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絶望という名の

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●殺戮という名の快楽
「ああつまらないわ……」
 女にとって何もかもがつまらなかった。
 辺境と言えど与えられた領地は安定している。この街を含め、吸血鬼による統治は完璧である。
 懸念すべきは『同族殺し』であるがこの街にはやってくる気配もない。
 安定した平和、それは即ち退屈な時間である。
 女――領主たるアイスクイーンは傍らの氷像に手を伸ばした。己が身に降りかかる恐怖と絶望に歪んだ少女の像だ。
「ああ、そうね。絶望が必要なのだわ」
 女領主は配下に命じた、領地を襲撃せよと。
 吸血鬼に媚びへつらいながら生きる領民が絶望に染まる姿が見たい。
 そして――どこぞで暗躍している猟兵とやらが現れるかもしれない。
 猟兵たちが膝をつき、その顔が絶望と屈辱に染まる姿が見たかった。
「さぁいらっしゃい猟兵たち、あなたたちの絶望に染まる姿を私に見せて」
 それはきっと退屈しのぎになるに違いないのだから。

●グリモアベースにて
「集まってくれてありがとう。以上が僕が予知した内容だよ」
 グリモア猟兵アリステル・ブルーはそう告げると周囲の猟兵たちに感謝を述べ一礼した。
「今回みんなに頼みたいのは、罪なき領民への襲撃の阻止、及び配下と吸血鬼領主の討伐だよ。順に説明するよ。大丈夫、まだ間に合うんだ」
 グリモア猟兵は説明を続けた。
 事件現場は辺境にも近いとある街だということ。女領主が治める街で、領民たちは彼女や吸血鬼たちの機嫌を伺いながら生き延びてきたことを。
「ダークセイヴァーでは僕たち猟兵より『同族殺し』の方が脅威だからね。……予知からすると今回の領民襲撃はただの囮、狙いは猟兵にある。ただひとつ、猟兵が敗北し絶望する姿が見たいってね。
 みんなを転送した時には襲撃がはじまる直前くらいだ。猟兵が来たら敵は君たちを狙いにくる。現地の住民も自主避難をするようだから、君たちが負けない限り一般人に被害は出ないよ」
 安心して欲しいとグリモア猟兵は微笑んだ。
「現地で襲撃を主導しているのは『失落卿』と呼ばれる吸血鬼だ。それは戦いに敗れ体を失った存在なんだけど、今回の襲撃で猟兵の体を奪おうと考えているようだね」
 まぁ君たちなら大丈夫だと思う、とグリモア猟兵は続けた。
「そいつを倒せば、ご領主殿の配下の出番だ。君たちを包囲し殲滅しようとするだろうね。
 ……相手は人間の姿をしているけど、とっくの昔にオブリビオンとなり果てた存在だ。だから遠慮なく攻撃して骸の海にかえしてほしい」
 死こそ救済であると主張するのはかつての聖職者たちだ。
「……彼らを退ければ、いよいよ領主が顔を出す。予知にいたのが、彼女だよ。……気をつけて、氷の魔法を使ってくる。食らえばおそらく氷像とされてしまうだろう。
 送り出す身で申し訳ないが、君たちにはみんな無事に戻ってほしい。幸運を祈るよ」
 グリモア猟兵は転移ゲートを起動した。
「……ひとつ頼みがある。住民はきっとあの街で生きていかなくちゃならない。だから、できれば街を破壊しないようにしてくれたらいいな。でも君たちの命が最優先だから、無理なら構わないし、多少の被害は領民も覚悟しているよ」
 転移の光に包まれる猟兵たちに、改めてグリモア猟兵は一礼した。
「君たちの幸運と勝利を祈る。どうか無事に帰ってきて」


いつき
 こんばんは、いつきです。
 今回は地下都市……ではなく、辺境での猟兵襲撃事件です。
 メタな話、🔴が先に👑に達しない限り猟兵の皆様や領民たちの行動により被害は出ません。ご安心ください。

●目的
 ・1章ボス戦『失落卿アンドラーシュ・マッカラム』
 ・2章集団戦『破滅の使徒』
 ・3章ボス戦『アイスクイーン』
 上記の撃破。

●プレイングボーナス…街をなるべく破壊しない
 この先の生活もあるためなるべく建物は傷付けないであげてください。
 破壊したからと言って判定にマイナスに働く事はありません。その他良いなと思ったらものには適用していきます。

●執筆速度
 プレイング受け取り後2日くらいを目安に、のんびりペースですすめます。

 断章(現地の様子)にあたるものは一旦マスターページに記載し、公開後断章として公開します。タイムラグがあると思いますので、そちら確認していただけましたらいつでもプレイング送信していただいてかまいません。
 2章以降は断章公開後でしたらいつでも。
 その他連絡事項はマスターページにて行います。
 また技能の【】は特になくても大丈夫なので文字数削減にご利用ください。
 それではみなさま良き冒険を。
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第1章 ボス戦 『失落卿アンドラーシュ・マッカラム』

POW   :    禁断のアマルガム
攻撃が命中した対象に【ヴァンパイアの細胞】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【アンドラーシュと融合させる肉腫浸蝕】による追加攻撃を与え続ける。
SPD   :    ボディスナッチ
命中した【椎骨】の【神経】が【対象の身体を乗っ取る肉蝕神経】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
WIZ   :    イビル・アヴェンジャー
全身を【眷属である吸血蝙蝠達】で覆い、自身の【身体を得て、雪辱を果たしたいという執念】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナギ・ヌドゥーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 転送された先は石畳で舗装された街中だった。
 中央は広場になり大通りが四方へ伸びる。広さは十分、思う存分戦うことができそうであった。
 広場の中心には『失落卿アンドラーシュ・マッカラム』が立っている。
 猟兵に気づくとそれまで追い詰めていた領民から興味を失ったように猟兵たちを見据える。
 ギラついた瞳で虚ろな声が聞こえる。
 ――体をよこせ、と。

 どうやら領民襲撃には間に合ったようだ。
祝聖嬢・ティファーナ
WIZで判定を
※アドリブ歓迎

『フェアリーランド』の壺の中から風/火/光の精霊と聖霊と戦乙女・天使と月霊を呼びます♪
『クリスタライズ』で姿を隠して『エレメンタル・ピクシィーズ』で属性攻撃を『神罰の星矢』で聖属性攻撃を仕掛けます!
敵の攻撃で避けれない攻撃は『月世界の英霊』で空間飛翔して敵のUCを『月霊覚醒』で封印/弱体化させます☆

『叡智富める精霊』+『神聖天罰刺突』で苛烈な猛攻を仕掛けます!
『聖精月天飛翔』でWIZを強化して『祝聖嬢なる光輝精』で怪我を治して『シンフォニック・メディカルヒール』で状態異常を癒やします☆
「邪悪と不浄は聖浄なる清浄で鎮め浄化致します☆!」
戦乙女と天使の聖撃を重ねます♪



「領主殿は貴様ら賎民の絶望を欲している。せいぜいその命で領主殿の御心を慰めて差し上げろ」
『失落卿』ことアンドラーシュ・マッカラムは領民たちを追い詰めながら仰々しく喧伝し、手下である眷属たちに領民を追わせる。
 相手は脆弱な人間だ。追うは容易いがそれではあまりにもつまらない。
「貴様らが命を繋げてこれたのは全て偉大なる領主殿と尊き我らの恩恵に過ぎぬ。その命、我らに返してもらおう」
 もう少しで逃げ切れそう。逃げ切った、生き延びた!
 そんな偽りの希望を見せつけてから追い詰め、絶望に染まった命を刈るのが一番だ。それこそが領主の望みなのだから。
 袋小路に追い詰めた人間に眷属の牙が伸びる時――それはやって来た。オブリビオンである彼にはすぐわかる。敵たる猟兵、そして今回の最大の目的である事を。

 グリモアの光に包まれあらわれたのは、フェアリーの聖者、祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)である。
「そうはいかないよ。ミンナ、手伝って☆」
 状況を瞬時に把握したティファーナは、金髪を揺らし小さな壺の中を掲げる。その中からは次々と風や火、光の精霊、戦乙女・天使と月霊が現れた。
「歌唱う、我らが精霊・聖霊・月霊よ♪ 歌い、踊り、唄い、舞踏れ♪ 素ノ源ヨリ来タレリ……」
 水晶のように透明となり姿を隠したティファーナが歌うように詠唱を紡げば、その歌声に応えるように精霊/聖霊たちはそれぞれの力を宿した魔法の矢を失落卿へ向け放つ。
「貴様一体何を……どこに潜んでいる!」
 見えない姿に苦戦しつつも応戦する失落卿は、眷属たる吸血蝙蝠たちを盾に魔法の矢を防ごうとするが、その時既にティファーナの指先は彼に向けられている。赤い瞳が失落卿を捉えている。
「――悔い改めなさい!」
 天から降り注ぐ光が眷属たちを灼き、畳み掛けるように放たれたティファーナと精霊たちの追撃が続く。
「叡智と膂力を示せ!☆ 神罰なる天罰の刺突を!☆彡」
 それは『失落卿』アンドラーシュとその眷属を『記憶』している。その姿を、属性を、種族を。一度捉えた敵は逃さない。眷属に、そしてアンドラーシュに命中した矢は神聖なる『神罰』を形取り深く突き刺さる。
「邪悪と不浄は聖浄なる清浄で鎮め浄化致します☆!」
 戦乙女と天使の聖撃が続き、飛翔する小さなフェアリーと精霊が放つ魔法の数々は色とりどりの流星雨のように失落卿へ降り注ぐのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリウム・ウォーグレイヴ
自身の享楽のため、興味のため。無辜の人々を傷つけようとするとは言語道断。
尖兵、体を得る前に首を失う愚かさを知る事になりますよ?

