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共感性バイオレンス

#UDCアース #UDC-HUMAN

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●人は外見が……
 熱いものがこめかみから流れる。それは目に入って見えるものを赤くする。今、僕が見ているのは同じ学校の制服を着た男女。その男の方の手で僕の頭は体育器具室脇のコンクリートの壁に打ち付けられた。
「あいつを気持ち悪い目で見てたって?」
 知らない。何も記憶にない。赤い視界の中で目を動かすとこちらを見て笑みを浮かべている清純そうな女子がいた。普段他の人から見ればふんわりとした笑顔というだろうが、向けられた自分にとってはニヤニヤと厭らしいものにしか見えない。
「なんだその目は!」
 再び彼女の彼氏であろう男子に叩きつけられる。なんだかんだで暴力的な男が女子に選ばれやすいということなのだろう。その中には邪魔者を排除できる実力を外部から得られるからという理由があると知った。……余りにも自分の身に起こっていることが理不尽すぎて、自分でも驚くほど冷静になってしまっている。なぜ自分がこんな目にあっているか、と考えると恐らく醜いからだ、と合点がいく。
 ニキビだらけの顔、腹回りの大きい体。自分でも分かってはいるが人に好かれるような外見ではない。ただそれくらいは自覚しているから、なるべく人の目に触れないように生きてきたつもりだ。その結果がこれなら僕は無駄な努力をしていた事になる。
「は……」
「何笑ってるんだよお前は!」
 笑っているつもりなんかはない、いや笑っていたのかも。単に「気持ち悪い」って言葉の暴力だけじゃなくて、物理的な暴力まで振るわれているこのどうしようも無さに。そんな事を思いながら殴られていると黒い影が二人の後ろから近づいてくる。人、ではない。
『オ前ハ、何ヲ望ム?』
 その影が僕に語りかけてくる。ついに自分は狂ってしまったらしい、なら狂った答えを返そう。
『あの女と同じ顔を、人に暴力を振るうことも許されるあの顔と体が欲しい』

●『気持ち悪い』の理由
「皆は共感をする、というのは尊い事だと思うかい?」
 アラン・スミシー(パッセンジャー・f23395)は出し抜けにそう猟兵達に問うた。
「『気持ち悪い』って言葉はその共感をしたくない相手に、自分が嫌う責任を全部押し付けるための便利な言葉なのさ。『悪党』と誰かを名指しする言葉の一種で、最近の流行りだね」
 その言葉はあけすけであり、身も蓋もない。
「要するに純度100%の悪意、言う方は気持ちが良くても言われる方はそれこそ『気持ちが悪い』だろうね。まあその気持ちに共感する気がないから平気で他人に『気持ち悪い』なんて言えるんだろうけどね」

 さて、と彼は前振りを済ませてから本題を切り出す。
「今回はそんな言葉と力で暴力を振るわれた少年が、UDC-HUMAN……まあ要するにオブリビオンになって、復讐して更に暴力を振るう側になるから止めてきて欲しいという話さ」
 人は自分が傷つけられたもので人を傷つける、自分が傷つけられたのだから誰かに同じようにしても構わないという心の動きによって。
「人の痛みがわかるから、人に痛みをもたらさざるを得ない。『自分が苦労したからお前も苦労しろ』なんてナンセンスではあるけれど、それでオブリビオンを暴れさせる訳にはいかないからね。少年を実力行使で止めてやってくれ、ああ武器を向ける以上言葉が聞きいられる率は低いだろう、なにせその『言葉』で暴力が発生しているのだからね。そして攻撃の意志がない相手から普通に彼は攻撃してくる。……自分がやられたように」

「それで話が前後して悪いが、まず最初に対処して欲しいのは『暗闇』だ。どこからか負の怨念を嗅ぎ分けてきたのか、あるいはこいつらが変化の直接の原因なのかは分からない。どちらにせよ少年との戦いの邪魔になるので先に片付けておいて欲しい」
 その後、少年との戦いになる。オブリビオンの撃破が目的であり少年の安否は問わない。

「そしてもう一つ。戦いの後にやってもらいたい事がある」
 彼は肩をすくめて言う。
「少年に暴力を振るっていた男女……特に女子の方にもう一度同じ様な事をさせない様な釘刺しをして欲しいんだ」
 アランは一本指を立てた。
「今、何故女性の方を、と思った者もいるかも知れない。だからこそなのさ。……彼女は自分の性別も魅力も「そういう風に捉えられやすい」という事を無意識に自覚している。……自分だけは大丈夫って思っているのさ、美人は得だねえ」
 アランは皮肉気に笑う、そしてこれと似た事件を再び起こす可能性があるから、死なない程度に止めておいて欲しいと。
「ああ、ちなみに男子の方は、頭の悪い男の中でも更に悪い方だからそのうち警察のやっかいになる率が高い。彼女ほど危険視する必要はないかね」
 少なくとも彼が主体的にUDC-HUMANを呼び出す事態になるのは低そうだ。

「何にせよこれはこなせる猟兵が多くない事件さ、可能ならで構わない。それじゃよろしく頼むよ」


西灰三
西灰三です。
個人的に過去最高の邪悪さのシナリオをお送りします。
いや本当に。無理して参加すること無いですからね。

オープニングの通りですがやる事自体は割とシンプルです。
集団戦、ボス戦、日常のスタンダードな形です。
が、割と全体的にストレスフルな話となっています。ボス戦も救いようは無いですし、日常に至っては意識的に人の認知能力に反するプレイングが求められます。(所謂『猟奇的なアレ』とも違いますからね)

以上です。
それではもしよろしければ参加よろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『暗闇の追跡者』

