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絶望という名の(作者 いつき
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●殺戮という名の快楽
「ああつまらないわ……」
 女にとって何もかもがつまらなかった。
 辺境と言えど与えられた領地は安定している。この街を含め、吸血鬼による統治は完璧である。
 懸念すべきは『同族殺し』であるがこの街にはやってくる気配もない。
 安定した平和、それは即ち退屈な時間である。
 女――領主たるアイスクイーンは傍らの氷像に手を伸ばした。己が身に降りかかる恐怖と絶望に歪んだ少女の像だ。
「ああ、そうね。絶望が必要なのだわ」
 女領主は配下に命じた、領地を襲撃せよと。
 吸血鬼に媚びへつらいながら生きる領民が絶望に染まる姿が見たい。
 そして――どこぞで暗躍している猟兵とやらが現れるかもしれない。
 猟兵たちが膝をつき、その顔が絶望と屈辱に染まる姿が見たかった。
「さぁいらっしゃい猟兵たち、あなたたちの絶望に染まる姿を私に見せて」
 それはきっと退屈しのぎになるに違いないのだから。

●グリモアベースにて
「集まってくれてありがとう。以上が僕が予知した内容だよ」
 グリモア猟兵アリステル・ブルーはそう告げると周囲の猟兵たちに感謝を述べ一礼した。
「今回みんなに頼みたいのは、罪なき領民への襲撃の阻止、及び配下と吸血鬼領主の討伐だよ。順に説明するよ。大丈夫、まだ間に合うんだ」
 グリモア猟兵は説明を続けた。
 事件現場は辺境にも近いとある街だということ。女領主が治める街で、領民たちは彼女や吸血鬼たちの機嫌を伺いながら生き延びてきたことを。
「ダークセイヴァーでは僕たち猟兵より『同族殺し』の方が脅威だからね。……予知からすると今回の領民襲撃はただの囮、狙いは猟兵にある。ただひとつ、猟兵が敗北し絶望する姿が見たいってね。
 みんなを転送した時には襲撃がはじまる直前くらいだ。猟兵が来たら敵は君たちを狙いにくる。現地の住民も自主避難をするようだから、君たちが負けない限り一般人に被害は出ないよ」
 安心して欲しいとグリモア猟兵は微笑んだ。
「現地で襲撃を主導しているのは『失落卿』と呼ばれる吸血鬼だ。それは戦いに敗れ体を失った存在なんだけど、今回の襲撃で猟兵の体を奪おうと考えているようだね」
 まぁ君たちなら大丈夫だと思う、とグリモア猟兵は続けた。
「そいつを倒せば、ご領主殿の配下の出番だ。君たちを包囲し殲滅しようとするだろうね。
 ……相手は人間の姿をしているけど、とっくの昔にオブリビオンとなり果てた存在だ。だから遠慮なく攻撃して骸の海にかえしてほしい」
 死こそ救済であると主張するのはかつての聖職者たちだ。
「……彼らを退ければ、いよいよ領主が顔を出す。予知にいたのが、彼女だよ。……気をつけて、氷の魔法を使ってくる。食らえばおそらく氷像とされてしまうだろう。
 送り出す身で申し訳ないが、君たちにはみんな無事に戻ってほしい。幸運を祈るよ」
 グリモア猟兵は転移ゲートを起動した。
「……ひとつ頼みがある。住民はきっとあの街で生きていかなくちゃならない。だから、できれば街を破壊しないようにしてくれたらいいな。でも君たちの命が最優先だから、無理なら構わないし、多少の被害は領民も覚悟しているよ」
 転移の光に包まれる猟兵たちに、改めてグリモア猟兵は一礼した。
「君たちの幸運と勝利を祈る。どうか無事に帰ってきて」





第2章 集団戦 『破滅の使徒』

POW ●死の抱擁
【魂狩の鎌】が命中した対象を切断する。
SPD ●滅の壊刃
【魂狩の鎌】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ ●獣の行進
召喚したレベル✕1体の【飢えた狼】に【鬼火】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 女――領主アイスクイーンを名乗る吸血鬼は多数の配下を引き連れて猟兵たちの前に姿をあらわした。
「ええ、ええ、猟兵たち。素晴らしい絶望をありがとう」
 パチパチパチと場違いな拍手を鳴らしながら、領主は笑う。
 領主の願いも己の願いも叶えられぬまま配下が散っていったばかりだというのに、それすらも楽しかったのだと笑って。
「けれどまだ足りないわ、ねぇ皆様もっと私を楽しませて?」
 絶望という名の喜びが心を満たした。けれど乾いた砂に水を一滴落としたところで潤う事はない。領主の心は未だ退屈にとらわれているのだ。
 さあ行きなさいと、領主は配下を放つ。
 その聖職者たちは教会のものに模した黒衣を身に纏っていた。
「皆様知っていますか? 我らを真に救うのは死のみであると」
 死こそ唯一の救済なのだと口々に語り始める。
 その瞳は虚ろであり、既に正気でないことが見て取れた。
 彼らもまた、過去の残滓オブリビオンなのだ。

 かつて彼らは祈りと慈愛に満ちた聖職者としてこの世にあった。
 けれど絶望の淵で落命した折に、真の救済は祈りではなく死なのだと悟ったのだ。
 故に、その手にした鎌で領民たちの命を刈り取るのだ。全ては絶望からの救済の為に、と。
 そして猟兵たちもまた救済の対象なのである。


 領主と猟兵たちとの間には、かつての聖職者『破滅の使徒』たちは立ち塞がっている。
 『破滅の使徒』を倒さなければ、猟兵たちの攻撃は届くことはないだろう。
 じりじりと距離をつめる『破滅の使徒』たちの向こう側で領主は楽しそうに様子を見ているが、まだ手を出すことはできない。