素手で触れたくないですね。
剣戟での攻撃を主体とし、あまり周囲への被害を出さないように気を付けます。
周りの眷属たる蝙蝠は勿論の事、あの触手めいた髪と蠢く椎骨には注意しなければなりません。
ホワイトパス。敵の変則的な動きを、攻撃を見切り避け、属性攻撃の一手一手確実な攻撃を刻んでいきます。
飛び回る敵に難しいと思いますが、可能であれば槍で頭を地面か壁に串刺しにしたいですが……。
頭の芯から冷えていく感覚がありますか?領民が感じていた死の恐怖を貴方も感じていただければ幸いです。



「自身の享楽のため、興味のため。無辜の人々を傷つけようとするとは言語道断」
 他に気を取られている失落卿に迫るのは、人間のマジックナイト、アリウム・ウォーグレイヴ(蒼氷の魔法騎士・f01429)だ。すらりと抜き放たれた剣がうっすらと氷の魔力を帯びている。
(素手で触れたくないですね)
 その見た目からしてあまり直視もしたくない相手ではある。
 周囲を囲む眷属たる蝙蝠はもちろん、失落卿本体の触手めいた髪と蠢く椎骨には注意しなければならないだろうと目星をつける。
 アリウムに気づいたそれは、彼の体を己のものにせんと狙っているのがよくわかる。
「尖兵、体を得る前に首を失う愚かさを知る事になりますよ?」
 ――ああ、もう失っていましたか。
 そう挑発してやれば、失落卿の赤い瞳が怒りに染まっていく。
「貴様、尊きこの身に無礼な!」
 高まった殺意がアリウムに向けられているのを感じ取る。
(今のうちにお逃げください)
 時間は十分稼げただろう。
 追い詰められ、あるいは逃げ遅れ隠れている領民たちに目線でこの場からの離脱を促した。注意は今もアリウム自身に注がれているし、おそらく他の猟兵たちもやって来るだろう。今がその時だ。あとは周囲へ被害を出さないようにするのみ。
 急ぎ走り去る領民のその背に一瞬注意が逸れるのを、アリウムの剣が許さない。
 踏み込み、氷の属性を宿した切っ先が二度、三度と深く切り込んでいく。
(ええ。あなたの攻撃、全て読ませていただきます)
 彼が発動させているのはユーベルコード【ホワイトパス】だ。
 強大な魔力で強化され研ぎ澄まされた五感が、失落卿とその眷属の一挙一動を捉える。行動より早くに動く敵の視線から次の行動を読み、駆使される魔力の痕跡により蝙蝠への指示を予測する。
 今のアリウムには失落卿が次に取る行動が手にとるように理解できる。
「貴様許さぬぞ!」
 叫ぶ失落卿の攻撃をアリウムは軽々と見切っていく。
 蝙蝠の羽ばたく音から次の攻撃の軌道を読み、すれ違いざまにその身へ属性攻撃を叩き込んでいく。
「お前に許される必要などありませんよ」
 戦場に青く染め上げられたコートが翻る。剣から槍へ持ち替え、集中した五感が先手を読んでいく。
 飛翔する失落卿の身が高度を落とした時、その穂先が広げられた黒い翼を捕らえたのだ。
 バランスを崩し落ちる頭部を見逃さない。
「頭の芯から冷えていく感覚がありますか? 領民が感じていた死の恐怖を貴方も感じていただければ幸いです」
 振り戻した白い短槍が失落卿の頭を貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴桜・雪風
元より大規模な破壊など不得手の身
迫る悪鬼のみを見事、斬り払ってみせましょう
「そも、わたくしは一介の探偵。首から下だけを持っていってもさしたる価値は無いと思うのですが……。その辺り、如何お考えですの?」

口で失落卿を挑発しつつも
油断なく相手と相対します
此度の襲撃の現地指揮官というのならば
真っ先に無力化しなければなりません
「普段なら素っ首落としてさしあげる……と言う所ですが。もう既に首だけですのね」
「では、代わりに縦斬り。唐竹割りにして差し上げましょう」(傘から仕込み刀を抜きつつ)

相手の目的、攻撃手段
どう見ても接近して此方に触れようとしてくるのは自明
なれば、その一撃を躱し
返す刀で切って捨てるまでです



 それは『生』への執着からだろうか。
 失落卿はそれでもまだ消滅することはなかった。猟兵たちから逃れんと眷属を召喚し、迫りくる死から逃れようとするかのように躯の海への帰還を拒み続ける。
 その必死の行動こそ、失落卿が見下す人間たちが取っていたものだと気づかずに。

 失落卿が眷属に紛れ広場を離脱する。
 それを追っていたのは、美しい桜色の着物を纏う鈴桜・雪風(回遊幻灯・f25900)だ。
 深窓の令嬢の如き様相の彼女は、帝都では官憲らしき者たちがその力を頼る猟奇探偵である。雪風はその洞察力から移動方向を推察し、優美な桜柄の和傘を手に失落卿の行く手を阻むように立ち塞がる。
 荒んだ街中に華やかな少女の組み合わせ。広がり風に揺れるのは桜飾り。彼女が猟兵だと気づいた失落卿は「そこを退け! 退かぬか!」と叫ぶ。
(そも、わたくしは一介の探偵ですわ……迫る悪鬼のみを見事、斬り払ってみせましょう)
 そのためにと雪風は、さもおかしいとばかりに笑ってみせる。
「首から下だけを持っていってもさしたる価値は無いと思うのですが……。その辺り、如何お考えですの?」
「貴様のような猟兵に理解出来ぬであろうな」
 雪風の退かぬ姿に、失落卿も戦闘態勢に入る。
 猟兵といえど数の前には屈するしかないだろう。この場を離れる事ができれば配下を呼び寄せ、勝利を掴むこともできるというもの。
「数では我が身が勝るというもの。退かぬなら退けさせてもらうぞ!」
 呼び寄せ増える眷属、うねる失落卿の長い金髪。彼の瞳が、不気味に蠢く頚椎が雪風のその身を狙っている。
(此度の襲撃の現地指揮官だけありますね、真っ先に無力化しなければなりません)
 本能とこれまでの経験が、あの攻撃は危険だと告げる。
 だが雪風も油断するつもりは一切ない。
「普段なら素っ首落としてさしあげる……と言う所ですが。もう既に首だけですのね」
 和傘を閉じ持ち手を握るとそのまますらりと抜く。
「その無礼許さぬぞ」
「では、代わりに縦斬り。唐竹割りにして差し上げましょう」
 言葉を遮る。その手に光るのは傘に仕込まれていた直刀だ。
 もし彼に体があったのならば、騎士として剣を抜いていたかもしれない。だが一度滅びた過去の残滓にはもう何も握れない。
 けしかけられる吸血蝙蝠を斬り伏せる。紛れて向けられる攻撃は刀で受けて反らす。失落卿の目的を考えれば、接近戦が主となる。そう判断した彼女は軽やかに攻撃を見切りかわしていく。
 狙うは隙が出来るであろう攻撃。だからあえて隙を作り迎え撃つ。
「そこだ!!! その身貰い受ける」
 視界を遮る蝙蝠に、絡め取ろうと伸びる髪。
 ――そして近づく失落卿。
「そこですわ」
 手薄になった箇所を逃さない。
 ユーベルコード【剣刃一閃】――雪風の直刀が一筋、銀の閃きを残した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…かつて滅びてオブリビオンになり、
再び敗北してそんな無様な姿を晒しているなんて…

…成る程、失落卿の名に相応しい生き汚さね?
血族としての誇りは肉体に置き忘れてきたの?
マトモな吸血鬼なら恥ずかしくてとても耐えられないわ

事前にUCを発動して"写し身の呪詛"を武器改造
●存在感のある残像を●操縦して挑発する●パフォーマンスで注意を引き、
自身は敵の眼を●盗み●迷彩のオーラで防御して●闇に紛れる


敵が分身を攻撃したら大爆発を起こす●破壊工作で●だまし討ち、
●破魔の●力を溜めた銃撃による早業の●暗殺を試みる

…同族ならともかく、半端者と見下している者にあそこまで挑発されたんだもの

…必ず、そう動くと思っていたわ



「……かつて滅びてオブリビオンになり、再び敗北してそんな無様な姿を晒しているなんて……成る程、失落卿の名に相応しい生き汚さね?」
 対峙するリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は、過去に屠ってきた幾多の吸血鬼たちを思い返す仕草を見せつける。
 その姿に反応する失落卿は眉を寄せ彼女をじろりと見やる。その瞳に映るのは侮蔑の色だ。
「血族としての誇りは肉体に置き忘れてきたの?」
「ハハハ、おかしな事を言う。猟兵……いや半端者の貴様に言われる筋合いはない。無礼者が」
 半端者――それは彼女がダンピールであることを指すのだろう。吸血鬼以外は自分たちに劣る、故にその存在を認めなようとしないのだ。失落卿は自身の飛膜の翼を広げ戦闘態勢へ移行する。
「マトモな吸血鬼なら恥ずかしくてとても耐えられないわ」
 一度は滅び、蘇ったものの残ったものは首だけ。無様なその姿に言い捨てリーヴァルディが構えるのは、過去を刻み未来を閉ざす、数多の吸血鬼を屠ってきた黒き大鎌だ。
「灰は灰に。塵は塵に。過去が私の前に立たないで」
「去ね、半端者よ」

 戦況を見て、リーヴァルディはそっと息を吐き出した。
 大鎌を構える自身の姿に、それを屠ろうと迫りくる失落卿。彼の眷属が、彼の髪が彼女を絡め取ろうと伸びる。
 息の根を止めんと急所を狙うそれがリーヴァルディに触れる――その瞬間を彼女は待っていた。
 唐突に戦場を包む閃光と爆風。「なんだ!?」と驚愕と戸惑いが入り混じった声があがる。
 だがそれは全て思惑通りなのだ。リーヴァルディは闇にその身を潜ませ冷静に"その瞬間"を待つ。敵の眼を盗み、迷彩のオーラを身にまといながら、その手にするのは一挺の銃。
 彼女はユーベルコード【吸血鬼狩りの業・千変の型】を事前に発動させていた。"カーライル"の名を持つユーベルコードで"写し身の呪詛"を利用し、リーヴァルディ自身の残像を囮として操作していたのだ。
 残像は姿形は彼女と寸分も違わない。戦闘力こそ持たないが、囮として利用できれば良かった。
 同族ならばともかく、半端者と見下している者にあそこまで挑発されれば行動も予測しやすい。
(……必ず、そう動くと思っていたわ)
 未だ混乱に支配された戦場、土埃が薄く晴れる一瞬を狙う。
 手慣れた早業で照準を合わせ、カチと引き金が引かれ、破魔の力を溜めた銃弾が放たれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

