が死んだ後の事を考えるのが、恐ろしくて堪らない
だから、死なせたくないと強く思うだろうな
……機械にあるまじき思考だとしても、其れは拭えない感情だから

UC:虐を発動
動きを止めた所を狙い
体勢を崩させる様に、確実に仕留めるつもりで
大剣を【怪力】を使い、動きを止めた相手へ全力で横薙ぎに振るう


ライナス・ブレイスフォード
リカルドf15138と

帰って来た、なあ
前もンな事言ってる奴見た事あっけど
ソレ、本当に元の奴が戻ってきてんのかよ?
そう頭を掻きつつも、隣のリカルドを見ればふと笑みを
なあ。もし俺が死んだ後しぶとく俺が戻ってきたらどうすんよ?

…出会った当初なら一蹴し合うだろうけどよ。こんだけ一緒に居りゃ惜しんでくれたりすんじゃねえの、とは口には出さねえけど
…ま、俺らしくねえけどな

答えには口元を緩めた後リカルドの首筋に歯を立て【偉大なる糧】
軽くなった身にて地を蹴り至近距離から『クイックドロウ』動きを止めるように『制圧射撃』を試みんぜ
機械なら喰う肉なんざねえだろが。ま、動きは止めといてやっからよ。後は確りやれよ?



 眩暈がするほど無間に連なるあかを、一緒に潜り抜け――辿り着いた先。
『……ね、素敵じゃない? 貴方と私のあかで、この世界が染まれば。きっと綺麗よ』
 満たされた表情で笑うのは、ひとりの竜神の少女。
 その身に、悪しき骸魂の炎を纏いながら。
 そんな姿を見遣り、揃いの梟の面を微か上げて。
「帰って来た、なあ。前もンな事言ってる奴見た事あっけど、ソレ、本当に元の奴が戻ってきてんのかよ?」
 そう、頭を掻きつつも口にするのは、ライナス・ブレイスフォード(ダンピールのグールドライバー・f10398)。
 リカルド・アヴリール(機人背反・f15138)は、そんなすぐ隣に在るライナスへと視線を向けてから。
「本当に戻って来たかもしれないが……其れが本人かどうか、など知る術は無いだろうな」
 言った後、夜の如き色の瞳に眼前の猛火を映し出す。
 その灼熱からライナスを守るべく。
 それから邪悪な炎纏う敵の動きを見据え、得物を構えようとした――その時。
「なあ。もし俺が死んだ後しぶとく俺が戻ってきたらどうすんよ?」
 見つめられ笑みと共に向けられたのは、そんな言葉。
 そしてライナスは細めた緑の瞳で隣のリカルドの姿を映し、そう問いを紡ぎながらも思う。
(「……出会った当初なら一蹴し合うだろうけどよ」)
 ……こんだけ一緒に居りゃ惜しんでくれたりすんじゃねえの、なんて。
 口には、出さないけれど。
 そして梟の面を少しだけ下げて、微か笑う……ま、俺らしくねえけどな、って。
 リカルドは、ふと投げ掛けられたそんな問いに、少しの間を置いてから。
 問うた彼の姿を見つめると、ひとつひとつ、言葉を紡ぎ答える。
「機械には感傷も、感動も無い。だが、俺がもしも人間だと仮定するならば」
 ――お前が死んだ後の事を考えるのが、恐ろしくて堪らない、と。
 今、こんなに近くにいるのに。
 いや、だからこそ……ライナスがいなくなると思うだけで、怖くて。
 死んだ時に、なんて、到底考えられないから。
 リカルドはライナスへと、こう言葉を続ける。
「だから、死なせたくないと強く思うだろうな」
 それは機械にあるまじき思考かもしれない。
 けれど、リカルドにとって、決して拭えない感情だから。
 そんな返ってきた言葉に、口元を緩めた後。
「……っ」
 ライナスが歯を立てるのは、すぐ隣に在る首筋。
 その滲むあかと鉄臭い匂いに、ふっと口角を上げてから。
『……!』
 トンッと軽い身のこなしで地を蹴った刹那、敵の至近距離で素早く抜いた拳銃の引き金を引くライナス。
 そして、燃え盛る炎纏う敵の動きを止めるように銃弾をぶっ放した後。
 微かあかが残る己の口元を舌で舐めてみせながら、ライナスはリカルドへと再び視線を戻し、笑う。
「機械なら喰う肉なんざねえだろが」
 ……ま、動きは止めといてやっからよ。後は確りやれよ? って。
 瞬間、自身の全機能を一時制限解除するリカルド。
 ライナスが動きを封じた敵を、壊すべく。
 繰り出された炎に衣服や皮膚が多少焼けようとも、向けられる衝撃に傷を追おうとも。
 敵が体勢を崩した隙を、リカルドは見逃しやしない。
 怪力をもって、握る大剣を全力で横薙ぎに振るう。
『……ッ!』
 避けようともライナスの撃ち出す制圧射撃でそれもままならない竜神は、穢れを帯びた凶刃の衝撃に大きく傾いて。
 リカルドは確実に仕留めるべく、敵を壊しにかかる。
 無間の朱の合間からみた、紅に佇む『いつか』が来るまでは。
 ライナスを一人にしたくないし――決して、死なせたくなどないから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
ふえぇ、やっと到着ですか。
あれ?でも、あの炎は良くない感じがしますね。
途中で道を間違えませんでしたか?
ふえぇ、やっぱりあそこで合っているんですね。
ということは、あそこにオブリビオンさんがいるんですね。

ふええ、あんなに速い光線を躱すなんて無理ですよ。
ふえ?美白の魔法を使うんですか?
あぁ、あれも有害な光になるんですね。
さすがユーベルコードです。
これで近づくことができますね。

時が止まってしまったら、いい思い出も作っていくことが出来なくなるんですよ。



 アヒルさんが被っているひょっとこのお面のおかげで、ツンツンこそされなかったけれど。
「ふえぇ、やっと到着ですか」
 歩いても歩いても、どこまで続くのか分からない無間鳥居を潜って。
 ようやく辿り着いた社で、そう息をつくのは、フリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)。
 鳥居の先にある社で、聖なる炎を授かる……そう、聞いていたのだけれど。
「あれ? でも、あの炎は良くない感じがしますね」
 聞いたものとは違いそうな、映ったそのあかのいろに、瞳を思わずぱちくり。
 ……途中で道を間違えませんでしたか? なんて、アヒルさんに訊いてみるけれど。
 首をふるふる振って、間違っていないという、ひょっとこアヒルさん。
「ふえぇ、やっぱりあそこで合っているんですね」
 その言葉に、フリルはそうっと視線を悪しき炎へと向ける。
 ……ということは、あそこにオブリビオンさんがいるんですね、と。
 そして歩みを進めれば――骸魂とひとつになってしまった、竜神の少女の姿が。
『みんな、私たちの炎で燃えてしまえばいいのよ』
 刹那、少女が秒速で繰り出さんとしてくるのは、灼熱の光線。
「ふええ、あんなに速い光線を躱すなんて無理ですよ」
 燃え盛る炎と放たれる光線に、フリルは思わずそう大きな帽子を押さえるけれど。
 ひょっとこの口でツンツンするアヒルさんに、ふと視線を向ければ。
「ふえ? 美白の魔法を使うんですか? あぁ、あれも有害な光になるんですね」
 展開するのは、『しっとり艶々なお肌を守る美白の魔法』!
「さすがユーベルコードです。これで近づくことができますね」
『私は今幸せなの。だから……時なんて、止まればいい』
 有害な光から肌をケアする蒸気を生み出しながらも。
 そう邪悪な炎滾らせ言った少女へと、フリルは紡ぐ。
 ――時が止まってしまったら、いい思い出も作っていくことが出来なくなるんですよ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

怨燃・羅鬼
ん~世界が炎で彩るのは、地獄みたいで綺麗だけど
それで滅んじゃうのはファンの皆がいなくなっちゃうから、らきちゃん☆的には悪いネ☆

お祭りのためにも、らきちゃん☆がんばるよ!


羅射武舞逝苦を持って戦うよ!
突いて、薙いで~歌って踊るように☆


不死鳥さんなら復活されたら困っちゃうネ

だから、これを使うよ!
ファラリスくんの鎖を操作して敵さんに誘導☆
中に閉じ込めて内部機構の操作

じゃあ☆いい声で歌ってネ☆
復活してもそこはファラリスくんの中

さぁ?何回召喚されるかな??



 ようやく辿り着いた社を染めるのは、激しい炎のあか。
『きっとすごく綺麗だわ。貴方の炎で全部燃やしちゃったら』
 そう、ふふと満たされた笑み宿す竜神の少女。
 骸魂と化した不死鳥の悪しき炎を放ちながら。
 そんな幽世の夜を染め上げんと滾る炎を目にして。
「ん~世界が炎で彩るのは、地獄みたいで綺麗だけど」
 怨燃・羅鬼(怒りの心を火に焚べろ・f29417)は小さく首を傾けるけれど。
 すぐにこう、続けるのだった。
「それで滅んじゃうのはファンの皆がいなくなっちゃうから、らきちゃん☆的には悪いネ☆」
 ――お祭りのためにも、らきちゃん☆がんばるよ!
 ファンのためにも、お祭りを楽しむためにも、がんばります!
 そしてその手に握るのは、らきちゃん☆専用のライブ用マイク『羅射武舞逝苦』。
 歌って踊って、は勿論のこと……先が槍になっているから、突いて、薙いで~と戦いもばっちり。
 けれどふと、燃え盛る火の鳥の炎を見つめた後。
「不死鳥さんなら復活されたら困っちゃうネ」
 ――だから、これを使うよ! って。
 展開するのは『惨禍型☆羅鬼羅鬼楽遺負☆突ー』。
 ファラリスくんの鎖を操作し、敵を誘導して。
「じゃあ☆ いい声で歌ってネ☆」
 ……いくら復活しても、そこはファラリスくんの中。
 中に閉じ込め、内部機構の操作を行なわんとする羅鬼。
 そして、きゃるん☆ としたアイドルの様な、狂気を孕む様な、そんな笑みを宿す。
 ――さぁ? 何回召喚されるかな?? って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シキ・ジルモント
◆SPD
離別を齎すと理解して、それでも竜神の少女を取り込んだ骸魂を破壊する
今あの少女と共にあるのは骸魂、オブリビオンだ
求めた存在とは違うものだったはずだろう
とはいえ、そう簡単に割り切れなというのも、よく理解してはいるが
…道中、怪異に誘われかけた事を思い出し、すぐ思考を打ち消す

戦いを長引かせても得は無さそうだ、積極的に攻勢に出る
ユーベルコードを発動、行動速度を上げて光線の回避を試みる
回避後はカウンターで射撃を返してその場を離れ、次の回避と攻撃に備える

手加減は一切無い
離れがたい者との別離を知っているからこそ、このまま放置する事はできない
不死鳥と竜神両者にとって、この状態が良いものであるとは思えない



 幽世を全て焼き尽くさんと燃え上がる、鮮やかな炎。
 けれどそれは、竜神の少女が心惹かれた聖なる不死鳥の炎ではなく。
 骸魂と成ってしまった火の鳥の、邪悪な炎。
『ひとりは寂しいもの。けれどもう、ずっと一緒ね』
 そう呟き、満たされた表情を浮かべている少女を見遣りながらも。
 シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)には、分かっていた。
 不死鳥を倒すと、離別を齎すと。
 けれどやるべきことが何かも、分かっている。
 それは、ひとつになった彼女たちを引き離すこと。
 ――それでも。
(「竜神の少女を取り込んだ骸魂を破壊する」)
 ……今あの少女と共にあるのは骸魂、オブリビオンだ、と。
 そしてシキは炎纏う少女から視線を外さないまま、思うけれど。
(「求めた存在とは違うものだったはずだろう。とはいえ、そう簡単に割り切れなというのも、よく理解してはいるが」)
 ふと思い出すのは……此処に辿り着く迄の道中、怪異に誘われかけた事。
 だが直ぐに首を横に振り、すぐに思考を打ち消すシキ。
「戦いを長引かせても得は無さそうだ」
 ――積極的に攻勢に出る。
 刹那、獲物を探すかのようにその瞳光らせれば。
 開放されるのは、普段は抑えている人狼の獣性。
 肉体のリミッターを外し爆発的に増大したスピードと反応速度をもって、襲い来る秒速の灼熱の光線を回避して。
 掠った皮膚から微か焦げた匂いが鼻をつくけれど、行動速度を上げ躱したその傷は表面を撫でた程度。
 逆に実用性重視のハンドガン・シロガネを抜き放ち、反撃の引き金を引いた後。
 次の回避と攻撃に備え、地を蹴ってすかさずその場を離れる。
『燃えてしまえばいい。全部、この美しい炎で』
 少女は笑いながら、再び不死鳥の悪しき炎を滾らせ光線を放つ。
 そしてその軌道を確りと見据え、戦場を駆けながらも、シキは思う。
(「不死鳥と竜神両者にとって、この状態が良いものであるとは思えない」)
 このまま放置する事はできない、と……離れがたい者との別離を知っているからこそ。
 だから、シキは再び躊躇なくその引き金を引く。
 ――手加減は一切無い、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイシャ・ラブラドライト
f17484ジノと
口調→華やぐ風
ジノ以外には通常口調

ジノ、暑い?
心配そうに団扇でジノを扇ぐ

大切な人と離れたくなくて
時間が止まったらいいのにって気持ち
私はすごくよく分かるよ
ジノは、そういう気持ちになることってない?

世界が2人だけのものだったらよかったのにね
幸せな瞬間だけを生きられたらどんなにいいだろう
でも私なら
大切な人の中に流れる時間や
生きていく世界のことを大切にしたい
不死鳥さん、私たちはあなたを必ず倒さなければなりませんが
少女を倒すことが目的ではないのです
そこから出て一緒に彼女の幸せを願いませんか

UCで歌を歌って動きを封じたら
攻撃はジノに任せてmuguetやembraceでジノを手助けする


ジノーヴィー・マルス
アイシャ(f19187)と。
SPD

いやー、色んな意味でお熱いねえ。ここ冷房ねえの?あ、ない。そう。

でもさぁ、時を止めたりとか、世界を燃やしちまったら、何かつまんなくねぇか。
例え二人で生きれるんだとしても、刺激のねぇ世の中なんて真っ平ごめんだし、そういう風にするのが望みなら…悪いが止めなきゃなんねえ。

しかし、問題なのはこの熱い光線だよな。
【見切り】で発射前の仕草を割り出して…避ける時だけ「ちょっと張り切ってみる」か。
そうすりゃ、寿命もあんまり縮まねえと思うんだ。
そうしながら接近して、ダガーで斬りつけて行くぜ。



 幾重もの無間の朱を潜った先、辿り着いた社を染め上げるそのいろも赤。
『ああ、やっぱり綺麗。貴方の不死の炎は』
 そううっとりとした様子で呟きを落とすのは、猛烈な炎を纏うひとりの少女であった。
 心惹かれた不死鳥……いや、骸魂となったそれとひとつになって、幸せそうに笑みながら。
 そんな様を見遣りながら、ひらひらと掌で煽ぐような仕草をしつつ。
「いやー、色んな意味でお熱いねえ。ここ冷房ねえの? あ、ない。そう」
 揶揄する様に言ったジノーヴィー・マルス(ポケットの中は空虚と紙切れ・f17484)に。
 小さく首を傾けたアイシャ・ラブラドライト(煌めく風・f19187)は、心配そうにパタパタ。
「ジノ、暑い?」
 団扇でジノを扇ぎながらも、ふと紡ぎ彼に問いかける。
「大切な人と離れたくなくて、時間が止まったらいいのにって気持ち……私はすごくよく分かるよ」
 ――ジノは、そういう気持ちになることってない? って。
 懸命に扇いでくれつつも言ったアイシャへと。
「でもさぁ、時を止めたりとか、世界を燃やしちまったら、何かつまんなくねぇか」
 視線と言葉を返す、ジノーヴィー。
 それにアイシャも緑髪の揺らし、こくりと頷いて。
「世界が2人だけのものだったらよかったのにね。幸せな瞬間だけを生きられたらどんなにいいだろう。でも私なら、大切な人の中に流れる時間や生きていく世界のことを大切にしたい」
 そうはっきりと言った彼女へと、今度はジノーヴィーが微か頷く。
「例え二人で生きれるんだとしても、刺激のねぇ世の中なんて真っ平ごめんだし、そういう風にするのが望みなら……悪いが止めなきゃなんねえ」
 時が止まれば確かに、今のふたりは一緒にいられるのかもしれないけれど。
 でも、ただそれだけなのだ。
 一緒だけれど、何も変わらない……そして刺激のないそれは、つまらない。
 だからジノーヴィーの言う様に、止めなければいけない。
 幽世の夜を炎が燃やし尽くすその前に。
 そしてアイシャは、燃え盛る不死鳥を形を成す炎を見遣り口を開く。
「不死鳥さん、私たちはあなたを必ず倒さなければなりませんが、少女を倒すことが目的ではないのです」
 ――そこから出て一緒に彼女の幸せを願いませんか、と。
『いやよ。離れるだなんて、有り得ない』
 そんな彼女の言葉に反応を示し、ぶんぶんと首を横に振る竜神に。
 アイシャは心から願い、歌う。幸せの祈りを吹き抜ける風に乗せた、優しい旋律を。
 けれどその声が届くより僅か早く。
「……!」
 少女が繰り出さんと滾らせるのは、灼熱のいろ。
「しかし、問題なのは熱い光線だよな」
 秒速で繰り出されるという、敵の灼熱の光線。
 ジノーヴィーはその予備動作を見遣りつつも、舌打ちをひとつ。
 光線が放たれるそのタイミングを見計らいながら――『ちょっと張り切ってみる』。
 そうすれば、寿命も余り縮まないと思うから。
 刹那、爆発的に増大したスピードと反応速度をもって、ジノーヴィーが灼熱の光線を避ければ。
 アイシャはすかさず、光線の追撃から彼を守る。
 思い描いた通り、優しく抱擁するかの如く……花を咲かせて成した盾で。
 そして瞬間、大きく地を蹴ったジノーヴィーは、ぐっと握り締めたダガーを振り翳して。
『……く、!』
 不死鳥の形を描いて燃える炎を、その刃で斬りつける。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

桜枝・冬花
【ティーシャ(f02332)さまとご一緒】

このまま、時を止めてしまってよいのですか?
世界が亡びれば、あなたの愛したものがここに在ったということすらわからなくなってしまう
それは、とても悲しいことだと、わたくしは思います

ティーシャさまが注意を逸らしてくださるのならば
わたくしは炎の羽を掻い潜り、隙を衝いて懐に潜り込みます
この身に宿るのは、静止と停滞をもたらす冬の力
今はそれを、この世界に流れる時を正しく導く為に使いましょう

接近が叶いましたら、寒花弐式・氷穿にて不死鳥の骸魂を穿ちます
きっと、あなたも愛したものが滅びを招くことを望みはしないでしょう
――それは、そうと信じたいわたくしの願望かもしれませんが


ティーシャ・アノーヴン
冬花(f22799)さんと引き続き共に。

時間を止めてはいけません。
生まれてなくなるから。進むから。移ろいゆくから。
だから世界は美しいのです。
…貴方も、そこから出てみては?
外の世界と言うのは本当に楽しいものですから。

私はあの不死鳥のみを狙い撃とうと思います。
大鰐霊様はちょっと不向きと存じますので、今回は私が。
冬花さんとは初めての連携となりますわね。

相手の攻撃に対しては下手に逃げるよりもオーラ防御を。
高速詠唱を用いて、不死鳥が攻撃する隙を狙ってみます。
なるべく少女には危害を加えないように。

冬花さんの接近をお手伝いします。こちらに注意を引いてみましょう。
氷の攻撃、不死鳥にはとても効きそうですしね。



 足を踏み入れた社で鮮やかに燃え盛る眼前の炎は、聖なる炎などではなく。
 この世界を焼き尽くさんとする、悪しき炎。
『ふふ、燃やしちゃいましょ。私たちの炎で全部。そうすれば……時を止められるわ』
 戻ってきた不死鳥とひとつになった竜神の少女は幸せそうに、そう笑っているけれど。
「このまま、時を止めてしまってよいのですか? 世界が亡びれば、あなたの愛したものがここに在ったということすらわからなくなってしまう」
 ――それは、とても悲しいことだと、わたくしは思います、と。
 桜枝・冬花(くれなゐの天花・f22799)が言の葉を投げかければ。
 冬花に続き、はっきりと告げるのは、ティーシャ・アノーヴン(シルバーティアラ・f02332)。
「時間を止めてはいけません。生まれてなくなるから。進むから。移ろいゆくから。だから世界は美しいのです」
 春が来て夏となり、秋が訪れて冬がやって来る――そんな四季の様に、だからこそ、変わりゆく様は美しくて。
 ひらり雪の舞う冬のままであれば、花はその下に埋もれていつまでも咲けないから。
 それに、ティーシャはよく知っている。
「……貴方も、そこから出てみては?」
 ――外の世界と言うのは本当に楽しいものですから、って。
 旺盛な好奇心のまま故郷の森を飛び出した彼女自身が今、その楽しさを、身をもって感じているのだから。
 けれど、竜神の少女が宿す不死鳥が、それを許さない。
 その激しい炎を見遣り、ティーシャは冬花へと紫の瞳を向けて。
「私はあの不死鳥のみを狙い撃とうと思います。大鰐霊様はちょっと不向きと存じますので、今回は私が」
 ……冬花さんとは初めての連携となりますわね、と。
 言った後、戦場を飛び交い襲い来る炎の羽へと目を移しながら、ティーシャは守りの気をその身に宿して。
 下手に逃げるよりも、高速詠唱を用いて炎の間隙を縫い、不死鳥に隙が生じるよう狙ってみる。
 なるべく少女には危害を加えないように……と。
 そして刹那、炎の羽舞う中、タッと地を蹴り駆ける冬花。
(「ティーシャさまが注意を逸らしてくださるのならば」)
 敵の隙をつき、その懐に潜り込まんと炎の羽を掻い潜って。
「この身に宿るのは、静止と停滞をもたらす冬の力」
 ――今はそれを、この世界に流れる時を正しく導く為に使いましょう。
 その手に纏わせるは、あらゆるものを凍らせる冷気。
 ティーシャは冬花が接敵できるよう裁きの光を以って、敵の注意を引く様に立ち回りながらも。
 彼女のその掌へと視線を向ける。
「氷の攻撃、不死鳥にはとても効きそうですしね」
 瞬間、悪しき炎に包まれた不死鳥へと全力で見舞われる。
 ――貫き、穿つは闇をこそ……寒花弐式、参ります。
 冷気纏わせた冬花の貫手による、大威力の一撃を。
 穿つように、貫く様に……そして冷気と共に、抱く思いをその一撃に乗せて放つ。
「きっと、あなたも愛したものが滅びを招くことを望みはしないでしょう」
 寒緋桜の瞳に鮮やかな炎を宿し、狙い打ちながらも。
 ――それは、そうと信じたいわたくしの願望かもしれませんが、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミア・レイシッド
【幽楽】