POW   :    燃エ広ガル狂気
【崩れた輪郭から溢れ出る闇】が命中した対象を燃やす。放たれた【狂気を齎す漆黒の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    膨レ上ガル呪詛
【膨張しながら不定形に拡がり続ける闇】に変形し、自身の【輪郭や自己同一性】を代償に、自身の【攻撃範囲】と、技能【精神攻撃】【呪詛】を強化する。
WIZ   :    揺レ浮カブ恐怖
レベル分の1秒で【対象の背後に出現し、対象を絞め殺す腕】を発射できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流

正直言ってわけがわからない。同じ人なのに気持ち悪いってなんだ?
そもそも普通に胎から生まれたのなら、見目の良し悪しなんて籤のようなものだろう?
自分と違うから排除しようとする心理は人にはあるらしいが、本当に理解できない。
そして考えてるうちに頭の、心の芯が冷えてく気がするのはどうしてだろうか。

UC陽氷で明るさを兼ねて浄化がてら攻撃。
接敵されたりしたら直接武器で対処。また敵の攻撃は第六感で感知、見切りで回避。
回避しきれないものは本体で武器受けで受け流し、カウンターを叩き込む。
それでも喰らってしまうものはオーラ防御、激痛・狂気耐性で耐える。




 周囲を取り巻く暗闇の中、二つの剣でそれらを払う黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)の脳裏には疑問が浮かんでいた
(「正直言ってわけがわからない。同じ人なのに気持ち悪いってなんだ?」)
 器物が人の形をしているだけの彼には理解出来ない事件である。それは生物の行動原理をその身に封じていない彼には考えられないことで、あるいは建物の奥にずっとあったからなのかも知れない。
(「そもそも普通に胎から生まれたのなら、見目の良し悪しなんて籤のようなものだろう? 自分と違うから排除しようとする心理は人にはあるらしいが、本当に理解できない」)
 そう考えるたびに彼の体の中の何かが冷えていく、それは彼の核である「人を排除するための道具」の本質が現れようとしているからかも知れない。無論、彼にはそんな自覚はないだろうが。単に彼は冷えた心を温め、闇を焼く為に青き炎を放つ。それは黒い闇の炎を塗りつぶすように広がっていく。単純に強いと言うだけの理由で。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セフィリカ・ランブレイ
何とも気分の悪い話だけど、シェル姉的にはどう?
『自己研鑽を忘れた男が根腐れした女に因縁つけられたって話ね』
相棒の魔剣は不機嫌だ

シェル姉は諦めない、とか挑戦する、みたいなポジティブな人間を気に入り、暴れ回るのを辞めて人の味方になったって話を聞いたことがある

魔剣が重く感じる。気乗りしてない証拠だ
ま、それでも死ぬ命が少なくなるなら、やらなきゃね

そもまずはこいつらから倒さないと
今は魔剣に頼らない方が良さそうだし、身を切りますか
魔剣で自分に傷を作る

私の血を代償に動く、魔導ゴーレム
【碧剣の勇者】を呼び出す
そもそもが曰く付き装備を集めて作ったもの
呪えるものならやってみればいい、それより先に斬り散らす!




 セフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)の振るう剣。……所謂インテリジェンスソードと呼ばれる類のその剣はいたく重かった。それは戦場に至る前のちょっとした会話から容易に想像が出来た。
『何とも気分の悪い話だけど、シェル姉的にはどう?』
『自己研鑽を忘れた男が根腐れした女に因縁つけられたって話ね』
 シェルファと呼ばれる魔剣からは不機嫌さを隠さない声が響いた。元の出自は独りでに暴れていた存在で不諦の挑戦者と出会った事で収まった……という逸話を聞いたことがある。ならば関係者全員からそれらが無いと聞けばやる気も失うだろう。……それでも、とセフィリカは思う。死ぬ命が減るのならば、どんな状況でもやるだけだ。とは言っても相棒は頼りにならない、ならばとシェルファの刃で自らの手首に赤い筋を描く。
『何をしてるの!』
「シェル姉のやる気が無いなら私が身を切るしか無いでしょ?」
 地面に落ちた赤い雫が広がり、そこからおぞましい呪力を持ったゴーレムが召喚される。それは彼女達を取り巻いていた闇に深々と剣を突き立てる。呪いにて呪いを討つための剣。
「呪えるものならやってみればいい、それより先に斬り散らす!」
 豪腕にて走る剣が闇を払う。これはまだ敵のさきがけに過ぎない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

秋津洲・瑞穂
ふうん?

ま、わたし向きのお仕事よね。引き受けましょう。
暗闇ならば炎で払えば済む。狐火たちに働いてもらうわね。
「おいでおいで、火の子たち」

それで何、「腕を発射」するって? 珍妙な真似を。
まぁ、掴み掛かることの比喩かも知れないけれども。
いずれにしても中らなければ意味がないし、
次の瞬間にはわたしに斬られるけれど、
それでも良ければどうぞ。