故無・屍
…フン、よっぽど暇が極まったらしいな。
大人しく統治に勤しんでりゃいいものを、
よりによって同族殺しを殺し回ってる猟兵を誘い出そうとするかよ。

街の破壊を控えて敵を斬れ、か。簡単に言いやがる。
だが、それが依頼だってんなら指定通りに働くとするか。

おびき出しの技能にて敵を家屋などから遠ざけつつ、
第六感、見切り、カウンターを駆使して敵の攻撃に対応。

相手を間合いに捉えたら怪力、2回攻撃、早技、破魔を駆使してUCを発動
狙いは頸椎。敵の寄生器官そのものを破壊する

急所を丸出しにして、よくもまあ前線に出て来られたモンだ。
乗っ取れるって言うんならやってみりゃあいい。
…それより先に、手前ェを斬って捨てりゃあいいだけだ。


ミーナ・ヴァンスタイン
クールで妖艶なダンピールの美女。通常時は聖者の力と退魔の武器で、覚醒時は吸血鬼の力を武器に戦う。

酷く不機嫌そうに眼鏡を外し、光の精霊銃「バニッシャー」「イレイザー」の二丁拳銃を構え
「あなた、醜いわね」
UC使用。破魔の弾丸を乱れ撃ち、高速飛行する敵を牽制する。
「ふぅん、スピードは悪くないわね」
敵を見失ったら、真紅の魔眼を発動し第六感と共に敵の動きを見切り、カウンターで怪力の蹴りを放つ。
「わたしの魔眼には見えてるわ」

相手の不意打ちは、残像を囮に攻撃してきた敵の背後に回り込み、聖銀の剣を抜刀。
「これで終わりよ」
その体は所詮、眷族の蝙蝠たちで作られたもの。吸血鬼をも傷付ける聖剣で斬ればどうなるかしら?



「……フン、よっぽど暇が極まったらしいな。大人しく統治に勤しんでりゃいいものを、よりによって同族殺しを殺し回ってる猟兵を誘い出そうとするかよ」
 先に来ていた猟兵たちの様子を見ていたのは故無・屍(ロスト・エクウェス・f29031)だった。
 絶望する姿が見たい。
 ただそれだけのためにこの舞台は用意されたのだから。それを暇と称したところで異論はあるまい。
 吸血鬼たちの統治は揺るぎないほど強固である。ただびとが歯向かったところでただただ流れる血が増えるのみ。異端の神々や同族殺しといった"問題"はあれども、そこにわざわざ猟兵という新たな問題を呼び寄せる必要はないのだから。
(街の破壊を控えて敵を斬れ、か。簡単に言いやがる)
 この状況でよく言えたものだ。なにせ相手は司令官役の吸血鬼である。猟兵たちが来なければ、この地を蹂躙するだけの力を持っている。
「だが、それが依頼だってんなら指定通りに働くとするか」
 屍は愛用の剣を片手に失落卿の前に立ちふさがる。
 魔法に剣に銃弾に。猟兵たちの攻撃を受け幾度もその行く手を阻まれた失落卿は、苛立ったように怒りをあらわにする。
「忌々しい猟兵どもめが」
 吐き出す息には血の気配がまじっていた。けれどまだ諦めてはいない。吸血鬼が人に負けるなどありえないのだから。
「その首、領主殿に献上してくれる」
「てめぇの相手は俺がしてやるよ」
 挑発し、屍は家屋から離れるように誘導していく。少し先の開けた大通り、そこならばそれほど被害も出さずに立ち回れるであろう。そのほうが全力で相手出来るのだから。
「私もご一緒願えるかしら」
 そこにあらわれたのは妖艶な雰囲気を纏ったダンピール、ミーナ・ヴァンスタイン(聖域の守護者・f00319)だ。彼女は酷く不機嫌そうに眼鏡を外し、光の精霊の宿る銃「バニッシャー」と「イレイザー」の二丁拳銃を構える。
 ミーナを味方即ち猟兵だと認識した屍は目線だけで合図をしそのまま攻撃態勢へ移行していく。
 失落卿はボロボロになった翼を広げる。
 そうここで負ける未来など、彼の矜持が許さない。
「我が眷属の贄となれ」
 呼び寄せた蝙蝠たちを二人へ放つが、屍は攻撃を第六感で察知あるいは見切り、すれ違いざまに眷属の蝙蝠を切り伏せた。
「それにしても……あなた、醜いわね」
 ミーナは吐き捨てるように口にした。
 この吸血鬼の在り方は、ミーナ自身の在り方とは反する。彼女自身もこのダークセイヴァーで領主とし民を庇護しているが、己の民たちを傷つけようとは考えたこともない。
 姿もその心も、何もかもが酷く醜かった。
(――さぁ、踊ってくださいな?)
 ユーベルコード【銃弾の雨】を発動させる。両手に持った二丁拳銃からは、銃に宿った光の精霊によりリロード時間なく破魔の弾丸が放たれ、高速で飛行する失落卿と眷属をその弾幕により牽制する。
「ふぅん、スピードは悪くないわね」
 手負いの吸血鬼の動きはミーナの想像よりは早かった。舞い上がる土煙に紛れるように失落卿は身を隠す。
 だがしかし。
「わたしの魔眼には見えてるわ」
 今の彼女には魔眼を封じ枷となるものはなにもない。
 真紅の魔眼を発動した彼女にとってその動きはあまりにも遅すぎた。その眼に宿る力と驚異的な第六感で失落卿の反撃を次々と見切る。
 そこにすかさず屍が斬り込んでいき、着実にその攻撃力を削いでいく。
「急所を丸出しにして、よくもまあ前線に出て来られたモンだ」
 屍が発動させるのはユーベルコード【暗黒剣】――狙いは頸椎。敵の寄生器官そのものを破壊することだ。
「乗っ取れるって言うんならやってみりゃあいい……それより先に、手前ェを斬って捨てりゃあいいだけだ」
 手にした剣に破魔の力を込め深く踏み込んだ。
 一方ミーナは屍が相手するその背後に回り込み聖銀の剣を抜刀する。聖別された銀製の長剣には魔や呪いを打ち払う力が宿る。
「その体は所詮、眷族の蝙蝠たちで作られたもの。吸血鬼をも傷付ける聖剣で斬ればどうなるかしら?」
「これで終わりだ」
「これで終わりよ」
 屍の剣は失落卿の寄生器官を破壊し致命傷を負わせ、ミーナの聖剣はその頭部を貫き彼の肉体は躯の海へと還りはじめた。

「何故私が、貴様らのような猟兵に負けるのか……」
 吸血鬼に劣るはずの存在に、負けるはずなどなかったのだ。
 本来であれば猟兵たちの絶望を領主へ捧げているはずだったのに。
 二人が血を拭い納刀すると共に、地に落ちた吸血鬼はさらさらと砂となって消滅した。
 ――パチパチパチ。
 場違いな拍手が聞こえたのはその時だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『破滅の使徒』

POW   :    死の抱擁
【魂狩の鎌】が命中した対象を切断する。
SPD   :    滅の壊刃
【魂狩の鎌】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    獣の行進
召喚したレベル×1体の【飢えた狼】に【鬼火】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 女――領主アイスクイーンを名乗る吸血鬼は多数の配下を引き連れて猟兵たちの前に姿をあらわした。
「ええ、ええ、猟兵たち。素晴らしい絶望をありがとう」
 パチパチパチと場違いな拍手を鳴らしながら、領主は笑う。
 領主の願いも己の願いも叶えられぬまま配下が散っていったばかりだというのに、それすらも楽しかったのだと笑って。
「けれどまだ足りないわ、ねぇ皆様もっと私を楽しませて?」
 絶望という名の喜びが心を満たした。けれど乾いた砂に水を一滴落としたところで潤う事はない。領主の心は未だ退屈にとらわれているのだ。
 さあ行きなさいと、領主は配下を放つ。
 その聖職者たちは教会のものに模した黒衣を身に纏っていた。
「皆様知っていますか? 我らを真に救うのは死のみであると」
 死こそ唯一の救済なのだと口々に語り始める。
 その瞳は虚ろであり、既に正気でないことが見て取れた。
 彼らもまた、過去の残滓オブリビオンなのだ。

 かつて彼らは祈りと慈愛に満ちた聖職者としてこの世にあった。
 けれど絶望の淵で落命した折に、真の救済は祈りではなく死なのだと悟ったのだ。
 故に、その手にした鎌で領民たちの命を刈り取るのだ。全ては絶望からの救済の為に、と。
 そして猟兵たちもまた救済の対象なのである。


 領主と猟兵たちとの間には、かつての聖職者『破滅の使徒』たちは立ち塞がっている。
 『破滅の使徒』を倒さなければ、猟兵たちの攻撃は届くことはないだろう。
 じりじりと距離をつめる『破滅の使徒』たちの向こう側で領主は楽しそうに様子を見ているが、まだ手を出すことはできない。
アリウム・ウォーグレイヴ
アドリブ歓迎

そんなにも死で幕引きを図りたいなら、満足いくまで教義に殉じさせてあげましょう。
我が白銀の騎士達よ。
その輝きで、その力で、死の信徒達へ、彼女らの唱える救いを存分に与えよ!