そうね。炎のいろはとても美しいと思うのだわ。
炎が美しいのは当たり前の事なのだわ。
お前様は炎と一緒になってしまったのね。
かわいそうに。

再生の炎と一緒になっても時は止まらないのだわ。
幾度も再生を繰り返して最後には灰になるのよ。
燃える羽をを持ち、幾度も再生をするのならば
王様は救済を施すだけなのだわ。

かくり、ゆけるかしら。
王様が命じていらっしゃるのだわ。
時など止まらせてなるものかと。

王様のご命令はぜったいなの。
無礼者、頭を垂れなさい。
燃える羽はしまいなさい。

そして王に嘘を教えなさい。
あなたを救済しましょう。


揺・かくり
【幽楽】

茫とした視界の中でも然と見える
ああ、焔と云うものは鮮烈だね
私も焔を美しいものだと感じるよ。
だが、それだけさ

時を留める事が幸い、などと
生きて移ろう者の無い物ねだりかい
直に全てを無くしてしまうよ。
君の時間も、君の心も
そして何もかもを

君が全てを無くそうとも
此の世界の時間が止まろうとも
私は其れでも構わないのだが
此の眩しさに当てられ続けるのは避けたい。
私は暗がりが好ましいのだよ。

勿論、往けるとも。
彼女の焔を鎮めようか

諸君、務めの時間だよ。
私の呪詛を糧に目覚めると良い
君達の力を拝借しよう。
彼の王の往く道を切り開いておくれ
私は呪詛を注ぎ続けよう。

焔に魅せられた者
君は、其の口で何を語らうのだろうね。



 幽世の今宵を彩るいろたちは、あかだという。
 朱の鳥居を幾つも潜り抜け、やって来た社に灯るいろも勿論あか。
 そして……茫とした視界の中でも然と見える。
 揺・かくり(うつり・f28103)の金の瞳が映し出す、そのいろが。
「ああ、焔と云うものは鮮烈だね。私も焔を美しいものだと感じるよ」
 眼前に燃え盛る鮮やかな炎は、夜を激しく燃やさんと滾るけれど。
 かくりは不死鳥の骸魂とひとつになり、幸せそうに笑む竜神の少女へとこう続ける。
 ――だが、それだけさ、と。
「そうね。炎のいろはとても美しいと思うのだわ。炎が美しいのは当たり前の事なのだわ」
 そしてミア・レイシッド(Good night・f28010)も、そんな当たり前に美しい炎に飲まれた彼女へと言の葉を投げる。
「お前様は炎と一緒になってしまったのね」
 ……かわいそうに、って。
 今は愛しい不死鳥の炎に包まれて……時よ止まれと。
 そう願う程、幸せそうに笑っているけれど。
 かくりは少女に告げる。その末路を。
「時を留める事が幸い、などと。生きて移ろう者の無い物ねだりかい。直に全てを無くしてしまうよ」
 君の時間も、君の心も――そして何もかもを、と。
「再生の炎と一緒になっても時は止まらないのだわ。幾度も再生を繰り返して最後には灰になるのよ」
 死しても尚、その灰から再生すると言われる不死鳥。
 けれど燃える羽を持ち、幾度も再生をするというのならば。
 ミアは炎纏う竜神を少女へと紡ぐ――王様は救済を施すだけなのだわ、って。
 それに、かくりにとって……いや、この幽世の夜にとって。
「君が全てを無くそうとも、此の世界の時間が止まろうとも、私は其れでも構わないのだが。此の眩しさに当てられ続けるのは避けたい」
 ……私は暗がりが好ましいのだよ、と。
 少々この炎は、鮮やかすぎるから。
「かくり、ゆけるかしら。王様が命じていらっしゃるのだわ。時など止まらせてなるものかと」
「勿論、往けるとも。彼女の焔を鎮めようか」
 ミアの言葉に一瞬だけ視線を向けた後、かくりは戦場に喚んだ死霊たちに語り掛ける。
「諸君、務めの時間だよ。私の呪詛を糧に目覚めると良い」
 そして……君達の力を拝借しよう、と。呪詛を注ぎ続け、彼らにお願いする。
「彼の王の往く道を切り開いておくれ」
「王様のご命令はぜったいなの」
 ――無礼者、頭を垂れなさい。燃える羽はしまいなさい。
 だって、王は命じたのだから。時など止まらせてなるものかと。
 だから、ミアはそれに決して背かずに。
「そして王に嘘を教えなさい。あなたを救済しましょう」
 時を止めんとする悪しき炎を滅し、その歪んだ不死の炎に取り込まれた少女を掬い上げんとする。
 それが、王様の意思なのだから。
『……嘘などないわ、私はこの炎と共に在ればそれで……ッ、!?』
 刹那、カラスの鋭き嘴が不死鳥へと見舞われれば、堪らず瞳を押さえ揺らぐ少女。
 そんな様を見遣り、かくりは眩すぎる炎に金の瞳細めつつ紡ぐ。
 ――焔に魅せられた者。君は、其の口で何を語らうのだろうね、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

陽向・理玖
【月風】

なぁ
一緒に守ってきたんだろ?
それを自分でぶっ壊して…本当にいいのか?

瑠碧姉さん…火大丈夫か
怖かったら少し下がってて
龍珠弾いて握り締めドライバーにセット
変身ッ!
衝撃波飛ばし残像纏いダッシュで間合い詰めグラップル
拳で殴る
両手見て
さすが瑠碧姉さん

いつか帰ってくるんじゃないか
ずっとそう思ってた
けど、…今は

時は止まらないし戻らない
だから美しいんだろ

俺は守りたい
立ち止まらなかったから出会えた大切な物を

例え大切な過去でも
それより今の方を
未来を信じてんだ

立ち上がれよ
その炎みたいに
絶望に負けんじゃねぇ

攻撃見切り
両手にオーラ張り武器受けし炎吹き飛ばし
瑠碧姉さんの分も弾くッ!
カウンター
浄化するのに合わせUC


泉宮・瑠碧
【月風】

…彼女の…
気持ちだけなら、分かる気はします
でも…
あたたかく優しいと、そう思った大切なものを
命を奪うものへ変えてはいけないと、思います

大きな炎には…
脳裏に、過去の燃え盛る森が過ぎって…
恐怖で一瞬立ち竦みます、が
…大 丈夫、です
理玖の声で我に返り

炎は、怖くても…対抗は、出来ます
理玖の両手へも水を薄く張り
炎への耐性を

少し下がった先で
私は静穏帰向で願い、祈ります
此の場が、浄化の水の気配で満ちる様に
過ぎた火は、炎の羽諸共、溶けて消えるように
悪しきは、聖なるへ…
骸魂の核を浄化し、穏やかに帰れるように

…不死鳥も、少女も…
例え身体が離れても、幾久しく心は添い…
…彼らの思い出を、大切に抱えられますように



 一体、どのくらい少女は此処で待っていたのだろうか。
 ひとり、この社の聖なる炎を守りながら。
 けれど、それは分からないし。
 今、心惹かれた不死鳥とひとつになった彼女は、幸せそうに笑うけれど。
 纏うのは守ってきた聖なる炎などではなく……骸魂と成り果てた、世界を燃やし尽くす悪しき炎。
『全部、燃やして染めてしまいましょうよ。貴方の炎は美しいもの』
 陽向・理玖(夏疾風・f22773)は満たされた表情でそう言った少女へと、声を投げる。
「なぁ、一緒に守ってきたんだろ? それを自分でぶっ壊して……本当にいいのか?」
 そう問いかける理玖の隣で。
(「……彼女の……気持ちだけなら、分かる気はします」)
 泉宮・瑠碧(月白・f04280)は、少女の思いが分かる気はするけれど。
 でも……と、そう顔を上げて紡ぐ。
「あたたかく優しいと、そう思った大切なものを。命を奪うものへ変えてはいけないと、思います」
 そして刹那、深い青の瞳に映るのは――激しく燃え盛る炎。
 瞳の中に燃えるそのいろに、瑠碧はびくりと身体を振るわせる。
 大きな炎、そして燃え盛る森……脳裏に過ぎるそんな過去の光景に、一瞬恐怖で立ち竦んでしまうけれど。
「瑠碧姉さん……火大丈夫か」
 ……怖かったら少し下がってて、と。
 耳に届いた理玖の声で、ハッと我に返って。
「……大、丈夫、です」
 自分の前に立つ彼の背に、そう言の葉を紡いでから。
 ――変身ッ!
 虹色に耀く龍珠弾いて握り締めドライバーにセットし、全身装甲姿へと変身して。
 衝撃波を飛ばし残像を纏いながら戦場を一気に駆ける理玖の手に、瑠碧は施す。
「炎は、怖くても……対抗は、出来ます」
 炎への耐性をと薄く張った水を。
 そんな両手を広げて見た後、ぐっと拳を握り込んで。
「さすが瑠碧姉さん」
『……ぐぅ、っ!』
 間合い詰めた理玖の水纏う拳が、不死鳥の炎へと炸裂する。
 そして上体揺らすその姿を見遣りながら。
「いつか帰ってくるんじゃないか。ずっとそう思ってた。けど、……今は」
 ふと理玖はそう、言の葉を零すけれど。
 確りとその顔を上げて言い切る。
 ――時は止まらないし戻らない。だから美しいんだろ、と。
 失われた時はもう戻らない。いくら待ったって。
 理玖はそれを知っている。だからこそ、思うのだ。
「俺は守りたい。立ち止まらなかったから出会えた大切な物を。例え大切な過去でも」
 ――それより今の方を……未来を信じてんだ、って。
 止まらぬ時をこの足で歩んできて。
 そして未来へと向かって進む、その全てを……守りたいから。
 それに、眼前の竜神の少女にだって。
「立ち上がれよ、その炎みたいに。絶望に負けんじゃねぇ」
 負けて欲しくはない、そう思うから。
 理玖は燃え盛り舞う炎の羽を見切り、水と重ねて守り気を漲らせた両手で炎を吹き飛ばす。
「瑠碧姉さんの分も弾くッ!」
 勿論、背中に在る瑠碧にまで、炎は決して通さない。
 そして少し彼から下がった先で。
 ――生きるを守り、悲しき過去の残滓を帰す、と。
 そう数多に揺蕩い、名も無く優しき小さな精霊達へと瑠碧は願う。
 ……此の場が、浄化の水の気配で満ちる様に。
 ……過ぎた火は、炎の羽諸共、溶けて消えるように。
「悪しきは、聖なるへ……」
 ……骸魂の核を浄化し、穏やかに帰れるように。
 同時に、瞬時に間合いを詰め、炎の羽放つ敵へと、理玖は反撃の一打をお見舞いする。
 蒼に閃く龍の牙の如き――雷纏う拳や蹴りの乱舞をもって。
 そんな彼を守るように、瑠碧は願いや祈りを馳せ続ける。
(「……不死鳥も、少女も……例え身体が離れても、幾久しく心は添い……」)
 ――……彼らの思い出を、大切に抱えられますように、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

はじめて見たあのときの直感と
どことなく抱いていた憧憬と羨望は
今思えば感覚的に理解していたのかもしれませんね
筆舌に尽くしがたい情緒を与えてくるひとこそが、自分の大切な相手だと

在り得るかもしれない別離に恐怖するのは当然のことです
ですが、害成す存在となってしまうことを
はたしてその方は望んでいるのでしょうか?

「魔力溜め」を行い、敵の攻撃との相殺を狙いながら
「高速詠唱」「全力魔法」「属性攻撃」「一斉発射」を付加した
【天撃アストロフィジックス】にて攻撃します

無茶はしませんよ
きみがいますので
それに、ザッフィーロ
きみは僕のもの、僕はきみのものですから
誰にも引き離させはしませんよ


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

心持ちは解るが…だが
俺の所有者の様に戻ったとて大事な者の害となる存在で在り続ける事は辛いだろうからな
…止めるしかなかろう?

戦闘時はメイスと盾にて『武器・盾受』で宵を『かば』い行動しつつ敵を【鍛錬の賜物】にて地へ叩きつけ動きを止めんと試みよう
心持ちが解る分心は痛いがな

…宵とは朽ちたとて共にとそう決めて居るが…もし本体が誰かに持ち去られ後を追う事も出来ぬ状況になったのならば、きっと俺も同じ様に考えてしまうのだろう
そう宵への攻撃を防ぎつつ思考を巡らせよう
…宵、無茶はするなよ?

だが宵の言の葉を聞けば応える様に笑みを
…俺らを引き離す者は互いに赦す訳なかったか
…恐れる事などなかった、な?



『すごく綺麗って、一目見てすぐ心惹かれたの。だからそのいろで、ずっと満たされていたい』
 朱の鳥居を潜り抜けた先の社で、激しく燃え盛るあかを宿しながら。
 世界を焼き尽くさんとする少女は、幸せそうに笑んでいた。
 やっとひとつになれたと、満たされた声で紡ぎながら。
 そんな姿へと視線を向けるのは、白と黒の揃いの狐の妖。
 そして白の狐――逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)は、星瞬く深宵の瞳に滾る炎を映しながらも思う。
(「はじめて見たあのときの直感とどことなく抱いていた憧憬と羨望は、今思えば感覚的に理解していたのかもしれませんね」)
 すぐ隣にある黒の狐、ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)のかんばせを、面の合間から見つめながら。
 ――筆舌に尽くしがたい情緒を与えてくるひとこそが、自分の大切な相手だと、と。
 それから、竜神の少女へと視線を移して宵は問う。
「在り得るかもしれない別離に恐怖するのは当然のことです。ですが、害成す存在となってしまうことを、はたしてその方は望んでいるのでしょうか?」
 すぐ傍に在った大切な人がいなくなることは、とても怖い。
 それはよく分かるのだけれど。
「心持ちは解るが……だが、俺の所有者の様に戻ったとて大事な者の害となる存在で在り続ける事は辛いだろうからな」
 ザッフィーロは知っているから。己がやるべき事を、迷いはしない。
 ……止めるしかなかろう? と。
 宵の明星の名を冠するメイスを握り、淡く光るエネルギーの盾を携え、宵を庇うように位置取って。
『……!』
 心持ちが解る分、心は痛いけれど。
 炎の羽を戦場へと撒き散らす敵の動きを止めんと掴み、地へと叩きつける。
 刹那、燃え上がる不死鳥の羽。そして炎の中からもう1体、炎の鳥は現れるけれど。
 魔力を十分に溜め、燃える炎の羽との相殺を狙いながら。
「太陽は地を照らし、月は宙に輝き、星は天を廻る。そして時には、彼らは我々に牙を剥くのです」
 ――さあ、宵の口とまいりましょう。
 高速詠唱を成し、煌めく星属性の全力魔法を一斉発射させた宵が放つのは、数多の流星の矢。
 炎の羽も不死鳥たちも全て射貫く様に、星の輝きが戦場に流れる中。
 彼に降りかかる炎を振り払いながらも、ザッフィーロは思考を巡らせる。
(「……宵とは朽ちたとて共にとそう決めて居るが…もし本体が誰かに持ち去られ後を追う事も出来ぬ状況になったのならば、きっと俺も同じ様に考えてしまうのだろう」)
 そして隣に在るその姿に視線を向け、口にする。
「……宵、無茶はするなよ?」
「無茶はしませんよ。きみがいますので」
 その声に、深宵の瞳を細めてから。
 ……それに、ザッフィーロ、と。宵は続けて、かれへと紡ぐ。
「きみは僕のもの、僕はきみのものですから。誰にも引き離させはしませんよ」
 そんな耳に届いた言の葉を聞けば。
 自然と応えるように返すのは、柔く愛しげな笑み。
「……俺らを引き離す者は互いに赦す訳なかったか」
 ザッフィーロは、流れる星の煌めき生み出す宵の盾になりながら。
 ……恐れる事などなかった、な? って。
 幽世の夜を燃やさんとする悪しき炎を、蹴散らしてゆく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花屋敷・幽兵
ベイメリア(f01781)と
ふむ…この少女が例の。
一つになりたいと願って、本当に叶えてしまうとはな。
かなり筋の通った信念には感心するが、それとこれとは別だ。
俺は止まった時より、動いている方が好きなんだ。
いくぞベイメリア。こっちの絆も見せてやろう。声かけあって行くか。
とはいえ炎とかの耐性はないし…継戦能力を活かして立ち回るぜ。
槍使いの戦い方を教えてやる。
リーチを活かして寄せ付けずに突きと刺しを駆使してスチームエンジンで強化も入れていくぜ。
よし今だ、やっておしまいベイメリア。息を合わせて行こう。
彼女らを止めるぞ。


ベイメリア・ミハイロフ
幽兵さま(f20301)と

この少女が…不死鳥に焦がれたという…
ひとつになってしまいたい位の想いとは
いかほどのものだったのでございましょう
…いいえ、今は考えぬようにしなくては
折角のご縁でございますけれど、引き剥がさせて頂きます
ええ、幽兵さま、参りましょう!

火炎耐性・激痛耐性、オーラ防御を活用しつつ
可能であればオーラで幽兵さまもお守りできるよう布陣
お相手の攻撃は第六感にて見切り武器受けを試みます
お相手からの攻撃時は幽兵さまにもお声がけし合図を

幽兵さまが作ってくださった隙をすかさず突いて参ります
攻撃はJudgment arrowにて
属性攻撃で特に水属性を強化
範囲攻撃にて炎の羽と共に本体を攻撃致します



 足を止めずに潜り抜けた、朱き無間鳥居の先。
『やっと戻ってきてくれた。やっぱり貴方の炎は一等綺麗よ』
 そう幸せそうに口にし笑むのは、ひとりの竜神の少女。
 そして彼女が纏うのは、不死鳥の炎……骸魂と成り果てた悪しきいろ。
「ふむ……この少女が例の。一つになりたいと願って、本当に叶えてしまうとはな」
 一体どのくらいの時間、ひとりでこの社で待ち続けたのだろうか。
 心惹かれた不死鳥の炎がいつか戻ってくるだろうと、信じながら。
 花屋敷・幽兵(粗忽なダークヒーロー・f20301)はそんな少女の、かなり筋の通った信念には感心するけれど。
「それとこれとは別だ」
 だって、やはりつまらないから。
「俺は止まった時より、動いている方が好きなんだ」
 失いもしないけれど、何も得ることもない、そんな止まった時なんて。
 ――時よ止まれ、お前は美しい。
 その言の葉は、とてもロマンティックで。
(「この少女が……不死鳥に焦がれたという……ひとつになってしまいたい位の想いとは、いかほどのものだったのでございましょう」)
 ベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)は不死鳥の炎纏う、満たされた表情の少女を見て思うけれど。
 金の髪をふるりと微か揺らし、首をそっと横に振る。
 ……いいえ、今は考えぬようにしなくては、と。
「折角のご縁でございますけれど、引き剥がさせて頂きます」
 改めて確りと敵を見据える。
 この世界を滅亡させるわけにはいかないから。やるべき事を成す為に。
 そんなベイメリアの耳にふいに届くのは、幽兵の声。
「いくぞベイメリア。こっちの絆も見せてやろう」
 声かけあって行くか、そう続けた彼にベイメリアは大きく頷いて。
 顔を見合せ、同時に頷けば。
「ええ、幽兵さま、参りましょう!」
 倒すべき敵を滅するべく、共に協力し合い炎燃ゆる戦場へと駆け出す。
(「とはいえ炎とかの耐性はないし……」)
 幽兵はそう燃え盛る炎を前に、考えを巡らせるけれど。
 持ち前の継戦能力を活かし立ち回るべく、鈍く光る鋼鉄の槍を構える。
 ――槍使いの戦い方を教えてやる、と。
 そんな幽兵を守れるようにと布陣し、ベイメリアは火炎や激痛に対する耐性を活かし守りの気を見に纏って。
「幽兵さま、炎の羽がくるようです!」
 バサッと炎の不死鳥が尾を振るった姿を目にし、そう声を掛けて。
 舞い襲う炎の羽を、第六感を駆使し見切り、武器受けを試みて防がんとする。
 刹那、繰り出されるのは、蒸気エンジンをもって破壊力を増した鋼鉄の槍の鋭撃。
『! ……ぐっ』
 リーチを活かし敵を寄せ付けず、突きと刺しを駆使し翻弄しつつも。
 強化された破壊力で悪しき炎を穿たんと、槍を繰り出していく幽兵。
 けれどそれは、敵の隙を作るべく放たれたもの。
「よし今だ、やっておしまいベイメリア」
 その声と同時に戦場に生み出されるは、全属性のあらゆる装甲や防御をも貫く光の矢。
 ――裁きの光を受けなさい……!
 刹那、特に水属性が強化された眩い数多の矢が戦場へと放たれて。
『……!!』
 幽兵が作った隙をすかさず突き、不死鳥の炎を射貫く裁きの矢。
 そして揺らぎつつもまだ倒れぬ敵へと、視線を外さないまま。
 鮮やかな炎を映し鈍く光る槍を構え、幽兵はベイメリアへと声を掛ける。
「息を合わせて行こう」
 ――彼女らを止めるぞ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