狐の狩りは視覚に頼らない。猫のように夜目は利くけれども、
視力はたいして良くはないのよ。眼前も背後も大差ないわ。

もっとも、狐火の半分くらいは背後に待機させておくから、
現れた瞬間に消し炭になりそうだけれども。
残り半分には存分に暴れてもらうわね。




「ふうん?」
 目の前で蠢く闇の群れ、いや後ろにもいるか。……そんな存在に囲まれた秋津洲・瑞穂(狐の巫女・f06230)は軽く鼻を鳴らした。グリモアベースで聞いた時からこの仕事は自分向きだと感じたものだ、周囲の敵から溢れている茫洋な悪意がそれを証明している。……概ねこの類は化生だけの問題では無い。ともかくもこの雑魚を片付けなければ終わるものも終わるまい。
「おいでおいで、火の子たち」
 周囲から放たれた黒い腕を一閃して切り払い、盛る狐火の中へと叩き落とす。闇は赤い光に照らされて消滅し、それを認めた瑞穂は細身の刀を構え直して目を狐のように細める。
「それで何? 「腕を発射」するって? 今のがそうなの?」
 放った炎とは裏腹に彼女は冷たく言い切る。先程焼かれた闇は再び炎を超えんと瑞穂ににじり寄る。
「腕じゃなくて本体なら超えられるって? お生憎様」
 しかし近づいた闇に狐火が集りあっさりと本体をも焼き尽くす。
「見えなくてもあなた達がどう動くかなんてお見通しなの、わかる?」
 炎と刀を踊らせて彼女は敵を調伏していく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハル・インフィジャール
共感、共感ねぇ…俺ァそんなもん信じてねぇよ。
ヒトはいつだって自分の事だけ、同調するフリをして、マトモなフリをして、時計仕掛けのように決まってる反応を繰り返しながら奥底に悪意を隠してんのさ。

その辺、俺は隠したり合わせたりが大の嫌いなんでね…思うがままに燃やし尽くすだけの事だ。
無尽の炎を身に纏わせ全方位からの攻撃を守る盾とし、黒き炎も背後からの腕も区別無く【盾受け】しつつ【劫炎爆壊】の派手な【範囲攻撃】をブチかます。

影如きで俺を止められるワケねーだろ?

カマしたら燃え盛る中心で炎を操り影を焼き尽くしてフィニッシュだ。

●アドリブ、絡み、歓迎




「共感、共感ねぇ……」
 炎逆巻く渦の中、その身一つ焦がすこと無くハル・インフィジャール(魔導仕掛けのレッドラム・f25053)は腕を拱いている。既に彼を囲んでいた暗闇達はその多くが焼き尽くされている。その中で彼は自らの経験を思い返している。この周りの現象の核となっている事件が、下らない事のように思えたから。……彼は絶えようとする闇達にメッセンジャーよろしく自身の考えを投げかける。
「お前らが楽しそうに人の共感の闇とやらに群がっているようだから、教えてやろう。……俺ァそんなもん信じちゃいねえ」
 嘲るようにハルは言う。
「ヒトはいつだって自分の事だけ、同調するフリをして、マトモなフリをして、時計仕掛けのように決まってる反応を繰り返しながら奥底に悪意を隠してんのさ」
 それは人がどんなに表面を取り繕っていようが、一皮剥けば自らの得の為に他者を出し抜き虐げようとする生き物であるという事だ。
「お前らを呼び出したんだかそれとも引っ張られただけなんだか知らないが、先に行って伝えておいてくれよ」
ニヤニヤと笑いを浮かべながら彼は言う、そそくさと去っていくような暗闇達に、されどハルは後ろから炎を投げかける。
「おおっと悪かったな。気が変わった。隠したり話を合わせたりするのが大の嫌いなんでね、悪く思うなよ?」
 自らの気紛れな暴力性を、彼は隠す気が無かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

首を絞められた程度で死ねるなら悪霊なんてやってないわよ☆
魔術的パラダイムシフト(瞬間思考力/結界術/多重詠唱)、私に有利な世界観を構築するわ。
せっかくだし、こいつらで予行演習といきましょうか。化術神罰でおしおきターゲットの女性に変化させるわ。降霊で集合無意識からスワンプマン的な魂も構築してぶちこんでおきましょ。
宿敵も含めた分霊(式神使い/集団戦術)達も呼んで色々ためしましょうか♪
本物は壊したらいけないんだものねぇ、本物に限りなく近いこの偽物達で手加減の練習はしておかないとね。
用が済んだらその姿のままエナジーを捕食して限界突破した快楽で逝かせてあげるわ♡


ルカ・ウェンズ
え?『悪党』と誰かを名指しする言葉の一種で、最近の流行り。
こんなことを考えるのは私みたいなパープ―だけだと思っていたけど世の中は何が起こるかわからないわね。

う~ん、この少年をサイボーグに改造したり遺伝子を変えて美少年にできる猟兵や知り合いがいないか味方に話を聞いてみないと。ちなみに私のお勧めはタフガイよ!

とりあえず目の前の敵から始末しないと。敵のユーベルコードに対して私は【狂気耐性と呪詛耐性】を持っているけど、いつまで耐えられるかわからないし形だけなら人型のだから咎力封じを使ってみるわ。

後は【オーラ防御】を使いオーラパンチ、オーラキック、オーラグラップルついでにオーラ目潰しこれで止めを刺すわ。




「あなたはどちらがお好み?」
「そうねえ少年の方をもらおうかしら?」
「オッケー、じゃあ私お仕置きターゲットの女の子の方をもらうわね♪」
 そんな女子同士の会話をしているアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト魔少女・f05202)とルカ・ウェンズ(風変わりな仕事人・f03582)はまるでカフェに居るようだ。もっともコーヒーも無ければ椅子もテーブルも無い。代わりにあるのはふっとばされていく暗闇の形をした敵だけだ。
「そう言えばグリモア猟兵の話なんだけど」
「わたし?」
「そうじゃなくて、ここを案内した人の」
 雑談中も変わらず敵は吹っ飛んでいる。もはやどちらが脅威か分からない。
「気持ち悪いって『悪党』と誰かを名指しする言葉の一種で、最近の流行り。……こんなことを考えるのは私みたいなパープ―だけだと思っていたけど世の中は何が起こるかわからないなって」
「そうかしら」
「そうよ、私今までそういう事言った人に会ったこと無いし」
 それは人前で言うと色々と問題が起きるからでは無いからではなかろうか。いくら事実でも言ったら立場が悪くなる事もある。……ルカ自身はまるで気にはしないだろうが。
「ところで一つ探してるものがあるんだけれど」
「なあに?」
 更にルカは口を開き首を締められていたアリスに問いかける、普通に彼女は触手で引き剥がしていたけれど。
「例の少年をサイボーグに改造したり遺伝子を変えて美少年にできる猟兵や知り合いとかいない?」
「魔術でならできるわよ?」
 アリスは軽く言う、そもそもここでは予行練習をするつもりだった。彼女は現実を自分の主観に合わせるユーベルコードらしいユーベルコードを使うと、周りの敵が件の現場にいるであろう少女の姿に変わっていく。
「へえ。タフガイにもできる?」
「できるけど趣味じゃないかなぁ」
 少女の姿に変えられたオブリビオン達を弄びながらアリス。彼女の男の好みの範疇にマッチョはない。彼女達がオブリビオンを葬り去る姿はおおよそ人の所業とは言えぬものであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『姿を奪う者』