騎士達の全てをもって使途達へ挑みます。
槍で足止めし、騎馬にて陽動させ、剣と魔法で討ち倒すことができれば一番ですね。
また串刺しにし、踏みつけ、こちらの強さを見せつけながら恐怖を与える事で流れをこちらに引き寄せていきたいですね。
敵は強力ですが連携ではこちらが負けているとは思えません。一人に対して複数人で対応し、確実に敵の数を減らしていきましょう。
油断はしません。時間もかけたくありません。被害が広がる前に倒します。



 幾度祈れども神の声は聞こえず。
 幾度願えども神の姿はあらわれず。
 絶望の淵で与えられたのは生命のおわり。
 神に見捨てられた我らは、そして祝福を与えられたのだ。
 偽りの信仰は捨てよ、その身を死へ任せるのだ。
 それが真なる『救済』へのただひとつの道である。
「この世には絶望しかありません。死は我らの希望であり、唯一の救いなのです。さあ貴方がたも」
 その身を預けてくださいと、かつての聖職者が手にするのは禍々しいばかりの鎌だった。死神が人の命を刈り取っていくように『破滅の使徒』も猟兵たちを死へ誘う。
 それこそが全てを救うただひとつの手段だと信じて。

 眼前に立つかつての聖職者たちは、そんなにも死で幕引きを図りたいのだろうか。
 人は諦めずにその歩みを進める。その道がどれほど暗く険しかろうと、涙に濡れようとも歩むことでしか時を進められないのだから。
 ならば。
「満足いくまで教義に殉じさせてあげましょう――我が白銀の騎士達よ」
 骸の海から生まれでた者たちは、骸の海へ正しく還されなければならない。
 アリウム・ウォーグレイヴ(蒼氷の魔法騎士・f01429)は呼びかける。
 かつて一族のため剣を振るった忠実なる騎士たちへ。死してなお、一族へ仕える者たちへ。
 彼らの剣は明日への道を切り開くためにある。
「その輝きで、その力で、死の信徒達へ、彼女らの唱える救いを存分に与えよ!」
 ユーベルコード【ホワイトナイツ】
 その号令に従い、彼の騎士たちは一斉に動き出した。
 明日を奪われないように、歩みを止めないために。

 敵はオブリビオン、そして多勢だ。周囲では使徒と猟兵たちの戦いがはじまっている。
 数の上ではアリウムたちが優位だが、油断はしない。
 ここで時間をかけるのも惜しい。願うのはひとつ、被害が広がる前に倒すことだ。
 使徒たちの向こう側では、女領主が楽しそうにその様子を見ている。まるで観劇でもしているかのように。

 彼の騎士たちは上手く戦場を支配している。騎馬で巧みに誘導し、敵に対して複数で対応し確実に数を減らしている。
 アリウムもまた白き槍を手に接敵する。
「死を、貴方にも死の救済を」
 使徒は焦点の合わぬ目でアリウムを見ていた。死を。救済を。ただただ同じ言葉を繰り返す。
「救済が与えられるのは私ではありません、貴方がたです」
 彼の振るった槍は死を誘う鎌を拒絶する。そして使徒の体を貫く槍捌きは無駄がなく正確無比だ。捉えた途端消えゆく体から槍を抜けば、周囲の使徒たちにざわりと動揺が走る。
 それは恐れだ。
 死によって仲間は救われたというのに、その『救済』に対する恐怖の芽生え。
 戦場に落ちたたったひとしずくの恐怖は、波紋を描くように周囲へ伝達されていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

祝聖嬢・ティファーナ
WIZで判定を
※アドリブ歓迎

『フェアリーランド』の壺の中から風/火/光の精霊・聖霊・月霊・天使を呼びます♪
『クリスタライズ』で姿を隠して『エレメンタル・ピクシィーズ』で属性攻撃を『神罰の聖矢』で聖属性攻撃を仕掛けます!
敵の攻撃で避けれない時には『月世界の英霊』で空間飛翔して、敵のUCを『月霊覚醒』で封印/弱体化させます☆
『聖精月天飛翔』でWIZを強化して『叡智富める精霊』+『神聖天罰刺突』で苛烈な猛攻を仕掛けます!
猟兵の怪我人は『祝聖嬢なる光輝精』で治して『シンフォニック・メディカルヒール』で状態異常を癒します☆
「皆様を神様の“安寧の花園”へ送って差し上げますからね♪」
と祈り/浄化します☆ミ



「死を、救済を」
 繰り返す破滅の使徒たちを前に、祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)もまた先の戦いで使った小さな壺を手にしていた。
 使徒は大鎌を手に飢えた狼を呼び出していた。次々に召喚される狼は過去に確かに存在し、今骸の海から蘇る。飢えの欲求にとりつかれた狼は群れをなし、高い統率力を発揮しようとしている。
「もう一度、ミンナ、手伝って☆」
 彼女の呼びかけに応え現れた精霊たちを伴い、ティファーナは狼の群れへと立ち向かう。
 その身を隠し歌えば、彼女の精霊たちは自身が司る力を魔法の矢へと変え、狼たちを射抜いて行く。
 多対一、敵は統率者に従えられた狼だ。
 賢い生き物である彼らは、その優れた聴覚と嗅覚で油断なく不可視のティファーナを探っている。隙きあらばその牙と爪は小柄なティファーナを傷つけるだろう。
 狼には鬼火が生えている。耳に、尾に、脚に。その力により空を駆け精霊へ飛びかかる個体もいる。
 だが、フェアリーであるティファーナには及ばない。
 ティファーナはその背の羽根に風を受け、高く空へ舞い上がった。
「よしもう少しかな♪」
 少しずつ場所を変え、位置を察知されぬように気をつけ再び繰り出すのは聖なる力を宿した矢だ。
 狼の群れを襲う矢は、次々に彼らを清めその数を減らしていく。
 視界の端では、狼の主人である破滅の使徒が彼女の場所を探ってる様子が映る。が、その手が握る命を刈り取る鎌は未だ対象を見つけらないようだ。
 魔法を放つ手を止めず、ティファーナはそのまま周囲を見渡した。
 地上では敵味方を交えた戦いが繰り広げられている。敵は集団で、さらには狼の群れを召喚し使役する。飢えた狼たちは猟兵の肉を喰らわんとばかりに戦場を駆け巡る。
「精霊、聖霊、英霊、月霊よ、癒し慈しみ輩を治癒し蘇生を……生命の灯火を再び与えたまえ☆」
 口ずさむのはティファーナ自身の名を宿したユーベルコードの詠唱だ。霊たちと彼女自身の内なる光輝と歌声に乗せ、周囲の仲間たちへ降り注いでいく。
 すこしでも傷が癒やされるようにと願いを乗せながら。
「皆様を神様の“安寧の花園”へ送って差し上げますからね♪」
 そしてティファーナは眼下の敵へ再び目を向ける。
 使徒と狼たちを骸の海へと還すために。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミーナ・ヴァンスタイン
「そうね。だって、死は不変だもの。苦しみも飢えもない」
UC使用。淡々と話しながら、ナイフを右手で抜いてクルリと回しながら魔力を注ぎ真っ黒な大鎌へと【武器改造】する。
「だけど、死んだあなた達のその姿を見て、誰がそんなこと信じるかしら?」
「だから……もう一度、私が殺してあげる」
残像で敵の後ろに移動し、大鎌で首を刎ねる
「死んだものは、喋らないの」
敵の動きを見切り、攻撃を避けながらカウンターで相手の足を刈り取り
「死んだものは、動かないの」
とびかかってきた狼を左手で掴み怪力で握りつぶし
「あなた達を救済してあげる」

「私が一番嫌いなことは、死に眠る者たちを利用することよ」
「次はお前の番よ。死をもって償え!」


鈴桜・雪風
あら、これは奇遇なこと
わたくしも、傷つき迷う者に手を差し伸べるのが生業でして
「これから成すことも似ているのは、皮肉にしかなりませんが」

死は解放の一種かもしれませんが
それを救済と混同するのは戴けませんわね
「せめて、安らかな眠りとともに。絶望を忘れ、狂気から解き放たれたまま消えあそばせ」

信徒達も、呼び出された餓狼共も、まとめて桜の導く眠りの中に落とします
これならば周囲に損害を与えず軍勢を纏めて止められますし、眠った敵の首をかき切るなど容易いことです
「かつてあなた達は無念に満ちた死を迎えた。此度は、幸福な夢が見せる安息の中で終末を迎えなさい」


故無・屍
…フン、随分と余裕を見せてきやがるモンだ、親玉自ら物見遊山とはな。


死が救い、か。
その結論に達したのは生前のお前らがお前ら自身の経験の上で下した結論だ、否定はしねェ。実際にそれが救いだって奴も居るだろ。

…だが、それを俺が求めるかは別問題だ。

おびき寄せにて攻撃を誘い敵を集め、
怪力、2回攻撃、カウンターを併用したUCにて一気に片付ける


そこまで救いを押し付けてェんななら
精々俺を『救って』みせろ。
それが俺にとって本当に救いだったとしても、
今は死ぬ選択肢なんざねェんだよ…!!

狙えるようであれば反撃の余波をアイスクイーンに掠めさせる。

こいつらを斬り終わったら次は手前ェだ。
今の内に精々楽しんどくんだな。



 波紋のように動揺が破滅の使徒たちへ広がっていく。
 柔らかな光が戦場に降り注ぐ。
 けれど使徒たちは諦めることなく前へ進む、猟兵たちに救済を与えるために。

「……フン、随分と余裕を見せてきやがるモンだ、親玉自ら物見遊山とはな」
 故無・屍(ロスト・エクウェス・f29031)は彼方にいる女領主を見る。少しずつこちらが押しているにも関わらず、領主は変わらず笑みを浮かべ戦況を観察していた。
 氷を纏った"女王"は観客に徹するようだ。
 配下である破滅の使徒たちが勝っても、猟兵が勝っても、それこそ"どちらでもいい"のだろう。片方が勝てば、もう片方は必然負けるのだから。

「死が救い、か」
 それは生前の使徒たちが自らの経験の上で下した結論だ。
 だから屍は否定はしない。
 実際にそれこそが『救い』だという者もいるだろうから。
「……だが、それを俺が求めるかは別問題だ」
「そうね。だって、死は不変だもの。苦しみも飢えもない」
 ミーナ・ヴァンスタイン(聖域の守護者・f00319)はそう同意した。
 死は終わりだ。もう時は進まない、歩むこともできない。何かを、苦しみすらも感じることができない。
「"それ"がこれから成すことにも似ているのは、皮肉にしかなりませんが」
 鈴桜・雪風(回遊幻灯・f25900)は「これは奇遇なこと」と笑いながらそう添えた。
 雪風は猟兵であり、そして探偵でもある。彼女の元には日々様々な依頼が舞い込んでくる。悩み傷つき苦しみ迷う者に手を差し伸べる――それが彼女の生業である。
 死を選べば、生者が囚われる悩みや苦しみ、あらゆるものからその人は解き放たれるだろう。だがそれは極論だ。それを選んだ瞬間からその人の歩む道は途切れ、一切の可能性が閉ざされてしまう。
 それを救済と混同するのは戴けない。