晴海・未春
碧(f11172)と
いとおしいひとが、いなくなるのは、つらいこと
なくさないと気づけないしあわせもあれば、なくせないほど大切なしあわせもある
ぼくは絵を描けるのがしあわせだから、それが一生できなくなるのは、とてもつらい

だから、戻ってきてくれたたいせつなひとを留めておきたいきもちはとても、わかるつもり
でも、それはほんとうにそのひとのためになるんだろうか
いけないことではないのだろうか
だれかを傷つけることを、そのひとは望んでいたのかな

「先制攻撃」で「マヒ攻撃」をのせたユーベルコードを使ってきみを塗りつぶす、よ
先制できなくても攻撃を「オーラ防御」でふせいで
供であるかれへの攻撃もふせげたら


劉・碧
未春(f14270)と

好いてるから喰われることが望みなら、それはエゴだ
アンタは何か勘違いしている
骸魂がしたことを、アンタは懸命に平穏な方向に解釈しようとしている
それが不死鳥への思いやりだと、勘違いしているのさ
不死鳥の気持ちや幸福を考えたことあるか?
死ぬ間際のアンタへの気持ち
不死鳥にとっての幸せ

自分の不幸や思い込みで他人に迷惑かけること、生前の不死鳥は望んでいたのかい?
心細い、寂しい気持ちに骸魂は浸けこむんだ
アンタが一つになったのは骸魂だ
失うことが怖いならこっちへ来い

未春に合わせて銀月を投擲
説得しつつ手を伸ばす
上手く骸魂から剥離出来れば良いが…
足を引っ張らんようにしないとな



『全部染めましょ、貴方の美しいあかで』
 朱の無間鳥居を抜けた社で、竜神の少女は満たされたように微笑む。
 幽世を燃やし尽くす愛しき不死鳥の炎で……世界を、好きないろで塗りつぶしたい。
 そして、たとえ求めるいろは違っていても……気持ちは、少しだけ分かる気もするし。
(「いとおしいひとが、いなくなるのは、つらいこと」)
 ……なくさないと気づけないしあわせもあれば、なくせないほど大切なしあわせもある。
 そして晴海・未春(春の仔・f14270)は、自分にとってのそのしあわせを知っている。
 だから、それをなくすなんて考えてみれば。
「ぼくは絵を描けるのがしあわせだから、それが一生できなくなるのは、とてもつらい」
 そう……とても、つらくて。
「だから、戻ってきてくれたたいせつなひとを留めておきたいきもちはとても、わかるつもり」
 分かるのだ。きっと、とてもよく。
 未だ描きたい春は訪れなくても……描いているひとときは、しあわせなのだ。
 それができなくなるなんて。考えただけでつらいことはわかる。
 ――けれど。
「でも、それはほんとうにそのひとのためになるんだろうか。いけないことではないのだろうか」
 未春は凍てる湖色の瞳に、不死鳥のあかを映しながらも続ける。
「だれかを傷つけることを、そのひとは望んでいたのかな」
 聖なる炎を共に守ってきたというのならば、その答えは明確のはず。
 でも、もう違うのだ。
「好いてるから喰われることが望みなら、それはエゴだ。アンタは何か勘違いしている」
 劉・碧(夜来香・f11172)は、心惹かれた存在とひとつになれたと。
 そう笑む少女へと、はっきり告げる。
「骸魂がしたことを、アンタは懸命に平穏な方向に解釈しようとしている。それが不死鳥への思いやりだと、勘違いしているのさ」
『……勘違い?』
「不死鳥の気持ちや幸福を考えたことあるか? 死ぬ間際のアンタへの気持ち、不死鳥にとっての幸せ」
 碧は、何を言っているんだと言わんばかりに眉を微か顰める少女へと、さらに言の葉を投げる。
「自分の不幸や思い込みで他人に迷惑かけること、生前の不死鳥は望んでいたのかい?」
 ――心細い、寂しい気持ちに骸魂は浸けこむんだ、と。
 確かに不死鳥は彼女の元へと戻ってきたのかもしれない。けれど、違う。
 それは彼女が想い焦がれた炎では、もうなくて。
「アンタが一つになったのは骸魂だ」
 だから碧は引き離す。一度は望み通りひとつになったふたりを。
 幽世の夜を、焼き尽くす悪しきあかで染めんとする彼女。
 けれど、それよりも速く。
「きみを塗りつぶす、よ」
 宵色の宙に透ける銀雪の髪をふわり、躍らせながら。
 未春が振るうのは、春色の絵の具が付いたペイントブキ。
 不死鳥がそのあかで滅びの世界を染めるというのならば、未春はそれを春のいろで塗りつぶす。
 同時に碧が投擲するのは、白銀抱く月明の閃き。
(「上手く骸魂から剥離出来れば良いが……」)
 彼女の春色に銀月を添わせ、少女を説得しながらも。
 碧は、その手を伸ばす。
「失うことが怖いならこっちへ来い」
 そして守りの気を纏い、舞い降る炎の羽や光線から自分の事も守らんとする未春に金緑石の瞳を細める。
 ……足を引っ張らんようにしないとな、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

氷條・雪那
亡き兄の口調と振る舞いを真似て、意識を戦闘に切り替え
「我が名は氷條・雪那。いざ、参る」

致命傷となりそうな攻撃だけは避けながら攻撃し
瀕死になる直前まで傷を与えたら召喚前に皆と連携し
氷の力を付与した剣刃一閃で仕留めに行く

戦いながら時折、竜神の少女に声を掛ける
例え届かなくとも、何度でも

それは、貴殿が想い焦がれた不死鳥でない
あくまで姿形を真似た、骸魂だ

世界を赤く染め上げ、焼き尽くす事が本来の不死鳥の望みなのか
この場に居る誰よりも分かるのは、貴殿ではないのか

このまま美しいと思ったあかを醜く歪ませ、呪われた炎とするか
その手を放し、世界と不死鳥との思い出を守るのか
決断するのは、貴殿だ



 幾重にも連なる朱を潜り抜け、紅き彼岸花咲き誇る社に辿り着けば。
『滅びゆく世界を、美しき炎で彩りたいの』
 聖なる炎授かるべきはずの場所に燃え上がるのは、骸魂と成り果てた不死鳥の悪しきあか。
 これまで仲間の刃を受け、竜神の少女……いや、フェニックスドラゴンの消耗は明らかだけれど。
 それでも彼女は、幸せそうに笑っている。ひとつになれたと、満たされた表情で。
 そんな少女へと一度、青い瞳を向けてから。
「我が名は氷條・雪那。いざ、参る」
 氷條・雪那(凍刃・f04292)はいつもと同じ様に、亡き兄の口調と振る舞いを真似る。
 意識を戦闘に切り替えるべく。
 そして燃え盛る炎に身を焼かれぬ程度に衝撃を躱しながら、地を蹴り接敵して。
 もうひとりの彼女が召喚されぬ瀕死直前まで傷を与えれば、共に戦場に在る者達と共に一気に攻め込む。
 向けられる炎さえも凍らせんとする様な、冷気を纏った美しい刀の剣刃の一閃で。
 そして燃え上がる炎の間隙を縫い、竜神の少女へと声を掛ける。
「それは、貴殿が想い焦がれた不死鳥でない。あくまで姿形を真似た、骸魂だ」
 いくら幸せそうに笑んでいても。
 本当に少女が求めた存在では、もうないのだから。
 幽世の夜に燃えるそのあかは美しく聖なるものではない、滅びのいろ。
「世界を赤く染め上げ、焼き尽くす事が本来の不死鳥の望みなのか。この場に居る誰よりも分かるのは、貴殿ではないのか」
『……もう、ひとりで待つのは、いやなの。だから――』
 どれだけ長い間、少女は待っていたのか。
 どれほど寂しかったのか……それは彼女にしか分からないけれど。
 雪那は握る雪夜の刃を振るいながらも、少女へと向ける言の葉を投げるのを止めない。
 例え届かなくとも……何度でも。
 そして不死鳥の鮮やかな炎に惹かれた少女の、その心に問い紡ぐ。
「このまま美しいと思ったあかを醜く歪ませ、呪われた炎とするか。その手を放し、世界と不死鳥との思い出を守るのか」
 ――決断するのは、貴殿だ、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャルファ・ルイエ
泉の水も、流れが止まってしまえば、あとはもう澱むだけです。
大事だと思う相手に出会えたのだって、時が流れていたからでしょう。

ひとりが寂しい気持ちも、大切な相手と離れたくない気持ちも、分かる部分はありますけど……。
それでも、それを理由にして世界を壊すなら止めるだけです。

空に流れる星をとても綺麗だと思うから、止まった時間が美しいなんて思いません。
此方を狙う炎の羽は、包囲されない様に飛んで攪乱して、《全力魔法》で【星を呼ぶ歌】を歌います。

骸魂になった不死鳥がどんな人だったのか、わたしは知りません。
だから一番知っているだろう彼女に聞いてみますね。
あなたに世界を滅ぼして欲しいと、望むような人だったのか。



 待ち続けた愛しき炎に呑まれながらも、心満たされた少女が口にした言葉。
 ――時よ止まれ、お前は美しい。
『このまま、時が止まってしまえばいいのに』
 竜神の少女はそう願ってしまったのだ。例え、この幽世が滅びてしまっても。
 けれど、不死鳥の炎に陶酔する少女へとふるり、かすみ草飾る青を揺らし首を横に微か振るのは、シャルファ・ルイエ(謳う小鳥・f04245)。
「泉の水も、流れが止まってしまえば、あとはもう澱むだけです。大事だと思う相手に出会えたのだって、時が流れていたからでしょう」
 どれだけ此処でひとり、想い寄せる赤のいろを彼女が待っていたのかは分からない。
 でも骸魂に成り果てはしたけれど、不死鳥と再び出会えたのは、時が進んだから。
 シャルファにも、分かる部分はあるのだ。
 ひとりが寂しい気持ちも、大切な相手と離れたくない気持ちも。
 ……それでも。
「それを理由にして世界を壊すなら止めるだけです」
 この幽世を崩壊させるわけには、いかない。
 だからシャルファは、幽世のそらに流れ星を呼ぶ。
 ――空を見て、手を伸ばして。今なら星にだって手が届く。
 煽ぐ宵色をあかに染めんとする敵へと、響かせるその歌声で。
「空に流れる星をとても綺麗だと思うから、止まった時間が美しいなんて思いません」
 だって時が止まってしまえば、星だって流れることはないのだから。
 舞い襲う炎の羽に囲まれぬよう飛んで攪乱しつつ、全力注ぐ魔法の歌をもって。
 そしてシャルファは、崩壊する空に流星を呼びながらも。
(「骸魂になった不死鳥がどんな人だったのか、わたしは知りません」)
 ……だから一番知っているだろう彼女に聞いてみますね、って。
 流れ落ちる星の衝撃に大きく揺らぐ少女へと、歌うように、こう問うてみる。
 ――心惹かれた炎宿す不死鳥は、あなたに世界を滅ぼして欲しいと……そう望むような人だったのでしょうか、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​

橙樹・千織
ひとつになれた…
目の前に立つ不死鳥と龍神の少女を見やる

…本当に?
本当にその御魂は貴女が求めた不死鳥かしら
問いかけつつ、糸桜と面影草のオーラ防御を練り上げる
攻撃されたなら動きを見切り残像を用いて躱しましょう

この社と聖なる炎を貴女と共に護ってきたその人は…
護ってきた大切な社を
貴女との想い出を
世界を燃やし尽くすために炎を纏う不死鳥でしたか?
刃には破魔と浄化、水の属性を付与

そのあかは魅入られてはいけないあか
不死鳥が…貴女と護りたかったあかでは無いはず

別れは誰にでも訪れるもの
でもね、離れても大切に想っていれば
いつか縁が引き戻してくれるものよ
静かな眠りを祈り、悪しき炎をなぎ払う

…ひとりは、寂しいですよね



 幽世の夜に激しく燃えるあか。
 けれどそれは、この世界を燃やし尽くす滅びのいろ。
『……やっと私たち、ひとつになれたの』
 これまで受けてきた衝撃に大きく揺らぎながらも尚、幸せそうに紡ぎ続ける竜神の少女。
 その姿を橙のいろに映しながらも。
「ひとつになれた……」
 眼前に在る不死鳥と龍神の少女を見やるのは、橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)。
 そして千織は、そっと金へと移りゆく黒髪を揺らし、微か首を傾け問う。
「……本当に? 本当にその御魂は貴女が求めた不死鳥かしら」
 糸桜と面影草の守りの気を練り上げながら。
 刹那、悪しき炎がふたりの邪魔をする者を焦がさんと燃え上がるけれど。
 捉えた彼女は残像、秘された糸桜を燃やす事など叶わずに、その姿は帳へと溶けて。
 向けられた炎を躱した千織は、再び少女へと言の葉を投げる。
「この社と聖なる炎を貴女と共に護ってきたその人は……護ってきた大切な社を、貴女との想い出を、世界を燃やし尽くすために炎を纏う不死鳥でしたか?」
 握る黒鉄に藍施された刃に、破魔と浄化宿す水の加護を纏わせて。
 世界を焼き尽くさんとする炎は、確かにあかあかと燃えているけれど。
「そのあかは魅入られてはいけないあか。不死鳥が……貴女と護りたかったあかでは無いはず」
 優しくてあたたかい――そう少女が紡いでいたものとは、かけ離れた眼前のいろ。
『やっとひとつになれた、このあかは……』
 そして千織は、そうぐらりと揺れながら呟きを落とす少女へと紡ぐ。
「別れは誰にでも訪れるもの。でもね、離れても大切に想っていれば、いつか縁が引き戻してくれるものよ」
 咲き誇るあかの向こうに見たあの子の姿を、そっと瞼の裏に映しながら。
 ――内なるものを刺し留めるは柘榴の荊。汝を縛りて断ち切らん。
 刹那、目に見えぬ飛電が荊を伸ばし阻み、悪しき炎をなぎ払う。
 そして消えゆく不死鳥のあかを見送り、静かな眠りを祈りつつも。
 千織は彼岸花の紅が揺れる静かな夜に、呟きをひとつ落とす。
 ……ひとりは、寂しいですよね、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『炎燃ゆる夜』

POW   :    周囲をくまなく歩いてみる

SPD   :    効率よく散策してみる

WIZ   :    足を止め観察してみる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


※お知らせ※
 第3章プレイング送信の受付は、【10/3(土)朝8:31】より開始いたします。
 それ以前に送信された分は流れてしまう可能性が高いのでご注意ください。
 追加情報を記載したOPを受付開始前日迄に掲載いたします。
 送信締切等のお知らせは、MS個別ページ等でご確認ください。
●天灯祭の夜
 世界の崩壊が止んだ幽世の空に、悪しき炎が溶ける様に消え失せれば。
 社の奥に燃え盛るあかは、清浄なる願いの灯火。
 それを授かった百鬼夜行は再び列を成し、歩き出す。
 紅い彼岸花たちに見送られて、元来た朱き千本鳥居並ぶ石段を下ってゆきながら。

 そして授かった聖なる炎が、お祭り会場の大広場の大松明へと灯されれば。
 いざ美し楽しい、炎のいろに満ちた夜祭りのはじまり。
 あかき炎に照らされた屋台や出店は、様々ないろで溢れている。
 林檎飴やあんず飴などのフルーツ飴、わたあめやチョコバナナにカステラ、鯛焼きにかき氷等々の、お祭り定番の甘いものから。
 幽世特有の、喋るお菓子や安全な骸魂を使った甘味の屋台なんて変わり種なんかも……?
 焼きそばや焼き鳥、イカ焼きにたこ焼き、焼きとうもろこしなど、食欲そそられる食べ物の屋台。成人していれば、麦酒や発泡酒、日本酒や焼酎なども振舞われている。
 金魚掬いやヨーヨー掬い、型抜きに射的などの遊べる屋台も。
 そして人気なのは、この祭りならではな、ミニランタンが売っている出店なのだという。
 百鬼夜行で妖たちが手にしていたもののミニチュア版で、形は和風なそのデザインで統一ではあるものの。
 模様の有無や種類、枠の色などは選ぶことが出来、キーホルダーや根付、首飾りや簪などに付けることもできる。
 そして手をそっと翳し、灯れと念じれば……ポゥッと仄かなあかが灯る、不思議な幽世仕様であるという。
 浴衣のレンタルもあるので、借りてみるのもいいのではないか。

 そんな出店を楽しみ、夜が更に深くなる頃……夜祭の目玉である催しが行なわれる。
 それは、ランタンを一斉に空へと解き放つ――『天灯飛ばし』。
 竹と紙でできた専用の天灯に聖なる炎を灯し、合図とともに一斉に空へと放つのだ。
 天灯には、願いや絵など、好きに書くことが出来るという。
 数え切れぬほど沢山のランタンが一斉に夜空へ放たれる様は、幻想的で圧巻の光景。
 勿論、天灯を飛ばさずにその景色を眺めるだけでも十分楽しめるだろう。

 そして祭りを楽しむ妖怪や人々の中――竜神の少女の姿を見かけるかもしれない。
 骸魂となった不死鳥を倒したことに、彼女は納得してくれているが。
 それでもやはり、その姿は何処か寂しそうであるので。
 声を掛け、慰めてあげたり一緒に楽しんだりしてあげるのも良いし。
 敢えて構わず、そっとしておいてあげるのも良いだろう。

 聖なる炎のあかに照り、数多のあかが漆黒の空を染め上げ舞う『天灯祭』。
 幽世が美しきあかに染まる、そんな特別な夜を――思い思い、存分に楽しもう。


●マスターより
 第3章は『天灯祭』のひとときを楽しめます。
 できることは断章の通りですが。
 百鬼夜行の時に使用した面や手持ちランタンは、借りたり付けたままでも外していてもご自由に。
 屋台や出店で買えるものや遊べる内容は、祭りにありそうなものならご自由に!
 ミニランタンは、キーホルダー等に付けられる極小のものや。
 手のひらサイズのものなど、色々な大きさの小さ目サイズで選べます。
 花や動物など模様や柄の有無や種類、ミニランタンの色もお好みで。
 そして飛ばすランタンは手持ちのものとは別の、竹と紙でできた専用の天灯です。
 熱気球の要領で、社で授かった聖なる炎を灯し、合図と共に一斉に空に放ちます。
 3章はお声掛けあった場合のみ、清史郎もご一緒させていただきます。
 竜神の少女の姿も祭りにはありますが、やはりしょんぼりしているので。
 何か声をかけていただいても良いですし、構わずそっとしておいても大丈夫です。
 思い思いに、ご自由に祭りを楽しんでいただければと!
 その他に関しましては、OPやOP公開時のマスターコメントをご確認ください。
 送信締切等の連絡事項も、MS個別ページやTwitter等でお知らせ致します。
御剣・刀也
POW行動

日本酒を飲みながらのんびりと祭りを歩いて回る
元気のない竜神の少女を見つけると自分の義理の子供が落ち込んでるように見えてどうしたものかと考え、たい焼きと空に飛ばすようのランタンを購入すると近づく
「よう。祭りなのにしけた顔してるな」
隣に座ってランタンとたい焼きを渡しつつ
「俺の世界には輪廻転生って考えがある。死んだ奴はまた、姿を変えてこの世界に戻ってくるって考え方だ」
少女の方を見て
「何時になるかはわからない。けど、また輪廻の輪が巡って出会えるさ」
それを祈るくらいのことは、しても良いはずだから



 大松明灯る広場に並ぶのは、沢山の屋台や出店。
 美味しそうな匂い漂わせ客を誘う食べ物たちは、食欲をそそるけれど。
 のんびりと夜祭りの賑わいの中を歩く御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)の手には、屋台で買った日本酒が。
 そして酒を飲みながら、暫くぶらりと歩いていた刀也であったが。
 ふと青の瞳に飛び込んできたのは、ひとりの少女の姿。
 先程まで骸魂に呑まれていた、竜神の少女であった。
 そんな彼女はやはり、どこか元気がないように見えて。
 刀也は、どうしたものかと考える――自分の義理の子供が落ち込んでるように見えて。
 それから、いくつか屋台や出店に立ち寄った後。
「よう。祭りなのにしけた顔してるな」
 そう声を掛け、俯いていた顔をあげた少女へと、刀也は手渡す。
 購入したたい焼きと空に飛ばす用のランタンを。
 少女はそんな彼の声に、一瞬瞳をぱちくりさせるけれど。
 有難うございます、と隣に座った彼へと素直にぺこり頭を下げ、礼を言って。
 受け取ったたいやきをひとくち、はむりと口にした。
 そして刀也は手にした日本酒をもうひとくち飲んでから、こう口を開く。
「俺の世界には輪廻転生って考えがある。死んだ奴はまた、姿を変えてこの世界に戻ってくるって考え方だ」
「姿を変えて……戻って、くる」
 少女はその言葉に、ふと顔をあげて。
 ……戻ってきたらまた逢えるかな、って、そう呟きを落とす。
 そんな少女へと、刀也は再び青の瞳を向け、こくりと頷く。
「何時になるかはわからない。けど、また輪廻の輪が巡って出会えるさ」
 これからまた、彼女は長い年月、待つことになるかもしれないけれど。
 でもきっと……今度はちゃんと、彼女が心奪われた本当のあかに出会えることを信じて。
 刀也は、聖なる炎のいろに染まる少女の顔を見つめ、紡ぐ。
 ――それを祈るくらいのことは、しても良いはずだから、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天満・えりい
麒麟くん(f09772)と浴衣でお出かけ
※デート認識無し

麒麟くんそゆのも似合うねえ♪
お互いの装いとお祭りの特別感に終始ご機嫌

おー、一緒にランタン飛ばそう
…って言ったものの、お願い事…んー
悩み過ぎて麒麟くんの横顔ちらちら
じゃあ
『楽しい事おいしい事がいっぱいありますように』

ようし、夜店いこー
焼きそばとたこ焼き、おいしい両手に花だねえ
って、手が塞がるなら、えっと、…あーん、する?