POW   :    あなたの顔、いいわね
【触れた対象の仮面を剥ぎ取る繊手】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【仮面を被り、対象の記憶や知識、癖】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD   :    わたしはただの通りすがり
レベルm半径内の、自分に気づいていない敵を【無力な一般人の姿】で攻撃する際、ほぼ必ず狙った部位に命中する。
WIZ   :    残念だけど……
【パーカーの下から仮面を取り出し、被って】から【対象の好む姿へと変わって拒絶の言葉】を放ち、【対象を精神的に傷つける事】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アト・タウィルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵達が闇をかき分けてたどり着いた時、そこには一人の青年が立っていた。彼の足元には二つの小太りの少年が倒れている。……それが姿を押し付けられたカップルであることはすぐに見当がついた。そして青年は姿を奪ったのだと。
「殺しはしてないさ」
 青年は言った。いや今はUDC……オブリビオンなのだろう。
「それじゃ彼らの為にはならないだろう? こいつらには僕が今まで受けてきた仕打ちを受けてもらわなきゃならない。そう、『僕の気持ちを理解してもらうために』必要な事なんだ」
 UDCはニヤニヤと笑う。
「『優しさ』ってそういうものだろう? 人の気持ちを知るためにはこれくらいの事をやって初めて『あなたの気持ちは分かった』って言うべきだと僕は考えるね」
 UDCはそこまで言うと口を真一文字にして猟兵達を睨みつける。
「で、お前達猟兵だろう。分かるさ、今の僕はオブリビオンだからね。……邪魔をするなよ?お前達にも分かるだろ、こいつらがクズだって事はさ。誰にも迷惑かけるわけじゃない、むしろ世のため人のためになる事をしようとしてるんだから」
 そんな彼は去ろうとしない猟兵達にため息をつく。
「ああ、やっぱりお前達もこいつらと同類だね。自分を正しい側に置いて身勝手な暴力を正当化するとか、生きてて恥ずかしくないの? ……ああ、悪かった。君達は生命の枠から外れた存在だったね。じゃあ人の言う事なんか言ったって聞きはしないか」
 ため息をついたUDCはやれやれと言いながら懐に手を入れて数枚の仮面を手に取った。
黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に本体の二刀流

姿を奪って押し付けても結局意味無いと思う。
美しいって要は平均値だろ?
押し付けていったら、いつかそっちの姿の方が平均とならんか?そうしてまた同じ事を繰り返し。無意味じゃね?
…それに本当に理解できんの?そういう輩は自分は別だと思ってる節もあるようだし。

存在感を消し目立たない様に立ち回る。ただし相手の姿はいつでもとらえてるように注意し、隙を見てマヒ攻撃を乗せた暗殺のUC菊花で攻撃。代償は寿命。
敵の攻撃は第六感で感知、見切りで回避。
回避しきれないものは本体で武器受けで受け流し、カウンターを叩き込む。
それでも喰らってしまうものはオーラ防御、激痛耐性で耐える。




 刃を繰り出しながら黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)はUDCに問う。それは彼の発言を聞いてから彼の脳裏に浮かんだ疑問だった。
「姿を奪って押し付けても結局意味無いと思う。美しいって要は平均値だろ?」
 そう彼が言った瞬間、UDCがゴミを見るような目で彼を見た。しかし瑞樹は構わず言葉と共に刃を振るう。
「押し付けていったら、いつかそっちの姿の方が平均とならんか? そうしてまた同じ事を繰り返し。無意味じゃね?」
 彼が言葉を紡げば紡ぐほどUDCの目に憐れみの色が浮かんでいく。
「……それに本当に理解できんの?そういう輩は自分は別だと思ってる節もあるようだし」
「まあ最後のは一理はあるね、でも」
 UDCは彼を蹴り飛ばして距離を取ってから一言言う。
「お前もその、理解できそうに無い奴と同類だよ」
 UDCがそう言うと瑞樹は不思議そうな表情を浮かべる。その彼にUDCは3つの指を立てる。
「1つ。僕は自分が美しくなりたいわけじゃない、それは自分の事を教えるための手段の1つでしかない」
 UDCは次に中指を折る。
「2つ。平均なんて僕は適当に操れる。僕は他人も自分の容姿も変えられるからね。そこの倒れている二人はお前の目には入らなかったのかい?」
 そこには小太りな少年の姿が3つ転がっている。そしてUDCは最後の指を折る。
「3つ。お前は以上のことから他人の言葉に耳を貸すことも、周りの状況も理解することができない。説明されたり明白であっても。……理解する能力の無い奴に諭されてもまるで説得力はないね。むしろ理解できないやつには何を言っても無駄かもと思ってしまったよ」
 UDCの言葉には嘲りと哀れみの響きが混じっていた。瑞樹はそれにも構わずに無数の刃を放つ。
「せいぜいお前にできる事はそれくらいだろうねえ。人を傷つける事しかできないあいつらと同じ存在さ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

セフィリカ・ランブレイ
それが優しさ?
全員が同じでないと理解できないって話になる
単に、相手を考える事止めただけだよ

正直もう少しマシだと思ってた
今の状態じゃ、問答したって届くかな
本当、全員が加害者で、全員が被害者なんだ、この事件

御覧の通り私、持ってる側の人間なので―?持ってない人の気持ちなんてわかんないわあー

肩をすくめて挑発

シェル姉、やる気出してね
とにかくあのUDCを叩き出す

『しょうがないわね。セリカに怪我されても面倒だわ』
握る剣の重さは何時もの通り

『あの仮面で自分の姿を弄ってくるわ。視覚から精神に訴えかけてくるわよ』
眼を閉じて、相手の気配を追って戦うよ
シェル姉、フォローよろしく

【神薙ノ導】
私は信じて、剣を振る!