 けれど、使徒は猟兵を否定する。
「いいえ、死は救いなのです。ただひとつの、救いなのです」
 祈りも願いも神には届かなかった。どこまでも続く闇、終わらぬ絶望に支配された彼女たちの心を救ったのは命の終わり、すなわち死である。
 虚ろな瞳は過去を見続ける。救済のその瞬間を。
「猟兵たちに安らぎを、死の救済を」
 ある者は鎌を手に、ある者は狼たちを召喚し猟兵にけしかける。

「俺が相手してやる」
 屍は狼の群れの中に真っ先に飛び込んだ。
 飢えた狼たちの前に"餌"がひとりであらわれるのだ。単身やってきた屍に惹かれやってくる。
 屍は派手に得物を振り回し、狼たちをおびき寄せ、狙い通りに敵の攻撃をひきつけていく。
 その後ろでミーナはユーベルコード【暗黒姫】を使用する。
 それは彼女に変貌をもたらす技である。
 ミーナの瞳を彩る漆黒が鮮やかな真紅へと変わる。艷やかな黒髪に隠れていた背からは漆黒の翼が広がり、秘められていた真の姿――魔眼を解放したヴァンパイアの姿を取る。
「死は救い……だけど、死んだあなた達のその姿を見て、誰がそんなこと信じるかしら?」
 淡々と話しながら、魔導水晶のナイフを右手で抜きくるりと回す。彼女の魔力が注がれたナイフは薄っすらと光を帯び、真っ黒な大鎌へと形状を変えた。
 死が真に救いであるならば、どうして彼女たちは未だこの世を、戦場を彷徨い歩いているのだろうか。
 とっくの昔に『救済』されているはずなのに。
「だから……もう一度、私が殺してあげる。知っている? 死んだものは、喋らないの」
 一度羽ばたくと残像を残しミーナは使徒の背後を取り、振るう大鎌で首を刎ねる。

 雪風は駆け出した二人の背を見ていた。
 彼女にはするべきことがあった。
「せめて、安らかな眠りとともに。絶望を忘れ、狂気から解き放たれたまま消えあそばせ」
 嘆きを、絶望を抱える者を癒やすのは桜の精の使命だ。
 荒ぶる魂と肉体を鎮め慰め、桜の精の癒やしを受ければ"影朧"は転生することができる……それはこの世界には通じないかもしれないが、少しでも慰めになればと雪風は祈る。
「かつてあなた達は無念に満ちた死を迎えた。此度は、幸福な夢が見せる安息の中で終末を迎えなさい」
 雪風の言葉が風に消えていく。
 わずかに遅れ、桜の花吹雪が戦場の風に舞う――それは桜の精・雪風のユーベルコード【桜の癒やし】が発現した証だ。
 破滅の使徒たちも、呼び出された餓狼たちも桜の花びらに包まれて、一人あるいはまた一匹と眠りの中へと崩れ落ちていく。
 敵は多勢ではあったが眠りによって戦線が崩壊していく。花びらが届かなかった者も仲間たちが倒れ伏していく様を目の当たりにし、動揺が広がっていく。

「死んだものは、動かないの」
 ミーナは召喚された狼たちの動きを見切り、時に空を駆けながら攻撃を避け、カウンターで相手の足を刈り取る。とびかかってきた狼を左手で掴み怪力で握りつぶす。
 それが願いであるならば。
「あなたたちを救済してあげる」
「そこまで救いを押し付けてェんななら精々俺を『救って』みせろ」
 飛びかかってきた狼を持ち前の怪力を加えたカウンターの一撃で斬り捨て、屍はユーベルコード【暗黒剣・仇狩り】を発動させる。
 発動すれば屍自身の行動も制限される――が、反撃に特化した技は敵対するものを逃さない。
「それが俺にとって本当に救いだったとしても、今は死ぬ選択肢なんざねェんだよ……!!」
 吐き捨て拒絶の意を示す。
 己の道は己が選ぶのだと、向けられる攻撃を反撃に転じていく。その有効射程は長く、反撃の余波がアイスクイーンを掠めていく。
 未だ涼やかな様子を崩さぬ女に向け、屍は剣の切っ先を向けた。
「こいつらを斬り終わったら次は手前ェだ。今の内に精々楽しんどくんだな」
「私が一番嫌いなことは、死に眠る者たちを利用することよ。次はお前の番よ。死をもって償え!」
 重なるミーナの声。
 軍勢の数は随分と減った。眠りに落ちたもの、切られたもの、消えたもの。
 女領主と猟兵たちを隔てる壁はずいぶんと薄くなった。
 その時はもう近い。

 猟兵たちの奮闘を"氷の女王"は変わらず見ていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

テフラ・カルデラ
※絡み・アドリブ可

アイスクイーン…もう明らかに相手を凍らせますと言わんばかりの風貌です…
その前にその手下を退治しなければなりませんね…
女王様は凍結耐性はありそうですが、その手下は耐性がなさそうなのでユーベルコード【全てを凍てつかせる小さな妖精】を出して暴れ回ってもらいましょう!
触れるだけでもあっという間に氷像になりますからね!必死に逃げ惑ってください!
「死が救い」ならば生でも死でも無い物言わぬ氷像として佇んでくださいね♪



 女領主アイスクイーンは静かに佇んでいた。
 舞い散る花びらに一瞬気を取られたようだが、それも一瞬。すぐに戦場へ視線を戻す。
 劇でも見ているかのように静かに猟兵たちの戦いを眺めているようだ。
 配下が屠られてもその姿勢は全く揺るがない。

「もう明らかに相手を凍らせますと言わんばかりの風貌です……」
 小さく、テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)は呟いた。
 事実アイスクイーンはそう名乗るだけあり、氷らしきものを纏っている。水色の美しいドレスには、キラキラと氷片が輝いていた。手にした杖も青く、氷の花を思わせる意匠となっている。
 刹那、アイスクイーンとテフラの視線が交わる。
 冷たい瞳がテフラを見定めるように見つめる。瞬く間に視線は逸れるのだけれど。
 その時テフラは言葉には言い表せぬ"縁"を感じた。恐怖ではなく、歓喜でもなく、けれどなにか心惹かれるものだ。
 気にはなったが、いいえとテフラは首を振る。
「その前にその手下を退治しなければなりませんね……」
 今はその時ではない。
 それが叶わぬ間は彼女に手を出すことはできないだろうから。
 けれどもうすぐに分かるだろう。
(女王様は凍結耐性はありそうですが、その手下は耐性がなさそうですね)
 破滅の使徒たちはおそらくは普通の人間だったのだろう、骸の海より蘇る前は。
 人の身ではなし得ぬ技を使うようだが、あの"女王"に比べるまでもない。
「さあ、オブリビオンはみーんな凍らせてきてください! 妖精さん……頼みましたよ♪」
 魔法の杖"ラビット・ラビッツ"を振りユーベルコードで【全てを凍てつかせる小さな妖精】を呼び出す。
 呼び出された悪戯妖精はきらきらと光を纏って現れると、とても楽しそうに使徒たちを追いかけはじめた。逃げ遅れた使徒が一人、妖精に触れられた瞬間凍りつき、それに気づいた別の使徒が危険を認識し逃げはじめる。
 けれど呼ばれた妖精は極めて発見され難く、一方的な鬼ごっこがはじまる。
「『死が救い』ならば生でも死でも無い、物言わぬ氷像として佇んでくださいね♪」
 ウサギの耳を揺らしてテフラはにこりと可愛く笑みを浮かべた。
 彼の視線の先では使徒たちが逃げ惑っている。
 彼女に妖精の手が伸びるまで――あと少し。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…死こそが真の救済?生憎だけど私はそうは思わない

…真に死が救いなら何故お前達に殺された人々は、
こんなにも怨嗟を放ち、私に訴えてくるのかしら?

左眼の聖痕に魔力を溜め周囲の魂の残像を暗視して取り込みUCを発動
死者達の呪詛を耐性と気合いで耐えて心の中で祈りを捧げ、
敵の攻撃を闇属性攻撃のカウンターオーラで防御するわ

…死が救いだなどと宣う者達に思い知らせてあげなさい
貴方達が受けた痛みを、苦しみを、そして絶望を…!

9000km/hの超高速の空中戦機動で敵陣に切り込み、
敵の横をすり抜ける際に大鎌をなぎ払う早業で首を刈る

…生前の貴女達だって、こんな事は望んでいないはずよ
これ以上、罪を重ねる前に葬送してあげるわ



「……死こそが真の救済? 生憎だけど私はそうは思わない」
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は破滅の使徒たちを否定した。
「……真に死が救いなら何故お前達に殺された人々は、こんなにも怨嗟を放ち、私に訴えてくるのかしら?」
 真に救済がなされたのであるならば。
 ――許さない、憎い、助けて。
 リーヴァルディに訴えかける声に負の感情があるはずはないだろう。
 息を吐き出し、左眼に刻まれた聖痕に魔力を溜めていく。瞳に周囲を漂う死者の魂の残像が映る。聖痕はそれら全てを取り込みながらユーベルコード【代行者の羈束・断末魔の瞳】が発動する。
 取り込まれる魂はそれぞれの無念を怨嗟をリーヴァルディに囁いく。精神を蝕む死者たちの呪詛を耐えて、心の中で祈りを捧げた。
「貴女こそ目を覚ましてください。生は苦しみしかもたらしません。覚えがありませんか?」
 使徒はそれでもなお、己の信仰を口にする。
 その手には死を誘う大鎌があった。
「苦しみから救われる術はただひとつしかありません」
 言いながら振るわれた大鎌を、リーヴァルディは張り巡らせたオーラで防ぎ、がら空きの胴へ闇属性の攻撃を叩き込む。
「……死が救いだなどと宣う者達に思い知らせてあげなさい。貴方達が受けた痛みを、苦しみを、そして絶望を……!」
 代行者の羈束は名も無き神との"契約"の証でもある。魂を喰らっただけ、代償とともにリーヴァルディに力と飛翔能力を与えるのだ。
 リーヴァルディもまた黒き大鎌を手にし一歩地面を蹴れば、刹那敵陣にその姿が現れる。その速さは時速9000kmを超え、瞬く間に空中を駆け敵陣へ切り込んでいく。
 そしてすれ違いざまにリーヴァルディは大鎌をなぎ払い、鮮やかな早業で首を刈った。
「……生前の貴女達だって、こんな事は望んでいないはずよ。これ以上、罪を重ねる前に葬送してあげるわ」
 それはせめてもの祈りだった。
 かつての聖職者たちは祈りと慈愛に満ちた日々を過ごし、真摯に神へ仕えていたことだろう。たとえ絶望の淵にあったとしても、人はそれを乗り越え、勇気と希望という光で道を照らし歩み続ける。その頃の彼女たちならば、決して死が救いだと口にすることはなかったはずだ。
 石畳に赤い花が咲き乱れ、地面に落ちるよりも早く、『死』を認識するよりも早く。
 "聖職者"たちが消えていく。
 砂が風に吹かれ消えるように、さらさらと、骸の海へ還っていく。