ね、麒麟くんは甘いものおすき?
すきなものを知りたい…のと、私のすきもお勧めできたらなって
えとね、あんず飴とわた飴とかき氷はグラニテ枠で(甘味ループ)

今日はありがとねー
お願いもう叶えてもらっちゃった
これからも、…続くといいなー


七々澤・麒麟
えりい(f16228)とデート!(と言い張る

濃紺地に金竜柄の浴衣を袖を捲り着こなし
「うおぉぉ、えりいこそめっちゃ似合ってっし可愛いぜー!来てよかった~!!」
彼女の浴衣姿に喜んでその様子をスマホで撮影

天灯飛ばしなんて洒落てるよなー
オレの願い事?んなもん『えりいともっともっと仲良くなる』に決まってるぜ!
にっと歯を見せて笑い、思いきり夜空に放つ
おうおう、願いが叶うよう、天に届けよ!

屋台つうと焼きそばにたこ焼き、あとラムネも必須だな
えりいはガチ甘党か?えりいの勧めとあっちゃ、断る訳にはいかねーぜ…!
胃袋を全て埋める覚悟で食べまくるぞ
おっ、えりいのあーんなら、旨さ百倍乗せだろーな…っただきます★(もぐり



 夜祭に溢れるいろは、沢山のあか。
 大広場に燃え盛る大松明に聖なる炎が灯り、周囲を煌々とそのいろに染め上げている。
 そんな人々の声と祭囃子が賑やかな中、弾む様に下駄を鳴らして。
「麒麟くんそゆのも似合うねえ♪」
 終始ご機嫌な様子でそう口にするのは、天満・えりい(サワーチェリーコンポート・f16228)。
 互いに纏う浴衣も、沢山の炎に照るお祭りの雰囲気も――何だか、特別感があるから。
 そんな浴衣姿のえりいへと、手にしたスマートフォンを向けて。
「うおぉぉ、えりいこそめっちゃ似合ってっし可愛いぜー!来てよかった~!!」
 着こなしている濃紺地に金竜柄の浴衣の袖を、より捲って喜びの気合い十分。
 七々澤・麒麟(GoldyFesta・f09772)は、ぱしゃぱしゃと彼女の浴衣姿やその様子を撮影会。
 そう……だってこれはデートだから! デートと言ったらデートなんです。
 あくまでもそう言い張る麒麟の隣で、そんな認識などなく純粋に夜の祭りを楽しむえりい。
 そして、この祭りならではのいろで満ちるのだという夜空。
「天灯飛ばしなんて洒落てるよなー」
「おー、一緒にランタン飛ばそう」
 燃え盛る大松明の炎を二人並んで見上げながら。
 次に視線を落とすのは、手にしたランタン……空へと飛ばす天灯。
 そんな炎灯す前のそれを見遣りながら、こてんとえりいは首を傾ける。
「……って言ったものの、お願い事……んー」
 思いや願いを乗せ、空へと天灯を解き放つのだというが……何を願おうかと。
 悩み過ぎて、紫の視線で見上げる麒麟の横顔をちらちら。
「オレの願い事? んなもん決まってるぜ!」
 麒麟が馳せる願い事は――『えりいともっともっと仲良くなる』。
 そう、にっと歯を見せて笑い、麒麟は合図とともに思いきり夜空に放つ。
 そんな彼の声に、じゃあ、と。えりいも彼に続いて、ふわり天灯を夜空へと飛ばす。
 ――『楽しい事おいしい事がいっぱいありますように』、って。
 見上げれば、夜色いっぱいに満ちる沢山の願いの灯火。
 自分たちの飛ばした天灯は、もうどれかは分からなくなっているけれど。
「おうおう、願いが叶うよう、天に届けよ!」
 麒麟はえりいと一緒に、それを見送る。天高くのぼってゆく願いを。
 そして天灯を飛ばした後も、まだまだ祭りは楽しみでいっぱい。
「ようし、夜店いこー」
「屋台つうと焼きそばにたこ焼き、あとラムネも必須だな」
 大広場にずらり並ぶ屋台からは、食欲をそそる良い匂いが。
 とりあえず必須だという定番のものを次々と買いこんだ麒麟の姿を見て。
「って、手が塞がるなら、えっと、……あーん、する?」
 ……焼きそばとたこ焼き、おいしい両手に花だねえ、って。
 ふーふーした後、えりいはたこ焼きをひとつ、彼の口へとあーん。
「おっ、えりいのあーんなら、旨さ百倍乗せだろーな……っただきます★」
 勿論喜んでもぐり、口にした麒麟は、はふはふとそれを味わいながら。
 やっぱり旨さ百倍乗せされた味に、零れた笑みを返す。
 そして、えりいも屋台をぐるり見回した後。
「ね、麒麟くんは甘いものおすき?」
 彼を見上げ、続ける。
「すきなものを知りたい……のと、私のすきもお勧めできたらなって」
 それから屋台を巡り購入するのは、沢山のえりいのすき。
 ――えとね、あんず飴とわた飴とかき氷はグラニテ枠で。
 チョコバナナにクレープ、ベビーカステラもすてがたい……そう、甘味ループ!
「えりいはガチ甘党か?」
 そんな徹底的に甘いものだらけの戦利品に、麒麟は瞳を瞬かせるけれど。
「えりいの勧めとあっちゃ、断る訳にはいかねーぜ……!」
 すぐに、にっと笑んで返す。胃袋を全て埋める覚悟で食べまくるぞ、って。
 そんな彼と、すきなものをはむりと沢山味わいながら。
 えりいは口に広がる甘さに、幸せそうに笑みつつも思う。
(「お願いもう叶えてもらっちゃった」)
 自分のすきを一緒に口にしている、大松明の炎に照る麒麟の横顔を、そっと見上げながら。
 ――これからも、……続くといいなー、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クラウン・メリー
リグリグ(f10093)と

道化狐のお面にトランプの浴衣

わあ!リグリグ、とっても似合ってる!
こっちまで元気になってくるな!

早速行こっか!なんて言いつつ
迷子になったら危ないからと手を伸ばす

ね、折角だからミニランタン買おっ!
俺は小さめのフリチラリア柄!
お家に飾って眺めたいんだ!今日のこと何時でも思い出せるように!

ランタンが良く見える場所へ移動して
願いとか絵を描いてもいいんだね!
ふふ、ピエロの顔描いちゃお!

リグリグは何か描いたのかな?
わ、風船だ!高く飛びそう!

なんだかドキドキするね!
合図と共にランタンを空へ

上を見上げれば瞳を輝かせて
綺麗……!ランタンがいっぱいだ!

彼女の方を向き
咲いた笑顔に笑みを深めた


リグ・アシュリーズ
クラウ(f03642)と

薄黄色のひまわりの浴衣、着てのお出かけははじめて。
ふふ、ありがと!クラウこそ似合ってるわ!
軽く手をつなぎ、夜市へ。
ミニランタン、色んなのがあるのね。クラウの髪のお花のも!
そしたら、私これ!と枕元に置ける秋桜の子を選ぶわ。

飛ばす天灯には、書くものを迷い。
何描いたのと聞かれれば、ちょっと待ってね!と
大きな風船の絵を急いで描き。

ね!うまく上がってくれるかしら!
放ったランタンたちは、すぐに合流して見えなくなり。
ホント、お空に光る河が流れてるみたい!
来てよかったわって笑顔を向けながら、こっそり書いた願いを思い返す。

――このまま、できるだけ長く
――皆と一緒にいられますように



 燃ゆる大松明のあかに染まる、賑やかな幽世の夜。
 夜祭に遊びに来たのは、一匹の道化狐。
 そしてその道化狐――トランプ柄の浴衣纏ったクラウン・メリー(愉快なピエロ・f03642)は、向けた金の瞳に咲いた花に声を上げる。
「わあ! リグリグ、とっても似合ってる!」
 見ているこっちまで元気になるような、薄黄色のひまわり。
 そんな、まるで太陽の様な花が咲き誇る浴衣はクラウンの言う通り、リグ・アシュリーズ(風舞う道行き・f10093)にとても良く似合っていて。
「ふふ、ありがと! クラウこそ似合ってるわ!」
 この浴衣に袖を通してはじめてのお出かけに、リグも心躍らせながら。
「早速行こっか!」
 ……迷子になったら危ないから、って。
 そう続けたクラウンが伸ばしたその掌に己の手を重ね、軽く手をつないで、夜市巡りへ。
「美味しそうな匂いがいっぱいしてるね!」
「ね! 何があるのかしら!」
 賑やかな屋台から漂う、沢山の美味しそうな匂い。
 でも、そんな食べ物も祭りの醍醐味ではあるのだけれど。
「ね、折角だからミニランタン買おっ!」
 クラウンが選んだのは、この祭りでしか買えない特別なもの。
 勿論、リグも賛成! 早速、出店の中でも一等多くの灯火で満ちる、ミニランタンの店へ。
「ミニランタン、色んなのがあるのね」
 小さめでもサイズも豊富、色や柄もひとつひとつ違えば、思わず目移りしてしまうけれど。
「俺はこれにする!」
 そうクラウンが迷わず手に取ったミニランタンに咲くのは、フリチラリア。
 リグはうんうんと頷きつつ、彼と彼の手のランタンに視線を向ける。
「クラウの髪のお花ね!」
 灯る炎のいろに仄かに染まった、ミニランタンと彼の髪に咲くその花を見ながら。
「お家に飾って眺めたいんだ! 今日のこと何時でも思い出せるように!」
「そしたら、私これ!」
 リグも沢山あるミニランタンの中から、目に留まったものをひとつ、連れて帰る。
 枕元に置ける、秋桜の子を。
 そしてふたり、花咲く小さな灯火をゆうらり揺らしながら。
 楽しく歩いていれば見つけたのは、夜空が綺麗に見える一等席。
 それから今度は大きな紙のランタンを手に、揃って思案顔。
「願いとか絵を描いてもいいんだね!」
 飛ばす天灯に、何を描こうかと。
「ふふ、ピエロの顔描いちゃお!」
 クラウンはそう、さらさらっとペンを走らせながら、ふと隣へと視線を向ける。
 ……リグリグは何か描いたのかな? って。
 そんな声に、ちょっと待ってね! と。
 リグもふと思いついたものを、急いで描き描き。
 そして完成した彼女の天灯を見たクラウンは、ぱっと金の瞳を輝かせる。
「わ、風船だ! 高く飛びそう!」
 それからふたりでわくわく、飛ばす合図を待つ。
「なんだかドキドキするね!」
「ね! うまく上がってくれるかしら!」
 でもふたり一緒だったら、こんな待っている時間でさえも、とても楽しくて。
 いざ合図とともに、聖なる炎を灯した天灯を夜空へと解き放つ。
「綺麗……! ランタンがいっぱいだ!」
「ホント、お空に光る河が流れてるみたい!」
 天高く一斉にとんでゆくのは、沢山のあか。
 目で追っていたはずのピエロも風船も、もうどこにいるのか、わからなくなったけれど。
 沢山の人々の天灯たちと共に、きっと、天まで届いているに違いないから。
 そして天を仰ぎ沢山の願いを見送る隣のリグの横顔を、クラウンはふと見つめて。
 心を満たす優しいあかの感動にそっと咲いていたその笑顔に、笑みを深める。
 リグも、来てよかったわって。
 そう笑みをクラウンに向けながらも、こっそり思い返す。
 ――このまま、できるだけ長く
 ――皆と一緒にいられますように
 そう大きな風船と一緒に書いた、願いを。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒鵺・瑞樹
アドリブOK
浴衣に着替え、顔を隠すように白兎の面をつけ。

祭りってどこの世界も同じように楽しそうだ。
つまみになる食べ物とほどほどの量の酒とを購入して、人が少ない食べる場所を探しながらうろうろ。
天灯は「想いや願いを込めて解き放つ」というのならやらない方がいい気がする。
いろいろ考えた結果、俺は自分の中で過去にできるまで胸の中に抱えて生きていこうって決めたから。
よさげに天灯が見渡せる場所についたら面を取って、飛んでく天灯と彼岸花とを見ながら一人で酒盛り。
想いを込めて天灯を飛ばしたい。願いは叶って欲しいと思いはするけど、でもどうしたって叶いっこないって諦めがどうしても自分の中で淀んでしょうがない。



 やはりその世界ごとに、雰囲気や特色は違っていても。
(「祭りってどこの世界も同じように楽しそうだ」)
 鼻をくすぐる食欲をそそる良い匂いに、楽しそうに響く祭囃子や人々の声。
 そんな賑やかな空気に青の瞳をそっと細めながら、聖なる炎灯る大広場を歩いて。
 屋台を軽く巡った黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)の手には、いくつかの戦利品が。
 購入したのは、つまみになる食べ物とほどほどの量の酒。
 瑞樹は調達したそれらを手に、ぶらりと祭りの喧騒を背にして暫しうろうろしながらも。
 幽世の夜空を染めるという数多のあかに、瑞樹は思う。
 ……天灯が「想いや願いを込めて解き放つ」というものならば、やらない方がいい気がする、と。
 それは、色々と考えた結果。
(「俺は自分の中で過去にできるまで胸の中に抱えて生きていこうって決めたから」)
 そしてそんなことを考えながらも、人が少ない食べる場所を見つけ腰を下ろして。
 妖に化ける為の面取って、一人で酒盛りをはじめる。
 幽世に刹那満ちるあか……一斉に夜空へと飛んでゆく天灯と咲き乱れる彼岸花を、酒の肴にしながら。
 それから……想いを込めて天灯を飛ばしたい、そうは思うのだけれど。
 瑞樹は天を仰ぎ、数多の願いたちを見送りながらも、そっと苦笑する。
 ――でも、どうしても自分の中で淀んで仕方がないのだ。
 願いは叶って欲しいと思いはするけど……どうしたって叶いっこないって、諦めが、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薬師神・悟郎
グレイ(f24892)
衣装を浴衣コンテストのものに着替えて祭りに参加

身内といえど、褒められるのは嬉しい
グレイのセンスの良さにも驚いた
これだけの着こなしが出来るとは
格好良いぞ

今日は俺の奢りだ。何が食べたい?
俺があまり多く食べられない分、気持ちいいぐらいに沢山食べてくれると嬉しい
あぁ、竜神の少女のことは他の猟兵に任せるさ
俺は仕事のことで手一杯、そちらを気に掛ける余裕もなかったのだから

様々な願いが込められたそれが空を染めていくのは不快ではない
…同じあかでも、惹かれるものはこうでありたいものだ

ミニランタンはこの祭りならではのものらしいな
では、探しに行こうか
きっとグレイが気に入るランタンが見つかるはずだ


グレイ・アイビー
悟郎(f19225)と
祭りと聞いて遊びに来ました

折角なので浴衣を着ていきましょう
アニキの浴衣は今年のコンテストのものでしたか
よく似合ってやがりますよ
でも、ぼくの浴衣も格好いいでしょう?
歌舞伎の隈取のような力強い色使いが気に入ったんです

アニキの奢りと聞けば、屋台や出店を回り食べ歩き
遠慮なく食いまくりますよ
途中、竜神の少女に気付けば…アニキは行かなくて良いんですかね?

夜空に放たれるランタンのあかはとても綺麗ですね
星空とは違った光をのんびり眺めましょう

おっと、天灯飛ばしが綺麗なんで忘れるところでした
ミニランタンも見てぇんで、そっちも付き合ってください
夏の終わり、その思い出に…一つ手に入れようかと



 数多のあかをそぞろ歩いた妖の真似事は、もう終わり。
 天灯祭に臨む薬師神・悟郎(夜に囁く蝙蝠・f19225)が纏うのは、今年設えたばかりの浴衣。
 そして彼と並び歩くグレイ・アイビー(寂しがりやの怪物・f24892)も折角なのでと、浴衣を纏い夜祭りへ。
 それからグレイはふと、隣を歩く悟郎へと琥珀の視線を向け、口にする。
「アニキの浴衣は今年のコンテストのものでしたか」
 ……よく似合ってやがりますよ、って。
 けれどそれは、何も悟郎だけではないから。 
「でも、ぼくの浴衣も格好いいでしょう?」
 歌舞伎の隈取のような力強い色使いが気に入ったんです、って。
 そう両手を軽く広げ、悪戯っぽく笑んでみせれば。
「グレイのセンスの良さにも驚いた。これだけの着こなしが出来るとは。格好良いぞ」
 悟郎も素直に、彼のハイセンスな浴衣とその着こなしに言の葉を。
 そしてそっと、被っている帽子へと手を添えながらも思う。
 ……身内といえど、褒められるのは嬉しい、と。
 そんなふたりが巡るのは、食欲をそそるような美味しそうな匂いが漂う屋台や出店。
「今日は俺の奢りだ。何が食べたい?」
 そう悟郎の奢りと聞けば、グレイの琥珀の色を湛える瞳も真剣に品定め。
「俺があまり多く食べられない分、気持ちいいぐらいに沢山食べてくれると嬉しい」
「遠慮なく食いまくりますよ」
 そんな、やる気満々食べる気満々であるグレイだが。
 ふと悟郎が向けた視線を追い、その先に在った姿に気付いて、こう紡ぐ。
「……アニキは行かなくて良いんですかね?」
 そこには、先程まで骸魂に呑まれていた竜神の少女の姿が。
 けれど悟郎は金の瞳をグレイへと戻し、返す。
「あぁ、竜神の少女のことは他の猟兵に任せるさ」
 ……俺は仕事のことで手一杯、そちらを気に掛ける余裕もなかったのだから、と。
 けれどそれでも、竜神の少女は悟郎たち猟兵に救われたのは確かだから。
 それからふたりが眺めるのは――刹那、一斉に空に解き放たれた沢山の願いの灯火。
「夜空に放たれるランタンのあかはとても綺麗ですね」
 星空とは違った光をのんびり眺めるグレイの隣で、悟郎も天高くのぼってゆくそのいろたちを見送る。
(「様々な願いが込められたそれが空を染めていくのは不快ではない」)
 ……同じあかでも、惹かれるものはこうでありたいものだ、と。
 様々なあかのいろを、思い返しながら。
 それから天を仰ぐ悟郎の横顔へと、ふと視線を向けて。
「おっと、天灯飛ばしが綺麗なんで忘れるところでした」
 グレイはこう、お願いを。
「ミニランタンも見てぇんで、そっちも付き合ってください」
 ――夏の終わり、その思い出に……一つ手に入れようかと、って。
 悟郎は、届いたその言葉を耳にして。
 妖となった己が手にしていたあかのいろを思い出しつつも頷く。
「ミニランタンはこの祭りならではのものらしいな。きっとグレイが気に入るランタンが見つかるはずだ」
 聞いたところによると、その色も柄も、様々あるのだという。
 先程見送った沢山の天灯に馳せられた願いが、ひとつひとつ、違う様に。
 そして悟郎は、グレイへと向けた瞳を細めて。
 あかに染まった幽世の夜を、再び共に歩き出す。
 ――では、探しに行こうか、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

面を頭側面にずらし宵と祭を楽しもう
揃いの面は外したくはないが…その、なんだ。宵の顔が見れんのは寂しい故に

宵の手を引き屋台をまわりながらも金魚の屋台を見れば以前惨敗した記憶に唾を飲みつつ宵…と声を
…今度こそ格好良い所を見せてみせよう…!
英気を養う為に一口くれるかと口を開き一口貰わんと試みればいざ戦場へ
真剣に金魚の動きを『視力』で『見切』らんとしつつ『咄嗟の一撃』で掬い上げんと試みよう
宵!見て居たか…!?