「それが優しさ?」
「じゃあお前は優しさとはなんだと思う?」
 セフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)の問いかけにUDCは返す。彼女はその問いかけには首を横に振る。
「少なくともあなたのやろうとしている事が優しさに基づくものじゃないと言うのは分かるわ。そのやり方だと全員が同じでないと理解できないって話になる。単に、相手を考える事を止めただけだよ」
「それをそこで寝ている二人にもっと早く教えてやって欲しかったね」
 交戦していた二人は距離を取る。セフィリカは剣を握り直しながら相手を見据える。
(『正直もう少しマシだと思ってた』)
 ここに案内したグリモア猟兵の言葉がリフレインする。
『何にせよこれはこなせる猟兵が多くない事件さ、可能ならで構わない』
(「今の状態で、問答して届くかな。……本当、全員が加害者で、全員が被害者なんだ、この事件」)
 思えば相手の無事も問われていない。意を決して彼女は構えを解いて肩をすくめる。
「どうしたんだい? やる気を無くして帰ってくれるのなら楽だけど」
「悪いけど貴方の苦しみとか分からないのよ。御覧の通り私、持ってる側の人間なのでー?持ってない人の気持ちなんてわかんないわあー」
「小学生の劇でももう少しマシな演技するよ? 大体持っている側で踏みつけにするような奴はそもそも持っている事自体にも無関心なものさ」
 挑発に乗ってこないUDCにセフィリカは内心舌打ちをする。どうも小細工は効きそうにない。そして相手もふっと彼女の前から消えていく。……近くにはいるはずだ。
「シェル姉、やる気出してね。……とにかくあのUDCを叩き出す」
『しょうがないわね。セリカに怪我されても面倒だわ』
 先程まで重かったシェルファがいつもの感触に戻る。どうやらやる気を取り戻してくれたらしい。
『あの仮面で自分の姿を弄ってくるわ。視覚から精神に訴えかけてくるわよ』
「分かった、シェル姉フォローよろしく」
 そう言って彼女は目を瞑り、耳に神経を集中する。静かな世界の中で意識を済ましていると、突如シェルファが叫ぶ。
「左後ろ!」
「っ!」
 振り抜いた剣がUDCの腕に食い込んでいた。血を流しながら離れたUDCは彼女を見る。
「よく分かったね」
「信じたからよ」
「羨ましいね」

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、お好きに。
魔術的パラダイムシフト(結界術)で妄想世界を構築。

うん、殺さないならおしおきの邪魔はしないわよ?ふふ化術神罰で姿変えはできるし、おしおきのお手伝いはしてあげるからそのUDCをちょうだい♪
その変わり元の姿で私を好きにしていいからね♡(耳元で囁くブレス攻撃)
あら、仮面かぶったら元の姿に戻ったと動揺してるわね。
拒絶の言葉、そんなことを言われたら……とっても滾るわ♡はぁ♡はぁ♡もっと罵って♡
変態で悪いかね?
あ、肉体改造の魔術であなたを理想の姿にできるけどどうする?
個人的には元の姿も可愛く思うけどね♪
破壊の衝動を情熱の炎に焚べ恋心に転換、UDCの因子を捕食して青年と“なかよし”に♡




「他の人はどうか知らないけど、殺さないならおしおきの邪魔はしないわよ?」
「そう。なら帰って。僕は忙しいんだ」
「んー、なんなら手伝ってあげてもいいわ♡」
 UDCはアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト魔少女・f05202)を胡散臭げに見た。
「タダじゃないんだろう?」
「そうね、そのUDCをくれたら。……代わりにに元の姿で私を好きにしていいから♡」
 そう耳元に囁いた彼女の顔面に裏拳が放たれる。
「交渉は決裂だ。僕は僕の手でやるべきだと思うことをやるだけで、あと怪物と睦み合うつもりは無い」
 人は見た目じゃないだろう、と彼は返す。
「あら酷いセリフね、そんな事を言われると……」
「人並みに傷つくのかい?」
「とっても滾るわ♡ はぁ♡ はぁ♡ もっと罵って♡」
「なんだ、猟兵の変態とか恥ずかしくないのかい」
「変態で悪いかね? あ、肉体改造の魔術であなたを理想の姿にできるけどどうする? 個人的には元の姿も可愛く思うけどね♪」
「詐欺師の言葉には耳を傾けない事にしてるんだ。気持ちだけもらっておくよ」
 UDCは植え付けられた恋心を仮面とともに投げ捨てた、それはアリスが自分の事を下に見ているという事を感じたからであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルカ・ウェンズ
???気に入らない奴を殴るってことでいいのかしら。UDCでもオブリビオンでも善良なタフガイや善良な美少女を襲うだろうから、このユーベルコードを使い黒い真の姿になって戦うわ。

顔を剥ぎ取るなら、この姿でも剥ぎ取れるのかしら?まいいわ!
剥ぎ取新たに顔に見える部分をつくるまで、でも【激痛耐性】があっても痛いものは痛いし全部剥ぎ取られると、どうなるか分からないから【グラップル】で抑え込まないと。