 周囲から、破滅の使徒たちの姿が消え戦場に静寂が戻る。
 他の猟兵たちも戦いが終わったようだ。

 残すはあと一人。
 今回の首謀者――女領主アイスクイーンのみである。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『アイスクイーン』

POW   :    アイスコフィン
【溶けない氷壁に一瞬で閉じ込める魔法】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    フラッシュフリーズ
レベル分の1秒で【反応して、瞬間永久凍結魔法】を発射できる。
WIZ   :    フリージングスタチュー
見えない【好きなポーズ・好きな形に永久冷凍する魔法】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ポーラリア・ベルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 領主アイスクイーンは再び拍手をした。
 桜の花びらが舞い散る中で「素晴らしいわ」と口にしながら。
「素晴らしい絶望をありがとう、猟兵たち」
 それは心からの賛辞だった。
 退屈で色褪せて見えた世界がとても美しく見えた。
 飢えた心は随分と満たされた。
 配下と猟兵、どちらが勝利を掴むかわからなかったけれど、なかなかに良い絶望だったと戦いを振り返る。アンドラーシュと破滅の使徒たちを失ったことは惜しかった。けれど、それは単に領民たちに絶望をもたらすための手駒を失ったからにすぎない。己の野望を果たせず散った姿も、己の信じる救済を与えられず消えた姿も、どちらも素晴らしい"絶望"だった。
「おかげで私の心も少しばかり満たされましたわ」
 アイスクイーンは猟兵たちをぐるりと見渡した。
 けれど、まだ満たされない。貪欲な心が訴える。
"猟兵たちが膝をつき、その顔が絶望と屈辱に染まる姿が見たかった"
 その願いはまだ消えていない。

 トン、と彼女は石畳を杖先で突いた。
 彼女の纏う氷の魔力が、杖先から放射状に広がり石畳を凍りつかせていく。
 周囲の気温がぐっと下がって行く。立ち昇る息が白く染まる。
「どうか、あなたたちの絶望する姿を私に見せてくださいな」
 "氷の女王"は冷たい瞳を向けて笑うと、杖先を猟兵たちに向ける。
「さあ、楽しみましょう?」
ミーナ・ヴァンスタイン
回避が難しいなら、発動前に
「試してみましょうか」
大鎌をブーメラン攻撃にし時間稼ぎ、魔法薬の入った小瓶を2つ取り出し投げつけ魔法を発動。
「イリュージョンミスト」
幻影の霧を生み出し、ダッシュしながら魔眼で敵の目を捉える。
「見たわね?」
魔眼の催眠と蜃気楼の残像を利用し、距離を錯覚させて避ける。
「敵の位置を正しく認識できないなら避けるのは難しくないわ」
もう効かないでしょうけど、その魔法は覚えたわ。
「いくわよ?」
凍結魔法を記憶した魔眼で、魔法発動の瞬間を見切りカウンターでUC使用。
魔力を纏わせた右腕を振るうと、氷の魔力を相殺し弾き飛ばす
「無駄よ!」
感情のままに拳を怪力で叩き込む
「さぁ、罪を償いなさい!」



 アイスクイーンに与えられた領地は辺境に位置する。"中央"からは遠く、その物理的な距離と同じく"領主"としての格は低い。
 けれど彼女はやり手だった。同族を束ね従え、反乱を企てる者を始末し手綱を握り、同族殺しと異端の神々に目を光らせ、この都市に平穏がもたらされたものである。
 もっともそれは"吸血鬼"にとっての平穏であるのだが。
「さあ、楽しみましょう?」
 アイスクイーンは威厳に満ちた笑みを浮かべる。"女王"に相応しい洗練された動作で美しく飾られた杖を振るえば、猟兵たちから離れた場所の植木がたちまち氷塊となった。冷たい瞳は言っていた。
『お前たちもこうなるのだ』と。

 魔力が集まり、移動する。その攻撃こそ見えなかったが、動きならば捉えることができた。
「試してみましょうか」
 回避が難しいのならば策を打つまでだ。次は逃さない。
 ミーナは大鎌をその力でもって投げる。ブーメランの要領で投げられたそれにアイスクイーンの注意が逸れる――その瞬間にミーナは小瓶を二つ取り出すと、女王目掛けて投げつける。
 パリンと澄んだガラスの割れる音がして、中に入った魔法薬が飛び散った。キラキラと不思議な輝きを帯びたそれは、魔法の触媒として使用されるものである。
「――イリュージョンミスト」
 短い詠唱と共に、周囲を包み込むように幻影の霧が生み出された。
 ミーナは走りながら魔眼で敵の目を捉える。刹那、女王のアイスブルーの瞳とミーナの赤い瞳が交差する。
「見たわね?」
 それだけの時間があれば十分だった。
 真紅の魔眼はその瞬間に女王に強烈な催眠効果をもたらすのだ。加えて幻影の残像を利用し、ミーナ自身とアイスクイーンとの距離を錯覚させる。
 狙い通りに、魔眼によって狂わされた女王から放たれた氷結の魔法は空打ちに終わる。
「敵の位置を正しく認識できないなら避けるのは難しくないわ」
 この魔眼はよく見えるのだ。二度も捉えた魔力の流れも、肉体の動きも全て魔眼が見ている。
「もう効かないでしょうけど、その魔法は覚えたわ。今度はこちらの番、いくわよ?」
 ふらつきながらも攻撃を放とうと、アイスクイーンが杖を掲げる。
 魔力が高まっていく、杖先に生み出された不可視の冷気が放たれる。が、ミーナの瞳にはしっかりとその魔力の軌跡が写っていた。
 直撃しないギリギリの瞬間を見切り、ユーベルコード【断罪擊】発動させる。
「アナタの罪、消し飛ばしてあげる」
 高密度の魔力を右腕に纏わせて、振るい氷の魔力を相殺し弾き飛ばす。
「無駄よ!」
 感情のままに拳を怪力で叩き込む。
 これは神罰だ。
「さぁ、罪を償いなさい!」
 今まで犯した罪を、人の命を弄んだ罪を。
 全て、悔いるがいい。

大成功 🔵​🔵​🔵​

祝聖嬢・ティファーナ
WIZで判定を
*アドリブ歓迎

『フェアリーランド』の壺の中から風/火の精霊・聖霊・月霊・戦乙女を呼んで『クリスタライズ』で姿を隠して『エレメンタル・ピクシィーズ』で属性攻撃を『神罰の聖矢』で聖攻撃を仕掛けます!☆
敵の攻撃で避けれない攻撃を『月世界の英霊』で空間飛翔して、敵のUCを『月霊覚醒』で封印/弱体化をします♪
『聖精月天飛翔』でWIZを強化して『叡智富める精霊』+『神聖天罰刺突』で苛烈な猛攻を仕掛けます!☆

猟兵の怪我人は『祝聖嬢なる光輝精』で怪我を治し『シンフォニック』で状態異常を癒します♪
精霊・聖霊・月霊・戦乙女と猟兵に“七色こんぺいとう”を配って「生命を遊戯と弄ぶ事は許しません!☆彡」



「まだですわ、あなたがたが膝をつくその瞬間までは」
 アイスクイーンはそう告げて杖を振るう。
 凍てついた空気と魔力の流れは感じ取れたものの、ティファーナの瞳に、その攻撃はまったく見えなかった。
 だが、不可視の攻撃を使ってくるのであれば、こちらも姿を隠せばいいのだ。見えないものに命中させるのは難しいのだから。
 ティファーナは【フェアリーランド】の壺の中から呼び出していた、風と火の精霊・聖霊、月霊と戦乙女たちにそっと目配せをする。
「ミンナ、頼んだよ☆」
 そしてすっとその姿を透明と化しその身を隠すのだ。
 頼もしい仲間たちはティファーナの意図を汲む。
「歌唱う、我らが精霊・聖霊・月霊よ♪ 歌い、踊り、唄い、舞踏れ♪ 素ノ源ヨリ来タレリ」
 歌声が戦場に響き渡る。
 アイスクイーンがティファーナの姿を探そうと周囲を見回し、精霊たちの姿を認める。が、その頃にはティファーナのユーベルコードが発動している。紡がれた歌と精霊と聖霊たちの力が魔法の矢となり降り注ぐ。アイスクイーンの身を風が切り裂き、放たれる氷塊は炎の精霊・聖霊が溶かしていく。戦乙女がティファーナを守ろうと立ち塞がる。
「光りを怯える闇と悪よ、悔い改めなさい」
 空高く飛翔したティファーナの指が神罰を下そうとアイスクイーンを指し示す。
「見つけたわ!! あなたも永久に凍ってしまいなさい」
 声と魔力の流れから場所を推測したのだろう、女王の冷たい瞳がティファーナを見ていた。杖先が向けられ氷塊が放たれる。避けられなかった氷の魔法が触れる――その寸前、月霊の優しい光が彼女を包み込むように守りぬいた。許さないとばかりに月霊から放たれる『満月』『半月』『三日月』『新月』の力がアイスクイーンのちからを削いでいく。
「ミンナ、お願い! 精霊、聖霊、英霊、月霊よ、叡智と膂力を示せ!☆ 神罰なる天罰の刺突を!☆彡」
 アイスクイーンに命中した矢が彼女を石畳に縫い付ける。
 精霊と聖霊たちがその力を束ね編んでいく魔力が矢の形をとる。それは空中に幾多も展開されていく。
「これをどうぞ☆」
 精霊と聖霊、月霊と戦乙女、そして猟兵たちに七色こんぺいとうを配って、ティファーナはにこりと笑う。
「生命を遊戯と弄ぶ事は許しません!☆彡」
 ティファーナの指先が再び、女王を指し示した。
 それは神罰のように女王へと降り注ぐ。罪を責め立てるように。

大成功 🔵​🔵​🔵​

テフラ・カルデラ
※絡み・アドリブ可

ぐっ…なんて威圧なのですか…!
ですが、絶対絶望に満ちた氷像になんてなりません!(フラグ

まずはユーベルコード【サイキックブラスト】を放ちつつ、【石化ポーション】を投げつけて石化を狙います!
もしわたしが凍らされるとなれば、絶望と屈辱に染まった冷たい氷像にされてしまう自身…を演じて他の猟兵さんから意識をこちらに向けるようにしましょう!
それに、彼女は痺れたり石化による行動制限で戦いにくくなるはず…!
あとは…他の方々が…!