天灯飛ばしは俺と宵の器物が少しでも長く美しく保たれるよう願いを込めた天灯を
朽ちる迄朽ちたとて離れんが…だが、少しでも肉を持ち共に様々な景色を見てたい故に
ああ、本当に美しい夜だな、宵


逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

お面は側頭部にずらしてかれと一緒にお祭りを巡りましょう
ふふ、僕も一緒ですよ
きみの格好いいかんばせをじっくりと見ていたいので

綿あめの屋台で薄青に色づく綿菓子をひとつ買い求め
思いつめた表情で名を呼ばれたなら、思わず滲む笑みをのせ
頑張ってください、ザッフィーロ
かれが僕のためを思って挑戦してくれることがとても嬉しい
強請られたならどうぞと綿あめを差し出して
見事一匹掬ったかれにはすごかったですね、と笑みを向けましょう

天灯はあえて何も書かずに空へと送り
願い事はかれに関するものなので
すべて自力で叶えますとも
―――ええ、本当に
この美しい夜をきみと見て、過ごせることが何よりの幸福です



 百鬼夜行が授かった聖なる炎が無事に、大広場の大松明へと灯されれば。
 もう、妖の真似事はしなくてもいいのだけれど。
 青に縁取られた黒の狐面をくるりと頭の横へとずらすのは、ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)。
 百鬼夜行も終わり、面は外しても良いのだが。
 ザッフィーロがそうしなかったのは……紫に縁取りされた白の狐面纏う、逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)とお揃いのだから。
 けれども、揃いの面で顔を覆ったままにしなかったのは。
「揃いの面は外したくはないが……その、なんだ。宵の顔が見れんのは寂しい故に」
 すぐ傍にある宵の顔を、確りと見たいから。
 宵はそう自分を見つめるかれに、柔く細めた深宵の瞳と言の葉を返す。
「ふふ、僕も一緒ですよ」
 ……きみの格好いいかんばせをじっくりと見ていたいので、って。
 そして同じ様に、白狐の面を側頭部にずらして。
 やっぱりふたりお揃いで一緒に、炎のあかにほんのりと染まる夜祭りを巡り始める。
 そんな中、宵はふと瞳に留まった屋台へと歩み寄り、ひとつ買い求める。
 綿あめの屋台で、薄青に色づくふわふわ甘い綿菓子を。
 ザッフィーロもそんな宵の手を引いて。共に歩いている最中に見つけたのは、金魚掬いの屋台。
「宵……」
 そう彼の名を紡ぎつつもザッフィーロが唾を飲む理由。
 それは、思い返される惨敗した記憶があるから。
 けれども、いや、だからこそ。
 ……今度こそ格好良い所を見せてみせよう……!
 そう、すいっと泳ぐ金魚たちへのリベンジに、ぐっと気合いを入れるザッフィーロ。
 そして思いつめた表情で名を呼ばれた宵は、思わず滲む笑みを乗せて紡ぐ。
「頑張ってください、ザッフィーロ」
 だって、かれが自分のためを思って挑戦してくれることが、とても嬉しいから。
 そんな再戦へと臨むために、英気を養うべく。
 一口くれるか、とザッフィーロが口を開けば。
 どうぞ、とお強請りされた宵は、薄青の綿あめをかれにもお裾分け。
 そしてザッフィーロはいざ、受け取ったポイを構えて。
 真剣に金魚の動きを視力で見切らんとしつつも、ここぞというタイミングで繰り出すのは咄嗟の一撃!
 すいっと、狙いを定めた金魚を掬い上げることに見事成功すれば。
「宵! 見て居たか……!?」
 興奮気味に、その顔と声を宵へと。
 そんな嬉しさを隠しきれぬようなかれに、宵は笑みを向ける。
 すごかったですね、って。
 それから祭りの空気をふたり、存分に楽しんでいたけれど。
 ふたりの手に在るのは、天へと飛ばすための天灯。
 聖なる炎を灯し、願いや思いをのせて空へと解き放つのだという。
 そしてザッフィーロは、天灯へとこう願いを込める。
 ――俺と宵の器物が少しでも長く美しく保たれるよう、と。
(「朽ちる迄朽ちたとて離れんが……だが、少しでも肉を持ち共に様々な景色を見てたい故に」)
 ひとの身であるからこそ、繋ぎ混ざり合うこの手の温もりが感じられるし。
 これからもこうやって、色々な景色をすぐ傍で共に眺めたいから。
 刹那、合図が聞こえれば……ザッフィーロは宵と共に、あかに願い馳せた天灯を夜空へと飛ばして。
 数多のあかで彩られる幽世の空へと向けた瞳を細め、呟きを落とす。
「ああ、本当に美しい夜だな、宵」
 そんな彼の声に――ええ、本当に、と。天を仰ぎながらも、宵は続ける。
「この美しい夜をきみと見て、過ごせることが何よりの幸福です」
 けれども宵は、自分の天灯には敢えて何も書かなかった。
 だって……願い事は、かれに関するものだから。
 仲良く天へと昇るふたつの天灯を見送りつつも、宵はその心に紡ぐ。
 ――すべて自力で叶えますとも、って。
 聖なる炎のいろに照る、愛しいかれのかんばせを見つめながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩神櫻

これが浴衣?
着るのは初めてで何だか照れくさい
選んだのは朱と白の浴衣
変ではない?
櫻宵のが私の髪を結ってくれる
褒められた私の纏うあかが特別なようにも思えてくる

朱に照らされる櫻の美しさと触れる温もりのあたたかさに笑みが咲く
林檎飴もイカ焼きも初めてだ
櫻宵、お菓子が喋っている
食べられるのかな?
あれやこれや笑みを交わして屋台を巡る

―きみが笑っている
噫、幸せだな

金魚掬いに挑戦してみたけれど
櫻宵、これは難しいね
手伝ってもらってやっと一匹
嬉しいな
大切に育てよう

ランタンを飛ばすの?
櫻宵の桜の傍に黒い鳥を描く
そう、カラス
桜と一緒に飛んで行けるように

重なる願いは同じこと
絡む小指に約束を

噫、約束だよ
神と龍の約束だ


誘名・櫻宵
🌸神櫻

黒に彼岸花の浴衣を纏う

カムイの浴衣姿も様になっているわ
とても似合うわよ!
照れた様子のカムイを褒めて
綺麗な朱の髪を結うわ
髪に飾るのは桜模様のミニランタンがついた簪
とっても素敵
焔の彩も美しいけれどカムイの朱髪がいっとう美しい

さぁ行きましょう
私オススメはりんご飴、その次はイカ焼きがいいかしら?
あら、カムイ!喋るお菓子もあるわ
大切な友たる神の手を引き屋台巡り
カムイが金魚すくいに苦戦するからお手伝い
やっと一匹
交わす笑みが擽ったい

仕上げはランタン飛ばしよ!
ふたりで一つランタンに絵を描く
私は桜
あなたは―カラス?

込める願はひとつ
また逢えた
ずっと一緒に
いられますように

穹彩るあかい願いに小指を絡める
約束よ



 艶やかで甘やかな、桜が咲いている。
 ずっと捜していた桜が今、すぐ傍で。
「これが浴衣?」
 何せ、着るのは初めてなものだから……何だか少し、照れくさくて。
 纏ってみた朱と白の浴衣の袖を、ひらりと揺らしながら。
 朱赫七・カムイ(無彩ノ赫・f30062)はちらり、誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)へと朱砂の彩宿す桜の瞳を向ける。
 ……変ではない? って。
 そんな視線に、夜闇に彼岸花咲かせた浴衣纏う櫻宵は、花灯の桜鼠を揺らし、こくりと頷いて。
「カムイの浴衣姿も様になっているわ。とても似合うわよ!」
 細くしなやかなその指先で、彼の綺麗な朱を掬いとって結ってあげる。
 そんな返ってきた言の葉に、カムイはもう一度、自分が纏うあかへと視線を向けてみて。
 そして思う――櫻宵がそう褒めてくれるから、私の纏うあかが特別なようにも思えてくる、って。
 それからすいっと結い上げられた朱をさらに彩り飾るのは、挿した簪に揺れる桜模様のミニランタン。
「とっても素敵」
 焔の彩も美しいけれど。でもそれは眼前の朱を飾るいろに過ぎない。
 だって、カムイの朱髪がいっとう美しいのだから。
 そして支度も整えば、さぁ行きましょう、と。
 大切な友たる神の手を引き巡るのは、美味しそうな香り漂わせる屋台。
「私のオススメはりんご飴、その次はイカ焼きがいいかしら?」
「林檎飴もイカ焼きも初めてだ」
 艶やかなあかは一等甘く、香ばしいイカ焼きは食欲をそそって。
 そしてこれも勿論、初めて。
「あら、カムイ! 喋るお菓子もあるわ」
「櫻宵、お菓子が喋っている」
 ……食べられるのかな?
 そうふたりで思わずじーっと見つめるのは、自ら客寄せしている喋るお菓子……!?
 そうしてふたり顔を見合せれば、自然と零れてしまう笑み。
 ――きみが笑っている。
 噫、幸せだな、って。カムイは、朱に照らされる櫻の美しさと触れる温もりのあたたかさに笑み咲かせ、言の葉と共に交わし合いながら。
 次に挑戦してみるべく見遣るのは、浴衣の袖のようにひらりあかを躍らせる金魚たち。
 けれど、やってみた金魚掬いは。
「櫻宵、これは難しいね」
 思った以上に、難しくて。
 櫻宵に手伝ってもらって、やっと一匹。
 でもその一匹が、何よりも仕合わせで。
「嬉しいな。大切に育てよう」
 カムイはそっと大事に、連れて帰る。
 そしてそんな彼と再び視線合えば、櫻宵も思う……交わす笑みが擽ったい、って。
 けれど、今宵の夜祭りの一番の盛り上がりは、これから。
「仕上げはランタン飛ばしよ!」
「ランタンを飛ばすの?」
 カムイはふと首を傾げながらも。
「私は桜。あなたは――カラス?」
「そう、カラス」
 天灯に櫻宵が描き咲かせた桜の傍に寄り添わせるのは、黒い鳥。
 ふたりで一つのランタンに描けばきっと、桜と一緒に飛んで行けるだろうから。
 だって、込める願いはひとつ。
 ――また逢えた。ずっと一緒にいられますように。
 重なる想いは同じこと。
 そして穹彩るあかい願いを解き放ち、一緒に見送りながらも。
 ――噫、約束だよ。
 ――約束よ。
 数多の願い灯るあかの下、ふたりはもう一度、笑みと共に交わし合う。
 小指を絡めて……約束げんまん、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月隠・三日月
硲さん(f01013)と共に

硲さんの浴衣は向日葵の柄だね。よく似合っているよ。
せっかくのお祭りだし、私も浴衣を借りて着ようかな。暗い色で大人しめのものを選ぼう。

鯛焼きや焼きとうもろこしなど屋台の食べ物をいくつか買って、竜神のお人のところに持っていこう。……さっきは動揺を誘うためとはいえ、冷たいことを言ってしまったから、なんと話しかけていいのかわからないけれど……。黙っているのも卑怯だよね。
「お祭りに浮かれてつい買いすぎてしまってね。少し貰ってくれないかな?」

硲さんと一緒に屋台を回ろう。色々と食べ物を買ったから、私はそれをいただこうか。まだ成長期だからね、お腹いっぱいになることはあまりないのだよ


硲・葎
三日月さん(f01960)と。
今年の浴衣コンテストで設えた浴衣を着て。
「えへへ、どうかな?似合う?」
少し恥ずかしいけど、感想聞こうかな。
女の子にはコミュ力を使って話しかけようか。
怖がらせないように屈んで、目線を合わせてから。
「……アナタの大事な人、倒しちゃってごめんね。代わりにはなれないけど、新しいお友達にはなれるから。良かったらお友達になってくれる?」三日月さんが食べ物を持ってきてるから、好きなものを選んでもらって、一緒に食べようかな。
三日月さんと一緒に色々屋台回ってみよう。
あんず飴、大好きなんだ。宝石みたいで綺麗だし、
涼しげでいいよね。
これからも、こんな楽しい時間を過ごせたら、いいな。



 幽世の夜空に今宵咲くのは、数多の願いを乗せたあかの灯火だけど。
「えへへ、どうかな? 似合う?」
 少し恥ずかしいけれど、そう感想を聞いてみた硲・葎(流星の旋律・f01013)の黒の浴衣に咲くのは、鮮やかで淑やかな向日葵の花。
「硲さんの浴衣は向日葵の柄だね。よく似合っているよ」
 いつも笑顔咲かせ元気な彼女の印象にぴったりな、そんな花咲く浴衣姿へと目を向ければ。
 月隠・三日月(黄昏の猟兵・f01960)の黒の瞳にも、鮮やかなその花が咲く。
 そして、せっかくのお祭りだし、と三日月も借りて着てみる。暗めの色をした大人しめな印象の浴衣を。
 それから三日月は、聖なる炎灯された大松明が照らす大広場を巡る。
 鯛焼きや焼きとうもろこしなど、屋台の食べ物をいくつか買うべく。
 そんな、美味しいものを沢山持って歩み寄る先には……竜神の少女の姿。
 先程まで、不死鳥の骸魂に呑まれていた彼女である。
 骸魂を滅したことに関しては、彼女は納得しているのだという。
 けれどやはり、どこかその姿は寂し気で。
(「……さっきは動揺を誘うためとはいえ、冷たいことを言ってしまったから、なんと話しかけていいのかわからないけれど……」)
 三日月は一瞬だけ、その足を止めるけれど。
 でもすぐに、再び歩みを進める。
 ……黙っているのも卑怯だよね、って。
 そして少女へと、美味しそうな戦利品の数々を差し出しながら、声を掛けてみる。
「お祭りに浮かれてつい買いすぎてしまってね。少し貰ってくれないかな?」
 声を掛けられた少女は、最初こそ少し驚いてはいたけれど。
「美味しそう……有難う、頂きます」
 そうっと手に取ったのは、甘い餡がたっぷり詰まった鯛焼き。
 そんな彼女を怖がらせないようにすとんと屈んで、目線を合わせて。
 葎も、笑みと共に少女へと紡ぐ。
「……アナタの大事な人、倒しちゃってごめんね。代わりにはなれないけど、新しいお友達にはなれるから」
 ――良かったらお友達になってくれる? って。
 それから三日月から、彼女と同じ鯛焼きをひとつ貰って。
「私も鯛焼きにしようかな。……ん、美味しいね!」
 はむりと食べ、笑顔を向ければ。
 うん、とつられて笑む少女。
 そして彼女と鯛焼きを食べ、暫く話をすれば。
 先程までの寂しそうな様子は、いつの間にか楽しそうな笑みにかわって。
 もう安心かな、と。ふたりは友達になった少女と分かれ、今度はふたりで色々と屋台回ってみる。
 そして色々と食べ物を買った三日月は、それをいただこうか、と黒の瞳を微か細める。
「まだ成長期だからね、お腹いっぱいになることはあまりないのだよ」
 そんな三日月と屋台巡りを楽しんでいた葎も、ふと見つけたそれを手に取る。
「あんず飴、大好きなんだ。宝石みたいで綺麗だし、涼しげでいいよね」
 水飴でくるりと包まれた、あんず飴を。
 そして数多空に解き放たれた天灯のあかの下で。
 葎は、甘く艶やかな眼前のあかを口にしながらも思うのだった。
 ――これからも、こんな楽しい時間を過ごせたら、いいな、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

怨燃・羅鬼
わぁ~☆無事にお祭りも開催!良かったネ!
らきちゃんはちょっと頑張って疲れたから今はプライベートモード☆
今はアイドルじゃなくて普通のらきちゃん☆としてお祭りを楽しむよ!


美味しいもの買って☆小さなランタンも買って☆(柄等おまかせ)
あっ!あそこにいるのはさっきの龍神さんだネ☆
ちょっと声をかけようか!

くふふ、一緒に居た人が居なくなったら寂しいよネ、悲しいよネ
けれどあまり悲しんでたらいけないよ?
心残りがあって成仏できないと羅鬼ちゃんみたいな妖怪に取り込まれちゃうゾ?

だから、笑って愉しもう!
ほら?一緒にランタン飛ばさない?不死鳥さんをお見送りってネ☆



 聖なる炎が広場の大松明に灯り、百鬼夜行の行列も無事に解散となって。
「わぁ~☆ 無事にお祭りも開催! 良かったネ!」
 そう、きゃるん☆ とはしゃぐように言った怨燃・羅鬼(怒りの心を火に焚べろ・f29417)だけれど。
 ちょっと頑張って疲れたから、今のらきちゃんはプライベートモード☆
 今は、みんなの炎上系アイドルではなくて。
 普通のらきちゃん☆ として夜祭りを楽しまんと、いざ出発!
 屋台も出店も、いっぱい回っちゃいます。
 食欲そそる匂い漂う屋台で、美味しい物を買って。
 ミニランタンの出店にも、勿論立ち寄ります!
 そして、ゆるかわデフォルメされた牡牛さん柄のものを見つけ、購入して。
 ちょっぴりおどろおどろしい灯火を、かわいい牛さん柄ミニランタンに灯しながら。
 次はどこを巡ろうかと、きょろり周囲を見回せば。
「あっ! あそこにいるのはさっきの竜神さんだネ☆」
 ……ちょっと声をかけようか!
 そう、何処となくしょんぼりしている様子の少女の方へと駆けだすらきちゃん。
「ね、らきちゃんと一緒に、お祭り回ろう☆」
 そんな羅鬼に、竜神の少女はぱちくりと瞳を瞬かせるけれど。
 うん、と頷いて彼女の隣に並んで歩きだす。
 そして、はい! と安全な骸魂で作ったというあまーいスイーツを差し出しつつも。
 羅鬼はこう、少女へと紡ぐ。
「くふふ、一緒に居た人が居なくなったら寂しいよネ、悲しいよネ。けれどあまり悲しんでたらいけないよ?」
 ――心残りがあって成仏できないと羅鬼ちゃんみたいな妖怪に取り込まれちゃうゾ? って。
 それから、きゃるん☆ と再び笑んで見せて。
「だから、笑って愉しもう!」
 彼女へと手渡すのは、空へ飛ばす為のランタン。
 願いや想いを乗せて解き放つ、あかのいろ。
 それを受け取った少女に、羅鬼はこくりと頷いて続ける。
「ほら? 一緒にランタン飛ばさない?」
 炎とひとことにいっても、色々ないろがあることを、竜神の少女も羅鬼も、知っているから。
 天灯に少女が守ってきた聖なる炎を灯して。
 羅鬼はそれを、彼女と一緒に幽世の夜空へと解き放つ。
 ――不死鳥さんをお見送りってネ☆ って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジノーヴィー・マルス
アイシャ(f19187)と。

んー、焼き鳥食ってビール飲みてえなぁ。
骸…え、何…そういうのまであんの?まぁ、一つくらいなら試してみてもいいか。

ミニランタンもあるんだ。さっき見た奴がそのまま小さくなってら。おもしれー。
お、ありがとな。アイシャといると色んな事忘れないでいられるから、嬉しいもんだ。
俺からも一個プレゼントしよう、持つのは俺に任せな。

ランタンの数だけ人の思い、か。絶やさずに済んで良かった。
ん?あぁ、覚えてる。今は一緒だって答えたんだっけ。
ずっとっていう約束が守れるかどうかは分からねえけど、できるならずっと一緒にいたいさ、俺だって。


アイシャ・ラブラドライト
f17484ジノと
口調→華やぐ風

ジノ、何食べたい?
変わったのもあるみたいだけど
骸魂の甘味とか、試してみる…?

ランタンの出店も見てみよう
百鬼夜行のときのランタンと似た
ジノにとって手のひらサイズのものを探し
早速灯りを灯してプレゼント
ジノが今日のことを忘れてしまわないように
忘れてもいつの日か思い出してくれるように
おまじないだよ

並んで座って、飛んでいくランタンを眺める
すごく綺麗…
このランタンの数だけ人の思いがあるんだね
ジノ…百鬼夜行のとき質問したこと覚えてる?
私、あの時たぶん、ずっと一緒だよって言ってほしかったんだと思う
ランタンにその想いを託すのもいいけど…やっぱり直接伝えたい
ジノのことが好きだよ



 賑やかな祭りを見守る様に燃え盛るのは、聖なる炎灯した大松明。
 そんな炎灯る大広場にずらりと並んだ屋台からは、食欲をそそるような美味しそうな匂いが。
「ジノ、何食べたい?」
「んー、焼き鳥食ってビール飲みてえなぁ」
 確かに、仕事の後の一杯はきっと格別。
 返ってきたジノーヴィー・マルス(ポケットの中は空虚と紙切れ・f17484)の声に、アイシャ・ラブラドライト(煌めく風・f19187)はふと巡らせていた瞳を瞬かせて。
 見つけた、この世界独特のスイーツを指して言ってみる。
「変わったのもあるみたいだけど。骸魂の甘味とか、試してみる……?」
「骸……え、何……そういうのまであんの?」
 アイシャの指先を追って見開いた瞳を、ジノーヴィーも思わずぱちくり。
 それから、ふたり顔を見合わせて。
「……まぁ、一つくらいなら試してみてもいいか」
「どんな味がするんだろう……」
 好奇心には勝てず、ひとつだけ買って、半分こしてみることに。
 そして色々と買ってみた戦利品を美味しく頂いた後。
 ふたりが足を止めたのは、数多の灯火に満ちた出店。
 並ぶのは、妖に化けて参加した百鬼夜行の時に、手にしたものと同じもの。
「ミニランタンもあるんだ。さっき見た奴がそのまま小さくなってら。おもしれー」
 けれど違うのは……そう、その大きさ。
 アイシャは沢山の明かりの中から、彼にとって手のひらサイズのものを探して。
 ――おまじないだよ。
 鈴蘭が描かれたそれに、早速そうっと柔い光を灯してプレゼントする。
 ……ジノが今日のことを忘れてしまわないように。
 ……忘れてもいつの日か思い出してくれるように、って。
「お、ありがとな。アイシャといると色んな事忘れないでいられるから、嬉しいもんだ」
 ジノーヴィーはアイシャが灯してくれた春の様に優しい灯火に、瞳を細めてから。
「持つのは俺に任せな」
 お返しに、もう何回りか小さいお揃いの鈴蘭柄のミニランタンをひとつ、彼女にもプレゼント。
 そして揃いの灯火を手に、店の外に出れば。
「わぁ、ジノ見て。すごく綺麗……」
 刹那、幽世の夜空に数多満ちるのは、一斉に解き放たれた願いのあか。
 ふたり並んで座って、天へとのぼってゆくそのいろを眺めながら。
「ランタンの数だけ人の思い、か。絶やさずに済んで良かった」
「このランタンの数だけ人の思いがあるんだね」
 仄かなあかに染まったジノーヴィーの横顔を見つめ、アイシャはこう続ける。
「ジノ……百鬼夜行のとき質問したこと覚えてる?」
 ――私はいつまでジノの近くに居られるんだろう。
 そう耳に届いた問いと、ぎゅっと力のこもった肩に置かれた小さな小さな手。
 ジノーヴィーはそれを思い返しながら、彼女へと視線を向け答える。
「ん? あぁ、覚えてる。今は一緒だって答えたんだっけ」
 ……紅い彼岸花が咲き乱れる向こうに視えた、穏やかな笑み。
 彼には視えなくて、自分だけに視えたもの。
 アイシャはそれを振り払う様に、緑色の髪をふるり揺らしてから。
 彼を見つめ、紡ぐ。
「私、あの時たぶん、ずっと一緒だよって言ってほしかったんだと思う」
「ずっとっていう約束が守れるかどうかは分からねえけど、できるならずっと一緒にいたいさ、俺だって」
 ずっと――それが叶うのならば、共に在りたい。
 けれどそれは守れるかどうかもわからない。
 だから、少なくとも今は……そう、ジノーヴィーは答えたのだった。
 願いや想いを込めて天へと解き放つ、数多のあかのいろ。
 そんなランタンの聖なる炎に、想いを託すのもいいけれど。
 でもやっぱり、思うから……直接伝えたい、って。
 だからアイシャは願いのいろが舞う空の下、心に灯る気持ちを今、言の葉にする。