抑え込めたら【怪力】任せにオーラ刀で攻撃!ついでに【火炎ブレス攻撃】抑え込むのが無理なら火炎ブレス攻撃で怯ませて怯んだところを怪力任せに攻撃するわ。敵が人間に戻るまで、ひたすら攻撃するわよ。




「??? それであなたは気に入らない奴を殴るってことでいいのかしら」
「あくまで平和的なつもりだけどね。もしかしたら相手はそう思うかもしれないけど」
 ルカ・ウェンズ(風変わりな仕事人・f03582)の問いかけにUDCは肩をすくめた。
「じゃあいずれ善良なタフガイや善良な美少女を襲うのね?」
「善良さなんて誰が決めるのさ。そんなの表向きだけかも知れないのに」
「そんなもの……私が決めるに決まっているわ!」
「酷い独裁者だ。……でも僕と似たようなものなのかもね」
 黒い影のような姿に赤い目と口のついた姿になってルカはUDCに掴みかかる。
「くっ……」
 UDCは真の姿に変身した彼女から顔を剥ぎ取るが、すぐさまに黒い塊になって散っていく。それでも痛みは感じるのか赤く光る目が細くなる。
「やれやれ、これじゃ本当に化け物だね」
「正義って言うものはこういうものよ?」
「同感だね。暴力的で恐ろしいものさ」
 組み付いた状態からルカは炎を吹いて、更にオーラの刀で斬りかかる。相手からUDCを削ぐように。

大成功 🔵​🔵​🔵​

秋津洲・瑞穂
馬鹿馬鹿しい。

長い戦乱の世を戦い抜いた秋津洲の家、善人をどれだけ殺したことやら。
戦に善も悪もありはしない。わたしはわたしの都合であなたを斃す。
あなたの事情など知った事ではないわ。

降っても殺す。逃げても殺す。生きたければ戦って勝ちなさい。
「新当流太刀術、秋津洲瑞穂。参ります」

指の一本でもわたしに触れられるものなら触れてみなさいな。
狐の爆発的な[ダッシュ]から生まれる[残像]を掴まされるのが
精々だと思うけど。[野生の勘]と[見切り]ともあるしね。
わたしを捉えるには苦労するわよ。

安易に腕なんか伸ばした日には、神獣刀で斬り落とすわよ。
――伸ばさなくても斬るけどね!




「馬鹿馬鹿しい」
 秋津洲・瑞穂(狐の巫女・f06230)は一言、そう断じた。それ以上に言葉を交わす必要のある相手ではない。
「それは少し酷くないかな」
「ここは戦場よ。敵と対峙したならやることは殺し合いだけ」
「命ですらないのに?」
「そういう問答は無駄よ。わたしはわたしの都合であなたを斃す。あなたの事情など知った事ではないわ」
 瑞穂はUDC相手にぶれない。そもそも血に塗れた家であり、善人も悪人も等しく殺してきた。かつてのサムライエンパイアとはそういう血塗られた土地であり、長く残る家ほど無数の死体の上に建っているのだ。
「新当流太刀術、秋津洲瑞穂。参ります」
 彼女は強く踏み込み、むしろ真っ直ぐにUDCへと斬りかかる。そのUDCも腕を伸ばし彼女の顔面を捉えようとする、が。
「速……」
「遅いわ」
 剣を構えた肘を敵の胸にめり込ませ、たじろいだ所で彼女は剣を勢いよく振り下ろす。すると手首が赤い糸を引いて宙を舞う。
「手、手が……!?」
「痛みに震えている暇はないわ。降っても殺す。逃げても殺す。生きたければ戦って勝ちなさい」
 二の太刀をUDCはかろうじて避け、転がりながら手首を拾いなんとか接合する。しかし瑞穂は容赦なく泥まみれのUDCに刃を振り下ろすのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハル・インフィジャール
クハ、良いねぇ…イイ暴力じゃねぇか。
俺ァ別にそこに寝転がってる2人のクズが肉塊になるまで眺めてても構わねェんだが。

でもよ兄ちゃん、そんなに元の自分の見た目をボコにする事ぁなくない?
お前は自分の見た目が気に入らなくて、それこそ結果的にはそれを理由にバカにされたりしたんだろうが…世界でお前1人くらいは自分を愛してやっても良かったろ。

まァそんなこんなで御託は終わりだ、悪いが俺ァ好みの見た目した奴に何を言われようがヘコみゃしねぇ…むしろ強引にやんのが好きなタチなんでその技も効かねーし。

炎の揺めきで【残像】を残し炎の壁で【盾受け】しながら【焔火狂嵐】の【無差別攻撃】で【焼却】してやるぜ。

●アドリブ歓迎




「クハ、良いねぇ……イイ暴力じゃねぇか」
 ハル・インフィジャール(魔導仕掛けのレッドラム・f25053)は転がっている二人の姿を見て嗤う。
「お前も邪魔をするつもりかい?」
「いや……俺ァ別にそこに寝転がってる2人のクズが肉塊になるまで眺めてても構わねェんだが」
「じゃあ他に何かあるとでも?」
「幾つかな」
 UDCの質問にハルは首を傾けながら答える。
「兄ちゃん、そんなに元の自分の見た目をボコにする事ぁなくない?」
「………」
「お前は自分の見た目が気に入らなくて、それこそ結果的にはそれを理由にバカにされたりしたんだろうが……世界でお前1人くらいは自分を愛してやっても良かったろ」
「それは……」
 UDCは口を噤む。それは彼の行動の一面にとって確かにあった感情ではあるから、自らを自らが認めることができなかったからこそ、他者に力づくで認めさせようとしている事は否定できなかった。
「まァそんなこんなで御託は終わりだ」
 ハルの手の中に炎が現れる、それはUDCを焼くための炎。
「……お前はお前を愛しているのか?」
「勿論。言いたいことはそれで終わりか? まァ俺ァ好みの見た目した奴に何を言われようがヘコみゃしねぇしな」
 ハルが腕を一薙ぎするとUDCが業火に包まれ燃え上がる。
「踊れよ、焼き尽くされる日まで。……だけどそいつァ今日じゃねえ」
 炎が収まると同時にUDCの姿は小太りな少年の姿に、そして倒れていた二人は元の姿に戻っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『人間の屑に制裁を』