 アイスクイーンはその名に劣らぬ威圧感を放っていた。
 多くの同族を従え、都市を仕切るだけある。
「ぐっ……なんて威圧なのですか……!」
 あの凍てつくアイスブルーの瞳で見られると、背筋がひやりと冷たくなる。杖先が向けられれば自然呼吸が乱れ心臓が早鐘を打つ。
 けれどテフラはどこか心惹かれてしまうのだ。
 そう、多分アイスクイーンの攻撃に。氷像という言葉が脳裏から離れない。
「……ですが、絶対絶望に満ちた氷像になんてなりません!」
 決意を口にし突き出した両掌から高圧の電流を放つ。
 ユーベルコード【サイキックブラスト】だ。放たれた電流は女王を直撃し、彼女は鋭い目つきで「無礼者」と口にした。上手く通ったのだろう、腕が痺れたのか杖を持つ手を変えた。
 その隙を逃さず、テフラはポーション瓶を女王へ向けて投げつける。払いのけようとする杖は宙を薙ぎ、ポーションの中身が降り注ぐ。それは、服用もしくは付着することで対象を『石化』させる効果を持つのだ。進行は早く小さなものならばあっという間に石と化す。
 アイスクイーンは自身の一部がそうなりつつあることを認識したのか、杖を向け見えない冷気を放つ。対抗し、テフラはもう一度それを打ち消し得るであろう高圧電流を放った。
 そしてふと考えてしまったのだ。
 もしも。
(もしわたしが凍らされるとなれば)
 それは果たしてどのような姿になるだろうか。
 いけないとわかりつつも、"もしも"を空想してしまう。
 放った電流は冷気を打ち消せず、敗北し絶望と屈辱を味わうのだろう。女王はきっと楽しそうにアイスブルーの瞳を向けて氷結魔法を放つだろう。指先が動かなくなる……恐怖と期待がきっとこの身を支配する。いっそ何も知らぬまま氷像にされたほうがマシだと思うように、じわじわとなぶるように氷に侵食され自由を奪われていく。人としてのその尊厳さえも踏みにじるように、物言わぬ冷たい氷像にされるのだ。
(いいえ、今はその時では。けれど……)
 もう一撃、電流を放ち、空想の中で自身に直撃したアイスクイーンの攻撃をわずかに反らす。
(……あとは……他の方々が……!)
 ここにいる皆は頼もしい猟兵だ。あとは皆がこの女王に終わりを告げる事だろう。
 氷の女王は"絶望と屈辱に染まった姿が見たい"のだ。ならばそれを演じてやればどうだろうか? それが演技だとバレるまでは彼女の視線を釘付けにするだろうし、石化による行動制限で戦いは有利にすすむ、かもしれない。
 アイスブルーの瞳がテフラを捉え、口元が三日月のように弧を描いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴桜・雪風
氷の女王
凍原を彷徨う流浪者のような絶望がお望みですか
「生憎、わたくしは貴女の様な手合は好きませんので。わざわざ喜ばせる気はありませんわよ」

【ソノ花咲カスベカラズ】を発動
わたくしの前に桜の木の根が乱立し、それで女王の氷結魔法を防ぎます
更に【影絵眼鏡】の幻術を作動させ根の群れの奥に居るわたくしの姿を偽装します
これで女王は簡単にはわたくしに攻撃を加えられないでしょう

そしてこちらは女王の足元から根を生やし、攻撃を加えれば良いので
人の生き血を啜る人食い桜の根、凍らせて排除しようにも絡みついたまま凍らせれば己の動きを制限するばかり
さあ、如何致します?



 傷を負いながら、それでも"氷の女王"は笑っている。
 自身の運命を決定付ける勝敗の行方すらも楽しむように。
 けれど、最初に見たときほどの余裕はない。
 遠目に見ても呼吸は浅く、魔力が乱れていた。杖を握る指先は白くなり、こころなしか顔色も悪い。少しずつ、だが確実にその力は削がれているのだろう。
 いわば演技だ。まだ女王自身が優位に立っているのだと錯覚させるための。
 雪風は現状をそのように推測した。
(凍原を彷徨う流浪者のような絶望がお望みですか)
 先も見えない中を彷徨いて、ひとり孤独に震える。あと少し、もう少しと思えども与えられるのは終わらない絶望のみ。まったく趣味が悪いと嘆息する。
「生憎、わたくしは貴女の様な手合は好きませんので。わざわざ喜ばせる気はありませんわよ」
 言い切って、雪風はユーベルコード【ソノ花咲カスベカラズ】を発動させた。
 凍りついた石畳を割って桜の木の根が生えてくる。その根は氷結魔法から雪風を守る壁のようにアイスクイーンとの間に現れた。放たれた氷塊をドンと振動と共に根が受け止める。じゅうぶんに耐えられそうな強度だった。
 それを確認すると、今度は"影絵眼鏡"の幻術を作動させる。影朧動力機関を搭載したスライド式の幻灯機を用い、根の群れの奥に”雪風"がいるように偽装をしたのだ。
(これで女王は簡単にはわたくしに攻撃を加えられないでしょう)
 投影された雪風の幻影は根に守られながらの防戦を演じている。凍りつきながらも根は幻影の雪風を守り抜く、そこに追撃が加えられる。
 アイスクイーンは本物の雪風の動きに気づいていないのだ。
 そこを狙う、集中し根を操り――そして時は来た。
「なんですか!?」
 隆起した地面から割って出た根が、悲鳴を上げたアイスクイーンの足元に巻き付いていた。それは女王を食らおうと根を伸ばし、増やし絡みついていく。
「ご存知? 美しい桜の木の下には死体が埋まっているという話がありますのよ。ええ、桜の木の下になど、不用意に近付くものではありませんわ。こうなるんですから」
 雪風が呼んだ桜の木の根は人の生きを啜る"人食い桜"だ。
 排除しようにもその数は多く、凍らせれば接触している己の動きまでもが制限される。
 さすがの女王も焦燥の色が濃い。
 雪風の足元には盾となるべく、根が今かと待ち構えている。
「さあ、如何致します?」
 雪風は閉じた桜柄の和傘から仕込み刀を抜いた。
 攻撃を優先しても桜の根が雪風を守るし、その隙に根に捕らわれる。
 けれど脱出を優先すれば今度は雪風の刀が女王に迫るだろう。
 雪風は優雅に笑う。
 この場で優位に立つのは"女王"ではないのだと示すように。

大成功 🔵​🔵​🔵​

故無・屍
…やっと手が届く位置に下りて来やがったな。
手前ェのクソ下らねェ暇潰しに付き合ってやったんだ、
こっちの『仕事』にも付き合って貰おうか。

相手のUCそのもの、また凍り付いた味方に対してもUCを発動し、
早業、残像を併用にて迅速に敵のUCの無効化、及び味方の救出を行う
戦闘は怪力、2回攻撃、カウンター、限界突破にてダメージを与え、
第六感を用いて致命傷を避ける


手前ェは猟兵なんざ自分にとっちゃ弱者、
同族殺しのことも所詮は漁夫の利を攫って来ただけの雑魚だと思ってんだろうな。
そいつは間違っちゃいねェ、いくら力が強かろうがオブリビオンにゃ到底及ばねェのが現実だ。


――『そういう奴ら』を今まで狩って来てるってこともな。



 アイスクイーンは最初に姿を現した時から、ひとり高みの見物を決め込んでいた。
 多数の配下を従えて、戦場という舞台へ送り込む。
 演じさせるのは絶望という名の喜劇。
 あくまで"女王"は観劇する側なのだ。
 舞台上で滑稽に踊る役者に冷ややかな視線を向けて嘲笑いながら。
「……やっと手が届く位置に下りて来やがったな。手前ェのクソ下らねェ暇潰しに付き合ってやったんだ、こっちの『仕事』にも付き合って貰おうか」
 その"女王"がついに舞台へと下りてきたのだ。
 これを逃すつもりは屍にはなかった。
 今度こそ、この剣を届かせる。

 動き出した屍を見て牽制に放たれたアイスクイーンの氷塊を、彼は一閃で打ち消した。
「……目に見えない存在だろうと、触れられない影だろうと。万能の神だろうと。そこに"在る"んなら、斬れない道理はねェんだよ」
 その不可視の魔法は瞳に映らずとも、屍の第六感が「今だ」と告げている。魔力の高まりを察知し、視線や動作で狙いを予測する。
 もう一閃、剣を振り抜き屍は"ユーベルコードそのもの"を切り伏せる。
 その一撃へ込めるのは、事象破壊エネルギーだ。それはいかなる効果によっても止められない一撃となり、アイスクイーンのユーベルコードのみを無効化する。
 屍たちの頭上で紡がれる魔力は、像を結ぶ前に次々と霧散していく。
 ユーベルコード【暗黒剣・罪喰い】
 その効果は屍の寿命を代償にもたらされるのだ。