 ――ジノのことが好きだよ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三嵩祇・要
【神玄世】

心なしか楽し気に見える親友と祭りを見るのも悪くないか

根付?ストラップみたいなもんか?
なんでハリネズミ
さてはオレの事を尖ったガキだと思ってるな?
「じゃああんたはコレな」
両耳が垂れたしょぼくれた顔の兎が小さなランタンにしがみついている根付
オレも記念に買っておくか

折角だ天灯飛ばしってのやってみるか
『ブリスコラの完成を願う』
隣の親友がその生涯でいつか必ず作るはずの特効薬
その目標がただの夢じゃなく叶えられますように

あんたは何て書いたんだ?内緒かよ
まあオレも見せてやらねぇけど

光が空に昇ってく
すごいな
なんとなく隣を見ると目が合った
「お前もな」
頭の横に付けたままだった雷神の面を
相方の顔にかぶせて笑う


トート・レヒト
【神玄世】

適当に屋台を見て回る
その中で根付屋が目に入り三嵩祇君を呼んで覗き込む
「これなんて君みたいだ」
ハリネズミがランタンに乗った柔らかい棘が触り心地の良い根付を手に取って見せた
…俺が兎じゃ可愛すぎるだろ
笑って購入し、大事に懐に仕舞う

ランタンには見られないよう『三嵩祇君が無事でありますよう』と書いて飛ばす
彼はいつも無茶をするから
隣の彼は真剣に何かを書いている…覗こうとしたら遮られた。チッ

沢山の灯が夜空を埋め尽くす景色は幻想的で、とても綺麗だ
彼はどう思っただろうかとフと横を見ると目が合った
「空を見ろよ」
苦笑しつつ自分を棚に上げて言ってみて
俺なんか見てどうするんだよ
被せられた面で染まった頬を隠した



 聖なる炎灯した大松明に、並ぶ出店、賑やかな人々の声。
 そして――心なしか楽し気に見える親友の姿。
 そんな親友と祭りを見るのも悪くないか、なんて。
 そう思いながらも、適当に屋台を見て回り歩いていた三嵩祇・要(CrazyCage・f16974)であったが。
「根付? ストラップみたいなもんか?」
 トート・レヒト(Insomnia・f19833)に手招かれ呼ばれた店に並ぶものを見遣り、首を傾ける。
 そう、トートの目に入ったその店は根付屋。
 そして手に取った根付をひとつ、要の前でぶらりと揺らすトート。
「これなんて君みたいだ」
 揺れるランタンに乗っているのは、柔らかい棘が触り心地の良い……ハリネズミ。
 ……なんでハリネズミ。
 要はトートのチョイスに、そうますます首を傾げるけれど。
(「さてはオレの事を尖ったガキだと思ってるな?」)
 きょろりと並ぶ根付へと視線を向けてから、お返しにひとつ。
「じゃああんたはコレな」
 摘まんで差し出してみせたのは、小さなランタンにしがみついている、両耳が垂れたしょぼくれた顔の兎の根付。
「……俺が兎じゃ可愛すぎるだろ」
 トートはそう笑いつつも、しょぼくれた兎さんを購入してお持ち帰り。
 そんな、自分の選んだ根付を、大事に懐に仕舞う親友を見て。
「オレも記念に買っておくか」
 要も彼の選んだハリネズミを、連れて帰る事に。
 それから店を出れば目に入るのは、道行く人々が持っている紙のランタン。
「折角だ天灯飛ばしってのやってみるか」
 それぞれひとつずつ、空に飛ばすための天灯を手にして。
 周囲の人に倣い、願い事を書いてみることに。
 そして要は、己の天灯にこう記す――『ブリスコラの完成を願う』と。
 それは、隣の親友がその生涯でいつか必ず作るはずの特効薬。
 それから、そう綴りながらも、心に思う。
 ……その目標がただの夢じゃなく叶えられますように、と。
「あんたは何て書いたんだ?」
 要はこそこそと隠す様に天灯に何かを書いている親友にそう訊いてみるも。
 逆に覗こうとするトートをすさかず遮って、笑んで返す。
「内緒かよ。まあオレも見せてやらねぇけど」
 そんな要ガードに、チッと舌打ちをしてから。
 トートは親友と一緒に、合図に合わせ、幽世の夜空へと解き放つ。
(「彼はいつも無茶をするから」)
 『三嵩祇君が無事でありますよう』――そう内緒の願いを書いた、天灯を。
 一斉に放たれた数多のあかは、天高くのぼっていって。
 もうどれが自分のものかは、分からなくなったけれど。
(「光が空に昇ってく……すごいな」)
 どんどん小さくなってゆく願いのいろたちを見上げ、見送る要の隣で。
(「沢山の灯が夜空を埋め尽くす景色は幻想的で、とても綺麗だ」)
 そう思いつつもフと、横を見るトート。
 ……彼はどう思っただろうかと。
 刹那、ぱちりと合う目と目。
 そんな、なんとなく向けられた親友の視線に苦笑して。
「空を見ろよ」
 自分のことを棚に上げて言ってみたトートだけど。
「お前もな」
「……わっ」
 ぽふりと顔にかぶせられたのは、親友が頭に付けたままだった雷神の面。
 そして笑う要から、ふいっとトートは視線を逸らしながら。
「俺なんか見てどうするんだよ」
 ぐっと、被せられた雷神の面を目深に隠す。
 願いの炎とはまた違ったあかに、染まった頬を。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

陽向・理玖
【月風】
1章と同じ浴衣

…はぐれたら困るしな?
言い訳しつつ手を伸ばし

うわぁ…屋台美味そうだし楽しそう
後で焼きとうもろこし買ってもいい?


あった
ミニランタンの出店見つけ
へーマジで色々ある
これなら怖くねぇ?
ひよこ柄の手に取り光るの見せ
夢中なのに表情緩め
ひよこも好きなんだ?
どれがいいかな…
橙と青の枠手に取り
やっぱ青?
瑠碧姉さんどっちがいい?
そっか
鈴蘭って好き?
いや可愛いかなって思って
じゃあこれにするわ
小さいし今なら簪に付けられるかなって…
付けてもいい?
…うん
それやるよ
照れ臭そうに
えっマジ?
じゃあ交換だな
スマホに付け嬉しげ


夜空に上がる天灯見上げ
…綺麗だな
ああいや
これは大丈夫?
少しだけしっかり手握ろうと


泉宮・瑠碧
【月風】
1章と同じ浴衣

はい
疑いもなく理玖の手を取って

屋台は何となくA&Wを思い出すので、少し安堵
はい、屋台も後で見ましょうね

理玖の横からミニランタンを興味深そうに見て
燃えていなければ…それに、小さいですし、大丈夫です
ひよこ…!
柔らかく光ってますよ…
はい、ひよこは、存在が尊いです……
つい夢中で見入り
理玖の声にはっと
あ、色だけで言えば青です…
何だろうと思いつつ
鈴蘭も好きです…可愛いのも同意、ですが
簪…?
え、あ、はい…
えと…似合います、か?

…なら、理玖もです
照れ隠しに
柄の代わりに夕焼け色に染まる青枠のミニランタンを

声が聴こえれば
遅れて夜空を見上げ
…燃える、空…
手の確かな感触に、ほっ
…いえ、綺麗ですね



 妖の真似っこをした百鬼夜行は、行列を作って歩いていたけれど。
 賑やかな夜祭りは、彼方此方に行き交う沢山の人で大賑わい。
 だから、そんな喧騒の中。
「……はぐれたら困るしな?」
 そうふと手を伸ばすのは、陽向・理玖(夏疾風・f22773)。
 いや、確かに、迷子になったらいけないからだけれど……それは、言い訳。
 けれど差し出されたその手を、はい、と疑いもなく取って。
 彼の大きな掌に己のものを重ねる、泉宮・瑠碧(月白・f04280)。
 それから、繋いだ手から伝わる体温を感じながらも。
「うわぁ……屋台美味そうだし楽しそう。後で焼きとうもろこし買ってもいい?」
 食欲をそそる香ばしいとうもろこしに、つい誘われそうになる理玖だけれど。
「はい、屋台も後で見ましょうね」
 食べ盛りな彼の様子に笑みながらも、瑠碧は少し安堵する。
 雰囲気や売っている物はやはりどこか違うけれど、でも、屋台は何となく故郷の世界を思い出すから。
 そんな大広場に並ぶ屋台を、相手の手を握ったまま、通り抜けて。
「お、あった。ミニランタンの出店見つけ」
 やってきたのは、数多の光に満ちる出店。
 へーマジで色々ある、なんてそれを一通りぐるりと見回した後。
 理玖は隣へと視線を移し、声を掛ける。
「これなら怖くねぇ?」
 ……火が、こわい。
 そんな彼女に、少し心配気な瞳を理玖は向けるけれど。
「燃えていなければ……それに、小さいですし、大丈夫です」
 横で一緒に見つめる深い青の瞳の瞳に宿るのは、興味深そうないろ。
 その様子に安心した後、理玖はふと手に取ったミニランタンをひとつ、光らせて見せる。
 ひよこ柄のそれを。
「ひよこ……!」
 刹那、キラキラと輝く瑠碧の深青の瞳。
 そんな可愛いひよこさんのランタンを、じーっと見つめて。
「柔らかく光ってますよ……」
「ひよこも好きなんだ?」
 夢中で眺め呟いた彼女に、理玖が表情緩めれば。
「はい、ひよこは、存在が尊いです……」
 こくりと、長くて淡い青の髪を揺らし、頷く瑠碧。
 そしてつい夢中で見入っているその隣で、理玖はうーんと首を傾ける。
「どれがいいかな……」
 手に取ったのは、橙と青の枠のもの。
 でもどっちにするか、決めかねないから。
「やっぱ青? 瑠碧姉さんどっちがいい?」
 そう訊ねてみれば、はっと我に返る様に顔をあげて。
「あ、色だけで言えば青です……」
 答えた瑠碧にもうひとつ、理玖は訊ねる。
「そっか。鈴蘭って好き? いや可愛いかなって思って」
「鈴蘭も好きです……可愛いのも同意、ですが」
 ……何だろう、そう思いつつも答えた瑠碧だけれど。
「じゃあこれにするわ。小さいし今なら簪に付けられるかなって……」
「簪……?」
 きょとりと自分を見上げる瑠碧に、理玖は続ける。
 ――付けてもいい? って。
 そんな彼の言葉に、え、あ、はい……と頷いてから。
「えと……似合います、か?」
 そう、訊ね返せば。
「……うん。それやるよ」
 ゆうらり灯火揺れるミニランタンと自分を見つめる彼女をちらりと見つつも、照れ臭そうに言った理玖。
 そして瑠碧も照れ隠しにひとつ、手に取って差し出す。
「……なら、理玖もです」
 華奢な掌の中にあるのは、夕焼け色。
 柄の代わりに橙に染まる、青枠のミニランタンを。
「えっマジ?」
 理玖は青の瞳をぱちくり、夕焼け色の髪をくしゃりと掻き上げてから。
 スマホに付けながら、小さくて優しいあかを嬉しげに見つめ紡ぐ。
 ――じゃあ交換だな、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ベイメリア・ミハイロフ
幽兵さま(f20301)と天灯祭へ

猫さんのお面は頭の横につけたまま
幽兵さま、幽兵さま!(お袖をつまんでくいくいしながら)
さようでございます、屋台でございますよ!
まあ、ミニランタンのお店ですとは
珍しいものがございますね
傘のお化け…ありますでしょうか?
幽兵さまと共にお探ししつつ
幽兵さま、わたくし、わくわくが止まりません!

折角でございます
天灯飛ばしを体験したく
お願い事を紙に書くのだそうでございますよ
ええと、さようでございますね…

「皆さまが、心から笑顔でいられる日が多くありますように」
「竜神の女の子さんに、良きご縁がございますように」
「幽兵さまと、沢山お出かけできますように」
…多うございましょうか?


花屋敷・幽兵
ベイメリア(f01781)と天灯祭へ
一つ目小僧のお面を弄りながら歩く
お?何だ?屋台か?(引っ張られながら)
ランタンか…面白い形をしているな。唐傘お化けの形の奴とかないかな。
一つ目好きなんだよ俺。
ランタンジャックでもいい。何かそんな感じの奴は…俺もワクワクしてきたぞ。
天灯飛ばしをやるのか?ふむ、願いを書いた紙を入れて火をつける…か。
何でもいいのかな?ベイはなんて書くんだ?
…3つは多くないか?欲張りさんめ。
俺もそう書くか。また冒険するぞ、ベイメリア。
そんな感じで書いておこう。どれを叶えてくれるんだろうな?



 無事に百鬼夜行の妖たちが授かった聖なる炎が大松明に灯されれば。
 幽世の夜が仄かな炎色に染まり、楽しい祭りの時間が始まる。
 そんなあかに照る中を並んで歩くのは、ふたりの妖……?
「幽兵さま、幽兵さま!」
 黒地の浴衣の袖を躍らせながら、猫さんの妖……いや、猫の面を付けたベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)は、逸る心を抑えきれないように。
 隣をゆく舌を出した一つ目小僧の袖をつまんで、くいくい。
「お? 何だ? 屋台か?」
 薄紫の一文字の着流しを纏う一つ目小僧こと花屋敷・幽兵(粗忽なダークヒーロー・f20301)も、袖を引っ張られつつも沢山の賑やかな屋台へと視線を向けて。
 そんな一つ目小僧のお面を弄りながら歩く彼に、こくこくと頷くベイメリア。
「さようでございます、屋台でございますよ!」
 屋台とひとことにいっても、金魚掬いや射的などの遊べる屋台もあれば、美味しい酒を振舞う見せ、良い香り漂わせる定番の食べ物の屋台など、様々で。
 無事に事が済んだら互いにご馳走し合うという約束は、もう少しおなかがすいた後でのお楽しみに。
「まあ、ミニランタンのお店ですとは、珍しいものがございますね」
 ベイメリアが足を止めたのは、この祭りならではな、ミニランタンが並ぶ店。
 それはつい先程、自分たちが手にしていたものをそのまま小さくしたものだった。
 形は全部同じ仕様だけれど、その大きさはミニサイズと一言に言っても色々な大きさがあり、描かれている模様や色も様々。
「ランタンか……面白い柄をしているな。唐傘お化けの奴とかないかな」
 ……一つ目好きなんだよ俺、と。
 そう言う幽兵の声に、ベイメリアは数え切れないくらい並ぶ灯火を緑色の瞳に順に映して。
「傘のお化け……ありますでしょうか?」
「ランタンジャックでもいい。何かそんな感じの奴は……」
 ふたり並んで、お目当てのものがあるか一緒に探してみれば。
「幽兵さま、傘のお化けのものがありました!」
「もふもふ化け猫の柄のものもあったぞ、ベイ」
 同時に摘まんだのは、相手にぴったりのミニランタン。
 そんな幽兵と顔を見合せ、ベイメリアは差し出されたもふもふ化け猫さんのランタンを受け取りながらも、ぱっと笑みを咲かせて。
「幽兵さま、わたくし、わくわくが止まりません!」
「俺もワクワクしてきたぞ」
 幽兵も、仄かな光灯る一つ目唐傘お化けのランタンをひとつ、連れて帰ることに。
 それから出店を出れば、さらに夜も深くなって。灯る光が煌々と幽世の世界を彩っている。
 ベイメリアは道行く人の多くが手にしているそれに目をやって。
「折角でございますし、天灯飛ばしを体験したく」
「天灯飛ばしをやるのか?」
 ふたりも早速、空に飛ばす為の天灯をそれぞれ貰ってみるけれど。
「お願い事を紙に書くのだそうでございますよ」
「願いを書いて火をつける……か」
 ふたり並んで、うーんと暫し考えてみる。
 天灯に書く、願い事を。 
「何でもいいのかな? ベイはなんて書くんだ?」
「ええと、さようでございますね……」
 ベイメリアはそう少し考えた後、さらさらと天灯に願い事をしたためる。

 ――皆さまが、心から笑顔でいられる日が多くありますように。
 ――竜神の女の子さんに、良きご縁がございますように。
 ――幽兵さまと、沢山お出かけできますように。

「……3つは多くないか? 欲張りさんめ」
「……多うございましょうか?」
 きょとりと首を傾けるちょっぴり欲張りさんな彼女に、そう幽兵は言いながらも。
「俺もそう書くか。どれを叶えてくれるんだろうな?」
 ……そんな感じで書いておこう、と同じく欲張りさんに。
 どの願い事を聞いてくれるのか、それは分からないけれど。
 合図とともに、炎灯した天灯を飛ばし、数多のあかが天にのぼる様を見送りながら。
 幽兵は、隣で夜空を煽ぎ花笑む彼女へと、こう声を。
 ――また冒険するぞ、ベイメリア、って。
 ちょっぴり多めに願い事を書いてみたけれど。
 ベイメリアが最後に書いた願いは、叶いそう……かも。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
ふわぁ、やっぱりこちらの炎の方が綺麗ですよね。

そういえば、百鬼夜行が終わったらお面を外してもいいみたいですよ。
せっかく、お祭りに来たのですからいろいろな屋台に行きませんか?
あ、アヒルさんの翼じゃお面を外せないんですね。
それなら、どうやってお面を付けたのですか?
ふぇー、お面を貸し出してくれた人に付けてもらったのですか。
はい、外れましたよ。
まず、どこから行きましょう・・・か。
ふえええ、まずは私をつつきたいって、アヒルさんひどいですよ。



 悪しき炎は天に還り、授かった聖なる炎が大松明へと灯される。
 そして沢山の人で賑わう天灯祭の広場を歩きながら。
「そういえば、百鬼夜行が終わったらお面を外してもいいみたいですよ」
 もう、妖の真似っこはしなくても大丈夫だから。
 まだひょっとこさんの面を付けたままのアヒルさんに、そうフリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)は声を掛けた後。
「せっかく、お祭りに来たのですからいろいろな屋台に行きませんか?」
 定番の美味しそうな食べ物や飲み物をはじめ、遊べる屋台や買い物ができる店など、ずらりと並ぶ屋台を見遣るけれど。
 何だか少し様子がおかしいアヒルさんの姿に、ふと一瞬首を傾げて。
 翼を一生懸命じたばたとさせている、その理由に気付く。
「あ、アヒルさんの翼じゃお面を外せないんですね」
 ……それなら、どうやってお面を付けたのですか?
 確かに、すちゃっと装着されているひょっとこさんは、どうやって付けたのか。
「ふぇー、お面を貸し出してくれた人に付けてもらったのですか」
 成程、さすがちゃっかりしているアヒルさん。
 そんなアヒルさんに付いているひょっとこさんを、はい、とフリルは外してあげてから。
 途端にいきいきとしているアヒルさんに、こう訊ねてみるけれど。
「まず、どこから行きましょう……か」
 刹那、返ってきた答えに、思わず瞳をぱちくり。
「ふえええ、まずは私をつつきたいって」
 そんな声にも構わず、張り切ってシュシュッとくちばしを出しては素振りするその姿に。
 面と交換で被った大きな帽子のつばを押さえながら、フリルはふるふると首を振る。
 ――アヒルさんひどいですよ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

宵鍔・千鶴
【朔夜】

百鬼夜行の装いで
ふわふわ歩いて
あかの炎は皆を照らす灯りになって、綺麗だねって隣の白虎を覗き込む

夜祭ゆるり眺めれば
馴染む桜を見つけて駆け出し
清史郎、みーつけた
コン、と藤の黒狐は化かすように彼の傍でぴょんと跳ね
清史郎もお祭巡り?桜祭り以来だ
良ければ俺達と一緒にあそぼ。

金魚掬いどうかな?
初体験のポイを使枚か紙を破りながら漸く紅金魚を1匹器へ
二人は結構捕まえた?
……俺、下手だなぁ(しょぼ)
刻は黒金魚貰えて良かったね
大事な1匹、大切にしよう
ね、清史郎。折角だからこの子の名前付けて欲しいな
袋で游ぐ金魚を揺らし

ぐるるとお腹が鳴けば
そっと刻へ耳打ち
また呆れた顔する
たい焼き……
皆でシェアして幸せになろう


飛白・刻
【朔夜】

夜行に雑じるに羽織を退けた軽い装いまま
数多のあかが幽世を照らしゆく景色は
暫し見詰めてしまうほど
良い夜だと黒狐へ視線渡して頷き返す

千鶴が賭け出したものだから目で追えば
其処には清史郎の姿
幾度も世話になっているが直接話すは初めてか
良ければ共にと白虎は会釈ひとつ

金魚すくいか、初めて体験するな
まずは二人の手並みを拝見しよう
これで掬えるのかとポイと金魚を交互見て
どうにも上手く掬えぬと見かねた店主におまけされた黒金魚
…少し悔しい気もするがこれも記念だと