POW   :    殺さない範囲で、ボコボコに殴って、心を折る

SPD   :    証拠を集めて警察に逮捕させるなど、社会的な制裁を受けさせる

WIZ   :    事件の被害者と同じ苦痛を味合わせる事で、被害者の痛みを理解させ、再犯を防ぐ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 UDCの影響下から少年を開放し、そして学校の保健室のベッドの上に寝かせる。後は彼自身の問題だろう。……そして猟兵達にはもう一つの課題が残されていた。この事件のきっかけとなった男女だ。彼女らも目を覚ますと猟兵達を見る。
「こ、怖かった……!」
 その姿は確かにか弱い無力な女性であり、だからこそ無力という武器で傍らの男子を自発的に攻撃させ、UDC-HUMANの覚醒を促した存在である。彼女はしでかした事の大きさも知らないし、しでかしたという自覚すら無く、自分をただの被害者であると当然のように考えている。強いて言うのなら害虫を追い払ったら反撃してきた程度の感覚だろう。
「まさか彼があんな怪物だったなんて……皆さんが倒してくれたんですね」
 だからこんな言葉が平気で出てしまう。恐らく言葉は無駄だろう、彼女にどの様な責任を問うても、「知らない」「関係ない」などで通してそのまま都合よく忘れてしまうだろう。自分の無垢さ純粋さを疑ってはいないから。
 ――猟兵達は彼女が今後同じことを繰り返さぬようにする必要がある、命を奪わない程度の手段で。
セフィリカ・ランブレイ
自分に自信が持てない彼も
自分以下を見下す彼女も、何処にもいる
これは何度でも起きる事件だ
だから、手間はかけない。私はただ話をする

私達は確かに貴女を助けたよ。でもこの怪物ね、誰でもなる可能性があるんだ
傷ついて弱った心に寄生して怪物に変える奴がいる。貴女達が傷つけたせいだね

知らない?視線が気持ち悪い?自分が被害者?
そう思うならそれでいいんじゃない?
そのまま誰かに傷を付け続ければいいよ
いつかまた、怪物が出てくるから

私達も暇じゃないからさ、二回目以降は助けないんだ
あ、そうだ。誰かを平気で踏みつけにする醜い心も、寄生には最適なんだってさ

貴女が怪物になった時は、直ぐ楽にするね。二回目だから遠慮しなくていいし




 目の前の少女の空寒い言葉を聞き流しながら、しかし表面上は気品のある立ち振舞を見せているセフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)は、必死に自分に取り入ろうとする彼女を眺めていた。……恐らく自分の番が来た時には呆れるほど見ることになる姿だ。
(「自分に自信が持てない彼も自分以下を見下すこの子も、何処にでもいる。多分うちのところにも」)
 それはそれ自体が事件の種となる宿命のようなものだ。シェルファが止まったのもたまたま目の前の彼らよりも逸脱した精神の持ち主がいたからだけに過ぎない。場所を変え形を変え、しかし災いを呼び込むという本質は変わらない。
「……1つ、良いかな」
 だからこの始末には手はかけられない、一言くらいならばかけられる。媚びるように高い声でセフィリカの言葉に首を縦にする彼女に、落ち着いたように言葉を紡ぐ。
「私達は確かに貴女を助けたよ。でもこの怪物ね、誰でもなる可能性があるんだ
傷ついて弱った心に寄生して怪物に変える奴がいる」
 セフィリカは少女に目を真っ直ぐ向ける。
「……貴女達が傷つけたせいだね」
「そんな! わたしそんな事してない! 彼が勝手に急に怒り出して、それでわたしやめてよって!」
 ああ、とセフィリカは心の中でため息をついた。隣の彼もあっけに取られて口を開きっぱなしになっている。……恐らく、彼女の言葉には多分に嘘が含まれており、それを彼女自身が真実だと疑ってはいない。直接は言っていないのだろうが、恐らく事実なのはそれくらいなのだろう。
「知らない? 視線が気持ち悪い? 自分が被害者? そう思うならそれでいいんじゃない?」
 目の前の彼女は言葉を交わすには値しない存在だ、真実を自分の中で平気で捻じ曲げてしまうのだから。だからセフィリカは期待を込めずに冷たく言い放つ。
「そのまま誰かに傷を付け続ければいいよ。いつかまた、怪物が出てくるから」
 セフィリカはそのままくるりと背を向けて目を合わさない。
「私達も暇じゃないからさ、二回目以降は助けないんだ。……あ、そうだ。誰かを平気で踏みつけにする醜い心も、寄生には最適なんだってさ」
 目を細めてセフィリカは少女を見る。そして最後の言葉を残して光とともに帰還する。
「貴女が怪物になった時は、直ぐ楽にするね。二回目だから遠慮しなくていいし。それじゃあね」

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ハル・インフィジャール
怪物ぅ?
アイツは怪物じゃねぇよ、ただ心をヘシ折られてヤケクソしてただけのガキさ。

怪物ってのは俺とか…お前みたいなのを言うんだぜ?
他人がボコられてるのを見て何一つ心が動かねぇバケモンだよ。
ほら見てみ、彼氏くんがこうなっても悲しくないだろ?