「手前ェは猟兵なんざ自分にとっちゃ弱者、同族殺しのことも所詮は漁夫の利を攫って来ただけの雑魚だと思ってんだろうな」
「当たり前でしょう?」
 屍の言葉に、アイスクイーンは不思議そうに首をかしげて見せた。
「いくら猟兵といえど我らには劣るでしょう? あなたがたが私たちよりも尊く強くあるというならば、私たちの統治など……私たちの時代など、とうの昔に終わっているはず」
 彼女はおかしそうに笑ってみせる。
 吸血鬼の支配体制は強固だ。異端の神々に同族殺し。そこに猟兵を加えたところで、吸血鬼たちがこの世界を支配することに変わりはない。
 この百年間ずっと。
「そいつは間違っちゃいねェ、いくら力が強かろうがオブリビオンにゃ到底及ばねェのが現実だ」
 屍は剣を握る手に力を込め、踏み出し、一気に距離を詰める。
 その身から限界という枷が外れる。駆ける速度はより速く、相対的にアイスクイーンの動作が遅く見える。杖を振る動作に咄嗟に半歩体をひねる。そこを氷塊が過ぎていくが、構わず屍は体勢を整える。
 "女王"は理解していないのだ。
「――"そういう奴ら"を今まで狩って来てるってこともな」
 猟兵たちがどれほど狩ってきたのかを理解していない。
 このような茶番劇を用意するくらいなのだから。
 渾身の力を乗せた一撃は深々とアイスクイーンを切り裂いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…生憎だけどお前の望みを叶えてやるつもりはない

…本当の"絶望"は、お前自身の生命を以て味わうが良いわ

殺気や気合いを絶ち存在感を消して闇に紛れ気配を遮断し、
氷属性攻撃の余波を氷結耐性のオーラで防御しつつ、
吸血鬼化した自身の生命力を吸収してUCを発動

…全魔解放。この一撃で全て終わらせる

…さあ、吸血鬼狩りの業を知るがいい、氷の女王

今までの戦闘知識と経験から敵の死角を暗視して見切り、
第六感が好機を捉えたら超高速の早業で切り込み、
残った全魔力を溜めた大鎌を怪力任せになぎ払い、
限界突破した血の斬撃を放つ2回攻撃を行う

…お前達が存在できる居場所なんて、
この世界の何処にもありはしない
消えなさい。永遠に…



 絶望だの、なんだのとアイスクイーンは好き勝手に喚いている。
 幾多の攻撃を浴びて、長い髪は乱れ、纏うドレスは血に染まっている。
 けれど未だその瞳は未だ勝利を夢見ているようだ。
 猟兵に膝をつかせるその瞬間を。
 自身が勝ち誇り、哀れな姿を嘲笑う瞬間を。
「……生憎だけどお前の望みを叶えてやるつもりはない」
 けれどリーヴァルディはその望みを両断した。
 この世界は人の、人類のものなのだ。
 今は闇に閉ざされた世界だけれど、吸血鬼が我が物顔で好き勝手振る舞っていい道理はない。
 吸血鬼相手に、負ける理由などリーヴァルディには存在しないのだ。
「……本当の"絶望"は、お前自身の生命を以て味わうが良いわ」
 自分が犯した罪を。そしてアイスクイーンがきまぐれで他者にもたらした"絶望"とやらがどのようなものなのか、その身で体感すればいいのだ。
 言い捨てて、リーヴァルディはその存在を闇へ溶け込ませる。
 抱いた殺気や気合を、その存在感を極限まで断つ。
 その身に氷結耐性のオーラを纏う。
「……全魔解放。この一撃で全て終わらせる」
 真紅の瞳が瞬いて、そこには鮮血の仮面を纏い吸血鬼と化したリーヴァルディの姿があった。
 吸血鬼狩りの大鎌を手に、彼女は口を開く。
「……さあ、吸血鬼狩りの業を知るがいい、氷の女王」
 そこに込められた感情は何だろうか。リーヴァルディが低く告げるのは死の宣告に等しい。
 ――ユーベルコード【限定解放・血の寵児】はリーヴァルディへ絶大な力をもたらす。完全解放した吸血鬼の血を、ともすれば狂気へ誘う力を、その魔力と精神力で制御し超速戦闘へ特化した戦闘力をこの身へと与える。
 だが、それは発動する間彼女の寿命を削り続けるだろう。故に、奥義なのだ。
 これまで培った戦闘知識と経験から、アイスクイーンの死角を見出し、第六感が捉えた好機を逃さない。
 一撃が見えぬ程の早業で切り込み、リーヴァルディは残った全魔力を黒き大鎌へ込め渾身の力で薙ぎ払う。その限界を超えた血の斬撃にアイスクイーンの体は吹き飛ばされる。 
「……お前達が存在できる居場所なんて、この世界の何処にもありはしない。消えなさい。永遠に……」
 リーヴァルディは歩み続けるだろう。
 吸血鬼を滅ぼし、世界を人の手に取り戻すその日まで。
 闇に覆われた世界に光を取り戻す為に。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリウム・ウォーグレイヴ
アドリブ歓迎

貴女のささやかな願いが叶う事は無い。
例え暗黒の絶望に染まろうとも膝をつく事を拒否し、前へ歩み続けるでしょう。
いえ、歩み続けなければならない。

UCでは効果が薄そうです。武器で決めなければ……。
敵周囲に『範囲攻撃』散華を展開させ、避けようのない『全力魔法』を放ちます。
私が敵へ斬りこむ『時間稼ぎ』ができればそれでいい。白煙で時間を稼げれば更にいい。
敵の攻撃は『見切り』、強引に『氷結耐性』、または耐性を持つコートを囮に一撃でも二撃でも防ぐ事ができれば勝機をこちらに引き寄せる事ができます。
歴史が証明しています。傲慢な女王の最期は首を落とされると。
手にした武器で女王に終焉を。



 無残にも吹き飛ばされた"女王"に抱いた感情は、なんと呼べばよいのだろう。
 はじめて姿を現した時の余裕も、女王としての威厳も、今の彼女には見られなかった。ただ「こんなはずではなかったのに」と醜く抗う姿に、哀れだなとアリウムは思った。おそらくきっと、彼女は気づいていないだろう。自身の状況が、過去自らが他者を追いやったそれと重なることに。

「貴女のささやかな願いが叶う事は無い。例え暗黒の絶望に染まろうとも膝をつく事を拒否し、前へ歩み続けるでしょう」
 彼女が望む絶望は決して訪れることはない。アリウムを含め、この場にいる誰もが負けるつもりなど微塵もない。
「いえ、歩み続けなければならない」
 首を振り、そう付け加えた。自分たちならば、そう出来るのだから。たとえ彼女と同じ状況に追いやられたとしても、きっと立ち上がり挑み続ける。何度でも、勝利を掴むその瞬間まで。

 手負いの女王は杖に身を預けながらも、ようやっと立ち上がる。
 疲れ切ったアイスブルーの瞳が猟兵たちを、アリウムを睨みつける。
「ええ、ええ。結構ですこと。認めて差し上げましょう。下等なひとの身でありながらもその力は我らに届きそうであると」
 吐き出された言葉に反して、その口調は弱々しい。
 虚勢なのだろうなと、アリウムは感じた。
 もう威勢を張る余力もないのだろう。
「あなたがたが吸血鬼であるならばどれほど良かったか……」
 けれどその思想から、負けを認められない、否定するしかない。
 氷の女王はさいごまで"女王"であろうとした。
 掲げる杖先に魔力が集まるのを肌で感じた。
(ユーベルコードでは効果が薄そうです。武器で決めなければ……)
 あれはおそらく、正真正銘のさいごの一撃。アリウムたちを仕留めるつもりなのだろう。

「散れ氷華――!」
 手にしていた刺突剣『氷華』が純白の花びらとなり、アイスクイーンの周囲に散る。
 アリウムのユーベルコード【散華】は、『氷華』を無数の花びらへと姿を変えるのだ。その花弁は、斬り裂いたものを凍らせる性質を持つ。注ぎ込んだ魔力に比例して、その力は増す。だからこそアリウムは魔力の全てをそこへ込める。
「私に対して氷を使うとは愚かな」
 嘲りは黙殺する。その真の狙いは攻撃ではないのだから。
 アリウムが斬り込む、たった一瞬の時を稼げればいい。
 白煙を放り、さらに視界に制限を加える。放たれた渾身の魔法には纏うコートを囮に防ぐ。
 青く染め上げられたコートが、アリウムとアイスクイーンの間に翻る。
 それだけでもう十分だった。
 アリウムが手にした剣は、彼女の体を深々と貫いた。

 ――どこの世界にも似た話があるのだ。
「歴史が証明しています」
 傲慢な"女王"は処刑台へ送られ、最期にはその首を落とされることを。
「"女王"に終焉を。骸の海へ還りなさい」
 女王はその瞬間、この上なく幸せそうに微笑んだ。
「ああ……なんて、素晴らしい」
 氷を思わせる冷たい表情が、一転、春先に芽吹いた木々に気づいたように。ほころんだ蕾にうっとりと見惚れるように柔らかな笑みを浮かべ。
 ――最期は灰となり消えていったのだった。


●おわりの物語
 こうして、辺境のとある街で領主が討たれたのだった。
 遠く安全な場所から戦況を見守っていた民たちも――支配者である吸血鬼が討たれた事に戸惑いながらも――猟兵たちへ感謝の言葉口にする。
 猟兵たちの活躍により領民たちの襲撃は防がれ、その命は守られた。
 領主を含め幹部と配下の者は消え、不利を悟った或いはこの地を見限ったのであろう吸血鬼たちの姿も消えていた。
 街への被害も最小限に抑えられ、少なくとも衣食住に困ることはないだろう。もっとも、吸血鬼による強固な支配体制が崩れた今、都市が歩む未来は住民である彼らが決めて行かなければならないのだが。
 だがそれも杞憂であろう。
 "絶望"という名の物語には、たしかに終止符が打たれた。

 人は歩み続ける生き物である。
 その道がどれほど困難に満ちていようと、一条の光を頼りにその足を進める。
 領民たちは、猟兵たちの戦いを見ていた。"猟兵"が何であるかを知らずとも、困難にも屈さず、前に進むその姿を目にしている。
 彼らが困難に直面した時、猟兵たちの勇姿はきっと希望の灯火となるだろう。

 これよりはじまるのは、今は語られぬ物語。
 どこまでも広がる可能性に満ちた――希望の物語だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年09月26日


挿絵イラスト