秋虫紛れ鳴らすは誰か詮索要らず
そうと耳に届くは案の定
水得た魚か千鶴か解らぬと呆れ笑む
清史郎も甘味が好きだったろうか
ならば迷うまい
皆で甘味に舌鼓としよう



 聖なる炎を届けた百鬼夜行は解散になったけれど。
 大松明に照る中、ふわふわと歩くは藤の黒狐。
「あかの炎は皆を照らす灯りになって、綺麗だね」
 そう黒狐――宵鍔・千鶴(nyx・f00683)が覗き込むのは、傍らを歩む白虎。
 そんな黒狐に白虎――飛白・刻(if・f06028)は頷き返す。良い夜だと。
 幽世を照らしゆく景色は、暫し見詰めてしまうほどの数多のあか。
 そんなあかに染まる夜祭を、ゆるり眺めていた刹那。
 ふと急に駆けだした千鶴を、藍の視線で刻が追えば。
「清史郎、みーつけた」
 そこには、桜の白狐が。
 狐面を携えた彼へと駆け寄り、ぴょんと跳ねる藤の黒狐。コン、とまるで化かすように。
「清史郎もお祭巡り? 桜祭り以来だ」
 そんな言葉に頷き笑む清史郎を、千鶴は手招く。
 ……良ければ俺達と一緒にあそぼ、と。
 刻は、よく見かけこそするが、そういえば直接話すは初めてである彼に会釈ひとつ。
 ……良ければ共に、と。
 清史郎も、いつも世話になっていると頭を下げてから、柔い笑みを咲かせる。
 桜の白狐も暫し仲間に入れてくれ、と。
 それから揃って屋台を巡ってみれば。
「金魚掬いどうかな?」
「金魚すくいか、初めて体験するな」
「俺もやったことはないな」
 見つけたのは、金魚掬いの屋台。
 しかも何気に皆、初体験。
 まずは千鶴と清史郎の手並みを拝見しよう、と刻が見守る中。
 狙い定めて掬ってみるも……ただ破れたポイだけ。
 ……これで掬えるのか。
 刻も手にしたポイとひらり泳ぐ金魚たちを交互に見遣って。
 千鶴は何枚か紙を破りながらも、漸く紅金魚をひょいっと1匹器の中へ導けば。
「二人は結構捕まえた?」
 ……俺、下手だなぁ、なんてちょっとしょんぼりするけれど。
 大丈夫、ひとりじゃない。
「……少し悔しい気もするがこれも記念だ」
「黒金魚貰えて良かったね」
 刻の器には、どうにも上手く掬えぬと見かねた店主におまけされた黒金魚が。
 そして、ふと清史郎はどうしているかと見遣れば。
「……ふむ、承知した」
 何だか金魚さんたちとお喋りした後、舞う様にしゅっとポイを放ち、次々と掬い取ってゆく。
 コツはと問えば、心通わせ掬われてくれないかと微笑んで交渉したらしい。
 そんな謎な交渉術で金魚を掬う彼に、千鶴はふとこんなお願いを。
「ね、清史郎。折角だからこの子の名前付けて欲しいな」
 ……大事な1匹、大切にしよう、って。袋で游ぐ金魚を揺らしながら。
 そして暫し考えた清史郎が紡いだ名は、暁――あかつき。
「明け方の空の様に、刻々と変わってゆくようなあかをしていると思ってな」
 キンタロウ丸と迷ったのだが、と雅に微笑んで。
 そんな、はじめての金魚掬いを楽しんだ後。
 耳に聞こえたのは、ぐるると鳴いた誰かのおなか。
 ……いや、刻にとっては、秋虫紛れ鳴らすそれは誰のものか詮索要らず。
 そして、そうっと千鶴が耳元で紡ぐ言葉は案の定。
「水得た魚か千鶴か解らぬな」
「また呆れた顔する」
 魚は魚でも、今度つかまえたいのは、甘くて美味しい魚。
 確か桜の白狐も甘党だと聞く。ならば迷うまい、と。
 刻は千鶴の耳打ちにこくりと頷く。
「たい焼き……」
 皆でシェアして幸せになろう、と瞳を輝かせている食いしん坊な黒狐に瞳細めながら。
 連れ帰る金魚たちも共に――皆で甘味に舌鼓としよう、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミア・レイシッド
【幽楽】

わたくしは浴衣を着ないの。
王様が浴衣をお召しになるのだから、着てはだめでしょう。
かくり、お前様は着るのかしら。

天灯飛ばしに参加をしましょう。
わたくしの灯りには王様を描くの。
王は空からすべての人々を見守って下さるのだわ。

お前様はしっているかしら。
ここではない別の世界には、こんな風に灯りを飛ばして
この世に居ない人々を想う祭りがあるの。
願いや想いを込めるという意味では同じなのだわ。

わたくしの願いは王の願い。
王様の代わりに飛ばすのだわ。
幽世の皆が楽しく過ごせますように。
迷い人を救済出来ますように。

わたくしが願うなど無礼にあたるもの。
それよりも、空に飛ばしましょう。

全ては王のお心のままに。


揺・かくり
【幽楽】

私も遠慮をしておこう。
華美に着飾るのは生者の務めなのだよ

灯した焔たちを空へと飛ばす
一斉に放たれる其れは、眩いのだろうね。
私は……ああ、何を描こうか
念力を纏わせた筆を携え、暫しの思案
筆先滑らせ、簡素な死霊を描こう。
上出来ではないだろうか

初めて耳に入れる話だ。
此の世も外なる世も、何方にも隔ては無く
込める思いなどは同じなのだろうね。

私個人に願いなどは無い。
君は君の願いを乗せないのかい
成程。君は黒き王の臣下で在ったね。

理想も願望も浮かばぬけれど
此の幽世の地が、平穏であれ
其の様な祈りを捧ごうか。

天へと浮かび上がる灯たちの見事な事
何とも不思議な景色だよ。
灯火が消える其の時まで
此の様に眺めていよう。



 百鬼夜行が届けた炎が広場の大松明に灯されれば、あかに満ちる夜祭りのはじまり。
 季節柄、行き交う人々が纏うものは浴衣が多いけれど。
 ミア・レイシッド(Good night・f28010)はその様を眺めながらも、ふるり微かに首を横に振る。
「わたくしは浴衣を着ないの。王様が浴衣をお召しになるのだから、着てはだめでしょう」
 そして、隣に在る揺・かくり(うつり・f28103)に問う――かくり、お前様は着るのかしら、と。
 そう投げられた問いに、かくりは返す。
「私も遠慮をしておこう」
 ……華美に着飾るのは生者の務めなのだよ、と。
 浴衣はその身に纏わなくても、其処に在る者全てを等しく、聖なる炎はあかに染め上げる。
 そしてそれは、空にまで及ぶのだと言う。
 天灯飛ばしに参加をしましょう、とミアが手にするのは、空へと飛ばす為の天灯。
「灯した焔たちを空へと飛ばす。一斉に放たれる其れは、眩いのだろうね」
 まだ見上げる夜空は、いつも通り月や星の光が静かに煌めいているだけであるけれど。
 赤々と燃える聖なる炎のいろを宿した天灯が数多放たれれば、きっと圧巻なものであるだろう。
 だが、それを飛ばす前に。
 ふたりも周囲の人々と同じように、天灯に思い思い筆をはしらせる。
「わたくしの灯りには王様を描くの」
 ……王は空からすべての人々を見守って下さるのだわ、って。
 願いの灯火を宿し、天高くのぼってゆく天灯。それは王を描くに相応しいから。
 かくりは王を描くミアの隣で、念力を纏わせた筆を携え、暫し思案するけれど。
「私は……ああ、何を描こうか」
 ふわり舞っていた筆が天灯りへと滑り始める。
 かくりが天灯に描いたのは、簡素な死霊。
 そして描き終ったものを眺めてみれば、上出来ではないだろうか、とちょっぴりご満悦。
 そんなかくりに、ミアはふと口を開く。お前様はしっているかしら、と。
「ここではない別の世界には、こんな風に灯りを飛ばして。この世に居ない人々を想う祭りがあるの」
 ……願いや想いを込めるという意味では同じなのだわ、って。
「初めて耳に入れる話だ」
 幽世とはまた違った世界にも、灯りを天へと解き放つものがある。
 けれどそのことは知らなかったけれど。かくりは特に意外になどは思わない。
「此の世も外なる世も、何方にも隔ては無く。込める思いなどは同じなのだろうね」
 何処の世界に在ったとしても、どんな存在でも、想いを馳せることはあるだろうから。
 だけど乗せる願いや想いはきっと、千差万別。
「わたくしの願いは王の願い。王様の代わりに飛ばすのだわ」
 ――幽世の皆が楽しく過ごせますように。
 ――迷い人を救済出来ますように。
 それが、王の願いであるから。ミアは王の代わりに願いを灯すのだという。
 一方かくりは、私個人に願いなどは無い、と告げた後。
「君は君の願いを乗せないのかい」
 そうミアへと問うてみるけれど。
「わたくしが願うなど無礼にあたるもの」
 天灯に馳せるのは、あくまでも王の願い。それがミアの願いでもあるのだから。
「成程。君は黒き王の臣下で在ったね」
 かくりはそう、いつも王の傍らに在る彼女を見遣って。
 ……理想も願望も浮かばぬけれど、と紡ぐけれど。
「それよりも、空に飛ばしましょう」
 ふと耳に届いた合図と共に、ミアは聖なる炎灯した天灯を空へと解き放つ。
 ――全ては王のお心のままに、と。
 そしてかくりも、天へと放ったあかを見送る。
 ――此の幽世の地が、平穏であれ。
 其の様な祈りを捧げながら。
 刹那、仰ぐ幽世のそらは、燃えるようなあかで埋め尽くされて。
 夜の闇をゆく数多の灯火を、かくりは己の金の瞳にも灯しながら紡ぐ。
「天へと浮かび上がる灯たちの見事な事。何とも不思議な景色だよ」
 そして、ミアと共に……この灯火たちが消える其の時まで、此の様に眺めていよう、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティル・レーヴェ
ライラック殿(f01246)と

当たり前にと
繋ぐ温もりが嬉しくて
並び見る天灯の如く頬も照る

天灯にでなく
己へと向く言の葉が
彼の想いが裡へと灯り

ひとつひとつと知る程に
ぽつりぽつりと灯る程に
溢れる想いに眸は潤け
夜風に身が冷えるも気付かぬ程に
胸が熱い

外套の内へ招かれる儘
彼のその身をぎうと抱き

妾とて嬉しかった
いつまた記憶失うかと
怖れた妾にくれたまじないが
忘れさせぬとの言の葉が
他でもない其方からの花が
裡にずうと咲いてるの

告げゆく掌に乗る想い
燈會揺れた簪と
共に届いた言の葉に
温かな泪が頬伝う

同じ花咲く燈會根付を
そっと彼の帯に下げ
選ぶ花も同じであれば
抱く想いも同じよ、と

この先ずうと傍にいさせて
ねえ、恋し愛しあなた


ライラック・エアルオウルズ
ティルさん(f07995)と

天へ昇る想いの灯火
そのひとつになりたくも
僕の想いは収まりきらず
きっと、溢れてしまうから

天灯の傍ら、手を繋いで
昇る想いを見送り乍ら
僕は貴方の裡へ灯そうか

何時か、別れが来たときに
想い出が友を苦しめるのなら
何も残したくないと思ってた
けれど、ね、初めて願ったんだ
貴方には忘れられたくない、と

故に貴方が其れを受け容れて
勿忘草を纏うことが嬉しくて
滲みゆく眸を隠すように
冷えた身を外套へ招けば
灯される想いに、泪も溢れ

愛しさの満たされるまま
貴方の手へ簪を乗せよう

ねえ、空のあかりが消えるまで
――その先も僕と居てくれる?

簪に揺れる沈丁花を描く燈會に
『永遠』の想いを灯して

最愛なる君と、永遠に



 まるで星を纏う様な宵青の袖をひらり、躍らせながら。
 並び見る天灯の如く仄かに照る、ティル・レーヴェ(福音の蕾・f07995)の頬。
 じわりと伝わり、混ざり合う体温。当たり前にと繋ぐ温もりが、嬉しくて。
 けれど天高く舞うあかを、ライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)は眺めるだけに留める。
 いや、天へ昇る想いの灯火の、そのひとつになりたくも。
(「僕の想いは収まりきらず。きっと、溢れてしまうから」)
 だからライラックは、天灯の傍らその手を繋いで。
 放たれ昇る数多の想いを見送りながら、灯すのだ。
 天灯にではなく――見つめる傍らのきみへ想いの言の葉を。
 ……僕は貴方の裡へ灯そうか、と。
 何時か、別れが来たそのときに……もしも想い出が友を苦しめるのならば、何も残したくないと思っていた。
「けれど、ね、初めて願ったんだ。貴方には忘れられたくない、と」
 そして――忘れたくないと。
 彼女が纏うは、想い出護る甘きまじない。
 ライラックは滲みゆく眸を隠すように、けれど嬉しさをその心に灯らせる。
 ……故に貴方が其れを受け容れて、勿忘草を纏うことが、と。
 そしてティルの眸も潤けてゆく。
 ――ひとつひとつと知る程に。
 ――ぽつりぽつりと灯る程に。
 溢れる想いに、胸が熱くなる……夜風に身が冷えるも気付かぬ程に。
 そんな冷えた身が刹那招かれるのは、優しくふわりと解き放たれた、夜の如き彼の外套の内。
 まるで纏う夜でその身を隠す様に、彼女の小さな身体を包み込んで。
 瞬間感じるのは、ぎうと抱かれた感触と伝わる温もり。
 そして耳に届く声。
「妾とて嬉しかった。いつまた記憶失うかと怖れた妾にくれたまじないが、忘れさせぬとの言の葉が。他でもない其方からの花が」
 ……裡にずうと咲いてるの、と。
 忘れられたくない、忘れたくない。その想いを結び咲かせる勿忘草の花。
 けれど、その花は勿論だけれど。
 灯される想いに泪も溢れ、愛しさの満たされるまま。
 ライラックは今宵、彼女の小さな手へと乗せて咲かせる。
「ねえ、空のあかりが消えるまで――その先も僕と居てくれる?」
 ゆうらり簪に揺れる、沈丁花を。
 その花を咲かせた燈會に――『永遠』の想いを灯して。
 そして告げゆく掌に乗る想い……沈丁花咲く燈會揺れる簪と、共に届いた『永遠』の言の葉に。
 ティルの瞳から溢れ頬伝うのは、温かな泪。
 だって、同じだったから。そっと彼の帯に下げた燈會根付に咲いている花も。
「選ぶ花も同じであれば、抱く想いも同じよ」
 心に灯る、この想いも。
 そしてティルは、全ての熱を与えてくれる彼へと紡ぐ。
「この先ずうと傍にいさせて」
 ……ねえ、恋し愛しあなた、と。
 そんな言の葉に、あかに染まる空の下、ライラックは己だけの夜に彼女を隠して。
 何よりも愛しく咲く一輪に紡ぐ――最愛なる君と、永遠に、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ライナス・ブレイスフォード
リカルドf15138と

面を取り梟から元に戻れば自身の指先に牙を立てた後リカルドの首へ
あんたも早く『人間』に戻れば?と揶揄う様な笑みを投げつつ己が噛みちぎった傷口へ赤を塗り込む様【血の洗礼】回復を

で、どこ行くよ?さっきのガキ気になってんじゃねえの?
そう二人分のラムネを買いリカルドへ
ま、他人が何言おうと自分で答え見つけねえと納得しねえもんだろうしな?
かき氷は当たり前の様に寄越せと口を開く
あ?くれんだろ?

天灯飛ばしの際は少し迷った後指先に残って居た己と相手の物が混じった赤を端に塗り付け空へ
ずっと一緒になんざ砂糖菓子みてえな事は言わねえけど
まあ、混じって離れねえもんが天に昇ってくの見んのは悪くねえ、な


リカルド・アヴリール
ライナス(f10398)と
アドリブ歓迎

戦闘終了を確認次第、梟の面を取ろうと
ライナスの言葉には肯定も否定も出来ないまま
回復を受けつつ、視線を彷徨わせて

気にならないと言えば、嘘になるが……
何を言えば良いのか
どんな風に励ますのが正しいのか、わからない
だからこそ、他の猟兵達に任せようと

涼やかなラムネを受け取り
ライナスの後ろをついて、周囲を見て回る
……かき氷、半分ずつ食べるか?メロン味を一つ購入しようと

ライナスに知られぬよう
天灯に塞がりかけた傷口の血を付けてから、共に空へと
ああ、本当に……綺麗だな

機械としては欠陥でしかない感情かもしれないが
願わくば、お前を傍で守りたい
……まだ、言葉には出来ないけれど



 悪しき炎が天へと溶けていったのを確認した後。
 刹那、ライナス・ブレイスフォード(ダンピールのグールドライバー・f10398)の指先に飛沫くのは、また別のあか。
「あんたも早く『人間』に戻れば?」
 もう妖である必要はないからと。
 面を取り梟から元に戻ったライナスは、己の指に牙を立てて。
 滲んだいろを塗り込む様に、リカルド・アヴリール(機人背反・f15138)の首へと施す。
 そんな揶揄う様に笑み向けるライナスの言葉に、肯定も否定も出来ないままに。
 彼の血の洗礼の癒しを受けつつも、視線彷徨わせるリカルド。
 そしてライナスは、二人分のラムネを買って。
「で、どこ行くよ? さっきのガキ気になってんじゃねえの?」
 そう、リカルドへと差し出すけれど。
「気にならないと言えば、嘘になるが……何を言えば良いのか」
 リカルドは見かけた竜神の少女を見遣りつつも、ぽつりと言の葉を紡ぐ。
 ……どんな風に励ますのが正しいのか、わからない、と。
 気にはなるけれど、でもだからこそ、他の猟兵達に任せようと。
 そう言いつつもラムネを受け取ったリカルドの声を聞いて。
 ライナスも、少女へとふと向けた緑色の瞳を細めてから。
「ま、他人が何言おうと自分で答え見つけねえと納得しねえもんだろうしな?」
 自分の後ろについて周囲を見て回るリカルドを振り返り、口を開く。
 当たり前の様に、寄越せと。
「……かき氷、半分ずつ食べるか?」
「あ? くれんだろ?」
 リカルドが買ったメロン味のかき氷ひとつを、ふたりで半分こ。
 そして賑やかな屋台を巡っていれば、そろそろ頃合いに。
 天へと願いや想いの灯火を放つ、天灯飛ばしの時間。
 天灯には願いや想いを記せると、そう聞いたけれど。
 ライナスは少し迷った後、己の天灯の端へと塗り付ける。
 指先に残って居た、己と相手の物が混じった赤を。
 そしてリカルドも、ライナスに知られぬよう、そっと。塞がりかけた傷口の血を付けてから。
 合図が聞こえたと同時に、あかを纏わせた天灯を、共に空へと。
 幽世の夜空を染める、願いや想いを乗せた数多のあか。
 それを見上げながら、ライナスは口にする。
「ずっと一緒になんざ砂糖菓子みてえな事は言わねえけど。まあ、混じって離れねえもんが天に昇ってくの見んのは悪くねえ、な」
「ああ、本当に……綺麗だな」
 リカルドはそれだけ返しながらも、あかのいろに仄かに照るライナスの横顔へと視線を向ける。
(「機械としては欠陥でしかない感情かもしれないが」)
 ――願わくば、お前を傍で守りたい。
 それは……まだ、言葉には出来ないけれど。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】
黒地に赤い蝶柄の浴衣
狐のお面

UCDアースでよくある縁日っぽい雰囲気だねぇ
あちこち目移りしていたら
この世界ならではのユニークなお店を発見し

梓、見てみて、面白いお菓子があるよ
梓の浴衣の裾をくいくいと引っ張って
指差した先には骸魂を使ったお菓子の屋台
骸魂を料理に使おうだなんて発想がワイルドだなぁ
すごーい、お菓子が喋ってるよ
食べながら話し相手にもなるね
これ二つくださーい
林檎飴のような形をした骸魂飴を注文

はい、梓の分も買っておいたよ
いつもお世話になっているからねー
たまには俺からご馳走するよ

怪しいオーラを放つ骸魂飴を躊躇なくガブリ
へぇ、なかなかクセになる味だね
ほらほら、梓も早く食べてみなよ


乱獅子・梓
【不死蝶】
濃紺地に銀の蝶柄の浴衣
烏天狗のお面

綾が指差した屋台を見てみたら…
…お菓子とは思えないほど禍々しいんだが?
何故かお菓子からどす黒いオーラが放たれている気がするし
何故かお菓子から呻き声が聞こえてくる気がするし
大丈夫?食ったら取り込まれない?
などと不安を抱えていたら
綾が何食わぬ顔で注文していた、マジか

え!?俺の分まで!?
普段は綾が俺にたかることはあれど
俺に何かを奢ってくれることなど滅多に無いから
喜ばしい筈なんだが、よりにもよってコレ…

食うのを躊躇っていたら
顔を覗かせた焔と零が一口ずつガブリ
怖いもの無しだなお前ら…
こ、これは俺も食わねばならない空気…!
ええい、ままよ!ガブリ
…あ、結構いけてる