【追憶仲間】に彼氏を目の前で徹底的に、死なない程度にのみ気をつけさせて痛めつけさせる様子を女にまず見せようか。

あぁん?なんだその目?
あ、分かったぜ…俺に色目使ってんなァ?
否定しても無駄だぜ、俺にはそう『見えた』し仲間達もそうだって『共感』してる。
まぁ仕方ねぇ、お前は魅惑的なメスだから俺がたっぷり可愛がってやるよ…たぁっぷりな❤️

●どう可愛がるか含め、アドリブ歓迎


秋津洲・瑞穂
さてお二方。
あなた方が絡んだ相手が、世界に極僅かしかいない化け物だった。
そんな偶然あると思う?

わたし達みたいな者共が何故か存在し、たまたま出くわした。
そんな偶然あると思う?

化け物を宿した人は無数にいるわ。
普通にしている限り目覚めないから表沙汰にはしないけれど、
あなた達のような輩が呼び起こしてしまう事はあるので、
対処組織が常に監視している。

さて。

一歩遅れれば大量殺人に繋がる化け物を、
よくもまあ呼び起こしてくれたわね?

初犯だから殺さない。腕一本で済ませてあげる。
見た目は変わらないから安心なさい。
ほんの少し斬るだけよ、後遺症が残る程度で済むわ。

改心しなければ二度目もあるでしょう。処刑はその時に。




「な、何あの言い方!? いくら助けてくれたからってあんな風に言う事無いじゃない! あなた達あの人の仲間でしょ、おかしいと思わない?」
 怒りを隠さない少女はその場に残っていた秋津洲・瑞穂(狐の巫女・f06230)とハル・インフィジャール(魔導仕掛けのレッドラム・f25053)に問いかける。二人は少しだけ目配せをすると、瑞穂の方が口を開いた。
「そうね、あんな言葉を残すのは確かにおかしいわ」
「あなたもそう思うわよね?」
 同意を得たと思った少女に、しかし瑞穂はピシャリと切り返す。
「だって私達は貴女達が同じ事を二度と繰り返さないようにここにいるのだから」
 瑞穂がそういうと、近くから高級車が音を立てて現れて中から黒服達が現れて二人を拘束する。がっしりと抑えられた二人に瑞穂は笑顔を向ける。
「さてお二方。さっきの彼女の話は聞いていたわね。確かに私達はああいった存在を監視している組織からの要請で対処しているの。でも、私は彼女ほど仕事熱心じゃないから確実に芽は摘んでおきたいの」
 そしてまもなく黒服達は男子の方を彼女の見える所で袋叩きにする。その様子を見て少女はヒッと鳴く。瑞穂もまた抜身の刃を光らせている。
「一歩遅れれば大量殺人に繋がる化け物を、よくもまあ呼び起こしてくれたわね?」
「な、なんで! 私そんな事してない! 悪いのは全部あの怪物でしょ!?」
 瑞穂が一歩踏み出そうとした所で、それよりも先にハルが前に出ていた。瑞穂は彼を少し見てから、囲まれている男子の方へと向かう。
「怪物ぅ?」
「そうよあの怪物、分かるでしょ? あの姿を変える奴!」
 少女の言葉にハルは少し眉を歪めてから、軽く嗤うように息を吐いた。
「アイツは怪物じゃねぇよ、ただ心をヘシ折られてヤケクソしてただけのガキさ」
「おかしいでしょ! 普通の人間があんな事できるわけ無いでしょ!」
 少女の言葉に彼は首をやれやれと横に振る。
「怪物ってのは俺とか……お前みたいなのを言うんだぜ?」
 彼の指先が自身と少女を示す。
「他人がボコられてるのを見て何一つ心が動かねぇバケモンだよ。……ほら見てみ、彼氏くんがこうなっても悲しくないだろ?」
 そこでは黒服に囲まれた彼の腕に瑞穂が刃を振り下ろしたところだ、血は吹き上がってはいないが、凄まじい悲鳴を上げている。
「あ、あ……」
 少女はハルを見上げた、しかしハルは怯える彼女を楽しそうに眺めている。その表情はついさっきまで彼女がしていたものと同じものだった。
「初犯だから殺さない。腕一本で済ませてあげる。見た目は変わらないから安心なさい」
 淡々と彼女は刀を少女の右腕の上に掲げる。
「ほんの少し斬るだけよ、後遺症が残る程度で済むわ」
 振り抜かれた刃は確かに腕を通り過ぎ、しかしその鋭さ故に斬ったそばから体組織同士がくっついてしまう。腱がどうなっているかは分からないが。少女はバタリと仰向けに倒れ込み、二人を涙を流しながら見上げている。
「あぁん? なんだその目? あ、分かったぜ…俺に色目使ってんなァ?」
「ち、ちがっ……!」
「否定しても無駄だぜ、俺にはそう『見えた』し仲間達もそうだって『共感』してる」
 ハルの言葉を否定しょうとする少女は瑞穂を見た、しかし彼女は目をつぶって刀を鞘に収めている。
「余計な仕事は増やさないようにしてね。……貴女も改心しなければ二度目もあるでしょう。処刑はその時に」
 鍔と鯉口が接触すると同時に彼女も帰還する。残されたのはハルと少女、そしてうずくまるだけの男子だけ。
「やっ……や……」
「まぁ仕方ねぇ、お前は魅惑的なメスだから俺がたっぷり可愛がってやるよ……たぁっぷりな❤」
 彼は黒服に命じると少女と男子を車に詰め込み、自身も乗り込む。そしてエンジンを噴かせた車は二度とここに戻る事はなかった。……たったそれだけの、ありふれた暴力の話。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月25日


挿絵イラスト