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誰が為に剣は煌めく(作者 マヨナカ
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 騎士叙任式、それは一人の人間が一振りの剣となる瞬間。
 大聖堂では、今まさにその儀式が執り行われていた。
 壇上には姫が立ち、その背後からはステンドグラスで彩られた光が差し込んでいる。そんなどこか神々しくもある主君に、一人の若人は跪き頭を垂れる。
 そして姫から授けられた剣を手に、騎士となった若人は誓う。
「闇を掃う剣となり、人々を守る盾となりましょう」
 金と銀に輝く鎧をまとい、騎士は宣誓と共に煌めく剣を天高く掲げるのであった……。

●名もなき小さな村
「おー、大漁大漁!」
 川から網を引き揚げた青年は、ビチビチと跳ねる魚に満足げな笑みを見せる。青年の言う通り、大漁だ。
「村のやつらも喜ぶぞー」
 青年が言う村とは、この川の下流にある小さな村のことで、人類砦と呼ばれるものだ。
 それは、夜と闇に覆われた世界に射す一条の光。
 ヴァンパイアの支配から逃れた人類が人並みの生活を営み、未来を育む。そんな当たり前の希望に満ちた場所である。
 ともすれば、誰かがうそぶいた絵空事のような話であるが、それは確かに存在しているのだ。
「さーて、急いで帰るか」
 青年は手早く荷物をまとめると、かごいっぱいの魚を背負い、山を下っていく。彼の眼下には険しい山々が生み出した渓谷と、そこにひっそりと佇む小さな村が広がっていた。
 人口50人にも満たぬほどの小さな村であるが、そこには簡素ながらきちんとした家屋が立ち並び、作物が実る畑も存在している。人々が汗を流し、協力して日々の生活を送っているのだ。
 まだ名もなき小さな村であるが、そこには確かに明日へと向かう活力が満ちていた。
 ……しかし、闇に浮かぶ光ほど目立つものはない。
「ん? なんだ、あの煙……?」
 青年が見下ろす先には一筋の黒煙が立ち昇っていた。
 それは村から出ているようで、時間が経つにつれてどんどんその数を増やしていく。
「――まさかっ!!」
 青年は背負っていたかごや荷物を放り出し、急いで山を駆け降りる。
 自分の勘違いであってくれ。そう願いながら、村へと走る青年。だが、その願いも空しく、村では予想通りの惨劇が巻き起こっていた。
 真っ白な外套と覆面に身を包んだ怪しげな集団が村を取り囲み、火矢をけしかけ、逃げ惑う人々を切り伏せていたのだ。
 家屋は赤々と燃え、畑は踏み荒らされ、人々は血の海に沈んでいく……。
 そう、青年が見た黒煙は、オブリビオンの襲撃を告げるものであったのだ。
「ちくしょう! どうして! やっと……やっと掴んだ幸せだってのに!!」
 村にたどり着いた青年は、目を覆いたくなるような惨状を目の当たりにし、この世界を呪う。そして、この集団のボスであろう存在に憎悪の目を向ける。
 そいつは朽ちた鎧を身にまとい、折れた剣を手にしながらも、周りの兵隊たちとは一線を画す、まるで強靭な騎士のような風格をまとっていた。
「……お前たちさえ、いなければ!」
 地面に落ちていた鍬を拾い、青年は眼前の騎士へと跳び出した。
 そしてその勢いのままに鍬を一気に振り下ろす……が、人間の力がオブリビオンに通じるはずもない。
 くすんだ金と銀の鈍い光を放つ鎧に阻まれ、鍬はいとも容易く砕け散る。
 そして、騎士は背中から闇の翼を広げ、剣を天高く掲げた。
「クソ、何なんだよ……お前は!!」
 青年がそう叫ぶのも無理はない。あろうことに、騎士の剣は眩いほど真っ白な光を放っていたのだ。
 そして、天高く掲げられた煌めく剣は、世界に抗わんとする者へと振りかざされるのであった……。

●グリモアベース
「……というわけで、この渓谷の小さな村を救ってほしい」
 自分が視た予知を語り終えたノイッチ・メイア(引籠りの妖精・f26108)は集まってくれた猟兵たちを見渡し、改めて今回の目標を説明する。
「正確には、ヴァンパイアによって送り込まれたオブリビオンの撃退、それが今回の目標だね。まずは白い外套の兵隊共を倒し、その後ボスと思われる騎士との戦闘、という流れになると思う」
 つまりは敵のせん滅。作戦としてはいたってシンプルだ。
「村の人たちにはあらかじめ避難しておいてもらうから、周りは気にせず思う存分戦えるし、特に難しいことは何もない。……けど敵の素性は少し複雑かもしれないね」
 ノイッチはそう言いながら小さくため息をつく。
 人類砦の一つがオブリビオンに襲われるというだけでも憂鬱な話だというのに、まさかその襲撃者が、かつてダークセイヴァーを守ろうとしていた兵隊や騎士たちの姿で現れるとは……。
「……この世界は本当に皮肉だよ」
 過去があるから未来がある。それは当たり前のことだ。
 世界は時間を消費することで流れ、今は過去と化し、そして未来が紡がれる。
 そうやって過去を積み重ね、受け継ぎ、人々は生きているのだ。
 世界に抗わんとする者たちの意志が脈々と受け継がれ、いつしか人類砦という希望を紡ぐに至ったように。
 ……だが、この世界は、時にその過去が未来を否定する。
「きっと彼らは、失ったモノで世界を埋め尽くしたいんだろうね」
 それはオブリビオンの本能か。それとも守れなかったものをもう一度守るためか。
 その真意は分からない。
「けど、相手が何であろうと、誰であろうと。ボクらのやることは変わらない」
 未来を守るために闘うのだ。
 例えそれが、かつては同じ志を有していた相手だったとしても……。





第2章 ボス戦 『深淵に沈みし騎士』

POW ●蝕まれし聖光の剣
【聖剣の力を解放し、極光放つ聖剣のなぎ払い】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を崩壊させながら深淵が広がり】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD ●闇に翳る残光
レベル×5本の【破魔の光】属性と【深淵の闇】属性の【朽ちた聖剣から剣閃】を放つ。
WIZ ●今は歪みし聖裁
【触れたすべてを蝕む深淵の闇】が命中した対象に対し、高威力高命中の【闇に蝕まれた者を滅する聖なる光】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アルトリンデ・エーデルシュタインです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。