 屋台や出店並ぶ賑やかな夜祭をより彩るのは、聖なる大松明に灯るあかのいろ。
 そんな炎燃ゆる夜、きょろりと視線を巡らせるのは、黒地に赤い蝶が舞う浴衣を纏う狐さん。
「UCDアースでよくある縁日っぽい雰囲気だねぇ」
 狐面をつけた灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)はそう、あちこち目移りしていたけれど。
 ふとあるユニークな店に視線を止めて、濃紺地に銀の蝶が遊ぶ浴衣を着た烏天狗の裾をくいくい。
「梓、見てみて、面白いお菓子があるよ」
 そんな声に、烏天狗の面をかぶった乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)が、差された指の先を目で追ってみれば。
「……お菓子とは思えないほど禍々しいんだが?」
「骸魂を料理に使おうだなんて発想がワイルドだなぁ」
 この世界ならではな、骸魂を使ったお菓子の屋台……!?
 祭りはUDCアースでも珍しくはないけれど、これはさすがにありません。
 梓はそんな奇妙奇天烈なお菓子をじーっと見つめて。
「何故かお菓子からどす黒いオーラが放たれている気がするし、何故かお菓子から呻き声が聞こえてくる気がするし」
 目が合ったお菓子に、そこのお兄さん食べてくれる? なんて。
 そう声を掛けられれば、隠し切れない不安。
 ――大丈夫?食ったら取り込まれない? って。
 そんなちょっぴり尻込みするような梓の隣で。
「すごーい、お菓子が喋ってるよ。食べながら話し相手にもなるね」
 ――これ二つくださーい。
 何食わぬ顔で、林檎飴のような形をした骸魂飴とやらを注文した綾。
 そんな彼の大胆さに、梓は思わず呟かずにはいられない……マジか、と。
 そして綾は、にこにこと梓へと差し出す。
「はい、梓の分も買っておいたよ。いつもお世話になっているからねー」
「え!? 俺の分まで!?」
 刹那あがる、梓の驚きの声。
 いや、その骸魂飴とやらの妖しさもなのだけれど。
(「普段は綾が俺にたかることはあれど、俺に何かを奢ってくれることなど滅多に無いから」)
 そんな綾が奢ってくれるなんて、喜ばしい筈なに……なのに。
 ――よりにもよってコレ……。
 なんか、お兄さん、っておどろおどろしく呻いているソレ。
 そして色々な意味で戸惑う梓を後目に。
 ――ガブリ。
「へぇ、なかなかクセになる味だね」
 怪しいオーラを放つ骸魂飴を躊躇なく齧る綾。
 いや、綾だけではない。
 ――ガブッ。
 ――ガブリッ。
 顔を覗かせた焔と零が、梓の持つ骸魂飴を一口ずつ、ぱくりっ!
「怖いもの無しだなお前ら……」
「ほらほら、梓も早く食べてみなよ」
 そんな綾に同意見と言わんばかりに、キュー、ガウ、と鳴く焔と零。
 そんな、一斉に自分に向けられた視線に。
(「こ、これは俺も食わねばならない空気……!」)
 ――ええい、ままよ!
 空気を読んで、梓もガブリ!
 そして、いい食いっぷりだねぇなんて骸魂飴に褒められながらも、梓は思わず瞳をぱちくりとさせる。
 ……あ、結構いけてる、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャルファ・ルイエ
初めての幽世のお祭りですし、ウィルやオル、レディと一緒に見て回ります。

竜神の彼女が思い詰めてしまったのは、長い間ずっと待っていて、寂しい気持ちが大きくなり過ぎた所為もあったんじゃないでしょうか。
だから、良ければ一緒に見て回りませんかって誘ってみますね。
天灯に願い事をしましょう。
レディを抱っこするのも良いです。
自分以外のぬくもりは、きっと少しは慰めになりますから。

林檎飴は買って帰りたいです!
あとはやっぱりミニランタンを。
手の平サイズの花柄のもので、おすすめを聞いてみます。

空に飛ばす願い事は「彼女がいつか寂しくなくなりますように」にしますね。
たくさんの灯りが一斉に飛ぶ光景は、きっとすごく綺麗です。



 百鬼夜行が授かった聖なる炎が大松明に灯されれば、いよいよ夜祭りも本番。
 炎に仄か照る賑やかな大広場を、白い小竜のウィルや黒豹のオル、縞模様の尻尾のレディも一緒に。
 初めての幽世のお祭りを巡るのは、シャルファ・ルイエ(謳う小鳥・f04245)。
 それからふと、青い瞳に映ったその姿を見遣り、思う。
(「竜神の彼女が思い詰めてしまったのは、長い間ずっと待っていて、寂しい気持ちが大きくなり過ぎた所為もあったんじゃないでしょうか」)
 妖怪は寿命が長い。一体どのくらいの年月、彼女が待っていたかは分からない。
 納得はしているのだというが、でもやはりしょんぼりと寂しそうな表情をしている少女へと、シャルファは歩み寄って。
「良ければ一緒に見て回りませんか」
 そう、竜神の少女に声を。
 そんな誘いに、瞳をぱちくりとさせながらも。
 よかったら一緒に、と小さく微笑む彼女。
 そして皆で参加してみるのは、祭りのメインである天灯飛ばし。
 天灯りに願いや想いを託し、夜空へと解き放つのだというが。
 けれどその前に……もっと色々と楽しんでおきたいから。
「林檎飴は買って帰りたいです! あとはやっぱりミニランタンを」
「林檎飴は私も好き。ミニランタンのお店はこっちよ」
 竜神の少女の案内で、灯りが数多灯る店へと足を運んで。
 手の平サイズの花柄のもので、おすすめを聞いてみれば。
 シャルファを暫し見つめた店主が手にしたのは、空色にかすみ草咲く柄のもの。
 そしてちゃんと林檎飴も買って、いざ天灯に願い事を。
 シャルファは竜神の少女にレディを差し出して、抱っこしてみませんか、と勧めてみる。
「自分以外のぬくもりは、きっと少しは慰めになりますから」
 そして嬉しそうにレディを抱っこする彼女と共に、合図にあわせ、天灯を空へと解き放つ。
 ――「彼女がいつか寂しくなくなりますように」、そう願いを馳せて。
 幽世の夜空に一斉に舞い飛ぶ、圧巻のあかの光景を一緒に眺めながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

氷條・雪那
戦いが終わって緊張感から解放されれば
代わりに感じるのは、空腹感で
焼き鳥やたこ焼きを食べて人心地がつくと
気になるのは、並んだ甘味の数々

この場で甘味を食べるのは流石に躊躇われて
悩んだ末に持ち帰れそうな物をいくつか買い込む事に

天灯飛ばしでは、願いを天灯に書いて空へと放つ
殺された皆の仇をとりたいというのは、願いというよりも目標で
それに己の力で叶えるべきものだから、何かに委ねる事はしない

だから天灯には両親や兄上
一族の者達が安らかに眠れるように、と願いを込めた

筧殿(f00502)には久方ぶりであるので挨拶をした後
何か願い事はしたのかだけ訊ねます
内容に関してはこちらからは問わず、私の物もそれに合わせて返答



 悪しき炎を天へと還し、聖なる炎が灯った大松明を前に。
 解放されるのは、戦いが終わった緊張感。
 そして代わりに感じるのは――空腹感。
 くぅ、といまにも鳴りそうなのを我慢しながらも、氷條・雪那(凍刃・f04292)は視線を巡らせて。
 食欲をそそる香りにつられるように、並ぶ屋台へと足を向ける。
 それから、焼き鳥やたこ焼きをほくほくと口に運び、人心地つけば。
 やはり気になるのは――美味しそうで魅力的な、甘味の数々。
 けれど、きょろりと再び周囲を見回せば、たくさんの人の姿が。
(「この場で甘味を食べるのは……」)
 そう、流石に躊躇われるけれど、しかし甘味の魅力には抗えないから。
 悩んだ末に思いついた作戦は、持ち帰れそうな物をいくつか買い込む事。
 そして甘い戦利品に密かに心躍らせながらもやって来たのは、天灯輝く大広場。
 天灯飛ばしでは、願いを天灯に書いて空へと放つと……そう聞いていたけれど。
(「殺された皆の仇をとりたいというのは、願いというよりも目標で。それに己の力で叶えるべきものだから」)
 雪那は、それを天灯に馳せる事はしない。
 だから、代わりに願うのは――両親や兄上、一族の者達が安らかに眠れるように、と。
 そしてふと久方ぶりに見かけた清史郎へと声を掛け、挨拶を済ませた後。
 何か願い事はしたのかだけ、訊ねてみれば。
 返って来たのは、柔らかな桜の様に咲いた微笑み。
 それから、雪那は何か願いを馳せたのか? と逆に訊ねられれば。
 数多の願いの灯火が舞う夜空の下、仄かなあかに照る彼へと。
 ふふ、とだけ同じように、雪那は笑んで返してみるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

橙樹・千織
ユアさん(f19326)と

ユアさん、せっかくですしミニランタン買いに行きませんか?

窓辺に置いたら可愛いかなと思いまして
探すのは手のひらサイズの物

あら…ふふ、これがいいでしょうかね
並ぶランタンを眺めて目に留まるのは
桜の模様入りの和紙を使ったランタン
あかが灯ればふんわり透かし模様で浮き上がる

ユアさんはどんなランタンに?
あら、素敵な三日月模様
夜更かしして、お話ししたくなってしまいそうですねぇ

竜神の少女に会ったなら
屋台で買った苺の飴を贈りましょう
わかってくれてありがとう…頑張りましたね、て

飛ばす天灯には二つの願い
“あの不死鳥が彼女の元へ早く帰って来ますように”
そして、“大切な友人達の幸せな日々”を…


月守・ユア
千織さんと(f02428)

お、いいね。なにか選ぼうか♪

彼女の誘いに頷いて並ぶランタンを眺める
どれも素敵な柄だなぁ
どれにしようか悩んでふと目に留めたのは
三日月の模様をあしらったランタン
炎が灯れば月夜のように和紙が煌めいて柔らかに光が灯る

ボクは、コレが気に入った
コレにするよ、と笑みを向ける
暗い夜も優しく灯すこのランタンに

千織さんが竜神の少女に声をかけるのを見ると
せっかくの祭りだ
君も天灯に願いを飛ばそうよ

天灯に乗せて願うは
”大切な人達の幸い”
そして
――僕は人を探しているんだ
”あの子”の大切な人…
君よ、早く僕らの…あの子の傍に帰ってきてくれないか
この夜の下…どこかにいるならば
胸元に手を当てて静かに祈る



 幽世の空へと火の粉舞わせるのは、百鬼夜行が授かった聖なる炎。
 そんなあかに優しく照らされながら、橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)は橙の視線を巡らせて。
「ユアさん、せっかくですしミニランタン買いに行きませんか?」
 見つけた数多の明かり灯る出店へと、月守・ユア(月影ノ彼岸花・f19326)を誘う声を。
 そんな提案に、仄かに炎のあか宿した白の髪をこくりと揺らして。
「お、いいね。なにか選ぼうか♪」
 早速ふたり楽しむのは、ミニランタン選び。
 千織がきょろりと探し見比べるのは、手のひらサイズの物。
「窓辺に置いたら可愛いかなと思いまして」
「どれも素敵な柄だなぁ」
 ユアも、多彩な柄につい目移りするけれど。
「あら……ふふ、これがいいでしょうかね」
 沢山並ぶランタンの中でひとつ、ふと目に留まったもの。
 千織が手に取ってみたのは、桜柄の和紙を使ったランタン。
 そしてそうっとあかを灯してみれば、ふんわり透かし模様で浮き上がって咲く桜の花。
 どれにしようか悩んでいたユアも同じ様に、瞳に映ものをひとつ、その手に。
 三日月の模様があしらわれたランタンを。
 炎が灯れば、和紙が煌めいて光を宿す。まるで、月夜のように柔く。
「ユアさんはどんなランタンに?」
「ボクは、コレが気に入った。コレにするよ」
 そうユアは、千織へと笑みを向け続ける。
 ……暗い夜も優しく灯すこのランタンに、って。
「あら、素敵な三日月模様。夜更かしして、お話ししたくなってしまいそうですねぇ」
 千織もそうユアへと返す。ふわふわ穏やかな笑みを湛えて。
 ふたり顔を見合わせ笑み交わして、見つけた桜と三日月を連れ帰る。
 それから店を出て、屋台並ぶ広場を歩いていれば。
 見かけたのは、先程まで骸魂に呑まれていた竜神の少女の姿。
 骸魂を倒したことには納得しているという彼女であるが……さすがに今はまだ、何処か寂し気で。
 千織は屋台で買った苺の飴を少女へと差し出し、こう声を掛ける。
「わかってくれてありがとう……頑張りましたね」
「せっかくの祭りだ。君も天灯に願いを飛ばそうよ」
 ユアも千織に続いて、彼女へと言葉を向ければ。
 ありがとう、と礼を言い、素直に頷く少女。
 そして空へと放つ為の天灯をそれぞれ貰い、願いと想いを馳せる。
 ユアが天灯に乗せて願うは……”大切な人達の幸い”。
 そして、もうひとつ。
(「――僕は人を探しているんだ」)
 それは、”あの子”の大切な人……。
 ユアはあかの灯火で満ちた空に照る月へと視線を向け、うたうように祈る。
(「君よ、早く僕らの……あの子の傍に帰ってきてくれないか」)
 胸元に手を当てて、静かに。
 そして千織も、飛ばす天灯には願い事をふたつ。
 ひとつは、“あの不死鳥が彼女の元へ早く帰って来ますように”。
 それから、もうひとつ――手元の桜を仄かなあかに咲かせながら。
 “大切な友人達の幸せな日々”を……と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティーシャ・アノーヴン
冬花(f22799)さんと一緒に。

折角ですし、浴衣を借りてみましょう。
先日、コンテストがありましたし、着てみたくなりましたので。

浅葱色に白い花弁が散る様子を描いた浴衣を選んでみました。
帯は支子色と白のグラデーション。
靴はぽっくりと言うのですか?
黒いものに赤い鼻緒のものを履いてみます。
こ、これは……思ったより歩き難いですわね。

冬花さんは……流石によくお似合いです。
着こなしておられると言いますか、実に馴染んでいて素敵です。

何度か転びそうになりながら出店を少し楽しんでから、
天灯飛ばしに参りましょう。
願いはそうですね。
わにを描いてから「沢山の出会い」と。
そう、きっと誰も、一人きりではないのですから。


桜枝・冬花
【ティーシャ(f02332)さまとご一緒】

白地に朝顔の浴衣をお借りいたします
平時の服装と似たものでございますから
あまり、歩くに支障はございませんね
とはいえ、靴と下駄では少々勝手は違いますが

転びそうになるティーシャさまを何度かお助けしながら
出店を巡る際は、先の灯りをともに持ってまいりましょう
甘いものなど、ご一緒に楽しむのもよいかもしれません
りんご飴がおすすめでございますよ、召し上がったことはございますか?

空へとおくる天灯には、炎の鳥を描きましょう
あの少女の大切な方が、迷わず天へゆけるよう
……込める願いはもうひとつ
新しい出会いや、大切な思い出が
どうか、今を生きる彼女のこれからを支えますようにと



 授かった聖なる炎が灯された大松明のあかに、仄かに染まりながら。
「折角ですし、浴衣を借りてみましょう」
 そう提案するのは、ティーシャ・アノーヴン(シルバーティアラ・f02332)。
 ……先日、コンテストがありましたし、着てみたくなりましたので、と。
 袖を通してみたのは、浅葱色に白い花弁舞い散る浴衣。
 締める帯は、支子色と白のグラデーション。
 そして。
「靴はぽっくりと言うのですか?」
 首を傾けながらも履いてみたのは、黒に赤い鼻緒のぽっくり下駄。
 それから準備も万端、ふと数歩歩いてみれば。
「こ、これは……思ったより歩き難いですわね」
 慣れぬ下駄に、少々四苦八苦。
 そんな覚束ぬ足取りながらも、ティーシャが視線向けるのは、白地に朝顔咲く浴衣を纏った桜枝・冬花(くれなゐの天花・f22799)。
「冬花さんは……流石によくお似合いです」
 ……着こなしておられると言いますか、実に馴染んでいて素敵です、と。
 普段と変わらぬ立ち振る舞いな彼女に、感心した様に口にする。
「平時の服装と似たものでございますから。あまり、歩くに支障はございませんね」
 ……とはいえ、靴と下駄では少々勝手は違いますが、と。
 冬花はそう付け加えながらも、転びそうになるティーシャを何度か助けつつ。
 百鬼夜行の時に借りたランタンで引き続き道を照らしながら、出店を巡ってみる。
 そして、ふと見つけたのは。
「甘いものなど、ご一緒に楽しむのもよいかもしれません。りんご飴がおすすめでございますよ」
 ……召し上がったことはございますか? と。
 勧めるそのいろは、艶やかなあか。まんまる甘い、りんご飴。
 そして出店を楽しんでから向かうのは、沢山の炎灯る大広場。
 空へと飛ばす天灯を受け取ってから、ティーシャは暫し考えてみる。
 天灯に描く願いを。
 それから描いたのは、わにの絵と「沢山の出会い」の文字。
 これまでも沢山の人に出会ってきたティーシャは、知っているから。
 ――そう、きっと誰も、一人きりではないのですから、って。
 そんな彼女の隣で、冬花も空へと送る天灯に描く。
 あの少女の大切な方が、迷わず天へゆけるよう――炎の鳥を。
 いや、それだけではない。
 ……込める願いはもうひとつ、と。
(「新しい出会いや、大切な思い出が。どうか、今を生きる彼女のこれからを支えますように」)
 すぐ傍らに在る、沢山の出会いに瞳輝かせる彼女の横顔を見つめながら。
 炎の鳥と願いを乗せたあかを、冬花はティーシャと共に、幽世の夜空へと解き放つ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

晴海・未春
碧(f11172)と、助けた龍神の少女も

こっち、こっち!と手招いて
彼女が来てくれたなら微笑もう

型抜きの屋台もあるよ
これはね、思いきりと繊細さが大事なんだ
こうやって……と見本をみせようとするも
うまくいかず割れてしまったなら、えへへと笑って
ね、やってみて
ひとつひとつ手順を踏んで、じっくりやればだいじょうぶだよ
完成したらいっしょに喜びたいな

天灯飛ばしも参加しよう
好きに書いて飛ばせるのなら、せっかくだから
白と紅色の白菊の花を描こう
ぼくは絵描きだから、文字より絵のほうが気持ちをつたえやすいから

龍神の少女と、碧はなにを書いたのかな
聞かずにそっとそばにいよう
天灯にのせた願いは、心に秘めてこそ叶う気がするから


劉・碧
未春(f14270)と、助けた竜神の娘と

型抜きを二人が楽しむ様子を興味深げに見守ろう
うまく出来なくてもいい
楽しむことが大事だからな

射的もやり方が分からんなら教えよう
四角の箱なら角を、真ん中じゃなくて斜め上を狙え
銃は脇を締めてぶれないように固定しな
景品が取れたら頑張った褒美に頭を撫でてやろうな
アンタにだって今みたいに困難を乗り越える力がある
やり方なんて知恵みたいなものさ
乗り越える力はアンタ自身のものだ
未春もそう思うだろ?

そういやアンタ名はなんと言う?
竜神へ名を尋ねつつ三人で「天灯飛ばし」へ
願いは秘すれば花とも言うな
俺は一句だけ添えて飛ばそう
「願わくば 花の下にて 春死なむ その如月の 望月の頃」



 百鬼夜行が授かった聖なる炎灯した、大松明の下で。
 きょろりと湖色の視線を巡らせていた晴海・未春(春の仔・f14270)は、お目当てのその姿を見つけて。
 ――こっち、こっち!
 そうひらり、彼女を手招く。
 先程まで骸魂に呑まれてた、竜神の少女のことを。
 少女は最初こそきょとりとしていたが、すぐに自分が呼ばれていると気付き、未春の手に招かれて。
 歩み寄ってくれた彼女に微笑む未春。
 そして、彼女を誘って……ある屋台へと。
「これはね、思いきりと繊細さが大事なんだ」
 こうやって……と、未春が見本をみせようとするのはそう、型抜き。
 慎重にそうっと抜いていくけれど。
「――あ」
「……あっ」
 ぱきりと割れちゃった、型抜きのうさぎさんの耳。
 けれど、同時に声をあげたふたりは顔を見合わせてから。
 えへへと笑って、少女と笑み交わす未春。
「ね、やってみて」
「……できるかな?」
「うまく出来なくてもいい。楽しむことが大事だからな」
 これまで、型抜きを二人が楽しむ様子を興味深げに見守っていた劉・碧(夜来香・f11172)も、そう声を掛ければ。
「ひとつひとつ手順を踏んで、じっくりやればだいじょうぶだよ」
 やってみようかな、とチューリップのかたちのものに挑戦する竜神の少女。
 そして上手に抜くことができれば、一緒に喜んで。
 声を掛けた時はどこか寂しそうだったその笑顔に、碧もそっと金緑石の瞳を細める。
 それから次に足を向けたのは、射撃の屋台。
 勿論最初は、なかなかうまくいかないけれど。
「四角の箱なら角を、真ん中じゃなくて斜め上を狙え。銃は脇を締めてぶれないように固定しな」
 やり方が分からんなら教えよう、と碧が助言すれば。
 ぽこん、と少女が打ち出した弾が、小さなお菓子箱に命中!
 それは偶然かもしれないけれど、頑張った褒美に頭を撫でてあげてから。
 碧は、嬉し気に掌の上のお菓子箱を見つめている少女へと紡ぐ。
「アンタにだって今みたいに困難を乗り越える力がある、やり方なんて知恵みたいなものさ」
 ――乗り越える力はアンタ自身のものだ……未春もそう思うだろ? って。
 一緒に喜ぶ彼女たちへと、優しく柔い声色で。
 そして沢山遊んでから向かうのは、数多の炎灯る大広場。
 渡された空に飛ばすための天灯には、願いや想いを、好きに描いていいというから。
(「好きに書いて飛ばせるのなら、せっかくだから、白と紅色の白菊の花を描こう」)
 ……ぼくは絵描きだから、文字より絵のほうが気持ちをつたえやすいから、と。
 未春はさらりと筆をはしらせ、天灯に白菊の花を咲かせながら。
(「竜神の少女と、碧はなにを書いたのかな」)
 そうちらり、ふたりに視線を向けてみるけれど。
 すぐにふるりと微かに首を横に振る。
 ――天灯にのせた願いは、心に秘めてこそ叶う気がするから、って。
 そんな未春に、願いは秘すれば花とも言うな、と同意した後。
「そういやアンタ名はなんと言う?」
 碧も天灯にそっと思いを記しながら、ふと少女へとそう訊ねれば。
「私は、陽炎……かげろい、というの」
 そう答えた少女……かげろいに、良い名だな、と返してから。
 碧はふたりとともに合図に合わせ、幽世の空へと解き放つ。
『願わくば 花の下にて 春死なむ その如月の 望月の頃』――そう一句だけ添えた、あかの彩を。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月10日


挿絵イラスト